公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号
- 発言数
- 70 件
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- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/02/06
会議録
○森委員長 これより会議を開きます。 前会に引続き公職選挙の一部を改正する法律案、(内閣提出第七号)を議題として質疑を行います。島上善五郎君。
○島上委員 今度の改正案に保安官、警備官の投票に関する事項が取上げられておりますが、それに関して若干質問したいと思います。まず第一に、保安官、警備官の、特に保安官の異動が非常にはげしいのではないかと想像されますが、一定の町村において地方選挙で投票する際に異動が非常にはげしいということは、市町村政に関する影響と考え合して考慮される点であらうと思います。異動状況について関係者からまずお伺いいたします。
○山上説明員 保安隊の年間異動の状況でございますが、ただいま御質問がございましたが、大体警察予備隊創設当時は、初期でございましたので、相当の部隊をつくっても、また新しい庁舎ができる、兵舎ができるというような関係で、異動が比較的頻繁に行われたと思いますが、現在ではだんだんと異動が少くなつた。いわば部隊が固定して来るにつれて少くなつた。但し、将来増員というようなことになれば、これはその場合にある程度の異動もあり得るかと思います。過去におきまする異動の状況は、月間においておおむね平均四千六、七百人という数字でございます。従って、一年間における一人の人がどれだけ異動するかということになりますと、これは、ざっとこの異動を考てみますと、五年に三回くらいのことになるのではないか。これは推定でございます。四千六、七百人というのは実数でございます。
○島上委員 それから、今の保安官及び警備官の任期と申しますか、二年間ですが、二年間でやめて行く者と残る者、引続いて勤務する者との比率がわかりましたら、それをお伺いしたい。
○山上説明員 この点につきましては、私、必ずしも人事の方を所管しておりませんので、正確な数は申し上げかねるかと思いますが、大体従来の実績あるいは今後の状況等を見ますと、おおむね満期者の四割程度もしくはそれ以内くらいではないかと考えております。
○島上委員 これは、保安隊の関係者よりも、自治庁の選挙部長にお伺いした方が適当だと思いますが、たとえば明年四月に地方選挙がある。その際に、明年の満期者が、何月になるか、これは私存じませんが、かりに六月に満期になって、今のお話のように、そのうちの六割が隊から郷里へ帰る、こういうことになりますと、特に地方の小さな村で三千人、四千人と集団的におる保安官が投票して、間もなくもう自分の郷里へ帰ってしまうということになれば、その投票が、市町村政の上に、市町村会議員及び市町村長の選挙にきわめて大きな影響を与えて、しかもその人たちはその村から去って行くということになりますと、その間に、大きな矛盾と申しますか、問題点が残ると思いますが、そういう点に対してどのようにお考えでありますか。
○金丸政府委員 保安隊は、聞くところによりますと、約六割は引続いてなお勤務するということでございます。従いまして、過半数はやはり保安隊員としてそこへとどまるということになるのではないかと思うのでありますが、数のことは別といたしまして、実質上そこにもうすぐいなくなるから、無責任な投票をすることになりはしないかという趣旨の御質問かと存じますが、これはやはり同様に一定の期間ある所に滞在しなければならないというふうな者につきましては、おそらくは、たとえば学生等につきましても同じではないかと思います。しかし、地域制を選挙権の要件あるいは選挙権行使の要件としまして、一定の期間住所を持つておるということが要求されておりますのは、やはり自治団体なりあるいはその選挙区なりの選挙について責任を持つて投票するようにさせようという考えが、どうしてもやはり根本にあるのではないかと思うのでございます。すぐにそこからいなくなるから、その地のの選挙にはすぐに無責任な投票をするようになるとも一概に言えないのではないか、私としてはかように考える次第でございます。
○島上委員 私の心配するのは、学生等の場合には、小さな村に村の選挙を左右するほど多数いるということはほとんどない。かりにあっても、これはほんの数えるに足らない除外例ではないかと思います。しかし、これは今状況がわかったら数字を聞きたいのですが、小さな村に二千人ないし三千人というふうに駐屯しておるというところが、保安官、警備官の場合には相当多数あるのではないか。まず、その数字がわかつたら、大まかでけつこうですから、最初に伺います。
○金丸政府委員 著しい例を申し上げますと、若干古いかもわかりませんが、北海道の帯広の河西郡川西村というところが、人口約一万に対しまして保安隊員が三千百名、千歳郡の恵庭町が、人口一万四千五百に対しまして五千三百、それから福岡県の筑紫郡の春日町が、人口約一万五千に対しまして保安隊員が四千四百名、長崎県の東彼杵郡の江上村が、村の人口八千二十九名に対しまして二千六百名、鹿児島県の鹿屋市が、人口六万三千五百に対しまして三千二百名というような状況になつております。ほかは九百名とか八百名とか千名とかいうような数がございますけれども、村全体の人口に対しましては、さほどのことはないのではないかというふうに考えます。
○島上委員 自衛力漸増で将来だんだん相当数がふえて行くということが、今の政府の方針からすると推察されるわけですが、今の御答弁にありました数字を見ましても、人口一万五千のところに四千四百人おる。人口一万五千といえば有権者はその約半数です。そうすると七千五、六百入の有権者のところに四千四百人いることになる。この保安官、警備官の場合には、おそらく一〇〇%有権者であろうと思う。そうすると、その村における三分の一以上の投票権が保安官、警備官にあるということになる。保安官、警備官の中から立候補するわけではないけれども、その三分の一以上の投票がどのように動くかということによって、第一に市町村長の当落がはっきりときまるのでございましようし、またその村における議員の議席も大きく左右されるということになる。そうして、その人々が間もなく満期になって六割も帰って行く。今選挙部長は六割ほど残るということでしたが、先の答弁では、大体満期者の四割ほど残る、すなわち六割は帰って行く、こういうふうに聞きましたが、そういうふうになりますと、無責任な投票ということではなくて、つまりその後の市町村政に対するつながりというものがなくなつてしまうという意味において、その投票がはたして正しい行使であるかどうかということに対する疑問があると思います。無責任な投票というよりも、その後の市町村政に投票した人の意思が引続いて反映されるが、その投票した人は全然関係のない別なところに異動してしまうということが、正しい投票と言われるかどうかという点が、私の問いたいところなんです。
○山上説明員 ただいまの島上さんのお話の中で、六割がやめて行くという話でございましたが、私、先ほど、四割程度が除隊して行く、こう申し上げたつもりであります。もし誤つておりましたら修正させていただきます。
○金丸政府委員 数的に申しますと、島上委員のおつしやいますようなこともあろうかと存じますが、これは、どちらかと申しますと、政治的な見地からの御考慮であろうかと思います。問題になりますのは、保安隊員の住所が隊にあるか郷里の方にあるかという筋の上から、選挙制度調査会といたしましては論議がされまして、同時にまた、私どもも、このような結果になるおそれがあるいうことも調査会で御説明を申し上げたつもりであります。先般御説明を申し上げましたように、以前の兵隊と違つて義務制でないということが一つ、また、今日は、俸給と申すと語弊があるかもしれませんが、相当な給料を受けているというようなこと、それから、昔の兵隊と違いまして、外出が相当自由になつております。ただ単に、病院に入院して加療しておる、そしてその住んでおる村の人たちとの接触は全然断たれているというような場合と違いまして、月に十日間ないし十二日間ほどは外出をして村民とも溶け合つた生活ができておる。こういうような点から考えまして、保安隊の隊員の住所というものは隊の所在地にあると言つていいのではないか。その結果相当に小さな自治団体の選挙に影響があり得るということは、いろいろ検討もせられました結果、住所ということから考えて、やはり学生と同じように隊の所在地にあるということにしていいのではなかろうかという結論に到達をいたしました。政府といたしましても、そのような趣旨で立案をして、この法律案を提出いたしたような次第でございます。
○島上委員 その根本的な点の議論については、私はここでは触れないことにしますが、ただいろいろ心配される点について伺つておきたいのです。この保安官、警備官の場合には、学生と違いまして、今数字で明らかにされましたように、三千人、四千人、五千人というように相当多数が一箇所の営舎内に生活しておるということと、それから、命令系統の厳格な生活の中におりますので、投票権を行使する際に、はたして各人の真の自由意思によつて秘密投票が行われるかということに対して、若干の、あるいは相当の制約と申しますか、弊害があるのではないかという点が心配されますが、その点はどうお考えになりますか。
○金丸政府委員 その点につきましては、私どもは心配いたしておりません。
○島上委員 保安官、警備官の人々は、相当以前の兵隊と違つて自由に外出もできるし、社会と接触しているわけで、以前の軍隊と同様には私も考えせまんけれども、しかし、今心配しておりませんというが、私は、そういう心配は、今後の状況を具体的に見なければはつきりした判断はできないにしても、そういう心配が多分にあるということは言えると思うのです。第一に、保安官、警備官の人々が、ラジオによる政見は公平に開くことはできましようけれども、各党の政見を公平に聞いて公平に判断をするという機会が十分に与えられるかどうか、こういうことが問題であろうと思いますが、その点はどういうふうにお考えですか。
○金丸政府委員 隊自体の中で選挙運動が行われるということは、国の施設でございますから、おそらくできないだろうと思います。勢い隊員が、それぞれの関心に従いまして、外出のできます時間に、立会い演説会を聞きに参りますとか、あるいは個人演説会なり街頭演説会を聞く、あるいは経歴公報その他の文書を見て自分の考えをきめるといことになろうと思いますけれども、そこに隊の方でえこひいきなどがされるというふうには私どもは全然考えません。
○島上委員 私は、おそらく、普通の一般人のように、自由に自分の欲する政見を聞くとか、政治活動はできなくなつておると思いますが、自由に自分の欲する人の政見を聞くということは、少くとも一般人ほどに自由にはできない。外出ができるとはいつても、やはりおのずから一定の制約があるわけですし、自由に聞くことができないというある程度の制約があるということと、さつき言いました、一箇所で集団生活をしておつて、命令系統の厳格な生活の中におるわけですから、私は、同投票所でするということになりますれば、どうしても各人の意思に制肘なり制約なりが加えられるという心配がしてならないのです。投票所は、今まではたしか営舎内ではなく、普通の一般の投票所であつたと思うのですが、今後投票所をちよつと人数が多いから営舎内に設けるということはしないでしようね。その点を……。
○金丸政府委員 おそらくはそいうことはなかろと思います。これは、全国いろいろな市町村でございますので、投票の便宜ということから、ここで一概には申しかねますが市町村の選挙管理委員会が、事務の都合と、できるだけ選挙人の便宜を考えまして、投票所をどこに設けるかはきめることになりますから、全国現在四万も投票所がございますので、そこに設けてはならないということは私どもの方でも言いかねるのではないかと思います。これは市町村の選挙管理委員会の良識にまかせなければならないことでございますが、保安庁の方から見えておりますけれども、保安庁の幹部の方では、政治的な争に巻き込まれるということを非常に警戒をしておられます。従いまして、不在者投票等につきすしても、隊の隊長に不在者投票の管理者をやらせることもできないわけではないのでございますが、こういうことの実行すら現在ではなるべく差控えて、政治的な、少くとも誤解でも生むようなことのないようにしたいという考えでございますので、そういう点は私どもも十分に気をつけて参りたいとは思いますけれども、ただ絶対に隊に投票所を設けるなと言うこともまたいかがかと思うのでございます。これは市町村の選挙管理委員会の良識を信頼していただきたいと思うのでございます。
○島上委員 それは市町村の管理委員会がすることであるということと、絶対に設けてはならぬとは言えないという関係からしまして、隊内に設けることもできるということになるわけですが、このように多数集団しておる、そうして命令系統の中で生活しておる場所に投票所を設けるということになりますと、相当弊害が起る。真の意味の秘密投票、真の意味の各人の自由意思というものがその通り表現できるかどうかということに対して、私は大いなる心配をしておる。ですから、投票所はそういうふうに選挙管理委員会において設けることもできるというようにはなつておりまするが、一般の市町村民と同じ投票所において投票すれば、私の最も危惧するような点を取除くことができると考えますが、その点に対して選挙部長はどのようにお考えになつておりますか。
○金丸政府委員 少くともそういうようなおそれがございますので、一般の有権者と同じ投票所で投票をいたすことが望ましいと思いますし、私どももできますだけそういうふうにして投票が行われるようにいたして参りたいと思います。
○島上委員 これは将来の問題に属するわけですか、そうしてここにおいでの方が答弁できるかどうかわかりませんが、私は念のために伺つておきたいのです。保安隊が自衛隊ないしは自衛軍に切りかえられる、それから憲法改正問題も論議されておるという状況から判断しまして、このままどんどん進んで参りますれば、国民の中に抵抗もありまするし、私どもも反対ですから、そう簡単になるとは思いませんが、このまま進んで参りますれば、憲法を改正して将来戦力を持つた軍になるという場合も考えられるわけです。かつて軍隊は政治にかかわるなということで投票権がなかつたと思いますが、もし将来、今私が言いましたように、憲法を、改正して軍にかわるというような場合には、その場合も投票権を与うることが至当か、あるいはかつてのように投票権を与えないのが至当かということに対する御見解を承つておきたい。
○金丸政府委員 まだどういうふうになるかわかりませんが、御参考までに申し上げますと、最近の外国の例では、むしろ軍人でも選挙権が与えられる傾向にあるのじやないかと思います。
○島上委員 それからこの改正案の四項についてはつきりしませんので、伺つておきたいのですが、この四項は「等二項但書及び前項後段の規定は、これらの規定による申出があつた場合に限り、第二項本文及び前項前段の住所に関する推定規定の適用が排除される趣旨のものと解釈してはならない。」こういう条文になつております。説明の際にはもう少し詳しく述べられておりまするが、どうもはつきりしない点があります。つまり申出があつた場合——学生、保安官同様ですが、申出があつた場合にはその限りではない。つまり学生の場合には、修学地でなく自分がの郷里にある、本人からこう申出あつた場合にはその限りではないというふうになつておりまするが、この四項から行きますと、その申出があつた場合以外にも郷里に住所がある、そういうふうに決定し得るように解釈もされるわけです。「その他の方法によつて、反証を挙げて推定をくつがえすことを認めない趣旨であるかのように解される虞があります」、こういうふうに説明書では言つておりますが、それはどういう場合のことですか。
○金丸政府委員 第二項の但書をごらんいただきますると、当該の学生生徒が、父母その他の親族がございまして、それが、俗に申します郷里に住んでいる、そちらの方に住所があると申し出た場合はこの限りでないと出ております。これは学生の一般的な状況を書きましたもので、たとえば、そうでなく、単身戸主というようなものについて考えてみますと、これは、郷里の方には親族がないが、自分の郷里の方に財産もあり、しよつちゆう休みのたびに帰つておる、いろいろな関係上郷里の方に住所があると考えている、こういう場合は但書自体には入らぬのでございます。実は立法としてはそういう点まで含めて但書を書いておいた方が一番完全でございますけれども、但書では学生の最も典型的な状態が書かれておるわけでございます。従いまして、第四項では、但し申出があつた場合にだけ、推定規定を排除して、郷里の方に住所があると認定することができる。それだけではなく、そういうこの法律に基く申出でない、すなはち単身戸主が申し出ました場合には、但書の申出ではないわけでございますが、やはり調べてみて郷里の方に住所があるというように認定されるならば、そのようにしてもいいわけでございます。そういうようなことまで、この規定がある結果、申出ができないのだ、郷里の方に選挙権があると認定ができないのだと、そういうふうに誤解をされては困りますので、その誤解を防ぐために、注意的に第四項を置いたわけであります。
○島上委員 それではもう一ぺん念を押しておきますが、この第四項というのは、第二項の但書の「当該学生生徒が、父母その他の親族が現に居住している他の市町村の区域内に」云々というその申出ですね。この但書に完全に該当しない、つまり父母その他親戚が現に居住していないが、今おつしやるように、自分単身であるが、本籍があり、財産があり、やがては帰る家があるというような、この但書の項目に完全な意味で該当しない者でも、申し出た場合はそれをそのように扱う、従いまして申出がない場合に選挙管理委員会がかつてに郷里にあると推定する扱いをするという心配は全然ない、この但書には完全には該当しないが、本人が申し出た場合、そういうことを考慮した四項であるというふうに解釈していいわけですね。
○金丸政府委員 この第二項、第三項とも推定規定でございます、従いましてみなすわけではございませんので、反証があれば法律上の推定がくつがえります。但書は、いろいろ事情をあげて、郷里の方に住所があると本来ならば申し出るわけでございますけれども、但書はその点を意思というものに捨象して、申し出た場合には、その推定規定をくつがえすというふうにいたしたわけでございます。従いまして、おそらく実際の市町村の選挙管理委員会の扱いとしましては、申し出た場合に、郷里の方に明確に住所を認定して名簿に登録をするということになろうと思いますけれども、法律上の理論上の問題といたしましては、本人からの申出がない。しかし該当者が約十万の学生でございます。一町村になべてみますとわずか十人くらいでございます。どこのむすこがどこへ行つておるかということは調べてみるとよくわかるわけでございます。従いまして、純粋に理論上の問題としては、本人の申出はないけれども、うちについて実際に調査をしてみると、住民登録もうちの方に残つておる、親の方からもしげしげ帰つて来ると言つておるというようなことがございますれば、申出がなくても郷里の方に住所があると認定をして名簿に載せるということもあり得るわけでございます。但し、これは基本選挙人名簿の調製だけでございまして、補充選挙人名簿は申請が必要でごいざますから、選挙管理委員会が一方的にそういうようにするということはできないわけでございます。まあ理論上の問題はその通りでございますけれども、おそらくこの規定の施行されます結果の実際上の扱いとしては、やはり学生から申出がありました場合に、はつきりとその意思が表明されて参りますから、郷里の方の名簿に登録をする、こういうことになろうかと思つております。
○島上委員 今の御答弁のような実際上の扱いでは、そういうことはなかろうが、理論上からいえば、申出がなくとも、各種の状況を調査して郷里にあるとすることができる、こういうことになりますると、何か選挙管理委員会の扱いに混乱を起すようなことになりはしないかと思うのですがね。これはやはりこの但書のように、当該学生生徒が申し出た場合、そうでない場合はもうここには修学地の寮、寄宿舎にあるものと推定するとはつきりしておりまするから、今のはどうも実際の扱いに混乱を起すということになりはしないかという心配があるのですが、その点をもう一ぺんはつきりさしていただきたい。
○金丸政府委員 先ほど申し上げましたように、該当者が少いのと、それを全国の一万に近い市町村の選挙管理委員会が調査をするわけでございますので、混乱を生ずることは私どもはないと信じております。
○大村委員 ちよつと関連して。ただいま島上委員の御質疑中に、私ちよつと疑義を生じたことがあるのですが、それは、学生の郷里の選挙管理委員会は自分の郷里に選挙権があるとしておるし、また修学地の方の選挙管理委員会は、調査の結果、修学地の方にあるというので登録をするというような、二重登録というようなことが起り得るように思うのでありますが、それはどういうぐあいに処理するのでありますか。
○金丸政府委員 この法案が施行されました場合、現在地に推定をされますから、そこで名簿に載せようといたしますが、郷里の方の選挙管理委員会に申出をいたしまして、郷里の選挙管理委員会がなるほど住所があると認めて名簿に登録をいたしますれば、現在地の選挙管理委員会に通知をいたします。従いまして、それが名簿の確定までに間に合いませんければ、名簿に載つたままで付箋整理ということをいたしまして、実際に選挙権を行使しないようになります。これは現在の名簿の調製のもとにおきましては避けられないところでございまして、実はほかにもあるのでございます。地方税法の関係でも、同じ人に対して、住所がこつちにある、あつちにあるといつて、両方で住民税を課することがあります。これは、地方税法では、同じ府県内であれは知事が、二府県にまたがつておれば自治庁長官がどちらに住所があるかをきめることになつておりますけれども、住所を移転したというように認めますれば、通知をして名簿から削ることになつておりますが、現在も実際問題として避けられない場合がございますので、そういうのは名簿にそういうふうなしるしをつけるなり、あるいは名簿の備考欄にそういう記入をいたしまして、二重に投票ができないような措置をとつております。
○大村委員 ただいまのように二重名簿がかりに作成された場合において、両選挙管理委員会が、協議によつて、一方が正当な住所であつて一方は聞違いということに意見が一致すれば、ただいまのような取扱いができるでありましようが、推定規定はどこまでも推定規定でありますから、住所の認定におきまして双方とも住所があるというような決定をした場合には、選挙権が一人で二票行使ができるというような事態が発生し得ると思いますが、これはどういうぐあいになりますか。
○金丸政府委員 国の選挙につきましては、一人で二票行使することができないという規定がございますので、これは本人が刑罰に処せられるというおそれがありますから、私は万あるまいというふうに考えるわけでございます。ただ、御指摘のように、自治団体の選挙につきましては、どちらの方に住所があるかという問題は、名簿がいずれも確定をしてしまいますと、これはそのことだけではもう実態的に明らかにすることができませんので、結局はそういうものが——かりにA町とB町と両方に載つておつて、A町の方で投票し、またB町でも投票したいという場合には、結局当選訴訟で争うということになるのではないかと思います。
○鍛冶委員 それはたいへんなことになる。いなかの町村では、これは東京のどこそこの学校へ行つているということを知つておれば別ですけれども、知らなかつたら、当然あるものとして選挙人名簿に載せます。ところが、こつちへ来ておつて、こつちでは推定によつてまた載せます。その調和をどうするか。こつちの方でもいなかにあるものと思えば通知をするか知らぬが、この法律が出たら推定でやるから、こつちで載せるのはあたりまえだ。向うではどこへ行つておるのかわからぬのだから、ここにあるのがあたりまえだということで、必ず二つできます。この調和をどうされますか。
○金丸政府委員 この法案によりますれば、郷里の方では一応名簿へ載せない。学生は現在地の方に住所があると推定されることになりますので、郷里の方の市町村の選挙管理委員会は一応載せないでおくことに私どもはなろうと思います。そうして、本人から申出がありましたような場合に初めて名簿に載せる、こういうことになつて来ようと思います。
○鍛冶委員 それはあなた方の考えなんだ。市町村役場ではそんなことはわかりはしませんよ。学生であるやらどこへ行つておるやらそんなことはわかりはしません。わからなかつたらたいがい載せます。あなた方は学生だとわかると思うことが前提なんだ。市町村役場にそんなことを一々、私は東京のどこそこへ行つています、仙台のどこそこへ行つていますなんて通知しませんよ。わからなければ載せます。それはあなた方の頭だ。私は、実際問題としてさようなことはない、必ず二重に起ると思います。
○金丸政府委員 実際は、昨年の通達以前は、大部分は郷里の方に載つておらないのでございます。やはり名簿を調製いたします際に、実際にこちらの方に住んでおいでの方はだれだれですかということを調べて歩きます。たとえば、住民登録が郷里の方に置いてあるが、本人は東京に行つているというように、登録が残つておりますれば、それが一つの根拠になつて、この人はこつちに登録してあるじやありませんかということで、郷里の方の名簿に載せるきつかけになろうと思いますけれども、やはり現にずつと四月なら四月から学校のために東京に出ているという場合には、郷里の方では載せないのが私は大部分の実情だろうと思います。
○森委員長 石村英雄君。
○石村委員 この推定規定の生れて来た理由なんですが、これは結局、大臣の御説明でも、「現在における学生生徒の生活の実態から考えて妥当であります」こういうふうにありますので、結局学生の住所というものは修学地にある、原則的にそういうお考えからこの推定規定は出て来た、こう解釈してよろしゆうございますか。
○金丸政府委員 仰せの通りでございます。
○石村委員 次に、但書の問題ですが、申出があつた場合はこの限りでないとあつて、この推定規定の排除になるので、申し出さえすれば必ず郷里の方で登録するというのはでなくて、そのときは、選挙管理委員会が、申出があつても実態がどうかということを調べた上で、申出を聞くこともあり、聞かないこともあるということになるのではないかと思いますが、そうなんですか。
○金丸政府委員 その通りでございます。もう一つは、選挙管理委員会で調査をいたしまして、事実郷里に住所があると認められるかどうか調査した上で、名簿の登録の有無をきめます。
○森委員長 この際保安庁の山上総務課長に私から質問申上げたいと思うのですが、保安隊の配置につきましては、たとえば熊本県なら熊本県出身の保安隊の諸君はなるべく熊本の保安隊に配置せしめるというようにしているのか、あるいはそうでなく、北海道へやるとか、全然別の地域へ配置するというような方針でおられるのか、その点をお尋ねしてみたいと思います。
○山上説明員 ただいまの御質問でございますが、これは保安庁の方針に関することでございますので、私から的確にお答えすることはいかがかと思いますが、保安庁としては、従来からでき得る限りいわゆる郷土配置ということを考えてやつて参つております。ただ、営舎の施設あるいは警備上の必要等によつて、必ずしもその原則を貫くというようなことはできかねるのでありますが、方針としては、郷土配置ということをできる限り取入れてやつて行くようにやつております。
○森委員長 続いてお尋ねしますが、私の聞くところでは、熊本県のごときは大体熊本の隊に配置してあるそうですが、北海道のような場合は、東北六県あたりから来ているのがほとんど多いというのです。従いまして、国会議員の選挙等には、熊本県出身の人が熊本の隊におつたような場合はそうかわらないのですが、全然その出身県でないところに配置をされたような場合は、これは、その郷里にあるかあるいは現住所にあるかによつて、選挙の結果に影響が多いと思いますが、隊員の配置は、一旦配置せしめると、原則として異動がないのですか。それともしよつちゆう異動をして、かわつた場所で、たとえば寒いところへ行つて訓練するとか暑いところに行つて訓練するとかいうように、そういう配置転換と、いうものはしよつちゆうやつておるものですか、どういうものですか、その点をお伺いしたい。
○山上説明員 ただいまの点は、原則としてあつちこつちへやつて訓練するということには相なつておりません。北海道方面に相当他府県の出身者が参つておりますのは、これは北海道の警備上の必要から相当部隊を配置いたしておりますので、同方面におけるところの志願者あるいは出身者が比較的少ないというような関係から、他府県から参つております。その他の地区においては、ただいま仰せのように、九州等においては相当郷土配置ということが行われておる実情でございます。ただ、他の方面に転出して訓練を受けるというのは、たとえば学校へ参るとか、そういつた場合は、よそへ行つて訓練を受けることになりますが、配置については、一応きめたものは絶対に動かさないというわけではございません。さらばといつて、あつちこつちへ動かしてやるということを建前にいたしているわけではございません。
○森委員長 続いてお尋ねします。先ほど島上君からも御質問がありましたが、選挙権の行使につきましては厳正かつ自由意思によつてやらなければならぬのですが、従来、各種の選挙がありました場合に、保安庁としては選挙権の行使を尊重して休暇などを与えた例はあるのでしようか、その点をお尋ねします。
○山上説明員 選挙の際には、従来の選挙のあり方ですと、いわゆる郷里に住所があるというものも相当ございまするので、それらのものについては郷里に帰して選挙ができる程度の休暇を与えております。かつ、選挙当日においては、選挙に参ることについてはもちろん部隊では許可して外出を認めております。従いまして、選挙権の行使に関しましては、隊としてはできる限りの便宜をはかろうようにいたしております。
○森委員長 そこまではいいのです。結局いついつ衆議院の選挙がある、やはりこれは国民の貴重な選挙権行使であるから、諸君にはその投票をするために時間を与えるから投票しろと言うことは非常にけつこうなのですが、どうもそれ以上に、諸君が投票するのには、やはり保安隊の性格をよく了解し、保安隊の必要性その他保安隊に対して理解のある人に投票すべきだというところまで入つて行く危険が非常にある。これは杞憂かもしれませんが、私はそういうように思います。従来そういうような隊によつて特定の候補者を支持するがごとき影響力を与えたといいますか、何かそういう問題があつたことはありませんか、お尋ねいたします。
○山上説明員 保安庁としては、そういう特定の政党を支持する指導というようなことはさせないようにいたしております。これは先ほど選挙部長から御説明した通りの気持でおります。今までにさよう指導したということについて、ただいままでのところ私は特に聞いておりません。
○森委員長 重ねてお尋ねします。あなたの方では、選挙権の行使については時間を与え、その貴重な投票権をむだにしちやいかぬというお心持のあることはよくわかりましたが、特定の候補者あるいは特定の政党を支持するような、そういう干渉は絶対に排斥すべきだと考えておると言われますけれども、選挙の際に、特定の候補者あるいわ特定の政党を支持することは厳に慎まなければならぬというような指令か何かを出されたことがあるのですか、この点をお尋ねします。
○山上説明員 特別の指令はなかつたと私ども思つておりますが、いわゆる一般教養というような場合においても、そういう特定の政党を支持するといううようなことはないように、幹部等についてはもちろん戒めております。特別の指示をなしたかどうかは私は記憶にありません。
○島上委員 ただいまの委員長の質問に関連して一つお伺いしておきたいのですが、保安隊の営舎内において、隊員に講演等を聞かせるというようなことを今までになさつたことがありますか。
○山上説明員 これは、各部隊において、いわゆる一般教養というようなところから、そういう講演を受けたということはあると思います。
○島上委員 あると思いますということですが、御要求申し上げてこの次の機会でもその次でも資料をいただきたいと思いますのは、どこの隊でいつどういう講師を呼んで講演をしたかということをあとでお調べ願つて資料を提供願いたいことと、さらに講演をするということこなりますれば——もちろん、これは、選挙運動期間においては、候補者であるなしにかかわらず、講演をすることが直接間接に選挙に影響を及ぼしますから、そういうことはしないと思いますが、選挙運動期間中でなくとも、たとえば文化問題の講演でも、経済問題あるいは外交問題、国際情勢というような講演でも、講演を営舎内ですることは、多かれ少かれ、その人の政治的な考え方というか、ものの判断に影響すると思います。そういう点に対しては今まで講師を選ぶ際に十分御注意になつておると思いますが、これは非常に大きな問題だと思う。講演をする際には、その隊の責任において保安庁と全然連絡をせずに隊でかつてにやつておるものか、保安庁と連絡をして了承を得てやつておものであるかという点を伺いたいと思います。資科についてはぜひひとつ御提示を願いたいと思います。
○山上説明員 隊内における講演は保安庁に連絡しておるかどうかということでございますが、先ほども申し上げました通り、隊員の一般教養に資するような部外からの講演ということも、部隊ではあり得ると思います。これは一般的な教養訓練の一環として考えられると思いますが、どういう講演をするというようなことは、それぞれの部隊についてはそれぞれの管区総監部等の指示によつてなされておりまするから、従いまして、それの全体の計画等の承認を受けるときに、当然連絡はなされているものであろうと私は考えます。
○石村委員 この法律が通過いたしますと、結局昨年の五月ごろ出た自治庁通達というものは自然消滅になるのかと思いますが、あの通達も結局においとすれば郷里にあるというような通達なんですが、最後の方なんかを虚心に読むと、必ずしもそうではなくて、住所の認定の基準をお示しになつた、こう考えられるわけです。今度のこの法律は、結局学生の住所というものが修学地にあるという考えから出ておるので、あのときの政府の考え方とはかなり違つて来たと思うのですが、そうした解釈の通達なんかをやはりお出しになるわけですか。
○金丸政府委員 この法律の施行に伴いまして注意しなければならない事項は、地方の方に通知として出さなければなるまいと考えております。ことに、先ほどお話のございましたように、但書の申出があれば当然に載せるのではないとか、それから但書に該当しないけれども、郷里の方に住所がある場合はどういう場合だとかいう事項は、これは、先ほど御質問がありまして、お答え申し上げたと思うのでありますが、こういうふうなことはやはり地方の方に注意をする必要があるのじやないかと考えております。また、基本的に、従来の学生の住所の考え方がこの法律によつてかわつて来るいうことは当然でございますが、地方の選挙管理委員会として注意しておかなかなければならない事項、これは、立案の過程におきまして私どもが考えておりました事項、また当委員会におきます御質疑等によりまして知らすべきであるというような事項等は、とりまとめて知らすようにいたしたいと考えております。
○石村委員 これは希望なんですが、この改正法律というもの、結局、単に選挙権の行使なんか便宜な意味でできたというよりも、学生生徒の住所というものの考え方が今までとかわっておるということが根本のものだと思いますが、通達の場合、できればそういうことを単に便宜的な規定と考えないように、根本的に考えがかわって来たということをはつきり通達していただくと、管理委員会なんかも申し合せるのじやないかと思います。
○金丸政府委員 私どももそういう考えでおります。
○森委員長 なお私山上総務課長に若干お尋ねしたいのですが、保安隊の学科料目等において、社会科というような科目があるのかどうか。また社会科と名がつかなくとも、それに類似した教科科目あるかどうか。もしあつたとしたならば、その中に日本の政治、経済、特に政治上の、どういう政党はどういう性格を持つている、あるいは政策を持つているとかいうことについて授業をやつておるものか、その点をひとつお尋ねしたいと思います。
○山上説明員 保安大学校等の学校におきましては、社会科という正式の名前であつたかどうか知りませんが、一般社会教育というような科目はございます。各部隊においてはそういう名目を持つた学科目は必ずしもないかと思いますが、部隊におきます訓練教養のうちにおいて、当然一般教養に充てる時間はございます。これについては、部隊の幹部職員が主となつてそういう教育をいたす建前になつておりますが、特定の政党等を支持するというような教育等は全然いたしておらないと思います。この党はこういうもの、この党はこういうものというよりな教育はあまりやつておらぬのではないかと思つております。ちよつと明瞭でございません。
○森委員長 もちろん、教養につきましては、正確な認識を与えることは必要だと思います。一党一派に偏するやうなそうした教育方針は厳に慎んでいだきたいと思います。 なお、選挙等に際しまして、今後この法案がかりに通過したと仮定いたしますと、従来と違いまして、三千名とか四千名とか五千名とかいう厖大な人々の投票権が、特定の候補者あいは特定の政党に投票されるということも懸念されるのです。それに対しましては、やはり保安庁としては、各人の自由意思をあくまでも尊重するという考えのもとに、今後選挙の際に、その部隊の長にある者がその自分の意思によつて投票権を左右するようなことのないように、厳にする意思があるかどうか、お答えを願いたいと思います。
○山上説明員 この点についてはおつしやる通りでありまして、部隊ないし保安隊が特定の政党、特定の政派を支持するというようなことは厳に慎むように私どもも考えておりますし、これは常日ごろ、そういう点については部隊の幹部は心得て常に指導しておりますが、今後も、その点は、特にこういうような法律が通過いたしますれば、そういうことも考えられますので、この上とも注意いたしたいと私どもは考えておりまます。
○島上委員 きようの新聞記事に出ておつたことですが、事実かどうかについて私もはつきり承知いたしておりませんが、自由党は、総務会において、この自治庁案とは全然反対のことをきめて、つまり学生の選挙権は原則として郷里にある、申し出た場合のみその修学地にある、そういう方針をきめて自治庁に申し入れた、あるいは申し入れるという記事だつたかもしりませんが、そういう記事が出ておりましたが、自治庁にそういう申入れがあつたかどうか、この際はつきり聞いておきたい。
○金丸政府委員 ございません。
○石村委員 法律というものに非常にうといので、愚問かもしれませんが、この法律が通過いたました場合に、推定によつてやつて、それから事実住所ははそうでないのだという訴訟でも起されたといたしまとす、裁判所は、独自の見解で、その人の住所がはたしてどつちにあつたかというような判断をして、無効というようことも起り得るわけですか。それとも、この推定規定があるから、もうそういうことはないということになるのですか、お伺いしたい。
○金丸政府委員 失礼でございますが、この法律が通過いたしましたあとで、名簿なんかをつくります際のことの御質問でございますか。
○石村委員 そうでございます。
○金丸政府委員 まず裁判所は、よほどの反証がない限り、三箇月以上寮なり下宿に住んでおれば、そこに住所があると認定することになるだろうと思います。しかし、推定でありますから、絶対に裁判所を拘束するというわけではありません。やはり裁判所が総合的に認定をして心証を得なければならぬわけでございますけれども、法律で推定すると書いてあり、かつ同じ市町村にある寮なり下宿に三箇月以上住んでおるという事実があれば、そこに住所が認定されるということは、非常に法律的に強い結果になつて来ると思います。
○森委員長 それでは本日はこの程度において散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。 午前十一時五十九分散会