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19回国会衆議院1954/04/22

大蔵委員会 第45号

発言数
47
登壇者
10
会派数
3
開催日
1954/04/22

会議録

千葉三郎改進党

○千葉委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず一昨二十日当委員会に審査を付託されました物品の無償貸付及び譲与等に関する法律の一部を改正する法律案及び昨二十一日付託されました日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、大蔵省関係法令の整理に関する法律案の三案を一括議題として政府当局より順次提案趣旨の説明を聴取いたします。植木大蔵政務次官。

植木庚子郎自由党大蔵政務次官

○植木政府委員 ただいま議題となりました物品の無償貸付及び譲与等に関する法律の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  まず物品の無償貸付及び譲与等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。  今回改正しようといたしますのは、最近における風水害等の発生時における救助の状況等にかんがみ、災害による被害者その他の者で応急救助を要するものの用に供するため寝具その他の生活必需品を貸し付けるとき、または災害の応急復旧を行う者にその応急復旧のために必要な機械器具を貸し付けるときは、無償または低額ですることができる道を開くこととするとともに、国有林野の所在する地方の地方公共団体または住民が震災、風水害、火災その他の災害により著しい被害を受けた場合において、当該地方公共団体に対し、当該林野の産物等を災害救助の用に供し、または当該地方公共団体の管理する事務所、道路、橋その他の公用もしくは公共用施設の応急復旧の用に供するため譲渡するときは、低額ですることができることとしようとする等、所要の改正をしようとするものであります。  次に、日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案につきまして御説明をいたします。  政府は、今回アメリカ合衆国との間に所得税及び法人税並びに相続税及び贈与税に関して二重課税の回避及び脱税の防止のための租税条約を締結することとし、その批准について承認を求めるため、別途にその御審議を願つているのでありますが、この条約に規定されている事項のうち、特に法律の規定を要すると認められるものについて所要の立法措置を講ずるため、ここに本法律案を提出した次第であります。  以下本法案の大要について申し上げます。  まず第一に、利子所得等に対する所得税率の特例を定めることとしております。  すなわち、日米両国の国内法における非居住者に対する利子または工業所有権等の使用料に対する税率は、わが国の所得税法では二〇%、米国では三〇%になつておりますが、今回の日米所得税条約によりますと、その税率は相互に十五%を越えてはならないこととなつておりますので、これに基き、わが国におきましては、本法律案において、アメリカ合衆国の居住者または法人がわが国の源泉から取得する利子または工業所有権等の使用料に対する税率は、その者がわが国に恒久的施設を有しない場合には、これを一五%と定めることとしているのであります。しかして、これらの所得に対する現行の国内法による税率は、租税特別措置法により、特定の場合には一〇%または五%に軽減することとしておりますので、その軽減税率は引続きそのまま適用があることとしております。  第一に、相続税に関して未成年者控除の特例を定めることとしております。  すなわち、日米両国の国内法における非居住者に対する相続税の課税につきましては、わが国ではいわゆる未成年者控除を適用せず、米国では基礎控除が居住者の場合の十万ドルまたは六万ドルに対して二千ドルの控除にとどめられる等居住者の場合に認められる諸控除の一部が適用されるにすぎないこととされているのでありますが、今回の日米相続税条約によりますと、相互に自国の居住者の場合と同様な控除を一定の割合により認めることとなつておりますので、これに基き、わが国におきましては、本法律案において、アメリカ合衆国の国籍を有し、または同国に住所を有していた被相続人から相続により財産を取得した相続人に対する相続税については、その相続人がわが国に住所を有しない場合においても、これに未成年者控除を適用することとし、その控除の金額は、条約の規定の趣旨に従い、わが国に住所を有する場合に認められる控除額に、わが国における課税財産のその者が相続により取得した総財産に対する割合を乗じて計算した金額によることとしているのであります。  第三には、アメリカ合衆国の租税の徴収につき必要な事項を定めることとしております。  今回の日米租税条約によりますと、租税条約によつて認められる軽減その他の特典がこれを受ける権利のない者によつて享有されることがないようにするために、日米両国は相互に相手国の所得税または相続税を徴収することができることとなつておりますので、これに基き、本法律案におきまして、わが国における米国税額の徴収は、アメリカ合衆国政府からの嘱託に基き、国税徴収の例によつてこれを行うこととする等所要の規定を設けることとしているのであります。  最後に、今回の日米租税条約の実施に関して必要な手続その他の事項は、条約の規定の趣旨に従い、大蔵省令でこれを定めることとしているのであります。  次に、大蔵省関係法令の整理に関する法律案につき御説明を申し上げます。  本法律案は、このたびの法令整理の方針に即応し、明治時代以来制定された大蔵省関係法令のうち、実効性がなくなつたもの等を整理のため廃止し、あわせて事務手続を簡素化するため、たばこ専売法等を改正しようとするものであります。  以下、その大要について説明申し上げます。  まず第一に、明治四年に制定されました大政官布告新紙幣を発行する件から昭和二十六年に制定されました学校及び保育所の給食の用に供するミルク等の譲与並びにこれに伴う財政措置に関する法律に至る二百六十件の法令を廃止することといたしておりますが、これらの法令は、おおむね特定の時期を対象とし、その時期における特定の措置を規定したものであり、現在においては、すでにその実効性を喪失しているものであります。  第二に、事務簡素化の見地から、巻紙の輸出につきまして、従来の日本専売公社の一手買取制を廃止し、日本専売公社の輸出と並んで、製造業者等の自己輸出をも認めることとし、また、にがり専売は、昭和十九年四月金属マグネシウムの増産確保の要請により実施されたのでありますが、現在においては、実施当時の目的の大部分は失われておりますので、この際これを廃止することとし、たばこ専売法、塩専売法等の一部を改正することといたしました。  第三に、終戦後日本銀行が国内居住者から保管した外国通貨等のうちで今なお保管しているものにつき、これを各所有者に返還するためこの際右保管をとりやめることとし、また終戦後、財閥系会社に対し同一資本系統の会社の株式の保管を禁止いたしました際、特に金融機関に対しては、それが担保権行使等により取得した株式等に限り、例外的に保有を認めておりましたところ、最近に至りこの保有株式の処分も完結いたしましたので、この際この特例を廃止することとし、ポツダム宣言の受託に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令の措置に関する法律の一部を改正することといたしました。  右のほか、以上に述べました法令の改廃に伴つて経過措置を必要とするものにつきまして、所要の規定を設けることといたしました。  以上が、この法律案を提出した理由であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。     —————————————

千葉三郎改進党

○千葉委員長 次に、経済援助資金特別会計法案、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律案、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律案、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案、国の所有に属する自動車の交換に関する法律案、物品の無償貸付及び譲与等に関する法律の一部を改正する法律案、日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例に関する法律案、大蔵省関係法令の整理に関する法律案の八法案を一括議題として質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許します。まず内藤友明君。

内藤友明改進党

○内藤委員 私は経済援助資金特別会計法につきまして二、三お尋ね申したいと思うのであります。  まず法律の条文でございますが、この経済援助資金特別会計法というのは、先般衆議院を通過いたしまして参議院へ参つておりまする昭和二十九年度特別会計予算補正特第一号、この裏づけになる法律だと思うのであります。そこでこの予算書を見ますると、歳入歳出予定額は三十六億三千三百万円となつております。この三十六億三千三百万円の経理をこの特別会計によつてやろう、こういうのだろうと思うのであります。そこでまずお尋ね申したいのは、この三十六億三千三百万円、そのうちで援助資金受入れというのが三十六億となつておるのでありますが、この三十六億というのは、どういう関係でどれだけの数量の農産物の輸入でこれだけ贈与されるのか、まずその内訳をひとつ、これは大臣でなくてもいいのですが、主計局長からでもお答えいただきたいと思います。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基きまして、千万ドル相当額の贈与を受けるわけでありますが、この千万ドル相当額この三十六億円に相当するわけであります。この千万ドルの贈与を受けるにつきましては、別途農産物の買付に関する日米間の協定に基きまして、五千万ドル相当額の小麦、大麦等を輸入するわけでございます。この輸入に当りましては、所要の外貨はアメリカ政府からリーンバースを受けるわけでありまして、その払いもどしを受けました外貨五千万ドル相当額の円をアメリカ政府の勘定として日本銀行に積み立てる。その中から千万ドルを日本政府が贈与を受ける。さような筋道でこの三十六億の収入が生れて来るわけでございます。五千万ドルで買い付けまする農産物の買入れ数量等の詳細につきましては、農林省当局からお答えをいたしていただきたいと存じます。

前谷重夫農林事務官(食糧庁長官)

○前谷政府委員 お答えいたします。五千万ドルにつきましては、現在小麦五十万トン、大麦十万トンを予定いたしておりますが、これは、御承知のように買付価格は輸出価格によつて変動いたしますので、なお幾分の余裕が生ずることを予想されるわけでございまして、その場合におきましては、多少小麦の数量がこれ以上にふえるかというふうに考えているわけであります。

内藤友明改進党

○内藤委員 そこでこれは長官にお尋ねしたいと思うのですが、六十万トンのこの方で入りますものは、あなたの方で計画を立てておられまする二十九年度分の三百万トンの中のものでありますか、外のものでありますか。

前谷重夫農林事務官(食糧庁長官)

○前谷政府委員 小麦については、本年度の食糧特別会計で買い入れますものが百九十六万三千トンでありまして、大麦については百三万トンでございますが、その内数でございます。

内藤友明改進党

○内藤委員 もう一つ森永さんにお聞きしたいと思うのでありますが、法律の第四条に「運用又は使用」ということがあります。そこで特別会計の予算書を見ますと、運用利殖金収入と雑収入という二つになつておるのでありますが、この三十六億というものがこの運用と使用にわかれることと思うのでありますが、それはどういうふうな割合でわかれてこの予算が出て来たのか、それを一応明確にお聞かせ願いたいと思います。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 先ほど申し上げました米国から贈与を受けます三十六億円のほかに、運用利殖金三千三百万円を合せまして、三十六億三千三百万円がこの会計の使用し得る資金になるわけであります。三十六億三千三百万円につきましては、予算の上では援助資金支出という一項で出しておりまして、さらに資金計画表といたしましては、工業力強化投融資という形で贈与額を計上いたしておるわけであります。法律によりますと、この三十六億三千三百万円は運用または使用ということになつておるわけでございますが、運用と申しますのは、開発銀行等に対する貸付、開発銀行を通じましてもろもろの産業に対する融資に充てられる場合ないしは直接この会計が投資をいたします場合、こういう運用が大部分になるのではないかと考えておるわけでございます。そのほかに使用というのはどういうことがあるかというと、これはたとえば基礎的な研究等のためにこの資金を使用する。これは国の場合でございましても、あるいは民間の場合でございましても、両方考えられるわけでございますが、重要なる研究等にこの金を使う。これは使い放しになるわけでございまして、そういう道もあけておいた方がよろしいのではないかということで、法律の上では運用または使用ということにいたしたわけでございます。この予算書をつくります場合には、この運用または使用をいかに振りわけるかというような問題、さらに運用につきまして幾ばくを開発銀行に貸し付けるかというような点につきまして、まだ明細な計画が樹立していなかつた次第でございまして、従いまして、予算書の上では一つの項として、援助資金支出に必要な経費ということでそこに全額を計上いたしておるわけでございます。今後計画の確定に従いましてこの中身がわかれて行くわけでございますが、必要に応じまして目設置等の会計法上の方法も使用いたしまして、運用計画がきまれば、その計画に合うように予算を実行して参りたい、さように考えておる次第でございます。

内藤友明改進党

○内藤委員 それではもう一つお尋ねしておきたいと思うのでありますが、運用利殖金収入三千三百万円というのでありますが、これは三十六億を運用することによつてこれだけの収入が上るものと思うのであります。そこで、この三十六億というのはどういう条件で運用なさるのか。これは何かめどがなければ三千三百万円という収入は上つて来ないと思うのでありますが、それをお聞かせ願いたいと思います。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 三千三百万円の利子収入を計上いたしました根拠は、三十六億の金が大体半年分の利子を生むであろう。初年度でございますので、十二箇月分全額運用して利殖金を上げ得るというような事態にはならないわけでございまして、半年分だけ運用利殖金を生むような状態に置かれるだろう、その利率は現在政府が開発銀行に貸し付けております五分五厘というような積算の根拠で三千三百万円を計算いたして計上いたしております。

内藤友明改進党

○内藤委員 そこで大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、実はこの特別会計法は、麦類を日本へ入れまして、それを日本で売つて、それから得た金の五千万ドルの中から一千万ドルだけくれる、こういうことになつております。それが今食糧庁長官の話によりますと、約六十万トンの麦がこの一千万ドルの対象になつておるかと思うのであります。そこで六十万トンというものは、実は去年の日本の麦、三種類ありますが、三麦を合計いたしますと百五十万トンぐらいになります。その百五十万トンの四割にこれは相当するものでありますが、その四割に相当するものを国内に入れまして国内で売つて、その金の二割方頭はねをしてお前のところにやろう、こういうことになつております。ところがこの法律を見ますると「工業を助成し、その他本邦の経済力の増強に資するため、」という言葉が使つてあるのであります。なおきのうの新聞を見ますると、その工業の助成というものの内容が事詳しく出ております。航空機には三十億、その三十億の内訳を申しますと、ジェット試作費に八億、アメリカの空軍の飛行機の分解修理費に十億、保安庁の航空機に十二億。それから艦艇工業に五億、兵器産業に五億、火薬工業に一億、その他これらに類するものに三億というふうなことに実はなつておるのでありますが、これがいわゆる相互防衛援助協定に書いてありまする経済の安定が国際の平和及び安全保障に欠くことができないというものに該当するのかどうかということに対する大蔵大臣の心持をまずお聞かせいただきたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実は御承知のごとく、この対日贈与の金は、いわゆる五千万ドルが一ぺん日本銀行でアメリカの何に入つて、その中から三十六億円を日本の方が受入れることになつております。それで、あと百四十四億残る。それはいわゆる域外買付その他に使われることになつておりますから、この三十六億円がこちらに入つて参りまする用途についてでありますが、まだ実は、今内藤さんお話になつたようなジェット機云々というようなことは打合せ済みではございません。これはどこかの省でそういうことを希望しておるかわかりませんが、何ら打合せしておりません。ただこの性質上、やはり防衛産業というものが主になり、それと関連する産業ということになろうかと思うのであります。しかしながらこの内容については、これは内藤さんお聞き及びの通り、いろいろ省々によつて希望があるのでありまして、もう少し基礎的なものでよけい使うべきであるという意見等もなかなか強いのでございますが、まだ決定をいたしておりません。大体を言いますると、最初に、防衛産業あるいはそれとの関連産業、並びに一般の工業力の改善に使われる、こういうふうに考えておるのであります。内容は今後いろいろ検討いたしまして、最後に、それではどうするかという割当等のわくをきめたいと思つておりますが、まだわくが実はきまつておりません。   〔井上委員「農林大臣はどうした、農林大臣を呼んで来い。」と呼ぶ〕

内藤友明改進党

○内藤委員 今井上君が言われましたように、農林大臣にお出ましを願うことは必要でありますが、これはまあ同じ国務大臣だから、おれは農林のことは関係ないのだぞというわけには大蔵大臣は行くまいと思うのであります。(井上委員「それは大分違う」と呼ぶ)違うけれども、国務大臣はやはり責任があるのでありまして、おそらく吉田さんみたいなお感じはお持ちにならぬ小笠原さんだと思いますからお聞きしますが、実は日本の麦の生産というものは、年によりましてたくさん生産でさましたり、少く生産できましたり、これはいろいろな条件の影響を受けることは非常に鋭敏である。二十七年度は四百四十万トンも生産があつたのでありますが、去年はもう半分以下に下つてしまつた。これは小笠原さんも愛知県でよく御存じだと思いますから、よくわかると思うのでありますが、これは日本の農業で申しますところの裏作でありまして、引合えばやるし引合わなければやらない、きわめて鋭敏な作物であるが、水稲となりますとそうではありません。これは宿命的な作物であります。これはもう、もうからなくてもやらなければならぬ。ことに麦は、自由党の皆様の年来の目的を達せられまして、統制からはずして、今日では麦は間接の統制をしておられるのであります。これが直接統制でありますならば、私どもはこういうことを申さぬのでありますが、間接統制で、いわゆる統制をはずれておるのでありますから、こういう御注文を申し上げる。ことに今大蔵大臣の御答弁によりますと、いろいろ新聞に出ておるけれども、それはまだきめてないのだ、こうおつしやるのであるからよけいに申し上げたい。これがこうきまつたものでであるというならば、また何をか言わんやで、どうもならぬのでありますが、まだおきめになつておらぬからよけいお聞きいただきたいと思うのであります。三百万トン麦が外国から日本に入る。入れば日本の麦の生産には非常な影響がある。影響がありますれば、それに対する対策として、大蔵省に対して何らかの施設を願わなければならぬということを要求するのであります。そこで、そのうちの六十万トン分に対する見返りのような三十六億の金が今日本へ来る。その金が、外麦輸入ということによつて、どちらかと申しますと、日本農民に非常な犠牲を払わしておる。これを入れなければ、需給関係によりまして麦というものは相当値段が暴騰する。しかし間接統制で押えておるからそれは騰貴し得ない。そこには農民がこれによつて犠牲を負うておる。犠牲を負つているのに、三十六億という金をジエツト機だとか海上保安庁の軍艦に使うやら、火薬に使うやら、そんなところにばかり使つて、犠牲を負つておる百姓が、ちつともこの恩典、といつては言葉が悪いのでありますけれども、その方にお使いなさらぬ。これはどういうことか。こういうことを国民の過半数の農民が知りますると、いよいよもつて皆様対して、この内閣はどうにもならぬぞということになろうかと思うのであります。私は稲作ならば、そんなことは申しません。これは宿命的な作物でありますから鋭敏に動くことはありませんけれども、麦は非常に鋭敏いろいろなことが影響を及ぼす作物でありますから、よけいに心配するのであります。これは新聞に出て、おりまするようなこういう使い方でいいのかどうか。まだおきめにならぬというのでありますから、もう一ぺん大蔵大臣の心持をお漏らしいただきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 今お話がございましたが、麦というものは国際的なものでもございますので、はたして農民の犠牲のみでそうなつておるのかどうか、その点はいろいろ御意見のあろうかと思います。ただこの問題について申しますと、この対日贈援というものは、もともと日本の工業の生産及びその他一般経済力とありますから、多少広い意味にも解釈できぬことはないと思います。従つて全然話の余地がないとは考えません。しかしもとの起りを考えてみると、何といつても工業の−——業というのは防衛産業及び関連産業を主とすることになると私は考える。そこで一般経済力の増強という意味でございますから、一般経済力として考えられぬでもないとは思います、けれども、何しろ三十六億円というふうに限られた金のことでございますので、さような配分関係ができ得るかどうか、またわくについてはこちらの方だけできめ得るわけでもなく、向うとも相談をしなければならぬことは、相互の何ということが書いてございますから、この点で内藤さんのお心はよくわかるのです。あなたの農村に対する熱心から生れておるもので、事柄はよくわかるのだが、しかし向うがはたしてそういうことに相当のわくをさこうとするかどうか。また国内でもそういうことについての意見の一致を見るかどうか、金額が多ければいいのだが、たつた三十六億の問題ですから、その点むずかしいのじやないかという感じを私は持つております。

内藤友明改進党

○内藤委員 その気持をおわかりいただいたことはまことにありがたいのでありますが、三十六億というのは少いからがまんしろというお言葉には承服できません。だから十分考えていただきたい。たくさんあるならばいいのですけれども、少いからということなのであります。  そこで、新聞を見ますると、今申し上げましたようないろいろのわく等で大蔵、通産、外務の関係各省で意見が一致し、米大使館にウエアリング参事官を訪ねて正式交渉に入ることになつたと書いてあります。だが、大臣はそうおつしやるけれども、法律は「本邦の経済力の増強」という広い言葉を使つておるのだから、何とかそれでやるとおつしやるけれども、あなた方のところの事務の皆さん、ことにあなたのところも入つている、大蔵、外務、通産が寄つて、米国大使館を訪ねて、これから正式交渉を始めるのだ、その中にそういうことが載つておる、でありますから私はあなたにこういうことを申し上げたい。もちろん麦の価格は、統制がはずれておりますから、日本だけの考え方ではいけません。安い外麦が入りますれば、日本内地の農業はそのために生産が劣る、劣ればこの劣つた分に対して政府は何らかの施設をしなければならぬのであります。ことに日本の国は平常におきまして、二割五分ないし三割の食糧が不足しておる。これが方々の害いろいろな迷惑をかけておるゆえんなんです。もし日本の国が、二割五分ないし三割の食糧が自給できたら、もう少し大手を振つて行けるのです。自由党の皆様ももう二、三十人多ければ、大手を振つて行けるのだけれども、ちよつと足らぬものだから困つておるというのと同じことなんだ。ですから私は、農民の犠牲においてなされたこの三十六億という金を、こんなところにばかり使うことは、どうしても納得できません。ことにこの新聞に書いてありますように、ジエツト機の研究とか、そういうことばかりに金を使う、これはどうしても私は賛成できない、こんなふうになりますと、やがてまた運輸省のように、ああいう問題が起りますよ、小笠原さん。だから三十六億をすつぽりと農民の方に使う、汚職の汚の字も起りません、農民は金を持つて来ませんから。各産業人は、この三十六億を目当にして、この一割として三億六千万円ですか、私はおそらくこれはやつておるものと思う。もうすでに皆様の中で話がまとまつて、まだ大臣は御存じないでしようが、これでアメリカの大使館を御訪問なさろうという、こういうことを私はなさるべきではないと思う。そうでなく、百姓を非常に困らしたから、少いけれどもこれでがまんしろというふうなことでなければならぬのではないかと思うのでありますが、大臣は、「経済力の増強に資するため、」という言葉があるから、それによつて何とかこれから考えるというふうなことでありますか。もし考えられるならば、三十六億のうちどれだけわが方におまわしなさるのでありますか。それをひとつ率直にお聞かせをいただきたいと思います。そのお考えがありますれば、お隣に主計局長もおられますが、その旨をもつてアメリカ大使館を御訪問なさるように願いたい、その大臣のお心持をお聞かせいただきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 先ほど私が申した意味は、一般経済力に関係があるから、そうこれを入れ得ないものでもない、こういう意味において申し上げたのでありまして、実際問題として考えると、私は今内藤さんが仰せになつたように、三十六億すぽつと農村に持つて行くというようなことは、もちろんできませんが、その幾割かを持つて行くということも、向うは多少できにくいのじやないか、また向うはこれに基いて日本のいわゆる防衛生産を増強させようということが主になつておるのです。しかもあなたも御承知のごとく四千万ドル、百四十四億円は、日本での役務に払うものもあるが、大部分は日本の軍需生産のために、物を買いつけて、それで域外買付をやろうというのでありますから、言いかえればそれによつて日本の経済力を助けよう、こういう考え方もあるのですから、従つて私が最初申したのは、現在の状況では、これは一般経済としては全然話ができぬという問題ではないと思う。思うけれども、ただ三十六億円の金であるから、この範囲で問題を考えると、実際問題としてはむずかしくないか、私はこういうふうに考えるのであります。  なお繰返し申しますが、大蔵省としては何らそのことについてまだきめておりません。はつきりとまだ事務的にもきまつていないそうでありますから、だれかが一試案をもつて向うとサウンドしておるという程度じやないでしようか。そう思いますがね。(内藤委員「それは私知りませんぞ」と呼ぶ)それだから、私はそう思います、こう申し上げておるのであります。

内藤友明改進党

○内藤委員 どうも大臣の申されることには同意しかねるのでありますが、これはこういうことを考えていただきたいと思うのです。こんなことをやつておりますと、おととしは四百万トンも日本で生産したのが、去年は百五十万トンに減つた。またこういうふうなことをやつておりますと、また百万トンから百万トン以内に減つてしまうだろうということが大よそ考えられる。そうしますと、よその国から、ことにアメリカからよけい入れてもらわなければならぬ。もちろんこういうふうなたたで入る——たたというわけではありませんけれども、ただで入るのが入つて来れば、それはよろしゆうございますが、なかなかそうは行きません。問題は、こういうふうな政治をやつておると、日本の国は妙なことになつてしまう。ドルかせぎのためにいろいろなことをやつておりますけれども、結局それは食糧購入費に充てられるのであります。それよりは、むしろ国内で二割五分なり三割の増産をやりまして、食糧を外国より入れないようにしてしまうというならば、そんな妙な産業なんかやらぬでもいい。それこそ、相互安全保障条約にうたつてあります国際の平和並びに安全保障に欠くことのできないものになると思うのであります。だから私は、今大蔵大臣がお話になつたその逆のことをお考えになる方が、むしろこの際日本の国として考えなければならぬことではないか、こう考えるのであります。でありますから、ドルをかせぐのが一番大事なんだ。そのドルをかせぐのは何のためにかせぐのかといえば、食糧を買うためであります。でありますから、国内で食糧の増産をやつて、何とか二割五分のやつが二割まででも増産できれば、そんなむちやなことをしてドルかせぎをやらぬでもいい。この国が非常に気持のいい国になる。そういうふうに進めて行かれた方が、むしろ得策じやないかと私は思うのであります。ことに今申し上げましたように、この金を航空機などに全体の何割でありますか、三分の二もお使いなさるならば、やがてまたいろいろな問題が起きて来るということが考えられますので、そういうことについては大蔵大臣は十分にお考えになつて、あなたの配下の事務の人は、こういうとんでもない、不届きな案をつくつておるそうでありますが、もちろんこれはアメリカの大使館をたずねておられることでもないと思うのでありますけれども、こんなことになるとたいへんでありますから、今のうちに事務の皆さんに、こんなばかなことを計画してはいかぬぞ、内藤の言つたこともいいことだから、あれも考えろ、こういうふうにひとつおつしやつて、ちやんとした筋道の通つたことをやつていただきたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 今の食糧の問題につきましては、これは食糧増産計画等で行くべきものでありまして、これは今度のこの問題がなくとも——食糧問題は全然別個の問題でありますので、別にこの援助の問題と直接関係がない。それをあらかじめ御了承願わなければなりませんが、特にこれはあなたがお読みくださつておわかりになつておるように、「相互間で合意する条件に従つて、」とありますから、相互で合意する条件でないと、実は三十六億円は出しようがないのであります。それからまた、あと残つておる百四十四億円については、当該円資金の残額は、これは「日本国内における物資及び役務の調達のため、」となつておつて、それに使うことにもなつておるのでありますから、やはり工業——そういつた援助を私どもは工業の援助というように言つておるから、むしろ直接に今お話になつたようなことをジエツト機その他よりも考えてよいでしようが、さらに実は基礎的な工業の方に使つてもらつて、日本産業の方の発達に資したいということを考えておるのであります。ただりくつの上では「日本国の経済力の増強に資する他の目的のため、」とありますから、できるだけ今の内藤さんの御意見は、私ども一つの御意見として機会があれば話してもよいが、しかし直接食糧問題と結びつけて、こういう金は食糧に使うべきであるという考え方は、この問題と離れてもあり得ることでありますから、ちよつとこの点だけは御賛成いたしかねます。しかし食糧増産は、これは一つの経済力の増強に相違ないことでありますが、どうも三十六億の金の中からということは、事実問題としてはむずかしいのではないか、こういうふうに考えるのであります。なおそれによつてきたない問題が出るじやないか、ああいつたいわゆる汚職問題等をするような人間は、今後社会が相いれないであろうと思いますから、さような懸念は持ちません。

千葉三郎改進党

○千葉委員長 次に井上君——なおちよつと井上さんに申し上げます。外務省から経済局長の永井君と法制局の林次長も来ておりますから、念のために申し上げます。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 ただいま内藤さんが御質問いたしております経済援助資金特別会計法案の第四条の資金の運用または使用という問題でございますが、一体この法案の裏におります協定の本筋は、政府御存じの通り、アメリカの農産物の余剰をどうして効果的にこれをはかすかというアメリカ政府の、一つは農業政策、一つはアメリカの対外政策、一つはまたアメリカの財政政策の上から考えられておるのでありまして、アメリカ自身莫大な農産物の余剰を来しまして、この農産物の価格を維持するためどうしたらよいかという点が取上げられて、全体でもつて約八億ブッシェルくらいじやないかと思います。   〔委員長退席、淺香委員長代理着席〕  この八億ブッシェルという厖大な余剰農産物をアメリカの御都合で、日本に一部はただでやるが、しかしやつた金でアメリカが期待する防衛生産力を増強してもらいたい。これはこういうひもつきになつておる。そこに問題があるわけであります。そういうアメリカの余つたものを、アメリカの都合により防衛力を増強してもらわなければ、日本の経済の建直し、日本防衛の具体的措置というものはでき得ないのでありますか。問題はそこにあるのであります。よその余りものをもらわなければ、日本の防衛生産力というものは、日本経済の現段階において計画が立て得ないのでありますか。これを私は何ゆえ聞くかというと、そういうこと自身がいわゆるアメリカの属国になる、アメリカの支配下に日本の経済、政治が入つて行くのじやないかという疑いが一部においてやかましくいわれておる。そこに問題があるのです。だからアメリカの余りものをもらつて来なければ、日本の防衛生産計画は、日本経済の現状においてやつて行けないというのですか。この点大蔵大臣はどうお考えになつておりますか、それをまず伺いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 日本の経済は日本によつて自立すべきであるが、しかしこういつたときに、こういう向うの余りものばかりを向うから押しつけられるように一方的に言われるが、日本は食糧を必要としておるのですから、たまたま利害が一致しておると思うのです。そういうことによつて、しかも一千万ドルでも三十六億円でも、これだけを日本の工業力、経済力のために出してくれるというのであれば、これを受けるということは日本の経済力を早く回復させることにもなつて、その点は何らさしつかえない。これはどこの国でもこういう相互協定をやつて、いわゆるMSA協定によつて援助を受けているのであるが、それを属国的になつたと言われるのは間違いであつて、われわれは完全な独立国であるから、向うからの力を利用し得るときは利用したらいいと思う。いわんや向うが日本が必要とする食糧を売つてくれるというのならそれを買い、しかもそのうちから、一千万ドルの贈与は日本の工業力、経済力の増強に役立ててくれるというなら喜んで受ければいいのです。あなた方は、アメリカといえば何でも一腹あつて、妙なことを考えているように思われるが、今までのアメリカのやり方を見ればそうは思いません。その根本の考え方が、アメリカといえば何でも日本を属国扱いにするものだというのがあなた方の前提なのだ、その前提が違うから、自然にいろいろの問題に対する結論が違つて来ることは避けがたいことなんです。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 大臣は非常な誤解をいたしております。問題はアメリカの余剰農産物をどうはかすかということを、このことはアメリカの大統領がみずからアメリカの議会に教書を送つて、議会の協力を求めてからそのことが行われておるので、アメリカの一つの政策として行われておるのです。それを受ける日本においても、当然あなたのおつしやる立場で考えますならば、アメリカが余つた農産物を安く日本に売ろう。またやろうというならば、日本も食糧が足りぬから、正常な経済の条件のもとにおいてならば、そこには何らの条件がつけらるべきものではありません。日本は日本の独自の立場で必要なものを輸入し、それをまた処分し、必要な方途に活用すればよいのであります。ところがこの贈与の裏には、また日本へ持つて来ようとする援助の裏には、日本の防衛生産力を増せよというはつきりして条約があるのであります。その条約を承認したからこそ、このことが実現しておるではありませんか。問題はそこにあるのです。だからわれわれは、何にもアメリカの国不在常な経済条件の上において取引が行われることに対して疑義をさしはさみ、必要以上の猜疑心を働かせて考えておりません。ところが表はいかにもただでものをやるように見せかけておつて、裏ではアメリカの都合のいい政策を日本にやらそうとするところに問題があるのです。そこであなたは、日本は独立国だアメリカの干渉は受けないのだと言われるのならば、アメリカでは余つておるものなのだから、できるだけ値を安くたたいて、安く入れるということをあなたはやらなければならない。ところがこの価格は、国際小麦協定の価格を下まわつておりますか。下まわつておるとあなたはお考えになりますか。向うは余つたものですよ。四億ブツシエルから政府が農産物の市価維持のために買上げをやつておるものがあり、さらに四億数千万ブッシェルというものは、どうしても早くはかさなければならないという非常に困り切つた品物なんです。それを国際小麦協定の価格で買い入れるというのは一体どういうことです。これが正常な日本の経済を守つて行こうという大蔵大臣のやることですか。向うが余つて困つておるものなら、国際的に正常な価格としてきめられておる小麦協定の価格よりも多少下まわつた価格で買うことがほんとうでしよう。それをあなた方の方では、国際小麦協定と同じ価格でこれを日本へ入れようというもくろみを立てられておる。ここに一つ問題がある。しかもあなたは何かこの使い道が、一般経済力の増強ということだから、防衛生産力の増強だけには限つていない、こうおつしやるが、しからば内藤さんがただいま質問をいたしたように、これがわが国の農業生産に及ぼす影響は、相当重大になつて来ることが予想されますので、この援助の三十六億をどれだけわが国の農業生産にまわそうというのです。具体的にはそこに問題がある。あなたのさいぜんの答弁を聞いておりますと、防衛産業とその関連産業、また一般工業力の改善に使用すると言われて、少しも農業生産のことには触れておりません。農業生産にこれをお使いになる意思がありますか。その点を明確にされたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 あなたは最初に非常な誤解があるのではないかと思う。アメリカで余つておるものを、日本が自分が持つておるドルで自由自在に買つて来るようにあなたはお考えになつておるようだが、日本はそういうものを自由自在に買うだけのドルを持つておりません。従つてアメリカは自分のドルで買い、日本は円を払えばいい、こういうことで買つてくれるのであります。しかもそれが国際市価でありますので、アメリカの自由になつておるという考えは私どもは毛頭持つておりません。アメリカはドルで買つてくれておる。そして日本の方はこれに対して円を払いますが、その払つたもののうち二割、三十六億円は日本の防衛生産を中心とした事業に使つてよろしい。但し、合意ということがついております。合意してくれなければしかたありません。そのほか百四十六億円は日本国内における役務なり、あるいはその他のいわゆる域外買付のものに使つて日本の経済力を助けよう、こういうのであります。その点、あなたは自分で金を持つておつて、たたいて買えと言われるが、たたこうにもこちらは金を持つておりませんから、その点は違うのです。この点どうか誤解のないようにしていただきたい。  それから価格の問題は、国際市価でありますから、それは今の国際市価で行くというのが一番公平なやり方であろうと思います。しかもそのうちの一千万ドル相当額は、こちらの防衛産業を中心としたものにやつてくれるのですから、これで私は、日本の経済に利益するところはあつても、失うところは少しもないと考えるのであります。但し、あなたがお話になつた、それでは農業に何ぼ向けるかということですが、私が先ほども申しましたように、一般経済力というのですから、農業に向けられるとも解釈することができないこともあるまいけれども、しかし実際に三十六億の金は、日本の防衛生産に使つてもよほど足らない金なんです。これだけで足りるものではありません。そのように非常に足らない金でありますから、そのうちからさいて行くということは実際問題としてむずかしかろう、こういうことを申し上げておるのであります。これはおわかり願わなければならぬ。実際問題としてはどうもむずかしかろう。従つて、今ここで日本の農業にこれだけのものを使うということは、向うの同意を得られないだろうと思う。また日本側としていろいろ希望いたしましても、この際実際問題としてはむずかしいだろうと考えております。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 今の大臣のお話を伺つておると、何かアメリカが、自分の国の金でアメリカの農産物を買上げて、それ日本へただでくれるのだ、だからくれる以上は別に文句を言う必要はないじやないか、日本ではそれをドルで支払わずに円で一応積立てるといいますが、積立てた金は何に使うかといえば、アメリカの注文する産業に投資しなければならぬということが明確になつておる。あなたの御意思によつてかつてに使えないんですよ。そこに一つ問題があるのです。あなたの意思によつて、日本政府の意思によつて、これが自由に日本の必要な産業面に使われるということなら問題はありません。問題は、アメリカとの交渉によつて協定が具体的に成り立たぬ限りは、この金は日本政府がかつてに使うことのできないものなんです。われわれ国民の側から言うならば、この小麦はアメリカから日本政府が金を出して買わなければならぬのですけれども、その支払つた金が、アメリカの御都合の産業に使われるというところに問題があるのです。それをあなたはどう解釈されるのですか。国際的勘定においてあなたのおつしやることはわかりません。国民生活の上から考えるならば、輸入した小麦もやはり金を支払わなければならぬ。その支払つた金は、日本政府の自由意思によつて、日本国民の都合のいい方に使われるならいいけれども、そうでなしに、アメリカの御意思によつて、アメリカさんと日本政府との間のとりきめによらなければ使えないことになつているのではありませんか。問題はそこにあるのです。そこでわれわれといたしましては、この小麦買入れはわが国産業に及ぼす影響が大きい、特に農業生産面に将来圧迫を加えて来やせぬか、本年は六十万トン入れられますが、来年はどうなるかを憂えるのであります。こういう点を考えるがゆえに、われわれは農業生産面の増強に必要な資金としてこれが使える道を開くべきであるということを強調しておる。この点に対してあなたは、はなはだ抽象的にして、かつ努力してみるけれども非常に困難ではないかという意見なのである。そこに問題があるのです。わが国の農業を犠牲にして、そうしてアメリカの言いなりに何でならんならぬのです。そこに問題があるのです。  さらに伺つておきます。今回のこの協定は、ドル貨の節約、円貨の使用、こういうことでございますが、実はこの円貨が、再びアメリカの軍事援助物資買付のために日本に落されるということであります。しかしこのことは非常な誤算がありはせぬかと考えている。それは、従来アメリカはインドシナ向けに必要な物資を相当日本で買い付けておつたのです。もしこの協定ができ、ここに新しい勘定が設けられることになり、インドシナ向けの特需がこの勘定の中から支払われることになつた場合、協定の有無にかかわらず、日本の外貨収入はそれだけ減ることになつて来るのです。この点一体どうお考えになつていますか。この勘定からインドシナ向けのものは全然扱わないということがはつきり言い切れますか、この点を伺いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 どうもあなたの言われるように、これが何で日本の農業を犠牲にするのか、私にはちつともわからないわけです。日本の農業には何ら関係ないことで、日本では食糧が足らぬから毎年小麦や米を買つている。むしろアメリカからもらうことになつたら、日本の農業を圧迫するということはどうもわからぬ。もう一つは、国民の払つている金をアメリカに自由に使わせる。国民はどこから麦を買おうと金を払うのです。国民が麦を食う以上は、麦の代金を払うのは当然なんです。払つた金のうち三十六億円は日本の産業、経済力の増強に使つてやろうというのだから、どこが悪いのか。難くせをつけようとする以外わけがわからぬのです。どうせ払う金を、もらうものにまであなた難くせをつけているのは、井上さん、あまりよくないと思い。  その次に、一千万ドルのものをくれて、それを向うのみの考えではなしに、こちらも、井上さんよく御承知のように、双方合意したものに使うので、こつちが同意しなければ使いようがないから、それを日本の実情に合うように使つて参る。防衛力の増強になるものは——日本は現在でも防衛力が非常に不足して増強しようとしているものですから、当然でありますけれども、できれば私は基礎産業的なものへもう少しよけい使つてもらいたいというので骨を折つているということを、先ほどから申し上げている次第であります。  それから今のインドシナとかその他に行くものについてはどうか、私どもよくわかりませんが、ただ百四十四億というものについて申しますと、これは日本の国内の役務とか、あるいは域外買付に使われるということがはつきりしている。これがどれだけ減るかはよくわかりません。その点については、別に今後何か話合いがあるかもわかりませんが、大蔵省としては何も承知いたしておりません。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 大蔵大臣はたいへん御自信のある御答弁でございますが、それならば伺います。一体大蔵省としては、現在わが国の食糧の需給対策についてどうお考えになつているか。昨年度の産米と国内の集荷状況、国内における麦の生産とその集荷状況をどうお考えになつておりますか。昨年の米の生産状況と米の割当がどういう状態にあるか、そうしてそれの買上げ状況はどうか。年間三百万トンも麦類を外国から入れなければならぬという状態にあるのに、何ゆえ国内の麦の統制をはずしているのですか。そういう食糧の基本的な対策について欠くるところがあつて、単に向うから要請される、向うからただでくれるものならもらつておいたらよいではないかというようなお考えであるように考えられる。しかもさいぜん内藤氏からも話がありましたように、このMSAによる小麦の輸入は防衛生産を目的にしているということから、そこにいろいろ問題がある。われわれはこれがわが国の農業に将来どう影響するかということについて非常に心配をしている。あなたは、全然心配がない、現に日本は食糧が足らぬのだから、向うが日本に入れてやろうといえば喜んで受けたらよいのだという単なるコマーシャル・ルールとしてお考えのようですが、そういう問題ではありません。現に最初政府が計画いたしておりました外麦の買付計画も、このMSA協定によつてまつたく買付計画を変更しなければならぬことになつたじやありませんか。自由契約の三十五万トン、あるいは小麦協定の百万トンのどれかを削らなかつたならば、これを入れるわけに行かないことになつているじやありませんか。かりに日本で小麦を買うてやろうというので、輸出国との間に貿易上の友好関係が成立しておつたものもキャンセルしておるじやありませんか。そうしなければ事実これは買えないことになる。現実にこれを入れることによつて二十万トンからオーバーをしておるのでありますから、当然それは小麦買付国に対していやな思いをさせておることは事実なんです。そういう国際的ないろいろな諸条件から判断してみても、また将来この協定が続けられるということになつて行きますならば、これが日本全体の小麦相場、麦価というものを圧迫して来ることは当然であります。足らぬからこれはやむを得ぬじやないかというのなら、それほど足らぬ足らぬということならば、国内の小麦を一応政府の責任において管理するなり、あるいはその生産費を償う価格においてこれを補償するなりの手を打つならいいけれども、それは自由買付でほつたらかして、そうして外国から安いものをどんどん入れるということになると、一体どうなるのでしよう。そういう点を全然お考えなしに、単にアメリカと日本政府との間の御都合主義によつてやられてはたまつたものじやない。またわれわれ国民の側からいつても、国民はこれを買うわけでありますから、買うて支払つたその金が政府の特別会計に入つて、アメリカの注文される防衛生産に使われるというところに問題がある。あなたは、何もアメリカの言いなりになつていない、日本政府との間に協定をするのだから、日本政府が賛成をしないものをアメリカがやれと言うはずはない、こういうお話でございまするが、そういう日本政府の強い主張が協定の具体的な細目の上に成り立ちますならば、当然農業生産の面にもこれを一部使うということが、あなた方の方において行われ得るかどうかという問題です。それがあなたは非常にむずかしいような話をされますから私どもも心配をするのでありまして、そういう点についてもう少しはつきりお答えを願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 食糧政策の問題等については、これは私どもも若干の意見を持たぬでもありませんが、主務省のあることですから、私としては差控えます。但し予算措置としては、私どもは食糧増産対策に対しては、本年度の乏しい予算のうちからも若干の増額をいたしておること等で御了承願えるだろうと思うのであります。ただこの協定がいつまで続くか、また続いて行つて来年度はどうなるのだというお話でございまするが、これはことしについて、いわゆる一千万ドルの分についてのお話を申し上げたた次第でありまして、いわゆる来食糧年度においては、本年度のような凶作が続くものとは思いませんから、食糧事情等がよほど違つて来ると思います。従いまして米麦等の輸入につきましても、相当数量がかわつて来ると思いますから、それを入れまする場合の影響等については、これはもちろん大蔵省がやることではなくて、農林省のほうでおやりになつて、それについてとくと御相談した上で外貨割当等のいろいろな処置をとるわけでございますから、この点については十分御懸念のないように処置いたしたい、かように考えておる次第でございます。

淺香忠雄自由党

○淺香委員長代理 関連質問を許します。春日一幸君。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、ただいまの井上委員の質問に対しまして、われわれ社会党が頭からアメリカに対して公正な認識を欠いておるというような断定のもとに半ば叱責されたような御意見がありましたが、はなはだ遺憾に存ずるわけであります。そこで私大臣に伺いたいことは、あなたの御意見を聞いておると、ほとんど円がまるで無価値のようなことを言つておられるが、私が申し上げたいことは、われわれ国民の側の不満の焦点はここにあるのです。たとえば円では何でも買えるのですよ。自動車でも綿布でも飛行機でもミシンでも何だつて買える。そのものでたとえば五十万トンなら五十万トンの小麦をバーターで買うこともできるだろうし、あるいはリンクで買うこともできるだろうし、そういうものは外国から自由に買えるのです。そうだとすれば、なるほど当面われわれはドルを払わないで、外貨を使用しないで、そういう五十万トンの食糧を輸入することに今ここで成功しつつあるが、しかし国民は現金を払つて、そしてその払つた現金が日本国の自由意思によつてこれを操作できないというところに不満があるのです。もしそれ普通の貿易でただ小麦を五千万トン買うというだけのケースで考えるならば、それだけのものを輸入して、そして国民がそれだけの代価を払い、集まつた金は当然日本政府の操作によつてこれが運営できるのだが、国民は同じ金を払いながら、その資金というものは結局アメリカの意思によらなければ運営され得ない。こういうところに国民の側としての不満があるわけなんです。あなたは、なるほど外貨がないからと言われておりますけれども、それは政府の貿易政策があやまつて外貨の減少を来したことなんで、円が全然まるで無価値のような判断の上に立つて、円で売つてもらえるのだから、向うの言いなりほうだいの運用をしたところがしかたがないじやないか、しかも有無相通ずる条件だから、こういうような考え方の上に立つての御答弁ははなはだいただきかねると思うのであります。あなたは今この円というものの認識をどういうところに置いておられるのであるか。ことほどさように、円資金で買付をする以上は、その運営については、アメリカの考え方に隷属的に盲従しなければならぬというふうに今でもお考えになつているのかどうか、こういう点をひとつ十分お考え願いたいと思うのでありますが、これは一体どういうふうにお考えになつておりますか、この機会にちよつと御見解を承つておきたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私の言葉のどこのうちに円が無価値のように言つたか、どうもわからぬ。そういうことは一言も申さぬのみならず、私どもの内閣は、これは春日さんもよく御承知のように、昨年十月より、通貨価値の維持安定ということをあらゆる経済政策の基本とする、こういうことを言つており、また本年度の予算編成にあたりましても、あるいは財政の緊縮方針の根本は通貨価値の維持と国際収支の向上にあるのでありまするから、そのことについてそういう誤解がどこから生れたか、私ちよつと了解しかねるのでありますが、もしさような誤解があつたら、私どもは円の価値、すなわち一ドル三百六十円はあくまで堅持しなければならぬ、またこれを堅持するためにあらゆる施策をやつておるということをはつきりと申し上げておきます。またもしこれを無価値によるような考えがどこにでもありますれば、さような考えに対しては断固闘う考えであります。  それからなお申し上げておきまするが、今のアメリカ側に対するお話でございまするけれども、私が申しましたのは、つまり千万ドル、三十六億円は、これは向うがくれるものなんだから、いわゆる贈与してくれるものなんだら、その贈与してくれるものについての話だからということを繰返して申しておるのであります。(「もらうものなら国民にただでやれ」と呼ぶ者あり)いや、それはどこの国から入れようとも、代価を払うのは当然でありまして、これはこれは何か基本的なところに少し誤解があるのじやないか、かように私は考えるのであります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 ただでいただいたものならば、所有権は百パーセント日本国の所有に帰属すると思うのでありますが、そこでお伺いをいたしたいのは、この第四条の中に、この資金は政令で定めるところによつて運営するということになつておるのでありますが、この政令の範囲は大体どういうものであるか。さらにまた、軍事顧問団とこの資金運用並びにその行使、こういう関係においてどういうつながりを持つておるものであるか、この機会にお聞かせを願いたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 政令は、まだ内容等についていろいろ検討いたしおりまするが、大体に申しまして、融資は、開発銀行を通じまして採算のとれる事業設備に限つて行うもの、いわゆるコマーシヤル・ベーシスで行うもの、こういうふうに考えております。なお具体的な貸出し等につきましては、融資対象として、主として防衛産業、関連産業、工業力の改善の基礎となる産業、こういうものについて考えておるのであります。なお軍事顧問団は、過日外務大臣がはつきりと答弁いたしました通り、何にもこの資金の運用または使用については関係がございません。少しの関係も持つておりません。このことを外務大臣の答弁ではつきり言つておりますが、私もこれを確認しておきます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 そういたしますと、この運営についてはアメリカ政府との合意によるとかなんとかいうことを今御答弁なすつておりましたが、これはどういう機関を通じて運営に対する合意を求められるのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この問題につきましては、日本政府の方でよく協議しまして、その協議のまとまつたものをアメリカ大使館の方と相談する。そのときにきまりますのはわくだけです。どこの会社へ幾らどうするという具体的な問題でなくて、どの産業に幾らというわくがきまるだけのことでありまして、そのわくについて合意を得られれば、あとの問題は開発銀行が、先ほど申したコマーシャル・べーシスの考え方てものを運ぶということになるのであります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 私どもはこの法律を審議するにあたりまして、この法律の目的は明確にいたしておかなければならぬと思うのであります。この三十六億円の運用の対象となるものは、この条文によりますると、工業を助成し、本邦の経済力ということで、非常に広汎な間口を対象としておるものでありまするけれども、ただいままでの御答弁を伺つておりますると、しよせんはこれはアメリカによつて大きなわくがはめられておる。そのわくは軍需工業、防衛生産に限界が置かれておる様子でございますから、従つてこの第四条は、資金は、防衛力を増強し、あるいはまた防衛生産力の増強に資するために使うのだ、こういうことで明確にしておかなければ国民に誤解を与えるのではないかと思うのでございます。政令で定めるところによつてその辺が明確にされるではありましようけれども、しかしながら、政令の範囲を、防衛生産力とか、あるいはそういう軍需工業のみに限界点を置くとかいうようなことがこの条文の中には何一つ明らかにされてはおりません。問題は、たとえば本年度はわずか三十六億円でありましようけれども、今まで他の委員会等において審議されておりまする間の政府の答弁等によりますると、これは明年度、あるいは明後年度等におきましても持続してこの経済援助が受けられる。従つて、本特別会計は相当の将来にわたつてその機能を持つことになるでありましようが、国民は、この法律そのものには「工業を助成し、その他本邦の経済力の増強に資するため、」というぐあいに書いてありまする限りにおいては、たとえば中小企業の部門においても、ただいま井上委員が問題として指摘されておりまする農業経済に対しましても、いろいろわれわれにも援助をしてもらいたい、こういう要求が参るでございましよう。しかしながら、アメリカ大使館を通じてのアメリカの意思というものはすでに固定しておる。すなわち、防衛生産力並びにその関連産業ということに限定されている以上、国民に誤解を与えるような、またあだな望みを彼らに持たせるような、そんな罪のある条文をつくるべきではない。従いまして、これが軍需生産並びにその関連産業ということに局限される法律であるならば、しかも、そのことを限定してのみアメリカが運営に承認を与えるという条約になつておるものならば、これははつきりと条文の中に明示して、そうして国内外に対する誤解をいたずらに生ぜしめないところの措置をとる必要があると思うが、これに対して大臣は、第四条の条文をそのように書き直す意思はないかどうか。さらにはまた、この問題について今速記録を探しておりますが、いずれこれは出て来ると思いますが、他の委員会でこういう質問が行われましたときに、たしか外務大臣の答弁として、これはむしろ防衛生産力というふうに条文を書きかえた方がはつきりわかるのではないかと思うという答弁があつたように私は新聞で見た記憶があるのでございますが、政府はこの問題についてどういうお考えをお持ちであるか、この機会に大臣から責任ある御答弁を願いたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この特別会計法の第四条の「工業を助成し、その他本邦の経済力の増強に資するため、」というのは、御承知のように向うとの協定の文言をそのまま用いたのでありまして、協定の文言通りであります。外務大臣の答弁はどういうふうになつているか知りませんが、ただ私自身の感じだけを申し上げれば、これは広い方が何かにいろいろ使われていいのではないか、そうきゆうくつに縛らない方がいいのではないかと思います。なお、あなたがさつきおつしやつたところのアメリカが大きなわくをはめてしまうということ、これはアメリカのみではめるのではなくて、日本と双方合意してやるのでありまして、共同してそれじやこれがこれこれということで、合意した上でわくがきまる、従つて、そのわくの中での操作は日本開発銀行がこれに当る、こういう次第であります。この点はどうですか春日さん、ぼくにむしろ広い方がはつきりわくをきめてしまうよりいいと思うのです。条文まで読まれる方ならば、もつとよく事情を知つておられるはずで、その点について誤解がないと思うのです。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 私は、そういうばかげたことを申されては非常に困るのであります。とにかく、ありもしないことを書いてはいけません。法律の条文というものは文字通り解釈されるべき性質のものであつて、その事柄の中身を理解してそれから判断するというような、そんなことが法治国として許される筋合いのものではございません。現実の問題といたしまして、防衛生産並びにその関連産業以外は対象にしないのだということがアメリカとの協定においてすでに明確になつておるのであります。明確になつておるのに、そうでないような、間口が広いようなぐあいに書いておいた方がいいというようなことを申されることは、これはあたかもペテン師のごとき行為であるのでございまして、まことにこれは不実な立法といわなければ相なりません。あなたが、別途ここで庶民金融についていろいろ法律案を出しておられますが、その中には、あたかも過大な配当があるがごとき錯覚を与えるような宣伝方法によつてその株式を募集するとかなんとかしてはいけないという法律がある。その法律に触れたやつは三箇年の懲役、三十万円の罰金に処するということがある。そのことをあなたは考えなければなりませんぞ。今ここに、工業を助成し、その他本邦の経済力の増強に資するため云々という法律がある以上は、国民は、おれたちの工業面も、おれたちの経済面も、ひとつこの特別会計によつて援助を受けたいという望みを持つに至るであろうことは当然であります。これは読んで字の通りの判断をして来るでありましよう。そうした場合に、実際はこういうふうに書いてあるのだが、これは実はうそつぱちであつて、軍需生産以外のものは相手にしないのだ、こういうような答弁をして、それでもつて法律の権威が保ち得るでありましようか。私はそのものずばり、中身の通りを表現すること、これが法律の権威を保つゆえんであろうと思う。先般他の委員会においてこの論議がなされ、たしか外務大臣であつたかと思いますが、そのような理論を聞いておると、まさしく法律の文字そのものを直した方がいいのじやないかと思いました、こういう断定的な見解を述べられて、そのことが終つております。従つてその問題は、やはりこの法律を審議する当委員会にその案件が持ち込まれておるわけであろうと思うのであります。私はこの機会に物事を明確にいたしまするために、アメリカとの協定がそういう文字を使つておつたといたしましても、その協定の中身そのものは、これは防衛生産並びにその関連産業だ、そういうことにその内実があるといたしまするならば、内実そのままの文字をもつて、国民にその特別会計の資金の運営のあり方というものを明示することが、最も親切なあり方であり、民主政治の責任のある政治のあり方だと私は思うのだが、これに対してなお御見解はどうでありましようか、さらにお伺いいたしたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私は、何らペテンでもなく、何らうそを言つておるのでもない。これはちやんと協定に書いてあるので、協定第一条をごらんくだされば「日本国の工業の援助のため、及び日本国の経済力の増強に資する他の目的のため、」こう書いてあるので、その文句をそのまま使つておるということは、協定に忠実なるゆえんであり、これが何ら誤解を生まぬことは、多数の方が御承知の通りであります。これをしいて誤解する必要は何もないと私は考えるのであります。従つて御意見の次第は御意見の次第として承つておきますが、この協定に基き、これによつて特別会計をつくつたときは、その文言の中に「前記の特別勘定から円価額を」云々ということがありますから、私は特別会計法案としてはこれが正しい、かように考えております。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 そういたしますると、協定の文字そのものをここへそのまま翻訳して載せたわけだが、内実はそんなものではない。実際は一般工業生産とか一般経済力、中小企業の問題、農村経済の問題、その他庶民生活の問題、こういう問題は問題にはしないので、実は防衛生産そのものに局限するのだが、翻訳してみればこんなことになるので、とりあえず載せて置いた、こういうふうに了解いたすべきでございましようか。それとも、これは防衛生産並びにその関連産業ではあるがということに一応言われておるけれども、しかし日本国政府の独自の権威において、アメリカに極力折衝をして、他の平和産業あるいは農業経済、こういう方面へもこの金を運営すべく、必要があればアメリカと大いに協力するという決意が政府にあるのであるかどうか、この点はきわめて重要な問題であろうと思いますので、明確にいたしておかれたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この点は先ほども申した通り、防衛産業、関連産業並びに工業力の改善の基礎となる産業、こういうものが主になるということは、私が先ほど繰返し井上さんに答弁した通りであります。しかしながら私は向うとの協定の面から見ても、もう少し広く解釈ができるから、現実の問題として、三十六億という金ではそこまで及ぶということはむずかしいであろうけれども、また先へ行つて、広い意味での日本の経済力の何にも使つてもらうように話をしたらいいだろう、こういうことを考えておるのでありまして、現実の問題としてはむずかしい、私は率直にそう思つておる。だから率直にこれを申し上げておる。しかしながら、これは一年で終るものではございませんから、先に行つたときにこういうふうにという話をし得るようにした方がよいのではないか、かように考えております。またそのときは事情に基いてする考えでもおります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 きわめて重要な問題でありますので、くどいようでありますが、さらに問題を解明しておかなければならぬと思うのでありますが、そういたしますと、この四条の「政令で定めるところにより、」というこの政令が、将来にわたつてこの条文解釈の上に大きな作用をいたすであろうと思うわけでございます。従いまして、本法律案成立後におもむろに政令をお定めになるかもしれませんけれども、しかしながら、ただいまの御答弁等に関連をいたしまして、やがて定められるであろうところの政令の内容は、本法律案の審議にあたつてきわめて重要な要素になろうと考えられますので、この際この政令の内容等につきまして、あらかじめ御構想になつておるところをこの機会にお示し願いたいと思うであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 政令は御承知のごとくこれのみではきめにくいので、双方の合意によつてものがきまつて来るのでありますが、まだ合意に到達しておりません。またこちら側がどう話すということもまとまつておらぬ。これは先ほど井上委員にもお答えした通りであります。従いましてそれがきまらなければ、政令というものはきまりません。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 そういたしますと、この政令によつて資金の運用ができ、しかもその資金の使用が行われる。従いまして実際的にはこの法律は、一つの形式、まあ、処理するような事柄であつて、この法律の死命を握るものはこの政令の内容に盛り込まれて参るのではないかと思うのでございます。従いまして、この法律に占めるところのこの政令の比重は非常に重いものがあると考えられますので、私どもはむしろこのことは法律の中で明文化していただくべき事柄であるとは思いますが、しかしなお対外折衝等の必要等があつて政令にゆだねられておるといたしますれば、本法案を審議する一つの基礎的な要素といたしまして、当然この政令の内容等にまたがつて審議検討を行わなければ相ならぬと思うのでございます。従いまして政府は、すみやかにこの政令の内容等について構想されているところを本委員会に大体御内示を願いまして、あわせてこれを関連的に審議いたしまして、本法律案に対する態度を本委員会としては決定いたしたいと思うのでございます。  なおこの機会でございますので、特に大臣に申し上げておきたいことは、大臣の御意見によりますと、あなたはほとんどアメリカにべたぼれでいらつしやる。そのことが祖国と民族に対して将来大きなあやまちをもたらすことがあるのではないかという大きな心配が改進党の内藤君の質問となつて現われ、私のこの質問となつて現われておるのでございます。なるほど国の経済は今非常に疲弊いたしております。貿易も行き詰まつておるし、中小企業は倒産相次いでおる。大企業もほとんど行き詰まつた形でございまして、どんどん下請企業に対する手形の不渡りとか、あるいは長期延払いとかいうことで、ほとんどあなた方のせいでありましようけれども、内外ともに経済が行き詰まつておる。そこでその窮余の一策として、あなた方が対外的にアメリカに依存をされようといたして、こういう特殊の供与を受けてそれによつて云々というという措置がここにとられようとしておるのでありますが、このことは、将来日本を大きくのつぴきならないところへ無理やりにひつぱり込んで参るような危険があるのではないか、私このことがたいへんに心配されるわけでございます。申し上げるまでもなく、アメリカの政策はエキセントリックであります。たとえば私どもが現在持つておりますこの憲法、これはマッカーサーにより、特にアメリカ政府によつて承認されたものでありまするが、ニクソン副大統領が来て、これはえらい間違いをやつたものだというて、数年ならずしてアメリカの政策というものはころつとかわつてしまつておる。あるいは蒋介石政権の中国における立場でありますが、ポツダム宣言あるいはヤルタ協定において、彼らはほんとうにアメリカの同盟者であつたわけであります。ところが今日彼が南支那海の孤島に追いやられてしまつても、これに対して何ら格別の措置が講じられてはいない。いずれにしてもアメリカは、こういうふうに、きよう思つておつたことがあしたはもう違うのですよ。そういうところへ歯車をがつちり合せてしまつて、それではたして日本経済の自立が達せられるでございましようか。本年度はいずれにいたしましても五千万ドルのこういう事柄でございまするけれども、これが来年度、再来年度においてだんだん累積されて行く。そういたしますると、日本の経済は自立するという方向への進路を失つて、やがては米国経済に依存をして行くという面がだんだん大きくなつて参るでありましよう。そうすると経済自立のチャンスは失われてしまつて、遂に米国経済に百パーセント隷属するという形になつて参るのではないかと思います。そういうことでありますれば、日本の経済は一応アメリカの援助によつてだんだんいろいろな面から助けられるであろうが、そこで立ち上つて行くものは何であるか。このMSAの援助によつてだんだんと拡大強化されて行くものは、結局防衛生産であり 軍需生産ででる。これは、アメリカの兵器工廠に日本がみずから堕し去つてしまう形になるのであつて、結局平和的文化国家をつくるとか何とかいうようなことは跡形もなく消えうせてしまつて、ここにでき上るものは実にアメリカの兵器廠であり、結局軍国日本ができ上つてしまうのである。今日本の経済は非常に困難な立場にある。しかしただでくれるものをもらえば、これはきわめて安易な法ではあるけれども、きれいな花には大きな毒が含まれておる。これは昔のはやり歌にもありますが、ただより高いものはございません。ただでもらつて、これはありがたいありがたいと言つて、私どもの質問に対して認識不足のような、しかりつけるような御答弁を大臣はなさつておられますけれども、ほんとうにわれわれが困難の中耐えて、経済自立の方向をどこに置くかということであつたら、世帯の苦しいときに、どこからか仕送りを受けるということは、めかけになれと言われて、めかけになつてしまうようなものである。こんな権威のない話はございません。  大分時間が過ぎて、大臣は委員長とひそひそ話をしておられるようでありますから、私はこの辺でやめますけれども、すでに内閣に対する不信任案が提出されんといたしておりまする段階において、こういう国の運命を預けるような重要法案が本委員会を通過するということはとても考えられませんし、ただいま申し上げましたように、第四条の重要な関連要素であるこの政令の内容等も大体の御内示を受けなければなりませんので、いずれそういう資料を御提出願つて、あわせて質疑を続行することといたしまして、本日はこれをもつて質疑を一応打切ります。

福田繁芳改進党

○福田(繁)委員 本日はこの程度にしておいて、明日定刻から始めて質問を続行されんことにして、散会されるよう動議を提出します。

淺香忠雄自由党

○淺香委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十四分散会

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