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19回国会衆議院1954/08/10

水産委員会 第35号

発言数
120
登壇者
15
会派数
2
開催日
1954/08/10

会議録

田口長治郎自由党

○田口委員長 これより会議を開きます。  外務政務次官秋山君より発言を求められております。これを許します。

秋山俊一郎自由党外務政務次官

○秋山説明員 お暑うございます。私今回、まつたくはからずも、たいへん場違いの外務政務次官を拝命いたしまして、先月就任いたした次第であります。御承知の通り全然しろうとでございますし、なお浅学菲才でございましてその任ではございませんので、皆様の従来以上の御支援と御指導によらなければその任が果せないと存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。簡単でございますが、ごあいさつといたします。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 ただいま秋山外務政務盗から就任のごあいさつがわれわれにありましたが、私どもといたしましては、ほとんどこの水産委員会なるものは、外務省の跡始末をしていなければならないという点がたくさんにあるのであります。このときにあたつてしかも水産業界の第一人者である秋山君が外務政務次官に就任されたことは、日本の水産業界にとつてまことに光明が開かれるものと考えるのであります。秋山君の今後の御活躍を期待してやまないものでございまして、敬意を表する次第でございます。

田口長治郎自由党

○田口委員長 次に公海漁業に関する件について議事を進めます。質疑を許します。中村清君。

中村清自由党

○中村(清)委員 私はこの機会に水爆実験によりまする損害補償に関しまして、ちようど宏藤国務大臣、水産庁長官、また外務政務次官も見えておられますから、一言お伺いをいたしたいと思うのであります。この問題につきましては、当局におかれまして熱意を持ちまして解決に努力せられておりますことは、私ども了承いたしておるのであります。しかしながらこの被害は時を追うてその損害甚大なることがわかつて来ておるのであります。政府のこれに対しまする措置いかんということは、国民のひとしく注目するところでございます。そこで、まずこの機会に本問題に関しまして、外交交渉の許す限りの経過に関する御説明をいただきたいと思うのであります。なお外交交渉と関係なく、国として補償すべきものはしなければならぬ、かように考えておりまするが、これまでの政府のとられました補償に関しまする措置につきまして経過を承知いたしたいと思うのでありまして、関係大臣並びに水産庁長官の御説明をいただきたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 ビキニの被害対策に関しまして、アメリカとの交渉はずつと継続をいたしておるのであります。だんだん進展はいたしておりますが、まだ結論には達しません。アメリカの方では、賠償に関しまして、大体直接損害を受けたところに対して賠償をするというような方針らしいのでありますが、しかしながら形においては直接とか間接とか言わないで、総活的に大くくりにして賠償をするというふうになつて来るだろうと思うのであります。日本の方では、直接なり間接なりすべてを積算いたしましてアメリカの方に提出してあるのであります。しかしアメリカとしては、直接損害に対しては責任を感じて賠償する、間接損害ということは今まで例がほとんどない、アメリカの国内法にも規定はないし、また従来いろいろなことが起つた場合に国際裁判所に訴訟になつたこともありますが、そういう場合におきましても直接損害だけの賠償、間接損害は賠償をしないという判例がありますので、アメリカとしては間接損害というものまでは、事情は察せられるがどうもそういうわけには行かない、しかし直接損害にしましても、相当幅は持たせて賠償をするという方針らしいのであります。これにつきまして日本としては、ずつと連続交渉に当つておりますが、その額の点等において一致をいたしません。そこでまだ結論に達しないのでありますが、しかしこれもだんだんと進んでおりますから、おそらくあまり遠からざるうちに解決がつくのではないかと推測される次第であります。本日までの過程はそういうような状態にある次第であります。

中村清自由党

○中村(清)委員 ただいま額は申し述べる程度に至つていないということでありますが、どうも伝えられるところによりますと、外務省の方の腰が非常に弱いやに聞きまして、非常に心配いたしているわけであります。どうか安藤国務大臣におかれましては——直接あるいは間接ということの区別は意味がないものであると私は思う。いやしくもある行為を行つて、その行為がいかなる結果になつたかということの、原因と結果との間の因果関係の問題と思いますが、これは直接、間接ということをわけるのは非常に困難でありまして、ある行為で通常起り得べき損害については、私は因果関係があるものとして直接損害ということが言えるのではないかと思うのであります。それらの点について、どうか関係当局を安藤国務大臣におかれましては鞭撻せられまして、国民の期待に沿いまするようにお願いをいたしたいと思うのであります。  次に私は、外交交渉は外交交渉といたしまして、実はこの問題については国内的に処理さるべき問題が多いと思うのであります。外交関係ということになりますと、いろいろ外交の慣例あるいは国際法規の関係というようなことがございますが、国内的に見ますれば、いやしくも国民が自分の責によらないところの原因で損害を受けておるわけでありますから、これは政府としては相当考えて行かなければならぬと思う。先般の李承晩ラインの問題におきましても、韓国との外交交渉は十分できておるわけではないけれども、政府としては相当の補償をしておられるのであります。これは当然と思うのであります。この点について水産庁長官は、いかなる方針でこの損害補償に臨んでおられるか、根本的な方針についてお話を願いたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 大体のことをお答えしまして、あとは水産庁長官から答弁をしてもらいます。  ただいまお話の通りに、対米賠償の問題と並んで国内措置についても検討を重ねておりまして、いろいろ相談をいたしました結果、いろいろ事情がありますし、また間接損害ということについての性質、限界、範囲、いろいろな点からなかなか困難な事情がございます。しかしながら、何とか今の業界の受けました打撃を切り開いてやらなければならぬと考えまして、融資をするということに方針をきめまして、関係閣僚との間に相談を進めておるのであります。今すでに三崎、焼津につきましては一億三千五百万の融資をいたしたのでありますが、それではまだ他の範囲にも及んでおりませんし、かつまた生産業者ばかりでなく、流通関係の方面にもこれを及ぼしまして、危急を救つて仕事が円滑に進行するように、融資で行こうということに政府は方針をきめまして、ただいま関係閣僚中で相談をして、これも相当進行をいたしておる次第であります。  なお細目は水産庁長官から答弁をしていただきます。

清井正水産庁長官

○清井説明員 ただいま安藤大臣からお話申し上げたことに尽きるのでありますが、私ども当初損害額を計算する場合におきましても、いわゆる一般にいわれております直接であるとか、間接であるとかいう表現は実はいたしていないのであります。いろいろな角度からこの問題によつて起つた被害を計算いたしておるのでありますが、ただアメリカがさしあたつて考えていることが、いわゆる直接に起つた損害に限局したいという気持があるということから、あるいは直接であるとか間接であるとかいうような言葉が起つて、直接損害、間接損害ということがいわれるようになつたのではないかと私どもは考えておるのでありますが、私どもは直接損害、間接損害という言葉は公式には何も使つていないのであります。  ただいまの賠償の交渉経過につきましては大臣からお話がありましたが、それに関連いたしまして、国内措置といたしまして、資金運用部の資金を県に貸与いたしまして、県が金融機関を通じて関係業者に貸与するという方法でもつて、一億三千万円余の金額を神奈川と静岡の両県に貸付することをいたしておるのであります。特に両県が非常に大きい被害の県であること御承知の通りでありますし、特段にこれが緊急を要するということで行つたのであります。なおこれは両県のみでは足りないのでありまして、そのほかにまぐろ漁業は、太平洋の沿岸等を通じて各県にあるわけでございますから、そういうような方面にも神奈川あるいは静岡に貸付を行いましたのと均衡をとりまして、所要の貸付を行わなければならないというように考えまして、目下私ども関係省と相談をいたしおるというような実情であります。静岡には大体五千万円、神奈川には八千三百万円というように貸付のわくが決定いたしたのでありますが、静岡は大体これが末端までほとんど割当が了しておるようでありますが、神奈川が少し遅れておるようであります。しかしこれまたおつつけきまることだと思います。  大体同じ条件、同じ方法によつて今後貸付が行われると思うのでありますが、要するに政府が県に貸して、県が責任者という形で、業界に金融機関を通じて貸し付けるという形に相なるのであります。ただいまのところ、両県以外の各県に対する貸付等を検討いたしておりますので、もうじきこの問題に対しても結論に達し得るというように考えておる次第でございます。

中村清自由党

○中村(清)委員 ただいま融資のお話がございましたが、私ども承るところによりますれば、生産者以外の仲買人とかその他市場関係者の方にもいろいろお話がありまして、まとまりにくいというお話を聞いておりますが、私は一番損害を受けたのは生産者であると思うのであります。こういうわけ方の問題のために神奈川県あたりでは問題を起しまして、非常にわけ方が遅れているということでは、はなはだ残念だ。融資は、もとより額の問題でありますけれども、一刻も早く渡ることによつて再起を期待し得られるわけでありますから、なるべくひとつ水産庁の方で早くまとめて、一般の業界にただちに生産資金が行きますように、格別の御努力をいただきたいのであります。なお静岡、神奈川県だけでなしに、たとえば三重県とか宮城県とか相当の業者がいると思うのであります。全国的にも相当散らばつているというように聞きますが、どうか一刻も早く融資額を決定していただきたいと思いますが、大体いつごろになりますか、お見込みでけつこうでありますから、お聞かせ願いたい。

清井正水産庁長官

○清井説明員 この問題は先般から相談をいたしておりまして、大臣には非常に御苦労願つて、関係大臣といろいろ御相談があつたのであります。事務的にも話を進めておりますので、もう二、三日で解決するのではないかというように考えております。

中村清自由党

○中村(清)委員 時期はなるべく早くお願いするということにいたしまして、さらに額の問題でありまするが、先ほど申しましたように、仲買人の関係もあり、いろいろ複雑な政治問題も起るかと思いまするが、生産者の損害については、どうも業者といたしましては、実質損害の額に対しましてほんのちよつぴりであるというので、もの足りない感じを持つておるやに聞くのであります。これまでの静岡、神奈川県の査定方針があると思いまするが、その査定方針と同じように、他の県にも及ぶようにしていただきたい。なお俊鶻丸の調査の全体がわかりました際には、またこれによつて査定の問題もあるいは影響を及ぼすのではないかということも考えられるわけであります。この点は私調査の結果を十分伺つた上で、さらにまたお願いすることにいたしたいと思いまするが、とりあえずといたしましては静岡、神奈川県と同じ方針で全国に及ぼしていただきたい。これを特に要望いたしまして私の質問を終ります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 なおこの際委員長からも安藤国務大臣にお願いしておきたいと思うのであります。今の中村委員の申されたように、生産者がいかに困つているかということが漸次深刻になりまして、資材会社も、油も氷ももう供給できないというところまで行つております。さような状態からいたしまして、何とか生産者を至急救済する方法を講じなければならぬと思うのでありますが、アメリカからの補償金額もおよそ見当がつくと思いますから、その内払いでも至急やつていただくような——融資というお話も出ておりますけれども、融資の金額は大体きまつているだろうと思うのです。その金額では今の生産者は救われないような状態にあるのでありますから、補償金の内渡しというような意味にでも、出漁ができますように、特別に御配慮が願いたいと思うのであります。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 ただいまの委員長のお話はよく承つておきます。そうしまして今のお話のように国内措置、国内融資の問題が、もう数日間に片がつくだろうと思つております。また片をつけるべく最善の努力をしておる次第でありますが、万一それが延びるというようなことになれば、何とかそこに内払いとか立てかえ払いとかいうような特別の方法は講じるように検討をしてみようと思います。

田口長治郎自由党

○田口委員長 赤路委員。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 七月の月に、参議院の水産委員会でかなり詳細にわたつて質問があつたようでございます。今また中村委員及び田口委員長から質問がございましたので、重複を避けまして、一、二点安藤国務大臣にお尋ねしておきたいと思います。  米国に対しまして先般損失補償の中間要求をやつたということを私ども当委員会で承つたのでございますが、その際中川アジア局長の話によりますと、アメリカ側は中間補償というようなことでなしに、この損失補償に対しては一括補償をしたい、こういうような意図であつたという話が中川さんからあつたわけなんです。従つて今回、ただいま額は言えない、しかしながら要求をしておるというその額は、アメリカ側のそうした意図に基くこの水爆実験によるところのすべての損失に対する補償の額として一括要求されたものであるかどうか、この点を承つておきたい。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 その問題はしばしば参議院の委員会等にも出たのでありますが、日本としましては全体を通じまして向うへ提出してあるのであります。アメリカ側の見解として、一括して総括的に賠償をしよう、こういう方針になつているのであります。ところが今アメリカで内示して来ている額では、どうも不満であるという点がありますので、なお折衝を続けておるのであります。最後の結論はどこへ行くかわかりませんけれども、つまり今向うから提示している額以上にまでは運びたいということに方針をきめまして、関係大臣の間で相談をして、向うへ折衝をしている最中でありますから、どうぞそう御承知を願いたい。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 ただいまの御答弁でわかるわけなんですが、そうすると今度のアメリカ側へ要求しておる額というものは、全体を通じての総括されたものであると了承していいと思います。そうなつて参りますと、おそらく間接損害であるとか直接損害であるとかいうことは、清井長官のお話でも、考えていない。損害は総括された形で日本側の方としてはこれを考えておる、こういうことだと思うのであります。ただ間接損害という面では、おそらく今の魚価の形から参りますなれば、爾後にはこのままで、あとアメリカ側があそこでまた継続して水爆実験でもやらない限りにおいては、大体いいじやないかと思う。で、今までの損害ということになりましようが、しかしながらなお若干のものが出て来るということと、もう一つ、特に私心配いたしますのは、被災船員の治療の問題、第五福龍丸の被災船員の治療が爾後何年かかるかということは、まだ確実に握られていないとともに、その船員の家族の生計ということを十分考慮の中に入れなければならぬ。参議院における今までの答弁を私ちよつと調べてみたのでありますが、これらのことに関しては全然触れておられないようであります。特に焼津における被災船員の家族の今日の生計というものは十分でない、このことはこれらに対する補償措置というものが、ほとんどまだ具体的になされていないということを現わしておるのじやないか、こういうことが考えられる。従つてこの治療に何年かかるか、そのかかる間の家族の生計というものは、十分維持してやらなければならぬのだが、そうしたものを、十分安心できる安定度を考慮の上で、アメリカ側に対する要求というものがなされておるのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 患者の問題につきましては、患者の中にも重い患者と比較的軽い患者とありますが、これをよく検討しまして、患者の治療費並びに今後の生活保護と申しますか、あるいは名は慰藉料という名になりますか、いずれにしても生活を保障する程度の額を計算してアメリカに要求してあります。でありますからアメリカはこれを承知をして賠償に応じて来ると思うのであります。それで患者の問題は、要するにアメリカ賠償ということを向うでも自覚をしておるのですから、患者の今後については心配はないと思います。しかしながらさらにずつとそれが長引くとか、あるいは病気の程度のいかんによりまして、賠償後にそういうような非常な最悪な状態が起るとは思いませんが、万々一そんなような場合が起つた場合には、おのずから政府としては国内的にそのときに考えて行かなければならない、こういうように存じております。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 大体了解いたします。ただそのときになつて政府が考えるというのでなしに、すでに今日困つておるという実態はおわかりだと思いますから、十分手を打つていただきたいと思います。損害を受けた補償にいたしましても、すでに四箇月を経過しておるにもかかわらず、まだ十分な措置がなされておるとは私たちは考えないのでございます。政府の方といたしましても、可及的にこれらの補償に対する措置は、アメリカ側との交渉がどうであろうとも私はとつていただきたいことを、特に強く大臣にお願いしておきたいと思います。  それから融資の問題でございますが、ただいま大臣から基本的な方針をお伺いいたしました。また清井長官の方から、ここ二、三日の間に解決がつくだろうということでございますので、これ以上は申し上げませんが、田口委員長が申しましたように、現状は非常に困つた状態にある、このままではおそらく出港もできないんじやないかというようなどたんばに追い込められておるのが今日の現状のようでございますので、ひとつ速急に解決づけるよう、この点御留意を願いたいと思います。  そこでもう一点お尋ねいたしたいことは、この業者の諸君が漁船建造その他の融資を受けておるのですが、今日償還期に来ておるもので償還ができないというような実態のものが相当数あるようでございます。これらに対する借入金の償還延滞措置ということをお考えになつたことがあるかどうか、あるいはそういうことに対して何か手を打たれておるかどうか、これをお聞きいたしたいと思います。

清井正水産庁長官

○清井説明員 ただいまの御質問の点につきましては、まだ具体的な措置はとつておりません。業者の方が今回の災害のために非常にお困りになつておる実情は十分伺つております。それに対してできるだけのことは今までいたしておるつもりでございますが、借入金の返済の問題についての措置等につきましては、私どもとして、まだ具体的には何ら手を打つておりません。なお各業界の方々から、具体的にひとつ実情を伺つてみたいと思うのであります。そこでそれぞれの具体的な問題としてこれは解決して行く方がいいんじやないかと思われますが、いずれにせよ業界の実情を十分伺つた上で適当な措置をしなければならぬ、こういうふうに考えております。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 今のお話によると、具体的な問題が出て来るならばそのとき考えるという御意見だと思います。この点については個々の業者として、たとえば何々丸はこういう状態にございますというようなことは、あるいは陳情はなかつたかとは思いますが、総括して全体としてこれらの措置をぜひおとり願いたいということは、この事件発生当初からすでにあつたことだと思います。今が今起つた問題ではないのであります。ほんとうに水産庁の方において、あるいは政府当局において親心があるとするなれば、今になつて、この問題は具体的に出て来れば考えるというのでなしに、その事前において当然私は考えられておらなければならぬ問題だと思う。今さらになつて申し上げてもどうかと思いますので、ぜひこの点についての措置を十分お考え願いたいことを御希望申し上げます。  もう一点は、この被害を受けた業者諸君に対する減免税の措置でございますが、これに対して何らかの手を打たれたかどうか、この点お聞きいたしたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 前のことは今清井長官から答弁されました。なおそれは具体的によく考えよう、検討しようということであります。  それから税の減免につきましても検討考究をいたしておりまして、苦境にあります業者の税の減免については何とか方法を講じたいと思います。それでその点についてはすでに着手した点もございますから、それは今水産長官からお答えをいたします。今後もなお減税問題についてはぐあいよくやりたい方針であります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 赤路委員に申し上げますが、大臣は閣議前に懇談会があるそうで、淡谷さんがちよつと質問したいそうですから……。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 よろしゆうございます、どうぞ……。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 ただいまの答弁では、日本の要求しました補償額とアメリカが承諾しておりますものとの間に差異があるようなことでございますが、一体数字的にどれくらいな差があるのかお答え願いたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 数字の問題は、実は申し上げたいのでありまして、委員会で非常に御心配になつておることであり、われわれすべて国民が心配していることなんで、ほんとうはここですつかり披瀝したいのでありますが、いろいろの都合上、数字の点だけはここではつきり言うわけに今のところ参りませんから、その点はひとつ御容赦を願いたい。ただそれに近いことだけ申し上げておきますが、アメリカでは最近——初はもつと低い賠償額を内示をして来たのでありますが、しかしそんなことではとうてい解決はできないという考えを政府が持ちまして、ずつと折衝を続けて来た結果、最近におきましては八十万ドルというような数字がうたわれておるのであります。しかし八十万ドルではなお不満である、それじや解決はできないというのがわれわれ政府側の考え方であります。でありますからもう少し上げなくてはいかぬという点で、その額の点についてもずつと続けて交渉しております。もちろんこれは外交交渉ですから外務大臣がやつておるのでありますが、大体はそういうわけであります。それだけお答えをいたしておきます。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 大体八十万ドルといつたようなお話、それからこの八十万ドルという額は、日本の要求に対してちよつと承服ができないといつたようなお話もございました。数字がはつきりお伺いができませんでしたから、これはしいて御答弁を求めませんが、さつきのお話では、アメリカは一括して補償するというような方針であり、もう一括して要求も出ておると思います。これに対しまして、日本側は間接あるいは血後の区別なしに要求しておるのに対して、アメリカ側は間接損害と直接損害との区別をしておる、このアメリカ側の言うところの間接損害、直接損害というのはどの点に限界を置くのか、その御答弁だけでもお願いをしたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 アメリカ側では直接、間接というようなことでなく、一括して賠償をやろう、こういう方針であるのです。しかし実質的に直接損害と言いますと、二十三人の患者の治療費、それから今後の生活保障費、それから福龍丸の船体がまるでだめになりましたから、これの処置費、福龍丸に載せてある船具であるとかあるいは船員の私物であるとか、そういうようなものの損害、並びに福龍丸に搭載して来たまぐろを全部廃棄いたしましたから、その廃棄の損害賠償、なお福龍丸以後三崎に第十三光栄丸が入つて来まして、これも多大の損害を受けております。それを初めとして、最近までのところで百四十九隻ですかの船が放射能を浴びて、まぐろをそこばく——これは程度の差はありますが、廃棄をしたりなんかしております。そういうものに対すること、まず大体大きな項目はそういう点が直接損害であります。アメリカとしましては、率直に言いますと、日本から提出してありまする額を検討して、そのごく直接というところを損害賠償したいという方針であります。そこでその他のことについては、アメリカ側が見て間接損害だと見るものは、これは先ほどもお話をした通り、アメリカの国内法にそういうこともなし、今まで例もなし、また従来いろいろなことがあつた場合に、国際裁判所の判例などもそういう点に限られておるから、実質的には直接的の損害ということになるのであろうと思います。しかしまたその直接といいましても、そこに幅は持たしてあるように思います。直接といつてもきわめて厳重な直接ということでなく、幅は持たしてあるように考えております。そういうことでありますが、その額が向うが言つて来ている八十万ドルでは不満である、不足であるというので、今交渉を続けておるのであります。そういうようなことになりますと、つまりまぐろの魚価の低落によりまして非常に損害を受けている。これがために市場も混乱をする。生産業者を初めとして流通関係の者も非常な打撃を受けておりますから、そういうものをここで救済をして、何とか早く打開の道を講じさせなければならぬと政府は考えまして、ここにおいていろいろ検討した結果、国内融資で行こうということになつて、その国内融資の道を今せつかく考究しているのであります。その国内融資でも、すでに一億三千三百万円というものは三崎と焼津、すなわち神奈川、静岡両県下に融資を講じてまさにその解決がすでに一方はでき、一方はその道程にありますが、これも必ずできるわけであります。しかしそれはまだ両県下だけのことでありまして、他に及んでおりませんから、そういうような方針をもつて他のところにも範囲を広く融資を拡張して行こう。いずれにしましても、これは早く解決したい、アメリカの交渉の方も早く解決したい、国内融資の問題もすみやかに解決して、一日も早く現在の窮状を打開させたい、こういう方針でやつておりますから、私の考えでは、おそらくそう長いことはない、もう遠からざるうちに解決がつくのではないかと思つておる次第であります。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 間接損害と直接損害は、さつき清井長官の御答弁によりますと、アメリカ側ははつきり区別しておるというように承りました。ただいま大臣の御答弁では、アメリカ側も直接、間接のはつきりした見解を示していないので、随時額をつり上げる交渉をしているというように受取れますが、これはどちらでもよろしい。但しすみやかに解決を要望する大臣の意図は十分了といたしますが、今後の日本のあの海域における漁業が一体可能であるかどうか。なおアメリカが来年度もまた同じような水爆実験をして、永久にあの海域における日本の漁業は不可能になるかどうか。この点の見通しをお伺いしたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 アメリカが実験をやめますか、やめませんか、これはよくわかりません。実験をやめてくれれば、これは一番万全の策だと思つております。しかしこれは私個人の見解なんですが、実験をやめるということはおそらくなかなかむずかしい問題であろうと思うことは、国際連合等のいきさつから考えてもおわかりであろうと思います。でありますから、実験が今後起きるか起らないかわかりませんが、まあ本年中はなかろうというのであります。来年になつては実験があるいは起るかもしらぬ。もしそういうことをまたやる場合においては、日本政府といたしましては、あらかじめ安全保障ということをアメリカに向つて要求したい、こういう考えでおるのであります。安全保障、つまり日本にあらかじめの通告をしてもらうとか、それから危険区域の設定を厳重にするとかいうことをして、被害の及ばないということを目標といたしまして、あらかじめアメリカに要求をする、こういう方針を立てておる次第であります。

濱田幸雄自由党

○濱田委員 今淡谷委員の質問に対する安藤さんの御答弁に関連して伺いたい。今承りますと、最近のアメリカ側の損害補償に対する腹案といたしまして、八十万ドル程度を考えておるというお話があつた。この八十万ドルということは、私なんかもかねがね新聞紙上なんかでも見ておつたことであります。今参議院院の委員会の方の内容についてのガリ版をいただいたのですが、七月の三十日に岡崎外相が答弁をせられておるのを見ると、この八十万ドルと報道せられておることは誤りであるというお答をなさつておるのですが、これはどうですか。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 それは岡崎さんの言われたことで私はよくわかりませんが、誤りというのは、それは新聞記者との会見の話が新聞に出たんですから、そういういきさつで何か誤りというようなことを言つたんじやありませんか。実際は八十万ドルということを言つて来ているのですよ。しかしそれでは不満だから今交渉しているのです。こう御承知願いたい。

濱田幸雄自由党

○濱田委員 大体わかりましたが、国内では今度の水爆実験による損害総額を十数億円に計算しておるのですね。おそらく政府御当局もそういうような計算をしておる。あるいは十八億とか十二億とか、とにかく十数億円という計算をしておると思うのですが、そうしまするとアメリカ側の考えと日本側の考えは、そこにかなり大きな金額の食い違いがあるということは断言してよいのですね。割合にその金額が接近しておるようなお話も聞きましたが、事実は非常な食い違いがある。そういうふうにわれわれ解釈してよいのですか。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 日本からアメリカへ提出をしてありまする額と八十万ドルということは相当の食い違いがあります。しかしアメリカの方の考えではその全部を賠償の対象にはできないという態度なんです。でありますから、その点はよくわけて御了解を願いたいと思います。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 時間もないようでありますから、私一点だけ国務大臣にお尋ねしたいのです。それは今安藤国務大臣の御答弁によりまして、アメリカから内示をして参りました賠償額が八十万ドルというお話がございましたが、それは邦貨にして約二億九千万円程度になると思うのであります。この二億九千万円のうち、政府は九千万円程度を内渡しをしておるということを私ども承知をいたしておるのであります。が、残りの二億円、これを最近の機会にさらに内渡しをする御方針が立つておられるかどうか、私どもは八十万ドルは寡少に過ぎると思うのでありまして、政府がその増額にさらに一層の努力をされておるということを私ども承知をいたしておるのであります。がアメリカから内示されたところの二億九千万円にいたしましても、残りの二億の内渡しをこの際やりまして、窮迫した業界の建直しにこれを早急に使うべきだ、こう考えるのでありますが、これに対してどういうぐあいに考えておられるか、この点お尋ねしたいと思うのであります。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 賠償額は今言う通り折衝中でありますが、しかしもう大分最後後に近づいて来ておりますから、そんなに長くかからないと思うのです。しかしながらそれがさらに長くかかるような場合は、お説の通り内払いといつたようなことについておのずから考えて行かなければならない、こういうふうに思つております。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 時間がありませんから、簡単に一点だけお聞きします。それは融資の問題ですが、県の方へ融資をする。そうして県の方から業者へ融資をするというのが今の建前なんです。これは政府が責任を地方公共団体に転嫁するやり方だと私は思うのです。当然これは政府の責任においてやるべきだ。これは県へ貸すべきものではない。それを県へ任すという形態をとつておるということは、私は政府の責任転嫁だと思うが、大臣はこれをどういうふうに解釈されておるか、それをお聞きしたい。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 それは決して責任転嫁ではないと思います。私はそういうこまかい金の操作の問題はよくわかりませんが、主として水産庁でこれを検討しまして、その方が事が早く進んで、それから円滑に行くという立場からそういうふうになつて来たのだと思います。政府は決して責任を回避しておるのではないということを御承知を願います。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 もう一点、今の大臣の御答弁は、決して責任転嫁でない、当面早く融資するためにそういう措置をとつたんだ、こういうふうに解釈申し上げます。従つて最後的な責任は政府にあるというように了解してよろしゆうございますか。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 責任は政府にあると思います。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 それでけつこうです。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 ただやり方が円滑にかつ敏活に行くと思うので、そういうことをうまくやつて行きたいと思うのであります。そういう細目の点は、外交関係はちようど中川アジア局長が来ましたし、それからそういう融資の問題等のこまかい点は清井長官がおりますからお聞き願います。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 私は今までの議論を聞き、また日本の輿論に対して政府は御努力されておる。しかしこれは現実の問題のみを考えておることである。こういう点に対して私どもの最も尊敬する安藤国務大臣は、政治的にもう少し物を考えてみていただけないかということを私は申し上げるのであります。要はビキニの原爆によつてあそこの海域は汚染された。しかしてアメリカの基地というのは相当に広範囲にある。太平洋内において島輿がある。たとえばサモア島のごとき、あの海域は相当ある。それなのにこれは現実の問題においてのみの問題の解決ということである。政治的に物を考えるという意味においては、むしろ積極的にアメリカの烏輿を、汚染をされていないというような海域を、何で政府は基地として借り入れることに積極的に出ないかということであります。こういう点をひとつ十分考慮されて、日本の漁業の進展、このまぐろ、かつお漁業の進展というものが、太平洋内のアメリカの基地を得ることによつて、これよりもつともつと積極的な漁業もでき得るという見解を持たれて折衝される用意をしていただきたいということが一つ。  次には、業者は今国内的の融資という問題に対して非常に苦しんでおる。しかしこの融資は現実の問題の融資である。現在業者はこうした将来の基地というものを考え、将来の漁業というものを考えるならば、これは積極的な船の建造ということになつて行かなきやならない。公庫の建造の融資のわくは非常に不足である。今まではこれに対して開発銀行が融資をしておつた、その開発銀行なるものが今日において漁業に対して融資を断つておる。こういう問題は、政府として積極的に漁業を進展させるということからいつたならば、開発銀行における融資のわくというものも漁船に対して再び復活して、もつともつと強くこれを取上げて、開発銀行に融資をさせるという方法に持つて行かなかつたならば、将来の積極な政策というものが成り立たぬということを私は考えておるものであります。こういう点に対し、われわれの最も尊敬する安藤国務大臣は、積極的にこの問題の将来の解決に邁進していただきたいという希望を述べておくものであります。

安藤正純自由党国務大臣

○安藤国務大臣 ちよつと一言だけしておきますが、松田さんの御希望よく了解しました。これは日本の水産資源並びに水産業の前途のために遠大なる考えをもつて対策を立てなきやならぬと思います。ここにビキ二の問題が起つて、当然そういう将来の問題は、現実の問題の解決とともに考えて行かなきやならぬということも考えております。農林大臣がその方の所管大臣だから、とにかくそういう所管大臣なりその他とまた相談をしまして、だんだん考えるようにいたしたいと思います。

田口長治郎自由党

○田口委員長 本日の政府出席者は、安藤国務大臣、秋山外務政務次官、清井水産庁長官、水産庁藤永調査研究部長、海上保安庁次長鳥居氏、同公安課長高見氏、外務省アジア局長中川氏、水産庁水産部長立川氏、五十嵐厚生省予防研究課長、阿曽村厚生省乳肉衛生課長であります。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 先ほど安藤国務大臣に私がお尋ねをいたしました点につきまして、もう少し具体的に関係当局よりお答え願いたいと思うのであります。  まず中川アジア局長にお尋ねをしたいのでありますが、安藤国務大臣のお話では、アメリカ側から内示さた賠償額の八十万ドルに対して、日本側はこれを不満としてさらに増額の折衝をしておつて、その結論は近いうちに出るだろう、こういう御答弁でありました。私は事外交折衝でございますから、結論に近いといつてもまだ相当の時間を要するのじやないか、こう思いまして、九千万冊の内渡しのほかに、残額の二億円をとりあえずおつかけて内渡しをすべきだという主張をいたしたのでありますが、外務当局も安藤国務大臣と同じように、ここ一週間なり十日なりの間に、きわめて近い機会に結論が出て、そうして八十万ドルを上まわるところの賠償を業界に対して支払うことができるようになる見通しに立つておられるかどうか、その結論がいつごろ得られるか、もう少し明確に中川アジア局長からお伺いしたいと思うのであります。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川説明員 ビキニの補償問題に関しますアメリカとの交渉は、安藤国務大臣の言われましたように、大体結末に近くはなつて来ておりますけれども、ここ一週間、十日の間に片づくというようなことは、まだ言えないのではないかと考えます。さりとて相手のありますことでありますから、的確に何日ぐらいということも、今これを予測することは困難でございますけれども、しいて言えば約一箇月くらいはかかるのではないかと考えております。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 私が予想した通りの御答弁でありますが、すでに赤路委員も指摘されましたように、この問題が起りましてから四箇月以上も経過いたしております。業界の悩みは日に日に深刻をきわめておるわけでありまして、少くともアメリカ側から内示されたところの八十万ドルは、これは一応見通しのついた額であるわけでありますから、この際私は清井長官にお尋ねしたいと思うのでありますが、業界のこの苦しい立場を察せられまして、緊急残額の二億円を内渡しする方針を決定される御意思はございませんか、その点を重ねてお尋ねしたいと思います。

清井正水産庁長官

○清井説明員 生産者の方が非常な苦しい状態にあつて、それが最近非常に逼迫しているというお話でございましたが、確かに業界の方が、今度の問題のために非常な損害を受けておりまして、出漁その他に非常な悪影響を及ぼしておられるということは、十分承知をいたしておるのであります。そこで先ほど御説明申し上げましたように、関係生産業者等に融資の措置を講ずることをいたしたのでありますが、この融資につきましても、実はその決定をいたすまでの間におきましても、単にいきなり預金部資金から融資というようなことでなくて、いろいろな方法を考えてみたのでありますが、結局現在の金融情勢等からいたしまして、金額も一億五千万円、あるいは融資の方法も預金部の資金を出すというようなことに立ち至つたのであります。そこでただいまは先般の融資の実行と、さらにその後の融資の増加ということを努めてやつているような状況でありますが、これまた実際問題として、そう多額な金額にはなり得ないのでありまして、貸し付けましたものと大体均衡を見た金額が貸し付けられるのじやないかということで、今関係省と相談をいたしているような状況であります。ただその状況にかんがみまして、業界の要望にも沿い得べく、何がしかの金額を内渡しを考えたらどうかというお話でございますが、この点は御承知の通り、すでに福龍丸の政府買上げ措置、あるいは廃棄した漁獲物について、実は当該船に対して二千百十万円のほんとうの内払いをいたしているのでありますが、その後についてなお積極的な措置をとれということでございますが、この点は、ただいまアジア局長からもお答え申し上げたのでありますが、この賠償交渉がどういう時間的経過において妥結を見るかという問題とも、実は重大な関係があろうかと思うのであります。その問題とのにらみ合いもあり、またただいませつかく融資の話合いを進めているのでありまして、この融資の方法によつて、金額はわずかでありますが、とにかく若干の処置をとるということもいたしているのでありますから、その進行状況等ともにらみ合せてでないと、この問題は容易に解決できない問題だろうと思うのであります。そこで私ども外務省とも今後密接な連絡をとりまして、損害賠償の交渉がどういう時間的経過をもつて進むかという問題、並びに今までとりましたしまた今後とる融資の問題が、実際上どういうふうに業界の方に影響を与えるかという問題ともにらみ合せて考えて行かなければならぬ問題だと思うのであります。これは今後の問題だというふうに私は考えております。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 長官も、せつかくこの業界の救済の面については考えておられるようでありますが、しかし業界が苦んでおります実情とは非常なずれがあるように思うのであります。私は、賠償の面におきましても、一つの目安がついたのであれば、その範囲内でどんどん内渡しをして、苦しい業界の救済に対して、早急に手を打つことが行政であり、今後のわが国のまぐろ漁業の進展の上にも非常にプラスになる、こう考えるものであります。幸いにして最近きわだでありますとかあるいはとんぼまぐろでありますとか、ようやく魚価も回復いたしております。業界の生産意欲は、このような大打撃のどん底から立ち上つて、何とか生産を増し外貨の獲得にも当りたいという熱意が盛り上つている際であります。そういう際でありますから、一日早ければ早いだけわが国の漁業生産の上に非常な好影響をもたらす、これは言うまでもない点であります。そこで私は、アジア局長のお話のように、今後一箇月も結論を出すまでに時間を要するということであるならば、一応のめどがついた二億九千万円の賠償額の内渡しをすみやかにやることが適当である。私は政府与党の一員としても、これを強く政府に要求いたしたいのであります。この点は、長官は大臣等ともお打合せがないと思いますから、はつきりしたことを言明はできないと思いますけれども、本委員会におきまして、与党側からもそのような強い要求があつたということを十分腹に入れられまして、適切なる、すみやかなる措置を講ぜられることを強く私は要求いたしたいのであります。  次に融資の問題でございますが、政府が考えております融資の額は、どういう額でありますか。その算定の基礎はどのような点に根拠を持つておられるのか、その点をお伺いしたいと思うのであります。と申しますことは、業界側では大体融資に五億円程度を要する。あのビキニの影響によりまして非常に魚価が低落をして、収入が減退した。そのために次の出漁の仕込み資金に困つておる、漁業再生産資金がない。それに要する資金は五億程度が最小限度必要である、こう言うております。これに対して、政府の方の現在考えておられる額は、それに及ばない額であることが推察されるのでありますが、しからば両者の額の開きというものは、算定の基礎の見方いかんにあると思うのであります。そこで政府が考えておりますところの額——おそらく神奈川、静岡に行く額の倍を上まわることはないと思いますが、その算定の基礎がほんとうに納得できるものであるかどうか。本委員会としてもその点を検討したいと思うのでありまして、政府が考えておりますところの融資額の、算定の基準をお示し願いたいと思うのであります。

清井正水産庁長官

○清井説明員 算定の基準の御質問でありますが、今詳しい資料を持つておりませんので、数字的なお話を申し上げることはできないのでありますが、考え方だけを申し上げたいと思います。当初一億五千というのを決定いたしましたのは、これは先ほどもちよつと触れたのでありますが、融資の方法としてはいろいろな方法が考えられるのであります。常に業界の方々が利用しておられる金融機関を使う。そのために所用の資金を何らかの形で日本銀行その他の銀行から指定預金をするというようなこと等も考えられるのでありますが、そういう方法等をとらずに、結局預金部の資金を県を通じて貸し付けるというような形になつたのであります。そこで一億五千という金額も、一定の積算をいたしましてやつたのではなくて、そのときの金融情勢その他からいたしまして、とうていこのような措置はとれないのであるけれども、これはビキニ関係のまぐろ漁業者の損害に対する緊急やむを得ざる措置たということで、最小限度の数字ということで一億五千万円がきまつたような経過であるのであります。ただその一億五千万も、当初の事務的な話合いといたしましては、大体生産地に対する措置だということでございましたけれども、実際問題といたしましては、これは静岡、神奈川が大部分でありますので、実際としては静岡、神奈川に大部分行くという結果に相なつたのであります。そこでどういうふうにして算定したかということでありますが、これはなるほどただいまもお話の通り、大体かつお、まぐろが五万トンある、一トンについて一万円の出漁資金がいるから五億、こういうような計算であるのであります。これは業界からも十分お話を承つておるのでありますが、私どもはそういう計算をいたしたのではないのでありまして、ただいま安藤大臣からもお話がありました、対米資料として出しましたところの関係業者の損害額というものを推定をいたして算定いたしておるのであります。すなわち出漁資金だけを見たのではありませんので、その出漁資金の所用経費に対してある一定の収入を見たのであります。その収入と出漁資金との差額がマイナスということになりますので、そのマイナスの数字をずつと当りまして、一定の金額を出したのであります。その金額の県間の比率を見たわけであります。むろんその場合の計算といたしましても、私どもの専門の課長並びに専門家に計算をさしたのでありますが、非常に精細な計算をいたしております。そこでむろん船型もトン数別にわけまして、それぞれの標準トン数の生産数量に魚価をかけまして所用経費を出しまして、そして一航海について大体どのくらいの損害額があつたという数字を出しまして、それに所用船舶の数をかけて全体の損害額を出したということであります。むろんその中には専用の漁船もありますし、兼業の漁船もあるわけであります。そういう事情も勘案いたしまして、そして県間の損害額の比率を出しまして、それが一億五千のわくの中で神奈川、静岡が占めるわくをとつたということで、この金額ができているのであります。そこで今度私どもが出します場合におきましても、非常に多く融資ができればこれに越したことはないのでありますが、実際の問題としてなかなかそうは行かない。そこで結局少ないなら少いなりにやはり県間の比率をとる必要があるだろうということで、静岡、神奈川にこの程度を貸付すれば、ほかの県にはこの程度貸付しなければならないという一定の数字を出したのであります。むろんこの数字といいましても、個々に一々当つたわけではありませんので、大体私どもの専門家の長い間の経験に基きまして、この程度が標準であるという計算からつくつておるのでありまして、その標準の計算に従わざるを得ない。そういつたような県間の比率ということを重点に置きまして計算をいたしております。従つてこれが出漁資金に対する比率ということではなくて、損害額の推定による比率という形で計算をいたしておるのであります。従つて私どもが算定いたしておる金額も静岡、神奈川県以外の県の金額も、結局静岡、神奈川に対して、かりに一億三千三百万円を貸付するとすれば、ほかの県にはこのくらい貸付しなければならないという金額を出しておるわけでありますから、そう多額の金額は出ていないのであります。そういうことでやつておりますので、いわゆるトン一万円の資金がいるということで、それに対してこのくらい資金を貸付するということではないのでありまして、損害を受けたからこんなに困つた、それに対する貸付だ、こういうような観念でおります。使われるのは出漁資金に使われるけれども、その基礎はアメリカに要求した損害額を基礎にする、こういうことになつておるのであります。むろん貸付する金額が多額であればそういう問題も起らないのでありますけれども、今の金融事情その他からいたしまして、貸し付ける金額もごく限られておりますので、やむを得ず金額は少いながらも均衡を保つ計算をせざるを得ない、こういう立場に相なるのであります。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 出漁資金の融資の算定基礎につきまして、長官から当局が考えております詳細な御説明がございましたが、これは私は、机の上の計算では水産庁の事務当局が計算をしております数字は、一応正しいのではないか、こう考えるのであります。水産庁の方で考えておりますのは、今長官の御説明にもありましたように、あのビキ二の問題が起りました前における、出漁のための仕込み資金としてこれだけかかつた、その後水揚げがビキニの影響で、魚価が非常に低落をして、再生産に要する仕込み資金を割る額の収入しかなかつた、その差額分を補給してやる、こういうような計算のようであります。机の上の計算ではそのような算定も一応できると思うのでありますが、しかしあのような大打撃を受けましてから、業者に対して金融機関は全面的にストツプをしておる状態であります。また再出漁ができないで数箇月というものは船をつないでおる、その間に借金の払いもありましよう。あるいは船員その他の家族の生活費の補償もございましよう。従いましてその当時の水揚げの収入というものは、ほとんど業者の手元にはないものと考えざるを得ないのであります。そうすると今回ようやく魚価が持ち直し、政府も出漁資金の援助をして、再出漁をします場合には、業者は金融機関の信用も全面的に失墜をしておるということであれば、まるまる出漁に必要な資金というものはここで手当をしなければならない、これが業界の実態であります。従いまして単なるビキニの影響によつて損失をこうむつたその差額という計算では、机の上では計算が合いましても、現実の業者の出漁はできない、これが実情ではなかろうかと私は思うのであります。そういう点に、業界がほんとうの再出漁のための入り用な資金というものと、水産庁が考えておりますところの計算との間に相当のずれがあるのではないか、こう思うわけであります。中途半端な融資をしましても、船は途中で帰つて来るような仕込みはできません。完全なる出漁がなければ生産まで至らない。このことを十分考慮されまして、再出漁ができ再生産ができる必要な額を融資すべきだ、こういうことを私は考えるものでありまして、この点もさらに重ねて水産庁において御検討を願いたいと思うのであります。  それからもう一点、先ほど赤路委員からお話がございましたが、今回の融資は府県を通じての融資であつて、政府がいかように考えておりましても、一般に与える印象は、政府は自己の安全のみを考えて、府県にその責任を転嫁して、すべてを府県の責任においてやつておるという印象を遺憾ながら与えておると私は思うのであります。そこで国会も開会中であり、立法措置もできないのでありますから、政府が現在とつておりますところの行政措置による融資ということは、一応適切なる措置であると私は思うのであります。しかし本来の措置といたしましては、農業における凍霜害対策でありますとか、あるいは冷害の際における営農資金の融資と同じように、やはりこれは国家の責任において、立法的な裏打ちによつて、そして営農資金と同じような損失補償あるいは利子補給のような措置を講ずべきが本筋であると私は考えるものであります。そこで現在とつております府県に対する転貸を一応やつておきまして、臨時国会等の際にはこれを本来の姿、営農資金等の融資と同じようなベースに乗せて、法的措置によつて国家の全面的な責任においてこれを解決する——国家がわが国の水産業、まぐろ漁業の振興に対して、大ぎな国策としてこれだけの熱意と責任を持つておるのだということを示すことが政治であります。この点に対して、そのような措置を講ずる御意思があるかどうか、この点もお伺いしたいと思うのであります。

清井正水産庁長官

○清井説明員 最初の点でありますが、この点はなるほど金額がよけい貸し付け得るということでありますれば、ただいまお話の大部分は措置できるものでございましたけれども、この一億五千万の金融措置、しかも資金運用部の資金を県に貸し付けるという特別な措置でございますが、これも単に簡単にそういう結論に達したのではないのであります。いろいろな方法、いろいろな金額につきまして、十分部内で折衝いたしておりましたけれども、実はなかなか話がつかなかつたのであります。業会からは、せめて損害補償のきまる前に融資をしてくれというお話も毎日のようにありまして、われわれといたしましても、できるだけ早くいたしたいと思いまして、いろいろの方法についていろいろな金額を計算いたしました。関係事務当局とも十分相談をいたしておつたのでありますけれども、どうしてもきまらなかつたのであります。そこでいつまでもきまらないままにほうつておくよりも、とにかくきまり得る方法で道を開いて、その後その道を開拓するというような方法で行つた方が現実的であろうという結論に対しまして、今回の方法による、また今回の金額による金融措置を行つておるということになつたのであります。御承知の通りわずかな金額でありまして、とても失漁資金の一部に充てるということにもなり得ない金額であると思うのでありますけれども、とにもかくにも、少しでもあの措置をとれば、幾分でも業者が助かるのではあるまいかということだろうと思います。その点われわれといたしましても、金額が少いことははなはだ残念でありますけれども、とにかくこういう措置をとつた経緯については御了解願いたいと思うのであります。またそれについて、今はそれでいいが、利子補給等のような、あるいはほかの措置について見られるような法律的措置を講ずる意思はないかというお話でありますが、私どもは実はこう考えておるのであります。なるほどそういうことも考えられるのでありまして、すでに農業災害等につきましても、営農資金の融通等が法律によつて裏打されるという実例はもちろんあるわけであります。ただ資金運用部の貸付は日歩一銭八厘であります。六分五厘ぐらいになるのであります。これは県はむろん無利子で金融機関に貸付するわけであります。静岡の例をとりますと、これを県の信漁連に一括して貸付するようであります。信漁連は、事務費として約一厘の利ざやをとるということでありますから、要するに業者は一銭九厘という負担になるわけであります。一銭九厘の負担になりりますと、これを直しますと六分九厘であります。そこで資金は政府の資金ということでありまして、利子は六分九厘ということであります。一般に農業災害なり漁業災害でも同じでありますが、あの利子補給をした場合の個人の負担を調べてみますと、大体個人負担は六分五厘であります。その上に国なり県なりの利子補給があつて、総計一割何がしかを負担するというのが普通の例であります。法律の措置を講じましても六分五厘、今度の措置ではむろん四厘ばかり高くて六分九厘ということになるわけであります。そこで四厘の差がございますけれども、大体において私は利子補給の措置を講じなくても、その利子の措置によつてある程度の措置はできておるのではないかというようにも考えられるのであります。しかも政府の資金でありまして、これは民間の預金ではございません。損失補償の問題等につきましても、おのずからそのような観点からの解釈もあるのであります。そこで利子補給の法律というお話でございますが、現在とつておりますことは、見方からすれば不十分な点があるかもしれますんけれども、預金部資金を一銭八厘——末端は一銭九厘でございますがこういう金融措置をなしても十分ではございませんが、とにかく利子補給の方途のある程度の目的は達しておるというふうに考えておるのであります。私どもはせつかく始めました措置でありまするから、この措置をずつと進めて参ることによつて、金融問題は措置して参りたいと考えておる次第でございます。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 前段の問題だけにつきまして重ねて申し上げたいと思うのであります。それは私が先ほど申し上げましたように、純理論から出発いたしまして、ビキニの影響によつて前に投下した仕込み資金を割つたその差額を政府が融資してみてやることは、一応正しいと思うのであります。しかし先ほども申し上げましたように、今回のビキニの影響によりまして、まぐろ漁業に対する一般金融機関面の信用は、全面的にストツプの状態に立ち至つております。従いまして差額だけの融資では現実に再出漁ができない。それは遺憾ながら現実の姿であるわけであります。そこで長官は、これまでの結論を出すまでにも非常な苦労がいつたという御説明をなさつておりまして、その通りであろうと私は思うのであります。私は長官の努力に対してその労を感謝いたすものでありますが、遺憾ながらそれだけでは再出漁ができない。再出漁ができない中途半端な融資では何にもならないという結果に相なるわけであります。そこで私は、最小限度次のようなことを重ねて清井長官に御努力を願いたいと思うのであります。それは政府資金をもつて融資をする額のほかに、業者が一般の地方銀行からの融資にあたりまして、あるいは信用基金協会でありますとかあるいは農林中金でありますとか、その他の金融機関の足らざる面の融資について、政府が積極的にそのあつせんの措置を講ずることが必要であろうと思うのであります。その両面の措置が講じられなければ、必要なる出漁の仕込み資金は確保できないと私は思うのであります。政府資金による融資のほかに、その足らざる面の融資を一般の金融機関から、政府が責任を持つて鋭意あつせんに当られることを、この際強く要求いたしたいのであります。これだけを要望いたしまして私の質疑を終ります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 小高熹郎君。

小高熹郎自由党

○小高委員 本問題にかなり議論が盛り上つておるのでございますが、私は過去、現在、将来——先ほど松田委員から将来の解決ができておらないのではないかという御意見もございましたが、まつたくその通りであります。しからば将来はおろか、過去はどうだというと、過去もまだその補償がついておらぬ。現在はどうだ、現在は融資でこれを解決しなければいかぬ。その融資が、まるきり進んでおらぬとは言わないのでありますが、今まで延び延びになつて、すでに事件勃発以来五箇月にも相なつておるという点で、まことに遺憾の意を表さないわけには行かないのであります。この問題をだんだん押し詰めて行きますと、アメリカの補償がかなり影響しているようであります。そこで外務省のアジア局長にお尋ねいたしたいのでありますが、アメリカから言つて参りました八十万ドル、これに対してどの程度数字上の不服を先方へ開陳したか、そして当方からどの程度の額ならば納得するというようなさだめし数字の希望意見があると思われるのでありますが、その点はどの程度主張なされたか、ひとつお聞かせ願いたいのであります。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川説明員 アメリカとの折衝の大体の模様につきましては、先般安藤国務大臣から御報告した通りであります。アメリカ側としては結局一括支払いという構想をとつておるわけでありますが、その一応の理論づけとしては、いわゆる直接損害に相応するものは支払うことが可能であるけれども、いわゆる間接損害と認められるものはいろいろの事情から支払いが困難であるということになつておるわけでありまして、従つて日本側の代案と申しますか、折衝は、結局アメリカが言うところのいわゆる間接損害に類するものについても若干の考慮をしてもらつてしかるべきじやないか、法律上の問題としてはあるいは困難であつても、事実上の問題として考慮してしかるべきではないかということがおのずから内容になるわけでありますが、具体的の金額等については、できるだけ多くということでありますけれども、数字等の詳細にわたつての御報告は、先ほど国務大臣からも御了解を求められたように、交渉中のことでもありますので、先方との信義と申しますか、関連がありますので、ただいまは控えさせていただきたいと思うのでございます。

小高熹郎自由党

○小高委員 多分その程度の答弁ではないかと実は想像しておつたのでありますが、外務省の希望意見が相当強く反映いたしませんと、将来の遠洋漁業、まぐろ漁業が安定するというわけには行かない。来年も再来年も年々歳歳かようなことが繰返されるということに相なりますと、安定漁業とは言えなくなるのであります。そこで私がくどく申したいことは、この機会に十分先方が認識するような資料を提出いたしまして——ことしの折衝は数字上あなた方も発表しがたいところがあろうと思う。それは御推察いたしますが、年々歳々これが繰返されるということになつて、そして補償がいいかげんでほつぼらかされる。根本問題としては、実験を未来永劫やつてもらいたくないのだ、十分実験の効果は上つているはずだ、これは今世界の輿論となつておるのでありますが、それらの点につきまして本日は先輩同僚からも相当強い意見が出ております。これらを参考にして、今後の折衝を願いたいと思います。中途半端の解決で終りますと、国内問題として相当やかましくなり、それに先ほど鈴木委員からも出ております対農業との関係、水産蛋白の給源がやかましく叫ばれておりながら、政治力あるい行政措置の鈍さ、弱さというものについては、私ども今いても立つてもいられない焦燥と苦慮を感じておるのであります。そういう意味におきまして、今後十分それらのことを参考に外交折衝を続けられたいことを希望意見として開陳いたしておきます。  なお清井長官にお尋ねいたしたいのでありますが、一億五千万の融資の関係であります。これは先ほど来お話を伺いますと、近々に出るということでありますが、私いささか水産金融の団体に関係しております関係上尋ねられて困りますので、おおよその日取りがいつごろになるか、もう一回重ねてお尋ねをいたしたいのであります。

清井正水産庁長官

○清井説明員 ただいまの御質問でありますが、これは事務的には大分前から実は折衝を重ねておつたのでありますけれども、なかなかその折衝がうまく進まないような状態であつたのであります。しかし問題が問題でございますので、関係大臣にも非常に御苦心を願つておるのでありまして、はつきりしたことを申し上げられないのでありますが、とにかく二、三日ないし四、五日のうちには解決する、もうちよつとの間で解決する見通しがやつとつき得たと私は考えます。もうちよつとお待ち願いたいと思います。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 私は実はきようはあまり質問などをしないようにしようと思つて参つたのであります。というのは、日本政府がアメリカに対して非常に強硬にやつておるということをかたく信じておつたからであります。なぜかといいますと、前回の国会の際に非常にやかましくわれわれも首長し、政府も大いにふんどしを締め直してアメリカと交渉する、こういうことを言つておられましたので、その線で行つておるものとばかり思つておりました。しかし先ほど来安藤国務大臣の答弁を聞いたり、あるいはアジア局長のお話を聞いたりしておりますと、どうもふに落ちない点がある。ふに落ちない点はどういう点かといいますと、賠償の金額について今はつきり言えないということを言つております。それはよくわかります。幾ら要求しておるということをはつきりここで言明することは、外交上うまくない点があろうかと思います。けれどもその心構えがはつきりしてない。政府が少しふんどしが締まつてないのじやないかというような気がする。それはなぜかといいますと、私ども先ごろの新聞を見ておりまして、八十万ドルの直接被害の賠償だけはしようというようなことをアメリカが言つておるということを新聞が報じておりました。それを見たときに、これはとんでもない、八十万ドルといいますとわずかに二億八千八百万円であります。実際の被害はどのくらいあるかといいますと、私の勘でありますけれども、大体十五、六億円の損害になると思う。それに対してわずか二億か三億円の賠償でもつて、このくらいでがまんしろといつてお賽銭のようなものをちよつとわけてもらつて、ごもつともですというようなことで引下るようなことがあつては、絶対に納得できないのであります。八十万ドルなら八十万ドル、けつこうであります。けれども正しい損害の計算の基礎の上に立つた八十万ドルであるかどうか、私どもは直接被害でもおそらくその倍以上の被害があると思つておる。百四十数隻の漁船が直接の被害を受けておる。いわんや間接の被害までに及びますと、どうしても十四、五億円の損害になつておる、こう思つておるわけです。そこで政府が今最後の段階まで来ておるといいますけれども、その十四、五億円の損害があるということで強硬にそれをつつぱねておるのかどうか、何だか向うでくれるものをありがたくちようだいするような、そういう感じを受けるわけであります。これは日本の国民としては絶対に納得できないのであります。われわれはアメリカに対して何も無理を言う考えはないのであります。重ねて申し上げたいのですけれども、われわれは自由党の党員であつて、親米政党であります。親米政党は何かというと、アメリカの言うなりになるという政党ではないのであります。アメリカに対して正しい主張をする、そしてしかもアメリカはその正しい主張を尊重してくれる、対等の資格においてわれわれはアメリカと交際をして行く、こういう立場が新米政党であります。それを間違えて、ただアメリカの言うなりになつて、唯々諾々としておるというような、そういう考えで政府が折衝しておつたならば、これは大間違いであります。われわれこそアメリカに対して強い主張ができる政党である。われわれの政府こそ正しい要求をアメリカに対してしなければならぬわけです。それをもしわれわれがしなかつたならば、おそらく国民からことごとく離反され、国民の信頼をことごとく失うであろう、それを私はおそれるのであります。八十万ドルというような数字が出たが参議院の委員会におきまして大臣は、八十万ドルという数字は知らない、こういうことを言つておるわけです。知つておつても知らなくてもそれはけつこうでありますけれども、われわれの考えでは八十万ドル程度ではとうてい満足ができない。これを政府は頭の中にしつかり入れて置いていただきたい。  そこで今どういう交渉をしておるか。先ほどの中川局長の説明によりますと、間接被害については国際慣例もあるし、なかなかいろいろな事情があつて、賠償は困難だということを言つておられるので、幾らかつけてもらいたいということを言つておる、こういうような説明であります。これはとんでもないことです。間接損害でもあの水爆のために生じた損害であります。ほかには何の理由もないのです。その間接損害のよつて来る理由がはつきりしない場合には算定困難だということが言えるかもしれませんけれども、あの水爆以外には原因はないのであります。こういう場合には水爆の直接被害だと言うことができると私は思う。ほかに何も理由がない。魚価が半分になつてしまつた、これは水爆以外に何か理由がありますか、何もないでしよう。これを知らぬ顔するということはとんでもない間違いだと思います。こんなことは国際慣例にはないのです。外務省の諸君は口を開けば国際慣例とかなんとか言いますけれども、水爆の被害というものについては国際慣例はないのであります、新しい事態なのであります。しかも今回のいろいろな損害というものは、水爆以外には原因は何もない、直接被害であります。ですから間接被害は今まで国際慣例でもつてなかなか賠償がとれなかつたというようなことは、これはわれわれ納得できない。どうしても現実に被害が起きたものに対して、全部補償してもらわなければ国民は承知できないであろうと私は思います。その点についてはつきり外務当局の御答弁を願いたいと思うわけであります。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川説明員 今回の原爆被害補償の交渉につきましては、日本側としては日本側の考えを十分先方に伝えまして、日本側が考えておるビキニによるところの損害というものは、全部これを先方に提示してあるわけであります。これは要するに日本側の考え方であります。アメリカ側にはアメリカ側としてのやはり解釈と申しますか、あるいはアメリカの国内、国際等に対する政府の立場というものがあり、アメリカとしては日本側の考え通りに行かない立場にある模様であります。従つて双方の政府の考え方が違つたままに置いておけば、結局この補償問題はいつまでたつても片づかない。これを片づけようとすれば、ある程度の歩み寄りと申しますか、妥協と申しますか、そういうことが必要になるわけであります。従つて決して日本側がアメリカの考え方をうのみにしておるという事実はないのでありまして、アメリカ側の考え方をうのみにしておれば、損害補償問題はすでに三箇月も四箇月も前に片づいておるわけであります。それがうのみにしていないためにこうまで長引いておるのであります。しかしながら、これをそれではいつまでも延引させておいていいかどうかという問題になりますと、これはやはりある時期には片づけるべきじやないかと考えておる次第であります。そこに交渉のむずかしさがあるわけでありますが、できるだけ早くこれを何とか日本側としてもある程度満足できるような形で片づけたい、というのがただいま政府として考えておるところであります。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 今の御答弁の中で、やはりまだふに落ちない点があります。アメリカと日本とに意見の合わない点が出て来るということでありますけれども、この問題は意見の問題じやないと私は思う。かつおならかつお、まぐろならまぐろの船が帰つて来て、その魚価が半分になつた。半分になつたという事実があればその損害を補償するということは当然であります。それが半分なりや三分の二なりやという点については、事実の認定の問題で議論が起ることもありましよう。それははつきりした調査によつてきめて行くものであると私は思う。少くも三分の一の魚価になつた、あるいは三分の二の魚価になつたのだという事実が認められる限りにおいては、その損害を賠償するのは当然だと私は思うのです。三分の一なりや三分の二なりやというその事実の認定についての意見の相違は認めます。これは十分調査しなければならぬ。その調査の正確な資料を出す責任は日本政府にあると思うのであります。けれども魚価が下つたという事実をアメリカも認めておる以上、ほかに理由がなくて、水爆による理由のために魚価が下つたというなら、その賠償をすることは当然だと思う。それを賠償しないというアメリカの理由がわからない。なぜアメリカは賠償できないのか。アメリカがやつた水爆実験のために魚価が三割下つたという事実を認めておつて、それを賠償することができないというアメリカの理由をわれわれは納得することができないのであります。その点についてどういう議論をしておられるか、もう一度伺いたいと思います。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川説明員 アメリカ側が直接損害、間接損害というものを観念的に区別するのは、つまり今度の原爆実験ということのみが唯一の原因として損害が起きた、たとえば原爆の実験の結果灰が福龍丸の上に降つて、福龍丸の船体が汚染されたり、あるいは船員の人たちが傷害を受けられた、こういうものは全部直接の損害であります。これに対しては、先方も主義上は補償するということに異存はないようであります。しかし原爆の実験のみが唯一の排他的理由ではない。それはもちろん関係があるというか、それが原因ではありましようが、それ以外の要素が入つたために損害が起きた。つまり内地におきまして魚の値が下つたということは、原爆実験が原因ではありますが、原爆の実験の結果、魚が汚染された、その魚は危険である、それを食えば人間の衛生上書があるというようなことが日本の一般に広がりまして、そのゆえに魚を食う者がなくなつた。たとい政府の検査を経た魚であつても、これを食う人がいなくなつた、あるいは少くなつたことが魚の値が下つた理由であります。それらについては、相当内地におけるいろいろな報道ぶりあるいはそういう心理状況というものが入つて来ておる。これはいわゆる原爆実験を唯一の原因とする被害ではない、それ以外の要素が入つて来ておる、こういうものについては国際慣例あるいは国際法上の判例その他から見て補償するわけには行かないというのがアメリカ側の態度であります。しかしそうだからといつて、原爆がなかつたならばそういうような損害はなかつたであろうということを日本側は主張しておるわけでありますので、それらについては双方の見解が一致しない点があるわけであります。そこが日米間の見解の相違が出て来る原因になつております。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 今のアメリカの言い分を聞いておると、まるで三百代言のような意見であります。あたかも日本人が非常に臆病で、人体に何でもないものをみんな恐れてしまつて食わなかつたからお前の方の責任だ。まるでばかにするのもいいかげんにしたらいいじやないかと思う。原爆以外に魚の値段が下つたという原因はないのです。その魚の値段が何パーセント下つたかについては、現実の事情をよく調べてきめるがよろしい。けれどもあの値下りの原因というものは原爆以外にはないのです。そのほかに理由があるなんと言われて、そうですがといつてひつ込んでおるような日本政府ではまことに心細く思う。まるでおとなと子供の交渉みたいな感じがします。そんなことでアメリカが納得をするような外交交渉なんかやめてもらいたい。もう少しふんどしを締めたらどうですか。そのことを国民全部が知れば、国民はおそらくがつかりしてしまうだろうと思う。そんなことでアメリカに言いくるめられるような、そんな日本政府では実に心細い限りだ。もう少ししつかりしてやつていただきたい。そのことを申し上げておきたいと思います。  なお私は、七月二十一日の参議院の委員会で安藤国務大臣が答えたことで、一つ気になることがあります。水爆実験に際し、予告するよう政府は米国に交渉する意思があるかというだれか参議院の委員が質問したことに対して、交渉するつもりであるというふうに言つております。これはまたとんでもないことであります。この前の国会にあれほど問題になつて、政府の方でも、これは予告するように交渉するとはつきり言つておつて、まだ交渉しないで、交渉するつもりであるというようなばかなことを言つておるのかと思つて、私は憤慨にたえないのである。政府は四箇月も何をしておつたのですか。一番国民が関心を持つており、あらかじめ予告しろと言うのはあたりまえのことなんです。予告がないために、非常に大きな損害を受けておるので、予告をしろ、しかも公海でやることを予告しろということが言えないわけはない。またアメリカとしてもそれを予告できないという主張ができると私は思いません。国際正義が許さないのであります。こういうことをなぜぼやぼやしておつて、これから交渉するつもりであるというような安藤国務大臣の答弁になつたのか、その事情を私はお伺いしたい。これはひとつ外務当局にお伺いしたいと思います。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川説明員 先般ビキニの被害が起きました際に、さつそく政府は、今後の措置としてアメリカ側に、原爆実験についてはあらかじめ日本側に周知徹底せしめるということを、その他の事項と同時にこれを要望しておるのであります。  なお今後の実験等に際して、どのような安全保障措置をとるかということにつきましては、アメリカ側としては、少くとも今年中は、つまり十二月末日までは、実験を行わないということを声明しておりますので、これについては万全の措置を要望すべく目下研究中でありますが、これは要するに原爆実験による被害というものが、はたしてわれわれが知つておる限度だけであるかどうか、これらが正直のところまだわからない点があるわけでありまして、ことに海水の汚染であるとか、あるいは魚の汚染の限度であるとか、さようなことを、幸い今回俊鶻丸の派遣がありまして、その結果相当の資料が集まりまして、またいろいろ学術的な研究も近くすることになつておりますので、さような結果を見まして、万全の措置をとるようにアメリカ側に通告したい、アメリカ側と交渉したい、かように考えて、目下準備いたしております。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 もう一つ、原爆の予告の問題ですが、私は国際正義の上からいいましても、日本の要求は正しいと思います。ですからこれはアメリカがむちやをいつても、絶対にひつ込まないようにしていただきたい。日本の漁民が安心して漁業に出られるように、これだけは最後の生命線だというふうに考えて、強くやつていただきたいと思います。なお原爆の問題については、海上保安庁なり水産庁なり非常に苦心をしておられて、そうして政府としてはいろいろやつておつてくださることをわれわれは感謝をしております。感謝をしておりますけれども、政府全体として、もう少しふんどしをしめ直して、アメリカに対してむやみに遠慮しないで、言うべきことはきちつと言つて、アメリカに対して正しいことをちやんと通すような、そういう政府であつていただくように特にお願いして、私の質問を終ります。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 アジア局長もおられるから、非常に好都合だと思います。よく国会の意見というものを真剣に開いていただきたい、こう思います。  実は八月七日の毎日新聞の夕刊のトツプ記事として、「ソ連、北洋漁業で日本に新提案、英の漁業権で操業、日英の業者間で検討」、こういう見出しになつて非常におもしろい記事が載つておるのであります。多分読まれたことだろうと思いますが、まずこれを朗読しますと、「ロンドンと東京の水産業者は目下英国の漁業権のもとで日本の漁船が北洋漁業に従事するというソ連の提案を検討している。ソ連側の提案とは日本の漁船は英ソ漁業協定によつて北洋漁業権をもつ英国の会社の旗を掲げて千島、カムチヤカ、オホーツク、べーリング海におけるサケ、カニ漁場での操業を回復すべきだというのである。日本政府はこれらの地域における漁業権回復についてソ連に何回も正式要請を行つたが、これに対しソ連はいまなお日本と戦争状態にあるという理由から拒否してきたものである。今回の新提案は東京駐在の非公式のソ連貿易代表アンドレイ・ドミニツキー氏から行われたものでこの案は米国の反対で日本政府の正式の承認をうることがむずかしいという懸念はあるにせよ、漁場を切望している日本にソ連側が大幅に歩み寄りの態度を示したものといえよう。ソ連のこの提案についてモスクワ訪問の途中、現在ストツクホルム滞在中の福永一臣前衆議院水産委員長がモスクワで話合いを行うものとみられるが、一方英国業者の代表もこの話合いに加わるため空路入ソの旅券査証を申請して、現在ロンドンで待機中である。一九三八年には日本の漁業は二百五十万箱のサケ、七十万箱のカニを輸出した。ところが戦後はもつとも大切な千島への日本漁船の入漁は禁止され、昔のカン詰工船はすべてソ連の手中に帰してしまつたので、ことしのサケの漁獲高はわずか三十五万箱、カニは六万箱と見積られ、北海道の漁夫は大量失業の憂目をみ、また毎週のように日本漁船がソ連の巡視船に捕獲されているのが現状である。日本の実業家のうちこの案を支持する人々は、これによつて日本の経済的復興を促進し、次年度には北方漁業では完全雇用が回復されるだろうと述べており、また英ソ漁業協定によつて日本の行う北洋漁業にも領海三マイルが適用されるだろうと期待している。一方、日本政府当局はこの案に懸念を示しており、これはソ連および中共との正常貿易再開に対する日本人一般の支持を高め、また日本に対する米国の経済的支配を弱めさせようとする全般的なソ連提案の一部であり、ソ連がどんな譲歩を行うにせよ、与えた好意と引換えに要求を持出すのではないかと心配している。したがつてこの間の事情が明らかになるまで、日本政府当局はごく冷淡な態度をとるものとみられる」。こういうような記事が載つておるのであります。——ちよつと速記をとめさせてください。

田口長治郎自由党

○田口委員長 速記をやめてください。   〔速記中止〕

田口長治郎自由党

○田口委員長 速記を始めてください。  暫時休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ————◇—————    午後零時十九分休憩    午後四時十三分開議

田口長治郎自由党

○田口委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  外務大臣及び農林大臣に対する質疑を許します。淡谷悠藏君。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 まず農林大臣にお尋ねしたいと思いますが、昨年の秋李承晩ラインで漁船の大量拿捕がありまして以来、引続きビキニの水爆問題が起り、同時に北洋漁業におきましても、また多くの拿捕船を見ております。なお中共等におきましても、理由不明の拿捕が相次いでおるように承つております。こうした日本の水産行政一般に対する重大問題に対して、農林大臣の今後の対策あるいは施策の一般をお聞きいたしたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 私が御説明申し上げるまでもなく、日本海をめぐる沿岸の状況は、日本の漁業にとりましてきわめて重要な地域であるにかかわらず、たとえば李承晩ラインのごとき、あるいは表現が悪いかもしれませんけれども、公海の不法占拠を行われているというような実情じやないかと思います。実際問題としまして、これは国と国との力の問題にもなつて来るのだろうと思わざるを得ない面もあるように思いますが、それにいたしましても、私どもとしましては、たといそこに解決の小さい糸口でも発見できますならば、その糸口をとらえて改善をはかり、そして日本の漁業の安全操業をはかつて参るというところに努力を惜しんではならぬ、また努力を払うべきであるという考えで今日まで至つておりますけれども、遺憾ながらたとえば現在の李承晩ラインの問題にいたしましても、少しもこれが改善の方途を見出し得ないでおる。これは結局日韓間の親善友好の関係がすみやかに樹立されることなしに、そういう点だけ抜き出して解決することはできないような事情になつておるのるじやないかと、私は判断をいたしておわけであります。従いまして公海といえども、とにかく日本の領土の外に行つて漁業を営むのでございますから、少くとも関係国との了解点を見出して、安全な操業がはかれるようにするということで、私は決して責任をどうこうと言うのではございませんけれども、国といたしましては、外交的に尽せる手段を一生懸命尽していただくということ以外にないと、私は言わざるを得ないと思うのであります。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 外交問題が非常にこの問題の解決のためには重要な要因となつておることはもちろんでございますが、その点につきまして、これまで外務省との間に、何らかのお話合いがございましたかどうか。その点も重ねてお開きしたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 これは絶えず外務省とは水産庁が緊密な連絡をとつて善処いたして来ておるわけでございますから、その点につきましては、私どもとして努力の欠くるところはなかつたと考えております。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 現在の日本の国力が弱いのでやむを得ない面もあるといつたようなお話もありましたが、国力というのは、再軍備しないからという意味でございましようか。同時に再軍備をしない限りは、こうした公海における日本の漁業権さえ蹂躙されてもやむなしといつたような投げやり的な気持でいらつしやるのか。その点も重ねてお聞きいたしたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 たいへんむずかしい問題のようでございますけれども、たとえば李承晩ラインの問題にいたしましても、われわれの国の建て方、憲法は、諸国民の公正に信頼して独立をはかつて行くという大きなうたい方になつておる。それは李承晩ラインのごときああいうふうな、いわば公海の不法占拠を行うというようなことは、世界の諸国民の間で行われることではないという前提の上だと思います。しかし現実はやはり不法占拠というような形において、日本の漁船が一隻も入つて行けない状態になつております。それではなぜそれが打開できないのか。百方手を尽しましても、それが改善されない。不法占拠というのは実力でやられておる問題であつて、それを打破つて漁業を営むという力が日本にはない、こう申し上げざるを得ない。それが再軍備につながるかつながらぬかはまた別個の問題だと私は思います。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 外務大臣にお尋ねしたいのであります。昨年の秋以来たびたび本委員会で大臣には御質問申し上げておりますが、李承晩ラインの問題の解決も、今のようにどうということなしに打ち過ぎております。竹島等の問題もいまだほとんど解決されておりません。ビキニの問題につきましても、今日午前に安藤国務大臣との質疑応答の間に明らかにされたところによりますと、アメリカが日本に対する支払いの額として示しました八十万ドルと、日本の要求との間にはかなり大きな開きがあり、補償の面でも十分ではなし、また今後のあの漁区の確保についても何らはつきりした施策が行われていない。中共のごときはほとんど拿捕船に対する交渉も行われていないというふうに聞いております。また北洋漁業の拿捕船の問題、ソ連との漁区その他の話合いにつきましても、ほとんど外交上の措置がとられていないという印象を受けるわけでございますが、こういう点につきまして、大臣の昨年以来おとりになりました外交的ないろいろな処置を、具体的に詳しく御説明を願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 韓国につきましてもいろいろの方で話をしおります。しかしわれわれは、こういう問題について武力を使つて解決するという考えはごうもありませんから、従つて手ぬるいことは手ぬるいと言われてもやむを得ない。しかしこれは交渉によつて相手方の反省を促し、理解を促して円満な解決に持つて行こうというのですから、時間がかかります。現にいろいろ努力をいたしております。  中共やソ連につきましては、これは国交が回復しておりませんのみならず、朝鮮ならば、たとえばここに公使が来ておりますが、しかし中共やソ連とは全然そういう関係もありませんから、これは話合いをしようとすれば、第三国を通ずるとか、あるいはその他の国際的な機関を通ずるほかには、間歇的に偶然に行つたような人の努力にまつ以外に方法がありません。そういう点では機械をとらえてはいろいろやつておりますが、これまた解決にはなかなか至つていない。但し中共の方は御承知のように、時たまは漁夫等を返して来るということはあります。またソ連の方も、最近はいろいろ遭難した漁火を返して来るということもありますけれども、全般的に交渉というべき形のものは外務省としてはとつておりませんが、アメリカ側との間は話合いをいまだに進めております。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 アメリカとソ連、中共との間の交渉がおのずから異なることは十分了解できますが、聞くところによりますと、中共あるいはソ連からは、何かこうした問題についていろいろ話合いをしたい、円満なる漁区の解放などもしたいという希望を持つて、再々こつち側にも働きかけがあるようでございますが、常にこの障害をなしておるのは外務省の態度であります。旅券の確保については常に混乱を生じ、各党の議員がソ連に入り、あるいは中共に入る場合でも、旅券なしにもぐり込んでおるような形がかなり多いように思つております。こういう問題に対して、中共並びにソ連と積極的に外務省として友好関係を回復するような御意思があるかないか、お伺いいたしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ソ連につきましては、サンフランシスコ条約を承認すればいつでも国交は回復できます。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 中共に関してはどうでございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 中共に関しましては、ただいま国民政府を承認いたしておりますから、この関係は一層複雑になります。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 そういたしますと、ソ連及び中共との間に行われる漁業その他の話合いは、当分不可能であるという判定をお下しになりますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは水産委員会でも決議されたので、一名の前委員長が行つておるわけであります。その結果を見なければわかりませんが、水産委員会の希望もありましたので、ソ連行きの旅券を出して今行つてもらつておるわけであります。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 そういたしますと、今行つております福永さんの帰国を待つて、その結果によつては何らかの処置をとるというふうな含みがあるものと理解してかまわないでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは帰つてみないとわかりません。措置をとることになるかどうかということについては……。要するに結果を待とうと思つております。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 ビキニの補償問題につきましては、先ほど私質問したのに対してお答えを願つておりません。日本側の要求とアメリカ側のこれに対する補償の仕方との間に大きな開きがあり、まだ全然解決していない。一方これによつて被害を受けました漁民がたいへんな迷惑を感じておるということでありますが、大臣のお見込みでは、いつごろ大体これが解決づくのか、その点もはつきりお答えを願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはやはり相手のあることですから、いつごろということはちよつと私には言いかねますが、できるだけ早く解決したいと思います。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 保利農林大臣に最後に一言御質問申し上げたいのです。ただいまお聞きの通りのような形で、外務省としては、ほとんどこの問題の解決の見通しがつかぬという結論が出たと思つても私はしかたがないと思います。こういう外務省の態度に対して、農林大臣は、日本の漁業が今後その操業を続けその資源開発に尽すことができるかどうか、ざつくばらんにお管えを願いたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 これは私ども水産行政に携わつておるものといたしますれば、四海波静かに、どこに行つても安心して操業のできるという状態が現出することが最も望ましい、そういうところに私ども努力して行かなければならぬことは当然だと考えております。しかし現実の問題といたしましては、淡谷さんがあげられましたように、なかなかそういうふうに行かない。それでは行かないからといつて、漁業が衰微して行くようなことを手をつかねておるわけにはむろん参らぬわけです。従いまして操業のできる限りのところに力を尽しつつ、そういう障壁のあるところは、淡谷さんの御判断では打開の見込みがないというような御結論でございますけれども、私は、それはなるほどきようあすですべてが解決するとは思いませんけれども、日本国民に真実そういう悲願があるならば、これは達成されることを疑いません。そういうために、とにかくたとい一筋の解決の道をとらえましても、そういう状態をつくり出すように努力して行きたいと考えております。外務省もその点には非常な苦心を払つていただいておるわけですから、私は淡谷さんの御結論のようには考えておりません。

田口長治郎自由党

○田口委員長 遠藤三郎君。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 私は午前中からビキニの例の水爆の被害問題について安藤国務大臣に尋ねようと思いましたところが、時間の都合で帰られ、事務当局にいろいろ尋ねてみましたけれども、はなはだ答弁が不満足で、両大臣からこの際はつきり伺つておきたいことがあるわけでございます。その一つは、先般の新聞の伝えるところによりますと、アメリカは八十万ドルの補償をする、しかもそれは直接損害に限る、間接の損害については国際慣例もあり、その他推定困難なる事情もあつて、間接損害は補償しない、こういう趣旨のことが新聞に書いてありましたが、八十万ドルをとにかく補償しましようということはアメリカが正式に言つて来たものであるかどうか、その点をまず外務大臣にお尋ねしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 アメリカ側としては、日本側もそうですが、今まで正式の会議ということ、でやつておりません。常にひざつき合せていろいろ事情を説明し話合いをしております。これは日本でやつておるばかりでなく、ワシントンでも同様のことをやつております。従つて正式とか非公式とかいうようなむずかしいことはないのであります。今までのところ、これだけしか払わぬとかこれだけでおしまいだとかいうような最後的な話合いは何もありません。ただいろいろ被害の算定の中で、これは国際法上認められておる被害であるとか、これはちよつとむずかしいじやないかというような議論はたくさんあります。そういうものを推定するとどのくらいになるかはまあ想像はつくわけです。まだそういう意味の話合いの段階であつて、正式に幾ら幾らを持つて来たというところには行つ  ておりません。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 そこで私はお伺いしたいのでありますが、このビキニ被害の賠償については、まず損害額の測定をしなければなりません。そこで損害額については、ごく間接々々の被害まで計算をして参りますと二百五十億円にも上つております。この三百五十億円をただちに要求してほしいということはわれわれ言つたことはありません。しかし直接及び準直接——直接に準ずるような、原爆のために起きた損害だということがきわめて直接的にわかるような損害だけでも、二十億円以上越えておるわけです。そこでもしかりに八十万ドルといいますと約三億円がそこらでありますが、そういうことになりますとあまりに開きが大きい。これは日本政府はお抜かりなく交渉しておると思いますけれども、一体どの程度を要求しておられるか、この八十万ドルという数字を新聞なりその他なりで聞いてみて、これは非常にびつくりしたというような数字であるか、それともこれはやむを得ないというような数字であるか、その辺の感想を政府に伺つておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私どもの立場からいいますとまだ交渉中であつて、それをびつくりして非常に少いということを言えば別に交渉にはさしつかえないかもしれませんが、適当であるとかいうようなことになれば交渉にはなりません。私どもから言うと、これがどういう意味を持つかということは、こういう委員会で申し上げることは差控えたいと思います。ただ申し上げておきたいのは、これは今まではこういう事例がありませんから、特別の新しい例になるわけでありますが、ただ国が過失もしくは故意によつて他国に損害を与えたという事例は、過去において何千何百とあるわけです。それに対して一国が他国に補償したという例もたくさんあるわけです。しかし大体国際法の本に載つておるような例だとか、あるいは国際司法裁判所の判決例であるとかいうようなものを抜きとりますれば、その補償が直接の損害に限られておるということは、もう私から申しても言えることだと思つております。たとえばこれは国際裁判所の一つの判決例でありますが、一国の軍艦が他国の船を公海でもつてつかまえた、これはその国の敵国に対する石炭を供給するという疑いのもとにつかまえた、で石炭を取上げてしまつた、しかし公海で長くその船をとめておいて、それの行先でなくて逆に出て来た港へ追い返してしまつたというような事例がある。そうするとその船の方から見ると、公海で長くつかまつておつたという損害がある。それから元へもどらなければならないという費用が非常にかかる。また輸送すべき荷物を輸送できなかつたというような、いろいろな被害が、直接と言えぬかもしれぬけれども、あるわけです。しかし国際司法裁判所の判決例によりますと、そのときは加害国はその取上げた石炭の代金を支払うべし、これは直接被害である、あとの問題は、これは直接とは言えぬという判決例があつて、これは一つの国際法の先例になつておる。従つて直接、間接という議論はいろいろありましようが、どこまで直接か、どこまで間接か。またアメリカ側として一々その内合を特につかまえて、これは直接だとか、これは間接だとかいう非常にむずかしいところまでほじくりまわすということはいたしておりません。しかし大体従来の例によつて直接か間接かという、大きな区別はつくわけです。それをこまかいところまでつつつきまわして、これはいかぬとか、あれはいかぬとかいうことは言わぬにしても、大きな目で見て、これは直接でこれは間接たという大体の筋はつくわけでありまり。アメリカ側の言つておるのもそういう意味の直接、間接であります。従つてまたそれについてわれわれの方から要求したいろいろな資料があります。これは計算の基礎としてはいろいろ要求をしておるけれども、いざ補償がきまつて日本に渡した場合には、今度は配分においては何にも計算の基礎通りにやらなくても、日本政府が適当に考えたところを配分してくれてさしつかえないという意味であつて、要するに損害の性質を非常に厳重に取調べるというようなことは、先方でもなるべく避けたい、日本政府の言うことを信頼して直接損害であるという範疇に入つておれば、これは向うにも議会がありますから、そう何でもかんでもということにはいかぬかもしれぬけれども、できるだけ直接被害と言われるものには、特に国際慣例上おかしくない限りは、そのまま日本政府の言うことを受取ろうじやないか。そして日本政府に、配分はその計算の基礎と違つてもいたし方ないという態度で来ておるわけであります。で今その額等についていろいろ相談をしておるという段階であります。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 今の外務大臣の説明ではふに落ちない点があるわけであります。私どもは、あのビキニの灰をかぶつて非常な被害を受けた直接の船の損害を賠償してもらうことは当然だと思う。これはもう問題にならない問題だと私どもは思うのです。問題は、あの原爆が実験されたがために、日本のかつお、まぐろの魚価が急激に下つた。あの実験のあつたあとその船が帰つて来た、その翌日の魚市場のかつお、まぐろの相場というものは三分の一になつてしまつた、これはもう明らかに原爆の影響なのであります。ほかに何も影響はないのであります。原爆の直接被害だというふうに私どもは考えている。そのほかに何か理由があると言うならばお伺いしたいわけです。何もないと私どもは思うわけです。そういうものをアメリカでは直接の被害と考えておるか、間接の被害と考えておるか。また政府としては、それを直接の被害と考えて交渉しておられるか、間接の被害と考えて交渉しておられるか。その点をお伺いしたいと思うのです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 アメリカ側がただいま交渉の相手でありますから、これをどういうふうに見ておるかということは差控えたいと思いますが、前の御説明でわかるように、何も特に直接の被害、間接の被害という——大きなめどは別として、こまかい所までアメリカ側がせんさくしようといたしておらないのは今申した通りであります。しかしもう一つお考え願いたいのは、今申した公海において船がつかまつて石炭を取上げられた。そのときに船が公海に何日か置かれたということ、それからもとの港に追い返されたということ、輸送ができなくなつたために輸送賃がとれなくなつたということ、これなどもやはり軍艦がその船を公海でつかまえたから起つた損害であることは、これはもうほかに何も原因はないのでありますから。しかし国際司法裁判所の先例によりますれば、その際の直接被害というものは、これは国際法的に見た直接の被害でありましようが、それは石炭の代を支払うべしという判決例があるのでありますから、この点はやはりひとつお考えを願わなければならぬ点だろうと思います。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 今の石炭船の例もありますけれども、私どもはその石炭船の例と問題はまるで違うと思う。原爆の場台は、原爆という事実があつて、その直接の被害が魚価が下つておるわけなんですから、これはもう少しがんばつていただいて、慣例々々なんということを言つておらないで、事実を事実として証明していただきたい。そうして願わくば新しい慣例をつくつておく必要があるんじやないか。今度の原爆の縦書によつて漁村が非常にさんたんたる窮状にあつておる。漁民が非常な窮乏な状態に追い込まれておるわけであります。それは何かといえば原爆の実験があつたがために魚価が暴落しておるわけです。ほかには何も原因がないのであります。それを間接の被害だとかなんとかいつてアメリカが口実を設けて賠償しないというような態度をとるならば、われわれはどうしても納得ができない。おそらく日本の全国民が納得できないだろうと思う。これは日本の国民の常識から許さないのであります。私どもはそう思います。でありますから、総額が幾らになつたならば、それをまた分配するのは政府の責任だと言いますけれども、私はそれは違うと思う。正しい被害に対してこれだけよこせといつて要求することが正当の筋だと思うのであります。何でもいいから、包みでもつて幾らでもいいからアメリカ出してくれというのは筋違いで、理由のないものをわれわれはもらうわけには行かないのであります。原爆のために損害を受けたというはつきりした理由があつて、その損害をもらえばいいのであります。それ以外のものをもらう必要はないのであります。それだけはアメリカに対して主張ができると思う。私どもは外務大臣も御承知の通り、自由党であります。アメリカに対する親米政党であります。親米の政党であればこそ、われわれは正しい主張をアメリカに対して強く言う資格があると思うのであります。それをアメリカが言を左右にして、そういう損害までも補償しないという態度に対しては、絶対に承認することができない。国民もおそらく納得できないと思う。今政府の交渉が非常になまぬるいといつて、国民は手に汗を握つて見ておるわけであります。ひとつもう少し強硬にやつていただきたいと思うんです。  そこで私はお伺いしたいのでありますけれども、われわれは少くもかつお、まぐろ関係だけでも十九億ないし三十億の損害があるということをはつきり出しております。その損害は政府の方ではどう見ておるか知りませんけれども、もしその損害が多過ぎるというならば、政府で直接査定をしたらいいと思います。けれども私どもは、良心的に見て二十億程度の損害があるということをはつきり証明できるわけです。従つて私どもは、今度の賠償はかつお、まぐろに関しても二十億を下るような数字であるならば、どうしても納得ができない。こういうことを申し上げておきたいのでありますけれども、それに対する外務大臣の見解をひとつ伺つておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 御説は承りましたが、私の交渉はなかなかそこまでは行かないと考えます。

小高熹郎自由党

○小高委員 関連して……。直接被害、間接被害の定義につきまして岡崎外務大臣にお尋ねしたいのであります。先ほど遠藤委員からもかなり強く意思表示がありましたように、これはやはり灰をかぶつたために魚価が下つたのだ。これはもう当然直接被害と認めるのであつて、まわりくどく間接被害として考うべきものではない、かように私は考えておるのであります。漁業者が漁船をつくる場合に、おおむね商習慣といたしまして、七割程度は現金で支払いますが、三割程度はつり払いということで、二年か三年にわたりまして、操業しながら造船所に借金を返して行くというのが、魚価が一たびビキニ問題のために下落してしまいまして、収入が激減しましたが、そのとばつちりが造船所に行きまして、造船所に定期的に支払いができない。そのために造船所は今やつぶれかけておるのが、私の目で見ましても何箇所かあるのであります。そういう実例から来ますところのこれを間接被害と見ることは、一応妥当であろうと思うのであります。また運送屋が漁業関係者の荷物を運んだが、値下りのために収入がない、そのために漁業者が運送屋へ運賃が払えなくなつたというような実例はいくらもあるのでありまして、こういうことは間接被害として見てもけつこうと思うのでありますが、その他は全部魚価の下落等は、この突発事故のために急激に下落したのでありますから、全部これを直接被害という考え方でやつていただいていいと思うのでありまするが、これらについて私と考え方の相違がどの程度ございますか、外務大臣の御意見を承りたいのでございます。なおこの問題につきましては、アメリカにおいては五十数回にわたつて実情を調査しているやに聞いておるのでありまするが、日本のこの被害に対して比較的冷静である、どう考えても冷静すぎるような気がしてならないのであります。それが証拠には、五箇月にもなろうとしておるのでありますか、遅々としてはかどらない。たまにはかどつたかと思うと、八十万ドルなんというきわめて低い数字を提示されておる。こういうことから考えまして、私はまことに遺憾の点を感ずるのでございます。これらについて先ほどの答弁によりますと、外務大臣は折衝過程にあるということをおつしやるのでありますが、よく過程はわかるのでありますが、要は先方の言い分をどうこちらから説明をして考え方をかえませるか、この熱意の問題ではなかろうかと思うのであります。武力に訴えて解決せよというのでもございませんし、また荒立ててこれを解決せよと要求しておるのでもございません。常識の許す範囲において話が進むものが、比較的ゆるやかに進められていやしないかという気がしてならないのでありますが、これらについてひとつ明快なる御答弁を願いたいのでございます。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私の能力が足りないこいうことは別といたしまして、私としてはできるだけ努力をいたしておるつもりであります。決してゆるやかにやつておる考えもないのであります。またアメリカ側でも、早く解決したいこいう希望をしばしば述べております。ただ双方の間の意見にまだ食い違いがありますものですから、日本側としてもアメリカ側の考え方をそのままのむわけには行かない、アメリカ側としても日本側の要請をそのままのむわけには行かぬということで遅れておる。今後ともできるだけ早く解決するように努力はいたすつもりでおります。

小高熹郎自由党

○小高委員 ただいまの御答弁でございますが、一応は了承いたしたいと申し上げたいのでありますが、漁民の思想的にだんだん悪化して来ることを私ただいま非常に憂えているのでありまするから、さようなことのないように、特にひとつ敏速に、日本漁民の意思及び関係被害者の意思が、外務大臣の品を通じてアメリカにもつと強く反映いたしますようにお願いしたいのであります。  さらに農林大臣に伺いたいのでありまするが、午前中の当委員会におきまして、一億三千五百万円預金部資金が融資されるということを聞いたのでありまするが、この融資の件でございまするが、政府が大づかみに融資をすると決定いたしましても、いざ貸す窓口はどこであるかというと、これが漁信連なりその他地方の金融機関の窓口を通して貸すということになると、資産がどうだとか、信用がどうだとか、あるいは今までの行きがかりから、これでは物足りないといつて、国でそういう政策を樹立いたしましても、いざ窓口から借りるということになりますと、なかなか思うようにこの金が出ないのであります。こういう特殊なものに対しては、信用とかあるいは担保とかいうものをある程度超越して、政策的に解決すべきものであると私は確信しておるのでございまするが、この点を一点伺いたい。  それからもう一点は、アメリカがある程度の補償をすることは、これは間違いない事実でございましようが、このほかにアメリカの補償では足りない分がむろん生じて来ます。被害者と政府との間に話がつかないで、こんなことで承服できるかという際に、アメリカのみにこの補償を依存しないで、日本政府も、ある程度この補償に対して腹をきめて出してやるというようなお考えを持つていただきませんと、解決しないのではなかろうかと思いまするが、この三点について農林大臣の御意見を伺いたいのであります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 融資の問題は、結局政府で考えておりますのは、ために打撃を受けられた漁業者の方の操業立ち上りの御援助と申すか、御協力するという意味でございますから、それが実際の業者になかなか行かないといお小言はかなりいただいております。その点につきましては事の性質が、ために打撃を受けた漁業者に対して融資をするという目的でございますから、その目的に沿うように、私の方としてはできるだけのくふうをいたしたいと考えておるわけでございます。  なお補償の問題でございますが、先ほどの遠藤さんの御意見も私の方とちつともかわりませんが、ただ私どもは、この損害というものはみんなビキニ水爆実験によつて起つている損害である。直接としいて言えば直接、しいて間接といえば間接、その損害は、私ども国民の立場から国内的に見ますれば、直接も間接も私はないと思う。ただよく言われております直接損害とか間接損害というのは、国際法上あるいは国際慣例上どういうものを直接というか、間接というかというようなことで色わけされておるのじやないかと思うわけでございます。これによつてとにかく国として当然補償しなけばならないものは、アメリカから出してもらわなければならない。日本がこれを背負い込むということは実際問題としてできないのじやないか。それは一体どの程度になるものかということは、これはおのずから限度があるわけでございましようし、その点は非常にむずかしいことではございますけれども、それじやこういうものも損害じやないか、こういうものも損害じやないか、これは手当ができないから国で何とかやれ、これをすぐ国でやるということは、なかなかむずかしい性質のものではなかろうか。できれば私どもとしては、いかなることもできるに越したことはありませんけれども、そこらのところで非常に苦慮いたしておるわけでございます。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 もう一問だけ。問題は、私は日本政府の腹だと思うのです。参議院の委員会において大臣の説明されたところによりますと、かつお、まぐろの組合から出ておるところの損害とほぼ同程度、またはそれを上まわる程度の要求はしておるということを言つております。そこで金額は今聞こうとは思いませんけれども、その日本政府が要求をしておる金額というものは、アメリカがもし出さなければ日本政府が責任を負つて出さなければならぬものであるということをはつきり腹をきめなければいかぬと思う。その腹がきまつておればアメリカは出さざるを得ないのであります。アメリカが出さなければ損害の補償はできませんというようなその態度では、この交渉は私は必ず不成功に終ると思う。アメリカが出さなくても、日本政府としては責任において出さなければならないのだ、こういう腹をきめることがこの問題を解決する唯一のポイントになると私は思う。その点をはつきり考えて、もしアメリカが二億なり三億なりでもつてかんべんしてくれというようなことであれば、日本政府としては二十億補償しなければならぬのだ、その腹をきめておつていただきたい。それをもつてアメリカに補償させることもできると私は思う。その点について今農林大臣が、日本政府の責任ではあるけれども、アメリカが出してくれなければ補償はできないかもしれないというようなことでありますけれども、それは逆であつて、日本政府はこれだけ払う責任があると思う、確かにこれだけの損害があつたので、それをはつきりして、もしアメリカが出さなければ日本政府の責任において払うのだ、この腹をきめて問題を解決するように進めていただきたいと思うわけであります。この点についての御所見を外務大臣と農林大臣に伺つておきたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 腹をきめるというが、いろいろ交渉の経過においては、私どもも内部的にはいろいろ御意見に沿うた、大体同じような主張を繰返して来ております。実際問題のことを私申し上げておるわけであります。それが解決の上に非常に有効であるということになるかどうかは別の問題ですが、ただいまの御意見は十分つつしんで伺います。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 どうも外務大臣の御答弁を聞いておりますと、与党の遠藤君の質問に対しても、木で鼻をくくつたような答弁の仕方のように思いますので、どうも時間は切迫しておりますし、野党側に対する御答弁もさようであろうと思いますが、できるだけひとつ親切にお願いいたします。  まず第一点は、米国の方では、太平洋における水爆実験はやはり継続して将来ともやるんだというようなことを発表しておりますが、外務大臣が四月九日声明いたしましたこれらに対する協力をするというお考え方、これは依然としてかわつていないかどうか、これが第一点であります。特にこれを申し上げますことは、今度のビキニの水爆実験によるところの損害は、単に漁業だけに限つていない、まだ大きく発展して行く可能性が十分あるように私どもは見受けるのであります。そうしたような損害がかりにあつたとしても、それはやむを得ないんだというようなお考えを持つておられるかどうか、この二点をちよつとお伺いしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 まず遠藤君の質問に木で鼻をくくつたというようなお話でありますが、そんなつもりは全然ありません。もしそういうふうにとられたとすれば、私の言いまわしが悪かつたのですからおわびをいたします。遠藤君の質問に対しては最も敬意を表しております。  アメリカの水爆原爆の実験につきましては、これは国際勢力の関係上、ソ連でやつておる限りにおいては私は協力すべきものだと思います。しかしながらその漁業等に及ぼす損害については、これは補償さるべきものであろうが、できるだけ協力するというつもりでおります。またこれについていろいろ被害があるかもしれぬ、これは抽象的でどういう被害かよくわかりませんが、まあほかに被害がありとすれば、それに対しても十分なる手当をすることは必要であろうと思います。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 大体今まで外務大臣がおつしやつておることと一向かわつていないと思います。従つてこれらに対しては、やはり今の日本の立場としては協力をするんだ、こういうことだと確認いたします。そういたすとしますならば、これらに対する被害に対しては、当然政府としては責任をお持ちになり、その覚悟が十分でき、その対策ができておると思いますが、それはいかがでございましよう。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 それについては俊鶻丸その他科学的に調査をし、どの程度に水が放射能を受けるか、魚が放射能を受けるか、その他人命の危険等はどの程度にあるか、こういう点が科学的にはつきりすることを私は非常に希望しております。その基礎に基いてアメリカ側とも十分話合いをやりたい、こう考えております。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 先ほど来遠藤委員からもよく八十万ドルという金額が出ております。参議院の水産委員会における外務大臣の御答弁では、八十万ドルということは言つたのじやないということをおつしやつておりますし、また今の遠藤君の御質問に対しましても、正式にそれらのものはないのだ、ひざを突き合せて話をしたのだ、ただそれだけで八十万ドルという金額の提示はないということをおつしやつておりますが、その通りでございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 その通りです。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 けさ方委員会で安藤国務大臣は、実際は八十万ドルと言つて来ておる、こういうふうに確言しております。安藤国務大臣は実際は八十万ドルと育つて来ておると言つておるのに、外務大臣はそれは知らぬというのでは、どうも話は筋が通らぬように思いますが、いかがでございましよう。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 だからそれは、いろいろの個々の数字はあるわけであります。それでその中の直接アメリカが考えるものはこれとこれとこれであるというふうに言うのを合せると、そういうことになるから、私は正式に言つて来たかと言われるから正式に言つて来てない。しかしいろいろのアイテムの中で、アメリカ側ではこれは議会として認めるであろう、これは議会として認めるであろうというものを合せるとそういう金額になる。だからそれについてこちらも別にまとまつて何十万ドルと言つていなくても、交渉はひざ突き合せてやつておるのですから、向うの考えがどれだけであるということは大体わかる。向うも、アメリカの大使等は、できるだけ日本の希望に合うように、むしろ本国に向つていろいろ日本の事情を説明しているようなわけですから、この額でなければ払わぬとか、これできまつておるとかいうことを言つておるわけじやない、そういう趣旨のことを申したのであります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 暫時休憩いたします。    午後五時四分休憩      ————◇—————    午後五時六分開議

田口長治郎自由党

○田口委員長 休憩前に引続き開会いたします。遠藤三郎君。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 本委員会におきまして、本日朝から原水爆の被害補償の問題について論議を重ねて参りましたが、政府の答弁するところまことに不満足な点が多いわけであります。しかもこの原水爆の被害の補償問題は、これは単に水産だけの問題でなく——もちろん水産の点から言いましても重大な問題でありますが、これは国をあげての重大問題であります。この補償問題を国民の納得ができるような線で解決することができなければ、これは国をあげての大きな問題になるのでありまして、私どもはこの原水爆の被害補償問題については、あくまで当初われわれの考えておつた主張を貫かなければならぬと思うわけであります。その意味におきまして、ここに決議案を提案したいと思います。私はその案文の朗読をいたします。    原水爆実験による損害補償に関する件   現在日米間において交渉しつつある原水爆実験に伴う被害の補償については、日米間の友好関係に鑑み、原水爆実験により惹き起されたる損害に関する限り、その直接たると間接たるとを問わず急速に補償されることを要望するものである。   右決議する。  これが第一の決議案であります。なおこの決議案は、単に議長のところへ提示するだけでなくして、これを議長に差上げまして、そうして衆議院の議長の名において、アメリカの下院議長、あるいは上院議長、あるいは大統領等それぞれアメリカの責任者にこれを伝達し、わが水産委員会の要望を周知徹底していただいて、この問題解決に一歩全身せしむるように努力していただく、こういうことを前提に考えているものでありまして、その第二の決議案といたしまして、こういう案を提案したいと思います。   原水爆実験の被害補償問題について、本委員会において別紙の通り決議した。   右報告する。   なお、右決議の趣旨をアメリカ合衆国側へ至急伝達することについて可然御取計い願いたい。  こういう形で、水産委員長より衆議院の議長提康次郎殿にあてたこの文書を差上げる、このことをあわせて決議することをひとつお願いしたいと思うわけであります。満堂の御賛成をお願いいたします。

田口長治郎自由党

○田口委員長 ただいまの遠藤君の発議について御意見はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田口長治郎自由党

○田口委員長 別に御意見がないようでありますから、お諮りいたします。遠藤君の発議の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田口長治郎自由党

○田口委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会

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