水産委員会 第29号
- 発言数
- 81 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/05/20
会議録
○田口委員長 これより会議を開きます。 この際小委員の補欠選任についてお諮りいたします。先般来の委員異動の結果、鈴木善幸君、山中日露史君、勝間田清一君及び辻文雄君の諸君が、従来担当しておりました小委員の資格が失われております。この際その補欠選任を行いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、先例によりまして、委員長において従前通り、すなわち公海漁業に関する小委員に 鈴木 善幸君 山中日露史君 水産貿易に関する小委員には 勝間田清一君 水産金融に関する小委員には 鈴木 善幸君 勝間田清一君 辻 文雄君 漁業制度に関する小委員には 山中日露史君 辻 文雄君 をそれぞれ御指名いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。 —————————————
○田口委員長 ただいまよりビキニ環礁付近における爆発実験による漁業損害に関する件について議事を進めます。質疑を許します。赤路友藏君。
○赤路委員 安藤国務大臣の出席を要求しておいたのですが、おいでになりますか。
○田口委員長 十一時になりましたら出席されます。
○赤路委員 それでは安藤国務大臣がお見えになるまでの間に、アジア局長がお見えになつておるようですから、アジア局長にお尋ねしたいと思います。 四月十七日に本委員会でビキニ水爆被害の補償について御質問を申し上げましたが、そのときの安藤国務大臣の御答弁によりますと、直接損害補償額についてアメリカに内交渉しておる、こういうことであつたのでありますが、その後アメリカ側の方から何らかの返事があつたか、その経過について御説明を願いたい。
○中川(融)政府委員 ビキニ水爆実験によります第五福龍丸関係の損害の補償につきましては、ただいま御指摘になりましたごとく、安藤国務大臣の御説明の通り、四月中旬から日本側として集めました損害額に関する資料をアメリカ側に渡しまして、アメリカ側において至急これに基いて補償の措置をとつてもらいたいということを交渉しておるのであります。アメリカ側におきましても、今回の事件に伴う損害については、もとより事件発生当初から、適当な補償をする用意があるということを言つておりますように、この問題については十分好意的に考えたいということを申しております。しかしその後約一箇月を越えるのでありますが、いまだに補償の支払いはないわけでございます。その間の事情につきましては、アメリカ側から非公式に連絡して参つておる向うの考え方といたしまして、日本側から出しました資料は、損害の現実の額というものについての計算を出しておる、従つてたとえば患者の入院費用というようなものは月々の実費用を月ごとに請求するという考え方になつておる。そのほかあるいは船主の方が船を使えないために受ける損害も毎日幾らというような計算の方法になつておるわけでありますが、そのように将来にわたつて長く何度も次々に支払つて行くというやり方は、いかにもこの問題のしこりをあとあとまで残すような感じにもなり、自分らの方の考え方としては、できれば大体損害と思われる額を一括して払うことにして一挙に解決するという方法をむしろ希望しておる。従つてその関係からいうと、たとえば日本側の出しました資料の中で、政府とか地方庁の行政費でありますとか、あるいは魚の値が下つたとかいうようなこと、いわゆる間接損害と言われるものについては、さらにあとから資料を出すということを保留しておるわけでありますが、そのようなあとから出て来る損害額がはたしてどの程度になるのか、大体の見当でもつかないと、実はちよつと一括支払いということがむずかしいというような話が内々ありまして、私どもの方でも、そういう考え方であれば、できるだけ全体の損害額に関する資料を至急追加して出したいというように考えて、関係庁にもお願いして、この資料を目下集めております。従いまして、何回にもわけて順次に払つて行くというやり方でありますれば、そのうちの最初の部分は早く出し得るわけでありますが、一括して支払いたいという考え方でありますと、自然資料が出そろわないと、なかなかその見出もつきかねるというようなことになつて来ておるようであります。 補償問題に関します最近までのわれわれの知つております実情は、今申し上げたようなことであります。
○赤路委員 もう一度重ねてお伺いいたします。アメリカ側に損害補償の要求をやつたというのは、この前の答弁からいたしましても、これは中間要求である、従つて最終的なものではないということであつたし、今の局長のお話から推しましても、これは中間要求であると私たちは考えるわけなんですが、そういたしますと、今回のビキニ被災による損害補償額を全部一括した形において出してもらいたいというのがアメリカ側の要望でありますかどうか。これは一括して出したいという日本側の意図であるのか、あるいはそういうふうにこの一箇月間の中間的な補償要求をしたときに対する、アメリカ側のそれが意向であつたのかどうか、その点をひとつお聞きしたい。
○中川(融)政府委員 われわれが四月の中旬に、一応そのときまでにわかつております資料を出しましたときの考え方は、わかつたものから順次に払うということが一番実際的な方法じやなかろうかというつもりで、従つて今までわかつておる分は、それだけでも致急払つてもらいたい。なおそれ以外の分は次々と資料がわかり次第出すから、そのときにまたその分は考慮してもらいたいというような気持で、出したわけであります。しかしもちろん支払い方法については、アメリカ側と原則的な打合せができておりません関係上、これに対してアメリカ側がどういう考えで応答して来るかということは、わかつておらなかつたわけであります。その後、アメリカ側でいろいろ政府部内で検討いたした模様であります。最近に至りまして、一応アメリカ側の非公式の考え方として、できれば一括して払いたいと思つておる、それにはそのほかの資料も実はないと判断ができかねるという意向が、非公式に連絡がありました。そういう考え方も、あるいはアメリカの都合上、アメリカ側としても予算から支出する関係上、一体幾らくらいになるのかということがわからなければ、支出がなかなかむずかしいということもあろうかと考えまして、日本側としても、またできれば全体の問題が一挙に片づくということであればけつこうではないかとも考えまして、とにかくあとの資料をできるだけ早くアメリカ側に出したいということで、今努力いたしておるところでございます。 なおこれは全然非公式な、いわば先方からの意思表示でありまして、正式にアメリカの態度という意味で、通報があつたというような形のものではございません。
○赤路委員 今の御答弁でアメリカ側の意向は大体わかつたわけです。アメリカ側の方は、こま切れ的な補償要求でなしに、一括して本事件に対する損失の補償をしたいということですが、しかしながら実際上の問題としては、これは単に福龍丸の事件なり、その後の光栄丸といつたような当時起つた三、三の事件だけでとどまるのではなしに、やはり最近に至つても、直接損害と見らるべきものが続々と出て来ておるので、これらのものが一括されるということは、そう短時日の間に一括してすべてを出すということは不可能だ、こういうふうに私は解釈をするわけです。相当な時日を要するのじやないかと思うわけですが、それはそれとして、政府の方ではやむを得ない、あくまでもそういうような直接損害にかかわるものは、一応全部最終段階までまとめてしまつた上で、話合いをしなければならないとお考えになつておるのかどうか、この点をお聞きしたい。
○中川(融)政府委員 お説の点ごもつともでありまして、原爆による被害を受けました船が、最近に至るまで引続いて帰つて来ておるのでありまして、従つて最終的に損害額のわかるのは、今からまた多少時間がかかるかと思います。しかしこの支払いの方法といたしましては、何回にもわけましてやる際にはよほど注意をいたしませんと、第五福龍丸という世間に非常に喧伝された事件の損害がまず最初に解決され、爾余の船の分があとに残るということになりまして、どうもこれは自然の勢いとして、残された部分についての支払う方の態度なり気持というものが、おのずから少し違つて来るのじやなかろうかということが、実は正直のところわれわれとしても懸念しておるわけであります。アメリカ側が幸い全部一括して払いたいという気持でおりますとすれば、むしろその方法によりまして、日本として請求すべき損害額は全部できるだけ出して、その上で損害の支払額の交渉をするという方が得策ではなかろうかと実は内々考えております。御承知のようにすでに今月十四日だつたと思いますが、本年度の実験は終了したということでありますので、今後帰つて参ります船も、多少遅れましてもそう長くかかると思いませんし、政府の出しますいろいろな費用あるいはその他の損害額というものの算定も、おのずからそう遠くない時期に、一応の資料がそろうのではないかと思つております。従つてできれば一括して、まとめて資料がそろいましたところで、その支払額というものについて、さらに具体的な折衝をするという方が得策ではなかろうか、と実は内内考えておるところでございます。
○田口委員長 ただいま安藤国務大臣が出席されました。赤路君。
○赤路委員 そうしますと中川さんに申し上げておきますが、これは今の御答弁から行きますと、やはり一括してアメリカ側の要望の通り補償はやる方がいいのではないか、これに対しては時日もあとはもうそう要さないだろうというような御意見のように思います。実際アメリカ側の方も具体的に一九五四年度の水爆実験はこれで終つたのだと一応新聞発表もしておりますから、おそらく爾後本年度内にはああいうことはないように思いますので、あとは時日がずるずると長くなるというようなこともないとは思います。しかしながら一応今の中川さんの答弁から参りますと、なお相当な時日を要する、今の現状から見てそういうふうに考えざるを得ないと思います。この点についてはもう御答弁は求めないことにいたしまして、安藤国務大臣も御出席願つておりますので、国務大臣にお尋ねいたしたいと思います。 今中川アジア局長から、補償問題についていろいろ御答弁を願つたわけでありますが、アメリカ側の方の要望もあつて、単なる中間補償というようなことではいけない、できるだけ一括して、今回の被災に対しては補償したい、こういうような申入れらしいのです。で、四月十七日の水産委員会で、これらの点について大臣の御答弁を願つたわけでありますが、すでに今日まで、事件が発生いたしましてから三箇月という相当な日時がたつておる。また今の御答弁から参りますならば、なお今後相当な時日を要する、こういうふうに私は見なければならないと思う。そうなつて参りますと、現地における災害を受けた諸君に対する補償というものが、当然問題にならなければならない。先般の御答弁によりましても、政府の方においてはそれを立てかえて支払う、こういうような方針で進んでおるという御答弁を私は承つたわけなんでありますが、その後これらに対して、具体的にどういうような措置をおとりになつたか、ひとつその面について御説明をお願い申し上げます。
○安藤国務大臣 アメリカとの交渉は、今局長から聞いてくだすつた通りなんです。それで実験の方も大体済んだことではありますし、かつまた内交渉をして、一括して一ぺんにやりたいというくらいまでに向うが進んで来ておりますから、おそらくこの折衝もそう長くはなく解決ができると思います。しかしながらそれはまだどれだけかかるかわかりませんから、そこで向うへ交渉をしている額の内払いをしようということに方針をとりまして、今それについて進んでおる最中であります。その内払いのこともごく最近に決定して、実行をする段取りになろうと思います。
○赤路委員 直接損害補償については今御答弁を承りましたが、これは後ほどにいたしまして、間接損害の融資措置についても、当時私の方から御質問も申し上げ、お願いも申し上げておいたのですが、そのときの御答弁では、地方庁からもそういうことを言つて来ておるところがすでにあるので、この点についても今せつかく早くそういうふうにしようという考えを持つてやつておるという御答弁を承りましたが、この間接損害に対する融資措置その他減免措置等について、何らか具体的な線を出されたかどうか、この点承りたいと思います。
○安藤国務大臣 融資のことにつきましては、せつかく政府が今あつせん尽力中であります。地方銀行等が、今まで漁業者あるいは販売業者との取引銀行が軽く承知をしてくれれば問題はないのですが、こういう際でありますし、なかなかそう行きませんので、しかしそれを何とかしてやらなければならぬので、せつかく政府の方で銀行方面に向つて話をしてやつている最中であります。それからもう一つは融資をしてくれ、金融してくれということも、ただ漫然そう言つて来ても話が遠いのでありますから、最近に焼津やあるいは三崎の関係者を水産庁の方で呼びまして、そういうような点についてよく相談をいたしたのであります。具体的にどれだけどういうふうにしてということを打合せまして、よく業者が了解をして、そして帰りました。でありますから、おそらく数日中にそれらの業者の方から、こういうふうにして話をしてくれという具体的のことを持つて来ると思うのです。そういたしますと、それについて地方銀行等に政府があつせんをしてやろう、こういう段取りになつております。
○赤路委員 水産庁長官にちよつとお尋ねいたしますが、今大臣から御答弁を承りますと、関係者である焼津、三崎方面の者と呼んで打合せをされたということでありますが、いつ打合せをなされたか、その点御答弁を願います。
○清井政府委員 ただいま安藤大臣からお答え申し上げましたが、最初に生産地の状態について事情をお伺いし、また打合せするために主要生産地の生産者とそれから卸と仲買いを呼んだのであります。それが五月の十一日であります。それから六大都市の仲買いを呼びましたのが十八日であります。もつともこれは突如として呼んだわけではありませんので、すでに御承知の通り、私の方から係官が参りまして、詳細に調べて参つたのであります。ところが御承知の通り、各地によりまして非常に取引事情が違いますので、なかなか一律には計算ができないということがだんだんわかつて参りました。その後各地の業者の方の御陳情を聞きましても、生産者と卸と仲買いというものの取引関係が非常に複雑いたしておりますので、なかなかこれは一律には解決できないという見当を立てましたので、これは何としてもぐずぐずしておれない、何とか具体的に早く話を進めなければならぬというので、ただいま申しましたような日程でお集まりを願つたのであります。もつともその前に非公式にはお集まりを願つておりますが、公式にお集まりを願つたのがそういうことであります。そういうことで今具体的な話を業者と相談をいたしておる最中であります。
○赤路委員 こういうことは、今さらあらためて大臣には申し上げるまでもなく十分御承知のことと思うのですが、すでに四月の二日築地の買出し人市場大会では、われわれの損害をどうしてくれる、この要求は二十三名の船員だけではないだろう、損害額を税金の減免、滞納の棒引きですぐ償つてください。この窮状を打開するためつなぎ資金をすぐ融資してください。死の灰による損害は全部米国政府で補償してください。このため日本政府は責任をもつて交渉をしてください。という決議と要望がなされておる。また浅草の魚商連合会では、魚屋殺すにや三日もいらぬビキニ灰降りやお陀仏だ、という歌を歌つておる。このことは私は真実の声であり、また実態でもあると思う。単に仲買いや魚商だけでなしに、より以上大きな打撃を受けておるのは生産者側でありまして、生産者側ではすでに現地では非常に滞船が続出しておるという実態、生活の困窮というものは、私は目に余つておると思う。この現実の姿に、私は十分ひとつ御刮目を願わなければならないと思います。事件が起つてはつきりいたしましたのが三月の十七日、私が当委員会において大臣にとくとお願いを申し上げたのが四月の十七日、今日すでに二箇月という日時が経過しておる。今までの御答弁を総合いたしてみますと、まことに失礼な言い分かもしれませんけれども、具体的に何ら措置をとつていないということなんです。いろいろとお考えも願つておりましよう。考えておる、あるいは善処するというこの言葉だけをもつてしても、被害者を救えるものではございません。被害者の窮状というものを私はほんとうに知つていただきたいと思う。であればこそ、私は十七日にあれだけ強くお願いを申し上げました。私は安藤国務大臣は、本吉田内閣におきましても、単に一個の官僚大臣としておいでになつた方じやない、ほんとうに長い間政治ととつ組んで、すいも甘いも十分わきまえられたりつぱなお方であると思う。私は今度のこのビキニの内政問題について、安藤国務大臣がこれの担当をされたということをお聞きしたときは、非常によかつた、政治家として十分練られた、しかもほんとうに苦労を重ねられて今日まで来られたお方であるのだから、十分末端の者のことを考えて、適切な率直な手段を講じて、これらの人に対する対策が立てていただけると私は考えておつた。今日まで二箇月の間、今の御答弁で行きますと、私は残念ながら何らしていただいてないと申し上げるよりほかない。ただ単にここでこういう議論をして、こういう御答弁をいただくことは、われわれとしてはそれでいいかもしれません。しかし現地の諸君の実情はそんななまやさしいものでない。アメリカ側の補償は、とうてい速急に来るものだとは考えられない。これは爾後まだまだかかる問題だ思う。今国務大臣の方から、そのことについては額の内払いをしようという方針をもつて進んでおるという御答弁を得ました。また融資についても銀行等に対して折衝しておる。しかもまたその具体的な問題については、それぞれの業者等を水産庁が呼んでおやり願つた、これもけつこうです。しかしながらこのことは、すでに四月十七日の水産委員会でも、これと同工異曲の御答弁を願つておる。その後すでに一箇月たつて何らの措置もとつていただいてないということは、まことに残念しごくです。私はこれ以上申し上げましても、ここでは何ら処置をとつていただいていないので申しませんが、今日のこの実情を十分ひとつお考えくださいまして、ぜひ速急にこれに対する具体的な処置をおとり願いたい。もう単に考慮だとか善処だとかいう段階ではございません。その点は十分安藤国務大臣は御承知くださつておると思いますから、御答弁も要求いたしません。今委員長からお聞きいたしますと、大臣の時間も三十分ということでございます。他の同僚諸君もお聞きしたいことがあろうと思いますから、私はこれ以上御質問も申し上げません。ただこの点一点だけを大臣に重ねてお願い申し上げて、私の質問は打切ります。
○安藤国務大臣 ちよつと一音申し上げておきますが、何もしないんじやないんです。非常に誠意を傾倒して、各省が寄り合いまして努力しておるのです。お話の要点はよくわかり、私もむろんあなたと非常に同感なんです。ただこれを実行する上におきまして、御承知のようにいろいろな役所が関係があるものですから、これらの点において実際的、事務的の立場から、いろいろと研究したり調査をしたりしなければならない立場がありまして、そういうような点について時間をとつておつたのであります。しかしその間何もしないでほつておいたのではない。やれるだけのことはやつておつたのでありますから、それはよく御了承を願いたい。しかしながらあなたのおつしやる通り、大分延びておりますことは非常に遺憾であつて、これも私もまつたく同感なんです。それでこの打合せ会議ももうすでに十数回も開いて、そのたびに非常に諸君が誠意を傾倒して総合研究もしておる。私もまたこれを促進をしておるのであります。よくわかり属した。実はきのう、おとといも、私生産庁の次長を連れて三崎へ行つて見て来た。最近また焼津に参りますが、向うへ行つて様子も見たい。また実情も視察をしまして、向うからの切実な陳情も受けております。まつたく同感なのであります。何とかしてこれを早く解決したいと考えております。その点を御了承を願いたいと思います。
○赤路委員 やめるつもりでしたが、今大臣から御答弁を伺つて、大臣の答弁としてはどうかと思うのです。なるほどいろいろ折衝もいりましよう。しかしながら西日本の水書の場合におきましても、その他の突発的な災害の場合においても、すぐ予備金の中から出した事実がある。今回の場合に関する限り出さないということはない。そういう事実がある。大臣のお気持はよくわかりましたので、もうこれ以上何べん申し上げても同じことでありますから申し上げませんが、大臣のそのお気持をただちにひとつ実行に移していただきますようにお願い申し上げたいと思います。
○田口委員長 淡谷悠藏君。
○淡谷委員 安藤国務大臣にお伺いいたします。あなたが二箇月間一生懸命おやりになつたその御苦心のほどは十分わかりますが、具体的には何ら現われていないことは、赤路委員が言つた通りだと思います。その政府の施策が少しも進行していない間に、アメリカの水爆実験だけがどんどん進みまして、追つかけ追つかけこの損害をさらに調べなければならないというのが今の実情だろうと思います。アメリカはすでに今年度の水爆実験はやめると言つておりますが、今日に至るまで何回水爆実験がなされて、その水爆実験の損害はどれだけあるのか。こういう点に対する大臣の見通しが一点。さらに新聞等を見ますと、続々として放射能を持つたまぐろが水揚げされる。それがまぐろだけに限らず別な魚種にも及び、その水域も漸次広がつておるようであります。さらにこの梅雨期に際して、日本の国土に降つて参ります雨が多分の放射能を持つておるというので、非常な不安を国民全体が感じておるようでございますが、こういう大きな被害について、現在までに政府が押えられた実態はどの程度になつておるか。この点を第二点としてお伺いしたい。要約いたしますと、アメリカの水爆実験の回数並びにその被害の範囲、国内に降つた雨が国民に及ぼす危険の度合い、この二点についてはつきりした御答弁を願いたいと思います。
○安藤国務大臣 この問題は、業者ばかりでなく、日本全体にとつても非常な大問題であることは申すまでもありません。しかしながら今までにないことでありますので、そこに非常に研究を要するのであります。水爆の実験をどれだけしたかという報告は、向うがすつかりして来ているときもあるし、して来ておらないときもあるからわかりませんが、数回で、もう終つただろうと思います。それについては外務省から局長が出ておりますからお聞き願いたい。 雨に放射能がたくさん入つていて困るということは、しろうとにはわからない。雨に入つていたからといつて、それが全部有害になるのか、あるいはある程度有害になるのか。これだけのことは平常もあつたのだが、今まではこういう機会がなかつたものですから気がつかずにいたのか、そんなことはわからない。これは専門家の学術上の調査でやるより結論は出ない。今あちらこちらでもそういう研究にかかつておりますから、何とかそのうち結論が出ようと思います。いずれにしましても大問題なんですから、そのつもりでかかつてはおります。なるべく促進をしたいと考えておることを御了承願いたい。
○淡谷委員 それではアメリカの水爆実験は、外務省の方からさらに御答弁願うことといたしますが、この水爆実験をやる地域というものは公海でございますので、立入り禁止処分ができないものと承知いたしております。そういたしますと危険区域を設定する場合には、その都度水爆実験の警戒を出すということが常則のように伺つておる。こういう点も安藤国務大臣はお知りにならなかつたというお答えのようでございます。これは外務省の方から御答弁願えば、またそれでよろしい。 それから雨等につきましても、初めてのことなんだからわからない、目下研究中だから、危険があるのかないのかわからない、これが政府の実態であるとわれわれは了承してよろしゆうございましようか、その点を重ねてお伺いいたします。
○安藤国務大臣 それはどこまで雨が降つたから有害という結論を出すことはむしろ早計だと思います。それじやあれが全然害がないときめることも早計なんです。どつちにいたしましても、専門的の研究の結果にまたなければならないと思つております。
○淡谷委員 国内に降つております雨、これからも降る雨が、人体に及ぼす影響が危険なものであるか、危険なものでないか、これを早計に判断することは非常に危険だとおつしやいますが、早計に判断しないことも私は危険だろうと思います。万一危険がなければよろしいのですが、どんどん降つております雨がまつたく危険なものとすれば、これは容易ならぬことだと思います。特に今年度は、アメリカが実験を中止するといつておるそうでございますが、その危険の度合いがわからず、及ぼす影響もなかなかにつかまえられない、こういう危険な水爆の実験を、今年に限らず来年も人類のために中止するように、アメリカに要求するだけの腹がきまつておられるかどうか、この一点をお伺いいたします。
○安藤国務大臣 雨の問題については、今われわれしろうとが、どうときめることはできないと思います。これは専門家の研究にまつより道はないのです。雨が降つて来たから危険だといつて、それを回避するといつたところで、回避しようもないのです。危険だというようなことを言いふらしてしまうことは、むしろ人心を不安定に導いて困ると思うのです。それじやほつておくのかといえば、決してほつておくのじやない、根本的に研究しなければならない。今そういう方面で研究をいたしておりますから、おそらく適当の結論が出ると思います。それから対策を講ずることが必要と思います。しかしながら雨が降つて、そこに放射能がたくさんあるから、その対策といつてもこれまた根本的の研究を要することで、容易の問題じやないと思うのです。いずれにしても専門家の研究をまつて、もしそれが非常に有害であるとするなら、これは根本的な対策を講じなければならない重大問題になります。いずれそのときに政府としては処置を講ずることが当然と思う。 それからアメリカが今後における水爆実験をどうするか、今度はこれで終りました。この次にやるまでには期間がありましようから、それまでには、政府として、今後この実験に対してどういう折衝をするか、どういう処置をとるか、これはむろん研究をいたして処置をいたしたい考えであります。
○淡谷委員 最後に一点お伺いいたしますが、アメリカは日本側の受けた損害に対して、一括支払いをすると申し入れたように承つております。そういたしますと、被害の範囲がわからず、被害の実態がわからない今日、一括支払いというのは部分的に見て、どこに至る損害を指すのか、期間的に見ていつまでのことを言うのか、その一括の範囲がどうであるかをお伺いしたい。日本の政府といたしましては、どこまでを一括してアメリカに要求するつもりなのか、この点をお伺いしたいのであります。
○安藤国務大臣 詳しいことは水産庁長官が来ていますから、その方から答弁をしてもらいますが、大体におきまして、きちつときめてあるのです。福龍丸の処置の問題、それからそれに乗つていた船具とかあるいは船員の私物の賠償、それから患者の問題、それから休業期間中の損害、それから直接にまぐろを廃棄しましたそういう損害、それから船員等の生活保障といつたようなことをきちつときめまして、直接損害として今内交渉中なのであります。それからそれでおしまいじやないので、まだ今後に出て来るのはいかぬといつたところで、あとから出て来るのですからしようがない。それはまた第二回にやろう、そういう方針をとつておるのであります。
○淡谷委員 どうも答弁が食い違うようであります。私は一括支払いというものは全部ひつくるめたものであると思つております。第一次一括、第二次一括といつたように、期間を切つて要求をされるつもりでありますか。
○安藤国務大臣 期間を切つて要求しておるのです。それから以後また出て来るのですから、もう出ないでこれでおしまいなら、そこで最後の一括になります。一括というのは、損害の範囲を一括しておるのです。それ以後のことが出て来れば、それは追加賠償要求をいたす、こういう方針なんであります。
○田口委員長 簡単にお願いします。
○淡谷委員 もう一点大臣から答弁を伺いますが、公海使用につきまして、アメリカ側が水爆実験を行うにあたつて、国際法上規定されております。危険の警告でございますが、これは、この水爆実験の都度日本側に通知があつたかどうかということに対する御答弁と、このアメリカの処置にもしも誤りがあつたとして、日本の外務省がどれだけのこれに対する抗議をしたか。この点に対する御答弁をまだ伺つておりません。
○安藤国務大臣 水爆実験をするという通知は外務省にあつたと思います。それからそれにつきまして、政府としてはアメリカへ交渉しておるのであります。これに対して日本の交渉通りに向うが入れたところもあるし、そうは行かないという点もあるのであります。でありますから、また今後水爆実験をやるという場合には、あらためて日本政府から交渉をするということになろうと思います。
○淡谷委員 ただいまの御答弁の中にあります、アメリカが拒んだ点といれた点というのを具体的にお知らせ願いたい。
○中川(融)政府委員 御承知のように政府は、アメリカ政府に対しまして、いわゆる危険区域を広げました際に、これが及ぼす影響をできるだけ小さくいたしたいという点から、数項目の申入れをしたわけであります。その内容につきましては、当時新聞にも大体のことが出ております。たとえば危険区域自体を縮小すること、あるいは危険区域は六月末までということになつておりましたが、その期間内でも原爆実験の合間を見て通れるようにしてくれ、なお実験あるごとに事前に通知して、実験の結果についてのいろいろな資料をこちらへもらいたい、かようなことを数項目申し入れたのであります。その当時はアメリカ側といたしましては、実験の結果のいろいろ調査の報告というようなことは、すでにある程度実施しておるし、今後ともやりたい。なお実験を事前に各国に通報するというようなこととか、あるいは危険区域を縮減するというようなこと、あるいはその間にも日本の船が通るというようなことは、実験の性質上困難と思うというような回答が非公式にあつたのであります。結果的に見ますと、六月末までの実験期間が、今月の十四日ごろにはすでに実験が終りさらに遠からず危険区域も解除されるであろうという見通しでありますので、実際問題としては、危険期間の短縮ということも実現したわけであります。その当時は、その点については的確な日本側の希望に対する回答はなかつた次第であります。 なお先ほど安藤国務大臣が御答弁されました中の点について、一点だけ補足させていただきますが、原爆実験について外務省に通知があつたということを申されましたが、その通知というものは、結局危険区域の設定という形で行われておるわけでありまして、各実験ごとに事前に通知して実験があるということではございません。危険区域の期間が六月末までという期間が設定され、通告され、その間には原爆実験が行われ、中に入ることは危険であるという趣旨の通告があつたわけでありまして、その事実をさしておられると存じますので、ちよつと補足させていただきます。
○鈴木(善)委員 中川さんにお尋ねしたいと思います。安藤国務大臣が参議院の水産委員会で御説明をなさつておりました中で、日本政府が直接被害の第一の賠償要求として六千二百万円でありましたか、四百万円でありますか、申入れをしておる。それに対して大体国務省方面は了承しておる模様であるが、原子力委員会方面からの意見等もあつて、決定的な回答に接していない、こういう趣旨の御説明を参議院の水産委員会でしておるわけでありますが、先ほどのアジア局長の御説明によりますと、賠償の支払いを何べんにも区切つてやることについて、支払い方法についてのアメリカ側の考え方が、日本政府の要求方式とマツチしていないために遅れておるのだ、こういうぐあいに御説明があつたのでありまして、この賠償支払い遅延の原因が、安藤国務大臣の御説明と中川さんの御説明との間に、若干食い違いがあるようであります。あるいは両方の理由で遅れておるということかもしれませんが、その辺のことをもう少し御説明願いたいと思います。
○中川(融)政府委員 四月の末ごろ、われわれがワシントン大使館等から得ました情報等によりますと、先ほど安藤国務大臣が申されました、たとえばアメリカ政府部内においてまだいろいろな役所で検討を続けており、そこらにおいてもまだ意見が一致しないというような事情があつたようであります。しかし最近に至りましてわれわれが非公式に得ました話では、アメリカ政府としては、先ほど申しましたように、できれば一括支払いということを考えたいというような考え方であるということを開いておるのであります。従いまして、遅れました理由といたしましてはいろいろあろうと思うのでありますが、最近のわれわれの得ております印象といたしましては、アメリカ側としても、支払い方法に関する問題がやはりその原因の一つじやなかろうかというふうに考えております。結局これはいずれも推測にすぎませんので、どれとどれが的確な原因と申し上げられないのでありますが、最近の事情では、後者の方の事情じやなかろうかと考えております。
○鈴木(善)委員 私がこの点をお尋ねいたしましたのは、最近の非公式の話合いとして出た賠償支払いの方法についての問題であれば、これは技術的な問題でありますから問題はございませんが、先般の宏藤国務大臣のお話のように、国務省は、日米の国交の面からも考え、高い見地から十分誠意を持つて善処しようというような場合に、原子力委員会が、原子力委員会という狭い立場で賠償等ついていろいろ議論が出るということであると、今後の賠償についての見通しについて、若干私どもとして不安を感ずるというような気持からお尋ねしたのでありますが、最近の非公式な話合いで、それはもつぱら支払い方式の技術的な問題のようであるということがアジア局長を通じて明らかになりましたわけでありまして、この点私ども一抹の不安と申しますか、その点が解消したわけでありまして、私どもその点を喜んでおる次第であります。 次にこの支払い方法の問題でありますが、先ほど赤路委員や淡谷委員からお話がございましたように、なるほどアメリカの言うように、毎月々々療養費を払う、そういうようなこま切れ的に払うということの煩にたえないということはよくわかるのでありますが、しかし最終の原爆実験による全体の被害が集計され、もうこれ以上被害がないというときまで賠償を要求しない、また支払わないというようなことでは、国内の補償措置等にも勢い支障を来さざるを得ない、こう考えるわけでありまして、これはやはり両委員からのお話もございましたが、できるだけまとめて要求するけれども、まず大きくまとめて二回なり三回なりに要求して行く。そうして国内の補償措置を迅連にする必要があろうかと私ども考えるわけでありまして、この点につきましては、アメリカ側の希望の趣旨も入れつつ、そうして国内の救済措置が迅速になされる範囲において、十分アメリカ側の考えも取入れ、日本側の措置にも遅れをとらないような適切なる請求方法をおとりいただくことを、私ども強くこの際アジア局長にお願いをしておきたいと思うのであります。 それから水産庁長官にお伺いしたいのでありますが、先ほど来の宏藤国務大臣と赤路、淡谷両委員との間のお話合いでは、どうも政府が何にもやつていないように思われるのでありますが、そうでなくて、すでに政府としても具体的に措置されておることがあるように私は思うのであります。福龍丸の買上げの措置あるいは文部省を通じての学術研究としての福龍丸の管理措置、そういうこともなされておると思うのであります。また患者の療養費等についても、病院等に対してはすでに支払い等がなされておるのじやないか。政府のおとりになつた措置は、やはりこの際率直に具体的に御報告なさつておいて、ここまで行つておるというようなことで、野党の諸君にも御了解を得ると同時に、国民諸君にも納得行くように御説明願いたいと思います。
○淡谷委員 関連して……。どうせお答えを願うのでしたら、一緒にお答えを願いたいと思うことがございます。 先ほどの大臣の答弁とアジア局長の答弁との間に食い違いのあつたことは、すでに局長も認められておりますが、私のお伺いいたしたいのは、第五福龍丸の船体を買い上げるとか、あるいは患者の療養をするとか、この水爆実験によつて生じた損害に対するお弔いをするのではなくて、水爆実験をやつたということ自体に対する政府の態度でございます。たとえば、個々の実験は一々通知がなかつた、しかしこの実験継続の間に、日本政府から危険区域外において被害を受けたという強い申入れがあつたはずでございます。その申入れにもかかわらず、その被害の程度もあるいは範囲も不明のままで、さらにこの実験を継続したことに対する、アメリカの誠意に対する抗議、こういうものがなされたかどうか。あるいはまた、危険区域外におつた日本の漁船が被害を受けておることが確実になつておりますので、こうした国際法上の問題についての強い申入れがあつたかどうか。要はそういうお弔いだけの対策だけではなくて、今後日本国民の不安を除き、日本の漁業を完全に行うことができるような措置を外務省としておとりになつたかどうか。この点も相加えて詳細の御答弁を願いたい。 それから水産庁長官にお聞きしたいのでございますが、現在までに廃棄した魚類の総額はどれくらいに及んでおるか。また現在アメリカとの交渉がまとまらず、危険の範囲も程度も不明のままに出漁する船に対して、水産庁はどのような指示を与えておるか。これもあわせて御答弁願いたいと思います。
○中川(融)政府委員 初めに今後の原爆実験に伴う損害の補償要求のやり方について、簡単に私どもの考え方を申し上げます。こちらからの要求は、先ほど御指摘のありましたように、まとまつたものからどんどん出して行きたい。しかし先方の考えとしては、できるだけ一まとめにしたところで一括の補償をしたいという考えのようであります。こちらの治療費は一括して出すというやり方ではなくて、まとまつたものからどんどん出して行きたい、かように考えております。最後に若干、補償問題が審議されまして、解決しましたあとでまた新しく損害が出て来るということも、あるいはあろうかと思います。かような場合には、その点につきましてさらに追加して交渉することを決して妨げるような解決方法にはならないと考える次第であります。 なお第二の点といたしまして、危険区域を広げたことにつきまして、広げた危険区域外にある船、魚等についていろいろ被害があつた、その点について日本側はどういう対策あるいは措置をとつたかというお尋ねであると思います。危険区域を拡大いたしたことにつきましては、先ほど申し上げましたように数項目の要望をいたしました。その趣旨は、危険区域を拡大したことによる日本側にとつての直接の被害、損害をできるだけ最小限に食いとめたいという趣旨でしたわけでございます。なおその要望がいれられるあるいはいれられないにかかわらず、さらに危険区域が拡大した、あるいはそれに伴います原爆実験によりまして日本側の受けることあるべき損害については、十分補償の要求の権利を留保するということを申入れの中に加えておるわけであります。その当時は危険区域が拡大されました関係上、危険区域外にあるものには危険はない、被害はないだろうという前提に立つたわけであります。現実にはたとえば魚等については、危険区域外の船がとつたものについても損害があつたわけでありまして、それらの損害につきましては、もとより保証請求の対象となるわけであります。それ以外にもし船体等にも危険あるいは損害等があれば、これも補償の対象にいたすことはもちろんでございます。 なお今回広げました危険区域自体がまだ十分でない、その外におつても身体等にも被害があるというような事実が判明いたしますれば、さらにそれに基いて、善後措置について、あるいは今後の危険防止措置につきまして、アメリカ側に抗議すべきことは当然でございます。その点につきましては、さらに今後の調査にまつて措置したいと考えております。
○清井政府委員 先ほど御質問になりました点でありますが、直接の被害船である第五福龍丸につきましては、政府において学術研究上の目的をもつてこれを管理保管の上研究するという目的で、政府買上げの措置をとつたことは御承知の通りであります。その金額は合計で二千百万円であります。二千百万円の内訳を申し上げますと、直接第五福龍丸の代船購入に要する経費といたしまして、千八百十八万円、それから船ごと買いますために、その船に乗つております漁具であるとかあるいは乗組員の私物であるとか、燃油等も一緒に買上げなければならぬので、積載してありましたものをそのまま買い上げるという意味における経費が二百八十二万円、合計二千百万円というものを、これは文部省の予算に計上いたしまして、これの買上げ手続がもう済んだはずであります。第五福龍丸につきましては、とりあえずごく短時間の間焼津港に置いておくということで地元も了承しました。港内において、既存の場所より一部他の場所に移動いたしたようであります。その点ははつきりいたしておりませんが、移動いたすと思うのであります。ごくわずかの間置きまして、追つて確実な場所をきめましてこれを学術研究に使う、こういうことになつて、これは文部省と現地と折衝いたしておる問題でございます。この点が第一点であります。 それからただいまもお話がありました、その後入つて参りました船について、漁獲物をガイガー計数管によつて検査いたしまして、これの廃棄をいたしましたものについての措置でありますが、これはただいままで大蔵省と交渉をいたしておりまして、ほとんど事務的に折衝が済みかけておるのであります。金額的なことにつきましては、まだ申し上げ得る段階に至つておりませんが、大体項目といたしましては、廃棄した漁獲物の損害、それから廃棄に要しました諸般の経費、あるいは販売を遅延いたしましたことにより、それだけの鮮度低下等を来した損失というものがあるわけであります。それからしばらくの間やむを得ず休みました休業期間中の損害額というものは、これは経営者側にも漁業者側にもあるわけであります。それからその際物品が毀損された場合の毀損物品の損害、それから金利の低下あるいはこれに伴うところの事件処理費、こういうふうなものが項目としてあげられるのであります。そういつたような項目に基きまして、今までにわかつておりまする廃棄した船を個別に全部調査をいたしまして、その船についてそれぞれの廃棄した数量、並びに売つた金額、あるいは実際に休業した期間、あるいはそれに要した事件処理費等を、一船ごとに計算いたしたのであります。それの損害賠償要求といたしまして、外務省を通じてアメリカ側に通達したのでありまするが、この点は先ほどお話がありましたが、さらにその分について政府で内払いと申しますか、何らかの措置によつて支払いをするということで、ただいま打合せをいたしておるのであります。これはごく近日のうちにはつきりするのではないかと考えておるのであります。今申しましたのが、直接の問題につきまして私どもにおきまして予算上とりました措置であります。 なお引続きこういう被害船が起つて参りますれば、同様の措置をとつて参りますことは自明の理であります。なおそれに基く一般の魚価低下によりまするところの損害額、あるいはそれに関する融資等の問題につきましては、これは先ほどお答え申し上げた通りでありまして、目下これについて至急検討を加えておる最中であるのであります。 大体以上が私どもが今までにいたしました措置であります。なお廃棄しました数字について御質問がございましたが、これは厚生省の方から政府委員が来ておられますので、厚生省の方からお答えを願つた方がよろしいかと思います。
○楠本政府委員 お答えを申し上げます。ただいままで五港におきまして検査をいたしましたものは五百六十一件、魚類にして六百九十万貫、そのうち廃棄処分に付しましたものは二十三件、二万五千三百貫であります。これは五月十日現在でございます。
○赤路委員 ちよつと水産庁長官にお尋ねいたしますが、鈴木委員の御質問に対して今御答弁があつたわけなんですが、そういたしますと、具体的に政府の方から本事件について支払われたものは、第五福龍丸の代船購入の分と積載物購入の分との二千一百万円だけということになりますか。
○清井政府委員 ただいままでのところはその通りでございます。
○鈴木(善)委員 それから、政府は今回の水爆のわが国の漁業に及ぼす影響を重視されまして、俊鶻丸を関係の水域に派遣をして総合的な科学調査をやる、こういうことを当委員会の申入れをただちに実行に移されたわけでありますが、この俊鶻丸の調査は帰船後に総合して発表されるのでありますか。あるいは事態の判明次第逐次発表される所存でありますか。これはまぐろ漁業に従事する漁業者を政府が指導し、安全に操業させる点からも、発表を急ぐものはただちに漁業者の指導のために発表された方がよかろう、私どもそういうぐあいに考えておるのでありますが、俊鶻丸の調査結果の発表について、当局はどうお考えになつておりますか、その点をお伺いしたい。
○清井政府委員 俊鶻丸につきましては、ただいまもお話がありました通り、当委員会の中出もありまして、先週の土曜日に出発をいたしたのでありまして、目下航海途中であります。毎日連絡をとつておるのであります。その調査結果につきましては、逐一こちらの方に報告が参ることになつておるのであります。御承知の通り、国内におきましても専門の立場においてそれぞれの責任者が全部きめられておりまして、そこに全部資料が集まつて参ります。そこで一定の結論が出、これを発表してさしつかえないという判断を得るに至りましたような場合には、総合的な検討の上これを発表いたさなければならぬかとも思つております。しかし問題は、非常に機微な問題が相当ありますので、必ず報告の来次第すぐ発表できる性質のものであるかどうかは、いろいろ問題があろうかと存じます。しかし私どもといたしましては、船が帰つて全部そろわなくちや発表しないという性質のものではないのでありまして、これは報告の経過の次第によつて、発表し得るものがあれば必ずしも船が帰ることを待たなくても発表してもいいのじやないか、かように考えておりまして、いずれにしてもデータの集まり次第によりまして、しかと申し上げるわけには行きませんが、気持はそういうことであります。
○鈴木(善)委員 私は、この際安藤国務大臣を中心とする対策連絡協議会のメンバーの方々に、いま政府に対して要望しておきたいのであります。どうもこの水爆の対策等につきましては、政府としても今お話を承つた通り熱心におやりになつておるのでありますが、このおやりになつておることが国民全体に十分周知徹底していない。政府は漫然と日を送つておるのではなくて、全力をあげてこれに対処しておると思う。そのおやりになつた結果は、国民に十分徹底するような積極的な措置をとつていただきたい。どの新聞の報道によりましてもこの放射能を持つた船がまた東京に着いたとか、そういうようなことは非常に詳細に発表されておるのでありますが、政府がおとりになつた措置はあまり発表になつておらない。これは国民諸君に与える影響もあることでありますから、ぜひその措置を講じていただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。
○赤路委員 今鈴木君から政府に対して要望があつたのですが、私は残念ながら鈴木委員と考え方が少し違つておるわけなんです。もちろん政府が今回の件について、十分努力と申しますか、何か意見をまとめてどうにかしなければならぬということは、今までの安藤国務大臣の答弁からもそれは了解するわけなのでありますが、ただいま水産庁長官からおつしやられたように、本事件発生以後すでに二箇月かたつておるのに、二千百万円の第五福龍丸の代船購入と、積載物に対する購入が決定しただけであつて、具体的に何ら出されていない。これが問題なんです。一体乗組員の家族の生活の補給をどうしているか。その他休業等々非常に大きな痛手を受けている。それについては計数を出している。調査する、善処する、今まではこれだけなんです。私が申し上げているのは、こうした問題の具体的な措置をとれということなんです。近くやるだろう、内払いをする、こうおつしやつている。先ほど安藤国務大臣に最後に申し上げましたように、これが農業関係ならすぐ出している。水産関係はなぜ出さぬか。私の言いたいのはそこなんです。西日本水害のときもすぐ出した、一箇月もニ箇月もかかつておりません。これでもつて政府が誠意をもつてやつていると言えますか。私の言いたいのはそこなんです。これ以上申しませんから、十分これらの点を御検討願つて、ただちに線を出していただきたい。 私は三月二十四日の委員会の質問を通じて、今回の事件の発展を非常に危惧して御警告申し上げておいたのでありますが、最近に至つて近海魚に放射能を持つものが続々と現われて来ている。この事態はこのままゆるがせにできないと思います。先ほど楠本さんから、五港における検査結果を御発表になつたのでありますが、単に五港だけの問題ではない。指定港以外に水揚げされたものが出て来ることが、今日では常識だと私は思つています。これに対してどういう対策を立てようとされているのか。この点について御説明を願いたい。
○楠本政府委員 お答えを申し上げます。ただいま御指摘のように、指定区域以外の漁船、つまり指定五港以外に入海する漁船から、放射能を持つた魚類が証明されましたことは事実でございます。しかしその場所も、大体台湾以南でございまして、近海とは言えないものと考えております。ただこれからの検査でございますが、今まで証明し得ましたものは、百カウント程度の、全体から見ますればきわめて微量でございまして、今のところ私どもといたしましては、特に港を指定するようなことをせずに、それぞれ市場等においてできるだけの検査をするように指導いたしている次第であります。この程度のことでこの問題は特に支障のないものと考えている次第でございまよ。
○赤路委員 今の楠本政府委員の答弁では、了解せよと言つたつて私はどうも了解できぬと思うのです。こういうことを国民に発表したんじやたいへんだと思う。魚は食えませんよ。これは連想に何とか対策を立てていただきたいと思う。この問題は、単に漁業者だけでなしに、むしろ消費者側である国民の非常に大きい問題なのであります。これに対する的確なる処置を速急に御協議願つてお打ち願いたい。それでないと、何ぼわれわれが国民に不安な気持を起さないように努力しても、新聞報道をとめるわけには参りません。こうなつて参りますと、たいへんな問題になる。これを心配するから、この点については三月二十四日の委員会で私は言つている。ところが今日までこれが何ら考慮されていなかつたということは、手落ちではないかと思います。この点御答弁は要求いたしません。 今度は楠本さんにお尋ねいたしますが、私四月十七日の委員会で雨のことについてお尋ねいたしました。非常に心配をしておつたのでございます。十九日に厚生省で放射能雨の調査研究の態勢を整えることになつたという新聞報道がございますが、その通りでございますか。
○楠本政府委員 かつての本席でまことに楽観的なことを申し上げましたが、その後去る十六日に降りました雨につきましては、各地でかなり多量の放射能が報告されております。私どもはさつそくこれらの現地に連絡をいたしまして、さらにその実体を把握いたすに努めたわけであります。何分にも検査の基準、やり方等についてかなり一致を欠いております。従つてその数字そのものをただちに信頼することもできません。しかしながらかような点がはたして従来の雨中に含れる自然の姿のものであるか、あるいは人工的な何ものかがそこに加わつているかというようなことは、いまだ即断できません。しかししいて想像で言うならば、その数字から申しましても、あるいはまた全国各地で同じような結果がおおむね出ているような点から考えましても、何らか人工的なものもあるのではなかろうかということが想像されます。そこで目下これらのものをさらに厳密に分析調査をいたしまして、その結果に基きまして、正しい姿を把握いたしますと同時に、もし要すればそれに対する対策も考えたい、かような趣旨で、従来実施をいたしておりました調査の範囲をさらに拡張いたしまして、これらの問題に対処している次第でございます。 しかしながら誤解のないようにつけ加えさしていただきますが、今のところは必ずしも人体支障ありとは言えないものでございます。それならばなぜやるのかということになるわけでありますが、これは将来の日本の国防計画なりあるいは国際的な平和問題なりに寄与する重大な事実資料でありますので、かような研究を進めているわけでございます。
○赤路委員 ただいま冒頭に楽観的なことを申し上げたということでありましたので、私は十分御反省願つていると思いますので、この点については申し上げません。今また人体に今のところ影響はないと、この前と同じようなことをおしつやつておられる。人体に影響があるかないかはこれからの問題です。十分御検討願わなければならぬ。 ただ一点楠本さんに特にお願いしておきたいのは、要は半減期の問題であろうかと思います。この問題の半減期については、新聞紙上の報道も——厚生省の政府当局の方は、先ほど鈴木委員が指摘されたように、ほとんどまとまつた意見を何も出しておりません。これは確かに手落ちだ。ただ放射能が八万カウント出たとか、一万六千カウント出た。そうするとまぐろに百カウントあれば廃棄しているんだから、たいへんなことになるというのは一般常識だと思う。要は半減期がどうあるかということが非常に大きな問題だと思います。これが単に五分間であるとか十分間であるとかいうような半減期であれば、カウントが大きくても、これは問題にならないものである。カウントが小さくても半減期が二年であるとか三年であるとかいうようなことになると、これはなかなか問題であると思う。それらの点が解明されていないところに非常に不安が醸成されるのだと思いますから、国民が不安定な気持を起さないように、今後ひとつ統一した形において速急に、これに対する対策をお立て願いたい。十分楠本さんの方ではおわかりだと思いますので、もうこれ以上は申し上げませんが、これだけ御要望申し上げておきます。
○淡谷委員 さつきの水産庁長官の御答弁でまだ伺つてないのがあります。現在の非常に不安な情勢の中で出漁する船に対して、一体どのような措置をとられておるか伺つておきたい。何ら指示なしに、野放しで出漁させているのか、あるいは何らかの指示や注意を与えているのか、この点を伺いたい。
○清井政府委員 この問題につきましては、すでに第五福龍丸の事件が起つた当初に水産庁で、五百海里にわたる区域を指定しまして、その中において操業し、あるいはそこを通過しました船に対しましては、指定五港において検査を受けるようにという指示をいたしたようであります。その後それが忠実に実行されて来ておるわけであります。その後区域拡張をいたした場合につきましては、その旨をすぐに全漁船に通達いたしましたし、あるいはその後のいろいろな情勢につきましては、直接漁業者に通達はいたしておりませんけれども、時々関係の漁業協同組合、あるいはかつお・まぐろ協同組合等に、しよつちゆう連絡して、いろいろな情報は流しております。直接に出漁の前に具体的にああせよ、こうせよという指示はいたしておらないのであります。ただ区域拡張の問題とそれから漁獲物について検査する等の指示はいたしておる。情報についてはいろいろ流しておりますが、直接の指示はいたしておらないということでございます。
○淡谷委員 先ほどから安藤国務大臣並びにアジア局長、水産庁長官の御答弁を伺つておりますと、一貫して流れておりますものは、結局この問題はわからない、どの程度危険なのか、どういう影響を与えるのか今のところわからないからしようがないじやないかということであります。安藤国務大臣は、降つた雨だからしようがないじやないかと言つて笑つておりますが、これは笑いことじやない。漁船が何ら的確な指示もなく出て、そのたびに魚を持つて帰るが、五港以外のところに揚つた魚が放射能を持つているのか持つていないのかまだわからない。これではまつたく何と強弁しましても、日本国民全部をあげてモルモットの代用品である。これは前から再々申し上げておりますが、水産委員会は、まるで外務省のやつて来ただらしない外交のために、しよつちゆう爼上に乗せられておる。今度は命をかけたモルモットの役をさせられておる。こんなことで水産委員会に価値があるか、農林委員会に併合するという話が出るのはもつともである。この際この問題に対して外交上の画然たる方針を伺い、また農林大臣の方針も聞きたいということを再再申し入れておりますが、まだ一回もおいでがないのであります。また放射能を持つた魚の船が廃棄されたことはございません。この船のために、陸揚げされた魚も販路が杜絶しておる状態である。私は少くとも水産委員会においては、この問題について外務委員会とも協力して、一刻も早く水爆問題のはつきりしためどをつけたい。また二箇月も三箇月も荏苒と暮しておる間には、地元の漁民や商人がどれだけ困るかわからぬ。笑つて済ませる問題じやございません。そういう点においてもう少し水産委員会自体が真剣になり、政府自体が真剣になつてとつ組んでいただきたい。アメリカは再三の日本の抗議に対して、試験区域外に起つた被害であると言つておる。それに対してその実験をやめさせようという抗議一つすら出せなかつた日本の外務省であります。ですから、黙つておりましたらまた来年始めるでしよう。そのときになつてなおこの危険を今のままでこうむつておつたら、われわれはいつまでたつてもモルモットの役を勤めなければならぬ。これは笑つて済まされる問題ではないと思う。この際この辺でひとつはつきり腰をすえまして、この水爆の問題を水産委員会の立場からももつと真剣な討議を続けられんことを要望いたしまして、私は質問を打切ります。
○田口委員長 ちよつと速記をやめて。 〔速記中止〕
○田口委員長 速記を始めてください。 —————————————
○田口委員長 遠洋かつお・まぐろ漁業及び中型かつお・まぐろ漁業の許可または起業の認可の方針の実施について、四月二十一日付をもつて当委員会の決定に基き水産庁長官に四つの事項を申入れております。 その第一は、中型機船底びき網漁業者、指定中型まき網漁業者、中型まき網漁業者または以西機船底びき網漁業者が遠洋かつお・まぐろ漁業及び中型かつお・まぐろ漁業の許可または起業の認可の方針につきましてこれらの漁業者が整理転換する場合、昭和二十七年十二月一日現在におきまして船舶総トン数七十トン以上の中型かつお・まぐろ漁業の許可を受けていた船舶を継承して転換する場合に限りまして、方針の第二の三による中型かつお・まぐろ漁業の新規許可をすること。 第三が、戦時中に徴用され滅失した漁船については、その所有者がかつお・まぐろ漁業の許可を希望する場合には中型かつお・まぐろ漁業の許可を与えるよう措置すること。 第三、ポ政令に基き指定遠洋漁業の許可を取消された漁業者に対しては、指定遠洋漁業として復権せしむる措置を講ずること。この内容といたしまして、遠洋かつお・まぐろ漁業者に対しては 遠洋かつお・まぐろ漁業に復権せしめること。以西機船底びき網漁業者に対しては、資源の関係上当該漁業に復権せしめることは困難と認められるから、遠洋かつお・まぐろ漁業として許可を与えること。指定遠洋漁業以外の漁船については、中型かつお・まぐろ漁業の許可を希望する場合には当該許可を与えること。 第四が、終戦の際、樺太、台湾または朝鮮等旧日本領土において漁業を営んでいたものであつて、漁船を放棄して引揚げた者が、中型かつお・まぐろ漁業の許可を希望する場合には、当該許可を与えるよう措置すること。 以上を申し入れておつたのでございますが、この申入れに対しまして、水産庁長官から発言を求められておりますのでこれを許します。清井水産庁長官。
○清井政府委員 ただいま委員長からお話があつたのでありますが、先般私どもの方におきまして、遠洋かつお・まぐろ漁業及び中型かつお・まぐろ漁業の許可または起業の認可につきましていろいろ方針を立てたのでありますが、その際きわめて重要な案件でありますので、当委員会にも御説明を申し上げたわけでありますが、ただいま委員長が申されたような申入れ事項をいただいたのであります。私どもといたしまして、この四件の申入れの事項に対しまして調査、研究をいたしたのでありますが、以下申し上げるように考えております。 まず第一点の問題でありますが、いわゆる中型機船底びき網漁業者指定中型まき網漁業者、中型まき網漁業者または以西機船底びき網漁業者が方針によりまして、昭和二十七年十二月一日において船舶総トン数七十トン以上の中型かつお・まぐろ漁業の許可を受けていた船舶を承継して転換する場合に限つて中型かつお・まぐろ漁業の新規許可をすることという趣旨は、いわゆる沿岸のかつお・まぐろへの転換という問題を真の転換たらしめたい、こういう御趣旨であるように考えるのであります。この趣旨は私どもといたしましても、まことにけつこうだと考えております。この方針をつくりました趣旨からかんがみましても、当委員会の本申入れの趣旨に沿うような運用をいたす方向で実行して参りたいと考えております。 それから第二の徴用されて滅失した船舶について、あるいは終戦の際外地におりました業者が本土へ帰つて参りました場合の措置の問題でございますが、この二と四の問題につきましては、実は私どもにおきましても、今までいろいろ措置を講じて参つた経過があるのであります。かつお・まぐろ漁業の許可制度が終戦後できましてからは、あるいは徴用されて沈没した船の代船の許可、あるいはまた外地からの引揚者救済のために新規許可を優先的に認めるというような方法も、実は継続して参つて来ておつたのであります。そこでこの事項に該当する方がどのくらいあるか、ちよつと私どもには見当がつかないのでありまして、一応の考え方としては、ほとんどやつてしまつたのではないかと考えておりますか さらにこういうような御希望者があつたといたしました場合には、その御希望者の個々につきまして十分実情を考究させていただきたいと思います。と申しますのは、これがほんとうの徴用沈没代船と見ていいかどうかという問題もいろいろ考えられるのであります。また引揚げられた方でも、相当長期にわたつて漁業をやつておりますので、ほかにどのような漁業をしておるかということも考えなければならぬ実際問題があるのであります。そのようなことを十分考えさせていただいて、かりに十分この趣旨に沿うて考えなければならぬという結論に達しました場合には、いわゆる中型かつお・まぐろの漁業について許可をするというふうになつておるのであります。いずれにいたしましても、具体的に実情を十分判定をしてもらいたいと考えております。 それから三の、いわゆるポ政令に基きまして許可を取消されたものについての措置でありますが、まずそのうちの遠洋かつお・まぐろ漁業者であつた方が、かつてポ政令に基きまして許可を取消された、あるいは指定遠洋漁業以外の漁船について該当があつたというものの措置につきましては、昔ポ政令によつて処置を受けました前に、その方が持つていた船の大きさが基準になると思う。そのときかりに二百トン持つておりますれば二百トンというように、その当時持つていた船の大きさの限度に準じて措置して行かなければならぬと考えております。 それからその次の以西機船底びき網の漁業者についても同じような申込みがあつたのでありますが、その問題につきましても、ポ政令において措置を受けたという点においては同様の事情であります。ただ実際問題として、ほんとうのポ政令による措置と任意に廃業をしてもらつた措置と両方あるようであります。いずれにしてもポ政令に関連する措置であることは、かつお・まぐろ漁業者と同じでありますが、問題は、本来かつお・まぐろ漁業者であつたことと、以西底びき網漁業者であつたこととは根本的に違う問題があるのであります。従つてこれは当委員会においても、かつお・まぐろということについての発言であろうと思いますが、かりに該当の船の合計トン数が百トン以上ということになりますと、御承知の通り、現在の漁業法によつて新規許可はできないことになつておりますので、それは現状ではいたし方ない。しかしながらこの問題についても考慮を進めて参らなければならぬのでありますが、新規許可は法律上できませんので、地種漁業よりの転換の措置等もあり、ことに今度の措置によつてきめて行きますから、そういう措置に準じてこの問題についてもやつて参る方針であります。
○田口委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○田口委員長 速記を始めて。小高熹郎君。
○小高委員 転換の考え方の問題についてちよつとお尋ねいたしたいのですが、実はまき綱の転換の件でございます。先般も私から永野さんに申入れがしてございましたが、佐世保の防潜網、九州の演習及び軍施設に伴う漁民の転換が、まき網の場合にいろいろ意見として出ております。また久里浜の演習によつて揚操縦が立たないから転換したいという中型からの声も二、三聞いております。東京湾及び九十九里の防潜網あるいは実弾射撃品等によつて、もう中型のまき網のみをやつておられぬから、ひとつ転換しようじやないかという希望者もあるのであります。しかるに先般まき綱転換の基礎的な考え方をお伺いいたしましたところ、日本海及び瀬戸内海等の、主として紛争を中心とする解決策として、このまき網の転換が考えられておる。これは少しほかを見ないでこれのみを入れるのは変じやないかという危惧の念を持ちまして、軍施設に伴うわずかばかりの補償金ではとうていやつて行けないから、企業合同的に中型まき網が大同団結して、一つの芯がなければいかぬというならば、芯を求めてやろうじやないかというので、日本海とかあるいは瀬戸内海とかのような紛争を中心とするもののみについて力点が置かれて、補償金をもらいながらなおかつ立ち行かないから転換しようというものにこの特典が与えられないということでは、はなはだ不合理ではないかという意見を開陳しておいたのでございますが、その基礎的な考え方について御意見を伺いたいのでございます。
○清井政府委員 ただいまのお話でございますが、まき網を入れるか入れぬかという問題が、実を言うと大分問題があつたわけなんであります。御承知のような漁業形態におきまして、指定中型あるいは中型まき綱を通じまして、いわゆる底びきと同様に扱うべきか、あるいは列に取扱うべきじやなかろうかという意見も、率直に申しまして実は相当あつたのであります。ところが今回かつお・まぐろとの関連におきまして、底びきと並んでまき網漁業を取上げて参るということにいたしたのでありますが、これとてももつぱら底びきの転換の基調をなす精神と同一に考えております。従つて底びきが沿岸の資源に非常に影響があり、近辺の沿岸漁業と非常に関係が深いので、その影響も考慮しつつ転換をするということでありますれば、それと同じ方針に基いてこのまき網漁業も即して行くべきものじやなかろうか。すなわち零細沿岸漁業者との関係、いわゆる漁業調整という見地からこの指定中型まき網あるいは中型まき網を転換させる必要があれば転換して行くという考え方をとつて参つて来ておるのでありまして、私どもといたしましても、今言つたような見地から申しますれば、やはり全面的にやるというわけにも行きませんので、沿岸漁業との調整上必要なる地域等を限つてやるということに結局ならざるを得ないのではないかと思うのであります。要するにまき網の転換につきましては、以上のような方針で進んで行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。
○小高委員 今の清井水産庁長官の御答弁によりますと、機船底びき網の考え方に沿うようにというようなことで、その気持はわからないわけはないのでありますが、みずから好んで求めたのではなくて、いろいろ国際上あるいは国防上の見地から、演習及び防潜網等のために操業ができなくなつて、十分な補健全が得られるならばともかくとして、これじややりきれないから転換しようとするものに対しては、ある程度特典を与うべきである、かように私は強く考えておるのであります。またそれでいいはずであるというように考えております。従いまして本日当委員会におけるただいまの清井長官の御説明で、委員全部が了承したというわけでもなさそうでございますから、これらの点については、もう一回あらためて御審議の上で御説明願つて、しかる上私どもも了承いたしたいと思いますので、宿題としてひとつ御考慮を願いたいことを希望して質問を打切つておきます。
○田口委員長 なお先ほどの永野部長の答弁ではつきりしない点があるわけなのでございますが、三の(1)「遠洋かつお・まぐろ漁業者に対しては、遠洋かつお・まぐろ漁業に復権せしめること。」先ほどの答弁では、たとえば百三十五トンの船を取消されておつた。それを今度百三十五トンに復権させて、その百三十五トンは金平糖の芯なしに三百五十トン、四百トンまで行ける、こういうふうに受取れたわけですが、その点はどうなんですか。
○永野説明員 速記をお読みいただきますとはつきりしておると思いますが、漁業法及び特例法の関係で、純然たる許可は法律上私どもの行政措置だけではできないわけでありますので、やはり特例法の線に乗りました要件を備えることが絶対に必要でございます。
○田口委員長 実際問題として百三十五トンの船が行政処分によつて許可を取消されたものについては、どういう処置をされますか。
○永野説明員 大型化の限度については、百三十五トンの遠洋かつお・まぐろ漁業の許可を現実に持つておるものを認める、こういうことになつております。
○田口委員長 百三十五トンを現実に持つておるということは、二十七年の十二月一日現在において百三十五トンであつたものは当然に大型化できるということになつておるわけですね。その点について、それと同じ待遇をするということなんですか。
○鈴木(善)委員 ぼくは特例法が厳として存する以上は、いずれの場合にも金平糖の芯はいるんだ、金平糖の芯プラス今のマ・ライン侵犯というケース、これが加味されて百トン以上のものであればずつと大型化ができるし、九十九トンであれば、その九十九トンのものが伸び得る、百八十トンなら百八十トンまで伸びる。以西の底びきの場合もしかりであつて、いずれの場合でも金平糖の芯がいるのだというぐあいに私は解釈しておるのですが、それに間違いないでしよう。
○清井政府委員 その点は間違いないです。
○田口委員長 そういうことですか。
○永野説明員 もう一ぺん御説明申し上げますと、漁撈の許可自体につきましては、百トン以上でございます限り、指定遠洋漁業の新規許可という範疇に属するわけでございます。従つてそれに必要な要件を備えなければならない。しかし大型化の限度については、これは漁業法にも特例法にも法律の規定でなくて、われわれの行政方針でやつておることでございますから、大型化の限度につきましては、できるだけ委員会の御趣旨に沿いたい、こういうことでございます。
○田口委員長 それでも現実に百三十五トンのものが取消されておつた場合に、これの処置はどうされるのですか。
○永野説明員 特例法の規定に基きまして、的確なる七十トン以上の中型のかつお・まぐろの許可を廃業していただきまして、それにかわつて指定遠洋漁業の許可をして参るということでございます。その場合のトン数は、マツカーサー・ラインの問題が起りました当時操業しておりました許可トン数というものが続いておつたと仮定して、伸び得るであろう限度まで大型化を認める、こういうことでございます。
○田口委員長 それではつきりしました。 それから三の(2)の以西底びき網漁業者に対する処置といたしまして、遠洋かつお・まぐろ漁業として許可を与える、その内容は大体現在操業をしておる以西底びき網漁業の転換トン数の三分の一程度を——鈴木委員と同じようにその程度を考えておるんだが、取消しの内容によつて、多少そこに研究を要するものがあるように考える、こういう意味に解釈してよろしゆうございますか。
○永野説明員 具体的なケースがいろいろございまして、私どももその具体的なケース全部について、はつきり検討をいたすだけの時間的な余裕も実はなかつたわけでございますので、大体大きな標準は、鈴木委員の御意見と違つておらないと思いますけれども、ここではつきりと全部について百トンというふうに私どもはつきり言うのを避けたわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
○田口委員長 それでは本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつて御通知します。 これにて散会いたします。 午後一時九分散会