建設委員会 第24号
- 発言数
- 17 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/04/22
会議録
○久野委員長 これより会議を開きます。 公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案及び建設機械抵当法案の両案を一括して議題といたします。 両案につきましては、すでに前会におきまして質疑を終了しておりますので、これより討論に入ります。
○瀬戸山委員 この際両案に関しまする討論は、これを省略してただちに採決に入られんことを望みます。
○久野委員長 ただいま瀬戸山君より、討論を省略してただちに採決すべしとの動議が提出されましたが、そのように決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久野委員長 御異議なしと認めてさよう決しました。 ただいまより両案を一括して採決いたします。両案を原案の通り可決すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○久野委員長 起立総員。よつて両案は原案の通り可決すべきものと決しました。 この際お諮りいたします。以上の両案に関します委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久野委員長 御異議なしと認めてさようとりはからいます。 —————————————
○久野委員長 次に、建設行政一般について調査を進めます。村瀬君。
○村瀬委員 この際建設行政一般について、お尋ねしておきたいことがあるのであります。建設機械抵当法におきましても、また自動車抵当法等におきましても、その他工場内における機械器具等にも例があると思うのでありますがもともと動産を抵当権設定の目的といたしまして、不動産並の扱いをするというときには、その運用にあたつて、社会の流通制度に支障を来さないように、また国民の善良無過失なるものには、いずれも苛酷な処置とならないような考慮を払わねばならないと存ずるのであります。この意味におきまして、不動産は別といたしまして、たとえば建設機械のごときものの抵当権を設定する場合にあたりまして、一般国民に対する目標となるものは、建設大臣の行う記号の打刻が、その当該建設機械が一般の建設機械であるか、抵当権が設定せられておるかどうかというめどになると存ずるのであります。ところが、公然、平穏、無過失で物権の取得をいたしました場合は、民法第百九十二条によりまして第三者に対抗し得ないことになつておるのでありますから、まつたく無過失、公然、平穏裡に建設機械を取得をしましたあとでたまたまそれに刻印が打つてあり、抵当権が設定せられてあるというような場合には、いずれを保護するか。抵当権を保護するか、平穏裡に無過失で取得した者を保護するか、これは重大な場合がでて参ると思うのでありますが、運用に当たつて建設省はどのようにお考えになつておりますか。
○南政府委員 お答え申し上げます。その問題は、建設機械に限らず、自動車につきましても、あるいは工場財団抵当法における、その中に含まれた工場内のいろいろな機械につきましても、起り得る事例だと存じます。この動産に抵当権を認める、いわゆる占有権を取得せずして、しかも不動産のように抵当権の対象とするということにつきましては、どういう動産についても、そういうことが適当であるかないかという問題に関連して参るのでありまして、この建設機械抵当法案につきましても、別個の見地から抵当権を設立いたしまして、民法百九十二条との関係におきましての第三者保護についての関連につきまして、十分考えなければならぬものがあるということを、われわれの考え方としましては、本法案の答弁に当ります際におきましても、考えてお話申し上げておつたのであります。民法百九十二条は、一般の動産につきまして、平穏かつ公然に所有権を取得した者を保護する、こういう規定でございまして、こういう特別法規によりまして、動産中一種の特別保護法で対抗要件である公示方法をとつて、そして第三者の保護に事欠かないような法律的措置をいたしましてやつたものにつきましては、おそらくその抵当権の対象になつております建設機械を取得した人が、その取得につい出て平穏かつ公然に、しかも無過失に取得したことがはたして立証できるかどうか、またそういうことが言い得るかどうかという点にかかつておるものと考えるのであります。法律ができまして、しかも公示方法、すなわちそういつたものを取得する際においては、こういう法律もあるのだということは、建設機械のような、特に専門的な業界におきます機械につきましては、民法百九十二条の規定とも関連させて考えてみましても、平穏かつ公然に無過失にその機械を取得したかどうかという点につきましては、かなり問題があろうと思います。従つて、たとい建設機械抵当法案が成立いたしまして、抵当権の対象になりましても、第三者保護と申しますことにつきましては、民法百九十二条とちよつと違つて、平穏かつ公然にその建設機械を得たものとは私は考えられない。従つて民法百九十二条の関係におきましては、少くとも第三者の取引と申すことについての保護は欠くものでない、こういう考えを持つておるのであります。
○村瀬委員 南政務次官のお話の通り、これは何も建設機械のみに関することではないのでありますが、しかし一般国民にとりましては、たちまち取引の流通の上に非常な利害関係を及ぼすものでありますから、私は重ねてお尋ねをいたすのでありますが、本件に対する学説はどのようになつておるでありましようか。また判例等がありますならば、裁判所の見解というものについても明らかにしておいていただきたい。問題は、こういう動産に抵当権を設定した場合に、それに抵当権が設定してあるかないかを、いかにして一般国民が見わけるかという点になつて参るのであります。それは法律が出た以上は、よう見つけなかつたものが過失なんだ、こういう見解に立つことも、これは多少過酷な処置でないかということも考えられるのでありまして、他にどうしても方法がないというならば、それは根本的に、今度は建設機械等に抵当権を設定し得ること自体が可能かいなかという基本にさかのぼつて参つてしまいますので、たとい建設機械といえども、抵当権を設定することによつて、これら建設業者の合理化をはかり・また日本の建設機械の促進に資するという大眼目があります以上は、やむを得ないとすれば、多少の不便も忍んで法律を制定するということも考えられるのでありますが、しかし、できる限りの注意と親切は尽して置かなければならないと思うのであります。そこで第三者に対抗し得る裁判所の判例あるいは最近の学説等について、御答弁があれば承つておきます。
○南政府委員 私の答弁の中に尽さなかつた点があるように思うので、補足させていただきますが、建設機械抵当法案が、ほんとうに善意無過失の取引者を保護するかどうか、公示の方法がはたしてこの法案においては、機械の部分を特定いたしまして打刻するのでありますが、そういうような公示の方法が、取引の善意無過失の人たちを保護するのに適当な方法であるかどうかという問題にもなつて参ります。しかしその実際的の機械の動きを勘案してみますと、御承知のように建設機械のようなものは、だれでもかれでも普通の人がこれを持つて役に立つものとは考えておりません。やはり建設機械が建設機械としての効用を発揮するには、同業者あるいはそれに近きもの、こういうふうになりまして、取引の流通過程におきましては、非常に限定されて参ります。そういう人たちが機械を手に入れた際においては、特別の注意がいる、そういう注意のいる条件といたしまして、機械の特定部分に一つの検認を打刻するということで、取引の安全を相当保護することもできる、こういうふうに私たちは考えて、この法律をつくつたわけであります。学説判例につきましては、政府委員から答弁をいたさせます。
○石破政府委員 先ほど政務次官が説明申し上げた通り、建設機械につきまして登記登録の公簿の記載をもつて権利の対抗要件とするようなものにつきましては、民法百九十二条の規定の適用にならないという点につきましては、一応現在の通説にもなつておるようでございますが、なおこの点につきましては、法務省とも十分連絡いたしております。現にこの法律は閣議整理するにつきましても、法務省との共同整理にしておるのです。また学者の意見も一、二ただしたわけでありますが、我妻博士なども、大体民法第百九十二条は働かないという御解釈のようであります。判例につきましては、これも非常によく似ております航空機抵当という制度があるのであります。これはまだ法律ができまして非常に日が浅いものでありますから、判例はまだないのであります。自動車抵当についてもまだないのであります。これも、ひつくり返して申しますが、従来これに似たものの制度をとつておりますが、自動車、航空機についても、この百九十二条と登記との関係において、あまり権利の争いが起らなかつたと考えられるのであります。なお、話の通り、そうは申しましても、おそらく航空機とか自動車について問題が起らないということは、それぞれの法律を実施する行政官庁が、万全の措置を講じておつたということも考えられるわけでありまして、私どもといたしましても、この法律を施行するにつきましては、そういう先例も十分調べて参りたいと思いますが、現在考えておりますことは、この法律の施行期日が六箇目以内に政令で定める必要から、これを施行することに相なつておりますが、期間もあることでありますから、新聞、ラジオその他あらゆる方法を講じて、法律措置によらないものではありますけれども、一般国民に十分徹底する措置をとりたい。また第四条の打刻につきましては、第二項に、打刻及び検認に関して必要な事項は、政令で定めることにいたしておるのでありますが、この打刻記号の大きさとか、場所とか、そういうものにつきましては、これももつぱら善意の第三者を保護するという見地から、だれが見てもわかるような場所に、だれが見てもわかるような大きさで打刻なり何なりをしたい、かように考えております。なおまだしめかりと固まつてはおりませんけれども、私どもの考えとしましては、この法律にはありませんが、実際の行政措置としては、買う方に迷惑がかからぬようにするために、できればこういう登記があつたものは、建設省でも相当正確な資料を集めており、建設省なりその出先に照会してくだされば、まず一応は安心が行くというような制度もこれは逆用される危険もありますけれども、そういう制度も考え、あらゆる方法で六箇月間に措置を講じて行きたい、かように考えております。
○村瀬委員 建設政務次官の、これは一般の鉛筆を買つたり、普通の品物を買つたりするようなものではなくて、特殊関係業者が売買をするというような点から、私の先ほどから申しておるような心配がある程度防げるのではないかという話は、私もさように思うのであります。問題は、建設機械抵当法を例にとりますならば、第四条の第二項によつて、記号の場所とか大きさ等が政令で定まるということであります。そうして六箇月の期間に周知徹底も十分はかるというのであります。それはもちろん万全の方途を講じていただかねばならないのでありますが、大体どのくらいの大きさの部品を予定なさつておりますか。それから、ブルトーザーを例にとりますならば、普通どこを見れば一見してすぐに大体この機械はどうなつておるということがわかるような、一般の人の常識にまでなり得るような場所も、ひとつ選定をしていただきたいと思います。馬の売買には、たいてい歯を見れば年齢がわかるのでありますが、そういうように、どこか一箇所を見ればすぐわかるということになれば、第三者に対するそういういろいろな問題も防げると思うのであります。 いま一つは、周知徹底の方法であります。先ほど官房長のお話で、建設省に照会をしてもらえばよいということでありますが、これも機械が非常に多くなつて参りますとなかなかで、たとえば建設業界新聞などにそれの一覧をつくるのも便利な方法であります。ところが、そういうことをしてもらつて困る、この機械が抵当に入つているということになつたら、会社の信用にかかわるから、そんなことを公示してもらつては困るというような意見も出でて来ると思うのでありまして、一般個人的な取引あるいは会社の経営内容というものに触れますと、それはなかなかわれわれが簡単に考えるようなわけに行かないかと思うのでありますが、それらに関して国民の常識にまでなるように十分徹底いたしますることが、すなわち日本の建設機械を普及せしめ、性能を発達せしめ、国民的関心を持たすことにも役立つのであります一面、民法第百九十二条との紛争が起らないためにも、また建設機械の普及発達のためにも、予算も十分使つて、これらの周知徹底の方法を講じていただきたいと思うのでありますが、それに対する建設省の御方針を、もう一度お伺いしておきたいのであります。
○石破政府委員 お尋ねになりました打刻の場所、大きさ、こういうような点についてでありますが、これは御承知の通り・機械によつて一概には申し上げられませんけれども、趣旨は善意の第三者を保護することをねらいにしていたしたいと思います。大ざつぱに申し上げられますことは、まずこれはどうしても本体部分に刻印しなければならない、しかもそれは見やすい部分でなければなるまいと考えられます。大体の機械には、そのメーカーのいつ幾日どこどこで作つたというようなことや、それから性能などが書いてありますが、できればその附近にやつたらどうかと思います。私はよく知りませんが、まさか機械の裏の方にそれが書いてあるのはなかろうと思いますので、そういうふうにしたいと思います。 なお、その大きさでございますけれども、これもまだ十分研究いたしておりませんが、先ほど申し上げました趣旨に沿いまして、なるべく大きくと考えておりますが、これもそう大きいのを打たれては困るということを言われる方が出て来られるかもしれません。その辺は非常にむずかしい問題だと思いますけれども、要は善意の第三者を保護し、かつその機械を抵当に入れた方の信用もあまり落とさないように——これは非常に苦心もいると思います。が、やらなければならないと思います。 その他周知徹底のためには、予算はこのためにはまだ特別にはとつておりませんが、既存のほかの予算で流用可能な予算もあるわけであります。あまり金のいらぬような方法で、できるだけ周知徹底をはかりたいと思います。
○村瀬委員 今大きさ等はあまり大きいときらうかもしれないという御答弁じありましたが、そういう心配はいらばいと思います。それを新聞等に公表、る、大勢いる場所に公表する場合は、それは本人の意思を無視してやることは困難かもしれませんが、大きさ等については、かれこれ言わす必要はない。そこで問題は、たとえば一例をあげますならば、建設機械抵当法に、そういうことが規定されてないのであります。その打刻を故意か偶然か——打刻の方法にもよります。大メーカーはたいていアウト・プレートを打つておりますが、ああいう型にすると、悪意でなしにぽろりと落ちることも考えられるのであります。本体のところへ大きな彫刻的なものをやるということになれば、脱落しないことを絶対考えねばなりませんが、万一何らかのことでそれが脱落をした——悪意で脱落した場合は、これは刑法上の何かになるかもわかりませんが、あるいは刻印が摩滅しておるかなんかで全然わからなかつた、そうして買つたんだ、だから自分はまつたく善意無過失だということで平然としておつたというような場合が一つ。それから悪意で摩滅しようとした場合には摩滅ができるから、これはどうしても、摩滅しようとしても摩滅できない方法を講じなければならないということを申し上げるわけであります。何らかの方法で摩滅をした場台、そういうことをした人は、いわゆる詐欺か何かになりましようが、そういうものを善意無過失で買い取つた場合にどうなるかということが問題になるわけであります。そういう刻印がついておつても、民法第百九十二条との関係はどうかということを、最初私は問題にした。ところが、それは先ほど政務次官また政府委員から、我妻博士ですかの学説にもあるし、そういうことは第三者に対抗できないのだ、だから刻印のある場合は無過失とは言えない、だから抵当権は保護されるんだ、こういう御答弁でありましたが、そうなつておればそれもよろしいと思います。しかし、ほんとうに刻印が消えておちた場合、無過失であつた場合、そのときには、これは第三者を縛るわけには行かないと思うのでありますが、そういう場合の御処置等について、お考えを承りたいのであります。
○南政府委員 お答え申し上げます。打刻の方法は、非常に問題になると思います。しかし、どういう打刻の方法をもつても、今村瀬さんの御質問のような点は、起り得る問題であります。百九十二条は、その打刻が悪意であつても善意であつても、普通の状態において打刻なきものと同様な効果を生じておつた場合には、百九十二条の適用を受けます。善意の第三者は保護を受けます。判例はないと思いますが、似た例が不動産登記にも起きております。登記官吏の過失で登記をやりそこなつて、抵当権が抹消されておるというような場合に、もし善意の第三者がこの抵当権を取得した場合には、これは公示方法にあやまちがあつたのでありまして、判例において善意の第三者として保護される。従つてその精神を、——やつてみなければわかりませんが、そういう判例のことを考えてみますれば、公示の方法が善意、無過失で公示なきものと同様になつておつたことに信頼を置いて取引した取引者は、百九十二条の適用を受けまして保護せられると考えるべきだと私は考えます。
○久野委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十二分散会 ————◇—————