大蔵委員会 第59号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/05/21
会議録
○千葉委員長 これより会議を開きます。 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案、企業再建整備法の一部を改正する法律案、接収解除ダイヤモンドの処理等に関する法律案、接収貴金属等の処理に関する法律案の四案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。井上良二君。
○井上委員 接収貴金属等の処理並びに接収解除ダイヤモンドの処理等に関する法律案、この両案について質問をいたしたいのですが、まず接収解除ダイヤモンドの処理等に関する法律案について、衆議院の行政監察委員会が現在日本銀行に保管されておりますダイヤモンドに関しまして、これが鑑定、保管、運搬、接収解除後における保管等の間においていろいろの問題がたくさんございましたのを、十三国会以来これが慎重な調査を遂げられて、結局この処理は法律によつてこれが解決をすることが必要であるとして、行政監察委員会が各党一致いたしまして、法律案を提出することにいたしたということであります。 そこで伺いたいのは、ダイヤモンドだけをどういうわけで一体取上げたか、この間十三国会以来、他の接収貴金属等については調査はされておりませんのか。これを分離したのはどういうことか。 それからいま一つは、接収解除のダイヤモンドの総額は一体どのくらいの量があり、かつ現在の評価にいたしましてどのくらいの金額に上つておりますか、この二つをまず伺いたいと思います。
○中野委員 お答えをいたします。分離をいたしまして提案いたしましたわけは、すでに十三国会で大蔵委員会におきまして接収解除のダイヤ並びに貴金属等について調査をいたしましたが、これが調査の全きを期すために行政監察委員会にこれを移しまして、十六国会に至る間相当慎重なる調査を進めたのであります。しかし問題は非常に外岐多様にわたつておりまするし、特に金、銀、白金、宝石、あるいはダイヤモンドというものの取扱いにつきまして非常に多くの不当な行為を行政監察委員会において認めましたので、委員会におきましては、これが取扱いをどういうふうにして調査の徹底を期すかということをば慎重に相談をいたしました結果、とりあえずダイヤモンドだけを切り離して、まずこの買上げ数量、それから接収当時の保管の状況、あるいは接収解除後における取扱い並びに保管の状況というものを調べる必要があるということになりまして、重点をダイヤモンドだけに置きまして、金、銀、白金等につきましては後日さらに調査を進める必要ありということになりまして、まず第一にダイヤモンドを取扱つたわけであります。その結果、ダイヤモンドの取扱いについても非常に不当な点はありましたけれども、金、銀ほど複雑ではありませんので、これが所有権をどういうふうに帰属せしめることが正しいかということが重点になりまして、国際法上の権威である横田博士、あるいは公法上の権威である杉村博士、民法上の権威である我妻博士等に来ていただきまして、公聴会にかわるべき参考人としての意見を十二分に徴しました結果、ダイヤモンドに関する限り、これは混淆して、個人のものを特定し、あるいは判別することがなかなか困難である、従つてこれは新しい立法によつてこれが処置をすることが妥当であるという結論を得ましたので、とりあえず十六国会において、すでに御承知の通り、行政監察委員会の決定事項として決議案を出して決議をしたしました。その結果、金、銀、白金等はさらに調査を進めた後において新たに立法措置を講ずる、こういう過程において、われわれはまず調査の完了したダイヤモンドのみを今回分離して提案したものであります。 それから今御質問の第二であるその数量は、当時の大蔵省の報告によりますれば、十六万一千百八十五カラツトでありまして、その後大蔵省において鑑定人に対してこれが評価をせしめました金額は、六十一億六千百万円になつておりますが、この間に約七十億という金額が不当なる評価がされておるということが明らかになつたものですから、今後のこの法律案の審議の結果幸いにこの法案が通り、審査会が成立いたしますれば、そこにおいてさらに再鑑定をして再評価をしたいと考えておりますが、現在の段階で日本のダイヤモンドの建値をもつてしますれば、大体二百億から二百二、三十億、あるいは五十億くらいの金額に妥当するものだというふうに考えております。
○井上委員 次にお伺いをいたしたいのは、これらダイヤモンドは、例の戦争完遂のために、全国民の愛国心に訴えまして供出されたものでありますが、その場合、これらダイヤモンドの大部分はその当時の対価というか、価値をもつて供出者に対してその代金が支払われておると思います。本案の説明を見てみますと、大部分は国民から対価をもつて買い上げたものであると思われるが、それ以外に無償で接収せられたものがあるかもわからぬ。もしそういうものがあつた場合は、これはまたそれに対する措置を別に考えて行く、こういう説明のように承つておりますが、有償で買い上げた部分と、会社、工場、個人等が無償で接収されたものとの内容については、今まで行政監察委員会では調査はされなかつたのですか。それは今日のところ、どれだけの量が無償接収であつて、どれだけのものが有償接収であるということはおわかりになつておりませんか、その点を明らかにしていただきたい。
○中野委員 買上げ値は、当時買上げ要綱というものを昭和十九年の七月二十一日に軍需省において決定をいたしまして、そうして十階級にわけまして、大体が当時の時価よりも一割高く買い上げるというねらいをもつてやつたものでありまして、当時千五百円くらいから傍には二千円くらいにやりましたが、時価よりは一割高く買つておつたのであります。と申しますのは、井上委員のすでに御承知の通り、当時陸軍と海軍に工業用のダイヤモンドをば約八万カラツト余持つておつたのですが、敗戦の大きな原因とでもいいますか、お互いになわ張り争いがはげしくて、航空機や電波兵器をつくりますに一番肝要な工業用ダイヤモンドをば陸軍、海軍に軍需省より分与方を申し出たのでありますが、これをどうしてもいれてくれなかつたものですから、拙劣な策ではありますけれども、装飾用のダイヤモンドを買い上げて、これを工業用のダイヤモンドに充てたい、こういう観点に立ちまして、買い上げるにいたしましても、普通の値段ではただちに出て来ないかもしれないというので、一割くらい高く評価をして買上げをいたしましたから、その結果においては、当時想像しておりました買上げ数量の約九倍に相当するものが政府に売り払われたのであります。値段は時価より少し高かつたのであります。 それから第二の、無償で接収されたものがあるかどうか、その数量はどのくらいあるかというお話でございますが、現在の日本銀行の地下室に保管をされておりますダイヤモンドは、全部と申し上げてもよろしいほど装飾用のダイヤでありまして、工業用のダイヤは含んでおらないと申し上げても過言ではないのであります。しかし当時相当多数の工業用ダイヤが入つておつたのであります。接収された当時にはありましたけれども、占領軍が占領中においてこの品物をばそれぞれ略奪品として各国へ返したものが約十二万七千カラツトくらいあるのであります。それから工業用のダイヤ等ありましたものをば、国内に有償で払い下げをいたしたものもありまして、現在の日本銀行の地下室にありますダイヤには、工業用のダイヤはまずないと言つても過言でないと思いますので、その方面の数量は明らかになつておらないのであります。
○井上委員 そうしますと、その無償で接収されたものは正確な数字がわからない、これは後ほど審査委員会というものをつくりまして、そこで正式な確実な立証に基く手続をいたしますならばそれは返してやる、しかしそれは大した数量にはなるまいだろう、こう解釈してさしつかえないだろうと思います。 その次に伺いたいのは、この行政監察委員会の提案にかかる本法によりますと、処分をいたしましたものを戦争犠牲者の援護のために使用するという一つの目的を明確にされております。戦争犠牲者という意味は、具体的に申しますと、どの範囲までをおさしになつているのか。戦争犠牲者と申しましても、直接戦争に動員され、またそのためにある者は戦死し、ある者は傷つき倒れるというものがあり、あるいはまた国内においては、御存じの通り空襲による大きな被害を受けて、そのためにある者は死に、ある者は所有財産を灰燼に帰している。こういうようなわけで、その犠牲者の範囲は非常に広いのであります。だから戦争犠牲者ということになりますと、どの辺までこれを具体的にお考えになつておりますか。この点を伺いたい。
○中野委員 ここには十七条に「売払代金に相当する金額は、戦傷病者、戦没者の遺族及び未帰還者の留守家族の援護等に要する経費の財源に」と表わしてありますのですが、今お尋ねのように、戦争犠牲者と申しますれば、非常に広範囲なものであります。そこで私は、審査会におきましてこの戦争犠牲者の序列をつくつていただきたいと念願しているものであります。すなわち金額も大体においてわくがあるのでありますから、審査委員諸君の良識にまちまして、第一はだれ、第二はどの方面、第三はどの方面というようにお考えをおきめ願いたいと私どもの方では考えているのであります。この機会に申しますれば、現在日本のこの戦争に参加をして尊い犠牲となつた遺族の方々の中でも、恩給法のいわゆる二十一の病気の種類の中に該当しなく、しかも軍属であるとか、あるいはいろいろな形において法律に該当をしないで、しかも赤紙一枚で召集をされて国家のために犠牲を払い、夫を失いあるいは子供を失い、父を失つたというような遺族に対して国家が何らの法律的手続もとらず、しかも補償の方法もとつていないところの未裁定家族というものが約十万家族に相当するものがあるのであります。こういう人々には、従来は軍人援護会等というものがありまして、約十五億円の財源をもつて、それぞれの処置をしておりましたのですが、敗戦後においては、これが一切解散させられたのでありますから、私はそれにかわるなどとは考えておりませんけれども、幸いにこういうような金額をもつてこういう人々を第一、第二という序列に考えてやつていただけるならば、国家民族のために尊い犠牲になつた方々に対する霊を慰めることもできるのではなかろうか。あるいは民族愛の非常によい結果が生れて来るのではなかろうかというように私は考えているのでありますが、今お尋ねの、この範囲をどこまでかとおつしやれば、非常に広範囲なものでありまして、その使途は那辺にとおつしやれば、審査会の良識にまつて、戦争犠牲者に序列をつくつて、金額のわく内においてその序列に対するところの処置を講じていただきたいという気持を持つております。
○井上委員 御趣旨はわかりましたが、万一今のような目的のためにこのダイヤモンドを売り払つた売払い代金を使用するという場合に、別に法律によつて設立する法人に交付するというのですが、そうすると、この金を新しい援護資金としての財団法人みたいなものを別に設立いたしますか。そうなりますと、それは国の所有財産を全部その法人にやつてしまう、こういうことになりますか。その管理の責任はどこにありますか。大蔵大臣また厚生大臣の監督下に法人をつくろうといたしますか。それとも全然そうではなしに、別個の民間の援護団体にこの資金をそのままお渡しになりますか。その点ですね。いわゆるこれは一つの国有財産であるところの性格を持つたものでありましたが、その国有財産を民間に渡す、一つの法人組織の機関を通じても、その法人というものの性格は一体公益法人としての性格を持つたものか、単なる援護団体としての性格を持つたものか。そこに非常に問題がありはせぬかと思いますが、その点はどうお考えですか。
○中野委員 お答えをいたします。今のお尋ねの後者の方なんです。大蔵大臣、厚生大臣のいわゆる管轄下にこれを置きまして、公益法人として置くものでありまして、単なる個人の法人をつくるのではございません。
○井上委員 次に審査会の権限の問題でございますが、審査会がこう決定したら、その決定に従つてこれの処理がきめられると思います。従つて審査会の権限というものは非常に重要であろうと思います。そこで審査会の具体的な運営といいますか、この点が非常に重要になつて参りますので、これに対する具体的な内規というものが一応きまつておりましようか。大体ここには構成に関する規定はございますが、その運営に関する規定が一切政令に委任されているようでございますが、その内容はどういうことになつておりましようか。そこらのところを伺いたい。と申しますのは、たとえばこれはわしのものだ、強制接収されたものだ、返してもらいたいということを正確な立証に基いて要求しました場合には、返さなければならぬことになつている。そういうわけだから、審査会の決定でこれを返すか返さないかきめるわけです。そうしてまた金の使い方についても、いろいろ御決定されることであろうと思います。非常にこの審査会の権限というのは重要になつて参ります。ところがここの構成委員を見てみると、衆議院、参議院、それから大蔵、厚生、通産、日本銀行総裁、それに学識経験者、こういう非常に各方面の有力な方々をメンバーにお願いしよう、こういうことでありますが、これらの人々が実際専門的に事態を鑑定をいたし、的確な処置をするということは非常に困難ではないかと思いますが、そういう意味から、この審査会の運営に関する、また権限事項に関する政令の規定というものが非常に重要になつて来ていると思いますので、その点がおわかりでございましたらお示しを願いたいと思います。
○中野委員 従来の大蔵省の取扱いに関しては、行政監察委員会において調査をいたしました過程において、非常に不当な点が多々ありましたので、その調査の結果にかんがみまして、この審査会というものを単なる大蔵大臣の諮問機関とすることは妥当でないということがこの法律案の上に現われて来ておるのでありまして、これはあくまでも審査会そのものを議決機関としたことがねらいであります。 それから今の内規の問題でありまするが、これは一切政令にゆだねてありまして、内規の点がここには明らかにされておりませんし、また現段階においては考えておりませんが、ただお尋ねの要点であるところの、一体これだけの人々でほんとうにその正確が期せられるかという点でありまするが、私は少くともこの金の性質、このものの性質から考えまして、国会議員の良識ある人々が五人入つていただきまして、そうして大蔵省の事務次官とか厚生省の事務次官、通商産業省の事務次官、日本銀行の総裁とか、あるいは学識経験者等を加えますれば、大体において所期の目的は達成できるのではないかというふうに考えております。
○千葉委員長 中野四郎君に対する質疑はございませんか。
○柴田委員 ちよつとお尋ねをしますが、このダイヤモンドだけを限つてこういう法案を一つおつくりになつた、そうするとその他の貴金属というものはこれに含まれないのでしようか、その点はどうですか。
○中野委員 先ほど井上委員の御質問にお答えを申し上げましたが、さらに重ねてお答えを申します。 これは十三国会以来大蔵委員会にかけられた問題でありまして、由来十六国会に至るまで行政監察委員会で慎重に調査を進めて参つたのであります。しかしダイヤモンドに貴金属を含めて調査をいたしますると、なかなか複雑でありまして、その取扱い、保管すべての点についてなかなか資料もととのいませんし、容易に論査ができない過程がありましたものですから、行政監察委員会におきましては、とりあえずダイヤを一つ分離して徹底的にこれが調査を進めようではないかということで、ダイヤモンドのみに限りまして、その買上げ当時の状況、買上げ数量、あるいはその後の保管の状況、接収の状況、接収後におけるところの状況、接収解除後におけるところの保管の状況、取扱いの状況等をば調査をいたしまして、最後には、この所有権はいずこに帰属せしむべきものかということが中心になりまして、国際法の権威である横田博士、民法上の権威である我妻博士、公法上の権威である杉村博士等に来てもらいまして、大体これはすべてのものが混合してしまつておつて、私のものだと特定し確認することは困難な状況にある、あるいはこのダイヤモンドそのものは国家が必要として国民に買上げを命じたものであつて、国民も必勝体制確立のために国家にこれを売つたものでありまするので、従つて中間で買上げた交易営団や中央物資活用協会が所有権を主張すべき点はないと大体は認めたのでありまするが、もし万が一その中に一部でもこれを特定し確認する道があるならば、これらを返還する道も認め、そうして新たなる処置をする必要がある、かような結論によりまして、ダイヤモンドのみを分離して出したものであります。また金、銀、白金、宝石等に至りましては調査中でありまして、この国会中に、もしでき得るならば証人を喚問して調べを進めようと考えておりましたが、御承知のように行政監察委員会においては他の案件が非常に輻湊いたしましたために、今日遅れておりまするが、いずれわれわれは金、銀、白金あるいは宝石等に関するところの調査を進めた結果におきまして、その所有権をいずごに帰属せしめるが妥当であるかという結論を得ましたならば、新たな立法処置を講じて御審議を願うつもりでおります。 以上のようなわけで、今回はその筋合いが明らかになりましたダイヤモンドのみを処理する法律案を提案いたした次第であります。
○柴田委員 それから私ども前にいただいておる資料によりますと、ダイヤモンドは十六万一千カラツトというように記憶しておりましたが、今度新しくいただいておる資料によりますと、十六万八千カラツト余ございます。この十六万一千カラツトでも、十六万八千カラツトても、これは別といたしますが、これらの調査は行政監察委員会において正確に把握されたものでございましようか。このカラツトの問題に対しましてもわれわれは非常に疑問を持つているわけです。当時接収いたしましたダイヤモンドは約三十万カラツトあつた、こう聞いておつたのですが、調査の上に出て参りましたのはこういう数字でありますが、これらに対しましては、行政監察委員会等においては十分御検討の上でこれらの十六万前後のカラツトの調査ができ上つたのかどうか、これを中野さんから承りたいと思います。
○中野委員 お手元に出ております資料は、大蔵省の報告書を基礎としたものであります。十三国会のときにすでに、現在官房長をしております石田正君が理財局長でありましてこのときに私らが要求をいたしました資料には十六万一千百八十五カラツトと出ておるのであります。その後変遷のあつたごとをば新たに政府の方で何らかの説明があると存じますが、その数量はあくまでもその基礎に基いたものであります。それから三十万カラツトくらいというお話でありますが、日本中で買い上げたダイヤモンドの数量というものは明確ではないのであります。内地で買い上げたものと外地——外地と申しましても台湾、満州、朝鮮等がありますが、これらで買い上げたものを含め、さらに押収した品物が南方方面、中華民国方面にあつたのでありますが、そういうものをば全部含めると、工業用のダイヤ等をまぜて約三、四十万カラツトあつたのではなかろうかと推定することができますけれども、現在日本銀行の地下室に保管してあります数量は、大蔵省の提出いたしました資料を基礎にしておるわけであります。
○黒金委員 中野委員にお尋ねいたしますが、それは第十七条であります。第十七条の中で、先ほど井上委員からも御質問がありましたが、ここには「戦傷病者、戦没者の遺族及び未帰還者の留守家族の援護等に」、こうなつておりまして、その「等」につきましての範囲は、これはまだ不明確である、こういうお話でありますので、その点については触れませんが、ここにあります戦傷病者なりあるいは遺族、留守家族につきましては、すでに恩給法なり、あるいはまた留守家族や遺族の援護法によりまして、国家もある程度の——非常に不十分である点は認めますけれども、ある程度の援護は講じておる。われわれといたしましても、この援護を増したいというようには考えるのでありますけれども、ここの条項で考えておられますことは、こういう法律による援護の措置をもう少し強化するために金を使おうと言われるのか、あるいはまたこれらの現行の法規では救われないものを補完的にこの条項におけるこの金で見て行こうというのか。現行の法律制度のもとにおきまして金額を引上げるとか、あるいは範囲を引上げれば済むものを、あえてこの法人をつくつてそこを通じて行くという必要は私はないのじやないか、こう思うのでありますけれども、現行の法律ではどうしても救えないものを救うためにこの法人をつくつて、この法人を通して金を使つて行こう、こういうお考えなのか、まずそれを伺いたい。
○中野委員 ごもつともなお尋ねだと思います。私は先ほども御説明申し上げましたように、現在の日本の法律で救われておらぬ者が多々ありますが、これは財源難によつてのみ救われないのでありますから、今お尋ねのように、救われぬ者に対してまず第一とし、さらに、今日の援護法等によりましてはなかなか満足するということはもとよりできませんけれども、まだまだいろいろな難点でありまするから、そういうようなものを強化したい。これはこの法人を通じて行いたいという考えを持つております。
○黒金委員 そうしますと、たとえば戦傷病者の方につきましても、あるいは軍人の方は現在恩給をもらつておられる。しかしながら現在の戦傷病者に対する恩給額では非常に不十分だから、これを増してほしい、こういう御要望が非常に強い。同時におそらくこの法律が通れば、その要望が充足されるであろうということを非常に期待しておられるのでありますが、もし今の御説明のようでありますれば、恩給法の方は恩給法の方で今後増額の運動を続けると同時に、またその上にこの法人からも金をもらうというような二本建で行くものか。今申し上げるのは、恩給法でどうしても救われないという者は別でありますが、それだけではなしに、恩給法の適用を受ける、あるいは遺家族の援護法の適用を受ける者についても適用があるといたしますならば、二本建でその者については行くものか、こういう点についてちよつと承りたいと思います。
○中野委員 救われぬ者をまず第一義といたすことは、先ほど申し上げた通りであります。一方において恩給法はだんだん拡充され増額されて行くことは当然であろうと思いますが、その間におきましても、法律が制定されて実施されるまでの間に相当な欠点が多々あるのでありまして、これを補う方面にも使つて行きたいと思います。一例を申し上げますと、たとえば戦争未亡人等を考慮に入れてみたいと思うのでございます。女子の方々は現在の段階では、敗戦後十年になんなんとしておりますが、当時夫を戦地に送つて二十歳あるいは三十歳という年齢の方々でも、今日になればもはや四十歳になつておる。男子の四十歳と女性の四十歳とは体力の上においてもとうてい比較になるものではないのであります。いわんや戦争遺児の三人、四人というものをかかえて、実際に生活を維持して行くことはなかなか容易ならぬことだと思うのです。しかし国もこの未亡人あるいは戦争犠牲者のこういうような方面の人に対しては、ある程度考慮はしておりますけれども、なかなかそこまで及ぶ段階には至つておらぬのでありまして、こういう人々に対しても、これらの法人を通じて適宜何らかの道を講じてあげたい。一方においては戦争遺児なるがゆえに上級学校に行けないというような方々は、これらの資金をもつて育英資金として、上級学校に十二分に学んでいただきたい、こういうような観点に立つておるものであります。
○黒金委員 ただいまの中野委員の御説明の御趣旨は十分に納得いたしますし、また非常に適切なことだと思います。ただしかし、もしそういうようなことをするといたしますならば、多少議論にわたるかもしれませんが、こうした法人をつくつて、もとより先ほど御説明がありました通り、大蔵、厚生両大臣の監督におるといたしましても、今おつしやるようなことは、できますれば国家の事業としてなすのが一番適当ではないか。また責任を明確にするゆえんではないか。そのために必要でありますれば、そういう特別な立法をいたしまして、この売払いによつてできました代金に相当する金額を一般会計なり特別会計に組んで、国の責任において行うのが収支の責任を明らかにし、また国家としての義務を果す上において最も適当でないかと思うのでありますが、どちらかと申せば、邪道と言つては非常に失礼でありますが、まあ法人をつくつてやつて行くということについては、何か法人でなければいけないのか。国家がやつては能率が悪いとか、あるいは非常にしやくし定規になつて悪いとか、何か非常に不便な点があるのか、その点をひとつ伺いたい。
○中野委員 特別会計に組んで、厚生省なら厚生省の予算にかりに五百億の予算があるとすれば、それにプラス五十億使用していただけば、これに越したことはないのです。しかしわれわれが従来国政の運用、あるいは予算の編成等を見ておりますと、たとい特別会計に組みましても、五百億なら五百億以上のプラスにならない。その中にぶち込んでしまうおそれがある。元来このダイヤモンドとか貴金属は、当然賠償として外国に持つて行かるべきものである、しかし日本に返してくれた。この品物の性質はどちらかといえば、全部が愛国心の結晶と申しても過言でないのであります。従つて、この品物の本質から考えましても、国民の気持からいいましても、こういう金額はでき得るなれば厚生省予算にプラスするところの過程に持ち込みたい、こういう念願にほかならないのであります。そこで別に定むる法人をもつてこれを取扱わしめて、プラスせしめたいというのがわれわれの真意であります。
○黒金委員 ただいまの御説明でよくわかりました。御趣旨とするところは、できれば国家の責任において、そうして一般会計なり何なりで現在の制度の上にこの金を加えて行きたいのだ、それが非常に不便な場合にこういう方法を講ずるのだ、こういう御趣旨と拝承いたします。 そこで政府に一言伺いたいと思うのでありますが、こうした先例は、前に揮発油税を道路の方に使うとかいうことで、こういう財源措置を法律に規定したことがあつたかと思います。一般論から申しますと、このような一般的な収入をもつて特定の財源に充てるということは原則ではない、非常な例外であると考えるのでありますけれども、かりにこの第十七条が通りました場合に、大蔵省としてはどういう御感想をお持ちになりますか、それを承つておきたいと思います。
○植木政府委員 接収ダイヤモンドの売払い代金を特殊の法人に交付して、これによつて先ほど来いろいろ質疑応答がかわされておりますような使途に使わせるという問題につきましては、大蔵省としては、どうもその趣旨に賛成いたしかねるのであります。ただいま揮発油税の目的税式的なきめ方の問題について例証をおあげになりましたが、当時も、大蔵当局としては、一般の財源に充てるべきものを特定の財源にきめてしまうことは、どうもよろしくないという考え方で、非常に躊躇しておつたのであります。今回またこうした特殊の接収ダイヤモンドを、かりに国有になつた場合に売り払いまして、本来ならば、われわれの考えるところでは、国の行政の一部であるべき仕事を、特殊の法人にやらせるということについては、どうも賛成をいたしかねるという意見を持つております。いまさら喋々申すまでもなく、一般の歳入をもつて一般の歳出に充てるということの原則を極力貫いて行くのがいいのであります。このダイヤモンドの問題でも、なるほど戦災の関係の方々、その他不幸に陥られた方々のために使うということに若干の、あるいはそれ相当の関連性があることは認めないわけには参らぬと思います。しかしながら戦争によつて犠牲をこうむつた、非常な損害をこうむつたという者は、それこそ全国民といわなければならぬほど範囲は広いのであります。従つて、これによつて得た財源というものは、これはやはり国の一般の財源にして、そうして先ほど来提案者の御説明になつているような、特に戦災のために非常に損害がほかに比べて大きくてお気の毒であるから、何とか措置をしなければならぬという方々に対しては、それこそこのダイヤモンドの売却等によつて得た財源のみならず、ほかの財源をも加えてでき得る限り措置をするのが、国として当然の義務だろうと考えるのであります。従いましてわれわれ大蔵当局といたしましては、相なるべくはこうした措置による財源の使用方法に対しては避けていただきたい、かような考え方を持つものでございます。
○千葉委員長 有田二郎君。
○有田(二)委員 中野さんにお尋ねしたいのですが、今の大蔵政務次官のお話は一般論であつて、この趣旨は私は非常に賛成なんです。従つてこれは二百億なら二百億ということであれば、現在国から援護を受けておる人を除いた他の戦争未亡人とか、あるいはお気の毒な人に金を使うという行政監察委員会の諸君の思いつきは、私は非常にけつこうだと思うのです。しかしながら他に一つの公法人をつくつて、それを利用してやるということでなくして、二百億なら二百億というものを特別会計にして、そして政府にさわらせない、この金は結局現在恩給法その他によつて援護を受けておる人を除いた他の方面に使う。従つてそれは厚生省なら厚生省、大蔵省なら大蔵省の役人を出して、両方で協議させる。それについては、今申された一つの審議会のようなものをお設けになつて、それによつて決定して、そういう方面に使わせる。公法人というものは永久性がないわけですから、どうしても私は官吏の方がまだ良心的じやないかと思う。過去における貿易公団とかその他のありさまから見てみて、いつ解放になるかわからない、いつやめなくちやならないかわからないというような不安定な公法人に勤めておる人間の心理から行きまして、せつかくいい思いつきを行政監察委員会の諸君がなさつても、そこにいろいろな問題が起つて来る危険性が多分にあると私は思うのです。また事務所費なり人件費の負担がそこにかかつて来るわけです。現状の厚生省なり大蔵省の役人なら、それらの事務所を使えば、事務所費もいらぬ。人件費もあまりかからぬ。それだけよけいに気の毒な方々に金を持つて行くことができるということも考えられるわけです。私は今の大蔵当局のお話を聞いておると、一般論としてはごもつともでありますが、それでは行政監察委員会の諸君のお考えというものは徹底しないのじやないか。従つてこれだけ特別会計として別わくに扱つて、そうして現在政府の使う方面には使わせない。政府の援護その他が行かない方面のお気の毒な人たちに使う。方向は審議会によつて御決定になつて、そしてそれを扱うところは厚生省なり大蔵省の役人をしてそれをやらしめる。そうすれび法人をつくらなくても、人件費とか、あるいは事務所費とか、その他いろいろな不祥な事件も、私は官吏にまかせた方が少くて済むのじやないか、こういう考えを持つのでありますが、中野委員の御所見を承りたいと思います。
○中野委員 お尋ねはごもつともなんです。私どもの提案いたしましたねらいも、国の責任においてやるのも同様なんです。たとえば人事の任命とか、あるいは予算の指導というようなことは、ともに国がやるのでありますから、その点においての危惧はないのであります。ただ私が別に定める法人をもつてこれに当らしめなければならぬという考え方を委員会できめましたのは、従来の例を見ますると、法規にこだわつておつて十分の運用ができないことと、それから援護の迅速を欠いておることなんです。いわば役人はしやくし定規にこだわつて、適正な援護が行われていない。こういう観点に立ちまして、私は、その責任においてやるものは国がやると同じであつて、人事の任命、予算の指導等をいたすのでありますから、むしろこの際迅速を期し、しかも適正な運用をするには、別に定める法人をもつて当てた方が妥当ではないか、かように考えて提案をいたした次第であります。
○有田(二)委員 御趣旨はよくわかるのでございますが、迅速を期するとかなんとかいうことは、審議会をおつくりになつてやらしても、私は十分御趣旨の線は沿い得られると思うのであります。法人にしたから迅速にやれるという筋合いのものではなくして、現状の役人でも、法の定むるところ、その審議会なら審議会の議決権によつて一つの方向がきまつて、その方向でやるということになれば、私は役人でも十分迅速にして的確なる方法がとれると考えるのであります。必ずしも公法人をつくらなくとも、厚生省、大蔵省の役人でも、別途のこういう審議会の議決権で方向をはつきりすれば、迅速にやれると思うのであります。もう一度その点を伺います。
○中野委員 先ほど黒金委員からお尋ねがありましたように、救われぬものが相当あるのです。役人は、やはり立法によつて決定された法律に従つてすべてのことを行うのであります。しかし法律のわく外のことは一切手をつけられないのは、もはや論をまたないのであります。たとえば先日、未帰還遺族の連中、そういう人の援護の融資を厚生委員会において取扱いをいたしました。あるいは未裁定の家族に対して、却下されたものを含んで七万五千家族に対して約五万円ずつの弔慰金を送るべく決定いたしました。これは委員各位の国会における非常なる御努力であつたと私は思うのであります。そこで一点欠けております点は、軍属に対する何らの手当がなかつたのであります。私は厚生委員といたしまして、ずいぶん妥当を欠いておるではないか、軍人、準軍人のみを遇して、軍属を遇しないのはいけないのではないかという質問に対して、政府は、転免役賜金によつて文官は一応の待遇を受けておるから、従つて軍属には弔慰金を送る必要がないという答弁ではありましたが、その節われわれは、軍属の範囲は非常に広範囲なものであつて、その種類は非常に多岐にわたつておるわけであります。従つてその例を一々あげまして反問をいたしましたが、最後は財源不足の一点によつて、何らの処置も講ぜられなかつたという実例があるのであります。すなわち私は、救われない者を何らかの形においてまず救い、これをさらに強化して行くという先ほどの黒金委員の御意見に、まつたく賛成をしておるのであります。現に恩給融資のごときは、予算数十億を計上したにかかかわらず、年度を経過しても一銭も出していない例もありますから、こういうものを臨機の処置をとり、適正な処置をとらしめるには、別に定める法人が比較的妥当ではなかろうか、かように私は考えておるのであります。
○有田(二)委員 よく御趣旨もわかるのですが、それは法律の定めるところで行つておるから、そういう点でできるのであります。今の軍属の問題にしましても、審議会というものをおつくりになつて、審議会の議決権で、こういう軍属にはこういうようにすべしという方向がきまれば、公法人でなくても、厚生省の役人でも、そういうような審議会の議決権による決定によつて金を払い出すということになれば、迅速にできるのじやないかと思います。必ずしも私は公法人によらなくても行けるし、また公法人というものを別につくれば、必ずそれだけの経費なり人件費なりでむだが出るわけなんです。それも年々相当の収入があるということなら別でありますが、ダイヤモンドは現存のものよりもうないわけですし、また将来金とか白金とかいうものを出して参りましても、それで大体の金は尽きておるわけですから、非常に貴重な金であります。その金を使うのに、人件費とか事務所費に金を使わないで、今ある厚生省の役人とか大蔵省の役人を使つてやつて行く、方向は審議会の議決権によつてやつて行く。結局中野委員と私の考えは一緒なんであります。ただ法人をつくつてやるか、現状の厚生省の役人を使つてやるかという違いの問題なんです。私はなるべく法人なんかはつくらない方がいいと思う。過去においても、法人ができると必ずそこにいろいろな忌まわしい問題が起つて来たわけですから、なるべくならば役人にやらせる、役人にやらせれば、しやくし定規でどうにもならぬというものは、審議会の機関によつてやつて行くというような方向にもう一ぺん考え直してもらえないかどうか、中野委員の御所見を伺つておきたいと思います。
○中野委員 私は有田委員のおつしやることもよくわかりますが、かりに官吏にやらしたつて、やはり幾らか定員を増さなければならぬのです。特に官吏にやらせれば間違いが起らぬとおつしやいますけれども、本ダイヤモンド並びに貴金属に関する限りは、官吏にやらせることは妥当でないということを実例をもつて申し上げます。後ほどこの所管局長が参りますれば、委員諸君の中で私はその事実を披瀝いたしまして、いかに官吏がこの貴金属、ダイヤモンドを取扱つておる過程において妥当を欠いておつたかという実例を示してお話を申し上げるつもりでございますが、ここでは私は省きます。ただ官吏にさせることが非常によいというお話であり、またいろいろ人件費等を使うからつまらぬではないかというお説に対しましては、ごもつともだとは思いまするが、官吏をして当らせしめても、やはり定員を幾らか増したり、それぞれの費用を使うことおいては大同小異、かわりはないではなかろうかと考えておるのであります。 それからもう一点、先ほどのお話の遺家族援護の道でありまするが、現在有田委員御承知の通り、厚生委員会において承れば、現在未裁定の家族というものは約十万家族あるのであります。これはまつたく恩給法に該当しないから、審査中と称して今日に至つておるのであります。しかし先日の援護局長の答弁によりますれば、これは大部分却下さるべきものだと言うておる。そして却下を前提ではないけれども、弔慰金五万円ずつをこの際支給したいという御意見でありましたが、もしそれ五万円の弔慰金をもつてこれを打切るというようなことがあるなれば、私はこの遺族の人々は当然国の処置に対して満足しないと思うのであります。やはりこういうような法によつて救われないところの遺族の方々に対して、何らかの処置を講ずる金にこの方面を使つて行きたい。それに当らせしめるには、いわゆるしやくし定規にとらわれておる役人にやらしめるよりも、別に定むる法人をもつて当てることが妥当ではないか。しかもその法人は、国の責任においてやると同じように、人事の任命、予算の指導等をやるのでありますから、お互いに折衷してそのよさを発揮し、適当に処置を講ずるということが妥当ではなかろうか、かように考えておるものであります。
○有田(二)委員 私と中野さんとの意見が対立しているのですが、趣旨は同じなんです。ただ役人はしやくし定規でいかぬとおつしやいますが、しからば公法人をおつくりになつて、それに民間から人を入れて、その人ではたしてうまく行くかどうかということも、私は大きな疑問があると思うのです。まだまだ何といつても役人の方が、役人として一生送るわけですから、私は良心的であろうと思うのです。それは役人にもいろいろ問題がある者もおりますけれども、しかしながら、何としても私は現段階ではやはり役人の方が良心的である。またそういう役人のために人がいるなら、臨時雇を一部入れても、役人というものは次から次に係がかわつて行くわけですから責任を感ずるわけです。だから厚生省の中にそういつた別の機関を設けてやつて行けば、私は十分に中野委員の御趣旨の点は伸ばし得る。ただ公法人々々々といいますが、今まで法人をつくつていろいろと問題の起つておることは御存じの通りであります。やはり厚生省や大蔵省に監督させるなら同じことであります。役人の中に臨時雇を入れて、その一つの係をこしらえて、そうしてやつて行くというような方法にすれば、経費その他も非常に安くつきますし、一人でもよけいに中野さんの御心配になる方々への援護もできるのじやないか。必ずしも官吏はいけないのであつて、法人であればうまく行くとは私は思わないのです。むしろ私は官吏にやらせる方が新しく法人をつくるよりは良心的であつていいと思う。過去の経験からいつて私はそう考える。しかし中野さんも、過去において私と一緒に代議士に当選して今日まで一緒に来ておるのだから、おそらく私と同じ考え方じやないかと思うのですが、もう一ぺん御所見を承りたい。
○中野委員 悪い例かもしれませんが、戦時中において、たとえば軍人援護会などがきわめてよい事例でありまするが、非常に適切なる処置を講じて、政府の足らざるところを補つて、しかも公正な運営をした実例があるのでありまして、私はこだわるものではありませんけれども、できるならば別に定める法人をもつて、そのあり方はあくまでも厚生大臣なり大蔵大臣なり、この法律の定めるところによつてその人々が構成され、あるいは任命されるのでありますから、私はその方が妥当でないかと考えております。これは有田委員とは大分食い違いがあるようでありますから、これ以上は申しませんが、ただ一点、かりに今後つくります援護団体——どういう法人ができるか知りませんが、本法案が通るという見通しが立ちましたときには別に提案をする用意をしておりますが、その援護団体は単にこのダイヤモンドだけを財源とするのではないのであります。金は少くとも日本銀行並びに日本政府のものがありましたからともかくも、銀、白金、宝石等は当然この財源としてこの方面に繰入れるべく別の法律をもつて定めたいと考えております。さらに隣保相愛の精神に基きまして、一般国民の義指金等も財源のうちに入れて、半恒久性のある別に定める法人を設立いたしたいというふうな考え方を持つておるものであります。
○有田(二)委員 一例を申し上げると、前に貿易公団というものがあつて、一時早船問題が非常に問題になりましたときに、大蔵省から出向しておる通産省の経理部長を、この委員会だと思うのですが、この委員室へ呼んでいろいろ調べましたときに、通産大臣なり大蔵大臣の監督下にあるというところの貿易公団というものの金の使い方に対しては、ただ監督下にあるというだけであつて、責任を追究して行くと一体どこに責任があるかはつきりわからなかつたのですが、おそらくこういう公法人をおつくりになつたら、大蔵大臣あるいは厚生大臣の監督下にあるといつても、いろいろつつ込んで行くと責任の帰趨が明らかでなくなつて来るわけでして、過去においてこういつた法人について幾多の問題があることは中野委員のよく御存じのところであります。これは御趣旨は非常にけつこうで、われわれは賛成であります。大蔵省から二百億の金を特別会計にひつこ抜いて、大蔵省にさわらせない、これも私は賛成であります。そして今援護を受けている人を除いた他の方面のお気の毒な人に対して適用して、迅速にこれを援護する、これも賛成であります。あなたが御計画になつておられる審議会のいわゆる決議によつて迅速に援護の方法をおとりになることは、私はまことに大賛成であります。従つて趣旨は私と中野委員はまつたく一緒であります。ただ公法人をつくらないで、何とか現状の政府機関の一部を利用して、この中野委員なり行政監察委員の各位の非常にとうといお気持が十分達成し得るような方法をもう一度御研究、御検討あらんことをお願いしまして、私の質問を終ります。
○柴田委員 先ほど三十万カラツトと十六万カラツトの相違をちよつとお伺いしましたが、そういうことは、政府の資料を中心としてわれわれは議論しなければならぬのでございましようが、結局今度は一番最後に問題になりますものは換価処分でございますが、この法案で見ますると、換価処分は単に適当な時期に最も迅速にということで、十六条で規定されておりまするが、たとえば莫大な金額に上るこのダイヤモンドを国内だけで処分するというようなことはとうてい不可能だと一般的に考えられるのですが、やはり国外市場を求めて適正な方法で処分をなさろう、こういうお考えも含まれておりますかどうかを伺いたいと思います。
○中野委員 適当な時期にと申し上げましたのは、大体このダイヤの建値と申しまするか、これはロンドンとニユーヨーク、それから日本の建値も考えなければならぬのであります。その中でロンドン相場、今年の一月十日ごろのロンドンの雄値は、一カラツトが大体四百五十ドル、それは相当品位のいいものでありまするが、日本金に直しますと十六万二千円ばかりであります。日本では、御承知の通り今は小売値が大体上級品は四十五万円くらいが一カラツトの相場であります。卸値が四十二万円くらいというのが相場であります。そうして外国へこれを持つて行つたからただちに相当高く売れるとか、どこへ持つて行つたからただちに売れるという性質のものではないと思います。 それからもう一つは、十六万カラツトのものを一ぺんに国内に流すということは、現在のダイヤの価格をぐつとげ下ますと同時に、売り払う価格の方も下るわけであります。このことは決してとらざるところでありますが、先日私の方に証人に喚問いたしました窪谷管財局長は、これは外国へ持つて行つて一ぺんに売る値だということを言つておるわけです。私はさような愚劣な手段をとる必要はない、これはできるだけ高く評価せしめて売却し、その金品をもつてその使途に充てるべきだと考えますので、適当に経済事情を勘案して分割売払いをするなり、あるいは外国に、適宜非常なよい値段で取引ができ得るなればこれを売るとかいうようなことを考えることは一向支障がない。一ぺんに売り払うということが相当問題の焦点になろうかと思うのです。 ただもう一つ御参考に申し上げておきたいことは、ここにおいでになる大蔵省の諸君は、かかり合つた人はあまりいないようなのですが、一番最初の大蔵省の説明は、ダイヤモンド並びに貴金属の問題をあまり国会で騒いでくれるなということが前提のようでありました。何となれば、外国から賠償を要求されておるときに、アメリカが賠償を放棄して日本に返したかかる貴金属があるとするならば、これを賠償要求の対象にされるおそれがあるから、なるべく国会で取上げてくれるなという趣旨であつたのであります。ところが今日に至りましたら、国会で取上げる取上げぬという問題でなくて、もはや公然の事実としてこの調査が進んでおるのでありまして、日本銀行の地下室には、すでに資料の中にありまするように、某国の貨幣あるいは某国の財産と今後日されるかどうかというような非常なデリケートな関係のものもあるのでありまして、でき得るなれば、今申し上げたように一応ダイヤの問題だけをば処理して、そうして貴金属はあとまわしにすることが妥当ではないかと私は考えておりましたが、そのダイヤの売払い方法も、政府の考えておるように、外国に一ぺんに持つて行つて売る値段だからこういうふうだというようなばかげたことを考えずに、経済事情を十二分に勘案して、これを十回でも二十回でも、あるいは三十回でも五十回でも分割払いにして、適正なる価格を収入の道として入れる方が妥当ではなかろうか、かように考えておるものであります。
○春日委員 中野委員にお伺いをいたしたいのでありますが、冒頭に、わが党といたしましては、この法律の趣旨並びに処理方針に対しては大体賛成であるのであります。こういう財源の乏しい折から日銀の地下室で長年にわたつて惰眠をむさぼつておりますこういうものに対しまして、これを経済活動に移し、しかもそれを動員して社会保障制度の資金源として活用するという着想は、むしろ議員諸君の御労苦に対して敬意を表しておるところでありますが、ただ一つ私として釈然としないことは、その中で、戦後進駐軍によつて無償で接収されたところのダイヤモンド、これをかつての所有主が明確なものはそれに無償で返す、こういうような方針がとられておる様子でございますが、これはそういうふうに考えられておるのであるか。だとすれば、それはどういう理由によつてそういう処理をなされんとするのであるか。まずこの点について御見解を伺いたいと思います。
○中野委員 お答えをいたします。一九五二年の四月五日付の大蔵省あての覚書があるのであります。フランクリゾー民政局長から来ております。これには三つの件数になつておりますが、「日本所有に係る戦時中蓄積した貴金属及びダイヤモンドの管理解除について一昭和二十六年六月二十一日附SCAP−N七四四三−A日本政府宛連合国最高司令部覚書」というのがあるのです。この内容を読みますとわかりますが、その二に「上記一の参照覚書に規定するすべての財産について、平和条約発効の日に連合国最高司令官の課したすべての管理を解除するにつき、平和条約の発効後において個人の利益と認められるものを調査して補償し、又は私有の財産と識別される特定の物を真実の所有者に返還する処理案をたてることを認める。」、こういう覚書の趣旨に従つてこういう処理の法案を考えると同時に、日本国憲法の定めるところによりまして、個人の所有権をある程度まで勘案いたし、もし無償で接収されたということが明らかになり、しかもその無償であるものが特定のものでありますから、これは私のものだということを特定の者が確認することがで得るという段階に行きますれば、憲法上の私有財産の自由という理由が現われて参りまするから、実際には考えなければならぬのでありまするけれども、このダイヤの場合は、そういう事実は上つて参らないのです。参らぬということを断定するのは悪いが、大体そういうことはあり得ないという想像を持つておるのであります。
○春日委員 もとより憲法が保障しております私有財産に対する補償の条項は、あらゆる機会において最高度に尊重されねばならぬと思うのでありますが、私が申し上げるまでもなく、この私有財産の補償に関しまする事柄についても、やはり戦時戦後を通じて幾多の非常の措置が講ぜられておるのでございます。それらの問題の処理は、戦時補償の打切り等によりまして、債権、債務が法律をもつて一切打切られてしまつておる等の事柄もあるのでございます。特にこういうようなダイヤモンドを戦争中に強制買上げをしたというような事柄等も、私有財産の自由というものをやはり制限しておる措置でございまするが、戦後、進駐軍が強制買上げをいたしましたところのダイヤモンドがあるといたしましたならば、これなんかも、やはり占領下において行われたところの進駐軍命令によるもので、これは戦争中におきましても、戦後におきましても、そこにあるところの平時立法を全部無視して、そこに特別措置が講じられておるという意味におきましては、すべて軌を一にするものであろうと思うのでございます。戦争中に取扱われたものと、戦後において、進駐軍によつて日本の法律を無視して取扱われた事柄とは、ほとんど同一の内容、性質を持つものでありまするから、これはすべからく同一の取扱いになされてさしつかえないと私は思うわけでございます。もとより私有財産でありまするから、特にただいまお読み上げになりましたような進駐軍の覚書等もありまするけれども、かくのごときものは一方的にアメリカがやつた事柄でありまして、今独立を回復いたしました日本の政府、日本の国会がそれを一つの参考として、あるいは客観的な一つの具象として取上げることはあるいはできるでありましようけれども、何もそのようなものに拘泥する必要もなく、また何らの拘束力を持つものではないと思うのでございます。そこで私は、ダイヤモンドを持つておつた階級はしよせんきようの生活に困るというような階級でもないでありましようし、しかも戦後においてそういうダイヤモンドを持つておつた事柄等は糾弾されなければならぬと思う。戦争中におきまして政府によるダイヤモンドの強制買上げがあり、善良なる国民はその政府の施策に協力いたしまして、持つ限りのダイヤモンドを供出しておつた。しかるところ戦後においてそういう強制徴収されたダイヤモンドの所有者たちは、他の協力君たちが協力しておつたにかかわらず、自分たちはひそやかにそれを隠匿しておつたことを物語るものでございまして、戦争中の政府の指令はのがれたのだが、しかし進駐軍は一つ違うとひどい目にあわされるかもしれないというような、いわば功利的な打算の上からそれを出したのではないかと思われる節等があるのであります。そうだといたしまするなならば、そういうような者にダイヤモンドを返してやる必要が、実際国家的見地に立つて考えてあるかどうか。これは広い視野に立つてみまするときに、かような卑劣な者にはさらに懲罰を加えてさしつかえないし、懲罰といいましても、道徳的な糾弾が行われてしかるべきものであるとさえ私は考えるのであります。そこで本立法の中に、処理委員会が設けられて、これをどういう方式で返すかというような問題もその処理委員会で検討されるそうでありまするが、私はそういうような個人の所有権という単なる憲法上のしやくし定規的な解釈にとらわれて、戦争中と戦後とのこの特別非常措置に対して均衡を失するような取扱いが断じてないようにとりはからわれるのでなければ、この事柄のほかへもたらす影響は私は大きいと思うわけであります。御承知の通り、最近におきましていろいろな特別立法が講ぜられまして、戦争中の債権債務の復活が論じられております。在外資産の問題等もあり、あるいはまた再建整備等、その他いろいろな問題がからまりまして、戦争中に打切られたところの債権債務の復活の事柄が今や立法化するために日程に上つておるのでございまして、その際戦後にとにかく無償で取上げてしまつたかと思われておつたところのダイヤモンドが、特にその本人の手元に返るということになるならば、たとえば戦争中に打切られたところの火災保険も、被償してくれという人もあるでありましようし、たな上げされておるところの債権も復活してもらいたいという整理会社に対する要請も起きて参るでありましよう。従つて私は、戦争と戦後とを画然と区別してこれの取扱いを別にすることは至当ではないと思うのでございまして、戦後の非常措置は戦争によつて起きた事柄でありまして、これはまさしく一連の事柄であると思うのでありまして、一括処理のカテゴリーにおいて処理なさるべきものと私は考えるのでございます。これらの問題につきましては、中野先輩は十分この点について御検討もされており、さらに広い視野に立つてあらゆる検討が加えられておると思うのでありますが、私の見解に対してどういうような考え方をお持ちになつておるか、この機会に承つておきたいと思うのであります。
○中野委員 まつたく同感でありまして、今の春日委員のお話、私もその通りだと考えております。ただ一点ダイヤのことに関しまして、今のお話の中に少し誤謬があるのではないか、誤解をされておるのではないかと思いますのは、戦争中隠しておつたダイヤモンドを戦後取上げられたというのではないのでありまして、戦争中に買い上げられ、あるいは配給を受け、それを使つておつた工場等に対して、進駐軍が接収をしたものでございまして、隠しておつたというのはちよつと当らぬかと思うのであります。それはこういうことは表現できるのです。戦争中にほんとうに装飾用のダイヤが国民の愛国心が旺盛であつて全部供出されておつたということであつたならば、今日日本のあらゆる——銀座あるいは名古屋の広小路を歩いて見て、あのように燦然と輝くダイヤモンドが多量にあるわけがないのであります。現在ダイヤモンドが日本中に流れておる数はどのくらいあるか、確かにつかむことはできませんが、相当な数量であります。このダイヤモンドが流れておる原因を調べてみますと、三つの不正なルート以外には考えられないのであります。一つは愛国心に欠けておつた者が、政府の当時の要請に応ぜずしてたんすに隠しておつたもの、これが戦後いろいろ生活のかてとなり、あるいは高値になつたので売りに出されたのが一つ、一つは、当時は輸入輸出を禁じておりましたから、密輸入があつたかとも考えられるのであります。いま一つは、買上げたダイヤモンドをば不正に横流ししたか、あるいはこの接収をされる過程において不正な行為があつたか、または接収後において駐留軍によつて横流しをされたか、こういうようないわゆる不正ルートの三つを考うることができるのでございまして、これらのものについては相当考えなければならぬのでありますが、今おつしやつたような、戦争中に出さなくて、戦後に押収をされたというものはきわめてまれではなかろうかと考えております。 それから金、銀、白金、特に条件付で買い上げました金のごときもの、つまり大判とか小判、あるいは金の美術品等でありますが、こういうものは別に考えなければならぬと私は思います。一般国民が強制的に出した金等は、不公平であるから、別に法律で考えるべきものである、こういうふうに考えておるのであります。ゆえにこれは原則ではないことを、この法案の審議の過程で明かにしておけばよい。条件付買上げの金の取扱いは別に考えねばならぬ、こういうような建前で行きたいと考えております。
○春日委員 ただいまの御答弁によりまして逐次明らかになつて参りましたことは、戦後に強制接収されたところのダイヤモンドは、具体的にはほとんどないのではないか、こういうお言葉でございまして、具体的にそういうことがないのならば、何も論ずるところはないと思うのでありますが、ただ御銘記を願つておきたいことは、ダイヤモンドと同じように、戦後におきましても、たとえば賠償機械の接収等が行われております。ところがその後におきまして賠償解除になつて、国の帰属となりました賠償機械の、こときものは、その後御承知の通り、やはり中小企業その他の適正産業等に対しまして有償で売却され、その代金は国の所有となつている事柄等もあるのでありまして、ひとりダイヤモンドに限らず、戦時戦後を通じてのこの非常措置によつて国の所有に帰属いたしておりますところの財産、こういうものを処分する場合におけるその考え方は、やはり全体的立場において、憲法における個人の私有財産の補償、このことにあまり深くは拘泥されることなく、やはり当時に思いを返して、他に同様の別の被害があるということ、すなわち私有財産というものがいかに凌辱されておつたかということ、そして同じ立場にあつたということ等を思い合せまして、今度のこういう特別立法によつて、特定のものが特殊の利益を受けることのないように、ひとつ十分今後の運営において御検討を願いたいと思うのであります。 なお委員の選任等につきまして、ただいま有田委員と発案者との間にいろいろ応酬がありましたが、有田君御指摘のごとく、早船君を中心とするところのどろぼう公団あり、そうかといつてまた壼井君を中心とするところのどろぼう官吏もありまして、今期国会で明らかにされました幾つかの疑獄というものは、民間、官界、政界を連ねてきつねとたぬきの化かし合いみたいなもので、正義観の強い国民を憤激さしているところでありますが、要は運営の妙とその人を得るところにあると思いますので、どうかひとつその処理委員会の構成並びに内容等におきましては特に万全を期されまして、問題が特に利害に連なる問題であり、しかも価額、販売先等につきまして、それぞれ利権、利害が非常にからまつて参る問題でございますから、さらに慎重を期せられんことを強く要望いたしまして私の質問を終ります。 次に、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案について、ちよつと会計検査院にお伺いをいたしたいのであります。あなたの方の報告の災害復旧国庫補助検査資料によりますと、山口県の佐波郡出雲村その他愛知県の幡豆郡三和村に対しまして、過大の補助金が交付されておる事柄が指摘されておるのでございます。これはいずれも決算委員会等において並行審議されておる事柄であるそうでありますけれども、本委員会では、この補助金等に係る予算の適正化に関する法律案を審議いたしておりまする過程におきまして、こういうような事実については深く検討して、よく実情を把握しなければならぬと考えますので、この機会に特に伺つておきたいことは、山口郡佐波郡出雲村に対して、わずか人口が五千八百人、戸数が八百八十五戸、こういうようなところへ七億八千四百十七万というような巨大な補助金が交付されておる。しこうしてあなたの方の御指摘によりますと、国庫補助金額以下で工事が完成して、そうして剰余金を生じておるということがここに示してあるのでございます。あなたの方では当然御調査の結果七億八千四百万というような巨大な補助金を得たところの出雲村は、政府の金だけで工事をしてなおかつ余つておる、こういう御指摘の事柄だろうと思うのであります。余つておる金がどういうふうに処理されておるかも当然御調査になつておると思いますが、どういうふうに処理されておつたか、このことを伺いたい。 それから警告を受けたところの農林省は、その後この事業主に対してどういうような措置を行つたのであるか、これを主計局長から御答弁をお願いしたいと思います。 しこうしてこの山口県佐波郡出雲村、八坂村、あるいは愛知県幡豆郡福地村、三和村に関する件は、御承知の通りただ単なる法律問題だけにとどまらず、これは佐藤幹事長の選挙地盤であり、さらに一方は小笠原大蔵大臣の選挙地盤であるという意味合いにおきまして、格別に政治的意味があるのじやなかろうかとおもんばかられる問題でございます。従いましてわが党におきましてはこの問題を深く掘り下げて、事の是非、善悪を究明しなければならぬと考えておりますので、この二つの問題についてこの際御答弁を伺つておきまして、継続して火曜日に御質問をしたいと思います。
○小峰会計検査院説明員 二十七年度の会計検査院の検査報告に、今お話がありましたような事項が掲げられてあります。一番大きいのが山口県の佐波郡出雲村であります。これは、先ほどお話がありましたように人口五千数百、耕地反別が五百数十町歩の小さな農村であります。ここに七億九千万円というのが二十六年災害でついたのであります。ほかにも隣村の八坂村について五億三千万円ついております。それから大阪にも相当大きいのがございましたが、愛知県の幡豆郡の福地村、三和村、これに二億円近い一億九千九百万円、あるいは一億九千百万円、こういう大きい査定がついたのであります。私どもといたしましては、今のような小さな農村で五億だとか七億だとかいうような査定がつきますと、当然高率国庫補助になりまして、少くとも一割なり一割五分なりの自己負担をしなければいかぬわけであります。七億五億というものがつきますと、七千万円、五千万円、あるいは一億円というものを地元が負担しなければ正当な工事はできないようなことに現在の制度ではなつております。それで、一体災害直後にこういうような大きな自己負担をする能力があるだろうか、こういうような点に疑問を持ちまして昨年から見つけて調べているわけであります。現在いろいろ各年度の工事——御承知のように二十六年災害と申しましても、一年や二年では工事はできません。まだ工事は完成していないのでありますが、その年度に国から支出いたしました補助金に相当する工事というものを、昨年も調べたわけであります。まだ相当に残つておりますが、出雲村ではすでに現金が少しだぶついている傾向が見えるのであります。但し、その現金が一体何の現金か、この補助は農林省関係の補助だけではございません。建設省関係の補助もあります。それから厚生省、文部省、そういうような関係の補助もございます。私どもといたしましては、農林省と建設省だけしか検査を担当いたしておりません。それから融資の金もございます。自己負担分を自分で出せませんから、ほかからとりあえず公共資金を融資する、こういう関係もございます。それで相当金額がだぶついておるというふうには見えますが、どうも現地でなかなか資料を見せてくださらぬ、ないないということで、私どもの力では底の底までつつこんで行くことが実はなかなかむずかしいのであります。現在はまだそういう過程にありまして、今のだぶついておる資金などは、県にお願いしまして、一体何の金か……。
○春日委員 どのくらいだぶついておりますか。
○小峰会計検査院説明員 金額にいたしますと、概算でありますが、千九百万円ぐらいの金が帳簿上残になつているはずであります。普通ですと、工事中にそういうような金額が残るわけはないのでありまして、仕事は先にやつてあとから補助金が来るというのがどこでも通例であります。工事中にそういう金が残るというのも——私ども最近にことしの検査を終つたばかりであります。どういう金かということもはつきりわかりません。県の調査が参りまずと、もつと具体的に申し上げられるのじやないか。本年も相当工事がございます。最後に参りますと、村によつては相当に金が余つてしまうのではないだろうか、まだ何分にも工事途中でありますから、今のところ結論的な金額として、それが一体何によつて生じたかということは申し上げかねるのであります。工事が終りますと、今のような結果がはつきりして来るのではないだろうか、現在こう考えております。 それから農林省に対しましては、私どもの方で検査いたしまして、すぐにいろいろこまかい点の照会を出しまして、これなどは水増しの部分が相当にある、こういこうことで査定のやり直しということをお願いしているわけであります。御承知のように、査定は農林省農地事務所がやります。それで二度、あるいはところによつては三度目の査定をやつていただいておるのであります。毎年の工事には、その年度にどれだけの工事をやるというので、実施設計というのをつくりますが、その自主設計については、相当正確に査定のやり直しをかねて厳重に審査をしてもらつております。出雲村は、私どもが見つけましてから何べんか県にも注意し、農林省にも注意しました結果、当初の査定から申しますと現在までに一億円減つておる、こういうことになつておるわけであります。
○正示政府委員 主計局からお答えいたしますが、検査院の方から御答弁のありました通りの事態でございまして、かねてから災害の経理につきましては、検査院とよく連絡をとつて監査等もいたしております。ただいまお話のように約一億円ぐらい現在までの査定で減少をしておるようでありまして、これにつきましては、返納を命ずることは当然でありますが、さらに現状におきましても、一層監査を厳重にやらなければならぬということでございます。 なお本件につきましては、国会からも特に現地を御監査になつたようでございますので、それらの資料等もちようだいいたしまして、返納を命ずべきものはただちに返納さすというようにいたしたいと思います。とともに予算執行職員等の責任に関する法律等、現在の法律によりまして、責任を追究すべきところは責任を追究して参りたいと考えております。
○春日委員 先般来本委員会におきましていろいろ論議をされておるが、大蔵省はその都度国民の血税だから云々というしやらくさいことを言つている。こういう会計検査報告によると、何億円というような厖大な資金が、委員長とか幹事長とか大臣とかの地元へめちやくちやに流れておる。こんなことで、国民の血税だなんというしやらくさいことを大蔵省が言えるか。私どももは実際義憤を禁じ得ないですよ。あなた方は、予算執行職員等の責任に関する法律に照して責任を追究しておるとかなんとか、こういう問題が明らかになつてからまだそういうことを言つておるが、大体一つの村について八億とかなんとかいうような厖大な金が出おつて、あなた方がいろいろ申請に対して神経質なくらい審査をしておる現状にかんがみて、そんなものが通るはずがない。大体一つの村について、おじいさん、おばあさんまで入れて、一人当り六万円くらいになり、一戸当り三十万円というような自己負担をしなければならないような工事がやれるかやれないかということは、あなた方が審査をする過程においてわかることなんです。わかることをともかく通しておいて、問題になつてからいろいろ糊塗策を講じておるということは言語道断ですよ。そんなことを国民が聞いたらほんとうに張り飛ばしたくなるだろう。きようは時間がありませんから、この問題についてはいずれあとで質問したいと思いますが、この機会に委員長に申し述べておきたいことは、本件に関係いたしまして国会が調査いたしましたところの調査資料、並びに建設省の関係責任者並びに農林省の関係責任者を本委員会に出席を求めておきまして、この問題についてさらに継続して質問をいたすことにいたします。本日はこれをもつて私の質問を終ります。
○柴田委員 関連して。今の問題は決算委員会でも大きな問題として取上げておりますが、ただわれわれが聞いておる範囲では、村当局の予算、決算の状況が二重にそろつている、にせものがそろつておるということもわれわれ聞いておるのですが、県の予算等においても、こちらに申請する場合の副申書に添えました予算と、現実の予算とが別個にあるというようにわれわれ聞いておりますが、そういうことも会計検査院で御調査願いたい。
○小峰会計検査院説明員 今の柴田委員の御質問にお答えいたします。二重に予算を持つている、こういう御質問でありますが、予算では別に二重にはなつていないのであります。工事の予算で二重になつておりませんから、従いまして県では別にそういうあれはございません。ただ事業主体——この場合は村なり土地改良区でありますが、事業主体は、国からもらいます国庫負担金に合せて相当な自己負担をしたかのような書類をどこでもつくつております。それはにせものです。実際は自己負担をしないで、補助金の範囲内で工事をやつてしまつているというのが、山口県の例に限らず非常に多いのであります。こういうところでは、私どもが検査に参りましても、うつかりしますと、負担をしないのに自己負担をしたかのようにつくつてある書類でごまかされてしまうというケースが非常に多いのでありますが、山口県の出雲村でも、工事に関する二重の書類というのはあつたように私も聞いております。
○中野委員 今の愛知県の幡豆郡の問題は、この前も一ぺん問題になつたもので、検挙された人員からいつても、日本で一番多いと言つていいほどの多人数に上つております。しかも最近において、再び同じようなケースが現われて、現在公判に付されておる。先日私は刑事記録をば一応見たのでありますが、驚くべき濫費が行われておる。これは大蔵省にしても会計検査院にしても、一ぺんそういう違反をした者は前科者なんだから、これに対しては当然注意すべきであるにもかかわらず、再びそれが繰返されて行われておるということは、私どもどうしても納得ができないのであります。初めてこれが見現わされたというならば納得できるのですが、前に前科があり、しかも相当の金額に上り、多人数の検挙を受けておるその後において、再び同じようなケースの犯罪が現われておるということは、監督官庁の怠慢と言わざるを得ないのであります。これは前の事例にかんがみましても、今回の公判の刑事記録を読みましても、愛知県の幡豆郡に関することだけは事態が明らかになつたと思いますが、あなたの方で資料を求めるのに難儀な点とはどういう点なのですか、伺つておきたいと思います。
○小峰会計検査院説明員 幡豆郡の問題は、私どもで見つけましたものとして非常にめずらしい例でありまして、二重に補助金をとつたというケースであります。普通は建設省と農林省と両方から、一本の川なら川につきまして、補助金の二重の査定を受けるというケースはときどきあるのでありますが、愛知県の例は、同じ農林省内で、しかも同じ局内で二重にとつたもので、具体的に申しますと、同じ事態に対して、災害復旧と耕地整理というようなものが一緒についたわけであります。非常にめずらしい案件ではありますが、私ども昨年の二月ごろでありますか、まだ検挙されない前に実は見つけまして、そうしていろいろ資料をまとめておる最中に、検察庁の手が入りまして検挙されたのであります。私どもとしては、書類が検察庁にごつそり持つて行かれまして、いろいろと資料を集めるのには方々の御協力を願つたわけでありますが、もう一度検査に参りまして、二十七年度の検査報告に載りました程度にまとめたわけであります。そのほかに犯罪があつたということは実は私存じません。その後であるかその前であるか、その以前のことは私ども存じません。
○千葉委員長 この問題は来週の火曜日にさらに続行することにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十八分散会