水産委員会 第2号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1953/12/11
会議録
○田口委員長 これより会議を開きます。 この際理事の補欠選任についてお諮りいたします。ただいま自由党の理事の一名が欠員となつておりますので、この際補欠選任を行いたいと思いますが、これは先例によりまして、選挙の手続を省略し、委員長においてその補欠を指名いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、小高熹郎君を理事に指名いたします。 —————————————
○田口委員長 次に漁業用燃油に関する件について調査を進めます。最近の漁業用燃油の値上りその他各種の問題について、夏堀委員より発言を求められております。この際これを許します。夏堀源三郎君。
○夏堀委員 石油政策について政府に質疑を行いたいと存じます。ただいま漁業用燃油と委員長が申されましたが、これは漁業と限つたことでなく、国全体の産業上にゆゆしき重大問題が起つておりまするので、きよは各所管大臣の出席を求めて質問したい、こう存じておりましたが、まず事務局の方からいろいろ内容を聞いて、それで結論が得られればよし、もし結論が得られなかつたならば、これに対しては最も近いうらに各所管大臣出席を求めて、この結論を求めたいと存じます。まず最近、漁業はもちろんのこと、各大企業、中小企業の油の不足であること、これが日本の産業にゆゆしき関係を持つて参りましたので、一体この原因はどこにあるか、これについて政府から一応の御説明を承りたいと存じます。
○土屋説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。実は最近におきまして、御存じの通り、非常に石油関係の事情が逼迫しており、特に値上りの傾向というようなものもあるやに私どもも伺つておりまして、非常に憂慮いたしておるのでありますが、実はかようになりました原因は、何といたしましても石油の需要が非常に最近伸びておるということを御参考までにお話しなければならぬと思います。実は一十八年度の需要をことしの三月に想定いたしましたときには、二十八年度の年間需要として七百万キロを想定いたしたのでございますが、上期の実績その他から見まして、さらに需要は伸びるであろうということで「需要改訂をこの下期においていたしたのでございまして、七百万キロのものを八百万キロに改訂いたしまして、実は外貨予算を編成したのでございます。その後重油転換の問題でございますとか、あるいは燈油、軽油の問題で、われわれの予想しておつた以上に需要が伸びておるというふうなことから、多少品薄れの傾向、あるいは思惑的な傾向も出まして 一般に逼迫感を与えているように私は承つております。いずれにいたしましても、産業上、国民生活上必要であります石油の需要というものに対しまして、目下通産省といたしましても、需給計画を検討いたしまして、配給の円滑を期するように、追加予算あ他の点につきまして、具体的な計数をはじいておりますから、どうかさように御了承願いたいと思います。
○夏堀委員 石油の需要計画が、政府は七千七百九十七万トン、こう私は考えております。実際の必要数量は大体九千三百万トン程度ではないだろうか、この間約百五十万トン程度の不足を生ずるではないだろうか、その原因はどこにあるか、これは政策上から申ますると、生産コストを下げるために、各工場が政府の指示によつていわゆる設備の切りかえをした、これが重大な関係を持つておるじやないだろうか、こう私は考えております。そこで漁業関係からいつて、大型船が非常に多くなつた。これも需要が多くなつて来た一つの理由と考えることが至当ではないだろうか、こう考えております。政府はそのようなことを考慮に入れて、この初年度においての割当を決定したのであるかどうか。ただ漫然と、昨年はこうであつたから二十八年度はこの程度でやろうか、というようなことであつたのかどうか。これは局長級以上、大臣からお聞きしたいのでありまするけれども、政府の責任において、生産コストを下げるためにそのような措置を指示したりであるということになれば、それに対する責任上、これに対しての外貨割当は、おのずからその点から発足しなければならない、こう私は考えておりまするが、この点は計画の上において、どういう方法でどの程度考慮に入れたかということをお伺いいたします。
○土屋説明員 下期八百万キロ計画に改訂いたしましたときには、長村水産用の重油につきましては、約八十万キロ程度を見込みまして需要量を算定してございます。お話の通り、業界の需要量の見通しは、九百万キロあるいは九百万キロ以上のものを要望されておるのでございます。この需要量に対しまして、私の方も検討いたしますとともに、日本のただいまの外貨事情その他から見まして、通産省のみならず、大蔵省とも外貨予算の補正について折衝を重ねて、この八百万キロ計画に落ちついたのでありまして、実需を十分まかない得るかどうかということにつきましては、私は最低限度のものは見込んである、かように考えておる次第でございます。
○夏堀委員 まかない得る……。まかなえないということをあなたはさつき言朗された。実際にその通りであつて、特に漁船の面から見て、もうすでに繋船されておる船が出ておる。明日船を出そうとしても油がない。どこの油屋へ行つても、一千円あるいは二千円高く買つてくれなければ困るという。これも全部は出さない。半分くらい、三分の一くらいはどうだろう。しかし出漁するに際して、半分だの三分の一ではむしろ出ない方がいい。こういう実情に追いつめられて来ておるのであります。あなたの方がまかない得るという予想を立てたことは、あるいはそうであるかもしれませんが、結果においてはまかない得なかつた。 そこで外貨の問題、一例を水産にたとえて見ますると、貿易振興ということから、アメリカに対して外貨の獲得に全力を払つておる。その輸出金額は、私の見たところでは三千万ドルに達するであろう。三千万ドルの一割は振興外貨として自由にこれを使えるということになつているそうであります。三百万ドルは決して少い額ではない。国策の線に沿つて三千万ドルの輸出をして、水産業者が挺身している場合に、その迎え水である油を与えない、政府はなぜこれに対する外貨割当をけちけちして惜しんでいるのか。これは非常に矛盾しておる。官僚政治で、すべて官僚の事務的それから発足して、そうして政治面にそれが映らぬうちに生産が停頓するという現状である、こう申し上げてはばからないと存じます。先ほど申し上げた通り、大臣の出席を求めて質問したいのであつたけれども、大臣はおそらく実情を知らぬであろうと思う。知らぬ人に聞いてもいたし方がないから、まずあなたの方から聞いて、大臣が一体どう解釈するか、政治問題として取上げたい、私はこういう意図であるのであります。大蔵省からもお見えになつているようでありますが、大蔵省が外貨の割当を惜しんで、石油の輸入に支障を来したというようなことがあるかどうか、まずこれを御答弁願いたい。
○薗村説明員 大蔵省では、今通産省からお話のように、目下需給計画を検討しておられるそうでありますので、その具体的な計数を拝見した上で、お説の通り需給が逼迫しておりますならば、あり余つた外貨ではございませんけれども、これの需給計画に応ずるだけの予算追加なりの措置を考えたいと思つております。下期の予算について通産省からいただきました八百万キロリットルの計画について、大蔵省で外貨の割当をけちけちしたというようなことはないと思つております。
○夏堀委員 最近、この問題が巷間伝うるところによりますと、外貨がないからそれでこの割当を減ぜられた。あるいは石油と石炭との関係で、石炭の方は経済的にかなり苦しい破目になつておるから、何か政策面でそこに追い込んだという、デマでありましようけれどもそう言つている人がある。それに乗じて石油業者がまずもうけてやろう、こういうようなデマが飛んでおります。一番迷惑するものはいわゆる産業人であり、よつて結果としてそれは国の損、こういうことになります。ただいま通産省の計数が適正なものであつたならば、大蔵省はこれに対して割当を惜しまない、外貨を出しましようというような意味の御答弁に解されたのでありますが、それは当然であろうと思います。私が今申し上げたように、三千万ドルの水産業者の働いた外貨がもう入つておるのだ。それを、なぜ水産業者が使わなければならぬ油の販売を停止する線に追い込んだか。通産省は水産の方はあまり御研究になつておらぬかもしれませんけれども、迎え水さえも切つて、そうして大きく三千万ドルの外貨を獲得することを怠るというようなことがあつたならば、あなた方通産省としての大きな責任問題になり、そしてこれはひいては大臣の責任問題となる、こう私は解釈しております。これは政治であつて、その政治を誤つた方向に持つて行つて、国民の生活、経済、大きく国の産業を妨げるというその通産省あるいは関係所管の大臣が知らずにおるということも責任問題であり、知つてなおこれをやらぬということは、非常により以上の責任問題であるというように私は解釈しておりますので、あなたに今こうした大きな問題を質問したところで、所管大臣の答弁なさるような御答弁は得ることはできないかもしれませんけれども、あなたの常識から考えて、私の言うことは当つているか当つていないか、まずこれを承りたい。
○土屋説明員 御発言の通り私どもといたしましても、この問題については、責任を痛感せざるを得ないと思つております。そのためにも外貨事情あるいは他の燃料資源の問題等をも考えあわせまして、目下需要量の算定の改訂作業を急いでおりますから、さよう御了承願いたいと思います。
○夏堀委員 大体わかりました。そういたしますると、私はこの問題を大きく政治的の問題として、国民の間ではいろいろデマを飛ばしておるものもあるようですが、これはそうじやないだろうと善意に解釈いたします。今の答弁によつて、この計画がまずかつた、これも了解を得たと私は考えておりますが、そう考えてよろしゆうございますか。
○土屋説明員 今までの通産省の需要量の算定が小さかつたかどうかというふうな意味で、まずかつたというふうな御発言であろうかと思いますが、おつしやる通り九月に想定いたしました八百万キロの石油の需要も、冬場に参りまして、渇水も少し早まつたせいもございましようし、今度の需要増加というふうなものから、われわれの予想しておつた以上に需要が伸びておるということは率直に私認めます。
○夏堀委員 前に申し上げましたように、工業設備の切りかえ、それによつて生産コストを下げるというような意味から重油に切りかえたことであつて、その責任は政府の指示によつて、国の産業をかくしなければならぬということに産業界が応じたことであると思います。これを織り込んでおるのかどうか。それを織り込んであつてなお不足であつたのか。ここにいわゆるあなたの計画にずさんな計画があつたのかということなんで、計画がもう一切間違いはなかつたとすれば、今のような事態は起らないはずであります。今のような事態が起きた以上は、いわゆる諸工業との間においてのいろいろな計画上に齟齬を来したということに解釈してよろしいかということを伺つておるのです。その点はどうですか。
○土屋説明員 先ほども申し述べました通り、九月の計画改訂のとき以上に、最近において需要が伸びておるということを認めまして、計画の改訂の件業をただいまいたしております。
○夏堀委員 それはお預りとして、八百万キロで年度内の需要が満たされると考えますのか、それを伺いたい。
○土屋説明員 目下の情勢では、下期改訂の八百万キロを多少上まわるような趨勢にあると考えられます。
○夏堀委員 年度がわり三月までにどれくらい必要であると考えますか、それをお伺いしたい。
○土屋説明員 業界方面の意向によれば、百万キロ前後というふうなお話ですが、この案につきましても目下私の方で検討中でございます。まだ成案を得ておりません。
○夏堀委員 初年度の計画の七百七十九万トン、これは全体の見込み需要が大体九百万トンちよつと上まわるのではないかと私どもは考えております。そこで今八百万トンがそれで不足を生じた場合には、また第二次の修正をした割当をおやりになるかどうか、これをお伺いいたします。
○土屋説明員 ただいま検討いたしております需要量の改訂によりまして、追加予算の必要があるならば、また大蔵省と折衝の上、追加予算の割当をするという段取りになろうかと思います。目下のところまだ決定的にはなつておりません。
○夏堀委員 大蔵省の方にお伺いいたします。外貨割当の予算は、大蔵省が主導権を握つてやるのか、通産省の方の意思表示によつてやるのであるか。これが両方責任のがれをするということであれば、国民ははなはだ迷惑千万なことであるが、この外貨割当の予算は、一体たれが主導権を握つておるのであるか、これをお伺いいたします。
○薗村説明員 外貨予算は、閣僚審議会がきめることになつております。大蔵大臣、通産大臣、農林大臣、運輸大臣、経審長官、これだけの構成メンバーの閣僚審議会できめることになつております。輸入の貨物に関します予算の原案は、通産省の方からいただくことになつております。
○夏堀委員 最高の審議機関は、閣僚審議会でありましようけれども、これに対して国の経済の実情を調査して、その資料を提供するのは通産省であろうと思います。そこで通産省がその資料を閣僚審議会に提出して、閣僚審議会がどの程度にこれを審査するか。お偉い方々はたくさんの会議がありますので、これに重点を置いて慎重に審議するということが、はたしてあるかどうかということもわれわれは憂慮せざるを得ない。やはりその出発点は、通産省が今私が質問申し上げたような、こういう事態に至らない程度において最初から計画を立てなければならない。それを閣僚審議会がまずのむのだということではないか。閣僚審議会において通産省の提出した案に対して、これを大幅に修正するということは、めつたにはないであろう。たまたま国会の委員会なり本会議なりで質問の形で大きく取上げて、初めてこの問題が閣僚審議会で再検討するということになるのであろうと思いますけれども、われわれの知らない間ににずるずると通うてしまつて、国民経済が破滅するということになつたら、一体どうするか。これは結論において、結局政府の責任ということになりましようけれども、私は自由党だからあまり政府攻撃はできませんが、そういう意味において、結論は政府が責任をとらなければならないのであるから、政府の責任という線に持つて行かないように、あなた方がこれに対して万全を期して行かなければならないと思うのです。今まで伺つたところでは万全を期しておらない。結局明白船を出すことができないのだという事態は認めたので、そうすると各工場は停止するという事態になりつつある。このように日本の産業経済がゆゆしき段階に追い込まれつつある場合に、この燃料政策を誤つたならば、取返しのつかぬことができる。よつて、これを、外貨が不足であるからということでは私は納得はできない。先ほど申し上げたように、水産業者だけによつても外貨は三千万ドル入つております。これを燃油に振り向けたならば、おつりはたくさんに出て来るのです。そういうことを知つておるのか知つておらぬのか、知つておつてやらぬとすれば、事務当局の事務のとり方がそういうことによつて誤つたということであつたならば、あなた方はもう少しまじめに、国全体の経済を十分に御調査になつて、そうならない事態に持つて行かなければならない。政治というものは今日ただいまのことを処理することではなく、先のことを処理するのが政治であるので、本年度の初年度において計画した七百七十万キロが九百万キロ以上で、百万キロ以上の不足を生じたということは、勉強が足らぬというか、先ほど言つた産業設備の切りかえの問題を考慮に入れてあつたかどうか、これも研究しましたならば、かなり食い違いがあつたであろうと私は考えます。閣僚審議会によつて云々ということは、いわゆる最高の決定機関であるのであつて、それを完全無欠に、これは非常によろしいからこの程度に持つて行こうという案をつくるのはあなた方である。あなた方の計画が途中において八百万キロに修正されたこと、それはよいことでしよう、政府でも補正予算というものがありますから……。しかしそれでは足らぬ。結論的にいつて九百万キロ以上でなければ、この三月まで通り越すことはできないんだ、これを今私は申し上げておるので、まずそれが納得できるかどうかお伺いしたい。
○土屋説明員 八百万キロの現行改訂計画でよいかどうか、あと百万キロ追加しなければならぬかどうかという点でございますが、この点については先ほど申し述べました通り、目下具体的に数字を検討中でございまして、通産省としてどの程度追加を組もうかということは、まだ確定いたしておりません。それを御了承願いたいと思います。
○夏堀委員 あなたは事務当局としてその程度の答弁しかできないのでしよう。けれども先ほど申し上げたように、先の見通しをつけることが政治であるから、私どもは九百万キロちよつと越えた、あるいは九百三十万キロ程度になると思いますが、これはちよつとやそつと余つても次年度に繰返しすればいいのであつて、それを国内の産業を停止してまでも、外貨の予算的措置及びあなた方の計画をぴたりと収めるということは不可能であろうと私は思う。そのきわになつて漁船及び諸工場が停止するという事態と、若干の繰越しをするという事態と、一体どちらがいいかということは、あなた方常識的に考えてもおわかりになるだろうと、私は考えておる。九百万キロ必要であるということであるならば、特に漁業の生産業者は三千万ドル働いておるのであつて、それを自由になる振興外貨としてどなたでも使つていいのだ、これはお認めになつておるのである。そういうようなことも加味して、油に対しては、特に漁業者としてはその外貨をかせいであるから、これに対して不自由をさせてはならない。不自由をさせて、火を停止させるようなことになつたならば、せつかく働いても迎い水さえもくれないで、漁業者の生産を奪つて、即食糧問題、外貨獲得問題に重大なる影響を及ぼすということをお考えにならなければならない。これはわかり切つたことであります。そういう点がわかつておれば、今あなたのおつしやつたこれから検討しましよう——検討しても足らぬから八百万キロにした。それでも何かしらんそういうような数字、国内需要を満たす程度の九百万キロ、それをあなた方が計上できないといつた場合に、もしそのときになつてこの産業が停頓するということになつたならば、事務当局のペン一本で日本国内は破綻するということもあるいはあり得るかもしれない。あなた方が常識から考えて、私の言うことが無理があるか、あなた方のペン一本はそれほどの貴重なものであるかということを御答弁願うということは、ちよつと皮肉でありますけれども、非常に重大な問題でありますので、ペンの責任であるか、所管大臣の責任であるか、ペンの責任と大臣の政治的責任のその見解を明らかにするためにこの質問をするのであります。お答え願いたい。
○土屋説明員 われわれの行政につきましての態度から推しましても、ペン一本でそのような重大事態を引き起すようなことはすべきでもないし、また私どもかようなことはなかろうと存じております。ただ石油の問題につきましては外貨の問題、それから電気、石炭、石油と、この三つの燃料資源の問題等の総合燃料対策というような見地からの考慮も払われておるようでありますが、実需それ自身は的確に九百万であるか、九百五十万であるか、またこのまま野放図にいたして行けば、業界は間もなく一千万を突破するであろうというようなことも言われてあるのでありますが、そういう問題についてのいろいろの根本の方策は、どうも私から御答弁するよりは、所管の通産大臣にお聞きになつた方がよろしいのじやないかと思います。
○夏堀委員 この問題は非常に大きな責任問題となりますが、八百万キロでは足らぬ、これは決定的として私はここに断定いたしますそれ以上とることがもしできないということであれば、これは私は政治家として、あらゆる面からこれに対して政府を追及いたします。よつてこれに対する見解を明らかにするために、最も近いうちに大蔵大臣、通産大臣等所管大臣の御出席を求めたいと思います。国内の産業を極端に停頓、疲弊せしめるという政治は、あつてはならない。これはおそらく私の意見ばかりではない、野党の諸君も同意見であろうと思います。そういう観点からあなたの答弁は、私は事務当局としてそれ以上の御答弁はできないことを了承いたします。よつて最近もいうちに所管大臣に御出席を求めて、燃料政策に対する見解を明らかにしてもらいたいのであります。これを御注文申し上げて私の質問を打切ります。
○赤路委員 関連質問でごく簡単にお尋ねいたしたい。 ただいまの夏堀委員の質問に関連して二、三点お聞きしてみたいと思います。石油課長の御答弁を承つておつたのですが、二十八年の三月に、七百万キロぐらい需要量は必要だと見た、しかしながらどうしても将来の伸びを考えた場合は八十万キロ必要であると思つた。こういうようなお話であつたように思うわけなんでありますが、現在現実に二十八年度の重油の外貨割当は四百六十万キロであると思いますが、間違いございませんか。
○土屋説明員 二十八年度の三月当初計画は七百万キロでございまして、うち重油は四百十二万キロ、この計画で二十八年度は、すべり出したわけでございます。ところが夏場の不需要期においても、重油その他の油の販売実績を見ますと、一向減退していない。そこで九月に需給計画を改訂いたしまして、八百万キロを作成したわけでございます。八百万キロ計画の中で、重油は四百六十万キロを想定いたしております。
○赤路委員 それじや重油の四百大十万キロというのは間違いないと思います。その中で農林水産関係に五十五万キロの割当がなされておるのでありますが、先ほど来の石油課長の御答弁の中にありましたように、水産関係といたしましては、八十万キロ程度当初の計画に見込まれておつたように思うのですが、現実には五十五万キロしか重油関係で外貨の割当がない、それも間違いございませんか。
○土屋説明員 水産関係に五十万キロ程度しか外貨の割当がないというお話なのですが、実は御案内の通り、石油製品につきましては、配給統制をやつておりませんので、輸入重油についての外貨割当をすると同時に、原油に外貨割当をしておるだけでございまして、石油各社がこれを各方面に販売しておるというのでございますので、水産用として五十万キロ特に外貨をつけてやるということは、ただいまのところございませんが、需要量の想定として、農林水産関係をその程度見込んであるというふうに御了解願いたいと思います。
○赤路委員 どうも今の答弁、ちよつと私ふに落ちないのですが、農林水産関係で五十五万キロ程度見込んでおるというのであつて、外貨の割当は必ずしも五十五万キロ分しておるということではないわけですか。
○土屋説明員 需給計画上の、たとえば電力につきましては、三十二万キロ、鉄鋼八十六万キロ、こういうふうな一応の計画を作成いたしまして、これに基きまして、外貨予算を作成して、その外貨を各社に割当するということになります。需要量の見通しとして約八十万キロ程度を見込んであるのでございまして、特別に電力関係に三十二万キロの外貨を渡すというふうにはなつておらないのであります。
○赤路委員 それでは総体のわくとして外貨割当がなされておるのであつて、その総体のわくの中で需要量に適応するようにその外貨が割当てられて行く、こういうふうに理解してわけでございますか。
○土屋説明員 おつしやる通りです。
○赤路委員 御承知の通り、先ほど来夏堀委員からも言われたように、水産関係といたしましては、漁船が最近大型化されて、遠洋へ出て行くということが非常に多くなつて来ておるので、この重油の消費量は急速度に増加しておるというようなことは、すでに御承知置き願えておると思うわけです。従つて今日重油値上げになつた原因というもの、これが先ほど来石油課長の方からも少し触れられておつたように思うのでありますが、何と申しましても、外貨の割当が少い。そのことによる重油の在庫の枯渇というようなことが大きな原因になつて来ておるのじやないか、かように私は考えるわけですが、一体これはあなたの方の管轄か水産庁長官の管轄かちよつとわかりませんが、農水産関係で、どの程度手持ち在庫と申しますか、常に保有しておる保有量を持つておつたならばよろしいとお考えになつておるか、この点をちよつとお聞きしたいと思います。
○土屋説明員 在庫の問題でございますが、これは石油の種類によりましても、また使う方面の産業別によりましても、いろいろ見方があろうかと思いますが、正常では少くとも一月くらいということを一応考えております。
○赤路委員 水産庁長官にちよつとお尋ねいたします。水産庁長官の方では、これは特に所管事項でございますので、十分おわかりだと思いますが、この漁船用の重油の年間消費と、それからそのために予備として持つていなければならぬ在庫は、大体どの程度あればよいとお考えになるか、ちよつとお聞きしたいと思います。
○清井説明員 お答えいたします。漁船用の燃油につきましては、私どもも常にその需要を満し、その価格の適正であるようにということを願つておるのでありますが、ただいま漁船用全体の需要量の数字につきましては、私手元にはつきりした数字を持つておりませんので、まことに恐縮でありますが、いずれ適当の機会に数字を申し上げたいと思いますけれども、当局といたしましては、常々ただいま申し上げたような、漁船の大型化に伴つて常に需要は増大して参るということを考えておりますので、そういう意味合いにおいて、部内においても協力をいたして、できるだけ漁船用の重油の円滑に配給できるようにということを念願いたしておる次第でございます。
○赤路委員 水産庁長官は的確な資料を今お持ちになつていないということでございますから、これ以上お尋ねいたしません。 先ほど石油課長の御答弁の中に、目下の情勢では、当初計画の八百万キロを上まわると見るというお話があつたと思います。当初計画の八百万キロを上まわるということを石油課長は一応認めておられる。ところがその次の御答弁の中には、夏堀君の質問に答えられまして、第二次の外貨割当といいますか、追加予算の必要があれば、という言葉をお使いになつておるわけなんです。これは私言葉じりをつかまえるわけではございませんが、八百万キロを上まわるということをみずから自認されておるなれば、追加予算の必要があればという言葉は出て来ない。当然必要なんです。従つてこの現在の値上りの状況、あるいはこの油の枯渇状況をお考え願うなれば、当然の処置として、私は外貨の割当をしていただくべきだと思う。もちろんこれにつきましては、大蔵省の資金課の方の御答弁でしたか、関係閣僚会議でこれらのものは決定する——わかるといたしましても、事務当局といたしましては、それだけの措置を当然とつて、これは上司に報告なり要望なりすべきであると思うが、そういう御意思をお持ちになつておるか、この際明確にお答えを願いたいと思います。
○土屋説明員 追加予算の問題でございますが、御案内の通り石油を海外から買つて来る方法は、正規にドルをつけるばかりでなく、バーターあるいはインドネシアのオープン・アカウントとかクレジット、そういう外貨を使わないいろいろの方法、あるいは節約して行く方法も別にあるわけでございます。そういう方面もかたがた目下検討いたしまして、正規の外貨予算をいかほどつけたらよいかということを計算いたしておる次第でございます。
○赤路委員 どうもこれはいつも、どこの官庁にも同じような御答弁を願うわけなんで、目下検討するということが常套語のようになつておるようでございますが、目下検討をされておつたのでは間に合わぬ。先ほど来夏堀委員がやかましく言つておりますように、今が今困つておる。すでにこのことのために出漁できない漁船までも出ておるような状態にある。目下検討をされていつ解決がつくかわからぬようなことでは、これは私は行政官庁として相当責任を負わなければならぬと思う。そういうことでなしに、ほんとうにこの現在の値上り状況による各産業面に対する圧迫を解消するという熱意があるなれば、いろいろの方法はあろうともやりますという言葉が、私は一つほしいんです。当然私はそうだと思う。やるのがほんとうだ。目下検討するでなしに、やりますという言葉を私はいただきたい、こういうことなんです。御答弁をお願いしたい。
○土屋説明員 私の責任においてでき得ることならばやりますという御答弁をいたすほかないのですが、やはりその組織の中のことでございますから、私はやるつもりでおります。
○田口委員長 小高熹郎君。
○小高委員 先ほど来の政府委員との質疑応答中、私は非常に解せないものを感じたのでございます。元来政治が事務を指導する場合もございまするし、また事務が政治に優先するときもなくてはならないのであります。ところが先ほどの夏堀委員並びに赤路委員との質疑応答中、これに対して一つの政治的見識もないし、また事務的識見も有しておらない。その非常な貧困さを嘆かざるを得ないのでございます。政治的に見て陸上用重油が石炭と切りかえられて、どんどん必要量がふえて来た。それによつて当然総体わくが逼迫するのでございますから、これを捨てておけば、何箇月後にはこういう現象が起るということはわかりきつておることである。そういう政治的見解のもとに、今日の事態を惹起しないように、いち早く計画を立てるのが政治的識見である。また事務的には、次々報告される必要量と消費量をにらみ合してそろばんをはじいて、このあんばいで行くならば何箇月後には行き詰まるであろうということがわかるのであるから、これでは困る、今のうちこうしておかないと工場もとまる、船もとまる、とんでもないことになるぞということが一つの意見となつて、これが政治的意見として現われる。これすなわち事務が政治に優先するという言葉に当てはまるでありましよう。かような姿が現在の政府において欠けておるならば、これは政治家の責任でもあるし、また事務家の責任でもあるといわなければなりませんので、これはお互いの責任を私は感じておりまして、その責任を政府にただす前に、われわれもまた一半の責任を感じて、今後これを連帯責任としてどうすればよいか、この結論を出さなければならないと思うのであります。この意味におきまして、水産庁長官は事務的に計算なすつて、今日の事態を惹起するまで何回通産大臣なり大蔵大臣なりとお打合せをなすつて、この事態を未然に防ぐべく外貨獲得に努力なすつたか、その回数と過程をちよつとお聞かせを願いたいのであります。
○清井説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもも漁船の大型化に伴いまして、漁業用の燃料が漸次需要が増大して参るということをずいぶん痛感しておつたのであります。しかしながらこの全体の需要の数量を的確に推定する余裕を実は持ちませんでしたので、漁家一般として需要が増大するということは私ども十分認識いたして、またその面において部内においても折衝いたしておりましたが、具体的に業界からの声を十分聞くひまがなかつたのははなはだ遺憾であります。今後は部内におきましても、十分水産業界の需要の要望にこたえまして、もつて水産界におきます重油の需要増にこたえて、円滑にこの配給をはかるように努力いたしたいと考えておる次第であります。
○小高委員 土屋石油課長にお尋ねいたしますが、あなたの方から、この事実を未然に察知して、主務大臣に向つてこうしなければならないというような意見を出したことはなかつたか、今までのあなたの答弁によりますと、目下立案中の連発でありますが、ここの答弁はそれでよろしゆうございますが、今までの過程において、こういう事態だから何とかしなければならぬということを、主務大臣と相談なすつておる事実があるかどうか、ちよつとお尋ねいたします。
○土屋説明員 石油の需給計画それから外貨予算の問題は、通産省に関する限りすべて大臣のもとで決定されておりますし、特に今回の問題につきましても、通産大臣みずからよくこの間の御事情を御存じであると思います。
○小高委員 それではもうちよつと先日をお尋ねいたしますが、そのとき通産大臣は、あなたの着実なる事務的の見解による必要増及び外貨割当、これらに対する進言に対してどうお答えになつたか、ちよつとそれをお答えを願いたい。
○土屋説明員 石油の問題は先ほども申しました通り、電力、石炭等の燃料関係のいろいろな需給状況にもよりまして、その需要量その他を検討いたすのでありますが、そういう面からの配慮をもちまして最後的に通産大臣がきめられると思います。小高委員 今の通産大臣がまでは聞えましたが、どういう意志表示をなされたかということは、これは明日あたりまた通産大臣にここへ御出席願つて質問するかもしれませんが、それに関連することですから……、あなたの最後の語尾が聞えません。
○土屋説明員 大臣が私にどういうふうなお話をしたかということは、大臣御自身から聞いていただきたいと思います。
○小高委員 私はあなたの事務的の進言に対して、大臣がそれは当然そうしなければならぬとか、あるいはそういうことはもうしばらく考えようじやないかと言つたか、それを聞いておるのであります。大臣のあなたへの答弁を私は聞いておるのでありまして、大臣の意思を聞くくらいなら、大臣に直接聞けるのであります。ですから事務官の言い分にどう大臣が答えたかということなんです。往々にして部内では、議会の答弁なんかはいいかげんにして、この程度にやつておけばいいだろうというような、軽視する癖がありますので、私は、言葉はやわらかいのですが、あなた方の出ようによつてはまたこれから相当質問を継続するかもしれません。そこをはつきりしてください。じようだんを言つては困ります。
○土屋説明員 この石油の需給の問題につきましては、前々から申します通り、通産省として燃料対策ということも考慮いたしまして、非常に重視いたしておるのでございますが、おそらく大臣も需要量の改訂については御賛同せられると思います。先般も新聞で追加の必要はあるかもしれぬというふうなことも言つておられました。なお数字については部内でよく検討してみたいというような話も聞いております。
○小高委員 今の答弁ではすこぶる不満足でして、大臣に、あなたがまじめに報告したならば、大臣がこう言つたという答えが出ているはずであります。新聞等によるところであるがという、そういう答えはきわめてふまじめ、であつて、私は非常に遺憾に思います。しかしこれで押し問答をして時間をとるということもどうかと思いますので、あなたの行動に対して遺憾の意を表して、いずれ大臣出席の際にあらためて結果を承ればいいのでありますから……。現在の工業用あるいは水産用もここに行き詰まつておる、これを連帯責任で解決しようというのであり一ますから、意地悪く重箱のすみをほつて追及しようとしておるのではありませんから、この程度で質問を打切りたいと思います。この事情は大蔵省から明晰な頭悩を持つ谷川さんが御出席されておるので、谷川さんにも質問したいのでありますが、この空気は御了承のことと思いますので、時間の関係もありますから一応とりやめますが、この問題は夏堀委員はまた赤路委員から申される通り、ゆるがせにできない緊急を要する問題でありますので、これはただ単なる質疑応答でなく、結果をどう出すか、現況をどう救うか、ここに結論を置きたいと思いますので、委員長においては、明日関係大臣が出席されるよう努力願いたいことを特に要望いたしまして質問を打切つておきます。
○淡谷委員 関連して。土屋石油課長にちよつとお伺いしたいのですが、この石油の不足は当利からわかつておつた、つまり外貨の関係で不足とわかりつつも当初七百万キロと決定されたのか、あるいはまた実際には計算あるいは見通しの誤りであつたか、その点を伺いたいと思います。外貨の関係かあるいは計画の誤りであつたか、この点でございます。
○土屋説明員 八百万キロの計画が、需要が伸びたためにさらに少くなつておるというような状況だと思います。外貨の事情ももちろんありますが、八百万キロ以上に実需が伸びておるということであると思います。
○淡谷委員 私のお尋ねしたいのは、もつと計画を立てたが、大蔵省との関係でこれ以上立たなかつたのかどうかということです。
○土屋説明員 役所内部のことでございまして、大蔵省に折衝の前に私どもはいろいろ相談をしております。通商局と折衝し、さらにその案を通産省の幹部会できめるというふうな段階を経て大蔵省に提出するようになつております。どちらの原因かということは、今私自身にもわかりかねますから申し上げかねると思いますが、そういういきさつで今回の外貨予算は決定いたしております。
○淡谷委員 今の石油の不足ということは、あらかじめ見通しがついておられるようにも思うのでございますが、特に大きく不足になりました原因は、水産業界の需要増以外に、石炭あるいは電気事情等にもよるということでございましたが、こうような見通しは、二十八年のこの計画樹立当時すでにあつたかどうか、それともまつたく意外な不測の事態であつたかどうかという点を承りたいのであります。
○土屋説明員 通産省として需給計画を決定いたす場合には、石炭の出炭、貯炭の状況等も考慮いたします。また私どもの出します石油の需要の推定量というふうなものを突き合せまして、全般的な燃料エネルギーとして不足分を百万キロとして組んだわけでございますが、その後の状況によりまして、非常に需要が伸びておるということは、私自身も認めざるを得ないと思います。
○淡谷委員 見通しの誤りによつて現実に漁民がたいへんな迷惑を受け、同時にまた国家の利益が著しく阻害されるといつたような現状が来されておるのでごさいますが、このようなことになりますと、あなた方の石油に対する見通し、目下こうしたことに対する対策は検討中だということも再々言われておりますが、この検討につきましても、われわれは虚心坦懐に信用ができかねると思うのであります。その新しい検討も誤りであつた、そして漫然とそれを繰返すならば、今日李承晩ラインにおける外務省の見通しの誤りその他と同じ結果に陥ると思う。その点私は水産庁長官に、今後の対策についてはつきりした見解をお尋ねしたいと思うのでございます。
○清井説明員 先ほどもお答え申し上げたのでありますが、従来におきましても具体的に数字をつかんでおりませんでしたけれども、漁業の実態からいたしまして、漁船の大型化に伴つて所要燃料の需要が増大して参るということは、私どもすでに考えておつたのであります。そして何とかしなければ将来漁業用の燃油の不足が相当起つて来るのではないかということを考えておりまして、農林省部内におきましてもいろいろ官房方面と相談をしておつたのでございます。しかしながら具体的な数字を取上げてどうこうというところまではいたしておらなかつたのであります。今後私どもといたしましては、業界によりまして非常に困つておる事情がありますので、全力を尽して農林省部内はもとより、関係方面とも相談いたしまして、業界の実態に即応いたしまして、円滑に燃油の配給ができるようにして行かなければならぬ、こういうふうに考えております。
○淡谷委員 ただいまのお答えでございますが、将来において解決する見通しというものは、はなはだ抽象的に私は承ります。ただ事態はうしろに火がついておりまして、油の問題だけに火がついてはたいへんでありますから、期限を切れという要求も無理でございましようけれども、いわゆる官僚的な、最も早い——将来ではなく、具体的に困つておる漁民の立場から、一日も早くこの問題の具体的な解決をされるように希望いたしまして、私の質問を打切つておきます。 —————————————
○田口委員長 次に、南米諸国との漁業の問題について審議を進めます。本日の政府委員の出席者は、ただいまの政府側の方のほかに、大蔵省の谷川事務官、外務省欧米局第二課和田説明員、同じく経済局高松説明員であります。 松田委員より発言を求められております。これを許します。松田鐵藏君。
○松田(鐵)委員 外務省、大蔵省、通産省当局に対して、海外移民の問題を私はお聞きしたいと思つておりましたが、きようは大臣でなかつたならば、欧米局長からぜひとも意見を聞きたいと思つておりましたが、非常に残念に思つておりますが、外務省当局はよくひとつ現地の実情を体し、御連絡の上、われわれの考えている点を十分御検討を願いたいと思つております。 まず日本の水産の現況から見るときにおきまして、第一にあげられるのは資本漁業であり、次は中資本漁業であり、次は一般漁民、すなわち漁業協同組合員であり、その次には内水面の漁業がある、この四つの段階にわかれておりますが、日本漁業の一番大きな資本漁業というものは、日本の漁業そのものに対する日本の依存率が大であることから、かく大資本漁業ができ上つたのである。このような大きな漁業会社というものは、世界のいずこの国にもないのであります。しかし、して資本漁業の行くべき道は、私ども水産委員会において、ほとんど毎委員会において論議されておるのでありまして、それは現在四つの会社がある。たとえば大洋漁業、日本水産、それから極洋捕鯨、日魯漁業、こうした代表的な漁業会社がある。われわれの常に論議しておるものは、日本の漁業は、終戦後海外からどんどん帰つて来て、八千五百万人の人口によつて、漁場が狭くなつて行き詰つておる。資本漁業はすべからく沿岸から手を引いてもらいたい、かようにいつも論議をしておる。幸いにして日本水産、極洋捕鯨、日魯漁業においては、完全に沿岸から手を引いておる。大洋漁業だけはそういうわけに参らぬような現状であるけれども、これらの大資本漁業は、南氷洋にまた太平洋に、北洋に、インド洋に、パキスタンに、メキシコに、こうして海外に出て日本の水産というものを海外に発揚しておるのが現状の姿であるのであります。一方中資本漁業は、御承知のように漁船を持つて、そうして漁夫を雇い入れて、日本の漁業のほんとうの中心をなしておる。たとえば北洋の独航船を目ざして進出しておる。またかつお、まぐろにああした成果を上げておる。それからまき網に、機船底びき漁業にと努力を払つておつて、日本の漁業のほんとうの中心をなしておる。これが中資本漁業のあり万でありますが、沿岸との摩擦がややもすればここらに出て来まして、機船底びきとの漁業調整の上において、非常に問題が論議されており、水産庁も今回の北洋の出漁に対して、以東底びきの権利を放棄することによつて、その許可を与えるという方針を立てられ、これらにおいてもわれわれは論議をいたしましたが、しかし、漁業調整上のこうした方針ということは、これはまことに最善の方法でなければならないと私は考えておりましたが、この点に対しても水産庁当局としましては、その地方地方の依存度というものに対して相当留意されて、今後の方針に対しても相当手心を加えていただきたいと私は考えておるのであります。かくして沿岸との調整をすることが一番大事であり、これが日本の漁業の調整に一番手をやいておる点が現在あるのであつて、これらに対するそのはけ口をいずこに向けるかということも留意しなければならないことであろうと思つておるのであります。 次に、沿岸漁業の点でありますが、この沿岸漁業も、かつて法律に定められて、そうして小手繰漁業がかつお、まぐろ漁業に転換をしようとしておるものも幾多ありますけれども、さきに制定された特例法によつて、わずかにかつお、まぐろにおいてはその希望も認められたが、先日の委員会において私が申したように、特例法によつては百トン以上の船はようやく大型の船に新造することができ得るようになつたが、その数というものは限られておる。いわば百トン以上の権利を持つておつた人々は、これは今までの中資本漁業、大資本漁業の持つておつた権利であつて、それももはや満限に達した。しかも大きな船をつくろうとしても、その権利を欠くために非常な高価な代償を払わなければならないというのが現在の姿であつて、これらに対しては水産当局としては、十分考慮を払つて行かなければ、沿岸から沖合、沖合から遠洋にという総理大臣の施政演説も、農林大臣の当委員会において行われた演説も、ただ空文にひとしいようなものになるのではないかと私は考える。これらに対して水産当局も十分留意されて行かなければならぬものと私は考えておるのでありますが、こうした沿岸やまた中資本を持つておる漁業者を、それならばどこにはけ口を持つて行くかということでなければならないだろうと私は考えるのであります。かつて八月二十九日に国会の議決によりまして、私は欧州径由南米に産業の調査のために旅行して参つたものでありまするが、途中は省きますが、たまたまアルゼンチンに参りまして、一箇月の日数でアルゼンチンの産業調査をしたものであります。ただいま問題となつておりまする石油の問題などは、これはその国々の基本産業の原動力である。アルゼンチンに例をとつてみるならば、あそこの国の一年の消費量は四千五百万トンであります。しかして自国において産する産額は、その一割に満たない四百五十万トンであります。国民は一千八百万人であつて、四千五百万トンであつたならば、一人当り約三トンの石油を使つておるという計算になります。かくしてあの国は、日本の明治の建国時代と同様に、今建国の途中にあります。その建国の途中で、ペロン大統領の政策が着々と事現し、具現されておる。その基本産業をまかなつておるものはすべてが重油であります。その重油に対して、かくした豊富な輸入を持つておる。それを見せておる。しかし将来十年間なるならば、むしろ海外に輸出するだけの資源を持つておる。かくしてアルゼンチンの国民は誇りと努力を持つておるのであります。日本の国の燃料の問題も、重油のただいま論議されておる点から、日本産業の基本であるものに対して、当局は十分考慮されて行かなければ、日本産業はとうにもならない段階になるものでないかと考えておるのであります。通産当局においてもまた大蔵省においても、これは一つの例でありまするけれども、十分かくした方法を講じて行かなければならないものでなかろうかと私は他国を見て考えるものであります。 ちようど私どもがアルゼンチンに行きました当時は、大統領が隣りの国に旅行されておりまして不在であつたために、敬意を表することができ得なかつた。よつてあの国の一番南端である南緯五十二度の線まで飛ひまして、しかしてその地方の漁業の実態、また農業の実態の調査にかかりました。漁業の実態においては、アルゼンチン全体として漁船はわずかに二日五十隻よりない。その二百五十隻のうち、トロール船が二十二隻ある。この二十二隻はブエースアイレス市とマルテルブラタという漁港に置かれておる。その次はマルテルプラタというところに二百隻の、四トンか五トンのいわしをとる船がある。あとは漁船らしい漁船というものはない。南方へ行きましたところが七人の漁夫がおる。これはリオカゼコという。そうしましてそこの海というものは大きな川港であるが、その川港に十一月から二月ころまでの間はたらばがにが押し寄せて参りまして、かにがおかに上つてねずみを食うからねこは一匹もいないと称されるほど、北洋と何らかわらざるたらばがにの棲息があります。これはあそこに持つて来ておるからあとでお見せします。そのかにの棲息はコマドリバダヒアという地方まで続いておるようであります。その間は約一千キロの海岸線があります。そのコマドリバタビアというとこうまでが四百五十万トンとれる石油の原産地であります。この辺までがたらばがにの生産地であり、それから北の方ラウソンという付近がえびの生産地であります。これはかつて昔朝鮮のえびがとれたと同様に、一網四トンから五トンも盛漁期になればとれるという非常にえびの豊富な地方であります。そのえびがどうしておるかというと、そのラウソンという所からブエノスアイレスまで一個間に二回えびを輸送する専門の飛行機がある。それに一週間二回ブエノスアイレスまで運ぶだけよりえびをとらないというのが現在の姿であります。そこでそうした調査をした。それからその地方の気候というものは雨は二百ミリより降らぬ。そういうことでありまして非常な乾燥地であるが、あの山脈から流れて来る水をもつて政府は灌漑しておる。その灌漑によつて畑に水をやつておるから、作物でも非常にとれるのであります。りんごの木もあればまたなしの木もあるというような状態であります。かくしてアルゼンチンの国民は、明治建国当時のように、財政はなかなかおもわしくないが、国民自体というものは大きな農場とあの広い国であるがために、ここの経済というものは非常にゆたかである。であるから農業をやつても、その土地を売つた方がいいというような考え方から、非常にその土地を売りたがつておる。その土地はりつぱな土地であります。そこで政庁に行きまして知事と会いまして、日本人にこれを売つてくれないかといつたところが、日本人のような勤勉な、謙譲な国民であつたならば、われわれは双手をあげてこれを歓迎するが、大統領に話してもらいたいという話であつた。そうして私どもは簡単に今述べまするが、そういうようなことで調査を終えてブエノスアイレスに帰りまして、ちようど大統領が帰つておられましたので会見をしたのでありまするが、大使館は、移民問題や資金問題は全然話さぬでくれという注意がありました。そうして十五分間の会見時間をとつてくれましたが、四十五分大統領と話をしたのであります。結果を大体要約いたしまするならば、あそこの憲法は、白人でなければ移民を許可しない国であります。ところが官民こぞつて、日本人は政治に関係していないということ、非常に謙譲である、勤勉であるということ、一万四千円の日本人がおるが、いまだかつて犯罪を犯した者が一人もないということ、これは豊富な資源とゆたかな生活をしておるから、犯罪を犯す必要がないのだ。こういうことから日本人に対して非常な尊敬をしておる。移民問題を話したところが、私が許すから日本の移民は何方でも出してくれないか。しかし国家社会主義の国であるから、その建前からアルゼンチンに定住するということをはつきり示しておりました。そういうことからいつて、日本へあなた方が帰つたならば、来年は幾らよこしてくれるという話でありましたから、私はそのときかけひきして、少し多く言おうと思つて、二千人くらいよこすから頼むと言つたら、もつとよこしてくれないかという話でありました。それからまた道路、動力、港湾などというものは、国が必ずつくつてやるから、日本人のような勤勉な有敢な国民でなかつたならば、あの南の海の開拓などということはでき得ないから、ぜひとも早くよこしていただきたいというのが大統領の話でありました。しかもまた日本から一ペソの金を持つて来るならば、アルゼンチンは一ペソの援助をしようということでありました。かくして非常な交歓と、また小高君がそこで牛をほめたところが、その牛はそれじやあなたにあげましよう、日本の農林省にあげましよう。そうして雄牛二頭と雌牛十頭をわれわれプレゼントとしてもらつて来た。それから牧草の種をもらつて来た。 かくしてわれわれは帰つて参つたのでありますが、帰つて来てから実はいろいろと計画を立てた。しかし私は先ほど申したように、水産庁の現在の漁業調整上の一番困難しておる点は、漁業協同組合の育成強化をはかつておるが、遅々として進まない。しかし調整上のがんは以東底びきで、これをもつて北洋の権利、出漁と切りかえせんことも考えられておる。事実以東底びきの整理というものは、二十八年度から整理の段階に入らなければならない法律ができておつて、それをまだ水産当局は実行に移していない。それは大蔵省のなた割りの予算の削減によつて、遂に水産庁の法律さえも実行に移し得ないのが現在の姿であります。しからばここにおいて以東底びきの整理を金のかからぬ方法でやることは、こうした海外に出る者に対して融資をしてやるとか、または転換の資金を与えてやるとかいう方法によつてやつたならば、日本漁民はこぞつて海外に出ることができ得るであろうと私は考える。私は現在自分で案を立てておることは、まずああした遠い国へ行くならば、どうしても日本におけるような漁夫の生活や漁夫のあんな収入ではいけない。一艘の船は生産組合をつくるべし、そうして漁船が全部固まつて漁業協同組合をつくつて、しかし国内にその生産されたものを売るなどということは考えられないから、これに対して受入れ態勢、冷蔵庫なりカン詰工場をつくつて、しかしてそれは資本家から出資をさせるなとして、協同組合にそのすべての財産を出資させて、そうしてその利益の分配をするような方法を立てて、漁夫であつても十年間には一千万円くらいの貯蓄ができるような態勢が可能であろうという見解を持つたものであります。こうした方法によつて、日本の一番困つておる沿岸漁民を海外に進出させる方法について、水産当局は十分お考えを願いたいと私は考えておるのであります。いずれ具体的な案は水産当局にも、また大蔵省にも外務省にも提出せんと私は考えておりますが、かくして一人でも多く海外に出す。かつてブラジルに三千万円を旅費やその他に使つて行つた移民が、今や二世を合せると四十万もおる。それが年々六十五億なり七十億なりを日本に送金されておるということも聞くし、またブラジルにおける産業組合などというものは世界に冠たる産業組合で、資産が四十億、一年の扱い高が百二十億といわれておる。これは日本人が五千人の組合員をもつてやつておるブラジルの農業の産業組合であります。行き詰まつた日本にお互いがひしめき合つて、馬の目でも抜こうというような考え方を持つておる日本のこの世相だ。海外にわずかの金をもつて出してやつたならば、日本の経済というものはどのようになるかという高度な考え方から、移民というものに対して当局は十分考慮されなければならぬ。私は谷川さんにもこの間ちよつと雑談でその話をした。帰つてから外務省へ行つて、一体移民の予算はどうかと言つたところが、七千五百人を出そうとして十五億を予算に計上しておるがと言うから、あまりにも小さな予算で計画が小さいので、私はびつくりしてしまつた。災害に使つた金が三百億じやないか、これも日本の現実の姿としてやむを得ないんだ。しかし一年にどれだけの災害でどれだけの経費がむだに使われておるかということも考えなければならない。それよりも十万でも二十万でも移民を考えるならば、十年後の日本の財政というものはどういうようになるかということを、ひとつよく考えてもらわなければならないじやないかと思うのであります。イタリーにおいては、三十万ずつふえるものが、十二、一万を移民しておる。それからイギリスはこれまた十万ずつ移民をやつておる。この内容は今村忠助君によく調査をしてくれるように頼んで参りました。かくして日本の経済の基本は日本の産業ではあるけれども、移民というものは決してゆるがせにすることのできないものであると私は考える。まず人口問題、食糧問題はもとよりのこと、あのブラジルの四十万の人間がどれだけ日本のものの輸入を希望しておるか、貿易というものは結局そう行くものであろうと私は考えます。またロスアンゼルスへ参りまして、銀行に金を受取りに行つたところが、支店長は、国会議員であるからというので、非常に喜んで迎えてくれた。支店長の話では、私のところでは日本の二世を二十八人使つておる。これは日本の女性ほど間違いのないものはないと言つて、非常に日本の女性をほめておつた。また私は友人に対して、銀行へ行つたらこうほめられたがと言つたところが、私の会社で今募集をしておるが、日本人は全部一流の会社にとられてしまつて、一人も日本人は当らぬ。今残つておるのはろくなものではない。しかたがないから、外国人を雇い入れるほか方法がないんだ、こういうような話をしておつた。今内地において日本人は、みずから負けたんである、やれ民主主義の何のかんのと、ちややほやがちやちやとやつておるが、少しも日本の国民はプライドを持つていない。一方外国に行きますと、日本の婦人、娘さんなんかは実にりつぱな国民であるというてほめられておる。移民に行つておるがために、その人々の精神も、国内におられるのと大分異なることもあるだろうが、とにかく優秀な国民であるということだけははつきり認識して参りました。まずアメリカは別格官幣大社としても、次に位するものはどこか。イギリス、ドイツ、日本と、あとはイタリーであろうと、各国は日本にとうてい及ばないのであるということだけは私は認識して参つたのです。こういうところから言つても、日本国民はもつとプライドを持たなければならない、そうしてりつぱな考え方を持つて移民をして行かなければならないんじやないかと考える。これに対しては大蔵省も、ただ予算を要求するから、これに対してなた割をするなんというけちな考え方を持たないでもらいたい。外務省などはまつたく消極的である。大使も、どこへ行つてもそうである。だれと会おうとしても、いや三十分、十五分という時間を切る。自由の立場でわれわれに話をさせたならば、どんなことでもでき得る。また現にやつて来たのである。移民に対する予算などというものは外務省はけちけちしないで、幸い谷川さんがここにお見えになつているのであるから、大蔵省にどんどん予算を要求して、一年に五万なり十万なりの移民を出すことを考えなければ、大蔵省は何をしているかということになる。話を聞くと、移民課以外にないというばかばかしい話である。移民局をつくらなかつたらどうなる。きようは外務大臣が来ないから、ばからしくてこんな話も簡単にするのであるが、一体外務大臣は何を考えているか、大蔵大臣も何を考えているかということを私は言いたい。それにしても水産庁長官は、あなたの所管内にある漁民というものをどう考えるかということに対して、十分に研究をすべきことでなかろうかと私は考える。こういう点から、日本の漁業移民、農業移民、これらに対して慎重な態度でもつて、日本の国をどう導いて行くかということを考えて——私はきようは質問するのではない、ただ自分の今まで見て来たことを簡単に申し上げるだけでありますが、よく考慮されまして将来のことを御研究あらんことを希望して私は終ります。
○田口委員長 暫時休憩いたします。 一時半から再開することにいたします。 午後零時四十五分休憩 ————◇————— 午後零時四十五分休憩 〔休憩後は開会に至らなかつた〕