大蔵委員会 第71号
- 発言数
- 130 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/09/10
会議録
○千葉委員長 これより会議を開きます。 先ほど理事会を開きまして協議の結果、来月の十一日と十二日に大蔵委員会を開くことにいたします。 なお来月の一日には金融に関する小委員会を開くことにいたしますが、そのときにシンガー・ミシン株式会社とパイン・ミシン株式会社の提携による日本に対する販売進出の問題につきまして、参考人から意見を聴取したいということが議題になつておりますが、さようとりはからうに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千葉委員長 御異議ないようでありますから、さように決定いたします。 なお参考人の人選につきましては、委員長に御一任願います。 —————————————
○千葉委員長 次に、税制に関する件、金融に関する件、国有財産の管理状況に関する件の三件を一括議題として審議を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。井上君。
○井上委員 昨日大蔵大臣に質問いたしたのでありますが、最近新聞に伝うるところによると、全国銀行の職員が俸給値上げの要求をいたしておることに関連して、銀行局中心に、この運動がきわめて重要な影響を及ぼすという見地から、さような俸給値上げに各銀行当局は応じる必要がない、簡単に言えばさようであろうと思いますが、さような通達を各地方財務局長を通して所管の各銀行当局に通達をした、あるいは話合いしたとかいうようなことがいわれ、このことがこのベース・アップを支持し、指導しておりますいわゆる全銀連の問題になりまして、昨日銀行局の方に、さようなことは労使関係の紛争に政府がタッチすることであつて、労働協約の上からはなはだおもしろからぬ行動でないかということについて、政府に反省をうながし、かつ抗議を申し入れたということでありますが、さような事実がありますか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
○河野説明員 井上さんのお尋ねの前段の問題につきましては、若干事実と相違する点があるかと思いますが、後段の昨日全銀連の代表が数人私に面会を申し入れて参りましたことは、事実でございます。私はちようど所用がありまして会えませんでしたので、銀行課長がかわりに会いまして、お話のような抗議文を受取つております。 今お話の前段の問題につきましては、私どもは現在の銀行の経理の状況、特に銀行の従業員の方々の給与が、他の企業等に比べて必ずしも非常に悪いというようなことは言えないと確信いたしております。そういつた状況等から考えまして、この際としては銀行の経理をますます堅実し、あわせて許すならばその合理化を進めることによつて、今日本の経済界があげて要望しておりますところの、市中金利の引下げという方向へそれらの余裕を向ける努力をいたして参らなければならぬという、非常に切実な要請があります現在、私どもといたしましては、銀行経理の堅実性を確保するという観点からして、これらの経理面に対しては慎重な配慮を加えることが必要であろうということを、口頭でもつて申しております。私どもはあくまで個々の従業員の給与について干渉する意図はありませんが、現に、やや専門的になつて恐縮でありますが、現在各銀行に対しては、経営上収支の率七八%という線を守るようにということを私どもは行政上指導をいたしております。これはいろいろ詳しくお話申し上げますと長くなりますが、経理の堅実性、ことに銀行というものは単純な私企業でない、これはきわめて大きな国の経済の中枢にある公共の使命を持つ企業体であるという点から、こういつた経理上の指導をいたしておりますが、この七八という経理の基準を、現在の状況でははるかに突破するような状況にある銀行も相当出て参りました。これらの点は公共的機関としての銀行の経理を非常に危くするものであると私どもは考えておりますので、こういつた観点から経営者に対して、できるだけ経費の節減をはかり、合理化を進めるということが必要である。他の企業に対してこれらの合理化を主張し、コストの引下げを求めている際において、金融機関が率先して経費の節減をはかり合理化するということが、この際としてきわめて必要であるのみならず、今申し上げましたように、逆に従来から守られておつた七八という経理基準さえも破らなければならぬような事態になつておるということは、私どもの方から申しますとはなはだ遺憾である。こういう意味におきまして経営者に対しましては、強く経理の充実、基礎の健全化ということについて要望いたしておりますことは事実であります。しかし私どもは、書面によつてこれらのことを各銀行に対して通達をいたしたというような事実は全然ございません。
○井上委員 銀行が持ちます公共性を発揮せしめますために、その経理状況の堅実性を要求いたしますことは、これは当然でございます。ただその場合考えなければなりませんのは、最近の銀行の業務内容について、一体堅実な運営が行われておるかどうかということに、あなたは自信をお持ちでございますか。今問題になつておるベース・アップの問題にいたしましても、銀行がほんとうに堅実な経営をやつてない、あるいは逆に非常な赤字の状態にあるというような事情のもとに、ベース・アップの要求が高まつて来るはずはありません。少くともベース・アツプを要求いたします裏には、銀行の経営内容というものが相当潤沢な状況に行われておるということと、一つは、またいたずらにはげしい競争に打勝つために、いわゆる従業員をして長時間労働に酷使しておる事実を見のがすわけには参りません。さような競争を無制限に放任しておいて、そうしていたずらに従業員に対して苛酷な超勤を課して、そして依然として銀行が自己だけ非常に有利な条件を獲得して、従業員を不遇に置くという理由は成り立ちません。特にこの際伺いますが、あなたは直接各銀行に対して、ベース・アップを聞き入れることは相ならぬ、さようなことは銀行の経営を不堅実にすることになる、そういう露骨な注意は与えなくても、間接に財務局をしてさような申入れを口頭でもつてさせておるのと違うのですか。さような事実はないのですか。もしさような事実があるならば、あるということを明確にしてもらいたい。 それからその業務内容の問題でございますが、これはかつてこの委員会でもたびたび問題になりましたが、たとえば銀行のいたずらななわ張り競争の結果、至るところに支店、出張所というものが非常な固定資本を投下して拡張されておることは、目に余るものがあることを、われわれはかつて指摘いたしました。しかしその後これは一向改まつておりません。たとえばあなたが一足東京の都内の各ビルディングの新築されたところを歩いてごらんなさい、あとからあとへと新装成つてりつぱに開店いたしましたビルディングの一階は、ことごとく有力銀行によつて占められている。一体かくのごとき状態をそのままあなた方は見のがしておいて、ここへ投下される資本、ここで遊ぶ資本というものはおびただしいものがあるが、これに投下される資本については何ら抑制されておりません。またいわゆる特殊な産業、特に不生産的な方面に流れておる資金というものは相当大きいものがあります。たとえばホテルの建築をやるとか、あるいはまた麻雀、パチンコ屋の建築であるとか、あるいはまた料理屋の建築をやるとかいうような資金は、一体どこから流れておるのです。これはみないわゆる中央銀行、あるいは特殊銀行から流れておることは明らかであります。そういう下必要な面に多額の資金が流れ、そこには当然高利が横たわつていることは明らかであります。それで銀行がそういう特殊な高利を追求するということが従業員によつてわかります以上は、従業員がその高利による利益を一部自分の労働に比例して要求するのは当然であります。そういう経理内容に対して、合理性を何ら指導育成せずして、ただベース・アップをやることは銀行の経営を不堅実にならしめるような印象を世間に与えるという考え方は、もつてのほかであります。そういうような考え方に対して、あなたは一体どうお考えになりますか。一体新店舗及び出張所の設置というものに対して、どういう具体的の抑制の措置をおとりになつておりますか。そういう不要不急の方面に多額な資金が流れておることに対して、一体どういう手を打つてこれをとめておりますか。一方生産的な資金が非常に枯渇をして、中小企業者が資金難にあえいでおるときに、片一方では、遊興方面への資金は潤沢に流れているじやありませんか。一体これをあなたはどう規制しようとなさいますか。そういう方面にもつと力を入れてやりますならば、従業員のわずかな給料値上げくらいは問題になりません。そういう点を少しもあなたは考えずに、単なる給料の値上げだけを責めるというやり方は、はなはだおもしろくない考え方であると私は思うが、一体さような通達といいますか、話合いを地方財務局をして各銀行にしたかしないか。したとするならば、そういうような行き方というものは、はなはだ穏当を欠くのじやないかと私は思いますが、これに対してあなたの御見解を伺いたい。
○河野説明員 地方の財務局に対しては、私どもは、銀行の従業員のべース・アップの要求に対して、銀行行政上の立場からどういう態度で臨むかという心構えについては、常時内部において指導し、あるいは書面なり口頭でもつて連絡いたしておりますことは事実であります。しかしこれは内部の問題でありまして、それを外部に対してどういうふうな態度で臨むかということは、また別問題であります。内部の財務局に対してどういうことを申しておるかということは、先ほど来私が申し上げましたような観点に立つて、財務局に対して申渡しをいたしておる次第であります。銀行の経営の状況あるいは業務の状況が、御指摘のありましたように、現在きわめて多くの改善を要する事項があることは私も認めております。たとえば、今一例としておあげになりました、銀行の営業所が目抜きの通りにきわめてりつぱな建物で建つておるというようなことは、公共機関としての銀行として非常に好ましくないというおしかりは、井上さんからもたびたびいただいておりますし、各委員からも当委員会においてたびたび御指摘をいただいているところであります。私どもも、これらの点につきましては、できるだけ改善を加えて参りたいと考えております。現に私どもはこの問題について、弁解になりますけれども、放置をいたしておりません。第一に、不動産取得につきましては、銀行の自己資本の七〇%を越えてはいけないということで、これは数年前からそういうような指導をいたして参つております。しかもそのわくの中でも、現在のような状況のもとにおいては、各企業における事務所といつたようなものとの権衡等も考えなければなりませんので、一件の金額五百万円以上の不動産を取得いたします場合には、個々にすべて事前の承認を受けるようになつております。従つて私どもは、これらの銀行の営業所がいろいろ建つて参りますことにつきましては、非常に慎重にこれらの問題を検討いたして参つております。これらにつきましては、数年前よりも最近におきましてはさらにそういつた規制を強化いたして参つておるのでありますが、遺憾ながら個々の事例を見ますると、やはりどうしてもやむを得ないといつたようなものが具体的にはあるのであります。そういうものにつきましては、これを全部とめてしまうということまでは、まだ私どもとしても行きかねておる、従つてこれらの問題につきましては程度の問題ではあります。もう少し締めるべしという御意見もあるかと思います。あるかと思いますが、私どもは個々の件数、五百万円以上の不動産取得については一々承認を受けるというふうな処置をとつてやらせております。従つてこれを承認いたしておりますのは私でありますから、現在の状況についてはなはだしく銀行の建物がはで過ぎる、多過ぎるという御意見でありますれば、これは実は私の責任であります。今後ももしそういうことでございますれば——従来とも注意いたして参つたつもりでありますが、一層これらの問題については注意をいたしたいと考えております。 また融資の中にパチンコという例があつたのでありますが、不要不急な方面への融資につきましては、これも極力私どもは抑制の方途をとつて参つております。銀行が特に悪意でもつて問題を処理しようと思うのでありますれば、これは言語道断でありますけれども、何分にも、かりに銀行が善意でありましても、これらの資金というものはどうしてもそういつた方向に間接には出て行く可能性が多い。ことに料理店であるとかパチンコ屋といつたようなものについては、常に日銭が入つて来るといつたようなことから、こういつた方面への資金繰りが相当楽になつて行く、そういうことを受けて間接に——銀行から直接にそういうところへ金が出ておるとは断じて思いませんが、間接にまわりまわつてそういう方へ資金が流れて行くということがあるということは、私は否定できないと考えております。しかし今後の経済の推移、特に金融についてできるだけ質的な配慮を加えて参らなければならぬという観点から、こういつた問題についていかに処置をして行くべきかということにつきまして、現在いろいろ検討いたしております。 少し余談になりますが、さればといつて、戦争中に行われたような、ああいつた資金調整法的な考え方によつてこれらの問題に臨むということが必ずしも適当ではないと考えますが、そういつた金融機関の融資に対する質的な配慮、質的な規制といいますか、そういうものに対してどういうふうに考えて行くかということは、今御指摘のありました点も十分に頭に置いて、これらの問題についていかにして改善すべきかの点について研究を加えておりますし、今後も一層そういつた点についての検討を進めて参りたい。かように考えておる次第であります。
○有田(二)委員 関連……。今井上委員からお話のありました点について、井上委員のおつしやることは、結局ベース・アップを押えていろいろな設備とか、そういつたものに金が使われておる。すなわち銀行は相当もうけておるのではないかという意味合いのお話だと思うのでありますが、ここでひとつ銀行局長にお願いしたいことは、もうぼちぼち銀行を引締めたらどうか。というのは、預金利子の引上げ、貸出し金利の引下げということになると、銀行の利益というものはうんと減つて来るわけであります。預金者も非常に喜んで預金するわけであります。また産業もこういうデフレがだんだんおちつきを示して来たとき——大蔵大臣が言われたように、ぼちぼち銀行のあり方についても、過去の状態から逸脱して考えなければならぬときに来ておるのではないか。こう考えますので、これに対する御所見と、同時に大蔵委員会においても井上委員からもそういつたお話がありましたが、他の委員からもお話があつて、河野銀行局長が相当これらの規制については、かつて過去の銀行局長にないくらいな非常に強硬な処置をおとりになつておられることを私は認めるのであります。これからも全国的に全銀連のストライキも将来起つて来るのではないか。すでに長崎においても長崎信用金庫、あるいは福岡の福岡銀行というような銀行が、過去においてそれぞれストライキをやつておるのでありますが、いわゆる金融面のストライキというものはわれわれ非常におそれておるのであります。従いまして、この点については全銀連の方々とも常によく話合いをして、そういうストライキに至らない間に良識をもつてこれらの処置をなさるべきである。同時に銀行それ自体のあり方——それは何といいましても、河野銀行局長時代には非常に引締めて強硬におやりになりましたが、その前の舟山銀行局長、その以前におきましては、銀座を歩きましても、銀行の支店がどんどんできて来るというようなことは、われわれ身をもつて体験しておるところであります。過去にそういう例があつたのであります。これからは銀行のあり方もひとつ再検討して、具体的な話としては預金金利の引上げ、貸出し金利の引下げ、そうして銀行の利潤を抑えるというようなことも研究しておられるかどうか。また将来それに対しての銀行局長としての御所見を承りたいと思います。
○河野説明員 お話の点はまことにごもつともでありまして、今後一層そういつた方面に私の微力を尽したいと思います。それに関連いたしまして金利の問題のお話がありましたが、金利の問題につきましては、やや数字にわたる事務的な話になつて恐縮でありますが、一言申し上げておきたいと思います。現在の日本の状況から見ますると、金利につきましては一応二つにわけて考えられます。あるいは三つにわけた方がいいかと思いますが、一つは中央銀行たる日本銀行の金利であり、一つは市中の金融機関の金利であり、もう一つは政府機関と申しますか、あるいは開発銀行なり輸出入銀行といつたような政府機関の金利、この三つに大別できると思うのであります。政府機関の金利は、この際特に問題でありませんから一応除外して考えますと、私どもは現在こういう考え方に立つております。日本の金利の国際舎利水準に対する開きが非常に大きい現在におきましては、市中の貸出し金利はできるだけ下げる方向に努力する、私はこう考えております。しかし現在の経済を引締めて行くという建前から言いますならば、中央銀行の金利はゆるめてはいけない。むしろどちらかといえば強めて行かなければならぬものだろうと考えております。これは経済理論の普通のオーソドックスな考え方からいえば、中央銀行の金利と市中銀行の金利というものは、時期のずれはあれ、方向は同じような方向をたどるのが普通でありますが、日本の場合におきましては、市中金利はできるだけ下げて行く、しかし中央銀行の金利はあるいは高率適用の制度を通じ、あるいは公定歩合の制度を通じてむしろ現在以上に強化することはあれ、これをゆるめるということは、少くとも日本の現在の情勢においてはあるべきことでない。そういう観点に立ちますと、市中金利の問題に関します限りは、現在かりに銀行に余裕がありといたしますれば、預金金利の引上げに充てるべきではなしに、むしろ貸出し金利の引下げにこの余裕を使うべしというのが私の考え方であります。もちろん預金金利を引上げ、さらに貸出し金利を引下げることができれば一番いいのでありますが、現在でも日本の市中金利が国際金利に対して非常にコスト高になつておるということの一つの大きな原因は、有田さんよくおわかりのように、預金金利が高いということであります。定期預金を外国の例に比較いたしますれば、アメリカにおきましてもイギリスにおきましても、大体年にいたしまして一分五厘から二分という金利である。これが日本におきましては六分という金利を出しておる、あるいは半年もので五分という金利を出しておる、こういう状態におきますれば、その上に他の経費という面におけるコストがまた加わつて参りますが、これだけでも非常に金利の水準というものは違つて来ておる。こういう際にさらに預金金利を上げることは、かえつて貸出し金利を下げるというような努力に対してマイナスになると考えておる。できるだけ預金金利はすえ置いても——しかしさればといつて、現在預金金利を下げることは、ただちに資本の蓄積を進めなければならぬ時期においては必ずしも適当でないと考えますが、さればといつて預金金利を上げるということはもちろんやるべきでなし、貸出し金利の引下げは、余裕があれば行わなければならぬと思います。それから預金コストが上つて参りました。定期性預金、貯蓄性預金のウエートがふえて参りまして、これが預金のコストに相当響いて参つております。もう一点、これは非常に顕著に響いて参つておるのでありますが、日銀からの貸出し金利の高率適用レートというものを先般逆ざやにいたしまして、金融引締めの一環といたしまして、高率適用は逆ざやは二厘ということにいたしております。日銀から借りてこれを市中銀行が貸せば三厘の損になる。コストと、その上にさらにかかるわけでありますが、コスト・ゼロと見ても、二厘の逆ざやということに現在いたしておるのであります。これはどうしてこうしたかということは皆様よくおわかりいただけるように、先ほど来申し上げた日本の金融引締め政策の一環として、そういう方法をとらざるを得なかつたのであります。しかるに日本銀行から、このよしあしは別として、相当多額の融資を受けておる市中銀行におきましては、これがその銀行の資金コストに与える影響というものは相当高くなつて来ておる。これはよしあしは別として、事実として実は現われて来ております。しかもそれが今期において特にはつきり現われて参つておるのであります。 なおそのほかに、先ほど来お話も出ておりましたようなその他の経費、あるいは物件費にいたしましても、人件費にいたしましても、やはり業務分量の増加に割合いしてどうしても下らない。これらの点につきましても、いろいろ検討を要する点があると思いますが、こういつた点を一々分析をいたして参りまして、できるだけ御指摘のありましたような貸出し金利の引下げということには、ぜひとも今後とも努力いたしたい。そのためには合理化し、経費の節減をはかつて参りたい。それがただ従業員諸氏への犠牲だけをしいるということであつてはもちろんいけないのでありまして、全体の経費をできるだけ節約して行く、こういうことによつて金利引下げのできるような措置をできるだけ早くつくりたい、こういうふうに考えておるのであります。
○井上委員 率直に伺いますが、政府としては個々の銀行従業員のベース・アップに対して直接干渉する意思はないということを言明できますか。
○河野説明員 個々の従業員の給与については、私は干渉するつもりはございません。しかし金融機関の経費の中で占める人件費全体が、金融機関の経理について非常に大きなウエートを持つておるという観点から、私どもは人件費の支出がどのくらいになるかということは、銀行の経理の上に非常に大きなウエートを持つておるという点から強い関心を持つております。
○井上委員 銀行の人件費のウエートが非常に高いということは、銀行経営の合理化をもう少し検討すれば解決されることでありまして、問題は従業員みずからも、今あなたがおつしやいますように、日本の経済の再建、国民生活の安定という線から、この際政府が銀行経理を堅実化するため、またすみやかに金利を引下げるということのために、政府が各銀行に対してその腹を持つておやりになるならば、おそらくそういうおれだけが特別な待遇を受け、特別ないい地位におろうという考え方はないと私どもは見ております。問題は、経理内容について従業員をして不当にこの銀行はもうけておる、不当に重役だけがうまいことをしておる、こういう印象が相当強いのです。それに対してあなた方は何ら干渉も指導もしていないのです。いわゆる地方においてそれぞれ相互間におけるべース・アップの問題があつたときに、常に銀行のいわゆる重役連中は、自分の不当な貸付による利益といいますか、正常な利益じやなしに、不当な利益を追求されることをこわがつて不当な賃上げ要求も聞くという事態をあなたは見のがしておりませんか。そういういわゆる重役連中の不当な、特権的地位を利用して利益を壟断しておるということを追究されておるのに対して、何らこれが改正を加えられておりません。特に昨年末来とられております政府の金融引締めは、銀行をして特権的な地位に立たしておる。その特権的な金融界における支配的地位というものが、経済界における支配的地位というものが、非常に銀行の重役をしてのさばり返らしておる。銀行の経理内容があなたは悪いような感じを抱いておるかもしれぬけれども、従業員みずから見れば、最近は非常にもうかつておるということを見抜いたがゆえに、それに対する報酬を要求することは当然であります。あなたみずからがさように堅実な運営を要求され、その方に全力をあげたいというならば、いま少し内容にタッチして、もつとはつきりして監督をしませんと、そんな問題はあとからあとへと起つて来ると思う。だから少くとも地方財務局の各銀行の調査の内容を聞いておりましても、ほとんど問題にならぬ調査の実情です。ああいう調査の実情でもつて完全に銀行の経理が把握されるとわれわれは考えていない。いま少しほんとうにあなたが金利を引下げることについて、各銀行業者に協力を求める考えならば、もう少しその点について具体的に政府が銀行の実態などを握ることじやなかつたらやり得ないんじやないですか。そういう点について、あなたは積極的に今後どうやつて一体この銀行の不当な業務運営について制裁を加えて行こうとするか、また今の銀行の検査において満足しているか、これでいいとお考えになつておりますか、その点を明らかにしていただきたい。
○河野説明員 私どもは今御指摘のような点につきましては、銀行の実情については私は十分認識しておるつもりであります。もちろんそれじや百パーセント完全に知つておるかといわれますと、それは必ずしもそうは申しませんけれども、おしかりの点もありますが、銀行検査その他を通じて、銀行の実情の把握についてはさらに一層今後は努力をいたしたいと考えます。それによつて必要なる措置もとりたいと考えております。しかしながら一言だけ申し上げておきたいと思うのでありますが、私どもは重役が個々にあるいは背任的な行為、あるいは横領的な行為をいたしておるかどうか、私は銀行局長としての立場から、そういうことまで一々調べることはできません。しかし私は、知り得る範囲のことについてはもちろん十分に努力をいたしております。銀行の役員の給与等につきましては、私どもは一々承認を受けさせております。従つて正規の形における給与というものは、そんなに役員が銀行の利益を壟断するようなことにはならないように、私どもは基準は全部事前に承認を受けさせてやつておる次第であります。また株式の配当等につきましては、御承知のように、他の企業に比べてきわめて低い配当に押えております。もちろん株式会社でありますから、ある程度配当をしなければ、増資その他の関係にさしつかえる点もありまして、ある程度いたしておりますが、ごく低く、現在地方銀行で一割二分という配当に押えておるわけであります。こういつたことで、社外流出に対しては極力私どもは今後といえどもその節減をはかつて参りたい。そうして内部の充実ということにできるだけ手を尽して行く、こういう努力が金融機関においてさらになされなければならぬと思うのであります。これは戦前の例を引くこともどうかと思いますが、戦前の状況に比べて、現在の各銀行の自己資本の充実の状況というものは、決して厚くありません。むしろきわめて薄いのでありまして、私どもはさらに一層自己資本の充実ということに対して努力をしなければならぬと考えておるのであります。社外流出もそういつた意味において今後押えて行きたい、こういうように考えておる次第でございます。
○井上委員 もう一点だけで私は終りますが、いろいろ政府もその監督的な立場を最高度に活用して、銀行の経理状況の堅実化に努力されることについては、負わされた任務がそうでありますから、これは当然のことであります。が、問題は単に配当をある程度押えておるとかいうようなことで世間はごまかされません。御存じの通り金融のわくが非常に狭まつて参りまして、それに対する需要は非常に大きくなつて来ておるのです。そういう関係から、銀行の立つております地位というものは一体どういう地位に置かれておるかということは、およそ想像がつきます。早いところ東京でも大阪でも名古屋でもそうですが、一流の料亭のお客さんはたいがい銀行を招待したお客さんです。一体これは何を意味しておるのか、そうしてそこではどういう取引が行われておるか、銀行の窓口で正式な取引が行われずに料亭で取引をしなければならぬということは、一体どういうことです。さような事態を放任しておいて、そうして他の産業に比べれは非常に至れり尽せりの店舗を持つて、それで利潤が上らぬの、あるいは自己資本が蓄積できぬの、そういう状態でやらしておいてそれであたりまえだと思つておられるが、そういうべらぼうなことが天下で通りますか、だからその点は、他の産業と同じ水準においての業務運営をやらしたらいい。一流の大きなビルの一階を借り切つて各支店にしておりますが、一体それを借りるのにどれくらい金がかかります。あれで採算が合い、預金の利子がかせげますか。そういうことをさせておい、金利を下げるの、預金の金利を引上げるの言うてみても、事実上話になりませんぞ。まつたくこれは彼らの思うつぼに動かされている。あなたが動かさなければならぬのに、逆に向うから動かされた結果になつている。そういうことをしておいて、それで従業員がそのしわを寄せられて、そして俸給でも合理的な線にこれを持つて行こうとすれば、俸給の占める部分が非常に多い、金利を引下げなければならぬときに、さように給料を上げるということは時代逆行だというような宣伝を国民に植えつけて、ここにいる約七万から八万の全国の従業員に対してそのしわを寄せている。そういうことは一切改めてもらわなければいかぬ。これらの人々がおらなければ、なんぼ重役がいばつてみても、銀行の業務はうまく行さません。これらの人々が銀行の負さこれた公共性を十分認識して、ほんとうに適正な銀行業務を遂行しなかつたはらば、あなたがしやちほこ立つても、日本の金融状態というものは円滑上行くものじやありません。かような意味から、この方だけに目をつけずに、もつと重役の私行なりあるいは銀行の、かつてにいろいろな方面に投資をし、あるいはそこにいたずらな資金を流していることに目をつけて、その方面を縛つてみなさい。そうすればもつと金利の引下げの方向も早くつかみ出されると思う。私は特にあなたの御健闘を祈つて、質問を終ります。
○春日委員 その問題について関連質問を継続いたしたい予定でおりますが、伺うところによりますと、山本博士が吉田内閣打倒のための緊急戦術会議に御出席のようでありますから、継続質問を御留保願つて、山本博士に譲ります。
○山本(勝)委員 私がお伺い申し上げたいのは、先般国会で成立いたしました出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律の適用の問題であります。新聞その他で伝えられるところによりますと、この法律が公布されまして間もなく、この適用の問題で法務省でいろいろ問題になつている。さらに大蔵省の解釈とも若干の食い違いがあるということが、しばしば報ぜられているのであります。この点を明らかにいたしたいと思いますが、まず法務省の津田課長にお伺いいたします。百貨店が会員をつくつて、会費をとつて、そして最後に品物を渡すという、いわゆる友の会というものが貸金業法に違反するということでありますが、法務省が遜反するというのは、どういう点を違反するというふうに考えられるのか、違反するとすれば、どういう点をさしておられるのか、これを伺いたい。
○津田説明員 この百貨店等の友の会と申すものにつきましては、その内容を検討いたしますと、いろいろのやり方があるようでございますが、一応いわゆる多くの友の会としてやつているものについて申し上げたいと思います。友の会と申しますものは、一定の期間に一定の会費を納付いたしますと、おおむねそれと同額の買物票と申しますか、あるいは会費払込み領収書を添付した会員証、こういうようなものを渡します。その会費を納付せしめる間におきましていろいろのサービス、たとえば観劇であるとか旅行であるとかいうようなものを催しまして、そして一応のサービスをやる。そして会費総額に当るものを完納いたしました際、買物票というようなものを渡す。それによつて当該百貨店等におきまして同額までの買物ができる、こういう組織であります。これが百貨店自体が営んでおりますものと、百貨店の別組織であると称して、百貨店の経営幹部が世話役になつて別の会を設けておる、かような組織もございます。これが先般新聞に出ましたように、先ほど御指摘の出資の受入等に関する法律第二条に違反するというふうな見解を法務省において発表したわけでございますが、その発表した法律論と申しますものは、かような友の会が受入れますところの金銭は、品質とか規格とか販売価格等が特定された商品の購入代金の分割払い、いわゆる俗に申します月賦販売等の代金ではなくして、百貨店等の有しますところの不特定の商品に対する購買力としての金銭の積立て、その金銭の価値あるいは価格を一定の期間保管するということをその目的といたしておるわけであります。むろんその動機は、百貨店の顧客層の固定と申しますか、顧客層の吸収と申しますか、顧客層の安定化というようなものが動機であろうと思われるのでありますが、要しますに当該百貨店で使われるべき購買力としての金額を一定の期間積み立てしめる、こういう効果を持つておる。この出資の受入等の法律の第二条の預かり金と申しますのは、預金、貯金等と経済的性質を同じくするもの、かように定義されていますが、この預かり金と称しますものは、名儀が預金であり貯金であり、あるいは積立金である、あるいは借入金ということになつておりましても、要しまするに、当該金銭の価格を保管しておくということを本質といたすものであります。その点におきまして、今申しましたいわゆる百貨店友の会の行為と申しますものは、金銭の価格を保管しておるということに該当します。従いまして預かり金とその経済的性質を同じくするもの、かように解釈いたしますがゆえに、この友の会をもつて金銭を受入れることはこの法律の第二条に違反する、かような見解を示したわけでございます。
○山本(勝)委員 第一条と第二条に違反するという説明でありますが、不特定の品物を買うのだから購買力を積み立てるのだ、こういうことなんですね。ところがちよつと疑問になりますのは、そうしますと、品物が特定しておりましても、たとえばある一つの品物を買うために月賦なら月賦で金を積み立てて行くという場合でも、購買力に違いはございません。そういう場合もやはりいけないということになるのですか。特定の品物に対する購買力、その点をまずお伺いしたい。
○津田説明員 先ほども申し上げましたように、特定の商品の購買代金を分割して支払うということは、売買代金の分割払いに該当して、この売買代金が個々に分割されるときにおいて、すでに売買代金の姿をもつて受入者に入るわけであります。従いましてこれを受入者側において預かり金というふうな観念はあり得ないというふうに解釈いたすのであります。従いまして初めにも申しましたように、純粋の意味の特定商品の月賦販売というものは——あと渡しの月賦販売はなるほどその間に金銭が積み立てられて行くという事実上の外形的形態はありますか、その品物を渡す時期ということについては、法律上何らの制限がない。まつたく契約の自由にまかしておるのであります。従いまして、かような点については何ら預かり金的性質を持つていない、かように解釈いたしております。
○山本(勝)委員 先ほどの説明では購買力を積み立てるのだと言われるから、購買力を積み立てるのなら不特定の品物に対する購買力であろうと、特定の品物に対する購買力であろうと購買力には相違ない。ですから私はただいま申したように質問いたしたのであります。もし津田さんの答弁が一般的購買力を積み立てるということでありましたら、私は今のような質問をしないのであります。ただ賦買力というなら特定の品物に対しても購買力は購買力であります。その点一般的購買力ということをただ購買力と言われたのか、あるいはそうではなくて購買力というのか、そこをもう一度承りたい。
○津田説明員 御指摘の通り、経済的な学問上での一般的購買力と申すものについては、私どもは必ずしも定見を申し上げるわけには行かないわけでございますが、ただいま私が申し上げましたことが一般的購買力にあたるという解釈をいただくことは、むろんそれが真実であれば、私としては何ら異論はないわけでございます。要しまするに、今の特定の商品の月賦販売代金という言葉は、もはや他に移る力を持つていませんので、そのもの自体に固定した売買代金として、私法上はもう受理される段階になつておる。ところが友の会に積み立てられます金というものは、商品は何ら特定していない、あるいは商品の場合もありましようし、役務になる——あるいは具体的に申しますれば、食堂で飲食をする代金になるかもしれない。あるいはその一定の、たとえば六千円なら六千円という額に対して差額の金をつぎ足して一万円の品物を買う場合もある、あるいは数百円の商品を数十個買う場合もあるかもしれない。そういうことになつて参ります。そういうふうに、つまり売買代金として特定いたしていない金で、将来は一百貨店内の品物にかわる可能性はむろんあり得るわけであります。そういう意味の金額の保管ということを申しておるわけであります。
○山本(勝)委員 特定であろうと不特定であろうと、もし購買力を預かるのがいかんというなら、特定、不特定は問題にならない。しかしその点はもう一ペんほかの点から質問してみますが、五月の十四日の日に銀行局長が、ここでこの法案の質問に答えておられるのであります。その場合にわれわれが了解したところでは、こういう金を月賦で出して、そしてあとで品物を渡すということをやつたり、あるいは旅行会をやつたというふうな場合に、必ずしもそれは一定のものに特定していなくても、そういうものを取締る趣意ではないというふうな答弁にわれわれは理解しておるのです。金銭を預かつて、そしてその金銭の元本あるいは元本以上のものを返すということはいけないけれども、品物を買うとか、あるいは役務を買う、それをただ代金をわけて積んで行くということはさしつかえないというふうに答弁しておられると思う。この点銀行局長はいかがですか、そういうふうにわれわれは理解しておるのですか。
○河野説明員 前国会の、今御指摘の法案の御審議の際に私から御答弁申し上げました大要は、今御指摘の通りであります。そのときに申し上げましたのは、あの法律の第二条にいつておる預かり金というものは、金銭で受入れて金銭で返すものであります。金銭で返すということは、裏からいいますと元本の返還である、こういうことをその節申し上げました。どなたかの委員の方から、しからば旅行会はいかん、あるいは商品の割賦販売事業はどうだといつたような御質問がたしかあつたと思います。私はそのとき、旅行会自体としては、それは金銭で受入れて金銭で返すごとにはならないのだから、一つのサービスを提供することになるのだから、普通の場合は預かり金にはなりますまい、しかしこれは脱法とかいろんなことがあるし、そういうことを旅行会の名前によつてやつたり、あるいは割賦販売という名前によつてやつておりながら、実は金を預かつて金で返すということはたくさんある。これは現に司法当局によつて起訴されておるものもあるのであります。そういうふうなことがあるから、個々に判断しなければいけないけれども、脱法とか、そういうことがない限りは、預かり金には該当しない、こういう御答弁を申し上げました。
○山本(勝)委員 私がその当時理解した通りに今日も銀行局長は言つておられますが、その席に津田課長も同席しておられて、その答弁を聞いておられた。そのときの解釈と津田課長の今日の解釈との間には、別に食い違いはないのでしようか。
○津田説明員 ただいま銀行局長が申しましたように、銀行局長が答弁いたしたことは、私も聞いております。しかしながらその趣旨と申しますのは、金銭で返すということが現実に現金で返らなければならぬかどうかという点は、必ずしも論議の対象にはなつておりません。旅行会の場合はサービスで返るのだからというふうに答弁されたようにも記憶いたしますが、旅行会の現在の実態と申しますのは、特定の日に大体きまつている方向に旅行する。それでその規模が何泊であるかというようなことをきめて旅行会の募集をしておるのが実情でございまして、いつかわからない、行く先もわからないが積み立てさせるというような旅行会は、これは何と申しますか、言葉は非常に悪いのですが、インチキな業者ではやつておるかもしれませんが、少くとも運輸省が認めている旅行あつせん業者がやつているのには、そういうものはないのであります。そういうふうにいたしますと、特定の日時、特定の方面というふうに旅行の規模が大体きまつておるものにつきましては、現実にどこの宿屋にとまるかなんということは、特定しないのが当然であります。そういう場合は、むろん旅行会としてさしつかえない、かような考え方をとつております。 しかしながら、この百貨店友の会の場合は、金を受入れて積み立てておく、これは俗語でございますが、そういうことを主眼にいたしておる。その金は当該百貨店のいかなる品物でも、不特定のものにかえ得る、こういう立場をとつておる。問題は金銭によつて払い込んで、金銭にかえるということの解釈論がやはり問題になる。現実に現金で返さなければならぬ、それでは小切手で返せば入らないか、あるいはすぐに金銭にかわり得るような手続で物にかえるのだつたら入るか入らないか、これはまさに銀行局長の申しました金銭でかえるということの解釈論いかんになると思うのです。でありまするから、その辺については、当委員会におきましては詳しい究明はなされていないと思つておるのであります。
○山本(勝)委員 簡単に要点だけ御答弁願いたいと思うのですが、その法律の条文には金銭と書いてある。私は法務省の方は、この店で何でも買えるということであるから、それは金銭と同じに見たのじやないかと思います。購買力々々々ということを言われるから、私は変なことを申しました。最初に、特定しておるのなら、購買力には違いないと申し上げたのですが、そうではなくて、特定しておるのならさしつかえない、こういうことをおつしやるところを見ると、特定していない品物を買えるということであると、金銭と同じだと見られたのではないか、それはどうですか。
○津田説明員 第二条には金銭の受入れであるとは書いてございますが、金銭を返すということは規定してございません。それから金によつて物を買うからそう思つた、こういう御指摘でございますが、さように単純に考えるだけではないというふうに申し上げるよりいたし方ないと思います。実質的に金銭で返還されたと同じような経済効果を生んでおる、かように解釈しておるのでございます。
○山本(勝)委員 金銭とこの場合と違うのは、これは申し上げるまでもない。いわゆる金銭貨幣とか購買力というのは、いつどこで何とでも交換できる。少くともその法律の適用される国内においてならば、どこで何人に対しても受取ることを要求できる、品物とかえられる、これが貨幣の性質でありますが、それが百貨店なら百貨店というところでこういう制度をやることがいいか悪いかということは問題じやない。法律の解釈問題でありますが、大体ある店で品物を買う、そのために、金は一度に払えぬから、月々払つて行つて品物を受取るという場合に、それがよその店では通用しないのでしよう。その店で買う。それが百貨店であるために品物の種類は多い、多いけれどもその店で買うということには限定されておる。その点では性質ははつきりと貨幣とは違うのです。そこで特定々々ということをおつしやるが、ほんとうに特定という意味ならば——たとえば私が洋服を買うというときに、月賦で払つて行く、そういうときならさしつかえないというかもしれないが、しかしそのときは生地はちやんと見ておる、この生地でこの裏地でつくるのだということをはつきりきめないと、あなたのおつしやる特定にはならない。どこへ、何泊で、いつ旅行するということがきまつていなければならぬ。ただ年に一回旅行する、神社の参拝をするといつたつて、どこの神社へ参拝するということをきめないで神社参拝をする、あるいは温泉めぐりをするというようなときでも、特定でないということになつてしまう。一体特定という、そういうふうなことは実際問題としてまるで非常識ということになるのじやないかと思うのですが、その特定という意味はどういう意味なんです。
○津田説明員 先ほど申し上げましたように、その品質、規格、購買代金等において特定しておると、こういうことを申した。たとえば何某電機会社の第何号ラジオ受信機、こういうようなことがありますれば、その受信機は毎日日産何百台あるいは何千台とつくられるかもしれません。しかしながらその受信機の中の何日につくつた何号品、つまり何号品といいますか、何千何百何番の品、そういうふうに特定する必要はないと申し上げたのであります。ただ何某会社の一号受信機なら一号受信機ということであれば、日に何百台つくられましても、そのうちの一つを渡すという前提であればこれは当然月賦販売の内容になる、こういう意味で申し上げたのであります。ところがおよそ当百貨店の品物は何でも、こういうことは金銭で買えるのと経済的性質を同じくする、かように解釈した、こういうわけであります。
○山本(勝)委員 どうもはつきりしないのですが、実際法律の適用で罰則がついておるのですが、これは非常に重大な問題です。たとえば家具屋で家具というのは、たんすもあればいろいろな机もある。そうすると、家具というふうなことで、その店で売つているいろいろな家具があるが、家具を買うということでやる場合はいかぬということになるんですね。
○津田説明員 単に家具、単に洋家具、こういうことではこれに該当する場合が出て来る、かように申し上げます。
○山本(勝)委員 そうすると、旅行の場合もおそらく同様だろうと思うのですが、先ほど申した通り、品物は一定の型で、第何号、こういうことだとすると、洋服屋の月賦の場合には、その洋服の生地をちやんと指定して、その生地は同じ生地がたくさんあるでしよう。その生地でなければ成り立たぬのですか、違反なのですか、それをはつきりひとつお答えしておいてください。
○津田説明員 その点でございますが、洋服と申しますと非常に個性があります。子供の洋服というような場合は何歳用ということで、大体どういう生地ということであれば問題はありませんが、少くともおとなの洋服であればいろいろ個性があるわけであります。従いまして、単に洋服一万円といいましても、それは品物としては何らの特定性がないのでありまして、先ほど申しました規格、品質、購買代金において特定しておると申し上げられないと言わざるを得ないのであります。
○山本(勝)委員 そういうことで、おそらく大蔵省と解釈が違つておるということがわかるのだと思いますが、実際問題として検事の奥さんが何人かこの友の会に入つておる。それで、こんな便利なものをなぜ取締るのだろうということを言つているという、現実の話を聞いた。何か初めの行きがかりで最初の特定とか不特定というよりも、百貨店には品物がたくさんある、何でも買える、どうも貨幣と同じじやないかと簡単に考えたのが事の起りで、そうしてやり出したところが、しまいにどうもひつ込みのつかぬようになつたのじやないか。今言つた洋服屋で月賦販売をするときに、一々生地を見せて、その生地でなければいかぬ、かりにその生地がなかつたらどうしますか。そんなことは常識上考えてもあり得ない。どこへ行つても、いつでもその法律の適用範囲では受取れるというのが貨幣なんです。その貨幣とちよつと同視したところに、私は間違いの根本があるのじやないかと思う。今聞いてみると、その特定というのは、おとなの洋服なら生地まできまつていなければいけない、旅行なうば何月何日、何泊でどこへ行くということがきまつていなければいかぬというふうに考えておられるようです。あるいは今ではひつ込みがつかぬから、それほどは考えていないのだ、実際の運用上適当にやるのだから、聞かれればどうもそう言わざるを得ないというようなことに陥つていることのようにも私は思うのであります。しかしここまでわかつた以上は、これ以上津田さんに聞いてみてもしかたがないのですが、銀行局長として、一応責任者としてここで何かしら答弁をされて、そうしてこのままおいたら——実際の法律適用の上から、われわれとしてもこの法律をつくるときはそんなつもりでなかつた。だからそんな適用をされるということではほんとうは黙つておれないのですが、春日君もいろいろ質問があるようだし、私はくどいことは言いませんけれども、これはどうしようというのか。これをこのままほうつておいたら、立法の精神というか、趣旨と全然違つたことが法務省で行われる。大体この法律をつくるときには、こんな複雑な法律はないということでやかましくわれわれは言つた。ところが税務署がいろいろやかましく言うというので、案のごとく法律かできて、一月もたたぬうちにそういう問題を起している。私の調べたところでは、友の会の問題も、銀行局としては、ここで銀行局長が答弁される前に、すでに当事者を呼んで調べておられる。ですからここで答弁されるときには、友の会のことも含めて、念頭に置いて答弁されておることは、日付の上からはつきりしておる。これを争つた結果が、すでに法律ができた以上は、何も大蔵省の言うことを聞くことはいらぬ、あるいは国会がどう言おうとも、それは参考にするだけのことであつて、実際これからは最高裁判所が解釈をするといつたようなことでがんはつておられるようでありますけれども、このまま置いたらばたいへんなことになるが、銀行局長はどうこれを扱つて行こうとしておられるか。
○河野説明員 私はまずこの問題は、冷たいと申しますか、冷たい法律の解釈の問題と、それから行政上いかにして行くかという問題と二つにわけて考えて行きたいと思います。第一点の出資等の取締りに関する法律第二条によつている預かり金の解釈として、今問題になつておりますような友の会というものは一体該当するかしないかという問題につきましては、私は特殊の場合は別として、典型的な場合においては、預かり金禁止のあの規定には該当しないと考えております。その意味はいろいろありますが、やはり先ほど申し上げましたように、預かり金というものの法律上の性質の中には幾つか問題がありますが、今この際に一番問題になりますのは、やはり金銭で預かつて金銭で返す、私はこう預かり金の性質を考えておりますが、その点につまり問題がある。預かり金にはそのほか不特定多数とかいろいろの要素がありますけれども、そういう問題は今の法律上の問題ではございません。ここで問題になりますのは、金銭で預かつて金銭で返すという預かり金の持つておる幾つかの要件のうちの一つ、この要件に当るか当らぬかというのでありますが、百貨店等において品物が数百極あるいは数千種かりにあろうとも、その品物で渡すということは金銭で返すことと違う、法律的に私はさように考えます。しかしこれがさらに、もぐりとか、いろいろなことで税法的な好意あるとすれば、これは別であります。が、これは旅行会等についても同じことが言える。これが第一の私の法律上の解釈としての考えであります。ただこれは、先ほど総務課長からもお話がありましたように、いろいろ法務省と私どもは今まで議論をいたしております。従つてまだ両者の間に実は見解の統一を見ておらない。調整ができておらない。で、私どもはありのままに申し上げますが、公文でもつて現在法制局長官あてに、この問題の法律解釈、あと行政上の政策とかいろいろな問題は別として、法律解釈としてどうなるかということを照会いたしております。その結果をまつた上で、その結論次第によつてはまた法務省とも御相談したいと思つておりますが、法律の解釈としてはそういうことであります。 しからばこういうふうなものは一体弊害があるかないか、つまりほつといていいかどうか、これは立法上の問題が別に私はあると思う。率直に申し上げますならば、こういつた制度があまり広く行われるということになりますと、これは私は金融行為ではないとは思いますけれども、とにかくある受信行為がある。つまり金を前渡しするような行為があるわけです。従つてその授信行為ということが、広い意味の授信行為がある以上はこれが非常にあぶない、基礎の弱いところまで広がつて行く。そういうことになりますならば、これは弊害を起すおそれがあると私は考えております。従いまして、そういう観点から政策的に何らかこういうものを取締る必要がある、そういう観点に立ちますならば、これは私は立法論の問題として考えて参らなければならぬと考えております。現に若干事情は違いますが、商品券等につきましては、実は二つの点から取締りの法律ができております。一点は中小企業者に対して百貨店というものが伸び過ぎてはいかぬというので、税という観点からこの問題に対する一つの調整を加えたのであります。もう一点は、商品券という形において、やはり一般の公衆に迷惑を及ぼすおそれがあつてはいけないという点から、担保を積ませるという制度ができております。こういつたことと同じように考えられると思いますけれども、たとえばそれが一番いい例でありまして、そういつた立法的な取締りは必要ではないかと考えております。ただその際におきましては、かりに取締りをいたします場合におきましても、その取締り目的は、一つの受信行為というものがある。つまり金を前受けするという行為があつて、それが弊害を起すおそれがあるから、その限りにおいては、その対価が具体的な特定したものであろうとあるいは不特定なものであろうと、その点は関係ないと私は考えております。従つて金を前に受ける受信行為が弊害を伴うおそれがあるから、その点において、それを全部カバーできる立法措置が必要になつて来るのではないかと思います。そういたしますと、世の中には金を前受けするという例がたくさんあるのであります。たとえば土建業者がいろいろの工事をやる場合には、前受けをしてやるでありましよう。それから物品割賦販売業におきましても前受けをする、こういつた場合に、どこまで立法上の取締りの対象に入れるかということになりますと、むずかしい問題になつて来ると思います。今後そういう問題はさらに法務省とも虚心坦懐に研究して参りたい。もつともそこの法律解釈も解釈でありますが、行政上の措置あるいは立法上の措置として遺憾のない方法によつて、できるだけみんなに不当に迷惑をかけないで、しかも法律の目的とするところの秩序を維持するという目的を達成する方法はどこにあるかということを探つて参りたいと考えております。
○山本(勝)委員 大体わかつて来ましたが、立法措置が必要だと私も思います。法務省がすでにそういうことを言つておられる以上は、これはあらためてそういう実情に沿うた立法措置が必要だと思いますが、問題はそれまでの過渡的な問題として、すでにそういう会が存在し、契約しておる、こういうものの取扱い方であります。私が一応開いたところでは、これは検察庁に行つて、実はいろいろな指令も出したというから聞いてみたのでありますけれども、預かつたものを個人の名前で全部貯金をさせる、あるいは貯蓄組合をつくつて貯金をさせておけばさしつかえないというような一応の解釈もあつたようであります。これは検察庁の方面でそう言つておられる。しかし法務省に申し上げたいのですが、一体その貯蓄をする場合、私も詳しく調べたわけではないが、貯蓄組合というものは、今の法律では一つ入つたら二つ入れないのだ。そうするとわざわざその連中に貯蓄組合をつくつて貯蓄さすとうわいけには行かない。ところが一人一人やるとなると、ある会などは何万という会員がある。その中には検事の奥さんもいるわけであります。その何万をこれから銀行に持つて行つて一々通帳をつくるなどということは、実際たいへんなことです。そうではなく、今預かつているものを他に流用しないようにはつきり貯蓄させる、それは貯蓄さえすれば、何も個人々々の名義でなくともよい。弊害さえ起らなければ、そういう行政的措置を講ずることが必要じやないかと思う。その点は、かりに法務省で解釈がきまれば、検察庁はその法務省の解釈に従いますか、いかがですか。
○津田説明員 現在全国にある、八月一日以前までに行つていた友の会について、大体どういう状況にあるかということであります。これは八月一日までは何ら違法行為ではなかつた、それまでにした行為の跡始末、つまりそれまでに集めた金を返す、商品で返す、そういうことについては何ら制限はないと解釈をいたしておりますし、検察庁の方も十分それは承知しております。しかしながら将来八月一日以後において積立ての受入れを継続して行くということは、先ほど来申し上げました解釈には反するわけであります。従いましてその場合には、貯蓄組合式のものにかえて行くか、あるいは特定商品についての月賦販売の代金の前渡し、そういう形式にするか、その他違法でない方式にすればさしつかえない。かような指導を検察庁においてはいたしておるはずであります。もとより本件のような解釈をいたすにつきましては、従来は違法でないという関係が、この法律ができて初めて違法になるというわけでありますから、いきなり検挙するとかいうようなことはむろん差控えて行きたいと思います。各地におきまして、防犯的見地から法律的解釈を行つて、十分説明をするという方針で、全国で大体やつております。従いまして今のところ全国の状況を見ますと、大体その方針に従つて改組するといいますか、そういう方向に向つております。ただつけ加えて申し上げますが、この友の会の弊害につきましては、すでに熊本、それから宮崎県下において起ろうとしておる事態がありますが、かろうじて大きな弊害はなくて済みつつあるように報告されております。そういうようなわけで、これを放置いたしますと、少くとも現在われわれの方でわかつております契約高で十一億以上に達しておりますので、一朝このデパート等が営業不振に陥る場合にどういうことになるかということは、当然考えておかなければならぬ。その意味におきまして、八月一日のこの法律の施行期日を前にいたしまして、法務省といたしましては法律的解釈を急いでおつたわけでありますが、今銀行局で申し上げましたように、大蔵省と意見の一致しないままに八月一日に至らんとしたわけであります。そこで取締りの責任を負つております法務省並びに検察庁といたしましては、法律解釈上違反するという解釈に立ちながら、何ら手を打たないということは職務懈怠の行為でありますので、前申し上げたような措置をとつておるわけであります。
○山本(勝)委員 最後に一言だけ申しますが、これは先ほど申した通り、あなたがおつて黙つておられるけれども、聞いておつてわかるように、ここでわれわれがつくつたときと解釈が違つて来ておる。その点にもうすでに問題があるのです。だからせめて実際これまで契約してしまつておつたというものの取扱いだけぐらいは、弊害を起さぬ限り、あまりめんどうなことがなくて弊害が起らないような方法を講じてやるという親切がなければいかぬ。根本的に違反か、違反でないかということにすでに問題があつて、われわれは違反でないというふうに解釈しておるものを違反だと解釈して、そうしてすでにその前に契約した分についても実際貯蓄組合をつくれと言つたつて、つくることはできないのです。先ほど言つたほかの貯蓄組合の規則でできないのです。そういうような点もよく考えられて、これはもう課長にそういうことを申し上げたつて、ここではつきりした責任ある答弁はできないと思いますけれども、よく大蔵委員会でそういう点を心配しておるということを伝えてもらいたいのです。その点弊害さえなければ、不特定なものに損害を与えないということが趣意なのです。その点を忘れないで、特定とか不特定とかいうそういうことで扱つて行かぬようにしてもらいたい。これで私の質問は終ります。
○春日委員 銀行従業員の賃金値上げ問題に関しまして、銀行局長に質問をいたしたいと思うのであります。 九月八日付の日本経済新聞の報道するところによりますと、銀行従業員の賃金値上げ問題については、銀行局はこれは各地方財務局長あて指導方針を通達したということが報道されておりますが、この日本経済新聞に報道されておるような指導通達、これが行われたものであるかどうか。ただいま井上委員の質問に対する局長のお答えによりますと、これを口頭で何か述べられたことがあるが、文書通達を行つたことはないように述べておりますが、新聞報道によりますと、いろいろ具体的に各項目にわたつての通達が述べられておるようであります。この点の経緯並びにてんまつについてまずもつて御答弁をお願いいたしたいと思います。
○河野説明員 財務局長に対して、本件について私の名前では書面でもつて通達いたしてございません。銀行課長の名前で、口頭でやるかわりに、メモ式のものが書面であるいは出ておるかと思います。ただいずれにいたしましても、これは地方部局に対する内部の非公式な書類と御了承いただきたいと思います。
○春日委員 それではなおお伺いをいたしますが、この通達はどの程度の拘束力を持つておるものであるか。あるいはまたどの程度の効果をねらわれたものであるか。いずれにしてもその文書通達が行われておりますからには、これは大蔵省の正式の公文書であろうと思うのでありますが、あるいはこれは単なるメモであつて公文書ではないのか、あるいはまたかくのごとき通達は何ら拘束力を持たないものであるのかどうか。あるいは局長はこれに対してどの程度の効果を期待されておるものであるかどうか。この点について具体的な御答弁を伺います。
○河野説明員 その通達というものに対しての内容に書いてありますことは、私の考えと同じことが書いてあると私は思います。ただ私はこの書面が出されることについて決裁をいたしてございません。従いまして銀行課長が自分の名前で、しかし自分の役目において出した書類である限りにおいては公の文書と思います。しかしながらそれは正式のと申しますか、銀行局としての正式の文書とは言えない。つまり銀行局長がその書類に対してサインしておりませんから、正式の書類とは言えませんが、実質においては私の考えと同じことを銀行課長がやつておるわけであります。
○春日委員 それではかくのごとき重大問題について局長の決裁を得ることなくして、課長の単独の意思をもつてかくのごとき通達が地方財務局長に発せられたことについて、この課長の責任をどのように考えられておるのか。この点をお伺いいたした・いと思います。
○河野説明員 課長は事前に私に、こういつた趣旨のことを便宜電話でやるのもなかなかあれだから、地方に対しては書面でやはりやつておく方がはつきりするからということでありましたから、お出しなさいと私は言つたのであります。課長は何ら私の意思に反してやつておりません。
○春日委員 そういたしますると、暗黙のうちに了解というよりも、むしろ積極的に局長が課長名をもつてそういう通達を出さしめたものと了解いたすのでありますが、そのように了解いたしてさしつかえありませんか。
○河野説明員 事実だけ申し上げます。御解釈はいかようにもなりましようが、銀行課長はこういう趣旨の書面を財務局長に出したいということでありますから、お出しなさいと言つたのであります。
○春日委員 聞き漏らしましたが、この文書の拘束力についてお伺いをいたします。
○河野説明員 内部の書類でありますから、法律的にいかなる効果を持つかということは、内部の財務局長と銀行課長との間の書面のやりとりであります。ただそこにはこの書面が出たから法律的にどういう効果を持つかといつたような問題ではないと思います。
○春日委員 では伺いますが、銀行課長はいかなる権限に基いて、すなわち官吏がいろいろな執行を行います場合は、法律の基準に基いてその執行を行わなければ相ならぬと思います。たとえばそこにおられる平田国税庁長官は税務官吏の長官でありますから、どろぼうをとらえることはできない。それと同時に、自分が法律で付託されていないことについて権限を行使すれば、それは当然拘束力がないのみならず、越権行為であり、あるいはそういうようなことをしてはならないということは、常識でもわかる事柄であります。従いまして、銀行局長はいかなる法律の根拠に基いてこの執行を行つたのであるか、この点をお伺いいたしたい。
○河野説明員 銀行課長は銀行行政を行つて参りますための必要性からそういう処置をとつたと思います。法律の条文上、銀行法その他にあります銀行監督をいたして参ります立場からそういつた行政上の措置をとつたと私は了解いたします。
○春日委員 そういたしますと、銀行法の第何条にあるか、私は本問題について銀行法を逐条検討をいたしました。あるいは大蔵省設置法を逐条検討をいたしましたが、少くとも銀行の従業員に対して大蔵省がそれぞれの規制を行うとかいうような権限は、大蔵官僚には与えておりません。銀行法の第何条に基いてこの執行を行つたのであるか御明示を願いたい。
○河野説明員 先ほど申し上げましたように、銀行に対しては大蔵大臣が監督をいたしております。その大蔵大臣が監督をいたします権能を補佐いたしておりますのが私であります。従いまして銀行法全体の趣旨からいつて、銀行の健全なる運営ということのために十分なる関心を持ち、それがために必要なる措置をとることは、私の職責だと考えております。ただ先ほど来井上委員の御質問にお答えいたしました通り、私は銀行の従業員の給与に直接干渉をいたしたつもりはありませんし、今後もそういうつもりでおりますので、今申し上げましたような措置が銀行課長からとられたとも考えておりません。
○春日委員 重ねて伺いますが、申し上げるまでもなく、労使の関係は憲法によつて規定されておる事柄でありまするし、従つてそれぞれの個々の場合については特に法律を多く設けまして、なかんずく基本法労働三法がございますが、かくのごとき場合はかくあらしめねばならないとすべて制限列挙いたしてございます。労働関係調整法には、労使の関係に対する政府の態度を厳粛に規定いたしておりますが、第三条によりますと、「政府は、労働関係に関する主張が一致しない場合に、労働関係の当事者が、これを自主的に調整することに対し助力を与へ、これによつて争議行為をできるだけ防止することに努めなければならない。」主たるウエートは、すなわち自主的に調整することについて助力を与えねばならぬ。いわんや干渉するなどというようなことは、これは政府に対して断じて排除いたしておるのであります。政府は労使関係について、その紛争の解決あるいはその交渉する事柄について、介入することを厳に戒めておるのであります。従いましてこの通牒によりますると、銀行局は銀行員の給与値上げは次のような理由から賛成できない、すなわち値上げしてはならない、こういう影響力を与えるような通達が三項目にわたつて述べられておりますが、このことは労働関係調整法第三条の規定に大きく違反をいたしておると思うのでありますが、これについていかに考えられておるのであるか、御答弁を願いたい。
○河野説明員 私は個々の給与について干渉いたした、つまり今御指摘になりました法律の条文に照して個々の給与について干渉いたしたというつもりはありません。それは銀行の経理の立場からいつて、経理の堅実性を維持するために、この際としては人件費がさらに増高するということは適当ではない、こういう観点の見解を内部的に示したものと私は考えております。
○春日委員 そのような見解を述べられるということは、銀行局の監督下にあるそれぞれの金融機関の経営者をして、その趣旨に沿うような結果にならしめると私は思うのであります。そういたしますれば、このことは明らかに労働関係調整法の第三条に規定しておりますように、労使の当事者がその要求事項について自主的に解決をすることに対する介入であります。別の労働組合法から言えば、これは不当労働行為に匹敵する事柄であろうと思うのであります。そこで私がお伺いをいたしたいことは、個々の賃金要求に対しては介入しないが、全体のわくにおいてその意思表示を行つた、こういうことでありますが、全体のわくが上つてはならないならば、個々のわくが上つてはならないわけでありますが、この点を、もう少し具体的にその見解とされるところを明確に願いたいと思うのであります。私の申し上げておりますのは、個々に対しては意見を述べないけれども、たとえば通達にあるがごとく、七八%以上の経理基準を越えてはならないということでありますならば、全体のわくが越えられない、越えられないのにかかわらず、個々のものを上げることに触れてないということでありますならば、結局全体のわくに対するあなた方の慫慂は、個々にその影響力を実際的にもたらして参るものであると思うのでありますが、河野局長の答弁と通達とは矛盾をいたしておると思いますので、この点明確に御解明を願いたいと思います。
○河野説明員 私は銀行の経理の堅実性を維持するために、今御指摘のありましたように、経営収支率は七八%を越えてはならないということを行政指導いたしております。そういつたことに反することは適当でない、銀行の経理を堅実にするために適当でないという観点から、私ははつきりそういう点については言つてさしつかえないものと考えております。その結果、その中に入れる人件費というものが非常に大きなウエートを占めておるのでありますから、それらの点について、やはり個々の給与について間接には響いて参るとは思いますけれども、私どもは経理基準として七八ということをいつて、その経費の節減をはかり、経営の合理化をはかることを指導いたして参りますことは、何ら私の職責に反していないと考えております。
○春日委員 ならば重ねて伺いますが、七八%のわく、この経理基準を越えると銀行の経営を危うくするから、従つて賃金を上げるなということであります。そういたしますと、第三項によりましてはそうではなくて、経理上の基準がゆとりがあるものといえども——これは銀行の経理内容を危うくするというのではなくして、もしそんな余裕があつたならば、これは預金者のために社内留保をなすべきである、貸出し金利を下げるなり、あるいは預金利率を上げるなりすべきもので、賃金を上げるべきものではない、こういう通達が行われた。ただいまあなたの御答弁によりますると、すなわち銀行が堅実に運営されるに必要条件であるところの七八%経理基準を上まわる場合以外の場合についても、やはり賃金に何らかの影響力を与えるような通達か行われておるか、この理由は一体何でありますか。
○河野説明員 私は七八であればもういいと言つてないのです。七八を越えるという場合には、銀行の経理というものは非常に不健全性をはつきり出しておる、七八以下でなければならぬ、少くとも前期よりも上まわつてはならぬということは、七八以内であつても私どもは言つておるわけです。七八以内においてできるだけ経営収支の率を低くしなさいということが私どもの趣旨であります。できるだけ預金者の利益のために、それを厚く内部に留保するなり、あるいは貸出し金利の引下げ、あるいは預金金利の引上げというようなことによつて、顧客に対するサービスを向上させるなり、私はいろいろ方法はあろうと思いますけれども、そういうために七八以内であればもう完全にそれでいいのだということは、私は今までの銀行指導において言つておらぬのであります。
○春日委員 通達の末尾には、「経営上のゆとりがあるとしてもこれはあくまで預金者のため銀行内部に蓄積すべきもので、それでなければ貸出し金利の引下げか預金金利の引上げ」こういうふうに述べられておるわけであります。そういたしますと、これは二様に解釈ができる。たとえば賃金を上げてはいけないという理由は、一つはその経費を増加せしめる形になるから、これは銀行の経営を危うくするので、公共のためにそういうことはよろしくないという一つの立場、これはこれで筋は一応通つておる。ところが中には、その経理上のゆとりのあるものに対して、その従業員が当然の賃金値上げの要求を行つた場合、これは公共の安全を何ら侵害するものではない、銀行の経費はなおかつ七八%以下であつて、堅実性はごうもこれによつて侵害をされてはいない、それにもかかわらず、そういうような場合も含めて賃金値上げをしてはならないという通達は、一体どのような理由に基くものであるか、この点を一つ伺いたい。しかし理由がどうあろうとも、やはり官吏の執行は法律の裏づけによらなければならないが、このような通達を出されたところの法律の根拠というものをひとつお示しを願いたい。
○河野説明員 私は今の経理基準七八の点から見まして、ゆとりという言葉を使つておつたかと思いますが、七八までにある程度余裕があるといつたようなものにつきましても、できるだけ内部留保を厚くしなければならない、先ほど来どなたかのお尋ねにお答え申し上げた通り、現在の銀行の蓄積というものは、戦前の状況に比べてはるかに薄いのでありますから、さらにさらにそういつたことを厚くして行かなければならない、そのためには七八を割つておるからさしつかえないということではないということを私は強調いたしたかつたのであります。なおこれはいろいろな見解から議論があると思いますが、私は銀行というものの公共的性質からいつて、その表面に出て来る収支の差額である利益というものは、必ずしも銀行経営者なりその他の人々だけの努力によつて出て来たものではないと考えておる。たとえば金利について申し上げましても、金利は規制をいたしております。これは公共的な意味で規制をいたしておる、その預金金利をかりに上げたとすれば、利益というものははるかに減つて来る、貸出し金利をさらに引下げたとしたならば、収益というものは相当きつく落ちて来る。そういつたことは単に役員なりあるいは職員なり、その人たちの努力だけから出て来るものと私は考えていないのであります。従つてそこは一般の私企業と公共機関である銀行業というものとの関係においては意味が違う、利益の出て来る原因が違う、かように考えております。
○春日委員 時間がないからひとつ要点だけ聞きましようか、こういうことが言えるのじやないかと思うのです。まず第一番にあなた方に間違つていただいてはならぬことは、銀行業というものは公益事業でも公企体の事業でも何でもない、これは単なる営利事業でしかない、かりに公益事業々々々々と言つておられるが、それならば労働関係調整法第八条によつて、公益事業たるの指定を受けなければならない、これは純粋の営利事業だから、その賃金の引上げその他については、これは経営者の独自の権限にまかされておるのであつて、銀行は、銀行局やあるいは政府がこれに対して関与されるというような余地は、何ら残されていない。たとえば公益性のある事業はたくさんありますよ。たとえば私鉄だとか、その他いろいろあるけれども、これは公益事業として指定されてはいない。ガスだとか水道だとかなんとかいうものは公益事業になつておるが、たとえば私鉄とか銀行とかいうものは公益的性格が非常に強いのだが、しかしこれらの運営がやはり独自の一つの経営基準によつて、すなわち商業的規模によつてこれが運営されてさしつかえないものという形において、これは労働関係調整法第八条の公益事業としての指定を受けてはいない。だからこれは純粋の営利事業としての角度において労使の関係は律せられなければならぬのであつて、政府がこれに介在するというようなことは、どの法律のどの条文にも何らきめられていない。にもかかわらずあなた方がこういうようなとほうもないところの通牒を発しておる。ただいま申し上げましたように、いくら平田国税庁長官が政府の高官であつても、どろぼうを捕えることはできない。これはどろぼうを捕える人は、やはり法律でその権限を国民がその人に信託しておるのだから、信託されていないことをあなた方がやつてはいけないのであつて、あなた方に銀行の監督を請負わしておるのではなくて、法律の条文によつて裏づけをして、その監督をやはりあなた方に信託をしておる。従つてあなた方は信託された制限の範囲内においてのみ執行ができるのだから、まるで請負師が結果がそう上ればかりにどうやつてもいいというものではない。かりに具体的に言うならば、銀行の経理内容が堅実であつて、株主並びに預金者に危害さえ与えなければ、他の法律にどのような違反をしてもさしつかえない、こういうことではないのですよ。あらゆる日本の法律を全部遵守して、その執行が行われ、なお結果的に銀行の経理内容が堅実であつて、公共性が侵害されるというようなことのないように、こういう運営でなければならぬ。ところがあなたの執行に、労働関係調整法、労働組合法、その他いろいろ労働基本法に抵触しても、これを蹂躙しこれを無視して、なおかつその経理内容の安全を企図しておられるところの疑いがある。すなわち法律に違反をして、他の法律を執行してはならぬのです。この基本的な考え方の上に立つならば、これは明らかに労働関係調整法第三条に違反をするところのこういう通達をした銀行局長、それから銀行課長は、当事者、下手人、こういう者は当然法律に照して処断を受けなければならぬと思う。そして法律に違反したところの通達は全然効力を持たぬと思う。従つてかくのごとき通達はすみやかに取消される意思はないかどうか。あなたが取消される意思がないと仮定するならば、私はすみやかにここへ大蔵大臣あるいは総理大臣、政府の責任者に出てもらつて、この法律岸反の問題について国会として責任ある決定を行わなければならぬと思いますが、これについてあなたの見解を伺いたい。
○河野説明員 銀行課長の名前で財務局長へ出しました通達を取消させるつもりはありません。
○春日委員 それでは、最後にこの問題については、委員会にお諮りをして国会の権威において、やはり法律がその条文通り執行されておるかどうかということについての国政調査権の権威を発揮しなければならぬと思うのでありますが、この問題はそれでは最後に譲りまして、もう一つだけ伺つておきたいと思うのでありますが、ただいま申し上げましたように、これはあなた方には、銀行法によつて調査権というようなものが二十条、二十一条で認められておる様子でありますけれども、それは、賃金にその問題を集約してその調査権というものが行使されてはならない。たとえば経費を節約すれば、ただいま井上委員が指摘したようないろいろな不動産に対する融資等を抑制する方法もあろうし、あるいは交際費についての節減もあろうし、あるいはまた配当金の節減もあろうし、いろいろ経理上において、経費、損金として流出して行くものに対する抑制の方法は他に幾らもあろうと思う。しかるにこの問題について格別の措置を講ずることなくして、労務、賃金に対してのみ格別のこういう通達をされるということは、銀行法第二十条、第二十一条の監督権を通じてあなた方に付与しておる権限を逸脱しておる事柄であることはもう明らかなことである。これはいろいろ労働基本法に違反するというその基本的な考え方をさておいたといたしましても、これは銀行法その他を通じても、そういう権限のないことをあなた方は行つてはならないのですよ。とにかく労働組合の労働争議、あるいは労働条件の要求、こういうようなものは労使が自主的に行わなければならぬ。自主的に行わなければならぬと法律が保障とておるこの事柄について自主的に行えないような、監督者から経営者に対するそういう圧力を加えるということは、これはもつてのほかなんだ。このことがもし行われたならば、労働三法は死文化されてしまう。われわれは憲法によつて規定されたところのこの労働基本権、さらにこの労働基本権によつて生じたところの労働関係法令、こういうものが銀行局によつて一方的に蹂躙されるという、こんなことが許されると思いますか。重ねて申しますが、請負式にどういう方法でもいいから銀行がつぶれぬように監督するというのではなしに、日本国が定めたところの法律の範囲内において、この銀行がつぶれないようにあなた方にその監督を信託するのです。他の法律を侵害してごの銀行を守れというようなことは、何もあなた方に保障しておるわけでもなく、権限を付託しておるわけでもない。権限を付託していないことはやつてはならぬと思うのでありますが、この問題についてあなたはどう反省されておるか。きのうも大蔵大臣は一日に三べんずつ反省をすると言われたが、あなたはその下僚だから七へんくらい反省されてしかるべきだと思うが、どのように反省されておるか、ちよつと伺いたい。
○河野説明員 憲法に基いてきめられた法律によつて、私も公吏でありますから行政をやつて行きたいと思つております。
○春日委員 それでは結局あなたは、自分のやつたことはその労働法規に違反していないと考えておられるのであるか、違反をしてないと考えておられるならば、この労働関係調整法第三条の条文と照してどうして違反をしていないか、われわれが理解できるようにひとつ確信を持つて御答弁を願いたい。第三条に照してどうして違反をしていないか。たとえば労使が自主的に解決しようと言つても、この問題を労使の解決にゆだねないで、賃金値上げをしてはならぬというこの介入が、労調法第三条に照して抵触しないという考えがあるならば、その見解を私にわかるように御答弁願いたい。
○河野説明員 私は先ほど来申し上げましたように、銀行法の私に与えられておりまする職責から、銀行の経理内容をできるだけ堅実にして行くという建前において、その経費について私どもは経理の健全化という観点から、いろいろ銀行に対して監督もし、指導もいたして参つておるのであります。個個の従業員の給与について私は干渉する意思もありませんし、またしておらぬと考えております。なお現在、そういう私どもの気持といたしましては、経理をできるだけ堅実にするために経費の節減をはかつて参りたいと思つておりますが、現実の問題といたしましては、すでに数多くの地方銀行において給与の引上げが行われておるということも御承知の通りであります。
○春日委員 解明にならないのでありまして、納得ができません。たとえば賃金値上げの要求がありまして、銀行が自主的に、株主の配当が今まで二割のものを一割にして賃金の方へまわして行つたとしても、その銀行の損金算入というものの絶対額はかわらない。あるいはまたその交際費とかその他の宣伝費とかいうような面の経費の節約をして、そうしてそれを人件費にまわしたときにおいても、収支の絶対額は変動はない。七八%に異同がない。そういうような場合もいろいろあるわけなんだが、あなた方としてはそのことは当然想定されておると思う。それだのにこの通牒の冒頭宣言において、そういう賃金値上げはよろしくない、こういうことを断定的に通達されておるということは矛盾を来しておると思う。このことは第三条に明らかに抵触すると思うが、これについて御答弁願いたい。
○河野説明員 最近の情勢のもとにおきまして、私は銀行従業員の給与という点から、経費の節減という観点とにらみ合せて、この問題について取上げて参つたのであります。しかしながら私は銀行経営上必要な処置について、あるいは先ほど来おしかりを受けておりまする銀行の不動産の取得についてどういうふうにして行けとか、あるいは融資についてどういうふうにして行けとか、こういつたことはあらゆる機会にいろいろな形で私は言つて来ておる。それから交際費についても、あるいはいろいろな経費の支出についても、具体的にこういう点は節約をしなさいということは、私はいろいろな形で言つて来ております。それらの問題のうちのただ一つがたまたまここに出て来ているだけでございまして、私はこの問題だけで、ほかに銀行に対する経理上の指導ということは何もやつていないということではありません。これは幾つかやつていますことの、ただ一つであります。
○春日委員 ただ一つのことにつきまして今議題になつておるのでありますから、ほかのことは関係ありません。ほかのことは、法律に基いてやられるということは当然のことでありましようけれども、われわれの議題となつておるのは、賃銀交渉に対する不当なる政府の干渉ということが議題になつておるのであります。ほかのことをおやりになることは当然でありましよう。そこでお伺いいたしたいのは、結局労使の交渉については、これは法律が認めておるのだから、この法律の範囲を逸脱して執行されてはならぬということ、たとえばあなたが監督者として銀行の経理内容の堅実を念願せられること、それに必要な措置をとられることはわかるのだが、しかしそれは法律の範囲でですよ。これはごく極端な例でありますが、金融機関がその資金内容をよくするために、不当に担保物件を競売して金にするとか、あるいはまたその他いろいろな問題があると思う。極端な例を言えば、どろぼうをしてよそから金を盗んで来るとか、そういうほかの法律で禁止しておることを経理内容をよくするために犯す、その特権をこの銀行法は認めておらないのです。認めておらないことをあなたがやつたということは、法律に違反をしておる。法律に違反をした執行者は責任を負わねばならないし、法律に違反したところの通達は一切無効だと私は考える。この私の理論は理路整然として何人といえども首肯せざるを得ぬと思うのだが、あなたにわからぬはずはない。だから私があなたにお伺いしたいことは、自主的に解決することだからそんなところへ介入することはいけない。それは大臣決裁を得ていないところの、単にメモにかわる通達だつたら、労働関係法というものの条文に照して違反事項があつたら、それを是正するにやぶさかであつてはならないと思うのだが、もう一ぺん御答弁願いたい。
○河野説明員 私は今お示しになりました銀行課長から出しました書面が新聞等に出ました点につきましては、どうしてそういうことが出たのかよくわかりませんが、内部の私どもの気持を財務局長に伝えた、財務局長がこれらの問題についてどういうふうな処置をして行くかということの心構えについて、私どもの気持を伝えたというだけであります。従いまして、これが今お話のような労働三法といつたようなものに対して違反行為になるようなことを私どもは考えたわけでもありませんし、客観的にも私はそういうことになつていないと信じてやり、また現在でもそう信じております。
○春日委員 たとえば私鉄というものは、銀行と同じように公益的性格を持つておる企業です。ところがこれは純粋の営利事業なんです。そこで、たとえば私鉄総連において賃上げ要求があつた場合、運輸大臣が賃銀の値上げなんかしてはならない、そうすれば私鉄の経理内容が悪くなる、こういうようなことを運輸大臣が私鉄の経営者に発したというならば、これは明らかに不当労働行為であり、あるいはまた労働関係調整法違反として私鉄総連はものすごく立ち上るわけなんだが、当然今までそういうような介入をされたこともないし、あるいはそういうような通達がなされたこともない。同じ監督下にある労使の関係に介在する政府の立場というものは、これは法律ではつきりきめられておる。私鉄総連に対して、その労働争議あるいは賃上げ要求に対して、運輸大臣が介入した前例も何もないのです。それと同じように、やはりこの全銀連のそういう主張が正しいか正しくないかということは、これはすべて労働関係の機関、中央労働委員会なり地方労働委員会なり、あるいはその他の労働調整機関があるのだから、そういう機関が国に信託された権限を行使してやるべきであつて、そんなことは事前に銀行局が介入すべき性質のものじやない。それは経営者と労働者にまかしておいて、そうしてその問題の処理をなされなければならぬ。 〔委員長退席、内藤委員、長代理着席〕 そこでこの問題をだんだん話しておりまして時間も大分たつておりますので、私は結論に入りますが、この問題は明らかに労働関係調整法第三条に違反をするし、さらに大蔵省設置法その他銀行法、いずれに照しても、銀行局長あるいは銀行課長にそのような権限を付与しているという法律上の根拠は何もないのでありますから、そのような通達に対する十分なる措置を講ぜられんことを強く要望いたしまして次の質問に入ります。(「関連質問」と呼ぶ者あり)それではあとは造船疑獄、陸運疑獄、保全疑獄、それから日本殖産疑獄について、いろいろ金銭の授受が行われておりますが、これに対して国税庁がいかなる執行をされているか、これを質問いたしますから、留保しておきます。
○内藤委員長代理 それでは平岡忠次郎君。
○平岡委員 銀行局長にお尋ねいたします。実は昨日大蔵大臣が中座いたしましたので、私の質問がそこで中断されておるのであります。七日の東京の一部の夕刊に出ているのでありますが、東京銀行が九月一日からMOF勘定を設定される。ところが今の東京銀行が昔の正金のような単独法によるところの銀行でないという理由から、他のいわゆる市中銀行がやはり同様な恩恵を与えよということで、あなた方の方に強く申し出ている模様が書かれているのであります。その点につきましてどのようないきさつになつているか、現在までの経過をお知らせいただきたいのであります。
○河野説明員 各為替銀行のMOF勘定の設定の問題でありますが、これは今平岡さんお話のように、九月一日から東京銀行にMOF勘定の設定をいたしました。その後東京銀行以外の外国為替業務を営んでおります銀行が、同じくMOF勘定の設定を要望いたして参つていることも事実であります。これらに対してどういうふうに今行つているのかという問題につきまして、私どもは現在まだ結論に到達いたしておりません。きのう大蔵大臣が申し上げましたように、いろいろな点から検討を要する点がありますので、私はまだ結論に到達するところまで行つていないのであります。一日を争う問題でもございませんし、私はとにかく九月一日において東京銀行がMOF勘定を設定して出発したということだけ、これは急いでやらなければならぬと思いましたからやりましたが、その後の問題につきましては、さらによく研究して行きたい。ただ私個人の考えでありまして、はつきりしたことを申し上げるまでに至つておりませんが、私は事柄の性質上必ずしもMOF勘定を、デポジツトリー・バンクとしては東京銀行一行でなければならぬという理由はないと思いますけれども、さればといつて、他の数行に対してこれを認めて行くだけの積極的理由ありやなしやという点については、私はさらに研究して参らなければならぬ、かように考えておる次第であります。
○平岡委員 MOF勘定の設定を一行に必ずしも限定する必要はないように思う、こういうふうにあなたはおつしやつたのですけれども、今の為替銀行法では、この点はあとで指定すればいくらでもできることに一応なつております。それですから、もし富士銀行とかあるいは三井銀行というものが、自分の業務を為替銀行として、貿易金融銀行としてはつきりいたしておつて、やはりそういう指定を受けて、複数ではございますけれども、東銀と同じような資格を得られた場合において、その点を許可するというふうな意味に解釈してよろしゆうございますか。
○河野説明員 今平岡さんのお話になりましたように私は申し上げていないのです。お話の点もよくわかりますが、私は今複数のMOF勘定を設定した方がいいと思つていると必ずしも申し上げておらぬのであります。この点はもう少し研究いたしますが、ただ私は為替銀行法に基く銀行でなければ、そういつたいろいろ行政上の措置をしないということで線を引かなければならぬ問題と、そうでない問題がいくらもあると思う。たとえば海外に支店を置くという場合に、専門銀行でない銀行、いわゆる為替業務をやつていない銀行には支店を認めない、もし支店を置きたいのならば為替専門になりなさい、そういつたように、これらの問題は為替専門銀行でないと海外に店を置かれないのだと割切る必要はなし。要するに、これは前国会中に御質問がありましたように、私はほかのことをやらないで為替業務を専門に扱う銀行は、あらゆる点において優先的に扱つて参らなければならぬと思いますけれども、他のものを排除するということは、事柄によつて必ずしもその必要はない、かように考えております。
○平岡委員 ただ前国会におきましてこの法律が検討されたときには非常に弱くて、性格がはつきりしていなかつたが、こういう点がいまだに尾を引いておると思うのです。私が今言つた、東銀に特権を付与していないというそういう観点からこの問題を見て行けば、あなたのような非常に弾力性のある解釈もつくと思うのですけれども、私は、日本の経済自立の一環として、こうした外国為替、それから貿易金融の機構を強化しようとする要請からこの問題をあなた方に取扱つていただかなければならぬと思うのであります。もともと今の法律を建前にする限り、少しも東銀に特権を与える必要はないという解釈はつきます。しかし政府が専門銀行を設立させようとしたこと自体、国内の商業銀行の自由競争ということに対する限界認識から出発していると思うのです。ですから広く国際的な視野からこの問題を検討しなければならぬと思う。 それからこの反対論について仄聞しますと、今の貿易為替の四〇%が、現在この東銀以外の、たとえば富士とか三井とか三菱とかいうふうな市中銀行によつて占められておる。こういうふうな点から、今の東銀だけにデポジツトリー・バンクとしての特権を与えてはならないという申出があるということでありますが、私は、確かに店舗を構えて窓口をあけておるのですから、四〇%でも五〇%でも取扱量が上つて来ると思う。ですけれども、それが外国の金融市場においてどういう関係を持つかということを見るならば、四〇%は窓口を開いてある限り、これは確かにその取扱いになると思うが、そのもとをたどつて行きますと、外国銀行の従属的コルレスという立場は確かにいなみ得ないと思います。ですから、これらの銀行にやはり東銀と同様なMOF勘定を与えることになりますと、現在まで外銀に預託しておる政府の資金関係と、それにプラスされた従属的コルレスをこれらの銀行に与える特権と両々相あわせますと、日本の自立経済の輿望をになつてチアンピオンとして出発した東銀に対する圧力が非常に大きくなつて、所期の目的を達し得ないと思うので、こういうふうな点に思いをいたしていただきたいのであります。 それから、先ほど来同僚諸士によつて銀行の横暴といいましようか、繁華街に軒を並べて大廈高楼を築き上げるという国内におけるまことに勇ましい状況が指摘されたのであります。しかしこれは吉田内閣と同様内弁慶で、確かに日本の国内では金融資本はあぐらをかいて国民に号令し、これを引きずつているようなかつこうですが、この内に強い銀行も、一たび海外市場においては実にさんたんたるものです。この点銀行局長はよく御存じであろうと思うが、私どもが議論をなすときにそういうふうな錯覚に陥つておる。ところが今のロンドンの市場においてもニューヨークの市場においても、日本の銀行で、あそこで物を言えるのはほんとうに皆無なんです。ただ八十年以上の伝統を持つている元の正金、現在の東銀でございますけれども、これが確かに有能な人材がおるという点から、着々と今の外国市場において物を言つて来ていることは事実なんです。ですからこういうふうな点で、国内における銀行の過大評価というか、錯覚を起してしまつて、今言つた為替銀行を発足させる必要を生ぜしめた客観的な情勢というものを忘れてしまつたのではないか。いつでもその点に思いをいたしまして、この問題の誤りなき措置を私は期待いたしたいと思うのであります。ただ局長のお話では、今のところ東銀ただ一行にこういうふうな勘定を設定したのであるけれども、将来はわからぬというふうな口裏であります。この点に対しまして、もしそれならば、他の十一行全部にこうした特点を与えてよいものであるか、あるいは特定の線を引くつもりであるか、もう少しつつ込んだところをお聞かせ願いたいと存じます。
○河野説明員 お話はごもつともな点が多いので、今後の施策にあたりましてはできるだけそういつた点をよく考慮して措置いたしたいと思います。せつかくのお尋ねでありますけれども、現在のところ他の銀行にMOF勘定を開くか開かないかということはきめておりません。かりに他の施行に開くとするとどの程度にするかということを検討して——どつちかというと、ほとんどまだ検討していない段階にありますが、お話の点は十分頭に置きながら善処いたしたいと思います。
○平岡委員 私の結論的な見解は、今のところ為事育成一本でやつていただきたい、こういうことであります。その理由としましては、店舗の整理とか、そういうふうないろいろなハンデイキヤツプとか、あるいは人事の問題につきましても、日銀から二見さんが入つております。あるいは大蔵省からも前の参事官で、ロンドン駐在財務官でしたかの伊原さん、こういうふうな方が人的な関係からそちらに入つているということを聞いております。そういう点で非常に犠牲もしいられておるし、業務と人事の方面から制限を受けておるのですから、こういうふうな制限を受けた東銀は、当然他行と区別されて扱わるべきものであると思います。こういうふうな点も考慮されまして、あまり俗論に耳を傾けず、断固としてあなたの所信を貫いていただきたい、かように要請申し上げます。
○苫米地委員 銀行局長のきようの御答弁を伺つておりますと、私は一点だけを除いて全部賛成です。それは、現在の日本としては、中央銀行は金利をもつと引き締め、市中銀行は下げろと言つている、この点が私はどうもわからない。一体逆ざやで銀行が金を借りて使うということは、常識では考えられない。その常識で考えられないことをなぜやつているかという問題です。またなぜできるかということです。それは銀行局で今まで通達を出しておられる両建預金、あれが今でも堂々と行われておる。それがむしろ強化されておる。それから自分の銀行で出した債券を担保として金を貸さない。そういう両建預金でうんともうける。自分の方は債券を出しておるけれども、担保には使わせないというような無理をしておるから、その逆ざやでもやつて行けるということになるので、これはほんとうに金融業者が不当に産業界を圧迫するといわれる一つの原因になつておるのでありまして、この点は逆ざやというものかただオーバー・ローンをチエツクする役にだけ立つておれはいいけれども、今のところそうでないということを見ておると、どうも私は銀行局長のお説に疑惑を持つのですが、その点いかがでしようか。
○河野説明員 非常に金融に御造詣の深い苫米地先生でありますから、私はここでまた書生論をやることは差控えたいのであります。今の日本の状態において金融を引締めて行く、いわゆる俗な言葉で言つたら、デフレ政策をとつて行くという場合においては、いわゆる中央銀行たる日本銀行からの信用造出を抑えるということが金融の面においては何より必要です。そうするためには何が必要かといえば、日銀から金が出ないようにするよりしかたがない。そのために私どもは、現存日銀に対して高率金利政策をとつておる、こういうことになる。ただそのことだけで満足しておるのかというおしかりに対しては、これはまさしくそれだけで満足してはいけないので、そのしりが結局日銀から借りて、両建をやつたり、歩積みをやつたりして、それで一方でまた逆にさやをとるといつたようなことが行われれば、これもしり抜けです。従つて両建、歩積みの問題について各委員からもおしかりを受けておりますが、私ども常にこの問題については注意を喚起いたしております。具体的ないかなる処置をとるかについてもいろいろやつております。先般も各銀行協会の首脳部等に実は来てもらつて、このような問題について最近いろいろ話を聞き、ことにデフレ政策になつてから金詰まりが盛んになつて来るに応じて、どうもそういうことがことに中小企業の方面に多いようであるから、ます実情を調べる。今のところではそのことが特に多くなつておるとは思えないという見解でありますが、そういうことでなしに、真剣に実情を調査をして、調査の結果もしこれが何らかの手を打たなければならないとすれば、対策について真剣に考えるようにということを先般も実は申し渡したばかりであります。今後におきましても、両建、歩積みの粛正といいますか、自粛につきましては、一層努力をいたしたいと思います。話がちよつと長くなりましたが、実際はなかなかむずかしい問題であります。両建とは何ぞやということは非常にむずかしい問題であります。そういうことは別といたしまして……。
○苫米地委員 私は日本銀行の通貨の造出ということは考えておらない。ただ逆ざやを強めれば強めるほど、両建預金が強くなる。それだけ業者を圧迫してしまう。ですから、むしろ業者を圧迫しないような方向に先に手を打てば、逆ざやの日本銀行の金利を上げて行くということは、そう必要はなくなつて来るのではないか。必要な程度を上げるならしかたがありませんけれども、今のところでは逆ざやのために両建預金が強化されて、今までフイフテイ・フイフテイであつたものが、それが上に行つてしまう、こういうことになりますので、そのために資産のある人、債権を持つている人が倒れて行つている人がある。それでは金融機関としては非常に悪い。この点はひとつ、十分御了承願つていると思いますけれども、さらに力をいたしていただきたいと思います。
○内藤委員長代理 小川豊明君。
○小川(豊)委員 銀行局長に伺いますが、きのう大蔵大臣にお尋ねした中に、今の大企業がやはり金融の逼迫から中小企業に九十日、百二十日という手形を出して、そのために困難をしている。こういうことを防止するために、あるいは六十旧、九十日以上の手形を発行してはならないというようなことを法律化、制度化して、そうして中小企業を守るようにする、そういう考えがあるかないか。さらにそういうふうにするならば、九十日以上なら九十日以上のものに対しては一定の金利をつけた手形を出さないとかわいそうだ、そういうようなことを考えられないかと言つたら、そうすると大企業の方は中小企業に対して発注をしなくなる心配があるからというのが、きのうの答弁であつたと思うのです。それを法律化して行くならば、発注しないということは私にはちよつと考えられない。そういう心配はないと思う。こういう形によつて中小企業を守ることは、ぜひ政府としても考うべきじやないかと私は考えているのであるが、その点きのうの大蔵大臣の答弁ではちよつとわからなかつたから、あなたに聞いてみたい。
○河野説明員 中小企業に対する支払いが、いろいろな形であるいは延ばされるとか、条件が非常に悪いという問題について、いろいろな方法で改善を加えて行かなければならぬということは、きのう大蔵大臣も申しておつた通りであります。現に公正取引委員会を中心にして、いろいろそういつた問題についての改善をはかつて参りました。まだその効果が皆さんの御満足をいただくほどあがつておらぬと思いますけれども、今後逐次改善はいたして来ると思います。ただ問題は、今お話のような中小企業に対して振り出す手形の期日を法律的に制限してみるということは、私は実は何ら意味をなさないと考えておる。これは率直に申し上げます。今のような問題は、結局下請と大企業の間の需要供給の関係なんです。あえて力とは言いませんが、需要供給の関係だと思う。たとえば価格の問題について言いましても、かりに手形に対して利子を付せろと書いてみても、価格をたたかれたらそれまでの話だと私は思う。従つてそういつたことについては、やはり法律でもつて形式的に一律に縛るよりも、両者の間の力関係が違つているのでありますから、その力関係だけをできるだけならすような行政上の措置、配慮、そういうことが先に立つべきだと私は思う。早い話が、手形の期日をきめる前に、手形を出さなければならぬという法律をつくらなければ意味をなさない。ところが手形を出さなければならぬという法律も、私は経済の取引の実情に合わぬことだと思うのでありまして、そういうことから言いますと、そういつた弊害が起らないように、あるいは今の公正取引委員会のやつておりますところのよしあしはいろいろ御批判があろうと思いますけれども、そういつた機関を通じて、できるだけ中小企業者の利益を守るような行政上の配慮あるいは施設は今後講じて参らなければならぬ。ただ一律に法律でそういう手形の期限をつけるということはあまり意味がないのじやないか。大蔵大臣がきのう申し上げましたのも、おそらくそういう意味で申し上げたと私は思います。
○小川(豊)委員 今公正取戻委員会でいろいろ考えられていることも知つておるのです。しかし、さつきの考え方は違つて来るかもしれぬが、それは需要供給の関係よりも、力の関係じやないかと私は見ておる。そういうことから、今のように行政的な措置とかなんとかではとうていだめなんだ。従つて法制化して行くならば、中小企業はこの窮状を打開することができるんじやないか、こういうことなんで、これは時間もないので、これ以上の議論をしていてもいかないかもしれませんが、これは私の方ももつと研究してみるが、あなたの方でも十分考えてもらいたいと思います。 それからもう一つは、この七月の五日に私ども大蔵委員会で九州に行つたときに、七月五日現在で三億六千万円の金券が発行されているということを聞いた。その後これがどういうふうになつておるのか、それからさらにはそれに対してどういう手をあなたの方で打たれているか、その点をお尋ねしたい。
○河野説明員 北九州等の炭鉱においていわゆる金券の発行が行われておるということは、この前もこの委員会でたしか小川委員から御指摘をいただいたかと思います。金額等につきましては、そのときも三億六千万という数字のお話もありまして、いろいろ調べましたけれども、私ども数字については的確に把握できておりません。それからいわゆる金券といわれております形態の中にも、四種類ばかりあることも御指摘がありましたが、これも私どもその後の調査によつて大体確認をいたしました。これらの問題を法律的に、たとえば紙幣類似証券とか、あるいは商品券取締法等の法律に照して一体どういうことになるかということをいろいろ研究いたしましたが、その点につきましては、現在のところは特に法律に触れるような問題でないようであります。 第二に実情はどうなつておるかといいますと、すでに金券というものによつて売店等で物を売るといつたようなことも、やはりある程度限界に来ておる。つまりそれがいつ現金にかわるかわからぬという状態でありますから、それを発行しても、ある限られたところでありますけれども、通用しないといつたようなことになりまして、発行の状況ももうすでに頭を打つておるというふうに聞いております。従つて現在でのところでは、いろいろ労働関係の法規との関係等につきまして、私も実はしろうとでありますからよく存じませんが、少くとも経済的に今これが弊害を及ぼすといつたようなところはないようでありますので、私どもは今各出先の財務局長に事態の推移に十分注意をしておけということを言つておるような段階であります。
○小川(豊)委員 あなたは保全経済会の問題で苦い経験をなめておるわけですが、今この問題が法律に違背しておることはないということですけれども、あるとかないとかでなく、現に私も三億六千万円というのは、はつきりつかんだ数字でなくて、大体そのくらい出ておるのじやないかということでありまして、今聞くと、それはすでに限界に来ておるというお話です。しかしこれは非常に危険になつて来ていると思う。もし一つでも倒れて行つたら、ここから小さな恐慌が出て来るので、これは十分に考えなければならぬことです。ことに今その金券を利用して食料品等を持つて来ておるが、それではおつつかなくなつて来て、今度は洋服を買つて来て、そうしてそれを質屋に持つて行つて、質に入れて金にかえて行く、こういうことまでしておるという実情なんです。こういう点を考えるときに、これは放置すべきではなくて、少くともやはり遅欠配資金を労働金庫か何かを通じてめんどうを見て行くという措置がとられなければ、これは形をかえて増大して行くのじやないかという心配を私どもは持たざるを得ない。従つてこれも十分あなたの方で検討して、あの保全経済会のように、二年も三年も放置しておかないで、これに対して急速に方法を立てられるようになさるべきではないかと思います。 それから国税庁当局にちよつとお伺いしたいが、酒の密造を防止するという意味で、二級酒以下の価格を下げて密造の防止の一助としたわけです。二級酒以下の価格を下げて密造を防止することは、一つの措置としてわれわれもいいと思つて賛成して来たわけですが、私ども数字で見ているのじやないが、どうもそれがそう大して効果があつたとは思えない。検挙の件数とか、あるいはいろいろなもので、数字的にどういうふうにその効果が出て来たか。私は酒の税金を下げることには賛成なんで、別に異論はないけれども、それがさらに密造にどれほどの効果が上つて来ているかということは、食糧行政の方との非常に大きなからみ合いになつて来るので、私はこれをお伺いしたい。
○平田説明員 密造の問題はなかなか問題がございますが、今御指摘の、一部の酒類につきまして国会で若干税率を低くしていただきまして、そういうものを主として農村方面、密造の多い方面に特別よけいに流してやるような措置をいたしております。一つは二十度しようちゆうというものをつくりまして、これは税率が二十五度の分よりも一度当り低くなつておりますが、これをできるだけ密造地帯に供給するようにしたいと思つております。それから二級酒につきましては、税率を下げて農村方面に流しまして、できるだけ緩和するようにいたしておりますが、これはもちろん一つの対策にしかすぎません。問題はやはり全体の酒類が供給不足であるということ、なかんずく清酒が供給不足であるという点にある。そこで取締りその他につきましても十分あわせ行いまして、密造防止に対処すべくいろいろな方法なり手を打つことにいたしております。ことに農村方面では、最近下火になりつつあるところもございますので、そういう方面には広報宣伝、ことに密造矯正会といつたようなものをつくり、有力者の力に入つていただきまして、もうこうなつて来たら密造酒なんかよそうじやないかという機運をつくつて、取締りもあわせ行い、そしてお話の通り安い酒をできるだけ供給するということでこれを減らして行きたいということにいたしているわけでございます。
○小川(豊)委員 密造は一回や二回検挙されてもまだ合うから今できている、そこでこれが合わないまでに二級酒以下の価格をずつと下げてしまうということはどうでしようか。いつかあなたの方からの発表では、正式に醸造される石数と密造の石数とでは、密造の石数の方が多いということであつたが、これはゆゆしい問題だと思う。これは税金を安くしても国庫の収入は減らないと思うので、これを密造しても合わないというところまで下げて行つてしまうことが必要ではないかと私どもは考えるのですが、あなたの方ではどうお考えになつておられるか、それを御研究なさつておるかどうか、一点お聞きしたいと思います。
○平田説明員 お話の方向は私どももまつたく賛成です。ただ今一番要望されている米を使う清酒が、原料米で制約を受けているわけですが、今の値段でも、今の状況から見ますと、清酒はもう少しつくれば相当売れるようであります。それを先ほど申したようにして供給いたしますと、農村では自然に密造が少くなつて来るという傾向にありますので、当面としましては、今年豊作であればもう少し原料米をふやしてもらつて、少くとも二級酒をふやす方向に持つて行きたい。できますれば、さらに一層つけ加えまして税率を下げ、値段を下げて供給するということになりますのが一番望ましいのでありますが、これは一面財政需要の問題とも関係かございますので、その方面の調整に苦心をいたしているわけであります。 なお先ほど密造酒が正規の酒より多いというお話でございましたが、これは三、四年前の情勢でございまして、その後大分情勢がかわつて来まして、ここ一、二年来、密造酒は全体としてよほど減つて来ていると思いますので、この傾向をうんと助長するようにして参りたいと考えております。
○小川(豊)委員 大蔵委員長が席をはずされるので、質問をしておくようにというお話ですが、水産加工業者から減税方の陳情が来ておるのです。この水産加工業者のあれを見たのですが、業者のただの申出だけでは信頼を置けないと思つて、地方の県知事等に頼んで、特に県の立場において調べさせてみたわけです。そうすると、私どもちよつと驚いたことは、水産加工業者というのは、やはり今でも株の制度になつておるというのです。持株制度になつておる。従つてその持株の数によつて網元から原料が支給されて来る、それを今度高く売れば、それを逆算して原価が決定される、こういうような、制度として非常に封建的な古い制度でやつてるわけなんです。そういうことから水産加工業者は非常に困難しきつているわけなんです。ことにいわしがとれればいいけれども、いわしがとれない。従つてさんま等を買つて、手一ぱいどころか、逆に損をしている。それでも困つた場合には、冷凍魚までも買つて来て加工しなければならないという非常に困難な状態に追い込まれている。ところが税務署の方では、これを加工業者ではあるけれども、同時に物品販売業でもあるかのような考え方のもとに、取扱いの金額だけが出て来るものですから、かなり重い課税をされているからというので、水産加工業者の方からあなたの方の手元と衆参の大蔵両委員長の手元に陳情が来ているのです。これは今どうだというのではなくて、これに関してあなたの方で十分御調査を願つて、適正な課税にあらためてやつていただきたい、こういうことであります。
○平田説明員 今の問題につきましては、よく私どもも事実を調べて、御趣旨のように適正課税になるように努めたいと思います。
○久保田(鶴)委員 国税関係についてでありますが、その前に銀行局長にお伺いしたいのですけれども、時間の関係から、これはまた次回にまわしまして、きようは、この間の委員会で長官は、税務署の行き過ぎ等に対しまして、その点一応係員を派遣させて、十分調べさして行きたい、こういうことでありましたが、いかがであつたかということを伺いたいと思います。
○平田説明員 前回の国会で差押え方法その他のことにつきましていろいろ問題がございましたので、さつそく国会におきまする論議の要点は広報の形で各税務署にも伝えておきました。それから個別ケースは何しろ多数でございますので、徴収簿を調べて、手わけして、国会の御趣旨が通るように今いたしておりますが、適正な時期にまとめまして御報告申し上げたいと思います。
○久保田(鶴)委員 それから国税徴収法に基きましての二十四年、五年、六年なんかの税金でありますが、これを徴収猶予と申しますようなことをされておりました。四年、五年から比較いたしまして本年は非常に金詰まりで、御承知の通り納税者は困つておるわけであります。その当時ですらこれが徴収猶予されて、わずかの税金でございますが、これを各税務署では国税徴収法に基いて、ずつと調査というよりも葉書を一々出しまして呼びつけて、これを払えという請求をさせております。これは国税局だけの考え方でこれをやつておるのか、あるいは長官が全国の各国税局を通じてそれをやらしていらつしやるのか、その点伺いたいと思います。
○平田説明員 徴収につきましては、実は法律といたしましては、御指摘の昭和二十四、五年ごろの情勢に対処するための国税徴収法の規定が現在もずつとございます。従いまして私ども運用にあたりましては、一応やはり新しく納税義務の発生いたしましたものにつきましては、国税徴収法の普通の手続で徴収を確保するように努めなければならぬ、これは当然なことであります。滞納になりますと督促状を出しております。ところが最近情勢がずつとかわつて来ておりますので、個々の納税者の事情をよく調べて、ほんとうに気の毒な人には、法律だからというのであまり無理に一律なことはしないようにということで、現在の状況におきまする納税者の実際の納税資力、納付能力をあわせ調べまして、ほんとうに気の毒な人に対しましては分納なり猶予なりの措置もあわせ考えまして、妥当を期するという考えで指導しております。なお利子税その他につきましても、若干最近緩和さしておつたのも御承知の通りでございますが、そういう点総合して考えまして、ほんとうに困つた人にはそれに対応するような徴収のやり方をやろうというので、具体方法につきましてはなおまだ研究中の問題でもございますので、実情に合うようにいろいろやつて行きたいと思います。
○久保田(鶴)委員 これは大体四年、五年等の滞納に対しましては、五年を経過すれば、税法に基きまして、これは時効になつてしまうというようなことから、これを生かさなければならないというので、税務署の方では納税者に通知を出して、それをまた生かすための手段である、こう言つております。先ほど申し上げましたように、金融の行詰まり等によつて納税者は困つておるのですから、こういう古いやつは一応これは時効にしてしまつて、たな上げしてしまうというような方針をおとりになられたらどうかと思いますが、どうでございますか。
○平田説明員 今のようなことを一般的にいたしますと、実は会計検査院あるいは国会からむしろおしかりを受けるということにもなりますので、一般的にするわけには参らないと思いますが、ただほんとうに気の毒な人には、そのときの事情をよく調べまして、一応時効を中断いたしましても、そのときの状況で国税徴収法で認められております徴収猶予、執行停止その他の措置を講じまして、実情に合うように努力して行きたいと考えております。
○久保田(鶴)委員 それから今地方の財源が赤字で困つておるということとあわせて、入場税が国税に移管になりまして大分たつのでございますが、そういうことから、私は地方の財源等の関係から考えてみたいと思うのです。入場税が国税移管になりまして、その後の状況はどうであるかということを一応伺いたいと思います。
○平田説明員 入場税は法案審議のいきさつもいろいろございましたので、私も施行につきましてはみずから相当注意をいたしまして実は指導いたしております。基本的な考え方といたしましては、地方自治体はいろいろ適当なやり方をやつておるようでございますが、少くとも法律をまじめに実施に移すという、つまり法律通り徴収する、適当になれ合いや話合いで法律以下の線でやつてしまうということは絶対に避けたい、これを施行上の憲法にいたしております。ただその半面無料入場券、割引券、これがほんとうに無料であり、ほんとうに割引しているものにつきまして、そういうものに対して国税になるとえらい厳重にやられるのではないかという御心配があつたようでありますが、これは悪用されない限り、でき得るだけ実際に認めて行きまして、無理な課税はしない。それから施行にあたりましても、最初は業者に何回となく指導しろ、最初からいきなり摘発的態度で行くのは避けよう、よく徹底したところで、検査もさらに徹底させて適正課税をやつて行こう、こういう趣旨で、大まかに申しますと指導いたしております。その結果大体順調に行き得ると思いますが、まだしかし全国的に見ますと、緩急よろしきを得ないところもあるようでございますので、今後とも十分注意しまして、円満にしてかつ適正に行きますように努力いたして行きたいと思います。ただ全体の数字その他を申し上げますのはまだ早いと思いますので、あるいは一、二箇月たちましてから、様子によりまして御説明申し上げた方がいいのではないかと思います。
○久保田(鶴)委員 入場税等の問題につきまして、ある方面では非常に業者がもうけておるといわれております。そのことは、府県で入場税を管掌いたしておりました折は、大体その管内におきまして六人から七人の人がかかつていた。それが今国税になりまして大体二人、よほど大きなところで三人というようなことでございますので、非常にごまかしやすい。三級館などになりますと、たらいまわしといいましようか、二十回くらいもたらいまわしするために、黒くなつている。入場券を窓口で買いまして、改札で半分返さなければならない、それを取られては困るので、宣伝ビラとマッチをつけて渡す。そうするとマッチをもらつた方がいいので、半分もらわないで入つてしまう。それで古くなつておるという話を聞くんですが、特に三流館などになりますと、妹とか弟とか家内とかを窓口とか切符売場に置いてやつておりますから、ばれる憂いがないというようなことから、この問題は今まで県でやつておるより、国税になつて楽である。だから国税になつてから入る金額がどうなつておるかという点が、私が伺つた根本問題であります。その点を一応伺いたい。
○平田説明員 今御質問のたらいまわしということは、私ども注意して監督しておるのでございまして、そういう方法でやるのが一番多いようでございます。十分注意して取締り等も行うようにということでいたしております。なお地方税時代に比べますと、実は課税標準がうんとふえまして、ある県のごときは三倍ぐらいになつておりまして、県によつて大分でこぼこのようでございます。府県税時代に比べますと、国税に移りましてから、適正課税には進んでおると思つております。しかし御指摘のような点がまだ相当見受けられますので、今後やはり指導と取締りと両方うまくやりまして、適正化を期したい。人員がなかなか少いのでございますが、ほかの税に従事しておる連中も臨時に振り向ける等の措置もいたしまして、できるだけ御指摘のようなことに対して取締りをいたしまして、適正課税をしたいと思つております。
○春日委員 最初に主税局にお伺いをいたしますが、金銭の寄付や贈与をする者に対する課税はいかに行われるのでしようか。それから寄付を受けたり贈与を受けたりするものに対する税金はいかに課税されるものであるか。それから政治資金規正法によつて行われる金銭授受に対して、寄付者の側に対して、あるいは贈与する側に対して税金はいかにかけられるのですか。これは税制の制度の上からひとつ……。
○白石説明員 一般的に贈与または寄付が行われました場合におきましては、受けた方とやつた方につきまして課税関係が起るわけであります。個人が個人に贈与いたしました場合におきましては、受けた方につきましては贈与税の問題が発生いたします。贈与した方につきましては、贈与の額は所得税法上必要経費とは考えられませんので、従いましていわば税金を払つた金を贈与したもの、かように考えられるわけであります。それから法人が個人に対しまして贈与した場合におきましては、法人の方につきましては寄付金として取扱いまして、一定の限度までは指金に算入されます。限度を越えれば法人税の課税所得として考えられます。それから受けた方につきましては、一時所得として考えられます。従いまして所得税の問題が起つて来るわけであります。 今申しましたのは、一般的な問題でありますが、次に公職選挙法に関しまして金銭の授受が行われるという場合におきましては、特別の非課税規定があります。所得税法におきましては、第六条の十三号に「公職選挙法の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与に因り取得した金銭、物品又はその他の財産上の利益で同法第百八十九条の規定による報告がなされたもの」これにつきましては非課税にするという規定がありますので、かような報告がなされておれば、課税関係は発生しないことになります。贈与税に関しましても、まつたく同一の趣旨の規定が相続税法の中になされておりまするので、同じように非課税の取扱いになるわけであります。
○春日委員 それでは政治資金規正法あるいは公職選挙法によつて寄付を受けた団体の責任者が、法律に違反をしてその届出の責任を怠つておつた場合に、税法は法律に違反をして金銭を取得していたのに対して、課税するかしないか、する場合はどういうぐあいにするか、それをちよつとお伺いいたしたい。
○白石説明員 政党の責任者が一定の寄付を受けて、そうして所定の法律の命ずる報告をなしていない場合におきまして、どういう課税関係が起るかということでありますが、この場合におきましては、先ほど私の申しましたのは、個人が贈与を受けた、つまり個人に一種の所得の発生があつたと考えられる場合において申し上げたわけでございますが、ただいまのお尋ねの件のような場合におきましては、これが個人の所得とただちになるものかどうかというところにまず問題があるわけでありまして、もし個人の所得にならないものと考えられる場合におきましては、先ほどのような問題はまた別の問題になるかと考えるわけであります。従いましてお尋ねの件のようなときには、それは政党としての献金を受けた場合なのか、あるいは個人としてその献金を受けたものなのか、そのあたりの事実関係が明らかにならなければならないだろうと思うのであります。もし個人としてその金銭の授受を受けたものでありますれば、先ほど申した通りの関係になると考えております。
○春日委員 私はその点を伺つておるのでありますが、たとえば法律に規定した通りに届出を行つておれば、それぞれの法律の保護を受けられる。あるいは公職選挙法による金銭の授受、あるいは政治資金規正法によるところの金銭授受としての免税の法律の保護が受けられるであろうと思うが、法律に規定した届出を行つていない場合においては、その金が政党に使われておれば、政党資金としてのその免税の保護を受けられるものであるかどうか、この点を伺つておるわけであります。
○白石説明員 公職選挙法の規定につきましては、これは個人が明瞭にその寄付を受けたということが明らかな場合におきまして、適用があるわけであります。従いまして個人として受けておるか、あるいは政党として受けておるかという事実関係は、別個の問題として存在するのではないかと考えております。従いましてその事実関係が、政党の責任者がその寄付を受けた場合において、届出がなされていないという場合におきましても、これは政党として受けておつて、個人として受けておるものでないという場合におきましては、また別個の問題になるのではなかろうか、かように考えるわけであります。
○春日委員 別個の場合というのはどういうふうになりますか。 〔内藤委員長代理退席、久保田(鶴)委員長代理着席〕
○白石説明員 政党として受けておれば、これをただちに個人の所得、あるいは個人が贈与を受けたものとして課税するということにはならないだろうと思います。
○春日委員 だろうではいけない。それでは質問を先に進めまして、国税庁長官にお伺いをいたしたいのでありますが、この九月六日の衆議院決算委員会において、改進党の村瀬君の質問に対して、佐藤検事総長が次のごとく答えております。すなわち記録によつて申し上げるが、リベートとして会社から受取つたものから政界に流れた分は、すでに刑事事件として取扱つた総額は約二億六千七百万円であると述べておるのであります。従つて船会社から受取つたリベートにして刑事事件としてまだ検察庁が取上げていないもの、あるいは刑事事件にならなかつたもの、これは収賄汚職関係になりましようが、それからまた政官界に関係のないもの、これをこの二億六千七百万円に加算をいたしますと、相当の金額に上るのではないかと思うのでございます。そこで国税庁は、これらの金銭の授受がそれぞれ当事者によつて、税法しただいま主税局が述べられたように適法に申告されておつたかどうか、これは当然調査されておることであると思うのでありますが、その経過並びにてんまつ、もし調査されていないならばその理由、これを伺いたいと思います。
○平田説明員 お説のような点につきましては、私ども事件の発生以来実は相当注意をいたしておるわけでございまして、まず事実の調査をするということが第一段に必要でございます。ただあのような事態になりましたので、こちらがすべて積極的にやるのはどうかと思いまして、検察庁におきまする調査の経過、結果等をよく見まして、それに基きましてこちらといたしましても適正な課税をして行きたいという方針で、ずつと臨んで来ているわけでございます。現在におきましても若干調査中のものもございます。なお今後調査しなければならないものが相当多いようでございます。全部事実を私どもの手元でできる限りにおきまして明らかにいたしまして、それに税法を適正に当てはめまして、あくまでも適正に課税するということと、調査の方法も常識的な方法を用いまして、納税者が納得するような方法で課税して行くということで今後も進めて参りたいと考えております。
○春日委員 税法と刑法とは全然別個の法律であることは申し上げるまでもありません。従いまして、徴税行政は独自の立場において独自の執行をしていただかなければ困るのでありまして、たとえば裁判所においてその判決を待つて云々というようなことでは私は困ると思うのであります。もしそれそのような方針がすべての納税者に対して行われるというようなことでありまするならば、これは徴税の執行というものは全然できなくなるのでございまして、法律はこの税法によつて、徴税官に対してそれぞれの執行の権利を付与いたしておるのでございます。しかるに本日までこの問題について格別の処理がなされていないような御答弁でありましたけれども、裁判所の判決の結果というものは二年、三年の将来にわたるでありましようけれども、これは全然別個の問題であり、中には刑法に触れるものもあるし、全然触れないものもありましようし、裁判の進行とか検察庁の調査とかいうことは税法の執行に何の関係もない問題であると思うのでございます。しかるにこの問題に対する執行がなお等閑に付せられているということは、一体どうしたことでありましようか。この点御答弁願いたい。
○平田説明員 先ほど申し上げましたように、決して等閑に付しているわけではございません。 それから御指摘のように裁判の確定するまで待つといつたような、そんな考えも持つておりません。ただ実際調べます場合におきましても、帳簿、書類等におきましても、同じものを調べるといつたような関係もございまして、両方競合して同時にやるとい多ことができない場合もございます。こちらが先に調べるという場合もあるかと思います。場合によりましたらそういう事情もございますので、できるだけ事実関係を明らかにする一番いい方法、常識的な方法は何かということを考えまして、私ども先ほど申し上げましたように、もつぱら適正課税という見地からあくまでもはつきりいたしたいと考えておる次第でございます。
○春日委員 国税徴収法でありますが、脱税者に対しては、告発権がその徴税官吏は付与されておると思うのでありまして、これは現在決算委員会において問題となつております事柄とは、全然別個の事柄であるのでございます。調査権はあなた方の方が独自にこれを発揮して、法律によつて規定された執行を当然する義務があるのでございまして、ただいまの状態では、私はその職責が懈怠されておるのではないかと心配されるわけでございます。このようなことでは相ならぬのであります。なおかつ具体的にお伺いいたしますが、これはもう明らかになつております。これはすなわち決算委員会において、公開の席においてあるいは国会議員が述べ、あるいは馬場検事正が述べ、佐藤検事総長が述べておりますが、次の問題についてどういう執行がなされておるかお伺いをいたします。たとえば池田勇人氏に対しましては、これは決算委員会におきまして猪俣浩三君が指摘いたしておりますが、すなわち俣野飯野海運社長から百万円のギフト・チエツクを贈られた。これに対する譲与税あるいは一時所得の税金はいかに追究されておるか。それから西郷吉之助氏が五百万円を日立造船の松原社長から受取つた、そしてそれを池田勇人氏に渡したか渡さなかつたか不明でありますが、受取つたということは明らかにされておるのであります。この五百万円を西郷氏が収得した関係において、これを支出した側に対する課税がいかに行われたか、もらつた西郷氏はいかなる課税を受けたのであるか、その点をひとつ伺いたいのであります。それからもう一つは同様池田さんの問題でありますが、山下汽船から関東電気工事の所氏を通じて、池田氏に二百万円の献金が行われておるというのですが、山下汽船に対する課税、それから受取つたという池田勇人氏に対する個人所得に対する課税はどのように行われておるのであるか、この機会にお示しを願いたい。
○平田説明員 個々の納税者の具体的な点につきましては、先ほど申しましたように、調査のつく分は今調査いたしておりますが、まだ調査のついていない分もございますので、すべて事実がはつきりいたしまして、結論が出た上で、必要に応じまして御説明申し上げたいと存ずる次第であります。本日は御説明を差控えたいと存じます。
○春日委員 それでは検察庁の調査の完了いたしております明瞭な事柄についてお伺いをいたしたいと思うのであります。これはやはり同様九月六日の決算委員会の佐藤検事総長の言明によりますと、佐藤栄作氏に対しまして、これは個人的な収得であると思いますが、収賄事犯として国会に対し逮捕許諾の出ております被疑事実であります。船主協会から一千万円、俣野氏から二百万円佐藤氏に対して贈られた。これは少くとも検察庁が責任をもつて調査をし、調査が完了し、その被疑事実によつて、これが国会に対し逮捕許諾の請求となつております。すでにこの問題は三箇月を経過しておりますが、これに対する収得の所得関係の税金はどういうふうに追究されておりますか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○平田説明員 ただいまの問題も非常に具体的の問題でありますし、もちろん私ども十分関心を持つておるわけでございますが、本日御説明するのは差控えさせていただきたいと思います。もちろん私どもは、先ほどから申しましたように事実をできるだけ明らかにいたしまして、それに適正に法律を適用いたしまして、適正課税は期する考えでございます。
○春日委員 それはお答えを願わないと困るのであります。少くとも課税の問題は、これは職務上の秘密事項にならないと思うのでありまして、現実にたれにどのような課税が行われたということは、随時国税庁において発表せられておる事柄でございます。すなわち所得のあるところに課税するという大原則が、当然執行者によつて守られなければならない事柄であるのでありまて、裁判所法あるいは検察庁法その他の法律によつて規定いたしております公務員の職務に関する秘密事項とは違うのでありますから、当然課税が行われたならば行われた、あるいは現在行うべくそれぞれ執行を進めておるなら進めておる、調査の結果課税の必要がないものならば必要がなかつたと、ありのままに御答弁を願わなければ困ると思うのでありまして、少くともこの佐藤榮作氏に対する逮捕許諾の被疑事実のある千二百万円に対してどういう執行をなされたのであるか。これは三箇月、四箇月を経過いたしておりますので、この際責任を持つて御答弁を願わなければならないと思うのであります。
○平田説明員 もちろん私ども調査が進み、結論が出ました後におきまして、もしも何か特に支障がないということでございますれば、御説明申し上げてもいいと思いますが、今はそういう問題について調査の途中でございますので、本日ここで申し上げますのは差控えさせていただきたいと思います。
○春日委員 それではもう一つお伺いをいたしたいと思うのでありますが、所得を捕捉してこれに課税をすることのために、いろいろな現象をとらえて税務署の追究が行われておるのでございまして、これは徴税官がその職務執行の上においてこれを当然なさなければならない事柄の一つであろうと思うのでありますが、そこでお伺いしたいことは、吉田総理大臣、これはやはり九月六日、七日の決算委員会で明らかになつた事柄でありますが、この人は、船主協会から一千万円献金されたうち、その中の六百万円が吉田総理に流れた、はたしてそのような金がいろいろな方向から流れて参つたのでございましようか。吉田総理は、大磯の別邸において何か三千万円ないしは五千万円という豪奢な大建築を行つておる。これは、吉田さんは別に事業会社、営利会社に関係はないと思われるので、またあつたといたしましても、そういう所得が一体どこからもたらされたものであるか、そういう収入源を捕捉されるということは、他の一般業者が大建築をすれば、こんな金がどこから出て来たか税務署で調べると同じように、吉田総理は現実に大建築をいたしておるのでありますから、この現実の具象をとらえて、その所得源を捕捉することのために当然の執行が行われなければならない。わけて権威ある国会の決算委員会において、こういう六百万円の金が吉田氏に流れておると思うがどうかという追求がそれぞれの証拠をあけて述べられておるのでございますから、吉田総理のこの所得に対する課税の追究がどのように行われたものであるか、この点をちよつと伺つておきたいと思う、片手落ちになつては相ならぬと思います。
○平田説明員 私ども適正な課税をするという見地からは、何人といえども公平に扱う考えでございますが、今御指摘の問題につきましては、先ほどから申し上げましたと同じお答えを申し上げるよりほかにないのでありまして、調べがついて結末がついた上で、必要に応じまして御報告申し上げたいと思います。
○春日委員 そういたしますと、事件が発端いたしましてからすでに数箇月を経過いたしておりますが、この間国税庁においては、関係当事者について何ら調査が——調べておるかもしれませんが、そのような長時日を経てなおかつ結論が出ていないということについては、国民は大きな疑感を抱かざるを得ないのでありまして、私どもはまことに了解いたしかねる執行であるのであります。 それではもう一つお伺いをいたします。これはずつと以前のことでありますから、これについてはもう御調査が完了しておると思います。それならば保全経済会、これは衆議院の行政監察委員会において明らかにされた事柄でありますが、これについて、たとえば伊藤斗福君から昭和二十七年の九月三日に広川弘禅氏に対して三千万円、それから大麻、重光両君に対して九月二日に二千万円、九月五日に鳩山、三木両君に対して一千万円、こういうような献金が行われておるのでありますが、これは政治資金規正法その他公職選挙法による届出がいずれも行われておりません。この問題について税法上いかなる追究を行つたのであるか、この執行の結末をひとつお伺いをいたしたい。 それからもう一つ小さい問題でありますが、平野、早稻田、松本信次、こういうような諸君がそれぞれ顧問料をもらつておつたということも、これは証言によつて明らかになつておるのでございます。こういうものに対して、やはりその所得課税というものがなされたのであるか、あるいはこういうものは等閑に付せられておるのであるか、この点はただいまの御答弁のごとく調査中とは思いませんので、その結論のあるところ、調査の結果について御答弁を願いたいと思うのであります。
○平田説明員 保全経済会その他の課税問題につきましては、国会でも非常に問題がありましたので、私どもも調査した範囲内におきましては、それぞれ適正な課税をいたしております。 なお保全経済会自体の性格その他につきまして若干問題がありまして、解釈をどうするか、若干未決の問題がありますが、それぞれ法律に従いまして執行いたしております。 問題の今御指摘のような問題は、これは私どものところでわかつたというのではなくて、検察庁の調査によつてそういうことが出ているのでありまして、従いましてそういう問題は、検察庁から資料をいただいて、それに基きまして適正な課税をして行くということに行かざるを得ない、従いましてそういう点につきましても、もちろん私どもいろいろ連絡いたしまして整理いたしておりますが、現在のところまだ結論を下す段階に至つておりません。今後よく連絡いたしまして、適正課税に努める考えでございます。
○春日委員 私はこの問題は非常に深刻な問題であり、国民の重大関心事がここにつながつている問題でございますので、これは明らかにこの税法の各条章に照して、これが厳正に執行されなければならぬと思うのでございます。しかしながらすでに古い二年前のこういうような問題についても、今長官から明確な御答弁を得ることができません。私はここにいろいろな資料を持ち、さらにこの問題を国民の前に明らかにするために、いろいろと御答弁を願わなければなりませんが、しかし時間もかくのごとく二時でありますから、一応私の質問はこれで留保いたしまして、願わくば私は明日冒頭からこの問題についての継続質問をいたしまして、この問題を明らかにいたしたいと考えます。本日はすでに午後の二時になつておりますし、昼食もいたしていませんから、一応質問を留保いたしまして、明日継続質問をいたすことにいたします。
○平田説明員 ちよつと私希望を申し上げさしていただきたいのですが、具体的な問題になりますと、私どももお答えするのについて相当事実関係の整理を要しますし、それがはたして先ほどから申し上げましたように、調査の途中において御説明申し上げた方がいいか、これは問題が非常にございます。従いまして明日お話願いましても、今御指摘になつたような一連の事項については、本日以上につけ加えて申し上げることはちよつとむずかしいと思いますので、もう少し時日のたつた後にお願いしたいと思います。
○春日委員 それは全部が時効にかかつてしまつて、税金として捕捉することができなくなるくらいの時日ということも考えられますので、たいへん時間を延ばすということは私は危険であろうと思います。のみならず国民の疑惑がここに集中をいたしております。別途これが収賄となるか涜職となるか、いろいろな問題が他の委員会で論議されておりますけれども、われわれはこのような厖大な金額の授受に対して、すべて当事者たちが高位大官でありますがために、国税庁がはたしてその執行を公平に行つておるか、法律の前に国民ははたして平等であるか不平等であるか、この問題も明らかにしなければならぬと思うのであります。しかしながらあなたがこれ以上答弁をすることができないということであれば、われわれも質問の意義をなさないことでございますから、この問題の取扱いについては明朝の理事会にお諮りをいたしまして、その結果継続質問をするということになりますれば、遺憾ながらもう一ぺん明日御出頭願うことといたします。ただいま御希望がございましたが、その取扱いは明日の理事会にお諮り願うことを希望いたしまして、いずれにしても強く要望申し上げておきますことは、現在零細な業者たちが国税庁、税務関係官庁によつてどのような所得の追究を受けているか。家宅捜査も行われ、脱税者は税法によつて告訴されておるのでございます。そういう執行がこれらの諸君に対して、これまた公正に行われることや言をまたないところでございます。従いまして、当然あなた方がこの法律の定めるところによつて執行されることを強く要望いたしまして、あとの質問は理事会の結果にまつてさらに処理をいたすことにいたしたいと思います。私の質問はこれで終ります。
○平田説明員 私からも重ねて申し上げますが、私どもも今のお話のような点は十分考えているわけでございまして、あくまでも適正な課税をするという見地から、この問題を今後も公正に扱つて行くということを重ねてここではつきり言明いたしておきます。
○久保田(鶴)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明十一日午前十時より開会するごとにいたします。これにて散会いたします。 午後一時五十九分散会