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19回国会衆議院1954/03/17

厚生委員会 第15号

発言数
79
登壇者
10
会派数
3
開催日
1954/03/17

会議録

小島徹三改進党

○小島委員長 これより会議を開きます。  まず消費生活協同組合法の一部を改正する法律案、医薬関係審議会設置法案、あへん法案、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案、児童福祉法の一部を改正する法律案、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案及び医療法の一部を改正する法律案、以上八案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。長谷川保君。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 私は消費生活協同組合のことについてまずお尋ねしたいのです。いわゆる福祉国家といわれておるデンマーク、スエーデンあるいは英国、カナダ、ニユージーランド等におきましても、あの健康な社会をつくつておりまする根底には、協同組合の運動が根強く徹底しております。そこに考えさせられるものが非常にあると思うのであります。さらにまたソ連におきましても、革命の当時一応レーニンは協同組合の組織を破壊いたしましたけれども、後にこれを再建し、ソ連社会の重要な制度の一つとなつておると思いまするし、また中共におきまして、いわゆる合作社の運動は今日非常に盛んであり、新しい社会をつくつて参りまする重要な一つの基盤となつておると思うのであります。こう考えて参りますると、健全なる社会、進歩的な社会において、協同組合の果す役割は非常に大きいと思うのであります。これについて当局はどういうふうにお考えになつておるか、協同組合に対するお考えをひとつ伺つてみたいと思います。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田政府委員 日本の消費生活協同組合がどういうふうな社会的、経済的働きをするかということだと思うのでありますが、これは、今おあげになりました社会主義国家における協同組合というものと資本主義国家における協同組合というものは、おのずからその役割が違うものではないかと考えております。日本におきましても、消費生活協同組合が大いに伸びなければならぬのでありますけれども、御承知のように、非常に小売業者の数が多うございまして、しかも競争が激烈だという、ことがございまして、単なるものの販売供給という面だけでは、現在のような小売の競争が激烈で、マージンも少いというような場合には、やつて行くのになかなかむずかしい点があろうかと思うのであります。そういうような点も考えまして、協同組合は、ものを安く供給するという仕事だけでなくして、一般の生活改善というような市民の生活と結びついた仕事にも手を延ばして行かなければならぬだろう、そういうようなこともあわせて考えております。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 私が伺いたいのは、先ほど申しましたように、いわゆる福祉国家といわれておりまするような国々、あるいは社会主義国家といわれておりまするような国々でも、消費生活協同組合というものは非常に大きな役割をしておる。もちろん消費生活協同組合とまでは行かないでも、農協等において同様なことをやつているものが、今申しました国々にもありますけれども、いずれにいたしましても、今後の社会構造の中でこういう協同組合というようなものは非常に重要なものだと考えなければならぬと思うのでありますけれども、それに対する御当局の御意見を伺いたい。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田政府委員 今後の社会におきましても、協同組合の役割は非常に大きいと思うのでありますけれども、先ほどから申し上げますように、これが単にものを仕入れて、安く供給するという仕事だけを考えますと、今の日本の商品の流通過程における小売商人の立場というものを考え、同時に小売商人の競争の激烈である点あるいはその数の多い点等を考えますと、いろいろそこに問題がありやしないか。そこでそういう問題だけでなくて、生活改善というような問題と結びついて、初めてほんとうに自分たちの組合だという感じをみんなが持つて来る。現在農村におきましては、先般も申し上げたのでありますけれども、農業協同組合は、やはりそういう点において確固たる地盤を持つておると思うのであります。農林省においてやつております生活改善運動というものがありますけれども、やはり協同組合等を通じてやります点においていろいろと私は意見もあり、また進歩しておる点があるのではないか、これは申すまでもなく農村におきましては生竜農家の形が同じでございますので、生活の内容等におきましても大体似たようなものであるという点で便利であるけれども、都市においてはそれ非常に個々ばらばらであつて、非常にむずかしい。むずかしいけれども、そういつたようなものの生活改善運動をいたします場合に何をこれのよりどころとするかということになりますと、やはりお互いが寄り合つて、自分たちが助け合つていい生活をつくつて行こうという運動、そういうものを協同組合というものが取上げるということが大事ではないか、こういうふうに私ども思つておるわけでございます。この前に協同組合に対する融資の法律をここで御審議願いまして、二十八年度の予算で二千五百万円ばかりの融資をいたしたわけであります。これは二千五百万円が地方庁からも出ておりますから、五千万円になつて働いておるわけでありますけれども、こういうものもやはりそういつた事業等の利用施設をつくる金に実は融資をいたしておるわけであります。そういう点も実は私どもの考えの一端を表わしておるのではないかと考えております。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 今局長の御答弁を拝聴いたしまして、私は協同組合に対する御当局の大体の御認識がうかがえると思つたのであります。これはいわゆる協同組合、コーポラテイヴ・ユニオンの運動の始まりでありましたイギリスのランカシアのいわゆるロツチデールの組合の起りというものは、決して単に物を安く買うということではありません。そうではなくて、むしろ重点は資本主義社会の中に出て参りまする利潤追求を原理といたしまする社会組織、そこから多くの弊害が出て来る。当時手工業から機械工業に移りましたランカシアの織物工場でもつて機械が入つたら、今まで使つておりました職工さんを首切る、こういうところから二十数名の織物工場の職工さんたちが、資本主義の揺籃期におきまして早くも資本主義の欠陥を見抜いてこの資本主義社会の欠陥をいかにもしてもつと人間本位の愛と共同の社会の組織にかえて行こうというところに、  ロツチデールの協同組合運動の濫觴があつたのであります。従いましてロツチデールの協同組合の理論におきましても、その後の発達いたしましたライフアイゼンの協同組合の理論にいたしましても、ここではただ物を安く買うという卑屈なものではありませんで、大きな理想を持つている。資本主義社会の利潤追求という指導理念を否定いたしまして、そうして愛と共同の社会をという理想に立ち上つて行つたわけであります。今日ただいまお伺いいたしておりました御当局の御意見を伺つておりまして、私はそういう方面が今後段のお言葉の中にないではございませんけれども、むしろきわめて安易な、そうして便宜主義的な考え方がこの協同組合を経営して参りまする考え方というようなふうに見受けられるのであります。これは国民全体といたしましても、今日あのロツチデールのあるいはライフアイゼンの協同組合の理想というようなものを受入れまする精神的基盤というものが、残念ながらわれわれ国民のうちに非常に稀薄である。従いましてすでに早く取入れられました産業組合の制度にいたしましても、今日それが農協となつたといたしましても、そこにそういう崇高な精神というものは失われ、そうしていたずらに協同組合自体が利潤追求という形に堕してしまつた、ここに今日の日本の協同組合の精神的な基礎が失われておりまする重大な欠陥があるわけでありますが、私は、国民一般においてもそういう点が非常に欠けておるのみならず、指導いたしまする厚生省当局自体の認識が非常に欠けておる、そういうような認識のもとでは真の活発な、そして発展いたしまする、先ほど申しましたような、欧米諸国における社会の基盤になりますような協同組合は絶対に発展しない、こういうように思うのであります。私は今の局長のお言葉の中にそういう節の見えないのをきわめて遺憾に思うのであります。そこは認識を新たにする必要があるのじやないか、この改正案を出される前に協同組合の根本の理念について認識を新たにする必要があるのではないか、こう思うのでありますが、局長の御意見を伺います。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田政府委員 いろいろご意見を承りまして私どもたいへん参考になりましたのでありますが、ただ現在私どもが仕事をやつて行きます上に、すぐに利潤の追求というような形あるいは中間搾取というものをなくすためにこうするのだというようなことで、小売商人というものはいらないということを目標にするわけにもまだ参らぬのじやないかと思つておりますし、まあ先ほどお話申し上げましたようなことが、現在私どもの考えておるところでございまして、なおいろいろよくそういう点を研究いたしたいと思います。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 ただいまの点は非常に重大な点でありまして、私はこの点につきまして当局の十分な御研究、御反省を願いたいと思うのでありますが、その点は次の機会といたしましてさらに今日は重要な質問もあるようでありますから話を進めて参りたいと思います。  日本に協同組合が取入れられましてから今日まで相当長い期間を経て来ております。産業組合においてはもちろんさようでありますけれども、消費生活協同組合いわゆる消費組合といわれておりますものの歴史を見ましても、ずいぶん長いのであります。この長い間かかりました事業がさつぱり進展しない。その原因につきましては、先般も他の同僚議員の質問に対しまして、局長からも一応の御答弁があつたようでありますが、まずどこにその原因があるか、いま一度局長のお考えを伺つておきたいと思います。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田政府委員 これは非常にむずかしい問題でございまして、終戦後は協同組合が相当数出て参つたわけでございますが、当時いろいろ物資の統制等がございましたときには、まだそういう物資を入手する一つのルートとして協同組合が認められればそれで協同組合は十分成り立つというような時代もあつたのですが、その後だんだんと物資が自由販売になりまして自由に入手することができるようになりますと、先ほど申し上げましたように小売商人というものがたくさん出て参つたのであります。そうしてその問の競争が非常に激烈になりまして、勢い小売商人のマージンも非常に少いというような状況になつたのであります。そういうようになつた場合にもなお協同組合としてりっぱに仕事をやつて行くというものはやはり相当基礎のかたいものでなければやつて行けないというようなことで、現在のように休止の組合が相当数出て来たのではないかということを考えておるのであります。この前も申し上げたのでありますが、これはほんとうに常識的なことになりますけれども、やはり協同組合が仕事をやつて行く上に、政府として課税上のことについても保護政策をとつて行くということ、それから金融等についても考えて行くということ、それからもう一つの問題は、やはり精神の問題ということも大きな問題でございまして、組合をほんとうに育てて行こうというようなみんなの気持が起らないと、単なる利害だけで結ばれておりますと、何か経済的なつまずきがあれば、すぐそれでやめてしまうということになりますので、そういつたような意味からも、組合の仕事をする中堅的な幹部と申しますか、そういうようなものを養成することも必要じやないだろうかというような考えを持つております。なおそれとあわせまして、そういつた供給事業だけではなくして、お互いの生活の内容を高めるといつたような面の仕事もやつて行く必要がありはしないか。いろいろ申し上げまして、あるいは御答弁にならぬかもしれませんけれども、そういつたようなことが考えられる次第でございます。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 確かにお話の点は、今日の消費組合の不活発な原因の有力なるものの幾つかであると思うのであります。そこでまず最初に、今日資金金融の面はどういうような事情になつておりましようか。これを伺いたい。

今村譲厚生事務官(社会局生活課長)

○今村説明員 私からお答え申し上げます。現在生協につきましては、農協の農林中金、それから中小企業の商工中金というふうな親銀行、いわゆる系統金融機関というものがつけられておりません。ただありますのは、国民金融公庫、それから今度国会で改正になりまして、中小企業金融公庫の貸付金の対象になるはずであります。そういう点が逐次開けつつあるのでありますが、現実としましては、規模が非常に小さいために、一般の銀行なりあるいは信用金庫なりというふうなものが、直接生協に対して融資を積極的にやつてくれないという状況でございます。職域は、会社方面から資金を相当借りておりますけれども、地域の小さい組合では、やはり役職員が借りることについて相当苦労しておることは事実であります。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 非常に残念なことてありますけれども、そういたしますと、今日この協同組合に対する金融面あるいは資金面は、先ほどお話の、この前の国会できめた貸付金二千五百万円、地方から出すものと合せて約五千万円、それと労働金庫、国民金融公庫というようなものだけのように伺いました。それで、今回中小企業金融公庫の方から道がつくという可能性も出て来ているようでありますが、中小企業金融公庫の方は、御承知のように実際の窓口は銀行でありまして、銀行はおそらく実際にはほとんど融資はしないだろうと思います。今日のような程度の消費生活協同組合ではおそらくしない、これは道はついてもほとんど見込みなし、こう思います。それでは、国民金融公庫の方から全国でどれくらいの金が生協の方にまわつておりましようか。

今村譲厚生事務官(社会局生活課長)

○今村説明員 それはお手元に参考資料が参つておるはずでありますが、その八十ページにございますように、全国で借入金が職域、地域全部合せて六億八千万ほどございます。そのうち、国民金融公庫からは地域組合に千三百三十四万八千円。これは二十八年三月末現在の調べでありますが、約千三百万円。それから職域組合は二百三十九万九千円、その他もありますが、総計千六百二十八万七千円という現状でありまして、金額は非情に小さいと思いますけれども、全体の借入金の二・四%ということになつております。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 実に情ない金融でありまして、このようなことではどうにもならないのがほんとうで、これは根本的に方法を考え直さなければならぬと、どなたもお考えになるだろうと思います。このような金融でもつてわれわれが協同組合に期待することは夢にもできないわけであります。そこでこの問題を何とか打開をしなければなりません。今後こういう問題について協同組合というものが重要なものであるという認識に立ちますならば、何とか方法を立てなければなりませんが、それについて当局はどういうような御方針を持つておいででしようか、伺いたいのであります。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田政府委員 あるいは御質問の前提に消費生活協同組合の方で何か信用事業をやつたらどうかというようなお気持があるのではないかと思うのでありますが、現在の金融は、先ほど今村課長から申しましたようなことで、なるべくそちらの方をふやして行きたいという考えでやつているわけであります。何と申しましても金を貸します場合には、返せるめどがなければいかぬのでありまして、それにはやはり消費組合の基礎というものがしつかりしていなければならぬ。ところがこれは税法の問題でもそうでありますし、それから信用事業の問題でもそうでありますけれども、現在の消費組合の実態というものが必ずしもよく行つていないのであります。これはあるいはいたちごつこなので、金を返せるようにすればよくなると言われるかもしれません、あるいは税をまけてやればよくなると言われるかもしれませんけれども、実案はいろいろな組合があるわけであります。今度法律を出しましたのも、そういつた組合を是正して行きたいというのが一つのねらいでありますけれども、そういつたようなことをやはり見て行かないと、金融の問題等につきましても、現実の問題を解決して行く上に現在いろいろ難点があるわけであります。  なおこの機会に信用事業のことを申し上げたいのでありますが、この信用事業をやらしたらどうかというようなお話も実は最初あつたわけであります。大蔵省の方の考え方といたしましては、労働金庫ができるときに、労働金庫が生活協同組合の資金源になるように考慮しようというようなこともございまして、協力をしてくれたわけでございます。その資料にもございますように、労働金庫からも若干の金を借りているわけであります。もし信用事業をここでやれるようにいたすということになりますと、これは農業協同組合のように簡単には参りませんで、おそらく中小企業協同組合のようになつて来るのではないか、中小企業協同組合の方でありますと、信用事業というものをやりましても、これは大蔵省の所管になりまして、その信用事業だけは別のものになつて来るわけでございまして、片一方で供給事業をやる組合があつて、それが同時に信用事業をやるということは、おそらく許さないだろうと思います。そういたしますと、消費組合で金融事業をやるという名目はとれますが、実際は看板は同じであるけれども、仕事の実態は離れて来るということになつて参りますので、必ずしも今おつしやつたような点で御満足になるような結果に行かないのではないかという点も心配いたしております。何よりもまず協同組合というものをもう少ししつかりさせるということも、われわれとしては当面の目的じやないかというような考え方をいたしておるわけであります。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 労働金庫の道を開いたということは、私は非常に大きな進歩だつたと思います。ただ残念なことに、今日労働金庫はまだ出発したばかりでありまして、非常に力が弱い。従いましてこの方面から今ただちに金融の道を受けるということは、これは消費生活協同組合自体も非常に微力であるという点から申しましても、これは両方からの問題でありますけれども、今のところはほとんど見込みなしというわけであります。けれども労働金庫の方は、いずれにいたしましてもこれは将来非常に大きくなつて参りましようし、またこれはどうしても強力なものにしなければならぬというふうに思うのでありますが、その点につきましてはこちらの所管の問題ではないわけでありまして、大臣がおりますればその御方針を承るのでありますが、おりませんからその点につきましてはこれ以上申しません。そういたしますと、もう一つ残りました信用組合の関係でありますが、農村の協同組合におきましては信用組合を併設できる、しかし都市の協同組合ではそれができないという差別をしなければならぬという理由は、どこにあるのでありましよう。

今村譲厚生事務官(社会局生活課長)

○今村説明員 それは生協の現状が、非常に小さな規模のものが多い、たとえば出資金十万円以下というものが総体の五十数パーセント、六〇%近くというふうなかっこうになつております。そういう実体から見ましても、やはりその事業が非常に不安定になりかねない。従いまして信用事業というものは、もしやるならばそれ専門にして大蔵省の指揮監督下に置かせねばならないのだというふうなことは、われわれ大蔵省へ参りましてこの問題は過去何年かやつて来たのでありますけれども、中小企業ですらもそういうかっこうになつたのだから、生協はまだ早いんじやないか、当面はむしろ自分で信用事業をやるというふうなかっこうにせずに、労金の会員として出資金を出す、それからしかるべく金をまわしてもらう、それが職域なり地域なりの生協と労働組合との結びつきじやないかという意向が非常に強いのであります。理論的に申しますならば、やはり農協のように一本でやらしておいて、しかも経理基準なり財務基準なりというもので、たとえば安全なように、預貯金の一定金額しか事業にまわすことができないというふうなかっこうにすれば、筋が通るのでありますけれども、実際のところはまた農協と対々のそういう法体制になるまでには、大蔵省としては相当時間がかかるというふうにみているのじゃないかとわれわれ考えております。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 結局協同組合というものを将来の社会の重要な一つの組織としますならば、これはどこかで循環を断ち切つて、そこへ乗り出して行かなければならぬ。今日の生協の非常に微力であるということからいたしまして、金融の道は全然あつちからもこつちからもできないということになれば、これはいつまでたつてもわれわれが考えますような協同組合にはならぬわけであります。どこかでその循環を断ち切つて行かなければならぬ、そういうことになりますから、私は単に今日のものが小さいからといつて、今日ただいま伺いましたような、わずかに国民金融公庫から千六百万円というような資金の融通しかできないというようなことをどこかで断ち切つて行かなければならぬ。その指導の責任にあります当局といたしましては、それに対する方針がなければならぬ。どうもできぬできぬということで行つたんでは、いつまでたつてもできるわけがないのでありまして、断ち切つて行かなければならぬのであります。そこで一体どこで金融問題を解決して行こうとするのか、どこでこの循環を断ち切つて行こうとするのか、これを伺いたい。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田政府委員 先ほどからたびたび申し上げますように、現在の協同組合の実情から申しまして、まだそこまで行くには早過ぎはしないだろうかということなんでありまして、一体それでは何をするかというと、今度の改正案に盛つたような趣旨でやはりいい組合を育てて行く、育てるためには金がいるじやないかとおつしやいますけれども、しかし休止組合が非常にたくさんあつたり、あるいは名義だけあつてほんとうは小売商店にすぎないという実体がありますと、そういう話を進めて行くのに対しましても、あるいは消費生活協同組合にそういう仕事を現にやらせるといたしましても、おそらく大蔵省が聞かぬのじやないかという気がいたすのであります。そういう点につきましては、順次ひとつ改正の手を及ぼして行きたいというのが私どもの考えでございます。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 戦前は御承知のように、産業組合があつて、産業組合の中央金庫の方からこれを融通してもらうという手がありましたけれども、戦後そういう手がなくなつた。それで今回いましたような金融関係である。これではどうにもならぬ。貸付金が二千五百万円出ておるわけでありますが、これを将来伸ばして行こう、広げて行こうというようなお考えかあるかどうか。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田政府委員 これは私どもといたしましては、やはり多くの金が欲しいわけであります。二十八年度が二千五百万円、二十九年度が一割引かれまして二千二百五十万円でありますが、大体これを合せますと一億の金が運用できるわけであります。なお私どもは三十年度あるいは三十一年度におきましても、そういつた資金を要求して参りたいと思つております。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 つぶれかかつた農協に対しては、御承知のように、再建整備資金の法律がつくられて再建整備資金か出た。この生活協同組合の方には、これが全然ないという理由はどこにありますか。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田政府委員 別に理由ということはないのでございますけれども、しかし実体が、片方の農業協同組合の方は、これは長谷川先生御承知のように、やはり農業という生産の様式が大体きまつているわけです。農村といえば、大体八割くらいは農民でございまして、そういう人が協同組合のメンバーになつて活動いたしております。いろいろな点でやはり強力なんでございます。ところが都市の地域の消費組合というようなものは、出資金を五十円ぐらい出して、先ほど課長から言いましたように、十万円足らずの出資金でやつているような組合か多いのでございます。しかもお互いに同じ仕事で結ばれているわけでも何でもないのでございますから、その間の結びつきというようなものが非常に弱い。そういう経営の実体から、私は結果的にそういう差かできたんだろうと思うのであります。理論から申しましたならば、中小企業の方に系統の金融機関があり、それから農業協同組合の方に系統の金融機関かあるのでありますから、消費組合の方にあつてしかるべきものであります。しかし実情がそういつたことでございますので、その実情を、そういつた区別をされないようなところにだんだん近づけて行つて、そして今お話のような、系統金融機関ができるようなところに持つて行くというのが順序ではないか、こういうふうに考えるわけであります。

小島徹三改進党

○小島委員長 長谷川君に申し上げますが、大臣が参議院の都合がありますので、あとは次に留保していただきたいと思います。

小島徹三改進党

○小島委員長 この際、戦傷病者戦没者遺族等援護法に関し、政府といたしまして一部改正の決定をなされた旨承つておりますので、大臣よりこれに朝する説明を聴取したいと存じます。昔葉厚生大臣。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 かねがねいわゆる非公務死の軍人に関しまする処置につきまして、本委員会等におきましていろいろ御要望の次第もあり、かつまた御熱心に御心配をいただいておりました関係から、今回従来の戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正いたしましていわゆる非公務死軍人に対しまする弔慰の方法を決定いたしまして、近く法案として御審議をいただく手配と相なつた次第であります。従いまして長らく御配慮をいただいておりましたので、この機会にその内容を申し上げまして今後の御審議をお願い申し上げたいと存ずるのでございます。いわゆる旧恩給法の特例に関しまする件の、第一条に規定しておりまする軍人または準軍人、詳しく申しますとそういうことになりまするが、この軍人または準軍人が、昭和十六年十二月八日以降において、故意または重大な過失によらないで、戦争に関する勤務に関連して負傷をし、または疾病にかかり、その結果死亡いたしました場合、及びこれらの軍人が、昭和十二年七月七日から昭和十六年十二月七日までの間におきまして、故意または重大な過失によらないで、事変に関する勤務に関連して負傷し、または疾病にかかつて、そのため昭和十六年十二月八日以降に死亡し、または昭和二十年九月二日以降に死亡が判明いたしました場合、これらの場合におきまして、従来は非公務死といたして援護法による書類は却下をいたしておつたのであります。戦傷病者戦没者遺族等援護法の弔慰金も年金も却下に相なつておつたのであります。そこでこれらの人、いわゆる旧軍人に対しましては、遺族の心情、国民感情等、なおさきに申し上げました国会の皆さん方の御要望の次第もありまして、弔慰金を五万円支給いたすことに決定をいたした次第であります。そこで現在二月末日に、この戦傷病者戦没者遺族等援護法によつて受付けました件数が百九十五万八千六百五件と相なつておりまして、その中で決定をしてそれぞれ通報をいたしました分が百八十五万八千百六十七件でございます。却下いたしました分が二万七千二百五十二件でありまして、なお裁定を目下慎重に検討いたしております分が七万三千百八十六件でございます。その中には準軍人及び軍属を含んでおります。これらの中で軍人については、却下いたしました分が二万七千二百四十五件で、今裁定未済として検討いたしております分が六万五千五百一件でございます。これらの軍人関係の大多数は、今回の処置によりまして弔慰金を支給し得ることと存じております。従いましてこれらの方々に対しまして、従来その遺族並びに関係者にいろいろと御心配をかけ、また何らの処置を講ずることなしにいたしておつたのでありまするが、今回の処置によりまして、弔慰金をなるべくすみやかにその該当者の多くに支給することができることと相なるものと存じまして、平素の御要望並びに御心配の点を、この機会にその処置をいたしましたことを、御報告申し上げる次第であります。この法案の審議等についてよろしくお願い申し上げます。

小島徹三改進党

○小島委員長 本問題について発言の通告がありますので、これを許可いたします。中野四郎君。

中野四郎改進党

○中野委員 交付の名称は弔慰金という名称でやられるかどうかという点を明確にしておいていただきたい。  それからその交付の範囲は軍属に及ぶかどうかということを明らかにしていただきたいと思います。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 交付の名称は、従来の関係もありますので、弔慰金という名称で出したいと存じます。  なお範囲は、先ほど申し上げました平素の皆さんの御要望、御心配の点等から、なるべく従来該当しなかつた人たちに対しまして、広く該当するようにいたしたいという趣旨で設けたのでございますが、いろいろ実際上検討いたして参りますと、軍人につきましても一部これを検討しなければならぬ点があります。また軍属は、いわゆる文官の立場におきましては、従来の文官等の関係に影響しまして、これらの均衡等を考えねばならない点がたくさん出て参つたのであります。従つてそういう点から考えまして、軍人はほとんど大部分でございますが、官衙勤務の部員、いわゆる文官に匹敵しておつたような方で、非公務でなくなられた方、これはどうもいろいろな立場からちよつと困難ではないかと考えております。またそういう意味と同様な意味において、軍属関係においては、一般の文官という関連において困難であると存じております。その他の関係におきましては、ただいま申し上げたように、全般的にこれを支給するという考え方でざいます。

中野四郎改進党

○中野委員 遺族の心情または国民感情ということを言われましたが、むろん国家民族のために召集を受けてそのために病を得、それが原因となつて死亡した人でありますから、当然今回の弔慰金の五万円の支給範囲は、軍人軍属全般に及ぼすべきものだと私は考えておるのです。ただいまの草葉君の御説明では、文官で非公務の人に対して支給することは相当な支障があると言われますが、私はその数はきわめて少いものだと考えるのですが、現在今回の交付をされんとする範囲から除外される人の数はどのくらいあるのか、まず伺つておきたい。

田辺繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田辺政府委員 いわゆる雇用の軍属、文官も合せまして軍属で非公務でなくなられた方の数は、戦地に関しましても、内地に関しましても、そう多くないと思いますが、いろいろの均衡上議論がありましたが、その中で他の文官との均衡という点から、除外されておるのでございます。予算の金額の面から財政上の理由によつて除外したのではないのであります。

中野四郎改進党

○中野委員 その均衡上ぐあいが悪いという理由を明らかにしてもらいたい。今度の交付の目的は、先ほども申し上げたように、国家民族のために召集をされ、そのためになくなつた人なんであるから、この人々に対して広範囲に、しかも遺族の心情を十二分に考慮し、国民感情を考慮しての上と私は考えるのであるから、従つて当然この人々にまで及ぼすべきものだと考えるけれども、そのあなた方の交付のできない理由を、この際もう少し明確にしていただきたい。

田辺繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田辺政府委員 軍人の場合におきまして公務にあらずとして認定された原因、負傷その他によつて死亡いたしました場合におきまして、弔慰金を出すことにつ書しても、いろいろ論議があつたのでございますが、軍人の場合におきましては、身分、勤務の態様及び内容の特殊性ということからいたしまして、たとい公務にあらずとして却下になつた場合におきましても、これは何らかの処置を講ずることが必要である。これは軍人の場合におきましては大部分が召集によつて軍隊に入つた方々である。こういう方は身分上、すべての点において生活が極度に規制されておつた方々であります。そういう環境におきまして負傷しまたは疾病にかかつたという特殊性を考えまして、過去におきましてもこういう場合におきましては転免役賜金という制度がございまして、一時金が支給されておつたのでございます。こういう過去の制度とも考え合せまして、支給対象を軍人だけに限定したのでございますが、一般の雇用員その他になりますと、身分関係ではやはり本人の意志によつて入つた場合が多うございます。それから勤務の内容におきましても、軍人と違つた面が多かつたのではないか。一般の内地勤務におきます軍属その他一般の戦争犠牲者との均衡ということを考えまして、公務でない理由によつてなくなられた方につきましては、この際他との均衡上御遠慮願うような考えでおります。

中野四郎改進党

○中野委員 いずれこの一部改正が出ますれば、これは議論の相当重要な点になるだろうと思いますから、私はここであえてしつこくは申しませんけれども、先ほど軍属の大部分に交付されるとおつしやいましたね。軍人軍属の大部分で、ただ軍属のうちでも文官の、非公務の者だけは交付されない、こういう意味ですか、軍属全部に交付しないのですか。

田辺繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田辺政府委員 非公務の場合において支給されますのは、軍人及び準軍人だけでございます。

中野四郎改進党

○中野委員 この問題はいずれ一番大きく取扱われる問題だろうと思いますから、ここでは重ねて申しません。  そこで厚生大臣に伺いたいのですが、私は現在の未裁定が非常に多い原因がどこにあるかということを近ごろきわめておるのです。あなたもこの方の専門の人であつてよく御承知の通りに、数からいえばわずかな数しか残つていない。ところが審査をしておる過程へ行つてみますと、どうも厚生省の審査課の人員の配置とかその処理なんかに相当な欠陥があると私は思う。ある一つのところでは人が殺到しておつて、ある一つのところではまつたく閑散をきわめておるという実情である。私は自分の直観だから率直に申し上げるが、間違つておるかもしれません。私の感じた目には、三月からおよそ七月ごろまでにこれをやつてしまえば、あとはこの人たちは何かすつかり職がなくなつてしまうというような感じを持つておるのじやないかとまで感じられるほど、人員の配置というものが心配でたまらない。しかも未裁定の諸君の近ごろ一番心痛の種は、何といつても自分が国家のために召集をされて、そのことによつて病を得て、死んだのではあるけれども、たまたま法律のいわゆる足らざるところから、これから漏れておるということを中心にされておるのであつて、この人たちの気持というものは、私は非常に深刻なものだと思うのです。現在あなたの方でも非常に急いでおられることはわかるのですが、この未裁定は一体いつまでに裁定をするつもりか。その気持をまず伺いたいと同時に、もう少し裁定の範囲を考慮に入れて、遺族の人々の安心のできるような方法をすみやかにとつてやる道はないのか。厚生省の援護庁の方々は非常に一生懸命にやつておられるようですが、前の山縣君にしましても相当熱心にやつたのです。今度の草葉君は、何といつてもこの方の専門家なんだがら、第一番にこのことを片づけなければならぬ。その促進の方法、決意等をひとつこの際伺つておきたい。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 ごもつともな御質問と思います。先ほど申し上げましたように、軍人に関しましてはなお未裁定が六万五千五百一名、その他軍属並びに準軍人を入れまして七千六百八十五、合計しますと七万三千百八十六で、これらがなお未裁定に相なつておりますことはまことに恐縮に存じております。そこであらゆる方法でもつてこれが促進をいたしておりますが、その中で第一に仰せになりました援護庁の機構の問題等は、実はちやんとそれぞれ手を打つて、今度は援護局になりまして、ずつと引続いてこれができ上りますまでは当分続けることにいたしておりますから、おそらくその不安はないと存じます。これはよく徹底するようにいたしておりますから、この点では不安かなしに仕事は順調に進んでおると思います。ただその原因をいろいろ調べて参りますと、戦地なり、外地なり、内地なり、あるいは死因に関します問題なり、またその遺族の受給権者の範囲に関する問題というふうに種々わかれておりまして、御承知のように、部隊が全滅をいたしましたり、あるいは現地召集による部隊等の関係で、まことに資料入手が困難な状態であります。そういう関係で何とか少しでも——俗な言葉で申しますと、ひつかかりがあつてそしてそれが公務死になるような材料がありますと、さような取扱いを敏速にいたして参りたいと存じておる次第でございますから、それぞれ遺族等のあります関係におきましては、府県を通じ、直接に連絡等をいたしておりますが、かような未裁定の方々に対しましては、そういう意味で何か手がかりがありましたらその資料をひとつお出しいただいて、なるべく早く解決いたしたいと存じております。ただ願わくばその解決は、却下してしまいますならば簡単でございますが、そうではなしになるべく望まれるような解決に持つて行きたいというので、実は資料をあせつておるような次第であります。もしや少しでもそういうふうな資料がありますならば、御関係方面には御連絡をいただくとけつこうであります。

中野四郎改進党

○中野委員 その却下のことなんですが、却下に対して、一ぺん却下してしまうと市町村役場なんかではもうだめだという観念を持つらしいのです。異議の申請をしようと思つても、町村役場に行くと受付で、あんた、もう厚生省でだめだというからおやめなさいという言葉を間々使うのです。これはよく下に徹底していないうらみが多分にあると思う。これは私らがしみじみ感じることだが、年限等の問題は県庁限りで、県からすぐに厚生省の方にまわつて審議会にかけられればいいことなんですが、なかなかそうは行かない。あの異議の申立ての内容を見ますと、やはり市町村役場を通じてというふうに書いてあるのだが、そういうことはひとつ市町村役場にも徹底してもらわなければ困ると思うのです。何らかの通知を出して、そうして異議のある——これはいろいろなりくつを言いますけれども、国家、民族のために召集されて、それがもとで死んで、それでぜにをくれない、めんどうを見てくれない。このくらい大きな異議の申立てはないのです。あとはこまごまよけいなものをつけただけで、つけたりなんだ。根本の一番大きな異議はそこにあるのだから、ひとつ親切に取扱つてもらいたいと思うことと、却下に対してこの異議の申請をできるだけ慫慂してさらに検討を加え、審議会でこれをばできるだけ取上げるように至急手配をしていただきたいと思うのであります。  そこでもう一つこの却下について伺いたいのですが、どうしてでしようか慫慂、却下をされる人のうちに海軍関係の人がめちやくちやに多いのです。これは呉の、何というのですか、あそこへ送るのですが、これは手数がたいへんやつかいで、送りましていろいろ資料を持つて行つてお願いをしましても、海軍関係はみごとに却下して来るのです。私らの手元に約四、五百通頼まれたものがあります。その中でこれはどうとかなるものだと思つて、二百通ぐらいのものをばそれぞれの資料をつけて、そうして相談室というのですかに行つて話もするのですけれども、特にその中で海軍関係の却下が多いのはどういうわけなのか、伺います。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 却下されましたものの率は、少しこまかくなりますが、内訳を申し上げますと、二月二十七日現在の数字でありますが、戦地関係で千三百六十八、外地が千六百四十四、内地が一万六千五百五十三、合計しまして一万九千五百六十五、これが死因に関します問題で却下した分であります。それから本人の身分に関します点では四百四十二、親族関係に関するものでは四千三百六十六、その他が二千八百六十二、合計しまして二万七千二百三十五であります。さつき申し上げました数字よりもこれは十人少くなつております。そこでこの内容から大体御推察いただくことができると存じますが、査定におきまして、あるいは身分関係、あるいは勤務地関係等において再調査をし、あるいはさらに再申請をして検討をするという余地のある場合があると存じます。そこで現在までに相当出て参りました中で、慎重に検討いたしまして、復活いたした件数も相当ございます。

中野四郎改進党

○中野委員 どのくらいありますか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 今手元に資料を持つておりませんから、後刻政府委員から御報告申し上げます。これらの点につきましては、お話のように、慎重にいたしたいと存じております。  なお海軍関係で特にさようなことはないと存じまするが、ただいまのお話等もありますから、今後十分連絡をいたしてみたいと思います。

中野四郎改進党

○中野委員 私は事実に立脚してお話をしておるのですから、後ほど援護庁の田辺君からでもお話を聞けばけつこうです。  それでもう一つこの機会に伺つておきたいのですが、たびたび立つのはめんどうくさいから、二つ一緒にお伺いいたします。  遺族のない場合がありますれ。たとえば子供はあり、女房はあつたのだが、夫が戦死後において女房は他家に縁づくとか、子供は死ぬとか、あるいは女房は死ぬとか、親はないとか、いわゆる恩給法、援護法のこれを支給去れ得べき人がない、しかし実際はこの人が出征をするまでは一切の生活のめんどうを見るとか、ないしはこの方たちがなくなつた後におけるところのまつり、ごとを一切引受けるというような場合が相当あるのです。これが今度の弔慰金の範囲の中に入つて、これに対して交付するのかどうか。つまりまつりごとをしている人にやるかやらぬか。というのは、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案が予備審査されてこつちに参つておりますが、この改正の中には、遺骨の引取り経費として、遺族がない場合においても、葬祭を行つた者があればその者に支給することができるというように書いてあるが、決してこじつけるわけではないけれども、弔慰金の性質から行けば、当然そういうような人々にまで支給することが正しいと思うのですが、これに対してはどういうふうな考えを持つておられるか。  それからもう一つは、今まで恩給法の改正によつてもなかなか手元へ金が下らない。あなたの方では非常に急いでおるかもしれぬが、現段階においては、実際本人の手元には入つておりません。ぼつぼつ来るようですが、まだまだ大部分の人に入つておりません。従つてこの一部改正が通つたなれば——−まあ本国会中に通ることはきまつたことなんですが、一体何月ごろまでにこの国債を交付することができるか。数からいえばわずか七万五千か八万くらいのものなんだから、あなた方の手をもつてすれば何でもないことなんです。しかも早い機会にこれを交付してやるようにしたいと考えますから、この見通しも伺つておきたいと思う。この二つをお答え願いたい。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 前の問題は私からお答えを申し上げたいと存じます。弔慰金の支給範囲でございますが、これは従来の弔慰金の支給範囲と同一でございます。従つて兄弟までということに相なるわけでございます。ただいまお話のありました遺骨等が引揚げられた場合に支給しまする葬祭料は、実際に葬祭をする人にいたしたわけでございますが、この弔慰金をそれと同じようにいたしますことは、この前の弔慰金の支給との関係もあり、また当時御審議をいただいた戦傷病者戦没者遺族等援護法のあの御意見等によつて——あれは皆さんから御修正をいただいてああいうふうになつたのでありまするが、従いましてその点をはずして実際やつて行くということになりますと、この関係はたいへんで、むしろいろいろ困難を来す場合があります。御遺骨の場合には、その遺骨そのものを受取つていたしますからけつこうで、ございますが、今回の場合にはそうじゃなしに、遺骨を私もまつつている、私もまつつているという人たちが相当あり、現在においても一人に何人もあるという場合があり得るわけであります。またあるわけであります。むしろこの前皆さんの方で御修正になつたあの範囲でいたす方が適当であるというので、今回も従来の範囲にとどめている次第でございます。  第二の問題は次長からお答えいたします。

田辺繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田辺政府委員 今回拡張になりました弔慰金の支給につきましては、できるだけ手続を簡素化をいたしてやりたいと思つております。却下した件数及び現在未裁定になつております件につきましては、書類が手元にございますので、そうお手数をかけずに裁定できるものと思つております。まだこまかい手続の点はきめておりませんが、できるだけ簡素化いたしまして、早く裁定をするように努力したいと思つております。

中野四郎改進党

○中野委員 これは法案が出てから大いに議論をしましよう。ただ田辺君の関係の問題ですが、できるだけすみやかに、というのは、政府の常用語でありまして、一向すみやかでないのが常識なのであります。しかしこれは早くしていただきたいという要望だけにとどめておきます。  先ほど草葉厚生大臣の話で一点納得できぬことがあるのです。われわれは場合によれば相当考慮の上に立つて修正しなければならぬと思うのです。というのは、遺骨をあそこでもまつつている、ここでもまつつているという言葉は、これはあなたの方ではそうとられるかもしれないが、実際問題としては、わずか八万やそこらの数なんで、市町村役場に綿密に調査させればはつきりわかる。もう自分の家族の一員が死んで、ただ恩給法、援護法の対象とならぬというだけであつて実際上においては、そのあとのことを一切合財やつているという家族は相当数あるのです。ところが、戦死をしながらもそれが却下されている原因は、今申し上げましたようなことから支給される人間が除外されているからであります。実際上こういう弔慰金というものの一番最初のねらいは、遺族の気持とか心情とか、あるいは国民感情を勘案してというなれば、広く、そして徹底してこれを交付するということでなければならぬ。それを途中で、文官の非公務の者にはやらないとか、あるいは遺族の方々の中でも、実際上において自分の家族の一員として戦死をし、あるいは戦病死をしているにもかかわらず、たまたま法律で定めている受け得べき対象の者がないから、従つて除外されているというようなことは、今回の弔慰金の場合においては、私は相当考慮をしてもいいと思う。従つて場合によれば法律はどんなにでも修正はできるのだから、実情に即して修正する必要がある。市町村役場で徹底的に厳密に調べれば、こんなことは一目瞭然わかると思うのです。それは中に十や二十はそういうふうな場合も起るかもしれないが、その少数の場合を考慮に入れて、大多数の人たちをば抹殺するということは納得できないので、この点はひとつ新厚生大臣として草葉君の腕の振いどころなんだから、大いに考えていただきたいと思う。これ以上私はお尋ねはいたしませんが、どうかその気持で今度の一部改正をされる場合には御配意を願いたいということを希望しておきます。

小島徹三改進党

○小島委員長 山下春江君。

山下春江改進党

○山下(春)委員 この前の恩給法の改正のときに非常に強く要望いたしておきました点で、今度の拡大されたものとどういう関連をもつて御処置を願つたかということをちよつと聞きたいのでございますが、それは船員の場合C船員以外の船員、と申しましても、これは非常にやむを得ざる事情、すなわち船舶運営会に登録をするいとまなく、たとえば現地で拿捕された船をただちに軍用に転用したような場合、船員はこちらから別な便で送りまして、それに乗せて、まつたく戦争状態と同じような状態の、いわゆる戦時的な業務に服されたことによつてなくなつたりあるいは大けがをした者があるのであります。それは大体数は百名そこそこだと思うのでありますが、それが恩給法のときどうしても取上げられないでそのまま残つております。  それからもう一つは、大東亜戦争が苛烈になりますちよつと前に上海方面で——これは援護庁の田島事務官がおられればその事情をよく御存じだと思いますが、上海方面で使われました、これは軍属でしようが、そういうものが全部一切今日まで国の援護を受けておりません。今度の場合それをどういうふうにお扱いいただけましたか、ちよつとお知らせを願います。

田辺繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田辺政府委員 今度の改正案で考えております点は、一つはいわゆる非公務死亡者に対する弔慰金の支給でございます。もう一点は傷害年金の支給範囲の拡大であります。恩給法によつてもらう傷害の程度が国会修正によつて拡張いたしましたのに対応いたしまして、援護法におきましても傷害年金等の支給範囲を拡大する措置を講じております。今御質問になりました船員の問題につきましては、はつきり記憶いたしておりませんが、C船員として取上げ得る人はできるだけC船員として取上げて行くということで、運輸省とも話合いをいたしておりますが、御指摘になりました点がその後どういうこうになつておりますか、よく調査してみたいと思います。

山下春江改進党

○山下(春)委員 法案がまとまります前にそれをひとつ御調査を願います。きよう田島事務官のおいでがありましたならは、多分その間の事情をよく御承知だと思いますので、これはぜひ御調査を願います。恩給法の一部改正のときにはこれは非常に強く要望したのでありますが、遂にその範疇に入れていただけなくて残つております。それから上海、中支のあの辺の海域で働きました者も全部漏れております。これは非常に苛烈なる十七年ちよつと前くらいのものでございます。それが全部そのままになつておりますので、ぜひ御調査を願つて救済の方法をお講じいただきたいと思います。  今中野委員からいろいろな観点からお尋ねになりましたが、私ちよつと遅刻いたしまして聞き漏らしておりますが却下になりましたものが異議の申請をしなくても、厚生省の方で自主的にこれを再調査するというような方法をとつておいでになるかどうか、その辺はどうなつておりますか。

田辺繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田辺政府委員 すでに百八十数万の裁定をいたしておりますが、非常に急いでやつた関係もありまして、中には今日から見ますれば当然可とすべきものも含まれているということは考え得るのでございます。現に不服の申立てが参りまして審査した結果可決になつているものもございます。現在私の記憶しているところでは、死因関係で四十九件決定がございまして、そのうちたしか三十件くらいが却下で、可となつたのが十九件くらいであります。これはもつとも非常にデリケートなケースを特にあげてやつた関係もあろうかと思いますが、これは過去において裁定した中で死因が当然公務と認めてさしつかえなかつたものが誤つて却下にされたという事例でございまするので、そういうものもあろうと思います。私どもも時間が許す限り過去に裁定になつたものをもう一ぺん見直しまして、すでに審査会等でこういう事例は当然公務だと決定になつたと同じ例のものは、その申立てを待たずして取消して参るという考えを持つておりますし、私らの現に目につき耳に入つた中でも、再調査の結果申請がなくても修正した事例がございますので、これはできるだけそういうふうに努めたいと思いますが、まだ未裁定のものもございますので、全部一挙にやるわけには参りませんが、できるだけそういう気持で逐次やつて行きたいと思つております。

山下春江改進党

○山下(春)委員 今のお答えの中に、もう一ぺん審査を改めてみたいというお言葉がありましたので、それを拡大して考えて、再審査を一ぺん全部にわたつてやつてみるというふうなお考えがあると了承していいと思います。この問題は非常にやかましく言われている問題でございますが、これはやかましく言う方が無理ではなくて言う権利があると思うのであります。そこで一応却下になりましたものも、いなかの非常に年とつた者とかなんとかはなかなか不服の申立てを実際上やれないと思いますので、それはどうか国の責任において再調査を一ぺんやつていただきたいと思います。私一つ簡単に例を申し上げておきます。二回にわたつて七年間戦地におりました。そしてその人の未亡人は今六人の子供を抱えております。その未亡人もあんまりりこうな女でないために非常に生活に困つております。その夫は二回で七年出たのですが、その死因がメチール中毒死になつているため却下になつております。ところがあの苛烈な戦争の最中に死んだのに、メチール中毒死という審査をどういう軍医がどういう立場でやつたか、私が考えても何とも判定がつかないのでありまして、却下になりましたから、厚生省へ文句を言いに行く前に一応県の方を調べてみましたら、県の方の台帳に確かにそう書いてある。それでその軍医はだれか調べてみたかと言うと、その軍医もなくなつてわからないと言う。ところがその家庭はどうかと申しますと、軍隊に出ている間も非常に困窮家庭として、たしか毎月二円五十銭か何か——生活保護法というのはあのときはないのですが、救済している金が二円五十銭か何かありました。当時から貧困家庭でありましたのが、貧困家庭のまま今日六人の子供を抱えているのでありますが、それがメチール中毒死ということになつて却下になつて来ております。現実に戦地におりましたのが七年、こういうことから見てどうしても私はこれをあきらめろという勇気がないものでございますから、多少この審査にお厳し過ぎた点も過去にあつたかと思いますので、その死因は多分はずれる死因かもしれません。しかしながらどうも戦地でメチール中毒死という、もしメチールを飲ませるようだつたらそれはその軍隊が不都合でありまして、メチールなど飲ませないでちやんとした酒を飲ませればいいのであつて、そんな待遇をしたことはたいへんけしからぬ話だと思います。そういう点から一応却下処分をなさいましたものに対して今日ならまだ手もあることでありますから、厚生省の方で自主的に再調査をぜひともひとつ御実行いただきたい。あれこれ例がたくさんございますけれども、そんなことを申し上げなくても、たいてい御調査の当時おわかりだと思いますので、不服の申立てのない者でも、腹では全部不服なんだというこの上にお立ちいただいて、再調査をもう一度ぜひ御実施を願いたいということを私強く強く要望しておきたいと思います。     —————————————

小島徹三改進党

○小島委員長 次に放射能の害による食品衛生等の問題に関して、柳田委員より発言を求められておりますので、これを許可いたします。柳田秀一君。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 ビキニ環礁で原子実験がりました際に、たまたま公海に出漁中の漁船が、その原子被害をこうむつて帰つた事件があります。この問題は、国際法上も、あるいは原子力管理の問題、あるいは原子兵器禁止の問題、あるいはその後国家補償の問題等、幾多の問題もありまして、外務委員会あるいは予算委員会、水産委員会で問題になつておりますが、私は衛生立法上、あるいは衛生行政上、あるいは原子医学上、あるいは患者の対策上、非常に重要な問題と思いますので、大臣にお尋ねしてみたいと思うのであります。ことに世界中ただ一つ原子力の被害をこうむつた日本人として、第一号、第二号、さらに今回の第三号の原子被害をこうりまして、世界の人類二十億の中で、特に原子力による惨禍に対しては最も発言する権利もあり、また最も敏感であるわが国民としては、今回の事件はまざまざと広島、長崎を思い返したであろうと思うのであります。  そこで、特に厚生行政だけについて申すのですが、十四日の日に船が帰つて来て、原子放射能を持つておるところの元素を包含したその魚が、東京の築地の市場に参りましたのは十六日でありました。東京は比較的早く手を打たれておりますが、新聞報道によりますと、東海、北陸あるいは近畿等の二十数都市にも市販されております。大阪等においては、ガイガー・カウンターに放射能が検出されておるのでありますが、そういう点で、今回のこういうことは従来になかつたことでありますから、これをもつて必ずしも衛生当局の手落ちだとか、そういうことを責めるのではありませんが、十四日に入つたものが十六日の午前築地に来ておるのであるが、それに対する手の打ち方が、厚生当局においても多少おそかつたのではなかろうか。とするならば、どういう点にそういうような結果が出て来たのか、その点に対して大臣にもお尋ねしたいのですが、大臣としてこの問題の御報告を最初にお受取りになつたのはいつでありますか。まずそれから承りたい。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 ビキニ原爆実験に関しまして、漁船の乗組員に原爆症が現われた、またこれに積んで参りました魚の処理につきましての問題は、最近最も大きいシヨツクを与えております問題であります。そこで実は昨朝その荷が東京に参りまして、お話の十四日に船が入つたようでございますが、その間の事情は昨朝現地に関係者を派遣いたしておりまして、その状態を調べておりますが、私の方へ参りました報告につきまして、大体今までいたしましたことを一応ここで御報告申し上げておきたいと存じます。  焼津の港に船が着きまして、現在までわかつておりますのでは、乗組員が二十三名であつたように存じます。そのうち二十二名は焼津隔離病舎に隔離いたしまして全員の検査を行つて、その後の経過状態を現在観察中であります。一名は重傷のために東大病院に運んで、今入院中でございます。被服類からも放射能が検出されましたので、全部とりまとめまして、これをそれぞれ格納いたしておるのであります。またただいま申し上げましたように、昨朝ただちに係官を派遣いたしまして、広島の方面あるいは東大の方面からも参りまして、目下現地の調査をいたしております。追つて報告が参ることと存じております。そこで東京の方におきましては、昨朝早朝魚市場の方に着いて、その方から東京都にとりあえずこの魚の処置について打合せがあり、昨朝午前九時ごろ東京都から厚生省の方に連絡がありまして、従いまして食品衛生上の立場からこれを十分注意して処置をする方法をとつたのであります。そういう次第でありまして、これが処置につきましては、科学研究所の山崎博士の意見を求めまして、結論的には、魚の実体について放射物質の含有の有無を検査して、その結果食用に適するかいなかを判定することが必要であるというお話でありましたから、昨朝午前十時、ごろ東京都におきまして、原爆に遭遇いたしました市場入荷の魚の処置について、それぞれ関係者を招致いたしまして本省からもそれぞれ関係者が出まして緊急協議をいたし、実物の検査の結果、私の方に参つております報告によりますと、ガイガー測定機を使用した結果、三〇センチメートルの中に七・五ミリメートルのレントゲン量の成績が出て来た。従つて食用に不適当であると決定した。こういう決定をいたしまして、一部研究材料を収集しました以外は、全部箱詰のまま地下二メートルのところに埋却処分をいたしたのでございます。そうして東京都に参りました分は、全部市場に出すことなく、昨日の午後三時に完全にこれを食いとめることができたのであります。焼津の水揚場におきまして引揚げました数量が二千二百九十貫くらいで、二百四、五十貫を残したあとは全部それぞれ発送いたしたようでございまして、十三府県に出したようでございます。確実にあとで詳細に部長の方から御報告申し上げることにいたします。それぞれの関係方面には全部手配をいたしまして、調べました結果、行先と魚の量と種類とがわかりましたから、食いとめるものはただちに食いとめたのでありますが、一部市販に流れておる心配のものもありますから、後刻その場所等はここで発表いたしておきたいと思います。こういう状態で、食品については措置をとつております。  また一方乗組員について現在調べておりますが、遭難をいたしました船は福龍丸であつたと存じます。九九・九トンで、乗組員の大部分は船員保険の被保険者になつておると存じます。調べますると、四十八名が船員保険加盟者でありますが、今度乗つて行つた人は二十三名であつたという報告であります。船であるので乗船するときと下船するときとある関係で、福龍丸の船員保険加盟者は四十八名であるけれども、今回出て行つた人は二十三名であつたというので、これらの詳細につきましては、現地に行つておりますから、後刻報告があると思います。ですから二十三名のほとんどが船員保険に加盟しておるのではないかと思います。一時の臨時雇い等で行かれた場合は別でありますが、そうでないと、船員保険法によりましてこれらの医療、家族等の手当は一切いたす予定をいたしております。従いまして医療の給付——これはなおりますまでに三年以上かかりますと三年で打切ることになつておりますが、その期間内であればなおるまで治療を続けて参る。その他、これは仕事中に起つたことと認定されますので、傷病手当として医療を続けながら四箇月間は現在の俸給を本人に渡すことができることに相なつております。その他今後の治療の状態によつて、それぞれ船員保険法によつて相当処置ができることにいたしております。魚肉の問題につきましては、それぞれ発送いたしました先、それが市販に行つたと思われるところについては、部長からお答えいたします。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 私のお尋ねしたのは、この問題を検疫法にあるところの伝染病と対比するのはおかしいのでありますが、原子病というのは、御承知のように広島の原爆でも、原爆を受けてから数年間何ら異状がなくて数年たつてから初めて症状が現われて来るものもあるわけです。検疫法によるコレラにしてもペストにしても、潜伏期間が限られていて、それが過ぎればもう発病しないということは百パーセント確実なんです。ところが原子病については、その潜伏期が数年にわたる。さらに魚を食つた者はその魚で骨髄まで冒される。それが数年かかる。従つて数年間というものは不安のうちに過さなければならない。そこでそういうような立場に立たれた方には、今後数年間あるいは数十年間大きな不安を与える。こういうような見地からも、今回の問題で、あるいはこの放射能を含んだ魚を食べられた方は、おそらく戦々きようきようとして今後十年ないし数十年の人生を送らなければならぬ。そういうような問題から非常に大きなシヨツクを与えておる。十四日に第五福龍丸が入つて来て焼津の病院で午前十時には大井という医師の診断を受けておる。十四日の十時に診断を受けて大体その報告がわかつておるにもかかわらず、十六日の午前二時に築地にそのものが来て、それからあわてたというようなことは、その間に——従来原子力に関しては法制的の立法措置というものができておりませんから無理からぬこととは思いますが、静岡県の衛生部で最初の患者を見られた大井氏からいつ報告を聞かれて、そうして静岡県当局はそれをいつ厚生省に報告されたか、同時に静岡県当局は、いつ焼津に出張されて現地のそういうような第一線の対策に当られたか、そういうような時間的の問題、これは大臣ではちよつとおわかりにならないでしようから、ひとつ政府委員からお伺いしたいと思います。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 お答え申し上げます。十四日の午前十時ごろ船が焼津についたわけでありますが、そのとき乗組員の中でかなりの人たちが異常を呈しておりましたので、そこで一部の者が午後共立病院に参りまして診察を受けたわけでありますが、共立病院におきましてはどうもはつきりした診断がつかずに時間を過したわけであります。ところがそのときにこれを担当いたしました医師に間接に聞いてみますと、どうも何かそんなところに原因があるのじやなかろうかということもちらつと考えたそうでありますが、何分にも原因毎がはつきりわかつておらなかつたためにそのまま過しまして、十五日の朝になりまして、どうしても自分としてはふに落ちないということで、ただちに東大にその中の最も重い患者を送りまして、そこで初めて科学的な検査をした結果、これが放射能によるものであるということが決定いたしたわけであります。従いまして、この点で約一日近いむだな時間を遷延いたしたことにつきましては、最初のまつたく予期しなかつたこととは言え、私どもも常時の地方指導に欠ける点があつたことは何とも申訳なく思つておる次第でございます。しかしながら十五日以後におきましては、これが表面から決定をいたしましたからには、ただちにそれぞれ適切なる措置をとりまして遺憾なきを期した次第でございますが、なお県の衛生部といたしましては、これまた当初医者からの申出がなかつたために、結局東大ではつきりするころようやく県も知つたような次第でございまして、そのために、県の手配もかなり遅れまして、やはり十五日以後に初めて県が処置をとつた次第でありまして、この県の処置もまた厚生省と同様約一日を経過いたした次第であります。これらはいずれも最初のことでありまして、どうも何とも申訳ない次第でございます。この点は厚く遺憾の意を表したいと存じます。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 これは実際に今までこういう例がございませんので、責める方も無理でそれはよくわかつておるのでありますが、県の衛生部が焼津に行かれたのが十六日午後一時というふうに新聞にも報道されておりますが、どうも少しく最初の行動が県の衛生部としても不活発ではなかつたかと思つておるのです。小林都公衆衛生部長さんも「こんな危険なものが市場に持込まれる以前に入荷をとめられなかつたことは大きい問題で、都民を騒がせ、まことに申訳ない。」というようなことを、これは読売新聞に書いておるのですが、この点では少しく県の当局の臨機応変の処置が足りなかつたのではなかろうかというふうな気がいたします。  またここで問題になりますのは、こういう件について準拠される法律としては、食品衛生法あるいは検疫法等があろうかと思うのですが、そのほかに何かございますか。その措置はともかく、法律としてはどんなものですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 法律的に処置できますものは、今回の場合を考えますと、これによつて有毒化した魚等を食品衛生法によつて廃棄処分に付することでございます。そのほかには処分としては特定なものはございません。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 そうしますと、このたびの乗組員二十一名は、足どめして十六日焼津の市立病院隔離病舎に収容された、これは朝日新聞が書いております。それから船舶は焼却するよりしかたがなかろうというようなことも同新聞に出ておるのでありまするが、これらに対するこういうような強制——隔離病舎に収容するとか、船舶を焼却するというようなこの準拠法令は、何でありますか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 これらはすべて法的根拠をもつて強制するものではございません。たとえば船体の処理の問題についても、これらはきわめて危険なものでありますので、話合いの上これを処分する。あるいは現在の法規の範囲におきましては、これらの被害者を一箇所に入院させるというような根拠は何らないのでありますが、現在は、この点についてはたまたま各船員の同意を得まして、経過をまとめて観察し、なおこれらの予後の安全を期する意味で、入院とせずに、合宿のような意味でお願いをいたした次第であります。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 そこで大臣にお尋ねいたしますが、幸い今回は放射能を持つた灰をその船が持つて帰つたのですが、こういうような灰が台風とかそういう大きな風にでも乗つて内地に来るというようなことも考えられるのではないか。われわれから言うならば、こういう原子兵器をつくることすら禁止したらいい、平和的な原子力は国際管理にしたらいいのだが、今のアメリカでは、なおこれの十倍、百倍もするような、さらにさらに大きい、人類が人類を破滅に陥れるようなこういうような研究を今後さらに続けて参るでありましよう。しかも公海において無期限に一定の場所を占拠して、そこで実験をするというようなことは、おそらく前代未聞で、ここにも大きな問題がありますが、そういうようなことは、どうせアメリカのことでありますから、今後も強行されるだろう。そうなつて来ると、どうしても日本の地勢上、あるいは船は持つて来なくても、天候が持つて来るというようなことも、全然荒唐無稽で想像できぬということではないと考えられる。あるいはまたこういうような第二の事例が起らぬとも言えないというような場合でありますから、こういう危険な、しかも潜伏期間が数年にもかかり、しかもかりに出たなら、非常に治療の困難なこういう問題に対しては、早急というわけには参りませんが、少くとも検疫法そのものを何とか改める必要があるのではないか。松疫法は、御承知のように、国内に航空機もしくは船舶によつて伝染病を持つて来る、そういう場合のそれに対する処置、あるいはその航空機とか船舶の処置を規定しておるのでありますが、この検疫法自身にしても、航空機の発達以前には、開港検疫で、船で海の港から入る場合のみ考えられておつた。ところが航空機の発達で、開港という字を削つて、検疫法になつたのだが、原子力時代になると、伝染病というような範疇以外に、こういう放射能によるところの危険なものも当然検疫法に織り込んで考えなければならぬのじやなかろうかというふうにも考えられるのでありまするが、これに対して大臣はどういうようなお考えでありますか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 御意見ごもつともと私ども考えます。従いまして検疫法等についても今後検討の余地があると思います。今までかような事例は想像もいたしませんし、あつたこともございません。従つて万事驚いたままの状態で過しておるのであります。法律的にも今後たいへん参考になつたと存じますから、御意見等十分尊重して参りたいと思います。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 検疫法のみならず食品衛生法等についても同様なことが言えるのではないかと思います。  そこでこれの治療の問題でありますが、今回の被零者を治療する場合に、いかなる放射性元素がこれに作用しているかということを解明するのでなければ、その治療の根本方針は立たぬと思う。それでいかなる放射性元素が作用しているかいうことを解明して行くと、アメリカがいかなる稀元素を使い、いかなる放射性元素を使つていわゆる原子爆弾を製造しているかという秘密が暴露する。MSAのちやちな武器をもらつても秘密保護法をこしらえなければならぬというのでありますから、これが医学的治療でも、アメリカはおそらく何らかの制肘を加えて来るのではないかということをおそれるのであります。そういうことになつたら、治療はできない。これに対してわれわれはあくまでも人道的立場に立つて、どういうような放射性元素が作用して、人体にいかなる支障を与えた、従つてこういう治療をするということは、日本としては毅然たる態度で臨んで行かなければならぬ。仮定の問題には答えられぬとおつしやるかもしれませんが、こういうことは当然予想されるのでありますから、大臣としては、こういう治療にあたつて、あくまで科学者を信頼して、放射性元素を解明するなり、本人の罪に帰することのできないこういうことについては、、万遺憾なきを期して行かれる決意があるかどうか、お伺いしたい。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 この点は治療の医学的な立場から十分科学的に検討いたしまして、治療の万全を期して参りたいと存じます。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 私がお尋ねしておるのは、これを治療して行く場合には、どういうような放射性元素がこれに作用しているかということを医学的に解明しなければ、治療ができない。そういう場合に、アメリカの方から、今実験中だから、そういうことを解明するのは差控えてほしいというような要請があつた場合、どうされますかということを聞いている。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 これは広島の場合でもそうでございますが、関係者と連絡いたしまして、治療に十分の方法を講じて参りたいと思います。従いまして御質問にございましたような心持をよくくみまして進んで参りたいと思います。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 そこで患者の治療でございますが、この治療に関しては、船員保険に入つているんだから、それで行けるということでありますが、この原子放射能によるところの病気は当然慢性化するのでありまして、ことに骨髄等を冒しましたら、一生の病気になります。これを船員保険というような限定された治療期間において、限定された費用においては、とうてい十分な治療はできないと思う。これは特別な例であつて、これを船員保険でまかなうということでは、患者は、今大臣の言われたような万全を期した治療はとうていできません。従つてこういうような特別な例は、これは当然アメリカならアメリカにでも治療費の補償を要求するなりして最後までこの治療の完璧を期せられる御決意があるか、これをひとつ承つておきたい。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 私はさつきは不確定で申し上げておつたのでありますが、ただいま連絡がございました。二十三名全員船員保険に加入をいたしておるということがただいま連絡がございました。そこで船員保険の医療給付だけでは不十分な場合があるということもあるいは予想されるかもしれませんか、とりあえずはこれによりまして処置を講じて参りたいと存じます。今後の処置につきましてはこれはいろいろな方、面に関係いたしますので、よく検討して参りたいと思います。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 このたび帰つて来ましたうちで、特に重症の方は、幸い生命はとりとめるかもしれないということになつておりますけれども、これは船員保険の限られた治療期間では根治しないことは今からわかつておる。すでに広島の実例でわれわれは知つているわけだ。従つて船員保険では治療できないことは確定と申してもよろしいのですが、この確定の上に立つて、大臣はどういうふうな方法でやるのですか、お伺いしたい。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 私ども実はまだ船員保険関係の方で相当程度まで行けると存じております。ただいわゆる放射能に対する医学的な治療方法が確立されておらない現状だと存じます。広島の研究をいたしておりまする現状から考えましても、これに最も即応した医学的な治療方法がどういうふうにしてなされるかというのがむしろ今後の研究課題になつておると存じます。そういうのでこれらの治療に新しい治療方法が、ただいま柳田さんのおつしやるように特別の処置を講じ、特別な方法が必要になつて来るかもしれません。これらの点につきましては今後の医学的な処置をよくそれぞれの担当の方々と研究いたしまして、船員保険法でやれ状態になつたときの十分な方法を検討して参りたい。ただいまのところでは相当程度までは船員保険法で行けるのではないかと考えておりますが、しかし今申し上げましたようにこの放射能に対しまする医学的治療というものが新規の分野でございますから、ここで確言はできないと存じます。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 私の質問はそうではないのです。放射能に対する医学的な治療が確定されておらないことは事実です。しかし確立されたとしても、これは仮定なんです。この仮定が既定になつて確立されても、船員保険の期間では根治できないということは、これは確定なんです。放射能に対する治療方法が確立されるかされないかということは別問題として、確立されたとしても船員保険の治療期間内では根治できないということは、これは確定だと申し上げる。従つて今から船員保険の期間内で全部やれるということはナンセンスなんで、当然船員保険の期限外にはみ出るから、そこでこういうふうなお気の毒な方には対策はありませんかということをお尋ねしている。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 これは先ほど柳田さんも仰せになつたように、広島の場合は別でございますが、今回のような場合は初めてでありますので、従いまして三年間の治療期間中にどうしてもできないという状態もお話のようにあり得ることかとも存じます。十分まだ期間がありまするし、とりあえずはそれぞれの処置をいたしまして、その間よく検討いたし、あるいは先にお話になりました立法的処置が直接医療の関係だけではなくとも検討しなければならない点もあろうかとも存じますので、よく検討いたして参りたいと思います。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 患者の方はそれぐらいにしておきますが、家族等が生計の基礎をとられた、そういうような家族の生計はどういうふうな考えでめんどうを見られるおつもりですか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 これも先に申し上げましたように、とりあえずは船員保険法に上りまして、家族に対しましては傷病手当金を出しますが、これは現在の規定では四箇月間は全額を一支給する、四箇月が過ぎまするとあと二年八箇月間はその六〇%を支給するということに相なつております。とりあえずはこれを支給いたしながらこれらの点につきましても検討いたして参りたいと存じます。なお現在の法規から申しますると、船員保険法で家族の傷病手当等が不十分でありますると、他のいろいろな方法等も検討して参らねばならないのではないか、それは内地にあります従来の場合等も検討する余地がありはしないかということも考えられますので、とりあえずは船員保険法によりまする傷病手当の家族手当をいたしまして、あわせて検討いたして参りたいと思います。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 昨日予算委員会でわが党の藤原道子君の質問に主計局長は、他に適当なあれもないので生活保護法でめんどうを見ることになるよりしかたなかろうというようなことを言つておるのですが、これはそういうような御意図でおやりになるのかどうか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 生活保護法の道もありますが、それぞれの方々がそれぞれ手当を受けております、それによつてその手当金は今申し上げました期間中は出せますので、おそらくその範囲において御生活をなさつておつたのではないかと存じます。しかしいろいろ特別な費用がいるためにどうしてもそれだけでは不十分であり、またそれが打切られたあとにおいて困難な状態にあるとなりますと、生活保護法等が当然発動して参ると存じます。とりあえずは傷病手当金で支給をいたして参りたい。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 これでやめておきます。大体当局のお考えもわかりました。この問題をわれわれ考えますときに、今後起つて来る問題は、今申しましたように、これは衛生立法上の問題で大きく厚生省は考えなければならぬ。また衛生行政上も厚生当局として出先、保健所等を通じて御研究願わなければいけませんが、何としてもこの原子被害に関するところの実際の犠牲者が第一号、第二号、第三号みな日本人である。従つてこれに対して今後原子医学を究明する上において、私は日本人は相当の決意を持つて、そうして日本人自身がこういう問題に対するところの恐るべき災禍について他の人類にも貢献する大きな責務がある。そういう意味で、今後原子医学上いろいろとこの問題を御研究されると思うのですが、科研にいたしましても、あるいは予研にいたしましても、その他研究機関どこどこにいたしましてもほとんど予算がございません。従つて厚生省としてはこういう原子医学を究明せられる上において、現在の予算の中から、あるいは確定になつておりますけれども、何らかやりくりをするとか、あるいは予備費からでもこれを要求して、科学者をして後顧の憂いなからしめるように研究されるだけの経費を計上される用意があるかどうか、これをひとつ承つておきたい。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 これは関係いたしますところが数省にまたがつていると存じますから、よく関係大臣等と連絡をいたしまして、この機会に十分放射能等の検討をいたして、これが治療の対策にできるだけの方法をとるよう処置を講じて参りたいと存じます。

小島徹三改進党

○小島委員長 本日の議題となつております諸法案についての質疑は次会に続行することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。次会は追つて公報をもつて御通知いたします。    午後三時三十九分散会

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