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19回国会衆議院1954/02/23

大蔵委員会 第11号

発言数
45
登壇者
5
会派数
2
開催日
1954/02/23

会議録

千葉三郎改進党

○千葉委員長 これより会議を開きます。  まず公聴会開会承認要求の件についてお諮りいたします。国会法第五十一条の規定によりまして、重要な歳入法案については公聴会を開かなければならないことになつておりますので、ただいま当委員会に付託となつております所得税法の一部を改正する法律案外九税法改正法律案中、入場税法案並びに本日付託となる予定のしやし繊維品の課税に関する法律案もあらかじめ含めまして、両法律案について議長に対し公聴会開会の承認を求めたいと存じますが、これらの手続については委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

千葉三郎改進党

○千葉委員長 御異議ないと認めます。よつてさように決定いたしました。  なお承認のあつた場合は、三月の二日午前十時に公聴会を開くことにいたしまして、議長に報告することとし、その手続並びに公述人の選定につきましても、委員長及び理事に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

千葉三郎改進党

○千葉委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決定いたしました。     —————————————

千葉三郎改進党

○千葉委員長 次に、本日の日程にあります所得税法の一部を改正する法律案外九税制改正法律案を一括議題として、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。井上良二君。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 前回私は国の財政収入の見通しについて……。

千葉三郎改進党

○千葉委員長 井上さん、ちよつと質問中ですが、今参議院で提案理由の説明を政務次官がするようにということを言つて来ているのですが、ちよつと中座してよろしゆうございますか。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 よろしゆうございます。  財政収入のことについて政府の意見を伺つたのでありますが、何ゆえに私どもが国の財政収入を確保した上で歳出をはかれということをやかましく申すかと申しますと、わが国の財政収入のうちの、特に租税収入の中において一番大きな部分を占める所得税の徴収でございますが、その所得税の徴収のうちでも、特に源泉所得と申告所得と、この二つで非常に低額所得者に多くの税がかけられておる。この事実について、これからひとつ政府に質問をして参りたいと考えております。  先般春日委員からも御質問がございましたが、政府は、現在の税制制度をどうした方が日本の現在置かれておる経済的諸条件の現状から妥当であるということの一つの結論を、政府独自の独善的な考え方ではなしに、広く学識経験を持つておる人々の中から公正妥当な意見を徴そうとして税制調査会を設けて、数箇月にわたつて御検討願つて、税制調査会の答申書なるものが政府に提出されております。これは現在の税制に対して、広く各方面の権威ある意見を参考にして、新しく税制制度を建て直そうとする政府のきわめて公正妥当なやり方として、われわれもそのやり方に対しては一応敬意を表しておつたのであります。そうして答申案が出て参りまして、その答申案が相当権威のあるものとして、次の税制改革には大幅にその答申案の重要な答申要綱が採択されるであろうということを、われわれも期待をしておつたのであります。ところが今度出て参りました税制改革の中において、向いますと、一部分はなるほど税制調査会の答申を採用している部分はありますが、われわれが非常に遺憾に思います点は、税制調査会が最も力を入れて答申をいたしております低額所得者の減税に対して、きわめて熱意を欠く点が見受けられるのであります。政府はこの低額所得者の減税について、答申案は大体年額所得二十四万円以下を免税にするという一つの立場に立つて答申をされているように私どもは見ているのでございますが、それをはるかに下まわつて、今の改正案のような税制改革をするに至つた根拠は一体どこにありますか。どういうわけで税制調査会が主張している源泉所得者、低額所得者に対する減税を答申通り改正ができなかつたかという点について御説明願いたい。簡単に願います。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 政府といたしましても、税制調査会の答申はできるだけ尊重する趣旨におきまして検討して参つたのでございますが、御承知のように税制調査会におきましては、約七百億円の純減税といいますか、片方で間接税を増徴し、片方で直接税を減税する、同時に、全体として七百億円の現行法の場合に比べての減収を期待する、そういうふうな案が出て、それを基礎にしまして全体の案ができているのでございますが、政府が見積りました予算によりますと、どうもそれだけの減収を期待することは、予算の経費の方の必要からいたしましてできない。さらに間接税の増徴にいたしましても、こういうふうな時代におきまして、たとえばピースを十円上げるとか、光を五円上げるとか、あるいは繊維関係で相当大きな百五十億といつたような間接税の増税を行う、そういつたようなことはちよつと無理じやないかといつた点、これらの二つの点を考えまして、結局増減税の幅が全体として狭くなつたという結論に行かざるを得なかつたわけでございます。ただその場合におきましても、今井上委員のお話になりました所得税において、なかんずく低額所得者の負担を軽くするといつた趣旨はできるだけこれを尊重して参りたい、こういう線で全体の案ができていることは御承知の通りであります。従いまして、その点になりますと、答申案では基礎控除を八万円にするというのが七万円になつた。もつとも二十九年度におきましては、初年度の上にそれがそのまま出ておりませんが、一応平常の姿におきましてはそれを七万円、さらに扶養控除におきましても、最初の三人までは五千円ずつ上げる、これは答申案の通りでございまして、答申案はさらにそれにつけ加えまして、四人目以下につきましても、最初の三人と同じように上げろ、こういう案になつておつたのでありますが、四人目以下につきましては多少事情も違いますので、これはすえ置く、こういつたような点、あとそのほかには、答申案は勤労控除につきましての限度を四万五千円から七万五千円に上げる。しかしこれは考え方によりますれば、これによつてフエーヴアを受けます人たちは給与の収入額が三十万円を越えている人だけでございます。それから税率の問題をもつと調整しろ。これも答申案は御承知の通り下の方はあまり動かしてございませんので、上の税率だけを下げて行つて、全体としての姿としましては私は一つの考え方であり、敬意を表してよいと思いますが、しかし今言つたように、全体の所得税についての減税の幅が狭くなつた場合におきましては、できるだけ小さな所得者の負担を軽減するという方法におきまして全体の処理をした、こういう趣旨のものであることを御了承願いたいと思います。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 主税局としましては、われわれが年末主張しております月収二万円未満、年額二十四万円未満の免税ということについて率直にどうお考えですか。免税する余地はないとお考えになつておりますか、率直に言つてください。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 率直に申しますれば、できればその辺まで課税最低限を上げて行きたい。ただそういうことを言うのは率直でないとおつしやるかもしれませんが、結局税の問題は、片方において財政需要を考えなければならぬ、片方において国民の負担能力も考えなければならぬ、その二つのクロスする点に現実の税制というものを打立てて行かなければならぬ。こういう要請の上に立つている限りにおきましては、今度の閣議案によりますと、今二十四万円とお話になつたのは、大体われわれの一応申し上げておりますのは、夫婦と子供三人の場合でありまして、扶養家族四人の場合、今度の案におきますと、給与所得であれば現行の十八万三千五百九十九円が、二十一万四千百九十九円になるわけでありまして、決して満足すべきものとは言えないにいたしましても、現行に比べればかなり改善されたものになるということは言い得ると思つております。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 政府の発表によると、農村方面の所得の状況や生活の程度をいろいろ資料によつて見ますと、いずれも戦争前の生産に復帰し、農業所得また戦争前に復帰して来ている、こういうことが発表されております。ところがこの農業所得の方面における納税及び課税人員を調べてみると、昭和二十四年に三百二十八万人の課税人員があり、税金は四百五十億円であつた。それが二十五年には百八十四万人になり税額は百六十二億、さらに二十七年にはこれが百十二万人百二十一億、さらに昨年は七十七万人になりさらに税額は七十六億、こういうように大幅な減税が農業方面にはされて来ているのであります。しかるに郡市の方面を比べてみると、かくのごとき比率による減税は一向されておりません。また税制調査会が政府に答申いたしましたその説明を読んでおつても、御承知の通り主要都市における全勤労者の生活状況というものが説明をされておりますが、それによると、大体都市における生活費は一箇月二万円を要する。その二万円のうち一万円は食糧費である、エンゲル係数は大体五〇%だということが説明されております。そうしますと、都市のいわゆる勤労大衆というものはまつたく生活費の中に税金をぶつかけられていることになつている。生活の水準というものはまだ百パーセントに行つておりません。百パーセントにはるかに遠い生活をしているのにかかわらず、その税額は農村に比べて非常に高い。一方農村は生産において、その生活水準においていずれも百パーセントを突破しております。しかるに一方税額は毎年大幅にどんどん軽減されて来ている。この矛盾と不合理を一体どうお考えになりますか。御説明を願いたい、

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 農村におきましての生活水準が戦前に復帰し、あるいはそれを多少上まわつているということも、われわれもいろいろな数字で見せられておりますが、それは、考え方によれば、日本における農村の姿が戦前においていかに低かつたものであるかということを示すものとも言えるのじやないかというふうに思つております。従いまして、現在において農村における納税人員が非常に少くなつて来ている、それは数次にわたります減税の効果がそこに如実に出ているとも言えるとも思つております。農村における課税人員が非常に少くなつているということは、そういうふうに、戦前に比べましてはかなり農村の生活水準が回復しておりましても、全体として見ますと、まだそれほど高い生活水準になつていないということを示す一つの証左ではないかというふうに思つております。現在農村におきましての課税と都市におきましての課税が、もし一つの特殊な扱いが、あるとしますれば、たとえば超過供出の奨励金とか、あるいは出荷完遂の奨励金とか、そういうものにつきまして課税していない、そういつたようなことが一つの理由である、これはあげられると思いますが、しかし、これによります分は、課税するといたしましても現在の数字とある程度はかわりますが、それほど大きくかわるというふうには思いませんし、この問題は、国会でずいぶん御論議になつている問題でございますし、単に税の問題だけといいますよりも、あるいは米価の問題とか、全体的な問題として解決しなければならぬ問題ではないかというふうに思います。都市におきましてそれではどうして納税人員が多いか。これは、都市の賃金がやはり相当上つて来ているということが一つの大きな原因であろうと思います。農村と都市とを特に区別して政府で取扱つているものでないということは、これは井上委員はよく御承知の通りであろうと思つております。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 もつと具体的に伺いたいのですが、たとえば昨年の春大学を出た者が某官庁に勤めました場合、そうして毎晩のように超過勤務をいたしまして、一箇月の月収は一万二、三千円であります。もちろんこれは独身でございます。一万二、三千円の超過勤務を合せた収入に対して、約千七百円から八百円の税金をとられております。そうなつて来ますと、手取りは一万円を切れるのであります。それでもつて都合において下宿をいたします場合、どんなに少くても月に七千円ぐらいの下宿代は払わなければなりません。そしてかりに一日にひかりならひかりを二箇その人が吸うと仮定いたしますと、下宿代とタバコ代と交通費で全部消えてしまいます。こういう者に対して千七百円も千八百円も課税しておる。こういうべらぼうなことを一体妥当な課税とお考えになりますか。現に下宿代も満足に払えない、小づかいも満足に持てないような低額な者にかくのごとき税をぶつかけるというような現行制度は、何と考えてもこれは不当です。そういう点で、単に全体の財政のつじつまが合わぬから、やむを得ず低額所得者もひとつこの際税金を出してもらわなければならぬという、財政の歳出の面だけにこだわつて、かくのごとき生活にほんとうに困つておる人に対して苛斂誅求を加えてまで財源を確保しようとしておる。その問題を政府はもつと考えなければならぬのじやないか、こうわれわれは考えるわけです。  さらにこの源泉所得その他の所得税の場合、生命保険料なるものが控除されることになつておりますが、この生命保険料を控除しました結果、生命保険の加入の状況は一体どうなつておりますか。そしてその生命保険の集めました資金は、一体どこへ流れておるのですか。それを説明願いたい。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 今手元に一万三千円程度の独身者の場合の税負担というものがちよつとありませんが、一万円の場合はお手元にも差上げてありますように、改正案によりますると、税負担は三百八十二円、それから少し上の方へ飛びますが、一万五千円の場合は千二百二六円、所得税だけでありますとこうなつております。このほかに市町村民税が一割八分ございますが、一万二、三千円で千七百円程度というのは、改正案によりますと、そういう数字にはならぬというように思つております。一万二、三千円の金は、独身者でありましても当然最低必要ではないか。これは私は最低生活というものをどういうように考えるか、いろいろ議論はあろうと思つておりますが、しかしわれわれが身近に同僚を見ておりましても、現在におきまして一番生活に苦しんでおります人たちと考えられますのは、そういう独身者の人ですが、同時に扶養家族を、子供を二、三人持つていらつしやる程度の人がやはり一番生活に苦しんでいらつしやるのじやないかというような感じがいたします。そういう意味におきまして、今度の税制改正案におきましても、基礎控除を上げるという線ももちろん一つですが、それとあわせまして、扶養控除を上げるという線をやはり考えて行かなければなるまい。そこで基礎控除の点におきましては、税制調査会におきましては八万円とありましたのを、これを、七万円に一万円削りましたが、扶養控除におきましては、四人目以後はすえ置くかわりに、最初の三人目までは税制調査会の答申通りに一応五千円ずつ引上げる。この辺の措置が一番適切なものではないかという結論を得た次第であります。  次に御質問にございました生命保険料控除の点でございますが、生命保険につきましては、最近政府におきまして相当保険料控除を引上げたゆえもあろうと思いますが、加入者数はかなりふえて来ております。毎年の状況につきましては、今手元に資料がございませんので、後刻御説明申し上げたいと思います。なおこれらの資金は、株式あるいはその他の証券投資の姿におきまして、大体国の主要産業といつていいと思いますが そうした産業資金に主として使われているということは申し上げられると思つております。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 次に、今度のこの所得税の改正法案の規定中に、山林所得に対する特別措置がある。従来総所得金額に算入していたため、若干の調整を加えていたものの、相当な矛盾があつたので、新たに山林所得を分別して、十五万円の控除をした上で五分五乗の方式によつて課税をすることに今度なるのでありますが、わが国の現状ではほとんど農家が山を持つておるのでありますけれども、この山の伐採、譲渡は、いろいろの事由がありまして、特に小さい山林所有者といいますか、そういうものは、山を切つたりあるいはその切つたものを売りまたは譲渡いたします場合は、次男、三男を分家をさす、あるいはまたいなかの習慣で冠婚葬祭で相当大きな金がかかる、こういうことからやむを得ず山を切つたり譲渡するということが相当行われております。こういう場合に対して、単に分別処置だけで問題を処理するということではなしに、この控除額を十五万円からもう少し引上げてはどうかという問題が一つあります。それからいま一つは、今回のこの特別措置を行うことによつて、何か特別措置を行うということが小さい山林所得者に非常に便利のように考えられるけれども、実際今回の措置によつては、大きな山林所有者または山林の売買をするブローカーといいますか、そういうものが非常な利益を得ることになりませぬか、こういうふうに私どもは考えておりますが、さような結果は出ないとお考えになりますか。その二つをお伺いいたしたい。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 十五万円を控除し、同時に分別により五分五乗をする。現行法は御承知のように五分五乗の制度はとつておりますが、他の所得と合算した上で五分五乗の制度をとつている。これを今度分別に直そうというわけでございます。十五万円程度ならまだ少いから、もつと上げたらいいじやないか、それはいろいろなお考えがあろうと思いますが、他の所得とのいろいろの関係からしますと、とにかく年に十五万円一応伐採の所得を得る。それは必要経費が差引かれますので、おそらく手取りの金額としては、二十万円を越えた場合に初めて十五万円の所得になるわけでございまして、現在の状態におきましては、これをしいて上げる必要はあるまい。それによる点はむしろ他の方の点を考えるべきではなかろうか、こういう結論を下したわけであります。特に今回の措置は、大きな山林業者にフエーヴアが行つて、小さな山林所得を持つておる人にはフエーヴアが薄いのじやないか。これはむしろ全然逆でございまして、そういうことは私は全然ないと思つております。と申しますのは、小さな山林所得を得ていらつしやる方は、どちらかといいますと、それだけではとても生活ができませんから、どうしてもやはり通常の農業所得を持つとか何とかいうことになりまして、山林所得はその上に乗つかる程度でございます。むしろ山林所得を大きく持つている人こそ、他の所得は割合少い、あるいは全然ない。他の所得が全然ない場合におきましては、今度のような制度をとりましても、現在の制度でやりましても、これは負担にかわりがないわけでありますが、他の所得がむしろ中心でありまして、山林所得がそれほど大きい額でなくして、上に乗つかつているという場合におきまして、結局現行の制度でございますと、五分五乗はしますが、他の所得よりはみ出しているその上積みの税率でもつて五分五乗される。今度の制度によりますと、それが分別されまして、一番下の税率がそこに適用され得る余地が出て来るわけでございます。従いまして今度の分別の制度によりまして、山林所得全体が一応のフエーヴアを受けるということは言い得ると思いますが、どちらかといえば、今度の改正案によりまして一番大きくフエーヴアを受ける人は、相当他の所得を大きく持つていて、それにプラスして山林所得を持つておるという人——これは上積みであるということが当然そういう結論になるわけですが、そういう人がむしろこの機会におきましてフエーヴアを一番大きく得るわけでございまして、山を専門に持つている、山の所得だけで生活を営んでいる人は、割合にそのフエーヴアは薄い。従いまして井上委員のおつしやつた姿よりも、むしろ逆の場合に今度の制度は動いて来るのではないか、かようにわれわれは考えおります。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 私の見通しとあなたの見通しと全然正反対に考えておりますから、今後の結果を見ないと、はつきりしたことは言い切れません。  次に、法人税でございまするが、法人税についてわれわれが検討を加える場合、日本経済の見通しというものを一応つけなければなりません。そこで政府は二十九年度の日本経済の見通しとして、国内の有効需要は減退をせずに、三%程度上昇する。従つて所得も増加を予想される。輸出並びに特需を合せて約一億ドルが増加する。鉱工業生産の指数は、二十九年度からは横ばいの状態になるんじやないか。物価は、生産財が六、七パーセント、消費財が三、四パーセント下る。雇用は若干減少するも、賃金は三%程度上昇する。消費水準は二十八年度より都市は四、五パーセント、農村は三%伸びる、大体こういう見通しを立てておるのであります。そこでこの見通しに従つて、法人税の課税は、二十九年度申告分千五百五十三億として、これに更正等を加えた二十九年度の税収入見込額を現行法で千八百九十五億と押え、二十八年度より約百三十五億の増加を見込んでおるのであります。この法人税の収入増加の要因となる日本経済の二十九年度の見通しについて、今申し上げました、政府が国会を通していろいろな面で発表しております諸条件と見通しには大体狂いはない、こういうことを明確に言明できますか、これを伺いたい。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 日本経済のあり方の問題につきましては、何と申しましても一番大きな需要者であります国の歳出の状況、あるいはさらに大きく地方団体をも込めましての中央財政及び地方財政の需要の大きさというものが、大きく日本の経済の姿を決定して行くんじやないか。もちろん、その場合におきましては、単に一般会計の歳出といつたようなものだけでございませんで、政府機関を通じましての財政資金、こういうものの動き、これがやはり大きく決定して行く。さらには国がとる金融政策、それがやはりこの一兆円予算の線に沿いまして一応緊縮的な姿において実行されて行く、こういつたようなことがあつたとき、初めてそれが実現できるんじやないか。御承知のように、国際収支の問題が現状におきまして相当大きくクローズ・アツプして来ております。いたずらに外貨がどんどん減つて行くということを放置することは、日本経済の前途を非常に暗くするのでありまして、どうしても外貨が減らないように、あるいはぜひ必要な外貨はこれが確保できるように、そのためにいろいろな前提要件として、健全な日本経済の歩みというものはぜひ必要である、こういつたような見通しのもとに、それに必要なる施策というものを織り込んでおりますのが今度の一兆円予算であり、それに随伴しての金融的な政策であると思つております。従いましてわれわれは、そうした大きな方針の線に沿いましての日本経済の見通しというものを前提といたしまして、現在の法人税の見積りをしているわけであります。ただ御承知のように法人税は、一口に言いますとちよつとずれがあります。二十九年度の法人税の歳入に一番大きく影響しますのは、今年の三月の決算と九月の決算——会社は三月決算、九月決算だけでありませんから、その間に多少の誤差はございますが、大きく言えば三月決算と九月決算というものが法人税の税収に一番大きく響きます。そこで今申しました一兆円の予算の影響というのは、今後漸次会社に浸透して行くんじやないか、そういうことを考えて参りますと、三月決算におきましては、まだそうした姿がそれほど大きく出て来ない。九月決算、さらには来年の三月決算というところに行きまして政府の施策の結果が出て来る、こういうことも考えられるわけでありまして、従いまして三月決算の姿などを見てみますと、一兆円予算の影響はまだそれほど大きく出て来ない、こういう点も見通しまして一応計上いたしましたのが、ただいまお話の現行法による千八百九十五億、こういう歳入見積りでございます。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 この法人税に対しましては、税率の問題が常に問題になるのでありますが、政府は抜け道を設けて、特別措置やその他の方法で、資本蓄積とかいう美名に隠れて大法人を擁護して、いろいろの低減はかつているわけであります。たとえば百万円の機械を一台すえつければ、それは税の対象にしない、こういうことを言うておる。百万円の機械をすえつけられる法人というものは、一体どの程度の法人ですか。だからそういう点を考えてみたら、あなた方の考えるやつは、すべて大法人というか大きな企業を実際言うと対象にしておるのじやね。これは昨年、この前の国会でわが党の平岡君から、この法人税の階級的な課税の内容について鋭い討論をやつておりますから、一応そいつを御検討願いたいが、何ゆえに税率をもつと下げるということをお考えになりませんか。ほんとうの計算をしたら、大法人はいろいな特典で、実際は二〇%もかかつておるかかかつておらないかといわれておる。ところが一方は依然として四二%とられておるのです。だから正直にまじめにやつておるやつは、ぴしぴし四二%とられてしまうわ、上手にうまいことを言うてごまかしたやつはのがれておるわ、そういうことではなしに、原則的に資本金の大きいやつは相当とる、そのかわり中小企業の小さい法人はまける、こういう考え方はできないのか。これは技術的にむずかしいのか。大法人の免税にいろいろなうまい御規定をお考えになる熱意をお持ちでございますが、小さい法人に対しては一向めんどうを見てやろうというお気持が起きないのは、どういうわけです。それを一応御説明願いたい。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 われわれは大きな法人だけを特に保護するといつた観点でものを考えたことはございませんで、結局今お話になりました点は、合理化法の規定による五割の特別償却という点だろうと思います。別に言葉のはしばしを申し上げるわけでもございませんが、百万円の機械を買つたら税金がそのまままかつてしまうといつた性格のものでないことは、これは井上委員のよく御承知のところであろうと思つております。平岡委員のお話もちよつと引合いに出ましたので、いささかどうかと思いますが、われわれは平岡委員の御計算がそのまま正しいものだとは決して思つておりません。従いまして、大きな法人はいろいろなものを差引けば二割くらいにしかすぎないといつたようなお話は、どうもわれわれちつとも納得行かないのでございまして、現在特別措置法でいろいろな軽減措置が行われておりますが、一番金額的に大きなものを見て参りますと、これは第一にやはり退職積立金の制度であります。それから第二は貸倒れ準備金の制度であります。第三は価格変動準備金の制度でございます。こうしたものによる税収の減というものが、金額的に一番大きく出ておりますが、これらの制度は何ら大法人だけがこれを利用できる制度ではございませんで、これは中小法人といえどもおのずから利用できる制度でありまして、大法人が片方で大きな税金を払つているだけに、あるいは軽減の税金もそれだけ大きいということはありましても、所得対軽減の割合等を見て参りますと、大法人だけが利用できる制度というふうには思つておりません。そのほかに合理化法の制度とかいろいろございますが、これは結局そういう合理化機械を導入することによりまして、日本経済全体が改善されて行くという見地からとつている制度でございまして、大法人、中小法人ということによつてそれを区別しようという趣旨でないことを御了承願いたいと思います。

平岡忠次郎日本社会党(右)

○平岡委員 関連して、たまたま私の名前に言及されたので……。昨年の多分八月三日の本会議でございます。そのときには、中小法人と大法人との間に、いわゆる法律的には平等ですが、実際上扱いとか実施の状態ということを考えますと、結果として非常に差別待遇が出て来る、こういう点と、それから低額所得者、特に給与所得者の問題について戦前との比較論をやつております。こうした点が渡辺さんの良識にに触れて、今回の改正案でちよつぴり反省されておる。ところが今中小法人に関します井上委員の質問に対しまして、私の質問が当らなかつたというふうにお申出でございまするが、しからば私は、今回の法人税に対するあなた方のこの提出法案に対しまして相当文句がある。たとえば新規増資に対する特別措置、あるいは輸出に対する所得控除率の引上げ等の一連の処置というものは、依然たる大法人擁護であつて、中小企業に対して税負担の軽減に資するところは一つもない、私はさように考えます。まずこの点につきまして渡辺さんの御見解を承りたい。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 今度資本蓄積の促進の意味をもちまして、あるいは輸出増進の見地をもちまして、租税措置法の改正をいたしたい、近く当委員会に付託になると思つておりますが、その場合のわれわれの基本の考え方といたしましては、結局先ほども申しましたように、その実施が日本経済の全体のためになるんだということの観点からやつて来ておるわけであります。中小法人と大法人の区別をおつしやいますが、資本蓄積の措置におきましては、中小法人なるがゆえ、大法人なるがゆえ特別な区別を入れているという考え方はわれわれにはございません。同族会社と非同族会社につきましては、多少再評価積立金を資本に組み入れる場合におきまして、これは事実性格が違うんじやないかという意味におきまして一応差別的な扱いをする、これはすべきじやないかというつもりで案はできておりますが、同族会社におきましても、相当大きな同族会社もございますし、従いまして中小法人、大法人という区別の見地に立つて考えてるわけじやない。それからプラント輸出の問題だろうと思いますが。プラント輸出という観点におきまして、やはり相当の契約金高がまとまつたものであるというときに、プラント輸出と言い得るのじやないか、こういう観点におきまして、あまり小さな金額のものをどうこうと思つておりませんが、しかしプラント輸出はそれ自体におきまして、一度プラントを輸出するという立場をとりますれば、さらにその後におきまして、それの補修的なものとか、将来の輸出の一つの分野がそこに広くできて来るということを期待できるがゆえに、これは少し余分なフヱーヴアを考えてやつていいのじやないか、こういう観点に出ておるわけでありまして、中小法人とか大法人という観点でものを考えて行つているわけじやないということを重ねて申し上げます。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 そうすると渡辺さん、あなたにはつきりしたことを伺うが、一体退職積立金、あるいは貸倒れ準備金、価格変動準備金、それから輸出商社に対する軽減措置といいますか、そんなことのできる能力を持つている会社が、資本金一千万円なり五百万円以下の小さい会社に一体どれほどありますか。結局これだけの大法人は減税になるじやないか、全体の率からいえばそれだけ安うなるじやないか。下のものはやろうと思うたつてできやせぬじやないか。できぬような規定ばかり設けたつて、何のくそになりますか。だから、あなた方がそこまで言明するなら、この各種の免税措置を講じた場合、あるいは控除措置を講じた場合、特典を与えた場合、その方もどれだけ資本額において免税されているか、減税されているか、現行の四二%でやつた場合と比較した資料を出してみなさい。そうしたら必ずふといやつがもうかつておるがやな。そこに減税国債の悪いやつが行くのやろ。そうすれば完全に大きいやつがもうかつているじやないか。下のピイピイ言つているやつは四二%すつかりとられてしまつて、上の方のやつはたかだか三〇%か二七——八%かで終つているやないか。やつてみい、勘定を。そんなむちやな話あらへんというのや。それから、あなたの立場は別に大法人、小法人あらへん、公平にやつておる言うがね。やろうと思つたつて、国債買おうと思つたつて、国債買う金もあらへん。貸倒れ準備金を積むだけの余裕さえない。退職積立金という、積まなければならぬと法的になつておるのさえ使つているやないか。そういうことが現実にある。やろうと思つてもやれない処置を講じている。やれるだけの余裕のあるやつはそれによつてどんどん減税してもらつている。そういう事実になつている。だからあなた方がそういう考えなら、この免税措置や控除措置やその他の特点を与えぬで、四二%でやつた場合どういうぐあいに税金がかかつているか、そうしてこういうぐあいに各種の特点を与えた場合に、どういう段階で減税になつているという資料を出しなさい。それならはつきりする。私はそう思つている。だからそこは全体の税率を、答申案でも負けてやる必要があるということを言つておるのや。美しい全体の計画経済を立てずに、部分的に免税措置や控除措置を講じたつて、今日実際どうもならへん。やはり全体の対策を講じなかつたら、どうもならぬやないかね。去年あなた方輸出振興に、やあ何じやかんじやといつていろいろな特点を与えてやつたけれども、ますます悪くなつて行くやないか。現実がそうなつている。だから結局あなた方は、大資本擁護の税制を考えていると言われてもしかたのないことになつてしまうやないか。それをそうじやないというているのなら、そういう資料を正確に出してください。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 今、井上委員の御要求の資料を持つておりませんので、どうも私どもの主張をすぐ数字的に裏づけできないことを遺憾といたしますが、しかし中小法人が退職準備金もあるいは貸倒れ準備金、価格変動準備金も積立て得ないということは、ちよつとわれわわには理解できないところじやないかと思います。と申しまするのは、御承知のように、中小法人は退職準備金こそ、一応見返りの金を積立てることになつておりますが、あとは勘定の上において積立金の勘定を設けるわけでありまして、別にそれに裏づけするような、金額がどうこうという問題ではない。これはもう貸借対照表の理論ですが、よくおわかりですから詳しいことを申し上げません。結局中小法人におきましては、たとえば同族会社等であればなおさらですが、別に配当とか何とかいうことに拘束される問題も非常に少いわけでございますから、そういうような意味におきまして、この制度が中小法人の利用できない制度であるというふうにはわれわれは理解しておりません。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 これはいずれあしたまた問題になると思いますが、奢侈繊維品の課税法案、これをこの間の大臣の説明によると、訂正して提案するというのですけれども、ちつとも訂正が出ません。どういうわけですか。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 法案自身はすでに御提案申し上げております。大臣がお約束いたしましたのは、お手元に御配付申し上げてあります租税及び印紙収入予算の説明、この分の説明を訂正するというのであります。これは目下印刷しておりまして、一両日中にはお手元にお届けができると思つております。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 最初小売課税をするということであつたやつを、そいつをどういうわけで途中から変更したのです。そうしてどういうわけで税率を一五%に直したのです。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 小売課税の考え方で全体を検討して参りましたが、何と申しましても、小売課税を採用いたしますと、納税人員の数が非常に多くなりまして、十五、六万人になる。われわれ一面におきましては、相当高い価格のものに課税するわけですから、その点でもかなりやつて行けるじやないかと思いましたが、いろいろ検討して参りますと、あまり大きな人数を納税者にすることは適当でない。こういう観点に基きまして、一応現在のような案に直したのが一つ。それから税率の一〇%というのを一五%に直したのはどういうわけか。これは結局どういう観点をとるかということが問題でありまして、税率を低くして八十五億を確保しますとすれば、割合に低い価格のものから課税して行かなければならぬ。しかし現在の物の考え方から行けば、やはり奢侈という言葉はなかなかむずかしい言葉でありますが、相当ぜいたくと思われますようなものだけに課税する。課税の対象を非常に限定する。こういう立場をとる方が納得しやすいんじやないか。そういうことになりますと、課税対象が小さくなる。そのかわり、そういう品物については一割五分程度の税をもらうことも許されるではないか。このような考え方をとりましたがゆえに、課税の対象を小さくするかわりに税率を一五%に上げた、こういう結論であります。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 いずれこの問題は本会議で討議がありますから、ここで詳細に質問をすることは遠慮いたしますが、ただここで私が伺つておきたいのは、あなたの方は最初小売課税ということで来た。少くとも税をとろうとする場合に、それが大勢の人であるから、少い人であるから、そんなばかなことはありませんよ、担税能力があるところならどこへ行つてとつてもよい。それは人数が多かろうが少かろうがええやないか。それをあなた方の方では、どうしても八十五億ということで、途中から変更しているでしよう。それから今のことでわれわれ非常に遺憾に思うのは、ここに書いてある一反七千五百円、また一ヤードですか、二千五百円、四千五百円、一枚四千円、こういうぐあいに区切つてありますが、これから一割五分の税をとろうというのだ。この奢侈的物の考え方は何ですか。かりにこれと同じ価格のものが他に売買されておつた場合、それは奢侈的なものとお思いになりませんか。だからそこに非常に税の矛盾があるのです。織物の場合は一反七千五百円以上は奢侈だ。他のものは奢侈じやないのですか。他の国民生活に関係のあるものは奢侈と思わぬですか。ここに問題があるのですよ。だからそこの点はよほど御検討なさらぬと、これを奢侈と見るか奢侈と見ないかという議論が起つて参ります。かりに他に生活必需品や国民生活に必要なもので、これに見合う金額以上のもがあつた場合、奢侈と認めないお考えですか。織物の場合はぜいたく品だ、他の物の場合はぜいたくではない、こういうことが言い得られるのです。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 納税者の人員はあまり考慮に入れる必要はないじやないかというお話は、私はそうでないと思います。国が税をきめる場合におきましては、できるだけ徴税費のかからない、同時にそれはひとり国だけでなくて、納税者も込めて、できるだけ経費のかからない税を選ぶべきである。これはあえて井上先生に申し上げるまでもなく、一つの常識的なものになつておるところでございます。従いまして、小売課税というような点につきまして一応考えて検討を進めてみましたが、どうもこれよりは、現在御提案申し上げておる案の方がいいというふうな結論になりましたので、そういう結果に考えたわけでありまして、同じ額の税金をとる場合に、納税者の人員は、これは結局消費者の負担でございますが、中間の段階における間接税の場合においてどういう種類の納税者を選択すべきかといえば、そこにおのずから選択すべき余地は出て来るというふうに思つております。  それから着尺の場合は、たとえば七千五百円は奢侈だ、ほかのものはどうだというようなお話でございますが、やはり奢侈の問題は、その品物々々によつてかわつて来る場面があつていいのじやないか。こんなことを申し上げるといかがかと思いますが、たとえば家を建てる場合に、一万何千円で家は建てられつこないのですし、もし建ててもほんとうの掘立小屋なんですから、これを奢侈だとは金額的には言い得ないわけであります。従いまして織物の場合は、やはりこの辺が奢侈だという結論を出すことは、別にさしつかえないのじやないかと思います。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 いずれこの繊維消費税の問題は、ただいま井上君の質問に答えられた局長の御答弁の論旨は、首尾一貫を欠き、引出された比喩もまことに乱離骨灰であつて、日ごろ聡明な渡辺局長とも思われない。いずれにしても、この問題は後刻本会議において不肖春日一幸、渡辺局長に対し力道山のごときスマツシを与えるから、十分御覚悟あつてしかるべきだと思う。  それで話題をかえてお伺いをしたいことは、物品税の問題である。これは前に十五国会以来われわれの強く主張しておるところであるが、これは明らかに戦時特別立法であつて、当時鉄だとか、あるいはその他の金属等を中心とした軍需物資、こういうようなものの消費を押えることのために、いろいろと千四百種類を選んでとにもかくにもこの物品税が創設された。だから戦争が済むと、戦争目的のためにできたこの税法は再検討を要する段階になつて、その後この千四百種類の品物に対して免税、この税法をとにかく廃止してもらいたいということで次々と陳情、その免除運動が行われた。そこで現在これが七十三品目にとどまつたという次第であります。そこで私があなたにお伺いしたいことは、この今日まで八箇年間にわたつてかつて課税されておつたところの千四百品目の業者たちが、じやんじやんと政府に向つてあるいは金を使い、あるいはまた政治力を動員して、この免税運動をやつて来た。そこで千三百何十品目というものが解除されたわけなんだが、このことは、あたかも障害物競争でちようどいち早くこの免除のゴールに入つたものは今日課税されていない。そこで七十三品目の諸君だけがこの二百何十億という税の負担をしておるわけであるから、このことは、現在これらの業者に対して不当な不公正な経営の重荷となつて加わつておる。だからこれを解除してくれという陳情が国会の都度政府に対して強力に行われておるのだけれども、政府はこれに対して全然耳をかしておられない。そこであなたは、この何万種類とあるところの業種業態の中で七十三品目の業態だけが特に二百数十億の税負担をしなければならないというこのことについて、何となく妥当を欠き、あるいは法律の前に国民は平等であるという立場において、あるいは公正を欠く、こんなふうにお考えになつたようなことはないかどうか、その点をひとつお伺いいたします。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 物品税についてのお話でございますが、物品税は御承知のように戦時中にできた税法ではありますが、その後、終戦後何年かたちまして、その間ずいぶん検討された、いろいろな関係でもつて相当広がつた。物品税が現在にまで圧縮されて来たにつきましては、結局これが消費税であり、同時にそうした奢侈品、あるいは高級品、あるいは、そうした不要不急の品物を使用される方々には、やはりこの程度の負担をしていただいていいのじやないか、こういう観点で整理されて来たわけでありまして、現在残つている品物につきましては、やはりそれ相当の理由があるものであるというふうに思つております。同時に、いろいろな御意見につきましては、われわれも虚心坦懐に伺いまして、たとえば課税最低限を上げる、あるいは新しい品目を取入れる、こういつたようなことによりまして、絶えず物品税を現在の情勢に適合するようなものにして行くという努力は、政府としても続けているわけでございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 私は、現在何万品目にわたるところのいろいろの消費財の中で、課税されることわずか七十何品目に局限されておるということ自体は、どういう理由によるのであるか、これを質問しておる。これは法的のバロメーターも、またこれを定義つける理論もあるはずはない、しよせんは腰だめである。業者が政府に陳情したその陳情、あるいは政治力、あるいは買収、そういうようなことによつて今日七十何品目に局限されたことはおおうべくもない事実である。そこで私のお伺いしたいのは、それにはそれ相当の理由があると言われるが、それ相当の理由ということは答弁にならないと思う。私があなたに申し上げたいのは、この七十何品目の業者たちが二百数十億の重き負担を負つて歩いておることは、これら業種に対してはなはだしく不当不公正ではないか、そのことをお考えになつたことはないかということをあなたにお伺いしておる。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 われわれは御承知のように提案はいたしますが、国会が御決定くだすつておるわけでございまして、一応こういう物品税の、現在の姿になつたことにつきまして、やれ請託、やれ買収、いろいろなことをおつしやいましたが、私は、それはそういうことがあつて現在のような姿になつているというふうには考えるべきものじやないというふうに思つております。現在におきまして、物品税法においてまだ課税がいささか抜けておるじやないかというものにつきましては、われわれは十分検討しまして、今度もある程度拾い上げましたし、同時に従来からとかく御批判のありました、たとえば繊維品につきましても、相当ぜいたくな品物については、やはり何か物品税と同じような課税をすべきじやないかという御意見につきましては、今奢侈繊維品に対する課税を創設したいと御提案申し上げている次第でございまして、結局消費税である限りにおきまして、これの負担者はやはり消費者である、こういう点を重点に置きまして、消費税というものはできて行かなければならぬ、その間におきまして、そうした品物をお取扱いになつているがゆえに、ある程度の税金の徴収とかそういう点についての負担をされている業者の方々には、いろいろ御迷惑はあると思つておりますが、結局酒の税金についていえば、やはり税金は酒屋さんに扱つていただかなければならぬ、こういつたような関係もございますわけですから、やはりそうした奢侈品に対しての課税ということが許される限りにおきましては、こういうことに考えて行くこともやむを得ないのじやないか、かように考えております。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 私が申し上げておるのは、かつて千四百品目のものが本日まで七十何品目かに圧縮された、その道程においては、政治的ないろいろな暗躍策謀が行われた、このことを私は申し上げておる。行われなかつたところの七十何品目の諸君が本日残つておると見るのが、これが大体の常識的な考え方です。そういうようなことは断じてないと渡辺さんはおつしやつておるが私は渡辺さんがその当事者であるからと一言も申し上げておらない。ただあなたの知らざる範囲内においてそういう政治的な暗躍が行われたということは——たとえば今度の造船疑獄は何であるか、たとえば政府の壷井官房長が何がしかの収賄をして今監獄の中につながれておるじやないか。かつてあなたと同じように潔癖な答弁をした人が、そういうような監獄にひつばられておるということは、一を知つて他を知ることができる。そういうようなことがずつと六、七箇年行われ、いろいろとこれが解除されて来て、この一、二年来一品目もほとんど解除されるものがなくなつてしまつた。そこでこのわずか七十何品目の諸君だけが解除運動に乗り遅れて今日まで取残されておることは、非常に気の毒であるから、この問題を初め、物品税の課税対象に対してこの際抜本塞源的な再検討を加えるの段階に立ち至つておることをあなたに指摘しておる。どうかひとつ、その点は間違いのないようによく心に銘記されて、この業者たちが毎国会々々々厖大な陳情書を送つて来ることについて、十分心を開いて検討するだけの余裕を持つて問題を処理されたいと思う。何でもかんでもこれ以上とらなければならぬ、とらなければ財政の収入がまかなえない、財源がまかなえない、そういうような便宜的なことだけでこの税法を処理されて行くということは、これははなはだよろしくない。  そこで私はあなたにさらにお伺いをしたいことは、昨年度はこれが中小企業者に対して相当の重圧になるので、大体二十億ないし二十五億程度の減税をしよう、できるだけひとつ減税をしようということで、免税点が引上げられたりいろいろの措置が講ぜられた。このことは、すなわちこれら業者たちがやりきれないから何とかしてくれというその痛烈な要望に消極的にこたえたものである。ところが今度のあなの方の予算によると、大体においてこれが逆の方向をたどつておる。調査会の答申案もそこにあるが、あなたの方も大体十億程度の増徴をここに見込んでおる。前国会においては大体二十億程度の減税のための措置を考え、本年度はこれに対してさらにまた相当額の増徴をもくろんでおる。この前考えてやつたことと今度考えてやろうとすることが一ぺん一ぺんその方針が違つておるということは、少くとも同じ主税局長の方針としてこれはをことに首尾一貫を欠くものだと思うが、この点について一体どういうふうにお考えになつておるか、ひとつ御答弁を願いたい。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 先ほどのお話に出ましたが、政府といたしましては、一ぺん税制そのものについてとつくり見直してみたいというので、税制調査会を開催しましていろいろ御意見を伺つたわけでございますが、その機会に、やはり一番はつきり出た問題は、同じ税負担が重い中におきましても、直接税の負担が重い。従つてこの機会におきましてはむしろ間接税、あるいは特にその中で奢侈的なものに付する税金はこれをより増徴をしても、直接税はむしろこれを下げるべきである、こういう全体の御意見が出て来たわけであります。従いまして虚心坦懐に考えろというお話の通り、われわれもよくこの点の御意見を伺いました結果としまして、今回の税制改正におきましては、税制調査会の線から見ますと非常に不十分なものとは確かに言えると思いますが、間接税の方の増税はする、しかし直接税の方でそれを下げる、そういう方向に考えて行くのが、同じ主税局長のもとかもしれませんが、やはりいろいろな方々の御意見を聞いて一つの方向として考えて行くべきものじやないか、こういうような結論に達したわけであります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 これは先国会におきまして、同僚平岡君によつても強調されたところであるが、ただいままた井上委員によつて指摘された。いずれにしても、先般来予算委員会において問題になつておる、たとえば赤坂地帯における連夜の大饗宴、こういうようないわゆる大法人、大会社の遊興するところの交際費、これに課税するならば、たとえばこれを八百億円と推定して百分の四十でかければ三百二十億とれる。こういうようなこともわれわれの指摘したところであるが、そういうような方向へもう少し適切妥当な検討を加えて行けば、課税対象は捕捉できないことはない。そうすれば、これを全廃して国民大衆の輿望ににたえつつ、一方適切妥当と思われるそういう余剰消費のところから財源確保の道も考えられないことはないのです。今回幸いにあなたは一定額の交際費に対して課税をしようということは、これは辛うじて一歩前進ではあるが、百尺竿頭一歩を進めて、われわれの主張するところを十分取上げられて、そしてすみやかにこの物品税を全面的に撤廃するために、あなたの深い学殖と経験とを生かしてもらいたい。  それからさらにもう一つ入場税についてお伺いをしたいが、これはあなたの方の御説明によると、地方に財源が偏在をするからこれを国税に移管をして、そしてその財源の偏在するところを是正するところを是正しよう、こういうようなところに一半の目的はある様子であるが、はたしてそうであるかどうか、ちよつとこの点を伺いたい。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 今春日委員のおつしやつたように、入場税を国で徴収しまして、これの九割を人口割で地方に配付する、これは、その機会におきまして課税の適切を期するとかいろいろな趣旨はございますが、大部分の目的は、今お話になりましたように財源偏在を是正したい、こういうところにあると申し上げていいと思います。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 現在府県の地方税は、この入場税、遊興飲食税、事業税、この三本建をもつて地方財源として、この三つが支柱となつて地方行財政が行われておると思う。さすれば、この入場税は地方に偏在をしておるから、そこでこれを国税に移管をして人口割で九割を配分する、かりにこの理論が正しいとするならば、なぜ遊興飲食税と事業税、これを同じような方針で処理しないのか、その理由をひとつ伺いたい。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 全部をそうした姿でもつてやるということも、それは一つの考え方であると思いますが、やはり物事には順序がございます。それから同時に地方としましては、やはり独立税的なものが一つほしいという要請が強いわけです。従いまして、その中で一応顕著なものをこの際としてはそういうことをすると同時に、また先日も申し上げましたが、そういうことをすることによりまして、さらに新しくタバコ消費税といつた姿のものを地方の独立財源として附加することができる、そういう方向のものであることを御了承願いたいと思います。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 ただいまの主税局長の御答弁は重大である。たとえば、あなたは物事に順序があると言われたが、さすれば、今回この入場税によつてその方針が頭を出して来た。そうするとあなたは次の段階において、その順序を追うて、末は遊興飲食税並びに事業税を国に移す方針であるかどうか、この点を伺いたい。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 私順序があると申したので、どうもいささかそれを強くおとりになつたと思いますが、次の国会におきましてそういうことにするかしないかということにつきましては、まだ政府としては方針をきめておりません。

春日一幸日本社会党(右)

○春日委員 これも否定も肯定もしていないということは、さらに重大である。そこで私はあなたにお伺いしたいことは、私はそれだからこそ、地方の人々が大県であると小県であるとを問わず、この問題に対して猛裂な反対運動を巻き起しておる理由はそこにあると思う。私はあなたに申し上げたいが、今日この地方自治の高揚、民主政治の高揚というものは、まず地方自治の確保にあると思う。地方の自治を確保するためには、まず財源がなければならぬことは申し上げるまでもないのです。そういうようにして国に入場税を奪つて行くことは、遊興飲食税を、やがては事業税をとつて行く。そうすると地方に財源は何にもなくなつてしまうわけだ、そうすると、これがちようど政府の考えておるところの中央集権的官僚国家、すなわち今警察法を取上げて審議に入つておるのであるが、さらに塚田さんがこの間本会議において答弁されたところによると、知事を官選にすることが望ましいことだということを述べられておる。今地方行政の三大支柱となるものは何であるか、知事の民選と警察の民主的制度と地方に財政的独立財源があるというこの三つなんです。そこで今もうすでに警察を取上げようとしておるが、やがては知事を取上げ、そして今あなたのその言葉の端から考えると、あなたのその言葉の衣の中には、とにかくものすごいよろい、すなわち地方の財源の中央への奪還収奪、この恐ろしいよろいがちらちら見えておることはまことに重大だと思うのだが、私はこの問題はあなたに聞いたつてしようがないのであります。いずれ総理大臣なりあるいは大蔵大臣なりに本会議でこの問題を重ねて質問しなければならないことになろうと思うが、そういうように税務当局が、ただ単に入場税を取上げるということだけでなく、やがては遊興飲食税、事業税を取上げようという魂胆で虎視たんたんとそのことを考えておるということは、まことに重大なことである。この問題はいずれ本会議において総理大臣の責任を問う質問といたしたいので、私の質問はこれで終ります。

渡辺喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡辺政府委員 順序があると言つたことがいろいろ話題になつておりますが、現在われわれの方では、事業税をどうこうしようということを考えたことはございません。それから遊興飲食税につきましては、先日一応話題になつたが、それをいろいろな事情によりまして入場税だけにとどめたということでございまして、その辺は一応はつきり申し上げておきたいと思います。  それから率直に申しまして、私は、地方自治はやはり地方にできるだけ独立財源を与えなければならぬというふうに、はつきり思つているわけでございまして、その意味におきまして、地方の方で多年要望していたタバコ消費税というものを地方の独立財源としてぜひ与えたい、こういつた意味におきまして——これはもうおわかりだと思いますが、タバコ消費税におきまして、結局地方の方の財源になりますのが三百数十億でございます。決して春日委員のおつしやつたような意味において、漸次地方から独立財源を国がとつて行くといつたような考え方に立つているものではないということを申し上げておきたいと思います。

千葉三郎改進党

○千葉委員長 本日はこの程度で散会いたします。     午後零時二十四分散会

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