大蔵委員会 第67号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/07/13
会議録
○千葉委員長 これより会議を開きます。 税制に関する件、金融に関する件、補助金等の予算執行の適正化に関する件、国有財産の管理状況に関する件の四件を一括議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許します。平岡忠次郎君。
○平岡委員 本日の議題の一つたる金融に関する件に関連しまして、私は大蔵省東条為替局長にお伺いしたいのであります。 実は日米石綿社なる会社が設立が企図されまして、通産省は技術及び外資導入を大体許そうというような腹で、これに対しまして、聞くところによりますと大蔵省も一応これに同調して、外資審議会で過去四回これが検討を行つたそうでありますが、この検討の結果についてひとつ御報告をいただきたいのであります。特に外資審議会は、現在のところこの問題を否決したのであるか、それとも保留しておるのであるかを明確にされたいのであります。
○東条説明員 ただいまのいわゆる日米石綿関係の外資導入に関する件でございますが、お話の通りに、外資審議会でもたしか四回くらい審議を願つたわけであります。これはなかなかむずかしい問題でございまして、いわゆる外資法に基きます認可の基準といたしましては、重要産業の技術の向上に資しまするとか、あるいは国際収支の改善に役立つとか、さような条件が満たされました場合に、外資法の認可が受けられるという法律の建前になつておるわけでございます。この件が外資法の認可を受けるとすれば、はたしてどういう観点から認可の値打があるかという点でございますが、この日米石綿のいわゆるフレキシブル・ボードの技術が重要産業の技術ということに当るかどうか、この点はいささか疑義があろうかと思います。従いまして認可するかどうかということは、主としてこの技術の導入が国際収支の改善に寄与するかどうかという点が、判断の基準になつて参ろうかと存ずるわけであります。そこで日本にも従来御承知の通りに、いわゆる石綿工業は相当ございまして、この際この技術を導入しても著しく国際収支の改善に寄与するということはないのではなかろうか。また従来日本にありますところの中小企業の保護と申しますか、育成と申しますか、そういう観点からも、よほどこの技術導入は考えものでなかろうかという考え方が一方にあるわけでございます。他方におきましては、やはり米国の相当進んだ技術でありますので、これを入れますと、主として東南アジア方面にフレキシブル・ボードの輸出の見込みがある。従つてこの際多少国内産業に与える影響はありましても、大局的な観点から踏み切つて、やはり技術導入をして国際収支の改善をはかるべきであろうという見方が一方にあるわけでありまして、この両方の考え方、いずれが正しいか、あるいはいずれをよしとするか、過去四回の外資審議会においていろいろ実は検討を重ねられたのでありますが、ただいままでの外資審議会の審議の模様は、まだこの点について、ぜひこれは技術導入をすべきである、それによつて国際収支の改善がもたらされるということにつきましての結論に到達しておりません。そこで審議会といたしましては、いまだ保留になつておりまして、もう少しいろいろの観点から、ほんとうに国際収支の改善になるかどうかということを検討すべきであるということで、各委員から、もう少し政府側でデータをそろえる必要があるという意味合いにおきまして、本件はそのまま保留になつております。従いまして外資法の建前上、政府といたしましては、外資審議会のいろいろ審議なりその結果というものを尊重いたさねばならぬことになつておりますので、政府自体といたしましても、本件を認可するか、あるいはまた認可しないかという点は保留になつております。かような次第でございます。
○平岡委員 その保留が大体否定的な結論が出るということを予想しての保留でなしに、何とかこれを肯定的な結論を出したいという意味で、多少そうした意図のもとに保留されているきらいがあるように仄聞しておるのであります。これは仄聞でございますから、そのことが正しいか、妥当であるかどうかはわかりませんが、しかし石綿工業などというものは、先進国の技術を入れるというほどむずかしい問題ではないわけです。大体石綿の質さえよければ、石綿は大体カナダのケベック州でできるはずです。戦前でも日本にじやんじやん入つて来ておつたのでありますが、戦時中これがとだえましたために、毛足の短かい石綿を使つて、日本でできる戦時中の石綿というものは、品質がうんと低下したのであります。しかしこれは日本の技術が悪いとかなんとかいうのではなしに、原料石綿の輸入がとだえただけなんであります。従いまして、もともとセメントに大体石綿をまぜて、これを圧縮してかわかすだけのことなので、特に今まねのできないものでないものを、そういう高級な技術を日本に導入するとか、そういうふうな理由はこの工業に関する限りないように私思います。私たまたまスレート工業にタッチしたことがあるので、よく知つておるのです。ですから、大蔵省あるいは通産省が尾ひれをつけて言うほどの技術的な一つの劣等性がわが国のスレート工業にあつて、どうしてもアメリカのジヨンス・マンヴイルですか、その技術を導入しなければならぬというようなことは、どうも納得できないのです。今の東条局長のお話でも、技術の点では大した優劣がないようなお話で、ただ国際収支の問題が、当面の審議会の審議の中核をなすべきであるやにお伺いしたのですけれども、この国際収支の問題も、このジヨンス・マンヴイルの機械施設を入れ、技術を入れたために、コストを著しく下げて、アジア市場において、あるいは東南アジアの市場におきまして何とか日本の国際収支に貢献し得るだろうというようなことは、雲をつかむような話で、とてもそうした理由も薄弱であろうと思うのです。こういうことを考えますと、この関連産業がずいぶんあります。直接に石綿工業、スレート工業をやつておる会社が二十五社、三十八工場、それから関連の工場、企業というものは百以上になるわけです。そこで日米石綿社設立反対同盟というものが、この直接スレート工業の会社の従業員を中心としまして、関連産業の労働組合が百十七加わり、なおこれに総評その他友誼団体三十が加わりまして設立反対同盟をつくつて、政府筋に対しまして抗議をいたしておるので、この点は東条さん自身も反対陳情をお受けのことと思うのですが、この反対を押し切つてまで技術導入、外資導入を強行する理由というものがどうも明確でないのでありまして、この反対を押し切つてまでこれをやらなければならぬ理由が他にあるとするならば、御明示いただきたいのでございます。
○東条説明員 先ほどあるいは申し上げ方がちよつと足りなかつたかと存じますが、この石綿工業が外資法にいわゆる重要産業であるかどうかということは、相当問題があろう。従つて外資法の建前では、国際収支の改善に寄与するかどうかという観点から判断すべきであろうというので、外資審議会で審議中であるということを申し上げたのでありますが、しからば重要産業であるかどうかという問題を離れまして、いわゆるジヨンス・マンヴイルの技術と日本の在来の技術の優劣性の問題につきましては、主務官庁でありますところの通産省の方でいろいろ慎重に検討いたしまして、お耳に入つておると思いますが、東京工業試験所でこれは相当綿密な実験、調査、試験をやつてみたのであります。それで平岡委員のお話のように、この優劣性はいろいろの要素があるそうでありまして、はつきりもう問題にならぬほど技術が進んでいるというところまでの判定は出ておりませんが、私ども通産省のそういう専門家から聞いたところによりますと、いろいろの角度から見まして、やはりジヨンス・マンヴイルの製品にいわば一日の長があるということだけは事実だというのが、通産省あるいはその試験の衝に当りました東京工業試験所の判定の結果になつておると存じております。従いまして大蔵省といたしましては、技術の優劣性の問題につきましては、通産省のそういう判断に従いまして、米国の技術の方がいわば一日の長があるというふうに考えておる次第でございます。 それから東南アジア方面に対する輸出がはつきりした話じやないじやないかという点でありまするが、その点が実は外資審議会で問題になつております非常な重点でありますが、ジヨンス・マンヴイルの方では、もし今回の技術提携が外資法の認可を受けるならば、ある意味において輸出の保障はしてよろしい、もし輸出が思うように伸びないならば、ある程度自社で、米国で買い取つてもよろしいというような気持があるようであります。この点ははつきりそこまで明確に引受けるという書面による意思表示までは来ておりませんが、もし日本政府で国際収支の改善ということが非常に重点であつて、そういう条件付でなければ認可しないということならば考慮してもよろしいというような考え方があるようであります。しかしこれは先ほども申し上げましたように、外資審議会でまだ保留中で結論を出しておりませず、従つて政府としても結論を出しておりませんので、そういう条件をのむかのまぬかということまでもまだジヨンス・マンヴイルに当るべき段階ではもちろんありませんので、その意味におきましては、まだはつきりいたしておりませんが、そういうような意味合いにおきまして、東南アジア方面への輸出ということにつきましても、全然見込みがないというふうには考えがたい面がある、さような事情もある次第であります。そういうようなことでございまして、なお本件は先ほどお話のように、石綿工業側のいろいろの陳情あるいは実情のお申出もありますので、外資審議会ももう少し十分検討しようということで保留になつておるのが実情でございます。
○平岡委員 たとえば写真機の感光板とかは微妙な点でコダックに対して日本の製品が劣るとか、こういうような点は、技術の問題がかなりあると思うのです。しかしもともとこんなふうなものです。大体波型スレートというのは屋根にする、あるいはこれを下見に張るとか、大体こんな程度のものの優劣もへちまもないと思う。多少一日の長があろうとも、これをもつて今の外資導入をし、しかも国内の関連産業を圧迫するというような結果を招来する憂いのあることをあえて強行する理由はないと思う。大体外資審議会でこんな問題をまごまごやつておるというのがおかしいように思うのです。今の輸出の問題とかなんとかいうようなことでも、そのけはいありという、そんなことが理由で、今まで外資審議会がその権限を行使したというふうな例はおそらくないと思う。何かその理由を見つけてやつておるというふうな、相当無理なけはいがそれこそ横溢しておるように思う。こういうふうな点はあつさり否決してしまつたらいいと思うのです。そうでなくても、日本の産業の進展のためにもつと重要な技術導入の場面がたくさんあろうと思うのです。こんな石綿工業の粗筆的な原始産業です。こんな問題まで、しかも外資そのものとして導入する計画は非常に少いのです。少いからいいだろうというのではなしに、こんなくだらぬところまで日本の産業の今の劣等感をまる出しにするというのは、政府当局の識見というものに対してわれわれは疑念なきを得ないのです。こんなものを今何回も外資審議会の方で検討の対象にしておるということはおかしいように思うのです。こういう点をほんとうにとらわれることなしに明断をもつて結末をつける、こういうことにぜひとも局長は推進していただきたいと、私希望を申し上げておきます。 〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕
○内藤委員長代理 井上良二君。
○井上委員 私この際二十九年度災害の対策について政府の方針を伺いたいのでありますが、まず最初に、四月下旬に東北に凍霜害が発生をし、さらに五月上旬にはひよう害が起り、北海道に暴風雨があり、さらに下旬に再び東北地方に凍害、また六月に入つて青森、岩手を中心とする凍害が発生し、一方西日本では六月の降雨期に入つて豪雨災害が相次いで発生をしており、また七月に入りましても非常な豪雨が地域的にございまして、河川、林野、農地、農業施設等の被害が増大をしており、特に最近東北地方は何十年ぶりという低温のため冷害の発生を見ております。これらの災害に対しまして、政府は一体いかなる対策を立てようとしておるかという問題でありますが、その前に今日まで起つて参りましたこれらの災害に対して、現実に建設省所管及び農林省所管等において、一体どのくらいの災害が今日まで政府に具体的に報告され、これに対していかなる対策をお立てになつて来たか、この点を両省の関係者において御説明をいただきたい。
○石破説明員 建設省所管の二十九年度災害の状況につきまして御説明申し上げます。お手元に印刷物を差上げてありますので、大体それによりまして御説明申し上げます。 まず第一に発生災害の概況でございますが、そこにも書いてあります通り、第一のグループに入るものといたしましては、冬季に主として北日本の方に被害をもたらしますところのいわゆる冬季風浪、融雪、こういうものに基く災害、さらに北海道に起りましたところの暴風雨及び雪によります被害、これらのものを一括しまして、大体五月末までの分をまとめております。その次には六月初旬の不連続線による豪雨を原因とする災害、第三番目には六月下旬の災害、これは梅雨前線に基くものであります。第四番目には七月上旬のやはり梅雨前線の移動による豪雨に基く災害、こういうふうに事務的に四つに区分しているのであります。 その次にその被害の概況を申し上げます。御承知の通り建設省で所管しておりますものは、いわゆる土木災害で、土木災害のうち港湾、漁港、これらのもはほかの省で所管いたしているのでありますが、私の方はいわゆる土木災害と住宅の災害、それから法律はありませんけれども、都市内の諸施設のいろいろの被害、この三つを所管しているのでございまして、これらにわけまして順次御説明申し上げます。 ます第一に一番大きい土木災害の状況を申し上げます。この資料によりますと、表紙を入れまして四枚目からごらん願いたいと思いますが、五月末までの災害というのが一つ出ております。これは主として北海道を初め北の方に多いいわゆる冬季風浪でありますが、これらの被害総額が二十七億五千八百万円、それからその次には六月上旬の災害が七億五千五百万円、その次に一枚表をめくつていただきまして、六月下旬の災害が五十九億五千八百万円、七月以降現在までの被害が三十四億四千七百万円、次の表におきましてこれを合計いたしました被害の総額は、一番下に載つております通り百二十九億一千九百万円、昨年の被害と比較する意味をもちましてその右の欄に昨年七月十二日までの合計額が出ておりますが、これが四百十二億五千三百万円、かように相なつたわけであります。 土木被害概況は以上の通りでございまして、一応金額も出ておりますが、お断りするまでもなく、これは各都道府県からの被害の報告でありまして、早々の間でございますので、府県それ自体もまだ十分被害の実態を調査するひまのないものも相当あろうと思いますし、さらに建設省におきまして一部査定はいたしておりますが、まだその査定の結果で補正しておるわけではありませんので、今後実地査定をいたしますれば、被害金額に相当の動きがあるであろう、かように考えております。 なお過去の査定の歩どまりといいますか、報告額と査定額との歩どまりは、大体八割くらいではないか、過去はそういうことでございますから、あるいは今度の災害についてもそういうことになるのじやなかろうかと考えております。 その次に一枚飛びまして、北海道と西日本とわけて資料を作成するようにという御注文でありましたので、表をつくつております。西日本と申しますのは、三重県、滋賀県から西をもつて一応西日本といたしておりますが、それと北海道、これを合計いたしますと、二番目のそれからもう一枚飛んだところに出ておりますが、これらの地域につきましては、先ほど全国の分を御説明いたしたのとすべてダブつて同一のものでありまして、それを抜き出しただけでございます。以上が土木災害の概況でございます。 なお先ほど申し上げました通り、法律に基かないいわゆる都市災害というものを所管しておるのでございますが、その次に二十九年発生の都市災害の被害額調べというものをまとめております。総額にしまして七千三百九十万円、これは都市内の排水路でありますとか、道路になつておらぬところの街路でありますとか、そういうものの被害であります。これは従来は二分の一の予算上の補助をいたす建前になつておつたものであります。 その次に、最後の表、住宅の災害をごらん願いたいと思います。これは実は西日本だけの住宅被害を出しておるのでありますが、これによりますと、滅失戸数だけを見てみますと二百三十戸ということに相なつております。なお住宅につきましては、全国的に申しますと、このほかに実は五月の九日から十日にかけまして北海道の暴風雨雪による被害が住宅は相当大きかつたのでありまして、これは約千戸近くの滅失の被害報告が参つております。西日本の分につきましては、総体としても二百二十戸でありますし、法律上も、おそらく公営住宅法によつて特別の災害復旧をするという規定に該当する分はほとんどなかろうと予想いたしております。北海道につきましては約千戸近くの滅失があつたわけでありまして、これは公営住宅法によつて適当な災害復旧をすべく、目下大蔵省に予備費支出の要求をいたしております。大体以上であります。 なお府県別被害の程度その他につきましては御説明を省略させていただきまして、資料によつてごらん願いたいと思います。
○奥田説明員 二十九年度発生いたしました災害による被害の状況を御説明申し上げます。お配りいたしました資料、二十九年度発生災害の七月上旬までの復旧額(見込分)としてある資料に基きまして御説明申し上げます。以下御説明申し上げますのは、農地とかその他の施設の被害額でありまして、農作物の被害につきましては、後に統計調査部長から御説明申し上げることにいたしたいと思います。二十九年度発生いたしました災害の七月上旬までのものを総括したものがお配りした資料でございますが、それによつて、ごらん願いたいと思います。 まず被害額から申し上げますと、農地の分といたしましては十七億八千九百万円余りになつております。農業用施設は六十四億九千六百万円、合計いたしまして、狭義の農地関係といたしまして八十二億八千六百万円余りになつております。入植施設は二億八千五百万円余り、漁港が二億八千八百万円余り、林道は三億六千万円余り、治山施設が二十三億二千万円余りになつておりまして、被害額の合計が百十五億四千万円余りになつておるわけであります。 それから復旧の見込みは大体被害額の七五%を見ております。そこで被害額に七五%をかけました数字が復旧額の欄に上つておりまして、農地の関係で十三億五千四百万円、農業用の施設といたしまして四十八億九千八百万円、合計いたしまして六十二億五千三百万円になつておるわけでございます。以下同様にいたしまして入植施設が八百万円、漁港が二億三千万円、林道二億一千六百万円、治山施設が十七億二千万円、合計いたしまして八十九億二千九百万円になつております。これが復旧額の総計でございます。 その復旧額のうちまた六〇%ばかりを、これは緊急に復旧せねばならぬものといたしまして、緊急復旧額としてこの欄を設けてあります。これは本年度中にぜひ復旧をさせねばならぬものと考えておるわけであります。その緊急復旧額は、農地といたしまして十億一千八百万円、農業用施設といたしまして二十七億九千八百万円、合計いたしまして三十八億一千七百万円余りになつておるわけであります。以下同様に入植施設が八百万円、漁港が一億三千八百万円、林道六千五百万円、治山が六億八千八百万円、総計いたしまして四十七億一千七百万円が緊急復旧額でございます。 そのほかに特に応急工事をせねばならぬ額といたしまして、農地関係が五千六百万円でございます。入植施設はございません。漁港が千百万円、林道が六百万円、総計応急工事額は七千四百万円になつておるわけでございます。なお各時期別の数字もございますけれども、これは御質問に応じてお答え申し上げることにいたします。 一応総括の数字としては以上で説明を終わらせていただきたいと思います。
○野田説明員 作物関係の被害について御説明申し上げますが、凍霜害と氷害と水害と相次いで起つておりまして、これらのものの被害の総面積は六月の上旬までで二十三万町歩でございます。この被害額は約六十億と推定いたしております。なお六月の下旬及び七月の上旬にかけまして各地に豪雨が見舞いましたが、その被害面積は十七万町歩で、ございまして被害額といたしましては十二億、かように考えております。 これらのものにつきましての対策はいろいろな面から行われておりますけれども、直接農作物関係といたしましては、共済金の支払いの問題並びに営農資金の貸出しの問題が軌道に乗つております。そのほかに災害対策関係の補助金といたしまして大蔵省と話がついておりますもりな、北海道の風水書に対しまする苗しろの関係の経費と、それから凍霜害に対します病害虫防除器具の助成の関係、これらの点が話がついております。
○井上委員 かんじんの復旧対策については大蔵省の説明がありますか。
○森永説明員 今日までに災害対策として講じて参りました措置の概要を申し上げたいと思います。 まず前国会におきまして、政府提出の昭和二十九年五月の北海道東南海域暴風雨による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案におきまして八億五千万円を融資の限度とし、利子負担が六分五厘になるがごとく、漁業災害を受けました方々に対しまして、復旧資金の利子補給をする、もう一つは当該融資につきまして損失補償をする、こういう措置を講ぜられたのであります。こういうことで現在融資が進行いたしておる次第でございましてその利子補給に要する予算の問題、これは利払期の関係上また先に起つて来る問題でございますので、その予算の裏打ちの問題は今後の問題になつております。 もう一つの法律は、昭和二十九年四月における凍霜害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案、これは内閣提出でございますが、国会における審議の過程におきまして、四月及び五月というようなことに修正に相なりまして金額も政府提案におきましては三億五千万円でございましたが、その後約一億でございましたか、増額に相なりまして、凍霜害を受けました農家に対する営農資金につき、やはり同じような、利子負担が六分五厘になるがごとくする利子補給並びに損失補償の道を開いたわけでございます。これもこの法律に従いまして現実に融資が進められておるわけでございます。 このほかに現在までに予備費を支出いたしました金額でございますが、北海道の暴風雨対策といたしまして、運輸省所管におきまして千九百万円、これは港湾の災害復旧費でございます。それから農林省所管におきまして七千万円、この内訳は、北海道における開拓の入植施設の災害復旧費の補助が二千四百万円、同じく北海道における温床苗しろの施設費の補助が四千百万円、同じく北海道の漁田開発復旧事業費補助金が四百四十四万円合計七千万円と相なつております。北海道の災害は五月に起りましたので、すでに査定も完了し、こういう予備費の支出の処置を了しております。 その後の災害、特に大きな災害が起りましたのは六月の下旬から七月にかけてでございますが、その被害報告につきましては、ただいま農林省、建設省からも御報告がございました。多少食い違つておるかもしれませんが、私の方が入手いたしております被害報告は、もちろんこれは各県の生の報告でございますが、その総額は、農林省所管におきまして九十三億、運輸省所管におきまして五億四千万円、建設省所管におきまして百二十九億というようなことに相なつております。この中には先ほどの予備費の支出の措置を了しました北海道の分も入つております。合計が二百二十八億というようなことに相なつております。これらの今まで予備費支出の措置を講じましたもの以外の大部分につきましては、目下各省で調査ないしは一部査定を実施しておられるわけでございまして、それらの査定の進行状況と相まつて、大蔵省におきましても措置を講じて行くわけでございますが、とりあえず問題になりますのは、災害地の応急復旧の資金をどうするかという問題でございます。いわゆるつなぎ融資の問題でございます。昨年も大災害がございまして、それらのためにつなぎ融資年間百億あまりを出したのでございます。今年の災害は昨年よりもはるかに小規模ではございますが、やはり応急の復旧を要するような箇所につきましては、査定の完全なる完了を待つことなく、若干のつなぎ融資をする必要があるわけでございまして、目下理財局におきましてその問題を検討いたしております。間もなく理財局長もお見えになるはずでございますので、詳細は理財局長の方からお聞きいただきたいと思います。ただいままで理財局と主計局並びに建設省、農林省等とも一応お打合せをいたしております点は、昨年のつなぎ融資、これは災害報告の全体につきましてある査定割合を乗じまして、その何割かを出すというようなぐあいに、被害報告そのものを対象にいたして参つたわけでございます。しかし昨年の実行状況を振り返つて考えますと、いろいろその方法には弊害も伴うようでございます。資金が必ずしも緊切でないところにまわつて、預金で遊んでおつたということもないではございませんし、また被害報告額の多きを競うというような心理も誘発しがちな欠点も絶無ではないのでございまして、従いまして、それらの点にかんがみまして、今度は応急に復旧しなければならない工事量を建設省なり農林省なりによくごらんをいただきまして、その結果に基きましてつなぎ融資をやつたらどうかというような考え方をいたしておるわけでございます。その対象を何にするか、また手続をどうするかという問題につきましては、目下関係者間で鋭意検討中でございます。 なお付言いたしますが、本年度の災害関係の予備費の予算でございます。当初政府の提出いたしました予算におきましては、予備費の金額は百三十億円でございまして、うち三十億円が一般の予備費、百億円が災害関係の予備費ということに考えておりましたが、国会の修正によりまして予備費を五十億減額されました。この減額されました五十億につきましては、別途五十億円以上の予算の実行上の節約をいたすべきであるというような御趣旨でございまして、その御趣旨を体しまして、予算の実行上の節約について先般成案を得まして、合計二百億ぐらいの節約をいたすことにいたしました。その節約が実行されることになりますと、その中から五十億円ぐらいのものがこの災害関係の予備費の支出を必要とするような使途に充当され得ることになるわけでございまして、現在のところは、その分を合せまして百億円ぐらいのものを予算としては用意いたしておる、そういうことに相なつております。
○井上委員 ただいま二十九年度の今日までに起りました災害についての被害高や、それに対する当局の対策について伺つたのでありますが、特に六月、七月の西日本における豪雨によりまず被害についての対策がまだ具体的にお立ちになつていないように伺いました。御存じの通り梅雨期の災害は当然予想されます。台風シーズンの参りますまでに、河川あるいは農地その他林野等の応急復旧をどうしてもする必要がありますが、応急復旧をやるにあたつてそれの予備費を出すということにいたすについては、一応その応急復旧の対象の被害の実態をつかんで、その上で全体でどのぐらいの応急復旧費がいるか、こういう措置を今年からとりたいと思うという御意見のようでございます。そうしますと、さしあたり応急復旧をしておかなければ、次の台風その他の災害に備えることができないからということで、たとえば河川の場合、あるいは林野の場合、あるいは農地等の場合の実態を調査をして、それからそれに必要な費用を計上するまでには、一体どのくらいの日時があつたらできる予定でおられますか。それは各省で大蔵省の意向を組んで検討されると思うが、そういうことがきまらなければ、結局はこの予備費を出してもらつて復旧をするまでの間のつなぎ資金の総体のわくの金額がきまらないことになりはせぬかと思いますが、そういうことは早急にできますか、その点は各省どういうことになつておりますか、それを伺いたい。
○森永説明員 具体的なやり方は目下各省と相談中でございますので、確たる御答弁もちよつと困難でございますが、災害がございましたときに、各府県からすぐに応急復旧資金のつなぎ融資の要請書を各省並びに各省の現地機関に出していただきまして、各省ではすぐにそこに係官を派遣する、そして災害の一般的な状況並びに応急工事を必要とするものにつきましての——これは全般的な調査はおそらく困難であると思いますが、サンプリングによる調査をしていただきまして、それによつて大体の見当をつけるというようなことで、そう長い時日を要しないで、できるだけ短かい期間に実行できるように考えたいと考えておる次第でございます。 なお先ほどすでに予備費を支出いたしました対策のうちで一つだけ落しましたので、その分をつけ加えて申し上げますが、災害の予防に資するため、水防資材費の補助一億二百万円を予備費として支出を決定済みでございます。 〔内藤委員長代理退席、坊委員長代理着席〕
○井上委員 そうしますと、具体的に応急復旧を要する箇所が全国にどのくらいあつて、それの所要資金は大体どのくらいであるかということで、予備金を出すか出さぬかという方針をあなたの方できめられると思いますし、また予備金が出るまでの間のつなぎ資金は、その場合でも応急復旧の対象の工事費といいますか、そういうものがわかりませんと、結局は短期資金もつなぎ資金も出せぬということになりますか、その点はどういうことになりますか。本省から具体的に各県に出張して、県の当局と立会いの上で被害の実態を押えて、この箇所とこの箇所はどうしても応急復旧をせなければならぬ箇所である、それにさしあたりどのくらいの費用がいるということが認定されなければ、そうしてそれが全体の数字がまとまらぬ限りにおいては短期資金も出ないのであるか、それはどうですか、そこが一番大事じやないかと思います。
○森永説明員 必ずしも全国の応急つなぎ資金の合計が幾らということがわかりませんでも、災害がありました都度その地方に係官が出張いたしまして、これくらいのものは必要であるということがわかつたたびに、所要額を出して行くということができるのじやないかと思いますが……。
○井上委員 そうすると、今日まで各府県からそれぞれのつなぎ資金を要求しておるのはどのくらいですか、またしておりませんのか、そうして、して来ました場合は、それを大蔵当局としては理財局との間に相談をしまして認めますか、それはどうですか。
○森永説明員 正式な要求であるかどうかわかりませんが、つなぎ資金の融資につきまして要望書の提出がございました府県は、目下のところは、私の承知しております限りは和歌山県と愛媛県の二県であります。
○井上委員 それはもうお出しになつたのですか、まだ出さぬのですか、和歌山県や愛媛県等に対してはどういうわけでそのつなぎ資金が遅れておりますか、そういうわくはとつてないのですか。
○森永説明員 理財局長がお見えになりましたが、今までの御答弁のひつかかりがございますから、私からお答え申し上げますが、要求がございましたのは今月の初めでございます。愛媛県のごときは昨日でございます。まだ現地の実情も把握いたしておりませんし、それに先ほど申し上げましたように、つなぎ融資のやり方につきまして新しい構想で参ることを目下関係者間で相談中でございますので、まだつなぎ融資を実行するという段階には参つておりません。できるだけ早く相談をとりまとめまして実行するというように努力いたしておる次第でございます。
○井上委員 問題は応急復旧を政府みずからが否定するなら別ですけれども、応急復旧の必要を認める以上は、それの実態を把握して所要の資金を融資するということは当然の措置でありますので、政府全体が、最近例の補助金等の整理の関係から、災害に対する補助対象も、できるだけぐずぐずしておる間に、問題をあまり政治問題化せずに済むんじやないかという関係があつて、早急にこれに対する復旧処置をとろうとしない傾向が見えるようでございます。これは災害対策の場合は特にお考え願わないというと、ご存じの通り、あとからまた大きな被害が起りますと前の災害をさらに大きくすることになつて行きますから、そういう関係で、これに対する政府の処置というものは敏速果敢を要するわけであります。それをどういうものかしらぬが一向にやらない。実際は、被害の報告があつたら農林省なり建設省は、係官を現地に派遣しまして実態をすぐとらまえて、県の方から応急復旧のつなぎ資金をこれだけ出してくれということになつてくるのだろうと思うのですが、それをやるのに上でそんなにひまがいりますか。それほど念を入れなかつたらいかぬのですか。それほど各省の間に意見の調整が困難なんですか。それとも今度全然新しい構想でやろうというので、新しい一つの融資規定を設けようとしているのですか。どういうわけでそういうことになりましようか。そこをひとつもう少し明らかに説明を願います。それとも和歌山なら和歌山に対しては、いついつまでに結論をつけるということを言明できますか。
○阪田説明員 災害復旧のつなぎ融資の問題につきましては、主計局長からお答え申し上げたと思いますが、一応私の方の所管でありますので御説明申し上げたいと思います。 つなぎ融資の問題につきましては、御承知のように昨年はいろいろ災案が起りまして、百十何億ですか、その程度のつなぎ融資をいたしたわけであります。その際いろいろとその後の実情等も調査いたしてみましたところが、そういう災害のつなぎ融資の算定の方法、あるいは出し方というものが、やはりあまり適切でなかつたという点もあるのだ思いますが、非常に緊急に出しましたものが、よほど時日が経過いたしましても実際上使われていない。私どもが調査いたしました実態におきましては、六制程度しか使われていない。大部分が残つているというような昨年の実績がございましたので、ことしはひとつそういうようなことにならないように、災害復旧の融資の資金を、需要に応じて適切な金の出し方をするようにいたしたい。かようなことで、先ほど主計局長から申し上げましたように、ことしは、そういうつなぎ融資の算定の方針を少しかえて、適切な金が出せるようにいたしたいと考えている次第であります。それで大体昨年あたりのやり方といたしましては、災害復旧の土木事業の補助額等を引当てにいたしまして、それに対する何割かの額をとりあえずつなぎに出すというような方式をとつておつたわけでありますが、災害復旧の工事は、やはり基本的に設計がきまりましてしかも補助額等の査定が確定いたしませんと、なかなか着手できないものでありまして、つなぎ資金の融資対象の算定の基礎にすることはあまり適切でないということが考えられますので、本年度といたしましては、災害復旧のためにとりあえずどうしても緊急に金のいるもの、具体的に申しますれば、やはり応急的な災害救助の関係の経費、あるいは応急的な復旧、こういうものに金が当座とりあえずいるわけで、こういうものに手元資金が十分ないと困るわけですから、そういうものを基準にして出したいというふうに考えておるわけであります。先ほどお尋ねがございました地方からの申込みにつきましては、和歌山県あるいは愛媛県等から災害額をあげまして融資してもらいたいというようなお話が参つておるわけでありますが、実際問題といたしまして、出て参りました書類が大体昨年度と同じような被害額等を一応算定いたしました数字でありまして、私どもが今申しておりますような、それでは緊急にどういう資金がどの程度必要になるかという数字が、実はそういうものを見ただけでははつきりいたさないわけであります。これは被害県の方からも、至急そういう数字をまとめてもらうようにということをしばしば話をいたしておりますし、財務局等にもそういうような数字の線で調査するように連絡しております。先ほど申し上げましたように、愛媛県につきましては昨日初めて県の方からお話を伺つた次第でございますが、和歌山県の方も、そういつた数字がはつきりいたしておらないわけであります。さような状態で、これはできるだけ緊急に需要に応ずるようにお出しいたしたいと思つておりますが、まだ融資するという段階に至つておりませんことをひとつ御了承願いたいと思います。
○井上委員 この建設省の方の資料によりましても、京都、奈良、山口、和歌山、熊本、大阪、北海道というようなところは、河川、道路等に相当の被害を受けておるわけでありまして、これらの被害の応急復旧については、ただ和歌山と愛媛だけが出て来ておつて、わきの県はほとんどまだつなぎ資金を要求していない、こういうことですが、建設省ではまだ調査ができていないのですか、一体どういうことになつておりますか。河川局長、まだ報告が出てないのですか。
○米田説明員 災害の状況について少し説明をつけ加えまして、今の資金の関係を申し上げたいと思います。先ほどからお話のあります応急工事というのは、内容がどうも二つになつておるのじやないかと思います。一つは、ことし災害を受けてそれを応急に復旧しなければならぬという応急復旧工事と、それから今災害を受けたんではないが、ことしの水に非常にあぶない、従来から非常にあぶないところがあつて、それを応急に工事を実施しなければならぬという場所がある、その二つが一緒になつておるように考えられますが、その二つをわけて申し上げます。ことしすでに災害を受けて応急に復旧しなければならぬという問題については、先ほどから大蔵省からお話のありましたような措置を今講じつつございます。これについては応急復旧の内容を正確につかむような方法を講じないと、先ほどからお話のありましたように、効率的に使えないような場合も起きる。去年の例から考えまして、ことしは効率的に使えるような方法をとりたいという考え方をいたしておりますが、実はつなぎ資金については、大蔵省の所管でございまして、われわれの方には一応の内容の通知は受けますので、そこでわれわれは県の内容を技術的に大蔵省と折衝するときの資料にいたしておるような実情でございます。今年度は、応急復旧に要するつなぎ資金の要求は、今大蔵省からお話のあつた程度で、まだ多く出て来ておりませんが、ここ数目中にほとんど各県出て来るんではないかと思います。そういう結果をまとめまして、早急に大蔵省と折衝いたしたいと考えております。 それからもう一つの、ことしの災害ではないが、この秋、特に台風期までに復旧といいますか、工事をいたしておかなければならぬ箇所が相当にございます。それは今度の雨の結果、去年の災害であるけれども、それが水の中のことでよくわからなかつた。ことしの梅雨のためにその欠陥が現われたが、災害は去年のものであるというようなものが相当ございます。それらの措置を考えて行かないと非常に危険でありますので、各河川について具体的に各県と今折衝いたしており、かつ地建の直轄工事をやつております分についても、それぞれ具体計画を立てて措置いたしております。一、二の箇所については、すでに今年度の改良工事の中で措置する等の指示もいたしておるような次第であります。
○井上委員 問題は両方とも非常に重要な問題であつて、どうも大蔵省の考え方が、去年の災害に比べてことしは被害額においても非常に少いから、そうあわてなくてもいいじやないかということが一つと、一つは全体の予算を引締めておる関係があつて、できるだけ災害に対する政府補助を少くしよう、こういう一つの意図が動いておつて、関係当局との間でできるだけ日をかけて、ぐずぐず言うておりさえすれば、補助額も少くなつて来はせぬかという政治的なものの考え方が動いておるじやないかという感じを私ども受けておるのです。その点はどうですか。率直に今お話になりました応急復旧の補助、あるいはまたことしの被害じやないけれども、今やつておかなければどうしてもあぶないというものに対しては率直に認めますかどうですか。
○森永説明員 二つの問題にわけてお話がございましたが、昨年度の災害で応急に処理しなければあぶないというような問題、これは私どもかねがね二十八年度災の災害復旧費の補助、これはできるだけ重点的にやつていただきたい。今後の防災上特に緊要なところをひとつ優先的にやつていただくというようなことで、極力重点的に乏しい予算をさし繰つてやつていただきたいということを申しておつたわけでありまして、建設省でそういう御方針でおやりになつておられることと伺つたわけでございます。ことし起りました災害の問題でございますが、私どもは災害そのものが少しでも軽かれと所つておるわけでございまして、この点はおそらく皆様も御同様のことでありますが、今までのところ昨年より軽く済んでおりまして、非常にありがたいと思つております。しかしその軽い中でも、局部的にひどいところがあるということはもちろんでございまして、応急に復旧しなくちやならぬという問題はもちろんあるわけでございます。そこで先ほど来申し上げておりますように、応急復旧のためのつなぎ融資につきましても、できるだけ早く処理したいということで、目下鋭意協議いたしておるところでございまして、いたずらに遷延をするというようなことは考えておりませんので、御安心いただきたいと思います。
○井上委員 問題はあなたの方で、昨年の例もあることであるから、できるだけ効率的につなぎ資金を使いたいというところで、応急復旧の対象の工事について、所管の責任者が実態を把握して、県との打合せの上で必要な所要資金を要求して来ると思います。その場合は、実態は十分把握された上での所要の要求でございますから、これをあなたの方でぐずぐず言つて日を費されたのでは、次に来る災害の役に立たぬ。だからそこを速急に話をきめられて、すぐ出されるように処置を講じていただきたいのですが、大蔵省としては全体のわくをどのくらい見込んでおりますか、それを伺いたい。それがきまつておらぬとさつぱりわからない。それはまだこれからやるというようなことではだめであります。従つてあなたの今のお話を聞いておると、百三十億のうち五十億削られた。これは予備金です。あと五十億か百億を節約によつて生み出さねばならぬから、これから大きな災害でも起るとたいへんだから、できるだけこの予備金は使いたくないという気持で、ぐずぐずしておれというように非常に強くわれわれに感ずるのでありまして、そこで政府の節約その他による予備金の確保も必要でありますが、同時につなぎ資金の問題については早急に全体のわくを大体きめられて、必要な部面には速急に出して行くという迅速な措置をとつていただきたいと思いますが、全体のわくはどの程度になつておりますか。特に今出ておる和歌山なら和歌山に対しては、いつ結論をおつけになりますか、それをひとつ明確にしていただきたい。
○阪田説明員 ただいまつなぎ融資につきましては、どういうわくを考えておるかというようなお話でございましたが、つなぎ資金は御承知の通り短期の金として出しておるわけであります。補助なり起債なりが行われるまでの年度内の一時資金として出しておるわけであります。これは資金運用部の計画等におきましても、長期資金につきましては、資金の増加を見まして一定の計画されたわくがございますが、短期の融資については、資金運用部の方にも短期の資金繰りがございますので、その資金繰りがつく範囲内でいたしておるわけであります。ただいまどれだけのわくを限つてどこまでなら出す、どこまではそれ以上になるから出さぬということは考えておらぬわけであります。ただ性質といたしまして、補助の見返りになるとか、あるいは起債までの措置というようなことになりますと、そういうようなものがどの程度出し得るかというようなことはもちろん限界になると思いますが、資金面から行きましてのわくというものはないわけでございます。
○井上委員 そうすると、大体所要の短期のつなぎ資金は出す、要求される額は一応出すということで了解してさしつかえないですか。 それから同時にもう一つ主計局長に伺うのですが、昨年度の災害に対して、法制化されております高率補助、これは一応法令をかえなければならぬと思いますけれども、かえました場合には、大体大蔵省では、この高率補助を本年度の災害に適用するということの財政的な措置について、大体去年通り今年もまた高率補助をしなければならぬと考えておるか、そういう高率補助は財政上できぬと考えておるか、この点を一応伺いたい。
○森永説明員 ただいまの問題は、被害の程度と、被害を受けました地方団体の財政力と申しますか、負担力の両方の兼ね合いからきまる問題でございまして、目下のところはまだ白紙でございます。これをかりに適用するということになりました場合におきましても、今日程度の被害でありますれば、おそらくあの法律を適用いたしましても、高率補助の対象になるところはごく少いのではないかと思います。法律そのものを適用するかどうかという問題は、被害の程度並びに負担力の双方の観点から総合的に結論をくだされるべき問題でありまして、われわれといたしましてはまだ結論を出しておりません。
○阪田説明員 ただいまお尋ねの通り、資金運用部といたしましては、先ほど申し上げましたようなわけで、短期の資金繰りのつく範囲内で必要な資金を出して参る、さようなことでありますから、先ほど申し上げましたような資金繰りによりまして、緊急に復旧にさしあたり必要な資金というものは、やはりただ幾ら出すということでなくて、需要に応じて適切に出すようにいたしたいと考えております。
○柴田委員 植木政務次官に伺いたいと思いますが、最近新聞紙上をにぎわしておりますガリオア、イロアの問題です。これは非常に進んでおるというように新聞では拝見いたしますが、私どもは昨年来ガリオア、イロアは債務じやないというようにしばしば御答弁を承つておつたのです。たとえば債務だといたしましても、精神的な債務だというように昨年度の決算委員会でも、大蔵委員会においても、大蔵大臣等から承つておつたのですが、現実はそれとは逆に、実際ガリオア、イロアがほんとうの債務だというような形で今折衝がされておるようでございます。たとえば現実の債務だといたしましても、ガリオアとイロアの区分がはつきりしておつたのかどうか、こういう点を簡単に承つておきたいと思います。
○植木説明員 お答え申し上げます。ただいまの問題につきましては、従来政府がお答え申し上げております通り、政府としてはガリオア、イロアによるこの問題を債務と心得ておるという考え方で臨んでおるのであります。債務と心得ておるということは、はつきりした債権債務が確定しておらないという問題であり、いろいろのその他の経緯から、わが国においてこれを債務と心得て、将来その債務はどういう範囲でこちらが支払いをすべきものかということを確定することを前提としておるものであります。従いましてそのガリオア、イロアによるいわゆる債務がどの程度のものになるか、その内容かどういうふうになるかということにつきましては、今後向うのアメリカ側とよく折衝いたしまして、その上できまる問題であります。ガリオアとイロアの区分がどうなるかという問題につきましては、これはおおむね占領期間中の問題であります。ことに当初の問題でございまして、こちらとしては一応の数字は持つておりますけれども、それがはつきり確認し得る程度には、お互いの間に了解がついておらないというのが今の実情である次第であります。
○坊委員長代理 これをもつて休憩して午後は一時から質疑を続行いたします。 午後零時四分休憩 ————◇————— 午後一時三十二分開議
○内藤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。 金融に関する件を議題として審査を進めます。質疑の通告が為りますので、順次これを許します。小川豊明君。
○小川(豊)委員 今度九州へ国政調査でお隣の平岡委員と一緒に行つたのですが、北九州で特に顕著に目についたのは、ほとんどの中流の炭鉱では金券が発行され、流通していることで、しかもこれが四方式とられておるわけであります。まるですつかり紙幣という形、それから残高証明のような形がとられている。それから商品券みたいなもの、伝票式など、いろいろな形がとられていて、給与等に対しては七割ぐらいはこれで出しておる。二割もしくは三割は現金で給与を渡すけれども、あとの七割もしくは八割はこの金券によつて払われている。そしてこれを持つて指定してあるところの商店へ行つて日用品等を買えば、それでも買える。それから残高証明のような形になれば、それは幾ら幾らこの中から買い取つたということで、あとで残高が証明されて、またその次に使用される、こういうふうな形がとられて、しかもこれが相当強く拡大されて行く形があるわけです。もしこういう形がとられて行くとすると、これは金融の秩序を非常に乱すという問題が出て来るのじやないかと思うのです。九州に行つてみて非常に驚いた。それからさらにこういう形がとられて行くと、ある特定の商人と工場なり会社なりの契約で、そこ以外では今度は買えないという問題が出て来ると思う。こういうことからも問題は発生して来るし、さらには一つどの工場かが倒れて行くと、こういうものを出すのは非常に危険な状態になる。従つてどの工場か会社かが倒れて、信用ががた落ちして来れば、たちまち大きな問題が出て来る。これは北九州において特に大きく広がつておる。こういう実情を見て来たので、これは大きく見れば、政府の金融引締めだけを中心にしたデフレ政策をとつて行くことから出て来る一つの大きな現象ではないかと思つているけれども、そういうことから、こういう金券が発行され、流通されているということに対して銀行局長としてはどういう対策を持つておられるか、手元にどういう調査等がなされているか、そういうことをお示し願いたい。
○河野説明員 お尋ねの金券の問題につきましては、私も数箇月前にそういつた問題が特に北九州の中小炭鉱において行われておるという話を聞きまして、非常に重大なる関心を持つてこの問題の調査に当つて参りました。現地にありまする財務局あるいは日本銀行の支店等に対して、これらの事実及びこれに対する経済的な影響及び法律的な解釈と申しますか、法律的にいかにこの問題を考えたらいいかということを調査せしめたのであります。その結果調査の報告も参つておりますし、私どもも東京におきまして部内でいろいろ研究いたしましたその結果は、現在まで私どもが承知いたしておりますところでは、今小川さんが御指摘のように、この金券というものにはいろいろな形がある、あるいは伝票式、あるいは商品券に近いようなもの等がいろいろあるけれども、ただ一つだけ紙幣的というのは、私今まで聞いておりませんが、どういうものでありますか、これは実は詳しくお尋ねいたした上でないとお答えできませんが、そういつたふうなものは、私はあまり聞いておらなかつたのであります。いずれにしてもいろいろな形のものがある。ところがこれらが通用——と言うと言葉は悪いのでありますが、その金券を持つていろいろなものの購買に充てられる範囲は、その工場なり鉱山の中にある購買会、あるいは売店、あるいは町の中にある特に密接なる指定業者というような範囲に局限せられておる、しかもそれが現金の代用になつて扱われているのではなくして、むしろそれは金券ではなくて、今お話がありましたような一種の伝票的な作用をしておる、従つてそれによつて物が買われたということによつて決済がすべて終るというものではない、こういうふうな法律的構成になつておるように私どもは承知をいたしておるのであります。従つてその限りにおきましては、これが通用いたしまする範囲もごく限られた範囲でありまするし、しかもそれが厳密な意味における現金と同じような作用をいたしておるという段階にもまだ参つておらぬというふうに報告を受けておるのでありまして、その限りにおきましては、これを紙幣あるいは通貨と同様に考えて、現在のところではこの問題の処置をいたす必要はないというのが私どもの結論であります。またこれは一体商品券ではないか、商品券については特別の取締りの法律があるのでありますが、この点につきましてもいろいろ部内で研究いたしました結果、商品券に該当するところまでもまだ参つておらぬ、こういうふうな結論になつております。しかしながら次第に広く今の範囲が拡大し、そうして取引がだんだん町の中に、つまり限られた山の中でなしに町の中にだんだん広がつて行く、そうしてそれがあたかも通貨と同じような作用をするようなところまで発展するおそれがないとは言えないと思うのであります。そういうことになりました場合には、現在の段階においては、まだこれを紙幣あるいは通貨として考えることは適当でないとは思いますけれども、そういつた非常に広くこれが使われるようになりますると、これは相当な問題であります。私はその場合におきましては、これがもたらす社会的、経済的悪影響をおそれますがゆえに、その際におきましては、これらに対して適切な処置をとらなければならぬ段階が来ないとは限らない、かように考えている次第であります。目下さらにこれらの実情につきまして調査を進めて参つている次第でありますが、ただいまお話のありました紙幣的なものというのはどういうものでありますか、私どもがいろいろこれから研究調査をいたして参ります上に非常に大きな参考になるのじやないかと思いますので、もし実地についてお調べになりました結果をお聞かせ願えれば、非常に幸いだと私は考えている次第であります。
○小川(豊)委員 これは現地で聞くと、流通しているのは概略一億二千万と言う人もあれば、三億六千万くらい出ている、こういう発表をしている人もある。私どもが会つたののは財務局あるいは国税局、税務署、それから金融機関等でしたが、こういう種類のものですから明確にはつかんでいませんが、一億二千万くらいから三億六千万くらいあるだろうという人がある。中をとつても二億程度のものが動いている。ことに今言つたような四方式くらいあるが、特に見のがせないのは十円券とか百円券とか、こういうのが出ている。これは紙幣と同じです。そういうものはただ一般に市中に通用しているのではないのですけれども、それがその鉱山なり会社なりと、その指定したところと、それからそのそれぞれの関連のある申合せでもつて通用されておるということになると、これは紙幣の役割を果して来ているのであつて、聞くところによると——それがこのままとどまつているならば、その程度でいるならばその弊害はそう多くないと思うが、この金融の逼迫から漸次拡大されて行く傾向が多分にある、こういうことを聞くのですが、これはほうつておくべきではない、どうしても急速対策を立てるべきだ、この弊害が顕著に現われて来てからではなくて、私はむしろこういうことは今のうちに十分に調査も遂げられると同時に、本対策を立てなければならない、こういうふうに考えるのであります。どうかこの点については、ひとつあなたの方でも調査することは当然ですけれども、急速にその対策を立てられるように私は希望いたします。
○内藤委員長代理 本名武君。
○本名委員 臨時国会を開けと言つてもなかなか聞きそうにないし、委員会もしばらく開かれないので、私は政務次官と局長に念押しをしておきたいことがあるので、一、二お伺いいたします。 今日まで金融問題なかんずく中小企業金融に対して、本委員会でいろいろ論争されたのでございますが、一向われわれに納得の行く結果を見られないのは非常に遺憾であります。政府をして言わしめれば、非常にむずかしい問題でありましようけれども、要するに黙つて伺つていると、政府当局の中小企業に対する考え方が非常におそまつである。一口に言えば、下情に通じていない結果が今日中小企業金融に対する危機を到来しているのではないかとさえ言えるのであります。そこで私は、今日までの論争からいろいろ感じられることがたくさんございます。従つてそれについて一々伺いたいのですが、時間がありませんので、一、二点伺いますが、まず第一に吉田内閣がインフレの財政金融政策からデフレに転換されたということは、われわれもこれを是認いたし、かつこれに対してできるだけの協力をしたいと考えております。その一環としてとられた、いわゆる量的な規制から質的な規制に転向をされて、それぞれの処置をとられたのでありますが、その結果はどうであるか、相もかわらずそのしわ寄せば中小企業金融の上におつかぶさつて来ている。一方、それだけならいいが、先ほど来お話がありますように、岩田商事その他の融資関係のごとく、大資本へ資金が偏向する、集中されるという傾向がますます強くなりつつあるという現実もうかがわれる。しかもその傾向がわれわれが最も排撃すべき復古調をたどりつつあるということは、何がゆえに今日政府が中小企業に対して目を配つているかということを疑わざるを得ない。口を開けば答弁の中に、十六億何がしかずつの指定預金を延長したとか、あるいはまた貸倒れ準備金をどうしたとかいうようなことを言つておられるけれども、それは単なる末梢的な現象を一時解決しただけのことである。そこで私はお伺いしたいことは、この質的な規制について、どうしてもそういつた弊害を取除くために常識的にも考えられることは、この質的な規制を一歩前進させて統制をさせるべきではないかという考えも持たれるのであります。いわゆる質的な資金の統制をするということに対してはたしてどう考えておられるか。おそらく御答弁の中の一つには、今日の段階ではそのようなことはできない、他の経済機構を野放しにしておいて、自由経済の上において資金のみを統制することはいかぬとおつしやるでありましようけれども、しかしこのまま放置されるならば、金融機関を初めとして、いわゆる資本主義の上に立つた金融機構では、どうしても中小企業は取残される結果になる。そこで一つの方法としてそういうことも考えられるが、銀行局長はこれに対してどうお考えになるか。 それからもう一つは、中小企業金融について、これは政務次官も御答弁いただきたいと思うことですが、いずれにしてもデフレ政策に総合的な計画性がなかつたということが今日の危機を招いている一つの原因であることは否定できない。そこで私は、この一連の施策を中心として、特にこの金融問題を処理するために、政府では民間と合同して、強力な投融資計画委員会のようなものを内閣のうちに設けて、これによつて政府の足りないところの下情を法的にはつきり認識すると同時に、ただちにこの委員会を通じて金融政策を確立して行く。特に中小企業対策を確立して行くということは考えられないか。さらにまたその機構の一つとして、政府の資金の融資、投資に対しても、今日は政府当局並びに一部の機関によつてこれが運営されている。こういうことではいけないので、さつき申し上げた投融資計画委員会の下部機関として、やはりこれも民間団体あるいは民間個人有識者を入れて、政府資金の財政投融資に対する委員会のようなものを設け、それと同時に、一般金融機関の運営のためにも、金融の融資あるいは投資に対する委員会制度を設けて、根本からひとつ中小企業金融対策を確立して行こうという御意思がないかどうか。こういうことはおそらく閣議にも何にもお話はなかつたかもしれませんが、金融に携わる主管官庁たる大蔵省は、この段階において、こういつた具体方策をおとりになつていただかなければ、とうてい中小企業金融というものを救う糸口は見出せないのではないか、このように考えますので、一応この二点を局長と政務次官にお伺いをいたします。
○植木説明員 お答えを申し上げます。中小企業に対する現下の経済界における非常な困難な立場をいかにして救済するか、あるいは対処するかという問題については、政府もかねがね非常に心配していろいろと工夫をして参つたところであります。何ら施策するところがないと仰せになりますが、政府としましても、たとえば本年度の財政投融資の計画を立てますような場合におきましても、中小企業に対する金融の面におきましては特に意を用いまして、他の方面における各種の投融資計画よりも手厚い金額を計上しておるのであります。あるいはまた予算審議の際における国会での皆様の御意見にも顧みまして、投資融資計画の変更もいたしました。そのときにも、やはり中小企業に対しての、さらに政府の当初原案以上に融資のわくをふやすというような問題につきまして、金融機関の貸倒れ準備金の制度にいたしましても、今ただちにこれがレールに乗つて動いて参りませんから、すぐに効果は見られないかもしれませんが、これまた金融機関に督励と申しますか、勧奨いたしまして、なるべく早くその実績があがり、中小企業に少しでもしわ寄せが少くなるようにという努力をいたしておる次第であります。政府の考えおりますところでは、いろいろな苦しい点が中小企業にしわ寄せになつて参ることは、非常に実際問題としても現われても来ておりますし、これに対しての今後のやり方といたしましても、なお一層意を用いて参りたいと考えておる次第であります。 中小企業に対する金融等につきまして、この際内閣等に適当なる、民間をも加えた調査機関、あるいは委員会というようなものをこしらえて、これに統制、あるいは企画、あるいはその実際の運用についての適当な事務機関としてはどうかという御意見でありますが、この点、政府はただいままでのところさようなことは考えておりませんが、しかし一つの御意見としてわれわれの反省、研究の材料にいたしたいと考えます。
○河野説明員 ただいま本名さんから、金融統制の問題をお伺いいたしましたが、この問題について一応私の考えておりますことを申し上げます。現在の段階におきまして、私どもといたしましては、法律に基く直接的な金融統制ということは、少くともまだ現在のところする段階ではないというふうに考えております。具体的に申し上げますと、やはり私は、金融の面だけから法的な統制ということをやつて参りますということはなかなか困難である。これにはやはり裏づけとしての産業政策というものがはつきりきまつておらないと、法的に金融統制をやつて行くということは、非常にその執行の円滑を期し得ないのみならず、かえつて弊害のみ残るというおそれが多分にあると思います。一番簡単な例を申しますと、たとえばわが国の一番重要なる産業としていわれております鉄なら鉄というものを、一体どの程度日本の設備はあつていいのか、あるいはその設備が全体としてどの程度あつていいかということでなしに、企業ごとに考えて、この企業においてはこの程度の設備がいるけれども、この企業においてはそういうものが必要でないということになる、そういうところまではつきり産業自体の政策というものがきまりますならば、これと表裏一体としての金融統制というものはできると思いますが、今の場合におきましては、やはり抽象的な一つの基準に基いて、窓口をあずかつておる金融機関が公の使命に徹しながら、自主的に最も重点的な規制を行つて行くというよりほかないのではないかというふうに考えております。よくビル建築の問題が出るのでありまして、私どもは数年前からビルの建築に対して金融はいたしてはならぬということをたびたび金融機関に対しては申し渡しております。また現にごく例外的な悪意をもつて行われておるものが絶無とは申しませんけれども、大体において金融機関自体が意識的にそういう方針を破つておるとは私は考えてないのであります。しかしながら現在では御承知のようにビルがどんどん建つておる。しかもそれは大部分が権利金という形において資金が出て、しかもその資金は結局において金融機関からおそらく間接的には出ておることになつておると思う。その場合において、私は、やはり個々の場合について申しますならば、ある事業会社があるビルの権利金を払う。その場合には、その収支自身は金融機関においても私どもにおいてももちろんわかりません。収入のあつたものの中から権利金を払う。しからばその全体の運転資金、事業を運転して行きますための必要な運転資金というものが結局穴になり、その必要な運転資金というものを銀行に融資を求める。かりに銀行がこれに融資いたしたといたしまするならば、出て来たところは必要なる事業を運転するための運転資金である。しかしながら、それを裏から考えますならば、ビル建築のための権利金を払つたために明いた事業運転資金の穴を埋めたということになる。しかしそこまで行きますならば、悪意であれば別でありますけれども、善意でありますならば、金融機関としては、そこまで追いかけて問題をトレースすることは実際問題としてなかなか困難である。一番端的な例は何であるかというと、ビル建築を物理的な方面から押えるということが一番簡単な方法である。そうなれば、金融においてビルに金が出ないということになることとうらはらになつてその目的は達成できると思う。これは一例にすぎません。全体の問題をこれで御説明申し上げることはなかなか困難だと思いますけれども、たとえばそういつたふうな問題が示すように、ただ金融だけで法的な、しかも精緻な統制を行つて国家の要請する目的を質的に達成しようということは、私は非常に困難であるというふうに考えております。しからば産業政策として産業全体の企業の統制を行うということがいいか悪いかの問題につきましては、これは私の所管でもございませんので、私からかれこれ申し上げることは差控えたいと思いますが、今申し上げましたようなことで、私は現在の段階におきましては、少くとも金融機関が公の使命に徹して——もちろんそれは金融機関が公の使命に徹しないで私利私欲をはかるというようなことであつてはもちろんいけませんが、公の使命に徹して、みずからその使命に基く自主的な規制と申しますかを行つて行くということが、現在の段階においては最も適当であろう、かように考えておる次第であります。
○本名委員 今の御答弁で一応おつしやることはわかるのですが、それだけでは納得できない。たとえば今局長が金融処置だけではどうにもならぬとおつしやいますが、それは当然のことです。しかしながら施策の全般の一環として金融をあずかる局長のお立場から、どうあるべきだといつて他の部面へも協力するだけの熱意があつてほしいと思う。それがどうもなさそうなために、今日のような金融から来るところの犠牲が生じておる。ことに金融独走の犠牲が中小企業に来た結果は言うまでもないことであります。そこで繰返すことはいりませんけれども、一つの例を引いてみますと、中小企業の面から考えると十分ではありませんけれども、あの農業政策と農業金融の体系であります。これは国の政策、農業政策と金融政策は一応ある点で一致点をつくつております。これはくどくど申し上げなくてもわかります。ところが先ほど政務次官の御答弁にもありましたが、いやこれだけの金をまわしておる、これだけのことをやつておるというが、これはやらしておるだけであつて、根本の中小企業政策は農業の場合と違いまして、何ら一致点がない。あくまでも金融機関独自の判断によつて、あるいは方法によつて貸し出しをしておる。従つて結果が救われようが、自殺者ができようが、そんなことはどうでもいいというのが中小企業と農業の国家的な取扱いの相違点であろうと思います。そこでそれらのことを考えて来ますと、手厚い施策をなさつておるといわれるけれども、それは形式的に金の面だけで、金額の面だけでやつたということだけであつて、政策の面、国家の方針として何ら中小企業政策に抜本的な対策がとられていない。従つて金融の面だけにいろいろなしわ寄せが来て、金融面から中小企業者が破綻を来すという結果になつておると思います。こんなことはくどくど申し上げる必要はありませんが、要するにそういつた点も考慮に入れられまして、次の国会あるいは委員会までには何らかの具体的な処置をおとりになることを希望いたしまして、時間もないので、私は質問を終ります。
○内藤委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は来る八月十日、十一日の両日に開会することといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十八分散会