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19回国会衆議院1954/09/16

決算委員会 第49号

発言数
276
登壇者
14
会派数
6
開催日
1954/09/16

会議録

田中彰治無所属

○田中委員長 これより決算委員会を開きます。  理事の補欠選任につきお諮りいたします。  本日理事押谷富三君が委員を辞任いたされましたので、その補欠選任をいたしたいと存じます。先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中彰治無所属

○田中委員長 御異議ないものと認めます。よつて青木正君を理事に指名いたします。     —————————————

田中彰治無所属

○田中委員長 引続き政府関係機関の収支のうち、造船融資の問題に関連する事項を議題とし、審議を進めたいと思いますが、昨日の本委員会におきまして、藤田委員から提出されました動議に基き、さきに証人喚問いたしました佐藤検事総長並びに馬場検事正の証言拒否について、その証言の承認を法務大臣に求めたのでありますが、由来相当の日時を経過したにもかかわらず、その回答がなく、調査の上に支障を来しますので、昨日書面をもつて督促いたしたのであります。ところが本日お手元に配付しましたような回答に接した次第であります。これに関しまして法務大臣の出席を求め、意見を聴取するとともに、その措置を御協議いたしたいと思います。委員の発言を許します。大矢省三君。

大矢省三日本社会党(右)

○大矢委員 法務総裁に承りたいのですが、この造船疑獄が強権発動によつて、うやむやのうちに終つたということは、せんだつての検事総長並びに検事正の証言によつても明らかであります。国民は、ただ検察庁を非常に信頼して、この成行きを注視しておりましたところ、強権発動によつてその真相を究明することができなかつた。そこで私は新しく法務総裁になられた小原さんにお聞きしたいことは、法務総裁の今後の態度というものについて、国民はきわめて重要な関心を持つておると思うのであります。従つて個人はもちろん公務としての行動というものについてこれは厳重でなければならぬと思いますが、多分私はまたそうあるべきだと信じておりますが、お尋ねしたいことは、法務総裁は、飯野海運と何ら関係がありませんかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お答えいたします。私が飯野海運に関係がないかという今のお尋ね、全然ありません。

大矢省三日本社会党(右)

○大矢委員 この七日火曜日、これは馬場検事正を証人としてここへ喚問した、その日であります。その日に午後四時から四時五十分まで、丸ノ内三ノ六の飯野海運にあなたが訪問されたことがあるかどうか、その際に特に自動車を日本倶楽部の横に置いて入つたと言いますが、そういう事実があるかどうか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 飯野海運に行つたことはありません。あの地下室にある床屋に、私は始終参ります。その床屋に参つたのであります。いておりますが、もしここへ飯野海運に出て来てもらつて、それが証人になつたときに、そういう間違いがあつたときにはどうしますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 はなはだ心外なお尋ねであります。そんなことは絶対にありません。

大矢省三日本社会党(右)

○大矢委員 それはなければそれでけつこうでございます。またそうあるべきだと思う。従つて私は後日飯野海運の人に来てもらつて、ここでただしてもらつて、あとからまたお尋ね申し上げます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は今のようなお尋ねを受けるのは、はなはだ心外に存じますが、やはりそういうことをお調べになるならば、しつかりした材料をもつてお調べ願いたい。     〔材料があるか」「材料がある」と呼び、その他発言する者多し〕

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私は今大矢君から質疑されました事実はきわめて重大な質問を受け取りました。この飯野海運、つまり飯野海運社長俣野健輔氏は重大な商法違反によつて起訴されて公判中であります。法務大臣は本月六日当委員会に検事総長の証人喚問の日に列席されておりました。その翌日に部下の検事正の証人調べの日に、もし現に自分が指揮監督をしておる検事が立ち会わねばならぬその飯野海運社長の俣野健輔、その事務所か本店かを訪問したというようなことが真にありとするならばこれはたいへんなことであります。そこで(「うそだつたらなおたいへんだ」と呼ぶ者あり)待ちなさい。黙つて聞きなさい。そこでこういう手紙が参つております。「委員長が吉田以下四名の喚問を決定したら、小原法相は直ちに将来を予想して先手を打つて昨日の七日午後四時前後に飯野海運(俣野産業)丸ノ内三ノ六の事務所を訪問、一時間ほど幹部と打合せて午後四時五十分帰つた。このように小原法相初め自由党の法務大臣、犬養にしても、加藤法相にしても、自由党の飼犬にすぎない。何のために飯野海運社長と会つたのか確かめてください。小原が車を日本倶楽部横にとめて、人目につかぬよう飯野の事務所の横入口から何ゆえ出入りするか、このよう確証をお知らせいたします。」という手紙が来ております。これは投書になつております。とにかくこれはたいへんな事実であります。もしなければ、これは国家のために、政府のために、また国民全体のために喜ぶべき事実でありまするが、うそであれば、まことにこれはもつてのほかであります。あなたにいたしましても、単に政治上の責任問題だけじやありません。司法上、あるいは現職の法務大臣が現に被告になつている人を訪問したという事実があれば、これはあるいは法規違反であり、あるいは職権濫用かもしれない。涜職関係になるかもしれぬというようなことも考えられるほどにこれは重大なものであります。そこであなたはその前後にしましても、飯野海運の社長とお会いになつたことは、公私ともにそういう機会はなかつたのでしようか。あるいは地下室の床屋に行つたというようなことでありますが、それはいかがでありましようか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 飯野海運の建物の地下室に、床屋の名前は知りませんけれども、床屋があります。そこは私が常に行つているところであります。七日に検事正をお呼びになつて、検事正の証人尋問が終つた後、私は午後六時ごろ床屋に行つたのであります。これはまつたく頭を刈りに行つたので、飯野海運とは全然関係がありません。また私は俣野氏とは全然知合いではありません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そこでお会いになつたことがあるかないかを聞いておきたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 床屋の頭を刈る人には会いましたが、そのほかの人には会いません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 こういうときには、とかくいろいろな風説もあるかと存じます。あるいはまた事実があつて、風説として否定するようなこともあるかもしれません。そこであなたは多数の部下を監督せられるお立場にありまして、まことに重要な職務についておられるのであります。これらのすでに被疑者になりあるいは被告になり、あるいはその他の起訴されておらない人にいたしましても、一旦検察庁の手によつて調べられたというような人間とお会いになつた事実はあるのでしようか。何かそういうようなことが誤伝されてこういう事実が伝わつたのかもわかりませんけれども、私とても、真にさようなことがないということであるならば、あなたの名誉のためにこういうことがほんとうにないことを信じて今後いろいろとお尋ねしたいのであります。しかしこういうようなことにいささかでも疑念をさしはさんであなたに尋ねるということになりましたのでは、これはあなたを根本的に疑つてのみかからねばなりませんので、こういうような点についてもひとつあなたのはつきりした御所見を伺つておかなければならぬと思うのでありますが、いかがですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 この造船一連の疑獄について取調べを受けた人たちに会つたことはありません。ただ私が弁護士である際に、日本交通公社の会長の高田寛、この人が私に弁護を頼みましたから、その人には会いました。またその関係においてそのまわりの人には会いましたけれども、これは今度本職に就任して弁護を断りました。爾来会つたことはありません。

田中彰治無所属

○田中委員長 法務大臣に伺いますが、あなたはわざわざ自動車でその床屋までおいでになるのに、床屋の名前を知らないのはおかしいじやないですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 床屋の名前は私覚えておりません。始終その床屋に行くのですが……。

田中彰治無所属

○田中委員長 自動車でわざわざあそこまで行つて知らないというののは……。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 もしお疑いがあるのなら、聞いてください。

田中彰治無所属

○田中委員長 弁護士をやられた方が、職業柄そういうことを知らないのはおかしいじやありませんか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 ちつともおかしくありません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 一応この程度にしておきまして、あらためてお尋ねします。

田中彰治無所属

○田中委員長 杉村沖治郎君。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 小原法務大臣に伺いますが、この間当委員会から御請求申し上げたそれについて、今日間に合わないという御回答なんですが、これはいつならできるのでございますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お尋ねにお答えすれば、その日を即答しかねると申し上げるだけで済むわけでありますが、少し詳細に申し上げます。  この決算委員会で佐藤検事総長を証人としてお調べになつたのは九月の六日であります。そうして拒否事項は十数項にわたつておつたにかかわらず、九月八日の午前九時ころに当委員会から佐藤検事総長の拒否した証言のうち八項目について承認するかいなかの御照会がありました。承認せよとの御要求が書面をもつてありました。九月七日東京の馬場検事正を証人としてお調べになりまして、その際馬場検事正が職務上の理由をもつて証言を拒否した事項は、これまた十数項目にわたつております。その拒否した証言のうち、証言の承認を求めておいでになつたのが九月十一日で、証言のうち九項目にわたつております。私どもの方では、九月八日に証言の承認を求めておいでになりましたから、さつそく事務当局が検討にかかつたのでありますが、その項目はわずかに各項目二、三行の短い文章であります。ところが佐藤検事総長に対する当時の委員の方の御質問及びこれに対する検事総長の答弁は、相当長くわたつているのであります。そこで私どもは速記録を見なければ、これが検討ができません。至急に速記録のできることを待望しておつたのでありますが、その速記録が検事総長の分が九月の九日の午後三時ころに手に入りました。馬場検事正の速記録が九月の十日に参りました。そこで九月八日の佐藤検事総長の分について九月九日に速記録が入りましたから、さつそく事務当局はこれが検討に入つたのであります。しかるに馬場検事正の証言に対する承認の要求が、この当時参つておりません。いつ来るか、私どもはなるべく早くこれをいただきたいと思つておつたのでありますが、九月十一日午後になつて、先ほど申したように、検事正の分の証言の承認の要求書が参つたのであります。そうしてこれは速記録が十日に参つておりましたから、かれこれこの速記録について、両方の証言の拒否せられた部分について事務当局において検討を始めたのであります。今日に至るまでなおこれが検討は続いておりますが、この点については、実はわれわれ法務省の人間だけで証言の承認をすべきやいなやを確定するには困る点があるのであります。それは検事総長及び検事正が職務上の秘密なるゆえをもつて証言を拒絶しておるのでありますから、これらの人たちについて、この拒否した証言について承認してよろしいかどうか、やはり確かめておかないと私どもの意見を確定するわけに参りません。そこで検察当局に対してもこの点についての検討を求めておつたのであります。かようにして着々われわれの方では事務当局においてまず承認すべき事項ありやいなやということ、及びもしこれを承認すべしとすれば、どういう理由か、承認すべからざるものとすれば、どういう理由か、この理由が非常に重大でありますから、この理由についていろいろ検討いたしております。  しかるに、申し上げるまでもないことでありますが、九月十一日には私初め刑事局長は、衆議院の法務委員会に朝から午後五時過ぎに至るまで質問を受けております。十三日も同様であります。十四日は朝から私及び刑事局長は、参議院の法務委員会に呼び出されて質疑を受けております。本日も朝から続いて質問を受けておつた次第であります。わずかに十五日一日、私どもは手が明いておりました。かような次第でありまして、実際に検討すると申しましても、時間の余裕がない。かような繁忙の際に、各事務当局は寝食を忘れて検討を続けております。さようなぐあいでありますから、承認についての回答が遅れたということをお責めになりますが、まつたく時間の余裕がなくて承認の回答が遅れておるのであります。そうしてこれを承認するやいなや——もし承認すればよろしいのでございまするが、承認をしないということになりますると、理由を疏明せねばなりません。この疏明は非常に重大であります。そして証言法ができて以来初めてのことであるのであります。もし証言を拒絶いたしましたならば、当委員会においては、この疏明を受諾し得ないものとするときには、政府に対して国家の重大なる利害に悪影響ありとの声明を要求せられることになるであろうかと考えます。さような場合には、政府はこれに対して、その旨の声明を出さなければならない。これは実に容易ならざることでありますから、私どもの検討において十分研究を尽さないときには、誤りを生ずるおそれがあります。かような重大なる場合に際会して、わずかに数日が遅れたといつて早く出せと仰せられても、なかなかそうは参りかねるのであります。なお若干の日の御猶予をお願い申し上げます。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 ただいまの法務大臣のお答えについては、なお次に質問をいたしますが、政府は吉田総理が二十六日に外遊するというようなことを、昨日閣議できめられた、こういうようなことであつて、小原法務大臣のこの回答も、吉田総理の外遊後においてせられる、こういうようなことが伝わつておるのであります。吉田総理の外遊前にこの回答をしては、総理の外遊に支障を来す、影響を及ぼすようなことが生ずるから、それまでやらない方がよかろう、こういうようなことをわれわが伝え聞いておるのでありますが、さようなことはございませんですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 世の中ではいろいろなことを申すでありましよう。今聞いておるとおつしやいましたが、それは風評でしよう。私たちはさようなことを考えておりません。少くも吉田総理が立つ前に、回答は必ず差上げます。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 しからば先ほどのあなたのお答えについて伺うのでありますが、あなたは法務大臣として少くともこのたびの汚職事件については、たとい中途から法務大臣になられましても、これだけの大問題でありますから、相当の御研究をなさつておつたものと思いますけれども、今日まで御研究をなさつておりませんか、なしておりますか。少くとも法務大臣としてこれこれのことはこうだというくらいのことは、さほどむずかしいことではありますまい。あなたも過去においては天下の小原司法大臣として名だたる方であり、さらにその後は弁護士をやつておられたのでありますから、これくらいのことが調べなければわからぬというようなことは、私どもはとうてい想像がつかないのでありまするが、今までお調べになられておらなかつたのでありますか。いかがでありますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は就任前にはこの問題についてまつたく考えてもおらぬことでありました。就職後にはこの問題の処理についていろいろ考えて研究はいたしました。しかしながら決算委員会で証人に証人が求められ、それが今発展して拒絶された証言の証人を求め、それがさらに発展すれば疏明理由を公表する。そういうような立場に至るなどということはまつたく考えておらなかつたことであります。はなはだ不敏でありますが、それは私の現実であります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 先ほどのお答えのうちに私一人では決定しかねる。検察庁、すなわち佐藤検事総長及び馬場検事正の意見を求めなければならない、こういうことをおつしやられておるのでありますが、それはわれわれが聞くと非常におかしなことでありまして、われわれはあなたの意見を求めておる。それではあなたは検事正や検事総長がいいと言えばいい、悪いと言えば悪い、こういうようなお考えなんでありますか、いかがでありますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 回答は私がいたし、私が決定するのであります。ただそこへ行く道において、検察庁側の意見もす。たとえば私が証言を承認してよろしいと思いましても、検察庁側においてその証言は承認されては困るというものがあるかもしれない。さような場合にはこれは十分考慮いたさなければならぬ。反対の場合も同様でありますから、検察側の意見を聞くのは当然であります。ただその意見に私は縛られる道理はない。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 あなたにさらに伺いますが、あなたは職務上の秘密ということをどういうふうにお考えになつておられるか。この間馬場検事正がおいでになりましても、検事総長が来られても、この職務上の秘密ということはわれわれにはわからないのでありまして、これはその職責者の、いわゆる検事の主観的な判断によつておのおの職務上の秘密に相違を生ずるのかどうか、その点いかがでありますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は検事総長とか、東京の地方の検事正とかいう方は、自分が証言を求められた分について、その証言をしてよろしいかどうかということは十分に判断する力があり、それに基いて証言をされて「おるものと思います。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 今私があなたに伺つたのは、検事総長、馬場検事正のことは一つの例でありまして、職務上の秘密ということについて、まだこれから先に河井検事も、あるいは井本刑事局長もわれわれは問わねばらぬのでありますから、そこで職務上の秘密ということが、佐藤検事総長の職務上の秘密と、あるいは馬場検事正の職務上の秘密と、河井検事の職務上の秘密とおのおの人によつて違うのでありますか。すなわち主観的判断に基いて、人によつて職務上の秘密が違うのかどうかということを伺つておるのであります。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 今例にあげられましたように、たとえば今後河井検事等が調べられたときに、職務上の秘密ということを申すかもしれません。しかしそれはやはり河井検事の主観的考えであろうと思います。さような場合には、その長官であるところの東京高等検察庁の検事長がその職務の秘密であることを証言してよろしいということを言うかいなかにかかつております。さらにその上には検事総長がありまするから、それらを経て最後には私法務大臣に来るものと思います。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 あなたは今日まで職務上の秘密に関することについて、これを言つては悪いとかどうとか、そういうことの制限的行為があつたことがありますか、ございませんですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 今お尋ねのことはだれに対して制限したとお尋ねになりまするか。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 要するに本件の汚職事件に対するところの、捜査に関係ある者に対してであります。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 さようなことは、私はさしずをいたしておりません。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 そういうことになりますと、これは非常に大きな問題になつて来るのでありますが、はたしてそれにお間違いはございませんですか。さらにあらためて念を押して伺つておきます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は当該検事に対して、一々さしずをいたしておりません。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 そうであろうと思うのであります。ということは、新聞紙上においてもあなたが、佐藤検事総長が検事総長談として発表されたことについて、検事というものは言い訳がましいことをしたり、その事実を公表するものではないということを六月二十日の読売新聞、これは読売新聞ばかりではありません。ほとんど新聞がみなこのことを同様に伝えておるのでありますが、この新聞に掲載せられた通り、こういう談を発表しておる、これは間違いないと思いますが、さらにいま一度あらためて念を伸します。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 新聞紙の記事は皆様も御承知でありましようが、自分に関係したことで出たことで、その通り事実であるということはきわめて少いのであります。それは事実であります。私はその当時それに似た談話はいたしたと思いますけれども、その通りの談合であるかどうか、今保証できません。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 そういたしますと、実は本月の七日の日の馬場検事正の証言において、私が馬場検事正に尋ねまして、あなたは何もかも職務上の秘密であると言つて片づける。そして職務上の秘密であるということになると、場所も人も時間も何でもかでも職務上の秘密であるかと言つたら、まあそれはそういうことになります、こう言うのです。そうすると、せんだつての佐藤検事総長の談話には人の名前も載つておる。あるいは会社の名前も載つておる。衆議院議員あるいは立候補者というようなことまで載つておるが、あれも職務上の秘密に属すると思うが、あれはどうなのかと尋ねたところが、あれは法務大臣の許可を受けて検事総長が発表したのだと、この速記録に馬場検事正が答えたのが載つておるのでありますが、あなたがただいまここではつきりとそういうことを許可あるいは制限したことがないということになりますと、これは馬場検事正の証言がいわゆる偽証ということになりますので、さらにあらためて念を押しますが、あなたは佐藤検事総長に対してそういう許可を与えたことがあるのでありますか、ありませんか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はその問題について直接に話をした覚えはありません。ただ事務当局があるいはそういうことに関して何か話をしておればそれは別だと思います。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 そうすると、あらためていま一度伺つておきますが、とにかく六月二十日の読売新聞の、法務大臣の談話として、検事というものはいろいろ調べたことを発表したり、そういう言い訳がましいことを発表するものではない、そういう趣旨のことを言われたことは間違いございませんか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はその当時そういう趣旨のことを言つたと思います。昔は検事というものはそういう自分の取扱つたことを一々弁明しなかつたよ、それからまた秘密を守らなければならぬ事項についてはみな秘密を守つて言わなかつたものだということを、昔の話をしたことはあります。この事件についてどうこうと言つた次第ではありません。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 先般法務大臣がお見えのときに、私はあの犬養前法務大臣の指揮権の発動についてあなたに伺つたところが、私を信じてもらいたい、こういうことを言う。しからば、あなたは将来ああいうことがあつたらどうなさいますかということを尋ねたところが、私はやる気はない、こういうことをお答えになられたことは御記憶であろうと思いますが、さてこのたびのあなたの証言許可の意思決定というものは非常に重大な問題であるのであります。ちようど犬養法相があの指揮権を発動したために、ほんとうに造船疑獄の中核というものがくずれてしまつたことは、あなたといえどもこれを御否定なさることはなかろうと私は思うのであります。さてそこでここに問題が起つて来て、これについてはあなたの部下であるところの検事諸公といえども決して私は御満足ではなかろうと思うのであります。むしろこの機会こそ、検事が二百数十日の間日夜の別なくほんとうに健闘されて調べ上げたこの事実を国民の前に知らしめることが、日本の司法権の威信を保つゆえんでもあり、国民の求むるところに沿うものではなかろうかと私は思う。それをもしあなたが制限するがごときことがあるなれば、これは犬養法相のあの指揮権以上のいわゆる第二の指揮権の行使であるというように私どもは思いますが、あなたのこれに対する御所見いかがでございますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 いつかの当決算委員会会において、私にただいまの杉村さんからの犬養法務大臣がやつたような指揮権発動をやるかというお尋ねに似たお尋ねがありまして、私はさようなことはいたしませんということを申し上げたのは、ああいう形においての指揮権発動を私はいたしませんという意味を申し上げたのであります。もしそこに言葉が足りなければ、意味はさようであります。と申しますのは、あの検察庁法十四条の但書の法務大臣の検事総長を通しての捜査に関する指揮は常にいたしておるのであります。今日でもいたしております。毎日駐留軍の強盗その他の事件あるいは国会議員に対するいろいろの容疑事件、それらに関しては検事総長から必ず指揮を求めて参つております。それに対して私は毎日指揮を与えておりますので、こういう形においてやる指揮はあの検察庁法十四条によつてやるのでありまして、何ら問題はない。つまり穏やかにやるならば問題はない。ああいう対立した状態において書面のやりとりをして指揮権の発動をすそような形において私はいたしません、こういうことを申し上げたのでありまして、これは私は将来においても断じてやりません。しかしながら、今申し上げるように毎日検察庁法十四条の但書による指揮権は発動されておるのであります。これは検察庁法の捜査に関する当否を決するためにあの規定ができたのであります。あれによつてやらなければならぬのでありますから、始終行われるのは当然であります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 ただいまあなたのお答えを伺つておると、形でお答えをなさつておるのでありますが、私はそんなことを伺つておるのではありません。ああいう指揮権を発動したために造船汚職事件がほとんどくずれてしまつたのだ、これを私は申し上げておるのであります。しかしこの点を今あなたと論争してもしかたがありません。ただ私はあなたがここに検察官諸公の証言を制限されるということは、あの犬養氏の指揮権発動以上の制限になつて、国民の輿望にも反する。またあなた方の部下の労に対しても、あるいは検察庁の威信の上からいつても、私は発表せられることがよいと、こういうふうに考えて今申し上げたのでありまして、もうこれ以上この問題をあなたと論争するのはやめますが、さていま一点伺いたいのは、法務大臣は国会の審議権と検察庁の捜査権とどちらが重いと思つておりますか、これを伺いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 国会が国家の最高権威であり、国会の国政調査権が重大であることはよく承知をいたしております。これによつて行政の監督が行われることであるのでありますから、この権はまことに強いものであると考えております。しかしながら憲法が三権分立の制を定めまして、行政、司法、立法互いに権益を守つて相侵さざることを定めた今日の憲法におきましては、やはりそこに三分体とも、司法は司法、立法は立法、行政は行政、おのおの相当の制約があるものである。国会の調査権といえども司法権に対してはある制約を受けなければならぬ。司法、行政に対しては、これは制約は非常に少いと思いますけれども、司法権の本体に対しての制約は相当強く受けなければならぬ、こういうふうに私は考えております。まず順序として司法権に対しては強い制約を受けなければならぬということを私は考えております。そうして検察権は行政権ではありまするが、一般行政権とは異なつて司法権運用の上において必要欠くべからざる機構でありまするから、この権限というものは一般行政権よりも重くなければならぬと考えておるのであります。従いまして国会の国政調査権といえども、検察権の行使に対して何かある種の制約を受ける場合があるであろう、こういうことを私は考えております。その制約がどこにあるかということは今回御返事いたします証言の承認に関して必ず出て来る問題でありまするから、これにその点が場合によつては解かれる、こういうふうに考えております。要するにある程度においては国会の調査権といえども検察の捜査権に対してある種の制約を受ける場合がある、こういうことをお考えを願いたいのであります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 あなたのお答えは、それはそういうふうに伺つておきます。それではさらに伺いますか、私は犬養前法務大臣のあの指揮権発動ははなはだ不都合ではあるけれども、表面上は少くとも国会審議権のために佐藤榮作氏の逮捕をさせなかつたということになる。検事総長以下全検察陣が皆一致した意見で佐藤を逮捕して調べるということは必要なり、かくのごとく決定して法務大臣にその逮捕許諾の稟請書を出されたということは、これは非常に重大なる決意と確信のもとになされたものである。しかもこれがなされなかつたなれば、もしこの稟請が許されなかつたなれば捜査権に異常なるところの影響を及ぼすということは、検事総長がるる犬養法務大臣に進言したということであります。それにもかかわらずこの十四条を発動して遂に佐藤榮作氏の逮捕をできなくした。私がそこで加藤前法相に、この指揮権の解除があつた以上は、なぜあなたは——佐藤榮作氏をそれほどの確信のもとにおいて逮捕の稟請書を出したのであつたなれば、なぜ逮捕をして取調べをなさらなかつたかと言つたところが、これは遂に指揮権のためにそれがなすことのできない影響を受けた、こういうことを言うておるのであります。それがために遂にこの汚職事件というものはくずれてしまつたのである。してみますると、少くともその指揮権の発動の是非は別といたしましても、国会の審議権が重いという見地からやつたのであろう、形の上におきましては……。そうしたなれば、このたび今や全国民があげてこの汚職事件について聞きたい。また検事諸公といえども自分のやつたことが水のあわになるようなことになつても相なるまいと思う。また検察陣の、検察庁の威信の上から言つても、これは国民の前に公開すべきが最も適当なりとわれわれが思料するこのときに、国会においてこの汚職事件を審議する際においては、この国会の審議権を重しとお考えになつて、あなたは検事総長以下の検事の証言を制限せられないことが、私は最も当を得たところの法務大臣なりと考えるのでありますが、あなたの御所見はいかがでありますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 先ほどから申し上げまするように、私はこの際において検察庁の検事の権限をかれこれして、たとえば今の証言をしようと思うものを私がとめるというようなことは絶対にいたしません。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 ただいま法務大臣が検事の証言をとめるというようなことは絶対にいたさないということを伺つたので、私は非常な満足であります。どうぞすみやかに御回答あらんことを希望いたして私の質問を終ります。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 議事進行。私は委員長はこの前議長のところへ当委員会においては決算に関することだけを調べるものであつて、検察行政には絶対渡らぬという返事をせられたと承知いたしております。証言も見ました。ところが先ほど来聞いておると、杉村君の質疑はまつたく検察行政のみに関することで、委員長が返答せられたものと逸脱するもはなはだしいものと私は考えるが、委員長はこれも逸脱せないと考えられるのか、逸脱しておればとめるという考えなのか、その点を伺いたい。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 ただいまの……。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 委員長に答弁を求めておる。

田中彰治無所属

○田中委員長 あとで答弁します。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 ただいまの鍛冶委員の発言はきわめて私どもはこつけい千万なりと思う。鍛冶委員も法律家であります。われわれは決して検察行政そのものだけを追究するものではありません。一つの例をとつて私がお話し申し上げますからよく聞いてください。すでに検察庁が起訴しておりまするところの事件において、東西汽船株式会社が第七次の船主適格の選考において、七万八千円というところのゴルフ・セツト一組を國安調整部長に贈つたのだ。ところがこれは額が少いのか、物が不足なのか知らないが、それにはずれるや、ただちに第八次の選考にはぜひとも。パスさしていただきたいというところから二百五十万円を國安君の兄貴に贈つて、首尾よくこれがパスしておるではありませんか。これは浦賀ドツクに注文をしてつくらせるところの南米航路の貨物船であります。したなれば、われわれ決算委員としては開発銀行の融資をするについて、船主を選定するについて、このような二百五十万円の贈賄がはたして行われたのかどうか。もしそれほんとうにただいま起訴されておるごとくにそれが行われたものであるということがわかつたなれば、その船主の選考をしたことも誤りであり、その船主を選考してそれに開発銀行の融資をしたということも、それは不正な融資であるからわれわれ決算委員会は開発銀行のそれを認めることはできないということになるのであります。われわれは検察行政においてそれを起訴しないのがいいとか悪いとかいうのではありません。かくのごとく汚職事件につきまして当決算委員会はいかなることをも調査する権限があるのであります。予算委員会においてMSAの問題をあの通り審議するのであります。総理大臣も出て来てこれに答えます。これはまた外務省の関係であつて、外務省が検討するのは別個の問題であります。予算委員会と決算委員会とは表裏一体のものであつて、法律家である鍛冶君からこのようなことを聞くということは実に私は奇怪千万なりと思うておるのであります。

田中彰治無所属

○田中委員長 鍛冶君にお答えいたします。杉村沖次郎君が本日ただいまこの委員会におきまして小原法務大臣に対して質問しておるのは、この間佐藤検事総長、馬場検事正を証人として呼びました、そのときに、その内容を聞くことができない。われわれは検事総長、検事正をどうして呼んだかと申しますと、昨年の十月から日本開発銀行が造船会社に対して融資したところのその融資に対する不正、不公平があるというので、われわれは取上げておつたのであります。たまたま本年一月にこの事件を取上げました。当時の佐藤幹事長あるいは益谷総務会長からこの事件をやめてくれないかという申込みがありましたが、何の理由もなくてはやめられないと言つてわれわれは断つた。そこで二月五日に法務大臣がわれわれの委員会に来られまして、ぜひともひとつこれをやめてもらいたい、今あなた方にこれを調べられると数字の内容がわかる、いろいろな会社名がわかる、それでは国民の期待に沿う調査ができないからどうかやめていただきたい、そこでわれわれは委員会で相談した。司法権を持つた、捜査権を持つたあるいは留置権を持つた、起訴権を持つたところの検察庁が調査した方がかえつてよく調査できるかもしれないからまかせようじやないかというので、われわれは持つておつた資料までそこへ提供し、あるいはいろいろ検察庁がするのに対してわれわれが相当努力した。しかるにその事件を指揮権の発動においてめちやめちやにしてしまつた。そうして調べた人の名前も言わない、検事も言わない、金がどこへ流れたか言わない。またたまに言つてみると二億数千万円、こんなものは起訴されたうちの奪いものだ。われわれが握つておるのは三十六億という金を握つておる。それをわれわれ開きたいから佐藤検事総長あるいは馬場検事正を呼んだので、呼んだところが内容も言わない。言わないから内容を言うように許可をせよといつて法務大臣に書類を出した、その書類を出したことについて杉村君が質問しておるのでありますから、検察行政にさわつても何ら関係ありません。  藤田君。

藤田義光改進党

○藤田委員 私はこの際質問は要点だけ、きわめて簡単に法務大臣にお伺いしたいと思います。  まず第一にお伺いしたい点は、本日先ほど田中決算委員長あてに、職務上の秘密に関する証言につき承認を求めるの件の回答が参りました。これはどうしてあなたの名前で回答をしなかつたのか。清原事務次官の名前になつている。こういう重大なことを——あなたは法務省の最高責任者であります。国会を侮辱することこ余ります。はつきり言つてください。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は清原次官の名前で出ていることは承知いたしませんでした。それは手落ちでしよう。私の名前でもちろん出なければならぬものだと思います。

藤田義光改進党

○藤田委員 天下注視の問題に関しまして、自分の名前で回答が出ていなかつたことを知らぬ、まことに不見識な次第であります。ことごとに法務行政に関してはかような措置をとつておられるのか。一事が万事という言葉がありますが、いかがですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 今のは確かに手落ちと思います。それは私は決裁はいたしますが、決裁をいたしましたからその点私の名前で出ておると思つたのであります。しかるに次官の名前で出ていることは、それは不都合であつたと思います。

藤田義光改進党

○藤田委員 私はお伺いしたいのですが、この公文書の末尾に、「右命によより回答いたします。」とある。国会の衆議院決算委員会に対して法務局の最高責任者が回答すべき公文書に「右命により回答いたします。」まことに責任の所在があやふやであります。今後こういうことは絶対慎んでもらいたい。いま一度はつきり御答弁願いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 それは確かに過誤であります。将来はそういうことをいたさぬように注意いたします。

藤田義光改進党

○藤田委員 そこでお伺いしたいのでありますが、先ほど同僚杉村委員の質問に対しまして、国政調査権と捜査権の比重の問題がありまして、あなたは国政調査権も制約を受けるという答弁があつたのであります。そういうふうな解釈であるということで間違いありませんですかどうですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は今それは断言するわけでありませんが、さようなことはあることを予定といいますか、考えております。やがて今度出します証言の承認に関する分に、よくそれを検討いたしまして、間違いのないように書くつもりでおります。

藤田義光改進党

○藤田委員 これはわれわれが現在追究中の国政調査に重大な影響のある問題であります。私は憲法四十一条のいわゆる国権の最高機関たる国会という規定、六十二条の国政調査権の規定、それからいわゆる司法権と申しますか、検察権は準司法権でありますが、この準司法権並び司法権と立法権の調整をはかつた規定が第五十条である、国会の開会中みだりに議員を逮捕しましたならば、司法権の立法権侵害になる。革命の歴史にかんがみましてこういう調整規定をつくつておるのであります。私は国政調査に関しましては制約を受けない、ましてや検察権等によつて制約を受けるということはけしからんことではないかと思いますが、法曹界の長老、誤解じやないか、ひとつ……。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はある点において、やはり若干の制約はあるのであろうということを考えておりまして、今せつかく研究中であります。

藤田義光改進党

○藤田委員 法の番人たる法務大臣が、新憲法の一つの軸心たる国政調査権と国権最高機関という、こういう重大な問題に関しまして、まだ意見がかたまつていない、そういう根性でおられるから、政治的にあなたが職務上の秘密に対する回答を延ばしておるじやないかという誤解が出て来るじやないかと思う。国政調査権、これは絶対のものだという感覚でなければ、ただいまあなたに課せられた回答の問題ははつきりできない。いつころまでに研究の結果をはつきりされる予定でありますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 先ほど証言の承認の回答はできるだけ早くいたしますということを申し上げておりますが、そのときまでにはいたします。

藤田義光改進党

○藤田委員 先ほどの質問に対しまして、回答は総理外遊前にするということを言われました。いま一歩進んで日時を明示していただきたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 ただいま日時までも明示するわけには参りません。

藤田義光改進党

○藤田委員 佐藤検事総長、馬場検事正、両証人は上司の許可ということを絶対条件にいたしまして職務上の秘密を発表しなかつた。これは私は逆に解釈すれば、職務上の秘密の認定権は絶対法務大臣そのものにある。従つてこの回答を起草するにあたりましては、検事総長、検事正の意見を聞くという先ほどの答弁は何かの誤解じやないか。まことに不見識な答弁であります。あなたは全責任を持つて回答を書くという気持でありませんかどうか。やつぱり検事総長に聞かないと心配である、それほど自信のない回答を書かれるのかどうかお伺いしたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 責任は私が全責任をもつてやることはもちろんであります。しかしながらその責任を果す上において、参考にいろいろのこと聞くことはごうもさしつかえないと思つております。

藤田義光改進党

○藤田委員 あなたが法務大臣として、資料収集の実際の問題をそう考えられておることはけつこうであります。ところがこの席上は国民の代表たる国会であります。そこで法務行政の最高責任者たるあなたが、検事総長と検事正に意見を聞かなければ回答できぬ、そのために国会が重大関心を持つておる回答の日時すら遅れてしまつたという不見識を暴露されておるから私は聞いておるわけであります。大体いつごろまでに出すか、あなたの腹できまりましよう。あなたが全責任を持つということならば、われわれの議事運営に重大な関連のある問題だから、はつきりお示し願いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 繰返して同じことを申し上げるほかに方法がありません。その日をはつきり申し上げることはできないのであります。

藤田義光改進党

○藤田委員 先月十二日の当委員会においてあなたは、加藤前法務大臣から事務引継ぎを受けておる、加藤氏は犬養氏から事務引継ぎを受けておる、従つて四月十九の指揮権発動の責任を承継されておるということを、午後はつきり認められたように記憶いたしております。この問題に関しましては杉村委員の質問もありましたから詳細は省略いたしますが、この指揮権発動に関連して、あなたは先月二十八月の検事長会同において一つの見解を発表されております。それは去る八月十日の自由党支部長会議におけるいわゆる吉田暴言に対するあなたの見解で、これによりますとあなたは八月二十日、「吉田総理大臣より、右は用語不適当のため誤解を生じたので、遺憾であつたが、当分としては法規を軽視したり、忠実に職務を遂行した検察の人たちを非難するつもりはごうもなかつた旨のあいさつがあつた」ということを言われておる。灰関するにあなたは、小金という自由党の国会対策委員長があなたの部屋に参りまして、実はかくかくであると、以上朗読しましたような趣旨を申し入れたことによつて、一切了解してしまつた。国会で問題になつたのにもかかわらず、総理に会つてじきじきこの重大問題に対する総理の率直な意見を何ら聞かなかつたというふうにもわれわれは聞いておりますが、真相のほどをひとつお示し願いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 ただいまの問題につきましては、総理大臣がその発言をされて、ちようど八月の十二日でありますか、この決算委員会において、私に対してその点に関しての御質問がありました。当時夕刊新聞及び翌日の朝刊新聞等に出おります記事がまちまちでありましたがために、これをよく調べなければお答えができないということをこの席で申し上げたと思つております。そこで録音によつて後に調べましたところが、総理大臣の当時の演説というものがわかつたのであります。それによると夕刊及び朝刊に書いてある記事とは大分趣を異にしておこともわかつたのであります。しかしながら、あの演説といたしましても、録音によつたものといたしましても、なおかつ私としては理解いたしかねる点がありました。また検事に対して多少の問題を言われたこともあるのであります。そこでこれはどうしてもたださなければならぬということで総理自身にもちよつとお目にかかつて話をしました。なお詳しいことも池田幹事長に話をしました。池田幹事長からよく総理にただしてくださいということを話しておいたのであります。そうすると八月の二十日に池田幹事長の使いとして小金国会対策委員長が法務省へ参られまして、私はたまたま不在であつたがために刑事局長に会つてあの趣旨のことを書いたものを渡して帰られた、そこで私はただちに吉田総理に対してああいうごあいさつをいただいたからといつてあいさつをやりました。ところがこれに対してさらに吉田総理からはまつたくあれと同じことが書いてある私信をよこされた、そういうことで吉田総理の御趣旨はわかりましたので、八月二十八日の検事長会同の際にこのことを検事長諸君に紹介して、懇談の結果検事長諸君もああいうあいさつをせられたのだからこれでわれわれも了承てよろしいではないかということで納まつて、つまりあの趣旨を了承した、こういうことになつたのであります。

藤田義光改進党

○藤田委員 御答弁を聞きまして実に心外に思いますのは、あなたはたしかに無所属である、そのあなたが自由党の幹事長から返事を聞いたとか、自由党の幹事長に頼んだとか、一体どういう感覚でありますか。あなたは第六次吉田内閣の法務大臣です。かくのごとき全検事を侮辱するような誤解のある発言に関しまして全国民が非常に注目しておつた。ただいまの御答弁によりますと、池田幹事長に詳細真相調べを頼んだという。どういうふうな感覚であなたは現在法務行政をやつておられるのかまつたくわからなくなつて来る。政党に所属せざる人が自由党幹事長に真相究明を頼んだというようなことに至つてはまことにこれは不謹慎ではないか、感覚がおかしいのではないか、はつきりお示しを願います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 なお言葉が足りなかつた点もあるかもしれませんが、もちろん副総理にも前もつて話をしておきました。そして問題は自由党の支部長会議においての問題で、あれは自由党の問題であるから自由党が処理する、こういう話を私は聞いたのであります。そこで池田幹事長に対してもそのごとをよく話して、吉田総理の意見も聞いてもらいたい——もちろん副総理が伝えられたこともあつたに相違ないと私は確信しております。そういう道行きで来たのでありまして、私は何もそれが政党の問題だから私が政党にあらざる身をもつて政党に特に介入したというようなことではないのであります。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 ただいまの問題についてちよつと関連質問いたします。小原法相は閣議で吉田総理が暴言問題についての発言を求められてそれで言われたというふうに新聞には発表になつているが、実際は閣議に入るやぽんと肩をたたかれただけで、あとは全部あなたは脚色して発言しておるということを言われておるが、一体あなたの個人的な発言によつて検事長会同においては言われておるものか、それとも詳細に吉田総理は暴言についての釈明をあなたにされたのか、これを詳細にひとつ……。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 ちよつとお尋ねの趣旨もう一度言つていただきたい。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 閣議に臨む前に総理にちよいと肩をたたかれただけで、実際に暴言についての内容は何も話されないで、あなたが全部脚色して検事長会同においては発言をされておる、こういうことが言われておるが、その点はどうかということです。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 そんなことは全然ありません。なるほど十七日の閣議の際に、吉田総理大臣が閣議に出られて、そのときに私に対して、まことにああいうことを言つてあなたの方に迷惑をかけて済まなかつたという言葉はありました。しかし今申し上げたようなあいさつをしたというのは、池田幹事長から小金対策委員長を通じて紙面に書いたものを持つて来られたのであります。決しておつしやるようないいかげんのことを私は申したのではないのであります。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 その十七日の閣議で自由党の出身である党籍を持つている安藤国務大臣は、吉田総理に対してこの吉田暴言を非常に追究いたしておる。この閣議が非常に緊張したということを新聞も報じておる。法務大臣はここの委員会で非常なつるし上げを食つておる。たじたじするくらいにこの吉田暴言については追究せられておるにかかわらず——自由党の党籍を持つている安藤国務大臣はあれだけ総理に対して追究しておるが、あなたは何も追究しておられぬじやありませんか。幹事長あたりを通じてどうだこうだということは、あなたはきわめて自分の職責を体しておられない。あなたはほんとうに発言をされたのでありますか、安藤国務大臣は非常に強く発言されておりますが、あなたも同じようにただされたのであるか、その点をはつきりしてもらいます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 閣議の席において安藤国務大臣がいかなることを言つたかというこようなことは私はここ名言いたしません。

藤田義光改進党

○藤田委員 私はきわめて重大な問題を丁重にお聞きしております。言葉がはげしくなるのは生れつきでありまして御了承願いたい。申すまでもなく小原さんは現在法曹界の最高長老であります。あの指揮権発動後の混濁せる法務行政の最高責任者として非常な期待を受けて法務大臣の要職につかれた。しかも相当批判の強い吉田内閣にあたえて法務大臣の要職につかれた以上は、私は少くともこの指揮権発動のごとき、あるいは暴言のごとき問題に対しましてはすつきりした御答弁をお願いしたい。先ほど来関連質問がありましたように、十七日に非常に迷惑をかけて申訳ないということを一言総理から聞かれて、あれほど国会で問題になりました事態の真相を究明されたという努力が全然見えないのであります。さらにあらためて吉田総理は二十六日予定通りならば出発いたしますが、その前に総理に対しましていま一度はつきりと真相をお聞きになる努力をされるつもりがありますかどうですか、お伺いをしておきた。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 総理大臣が立つ前にもう一度それを聞くかというお尋ねでありますが、私はそういうことを聞く必要がない。

藤田義光改進党

○藤田委員 時間がありませんから簡単にあと伺います。けさの都下の有力新聞には、法務省の見解として、吉田総理が国会の証人喚問に応ぜざる場合には決算委員会として告発する、告発しても不起訴であるというような法務省の見解が出ておりました。法務省は小使に至るまであなたの責任下にある役所であります。こういう見解はだれが発表したか、法務大臣自身であるかどうか。あの新聞を見られまして真相は確かめてはおられると思いますが、お示し願いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 新聞記事を全的に御信用になれば、さようなことを仰せられるかもしれませんが、私は新聞がどこから出たか承知いたしません。また法務省でもあんなことを今責任のある者として言うはずがありません。

藤田義光改進党

○藤田委員 あれを執筆した新聞記者を存じております。しやべつた人が実在した場合はどういう処置をとられる予定であるか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 もしそれをしやべつた人があるとするならば、それの責任をただします。

藤田義光改進党

○藤田委員 この問題は非常に重大である。国会の告発という問題に対する結論を軽々に法務省の当局が見解発表をすることはまことにけしからぬ行動であります。どういう責任をとる予定であるか、具体的にお示し願いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 何人が出したのか私は承知いたしませんから、よく調べなければわかりません。おそらくは責任のある者ではないと思います。

藤田義光改進党

○藤田委員 そういう発言をした者が実在した場合は、あなたは責任をとるということまで言われたが、どういう責任をとる予定であるか、具体的にお示し願いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 責任をただすと言つたので、とるとは言いません。

藤田義光改進党

○藤田委員 責任をどういうようにただす予定であるか、具体的に……。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 言えません。

藤田義光改進党

○藤田委員 いつまで調べて責任をたたす予定であるか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 もし実在いたしまするならば、それ相当の処分をせなければならぬと思つております。

藤田義光改進党

○藤田委員 ちよつと委員長にお伺いしますが、参議院の決算委員会は……。

田中彰治無所属

○田中委員長 散会しましたから、ゆつくりやつてください。

藤田義光改進党

○藤田委員 ほかの同僚諸君もたくさん発言があるようでありますから、最後に一点だけ、これは研究事項でもありますが、お伺いしたい。造船融資に関しまして、財政資金が出ておるのが総額約九百八十億でとざいます。現在償還されておるのが三十二億であります。残高中本年の三月現在償還期限が参つておりますので未払いなものが二百六十一億円であります。時間がありませんから、数字だけを申し上げますが、この数字から見まして中身をいろいろ検討してみますると、明らかに回収困難なようなところに融資いたしておる。そういたしますると、日本開発銀行法第十八条、日本開発銀行定款第三条等の違反事実が出て来ると思うのであります。つまり償還不可能なところに融資をした場合は、開発銀行の職員の責任が究明されるのであります。非常に騒がれて、現に騒いでいる問題でありますので、これらの点に対しまして法務省として何か研究されたことがありますかどうですか、お伺いしたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はまだその点を研究しているかどうか承知いたしておりません。

藤田義光改進党

○藤田委員 次にお伺いしたいのは、かつて検事正、検事総長が当委員会に証人として喚問されました際におきまして、われわれは吉田、犬養、池田、石井四証人のほかに、相当多数の証人を喚問する予定になつておる。その中には緒方副総理も含まれておつたのであります。戦中戦後を通じまして私がかつて奉職しておつたところで非常に恐縮でありますが、この日平産業から緒方副総理以下多数の現閣僚にいろいろな資金が流れているという風評をわれわれは聞いておるのであります。この造船事件等の問題に関しまして、法務大臣はこの問題に関しまして何か一応全面的な検討をされたことがありますかどうですか、お伺いしたい。

田中彰治無所属

○田中委員長 藤田君、日平産業のことはやめてください。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はこれについて検察当局が調べたかどうか、聞いておりません。

藤田義光改進党

○藤田委員 調べた事実ではなくて、調べた結果に基きまして、あなたの立場からすれば、当然すべての調書を閲覧できる立場にあります。日平産業の問題に関しまして、今委員長の御注意がありましたからやめますが、近い将来に開会予定されております株主総会において、株主から告発するということも言われておるのであります。何かこれらの問題に関しまして現副総理以下の名前をお聞きになつたことがありますか、どうですか。いま一度お尋ねいたします。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は全然承知いたしません。

田中彰治無所属

○田中委員長 山田長司君。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 二、三点法務大臣に伺います。  先ほど大矢委員の質問に対しますあなたの答弁を聞きまして、これはあなたのためにもなることでありますから、私は一言最初に伺つておくのですが、昔の言葉に李下に冠を正さずという言葉があるが、あなたが床屋へ行つた事件というのは、どう考えても床屋へ行つたと理解されないと思うのです。そこで一体床屋へいつごろから行つておつて、そうしてその時間的な差がどうもいろいろあるわけなんですが、これが混んでおつて、あなたの理髪がいつ済んだものか、これを一応最初に伺いたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 先ほどから申し上げておるのでありますが、十分の根拠があつてお尋ねになるのならば、私はまじめにお答えいたします。しかしながら、私が理髪に行つておつたようなことを、間違つて飯野海運に行つてだれかに会つただろうというような、根も歯もないことをうわさや投書によつて言われるのは、私は承知なりません。私さような御質問に対しては答弁し得ないと思います。

田中彰治無所属

○田中委員長 山田委員に言いますが、その投書は住所も書いてあるし、名前も書いてあるのでしよう。

山田長司日本社会党(左)

○山田委員 書いてあります。

田中彰治無所属

○田中委員長 それなら証拠としてはつきり言われたらいいでしよう。

山田長司日本社会党(左)

○山田委員 今私の質問に十分なお答えがなかつたと思いますので、もう一ぺんお伺いしたいと思いますが、いつごろから行つておつたかということを伺います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 これは数年前です。何といつたか覚えがありません。

山田長司日本社会党(左)

○山田委員 数年前から行つているというのにどうして床屋の名前も知らなしのですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は床屋の名前なんか覚えようと思つておりません。

山田長司日本社会党(左)

○山田委員 ただいまの問題は一応それで打切ります。閣議であなたがリベートの問題を話されましたが、実は六日の検事総長の本委員会におけるリベートの額と、七日の日の検事正の言われたリベートの額と、さらにまたあなたがそのあとで十日の日に取消しをされたリベートの額と、まるでどれが法務当局の言つているリベートの額なのか、ある人は一億六千万円と言い、ある人は一億円と言い、ある人は七千六百万円と言い、それを取消されて一億円と言つたかと思うと、そのあとでまた発表されて一億一千万円だと言う。どれが正確かわかりませんので、もう一度正確に言つてもらいたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 佐藤検事総長が当委員会で証人として調べられたときに、お尋ねの言葉に政治に流れたリベートの額は幾らかというお尋ねがあつたのに、検事総長はそれを受けて刑事事件に関して取扱つた額は二億六千七百万円であります、こう答えたがために、あたかも二億六千七百万円が政治方面に流れた金のごとくに受取られたのであります。それを佐藤検事総長は後に気がついて、この委員会の最終に訂正をされたそうでありますが、別に書面になつて出ております。そのことを私は聞きまして、二億六千七百万円は検察庁が刑事事件として取扱つたものであつて、政治界に流れた額ではないのである、こういうことを申し上げたのであります。それならば政治界に幾ら流れたのであるかということでありましたので、新聞記者であつたと思いますが、座談に、その当時事務当局の方では正確な額は調べてなかつた。およそ八千万円ということでありますから、八千万円くらいだそうだということを話をいたしたのであります。しかるにそれが翌日になつてよく調べてみると、一億円以上あるということがわかりまして、最終的には一億一千九百六十万円、これが正確な数字でありまして、これは後に東京地方検察庁で調べた結果、これがはつきりわかつたのであります、この間の数字が違つたのは、まつたく間違いで、恐れ入りますけれども、しかし実情はこの通りであります。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 造船利子補給にからみまして、損害保険会社と銀行から莫大な金が自由党へ流れているわけです。それでこのことに関しまして全然届けが出ていないということで、わが党の綱紀粛正委員会が三月の初めに告訴をしているわけなんですが、これをどうして三月から今まで取上げて取調べにならぬのか、このことについて伺うのであります。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はその詳しいことを承知いたしませんので、事務当局の刑事局長がよく承知をいたしておりますから、場合によつては局長からお答えいたさせてもよろしゆうございますが、他の衆議院の法務委員会で述べたところを私が聞いておるところによりますと、東京地方検察庁で現に告訴人の一人を調べて、今その問題について検討中である、こういう答弁を聞いておるのであります。私もそれ以上のことは承知いたしておりません。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 告訴人の一人を調べておそと言うか、だれを調べておるのか、ちよつと参考に伺いたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 刑事局長からお答えいたさせます。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 お答えいたします。告発になりました社会党の方と思いますが、具体的な名前は、ちよつとお待ち願えれば、さつそく調べましてお答え申し上げます。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 刑事局長も見えていますが、さらに私は大臣に伺いたいのです。私は議運の一人といたしまして、議運で議員の逮捕にあたりましては、常にこの事件は氷山の一角であるから、この議員はいかなる場合においても、どうしても逮捕をしてくれということで、ほんとうに懇請をしているのですが、今度の特に利子補給の問題に関連いたしましては、かなり大勢の人の逮捕があつたのですけれども、一体このことについて法務大臣は、氷山の一角であるということを言わせるために、そうしていかにもそのあとに大きな事件があるかのように言つて議員の逮捕をされておるのですが、この事実において調べられた結果が何も出ていないのである。一体氷山の一角であるがごとく言わせるために、刑事局長なりその他の連中に法務大臣が常に言わせておつたのであるか、参考に伺いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は就任当時この事件の大体の成行きを聞いたのでありますが、その当時にはすでに大体の捜査を終つて、もはやあとには捜査に上つて来る対象がないのである、こういうことを聞いております。従つて氷山の一角が現われているので、まだ海水中には氷山の他の部分がたくさんあるのであるなんということは、私としては聞いたことはありません。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 ただいまの法務大臣のお言葉は、まつたくでたらめだ。いつの議員逮捕の場合においても、これは氷山の一角である。その氷山の一角だけしか、今度の逮捕にあたつては出ていないじやないか。一体そんなでたらめなことで国会議員の逮捕をやたらになされていいかどうか。もう一ぺんあなたの答弁を伺おう。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は就任後さように聞いておりますから、私の聞いているところを申し上げたのであります。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 刑事局長が来ているから、刑事局長に出てください。あなたはいつも逮捕にあたつては、これは氷山の一角であるということで、今度の場合特にあなたはわれわれが聞いている範囲において言われておる。全然それが氷山の一角どころでなくて、一角だけでこの問題はみな片づいているじやないか。刑事局長、ここに出て来て答えてもらいたい。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 お答えします。逮捕の許諾をお願いしました事実は、一定の限定事項でありますから、その許可をお願いしましたときには、その点を詳細に御説明申し上げたはずでございます。なおそのほかに何か事情がないかということでありましたので、この事案を調べる際にはさらに他の犯罪事実も出ることがあるかもしれぬということは、何回か申し上げたように思います。従いまして、起訴状等をごらんになればわかります通り、許諾をお願いしました事実以外に起訴した事実もございます。なおこのほかの事情につきましては、さらにいろいろの事情が出ておりますので、公判の際にはこの点も明らかになると思います。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 ただいまの刑事局長の答弁は、私はまことにふに落ちないのです。あなたは議員逮捕にあたりましては、これは氷山の一角であつて、ほかにもあるのであるということをはつきり言明しています。それは速記録を見ればよくわかるのですが、もう一ぺん速記録の読み直しをあなたはやつてもらいたい。そういう点から考えてみて、今度の逮捕の問題を次々に検討してみたときに、あなたの逮捕の国会の許諾願いについてはまことにふに落ちないことばかりたくさんあつた。私はここで大臣に申し上げておくのですが、指揮権発動によつて今度の事件を通して検察当局の威信はまつたく地に落ちていると思うのです。そこであなたは法務大臣にして、今度の問題を通じてこれによつて非常に地に落ちている、日本の司法の独立のためのこの威信をいかなる点においてとりもどすか、これについての方法をひとつ聞かしていただきたいのです。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お話になりました指揮権発動によつて、当時あの事件の捜査が非常に困難になつたということは、事実であろうと、思います。またそれによつて検察当局があの逮捕ができなかつたということを非常に不満に思つていることも事実であろうと思います。しかしながら、それあるがために検察庁の威信が地に落ちたということは私は毛頭考えておりません。それによつて検察庁が多少の不備があつたということはありましても、それがあつたからといつて、検察庁の威信が地に落ちたというまでには私は考えておらない。それを回復するがために私は今鋭意努力をいたしております。要するに検察が一致をして、そうして検察の正しい道を行なつて行く、こういうことに検察の本領は尽きると思つております。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 一つの事例でありますが、あなたにどうしても聞いておいてもらわなければならぬことがあるから申し上げるのですが、実は過日東京駅の前で、一露店の商人が道路規則の違反をして街頭に店を開いておつた。ところがそこに一人のおまわりが通りかかつて、あなたはこんな交通違反をした店の開き方をして困るじやないかと言つたところが、その一人の商人がそのおまわりに向つて、ふざけたことを言うな——いいですか、よく聞きなさい。おまわりに向つて路傍の商人が、そんなふざけたことがあなたに言えるか。あなたの親分は何だ。何億もの金を収賄して、おまけに指揮権まで発動されて、こんなことで皆さんいいかと、その商人は、夕方の退庁時間に通りかかつたたくさんの人に訴えた。そうしたら、通りがかつた人たちがみんなそのまわりに集まつて、おまわりに向つて、かわいそうな商人だ、この人たちの立場も考えて、少しは道路で店を開かせてやつたらいいじやないか——こういうことを言う人が次から次から出て来て、おまわりも、最初は自分の一喝でひつ込むだろうと思つた商人がひつ込まない。まことにそれは道路の妨害をしているわけだけれども、おまわりさんは大勢の人におどかされて、ついに青くなつてほうほうのていで逃げて行つた。これはただ一つの事例ではあるけれども、こんなわけで、末端の警察陣の一翼をになつている人たちが想像以上に苦労していると私は思う。それは今回の指揮権発動によつて、特に末端の国民に及ぼす影響の一、二から起つていることだと思うけれども、しかしこれがために私は司法権の威信が地に落ちていると思うのです。そういう点についてあなたはちつとも考えないのか、それをもう一ぺん伺いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 さような事例があつたかどうか私は知りませんけれども、さようなことはあつたかもしれません。あの当時において民衆あるいは諸方面において非難の高かつたことはよく承知をいたしております。それを取返すがために、私は今検察の諸君と努力をして、威信をとりもどそうとしておるわけであります。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 ちやんと今地に落ちていることを認めていると思うんだ。だから私はあなたに方法を聞こうとしているのだ。いかなる方法をもつて、日本の検察当局の威信を保とう、あるいは向上させようとするか、もう一ぺん考えていることを具体的に話しなさい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 そういう問題をここで一言にして申し上げるわけには参りません。私はできるだけのことをいたして、検察権の威信などの失墜しないように努力いたしたいと思つております。     〔山田(長)委員「事例を言え。事例を。ないか——事例がなければよろしい。」と呼ぶ)

田中彰治無所属

○田中委員長 村瀬宣親君。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 私は法務大臣に二点だけ簡単に伺つておきたい。先ほどからの同僚委員の質問に対しまして、将来の本件審議の上に重大な御答弁を法務大臣がなさつたと思いますので、この点をはつきり確かめておきたいのでございますが、先ほど小原法務大臣は同僚委員の質問に対しまして、この造船疑獄事件が終末に近づきましたときに——終末いたしましたときに、佐藤検事総長談を発表になつたのでありますが、それに対しまして馬場検事正は、この談話を発表するについては佐藤検事総長は法務大臣の了解を得たはずだと言つたのでありますが、あなたは今そういう事実がないとはつきりおつしやつたのでありますが、いま一度確かめておきます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はさように記憶いたしております。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 そういたしますと、これは証言台に立つての、宣誓した上の馬場検事正の証言であつたのでありますが、将来偽証その他の問題が起りました場合にも、法務大臣は責任を持つてそういう事実は全然聞いたことがないと言われるかどうか。もう一度御記憶をはつきりしていただきたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 同じことを繰返して申し上げる通りであります。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 第二点として伺つておきたいことは、先ほどからのいろいろな質問に対しまして、あなたは故意に真相をまげた御答弁をなさつたのか、あるいはほんとうにあなたがそうお考えになつておるかを確かめておかねばならない御答弁があつたのであります。それはもう佐藤検事総長から誤りであつたという文書の報告が、田中決算委員長のもとに参つておるのでありますから、私は検事総長の責任を追究しようとは思いません。ただ小原法務大臣がどういうふうなお気持でこの決算委員会で答弁をなさつておるかという将来の心証を明らかにするためにこれをお尋ねするのであります。佐藤検事総長は、いわゆるリベートの額は二億六千七百万円であつて、——これは私の質問に対してでありますが、そうしてそれは政界に流れたものであると言つたにもかかわらず、ただいまのあなたの御答弁は、そういうふうにおつしやつてはいなかつた。それは前提である質問が、政界に流れたリベートは幾らかと言われたから、それで二億六千七百万円と言つた答弁が、いかにも政界に流れたものであるかのごとくみんなに受取られたのだという御答弁を先ほどなさつたのでありますが、あの質問を私がいたしたときにあなたはその横にすわつておられた。佐藤検事総長の答弁をあなたはお聞きになつたにもかかわらず、佐藤検事総長は政界に流れたと言つたのではないので、質問が政界に流れたリベートは幾らかと言つたから、その答弁の二億六千七百万円がいかにも政界に流れたように受取られたのだということをあなたは言われたのだが、そうあなたは今でも思つておりますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 あのとき私はやはりわきにすわつておつて聞いておつたのであります。同じようなことが二度質問に出たことを覚えております。とにかく二億六千七百万円は刑事事件として扱つたのだと総長は言われたのであります。ところがお問いになつた方は、政治方面に流れた額が幾らかというお尋ねであつた。それに対して今の検事総長は、刑事事件として取扱つたものがこれだけでありますという答弁であつたのであります。それでいかにも政治資金としての二億六千七百万円が流れたように聞えましたので、それはそうではなかつたのだということを私は申したつもりであります。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 それはまつたくあなたが故意に自由党内閣を応援するか、検察陣を応援するがための作為的なあなたのきようの御答弁であるか、そうでなければもうろくなさつた、と言えば失礼でありますけれども、あなたがそばで聞いておつてそういう聞き違いをなさるということは非常に重大問題であります。ここにちやんと活字になつて印刷になつておる。読んでみますよ。これは二十四ページ、佐藤証人のところを読んでみますからよくお聞きください。「ただいまお尋ねの総額の点については記憶が正確でありませんので、記憶によつて申し上げますが、リベートして会社が受取つた中から政界に流れておる分、その分は刑事事件として取扱つた分だけでございます。あるいは刑事事件にならない分もあるかもしれませんが、すでに刑事事件として取扱つたリベートの総額は約二億六千七百万円という総額に上つております。」とちやんと印刷になつておる。そうしますと、速記の間違いだというわけには行かない。それに対して私はさらに念を押しておる。今度は私の質問でありますが、「刑事事件になつたものが二億六千七百万円ということになつておるようでありますが、」と言つて聞いておるのでありまするから、これはちやんと政界に流れておる分ということをはつきり言われておるのであります。だから何も私の最初の誘導的な質問によつてみんながそういうふうに受取つたのでも何でもありません。はつきり佐藤証人はそうおつしやつた。印刷にもなつておる。それをあなたはそこで聞いておつた。そうしてあのときには、決算委員長もそんな周囲の者と話してはいかぬと言つてずいぶんいろいろ御注意があつたほど、部下を二名ほど連れて来られた。あなたもそこで聞いておられた。もし政界に流れた分が多過ぎるとお考えになるならば、ちよつと耳打ちをするなり、何か方法はあつたはずであります。黙つてあなたは聞いておられた。そういたしました関係で、あなたはきようになつてそれは単にそういうふうに聞えただけである、佐藤検事総長はそう言つたのでない、こう何か弁解がましくおつしやるのは、何か作為があるのであるか、それともあなたはそばにおつてもそんなにときどき聞き違いをなさるのでありますか、どつちでありますか。作為であなたはわれわれの方がそういうふうに解釈したのだ、君たちがそういうふうに解釈をしたのだというような難くせをつけられるということでは、一国の法務大臣との決算委員会での質疑応答のやりとりには、今後あなたに対する質問に対してわれわれは非常な考慮をせねばならない。あなたのおつしやることがはたして作為によつていろいろなことをおつしやる先例なのであるか、先ほどから同僚委員もたびたび言つておるのであります。あなたは党籍はないとわれわれは思つておる。あなたは大臣に返り咲かせてもらつたその恩義に報いようと思つてあれこれといろいろ作為的な答弁をなさるのであるか、それにも往年のあの小原司法大臣の面影が少しでも残つておるのか、私はこれを確かめておかないと、今後本問題に対してあなたに対するいろいろの質問のわれわれの心構がきまらない、どつちでありますか、良心的な御答弁を行つていただきたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 あのときの私の聞いておつた記憶があるいは間違つておつたかもしれません。私もさつそく速記録を読んだのであります。たしか二とこ出ておつて、検事総長の言われたことが政治資金に流れたものが二億六千七百万円であるように言われた、ところが検事総長はあとから、非常に疲れたので、そんなことを言つた覚えがないというようなことを言われたと聞いております。さつそく当日の委員会が終つた際に訂正書を出された、これが散会のために翌朝出された、こういういきさつになつております。私はただそれを聞いて、あのときの検事総長の答弁が間違であつたということがわかりましたので、それで私としてはそういうことを申し上げたにすぎないのであります。何ら作為するなど毛頭ないのであります。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 だれでも思い違いはあるのでありまして、訂正したその佐藤検事総長の責任を追究するのでないということは私は最初から申し上げておるのであります。ただきようになつていかにも小原大臣の先ほどの御答弁は、何も政界に流れたとは最初から検事総長は言つていないのだ、質問の前に政界に流れた分は幾らかと言つた、それを言つたのは私でありますが、だから私から確かめておく必要がある、そういう質問が前にあつたから、委員の者も傍聴者もみな二億六千七百万円がただちに政界に流れたようにお前たちがとつたのだというような御答弁であつて、いずれ印刷になるからわかりますが、それはまつたく間違いであります。あのときははつきり政界の流れた分であるとここに言つておるのでありますから、作為的でない。あなたがそばで聞いてもそういう重大なことを思い違いなさつたのだということがはつきりすればこれ以上私は追究いたしません。以後御注意を願います。

田中彰治無所属

○田中委員長 柴田君。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 小原法相に伺いたいと思いますが、当委員会で六日、七日と佐藤検事総長あるいは馬場検事正に、いろいろと造船融資に関しまして検察庁当局が今日まで調べた範囲内においてお尋ねを申したのであります。そういたしましたら、御承知のように具体的な問題に入りますと、たとえばこれは職務上の秘密である、あるいは捜査上の秘密であるというようなことで、ほとんど臭いものにふたをされたような形で終つてしまつた。だからこれらの問題で証言に対する許可が法務大臣に御両所から出ておる、こういう問題でありますが、結局私どもは造船融資の問題は御承知でございましようが、約一千億——正確な数字を持つておりますが、九百五十六億余でございます。約一千億の融資が行われ、その融資からたとえば船がつくられた、つくられる場合にも船主の選考にあたつていろいろな収賄事件がそこに起きて来たのであります。それからリベートの問題もすでに一般の国民大衆が知つておるように、少いので五%、多いのでは一割、こういうリベートが授受されておつたということも現実の状況なんです。これを五%だと仮定いたしましても、一千億の造船融資に対しまして五十億、こういうリベートが行われたであろうということが想像されるのであります。これがもしも一割であつたと仮定いたしますならば百億であります。だからこれらを八千余に上る参考人を取調べ、あるいは五十名になんなんとする起訴者を出した、こういう広汎な捜査をやられた。そういたしましいならば、リベートの金額というものも当然ある程度まで把握されたに違いないということは、だれしも想像されるのであります。それを今度はリベートの問題一つとらえて検察当局に伺いますと、今盛んに同僚委員からも質問が出ておりますように、一億六千七百万と検事総長が答えられ、そうして権事総長の修正がされない前にあくる日の閣議において小原法相は、これが七千万くらいだと訂正をされておる。そういたしましたら、今度はいろいろと調査が進むに従いまして一億一千万、こういうように修正されておる。こういうことから国民の疑惑というものは、日がたつに従つて非常に多くなつて来るのであります。われわれは検察当局がはつきりと国民大衆の前に、実際こういう状態なんだ、いわゆる汚職問題というものはこういう状態であつたのだが、悲しいかな指揮権の発動によつて捜査が不可能になつたんだ、そうしてもう宙ぶらりんになつたということをはつきりとされるならば、何を好んでわれわれは一国の総理大臣までも証言台にお呼びしようという考えも持たなかつた。それが検事総長にいたしましても、あるいは検事正にいたしましても、臭いものにふたをするがごとき態度をとられることが非常に遺憾であつたのであります。こういう点で、もしも今度は承認を与えるか与えないかという問題に入りました場合にも、再びこういう態度をとつて、そうして政府で声明を出してしまえばそれでいいんだ、最後の伝家の宝刀は政府声明にあるんだというような態度をおとりになりのであつたならば、まつたくこれは悲しむべき現象がここに現われて来る。これに対しまして、率直に法相は証言に対する承認を堂々とお与えになるお考えかどうか、この点をまず承りたいと思うのであります。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 さつきから他の委員からもお尋ねになりましたときにお答えした通り、この承認を与うるやいなやについては、せつかく事務当局において研究中でございますので、日ならずして回答が出されるものと期しておるのであります。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 その御答弁は同僚委員の質問に対しまして、数回繰返して承つたのであります。私が懸念いたしますことは、またこの承認を与えます場合に、ほんとうに率直にあの一切に承認を与えて、そうして佐藤検事総長からわれわれが伺わんとしたところ、馬場検事正からわれわれが聞かんとしたところをはつきりと、いわゆる検察当局が今日まで捜査されました一切の状態に承認を与えるのかどうか。この問題に対しましてわれわれはまつたく心配をしておるのであります。国民もまたいわゆる承認を堂々と与えてもらつて、天下にそれを公表してもらいたい。そうでなければ先ほど来申しまするように、リベートが五十億あるであろうということを想像し、あるいは一割であつたら百億であろうということを想像されるのであります。どこにどういうような形でこのリベートというものが、動いて歩いておつたのか。先ほど来私が申しまするように、開発銀行というのは、御承知のように国民の血税から出た、いわゆる財政投資によつででき上つた銀行であります。普通の株式会社による民間銀行とは違うのであります。ただ利益を中心といたしまして、そろばんをはじいた銀行とは違う性格のものであります。その開銀から出た金でありますから、国民大衆がここに関心を深めているところは当然のことであります。もしもそれに対しまして拒否をされ、そうして最後には政府声明というものを出せば法律的にはこれでいいんだ、こういうお考えがあつたといたしまするならば、とんでもないことである。あるいはこれまでにしましても、佐藤検事総長あるいは馬場検事正あるいは河井検事、井本刑事局長を証人に決定いたしました場合でも、何週間も前から検察当局が首脳部会議を開かれて、その証言の範囲を非常に研究されたということを聞いております。あるいは小原法相もみずからその相談に参加されまして、いろいろと協議された。新聞社等が参りまして法相に、いつ結論が出るのだといつて伺いますると、来週までには出るであろうということも各紙が堂々と書いておる。新聞を中心として議論いたしますと、法相は新聞のことは当てにならぬというような御答弁でありますけれども、根も葉もないことを新聞は報じておりません。少くとも日本の言論陣というものは今非常に慎重を期して報じております。こういうものにわれわれは信頼を置きまして議論いたしております。決して単なる投書とかうわさとかいうものではない。投書やうわさでこれをやるということであつたならば、それは吉田さんの考えることであつて、あるいはまた検察当局が吉田さんの考えるようなことで動いたとすれば、これはもう何をか言わんやでありますけれども、われわれはやはり一流紙の報じておることに対しましては満腔の敬意と信願を置いて議論を闘わしておるつもりであります。これに対しまして小原法相の率直な御意見を承りたいと思うのであります。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 御趣旨はよく了承いたしました。リベートの行き方について、われわれもまことにああいう事態が起きたことを非常に驚き、かつ悲しんでおるわけであります。それゆえにあの事件については徹底的に捜査をしなければならぬということは、私は就任前から一つの希望を持つておつたところであります。就任後聞いてみますと、あれはとにかく徹底的に調べてあるということだけはよくわかつたのであります。但しあの事件について、今世の中に検察当局のとつた捜査のてんまつを発表するようにする方がよかろうという御意見でありますが、これはたびたび申し上げましたように、今せつかくあの証言に対する承認について研究中でありまして、それとあわせてこの問題が考えられるのであります。いましばらくの日をかしていただけば発表する範囲がわかるであろと思うのであります。もしそれについて発表ができないようなことがありまするならば、後に発表する時期はいつかと申しますと、やがて日がたつに従つて検察の秘密というものがだんだん解ける。たとえば公判が開延になつて、公判にいろいろな証拠が出まするとときなると、捜査中における秘密は大体みな解けてしまう。それでさつきも申しましたように、本件の公判は十月中に開始されるやに聞いておるのであります。しばらくたてばそれらの秘密は国民にもよく理解されるときが来るであろうと思つております。ただ今これを公表せよ、証言を承認して全部公表せよというお話でありまするが、これについては今せつかく検討中である、こういうことを先刻来申し上げておる通りであります。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 ただいまの法相の御答弁を承りますと、時期が来ればすべてが明らかになるであろう、こういうことでありますが、私どもが今申し上げておりますことは、たとえば佐藤検事総長に対する質問の分は八項目、馬場検事正に対する質問の分は九項目、この合計十七項目を明らかにしていただきますると、大体全貌はわかるであろう、こういうことで十七項目を中心といたしまして承認を求めておるのであります。どういうかその点を十分お考えくださいまして、われわれがお願いしておりますることに対して堂々と承認を与えていただきたい、こういうことを重ねてお願いいたしまして、私の質問を終ります。

池田正之輔日本自由党

○池田(正)委員 一言私から小原法相にお尋ねしたいのですが、今同僚諸君からお話がありましたけれども、これにはお答えがなかつたのであります。先ほどあなたは、検察の権威が地に落ちたという問題に対して、さようなことはないとおつしやられる、しかしそのあとであなたは権威を失墜しないように極力努力するのだと言われたが、私はその言葉を了承いたします。しかしながらあなたはそうおつしやつておりながら、あえてそれと矛盾した行為をとつておられる。そのことはすなわち先ほどお話が出たように、今度のリベートの問題で最初に佐藤検事総長がこの席で二億六千七百万円という証言をされ、その翌日の午前中にあなたは閣議で七千六百万円と言われ、その日の午後に馬場検事正は一億と言われ、しかもそれを書類によつて当委員会に訂正を申し込まれた、この三つは全部新聞に出ております。そうかと思うと、あなたはきようもまた言明されたように、一億一千九百六十万円であるという、四つ出たのです。これはささいなことのようでありますけれども、断じてそうではない、この四つの数字が間違つたことが私は悪いというのでは決してありません。かような問題はそのときの計数のつくり万であるいは数字が違つて来ることがあると私は思います。しかしながら現実に違つた数字がこの短時日の間に四つも出ておる。しかもとにかく司法部のそれぞれの権威ある人々から権威ある席において、責任のある席においてこういうふうに出ておる。しかも天下の大新聞、あらゆる言論機関がこれを取り上げてこの数字を発表しておるのであります。一体これでもあなたは司法部の権威があると思うのですか。こういうことは、あなたはなぜきようのような機会にあなたみずから進んでこの席へ来てこれを訂正して、実はこうこうこういう次第でこれは間違つておつた、実際の数字はこうなんだということを、あなたはここへ来て述べるべきです。そうすることによつて初めて、司法部の権威というもの、信用というものは回復するのです。そういう努力をあなたは一つもしてないじやありませんか。あなたは先ほど権威を失堕しないように努力すると口の先では言われながら、こういう現実の問題を無視して、しかも問題にならないのじやない、先ほど来同僚議員から何べんも同じことを聞いたにもかかわらず、あなたはてんとして間違つた理由やそのことを説明しようとしない。それでもあなたは一体検察の権威を保たれると思うのですか、これをひとつお伺いします。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 先ほどその点についてのお尋ねがありましたので、当時の聞違いの次第を御説明申し上げて、あの当時の調べが悪かつたということを申し上げたわけであります。それがために私は、私のやつた行為が検察の威信を損するのだとあなたの方でおつしやるならばこれはやむを得ません。私はそれほどのことには考えてないのであります。悪かつたことは悪かつたとあやまつておるのであります。

池田正之輔日本自由党

○池田(正)委員 あなたは決してそういうことをさつき説明したからいいということじやないのです。私はそんなことを言つておるのじやない。こういうふうに現実に毎日新聞に出たのです。この数字をあなたはここで聞かれてから言われるようじやいかぬとこういうことなんです。あなたはみずから進んで、実はこういうふうにして間違つた数字を四回も出した、これははなはだ済まなかつた、事実はこうなんだと言つて、あなたの方から進んでなぜおやりにならなかつたか、ということなんです。進んでおやりになることによつて司法部の威信というものが、なるほどそれについてあなたが努力されておるということが実証されるのです。それをあなたはなさらなかつたということは、あなたは口先ではそうおつしやるけれども、それに対する熱意が足りないというふうに世間はとるのじやないか。私がとるかとらないかということを言つているのではありません。世間はそう見る。それでもあなたは最高責任者として、そういうような態度でよろしいのかと私はお尋ねするのです。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 当決算委員会に出て、その説明をなぜしなかつたかというお尋ねであります。あの誤りのことについては、さつそく検事総長から訂正いたしおります。またわれわれ法務当局の者も、さつそく新聞その他に発表いたしまして、あの当時の誤りのことを公表して、誤りだつたことをただしておつたのであります。ただ当決算委員会において誤りをただすことはいたしませんでした。それはいわば機会がなかつたと申していいと思います。今日はあらためてお尋ねがありましたから、そのことをあからさまに申し上げて御了解を得たわけであります。

池田正之輔日本自由党

○池田(正)委員 あなたはそれを訂正なすつた、そういうことを言われると、かえつてますます深みに行くのです。というのは、佐藤検事総長が当委員会で証言したのは六日です。七日の午前中にあなたは閣議で七千幾らと言つているのです。訂正したのはここに、しかも文書をもつて一億と言つて来たのです。これは訂正です。それからその次にまた違つた数字が出て来ている。それを言うのです。それだから、私は間違つたことを今ここで責めようとするのじやありません。その基礎をはつきりさせてもらいたい。あなたはさつき説明なすつたとおつしやるけれども、われわれには基礎がはつきりしない。必ずしもこの問題は当決算委員会ばかりじやありません。この間からあなたは法務委員会にずつと出ている。その際にみずから進んで、こういう誤りをわれわれは犯した、悪かつたと言えば、これは国民は許すはずなんです。それでも小原けしからぬとは決してだれも言わない。ああなるほど司法部というのは、このごろそんなにだらしなくなつたのかと言つて笑うだけです。それでもなおかつあなたはそういうへりくつを言うのですか。あなたは訂正なすつたと言うけれども、その訂正がまた間違つているんじやありませんか。しかも正式に書類で訂正なすつて、それが違つているんじやありませんか。それでもいいのか、こう言うのです。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は当時述べたことで訂正できたと思つております。

田中彰治無所属

○田中委員長 法務大臣、もう少し誠意のある答弁をしたらどうかね。

池田正之輔日本自由党

○池田(正)委員 それは訂正なさつて、一億と言うて訂正した。それからまた進つて来ているでしよう。一億一千九百六十万円ときようあなたはおつしやつた。そうすると、そういうふうにしよつちゆうかわると、われわれがこの問題をこれから審議する上においてもこれは非常な重大問題です。(「偽証だ」と呼ぶ者あり)しかも普通の行政官庁の政府委員がこういう数字を間違えたというならば、われわれもときによつては了承いたします。証言台に立つた検事総長、検事正とあなたとの間にかくのごとくみな違つている。しかもその間において書類をもつてまでも——偽証になつてはいけないというようなこういう重大な問題になつているやさき、こういう数字をそういうふうに軽々しく扱つていいのかどうか、そういうような検察陣なら人権蹂躙も軽々しく扱うということになるのです。それほどでたらめに人権蹂躙をなさるということになる。いわゆる司法の威信が地に落ちると言つてわれわれの同僚が心配したのはそれなのです。あなたはまだそれでもいいというようなしやああしたような答弁で済むのかということです。私は大体発言するつもりはなかつたのですが、あまりにでたらめだから言う。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 あるいは私の言い方が悪いために、そうおつしやるのかもしれませんが、私は何も強弁をするのじやありません。あの当時検事総長が言われたことが間違つており、そして政治界に流れた金が幾らであると聞かれたときに、事務当局は約八千万円だということを答えましたから、その話はいたしました。ところが後にそれが間違いで、結局一億円見当であつたけれども、そうでなくして、正確にそろばんに当たつところが、ただいま申し上げた一億一千九百六十万円という数字になつたので、それがほんとうであるということを申し上げたのです。だから、ここでもそのことを申し上げて、あの当時のことは間違つておりましたということを申し上げたのであります。

池田正之輔日本自由党

○池田(正)委員 それはあなたまた違う。それはこういうことですよ。佐藤検事総長が六日ここで二億六千七百万円と証言なさつて、あなたがその翌日の七日の閣議で七千六百万円という発言をなさつている。それが夕刊に出た。ところが馬場証人は一億とこう言つた。そこでその一億を確かめたら、絶対に一億に間違いないということを、何べんだめを押してもはつきり言うた。そこで閣議で小原法相は七千六百万円と言つているじやないか、どつちがほんとうなんだと言つたところが、一億がほんとうだ、こう言つた。いいですか。そんなら一億見当なんてそんなあいまいな数字ではない。私はそこまであなたを追い詰めようという考えで立つたのじやない。つまり問題の根本は、司法部の威信が地に落ちている。これを挽回しなければ国家のためにもならない。あなたはせつかく努力なさると言うておられるから、それならば進んでこうしたことをまず明確に国民に知らす義務がなければならぬ。そういうことをなさらずに、口先だけでやるのだとおつしやつても、それはだめじやないか。そのことをあなたに、はなはだ僭越でありますけれども、一言御注意したかつたためにぼくがここに立つた。しかるにあなたはああでもないこうでもないと、そういうふうな答弁のしぶりでは私は承服できない。わかりましたか。今のことをもう一ぺん重ねて申します。つまり一億幾らという六日の証言から、翌日あなたに七千幾らと言つた。馬場君はここで一億と言つた。その夕刊を持つて、ここで馬場君にさらに質問をしたのです。いいですか。その夕刊の記事に基いて、あなたの閣議における発言に基いてここで確かめるべく、証人である馬場検事正に、われわれの同僚から確かめたんです。そうすると、その小厚法相の閣議における発言はうそで、自分の言う一億が正しいのだ、こういう証言をしている。これは速記録をごらんになればわかる。そこに違うところがあるのです。そうしたところが、きようまた違つた数字を出した。一体どういうわけですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 ただいま申し上げました通りに、その後計数を入れたところが一億一千九百六十万円という数字が出て、それが正しい数字であるということがわかつたのであります。

池田正之輔日本自由党

○池田(正)委員 そこで、あなたはさつきまた一億前後という言葉でごまかそうとした。あとからの数字では一億前後です。みなそういうごまかそうとする態度がよくないと言うわけです。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はここで一億前後などと申し上げてごまかそうなどとは決していたしているわけではありません。数字がちやんと出ているのでありますから、その数字に基いて申し上げて、それはさきに佐藤検事総長の言つたあのいきさつに間違いがあり、政治資金に流れたものは幾らかということになりましたから、あの当時事務当局から聞いたのでは、およそ八千万円ということであつたから、その話は出たのであります。それが間違いで、結局算数を入れたら一億一千九百六十万円という数字になつて来たのでありまして、それは法務委員会においても私はりつぱに申し上げて、その数字の間違いであつたことを訂正いたしているのであります。それでありますから、ここでも、今日申し上げるその一億一千九百六十万円というものが正確な数字である、こういうことを申し上げているのであります。

池田正之輔日本自由党

○池田(正)委員 あなたは先ほど来、一体新聞に出ている記事というものは間違いが多いということを二度か三度繰返された。このようなことを言う人は、このごろあなたと吉田さんしかいないですよ。あなたはその意味においてきようから吉田さんと同格になつた。そこであなたはそう思つておつても、世間はそう思わない。ですからそれこそその数字の間違つたことをはつきり当委員会に対して明確な書類をもつて出すべき義務があるのです。その意思はありますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 御要求によつて書面をもつて出して一向さしつかえありませんから、書面をもつて出します。

池田正之輔日本自由党

○池田(正)委員 それではそれにつけ加えておきます。あなたがそれを間違つた経緯と、従つてその間違つた経緯に伴つて当然にその内訳が出て来るはずでありますから、それをもつけ加えてあなたは当委員会に正式に書類をもつて出されんことを希望いたします。  それからもう一点ちよつと触れておきたいのですが、先ほど来同僚議員の質問を聞いておりますと、あなたが承認なさるかなさらぬかということについて目下研究をされているということであります。しかし研究というのは一体どういう点を研究なさつているのか、あらためて承りたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 それは佐藤検事総長及び東京の馬場検事正が証言を拒否した点について証言の承認を求められております。その証言を承認すべきかいなやについて研究をいたしているのであります。

池田正之輔日本自由党

○池田(正)委員 それはあなたがおつしやらなくてもわかつている。そこで一体拒否するかしないか、どういう点で一体これは拒否すべきものであるかどうかということは、個々の事件の内容について見なければわからないなんて、そんなばかなことはないんです。賢明な小原さん、あなたにわからないはずはない、わかつているはずだ。ただ証言せよという前提に立つた場合に、場合によると証言できない範囲が入つて来るといかぬから、そういう意味であなたが事務当局と打合せをなさつているのなら話はわかる。そうじやなしにただ漫然と事務当局から話を聞かなければわからないという性格のものではないと私は思う。一体証言をなさろうとするのが前提なのか、拒否なさろうとするのが前提か、その心がまえを承りたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 さつきから申し上げている通りでありまして、私は今日それ以上に申し上げることはできないのでります。

池田正之輔日本自由党

○池田(正)委員 法務大臣というものは行政長官で、事務官じやないのです。政治家なんだ。そういう政治的な観点に立つて、あなたは刑事局長が言うような答弁でいいと思うのですか。そんなことでわれわれは承服できないのです。あなたがそれでもなおかつそういう答弁を続けられるというのならば、私もきようは準備不十分だから、私はあなたにあらためて質問しますが、その態度についてもう一ぺん聞いておきます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 今日の程度においては、先ほど来申し上げている以上に申し上げられません。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 関連して。私は今日小原法務大臣がさきにお答えになつた一億一千九百六十万円ということを一応御信用申し上げて、その内訳について伺うのですが、この一億一千九百六十万円のうちには、昭和二十八年の三日二十日、日本船主協会の総務委員長俣野健輔外一名から佐藤榮作氏に一千万円、それから同年の九月二十四日に日本船主協会の総務委員長同じく俣野健輔君が日本橋の帝国銀行京橋支店長代理塚本祐幸君振出しの小切手で五百万円、それから三百万円、二百万円、これははつきりしているのですから、刑事局長も御存じであろうと思う。この一千万円はともに日本船主協会と塚本君振出しの小切手でありますが、さらに日本造船工業会の会長である丹羽周夫君が十二月二十九日に現金七百万円と三百万円とをわけて佐藤榮作君に贈つております。これはやはり今あなたのおつしやつた政界に流れたリベートのうちに入つておりますか、おらないのでありますか。それを伺いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はその点について報告を受けておらないのでわかりません。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 刑事局長でもけつこうです。これは佐藤検事総長からちやんと受取つているのだから公然となつている事実なんです。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 政界に流れたリベートの分等につきましては、書面で決算委員会の方へ御報告が出たわけでございます。その内訳等につきましては、目下のところは申し上げられないという報告を地方検察庁から受けているのでございます。総額につきましては相違ありませんけれども、その内訳についてはただいま申し上げる段階ではないということを申し上げます。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 ただいま私が申し上げたことは起訴状になつて出ているのでありまして、決して秘密事項じやないじやございませんか。二十八年の十月三十日に日本石炭協会の会長、高木作太君からやはり佐藤榮作氏に二千万円行つている。これは公然となつているではありませんか。何も秘密事項ではございません。これは日本石炭協会の会長からでございますから、リベートであるかどうかわかりません。これは日本石炭協会の方に船会社が頼んでこういうふうに贈つたものであるかどうか、この点は私はまだつまびらかにいたしておりませんけれども、今私が申し上げましたことは決して秘密事項ではございません。公然となつている事実で、今そういうことをおつしやられるということは、私ははなはだ不愉快なのでありますが、どうか刑事局長、それはおつしやつていただきたい。さらに政界というなれば、あとは關谷勝利君、岡田五郎君、加藤武徳君で、關谷勝利君に二十万円、岡田五郎君に三十万円、加藤参議院議員に二十万円、計七十万円、これが代議士に行つている公然となつた額でありまして、佐藤榮作君に行つているところの金はもう公然となつていることでありまして、決して秘密事項ではありません。そうすると、これ以外にまだ政界に流れている。一億一千九百六十万円といいますと、あと佐藤榮作君のやつが五千五百万円でございます。この五千五百万円には、今申しましたように日本石炭協会の会長から出された二千万円まで含んで五千五百万円であります。さらにそのほかに今の三代議士のやつが七十万円であります。そうすると、佐藤君に行つた分も私はリベートと思つております。船主協会や造船工業会から行つているのでありますから。しかしそれはいずれといたしましても、かりに佐藤君に行つているのがそうであるなれば別といたしましても、ここに幾らも出ておらない。そうすると他の不足分はどこの政界のどういうところに流れているか。まずこれだけはお認めになつていいと思うのでありますが、いかがでありますか。私が申し上げた佐藤君の関係は公然となつているのですが、わかりませんか。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 確かに佐藤榮作氏の分が五千五百万円であることは、お手元に差上げてあります起訴状の趣旨によつて明らかであります。そこで政界に流れたリベートの分が一億一千九百六十万円と申し上げましたのは、どういう計算の基礎に立つているか、その内訳を実は報告を聞いていないのでありまして、はたして五千五百万円が入つているか入つていないか、トータルにおきましてさような金額が出たというので、なるべく正確にその金額を御報告するように申し伝えまして、さような御報告が出たのでございます。先ほど山田さんからお尋ねの、自由党幹部の政治資金規制法違反の告発人中取調べましたのは飛鳥田さんだそうでございます。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 今の佐藤榮作君が日本船主協会からの二千万円、造船工業界からの七百万円と三百万円で一千万円、合計三千万円、こればリベートでありますかありませんか。リベートの金であるかないか。それだけはどつちがどうなんですか。今の一億一千九百六十万円のうちに入つておるのでありますか、おらないのですか。これは資料として来ておるんですから…。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 何べんも申し上げます通り、それが入れてあるか入れてないか、間違いますとたいへんでございますから、とにかくはつきり申し上げられないというよりいたし方ございません。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 私が今ここで伺つておるのは決して架空のものじやありません。あなた方の方から出た書類によつて私が数字をわけて書いてみたわけです。これは間違いないわけですから、どうかこの点ははつきりと次会に文書でもけつこうですが、区分をして御提出願いたいと思います。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 関連して……。証言の問題で法務大臣に——あなたは法律の専門家でありますから聞きますが、間違つた証言をしておつたときにあとから訂正書を出せば、これは偽証にはならぬのでございますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 間違つた証言をあとから訂正すれば罪にならないかというお尋ねでございますが、それは私今条文を見ないとわかりませんが、とにかく事件の確定前にその点を明白にすれば罪にならぬという規定はありますが、書面でよろしいかどうか、私今研究しないとわかりません。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 これは私たちしろうとでも気づくことですが、証言をしたことが何にも問題にならぬことだけだつたらいい。二億六千七百万円という数字だけはほんとうだろうといつて新聞も取上げ、国民もきようの証言の中で聞きものはあれだけだつた、こう言つておつた。それがひつくり返されてしまつた。ほかのやつは問題にならないんですが、もし何か問題になつたときに、前に証言したのはこれも間違いだつた、これも間違いだつたといつて全部訂正書——をこれは検事総長でなくても、普通の民間の証人であつても、証人に呼ばれた人が問題になつたところはあとから全部取消しの文書を提出すればそれは偽証罪にはならぬものであるかどうか。それならばでたらめばかり言つてもいいことになるから、私はこの割切つたことをあなたにお尋ねしておるんです。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 証言するものが初めから証言するときにうそを言おうと思つてうそを言つたのならば、たといあとから訂正書を出してもそれは罪になる。しかしながら証言する者が偽証をしたのだと思つていないで、間違つて言つたことをあとから訂正すればそれは初めから罪にならぬと思います。

片島港日本社会党(左)

○片島委員 それは本人が偽証をしようと思つておつたか、偽証をしまいと思つておつたかということは、現われたものでなければわからぬでしよう。都合の悪いことばかりだからといつて、でたらめを言つておつて、このでたらめが精神病者ならいざ知らず、普通の精神を持つた人であるならば、出て来た問題がみんな都合が悪かつたからといつてあとで全部それを取消しをやつた場合に、本人の犯意がはつきりしないからといつて、それは罪にならぬものであるかどうか。そうすれば、この証言法というものは無意味になりますが、その見解をあなたにお尋ねしておるわけです。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 それはそのときの状況によつて証言したことが偽証であるということれなれば、あとから訂正してもそれはどうか知りません。しかし偽証するつもりがなかつたということが調べによつてわかれば、犯罪にならぬと思います。

田中彰治無所属

○田中委員長 吉田賢一君。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 まず今のリベートの額について、なお私からも伺つてみたいと思います。東京地検の検事正から田中委員長にあてての九月十日付の書面によりますと、刑事事件として取上げられたものが、総額二億六千七百万円となつております。そうしますと、刑事事件に問われざりしものは何ほどになるか。当委員会におきましても、リベートの総額は三十六億円である、あるいは三十一億円である、こういう質問もしばしば出ておるのであります。あなたの方においても二億六千七百万円が刑事事件の対象となつておる。だから刑事事件以外のものは相当な額に上るのではないかと思うのですが、総額はどういうことになりますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はその詳細がわかりませんから、刑事局長から答弁いたさせます。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 刑事事件として扱つた分以外は私どもはわかつておりません。

田中彰治無所属

○田中委員長 井本刑事局長、あなたどういううそを言つてもいいけれども、人を調べる身で三十六億だけはこちらが押えて、その中で帳面に載らないものがあなたの方で四億あるのだから、三十二億は載つておる。それを言つたらどうですか。ほんとうにあなたはそれを言つたらいいじやないですか。三十二億あるんじやないか。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 どうもわからぬのはいくらお問いになりましてもお答え申し上げるわけには行かないのであります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 しかし司法行政の元締めにあるあなたの立場で、また刑事事件になつたものの方では妥当性を検討なさるあなたの立場で、リベートの総額はどのくらいになつたかということは報告あつてしかるべきだと思う。刑事事件になつたものだけしかわからぬというのじやなしに、ここではそれ以外のことを言うのは困るというのであれば、これまた別にわれわれは考えたい。そうじやなしにあなたの立場からすると、これは常識から考えても当然わからないことを抜きにして、刑事事件のものはこういう金額だ、それだけははつきりおつしやつてもあなたの立場はどうなつてしまうものでもありませんよ。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 実はきようはお呼び出しがあつて参つたのではないのでありまして、どういう御質問を受けるか全然用意をして参りません。とにかく今まで報告を受けて参りまして、刑事事件として扱つた分はたびたび私の申し上げております通り二億六千七百万円である。その内訳につきましても、書面で御報告の出ておる通りのような状況であるということだけを記憶しておるので、そのほかについては資料もありませんし、ただいま御答弁申し上げる材料も何もないわけであります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そうすると今は突然出て来て記憶しておらぬ、だから忘れていなさる、こういうようにも聞こえるのだが、一体この刑事事件というのは起訴したものなのか、不起訴したものも含めておるのか。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 もちろん起訴になつておる分も起訴になつておらぬ分も刑事事件として扱つた分を申し上げたと思います。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そうしますと、即座でなくてもよろしゆうございますから、お帰りになつて刑事事件以外の分について総額三十六億円になるのか、それともそうでないのかということをわれわれとして知らねばならぬのであります。ぜひともあなたの方にある資料によつて、数字を当委員会へ最も早く回答をお願いしたいのであります。     〔委員長退席、柴田委員長代理着席〕

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 お答えできるか、できないか、至急帰りまして研究いたしたいと思います。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 それはやはりあなたとして拒否せねばならぬ、秘密にしなければならぬ事項になるのでしようか。それはいかがでしよう。これははつきりしておきましよう。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 調べの経過に現われましたことになるのか、ほかの材料によつて御答弁申し上げることになるのであるか、その間の事情は全然研究ができておりませんし、御発表できる種類のものに属するか、発表できぬのか、さような点につきましても、帰りまして至急に研究いたしたいと存じます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 一体刑事事件になつたものでないもの、そういうようなものが秘密に属する事項に該当するかどうか、こういうことの御調査の結論もまだ得ていない。私どもは不起訴になつた事件の数字については総額を明らかにして何の不都合もないじやないか、こういうような考え方にも立つておつたのです。従つて不起訴の事件については全貌を即刻明らかにしなさい、こういう意味で御質問しておる。さらに不起訴にあらずして刑事事件について扱つたものでないというものまでなお研究を要するのでしようか。一体秘密になるものの限界、標準というものがはつきりしてないのでしようか。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 もちろんわれわれが扱つておりますものは全部刑事事件に関連のある事項でございます。その中で、たとえば被疑者として扱つた者、これは被告になりますか、被疑者のまま終りますか、いずれかでございますが、ほかにも参考人として扱つた者も、刑事事件にわたつておりませんが、やはり場合によつては引続き秘匿すべき事項に属するものもあると存ずるのでございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 それならばついでになお聞いておきますが、一体あなたの方へ今度われわれから監督庁の承認を要請しておる事項について、これを拒否しようという標準を一体どこに置いておられるのか。どこにその問題点があるのでしようか。問題点はずいぶんだくさんあろうかと思いまするが、たとえば私は例をあげて伺つておきますが、刑事訴訟法における百四十四条の国家の利益を害するという場合、こういうようなものは当委員会において質問がありまして、あなたの方が拒否するかしないかをきめるときに、これらは何かの標準になるというのですか、ならぬというのですか。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律が民事訴訟法の規定を援用しておりまするし、また類似の規定が刑事訴訟法にもございます。民事訴訟法では、御承知の通り監督官庁の承認がなければそれでおしまいでございますが、刑事訴訟法は、たしか国家の重大な利益を害する場合でなければ承諾を拒否できないということになつておると思います。証言に関する法律はそれとは少しく表現が違いますので、国の重大な利益に悪影響を及ぼすというような記載になつておると存じます。さような表示の違いから来る問題及び法律の成立の由来に基くいろいろなりくつ、そのほか今とくと研究中でございまして、結論にまだ達しておるわけではございません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私が例をあげて伺いましたのは刑事訴訟法の百四十四条の規定なんです。これは「国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。」こういうことになつております。でありまするので、これは国会における証言法の建前とは相当基本的には違うと思う。一方は国政調査権に基いておるものであり、それの制限であり、一方は刑事訴訟法であります。でありますから、基本的な、よつて来るところはよほど違うのであります。そこであなたがほとんどわれわれが問題にしないようなものまでもここで発言しなさらぬような傾向に見えまするので、刑訴百四十四条の国の重大な利益を害するような場合、こういうようなものは、あなたが——あなたというよりも、法務大臣が監督官庁として承認を与うる場合に、与えるやいなやをきめる場合に、これらの事例はなお標準、参考にしておるのかどうか、こういう趣旨を聞いておるのです。これによりまして、あなたの方で大体何を標準としておるかという具体的な根拠、私どもは標準の線をどこに引くかということを知ろうとするのであります。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 もちろん刑事訴訟法の百四十四条等は関連の条文として十分検討しておるのでございます。従つて過去に裁判所におきまして証人が職務上の秘密ということを申し立てまして、それがどう扱われておるかというような部面につきましてもとくと検討さしておるのであります。国会における証言に関する法律だけを問題にしておるのではなくて、かような民訴の規定、刑訴の規定なども十分参考にしつつ検討しておるということを申し上げたのであります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私は研究されることも慎重であることは望ましいと思いますけれども、しかしながら、事は今は非常に緊切で重要な段階に直面しておるのであります。一週間後には総理は外遊しようと企てておるのであります。それまでにあなたの方では国会に対する回答もしようということをお述べになつておる。そういうような辺をまだうろくするようなことで一体結論を得るでしようか。小原さんどうお考えでしようか。やはりこれはあなたの方ですでに検事総長なり検事正がみずからの所信によつてこれは職務上の秘密に属するものであるという判断のもとに拒否したのです。いいですね。その判断のもとに拒否した以上はしかるべき根拠がなければならぬ、根拠があつたはずです。ところがあなたの方では、これをノーかイエスかきめるお立場です。あなたの法務省の部下は、今あちらの法律こちらの法律といろいろ研究しまわつておる。あちらの法律こちれの法律と研究しまわつておるならば、この証言を拒否するということも非常にずさんな拒否であつたかもわからないとも言い得るのであります。もつともそんなことは端的に明確に線を引き得るんじやないでしようか。どうなんですか。これを法務大臣に聞くのです。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 検事総長なり検事正なりが証言しますときは十分に研究しておつたと思います。今私の方でその証言の承認を求められた、これを承認すべきやいなやということになりますと、先ほど来申し上げましたように重大な関係がありますので、なお一層研究しなければならぬので今日研究をいたしておる、そういう次第であります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 ちよつとくどくなるようですけれども、法律はずつと前からあります。なるほどこういう事案が起つたことは今度が初めてかもわかりません。すでに十数日とはいいませんけれども、大分前から証人に出るというようなことはすでに御承知のことなです。でありまするので、専門のあなたのお立場といたしまして、どこにまだ問題があるか、もう問題はあちらもこちらも大体調査済みで、絞り上げて来てここだけが残つているとか、そういうふうなことならまだわかるが、どうも暗中摸索のような感がするのであります。どうなんですか。もう問題はそれぞれ大部分解決して、残つておる問題はここだけだ、こういう意味で、この点になお疑義がある、この点がなお慎重を要するというようなふうになつておるんじやないでしようか。そこはもつと端的に、あなたに聞いておるとまるつきりまた五里義中にあるような感さえ受けるのであります。これじや実に頼りないがいかがであまりしようか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 そんなに五里霧中にある程度じやありません。ありませんけれども、今ここでどういう点を証言するかせぬかということを明言しかねるのは、要するにそれに基いてあとの処置にいろいろ影響がありますから、全体が決定をいたさないということもここで申し上げるわけには参らないのであります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私はそれはあなたのお考え方はどうかと思う。あとの処置は、証言法第五条の三項の内閣の声明のことであろうかと存じます。内閣の一員であることはあなたは間違いないけれども、それは内閣の仕事なんです。あなたの方は法務大臣といたしまして、法務大臣に関する限りにおいてなさればいい。内閣はそれに対してどういうような声明をするかしないか、そこまで行くか行かないかということは、これは別個の問題だと思うのであります。でありますので、これはたつて私は多く問いませんけれども、残つておる問題はこういう点だけだ。だからまだこれ出せぬのだ。われわれから言わせれば、まつたく今日まで放置せられますことが、どんなにかこの委員会の進行上支障を来しておるかわかならいのです。進展しないのです。このために進展しません。国民が知ろうとすること、たとえばリベートの総額がここで三十六億円と言われておる。三十六億円がほんとうやら、あるいは二億六千万何がしがほんとうやらという国民が知ろうとするところを——けれども、これは何もかも口を緘して語らない。そこでこちらは語りないさと要請しおる。いろいろ研究しおると言つてだんだん日が延びておる、こういうことになつておる。もうすでにこれだけの日がたつておるのですから、有能な練達の人が寄つておられるところですから、もうこれだけしか残つていない、大体問題は研究済みというのが当然だろうと思うのです。でありますが、なお今の抽象的なお答えを繰り返されれば答えてもらわないでもよろしい。具体的にこの点だけだというようにお答えが願えるなら、私どもは今後かりに待つにしても見通し等について非常によりどころができて来るのであります。いかがですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お尋ねのように声明は政府のやることで、私の関係するところではございません。しかし問題を承認するかいなかによつて、もし承認せぬことになると疏明せぬければならぬ。この疏明の理由がつまり非常に重大であります。そういうようなこともあり、どうなるかわかりませんけれども、     〔柴田委員長代理退席、委員長着席〕 実際のことを研究してその上でお答えしたい、こういうのであります。まことにたびたびで恐れ入りますけれども、その事実を本日明言するわけにはまだ相ならぬのであります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 もしあなたのようなお説でありましたら、検事総長なり検事正も実に研究もしないで言うべきことを言わなかつた、こういうことになつておるかもわからぬ、そういうことにもなると思います。なぜならば監督官庁のあなたが十分に研究しなければわからぬようなものを単に簡単に、それは言えませんと言い切つてしまつて言わないのですから。但しそれが、検事総長なり検事正の言わなかつたことが、あなたの方が正しいという判断に行くのかどうか、それは存じません。そういうことになると思うのです。それはまあそのくらいでおきましよう。私は次に聞いておきたいのですが、この造船融資に関連いたもまして、世上言われる造船疑獄、リベートを中心にしましてずいぶんと大がかりな捜査ができておるのだが、その際に現職の国務大臣は一体何人くらいお調べになつたのですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 現職の国務大臣を何人調べたかということは今日まだお答えできません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そうしますと、このリベートの行方を探究する上においてその他それに関連してわれわれが国会といたしまして政治上責任を明らかにする意味において、非常に重大な点でありまするが、今日まだ明らかに答弁ができないというのは、あることはあるけれども言えない、こういうふうに理解したらいいのでしようか、あるいはないというのでしようか、その点を伺いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 まことにぎごちないお答えをするようでありまするが、その点もお答えできない、こういうことを申し上げなければなりません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 何もそういうような名前を私が指摘しているのじやないのであります。従つて名前も指摘しないような場合に、どうしてそれがあなたとして答えられないのでしようか。私どもがリベートをいろいろ探求して行く造船融資に関するいろいろな事実を探求して行こうとするときに、できるだけ協力態勢をとつてもらいたいということはしばしば要請しおるのです。現職の大臣が調べられたか調べられないのかという辺は、なぜそんなに隠さねばならぬことなのでしようか。だれを調べたということを言えということであるならばこれはまた議論があるかもわかりません。どうなんですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 たびたびでありまするが、それは申し上げられないのです。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 理由を述べていただきたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 これは検事総長、検事正を証人としてお調べになつたときも、検事総長、検事正もやはりその点については証言ができないということを申しておるのであります。それらの点を私が今ここで承認していいか悪いかということを研究中であるということは、さつきから申しておる通りであります。これらはあわせて研究した上でなければ申し上げられぬのであります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 それなら聞きますが、緒方副総理をお調べになつた事実がありますか。率直に聞きましよう。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は承知しておりません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そういうような報告を受けた事実がないというのでしようか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は報告を受けておりません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 刑事局長に聞きまするが、あなたはずいぶんとこの間の事情は詳しのでありまするが、何回ぐらい調べたのか、ひとつ述べてもらいたい。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 佐藤検事総長や馬場検事正がお答えいたしましたのと同様でございます。私はただいまお答えする段階になつておりません。

柴田義男日本社会党(左)

○柴田委員 関連。私どもはこの前に緒方さんを取調べたかどうかということは、佐藤検事総長にもあるいは馬場検事正にも質問を発しておりません。ただ池田勇人氏を調べたことがあるかどうか、こういう質問をいたしました場合には、はつきりと何回か——数回取調べをやつた、こういう答えをやつておるのであります。だから同様にやはり緒方副総理を調べたことがあるかどうか、これに対しますことは当然わかつておられる範囲はお答え願つてしかるべきだと思いますが、もう一度伺いたいと思います。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 調べの内容でございますから、その点をお答えする段階になつていないのでございます。また正式にもさようなことの報告は受けておりません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 池田勇人君を調べたということは、これは証人は述べたのであります。これらにつきまして調べた内容がどうかということにつきましては、これはあるいは今一応あなたらの立場からすれは言わない方が言わないという線の方が、従来の答弁から見ましてそうかもわかりませんけれども、しかしきようはいよいよもつてかたくなつて、いよいよ首を縮めたようになりまして、その辺まで大臣を調べたかどうかも言えない。そんな具体的な名前を言つたら、それも言えない。前は池田勇人氏については調べたことがあるという答弁が出ておつたのですよ。池田勇人という人は元大蔵大臣であつて、そうして今現職ではない、だからそれは答えたのであるというならば、それならば別にかえて聞きますが、元大臣、当時の大臣でない元大臣、現職にあらざりし元大臣は調べた事実があるのかどうか、これは池田君を調べたという答弁があつたのであります。これも今拒否するということには当らぬでしよう、どうでありますか。これは大臣から答弁してください。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は当時のこまかいことを承知しておりません。そういう報告を受けておりません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そういう誠意のないことでは、ここでは通れませんよ。やはり当時のこまかいことか存じませんけれども私は閣僚とか前閣僚というものは日本の政治に重大な影響をする立場ですから、行政上のきわめて大きな立場なんですから、それを調べたかいなやということは、こまかいことで一蹴して行くようなそういうあなたの考え方というもの、態度は根本的によくないと思います。いかがでございますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 今聞くところによりますと、横尾氏は神戸で調べたことがあるそうであります。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そうしますと刑事局長に聞きますが、緒方副総理につきましては、あなたは調べたということの協議なんかにはまつたく参加したことがありませんか。全然ないのですか。

井本肇吉検事(刑事局長)

○井本説明員 大臣からも申し上げましたごとく、刑事事件の捜査の過程における分野に触れると思いますので、緒方さんを調べた調べないというようなことはただいま報告する段階にはなつていないわけであります。(「横尾はどうして調べた」と呼ぶ者あり)横尾氏は、これはすでに犬養さんが委員会において公表されておつたと私は記憶しております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私はその辺は実に不統一でもあるし、また不統一であるということは、同時に甲においては詳しくも言うし、乙においては詳しくは言わない、これはやはり一党一派の利害あるいは個人の利害で答弁を二、三にするというきらいがあるのではないかと思うのです。こういつたことでは実にリベートの探求、造船融資の真相を究明しようという目的は達せられないように思うのです。そういうことであるならばいつそ——前の証人の喚問を申請いたしましたときには、大矢君の方から緒方副総理も証人に出してもらいたい、こういうことを言つておつたのでありまするが、それは一応引込めたのであります。やはりきわめて重大な関連を持つておりますので、この際あの当時の提案を復活するという意味におきまして新しい動議を私は出したいと思いますから、お諮り願いたいと思います。緒方副総理を証人として当委員会に御喚問願つて、そうしてリベートに関し、造船融資に関していろいろ調査して行きたいと思います。

河野金昇改進党

○河野(金)委員 今吉田君から緒方副総理を証人として喚問してほしいという動議が提出されておりまするが、緒方氏の問題は具体的にきよう出て来ただけでありまして、やはり疑惑に包まれている一人であることは間違いないと存じますが、その緒方副総理が池田幹事長と打合せて、この委員会で証人として出頭を求めている吉田総理の問題に関して、外遊とかなんとかいうことに関連をして、当委員会に出られぬとかなんとかいうような談話を発表したりしているのであります。池田君に対してはすでに当委員会は証人として出席を要求しているのでありまするから、これは別といたしまして、緒方氏の問題は今ただちに証人として喚問することはいささかその内容からいつてもどうかと存じます。従つてとりあえず明日当決算委員会を開いて、証人としてではなしに副総理として出席を求めて、疑惑の問題等を質問し、あわせて総理の外遊日程等も承つて、今後の委員会の審議に資したいと思うわけであります。従つて吉田君には了解を願つて、明日はとりあえず委員会を開き、そうして緒方副総理、同時に私は福永官房長官をもお呼び願つて、そうして質疑を行いたいと思います。結果いかんによりましては、先ほど吉田君から出ている動議を明日取扱つてもけつこうかと存じますが、きようのところは吉田君の動議を一応取下げていただいて、明日副総理あるいは官房長官という名前において当委員会に出席されるよう委員長においてとりはかられんことを希望いたします。

田中彰治無所属

○田中委員長 どうです、吉田さん、証人といつても総理の証人問題をまだ解決つけていないから、明日証人ではなしに緒方副総理、福永官房長官に出席していただいて、午後一時ころ委員会を開いてやるようにして、動議を取下げていただけませんか。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 きようの小原法相に対するわれわれの質疑の状況にかんがみまして——小原法相は国会の調査に協力するような態度をお示しにならず、できるだけ言わない方針をとつておられるようにどうも考えられてなりません。総理以下証人は出頭をしない法相は言うべきことを言わない、こういうようなことでは調査は進行しません。何だつたらもう一ぺん理事会でも開いてよく協議願つてほんとうに進行し得るような状態に置き直してもらうのでないと、こんなことでまた十八日に証人は出ない、あるいはいろいろな理由を次から次に出して証人は出ないわ、証人でない政府当局は答弁はしないわ、こういうようなことでありましたら審査は停頓するだけだと思います。あるいは何だつたら一ぺん理事会でもお開きになつて、その上ででも委員長においておきめいただいてけつこうだと思います。

田中彰治無所属

○田中委員長 それでは十分だけ理事会を開いて協議いたします。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 ちよつとその前に申し上げたいことがあります。先ほどどなたかの御質問に対して、七月三十日の検事総長の本事件終結の談話発表について、私がその談話の発表の案をも知からなつたかのごとく申し上げたかと思うのでありまするが、そういうことではなかつたのでありまするが、何か事務当局は私がそんなことを言つたのじやないかと言われたのでありますが、あの当時の検事総長の談話発表については、あの案を事務当局の次官及び刑事局長等から示されて、こういう発表をするそうであるからということで私はそれを承認した、そういう事実はある、私はさつきそういうふうに申し上げたかと思いますが、もし間違つておりましたらここに訂正いたします。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 これはどうも今、井本さんでもちよつと教えたのじやないですか。先ほど私が新聞の六月二十日のあなたの談話までも申し上げて、そうして佐藤検事総長がああいう談話を発表したことははなはだ不適当である、検事たるものは決して事件のことなどは言訳がましいことを言つたり、発表したりするものではないということがあなたの談話として六月二十日にどの新聞にも出ておるのであります。それですから、あの検事総長談をあなたが承認しておらないということは、先ほども私が念を押して伺つたのでありまして、さらに村瀬委員からもこの点についてはあらためてあなたに念を押したのでありまして、今あなたがそうおつしやられるということは、馬場検事正が事実問題について職務上の否認ということをあまりにも言うものですかう、それでは佐藤検事総長が出した中には人の名前も出ておれば場所も出ておる、ああいうのも秘密かということを私が重ねて問うたら、あれは小原法務大臣の承認を得て佐藤検事総長が出したのだ、こういうことをこの前言われておるから、それで私が今日はその速記録を持つて来て、まずあれをあなたに伺つて、さらにあなたの当時の心境として、新聞の記事とあなたの言われた言葉とほんとうに一字一句違うか違わないかは別個の問題として、少くと検事もたるものが自己の調べたことなどを公表したり、あるいは言い訳がましいことをするものではないという談話の発表をしたとあなたがおつしやつておるでしよう。それでそういうことまで私は引用いたしまして、あなたに承認をしたのではないかということを尋ねたら、承認したことはない、こういうことをはつきり言われて、今になつて突如としてそういうことをあなたがお立ちになつて言はれたのは、これは井本刑事局長から、あなたがそのままで置けば馬場検事正が偽証になるではないかという御注意を受けたために、あなたはそういうことをおつしやるのではありませんか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 先ほど六月二十日の私の談話についてのお話がありました。六月二十日の談話のことは、私はそれに似たことを申し上げたと申し上たのであります。七月三十日の検事総長の発表については、これは私は法務委員会においてをこのことをはつきりつ言ておる。あの案ができて、こういうのが発表されるということを私は承認いたしましたということは、法務委員会で繰返して明言をいたしておるのであります。だからここでもしそういうことを言つたとすれば、これは私実は何かの感違いで言つておるのかもしれませんが、はつきり言つた覚えがないのであります。あなたが今何かそういうふうに言つたように言われたものでありますから、そういう趣旨で申し上げておるならば、それは訂正を願います。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 私は決してあなたが今御訂正なさることを押問答するものではありませんが、今あなたが御訂正をなさるのは井本刑事局長の耳打ちによつてお立ちになつたものでございましよう。私はそう思いますが、いずれにしましても不日この速記録ができますから、これは単に私だけが伺つたのではありませんので、村瀬委員が重ねてあなたにお伺い申し上げたのでありますから、はたしてあなたのお述べになつたことが錯誤であつたのかどうかということは、記録を通しておのずからわかるであろうかと思いますから、私はことさらにこれ以上は申し上げません。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 ちよつと大臣に伺うのでございますが、今あなたが杉村委員のお尋ねに対しておつしやつたことは、自分は法務委員会で言つておるのだから、ここで佐藤検事総長の談話発表に対してそんなことを聞いたことはないとか、承認を与えないなどと言つたことは、覚えはないのだが、何か今事務の方からそういうことを言つたから訂正をいたします、こう聞えたのでありますが、そうですが。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 さようでございます。なおこれについては、七月三十日に法務大臣談話で私がそのことを承知しておることを発表しております。そういう言い違いをしたならば、疲労の結果そういうことを言つたのかもしれませんが、その点は訂正いたします。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 疲労の結果とおつしやればあえて追究はいたしませんが、杉村委員のお尋ねに対して、それを言つた覚えはないという。私も念を押したのですよ。それは馬場検事正の偽証の問題にも触れるが、あなたはほんとうに言つたことはないかと、私は偽証のことまで出して、宣誓をした証人馬場検事正が偽証に問われるかもしれないから、あなたは良心にかけて答弁してくれませんかと言つたら、二度まで立つてそこで絶対に私は聞いておりませんと申しておきながら、そんなことを言つたことはない、それは法務委員会で言つた通りでそういうことは知りませんというようなことは、どういうことですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 速記を見た上で間違いであるならば訂正させていただきます。

藤田義光改進党

○藤田委員 先ほどの私の質問の漏れた点で重大な点をちよつとお伺いいたします。検事総長、検事正の職務上の秘密としての問題でありますが、この十七項目は法務大臣はよくごらんになりましたかどうか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 見ております。

藤田義光改進党

○藤田委員 この問題に関連して何回ぐらい今まで打合会をやつておられますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私自身はやつておりませんが、事務当局がやてつておることは承知しております。

藤田義光改進党

○藤田委員 この十七項目全部をごらんなつたという御答弁であります。ごらんになつてのお感じで率直なところをひとつお示し願いたいと思います。大体許可する方針であるかどうかということをお伺いしたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 繰返して申すのではなはだ失礼ですが、先ほど申し上げましたように、これは今申し上げるわけには参らぬのであります。

藤田義光改進党

○藤田委員 そうしますと、これは非常に政治的に重大問題であるから、くどいようでありますがお伺いしておきます。吉田総理大臣は来る二十六日羽田を飛び立ちます。従いまして、本日中にあなたから疏明が来ないと、吉田総理の出発前に、たとえば拒否された場合の内閣声明等が間に合わない。これは政治的に非常に重大問題であるのであります。しかも内閣声明発表の当面の責任者たる総理大臣の不在中に出すということでは、法務大臣としても非常に不本意ではないか、どうしても総理大臣が日本におります間に声明等を出す必要があれば出さなくてはならぬ、これは常識でありますが、いかがでございますか。あの国会証言法の七条、八条の問題、あるいは第五条の第四項の十日間の問題、この十日間というものを圧縮しまして、一日、二日以内に内閣声明ということも可能であるかどうか、前例がないことでありますからお伺いしておきます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 先ほど申し上げましたように、御回答申し上げる日は申されませんが、できるだけ早くいたします。しこうして、外遊前に必ず出しますということは申し上げたのであります。しかし声明を出すのは、これは政府が出すことでありまして、今ここで何とも申し上げかねます。

藤田義光改進党

○藤田委員 国会多数の意思というものは、そのまま国会の意思であります。国会の意思として、総理の出発前に一切の処理をしたい。特にあなたにげたを預けたあの回答の問題は、総理の出発前に最後の段階を迎えるためには、どうしても本日中にあなたの回答がほしいであります。努力されても不可能であるかどうか。本日の十二時までに回答が来れば、出発前に内閣声明という事態が起るわけであります。そういう国会の意思に協力するために、何かその辺の考慮を——いわゆる官庁時間は過ぎておりますが、そのお考えがあるかどうか、たとえば杉村君が馬場検事正の問題に関連しまして、その第三項目の点を聞いております。船主協会等の問題に質問を発しております。ところがあなたはこれに対して何ら答弁がない。私は邪気をまわすようでありますが、この一点だけの質問に対してもあのような答弁だつたら、お、そらく残りの十六点に対しても大体同様ではないかと思います。あなたの当委員会における答弁をもつて、それを疏明と解釈してよろしいのじやないか。そうすれば本日ただちに決算委員会としては所期の手続ができるという結果になりますので、いま一応お伺いしておきます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はまだあの証言に対する承認について御返事を申し上げておらぬのであります。今日中に必ずその回答を出せるかどうかと言われますと、それはとうていできぬことになると思います。今日はとうてい出しかねます。

藤田義光改進党

○藤田委員 そうしますと、これは、国会証言法第五条のいわゆる疏明とい一ものに対しましては、前例もございません。おそらく形式もととのつていない。これはいかようなる形式によつても処理できる、これが先例になります。従いましてあなたの先ほど来の当委員会における答弁で、大体これらの点に一部触れております。これから類推して行けば、全貌に対するあなたの気持がはつきりして来るという結果になりますがどうでしようか。当委員会におけるあなたの答弁というものは公のものである、法的効力が強いものである、証拠力も強いものである。あなたの答弁をもつて疏明の一部であるというふうに解釈してよろしゆうございますかどうか。前例も形式もきまつておりません。私はこういうことはできるのじやないかと思いますが、お伺しておきます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 承認すべきやいなやの回答がないうちに、私が先ほど来御答弁申し上げておることが疏明になるということはどうも考えられないことであります。

藤田義光改進党

○藤田委員 あなたは法務大臣の公文書を決算委員長に通達したときをもつていわゆる形式行為は完了というふうに考えられる。しかし前例がないのでありますから、何もそういう形式を踏む必要はない、われわれはここで翼として前例をつくる、あなたの答弁をもつて疏明というふうに解釈してもよろしい。そういう点に関しまして、これは自由労は困りましようが、国会の多数の意思としてはそういうことができるわけです。そうしますと、国家の利益に重大な影響があるという認定をいたされまして——内閣声明ということは期目的に制約がありますが、回答に期目的な制約がないため、私がここで申し上げたいのは、いわゆるあなたの回答が来ましてから、もし拒否された場合におきましては、十日間以内に内開声明を出すという期限を限つておる。この反面を解釈すれば、職務上の秘密として証言を拒否したものは、少くとも数日中に回答して来るのが常識であります。内閣声明という重大な段階に行つてすらわずか十日間の猶予期間しか法律は与えてない。同時に立法者の提案理由その他は速記録に残つておりません。この際速記録にとどめましてこういう先例をつくつていいじやないか。法律は結局常識の明文化でありますが、常識的に考えまして、私は少くとも国会の意思を通達してから五日以内くらいには回答するのが常識じやないか、それがすでに旬日になんなんとするのに不可能である。とすれば本日のあなたのこの委員会における数時間にわたる答弁から、あなたの気持、態度、方針を類推してもさしつかえないじやないか、こういうふうな解釈が出て来るわけであります。あなたの率直な御意見を伺つておきます。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 藤田委員の言われたことは、どうも私には理解いたしかねます。私は法務大臣として証言の承認に対して、まだ回答をいたしておらぬのであります。従つて回答がないのに私の答弁が疏明になるというようなことは、どうしても考えられないと思います。

藤田義光改進党

○藤田委員 これらの問題に関しましては、法務大臣は一般の形式的な行為をたてにとつて答弁されておる、われわれは立法府——これは法律でありますから、ここで先例をつくつてもいいじやないか、何も委員会の答弁が疏明にならぬという制約はいたしておりません。これは三百代言的な発言ではございません。従つてこういう前例をつくつてもらえるかどうか。大臣とは不幸にしてなかなか意見が一致しそうにもありませんから、私の発言はこの程度にいたしまして、理事会も開かれるようでありますから、理事会において御研究願いたい。

田中彰治無所属

○田中委員長 大臣、あなたといつでもここでにらみ合うのはどうもいやなんだが、だれが考えても大臣は、答弁でも、言訳でも法務大臣として少し片寄つておるのだね。もう少し法務大臣というのは、なるほど法務大臣はやはり政党人でないわいというような点がちとあつてもいいのだが、少し……。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私の本来の性質がかたいものだから、答弁がかたくなるかもしれません。

田中彰治無所属

○田中委員長 あなたが自由党から押えられるということはわかつておるが、ああいうのがずつとついてあなたをにらんでおるが、何もあなたはこわがる必要はないのです。  それでは理事会を開くために、暫時休憩いたします。     午後五時四十六分休憩      ————◇—————     午後五時五十分開議

田中彰治無所属

○田中委員長 休憩前に引続き会議を開きます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 さつきの私の緒方証人喚問の動議は取下げます。

田中彰治無所属

○田中委員長 それでは申し上げます。明日は午後一時から委員会を開きます。それから福永官房長官を呼びまして、総理の日程について詳しく聞きたいと思います。それから明日は委員会を開く前に理事会を開きまして、理事会において緒方副総理を呼んで緒方副総理からもその日程を聞きたい、こういうように考えておりますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中彰治無所属

○田中委員長 では御異議ないものと認め、本日はこれで散会いたします。     午後五時五十一分散会

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