地方行政委員会 第15号
- 発言数
- 81 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/02/22
会議録
○灘尾委員長代理 これより会議を開きます。委員長の指名により暫時私が委員長の職務行います。 前会に引続き、昭和二十九年度地方財政計画に関する質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、順次これを許します。北山愛郎君。
○北山委員 地方財政計画に関連するいろいろな問題があるわけでありますが、最初に、小さい問題でありますが、昨年この委員会で問題になりました消防施設の例の防火貯水槽の問題であります。これは第十六国会の本委員会におきまして、委員の要望によつて、建設大臣も、大蔵省の側でも、現在建設省の管轄になつておりまする防火貯水槽の予算を、国家消防本部の方の予算に二十九年度から振りかえることを考慮するというような御説明があつたわけでありますが、二十九年度の予算におきましてはそのような措置がとられたかどうか、これをひとつ確かめておきたいと思います。
○後藤政府委員 ただいまお尋ねの件を私よく存じませんので、調査してお答えいたしたいと思います。
○北山委員 それではその消防の問題は、あとで国家消防本部の方の出席をいただいて、御説明をいただきたいと思います。 それから町村合併の予算的な措置でございますが、町村合併促進法の第二十九条には、御承知の通りに、合併町村の新町村建設計画に対しましては、予算の範囲内で政府が文教の施設であるとか、あるいは消防の施設、病院、授産事業の施設、道路等につきまして優先的な措置を講ずるのだというような規定になつておるわけであります。そしてこれまた昨年の八月の本委員会におきまして町村合併促進法審議の際に、床次委員あるいは滝井委員も質疑したと思いますが、愛知大蔵政務次官は、大蔵省側におきましてはこの優先的な措置というのは、今までの予算の範囲の中から、合併町村に対して優先的に振り向けるということになれば、ほかの町村が迷惑をするから、そういうことでなしに、プラス・アルフアといいますか、わくをふやすんだというふうな答弁をしているわけであります。今度の財政計画と関連いたしますが、この町村合併促進について文教の施設、消防施設、病院、水道の施設あるいは授産施設、保育所、道路等につきまして、二十九条による予算的な措置をどのように講じたか、それについて自治庁はどういう交渉を各省と行つて来たか、その経過と結果を御説明願いたいと思います。
○後藤政府委員 お答えいたします。町村合併に対する二十九条の予算的措置でありますが、来年度の計画におきましては、起債等については、本年度程度の合併町村でありますれば、何とかやり繰りがつくのではないか。来々年になりますと、非常にむずかしくなつて参りますが、優先的な措置で大体まかない得るのではないか、現在かように考えております。しかし個々の事業につきましては、それぞれの事業官庁との折合せを十分いたしまして、遺憾のないようにいたしたい、かように考える次第でございます。
○北山委員 しかしすでに合併促進法の方は実施になりまして、二十八年度においても相当数の合併が進行しておる。また二十九年度は六五%を目標にして合併が進行しておるというような状況になつておるわけであります。そうして地方の合併関係町村の方へ参りますと、やはり建設計画には非常な期待を持つておる。合併をすれば、やはり道路とか学校、病院その他のいろいろな施設が優先的に拡充をされる、整備をされるということを非常に夢見ておる。そうしてそれに対する政府の財政的な裏づけというものに相当な期待をしておるわけであります。従つて、これが二十九年度においても何らの考慮もされておらないということになりますれば、これは町村合併についてこの地方の関係住民の期待を裏切るということになるわけであります。で、来々年度においてはどうするこうするじやなくて、政府としては二十九年度からそういうふうな実際上の措置をいたさなければならぬ、私はそのような段階である、かように思うわけであります。また将来合併を促進させるという意味合いにおきましても、二十九条の規定を政府が忠実に、誠意を持つて、責任を持つてやるのだ。ちようど本委員会で言明されましたように責任を持つてやると言われた、それを実際に実施しなければ、今後の合併には大きな支障になるのではないか、こう思うわけなんです。ですから、この問題は相当重大だ。もしも二十九条みたいな規定を置いて、そうして羊頭狗肉というようなかつこうになるならば、もう地方の住民は合併というものに非常な失望を抱くであろう、こう思うわけです。従つてさらにお伺いしますが、現実に一体文部大臣なら文部省に対して、あるいは国家消防本部に対して、あるいは厚生省に対して、自治庁がこの町村合併というものをどの程度に考慮せよという交渉をなさつたか、あるいはその結果がどういうことになつたかという経過をお伺いしたい。何らの努力も払わなかつたなら払わなかつた、こういうふうにお答えを願いたい。
○青木(正)政府委員 ただいまのお話、私どもも町村合併の問題で各地を歩きましたときも同じような御質問もあり、また私どもの考えもまつたくその通りであります。法律で規定だけ設けて、これが実際に動けないということであつては、合併の促進もできませんし、また合併町村に対してまことに申訳ない、かような考えで、まつたく同感であります。二十八年度につきましては、御承知のように予算がきまつたあとで促進法ができたという関係もありましたので、その運びには至らなかつたのでありますが、二十九年度分につきましては、各省の予算の決定につれまして、これに相伴つて、私の方から連絡いたしたい、こういうような考えを持つておるわけであります。従いまして、まだ予算がきまりませんので、具体的に交渉する段階に至つておりません。しかし私ども自治庁の考えといたしましては、厚生省なり、その他各省で予算の配分等をきめるのに対応いたしまして、私どもの方から町村合併について、第三十九条の考え方を十分取入れていただくように交渉いたしたい。なお推進本部の会合には関係各省の方々にも入つていただいておりますので、その会合等におきましてもその点を十分打合せて行きたい、かように存じておるわけであります。
○北山委員 ところが、予算がきまつてしまえば、これはもう終りだと思うのです。予算の方を見ましても、たとえば中小学校の一般校舎の予算を見ると、二十八年は二十五億六千六百万、ところが本年は二十四億八千五百万というふうに減つておるわけです。それから屋内体操場においても昨年より多少減つております。それから危険校舎も減つておる。消防施設についても、先ほどの防火貯水槽が建設省から移管された分というものを除外するならば、おそらく昨年と大したかわりはない。児童保護施設についても、昨年の七億という予算がことしは五億になつているというふうに、ちようど二十九条に列挙してあるような事業についての政府の予算というものが縮減をされておるわけなんです。そうすると、そのきまつた予算のわくの中で優先的にやるということになれば、よくなる町村はいいでしようが、そのとばつちりをほかの合併しない町村が受けるということになる。ですから、予算がきまつてしまえば、そういうふうな結果にならざるを得ないわけです。しかも予算の総わくは去年よりふえておらぬような状況において、昨年この点を床次委員が大いに心配されて、きまつた予算の範囲内で優先的にやるというのであれば、ほかの町村が非常な迷惑をするのだから、その点を念を押したわけであります。ところが大蔵省の愛知政務次官は、これはそういうことでなく、総体の予算でプラス・アルフアで、そのような結果にさせないようにするのだという御答弁だつた。ですから、その御答弁の通りにしようとするならば、もう予算がきまつてからでは終りなんで、しかもその予算が昨年よりもわくがふえておらないというような事情ですから、これは今のお話では私どもは納得が行かないわけであります。それで、予算折衝の過程において何らかの努力をなさつたと思う。何もしておらなかつた、予算がきまつてからその配分についてどうのこうのというのでは、われわれがこの委員会であの法案を審議したときの約束と大違いになる、その点を私どもは非常に心配しているわけでありますから、これはそういう趣旨で、われわれが一番懸念している点について、自治庁の努力いかんということをお伺いしているわけであります。今の御答弁の通りでありますれば、おそらくその縮小された予算のわくの中で、さらに合併町村に優先的にやれば、ほかの方は非常に少くなる。事実自治庁は大いに合併促進を地方に行つて宣伝しているわけですが、その際には、合併しなければ起債のわけももらえぬようになる、そういわんばかりの調子なんです。そうすると、合併していいか悪いかわからない町村の人でも、この際政府の方針に従わなければ損をする、起債ももらえない、補助金も減るというようなことから、よくわからないで合併に賛成してしまうというような結果になる、私どもはこれを非常に懸念しているわけです。 今後予算がきまればというお話ですが、それでは今後どういうふうな具体的な御努力をなさるつもりであるか。予算そのもの以外に、起債とか、そういう方法もあるだろうと思うのですが、どういう具体的な努力をなさるつもりであるか、それをはつきりとお伺いしたいのであります。
○青木(正)政府委員 御指摘のごとく、私たちもできることならば、いわゆるプラス・アルフアの程度を欲しかつたのであります。しかし全体といたしまして、何分御承知のごとき緊縮予算の編成でありますので、たとえば文部省関係の学校の問題等につきましては、われわれ予算折衝の過程においてわれわれの力の及ぶ限り十分希望は申し出たのであります。しかしながら何分全体の予算のわくが緊縮だということで、十分御満足の行くような数字は出なかつたわけであります。しかしわれわれといたしましては、合併促進法の考え方に立ちまして、関係当局にもできるだけ力を尽したつもりであります。 なお私が先ほど申し上げました今後の問題についての考え方といたしましては、一応わくはきまりましたが、個個の、具体的にどこに配分するかということは、これからの問題になるわけでありますが、そのときにあたりまして、できるだけ二十九条の考え方に沿つて、各省とも配分を決定していただくようにこれから折衝いたしたい、かように存ずるわけであります。なお町村合併促進に対する全体の予算の問題も同様でありますが、進捗率が、二十九年度二六%、かように私どもは基本計画を立てているわけでありますけれども、現実の問題としてはたして六五%に行くかどうか。あるいは大蔵省あたりの考えは、当初はもつとはるかに少いという考えを持つておつたわけであります。私どもはそれほど少いとは見ないのでありますが、しかし六五%までは見ていないのであります。そこで予算の折衝にあたりまして、われわれ自治庁の考えていることと、期待通り六五%の進捗率がある場合は、予備費なり何なりで考慮してもらいたい、こういうこともだめを押しているわけであります。従いまして二十九年度におきましてどの程度の合併が現実に出て来るか、これとも対応いたしまして、具体的にきめて行く必要があるのではないか。またその進捗率いかんによりまして、場合によつてはあるいは起債の問題予備費等の問題等も考慮しなければいかぬのじやないか、こういう気持だけは持つているわけであります。しかしこれは仮定のことでありますので、そこまで行きませんうちに、私どもといたしまして、財政当局に対してこれだけのことをせよということも申しかねますので、予算折衝の最後においては、そういう含みだけは私どもといたしましても大蔵当局に申し上げているような次第であります。
○灘尾委員長代理 北山君の御質疑の途中でありますが、法務大臣が出席せられましたので、先ほどの打合せに従いまして、御質疑を中止していただきたいと存じます。 —————————————
○灘尾委員長代理 この際警察法案及び警察法の施行に伴う関係法令の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。両案に関しましては、前会におきまして政府より提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより両案に対する質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。橋本清吉君。
○橋本(清)委員 私は先日本法はまことに強力なる国家権力を基礎づけるものである、また国民諸君に及ぼす影響が非常に多い立法でありますから、当然これが法案提出の立法理由の根本につきまして、政府の最高の責任者である吉田総理大臣の出席を求めたのでありますが、いろいろの御都合で本日は出られないのでありますから、他日に譲りまして、まず法務大臣に本法の主要なる数点につきましてお伺いをいたしたいと思います。 本法案を通読いたしまして、現行警察法に対する重要な改正諸点を検討してみますと、政府の考え方の基調は、警察が中央の出先機関といたしまして国民に臨んだ旧時代の国家警察を復元することが、現下の国内治安情勢に適応する要請であるかのように考えてるのではないかと想像される節が非常に多いのであります。もとより警察の民主化は国家百年の計でありまして、先日も申し上げましたが、もしもこれを一時的な治安情勢などによりまして、日本警察の民主化を根底から逆転させるようなことがあつては断じてならないと考えるのでございます。以下政府案の主要なる点について御質問申し上げたいと存じます。 法案第一条で「民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、」とありますが、本法案は現行法による民主的保障から見まするならば、常識的に考えましても雲泥の相違があるほど、いわゆる官僚的運営を可能にすることを保障しているといつても過言ではないと思うのでありますが、いかがでありましようか。 〔灘尾委員長代理退席、中井委員長着席〕
○犬養国務大臣 お答えを申し上げます。まず最初に申し上げたいことは、現行法は占領政策の一環としてできたものであることは御承知の通りでございますが、なかなかいいところがございます。つまり警官が国民と親しみやすくなる。警官が町の子供と笑つてちよいちよい雑談するというようなことは前にありませんでしたが、今ごろはあります。そういう意味で今の警察法はなかなかいい功績を残していると思いますが、他面においていろいろな点で、これはあとからまた御質問に応じて申し上げたいと思いますが、今の日本の状態に適しないところがあると考えまして、本会議で申し上げましたような諸点の改正を行おうとして、御審議を願つているわけでございます。そこで橋本さんの御心配もごもつともな点があると思います。つまりこういう根本的改正というものは、すぐ国の状態が変化したからやるということではいけない、しばらく長いものさしで情勢を見て、いよいよいけないというときにやらないと行過ぎが起る、私はまつたくそう思うのでございます。従つて過去六年ばかりの実績を見て、大体ものの変化というものは五、六年が一つのものさしになると思うのでありますが、どうも改正した方がよいと考えまして、昨年来私の責任において警察法の改正を上程して御審議を願つているわけでございます。そこである一時的な情勢で、急に警察組織をかえてはいけないというお話でございましたが、その通りでございます。警察法改正の理由はたくさんございますが、一つは同時に数箇所において起る大規模な騒擾事件に備えるということも理由の一つでございます。それは決して一時的な世界情勢でなく、よく新聞や雑誌の論文でもお互いに承知いたしておりますように、長きにわたる冷戦、長きにわたる地下運動的な暴力主義的破壊運動、これに対処しておかなければならないと考えまして、改正の方式をその方にも備えたわけでございます。それから中央集権的でまるで戦争前の世界無比に完備した警察とよく似ているではないかというお話でございますが、私はそう思つておりません。戦争前の内務大臣や警保局長には民間から選ばれた現在の国家公安委員会のようなものはできておりません。御承知のように国家公安委員会は親しみやすい警察庁長官の相談相手ともなりますが、ときには非常にけむたい監視役にもなるのでございます。名前をあげて失礼ではありますが、現在国家公安委員会の中に社会党の金正米吉さんという方がおられます。総同盟の会長もされて非常にりつぱな方であります。警察に関しても公正な抽象的でない非常によい議論をなさつて、私は心から尊敬をしております。ああいう方が国家公安委員会の中におられることを切望しているくらいであります。ところがああいう筋骨の通つた方は、いやしくも警察国家に政府及び中央警察の方向が向おうとしたら、全生命をあげて闘われると思います。そのように国家公安委員会というものはなかなかけむたいのでありまして、私は逆に今後の警察庁長官や地方の警察本部長というものは、よほど人間的に練れた者でなければ、ただ警察知識を持つているたけでは勤まらない、こう考えているのでございます。また地方におきましても申し上げましたように地方の都道府県公安委員会というものがございまして、そうして目を光らせている。警察本部長は権力があるようでございますが、他県に乗り込んだ他郷者にすぎません。こういうものがその県のあるいは府の何といいますか、愛郷心に満ちたそこの民衆とうまを合せるには、よほど我を折つて、円満な話をしなければ毎日勤まらない。また御承知のように国家公安委員も他方の公安委員も、その警察長官や警察本部長が気に入らなければ、非行がある、不適当と認めれば、懲戒、罷免の勧告権を持つことができるのでございます。これに対してそれが懲戒、罷免の勧めをしたら自動的に受取るのでなければ、安心できないじやないかという御議論もありますが、私はそう思つておりません。なぜとなれば、懲戒、罷免の勧告を受けた警察隊長というものは、もうまつたく新聞にも批評が出ますし、輿論というものに押されてやりにくくなる。そこに私はやはり民主主義の輿論による制約というものがあるのではないかと思う。私が本会議でいろいろ御質問を受けました質問者と私自身との意見の相違は、そういうときに最後の行司になり、審判官になるのは輿論である。どんな強力な政府もこの輿論にはやはり一目置かなければならぬ。その輿論の作用と力というものを信じて、公安委員会制度をして警察にとつて煙たい存在にいたしたわけでございまして、こういうふうにやりにくいチエツクをする機関がありますから、私は戦争前の橋本さんがいろいろ御苦労になりました時代の警察とは大分違う、こういうふうに考えておる次第でございます。
○橋本(清)委員 一般的に見まして、いわゆる占領法規を改めるという問題が今起つておりますが、このときに際しましては、私もかつては官僚でありましたが、私はあの敗戦の厳粛なる事実に目ざめまして、追放の七年ただ国家の運命を考えまして、少くとも、旧官僚思想は脱皮いたしたつもりでおりますが、いまだ脱皮せざる官僚精神の常といたしまして、この占領法規の改正にあたりまして、はたして中央集権的に行くか、地方分権的に行くか、この両者の調整をする問題になりますと、脱皮せざる官僚精神というものはどういたしましてもものを中央集権的に考えるくせがあると私は思う。むしろこの立法のごときは、はなはだ失礼なことを申し上げますが、政党者流の諸君が依然としてこの旧官僚意識を脱しざる、いわゆる国家権力主義的なる官僚におどらされて、かような立法をつくつたのではなかろうか。これはやや言い過ぎではあろうと思いますが、こう私は感じるくらいであります。この点につきましては議論になるからやめておきます。ただあとで御質問するつもりでありましたが、法務大臣は御提案のときにも、今も、輿論の力ということを非常におつしやいましたが、私も同感である。かくのごとき権力立法をつくるにあたりましてはまず輿論であります。 御提案の御説明のその一節にも、制度の根本的刷新の要は今や社会の輿論であると申しても過言ではありません、非常に政治感覚の鋭い法務大臣が、この輿論、もちろん輿論であります。世論であります。これが第一。はたしてしからば、本法立案にあたりまして輿論としてはいかなるものを調査されましたか、その点をお伺いいたします。
○犬養国務大臣 これも実情を申し上げたいと思いますが、昨年は団体を組んでこの議会にどんどん来られまして、自分の言う通りにならなければ承知しないというような、そういう陳情が多かつたのでありますが、ことしは非常に地味でありまして、一人々々見えて懇々と話すというふうで、私は昨年と大分違うのじやないかと思います。それらの方の御議論もできるだけ時間をさいて私は伺いました。また輿論の一つとしては御承知のように地方制度調査会でございますが、この案は、五大都市を独立単位にしろという地方制度調査会の答申以外は、全部地方制度調査会の答申をうのみにしたという非難が出るくらいに、うのみにいたしておるのでございます。ただ五大都市の問題は本会議で申し上げましたように、地方制度調査会でも行政部会では五大都市独立はやめた方がいいということでありますし、政府の行政簡素化、財政簡素化の見地から見ても、こういう複雑な単位をつくるということは、大都会と周辺地区の犯罪がこのころ一体となつているにかんがみまして、警察単位の分割化というのはよくないと考える。しかしながら中央でまとめるということもこれは警察国家になりますので、府県単位ということにいたしたわけであります。よく誤解がありまして、自治体をやめて国警だけにしたという御質問がありますが、国警も自治体も仲よくやめて府県警察というものをやつて行く。府県警察となりましたから、今度は予算をお願いする関係上、府県の議会でさんざんな御批判の的になるわけであります。これでもまれて、私は警察の官僚化というものは相当やわらかい存在になる、そういうふうに思つているのでございます。
○橋本(清)委員 輿論の材料として地方制度調査会というものを、一つの基準にせられたようでありますが、私は今日一応の輿論としては、さようなものよりも国内の大新聞の論調であるとか、あるいはさような面におきまして集められた輿論の方が、より民衆的なものである、これこそほんとうの声ではなかろうかと思う。あの地方制度調査会の構成メンバーを見ましても、私のように徹底的に官僚を脱皮いたしました者にとりましては、あれは官僚の制度のように思われる。試みに東京の大新聞の最近の——もちろんこれはこまかくつつ込みますれば、いろいろ疑問はありましようが、一例といたしまして警察法改正案をどう思うかという去る二月十二日の東京のある大新聞の輿論調査をあげますと、反対いたしておる者が五五%、賛成いたしておる者が四五%であります。その反対の理由をパーセンテージで申し上げますと、中央集権となるとするものが反対のうちの五二・四%、警察国家となる、一五・二%、民主主義にそむく逆コース、一九・八%、自治警察を育て上げればよい、七・五%、現行法でよい、二・一%、その他三%、賛成の理由は、財政的によくなるが四〇・二%、一本建にすると機能が強くなる、三三%、一本建の方がよい、四・三%、民主的にやればよい、一八・一%、自治警の必要なし〇・七%、その他四・〇%、かようになつております。それから、これはごく最近でありますが、本年の二月十日国立国会図書館の調査立法考査局で出しました調査速報十二、十三号があります。これは煩を避けて申し上げませんが、これは非常に民主的な調査資料でありますから、これをごらん願いますればよく輿論の趨向がおわかりになる、私はかように思う。 輿論の問題はそれだけにいたしまして、次に法の根本理念として能率的にその任務を遂行するに足る警察と言つておられますが、いかなる規範に立つて法律的とおつしやるのでありましようか。
○犬養国務大臣 お答え申し上げます。お断りいたしますが、警察は能率さえよければいいということになれば、昔の内務大臣みたいなやり方であればいい、一日かからないうちにすつかり命令が行く、これほどけつこうな制度はないのでありますが、能率だけ上るのが警察制度ではない。しばしば申し上げますように、警察制度の問題というのは二つ矛盾したものをそれ自体持つておるのであります。つまり警察は親しみやすい警察になつてくれ、しかし強い警察になつてくれ、しかしあまり強過ぎては民衆はこわい、こういう両極端の意見を両方正しく持つているわけでありまして、これを矛盾なく調和させるのが、警察制度改正のみそだと私は思うのです。これはなかなかむずかしい課題でございまして、どんな人が努力しても、質問をしようと思えば、いくらでも質問のかどがあるわけでございます。しかし私はやはり中央で極端に能率化するのは、警察国家になつてよくないと思う。ただ今のように国家警察と自治体警察とが、非常にたくさんの数で警察単位を分割しておりますと、連絡すればいいじやないかといいますが、なかなか違う命令系統の官吏同士が連絡してもうまく行かないのです。ことに日本人は世界中で一番似たような仕事を違つた命令系統でやるのが不得手な——美点もありますが、そういう欠点があります。そういう民族の特性を考えて、一つの法律とか制度というものを考えないと抽象論になると思うのであります。輿論はさておきまして、国家一体では能率は上るが警察国家になる。しかしながら今のように非常に分割されたのでは犯人があがらない。国民は親しみやすい警察を望みますが、犯人がつかまらない警察は望んでおりません。そこでこのごろの犯罪というものは広域化している。都会で犯罪を犯した人は農村へ逃げ込む、農村で犯罪を犯した人は都会へ逃げ込む。都会へ逃げ込むと警察の命令系統が違うので通牒を出すが、なかなかできない、こういうことが多いのでございまして、中をとつて府県警察という単位にして能率化と民主化とを合せて考えたい、こういうことで御賛成願えると思うのでございますが、いかがですか。
○橋本(清)委員 親しみやすい警察、これを法律に出ております言葉で申しますれば「民主的理念を基調とする警察の管理と運営」、すなわち民主的な保障です。それから強い警察、これを法律に出ております言葉で申しますれば、「能率的にその任務を遂行するに足る警察絹織ということであります。この現行法を率直に申してとおつしやいますけれども、これは親しみやすく民主的という面は、表面にはいろいろのことが出ておりますが、一方眼光紙背に徹すれば、どうも民主的な方が骨抜きになつておるように思います。はたして民主的保障ということと、もう一つの並行すべき目的であるところの能率的の運営とを、この立法の根本理念として同じ価値に法務大臣は見ておられるか、あるいは民主的の保障が基本であつてその法文にあります通り、民主的理念の基調のもとでの能率的通常をお考えになつておるのであるか、あるいはまた能率的運営のためには民主的保障という、もう一つの目的を相当犠牲にしてよいとお考えになつておるかどうか、この点を承りたい。
○犬養国務大臣 これは私よく覚えておるのですが、昨年も鈴木義男さんが非常にいい質問をなさいました。今でも記憶しておるのでございますが、警察の発生論のようなことをおつしやつたわけであります。なるほどおつしやる通り警察というものは、そもそもの起りはまず自分の家を守る、それから近所お互いに守る、一つの町をお互いに守るというふうに自衛の観念から来ております。国家が責任を負つて、まず警察をつくつたという歴史はありません。しかしどんなことでも近代の制度は発生論から少し目的をはずれて来ることはしかたがないのであります。社会がそれだけ複雑になつたのであります。従つて民主的理念が先かといえば、発生論からいえばまずその大事なところは保たなければなりません。しかも近代の犯罪の複雑化、ことに国際的な暴力主義的破壊活動をも防ぐということが、政府の国民に対する義務の一つでございますから、全国の高い立場から見て、長崎県に騒擾事件が起つた。熊本県にも起つた。長崎県は長崎県だけを守ることで一生懸命だ。熊本もそうだというときに、中央から見て、長崎は少し熊本に応援をやつても、君のところはまだ小さいから大丈夫というような指令を出すことが能率的である。しかしこれを際限なくやつたら中央集権になりますから、中央から地方に指令できることは、第五条で非常に小さく、肩身が狭いようにして、遠慮がちにしてこれからはみ出たならば法律違反だ、こういう制約のもとに能率化をはかつたものでございます。さよう御了承を願いたいと思います。
○橋本(清)委員 これは現行法と今回の政府案との、立法理念的な重要な相違点だと思う。それではいろいろ局部的のお話をなさいましたが、本改正案は大体において民主的保障を能率的運営ということのために、多少犠牲にした立法の根本理念と認めてよろしゆうございましようか。
○犬養国務大臣 犠牲にしたというと、どうも橋本さんの誘導尋問にひつかかりますので、発生論からいつて当然民主的理念は残さなければならないが、近代警察として近代社会に対応させるために、それにプラス能率化ということにしたので、犠牲にしたというのではない。それだけ味が加わつた、こういうことであります。
○橋本(清)委員 もともと白樺派の御文士でいらつしやつたのですから、言葉はお上手でありますが、要するに信念の問題を伺いたいのです。 次に法案の六条において、国家公安委員長は国務大臣をもつて充てることにしておりますが、何の必要があつて、国家公安委員会の民主的な性格をかえるのでありましようか、お伺いいたします。
○犬養国務大臣 これは今度の法案で重要な質疑応答の中心点になると覚悟をいたしておるのでございます。これの一つの原因は、御記憶にありますように、昨年以来ひんぴんといろいろな事件が起りますが、だれが責任者かわからない。私は警察法が出るたびに、ここに出ておしかりを受けるのですが、担当大臣というだけで、あまり責任はないのです。法案の説明をしたり、予算を取次いだりするのであつて、最高の責任者ではない。第一自治体警察に起つたことは一切私は責任がない。こういうような実に妙な存在でありまして、いろいろな最近の不祥事件もこんなことで一体だれが責任者かということが、あるようでない。これが昨年から国会の中の一部の非常な主張なのであります。それでなるほど、やはり政府が責任をとつて、これはしくじつた、大臣もかわらなければいかぬという、はつきりしたものにするのが、国会政治の責任制度にこたえる道だと考えたのであります。しかしその意味で国務大臣を国家公安委員長に充てましたけれども、これが何でもかんでもやるのだつたら、民主的理念というものがうそになります。そこで今までのように国家公安委員会は自分で表決する。委員長は、表決に加わらない。賛否同数のときは、委員会流会というのはおかしゆうございますから、初めて表決権を持つ。ふだんは今まで通りの表決できめて、それを委員長が国務大臣として政府に伝える。こういう中をとつた制度にいたしたわけでございます。これは私どもの独断ではなく、昨年もあなたの党の方では印刷物で御発表になりまして、なるほどこういう意見も悪くないなと思つて、私の方が感染をいたしたわけであります。
○橋本(清)委員 昨年のお話をなさいますが、私は落選しまして昨年は出ておりません。ですから悪いところを今党議を通じて納得の行くものに直そうと思つて、一生懸命真剣にやつておるところです。私は国家公安委員会の本質を聞いておるのです。すなわち責任がないと言われますが、国家公安委員会というものは法律の主体になれると私は思う。国家公安委員会というものは、その一人々々が国会の同意を得て総理大臣が任命することになつておることは御承知の通りである。すなわち何十人か吉田さんのこしらえた、ぼんくらというのもおかしいが、国務大臣を任命するよりも、国会の同意を得るだけ、国家公安委員会は慎重な手締をとつて選任されておるのであります。国民の代表である国会の同意を得て選任することだけ、何百人か、何十人か知らないが、吉田内閣成立以来の普通の大臣よりも、ずつと慎重な手続をとつて選任されておる。また罷免の場合も大臣の場合と異なつて、普通の平大臣はすぽつとやられるが、そうではない。国家公安委員会は法に定める一定の事由なき限り総理大臣は一方的に罷免できないことになつておる。この身分の保障されたる国家公安委員の五人で国家公安委員会を構成し、この委員会が行政委員会として行政上の法律的一人格として責任の主体性を持つておる。その間においては警察は常に不偏不党かつ公平中正に保たしめんとする立法精神からでき上つておると思います。しかるにこの委員会の中に国務大臣を委員長として天くだりさして、この警察大臣を常勤の機関として警察庁を管理させようというのであるから、国家公安委員会並びに警察庁は、時の政府によつて牛耳られることになるのは必至でありまして、全国の警察は警察長官を通じ、時の政府の政治的偏向を持ち込まれることは火を見るよりも明らかであると思うのでありますが、この点に対する御見解を承りたい。
○犬養国務大臣 お答えをいたします。なるほど国家公安委員は総理大臣が国会の承認——これも大事なことであります。国会であんなやつはだめだと言えばそれきりなんでありまして、そこに民衆の制約がまず第一の関門としてございます。しかしそれでももともとこういう人はどうだろうと言うのは総理大臣でありますから、それだけの責任はありますが、われわれの近代的観念における完全な政治責任とはどうも思えません。そこで国家公安委員会が生れるときは、総理大臣によつて任命されますが、一々のことで総理大臣から指示を受けておりませんから、そこで責任の所在がいささか不明確でございます。常識論を一つ申し上げます。この間の二重橋事件のようなことで、もし橋本さんのような御議論ならば、ここへまず国家公安委員五人をそろえていろいろ質問するでしようが、四百六十六人一人として国家公安委員会の意見を聞かなければ承知しないという人はない。犬養大喜臣をよこせ、責任はどうだというわけでありまして、あなた方は議論としてはおつしやいますが、潜在観念として国家公安委員会が責任があると思つておられないと思うのです。私も実はそういうふうに思つておりません。どうも実際の責任というものは、常識としてあすこの五人にあるという観念が稀薄であります。こういう非常に宙ぶらりんの観念の上に乗つていると思いますので、今度は国務大臣をもつて委員長に充てますけれども、これが一々さしずをするようでは民主的な理念にもとりますので、賛否の表決は国家公安委員がやつて、委員長は表決権を持つてはならないというところに、民主的理念の保障の弾力をつけたつもりでございます。
○橋本(清)委員 それが大事なことだと私は思う。国家公安委員会が形としては飾つてある。ここで説明さしたらよいと思うのです。その方が国民が納得する。私はあのときおりましたが、速記録をごらんなさい。門司君が二重橋事件は制度上の欠陥なきやと質問したら、いろいろだらだらと遁辞的な答弁をして、最後には制度上の欠陥はないという答弁をしておる。国家公安委員会というものを飾りものにしておくからそういうようなことになる。国民は官僚から上つたところの人間の答弁よりも、われわれの選んだ親しむべき国家公安委員の人が来て、あなたのさつきおつしやつたような全国まれな人格者とかなんとかおつしやつたが、そういう人がここへ来て答弁をしたら、どのくらい納得いたしますか。その根本の観念が私は間違いだと思う。 それから法律論ですが、私は今日の現行法で、法規上直接指揮監督権が内閣制と矛盾するかしないか知らないが、国家公安委員というものは、内閣の責任制のらち外にあるとは思えない。何となれば政府、国会は警察法に基いて国家公安委員の選任、人事管理に常時関与しておることは御承知の通り。また予算の審査、法の制定等を通じ、十分管理上の責任を果せるのでありますから、国家公安委員というものは法的に内閣の責任制の全然らち外にあるとは考えておりません。その点はいかがでございましよう。
○犬養国務大臣 橋本さんのおつしやる国家公安委員が飾りものになるようではないか。私もその思う場合が少からずあります。それというのは、資格があまり制限されておりまして、二十年前に官吏を一ぺんしてもなれないというのでは、結局俗にいうお医者さんとお坊さんだけが国家公安委員になる。これはお医者さんとお坊さんが悪いというのではない。つまりそれでは狭過ぎる。今度は資格を広げまして、前に検察官と警察官の履歴のあつた人は、これは遠慮してもらいたいが、あと官吏をやつたからというようなことは法律にない。有能な材を入れまして、こういうところに五人並んで御答弁すれば、国民も納得し、委員の方も納得することになると思います。表決は今申した通り五人がする。委員長はそれに一枚加わつてはいけないというのです。ここが私は非常に大事なところだと思います。それで最後に委員会が賛否同数なら流れるというのでは、警察事務ですから速急を要しますので、そのとき初めて委員長が採決を許される、平生は断じて許されない、こういう制度にしてあるわけでございます。
○橋本(清)委員 表決権の問題は、本年一月十幾日かの閣議の決定のときはややこしかつたのです。あまりやかましいものですから表決権はとつてしまつたのですが、私はこれは実相をよく見なければいけないと思います。時間がありませんから他日に譲りますが、根本の問題をもう一つお聞きします。 一体世界のどこに警察の専任大臣を設置しておる国が、ございましようか。
○犬養国務大臣 私あまり専門的知識がありませんから、専門家から答弁いたさせます。 ついでに申し上げますが、委員長に表決権がないというのは、初めの原案でありまして、自由党で遠慮しないで、なぜ表決権を持たせないかというおしかりがあつたのでありますが、これはやはり遠慮した方がよいということを最後に納得していただきまして原案通りにいたしたわけでございます。
○斎藤(昇)政府委員 外国の制度を私もあまり詳しくはマスターしておりませんが、たいていの国にはやはり内務省というものがありまして、そうして内務大臣が警察権を持つておる。これは直接警察を指揮しておるか、あるいは地方の警察を監督しておるか、これは別であります。たとえばイギリスにおきましてはロンドンのスコツトランド・ヤード、これはイギリスの国警であります。内務大臣が警察長を選任しております。それから地方の警察については、内務大臣が監督しておりまして、いろいろ財政その他の面から、また実務の面も監督いたしております。フランスにおいては内務大臣が警察権を持つて、そうしてフランスの知事及びそれに所属されておる警察を監督いたしております。フランスのパリでは、内務大臣が直接任命する、あるいは知事に属さない特別の警察も、大体そういうぐあいになつております。日本には内務省がありませんので、従つて内務大臣というものは置けません。今公安委員会という制度になつておりますが、それに今度は国務大臣を委員長に加えたらというのが原案でございます。
○中井委員長 橋本委員にちよつと申し上げます。予算委員会から大臣の出席を求めて来ております。しかしその後再び請求がありません。それゆえ遠慮なくどうぞ御質問ください。
○橋本(清)委員 私の聞いたのは、警察のためのみの専任大臣を置いておる国が、世界にあるかということであります。内務省は警察のほかにいろいろなことをやつております。世界の歴史で、名前は違うが、警察だけの専任大臣を置いた国は、満州国だけですよ。教えてあげます。治安部大臣を置いたのは満州国だけです。私の言うのは内務省じやないのです。 次に第十六条で、警察長官は「内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて、任免する。」とありますが、何ゆえに現行法通り国家公安委員会が内閣総理大臣の意見を聞いて任免することがいけないのでありましようか。
○犬養国務大臣 これも昨年来大きな問題でありまして、今度の御審議に際して論議の重点になると存じます。これも先ほど申し上げましたように、委員会というものが賛任の主体になるという考え方をかえまして、内閣が自分の責任で任命するが、人に尋ねないでやるのでは内閣のかつてになる、従つて、大臣待遇のやかまし屋のそろつている五人の国家公安委員会の意見を聞く、意見を開いて聞きつぱなしじやないかという御質問もあるのじやないかと思いますが、聞きつぱなしにして輿論がおさまるかどうか、運営がうまく行くかどうか、ここはやはり先ほどの説明の通り輿論の反映というものがきびしゆうございますから、その警察庁長官はいたたまれません。五人の方があれならいいというようなものを事前にいろいろ御意見を伺つて、その後公式的にまた伺つて任命する、この程度のことが一番うまく行くのではないかと考えた次第でございます。
○橋本(清)委員 それは一番大事なことで、警察の民主的管理の基礎理念から言いますならば、もちろん不偏不党かつ中正公平の警察の、機密を握つております中心の警察庁長官の人事を、政変ごとにかわる総理大臣に直結させない方が私はいいと思うのでありますが、いかがでございましようか。
○犬養国務大臣 お答え申し上げます。総理大臣が一人できめればそれはまさに仰せの通りでございます。しかし五人の国家公安委員にあれはどう思いますかと開いて、過半数が反対だというものを実際上は任命できません。任命できるような乱暴者も、それは何年か後にかりに出ても、それは輿論の非常な反撃にあいまして、そういう警察長官並びに政府というものに民衆が協力しません。警察事務というものは民衆の協力なくして小どろぼう一つつかまりません。私はそう思つておるのでございます。
○橋本(清)委員 第十六条第二項以下は、現行法と人事の主体性を逆にしておる申訳に、国家公安委員会に懲戒、罷免の勧告権を与えておるのでありますが、国家公安委員会の委員長は国務大臣をもつて充てる政府案から見ましても、これこそほんとうに装飾的な条文としか、私には見られないのでありますが、いかがでありましようか。
○犬養国務大臣 これは橋本さん官吏の御経験が長いのですが、あなたとしても懲戒、罷免の勧告権を発動されたというのでは、役所にすわつていても非常にやりにくいんじやないかと思います。それをただ自動的に政府がのまないから、この条文は危いというおしかりも本会議であつたのでありますが、たびたび申し上げますが、それはことに日本は世界中でも輿論の敏感な国でありますから、輿論がこれを許しません。そうすると警察長官というものは任命すればそれでいいのではないので、任命した翌日からほんとうに民衆の支持を受け、うまく行かなければならぬ、任命は出発点であります。その意味でただ総理大臣が横車を押した警察庁長官の任命では、私は立つて行けないかと考えておる次第でございます。
○橋本(清)委員 私はやはり人事は任命権が一番大事でして、懲戒、罷免というのは、どうも装飾的条文としか見えませんが、それはやめておきます。 次は法第三十六条で「都道府県に、都道府県警察を置く。」とありますが、この都道府県警察の性格を自治体警察と見るか、国家警察と見るか、またどつちとも説明ができないところのあいのこのような混血的な性質と見るか、承りたい。
○犬養国務大臣 これは主体はやはり何といつても自治体機関である都道府県の機関としての警察でございますから、どつちか、白か黒か、片方だけ言えと言えば、もちろん自治体警察でございます。
○橋本(清)委員 現行の警察法は市町村自治体警察を、原則として人口の密度の疎散な地、いわゆる農山漁村で自治体警察を持つだけの力のない地域を国家地方警察の管轄としておるのであります。従つて現行警察法には国家警察的要素はいわゆる非常事態宣言の場合を除くほかは、どこにも見当らないのであります。しかるに政府案を見ますと、たとえ都道府県の地域ごとに国警、市警が合併せられて一本化したといたしましても、その機会に都道府県警察から自治体警察の性格を駆逐して、国家警察の性格に切りかえんとする意図あるやに見受けられるのでありますがいかがでございましようか。
○犬養国務大臣 そういう御質問は私一応ごもつともだと思います。しかし今の大都会、中都会の警察単位というものは、なるほど力を持つておりますが、先ほど申し上げましたように今犯罪という性質、犯罪の地域が非常に広くなりました。たびたび申し上げますように都会で犯罪を犯した者は農村に行き、農村で犯罪を犯した者は都会に逃げ込む、警察単位が違う、命令単位が違う、連絡を紙でする、命令系統が違うことの連絡がなかなかむずかしいことは、最近の二重橋事件でもよく体験しているところでございます。そこで国民はほんとうに親しみやすい警察は好きだが、なかなか犯人がつかまらない警察はいやがります。この両者の中庸をとりましたのが府県警察でございます。なるほど中央から指示をいたしますけれども、御承知のように現実問題としては国家全体に影響を及ぼすような大災害なりあるいは騒擾事件、名古屋の事件とか大阪の吹田事件とかいうようなものに対して初めて国家がやるので、ふだんの一般のどろぼうとかその他の犯罪はあげてこれは府県警察にまかせます。また警察庁長官は一々の犯罪捜査の指揮をいたさないということを、明記してあるわけでございます。従つて警察国家の御心配をなさつてくださるのはありがたいのでありますが、実はそういうことにならずに済むと考えておる次第でございます。
○橋本(清)委員 こまかいことはまたあとからゆつくりやることにしまして、次に都道府県警察と大都市自治体警察の関係についてお伺いいたします。昭和二十八年の九月十九日の、先ほど法務大臣が御尊重になつたと言われる資料の一つでありまする地方制度調査会第六回総会におきましては、左の重要な決議がなされておるのであります。イは「現在の国家地方警察及び市町村自治体警察を廃止して府県単位の自治体警察を設け、公安委員会の下に置くものとすること。この場合において中央機関を設け警察相互の連絡調整並びに、教育、鑑識、及び通信等の施設の維持管理に当らせるものとすること。」ロは「大都市警察は存置するものとすること。」政府案ではこの決議を無視されておるのはどういうわけでありましようか。
○犬養国務大臣 これは一つは行財政の根本的改革、つまり通過しやすいような法案ということでなく、ほんとうに行財政から根本的な改革をするという観念で、警察制度というものを考えろというのが、内閣のこのたびの根本方針でございます。ごく打明けて申し上げますと、昨年はその点でいささか通過しやすい方法をとつたのであります。今年はこんなに国民の税金がかかる、管理のダブつている点、機構の複雑な点貧乏国の日本では早くこれを簡素化してくれというのが、あまねき国民の輿論だと私は考えております。従つてその見地から見ても大都市警察が府県警察と並立するということは、いたずらに施設と人員の重複を招いて、大体十五億から二十億くらい国民の税金の負担になる、今の日本で十五億から二十億国民に負担がふえるということをみすみす——両方の議論が五分五分としても、そういうことをするのはよくない、一銭でも家庭の主婦の負担を軽くすることがいいと考えまして、やつた次第でございます。もう一つはこれを警察単位が大都市がこう拡がつておりますと、周辺地区の犯罪の捜査に非常に困るのでございます。それからこれは国警長官から専門的に答えさせますが、大都市と周辺地区の国警と無電通信で、お互いに犯人がそつちに行つたからすぐ手配しろとか、これが警察の命でございますが、大都市と並べますと電波というものはまるでサイクルが違う、波長が違うのです。ですから一々二重にしなければ、都市の波長で府県警察、国警の方へ通知する、国警の方から大都会警察に、今犯人がそつちへ行つたらしいということは、波長が違つてだめなんであります。そういう意味で、まことにこれは能率上いかがかと思いますので、行財政制度、能率、犯罪捜査の技術の上から考えましても、これは府県単位にする、自治体警察というものを無視するのではなく、市町村を府県単位にする、こういう考えでやつたのでありまして、大体ことしはこのやり方は、私の知つている範囲では御賛成の方が多いのじやないかと思う次第でございます。
○橋本(清)委員 法案第四十九条では、「警視総監は、内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて、任免する。」とあるが、これも警察庁長官の任免権の場合と同様、現行通りで何ら不都合がないと思うがどうでありましようか。また百歩を譲つて考えてみても、東京都の警視総監の任免を都の公安委員会に意見を聞く際は、総理大臣と国家公安委員会だけで決定するがごときことは、はなはだしい行き過ぎと私は思うのでありまして、先ほど来私が憂えておりまする、どうも政府案から感じるニユアンスは、民主的なセンスの稀薄な官僚の起案したものを、ほとんど民主的な立場からいかに検討するかとい厳重なる再検討を加えることなしに国会に提出せられた、かような条文を見ましても、どうも私はそういう気持がするのでありますが、私のこの気持は間違いでございましようか。
○犬養国務大臣 これもなかなか御議論のあるところだと思います。しかし東京都は国家の首府でございますし、非常に重要性を持つておりますので、内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて任免することにいたしましたが、なぜ都の公安委員に開くと書かないかという問題でございます。実際といたしましては都の公安委員のみならず、道府県の公安委員と国家公安委員は常時連絡会議を開くように政令できめたいと思つております。そこで実際上は国家公安委員会に総理大臣が、警視総監はだれがいいだろうかと聞いた場合に無視してはかかりません。今申した政令によるお互いの連絡会議で、総理大臣から諮問を受けたけれども、都の公安委員はだれがいいだろうかという意見を体し、あわせて国家全体から見て適任者を選ぶということが必要ではないかと思います。都なり道府県だけの委員会の意見を聞きますと、いつもの場合とは申しませんが、少からざる場合その土地だけの人物の観点から選ぶことがございますので、国家的な見地から見た考え方と、その土地の愛郷心を代表した人の意見と中和したものを総理大臣がとる、こういう実際の運用に信頼いたしたいと思つておるのでございます。
○橋本(清)委員 まだお尋ねしたいこともありますが、大分長いようでお疲れのところでもございましようから、こまかい問題はいずれ後日に譲ることといたしまして、私はこの機会に法務大臣に一つお伺いしたいことがあります。 法務大臣は、先日のどの委員会でありましたか、その委員会において、自分は日本の政治のこの長い間のやり方、長い間の日本の政治のあり方については、深く考え直さなければならぬ点があるというお話があつたと思うが、これはいかなる点をさして言つておられるのでありましようか。
○犬養国務大臣 それは私の記憶の限りではほかの委員会で申し上げたのでありまして、つまり政治のやり方、あるいは政党のやり方について、この辺でもう一度最初の——あしたつくるような気持になつて考え直す時期が来たのではないか、こう申し上げた次第でございます。
○橋本(清)委員 もう一つ、ある委員会において法務大臣は、私もフアツシヨの被害者だということを言つておられる。であるからこれに対しては、結論は関心を持たれたかどうか知りませんが、さようなお言葉があつたかと思いますが、それはいかなる意味をさすのでありましようか。
○犬養国務大臣 お答えいたします。法務大臣はフアツシヨ制度にだんだん国を持つて行く気があるとかないとか、フアツシヨ制度をどう思うか、あるいはフアツシヨ制度を十分取締る気があるのか、左翼ばかり取締つて右翼は寛大じやないか、こういう御質問がございました。それに対して、いやそうでございません、というのは、個人的事情を申しあげて相済まないが、私はフアツシズムの犠牲者の家族でございまして、個人的体験から言つてもフアツシズムの台頭というものは身をもつて防止したいと思います。こういう意味の御答弁をいたしたのでございます。
○橋本(清)委員 よくわかりました。どうぞ法務大臣におかせられましては、今いわゆる政界粛正の問題が起つております、すべてのものの考え方を、自分が被害者であつたからというようなことでなくて、ほんとうにもつと客観的な堂々たる見地に立つて、国家的にお考えを願いたいと思う。私は黙つて静かに今日の世相をながめております。行革の委員もいたしております。またいろいろ有田君の逮捕状の問題も黙つて見ております。黙つて静かに見ておる一人である。しかしながら何とかしてもう少し正しい、いわゆる日本晴れの気持に皆さんがなつてもらえないものだろうかということを思う。ああいうものの処理にはいろいろまわりくどい形容詞はいらない、名詞と動詞だけでよい。清く正しく、坦々として天下の大道を歩いてもらいたいと思う。どうぞ犬養さんしつかりやつてください。いわゆる泣いて馬謖を切るという。しかしながら私は馬謖のために泣く必要はない、悪い馬謖のために泣くな、この零細な国民の金を、血税をどこかえやつたところの、そのやられたところの国民のためにうんと泣いて下さい。馬謖のために泣かなくていい。そうしてどんどんと悪い馬謖は切つて下さい。あなたは今それが仕事なんだ。どうぞ信念のもとに、それでまつしぐらに切つてください。もう一ぺん言います。馬謖のために泣いて馬謖を切る必要はない。国民のために法務大臣は泣け。そうして悪い馬謖はどんどんひつぱつてもらいたい。これが私の信念であります。私は先輩に対してたいへん無礼なことを申し上げたかもしれないが、私のほんとうの赤心を吐露してこのことをお願いいたしまして、きようの質問を終ります。
○中井委員長 それでは警察法に関するものにつきましては、この程度で本日は終了をいたします。 —————————————
○中井委員長 引続き先ほどの御質疑に続きまして、財政に関する問題につき質疑を進めます。北山君はおられますか。おられなければ阿部君。
○阿部委員 まず私は事務的な方面からお尋ねいたしますが、この自治庁から渡されておりますところの二十九年度の地方財政計画によりますと、公共事業費などに関しまして政府の補助のある地方費に関しまして、その増減が各数学的にあげられておりますが、この補助の基礎になりますところの基本額の算定を、自治庁においてはどういうふうになさつておられるのであろうかということが、第一にお尋ねいたしたい点であります。といいますのは、補助は通常一定の比率に基いて、三割補助とかあるいは二割五分補助とか、あるいは六割補助とかいうふうなことで交付されるのでありますが、その基本額についてはいろいろわれわれが疑問とする点があるのでありまして、たとえば公共事業費について、労務費につきましては全国おのおのそれぞれに労賃の差がございます。そして一部の地方にありましては、相当高い地方もあり、また同一府県にいたしましても、その差が相当多いのであります。しかるにこれが不当に安く算定せられて、それによつて基本額がきまる、そのきまつた基本額に対して、一定の比率で補助を受けるというふうな算定の仕方をして、ここへ数字があがつているのじやないかと思うのであります。たとえば私の知つておる地方などにおきましては、労賃を現在二百十円程度で計算しておると見られる点があるのでありますが、その他物件費にいたしましても、物価の変動が十分に加味されておるのであろうかどうか、そういう疑いを持つのであります。 〔委員長退席、灘尾委員長代理着席〕 そうして実情に沿わないものがその間にもしありといたしましたならば、それが事業の執行の上に虚偽なやり方をせざるを得ないという結果を現わして参りまして、そこで予算の執行の画に困難を来し、困難を逃れるためには虚偽のやり方をせざるを得ない、こういうことになつております。たとえば労務費で一千万円どうしてもかかるのであるが、基本額を安く見積つておるから、それだけの支出をすることができない。その場合には最初から労務者を、一千人使うところを一千五百人使う、こういう見積り方をするのであります。物件費についても、同じことであります。そして、それが請負業者に渡される時分にも、その虚偽がつきまとつて、そこに不正が行われ、非常な弊害を現わしておると思うのでございますが、この補助の基本額の算定についてはいかになさつておるのであるか、それをまず承りたい。
○後藤政府委員 公共事業の補助の基本額の問題でございますが、これは国の予算に見積りをいたしておりますものをとつて、そのままわれわれの方で地方負担額を出しておるわけでございます。ただその場合に、たとえば十人の補助の人をとりました場合に、その十人だけに事業官庁が配分すればいいのでありますが、たとえば十人を十五人に延ばすとか二十人に延ばしますと、補助の基本額がかわつて参ります。そういうふうにかわつて参りますので、継足しの単独事業というものが出て来るのであります。そういうもので従来見足りないものが相当あつて、それが累積されて非常に大きなものになつておる。こういう問題がありましたので、地方制度調査会でその見足りない分を是正しろということでありますので、本年は既定規模の是正の中に入れまして、継足し単独事業の見足りない分として入れておるわけであります。補助金の補助の仕方が総花的になればなるほど、補助の基本額は寡少になつて参ります。当初予算で見積りました通りに配分すればいいのでありますが、実際の問題はやはりそうでなくて、箇所を多くするとか人数をふやすとか何とかいたしまして、単独事業が多いという形になつて地方予算に現われて来るわけであります。そういうものを是正する必要がありますので、その一部を、今回の財政計画においては是正いたしておるのであります。
○阿部委員 是正をなさつているというお答えでございますが、この数字の上において、いかにしてどの部分で是正をなさつておるのでございましようか。最初のところで単独事業費について町村と道府県を合せて四十五億の総額になつておりますが、こういうところにでも入つているのでございますか。
○後藤政府委員 既定規模の是正を要する額というものは、二番目にありますが、単独事業費の関係は四十五億円、経営物件費については五十三億円、そういうところに入つておるわけであります。
○阿部委員 そうすると、これは単独事業費並びに経営物件費、その次の人件費に関する分は除きまして、この最初の二つにつきまして、その内容を御説明願いたい。
○後藤政府委員 単独事業費の四十五億を積算いたしました基礎は、いわゆる継足し単独事業と申しますのは、たとえば例をあげますと、小学校の建築につきましては、一人当り〇・七坪という基準になつておりまして、二万三千円という単価になつている。これは二万三千円ではとうていできない、〇・七坪では十分な学校はつくれません。そういうことで、二十七年度の決算を洗つて参りますと、百五十五億の継足し単独事業が出て参つたのでありますが、その百五十五億の二十七年度の決算を基礎にいたしまして、その後に公共事業が伸びておりますので、その公共事業が伸びた率でそれを伸ばして参ります。そうするとその額は二十八年が二百四十億になります。二百四十億ありますが、既定の財政規模の単独事業費の中に含まれているものが百五十億ばかりございますので、それを引きましたところの半分の額をここにあげておるわけであります。ですから、つまり二十七年度の決算を基礎にいたしましてそれを公共事業費の率で伸ばしまして、すでに入つているものを引いたものの半分、それを四十五億という数字で出しております。それから経営物件費の五十三億円、これは国の一般会計の経営物件費と地方団体の経営物件費とを、二十五年度と二十八年度を比較いたしますと、伸び方が違うのであります。地方団体の方は節約をいたしておりまして、あまり伸びていない。ところが国の方は毎年物件費が伸びております。従つてその職員の異動が、職員がその後地方団体も国も増減があるのでありますが、かりに職員の増減がなかつた場合には幾ら延びたであろうかというのを両者出しまして、そうしてその率の半額分をここに計上しているわけであります。
○阿部委員 お答えによりまして、この措置のみをもつてしては、とうてい不足を償うことはできないということは、お答え自身がはつきり表わしていると存じます。こういうことではとうてい実情には合いません。そこで現在起つている地方における事業に関する諸般の弊害というものは、決して除かれるものではないと存じますが、それは根本から、たとえば建築費にいたしましても、実情に合わない二万三千円という単価、こういうようなものから、実情に最初から合わして行かなければ、この問題は解決のできないことは明らかなことがあろうと思います。労働賃金においても同一であります。その他諸般の物件費についてもまた同様であります。それについて自治庁におかれては、それを根本から是正する御努力を払つておられるのでありましようか。もし払つておられるとすれば、一体どういうふうな御努力をなさつておるのであろうか、お聞かせ願いたいと思います。
○後藤政府委員 先ほど申しましたように、市町村で申しますと学校の建設費というのが一番赤字の原因であります。また一番見足りない費用であります。それにつきましてわれわれもかねがね〇・七坪では困る、こういう主張をいたしておりましたが、これが二十九年度から小学校は〇・九坪になつております。それから中学校は〇・九坪が一・〇八坪に増加いたしております。それから単価につきましても、総合単価で、これは木造と鉄筋と合せたものでありますが、従来二万八千九百五十円でありましたが、それが三万一千八百円になつております。その内訳は木造で二万四千円のものが二方七千七百円になつております。それから鉄筋は四万七千円が五万五千三百円になつております。木造八五%、鉄筋一五%という計算でもつて、これは起債計画の一方に織り込んでおるわけでありますが、地方団体の要望を入れまして、文省部ではその基準単価及び基準坪数を二十九年度から上げるということになつて参りましたので、大分緩和されると私ども考えております。
○阿部委員 学校関係ではよほど緩和されるようになつたことは、承りまして私ども御同慶にたえぬのでありますが、学校関係に最も赤字が出るとおつしやるのは、少し認識不足ではないかと思うのであります。それは建築関係よりも土木関係において、よりはなはだしいものがあると思うのであります。ことに土木関係におきましては、でき上つてしまつて、しろうと目にはそれが何とも批評の余地がない、わからないのであるから、そこに非常な無理が行われております。そのために災害復旧工事をやつて、次の災害があつた場合には、その復旧工事をしたところが災害にあつて、従来のところは何ともないというような実例も多々あるのであります。そこで金額においても、はるかに学校関係の何十倍、何百倍にも達するところの全体の土木関係費について、抜本的な御処置がなければならぬと思うのであります。それにもかかわらず自治庁におかれて学校に一番赤字が多いという御認識では、それらの方面についてはなはだ将来が憂えられると思うのでありますが、いかがお考えでございますか。
○後藤政府委員 お説の通り土木事業につきましては、いろいろな不正と申しますか、ずさんな工事があるかと思います。しかしそれはすぐ財政的に現われて来る問題ではないのであります。災害とか何かの場合に、それが突然現われて来るということはあるかもしれませんが、しかし経営的に市町村の赤字の原因を見ますと、大体市町村とも学校建設の継足し単独事業分の赤字が、大部分を占めておるように私どもは見ております。学校関係でありますから、単位になりますところの坪数でありますとか、補助基本額をかえるということがやはり先決ではないか、かように考えて学校関係の是正をしてもらいたいということを、常々印しておるわけであります。
○阿部委員 さようなことをおつしやいますけれども、実際財政上、数字上弊害の現われるのは、なるほどおつしやる通りではありましようが、国民生活に現われて来るところの弊害というようなものは、とうてい比較にもならないほど、土木関係において多いのが事実でありましよう。それはこればかりとは言えませんけれども、その原因は主として予算に無理があるということであります。そのために基本額に無理があつて、従つてそれに比例して補助金が交付せられ、従つてその事業計画そのものに無理があり、その無理を土木面で押し通しますから、同時にずさんな、脆弱な工事が行われるということになつて参ります。そうして一つの無理があり、そこにうそがまじるというと、諸般の方面でのうそは当然やむを得ない、こういうことで、ひいては土木の請負をするのにあたつての談合その他のいろいろなものが行われ、またその指名に入るとか、あるいは事業をなすがためには、いろいろな運動費、極端なものはそれが事実上は賄賂でありましようし、そういうものも行われる原因をなすのでありますが、それは主として最初から予算に無理がある。ここに原因しておるのであります。これはどうしても将来国民の利益のために是正して行かなければならないと私ども思つておるのでありますが、自治庁におかれましてはこの点どういう御処置をとるお考えでありますか。
○後藤政府委員 お説の通り土木費等につきましてはお説のようなことがあるかと思います。私どもといたしましては基準単価そのものにつきましても、やはり将来にわたつて是正するように要望いたしたい。お説が実現するようにいたしたいと考えております。
○阿部委員 この問題は単に事務を離れて、事務以上の問題でありますから、政務次官からお答えを願いたい。
○青木(正)政府委員 お話の点につきましては私どももただいま財政部長の申したように、自治庁といたしましては国の予算の基準単価、この問題が基本になつておりますので、それがやはり無理の予算でないようにしなければならぬということはまつたく同感であります。かつて、一昨年でありましたか、建設省関係で問題がありまして、その内容を検討したところが、結局その原因は予算に無理がある、こういうようなことが当時も指摘されたのであります。何と申しますか、できることなら、そうした工事の何らかの基準を定める必要があるのではないか、かようなことを私ども考えておるわけであります。なお同時に工事予算の面においてその適正化をはかると同時に、その事業そのものの監察と申しますか、これも強化しなければならぬと思うのであります。各自治体といたしましては監察委員制度がありますが、同時に国の方の行政管理庁の監察機構の方においても十分そういう点に細心の注意を払いまして、そういう不正なことのないようにしていただかなければならぬ、かように考えております。
○阿部委員 是正なさる御意思のあることはわかりましたが、私がお尋ねいたしたいのは、その予算の無理をなくするために、自治庁におかれてはいかなる御努力を、関係各省に対してなさろうというお考えかという具体的な処置、方法をお尋ねしておるのであります。なお監察方面につきましては、これは主として会計検査院の摘発することによつてわかる場合が多いのでございますが、その点ますます御努力願わなければならないことはもとよりであり、また各省においても御監察はなさるでありましようけれども、私が伺いたいのは、自治庁として各自治体の損害をなからしめるがために、最初からの予算の無理をなくするために関係各省に対して、いかなる処置をなさるというお考えを持つておられるのか、その点をお尋ねいたしたいのであります。
○青木(正)政府委員 私の方といたしましても国の基準において予算に不足があるために、その結果として地方財政に非常な迷惑を及ぼす。こういうことにつきましては常に関係各省にその点をお願いいたしておるのでありまして、先ほどお話のありましたたとえば学校建築の点につきましても、私どもも直接文部省に行きまして、大臣、次官に直接会いまして、自治庁側としての希望を申し上げ、今回の〇・九というような実現についても、いささか協力と申しますか、一緒に努力して来たつもりであります。なお建設省関係のことにつきましても、予算折衝の場合におきまして、またその他の場合におきまして、常にその基準単価を無理がないようにということは、機会あるごとにわれわれの希望として開陳いたしておるわけであります。しかしながらもちろん主管省は建設省でありますので、私ども自身としては直すわけには行かないのであります。間接ではありますが、あらゆる機会に直してもらうように努力いたしておりますし、今後も常にそういう方法で努力して行きたい、かように考えておるわけであります。
○加藤(精)委員 関連して。ただいま阿部委員から申されたことは、私も最初御質問の趣旨がよくわからなかつたのでありますが、橋梁その他各種のむずかしい工事を県が土木工事として請負いに出します際に、この建設業法でロー・リミツトを設けることができないことになつております関係から、どうしても落札をしたいばかりに、あまりに不当な価格をもつて入札をいたします結果、県の工事に欠陥がありまして、工事が執行不可能になりましたり、それから増し工事増し工事となつたりいたしまして、かえつて経費を食う場合がたくさんあるのであります。こういうようなことのために、建設業法の改正そのものは、建設省の問題ではございますが、この建設事業法のロー・リミツトをつくろうという建設省側の意向に対しまして、予算の執行金額を少くしようとする大蔵省の節約の気持からの反対がありまして、今日まで実現しないでいるようなわけでもございますが、そういう事例が、阿部委員が指摘されました通り、相当たくさん各自治体の工事にあるのであります。われわれの県や市町村におきましても、往々これがあるのでありまして、大局から見まして地方財政の不利になることが多いのであります。そういう関係から自治庁におかれましても、建設業法の改正に建設省とともに尽力をせられまして、大蔵省に対しまして十分交渉せられる御意思がないかどうか、その点を関連をしてお伺いをいたします。
○青木(正)政府委員 御趣旨に沿いますように、今後できるだけの努力をして行きたいと存ずる次第であります。
○阿部委員 御努力くださるということはわかりましたが、この問題については当事者である地方団体はそのことに対して何の発言力もないのでありましてこれをひたすら少しでも多くもらうために平身低頭するばかりでありまして、従つて自治団体側から建設省なり大蔵省側に要求するなんということは、絶対にできない立場にあるのであります。従いまして自治庁が存在する限り、かりに自治庁がその方面の努力をしないとしたならば、ほかに全然する機関がないのであります。そこで一層の御努力をお願いいたします。 次に、今回地方税法の改正をなさるようでありますが、その要綱を大体私もらつておるのであります。税法に関しましては、これがまた提案されましたときに御質問いたしたいと思いますけれども、私がこの場合お尋ねいたしたいと思いますのは、第一にその地方税法関係の方針として、「地方団体の自立態勢の強化に資するため独立財源の充実を図る」ということが述べられております。これはまことにけつこうであり、私も同感でございます。ところが実際上は現在の地方自治体の独立財源が非常に少いことは申すまでもなく、また近く地方税法を改正なさろうというお考えにおかれましても、多少の色はつけましたけれども、とうてい独立財源が充実されるというほどのものでないことはいうまでもないのであります。ところがこれは非常な弊害を現わしておるのでありまして、最近疑獄事件が世間の重大なる問題になり、政局の変動を来さんとする態勢でありますが、そのよつて来るところが政治に金がかかるということにあることは、世間一般の認めておるところであります。しかもその政治に金がかかるというのは、中央の政治に金がかかるという部分もありましようけれども、主として国会議員などが金がかかるといいますのは、地方住民の生活に密着したるところの地方自治団体が行う諸施策が、一々政府の援助を得なかつたならば、財政面から何一つできない、こういう現在の制度から来ておることは、少し見る目のある者は明らかに知つておるところだろうと思います。橋を一つかけるにも、道路を一つ改良するにも、一々政府へ運動して補助をもらわなければできない。学校一つ建てるのも、災害復旧は申すまでもありませんが、小さなことまで一々政府に援助してもらわなければできないような態勢になつておる。ここに原因があると思うのであります。ところが政府におかれましては、もちろんその点にお気づきになつて、地方の独立財源の充実をはかるということはおつしやつておられますけれども、その原因を解決するに足るだけの構想を示されたことがない、これはまことに私は遺憾に思うのであります。自治庁におかれましては、こういう問題を解決するがごとき構想を持たれたことがあるのであるかどうか、またあるとしたならば、その外貌をお示し願いたいと思うのであります。
○奧野政府委員 ただいまお話になりましたことは、まつたく同感でございます。このような意味において改正いたしました結果は、地方譲与税も含めて地方税収入が全体の中でどうかわつて来たかということを申し上げますと、現在地方税収入が歳入総額の上に占めております割合は三十二、三パーセントであります。今度の改正の結果、三九%くらいになるわけであります。割合で見ますと二割程度ふえるわけでありまして、やはり現在の状態からいいますと、かなり大幅な改革をはかつておるんじやなかろうかというふうに思つております。もつと徹底してやつた方がいいことはいいのでありますけれども、ただ独立税をあまりふやして参りますと、これ以上その団体に財源を与えるよりは、もつと困つておる団体に財源をまわしたい、こういうことができないわけでありまして、富裕な団体に対しましても、さらに財源を追加することになつて参るわけであります。こういうことを考えますと、なかなか理想通りに独立税収入をふやすわけに参りませんで、相当額のものをやはり地方財政平衡交付金のような財政調整の資金に譲つて行かなければならない、かような関係にあるわけであります。しかしながら御指摘になりましたように、国庫補助負担金に依存して行くということでは、地方行政の上に任意の判断を困難にし、あるいは財源の効率的な使用も困難である。まことに同感であります。そのような意味で今回取上げております問題は、道路財源にいたしましても、府県道なら府県住民にどこを改修するかということをゆだねた方がいいのじやないか。そういう意味においては、一々箇所まで示しまして、設計認可、変更認可まで出させて着工検査だ、中間検査だ、竣工検査だということをやりましてまで、ひもつきの補助金の交付の仕方をする必要はない。むしろこういうものは道路面積等に按分して、使い方はまつたく府県の住民にゆだねるという考え方をした方がいいのではないか、こういう考え方をもちましていわゆる地方譲与税というような法律案を立案したい、こういうふうに考えるわけであります。
○阿部委員 御説明はわかりましたが、これはもとより絶大なる政治力をもつてしなかつたならば、根本的な解決のできない問題でありますから、これ以上申し上げても、単にここでは議論のための議論になるおそれがありますので、これくらいにいたしておきますが、ただ一言申し上げておきたいと思いますことは、過般の地方制度調査会に諮問せられた部分には、こういう問題も含まれておつたのではありましたけれども、あの地方制度調査会におきましても、抜本的な意見は遂に出なかつたということでありまして、かかる問題はその解決のためには政府においても構想を全然新たにして、根本的な解決をはかつていただかなかつたならば、今までの行き方をもつてしては、とうてい政界の浄化に役立つ程度の解決すら得られないであろうということであります。現状のままをもつてしましたならば、地方行政のために非常に煩雑なる政府に対する陳情が続いて、しかもそれはいずれも国会議員に関連を持ち、それがひいては国会議員の経費の多くなる原因をつくり、さらにそれが汚職の原因にもなると存ずるのであります。われわれ委員としても大いに考えなければならぬ問題ではありますけれども、どうかひとつ政府においても構想を全然新たにした考え方をしていただきたいと思うのであります。 次に先ほど同僚委員から町村合併に関してお尋ねをいたしておりましたが、そのときの御答弁によりますと、予算がきまつて町村合併の計画が立つたならば、その予算の範囲内において、合併する町村に対して補助なり、あるいは起債のわくなりを与える、かようなお答えがあつたわけであります。この補助なり起債のわくなりは、予算が通つてきまつてしまつてそうしてその配分にあたつて合併町村に優先してそれが配分されてしまいましたならば、通常の場合ならば配分されるであろうという見込みのもとに諸般の事業の計画をしておるその他の町村は、はなはだ不利益な目にあうのであります。一定のわくが予算できまつてしまつてからさようなことをなされますと、そういう結果になるのであります。それは地方に対してはなはだ迷惑をかけるという、やり方ではないかと思うのでありますが、いかがでしようか。
○青木(正)政府委員 先ほども私御答弁申し上げましたが、町村合併が現実にどの程度出て来るか、現実に政府の当初期待するごとくあるいは六五%以上の進捗率というようなことになつて参りますと、お話のような点が出て来ると思うのであります。しかしながら現在のところどの程度進捗して参りますか、その点においてもまだ具体的にはつきりした数字も出ていないということが一点。もう一つは、できることならば、御指摘のごとく別わくとして別に費目を立てて、そうしてこれは町村合併分、これはそれ以外の分というふうに予算の編成ができるならば、まことにけつこうなのでありますが、何分緊縮予算の編成方針でありますので、そうした別わくというわけには参らぬので一本になつておるわけであります。そうして一本になつておりますが、町村合併の進捗につれまして、配分にあたつては合併町村にできるだけ優先的に法律の規定によつて配分して行きたい。その結果としてそれ以外の町村に非常に迷惑がかかるのではないか、こういうようなお話でありますが、まあ進捗率いかんによつて、そういう結果もあろうかと思うのでありますが、現在のところそう一方の方を不当に圧迫するというようなこともなしに、どうにか行けるのではないかというふうに考えておるわけであります。
○阿部委員 お答えによりますと、町村合併が進捗したならば、その他の町村は非常に迷惑がかかるであろうが、これはやむを得ない、こういうふうなお答えかとも思うのでありますが、そういうことはあるまいとおつしやいますが、もしあつたならば迷惑のかけつぱなしでよい、こういうお考えなのでございましようか。
○青木(正)政府委員 そこで先ほども申し上げたのでありますが、町村合併の補助金等におきましても、進捗率が政府の当初期待する、ごとく六五%あるいはそれ以上ということになりました場合は、予備金なり、あるいは起債の面において考えてもらいたいということを、大蔵省に話しておつたわけであります。しかしながらこれは何分先の問題でありますので、現実にどのくらい出て来るか、これとのにらみ合せで考えられるであろう、こう思うわけであります。
○阿部委員 それでは進捗率がよかつた場合においては、予備金を支出するなり、あるいは起債のわくをひろげるなりするということがお約束できるのでございますか。
○青木(正)政府委員 財政当局に対しまして、私どもそれを予算の最終の決定の場合に強く主張し、そしてそうした了解を得ているものと、私ども承知いたしております。
○門司委員 関連して。どうせあさつての委員会で一切は聞きますが、この機会に町村合併に対して資料を要求しておきたいと思います。それは建設省で何か高速度の道路の計画があるということをしばしば聞いております。いわゆる専用道路といいますか、弾丸道路と申しますか、この道路ができますと、事実上町村が分断される形が出て来る。従つてこれの被害を受けるというか、影響を受ける神奈川県、静岡県、愛知県というようなところでは、町村合併を現状のままでやつていると、構想されるような、二キロなりあるいは四キロなり行かなければ、立体交叉が困難であるというようなところになつて来ますと、事実上これは村の分断になると思います。従つてこれを町村合併の考慮のうちに入れて考えておかないと、しまいにえらいものをこしらえると思います。だから当局では建設省に交渉してもらつて、もしそういう計画があるならば示してもらいたい。そうしませんと、これは将来町村合併の問題として必ず支障ができると考えます。この点を当局に要求しておきたいと思います。
○阿部委員 なおお伺いしたいこともありますが、時間もおそくなりましたから、きようはこれで打切つておきます。
○灘尾委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後五時九分散会