決算委員会 第51号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/09/18
会議録
○田中委員長 これより決算委員会を開きます。 前会に引続き政府関係機関の収支のうち造船融資の問題に関する件を議題として審議、調査を進めます。本日は内閣総理大臣吉田茂君を認人として出頭を求め、本問題に対する認言を求めることになつておるのでありますが、証人吉田茂君から書面をもつて、本日及び本日より九月二十五日に至る間出頭できない旨の届出がありました。これを朗読いたさせます。岡林専門員。
○岡林専門員 朗読いたします。 本日午前九時五十分内閣より別紙写の通り申出がありましたから右御通知いたします。 昭和二十九年九月十八日 衆議院議長 堤 康次郎 決算委員長田中彰治殿 (別紙) 本月十八日貴院決算委員会に証人として出頭すべき旨御要求がありましたが、当日はローマ法王庁使節ヒユールステンベルク氏、ビルマ使節団長ウ・チヨウ・ニエン氏、西山大使等との会談、海外出張準備のため小澤建設大臣、木村防衛庁長官との打合等やむを得ざる公務のため出席致しかねます。 なお、十九日以後も海外出張準備として各国大公使との折衝、関係各大臣との打合其の他公務輻輳のため到底出席致しかねますので、同委員会への出席は帰朝後のことに御諒承願いたく存じます。 右お届け致します。 昭和二十九年九月十八日 吉田 茂 衆議院議長堤康次郎殿
○田中委員長 この際杉村君より動議の申出がありましたから、発言を許します。
○杉村委員 私はこの際内閣総理大臣吉田茂を議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第八条によつて、本委員会において次のごとき決議をせられんことを動議として提出いたします。 告発決議(案) 主文 被告発人 内閣総理大臣吉田茂 本決算委員会は右の者を議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第一条、同第七条、第八条により証人出頭義務違反者として告発する 理由 一、本決算委員会は国政調査 即ち日本開発銀行の船会社に対する融資貸出金に対する調査を昭和二十八年以来継続審査を実施して来たところその融資に不正不当のあることを発見し、その真相を調査中、大汚職事件が検察庁によつて摘発、捜査をせられるに至つたのである。 二、前犬養法務大臣は本決算委員会に対し、開発銀行の融資に関し検察庁において摘発捜査中であるから、その捜査の必要上、決算委員会において本件に関する調査はしばらく中止せられたき旨の申出があつたので、本決算委員会は一時中止静観をしていたところ、検察庁の捜査が進展し、自由党幹事長佐藤榮作に対する逮捕許諾の稟請を検事総長より犬養法務大臣に提出されたところ、犬養法務大臣は検察庁法第十四条によりその稟請を拒否し、検察庁の捜査に大なる支障を与え、みずからは法務大臣を辞職するに至つたのである。 三、本決算委員会は、前記のごとく犬養法務大臣の懇請によつて調査を一時中止していたのであるが、国政調査上重大案件であり、本決算委員会の重大なる責務として再び調査を開始し、資料の収集に努めた結果、収賄の容疑が内閣総理大臣吉田茂を初めとして、現閣僚その他政界、官界に、検察庁の摘発者以外に収賄の嫌疑、並びにこれに基く開発銀行の融資が行われ、また外航船舶建造利子補給損害補償法が国会に提出されその通過を見るに至つたことが濃厚となつたので、容疑者、吉田茂を議院における証人の宣誓証言等に関する法律により喚問することに昭和二十九年九月六日決議した 四、前記決議に基き喚問期日を昭和二十九年九月十一日と定め、その手続を衆議院議長堤康次郎あてに提出したのであるが、右喚問状は右期日までに吉田茂に送達せられないので、右期日の喚問は不能に終つたので、本決算委員会は衆議院議長と折衝し、喚問期日を昭和二十九年九月十五日と変更して、その喚問手続を議長に請求した結果、右喚問状は昭和二十九年九月十四日証人吉田茂に送達されたのであるが、吉田証人は、喚問期日である十五日は外遊閣議のためと称して、不参届を本決算委員会に提出したのである。 本決算委員会は、右不参届の理由は議院における証人の宣誓証言等に関する法律第七条の正当の理由とは認められないのであるが、この期日に限り延期することを承認し、次回期日を昭和二十九年九月十八日と指定して喚問の手続をなし、右喚問状は堤衆議院議長より昭和二十九年九月十五日に吉田証人に送達されたのであるが、同証人は、外遊のための日程上多忙のゆえをもつて、本日その届書を提出されたのであるが、その届書中の、本日の午後大蔵大臣、木村防衛庁長官、小澤建設大臣等との会談は正当なる理由とは認められない。これを要するに、吉田証人は本決算委員会の喚問に応ずるの意思のないことが明らかとなつたので、本委員会は議院における証人の宣誓証言等に関する法律第一条、同第七条、同第八条により、同人を証人出頭義務違反者として告発を要するものと思料し、本動議を提出する次第である。 なお吉田総理は、昭和二十八年第十六国会以来、第十七回、第十八回、第十九回と、今日に至るまで、本決算委員会はしばしばその出席を要請いたしたのだが、遂に一回たりとも出席いたしません。吉田総理の国会軽視、ことに予算執行に関する最高責任者として無責任なること言語道断といわざるを得ません。今日、官界、政界、財界が腐敢し、国家の財政経理が紊乱の極に達したことは、実にこの吉田総理の無責任きわまる行動に起因すると断じてもあまりありといわざるを得ないのであります。ここにこれを附言する次第であります。 以上であります。
○田中委員長 ただいまの動議につきただちに討論を許します。(鍛冶委員「議事進行について」と呼ぶ)討論を許します。この討論については賛成討論が一人、反対討論が一人、おのおの時間十五分ずつにきめて討論を許します。 (鍛冶委員「その前にちよつと議事 進行に関して諮りたいことがあ る」と呼ぶ)
○田中委員長 山田長司君。 〔鍛冶委員「議事進行に関して発言を求めておる」と呼び、発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○田中委員長 先にちやんと申し込んであるから討論を許します。山田長司君。 〔鍛冶委員「議事進行をどうして許さんか、そんな横暴なことをしてよいか、議事進行の発言を求めておる」と呼ぶ〕
○田中委員長 委員長が許しません。議事進行許さない。 〔「議事進行の発言を許しなさい」と呼び、その他発言する者多し〕
○田中委員長 議題に関係があるのか。(鍛冶委員「もちろんだよ。)と呼ぶ)それじや一、二分許そうか。鍛冶良作君――議事進行を申出るときには、ちやんとこの議題に関係があるということを委員長に申し出なさい。ただ議事進行といつたつて、許す許さぬは委員長の権限だから。
○鍛冶委員 関係のない議事進行なんてありません。それで、私は昨日閉会したときに委員長に言つた、明日は、もしかわつたことをやられるなら理事会を開いて、十分打合せの上円満にやろうじやないか。こう言つたら委員長はその通りだと言われたはずであります。しかるにきようはわれわれは午前十時から、ごらんなさい一時間十分も何のこともなしに待たされました。そうして今見ればかようなことをあなた方だけで協議するために、われわれをのんべんぶらりんと待たしておいた。これはまつたく隠謀を企てるためやつたと言われても一言の反論もなかろう。ことにこの動議はすこぶる重大なものであつて、法律上正当なる理由と認められるか認められないかということが何よりの焦点なんだ。こういうことを動議で出して、一人ずつ反対討論なんて、そんなことをやろうというなら、まつたくほんとうの委員会でやるのでなくて、君らがかつてなことをここできめるだけにすぎない。かようなことは世間は許しません。委員長はいま少しく常軌に従つた委員会の運営をやられて、ここで理事会を開き、法律上の問題についてまじめな協議をしてもらいたい。私はこの点を申し上げます。そうじやなかつたら、こんなことはここで五分や十分の討論できめるべきことではない。あなた方が正当なるものでないといつてこれを告発する、それが今度検察庁へ行つて正当であるとかないとかいうことの議論になつて、かりにこの委員会で無理を押して決議をせられても、向うで正当なる理由だといつてやられたら、この委員会の恥だけではありません。国会の恥になります。この点から考えて、私は理事会を開いて、いま少し常軌に従う委員会とせられ、まじめに研究の結果正当なるやり方をやられんことをここで申し上げたいと思います。ぜひその点を要求いたします。
○田中委員長 鍛冶君に申し上げます。それは見解の相違でありまして、本日時間が延びましたのは、昨日官房長官が、総理大臣は本日から一十五日まで出られないからと言つた。出られないと品だけではいけないから公文書をもつて知らせてくれというので、向うは公文書を刷つておつたのが先ほどまでかかつたのであります。十一時二十分ごろまでに間違いなくやるというのが先ほどまでかかつたので、これはあなた方与党の政府のやり方が悪かつたのですから、われわれが故意に延ばしたのではありません。 理事会につきまして申し上げます。理事会を開こうじやないかというので、委員諸君にもあなた方からこういう申出があるということを申し上げましたが、大勢の人は必要ないというのでそれに従つたのであります。委員長は多数の意見に従つて権限を行使いたします。山田長司君。 〔発言する者多し〕
○山田(長)委員 ただいま総理大臣吉田茂君に対する告発の動議が提出されましたが、この動議に賛成の意を表するものであります。顧みれば本年一月本委員会において開発銀行より船舶会社に融資した金がいかに処理されておるかを調査中、造船所から船会社に、船会社から政党や官財界にばらまかれた巨額に上る贈収賄事件が表面化し、これによつて日本歴史上まれに見る大疑獄に発展し、政官財界を根底からゆさぶり、不正なる政党員の撲滅を期して政治の黎明が訪れるものと確信をいたしておりましたが、残念にも無謀な指揮権発動によつて一切は水泡に帰した感じを国民に与えた。しかしながらいかに権力を握つて政治を遂行して行こうとしても、事実はいかんともなしがたい実情にある。そのことを、われわれは証人吉田茂君の喚問を通じてはつきりすることができた。いやしくも一国の総理大臣が法規に明記された喚問に一方的理由で不出席をきめ、いたずらに日時を延ばして、国民の知ろうとする造船疑獄証人喚問に応じない態度は、まことに不可解千万で、国民の前にますます疑惑を深めるばかりである。このときにあたり本委員会の名において吉田茂君の告発を行い、一日も早く本問題の解決を促進されることを希望し、ここに告発の動議に対し賛意を表して、発言を終りといたします。
○田中委員長 反対討論はありませんか。――押谷君十五分許します。 (「野党にこういう原稿書くひまが あるのに、われわれに原稿を書か せない、こんなやり方があるか」 と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 そんなことは委員長に関係がありません。 (「大ありだよ」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 どこに書いた証拠があるのだ。――押谷富三君。 〔発言する者多し〕
○押谷委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま杉村君提出にかかる吉田総理告発に対して断固反対の意思を表明するものであります。 吉田総理が証人の喚問に応ぜられないというだけでは、もちろん法規では告発ができないのでありまして、それが正当の理由によらない場合を考えなければなりません。今日正当な理由があるかないかがここに問題にされますが、総理は、御承知のように、重大な使命を帯びて海外に出張されることにすでに確定をいたしております。一国の総理大臣が海外に出ようとするような場合においては、いろいろな準備もあります。それがためには各方面との折衝もあろう、打合せもありましよう、あるいは儀礼的な行事もありましようが、それらはことごとく総理の正当なさしつかえの理由として取上げるに足ると信じております。国会における国政調査はもとより大切でありますから、これに協力しなければなりませんけれども、決してそれは優先的に考うべき問題ではないのでありまして、総理がかように重大な使命を帯びて海外に出張する準備のためには、いずれを庭先せしめるかはもとより総理自身の御判断にまつてしかるべきものと考えるのであります。それを政治的議論ならばとにかくとして、いやしくも告発をするというような重大な問題のその原因に取上げるようなことは、野党諸君は国民に対して恥ずべき暴論であるとみずから考えてもらはなければならぬと思うのであります、 特に総理の喚問につきまして、私はこの喚問は敵本主義の一つの政治暴略を含んでいることを考えなければならぬと思うのであります、今や野党諸君は総理の外遊阻止のためには、すでに手段を選ばないという露骨な態度をとつているのでありまして、現に昨日のごときは、外務委員会において偽装の委員会を開いて、総理の外遊中止の勧告決議をいたしている。あるいは総理が儀礼的にお呼びになつている招待に対して野党諸君は全部欠席をいたしておる。こうして少しでも総理にけちをつけようと考えているのが諸君の考え方である。かようなことはまことに醜いことで、イギリスあたりにおいてはチヤーチルが海外に出られる場合においては、労働党の党首がみずから立つて激励演説をやつて、その行を盛んにしている。外国での働きに効果を求めようとしている。これが真に愛国的な政治家の態度であつて、諸君は党利党略のためには総理が外国へ行つてその効果が少いことを希望しているような醜い態度である。かようなことは国民を、国家の利益を犠牲にして、党利党略だけを考をえているきわめて醜悪なる政治家の態度であることを自覚してもらいたいのであります。 先ほどの杉村君のお話を聞いておりますと、諸君はまた何だか総理大臣が汚職に関係があるがごとき発言をしておられる。とんでもないことです。国会議員は院内における言論の自由は持つておりますが、手放しで何を言うてもよいというような考え方を持つておられたらそれは大誤りで、いつの場合におきましても、他人の名誉と信用を傷つけないような心がけをもつてもらわなければならぬのが国会の言論の自由の制約であることを思つてください。また総理がさような疑いのないことはもちろん明らかではありまするけれども、そういうことを言うならばまずこの委員会全体がはたして国民の前に大手を振つて歩けるような公正かどうかを諸君は考えてみなければならないのであります。この中には汚職事件に連座をして取調べられた人があることは、これは天下公知の事実である。すでに起訴され、被告人になり被疑者になつてみずから調べられておりなから、その事件をここで国政調査に取上げて調べようなんぞとはまことに片腹痛い話であつて、かようなことは国民に向つて決して大手を振つて歩ける、この委員会の公正でないことを深く反省せられ、みずから批判をせられてしかるべきものであると考えます。 私はこの意見を申し述べて総理の告発には絶対反対の意思を表明する次第であります。
○田中委員長 ただいまの動議について採決を行います。すなわち証人吉田茂君を正当な理由なくして出頭しないものと認め、告発するに賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よつて証人吉田茂君を告発することに決しました。 なお告発状の適宜修正並びにその提出時期等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よつて委員長に一任決定いたしました。 ―――――――――――――
○田中委員長 次に片島君から動議の申出がありますからこれを許します。片島君。
○片島委員 私は決算委員会が事ここに至りまして、本委員会としてこの際声明書を発表する必要があると存じ、声明書の案文を朗読いたしまして、皆さんの御賛成を得たいと存じます。 声明書 本委員会は第十九国会開会以来、政府機関の収支に関し調査を続けて来たが、偶々国民の血税を以て設立されたる日本開発銀行の造船融資をめぐり、三十数億円に上るリベートが政界、官界、財界にばらまかれたる事実が明確となり、更に、これが真相を明らかにするためには、内閣総理大臣吉田茂君外三名の自由党首脳を証人として喚問し、その間の事実を証言せしむる必要ありとして本月十一日、十五日、十八日の三回にわたり証人喚問の手続を進めたのであるが、その都度、故意に喚問の当日は公務と称して出席を拒否し、さらに明十九日以降二十六日の外遊当日迄、計画的に公務日程を羅列し、全然出席の意思のないことが明らかとなつた。 造船融資とこれに関連する贈収賄、疑獄の真相を国民の前に明らかにせず、疑惑に包まれたる身を以て外遊を強行せんとするが如きは、全国民の憤激を新たにするものであり、又吉田茂君個人のためにもとるべき態度に非ずと信ずるものである。 本委員会は全国民の要望に応うるため、いかなる事態にも屈することなく、引続き本問題の解明に直進せんとするものである。 右声明する。 昭和二十九年九月十八日 衆議院決算委員会 以上であります。
○田中委員長 ただいま提出されました片島君の動議について討論を省略し、ただちに採決いたします。すなわち本決算委員会において片島君の提案通りの声明書を発するに賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よつて本委員会は片島君の提案通り声明書を発するに決しました。 ―――――――――――――
○田中委員長 続いて藤田君から動議の申出がありますからこれを許します。藤田君。 〔「議事進行」と呼び、その他発言する者多し〕
○田中委員長 発言を許しません。藤田君。
○藤田委員 私は先ほど当委員会におきまして圧倒的多数をもつて可決されました吉田総理の証人不出頭の告発に関連いたしまして、この際吉田総理の外遊中止要求決議案を提出いたしたいと思います。(発言する者多く、退場する者あり) まず私は決議の案文を朗読いたしたいと思います。 吉田総理大臣外遊中止要求決議案 衆議院決算委員会は、内閣総理大臣吉田茂君の外遊中止を要求する。 右決議する 以上であります。 以下きわめて簡単に、私が右の動議を提出いたしました趣旨を弁明いたしたいと存じます。先ほど同僚杉村委員から申された通り、吉田総理大臣は昭和二十二年に施行されました国会証言法により、初めて告発される動議が確定いたしたのでございます。この総理大臣が旬日後に外遊の途に上らんといたしております。現職総理大臣の外遊は、かつて安保条約等に関連いたしまして、現総理吉田茂君が、以前に一回外遊の経験がございまするが、今回は第二回の外遊でございます。 現職総理大臣にして、未曽有の国会証人としての不出頭の告発を受けました吉田茂君が、ここに国会の意思を無視いたしまして、日本の総理大臣として外遊することは、国民の恥辱はもちろんのこと、日本国総理大臣吉田茂君個人のためにも、まことに情において忍びざるものがあるのであります。新聞の伝うるところによれば、また本人関係の自供によれば、吉田総理及びその随員は総員九名でありまするが、かつてとかくの批判がありまする麻生太賀吉夫妻が同行するそうであります。そのほかにただいま押谷君が野党誹謗のために吐きました暴言の中に含まれておる、今回の造船疑獄最大の人物のであるところの前自由党幹事長佐藤榮作君が同行するそうであります。政府の発表によれば、いわゆる随員同行の中には入つておりませんが、同じ飛行機で、同じ日程で、同じ日に日本に帰つて来るという予定でありますので、結局これは本朝の新聞にも報道しておりましたがごとく、佐藤榮作前自由党幹事長一人が自由党のどろをかぶつたことに対する慰労出張であるということすら言われております。告発された総理大臣の洋行といい、前自由党幹事長佐藤榮作氏の随員といい、まことに日本国始まつて以来の国際的な醜態を暴露するわけでありまして、私たちは以上諸種の観点からいたしまして、この際ぜひとも吉田総理大臣の代表府たる国会決算委員会の意思を尊重いたしまして、当初述べました決議の趣旨に沿いまして外遊を中止すべきであるということを私は強く要求する次第であります。外遊の費用、外遊の目的、その他一切不明朗でありまして、この際私は先ほど述べました決議案に満場の諸君の御賛成を得られんことをお願いいたしまして私の趣旨弁明を終ります。(拍手)
○田中委員長 賛成討論を許します。吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 私は簡単にただいまの動議に賛成の意を表したいのであります。 理由の第一点は、これは政治道徳的に考えてみましてぜひとも外遊をとりやめて、国会の要請にこの際応ずることが最も望ましいことであります。今日のこの疑獄問題は、おそらくは八千万同胞が手に汗を握りましてその真相のいかん、また総理がみずから疑惑を受けておるというような事実につきましては、進んで国会に出席してその潔白を表明すべきことを期待しておると思うのであります。しかるにこれをなすことなくして、いくたびか喚問の手続を繰返せしめていろいろと会合等に籍口しまして、外国に飛び去らんといたしますので、これは日本の民主政治確立の途上におきます政治道義をまつたく無視するものと申さねばなりません。 第二は、政治的な観点からいたしまして、いやしくも総理といたしましてこの数箇月にわたり決算委員会が造船疑獄を決算面から追究いたしまして、幾多の山積する資料を持つております。ずいぶんだくさんな政界の要人、閣僚、あるいは総理みずから等々に対しまして疑惑がかけられております。これを明らかにすることなくしてほんとうに今の政局を担当することはできません。またこれを明らかにすることなくして、外国に使いして行つて、一体何をしようとするのですか。うしろからは日本の国民は総理不信任、行くことをとりやめろといつたような声が浴びせかけられ、みずから疑惑の渦中に陥り、みずからの政党は最も大きな汚職の疑いを受けておるのであります、これらの一切の疑雲を一掃することが総理大臣といたしまして最も重大なる当面の政治上の職責でなければならぬ、これをあえて放棄いたしまして外遊せんとするのであります。断じでわれわれは反対せざるを得ません。 第三に、また法律的な観点からいたしまして、今国会証言法によりまして、総理を証人に喚問いたしております。これはきわめて重大なできごとであります。この法律が施行せられまして、総理を決算委員会にかくのごとく呼び出しますことは初めてであります。みずからの疑惑も解かねばならぬ幾多の重大な証言につきまして、進んで喚問に応ずるという態度をとることでなければ、法律の精神を総理みずからが蹂躙するものと申さねばなりません。また憲法、国会法、衆議院規則等国政調査権の発動ということも、総理みずから否定しておると申さねばなりません。国会を無視しあるいは委員会の国政調査権を蹂躙し、あるいはみずからの出頭義務を無視するというようなことは、上に置けない総理と申さねばなりません、数百万人の公務員の先頭に立ちまして垂範しなければならぬ、遵法の立場にある、憲法を守らねばならぬ立場にあるものが、みずから法律を破つて行くのでありますから、われわれはこれに対しましても断固といたしましてその非を追究しなければなりません。 以上数項の理由によりまして、まずなすべきものは国会に臨んで証言をすること、これをなさずして外国に行かんとするごと講じてわれわれは黙視するに忍びませんので、今の動議に対しまして心から賛意を表するものであります。
○田中委員長 反対討論があれば許します。反対討論はございませんか。――討論は終りました。ただいまの動議について採決を行います。藤田君の動議の通り、総理大臣吉田茂君の外遊中止を要求するに賛成の諸君の起立を願います。 〔総員起立〕
○田中委員長 起立総員。よつて提案通り要求するに決しました。 ―――――――――――――
○田中委員長 次に本月二十日、犬養健君、同二十一日石井光次郎君、同二十二日池田勇人君をそれぞれ証人として出頭を求めてありますが、委員会の都合により出頭期日をしばらく延期し、追つて検事河合信太郎君、刑事局長井本憂苦君とともにこれを決定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 賛成の諸君の起立を願います。 〔総員起立〕
○田中委員長 起立総員。よつて犬養健君外二名の証人呼び出し期日をしばらく延期することに決しました。 ―――――――――――――
○吉田(賢)委員 ただいま告発の動議が決定いたしました吉田証人の今後の喚問の問題でありますが、これはよしんば証言法によりまして、告発の方針が決定いたすといたしましても、吉田茂君の証人資格は消滅いたしません。また証人喚問の件は消滅しないはずであります。よつてこれにつきましても明確に今後取調べを進めて行くということの態度を表明するように、満場にお諮りを願いたいと思います。
○田中委員長 今吉田委員から発言がありましたが、われわれ決算委員会としては、吉田証人を告発したのは、今日まで出ないことにおいて告発したのでありまして、これでこの事件の調査を中止するというような考えは断じて持つておりません。この告発によつて、ますますわれわれは結束を固めて、国民の支援とともに、どうしても国民が泣いて納めたこの血税の行方をはつきりさせて国民に知らせなければならぬ義務がありますから、その方針で進めたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なきものと認め、さように決定いたします。 本日はこの程度として次会は追つて公報をもつてお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十九分散会