大蔵委員会 第78号
- 発言数
- 64 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/11/10
会議録
○内藤委員長代理 これより会議を開きます。 本日は、まず国有財産の管理状況に関する件を議題として調査を進めます。 本件のうち、大正飛行場返還に関する件につきまして国有財産に関する小委員会における調査の経過並びに結果について報告を求めます。国有財産に関する小委員長久保田鶴松君。
○久保田(鶴)委員 大正飛行場返還に関する件につきまして、国有財産に関する小委員会における調査の経過並びに結果について簡単に御報告申し上げます。 本問題につきましては、去る十月三日委員が現地を調査いたし、その報告に基きまして、小委員会において具体的解決策を協議することとなつたものであります。小委員会といたしましては、本問題について三回にわたり小委員会を開会し、大蔵省管財局、運輸省航空局、防衛庁経理局の関係者出席のもとに種々具体策について協議を重ねて参つたのであります。 その内容を簡単に申し上げますと、まず本問題に対する基本的な考え方として、一、飛行場としての機能は残置せしめて、これに必要な部分は国有財産として残しておくこと、二、それ以外の土地はできるだけ多く農地として農家に払い下げることをきめまして、それに基き、さらに具体的方針といたしまして、一、飛行場の機能を維持するに必要な滑走路、誘導路その他の土地、建物及び施設は最小限存置しなければならないこと、二、これらの土地、建物及び施設は運輸省航空局に管理せしめること、三、農地として払い下げる部分については、地元の実情を十分考慮して、原則は耕作農家に払い下げること等をきめまして、さらに、これにつきましては、解釈の相違を来すおそれがありますので、一、滑走路、誘導路のサイドに設ける安全地帯の幅は二十五メートルとすること、二、自衛隊の使用しておる場所と民間航空の使用している場所とを入れかえることについては、当事者間の話合いにまかせ、できるならば交換をし、なるべく余剰の土地を農家に払い下げるようにすること、三、両滑走路にはさまれた三角地帯は国有財産として存置し、農家に払下げはしないが、ここを早急に飛行訓練等に使用する計画はいまだないようであるから、向う一箇年を限つて農家と契約の上耕作せしめることとし、一箇年経過後、情勢の変化がなければさらに契約を更新せしめて耕作を続けさせる等農民の便宜をはかること、等をきめた次第であります。しかしながら本問題は何分行政措置による問題でありますから、詳細な点につきましては、行政機関と地元との交渉によりまして円満に解決すべきことであります。ただ国会といたしましては、ただいま述べましたような線に沿つて解決していただきたいのであります。従いまして小委員会の結論といたしましては、以下申し上げましたようなことを本委員会におきまして決議いたしました次第でございます。従いまして関係当局等にこうした問題を参考資料として送付し、関係当局において国会の意思を尊重されまして必要な措置を講じてもらいたいと存ずる次第であります。 それではただいまより決議案文を朗読いたしたいと存じます。本委員会は旧大正飛行場に関して、諸般の事情を勘案し左記の通り処置するを適当と認められるので、政府はこの趣旨にのつとり早急に処理せられんことを要望する。 記 一、飛行場の機能は残置する。そのため滑走路、誘導路その他の土地、建物及び施設は最小限これを存置する。 これらの土地、建物及び施設は運輸省航空局の管理に移すよう処置せられたい。 二、残余の土地は出来得る限り農地に転換することとし、この農地は地元の実情を充分考慮し原則として耕作農家に払下げられたい。 以上であります。 何とぞ委員諸君のご賛成を得て、当委員会において決議されたいとの動議をあわせて提出し、小委員長の報告を終る次第であります。
○内藤委員長代理 これにて小委員長の報告は終りました。大正飛行場返還に関する件につきましては、ただいまの小委員長の報告の通り当委員会において決議をし、これを議長に報告するとともに、関係当局に参考送付するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内藤委員長代理 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。 なお決議文送付などの手続につきましては委員長に御一任願います。 この際井上良二君よりただいま行われました決議につきまして政府の所見をただす意味の発言を求められておりますので、これを許します。井上良二君。
○井上委員 ただいま小委員長から大正飛行場の処理に関して小委員会としての審議の経過並びに結果について御報告がございました。そのうち特に政府に対して申入れをいたします条項のうち文面がきわめて抽象的で解釈の仕方によりますならば、いずれにでも解釈ができ得るような文面がございますので、この際政府の方に申入れをいたすにあたりまして、特に委員会として政府の所見を一応明確にしていただきたい点がございます。 すなわち大正飛行場は民間航空飛行場として機能を失しない程度にこれを残す。しかしその使用いたします用地はでき得る限り最小限にとどめて、残余の土地はこれを現に耕作しております農家及び供出いたしました農家に払い下げることになつておるのであります。そこで問題は農地として払い下げます部分が、政府の方で事務的に現地の実情に即応いたしまして調査の結果、およそどのくらいの農地が払い下げられる見込みになつているか、この点をまず明確にしていただきたいと思うのであります。
○窪谷説明員 農地に払い下げられます概略の面積でございますが、事務当局で一応審議の御参考までに小委員会に提出いたしましたところでは、若干第一次の試案から順次変更して参りましたが、最後の試案によりますと、約三十万九千坪に相なつております。その場合におきまして、滑走路のそばの安全地帯を五十メートルというふうに見て計算をいたしておつたのでありますが、先ほど小委員長から御報告のありましたように、これを二十五メートルということにいたしますと、さらに一万六千坪ばかりこれに追加に相なります。約三十二万五千坪程度が農家に払い下げられることになろうかというふうに考えております。
○井上委員 大体三十二、三万坪が払い下げられるということが明らかになつて参りましたが、問題はこの払下げの方法であります。政府としましてはいかなる方法によつてこれを払い下げようとするか、つまり関係地元町村なり、あるいは農業委員会なり、また耕作者の代表者なりがございますから、これらの各機関と現地の実情に合致して払い下げる手続がとられると思いますが、問題はその土地の評価、それからその代金の支払いの方法、こういうものについてはどういうぐあいにお考えになつておりますか、これを伺いたい。
○窪谷説明員 農地として払下げをいたします場合には、ほとんど全部が自作農に払い下げるということに相なつております。自作農に払下げをいたします場合におきましては、自作農創設の農地法その他の関係法律によりまして、大蔵省はこれを一旦農林省に所管がえをいたすのが普通のやり方でございます。そうしましてこれを農地として利用いたすのでございますので、農地としての評価をいたしまして払下げをするわけであります。その場合に、各農家にどれほどのものを具体的に割当をするかということになりますと、これはやはりその当該地におきます農業委員会あるいは公共団体等の意見を十分に取入れまして、実情に即するような措置を今までもして参りましたし、それからなおこの具体的な件につきましても、当然そういうふうにする建前に考えております。
○井上委員 そういたしますと、一応農地として払下げをいたすということにきまりますならば、農林省に所管がえをする、そして農林省はこれを農地として自作農維持創設に伴う措置をとる、こういう手続を正式におとりになりますか。といいますのは、御承知の通り付近にもう相当住宅がどんどん建つており、いろいろ公共施設も順次完備して来ておるようでございます。さよういたしますと、これは農地として払下げをするということに政府がはつきり方針をきめませんと、またそういうはつきりした手続をとりませんと、一応は耕作はしておるが、ただちにそれが他に転用されて農地以外の目的に使われないとも限られません。安い価格で払下げを受けて、それがまた他の用地にしますならば、非常に高い値に転売ができます。さようなことは絶対認めるわけには参りません。だからあくまで農地として食糧増産の国家的目的を果す適地としてこれを活用さすという方針を明確にしていただきたいということを私ども望むわけであります。次に伺つておきたいのは、政府へ申し入れました中に、三角地帯は向う一箇年間大体農耕地として貸す、耕作を認める、こういうことになつておりますが、この点に対しては政府の方では別に御異議はございませんが、これは払下げなしに一年くらいを見込んで貸し付けるということになつております。この場合賃借料等の問題が起つて参りましようが、賃借料はどういうことになりますか、もう一年くらいの間なら現状のままで耕作を認めますか。といいますのは、ここに賃借権ができまして地上権ができて参りますと、その立ちのきをいたします場合に、今度は立ちのき料というものが当然問題になつて来ます。だからこの際はもうそういうむずかしいものではなしに、既得権を一応認めて大体耕作をしておるから向う一箇年間をそのまま置いておこうということで行きますか、それともはつきりそう賃借権を認めまして賃借料をとりますか、これは今後の処置の上に非常に問題を持つていますから、一応この際この点も明らかにしておいた方がいいと思いますが、どうお考えになりますか。
○窪谷説明員 井上先生の第一点の問題ですが、まさに私ども同感に考えております。さように処置をいたしたいと考えております。 それから第二点の三角地帯の問題でございますが、これは政府の都合だけを申しますと、あるいはこの際飛行場として整備をいたしたいという希望はあるにはありますけれども、ただ先ほど小委員長からお話がございましたように、具体的な計画はまだ必ずしも立つていないという段階でございますので、さしあたり一年くらいの期間を限つて農耕地に利用するということはやむを得ないというふうに考えております。ただその場合に賃借料をとるか、とらぬかという問題でございますが、これは無料で使用させるというわけにも参りません。しかしながら普通の耕作権を確立する程度の使用料をとつたのでは、また少し行き過ぎかと思いますので、その辺は貸付の契約に十分その特別の条項を明瞭にいたしまして、一年間を限つてということにいたしまして、その条項を考慮した上で適正な使用料を定めるということに相なるというふうに考えております。
○井上委員 最後に飛行場の整備に関する問題でございますが、御承知の通り、これが終戦以来長い間ほとんど満足に経営がされておりません関係から、まつたく荒廃の状態にあります。そこでこれを飛行場としての機能を十分果させますためには相当の整備をしなければならぬと考えますが、この整備につきまして、一応所管は運輸省の航空局にこれを払い下げるということに委員会の意見がまとまつております。ところがこれを使用いたしますものが民間航空であり、あるいは自衛隊の航空隊であるわけであります。そういたしますと、実際これを整備して機能を十分に発揮できるようにいたしますための費用分担はどういうぐあいにお考えですか、それを伺いたいと思います。
○窪谷説明員 費用の分担の問題は、一般的には飛行場の設置者が費用を全額負担するというのが建前であります。従つて運輸省の管理の飛行場ということになりますと、運輸省が責任を持つて飛行場の機能を果し得るような維持管理をなすべき建前に相なるわけであります。しかしながらこの場合におきましては、自衛隊がそこにある若干の部隊が定着いたしまして利用するということに相なりますと、あるいはそこに費用分担というふうなことが考えられるのではなかろうかということがあるのでありまして、この点はもう少し事務的な検討をさしていただきたいと思います。建前といたしましては、運輸省が責任を持つて処置をすべき建前ではございますが、この建前があるいはその飛行場の利用の度合い等を勘案して、自衛隊がある程度の費用を分担をして行くということも、また全然考られないことではない。少くとも研究をすべき問題だというふうに考えております。ただいま実は結論を持ち合せておりませんので、しばらく研究の御猶予をいただきたいというふうに考えます。
○井上委員 特に防衛庁の経理局長に伺うのですが、防衛庁としては自分の所管でない飛行場を使用いたします場合、しかもそれが今度の大正飛行場のように民間航空と共同でこれを使います場合、その飛行場の整備費といいますか、あるいはまたいろいろな施設に必要な経費、そういうものは会計上演習、訓練という費用の項目で出すことはできませんか、そういうことはできるのですか。それを伺いたい。
○石原説明員 大体の建前は、ただいま管財局長から御答弁を申し上げましたように、管理者であります者が負担をいたすことに相なる。ただこの飛行場の中に、私どもの方で当然私どもの施設を持ちます。これは兵舎もございましようし、格納瞳もございましようし、あるいは油のタンクもございます。こういうものの維持は申すまでもなく私どもの負担でございます。そこで飛行場の全体としての維持の費用がある程度かかるという場合におきまして、特にわれわれの方が使いましたために生じました維持、補修の費用というものについての話合いによる分担と申しますか、何らかの費用の一部を事実上われわれの方で持つということについては、これを航空局の方とも相談をいたしてやりたいと思いますが、原則は先ほど管財局長が申しましたように、全体の管理者が持つのでありますから、従つて私どもの方で負担し得る筋の通るもので負担の可能な部分もありますが、そこら辺は相談の問題にいたしたいと思います。
○井上委員 最後に、大体委員会全体の意見あるいは地元の意見といたしましては、いろいろ問題はございましたけれども、一応この京阪神を中心とする大都市に民間航空基地が全然ないということは、国全体の立場から考えましても非常に妥当でないということから、もともと民間航空基地としてありましたものでしたから、地元の耕作農民の非常な要求でありましたけれども、委員会といたしましては一応飛行場としてこれを存置するということにきめたのです。ところがただいまもお話に出ておりますように、ここに自衛隊が一部駐屯をいたしまして、そうして連絡、訓練等の基地にここを一部使うことになるようであります。現にまたやつておりますが、そうなりますと民間航空と自衛隊の方とに、この飛行場の使用をめぐつてとかくの対立といいますか、そういうものが起るのではないかということを私どもは非常に心配をいたします。特にかつての軍の圧力というものに対して非常な苦い経験をなめておる民間といたしましては、できるだけわれわれ自身が思うように自由に使える飛行場がほしいということは、民間航空関係者のすべての人々の意見であります。そこでここへ自衛隊が参加をいたしまして共同使用ということになりますと、自衛隊の背景は国家経済によつてまかなわれる関係にあつて、その経費の負担の上からも、また持つております国家的な任務の上からも、えてして横車を押すような印象が与えられるようなことがないように、私ども十分当局に御考慮を願いたいと考えておりますし、なお民間航空の技術といいますか、あるいは民間航空が普及徹底するといいますか、そういう航空全体に対する国民の理解なり協力なり、あるいはこれに対する技術、知識というようなものが伸びますときに、初めて自衛隊の持つております任務もまた非常に多く役立つことになつて行くのではないか、民間航空を圧迫することによつて決してプラスにならぬ、こういうような考え方からぜひ、おれの方がよけい経費を負担するから、おれの方が国家的役割を背負つておるからというような独善的な一方的な考え方で民間航空との間に摩擦の起らないように、これは特に自衛隊の関係当局に厳重にお考えを願いたい。さようなことのないように両方が協力してわが国航空発達のために最善の努力をやつていただくという上において私ども自衛隊のこの飛行場使用を認めておるわけでありますから、そういう点で十分御注意を願いたいことをお願いしておきます。
○内藤委員長代理 なおこれに関連いたしまして大平君より発言を求められておりますのでこれを許します。大平正芳君。
○大平委員 ただいま井上委員と政府当局との間の質疑応答を拝聴いたしておりますと、どうもあいまいな点があるのでございます。つまり農地として払い下げるという原則を貫いてもらいたい。やがてこれを他に転用して高価で転売するというようなことがないような保証がほしい、こういうような御発言で政府側も了承せられたようですが、一般国有財産の払下げの原則からいうと、これは随契で農地に用途を指定するというようなことになるのではないかと思いますが、その場合に一般の原則から行くと、五年間はその用途に即した使用をする。五年たてばかつてに処分ができるということになつているように思うのですが、農地につきましては、そういう一般原則でなくて、何か農地に関して別に立法があるのでございましようか。つまり農地として永久にこれを使用することを保証する措置が立法措置としてあるのでございましようか、その点を確かめておきたい。
○窪谷説明員 大蔵省が直接に処分をいたします場合には、今大平委員の言われましたように、随意契約ということに相なりまして、用途指定をいたすわけであります。その場合、苦通の時価で売渡します場合には五年、それから学校等の施設に売渡す場合には若干の減額譲渡ができることになつております。その場合には十年という扱いになつております。この場合には減額譲渡ではございませんので、大蔵省が直接にやりますと五年ということに相なると思います。それではどうも農地に払い下げるという趣旨からいつて適当でないということから、農地に払い下げますものは農林省に一旦所管がえをいたしまして、農林省の財産に返還して、それを農林省から自作農創設維持等の目的のために払下げをする、そういうことになりますと、農地法その他関係の法律がございまして、主務大臣の許可なしには自由な処分はできないということに相なつております。従いまして、その場合にももちろん主務大臣の許可――これはおおむね地方長官に委任されておるようでありますが、その許可がありますれば、ほかにたとえばどうしても工場敷地として転用しなければならぬ、あるいはまた学校の敷地として転用しなければならぬということでありまして、どうしてもその需要を満たさなければ実情にそぐわないという場合があるいはいつの時代にか出て参ると思いますけれども、その場合にも国の許可なしには自由な処分はできない建前に相なつております。そういうふうな網のかぶさつたものとして処置をして行くのが適当であるというふうに考えておる次第であります。
○大平委員 そうしますと許可するという場合には、いわば昔の雑種財産になるわけでありますか。そうして大蔵省が処分するわけですか。
○窪谷説明員 現在の法律ではそういう建前には相なつておりません。従前はたしか農地として使うことができないという場合には、一ぺん農林省に返還をしまして、農林省が処分をするという建前に相なつておつたのでありますが、二十五、六年ごろだつたと思いますが、農地法の改正がございましてて、その場合には直接に農家から実質の需要者に売渡しができる。但しその場合には国の承認がいるということに改正になつているのでございます。従つて大蔵省に一ぺん財産が返つて来るということはないのでございます。
○大平委員 大体わかりましたが、しかしその場合にどうせ許可をしましてその土地を処分するということになりますれば、やはり値段が高いと思います。そういつた場合に普通の原則から言うと契約を解除しまして、もう一ぺん払下げ契約を結ぶという手続を一般の国有財産ではとるのじやないかと思います。農地の場合にはその点があいまいじやないかと思いますが、大蔵省並びにわれわれの立場からいうと、そういつたところはやはりその事態に即しまして国庫の収入が確保されるような措置を講じておかないと、単に許可、認可というだけでありますと、高価に売り渡した場合の制裁として弱いような感じがする、国有財産の処分の上からいつて適正でないように思います。これは今そういう制度がないのであればしかたがありませんが、もう少しそういつた点を国家の立場から保証するような研究をお願いいたしまして、齟齬がないように、政府の方でもひとつ御配慮を願いたいという希望であります。 ―――――――――――――
○内藤委員長代理 次に税制に関する件、金融に関する件の両件を一括議題として調査を進めます。金融に関する件につきまして住友信託銀行株式会社名古屋支店長の平井光治君に参考人として御出席を願つております。 ただいまより、今日重大な問題になつておりまする中小企業金融についての実情、特に名古屋地方における中小企業に対する金融の状況について参考意見を承り、その後に質疑を行いたいと思います。平井参考人。
○平井参考人 名古屋地方の中小企業金融に関するお尋ねでありますが、私まだ名古屋に赴任後日も浅いので十分なお答えをいたしかねると思いますが、一般的な中小金融のあり方と申しますか、気風と申しますか、そういう点について名古屋地方らしい特色を感じた点を申し上げたいと思います。 〔内藤委員長代理退席、井上委員長代理着席〕 名古屋の気風といいますのは、一般に非常にじみであります。表向き体裁を張つて非常にはでに仕事をするという方は少くて、非常に堅実にやられる方が多いので、われわれもある程度安心いたしまして、中小企業金融の若干のお助けをさせていただいておるのが実情であります。しかし、中にはそうでない、例外ももちろんございますけれども、一般的に申しまして、ただいま申し上げましたような気風でございますので、他都市に比べましてかなり堅実な経営をやつておられまして、われわれも――私の店だけでの件数を申し上げましても、約三分の一の件数を中小企業金融に投じておる状況でございます。 ごく概略でございますが、名古屋における気風と申しますか、そういう点について申し上げた次第であります。
○井上委員長代理 ただいま参考人から名古屋地方の金融状況について大要の御意見がございました。ついては質疑の通告がございますから、これを許します。春日一幸君。
○春日委員 平井参考人には御多忙中特に本委員会に御出席をいただきましたことについて深く敬意を表するものであります。まず冒頭に一、二の点について御理解を願つておき、ついで御質問をいたしたいと思うのでありますが、本委員会は金融業務に関しまして立法を行う国権の最高の府であるのでございますが、同時にまたここで立法されましたところの法律の各条章並びにその精神が政府並びに当事者によつていかに運営されておるかということについては、重大な関心を払つておるのでございまして、従いましてこれに関連する事柄について調査を行うということは、これは本委員会に付与されております特異の任務であるのでございます。私がこのようなことを特に冒頭に申し述べますゆえんのものは、最近金融独善と申しましようか、中には銀行無政府と極言する者もあるのでございますが、最近におきましてはこの銀行があまりにたけだけしく産業に君臨をしておる。特には今日デフレと金詰まりにあえいでおりまするところの中小企業に対しまして、特に銀行が暴虐理不尽な高圧手段に出ておる。こういうような事柄がいまや全般的に国民各界各階層から怨嗟の声となつて高まりつつあるからでございます。はたせるかな今回銀行から加えられましたところの重圧について、一業者からここに悲痛を込めたところの陳情書が本委員会の千葉委員長に対して提出をされておるのでございます。私は同僚諸君のいろいろなお考え等もあり、具体的な内容に触れて論述をすることを避けるのでありまするが、その陳情書の中身には、要約すればこんなことが述べられておるのでございます。すなわち瀕死の病人がその病状を訴えて、医師に応急の治療を求めたら、その医師はいきなりふとんをはぎとつて病人の脳天をこん棒で打ちのめすような非道の目にあわし、かつその結果事業は封鎖の危うきに追い込まれて、一家離産の運命にさらされておる。願わくは国会の権威において御調査を賜りたいという趣旨のものであるのでございます。私はこの陳情書を手にとりましてまことに愕然としたのでございます。私どもは委員会において当面せる中小企業の危機を救済し、わけて中小企業の金融難打開のために幾多の議決を行つて、かつその有効なる行政措置を政府に対しましてしばしば論述を尽して鞭撻をして参つておるところであります。しかるところ現実にはこのような営利一辺倒あるいはこのような暴虐とも見受けられるところの銀行の窓口業務が横行しておるというようなことは、これは国会における累次の議決にかんがみまして、まことに看過し得ないものがあると思うのでございます。本院はかかる事情によりまして、銀行の窓口業務の実態を特に知りたいと考えまして、以下二、三の問題について御質問を申し上げたいと思うのでございまするから、どうかこの間の事情を十分御理解あつて、ひとつよき参考の御意見を拝聴したいと思うのであります。 その第一点は、この取引約定書についてであります。この際便宜のためとりあえず御行が使用されておりまする約定書を対象として御意見を拝聴したいと思うのでございまするが、その約定書は全文にまたがつて貸し方の優位な地位を利用して借り方に対してはなはだしく不利益な条件を強制していると思うのでありまするが、特にその第五条、これはまさに苛酷をきわめたものがあるのでございます。そこで参考人にお伺いをいたしまするが、その第五条に言うところのすなわちそれは後段でありますが、「前項の担保の処分は、法定の手続による必要はなくその方法、時期、価格等は総て貴社に一任しますから、貴社に於て適当に処分してその収得金から諸費用を引去つた上、その残額は法定の順序に拘らず貴社の随意に私の債務の弁済に充当せられ度く、」云々こういうことは具体的には一体どういう執行を意味されておるものでありましようか。およそ日本の法律は債権者の有する債権を保護いたしますると同時に、また債務者の立場をも認めておるのでございまして、それぞれ公正なる立法が行われておると思うのであります。しかるにこの約定書は債務者の有する担保物件の処分に関する法律上のもろもろの権利をまさに剥奪せんとしておるのであります。かつその弁済を法定の順位にかかわらず、銀行の随意に充当することを強制しておるのでありまするが、こういうようなことは、銀行がその債権を確保するためには、一切の関係法律を否認せんとするの疑いなしとはしないのでございます。特にまたこの条項の中に担保物を適当の価格でもつて御行の所有に帰されても債務者は異議述べぬと誓約がとられておるのでありまするが、これは銀行が二束三文でその担保物件をかつてに処分をして、これをみずからの所有に移しても異議が言えないような仕組みになつておるのでありますが、かくのごときはあまり苛酷に失するのではないかと思われるのでございます。私のお伺いしたいことは、なぜ公正なる第三者的評価、債権者の権利をもう少し認めるの措置がこの契約の中にとられないものであるか、この理由についてお伺いをいたしたいと思うのであります。 さらにあわせてお伺いをいたしておきたいことは、本約定書は二十八年九月一日公正取引委員会が制定告示いたしました不公正取引方法の基準第十項、すなわち自己の取引上の地位が相手方に対して優越しておることを利用して、正常なる商習慣に照して、相手方に不当に不利益なる条件で取引するというこの規制に違反をしておるのでありまするが、参考人は本件に対しましていかなる見解をお持ちになつておるのであるか、まずこの第一点について参考人から這般の事情について御答弁を願いたいと思います。
○平井参考人 約定書は私の方の会社の規定で、これをそのまま利用いたしましたのですが、とかく最後の紛争といいますか、債権者、債務者の間に紛議の生じました際には、お互いに自己の希望を表するあまり、なかなか話がまとまりにくいものであります。われわれといたしましては、やはり債務者といえどもお客さんでありますから、できるだけ債務者の有利なように、自分かつてなことをいたしますことは、銀行の将来の信用に関します。それですから、できるだけ債務者の有利にいたすように処置いたしますが、とかく債務者の方から法外な希望の出ることが間々多いのであります。しかしわれわれは、最後にはやはり預金者の保護ということを考える大使命を持つておりますので、その意味からこういう規定を設けましたので、それ以上の他意は全然ございません。
○春日委員 それについてお伺いをいたしたいのでありますが、債権債務をめぐつてそれぞれ当事者間の紛争が生じました場合においては、それを解決することのためには、やはり関係する日本の国内諸立法に照して問題の解決がはかられなければ相ならぬと私は思うのでございます。すなわち債務弁済の法定順位等もありましようし、あるいは会社が都合によつては法律に基いて、会社構成法によつて債権たな上げの宣告を受ける等の保護立法等もあるでありましようし、その他いろいろの法律が債務者のためにも認められておる。しこうしてその紛争解決の手段といたしまして、これらの法律手段が講じられるということは、これは国民固有の権利であるのでございまして、従つてあなた方が預金者保護の美名に隠れて立法的な主張をこういう契約をもつて拘束するというようなことは、明らかにこれは独占禁止法違反の疑いがあるのではないかと思うのでございます。従いまして私はこの機会に、ここに御臨席を願つておりまする独禁法関係の公取の総務課長にお伺いをいたしたいのであるが、私がただいまここに指摘いたしましたところのこの契約条項なるものは、これはあなた方が昨年の九月に制定されたところの不公正取引の基準第十項に該当するものであると思うが、これについて公取の御見解を承りたいと思うのでございます。 なお私はこの機会に申し述べたいことは、これはこの不公正取引とはいかなるものぞや、こういう基準は昨年の九月につくられたものでございまして、従つてそれ以前においては不公正取引の基準はあまねく業界にはこれはわかつていなかつたと思うのでござとます。そこで私は公取がかくかくの取引は不公正取引であるという、こういう基準を決定したからには、その基準にのつとつていろいろのそういう約定書、協約条件というようなものは、やはり中央の法律命令に基いてこれは解決をせなければならぬものと考えておるのでございますが、この機会に公取から伺いたいことは、こういうようないわゆるみずからが優位にある立場を利用して相手方に対して著しく不利益を強要する契約、取引というものは独禁法に対して違反するかしないか、この点について公取から御見解を承りたいと思うのでございます。
○小川説明員 ただいま春日委員より不公正取引法に関する告示に関連いたしまして公正取引委員会の見解をお尋ねにあづかつたのでございますが、総務課長と御指名になりましたが、まず事務局長の私から一応の御答弁を申し上げまして、なお詳しいことにつきまして必要がございましたならば、さらに総務課長から答弁をさせたいと思います。 第一点の不公正取引方法に関します告示第十一号の第十の解釈の問題でございますが、ただいま特定の債権契約に関連してお尋ねがあつたのでございますが、その問題につきましては一応民法上の問題ももちろんございますし、よく検討した上で独占禁止法との関連につきましても検討をかえる必要があるのではないかと思いますが、ただ独占禁止法の立場といたしましても、公法と私法とのボーダー・ライン的な問題が非常にたくさんございまして、いずれに関連しても論じられる問題が多々ございます。しかしながら公正取引委員会といたしましては、そういう場合におきましてはまず私法上の問題につきましても十分に検討を加えました上で、さらに独占禁止法上の立場で判断をするというのがこれまでのやり方でございました。そこでこの告示第十一号の第十の解釈の問題でございますが、確かに正常な商慣習に照して不当に不利益な条件であるかどうかという点も、ただいまの問題につきましてはよく検討した上で処置をいたしたいと思つております。 いずれにいたしましても不公正取引方法の周知徹底方につきましては、昨年九月一日付で告示をいたしたのでありますが、個々のいろいろな各般の商取引の問題につきまして、できれば一一具体的な例をつかまえまして周知徹底方をはかるという必要があるとは確かに思いますが、まだその点につきましても、確かに御不満の点もわれわれといたしましては十分に考慮いたしまして、今後ともあらゆる機会をつかまえまして具体的な問題についての解答というものをできるだけ考究いたして発表いたしたいというふうにかねがね考えておりましたことでございますので、御意向は十分しんしやくいたしまして今後とも周知徹底方につきましては遺漏のないように努力いたしたいと考えております。
○春日委員 まことに抽象的な御答弁て。これは何ら私どもの質問に対する答弁にはなつていないと思うのであります。 かねがね申し上げております通り、公正取引委員会は、これは経済行政権と経済検察権をあわせ国があなた方に付与しておるという重要なる立場におきまして、これが執行は厳正でなければなりません。こういうような不公正取引の基準というものを機械的にとりきめて、そうしてこれを告示しておきながら、これに対する違反行為もしくは違反類似行為に対して適切有効なる手段を講じていないということが、本日各界各層にわたつていろいろな物議を生ぜしめておるところの原因をなしておると思うのであります。私は先般も横田委員長に対しましても重大なる警告を発しておるところでありますが、少くともあなた方が職をふさぎ、いすをふさぐというようなことがあつては相なりません。曠職のそしりを免れないのであります。どうかそういう意味におきましてせつかくあなた方がみずからの権威において不公正取引の基準を決定されるというならば、違反事項に対しては、これを摘発して審問審決して、違反嫌疑事項については、これは十分行政指導を行つて、そうしてそういうような異議を生ずるような一切の事柄を払拭するという、これだけの責任があなた方にあるのでございまするから、本件についてもすみやかに徹底的な御調査を願つて、もし独禁法違反の件があつたといたしますれば、十分その筋に対しまして全般的な戒告をされることが私は必要であろうと考えますので、この点強く要望いたしまして、本問題に対する決定的な御解決をおはかりを願いたいということを要望いたしたいと思うのであります。 次に参考人にお伺いをいたしまするが、歩積み並びに両建預金に対する事柄についてでございます。申し上げるまでもなく手形割引の都度一定の歩合を定めて、定期預金もしくは別建預金、こういうようなことを強制することは関係法令に抵触するの疑いもあるのでございまして、かつはこれが貸出し金利に対しまする法定歩合を実質的に増強する銀行の独善行為、悪くいえば貧欲行為であるとも思われるのであります。よつて本委員会は数度にわたつてこの種両建預金の方式を抑制するよう政府に対してしばしば注意を喚起して本日に参つておるところであります。しかるところこの種の陳情によつて銀行の貸出し業務もあわせて検討し、かつそんたくをいたしまする場合、この問題となつておりまする両建預金の方式が今もなお一般に著しく強行されておるのではないかという疑いがあるのでございます。そこで参考人にお伺いをいたしたいことは、この種の両建預金を強制することの是非について参考人は監督官庁から何らか本日まで指示あるいは行政指導を受けられたことがあるかどうか。さらに伺いたいことは、この種の両建預金によるところの信用を有するものでなければ、銀行としては、この際御行の場合におきまして融資の対象にはしないものであるかどうか、この点についてひとつ率直なありのままの御意見を拝聴いたしたいと思うのであります。
○平井参考人 行政官庁からの指導につきましては、その都度私拝見いたしまして、それにのつとつてやつています。 それから歩積み、両建がなければ融資をしないかということでございますが、これはそういうものがなくても融資する場合もあります。しかし相手の信用によりましては、取引をしましてから漸次貸金額の確保といいますか、あるいは担保といいますか、そういうような意味で若干の歩積みをお願いすることはございます。
○春日委員 これは私がお伺いをいたしましたのは、歩積みあるいは両建預金を強制する、こういうことは関係法令に違反の疑いもあるし、わけてこれは貸出しに対する法定歩合を実質的に増強する形になつて何もならない、だからこういうようなあり方は、これを抑制するようにという各種の論議が本委員会において行われまして、そういう行政指導を当局をして銀行に行わしめるということが累次論議されておつたのでございます。そこであなたに伺いたいことは、一体各窓口においては中央監督官庁からそういうような指示あるいは行政指導、そういうものを受けられたことが今までにあるのか、あるいは全然そんなことは風のたよりにも聞いたことがないというのか、この点をひとつ伺つておきたいと思うのでございます。どうかその点について御答弁を煩わしたいと思うのでございます。
○平井参考人 それは本店からもその都度通知がございますし、それから全国銀行協会でございますか、そこから印刷物なども参りますので、みな末端といいますか係員が回覧をして徹底いたしております。
○春日委員 知らずして行つてもこれを法律はとがめるのでありますが、知つてなおかつ両建預金、歩積預金を行うがごときは、まさに言語道断であると思うのでございます。私は御行がそういうことをおやりになつておるかどうかというようなことは別問題といたしまして、いずれにしてもこの両建預金、歩積預金によつて金融問題が各種の渋滞、結滞を来しておるということが、金融行政の中において大きく取上げられて論じられておるということを、ひとつ十分御了知願つておきたいと思うのでございます。 具体的な内容に触れての論議を制約されておりますので、たいへん隔靴掻痒の思いにたえないのでありますが、さらにもう一つあなたに伺つておきたいことは、なるほどあなた方は、金融の事業を運営されるにあたりましては一番に預金者の利益というものをおそらく十分に御考慮を払わなければ相ならぬのでございます。しかしながら、われわれは銀行が一銭も損をしない、こういうことのためにどのような手段方法を講じてもいいということはいただきかねるのでございます。なぜかならば金融機関の持つておりますこの公益性というものは特殊のものでございます。しこうしてその社会的地位もまた特殊の風格を持つておるのでございます。従いまして貸倒れがあるかもしれない、そんな場合預金者はたいへんに迷惑をするであろう、そういうことを法律はあらかじめそれぞれ想定をいたしまして、貸倒れになつた場合預金者が損をしないように、すなわち貸倒れ準備金損金算入制度というものを設けておるのでありまして、御行の場合のごときは五億一千万円という、そういう貸倒れがあつた場合においてあなた方のあるいはまた預金者の迷惑にならない範囲において、そういうような救済処理ができるというような特殊な立法も行われておるのでございます。なおあなた方がお貸出しになるところのその金というものは、これは申し上げるまでもなく一般預金者の金でありますけれども、足らざるところは日本銀行からの貸出しになお依存をいたしておるのでございまして、もちろん御行の場合のごときにおきましても、これは日銀からの借入れが三十二億何千万円、あなたの親銀行の場合のごときにおいては二百三十数億という国家の金が、あなた方の手にこの運営をゆだねられておるのでございます。従いまして、あなた方の運営はただ単にあなた方の営利追求という判断にのみよつて決せられるものではないのでございまして、どうかひとつ産業をいかに育成をして行くか、すなわちとりわけて今、国会においても社会全般においても論じられておるところの中小企業の危機を救うための一翼をになつてもらわなければならないのでございまして、よしや貸倒れの危険があるにしても、そのために貸倒れ準備金の特別補償繰入れの制度なり、あるいは金がないとするならば、その金に対しては国家から銀行に対する貸出しの制度も行われておるのであります。従いましてこの点は、どの程度の調節をするかということは非常に慎重にしてデリケートな問題でありましようけれども、私はこの具体的な陳情の資料をここにいろいろ持つております。これは某銀行の暴逆取引関係の書類で一冊をなしておるのでございますが、いろいろ委員長の御注意等もございますので、具体的な問題に触れて論述を行い、あるいはまた御質問を行うことは避けるのでございますが、どうかひとつ中小企業者に対しまして、金融独善とかあるいはまた金融無政府とか、こういうような春闘のそしりを払拭することのための御考慮こそ願わしいものと考えるのでございます。 さらにもう一つ最後に伺つておきたいと思うのでありますが、あなたの方が不動産根抵当設定契約書というようなものをいろいろ取引先と取結ばれるわけでありますが、そういう場合にこういう条項が用いられておるのでございます。すなわち根抵当の対象物件に対してはその保険をせよ、ところが、但し保険者及び保険金額については、乙の、たとえば銀行側の承認を得なければならない、こういう条項が挿入されておるのでございます。少くとも現在におきまして、保険業法によつて保険業務を営むことを許されておりますところの保険会社、これに保険を付することは根抵当権を設定するところの債務者の自由裁量にゆだねられなければ相ならぬと私は思うのでございます。しかるところそういうような選択権を貸出し側の有利な立場を利用することによつて拘束をすることは、これまた公正取引の基準に抵触するの疑いなしとしないのでございます。従いまして、あなたを通じて全銀行に申し述べたいことは、こういうようないろいろな不法なことが古来銀行によつて踏襲利用されておるのであるが、しかしながら昨年の九月に至つて、公取において公正取引の基準というものが決定された。決定された以上は、その基準に抵触の疑いがあるものはすべてこれを改廃あるいは修正をする必要があるのであつて、やはりそういうような事柄については再検討を願わなければならない段階にあるのではないかと思うのであります。私は本契約条項が公正取引の基準に抵触するかしないかということは、私の質問を通じて陪席を願つております公取において十分ひとつ御調査を願いまして、もし公正なる取引の基準に合致しないということでありますならば、十分警告を発していただいて、この間の調整を願いたいと思うのであります。 いろいろ申し述べたいことが多々ございますが、冒頭委員長との約束もございますので、私は、とりあえず私の質問をこの程度にとどめますけれども、冒頭に申し上げましたように、金融機関というものは公共性の高いものである、公益性の強いものである、社会性の特に高度のものであるということを十分御認識を願いまして、その業務が営利一辺倒にわたらざるよう、十分前線において御尽力を願うことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
○柴田委員 まず住友銀行の参考人の方から伺いたいと思います。 最近の金融状況から判断いたしまして、中小企業者に対する態度と申しますか、どういうようなお考えを持つておられるか、これは根本的な問題でありますが、この一つの企業者に対しまして、今一切金融の道を梗塞することによつて、その中小企業者は倒産、破産というようなことが続出しておるわけです。今まで、たとえば五百万円限度で相当の担保をとつて融資をしておる。だが中には融通手形も含まれておつた。融通手形ということはいけない。これはだれしも知つておることなんです。銀行当局も知つておるだろうし、借りておる中小企業者も十分その点は認識しておるのだが、やむにやまれぬから融通手形をもつて割引を依頼しておつた銀行当局も、それを黙認の形で融資を行つておつた。だけれども、その一切を今度本日限り打切つてしまう、こういうことによつて中小企業者は倒産することは当然なことですが、そういう実態を把握していながらも、金融梗塞によつて、あるいは政府の一貫したデフレ政策によつて、その融資をぴつたりとその日限りでとめてしまうというようなことを随時おやりになつておるものかどうか、その点をまず伺いたいと思います。
○平井参考人 融手の問題は、非常にむずかしい問題でございます。しかしこれは相手とよく話合いまして、その融手の発生原因がはつきりしており、かつその融手を将来その事業の運営によつて解消し得るという見込みのある場合には、融手がありましても割ることも事実上ございます。しかしながらとかく多い例を申し上げますと、融手があるのじやないかというふうにわれわれが疑いまして、その都度向うの経営者なりあるいは担当者に聞きますと、そんなものは絶対にないといつて隠していながら、最後のどたんばになつて、実はこういうふうでございますと言うて、白書と称して厖大な融手の存在を突きつけられるのです。それではわれわれとしては何年間かの取引をだまされておつたことになるのです。そういう意味でやむを得ず打切らさるを得ぬような事態になることもございますけれども、相手がほんとうに正直に申し述べられて、それでわれわれも納得が行く場合には、融手といえども若干のものであれば、ずつと取引を継続することはしばしばございます。
○柴田委員 それが一番大きな問題になると思うのですが、あなたの方から言わせれば、今までだまされた、こういう言葉でございますが、だれもだまそうというような意図はないでございましよう。やはり中小企業の最近の金詰まりの状況から、実際問題といたしまして、手形なしではもう借入れの限度が最高度に達しておる。だからやむを得ない措置として、最後の手段として残されたのは融通手形だと思うのであります。その場合でも融手を承知して割引を継続して来ておるのです。だが本日限りこれは一切いけないといつて打切つた場合には、その店は破算してしまう。破算せしめて今までの融通手形からその他の正統な商手まで一切を棒にふつて訴訟に当る、あるいは担保物件の処分に当るというような形で整理する方が銀行としてほんとうに有利なのかどうか。もう一つは、今までは確かにだまされておつたのだが、このところ多少引締めましても――今まで五百万のわくを三百万なり二百万に引締めても、やはりこれを助けて、中小企業者を運営せしめて行く。現に陳情書等にはございますが、たとえば銀行の命令によつて繰業短縮もやつておる。首切りもやつておる。こうして実際健全化しようと努力を払つておるのです。こういう中小企業者に対する融資というものを、たとえば追加担保まてとつて、なおかつ融資を全面的に中止してしまうことによつて中小企業者は倒れておる。こういう現実の状況は随所に見受けられるとわれわれは思うのです。こういう残酷な方途までとつて健全化をはかろうという銀行の考え方が正しいのか、あるいは貧しい人たちに対する融資を助けてやつて、この健全化をはかつて行つて、全面的な回収に努力するということが銀行の経営として正しいかという判断によるのでありますが、われわれ現在のこの経済情勢から判断いたしまして、この名古屋支店のとつた措置はあまりにも残酷にわたるというふうに考えられるのですが、実際あなた御自身が第一線に立つて中小企業者と取引をなすつておられるのだから――先ほどの御答弁を承ると、預金者大衆のために、預金の擁護のためにと言われるが、銀行はいつもそういうことを言います。株主総会でもそういうことを言つておりますが、ほんとうに預金者の擁護をはかる ことであつたならばつぶしてしまつて、今まで貸し付けてあつたものは全部こげつかしてしまつた方が預金者のためになるのか、あるいは糸を繰りながらもだんだん回収して行くことが預金者のためになるのかという判断のことでありますが、これに対して今の金融情勢、今の経済情勢の立場からどうお考えになるのか、もう一度明快なお答えを願いたい。
○平井参考人 先ほど春日先生からも銀行の公共性のことについて、いろいろ有益な御意見を承りまして私たちもさらに一層公共性というものを感ずる次第でございますが、この事業といいますか、債務者を殺すのは本能ではございません。もちろん助けて行けるならば、とにかく更生していただきたいというのがわれわれ銀行といいますか、金融家の大使命でございます。その点については決して私人後に落ちるつもりはございません。ただ問題は事業の将来性、それから経営者の人物、環境その他から考えて、ここで若干取引を継続してもとうてい立ち直る見込みがないという場合も間々あるわけでございます。そういう場合はやはり現在で打切つた方が銀行としての損害も少く済みますし、自然預金者の預金保護という大使命も達成できるわけでございますので、そういう個々の情勢判断によりますので、一々この場合はこうだ、あの場合はこうだというふうに実は申し上げたいのでございますけれども、どうもこれはまた取引先の秘密の点にも関連しますので、この程度でひとつごかんべんを願いたいと存じます。
○福田(繁)委員 私はごく簡単に関連して質問をいたさんとするものでありますが、当委員会でかような質問をするのはどうかと思いますが、明日ちようど銀行局長及び中小企業金融公庫の総裁、国民金融公庫の総裁、こういう諸君を招致いたして私が質問をいたさんとすることに非常に関連性がございますので、そこで住友信託銀行の名古屋支店の平井さんに、絶好の機会だから承つておきたいと思います。住友信託銀行名古屋支店は、中小企業金融公庫の代理店になつておるかどうか、まずこの点から伺います。
○平井参考人 代理店には会社としてなつていまして、それで会社で各支店に通知が来ていますけれども、私の方では現在中小企業金融公庫の代理店貸しはまだ一件もございません。
○福田(繁)委員 私たちの資料によりますと、住友信託銀行には中小企業金融公庫の代理店として指定して、相当の金額を中小企業育成資金として政府資金を割当てておるという資料を持つておるわけであります。あなたのお話を聞きますと、名古屋支店においては中小企業金融公庫の代理店の業務を今なお開始したことがない、かようにおつしやるわけでありますが、その点間違いはございませんか。――さすれば伺いますが、およそこの信託銀行も、相互銀行も、信用銀行も、比較的零細ということはどうかと思うけれども、中小企業対象の金融、ことに私は名古屋は立地条件上多いと思うのでありますが、中小企業者諸君から、何とかして金詰まりなり経済界の苦境を打開して、そうして日本産業再建に貢献するために中小企業に金を貸してくれという要望が、今まで支店長さんのお耳にあつたかどうかということを参考に伺います。
○平井参考人 中小企業金融公庫の代理店貸しをやつてくれという要望は、私が名古屋支店に着任してからはございません。しかしながら現在私どもの店ではそういう代理店貸しでなくて、私の方の直接の金で中小企業に対して件数で約三〇%金融をやつております。
○福田(繁)委員 住友信託銀行名古屋支店として約三〇%の件数に該当する融資を中小企業に対して行つておられるということでありまして、深く私は敬意を表します。実は私もこの中小金融に少からぬ関心を持ち、全国あちらこちらを国政調査をいたして参つたのであります。今のあなたのお話を聞くとまつたく私の常識にすれば不思議にたえぬ。なかんずく名古屋というところは最近大阪、神戸、福岡を凌駕しておる。中京にありながら、大よそ西日本の代表的な大阪を凌駕するところの中小企業というものが、育成発展いたしつつあるということを私たちは聞いておるのでありますが、名古屋以外の中小企業者というものは、ほんのわずかの金に困り抜いて、せつかく昨年度からでき上つておるところの中小企業金融公庫に対して非常にあこがれの眼をもつて恩恵に浴したいというところの希望者が多いのでありますが、今あなたのお話を聞きますと、非常にうらやましいほどに名古屋においては、中小金融公庫のせつかくの代理店がありながら、中小企業者の貸してくれという申出が比較的少いところを見てみると、大よそ名古屋の中小企業は非常にゆたかであるというふうにも、一応私はあなたを通しての質問のお答えから推して判断するわけであります。 そこでこの次に具体的問題として伺いたいのでありますが、先ほど柴田君の質問にもありましたが、私も今ここへ登院して参つたところ、意外にも名古屋市東区トモエ硝子片岡信一という人のわれわれに対する陳情書が参つておるのであります。今一読いたしたところが、はからずも住友信託銀行の名古屋支店に関連しておる重要な問題がるる述べられておるわけであります。相当具体的な資料が出ておるのですが、あなたはこれをごらんになつたかどうか。
○平井参考人 先ほどいただきました。
○福田(繁)委員 そうすると向いたいのでありますが、あなたはこの陳情書をごらんになつて、少くともあなたのお店に関連する問題はこの通り事実間違いない、かように御承認になられますか。これを参考に伺つておきたい。
○平井参考人 私はこれに対して相当の異議といいますか、反対意見を持つております。
○福田(繁)委員 その御意見は言いかえれば、今日まで取引者として育成してやつたところの取引人に対する金融業者としての感情的の意見でありますか、それともここにるると並べてあるところの事実を御否認されるか、いずれでありますか。
○平井参考人 感情的の意見ではございません。事実について、先方の担保評価その他について私の方の意見と相違しているところが多々ございます。
○福田(繁)委員 そうすると、担保評価とか、そういつた数字的問題に対しての御異議はあるでございましようけれども、実際問題、たとえば一番、二番、三番の抵当権――三番はあなたがお持ちになつていらつしやるのでありますが、一番、二番から買い受けて、三番の抵当権を実施する、そういうようなお考えはお持ちじやないわけですか。
○平井参考人 全然ありません。
○福田(繁)委員 そこで大体わかりましたが、ほかの同僚諸君からも御質問があるようだから、一言最後の結論として申し上げたいのであります。あなたのお話によりますと、お店の方に対して、名古屋の中小企業者からの中小金融の打開策として、中小金融公庫の申出が非常に少いということは、あなたの支店の存在しておるところの立地条件的な関係かもわからぬ。おおむね名古屋の中小企業というものは非常に金詰まりで困つておると私たち為政者は見ておる。そして先ほどから話があつたように、どうしても日本の再建をはかろうとするならば、大多数の中小企業者の育成強化をしなければ、日本の産業再建は成り立たない。しからば中小商工業者をいかにして育成強化するかというならば、御承知の通りに、金融面で育成してやる。また税制の問題を大いに再検討する、あるいは金融的に親会社から子会社に払うところの金を可及的すみやかに、短期間の手形でもよいから間違いなく払つてやつて、それが原動力となつて中小商工業者が発展するというようなこともやつてやらなければなるまいというので、実は明日の委員会においてもそういう問題を取上げ、休会中であるにかかわらず大蔵委員会は開いておるわけであります。さようなわけでございますから、先ほど柴田君からもお話がございましたことくに、いかに金融機関といえども、もちろん預金者大衆を完全に擁護弁護して行くのが当然であります。当然でありますけれども、せつかく政府の力をもりて日本の産業再建の母体になるところの中小商工業者を正しく導いて育成強化してやろうという国策の線でやつておるのでございますから、一番関連性の深い金融部門の実際に携わつております。皆さんたちは、この点において大いに御協力と申しますか、まつたく文字通りの範を示されんことを、私は委員会の改進党の諸君になりかわつてあなたに特に懇請いたしておきたいと思うのであります。 私の質問はこれで終ります。
○春日委員 ただいまの福田委員の質問に関連をいたしまして、重要な事柄に触れておりますので、一応名古屋の中小企業者のために問題を明らかにしておきたいと思うのであります。 名古屋では中小企業金融公庫、これに対する申込みが非常に輻湊しておるのであります。たまたまこの住友信託銀行支店に対してそういう申込みがあつたかなかつたかは別にいたしまして、これははなはだ輻湊しておるのであります。しかしながら私は、今回参考人に御出頭願つたことについて、ここにいろいろ厖大なる資料を持つて、あまねく住友信託銀行の業務の内容を調査いたしておるのであります。それによりますと、住友信託銀行は全国において十四の支店をお持ちになつており、さらにまたその貸出総額は相当厖大な、百五十億二千六百七十六万という額になつておるのであります。しかしながらこの全支店並びに全貸出しを通じて、中小企業金融公庫の取扱いというものは皆無であるのであります。これはただひとり名古屋だけの問題ではないのでありまして、この十四の支店が中小金融公庫の代理貸しをお取扱いになつて来ておる件数、金額――これは名古屋の業者が住友信託銀行に対してそういう希望を申し出たか出ないかは別問題として、住友信託銀行は本日まで全国を通じていまだかつて一件もお取扱いになつておらないのでありましようか。従いまして名古屋の中小企業者たちがこういうような融資を希望するかしないかということと、住友信託銀行のあり方ということは全然別個の事柄であるということをぜひとも御了知願い、この事柄を記録にとどめておきたいと思うのであります。どうも失礼いたしました。
○小川(豊)委員 私はけさ出て来て、ここにある委員長に対する片岡さんという方の陳情書を今一通り見ただけでありますが、実は驚いておるのであります。これで行くと、銀行にほとんどつぶされてしまう。貸すようなふりをして追加担保をとつてしまう。そして最後には貸さない。こういうことになつて、非常に綿々として苦痛の状況を訴えて来ておるのでありますけれども、今春日委員の方から質問されておるのを聞いておりますと、何か内容にわたることを非常に避けておられるように聞いておつたのです。私もそういうことは何か委員長がここに押えておることでもあるのかと思つて聞くことをやめておつた。今お聞きいたしますと、この陳情書の内容はこの通りでないということを支店長の方では答えられておる。そうすれば、当然内容にわたつてお聞きしてもよいと思う。一方は書面で出しておる。片一方はこの陳情書に対してこの趣旨とは違うというようなことを言つておられる。従つてこれから内容にわたつて聞いてみたいと思いますが、どうですか。――それではお尋ねいたします。住友の名古屋支店では十月六日新しく増担保の要求をされておる。すなわち当時陳情者は名古屋支店に対して抵当五百万円、各種預金百八十万円を担保として提供して、これによつて約四百六十万円程度の手形割引を受けておる。若干の金融資金を必要としたので、その実をありのまま嘆願書としてまとめて救済を願い出たのであります。しかるところ支店の方では「自力で渡るにしては一寸川幅が広すぎるようだから銀行側で何とかしなければ」云々というそういう応待をして、これによつて十月六日さらに四百六十万円の増担保を要求しておるのであります。 そこで私お伺いしたいことは、この四百六十万円の増担保を要求されたところの目的は一体何であつたかということであります。すなわちさらに増額融資をここでするために必要とする措置であつたか、あるいは単に何らかの目的があつてされたのであるか、この問題は、われわれが金融行政を検討するに当つて、その窓口業務の真髄に触れるための重要な資料でありますから、特にこの点御答弁を願いたいと思います。
○平井参考人 私たちがいただいていました担保では、現在の手形債権額をカバーすることが十分でなかつたのであります。先方の評価とわれわれの評価とに相当の食い違いもございますが、われわれの評価で計算いたしますと相当足りないので、それで追加担保をいただいたわけです。ことにわれわれの方は第三番でございますので、先順位が相当ございますし、火災保険証券もいただいておりませんので、こういう追加担保の処置をとりました。しかしこの追加担保も、実は二番でございますので、これでもまだ足りないのですが、いわばわれわれとしましては、多少でもいただいておけば将来また役に立つこともあるかもしれないという意味でいただいたわけであります。
○小川(豊)委員 今の答弁についてはあとでお伺いします。さらにこれを見ますと、抵当権の設定契約書は、その登記に当つて、なぜかその内容は陳情者に披見されなかつたと、陳情者は訴えておるのであります。この副本は、登記事務が完了しても長期にわたつて陳情者に公表されない、その後陳情者の再三の請求の結果、三週間も経てからようやく当事者の方から送達されたと言つております。陳情者は、この抵当権設定契約はいかなる内容であるか、皆目わからないままに、この間住友の名古屋支店においては取引停止の宣告を受けて、預金相殺の宣告も、かつ残余の債務即時弁済の催告も受けておる。非常にみじめなほどに業者は周章狼狽してこれが対策に腐心したと述べております。少くとも銀行のごとく社会性、公益性の強い立場にあるものが、今破産寸前にある弱小業者に対して、契約の内容も、熟知せしめずして、長期にわたつてその副本を取得しておることは、あまりにも無残な行き方ではないか。これは銀行の業務として限度を越えるものではないかと私は思いますが、この点についてお伺いしたい。
○平井参考人 われわれも担保の設定を急いだことは事実であります。しかし全然契約書の内容を披見せしめずというようなことは絶対にございません。担保の金額、期限等については、向うにも十分ごらんを願つています。ただほかの文言は、最初にいただきました担保権の設定契約書とほとんど同一文言でありますので、あるいは向うさんといたしましては、詳細に一々それを読合せのようにしてごらんになるいとまはなかつたかもしれませんが、大体においてごらん願つておるはずでございます。それから副本を差上げなかつたのは、登記上副本が必要でございますので、それで数日間私の方に預りまして、その後さらに数週間、何日くらい私の方で向うさんにお渡しするのが遅れたか存じませんが、遅れたことは事実でございます。これははつきり申し上げますと、多少お互いに気まずくなりましたし、それ以外のいろいろ交渉事がありましたので、その後私の方から郵送して先方さんにお届けいたしたのでございます。
○小川(豊)委員 しからばもう一点お尋ねをしたいと思います。この増担保に関する抵当権設定契約の期限は昭和三十年一月十七日を限度としているのであります。陳情者が御行に割引を願つた手形の満期は昭和三十年の一月になつているのであります。この増担保は、既往の割引融資に対する補強工作以外の何ものでもないと考えられる。御行が十月十四日に至つて、まだ手形の不渡りが一件も出ていない陳情者に対して、突如として取引停止の宣告を行つているのであります。既往の担保力が薄弱であるならば、私どもから言わせれば、なぜその旨を明示して、担保の補強の要求を堂々としなかつたか。あたかも貸出しの要求に応ずるがごとくに、極端に言えば詐術を弄して、債務者を欺満して、債務者のために増担保を進んで協力せしめた後、反転して取引停止の宣告を発表するというがごときは、これはまつたく穴の中に突き落すような行為になりはしないか、こういう点を私は参考人にひとつお伺いしたいのであります。
○平井参考人 十四日でございましたか、十五日、十六日に不渡りが出るということが、ほとんど先方さんのお話から判断いたしまして明らかであつたわけでございます。不渡りが出るということになりますと、預金の外部からの差押えということも考えられます。それでできるだけ早く預金と手形債券とを相殺いたしまして、相殺いたしますれば、向うさんにも手形をお返しできるわけでございますから、若干金融の道もつくのではないかということで相殺ということをやつたわけであります。
○小川(豊)委員 これは聞けば聞くほどどうも納得が行かなくなつて来る。およそ経営が逼迫したならばその窮状を打開するために融資ということは第一番に考慮されるだろうと思います。その際に第一番に必要なことはそれに見返る担保物件の有無であります。その場合に陳情者は差引わずかに百四十四万の未済債務に対して、実に九百六十万円という厖大な担保物件をお宅の方に約束されておるのであります。これでは陳情者は自力再建をはかろうにもまるつきりその方法も何も立たない結果になるのではないか、お宅の方ではこの契約書によれば、未抵当物件の評価はお宅の方の銀行の独自の評価によるということを言つておられるのであります。これは実に残酷なおそるべき強権ではないか、こういうふうに私どもは考えざるを得ないのであります。この場合に未抵当物件の一切を百四十四万で収納しようと思えば、あなたの方ではできるわけなんです。九百何十万という厖大なものを百四十万でできることになる。こういうことでは非常に私どもとして遺憾に考えるのですが、この点はどういうふうな事情ですか。
○平井参考人 相殺しました結果百四十四万になりましたので、相殺前の何でわれわれは四百六十万というわくで担保のことをきめたのでございます。
○柴田委員 関連してお伺いいたします。この四百五十四万七千円という商手と融手の割引がありますね。そういたしますと融手というのはこの中の八十万七千円だけが融手だ。しかもその融手には、十一月十六日、十一月二十六日というまだ現実に期日の到来していないものもあるわけなんです。そういたしますと、正味期日の到達しておるものは四件しかない。百三十万しかない、こういう実態なんです。こういう実態を見て、諸預り金が百八十万余あつたにもかかわらず、この預り金の融手も商手も割引の四百五十四万円までとつてしまつて、しかもまだ融通をするがごとく装つて再担保を要求する。そうして再担保を完了しました途端に一切の取引を停止するこういう残酷なやり方というものは、インチキ金融業者以外にはありません。擁護を受けておる、しかも大蔵省の認可をとつた堂々たる一流銀行がこういうことをやるのでございましようか。まつたくわれわれはどうしても、あなたがどういう弁明をされようと納得ができない。こうしてまで無理やりに破産させるというようなことは住友銀行の方針でございますか。これをもう一度承りたい。
○平井参考人 先ほどから申し上げましたように、相手先を殺すことはわれわれの本意ではございません。寸前まであたかも融資するがごとくにというように陳情書に書いてあるかもしれませんが、われわれの方ではそういうことを申し上げたことは全然ございません。
○柴田委員 一流銀行の支店長ともあろう人が、そういうまるで三百代言みたい答弁ではわれわれは納得しません。融通するとかしないとかいうことはどういう言葉をお使いになつたか知らぬけれども、この経緯からわれわれが判断いたしまして、再担保を要求された場合には、必ずもう少し援助を与えよう、援助をしようという約束が成立した結果再担保を提供する。この業者がもつと何か融通の方法を知つておる人であつたならば、あなたの方に行かぬで、その再担保を別な銀行へ持つて行きますよ。私も中小企業の一人で、この何々ガラスという方に対しましても何ら知つた人ではないのです。住友銀行に対しても何ら縁故を持つものではないけれども、こういうやり方というものは、中小企業を無理に殺すようなものだ。こういう考え方は少くとも是正してもらいたい、われわれはそう思うのです。言葉の上では何百万までは貸そうというお約束はしないにいたしましても、こういう取引の実態から判断いたしまして、再担保を提供いたしました場合には、必ずもつとめんどうをみてくれるものだ、これはもう一般の常識です。われわれも地方におりまして、銀行等からもいろいろ世話になつておりますが、こういう残酷な目にあつたことは一度もないのです。それが莫大な融通手形であつたならばいざしらず、実態を見ましてもたつた四件です。金額にいたしましても二十万あるいは三十万四千という少額の融通手形で、しかもまだ期限の到達していないものが二件ある。こういうあまりにも残酷な扱いをやることは、今後も十分注意をしていただきたいのです。これはもう支店長さんだけの問題ではなくて住友銀行の頭取に証人として出てもらつて、根本的な方針に対してわれわれは徹底的な追究をしなければならぬと思うのです。本日はこれで終ります。
○春日委員 私は最初具体的な事柄に触れての御質問は慎しむ、こういうことで、私は質問をしておりませんし、なお質問をいたしません。しかしただいま福田委員、並びに小川委員、柴田委員に対する参考人の御意見の開陳の中で事実と著しく相反する場面がありますので、この機会に修正を願つておかなければならぬと思いますので、あえてその点に触れてのみひとつこの陳情書、あるいは私が資料をとりまとめた範囲において意見を申し述べて、参考人の御意見を伺つてみたいと思うのであります。 陳情書を読みますと、御行の貸付係長の坂本氏が、貴社の自力で渡るにしてはちよつと川幅が広過ぎるから銀行で何とかしなければ、こう言つて、しかも融資を応諾するがごとき気配を示されたことが述べられておるのでございます。しかしながらこのことは事実無根であるといたしますならば、それといたしましよう。しかしただいま柴田委員の御指摘になりましたように、おぼれる者わらをつかむというのでありますが、あたかも貸してもらえるかもしれないというような、そういう意思表示が御行において行われたであろうということは、この債務者が喜び勇んで増し担保の抵当権設定のために協力した事柄によつてでも十分判断のつく事柄でございまして、われわれはありのままに物事を判断しなければならぬと思うのであります。そこで私が申し述べたいことは、あなたはただいま十五日になると不渡りが出る、こういうことをお話になつておりましたが、この業者はやはり商売は信用が大事だ、そういうことで必死になつてその手形の不渡りを食いとめて参りました。本日に至るまで一通の手形の不渡りも出ていないのでございます。あなたの方が取引を解約されましたことは、この陳情者が、どうしても当面緊急の金が五、七十万いるから助けてください。なぜならば私の方の割つていただいておるこの割引手形の中には、こんな融通手形も含んでおります。ありのままに私の財産内容、資産内容、さらに取引内容を訴え出ますから、どうか御判断の上に立つて融資をしていただきたいということをあなたの方に泣訴をしたのでございます。そのときあなたの方はそれはとてもだめだ、あなたの方は内容がとても悪いからもう貸さないというのだつたならば、そのときにあなたの方が取引停止の宣告をなさいますならば、本人はあなたの方に提供いたしましたところの新しき増担保四百六十万円の担保物件を活用いたしまして、他に融資の道を講ずることもあるいは不可能ではなかつたと思うのでございます。それだのにあなたの方は業者が陳情をいたしております通り、この十月におきますところの関係手形、融手等を含めまして、一切の期日到来のものを、彼は銀行から融資を受けなければならぬから、その前に不渡りを出しては相ならぬというので、家財道具、書画骨董、さら高金利の金をも借り受けまして、一切の手形を責任ある形において落しておるのでございます。すなわち不渡り手形は一件も発生いたしておりません。そういう状況で正直に、苦しゆうございますから助けてくださいといつたら、あなたの方はそれでは増担保を持つていらつしやい、そこで四百六十万の増担保の設定に対して、この陳情者は一生懸命に協力して、そして今日はいただけるか、明日はいただけるかと思つて、累次あなたの方に陳情申し上げて、経過すること十日間、一切の手形が落ちてしまつて、その後に十二日の午後三時に至つて、あなたの方には融資いたしません、あなたの方はすなわち債権確保の手段を万全に講じた後において、そして手形の不渡りを出していない。泣いて訴えておる業者に対して、いわゆる取引の停止の宣告、それから債権債務相殺の宣言、さらに残務百四十四万円即時弁済の催告、こういうことがなされておるのでございまして、これは事実は事実に基いて十分御処理を願わなければならぬのでございます。私は当初申し上げましたように、具体的内容に触れていろいろと御質問を申し上げるということでございますならば、親銀行であります住友銀行の内容に触れてもいろいろ御意見を承らなければならず、しかもそのことはしよせんは両銀行の頭取の御出頭を願わなければならぬ問題でありますので、私は具体的内容に立ち至ることを避けます。避けますから問題はすべからく、このあなたの方の銀行なんかは信託業法並びに銀行法、この二つの法律の保護を受けておる日本におけるたつた六つの特殊眼行であるのでございます。そういう特殊の立場にあられますところの銀行が、一つはこの中小企業金融公庫の窓口業務を一件も取扱わないということなんかも、これもまことに重大な一つのあなたの銀行の基本的な方針を示す資料ではあるでありましようけれども、どうか願わくはこういうようなことの今後起きませんように、ひとつ窓口業務を通じて、中小企業者のために――われわれは今中小企業者が繁昌してひとり立ちが十分できるのならば、わざわざこのような論述をこもごも申し上げるわけのものではございません。一殺多生の剣ということがあるが、都合によつては、ただいま柴田委員御指摘のごとく、頭取の御出頭をいただいて、これは参考人としてではなく、いろいろの検討を加えなければ相ならぬと思うのでございますが、問題は、あなたがこの陳情の箇所が事実と違つておるというようなことを今おつしやいますならば、私どもはこの問題についてさらに具体的にいろいろの質疑応答を繰返さなければ相ならぬのであります。どうか冒頭申し上げましたように、これは医者に対して、私の病状かくのことしといつて診察の救援を求めた。そしてカンフル注射か何か打つてくださいといつて頼んだら、ふとんをめくつてこん棒でなぐつたということを言つておるのでありますが、ことほどさようにひどくなくても、それはほうふつたる一つの行為が行われたことに対して、私どもは驚愕をいたしておるのであります。われわれがいろいろ参考人に御意見を拝聴し、さらにわれわれの見解を申し述べておりますゆえんのものは他意ありません。ただ問題は、たまたま起きました一つの事象にかんがみまして、日本の銀行の窓口業務を通じてこういう残虐な処遇を中小企業者が受けないことのためのわれわれの調査でございますので、どうか他意なくお聞取りをいただきまして、御帰任の上はその業態の実情について十分御調査を願いまして、行き過ぎの点や、あるいは神ならぬ身のあやまちがないというわけには参らぬのでございますから、いろいろ修正、調整を要する事柄等がございましたら、ひとつ本人を十分お取調べの上、法律、命令その他いろいろに定められております銀行としての最高度の機能を発動していただきまして、一人も法律の前あるいは暴逆者の前に泣く者のないような措置をとつていただくことを強く要望いたしまして、質疑応答を通じて間違つております事柄について、私としての意見を申し述べた次第でございます。 長時間にわたりまして貴重な御意見を拝聴いたしまして、深く感謝の意を表して私の質問を終ります。
○井上委員長代理 この際平井参考人に一言お礼を申し上げます。本日は御多忙のところわざわざ上京されまして当委員会に御出席をいただき、中小企業者の窓口金融について種々貴重なる御意見をお述べいただきましたことは、当委員会調査のため多大の参考となりましたことをここに厚くお礼を申し上げます。 明十一日午前十時より再び開会いたすことにいたし、本日はこの程度で散会をいたします。 午後零時三十二分散会