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19回国会衆議院1954/03/16

水産委員会 第17号

発言数
22
登壇者
6
会派数
2
開催日
1954/03/16

会議録

田口長治郎自由党

○田口委員長 これより会議を開きます。  本日の政府側からの出席者は、水産庁長官清井政府委員、漁政課長家治説明員、運輸省船員局長武田政府委員、労働省基準局労災補償課長松永説明員であります。  漁船乗組員の待遇改善に関する件について議事を進めます。質疑を許します。旅路友藏君。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 私は漁業労働者の対策、特に法的保護について、政府当局の御所見を承りたいと思います。私は過去においても、当委員会で現在までの水産行政の面において、漁業労働者の対策が等閑視されておる、特に軽視されておるという点について、強く指摘して来たのであります。しかし今日に至るまで、依然としてこの弊が是正されていないことを痛感しなければならないのは、まことに遺憾であると思うのであります。強い者は、法によつて守られなくとも、みずからの力でこれを守つて行くだろう。弱い者を法でもつて保護して行くということが、私はやはり行政の一つのあり方でないかというように思うのであります。  そこで具体的に数字をお示し申し上げまして、当局の御所見を聞きたいと思いますが、まず第一点は、船員法改正について当局はどういうようにお考えになつておるかということであります。船員法第一条の適用範囲は、私たちの考えから参りますと、過当に漁業労働者を軽視した取扱いではないか。と申し上げますことは、一般船舶については五トン以上がこれの対象になつておる。しかるに漁船においては、三十トン以上という、まことに不均衡な状態にこれが今日まで放置されておるのであります。そこで三十トン未満の漁船を調べてみますと、三十トン未満の漁船の総隻数は十二万四千三百四十九隻、その乗組員総数は六十六万九千五百人という数字が現われております。かりにこれを一般船舶と同じように、五トン以下のものを切り落しましても、五トンから三十トン、この中のものは、隻数で二万二千七百二隻、その乗組員総数は二十六万四千五百七十九人という大きな数字に上る。一般船舶の方で調べてみますと、一般船舶の五トン以上三十トン未満の船が一体どれだけあるかというと、これが二万二千七百四十八隻、その人員は十二万人であつて、漁船と比較いたしますと約半分以下という数字が現われております。同じような海上労働であり、特に一般船よりもより以上労働の強化せしめられておる漁業労働者が、こういうような不合理な状態に放置されておる。これは私は非常に遺憾だと思うのです。こういうような不均衡な、片手落ちな船員法の第一条の適用面を改正する御意思を持つておられるどうか。どうお考えになつておるか。この点を第一点としてお伺いいたしたいのであります。  なおこの労働者災害補償保険の適用についてでありますが、三十トン未満の漁業労働者は船員法の適用を全然受けない。それとともに陸上の労働者の場合は、企業体であつて五人以上使用しているものは、労働者は労働者災害補償保険法の適用を受けているわけであります。この面でも、漁業労働者と一般船員と、もう一つ言うなれば陸上の労働者との間に大きな法的保護の懸隔がある。これを現状のまま放置しておくことは、漁業労働者、特に大半を占める三十トン以下の労働者諸君を人間並に扱つているのかどうか、こう極言したくなるわけです。これは当てはまるかどうかわかりません。しかし憲法十四条に示されている法のもとに平等でなければならぬという点が、一応くだけている。私はやはりこの大原則の上に立つて、これらに対して処置さるべきでないかと思う。この労災法関係を調べてみましても、産業規模別事業の従業員数は千六百三十三万四千七百五十四名、これが昭和二十八年十二月現在の数字でありますが、その総従業員の数の七〇・三八%は労災法の適用を受けている。ところが一面、漁業労働者の場合を調べてみますと、総就業人員数が七十五万八千五百九十七人である。これに対して法的な適用を受ける者はごく少数であつて、法的保護の全然ない者は、先ほど申しましたように六十六万九千五百十人という多数の人たちである。陸上労働者においては、総従業員に対して七〇・三八%も法的保護を受けているが、漁業労働者の例ではわずか一一・七%、まことに不均衡であると私は思う。これは漁業労働者を虐待している。もつと率直に申しますと、漁業労働者の存在価値をほとんど無視しているやり方ではないかと思う。これらの点に対してどういうふうにお考えになつているか。今後この船員法を改正し、あるいは労災法等による保護をも拡大して、この面に与えるの御意思があるかどうか、この点を承りたいと思います。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 詳細の点にわたりましては関係の方より御説明申し上げると思いますが、私どもの考えを先ず申し上げてみたいと思います。  ただいま船員中特に漁船の労務者の一般船員との比較において法的な保護がなされていない。あるいは非常に薄いという趣旨の御説明があつたのでございます。その点は船員と漁船労務者との本質的な差はむろんあるのでございますが、その間の法的な漁船労務者の保護という問題につきましては、われわれといたしましても、なお一層これに関して、いろいろなすべきことがあるということを率直に感じているのであります。ただいまお話の通り三十トンを限度といたしまして区別いたしておりますし、これが一般の船舶は五トンでありますのに漁船が三十トンであるということにつきましては、むろんこれは漁業の実態あるいは漁船労務者が一般船員の労務者と本質的に違うという事情から、漁船について三十トンという区切りをつけているのではありますが、なおただいま三十トン未満の漁船の船員の人数が非常に多い、あるいは隻数が非常に多いというような数字的な根拠に立つてのお話もありましたが、私どもといたしましても、漁船の労務者の労働条件、あるいは一般の給与、あるいは災害の場合の保護等、諸般の保護的な立法という問題につきましては、この船員法を基幹として、何とかしてこれをなるべく広い範囲に漁船労務者にも及ぼして行きたいという考え方は、基本線としては持つているのであります。しかしながらこれをただちにこのまま、あるいはトン数を一般船舶と同じにしていいのであるかどうかという問題につきましては、漁船の労務の本質上いろいろ考える点があるのありまして、この問題につきましては、漁船船員一般の法的な保護という立場から、私どもとしても慎重に考えなければならぬと思うのでありましてなお関係省とも連絡をいたしまして、先般来事務的にはいろいろ相談をいたしておりますが、まだまとまつた案にはなつていないのであります。なお私どもといたしましては、今後この問題についてさらに積極的に考究を進め、関係省とも相談して、何らかの方策を進めたいと考えている次第でございます。

武田元運輸事務官(船員局長)

○武田政府委員 船員法は、御承知のように陸上の労働基準法と並びまして、海上における労働基準法ともいうべきもので、海上労働者の保護の法律であるわけございます。海上労働の特異性と申しますが、船の乗組員が、陸を離れて孤立した運命協同体を構成している、あるいは職場即住居である、二重生活をやつているというような点につきましては、汽船も漁船も共通性を持つている。いずれと陸上の労働者とは違うんだというその特異性に着目して、いずれの船員も船員法の適用範囲になつているわけでございますが、この漁船について三十トン以上のものを適用範囲にいたしましたのは、ただいま申し上げました海上労働の特異性という点を考えまして、船員法の改正当時、大体において漁業労働の実態から見て、三十トン以上の漁船については海上労働の特異性を認めることができるという点に着目いたしまして、三十トンに線を切つたわけでございます。ただこれをもう少し引下げたらどうか、あるいは二十トンあるいは五トンまてというような御意見も改正当時ございましたが、ただいま申し上げましたような建前から、一応三十トンに線を切つたわけでございます。しかしその後改正当時から——船員法が昭和二十二年に改正になりましたときから六年も経過しましたし、漁業労働の実態もいろいろな変化を来しているようでもございますし、またこの適用にあたつていろいろ不合理な点も発見しております。それで実は先般船員法の改正につきまして運輸大臣から、船員法に基きまして船員中央労働委員会に諮問をいたしました。船員中央労働委員会の内部に船員法改正審議会が設けられまして、目下その審議会で御審議をいただいておるわけでございます。その審議会にはもちろん水産関係の事業団体の代表者、あるいは海員組合側の代表者、あるいは水産関係の学識経験者も御参加を願いまして、御審議をいただいておるのであります。なお水産庁にも幹事として御参加を願いまして、目下鋭意御審議を願つておるのでありますが、この漁船の適用範囲につきましても問題がございまして、いろいろ御意見がございましたが、まだ結論は出ておりません。ただいまの御意見も十分伺いまして、私どもといたしましても今後の審議に資したいと思つておる次第でございます。

松永正男労働基準監督官(労働基準局労災補償課長)

○松永説明員 労災保険関係につきましてお答え申し上げます。三十トン以下の漁船の労働者につきまして、労災保険の適用が現在強制適用になつておらないことは御指摘の通りでございます。申し上げるまでもなく、労災保険は労働基準法によつて定められました業務上の災害に対する使用者の賠償義務を保険することが目的でございまして、各産業における災害率を基準にいたしまして、災害率の高いものにつき強制適用事業とし、その他のものにつきましてはこれを任意適用事業といたしておるわけでございます。漁船の労働者につきましても、三十トン以上につきましては、御指摘のごとく船員保険法の保護があるわけでございますが、三十トン未満につきましては、事業主を強制的に労災保険に加入せしめて労働者の保護をはかるという方途を現在とつておらないのでございます。ただ労災保険法の第六条、第七条によりまして、任意適用の道は開けておるのでございまして、現在使用者からの申出、またはその事業場の労働者の過半数からの申出によりまして、労災保険法を任意に適用いたしておるものも相当数に上つております。実績によりますと、昭和二十六年度におきまして労災保険法の適用が三十トン未満の労働者についてなされておりますのは、六万二千七百七十九人になつておりますが、昭和二十八年度におきましては——これは十二月末の実績でございますが六万五千十一名で、二十六年度に比べて増加をいたしております。この部面につきまして、労災保険法上強制適用にすべきであるという御意見も出ておりまして、私どもの方に労働者災害補償保険審議会というのがございまして、ここにおきましても、今年初めからこの問題について審議をいたしております。労災保険法の目的は、労働者の保護をできるだけ的確に迅速にいたすということにあるわけでございますので、私どもといたしましても、できればこの部面の労働者の方々に対しましても、労災保険法を強制適用にいたしたいと考えておるのでございますが、現状を見ますと今申し上げました六万五千の労働者の方々につきましても労災保険法上いろいろな技術的な問題がございます。たとえば保険料の収納の状況にいたしましても、それらの方々はみずから進んで加入しておられますので、相当の熱意を持つておられる方々でございますが、保険料の収納の成績がほかの産業に比べて必ずしもよろしくない。またいい成績が出て来ていないというような面がございまして、私どもとしましては、今申し上げたような強制適用という方向に向つて努力をいたしますが、同時に関係者の方々に、この労災保険につきまして十分の御認識をいただき、御納得をいただいた上円滑にいたしたいというふうに考えております。毎年年度始めにこういつた面につきましても、地方におきましてそれぞれ説明会を催したりパンフレツトを出したりいたしまして、労災保険法についての周知徹底をはかつておるわけでございますが、こういつた努力を重ねて円滑に強制適用に持つて行くべく努力いたしたいと考えておりますので、御了承を願いたいと思います。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 ただいま水産庁長官及び基準局と運輸省の方から御説明を願つたので、大体了承できるのでありますが、ただ水産庁長官のお話の中にも、あるいは運輸省の方のお話の中にも、漁業労働者の一般海上労働者と違つた特異性ということが、——特に強調されたというわけではないが、お言葉の中にあつたようです。確かにこの特異性は私も認めなければならぬと思います。しかしながら私の考え方は、一般海上における船員と特異性のあるという点は、むしろより保護を強調しなければならぬという現実にあるのではないか。私はこの一般漁業労働者の特異性は、そういう観点から考えらるべきであつて、特に漁業というものは、時間的にこれを制約するとか、いろいろ漁業労働の本質からできないという特異性の上に立つのではなしに、漁業労働そのものの一般船員より以上の危険性、こういう観点に立つてからこそこれはなされなければならぬのではないか。だから特異性があるので特に一般の船員の対象と違つた形で落して来るというのではなしに、むしろ一般船員より以上にこの面では特異性があるだけに、法的な保護を与えなければならぬというふうな考え方を私は持つておる。従つてこの特異性という言葉の本質的な面が、私にはちよつと理解いたしかねるのでありますが、どういう意味であるか、御解明願うと非常にけつこうだと思うのであります。  それからもう一つ申し上げておきたいことは、先ほどもちよつとお触れになつたと思いますが、最近の漁業特に漁業労働者の意識と申しますか、これがかわつて来ておる。漁業機構全体も漸次かわりつつある。これは御承知の通り漁業というものは、ほとんど歩合制で雇用契約と申しましようか、をなされてやつておる。この歩合制というものは、私は近代的な賃金形態ではないと思う。この漁業労働面におけるところの歩合制が、最も封建的な面一を温存する一つの形態である。そこで漁業労働者がいつまでたつても近代労働者としての面をかちとり得ないで、依然として封建的なきずなのもとに放置されておるのが、今日の漁業労働者の歩合制の性格だと思う。一面これをもつて、最も近代化した共同経営の方式だとおつしやる方もあると思いますが、およそそれはセンスの違つた考え方と思うのであつて、これほど封建的な賃金形態はない。これが漸次漁業労働者の面でもわかつて参りまして、最近では最低賃金の確保というもの、またこの歩合制を廃止した全面的な賃金形態の確立という線が漸次出て来ておるという、この空気を行政官庁にある方々は忘れてはならないし、これを見落してはならないのじやないか。こういうような形態に漸次移行しておる。この船員法を見てみましても、船員法の六十条の適用が七十一条の面で漁船だけは適用外になつておる。要するに有給休暇こいうものは全然ない。労働時間等についても無制限です。これはなるほど漁業そのものの特異性、これはまだはつきりお聞きいたしませんが、おそらくそうした漁業自体の持つ特異な作業過程からこういつた線が出て来ておると思う。しかしそれはそれとしても、やはり働らく者としての基本的人権と申しますか、これは当然他の労働者と同じような形において基本線としては出すべきではないか、こういうふうに考えるわけです。ただ先ほどのお話のように、そうした不合理な点等を発見して行く。それで船員中央労働委員会に諮問をして審議をされておるというお話を承りましたので、私は非常に気強く思うわけでありますが、この審議過程に対しましても、漁業労働者の現状の立場等を十分お含みの上で、ぜひ漁業労働者をして一般労働者と同等に、あるいはこの漁業労働者の特異性の上に立つて、より強化された形における法的な保護を要望しておきたいのであります。  それから災害の方の関係でございますが、労災の方におきましても、この強制適用をするということでただいま御審議が進められておるということでございます。まことにけつこうだと思いますが、この点は船員法との関連性等もありますので、もちろん私が申し上げるまでもないのでありますが、十分御連絡をおとり願つて、万全の措置を講じていただきたい、かようにお願いするわけであります。  はなはだ意見がましいことを申し上げまして申訳ないと思いますが、以上御説明願いまして大体納得が行きましたので、今後十分漁業労働者の保護のために御善処くださることをお願い申し上げまして、私の質問を終ります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 松永さんに伺います。二銭八厘ではいかにしても高い、一銭五厘程度であれば喜んで入りたいという漁業者は非常に多いのですが、何かそこらを少し安くされるというようなことをお考えになつておりませんか。また方法について御研究になつておりませんか。その点をお伺います。

松永正男労働基準監督官(労働基準局労災補償課長)

○松永説明員 今御指摘になりました料率でございますが、確かに二銭八厘では高い。もう少し安くなつたら入りたいのだがという使用者の方も相当ございます。そういう声がございますので、私どもできるだけその線に沿いたいとは考えておるのでございますが、現在までの実績によりますと、先ほど申し上げました任意加入の事業者について検討いたしますと、現在の二銭八厘を引下げることは非常にむずかしいのでございます。と申しますのは、収支の面におきまして、二十六年度におきまして一・一八、二十七年度において一〇〇、二十八年度において一・〇六というふうに支出の方が収入を上まわつておるのが現状なんでございます。この点につきましては、先ほど御指摘がございましたように、対象労働者数に比べまして、現在労災保険に加入しております労働者者が非常に少い点からいたしまして、もしこれをもつと拡大いたしますれば、事の性質といたしまして収支のバランスも非常にとれて来ると考えられますので、私どもとしては、できるだけこの人数をふやすことと、料率を引下げることととをかみ合せまして、加入者の負担の軽減と労働者の保険の拡大とをはかりたいと考えておる次第でございます。

田口長治郎自由党

○田口委員長 加入者を多くなりますと保険料が低下するのですが、この保険制度を創設されたときの加入者数、それと加入者が多くなつた現在における保険料の低下、そういうことはどうなつておりますか。

松永正男労働基準監督官(労働基準局労災補償課長)

○松永説明員 労災保険の料率について申し上げますと、昭和二十二年から労災保険ができたのでございますが、当初におきましては、災害率についての確実なデータ等もございませんので、料率を一応の推算で定めまして、これを実施しておつたのでございますが、その後業種によりましては、非常に料率を引上げた部面もございます。と同時に料率を引下げた部面もございます。一概には申し上げることができないのでございますが、大体保険施行以来足かけ七年になりますので、現在の強制加入の産業につきましては、大体現在定められております料率が、過去の実績に基く適正な料率になつて来ておるわけでございます。各産業によつて非常に上り下りが違つておるのが実情でございます。

田口長治郎自由党

○田口委員長 水産関係はどうでございますか。

松永正男労働基準監督官(労働基準局労災補償課長)

○松永説明員 お答え申し上げます。漁業につきましては、最初の料率から次第に上つて来ております。一銭八厘から二銭八厘に上つております。この理由は、任意加入でございまするので、非常に災害率の高い部面の方々が加入されるということで、大体において沖合いの漁業が多いわけでございますが、そういう面からいたしまして、料率を引上げざるを得ないということになつておるわけであります。従いましてその他の災害率の低い面の方々が多く加入して参りますれば、料率の引下げが可能であるということになるわけであります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 鈴木善幸君。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 私は船員法の適用の現実の面の問題につきましてお尋ねしたいのであります。それはまき網漁業の場合でございますが、本船が三十トン以上でありまして、その乗組員は当然船員法の適用を受けておる。ところが手船等が三十トン未満でありますので、船員法の適用を受けない。しかしながら漁業の実態からいたしまして、本船と手船、網船等は一体をなして一つの操業形態を形成しておる、こういうような実態でございます。従いましてまき網漁業に従事するところの船員は、本船であろうと、あるいは手船であろうと、同じような船員法の適用を受け、その保護を受けなければならない、こういうような希望が強いのでありますが、この問題はどういうぐあいに解決されておりますか、その点をお伺いしたいと思います。

武田元運輸事務官(船員局長)

○武田政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします前に、先ほどの赤路先生の御意見でございますが、御指摘になりましたように、現行船員法の内部で、労働時間とか、あるいは有給休暇、あるいは夜間労働の禁止等の比較的高度の労働保護につきましては、漁船の船員は適用をはずしております。この点につきましては先ほど申しましたように、審議会でなお御審議をしていただくようになつておりますが、ただ現行法におきましても全然野放しというわけじやございませんで、船員法の第九十七条に、常時十人以上の船員を使用する船舶所有者は、就業規則を作成して行政官庁に届けなければならないことになつております。その就業規則の必要的記載事項の中に労働時間、休日及び休暇という項目がございまして、労働時間は一日何時間、あるいは休日は幾らやるというふうなことを定めて、届けをすべきことになつております。もつとも汽船船員に対しまするように、たとえば八時間労働でなくちやいかぬとか、あるいは一年に二十五日の有給休暇をやらなければならぬというような強制規定はございませんが、一応労働時間及び休日、休暇につきましても、これを定めまして届出をしなければならぬということになつております。なお船員法の適用につきましては、御指摘の通り漁船、漁業労働の特殊性という点は十分考慮いたしまして、常時水産庁あるいは漁業経営者団体、海員組合等と連絡をとり、意見を伺つて、慎重に取進んでおる次第でございます。  それからただいま御質問の点は、確かに非常に妙なかつこうになつております。三十トン以上は船員法、三十トン未満は労働基準法というふうな適用があることになりまして、これは前々から、一つの共同作業をしておる者が違つた法律の適用を受けることのないようにしてもらいたいという御意見を承つております。この点につきましては、たとえば漁業の種別によつて適用をわけて行くことができないだろうかというふうないろいろの方法につきまして、私の方の内部で検討をいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、この問題もやはり船員法改正審議会で御審議を願つておりますから、何らかの結論を出していただけることと存じます。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 この問題は長い間の懸案でございまして、私はとうに御解決を願つておるものと思つておつたのでありますが、ただいまの船員局長さんの御説明で、審議会等で研究して、早急に結論を出したい、こういう御意向のようでありますが、ぜひ審議会並びに水産当局ともお打合せの上で、緊急にこの問題を御解決を願いたいという希望を申し上げておきます。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 ただいま船員局長さんの方から、野放しにやつていないんだというお話がありました。この九十七条の就業規則で一応規定づけられておるし、それから九十九条、百条にこの就業規則の監督と、就業規則の効力というような点がある。一応これで、おつしやる通り確かに監督権も出ておりますし、その就業規則とかわつた過当な労働を強要した場合は、確かにこれは取締りの対象になると思うのであります。しかしながら先ほど来お話にありましたように、漁業の特異性という観点の上に立たれた場合、この漁業の特異性による就業規則というものを、おそらく行政官庁としては認めざるを得ないのじやないか、こういうふうに私は思うわけであります。従つてこの規則は、もつと率直に申し上げますならば、今局長さんがおつしやつたように、手放しでないと言つても、手放しのものであつて、法の六十条に示されておるように、はつきりした線がポンと打ち出されていないわけです。だからこういう就業規則はあつても、およそ今の漁業労働者の場合、その特異性という観点の上に立つた場合は、それは手放しと何らかわらない。こういうふうに思いますので、ここはなかなかむずかしい点だとは思いますが、せつかく今御審議願つておりますので、これらの点を十分ひとつ御考慮の上おやり願いたい、こういうように希望申し上げております。

田口長治郎自由党

○田口委員長 先ほど鈴木委員から質問のあつたまき網関係ですが、御承知の通りさばにしても、あるいはいわしなんかにしても、一業態の単位では本船、運搬船、火舟、しかも火舟が二そうということで、大体四そう単位で操業しておるわけなんです。本船の乗組員は一人、二人少くなりましても、大した不都合はないわけなんですが、火舟なんかの場合は、一人病気で乗り組まないとただちに作業に困る。従つてそういうときは本船からまわすというような、そういう行き方をしておるわけなんです。保険適用は帳簿上できまつた人間だ、こういうような関係にもなつておりますし、経営者も船員も同じ場所で同じ仕事をしておつて、適用が違うということに非常に困つておる問題なんです。ぜひ真剣に御研究願いたいと思います。

武田元運輸事務官(船員局長)

○武田政府委員 いろいろお話がございましたように、漁業労働者の保護につきましては、今後われわれといたしまして、いろいろ立法措置につきまして鋭意研究をしなくちやならぬ点があると思います。お示しがありました御意向を参酌いたしまして、十分努力をいたしたいと思います。なお漁業労働者の待遇改善につきましては、立法措置だけでは何と言いましてもなかなか効果があがらないのでございまして、われわれといたしましては、やはり健全な労働運動の発展というものが非常に大きな効果をあげることと思うのであります。もちろん御承知のことと思いますが、昨年各地の漁船乗組員の組合の方々がお集りになつて御相談になりまして、全国漁船労働組合協議会というものが生れまして、もちろん水産庁にはお伺いしたのでありますが、われわれの方にもときどきおいでになりまして、漁船労働者の待遇改善について、こういう方法をとつたらどうかというようないろいろ御鞭撻をいただいておりますが、そういうお話も十分今後伺いまして、将来とも努力を続けたいと思います。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 運輸省と労働省の方々からは、十分御意見を承りまして感謝いたします。ただ最後に一言水産庁の方へ御希望を申し上げておきます。水産庁の方で、この漁業労働者の関係を取扱つている課は一体どこで取扱つているか。それに何人かかつているか。私過去一箇年余り水産委員としていろいろお世話になつておりますが、まるで漁業労働者に対する労働行政というものは、水産庁はお考えになつていないように思う。そういう考え方だから、たとえば今出た労災の問題にいたしましても、船員法の問題にいたしましても、水産庁みずからが働きかける働きかけがにぶくなつている。こういうところに一つの欠陥があると思いますので、今後この面に対しましては、十分御留意願いたいことを御希望申し上げておきます。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいま赤路委員からお話がございましたが、私どもといたしましては、先ほど御説明申し上げたのでありますが、確かに漁船労働者というものと一般船員との関係において、漁業の特異性というものを考えながら、墓本線といたしましては、漁船労働者の優遇といいますか、保護と申しますか、そういう観点から諸般の考察をいたしまして、現行法の改正なりその他いろいろ行政措置をとらなければならぬということは、十分私ども考えております。ただそれに対して水産庁が、従来少し消極的でなかつたかという御批判でございますが、私どもといたしましては十分努力いたしまして、今後関係の方面とも相談をいたしまして、積極的にこの問題の解決に邁進いたしたいと考えている次第であります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十七日午前十時より開会いたします。  これには散会いたします。    午後零時三十六分散会

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