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19回国会衆議院1954/03/06

水産委員会 第15号

発言数
48
登壇者
11
会派数
2
開催日
1954/03/06

会議録

田口長治郎自由党

○田口委員長 これより会議を開きます。  漁業取締りに関する件について議事を進めます。本件について高橋英吉君より発言を求められておりますから、これを許します。高橋英吉君。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 この際いま委員長から御発言のありました機船底びき網漁業の取締り並びにその他の諸問題について、日本西海機船底曳網漁業協同組合長魚本義若、住吉丸船主中島栄吉、この両氏を参考人として意見をお聞きくださつて、適正妥当なる御解決をお願いしたいと思います。その理由を簡単に申し上げますと、実はこの問題について、海上保安庁の巡視船の行き過ぎ取締りについては、過日運輸委員会において、海上保安庁長官その他に対しまして質問を行いましたから、ここで重ねて詳細には申し上げませんで、ごく簡単に申し上げまして、詳細は両参考人からお聞き願いたいと思います。  実は去る二月七日に、四国と九州との間の宇和海という所で、たいへんな事件が持ち上つたのです。それは一種のいわゆる艦船覆没罪といいますか、またさらに殺人事件といいますか、こういう事件が発生したのであります。非常に非人道的なやり方によつて、機船底びき網漁船が一そう沈没いたしますし、さらに乗組員三人が遂に行方不明、すなわち死んでしまつたというような大事件が起つていまして、今西日本ではたいへんな問題になつておるのであります。この原因を考えますと、海上保安庁の方ではいろいろ弁解もあるようでありますけれども、地元の方の関係者、それからまた一般の良識ある者からいいますと、これは故意に巡視船が機船底びき網漁船に激突して沈没せしめ、そして人を殺したのだ、かように考えておるのであります。これはいろいろ証拠をあげればたくさんありますけれども、終戦後ですらも、すでに八件か九件同様な事件が起つております。そのうちの四隻が沈没し、四隻が大破して、また今度の事件が起つたということになつて、すなわち機船底びき網漁船を発見すれば、これに激突して沈没さしてもいいというような方針にあるのじやないか、これは船員なんか平素放言しておるそうでありまして、機船底びき網漁業の船は沈没さしてもいいのだ、船員の一人、二人は死んでもいいのだというようなことが始終放言されておるのがこういうことになつておるのでございます。この住吉丸の事件そのものからいいますと、現在は検察庁でも調べておりますし、海難審判庁でも調べておりますから、法律上の問題、こういうふうな具体的な事件の解明についてはやがて明らかになると思いますが、とにかく白昼波静かなときに発生した事件でありまして、決して私どもは過失とか、もしくは沈没せしめられた漁船の方から進んで沈没させられるようなやり方をやつたものであるとは考えておりません。これは両参考人によつて明らかになると思いますが、これを契機といたしまして、海上保安庁の行き過ぎ取締りに対して、水産庁の方では、政府の方では適当な方法を講じてもらいたい、進んでは漁業取締りについては水産庁の取締船によつてやつてもらいたいというふうな希望などもありますし、さらにこれを契機として、このようなやり方ではとても機船底びき網漁業は成り立つて行かない、従つてこの取締り問題についても真剣に研究をし、解決の方途を見出していただきたいし、さらに操業区域の問題、操業期間の問題、その他のいろんな問題があるのでありまして、この際これを一挙に解決していただきたいというので、大挙して陳情に参つております。その代表者としてここに両氏がおられますから、ひとつ両氏から機船底びき網の諸問題、あらゆる問題が含まれておりますが、この諸問題並びに住吉丸の不法に沈没せしめられた事件、こういうことに対する具体的な事実をお聞き願いたいと思います。さような提議をいたしたいと思います。

田口長治郎自由党

○田口委員長 本件につきましては、先般来高橋委員から詳細に話を聞いておりまして、委員長といたしましても非常に憂慮をしておつた次第でございます。そこでお諮りいたします。高橋君の発議の通り、日本西海機船底曳網漁業協同組合長魚本義若君及び愛媛県八幡浜市第七住吉丸船主中島栄吉君の両君を参考人として選定し、本問題について意見を聞くことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田口長治郎自由党

○田口委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決定いたします。     —————————————

田口長治郎自由党

○田口委員長 それではただちに参考人より意見を聴取することにいたします。まず日本西海機船底曳網漁業協同組合長魚本義若君より発言を願います。

魚本義若日本西海機船底曳網漁業協同組合長

○魚本参考人 私、日本西海漁業協同組合長の魚本義若と申します。  愛媛県、大分県、宮崎県、鹿児島県、これらの中型底びきを経営しております者が一団となりまして、日本西海漁業協同組合口を組織しておるものでありますが、この所属船は約三十五統、七十隻あるのでありまして、それらがそれぞれの県によりまして経営しておるのであります。そのうちの愛媛県の所属船であります第七住吉丸が今回海上保安庁の船によつて激突されまして沈没し、それによつてとうとき人命を三名失つたのでありまして、それが主因となつたわけではありますが、もともとこの底びき網の問題につきましては、皆様方も御承知の通り幾変遷、幾多の問題がありまして、始終社会の問題になつているのであります。私たち業者といたしましては、この際決して漁業の取締りを緩和してくれというようなけちな陳情をいたすのではないのでありまして、合理的に経営のできますように一段の御配慮を煩わしたいと思うのであります。  私三十年来機船底びき網漁業を経営いたしておりますが、過去われわれの知つた範囲におきまして、警備船により漁船が沈没させられましたことは十四そうに及んでおります。その数は相当なものではありますが、終戦後になりましても、今度で大破を受け、あるいは激突沈没された船が四そうありまして、遭難にかかりましたものは八隻を数えている次第であります。その間あまり人命の損傷はなかつたのでありますが、今回は先ほど申し上げましたように、三名のとうとい人命を失つている次第であります。船が沈めば原則的に人命はないものと私たちは覚悟しております。それが助かることは奇跡的であるということが海上生活の根幹でありまして、船が沈むことさえ私たちは非常に苦痛に感じているのでありますが、それらの今までの十四件の事件に対しまして、いろいろあの手この手をやつてみましても、警備船は県の船であり、あるいは国家の船でありまして、国家権力に抗するわれわれの力がありませんので、今まで黙して語らず、黙々として甘んじておつたのでありますが、今日三名の人命を失つたということにつきましては、黙つていることができないのでありまして、去る二月二十二日に私たちの所属船全部が帰つて参りまして、八幡浜の魚市場の漁民大会となつて現われた次第であります。その漁民大会に集まりました者は約千七、八百名、二千名になんなんとする人が集まりまして、そのうち船員は千三、四百名、あるいはかまぼこ業者、水産関係者が一同につどいまして大会を開会したような次第であります。これらはすべて今まで言い古された問題でありまして、事新しい問題ではないのでありますが、お手元にごらんを願つておりますような宣言、決議を決定いたしまして、このたび全船主がこぞつて陳情にまかり出たような次第であります。  昨日は海上保安庁の方へ参りましたし、水産庁の方も係官の手元までは出しているのでありますが、われわれの力に及ばないところが多々あるのでありまして、まことにあつかましいことではありますが——あまりくどくどしく専門の皆様方に申し上げることは差控えさせていただきたいと思いますが、漁民大会のよつて来ました理由はそこにあるのでございまして、御了承願いたいと思う次第であります。事情につきましては、住吉丸の船主であられます中島さんよりお聞きくださいますれば、詳細に判明することと存じます。

田口長治郎自由党

○田口委員長 次に、愛媛県八幡浜市の第七住吉丸船主、中島栄吉君より御発言を願います。中島栄吉君。

中島栄吉第七住吉丸船主

○中島参考人 私住吉丸の船主の中島でございます。今日大きな問題が起りまして、いろいろの方面に御迷惑をかけまして、まことに恐縮しているものでございます。事件の概要をお話申し上げまして、御参考に取入れていただきたいと思います。  私どもの船が出漁いたしました漁場は俗に高麗といいますが、そこへ出漁いたしましたのが、旧正月明けの二月七日の朝の八時ごろでありました。当日は西の風がやや強く吹いておりましたので、八幡浜港の入口にあります佐島という島から西へ進路をとりまして、三崎半島沿いに梶谷鼻まで行きまして、西の風を受けて南へ落す考えであつたのであります。ちようど半島の四つ浜村大久の沖へ参りました時分に、少し風がなぎましたので、そこから進路を南へとつたのでありましたが、大久の沖の四海里くらい参りましたときに、佐田岬の方へ進路をとつている巡視船を発見したのであります。それがちようど午前十時ころでありまして、私どもの船は、その巡視船が十時二十分ころに追跡の体形になりましたので、これにつかまりますと、従来広島、徳山、あるいは松山あたりの基地へひつぱられまして取調べを受けますことが、二日、三日、長いときには一月くらいにもなりまして、漁業の上に大きな支障がありますので、私どもの同業はまず例外なく逃げるのであります。ちようど追跡を受けましたときに、同じ進路をやや西へとつて少し速力を早めたのでありますが、その間警備船がずつと追跡して来たのであります。もちろん私どもの船は、ようやく八マイル半から最大速力でも九マイル半くらいしか出ません。巡視船は十四、五マイルも出る船でありまして、いくらのがれんとしましても、速力の相違からのがれることができない。そのことを観念いたしまして、少し速力をゆるめたのであります。その間拳銃の発射などありまして危険もあつたわけでありますが、その巡視船と並行するようになればとまる気持であつたというのであります。ところが住吉丸の中央の真横三、四十メートルくらいのところで巡視船が急にとりかじを切りまして、私どもの船の船尾に迫つたのであります。このときに私の方の船の船員室から巡視船の動きを見ておりました船員の一人が、あぶないと叫んだ瞬間、巡視船は汽関場の入口と船員室の入口の中間にぶつかつて来たのであります。広島の保安部長の説明は、むらちどりの船員が住吉丸に飛び移ろうとして接近したのだと言つておられるのでありますが、衝突と同時に船は真横に倒れたのであります。そのときにすでにブリツジにおりました二人、機関場におりました一人は海中に飛び出したのでありますが、上の船員室におりました五人のうちの一人も海上に投げ出されたのであります。ちようど巡視船が後退しますと、一度船は元へ返つたのでありますが、すぐその次の瞬間沈んでしまつたのであります。倒れて起きたときにはすでに水ごみになつております。その水圧で部屋の戸もあきませず、急激な浸水のために四人の船員は部屋のすみへ圧せられたのであります。さらに潮がどんどん入つて来まして、その部屋は天井まで漸で満たされて、首が出るほどの余裕もないのであります。その部屋の中で二回三回ぐるぐる舞いをしたらしいのであります。かごにとつたねずみを水の中につけたような状態だつたと言つておりますが、ようやく顔を上に向けて大きな息を一つしたときに、部屋の天井にあけてあります換気窓から入る光線を見て、出られるぞと叫んで四人が次々と海中にのがれたのであります。下の部屋に二人おつたのでありますが、これは浸水のために出ることができなくて船と運命をともにしたのだと思います。この場合の巡視船の救助の状態に船員はたいへん不満がありました。どういうわけか、救命具をつけて防寒しておられる船員さんが何人か立つておられたのでありますが、その人々の手によつて救われた者もないのでありまして広島の保安部長の説明を聞きますと、すべての救命具を海中に投下して救助に最善を尽したというのでありますが、むらちどりが海中に投下した救命具によつて救われた船員が一人もなかつたことは、これはむらちどりの船員さんがよく御承知なのであります。先に上の船員室におりまして海中へ飛び出しました船員ですが、これがずいぶん弱つておることを認めました保安部の巡視船の無電士の新山という方が、上着を脱いで海へ飛び込まれた。そしてそのあつぷあつぷしております者のそばまで接近しましたが、その直前海中に没して助けることができなかつた、残念であつた、こういうことを私は新山さんから直接聞いたのであります。  ボートをおろす用意もしておつたそうですが、私の方の船員が五人巡視船に救われましたが、その中の一人の宮田という船長が、早くボートをおろしてくれとやかましく言つて、ボートをおろしてもらつたのでありますが、そのボートに救われた船員もないのであります。ようやく、そのボートは先に飛び込んだ先方の無電士の新山さんを引揚げるのに役立つていたのであります。私の方の引揚げられました船員には、二人三人でかかえて巡視船の船室へ運んだほど弱つた人間もあつたのであります。  現場の捜査でありますが、これにも私どもまことに納得できないものがあるのでございます。衝突は十一時ごろでした。私の方の船員の林、河野というのが最後に引揚げられたのでありますが、これまでにおよそ一時間くらいを要しておるのであります。そうしてその後二時間くらい現場の捜査をされたのでありますが——もつとも現場を引揚げましたのは五時半。ごろであつたというのであります。十一時にぶつかつて十二時に浮いております者の引揚げを終つて、五時半ごろまでの二時間くらいは衝突現場の付近におつたらしいのであります。そのあとの時間は、それからはるか北方の梶谷鼻の付近の捜査に当つておられたというのであります。当日は西の風であり、潮は下げ潮でいわゆる南流であります。そのときに、それから北方に何を求めんとして捜査をされたか、これも私どもが疑問としておるのであります。救助しました船員に対しては万全を尽したので、船長以下みな感謝してくれておつたというのが広島の保安部長の私に対する説明でありましたが、十六日、十七日、十八日でございますが、身柄を拘束されておりました船員が釈放されまして、その真相を知ることができたのでありますけれども、事実は保安部長の説明と大分相違しております。救助されました船員はみなぬれねずみになつておつたのでありますが、どうしても広島に連れて行くのであれば、一応八幡浜に連れて行つてくれ、三人も死んでおるのだから、家族が心配しておるからといつて手を合わして拝まんばかりにして、八幡浜に着けてくれということを哀願したのであります。それに対してむらちどりの船員は、広島の保安部と無電で話をされておりましたが、とにかく保安部の命令だから八幡浜に行くことはできないといつてそれを拒否したのであります。そのまま広島に着けたのでありますが、現場の捜査を打切りましてから広島の宇品に到着します間があよそ八時間ほどあるのであります。その船中でぬれたパンツをしぼつてはいておる上に、ようやく毛布一枚が与えられておつたのですが、その一人一人を、夜中の一時半に宇品に着くまで、火のけのない別々の部屋にひつぱり出されて取調べを受けておるのであります。私どもの船員が帰つて言いますことには、それは人間扱いにされておりませんでした、こういう話をしておつたのであります。それで取調べは、その船の中と翌日さん橋の片方にもやつてありましたこじま丸という船の中で調べられたのでありますが、そのときはほんとうのことを申し上げておるようであります。さらにその翌日保安部の中で取調べを受けております。取調べは終始威嚇と誘導で、お前たちが漁業をやつておつたということをどうでも言わないのならば、二十日でも一箇月でも帰すのではない、私の方へ帰つて来ました片方の船の船員もみな逮捕して取調べた結果、漁業違反をやりましたと自供しておるのだ。お前たちがいくらがんばつてもだめだというような式に行われておるのでありますが、実は片方の船は逮捕もされておりませず、取調べも受けていなかつたのであります。それで私考えますのには、この衝突事件を将来自分の方に有利にせんがために、どうでも漁業違反を固めたかつた、漁業違反を固めるためにはその手段を選ばなかつたのではないかというふうに思われるのであります。  この遭難しました遺族の家は、ちようど六管の本部の次長さんが見舞に見えてその生活状況はよく御承知なんでありますが、文字通りどん底の生活をしております。中でもこの氏間政一のうちでは、三人兄弟のうち二人までが戦死しまして、ただ一人残つておつた政一が今度こういう状態になりました。十二を頭に四人の子供があつて、未亡人があすからどうして生きて行くかという、実際見るに見られないほど気の毒な状態なのであります。  以上で概要を申し上げましたが、私どもは、保安部のお仕事としては人命救助が第一だというように考えております。その保安部の巡視船が、人の命に比較してはまことに小さい漁業違反の容疑の船を追跡するため、その船にぶつつけもすれば沈めもするということが従来たびたびあるのであります。今回は三人のとうとい人命まで奪うようになりましては、私ども保安部の使命に反するものがあるのではないかと、はなはだ納得できない点がございますので、ここに陳情申し上げる次第であります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 漁業取締りに関する本日の政府側出席者は、海上保安庁警備救難部長砂本説明員、運輸省船員荷船船職員課長中野説明員、海上保安庁公安課長高見説明員、水産長官清井政府委員、漁政部長立川説明員、漁政課長家治説明員、漁業調整第一課長浜田説明員、海洋第二課長増田説明員であります。  これより政府及び参考人に対する質疑を許します。松田鐵藏君。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 へんな方からお聞きしたいのですが、住吉丸という船は今まで違反を題したことがありますかどうか。

浜田正農林事務官(水産庁漁政部漁業調整第一課長)

○浜田説明員 その点についてはまだ調べておりません。調べて申し上げます。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 私は意外なことを聞くのでありますが、私どもどこに行きましても、海上保安庁の巡視船は船業取締りの上から行けば非常に公正であり、しかも海上保安庁の船をわれわれの方の港へまわしてくれ、私の方にまわしてくれ、こういう要望が私の地元にもありますし、また全国まわつてみてもそういう要望が非常に多いのでありまするが、どういうわけで海上保安庁の船がこういう問題を起したかということに対しては、私は納得ができないのであります。ただいま聞きますと、沈没させられた船が十四そう、終戦後において四そう、大破された船が四そう、こういうようなことを参考人から聞かされておりますが、一体これはどういうようなことになつてこんな沈没だとか大破だとか、海上保安庁のこのトラブルがあるのですか。この点をひとつ海上保安庁から聞かしていただきたいのであります。

砂本周一海上保安監(海上保安庁警備救難部長)

○砂本説明員 本庁におきまして直接この事務を担当しております警備救難部長として御説明いたしたいと思います。  先ほど参考人の方から現場の実情がるる説明せられましたし、この件につきましてはすでに長官から一応の説明は終つておるのであります。しかし早々の間でございましたので、十分の説明はできなかつたように思うのでございますが、その後の調査並びに本庁に対する報告によりまして、少し時間をいただいて本件に関する概要を御説明させていただきたいと思います。  二月七日午前十時十五分ころでございますが、巡視哨戒中の広島海上保安部所属巡視船むらちどり、これは百四十九トンでございますが、佐田岬東南東十一・六海里の地点におきまして、明らかに禁漁区であります。ところの童子鼻東方海面で操業中の二隻の中型底びき網漁船を発見したのでございます。その位置は巡視船の前方約三海里の地点でございますが、先方の船も巡視船の姿を発見したとみえまして、午前十時二十分ごろと考えられますが、これらの漁船のうち一隻がまず黒煙を吐きながら逃走を開始いたしました。続いて他の一隻も同様に逃走を始めましたので、巡視船はこれを捕捉すべく跡を追つたのでございます。午前十時三十分ころになりまして、多少距離も接近いたしました。と申しますのは人間の目ではつきりものが見え、はつきり音が聞える距離になりましたので、巡視船はただちに国際信号によりまして、K旗を掲げまして停船信号を反復実施いたしました。それにさらにサイレンと拡声機を併用いたしまして、停船命令を再三再四繰返したのでございます。そうしてやはり船は跡を追いかけておつたのでございますが、だんだん距離が接近いたしました。ところが先方は非常に船が小さい関係がございますから旋回が容易なのでございまして、何回か旋回いたしまして、私どもの船が指示した停船をいたしません。それ以前に住吉丸を確認した方法といたしましては、布きれをもつてその船名を隠しておつたと思われるのでありますが、それが帆布でございますから風のまにまにまくれまして、明らかに船名を確認いたしております。こういう状態におきまして、午前十時五十六分ころになりまして、第七住吉丸と巡視船むらちどりの距離が約五百メートルになりましたので、巡視船は危険を避けるために、特に第七住吉丸の航跡の右側をとりまして追跡を続けたのであります。午前十一時四分ごろでございますが、巡視船むらちどりの船首が、第七住吉丸の船橋の真横から約十五メートル程度まで並航して追いついたのであります。そこで巡視船は速力を半減いたしました。ちようどその折に相手船の第七住吉丸が突然右回頭をいたしたのであります。右にかじをとつたのであります。それで巡視船はただちに自分のさきも右に曲るように——これをおもかじと申しますが、おもかじ一ぱいとりまして、機関はもちろんただちに停止いたしました。そうして全速で後退、ゴー・アスターンをかけたのでありますが、その状況で遂に相手船たる第七住吉丸の右舷側、ともの方に接触をいたしました。そのときもちろん巡視船のさきは前の位置よりか右の方に向いておりますし、相手船の右舷側のものとサイドに接触はいたしております。このときの船の状況も比較的詳しく来ておりますが、相手船が急に右にかじをとりました関係で、船がおのずから傾斜いたします。そのとき、先ほど参考人のお話もございましたが、波もかなりございましたし、また都会悪くうねりも若干ございましたので、船の中に水の入るのに非常に都合のよい状態にあつたかと思うのでございます。そこに巡視船がそれをさらに強めるような状態において接触いたしておりますので、遂に沈没という結果になつたのでございます。それに対する巡視船側といたしましては、沈没と同時に乗組員は海上に飛び出したのでございますが、巡視船むらちどりは、ただちに救助ブイ、救命胴衣を投下し、続いて救命艇もおろしております。もちろん救命艇は二隻ございまして、第一救命艇の方はただちにおろし方を命じましてこれをおろしております。そうして先ほどのお話もありましたように、巡視船の乗組員も海中に飛び込んでその救助に当つたのでございますが、結果といたしまして、遂に三名の行方不明を出したことは非常に遺憾に存じております。この間における時間ははつきりわかつておりますので、後ほど詳細にこの現場の様子は申し上げたいと存じます。救助につきましては最善の措置をしたように、報告によりましてもまた平素の指導におきましても、私どもは確信を持つておる、かように申し上げたいと思うのでございます。  それから一応現場におきます応急の措置を講ずるとともに、ただちに広島海上保安本部に急報いたしまして、巡視船ひばり、しらたかが現場に急行するよう手配いたしますと同時に、それが到着いたしますと、合同で捜査をなお継続したのでございますが、遂に発見するに至らなかつた次第でございます。  救助いたしました七名につきましては、遭難者であるとともに、密漁の現行犯人としての被疑者でありますので、巡視船むらちどりにおきまして船において、できるだけの手当はいたしております。入浴もしていただいておりますし、またありあわせの作業服その他も出しまして、着がえていただいてもおりますし、また毛布も、報告によりますと三十枚くらいはあつたようでございますので、これも提供をいたしております。もちろん十分なことはできなかつたと思うのでございますが、船内におけるいろいろな食料にしろ衣料にいたしましても、できる限りのことは尽して、遭難者に対する処遇は最善の措置をしたように、私どももそう信じておるのでございます。  午後六時になりまして行方不明者を他の巡視船も現地に到達し、すでに共同して捜査をしておるのでございますから、その巡視船にゆだねまして、現地を去つたことも実事でございます。密漁現行犯の被疑者といたしまして広島海上保安本部に連行の上、その取調べが必要であつたのであります。また同時にむらちどりにおきましても、当然この事件に対しては取調べの対象になるのでありまして、広島に連れて行くことは、これが広島保安部の配属船でございますし、またはつきりした現行犯でございますし、捜査機関であります私どものこういうときに対する処置の規定に基きまして、広島海上保安本部に連行するのは当然の処置でありますし、今申しましたむらちどりに対しましても、厳正なる取調べは当然行われるのであります。そういう両方の観点からいたしまして、これは広島海上保安本部に連行するのが当然の措置である、かように認めておる次第でございます。  それから遺族に対しては、事件発生後可及的すみやかに連絡をいたしております。また広島の第六管区海上保安本部からは、特に次長を現地に派遣いたしまして、まことにお気の毒な御遺族に対してお見舞を申し上げておる次第でございます。その後行方不明者につきましては、その他各地からできるだけ巡視船を増派いたしまして、五隻をもつて地元の漁船と共同いたしまして、その捜査には最善を尽させております。地元漁船におかれましては、十七日をもつて打切られたのでございますが、私どもも当然の措置といたしまして、さらにこれを延期し、十九日の正午までこれを継続し、一応打切つて爾後は業務かたわらその捜査を念頭に置きまして、引続き捜査の目的で行動をさせております。  次に捜査の結果でございますが、被疑者は当初密漁の事実を否認されておりましたが、九日現場付近で発見押収いたしました底びき網を、第七住吉丸のものであるということも認められておりますし、また現場で、先ほど概要を申し上げましたこういう事実によりましても、これはまさに違反であるということは今のところはつきりしておるようでございます。それからここで違反であるか、あるいはまたその衝突事件に対する双方の処置につきましては、むらちどりに対しましては直接広島検察庁が当つて、十分なる調査をなされておりますし、船舶の衝突関係におきましては、海難審判庁の理事官が十分なる調査をされておりますので、それによつて事実が判明する、かように考えておる次第でございます。大体の概要でございますが、以上が私どもの調査いたしました事実でございます。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 参考人のお話と海上保安庁のただいまのお話とは大分異なつておりますが、ただそこで一番私がこの問題のポイントとするところは、要するに密漁したというあなたの方で確認される証拠は衝突した場所にあつたのか、それとも現場に、あなた方が確認された所にあつたのかということです。

砂本周一海上保安監(海上保安庁警備救難部長)

○砂本説明員 それは最初巡視船を先方の船が発見して逃走を開始した付近でございます。これははつきりと位置もわかつておりますので、それと、その網が、これは最後の結論じやございませんが、私どもの知り得る今までの捜査並びに調査の範囲で申し上げたいのでございますが、乗組員もそれが住吉丸の網であることも確認しているわけでございます。そしてすでにこういうケースにつきましてはかなりの経験者でございますので、その他いろいろこれを裏づける要素は持つておるのでございます。しかしもちろんこれは結論じやございません。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 ぼくはあとから質問がありますから……。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 今松田委員から質問をした要点について御答弁がないようなんですが、先ほど参考人から言われました十四隻巡視船に沈没せしめられておるということなんです。特に八幡浜のみがなぜこういつたふうに保安庁との間にトラブルが起るのかということですね、その点については何ら御説明がなかつたようです。私もこれは非常に気にしておつたので、あらためて御説明が願いたい。

砂本周一海上保安監(海上保安庁警備救難部長)

○砂本説明員 特に八幡浜の船に対してトラブルが起きるということに対する回答になりますかどうですか、現にその場所は禁漁上区域であるということがはつきりしておるわけでございまして、そういう規則違反をやつておりますことを発見いたしましたときには、どこの船でもやはりこれを捜査もいたしますし逮捕もして適当な措置を講ずる、こういうふうに考えるわけであります。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 どうも保安庁の方では答弁しにくいように思いますからお尋ねいたしません。  それでは参考人の方にお尋ねいたしますが、戦後四隻巡視船によつて沈没せしめられておるというお話でございましたが、これは重大な問題だと思うのです。それでこれらに対して、沈没せしめられた当時どういうような対策をとられたか、損害賠償の要求なりあるいは訴訟等を起されたかどうか、その点ちつとお聞きしたい。

魚本義若日本西海機船底曳網漁業協同組合長

○魚本参考人 十四隻ということはこれはずつと昔からのことでありまして、海上保安庁の関係になりましたのは終戦後といつてさしつかえないと思います。その間かれこれ四隻ばかりの船が沈められておりますが、これは同じようなケースでやつぱりやられております。はなはだしいのは天神丸という船なのでありますが、これなどは操業区域におつたのであります。それを無理やりに禁止区域までひつぱつて来て、そして禁止区域内に沈めておる。それは追突せられて浸水がはなはだしいので、船が沈むから何とかしてくれと言つたら、その警備船がその船をくびつておいて浅い所へこいで行つたのです。こぐのもおかの方へ向けてこぐのが常識なんであります。陸の方に行けば沈む度合いも少くなりますし、浅い所に沈められればとりやすくなりますから、それを哀願陳情したのです。それから今度は船長が警備船のブリツジへ乗つて行つて哀願泣訴いたしましたところが、お前たちは何を不都合なことを言うのかといつて、かえつてなぐられて、その船長は人事不省に陥つて倒れてしまつた。それから次の者が、船長が帰つて来ないので行つてみたら、またそれがなぐられた。そういうのは診断書が取つてあります。それで禁止区域は線一本でございますので、操業区域の中へ入つたかなと思うと、今度は禁止区域へ持つて行つて、強力なポンプに水を入れて、機関場でもやつておつたもやい綱をとられて沈められておる。そういう問題がありますので、その事実を明白にすべく海上保安庁へ——もつとも訴えなくても海事審判にかかるわけですが、そういうようなものをやつても、もともと海上保安庁も海事審判所も看板こそかわつておるかもしれませんが、同じようなものでありますので、決して私たちが勝ちつこはないのです。それで、必ず右舷にやつて来るのです。これは衝突予防法からいつて、そうしなかつたらりくつが立ちませんので、必ず右舷の機関場か船員室に向つてやつて来るのです。そうして今度は、お前たちは——今救難部長から御説明のありましたように、右転をしたところ必ず言われるのです。いわゆる追越しのようなことに言いふくめられるのでございます。今度の住吉丸の場合などでも、今お話がありましたが——これはいずれ海事審判所において決定されるものでありますが、十四マイルの速度で運航しておりますものに対して、まともからやつて来たのですが、これはいけぬのであつて、巡視船につけろというのでスピードを落したのでございますけれども、急停船いたしましたならば、まうしろから来おるので、追突されるおそれがありますので、それで今度はわきにかわつて船が並ぶときに停船、衝突をしたのでございます。これは必ず左によけるのがほんとうなんです。これは船として何か障害物があつてよけられぬ場合は別としまして、障害物のない以上は左転するのが常識なのであります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 簡単に要領だけをひとつ……。

魚本義若日本西海機船底曳網漁業協同組合長

○魚本参考人 そこまで説明しなければわかりませんから……。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 そういうことじやないのです。私の質問するのは、戦後四隻、海上保安庁の船によつて沈没せしめられておる。その沈没せしめられた当時に行政訴訟なり訴訟を起すとか、あるいは損害賠償を要求する等の措置をとつたかどうかということなんです。

魚本義若日本西海機船底曳網漁業協同組合長

○魚本参考人 それを説明しておつたわけなんですが、必ず右転したということを強要される。これはもう一ぱいの船も強要されて、そうして海事審判に負けておりますが、そういうぐあいに訴訟をやりますと取締られる者の悲哀でございます、お前たちはおれたちと訴訟しおるしおるというので、ねらい打ちやられるものでございますから、それで今までやつておつたものも事件を取下げて、そして泣寝入りになつておるのが現状なのでございます。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 今の発言は非常に重大なのですよ。禁止区域であろうと何であろうと、そのまま航行することは自由なはずなんです。操業をするからこそ問題なので、操業しないで航行しているものを、かりに何らかの方法でやつたとするならば、これは重大な問題だと思う。それからその相手が政府であろうと海上保安庁であろうと、正しいものは正しいのであつて、この沈没させられたということは、船主にとつてはあくまで重大な問題なんです。船を沈没させられたということは、まかり間違えばそのことによつて倒産はもちろんするでしよう、あるいは極端に話をすれば、家族一家心中しなければならぬ段階に追い込まれる場合もありましよう。今までそういうような重大な事件が起つておつて、それを単に相手が海上保安庁だから、あるいは相手が政府だからというようなことによつて、これに対する対抗策がとられていなかつたとするならば、私はこれはもつてのほかだと思う。これは当然政府であろうと何であろうと、正義の場合には、必ず勝ち抜き得ることはやるべきである。そうしたことがやられていないのかどうかということをお尋ねしたのです。やられていないとするならば、なぜそういうことをやらなかつたかという理由を私はお尋ねしたいのです。だからそのときの経過でなしに、おやりになつたか、ならなかつたかということです。

中島栄吉第七住吉丸船主

○中島参考人 ただいまの御質問に対してお答えしたいと思います。  私の方でもすでに心配しておる問題でありますが、かつて天神丸が北上に沈められました当時の状況を、その船主から私は聞いたのでありますが、船を沈められますと、その引揚げに莫大な金がいるのであります。さらに引揚げましてそれをドツクへ運びますと、ずいぶん痛んでおつたのでありますが、これの修繕にも莫大な金がいつております。そして明らかに自分の方が有利であるというので、海事審判の手続をしまして、その審判を受けたのであります。審判を受けますにつきましては、——私も今度雇つておるのでありますが、その補佐人というものを必要とするのであります。天神丸は補佐人にも相当多額の金を支払つておるのであります。海事審判の結果は、天神丸の方が不利であつたのであります。それで船は沈められますし、その引揚げた船の修繕に多額の金を要します。さらに弁護士に莫大な費用を払わなければいけないというときに、私、ども何人かが共同で出資しております船主は、これを徹頭徹尾争うには金がないのであります。それとまず第一にがつかりしたことは、私が現在お頼みしております村井弁護士——補佐人でありますが、この方から聞いたのでありますが、今警備部長さんから御説明がありましたが、行きおる船は必ずおもかじを切るのだということでありますが、これはおよそ一月でも半年でも船に乗つた経験のある方はわかります。早い船の先をおそい船がそれをやり切るなどということは常識的にあり得ない。乗つている船員がみな命のいらぬ人間ならば別であります。ところが村井弁護士の説明をかりて言いますと、そう説明するよりほか保安部は説明の方法がないではないかと言われるのであります。私どもは絶対に勝ち得る事件も、今度の問題についても、中島さん相手が悪いが、あなた徹頭徹尾やりますかと、相手が悪いということをまず言われるのです。私の現在の気持は、死んだ三人の遺族のためにも行くところまで行つて勝ち抜かなければならぬという気持であります。結局今の天神丸と同様に、さて私どもの資力がどこまでも闘い抜くまで続くかどうかということです。徹底的にそれを争つていないというところには、多分に金の関係があるということを御了承願いたいと思います。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 それでは過去においてやはりこういうような状態があつたが、自分たちとしては訴訟をやつて、あくまでも黒白を明らかにしたかつたが、金がなかつたために、あるいは金が続かぬというようなことのために、訴訟というようなことはなされなかつた、こういうふうに解釈していいわけですね。そうするともちろん今回の場合においても、訴訟されておると思いますが、これは中島さん一個の問題でないと私は思う。中島さん自体が訴訟費用がなくなつた、そうすると、八幡浜全体の漁業として、このケースは実に重大なケースだと思う。八幡浜全体の漁業の問題だと思うんです。中島一個の問題ではない。あなたなり、その前に事件を起した人が金がなかつたからといつて、他の業者がこれに対して全然援助をせぬということでは、八幡浜なんかはなくなつてしまつた方がいいと私は思う。だから私はこういうことは訴訟をやらなかつたという理由にはならぬと思う。これ以上申し上げませんが、そういうことをよく腹の中へ入れて、当るべきことは当らなければならぬのではないかというように思います。これで打切ります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 高橋英吉君。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 今の質問に関連して、ちよつと参考人に質問したいのですが、金の点だけで争わなかつたというふうに聞えるのですが、われわれが従来聞いているところでは、そういうふうに聞いていない。いわゆるあとのたたりがこわい、憎まれる、集中的に取締られる。これは結局個々の問題になるのですが、機船底びき網漁業の愛媛県、宮崎県、大分県、鹿児島県あたりの底びき網漁業者の根本問題になるのですが、許可は得ているけれども、操業区域が非常に狭いので、どうしてもたまには違反もしなければならぬ——というとたいへんな問題でしようけれども、とにかくそこは海のことでありまするから、いろいろ禁止区域に入つていたかどうかという争いが起つて来る場合もあるわけですし、さらにまたあとから質問しまするように、航行中であろうが、停泊中であろうが、ひとたび目をつけられてひつぱられたら、基地へ行つて短かければ三、四日、長ければ一月も置かれて、その間漁業ができないというのではたいへんだ。全然違反がないということがはつきりしても、船名の書き方が小さいとか、臨時雇の船員の手続ができていないとか、そういう形式的な違反を摘発してそうしてその船を逮捕したことの合理づけをするというあらゆる暴虐が行われておるので、いわゆるねらい打ちをされる、かたき打ちをされる、憎まれる、あとのたたりが恐ろしいというので黙つておつたのではないか、忍びがたきを忍んでおつたのではないか。一つの船主が非常に気性の勝つた連中がそろつておつて、どうしてもこれは争うというふうな場合でも、ほかの船主たちほかの船員たち、関係者はこれをなだめて、全般のために忍んでくれというふうなことがあつたのではないか。すなわち今質問されているようなことは、そういうふうな意味のことを質問されていると思うんだが、そういう事実があるかどうか。そういうことで従来泣き寝入りになつておつたのではないか。忍びがたきを忍んでいたのじやないか、その点に対するお答えを願いたいと思います。

魚本義若日本西海機船底曳網漁業協同組合長

○魚本参考人 ただいま高橋委員から御指摘になりましたその通りです。私どもの言わんとすることを言われたのでありまして、私ども言いたいことは何ぼでも持つておるのでありまするが、天神丸にしましても、天龍丸にしましたところで、あとのたたりがこわいのです。それでたとえば天神丸の場合なども、ここに船主がおりますが、ことごとに海上保安庁と接触しますと、お前たちはおれのところと訴訟をしおるというようなことを一番先に言われるのであります。それがためにねらい打ちをされるのでございます。それがつらさに、弁護士は訴訟を続けると言うにもかかわりませず、これで商売を打切るのであつたならばいいけれども——商売というのは漁業です。漁業を続けなければわれわれは食うて行けないのであつて、そのためには時の代官に屈せざるを得なくて、取下げるということになるのであります。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 ちよつと関連して、今高橋先生の方からの御質問に対する御答弁なんですが、海上保安庁にねらい打ちをされることがこわいということはおかしいと思う。ねらい打ちされようが何されようが、自分が正しいことをやつていたらこわくないはずです。ねらい打ちなんということはあり得ないと私は思う。問題点はそこにあると思うのです。海上保安庁が正しく操業しておるものをやるというならそのままほつておけない。ゆるがせにするわけに行きません。先ほど松田委員が当初発言されましたように、全国からは、海上保安庁の船をできるだけよこしてもらいたいという希望のあることは事実なんです。私は必ずしも海上保安庁が何もかもいいのだというのではない。今度の問題でも、とにかく三人のとうとい人命がなくなつておる。それに対する救助方法が万全であつたかどうか、この点は重大な問題だと思う。しかしながら何も海上保安庁に対抗するからといつて、ねらい打ちされるというようなことは私はあり得ないと思う。ねらい打ちするような海上保安庁なら国会で許しておきません。正しいことをやつておるものを、何の理由をもつてねらい打ちするか。それは私は理由にならないと思う。金がないということは理由になります。しかしながらあとでたたりがあるとか何とかいうようなことで理由になるとするならば、これは重大な問題だと私は思います。

魚本義若日本西海機船底曳網漁業協同組合長

○魚本参考人 私たちの言いたいことを問われましたので、私はつきりと申し上げます。  私たちは検挙されます数が一年を通じて数十件に上ると思います。ところがその検挙された件数のうち、最終的に漁業違反として成立するものは二割か三割だつたと思います。あとのほとんどは不起訴になるか、無罪になるか、そういう結果になつております。それでほかの区域は知りませんが、現在の海上保安庁の私の方の海域に対します、取締り方針は、船が航行しておりますならば、まず第一番にそれが追つかけられる。事のいかんを問わぬのです。そうして今のお話にありましたように、密漁容疑として、広島の管轄でありましたら広島へ、大分の管轄なら大分に必ずひつぱられる。その間私たちは、その調べられることのつらさに、ただいま言いますように逃げ迷うのであります。一生懸命逃げる。そういうぐあいでありまして、はなはだしいのは、港におります船を一々臨検して取調べられるのです。そうして違反をしたのじやないか、魚を持つておれば、それは操業区域にひいた魚だと称しても、それを証拠物件として打つたりたたいたりして、そうして漁業違反をでつち上げようとせられることが今日の海上保安庁の行き方であるのであります。それで私たちは海上保安庁ににらまれたならば、正常な仕事をしておつてもそういうことになるのでありまして、あとのたたりのこわいとは、それを申し上げておのであります。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 今の問題は、昔から日本にある、権力を持つておるものの権力の濫用、それから長い間封建的な生活にならされておる無気力な日本人の典型的なあり方で、また陸上の方ではたくさん見ておる人があるので、このごろの民主主義では、あまり昔のような人権蹂躙的な、職権濫用的なことはできないけれども、海の上ですからこれは百鬼夜行、海上保安庁の幹部の方にそういう方があるとは思わないけれども、末端の方に行くと、勢いがよ過ぎて、逃げたりするとしやくにさわるから、なおさら感情の発するところ激突して沈没させる。トロール船は沈没させてもいい、船員は殺してもいい、同じ日本人に対してそういうことを平気でやつておるという国民性が、大東亜戦争でもあつちこつちで非難をされる原因になつておると思いますが、これはあとから申し上げることといたします。  海上保安庁の当局にちよつとお尋ねいたしたいのですが、運輸委員会で私が質問いたしましたときには、今みたいな明確な御答弁がなかつた。たとえば衝突の原因につきましても、ああいう明確な御答弁はなかつたように思います。従つて私はあえて追究しなかつたのでありますが、ただいまの御説明を聞きますと、まるでいのししのように突進して来るところの警備船むらちどりのへさきに向つて、ことさらに右旋回といいますから、右の方へかじを向けてぶち当つたというふうなことになるわけですが、しかも夜で燈火でも消しておるならともかく、また霧で見えないというふうなことならともかくも、白昼なんです。風波は静かで風がない日なのです。白昼も午前十時で、これは一致しておるのです。そういう白昼波静かで風もないときに、いのししのように突進して来る船に向つて、ぶち当るようなばかなことがどこにありますか。それをお信じですか。その報告は、その報告の額面通りおとりになつていますかどうですか。それならどういうわけでそういうふうにしたとお考えになりますか。その原因はどうなつておりますか。船長とか操舵手の過失であるとか何とか。そういうふうな原因でもあるのですかどうですか。その見解はどうですか。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 関連して。そこが一番のポイントなんだ。信号によつて停船命令をした。しかし言うことを聞かなかつた。そこで右舷に沿うて船をつけた。そのときにおいて住吉丸は停船をしたか、それからそれでもまだ速力をゆるめずにおつたか、この点が一番重大なポイントなのです。この点はどうでありましたか。しかしてあなたの方の船はどういう速力で走つたか。

砂本周一海上保安監(海上保安庁警備救難部長)

○砂本説明員 その前にちよつとこれに関連いたしますからお答えしたいのでありますが、いかなる場合も、こちらからぶつつけて向うの船を沈めたり人を殺傷するような方針をとつておりません。これははつきり申し上げます。いかにエキサイトいたしましても、海上保安官はすでに相当なれておりまして、そういうことで気分が転倒することはないことを私は責任をもつてお答えしたいと思うのであります。  それから先ほどのとまつたかどうか、非常に微妙な点で、先ほども申しますように、これは厳密に判断する機関があるのでございますから、私の方の情報に基く船乗りとしての専門的な見解を申し上げます。向うはいくら停船命令をいたしましても決して停船しなかつたことは事実でございますし、停船の注意に応じてスピードを逓減はしておりません。それからなぜ右にかじをとつたかということは、向うの考えでありまして、私はそのそんたくはできませんけれども、私の方の船はそのときはかなり接舷はまだしていないのでありまして、特に向うがとまつた場合の追突を十分顧慮いたしまして、かなりサイドに離したのでございます。しかし逮捕が目的でございますから、十分注意をしながら逮捕の目的で船を最善の注意を払つて運航したことも、平素の訓練なり私どもの指導方針に基きまして私ははつきり申し上げることができると思うのでございます。そうしたときに急に向うが右回転いたしましたときは、船はいかにうまく操船いたしましても、やはり浮足というものがございますし、すでに私どもの船は中速に下げております。それから先ほどのお話のように、十四ノツト出るというお話でございましたが、追つかけるときに十四ノツトは出しておりません。これは事実上出ません。(「そんなはつきりしたことが言えるか」と呼ぶ者あり)いや私は報告を事実と信じて申し上げる以外にないのでございます。そういうことでございますから、すでに私の方はスピードを下げております。しかしあまり下げれば離れますから、適度にそこを調節いたしまして、急な変化には十分対応し得るような普通の常識においてやつておつたのでございますが、向うの関係がございまして、私の方はそれを感づくと、それは瞬間でございますけれども、ただちに右にかじをとつております。ストツブ同時にゴー・アスターンをかけておるのでございます。そういう報告でございます。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 私はそこに納得のできない点がある。この住吉丸という船が速力をゆるめていないとしたならば、ただいまのような説明で、おもかじをとるということはまつたく不可解なことです。速力をゆるめていないでおもかじをとるということはあり得ないことです。どういうわけでおもかじをとつたかということは、常識から言つてもあり得ないことなんです。いつの調査でも、衝突事件が起きると、先ほどの参考人の言つておるように、必ずおもかじをとるという、海上保安庁の自己擁護のためにそういうような調書になつておるということであつたならば、海上保安庁はあまりにも誤つた言葉を使うものではないか。全速力で逃走しているとしたならば、絶対におもかじをとれないはずです。かりにこつちから速力をゆるめて追跡しておつても、この船は相当の間隔を置いて追跡している。そうしたならば、おもかじをとるということならばこの船に近づくことになります。そうしたならば、自分が早くつかまるということになる。それはとうてい常識から考えても考えられない。私がかりに違反を犯して逃げていても、そういうことはしない。それでどうしても左転をしなければならない。それで船の激突が前船に、ぶつかるということであれば、これはおもしろい事件になるのだけれども、うしろ船にぶつかつたということであつたならば、これは私は海上保安庁の言葉は聞き取れないと思う。それが一つ。  それから逃走している船が速力をゆるめなかつたというところに、私は非常に疑惑があると思う。これは参考人の方々の言つていることが誤りじやないかと思う。ここの二つが今私の一番疑問にしておるところですが、速力をゆるめたということであつたならば、私は参考人の言うことはほんとうだと思う。速力をゆるめなかつたというところに、どういう考え方があつたのか、この点が私は実に不可解なところでありますが、海上保安庁の言う右転したということはうそだと思う。ここにこの衝突に対する問題点があるだろうと思いますが、それよりも大きい問題は、三名を死傷さしたということであろうと思う。この三名を死傷さしたということは、たといどんな違反をしておつても、どのようなことがあつても、これは大きな問題でなければならないし、海上保安庁は何のためにかくまでにこの地方に対するはげしい警戒をしなければならないかというところに、水産行政の面に大きな問題が現われておるのではないかということを考えなければならない。きようは私は言わないけれども、ここに大きな問題が含まれておるのでありますが、私はこの辺でやめておきます。

中村清自由党

○中村(清)委員 関連して。私いろいろ伺つておりまして、非常に疑問に思う点があるのであります。そこで警備救難部長にお答え願いたいのですが、海上衝突予防法は一方が小さい船ですから、これは適用がないと思いますが、適用がなくても、大体この衝突予防法に定める原則は守るべきだと思います。そこで大きな船と小さな船が衝突の危険があつた場合には、大きな船の方が避けるのが当然じやないかと思うが、それなのに衝突しているということは重大じやないか、こう私は考えます。なお船が沈没するということは、これは容易じやない。簡単に沈没はしません。そこでゴー・アスターンしたことかあるいは右転したということであるならば、そう強い力で衝突しないと思われるのに沈没したことは、重大だと考えます。こういう原則論について伺いたい。簡単に衝突して簡単に沈没するものじやないと私は考える。もう一つこの機会に伺いたいのは、先ほど参考人からもお話がございましたが、拳銃を発射するということは容易じやないと思うが、そういう事実がほんとうにあつたのか、あるいは拳銃をある場合には発射してもよろしいということを、本庁の方で指示しているのかどうか、それをお伺いしたい。

砂本周一海上保安監(海上保安庁警備救難部長)

○砂本説明員 沈没の件でございますが、先ほど松田委員の御指摘もございましたし、これは実際の現場でよく調査いたしまして、最後の結論は、先ほど前提として申し上げましたように、出したいと思うのであります。それで私の方の船が右に舵をとつたかとらないかは、他にもそれに伴つて報告がございます。と申しますのは、これも一応の報告でございますが、巡視船のへさきに、こういう事件でございますから、みな場所々たに部署をきめて十分見張りをしておりますし、へさきに一人立つておりましたが、それがやはり相手船の住吉丸の操舵員がこれをとつたと目撃しておりますし、それからこれも一応の乗組員の供述でございますが、船が接触いたします少し前に、非常に船がかしいだという陳述もあるのでございまして、その右に舵をとつたことの一つの裏づけにもなつているので、あります。しかしこれはどういう結論が出ますか、お断り申しましたように、一応の報告で今申し上げたわけでありますが、その場合に、たとえば、ぶつつけて大きな破損を生じなければ船というものは沈まないものかどうかということにつきましては、私ここではつきり具体的には申し上げられませんが、非常にかしいだ場合に、うねりもありますから、ちようどそれに水が入り得る場合もあると思います。それで大きく水をかぶりまして、ちようどそういうときに巡視船が右舷側に接触する。その傾斜をさらに強めて水がたくさん入つてそのまま沈むということもあり得るかと思うのであります。この点は別の機関がはつきりと調査してくれるように思います。  それから先ほど参考人のお話に、海難審判所と私の方とがぐるだということでございますが、これは機構上におきましてもはつきりわかれておりますし、私どもはそんなことは絶対にない、公正なる判断を下すものと確信いたし、それにさらにこれは検察庁も裁判所もあるのでございまして、いいかげんな審理をされることはなかろう、こういうふうに考えおります。それから拳銃の件でございますが、今まで何回も確かめました。現在の状態におきましては使つておりません。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 私は今までこの話を聞いておりまして、実はよくわからないのであります。わからないというのは、何がわからぬかと申しますと、被害者の方と保安庁の方の一つの事実のつかまえどころの申立てが違つておるわけであります。そこで私は一つの重要な問題としまして、取締船が非常に乱暴しておつて、いささかでも違反らしい徴候を見つけたならば、いきなりそれを追跡して行つて場合によつてはぶつつけてしまえ、沈没さしてしまえ、こういうような気分でやつておるのじやないかということを疑うものであります。もしそういうことであるとすれば、これは重大な問題であります。しかしまじめに与えられた職務——漁業取締りということをまじめにやつて行くことはきわめて必要なことであつて、まじめにやつておる間に過失によつてこういう事件ができたということであれば、この見方はおのずからかわつて来る。過失をとがめないというのじやないのです。過失は過失なりに責任を負わなければならぬ。こう思います。けれどもそこの事実の関係はどうもはつきりしない。  そこで私は水産当局にお聞きしておきたいのでありますけれども、水産当局はこういう事件までに至らないいろんな取締り問題で、しばしば事件にぶつかつておることと思うのであります。そのぶつかつた事件について総合して考えて、海上保安庁の取締りが行き過ぎておると思つておられるか、あるいはまだ行き過ぎておらない、しばしば間違いを起すけれども、この程度は適当である、こう思つておられるのか、漁業全体を見てどういう感想を持つておられるか、そのことをひとつ水産当局にお伺いしてみたい。  それからもう一つは、この住吉丸とかいう船がしばしば違反をしておつたとか、あるいはその地帯でもつて違反がたくさんあつたのだというような事実があるのか、どうなのか。単なる禁漁区をずつと航行したというだけでもって、その問題を引起しているのであるか、あるいはその付近でしばしば問題が起きておる、そういうことであるのか、その点を保安庁なり水産庁なり、どちらでもけつこうでありますから、お伺いしておきたいと思います。

砂本周一海上保安監(海上保安庁警備救難部長)

○砂本説明員 お答えいたします。見つけたら最後、その違反事実があろうがなかろうが、基地へ持つて行つて何日間貴重な時間を費すかという質問が参考人からもございましたが、そういうことはございません。私どもの本質は、私が申し上げるまでもございませんが、漁業取締りというのはやはり魚族保護でございますし、その法律、規則の運用につきましては、機会あるごとに十分水産庁とも連絡をとりまして、法の精神も十分認識いたしまして、保護の精神にもとらないことがモツトーでございますから、無理に犯罪をでつち上げることはないということを申し上げたいと思います。常にその指導もしておりますし、現在の保安官もこれを十分認識してくれておるように思つております。なお手をゆるめずにその点は十分指導の万全を期しておるわけでございます。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 水産当局の意見が聞きたいのです。水産当局はこれは少し行き過ぎておるという感じを持つておるかどうかということです。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいま私の方でどう思つておるかという御質問でございますが、事実の問題につきましては、先ほど来お話がございましたが、今どういう事実であるかということについての私どもの判断を申し上げるのは早過ぎると思つておるのであります。現に関係のそれぞれの審判機関なり関係の司直の手によつてお調べが進んでおるようでございますので、この点について事実問題についてとやかく申し上げることは、私どもとしてできません。ただこの際沈没されました方の乗組員の方が、三名も行方不明になつておるということにつきましては、まことにお気の毒なことであると私も深く考えておるのでありまして、この点は関係者の方々の御心配もさぞかしと御推察申し上げておるのであります。  さてそれでは、全般的に海上保安庁のやり方がどうかという御質問ですが、この点は先ほども保安庁の方からも御説明がありましたが、私どもといたしましては、むろんこれは水産庁の監視船も及ばずながら漁業法の施行取締りに当つておるわけであります。海上保安庁の巡視船もそれを行つておる。私の方の船と海上保安庁の船と両方で、漁業法の施行を遵守するようにということで海上取締りを実施しておるわけでございますが、私どもは常々海上保安庁の方とは密接な連絡を保つて、実施をいたしておつたのでありますが、具体的な個々の事件がありました場合におきましても、それについてどういう事情であるか、あるいはどういうような措置をすべきか、あるいは今後どういうふうに取締りの方針をきめるべきかというようなことにつきましても、従来においても密接に連絡をとつております。私どもといたしましては、十分に今まで打合せをしている方針に従つて、海上保安庁においてもおやりになつておることだと思つておりますし、またそういうことであろうと考えておるのであります。具体的な問題についての判断は、今も申しましたように非常にむずかしいことで申し上げられませんが、ただここで申し上げられることは、私の方と海上保安庁とは、常に緊密な連絡をとつて十分に事務的な打合せをいたしまして、両々相協力して漁業法の取締りをやつておるということは申し上げられると思うのであります。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 もう時間もないので、簡単に最後の質問をして、私の最後の意見を申し上げたいと思いますが、御答弁はごく簡単でもいいし、聞き流しでもけつこうでありますが、参考人からもちよつと聞きたいことがありますので、簡単に質問をいたしたいと思います。  第一に通知の問題ですが、沈没のために遭難した連中の家族が、その乗組員の安否を心配しておるにかかわらず通知をしてくれない。各警察署にはそれぞれ無電が備えてあるのだから、遭難直後ただちに通知してもらえなかつたものであろうか。八幡浜などでは、旧正月ですからトロールは全部休んでおつたわけです。このトロールだけが一日先に出漁したわけなんです。だから何とか善後処置もできたと思うのです。ところがまず広島へ行つて、それから三津浜へ行つて、三津浜から八幡浜へ言つて来た。それが家族に知らされた。これが夕方になつておる。遭難のときから五時間も六時間も過ぎてからようやく通知があつたということなんです。これが前提となる問題ですが、こういう遭難事故に対して重大関心を払つておられないのではないかという一つの証拠ですが、この問題に関連して、先ほど現行犯だから家族に会わせずに広島へ連れて帰つても当然だという話があつたんですが、現行犯だから法の命ずるところによつて当然でしよう。しかし遭難問題ということと船が沈没して三名も犠牲者が出ておる。ほかにも死にかかつたものもあつたくらいで、一人のごときはかかえ上げられて、人事不省からようやく蘇生したというような人もあつたわけです。そういう重大事件と、この漁業法違反という問題とでは、これも大きな問題でもありましようが、見方によつてはこの事件一つでは、何もそう重大な事件とも思いません。刑事上の問題として、たかだか罰金刑ぐらいな問題なんです。これは法律的な見方ではありませんが、人道的な見方でものの軽重を考えられて、こういう場合においては、まず家族にひと目会わせてやるとか、死んだ人間なんかのことについても、お前たちの主人はこういうふうなことで行方不明になつたが、ひよつとしたら死んだかもしれない、生きているかもしれないというようなことも、家族に対して伝えさせてもらいたい。これは人道上の問題から、ものの軽重を言うのです。法律上は現行犯だから、ひつぱつて行つても違法だとは申し上げません。こういう点についてどういうお考えか。これは御答弁の必要もありません。  それから善後処置の問題でも、今の漁業違反を発見したという場所から網を引揚げられたというのですが、これがまた問題になつております。死体捜査、生存者救助、救難という問題よりも、証拠発見に努力せられた形跡がある。すなわち、潮は南の方に流れておる。だから遭難船はだんだん南に行く。それを元の北の方に行つて、そこらを二、三時間ぐるぐるまわつてやられた。これは救難よりも、検挙第一主義であつたのではないか。これは結局水産庁と海上保安庁との関係になつて来るのですが、産業的な取締りと殺人的な取締りといいますか、検挙第一主義というようなことが生じて来るのではないかという問題が起つて来るのです。それで当業者の要望としては、たとえば取締船も水産庁の専管にしてもらいたいと言つている。水産庁の取締船だと、逃げないのです。洋上であいましても、漁業違反をしているかいないかということをそこで公正に調べて、漁業違反がない場合には、その場で釈放してくれることになつておりますから、水産庁関係の監視船に対しては、絶対逃げないのです。しかし海上保安庁のものに対しては、先ほど言つたように、もう密漁していようがいまいが、結局はそういうような重大な疑いが晴れても、何らかの口実でひつぱられて、それが合理化されるから逃げるのだという習性ができておるという事実があります。すなわち、要望書がここにありますけれども、当業者が要望しておりますのは、この漁業取締りを水産庁の専管にしてくれという要望をしておるわけなんです。海上保安庁の手から水産庁に移してくれと言つておるのですが、こういうことを言つたら、また憎まれて、海上保安庁ですぐしつぺい返しをしないかということを、みな非常に心配しております。しかしそういうことは、お互いに政策上の問題ですから、よく検討して、おそらくそういうしつぺい返しもないと思いますけれども、要するにそれほど、海上保安庁の船に対しては、鬼よりもこわいというような感情を持つておることは、ひとつ御考慮、お含み願いたいと思うのです。  それから、参考人の方からもお話がなかつたようですが、救助された船員は、むらちどりの船内において、むらちどりの船員同士の話の中で、あんな乱暴なかじのとり方はない、だれがかじをとつたか、船長ではない、だれなんだと言つたり、こんな船長は過失致死罪を免れないということを言いあつておつたり、いろいろな動揺をし、あわてておつたというような事実、そういう事実があつたかなかつたか。簡単に、あつたかなかつたかということ、一応その程度のことを質問いたします。

砂本周一海上保安監(海上保安庁警備救難部長)

○砂本説明員 先ほどの水産庁からの御答弁に若干関係がありますし、補足いたしたいのは、これは今回の措置について直接関係はありませんが、八幡浜関係の中型底びき船の違反事例は、かなりたくさんございます。数字もはつきりわかつております。  それから、先ほど松田委員から非常に専門的な知識の深い御質問で、右に曲げることを非常に不審がられましたが、私の御答弁でも、向うのお考えはそんなたくしかねるということを申し上げました。衝突までに至る追跡の状況を、時間の関係で省略いたしましたから、いきなりぶつけたように印象づけられることがどうかと思いますので、簡単に申し上げますと、左に回転して逃げまわつたことが五回でございます。それから右にまわりましたことは、完全右まわりが一回と、半回が一回ございます。そして衝突、これは最後の場合でありますが、ずいぶん複雑なコースをとりましてそういう状態になつたのでございます。  それから衝突予防法の関係も、適用されない場合もあり得るのでございますが、私の方は船のことでございますから、これは完全に守り得るだけは守りまして、事故のないように最善の注意を払つております。  それから救助が先決だということは、その現場におきましてはまさにその通りでございます。ここに非常に正確に時間を書きまして、救助の状況が書いてございますが、完全に船が沈みましたのは十一時十四分でございまして、最後の二名を救助いたしましたのが十一時三十分で、この間一分あるいは五分、長くて十分の間に救助作業を完了したのでございます。現場の状況からいたしまして、もちろんこまかい点をつきますとあつたかもしれませんが、結果が非常にお気の毒で、私どもはこういうことをあまり強調したくないから、私どもの立場をあまり強調しなかつたのでございます。相当敏速にやつてくれたということを考えたいのでございます。今後の救助はまさにその通りでございます。平素の訓練も人命救助というあらゆる機会をつかまえて訓練いたしております。  なお水産庁とどちらが取締るかということにつきましては、私どもの機関が最も適切な取締り機関であるように、今までも努力しておりますし、やはりいいのではないかというふうに、私個人の意見でございますが、そういうふうに思つております。  それから無線関係でございますが、陸と私の方の通信系と異なり、無線の関係もやはり周波数その他の関係もございまして、ただちに利用できない面もございます。しかし必要な連絡はできるだけ早くやるように、今後も気をつけたいと思います。  なくなつた方に対しましても、また御遺族に対しましても、私どもは非常に遺憾に存じておりまして、今後も私どもができます範囲におきましては、最善を尽す考えでございます。

中島栄吉第七住吉丸船主

○中島参考人 今高橋委員からお尋ねがございましたのでお答えいたします。衝突事件が起りましたときでございますが、これは十一時ごろのように船員から聞いております。私の方の組合に松山の保安部から電話がありましたのは、私はほとんど四時近くなつておつたと思つたたのですが、あとで電話局を調べましたら、正確な時間は三時三十五分になつております。それですぐ帰りまして、私はその真偽を疑つたものですから、さらに四時五分に三津の海上保安部を呼び出して、それを確かめたわけであります。それで七人救助された者は一応連れて帰つてもらうのだと思つて、海岸にずいぶんたくさんの人が待ち受けておつたのでございます。六時、七時、八時になつても何の影も見えなかつたものですから、さらに松山の保安部に確かめましたのが八時過ぎでございます。そうしますと、今むらちどりは広島の方に回航中だ、もうすでに斎の沖くらいまで来ているでしようというお話であつた。  これは救助されて宇品に行くまでの船内での船員さん同士の話なのですが、何か上におつた人が下に入つて来られまして、あんなばかなかじのとり方をしてどうするか、だれが持つておつたのだというと、次席か首席かの航海士がにぎつておつたのだ、さらに別な人間が、今度の場合船長も過失致死は免れないだろうというような話をしていましたのをみな聞いております。それから広島の保安部で取調べ中に、むらちどり丸の船員が三人ほど私の方の宮田という船長をこづいたのですが、むらちどりは甲種免状か何か優秀な免状を持つておる船員が何人おるのだ、これを相手にしてお前けんかして勝つ見込みがあるかと言つてこづかれるものですから、船長は少し反抗的な言い方をしておる事実があるのであります。  もう一つ、先ほど海上保安庁の方からお話がありましたが、こちらにおいでになる方は、そういつたこちらからぶつけるなんということは絶対あり得ないことだと信じておいでになるのだと思いますが、事実はそうじやないのであります。大体私の方の組合では、このむらちどりのことをしりをねらう船だと言つておるのであります。現に私の方の船がそういう目にあいます前に、事件として検挙されております辰己丸という船の船尾へぶつけまして、車台やなんかを破損しておる事実もあります。まる三年ほど以前になりますが、それもむらちどりであります。これは船名はちよつとここで申し上げにくいのでありますが、むらちどりの船員に聞けばはつきりその記憶があると思います。これもしりへぶつけて、その反動で船員が一人海へ落ちておるのでありますが、むらちどりの船員がそれを否定しますれば、私は船名を出してはつきりしたいと思いますが、とにかくしりをねらう船だということは、みな私どもの方の業者は言つておるのであります。これだけの事実を申し上げます。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 いろいろ質問したいことがありますけれども、時間がないので結論的な要望だけ申し上げておきますが、要するにいろいろな問題がこういうふうな問題を惹起したと思うのです。何もいくさじやないし、親のかたきでもないのだから、むらちどり丸もそうむやみに船を沈没さして、人を殺すというのが目的でやつておるのじやないと思う。むろん適正な取締りのためにやつておられると思うけれども、しかしいろいろな関係で結局こういうことになつて来るのであります。それはひとり取締りの関係ばかりではなしに、いろいろな面があるのでありますから、根本的に、抜本的にいろいろな難問題を解決した後でなければ、こういう問題も将来起ることがないと保障できないのであります。従つて私はここでこれ以上この問題にはこだわりません。ただいろいろな条件を考究されまして将来抜本的に、根本的にこういう不祥事が再び起らないようにやつてもらいたいと思いますが、現在の条件内でも、いわゆる検挙第一主義よりも産業取締りというような立場から、水産庁ともよく連絡をとられて——緊密な連絡があると言われておりますが、実際文字通り緊密な連絡のもとに、適正な取締りを行つていただきたいと思います。根本的、抜本的の諸問題といいますといろいろありますが、陳情書というふうな形式で、書面を各委員にも配付してありますし、また水産庁、海上保安庁へそれぞれ出すことになつておりまして、出しておるものも一部あります。そういうふうなわけではつきりしておりますから、ここで申し上げませんけれども、第一に先ほど私が申し上げました、漁業取締りを水産庁の専管としてくれという問題、それからいろいろありますけれども、おもなるものは操業区域の変更であります。これらももつと科学的、合理的に、そしてまた現実的に、実情に即して許可された正当の業務をやつておる機船底びき網漁業者がほんとうにやれるようにやつていただきたい、ちよつと角をためればすぐに牛が死んでしまうというふうなやり方でなしに、適正な方法でやつてもらいたい。すなわち禁止区域、操業区域の問題であります。それから操業期間の問題、現在五月から九月までが除外されておりますが、五月と九月とは、いろいろな観点から申しまして操業期間としてもさしつかえないという結論が出ておるように思つております。こういう取締り方針とか諸規則はずつと古い時代につくられたのでありまして、現実には即さない点がたくさんあろうと思います。こういう点もあわせて解決していただきまして、そしてたびたび言うようですが、検挙第一主義じやなしに、産業取締りというふうな面から適正な取締りをやつていただき、さらに現状における個人的な感情とかなんとかいうふうなものが、行き過ぎというような結果に現われないように、不祥事が起らないように、海上保安庁の指導者の方におかれましても、ぜひ御指導願いたいと思うのであります。  最後に、死亡者の遺族に対する見舞金といいますか、そういうものについても御心配願つているそうですけれども、私が説明するまでもなく、死亡者の遺族は非常に困窮者なんでして、悲惨なものです。その点もよく調査されていることと思いますが、長官や何かの話によりますと、大蔵省とも交渉中だそうであります。ぜひその点も御善処くださるようにお願いいたします。いろいろ申し上げたいことがありますが、私の希望を申し上げまして、この程度で質問を終る次第であります。

砂本周一海上保安監(海上保安庁警備救難部長)

○砂本説明員 この問題は、結果に対しまして、先ほど申し上げましたように、非常にお気の毒なのでございますから、海上保安庁といたしましてはできるだけのことをいたしたいと考えます。ただこれを実際において行う場合におきましては、他の関係官庁もございますので、いろいろ当つておりますが、まだその内容について申し上げる事態にはございません。なお今後引続き努力をいたしたいと思います。

田口長治郎自由党

○田口委員長 ただいままでの御論議によりまして、大体本件は過去の事実及び将来いかにするかという二つの問題にわかれると思うのであります。事実の認定の問題につきましては、結局海事審判によつてこれを決定するよりほかに方法はないのでございますが、ただ参考人からお話がありました復讐をされるおそれがあるからというような心配はさらにないということが、委員会においてもはつきりした次第でございますから、正当なる主張は最後までひとつ業者の方でやられてしかるべきだと考えるのであります。将来この種の不祥事件を防止する方法といたしましては、水産庁及び海上保安庁ともによく御研究になりまして、もちろん漁業法に基く漁業取締りは適正にしてもらわなければなりませんが、この取締りが行き過ぎにならないような処置をぜひ研究していただきたいのでございます。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつて御通知申し上げます。  これにて散会いたします。    午後一時五十九分散会

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