P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
19回国会衆議院1954/03/17

水産委員会 第18号

発言数
74
登壇者
12
会派数
2
開催日
1954/03/17

会議録

田口長治郎自由党

○田口委員長 これより会議を開きます。  本日の政府側の出席者は、外務省寺岡参事官、宇山経済局第一課長、通産省川上鉱山局長、水産庁清井長官、永野生産部長であります。  漁業用燃料に関する件について議事を進めます。質疑を許します。松田鐵藏君。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 この前も鉱山局長にいろいろと当委員会で漁業用燃油に対して質疑を行い、その後局長には、あらゆる面から善処をいただくように御考慮を願つたのでありますが、その後における情勢がどのようになつておりますか。御発表のできる範囲内でけつこうでありますから、お話をいただきたいと存じます。

川上為治通商産業事務官(鉱山局長)

○川上政府委員 この前の委員会におきまして、私どもの方としましては、最近の石油の事情から、特に重点的な、行政的な指導によりましての配給を行うということを申し上げましたが、その後この配給につきましては、漁業者の団体とか、あるいは石油の販売業者、精製業者等の団体、こういう団体の全面的な協力が必要であると考えましたので、私どもの方としましては、一定のこういう要領に基いて業者に十分話合いをつけて配給が円滑に行くように行政的な指示を与えたわけであります。その内容につきましてはあとで簡単に申し上げますが、この要領はまだ文書として発表するところまでは至つておりません。と申し上げますのは、石油販売業者の団体の方から、自分たちの方で当分の間そういう要領によつて自主的にやる。その案が漁業者団体等と相談した結果近いうちにできるから、それまで役所の方から文書で通知するというやり方はやめてほしいという意見もありましたので、私の方としましては文書による通達ではなくて、業界からこういうやり方によつてやりたいという意向を持つて来るのを待つていたわけであります。ところがその後業界においてもいろいろ相談しました結果、三月の十三日に私の方に石油元売懇話会の考え方として、こういうやり方で行きたいが、これに対して政府の方ではどう考えているかというような文書で意見が参つております。その内容については、私どもが今日まで業界に指示した考え方に合つているわけでありますが、その内容を若干申し上げますと、この懇話会の自主的なやり方によつて特別な配給をするというのが根本的な問題であります。その事前において詳細各種の販売の実績を調べる。それから各地におきまして、たとえばある漁村においてはどこどこの店が販売店になるということをはつきりさせる。その販売店に対しましてはどこどこの元売業者の方から配給するということをはつきりさせる。配給量につきましては、特に魚類用のものにつきましては非常に季節的な変動もありますので、ある程度余裕を持つて置くことにしたい。それから配給につきましては、先ほど申し上げましたように、その地方の一定の特約店に対しまして中央の元売業者の方から確実に配給するような措置をとることになりますが、いわゆる需要者の割当とか切符制による配給ということは今考えていない。これは業者の方から別にそういうことを言つて来ているわけじやありませんが、この問題につきましては、将来もしそういう事態が起りますれば考えなければならぬかと思いますけれども、今のところはそういう措置はとらない。価格につきましても適正な価格で配給するように業界の方で自主的に行う。もし地方におきまして、あるいはある特約店からの販売価格が非常に高い場合、あるいは販売業者が売惜しみをするような場合、そういう問題が起りますならば、苦情処理機関を設けて、需要の方からいろいろなことを言つていただきますれば、ただちに苦情処理機関が措置できるような態勢にしておく、この苦情処理機関に当るものは現在全国石油業協同組合連合会——その各地方の支部ができることになつておりますが、現在はその支部のかわりに、全国石油業会支部というのがおそらく各県にあると思うのですが、これに対しまして地方の実情を言つて、参りますれば、すぐそれに対して善処をするという、苦情処理機関をそういう業界の内部につくる、こういうことによつて何とかして円滑に自主的に配給して参りたいと言つて参つているわけでありまして、大体現在すでにこういう指示のもとにある程度実行に移されているものと私どもの方では考えております。また最近におきましては、地方においていろいろ問題がありましようけれども、非常に困つているというような事情が、私の方には実際のところあまり言つて来ておりませんので、現在のところは百パーセントじやありませんが、比較的円滑に配給がなされているんじやないだろうか。ただ値段の問題につきましては、いろいろ問題はありましようが、配給についてはある程度円滑に行われているんじやないだろうかと考えますけれども、今後の先行きの重油の状況等を考えますと、とても従来の考えではいけないと思いますので、私の方としましては、今業界の方から持つて参りました案でさしあたりは何とかして行きたいと思います。面におきましては、この案だけではたして十分行けるかどうかということを考えておりますので、今日も実はこの問題について、通産省の内部においていろいろ相談をいたしております。私としましては、地方において問題を起しました特約店の系統をたどりまして元売業者の責任を明らかにしまして、もし地方において油が十分あるにかかわらず売惜しみをするとか、あるいはまた販売価格を非常に不当につり上げて販売するというような場合におきましては、その系統をたどつて元売業者の責任を追究して、元売業者に対してはあるいは外貨の割当等においてこれを規制しようというような考えを、現在のところ持つておりまして、そういう問題等につきまして、先ほど申し上げましたように、通産省においていろいろ相談をいたしております。場合によりましては、業者の自主的なやり方だけではなくて、私の方から文書によつてこういう方針でやれということにいたしまして、地方の通産局なりそうした方面もこれに指導なり援助なりをいたしまして、特に漁村関係の油についての配給が円滑に行い得るように考えております。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 たいへん御懇篤な御努力の結果、販売ルートの確立、量に余裕を持ち、価格に適正な方法を講ずる、しかもそれには苦情処理機関までつくつて漁業者に対する完全なる配給をなして行きたい、こういう御趣旨に、要約すればされるのでありますが、こういたしましても、絶対量の足りない場合における工業との関係、これらが今後杞憂されるのでありますが、何はおいても絶対量の足りないものに対しては、これはないもの高が原則になつておりますが、しからば石油の原産国からの輸入のレートはどのようなことになつておりまするか、またそこにどういう難関があるのか、この点も御調査になつておられるところを承りたいと思います。

川上為治通商産業事務官(鉱山局長)

○川上政府委員 石油の輸入地といいますか、仕入地につきましては、従来北米及び中南米それから中東地区、こういう方面から仕入れておるわけでありまして、向うの輸出業者というのは、いわゆるスタンダードとかカルテックスとか、あるいはシェルとか、こういうものがほとんど大部分を占めておるのでありまして、価格につきましても国際的な一つの価格というものがありましてそれによつて販売を受けておるのでありますが、私の方としましては、こういう方面だけではなくて、たとえばインドネシア方面とか、あるいは問題になつておりますイラン地区というような方面から石油を持つて来ることはまことにけつこうではないかというふうに、少くとも私は考えておるのであります。特に昨年におきましても、インドネシアから何とかして油を引きたい。インドネシアから少しでもよけい石油を引きますことは、結局この外貨の事情からいいましても非常にけつこうなことになりますので、いろいろ交渉をやつていたのであります。その交渉としましては、大体オープン・アカウントによつて、このインドネシアの英国系のシェル会社に対しまして何とかして油を持つて来てもらいたいということで交渉いたしておりましたが、これは英本国とのいろいろな関係がありまして、とうとう実現ができなかつたわけであります。しかしその分だけは他の方からドルを使つて百石油を入れたというような状況になりました。このインドネシアの方では、これとは別に、向うの政府の手持ちのものをある程度入れたいということで、たしか昨年の夏ごろと思いましたが、貿易協定によりまして二百万ドルぐらい、これは数量にしましては比較的少いのですけれども、そういう油を輸入することになつていたのでありますが、インドネシアのいろいろ内部の事情から、ほとんど入つて来てないというような状況になつております。これはいろいろ交渉いたしましたけれども、結局インドネシアに現在大きく期待することはできないというような状況になつております。  それからイラン地区の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、私鉱山局長個人としましては、極カイランから油を引くことはけつこうなことではないかというふうに考えております。特にバーターによりまして輸入することは、外貨の関係からいいましても非常にけつこうじやないかと思つておるのです。昨年は出光興産が約十二万キロリットル程度輸入したのですが、私の方としましては、その程度ではなくて、もつと百万でもあるいはそれ以上でも入れたならば、非常にけつこうなことではないかと考えております。しかしこれは英国とのいろいろな政治的、外交的な問題がありまして、その問題が十分解決されておりません関係から、輸入がまだできてないというような状況になつております。私個人としましては、少しでもこうした方面から入れることは、非常にけつこうなことではないかというふうに考えております。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 外務省の経済課長に、イランとの関係はどういうふうになつておるか、お調べになつておられましたならばお聞かせ願いたいと思います。

寺岡洪平外務省参事官

○寺岡政府委員 今経済課長の方にお尋ねがありましたが、私からお答えを申し上げたいと思います。イランの石油問題につきましては、英国との関係があるというような御説明が今までにいろいろなされておりましたけれども、現にそうなんでございます。しかしこれも当分の間ということでございまして、政府といたしましても、できるだけイランの石油を入れるように、バーターで交渉したいという心構えでおりまして、田中公使を同地に派遣し、今日出発することになつておりますが、そういうことは、結局イラン政府と何らかの形で石油を入れるという趣旨から出ております。しかしながらイラン政府側の方にいろいろ注文がございまして、今までのところまだ具体的な進歩はいたしておりません。但し政府としては、できるだけその面に努力するというかつこうで今までも続けておるわけであります。従つて今度田中公使が団地に参りましてどういう話合いになるか、今のところ見当はついておりませんが、何分にも相手がございまして、特に英国との関係も調整しなければならぬ関係もありますので、今のところ御説明するほどのものはございません。ただ努力はしておるということだけを申し上げておきます。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 ソ連との石油の関係はどうなつておりますか。外務省でも鉱山局長さんでも、どちらでもけつこうでありますが、伺いたいと思います。

宇山厚外務事務官(経済局第一課長)

○宇山説明員 ソ連との間におきまして石油を輸入する話は、現在までのところ商社間の話のみが行われております。私どもといたしましては、ソ連から石油を入れることによつて従来のようなバーター取引が進行いたしますことは、結局日本の輸出を伸ばす一助ともなるわけでありまして、けつこうなことだと考えております。ただいま通産省とも相談いたしまして、これの具体化について、遠からず何らかの措置がとり得るのではないかと考えております。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 課長さん方にかようなことを申し上げるのはどうかと思いますが、外部に伝えられている感じから行きまして、アメリカにのみこびている外務省が、ソ連ということになるともうぶるぶるふるえ上つてしまつて全然考えられないというような感じを持つておるということが、国会内でも論議されておりますが、そういう点はないと思う。日本の国のためだつたならば、どんなことでもやつて行け得るという確信を持つておられるのですか。

宇山厚外務事務官(経済局第一課長)

○宇山説明員 私どもの考えといたしましては、ソ連との貿易を進める上においてアメリカに気がねをしなければならないということはないと考えております。ただいまの御質問は、主としてソ連から石油を入れることに関連しての御質問だと拝察いたしますが、実はソ連から石油を売ろうという話が日本の商社側にございましたのは、ごく最近のことでございまして、私どもといたしましてはさつそくそれを取上げて先刻申し上げました通りに実現方をはかつておるわけであります。そのことでもおわかりくださると思いますが、別にほかの国に気がねをしてどうこうということはなく、ただいま着々準備は進んでおる、こう申し上げていいかと思います。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 たいへんいいことを承りましたが、特に社会党関係の方々は、岡崎外交はアメリカ一辺倒である。何もかもアメリカの、ごきげんをうかがわなければやつていけない、こういうことは国会でもしばしば論議されるので、実はどういうことかと思つておりましたが、ただいまのお話だとそういうことは全然ないというお話でありますので、それで私は安心するのですが、もしソ連の石油なりまたいろいろな物資を入れるということになると、これはどういうような方法で入れるのでございましようか、この点……。

寺岡洪平外務省参事官

○寺岡政府委員 ただいまの日本とソ連との関係につきましては、まず第一に考えていただきたいことは、まだ国交が回復されておらない事実でございまして、そのことはまず日本の対ソ関係の第一の問題でございます。従いまして対ソ国交調整という問題は別に考えておるわけでございますが、しかしながら経済関係におきましては、具体的な経済目的に従つてこれに便宜的な措置を与えたい、そういう意味から、たとえば石油の問題につきましても、宇山説明員から御説明申し上げたような次第でありますが、実際のやり方につきましては、私どもの聞いておりますところでは、石油を入れるにい・たしましても、当方から何か輸出しなければ困る、それにつきましてはたとえば船の修理だとか船を新造するというふうな問題がございまして、そのためにはソ連人が入国しなければならないというふうな問題があるわけでございます。本来ならば、国交がない国の人には入国を許さないのが当然なんでございますが、その経済的の意味が非常に重大であり、かつ日本の国家目的に害がないということでありますならば、これにはなるべく便宜的な措置を与えたい。そこでその条件といたしましては、大体私ども考えておりますのは、その入国で一つの契約を結ぶというためには、その目的と方法を明らかにして、そしてその厳重な審査をいたしまして、その目的の範囲でこれに入国を許す、これには普通のいわゆる入国査証でなくて、渡航証明書というものを交付する、これは今までの例でもございまして、この例に従いましてやりたい、こういう考えでおります。ただ国交がないということだけは、ぜひひとつお考え置き願いたいのでありまして、これは私どもも非常に重大なことに考えており、国交が回復されるような時期が来れば、これは全然自由な立場で話ができると思いますが、何分にも国交が回復されておらぬ。国交を回復するためには、日本の平和条約を承認するというふうなことが今のところは前提になつておる次第でありますから、その点だけはぜひ頭に入れておいていただいて、この経済問題をお考えくださるようにお願いいたします。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 非常に重大なことを聞きましたが、ソ連へ渡航をする、要するにヴィザを与えてやれるように何かやりたいということですか。

寺岡洪平外務省参事官

○寺岡政府委員 国交がない国には旅券を認めるわけに参りませんので、そのかわりに簡易措置といたしまして渡航証明書というものを出すわけでございます。日本の政府として、国交のない国の発給した旅券を認めることはできない、これはもう原則でございましてソ連人の入国を許す場合には渡航証明書というものを出します。これはいわゆる査証にかわるものでございますが、いろいろ制限がついおるわけでございます。たとえば寄港地上陸というようなことも一極の渡航であります。つまり笠戸あたりで船を修繕いたしておりますが、その船員たちに対しましては器港地上陸を許しまして、その寄渡する所だけにし上陸することを許す、しかし一般の上陸は許さぬ、こういうことでございます。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 それはソ連の人ばかりを日本に呼ぶということですか。日本人もそういうふうにやつて、取引なんかもするような方法を講ぜられないものですか。それが一番大事なんじやありませんか。この点はどうです。

寺岡洪平外務省参事官

○寺岡政府委員 日本人のソ連に対する旅行につきましては、日本政府といたしましては、国交のない国に旅行しても保護ができないという建前から、私どもはこれを制限するように努力しておるわけであります。旅券法の改正の御審議を願つておると思いますが、ただいままでのところは、旅券の趣旨に反しても罰則がないというところから、実際上はコントロールができておりません。しかしながら建前はあくまでも保護ができないということからいたしておるのでありまして、向う側でそういう便宜措置を与えるかどうかということは、これはやはり交渉しなければできないことでありまして、今のところは正式な交渉のルートがないということからお考えを願いたい。日本側ではそういう便宜的な措置を一方的な形でやつておりますが、ソ連側がそういうことをしてくれるかくれないかは何らの保証がありませんので、今までのところは渡航をしないようにということを、政府の方針としてきめておるわけでございます。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 ソビエトの国民に対しては渡航証明書を出す。しかし日本人がソビエトへ正式に行きたいとしても、それに対してその便宜を与えられない、与えられる機関がないということは、外務省の一方的な考えであつて、高良女史などが密入国をしてとかくの問題を起したが、こういうことがなぜ解決できないのか。現にソビエトの代表部があるはずである。政府はそれを認めないといつておる。認めないといつたつて、現にある。あるならばそこに対していろいろな折衝ができ得るはずだ。もし外務省ができなかつたならば、通産省なり水産庁なり、または行きたい人がみずから行つて交渉しても——ぼくも別な問題で一回行つたことがあるが、非常に親切だ。日本の外務省よりももつと親切だ。だからそういうことに対してあらゆる便宜を与えてやつたらいいじやありませんか。通産省には、あなた方よりも非常に心配されて、ソ連関係のみについて係長までおつて研究しておる。こういう点から行きましても、外務省はもつと積極的にならなければならないと思います。こういう点は、この間参議院で質問があつたとき、何か絶対出せないという御答弁があつたそうだが、これはとんでもないことだと思うのです。これはひとり石油のみならず、すべての問題に考えられることだと思う。そういうことに対しても積極的に——あなたのただいままでおつしやつた御意見だと、何もアメリカに遠慮はいらないのだ、日本のためになることであつたならば、日本で自主的にやり得るのだという御答弁と、ただいまの御答弁とは非常に食い違いがあるように私は見るのですが、この点もつとざつくばらんにお話を願えれば、私どももまたその御意見に対していろいろ考えなけれぱならぬ点があると思いますが、この点ひとつざつくばらんにお話を願いたい。

寺岡洪平外務省参事官

○寺岡政府委員 ただいまの御質問は、まず第一に日本とソ連との間の国交回復という問題を、比較的簡単に考えておられるように思うのでございますが、ソ連代表部と申しますものは認めておりません。ソ連代表部というものは、平和条約が調印されなかつたことによつて、これが存在意義を失つたものであるという建前から、存在理由を認めておらないのでございます。ソ連との関係につきましては、いろいろな点から考えなければならないのでありますが、私どもの考えておりますのは、少くとも経済的に非常に意味があるものならば、それはなるべく切り離して、それだけの立場からやつて行こうということで、それ以上は出ないのであります。従つてこれはあくまでも一部でございまして、全体の関係の一部であるという点からひとつお考えを願いたい。つまり経済問題で私どもの方で便宜をはかろうと思つておりますのは、たとえば石油であるとか、木材であるとかその他の鉱物資源というような、日本が今非常に必要としているものを日本に入れるという建前から、主義上の問題の例外といたしまして、便宜的措置を与えるということでございます。従いまして、ソ連代表部というものとは正式には話合いがございませんが、業者が向うの関係者と話をして、その結果コントラクトができて、どうしてもソ連人が入国しなければならぬという場合には、その限りにおいてこれを許す、こういう趣旨でございまして、あくまでも原則の例外という趣旨であることを御了解願いたいと思います。一般の外交方針といたしましては、幾度も外務大臣から申し述べておりますので、私どもからそれにつけ加えて御説明する余地もないと思いますが、私ども事務的に考えておりますところでは、できるだけそういうふうな経済的面では便宜をはかつて、日本の経済的な利便を得たいというふうに考えております点を、御了承願いたいと思います。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 ただいまのあなたのお話は、日本のために必要な物資をソ連から入れようとする場合においてのみ、ソ連人を特定の制限をつけて日本に入れることは可能である。しかし日本人に対しては、絶対そういうようなことはできないという御趣旨のように思われますが、日本とソ連邦との間の国交は、現在まだ回復していないので、ソ連邦人のわが国への入国は原則としてこれを認めることはできないのであるが、これらのソ連人の入国がわが国にとつて有利であるときは、その入国が取引を成立せしめるため不可欠の場合に限り例外的措置としてこれを認めることとする。外務省、法務省決定事項概要、昭和二十九年三月、こういうものがあるようでありますが、これはソ連人を日本に入れることのみを規定しておつて、日本人は向うへ行きたいと思つても行かれないということでは、どうもしつくり行かないじやありませんか。もう少ししつくり行く方法をお考えになられませんか。また私はそれよりも重大な問題があると思うのです。これは私はよくわからないのですが、今西欧において東西会議というものが開かれている。これは毎日の経済新聞に出ている。これらの内容はどういうことであるか、もし外務省でこれをよく御研究なされているならば御発表願いたい。

宇山厚外務事務官(経済局第一課長)

○宇山説明員 スイスのジュネーヴで、三月九日から約二週間の予定をもちまして、国際連合の欧州経済委員会の会議が開かれております。欧州経済委員会と申しますのは、アジアの地域におきましては、エカフェとよく申しますが、国連アジア極東経済委員会が、ことしの二月にもセイロンで会議をいたしましたが、ちようどそのエカフェに当りますものが、ただいまジュネーヴで会議をやつております国連欧州経済委員会なのでございます。そうしてここでは、事務当局が作成いたしました九五三年の欧州における経済の動向に関する調査、これについて審議をいたしまして、それからそのほか南ヨーロツパの、十分経済が開発されていない地域についてのいろいろな経済発展の施策についての調査、これが主たる議題となつているのでございます。ところが最近新聞には、しきりに東西貿易について論議しているということが出ておりますけれども、実は昨年も四月にジュネーヴで同じ会合が開かれましたときも、主たる議題よりも、そのときにたまたま発言があつた、東西貿易の発展の問題の方が新聞紙上をにぎわしたという状況でございました。ことしもまた同じようになつております。昨年の会議のときにも、これは各国の政府機関の代表者が出席いたすのでございますが、各国の代表から、東西貿易の発展について非常にけつこうだというような趣旨の発言もございました。ことしもまたそのようになつておりますが、昨年も、その後の経過をたどつてみますと、そこの会議で発言せられましたことは、それほどまでには実現しなかつた。各国代表は、その東西貿易の発展についての何らかの決定をする、国際的な約束をするという権限を持つて行つておりませんので、ただ原則的な、それはけつこうだというふうな話がされたにとどまつたのでございます。私どもただいままで在外公館からの報告など、それから私どもも各国の動向など研究いたしておりますが、おそらくことしも同じようなことになるのではないかと思つております。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 ただいま単なる昨年と同じような結果になるであろうということであり、しかしそれに対しては十分関心を持つているという御答弁でありますが、要はこうした会議が開かれているということは、日本の外務省としても相当考えておられることであろうと思う。それはやがてこうしたものが成立した場合において、欧州のみならずアジアというもの、この両方がねらいであろうと思う。しかして一番考えなければならないのは、日本の現在の立場であると思う。われわれは自由民主主義国家として立つておる。自由民主主義国家との交友は何よりも密にして行かなければならない。先日の予算委員会において、総理は、アメリカ一辺倒でないのだ、日本の国のためになることであるならば、あらゆる問題を解決して行かなければならないのだということを言うておられる。しかしそれに対して野党は、そんなことはない、アメリカ一辺倒だと言つて論議しておる。しかし現在どこから見ても、われわれとしてもアメリカ一辺倒のように見える。この点をどういうように解決して日本の経済の確立をなして行くかということに対して、も大な関心を持つて行かなければならない。今の日本の経済は四面楚歌だ。ドルは足らない、ボンドは足らない、これは通産省のみの責任じやない、大蔵省のみの責任じやない、外務省のみの責任ではない、日本の国全体の責任であつて、一番責任を負わなければならぬのはわれわれ自由党だと考えておる。そして日本の現在はどうなつておるか、先ほど鉱山局長が、あらゆる努力をして石油を入れることを考えておると、こう言う。しかし刻々として足らない。その石油が足らない理由は、無方針きわまる経済の行き方からしてこうなつておる。また無方針ということは計画性がないということです。総理大臣は経済の計画性を持たないのだと言う。これではわれわれも実際参つた。せめて経済のためには計画性を持つてやつていただかなければ困ると思つておる。国民に対して何とわれわれは申訳していいかわからない。これもまたわれわれは、自分の責任としてこれを解決して行かなければならない。さて日本の国の現状は、まつたくアメリカ文化に支配されて、町を見るとあのけばけばしいやり方、ビルディングはどんどん建つておるそしてちぐはぐな服装をして町を闊歩しておる。一番重要である原料としての重油は、ドルが不足だ、ポンドが不足だといつて、このまま行つたならば、日本の経済の確立なんてできつこはないのです。これはわれわれ与党であるものが一番責任を負わなければならぬと同時に、外務省もまた通産省もお互いに責任を負うて、官民一致団結して経済の確立をなして行かなかつたならば、日本は戦争に負けたあのときと同じように、もつともつとひどい時代が来るものだと私は考えておる。それだのに、先ほどお話を承れば、ソビエトからは日本に必要な物資を売つてくれるために人間は来てもいいが、日本から向うに人間が行つて交渉のできる方法はないと言う。役人は行かれないことでありましよう。また政府を代表している者は、行かれない理由はないのだけれども、行けないかもしれません。それはアメリカ一辺倒だから、あなた方は気がねをしておるから行かれないかもしれないが、何らか方法があるはずだ。これらを官民一体となつて努力をしたら、この方法はあり得ると思う。まずあなた方はお考えください、パルプが一年間百万石ずつの木材が必要だ。このまま行つて二十年たつたならば、日本の山は坊主になつてしまう。今カナダからパルプを入れようとするから、アメリカまたはイギリスに気がねをしなければならぬということもあるだろうが、もし日本において百万石ずつの木材が切られたならば一体どうなるか、山はみんなはげてしまうだろうし、毎年来る洪水を防ぐ方法はない。こういうところから考えても、樺太から沿海州に無尽蔵なパルプ材料があるじやありませんか。これらをあなた方どうお考えになつておるか。日本に最も必要な原料じやありませんか。これらを交渉するのに、何らか方法をとつて日本人をあそこへやろうということは私は悪くないと思う。賢明な政務次官がおいでになつたからなお都合がいい。こういうことが日本の岡の経済の確立のためになることであつたならば、ソ連から来るもののみをあてにしたところで、いつ来るものかそれがわからない。日本から使節を送ることが必要であろうと私は考える。このままで行つたならば日本の国の経済は——私はパチンコ経済だと言つておる。ぱちんとやつてじやらじやら出ればそれで喜ぶけれども、必ず損することになつておる。国内だけの流通であつて、海外はすべてふさがつてしまつておる。この海外に、あなた方外務省のお力でもつて日本から使節を出して、まずやつてみようじやありませんか。こういうことができ得ないことは私はないと思う。  それよりも重大なことがある。それは水産庁長官も非常に心配されておる。ことし北洋に七船団出る、独航船が百六十そう、それに付随した調査船を合せて約二百そう、それに大きな母船が七そう、水産庁の船も出る。こういう船が朝鮮の李ラインでしよつちゆう拿捕される、中共において拿捕される、外務省も頭痛はち巻でありましよう。それからまた南の海に行けばパキスタンにおいてまたスマトラに行けばここでも拿捕、こういうようなことが現実の姿として現われておる。今七船団、二百そうの漁船が行つたときにおいてだれがこれを保障でき得るか、みずからの手によつてこれを守つて行かなければならないのでありましよう。ですから政府が交渉できないのであつたならば、民間の手によつてこれを交渉するだけの用事われわれはしなければなりますまい。それに対して外務省はお骨折りを願いようがなかつたならば——国交が回復していないから行けない、だめなんだという、ただそれだけの御答弁では、一体国民はどうなるかということをよくお考えにならなければならないと思う。こういう点が一番あなた方の御努力をまつことだろうと思うのでありますが、幸い政務次官がおいでになつたのだから、こういう点に対する御解決の方法はないものでございましようか、この点を承りたい。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 松田さんのお話の前段を聞いておりませんので、どこの話かわかりません。おそらくソ連のことではなかろうかと思います。ソ連との貿易関係につきましては、私どもできるだけ可能なる範囲内においてこれを進めて行きたいと考えまして、またヨーロッパでもそういう空気が起つておるようでありますから、過般も委員会で私申し上げましたように、現在においては日本の人に来てくれとはあまり言つてないのですが、ソ連の方から人をよこしたいという希望がございますので、これについてはそうした問題の解決に役立つなら、その入国も、その一つ一つのケースを審査して認めようというように考えておる次第でございまして、今後もそうした問題が起ります際には、できるだけ貿易を進行するという立場からとりはからいをいたして行きたいと存じます。仰せの通り政府が直接できないならば、民間の方にお願いするということもけつこうであります。松田さんは民間の方と言うべくあまりに高い地位の方でございますが、査田さん御一行がアルゼンチンで御努力になりましたことも、私ども前から感謝いたしておる次第でございます。今後ともこういう努力がなされます際に、最善を尽したいと思います。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 ただいまの政務次官のお話をよく承つたのであります。私は二十九年三月の外務省、法務省の決定事項概要というものをもらつて来た、しかしそれは日本の必要な物資を、ただいまの政務次官のおつしやるように日本に入れたいという場合に、ソ連人を入れる一つの要綱だと思います。そこでもつてもつと日本人もやつたらどうか、この間大西廉作氏が行き、高良女史が行きましたけれども、全部密入国です。これでは何とも話ができぬのであるから、そういう人々があるならば、もつと正式な方法によつてせめて外務省があつせんをして、ソ連との間をとりもつてやつていただいて、そうして正式な入国をさせるようにして、話を進める方法がないかということなんです。それにただいま政務次常がおいでになつてからの私の発言は——われわれが一番心配しておる点は、向うから何か物資を持つて来るために、日本と貿易をするために来る人がいる、そういう人は全然わからない人もある。北洋の問題、これは夏堀委員も、自分で船団を出して一番痛切に感じておることだろうと思う。こういう人々の生命なり拿捕事件なんかあつてもらつては困る。こういう点に対する民間使節でもやるようにしたならば、今一番困つておる日本に対する重油の問題だつてパルプの問題だつてそういうようなあらゆる問題がまた話合いができるものでないかという考え方を持つているので、そういう方法を御考慮していただくというわけには行かないかというお願いなのであります。まあひとつ御考慮してやるべきですよ。政務次官、あなたのお力だつたら必ずやれるんだから、そういうようにやるべきだと思うが、この点をひとつ……。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 ぜひそうした使節を出さなければならないというような必要が生じましたならば、これまでもとり行いましたように、公用旅券を発給するという考えもあるであろうと存じます。ただ一般旅券につきまして、私率直に告白いたしまするならば、なるほどある特定の場合を考えてみますと、向うへ行かれた方がよいんじやないかというような場合もありまするが、しかしかりに漁業関係で一人が出れば、どんどんあとの人も出て行こうとせられる。それを押えるというような手は今の旅券法ではないわけであります。現在海外へ行きますのに一つの制限になつておるのは、私から申し上げるまでもなく、これは為替管理法によつて金のない場合はいけないということになつております。仮定いたしまして、共産党の人に、五百人は旅費をいらない、全部ソ連で持つてやる、政府の方は相談の相手にするに足りないんだが、この連中ならよろしいから、旅費をひとつ全部持つてやるという申出が来た場合には、為替管理法ではそれは取締れないわけであります。そうすると結局一人だれかを許せば、全部その五百人のそういう特に親ソ的な方のソ連訪問というものもお許ししなければならぬというような立場に、政府は置かれることになるだろうと思います。これは差別はつけられない、そういう関係もございますので、また日本の自由主義国家群との協力関係というような立場からして、現在共産圏への入国というものは、概括して原則として押えておる、これは私は決してよい政策であるとは考えておりません。しかしそういうような事情のあることも、ひとつ賢明なる松田さんに御了察を願いまして、私どもといたしましても、情勢は必ずしもいつまでも停頓しておるというわけのものでもないし、世界情勢というものもかわつて参りますから、それに応じまして裏いろいろ考えなければならない点もあり、いろいろ御指導を仰がなければならぬ点が多かろうと思います。そういう気持で進んでおりますので、その点御了解を願います。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 ただいま政務次官のお話で私も納得行くのであります。しかし今一番重大な問題は、私ども考えておるのは北洋の出漁の問題です。すべての国からラインを引かれて、そうして行けば拿捕されるというような状態になつておる。私のソ連というものに対しての考え方は誤つているかもしれませんけれども、共産主義の哲学には、決して私はすべてを同調するものではないが、やはりよいところもある。それからまたソ連というものは、決して私は朝鮮だとか、その他メキシコだとか、インドだとかいうものと異なる大国民だと思つております。しかしソ連が引いている領海というものは十二海里を主張しておる。われわれ自由民主主義国では三海里を主張しておる。戦前であつたならば、日本の国の国力の強かつたときは、軍艦を持つて行つて三海里の線で遭遇したものです。それでもいろいろな問題が起きた。今国力なき日本が、朝鮮の海においても拿捕され、中共の海においても拿捕されておる。これは十二海里沖でも拿捕されておる、これが実際の姿です。ただかつてに引いている李ラインというものを——私はこういう問題を論議するのは、先日まで非常に緩和まれておつたソ連関係の海において、北海道で四そう拿捕されておる、こういうものは私は決してソ連が領海だという十二海里の外にいたものではないと思う。きつとその中に入つていたものだと私は思うが、とにかくああいう拿捕された事件が起つた。それで北海道から東北にかけてのこの春からの北洋の出漁の問題に対しては、非常に神経過敏になつて、そうして漁民は心配しておる、こういう点を緩和するといつても、水産庁は三十海里なら三十海里という沖に線を引いて、それから入れないと言つておる、ところが実際に行つて見ると、ほんとうはソ連の監視船よりも恐ろしいのは日本の監視船だということを言つておる。これはほんとうなんです。それでけつこうなんです。日本の監視船は恐ろしい、そうしてはつきり水産庁で許可した線を守つて行くということは、日本の漁民としてよいことなんです。しかし不幸にしていつどういうような線を引かれることがあるか、どういう事件が起きないとも限らない。現にその四そうというものが拿捕された関係上、非常に心配しておる。これらの点に対して、漁業使節なら漁業使節ということでもけつこうでありましよう。一人許して一人許さぬというわけに行かぬというお説もこれもごもつともです。しかし方法を講じてこれに対して便宜を与えていただけるならば、たいへん都合がいいことでないかということです。今現に北海道では、漁民大会を開いて反省を求めるという方法以外にないのじやないか、国民外交をやるより方法がないじやないかということで、決議までしようとしてやつております。こういうようなことでありますから、そういう場合にはよく御審査くださいまして、あらゆる方面に御努力をして、国民の考え方を全うさせていただけるならば非常に幸いだ、こういうことなんでありまして、もしでき得ることであつたならば、そういう御便宜を外務省としてお願いしたい。そうして行つたならば、そのときにおいて日本の必要な物資が、パルプであろうと重油であろうと、こういう問題が論議されて来るであろうと思う。密入国では使節なんといつても相手にならぬ、こういう点を御考慮願う方法がないか、こういうことなんであります。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 まことにお説ごもつともでありますが、私限りの感じを申し上げますならば、今申し上げましたような困難もありますので、相当有意義な目的を達成するということを水産庁なり通産省なりで御審査の上、そういう結論になりましたならば、たとえばヘルシンキとかあるいはパリあたりも相当交通のあることでありますから、そうすればそういうところでの会合なんということになりましたならば、われわれの方としてはとめるべき性質のものでもないし、またそれが幸いにしていい実を結びますならばけつこうでありますから、そうした方法は考えられることであろうと私は考えております。ただソ連へ入るという問題になりますと、先ほど申しましたような困難もございますが、適当な場所で先方もこれに対して協力する意思があるならば、そういうところで話合いをするということも、必ずしも不可能じやないのじやなかろうかというのが私の気持でございます。

田口長治郎自由党

○田口委員長 夏堀君。

夏堀源三郎自由党

○夏堀委員 長々と松田委員の御質疑がありまして、大体要領は尽したようでありますけれども、まだぴんと来たい点がありますので、一応お尋ねいたしたい。鉱山局長から伺つたことによりますと、これらのいわゆる業者との関係、機構の関係、これをこう持つて行こうという説明がありましたが、これは私も賛成であります。ただ根本問題として、ないそでは振れないということであります。だから外貨を獲得する対策がどの程度できておるのか。私はしばしば質問申し上げました通り、水産貿易の面においては優先外貨でまかなえばいいじやないか。それを断ち切らなくとも、外貨を十分にくれないということは、一体どういうことであるかということをしばしば質問しておるわけでありますが、外貨の面においての見通しはどの程度御折衝になつておるかを伺いたい。

川上為治通商産業事務官(鉱山局長)

○川上政府委員 重油に関しましての問題につきましては、単に外貨の問題だけではないのでありまして、それよりもむしろ石炭業との関係が非常に問題でありまして、二十八年度におきましては五百二十七万キロリッターに該当する重油の外貨をもらつてやつたわけなんですが、おそらく来年度におきましては、あるいはそれ以上にふえるのではないかというふうに考えますけれども、先ほども申し上げましたように、単に外貨の関係だけではないのでありまして、石炭業との関係という問題から、重油については相当規制したければならぬという問題になつておるわけであります。重油以外のたとえばガソリンでありますとかあるいは燈油でありますとか、軽油でありますとか、そういうものにつきましては、外貨の面からいいまして、そうきつく縛れるというような状態には実はなつていないのでありまして、ももろんこれはある程度は制約を受けますけれども、外貨を切られることは、ほかのものにつきましてはそれほど強くはないのでありまして、やはり重油について問題が起きておりますのは、石炭業との関係から、重油の外貨が相当削減されるということに相なるわけでございます。そこで私どもの方としましては、石炭業との関係において重油の外貨が削られるので、これは漁村とかあるいは農村方面に対しましては、実にそのために御迷惑をこおむるかもわからないので、だから漁村関係、農村関係の重油につきましては、絶対に何とかして百パーセントを確保する道を講じたい。それから陸上のいろいろな、たとえば工場とかそうした方面の需要の重油につきましては、できれば石炭を使うように持つて行きたい。できればと申しますと、現在専焼設備を持つておるものにつきましては、これは切りかえるということが非常にむずかしいですから、両方併用の設備を持つておるものにつきましては、極力石炭の値段も下げ、また下るような指導もしまして、極力石炭の方の設備を使つて工場を動かすというふうに持つて行きたい。そういうことによつて陸上の重油の方は極力需要を減らして、石炭の方に影響がないように、また石炭の企業も何とかして十分成り立つて行くようにという考え方から、重油の問題についてはやつておるのでありまして、この問題については外貨だけの問題からやつていないわけであります。ただ先ほども再々申し上げましたように、この漁村関係あるいは農村関係の重油だけは何とか確保して行きたい。それには先ほど申し上げたようないろいろな措置を講じたいと思うのですが、また講じつつあるのでありますけれども、どうしてもそれでやれないという事態がかりに起きるということになれば、私の方としましては、あるいはもつときつい統制的な措置を講ずる以外にはないのじやないかというふうに考えておる次第であります。

夏堀源三郎自由党

○夏堀委員 石炭政策と石油政策との摩擦である、これはその通りであります。これを調整するのは政府であります。そこで国内産業もやはり制御しなければならぬ、だから輸入をできるだけ節約しなければならぬ、それもその通り。しかし日本の経済の最大の国策は外貨の獲得にあり、よつて生産用の石油を十分に輸入することによつて外貨の獲得ができるという結論に達するのでありますから、この点は私申し上げるまでもなくその通りなんであります。外貨の方はあまりめんどうはないというけれども、そうでもないようであります。かなり大蔵省はきついようである。特に貿易振興、外貨獲得に大きな役割を直接演ずるこの油に対しては、十分の御考慮を払つていただきたいということを申し述べておきます。なお水産庁長官にお伺いいたします。捕鯨船団とか北洋船団とかいう大船団に対しての燃油の割当というものは、何か計画的にお考えになつておるのでありましようか、お伺いいたします。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいま燃油の問題につきましては、鉱山局長から十分御説明があつた通りであります。私どもといたしましても、漁業用の燃油の確保ということにつきましては最も心配をいたしておるのでありまして、かねがね農林省内はもちろん、係りの方とも十分連絡をして確保に努力しております。今後の方策につきましては、なお目下相談しておりましてただいま鉱山局の方からその要綱についてお話があつたようでありますが、私どもといたしましても、この問題については今後通産省の方とも十分連絡折衝をいたして参りたいと思つております。  なおただいま御質問のありました船団の経営、母船経営の利用する燃油の確保でございますが、その問題につきましては、私ども全体の漁業燃油の確保の問題として取扱つて行きたいと思うのであります。今までもこの問題につきましては、それぞれ個々の船団によつて手当しておられたのでありますが、燃油が不足いたして参りますれば、勢い大量の燃油を必要といたします場合には、それに伴つて所要の措置を特別にはからなければならなくなつて来るかと思います。その場合においては、関係業者の方にも、通産省にも十分相談をいたしまして、できるだけ使用燃料が確保できるように今後努力して行きたい、かように考えております。

夏堀源三郎自由党

○夏堀委員 北洋漁業船団の大体六、七〇%程度は外貨の獲得にあるのであります。そういう理由で最も重大な国策を遂行するために行動を起す船団に対する燃油は、各船団に対して計画性によつて配給する態勢をとつていただきたいと思います。これは鉱山局長の方でもそれをごくふうの上、ひとつお考えを願いたい、これをお願いしておきます。  なお松田委員のえらい大質問があつたので、どうもそのあとを受けて質問することはどうかと思いまするけれども、私はこれまで共産主義国との経済提携は当然であり、そして主義そのものに対しては反対である、そういうことをしばしば申し述べて参つた次第であります。資源のない日本は、最も近距離にある共産主義国を経済から除外して、絶対経済の自立はできない、これは当然であります。あの遠距離にある西ドイツが中共との非常に密接な経済関係を持つておることは、よくわかりませんけれども、政府も民間貿易に対して相当援助しているのではないでしようか、私はこう察しております。しかし共産主義国に対してまだ外交の手段はできておらぬから、これに対しては政府が正当な外交手段をもつて援助することはできないのだ、それはその通りでありましよう。けれども手段はいくらもあるものであつて、ただいまの政務次官の御答弁のうちに、ソ連に入らずに、どこかにおつていろいろ接触することもいいじやないかのように伺いましたが、私は日ソ貿易の団体参加して行くようにしばしば勧められましたけれども、そのときには非常に重大な問題でありまするから、アメリカ筋の方の意向も聞き、あるいは政府の要路筋の方の意見も聞いてどうしても行つてみたい、そうして中共、ソ連の方々に来てもらつて、北洋問題の何かのきつかけを求めよう、こう考えたことがありました。けれどもどちらの意見も、時期が早いから行かぬ方がいいでしようというお勧めによつて、私はあきらめたのであります。北洋漁業はこの五月上旬に出漁して——何かしらソ連は昨年よりもかわつた考えを持つているのじやないだろうかということをしばしば耳にするわけで、私どもも非常に憂慮しておる次第であります。結果を見なければわかりませんけれども、そうした空気がもしあつたならば、ソ連との折衝は、あらかじめ政府で行う手段がないから、民間外交と申しましようか、そうした方法によつて、一応あちらの空気を緩和することを考えることは、一向さしつかえないのじやないだろうかと私は考えるのであります。李承晩ラインでたくさんの隻数を拿捕されて、日本は悲鳴をあげて、この緩和策に民間代表を派遣するという声は、民間からも政府筋からも起きて来たことは御承知の通りであります。しかしそれはもうできてしまつたことである。これに民間代表を派遣して、何かの方法を講じようという議さえできたのであります。北洋問題に対しては、どういう手段に出るか、まだわからないんです。けれどもあらかじめ今後の経済提携を前提として、いろいろあちらの方の空気の緩和に努めることは、日本の将来のためにも非常によろしいことである。これを怠つた際には、常に日本は経済的の立ち遅れになることは当然である。しかしなぜこういうことをわれわれが考えなければならぬのか、どこにこの悩みがあるのか。これはあまり大きな声で言いたくはないのですけれども、やはりアメリカから牽制されておることははつきりしておる。たとえばアメリカの船の輸出を最近禁止したというふうなことも聞いております。これは共産主義国に貿易品を積んではならない、あるいは船を売つてはならない、こういう心配からだそうであります。これははつきりしたことはまだつかんでおりませんけれども、共産主義国との交易はアメリカとしては非常に困る、これは決定的なことでありましよう。だんだんに緩和するという空気がありまするけれども、それは新聞紙上の一つの報道のみであつて、ほんとうの心はまだそう釈然としてはおらぬ。そういたしますると、日本は一体いつまで最も近接国の資源のある国との貿易ができないのか。これができない以上、日本の経済の自立は非常にむずかしい。しからばアメリカがこれにかわつて共産主義国との交易をしなくともいいように、アメリカは十分の援助をするということを言えるかどうか。それは言えない。言えないから、日本はいつまでも貧乏をして、生活苦に悩まなければならぬというのは当然である。その打開策としては、やはり政府も苦しい立場になつておるから、民間外交と申しましようか、そういう方法によつてあちらの民間の方々との接触面を深くして、そうしてさしあたりの問題として、本年は北洋漁業が企業的にも非常に規模が大きくなりましたので、ここにもし打撃を受けるようなことがあつたなら、将来に残す問題は非常に大きい問題であります。これは李承晩ラインの問題どころではない、非常に大きな問題である。よつてこれを未然に防ぐために、政府が思い切つてソ連に対する民間外交の何かの端緒を開くがために、そしてその空気を緩和するがために、適当な方法をお考えになることは、日本将来の利益のために最も適当なことであると私は考えております。こうしたことに対する政務次官はどのようなことをお考えになつておるか、少しはつきりと御答弁を願いたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 仰せの通り近接国、特に資源を相当持つております近接国との貿易が、日本の経済自立のために重要であることは、私どもも同様に認識いたしております。ただ同時に国連協力の政策というものを堅持いたしておりまするので、各国との協力によりまして、そして各国並に貿易を制限するという政策をとつておるのであります。ただそれにつきましては、お話の中にありましたように、だんだん緩和するような傾向もないことはないようでありまするが、中共に関しましては、今度のジュネーヴ会議の結果にもよることでありましようが、現在のところは、これまでの政策を維持するということは、ただ単にアメリカのみならず、イギリスもそれを声明していることでございます。でありますから、この際急にこれを伸ばすということはむずかしいと思いまするけれども、しかしお説のように、共産主義の国であるから貿易しないという考えはございませんので、できるだけこれが伸張するように、過般の議会の決議にもありました通り、そうした面に外務省としても十分努力をいたしたいと存じます。ただ、具体的に北洋漁業のことをお話になりましたが、この点につきましては、私の考えを松田さんに先ほど申し上げた通りであります。今後水産庁ともよく連絡いたしまして、水産庁の御意向もございますでしようから、いろいろ話合いの上で、できるだけこの北洋における漁船の活動が妨げられないように、円満にこれが実施できるように、外務省としても協力したいと考えておる次第でございます。

夏堀源三郎自由党

○夏堀委員 なるほどそれ以上の御答弁は、政務次官としては御無理でございましよう。その程度でがまんいたします。ただアメリカに遠慮をして——日本の将来の経済の自立ができないということを知つていながら、そのアメリカに対する遠慮から、この非常な経済の不況を何によつて乗り切るかという自信もなく、金詰まりだ、いや今度は緊縮政策だということばかりやつておつたところで、いたし方がないのだ。であるから油がなかつたならば、それは他の油がたくさんにある国から輸入することは当然じやないか、ソ連の油もしかり、そしてソ連の木材を輸入することは、日本の森林政策としてこれは最も重大なることである。六十年もたてば日本の山はぼうずになつてしまうのだ、そういうことを知つておつて、そういう方法をとらないということは、日本の国を破滅に導くことを知つておつてその対策を練らないということと同じだ。その木をあちらから輸入して船をつくつてやつたらいいじやないか。そういうことで、いわゆるお互いの経済の交易によつて日本は救われるというのであつたなら、日本の利益のためにそういう方法をとることは当然であると私どもは考えております。先ほど申し上げましたように、共産主義国ははなはだ好まないけれども、貧乏の日本の経済を自立させるためには、アメリカだけにたよつてはそれは非常に困難である。隣接国の共産主義国といえども、やはりこれと貿易の振興をはからなければならぬ、日本経済の将来のために、日本国民の生活のために絶対必要であるということを申し上げざるを得ないのであります。先ほど申し上げました、さしあたりの問題の北洋漁業に対しても、何かしら非常に本年は心配だという声がだんだん高まつて参りましたが、これに対して水産庁長官は、何かそういうことに対するお話を聞いておるのか。聞いておつたならば、これに対する何らかの対策があるのか。今私が申しましたように、未然にこれを防ぐ対策として何かしらソ連と民間で折衝するような必要があるのかないのか。事重大な問題でありますので、あまり明確な御答弁を私の方でお願いすることは無理でありますけれども、それとなくわかるように、婉曲にひとつ御答弁願いたい。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 先ほど来松田委員と夏堀委員の両委員から、北洋漁業の出漁に関するソビエトの態度に関し、またそれとわが国との感情なりあるいはいろいろの関係の緩和に関して、いろいろ御心配の御質問があつたのでありますが、私ども水産庁の立場といたしましても、北洋漁業に出漁いたす時期が迫つて参りましたときにおいて、万一北洋漁業において李承晩ライン等のような類似行為が発生することがありましたならば、これはわが国の水産業にきわめて重大なる影響を及ぼすものであるということを、深く憂慮いたしておるのであります。でありますから、私どもといたしましても、北洋漁業のいわゆる漁業の操業区域というものを、カムチャツカの陸地より相当離してこれを定めてあります。また特に接岸をする独航船に対しましては、私ども監視船をもちまして十分監視をいたしておりますので、過去二回の実績におきましては、何らの事故がなくて済んでいるのでありますが、今後のわが国の北洋漁業の進歩発展という方向にかんがみまして、何とかして、いわゆる沿海国であるところのソビエトとの関係が、水産の立場から見ても、これをさらに何らかの方法によつて意思を疏通し得る方法が必要じやなかろうかというような感じもいたしているのであります。民間におきましては、最近そういうようなお話があるやでございますが、正確なところは私ども聞いておらないのであります。ここではつきり、民間においてこういうふうな考えがあるということを、申し上げる段階には至つていないのであります。私ども水産の立場からは、何とかして平穏無事に、同方面における操業ができるように、またそれができるためになし得る方策があれば、何とかしてやりたいものだというふうに考えているのでありまして、この点は外務省並びに関係官庁ともよく相談をいたしまして、適当の処置をとつて参ろうと考えている次第であります。

夏堀源三郎自由党

○夏堀委員 その程度の御答弁よりできないだろうと思います。それはわかりますけれども、この時期に至つて、だたおざなりの御答弁をして、そうして成行きにまかせてということでは納得することはできない。先ほど申し上げましたように、李承晩ラインのあの拿捕船に対して、民間代表を送ろうという声が、輿論として非常に高まつて来たことを御承知でありましよう。それを未然に防ぐために、先ほど申し上げましたように、外務省は水産庁と十分な連絡をとつて、最も重大なこの拿捕船問題が、故意に含みのある態度がとられるようなことがあつたならばたいへんである。ソ連は、私の聞くところによりますと、十二海里のところまでは領海である、十二海里の外は公海であるということをはつきりしております。しかし十二海里外でも、拿捕しようということであつたならば、百海里の外でも拿捕できる。これは何かあちらの方の事情によつて、あるいは軍事上の都合によつてやるということであれば、あるいはまだ戦争状態であるからといえばそれまででありますけれども、あちらの方では、今は平和々々といつているやさきでありますので、この機会に、結果はどうなるかわかりませんけれども、あちらの平和論にのつとつて、そうしてこれに便乗して、日本経済の苦しさを訴えてそういうようなことのなきように、未然にこれを防ぐことは当然である。これはあるかないかわからない——私はないと思いますが、あるかないかわからないからという心配の声は、国民の中に大分高まつて参りましたから、あらかじめこれに対して手を打つくらいのことを考えておかなければならない。よつてここにあらためて申入れしておきますことは、外務省が水産庁と緊密な連絡をとつて、ソ連に対して何かの緩和策を講ずることは、政府ではできないことであるから、民間代表をして、適当な方法を講ずることの御研究を願いたい。これをあらためて申入れしておきます。これは松田さんの御意見と同様でありますけれども、これは絶対的だと思います。ひいてそれが貿易振興のために役立つたならば、これは日本経済の将来のために非常に大きな収獲となることははつきりしております。よつて外務省及び水産庁との緊密な連絡が成功するかどうかは、今後の日本経済のあり方にプラスかマイナスにする重大問題であることを申し上げまして、私の質問を打切ります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 赤路友藏君。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 私は簡単に二点だけ御質問申し上げたいと思います。先ほど来課長のお話を聞いておりますと、ソ連関係については国交の調整ができていない、従つて正式な交渉ルートがないのだ、こういうお話であつたと思います。在来この北洋漁業の関係では、ソ連側に傘捕された船が出ております。先ほど課長の御答弁の中にもあつたように、国交調整がない、正式な交渉ルートがないのだというので、これらのものに対して政府側は、ほとんど放置したなりで、手放しの状態にあつたのじやないかと思う。私は昨年中前後三回にわたつて、ソ連代表部に拿捕船の問題で参りましたが、この三回で、拿捕されておる漁船五船についてその都度交渉いたしまして、一週間もしくは十日でこれが帰つて来ておる。ところが昨年七月二十四日浦河を出港いたしました万漁丸は、拿捕されたなりで現在帰つて来ておりません。このことが私の手元に入りましたのが十月でありましたので、十月にソ連代表部に参りまして以前のケースと同じようにソ連代表部にも交渉いたしました。ところが今までのソ連代表部の話は、ちようど外務省の方でおつしやつておるように、ソ連と日本とでは国交調整がないのだ、個人の意見としてはというようなことで、なかなか受付けないが、実際上は返しておるのに、この万漁丸のときは話が違つておる。国交調整はないが、個々の問題として交渉するルートが開けた、そういうケースができた。これは何を言つておるのかと申しますと、クリコフの問題です。ソ連の船が野付岬についた、あの問題で、ソ連代表部は外務省の方にも交渉した、そしてこの問題の解決はできたのだ、個々の問題として、解決のケースができたのであるから、拿捕船についても、個々の問題として外務省の方から正式に交渉されたらどうか、この一本で押されました。それでもなおかつ私は強硬に押して参りましたが、いつもならば書類を受取るのに、国に帰つてみますと、その書類が国に速達で突きもどされておる。今日まで帰つて来ておりません。先ほど来夏堀委員なり松田委員が心配いたしておりますように、今まで非常に大月に見ておられたのが、最近になつて拿捕船が二隻できたということ、こういうケースから考えて行きますと、今度の北洋鮭鱒漁業の母船の拿捕ということが非常に大きく浮き上つて来るのでございます。ソ連代表部においてはそういうことを言つておるが、これに対して外務省はどういう見解をお持ちになるか。その点を一点お聞きいたしたいと思います。  もう一つの点は、一九四八年、一九四九年度のソ連側との清算勘定による貿易において、ソ連側への貸越しが六万八千五十七ドルあるということを聞いておりますが、これはどういうふうになつておるか。おわかりであつたら、これに対する御説明をお願いしたい。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 第一の問題、ソ連との交渉の可能性を生じたようなお話でございましたが、残念ながらそういう状態ではなくして、依然として前と同じ関係にあります。御指摘の船は日本側に漂着して参りまして、現地の方でもこれを返した方がよろしいということであり、政府側でもそれを適当と認めまして、海上の信号などによりまして向うに返すことになつたわけでありますが、これに対して外務省とソ連代表部との間の交渉というようなものは、何もございません。あるいはだれか漁業関係の方がソ連代表部にいらつしやつて一つ一つ政府の意向をお伝えになつたかにも聞いておりますけれども、政府としての交渉ではなかつたわけであります。  それから前のオープン・アカウントの取引の残がどうなつておるかということでありますが、これはちようど通産省の係が参つておりませんので、はつきりしたことはわかりませんが、私の了解しておるところでは、その後ソ連との間には船の修理、また向うから石炭を買いつけるというような取引がありましたので、その方に一括して処理する方針であつたように伺つております。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 第一点の面では、現地の地区民から非常に大きな要求があつたことは事実であります。これは北海道における零細な現地漁民として、生命の問題でございまして、ソ連側を刺激することを非常に恐れております。現実にソ連側が、単に大目に見ておるということだけでは不安が残るから、この際何とか日ソ間における漁業協定とまで行かぬまでも、領海の線だけは確保してもらいたいというのが、現在の北海道の沿岸漁民の強い声であります。その当時沿岸漁民から当然要求があつたことは、私たちもそう、いうことを承つております。ソ連代表部と正式な意味における交渉と申しますか、それは外務省としては、今日の立場の上においてはできないと思います。あつたとは言えないと思います。しかしながらソ連代表部から本問題について外務省に申入れをして、話をしたことだけは、私は事実じやないかと思う。その点が一点あるわけであります。ここで何も外務省が大びらに、国交調整ができていない——先ほど来松田委員のお話をるる承りましたが、一々ごもつともなお話でございまして傾聴に値する意見であつた。しかしながらこのことは自由党自体の外交政策が大きく転換されない限り、およそやれないことでありましよう。その点までは私は申し上げませんが、少くとも北洋において最近起つている拿捕、再び再現されて来た拿捕の状況等から見て、これらが依然として政府において国交調整がないからといつて放任されるようであつたならば、これは現地漁民にとつては重大な問題である。だから政府としても当然考えて、何らかの処置をとるべきじやないか、こういう意味において申し上げたのでありますから、これらの点については、十分御検討のほどをお願い申し上げておきたいと思います。  なお第二点の面についてその後のソ連から入りました石炭、それとのバーターの関係におけるこちらから出した漁船あるいは船の修理、こういうものとは大体関係なしに、これがそのまま残つておるように私は記憶いたしますので、この点も十分御調査の上、あらためて当委員会において御答弁をお願い申し上げたい。     —————————————

田口長治郎自由党

○田口委員長 次に公海における漁業の安全操業に関する件について調査を進めます。本件に関して政府側より外務省の小瀧政務次官、海上保安庁山口長官、島居次長、長野警備課長が御出席になつております。  ビキニ環礁付近において操業中の日本人漁夫の原爆被災問題について質疑の通告がありますから、これを許します。淡谷悠藏君。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 ビキニ環礁付近の被爆について、一応現在まで調査ができましたいろいろな事例を伺いたいと思いますが、政府委員の方から御説明を願いたい。

山口伝海上保安庁長官

○山口(伝)政府委員 今日現在までの調査によりまして、大体のことを御報告いたしたいと思います。  問題の第五福龍丸は九十九トン余りであります。船主は焼津の西川という方であります。船長は筒井という方で乗組員が二十三名であります。  行動の概要でございますが、一月二十二日十一時三十分に焼津を出港いたしまして、ミツドウエイ付近の漁場に向い、その付近で操業いたしておりましたが、漁獲が思わしくないために、操業しつつ南下をいたしまして、三月一日すなわち今度の事件の日ですが、三月一日現場付近に到着、回目の午前三時五十分ごろ天測位置北緯十一度五十二分、東経百六十六度三十分、この位置は実は漁掛日誌に書いてあるのをとつたわけでありますが、船の航海日誌によりますと北緯十一度五十三分、東経百六十六度五十八分と記入してありましたが、この位置は船長が漁撈長から聞いて記入したものでありまして、聞き違いがあつたかもしれないとの船長の供述によりまして、漁撈長が天測の結果記入いたしておりました漁掛日誌の位置の方を、今申し上げたわけであります。その地点において今回の事件に遭遇いたしました。その後同日の十二時ごろ現場から遠ざかる目的をもつて北に向け航海し、三月十四日午前六時焼津に入港したのが、行動の概要であります。  遭難当時の状況について申し上げますと、三月一日の一時ごろからなわを入れ始め、同日三時十七分になわを入れ終りまして、三時三十分ごろより漂泊をしておつた。当時の天候は晴天で、風向きは東北東、風力は二。三時四十分ごろ当該漁船の西南西の方向に赤みがかつた光の輝きを認め、これが次第に白黄色にかわり、また赤みを帯びて参りまして、消えました。それから約七、八分後に、爆風は感じなかつたのでありますが、音が聞えた。当時は夜明け前で、爆発音は二回にわたり聞えておる。光の輝きを認めてから、その方向にきのこ状の雲を認め、これが空一ぱいに広がつて、どんよりと曇つて来た。約三時間くらい後に、まつ白い砂のようなものがその日の昼ごろまで降り続いた。それから二、三日の間乗組員全員が軽い頭痛を覚え、中には吐きけを催した者もおつた。七、八日後に、えり、顔、耳、はち巻を締めたあたりの、灰をかぶつたところが多少やけどのようなぐあいになつて、ぴりぴりと痛み始めた。それが遭難の当時の状況であります。  なお海上保安庁としまして、この立入り航行禁止区域につきましてのこれまでとつておりました措置につきまして、御説明しておきます。海上保安庁といたしましては、航路告示によつてこのビキニ環礁付近の立入り禁止は、前後三回周知をはかつております。第一回は昭和二十六年二月十日であります。第二回が二十七年十一月一日。いずれもエニウエタック・アトール環礁付近の立入り禁止でございます。これは御参考に図面を差上げてありますが、問題のビキニの西部の方にある最初の区域であります。これを二回にわたつてやりました。この区域の範囲はエニウエタック・アトール環礁を中心といたしまして、東西約二百海里、南北約百五十海里。第一回はアメリカの水路告示の転載でありまして、第二回は米国より外務省を通じての周知要請により、再び掲載をいたしたものであります。次に第三回目は昨年、すなわち二十八年十月十日エニウエタック・アトール環礁及びその付近の立入り禁止につきましてさらに追加がございましたので、第二回の海域の東方に約百四十海里拡大され、ビキニ環礁がこれに含まれたわけであります。これはアメリーカの告示の一九五三年の二七二八項、一三六八項の告示を、日本の航路告示に転載いたしたものであります。以上であります。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 ただいまの御説明でなお伺いたいと思いますのは、この被害を受けました船は、航路告示にあります立入り禁止区域内のできごとではなくて、外のできごとのようにうかがわれますが、この点を確認されたかどうかということが一点。  それから三月の十四日に焼津へこの船がもどつて参つて、このような被害を受けたことを保安庁が知つたのは一体いつごろであるか。あるいは知るに至つた動機、私どもは新聞記事によつて知つたのでありますが、新聞に出る前に保安庁がこういう報告を入手されておるかどうか、伺いたいと思います。

山口伝海上保安庁長官

○山口(伝)政府委員 先ほど説明をいたしました行動概要の中にありました漁携日誌によつて一応私ども現在のところはきめておりますが、それで行きますと、ちようどだだいま見ると禁止区域の東側に約十四マイル出た所であります。なお航海正誌についておりました地点は、さらに区域から遠くて約四十海里ぐらい離れております。いずれにいたしましても、この二つの地点は危険区域外であると認めております。現在のところではさようでありますが、なおこれは正確を要しますので、漁掛目誌に天測をやりました結果を記載したわけでありますので、天測構いましたいろいろの数字をさらに詳細に目下取調べておるところでございまして現在までのところ、間違いなく区域外であると一応推定しておるのであります。なおこれは正確に調べるつもりでおります。  それからこの事件につきまして私どもが知つた動機は、きのうの朝の読売でございましたか、それによつて保安庁としては承知して、それから調査を開始したわけであります。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 この立入り禁止区域内で原爆その他の実験があるときは、その都度外務省の方に米国側から通知がありますかどうか。関連して、このたびの実験は区域外においても実験があるといつた旨の通報があらかじめあつたかどうか、その点外務次官にお伺いしておきます。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 外務省がこの危険区域についての通報を受取りましたのは、先ほど保安庁から御説明がありましたように、一昨年の九月十八日に、ワシントンにあります日本大使館に対して禁止区域へ最近船が一そう入つて来たことがあるが、これでは困るから注意してもらいたいということを公文で言つて参つたのであります。しかしその後におきましては、何ら外務省として取扱つた事件はございません。従いましてこの禁止区域というものは、当時設けられておつて、警戒区域と申しますか、危険区域というものについて随時実験のあるたびに通告するということにつきましては、外務省は少くともそういうものは取扱つておりません。あるいは保安庁の方へ直接あつたかは存じませんが、外務省としてはそうしたことはございません。また今申しました、外務省が取扱いました公文の中には、危険区域の外も相当程度危険であるというようなことが書いてあつた事実はないよう、に私は記憶しております。但し、ただいまは文書を持つて来ておりませんけれども、区域が危険だからと書いてあつたように私は了解いたしております。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 なお重ねて保安庁の方にもお伺いしたいのですが、そういうようなアメリカ側からの危険通告があつたかどうか。なおこの禁止区域に対して海上保安庁として漁船などの保護警戒その他に任ずるような巽際の行動はどういうふうにされておるか、その点を伺いたい。

山口伝海上保安庁長官

○山口(伝)政府委員 この危険区域で実験が行われる都度連絡があるかということにつきましては、私ども海上保安庁の方へも、その連絡はございません。ただいま外務省の方からお話のように、第二回目に前と同じことを告示いたしましたのは、そのときだけは米国の国務省から駐米日本大使あてに、これらのことについての周知方の依頼がありましたので、そのことが外務省を通じて私どもの方にも依頼がございまして、再度航路告示に掲載をいたしたわけであります。第三回目の航路告示は、先ほど申し上げましたように、アメリカの方における追加をそのまま転載したということであります。  それからこの辺の場所は結局日本から二千マイルばかり離れておる所でございまして、私どもの方の巡視船が現場に行つて警戒するというようなことはいたしかねるわけであります。この航路告示によつて周知をして注意を促して行くということしか、今日まで行つておらないのであります。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 水産庁長官にお伺いしたいのですが、この被害を受けました船の積荷、すなわち魚等でございますが、これがかなり広く販売されまして東京にも来たように聞いております。あるいは食べてしまつた人もある。けさのラジオで聞きますと、この船主が実際に被害を知つていながら、何か事件を隠しておいて世の中に迷惑を及ぼしたというような報道もございますが、魚が方々へ運ばれるまで、一体船主はその被害に気がつかなかつたのかどうか、水産庁はお調べになつておりますか。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいまの御質問の詳細な点については、まだ調査が行き届いておりませんので、追つて詳細に調べたいと思つておりますが、当船が積んで参りました漁獲物は、ただいまの調査では、二千二百九十九・三貫ということになつております。本来ならばもつとあるべきはずでございますが、事件によつて途中で中止をして帰つて来たようでございますので、二千二百九十九・三貫の積荷であります。この積荷の大部分はまぐろ、さめであるようでありますが、その詳細な点はまだわかつておりません。そこでそれをどういうふうに荷わけしたかという地域別の各数量は、ただいまのところわかりませんが、仕向地といたしましては東京、甲府、名古屋、大阪それから県内というふうにこれを発送いたしたということを申しております。そこでこの事件がわかりまして県外に発送いたした分につきましては、すぐ発送の中止あるいは仕向先の市場に対して、その販売中止の依頼の通知をいたしました。ただいまの調査によりますと、県外に発送したものは、その取扱い中止の手続は全部済んだ、従つてそれが消費者に流れている事実はない、こういうことでございます。ただ県内には少し流れておるということでありまして、どの程度の数量がどういうふうに流れておるかということはわかりませんが、県内には多少流れておるというふうに私は考えておるのであります。  そこで東京に流れましたものについての処置でございますが、これは新聞等にも出ておるのでございますが、十六日の午前三時に東京の市場にトラック一台に積んで参りました。まぐろ四本、約四十二貫、さめ十二本、約五百貫のものを一台のトラックで午前三時に入荷いたしたそうであります。しかしそのときにはすぐに連絡がありまして、これはぐあいが悪いということがわかりましたので、東京都の市場としてはそれの取扱い中止を命じております。そこで昨日の午後になりまして、東京都並びに厚生省関係の衛生関係の方がこれを調査いたしまして、まぐろには放射性能が軽微であるがある。さめについては、それよりも程度は高いけれどもあるということがわかつたのであります。さつそくそれを地下に埋没したという措置をとつたということであります。従いまして、東京都に入りましたものにつきましては、かくのごとくにはつきり措置をいたしておるのであります。その他の地域に対してのものにつきましても、ただいま調査をいたしておりますが、発送人からの方の手配によりますと、県外に出したものは全部差止の手続をしたということを言つておりますから、おそらくこれはそれぞれの仕入れの市場において適当に措置をとつたものと考えております。まだ具体的な調査はできておりませんが、そういうふうになつております。ただ問題は、県内に多少流れておるのではないかという点でございますが、この点につきましても、まだ目下詳しい数字的な資料は判明していないような状況でございます。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 もう一点お答えを得ないでおりますが、船主がこの被害の実態を知つておつて、故意に魚の販売をやつたようなことはなかつたかどうか、この点のお答えがまだございません。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 その点について特にどうということは調べておりませんが、故意ということは絶対にないと私は思うのであります。先ほども保安庁長官からもお話があつたのでございますが、操業の状況を私ども調べますと、保安庁長官と同一な事態でございますが、とにかく途中で相当気になつて来たけれども、案外気にしなかつたのではないかといううわさもあるくらいでありまして、おそらくそれは東京に出て来て、診察を受けて初めてびつくりして、これはたいへんだということになつたのではなかろうかと私は考えます。これは想像でありますが、初めから原子にやられたのを隠しておつたということでは決してないのでありまして、普通の気持であつた。ところが診察を受けて初めてびつくりしたということではなかろうかと思うのでありまして、そこには何ら故意的なものが入つておるとは私は現在のところ考えておりません。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 これはどちらの機関であるか私は存じませんが、魚だけではなくて、船その他灰をかぶつた漁具などに対しても危険が伴うという報道でございますが、こういう点に対しては、放射能の危険を受けないような万全の措置をとられたかどうか。とられたならば、その内容についても御説明を願いたいと思います。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 この点について私どものとりました処置を申し上げますが、私どもとしましては、昨日午後になつてわかりましたものですから、地元の焼津の出荷組合に連絡いたしまして、東京でこういうふうに放射能が出たということがわかつたから、すぐに出荷先に連絡して至急措置をとれという電報は、昨日の午後三時ごろに打つた。それから夕方になりまして電話の連絡がありまして、船、魚貝等の措置についてどうしているかということを聞いたのでありますが、その点について、私ども放射能についての正確な知識はありませんので、この点はほかに害のないようにしかるべく措置をそれという抽象的な措置はいたしましたけれども、これをああしろとか、あるいはこれをこうしろということは言うに早過ぎると思いまして、申さなかつたのであります。ただ問題が危険でありますから、これをほかに影響のないような措置をとれという指示は電話でいたしておきました。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 大体御説明の趣旨では、この爆撃を受けました責任は、漁師側の方に繁いようにわれわれ観測されます。従つてこれは当然爆弾実験の責任者としてのアメリカ側の態度が重大な問題になつて来るわけであります。政務次官にお伺いしたいのですが、この要件が発生しましてから、アメリカ側との交渉の詳細を御説明願いたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 昨日情報を得ましたので、さつそく在京米国大使館に、こういう実験の事実があるが、まだそういう報告を受けていないかを照会いたしましたところ、米国大使館の方は、何も承知していないようであります。大使館からも国務省の方へこの問題を打電しておることと存じます。同時にワシントンにあります日本の大使館に対しましては、さつそく電報で、この事実について先方の説明を求めるように申しますと同時に、日本側で取調べたところは大体こういう状況であるということで、先ほど御説明になりましたような点を、詳細在米日本大使館に打電いたしまして、至急回答を送るようにいたしております。この説明の中にもありましたように、位置については漁撈目誌に載つておるようでありますが、しかしそれによると、どうも今まで通報して来た立入り禁止区域の外のようである。もししかりとするならば重大な問題であるという点も指摘いたしておりますが、何といたしましてもまだはつきりとした事実の調査が進んでおりませんので、向うからの電報、すなわちアメリカ側ではどこで、いつ、どういうような実験をしたというようなことの返事が参りました上で、十分日本側の立場を明らかにして、適当なる処置をいたしたいと考えております。

淡谷悠藏日本社会党(左)

○淡谷委員 事件が起つたのは三月一日で、大体こちらでこの騒ぎが始まつたのが三月十四日、大分間がたつております。特にこれが立入り禁止区域外のできごとであつたとするならば、今後もまたこういうふうな事態が起り得る可能性が多分にあります。そういたしますと、事件はただ出漁した漁夫だけの問題ではなくて、漁船が帰つて来てこの魚が方々に売られ、また灰がふりまかれ、あるいは以外に大きな放射能のために、全然知らない間に国民全体がこういう不安を感ずることは、非常に大きくなつて来ると思います。従つてこの実験をやつた本人はアメリカなんですから、そんなに回答を引延ばす理由はないと思います。この事件があつたのは十四日で、きようは十六日で旧すから、二日たつておるので、至急この結果をはつきり知りまして、立入り禁止区域を広げるとか、賠償要求をずるとか、こんなふうな措置を至急やられるような御決心がついておるかどうか。最近水産委員会で取上げられます問題は、極端に申し上げますならば、全部外務省の失敗のしりぬぐいでございます。公海において漁業しておるのに、かつてな処置で漁船が拿捕されたり、あるいはさつきから松田委員、夏堀委員から再々言われておりますように、国交のまだ調整されていない海域における漁獲が始まつて、この時期が予想されておるのに、その措置がまだとられていない。こういつた外交に伴うさまざまな迷惑を水産業者が受けることは実に多い。しかるに水産委員会はたびたび外務大臣の出席を願い、あるいは農林大臣の出席を頼んだのでありますが、どういうわけか水産委員会が軽視されまして、この重大問題を再び見るようになつたのであります。私はどうも日本の水産行政というものは、外務省のはつきりした方針と決然たる態度を持たない限り、とうていやつて行けない、こういうふうな心配を多分に抱くのでありますが、今回のこの事件に対しまして、外務当局のはつきりした御決心のほどをお伺いしたい。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 なるほど事件が起りましてからずつと目にちはたつておりますが、私どもこの問題を知りましてから、さつそく先方と連絡を開始しております。ただ対外的な問題を不確定な、まだ十分取調べの済まないことですぐ厳重抗議するというようなことけできかねまするので、もしこういうとが事実であるとすれば、これまでのことについての抗議もありましようし、それに対する損害賠償の追及権を留保するということもありましようし、また今後に対して、再発の防止の措置も要求しなければならないし、ことにこれまで十分なる保護措置を加えないで、しかもその結果が危険区域外にまで及ぶということをやつておつたとすれば、これは重要問題でありますから、そうした事実がはつきりいたしますれば、もちろん外務省としては日本の立場を明らかにいたしまして、十分の措置をとるように考えております。この点はすでに大臣も議会で申し述べておる通りでございます。

夏堀源三郎自由党

○夏堀委員 水産庁長官にお伺いしますが、ただいまの政務次官の御答弁で、賠償その他の問題もまだきまらないように考えられます。ところがさつきの御答弁にははつきり出て参りませんが、すでに船を焼却したという報道もございますし、ただ保険金額の範囲だけではとうてい償いがたいような大きな損害を漁民諸君が受けておるようでございます。これに対して水産庁としてはつきりした補償をするような御意思があるかないか、この点をお伺いいたします。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 船舶を焼却したかどうかということについては、私まだ事実を承知しておりませんが、確かに異例な事態でありまして、私どもといたしましても、外交的にとるべき措置については、できるだけすみやかに資料を収集し、その他あらゆる方法を講じまして外務省を通じて行いたいと考えておりますが、なお水産庁としてでき得ることについては、できる限りのことをいたしたいと思います。むろんこの船の措置いかんによりましては、損害補償あるいは代船建造問題などいろいろあるかと思います。この問題につきましては、今具体的にどうするということもはつきり申し上げられませんが、とにかくかかる異例の事態を通じて、関係者のこうむりました損害、被害等については、水産庁といたしましてはできるだけの手を打つて行きたいと考えております。

夏堀源三郎自由党

○夏堀委員 あと一点お伺いしたいのでありますが、この問題に関連しまして、たとえば李承晩ラインの問題、それから中共において拿捕された船舶の問題、あるいはソ連に拿捕された船舶の問題、さらにまた今出漁せんとする鮭鱒漁業の漁船の不安の問題等、非常にたくさん外務省関係の問題が当委員会には上つております。きまうはとうていその十分なる審議もできないと思いまするが、常にわれわれが心配し、すでに一年近くもこの問題で質疑あるいは調査をいたして参つたのに対して、外務省がまだ的確な処置をおとりになつていない。こういう状態ではとうてい安心して漁民に出漁を勧めることもできなければ、また生活を守つてやることもできない。たとえば李ラインの拿捕船の補償にいたしましても、補償法を通したあとでまた続々と新しい拿捕船ができる、こういう状態。しかも日韓会談は少しも進んでいない。どうかこの重大なる問題を徹底的に御調査の上で、あらためてそれに対する方針を大臣からはつきり伺わせていただけるように、また今後の日本の水産行政を外交上の問題と関連した重大な問題としてお取上げになるように、私から要望いたしまして、質問を打切ります。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 関連して。先ほど山口長官からお話がありました被爆の現場でございますが、禁止区域の東十四海里外という御説明があつたのでありますが、これは第三回の航路告示の場所から十四海里外という御趣旨でございますか、それとも公式にアメリカの国務省から大使館を通じて知らしめて来た第二回の告示、この場所からの外でございますか、その点を明確にしていただきたいと思います。

山口伝海上保安庁長官

○山口(伝)政府委員 第三回の追加区域から去ること十四海里であります。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 そういたしますと、この第三回のアメリカ側で告示したものを転載した場所でございますが、これは将来アメリカ側と交渉いたします場合の重大な点になろうと思うわけであります。  それからなお水産庁長官にお尋ねをしたいのでありますが、現在被爆によりまして重傷患者も出て、入院をいたしておるような状態でありますし、その他の船員の方も診察その他手当を要するような状態でございますが、船員保険との関係はどう扱われるのであるか。またもし調査の結果漁船を処分しなければならないとした場合に、漁船保険との関係はどうなるか。これは当然船員保険なり漁船保険なりで処理さるべきケースのものであるか、その関連をお聞きしたいと思うのであります。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 これによつて被害を受けられた方々に対しては、まことにお気の毒に考えておるのでありますが、これの法的な適用の問題でございますが、ただいま私ども厚生省とも連絡をいたしております。船員保険法の問題につきましてはなるほど適用はあるのでありますが、ただその対象が一般的治療ということになつているそうであります。今回のごときは特殊な治療法を要するというようなことがありまするので、被害の事態が特殊な事態であるから、研究を要するという問題があるそうであります。この点は単にこういうこの点は単にこういう問題のみならず、船員保険あるいは船の保険の問題等いろいろあると思います。これは事態が特異な事例でございますので、今までの法律がすぐそのまま適用されるかどうかということはちよつと研究問題と思いますが、私どもといたしましては、事態に即応いたしまして、できるだけ関係者の被害を少くするというふうに、至急実際上また法律上の手続を、関係筋と打合せて、進めて参りたいと思つております。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 ただいまの問題は、被害者、漁民にとりましては当面重大な問題でございますので、早急に御検討の上、その結論を周知せしめるような御処置をとつていただきたいと思うのであります。  それから海上保安庁長官あるいは水産庁長官のどちらでもけつこうなんでありますが、現在なおあの海域付近で操業しております漁船がございますかどうか。また今回の被害にかんがみましてこれらの漁船に十分な警戒措置をとらせるような御処置をとつておりますかどうか、その点をお尋ねしたい。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 同方面は、実は今御承知の通り冬びんちようの季節でございますので、主として同方面に動いておりますまぐろ漁船は割合に少いんじやないかという専門家の観測でありまして一体どのくらいあるか見当がつかないのでございますが、大体五十隻ぐらいじやないかと関係者は想像いたしております。これもどの程度ということをはつきり申し上げられないのは残念でありますが、ただいまは冬びんちようの最盛期でありますから、ちよつと場所がはずれておるのではないかと想像いたしておるわけであります。なおその問題につきましては、私どもといたしましても、昨日さつそく関係組合、県並びに三崎無線を通じまして各漁船に通知を出しました。かかる事態が発生した、しかも禁止区域から相当長距離の地点において発生したという事実を全部連絡をいたしまして爾後かかることのないようにということを連絡したのが、昨日の午後であります。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 外務省にお聞きする前に、海上保安庁の方へちよつとお聞きいたします。この二十七年十月二十三日の危険区域の通達後、二十八年の十月十日に拡大告示がされておりますが、この第一回の二十七年十月二十三日の通達の場合と、それから二十八年の十月十日の拡大告示、それをあなたの方が受取つたルートですね、どういうところからその通達を受取られたか、その点をお聞きしたい。

山口伝海上保安庁長官

○山口(伝)政府委員 今、日付がちよつと違つておりまして第一回が二十六年の二月十日、第二回が二十七年十一月一日、この両方とも内容は同じでございまして、最初の危険区域でございます。それから第三回は追加拡張であります。これらの資料は、航路止告示というものは国際的に資料を交換することになつておりますので、アメリカの方の水路告示を入手いたしまして、第三回というのは、アメリカの告示で言えば、先ほど申し上げたように五三年の二七一六項、三一五八項の事項なのであります。これからとつて日本の水路部の告示としても必要だと認定して出したのであります。常に資料を交換しておりますから、アメリカからもらつて出したものであります。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 その資料交換をされますのは、外務省を通じないでおやりになるのですか。

山口伝海上保安庁長官

○山口(伝)政府委員 この水路告示は純技術的なものになりますので、直接水路部でやつております。

田口長治郎自由党

○田口委員長 本日はこの程度にとどめまして散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。    午後一時十一分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗