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19回国会衆議院1954/04/27

大蔵委員会 第48号

発言数
154
登壇者
16
会派数
4
開催日
1954/04/27

会議録

千葉三郎改進党

○千葉委員長 これより会議を開きます。  まず理事の辞任についてお諮りいたします、理事の内藤友明君より、所用のため二、三日の間委員会に出席ができないので、理事を辞任いたしたいとの申出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

千葉三郎改進党

○千葉委員長 御異議なしと認めます。よつて内藤君の理事辞任の申出はこれを許可するに決しました。  次に、ただいま辞任を許可いたしました理事の補欠を選任いたしたいと存じますが、これは先例によりまして、選挙の手続を省略して、委員長より御指名いたすことに御異ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

千葉三郎改進党

○千葉委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきましては、福田繁芳君を理事に指名いたします。     —————————————

千葉三郎改進党

○千葉委員長 次に、経済援助資金特別会計法案、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律案、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律案、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案、国の所有に属する自動車の交換に関する法律案、日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、株式会社以外の法人の再評価積立金の資本組入に関する法律案、出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案、証券取引決の一部を改正下心法律案の九法案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順にこれを許します。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 昨日の委員会におきまして、私は国の所有に属する自動車の交換に関する法律案、これに関連して主計当局に対して資料を要求してあつたのでありますが、資料がもしできておるとするならば、主計当局からその資料に基いて一応詳細に御報告を願いたいと思うのであります。

正示啓次郎大蔵事務官(主計局次長)

○正示政府委員 昨日福田委員から御要求のありました国の自動車の保有状況につきまして、私どもの方で用意をいたしました資料についてまず御説明を申し上げたいと思います。なおこの資料は追つて印刷をいたしまして提出いたしたいと思います。資料は二十七年八月一日現在保有数になつておりますが、あとでその後の取得台数をつけ加えて申し上げたいと思います。  二十七年八月一日現在で、一般会計と特別会計との事務用の車について御説明を申し上げます。  まず一般会計の乗用車でございますが、これは四千六百四十三台となつておりまして、そのうち大型車が三千七百六台、小型車が九百三十七台ということになつております。それから同じく一般会計のバス、トラツクでございますが、この会計が六千六百四台でございまして、バスが二百四十三台、トラツクが六千三百六十一台ということになつております。以上一般会計の合計か一万一千二百四十七台でございます。  次に特別会計でございますが、特別会計の乗用車の計が——これは事務用だけでございまして、御承知のような郵政の事業用というふうなものは一切除外をいたしております。その事務用の乗用車でございますが、これが四百七十一台、そのうち大型が三百二十六台、小型が百四十五台でございます。次に特別会計のバス、トラツクは六百六十二台でございまして、バスが七十八台、トラツクが五百八十四台となつております。これによりまして特別会計の持つております自動車の数が、これは繰返して申し上げますが、事務用車でございますが、一千百三十三台でございまして、一般会計と特別会計を合せますと一万二千三百八十台ということになつております。  御要求は、さらにこれを外車と国産車にわけ、それをさらに年次別の新車、あるいは古い型ということでございましたので、それを簡単に申し上げます。  まず一般会計の乗用車につきまして申し上げれば、大体のことを御了解いただけるかと思うのでありますが、一般会計乗用車が、申し上げましたように四千六百四十三台でございますが、このうち大型の車は先ほど申し上げましたように三千七百六台でございます。それをまず外車、国産車にわけ、さらにそれを新車、中古車とわけて申し上げます。この場合の新車というのは、昭和十九年以後の車でございます。それから中古車は四三年、昭和十八年以前のものであります。大型外車の新車が大百八十八台、中古車が二千七百七十二台、国産車の同じく新車が四十四台で中古車が二百二台、それから小型車につきましては、外車の新車が十一台、中古車が五十七台、国産車の新車が四百九十五台、中古車が三百七十四台、こういうふうになつております。これは印刷をいたしましてお届け申し上げる次第であります。  なおつけ加えまして、昭和二十八年度中に政府が新しく買いましたものは、これは乗用車だけの調べでございますが、これが四百台ということになつております。ちなみに二十九年度の予算で新規に購入する台数はわずかに四十三台、それもやむを得ない例外だけを計上いたしておる次第であります。  以上によりまして大体の御説明を申し上げたのでありますが、この資料は印刷してただいまお届けいたします。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 なお参考に一点伺いたいのでありますが、昭和二十八年度に購入した四百台及び二十九度年に購入せんとしている四十三台、合せて四百四十三台に対して、予算の全額は平均幾らくらい組んでおられるのか。

正示啓次郎大蔵事務官(主計局次長)

○正示政府委員 二十八年度の四百台に対する購入の経費でございますが、これが五億五千九十二万五千円でございまして、約百三、四十万くらいになつておるわけであります。それから二十九年度は四十三台に対しまして五千百万円でございますから、これまた平均百三十万くらいの価格になつております。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 大体百三、四十万円ということになるのでありますが、さすれば、昨日の委員会で同僚委員の平岡君その他の諸君からも強い希望条件がありましたごとくに、この際相なるべく高級車より国産車、新型より旧型と申しては語弊がもりまするが、そういう経費を節約するという点において十二分に御検討されんことを強く私は要望して、大体本案に関する私の質問は一応終りたい、かように考えます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 若いわゆる明治時代の官員さんなるものが、官吏の威厳を備えるためにサーベルを下げた。鉄道官吏までも当時は礼服にはサーベルを下げておつたものであります。ところがどうもやはり官僚主義の風潮がまただんだんと高まり跋属しつつあるきらいがあるのであります。従つて現在の官吏は威厳をしつらえるのに、サーベルなんかのかわりに高級自動車をもつてこれにかえておるようなきらいがないわけではないのであります。そもそも吉田内閣は今国民に耐乏生活——大蔵大臣は合理的な生活と言つておられるけれども、口にそういうことを言つておるくらいならば、現在政府が手に持つておりまするところの自動車の分類調査から考えてみましても、二十八年度の自動車の四千六百四十三台の大型の中で、そのほとんど大部分の三千三、四百台のものが外車であるというわけなんです。こういうようなことでは、口で唱えておることとみずから行つておることとがほとんど雲泥の差であつて、これではとてもとても国民が、政府の言うところの合理的生活だとか、あるいは耐乏生活だとかいうものに乗つて来るはずはないと、思うのであります。そこでわれわれが現在心配をいたしておりますのは、今度この法律によつて自動車が交換できるということになりますると、今まで政府が新規自動車を購入したり古いのを払い下げたりするあり方と大分かわつて来る。すなわち古い自動車を払い下げて、その代金をそのまま新しく購入するものの中に加えて参りまするので、従つて予算が少くてはるかにより多くのいい自動車がたくさん買えるというような結果になる。実際上の運営についてはそういうような効果をもたらして来るのではないか。つまり今までだと、古いものを売り払つてしまつたら、その代金は政府の収入に入つて来る。それで自動車の購入の予算というものは別個に盛られているから、古い処分と新しい購入との資金操作に関係がなかつた。従つて今回予算は相当削減されておるとしても、実際的には古いものをどんどん売つて、その金が本年度の予算の中にプラスされて新しい購入資金となつて来る。こういうことで、ここに一つのマジツクが行われるのではないかという疑義をさしはさまざるを得ないのでありますが、実際的にはそういう形になるのであるか、あるいはならないのであるか、この機会にこの問題をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。

正示啓次郎大蔵事務官(主計局次長)

○正示政府委員 昨日他の委員の方からも大体同じような御質問を受けたのでありますが、この問題は昨日も申し上げましたように、多年大蔵省としては考究をして来て参つた問題でありまして、ことに物品管理の根本的な立法をすべく、ただいま民間の有識者の方方にも御参加願いまして、研究をいたしておるような次第であります。とかく金の面につきましても相当いろいろ決算委員会等で非違を指摘されておりますが、物品の保管管理につきましても、従来やはり国の物品というようなことで、とかくおろそかになるというような御非難をこうむつておりましたので、これにつきましては大いに反省しなければならないという考えを持つておるわけであります。今回この自動車につきまして特に立法いたしました趣旨は、春日委員が御指摘のように、終戦後官庁の車が非常にふえ、しかもそれも外車で大型車が多いということは、一般の批評の対象となつておつたところでございます。そこでそういう事態に対処いたしまして、この際これを交換いたすということになりますと、すべてこれを払い下げ、新しく買うというのが従来の行き方なんでございますが、そういうことでは相当予算の膨脹になるのみならず、一般的に外貨節約ということで、新規の自動車の輸入も押えられているようなときでございますので、できれば国内に現在ありますところの車で相互の有無融通をはかりたい、こういうことともにらみ合せまして、今回の立法をお願いいたしたような次第であります。従いましてただいま御懸念になりましたように、この法律を悪用いたしまして、一方では現金の出入りがそれだけ減るからということに乗じまして、一層車をよけいに使うというようなことをやるのではないかという点につきましては、毛頭さようなことは考えていないのであります。むしろ昨日も申し上げましたように、積極的に大型車を小型にかえ、あるいは外車を国産車に切りかえることにいたしまして、経費の節約、燃料の節約というふうなことに資して参りたい、そうして今回の予算の基本理念であります一般的な緊縮政策の線に沿うてこの法律を適用して参りたい、かように考えておる次第であります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 大体この予算の基本的な理念がそこにあるということは了承いたしましたが、一昨日でありましたか、井上委員の質問に対して植木次官からの御答弁、私は聞き漏らしたのでありますが、今後政府が購入せんとする自動車は、緊縮政策の基本的な考え方にのつとり、特にはまた国産奨励というような産業政策ともからみ合せて、国産車を使用することに何らかの機関で決定されたことがあるのであるか、あるいはその点は全然オーブンにされておるのであるか、これをこの機会にひとつ承つておきたいと思うのであります。

植木庚子郎自由党大蔵政務次官

○植木政府委員 官庁用自動車の問題につきましては、昨年の暮れごろ次官会議におきまして申合せをいたしまして、なるべく外車を使うようなことを避けるようにしたい、言いかえれば新車購入の場合には、極力国産車によることにいたしたい、あるいはまた大型車は、現在持つておるものでもできるだけ使用回数を減らすとかいうような方法によつて、燃料の節約をはかり、小型車をなるべくよけいに使うというようなことを考えて申合せ等をいたしたこともございます。また閣議等におきましても、承るところによりますと、なるべくひとつ国産車の奨励、国産を愛用する、あるいは外車につきましてはでき得る限り経費の割安で済むような種類の車にしようじやないかというような話題も出たようであります。かようなわけで、今回のこの交換に関する法律につきましても、極力そうした方針にのつとつて運用して参りたい、こういうような趣旨で御提案申し上げてお願いをしておる次第でございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 大体そういう申合せ、了解事項というようなことで、別に拘束力を持たないような決定と伺つておるのでありますが、少くとも今回特にこういうような交換に関する単独立法等をここに立法されんとしておるこんな機会に、願わくは率先垂範という古い言葉もありますが、現実に政府がほんとうに耐乏生活のようなことを品にされるということであるならば、できるだけ——できるだけということではなくして、やはり官庁の車だけは国産車を使つて行つて、現実に輸入削減の方向へみずから協力して行くのだ、こういう態勢を確立するような決定を大蔵省あたりからひとつ御提議を願つて、政府の行動を統一願いたいものだと考えるのであります。  なおこの機会に一言申し上げておきたいのでありますが、われわれ国会議員は、御承知のように大体十人に一台とかいうような割当をされておりますけれども、みな多忙で、これを使いますのでほとんど割当てられておりません。従つてみな電車で行くとか、バスで走るとかいうことになつております。ところが一方官庁においてはどうであるか。先日も某議員のお話によりますと、吉田総理大臣のごときは、月に二回くらい自動車を買いかえられて、きようはブルー・カー、この次はブラック・カーというようなことで、自動車を思う存分にとりかえられて、きわめてカンフアタブルな通勤をされておるということである。特に課長さんあたりもほとんど自動車をお使いになつておるわけてあります、このことは、現在のわが国国民経済が置かれておる立場とはたして均衡を保つておるかどうか、この点は批判の存するところであろうと思うのであります。少くとも政府の課長級が相当の自動車を使つて行動しなければならぬという筋合いのものではないのでございまして、国会議員ですら昼夜をわかたず活動しておる中において、十人に一台しか現実にはなくて、結局それぞれ耐乏の中に身を置いておるわけなんであります。従つて課長さんの自動車のごときは、スクーターくらいにしてみたらどうだろうかと思うのです。スクーターというとおもしろいかもしれませんが、敏捷に活動するためには、やはりスピードは重んじなければならないでしようし、人力に乗るというわけにも参りますまいが、しかし自動車に乗らなければならぬという筋合いはない。局長とか大臣等になれば老齢であり、健康のこともあろうし、さらに仕事の持つヴオリユーム等から考えて、なるたけ云々というような了解も立たないわけではないが、少くとも課長級はなお壮年にあつて、そういうものに乗る健康にも耐えられるであろうと思いますし、そういう人々たちが、昨日の新聞は御承知でありましようが、金詰まりのために首をくくつて死んだ人や、子供の頸動脈を切つて自分も自殺した人たちもある。こういうように国民が非常に困つてしまつておる、あえいでおるそのときに、課長だけが悠々と自動車に乗つて仕事を果しておるというようなことは、これは国民としてははなはだいただきかねる行動なのであります。どうかそういう意味で、今後課長に自動車をあてがわれることに私は反対するわけではありませんけれども、しかし現在のようにあまりにも至れり尽せりの完備された態勢が政府だけにあつて、国民は木枯しの吹きすさぶ中に置き捨てられておるというようなことは、植木さんのような大ヒユーマニストに国家の財政巨体を通じてひとつ十分制肘を加えて行つてもらうのでなければ、国民がついて来ない。てんで初めからあなたの政府にはだれもついて行つてはいないのだが、それにしても心構えというものは別にあろうと思うわけであります。どうかこういう意味におきまして、今後は大蔵省あたりから閣議に提議されて、官庁車は国産車を使用する、課長のごときは健康で若いので、スクーターで走らせる、こういうことを決定されんことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。

千葉三郎改進党

○千葉委員長 大平君。

大平正芳自由党

○大平委員 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案について二、三伺つておきたいと思います。  この法律案を見まして率直な感じといたしましては、補助金というのはどういうものか、交付を受ける手続と、交付を受ける条件と、それに対する罰則がある。それで手続とか条件とかいうものは今までもすでに実行しておつたことを明文化したような感じがするのです。補助金を交付する場合につける条件、ああいつた条件はたいていの場合はつけておつたような感じがするのです。してみるとこの法律案は、要するに罰則規定を強化して行くというところが重点になつているように思う。その罰則たるや百万円以下とか、十年以下の懲役とか、あるいは未遂を罰するとか、非常に強い罰則をつけてあるので、考え方としては非常に正しい考え方であるし、補助金を交付しようという点を適正にやつて行こうというのには、だれも異存はないと思うのですが、ただ私は、こういう法律が出る前にもつと考えなければならぬ問題があるのじゃないかという感じがするので、二、三政府に伺つておきたいと思うのですが、補助金が最近の会計検査院の不当事項、批難事項の調べにもありますように非常に乱脈をきわめておる。遺憾であります。しかしこれは補助金を受ける方の不注意や過誤があることももちろんでありますが、同時に予算編成当局として、補助金をどのように実際に適した適実な処置をやるかということが、まず第一に反省されなければならないということが考えられるのでございます。終戦前は比較的そういつた点が非常にしつかりやられておつたよなう感じがするのですが、終戦後は、わくでもつて、こういう事業についてこの程度の金だ、これを適当に配分したらどうだというごく大ざつぱな大わくでの配分が多くなつて来た傾向が見られるのです。これは国会がときどき予算修正をやりますので、国会側についても同時に反省を求めなければならぬ問題があろうと思いまするけれども、ともかく大わくで個々の事業計画に密着せずに配分しておる、従つてその個々の事業に対する再配分ということになりますと、いろいろな事情がありまして、比較的実態に適していない政治的な配分が多くなつて来ているということが、ただいまわれわれが当面している補助金の乱脈ということの根源じやないかという感じがするのです。特に災害復旧費などが多いのですが、災害復旧費は、中央各省がこれを個々の計画を立てておるのじやなくして、むしろ県別に配分して、それだけの金額を県に白紙委任にしたというようなかつこうになつておるのであります。そこで県会議員諸君と県庁の執行部が再配分をやつておるわけでありまして、中央の監督、監視というような点が非常に緩慢であるというきらいがあるのです。これは災害復旧費という今やつておる予算の制度がいいか悪いかの問題がありまして、私どもまた別な考えを持つておりますが、その点はしばらくおいて、ともかく今の予算の配分にあたつての積算の根拠が適実でないということ、その配分が大わくでわけられて適実な計画ができていないというような点が根本にあるので、そうことはさておいて置いて、犯した者に罰則の強化をもつて臨むということはいかにも調子がちよつと合わぬような感じがするのです。そこで問題は、一体この法律案を出さなければならぬような事情に立ち至つた根源について、政府は今後どのような措置をもつてお臨みになろうとするのか、こういう法律を出さぬでも済むようなぐあいに予算の編成そのものをもつと慎重にやらなければいけないというふうに思うのですが、その点の御見解をひとつ伺つてみたいと思うのです。  それから第二番目の問題としてこの法律自体の問題ですが、この手続をどうするかということは、今までもブラクテイスの上でやつて来たものでございますし、この条件も同様に今まで実行して来たものでございますから、こういつたことをわざわざ法律に明定しなければならぬ事情が一体どこにあるのかということが第二の疑問になる点であります。  それからさらに、関係の官吏などというものは、これは内閣訓令で十分徹底して監督ができるのじやないか。特別な権力関係にあるのですから、ことさら法律によらなくともいいような感じがするのですが、そういつた事情を考慮の上、なおこういう法律を出さなければならぬというような理由がどこにあるのかを、第三として伺つておきたいと思うのです。

植木庚子郎自由党大蔵政務次官

○植木政府委員 今回この法律を提案いたしまして御審議をお願いいたしました趣旨は、なるほどただいま大平委員の御指摘になりましたように、従来はもつともつと補助金の使用方についても適実に行われておつたのではないか、従つて今回特に法律をもつて、しかも罰則を強化するような方法でやらなくても、その前にもつと考える余地はありはしないかという御指摘でございます。まことにごもつともな仰せでございまして、その一つの不適正使用の根源が予算の積算のときにありはしないか、予算編成のときにありはしないかという御指摘も確かにその通りであると考えます。近年におきましての補助金の積算にあたりましても、必ずしも適実ではない場合がありはしないか、言いかえればわくをもつて与える、そのためにそのわくをルーズに使つて行くから不適正な使用が起るのではないかというような仰せだと思いますが、そうしたことも確かに一つの大きな原因になつておると考えられますので、大蔵省の予算編成当局におきましても、十分各省と協議を遂げまして、でき得る限り補助金の内容についても、ここ数年来のごときわくによつて予算をきめて行くというやり方をなるべく避けて、そうして個々の事案ごとにはたしてこれが最も適当なる金額であるかどうかということについて、なるべく深く入つて相談をし合つて行くという方針を持つておるのであります。しかし何分にも最近におきましての予算編成が、前後の状況とかいろいろな原因により非常に短かい期間にやつてしまわなければならぬことになつております。そのためにやはり思う通り、理想通りの内容の個々にわたつての精査が不十分にわたる点があります。こうした点はできる限り努めて参るつもりではございますが、なお別途に何かしかるべき方法がないかというここをいろいろ考えておつた次第であります。一方決算等におきましていろいろ指摘されるその事態を考えてみますと、何かこれは法律の上で適正なる使用方法が明示され、もしもそれに違反した場合にはしかるべき責任を負うということがいいのではないかというのが、この法律の御審議をお願いしておる趣旨なんであります。もちろんこれに関しましては、補助金を受ける側に対して十分なる注意を喚起するとともに、補助金を使用する側、すなわち官庁の側においても十分にこの法律にのつとつてやつてもらいたい、従来の補助金は、なるほど仰せのごとくそれぞれ各省においていろいろの条件を示し、その条件に該当しない場合には、あるいは計画通りに実行しない場合にはそれぞれの措置を講じておるのでありますけれども、必ずしもこれが十分ではない、ことに省と省との間の食い違いによりまして、その間に権衡を欠いておるというような場合も見受けられます。従つて何かここでやはり各省を通じて補助金使用の場合にはどうした条件を示すがいいかということを法律の定めるところに従わせるようにして参りたいというのが、今回この法律を制定し、御審議をお願いしておる趣旨であります。

淺香忠雄自由党

○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題になつております九法案中、国の所有に属する自動車の交換に関する法律案、日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案の両法案につきましては、この程度で質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。

千葉三郎改進党

○千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

千葉三郎改進党

○千葉委員長 御異議ないようでありますから、ただいまの両案につきましては、以上をもつて質疑を打切り、討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。  国の所有に属する自動車の交換に関する法律案及び日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案の両案に賛成の諸君の御起立を願います。   〔総員起立〕

千葉三郎改進党

○千葉委員長 起立総員。よつて右両案はいずれも原案の通り可決いたしました。  なおただいまの両案に関する委員長報告書作成の件につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。     —————————————

千葉三郎改進党

○千葉委員長 次に、九法案中ただいまの二法案を除いた以外の法案につきまして、審議を続行いたします。福田君。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 私はこの際補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案、なおまた出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案、この二法案に関連いたしまして、加藤法務大臣並びに政務次官にいささか御質問いたしたい、かように存ずるのであります。  そこで、加藤法務大臣は御就任早々で非常に御多用のことと存じますので、あらかじめ本委員会の運営に関しまして伺つておきたいのでありますが、本日は当委員会にお越しくださいまして大体幾時間ぐらいここにおつて御答弁願えるか、あなたの御予定をこの際伺つておきたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 まことに済みませんが、幾つかの委員会に呼ばれておりますものですから、五分顔を出せばというぐらいに承つたので、五、六分か十分ぐらいでお許しを願います。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 実は大蔵委員会に法務大臣がお越しになられると、非常に寄異の感に打たれると思うのでありますが、どうしましても司法当局の御意見を当委員会の所管関係において率直に伺わないことには都合が悪いことがありますので、実は昨日からあなたの御出席をお待ち申しておつたわけなのであります。ただいまお越しくださいまして、不幸にして十分あるいは二十分ということは、私は非常に残念に存じますが、これまたやむを得ません。でき得る限りおつていただきまして、そうしてもし質問が残るようでございますれば、明白あるいは次回の委員会に御出席願いましてあなたから直接の御答弁を願わないことには、これに関連する法案の審議を続行することができませんので、どうぞその旨あらかじめ御了承願いたいと思うのであります。  そこで私はさつそく御質問いたしたいと思うのでありますが、まず昨今問題になつておりますところの不祥事件と申しますか、汚職事件と申しますか、これと国費に関連したところの問題を忌憚なくあなたに伺つてみたいと思うのであります。大体この汚職事件を分類いたしますると、いわゆる造船事件と申しまするか、あるいは陸運事件と申しまするか、あるいは町の金融に関するところの汚職事件と申しまするか、この三つの問題に私は分類ができると思うのであります。  そこで時間の関係上まず造船疑獄事件から御質問いたしてみたいと思うのであります。大臣御就任されて日は浅うございますが、あなたは政党人として私たちの大先輩でありまして、法務省に席を置かれたことは日新しきといえども、おそらくこれに関連して政党人としての心構えなり、あるいは国民としてこれに対する心構えなり、そういつたことは十分おわかりでございましようから、御遠慮なく御答弁願いたいと思うのであります。第一点に伺いたいのは、今度の造船疑獄事件に関して法務省は一体予備金をどの程度支出されておられるか、その金額を大体伺いたい、こう思うのであります。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 ただいま福田君の御質問でありまするが、予備費といたしまして五千五百余万円を支出いたしておるのでありまして、承認を受けました額は、四千七百万円に別途流用額が八百六十余万円となつておりまして、合計ただいま申しましたごとく五千五百余万円に相なつております。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 大体総額はわかりましたが、できることでありますれば内訳のあらましを伺いたいと思います。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 政府委員より答弁させます。

竹内壽平検事(大臣官房経理部長)

○竹内政府委員 五千五百六十八万七千円の内訳を申し上げます。予備費からいただきました四千七百万円は、諸謝金といたしまして二百万円、検察旅費といたしまして千六百三十万円、庁費といたしまして二千八百七十万円になつております。それから流用をいただきました八百六十八万七千円の内訳は、報奨費といたしまして五百万円、会議費として百万円、そのほかに東京地方検察庁並びに東京拘置所の営繕、補修費といたしまして合計二百六十八万七千円、かようになつております。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 庁費の二千八百七十万円というのは、これまた内訳にしまするとどういうことになりますか。

竹内壽平検事(大臣官房経理部長)

○竹内政府委員 さらにこまかくその点を申し上げます。造船汚職事件関係といたしまして一千三十七万九千円、保全経済会及び日本殖産関係事件のものとして一千八百三十二万一千円、合計二千八百七十万円でございまして、これをさらに分類いたしてこまかく申し上げますと、備品費関係でございますが、庁用の器具費として両者の事件を合計いたしまして申し上げますと、二百十七万七千円、消耗品費関係では両者合計いたしまして二千百二十二万二千円、役務費関係で両者合計いたしまして五百三十万一千円、こういうことに相なります。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 これは大体いつごろから使いかけて、いつごろまでに消費した金額になりますか。

竹内壽平検事(大臣官房経理部長)

○竹内政府委員 この経費は、二月の十日現在の状況から一応三月末日までの状態をにらんだ経費でございますが、その間に、予備費を請求いたします当時の状況といたしまして、政府手持ちの予備費の金額等が少かつた事情がございまして、当面必要な額ということで御承認を得ましたが、その後の事件の発展等にかんがみまして、それでは少し足らなくなつて参りましたので、ただいま過年度支出になりました分の御承認を願うために交渉をいたしておる実情でございます。大体二千四百万円くらいの額が過年度支出になる  かと思います。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 さすればただいま要求しておる金額合せまして、ほぼ五十日間に七千百万ほどこの事件に消費した、こういうように判断してよろしゆうございますか。

竹内壽平検事(大臣官房経理部長)

○竹内政府委員 ただいまお尋ねの通り、さように御承知を願つてよろしいと思います。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 そこで先輩加藤大臣に伺いたいのでありますが、今伺いますと、五十日間に不幸にして八千万円弱の国費をお使いになつたことになるのであります。昨今、われわれは大体新聞、ラジオてこの事件の行力を見守つておるわけでありますが、この期間中にこれだけの莫大な国費を使つて、言いかえればこれによつて国際的にわが国はどれだけの収穫があつたか、あるいはこれによつてどれだけの弊害があつたかということを率直に加藤医学博士から伺いたい。   〔委員長退席、淺香委員長代理着席〕

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 今回の汚職事件ができましたことは、わが政界のためにも、わが国会の品位、信用を高めるためにおきましても私はまことに遺憾なことであると思いまして、こういう汚職事件がすでに端を発したる以上は、私どもは徹底的にこの革正のために——末梢の諸君が、直接検察の衝に当つておられる諸君が、正義の念に燃えてやつておることでございまするがゆえに、そういう方に経費を使いましてはなはだ相済みませんけれども、できるだけ手術いたしたいと思つておるのでございます。しかして、ただいまお話にありました国際的にどういうことになつたかということは、私ただいま御答弁はできませんが、日本の政界の信用を少くとも、幾分なりとも失墜しておることはおおうべからざることであると思いますが、これによりまして悪い毒が出ますれば、あとはりつぱになることでございますがゆえに、私は検察当局の努力を多といたしておるものでございます。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 これだけの国費を使つて、政界粛正のためあくまで徹底的に悪いうみをお出しになられるというそのお気持は、私心から敬服いたすものであります。新聞で見ましてでも、御承知の通りに検察当局は非常に御苦心をされて、まつたく涙ぐましいほどの御努力を払つておられると私は聞いておるのであります。しかしながらこの数日間の法務省当局の動き方を見ておりますと、これだけ莫大の金額を使つてやつておるところの事件が、あるいは雲散霧消と申しますか、非常に不幸な結果に終るのじやないかというような傾向があるのでございますが、あなたは法務大臣に御就任されてもはや一週間になられるのでございますが、いかようにお考えになりますか、これを一応率直に伺いたいと思います。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 私はまだ一週間にもなりませんが、日はどちらでもよろしゆうございます。検察当局の諸君が摘発及び捜査に努力せられることに関しましては、私は今何らこれをどうしておるということはなく、このことは欲するままにまかしておるのであります。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 あなたは終戦前の議会における商工行政の権威者として、われわれは間接に伺つておつたわけなのでございますが、昨今御承知の通りに、中小企業者は非常に金詰まりで、わずか二十万、三十万の金がないがために、一家心中をやつておるということが、新聞に発表されておる通り続出しておるわけなんです。この八千万円という金額を中小企業者にまわせば、あるいはあなたの御専門でありますところの結核病者のために新病棟でもつくつて、そういう者の更生資金にでも充てるならば実に国家国民のために益するところが多いと私は考える、しかしながら不幸にしてこういつた政財界の不祥事件が起つたがために、政界の粛正、国家のために、この金額を投げ出して、検察当局は涙ぐましいほどの努力を払つてやつておるのでございますから、せつかくあなたのような人格高潔な、またわれわれ政党人として敬意を表しております方が法務大臣に御就任されたのだから、あの前法務大臣のように指揮権を行使して、国民の怨嗟の的になり、憤激やるせないような結果には絶対しないようにして、徹頭徹尾これを敢行してもらいたい。それが言いかえれば日本の法律を保護するためにもなると私は考えるのであります。  そこであなたに結論を申し上げたいのでありますが、犬養法務大臣によつて検察当局の御要求を拒否されました結果、言いかえれば私たちは日本の法律というものを保持する点において、非常に不明朗な、嘆かわしい結果になつておる、法の威信を保持することが困難になつておる、こういうように見ておるのでありますが、あなたはこれに対してどうお考えになられるか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 検察当局がただいまのような多大の経費を使つた、それをほかの方面に向けたら有効でないかということでございますが、これはいかにも同感でありますが、病気を断つ手術料と見るほかいたし方はないと思つておる次第でございます。私といたしましては、ただいまの御質問にありましたごとく、検察当局の欲するところによりまして、捜査はできるだけやつてもらいたい、こう思つて、これに対してあえて制肘したり、かれこれくちばしを出すことは少しもいたしません。ただこの場合うまいことを言つて一時を糊塗することではありませんがゆえに、私の考えを申しますれば、刑事政策の上より、国家の大局の上より、政治家の私といたしましては判断を下さねばならぬときがあるかもしれません。これはあらかじめ御了承願いたいのでありまして、そのときには私は毅然たる態度をもちまして、どなたの制肘も受けず、どなたの依頼も受けず、私の所信に邁進いたしたい、こういうことがあるかもしれません。これはあらかじめ御了承願いたいということを希望いたします。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 非常に心強い御答弁を伺いまして、われわれも了とするのでありますが、われわれは決して手術料を惜しんでどうこう言うのじやないのです。ほんとうに、この病人を徹底的に手術して完全になおるものならば、万一この八千万なり一億で足らなければ、もう少し予備金を出すということもやぶさかでない、ただえてして——あなたはさようなことはありませんけれども、町のよくいうやぶ医者というものは、手術料をどんどんとつておきながら、病人をなおさなくて、むしろそのために半身不随になつて、あたら生命のあるものを短命に終らせる者が間々あるのであります。私どもは、そういつたものを根本的になおすところの手術料な遠慮なくお使いになられて、そうしておやりになること。それからもう一つ、後半にあなたもおつしやいましたが、そのお気持は尊敬いたします。尊敬いたしますけれども、それはあくまでも憲法のもとにおいておやりにならなければいけません。私は、きよう、あなたは時間がないというから本論に入れないが、この間の犬養法務大臣のとつた態度は憲法違反だと思う。私は二の問題に対してあなたと多少意見を交換してみようと思つておつた。あくまでも憲法を基礎にして検察庁法を適用されないことには、運用されないことには——憲法を無視してはいかぬですよ。われわれ政党人として、政治家としての立場に立つて事を処することは当然なことである。憲法を基盤に置いておやりになることが絶対的に欠くことのできない必要条件だと私は考えておる。これに対してあなたはどうお考えになつておられますか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 私が先刻お答えいたしましたのは、もちろん憲法の条章その他法規によつて——私が裁量をする場合は、憲法の条章、法規によることは当然のことでございます。

佐々木更三日本社会党(左)

○佐々木(更)委員 福田委員の質問に関連をして、法務大臣に二、三ただしたいと存じます。福田委員も申されました通り、今回、他の犯罪もそうでございますが、内外を驚倒させておりまする造船利子補給法案をめぐるいわゆる造船疑獄の決定的な摘発と、これの解決は、国民のひとしく望んでおるところであります。従つて、これらの犯罪捜査のためにいわゆる予算外支出を八千万円したということは、もしこれがほんとうに適正な解決をされまするならば、必ずしも多額とは言えないのでございます。ところが法務大臣御承知の通り、この造船利子補給法案にからむ疑獄事件は、その中心とも見らるべき自由党の佐藤幹事長に対して、検察当局が逮捕許諾の稟請を政府にした場合において、政府は、これは現在の重要法案にきわめて大きな影響があるという理由のもとに、この許諾稟請に対して指揮権を発動したために、今日まで八千万円を使い、そうして五十数日間を費し、日本の検察能力の一切をここに集中したこの造船疑獄事件を中心として、あらゆる汚職事件がうやむやに葬られようとすることに対しましては、福田委員も申されました通り、国民ひとしく憤激をしておるところであります。それで新法務大臣は、ただいまの御答弁によりますと、これらのことについて自分としては断固として摘発をゆるめない、言葉は多少違いますが、摘発は進める、いわゆる検察当局の活動に対して何ら制肘を加えない、必要があれば自分は正しい立場に立つて断固としてこれらの問題解決のために職権を尽すという意味の答弁をされました。そこで私は、加藤法務大臣のそういう決意の披瀝に対して一点の疑いを有するのであります。というのは、もし真に法務大臣が、今の決意の披瀝がほんとうだといたしますならば、今日といえども、あなたはこの正しい権限の行使には躊躇すべきではありません。従つて私は、今日幾多の疑惑を持つており、かつ政府が不当にいわゆる検察庁法第十四条の指揮権の濫用によつてこの犯罪をうやむやにしようとする、こういうことに対して、法務大臣は当然憤激を感じておるはずであります。従つて法務大臣は、今ただちにでも、この検察庁の捜査を十分ならしむるために、前犬養法相のなしましたる指揮権の発動を撤回する意思があるかどうか。かりに自発的に撤回する意思がないとしても、検察当局が再びこれを政府に稟請して来る場合において、加藤法務大臣はこれに許諾を与える意思があるかどうか、この点はついてお伺いいたします。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 前の法務大臣犬養君が、検察庁法のいわゆる第十四条の指揮権を行使せられたことにつきまして、私これを今取消すというつもりはありません。将来こういうような問題が起きたときにはどうするかという御質問でございまするが、将来どういう問題が起るかこれはまだわかりませんが、できました場合はとくと考慮いたしたいと思います。

佐々木更三日本社会党(左)

○佐々木(更)委員 だから法務大臣の決意というものは、これは欺瞞と考えなければならない。あなたは前犬養法務大臣がああいう指揮権を発動したあとになつて、犬養法務大臣と考えが違つておらない。あなたは政党を代表して、検察当局に対して、依然として指揮権発動のあの形態のもとにおいてこの汚職事件を解決しようとなさつておる。あなたは一体ああいう指揮権の発動をなさいまして、検察当局をなさいまして、検察当局の士気が沮喪しておるということをお認めになるかどうか、この点どうでございますか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 私は犬養君がいたしました指揮権行使の結果、士気が非常に沮喪したというようなことも新聞で伝えられておるのでありますが、私の信ずるところによれば、新聞に報道されるごときことはなかろう、こう思つておるのでありまして、一切の捜査をこれがために打ちとめてあるとか、あるいは中止を命じたということはございません。ただ身柄を拘束することをとめただけでございまして、あるいは常識から見れば、捜査上幾分不便があるかもしれませんけれども、これを中止、停止、打切りをさしたということではないのでありまして、私は、ただいま御心配になるようなことはなかろうと思つております。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 拒否権問題はいずれ他の委員会においてとくとお伺いすることにいたします。  そこで私は、専門家の三浦政務次官に率直に伺いたいと思う。あなたは就任される前は法曹界の権威者であられたので、一言率直に伺つてみたい。先般国会において佐藤氏の逮捕を拒否いたしまして以来、新聞によりますと、それまで小管なりあるいは警視庁に収容してありました贈賄容疑者をどんどん釈放しておる、こう出ておるのでありますが、これは事実その通りでございますか、これを伺いたいと思います。

三浦寅之助自由党法務政務次官

○三浦政府委員 贈賄者側の身柄の釈放は、これはどんどんというわけではないのでありまして、勾留の期間は御承知の通り法律できまつておりますから、勾留期間が満期になるか、あるいは取調べが一段落つけば、これは一応起訴するか、あるいは身柄を釈放して起訴するか、いずれかの方法をとらなければならぬわけであります。一定の法律の限度を越えてこれを勾留するということは、法律の建前から、また人権擁護の建前から、これは許されないことであります。そういう意味におきまして、やはり法律の命ずるところに従つて、捜査当局が一応身柄を釈放する、あるいはまた起訴された場合に、これは保釈その他の手続によつて、身柄は当然出るのであります。ことに起訴された場合には、これは権利保釈の立場におきまして保釈することは当然であります。万やむを得ない事情以外は保釈することが、原則でありますから、これは何ら違憲の処置ではないと思います。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 そこで、伺いたいのは、贈賄というのは、御承知の通りものをやる方、ものをやる以上は必ず受取つた収賄側の者がなければならぬ。そこで佐藤君の事件以来、贈賄容疑者を、調べが済んだのでございましようが、ああいうふうに法に基いて釈放されたわけであります。釈放されたということは、露骨に言うと、これは社会に帰つて来るということであります。贈賄容疑者が社会に帰つて来るということは、ものを受取つた方の収賄者側は社会におるわけでありますから、言いかえれば、公然とお互いの文通なり行つたり来たりができますね。これを言いかえると、証拠は完全になくなりますな。証拠が完全になくなりますと、起訴できぬということになりますわな。起訴できぬことになると、事件がいわゆる雲散霧消することになる。そこで私はあなたに伺いたいのでありまするが、先ほどから当局の説明されましたように、八千二百六十五万円という莫大な金額——これは少くとも国民の膏血をしぼるような税金の結晶なんです。これだけの金を使つておきながら、ほかの事件ならいざ知らず、贈賄、収賄というて車の両輪のようなものになつておるものを、贈賄者も収賄者もともに監禁して調べて行くならば、証拠も保全ができる。傍証が固まる。証拠が固まると、検察当局も起訴ができる。起訴ができるということは、裁判において有罪なり無罪の判決が下る。これで国費を八千万なり九千万なり使つたところのことが成り立つわけなんです。国民も納得するわけなんです。しかるにそこまで行かなくして、贈賄者側の方をどんどん娑婆に出してしまい、収賄者側と朝な夕なお互いに文通できるようにしてしまう。そのために証拠がなくなつてしまう。こういうことにしておいて、はたして法の尊厳を維持することができるかという点と同時に国民が、八千万もの金を使つて今日のような段階に事件がぼやけかかつておるのだということを見た場合に、はたして専門家のあなたとしてどうお考えになられるか、これを伺いたいと思う。

三浦寅之助自由党法務政務次官

○三浦政府委員 私は普通の考え方において少し誤れる点があるのじやないかと思うのです。一体身柄を拘束して調べるということは、これは例外なんです。拘束しないで調べるのが原則なのです。ただ証拠隠滅その他の重要な場合において身柄を拘束するのです。そこで贈賄者側の身柄を拘束して同時に他との交通を遮断して取調べをした。そのために贈賄者側を御承知の通り召喚もし、取調べもし、また国会議員の方も、御承知の通り召喚をしておりますが、同時に収賄者側におきましても、贈賄者側を収監中に任意出頭によつて十分取調べておるわけであります。取調べておりますと、あらゆる証拠というものは、他のいろいろな関係の証拠を調べるのでありまして、これは必ずしも収監しなければ取調べができないということはあり得ないのであります。すでに贈賄者を十分に取調べをし、同時に交通遮断中に、身柄を拘束しなくとも十分取調べておれば、大体事件の全貌はそれでわかるわけであります。その間においてさらに身柄を拘束しなければ——柄を拘束する方が取調べは便利です。捜査当局としては調べるのに便利でありますが、必ずしも身柄を拘束しなければ取調べができないということは、私はなかろうと思うのです。(「釈放すれば談合するじやないか」と呼ぶ者あり)談合というても、そういうことは釈放前において関係者を取調べておる以上、大体の証拠ができておるわけであります。むしろ反対に、交通遮断中に被告を取調べて、しかも今度は身柄を拘束することによつて、むしろ拘束された苦痛のためにあるいは自白をさせるというならば、これは憲法上非常な危険を伴うのでありまして、強要するというような危険をはらむことを考えるならば、私は必ずしも身柄を拘束しなければ取調べができないというようなことはなかろうと思います。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 今のあなたの御答弁に対しまして、私はもう少しあなたに質問がしたいと思うのでありますが、法務大臣が非常にお急ぎになつておるから、あなたへの質問はあとまわしにしますから、もうちよつと残つておつてもらいたい。  そこで法務大臣に伺いたいのでありまするが、今度の疑獄事件において、被疑者で生命を断つた者、言いかえれば自殺をした者が何人あるか。それと検察事務に携わつておるところの検察庁の役職員が何人ほどこれによつて命を断つたか。これをあなたから伺いたいと思う。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 それは私実は詳細なことはわかりませんから、地目調査しまして、あるいは他の政府委員からお答えさせてもよろしうございます。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 それは資料を提出してもらいましよう。万一あなたが知らぬとおつしやるならば申し上げたい。今度の被疑者の中において、少くとも二人かの自殺者がある。同時にまた検察事務に携わつておる者において、本人が、これがために疲労困憊の域に違してなくなられた気の毒な方がある。あるいはまた御家族が、不幸にして主人と相まみゆる機会がなくしてあの世に行かれたという犠牲者がある。言いかえれば、国民が納めたところの多額の金額約八千数百万、人命を犠牲にしたこと数名、これだけの大事件であります。そうして、あなたの選挙区は名古屋でありましようが、名古屋といわず、九州といわず、青森といわず、北海道といわず、すべての国民があなたの一挙一動を心静かに見ておるわけなんです。もしあなたが誤つた場合には、九千万の国民の怨嗟の、のろいの声があなたのところに集中される。こういうことをあなたはとくと御認識されて、この事件に誤りない旨を確約してもらいたい。確約と言うと語弊がありますが、はつきりその心構えをお持ちになられて、この委員会を通じて、すべての国民が、なるほど医学博士であるところの加藤法務大臣、この方あつてこそわれわれの国費がむだづかいでもなければ、また犠牲者の魂も浮べるんだという安心、安住のでき得るように、この機会にあなたの言葉をもつて国民に通じさしてもらいたい、こう私は思う。今申しましたことを要約しますならば、新しい法務大臣としてのあなたの御決心のほどをここでお述べになられて、そうしてほかの委員会に行つてもらいたい、こう思うのです。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 今回の汚職事件に関しまして、ただいま福田君が仰せになりましたごとく、多額の経費を使い、これがために悲惨なる死をいたしたことは新聞でも知つておることでございます。それでこの政界粛正の効果がこのために上りますれば、この犠牲者も忍ぶことができる、こう思うのでございまして、その点につきましての私の態度は、先刻あなたの御質問のときにお答えした通りでございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 大臣にお伺いをいたしますが、検察庁法第十四条によつて指揮権が発動されたことは、端的に言えば、収賄者に対する逮捕禁止の命令が法務大臣によつて検事総長に出されたことを意味するわけであります。従いまして常識的に考えてみますならば、ただいま福田委員の質問の中にもありましたが、贈賄者を留置拘束しておいても、収賄者を政府の圧力によつて逮捕することを禁止されたということであれば、これは捜査を効果的に続行することがおそらくは不可能に相なるでございましよう。そこで考えられることは、国会が終つて、自由にその者を逮捕して一般的な捜査ができるような期間を待つ、それまでその贈賄被疑者をとめておくのと、それからそういうことは刑事訴訟法によつてできないから、これはいつそ早期に釈放してしまうのと、二つの場合が考えられると思うのであります。そこで現実の推移といたしましては、結局収賄者側を逮捕することができないので、これ以上長く贈賄者を逮捕しておいても意味をなさないということで、続々釈放され、ておるということは現実が示しておる通りでございます。そこで私が大臣に質問したいことは、この造船疑獄捜査に関する費用といたしまして八千数百万円の国費が支出されておるのである。これはすべて国民の血税によつてまかなわれた国費であるが、これがほんとうに効果的に使用されておるとお思いになつておりますか、あるいは今にして考えれば指揮権発動を契機として、この八千万円はまことにむだな金を出したものだつた、こういうふうなお考えをお持ちになつておりますか。この点非常に公正、中正であられる大臣から、大体の感懐されるところをひとつお伺いしたいと思うのでございます。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 ただいま御質問でございますが、これが有効であるか、無効であるかということは予断を許さないのでありまして、これが最後には裁判にかけられ、公判の結果によつて明白になると思います。それでこれが無罪になりますやら有罪になりますやら、そういう将来のことは予断を許しませんし、何人もわからないと思います。そこでこの経費がむだになつたかならぬかということは、その結果をまたなければわかりませんが、少くともこういう手術料——先刻お話の手術料は、そのあとの結果によらなければならないことでありまして、たとい無効になると仮定いたしましても、手術はしなければならない。有効でありますれば、さらにけつこうであります。これは私から何もかれこれ申し上げることはできないのでございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 まるでとほうもない御答弁で、全然わけがわからないのでございますが、私がお伺いをいたしておりますのは、この八千万出品の国費の支出たるや、国会がこれに承認を与えておりますことは、この造船疑嶽ははなはだしく国政を乱るものであるので、従つてこれは的確に調査してもらいたい。正しい者は正しい、それから悪いやつは悪いやつ、こういうぐあいに処断してもらわなければ、国の秩序が乱れてしまうのだ。乏しい中からでも八千万円を使つてやつてもらいたいというて、この支出が承認をされておるのでございます。しこうして費用も十分準備され、調査の態勢も完備されたのだが、そこで青天の霹靂のごとくに、おそらくは検察当局にしてみればはからざるところの指揮権が発動された。従つて調査することができなくなつたじやありませんか。たとえばただいまの三浦さんの御答弁によりますとこれは自由の立場によつて取調べると言われる、そういうことでありますけれども、これははなはだもつてのほかのことであります。  かりにそういうことが原則であるとするならば、現在その身柄を拘束してずんずん取り調べておりますし、のみならず今まで国会議員といえども逮捕請求すでに四人に及んでおりますが、こういうふうに原則を乗り越えて取調べを行つておるところのあなたの部下である検察官そのものは、はなはだ不行届きである。その責任はやはりあなた方にとばつちりになつて帰つて来るのでありますぞ。あなた方は検察庁法第四条、第六条を通じてやはり指揮監督しておるのならば、原則的には自由によつて調査、取調べをさせるのがほんとうであるにかかわらず、逮捕要求をして、国会の審議中にもかかわらず身柄を拘束して取調べておる。これははなはだしく不当な取調べ方である。この不当な取調べ方をさせた者は一体だれであるか、それはあなたの政府そのものではありませんか。今までの四人についてはこれは当然のやり方であつて、佐藤幹事長の場合だけは自由で取調べなければならないという、そのようなばかげた立論がなし得るでありましようか。ばかなことをおつしやつてはなりません。  そこでさらに私は大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、これが有効であつたか無効であつたかということは、これはやはり結果を見てみなければわからぬとおつしやるのだが、結果に対して大きな影響を与えておるじやありませんか。佐藤幹事長に対する逮捕要求も、検察当局の要求される通りに行われておるならば、すなわち法律に基くところの調査が行われ、あるがままの結果が出て来るが、あるがままの結果に対して政治的な一つの圧力が加えられれば、結果がゆがめられて来るではありませんか。そのことは当然考えられる事柄であろうと思うのであります。結果を見なければわからぬというようなことは私は理解できません。結果に対して影響を与えておいて、その結果を公正なものとしてわれわれが批判できるでありましようか。もう一ぺん大臣から御答弁を願いたいと思う。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 法律的のこまかい解釈は他の政府委員からお答えいたすと思いますが、私の政治的常識から申しますれば、捜査の上から申しますれば、被疑者をことごとく拘束いたしまして調べたならば一番よくわかるだろうと思いますが、これは基本的人権を尊重する上よりしてできないことであろうと思います。それでただいまのような任意出頭と申しますか、いろいろな方法において捜査をいたしておることであると信じます。しこうして春日君の御質問は、いかにも法律に反した行動をしたという御質問のように承りますが、これは検察庁法第十四条にそういうこともあるので、これは見方はいろいろあるでありましようが、国策遂行の上においても、国際上の立場においても、異例の場合であるがゆえに異例の措置をとつた、こういうことを申しておるのでありますが、この批判は別といたしまして、これによつて違法な処置をしたということではないと思います。ことにこれが裁判の結果がどうなりましたところが、先刻からお話がありましたごとく、一つのできものができました以上は、その結果がどうあろうとも、それを切つてある程度うみを出すということは、将来の結果いかんにかかわらず、当然すべきことでありまして、このために手術料は高くなりましても、これはごしんぼうを願うよりいたし方がないのであります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 私はできものを切るために手術料を国民が払う、そのことはわかるのです。ところがあなたは手術料だけ払わして、できものを切開しないのですよ。だから国民が怒つておるのです。佐藤さんがいろいろなできものをつくつたので、これを手術してくれというので八千万円出した。ところがその手術をしてはいけないといつて、検察庁法第十四条を発動された。だから国民は、手術料だけ払つて手術をしてもらえないから怒つておるのです。だからこの点はひとつ十分御理解を願わなければなりません。あなたは本日の毎日新聞に載つておりました記事をおそらくお目通しになつておると思うのであります。そこには、現内閣は指揮権内閣であるといわれている。さらにまた荒木改進党国会対策委員長に対する逮捕許諾の請求を拒否したことによつて、国会についてこれを拒否権議会だと称しておるのでございます。そこであなたは、この指揮権内閣の法務大臣たる主管者といたしまして、この指揮権内閣の一つの象徴である。今あなたがおつしやつたのは、国全体から考えて、このことがこんなに重大な問題になつて来るというようなことが強く考えられるならば、何人の制肘、影響を受けることなく、断固として事を決するという不退転の決意を今表明されたと思うのでありますが、私はこの司法権に対する政府のクーデターにひとしいようなこの十四条、これによつてわれわれは司法、立法、行政の三権分立の権衡が今やここにくずれつつあるのではないかと思うのでございます。この司法、立法、行政の三権分立で、お互いに相手を侵すことなく、侵されることなく尊重し合う形によつて一応保たれて来たのだが、ところがこの司法の権利が検察庁法第十四条に基くところの法務総裁の指揮権によつて、これがもはや禁止されておる、抑止されてしまつたのであります。三権分立の権衡まさにここに破れたといわなければ相なりません。ここから国政紊乱の徴候が現われて来るのではないか、すなわち権威に対する懐疑が国民にわいて来るならば、先般国会において、あの神聖なる議場の中にビラがまかれたが、これが紙切れであつたものが、やがては右翼テロの実弾にまで飛躍するということも考えなければなりません。これはただいま加藤大臣がおつしやつたように、やがてこれが国内の大きな秩序混乱を招くような心配が来るときは、加藤個人の責任において断を振うときがあるということをおつしやつた、私はもはやその徴候があると思う。私は今やその現場に到達しておるのではないかと思うのでありますが、大臣はこの際あの犬養前法務大臣が発動いたしました指揮権を、国全体のために秩序を保ち、ほんとうにこの三権分立の憲法の精神を生かすためにこれを撤回されて、せつかく手術料八千万円もとつたならば、その約束したところの手術をするだけの良心といえるようなものを今お持ちになつていないかどうか、この点もう一度御決意のほどを伺つておきたいと思うのであります。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 手術問題のようになりますが、わかりがよろしゆうございますので、それで申し上げます。できもののできたのをとるということは、からだの健康を維持してさらに健康を増進させたいという目途でありまして、そこでどこかにできものができておればそれを摘発する、熱心なるものはそれを出したいのでございます。そこで犬養前法相は、それを出すことはけつこうであるけれども、からだが今手術のときではないから、健康が回復をして、手術に耐えるようなときまでしばらく待て、(「自由党の健康だろう、そんなばかなことを言つてはいかぬ。」と呼ぶ者あり)お聞きください、お聞きください。それはいろいろ批判はあることであろうと思いますが、見通しのつくまで、すなわちいろいろ国家大局の上より見て重要法案その他の法律案の通過をはかつてから、見通しがつくようにしてから、すなわちからだの健康が回復して手術に耐えるようになつてからやつてくれという趣意であつたと私は信ずるのでございます。そこでただいまいかにも三権分立が侵されたような御議論がありましたが、私の政治常識から申しまして、私は専門家でないので政治常識から申しますが、検察権は行政権の一部でありまして、司法権に密接な関係を持つておるのでございますが、検察庁法にはちやんと書いてありまして、その法律を適法に——考え方はいろいろ意見があるでありましよう。これは犬養君がやつたことでありまして、司法権を侵害したというようなことでは私はなかろうと思うのであります。これは私が深く信じて疑わないところであります。これは私の政治常識的の考えであるのであります。

淺香忠雄自由党

○淺香委員長代理 ちよつと皆さんに御相談申し上げたいのですが、法務大臣が十分か十五分という予定が、大方一時間近く過ぎまして、三浦政務次官もおられることですし、向うの方もやかましく言つて来ておりますので、その点ひとつお含みを願つて、一点だけどうぞ。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 今あなた盛んに政治常識政治常識ということをおつしやつおられますが、われわれも同感なのです。そこであなたの政治常識として、一体この法律の運営適用ということは、相手は何人であろうとも、公平無私にやらなければいかぬというのが私の政治常識でありますが、あなたはどうお考えになりますか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 お話の通りでございます。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 その通りでございましよう。その通りであるにかかわらず、実際昨今の法務当局のおやりになつておる場合には、同じ日本の国民でありながら、相手によつて非常に公平無私を欠いておるきらいがある。論より証拠に一昨日か昨日かの朝日、毎日、読売新聞を見てごらんなさい。地方のできごとでありまするけれども、地方の県庁に対してわずか十二、三万贈賄したというので、贈賄者と収賄者とともに検挙されて留置されておる。しかるに今度の造船疑獄問題のごときは、金額は何千万でございます。そうして先ほど言つたように、ものをやつた方、もらつた方、車の両輪で離すことはできない、それを贈賄者のみを留置して収賄者をいわゆる検察庁法の十四条を適用して拒否してしまつておる。ごういつた姿を見ると、あなたの政治常識であられるというところの、法律の運営適用は公平無私でなければならないにかかわらず、これははたして公平無私といえるのでしようか。これを率直に伺いたいと思うのです。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 ただいま私が申しましたことは、犬養君は国家のいろいろ重要なる国家的見地に基いてということでございまして、いわゆる刑事政策上の問題であり、その見識のもとに犬養君が十四条の指揮権を発動いたしたことであろうと思いますがゆえに、私は不公平にやれということではないのであろうと思います。その点は別に差異をつけるという考えでなく、犬養君は国家的の見地と、刑事政策の高いところから見たる考えのもとにやつたことであると思います、これは意見は別といたしまして。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 ただいままでの法務大臣の御意見を伺つておりますと、犬養大臣のとられました行為は刑事政策上国家的見地からこれをやつたことである、こういう御答弁であります。伺いますが、あなたの方の今度のこの事件に御関係をされております検察陣、特に検事総長以下各検事正数名が、今お話のように五千幾百万円の捜査費用を使い、さらにそれで足らずにあと二千数百万円の追加を要求しなければならぬというくらいの重大な案件を取上げて、最後のどたん場になつて、これら首脳の検察陣が数日にわたつて、しかも数十時間の時間をかけて、どうしてもこれとこれとの人は逮捕をしなかつたならばこの事件の核心をつかむことができない、こういう決定をしたのです。この決定はあなたは正しいと思いますか、それともそれは国家的に見た場合正しくないとお考えになります。か、法務大臣としての責任のある答弁を願いたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 私は検察陣の諸君がそういうことの熱望をいたしたことも正しいと思います。しかしてまた国家的見地、高所大所より見てこういう措置に出たことも、これは意見はありまするが、犬養君としては正しいことであつたと思います。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 その国家的見地で犬養君が正しいと判断をされたあなたは、そのことで事務を引継ぎされたんだから、今日ではそれがあなたの責任になつておる。そこで伺いますが、問題は、佐藤幹事長の幹事長としての国会における、あるいは政治における地位であります。これは何も幹事長は終身的なものであるわけでもなし、あるいは幹事長がいなければ国会の議事の運営ができないものでもなし、国政の運用に重大な支障を来すというものでもありません。いつでも必要があるならば、法務大臣が責任を負うてやめられて、そのかわりにあなたが法務大臣になつたと同じように、あなたが全然法務畑の人でないのに法務大臣におすわりになつて、この重大な検察事件を指揮監督される地位についても支障を来さないという御答弁をあなたはされているでしよう。あなたは党の幹事長よりももつと上の、高い国の政治の一角におすわりになつている。そういう重大な役職の変更が行われようが一向さしつかえないという御答弁をされておる。幹事長が、国民から見た場合、また検察陣から見た場合、これは当然逮捕されなければ事件の解決ができないとしておるのに、これをかえたところで一向さしつかえないではありませんが。佐藤君でなかつたならば、国の政治のどこに大きな支障を来します。自由党内においても、他にそれぞれ有力な幹部の方がたくさんおり、かつて大臣をやられた方もたくさんおいでになります。何も佐藤さんでなかつたならば幹事長は勤まらぬものでもないでしよう。問題はそうではなしに、佐藤幹事長が逮捕されることによつて、自由党内閣が大きな責任を負わなければならぬという、ここに問題が潜在しておるのではありませんか。国民はそう見ているのです。そのことをあなたははき違えてしまつて、これを国の大きな政治の上からと言うが、なるほど佐藤君は幹事長として、国会の運営の責任をお持ちになつている。しかし佐藤氏みずから、逮捕されるかどうかわからぬという前に、新聞のいろいろの輿論を聞き、また実際を見た上で、自分は都合によれば党を離脱してもいいということさえ漏らしたことがあるのです。新聞の記事に出ておる。さような点から考えて、佐藤氏をとりかえるのに一向さしつかえないではありませんか。それをとりかえずに、何か佐藤氏の逮捕によつて自由党が大きな動揺を来し、ためにその上に立つておる吉田内閣が非常な責任を負わなければならぬということをおそれたのじやないですか。もしそうでないとするならば、他の議員は国政に参与しておつても一向さしつかえない、何十名ひつばられようとそれはかまわぬ、こういうことになりますか。また民間の重要なポストについておる人が何ぼ捕逮されようとも、その業界関係には何ら支障がない、こうお考えになつておられますか。あなたは検察権というものは、そんなに簡単に、刑事政策上どつちでも動かせるものとお考えになつておりますか。もし政府の考え方によつて、刑事政策上検察庁法第十四条がいつでもかつてに発動されることになつた場合、検察陣に対する国民の信頼はどうなつて来ます。検察陣に対する国民の信頼がなくなれば一体どうなります。あなたはそれでいいとお考えになりますか。私はそんなものじやないと考える。そこになつて来ますと、そう簡単に、あなたは抽象的に、政治的だ、国家的だなんて、とぼけたような、雲をつかむような答弁をしてはいかぬ。それであなた指揮監督できると思うたら聞違いですよ。現実は佐藤氏個人の問題でなしに、吉田内閣の責任の問題だからこうしたのでしよう。そうお考えになりませんか。ここの点を明確にしてください。そうでなければ、五千万円から使つた金というものは、何のために使つたかわからぬことになつてしまいます。国民はそんなばかな金を出したくないのです。現に、伺いますが、一体この事件によつて今日まではつきり起訴された人が幾人ありますか、それもあわせて御答弁を願いたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 これはいろいろ議論があるだろうと思いますが、これはその人の考えであるのでありまして、丈養君がその職を賭まして、自己の信念に生きるためにあの決行をいたしたということにつきましては、私はその点について敬意を表している次第でございます。しこうしてこの六千万とか七千万とかいう金が無効になつたならぬということを仰せになりますけれども、これは将来にまたなければならぬことでございまして、今だけでも政界に与うる衝動は大なるものがあるのでありまして、私はこれは無効でないと思います。いわんやそれがために最後に至りまして、そういう汚職の者が相当の処罰を受けることになりますれば、さらにけつこうなことである。その方々に対してはお気の毒でございますが、政界が粛正されることにおいてはけつこうだと思うのでございます。  それからもう一つ申し上げたいことは、このことをもつて捜査の打切り中止を命じたというようなお考えのものとに御質問があるようでございますが、先刻お答えいたしましたことく、拘束すれば捜査の上には便利でありましよう、こういう任意出頭によれば幾分不便ではありまするが、捜査を打切つたということはないのでありまして、今の程度においてどんどん捜査をやられることは、これは少しもとめておらぬのでございます。この点御了承願います。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 もう一度最後に確かめておきますが、法務大臣は、原則として任意出頭の取調べを人権擁護の立場から認めておいでになりましたが、そうなりますと、従来逮捕許諾を請求して、佐藤幹事長の問題になりますまでは、いずれも法務大臣は政府を通して国会に要求して来ておりますが、この場合と、今あなたがお話になりました逮捕しなくても任意出頭で調べて行けるというのと、一体どう区別いたしますか。従来法務大臣は、国会議員は国会開会中は逮捕されないことになつているというこの原則から、国会の承認を求めるために、みずから逮捕請求を国会に要求しているのです。しかるに佐藤幹事長に至つてはそれを要求せずに、みずから握りつぶしている。その握りつぶす理由は、あなたが今御説明になりましたように、国政上重大であるからということで、任意出頭でやれる、こういうことですね。そうすると、他の議員は任意出頭でやれなかつたのですか。どういうわけでそういうことになつたのですか。他の議員よりもつと重要な犯罪事実があり、検察陣あげて衆議できめて、あの許諾請求になつて来ておるのです。他の議員の場合は、どんどん許諾請求にみずから判を押して要求しておきながら、それよりももつと犯罪容疑が重大であり、及ぼす影響が重大であると検察陣がにらんでおるものを、握りつぶすということはどういうことですか。そういうことをして一体国民が納得しますか。また他の民間会社の重役やそれぞれの責任者は、ことごとくびしぴし逮捕されておるじやありませんか。そういう人は一向任意出頭も、何ら人権を尊重する立場で調べることをせずに、片つぱしからぶち込んでおいて、そして佐藤さんの場合だけに任意出頭ということはおかしいじやありませんか。それはどういうことですか。そういうことをするからこの問題が紛糾するのです。その区別をはつきりしてください。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 原則としては、私の常識から申しますれば、いかなる人においても、拘束せずに調べるのが当り前であろう、こう思います。しかして今まで議員のだれそれは逮捕の命令を出したが、今度だけは出さないのはどういうわけであつたかということは、これは犬養前法相のやられたことでございまするがゆえに、私がここでかれこれ批判することは避けたいと思います。

小川豊明日本社会党(左)

○小川(豊)委員 私は質問ではありません。大臣は専門家でなくて、常識的な解決をなさるということを期待して、お尋ねしたい思います。私農協のの仕事をしております。今農協は非常に困つておるので、その再建整備に乗り出しておるのです。たまたまある県の村の農協が、三百万円ばかりの事件で破産に瀕した。それを調べて行きましたところが、これは人の名誉に関しますから、私こここに名前は発表しませんが、大臣をやられた方で、しかもあなたの方の政党の非常に枢要な地位におられる方が、森脇将光のところから三百万円、二十七年の六月から九月の間に陣中見舞として秘書と一緒に行つて交渉して、受取つている。ところがこの農協はその森脇の関係している会社へ三百万円の炭を売つておる。そうしてその手形が落ちないから、請求に再々行つたところが、これはその方に三百万円やることになつているから、待つてもらいたい。さらに請求に行つたところが、ちようど三百万円渡すところであつた。そのところに立ち会つて、私どもも見たから、やむを得ないで受取らないで帰つて来ている。そこから返してもらえると思つたところが、その方も返してくれない。とうとう農協は破産するような状態になつておる。これは事件にはまだそれほどなつていませんが、私は非常に常識に富んでおられる大臣に、この問題の解決について御所見を承りたい、こう思つておりますが、ぜひ大臣の出席できる御都合のできる御都合のつく日をここでお知らせ願つて、私も出席してお尋ねしたい、かように思つておるのであります。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 私は法務大臣に就任いたしましたけれども、そういう一地方とは申しませんが、個々の問題について判断することは、なかなか困難でございまするがゆえに、それは適当の機関がございましてやるということで、それにひとつまかせて、そういう問題については公正に捜査をいたさせるとか、適当の措置をとらしたいと思います。

小川豊明日本社会党(左)

○小川(豊)委員 私はこれを事件にしようとか、そういう意味ではない。農協の再建のために——一つの村の農業協同組合かつぶれようとしておる。これを再建するためには、こういう問題の解決は、これはむしろ専門的というよりも、あなたのような豊富な常識人によつて解決する方がいいと思いますから、その点をぜひ御協力願つて、あなたの御所見を承りたいと思つているのですから、ぜひ出る日を適当な時期ということでなく、お知らせ願いたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○加藤国務大臣 よく承りましてございます。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 三浦次官に伺いますが、これは非常に重大な問題ですから、明確にしておきたいと思います。ただいま大臣の答弁によると、犬養前法務大臣がやつたことであつて、私としては何とも申されぬ、こういう責任のがれの答弁がございました。あなたはこの問題に対してどういう御所見をお持ちになつておりますか。特に野党の第一虎である改進党の荒木氏の逮捕許諾が要求されたときに、前の犬養法務大臣はこれを国会に許諾の請求をいたしております。野党の国会対策の最高責任者の逮捕許諾の場合にはこれを要求しておいて、与党の幹事長の場合は、国政上及ぼす影響が大きいということでこれを拒否する取扱いは、一体妥当な取扱いとお考えになつておりますか、それを伺いたい。

三浦寅之助自由党法務政務次官

○三浦政府委員 贈収賄事件におきましては、御承知の通り、当事者の供述ということが非常に重要な証拠になるわけでありまして、そういう意味におきまして、この種の事件は証拠隠滅を防ぐというような意味からも、身柄を拘束して調べることはやむを得ないのであります。そういう意味におきまして、今回の事件におきましても多くの身柄を拘束しておるわけであります。身柄を拘束して事実の真相を探求するということは、これはやむを得ない措置なのであります。ただ先ほども御質問がありましたが、国会において前の議員の場合において四名の人が逮捕され、あとは今度の佐藤幹事長の場合においてこれが逮捕に対する指揮権を発動したというところに、ただいまのようないろいろな疑問があると思いますが、事件はやはりその一つ一つによつていろいろ違うのでありまして、いかなる事件でも同じ関係ということはなかなかないのであります。前の四氏の場合におきましては、事実の探求のために証拠隠滅を防ぐという意味におきまして、ああいうまことにお気の毒な処置に出たわけであります。それでありますから、逮捕したということにつきましては何ら違法ではございません。その点は、先ほど違法な処置だからといういろいろな御意見がありましたが、これは違法な処置ではありません。やむを得ない当然の措置であります。しからば佐藤さんの場合はどうかという公平論をいろいろ世上の御意見も承りますが、今度の佐藤さんの場合には、大臣からも答弁がありましたが、やむを得ない異例の処置として、そうして重要法案の審議終了まで、これが一時逮捕することに対する猶予と申しましようか、そういう時期が来るまでとめたのであります。そういう処置は、国策と申しますか刑事政策の立場からやむを得ない、まことに異例な処置としてとつたわけでありますが、それだからと申しまして、別にこれを逮捕しないというわけでもございますまい。私のような者がこういう大きな問題について答弁することはどうかと思いますが、逮捕しないわけじやなくて、重要法案の審議とのにらみ合せのために一時猶予しておるような趣旨のようであります。同時にまた、こういう異例な処置をとることは、もちろんできれば避けたいのでありましようけれども、前の法務大臣が声明を出したようないろいろな実情のもとにおいて行われたのでありまして、やむを得ない処置として御了解願いたいわけであります。同時に、これがある意味におきましては公平な処置じやないという御議論もいろいろあるかもしれませんが、事件々々がみな違いますし、また同時に犯罪捜査の場合におきましても、それは犯罪の容疑がある場合において徹底的な取調べをするわけであります。金額が多いからといつて必ずしもそれが犯罪になると限つたものではないのでありまして、そういう涜職罪のような事件につきましては、微妙ないろいろの問題等が非常に重要性を帯びるのでありますから、どうかそういう意味におきまして、それが不公平であるとか、あるいは検察陣のやつたことが違法だというような誤解がないように、この際御了解を願いたいと思います。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 私の質問しておりますのはそういうことじやないのです。改進党の荒木国会対策委員長の場合は許諾を請求したのですが、どつちかと申しますと、あなたのおつしやる国政審議といいますか、重要法案の審議を促進いたします場合は、国会役員というのは非常に重要でございます。普通の政党活動の場合は幹事長というものが非常に重要でございますけれども、国会における議案の審査、運営の面では、国会対策委員長なり政策調査会長というものが非常に重要な役割を果しておることは御存じの通りであります。その重要な野党の最高の責任者である者に対しては逮捕許諾を請求することを認めておいて、一方幹事長の場合はこれが国政に非常に重要な影響を及ぼし、かつまた重要法案の審査の上に影響ありとして、検察陣が一致して要求したものを、検察庁法十四条によつて一時逮捕許諾の請求をしないというこの取扱いの不均衡——国会議員としては同等の権限を持ち、同等の資格が保障されております。しかるに一方においてはそれが許され、一方の場合はそれが許されぬ。しかも政策審議の上からいえば、国会会役員の方が重要なんです。ところが一党の場合はそれを許し、一党の場合は許さないというこの取扱いの不公平をどうしようというのです。そういうことをして正しいことをやつておるとお考えになつても、国民は承知しません。そこをあなたに聞いているのです。一党の場合はかまわぬ、ところが一党の場合はそれがいかぬそういうのは一体どういうことです。そういうことをやるから、時の政府の権限によつて司法権がゆがめられるという疑いを国民が持つて来るじやありませんか。もしあなたの言う国政運用上、特に重要法案の審議を促進するという立場からいうならば、いずれの党の者であろうとも、それが枢要な地位についておる場合はその及ぼす影響が大きいから、法案の審議が済むまでしばらく待つたらどうか。もしどうしてもやらなければならぬとするならば、任意出頭で十分やり得るのではないかということを荒木さんの場合でも言うべきじやないか。荒木さんの場合は平気でそれを許しておいて、事与党の幹事長になつた場合は、いろいろなりくつをつけて、それでもつて許諾の請求をしないというこの政治的不公平をどうするのです。問題はそこにある。それに対して国民は疑いを持ち、輿論はやかましく言うておるのです。その点に対してあなたの答弁ははつきりしてない。ある党の場合はかまわぬ、片一方の党の場合はいかぬ、そういうふうに法律が二重に使われるのですか。政治的に法律を使つていいのですか。盛んに刑事政策とかどうやとか言うのだけれども、そんな都合のいいようなことをやられたら、国民はたまつたものではありませんぞ。お前は顔色が悪いから、お前の顔がおかしいからというので、その権力を持つておる人に法律をどつちでもこつちでも都合のいいように使われたらたまつたものではありません。そこのところを国民が納得するようにもつとはつきり言いなさい。

三浦寅之助自由党法務政務次官

○三浦政府委員 法律の運用をそういうふうに人によつて区別していけないことは、御意見の通りでありまして、人によつて区別するとかいうことは決してすべきものではないのであります。公平にやるべきものだと思います。ただ犯罪は一件々々違うのです。証拠隠滅のおそれ……。(「そういうことを言うとまた行くぜ」と呼ぶ者あり)こういう意味において、前の荒木さんの場合はその事件の性質上、事件の取調べの関係上、やむを得ず逮捕の請求をせざるを得なかつたのであります。また佐藤さんの場合も、もちろん捜査当局はそうやつたのでありましようが、ただそれは前法務大臣がそういう国策と申しますか、重要法案審議という立場から十四条を発動した、こういうことで御了解を願いたいと思うわけであります。不公平に取扱つたという誤解の決してないように、私はこの際にはつきり申し上げておきます。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 逮捕問題はいずれまた法務委員会で伺うことにいたします。ただ先ほどからあなたの御答弁を聞いておりますと、佐藤君の問題に対しては異例の措置として重要法案審議までは保留する、こういう言葉を使つておるのですが、さすれば重要法案の審議を終えたときには、佐藤君をもう一度逮捕されるというお考えでありますか。これは誤解があつたらいけないから、はつきりあなたからあらためて御答弁しておいてもらいたい。

三浦寅之助自由党法務政務次官

○三浦政府委員 重要法案の審議が終つた場合には——これはあの逮捕を一時見合せるということも、重要法案の審議ということになつておるようでありますから、重要法案の審議が終つたというような段階に来ますれば、そのときはあらためて何かの方法が考えられるのではなかろうかと思うのであります。しかしながらどういうふうにするかという確定したことを、私の立場において明確に御答弁することは遠慮しなければならぬと思います。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 これ以上あなたに質問しませんが、おそらく二、三日しますれば速記録ができますから、よくごらん願つてはつきりしておいていただきたい。さもないと、とかくの誤解を生ずるような御答弁であつたから、ひとつ御熟覧を願いたいのであります。  きよう幸いに経理部長が来ておるようですから、大蔵委員として経理部長に一点伺いたいのだが、聞くところによりますと、今度の汚職検挙に関して、検察庁の方ではなるべく短期間に能率をあげるために、あちらこちらに検察庁員の宿舎といいますか、連絡場所と申しますか、相当の件数の不動産を御購入なさつたということを聞いておるのですが、そういう事実があるのか、あるとするならば、あなたが先ほどおつしやつたどの項目に、いかほどの金額を計上して、どういう不動産をお求めになつておられるかということを伺いたい。

竹内壽平検事(大臣官房経理部長)

○竹内政府委員 今度の事件で各地に不動産を買い求めているのではないかという御質問でございますが、さような事実はございません。不動産関係につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、東京地検の庁舎の中の施設を改造いたしました点と、東京拘置所の中に調室を設けた点、この二箇所だけであります。巷間に伝えられます市内の宿所といいますのは、全然予算とは関係のないものであります。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 そうすると、巷間伝えられておる誤解を一掃するために、なお繰返してあなたに再確認いたしたいと思うのですが、巷間伝えられるように、東京都内にかつて住宅なりあるいは旅館であつたものを数箇所今度検察庁が購入いたして、そうして今度の汚職事件の検挙の足だまりにしておるという、そういつた事実は全然ない、こうおつしやるのですか。この際誤解を一掃するために、あなたからはつきり答弁を求めておきたいと思う。

竹内壽平検事(大臣官房経理部長)

○竹内政府委員 はつきり申し上げますが、さような購入をした事実はございません。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 最後に一点伺いたいのでありまするが、先ほどからお聞きのように、当大蔵委員会では国費に関連してこの事件をこういうように重大視いたしておるわけなんです。法務省とされましては、この事件をあくまでも法の命ずるところに従つて遂行するわけなんです。それに対して、これもまた聞くところによると、経費を内閣が削つて、承認しなくて、必須欠くべからざるところの経費に非常に不自由されておるというのですが、そういう事実があるかないか。

竹内壽平検事(大臣官房経理部長)

○竹内政府委員 必須な経費につきまして非常に不自由をしておるということは、私不敏にしまして伺つておりませんのですが、庁によりましては、あるいは若干の不自由を特に感じておる庁もないとは申しませんが、全般的に見まして、必要な経費を出すということに全力をいたしております。私の聞いておりますところでは、特にそういうような事情がない、かように確信いたします。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 もう一点で終りますが、法務省として内閣に対して予備金を請求した場合に、聞くところによると、最近非常にそれに対して抑制を加えつつあるというのでありまするが、法務省として内閣に予備金支出を請求すれば、そのまま内閣は承認しておるかどうか、これを伺いたい。

竹内壽平検事(大臣官房経理部長)

○竹内政府委員 これは大蔵省担当官からお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、今回の疑獄関係の予備費につきましての事情を申し上げますと、大蔵省ないし政府から特に押えられたという事情はないのでございまして、その点誤解のないようにお願いいたしたいと思います。先ほどもちよつと申し上げたかと思いますが、この予備費につきましては、当初一億九百万円ばかりの要求額を算出いたしたのでございますが、これが五千五百万円に圧縮されました。このいきさつは、先ほど申しましたように、本年度から大蔵省の方の手持ちの予備費の事情から、当面必要な経費を算出してくれないか、こういう御趣旨で、当時すでにわかつております義務確定になつているものなどを拾い上げまして、当面必要なものとして出した数字でございます。従つて昨年度のうちにおきましても、なお必要な経費が事件の捜査の発展によりましては加わつて来るわけでございまして、この点は、当時大蔵省の係官の方におかれましても御了承いただいておるというふうに考えておつたのでございます。従つて私どもとしましては、この予算につきまして何ら抑制を受けたというふうには感じておらないのでございます。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 本日は大体この程度にて打切りたいと思いまするが、私は先ほど申しましたように、本日出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案について法務当局の意向を聞きたかつたわけなんですが、不幸にして時間がありませんから、次会は可及的すみやかにこれに関する法務当局の政府委員の御出席をしてもらうように、淺香委員長代理は千葉委員長ととくとお打合せをしてもらうことを希望いたしまして、本日はこれにて散会いたしとう存じます。

淺香忠雄自由党

○淺香委員長代理 福田君の動議を了承いたしました。  本日午前中はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。午後は懇談の形で議案審査を進めたいと存じますので、さよう御了承願います。    午後一時六分休憩      ————◇—————    午後二時五十三分開議

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  本日付託されました議員提案の当せん金附証票法の一部を改正する法律案、右法律案を議題として提出者より提案趣旨の説明を聴取いたします。提案者春日一幸君。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 法案はすでにお手元に御配付を申し上げておりまするので、その提案の理由を簡単に御説明申し上げます。  現行の当せん金附証票法によれば、当籤金品の支払いまたは交付は、当該当籤金附証票の購入者またはその相続人その他の一般承継人に限られているのであります。従いまして、たとえば最近岸和田市に起つた事例に見られるように、当籤した当籤金附証票を拾い、これを警察署に届け出た場合におきまして、もし遂に落し主が判明しないときは、右当籤金品の債権は一年間の時効によつて消滅してしまい、たとい後日民法の規定ごより恰つた人が当該当鍛金附証票の所有権を取得することとなつたとしても、それはただ一片の無価値の紙切れの取得にすぎない結果となつてしまうのであります。またこの間、警察署長が債権保全のため民法の規定に従い忠実に管理義務を遂行しようとしても、現行法のもとではこれに当籤金品の支払いまたは交付ができることとなつておりません。  このことは、法律のはなはだしき不備欠陥ともいうべきでありまして、正しい者の味方たるべき法律がかえつて善行者を抑圧し、結局正直者だけが馬鹿を見る結果となり、ために遵法精神は地を払い、社会道徳頽廃の因をつくるものといわねばなりません。もともと当籤金附証票のごときはきわめて紛失しやすい性質のものでありますから、岸和田市におけるこういつた事例は、今後も必ずしも絶無とは思われないのであります。従いましてかかる遵法精神に富んだ善行者に対して法律上の保護を与えることは、極めて適切至当なる措置と確信するものであり、かくしてこそ法律の権威と尊厳が保持されるものと考えるのであります。  以上の趣旨に基きまして、本改正案を提出いたした次第でありますので、何とぞすみやかに御審議の上、満場一致の御賛成あらんことを切望いたしまして提案理由の説明にかえる次第であります。

藤枝泉介自由党

○藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま議題となつておりまする当せん金附証票法の一部を改正する法律案につきましては、各党共同提案でもありますので、この際質疑及び討論を省略いたしまして、ただちに採決されんことを望みます。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 お諮りいたします。ただいやの藤枝君の動議のごとく決定するのに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 御異議がないようですから、本案につきましては質疑討論を省略してただちに採決に入ります。  本案に関して御賛成の方の起立を願います。   〔総員起立〕

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 起立総員、本案は全会一致によりまして原案通り可決いたしました。     —————————————

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 次に、税制に関する件及び専売に関する件を議題として調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。春日一幸君。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 この機会に主として日雇い労務者に対しまする所得税の課税方針につきましてその取扱いを統一願つておきたいと考えますので、二、三の事柄について質問をいたしたいと存ずるのであります。問題はこれらの日雇い労務者に対しまする所得税の取扱い方針につきまして、昭和二十八年八月十七日の平田長官の直所五−二〇の通達によりまして、大体の通達がなされておるのでありますが、これによりますると、多くの疑義をなお新しくここに生ぜしめておるきらいがございますので、この機会にひとつ問題を明確にいたしておきたいと思うのであります。すなわちとびあるいは日雇い、大工、左官、こういうような者は労働の対価を、すなわち労務賃金を受けてその収入といたしておるものでございまして、従つてこれはまさしく事業所得者ではないと思うのでございます。しかるところ現在の徴税行政におきましては、地方によりましてはこれを給与所得とし地方によつてはこれを事業所得として区々の取扱いがなされておるきらいがあるのでございますが、労働の対価を所得となしておる者は当然給与所得であるから、源泉徴収の方法によつて給与所得税を課すべきものであり、事業所得税は課すべきものではないと考えるのであります。このことは、やはり事業所得者に対しましては地方の事業税がかかりますし、給与所得者に対しましては地方の事業税はかからないという立場で、関連するところ重大でありますので、この機会に直税部長より、この間の疑義のあるところをいかなる方法によつて調整されておるのであるか、現在行われております徴税方式について、ひとつ明確に願いたいと思うのであります。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 お答え申し上げます。現行の税法の建前を一通りここに御説明いたしますと、現在雇用契約を結びまして、その雇用契約に基く勤労の対価として得られます所得については、給与所得と規定してございます。それから請負事業のように一定の事業の完成を契約の内容にしまして、その完成の対価として報酬をもらうような場合は、これは請負契約に基く報酬でございますので、税法では事業所得というふうに規定されておるわけでございます。問題になつておりますいわゆる大工さんであるとか左官さんであるとか、そういうものが具体的にどちらに該当するかという問題は観念的には非常にはつきりしている問題なのでございますが、事実認定の問題として相当むずかしい問題があるわけでございます。観念ははつきりしておりまして、はたして事業の完成を請負つておるのか、あるいは一日幾らとして雇われておるのか、これが事実認定の中心の問題であります。これらの事実認定をする場合の判断資料としてはいろいろあるわけでございます。一番直接的なことを申し上げますと、一つは請求書をお出しになつた場合に、普通のいわゆる勤労所得者たる大工さんでありますと、材料をかりに自分持ちとしましても、材料代幾ら、手間賃幾ら、こういうふうにして材料については原価を記載してございます。こういうものは明らかにその手間賃だけが勤労所得としての対象になるわけであります。これに反しまして内訳を何も書かないで、屋根の工事費幾らというふうにもし請求書が出ております場合には、これは明らかに請負による報酬である。従つて事業所得になるというわけでございます。そこでこういう請求書がありますような場合にはほとんど疑問の余地がないわけでありますが、税務署の方におきまして、そういう具体的な資料が得られない場合にはかなり間接的な事実から推定しているわけでございまして、国税庁におきましても、そういう間接的な事実認定の資料として参考になると思われる事項を二、三注意的な通達を発しておるわけであります。その一つは、大体店舗を持つておりまして、お客の求めに応じ得るような営業の態勢を整えておるかどうかという問題、それからお弟子さん、使用人を使つておる人であるかどうかという問題、あるいは労働組合に入つておるかどうかというような外観的な問題、そのほか材料を通常自分持ちでやるのか、求め主に材料代を請求するのかどうか、こういうことを間接的な資料の十分わからない場合には参考にして、事実判断に間違いないようにして、もらいたい、かような注意の通達をしておるわけであります。ですから税務署におきましては、はつきりわかつておる場合には問題はありませんが、わからない場合には、今示されたような基準を総合しまして、それぞれ実情に即するように、給与所得者については給与所得とし、請負代金については事業所得として課税しておるわけであります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 大体疑義のないものについては給与所得ということで、これは問題はないと思いますが、いわゆる疑義のある面に対して取扱いを明確に統一しておいていただかなければ、地方地方によつて区々で物議をかもしておるのであります。そこで私の指摘したいことは、あなたの方の昭和二十五年一月二十三日付のこの通達によりますと、作業場の有無、それから経済上の危険負担の有無、材料持ちの有無、または使用人の有無等を勘案して、こういうものがあるものは事業所得とし、そうでないものはこれを給与所得とする、こういうことになつておるわけでございますが、問題となりますのは、使用人があるかないかという問題と、それから事業場を持つておるかどうかという問題について、給与所得と事業所得とのわかれ目になる上においていろいろと物議をかもしておるのであります。そこで左官とか大工とかいうものの徒弟の関係でありますが、これは当然御調査になつておると思いますが、労働基準法の第七十条の規定によりまして、「長期の教習を必要とする特定の技能者を労働の過程において養成するために必要がある場合においては、」その教習方法、使用者の資格制限その他についてはこの命令で定めるということになつておりまして、その命令によりますと、板金工、大工は養成期間三年というぐあいに、労働基準法でこれを規定いたしておるわけでありまして、三箇年間は徒弟の教習期間である。すなわらその教習することから所得が生れて来ても、その所得の上前をその親方がとつておるということにならないことは、この労働基準法によつて保証されておるところでございます。現にいろいろの実情調査等をわが党においても行つたのでありますが、結局この大工、板金のような特殊な技能は、最初一年はただ飯を食わして、親方の相当な損害になる。二年目においてはどうにか一ばい一ぱいの仕事がやれるかやれないかである。すなわちその飯代をかせぐかかせがないかで、三年目に一年目に親方が払つたところの犠牲を多少回収できるのではないか、こういうようなことで、三箇年間を通じて親方が所得するという額はほとんどない。こういう結論に達しておるのでありまして、労働基準法もその点を重視いたしまして、これは長期養成を必要とするところの労働基準法に認めるいわゆる徒弟である。こういうぐあいにしておるわけであります。従いましてそういう観点から物事を考えて参りますと、そういうような徒弟は、ここであなた方の方が考えておられます使用人に当るか当らないかは、これは疑義のあるところでございましよう。一人前の者を雇つて、その労務を提供させ、上つて来るところの仕事の結集から事業所得を受けるという場合を私は論じておるのではありませんが、使用人の中に労働基準法にいうところのほんとうの内弟子、徒弟というものが含まれておるかいないか、含まれていないとするならば、その点はひとつ明確に願わなければならぬと思うのであります。この点が一点であります。  それから他の一点は、この作業場があるかないかの問題でありまするけれども、このことは左官の場合も同様でありますけれども、特に板金の場合なんかは家に仕事場がなければ現実に彼らは仕事がやつて行けないのではないか、とび仕事のようなものはそとに出まして、これはその現場で作業するのでありますけれども、しかしながら細密の仕事なんかは、雨の降る日は仕事ができないで、家に帰つて仕事をやる便宜上、やはり住居の片すみにきわめて小さな作業場を持たざるを得ない形になるのでありまするが、そんな場合にいたしましても、これは作業場を持つておる。これがすなわち店舗を開いて業を営んでおるというような形で、作業場を持つて営業しておるというようなことから、これが事業所得に類推されるきらいがある。従いまして私はこの機会に、経済上の危険負担があるかないかという問題は、これは明確な事柄で何ら疑義はありませんが、作業場のあるなしということと、それから使用人のあるなしという事柄は、これは給与所得を区別いたします上における大きな要素であつては相ならぬと思うのでありますが、この点について国税庁当局の御見解はどうでありましようか。ひとつ明確にお願いしたいのであります。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 まず使用人の中に今の養成期間中の徒弟を含むがどうかという問題についてお答えいたします。通達に使用人の有無と書いてありますのは、もちろんその雇つておる方が事業主であることを前提にして書いてあるわけであります。従つて通達の文面から申しますと、もし雇い主が事業主である場合には、その徒弟がかりに労働基準法にいうところの養成期間中の者でありましても、それを事実上事業の用に使いますれば、それは使用人に入つて来る。それは全然事業の用に使わないというので、もつぱらその技能の養成だけを目的にしておるものであるといたしますれば、その徒弟は入つて来ないということになります。  それから作業場の問題について申しますと、なるほどただいま例をあげられました板金を職とされておるような方については、事柄の性質上作業場は非常に手狭なものだと考えております。しかしまあそれが給与所得であるか事業所得であるかということを間接的に判断する資料といたしましては、かなり重大な要素だと思います。人に雇われて、もつぱらそこで手間賃だけをかせぐということでありますれば、一般には作業場はそう本質的の問題ではないわけであります。それが作業場というのが、同時にある意味で注文を受ける場所だということで、だれかお客の求めをそこで受ける店舗の性質をも同時に果しておるのが通常でございます。ですからやはり作業場があるかないかということは、間接的な資料ではありますが、間接的資料としては相当重大なものだ、かように考えております。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 私は、これはもう何でもいいから明確にしておかないと、地方地方で零細な日雇いの諸君がたいへん困つておるので、この質問をいたしておるのでございますから、どうかひとつ御答弁もそういうお心構えでお願いをいたしたいと思うのであります。それで左官の場合は、なるほどそこへ注文をしに来れば当然そこで受けこたえをするごとには相なろうと思いますけれども、結局作業をせなければならないという立場において、当然施主の材料で、その労務だけを提供して、そこで仕事をするだけでありまして、これは店舗というような性格は非常に薄いのではないかと私は思う。作業場が現場であるか、家であるかという違いだけでありまして、現場でやらなければならない仕事が大体七割五分ぐらい、家でやればやれるという作業が二割五分ぐらいだというのが左官の仕事であるそうでありますが、こういうような特殊の業態が現存しておるのでありますから、左官の場合におけるこの作業場というものは、これは店舗に入らないものであるということをこの際ひとつ明確に願つておきたいと思うのであります。その点が一点であります。  それからこの使用人の問題でありますが、ただいま部長の御答弁によりますと、労働基準法が認めておりまするいわゆる長期修練を必要とする技能にわたるところの、いわばここで別表でもつて大工、左官においては三箇年と規走されておりますこの徒弟は、この通達の中に掲げられておられる使用人の中には入るのであるか入らないのであるか、この点もひとつ明確に御答弁を願つておきたいと思うのであります。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 作業場の問題は、事実認定の問題としてかなりむずかしい問題でありますが、先ほども申しますように、根本的にはその請負われた一定の仕事の完成が契約の内容であつて、それに対して報酬をもらう形になつておるのか、よしんばその契約の内容が微々たる仕事でありましても、そういう性質のものなのか、あるいは労働を頼まれてその手間賃を請求するということがその契約の内容になつておるか、この点が請求書を見ればほとんどわかるわけでございますが、その請求書がどうしてもわからないという場合の間接的な判断材料としての作業場の問題を今申し上げておるわけでございます。それで、なるほどそういう意味では間接的でありますので、作業場のあるなしということがりくつの上で、つまり作業場があつたからといつてただちに請負にはならないものだと思つております。ただ通常作業場を持つておりますところでは、一般に請負契約をやつておるのが普通だということをわれわれが大数観察的には認めておる、そごから出ておるわけでございます。そういう意味で、作業場を持つておるからといつて論理的に全部それだけの理由で給与所得になるわけはないのでありますが、実際問題としましては、作業場を持つておるような、今の特に板金工等につきましては請負契約である場合が普通であるわけでございます。従つて今通達の中にそういうことをうたつておるわけでございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 私、前の質問の中で左官左官と申しましたが、これは板金の錯覚でありまして、左官ではございません。板金の事柄でございますので、訂正をいたしますから、そのようにお願いしたいと思うのであります。  そこで、今あなたのおつしやるように、経済上の危険を自己において負担する場合は、これはまさしく請負の事柄でありますから、従つてこれは事業所得の対象になることには何ら異議はございませんし、また疑義もないと思うのであります。ただ問題は、現実にその手間賃かせぎの場合において、なおかつその徒弟を使つておる者、板金の場合のごとく、作業場といえばいえるようなものが店先にある場合、徒弟があるから、それから板金の場合にその作業場があるからということで、現にほとんどそれが事業所得に類推されておりますので、これは手間賃かせぎの場合は、徒弟があつてもそれから作業場があつても、手間賃かせぎがその収入の実態である限りは、これは給与所得の実態として決定することに何ら障害にはならないかどうか、この点をもう一回御答弁願つておきたいと思うのであります。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 少し繰返すようになりますが、非常にニユアンスのあるといいますか、ニユアンスが少しずつかわるような御質疑かと承りましてお答え申し上げますが、初めからこの人間の所得が給与所得であるということがおよそ別の資料でわかつておる場合には、たとえば請求書によつてわかつておる場合には、作業場があろうと、それから使用人があろうと、これはいわば間接資料でありますので、これは妨げになるわけではないわけでございます。その点にもしとらわれておるとすれば、その点は是正をする必要があろうと思います。ただ問題は直接的な資料がないために、やむなく間接的資料からいろいろ事実を判定せざるを得ないという場合に、やはりその作業場があるということや、使用人があるとか、あるいは労働組合に入つておるかどうかとか、こういう問題にそういう意味において、その程度に参考になるということで書いてあるわけでございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 私はその点が問題のキー・ポイントであろうと思うのでありますが、やはり本質的にこの人が給与所得者であるということがわかつておる場合には、それは何も疑義がないのだが、わからない場合にどうするかというその条件の中に、ここにあなたの方で制限を列挙して、こういう場合はいけないのだということを言つておられるわけなんです。その場合といえども、これはあなた方として、材料を自分で持つたか施主が持つたかなんというようなこと、これは大きな条件ではつきりわかると思うのでありますが、徒弟を持つておるということは、この徒弟の労働力を搾取して事業所得的所得をこの日雇いの諸君が得ておるならばこれは事業所得に類推されてもさしつかえないと思うのだが、これは別の法律、労働基準法で大工と左官については、三箇年間というものは長期の養成期間、こういうぐあいに認めておるのでありますから、こういうような徒弟がある場合には、使用人の中に、いわゆるここに掲げてあるところの使用人の中にはこれをお入れにならないで処理されることが当然のことであると考えるが、当局の御見解いかん、この問題であります。  それから板金の場合は、やはりそういう場合においても、店の先に仕事場がある、住居の片すみに仕事場がある、これがここでいう文字通りの作業場になるのだが、しかし板金はうちでやらなければならない仕事が二割くらいある。これはどうしてもうちでやらなければならぬ。勢い仕事場を設けなければならぬ。大体すべてのブリキ屋は、そういうようにうちにたたき場を持つておるようでありますが、これがあるために事業所得の類推を受けるので、こういうものをなくしてしまつて、不便な、仕事を現場でやらざるを得ないというような仕儀になつておる、こういうことなのでございます。そのことは不当にこういうか弱い労働者を税法の建前から圧迫する形になつて、現実に手間賃で稼いでおるという実態がありまする限り、そういう仕事場があつたとしても、こういうようなものはこの事業所得の類推の条件の中にお加えになるべきではないのではないか、こういうぐあいにわれわれは法解釈からも、また彼らの作業の実態からも考えるわけでありますが、これに対する部長の御見解はどうであるか、御方針はどうであるか、この点ひとつ明確に願つておかなければならぬと思うのであります。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 あるいはちよつと誤解があるかとも思いますので、その前にお話申し上げておきますが、現在われわれが所得の種類を大きくわけまして勤労所得、それから事業所得、それから資産所得というふうにわけてありますが、勤労所得と申しますのは、勤労の対価だけで一〇〇%得ておる所得を現在給与所得といつているわけであります。事業所得と申しますと、これはただ事業を経営しておる、と申しますとごく話は簡単でございますが、内容を分析してみますと、その中には、やはり店舗を持つておる限りにおきましては一種のその資産から生ずる所得も含んでおるわけであります。それから何ほどか経営に頭を使うという意味におきましては、本来の経営者所得的なものも含んでいるわけでございます。それから業種によりましては、実際はほとんど大部分が自分の肉体で働くという関係におきましては、給与所得的な要素も多分に含んでおります。そういうものが何でも一緒になつたものを事業所得と今税法で規定されております。従つて税法で事業所得と申しましても、中身を考えてみますと、その大部分が労働の対価であるというものが相当ございます。たとえば農業所得にいたしましても、お話のように現在税法で事業所得だといつておる。大工、左官につきましても、これは事柄の性質上ほとんど大部分が肉体労働の対価であろうと考えておるのであります。しかしそういうものは現在の税法では、事業所得として規定されておるわけでございます。現行法の建前のもとで、それが給与所得であるか、事業所得であるかという問題を取上げておりますのは、従つて大工、左官につきましては、百パーセント労働であるか、あるいはそうでないのかというけじめの問題でございまして、一般に大工さん、左官さんの所得のほんとうの意味の源泉が肉体労働であるということを別に否定しておるわけではないのであります。そういう非常にデリケートのところをいかにしてけじめをつけるかということで、実は非常に苦心しておるわけでございまして、形式論を言いますと、先ほど言つたような契約の形になります。それが請求書の問題でテイピカルに出て来るのと、もう一つは事業進行中におきまして、不可抗力によつて、たとえば原材料が滅失したという場合の危険負担がいずれに行くのか。これは給与所得でありますればもちろん雇用主の側に行くわけでありますし、それから請負所得でありますならば、当然それは事業主、つまり請負者の側の負担になるわけであります。ただりくつはそうでございますが、そんなことはめつたにないわけでございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 私は勤労の対価を得る者は労働者であるとかいうようなことを観念的に言うわけではないのです。これはなるほど洋服屋も仕立屋も自動車の修繕屋も時計屋も、みな技術や勤労で収入を得ておるのだが、そういう極端な議論を言うのではなく、大工、左官、とび、板金が問題になつてる。これは社会において常識的にながめてトも、これこそほんとうに百パーセント、勤労の対価として賃金をもらつて生活しておるのだが、しかし法の建前の中においては、たまたま中に請負大工も、請負左官も、請負板金もあるものだから、そういうような事業家と、それから日雇いとの間の基準が立ちかねて、不当な取扱いをされておるので、この点を明確にしてもらいたいというのが私の質問の骨子なんです。そこで私がお伺いをしたいことは、日雇いならば当然勤労所得なんです。ところが日雇いが弟子を持つておる場合は、事業所得に見られがちだということになる。見られやすい形の通牒があなたの方から出ておる。たとえば板金屋が住居のすみに仕事場を持つておると、事業場を持つておるという事柄から、実はほんとうの日雇いでありながら、これが事業所得に見られやすい立場になつておつて、現実に見られておる。だからそれじや困るのであります。なまじつか仕事場があるためにそういうふうに見られるのでありまして、この仕事場をつぶしてしまいましよう、そうすれば余分に働いて余分に苦労しなければならない、こういうことは気の毒ではないか、こういうことです。従つて私は危険の経済負担がその労務者自体においてなされておるなら、これは請負なんだから、そんなことを論じておるのではない。純然たる手間賃で働いておる大工、左官、とび、板金が弟子を置いておる場合に、これが事業所得に見られるようなきらいがある通牒が出ておる、これはここに掲げておる使用人とは違うのであるかどうか、このことなんだから、ひとつこれは明確に言つてみてくれませんか。今あなたのおつしやつたようにその事業施設の損耗等云々ということを言つて来れば、同じ大工だつて、かんなをかければかんなの刃が減つて来るし、のこぎりを引けば刃が欠けるから、大工の道具が減つて行くから、大工の事業所得だと言えば問題ない。左官だつて。同じことだ、板金だつて同じことだ、かなづちをたたけばかなづちの頭が減つて行くかもしれない。だから私はそんなことを言うているのではない。実際問題として日雇い労務者が、あなたの通牒によつて不当な税をされることのないようにという趣旨からお伺いをしておるのだから、この点は、労働基準法に認めておる徒弟は、これは使用人ではないならない、あるならある。あると言われれば私はたくさん申し上げることがあるが、ないならば申し上げることはないので、この点を明確にしていただきたい。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 今の点を真正面からお答え申し上げますと、使用人という言葉を使つておりますのは、雇つている方の側が事業主だということを前提にして書いてあるわけであります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 使用人じやないのですね。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 従つて、もし給与所得者に雇われておる労働基準法でいうところの徒弟ならば、使用人であるはずがない。その労働基準法の方でかりに雇われている徒弟人でありましても、それが今度は逆に雇つている方が事業主であつて、事業の用に使つておりますれば、ここにいう使用人である。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 板金屋の仕事場はどうですか。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 これはやはり事実判定の問題といたしましては、一般的にはかなり有力なる間接資料だと思つております。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 それでは、板金屋はほんとの日雇いである、ところが事業場を家に持つておつたら、これはもう給与所得者でなくて事業所得者になるのですか、この点を伺いたい。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 ほんとうになるかと申しますと、事実認定の判断としましては、その場合、おそらく事業所得である。現行の税法の建前は、事業所得と認定いたしましてもほとんど間違いはなかろうと思つております。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 そのほんとうの日雇い左官屋が、日雇いの手間賃かせぎの板金屋が、その居住の片すみに事業場があるというたけで——実体が手間賃かせぎの給与所得者であるのに、その居住の片すみに、自分の現場で働くことの便宜のために、労働者が創意くふうをこらして家に仕事場をつくるだけで、その本質を曲げて、これを事業所得にみなして行くというようなことは、明らかに所得税違反であつて、法律の濫用じやありませんか。そんなばかげたことがありますかい。植木さん、あなたはそういう、本質は日雇い板金である、本質は給与で働いておる、ところが外に行つて働けば、雨の降る日には仕事ができないから家に持つて来て、かんかんたたいて、そうして、あした持つて行つて屋根にとりつける、ところが家に作業場があるために事業所得者だと認定されておる、だからこのことははなはだ困るといつて、全国の板金業者が陳情しておるのだが、その陳情をもつともだとお思いになりませんか。ひとつ植木さん、あなたから御答弁を願いたいと思います。

植木庚子郎自由党大蔵政務次官

○植木政府委員 お答えいたします。今のお話のような場合におきましては、よほど慎重に、事実認定の上にあたつて研究を遂げなければならないと思つております。ただ今お話のような家に小さい簡単なる仕事場がある、その仕事場があるということだけをもつて、本来は給与所得者であるのに、それが請負い所得者であるように課税をしておるといたしますと、その点二ついては考え直す必要があるのではないか、かように私は思います。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 まことに感激いたすものであります。  そこで私はお伺いをいたしたいことは、そうでありといたしますならば、直所五−二〇の長官通達を直していただかなければならぬ。これは昨年の八月十七日に出されておりますが、それによりますと、次のごとき事柄によつて判断せよといわれております。第二項に「店舗を有し、」と書いてある。この店舗ということは作業場を含まないことであるならば全然よろしゆうございますが、この作業場は住居の床の間やお座敷につくるわけに行かぬから、大体そういう日雇い板金屋なんかだと入口に置くことになるでしよう。そうすると作業場が店舗みたいなかつこうになつて、作業場が店舗に誤解されやすいのでありますが、この第二項目に置くところの店舗、作業場という事柄は、これは給与所得と事業所得とを区別することの大きな条件であつてはならぬ。それから第三項目の「使用人を有している者であるかどうか。」という事柄につきましても、末端の税務署員は、家族以外の者を使つていると、これが労働基準法に基くところの使用人であるやらどうやら、こういうことの誤解を生ずるもとでありますから、これも明確に願いまして、労働基準法の別表に定めているところの長期養成の徒弟である限りにおいてはこの限りでない、こういうようなこともやはり通牒の中に明確にしておいていただくのでなければ、あなたや長官がこのことに当られるなら決してさほど心配いたしませんが、地方の税務署に参りますと、ほとんど調査も行われておらないような、調査されてもそれは経験の乏しい人が調査に当りますから、この通牒を見て、あんたは店舗を持つているじやないか、あんたは使用人を持つているじやないか、こういうことで、実体は日雇いかせぎで、労働の対価以外のものを所得としていないところの人に対しても、この第三項目、第三項目によつて事業所得に類推の決定を受けざるを得ないような形になつて参るのでございます。従いまして、この第二項目、第三項目につきましては、私の今までの質問によりまして大体実情は部長も御了解を願つたと思いますので、さらに十分省議をお練りいただきまして、これらの疑義を解消でき、しかも現場において紛議を起すことのないように、もう一ぺん適切な通牒を発せられることを特にお願い申し上げたいと思うのであります。  それからさらにもう一つこの問題について伺つておかなければなりませんことは、そうすとる、今度は源泉徴収の税金をどういう方法によつて納めるかということが問題になつて参るであろうと思うのであります。すなわち源泉徴収義務者というものは、こういうような仕事の施工主にはそういう源泉徴収の義務のあるものとないものとがございましよう。むしろないものの方が多いのではないかとすら考えるのでございます。そうした場合、これは本人が税務署へ行かなければならぬのであろうと思いますが、しかし本人たちが自分でそういうような手続をするなんということはとても煩瑣にたえない、またそういうような作業にはなれておりません。従つて彼らが結局労働組合法に基いて労働組合を結成いたしまして、労働組合自体でこの源泉徴収義務者の事務を代行して取扱うようなことになることが考えられるわけであります。その場合、労働組合法は、御承知の通り労働者が労働条件の維持改善たとか、その他彼らの経済的地位の向上だとか、こういうようなことを目的として労働組合を結成するわけでありますが、これらの労働組合結成の目的の中に、自分たちが一ぺん一ぺん税務署でもつて税金のいろいろな手続をすることは煩瑣にたえぬから、すなわち団体納税という形ではありませんけれども、源泉徴収義務を代行するという立場において、労働組合がそれらの納税の仕事を取扱うことに相なるであろうと思うのでございます。労働組合法はこのことを認めているのであり、しかも労働組合法たるや、これは賃金給料その他これに準ずる収入をもつて渡世するものだけをもつて結成されるべきものであり、そういうものだけで結成されているかどうかということは、地方労働委員会が認定しているところであります。従いましてこの労働者が結成したところの労働組合が納税義務を代行するということはごうもさしつかえのないことであり、しかも特にそういうような必要をも認めて、これが労働者の経済的馳位の向上になることならばけつこうであるということで組合法がつくられておるわけでありますから、源泉徴収義務者のない場合、労働組合がこのことを代行することはちつともさしつかえないと思うが、しかるところあなたの方は、労働組合等をして所得税の徴収に当らせる便宜の方法は、税法上徴収義務者を不明確ならしめることになつてあまり好ましくないのではないかという通牒を出されておるのでございます。このことは暗に労働組合そのものを否定して、労働者がみずから経済的地位の向上をはかる、そういう組織がはばまれるきらいなしとはしないのでございまして、このことはやはり労働条件の維持改善という労働組合の本旨にもとるのきらいなしとはしないのでありまが、この点について、源泉徴収義務者のない労働者の労働組合にこういう税金を納める仕事をなさしめておるという事柄を今もなおいかぬと思つておられるのであるか、あるいはそれはさしつかえないと考えておられるのであるか。さしつかえるならばどういう方法によつてこれを納めることが合法化できるか。この点をひとつ明確にしたいと思うのでございます。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 最初の点についてお答え申し上げます。先ほど政務次官から御答弁のありました点も、明らかに日雇いの手間賃かせぎであるということがわかりながら、単に店舗があるとか、使用人があるとかいう事実だけで、真実は日雇い労務者であるにもかかわらずやることはいけない、こういう意味だと思つております。ただ春日委員から御指摘がありましたように、ともすれば店舗だけ、あるいは使用人の有無だけで、別に契約書その他から見まして日雇いだと認められる場合に、その方の調査をやらないで、それだけの理由で事業所得とするような向きがありますれば、その点は通達の上で注意いたしたいと思つております。  それから源泉徴収の問題でございますが、現在源泉徴収義務者は税法で規定されてございます。これは所得税法の四十三条で規定されておりまして、配当とかなんとかは別でございますが、給与につきましては、給与を払う者であつて、その人が事業場で使用人を一人でも持つておれば徴収義務がある……。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 なければどういうことになりますか。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 徴収義務がないわけであります。(「ないならだれが納めるんだ」と呼ぶ者あり)今は税法の建前を一応御説明しているわけでございます。税法の根本的な問題は、源泉徴収にかかる分の税金につきましては、かりに徴収義務者が徴収しなくても、本人からそれを直接納めさせる道がないのでございまして、もし徴収漏れがありますと、すべてはあげて徴収義務者にかかつて行くわけでございます。徴収義務者を通してのみ支払つた給与に対する税金を徴収する、従いまして例をあげて申しますと、徴収義務者が賃金を払つてしまつて、それで税金を徴収してない、税金を差引かないで給与をまるまる全部払つてしまつた、そうすると雇われている方では税金は全然納めてないことになりますから——本来から言いますと、国との関係においては税金を納めていいわけであります。ところが税法では、その場合には本人からは納めさせないで、必ず徴収義務者にかかつて行く、徴収義務者がどうしても徴収しない場合には、強制徴収の道があるわけでございます。そのよのに、徴収義務者の権限と同時に責任というものは非常に重いことになつております。従つて徴収義務者の範囲というものは、その課税標準を、つまり払つたか払わないか、幾ら払つたか、これが的確に計算できる者だけに徴収義務の重い責任を負わしているのでございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 そこでちよつとお伺いしたいのでありますが、問題は非常にデリケートだからよく聞いておつてもらいたい。こういうことなんだ。徴収義務者のあるところに働きに行つた場合は問題はありません。その払う賃金の中から税金分を差引いて払いますからそれでよろしいが、要するに徴収義務者というものは一人でも人を使用しておるものでなければ義務を負わないということになつておりましよう。従つてとびや左官や大工というものは、どこへだつて働きに行くわけでありますから、従つて相手が、徴収義務を持つているところばかり行くとは限りません。むしろそういう徴収義務を持つていないところに働きに行く場合の方が多いわけであります。そうすると、この人は税金の納め場所がない。そうすると給与所得税を納めてないとすると、ひとりでに事業所得になつて行つてしまうのです。すなわち税金をちつとも納めてないのですから——これは次官もよくお聞きを願いたいのでありますが、徴収義務者のところに働きに行けばいい、税金をはつきり納めておるという証明が立ちますけれども、一人も雇つてないところに大工が働きに行くわけですから、そこで働いたときには、税金を納めさせる義務が相手にないのだから、結局本人は納めようと思つても納める先がない。本人が納税することを認めていないのですから、そうして徴収義務者のところで働かないのだから、従つて税金を納めることができない。そうすると、彼みずから給与所得者でありながら給与所得税を納めることができないわけです。そうすると、これの行先はどこに行くかというと、結局事業所得ということで一括整理されて行つてしまうということなのであります。そういうことでは非常に困る。すなわち所得税を納めれば県税が付随する。給与所得には県税がかかつて来ないが、事業所得に県税がかかつて来るものだから、所得税を課税されて同時に今度は事業税を課税されて来る。これは零細な俸給生活者、ことに日雇いは——普通のきまつたところから月給をもらつている人はそう心配はないのだけれども、きようはあそこに、あすはここにというように働いている人々は、今度は事業税も納めなければならぬ、所得税も納めなければならぬという二重課税でたまらぬ、だからひとつ労働組合等で特に徴収することを認めてもらつて、そうしてその徴収義務をひとつ代行させてもらいたい、こういうことでやつているところもあるし、やつていないところもあるわけでありますが、これは地方によりまして国税局長がよく理解をされておりますところは、この労働組合に対してそういう代行することを認めておるわけなんです。ところが地方によつてはそれをお認めになつていない。なぜだということを、私も先般新潟県の長岡の税務署に参りましてその話を聞いたところが、これは国税庁の直税部長通牒によつて労働組合が源泉徴収の納税を代行するということはお認めになつていないから、たとい労働組合を結成されたところでそれは意味のないことであります。そういうものを対象に源泉徴収を認めるわけには参りません。こういうことなのでございます。問題はやはり全国的に統一をして行つて、法律に欠陥があるならば法律の欠陥を正すか、あるいは行政指導によつてその適切なる実情に即した徴税方式をとるか、いずれかの方法をとらなければこれらの日雇い労働者には気の毒ではありませんか。普通の月給をとつている人は、きまつた職場のある人は、源泉徴収で納めるから当然事業税なんという心配はないところがきようは次郎さんに、あしたは太郎さんと、これらの日雇い労働者だけは絶えず事業税もかけられるという二重課税のうき目を見ているわけなんです。これは何らか調整しなければなるまいというのが本員が質問をしているところの理由でございます。これは調整されるような必要をお認めになりませんかどうか、ひとつ植木政務次官にこの機会に責任ある御答弁をお願いしたいと思うのであります。

植木庚子郎自由党大蔵政務次官

○植木政府委員 ただいま御指摘のような事態があつて、地域によりまして取扱いが二、三にわたつておるとしますならば、この点よく調査の上、不均衡がないように善処すべきものだと考えます。なお事実の問題につきましては、他の部長をして答弁いたさせます。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 ただいまの春日委員の御質疑はかなり重要な問題と思います。実際問題としまして、日雇いの大工さん左官さんは手間賃をかせぎに町方に出まして、ほとんど相手方は源泉徴収義務がない人たちでございます。その場合、ともしますと、やはり仕事の性質上納付のときまで金を持つていない。納税期になると非常に困難になる。労働組合が現在それらの人たちの資金繰りを考えまして、あらかじめ源泉徴収類似のことをやつていることはよく承知しております。そこで先ほど申しました税法の建前と、そういう現実の要求をどこで調和するかという問題が問題になるわけでございまして、この点につきましては、税法の建前が先ほど申しましたような意味で、源泉徴収義務者というものは非常な責任を負うわけでございまして、計算の間違いがあつてはいけない、同時に徴収漏れがあつてはいけないという意味で、直接支払う者だけに税額の計算も可能であり、現実に徴収も可能であるというものだけを徴収義務者にしているわけであります。労働組合はもちろん直接支払うわけではございませんから、正確に申しますと、正確な税額計算ができない場合もあるわけでございます。これは事実問題といたしまして、どこで調和するかという問題でございますが、国税庁におきましては、この問題を研究した結果、二十五年の通達でこの点を出しているわけでございまして、昭和二十六年に納税貯蓄組合法という法律ができまして、これは地域単位でもいいし、職域単位で納税組合をつくつていい。納税組合をつくりましたら、その組合員から一定の納税準備金を徴収しまして、それをある程度集めて金融機関に預ける。そして一定の納付の時期に個人別のものを払つてもらう。そうしますと、組合員がそのときどきに入つて来る所得を浪費して、そのために納税に困難になるということもないし、そのためにまた納税貯蓄組合法におきましては、そういうふうにして納税貯蓄組合が運用している預金の利子については、非課税の規定を設けているわけであります。そこをひとつ利用してもらつたらいかがかと存じます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 これは聴明な各位がお聞きになつて非常に疑義をお抱きになつたことと思いますが、いわゆる源泉徴収義務者でないところへ働きに行つた場合は、本人はこれは納税こることはできないのでしよう。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 これはできます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 本人はできるわけですね。それでは本人たちが自分の経済的地位の向上のためにつくつて、しかもそれが労働組合法に基いて、俸給生活者でなければ結成できないところの労働組合を結成して、みずからの経済的地位の向上のために、労働組合法によつてそういう仕事を代行しようという場合、どうしてそれがいけないのか。現にあなたの方は、昭和二十六年にいろいろ研究された結果の結論というものは、貯蓄組合ならよろしかろう、こういうことで貯蓄組合にやらされている。こういうことなんだ。貯蓄組合はいいが労働組合はいかぬというその理由は一体何でありましよか。貯蓄組合であろうと労働組合であろうと、その直接利害関係者がみずからの意思によつてそういう機関をつくる以上、それは決して何ら差異のあるものではございません。暗にあなた方が労働組合を特に忌避して、そして貯蓄組合ならばそういう待権行使を認める。こういうようなことはあたかも労働組合を弾圧するというような——そう大げさなことではないかもしれませんけれども、少くとも貯蓄組合なんというものは、法律でどういう形になつているか知りませんが、これは大したものじやないと思う。少くとも労働組合法というものは労働三法ですよ。これは労働者の基本的人権の基準を示すとこの労働三法なんです。その労働三法によるところの労働組合を忌避して、そうして貯蓄組合ならばいいというようなことは、これは通らないりくつなんです。現実に彼らは労働者であるから労働組合をつくりたい、こういうところの趣意をあなた方がその徴税行政を通じて拒否するということは憲法違反ですよ。これはえらいことですよ。これはそうお考えになりますか。ちよつとそこをひとつ……。

村山達雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○村山説明員 言葉が足りなかつたものですから誤解があつたかと思いますが、労働組合自身が貯蓄組合をつくることはもとよりできるわけでございまして、手続は至つて簡単なものでございます。税務署へ参りますと、組合規約のひな型がございまして、それに所定の事項を書きまして三通お出し願いますと、署長が一通、府県知事が一通、市町村長に一通行きます。それでもうすぐ労働組合即貯蓄組合になるわけであります。しかし私が今申し上げておりますのは、源泉徴収義務者というものは法律で規定されているのでございまして、貯蓄組合でも労働組合でも、そういう意味では徴収義務者にはなれない。ただ春日委員が御心配になつております日雇い労務者が、納税期までかせぎの中から納税資金をよくためておく習慣にない。それを何とかしてあつせんして、事実上困らないように労働組合なりあるいは貯蓄組合がおやりになるという方法は幾らでも考えられる。その方法としては、やはり利子所得の免税の問題もありますので、運用の仕方いかんによるのでありますが、労働組合として貯蓄組合をおつくりにならないで、ある程度それぞれの町方の日雇い労務者から一定の税金相当額をお集めになる方法もけつこうでございますし、なお貯蓄組合をおつくになりましてそれで金融機関にお預けになりますれば、預金に対しても免税の方法もありますので、それで国庫に納めていただけばけつこうでございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 それで法律の疑義は、全国の何十万の日雇い労働者に至大な関係を持つ事柄でございますので、ひとつ明確にいたしておきたいと思うのであります。それであなたの方の二十八年八月十七日の長官通達によりますと、労働組合に加入しているものであるかどうか、労働組合に加入しているものならば、これは給与所得者と見た方がよろしかろうという趣旨でありますが、そのことはすなわちこの面において労働組合を結成されて、そうしてみずからの性格を明徴にして置かれるのがよろしかろうというこれは指導なんであります。ところが労働組合を結成してこの納税義務を一応果そうと思えば、それはいけない、好ましくない、納税事務を取扱うのだつたら貯蓄組合をもう一つつくれ、こういう御指導に解釈するのでありますが、これは労働組合に対してさらに一つの負担をしいるものでありますよ。労働組合なら労働組合の仕事が伴つて参りますし、さらにそこに貯蓄組合をつくればそれに対して人もいりましようし、それぞれの個別の事務が伴つて発生して参るわけであります。現実の問題といたしまして、これは相手は日雇い労務者なんだから、日雇い労務者の経費というようなものがなるたけかからないような行政指導こそ私は望ましいものと思うのであります。私は現在日本におきまして、渡邊主税局長と不肖春日一幸がおそらくは徴税行政の最高の権威だと思うが、この問題を所得税法からずつといろいろ調べて参りましたら、実際問題としましてこんなばかげた通達はないと思う。あなたの方は、この長官通達では労働組合に加入しておるものならばこれは給与所得として認めていいだろうというふうに通達をしておいて、その前の通達では、労働組合に扱わせることはあまり好ましくないという、正面切つての相反する通達ではありませんけれども、やはりそういうつながりを持つた通達が行われておるわけであります。労働組合がそういう税金の取扱いをするのは本旨ではないわけなんだけれども、結局日雇い、大工、左官、板金、そういう特殊の労働者に対しましては、労働組合の主たる仕事というような事柄は、こういう税金のことを扱つてみたり、その他お互いの日雇いの賃金のペースを互いに自主的にきめ合つてみたり、そういうようなことでありまして、大体雇用主というものが全然違うのですから、普通の労働組合なら雇用主が一人であつて、その下に働く者が団結するのだが、この労働組合は雇用主がばらばらで、働く者がそこで団結して行くというのだから、これはやはり税金の事柄なんかは主たる労働組合結成の大きな一つの目的要綱になつて来ると思うのです。そういうことで現実に労働組合が結成されつつあるのだから、その連中にそれをやらしたところでどれだけの弊害が伴いましようか、法律上いろいろ疑義があるという点もありまするけれども、その労働組合たるや、彼ら本人の結成したところの組合でありますから、すなわち本人が納税する、その仕事をその組合の総意によつてこれを行つて行く。一人々々でやれば経費がかかる、貯蓄組合でやつても経費がかかる、だからこの組合にやらしてもらいたいという、このことはあまり好ましくない。これは禁止されていないということだから私はなお一応了とされるところもありますけれども、とにかく好ましくないなんということは言わないで、労働組合が結成されたる場合においては、労働組合をして源泉徴収義務者たるの事務を代行せしめることができる、こういうところを十分御考慮願つて——この問題は大きな政治問題でございまして、全国の労働者がどうかそういうふうにやらせてもらいたいと言つている事柄なのでございますから、このことは地方税の負担を彼らから解除してやりたいということにほかならないのでございますから、まさしく欠陥があるところの法律の条項は十分御検討をいただいて、法律修正に及ばずしてなおあなた方の行政指導でおやり願える事柄であるならば、さらにひとつ御検討願つて、労働組合においてもこういう源泉徴収義務者の事務代行が行い得るようにさらに審議を練られて、ひとつ万全の措置を講ぜられんごとを強く要望いたしまして私の質問を終ります。     —————————————

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 諸君にお諮りいたします。この際日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律案、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律案、両案を一括して継続質疑いたしたいと思いまするが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 御異議ないようですから、さようにいたします。

淺香忠雄自由党

○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題となりました両法案につきましては、前会までに質疑も大体尽されたと思われますので、この際質疑を打切り、討論を省略してただちに採決せられんことを望みます。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 お諮りいたします。ただいまの淺香君の動議のごとく決定するのに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 御異議がないようですから、右両案につきましては質疑を打切り、討論を省略してただちに採決に入ります。  まず日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律案に賛成の諸君の御起立を願います。   〔賛成者起立〕

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  次に、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律案、この法案に賛成の諸君の御起立を願います。   〔賛成者起立〕

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 起立多数。よつて本案も原案通り可決いたしました。  なおただいまの両案に関する委員会報告書の作成提出等につきましては、委員長に御一任願いとう存じ上げます。     —————————————

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 ちようど専売公社から参つておりますので、例の専売法に関する質疑をいたしとうございますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 さようにいたします。春日一幸君。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 先般本委員会におきまして、パチンコ屋が景品に出しておりますタバコ、これは専売法に違反をして扱つておるのではないか、重大な疑義がある。しかしこれをとめるということも今ではできないであろう。従つてこれはやはり合理的に、合法的にパチンコ屋でタバコが売り得るような何らかの方法はないものであろうか、これは私の一試案を呈して、専売公社において検討して、すみやかなる期間に本委員会にその検討されたところを御報告されるようにと、そういうぐあいに私は要請しておいたのだが、爾来二箇月をけみした今日、なおかつこのことについて何ら専売公社から意思表示がございません。まことにもつて怠慢ではないか。こういう重要な事柄についてわれわれが本委員会で意見を述べるということは、決してだてや酔狂で言つておるわけではございません。これは専売法が現在行われておるにかかわらず、料理屋なんかで外国タバコを売つておれば、そういうものは捜査、臨検なんかやつて、大荒れに荒れておいて、そうしてパチンコ屋でタバコを売つておる事柄が見のがされておりますす。このことは禁止するといつたところで、現実に禁止するということはそれはよろしくありますまい。庶民大衆がほんとうに娯楽としてあのくらい楽しんでおるものを取上げるなんということは、これはできることではない。またそういうことは好ましくない。だから何か合理的に、合法的に彼らが扱えるように考えてやらなければいけないことだし、またそうすることが専売公社の義務であると考えてああいう要求をし、意見を述べておいたのだが、何ら本日までその検討したところを発表しないことはまことにけしからぬですよ。国会軽視だ。そこで、怒つておつてもしかたがないが、一体その検討されたところはどういうものであるか、この機会にひとつ公社の御意見を承りたい。

石田吉男日本専売公社理事(販売部長)

○石田説明員 ただいまのお話では、何かパチンコ屋にタバコを売らせることを認めようというふうに伺いましたのですが、私が伺つておりますのは、そういう御趣旨ではございませんで、パチンコ屋をタバコの小売人に指定したらどうかというふうな御要求といいますか、そういうふうに伺つております。それでただいまお話のおりましたことではございませんで、パチンコ屋にタバコの小売を指定したらどうかという点についてお答えを申し上げたいと思います。それからただいま何の連絡もないというおしかりでございましたが、私どもはどうもそういうお答えをするのに、委員会の方からお呼出しがありませんと、そのために委員会をお開き願いたいというわけにも参りませんので、その点はひとつ御了解を願いたいと思います。私どもの方の結論から先に申し上げますと、パチンコ屋を小売に指定することについては、いろいろ研究してみましたが、どうも適当でないという結論に達しておりますます。理由を申し上げますと、パチンコ屋ができましてから偽造タバコが非常にパチンコ屋に出まわるようになつております。偽造タバコ、特にピースとひかりでありますが、これを扱つておりますものがほとんどパチンコ屋でございます。それからパチンコ屋では、最近入つて来るお客が景品にタバコをとりますが、その景品をすぐまたパチンコ屋に売りもどしてしまうという事例が、非常に多いのでございまして、そのためにパチンコ屋にあるタバコはまずい、それがただ単に公社の製品がまずいのだというふうな悪評を受けることになつておりますが、非常に困つております。それともう一つは、パチンコ屋の営業者が非常によくかわりますので、私どもが小売に指定いたしますときには、かなりいろいろな調査をいたしまして永続性のあるものを選んでおるのでありますが、そういうような見地から、パチンコ屋をタバコ屋に指定することは適当でないという結論を申し上げざるを得ないのであります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 私はパチンコ屋にタバコ営業の許可を与えよなどということは一回も言つたことはございません。だから前の速記録をよくお読みなさい。これは、あなたの方は私どもの重要なるそういう質問に対して、十分公社自体における検討がなされていない証拠なのです。少くとも先般私が申し述べました意見は、偽造タバコの問題ではございません。これはあなたの方の当然の職権を活用して、その偽造タバコの発生は防がれるべき問題であつて、私の言うのは、専売局が製造したところのタバコが現在景品に出されておるのだが、しかしこれは、形式的には定価で買つて来たものを景品として並べておるような一つの形態はとられておるけれども、その内在するところの実際の運営は、相当の割引でその売りさばき元から買つて来て、これが景品に出されておるのではないか。もしそうだとすれば、これはまことに違法な取扱いであるので、これを合法的な措置に移さなければならない。その方法として考えられることは、今パチンコ屋も健全娯楽、大衆娯楽としては社会的地位を持つに及んで、そうして協同組合が結成されておる。そこでその協同組合がタバコの売りさばき人としての責任ある人を選んで免許を受ける。そうするとその協同組合に対してそれが卸されると、今度はその協同組合からそのタバコをほんとうの正味の価格で、四十五円のピースなら四十五円のピースで、その協同組合からパチンコ屋が買つて行くわけなのです。そうすると、パチンコ屋は一銭の利益もないわけだが、組合に資産が残る。すなわち定価によつて売買がされるのだから、その定価を切つて売買されるというような事柄は、それによつて合法化されるでありましよう。そうすると組合に資産が残ると、その組合に所得税なら所得税の税金もかけられて、一切の責任ある管理監督がその協合組合の代表者である売りさばき免許人に対して行われるわけなんだから、それで組合自体も満足することであり、タバコ専売法の立場からも、定価を切つて販売されておるというふうなこういう事柄がそこで調整されて行くのではないか。だからその個人々々にそのタバコの販売の許可を与えるというのではなく、今その団体の責任ある一定の個人、それにそういう売りさばき元の代表を代行させて、定価でその売りさばきから買つて行つて、組合員は組合員としての所得を別の方法ではかるべきである。そういうことならば、これは一切の法律的な疑義が解消できるのではないか、こういうことであつた。それは一つの見解であるから、検討して御答弁申し上げますということでわかれて、そのまま二箇月にたつておるから、本日国会もまさに終末に迫つておるわけだが、何ら回答がないから、本日はここへおいでを願つて、どういうぐあいに御検討を願つておるかということをお伺いしたわけです。このやり方はどうであるか、ひとつ伺いたい。

石田吉男日本専売公社理事(販売部長)

○石田説明員 ただいまのお話は、結局何と申しますか、その中間に立つ人が卸売りの類似行為をやるようなことになるのでありますが、専売法に規定がございまして、タバコの販売は小売人でなければやつてはいけないという法律の規定がございます。従いまして直接消費者に売り渡す場合は、小売人を通じてでないと売れませんので、そういう制度は現在ではできないことになつております。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 法律はいろいろな基本的な一つの考え方というものの上に立つことは当然でありますけれども、これは、実情に即した処理がその法律によつて可能なものでなければならぬと思うのであります。今全国各地において、パチンコ屋といえば、大体の目標はそこでタバコをもらううとう事柄にあるわけなんです。しかも今パチンコ屋の事業というものも相当の事業として社会的に地歩を占めて来た。しかも大衆娯楽、庶民娯楽として社会的の信用も得ておるのです。だからこういうような庶民大衆の楽しみを奪い去るということは、好ましい政治ではない。だからパチンコ屋でタバコを景品として出すことは、法律は認めて行くべきだろうが、しかし専売法との関連において、これはやはり法律違反としての疑義があるのですから、調整をして行かなければならぬのではないか。これが立法の府にある者と、それを管理するあなた方との共同責任なんです。それでは一体あなたはどうしたらこの問題が解決がつくとお考えになつているか、検討されているところを述べていただきましよう。

石田吉男日本専売公社理事(販売部長)

○石田説明員 パチンコ屋がタバコを景品に使うということにつきましては、法律的に何ら制限がございませんので、そのこと自体は専売法に触れる問題ではございません。従いましてその点につきましては、私ども何ら取締りを加えていることもないのであります。問題は小売屋からパチンコ屋が定価よりも安い値段で買うというところが問題なのでありますが、昨年来小売屋の方で、そういうことをお互いにしまいという自粛運動が全国的に展開されまして、そういう自粛運動の行われる前と比べますと、最近は定価より安い値段でパチンコ屋が買うということが非常に少くなつて来ております。この運動が始まりましてから約半年ばかりたつております。もう少し続けばますますその傾向が少くなると存じます。私どもも、その取締りの面においては相当手をやいていたのでありますけれども、最近は検挙件数もあまり多くなつておりません。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 それは実情に即しない機械的な解釈なのです。たとえばタバコ専売法では、卸はやらない建前で法律がつくられているということは当然その通りでありますが、しかし現実にタバコの小売屋からピースを何百個、何千個とまとめて買つているのです。これは消費者が買つて行くのではなく、パチンコ屋が買つて行つて、景品に出すのです。こういう実態が行われているのに、これでもなおかつ専売法の卸ではない、値段さえ定価で認められておれば、その取引されるところの数量がどういうものであろうとそれは一向さしつかえないということは、あまりに官僚的、機械的な、不親切な解釈であつて、現実に何万何千というものがまとめて買われておる実態に即して何らかの対策を講ずべきではないかということは、当然考えられてもいい事柄なんです。ただ値段さえくずさなければどういうことが行われてもいいということは、ただ単に小売屋を利するだけです。小売屋は値一ぱいで売れ、そういうことを全国で申し合せ、あたなの方も指導して行く、そうすると小売はじやんじやんもうかつて行くだけなんだが、しかし商売というものには裏に裏があつて、必然的に、じや定価で買つてちようだい、そのかわりほかのものをどうこうということで、どんなことだつてできるのです。あなた方が机の前でとうふのような脳みそをこねまわしているようなぐあいには商売というものは動いて参りません。実際問題として一つ二つを売るということなら、それは私は文句は言わぬのだが、何万、何千というものが現実に売買されておる、そのことに対して、定価さえ一銭も切つていなければれそでよいといつて恬然としてあなたが手をこまねいておる、これでもなおかつたばこ専売法の精神がそれで保たれておるとあなたは確信を持つておるかどうか、何かそこに矛盾があるとは考えておられないかどうか、この点を明確に伺つておきたい。

石田吉男日本専売公社理事(販売部長)

○石田説明員 ただいまのお話は、どうも私は頭が悪いのでのみ込みが悪いのかもしれませんが、何か小売が卸売をやつているのを認めているのじやないかという御意見のように伺いましたけれども、小売は普通の消費者にも売つているのであります。ところが先ほどお話のありましたのは、直接消費者を対象としないで、パチンコ屋だけに売らしたらどうかというふうに伺いましたので、先ほどのような御返答を申し上げたわけでありまして、卸売専門というふうに見る必要はないのじやないかと思つております。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 私の質問はそんなことではないのです。値段さえ小売一ぱいの定価で売つておれは何万、何千でも——卸売ということは数量ということなんですね、数量が多ければ値段がおのずから安くなるということが卸の取引と小売の取引との相違なんだ。それで数量と値段とはおのずから切り離すことのできない関連を持つものだが、しかし現在は小売屋が一銭も値を切つていないので、ちつともさしつかえないと言つておられる。けれども実際に扱われておる数量は、その小売屋から何千、何万かまとまつた数がパチンコ屋によつて買われておる。そういうことは、小売屋の利益を大きく保証する形にはなるけれども、これはたばこ専売法の精神からいえば、小売屋にそういうまとまつたものを取扱わせるということは、あの法律が立法された当初の考えていなかつたことなんです。パチンコ屋がこういうように大きく繁昌して来て初めてそういう事態が起きたんだから、これは不可測の事態が新しく発生したことなんです。だから、この新しき現実の上に即した適当な法律の修正か調整かが必要ではないか、こういうことを私は考えておるのだが、この点はどうかということなんです。

石田吉男日本専売公社理事(販売部長)

○石田説明員 私は別にそう不都合はないと思うのです。小売屋さんでも、たとえば会社なんかが盆暮れに使いものをいたしますときには、一軒から相当まとまつたものを買つているわけでありまして、やはりこれは小売屋の仕事としてやつておるのでありますから、特にパチンコ屋へ売る——卸すというと悪いのですが、たくさん売ることは、そう悪いことじやない、どこに不都合があるのかちよつとわかりかねるのでございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 それは定価で売られておれば文句はないが、表面は定価で売る形をとつて、実際的には反対給付が行われておる。その現実にあなた方は目をおおうて故意に知らぬ顔しておられるが、現実に反対給付が行われておるのだから、形式的にその値段が保たれておつても、実際の秩序は乱れておるのです。それは法律に違反をすることであるから、実情に即した調整方法を考えるべきであると言つておるのです。それではもしあなたが、定価を一銭も切つていない、それから反対給付も何も行われていないということをここで断言されるなら、われわれがいろいろと調査して——そんなものはパチンコ屋組合に行けば百も千も資料が出て来るのだが、その資料が出て来てあなたの答弁と違つた結果が現われて来たら、あなは責任をとりますか。

石田吉男日本専売公社理事(販売部長)

○石田説明員 私の方では、そういう反対給付が明瞭になつたり、あるいは定価の割引をしたりしておりますと、監視員というのがおりまして、それを専売法違反で検挙しております。これも私の仕事になつておりますが、そういうものをできるだけ検挙して法律を遵守させる。私どもの方としては、実際そういうものがあるのを、定価で売つているというように見のがしているわけではありません。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 大分おそくなりましたが、石田販売部長に申し上げておきたいのですが、先般この問題は専売小委員会で取上げていろいろ議論をいたしました。その結果、一応専売公社としても、春日君がお話になりましたような問題についていろいろ御検討を願つた上で——パチンコ屋にタバコを販売することを全面的に禁止するか、それができない場合には、いつそのこと小売の段階は自由にする、いわゆる小売店舗というものは指定しない、政府は現金でもつて卸だけを扱う、こういうふうにすればこういう問題は起らない。またあなたの今申された、この間もそう申されましたが、取締るということでありますけれども、とうてい全国のパチンコ屋あるいは小売店舗のかどに監視員を一人ずつ全部につけるということは、実際上困難であります。実際取締りは不可能であります。そういう実情を考慮いたしまして、諸般の情勢を考えまして、最善の案を御検討願つて、一応この国会に報告をしてもらうことにお願いしておいたのです。そこで、まだあなたの方でそういうことが十分検討されておりませなかつたならば、さらにもう一度部内で御検討願いたい。現在もう自粛運動をやつてそういう違反がどんどん少くなつておる、あなたとしてはそういう答弁をするよりしようがないでしようが、現実はそうでもない事態がありますし、また、あなたの方で締めれば締めるほどパチンコ屋の店先からタバコが少くなつたということなら話はわかるが、あなたの方は締め、小売店舗もそれに協力する。ところが依然としてパチンコ屋の店先ではこれの取扱いがされておるということになると、やみのタバコがどれだけ横行しておるか、こういう問題も別に起つて来る。だから、そこはどうしたらうまく行くかということを双方が考えなければなりませんから、ぜひひとつあなた方の方でも専門的に御検討願つて、いずれまた小委員会を開きますが、そのときに必要な解決案を参考案としてお示しを願うようにお願いしておきたい。そうしませんと、これは、また税金の問題で皆さんの方にかかつて来る問題でありますから、さようおとりはからい願いたいと思います。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員長代理 ただいまの井上委員の御意見はしごくごもつともと存じます。専売公社もよろしく御検討されて、近きうちに本委員会に何らかの御報告を願いとう存じます。大蔵委員会は小委員会を開きまして、この問題をもう少し具体的に検討いたしてみたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会

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