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19回国会衆議院1954/11/25

決算委員会 第57号

発言数
85
登壇者
8
会派数
3
開催日
1954/11/25

会議録

田中彰治日本民主党

○田中委員長 これより決算委員会を開きます。  前会に引続きまして、政府関係機関のうち造船融資に関する件を議題として、審議、調査を進めます。  本日は、まず内閣総理大臣吉田茂君を証人として出頭を求め、本問題の解明に関してその証言を求めることに決定いたしておりましたが、本日証人吉田茂君から、疲労のため医師の診断により休養を要する旨の理由により出頭いたしがたい旨、書面をもつて届出がありました。  この際議事進行について杉村沖治郎君から発言の申出がありますから、これを許します。杉村沖治郎君。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 議事進行についての発言の前に、ただいまの総理大臣の欠席届出の医師の診断ということでありますが、その医師の住所はどこであるか、医師は何という人であるか、それはついておりませんのですか、いかがですか。

田中彰治日本民主党

○田中委員長 診断書にはついておりませんから、今問い合わしております。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 私は議事進行について動議を提出いたします。  このごろの政界の現状は実に逼迫しておりまして、昨日日本民主党が結成されまして、その総裁であるところの鳩山氏が宣言されたそのうちにも、ここに新党ができたゆえんのものは、いわゆる汚職問題が発端となつておるということまで言われておるのであります。さような状態にあるにもかかわらず、総理大臣が、ここに証人として幾たび喚問をされましても出て来ない。しかも本日は、欠席届にただ医師の診断によりということのみでありまして、その医師が何人であるか、どこの医師であるかということもはつきりいたしておらないのであります。聞くところによりますなれば、昨日あたりはいろいろとこの政局の収拾に東奔西走しておるそうであるのであります。それにもかかわらず今日そのような不明瞭な欠席届では、私どもはこれを承認することができませんから、委員長はすみやかにその医師の住所、氏名を調べまして、これからその医師をここへひとつ呼んでもらいたいのであります。そして、小原法務大臣に対しては午後一時からやることにして、その医師が来るまで休憩を宣していただきたい。私はここに動議を提出いたします。

田中彰治日本民主党

○田中委員長 ただいまの杉村君の提案についてお諮りいたします。右提案の通りとりはかららに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

田中彰治日本民主党

○田中委員長 起立多数。よつて医師を参考人として招致することに決しました。  ここで、医師を呼びに参りますから、暫時休憩いたします。     午前十一時二十五分休憩     午後一時五十一分開議

田中彰治日本民主党

○田中委員長 休憩前に引続き委員会を再開いたします。  お諮りいたします。先ほど自由党の幹事長池田勇人君から、委員長及び委員諸君に対して、自由党は幹事会を開いておりますので、委員全部がそこへ出席しておるために、しばらくの間開会を延期してもらいたいという申込みがありますが、いかにとりはからいましようか。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 われわれも大政党が幹事会を開いていろいろ協議するということでありましたので、野党委員がほとんど出ておりましたが、今まで待つたのであります。もうすでに五十分も経過いたしておりますから、再開すべきだと存じます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中彰治日本民主党

○田中委員長 それでは再開いたします。  先刻の決議によりまして、吉田証人の診断に当つた医師馬場辰二君を参考人として本日その出頭を求めましたが、午後三時より結婚式に出席しなければならないので、本委員会に出席できない旨の申出がありましたので、来る二十九日に出席を求めることにいたしたいと思いますが、さよう御了承願います。  次に、福永官房長官の出席を求めて、吉田茂君の不出頭の理由をただす予定になつていますが、同長官は行方をくらまして連絡ができないため、やはり次会二十九日に出席を求めることにいたしたいと思いますから、さよう御了承願います。  次に、吉田証人をあらためて本月二十九日午前十時本委員会に出頭を求めることにいたしたいと思いますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

田中彰治日本民主党

○田中委員長 起立多数。よつて右の通り決しました。手続については委員長に御一任願いまする

大矢省三日本社会党(右)

○大矢委員 私は動議を提出いたしたいと思います。九月の六日に本委員会において吉田茂君外五名を証人として喚問することになつたのでありますが、そのうちの佐藤榮作氏はすでに起訴されておりますから、緒方副総理を二十九日、総理とともにここへ喚問をお願いしたいのであります。それは数回決定された証人がいまだ出席を見たいのでありまして、こういうことでこの重大な審議に障害があると同時に、造船融資に対する調査が非常に遅延しておるのであります。従つて総理を代理するところの副総理の緒方氏をこの際ぜひとも喚問されんことを私は動議として提出いたします。

田中彰治日本民主党

○田中委員長 ただいまの大矢君の動議については、一応理事会において協議の上あらためてお諮りいたしたいと思いますので、さよう御了承願いたいのであります。理事会の時間等についてはあとで打合せを願います。  それでは、さきに証人として喚問いたしました佐藤検事総長及び馬場検事正の証言並びに書類の提出について、職務上の秘密である旨の申立てに対し、法務大臣にその承認を求めたのでありますが、その承認は拒否され、十月十二日文書をもつて承認拒否の理由を疏明して来たのであります。本委員会におきましては了承しがたい点もありましたので、本月十五日その説明を求めるため法務大臣の出席を求めたのでありますが、病気のゆえをもつて出席されずそのままとなつておりましたが、本日その出席を得ましたので、承認拒否の理由疏明について質疑を行うことにいたしたいと思います。委員の発言を許します。柴田義男君。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 私は小原法務大臣に、疏明書に関する質問を試みんとするものであります。法務大臣は疏明書におきまして、三権分立の原則を述べておられ、あるいはまた国会の国政調査権といえども、無条件に許容せられない、あるいはまたこれが例示として、国会が国政調査に名をかりて、裁判権に介入するがごとき印象を与えんとしているのであります。本決算委員会は一貫して三権分立の根本精神を侵すが、ごとき過誤は断じていたしておりません。検察権と司法権とは明らかに区別すべきものでございまして、検察権の職務は裁判官が司法権を行使する前提となることは多いが、それだからといつて検察行政全般にわたつて、国会の国政調査権を排除すべきではないのであります。いわんや国政調査権は憲法に基き定められ、国会が国政を審議する上において欠くことのできない権利であります。刑事訴訟法第四十七条の但書は、新憲法の制定とともに追加せられたものであつて、公益上の必要によつては訴訟に関する書類は公判の開廷前といえどもこれを公にすることができるという、公益上の必要性は国会の調査権を第一にさすものであるとわれわれは考えておりますし、幾多の法律学者も、この点に対しましては断じて疑つておらぬのであります。刑事訴訟法第四十七条については、かつては美濃部博士きあの事件が、われわれにとつていろいろなことを教えておつたのであります。さらに終戦後駐留軍との関係におきましても、また今回の事件におきましても、三回目の大きな政治問題となつているのであります。かつまた法学上の問題になつたのであります。現法務大臣がこの但書に対しまして、国会の調査権を無視し、あるいはまた永久にわが国の法学史上に汚点を残し、小原法相の名が悪い意味においてわが学界に残ることは、まつたく悲しむべき現象であると存ずるのであります。これらに関しまして法務大臣の所見を承りたいと存じます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お答えいたします前に、本月十五日の当委員会に、病気のゆえをもつて出席できず、御迷惑をおかけしたことについておわびを申し上げます。  ただいまのお尋ねに対してお答えいたします。国会の国政調査権は憲法に定められてあるところでありまして、まつたく重要な権限であります。この権限については学者の間ににいろいろ意見がありまして、あるいは立法の準備のためだけであるというように、狭い解釈をする者もありますけれども、それ以上に、行政の監視のためにこの権限が行われなければならぬということは、私も認めなければならぬと思つております。ただしかしながら、それならば国会の国政調査権というものが無制限にどこまでも行われるものであるかと申しますと、それには、たとえば司法権に対する場合のごとき、若干の制限が行われることは、これは学者の間でも異論のないところであります。ただ一般行政権について行政権について国政調査権が制約を受けるかどうかという点については、学者間にもいろいろ議論があり、また実際家の間にも問題があります。検察権が行政権の一部であるということは議論のないことでありますが、ただ検察権は司法権が適正公平に行われるがための前提となる働きをなすものでありまするから、一般行政権に比しては、検察権において他の行政権よりは強いところがなければならぬ。従いましてこの国政調査権は、検察権が司法権行使の関係において、ある程度においては制約を受けることがあり得るのである、こういうふうに私は考えております。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 ただいまの法相の、検察権が一般の行政権の秘密とは多少異なる、もつとかわつた意味における強さを持つておるというような意味合いのお答えに承つたのでありますが、われわれ考えますると、行政上の秘密といいますることは、単に検察行政だけではないと心得ております。少くともあるいは徴税に関しましても、税務署当局はいろいろな秘密がございましようし、あるいはまた大蔵省関係の銀行等に関するいろいろな行政上の秘密もございましよう。各省それぞれの立場で円満な行政をつかさどります場合には、秘密あることは当然でございましよう。しかし少くも国会における最高の国政調査権に基いて、その調査をいたします場合、われわれは国民大衆とともに日本の政治をきれいなものにしなければならない、こういう意図のもとに、しかもわれわれ国民大衆の血税によつてでき上つておつた日本開発銀行から、多額の不正な融資が行われ、その多額の不正な融資を中心といたしましてあのリベートというものが問題になつたのであります。これらを調査をし、あるいは捜査をいたしまして、その問題の糾明に当つた場合に、行政上の秘密を問題といたしまして、さらに国政調査権に対する明快な答えがなかつたという問題が、今議論の焦点になつておるのであります。しかもそれに対しましては、ことさらに指揮権の発動によつてこれらの捜査をまつたく不能に陥れた、こういう問題がきつかけとなつて本委員会がしばしばこの問題をとらえて糾明に当つたのであります。こういう場合に関して、検察権というものは行政権よりももつとかわつた形における強きがあるというようなお答えでであつては、われわれは納得ができません。こういうことは決してわれわれは個人の名誉や信用を傷つけるためのものではなくして、真に糾明しなければならないという観点に立つて糾明したものであります。あるいは三権分立を根本的な理由とされておりまするけれども、しからば指揮権の発動と、この三権分立によつて秘密を保持しなければならねという法相の疏明というものは、矛盾がないのかあるのか、この点を承りたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 国政調査権が強い権限であることは申すまでもないことであります。私は検察権に対し、国政調査権が、いついかなる場合においても及ばないということを言うのではないのであります。先ほど来申し上げますように、裁判との関連において、検察権がある場合においては、国政調査権の目標としてはならぬという場合があり得るということをお答えしたのであります。ただいま、先だつてこの造船疑獄について行われたいわゆる指揮権を発動しておりながら、なお今度は検察上の秘密であるということでそれを証言を拒否させるということは、矛盾するのではないかというお尋ねでありますが、かの指揮権発動は、検察庁法十四条に規定してあるところでありまして、それは法務大臣がああいう場合においては指揮権を発動して、検事総長に対して指揮することができるという規定であります。あれは検察庁法十四条の規定にありますから、法務大臣がそれを行つたのでありまして、今度この点について、検察上の秘密が裁判権に関連するゆえをもつて、ここで証言をすることはお断りしたいと申し上げたこととは、決して矛盾をしたとは思つていないのであります。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 小原法相は、指揮権の発動は法務大臣が検察行政に対してやることはできると言われますが、これは法律をそのまま表面で見ました場合はその通り何も疑義はございません。ただそれは検察庁がほんとうに国民大衆を公平な立場で捜査をしないで、まつたく検察フアッシヨをもつて国民大衆を圧迫するというような場合に発動すべき権利であるのであります。それを片一方において悪用しておる。これはまつたくの悪用であるということは、もう社会の何人もこれを疑う余地がなかつた。こういう一面における立場をこのままに置きまして、三権分立の根本からいつて秘密を保持しなければならぬとか、あるいは司法権の独立というようなことは、検察行政というものは一つの行政であるということを考えました場合に、矛盾がありはしないかと私はお尋ねをしておるのであります。  第二点としてお伺いいたしますことは、これらがことごとく行政上の秘密として国会の国政調査権を排除するならば、遂に憲法上の重要な国政調査権は有名無実に終つてしまうのであります。あるいはまた国権の最高機関としての国会の権威も地に落ちてしまう結果となるのであります。本件のごときは、先ほどしばしば申しました国民の納めた血税の行方はどうなつて行くのであるか、その行事われわれは追究しておる一環であるのであります。何ら逸脱しておるものでもありません。しかもしばしば政府当局者は、われわれのこの委員会に対しまして逸脱があるがごときことを宣伝しておりますけれども、われわれは国民の血税の行方を徹底的に調査する権限の一つの現れにすぎないのであります。その点を十分御理解を願いたい。将来かかる不正を根絶せしめねばならぬということがその目標であるのであります。われわれ国会に与えられております権限に基いて徹底的に調査するものであつて、この重大なる公益性を忘れて単なる職務上の秘密に籍口して全国民の知らんとする血税の行方を明らかにできぬようでは、遂には検察庁に対する国民の信頼を失墜するものと考えざるを得ません。検察庁が国民から信頼を失いました場合に、だれがしからばこれを守るか。これに対する大臣の所見を承りたいと存じます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お答えいたします。国政調査権を検察権の秘密であるというゆえをもつて排除するならば、憲法の規定が無効になるのではないかという御議論でありますが、私の申すのは、何でもかんでも検察の秘密については国政調査権が立ち入つてはならぬということを申すのではありません。そんなことは決して申しません。ただ本件の場合は、すでに造船疑獄に関して起訴されておるのが三十五名あります。あるいは特別背任、詐欺、横領、贈収賄等々の事件で起訴されておるのでありまして、その起訴されておる事件の証拠となるべき本件の証言を公判の開廷前において公表することは、公訴権の維持に支障があり、かつ同時に裁判の公平を疑わしむる結果となるのでありますから、それゆえに、その限りにおいて本件の証言を拒否しなければならぬということで申し上げておるのであります。決してお尋ねのような矛盾もなければ、また権限をことごとく排除するなどという考え方は毛頭いたしておらぬのであります。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 公訴の維持のための、いわゆる秘密を守らなければならぬというようなお答えでございまするが、少くもあらゆる角度から捜査をされ、しかも八千万になんなんとする国費を使つて検察庁が徹底的な調査をいたしまして、何のたれがしを逮捕しなければならないと決定いたしました場合に、その後今日に至つて公訴維持のために秘密を守らなければならぬということは断じてとれないのであります。何人も承服のできないところであります。私はこれ以上小原法相に、いかなる角度から伺いましても、無責任な答弁より伺い得ませんので、私の質問は終ります。

田中彰治日本民主党

○田中委員長 杉村沖治郎君。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 私は小原法務大臣のこの証言回避に対します疏明書につきまして、まことに納得できない点が多々あるのであります。この疏明書を大体にわけてみまするならば、裁判権の介入と司法権の独立、検察官の職務行為というふうに三分類されて出ておるのである。そうしてその前提として三権分立ということがまずまくら言葉で書いてあるのでございまするが、非常に私どもはこれがふかしぎ千万であると思うのであります。さらに先ほど来小原法相の答弁を伺つておりますと、国政調査権は立法量るためのいわゆる下調べであるというようなことを申されておるのでありますが、そういうようなことが非常に私どもには不可解であるのであります。まず三権分立という点から言いまするならば、いわゆる検察官は行政官でありまするから、それは国政調査権のためには従わなければならないものであろうと私は思うのであります。ことに今の小原法相が言われましたように、国政調査権は立法の下調べをするために必要な範囲であるというようなことを言われておりますが、立法に関する場合であつたならばそうかもしれませんが、この決算委員会は立法委員会ではありません。国の財政経理を内閣からその執行したことについて適当であるか適当でないか、正しいか正しくなかつたかということの承認を求められておるのであります。立法に関する事項ではありません。従つてわれわれは何もの造船融資に関することを調べるにつきまして、その調べの内容が、これは起訴すべきものであるとか起訴すべきものでないとかいうことを調べるものではありません。少くとも不正が行われて船主選考や融資がなされたか、そういう事実を調査するのでありまして、この決算委員会の権限というものは、実に予算委員会の権限以上に広汎なものであるのであるが、その点について小原法相の所見をひとつまず伺います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 杉村委員にお答えいたします。先ほど私が三権分立のことについて申しましたが、その中で国政調査権は立法の準備のためであるという説もある。しかしそのほかに行政の監督をするということがあるのであるから、必ずしも立法の準備のためだけではないという説明を申し上げたのであります。それを誤解にならないように願います。行政の監督の作用として国政調査権が大いに働かなければならないことはもちろんであります。従いまして当決算委員会において造船に対する開発銀行の融資についての不正をお調べになるのでありますから、これはどこまでもお調べになるのは当然国政調査権の範囲内でありまして、何らふしぎはないのであります。ただ、私が申し上げまするのは、先日来検事総長及び馬場東京地方検事正の証言について拒否があつたその部分については、これはいずれも国政調査の必要上お尋ねになつたことと思いますけれども、それを証言することによつて、現在起訴されておりますところの事件の検察権を行使する上に支障があるということと同時に、公判開廷前にそのことを証言いたしますると、いわゆる公判判事に予断を与えるおそれがあり、従つて裁判の公平を害するおそれがありますから、それをむしろ避けるために証言を拒否しなければならないということで、証言の承認をお断りしたわけなんであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 今の小原法相のお答えは、日本全国の裁判官を非常に侮辱した言葉ではないかと思うのであります。何も裁判官が国会でどういうことがあつたとか、新聞にどういうことが出たとか、そんなことで予断を抱いて裁判を誤まるような、そんな裁判官は日本には私はおらないと思うのであります。それからさらに今そういうお答えでありますけれども、本年の二月五日に、犬養法務大臣は、この決算委員会に来て、当決算委員会で御調査になつておりますところの造船汚職事件は、今検察庁で摘発調査中であるから、しばらくお待ち願いたい。そのうちに調べましたなれば全部を皆さんのところに御報告申し上げます、こういうことがはつきりと二月五日の速記録に載つておりますからごらんください。それにもかかわらず今日になつて裁判権に介入したことになるとか、裁判官に予断を抱かせるとか、そういうような遁辞を弄して、われわれが調査すべきものを調査させないでおいて、今になつてそのようなことを言うということは、はなはだ私は不都合ではないかと思う。あなたは少くとも犬養法相のあとのそのあとをうけたところの法務大臣ではありましようけれども、内閣は一蓮托生であります。そうなればこの二月五日の犬養法相の当決算委員会に出て来られてせられたその発言に対してあなたは責任を負いますか、負いませんか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 裁判官に予断を抱かせるおそれがあるから証言を拒否したということに対して、杉村委員からはそれは日本の裁判官を侮辱するというお話でありますが、私は決してこれあるがために日本の裁判官を侮辱したということにはならないと思います。刑事訴訟法の四十七条には、訴訟に関する書類は、公判開廷前これを公にすることを得ずとあります。要するに公判開廷前に訴訟に関する書類を公にすれば裁判の公平を害するおそれがある、裁判官に予断を抱かせるおそれがある、そういうことの規定が設けられております。法律にすでに書いてある。そのほかになお最近の最高裁判所の判決、これは二十七年三月五日の大法廷の判決でありますが、これにも同様の趣旨が判決されております。これは仙台の高等検察庁の検事長の上告に対し  ての判決でありまして、こういう理由が示されております。少し煩わしうございますけれども読んでみます。「刑訴二百五十六条が起訴状に記載する要件を定めるとともに、その六項に「起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し、又はその内容を引用してはならない」と定めて居るのは、裁判官かあらかじめ事件について何等の先入的心証を抱くことなく、白紙の状態において、第一回の公判期日に臨み、その後の審理の進行に従ひ、証拠によつて事案の真相を明らかにし、もつて公正な判決に到達するという手続の段階を示したものであつて、直接審理主義及ひ公判中心主義の精神を寅現するとともに、裁判官の公正を訴訟手続上より確保し、よつて公平な裁判官の性格を客観的にも保障しようとする重要な目的をもつているのである、すなわち、公訴犯罪事実について、」…。     〔杉村委員「そんなことは聞いていない」と呼び、その他発言する者あり〕

田中彰治日本民主党

○田中委員長 御静粛に願います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 「裁判官に予断を生せしめるおそれのある事項は、起訴状に記載することは許されないのであつて、かかる事項を起訴状に記載したときは、これによつて既に生じた違法性は、その性質上もはや治癒することができないものと解するを相当とする。本件起訴状によれば、詐欺罪の公訴事実について、その冒頭に「被告人は詐欺罪により既に二度処刑を受けたものであるが」と記載しているのであるが、このように詐欺の公訴について、詐欺の前科を記載することは、両者の関係からいつて、公訴犯罪事実につき、裁判官に予断を抱かしめるおそれのある事項にあたると解しなければならぬ、」かように書いてあります。はなはだ煩わしゆうございましたが、この判例を見ましても、裁判官に予断を抱かしめてはならぬという判例になつております。法律の規定とあわせて、私の申し上げたように、公判にやがて提出せらるべき証拠となるべきものの内容を事前に公表する、あるいは外部に表示することは裁判官に予断を抱かしめるおそれがあり、不公平な裁判になるおそれがあるから、この証言をお断りしたい、こういうことであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 ただいまの小原法相のお答えは、私の聞いておることと全然ピントが狂つておる。それは最高裁判所のことで、裁判所はいかなることにも制肘されず裁判するのであつて、最高裁判所の裁判をあなたがここに読み上げても私の、質問には何ら答えにならない。しからばあなたはこの国会におけるところの、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律と刑事訴訟法との関係をどうお考えになつておるか。あなたの今おつしやることは、刑事訴訟法上の規定についての説明でありましよう。われわれが問うておるのは、少くともこの議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律について私は問うておる。この法律の第四条に何と書いてありますか。この法律の第四条には、民事訴訟法の二百八十条、二百八十一条に関するところのことが掲げられてある以外においては、何ら制限がないのであります。刑事訴訟法については何らここに準用も適用もされておらないのであります。あなたが今言われておることは刑事訴訟法の説明であります。刑事訴訟法の説明をわれわれは聞く必要はない。しからば私はここで伺いますが、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律のうちのこの公務員の秘密ということの意義は、どういう場合において、どういう根拠に基いてこの公務員の秘密ということが認められるのか。なるほど検事総長や検事正が職務上の秘密であると言うことは、これは公務員法に基いて一応言うてもいいかもしれませんけれども、少くともあなたが疏明書を出す場合においては、やはり検事正や検事総長のその職務上の秘密と同一意義の観点に立つて疏明書をお出しになつていいかどうか。少くともここにおいて、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の職務上の秘密ということは、それを供述することによつて国家に重大なる悪影響を及ぼす場合が、すなわち証人の供述の秘密事項になるのであります。それ以外のことであつたら供述しなければならぬと思うのでありますが、あなたはこの議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律と刑事訴訟法との関係をどういうふうにお考えになつておるのであるか。刑事訴訟法がこの法律にまさるようなあなたの説明でありますが、やはりそれでよろしいかどうか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 国会における証言等の法律の第五条の公務員の「職務上の秘密」ということは、公務員が取扱つた秘密に限るのでありまして、ここでいう秘密は何も国家に重大なる影響を及ぼす秘密に限るわけではないと思つております。公務員がみずから、これが職務上の秘密であると思うものはすべてここにいう公務員の「職務上の秘密」になるものと思います。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 さらに小原法務大臣に伺いますが、「証人は民事訴訟法第二百八十条(第三号の場合を除く。)及び第二百八十一条(第一項第一号及び第三号の場合を除く。)の規定に該当する場合に限り、」云々と書いてある。だからあなたのような説であつたならば、何ゆえにここに民事訴訟法だけを掲げてこういう除外規定を設けておるか。何ゆえにここに刑事訴訟法を掲げておらないか。刑事訴訟法の法文をここに掲げないというゆえんのものは、この法律によつて刑事訴訟法のそれは適用されないから、民事訴訟法の二百八十条、二百八十一条だけが掲げられておるのである。こういうふうに民事訴訟法の二百八十条及び二百八十一条だけを掲げて、刑事訴訟法に関するところの条文を掲げない点に関するところのあなたの法律解釈はいかがですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 証言法にいら秘密というものはただいま申し上げたように、第五条第一項に書いてありますのは、公務員の職務上の秘密に関することであります。さらにこの秘密を当該官庁が承認しない場合において、もし承認しなければ疏明をせんければならぬ、疏明をしてなおかつこれを委員会等が受諾できない場合においては内閣に声明を求めなければならない。内閣はそれが国家の重大なる利益に悪影響ありと認めた場合に声明を出す、こういうことになつておるのであります。この国家に重大なる影響のある秘密と、この第五条第一項の公務員が考える公務上の秘密というものとは違うと思うのであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 そうするとあなたは、公務員法あるいは刑事訴訟法に規定されたところの規定によつて職務上の秘密の証言を拒否することができるようにおつしやられておりますけれども、もしそうであるとするならば、刑事訴訟法の第百四十五条をごらんください。この刑事訴訟法第百四十五条には内閣総理大臣あいは総理大臣たりし者が証人として呼ばれた場合において、その供述をするかどうかということについては、内閣の許諾がなかつたならばそれを供述しなくてもいいということになるのです。そうすると当委員会において吉田総理大臣を証人として喚問しておるが、あなたはこの規定で吉田総理が当委員会に出席をしなくてもいいというように、この法律が適用されますかされませんか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は先ほど申し上げたと同様の考えを持つておりまして、その点については結局私の意見と杉村委員の意見が相違するのでありますから、さきに申した通り以上に申し上げることはできません。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 意見の相違だけではなりません。あなたが刑事訴訟法や公務員法が適用されておるということになれば、この刑事訴訟法百四十五条によつて、総理大臣は内閣の承認がなかつたならば供述も出頭もしなくてもいいということになりますか、なりませんか、この点をはつきり答えていただきたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 先ほど私が刑事訴訟法の条文を読み上げ、判例を朗読いたしましたのは、つまりこの証言を拒否したものを証言するにおいては、

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 発言の途中ですが、イエスかノーでいいと私は聞いておるのです。あなたは刑事訴訟法及び公務員法によつて職務上の秘密云々を申されておりましようが、この議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律のほかに、あなたは公務員法及び刑事訴訟法のお話をなさつて、その法文を適用しておる。しかも先ほど判例まで読んで説明されておるのです。そうするとあなたが、この法律よりも刑事訴訟法の規定が適用されるということになると思うのであるなれば、吉田総理はあんなうその診断書みたいなものを出したりなんかしなくたつて、この刑事訴訟法の四十五条によつて、あなた方が内閣で出ないようにしようと思つたらできるでありましよう。だからこれがやはり適用できるのかできないのか、イエスかノーだけでいい、よけいた説明はいりません。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はお尋ねの趣旨を了解いたしません。私が、もう一つだけ申し上げたいのは、さつき刑事訴訟法とかなんとか申しましたけれども、これは裁判官が予断を抱かないように—日本の裁判官が予断を抱くことはないかとおつしやるが、そうではない、法律の規定でこういうことまでして裁判官に予断を抱かせることを防いでおるではありませんかということを申し上げた。それは何も職務上の秘密ということに関係はないのです。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 私の質問しておることと全然とんちんかんなことをあなたはおつしやる。そうして、言葉が当らないかもしれませんけれども、逃げようとしておる。そこで私が問うのは、あなたは、職務上の秘密ということは、公務員法や刑事訴訟法におけるところの職務上の秘密を言つておるのでありましよう。あるいは裁判官が予断を抱く云々ということで先ほどあなたが読み上げたのは、刑事訴訟法の起訴状に関することです。だから刑事訴訟法を援用して、その証人の秘密として拒否しておる。しからば刑事訴訟法を援用して、この議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律にまさるというのであつたならば、吉田総理をわれわれがここに呼んでおるけれども、吉田総理は刑事訴訟法の第四十五条によつて、あんなにその診断書みたようなものを出したりなんかしなくたつて、いくらでも来ないようにできるではありませんか。だからそれが適用になるのかならないのかと言うんだ。わかりませんか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 どらも御趣旨をよく了解いたしませんが、刑事訴訟法や民事訴訟法に規定しておる秘密よりは、この証言法に規定しておる秘密の方が重いのである、それをなぜ拒否するのか、こういうお尋ねであるように私は理解いたします。ところが先ほど来申し上げておりますように、証言法にある公務員の秘密ということについては、それはつまり現に起訴してある事件の訴訟の関係において、公訴の維持上あるいは裁判の公平を維持する上において、その証言をすることが困る、その秘密を言うことは困る、こういう意味で申し上げたのであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 あなたがそういうことを言つておるのは、何に基いてそう言うのであるかというのです。あなたが今言われておるところの職務上の秘密ということは、いかなる法律に基いて言つておるのか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 それは証言法の五条によつて私は申し上げておるのであります。それはつまり、この秘密は秘密であるけれども、その秘密を言うことが、今申し上げたように、起訴された事件の訴訟上に支障を来すから、それで秘密を申し上げられぬということを申し上げておるのであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 それであつたならば、あなたが先ほど言つたような、起訴状の問題や予断を抱かせるというようなことは、この五条にはどこにも書いてないじやないですか。そんなことは書いてなくて、少くとも内閣がこの証言を拒否したことについて委員会が承知しなかつたならば、内閣声明を出さなければならない、その内閣声明を出すということはどういう場合であるか。すなわち証人が証言することによつて、国家に重大な悪影響を及ぼす場合でなくてはならないということになつておるでしよう。従つて証人が供述しない、拒否するということは、国家に重大な悪影響を及ぼす場合、すなわちこの職務上の秘密を述べてはならないということの根拠になるのは、これから出て来るのです。あなたの言うようにそんな刑事訴訟法や公務員法から出て来るのではありません。この委員会において、いわゆる職務上の秘密というその限度をどこに求めるかというならば、その職務上の秘密というのは、いわゆる議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の第五条の末段にあるところの、その証言をすることによつて国家に重大な悪影響を及ぼす場合、すなわち証言を拒否することの根拠がちやんとここに掲げてある。あなたがいかにお年をとつても、法律家であり、かつての小原法相であつて、このくらいなことがわからぬはずはないと思う。それをあなたが刑事訴訟法あるいは起訴がどうであるかとかいうようなところに根拠を求めようとしているところに、あなたの頭の錯覚があると言わざるを得ない。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 証言法の第五条にある公務員が職務上知り得た秘密ということは、それは公務員がみずからこれは秘密であると考えた主観的の秘密がそれに当るのであります。それが必ずしも国家の重大なる利益に悪影響のある秘密なりやいなやということとは別であります。但し内閣が声明を出すときには、国家の重大な利益に悪影響ありということを考える秘密でなければならぬことはもちろんだと思います。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 国の重大な利益に悪影響を及ぼす場合でなければならぬということをあなたが言つておる以上、さきのような刑事訴訟法や公務員法を引出してつまらない答弁をしたということは、あなたの答弁が誤つておるということになりませんですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 決して誤つておりません。私がさきに引いたのは、裁判官に予断を抱かしめるおそれがあるかないかということに問題がありましたから、判例にもあり、刑事訴訟法にも規定があつて、裁判官に予断を抱かせないためにああいう判例を出したのだという説明をしたので、何もただいま申し上げたことには矛盾はありません。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 小原法相とこれ以上論争をしてもいたし方がありません。国民が今朝野をあげてこれだけ騒いでおるところの汚職事件に、何とかしてふたをしようという考えに立つて、あなたはそういう奇怪千万な答弁をされておるとしか思えません。かつての小原法相として、やつておることがはなはだ私は遺憾しごくであるが、そんないいかげんなことをしておつても、やがては白日のもとにさらされることと思う。私はもうこれ以上あなたと論争はいたしません。

田中彰治日本民主党

○田中委員長 小原法務大臣にお尋ねいたしますが、あなたは先ほど三十何名が起訴されておるとおつしやつたから、起訴は大分されておるでしよう。起訴されれば事件の内容の記録を弁護士にもあるいは速記者にもとらせるでしよう。その内容がわかるじやないですか。そんな大事なものならば記録を速記者や弁護士にとらせないで、もう少し秘密を守るような方法はないのですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 それは現行ではそういう手続をやつております。けれどもそれは法律の規定によつてやつておるのじやないのでありまして、実際は刑事手続の進行上において、公判を開始する前に記録が弁護士の手にないと訴訟の進行ができない。そこでやむを得ず裁判所は公判開廷前に弁護士に記録の謄写をさせます。しかし謄写はさせても公表することはありません。公表は厳禁されておる。もしそれを新聞に出すとかその他のことがあつたならばやはり法律の規定によつて取締るということになります。

田中彰治日本民主党

○田中委員長 しかしそれが弁護人でなくとも、弁護士が頼んだ人でもよければ速記者でもよいのですから、そこで裁判官がそれをとにかく便宜上きせておるというならば、あなたは法務大臣だからとめたらどうですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 裁判所には決して出しておりません。裁判官はそれを見てはならないことになつております。

田中彰治日本民主党

○田中委員長 そんなことはありませんよ。だれでも見るじやないですか。おかしいですよ。問題にならぬよ、そんな答弁は。吉田委員。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 まず第一点は、ただいま問題になりました証言拒否の制限と、それから監督庁の承認の拒否の制限、この関連について伺わねばならぬのであります。今伺つていますと、議院証言法の第五条による職務上の秘密と、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす場合の秘密とは、従つて内閣の声明を必要とする秘密の性質は違う、こういう御見解らしいのであります。それなら伺いたいのですが、証言法第五条第一項、監督庁である法務大臣が承認するかいなやの制限、限界、その限界はいずれによるのでしようか。つまり、あなたのおつしやる証言法第五条第二項の職務上の秘密という秘密の場合か、もしくは内閣が声明を出す場合の秘密の場合であるか、いずれによるのですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 五条の公務員の職務上の秘密はききに申した通りであります。公務員が職務上の秘密なりと考えればそれは秘密であつて、それが国家の重大なる利益に悪影響ありやいなやということとは、別の問題であります。しかし包含することももちろんありましよう。法務大臣がこれを許可するかいなかという場合を考えて、これを拒否する場合は、やはり国家の重大なる利益に悪影響あるであろうと考える場合が多い。さらに内閣は法務大臣でもその他の大臣もありましよう。この場合においては、私法務大臣でありますが、この法務大臣が出した疏明をそのまま正しいとして受入れて、国家の重大なる利益に悪影響ありと認めることもあるでありましよう。あるいはそれをそうでないと認めるかもしらぬ、これは内閣のきめるところでありまして、法務大臣の考えと違う場合はあり得ると思います。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 今のあなたの御説明によると、公務員の職務上の秘密事項の秘密と、それから内閣の声明を、要する秘密とは範囲が違う、監督庁の承認をなす、する、しないの場合の秘密は、前者の場合と後者の場合を含む、こういう御説明である。そうすると、ここに一つの矛盾が生ずるのであります。すなわち前者の、証人が職務上の秘密たりとして証言を拒否した、それは内閣の声明の内容をなす国家の重大な利益に悪影響を及ぼすという秘密に該当しない場合であつた。このような場合にも法務大臣は、承認を拒否し得るとおつしやるのですが、そういうようなことになると、国家の重大な利益に悪影響を及ぼさない場合にも監督庁は承認を拒否し得るということになる。国家の重大な利益に悪影響を及ぼさない秘密について監督庁が承認を拒否するというようなことでは、次の内閣声明とのつながりはうち切れてしまう。今の御説明のように、法務大臣は法務大臣の見解によつて承認するやいなやをきめる、内閣は内閣の責任において検討するという、そういうものでなかろうと思う。なぜならば、法務大臣は閣僚でありまする閣僚は内閣の構成員である。内閣の構成員は個々の行政上の責任もあるが、同時に連帯責任につながつているわけであります。でありますから、法務大臣の監督庁の承認拒否が、今のように両者を含むというようなことは、結果において矛盾を来すと考える。あなた自身の御説明で、内閣声明と、それから監督庁の拒否の見解と、証言拒否の制限と、これが矛盾してしまいます。いかがでしよう。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 公務員の職務上の秘密の中には、先ほど申し上げましたように、公務員が自己の考えにおいて、職務上の秘密であると思えばそれは秘密になるので、ところが、それが監督庁たる私の手に参りますと、これを検討いたしまして、もし証言してもよろしいものならもちろん許します、証言を承認いたします。もし国家の重大な利益に悪影響があるようなものは許すわけに参りませんから、これは拒絶をいたします。しかしその場合、法務大臣が拒絶をいたしましても、なお内閣においては、それを許してよいものがある、あるいは許すべからざるものがあるという見わけをする場合もあり得る、内閣の閣僚である法務大臣の考えと、内閣の考えと違うことはもちろんあり得ると思います。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私の尋ねたのとあなたの御意見は少し食い違いになつております。あなたは監督庁が秘密なりとして承認を拒否する場合は、内閣声明の国家の重大な利益に悪影響を及ぼす場合と、しからざる、証人がみずから秘密なりとして国家の重大な利益に悪影響を及ぼさない程度の秘密も含むとおつしやるから、その国家の重大な利益に悪影響を及ぼさないような秘密まで監督庁が承認を拒否するというようなことは、それは次に内閣声明とつながりますので相矛盾しておるではないか、あなたのお立場は。もしそうでないとするならば、法務大臣は、内閣声明の国家の重大な利益に悪影響を及ぼさない場合、みずからの主観的判断によつて承認を拒否し得るということになるのであります。法務大臣は、内閣声明の内容をなす国家の重大な利益に悪影響を及ぼさない場合も国政調査権を拒否するという結果になるのです。こういうことはこの法律の精神ではありません。この法律の精神なるものは、あくまでも国政調査権の尊重と、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす場合と、その関係を規定してあるのであります。でありますから、国家の利益に何ら悪影響をしない、もしくは重大な影響をしないような秘密までも、監督庁が懇意に承認を拒否し得るというようなことは、まつたくこれは法律の抹殺であります。のみならず、それは国政調査権の蹂躪であります。そんなことはできません。学者はこの解説におきまして、たとえば小野博士のごとき、あるいはその他の憲法学者からも、内容の声明は容易にすべきでないという説がだんだん出ております。容易にすべきでないということは、その重要性を考えているからであります。ところが中間の法務大臣が、懇意で小さな秘密までも承認を拒否するということになりましたら、国会の調査権を、法務大臣が拒否してしまうことになりまして、これは憲法蹂躪であります。そういうことは法律の粘神ではないと思います。そこをついているのであります

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お尋ねの趣旨はわかるのでありす。ただ私の申し上げるのは、法務大臣が証言を承認する場合と承認せざる場合、その間にこれは法務大臣の考えであるのでありますからら、その考えが内閣において、ただちに入れられるかどうかということは、これは別の問題であると思います。もちろん法務大臣としては内閣にいれられるような、国家の重大なる利益に悪影響ありと思うものだけについて証言を拒否する、こういう建前をもちろんとつて、この疏明もそれで出しております。内閣はおそらくこれを入れてくれるであろうと思いますけれども、それは内閣のことであるからわかりません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 やや解明して来ました。そうするとあなたの今の御説では、この証言を拒否した理由は国家の重大な利益に悪影響を及ぼすものなりとの判断に基いておる、こういうことであります。それならば聞きまするが、この全部の文章を通じまして、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす場合ということが一冒半句も述べられない、これはどういうわけでしようか。これは要するに国家の重大な利益に悪影響を及ぼすということを念願に置かれなかつた、そういう前段の誤りがこれになつておるのでないだろうか。たとえば第二項であります。第二項の造船被疑事件以下の末段において、被疑者、参考人の氏名、証拠物の内容、取調べ状態などを無制限に外部に表示するということは、捜査の本旨に反して現在及び将来の検察の上に重大な支障一を来す、こういうようなことになつております。一例をあげれば、こういうようなものが直接国家の利益に重大な悪影響をするというようなことになるのでしようか。一体国家の重大な利益に悪影響をするといことは、行政上のでき、ことを何もかも包含なさろうとするのか。それはあまりに空漠として、空気ほどに広げてしまう危険性がある。国家の重大な利益というものはそういうものでないということは、ここで先般東西の学者の証言によつても相当明らかになつております。かなり限局された制限的な内容をなすものであります。外交上の重大な悪影響をするとかいうようなことを述べておるのであります。ところが個人である被疑者、参考人の氏名、証拠物の内容、取調べ状況などを外部に公表することは、検察捜査の将来の運営に悪影響する、こういうようなことまでも国家の重大な利益に悪影響である、そういう考え方になつておられるのでしようか、どうですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 疏明の中には、特に国家の重大な利益に悪影響なりということを書かなければならない規定は、証言法にはないのであります。むしろ私はこの疏明の中にその言葉を書くことを避けたのであります。しかし実質においては、ことごとく国家の重大なる利益に悪影響ある事項に限つて証言を承認しないということにしたのでありまするから、ただいまおあげになりました事項のごときも、やはり起訴してある事件の公訴の維持上及び裁判の公平を維持する上において必要があるから証言してはならぬ、こういうことに定めたのであります。つまり公訴の維持ができないで犯罪を検挙することができなければ、いうまでもなく国家の治安、社会の秩序、公共の福祉の保護ができないことになります。また一面において、裁判に予断を与えて公平なる裁判が得られなければ、司法権の独立は得られない。検察権が完全に行使できず、司法権が完全に行使できない場合に、これが国家の重大な利益に悪影響なしと言えましようか。私はそういう考え方においてこの疏明書をつくつておるのであります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 しかしながらこの秘密保持ということは、国政調査権との対立におきまして、現に憲法の大きな精神から調整をはからねばならね問題であります。しかるときには、一般的に、個人といわず公といわず、行政運用といわず、秘密保持なるものはおよそ必要でありましよう。けれども国政調査権の運営という面から見ましたら、ある程度秘密保持が侵されるということはやむを得ないのであります。もしそれもかまわぬというのであるならば、言いかえまするならば、秘密保持はすべての秘密が保持されなければならぬ、国政調査権なるものは一切秘密の侵害は許されないというようなものであるならば、国政調査権と憲法に大きくうたう必要もなければ、まつたく内容は無価値であります。国政調査権なるものはある程度の秘密侵害はやむを得ない。そこに憲法上の三権分立、あなたが劈頭に書いておられる三権分立の権限の調整、境界線が引かれるのだろうと思います。でありまするから、秘密保持ということは、ある程度までは侵されることはやむを得ないという建前がむしろ必要であつて、国家の公益上必要ある場合には、その国政調査権の行使の上で適当に調査権を守らねばならぬ、こいうふうに考えなければならぬと思う。あなたのお説で行きますと、およそ行政上の行為、行政上の結果は、大小国家に影響します、国民生活に影響します。一切の場合が入る。そうしますと、もう証人の恣意で証言を拒否し得るということになり、監督庁の懇意で証言を拒否し得るということになり、しかしてそれは内閣声明の中にはらり込んでしまいまして、結局国政調査権というものを有名無実にする結果を来します。これをおそれるのであります。われわれが執拗にあなたに追究せんとしておるのはこれなんです。これをおそれるのです。証人は自分の恣意で証言を拒否するし、監督庁は懇意で証言を拒否する、内閣声明に織り込んでしまうということになりましたら、憲法にある国政調査権の運用というものはまつたく蹂躪されてしまう。これをおそれるのであります、でありますから、行政行為というものは一切が国民、国家と関係があるのでありますから、その一切に若干の影響をする場合に、その秘密をことごとく保持しなければならぬ、証言を拒否しなければならぬということは、私は許されないと思う。ちよつと重ねてあなたの秘密保持の見解について御意見を聞いておきます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お答えいたします。他の行政部面においては、ただいま申し上げたように、国家の重大なる利益に悪影響があるというような秘密は、そう多くはなかろうと思つております。従つて国政調査の上においてお調べになる場合においては、証言を拒否し得ない場合が非常に多い、むしろ拒否し得る場合が少いのじやないか、こういうふうに私は考えております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 なお二、三点、私はあなたの回答書によつて質問しておきます。一体検察権の準司法的性格という考え方につきましては、これは私どもも同意するのであります。そこで検察権が適正公平に行使せられるということを強く要請せられる、これはもつともなことであります。柴田君もここで触れておられましたが、そこで行政権、つまり法務大臣の行政権によつて、指揮権の発動により、あなたらの検察権から曲庇された、少くともきわめて重大な捜査上の障害を受けたということは、検事総長も、検事正も、またこの間の主任検事も、おそらく内心は相当な憤懣を持つて発言をしたと私は見ておるのであります。それほど大きな影響を受けた。言いかえますと、検察権の適正公平な行使なるものが不当な行政権の干渉によつて圧迫されたということになつておるのであります。こういうような場合に、第一に検事総長ないしは検察庁といたしましては、自己の当然の職責を全うする観点から、相当に上部に対する抗議または異議等の方法はないものかどうか。明らかに憲法蹂躙であり、明らかに不当干渉であるというような場合に、これをなし得ないものかどうか。むしろ第一にはそういうことであり、第二には当決算委員会は、不当なる検察権行使に対する干渉は許すべからざるものである、不当なる行政権の介入、不当なる政党の介入は許すべからざるものだというので、この検察権の適正公平なる行使を欲するの余り、実は追究をしておるのであります。検察権を正常な軌道に上すためには、この決算委員会の活動は実に絶好のチャンスであるし、またこの機会をはずしましては、純司法的権威への信頼が地に落ちるということは、だんだん委員が言つておるところであります、この二点についてあなたはどのようにお考えになるか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 例の指揮権発動の問題に関しては、私は法務委員会その他においてもしばしば述べたのであります。とにかくあの当時の事情を私は承知いたしませんけれども、検察庁法十四条の但書からいらならば、法務大臣があの場合において検察庁の意見に反対して指揮権を発動したということは、法律的にはやはり適法であつて、これはやむを得ないものであると言うよりほかないと思つております。但しこれが妥当であるかどうかということについては、たびたび申したのでありますが、私当時の事情を知らないために、それに対する自分の判断を申し上げる機会がない、こういうことを申し上げておるのであります。但し好ましいことではないことはむろんでありまするから、今後においてはこういうことのないように、検察庁もまた法務省も一致団結をして取運んで行きたいということを考えております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 当委員会の活動につきまして……。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 当委員会でその点についていろいろの御発言つたことについては尊重をいたします。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 なおこういう点についての御答弁が願いたい。それは法律の上では、検察庁法十四条によつて適法であつたかもしれぬ。しかし実質的には妥当を欠いておる。妥当を欠いておるということは、客観的に、検察権の運用が公正になされない状態に干渉されておるという場合も含むのであります。これがあなたのおつしやる純司法権のためにきわめて遺憾な状態なんでナ。これが侵されるということは、司法権の独立を害する結果になる。でありますから、妥当を欠いたような上司の干渉がある場合には、これに向つて正しい発言をなして拒否するということが、日本の公務員のみずからの職責を全うするゆえんではないのか、これをなぜしないのだ、異議とか抗議とかいう道をなぜとらないのだ、それはとり得ないのですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 当時の検事総長等がここにおいて証言いたした通り、それに対しては努力をいみしたけれども、遂にやむを得ずしてこの発動が出た、こういうことを申しております。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 関連して。今小原法相の答弁の中で、あの検察庁法を活用したということは妥当ではなかつた、法律的にはさしつかえないと思うが、妥当でなかつた、こういうことを言われた……。     〔小原国務大臣「妥当でなかつたとは申し上げません」と呼ぶ〕

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 それならそれでけつこうです。妥当ではないということをあなたが申されたから、それを聞こうと思つたのですが、しからばそれでないことに聞きます。  あなたは先ほど公務員法によつてということを言いましたが、そうすると結局あなたのような吉田内閣というものは、いかなることも—われわれはこの決算委員会で、いろいろな造船汚職について、融資について聞いておつた。五十四の船会社が償還期が来ても金を返しておらない。利息すら返しておらない。その担保関係はどうなつておるかということを言つても、とうとう資料を出さないのです。そうしてその調査中に、あなたの前身であるところの犬養法務大臣が、これはしばらく待つてもらいたい、あとで報告するからと言うてそのままになつておつた。先ほどこの点をあなたに問うたが、この点に対する答えがない。いやしくも法務大臣が、この決算委員会の当然の職務行為であつたところの調査事項について、本年の二月五日委員会に来て、しばらく待つていただきたい、あとで一切報告するからと言つて、遂にそのままになつておるのであるが、やはり同じ内閣の法務大臣であり、一蓮托生でありますあなたは、これに対して報告する義務があると思う。犬養法相が当委員会で述べたことについてあなたは報告ずる義務があると思うが、今まで調査したことについて何ら報告をしてないのだが、それについて犬養法務大臣からそういう事務引継ぎを受けたか受けないか、その点はいかがでありますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 ただいまお話のことは私は承知いたしません。犬養法務大臣は加藤法務大臣に継がれ、加藤法務大臣から私は継いだのであります。引継ぎのときには、それからまたその後においても、その事実は承知しておりません。  なお先ほど指揮権の発動のことが妥当でないというふうに申し上げたようにおつしやられましたけれども、私は当時の事情を知らぬから、妥当であるかどうかということについては、ここでは申し上げられません、そういうふうに申し上げております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 この回答書を通読いたしまして、私ども非常に奇怪に思いますることは、証言拒否の理由の説明は—私どもといたしましては、合計いたしますると十四の項目になつておつて、おのおの独立した質疑事項であります。そこでこの各項目につきまして、具体的にその理由をあげてもらわねばなりません。最も重要な点は、国家の重大な利益に悪影響を何ゆえに及ぼすや、どういう理由によつてということを具体的にあげてもらわねばならぬ。そしてそれはやはり国会に対する御説明でありますから、客観的に何人も理解し得る程度の説明にならねばならぬ。ところがこれを読んでみますと、抽象的な文句で、どの事項がどういうふうに国家の重大な利益に悪影響を及ぼすかという趣旨が明らかではありません。この流儀で行きますならば、質疑項目が百にわたつておつても、一枚書きつぱなしでこれは拒否できると思うのであります。それは決して理由の疏明にはならぬと思うのです。やはり一つの質疑事項について説明をして、疏明たる内容を備えなければならぬと思うのであります。それが抽象的な文句で一貫しておりますのでよくわからぬ。この点についてあなたの御説明を聞かねばなりません。いかがですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 疏明が抽象的であるという御説ごもつともに思います。ところが九月六日の佐藤検事総長、七日の東京地方検事正の馬場義続君の証言に関する質疑応答を速記録でよくごらんくださると、その疏明はどの事項がおよそこれに当るのだということはよくわかるのであります。私どもは、あの質疑応答の各条項を検討いたしまして、それがすべてその三点の中にそれぞれ入つて来るということは、あれをよくごらんくださるとわかるので、それでそういうふうに書いたのであります。

田中彰治日本民主党

○田中委員長 法務大臣、それではこの二月五日の日に犬養法務大臣が決算委員会に来て、この調査をどらか待つてもらいたい、調査を終えたら必ず内容を決算委員会に来て報告しますと言つたことも、速記録に載つておりますから、よく速記録をごらんなきい。ちやんと見て決算委員会に来なざい。あなたが速記録でと言われるならば、速記録をごらんなさい。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 当委員会は、法務大臣の証言拒否に対しまして、拒否の理由の疏明を十分に検討いたしまして、しかる後にこれを拒否するか、受諾するかをきめねばならぬ。そしてこの場合はやはり十四の各事項について、どの部分を受諾すべきか、どの部分を受諾すべからざるかということをきめるのであります。やはりどこまでも具体性がなければならぬ。具体性を持たさぬということは、国会に対するあなたらの拒否理由の疏明といたしましては、実に不忠実きわまるのであります。私どもの方といたしましては、十四のこの項目につきまして、全部これを拒否すべきか、あるいは一部拒否すべきかという態度もきめなければならぬ。これに対して、あなたの方は適切に資料としての疏明を提出する義務があるのです。そういうふうにして行かなければ、運用できません。そういうことになるわけであります。でありまするから、どうしてもこれは各事項についての疏明がなければならぬ。速記録をよく読んでくださいとおつしやいますが、われわれも、自分の関与した委員会でありますので、各号の速記録はこと、ことごとく熟読いたしております。その点については御心配いらぬのであります。速記録を抜いての質疑応答なんて、しやしません。でありまするので、あくまでもこれは、各事項についてのあなたの方の不承認の理由は疏明せられなければならぬと思うのであります。ただその原則はお認めになるらしい。お認めになるらしいのでありまするが、速記録によつてこれを一括して書いたような意味になりますので、その点はまことに納得しがたいのであります。重ねてその点についてのあなたの御意見を伺います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は、この疏明で御了解ができると思つて出しております。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 関連質問をいたします。  検察庁法第十四条による指揮権の発動によつて、とにかく問題になつておつた佐藤榮作氏の逮捕ができない実情になつたが、大体国家の重大な利益に関係がなければこういう法規の発動はできないということになつておるわけであるけれども、私は、検察の威信がこれほど失墜したことはないと思うのです。あなたの常識的な考え方でもいいから、一体この検察庁法十四条の発動について、あなたは国家の重大な利益に悪影響を及ぼすから発動したと言われるけれども、一体どつちが国家の重大なことにお考えになるかどうかという、その点を答弁願いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 当時出された政府の声明等によりますると、あれは事件の性質にかんがみて、かつ重要なる法案の通過上必要があるから、あの際においてはあの発動をしなければならなかつたということになつておるのでありまして、私はへ当時においてはそういう理由で出されたものと考えます。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 八月十日の吉田総理の暴言によつて、吉田の言葉の中から、まつたく政治資金規正法を無視するようなことが、全国の支部長会議の席上で言われておられることを見、さらに指揮権の発動によつて、検察当局の内部の若い検事の中から、こんなことではしようがないじやないかという雰囲気があつたときに、あなたはそれを次々と、検察局の検事総長やあるいはその他へ、電話で呼びつげて文句を言つたり、あるいは、検事総長からそれを発言させないようにするような行き方をしたそうだが、一体そんなことがあつたのかどうか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は、さようなことをやつたことはありません。

田中彰治日本民主党

○田中委員長 それでは以上で質疑を打切ります。  つきましては、右承認拒否の理由を受諾するかいなかについてお諮りいたします。すなわち、九月二十一日付法務省刑事秘第四六九号による法務大臣からの承認拒否の理由は、これを受諾することができないと決するに賛成の諸君は起立を願います。     〔賛成者起立〕

田中彰治日本民主党

○田中委員長 起立多数。よつて本委員会は承認拒否の理由はこれを受諾することができないと決しました。  次に、右承認拒否の理由を受諾することができなかつたので、本委員会は、証人検事総長佐藤藤佐君及び検事正馬場義続君の承認を拒否された証言が、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求いたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

田中彰治日本民主党

○田中委員長 起立多数。よつて内閣の声明を要求するに決しました。  声明要求に関する一切の手続は委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中彰治日本民主党

○田中委員長 異議なしと認め、さようとりはからいます。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 動議を提出いたします。  本月十六日、本委員会におきまして、東京地方検察庁検事河井信太郎君を証人として証言を求めました際、その重要なる証言事項に関しては、おおむね職務上の秘密である旨の理由によつて証言を拒否されたのであります。従いまして、本委員会といたしましては、事件の解明上、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第五条により、証言を求めるには、監督官庁の承認を必要といたしますので、証人河井信太郎君から職務上の秘密の申立があつた次の事項について、証言及び書類の提出につき、監督庁である法務大臣の承認を求められんことを動議として提案いたします。  承認を求める証言及び書類の提出要求事項は次の通りであります。すなわち、  一、昭和二十八年四月衆議院議員総選挙に際し、海運会社から代表的な政界人に幾ら金が出ておるのか、具体的に明らかにされたい。  二、犬養法務大臣が山下汽船から二十万円を受取つた事実につき取調べの結果。  三、本年三月二十一日の各新聞が松野鶴平氏の子息松野議員が、造船会社から八百万円その他、岸信介氏、石井運輸大臣、犬養法務大臣までが、それぞれ多額の金円を収受していることを報道しているが、これらについて調べたことがあるか。  四、いわゆるリベートとして、造船会社、海運会社間で、授受されたものの総額は幾らか(犯罪性の有無、証拠のいかんを問わず、推定のものを含む」。)  証拠上明らかなものは幾ばくであるか。  証拠上明らかでなくとも、推定したものは幾ばくであるか。  犯罪性ありと認定したものは幾ばくであるか。  犯罪性がないと認定したものは幾ばくであるか。  以上お諮り願います。

田中彰治日本民主党

○田中委員長 ただいま片島君が提案されました河井証人の申立による職務上の秘密に関する各個について、証言並びに書類の提出につき法務大臣の承認を求める件につき採決いたします。右提案の通りに決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

田中彰治日本民主党

○田中委員長 起立多数。提案の通り決しました。  右要求手続は委員長に御一任願います。  本日はこの程度として、次会は来る十一月二十九日午前十時開会の予定であります。これで散会いたします。     午後三時二十分散会

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