厚生委員会 第38号
- 発言数
- 14 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/04/20
会議録
○小島委員長 これより会議を開きます。 厚生年金保険法案、船員保険法の一部を改正する法律案、及び厚生年金保険及び船員保険交渉法案、以上三法案を議題とし、質疑を続行いたします。滝井義高君。
○滝井委員 厚生年金の方ですが、第六条の一項の二号で「前号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は法人の事務所であつて、常時五人以上の従業員を使用するもの」こういうことがあるわけですが、「国、地方公共団体又は法人の事務所」、こういうことで、一応この六条で対象の事業場になつておりながら、同時に今度は十二条で適用除外になつておるわけであります。十二条の一項の一号の二で「地方公共団体の事務所に使用される者」、こうなつておるわけです。この間の調整はどういうぐあいになるのですか。それからまた具体的に六条で対象になるもの、それはどういうものなのでしようか、それをちよつと御説明願いたい。
○久下政府委員 第六条の第一項の第二号に書いてありまするのは、これは健康保険法と同様な表現になつておるわけであります。一応この法律の建前といたしましては、一号の方はここに書いてありまするように、「事業の事業所又は事務所」というようなことで、両方含むように書いてございまするが、それだけでは明確でございませんので、国、地方公共団体または法人の事務所の従業員も強制適用の条件とする、こういうふうに書いてあるわけでございます。 それからまたさらに十二条の方で除外をしておりますものは、今申し上げましたように六条の表現の仕方が健康保険法と同様になつておりますものでありまするから、その関係上こういう表現を一応しておきまして、十二条の方でごらんいただきますように、十二条の第一項第一号のハ、ニ、ホで地方公共団体の関係のものを除いております。具体的に申し上げますると、第十二条の一項一号のハに地方公共団体の吏員として除かれておりまするが、地方公共団体のうちには申すまでもなく府県、市町村がございますが、府県の方は国家公務員共済組合法の適用がございます。それから市の吏員につきましては退隠条例というような、たいてい条例の形式で恩給制度が設けられておるのでございます。町村の吏員につきましては町村職員恩給組合法という法律がありまして、これの適用を全部受けております。結局そういう意味合いにおきまして、ハによつて地方公共団体の吏員がまず除外をされております。 次はニでございますが、これはハとニが若干ダブつておりまするが、ニの方は「地方公共団体の事務所に使用される者」というふうに非常に広く表現されております。問題になりまするのは、ニに該当する者では、市町村の特に町村の雇員が現在長期保険制度がないのでございます。これがために最近国会に提案されようとしております、いわゆる市町村職員共済組合法という法律ができようとしている一つの有力な理由になつておるのでございます。ニにつきましては、実は私どもといたしましては、この法律を全面改正をいたします際に、ニの条項を削除しようと思つたのでございます。自治庁とも相談をいたしたのでございますが、自治庁としては別にいろいろ計画もあるので、これは現行のままにしておいてもらいたいというような話がありまして、同意を得ることができませんので、第一項の一号のニは従来のまま残りました。結局現在の姿におきましては、市町村の吏員の約十二万七千名の人たちがこれで除外されておりますために、長期保険の適用を受けてないという結果になつておるわけでございます。 それから第一項の一号のホに書いてありますのは、市町村の現業関係でございます。六条の一項の一号のチからタまでを除いてありますということは、逆に申しますと、イからトまではこの保険法の適用を現行においても受けておるということであります。またこの法律が施行になりましても依然として適用を受けるというのであります。具体的に申しますと、「電気又は動力の発生、伝道又は供給の事業」というようなことが書いてございます。あるいは「貨物又は旅客の運送の事業」というようなことが六条の一項の一号のニとホに書いてありますが、この関係上電気局関係の現場の職員あるいは交通関係の職員などが厚生年金保険法の適用を現に受けておるわけであります。そういう関係でありまして、これもまたこの法案の改正の際にはチからタまでというのはその後に加わつた部分が大部分でございます。ことにワからタまでは昨年の十一月一日から施行になりました改正で加わつた部分であります。これらはこの改正の際にも、市町村で実はこういう現業をやつております者につきましてはイからトまでと同様に本法の適用を受けるようにすべきであるという意見を持ち、今回の改正の際にも関係の向きとそういう相談をしたのであります。一応現行のままでとめておいてくれというので同意を得られませんでしたので、健康保険法の十三条の一項一号と同様に、現行のままになつておるわけであります。少しくどくなりましたが……。
○滝井委員 どうもなかなかわかりにくいのですが、この六条の一項の二号でこういうぐあいに「国、地方公共団体又は法人の事務所であつて、常時五人以上の従業員を使用するもの」とこういうふうに包括的にぴしやつとやつておいて、今度また十二条で第九条及び第十条第一項の規定にかかわらず、次のものは厚生年金保険の被保険者としないということになつております。これはりくつはわかるのですが、法文の書き方、体裁等から考えてどうも非常にわかりにくいのですが、今度は十二条の二の「地方公共団体の事務所に使用される者」の中で、問題は事務所ということなんですが、大体地方公共団体の事務所というのはどういうことを言うのですか、保険所とか土木事務所とかそういうものを言うのですか。それとも——県庁も広い解釈をすれば一つの事務所なんですが、どうもそこらの書き方がおかしいと思うのですが、ハの「地方公共団体の吏員」ということなら、これはみんな吏員はそれぞれ事務所に勤めている。それで事務所に勤めている雇員だけを言うのだつたら雇員と書いたらいいのであつて、どうも地方公共団体の吏員ということになると、事務所というように場所を指定しなくても、吏員あるいはこれに準ずる者とかいうようにすれば、雇員とか用人とか入つて来ると思いますが、何か書き方が複雑で、頭を大分しぼつてみたが、あまりぴんと来ないのですが、ここらの書き方をもう少しわかりやすく説明してもらいたいと思います。
○久下政府委員 私の申し上げ方が、御質問のポイントをはずれておりましたのでおわかりにくくて恐縮でございましたが、先ほども申し上げましたように、第六条の書き方は健康保険法と同じ表現になつているのでございます。そこで今度はこの法律で申しますと、十二条、健康保険法で申しますと十三条の二でございますが、強制適用から除外される規定につきましては、健康保険法と厚生年金法とは内容が違つているのでございます。その関係上健康保険法と厚生年金保険法というのは、そういう適用関係におきましては同様の範囲に考えておりますものですから、その従来の慣例もございまして、六条の方は一応同じ表現にしておきました。十二条の方の関係は除外規定が内容的に違つておりますので、一応六条はそのままにしておいて、除外規定として別な扱いをする、こういうことになつております。先ほど申しました地方公共団体の関係の職員につきましては、健康保険法の方は除外規定がございません。従つて六条に該当いたします、健康保険法では十三条でございますが、健康保険法第十三条の規定の第二号に該当することによりまして、市町村の関係職員は全部適用されるということになる。現に適用されているわけでございます。そういう関係で六条と十二条の書き方が、こちらがあげておいてあとで除くような妙な書き方で、おつしやる通りでありますが、健康保険法とのつり合いの関係がありますので、一応こういう表現になるということを御了承願いたいのであります。 事業所と事務所の関係でありますが、お話のように事業所と事務所というのは確かに明確でありません。私どもも従来いろいろ困つたのであります。と申しますのは、現行法では第六条の第一項第一号は事業所という表現になつております。今度新しく事務所も加えたのでありますが、実際これは適用上非常に混乱を生ずるおそれがありますので、今回は事業所でも事務所でもどつちになつてもいいというような意味で、新しい今度の法律では「事業所又は事務所」と一号に入つておりますが、現行法は一号の方は事業所となつておつて、二号の方の事務所とは区別しておつたのであります。そこに問題があるわけでありまして、つまり何々会社という法人がございます場合、その会社では事務だけやつておりまして、現場の仕事といいますか、劇場とかその他の仕事はほかでやつているというようなものは、その本部の方は適用になるかどうかが明白でなかつたのであります。そこで場合によりますと、一つの法人で事業所と事務所とが別になつておりますような場合には、その事業が一号の方に該当する場合には事業所の方は一号の適用を受ける。それから法人の事務だけやつている方は二号の適用を受けるというような実はまわりくどいやり方をしておりました。しかし事務所と事業所というものは必ずしも明確でありませんから、そこで今回の改正で一号の方の事業所というのに事務所を入れまして、それはどちらの解釈によつてもいいようにしたのであります。
○滝井委員 六十七ページの八十八条ですが、先取特権の順位ですが「保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぎ、他の公課に先だつものとする。」こういうことになつております。ところが健康保険法の十一条の三を見ましても、やはり同じような意味でこういうことが書いてあるわけであります。それから労働者災害補償保険法の三十三条を見てもやはりこれと同じようなことを書いているわけです。現在われわれの筑豊炭田においては中小の山はだんだんやられているわけです。そうしてこれは国税はもちろん地方税も滞納が多い。そして労災保険も失業保険も健康保険も厚生年金も滞納している。従つて税務署も差押えをすれば基準監督署も差押えする。差押えが競争で行われるような形が出て来る。そうしました場合に、順序は国税、地方税が当然優先することになるわけです。その次にたくさんの保険料の順位なんですが、どの保険法を見てもおれの方が他の方に先立つと書いてありますが、この場合は按分するのですか。健康保険法の十一条を見ても労災保険法の三十三条を見てもこう書いてある。それとも按分するのですか。それとも先に行つたものが先にとるのですか。その点をひとつ。
○久下政府委員 順位の同じものにつきましては、差押え公売処分をいたしました場合には、先にやつたものがとる。同時に差押えをして競売処分をするということがあり得ると思います、が、その場合には当然按分であります。
○滝井委員 法文の二十一ページの現物給与の価額ですが、「報酬の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額は、その地方の時価によつて、都道府県知事が定める。」これはおそらく労働基準法の附則か何かで具体的にこういうことが現在行われていると思いますが、これもたとえば独身者の寄宿舎あたりで食糧なんかを現物支給をしている場合があるわけなんですね。そういう場合もおそらく現物の価額の中に入るのだろうと思いますが、もちろんこれは厚生年金だけでなくして、賃金の支払いの場合に当然これは労働基準局その他で問題になるものだと思います。そちらの方で先に決定はしてくれると思いますが、現実にこういう事態の場合に年金法としてはどういう取扱いを具体的にされているのですか。過去からこういうものは相当多いと思いますが、あなたの方のその取扱いの態度、たとえば基準局とそういう場合に具体的によく検討してやつているのであるか。そういう点を詳細に御説明願いたいと思います。
○久下政府委員 現行法にもこの規定はあるのでございますが、この規定に基きまして実際にやつておりますやり方は、住宅と食事の給与があります場合、これを金額に換算をする方針につきましては各県であらかじめ告示できめております。その告示できめたものによつて算定をすることになつております。たとえば住宅でございますと畳数一畳について幾らで見るというようなぐあいにいたしまして、それぞれ知事が基準を定めてそれによつて算定をする。従いましてあらかじめ告示の出ておりませんものにつきましては、実際問題といたしましては実は算定をいたしておらないという実情であります
○滝井委員 たとえば現在、これは労働基準法違反だと思いますが、炭坑その他においては金券というものが出ているわけなんです。たとえば百円の金券とか千円の金券とかいうものがですね。そうしてそれを配給所に持つて行つて米を、あるいは指定の商店に持つて行つていろいろ日用品を買つているわけですが、そうしますとこの評価は千円とか百円とかいうことになつておりますが、実際はその金券が商店なり配給所なりに現金として支払われるのはいつかわからないわけです、現在の炭界の状態あたりから考えますと。そうしますと実際に票紙は通貨と同じように千円と同じ価値のものですが、現実に買う力というものは、当然商店は利子その他を見ますので、九百円ぐらいの力しかないわけです。事業主が支払つたものは当然千円支払つたわけですが、労働者が現物として支払われる場合には千円以下で物が買われているわけです。こういうことは現実には労働基準法違反でありますけれども、これを違反だと言つたら、労働者は現実に金券をもらわなければ食つて行けないのです。そういうものに対する取扱い、これは今後やはりそういうものが、標準報酬の基礎になつてどんどん出て来るわけです。これは特に炭鉱に金詰まりのためにそういう現状が現在相当出て来ておるわけです。こういうものに対する何か御研究、御検討でもやられたことがありますか。これは現物給付ではありませんけれども、非常に現物給付に近い形で行われておるわけですが……。
○久下政府委員 ただいまの問題につきましては、非常に厳密に文理解釈をすると少く疑問はあるかと思いますが、私どもの取扱い上は現金として扱う以外にはないと思つております。具体的な例といたしましては、定期券などを買つて被保険者に渡しておるところがあるのでありますが、こういうものは現金を見て計算しております。それと同じような扱いをせざるを得ないのであります。
○滝井委員 それでいいです。
○小島委員長 その他に御質疑はございませんか。——ではちよつと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○小島委員長 速記をとつてください。 それでは本日はこれにて散会いたします。 なお本日午後三時より当委員室において、保険三法案修正に関しての打合会を開会いたしますから、各派各一名の代表の方は必ず御出席をお願いいたします。 次会は追つて公報をもつて通告いたします。 午前十一時三十一分散会