水産委員会 第21号
- 発言数
- 60 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/03/30
会議録
○田口委員長 これより会議を開きます。 ただいまより公海における日本漁船のソ連邦による拿捕問題について議事を進めます。本件につきましては、松田鐵藏代議士より詳細陳情を承つておるのでございますが、この際、根室近海及び利尻島北方海域にわける拿捕事件につきまして、それぞれ実情を聴取するために、根室町町会議員松浦義信君、富山県武蔵堆開発漁業協同組合員宮野良夫君を参考人として選定いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決します。 それではただいまより両参考人より実情を聴取することといたします。まず松浦参考人より発言を願います。
○松浦参考人 御承知のように私どもの根室の町は、古来南千島、色丹、歯舞諸島を魚田といたしまして、水産業をもつて発展して参つた所でございます。この根室地方の中心都市であります根室の町は、終戦の一箇月前に、空襲によりまして一日にしてその八〇%を灰燼に帰してしまいました。さらに終戦と同時に、その生活の基盤でありますところの漁場の南千島、歯舞、諸島を一挙に失いまして、さびしい国境の町になつてしまつたのであります。しかもこの島から父祖伝来の財産を放棄して引掛げて来ました多くの同胞もまたこの地方に迎え入れられたのでございます。さらに、現在はございませんが、もとの旧マ・ラインの制約により、わずか三海里というきわめて狭隘なる海域の中にこの八年間常々として操業を続けて参つたのでございます。わが国が独立いたしましたと同時に、このマッカーサー・ラインは撤廃されましたが、私どものこの根室地方の地帯におきましては、依然として拿捕が繰返され、来る年も来る年も、この国境の悲劇というものは続けられておるのでございます。終戦徴すでに延べ二百二十隻の拿捕が行われております。今年に入りましても、三月の二十三日に三隻、二十五日に一隻の拿捕が生じておる実情であります。 ここで少しく、根室の水域と漁業種類の関係について申し上げたいと存じます。との沿岸水域におきまする主要なる漁業といたしましては、まずほたてのけた網漁業、たらの延なわ漁業、さめのさし網漁業、こんぶの採取漁業、かにのさし網漁業、ぶりのけた網漁業さけ、ます漁業、これらが主要な漁業でございまして、漁期に苦干の相違がございまするが、漁場はすべてこの南千島、色丹、歯舞諸島の周辺水域になつておるのでございます。このわずかな水域においても、毎年約十億に近い水揚げが続けられるだけの資源を持つておるのでございます。その漁場に至る距離の関係はどういうふうになつているかというと、一番近い所では、根室半島の一番突端のノサップ岬から貝殻島――これは島となつておりますが、実は岩礁でございまして、島の形態はとつておらないのでございますが、この貝殻島まではわずかに……
○田口委員長 ちよつと、地図がありますからこの地図で……。
○松浦参考人 ここの一番先の、この赤い所がノサップ岬の燈台でございまして、その次に赤いのが重なつておりますが、これがいわゆる貝殻島なんでありまして、この貝殻島には昔から燈台があります。終戦後はこの燈台は点燈されておりません。この貝殻島までがわずかに十七百メートル、この千七百メートルの貝殻島に行かれないのでございます。かつてのマッカーサー・ラインでは、このノサップ岬と貝殻島の中間の地点がラインの基点でございました。従いましてこの貝殻島には現在も行かれないのでありますが、貝殻島の周辺だけでも、こんぶはかつては四万右も生産しておつたのでありまして、現在こんぶの採集に行きたい多くの沿岸漁者も、指をくわえて見ておらなければならぬ現状なのでございます。 次いで、近い所はその中開にあります野付崎から旧後島には約八海里でありまして、根室地方の沿岸の一番離れている地帯からでも、十二、三トンの漁船で一時間半も沖へ走りますと、すぐ拿捕される水域に達するのでありまして、問題は、この危険な水域に行かないで、その以内の水域では、先ほど申し上げました漁業の種類は何一つとして成立しないのでございます。ここにわれわれ沿岸漁業者がみずからの生活を維持するためには、あえてこの危険な水域においても、なお出漁して行かなければならないという切実なこの現実は、ぜひとも御理解をいただかなければならぬと思うのでございます。一例を申し上げますならば、昨年の秋のほたて漁業にいたしましても、地先の漁場では一日わずかに八十貫か百貫しかとれないのでございます。その漁場からわずかに十五分ないし二十分沖合いに走りますと、五百貫から千貫の漁獲ができるのであります。また先ほど申し上げました貝殻島におきましても、昨年の秋一そう行き、二そう行き、その艦船の行動がゆるやかなために数十ぱいの船が貝殻島に集まつてこんぶを採取し、わずかな期間に約三千石、約十万貫のこんぶが採取されております。昨年のこれらの漁獲によりまして、沿岸漁業者はようやく愁眉を開いた次第でございまするが、これもただいま申し上げましたように、ソ連の艦船の行動がきわめてゆるやかであつたことと、どうしても出漁して行かなければならないというこの現実が、この漁獲を見たのでございます。従いまして、また本年も再びこのような漁業が繰返されなければならないのでございます。しかしながらはたして拿捕されないで済むかどうか、拿捕されるとも拿捕されないとも、漁業者は何らの保障も受けられないのであります。今年もまた、われわれ沿岸漁業者は運を天にまかせて出漁するよりほかはないのでありまして、ここに根室地方の沿岸漁業者の限りない苦悩が続けられるのでございます。不幸にしてすでに今月に入りましてから、先ほど申し上げましたように四隻の拿捕を生じましたことは、前途に何かしら暗い感じを愛けるのでございます。さらにこれに加えまして根室地方は特有の濃霧がかかりまして、とかく針路を誤つてこの危険水域に立ち入つて拿捕されることも少なくないのでありまして、太平洋の沖合いにおいて操業いたしておりますこのさけ、ますの漁業におきましても、数十マイルの沖合いから帰港する際に、針路を誤つて拿捕される、さらにまた歯舞諸島の岩礁に座礁する、こういう事実もあるわけでございまして、これらを目の前に見ていながら救助に行かれない、また出漁したまま何日も船が帰つて来ない、これは僚船が遭難したとか、あるいは拿捕されたことが確認されたる場合は別でございますが、百パーセント漁場の関係から見まして拿捕されているということがわかつておりましても、われわれとしては何らの処置もすることができないのであります。明白に帰るものか、三年後に帰るものか、十年後に帰るものか、その間の家族のその生活と不安につきましては、私はとうていここで言葉をもつて表現することができないのであります。毎日浜べに立ちまして子供の手を引いて沖合いを見るところの、この家族の姿をどうぞ御想像願いたいと思うのであります。南の方におきましては、この拿捕船につきましては、家族あるいは漁船の建造等につきましても、いろいろ施策が行われているように伺つておりますが、このわれわれの地方の沿岸漁業者につきましては、この八年間拿捕が繰返されていながら、まだ何らの処置も講ぜられておらないのでございます。なぜにわれわれのこの北の地方だげが苦しみのままに放置されておらねばならぬかということに対しましても、われわれは考えさせられるのであります。 根室地方の漁船は大体一千そうの船がございますけれども、これはモーターを含めましての数でございまして、平均いたしましても十トン弱のような、きわめて零細な漁業者がほとんどなのであります。従いまして、この南千舟、歯舞諸島川辺の最も近い漁場であり、かつこの豊富な資源を持つておるこの漁場によらなければ、とうてい生活を維持することが不可能であります。さらにこれらの水産を通じまして経済を維持しておりますところの根室地方の約六万の住民が、やはり一日も早くこの沿岸の問題を解決してもらうことを唯一の願望といたしておるのでございます。どうかこの根室地方の特典な水域と、この現実を御理解くだされまして、根室地方の零細な沿岸漁業者が拿捕されない、安全な、そうして明るい生業としての漁業が行われますように、さらにまた拿捕された船が一日も早く帰つて来るように、またその乗組員の安否がすぐ家族に知らせていただけるように、特段の御配慮をもつて何らかの処理をお願いできるよう、切にお願い申し上げる次第でございます。 私は正確な資料を持つて参りませんので、ただいま申し上げました中に、数学的に若干違つておる点もあるかもしれません。その点はどうぞ御了承願いたいと思います。
○田口委員長 次に宮野参考人より発言を願います。
○宮野参考人 富山県武蔵堆開発漁業協同組合員の宮野であります。私たちの町は、富山県近海の漁業のみではとうてい生活はやつて行けないのでございます。それで明治年間より樺太または北海道に漁場を求め、北方漁業の開発には相当の貢献をして来たものでありますが、終戦によつて樺太の漁場及び資材を失い、新たに北海道に漁場を求めまして利尻島に勇躍出漁をしたものであります。私たちの町もここではとうてい生活できないために、ほとんど若者の全部といつてもいいくらいの者は北海道へ出漁している状態であります。それが不幸にして三月の七日に利尻島の北方海域の海馬島方面において四隻拿捕されたのであります。公海は三マイルと言つておられますが、聞くところによると十二マイルの説を唱えているとか、それもはつきりしてないのでございます。このたびの海馬品においても、大体この方面に六隻立つていたわけでございますが、そのうちの四隻が拿捕になりまして、帰つて来ました二隻の話を総合しますと、三マイルまでは絶対に入つてないわけでございます。その点を御了解願いまして、何らかの方法を通じまして、ソ連政府に対してこの実情を訴えられまして、一日も早く帰つて来るように努力していただきたいと思います。抑留漁夫の家族はほとんどが貧困な状態でありまして、その日の生活にも困るような岩がほとんどなのであります。そのため家族の者は、朝早くから氏神様にお参りし、あるいはお寺にお参りし、毎日陰膳をいたして、一日も早く帰つて来るの待をつておるわけであります。特にこのたらつり漁業は二月から六月までの間が漁期でありまして、その漁期を失しますと、一年の生活はできないのであります。この二月から六月までの間の収獲によつて、ほとんど一年の家計を保つている状態でありますので、一日も早く帰つて来まして、新たな漁業につきたいと私たちは念願しておるものであります。特に家族のうちには、心配のあまり病床についた者も相当数あるのであります。どうか皆様の御協力によりまして一日も早く帰つて来るよう、切にお願いするものであります。簡単に申し上げます。
○田口委員長 ただいまより政府当局並びに参考人に対し、質疑を許します。
○赤路委員 参考人にちよつとお尋ねいたしますが、根室地区の松浦参考人にお尋ねいたします。これは両参考人とも、現在の沿岸にわける漁業をもつてしては生活ができないということを特に強調されておるようでございますが、松浦参考人にお聞きしたいことは、この沿岸、特に根室地区の漁業に依存する人口数はどの程度あるのかということ。それからその沿岸の漁業のみで生活が維持できないという数字的な根拠を何かお持ちになつておるか。第三点は、現在の水揚げ量と戦前における水楊げ量との差はどの程度ついておるかということ。以上の点をお尋ねいたしたいと思います。
○松浦参考人 申し上げます。最初の人口の件でございますが、根室支庁管内は約六万の人口がございまして、これは機業、畜産によるところも相当の地域にわたつております。根室半島、いわゆる根室の町を中心にして、あの海岸線に大体人口が、ほんとうの漁師だけで生活している人が四千名にたつておりまして、先ほども申し上げましたように、根室の町は二万の人口がございますが、これもその大半が水産業を通じて生活しておるわけであります。あるいは歯舞村にいたしては、入口が約六千ございますが、これもやはりほとんどが水産を通じて生活しておる、こういう状態になつております。生産額の点から参りますと、根室の漁業の水産物の水揚げが年間約二十三億かと思つております。その二十三億のうち、大体半分は太平洋の沖合いのさけ、ます、さんまの、比較的大型船で行われるところの漁業の水揚げになつておりますので、ほんとうの沿岸の漁業の水揚げは十億になつておる。従いまして、この十数億の水揚げでこの三千、四千の沿岸漁業者が生活できるかどうかということは、これでも明らかにおわかりだろうと存じます。 それから戦前と比べましての数字は、現在の価格をもつてしては、ちよつとめんどうだと思います。私、今戦前の資料を持たないのでございますが、これはいろいろなデータが出ておりまして、水声庁あたりでははつきりした数字は持つておられると思いますが、私は今戦前の数字を申し上げる資料を持つておりませんので、御了承願いたいと思います。
○赤路委員 政府の方へお聞きしてよろしゆうございますか。――それでは外務省の方からお見えになつておるのでお尋ねしたいと思いますが、ただいま両参考人の話によりますと、最近拿捕されておりますのが根室地区で三隻、それから今の富山県の宮野参考人の話によりますと四隻、合計七隻拿捕されておりますが、この前の委員会からこれらのことは非常に問題になつておるわけなんでありまして、外務省としてはこれに対する何らかの措置をおとりになる手はないかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
○寺岡政府委員 今までのお話を十分に伺いまして、できるだけ私どもも手を打もたいと考えておりますが、それより前に私どもの立場をひとつ御説明申し上げておきます。実は国際的な慣例といたしまして、公海における漁船の拿捕というものにつきましては、十分抗議をする根拠があるわけでございますが、ソ連につきましては、先ほどもちよつとお話が出ましたように、実は十二海里領海説をとつております。それは一九二七年にできましたソ連国境防衛規則というものと、一九三五年の漁業取締り規則と、両方とも、前者は十二海里を最大防衛線といたしておりますし、後者の方は十二海里を漁業区域といたしまして、外国人並びに外国船舶の漁業を禁止しております。そこで一つの例といたしまして、四、五年前のことでございますが、スエーデンとデンマークの船がバルト海でやはりつまかりまして、これはソ連の主張する十二海里の中でありましたが、一般の公海の原則による三海川の外であつたということで、両国からソ連政府に対して抗議を申し込んだものであります。その際に、ソ連の方はあくまでも国内法規をたてにとりまして、相手にしない。そこで国際司法裁判所に持ち出すということになつたのでありますが、これに対してもソ連は応じて来ない。結局本件は未解決のままスエーデン、デンマークの泣寝入りの形に終つております。そこでわが方の立場でございますが、十二海里、三海里と申しますこの領海の問題につきましては、現在いろいろの紛争を生じておる状況でありまして、少くとも国際法でははつきりした立場をとつていない状況なんで、これにつきまして、もちろんわが方の主張は通すべきでありますが、現在国交がないために直接の交渉ができない。そこで外務省としてとるべき立場は、第三国を通じて抗議を申し込む、あるいは少くとも事情調査を要求するということ、がさしあたりできる問題でございます。しかしながら、海洋国であるスエーデンあたりを通じて抗議をするのが一番筋が通る話なんでありますが、今申しましたように、スエーデン自身が過去においてこういう問題を取上げてソ連が相手にしなかつたということがございますので、本件は、その筋ではほとんど望みがないのではないかと考えております。 それからなお根室地区の問題につきまして、歯舞、色丹の両島につきましては、御承知のように平和条約でわが方の権利を留保しておるという事情もありまして、本件はなおソ連との間に全般的な問題として解決しなければならない問題であると考えております。そこで漁業の問題につきましては、ただいまいろいろ御説明を伺いまして、非常な緊急な問題であると考えております。しかし何分にも国際問題でありますので、現在の方法をもつていたしましては、少くともソ連側に日本と国交を回復するという意思が出て来ない限りにおいては、本件の解決は望みがない。国交回復の問題につきましては、実はわが方といたしましては、国連加盟問題ということから、ソ連の意向を打診するかつこうでおります。現在まで日本の国連加盟につきましては、常に拒否権を行使せられて、全然相手にされておらぬということで、従つて現在外務省といたしましては、ソ連がとにかく十二海里説をとつておる現在におきまして、なるべく十二海里の外で漁業をしていただくようにお願いする以外にはないし、そして時期が参りましたときに本件の問題の根本的解決を期待する、こういう態度でいると申し上げるよりいたし方がないと思つております。
○赤路委員 今のお話を承りますと、結論としては、対策がないということにつきるかと思います。先ほど来参考人の話を聞きました場合も、根室地区においては、一時間半ほど走つてしまえば、向うの領土で、おそらく今回の場合も、ソ連側の言う十二海里という領海の中に入つておることは事実だと思います。双方ともにそういう状態であるから、従つてソ連側から言うなれば、明らかに領海侵犯というようなことになつて、拿捕されたのだ、かように考えていいと思います。ただ問題は、そういう形においてでも、拿捕された船をそのままに、国交調整がないからというので放置しておる。これに対しては第三国を通するという今の話もございましたが、スエーデン自体がすでにそうした問題が解決がつかなかつたのだとして、第三国を通じてやる手もない、国交調整ができないから、外務省としては、政府当局としては打つ手がない。結局、結論としては、何らこれに対する対策は立たないのだということになろうと思いますが、それではこの沿岸におる漁業者の諸君は、常にこうしたことが爾後も繰返されるならば、生活が保持できて行かないから、何としてもみずからの生活を保持するということは、これは人間として当然考えられることだと思う。ただ政府の方で対策がないといつて、それで済まして、沿岸だけでほそぼそとやつて行ける状態にないじやないかと思う。従つて外務省当局が、これらのものに対しては処置なしという見解をおとりになつたといたしましても、現実にこの地方の漁民の諸君は、処直なしだけでは、事は済まされない。これが現在の実情じやないかと思う。くどいようでございますが、この前の委員会におきましても、国交調整のないということはわれわれが当然認めておる。しかしながら過去にわけるいろいろな、私自身のソ連代表部との交渉の話合いの中から申しましても、個々の問第としては話合いがつくということを言つておるのですから、この問題は単にそろばんの玉ではじき出して来るような算数的な、経済的な損失云々というだけの問題ではないと思うのです。少くとも北海道を中心にする沿岸漁民のこの暮しの中から、人間としての権利が消え去つて行くという基本的な問題が含まれておると私は言う。従つてこれに対しては、政府は、単に国交調整がないのだ、あるいは処置が従つてないのだという形において突き放したままでいいかどうかということは、非常に問題だと思うのです。この点について、もう一応外務省の見解をお聞かせ願いたいと思います。
○寺岡政府委員 私が国交がないと申しましたのは、要するに条約がないということでもございますが、同時に個個の問題につきましても、話の相手になつてくれないという意味を含めて申し上げておる次第でございます。たとえば今お話のありました歯舞、色丹の地域につきましても、要するに平和条約で、日本側といたしましては、この領有権を留保しておる。これにつきまして、話をつけるということをまず考えなければならない。それと同時に、その周辺の漁場ということも考えなければならぬといたしますと、これは学に漁場の問題ばかりではなくして、たとえば領有権の問題も入つて参ります。従つてこういう問題も総合的に考えていただかなければならないのでありまして、現在までわが方の主張といたしましては、この領有権までも留保するという態度でございますから、従つて簡単には話がつきません。ですから緊張度によりまして、もちろん順序をあとさきにいたすこともございますが、ただいまの関係といたしましては、領有権の方がより重大な問題であり、従つて本件ももう少し根本的な話合いについて、ソ連側に持ち出さなければ、あるいは領有権というものを放棄するというふうな立場にもなりかねない。そこでこれらの問題も、たとえばもつとほかに漁棄権全体の問題もあるかと思いますが、そういうふうに全体の問第として考えますときには、漁業の問題としては簡単にお考えになるようでございますけれども、私どもはあくまでも全対の一部として考えざるを得ない立場にございます。何とぞわれわれの立場も御了承願いまして、十分努力はいたしておるつもりでございますが、何分にも相手があることでございますし、ほかの問題につきましても、ソ連側と西欧陣営と申しますか、その話合いが全然つかないというようなことも、決してこれは努力が足りないという意味じやなくて、両方の意見が合わないということであるとお考えになりますと、私どもの問題もそう簡単には参らぬ、そういう点でひとつ御了承願いたいと思います。決してわれわれがなまけておるというわけではございません。ただ今のところは、相手があるために何とも手の打ちようがないというふうに思つておる。さしあたつては手の打ちようがない状態であるが、あきらめているのではありませんから、御了承願いいたいと思います。
○赤路委員 関連して、外務省の答弁をこれ以上求めることは無理だと思います。しかし私が先ほど申し上げましたことを十分腹の中へ入れて、すみやかに何らかの対策をお立て願いたいと思います。当面のこの漁業関係の主管官庁である水産庁は、この問題に対してどういうような対策を立てようとお考えになつておるか、その点をお聞きしたいと思います。
○岡井政府委員 非常にむずかしい御質問で、お答えしにくいのでありますが、結局国の考え方を対外折衝に持つて行くのには、触覚の役目である外務省を通じてせにやいかぬのですが、ただいま外揚御当局からの御答弁の通り、こちらがいろいろ考えましても、今の段階においては、うまく交渉はできないというのでございます。ただ御質問を、水産庁の持つ職権の範囲内でやり得る問題についてどうかというような受取り方にして御答弁するとしますならば、こういう危険区域はある程度漁業者自体も御承知でございますので、相なるべく拿捕抑留をされないようにやつていただきたいと思います。かたがたできる限り道庁を中心にした系統機関の団体なり、あるいは中央の系統機関なりからの金融の道をつけて行きまして、多少とも沿岸から沖合いの方への出漁転換という点について、急速に行かぬまでも、こういう危険区域に依存しているような漁業者の地区については、相当考えにやいかぬじやないかという気持ちは持つておるわけでございます。また祖先伝来住んでおる所は、自分がやはりよく知つているがゆえに、ややもすれば違反といいますか、拿捕されるような機会が非常に多いんじやないかと思いまして、関係監督官などには、できる限りそういう方面にはよりご注意を願うように、絶えず留意いたしておる次第でございます。
○辻(文)委員 外務省のお答えも、水産庁のお答えも、一方から考えるとなるほどと思います。しかしそれで決して本質的に解決せられるとは思えないのです。外務省の方が言われることでも、多角の面から検討しなければいけない。一方においては国交が回復しないからということもあるので、実はあなた方よりも外務大臣を呼んで聞かなければならぬという段階にあるわけなんですが、外務大臣の答えも、やつばり他の問題でわれわれが質問しても、あなたが言われることとほとんど同じようなことしか言わぬ。本会議のときに食い下つてもその通りで、それじや外務委員会で参考とするようなことを言われるかと思うと、MSAの問題でも、あるいはほかの問題でも、非常につつぱねたような答弁で、規切味が一つもない。こういうことを痛切に私は感じる。本日参考人から話を聞いて、たとい人数は少くても日本国民の一部ですから、それらの人が生活ができない、またそれらの家族たちが海岸に立つて、どこにどうしておるかわからぬ者の様子を想像しながら、心配しておるという涙ぐましい現実に直面しておりながら、今のようなお答えでは私ども国民の代表としてここに出て来て、手をあげて、ああさようでございますかと言えぬこともおわかりいただけると思うのです。外務省は外交をやればいいと言われるかもしれぬが、これらのことを分析して行つたら、これはやつぱり大きな、あなた方のやらなけれでならぬ仕事だと私は思う。ですからたとえば公海の問題にしても、さようになつておるものをどこで根本的に解いて行くかということは、私が言うまでもございません、あなたの方が御存じだと思うのであります。同時に沿岸の操業に対しても、公海での操業に対しても、それができないということなら、それは水産、農林行政でやるべきだという考えでなしに、常に密接な連絡をとつて、外務省はここまでしかやれぬが、それなら日本全体にかような現実の動きがあるから、どんなふうにしてその人たちの最低生活を守つてやるかというようなことを常におやりになるのが、私はほんとうだと思う。そうしながら、どうしてもそうできないんだという抽象的なお答えでなしに、もつと資料を持つた、はつきりしたお答えが出るならば、私ども何をか言わんやであります。しかし今までの段階では、この委員会のみならず、外務省に関係することもいろいろお聞きしておりますけれども、私は一度もそういうことにぶつかつたことはない。ですから本日なんか非常に私は不満です。水産庁のお話を聞いてもその通りで、もう今のところ何も打つ手はなさそうな感じにしか受取れない。そうなると参考人の言われたことがほんとうに違いない。まさかうそをつくはずはないし、北海道の出身の委員の方もおられますから、よく御存じだと思う。そうすれば、その人たちをどうしますか。転業するといつても、この前李ラインの問題のとき私どもは調査に行つたが、なかなか簡単に転換できない。漁民の人たちは長年継続して、親の代からやつているので、簡単にほかに転業するということはできないのであります。かりに、してみたところで、生活は成り立たない。また今日のような根本的に逸脱しているところを押えようという経済の取扱い方の場合は、失業者こそあれ、就職することは困難であり、他に転業することも非常に至難なんです。あなたのおつしやるように、多角に検討して行くということは、われわれも多角に検討しておる。その結果これはより以上むずかしいことのように考えます。そうであれば、この段階では、あなた方も調達庁あたりとよく御連絡をおとりになつて、そういつた困つた人たちには、ない金であろうがある程度でも救うという、いわゆる補償金その他の方法で救つてやるとこうことまでおやりになるのがほんとうだと思う。そういうことは外務省の仕事として、外交上の問題でないからよろしゆうございますということじやないと思うのです。そういうことについて、どういう御見解か、お答えを願つておきたいと思います。
○寺岡政府委員 私どももそういうようにできれば、ぜひそうしたいと思つておりますが、しかし私どもの面接担当しております部面につきましては、先ほど申しましたように、私ども弁護士みたいなものでございまして、お客様の御意見によつて相手と交渉する任務を持つておるわけでございます。ただ普通の弁護士と近いますのは、むずかしいといつてお断りできない立場にあるわけでございます。特に私どもが相手方の態度につきましていろいろ御調明いたしますが、それは決して言いのがれを申しておるのではございません。とにかく相手が話に乗つて来ない。あるいはこういう点なら話合いがつくと思うとかということを申しておるのであります。皆さんもそれをなるべく好意的に考えていただかない限りは、私ども役が勤まらないのでございます。ただソ連側との交渉につきましては、現在までいろいろ効果が上つておらぬということと、ほかの国との例におきましても、ソ連側は非常に無理なことを言つているということを申しておるのでありまして、私どもの立場はそうやさしいものではないということを申し上げたつもりでございます。そこでその対策につきましては、現在の状況について水産庁その他関係方面に連絡いたしまして、総合的の対策を立てておるものと考えております。私どもの意のあるところだけはひとつ御了承願いたいと思います。私どもは決して従来の状況というものを無視しておるわけではざざいませんし、十分その点は頭に入れておるつもりでございますから、その点御了承願います。
○辻(文)委員 それはまあ、あなたのおつしやる通りに、外務省が苦しいということも知つております。しかしわれわれも不勉強で日本のことだけをやつているばかりでもないのです。日本の今日置かれている環境というものや、世界情勢の分析くらいは、簡単でも心得ておるつもりなんです。しかしそれを言い出すと、私ども野党――社会党両派の方は本質的に与党とは違つた考えも持つておりますが、それはまあここで言うべきことではないような気もいたします。しかしそういう根底を持ち、そういう思想源泉の上に立つてものを言つておりますし、違つた考え方をしておりますから、あなた方がおつしやることに不満があるわけです。これはここであなたに申し上げても話にならぬ、失礼な言い方だけれども、そうなんです。やはり岡崎大臣と外務委員会ででもやらなければならぬことですから申し上げません。しかしあなたがおつしやつているようなあの程度のことは、今申し上げたような源泉的な思想の考え方とか、主義の考え方を別にして考えますときにはわかります。ですからそのお気持もわかりますが、私の言うのは、それなら国内的に、たとえば水産庁でも今連絡をとつておやりくださつていただいておるということは聞きましたけれども、水産庁次長のさつきのお答えのようでは、どこまでの連絡を持つて、どんなことをやつておられるのか、私にはまだ実際ピンと来ないんですよ。だからそういうことを常に並行して、事が起つてからやるのでなく、事が起らぬ前から、そういうことがないように、最小限度の生活は守るような方向でやつてもらいたい。あなた方は、大きな外交をやつておられて、その派生的な問題と言うけれども、これは重要な派生的な問題です。そういうものが起つてからということでなく、その人たちが最低の生活ができるようにしてやろうというような親切心をもつてやつていただきたいということなんです。他の質問者もおられますから、これは質問じやなしに、お願いと要望をしておいて、私はこれで終ります。
○赤路委員 もう外務省の方へは何もお聞きいたしません。これは政権がかわらない限り外務省にはさじを投げましたから。ただ先ほどの水産庁次長の御答弁ですが、私どもは議論をしようとは思つておりません。先ほど来参考人からお聞きのような事情で十分おわかりだと思う。御答弁の要旨は、念願、願望、希望ということであつて、それはまことにけつこうでございます。しかし念願や希望で当面の問題は解決いたしません。私がお尋ねしておるのは、当面かような状態になつておるので、水産庁は所管官庁として、当然これに対する手を打たなければならないだろう。どういうことをおやりになろうとするのか、こういうことをお尋ねしたので、希望や願望はけつこうでございますから、具体的の対策について御所見を承りたい。かようなことでございます。
○岡井政府委員 当面の問題と申しますと、現在大分抑留されておるのを、一日も早く元のさやへお返しするということなんですが、それは要するに相手国と交渉しなければ、しようがない問題でございますから、まわりまわつてやはり外務省から御交渉願うということになります。外務省は、現段階において交渉の余地がないという結論になつておりますので、ざつくばらんに言いますと、手の打ちようがないということなのでございます。
○赤路委員 ざつくばらんに言うと手の打ちようがないという、これでは私は納得ができない。少くとも所管官庁である水産庁としては、かような問題が起つた限りにおいては、わざわざ現地から東京まで来て話をしておるのですから、これに対する御答弁としては、現地に少くとも責任のある課長級でも出して行つて、現地調査の上、それに対する具体的対策を立てますぐらいの答弁があつてしかるべきである。もう何もないんだといつて、つつぱなすということは、あまりにも簡単過ぎて、これでは誠意があるとは私は思われません。そのくらいの御処置をおとりになる責任が私はあると思う。この点をもう一度皮次長からはつきりお聞きしたい。
○岡井政府委員 さきに、あまりにそつけない答弁をしたというおしかりをこうむりましたが、御説のように、現場へやりましても、お見舞を申し上げるということと、実情を調査するということでございまするが、私の方で道庁あるいはまた出先きの方面から十二分に情報を収集いたしておりますので.大体実情はわかつております。それで、結論的には結局こういうように拿捕抑留されておるのが、現在でも、ソ連関係はたしか五十一そう残つておると思いまするが、最近のものだけに手を打ち、途中を抜くというわけには参りません。今まで拿捕されておる船、あるいは抑留されて残つている人が九十一名でございまするが、それらの船、人ともに対しての手を打たざるを得ぬと思います。従いましてこういうような相手国との交渉というような大きな政治的な段階に入りますと、政府委員として、ある庁や局に職責を持つ者の答弁をいくら要求されましても、それは御無理と申すものでございます。総理大臣なり外務大臣なりに、機会を見てひとつ十二分に得心の行くように質疑応答を繰返されるようにお願い申し上げます。
○赤路委員 もうこれ以上注文はつけません。ただ先ほど来おつしやるように、拿捕船の問題については、私は水産庁だけを責めようというのじやない。拿捕船の問題では、これはあくまでも外交交渉で解決をつけねばならぬ。ところが外務省の先ほどからの答弁では、処置なしということでありますから、結局この連中が死ねば死ぬでかつてに死になさいということであると了解をいたします。従つてこの拿捕船その他に対する解決は、みずからの手で行い、民間の手で行うよりほかに方法がない。今の政府に対しては少しも依存することができない。このことは参考人も十分腹へ入れて、この御答弁をお聞きになつておいたらよろしかろうと思う。そこで私が水産庁の方へお願いいたしましたことは、当面の対策は拙速を要する、こういうことで御答弁をお願いしたわけなんでありますが、十分事情その他を聴取されて、現地へ行かなくてもそれらの面は把握されておるということでございますから、可及的すみやかにこれに対する処置方法をおとりになることを希望いたしまして、私の質問を終ります。
○淡谷委員 松浦参考人にお伺いいたいたします。先ほどの政府側の御答弁で、大体この問題に対しては、政府自体もあずかり知らぬといつたような態度がはつきりしておるようでございますし、またあなたのおつしやることを聞きましても、大体危険区域へ入つておることはみずから認めておられるようであります。この危険区域へ入つて出漁するについて、何か民間人としてソ連との間に話合いがあつたのかないのか、お伺いいたします。
○松浦参考人 ただいまお伺いしたしまして、済地の代表といたしまして、何とも申し上げようがございません。われわれとして、今後いかに処して行つたらいいかということに、私自身も非常に慎重に考えております。ただいまお尋ねの危険水域の問題でございますが、個人的あるいはその他のいろいろな話合いによつて行つたということは、まつたくございません。それからこの危険水域に行くことも、実際の状態は、一そうが行き、その一そうが無事にとつて来る。するとその次は二そうになり、三そうになり、おのずからそこに行つてとつたということが実情でございます。御了承を願います。
○淡谷委員 お気持は十分わかります。沿岸漁業ではてともやつて行けないし、また地方の漁場の状態から申しましても、危険区域内に入らなければ漁ができないという実情もよくわかります。特にこの公海漁業に関しまして、国際的にきめられた領海と別個の考えで、あるいは李承晩ライン、ソ連の領海観念、これを、日本の外務省がまだはつきりけじめをつけられないといつたようなことから起きておるのでありますから、あなた方が生活を守る上においてこういう危険をあえて冒されたということも、私どもは十分わかつております。しかしこうしたことに対して、今まではつきりした政府に対する要求あるいは陳情、要請等を行われたかどうか。その点をお聞きしておきたいと思います。
○松浦参考人 この問題につきましては、昨年から何度も政府当局にもお願いいたしております。それから水産庁にも陳情をいたしております。われわれといたしましては、先ほど水産庁として手の打ちようがないというようなお話をお向いいたしまして――私に言わしめますならば、昨年ソビエトの油送船を返還した際にも、海上保安庁の船が無電をもつてこのことを交渉しております。私が先ほど申し上げました拿捕船の安否を一日早く知らしてもらう方法を講じてもらいたいということも、その一事をもつて地元ではお願いをしてもらいたいという声が出ておるのでございます。そのてんも御了承を願いたいと思います。
○淡谷委員 水産庁にお伺いいたします。ソ連並びに中共との間の拿捕船の関係がちつとも解決がついておりませんので、この対策方に対してとう委員会で再々要求しておるのでございます。近く水産庁がお認めになつた北洋漁業の母船式による鮭鱒漁業、あの船が出発するはずですが、その船が拿捕されるような危険をただいままでお感じになつておりますかどうか。まだおそらくは試験的な出漁だと思いますが、そういう危険は水産庁自体として感じておられますか、どうですか、御答弁を願いたいと思います。
○岡井政府委員 お答えします。母船式鮭鱒につきましては、三十海里以上離しまして一応許可したわけでございます。従いまして先ほど外務省からも御答弁申し上げたように、ソ連の方では大体十二海里線を自国の領海なりとして今行政措置を考えている様子もございますので、私の力は大事をとりまして、三十海川から近寄るべからずということにし、なおかつ監視船も十二分に手配をいたしまして、三十海里から接岸しないように操業させるつもりでございますので、まづ危険はないものという見通しで許可をしたのであります。
○淡谷委員 念のためにもう一つお聞き申し上げておきたいと思いますが、万一この母船が拿捕などをされました場合に、この母船に対する補償などを出そうといつたようなお考えはございますか、ございませんか。ただいま根室の方の言われた通りに、三十海里以内に入つたものとして、あるいは偶発事件として起つたものとしても、何しろ国交が開始されていないから泣き寝入りだというようなお考えを今もお持ちだと思いますが、その点もはつきりしていただきたいと思います。
○岡井政府委員 母船は三十海里離しまして――大体三十海里と申しましても、これはキャッチャーの最大限度接岸する場合も予想した距離でございまして、母船ははるかにそれより沖におります。従つて母船の拿捕ということはまずあり得ない。むしろ危険なのはキャッチャーの方が三十海里接岸したと思うのが、霧その他の天候に支配されて、自分が知らない間に流れ込んだというようなことが万一あるということの予想でございますが、そういうふうなことがありましても、天候の悪いときには他電気器具をもつて、方探その他によりまして近寄らないように自粛せいということば、十二分に注意をいたしております。従いまして出願にあたりまして、自分らが不慮の最悪な場合でも国の方へそういう要請は申し出ないというようなことを、一応念のためにこちらの方としてはとりつけておるわけであります。
○淡谷委員 参考人にお伺いたしますが、これは松浦参考人及び宮野参考人の両方にお聞きしたいのです。今お聞きの通り、これから出て参ります船団の母船式鮭鱒漁業に対しても、事故が起つた場合は政府は知らぬというような態度がはつきりしております。従つてあなた方の要請されるのは、拿捕船の返還もあるいは今後ソ連との間における漁業関係なんかも、ほとんど今の政府の手をもつてしては可能性がないというような結論が出たと思います。これに対してあなた方は、生活を守る上において、何らか民間人として交渉をして、この漁業を進めるつもりか。あるいは今後またその危険を冒してこういうことを再々おやりになる御決心であるかどうか。その点をはつきり伺つておきたい。 またあなた方の見直しとして、何らかの手を尽したならば、この非常にむずかしい場合が打開されて行くこともあり得るというような見込みでございましたら、ざつくばらんにお話を願いたいと思います。いろいろ今までのことについては、あなた方自体も反省すべき点があつたかもしれませんが、この事情は十分了解できますので、そういう点御心配なしに、あなた方の御希望なり、あるいは今後こうしたらよろしいというような見込みがございましたら、この席上で伺つておきたいと思います。
○松浦参考人 私どもはソビエトの人間でもございますませんし、アメリカの人間でもございません。りつぱな日本人でございます。われわれ日本人が生きるために政府にお願いすることが聞いていただけない。この事実に対しましては、非常に悲しく思います。しかしながら私どもは国民の一人でありまして、私らは国の意思にそむいて手前かつてな行動をしようとは思つておりません。われわれはあくまでもまた何度も政府にお願いをいたします。しかしながら現実の問題といたしましては、運を天にまかせて出漁を続けるよりほかはないと思います。 それから拿捕についてわれわれのお願いといたしましては、先ほども申し上げましたように、国交が回復されなくても、私は何とか拿捕船の安否であるとか、それからどういう状態で拿捕されたかということくらいは、聞かせてもらえるのではないかと思います。それは先ほど申し上げましたように、昨年松田先生もいらつしやられてよく御存じでございますが、ソビエトの油送船を返すときに、海上保安庁の船は千島に向つて無宿を放つておる。この応答によつてあの油送船が返された。何月何日にどこの地点に持つて来てくれ、そこに持つて行くべく船をまわそうと勢力したけれども、なかなか工事がはかばかしくない。そこでその期日には行けないから何日に延ばしてもらいたいと言つて政府当局もよく連絡した。そういうときに無電が使われてそのことは解決されておつて、われわれの漁船が拿捕されたときには、われわれの安否を無電で聞いてくれない。私はやつてもらえれば向うでも必ずや応答してもらえると思う。これは領海侵犯で拿捕されたのだからやむを得ませんけれども、せめてその船の乗船員は、皆が元気で、だれも病気している者もおらぬし、死んだ者もおらぬ。領海侵犯の罪で、おれの方ではつかまえておるのだという連絡くらいは、私は受けてもらつてもいいのじやないかと思います。
○宮野参考人 私のやつたことは妥当かどうかわかりませんが、昨日ソ連の旧代表部に行つて参りました。そのときの話では、要するに民間個人として来たのでは事情は聴取するが何とも話しようがない。日本政府の外務省が代表部へ連絡すればこちらであらゆる手を打つて、どうして拿捕されたか、また抑留漁夫の生活の安否を確かめて報告する、こういうふうに言つておるのであります。これにもかかわらず外務省当局が連絡の方法はない、またソ連代表部なんか日本は全然認めていないというような見解で放置されることは、私としては非常に憤慨にたえないのであります。まあ日本の国民全部から見れば、私たちの抑留者は少数かもしれませんが、たとい少数であつても生命に関する問題であります。皆さんも御存じとは思いますが、抑留者の一日の食事は小さなパンが一つなんであります。生命を保つのにこれでいいかどうかという限界点にあるのです。そういうこともよく考えられまして、旧ソ連代表部が、外務省から連絡あれば十分措置をする、そう言つておるのでありますから、もう少し積極的にこの問題を取上げて、できますことならば――外交の方はよくわかりませんが、ぼくらとしてはこの旧ソ連代表部へ政府の方から何か連絡していただくことを懇願するわけであります。
○淡谷委員 外務省にお伺いいたしますが、今われわれの当面しております日本の水産行政の方向が、沿岸漁業から沖合いへ、沖合いから遠洋漁業へという線をとつておることは、おそらく政府としての統一された見解だと思うのであります。これがすでに沿岸漁業は、お聞きの通り各方面でたいへんな難局にぶつかつております。沖合に漁業あるいは遠洋漁業等も、李承晩ラインまたビキニ環礁の水爆実験といつたような問題から、今暗礁に乗り上げております。この際外務省としてははつきりした態度をとつて、日本の水産行政の将来に対しても、熱心な御配慮を願うことは当然だと思います。特に今参考人から伺いますと、再三要請しているということ、現にあなたの目の前で、拿捕された同胞の安否について心配された発言をしております。特にごの事件というのは、日本の外交方針がソ連との間に講和関係を結ぶことができず、あるいはその間漁業権等に対するいろいろな交渉もできない。私はこれはただソ連たけとは申しません。外交関係が結ばれておる韓国に対してさえもまだ十分な措置がとれない、親善関係を持つておりますアメリカに対してさえも、日本の外務省ははつきりした態度をとつていない。そうしますと、ただ外交ができないという一言だけでは私は見すごされないと考えるのであります。特にただいま弁護士のようなもので、とおつしやいましたけれども、この弁護士はおそらくは外交官で、外交官の弁護士というのとは違うと思う。依頼を受けたのだからやる、依頼を受けないからやらない、こんな態度では日本の自主外交ではないと思う。私はあとのことは申し上げませんが、水産行政と外交方針との関連におきましても、こうした日本のはつきりしたきまつた水産行政の観点に立つた、もう少し腹をすえた外交方針というものを、虚心胆懐にここでお話願つてもよいと思います。特に再々要請されたにもかかわらず、何ら措置をとらないということになつて来れば、あるいはとり得なかつたとすれば、この弁護士は依願人の申出を受取つてもやらないのか、やつても無能なのが、この点ははつきり認識する必要がある。私は過ぎたことは追究しませんが、現在はつきりあなたの面前で依頼者が、せめて拿捕された邦人の安否の点だけでも聞き取つてもらいたいと言つておる。ソ連代表部が、民間人が来たのではどうにもならないと言うのは、暗に外務省からはつきり交渉して来るのを待つておるのだと見られる。こういうふうな熱心な要望があるのに対して、外務省はもつと腰を入れた、自主的な、みずから発した熱情に立つた方針を立て得られるかどうか、この点もあえてお聞きしたいと思うのであります。
○寺岡政府委員 外務省は弁護士みたいなものだと申し上げたのは悪い例でございましたが、しかしその言いますことは、要するに相手があるということであつて、私どもが交渉の任に当つておる、その意味で申し上げたのでありまして、私どもがいくらがんばつても、向うが応じなければ必ず話がまとまらないのだという趣旨で思し上げたのでありますから、それ以上の他意がないことをひとつ御了承願つておきます。 それからソ連代表部――これは私どもは旧ソ連代表部と呼んでおりますが、ソ連代表部の問題につきましては最高方針といたしましては、これは認めないということにきまつておりますので、私からはそれ以上申し上げるわけには参りません。対ソ交渉につきましては、先ほどからむずかしいということを申し上げておるのでありまして、それだからといつてしないということじやないということはぜひ御了解願いたい。私どもは日本の事情はよくわかつておつて、それを一生懸念に努力しておることはもちろんでございますが、むずかしいということを申し上げて御了解を願つておるわけでございますから、決して私どもに意思がないということではないことを、もう一度申し上げさせていただきたいと思います。 そこで拿捕船ないし漁夫の安否を問い合せる点でございますが、これは先ほどちよつと松浦参考人から言われた、ああいうふうな油送船がソ連から流れついて来たということにつきまして、これをソ連に帰してやるということによつて、なるべく現地における事態をよくしたいという趣旨から出たものでざいまして、事実海上保安庁の無電を使つて向うと連絡いたしまして帰しました。これも現実の問題として、両者の関係がうまく行くようにという趣旨にほかならなかつた次第でございます。海上保安庁と連絡いたしまして、拿捕船漁夫の安否につきまして、先方の意向を問い合せてみる。とにかく努力だけはすることは、海上保安庁と十分打合せたいと思つております。ただ、これも返事があるかどうかはもちろん向うの態度いかんでございますが、努力することだけは、もちろん海上保安庁と話をいたしましてやつてみたいと考えております。
○淡谷委員 最後に一言だけ委員長にお聞きしたいのでございますが、私、先日来しばしば、今の日本の水産行政の方向がたいへんむずかしい点に来ているということを申し上げまして、特に農林大臣、外務大臣の御出席を願つて、基本的な日本の水産行政の行き方、あるいは外交の方針のあり方というものをここで審議せざる限り、これはとうてい打開できないような難局にぶつかつているということを申しておるのでありますが、委員長は、はだしてそういう処置をおとりになつておるかどうかということをお伺いしておきたい。私、今回のビキニ環礁の問題でも、水産委員会が最も大きな関心を持ち、また、この水産委員会関係の人たちが最も影響を受けることだと思いますので、再々このことを申し上げておるのでありますが、さつぱりそのお運びがないようでございます。これは従来の例として、水産委員会が軽視されて来たことだと思うけれども、委員長みずからが水産委員会を軽視するようなことであつては、将来もまことに困ると思う。私はぜひとも、ただいまの答弁に基きましても、近いうちに両大臣の出席を求めまして、ただ根室だけの問題でなしに、李承晩ラインからビキニ環礁の問題、北洋漁業の問題等、一貫してかわらざる日本の水産行政のあり方というものを、この機会に再検討してみたいと思いますが、これに対する委員長のお考えをお発表願いたいと思います。
○田口委員長 近く参議院の予算委員会、それからMSAの外務委員会、そういうものが一段落つくと思いますから、予算委員会が済みましたら、ひとつそういう段取りにいたしたいと考えております。
○淡谷委員 その点了解いたしますけれども、MSAの問題、あるいは予算等にも関連して、この問題が重大なことになつておりますので、できるならば並行して、一日も早く御出席を願いまして、十分にわれわれが納得行くように検討したいと思いますから、委員長においておとりはからいを願いたいと思います。
○田口委員長 承知しました。松田鐵藏君。
○松田(鐵)委員 ただいま問題になつておりまする根室地区は、私の選手区であります。ゆえに私も十分調査をし、また注意もしておつたものであります。大体、根室、歯舞というのがこの海区における一番重要な二つの町村でありまして、先ほどの参考人の言われた人口の内容、これらも参考人の言われた通りであります。しかして、従来まではこの二つの町村が、ここの漁業の大体六割を占めておつたものであり、その他函館や内地の方々から、この地方に漁業を営むために来る者は四割というような状態になつておつたものでございます。終戦によつて、ソ連の管理するところとなり、平和条約においては、歯舞諸島が日本の領土とはつきり明示されておるのでありますが、国力なき日本の国なるがゆえに、現在ソ連に占領されておるような状態であります。しかしてマッカーサー・ラインの設定されておつた当時は、先ほど参考人の申されたように、二百そう内外の拿捕船があつたというような状態になつております。独立後において、しからばどういう状態であつたかということから行きまして、実にこの海域における漁業というものは、おそらく北海道でも、これ以上の宝庫というものはないほどであります。実にりつぱな漁場であります。昔、根室の殷賑をきわめた理由も実にここにあるのであります。しかしてこの漁場は非常に浅海である、浅海であると同時に、たらばがにの密集もあり、また産卵をするためにこの漁場へやつて来るものであります。あとのオホーツク海や、太平洋の沖の方へ行きますと、これは非常に深海だ、ここは非常に浅海だ、そこでたらばがにの繁殖の漁場になつておる択捉から国後にかけての歯舞というものはそういう漁場になつております。それからほたての繁殖も非常に豊富であり、二十馬力か三十馬力の船でもつて漁獲しようとするならば、一日に四十貫や五千貫は簡単にとれる漁場であります。御承知の通り、根室地方の島嶼はこんぶによつて覆われており、その繁殖はまつたく想像にあまりあるものがある。こういう漁場に対する漁民の魅力というものは、何といつても断ち切るわけに行かないものである。しかし私は、この漁場が自分の選挙区にある関係上、漁民に対してよく理解の行くように注意をしておつたものであります。そもそも二十五年に七そうが拿捕されたというのは、まことに残念な話でありますが、それはソ連がここにかに網をやつておつた。そこに出漁して、ソ連の網をみんなとつて来てしまつた。そういうことが翌日において七そう拿捕された.原因になつた。本年拿捕された船の三そうも同じ漁場であります。こういうことがなぜ日本の漁民はもつと自主的にやれないかということなのであります。こういうことにして刺激を与えて行つたらどうなるか、もつと自主的にあらゆる観点から正しい漁業の方法をとつて行かなければならない。また私は根室出身の道会議員坂本君に対して、今日こうした国会に陳情に来て、こういう議議がされるもつと事前に、私はこの手を打つておつた。三月になつて、この漁場が開かれるその前に、陳情者あなた方に対して坂本君は言つておるはずだ。ここは大事な漁場であるから、もつと気をつけて方法を講じてもらわなければならないということを、強く要望しておいたはずだ。私も先日の委員会において、当水産委員会が国民の代表として、外務省に対してあらゆる観点から事情を述べて、ソ連に入国させるように決議までして、こういう漁場に対するあらゆる問題を解決したいということを考えており、その方法を講じておつた。これははつきりと当委員会で決議されておる。外務省も必ずやあらゆる勢力をして、ソ連に入国を許可してくれるように努力をしてくれると私は信じておる。かようにして大局をよく見て、あらゆる手を打つて行つて、一歩々々と……。外務省の苦労しておることもわかる。今までの答弁からいつても、なし得ないことである。これをなんとか――日本は国交がなかつたならば、民間代表をもつてこの努力を払おうとするのが、当委員会委員全体の意見であり、決議されたものであります。こうして一歩々々苦しい外交、でき得ない外交を打開して行くのが政治家の務めである。こうしてやつて行くのに、またもや前の事件のあつた海区に入つて三そうが拿捕された。しまつたなあと思つたら、また、そうが拿捕されておる。私は、陳情者が来たときに、あなた方はさいの河原のようにわれわれの仕事をこわすのか、そうせずに、いましばらくの間がまんしてくれということをぼくは言つた。それを私の言つていることが意に満たないので、委員会に出さなければならないという気持も、これもまたわかる。しかし、私は自分の選挙区であるから、漁民の実態は、各委員の御質問よりも、それ以上によくわかる。この人々は、千島に在住しておつた人々が、占領されたために本土へ帰つて来た人々です。それが主となつておる。そういう人々があそこの漁場に対してあこがれを持つのは当然なんです。しかもまたこの豊富な漁場というものを見て、根室の漁民であつたならば、だれでもそこへ手を述べたいのは必然的だと思う。しかしここへ行かなければ食えないのじやない。いましばらくの間自粛して、もつともっと自粛して行かなければならない。この漁場へ行かなければ絶対に食えないというものじやないのだ。この漁民はまだ歯舞もあるんだ。そうして努力をされて行つたならば、いましばらくのしんぼうをしておつたならば、必ずや光明のある時代が来るのじやなかろうかと思う。たとえば今度行く代表がそれで失敗したつて、また来年行けばいいじやないか。一年に二回でも三回でも、何年でも繰返して、政府ができないものなら、日本国民がやつて行けばいいのじやないか、これが日本の水産のあり方でなければならないと思つている。これは委員各位が一致した意見をもつて決議したものであります。これをもう少し自粛して、国の方針がこうであつたならば、国が今定められておる方法によつて漁業を営んで行くことが、りつぱな漁民の行き方でなければならないと私は信じておる。とういう点を十分に御考慮されて、しかして漁民の方々の気持もよくわかるし、また外務省も、委員会において漁民の率直な気持をよくのみこんだろうし、水産庁においても、でき得るだけ努力をされて、今度の代表に対しても入選をされて行くことが一番都合がいいんだ。しかも私は、あの決議文の最後に、人選は水産庁に御一任すべきであるということを言つたことは、とりもなおさず水産庁が選んだものは、政府が選んだものであるということを裏づけするものである。外交がなくてでき得ないことであるから、曲つた道を通つて、政府が選んだ代表だという印象を与える。要は外交のない今日の日本の外交として、これ以上の方法はないと思う。そうして悲痛な叫びをしておる漁民、あの豊庫を目の前にしてとれないということほど残念なことはない。しかし、いましばらくの間しんぼうをして、自粛した漁業を営む。水産庁においてもそれを奨励しておるのであろう。そうした場合において、水産庁は、ほんとうに根室の漁民が食えないのであつたならば、私はだまつていやしないと思う。必ずや水産庁も、食えないことであつたならば、方法を考えることであろう。課長なり、次長なり、現地へ行けと言われて行つてみたら、たいへんなんだ。そんな簡単な漁場じやない。北海道でこれ以上の漁場は現在あるか。ただ、今までの漁場と今日とは、困るからこんなような叫びになる。ですから、さきごろ拿捕された人々に対しては、外務省のなまぬるい御返事では私は納得できない。ただちにあらゆる手段を講じて、でき得ることであろう。海上保安庁の無電をもつて、安否を探するいうことは当然やらなければならないことで、努力をしますでは済まされない。必ずやりますという御答弁がなくちや私は満足はできない。この点は、私が強要するのじやない。あなた方外務省は必ずややつてもらわなければ困る。この点、私は強く要望いたしまして、漁民の自粛とあわせて、委員会の今日までのソ連に対する考え方に対して、いましばらくの間われわれにまかして、水産庁が選んだ入選に対して信頼をして、いましばらく待つてもらいたい。さいの河原のようにたたきこわすことはやめてもらいたい。これをあなた方に要望する。外務省に対しては、ただちに安否を問うだけの手段は万全を期してやつてもらいたい。これだけ要望いたしまして私は質問を打切ります。
○山中(日)委員 先ほど来同僚委員からいろいろ御質疑がございまして、大体了承はできるのでございますが、ただ一点外務省に向つてお尋ねをしたいことは、先ほど来お話を聞いておりますと、結局、ソ連との間に国交が回復されておらないから、今度の問題についても何らの対策が立たないという一言に尽きると思うのであります。そこで私のお尋ねしたいことは、ソ連側に国交回復の意思がない、こういうことは一体日本政府としては、どういう事実に基いてそういうことを確認されておるのか、むろん私どもは、講和条約にソ連が調印をいたしませんから、その点から申しますと、国交回復の意思がないということも言え得ると思うのでありますけれども、しかし、サンフランシスコ条約が発効いたしましてから後においては、ソ連側において、日本との国交は回復する意思がないと、こういうことは、日本政府としてはどういう事実に基いてそういうことを確認されておるのか、この点をまず伺いたいと思う。
○寺岡政府委員 国交が回復されてないと申しましても、要するに、国交回復にはそれぞれ条件がついておるわけでございまして、日本の条件は、平和条約に示されたものがまず最大条件であるわけであります。従ってその条件を受けて来ないということは、まず第一の証左であります。 それから先ほどもちよつと申し上げましたが、国際連合加入の問題につきましては、これは間接でございますけれども、拒否権をもつて日本の加入を阻止したいということも、国交を回復する意思のないものだと解釈いたしております。それからこれはただ情報でございますが、最近のソ連の最高会議におきまして、マレンコフ首相の言うところによりましても、日本がいわゆる米国の基地であるという点において、国交を回復する意思はないということを、昨年の八月だそうでございますが、言つておる。これは一つの情報でございますが、これも私どもはその意味に解釈しております。
○山中(日)委員 吉田総理大臣は、ソ連と日本とはイデオロギーが違つておつても、国交回復のためには努力をする。また漁業その他のいろいろな問題についても、すみやかに調整をはからなければならぬということをしばしば言つておるのでございますが、しからば政府としては、積極的に日本側からソ連に向つて国交調整の意思を表示したことがあるのか、この点を伺いたいと思います。
○寺岡政府委員 平和条約がつまり積極的な意思の表示でございまして、これが日本の条件であり、これに基いて国交を回復しよう、こういうことでございます。それは今でもその趣旨で出ておるわけです。
○山中(日)委員 今回の根室地区の問題に関連するのでありますが、先ほど外務当局では、いろいろ話を持つて行つても相手は乗つて来ない、こういうことを言われておるのでございますが、こういつた拿捕の問題について、日本政府は一体ソ連側のどこへ話を持つて行つたのか、どういう話をいたしたのか。それに対して向うはどういうことを言つたのか、話に乗つて来ないという具体的な事実を、ここで御説明を願いたいと思います。
○寺岡政府委員 直接漁業のことで話を持つて行つたと申し上げた覚えはないのでありまして、要するに、私の申しましたのは、国交回復の問題であります。それから向うが乗つて来ないと申しますのは、つまりスエーデン、デンマークの例を申し上げて、これでこういう事態があるから、日本側としては、第三国を通じて話合いをするときには、おそらく見込みがないだろうということを申し上げたのでございます。直接には、漁業につきまして、政府といたしては、交渉しておりません。
○山中(日)委員 これは先ほどもお話の出たことでありますが、宮野参考人の言うところによれば、ソ連代表部へ参りますと、民間とは話はできない、日本政府が話をするならば別だ、こういうようなことを言つておるというのであります。外務省としては、旧ソ連代表部を認めておらぬということでありますから、話をする出先機関がない。こういうことになるのだろうと思いますが、しかし先ほど来お話のありましたように、この問題は、ただこれだけでは済まされない問題でありまして、そこにこれを何とか打開するというところに外交の力がある、こう私どもは考えております。ただこのままにして、そうして国交の調整もされない、そのうちに何とかなるだろうというようなことでは、おそらく漁民の方方の生活も非常に困るでありましようし、また日本の外交方針というものの根本からいたしましても、やはりこれは単なる根室だけの問題じやなしに、一日も早くソ連との国交を調整しなければならぬ。こういうことに対する努力というものが、日本の政府にはないといつて過言でないと思うのであります。ただ口の上では、ソ連との国交を回復しなければならぬとか、あるいは貿易もしなければならぬとか言っておりますけれども、しかし具体的にそれに対してどのような努力と熱意を払つておるかということが、ちつとも明らかにされていない。ここに問題がある。日本国民もこの点について、吉田内閣の外交政策に対して非常に不満を持つておると思うのでありまして、この点については外務大臣のお話を伺わなければわかりませんけれども、この点につきましては、十分にひとつ今後積極的に、ソ連との国交の調整を一日も早くやる、こういう決意で進まれんことを要望いたしておきます。
○田口委員長 それでは本問題につきましては、この程度にとどめます。 ―――――――――――――
○田口委員長 松田委員より漁業調整問題について発言を求められております。これを許します。松田鐵藏君。
○松田(鐵)委員 私は、先日ちよつとしたことから、水産庁の行政の面について、とんでもない事実が発見されたのでありますが、それは北海道において、かつて内地と北海道との入会の問題において、水産庁が御答弁されて、それに基いておやりになつたことと思うのでありますが、十一そうの底びきを北海道の試験場、また国の試験場、どちらでありますかわかりませんが、それらに対して操業を営ましめておる。しかもそれから上がる幾分かの収益が、その調査費となつておるという話を偶然聞いたのであります。それは寺崎謙司という私の町の者が、従来四年間その権利でもつて操業しておつた、こういうことであります。私は、そんなばかなことはないはずじやないかということを述べたのであります。水産庁に電話で開いてみたら、事実そうである。しかも二十九年度からは、以東底びきの整理転換まで考えて、二十九年度の予算に対しても、転換の資、金まで予算の中から出しておるような事態であるから、二十九年度からは、切やらせない方針を考えておるが、北海道庁が、もつとこれを継続さしてくれという考え方を言うておる。こういうことでありますが、この内容は一体どのようになつておるのか、御答弁を願いたい。
○濱田説明員 底びきの資源調査につきましては、北海道の試験場において、水産庁の試験場が応援しまして、四年間資源調査をやつております。継続中であります。そこで松田委員の御指摘の十一隻の船についてやつておる問題でありますが、この十一隻は、底びきの船でなくて、そうでない船でやらしておるということです。そこでだんだんその内容を開いてみますと、それから何といいますか、一部の金が試験場に寄付されまして、それが調査費の一部になつておる、こういう形であります。そこでそれについて、業界からの考え方によれば、底びき船でないものが、許可料とか何とか、そういうふうなものを払つて底びきをやつている。こういうふうな実体にあるじやないか、こういう御意見、もつともの点です。われわれの方も、調べてみますと、まさにそういう形になつておるということがわかりましたので、こういう形はきわめてよくない、感心しない。だからそれはやめてもらいたいというので、二十九年度からあつさりやめてもらおう。こういう方針にしたわけです。ただ問題は、底びきの資源調査はやつてもらいたい。やり方が、許可料とか、寄付金とか、そんなものをとつてやつているというやり方が明朗でない。そのやり方を直してもらいたい。こういうことで北海道に対して宿題を出しておるわけです。その宿題がうまく解けなければこれはやむを得ぬ、不明朗な点を続行するわけには行かぬから、四月一日からきつぱりやめてもらなくちやならぬ。こういう目的で、宿題の解答を求めているわけです。これがきまりますれば不明朗な点は解消して、それでもう二、三年もやれば底びきの資源調査は完了するはずだから、それでやつてもらいたいということで、そういうことで、そういう点はよく注意してやつて行きたい、かように考えております。
○松田(鐵)委員 この資源調査というものは非常に重大なるもので、職員がその底びきの根拠地において、十分に資料を提出されて、それを集約して行つたならば、私は相当の調査というものが成り立つものである、かように考えておることが一点と、それから一昨年まででありましたが、小樽において禁漁時期に、特に水産試験場の船と権利のある底びき漁船を動員して、相当の金額を業者自体の方で出して、そうしてあの海域を調査した報告書も水産庁に提出されておるのです。また私がかつて昭和十六年でありましたか二そうの船に試験場の職員にも乗つてもらつて、私ども自体で全部の資金を出し、オホーツク海の調査をしたことがある。それが今オホーツク海のすけそうだらを、あれだけの漁獲を上げる基本になつている。こうした資源の調査やまた漁獲の調査などは、業者みずからがいくらでもやり得ることであり、またそうした意欲も非常に濃厚である。ところがこのような実態をだんだん聞いてみると、ある者は底びき漁船でない八十トンの鉄船か建造して、そうして非常な利益を上げておるというようなことである。ほんとうかうそか知りませんが、そうしたことでやつて行つたならば、今濱田課長が言われるように、まつたく不明朗なごとである。不明朗なのは今日の世の中には通らないのだから、こういうことは早々にあつさりと打切つて、そうして業者みずからの力によつて路力させるべきである。それに対しては技術者が乗船して、資源の調査をするとかまた魚群の集結した区域における漁獲の調査をするとかいうことが、一番明朗なきれいなやり方ではないかと思うが、こういうような考え方を持たれているかどうか、この点をお聞きしたい。
○濱田説明員 底びきの資源調査につきましては、松田委員のおつしやる通り、業者全体のやつておることを陸上において調べとるいうことも確かに一つの大きな方法だろうと考えますし、またその通りにもやつております。ただ試験のやり方につきまして、実際に海上においての資源調査もぜひ必至だろうと考えます。で、これは底びきの業者だけではなくて、もちろんそれも非常に必要ではありますが、われわれの方でも、直接海上においてこれを調べるということも必要だと思うのであります。ただ問題は、そのやり方において不明朗な点を明朗にするという考え方について、終始気をつけて参らなければならぬと思います。ただいま小樽においての一例をちよつとあげられましたが、禁止区域の中でやつておるということもありましたので、こういうことをやると、やはりほかの人は禁止区域の中でやつてはいかぬ、但し試験船だけは堂々とやつていいということになると、内容はともかくも非常に誤解を招くといいますか、そうでない者までもこれについて出て行つてやる、こういうおそれがあるわけでございます。たとえば徳島沖で和歌山の試験船がやつた場合にも、れつきとした試験船以外のものまでが便乗してついて来るということもありますので、そういう禁止区域とか何とかいうところではやらせない。またやり方について、寄付金とかいう形でやるのもよくないという見地から、十分目を光らせて今までやつて来ておりましたが、ミスがあつた点は将来も常に直すという考え方でやつて参りたいと思います。
○松田(鐵)委員 まずこんな不明朗なことはやめてしまうのが一番いいと私は考えておりますが、どうか水産庁も十分調査されて、そうした線にぜひとも持つて行つていただきたい、かように考えるものであります。もつともつとこの内容をほじくつていると、とんでもないことが出て来るから、これはこの程度でよろしゆうございます。ところでこの寺崎謙司という者は四年間やつておつた。船も四十トンの船をつくつてやつておつた。これは北海道の底びきの権利二十四トンのものを買つた。足らないところはどうしたかというと、内地の権利十六トンのものを買つた。それで一つの明朗な、自分のものにしたいということで水産庁にお願いしたところが――これは漁場の悪いところでありますから、四年間も犠牲になつてやつておつたのです。そこで水産庁では、実態がそうであるということもよくわかつて、そういうことであるならば、明朗な漁業をやるためには許可を与えて、その二十四トンに十六トンを足して四十トンにすることはいいじやないかという意見を発表された。ところが北海道庁が絶対にまかりならぬ、それは、君のものを許可すればあとの十そうのものがみな切られてしまつてどうにもならなくなるから、君のものだけを申達するわけには行かない、ということで拒んでおることを聞いたのでりますあ。実に不合理な話であると思いますが、かようなことを水産庁ではどうお考えになつているか。またこういうまじめな考え方を持つている者に対しては、権利さえ持つて来たならば特別な許可をしてやるべきであろうと考えるのでありますが、こういうものに対してどういう考え方を持つているか、御意見を承りたい。
○濱田説明員 水産庁としましては、これは底びきの許可の問題であります。そこで今具体的な話を聞きますと、二十四トンを持つていて、その補充として十六トンを本州側から持つて来ているというのは、底びきの許可要領としてはそれでは許可をする、こういう形になつて参ります。けれども二十四トンも十六トンも両方とも本州側から持つて来るということになると、これはちよつと話は別でありますが、補充のトン数としてそれを持つて来るのは一向さしつかえない、こういうことに一般方針としてはなつております。ただこの点は、松田委員私に返事をせいと言われても困るのは、北海道庁の中の方針として、補充トン数も北海道の中から持つて来い、こういう方針になつておりますれば、その方針に対してこれはいかぬというわけにも参らぬわけでありまして、これはちよつと今の質問は私にいささか向かないものとかように考えております。
○松田(鐵)委員 ただいまの前段の方たいへんけつこうでありまして、北海道庁が、四十トンの船を新しく四年前につくつた、そしてお願いしたところが、二十四トンだけは北海道の船の権利を買い得た、あとは買い得ない。何でもトン十万もする。それから売るものがない、やむを得ず内地の権利を十六トン買つた、こういうことで四十トンでやるからというので大体水産庁の了承を得たのだそうです。ただいまの濱田課長の御答弁の通りになつたのだそうです。ところがこの船がこうしたまじめな企業をやるのに対して、十一隻やつておるので、一隻だけそうやると、あとの十隻はみなことしは操業できなくなるから、そうするといけないというので北海道庁はこれを拒否しておる、こういうことです。しからば従来の北海道のわくの中からやるということは、当然北海道でやるべきことであるが、要するにこういうことはやつてはいけないのだという考え方から、年間四十トンの船に対する二十四トンと十六トンを買つて、底引きを営もうというまじめな漁民に対してまでも、さような北海道庁の意思によつてまげられるということは、水産庁があつてもなくてもいいというようなまるつきり北海道庁の下に水産庁があるような感じを受けますが、濱田課長ともあろう者がこういうものに対して明答を与えられないということは、私はどうも合点が行かないのです。こういう点はつきり明答を与えて処理されんことを私は要望するのですが、御意見をひとつ直してやつてもらいたいと思うのですが、どうですか。
○濱田説明員 この点国会で論議がありましたことを北海道庁にお伝えしたいと思います。
○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつて御通知します。これにて散会いたします。 午後零時五十二分散会