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19回国会衆議院1954/02/01

行政監察特別委員会 第4号

発言数
772
登壇者
19
会派数
4
開催日
1954/02/01

会議録

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 ただいまより会議を開きます。  この際理事並びに小委員会の補欠選任についてお諮りいたします。過日理事山口六郎次君が委員を辞任され、また国有財産管理処分に関する調査小委員は、栗田英男君、山田長司君及び前田榮之助君の委員辞任により、それぞれ欠員を生じておりますので、理事並びに小委員の補欠選任をいたさねばなりませんが、これらにつきましては先例に従いまして委員長において指名いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長は、理事に高木松吉君を、また、中野四郎君、北山愛郎君及び小林進君、以上三君の諸君を国有財産管理処分に関する調査小委員に指名いたします。     —————————————

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 なお、保全経済会等特殊利殖機関に関する件につき、保全経済会等特殊利殖機関に関する調査小委員長田渕光一君より発言を求められておりますので、この際これを許します。保全経済会等特殊利殖機関に関する調査小委員長田渕光一君。

田渕光一自由党

○田渕委員 保全経済会等特殊利殖機関に関する調査小委員会委員長といたしまして、ただいままでの調査の結果を御報告いたします。小委員会は、警視庁、法務省に出向き、また関係者の出頭を求めまして、十二月四日以来調査をいたしたのでありまするが、以下項目をわけて申し上げます。  まず第一に、理事長伊藤斗福の経歴について申し上げます。保全経済会理事長伊藤斗福は、朝鮮人を両親とする朝鮮生れでありまするが、昭和十五年四月九日岩手県岩手郡松尾村第三十二地割七番地伊藤熊の婿養子となり日本国籍を取得しております。保全経済会を創立するまでの同人の経歴につきましては、詳細は不明でありまするが、昭和二十三年日新生命保険相互会社から告訴が提起されている事実があつたのであります。この告訴の要旨は、昭和二十三年三月伊藤斗福は、最近破産宣告をされた勧業経済株式会社社長鈴木春一並びに同社専務河原崎定助等とともに、日新生命に外交員として入社して、同社の京浜特設支社なるものを浅草に設け、保険に入れば保険金の二割を貸すと偽つて保険の勧誘をいたし、集めた掛金を会社に納入しないで、ひそかに貸金業をやり、四月より八月の五箇月間に約二億円の保険募集をして、約一千三十万円の掛金を収受横領したのであります。日新生命は昭和二十三年九月詐欺背任横領事件として東京地検に告訴を提起し、翌年四月東京地裁に民事訴訟を提起しておるのであります。しかるところ、この告訴は、奇怪なことには五年間も東京地検の取調べが長引いて、結局昭和二十七年十二月、時の山室検事のときに、証拠不十分で不起訴となりましたので、会社は最高検に抗告をいたし、ようやく六年目にして昨二十八年の十二月、すなわち昨年の暮れでありますが、抗告を認められておるという状態であります。この事件において注目いたすべきは、(一)、保険の掛金と融資額との差額を新規加入者の掛金で次々とまかなつて行こうとしている点でありまして、このときすでに新しい出資で過去の出資の配当を行う保全会のいわゆる自転車ペダル操業の仕組みが考えられております。(二)、は、この事件に関係した一味がその後大部分保全会と同種の利殖機関に関係している点。(三)、昭和二十三年は伊藤がすでに小岩町において保全経済会を創設している点。(四)、伊藤の自著と称する「私はこう考える」なる著書には、他に保険会社の外交員をしていたということは書いてあるのでありますが、この日新生命に関することは何ら触れていないという点が一つの問題であります。  第二、休業当時における資産の状況につきまして、昭和二十八年十月二十四日、伊藤は三箇月の期間を限つて休業を宣言いたしましたが、十一月五日、現有財産目録なるものを最高裁判所長官、大蔵大臣、衆参両院議長、国警長官及び警視総監に提出し、また十一月二十二日、「全国出資者の皆様へ謹んで御報告申し上げます」と題する文書を発表しております。この文書におきましては、(イ)、本会の経営内容として、「出資者十五万、出資金額四十四億九千五百万円、現有資産約三十五億、事業証券並びに不動産投資」と、資産内容を著しく誇大に報告しておりましたが、その後本委員会でこの財産目録について実地調査を進めましたためか、十二月二十五日には、さきに財産目録においては土地建物造作等の関係は二十七億三千万円を計上していたものを、「本会所有の不動産は昭和二十八年十月二十四日現在において、実価格十八億六千百三十二万一千円である」と訂正し、不動産評価益の基礎を裏づける不動産資料なるものを発表しております。  本委員会は、昭和二十六年以降の貸借対照表、損益計算書等の提出を求めたのでありますが、それによりますと、この不動産取得価格は八億二千二十五万七百七十九円となつております。なお、保全経済会出資者擁護連盟が、昭和二十八年十二月十六日仮処分決定によつて調査した際の現金出納帳じりは千四百万六千円でありましたが、そのとき実際の金庫の中の現金はわずかに二万七千九百円であつたので、この差額一千三百九十七万八千百円につき同会出納課員に説明を求めましたところ、次の通りであつた由であり、その後本委員会においても出納課長より事実なる旨の証言を得ました。すなわち、その内訳は、理事長渡し未記入一千万円、理事部長渡し未記入二十二万五千円、廣川弘禪渡し未記入三百万円、新夕刊渡し四十万円、新夕刊社長謝礼三十万円となつております。また本委員会の調査した十二月末現在銀行預金残高はわずかに六万円でありました。  前述いたしましたうちの十一月五日発表の財産目録には有価証券明細並びに不動産の明細が添付されておりましたので、本委員会はまず不動産につきましては架空の記載がないか、また買得価格との間に著しい水増しの事実がないか等を究明するため、その一部につき実地調査を行いましだところ、架空記載の事実は認められませんでしたが、買得価格との間にはいずれも著しい水増しの事実を認めたのであります。その最も著しい例といたしましては、三重県飯南郡森村字蓮所在の山林百六十八町歩であります。これは昭和二十七年十二月三十日三千百万円で買つたことになつておりまするが、七億一千百四十八万円として計上されておつたのであります。わずかに三千百万円で買つたものを七億一千百四十八万円と水増し計上いたしております。もつとも、これは、その後十二月二十五日発表の資料におきましては、この評価益を改めて買取り当時の三千百万円と訂正いたしております。これは、本委員会の調査中に、この七億一千万円は非常な厖大な水増しをしておるというようなことが擁護連盟の方で調査いたしましたために資料が漏れまして、こういうような秘密事項が漏れたため、この価格七億一千百四十八万円を三千百万円に訂正して来たものと思うのであります。なお、この山林につきましては、買得価格と帳簿記載価格との間の差金その他につきましてはなはだ疑問の点がありまするので、引続き調査を進め、内藤調査員を派遣いたしておりましたが、今朝帰つて参りましたので、本報告には間に合わなかつたのであります。  また、有価証券明細は、日本テレビ、川南工業株を除き、他の二十種はいずれも非上場株でありまして、保全会の金額または一部出資の会社でありますが、これについてはあとで申し述べます。  次に、本年に入つて伊藤理事長の了解の上に総勘定元帳その他の帳簿の提出を求め、調査を行つたのでありますが、本会経理の特色といたしましては、(一)、建物その他什器備品等に対し減価償却が全然行われていないばかりでなく、(二)、理事長の仮払いが多いことでありまして、一千万円くらいの金額が随時理事長へ仮払いされているのであります。九月三十日現在の貸借対照表に掲げられた仮払金二億五千七百五万余円につきましては、その内訳明細の提出を求めたのでありますが、そのうち疑問とすべきものは、新夕刊新聞社に六千二十五万円、日本和紡株式会社、これは仏教保全経済会の大谷氏経営の会社であります。この日本和紡株式会社に二千万円、不二林業株式会社に七百八十万円、中外日報社に三百十七万九千八百九十七円、入丸証券株式会社に二千三百六十九万五千円、理事長に千五百八十三万円、大谷会長に五百万円、後藤氏に五百万円、小柳氏に二千万円、井上氏に六十八万円、保全経済研究所に三十万円、お中元五十三万円、松下氏に二百十五万四千四百円、これは弁護士であります。これらにつきましては引続き調査中であります。  第三、過去約三年半の損益状況について申し上げます。昭和二十五年四月以降二十八年九月三十日までの間における損益計算書に現わされた各期の損失状況は左記の通りで、一回といえども利益のあつたことはないのであります。すなわち、昭和二十五年十二月三十一日現在五千二百九十六万一千百十四円の欠損であります。昭和二十六年十一月三十日現在三億一千一百九十一万一千五百十一円、昭和二十七年五月三十一日現在三億六千六百五十三万七千一百四十七円、昭和二十七年九月三十日現在二億九千八百八十万六千九百七十三円、これは二十七年の五月と九月に決算になつております。かようなわけで、昭和二十七年度は六億何千万円の欠損であります。昭和二十八年三月三十一日現在六億五百八万三千八十三円、昭和二十八年九月三十日現在七億九千二百三十六万二百九十円でありまして、この損失合計は二十四億二千七百六十六万百二十二円の多きに上るのであります。  この事実は、利益がないのに配当をしていたというばかりでなく、新規出資者の資金を次々に配当にまわす、いわゆる自転車操業の内容を暴露したものでありまして、誇大な広告宣伝、知名士の名を連ねて出資者の獲得に狂奔しなければ早晩休業のやむなきに立ち至つていたことを証明するものであります。しかも、伊藤理事長は毎期この実情を十分承知しておつたことが判明しているのであります。  第四、いわゆる出資会社の状況について申し述べます。保全経済会は出資金の運用の方途として、証券投資、不動産取得を中心としましたが、これと並んで、いわゆる出資会社として約二十社につき株式の全部あるいは一部を取得しており、その評価額三億九千万円と称しております。これら諸会社については目下実態調査を行つておりますが、現在までに調査したところでも、解散ないし解散同様の状況にあるものが五社に及び、その他の十五社も利益計上をしているものは一つもないのであります。ほとんどボロ会社であります。従つて、この評価額は不当なるものと言わざるを得ないのでありますが、それよりもむしろ出資そのものが零細資金の集積による資金の適正な運用と認めがたいものが多いことに注目さるべきであろうと存じます。  これらの出資は、一、知名士の紹介による政策的なもの、二、幼稚な伊藤の経済的野望を満足せしむるような内容のもの、三、保全会の宣伝に一役を負わせる新聞等に向けられておりまして、真に事業経営の純正な立場における出資と認められるものはきわめて少いのであります。なお、仮払い中のものといたしまして、南方通商株式会社、日蘇貿易株式会社等の支出がありますが、これらは真に事業遂行のためのものであつたかいなかも不明なものでありまして、目下調査中であります。  第五、仏教保全経済会について申し上げます。仏教保全経済会は、昭和二十六年四月、当時保全の滋賀県長浜支店長であり、現在同会理事、中外日報社専務の疋田桂一郎が大谷瑩潤、大谷照乗氏等と話し合つてできたもので、保全経済会のピンチを救つたものと言われております。保全経済会との契約がいかになつているかは重大な点でありまして、詳細は目下調査中であります。現在までに二億円を集め、保全会からは仏保事務費として約一千万円が支出されております。別に、大谷瑩潤氏に対しましても各種の機会に支出が行われており、また大谷氏のあつせんにより大谷氏の次男坊大谷武氏の重役をしております日本和紡株式会社に五百万円の出資が行われ、また長浜所在の山林を保全会が買収している等の事実がありまして、大谷瑩潤氏と保全会との関係は相当深いものがあると認められたものであります。  第六、顧問並びに政治家等との関係について申し述べます。保全経済会の顧問としては、衆議院議員平野力三、経済学博士松本信次、衆議院議員早稻田柳右エ門氏の三氏のほか、元厚生次官武井群嗣氏し一時名を連ねておりました。これら諸氏に対し帳簿上支出せられた顧問料は、平野力三氏に対しましては二十六年十一月二日に二十万円二十六年十一月十七日に三十万円、二十六年十二月一日に二十五万円、二十六年十二月二十四日に二十五万円、二十七年一月三十日に二十五万円、二十七年二月八日に十五万円、二十七年四月二十五日は十八万円、二十七年五月二十四日に十五万円、二十七年六月二十四日に三十万円、二十七年七月八日に三十万円、二十七年七月二十五日に三十万円、これで二十六年に百万円、二十七年に百六十三万円。二十八年三月七日に五万円、二十八年三月三十一月に十五万円、二十八年四月二十五日に五万円、二十八年五月二十七日に五万円、二十八年六月二十五日に五万円、二十八年七月二十五日に五万円、二十八年八月二十五日に五万円、二十八年九月二十六日に五万円、そして最後が休業宣言をいたしました二十八年十月二十四日に五万円を渡しておるのであります。松本信次顧問に対しましては、二十六年九月十二日に四万円、二十六年十月一日に十万円、二十六年十一月十九日に五万円、二十六年十二月十八日に十万円、二十七年一月十九日に五万円、二十七年二月二十日に五万円、二十七年三月二十二日に十万円、二十七年五月六日に十万円、二十七年五月二十四日に五万円、二十七年六月十二日に十万円、二十七年八月二十五日に十万円、二十七年九月四日に十万円、二十八年三月七日に二十万円、二十八年六月二十七日に五万円、二十八年七月二十五日に五万円、二十八年八月十四日に五万円、二十八年九月十五日に五万円、二十八年十月十四日に五万円、計百三十九万円であります早稻田柳右エ門氏に対しましては、二十六年十一月二日に三十五万円、二十七年四月二十四日に四十万円、二十七年九月一日に四十万円、計百十五万円であります。武井群嗣氏に対しましては、二十七年四月二十五日に五十万円、二十七年九月三日に二十万円、二十七年九月二十四日に二十万円、計九十万円でありまして、このほかに歳暮あるいは中元の名のもとにしばしば支出がされております。また多少の会食費が支出されております。なお、平野力三氏は、右のほか、保全会の所有物である港区芝西久保明舟町所在鉄筋コンクリート三階建建物を使用しており、二十七年四月及び五月に計八十一万九百五十円の什器備品費が会館用として保全会から支出されておるのであります。  これらの顧問のほか、政界人にして保全会の帳簿上その他に現われた者は、参議院議員大谷瑩潤君、元衆議院議員駒井重次君、衆議院議員山口六郎次君、衆議院議員福田篤泰君、元衆議院議員頼母木眞六君、前衆議院議員廣川弘禪君の諸氏でありますが、帳簿上におきましては巷間伝えられるような広汎かつ多額の金は支出されておらないのであります。  政党への献金としては、自由党へ昭和二十七年二月十九日に二百万円、改進党へ大会協力金として昭和二十七年十二月二十七日に二十万円支出されております。自由党からは政治資金規制法により昭和二十七年五月十七日届出られております。このほか、二、三の社会運動団体へも支出されておりますが、注目されるものといたしましては、二十八年九月二十一日の殉国青年隊賛助金十万円の支出くらいであります。  また、保全会には弁護士として原秀男、松下孝徳、これに元検事と言つておりますが、これらが関係していますが、松下弁護士に対しましては、二十八年九月二十一日に百三十万円、翌二十二日に百五十万円の支出がなされております。  参議院議員井野碩哉氏並びに横川信夫氏は保全の出資会社不二林業株式会社の設立発起人に名を連ねたもので、これは同社社長小柳善治の個人的関係によるものか、あるいはまた保全会または伊藤斗福との直接関係はどうかを調査いたしておるのであります。  三浦義一氏、兒玉誉志夫氏は、新夕刊社長山崎一芳氏を通じ、あるいは元保全会経理部長兼理事長室望月京一氏を通じ、保全会と何らかの関係あるものと推測せられるので、これも目下調査中であります。  以上は帳簿記載等具体的裏付のある範囲のものであつて、直接伊藤斗福氏の供述によるものではありませんから、必ずしも全部を網羅していると断定できぬことはもちろんであります。  第七、新聞、雑誌等との関係について申し上げます。保全会の運営のためには、次々に新規の出資者の勧誘を必要とするものでありますから、知名人の顧問看板とともに誇大なる広告宣伝を必要とし、従つて二十五年四月二十五日より二十八年九月三十日までの間に三億六百六十二万余円という莫大な広告宣伝費を支出しておるのであります。この莫大な広告宣伝費の昭和二十八年一月より十月までのおもなる支出先は左の通りであります。毎日広告社に二百三十五万九千八百六十五円、朝日通信社に六十九万四千二百六十四円、東弘通信社に三百八十万二千八十八円、東和通信社に百六十六万八千四百三十円、青山通信社に六十万三千百円、東陽社に二百三十七万二千二百五十円、産業経済新聞社に五百一万五千二百十円、新夕刊社に二十七万五千四百円、社会タイムス社に五十一万五千円、婦人タイムス社に四十万七千三百七十五円、公安文化協会に二十五万四千八百円、三幸社に三百九十八万六千円、産業通信社に二十七万円、日東通信社に二千七百五十五万九千八百四十二円、日本電報通信社に二千三百三十四万八千四百六十四円、日本通信社ラジオ放送に四千十万三千円、電通ラジオ及びテレビに六百一万四千五百二十七円、この合計、十箇月間で一億一千九百二十四万九千六百十五円という次第であります。以上のような厖大なる広告宣伝費の支出は、勢いその間にボスの暗躍が行われ、支出が政策的に流れ、言論報道の真実が歪曲されたことはいなめないのであります。  言論人で保全会に関係の深いと認められる者には、電報通信社木原通雄、産業経済新聞社社長前田久吉、新夕刊社山崎一芳、中外日報社真溪涙骨の諸氏がありますが、特に新夕刊社は、その資本金二千万円中、千七百万円が保全会出資であるばかりでなく、前述のように六千二十五万円の仮払金が支出されており、山崎一芳氏個人にも二十七年六月十二日及び八月二十五日に各百万円支出されております。また、下村亮一氏の社長である雑誌経済往来は、保全会に関する掲載記事の関係号を一回千部購入されているほか、二十八年八月及び九月、委任研究費の名目のもとに計八十万円受領しております。また警視庁記者クラブに対し、ときどき三万円程度の寄付が行われております点は、元内相警視総監安部源基氏の会長となつている公安文協協会に対する寄付金とともに、注目せねばならぬところと存じます。  なお、本小委員会は、関係機関の取調べ及び取締り状況についても引続き調査を行つておりますが、以上をもちまして大略今回の中間報告を申し上げる次第であります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 以上をもちまして、保全経済会等特殊利殖機関に関する調査小委員会の調査経過報告は終了いたしました。  この際委員長より一言申し上げます、ただいま田渕小委員長の調査経過報告を伺つたのでありますが、本件の調査にあたりましては、小委員長初め小委員の各位におかれましては、終始きわめて御熱心に、複雑にしてしかも多難な調査を進められ、本委員会の権威をいやが上にも高められた点、深く敬意と感謝の意を表する次第であります。     —————————————

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 この際お諮りいたします。保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきましては、理事諸君とも協議の結果、本委員会において証人を喚問し調査を進めることに意見の一致を見ましたので、本日保全経済会顧問松本信次君、保全経済会顧問衆議院議員早稻田柳右エ門君、保全経済会顧問衆議院議員平野力三君、明二月二日、仏教保全経済会会長参議院議員大谷瑩潤君、元衆議院議員駒井重次君、前衆議院議員廣川弘禪君、以上六名の諸君に証言を求めるため、それぞれ本委員会に出頭を求める手続をいたしておいたのでありまするが、以上六名の諸君を本委員会の証人として決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 御異議なしと認めます。よつて証人として決定いたしました。  なお、証人の出頭期日等に変更を生じました場合の措置につきましては委員長に御一任願います。     —————————————

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 これより保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきまして調査を進めます。ただちに証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになつておられる方は松本信次さんですね。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 そうです。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 あらかじめ文書をもつて御承知の通り、本日正式に証人として決定いたしましたから、さよう御了承願います。  これより保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきまして証言を求めたいと存じますが、この際証人に申し上げます。保全経済会は全国に二百箇所以上の店舗を有し、出資総額約四十五億、加入者は約十五万に達する特異な利殖機関でありまして、従来その業務の運営につきましてはとかくの風評があつたのでありまするが、昨年十月二十四日突如として全国一斉に臨時休業に入つたのであります。この休業に立ち至つた事情につきましては世上幾多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方、これら類似の特殊利殖機関の累増を見た今日、これら特殊利殖機関の業務運営の実態を明らかにし、かつこれら特殊利殖機関に対する関係官庁の監督の当否について調査を進めますることは、国の行政が適正にしてかつ能率的に行われているかどうかを監察し、もつて立法その他国政の審議に資するため行政の運営上障害となつている各般の事情を総合的に調査しかつその責任を調査する本委員会の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本委員会は本件の調査をいたすことになつた次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。  それでは、ただいまより保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきまして証言を求めることになりまするが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読をしてください。     〔証人松本信次君朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それでは宣誓書に署名捺印を願います。     〔証人宣誓書に署名捺印〕

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求めて、各委員から証言を求めることになりますから、さよう御了承ください。なお、こちらから質問をしておりまするときはおかけになつておりましてもよろしゆうございますが、お答えの際には御起立をお願いいたします。  まず、松本君の略歴について簡単にお述べを願います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 どの程度に申し上げますか。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 学校を出られてから今日に至るまでのことを、簡単でけつこうですが……。それから国も言つてください。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 本籍は東京都渋谷区代々木大山町一〇六七番地。現住所もそうです。大正十一年に第一高等学校文科乙類に入りまして、大正十四年に東京帝国大学経済学部に入り、昭和三年三月東京帝国大学経済学部経済学科を卒業、同時に大学院に入りまして取引所論を専攻、昭和三年三月法政大学助教授、昭和五年から昭和十年までドイツへ留学しまして、ベルリンの工科大学を卒業しまして、昭和十五年に経済学博士になりました。以来法政大学教授、東京帝国大学講師、上智大学講師、日本大学講師、立教大学講師等を歴任しまして、その間に東京株式取引所の顧問とか、日本証券取引所の顧問をいたしました。終戦のときにその職をやめまして、日本ステンレス株式会社の顧問になりました。そういうのを全部申し上げますか。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 おもなるものでけつこうです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 現在は東洋大学の経済学部教授、日本ステンレス株式会社の顧問であります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 たとえば証券取引審議会とか、公取委員会というものがありますが、そういう委員会の委員というか、公職におつきになつたことはありませんか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 なつたことはありません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 松本君は保全経済会の伊藤斗福、この方とはどういう御関係にありますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 大分古い話でありますけれども、昭和二十六年の夏ごろに、私が書物を出版しました本屋の紹介で、私に保全経済会の顧問になつてくれぬかということを手紙で依頼して参りました。それ以来の関係です。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 何年ごろですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 昭和二十六年の夏ごろだと思います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そうしますと、証人が保全経済会の顧問に就任したのはいつになりますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 はつきり覚えておりませんけれども、昭和二十六年の八月か九月だと思います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 はつきり覚えていないとおつしやいますが、やはり辞令みたいなものは出るのでしよう。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 全然もらつておりません。手紙で依頼を受けて、口頭で承知したのです。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 顧問というのはどういう仕事をなさるのです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 実は、私は普通の顧問と違いまして、調査研究を委嘱された顧問なのです。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そうすると、松本君の顧問として活躍された部面は調査研究だけでございますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それだけであります。しかも、その調査研究も、実は保全経済会のための調査研究はあまりいたしておりません。つまり、保全経済会が何か投資銀行か何かに転換するというものでありますから、外国の投資銀行制度の調査研究を委嘱されておつたのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 調査研究のお仕事だけに限定されたとおつしやいますが、その面についてお知りになつている点をひとつお述べ願いたいと思います。今の投資銀行の面でもけつこうですし、二十六年の八月からどういうお仕事をなさつて来たか……。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ただ、お断り申し上げたいのですけれども、私は元来そういうことを研究しておるのでありまして、これが、保全経済会から頼まれた調査研究と自分の専門の調査と、ちよつと区別がつきにくいのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 顧問としておやりになつた範囲だけの調査研究のことをお答えを願います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 大体アメリカの投資銀行というのはどういうものだということを調査研究いたしました。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それだけですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それに関連しましてアメリカの投資信託のことを研究しております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そういつたことを研究されたことは、どういう形で保全経済会の方にお出しになつておられたのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 実は、その報告書を全然出しておりません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それでは、顧問として自分の研究だけやつたというのですね。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 そうです。ただ、こういうことはあります。ときどき秘書が参りまして、アメリカの投資銀行はどうなつておるというようなことを聞くのであります。そのときには口頭で説明しております。それから、いま一つは、ごく最初の時期に、伊藤君が二、三度私の家に参りまして、私の話を聞きましてノートにとつて行つた事実はあります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 特別な関係で顧問に就任され、しかも二十六年八月から今日までというと相当ありますが、顧問としておやりになつたことはそれだけというのはちよつと解せないのです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 もう少しありますよ。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それを、お隠しにならないで全部お話を願いたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 たとえば、あすこの支店長会議あたりで講演を頼まれてやつたことがたしか二度くらいあります。それから、保全経済会の支店が落成したようなときに招待を受けたことはあります。これはもちろん顧問の資格ですけれども、調査研究とは関係ないことであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 この点についてはまた委員の諸君からもお聞きになるでしようから、次に進んで行きます。しからば、松本証人は顧問として長い間やつておられますが、保全経済会が前に莫大な欠損を続けていたという事実は御承知ですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 全然存じておりません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 どうもその点が私には割切れないのですが、ほんとうに御存じございませんか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ほんとうに知りません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 もし御承知ないとするならば、参考までにお聞かせいたしますが、概数で申し上げますれば、昭和二十五年十二月末日現在で五千二百九十六万、二十六年十一月末で三億一千百九十万、同二十七年の五月末日現在で三億六千六百五十三万、同二十七年九月末日で二億九千八百八十万、同二十八年三月末日現在で六億五百八万、同二十八年九月末日七億九千二百三十六万、これらの損失合計二十四億二千七百六十六万百二十円という額になつております。それで一期といえども利益のあつたことはありません。証人は以上のような事実は御存じないとおつしやつていますが、何に原因してこういうことになつたというふうにお考えになりますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 その事実は実際私知らなかつたのです。というのは、全然そういうふうなことを私に報告もしてくれないし、また私が報告を求めない。今の御質問についてちよつと伺いたいのですが、どういうわけでそういうような損失が出たかという御質問でございますか。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 あなたは顧問として、一期といえども利益のあつたことがなかつたのは、どういうことに原因してこういうことになつたかということをお聞きしているのです。報告も聞いていない、何も知らない、知らぬ存ぜぬの一点張りではお答えにならないでしよう。いやしくも顧問として相当の顧問料もいただいているのでしよう。保全経済会を足場にしてまさか金だけもらつているというわけじやないと思います。顧問として就任して報酬をもらつているからには、そのお仕事もなされなければならぬはずですから、何も知らないということは私は解せないのです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 初めから申し上げますけれども、顧問に就任する際に、そういうふうな調査研究の委嘱は受けるけれども、全然内容にはタツチしない、こういう約束でなつておるのです。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 実体には何らタツチしないという約束ということですが、何かその一札でもとつてありますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 一札はとつてありませんが、私は口頭で申しました。私の職業としましては当然のことでありまして、いろいろな会社の調査を頼まれることがしよつちゆうでありますが、そのときは、会社の内容というものは全然調べないということが習慣になつております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それに間違いございませんね。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 全然間違いございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 最初にあなたは宣誓されているのですから……。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 間違いございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 ごまかそうと思つてもできないのですから……。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 そんなことは絶対ございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 調査研究だけということに先ほどから限定しておりますが、少くとも証人は経済学博士です。この称号を持たれているのでありますが、保全経済会の行つた証券の取引について関係せられ、また参考意見を述べられたことはございますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 はつきりお答えいたします。一ぺんもございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 一度もない……。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 一度もございません。特にどの株を買うか、この株を買うかということの相談はもちろんのこと、今株を買うのがいい時期か悪い時期かということの相談も受けたことはございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 保全経済会の営業案内書、これもあなたはお読みにならないとおつしやるかもしれませんが、こういうことが書いてあります。精密な統計調査——おそらくこれはあなたの分担されている仕事でしようが、精密な統計調査と専門家の管理により最も安全確実な株式操作方法に基いて資産の利殖を行つております、こういうふうなパンフレツトみたいな案内書が出ております。これは御存じでしよう。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 その営業案内書は見たことはありません。休業後知りました。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そういうものを書いて出資の勧誘をやつたことはあなたも御存じでしよう。そういうように何か国民が飛びつくようなものを書いて出資の勧誘をやつたということはわれわれ部外者にもわかつております。証人は顧問として、こういう事実をやはり全然御存じなかつたのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それは全然知りませんでした。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 お知りになつたのは休業後なんですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 そうです。休業後私はあそこの幹部や出資者の人に会いまして、そういうパンフレツトのあることを知りましたし、そういうふうなうわさが立つていることも知りました。また特に私に会いに来る人がそういう誤解をせられる方が非常に多いのであります。ちよつとお断りしておきたいのでありますが、私は取引所の制度とか銀行制度の専門家ですけれども、株を売買する方の専門家でありませんから、その点、はつきりお答え申し上げておきたいと思います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 専門家でなくても、経済学博士というのは学がわれわれよりあるのですし、われわれしろうとでも知つていることを……。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それはたいへんな誤解です。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 経済学博士というものはそういうものでございますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 経済学博士というものは学者でございます。実際家ではありません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それでは次へ行きましよう。保全経済会が何一つ生産事業というものを営んでない。単に証券の売買と不動産への投資で毎月莫大な配当金を出して経営が成り立つものであるとお考えになりますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 これは、時期によりまして、非常に株式の上りつつあるときと、不動産の価格の上りつつあるときでありますれば、不動産の投資あるいは株式の投資だけで十分に利益があげられるはずだと私は思つております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 保全経済会の立法化運動ということで、いろいろの問題を巻き起していますが、その立法化運動についていろいろなことが行われたという事実は御存じですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 あとで知りましたけれども、当時は知りません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 あとでというのは時期的にいつごろでございますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 休業後でございます。こういうことがございますから、これははつきり申し上げます。たとえば、私のところに毎月報酬を届けに来るそのときに、断片的に、今こういうことを向うがしている、立法化をだれだれに依頼しているということは聞いたことがございますけれども、私が相談を受けたことは実は一ぺんしかございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 いつごろですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ちよつと記憶はあいまいでございますけれども、一度保全経済会の方で投資銀行仮法案と称するパンフレツト——パンフレツトでもないけれども、そういうふうな法案の草稿みたいなものをつくりまして、私に見てくれということを言つて来たことがあります。私、ちよつと読みまして、少し内容が私の考えているのとは違つて愚劣きわまるものであるので、それつきりにしておきました。それから、それをまた来てくれというわけで、ある場所に呼ばれまして、その場所でまた説明を求められた。そのときにもまた、初めからそういう考えでありましたから、全然問題にしないで帰つて来ました。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 その投資銀行法案について立案されたのは保全経済会のどなたですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私の聞くところによりますと、望月京一君だと聞いております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長  望月京一君がたびたびあなたのところに——あなたは今一回とおつしやいましたけれども、たびたびあなたのところに指導といいますか教えを願いに参つたのではございませんか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 そんなことはありません。一回と申し上げたのはあるいは誤りかもしれませんが、最初私が顧問に就任しましたころに、伊藤君と望月君が二、三回私のところに参りました。さつき申し上げた通り、そのときには私の言うことをノートに書いているわけです。ところが、今申し上げました投資銀行なるものは、それはずつとあとの話になりまして、おそらく二十六年の夏に私が顧問になつたとしますと、二十七年の夏ごろではないかと思います。その間全然参つておりません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そうすると、われわれは、それは町のうわさとして聞いているのですが、投資銀行法案はあなたが指導しておつくりになつたというふうに聞いているのですが、そういう事実はないのですね。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 そういう事実は絶対ありません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 望月京一君が、あなたに言わせればちやちな案を持つて来て、あなたに見てもらいたい。それについてあなたはどういう処置をとりましたか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それについては全然問題にしませんでした。それは成り立たぬということを言つた。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 別に加筆訂正したということはないのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 全然やつておりません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 全然ございませんね。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 全然ありません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 もし、あとになつて、いやそれは松本博士からいろいろ聞いて、松本博士が実際に手をとつて教えてくれたのだということになりますと、あなたのおつしやつたことがへんなことになりますが、その点は間違いありませんか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 そんなことはありません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 念を押して聞きますが、そういうことはありませんね。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ええ、絶対ありません。ちよつと補足して発言してよろしゆうございますか。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 どうぞ。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 元来、初め投資銀行投資銀行ということを伊藤君の方で言うのでありますが、私が考えております投資銀行というようもむしろアメリカの投資銀行というものと、伊藤君の頭にある投資銀行というものがあまりかけ離れている。最初私は、投資銀行というものが、大体こういうふうな金融制度の上で日本に投資銀行というものはないのでございますから、あることは決して悪いことではないが、話を聞いてみるとあまり内容が違つているものだから、相手にしなくなつた。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 世上こういうことが言われております。保全経済会が政党あるいは官界方面にいろいろ連絡をする、そういつた渉外関係の事務、もちろんこういうことを担当なさる方があるでしようが、松本さんがその方面の事務を担当されておつたというような事実はありませんか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 全然ございません。それはとんでもない話であります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 やはり先ほど申された例の調査研究、その一点だけでございますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それに関連しても、たとえば調査研究に関してあるいは国会の何かに持ち込んだことがあるかもしれません。そういうときには私には何の相談もしておりません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 相談も受けてない……。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 受けておりません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 国会の方、政界の方、官界の方というような方にお会いになつた事実はあるのですか、ないのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 一ぺんあります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それはいつごろですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それは、私は顧問になりましたのが二十六年の夏ごろでございますから、そうすると、二十七年ごろに一ぺんだけ元安本の政務次官をしておつた福田君、それから山口六郎次という人と会つたことがあります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それはどういう目的で会われたのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それは、今の投資銀行法案を私に見てくれという話がありまして、私があまりよく見ない。そこで、それをひとつ福田君とか山口君に説明してくれという話がありました。それである場所に行つたのでございますが、元来そういうものを突然説明を求められても説明するわけにも行きません。私がつくつたものなら説明しますけれども、人のつくつたものを説明するわけに行かないのでありまして、いいかげんにお茶を濁して帰りました。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そのときに行かれたのは、望月君が一緒に行つたのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 望月君はおりまして、もう一人、伊藤久馬という人間ですけれども、今保全経済会の関係の会社に富士航空という会社がありまして、そこの重役をしておる男が列席をしておりました。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 その伊藤久馬というのは、あなたとどういう関係ですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私が取引所の顧問をしておりましたときに、調査課の課員であつたのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それだけの関係ですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ええ、そうです。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 その福田、山口、それ以外には……。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それ以外の方には一ぺんもお目にかかつたことはございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 二十六年のいつごろですか、これもはつきりはしませんが、やはり秋ごろじやないかと思いますが、松本博士関係として渉外費が三十五万円支出されております。これは御存じですね。いただいていますね。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私は、報酬のことは今申し上げますから……。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 報酬はまたあとで触れます。昭和二十六年のいつか、日ははつきりいたしませんが、松本博士関係として渉外費三十五万円という支出があります。これは間違いなく帳簿にも出ております。これは一体何に使われたのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ちよつと私記憶しておりませんけれども……。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 受取つておらぬのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 そんなことはありません。金はもらつております。もらつておりますけれども、渉外費とか、三十五万円という額に記憶がない。それから……。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 まだありますよ。あなたの場合には、二十六年の九月ですかな、あなたの関係の接待費として十万五千円という支出がはつきり出ております。これも御存じないのですね。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 全然ありません。私は、報酬はとつておりますけれども、あすこの関係で宴会に出たということは、今申し上げました投資銀行法案のことだけであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それでは、証人は顧問料として毎月どれくらいもらつておつたのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 最初の約束ではこうでございます。毎月五万円、但しこれは調査研究費という意味で五万円もらう、そのほかにもし私がさらに人に調査研究を依頼した場合、あるいはまた何か本でも買い過ぎましてよけいに金がいつた場合にはもう少しふやしてもらいたいという最初約束をしておりまして、現実には、毎月五万円持つて来たこともありますし、また私の方から十万ぐらいと言つて持ち込んだこともあります。私は、その場合に、受取りを出したこともありますし、また出さぬこともある。それからまた、私一番たくさんもらつた記憶は、一ぺん大体二十万円を一箇月にもらつたような記憶がありますけれども、それ以外にちよつと記憶がございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 二十六年の秋ごろから今日まで、大体概算にして顧問料としてどれくらいおとりになつておりますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 大体百万円内外だと思つております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 百万円内外……。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 百万円を越えておるかもしれません。越えてないかもしれません。大体その見当だと思います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 われわれから言えば、百万円と言えばたいへん大きな額だから、大体覚えておりますよ。ことにあなたは経済学博士ですから、内外ということでなくて、はつきり出て来るはずだと思います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 今は何もメモを持つておりませんから……。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 メモがなくても、われわれだつたから、あのときは百万円だとか百五万円だとかいうことはわかるはずであります。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 月ではなくて、二年という期間ですから……。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 二十六年の秋ごろから今日まで、顧問料と、それから調査研究によけいいるということでもつて、あなたは保全経済会から金をとつている。それは大体どれくらいになつておるかということをお聞きしているのであります。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それは大体百万円内外だと思つております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 百万円ですね。間違いないですね。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 間違いありません。しかし正確な数字は申し上げません。記憶がないのでございますから……。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 保全経済会がああいうことになつて休業して、大騒ぎしておりますが、その再建工作についてあなたは何か関係されておりますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 再建工作を申し上げますけれども、保全経済会の再建工作には関係しておりません。しかし出資者を保護するための再建工作なら関係いたしております。但し、これは保全経済会の幹部と相談しての話ではないのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それでは、出資者を擁護するという立場からでもけつこうですが、大きな面の再建工作について今日までどういう具体的な対策を立てられたか、その御説明を願います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 第一は、保全経済会の組織というものが非常に明確でないので、これを弁護士に研究させました。その次には、何とかして保全経済会の理事長から出資者の代表者に財産を全部引渡すということを考えました。その次には、その引渡された財産を何とか利殖運用して、全部の債務を返すという方法を研究しておりました。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 もう少し何かありませんか。あなたは学者ですし、あれだけ大衆が非常に困つておるのですから……。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 その詳しい案を申し上げますけれども、大体そういう方針で研究して来たのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 もう少し詳しい案はありませんか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 詳しい案は、つまり第二会社をつくりまして、その第二会社にすべての債権債務を継承させて、おそらく第二会社の財産というものは大体不動産が大部分になりますが、その不動産を担保にするなり処分するなりして金融をする、それで新しい事業を行つて、何とかして十年間くらいのうちに全部の債務を償還する案を研究しました。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 これはまたあとで委員の諸君から聞くと思いますが、全国の出資者のうちで、あなたも経済学博士という有名な方ですから、その顧問の名につられて応募した者が多数あると思いますが、これについて、あなたは、経済会がああいうような騒ぎになつてどういう責任をとろうとしておられますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ですから、私は、出資者に何とかして債務を全部返すような方法を考えて、それで責任を果そうと思つております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 その点は、今までの証言の中であまり関係がないとおつしやいましたが、その債務者のことを考えた場合には大いに責任を感じており、善後措置を講じたい……。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 もちろん大いに責任を感じておりますが、関係がないということは事実なのでありまして、責任を感ずるということは、これはまた別問題であります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 その方面に向つて今後はできるだけの努力をなさるというのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 というつもりでありますけれども、これは許されるかどうか、これはまた別問題です。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 委員諸君で御質問があればどうぞ。田渕君。

田渕光一自由党

○田渕委員 伺いますが、立法化をだれだれに依頼されておるということは聞いたことがありますというただいまの御証言でありましたが、そのだれだれというのはだれでございましようか。ひとつ詳しくお聞きいたしたいのであります。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私が聞きましたのは、大体立法化をするために各党の政務調査会に何か依頼をするということが一つ。その次には、直接依頼するのはちよつと変だと思いましたから参議院議員の西郷吉之助氏に頼んでおるということを言つておりました。

田渕光一自由党

○田渕委員 参議院議員の西郷君以外に、だれだれに頼んでおるということを今おつしやいまして、ただ西郷君一人のような発言ではなかつたから、まだ何かありませんかということをお伺いしたのです。     〔委員長退席、高木委員長代理着席〕

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私は、そういう質問を受けますと、答弁がちよつとあいまいになりますけれども、先ほどちよつとだれだれと申し上げましたなら、それは、私がはつきり聞いておりますのは、西郷吉之助さんにお願いしたというふうに秘書課長の井上俊吾という人が私にそう言つておりました。

田渕光一自由党

○田渕委員 先ほど委員長の質問に対して、立法化をだれだれに依頼しておるということは聞いたことがあるけれども、そのことは何も知らぬ、だれだれに依頼したということを聞いたことがあると言うから、私は西郷君一人ではないと思うから、念のためにお伺いしたのです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私、だれだれと申し上げたかもしれませんけれども、私がはつきり聞きましたのは、西郷吉之助さんに依頼したということを聞いておりました。あとの人の名前は聞いておりません。

田渕光一自由党

○田渕委員 それは井上秘書からお聞きになつたのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 井上秘書課長です。

田渕光一自由党

○田渕委員 もう一つ伺いたいのでございますが、保全経済会の「利殖のしるべ」——ちよつとごらんに入れますが、りつぱにこうやつて経済学博士、顧問という名前であなたの名前が出ております。平野君、早稻田君……。それでこの仕事をしておるのです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 「利殖のしるべ」は、私が出資者に頼まれまして、私の友人の弁護士にいろいろ保全経済会の法律的性格の究明をすることを頼んだそのときに、参考資料として、このほかまだたくさんありますが、こういうものを弁護士のところに持つて来たのです。出資者はみんな持つておる。そのときに初めて私これを見まして、私の名前がここに出ておる。しかもこれでは保全経済会役員ということで出ておる。しかし、実際は、顧問というものは、御承知でしようけれども、役員でも何でもありません。それで、私が依頼した弁護士が、これはまるで役員扱いをしておると言つて非常に憤慨しました。私はそれを聞きまして初めて知つたのであります。

田渕光一自由党

○田渕委員 これに対して印刷会社あるいは保全経済会に、あなたの名前を抹消しろとでも抗議されましたかどうですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 休業後でありますから……。

高木松吉自由党

○高木委員長代理 松本君、発言のときは委員長の許可を受けてください。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 はあ。私がこれを知りましたのは休業後のことでありますから、従つて、その際に取消しを申し入れることも何もならぬわけであります。全然そういうことをしておりません。

田渕光一自由党

○田渕委員 先ほど委員長がお聞きになりました通り、二十五年の十二月から二十八年の九月三十日まで、合計約二十四億三千万円ほどの欠損をいたしておる。それにもかかわらず非常にもうかるということがこれに書いてある。たとえば、「要するに飽くまでも安全・確実・有利の三原則に基いて株式の分散投資を図りつつ、優良銘柄を安値の時に買入れ利益を挙げております。又株の値下りの場合には一般に考えられている様な個人的な小資本による売買では損失を招くような結果にもなり易いのですが、本会の様に集中された大きな資金を以てする場合には、現物市場で買付けた株式の値下りを信用取引の市場で売継いで補償するという方法も考えられます。ですから株価の値下りが直ちに本会の事業運営を阻害する事にはなりません。これ等の関係は昨今の情況に於いても本会が少しも困らない、その事績が何よりよく証明するものだといえましよう。」——二十五億近い損をしていてもうかると書いてある。それにあなたの名前が出ておる。それをあとで知つたと言うのでしよう。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 しかし、それは事実だからしかたがありません。今お読みになつたところの安全、確実、有利の三原則に基いて株式の分散投資をはかる云々ということは、これは実は、このパンフレツトを私が書いたわけでもなければ、パンフレツトをつくるときに相談を受けたわけでもありませんけれども、これは常識でありまして、このことが株式投資の原則なのであります。これは私の書物にも書いてありますし、方々で話もしました。但し、そのことを保全経済会が実際やつておつたことと全然関係ないのであります。実際に私はこれを休業後に見た。開業中に見たものなら、少くとも私の名前が出ておることに対して抗議を申し入れますけれども、休業後見て抗議を申し込んだところで何にもならぬのであります。

田渕光一自由党

○田渕委員 それでは、あとの方もありますから、この一点で、あとは留保いたしておきます。あなたの第二会社案というものは、平野構想であると私は伺つておりますが、平野君とあなたとの御協議によつて、第二会社として、しかもそれを出資者の保護のために、あなたが責任感上再建工作をする、こういうようなぐあいにあなたは言われておるのですか。もう一点は、出資者の会合がたびたび行われております。たとえば平野君その他伊藤君等の声明書も出ております。これについて、休店後数回会議を開いておる席にあなたは出られたことがありますか、ございませんか。この二点を伺います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 第一の問題でございますけれども、第二会社をつくつて出資者に債務を返還するということは、平野氏と私は相談いたしました。考えは私の考えです。これは常識でございまして、それ以外には方法はないのであります。その点、しかし、私自身がもちろんつくつたのではないのであります。私の助手にそういうことを調査さして立案した次第であります。  第二の御質問の、休業後再三再四伊藤と会見したかという問題でございますが、私自身は、実は伊藤君と会いましたのは、休業の直後に、平野、早稻田、大谷、私と四人で伊藤君を平野君の事務所に呼びましてそうして休業のときの原因を究明したわけであります。それ以後私自身は会つておりません。ほかの方は会われたかどうか知りませんが、私自身は会つておりません。それで、もう一つ言い忘れましたけれども、何か共同で新聞記者に会つてくれという話がありましたときに、その前の日か何かに、平野君の事務所で私と平野君が伊藤に会つております。

高木松吉自由党

○高木委員長代理 中野四郎君。

中野四郎改進党

○中野委員 二、三点伺つておきたいのですが、あなたが伊藤君とお知合いになつたのは昭和二十六年の夏ごろというお話でありますが、保全経済会が今日まで経営をしておるその過程において、二十六年というと創業当時と申しても過言でないと思うのです。そこで、本屋さんの御紹介によつて、調査研究のために顧問に就任したと先ほどおつしやいました。その節文書をもつて顧問を依頼されたと言いますが、あなたは口頭をもつてこれを応諾したとおつしやるのですから、その場合に顧問料等の金額についてお約束をなさつたことがあるのか、あるいは単に顧問として承知をするだけであつて、約束はなかつたのかどうか。この点を一点伺つておきたいと思う。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ただいまの御質問にお答えしますけれども、顧問を依頼されましたのは、最初に手紙が参りました。それから、事情を聞くために、今の本屋であるとか、もう一人関係者もおるものでございますから、それに相談しまして、伊藤君を私の家に呼びまして、いろいろ話を聞いた。それで、結局そのときにすぐ承知しないつもりでありますが、しばらくたつて私顧問になることを承知しました。そのときに報酬はすぐきめておりません。その後きめたはずであります。     〔高木委員長代理退席、委員長着席〕

中野四郎改進党

○中野委員 幾らにきまりましたか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 そのとき、私は、先ほども申し上げましたように、月額五万円、但しその他に実費がいる場合にはもう少しふやしてくれというふうにきめておきました。

中野四郎改進党

○中野委員 そこで、私はさらに伺いたいのですが、あなたの先ほどからの御経歴を拝聴しておりますと、各大学の教授あるいは講師として今日お勤めになつていらつしやる。いわゆる日本の学界の相当な席においでになる。社会的にもゼントルマンとして各自が見ておるのですが、相当常識の発達した松本さんが、いやしくも学究の徒として、金だけを目当てに顧問に就任していらつしやるとは、社会一般も認めまいと私は思うのです。また、あなたの御人格からしても、おそらくそういうようなことはあり得ないと私は考うるのですが、先ほど来のお話を伺つておりますると、あなたは五万円の顧問料の約束をなすつた、こうおつしやつていらつしやいます。それから、委員長が先ほど質問をいたしました中で、三十五万円あるいは十万余円の金についても御存じないというふうに御回答になつていらつしやる。ところが、私は、ここにふしぎに感じなければならぬことは、保全経済会の文書の中に、現在は押収されておりまするが、その中に、松本顧問にとして、大体五万円見当のものが毎月渡されておることは現われておりますけれども、どうも、私がこの顧問料の支払いを見ますると、ときどき——ときどきと言うよりも、大部分思いがけない金が出ておることなんです。たとえば、昭和二十六年の八月に御就任になりまして、九月の半ばごろに四万円という顧問料が最初であります。しかし、その後に、十月、十一月、十二月、一月、二月と、順次列記はされておりますが、九月は四万円だが、十月は十万円、十一月は五万円だが十二月は十万円、あるいはこれは年末のことだからいくらか加味したかもしれませんけれども、さらに続いて三月には十万円、五月に十万円、同じく五月に五万円、あるいはさらに二十七、八年にわたりましては、十万円がずつと並んで、二十万円というようなふうに出ておるのですが、これは、今の御回答を伺うと、その他実費のいつたときというふうに御回答になつています。ここで私はつじつまの合わぬものを感じる。先刻来お話を聞いておりますと、この会の運営にはまつたく関与しておらぬという御答弁であります。しかし研究調査は依頼されたけれども、現在は伊藤の考え方と私の考え方とは根本的に食い違つておるから、一切かまわぬでおいたという御答弁もなすつていらつしやるわけです。一切かまわないでおおきになつた方が、どうしてこのような支出の面に思いがけない十万円、二十万円というふうに段階をつけてお受取りになつていらつしやるか。学究者であるあなたは、少くともゼントルマンであるあなたは、最初相談をした五万円以上の金を受取るにはそれ相当な理由がなくてはならない。なるほど、社会情勢、経済情勢の変転に従つて物価が上つたからという御回答ならば、それでけつこうです。しかし、そうは行かない点があると思います。なぜならば、昭和二十八年の三月に二十万円を受取つて以来、二十八年の六月以降この休業に至るまでは五万円ずつに下つておることです。突然物価が下つたわけではないのですから、私はこの点どうも理解に苦しむのです。ひとつ松本証人から、その当時の実費にお使いになつた段階について、当時の記憶を呼び起して詳細に御説明を願いたいと思うのであります。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 金の出入りのこと、実は私はあまり記憶してないのですけれども、大体大部分の金は私は本を買つておるのであります。書物を買いつけますときにはたくさんの金を要求しております。この書物を買う——書物は、実は、日本の学者の生活は非常に苦しいものでありまして、最近は書物の値段が非常に上りまして、簡単な日本の書物を買うだけでも月に五万や十万はすぐにかかる。特に私は、これはお調べになるとわかりますけれども、戦前は経済学者の中では、おそらく日本で一番とは申しませんけれども、相当蔵書の多い人間だつたが、ほとんど全部戦災でなくしまして、私現在私立大学の教授をしておりますけれども、私立大学の教授としてはほとんど書物を購入する金はございません。御質問の範囲を越えるかもしれませんけれども、先刻も委員長から、何か二年間に百万円内外は多いじやないかというお話がありましたけれども、大体図書の購入費というものが一年間に五十万、六十万、百万というものは、ほとんど問題にならぬのであります。何かその辺のことで、私が保全経済会から金をもらつたんだ……。  それから、もう一つ申し上げておきたいのは、月五万円という原則はありますけれども、今の実費はもらう。もちろん図書の購入費も入つております。それから、もう一つ、ただ五万円ときめてありますから、前借りのような形式になつておるわけです。それから、向うの帳簿がどういうふうに整理されておるかということは私は全然知りませんから、それにつきましてはどうも御答弁しかねるのであります。

中野四郎改進党

○中野委員 そうすると、最初御答弁になつた点に落ちておるのですか、あるいはあなたの言葉が足らなかつたのかもしれないのですが、あなたの言われたのは、由来ずつと向うから届けて来るものであつて、あなたの方から要求しておらぬというふうに私は聞いた。今お話を聞いておりますと、あなたは図書を求めるときには、場合によつてはこれを要求したとおつしやるのですが、いわゆるあなたの私物である経済図書をばお手にお入れになるのに、金額を今度はこれだけいるからという御要求をなさるとあれば、相当その間に、全然タツチしないという言葉とは違つて、深い関係がなければならぬと世上では思うのです。  それから、もう一つ、今の金額の問題について伺つておきたいのですが、あなたは三十五万円ないしは十万円というものを全然知らないというふうに御回答になつていらつしやる。これは決して松本さんをば問い詰めるのではありませんけれども、この委員会の本質上、性格上、このような金銭出納に関して、御記憶がもし呼びもどるならば、今日ここで御訂正になるとか、あるいは新たにお考えになつて適当な時期にお答えになればけつこうですけれども、この金はあなたが全然受取つておらぬ——保全経済会においては、これは何か等としてあるのです。あなたの関係としてあるのです。あなたにじかに三十五万円渡したものかどうか明らかになつておりませんが、松本信次関係として支払われておるのでありますから、この点についての御答弁をもう一回伺うと同時に、もしそういうような御記憶があるならば、何か私の名前でそういうようなものを何人かが取つたというようなことでも御記憶の中にあるならば、これをお聞きしておきたい。全然これが関係ないというふうにおつしやつて、もし将来出て参りますと、いやな言葉ですけれども、偽証というような段階に入るおそれが多分にありますから、この点伺つておきたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ちよつとお伺いいたしたいのですが、二十六年の十万円と三十五万円の件ですか。

中野四郎改進党

○中野委員 そうです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 これは、私実は先ほどちよつと申し上げましたけれども、現在富士航空という保全経済会の関係会社の重役をしてる伊藤久馬君が、私が日本証券取引所の顧問時代、調査課の課員をしておりまして、それで私のうちにしよつちゆう出入りしておりました。その伊藤久馬君が——今の本屋は神田の三崎町にあります報文社という本屋でございまして、その主人は砂田茂ですが、最初にあつせんをして来たわけであります。あるいはその辺に金が行つておるかもしれません。私は記憶ございません。  もう一つ中野さんの御質問があつたような気がするんですが、今のでよろしゆうございますか。

中野四郎改進党

○中野委員 それから、もう一つ伺いたいのですが、先ほどのやはり委員長の質問に関連して伺つておきたい。保全経済会が欠損を続けておつたかどうか知らぬというお話なんです。内容にタツチしないということを裏づけるためだろうと思います。ところが、あなたは一体この制度でもうかるというふうに御研究になつたのかどうか、この点を伺いたい。損をするようなものに顧問を置くわけはないですから、もうかるわけです。もうかるという仕組みについては、あなたが何らか調査研究の資料を御提出にならなければならぬわけです。この点、ちよつと明らかになりません点が一点です。  それから、もう一つ伺いたいのは、先ほど、言葉じりをとらえるのではありませんが、伊藤の考えておる投資銀行と私の構想とあまりにも違うから、文書に手を全然入れておらぬ、そういうようなことには関係しておらぬ、こういうふうに言つていらつしやるのですが、あなたが、いやしくも五万円という金、場合によつて図書購入、研究費のために金銭を要求しておいでになる立場から考えて、伊藤の考えておるところの投資銀行が違つておるなれば、経済学博士として、いわゆる調査研究のために顧問としておられる限りにおいては、向うが要求しようとしまいと、あなたはあなたの権威をもつて、責任をもつて当然これに対して反駁を加えて訂正、よろしき方向に向つてこそ、十五万のいわゆる被害者に対するところの今後の再建方式の責任あるあなたの行動だと言えるのだが、あなたが先ほどおつしやつた、再建工作については債権者諸君のためにという言葉を使つていらつしやるが、私はこの点がわからない。結論においてはそういう言葉を使つていらつしやるけれども、実質においては、最初に伊藤の考えておるところの投資銀行の方式とおれの考えておるところの構想はまつたく違うから放つておいたというのは、一体どういうわけでしよう。この二点を伺いたいと思うのです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ただいまの御質問のことについて御答弁申し上げます。  最初に、私は最初のころ伊藤君に二、三べん会つておりまして、いろいろ話をして聞いてみますと、大体投資銀行とか、インヴエストメント・システムということを彼は言つておりましたが、だれに聞いたのか、耳学問らしくて、ほんとうにアメリカにある投資銀行はどういうものであるか、あるいはほんとうにドイツの信用銀行というのはどういうものであるかということは全然理解しておらないような考えをしたものですから、最初は二、三回いろいろ説明いたしました。いたしましたけれども、私長年の間大学の教授をしておりまして、いろいろな学生を預かつておりますけれども、学生を啓蒙するのはなかなかむずかしいのでありますが、大学の教授をしておりますから、大学の学生は数えられますけれども、幼稚園程度の頭脳を持つておりますと、教えることがなかなか困難であります。それでもお前は顧問料をとつておるからやらなければならぬということをおつしやられましても、私、今どうにもしかたがないのであります。はつきり申し上げまして、伊藤君のそれに関する知識は幼稚園程度だ、私はこう思つております。但し、私が顧問料をとりまして勉強する、これは私の方にもいろいろ申し分がありますが、いろいろ研究しておつた。それで、お前はばかだから相手にせぬという気持ではない。現に、伊藤斗福君は私の家に全然参つておりません。呼びましても来るはずはない。ところが、今の秘書課長の井上俊吾君というのがときどき連絡に来る。連絡に来るというのは、おもにやはり私に金を届ける用なのですが、一月に一ぺんは必ず来ておりますから、そのときに、井上君に対しては、実際はアメリカの投資銀行というのはこういうものだ、あるいはドイツの信用銀行はこういうものだ、だからこういうふうに保全経済会の方も投資銀行に向つて転換するのなら考えなければならぬということは、少くとも一月に一ぺんは私は教えてやつております。ただ井上君の方がこれを伊藤君にどの程度伝えたかどうかということになりますと、私にはちよつと御答弁申し上げかねる次第であります。

中野四郎改進党

○中野委員 それで、先ほどちよつと伺つたのですが、それでは、伊藤の考えておる投資銀行は幼稚園程度の頭で、とうていうまく行かぬとお考えになつたのか、あるいはうまく行くとお考えになつたのか。いやしくもあなたは顧問料を要求し、顧問に就任していらつしやる。これはうまく行くと思つたのか、行かぬと思つたのか、この点の御答弁が抜けておるのです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ただいまの御質問ですが、伊藤の考えている投資銀行というのは、伊藤の頭にある投資銀行で、保全経済会は決して投資銀行ではなかつた。保全経済会は、私の理解しておりました限りにおいては、大衆から資金を相当高い金利で集めておる。そうしてこれを株式と不動産に投資しておつたというふうに、私は休業前まで信じておりました。はたしてそうであつたといたしますれば、朝鮮事変勃発以来、特に昭和二十四年に経済が安定いしたまして以来、株価と不動産の値段というものは物価に比べて著しく騰貴が遅れておりましたため、その間に株に投資しあるいは不動産を買うならば、どんなばかでも金もうけができたはずであります。あとから考えますと、保全経済会が株にも投資せず不動産にも投資していなかつたからだめだつた。もしそのときに、ほんとうに株に投資し不動産に投資しておつたとすれば、必ず利益は生むはずであります。私はそう信じておりました。

中野四郎改進党

○中野委員 よくわかりました。そうすると、株なり不動産に投資をしておればもうかるはずであつて、投資をしていなかつたから今日の状態になつたというふうにお認めになるのですね。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私は大体そう考えております。

中野四郎改進党

○中野委員 そこで、証人にもう一つ伺いたいのですが、一体保全経済会というものの実体はどういうものでありましようか。あなたはしばしばこの保金経済会の問題について休業以来いろいろと議論をしておいでになるようでありまするが、これが商法上の匿名組合であるのか、あるいは単なる投資事業であるのかどうか、この点をひとつ松本さんの学位の手前からも、きようは責任の上において明らかにしておいていただきたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 委員長に伺いますが、メモを見てもよろしゆうございますか。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 けつこうです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ただいまの御質問なんでございますが、私は法律は専門家じやございません。ただ、およそ経済学の方でも企業の組織も研究いたしておりますから、法律は専門家でありませんけれども、ある程度法律の知識を持つておりますから、その点でひとつ御証言したいと思います。  私は、保全経済会は匿名組合ではないと考えております。こういうことを国会の委員会で申し上げるのはどうかと思いますけれども、匿名組合というものは、合資会社の起源と考えられるコメンダーから発生したものでありますが、このコメンダーというのは一種の委託関係あるいは信用関係なんであります。従つて、匿名組合にも委託関係、信用関係の性質が多様に含まれておるのでありまして、匿名組合であれば会社とかというものとは全然違うと解釈しなければならぬ。但し、保全経済会が匿名組合であるかどうかという問題になりますと、私は、保全経済会は匿名組合でないということを、休業後いろいろ勉強して知りました。その理由は、匿名組合である場合は必ず、商法の五百三十八条でありますが、「出資カ損失ニ因リテ減シタルトキハ其填補ノ後ニ非サレハ匿名組合員ハ利益ノ配当ヲ請求スルコトヲ得ス」という規定があるのであります。この規定を保全経済会ははつきりと蹂躪をしております。つまり、毎月損してももうかつても二分の利益配当を約するということは、商法の匿名組合に準用しておりますところの第五百三十八条の規定を明らかに蹂躪しておるわけであります。それからまた、商法の合資会社の規定、百五十三条、この合資会社の規定が匿名組合に準用されるのでありますが、この中に、「有限責任社員ハ営業年度ノ終ニ於テ営業時間内ニ限リ会社ノ財産目録及貸借対照表ノ閲覧ヲ求メ且会社ノ業務及財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得」という規定があるのでありまして、ごく簡単に申し上げますと、結局匿名組合員というものは決算期ごとに決算表であるとか財産目録、貸借対照表を要求できるわけであります。ところが、その保全経済会は、これはたしか出資総数が十五万件でありますが、匿名組合員の数は七万人ぐらいと記憶しております。そういたしますと、現実の問題といたしまして、きようもある人間と匿名組合規約を結ぶ、あすはまたある人と匿名組合規約を結ぶということになりますと、毎日々々保全経済会が財産目録及び貸借対照表を公表しなければならぬということになる。ところが、普通の常識といたしまして、会社が決算をいたしまするには大体一月ぐらいの準備期間がいる。一月ぐらいの準備期間がいるものが、毎日々々財産目録や貸借対照表を公表することは事実上不可能であります。法律は不可能なことに立脚した制度というものはおそらく認めないだろうと思う。私は、そういう意味で、保全経済会は匿名組合でないということを今は考えておる。

中野四郎改進党

○中野委員 きようの心境はたいへんよくわかりました。しかし、あなたは昭和二十六年以来本日まで、実質的にそれにタツチされたされないは後日の問題といたしましても、少しとも顧問としての肩書きを連ねられて、そうしてしかも創業以来このパンフレツトが各方面に配られる。あなたのところへは毎月々々保全経済会の責任者から適当なる顧問料が届けられておる。そして月に一回は、たとい人を通じたにしても、意思を通じておるわけなんです。そのあなたのいわゆる名の連なつたこの保全経済会の「利殖のしるべ」にいたしましても、これは明らかに匿名組合としてあります。それから、このすべてのものをば募集いたしまするにも、匿名組合として、その匿名組合の内容が明らかになつております。特に私の申さなければならぬことは、これを加入せしめるにあたつては、匿名組合加入申込書として一般に渡して、そうして十五万人という多数の人々から、四十数億という資金を集めておつたのであります。わけて一月十五日の読売新聞には、あなたの談話として、利益配当を確約しても匿名組合として支障はないという前提のもとにあなたの意見が述べられております。  そこで私は伺つておきたいのですが、先ほどからの御証言を聞いておると、私は実質的には関係していないのだ、ただ単なる顧問で、顧問料をもらつておつただけだ、そして今日のような状態になつて、そういうことは申訳ない、責任は感じておる、感じる感じないは別だが、またその内容については私のタツチするところではないというふうに御証言なすつていらつしやる。私は、一体それだけでいいかと思うのですがね。もしそれだけでいいとするならば、あなたはよほど頭脳のおかしい人じやないかと思う。経済学博士としての肩書きが、この匿名組合を称するところの保全経済会の資金を集める上においていかなる役割をしたかという社会的な責任をあなたは相当痛感しなければならぬ。単なるロボツト顧問として、そうして毎月金をとつておつたとしたならば、あなたはよほど人格低劣な人と言わなければならぬ。いずれの責任も免れぬと私は思う。そこで、今経済学博士松本信次として、あなたは、今まで保全経済会にただ博士の肩書きだけでつられておつて、多数の出資者に迷惑をかけたと考えていらつしやるのか、いやそうじやないのだ、もう少し深いところに私の考えはあつたのだというふうにお考えになつていらつしやるのか、この点をひとつ伺いたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 最初にちよつと伺いたいのでありますが、一月十五日の読売新聞というのは、今年の一月十五日ですか。

中野四郎改進党

○中野委員 そうです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 実は、私が直接新聞記者に話しましたのは、たしか昭和二十八年の十月二十五日か六日と記憶いたしますけれども、読売新聞の記者に私が話をしまして、それがそのすぐあくる日くらいに読売新聞の朝刊に出ております。それから共同通信の記者の人に一ぺん会つております。みな休業後のことでありますが、新聞記者に私会いましたのはそれくらいであります。今年の一月十五日の読売新聞の談話というものは私は存じません。これがほんとうであるかうそであるかということは、読売新聞社を御調査願いたいと思います。私は直接読売新聞の記者に会いましてそういうふうな談話をした覚えはございません。

中野四郎改進党

○中野委員 あなたはまつたくこの印刷物には目を通したこともなければ相談を受けたこともなく、あなたの名前が載つておることも御存じなかつたのでしようか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私は、その印刷物は休業後初めて見まして、名前の載つておることももちろん知りませんでしたし、目を通したこともございません。これははつきりと証言いたします。

中野四郎改進党

○中野委員 そうすると、結論としては、ただ単なるロボツト顧問であつて、そうして伊藤はあなたの肩書きを中心にして一般投資者に迷惑をかけたのだ、私はただ単なる顧問料がほしかつたから顧問についておつただけだ、これでよいのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 言葉のあやはございますけれども、大体そうでございます。(笑声)ここで顧問という地位の説明をいたしますと、実は先ほども委員長の御質問に詳しくお答えしなかつたのでありますが、私どもいろいろな関係でいろいろな会社の名前だけの重役とか、名前だけの顧問になります。その際に、それほど簡単に——考えないでなるのが日本の現状であります。これは、私一人ではなくて、おそらく顧問とか何かしていらつしやる方は全部同じ気持だろうと思います。従つて、そういうふうにおとりになつてもさしつかえありません。

中野四郎改進党

○中野委員 もう一つさかのぼつて伺つておきたいのですが、後にまた皆さん方各委員からの御質問に従つて補充的に伺いたいと思いますが、あなたは先ほど、伊藤久馬という人をよく知つていると言つておられましたが、この伊藤久馬というのは、保全経済会の松本顧問付の嘱託として、証人のブレーンとして相当動いておるはずなんであります。そのことがすべてのものによつて立証されております。しかも、この印刷物の起草等をするにあたつては、あなたは全然知らぬと言つておりますけれども、伊藤久馬は当時嘱託料として月に五千円ずつのほか、原稿料という名前でいろいろに金をとつております。特に昭和二十六年の八月、原稿料として、あなたと同じような時期に七万円の金を別個に受取つております。そしてこの保全経済会の性格その他の投資銀行設立案の基礎的な資料をいろいろ出しておられますが、あなたは伊藤久馬を通じて保全経済会に何らかの意思表示をされたことがあるかどうか。まつたく関係しておらぬかどうか。この点を伺つておきたい。それで私は打切ります。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 伊藤久馬の関係は、はつきり申し上げますと、伊藤久馬は、私が日本証券取引所の顧問をしておりますときに調査課の課員であつたと思います。それで、最初に私が保全経済会に関係いたしますときにも、伊藤久馬がいろいろあつせんしております。その後私は、保全経済会には、今の調査研究に関しましても全然タツチしておりません。またおしかりを受けるかもしれませんが、実際そうなんです。伊藤久馬が何をしておつたかは私も知らぬのです。当時私の家に伊藤久馬はしよつちゆう来ておりましたが、ある時期に私の家に全然来なくなつた。それ以後のことは私全然知りません。また保全経済会で松本顧問付の秘書として伊藤久馬がそういう肩書きを持つておつたかどうか、あるいはまた伊藤久馬君がそういうふうな原稿料をとつたかどうかということは、私は知りません。但し、私のところに、保全経済会の性格、内容を説明したような印刷物を送つて来たことがありました。それはあとで聞きますと——あとと申しましても、これは休業後という意味ではございません。開業中でありますが、伊藤久馬が書いたものだというふうに聞いております。但し、それについて私は全然関係しておりません。

中野四郎改進党

○中野委員 今の御答弁なんですが、伊藤久馬はどういうわけで、いつごろあなたのところに出入りしなくなつたか。それから、その前に、二十六年の夏に保全経済会の顧問を応諾なすつてから、あなたは、この「利殖のしるべ」とか、あるいは「保全経済会の性格について」というようなすべての文書を著わすについての意思表示を全然したことはないかどうかということなんです。この点は、伊藤君がどういう証言をしますかは知りませんですけれども、将来あなたと食い違つて参りますと、根本的にきようの証言が食い違うことがあるから、この点を伺つておくのです。  それから、——もうちよつとお待ちを願いたい、もう一つだけ伺いたいのですが、この「利殖のしるべ」の中に、あなたのお名前の入つておるパンフレツトの中に、利益をあげておると書いてある。毎期損をしておるにかわわらず、利益をあげておると書いてありますが、そういうふうに出資を勧誘しておる。そうして今日の状態になつてみると、出資金の返済ができないということになれば、一体この会社はどうなるんでしよう。詐欺罪を構成するのか、一体どういう結果になるのかということは常識としてあなたは御承知だろうと思いますから、この点も敷衍してお答えを願いたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ただいまの御質問のうち、最初の方だけ要約してお伺いしたい。

中野四郎改進党

○中野委員 最初の点は、伊藤久馬君があなたの家に出入りをしなくなつたある時期にとおつしやいましたが、それはいつであつて、どういう理由であるかという点です。そうして、その前に、顧問就任以来、伊藤久馬君がこの保全経済会の文書を作成しておるのです。原案を起草してやるのでありますが、それに対してあなたが直接意思表示をせぬまでも、伊藤久馬を通して意思表示をしたことがあるかないかという点です。この点を伺いたいことが一つと、今の第二はおわかりですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 第二の点はあれでありますか。伊藤久馬が保全経済会に関する文書を作成した。その作成することについて、何か私に指示を求めに来たかという御質問だつたと思います。第二の点からお答えしますと、私が知つておる限りは、伊藤久馬君がガリ版に刷りました印刷物を執筆したということは、これもあとで聞いたのでありますが、今の「利殖のしるべ」とか、そういうものを伊藤久馬君が執筆したということは実は今日初めて伺つた次第であります。もちろん、それについて伊藤久馬君が私の指示を受けに来た事実はありません。  もう一つは伊藤久馬君は非常にできる男でありますけれども、とかく——私は実は弟子がたくさんあるものですから、ほかの弟子からあまり近づかぬようにと注意がありました。もう一つは、保全経済会の関係でたしか最初に証券処理調整協議会の何とか課長をしておつたが、やめて、私の世話である鉱山会社に入りました。その鉱山会社の名前を今ちよつと——倉敷鉱業だろうと思いますが、そこをまたすぐやめまして、それから一時保全経済会の手伝いをするということは聞いておりますが、そのころから私のところに来なくなりました。というのは、私のところに用がなくなつたからだと思いますが、そのころから来ておりません。

中野四郎改進党

○中野委員 第二の方の詐欺罪を構成するかどうかということ……。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 これは、私法律の専門家ではありませんから、ちよつと何とも申し上げられません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 椎熊三郎君。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 松本さんにお伺いします。私のはごく簡単ですから、率直にお答え願います。  あなたは今日日本の学界における有名な学者だと聞いております。経済学者としてのあなたの専門の分野は何であつたのでありますか。現に何が専門ですか。経済の分野と申しましても広いようにわれわれしろうとは考えておる。あなの専攻せられたる学問の分野、現に大学等で講義されておるあなたの専門は何でありますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私は大学を出まして以来取引所論を専門に研究しております。しかし、そのほかに、経営経済学、金融論、銀行論、そういうことも研究しております。現在は東洋大学の金融論と景気論の講義を担当しております。もう一つ申し上げます。まだ、申すのを忘れましたけれども、商業学、商業の学問もやはり専攻しております。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 あなたは、保全経済会の顧問をせられたときの条件は、主としてアメリカにおける投資銀行の研究にあつたとお答えになつたように私は今聞いたのですが、その通りでございますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 その通りでございます。もう少し敷衍して申し上げますと、アメリカにおける投資銀行——投資銀行というのは非常に広い意味になります。投資の制度、さらにヨーロツパにおける投資の制度、そういうように非常に広い意味に解しております。とにかくそういうものは日本にない。外国にあるのだ。それじや外国にはどういうものがあるか調べてやろうというような意味であります。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 アメリカにおける投資銀行あるいはその投資の状況、制度等を御研究になるということは、保全経済会が多額の顧問料を出してまで研究してもらいたかつた理由には、あなたの御研究がこの保全経済会を健全に発達せしめて行く上に非常に有効適切な結論を求められたればこそ、お願いしたのだろうと私は思うのです。従つて、各国におけるそういうものも研究せられたが、現にわが国に行われておるこういうような——われわれしろうとから見ると非常に不完全な金融機関のようなものが現在三百も存在しておるというのですね。国内のこういうものについての研究はなさなかつたのでしようか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 これは日本の学者の通弊かもしれませんけれども、私は国内の問題の研究はあまりいたしておりません。もつぱら外国の投資信託会社とか投資会社とか、そういうものを研究しております。なお、つけ加えてちよつと申し上げたい。私の研究はもちろんまだ完成していない。現在も研究しております。ただ、国内問題は、実はこの保全経済会の休業後いろいろな事件が起つた。それについて、もちろん学者として関心は持つておりますけれども、特別に研究はいたしもしませんでしたし、してもおりません。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 保全経済会があれだけの資金を集めるのに、顧問たるあなたの名というものは非常に重大な要素であつたと私は考えるのです。世間一般もそう申しております。またあなたの学界における社会的な地位等を考えてみましても、そういう方面を専門に非常に研究せられたあなたが顧問になつておるということが、この会社運営上に非常な影響力があつたということだけはいなみがたき事実だと私は思うのです。そこで、だんだんやつておるうちに、これはだれかが申したように、ペダル式操作とか何とかいつて、集めて来た金で損失を補填して行くというような不健全なやり方がとうてい永続ができないものだということは、だれしもこの内容を知つておる者はわかるのです。それをあなたがわからないはずはないのでありますし、ことにあなたは外国における投資銀行の状態なども聞いておつて、保全経済会の状態はこれではいかぬのだ、外国でやつておる投資銀行のように改めるべきであるというあなたの構想があつて、伊藤何がしが不完全な幼稚園式の頭ではあつたが、この投資銀行というものを考えついたということは、あなたの誘導によるものではないのか、あるいはあなたの暗示によるものではないのか、数回に及んであなたは投資銀行の話をしておられるということだが、そういう関係から来ておるのではないかと私は思うのだが、あなたはいかがでしようか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私は、保全経済会の顧問になる前は、実は保全経済会というものはもちろん知らぬわけであります。当時はおそらく光クラブと万世クラブという似たような機関はあつたと思いますけれども、保全経済会みたいな機関はなかつたと思います。もちろん私は保全経済会がどういうことをしておつたかも知らなかつた。ところが、私に会う最初から、伊藤君は、投資銀行、インヴエストメント・システムをやろうと言つておつた。私が顧問になりましたのは、私の記憶では昭和二十六年の八月ごろだと思います。そのころすでに保全経済会が投資銀行とかインヴエストメント・システムということを言つておつたということは、おそらく何かこれは立証できると思います。私はそういうふうに記憶して——投資銀行というものをおぼろげながら考えておつたということは、私はそういうふうに申し上げたい。それから、もう一つは、私は専門の学者としては、実は自分で申し上げるのは変でありますけれども、ある権威と思つておりますが、世間的には別にそう有名なものとは自分でも思つておりません。ただいまの御発言は私にはちよつと意外です。これは水かけ論でありますから、どうでもよろしゆうございますが……。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 あなたの学者的立場、社会的地位を私はここで評価しようとは思いません。私もあなたを知らないくらいだから、そんなに偉い学者だとは思つておりません。けれども、通俗的には、大学の教授をしておられる経済学博士ともなれば、零細な金などをこんなものに預ける程度の頭の人からは、えらい信用を博しているものなんです。あなたがそんなに権威のない人だということであれば、日本の学界のためにも実に残念なことであります。あなたはもつと自信を持つてしかるべきだ。そうでなければ、学生も気の毒ですよ。学界におけるあなたの存在をあなた自身が侮辱しておるという自信のないやり方で、何で教育者、学者になれるか。大いに自信を持つていい。悪いことは悪いとしなければならない。  そこで、申し上げたいのは、あなたの社会的信用、あなたのこれだけの学問的知識、それらが、保全会社ともあろうものに、しかもあなたが罵倒せられて、こんなものは日本の商法上の匿名組合でさえあり得ないのだと、それほどの研究を持つておる人が、顧問を頼まれると、月五万円になるから、営業の内容はどうでもいいんだ、どんなことをしてもいいんだ、おれは本を買う代金さえもらえばいいんだということで顧問になつたとすれば、学者的には軽蔑される存在だ。私は日本の学問のために残念だと思う。ほんとうにあなたはそんな気持でなつたんですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それは、私ここではつきり申し上げますけれども、たとえば、私どもが奨学資金をもらう、あるいは研究費をもらう場合には、そうせんさくしない。また学者として非常に情ないとおつしやいましたけれども、ほんとうの気持は、実は本を買うためになつた。それは何とおつしやつてもしようがないんです。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 ほんとうの気持は本を買うために保全会社の顧問になつたということですが、百万円からの金ですから、さだめし相当の本を買われたでありましよう。しかし、あなたの名前だけではありませんけれども、保全経済会の世間的信用を博するためには、あなたというものの存在がかなり大きな要素になつておつたということは、いなみがたい事実なんです。あなたが知ると知らざるとにかかわらずです。しかも、たとい本を買うためにしても、月五万、十万円という金をもらうのに、くれる相手は何であつたか、そんなことは問題でない、たとえば詐欺、強盗、かつ払いでも、本を買う金をくれるならもらうということになつたら、学者的存在がないではないか。私はそういうことを聞くのでなくして、あなたほどの明敏な頭脳の持主が、この会社から十万円、五万円の金をもらう顧問として三年も四年も勤めていたにしては、この会社がいかなるものであつたかということを知らぬということは常識上信じられないということなんです。あなたは、顧問になつたときから、ほんとうにこのインチキ会社を知らなかつたとおつしやるんですか。それが真相でしようか。私はあなたの学者的良識に訴えて御答弁を願いたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 まことに申訳ありませんけれども、私は顧問になりましたときには、インチキ会社だとは知りませんでした。それからずつといろいろ世間のうわさは耳に入りましたけれども、私はほんとうに株式と不動産に投資しておつたと考えておつた。もし株式と不動産に投資しておつたとすれば、朝鮮動乱後の経済好況期の時代には必ず相当の収益をあげる。これは、今日私資料をもつて御説明することはできませんけれども、これははつきり御説明できます。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 私はこれ以上追究いたしませんが、あなたは、あとになつてインチキたることを発見した、そういう言葉は使いませんでしたが、あとになつてそういううわさを聞いた。——そのときでも、あなたは学者として、顧問ですから、会社に一言の注意をするなり、学者的名誉を維持するためにも、五万円の本を買う金は大切ではあろうが、そういう腐れ会社と縁を断ち切ることが学者として、しかも教育者としてそうあるべきではなかつたでしようか。それを、最後のどたんばまで来て、今日は加入者の救済までも心配するという深い責任を感じておるというのは、ただ単に本を買うために五万円もらつたとは世間では思わないだろうと私は想像するんだが、どうですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 その点、私が申し上げましたのは、インチキという言葉を使いますと問題になるから改めますけれども、要するに、経営内容が不健全だといううわさは新聞、雑誌等で読んだことがあります。これは休業前のことであります。いつごろというと、私は記憶しておりませんが、まず週刊朝日という雑誌に保全経済会の記事が出たことがあります。ダイヤモンドという雑誌に保全経済会の記事が出たことがあります。そのときは週刊朝日の記者もダイヤモンドの記者も私のところに来た。ところが、私は、実際経理の内容といいますか、営業の内容は全然知らなかつた。週刊朝日の記者にもダイヤモンドの記者にも、正直に、実は何も知らぬのだ、だから私は内容を説明するわけには行かぬ、——これは当時の週刊朝日の記事なりダイヤモンドの記事をお読みになればおわかりになると思う。それを説明した。  それから、そのときに、世間のうわさに上つたのになぜおかしいと思わなかつたかという御質問なら、世間のうわさだけではものは判定できるものではない。また私のところへ一月に一ぺん秘書が金を持つて参りますときに、私は、ちよつと気になるから、バランス・シートというようなものを見せぬか、あるいは経理の内容を知らせてくれと言つておりますけれども、しかし一ぺんも見せてくれず、それ以上私がそれを追究する権利は私にはない。顧問というものはそういうもんなんです。また、私、ほかの会社の顧問をしておりますけれども、日本の顧問というものは、実はこういうことをここで申し上げるのはどうかと思いますけれども、アメリカでも会社の組織というものはラインとスタツフの二つにわかれておる。ラインというのは、社長、専務、常務、支配人、クラーク。スタツフは、課長には課長の助言者がいる。支配人には支配人の助言者がいる。社長には社長の助言者がいる。顧問というものはその社長の助言者のようなものである。これは助言を求められた場合にするのであります。私らの場合は、こちらから助言すべき地位ではない。先ほど私の名前を連ねて勧誘したと言われますけれども、私はそういう意思がないでも、そういうことはどうも認めざるを得ないと思います。しかし、そのことと私が顧問という名前で忠言しなければならなかつたということとは別なんです。顧問というものは意見を求められれば答える。求められなければしようがないのであります。そういうことは一ぺんも求められたことがないのであります。従つて何も言わなつたというだけであります。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 あなたは当委員会の性格を御承知だろうと思います。念のために言いますが、私どもはこの委員会で世上うわさになつた人を罪人にしようという気持はちつともないのです、事態が明らかになれば、この委員会の大半の目的は達するのです。従つて、この世間疑惑の的である大事件の事態を明白にするというところにねらいがあるので、何もあなたが関係あつて刑法上の責任があるとかないとかということを私どもは追究するのではない。だんだんとあなたと言葉を重ねているうちに、妙にあなたのお答えは前言と違つて来ておるということを、私はあなたのために惜しむ。たとえば、投資銀行の問題では、伊藤も前からそういう意見を持つておつて、あなたのところへ意見を聞きに来たが、とるに足らない幼稚園式の頭の考え方だから、そんなものは問題にしなかつたと、先刻は中野君には答えておる。ただいま私には、一度も意見を求められたことはないから、意見を発表したことがないと言つておられる。まだ一時間もたたないこの同一の席上で、なぜあなたの証言がそんなにかわるのでしようか。私はあなたのために惜しむ。どつちがほんとうですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それは、はつきりお答えいたしますけれども、言葉の言い方が足らなかつたのです。はつきり事実を申し上げますと、投資銀行について、伊藤君が、私が顧問就任当時に二、三べん来まして、望月京一氏を帯同して来て私にいろいろな投資銀行の話を聞きました。そうして帰りました。それは事実であります。その後——今の御質問はどういうことですか。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 それは、意見を述べたか述べないかということです。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それは取消します。その程度で意見を述べたことはあります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 松本君、その点をはつきりしてください。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 その程度で意見を聞かれたことはございます。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 あなたはどうも当委員会に対するあなたの根本的な物の考え方に何か錯覚があるのではないか。われわれはあなたを被告扱いにしておるのじやない。あなたを罪人だと思つてはおりません。尊敬する日本の学界の有為の学者、紳士だと思つておるのです。なればこそ、あなたとともにあなたの宣誓には立ち会つて、起立しておるのです。それをあなたは、言葉を巧みに一時間もたたないうちに取消したり、あるいは訂正したりするということは、学者らしくない。学者というものはそんなものじやないでしよう。もつと信念的に、もつと良心的に堂々とお答えになつてしかるべきであると思う。私はこれ以上あなたに追究いたしませんが、あなたの道義上の責任から言つて、日本の学界に存在するあなたほどの地位の人がこんな会社に関係して、そのほか利用せられて、これだけの金を集められて、全部あなたの責任だとは申しませんが、大半の責任をあなたは道義的にはまぬがれることは相ならぬのだ、学者的な良心から言つても、そういうことを忌避してはならない、私はそういうことを申し上げたのだが、あなたが、そこに反省がないとなればやむを得ない。これ以上追究いたしません。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ただいまの御質問に申し上げたいのでありますが、私は初めからこの委員会の性質をそれほどはつきり知りませんけれども、別に被告扱いされておるという気持で伺つたわけではない。国民の義務として出頭したわけであります。もちろん私の知つていることはみんな申し上げます。しよつちゆう取消すとか何とか申しますけれども、事実上私は被告扱いされていないはずでありますけれども、こういう席へ来たことは初めてでありますので、何か言葉がときどき食い違うことは御了解願いたい。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 小林進君。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 さつきの委員長の質問を補足する意味で、二、三お伺いをいたしたいのでありまするが、やはり第一番目には、顧問に就任をされたその動機をいま一応明らかにしていただく必要があるのじやないかと思います。書面で申入れがあつて、今度は本人に会われて、しばらくして口頭で顧問を承諾をされた、こういうことになつておるのでありますが、伊藤とお宅でお会いになりましたときに、私は人種、性別にこだわるわけではございませんが、伊藤君が日本人ではなくて朝鮮人であるということをそのときにお気づきになつたかどうか、一応参考までにお伺いをいたしたいと思います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 顧問に就任しました状況は、初め申し上げましたように、突然手紙で依頼して参りまして、それから私、それを確かめるために本人にうちへ来てもらいまして、いろいろ話をして、しばらくたつてから口頭で顧問就任を承知したと思つております。最初に私が伊藤君に会いましたときに朝鮮人であるということを知つておつたかどうかという御質問でありますが、そのとき私ちよつと変に思いまして——大体韓国人の学生を相当扱つたことがあるのです。韓国人の学生は濁音がなかなか発音できない、なぜ私はそのとき韓国人じやないかと思つたのかはつきり記憶がありませんが、ともかくそのときに韓国人じやないかという気持がしまして、いろいろ濁音を言わそうとしたところが、完全に発音する。これはおそらく皆さんは御承知だろうと思う。従つて、そのときは韓国人であるとは思いません。韓国人じやないかということがちよつと頭に浮びましたが……。それで実は、ある新聞記者に依頼しまして、どうかということを調査させました。ずつとあとになりましてから、韓国人だということを発見しました。その新聞記者の名前を申し上げられます。これは帝国興信所の編集の記者をしておつた永井仙藏という人です。その人に頼みまして調べてもらつたが、それがわかりましたのが翌年であります。その当時、私、韓国人であるかどうかということは知りませんでした。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 その最初にお会いになりましたときに伊藤斗福の濁音までも気にかけられて、それほど細密に人物の調査も依頼された先生が、保全経済会という、そういう日本で初めてできたその会社の内容について何らの調査もされないで、その場ではありませんけれども顧問を承諾をされ、しかもそれが休業に至るまでなおかつその内容状態について全然というに近いほど知らなかつたというようなことは、この顧問就任が一般人の常識までもないほどのずさんな就任の仕方ではなかろうかということになります。いま一応この関係を明らかにしていただきたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私、顧問の就任を受けましたときに——大体顧問なんというのは全然そういうことを調べぬものなんですが、一応今の永井という新聞記者に依頼して調べてもらつたのは事実でございます。それから、もちろん伊藤君が来たときも、私は伊藤君に、一体何をやつているのかということは聞いております。聞いておりますけれども、それ以上は追究しません。追究しないし、調べません。それから、その後私のところには向うの秘書の人間が来て、しよつちゆうよく行つておる、よく行つておると言つて、株を買う話とか不動産を買う話をしておる。そこで、私がそれに対して実際に向うへ行つて調べるわけにも行きません。それからその資料をとり寄せるわけに行かぬ。そのことをずさんとおつしやれは、いかんともしようがない。そういう事情でございます。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 話が少しこまかくなりますが、帝国興信所の永井仙藏君のことについて、ちようど資料がここにございますので、あわせてお尋ねをいたしたいと思うのであります。永井君は先生といかなる関係におありになるのか、その関係をお伺いいたしたいのでありますが、永井君は実は昭和二十六年の十二月の七日に保全経済会から歳暮といいますか、そういう名目で二十七万円をもらつている事実があるのでございます。あわせて先生と永井君との関係、永井君と保全経済会との関係もお知りの点がありましたらお聞かせを願いたいと思います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 先ほど申し上げました伊藤久馬なる人物が永井仙藏君を私のところに連れて参りました。それは当時帝国興信所へしよつちゆう保全経済会について問合せの手紙が来る。その内容を知つているだろうというので私のところへ来た。その後永井君は私のところへ——これは帝国興信所の新聞の編集員でありまして、探訪員ではない。その編集員が私に原稿を書いてくれぬかということを二、三べん頼みに来たような記憶があります。最近は全然そういうことは頼まぬ。ごく最近に、保全経済会が休業したあとで、今度は帝国興信所でなくて、名前をはつきり覚えておりませんが、あるそれに似たような新聞の編集員になつたから原稿を書いてくれということを言つて参りまして、その原稿を渡してやつた。その他のことは私は知りません。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 そうすると、先生は永井仙藏君が保全経済会とはすでにその当時深い関係にあることを知つておられたるがゆえに伊藤斗福の人種をお尋ねになつたというふうになるのでございましようか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 永井仙藏君が当時保全経済会と非常に深い関係にあつたかどうか知りませんけれども、伊藤久馬君が連れて参りまして、これが知つているらしいからということを言つたのでございます。それで私は頼んだ。それだけのことでございます。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 次に、問題がこまかくなりますが、保全経済の立法化の問題について一回だけ伊藤斗福と某所で会合をして相談を受けた、けれども伊藤の頭が非常にずさんであつて、先生の考えられている構想とは非常にかけ離れているから、まあいいかげんの話をしてわかれたと言われたのでありますが、その会われた某所というところを、おさしつかえかなかつたらお聞かせ願いたいと思います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 今の御質問がちよつと私の申し上げたのと違つておるのです。立法化については——立法化と言えるかどうか知りませんけれども、最初に伊藤君が私のうちに来まして、インヴエストメント・システムとはどういうものかということを聞きまして、それを私のうちで二、三べん話した。それはごく初期であります。おそらく小林さんの御質問の某所というのは、その後一年くらいたちましてから、保全経済会の方で投資銀行法案というものをつくつたからそれを見てくれと言いまして、私のうちにだれか使いが来たような記憶があります。そのとき、たしか投資銀行法案——あるいは投資金融金庫と言つたか、その点ははつきりしませんが、それを持つて参りまして、私も実はいろいろな意味で非常に忙しいので、そんなものを一々見ておるわけにも行かないのですが、一応目を通しました。大体私がふしぎに思つたのは、金利の点でふしぎに思いました。内容のいかんを問わず、一般の金利を付するということなら特殊の銀行もできますけれども、一般の金利以上の金利を付するということでは全然問題にならぬ。その法案には一般の金利以上の金利を付するということが書いてあるのであります。これでは全然問題にならぬ。しかし、その点もたしかもう少し話を聞きたいというようなことを言いまして、私、年月日を全部忘れておりますけれども、赤坂のある待合へ呼ばれて行きました。そのとき伊藤斗福は来ておりません。山口六郎次氏と福田という安本の政務次官、望月京一、伊藤久馬、これだけおりまして、そのとき話は結局曖昧模糊になつて、それきりで帰つてしまつたのであります。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 その福田君と山口六郎次君、それから望月君、伊藤久馬君、あなたと五人でお会いになつた。これは昭和二十七年でありますが、期日がはつきりしないとおつしやればそれでけつこうであります。場所も今赤坂の待合とおつしやいましたが、あるいは築地の待合ではないか、これもいま一回記憶を呼びさまして、確認しておいていただきたい。その場所の点が一点と、投資銀行法案の内容についてこの五人の間でかわされました話の内容を、今のように曖昧模糊たる話で終つたということでなしに、御記憶の許す限り具体的にひとつ詳しく伺わせていただきたいと思います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 場所は築地の待合では絶対にありません。赤坂の待合です。これははつきり申し上げます。ただ、赤坂の何という待合かと申されますと、それは名前を忘れて、はつきり申し上げられません。期日は記憶にありません。  それから、そのときにどういう話をしたか、その内容というものは今ちよつと記憶しておりませんけれども、大体その案を望月京一君が説明しまして、私から説明を聞きたいというのはどういう意味か、おそらくそれに関連して私の学者の立場からして妥当かどうかということを聞きたいという意味に解して話をしましたけれども、大体初めから私の頭の中にそういう法案はできつこないということを考えておりますから、あいまいなことを言つて、よく研究しようということでわかれて、それきり何の連絡もないので、そのままにしておりました。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 二十七年二月十九日に自由党へ二百万円の政治献金が届けられておるのであります。もちろんこれは、五月十七日に政治資金規正法によつてちやんと届けられておるのでございますから、決して私は公党の面目を追究するものではないのでありますけれども、この二百万円の自由党に対する政治献金のあつせんといいますか、仲介の労をとつた者は、これはいずれまた場をかえて真相を明らかにする機会があると存じますが、山口六郎次氏であると言われております。またその当時福田氏は経済安定本部の現職の政務次官であつたと思われる。いわばこうした経済立法を担当する当面の行政官の最高首脳の一人であつたはずであります。その福田氏と山口六郎次という政治献金の仲介をやられた方あなたがお会いになつて、そうしてそこに望月京一という、いわば保全経済会の総参謀長であると言われた当時の経理部長が加わつて談合せられたものは、私の推定をもつてすれば、一応この投資銀行法案を立法化することの可能性の裏づけをあなたに求めたのではないかと思う。学者としてのあなたに、これは法律化することは可能である、こういう証言に近いものをこの席上で求め、あなたは与えたのではないか、こういう推定が成り立つに足る十分なる他の事実があるのでありますが、この点、当時の会合のお話のぐあいを、どうかひとつ御記憶を呼びもどして具体的に承らせていただきたいと思います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私の記憶では、当時福田君が経済安定本部の政務次官でありました。山口六郎次氏もやはり何かの政務次官という名刺を持つておりました。私は実は福田君とは前に面識があるのですが、山口氏は全然初めての人であります。そのとき話しましたのは、要するに、今の投資銀行法案という何か謄写版刷りのものです。実は私それを現在も持つております。なぜ持つておつたかということはちよつと何ですが、とにかく持つております。それを望月君が読んで、要するにそれが妥当か妥当でないかということを研究しようというので話しました。私は学者でありますので、何でもなくそこに行きました。ただ私の意見を述べる段になりますと、大体初めからそういうものは成り立たぬという観念で臨んでおりますから、話がやはりしんみり行かぬわけで、そのところではもう少し研究しようということでわかれたのです。その日にちは多分二十七年くらいじやないかと思います。従つて、今記憶を呼びもどせとおつしやいましたが、ちよつとはつきり申し上げられません。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 それでは申し上げます。たしかこの二百万円の政治献金の行われた直前だと私どもは考えておるのでありまするが、その日付については御記憶がないとおつしやればこの程度でやめておきますが、大よそ寒い時分であつたか、こたつがあつて火ばちがあつたか、いま一応伺いたいのと、なおまだ二、三伺いたいことがありますから、あわせてその会合の時間が大体夕景の何時ごろから何時ごろまでで、その酒宴の席上で、前半戦は話で終つたでしようが、後半戦はあるいは美妓を連ねてにぎやかにお飲みになつたか、あるいはそこまで至らなかつた会合であつたかということまで、あわせてお聞かせを願いたいと思います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 今の二十六年か二十七年かということは、私はつきり記憶いたしませんけれども、二十七年の寒い時期であつたということははつきり記憶いたしております。これは、私外套を着て参りまして、その待合の部屋に入りましたときに、たしか電気ストーブか火鉢があつたと記憶しております。これははつきり申し上げられます。そういたしますと、二十六年の二月に私はそういう会合にともかく招かれるはずはないのでありますから、二十七年の二月と大体記憶いたします。これはそういうふうな状況から記憶しておるのであります。それから、大体話は非常は簡単に、こういうことはできない、もう少し考えようくらいで、済んでから酒を飲みました。そのときに美人がおつたかどうかということは、そこまで記憶いたしておりません。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 この問題はまたあとでいろいろ事実が浮びました場合に再びお伺いする機会であるかと存じます。  次へ行きまして、やはり問題になる顧問の性格の問題でございまするが、この顧問の問題は再びまた中野、椎熊両氏の質問と若干重複をするかもしれませんが、その点ひとつ委員長においてお許しを願いたい。  ともかく、あなたは、先ほどの証言でも、百万円前後をもらつた記憶があるが数字に正確さはない、こうおつしやつた。われわれの調査によれば、顧問料として入つている金だけで百三十九万円、それから、そのほかにいわゆる渉外費として三十五万円、そのほか十万円ということで、合計百八十四万円がお手元に届けてあるという帳簿上の勘定になるのでありまして、百万円前後というのと百八十四万円じや、ずいぶん受ける感じが違うのでありまして、この点、もう少し御記憶を呼びさましてお答えを願いたいと思うのであります。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 今の渉外費の十万円、三十五万円というのは、私どう考えても記憶が呼び起せません。これは、邪推いたしますと、私の名前で帳面に何かつけてしまつたかもしれません。私は、この渉外費という点は、実は渉外に携わつていないのですから、渉外費を私はもらうわけはないのです。顧問料の点は、何べんも申し上げた通りでありまして、どうも初めからの約束はそういうことになつております。そして今の十万円のときもあつたでしようし、それから、私全然そういうものをメモもつけておりませんし、また受取りを出したときもありますが、受取りを出さないときもありました。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 先ほどからの証言で、顧問料について、学者の生活の苦しいことを述べられ、百万円前後の顧問料ぐらいはまことに大したものじやないというお話なのでありますが、われわれの方から聞いておりますると、あなたは顧問として何もおやりになつていない。最初から調査研究を条件にして顧問に就任したというお話でございましたが、その調査研究についても、今までの御証言では、金を届けて来た者に口頭で単なる注意を与えたという程度のもの、それから立法化の問題について伊藤斗福が一回自宅へお伺いしたことと、某所で福田君と会つて飲んだという二回だけの会合で、それ以外に顧問として調査研究に携わられた実績は一つも残つていない。だから、われわれに言わせれば、これほどどうも無意味な、労せずして毎月多額の顧問料をとつておられたという勘定になるのでありまして、これすなわち、こういうような何も労せずして顧問料を、しかも平気で、なお少いというくらいな感じでとられておりましたあなたの心境の中には、やはり経済学博士としてのこのおれの名前のいわゆる名刺料である、おれの名前を顧問に掲げておれば、いわゆる愚民がついて来て、それで伊藤は大いに金を集めて来ておるのだから、名刺料としてはこの顧問料はまだ安過ぎるというお気持があなたの心の中に潜在意識があつたのではないかと思いますが、この点、いま一度正確は御説明願いたいと思います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私、顧問料と申しますが、大体書物を買うとか、研究費みたいなものになつております。これは、私どもの常識では、今の金額全体を見ますと何ですが、今日の書物を見ますと、年五十万円や百万円の本はすぐ消えてしまうのであります。  それから、何か私の名刺料であるという潜在意識を持つておつて、これだけの金をとつても一向かまわぬのだという考えを持つていなかつたかということでありますが、何べんも繰返しますけれども、名刺ではないと思つております。同じ顧問であります平野力三さん、早稻田柳右エ門さんに比べますと、年も若うございますし、世間的に有名だなどと少しも思つておらぬのであります。その点は、たびたび質問を受けますけれども、実際名刺とは思つていないのであります。この点ははつきりお答えをいたします。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 ちよつと申し上げますが、今日はなお早稻田君と平野君のお二方を呼んでおります。時間も大分経過いたしておりますので、御質問は重点的に、簡潔にお願いしたいと思います。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 承知しました。そういたしますと、あなたは五万円ずつ合計百四十万円、接待費を合せて百八十四万円でありますが、これを朝鮮人の伊藤斗福から毎月もらつていて、ちつともはずかしいとも思わず、余分なものとも考えないで、学者の立場からまだ少い少いとお考えになつておつた、こういうようにお考えになつておつたと解釈してよろしゆうございますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 どうも、そういうふうに解釈されると、答弁に困ります。私は顧問料としてその金額をとることは少しもふしぎに思つておりません。ただ、朝鮮人の伊藤斗福からそういうものをとつてはずかしく思わないかなんということになりますと、ちよつと何と答えていいかわからないのであります。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 この顧問料をもらつていて、少しも仕事をしないで名前を連ねておられて、はずかしいとも思わない、その学者の常識と申しますか、これは私どもはとうてい納得できないのであります。  なお、いま一つ納得できないことは、保全経済会がいよいよ休業いたしましたときに、あなたは、百八十四万円の顧問料をもらつておりましたその社長伊藤斗福並びに幹部に対しては、何ら手伝いをしようという気持も、救済しようという気持もなかつたが、ただ出資者が気の毒だから、出資者を救済するという気持で休業後の再建工作に参画をした、こういうことを先ほど証言をされた。これも私は非常におかしいと思う。一宿一飯の義理があれば、人の恩義を感じるというのが日本人のあたりまえです。これだけの不労所得をされておつて、この会社が倒れても、何らその責任も、また助けようという気持もなかつたという心境は、私にはのみ込めないので、いま一度お伺いいたしたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 今の全体の金額に対して私認めませんから——今の渉外費を含んだ金額は、私存じません。それははつきりお答えいたします。  それから、何か保全経済会から顧問料をとりながら、しかも非常に不当な顧問料をとりながら、保全経済会が休業した後に保全経済会を救済する何らの対策も立てず、債権者のためにだけ行えたのはけしからぬ、こういうお話であります。これは、私、保全経済会が株式投資とか、不動産に投資をするとか、ほんとうに仕事をしていたものなら、何らか救済する必要があると思う。しかし、どうも休業直後いろいろ調べますと、これはいろいろ資料もあるのでありますが、そのときに保全経済会が株式にもほとんど投資していないし、不動産にも投資していない。またそういうものが何かすぐに合法的に立法化されるとか、あるいはそういうものに政府の救済資金が出るとか、これは私の常識では考えられない。こういうふうなことに協力する気持は一つもありません。ただ、そのことと出資者がかわいそうだということは別問題です。出資者のためには当然協力しなければならぬ。保全経済会の幹部と協力する必要は、当時から私認めておりません。また、それが日本人の云々ということになりますと、これはちよつと気持の相違であります。私はそう考えております。はつきりお答えします。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 最後に一点お伺いしますが、保全経済会が休業いたしましたときに、あなたはあなたの父上の時代を通じて住友財閥と非常に深い関係におありになつている、そういうことから、この保全経済会が倒れたあとに伊藤理事長一門を保全経済会から追い出して、そうしてあなたがかわつて、表面かあるいは裏かもしれませんが、住友と結んで保全経済会を俗に言えば再建工作といいますか、乗つ取りといいますか、そういうような画策を大いにおやりになつているという、これは私は確証はありませんが、ずいぶん風評が飛んだのであります。この点、一応あなたに伺いたいと思います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私のおやじは住友に関係がありますが、私は住友に全然関係ありません。また、常識で考えましても、住友財閥が保全経済を乗つ取ろうなどということは、ちよつと私の常識では考えられぬことであります。そういうことはちよつと私の常識ではお答えしかねます。  委員長、今の件につきましては、そういう事実はなかつたということだけ申し上げておきます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 北山愛郎君。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 重複する点を除きまして簡単に二、三お伺いします。先ほどの、二十七年の初めごろでありますが、寒いころの例の赤坂の某所会談、この会談について確かめておきたいのは、それに列席した人は山口さんと福田さん、望月さん、伊藤久馬さん、あなたと、五人だけでございますか。ほかにどなたもいらつしやらなかつたですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私と福田さん、山口さん、望月さん、伊藤君、これだけでございます。ほかにはだれもおりません。ちよつと訂正します。井上俊吾という秘書がいたかもしれません。それは記憶あいまいでございます。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 次に移りまして、先ほど証人は匿名組合ではないと思つておるというようなお話がございました。そこで、証人が顧問に就任された当時、いろいろ保全経済会の性格についても調査の上でやられたようでありますが、その当時において保全経済会は匿名組合という名前を使つておるわけです。その当時においてはやはり匿名組合だと思つておつたのか、匿名組合ではない、この看板というものは偽りがある、こう考えて顧問に就任されたのであるか、この点をお伺いいたします。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 実は、この点、私まことに申訳ないと思いますけれども、私は、顧問に就任しましたときには割合簡単な気持でなつておりまして、匿名組合だということを信じてなつております。また、私、実は匿名組合の経済的な知識を持つておりますが、法律的知識はあまり持つておりませんので、特にそのとき匿名組合が法律的にどういう性格だということを調べもいたしませず、ただ、休業になりましてからは、これは調べなければならぬと考えて、法律的にも経済的にも研究しまして、先ほど申し上げましたような考えを持つております。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 次に移りまして、証人は会社に関する調査研究を頼まれて、その面での顧問の役目をやつたんだというお話でございましたが、会社の事務所の方には行つたことはございませんか。もし行つたとすれば何回ぐらい行つたか、たとえば、会議に出席する場合であるとか、何か用事で行つたと思うのでありますが、そういうことがあるかないか、行つたとすれば、何回ぐらい行つたか、何の用事で行つたか、それを確かめてみたいと思います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私は、保全経済会の会議とか、そういうものに出席するために保全経済会の事務所に行つたことは一ぺんもございません。ただ、私が保全経済会の顧問をしておるということをよく人が知つておりまして、保全経済会からある会社に金を出してくれぬかとか、あるいは保全経済会にこの地面を買わしてくれぬかというふうな依頼を受けることはよくありました。そのとき、たしか私の記憶では、一年二、三回は保全経済会へ行つております。但し、これは御質問の範囲外と思いますが、私がこの地面を買わないかと言つて持つて行つたもの、あるいはこの会社に投資しないかと言つて持つて行つたものに対して、投資をしたり地面を買つてくれたりしたことは一つもありません。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 それでは、次に、あまりそういうふうな関係で事務所の方とは関係がないようでございますが、それでは、保全経済会の役員あるいは職員で、証人が会つたり、よく承知をしておる、非常に面識のある役職員はどなたとどなたでありますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 最初の時代には望月京一君というのが私の家に二、三べん来まして、井上俊吾という秘書がよく私どもへ参つております。これは月に一回くらい連絡——金を持つて来る。それから古田という、理事長の女の秘書が、これは私どもがあそこへ今申し上げた用件で行くときにちよいちよい顔を見る。あとの幹部は——地方の支店の落成式に呼ばれまして出席したことが、大阪の支店と静岡の支店と二回あります。そのときに、静岡の支店長の顔を見るとか、大阪の支店長の顔を見るとか、あるいは東京で支店長の会議をしますときに、私も顧問として呼ばれまして、そのときに保全経済会の幹部が私に名刺をくれるという程度の連絡がありました。それから、またごく最近、最近と言つても休業前半年くらいですか、休業当時の理事長室の室長をしてい松本君に会つたことがあります。特に保全経済会の幹部で開業中私と特別接触した人間は、今の井上俊吾という秘書以外にございません。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 先ほど証人から講演に歩いたことがあるというようなお話がありましたが、どこへ行つてどういうお話をとされたのであるか、いつごろ歩かれたのであるか、お伺いをします。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 講演に歩いたことがあるということを御証言申し上げましたですか。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 言つております。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 講演の方は東京でございます。二十六年のたしか十一月ごろに東京で保全経済会の支店長会議がありましたときに、私に話をしてくれということで、アメリカの投資銀行の話をしたことがあります。それから、二十八年はもう休業しておるわけでありますが、二十七年のやはり十一月か十月ごろの保全経済会の支店長会議で同様にそういうような投資の話をしたことがございます。その二回でございます。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 地方へ行つたのはそれ以外にありませんか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 今申し上げましたのは、地方ではなくて東京の場合でございます。地方へ参りましたのは、静岡の支店が落成したときに静岡へちよつと寄つてくれぬかというお話がありまして、静岡へ一ぺん参りました。それから、大阪の支店が落成しましたときに、これは偶然大阪におりましたので、ついでに呼ばれまして立ち寄りました。それから、京都へ一ぺん行つたことがあります。ほかはございません。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 今のお話ですと、先ほどの証人の話と大分食い違いがあるのじやないかと思うのです。証人は、調査研究を委嘱されたのであつて、ほんとうに事業面においてはさつぱり接触がなかつたのだというような証言をなさつておつて、今のお話でありますと、支店の落成式であるとか支店長会議に出たり、いろいろこの会の運営に参加しておる。そういう会合で話をされるということは、結局保全経済会のために業務上都合のいいような話をなさつておるに違いないのです。従つて、これは業務に相当関係なさつておると判断されるのですが、先ほどの証言と相当食い違うのではないかと思うのですが、その点はどうですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ただいまの言葉がちよつと足らなかつたかもしれませんが、支店長会議に出席したのではないのでありまして、支店長会議のあとで宴会がある、その宴会へ出席したのであります。従つて、その宴会の席上では保全経済会の運営の話は全然出ておりません。これははつきり申し上げておきます。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 時間もありませんから、簡単にいたしまして、最後に、証人は伊藤斗福という人物についてどういうふうに考えておられるか。あなたが顧問に就任なさる当時の伊藤斗福に対する考え方、りつぱな人物であると考えたか、あるいは先ほどお話のように、投資銀行については幼稚園程度の知識しかない男である、こういうようなお話がありましたが、大した能力のない人物であると考えたか。それから、二十六年から現在までの経過を顧みてみて、伊藤斗福はインチキな詐欺的なというか、社会的に非常な弊害を流した男であると考えておるか。接触をしてから現在までの経過を考えてみて、伊藤斗福について証人はどういうふうに考えておられるか、それをお伺いします。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 接触した当時、私、突然の話なものですから、別に何も伊藤君に対する予備知識を持つていないのであります。ただ、よくしやべる男だくらいにしか思つておりませんでした。もちろん経営上の手腕などは全然知りません。その後だんだん世間のうわさが大きくなりまして、あれは株を買う天才であるとかいううわさをずいぶん聞きました。私はその当時その通り相当信じ込んでおつたこともあります。それから、最後の御質問は最近の話ですが、あれだけのことをして世間に迷惑をかけた男に対して、どうもほめるわけには参りませんから……。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 そうしますと、あなたも伊藤斗福の、そういうふうなほめるわけに行かぬような事業に一緒に接触をし協力をしてやつて来たのでありますから、その点についての伊藤斗福氏に対しては、そういうふうにほめるわけに行かぬという感想を持つて、自分自身に対しては、これはただ嘱託であつて、関係がないのだとお考えになるかどうか。自分自身も伊藤斗福氏と同様に社会的な責任があるというふうにお考えになるか。その点、あなたの御心境を聞きたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私、はつきり今の出資者に対してはある意味の責任を感じますけれども、別に伊藤斗福氏に協力したわけでも何でもないのですから、私がそのこと自体について社会的責任を負うということは感じません。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 しかし、先ほどの御証言でも、単に頼まれて調査研究を請負つてやるような嘱託ではなくて、やはり各地の落成式であるとか支店長会議であるとか、そういうことにも出席をしており、しかも投資銀行案について、単に案を見るというばかりではなくて、特殊な準備の会合にまで出席をしたというように、相当深入りをしておるのです。だから、自分だけが責任がない、伊藤斗福氏だけが責任があるというような言葉は、どうも矛盾していると思うのですが、いかがですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それに対しては、どうも、何べんお答えしても同じだと思いますから……。特に、支店長会議に出席したというようなことは、それは支店長会議のあとの宴会に出席しておるのでありまして、別に支店長会議に出席したわけではございません。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 秋の質問はこれで終ります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 次に中野四郎君。簡潔に願います。

中野四郎改進党

○中野委員 総括的にちよつと締めくくりのために聞いておかなければならぬことがあるのですが、まず、松本さんは保全経済会の件で関係当局から捜索を受けたことがあるか、あるいはどこか関係当局に喚問されたことがあるかどうか、この点を伺いたいと思います。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 家宅捜索を最近受けました。喚問を受けたことはございません。

中野四郎改進党

○中野委員 その家宅捜索の際に、あなたはこの保全経済会の「利殖のしるべ」というような勧誘の文書について知らないと言つておられるが、古い文書がその捜索で関係当局に持つて行かれておるようなことがあるかどうか。あつたらどうするか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私の家には実はそういうものが全然ないのでありますから、従つて、そういうものを持つて行かれた事実もないと思つております。

中野四郎改進党

○中野委員 これは今後の過程においてはつきりいたしますから……。あなたがまつたく関係があつたかなかつたかということをば今後すべてのものを傍証をもつて立証することができると思うのです。先ほどからお話を聞いておれば、この文書も知らなければ実際上にタツチしていない、または自分みずから、あるいは他を通じて自分の意思を明らかにしたことはないと言つていらつしやる。これは第一番におかしい。ところが、これをごらんになれば、この文書の中に「これはアメリカを初め各国で大きな地歩を築いている投資銀行にならつて、日本に初めて出来た利殖機関です。」ということは、あなたの意思そのままに通じておる。本人から通じようと通じまいと、明らかに文書の上から通じておることが一点。それから、さらにもう一点お話をしておきたいことは、先ほど顧問料の問題が再々出た。ところが、この保全経済会の特色というものがどこにあるかと言えば、会社経営の上における消費面を極端に押えておるという点にあるのです。つまり浪費を慎む。「次に消費の方面は如何であるかを観察して見ましよう。本会では一般会社で相当大きい部分を占めている高級役員の手当、社内保留金等の控除がないばかりでなく、人件費を始め諸経費を最小限度に切詰めて居るのです。」こうある。この高級役員がないというふうな保全経済会のいわゆる職員役員を通じて、いわゆる月給顧問というものはあなたが一番大きい金額なんだ。平野力三君初めあなたと早稻田君が一番大きな金額を占めておる、高級役員の最高上位におるということだけはこれで立証できる。このこと自身に照してみても、あなたが実際上この保全会に関係しておつたかおらなかつたかということは、この証言だけでは明らかになりません。当然今後いわゆる捜査当局の捜査の過程において明らかになつて来ると思いますから、この点はあなたが実際に関係ないとそこでおつしやつても、われわれの方では客観情勢としては決してないなどということは言えない。むしろ逆に言えば、あなたは保全経済会を今日ならしめたところの中心人物であると言つても過言でないと思う。あなたは関係しておらぬとおつしやつても、そういう情勢にあることだけは察知できる。  そこで、第二の問題を伺いますが、この問題で再建のためにいろいろ運動された点を先ほどあなたは詳細に述べられました。そこで、再建のために、あるいはまた他のことで、この保全経済会のことに関してあらゆる関係方面に陳情に行つたことがあるかどうか、陳情に行つたとするならば、どういう方面へ行つて、いかなる人と会つてどういう話をしたか、この点を伺つておきたい。これは、将来あなたの今日喚問されたいわゆる運命を決する一番大事な問題が五つ並べてありますから、率直にお答え願いたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 今の最初の御質問に対しては、「利殖のしるべ」ですか、その中に書いてあります——私はいろいろな書物を書いておりますから、その中の文句を一々引合わして、そうしてこれで私の責任と言われることは……。

中野四郎改進党

○中野委員 責任とは言つておらぬ。その点はそれでいいですから、第二の問題についてお答え願いたい。再建のために関係方面に陳情に行つたかどうか、あるいはそういう工作をしたことがあるかどうか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 再建のために関係方面に陳情に行つたことはございません。

中野四郎改進党

○中野委員 それから、保全会の中であなたはだれと一番懇意にしておりましたか、また会社の中で知己のある人の名前、だれとだれを知つておるか、それを明らかにしてもらいたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 今のは名前を知つておる程度ですか、特に親しい人間ですか。

中野四郎改進党

○中野委員 特に親しい者、それからあなたと面識のある者。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 特に親しいと言うと語弊があるかもしれませんけれども、元秘書課長をしておりました井上俊吾というのは週に二回来ております。最近、休業二、三箇月前から松本達夫という今の室長をしておる人間に二、三べん会つたことがあります。それから、あとはほんの面識程度でございます。ただ名前を覚えているだけ申し上げますと、望月というのがおります。

中野四郎改進党

○中野委員 それは懇意なのですか。毎月来ておるのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 懇意じやありません。井上というのが毎月一回来ておりますが、望月君は今の話を聞きに二、三回来た。それから、面識程度、名前を知つている程度では、あそこの理事の中の牧原、それから鈴木不動産部長、それもむしろ当時あまりよく知らなかつた。ただその名前は知つておりました。その程度でございます。

中野四郎改進党

○中野委員 それから、あなたは保全会以外の類似会社に関係があるかどうか、またそういうような一つの権威ある意見を述べておいでになり、あるいは研究をしておいでになるのだから、そういう類似会社から相談を受けたことがあるかどうか、この点を伺いたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 保全経済会のような類似会社から相談を受けたことはございます。但し、その相談というのはきわめてあいまいな相談でありまして、たとえば株式相互金融なら株式相互金融というものははたして成り立つのかどうかというふうな相談を受けたことがあります。それは二、三ございます。それから、そういうふうな類似団体に顧問とか何かで関係しておるという事実はございません。

中野四郎改進党

○中野委員 もう一点だけ確認をしておきたいのですが、毎月の顧問料を持つて来るときに、領収書や何かに判を押す場合があると思います。先ほどのお話では領収書を出したときもあるし、出さなかつたときもあるとおつしやいますが、出したときはいかなるときであつて、出さぬときはいかなる状態で出さなかつたか。これは金銭出納の上で大事なことですから伺つておきたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私の方へ向うが受取りを出しまして判を押した場合と、向うは受取りも何も出さないで帰つて行く場合がありますから、受取りも何も出さぬ場合には押しておりません。

中野四郎改進党

○中野委員 そこで、もう一点。この会社の中に、適度に信用を持たせるために奨学生制度を設けておる。奨学生制度は、日本の前途を背負つて立つところの若い学徒、特に優秀な才能を持ちながら学資の乏しきために学校に行くことの難儀な者に対して奨学資金を出す、というふうに書いてある。この点については、あなたは自分からこういうことをやつた方がいいとおつしやつたことがあるか、あるいはそういうことを全然知らぬか、ないしはこの金の配分が、あなたの関係しておるいわゆる側近あるいはあなたの関係者、知己の中に相当多く行つておるという事実を認めるか認めぬか、この点はどうですか。以上です。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 今の奨学資金の制度は、実は新聞の広告で見たことがあります。その範囲のことで、私自身は全然相談を受けたことはありません。最後の、私の知己の範囲が何とかということは、ちよつと了解に苦しむのでありますが、今の奨学資金のことが、お持ちになつておる「利殖のしるべ」の中に書いてあるということは、私は知りません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 次に長谷川君。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 二つ、三つお尋ねいたします。百三十余万円の顧問料をとつておつて、休業の当時まで何ら会社の内容について関係していなかつたというお話がありましたが、その間において四億二千万円ほどの新聞広告料を使つて、誇大な宣伝によつて金を集めている。そうして、その広告の中に顧問としての松本博士の名前が幾たびか出ているのであります。こうなりますと、結局するところ、博士などの名前によつてそれほどの金が集まつている。ですから、休業までの間に全然御承知なかつた、ただ自分は本を買うために金をとつておつたと申しますけれども、その間において出資者から問合せ、あるいはまた自分の名前が社会的にこれだけ影響力を保全経済会にもたらしておるのだという御認識を持つたことはありませんでしたか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 新聞広告の話ですが、東京の新聞に広告してあるのを私は見たことがありますが、そのときには私の名前は出ておりません。それは、広告の出ているのを自分で見た場合に、私の名前が出てないのを知つております。  その次に、出資者から私に内容を問い合せて来なかつたかというお話、これは実はふしぎに、休業するまでは出資者から一ぺんもそういう問合せの手紙は参つておりません。但し、私の住所を知つているわけではないのですから、保全経済会の方へ、あるいは私の名あてで来ているかもしれませんが、私のうちへ来ておりません。休業後は出資者からの手紙は二、三通私のところに来ております。これはみな持つております。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 証人は、ただ調査研究のために本代がほしいというふうな観点から、会社に対しては無責任なる関係においてずつと金をとつたとか申されながら、帝国興信所を通じて伊藤理事長なる人物についてその人物を調査しておる。そうしますと、あわせて休業当時まで全然知らなかつたと言いながらも、その間において経理について若干のやはり調査なり、あるいはあなた自身が研究なりされたようなことがあつたんじやないかと私は思いますが、いかがですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 最初に就任しますときには、初めての話でございますから、あるいは帝国興信に頼んだことはありますけれども、だんだんに年月がたちますと、人間というものはなれてしまいますから、あまりそういうことは感じないものです。その間私が経理内容について、もちろん使いに来る井上君あたりに質問したことはあります。しかし、それについて特にそれ以上追究したことはありません。また、私のところへ報告が来るわけでもなし、こちらで要求しても何も来るわけではないということになれば、私としては調査のしようもないわけであります、その程度であります。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 そうしますと、顧問料を持つて来るときに話を聞いておつた、そうしてその間にずつと保全経済会は営業がうまく続いて、自分に顧問料が入つて来るというふうにお考えになつておりましたか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 少くともスターリンの死亡による株の暴落のときまではそう考えておりました。いわゆるスターリン暴落で、たしか昭和二十八年の二月と思いますが、株価が下つて来出してからは、株だけ買つておるなら少しあぶないのじやないか、但し一方において不動産を非常に買つておるといううわさを私は聞いております。私はここでお断りしたいのですが、兜町方面ではそういううわさがありまして、これは耳にしておりますから、不動産を買つておるなら株の値下りは不動産で防止する、従つてあぶなくないとかいうぐらいは考えておりました。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 すると、会社の経理についての一般的な責任は今まで負つてないということを確認してよろしゆうございますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 もちろんそうであります。顧問が会社の経理に対して経理上の責任を負うということはどこの会社にもありませんから、当然のことであります。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 問題は、四十五億に当る厖大なる金について、全国から零細な金が集められて、そうしてそれの損益が二十八億、今日はもうほとんどゼロにひとしい問題だと私は思つているのですが、それで休業に至るまで松本証人は会社の内容について全然タツチもしなければ直接的なるアドヴアイスもしていない。そしてずつと顧問料が入つて来ておる。ところが、今日ここの声明を見ますと、松本証人あるいは平野力三、早稻田柳右エ門氏の名前において、再建の声明が出ております。これについて御存じですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私は実は四十五億の出資金があつたということも休業のときに知つたのです。また、休業したときに私のところへ何らの連絡もしていない。何億資金があつたとか、なんとか財産目録を持つて来るという事実もない。ただ、今の共同の声明のことは、休業後しばしば平野君と二人で相談しまして、何か出資者に対する義務を果さなければならぬということで共同の声明を出したのであります。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 共同の声明以来会社の内容について検討されていると思いますが、現在われわれの委員会において調べたところの資産の内容というものがあるのですが、今度の休業以来直接関係されて、再建のために出資者に損をかけないように何とかしようとされるあなたが持つているところの会社の経理内容あるいは資産というものは、どういうふうにお考えになりますか。さらにまた、それが再建が可能であつて、全国の大衆に向つて損をかけないようにできるというお感じを持つておられるか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ただいまのお話ですが、この共同声明後じやなくて、休業してから私が調べた点はあります。この共同声明というのは、休業後おそらく二月ぐらいあとのことだと思います。それで、私の調査では、大体持つておる財産の大部分は不動産だ、有価証券というものはほとんど問題になりません。これは、あそこの関係会社と申しますか、私があとで調査しましたところによりますと、関係会社というのは要するに何らかの因縁があつて投資した会社である、ちよつとそろばん勘定で投資したと考えられない。もちろんこれは、詳細に研究しますれば、あるいはその中でも経営のやり方によつてはうまく行くのがあるかもしれませんが、大体そういうふうに考えられます。その次に、不動産は、私の記憶では取得価額が七億八千万円くらいで、大体二五倍から三倍くらいに評価するということは妥当だと思つております。そうしますと、不動産の所有価額は、これは大ざつぱな計算で、今うろ覚えなんですが、大体十七、八億から——二十億にならぬかもしれません。この評価されておるものがそのまま現金になるというわけではないのでありまして、これを担保にしたり処分したりして大体十億内外の現金にはなる。この十億内外の金で有利な事業をすれば、かりに四十五億の出資金があるといたしますと、大体十年くらいで出資金だけは返せる。但し、それに対する利息まで負担するということはできない。もしそういうことまでやりますと、また保全経済会の二の舞になる。高い利息を払おうとしますと経営内容が不健全になる。穏健な合理的な考え方によりますと、大体四十五億くらいの借金なら十年くらいで返済できるのじやないか。これの詳細な案は持つておりますけれども、今日は持参しておりませんから……。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 今まではずつと大した仕事もしないで顧問料をとつておつたのですが、今から先は再建で非常に苦しい仕事、一般の投資大衆に対する責任を感じられて苦しい仕事をされるわけですが、今から先は顧問料はどうなりますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私は、苦しい仕事をするとまだ考えておるわけではないのであります。そういう案が立てられるというので、いわんや、今から先顧問料云々という問題になりますと、これはどうにもお答えできません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 橋本君。

橋本清吉改進党

○橋本(清)委員 簡単に一点お伺いします。学者の松本博士でありますから、私は、この問題の見方を、少し大きな観点からひとつ聞きたいのであります。  お伺いいたします。松本博士は、今日経済撹乱の方途を通じて世界革命の思想がわが日本の国内の一角にも流れているということを御承知でありますか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 経済を撹乱して、それを手段にして世界革命をやろうということは、私はそういう具体的事実があるかどうか知りませんが、そういうことは考えられるとは思います。

橋本清吉改進党

○橋本(清)委員 私は、今回の保全経済会の問題は、これを典型的なものといたしまして、零細な国民の資金を集めている多くの類似のものがある。この問題は、先ほど来お話のごとく、単にこれを興味的にながめるような事件にあらずして、その奥底には、ただいま申し上げたような思想の一つの流れがあるのではなかろうかということが、巷間の一部においては流布せられているのでありますが、私が博士にお伺いいたしますのは、あなたは先ほど来いろいろお話がありましたが、その学識と思想を持つているところの博士が——この表面に現われた現象は、それはあなたのばかになさつているところの伊藤君の仕事かもしれないけれども、それを指導するところのその思想の流れというものは私は閑却できないと思う。経済学博士の名誉と権威におきまして、その問題を思想的にいかにながめるかという点を重ねてお伺いいたしますと同時に、伊藤君の持つております経済思想というものにつきまして、博士が御承知でありますれば、その一端をお伺いいたしたい。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ただいまの御質問は、伊藤君が共産主義の思想を持つておつてという意味に解していいのですか。

橋本清吉改進党

○橋本(清)委員 松本先生は経済学博士でありますから、私は詳しくは申し上げませんが、私の申し上げましたのは、すでに御承知と思いますが、経済撹乱を革命の方途とする思想と申しますのは、いわゆるユダヤ思想を申すのであります。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 それに対しては私はちよつと御答弁しかねるのでありますが、御答弁しなければならぬのですか。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 答えられないなら、わかりませんとおつしやつてください。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 私は、ユダヤの手先であるかどうかということについては、わかりません。

橋本清吉改進党

○橋本(清)委員 おわかりにならなければけつこうであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 最後に委員長から松本君に一点だけお尋ねいたします。先ほどから各委員の御質問にもありましたが、私としてふに落ちない点が一点ございます。いろいろなパンフレツトあるいは雑誌、リーフレツト、それから新聞等に保全経済会の広告が大々的に出ております。そのときの役員の中に、元農林大臣平野力三君、元大蔵委員長早稻田柳右エ門君、経済学博士松本信次君、理事長伊藤斗福君、この四人の名前がたいてい一緒に出ております。あなたは東京の新聞はごらんになつたことはないとおつしやいましたが、こういつた広告を出すことについて、あなたは同意を与えたことがあるのですか、ないのですか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 偽らず申しまして、今のそういう広告、保全経済会で出しま、た営業案内等は、私は実は休業までは見たことはありません。これははつきりいたしておきます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 たとえば、ここにありまするが、経済学博士松本信次という広告を出すことについて、了承していないのですね。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 了承しておりません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 相談を受けたこともありませんか。

松本信次保全経済会顧問

○松本証人 ありません。それははつきり申し上げます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 ほかに御発言はありませんか。——なければ、松本証人に対する質問はこれにて終了いたします。  証人には長時間御苦労さまでありました。  午後は二時半より再開し、早稻田柳右エ門君より証言を求めることにいたします。  この際暫時休憩いたします。     午後二時九分休憩      ————◇—————     午後三時四分開議

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 休憩前に引続き会議を開きます、  ただいまお見えになつておられる方は早稻田柳右エ門さんですね。あらかじめ文書をもつて御承知の通り、本日正式に証人として決定いたしましたから、さよう御了承願います。  これより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めたいと存じますが、この際証人に申し上げます。保全経済会は全国に二百箇所以上の店舗を有し、出資総額約四十五億円、加入者は約十五万に達する特異な利殖機関でありまして、従来その業務の運営につきましてはとかくの風評があつたのでありまするが、昨年十月二十四日、突如として全国一斉に臨時休業に入つたのであります。この休業に立ち至つた事情につきましては、世上幾多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方これら類似の特殊利殖機関の累増を見た今日、これら特殊利殖機関の業務運営の実態を明らかにし、かつこれら特殊利殖機関に対する関係官庁の監督の当否について調査を進めますることは、国の行政が適正にしてかつ能率的に行われているかどうかを監察しもつて立法その他国政の審議に資するため行政の運営上障害となつている各般の事情を総合的に調査しかつその責任を調査する本委員会の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本委員会は本件の調査をいたすことになつた次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。  それでは、ただいまより保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきまして証言を求めるごとになりまするが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくして宣誓または証言を拒んだときには、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書を朗読してください。     〔証人早稻田柳右エ門君朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それでは宣誓書に署名捺印を願います。     〔証人宣誓書に捺印〕

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め、次いで各委員から証言を求めることになりますから、御了承願います。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつておつてもけつこうでございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人は保全経済会の伊藤斗福とどういう御関係にあるのでありましようか。また、いつころお知合いになつたか、その経緯についてお述べを願いたいと存じます。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お答えをいたします。私が保全経済会の伊藤理事長と知合いになりましたのは、昭和二十六年の四月ごろであつたと記憶いたします。私の親友で、元国会の納税完納本部事務局長をいたしておりました小池和一という人があります。現在では富士航空会社の専務をいたしておると存じますが、この小池君から私に、保全経済会というのがある、その顧問になつてほしいという要望があるが引受けてもらえないか、こういうお話がございました。私は忙しい身分でもあり、とうていお引受けはできないというので、一応お断りをいたしておきました。その後さらに小池君から、小池君の親しい人からも言つて来ておるからぜひひとつやつてもらいたいと思うが、いずれにしても一度伊藤理事長に会つてもらいたい、こういうことでございましたので、お目にかかる約束をいたしました。その後小池君同伴で伊藤理事長が本院へ参りまして、私に面会を求めました。そこで私は初めて伊藤君に会つたのでございます。そのとき、保全経済会のあり方等につきましていろいろお話があり、ぜひ顧問にという話があつたわけでございまするが、私は忙しい体であり、とうていそうした仕事に関与することはできませんので、お断りをいたしたい、かように申し上げたのでございます。一応考えておいてもらいたい、御再考を願いたいということで、そのときはわかれたのでございますが、その後さらに小池君を通じまして、絶対に御迷惑をかけるようなことはいたしませんから、事業の内容とか、その他に御関係願わなくつても、ただ政治の動きやちあるいは経済の動向についてのお考え等を時折伺うことができればそれでけつこうであるから、ぜひとも顧問に就任してもらいたい、こういう申入れがございました。たまたまそのころは、本国会におきまして証券の民主化であるとか、あるいは投資信託法の制定等の気運が醸成されつつあるときでございましたので、私もいろいろ考えましたが、証券民主化という点から申しまして、保全経済会のような機関の一つくらいあることもよかろうという考えを持つに至りましたので、事業等には一切関係をしない、ただ私の、時局について、あるいは経済についての意見だけを時折お尋ねによつて申し上げましよう、こういう軽い程度で実はお引受けをいたしたのでございます。かくて今日に至つておるのでございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そういたしますと、正式に保全経済会の顧問に就任されたのは何年の何月でしようか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 はつきり記憶をいたしておりませんが、昭和二十六年の四月の末か、あるいは五月に入つておつたかとも思います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 顧問として活動された分野というものは、ただいまお話がありましたように、政治の動き、経済の動向等について意見を求められた場合にお答えする以外に、顧問としてのお仕事はなされなかつたのでありますか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 さようでございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 しからば、証人は、顧問としてどの程度にこの保全経済会の実情というものを御存じになつておつたか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 ただいま申し上げました伊藤理事長に会つたときの話、並びにその後小池君を通じまして保全経済会の概要を印刷いたしましたものを持つて来られまして、それによつて保全経済会の概要を知つたわけでございます。すなわち、比較的零細な出資者、預金者の方々をできる限り優遇し、現行所定の利子よりも高い利子を与える。そしてそうした零細出資者が少しでもよけい恩恵をこうむるようにいたしたい、こういうことが重点のようでございまして、事業内容につきましては、先ほど委員長のお説にもございましたように、全国各所に支店、出張所を持つて、そこでそれぞれ出資の申込みを受付けておる、それを東京に持ち寄つて、主として産業資本として株式に投資をする、そうしてその得たる利益を出資者に配分をするという仕組みであつて、これは匿名組合法に基く組織である、こういうように承つておつたのでございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 しかし、実際保全経済会の動きを見ておりますと、こういう事業はいわゆる出資金の自転車式操業とでも申しましようか、出資金のたらいまわしを行つて、そうしなければ成り立つものではないということにはお気づきになりませんでしたか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 この点は、最初に聞いたときに私も気づきました。そういうような回転方法をとつておるものではないかということを追究いたしたわけであります。ところが、当時伊藤君の答えは、断じてそういうことはありません、相当巨額の資金を持つて株式投資をいたしておるのだし、この方面の専門家によつて間違いのない投資をしておる、従つて相当利益をあげておりまするから、決してそういうようなことはない、世に言う投機で失敗をするのは、資金なしにからくりをするから失敗をするけれども、相当資金を持つてやるような場合は、株式投資で失敗をするということはありません。だからそういう点は決して御心配はない、こういう回答でございましたので、私はそれを是認いたしておつたのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 しかし、その前に、どうも不明朗なものがある、いわゆる出資金のたらいまわしをやつておるというようなことにお気づきになられたのはいつごろからでございますか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 最初に会つて聞いたときにそういう感じを私は持ちました。そこで、そういう点を尋ねた次第でございますが、今申し上げたような回答でございまして、私は、そういうことであるならば安心してよかろう、こういう考えを持つたのでございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 休業になるまで、世間をあれだけ騒がせるまで、そういうことは伊藤さんのお言葉を信じておつたわけですか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 その点につきましては、時折新聞に出たり、あるいはほかからも保全経済会についてのいろいろなうわさがございました。私はその都度訪問して詰問をしたこともありまするし、また電話で尋ねたこともございまするが、決して伊藤君の言うように利益があがつていないという話だ、だからはつきりした考課状を持つていらつしやいと要求したこともあり、さらに株式等で損失を招いておるのではないか、または今お説のありましたような回転をしておるのではないかということを詰め寄つて尋ねたこともございました。ところが、その折の答えは、いつも軌を同じういたしまして、最初から申し上げたように、絶対に心配はございません、むしろ成績はだんだんよくなつておる、その証拠には、最初三分五厘でございましたかの利益配当を三分に切り下げ、さらに二分五厘にし、また二分にしというふうにだんだん軌道に乗りつつある、従つて本会の経営は万全を期しておる、決して御心配をしていただくようなことはない、こういう答えでございました。さらに、私の申しました考課状を取寄せて見たこともありまするが、その考課状には、数字ははつきり記憶をいたしませんが、相当利益のあがつておる損益計算書であつたのでございます。なお、伊藤君は、そういう折に、いつもつけ加えて、保全経済会の発展が既設金融機関に相当影響する、さらにまた同種業界等からも急激な発展をすることが非常に恨まれておる、ねたまれておる。そういう関係でよからぬ風評あるいは新聞報道等がありますが、決してそういう点は気にとめていただかないように、われわれは万全を期してやつておるから御安心を願いたい、これがいつも、私が質問しましたとき、あるいははげしく問いただしたときの答えでございました。そこで、私は、そこまで信念を持つてやつておるならばまず間違いはなかろう、かように考えまして、決して出資者の方に御迷惑をかけないように必ず万全を期しておやりなさいという激励の言葉を贈つてわかれた場合が多うございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 数名の顧問の方がおられるようですが、顧問会議というようなものが行われたことはあるのですか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 顧問会議の行われたことは一回もございません。従いまして、顧問間の横の連絡というものは全然ございませんでした。ただ休業いたしましてから、平野代議士のあつせんで、顧問が寄つて、そうして善後策について相談をいたしたことは三回あつたと記憶いたします。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 保全経済会が立法化運動について相当動いておつたということを聞いておりまするが、証人はこの立法化運動に関係されたことがございますか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 立法化運動に関係をいたしたことはございません。ただ、伊藤理事長からも立法化について努力してほしいという要請はございました。また、全国から上京して参られました出資者の代表の方々からも、ぜひ立法化をしてくれるように尽力を願いたいという申入れはございました。しかし、私は、静かに考えまするとき、この段階においての立法化は不可能である、こういう考え方を持つておりましたので、全国から来られた方々にもその都度立法化は困難である旨率直にお答えをいたしておきました。また伊藤君に対しても、どういう方法でやつておられるか知らぬが私の知る範囲においては非常に困難であるということをしばしば申し伝えた次第でございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 昭和二十七年の十二月に改進党の大会があつたのでありますが、その際協力金として保全経済会が改進党に支出をしておるということは御存じでございますか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 全然存じません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 さらに、お金の問題になりまするが、前衆議院議員で駒井重次さんという方がおられますが、実は明日この方も証人としておいで願う予定でありますが、今御病気で、あるいは証人として出席が不可能になるかと思いますので、早稻田さんにお聞きするのでありますが、昭和二十七年九月二日、やはり改進党に一千万円の献金をしておるということをわれわれは聞いたのでありますが、こういう事実を御存じでございましようか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 そういう事実も全然関知いたしません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 全然御存じありませんね。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 はあ。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 駒井重次さんが党に出されたということも御存じありませんか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 それも存じません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そうすると、もちろん保全経済会と関係があるなどということも御存じないわけでございますね。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 駒井先生が元保全会の顧問をしていらつしやつたということは伺つております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 これは政治資金規正法によつて届出があるのでありまするが、そうすると、早稻田さんはこの問題については全然御存じないということに了承してよろしゆうございますね。そうすると、やはり駒井さんに関係したことで、二十八年三月十七日に謝礼として五百五十万円保全経済会から受取つておるという事実があると聞いておるのでありまするが、この点についても御存じございませんか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 その点につきましても全然存じません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 これは保全経済会の帳簿に記載されておるのですが、御存じございませんか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 存じません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 昨年末証人はほかの顧問と連名で声明書を発表し、保全経済会の再建について意見を述べられております。先ほどの証言にもありましたように三回ぐらい平野さんのごあつせんでお集まりになつたということを聞きましたが、現在までに再建につきましてどういう努力をされ、どういう尽力をされて来ましたか、御説明願いたいと存じます。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、平野代議士のところに集まりまして、いかにすることが顧問としてとるべき一番いい方途であるかということについて種々懇談を重ねました。その折、同じ顧問でありまする松本博士から、いろいろ案はあるけれども、しかし最善の方途としては、現在幸いに若干の不動産が残つておる、その不動産を投売りにすれば大した価値はない、しかし適当な方法によつてこれを逐次最善の方途をとつて売り払う場合は相当金額になると考える、そこで、一つの会社をつくつて、この不動産を処分して、出資をなさつた方々に少しでもよけい配分のあるうによ手だてをすることが一番いいと考える、こういうような御提案がございまして、私も平野代議士もこれに賛意を表した。従いまして、この松本博士案を顧問団の案として一応伊藤理事長に提示し、幸いに了承を得るならば、出資者の代表の方ともおはかりをして、御賛成がもしあれば、そういう方途によつて出資者の御迷惑にならないようにいたしたい、こういうことに相なつたのでございまするが、右のような点についていろいろと苦心をいたした次第でございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 保全経済会の帳簿を見ますると、証人は昭和二十六年及び二十七年に相当多額の顧問料をとつておられるように記載いたしてありますが、これは事実ですか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 事実でございます。顧問料はおおむね中元であるとかあるいは正月であるとか期末であるとかいうような場合に届けられておりました。従いまして、これを受けておつた次第でございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 毎月きまつた額というものが支給されたわけではございませんか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 ございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それはないのですか。同じ顧問でも、先ほどの松本博士のような場合には、月五万円というような規定があつたと聞いておるのですが、早稻田さんの場合にはそれはなかつたのですね。中元とか暮れとかいうような場合にのみ届けられた……。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 さようであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 その顧問料のほかに、金銭、物品等の受取りはなかつたのでしようか、どうですか。何か物品等で支給されたというようなことはなかつたのでしようか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 そのほか物品あるいは陣中見舞、餞別というような形でも若干のものがございました。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 全国多数の出資者の中には、証人の顧問の名を信じて応募して金を出した者が相当あつたと考えられるのですが、今その連中がたいへん困つておられる、こういうことになりますると、証人としてはどういう責任をお考えになつておられまするか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 その点につきましては日夜頭を痛めておりまするが、私の不徳、不明のいたすところでありまして、まことに申訳がないと考えております。場合によりましては、私の私有財産を投げ出してでも出資者の方々に少しでも迷惑のかからないようにいたしたいと責任を痛感いたしておる次第でございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 委員長の質問はこれにて終りまするが、委員各位のうちで御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。矢尾君。

矢尾喜三郎日本社会党(右)

○矢尾委員 二、三お伺いいたしまするが、証人が顧問に就任されました日時はさき承りましたのでございますが、証人が顧問に就任されましたときにおいてすでに三億一千余万円の欠損を出しておつたということを証人は知つておられたかどうかということをまずお伺いいたします。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お尋ねの点につきましては全然存じません。

矢尾喜三郎日本社会党(右)

○矢尾委員 そういたしますと、顧問に就任されまするに際しましては、何らその内容を調べずして単純に顧問に就任されたものと考えてよろしゆうございますか

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お尋ねの点につきましては、先ほど委員長にも申し上げましたように、いろいろ事業の運営状況等について尋ねました。その答えは、利益が相当あがつている、健全なる運営をいたしている、こういう説明でございましたので、私はそれを信じて引受けた次第でありまするが、今にして考えますると、こんな赤字が出ておつたということを知りまして、みずからその不明を恥じ入つているような次第であります。

矢尾喜三郎日本社会党(右)

○矢尾委員 そういたしますと、証人は単純に顧問を受けられたように考えられておりますが、保全経済会といたしましては、あなたを何か利用するというような意味において顧問に就任方を要望したのではないかと思うのでありますが、当時は単純に受けられたと思いますが、今日になりまして、特にあなたを顧問として迎えられたということにつきまして何か考えておられることがございませんか。その点について。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 若干思い当る節もございまするが、従つて別に今深く考えるような点も実はないわけでございます。

矢尾喜三郎日本社会党(右)

○矢尾委員 そういたしますと、思い当るところがないということになりますが、先に委員長があなたにお伺いいたしましたところによると、あなたは経営その他には直接参加しておらないように思われるのでありますけれども、しかしながら、保全経済会の講演あるいは出資の勧誘その他につきまして、なされたことがありましたかなかつたかということをお伺いいたします。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お答えを申し上げます。保全経済会の講演あるいは勧誘等をいたしたことは一回もございません。

矢尾喜三郎日本社会党(右)

○矢尾委員 これは報道機関の一部報ずるところで知つたのでございますが、あなたの故郷でありまする愛知県の愛知セメント組合あるいは愛知の製陶組合などに対しまして加入の勧誘をされたということもございませんか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 そういう勧誘をいたしたことは一回もございません。

矢尾喜三郎日本社会党(右)

○矢尾委員 直接勧誘されたことはないということがそれではつきりいたしましたが、しかしながら、早稻田柳右エ門という人を信じて、そうしてこれに投資した人は相当あるだろうと思うのでございますが、その点につきましてはいかがでございますか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お説のように、数ならぬ早稻田ではありまするが、私を御信用くだすつて御加入願つた方もあると存じております。ただ、私に加入したいと思うがというような御相談のありましたような場合には、私は保全経済会を信じている、しかし御加入なさるにあたつてはよく御検討の上やつていただきたいと申し上げたのが常でございましたが、そういう場合が二、三回あつたように記憶いたしております。その他は勧誘等については一切行動をとつたことはございません。

矢尾喜三郎日本社会党(右)

○矢尾委員 そういたしますと、勧誘その他についてはせられたこともなく、単純に顧問に就任したことのみであるという御答弁でございまするが、そういたしますると、あなたに保全経済会から出しました顧問料というのは百十五万円の多額に上つておるのでございますが、これはどういう意味において保全経済会があなたにくれたものであるとお考えになつておりますか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 この点はお説の通りであります。しかし、私は、先ほど来申し上げますように、相当成績をあげておる、従つてその成績の配分というような意味も加えてくれておるものである、かように考えておつた次第でございます。

矢尾喜三郎日本社会党(右)

○矢尾委員 そういたしますと、保全経済会が最後の目標といたしておりましたのは、欠損に欠損を重ねておることを救済する道は、これを立法化するということが大きな手段として選ばれなければならない。その立法化を推し進めて行くために、当時大蔵委員をしておられましたあなたを特に選んで、これに尽力してもらいたいというような意義におきまして、顧問に就任してもらつて多額の顧問料を支払つたものであると考えますが、この点につきましてほどういうお考えを持つておられますか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お答え申し上げます。私の大蔵委員在任中に立法化というようなことについては一言も聞いたこともございませんでしたし、またそういううわさすら聞いておりませんでした。それから、休業をいたしまして、立法化云々ということが問題になるようになりましたころは、御承知のように私は大蔵委員ではなかつたのでございまするが、この問題についても、先ほど委員長に申し上げたように、私はきわめて消極的でございまして、積極的にこの話を推進したこと等もなかつた次第でございます。

矢尾喜三郎日本社会党(右)

○矢尾委員 さきに委員長の質問に対しまして、改進党の大会に、大会の費用として二十万円の金が送られておるのでございますが、これに対しましても、自分は知らなかつた、何ら関知しておらない、また駒井重次氏を通じて一千万円の献金が改進党になされておりますが、これに対しましても関知しておらないと申されましたが、あなたが顧問といたしまして、また改進党内部における唯一の顧問としてあなたが出ておられるのに対しまして、何ら相談もなかつた、また何らあなたはこれにあずかることがなかつたというようなことに対しまして、あなたはどういうお考えを持つておられますか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 ただいまのお尋ねの点につきましては、私はごく最近に至りまして、そうした献金があつたやに伺つたわけでありますが、現在においても、どういう関係であつたか、その辺は判断に苦しむわけでございまして、また自分としてはこれに対して別に深い考えもわいていないわけであります。

矢尾喜三郎日本社会党(右)

○矢尾委員 最後にお伺いいたしますのは、ただいまの御証言によりまして、それに対して何ら関知しておらなかつたと言われますが、あなたの知る範囲において、保全経済会から政界あるいは官界に対して相当の金がばらまかれておるという事実が伝えられてやがてはこれも明るみに出るだろうと思うのでございますが、参考のために、あなたの知られる範囲におきまして、そういう事実をお知りになつておられるか、おられないかということをお伺いしておきたいと思います。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お尋ねの点につきましては、最近新聞その他でいろいろとうわさされておりまするが、私の知る範囲では、そうした多額の金がばらまかれているというようなことはどうも信用ができません。それは、何とならば、ここでお許しを願つて一言申し上げたいことは、私は伊藤理事長とは三箇年を通じて数回会つているのみでございますが、しかし、この数回伊藤氏と会つたときの感じを率直に申し上げますと、伊藤君はかなり信念的な男であり、しかも経済眼については、かどの人であると私は見ております。従つて、そうした無用な金をあつちこつちへばらまくというようなことはあり得ないと、こう実は考えておつたわけでございます。ところが、最近の内容検見等におきましていろいろの問題が現われて来る実情を見ますると、あるいはそれを糊塗せんがためにそうしたこともあつたかもしれないというような若干の疑惑を抱くに至つております。けれども、私に対しては、政党へ金を出したとか、あるいはほかへ金をそういうふうにまいたとかいうようなことはみじんも言つたこともございません。私が、これは日時は記憶いたしませんが、伊藤君に、一応これだけ大きくなつて来たんだから、もう少し財界とか、あるいは政界につながりを持つこともいいじやないか、そういう方面へ少しぐらいは金を出すこともいいじやないかと、私から話しかけたことがございます。それに答えて伊藤君は、現在の段階ではそういう考えは持つていない、あるいは将来そういうときがあるかもしれぬけれども、現在としてはさような考えはみじんも持つていない、こういうことを私にははつきり言つたこともございます。それで、そういうようなことを考え合せましても、私は多額な金がまかれているということに対して、今も疑惑を持つている一人でございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 山口丈太郎君。山口(丈)委員私は二、三簡単に質問をいたしたいと存じます。  まず最初に、早稻田さんは昭和二十六年七月十日から大蔵委員として四国方面に出張なさいましたやに聞いているのでありますが、そのときにすでにこの保全経済会の運営について……。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 山口君、もう少し大きな声でお願いいたします。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 いろいろ出資者から疑惑が出て、あなたの方に出資者が訪問をしていろいろ尋ねられたようなことがあるやに承るのですが、そういうことが事実あつたのか、なかつたのか、お伺いいたします。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お説の通り、私は大蔵委員をいたしておりますとき四国方面へ調査に上つたことがあります。その折、保全経済会の高松の支店の人々、あるいは徳島の出張所の人々が私を訪問したことはございます。しかし、出資者の方々が私をたずねられたことはございません。ただ、徳島で金融機関の代表の方々と懇談をいたしまして、たまたま保全経済会の話が出まして、そして、これはけしからぬ、やみ金融であるというような非常な難詰を受けたことはございます。私はそれを承つて帰りましたが、その実情を、保全経済会のたれであつたか、電話で、こういう説もあつた、従つてますます健全な運営をしないと、いろいろ攻撃もあるから、よほどしつかりやつてもらわなければ困る、こういうような注意を与えておいたことを覚えています。しかし、お尋ねのような、出資者の代表が私を訪問された事実はございません。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 その徳島で、金融関係者から、これはやみ金融の機関としてどうも金融を撹乱するおそれがあるというようないろいろの意見があなたの方に伝えられたものと思いますが、あなたはそれに対しては相当良心的にその運営については警告をされたようでありまするが、しかし、この類似金融機関的な存在である保全経済会の性質そのものについて、どのようなお考えを持たれたか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 これは、はなはだ失礼なお答えかとも思いますが、私は徳島においていろいろ議論のありました折、高松の支店長、徳島の出張所であつたかと思いますが、そういう面々に即座に、ああいう意見のあることはこの保全経済会のどこかに欠陥があるのじやないかというような点について尋ねてみました。御承知と存じますが、保全経済会の支店長、出張所長はおおむれ旧軍人が多うございまして、きわめて強固な意思を持つてやつておる人が多うございます。高松、徳島の方々もそういう方ではなかつたかと思いまするが、この方々は、われわれは熱心に仕事を進めておる、しかしてそういうような既設金融機関から攻撃を受けるような金銭貸借はしていない、ただ加入せられたものは本店へこれを送つて、そして本店はこれを株式投資に使つておるので、地方の金融機関を圧迫するような行為はしていないと思う、しかしそういうお説のあることはわれわれとしても反省をしなければならぬので、本店へも言つてやりますし、私からも言つてもらいたい、こういうようなお話でございました。そこで、先ほど申し上げたように、本店へもその旨を忠告して反省を求めた次第でありまするが、私自身としては、支店で言われたように、やはりこれは同業関係の方々の一部は攻撃であつたかとも思つておつたような次第でございます。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 こういう機関は、いわゆるそれがたとえ投資機関であるとしましても、非常な思惑を持つたもので、正常な機関とは考えられない危険性を持つて最初から出発しておるものと私は思うのであります。従つて、あなたは、高松の支店あるいは徳島で金融関係の者からいろいろと言われたそのときに、すでにこういう思惑機関に利用される憂いがあるというようなことをお気づきになつておつたのではないか、あるいは気づかれていろいろそういう内容について注意をされたのではないかと思いますが、どうでしようか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お説の通りでございます。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 そういたしますと、あなたが大蔵委員をなさつておつたときかもわかりませんが、同七月の二十八日には、大蔵委員会におきましてこのような類似金融機関の危険性とその運用内容の乱脈性をいち早く察知してこれを大蔵当局の方に警告されておることがあると思います。そういう点、あなたはそのときに、このような機関に直接関係はなくとも顧問ということで、一般的な通念で申しますと、その会社の首脳部よりもあるいは重い責任を有しておられるような通俗観念を持つこの社会情勢の中で、あなたは顧問として、どのようにお考えになつたのでございますか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 ただいまお説の、大蔵委員会から大蔵省へ申し入れられたのは、私が大蔵委員をやめてからであつたと思いますが、私はそうしたお話をあとで伺いまして、この種機関がもしいけないとするならば、当然大蔵当局において厳重にこれを取締るなり、あるいは出資者の保護をいたすべきである、いいことをやつてくれた、かように当時考えたのであります。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 今申しますように、こういう類似の金融機関が、その運用内容において危険ありとして、大蔵委員会が大蔵当局へ警告されたことについては、あなたは顧問として、非常によいことを言つてもらつた、——むしろ今のお答えで行きますと、非常に大蔵委員には感謝の言葉に受取れるのであります。しかし、それだけに、その当時すでにもう非常な危険をはらんでいたものと考えるのでありますが、そういう危険をはらんでおる機関については、直接の責任はなくとも、社会的、道義的責任から申しても、顧問としてその内容についてもう少し、その責任を追究されることのないような措置を講ずることが必要ではなかつたかと思いますが、それについてどのような措置をとられたのか、一応承りたい。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お説の通りでございまして、当時私がいま一歩踏み込みまして保全経済会の内容を追究し、そうしていけなかつたならばこれに対して断固たる態度をとるか、あるいは身を引くかすべきであつたと思います。しかしながら、私は、先ほど来申したように、私の追究の仕方がまだ足りなかつたためとは思いますが、断じて心配はいりません、どんどん成績をあげておりますから御安心を願いたい、こういうことでございましたので、私はそれを信じておつた次第でございまするが、その点に対しては、先ほど来申し上げまするように、自分の至らなかつたことを悔いておる次第であります。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 閉鎖後、最近この保全経済会の幹部、あるいは業務面に携わつておりました首脳部が検挙され、あるいは捜査されるというような事態になつておるのでありますが、早稻田さんは顧問として、このような事態についてはどのようにお考えになつておるか、お伺いしたい。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 衷心から恐縮をいたしておる次第でございます。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 顧問として、さらにお尋ねいたしまするが、このような事態を引起していることに対して、将来ただ恐縮だけでは済まされない事態もあるいは起つて来ようかと思うのでありますが、これについて、顧問として今後どのようにこの保全経済会を指導して行こうとなされるか、あるいは今後についてどのように善処して行こうとなさるか、その点をひとつお伺いしたい。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 ただいままだ事件が司直の手にございますので、今こうするという具体的方策は、恐縮ですけれどもまだ持つていないのであります。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 これは早稻田さん一人にお尋ねをしても、私は無理だとも考えます。しかし、このようにして非常に社会的に大きな多数の人に損害を与えた、あるいは金融関係その他についても非常な迷惑を及ぼしていることについては、これは非常に道義的な責任も感ぜられて、私有財産をなげうつてでも多少なりともこの損害を防ぐように努力をしたいという先ほどのお答えがありまして、私はそれを午前中に聞きました松本博士の態度と比較をいたしまして、その点非常に良心的にやつておられると思います。そのりつぱな態度を今後にひとつ十分に生かしていただきたいと存じますが、しかし、もう一点お尋ねしておきたい点は、この保全経済会の顧問として、あなたは経済的に何ら直接的な責任というか、そういつた点はないものと思いますが、そういうふうに私ども理解をしてよろしいか、ひとつお聞きしたいと思います。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 たいへん御同情あるお言葉をいただきまして、かたじけなく存じますが、ただいまのお尋ねの点はお説の通りでございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 中野君。

中野四郎改進党

○中野委員 早稻田君は、保全経済会の理事長の伊藤君が検挙されて以来、家宅捜索をされているのですが、一体これはどういうわけで家宅捜索をされたと感じておられますか。あるいは捜索された当時の感想はどういうふうに感じられたか、ひとつ伺いたいと思います。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 率直にお答えいたしますが、私は家宅捜索されました前夜、伊藤君の召喚されたことを知りました。しかし、私ども顧問の宅を家宅捜索されるなどとはみじんも考えておりませんでした。当時私は、ちようど登院いたしておりまして、本会議場に入つておりました。その折に、某新聞社の方から連絡があつて知つたわけであります。しかし、そのときも、その真偽を私は疑いました。そういうことはあり得ない、かように答えた次第であります。ところが、その後約一時間を経まして、私の家から電話がありました。私の滝野川の寓居は学生の寮でございまして、私は学生と同居をいたしておりますが、留守居をしておりました学生から、実は突然家宅捜索があつた、そしていろいろなものを探されて、名刺であるとかあるいは預金通帳であるとかいうようなものを持つて行かれた、こういう報告があつたわけであります。捜査当局としてはこれは当然の行為かとも思いまするが、しかし、私の率直な考え方としては、あまりにもこれは酷ではないか、かように考えております。何となれば、その報道はたちまち郷里の新聞等には大々的に報道をされまして、選挙区の人々は非常に心配をしている人もございます。中には笑つている人もあるかと思いますが、すでに皆様御承知のように、私は政治家のはしくれとしてまじめな政治家たらんとしております。また人もまじめな政治家として私を信頼していただけた方も少くないと考えております。選挙区におきましてもまた同様でございますが、その私が家宅捜索をされたということによつて郷里の人人は愕然といたしているようでございます。こういう点、国会の皆様のお顔にも泥を塗るような結果に相なりまして、重ね重ね相済まぬ次第であると考えておりますが、まつたくこの点は寝耳に水でございました。ただ驚くという一点あるのみでございます。

中野四郎改進党

○中野委員 従つて、ラジオの報道するところによりますれば、国会開会中に国会議員の家宅を捜索するのは不謹慎であるという抗議を申し込んだ国会議員があると伝えられているのですが、御承知の通り、国のあり方は三権分立のあり方で、司法権が必要として家宅捜索をし令状を発することは決して不謹慎ではないと思う。ただ、国会開会中この議員の身分は保障されておりますが司法権の発動によつて捜索をしたということについて厳重抗議を申し込まれ、ために捜査当局は一たん家宅捜査を中止したと伝えられておりますが、そういう抗議を申し込まれた事実が、あなたに関する限りありますかどうか、伺つておきたい。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 私はそうした抗議を申し込んでもおりません。また申し込もうとも考えておりません。

中野四郎改進党

○中野委員 さらに続いて伺いますが、あなたは、先ほどの御証言の通り、保全経済会から相当多額の顧問料をとつておられますが、この総額は一体幾らになるのでしようか。たとえて言えば、昭和二十六年の二月なり三月に小池君の御紹介でお入りになりまして、そうて金額はきめてないというお話でありますが、ここの数字に現われておりますだけでも百十五万円、他にあなたのところに年末あるいはお中元として出ている金がありますが、そういうものをひつくるめますと大体幾らぐらい受取つたという感じを持つておりまするか、また受取られましたかをお答え願いたいと思うのです。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 これは、はつきり記憶をいたしておりませんが、概算いたしまして、過去三箇年を通じてまし百二、三十万円になつているのではないかと存じております。

中野四郎改進党

○中野委員 そこであなたは保全経済会が休業になつてから再建のためにいろいろ御苦心をなさつているように伺つておりますし、また連名でお出しになりましたこの声明等を拝見してもその点は了承できると思います。ところが問題になりますのは、この再建のために、先ほど委員長から質問がありましたが、立法化運動についてあずかつているかどうかという点について、あなたはないという御証言をしていらつしやいます。それから、伊藤理事長並びに債権者の諸君から立法化を頼まれたということを答えておいでになるのです。そうしますと、この場合の返事ですがね。これは非常に微妙なものなのです。たとえて言えば、それはいやだめだよ、とても君立法なんてだめだよと頭から断つてしまう場合と、口の中で、承知したともしないとも、まあそこのところは以心伝心でやる方法と、はつきりと承知したという場面とあるのですが、一体立法化を頼まれたときに、はつきりお断りになつたかどうか、この点を伺つておきたいのです。これは次にお尋ねをすることに重大な問題があるのです。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 私の気持といたしましては、立法化を頼まれなくとも、こうした危機に立つてこそ全力をあげてこれが救援方法あるいは再建方法るとるべく挺身するのが私どもの務めであると考えております。従いてまして、休業を知りますや、私は急遽上京したわけでございます。これはちよつとほかの点に触れますが、私は御承知のように昨年の八月初めから十月の中ごろまで東南アジア諸地方に行つておりまして、留守にいたしておりました。帰つて参りますと愛知県の第十三号台風でございまして、私の選挙区は全滅的な被害をこうむりました。そこで、帰りましてただちに郷里へ飛び、郷里の災害地を見舞つたわけであります。あるいは被害に対する復興方策を講ずることに私は狂奔いたしました。たまたま知多半島に参つておるときに保全経済会の休業を知つたのでございます。そこで、驚いて上京いたしました。そして、まず保全経済会をたずねて、なぜ休業したかということを詰問したわけでございます。当時伊藤君の答えといたしましては、これ以上業務を続ける場合は、ますます出資していらつしやる方々に御迷惑をかける結果にならざるを得ない、そこで少しでも資産のあるうちにということで涙をのんで休業をいたしました、こういう答えであつたわけであります。私は、そのときに、声涙ともに憤激して彼を戒めました。今日まで私がしばしば事業内容を尋ねた場合は、いつも大丈夫であります、相当成績をあげておるとりつぱに答えておつた伊藤君でもございました。なお入丸証券の休業したとき、あるいはその前のスターリン暴落のとき等は、おそらく相当の損害をこうむつておる、かように聞ておりましたので、その点を私は聞いたこともありました。しかし、それも最少限度に食いとめて、運営には大した支障がなかつたというのが当時の答えでもございました。従いまして、そういうように私を偽つて、事実は運営のできないような結果になつておるということはけしからぬ、不届であるとまで実は憤慨をいたしたわけでありますが、伊藤君は、ただ、申訳ない、相済みませんということ以外に何事も申しませんでした。私もそれ以上追究はいたしませんでした。私は平素保全経済会へはあまり足を運んでもおりません。また伊藤君が私を訪問したのもおそらく五、六回程度だと思いますが、常にあまり深く交遊はいたしておりませんでした。しかし、こうしたときこそ全力をあげて再建の方途を講ずべきである、かように考えましたので、私は私なりに、何とかいい方法はないものかと、ずいぶん苦労をいたしたわけでございます。しかしながら、今お尋ねのように、彼に頼まれて行動をしようとか、またはたしたという事実は寸毫もありません。また彼も私の性格を知つておりまするので、私に対しては、こうしてくれろ、ああしてくれろということはほとんど申しません。私に何とか立法化を願えないだろうかというような話がありましたときも、今中野君のお説のように木で鼻をくくつたようなことは申しませんでしたが、私はおそらく困難であろうということを申し上げておいたような次第でございます。

中野四郎改進党

○中野委員 微妙なところなんですが、困難であろうとまでは、わかるのですが困難であろうけれども努力すると言われたかどうかという点なのです。これはこの場合非常に微妙な問題が起つて来るのです。かつて昭電事件における西尾末廣君の場合もそうです。書記長個人、西尾個人というようなまことに微妙な言葉があつたのですが、今回の場合もあなたは保全経済会の顧問でいらつしやる。顧問料を現にとつていらつしやる。他にまた支出の面においても、非常に少い金ではありますが、いろいろあなたのところに金が入つておる。一方においては国会議員、いわゆる衆議院議員早稻田柳右エ門という立場もあなたにはある。御承知の通り、刑法第七条には明らかに「本法ニ於テ公務員ト称スルハ官吏、公吏、法令ニ依リ公務ニ従事スル議員、委員其他ノ職員ヲ謂フ、公務所ト称スルハ公務員ノ職務ヲ行フ所ヲ謂フ」とある。この刑法第七条の公務員であることには間違いないのです。問題は、その職務を通じて金銭の収受があつたかという一点に集約されると思うのです。そこで、あなたの今の御答弁の中で、ただ困難だと言い切つたのか、困難ではあるけれども努力をしてみるというお言葉をつけられたのか、この点をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。もしこの点で証言に食い違いを生じますと——現在伊藤君は拘束されております。どの程度の捜査が、あるいは発言が行われているかはわれわれのはかり知るところではありませんけれども、この証言の食い違いがもし生じますと、やはり今日の行政監察委員会の証人として一番最初に宣誓をなさつたあの条項にあてはまつて来ることをば考られなければいけないと思うので、一点伺つておきたい。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 中野さんからたいへん御好意によるお尋ねをいただきまして、ありがたいことと存じますが、ここで委員長にお許しをいただきまして、一言専門員の方にお尋ねを願いたいと思います。今中野さんお説のごとくに、はつきり断つたか、ぜひ努力をしてみようと言つたかということについては、もとよりどう言つたかということもはつきりは覚えてもおりません。そこで、これが今中野さんのおつしやいますような重大な関係がありとすれば、さらに一応よく考えさせていただいてからでないと、お答えいたしかねるわけでございます。そこで、今の刑法何条でございますか、そういうものに該当するのかどうか、こういう点を専門員の方にお尋ねをいただきたいと思います。  それから、もう一つここで委員長に申し上げたいと思いますことは、私は、先ほど来お説のありましたように顧問料も頂戴いたしておりまするが、しかし、休業いたしましてから、立法化についての旅費であるとか、あるいはその費用であるとかいうような金品は一切授受をいたしておりません。そこで、さきにもらつておつた顧問料をも、もし私が立法化をはかろうと言つたとすれば、それが刑法上の問題になるでございましようか。それから、休業後はもとより、休業前も、私は東南アジアに出発する八月以降というものは金銭の授受は全然ございません。ございませんが、それでもなお、もし私が立法化に骨折ろうと言つたとすると、それが刑法上の問題になるかどうか、こういうような点についてひとつ専門的なお説をお聞きいただくことができれば実にありがたい次第であります。

橋本清吉改進党

○橋本(清)委員 関連して。今法律の解釈で専門員、けつこうでありますが、非常にお尋ねをしにくいことでありますが、私は、家宅捜索の令状のいわゆる被疑事件名が何であるかということをお伺いいたします。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 家宅捜索の折の令状は私の秘書が受取つておりまして、あとから拝見をいたしましたが、これは為替管理法違反事件でございますか何かについて家宅捜索をする、かように明記してございます。

橋本清吉改進党

○橋本(清)委員 私は、もちろん専門員の御研究はけつこうでありまするが、これは、法律問題は為替違反と合せて三つあると思う。一つは、ただいま中野君の御質問になりました通り、受取つた金がその大蔵委員とかあるいはその他立法に関する職務に関した場合におきましては涜職罪を構成する。もう一つ大きく考えまするときは、この保全経済会の仕事自体が、もしも——私はないと思つておりますが、ほんとうに詐欺のようなものになるといたしますれば、その保全経済会における顧問の職責のいかんによりましては、この本罪の詐欺の共犯が成立するのではないかと思う。他の一点は為替管理法違反であります。従いまして、ただいまその証人に示されましたる家宅捜索の令状の文句が為替管理法の被疑事件として検事局が認定をいたして家宅捜索状を出したのでありますが、職務に関したる涜職罪になるか、あるいは大きな意味における詐欺罪の共犯になるか、これは私は三つのうちの一つになると思います。もし専門員が御研究をなさいますならば、そういう見地に立つてやつていただきたいと思います。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 ちよつと私はこれに関連して重大な発言をしたいと思うのですが、われわれは証人にいろいろなことを尋ねる。その際に、宣誓した通り良心に基いて率直に答えるような機会を与えなければ効果がない。法律上の解釈問題として、もし立法化を暗々裏に承諾すればこれが刑法の何条にかかわるなどというがごとき言辞を弄しつつ質問をせられることは、答弁者の自由を拘束することであつて、公正なる質問ではないのではないかと思うのです。そこは委員長どう御判断になりますか、伺いたい。私は、そういう質問ではなしに、中野君の聞きたいところを率直にお聞きになつたらどうか。法律解釈上の判断はおのずから委員各位、また検察当局にも自由に判断ができることでありまして、それを条件として参考人に尋ねることは、参考人の自由を束縛することだと思います。かえつて公平を妨げるゆえんであると思われるので、委員長の解釈を聞きたい。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 お答えいたします。ただいまの刑法第七条の問題と職務上の関係があるかいなかということにつきましては、この行政監察委員会の調査員をして答えせしめることではないと私は思います。かかる法律関係は、もし必要があれば裁判所の認定すべきものであることは橋本君も言われた通りでございますから、そういうように御了承の上、調査員をして答えさせることは不当と思います。証人として事実の証言をお願いしたいと思うのであります。お続け願います。中野四郎君。

中野四郎改進党

○中野委員 私は、筋道を立てて話をして、りくつを言われたのは、きようが初めてなのであります。つまり、立法化を頼まれてこれを簡単に拒否したか、あるいは応諾をしたかということは、きようの証言の中の重大な証言ではないのですか。しかるに、これに対して私が聞いているのに、どこに曲言があるか、もし曲言があるならば、自分の心に曲言があるのだ。何もそういうばかな質問をせずに率直に聞いており、証人がこれに答えておるのですから、一向に支障がない。ただ、関連質問として橋本さんが捜索状の内容を聞かれたましから、私はこの点静かにしておりますけれども、その他のことで私の質問が悪いとあるならば、私はこの質問を全部やめてもけつこうです。しかし、大事な問題ですから、早稻田さんに聞いておく必要があるし、御本人もその方がよいと思えばこそ話をしておる。しかし、もしこれが証人に対し委員会で質問をする事項でないというなら先に譲ります。  そこで、さらに伺いたいのですけれども、今度の再建についてはあなたはたいへん努力をしたと言つておられますが、この再建には二方式あつたように思うのです。世上伝えられており、また行監の方で調査をしました過程におきましては、一方においては、国会議員あるいは政党に多額な金がばらまかれておる、これを暴露するぞということを中心にして、そうして国会で立法化しようという派と、一方においては、これを新たなるところの事業形態にしてこの再建をはかろうという一派があるように伝えられておるのであります。その証拠には、ここに怪文書が二通あります。これは関係のない私の自宅にまで送られたものでありまするから、全国会議員に送られたものと思われますから、おそらく早稻田さんもこの怪文書は受取つておられるだろうと思います。内容をまず一応簡単に読んでみます。「法制化を約束した政党首脳、欺かれた伊藤氏捨身の決心、伊藤氏自身としては、かねてからアメリカの投資銀行の例にならい、積極的に保全経済会のみならず同種企業にたいする法制化を要望していたが、昨年八月の国会解散を前期として、当時の自由党首脳部はこれを正式に党の政務調査会にとりあげることを条件に、多額の政治献金を伊藤氏に求めた事実がある。伊藤氏としては、むしろこれを保守派による共同の政策として扱われることを希望し、自由党のみならず改進党、右派社会党に至るまで、それぞれの要求に応じて献金を承諾し」、こういう一つの文章に連なるものであります。第二回目の怪文書は、「未曽有の疑獄か、恐慌か、保全経済会の献金暴露せん、保全経済会の休業声明以来、すでに二週間を過ぎたが、これに対する政府当局の態度は、大蔵、法務両省の事務的対策の表明以上には出ていない。当初この事態の必至なことを知らされた政府と与党首脳者の間では、日銀とも連絡の上、一応これに対する措置を研究したが、政府がインフレの危機を重視し、その抑圧策に力を注いでいるのと、保全経済会の休業が一挙に金融界の破綻にまで波及することはあるまいとの結論から、当分、これを静視することに落ついたのであつた。然るに保全経済会の投資者が、今日まで比較的冷静な態度をつづけているのは、同会の責任者が現有の資金を公開し、政府の投資者保護立法を促して、この際抜本的施策に協力することによつて、従来、陽の目を見なかつたこの種大衆の投資機関を安定せしめんとする方針に信頼をつないでいるからであろう。一方政府としては、今次の臨時国会を通じて、保全経済会を匿名組合と認めるか否かという点で、大蔵、法務両者の解釈に根本的喰い違いのあることを明らかにすると同時に、小笠原蔵相がこの種の事業に対する新しい立法を次の通常国会に提出する旨を言明したのみである。このような政府の態度は、結局、問題の急所にふれることを極力回避して、波紋の自然に収まるのを待とうとする意図と解されるが、その結果は、歳末を目前に控えて、往年、昭和二年当時に見たような、恐るべき金融恐慌を激化すると共に、当面の責任者伊藤理事長が、自由改進両党をはじめ、社会党右派にまで及ぶ約九十名位の広範囲な政治献金の事実とその経緯を公表することによつて、未曽有の疑獄、政治的混乱を惹起せんとする形勢にある。」というこの二通の、怪文書にひとしいものが私らの手元へ送られました。実は保全経済会のことではわれわれの方でも相当調査を進めておりましたが、この文書を見たときに私は愕然としたのです。そこで、私は、早稻田さんに伺いたいんですが、あなたはこういう文書をお受取りになつたことがあるかどうか、お受取りになつたとするならば、その当時の感想について述べていただきたいと思うのであります。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 中野さんから先ほど来非常に御好意のあるお尋ねをちようだいして、感謝にたえません。ただいまの怪文書は私の手元へは参つておりません。従つて拝見したことはないのでございます。

中野四郎改進党

○中野委員 まことに私はふしぎに感ずるのですが、これが早稻田さんの手元に行つておらぬということがちよつと私解せないのです。各議員のもとへこれを配つたらしい形跡があるのです。しかも、この怪文書をまいたと思わしき者も、大体今日のわれわれの調査過程に上つて来ております。しかし、ごらんになつたことがないというなら、さらに伺いたいのですが、あなたは三浦義一あるいは兒玉譽士夫、山崎一芳ないしは高源重吉、吉田彦次郎あるいは丹羽五郎というものとお会いになつたことがあるかどうか、この点を一点伺いたい。保全経済会のことでですよ。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 ただいま仰せになりました方々は、私は全然存じませんでした。ただ、先ほど申し上げました保全経済会をいかにすべきかという顧問会議を開きました折に、三人の顧問が打ちそろいまして、保全経済会を訪問いたしました。その折来合せておられた中に兒玉さんという方がお見えでございました。さらにお二人の方がお見えになつたが、その方が何という名前の方であるかを伺い漏らしたわけでございますが、そのお二人の方が今お説のお名前の中の方ではなかつたろうかと考えております。

中野四郎改進党

○中野委員 そこで、さらに伺いたいんだが、保全経済会のこの営業状態に非常に不安を持つておいでになつて、いろいろ御心配になつていらつしやつた点はわかるのですけれども、保全経済会を中心として理事長の伊藤君から兒玉、三浦、山崎、高源というような人々に相当多額な金が流れておるのです。何億という金が行つておるんです。少くともきのうやきように始まつた問題ではなく、保全経済会とこれら右翼の一連の関係を持つものとの関連は、非常に長い間のうわさに上つておつたものであります。従つて、この人人が保全経済会を中心としてどういうような行動をとつておられる人かということは、おぼろげながら早稻田さんは御存じではなかろうかと思うのですが、この点はいかがでしようか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 その点、たいへん自分の不敏を恥じておりますが、少しも存じなかつたのでございます。

中野四郎改進党

○中野委員 それでは、その節兒玉君ほか二、三の人がどういうような発言をなさつたでしようか。これも伺つておきたいと思うのです。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 私は、そのとき終始一貫黙つて聞いておりましたが、先ほど申し上げました松本博士の再建案を提示せられ、それについての意見の交換があつたわけであります。従いまして、来会の諸氏からもその再建案が、こういう点は悪いとか、こういう点はいいとかいうような御発言があつたように覚えております。

中野四郎改進党

○中野委員 これは再建に関して非常に重大な問題でありますると同時に、先ほど私が微妙な質問を申し上げたこの問題にも関連して来る問題なのですから、いま少し詳しくお教えを願いたいと思うのです。それは、一方の再建派は、このような怪文書あるいは言葉の上に相当強い意思表示をしておるし、場合によれば二人や三人ばらすくらいのことは驚かぬというような言葉まで聞えておるのです。つまり恫喝的態度をもつて国会をしていや応なく立法せしめようという態度が一方において見える。一方においては、これをば別な機構のもとに再建しようという建前をとつておられて、再建派に二派あつたことは現実の問題であります。従つて、この二派の対立しておるものが、双方がここで会合した場合において、相当議論が闘わされなければならぬはずです。もしこれが議論が闘かわされずに、ただ合議の上で行われたとするなれば、この保全経済会というものはお互いが右も左もなく謀議を凝らして、一つの手段として、一方においては国会を恫喝し、一方は金銭を授受した者をば恫喝して、そうして窮余の一策として何らかの道を求めようというふうに考えられても、私はふしぎでないと思うのです。従つて、あなた方の会見の席上において、この人々はそれらを代表するところの相当強い分子であり、何かここで相当な激論があつたか、あるいは何かお互いに今後のことについて相談があつたかということは、私は当然考えられると思うのであります。この点はおそらく平野さんに対しても各委員から御質問があろうと思いまするが、早稻田さんがそこにお立会いになつていらつしやつたのですから、あなたの品から御証言を願つておきたいと思うのであります。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お説のように、私どもが再建案を持つて参りまするについては、この再建案に対しては伊藤理事長は絶対反対であろう、おそらく承認しないのではないかという話合いもございました。それは、伊藤理事長は立法化一本やりであつて、その他の問題は受付けない、そういうふうにも聞いておりました。従いまして、その案を持つて行つたときは、相当議論もあるかと思つて私は実は行つたわけでございまするが、その場の空気は案外なごやかな穏やかな空気でございまして、ただ二、三点指摘されて、こういう点は直そう、あるいはこうやつたらよかろうというような、きわめてなごやかな空気のうちに会議が進められたのでございます。

中野四郎改進党

○中野委員 この会合のバツクにあるものがこの保全経済会の休業以来の一番大きな問題であります。ただ会合では終つておらないのです。その会合に出席した者のバツクにあるものは何を意図しておるかということは、すでに御承知のように、保全経済会乗つ取り策というようなものが、われわれの調査の過程に出て来ておるのです。しかし、これはあなたにここでお聞きしても無理でありますから、ほかの委員の方の御質問もあろうと思いまするから、私はこの程度にしまして、もう二点だけ伺つておきます。  顧問として名前を出すことを御承知になつたかどうかということです。つまり、文書等に、入会のしおりと申しまするか、あるいは保全経済会や何かに勧誘いたしまするリーフレツトに、あるいは新聞等に、あなたは顧問として名前を出すことを御承知になつたかどうか。それから、これによつて影響することはどういう点が影響するかという点を一つ伺いたい。  もう一つ、東南アジアの方へあなたが御旅行なさつたときに——はなはだ失礼な伺い方でありまするが、旅行に際してせんべつが来たか来ないか、来たとするなれば幾らおとりになつたか、この二点だけお尋ねをしておきたいと思います。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 第一点のお尋ねでございますが、広告等に私の名前を使用することについては、了解を求められたこともございません。私も、私の名前が出ておるということをずつと過ぎてから知つたわけでありますが、実は驚いて、困るじやないかと言つたこともございます。  それから、第二点の東南アジアへ参りますときのせんべつは、たしか持つて来られたように思つております。しかし、倉皇のうちに私がたちましたので、あとは秘書なり家内の者どもが受付けておりまして、その金額がいかほどであつたかということを今はつきり覚えておりません。

中野四郎改進党

○中野委員 せんべつのほかに、特別なお金をおとりになつたような事実はありませんでしようね。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 そういうものはございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 小林進君。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 各委員諸君の質問で明らかになつておらない点を逐次拾い上げて、落葉拾いのような質問になるかもしれませんが、お尋ねをいたしたいと思うのであります。  まあざつとの話のうちで、このわれわれの調査の大まかな分類では、報道関係やら宣伝費やらに約四億の金が出されておるのであります。     〔委員長退席、長谷川(峻)委員長代理着席〕その割合に聳動せられているがごとき政治献金の方はまだ出て来ないのでありまして、総合計いたしまして二千万円程度のものなのであります。その中にあなたに差上げておる顧問料等も含まれておるのでありまするが、そのあなたの個人関係の顧問料の点にまだ二、三不明の問題がございます。それから、先ほど委員長から質問せられたあなたの所属しておられる政党に献金をせられたその点にも不明の点がございます。私どもは、顧問たる早稻田さんにこの証言台にわざわざ立つていただきます根本のねらいは国会議員早稻田氏を通じて、どうもこうした朝鮮人経営のわけのわからぬ保全経済会が零細なる地方民の金を集めて、その金が政党献金となつて政界にばらまかれておる、こういうような考え方から、われわれもみんな間接の被害をこうむつておりますので、この際ひとつお互いの姿を整えて、そうした世間の疑惑を明らかにしてもらいたいというのが、わざわざ証人台に立つていただいた私どものねらいでございますので、この点をひとつ十分お含みの上、できるだけ御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。  私どもの調査では、あなたへの政治献金が百十五万円となつておるのでありますが、その百十五万円に対して、あなたは期末とか年末とか中元だとかそういう時期々々にこれをちようだいした、こういう御証言でございましたが、われわれの調べたところでは、百十五万円を差上げた期日は中元の期日でもなければ歳末の期日でもないのでありまして、期日が少し狂つておるのじやないかと思いますので、その点をひとついま一応明確にお知らせ願いたいと思うのであります。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 ごもつともなお尋ねでございますが、私は、期末あるいは中元のほかに、正月等のように思つておりますが、この点ははつきり記憶をいたしておりませんので、明確にお答え申し上げることができないのはたいへん恐縮にたえません。いずれこれは税金等も差引いておると思いますので、記帳されておるとすれば、記帳されておるものの方が正しいのではないかと思います。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 二十六年の十一月二日に三十五万円、二十七年の四月二十四日に四十万円、同じく二十七年九月一日に四十万円、これ三口で百十五万円ということになつておるのでございまして、なお、中元、年末でなくて、そのほかに、先ほどのお話では陣中見舞と、それから今のせんべつもあつたというのでありますが、せんべつも東南アジアへ御出張のときのせんべつでございましようから、これもこの期日が狂つておりますし、陣中見舞と言えば、これも陣中見舞には当てはまらぬ期日でございますので、やはりこれ以外に、中元と年末と陣中見舞とせんべつ、こういう金があなたの方へ差上げてあるものと私どもは推定しなければならぬのでございますが、この点、いま一応具体的にお聞かせ願いたいと思うのであります。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 ごもつともなお尋ねでございますが、私は先ほど来申し上げますように、持つて来られた時期がおおむね何かそういう区切りのときであつたと実は思つておりますが、記帳されておるものがはつきりしておるとすれば、これは私の思い違いであつたかと思います。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 陣中見舞でお幾らちようだいされましたか、お伺いいたしたいと思います。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 お答え申し上げます。その陣中見舞もはつきり覚えておりませんが、前の前の選挙の折に若干いただいたように記憶いたしております。その金額等は今記憶がございません。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 申し上げるまでもなく、自分に不利なことは黙秘権で黙つていていただいてけつこうなんでございますが、願わくは、さしつかえのない程度にお聞かせ願いたいと思うのであります。かんじんのせんべつも若干で、金額はおわかりにならない、陣中見舞も若干で、金額はおわかりにならないというと、どうも私ども何か一つ胸にいま一針納まつておるのじやないかというような疑いを持たざるを得ないのでありますが、この点はこの程度にいたしておきます。  次に、これは駒井氏がおいでになつたときに質問するのが順序と思いますけれども、何か急に御病気で入院をされ、あしたの証言台には立てないというようなお話でございますので、知る範囲でお聞かせ願いたいと思うのであります。先ほどの御証言では駒井さんも同じく保全会の顧問をやつていたというようなお話があつたかに記憶いたしておるのでありますが、それはあなたが顧問に就任される前の話か、あるいは一緒に顧問をおやりになつた重複の期間があつたのかどうか、まずここからひとつお聞かせを願いたいと思います。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 駒井先生の顧問をされておりましたときは、私の就任する前でありまして、重複はしていないように思います。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 あなたが顧問におなりになつたのが二十六年四月末ないし五月の初めといたしまして、そのときにおいてはすでに駒井氏は顧問をおやめになつていた、こういうことになりまするというと、まず二十六年の四月以降は、保全経済会に関する限りは、駒井氏よりもあなたの方が重要なる位置に置かれたとまず私どもは考えなければならないのでありまするが、そういう前提の上に立つて勘案いたしまするに、その二十六年も過ぎた二十七年の九月の二日でありまするか、九月二日に、駒井氏の名前で一千万円改進党に政治献金がせられておつて、しかもそれを政党の政治資金規正法に基いて改進党ではちやんと届出がしてある、こういう調査が上つて来ておるのでありますが、それを顧問の地位にいられるあなたが御存じないというのは、いささか顧問を軽視した伊藤斗福君のやり方である、あるいはまたからくりがあるのかどうか。一応疑わしい点がございますので、お聞かせを願いたいと思うのであります。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 ただいまのお尋ぬの点は、先ほど申し上げましたように、まつたく知らなかつたのでございます。従いまして、考えようによつては、今お説のありましたように、私などは顧問という一つの看板だけで、あるいは軽視されておつたのではないかということも一応考えられる次第でございます。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 それでは、先ほどのわが党の矢尾君の質問に対するお答えの中に、伊藤斗福に会つて、むしろ自分の方で、もうここまで保全経済が大きく発展して来たのであるから、この際政界、官界にも応分の資金を出した方がよいではないかということを忠告したことがあつた、そのときに伊藤理事長は、将来はともかく、現在は云々と言つてそれを拒否する回答があつた、こういうことを言われたのでありまするが、その伊藤に政治献金を慫慂せられました時期は一体何年の何月であつたか、お聞かせ願いたいと思います。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 これは、はつきり記憶をいたしておりませんが、二十八年の春ごろじやなかつたかと思います。ちよつと今覚えありません。     〔長谷川(峻)委員長代理退席、委員長着席〕

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 これは二十八年の何月ごろであるかということを、いま一度御記憶を呼びさましてお答え願いたいと思うのでございますが、これは私は重大な問題であると思う。ともかく伊藤は二十七年の九月二日には一千万円を改進党に駒井君の名前で、あつせん者として献金をしている。しかも二十八年の三月十七日には五百五十万円を駒井君に謝礼金として出しておるのであります。われわれ貧乏人はまつたく胆をつぶすような大金でございます。こういう大金を個人にもやり、政党にも献金をしておつた。その同じ八月に、あなたは、伊藤君に政党献金を奨励をしておいでだ。それに対して伊藤は、現在はまだ政党献金をするような段階ではないからと言つて、あなたにはこれを拒否している。ここにどつか私は大きなからくりがあるのじやないかと思うのであります。伊藤がよほど顧問のあなたを軽蔑して、頼むに足らず、やはり同じ改進党でも、これを立法化し法制化する力は駒井重次をおいてほかにないというので、前の顧問の駒井氏の力を予定して、あなたはロボツトとしていたのか、あるいはあなた自身が何か御記憶違いをされておるのではないか、この点をいま一度お聞かせ願いたいと思うのであります。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 その点、ごもつともでございますが、まつたくその日時等はおぼろげにも記憶がないわけであります。ただ、そういうようなことを、いつのときだつたか談笑のうちに話したことがあつたように存じましたので、先ほど率直に申し上げたわけであります。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 これで終りたいと思いまするが、先ほどの松本証人にかわりまして、早稻田先生が終始顧問としての責任を感ぜられて非常に謙虚な発言を与えられましたことは、われわれ国会議員の一員としてまことに感謝にたえない次第でございまするが、ただ、最後に、あなたの政党との結びつきの関係は今のところ全然ない、ただ顧問として顧問料通計百二、三十万円をもらつた程度のものである、こういう御証言でございましたが、私どもの正確な資料で集めました百十五万円に、中元やら陣中見舞やら、あるいはせんべつやら、その他を加えますると、どうしてもこの金額には仰せのように私どもは承服できない点がまだございまするので、これはいま一度よくお考えをくださいまして、願わくば真実を国民に知らせるという気持で、もう一度お答えを願いたい。  それから、政党関係であります。今申し上げました政党関係もほんとうにないのかどうか。巷間多額の金が伊藤理事長を通じて政界にばらまかれているという、その大きなうわさの中心にすわられた政界人にして顧問であられたあなたの耳に、はたしてそれが入らなかつたか、入つていたけれども、なおかつ、今おつしやつたように、全然先生みずからに関する限りはそうした政党献金にいささかも関係がなかつたか、最後に今一度これを再確認さしていただきたいと思うのであります。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 いろいろ御配慮いただきまして恐れ入ります。第一点の顧問料につきましては、あるいは私の記憶が間違つておるかもしれませんが、いずれそうしたものは保全済経会の記録に残つておると思います。従いまして、私の申し上げることよりも記録に残つておることの方が正しいんじやないか、かように存じております。  それから、第二点につきましては、何度もお尋ねをいただきまして恐縮でございまするが、この点はまつたく知らなかつたのでございますので、御了承をちようだいいたしたいと思います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 田渕君。——田渕君に申し上げますが、なお平野君も控えておりますから、簡潔にお願いします。

田渕光一自由党

○田渕委員 結論だけ三点お伺いします。  証人に伺いますが、十二月二十三日に、伊藤斗福と顧問団三人との同時声明というものにお立会いになりましたかどうかをお伺いしたいのであります。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 同日私は国へ帰つておつたと思います。おりませんでしたので、立会いいたしませんでした。

田渕光一自由党

○田渕委員 それでは、もう一つ伺いまするが、十一月二十二日に、保全経済会理事長伊藤斗福という名前で相当長文な「全国出資者の皆様へ謹んで御報告申し上げます」という声明書が出ておるのであります。この保全会の十一月二十二日の「皆様に申し上げます」というのに、タツチなさいましたのでございましようか、いかがでございますか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 これも全然存じませんでして、あとから、新聞でございましたか、そういうものが出たということを知つた程度でございます。

田渕光一自由党

○田渕委員 これは証人はお知りになりますまいが、非常に重大な問題でありますので私申し上げるのでありますが、この声明書中にこういうことがあるのであります。「十一月中旬、十七日衆議院大蔵委員会に於て、結局保全経済会を如何にするかとの委員の質問に対して河野局長は、法務省と連絡の上立案通常国会に提出する、その内容については目下研究立案中と改めて言明するに至つた、今や本会を含む類似金融機関の法制化は朝野を挙げて常識化するに至り、而して当局の法律案の審議はあと旬余に迫られる通常国会に上程せらるる事になつております。以上休業後に於ける再建工作の結果僅に二旬にして法制化の朗報を御報告申し上げし次第であります。」こういう、委員会とまつたく違つた報告をしているのであります。これは御参考までに申し上げておきまするが、十一月十七日の大蔵委員会におきまする速記録の九ページの三段目から読みましよう。河野銀行局長でありますが、「これは先ほど申し上げました通り、立法論としてはそういう措置をとるべきであろうということは私は先般この国会でも申し上げた。その考え方で、大蔵大臣も同じ考え方を申し上げたと思います。ただだれがやるかということは、これは政府がやることであつて、大蔵省がやるか法務省がやるかということは、これはむしろ枝葉末節の問題であつて、最後は政府の決定にまちますけれども、方向としては、先ほど来申し上げておりますように、法務省と私どもと同じ方向をたどつておる。先ほど申し上げましたのは、私は現行法の解釈としてはどうなるかということを三月四日に申し上げておる。」——これは二十八年の三月四日の議事録なのであります。「立法論として、預金者を保護育成する建前の投資銀行法とかいつたようなものを立法するつもりはございませんということは、三月四日にはつきり申し上げておる。しかしそれは取締らなければならぬという事態が立法論として新しく起つているかどうかという問題は、先般来当委員会でも、私どもの意見として申し上げたところを実現するのが筋であろうという考え方のもとに、現在事務当局間で法案について今検討を続けている。その趣旨は今井上委員からおつしやつたような、大蔵大臣が予算委員会で答弁いたしましたようなラインに従つてこれを立法化した方がいいであろうという考え方のもとに、今検討いたしておるわけであります。」これは、大蔵大臣も、決して私企業を救おうなどということは考えておりませんということをはつきり言つている。大蔵委員会でもこうはつきり言うておるのに、十一月二十二日の休業宣言一週間後に、立法をすることが明瞭となつて来た、こういうようなことを出しておる。これはあとで平野君に聞くのでありますが、こういうようなことを出した声明を顧問団として見ておつたかどうか、あなたがタツチなさつたかどうかということを私は伺つたのであります。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 ただいま御朗読いただきましたような問題については、私どもは全然タツチした覚えはございません。

田渕光一自由党

○田渕委員 それから、先ほど社会党の委員にお答えになつた点でありまするが、証人は昭和二十六年七月十日より二十日まで大蔵委員会委員として四国に出張した際、証人が保全経済会の顧問だというので、同会の運営について疑惑を抱いている出資者の訪問を受けたという事情をお聞きになりましたが、当時早稻田さんは宿にいなかつたということが委員会の記録ではつきりしているのであります。この場合に、大蔵委員会に一度深澤君が出ておるのでありますが、元共産党の議員であつた深澤義守君が、証人として十一月二十七日の大蔵委員会で証言しておるのとちよつと食い違いがありますので、これも信用上ひとつあなたに伺つておきたい。ここでちよつと速記録を読んで申し上げましよう。十一月二十七日の大蔵委員会の、二十ページから二十一ページにわたるのでありますが、深澤証人がごう言つております。「深澤(義)証人 日時ははつきり私記憶がございませんが、昭和二十六年の七月の中旬だと記憶しておりますが、大蔵委員会が当時国政調査に四国へ参つたのであります。その当時同行者は、内藤友明氏、早稻田柳右エ門氏と私と、専門員の抜井さんでございました。高松の駅へ着いたときに、四国の財務局の方々のお迎えを受けたのであります。そのほかに、二人の保全経済会高松支店という名刺を持つた人が、われわれに名刺を通じて参りました。そこで、初めて早稻田さんが、その保全経済会の顧問になつておられるということも聞いたのであります。」こう参りまして、それから中略いたしますが、「保全経済会はそういう性格のあるものである、従つてこれは十分国会でも政府と相談をして、何らか取締つてもらわなければ困るというようなことがどこへ参りましてもあつたのであります。そこで早稻田柳右エ門氏が徳島県から用事があつて帰つてしまつたのであります。顧問としての立場にある早稻田さんが特に徳島の金融機関の人々の会合においては、相当非難をされたようでありました。」こういうようなことを言つておるのでありますが、こういうことがございましたかどうか、これもこの際はつきりしておいていただいた方が御信用上いいかと思いますので、伺つておきます。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 ただいまの速記は、大体そういう経過であつたと思います。私どもが高松へ着きましたときに、今お説の保全経済会の方がお迎えに来ておりました。それから徳島におきましては、なるほど問題は出たのですが、さほど非難というような面は少かつたと思います。私が徳島から帰りますのは、これは初めからの予定の行動でございまして、別に逃げたわけでも何でもございません。これは同行の専門員の方も初めから知つておつてくれたわけでございます。実は私は、何か他の用事で行けないのを、行き手がないからということで、それじや一日でもということで、無理に行つたわけでございます。それから、先ほどお説のあつた、宿におらなかつたということは、ちよつとはつきり記憶がございませんが、とまつた晩にどこかからの招待がありまして、これは全員行つたわけでありまして、そしてそのまま宿へ帰つて休んだわけでございますから、その間に、出たあとへでもいらしつたならば別でありますが、私のいる間には、出資者の方の訪問は受けませんでした。

田渕光一自由党

○田渕委員 もう一点、それじやだめを押しておきますが、われわれ国会議員が地方に国政の調査に参りましたときには、おおむね、党が違いましても一つの宿にとまるのを常識といたしております。そこで、早稻田さんがこの場合に宴会に行かれたということは、保全経済会の高松支店とか、あるいはそういうような意味の招待ではなくして、結局国会議員の調査団の招待であつて、同時にその宴会あるいは招待されたところに行き、同時に帰られて、その宿へおとまりになつたと伺つてよろしゆうございますか。

早稻田柳右エ門改進党

○早稻田証人 その通りでございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 ほかに御発言もなければ、早稻田証人に対する尋問はこれにて終了いたします。  証人には長時間にわたり御苦労さまでございました。     —————————————

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 引続き平野力三君より証言を求めることといたします。  ただいまお見えになつておられる方は平野力三さんですね。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 はあ。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 あらかじめ文書をもつて御承知の通り、本日正式に証人として決定いたしましたから、さよう御了承願います。  これより保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきまして証言を求めたいと存じますが、この際証人に申し上げます。保全経済会は全国に二百箇所以上の店舗を有し、出資総額約四十五億、加入者は約十五万に達する特異な利殖機関でありまして、従来その業務の運営につきましてはとかくの風評があつたのでありまするが、昨年十月二十四日突如として全国一斉に臨時休業に入つたのであります。この休業に立ち至つた事情につきましては世上幾多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方これら類似の特殊利殖機関の累増を見た今日、これら特殊利殖機関の業務運営の実態を明らかにし、かつこれら特殊利殖機関に対する関係官庁の監督の当否につきまして調査を進めますることは、国の行政が適正にしてかつ能率的に行われているかどうかを監察しもつて立法その他国政の審議に資するため行政の運営上障害となつている各般の事情を総合的に調査しかつその責任を調査する本委員会の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本委員会は本件の調査をいたすことになつた次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。  それでは、ただいまより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めることになりまするが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人平野力三君朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それでは宣誓書に署名捺印をお願いします。     〔証人宣誓書に署名捺印〕

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。  まず委員長から概括的に証言を求め、ついで各委員から証言を求めることになつておりますから、御了承願います。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人は保全経済会の伊藤斗福、この人とはどういう御関係がおありになりましたか。またいつごろお知合いになられたのでしようか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 昭和二十六年の四、五月ころ小宮君という人の紹介で知るようになりました。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 保全経済会の顧問をなすつておられたようでありまするが、そうしますと、顧問に就任された年月日もそのころでございますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 さようです。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 証人が保全経済会の顧問として御活動なされたことにつきまして、どういう御活動をなされたか、お述べ願いたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 保全経済会自体のことについて特別にそのことの運動等をいたしておりません。伊藤斗福君のいろいろ——農村の経済問題とかあるいはその他政治上の問題等について問われるので、いろいろお話をしたのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 顧問として活躍なされたのは、そうしますると経済上の問題についての相談相手になつたというふうに了承してよろしいのですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 まあ今申し上げたように、そういうような問題について問われたときには自分の考えを答える、こういうのであります。また若干は保全経済会の役員の会合とかあるいは新築等の場合に出て、若干自分の政治上の話をしたようなことがあります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そうしますと、ただいまのお答えによりますと、御相談を受けたときにお答えする、新築等があつた場合には出て自分の政治上の立場をお話されたということで、どの程度に御関係になつたのか、まだあまりはつきりいたしませんが、相当保全経済会との御関係はあつたと私は了承しておるのですが、この保全経済会の実情というものはどの程度に御承知だつたでしようか。その点御証言願います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 私の承知いたしておりまする保全経済会自体の内容といいますか、これは投資銀行と申しますか、あるいは投資信託銀行と申しますか、まあそういうよう、機関に伊藤君とてしはこれを発展せしめるというような考えでこれをやつておつたと思います。かように承知しております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 保全経済会のような事業が月八分とかあるいは五分とかいうような高い配当金を支払うためには出資金のたらいまわし、世の中で言われているような自転車操業的営業というものをしなければ成り立つものではないというには、お気づきになつておられましたですかどうですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 私が顧問になりました当時、今委員長のおつしやつたような八分というようなものではなかつたのではないか、二分ないし三分程度のもののように記憶いたしております。それから、私は経済人でありませんので、ただいま委員長の御指摘になつたように、この保全経済会が普通に言うあぶないものというような考え方は持つておりませんでした。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 新聞で大分騒がれて、今休業とかいうことで大問題になつておりますが、保全経済会の経理というものは大分乱脈をきわめて、毎期莫大な赤字を出しておつたというようなことについては、いつごろお気づきになられましたか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 今御指摘のような経済上の問題については、休業後しばらくして知るに至つたのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そういう場合、伊藤斗福に対して何か注意をなさつたようなことはございましたでしようか。また何か意見あるいは献策をしたようなことはあつたでしようか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 保全経済会の開業中には、伊藤君に対して特に希望とか注意をしたことはほとんどありませんでした。休業後は相当意見を言いました。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 二十六年の四月、五月ということを申されましたが、それ以来最近まで証人は相当多額の顧問料をとつておられたようでありますが、その点は事実ですね。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 さようでございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 どの程度の顧問料をいただいておりましたか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 非常にこまかい数字はちよつと記憶いたしませんが、大体今頭で記憶し得る範囲内のことを申し上げますと、昭和二十六年は約百万円、二十七年は百五十万円余、二十八年は六、七十万円、合計三百万円ほど受取つておるように思います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そのお金以外に物品等でもつて保全経済会から何らかの便宜を受けておつたような事実はございませんでしようか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これは率直に申し上げますが、すでにいろいろ新聞その他においても問題と相なつておることでありますので、ちようど適当の機会なので、はつきりと証言させていただきたいと思うのであります。保全経済会所有のビルデイングを賃貸契約で借用いたしております。これは、委員長の御質問ですが、便宜を与えてもらつたか、もらわないかという判断については、私もこのビルデイングを借りるときに、自分も百万円ほど敷金を出して他のビルを借りようというような考えのあつたときですから、この百万円の金をそのビルの建設のときに出してもおりますので、私も多少そういう金を出しておるわけであります。その他私が自動車を使用しておるということもはつきりいたしておりますが、これは保全経済会さしまわしの自動車を乗りまわしておるというような解釈をされる方も一般的にあろうかと存じますが、はつきりいたしておりますことは、これは私の自動車です。百十幾万か、この自動車を買うときにたしか私が保全経済会から借りておる。これは実は帳面を一回、新しい経営者にもなりましたので、見せて明らかにしたいと思います。自動車そのものは向うから金を借りて買つたというような形になつております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 ビルデイングを借りておられたと言いますが、いわゆる什器類等はやはり向うが全部提供されたものですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 そういうようにもなります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そういうようにも……。その通りなんですね。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 大体一切の所有権は保全経済会のものになつております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 証人は、政治家を伊藤斗福または保全経済会のどなたかに御紹介なすつたようなことはございますか。たとえば、塚原俊郎なら塚原俊郎、田渕光一なら田渕光一という議員を伊藤斗福に紹介されたという事実はございますでしようか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 一般人を若干紹介したことはあろうかと考えますが、特に政治家を紹介したことはないように思います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 昨年の九月だつたと思いまするが、小平忠という衆議院議員がおられます。われわれの同僚議員ですが、この方が北海道通信機株式会社の株券四千株を二百万円で伊藤斗福に買わせておりまするか、この事実には平野さんは御関係はありませんですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これはもちろん私が紹介をしてそういうことができたというのではなくて、御本人たちの話合いと私は考えております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 永楽倶楽部というのを御存じですね。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 承知しております。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 二十六年の六月に保全経済会が永楽倶楽部に百万円の寄付金を出しておりまするが、このことには御関係はないのでしようか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それはよく知らないのでございますが、ただ、この間もちよつとそういう話がありましたので、あるいはそういうことを私の関係のごとく受取りを出したり、そういう金銭問題というようなことがあつたかもしれませんが、これは、この際におきましては、もう一回帳簿とかあるいは受取り等をよく見せていただかないと、はつきりした証言をいたしかねる。はつきりはわからないのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 伊藤斗福が昭和二十六年の秋アメリカに渡つておりまするが、その際の身元保証人になつておりますね、平野さんは。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これは、当時顧問でありまして、あるいはそういうことを保全経済会の事務当局が扱つたかもしれませんが、はつきりした記憶はございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 その記憶を呼びさましていただきたいのですが、身元保証人であつたかどうか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは、何か当時私が判を押したとか、あるいはいろいろなことがあるといたしますれば、あるいは当時の状況でありますので、(「簡単にわかる問題じやないか」と呼ぶ者あり)はつきり記憶がありません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そうしますと、はつきりしないということは若干あるというように了承するのですが、伊藤斗福がアメリカに渡つた目的、また今問題になつております資金の出所などについて、もし御存じの点があつたならば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 当時伊藤君がアメリカへ行くという話のあつたことはもちろん承知いたしております。ただ、ただいまの点について記憶がないと申しますのは、身元保証と言えば、たしか判を押さなければならぬことだと考えますので、伊藤君自身から何か判を押してくれというようなお話があつて判を押した記憶はない。ただいまおしかりを受けたようですが、はつきり伊藤から頼まれて判を押したというような記憶がないと申し上げているのですが、あるいは事務当局その他においてこういう判を押してくれと言つて、判を押したというような場合がないとは、顧問をやつておりましたので保証はできません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 私はおしかりしたようなことは全然覚えがありません。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 いや、こちらの方で……。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 伊藤さんが渡米された目的はどういうものであつたか、御存じありませんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 アメリカにおける投資銀行というようなものの調査に行くというようなことを言つておつたように思います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 それは御相談なかつたのですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 そのことについては相談ありません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そうしますると、大分はでな旅行をなさつたというように聞いておりますが、その資金の出所などについては御存じありませんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 もちろん、その当時の資金の出所とか、あるいはどういうスケールで旅行するというようなことは全然承知しておりません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 昨年末休業後、他の顧問たちと連名で声明書を発表いたしております。保全経済会の再建について平野さんご自身も意見を述べておられるようでございますが、今日まで保全経済会の再建についてどういう御尽力をなすつて来られたか、その点について知つておるところをお述べ願いたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 私は、休業を宣しました翌々日くらいからは、保全経済会の問題については非常な責任を痛感いたしました。まず第一に考えたことは、投資者の利益のために自分の力のある限りは尽さなければならぬ、こういう考え方のもとに、まずどうすれば出資者が一番助かるか、これを真剣に考えました。そこで、同じく顧問をいたしております松本信次さんが経済学博士という肩書を持つておられるので、一番最初に松本信次さんの意見を伺いました。こういう場合にどうすれば投資者が一番助かるか、これに対する松本さんのお答えが、第二会社に切りかえることであるというお説でありました。いろいろ伺つてみますと、私としても松本さんのおつしやる第二会社案というものが出資者救済の案ではないか、こういうように考えましたので、休業後はその点について相当努力を払いました。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 元農林大臣平野力三とか、あるいは元何とか大臣塚原俊郎というようなことになりますと、大衆は相当これを信用するのですが、今度の全国多数の出資者の中では、保全経済会の顧問に平野さんが名を連ねられている、この名前を信用して応募された者が多数あると私は考えるのですが、この点について証人はどういうふうにお考えになりますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 休業後投資者の人にも会いまして、いろいろ委員長の質問のような点について意見を伺つてみましたが、もちろん投資者の中には、君らが顧問をやつておるから安心したというような御意見もあり、やはり利回りがいいから投資をするというような御意見もあり、そういう点については、結果から見れば委員長御指摘のようなことがあつたろうと想像し、その件に関しては深く恐縮をいたしておるのでございますが、しかし、それは必ずしも私の名前があつたからこれだけ集まつたというようにのみ論断されることは——当時の経済状況あるいはその他の問題も御判断願いたいと考えておるのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 今日大分出資者の方にも御迷惑をおかけしておりますし、世間でも大問題になつておりますが、平野さんもこれに顧問として重要な役をされているというようなことを言われている今日、平野証人としてどういうような責任をおとりになりたいとお考えでありますか、その点を最後にお聞きしたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 まず第一には、はなはだ微力ではあるけれども、投資者が助かるようになるために、たとえば保全経済会の再建というようなことについて、自分の尽し得る範囲があればこれは尽さなければならぬ、かように考えております。具体的に若干自分の考えを申しますと、伊藤斗福君がとにかく休業のとき持つておつた相当の資産があるわけですから、これはすみやかに出資者団体に投げ出してしまうというような点については、相当私どもが伊藤君を説いて、早く再建の方途を考えさせるというようなことを考えておりました。それから、道義上の責任については、一応この問題がどういう結末をつけるかという結論を得た上に、自分としては真剣に考えてみたい、これが現在の心境でございます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 庶民の零細な資金をたくさん吸収している利殖機関の顧問として、どういう心境に今あられますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは、ただただ申訳ないと思い、かつこの団体の顧問をいたしました不明を自分は深く心の中では謝しております。ただ、こういう問題でありますので、ただ自分が恐縮したとかあるいは相済まぬということを言うだけで、それで済まされるべきものないので、実は大いに悩んでおります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 委員の中で御発言があれば……。今澄勇君。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 それでは、私は証人に二、三点お伺いをいたしますが、まず第一番にお伺いをいたしたいことは、先般来の怪文書において、社会党右派に至るまで保全経済会の献金を受けた等々の記事が載つて、非常に世間の疑惑を招いているが、証人の手を通じ、あるいは人を介しても、社会党の右派にさような献金があつたということは、私どもは党本部調査の結果断じてないのであるが、この点についてまず証人のはつきりした御言明をひとつ承つておきたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 私の知る範囲におきましては、あくまで私対伊藤斗福君個人の関係でありまして、右派社会党には何らの関係もありません。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 そこで、私は第二点としては、保全経済会が休業後、平野証人、早稻田顧問並びに松本さんと三人で保全経済会ビルに集まつて、三浦、兒玉さん等とこの保全経済会の再建等について協議をされた旨、先ほど早稻田証人から証言がありました。その際平野さんも一緒におられたのであるか、それは一体いつであつて、そのときに集まられた人々はだれだれであつたか、ひとつ御証言を願いたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 休業後の再建については、率直に申しますると、しばしば会合をいたしました。しばしばと申しますのは、顧問の私ども三人並びにその他の人とも、大いに意見の交換をし、会合をいたしました。但し、日にちというような点については、はつきり一つ一つの記憶がございませんので、ただいま今澄君御指摘の会合と称するものは、どういう種類の、何の目的の会合かというような御指摘がないと、ちよつとだれだれが集まつたということは、はつきりお答えができないのですが……。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 この会合には、三浦さんも兒玉さんも出ておられて、あなた方三人と、この保全経済会を今後やつて行くには、第二会社をつくり、伊藤氏に手を引かして、今後の再建についてはこういう方向がよかろうという話をされた会合で、そのあとで保全経済会の出資者擁護連盟に平野さんが会われて、私どもはこれこれこういうことを考えておるということを言われた、いろいろの会合の基礎となつておる会合です。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 こういうことを申し上げてみたいと思います。実は、休業直後、松本信次さん、早稻田柳右エ門君、私は、かりに顧問団と称すれば顧問団ということになるのですが、顧問といたしまして、再建案としては、いち早く第二会社をつくつて、その資産運営によつて出資者に出資金の返還をして行く、こうなれば被害は最小限度に食いとめられるし、また場合によれば出資金の全額も返せる場合もある、こういう考え方は、ほぼ私ども三人も意見の一致を見ておつたかと思います。ところが、これに対して伊藤斗福君はまつこうから反対をいたしておる。どういう意味で反対をしたかと申しますと、自分は立法化によつて再建の自信があるということを非常に強調いたしますので、率直に申しますれば、伊藤理事長と顧問団というものの意見の対立というようなことにまで遺憾ながらなつたかと思われるのであります。しかし、そうは申しましても、何といつても、出資者のためにお互いが考えて上げなければならない事件でありますので、今今澄君御指摘のような会合が行われて、そこで、何らかの協調をして行こうじやないか——何らかの協調というのは、私どもの方は、伊藤君に第二会社案に賛成してくれ、先方では、それにも賛成するけれども、その時期とかあるいは方法などについて、もう少し考えさせてくれというような会合が行われました。それがそのときの会合であります。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 その会合はいつでありましたか。覚えはありませんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 日にちは、今申します通り、はつきり記憶がないのであります。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 その会合で、伊藤斗福君に、三浦、兒玉等の御両所から、お前はこの際遠慮をしたらどうか、それで第二会社に移して、それを顧問団を中心に運営をして行くという案を大体決定をせられたということですが、その間のいきさつはどうですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 顧問団を中心として運営するという証言には、ちよつと違うのです。すべて伊藤斗福の資産になつておるので、これを出資者の団体に移してしまつて、出資者がその資産の運営をやれ、これが第二会社案です。こういうように私どもは解釈して、伊藤斗福にその財産を出資者団体に早く渡せ、こういう会合であります。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 そのあとで、出資者との相談の際には、出資者擁護連盟の代表者の言によると、平野氏を中心に、いかにもあとの出資をやらせて保全経済会を乗つ取るがごとき印象を与えた、そういうような情報を私どもは持つておるが、私に言わせれば、それは兒玉、三浦氏等のいろいろの計画があつたものと思うので、その話合いにおいて兒玉、三浦両氏が今後の運営についていかなる賛を述べたか、この際ひとつ平野さんからお聞きをしておきたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 御質問の点が、はつきりいたしておるようではありまするが、私から申しますと、ちよつといろいろな会合をやりましたし、特に人の名前も出たことでありますので、間違つても困りますが、こういうことなんです。出資者の中に二種類の考えがありまして、伊藤はもう絶対に信用できないから、顧問が早く出資者の会をつくつて、伊藤の財産を投げ出すように強力にやれという出資者の方々の集まりがありました。これは、後にたしか保全経済会出資者同盟というような名前になつたかと思います。顧問の松本、早稻田、私の三人は、率直に申しますならば、この団体に相当に力を入れて、そうしたいと思つておつたのであります。しかし、投資者の中には、なお伊藤がやるのがよいのだという考えの人も、この途上においてはまだあつたのであります。従つて、そういう意味において、出資者の考えも二分したということは、はつきり言えます。伊藤が立法化できると言つておるのだから、立法化できるものであれば、何も会社なんかつくる必要はないのじやないか、こういう見解が出資者の中にあつた。それから、もう一つは、率直に申しまするが、これは何でもかんでも裁判でやつて行けという近藤航一郎氏らの出資者擁護連盟という団体があるが、これは、裁判で帳簿を見せろ、あるいは財産を差押えろというようなことで、出資者団体も私の解釈では三つにわかれております。顧問団としては、先ほど申し上げましたような出資者の意見を尊重した。これは、別に乗つ取るとか乗つ取らぬとか、そういう言葉を用いられることは迷惑千万なのですが、出資者のためによかれと思つて努力をした。従つて、誤解のないようにお願いいたします。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 そこで、それらの会合に兒玉、三浦氏らは何の関係で出られたのか。そして、その出資者擁護連盟の会合のあと、伊藤斗福氏と証人は非常に反目の仲になつたと伝えられておるが事実かどうか。兒玉、三浦両氏が何の関係でそれに出て、どういう発言をされたかということも、もしさしつかえなければ伺いたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 この途上において、兒玉譽士夫君には会つたことがあります。三浦義一君には会つたことがありません。兒玉譽士夫君は私をたずねられたこともあります。また会合をいたしたこともあります。しかし、それがただいま今澄君御指摘の会に当るかどうかということもはつきりいたしませんので、私は証言を差控えておるのでありますが、兒玉君がどういう考え方を保全経済会に持つておられたかということの深いいろいろなことについては知るよしもありませんが、しかし、私ども顧問が、伊藤の財産を出資者にみな投げ出すべきものだ、これがこういう事態に陥つた場合においてとるべき、だれに聞いても一番常識的のことでないかと言つて、この点については兒玉君も伊藤君に相当強く主張したのであります。この点に関しては、大体兒玉君と私どもは意見の衝突をして争つたという点はないのであります。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 そこで、この保全経済会の問題をわれわれが行政監査委員会に申し出て調査をしていただいた本来の目的は、少くとも世間に疑惑を与え、保全経済会が過ぐる二十七年九月の総選挙前に、将来立法化を国会議員を通じていたさんがための底意を持ちながら、その選挙に臨んで選挙資金の応援をいたし、政党並びに政治家に金を渡しておるという点について、当委員会において断じて明らかにしたいというのが、私どもがこの保全経済会問題を当行政監察委員会にお願いをした趣旨である。八月末の解散以来、保全経済会伊藤斗福氏は、これらの兒玉氏その他の人々といろいろ相談しながら、駒井重次氏に千五百万円、これは九月二日と大体推定せられる。九月三日に廣川、池田両氏は伊藤斗福邸においておのおの二千万円、大麻唯男氏が二千万円、三木武吉氏も伝えられておるが、これらの日本自由党を通ずる人々に選挙に際して献金がせられたということが、私どものいろいろな情報を通じて流れて来ておる。この際日本の国会の権威とわれわれ国会議員の名誉のために、平野顧問がこれらの問題について伊藤理事長から何らかのお話を承わられたとか、あるいはそういつた情報を和つておられるということがあるならば、ぜひこの際虚心坦懐にひとつ明らかにせられることを私はお願いをいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 本件について私が行政監察委員会のお調べの中の証人として一言附加させていただきたいと思うことは、立法化という問題であります。率直に申しますと、私は休業直後先ほどの松本信次さんをたずねて伺つたときに、こういう場合は会社で行く以外にないということを聞かされて、私も経済のことはわからぬのであるが、私自身としてもこれがいいと思つておつたのに、伊藤斗福君自身は、立法化できるのだ、これについては非常に強い信念を持つておつたようでありまして、投資者団体も、あるいは法務委員会に、あるいは大蔵委員会に、あるいは衆議院の議長などに立法化という非常な根強い運動を展開せられておつたのであります。もし立法化が可能であつたといたしますならば、またこの保全経済的なものに、どんな軽い法律であつても、何らかの法の庇護があるということであつたといたしますならば、あるいは休業にならずに、もつと営業ができたかと考えられる節、またあるいは休業にならなかつたというふうにも思われる節も、休業後私ども考えたのであります。ただいま御指摘の立法化ということについては、伊藤君が相当力を入れておつたということについても、当時私どもは休業後に考えたわけであります。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 今私が申し上げました、去年の九月選挙に際して、これらの人々にいろいろ献金の事実があつたかどうかということを、あなたは伊藤斗福氏から聞かれたことはありませんか、どうですか。その点を重ねてお尋ねします。なお、もうちよつと詳しく申し上げますならば、昭和二十七年九月三日、これは情報でありますが、廣川弘禪氏は、池田勇人氏を伴つて伊藤斗福邸に参られたということであるが、かようなことをあなたは伊藤斗福氏からお聞きになつたことがあるかどうか。なお、駒井重次氏に対して九月二日こういつたような献金がなされたという話を伊藤理事長はあなたに話したということであるが、あなたはそういう話を聞かれなかつたかどうですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 今の立法化のことを伊藤君が期待するために種々なる運動があつたということが、いろいろな新聞あるいはその他情報、通信等に流れておりますことについては、私も皆さんとお同様承知いたしております、

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 私が聞いているのは、伊藤理事長から非公式なりあるいは公式なりを問わず、あなたはこういつた、今私が申し上げたようなことについて話を聞かれたことがあるかどうか。なければない、あればあつたと、ひとつお答えを願いたいと思います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 平野君に申し上げますが、質問についてお答えを願います。質問の要点についてお答えを願います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 要点を特に避けているわけでもございませんが、事は非常に重大である。私は、今澄君の先ほど来の御質問でありますが、言葉を返すようで恐縮千万なのでございますが、人の名前その他も出ていることでありますので、的確に今少しくきちんとしたお話であれば、知つている、知らぬと申し上げるのですが、ただいまの御質問の程度においては、ちよつと私としてそうである、ないということを申し上げるのに……(「なぜ拒否するんだ」と呼ぶ者あり)拒否いたしておりません。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 証人に申しますが、質問の的確、不的確はともかくも、あなたは、そういうことがなければない、それから金額のいかんにかかわらず、そういう献金をしたと伊藤氏が話したなら話した、少くともその点はわれわれ行政監察委員に対して明確なお答えをなさる義務があなたにはあると思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 言葉を返すようですが、伊藤斗福が立法化運動をやつたという、それじや立法化運動について具体的にどういうことをしたかということを私がどういう範囲で知つているかというようなお話ならば、ある程度知つていることは申し上げたいと思います。しかし、ただいまの御質問は、人の名前までさしてあり、時間とかいろいろなことがさしてあつて、しかもその御質問そのものにやや不明確さもあるので、私としては、同僚議員のことでもあり、ちよつと躊躇いたしているのであります。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 関連して。先ほどから今澄君の質問に対して、いささかおわかりにならないところもあつたかと思います。また、私察するに、他の名前をあげることをはばかつておられ、その人々の立場を顧慮しておられるというような、いわば男気があつてのことだとも思うのでありますけれども、しかし、事はきわめて重大であります。すでに国民がこの問題をめぐつて国会に対し疑惑の念を日に日に強くいたしておるのであります。(「その通り」)この疑惑をわれわれは払わなければならない責任を持つておる。ただ疑惑に当らないものはこれを払わなければなまらない。もしこれに当るものありとすれば、涙を振つて馬謖を切らなければならない。これは国会の権威を保持するゆえんである、国民に忠実なるゆえんであると考えるのであります。私は、あなたが自分の身をかばつて事をうやむやにせられるような方ではないと信ずるのでありますが、この問題はもつと具体的にはつきりお答えを願いたいのでございます。言葉はいささか失礼があるかもしれませんけれども、われわれ、この問題を鮮明にしなければならない責任から申し上げるのでありますが、まず今のお話、当時廣川農相が伊藤斗福氏を伴つて、当時の大蔵大臣池田氏のところに参りまして、立法化に関しての請託をした。そのとき手みやげ三百万円を持つて行き、さらに現金数千万円の授受がここで行われたということがわれわれの調査に上つて来ておるのでありますが、この事実はあなたは伊藤斗福から御相談をお受けに承りましたかいなかということが一点。さらに、こういう行動が伊藤斗福氏によつてなされたことを伊藤氏からお聞きになつたかどうか、いつお聞きになつたか、この点についてお答えを願いたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 どうも質問の要点をそらすというような委員長からの御指摘もありまして、御答弁をいたすのにまことに苦慮いたしておるのでございますが、少し焦点をぼやかすようなことを申し上げて恐縮ですが、こういうことはをつきり私は申し述べてみたいかと思います。休業後、第一私自身としても非常に疑問に考えたことは、立法化という問題について、一般人が立法化困難だ、こう言うときに、伊藤君自身が、立法化可能である、こういうことを確信したことについては。伊藤君として何らか期するところがあつたかもしれない。ここに行政監察委員会の皆さんの疑惑がある。言いかえますならば、私は、本件において、まことに証人であつて僣越なことを申し上げて、おしかりを受ければおしかりを受けたいと思つておりますが、これも当事者のためになれば平野のごときは何ごとも、私は再度申すように、自分の一身上の都合なんかは考えておりませんが大蔵省——この際は大蔵省と申し上げておきますが、大蔵省というものが、これに対する監督と申しますか、保全経済会をどう見ておつたか、また伊藤斗福君が、これをやる上においてもちろん一番取締りの官庁であり、一番自分の切実なる監督を受ける官庁についてどう考えておつたか、また休業しても、われわれは会社にするよりほかに再建困難だと言うのに、伊藤君は立法化できるのだ、法の援助を受けられるのだと言う、これを深く強調したという点についての疑惑をほんとうに国民大衆の前に説くべきだ、将来の類似機関、これらの問題についての立場からも、そういう問題を解明せなければならぬのだという御所論であれば、伊藤君の私に申したこと、それがある程度当委員会の御参考になれば申し上げたいと思います。ただ、お言葉を返すようたが、ある特定の政治家をマークして、これがどこで幾ら、どうしたこうしたというような、そういうことについては、まことに事重大であるから、私といたしましても、知つておることを言わぬというわけではありませんが、答弁の仕方については、十分これらの点を委員長もおられることでありますから、どうぞ整理していただいて、私が証言しやすいようにしていただきたいかと存じます。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 証人に申し上げますが先ほども冒頭に申し上げましたように、証言を求められた範囲を越えない程度の証言をお願いしたいと思いますから、御質問に対して、一、何々、二、何々というふうにお答え願えれば簡単に済むんじやないかと私は考えております。

中野四郎改進党

○中野委員 関連質問一点だけ……。平野さんの長い間の政治家生活の間で、私らも古くからの知己といたしましてたいへん聞きにくいことではありますけれども、それだけにまた話もしようと思うのです。ただ、今今澄君の発言に関連してあなたの御答弁を伺つておると、何か奥歯にものがはさまつたような、知つてはおるがうつかりは簡単に言えぬぞというようなふうに聞える。そこで、問題は、今お話がありました、伊藤斗福君に対してあなたがいろいろとお話をなすつたときに、立法化に自信があるという伊藤君の態度が見え、そういう言葉じりがあつたと御証言になつておる。これは当然あると思うのです。そこで、問題は、伊藤君はむろん国会議員でもありませんし、役人でもないのでありますから、立法化に運動はするという気持はわかりますが、自信をたつぷり持つと言うからには、この裏づけがなくてはならぬことは論をまたぬところであります。いやしくも平野さんほどの人がこれを聞いてどういうふうにお感じになつたか。少くともこれが立法化に自信を持つと言うからには、今澄君の御質問の裏づけが当然出て来る。ましてやあなたは相当鋭利な頭を持つた方なんだから当然伊藤君に対して、それじやどういうふうにして立法化をする、お前はそれほどの自信があるかと、こう御反問になるのもまた理の当然なんです。そこで、伊藤君がそれとなく話す、思わず、おれは実はこうだとか、ああだというような感じをあなたに伝えられるのもまた当然のことなんです。この過程なんです。私は、なるほどあなたが政治家として少くとも他の人々に特定の人にマークをしてその人々に迷惑をかけることをおもんぱかられる政治家としての気持を私は十分察します。しかし、あなたも今日は社会党の右派の顧問として国会に重きをなしていらつしやる方でありますから、この国会の権威を保持したいという点については、平野さんといえどもわれわれに断じて劣らぬ方であることをかたく信じております。しかる上からは、この行政監察委員会においてわれわれが証言を求めるからには相当な資料をもつてお伺いをしておるつもりであります。従つて、その資料に基いてお尋ねをするのでありますから、今日はたいへん恐縮に存じますが、率直に、ただいまの今澄君の御質問に対して、イエスかノーかの御答弁を願いたいと思うのです。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 今澄勇君、質問の要点をいま一度申し上げてください。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 それでは、私は一つずつ区切つて申し上げますが、政界各方面に、伊藤斗福氏は、過ぐる十月の選挙前並びにその前の四月選挙前——これはわずかであるようですが、において政治献金をしたというような話を、証人に立法化の問題にからんで話されたことがありますか、どうですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 先ほど来申し上げておりますように、伊藤斗福君は、休業直後私ども顧問に対して、顧問は会社と言うけれども、伊藤としては立法化で確実に救済できる、これを断言いたしましたことについてはお話の通りであります。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 そうすると、もつとはつきり申しますが、その立法化は自信があると言うたその伊藤斗福氏の言葉は、明確な言葉をもつてあなたに政党献金をしたと言うのか、政党献金をしたとは言わなかつたのか、その言葉裏は政党献金をしたというふうにとられたのかどうか、ひとつはつきりお答えを願いたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 たとえば、休業が十月の二十四日ですから、十日ごろのはずですが、池田さんがアメリカから帰つて来れば必ず保全経済の再建はできる、そういつたことを相当強く顧問のわれわれに言うたところに、私としては、今今澄君の御指摘の、どうも顧問の考えとは違つておる、伊藤君がここに相当の立法化の自信を持つておる、かように判断をいたしました。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 そこで、私は、この保全経済会の問題について、過ぐる予算委員会において、昨年の七月以来三回にわたつて質問をしたのでありますが、予算委員会における大蔵省の答弁は、当保全経済会は匿名組合であるとこれを断定し、法務大臣犬養氏は、匿名組合とは認めがたい、かように断定をして、内閣における意見が別であつたのです。なお、いま一つ、池田勇人氏が、渡米の際に、大蔵省に対して、この保全経済会の問題はおれが帰つて来るまでまあひとつ待つてくれと言うたような話をわれわれは情報として受けておる。なお、もう一つ、諸外国からの外国電話で、保全経済会に関する問題を池田氏がかけて来ておるわけであるが、これらの点について伊藤理事長からあなたがお聞きになつた点がありましたら、ひとつ遠慮なく教えていただきたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 伊藤君に、立法化もできないようなときに立法化と言つて日を延ばして投資者に迷惑をかけてはいかぬじやないか、できたことはいたし方ないのだから、早く、俗な言葉で言うならば、かぶとを脱いで、全資産を投資者に投げ出しなさい、これは、私ばかりでなく、顧問の松本さんでも、早稻田君でも、相当に当時主張いたしましたことはその通りでありますが、しかし、伊藤君としては何らかの自信を持つておる、とにかく保守党は助けてくれる、こういう言葉を用いて顧問のわれわれに対して相当な対立をいたしておる。今、池田さんについての言葉でありますが、アメリカからも国際電話で保全経済のことを言つておられるじやないか。——従つて率直な言葉で表現しますが、顧問のお前らみたいな者は大したことはない、もつとこの問題については大きなところで助けてくれる、こういうことを相当に伊藤君が言いましたことは、私はここに率直に申し上げます。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 そこで、今の保全経済会に対して大蔵省が匿名組合であるとこれを断じ、法務省は匿名組合であるとこれを断じなかつた、なお、最高検においては、司法関係新聞が伝えておりますように、この保全経済の問題について十分手を入れるべきであるという見解があつたにもかかわらず、東京地検においてこの問題についての見解が相違しておる、最高検と東京地検との見解が対立をしたためにしばらく今日まで延びたように、私どもはいわゆる司法関係新聞紙上を通じて知つておるが、これらの問題について伊藤斗福が何か証人に言質を与えたことはありませんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 伊藤君としては、割合にそういうような点については休業後もきわめて平気で、悠々と再建ができるというような気分を持つておりました。その点では私どもはむしろ非常にいらいらいたしまして、そんな悠長なことをやつておつて、投資者が大会を開いて押しかけたらどうするのだということを考えたのですが、案外悠々として、再建ができる、——その点においては何らかの確信を持つておるかのような感じがいたしました。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 なお、話がここまで出て来たのでありますから、いろいろ質問もしたいのでありますけれども、わが党の中にも、これらの資料をもつての同僚諸君の質問がありますから、私はこの程度において、あと引続き次の質問者にお願いいたします。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 関連して一言だけ……。ただいま証人は、池田勇人氏がアメリカから国際電話をかけて来て、保全経済の問題について非常に心配しておるという証言がありました。また、伊藤斗福氏が、池田氏が帰つて来たならば必ず立法化ができるのだかり、君たち顧問は大体問題にならないと言つたというふうな証言もあつたのですが、証人は休業以来伊藤斗福君よりもだれよりも政治家的責任を感じて非常に熱心にこの再建、すなわち投資者に対するところの損害のないように苦労をしておつた。そういうような場合に、その伊藤斗福の話を聞かれた平野証人は、池田さんにお会いになつて、それじや一体立法化ができるものかどうかというところまでお確かめになつたかどうか、これを一点お伺いしておきたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 池田さん自身には会いませんが、私は大蔵委員長あるいは法務委員長には尋ねまして、この立法化ということについて両委員長の意見を伺つてみました。両委員長とも、私に対するお答えは、なかなか立法化は困難であるというような意味の御趣意があつて、われわれとしては諸君の言う会社がいいというような意味のお話はありましたが、池田さん自身には私は会つて聞いておりません。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 そうすると、池田勇人氏が来れば立法化ができると言うたことは、平野証人は、これは伊藤斗福の通弊であるところのうそを語るものであるというふうに今日信じておられますか、どうですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これは、人の心の中に立ち入つての判断ですから、わかりません。しかし、先ほど来繰返し申しますように、伊藤君自身としては、池田さんが帰つて来れば保全経済の再建はできるのだし、こういうことを繰返しましたことは間違いございません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 中村高一君。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 問題は立法化について伊藤理事長が政党に働きかけたのかどうかという点が非常に重要だと思うのでありますが、今平野証人の言葉によりますと、伊藤理事長は立法化に対して非常に自信を持つておつたように説明をされるのでありますが、私は伊藤理事長の人間を必ずしも信用するに足りるとは思つておらぬのでありますから、この辺のところはどこまでほんとうかうそかわかりませんが、立法化ができるのだということで顧問団の諸君と対立をして、あくまでおれは立法化してみせると言うのには、これは相当に政党側に働きかけができておらなければそういうようなことを言うはずもないように思うのでありまするが、証人がごらんになつて、これはいろいろの運動の結果必ず立法化できるのだという確信を持つておるようにあなたには話しておりましたかどうか、この点をひとつ伺いたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 率直に申しますが、伊藤君自身としては、どうも立法化できると思つたようで、私どもは実際そこはふしぎに思つたのです。先ほど本人の性格とか思想判断がありましたが、これは私も率直に言つてよくわかりません。わかりませんが、当時休業後、法制化、立法化によつて再建ができるということについては、十一、十二、二箇月にわたつて、彼は熱心な運動を展開し、ほんとうにそう信じていた。一月の十五日に至つてやや断念した、こういうのが真相です。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 これは、いろいろの文書あるいは雑誌、今までに発行されたもの、うわさ等を大体総合して私は質問をいたしたいのでありますが、そういう事実は聞いてなければ聞いてないでよろしいのでありますから、具体的にお聞きをいたします。去年の九月の四日ごろに東京会館の別館で廣川君が伊藤理事長と面会をしておるのではないかと思うのでありますが、その際伊藤理事長は、廣川君に、立法化について自由党の方の工作をしてもらえないかどうかという話をいたしたところが、廣川君はそれを引受けて実際の行動に移られたというようなことを聞くのでありますが、そういう点についてお聞きになつたことがありますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 休業前はよく承知をいたさなかつたのでありますが、休業後伊藤君から聞いたところによりますと、廣川さんにはもちろん会つておつたようであります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 そこで、廣川君に対しては、伊藤理事長としてさもあろうと思うのでありますが、あなた一人では信用するわけには参りません、どうも運動費を差上げても、あなたを全幅的に信頼できないが、党の方の責任のある人がもしよろしいと言うことができるならば運動費を差上げてもよろしいけれども、責任のある人を承諾させることができるかどうかという質問をせられたところが、廣川君の話では、池田君と佐藤君が責任を負つたらどうだと、そういうことであつたが、その際廣川君は、よろしいと言うて引受けられて、運動費を受取つたということを聞くのでありますが、この点はいかがでありますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 廣川さん、佐藤さん、池田さんらに休業後の再開について多大の期待をかけておつたようではあります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 期待をかけられたということをもう少し具体的に聞かなければ、どうも、どうして期待をかけられたのかわからぬのでありますが、廣川君は、よろしい、おれが引受けると、伊藤理事長に言うておるのではないかと思われるのであります。そこで廣川君には三千万円の金が駒込の伊藤理事長の屋敷で渡つておるということを聞いておるのでありまするが、これは、廣川君が何か責任あることを言わなければ、自宅で伊藤理事長が三千万円の金を渡すということはちよつと想像ができないのであります。事きわめて重要であり、池田、佐藤両氏の名前も出ておるのでありまするから、その私が申し上げたうちのどういう点だけは御存じか、お答えを願いたい。わからなければよろしゆうございます。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 そのことを私が知つておるということについてはお答えできません。伊藤君がそういう趣意の話を休業後私にいたした。これはそういう話をいたしました。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 そういう事実はどこまでが事実か、あなたとして伊藤から聞いた点ではつきりした点だけをもう一度……。ほかの委員の諸君もはつきりしておる点だけを聞きたいらしいから。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 委員長、そういうこともやはり申さなければなりませんか。     〔「重大な問題じやないか」「それを言うために証人に呼んでいるのだ」と呼び、その他発言する者多し〕

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 御静粛に願います。証人にいま一度申し上げますが、証言は、先刻も申し上げましたように、法律により、たとえば証人やその親族等の刑事上の訴追または処罰を招くおそれがあるとか、または恥辱に帰すべきごとき事項に関するときには証言を拒むことができるのでありますが、単に言いにくいとか、あるいは信義上とかいうようなことでは、法律上証言を拒むことのできる正当な理由にはならないのであります。それを御承知の上でなお証言を拒まれるとなりますれば、それは、先ほども申し上げましたように、法律の定めるところによりまして本委員会としても考慮しなければならぬということにもなろうかと思うのでありますから、さよう御了承の上で御証言をお願いしたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それでは、誤解のないように、どうも率直にお答えできなくて、おしかりを受けますが、多少前提を置いてただいまの中村君の質問にお答えをしたいと思います。私どもは、なぜに立法化ということをそれほど言うのかということは、伊藤君も相当に窮地に陥つたと思うのです。つまり、投資者に対しても、顧問のわれわれに対しても、立法化できると言う限りにおいては、立法化できるという何らかの裏づけを持たなければならないようなはめになつたと思う。私は、ことに先ほども御質問があつたように、こういう人間ですから、いよいよ投資者のためにやらなければならぬということになれば、向うは自分の財産を投げ出さない限りは承知せぬから、伊藤君に早く財産を投げ出せと言つた。立法化があれば投げ出さなくても済むことなんです。相当問題が急迫的な論議になつたときに、伊藤君が申し述べたことには、東京会館の別館で廣川さんにお会いした、それで私は立法化を頼むと言つたら引受けてくれた、よつて、あなただけではできない仕事だろうから、佐藤榮作、池田勇人等は当時の自由党の最高首脳部であるから、あなた方がほんとうにやつていただけるならばと言うておつき合いをした、これは自分が、これらのいわゆるおえら方が引受けておつてくれるのだから、まあここの皆さんよりは——こういう言葉は用いなかつたけれども、彼の言葉を付度すれば、現在の力がある人だから、この線に沿つて行けば立法化ができる、こういう説明のあつたことは事実です。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 そうすると、そのために広川君に金を渡したということですか。金額は三千万円とかで、そのうちの一千万円は廣川君がとつて、二千万円は自由党へ献金したとかいうことを聞いておるのでありまするが、この点は、金額その他もしはつきりしておりましたならば……。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 ここまで来れば率直に申し上げますが、(笑声)これも伊藤君が私一人のところで言うたことでありますので、そのことを前提としてお聞取りを願いたい。廣川さんに三千万円、これは佐藤さんも池田さんも承知しておつてくれる、池田邸に行つて池田さんにお目にかかつた、こういう手続が踏んであるから、立法化ということはこの点において承知してくれた、さように私には言つた。但し、これは伊藤君自身としても今日御承知のような状態にあることであり、また問題はきわめて重大なことでありますので、私がそのことをどう信じており、またどうであるということは、私として、伊藤君があるいは苦しまぎれに、立法化もできないのに立法化できるということを……。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 次は改進党関係。(笑声)これは日がはつきりいたしませんが、九月の五日ごろに築地の秀花という待合で、重光、大麻、伊藤理事長の三人で三者会談を開かれたというのでありまするが、そういう事実を伊藤から聞いておるかどうか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 伊藤から聞きました。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 重大なことでありますから、さらにもう少し事実をお尋ねするのでありますが、もちろんこれは立法化を促進するかあるいは立法化の運動をしてくれという依頼だと思うのでありますけれども、その点についてはその通りでありますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 この休業後は全国の投資者が非常に真剣にこのことを考えたことでありますので、証言に立つた次第であるから私は一身上を顧みず率直に述べますが、普通に政治家に金を出した、あるいはこういう用だから御用立てたというようなことではなくやはり彼は立法化ということに非常に力点を置いて先ほどの重光、大麻との会談もやつた、こういうことを言つておる。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 その待合の会合で承諾をされたというので、それならば運動費を差上げる、こういうことになつて、駒込の自分の屋敷で差上げるということで、駒井重次君が金をとりに行かれて、自由党よりは少し安いようでありまするが、二千万円を駒井重次氏に差上げたそうでありますが、その点はいかがでございましようか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それも伊藤君が私に語つたところではその通りであります。

三和精一自由党

○三和委員 関連して。中村君の質問の中に、東京会館の別館で廣川君に三千万円渡した、そのうち廣川君が一千万円、あとの二千万円は自由党にやるようにということでありましたが、その当時は自由党が二つあつた。どちらの自由党であるか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは、はつきりどの自由党であるということを伊藤君から聞いたわけではありませんが、それは昭和二十七年ごろのときでありますから、もちろん廣川君が大きい自由党に籍のあるときであります。(笑声)

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 これは御存じかどうかわかりませんが、改進党総裁の重光氏の鎌倉の屋敷で二千万円を献金をしたというのでありまするが、そういう事実をお聞きになつておりませんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは知りません。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 どうも各党にわたりましてまことに恐縮でありますが、事実をはつきりしておく方がいいので、次は鳩山自由党に関してお尋ねいたします。鳩山派の方はだれが交渉に当りましたかわかりませんが、石橋湛山氏の手形で、鳩山三木の裏書きで一千万円を貸してくれないか、そういう申出をいたしたところが、これはただ金を貸すわけには参らぬということになつて、結局のところ、立法化運動についてもし骨を折つてくれるならば金を出してもいいという交渉に入つたけれども、どういう理由か存じませんが、鳩山自由党には一度は不調になつたんだ、そういうことをお聞きになつておりますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 ただいま中村君指摘のような話も、話ですから、言葉の使い方その他については、私もお問いも正確を欠くと思いますが、ほぼそういうような意味の話を伊藤君がいたしました。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 今の手形で金を貸してくれろという話は、どこで、いつごろのことだか、おわかりになりませんか。記憶はありませんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 ただいまのお話は、全部時刻は同じころのようです。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 ところが、この問題が不調になりましてから後に、はつきりわからないのでありまするが、三木武吉さんかどうか明確ではありませんが、立法化に協力させるから金を出してくれろ、そのかわりに鳩山氏にも話をするから、立法化のために協力すればいいだろうということで、結局のところ鳩山邸で三木、鳩山両氏の面前で一千万円を出した、そういう話を聞いておりますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 さような話は聞きました。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 今申し上げたことは、これは数回にわたつてあなたがお聞きになつたのか、それとも一度にお聞きになつたのでありますか。いつお聞きになつた話でありますか。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 中村君に申し上げますが、先ほどからの御質問は年月日がはつきりいたしておりましたら、その点にも触れられたらいいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 中村君るる御質問のような話を、私が伊藤斗福君から聞いたのは、休業後十日くらいしてからと思います。日にちははつきり覚えておりません。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 そうすると、去年の十二月の初めですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 十一月の初めごろだと思います。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 この三つとも二十八年ですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは二十七年九月。私が聞いたのは去年の十一月です。

中野四郎改進党

○中野委員 ここに政党資金の届出書がありますが、お話を裏づけるような点が二、三見えております。非常に大きな金額が見えております。そこで、今の平野さんのお話はこうじやないでしようか。二十七年の九月ごろというと、金銭を出したときのつじつまが合わなくなるのです。昨年の九月から十月半ばころへかけて、一部の政党からは政党献金として多額の金がここに記載されております。これは政治資金規正法に基いて出したものでありまするから、おそらく間違いがないと思いますが、二十七年と八年の御記憶が違つてやしないかという点を伺つておきたいのです。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 もう一回はつきり申し上げますが、今るる中村君の述べられたことに当るような話を私が伊藤君から聞いたのは昨年の十一月の上旬で、伊藤君がその金をこれこれの人に出したという時は、私の伊藤君に聞いた判断では、二十七年の九月ごろと記憶しております。

中野四郎改進党

○中野委員 なるほど調べてみますると金額が合いますね。二十七年の九月ですね。それから二十八年にも同じ形が見えままが、あなたの御記憶の方が正しいかもしれません。二十七年の九月ごろ、選挙前を通じて相当多額の金の名前が現われておりますから。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 その際に、これは手形でやつたか、現金でやつたか、これを御承知の範囲でお伺いしておきたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 そこまでは確かめておかなかつたが、常識上キヤツシユでなかつたかと思います。

田渕光一自由党

○田渕委員 キヤツシユならば、銀行からすべてあがつて来ると思いますが、かりに現金であるといたしままならば、千円札でまずりんご箱一ぱいで千五百万円であります。少くとも二千万円とするならばりんご箱以上のものでありまするが、たとえば自由党の廣川君に東京会館の別館で渡した三千万円は、千円札といたしましてもビール箱二箱の千円札であります。トランクに入れたものであるか、ふろしきに入れたものであるか、これは重大な問題であるから、この点をひとつはつきり願いたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 ちよつと証言のことについて再確認しておきたいと思うのですが、これは伊藤斗福君が私に話したことを前提として私から申し上げたので、それがキヤツシユであるとか、札は持ちにくい、手形はこうだとかいうことまで私に証言を求められることは、それは証言の範囲ではないと思います。

田渕光一自由党

○田渕委員 少くとも保全経済会の最高顧問の平野君であります。これだけの金を渡したと言うのに、小切手であつたか、そうならば君も証拠をとつてある、銀行に行けばわかつておるから、洗つてやると言える強い立場の平野氏であります。現金であつたか、小切手であつたか、それくらいのことを聞かない平野氏ではないと思いますから、この点、念のお押しがあつたかないかをお聞かせ願いたいのであります。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これは、当時の心境をひとつ申し上げておきたいのですが、今ここで私が社会党に籍があつている中村君の問いに答えると、あたかも何か非常に政治色があるようで恐縮をし、私もその意味で実際偽証さえなければお断りしたいのですけれども、実際は、休業したのは出資者側に対しては申訳ない、こういう胸で一ぱいらしい。伊藤としては、休業したけれども、おれはあくまでやるという旺盛な一つの考えを持つておる。私は、これは忘れもいたしませんが、保全経済の伊藤君の理事長の部屋で、大談判と言うこともおかしいが、大いに詰め寄つた。君、ほんように投資者にこれだけの迷惑をかけて、顧問であるわれわれも腹を切らなければならぬ際に、実際立法化もできもしないのに、なぜそういうことをするのかと詰め寄つたときに、彼の語つたのは、実は自由党、改進党においては手が打つてあるからと、こういうことを言うて、平野さん、私はこれだけのことをやつてあるのだから、立法化について自信があるのだと言うから、私はそうかなと思うたが、実は、率直に申し上げますが、大それたことが行われたと思うた。これは今ここで申し上げますが、あくまで伊藤君が個人として私に話したことであります。話であります。君、それじや一札書いて証拠をよこしてくれるか、そんな私の気持の中に余裕はありません。それはどうぞ誤解のないようにしていただきたい。

田渕光一自由党

○田渕委員 私たちは、十二月四日調査開始以来いろいろな情報を聞いておりまするが、伊藤斗福君はこういうことを言つてることも聞いております。これは情報でありますが、はつきり領収書を持つておるのだから、もしもこれをぶちこわして来たらばらしてやるんだというようなことを伊藤は言うておりますが、そうすると、平野さんは、その話を聞いたときに、重光さんにしろ、あるいは廣川さんにしろ、その間に受取りの一本もとつておいたかという話はございませんでしたか。この状況をひとつ伺つておきたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 私としては、先ほど申し上げるように、君、受取りをとつおいたかという質問はいたしません。

三和精一自由党

○三和委員 ただ、ふに落ちないのは、あなたが昭和二十七年と言われたことです。昭和二十七年ですと、立法化運動をそのときにはやつていましたか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これは、実は、伊藤君自身としては、私どもに立法化ということを言うたのは休業後なんですが、その後われわれが聞いてみますると、彼は、立法化して、将来保全経済的なそういう機関が認められて、大衆がこれによつて相当利益を得て行くということは、大分前から考えておつたようです。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 中村君、まだありますか。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 自由党の池田政調会長に対しては非常な大きな期待をしておつて、アメリカから帰つて来るのを非常な期待をしておつたと言うて、伊藤理事長は、池田さんさえ帰つて来れば再建がどうにかなるんだということを非常に言つておつたそうでありまするが、池田氏とは伊藤理事長は洋行前あるいは洋行後において会見をしておつたかどうか聞きたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは、はつきり池田さんには会つておつたと言いました。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 洋行前ですか、洋行後ですか。あるいは日時がおわかりになりますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 中村君先ほど御質問になつたその時分です。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 わかりませんですね。それじや日時や場所、そこまでは……。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 池田さんのお宅をたずねた……。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 池田さんのうちへ……。それは一人ですか、それともだれか同道しておりますか。池田さんのところに行つたときは。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 廣川さんと一緒に行きました。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 廣川さんと二人で池田さんのところに……。わかりました。  それでは、公平を期するために、あと社会党両派に対して何か立法化運動をした事実があるかどうか、御存じあるかどうか。あるいは献金の事実がありませんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 右派社会党に対しての問題は先ほど今澄君にお答えした通りであります。左派社会党のことについては何事も……。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 ただいま平野さんは、右派社会党に対して何もないということでありましたけれども、過去二年間にわたつて三百余万円、それから自動車あるいはまた事務所等々に入つた収入などで、社会党の方に平野証人の方から何かの便宜を与えたような事実はないんですか。全部顧問料として自分のふところに入つたんですか。それとも、党員等にこれをばらまかれたことはないんですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは全部私が使つたのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 甲斐君。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 平野さんも政界のわれわれの先達であつて、また同じく社会党に籍を持つておいでになるという関係で、こうした席でお尋ねをいたしますのはきわめて心苦しいのでございますが、しかし、先ほども申し上げた通りに、国民の疑惑の焦点になつておるこの事件は、あくまでわれわれとしては鮮明にしなければならない責任もございます。さらにまた、近来頻発するスキヤンダル、これはいよいよ国会、政府その他に対する国民の信頼を失墜しつつあるわけでございますから、この際忍びがたきを忍んであえてお尋ねいたしたいと思いますが、了とせられて、率直なお答えをお願い申し上げておきます。  まず三点についてお尋ねいたしますが、第一点は、平野さんが伊藤斗福氏とお知合いになつた事情、どなたか紹介をせられたか、あるいはどういう事情で近づかれて、またその後しばしば面会をしておられると思いますが、その辺の消息を承つておきたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 伊藤君を知るに至つた動機は先ほど委員長の御質問にお答えした通りで、伊藤君とは、率直に申しますと、非常に長く会わなかつたときもあるようなわけであります。まあ休業当時、再建というようなことになつたときには、ちよいちよい会いましたが、どちらかというと、顧問はやつておりましたけれども、比較的会う回数は、今から考えれば少かつた、むしろ少きに失したのじやないかと思う。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 甲斐君に申し上げますが、大分時間もたつておりまするし、ひとつ質問は重複しないように要点についてお願いいたします。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 平野さんが伊藤君に対してどれだけの指導するお力を、影響力を持つておられたかどうかということについてお尋ねしたいのであります。伊藤君は年まだ若い。のみならず、他国の出身者であるのに対して、平野さんは政界にも著名な方でございますから、あなたのおつしやることは、伊藤君がほとんど全幅的にこれを受入れ、敬意をもつてその言葉に従うような関係であつたかどうかという点から伺います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 率直に申しますと、なかなか言うてもよく聞かぬたちであります。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 伊藤君に対して、平野さんは、その学問あるいは知能、手腕あるいはその人物についてはどういう評価をなさつておられたか、お尋ねいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 私としては、率直に申しまして、最初顧問になつたときは、伊藤君が他国の人であることを知らずにおりました。その後わかつたのでありますが、私は政治的なことについては自分として相当な見解もあり、また政治的には日本の将来というようなことについても相当な抱負もあつたのですが、彼は私から話を聞くだけで、そういうことで私を特に尊敬するとか、私の言うことを聞くというように点はあまり見受けられなかつた。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 しからば、保全経済会の経営に関して伊藤斗福氏があなたに助言を求めるとか、あるいは相談を持ちかけるとかいうようなことがあつたかどうかについて、あるいはまた、あなたの方から積極的にアドヴアイスをせられたというような事実があつたかどうかを伺つておきます。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 割合にそういうことはありませんでした。言いかえれば、私が専門家ではありませんので、ああいう業態自体についてのことを私から彼はそんなに聞くというようなことはなく、主として政治問題、農村問題等についてときどき私の話を聞く、こういう程度でございました。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 それでは、伊藤斗福氏は朝鮮の出身でございますが、その出身地の南北いかんを問わず、思想的、政治的関係において、いわゆる南鮮系であるか、北鮮系であるか。これは、伊藤君のもとには元共産党の代議士であつた人も出入りをしておるし、また明らかに共産党員であると思われる人も近づいておりまするし、北鮮の連絡員とおぼしい者もしばしば伊藤君をたずねておるかに聞いております。もちろん、伊藤君のことですから、極右関係も相当あるようでございますが、この北鮮系であるか南鮮系であるかということについて、何らかの疑惑を持たれたことがあるかどうか、承つておきたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 後に伊藤君が釜山出身の人であることは承知したわけですが、思想系統として右であるとか左であるとかいうことについては、特に考えませんでした。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 しからば、伊藤君の思想的あるいは政治的な立場を全然中立無色である、かように解してよろしゆうございますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 まあ大体そうです。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 それでは、平野さんが保全経済会に対して顧問としていかなる尽力をせられたか。もちろん、あなたの政界における名声を看板として保全会の伊藤斗福氏はかつぎ出したということも考えられまするが、同時に、あなたの持つておられる農村組織も頭にあつたのではないか。この農村組織の人人も相当保全会に投資をしておつたということでもありまするし、またあなたの選挙区の方々も多数投資をしておられたと聞いておりまするが、この点については、あなたは勧誘をなすつたことがおありになりまするかどうか。あるいはまた、投資をしようと思うがどうだろうかという相談を受けられたことがあるかどうか。この相談をお受けになつたときに、いかなる返答をなすつておられるか。これについてお答え願いたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 自分自身が特定の人に向つて、あなた保全経済会に投資したらどうかということを勧めたことはないのです。それから、保全経済会について抽象的に問われたことはありますが、私のところへ来て、保全経済会に投資しようと思うがどうだというような相談を受けたことも、ほとんどありませんでした。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 別の観点からお尋ねしますが、この保全経済会に対して平野さんは何らかの形で投資でもしておられますか。その有無をお答えを願いたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 私自身は投資しておりません。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 御家族その他にはございせんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 今投資しておりません。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 先ほどから繰返されたことでありますから、重複は避けますが、顧問として、今回のような保全会が破綻を来したことに対する責任をいかに痛感しておられるかという点についてお伺いしたいのであります。もちろん、先ほどから大いに痛感をしておられるということではございましたけれども、この一月十七日であつたかと記憶いたしますが、私は、平野さんに対してはなはだ僣越ではありましたけれども、社会党の顧問であるとか、執行委員であるとかいうような話があつても、これをお受けになるべきではない、この際大いに謹慎をせられてしかるべきものだということを勧告いたしたのであります。できれば、私忍びないところでありますけれども、この際議席をどうするかということも考えられてもいいような道義的責任がある問題だと考えておるのでありますが、そこまでは申し上げられなかつたのですけれども、しかるに、党の顧問として就任をなさつたのであります。ここに、はたしてこの問題に対する道義的な責任の反省がおありになるかどうかということを、私はいささか疑いを持つて見ておるのであります。もちろん、消極的にそうしたことを一切断るとか遠慮するとかいうことが責任を感ずる唯一の道ではないと思うけれども、さらに積極的にこの責任を感じこの償いをするという働く決意がなければならぬと思うのでありますが、これについて、これは重複いたしますけれども、重ねてあなたの御心境を承つておきたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 その点、先ほども申し上げたのでございますが、私がどれほど内心恐縮しておるかというそのことは、ちよつと用いる形容詞がございません。御推察を願いたいと思います。但し、こういう場合に処する私の人間から来る性格と申しますか、たいへん自分自身のことを申して恐縮ですが、まず投資者に対して自分が持つておる力というものを——これはないのですが、自分の能力とか、自分の働き得るだけのことは働いて差上げなければならぬ。これは、それだからといつて、私が今何をするということも大してできなくなつておりますけれども、その気持を持つております。それから、こういう問題についての政治家の出処進退というものは、一応この問題の答えが出てから自分で冷静に判断したい、かように考えておりますので、御趣意の点はありがたく拝聴いたしておきます。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 それでは、さらに進んでお尋ねいたしますが、この保全経済会が立法化にからんでさまざまの政治工作をなし、多額の金を保守政党やあるいはその他の政党に対してばらまいておるというようなうわさは、単なるうわさにとどまらず、ほとんど国内これを信じ切つているような状態でございますが、これに対して、そのいわゆる政治工作を担当したものは理事長である伊藤斗福氏であると思いますが、それ以外に、私の知るところでは、その理事長の秘書である井上それがしが大いに活躍して立法化工作に多額の金を融通し、ばらまいたということが出て来ておる。特に井上秘書については、伊藤斗福氏とともに平野さんは接近しおられる方であると承知をいたしておりますが、井上秘書がどういうぐあいにどんな方面にどういう程度の金をばらまいたのかということについて御承知でいらつしやると思います。これを承りたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 御指摘の伊藤斗福の秘書井上なる者は知つております。しかし、井上がどういうように金をまいたか、ちよつとそれはよく知りません。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 私は、保全経済会が平野さんを顧問として迎えるには、若干の、あるいは相当のかもしれませんが、農民組織をして保全会に投資せしめようという意図ではなくして、平野さんの政界における存在に着目してお願いしておつたものと解しております。しからば、こうしたいわゆる政治工作をなすに際しては、当然理事長もあなたにまず第一番に御相談をするのが常識だ、かように感じております。従つて、井上あるいは伊藤斗福氏がかような多額の金をばらまいたについては、事前に、あるいは直後かもしれませんが、相当の相談なり報告なりがあつたのではないか、かように推察するのが当然だと思うのであります。何らこれがないのだということを先ほどからも質疑応答ではなすつておりますけれども、重ねて私は、あなたは小節にとらわれて、あるいは博徒の間の仁義みたいなものにこだわつて、他をかばおうとする仁侠心というのか知りませんが、かようなものは、もうこの際この段階になると一切捨て切つて、事実を白日のもとに明々白々として出していただきたいと思います。これくらいのことはあなたにおいてはできるはずだと思う。また国民はそれを希望しております。また国会の権威がこれを要求しております。どうぞ平野さん、いろいろ躊躇されるところでしようが、思い切つてみなひとつ話していただきたいと思います。これが保全会の十五万に達するあのいわば貧乏な国民の受けた痛手に対する報いであるとともに、われわれ国会の権威を保持するゆえんでもあるのです。国会の信頼が日に日に失われんとしておる。国会の信頼が失われるとともに、わが国は他の条件とともに次第に転落しつつある状態をわれわれは感じておる。だから、私は、いかなる政党がどうあるかというような、いわゆる、派閥抗争の観念からではなく、日本国民を立て直さなければならない、民主政治を真に清浄のものに確立しなければならない、政界の浄化粛正のためにやらなければならないと決意して立つておるのであります。こうしたことに対して、平野さん、私は心からお願いしますが、ひとつ協力して、あなたの知つておることを全部話してもらいたいと思うのです。どうかお願いします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 ちよつと申し述べておきますが、甲斐君のお話によると、私が保全経済会の顧問だから政治献金のことやあるいは政界にどうこうということを非常によく知つておるのではないかという前提の御質問ですが、これは相当違うのです。先ほど中村君がるる述べて、私がお答えしたことなどは、私が先ほど申し上げたような事情で問い詰めて、向うがしやべつたことをそのまま述べたのです。どこへ金をどうするのああするのということは、私は決して今自己弁解するのではないのですが、伊藤君という人は、われわれにそんなことを相談してやるような人ではなかつたのです。従つて、御指摘になるような、こつちが顧問だから、巷間流布されておるような政界にまいた金を、ここで平野全部話してくれと注文されても、ちよつとできないのであります。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 しからば、政治工作中、休業前においてさような相談には一切あずかり知らなかつたとおつしやるわけですね。それであるならば、その後において、先ほど中村委員の質問に対して、伊藤斗福氏が相当あなたに対してお話したということでございましたが、秘書の井上君は、あなたに対しては何らそういう話がなかつたのでございますか。この点を確かめたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 休業後は 先ほど申し上げたようなわけで、伊藤君にも会えば、井上君あるいはその他の理事にも会いました。しかし、それは一々こちらは再建ということを目標としていろいろ折衝したわけです。政治献金の取締りのようなことを、こちらは政治家だからそういうことに興味を持つてやつたのではないかというようなお尋ね。ごもつともだと思うけれども、実はあまりやらなかつたのであります。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 それでは、井上秘書がさような政治工作をし、金をばらまいたということについては、爾後においても一切御承知ない、何もお聞きになつておらないのか、重ねてお答えを願いたい。何かお聞きになつておることはないのですか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 井上君は伊藤君の秘書をやつておつたのですから、もちろんそういうことをある程度扱つておつただろうという想像は十分いたします。

甲斐政治日本社会党(右)

○甲斐委員 この点については、私は単なる想像でなくして相当のお話を平野さんが聞かれおるものといろいろな点から推測をするのでありますが、いずれまたこれは別の機会に譲ることにいたしまして、最後に、私は、これはむしろ委員長に申し上げてお願いをしたいと思うのですが、実は昨日私は久しぶりに新宿の人ごみの中に出たのでありますが、そこでふと、映画館から出て来て群衆の中におりましたときに、保全会という言葉が耳についたので、注意をして見ますと、四十かつこうの紳士と二十過ぎの青年が話をしておるのであります。保全経済会云々——少し距離が遠かつたので、わかりませんが、その言つたうちの一つのもの、なあに伊藤に一服盛ればおしまいだよ。——あとで考えてみまして、私は実は愕然としたのであります。昔わが国でも、まだ未発達の時代でありますが、生き証人の口をふさぐために一服盛られたということを聞きますし、お隣りの中国でもそれが相当あつたことを私は知つておりますが、今日こういうことがあり得べからざるものとは存じます。しかし、民衆の間に、国民の中にそういう声が起るということは、われわれの政府に対し、国会に対してはもちろんでありますが、司法権に対してすらもこういう疑惑がわいて来ているのであつて、非常に愕然としたのでありまして、心打たれました。従つて、私は、この問題の本委員会あるいは国会における取扱いにも、こういう点に思いをいたされまして、慎重に周到にお運びを願いたい。今日までいろいろの人の名前が出ましたけれども、これは決して犯罪をすでに予定するということはできないもので、こういう人々にはお気の毒だと思います。しかし、事実そういうことがあつたならば、私どもとしては国会の権威のために断固とした態度をとらなければなりませんが、同時に、今申し上げたところの一服盛ればいいのだというこの声を、私ども深く心にとめたいと思うのであります。そうして、願わくば、もし伊藤斗福君が何らかの不慮のことによつて死ぬというような事態でも起りましたならば、国民の疑惑はますます高まるのみでございます。この問題が波及するところ大きければ大きいほど、そういう事態が起つたとき、国民は払い切れない疑惑を存して政府や国会、司法権を見るのでございますから、そういう点についてもしかるべく関係箇所にある程度の申入れをなさるとかなんとかいう措置をお願いして、伊藤君その他関係者の保護に遺憾なきを期するようにしていただくようにお願いしたい。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 よくわかりました。——中野四郎君。

中野四郎改進党

○中野委員 たいへん時間もおそいことでありますし、もう古くから平野さんの政治経歴を知つております私ですから、よけいなことは伺いません。率直に伺いますけれども、この再建をするにあたつて二派あつたですね。一派は、いわば非常に恫喝的に、政党献金政治献金等をばらすぞ、すみやかに立法化をしたらどうだというような強硬派と、それから一面の方では、あなた方のように、まじめにこれを別な構想のもとに再建しようという派とあつたことは、もう歴然たる事実です。それがゆえにこそ、御承知の通り、まことに奇怪な文書が二度も配られておるのです。そこで伺いたいのですが、あなたは三浦義一君や兒玉君、あるいは山崎君とか高源君、これはどちらでもよろしゆうございますが、この再建について御相談になつたことがありますか。いろいろ話し合つたことがおありになりますかどうか。もしありとすれば、これは相当具体的な問題が含まれておると思うのですが、これについて御承知の範囲を御説明願いたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 先ほど申し上げたように、三浦義一さんには直接再建の問題で会つたことはありません。兒玉譽志夫君、山崎一芳君には会つたことはあります。

中野四郎改進党

○中野委員 これは、あなたの古い関係から、三浦さんとは非常にお親しいのでもあるし、それから兒玉君は昨今の人ですからとにかくとして、しかし、あなたが農林大臣就任当時から茂木久平君の家を中心にいろいろと各方面の人と会つておられることも私は承知しているのですが、そこで、問題は、この問題でこの兒玉君らを中心として、大分一部においては、ある財閥——財閥という言葉が当らなければ某銀行方面の資本力をバツクとして、もう伊藤はだめなんだ、こうなつて来れば現在の保全経済会を何とかその方面でひとつとる、という言葉が悪ければ把握したいという考え方に基いて相当な動きがあつたと私は思うのですが、この点についていろいろお話が出たか、どうか。  それから、もう一つついでに伺つておきたいのですが、これには相当脅迫あるいは暴力的な行動が見えているのです。現に望月京一君が兒玉譽志夫君宅において逮捕されたときにおいては、その身辺にどういうような場面が起つてもその万全を期する意味で、ピストルを一ちよう、あるいは実弾数十発のものを持つておつた事実も現われているのですが、これはやはり今申し上げたような問題の裏づけとなる問題でありますから、もしお許しを願えるならば、ひとつ具体的に、いろいろな兒玉君やあるいは高源君、山崎とお話になりました内容等について、再建の方途についてどういうようなお話をなすつたか、御証言を願えればけつこうだと思うのですが。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 先刻申し上げた通りに、兒玉譽志夫君、山崎一芳君と休業後会いましたが、私と会う前に、兒玉君、山崎君がどういうことをやつておつたかということは、これは想像はできますけれども、知らないこんなんですから、これは想像を申し上げることは差控えさしていただきます。山崎君、兒玉君と会つてからのことは、先ほど申し上げた通りに、伊藤は財産を出資者に投げ出すべきだ、そこで兒玉君も顧問のわれわれの言うことに同調して、伊藤の財産を投げ出すことに大体賛成して、賛成したから会つた、こういうことになるであります。御指摘の二派あつて、つまり強力に立法化して、怪文書を出してでも何でもしてやろうという運動が、だれらに根源があつたかということは、これは想像になりますので、私もちよつと証言いたしかねるのです。ただ、私どものやつたことは、先ほど申し上げた通りに、財産を……。こういうことでひとつ御了承願いたいと思います。

中野四郎改進党

○中野委員 ごもつともだと思います。これは相当重大な問題でありまして、本問題をば追究する上において一番大きな問題になつて行くだろう、別の過程においてこれは発展して行くと思います。これはあなたも相当御承知の問題が多々あるのですが、ただ推定論をここで私が証言を求めることの方が無理かもしれません。またその及ぼす影響は政党の献金などと違つて実際上に相当影響があることも考慮に入れられてのこともわかるのであります。  そこで私はきわめて簡単に箇条的に伺うのですが、あなたは株主相互金融会から何か相談を受けたことがありますか。あるいは何か金を受取つておられる事実がないか。その金額の多少にかかわらず伺いたいと思うのです。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 私は株主相互金融のいかなるものにもまつたく関係はありません。なお、保全経済については先ほど申し上げたようなわけでありますが、類似機関として他のものにも私自身は全然関係ありません。いわんや金銭をとつておりません。

中野四郎改進党

○中野委員 これは間違いないですね。株主相互金融会ですよ。誤解のないようにしていただきたい。私がこれを突如伺つたのには根拠があつて伺つているのですが、記憶がないならけつこうです。  それから、あなたは電通の木原通雄君と会見されてこの再建案について協議されたときに、兒玉、山崎を中に入れて協議しておられるはずですが、その場合にどういう話をなすつたのですか。少し具体的にお話願えませんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 前に電通の木原君に会つたことはあります。これは、兒玉君、山崎君、木原君は、三人とも一体として、一つの考えとして会つたというわけです。

中野四郎改進党

○中野委員 そこで、保全経済会からあなたは借金をどれくらいしておられますか。失礼な言い方ですが、手形や現金、いろいろな形がありましようが、どれくらい現在あなたはあると想定できますか。つまり、先ほどの御証言を聞いておりますと、いやそれは書類を見なければなわからぬとおつしやるのですが、そうでなく、何十何円まで私は伺おうとは思いませんが、大ざつぱに見積つて、あなたがいわゆる借入金としておられますものはどのくらいあるかということを伺いたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 私が借金としておるのは、百十幾万の自動車の金が借金になつておりますが、それ以外に手形とかその他いろいろなもので借りておる借金はありません。

中野四郎改進党

○中野委員 そこで、融資のごあつせんをなすつたことがあるかどうか。あるいは出資のあつせんをしたことがあるかどうか。あるとしたなれば、いつごろで、幾らくらいの金額であるということを御説明願いたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 保全経済の休業以前に融資のあつせんとかあるいは投資の勧めなどをしたことはありません。休業後といえどもそういうことを具体的にしたことはない。休業後いろいろ意見は述べましたが、そういうことはやつておらぬ。いわんや、休業以前には経済関係のそういうものは全然ない。

中野四郎改進党

○中野委員 それでは、さらに、休業後にあなたは保全経済会から何か運動資金あるいはそういう名目でなくても金を受取つておいでになるかどうか。これはちよつと問題ですから、あなたは立法化に運動をしていらつしやるのだから、現に署名運動までなすつた経験もあるのですから、その休業後に金を受取つたという事実があるかないか。これはやはり国会議員平野力三と保全経済会顧問平野力三の立場もありましようけれども、やはり議員が議員の職責を通じて金銭をとつたとらぬということになりますと、やはりここは問題の焦点になつて来る。だから、休業後に金を受取つたことがあるかどうか、この点を伺いたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 休業後はまつたくありません。

中野四郎改進党

○中野委員 そうではないようなんですがね。あなたのお手元へおとりになつたのは、二十八年の十月末、すなわち十一月の初めごろに、多少の金額にかかわらず金を受取つておられる。先ほど来、早稻田君にしましても松本君にいたしましても、両君の証言を求めましたが、休業前はとにかく、休業後には一切さような金は受取つておらぬと言うのです。そうして、当然顧問料等は払われるわけもないし、そういう金ももらえるわけもないのですからもらつておらぬと言つておられる。ところが、平野さんに限つて、二十八年の十月二十四日に幾ばくかの金を受取つておられるという証書があるのですが、これはうそなんでしようか。伊藤はうそつきなんだからというのでうそなんでしようか。あるいはほんとうなんでしようか。この一点を伺つておきたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 休業後金を受取つたことは絶対ありません。それは、もしそういうことがあれば逆で、それから、十月二十四日に顧問料を五万とついておるようですが、あれは二十四日の午後突如として休業したのでありますから、その日の日付でついておつても、それは休業後とつたということは絶対にありません。これはちよつとつけ加えて申し上げておきますが、いかに何でありましても、休業後保全経済会から金をとるというような考え方は、平野力三、失礼でありますけれども考えておりません。それははつきり申し上げます。

中野四郎改進党

○中野委員 そうなくてはかなわぬと思いまするが、そこで、もう一点だけ聞いておきたいのですが、これはまことにつかぬことを伺うのですが、伊藤君は非常に品行方正な人だということがうわさに乗つておつたのですが、今度調べてみると、何号さんか知らぬが、おめかけさんが四人もあつたのですが、宮澤、金子、古田、京都の山形屋とあるのですが、調査によりますと平野さんはこの人々と同じ場所で伊藤といろいろお話をなさつたことがあるように出ておりますが、そういう事実はあつたのでしようか、どうでしようか。この四君のうちいずれでもかまいませんが、いつごろどこで会つたか。このお話はあとでこの四人を証人として食い違いを生じても困りますから、どうかこれだけお答えを願いたい。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 休業後会つたことはありますが、今御指摘のような、伊藤のそういう、何といいますか婦人の方というようなことは、私は一向不得手で、知つてもおりませんし、そういうところで会つたとは記憶しません。

中野四郎改進党

○中野委員 そうしますと、古田、金子、宮澤というのは、——京都の山形屋という人は別でありますが、他の三人はいずれも保全経済会の伊藤君の秘書というような形で部屋に終始出入りしておつたのでありまするが、この人人がやはりあなたと伊藤君との話の内容について少し知つておられるような傾向があるのですが、やはり場所はどこか知りませんが、伊藤と同席の上で何か話合いをされたことがあるのでしようか、ありますまいか。この一点だけ伺つて、私は質問を終ります。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 私は、伊藤理事長とその部屋でよく会つたことがありますので、その部屋にだれか人がおつたこともないことはありません。しかし、御指摘のような婦人関係のことはよく知りません。

中野四郎改進党

○中野委員 それはそうでしよう。あなたもきらいな方でしようから。  それで、ここに怪文書——これは各代議士みんなに来たのですが、怪文書と言つてははなはだ言い方が悪いかもしれませんが、ごらんにいれます。     〔証人に書類を示す〕 これをあなたがお受取りになつたことがあるかどうか。一枚中をおいて二枚ですが、ごらんになつたことがあるかどうか。ごらんになつたとすれば、当時これはどこから出たものであると想定をなさいましたか。あるいは当時あなたの気持はどうであつたかということを聞きたい。またほかに日東通信社の号外もありますし、他にプリントしたもので四枚にわたる内容を詳細に書いた手紙が私のところに来ておりますが、これは今日ここでお尋ねすべきではない。明日廣川君に聞こうと思つておるのですが、この点をひとつ御説明を願いたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 この文書は、私の家にも郵送をして来て、たしかに見ました。しかし、私もこれが当時どこから出たかということはよく判断できませんでした。

中野四郎改進党

○中野委員 先ほど政党献金の点でいろいろお話が出たので、きようあなたが明快に、しかもこういうように大胆率直な御説明をなさつたことに私は敬意を表しておる。池田君のところ、あるいは廣川君、あるいは私の方の重光、大麻なんというのに金が行つたということまで御証言をなさつたんですから、しかも相当の内容にもタツチをしていらつしやると私は拝察しておつたんですが、しかも再建方途にあたつては非常にデリケートな問題のあることは、私がここで説明するまでもない。あなたも御想像していらつしやるはずです。また事実知つておいでになる点もあるのです。従つて、この文書がいかなる意味をもつて配られたかということは、一見すればすぐわかることなんです。これは国会に対する一つの圧力なんです。かつての政党献金をし政治献金をして立法化を頼んだという裏づけをそこに証したものとも、先ほどからのあなたの証言に律して私は考えるのであります。そうなつて参りますと、その文書を出したグループというものはおよそ御想像がつくはずであります。だから、少くともあなたが自分の考えで、どこからこういうものを出したか、出したことがよかつたか悪かつたかという結論はいざ知らず、大体の御想像はつかぬでしようか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 どうも、想像を証言することは、先ほど来……。

中野四郎改進党

○中野委員 ただ感じだけでけつこうです。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 差控えたいと思いますが、この種のものが当時出たときの私の感想を率直に申しますれば、それはあなたの想像と大体同じなんです。(笑声)

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 田渕光一君。

田渕光一自由党

○田渕委員 先ほど来の中村委員と証人との間の質疑応答、並びに先ほどの甲斐委員の懇切なる御熱意あるお言葉等を勘案いたしまして、私は一つ提言をいたします。この事件は目下捜査当局の手に移つておりまするが、大体逮捕令状あるいは捜査命令は外国為替管理法違反ということで、はつきり確証を握つて当局は身柄を拘束し、家宅捜索を執行し、あるいは全国二百四十何箇所を二日間にわたつて家宅捜索し、証拠をあげております。本人もすでに拘置所に移され、検事勾留を過ぎて判事勾留になつているやに伺つておりますが、この詐欺事件あるいは外国為替管理法違反事件の捜査上一向関連のない政党献金というものについて——先ほどの甲斐君のお話を伺いましても、人生のことはあすがわからない、今夜のことがわからないのであります。かような意味におきまして、まずこれを裏づけるために、平野証人は伊藤から聞いたのである、こういうお話でありますが、この伊藤がはたしてそういうことをやつたのかどうかということの事実をとるためには、緊急を要しますので、廣川弘禪君を呼ぶ前に、まずこの伊藤君を当委員会に喚問して、平野さんのおつしやつたことが、聞いたことが事実であつたのか、あるいはまた、捜査当局が兒玉譽志夫君のうちの居室で、つまり望月京一君を逮捕するときに、その席からピストルが出ているのでありますが、こういうなようなあらゆるものがあつたために、あるいはそれらのところでこういうことがあつて、向うは立法化で行くと言つてこの出資者に資財を投げ出すことを拒否したのかどうか、そのような重大な問題と、緊急性がありまので、まず廣川証人を呼ぶ前に、駒井君が病気らしいですから、ひとつ伊藤氏を呼んでもらいたい。こういうことを提言しておきます。  それから、これはぜひともはつきりしなくてはいけませんが、一服盛ればよいというようなこと、あるいは捜査の最中において、兒玉君のうちの望月君の居室からピストルが出ているのでありますから、こういうことを考えまして、事が非常に重大でありますから、もし理事会をお開きになるならば理事会をお開きになつても、さつそく今明日中に調べていただき、そうして本人の身柄に対しては厳重な監視をつけて調査をしなければならぬ。この点、お願いするのであります。  その点において、ただいまの中村委員と平野証人との間の問答が、かりにもしそれがうそといたしますならば、革新派の陣営にあるところの、しかも農民階級を基盤とするところの平野君が、こういう大きな四十億のしでかしをしたそのとばつちりを——こういう保守陣営に献金したというようなことが伊藤のまつたく根も葉もない虚言としたならば、これは重大問題であります。改進党の重光君にいたしましても、大麻君にいたしましても、わが党の佐藤君にいたしましても、池田君にいたしましても、重大な問題でありますから、これはもちろん明日の新聞にも出るでありましようけれども、明日即刻に開くことを、これはもちろん動議として出してもよろしゆうございますけれども、動議でなくても、当然言うべきであろうと思うのであります。  そこで、平野さんに伺うのでありますが、かようなことを、もし伊藤が、実はこういうからくりがあるためにあなたに心ならずも言つたと言う場合においては、こういう重大なことに対してあなたはどういう責任をとられるかという点をひとつ伺つておきます。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 私は、実は、先ほども申し上げたように、人の名前をさしたり、金の話が出るようなことは、いくら証人でも、私の政治生活として実は言いたくなかつたのです。また、ここへ出るまでは、そういうことに触れないということを念願しながら来たのであります。しかし、委員長からも御注意があつたように、やはり知つておることを隠すわけには参らぬ。中村君の質問も、るる人もあげ、金もあげてのお話。率直に言えば、伊藤斗福君が十一月の上旬私に話したのですから、これはうそを言うわけには行かないから申し上げたのであります。従つて、そこは、私の責任を今ここでお問いになるということより、まず事実をほんとうにお調べになることの方が先であります。私は、本問題についての責任は、繰返して申し上げますが、実際すべて恐縮いたしております。事件のほんとうの結末がついたときに、私がどうするかということは私みずからの判断においていたしたいと思います。これが責任であります。

田渕光一自由党

○田渕委員 そこで、立法化の問題は努めてタツチしなかつたとおつしやつておるのですが、あなたは、この国会内においていわゆる立法団、つまり保全経済会の出資者の陳情団と同席され、あるいは同時にたすきをかけられてこの立法化の促進運動をするのに御活躍なさつたと伺つておりますが、こういうことがございましようか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これははつきり申し上げておきますが、保全経済会の当事者が、大蔵委員長、法務委員長、衆議院議長に陳情に参りましたときに、私は案内をしました。しかし、そのときに、はつきり私が当事者諸君に言うておつたことは、ぼくは伊藤理事長のいわゆる立法化運動というものには賛成しておらぬのだ、従つて、案内だけはする、しかし、案内をして、あなた方が委員長に会つていろいろなさることは御自由だが、自分はそれに賛成するものではない、かように言つております。それから、現に請願書等もよこしておりますが、私は署名しておりません。これは、どうもだれか案内人をつけなければならぬという話でありましたので、案内だけを私はして来た。これは委員長にお聞きになつてもよくわかります。同時に、念のために申し上げておきたいことは、その前に、委員長に陳情者を会わす場合に、私は会社案がよいということを念を押して当事者に言つております。

田渕光一自由党

○田渕委員 立法化を求めることは、伊藤君もそうであり、また出資者もそれを何しておつたのでありますから、つまりその出資者の団体と、あなたがたすきをかけて立法化促進運動の先駆をとられたということに対して、あなたは立法化にまつたくタツチしておらぬのだ、第二会社案に対しては松本博士の言うところに乗つておるのだけれども、私は立法化するということは全然言つておらぬのだとおつしやるのであります。しかし、実質において、国会内においてその陳情団の紹介をしたにすぎないと申しておりますが、いわゆる保全経済会の立法化促進陳情団のたすきをかけた方々と一緒におられたということについて、第三者は一体どうとりますか。衆議院議員平野力三氏と見るか、あるいはこの保全経済会の最高顧問である平野君が立法化するために来たのだというように相手方は見ると思うのでありますが、あなたの御心境はいかがでありますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 御判断は田渕さんにおまかせするよりいたし方がありませんが、私はたすきなどかけておりません。議員であるので、一般論であつて、自分が、たとえば選挙区等から陳情が出て、そのことに同意していないような問題であつても、どこそこで会わせろというような場合は、議員の任務として御案内をするという程度までは、これはやむを得なかろう、こう思つたので、私はあくまで、自分が立法化運動をやつたとは思つておりません。     〔「動議はどうする」「動議とすればぼくの方に異論がある」と呼ぶ者あり〕

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 申し上げます。委員長はあれを動議として受取りませんでした。山中貞則君。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 先ほどからの質問の及ばなかつた点、及びもつと聞きたい点について二、三簡単に御質問を申し上げます。  まず第一に、証人は保全経済会所有のビルを有償で借りておる、こういうふうに言われたのでありますが、家賃は保全経済会にお払いになつておりまするかどうか、お伺いをいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは、私もこのビルを買うときに百万円出しておりますので、それを差引くというわけでもありませんが、賃料はまだ納めておりません。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 差引くという考えで納めておらないということでありますが、家賃については、月ぎめ幾らというとりきめは最初行つていらつしやらなかつたわけでございますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 契約書には月五万円となつております。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 次に、証人はただいまのビルの一部を東邦硫黄に転貸しておられるそうでありますが、それは保全経済会と了解の上で転貸しておられるか、あるいはまた平野証人自体で転貸されて、権利金あるいは家賃等を平野氏自体でおとりになつておるかどうかをお聞かせ願いたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これは、伊藤理事長から、そのビルの管理ということもございますが、賃借をしておるわけであります。私が返すまでは自由採量、こういうことでやつております。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 そうすると、転貸したことによつて生ずる利益、すなわち権利金あるいは家賃というものは、平野証人自体が個人の収入としてお受取りになつておるわけでありますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 その点はまだ厳密にはつきりいたしておりませんけれども、大体私がそのビルを賃借しておる間は私が自由にしていい、かように考えております。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 次に、証人は保全経済会の自動車を使つておられるわけでありますが、それの代金については、保全経済会から借りて、もしくはもらつて乗つておるのではなくて、百五十万円を借りてその自動車を購入し乗つておるのだ、こういうふうな微妙な表現があつたのであります。そのお借りになつた百五十万円の金をお返しになつて、いわゆる返済しておられますれば、そういうことが言えるのでありますが、返済しておられないとすれば、実際上は保全経済会の自動車をもらつて乗つておるということになつて来るわけでありますが、百五十万円はお返しになつておるかどうか、お聞きいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは返しておりませんが、その自動車は、私自身の活動上必要なものとして、現在乗つておるわけであります。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 ということは、政治家平野力三氏として必要なのか、あるいはまた保全経済会の顧問平野氏として必要なのか、そのいずれでありますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 もちろん私個人として自動車がひつようなのであります。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 個人としてということでありますが、ところが今度は、顧問料というものが、武井さんまで含めて四人でありますが、いろいろ段階がついております。すなわち、武井さんが九十万。松本さんが百三十九万。早稻田さんが百十五万。平野さんが三百十八万、これに加うるに、先ほどの内容のビル、もしくは先ほどの内容の自動車、あるいはそのビル等に使用する物件、そういうもの等を提供されておるということは、金額が一番大きい上に、さらにそういう便宜を提供せられて、いわゆる顧問としての待遇の段階差が非常にはなはだしい。従つて、平野証人は今、個人として必要だから、こう言われたのでありますが、私どもとしては、明らかにこれはいわゆる保全経済会の顧問グループの中で平野氏が最も大きな立場にあり、あるいはまた大きな動きを示されるために必要として提供されたものというふうにしか受取れないのであります。事実、午前中に呼びました松本証人は、私は平野代議士あるいは早稻田代議士のようないわゆる重要な顧問と違つて、まつたく名士でも何んでもないものでありますから、こういう表現等もなされておるのであります。従つて、この段階差が非常にはなはだしくて、ことに平野証人に特別の便宜が提供されておることは、単に自動車のみならず、あなたに対して保全経済会あるいはそれを代表する伊藤斗福というものが非常な信頼感を置いておつた、こういうようないわゆる信頼にこたえるために、あなたも顧問グループの中では最も動かれたというふうにわれわれは了解しなければならぬと思うのですが、おさしつかえありませんかどうか、お伺いいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これは第三者の御判断にまつ以外にないことでありまして、運不運とか、多過ぎるとかいう判断については、私としては大体適当であろうと思います。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 顧問の本人が適当であるとお考えになつているようでありますから、われわれ第三者は何をか言わんやでありますが、しからば、その三百十八万円については、所得税の申告は正当なる手続をもつてしておられるかどうか、お伺いをいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これは、保全経済会の税務署と折衝をいたします係員が源泉で税金をはつきり払つておると承知いたします。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 ところが、この書類によりますると、顧問料に対する申告納税の手続については、現在の調査段階では申告されておらないというふうになつておりまするが、そういうことになりますと、これは脱税ということになりますが、そこらのところはもう少しはつきりなりませんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 この点は、保全経済会にも日本橋の税務署と常に折衝をいたしております税の担当者があつたわけでありまして、その担当者に、脱税等のことがあつてはならないということはよく注意をいたしておりましたから、万間違いなくやつておるものを承知いたしております。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 もしやつておらないとすれば問題でありまするが、そういう問題については、確信をもつてやつておると信じておられますかどうか、お伺いをいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 もちろん、先ほど来委員長のお問いの中にも若干明確を欠いたお伺いもあつたように、帳簿自体の中に、われわれそうは思つておつても、あるいはそうでないというような場合もあつたり、その係員は、源泉で税金を払つております、こう言つているのだから、こつちは払つておると思つているのです。いよいよ投資者団体がいろいろな管理をしてみて、そういうようなことがなかつたというような場合があるとすれば、それはそのときに十分考えなければならぬ問題である。しかし、私としては、はつきり払つてある、かように考えております。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 先ほど証人は、他の政治家を伊藤斗福または保全経済会に紹介したことはないというはつきりした御答弁であつたのでありますが、それに付随して、小平忠衆議院議員が北海道通信機株式会社の株券四千株を金二百万円で伊藤斗福に買わせているけれども、この事実に関係はないかという質問に対しては、よく知らないが、それは本人同士の話合いでやつたのではないか、こういう話でありますが、知らないということなら、本人同士の話合いがあつたかどうか、あるいは株券四千株が二百万円で取引が行われたかどうかということ自体も知らないはずでありまして、本人同士で話合いが行われたのではないかと言うのは、平野さんは知つておられる証拠ではないかと思うでありますが、事実知つておられないかどうか、再度お伺いをいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 この点は小平君と伊藤君との話できまつたことでありまして、私はその内容には直接タツチしておらないのであります。それではそういう事実を全然知らぬかとおつしやれば、それはその後雑誌に出たこともあるし、また小平君も伊藤君に会つたことがあるというくらいのことは知つておるのですが、そのこと自体に私が仲立ちして、私がバツクしたというものではないのです。従つて、さようにお答えした。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 ただいまのお答えの中にありましたが、もう一ぺん念を押してお聞きいたします。小平忠君が伊藤斗福とこういう株の取引をするまでの関係を生じたことについて、あなたは全然関与しておられないかどうか、お伺いをいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 先ほど申し上げたように、全然というような言葉になれば、私は小平君も伊藤君も知つておるのですから、その点については全然知らぬのじやないというお答えをしたつもりであります。しかし、そのこと自体に私が中へ入つてそれを操作したのではない。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 私の言うのは、この質問をする前段として、証人は、他の政治家を伊藤斗福または保全経済会に紹介したことはないかという質問に対しては、ないと言われる。ところが、その次の、いわゆる先ほど申し上げました事実については、全然知らないことはない、こういうことでありますが、私の言うのは、その事実、——内容を知つておるかどうかでなくて、小平忠君が伊藤斗福にこういう内容の取引ができるまでいわゆる親しくなるきつかけと申しますか、会うためにはぽかつと会うわけには参りませんから、そこらの、会わせる意味でなくて、あるいは紹介する意味でなくて、会つたということについてあなたが何らかの動きをしたか、あるいは中にはさまつた立場にあつたかどうかということをお聞きしておる。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これは先ほど証言いたしました程度で御判断を願いたいと思うのですが、政治家を紹介したことがあるかどうかという問いだつたから、はつとして、政治家を紹介したということはその人間について何かしたかということになりますので、委員長の問いにちよつと間違つて答えた。お問いの方が、ああいう事実をどうだこうだというので……。裏から言えば多少知つておるけれども、その結論は伊藤君と小平君と二人で話合いがついた、こういうようにお答えすればよかつたのじやないかと思います。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 最後に、その問題でもう一ぺん念を押しておきますが、小平忠君はあなたの口ききもしくは紹介、仲介等によつて保全経済会ないし伊藤斗福なる者に関係がついたという事実は断じてございませんか。お伺いをいたしておきます。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは伊藤君の判断でもあるし、それから小平君といえども衆議院議員であり、北海道における相当の人ですから、それくらいのことは必ずしも私が紹介しなくたつていい。  この際一言申し上げておきたいのですが、元来伊藤君という人は、人がただ紹介したからというようなことでそう簡単にものをどうこうする人じやなかつた。これは小平君のことじやない。一般のことについて。ですから、私はそういうふうに申し上げたのであります。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 次に進みます。先ほど中村委員の質問に答えられまして、非常に詳細にかつ具体的に、各党に対する伊藤斗福の手を通じた保全経済会の政治献金の事実を聞いたという話を証言されたわけでありますが、その事実の調査はいずれ後ほど待つといたしまして、では、そういう事実を承知されておりまする平野証人は、そういう目的をもつて献金されたいわゆる政治献金が、立法化という目的に向つてどういう役目をなしたか、あるいはなしつつあるかという点については、どういうふうに観察しておられますか、お尋ねをいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 これは、繰返し申します通りに、私の想像や判断を加えて申し述べたくないことであります。つまり、そういうことを聞いたというだけのことを申し上げた。どうもそれ以上私に、その金がどう使われたと思うかというような判断まで一つの証言をお求めになつても、ちよつとお答えしなくてもいいんじやないか。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 私の質問が足りなかつたらあやまりますが、私の言うのは、そういう意味ではなく、どういうふうに動いたかじやなくて、そういう金が政党の権威ある立場の人々の手を通じて一定の目標を持つて献金されたならば、その金の効果つまりそういう金が献納されたことに対する事実というものが浮び上つて来なければなりませんが、そういう立法化への目標に向つての具体的な動きを、その金が納められたことによつてあなた自身がはだで感じられたかどうかということです。いわゆるあの金のきき目が出て来たなと思われるようなことがありましたかどうか、お伺いをいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは、繰返し申し上げておるように、伊藤斗福の立法化という決意があまりにも牢固であつた。そのことがあるいは先ほど申し上げたようなそういう事実の上に非常に強固であつたのではないかという、そのことを伊藤と私との問答の間に感じたので、私は申し上げた。私は、その金がどうなつたとか、こうなつたとかいう判断をここで証言する必要はない。

山中貞則自由党

○山中(貞)委員 では、もう一ぺん別な角度から伺いいたしますが、国会の中に現在立法化、いわゆる保全経済会の希望する方向への立法化の動きがあるとお考えになりますか、ないと御判断になりますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは、大蔵委員会におきましては、こういう特殊金融機関についてのいろいろな御研究がなされており、またときどき新聞等においても発見されておることでありますので、大きな抽象的な意味におきましては、やはりこういう特殊金融機関がつぶれたことについての原因を究明し、今後何らかの立法措置を考える、こういう議員の方は相当おありになるのではないかと思います。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 長谷川君。——長谷川君に申し上げますが、時間も大分経過しておりますから、簡単に、重複しないようにお願いいたします。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 証人が第二会社案というものを考えられまして以来、今までお会いになつた政治家、それをひとつ。たとえば大蔵委員長、法務委員長、それらにお会いになつたというお話がありましたが、先ほどまでにずつと話の出た献金関係の政治家などにお会いになつたことはありませんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 会つたことはありません。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 廣川さんにはお会いになつたことはありませんか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 会つたことはありません。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 この際にお尋ねしたいのですが、証人は私の大学の先輩でもあり、しかも農民運動のために岐阜県から山梨県に来られてあれだけの農民組織をやつて来られた、その政治力、組織力に対して非常に尊敬しておるのであります。ところが、今度のこの保全経済においては、四十五億の金が集まつて、約二十八億の金がほとんど損失になつて、しかも証人の先ほどからの証言を聞いておりますと、休業に至るまでは何ら顧問団において横の連絡もなかつたというふうに伺つておりますが、それを再確認してよろしゆうございますか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 顧問団会議というものをやつたことはなかつた。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 私はきのう山形県を旅行して帰つて来たのですが、あの雪の山形市においてやはり保全経済の大きな建物があり、そばにまた敗戦後の時代を象徴するような新興宗教の建物がある。しこうして、ここに四十五億の金を集めたこの保全経済におい、農民組織の指導者であるところの平野さんの顧問という名前を信用して、ことに東化などでは非常に多くの被害者が出ておる。こういう実情をどういうふうにお考えになつて、将来また対策を練られて行くか、その御決心をお伺いいたしたいと思います。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 責任問題につきましては、先ほど自分が申し述べた通りの心境でございます。それから、御指摘の点は、この会の顧問になつたことは不明であつた、かように考えます。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 東北の場合においては、驚くなかれ五億五千七百万円、これは青森が一番多いのです。その次は山形の一億二千九百万、宮城の一億二千二百万、これは私の手元に集まつた東北の累計でありますが、ああいう非常は貧乏しておるところの農民がやはり農民組織におけ平野先生の名前というものを信用してここまで来ておる。これについての道義的な責任というものをこの際にほんとうにお感じ願いたい、私はこう思うのですが、いかがありましようか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 いろいろ弁解いたしたい言葉もございますが、御指摘の道義的責任はもとより痛感しております。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 最後にお伺いいたします。今まで平野証人が、ここに来られるまで、伊藤より重大なることを聞きながら、なぜこの問題をはつきりしなかつたのか。国会は保全経済に関係して非常に疑惑のまなこをもつて見られておつた。われわれは、国会の姿を正しゆうし、議員としての心を正しゆうする意味において、あらゆる政党を超越してここに今日の会合を開いたのでありますが、その顧問団においても最も中心人物であつたところの平野さんが、なぜ今日までこういう問題についてはつきりしなかつたか。はつきりすれば、すでに対策というものが出ていたのではないかと思いますが、この点についていかがでしよう。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 その点は、私がそういうことをいろいろ言うたところで問題が解決するわけのものでもないので、本日は証人として出たので知つておることを申し上げておるということであります。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 先ほどの中村高一氏の質問で落したことがあるから、あとで追加をして私に質問をしてくれという依頼をして中村君が帰られましたから、依頼を受けました分だけお伺いいたしたいと思うのであります。  その中村氏が落しました第一の問題は、伊藤斗福から非常にけつこうな話を聞いていただいて、この証言は非常に価値があつたが、同じくそのお話の中で、大野伴睦氏に三百万円を政治献金したという話をお聞きになつたかならなかつたか。その当時大野伴睦氏は国務大臣であつたはずでありますが、その点をひとつ御記憶を呼びさましてお答え願いたいというのが第一。  第二は、同じく池田勇人氏を伊藤斗福が廣川弘禪氏を通じてたずねたという先ほどの証言の中に、三百万円を別口にして池田勇人氏に手みやげとして持つて行つた、こういうことをお聞きになつたかどうかという点が第二点であります。  それから、池田邸における池田勇人と伊藤斗福の会談の内容についても、確かに概略伊藤斗福からお話があつたのだろうから、その点もお聞きになつた程度のことをお明かし願いたいというのが第三点でございます。  それから、第四点は、同じくその池田勇人氏と廣川氏と伊藤斗福と三人会見いたしましたその当時、池田勇人は確かに大蔵大臣であつたはずだが、この点、大蔵大臣であつたかどうか。  以上四点をかいつまんで聞いておいてくれという中村高一氏の依頼でございましたから、お願いいたします。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 大野伴睦さんのことは、伊藤君からは何も聞いておりません。  それから、池田邸での話ですが、三百万円を持つて行つたということは別に聞いておりません。廣川氏とともに池田邸をたずねた、そこで立法化ということを頼んで了承を得た、これを彼は私に強調いたしましたので、頭に残つております。  それから、その時分池田さんが大蔵大臣であつたかどうかということは、私の証言より、ちよつと調べればわかることですから、これはどうぞひとつ……。

橋本清吉改進党

○橋本(清)委員 時間もありませんから、一分か二分、私の議事進行に関する希望を申し上げたいと思います。二点あるのでありますが、私は今日初めてこの委員会に出たのであります。そして、敬愛する委員長以下委員各位の真剣なる御態度に対しまして、一年生議員である私は心から感謝の意を捧ぐるものであります。ただ、他山の石といたしまして、この一年生議員が何ものにもとらわれないで二つのことをお願い申し上げたい。  第一点は、もとよりこの委員会の目的は、正しからざるものを正しからずとなし、正しきものを正しとするというのが任務であります。正しきものを正しからずとなし、正しからざるものを正しとするような誤りに陥つてはならないと思うのであります。従いまして、委員会の活動は、興味本位を離れて、あくまで、ものそのもの、事実そのものを直視する——そこには形容詞はいらない。名詞と動詞でいい。イエスとノーでいい。くだらないまわり道はいらない。そして、ものそのものを直視していただきたいというのが第一点であります。  第二点は、何党のだれだれがということは、この委員会においては必要ないと思う。綱紀粛正に政党なし、国家あるのみ。私は、できまするならば、行政監察特別委員の在職中は党籍を離れるのが最も理想だと思いますけれども、これは現実にはあるいは困難性もあるかと存じますが、どうぞ、敬愛する委員長におかれましては、この一年生議員が何ものにもとらわれないで信念を吐露いたしまするこの趣旨をよくおくみとり願いまして、今後のこの委員会を指導せられんことを切望するのであります。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 橋本君にお答え申し上げます。行政監察特別委員会は、御承知のように、理事会におきましても、委員会におきましても、常に超党派的な立場をとりまして行政の正悪をただしております。ことに、本日問題になつておりますような国会に対する疑惑というような点につきましては、橋本委員のおつしやる通りであります。各人が、私から申し上げるまでもなく、超党派的な気持で運営されているということを私は確信いたします。その点御心配は御無用と存じます。

三和精一自由党

○三和委員 先ほどの山中君の質問に関連しますが、先ほど平野さんは源泉課税でやつておるというようなお話でありましたが、あなた御自身から総合所得の申告をしておりますかどうか。

平野力三日本社会党(右)

○平野証人 それは、源泉を払つておればよい、そういう考え方です。

三和精一自由党

○三和委員 大分認識不足のようでありますが、これは総合所得の申告をしなければならぬ。昔は兵役義務とともに二大義務と言われておりましたが、現在は兵役義務というものはないけれども、いやしくも代議士が、その重大なる義務を忘れるなどということは、これは言語道断である。

塚原俊郎自由党

○塚原委員長 ほかに御発言がなければ、平野証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。  証人には長時間御苦労さまでございました。  本日の証人尋問はこれをもつて終了いたしました。明日の証人尋問の件につきまして理事会を開きますから、理事の諸君は暫時お残りを願います。  暫時休憩いたします。     午後八時十七分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕

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