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19回国会衆議院1954/03/12

決算委員会 第16号

発言数
43
登壇者
9
会派数
4
開催日
1954/03/12

会議録

大上司自由党

○大上委員長代理 これより決算委員会を開会いたします。  前会に引続きまして、理事の私が委員長の委嘱を受け、その職務を代行いたしますから御了承願います。  それでは前会に審議保留となりました昭和二十八年度一般会計予備費使用総調書(その一)外三件の承諾を求める件を一括議題とし質疑を続行いたします。発言を許します。吉田賢一君。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 内閣の責任者としての緒方副総理に予備費に関しまして二点質疑したいのであります。  まず第一点は、申し上げるまでもなく国会と予算の関係から観察いたしまして、国会の議決に基いて初めて内閣は予算の執行権があるわけであります。つまり財政処理の権限というものが、新しい憲法におきましては、常に国会の議決が先行することになつておる。これは旧憲法には明示されていなかつた規定であることは申し上げるまでもないのであります。従つて憲法八十三条という規定は、日本の憲法史の上におきましては、画期的な財政における国会中心主義の規定であることは学者の通説であります。そこでさようにいたしますと、国会開会中におきましては、予備費は使わないということが原則でなければならぬ。もし国会が開会中であるにもかかわらず、予備費をどんどん使つて行くということになりましたならば、この根本の原則は破壊されてしまいます。  ところでただいま議題になりました二十八年度一般会計並びに特別会計における予備費の承諾を求められております案件は、数十の項目にわたりまして、その事項が記載されておるのであります。そこで一々点検してみますると、私は煩を避けて一々読みませんが、国会が召集せられて会期中のものを多数含んでいる。それで一体国会の審議権を尊重しておるということが言えるでしようか。つまりこれはもつと突きつめて申しますならば、今私の申しましたような趣旨を十分に政府は考えない、行政府中心の財政であるという頭が抜けないんじやないか。つまりそれは、たとえば予算が成立しない場合には、前年度の予算を踏襲するという旧憲法の規定がございましたが、こういう頭がほんとうにあるのじやないか。そこで、国会開会中にもかかわらず、多数の予備費が支出されたとして承認を求めて来ておられる。行政府がまさに立法府の基本的な大きな原則を干犯するのじやないかと思いますので、ひとつ政府の基本的な所信を伺つておかねばならぬのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 政府といたしましても、予備費に関する旧憲法の頭は十分に切りかえておるつもりでありまして、予算の審議中に予備費を使うということは、これはできるだけ避けなければならぬ。それは憲法第八十三条の規定に明らかに示されておりまするので、この点は十分体しておりまするが、いろいろな予期されない支出を要する場合がありまして、ときどき例外的と申しますか、そういうものが行われた場合もないと限りませんが、根本におきまして、この憲法八十三条の趣旨は、少しも政府として軽視する意思はございませんし、予備費の扱いにつきましても、その精神を踏みはずさないように常に注意をしておるつもりでございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 しかしながら、昨年の八月十四日、閣議決定におきまして——二十七年四月五日の閣議の、予備費の使用に関する決定事項の第二項、この第二項は、おととしの四月の分です。この第二項では、国会開会中におきましては、特殊な場合以外予備費を使わないという趣旨が明確にしてあるのです。ところが昨年の八月に至りまして、この条項を削つてしまつた。でありますので、これはやはり相当大きな物の考え方の変更であるのかとも考えるのですが、今の国会の審議権の軽視ということを相当具体的に表わしていないかと思うのであります。そこでもう一ぺん繰返して、抽象的には、国会の審議権の尊重ということはまさになければならぬと思うのでありますけれども、やはり国会開会中は予備費を使わないという原則を堅持するということを、内閣の方針として委員会で言明してほしい。その腹がおありになるかどうか。但しやむを得ざる場合とか、性質上やむを得ぬときとか、あるいは軽微のものとか、そういうものを一々言うのじやありません。これは憲法上なり財政法上なりいろいろな実情から申しまして、末端に至るまでどうこうというのではありません。あとでもう一ぺん御質問しますが、厖大なものを残してあるということがあるのであります。これは予備費に関する考え方が——非常に軽視されておるのじやないかと考えますので、ただいま申した点を、内閣の方針として言明せられますかどうか。この点を明らかにしてほしいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 今御指摘の点はまことにごもつともな次第で、国会開会中には予備費を使わないという建前は、これは堅持すべきであると思います。でありますが、真にやむを得ない場合が起らないとも限りません。それはどういう場合かということを今申し上げませんけれども、今日の社会情勢から見まして、そういうことが必要な場合もおおよそ予測されます。その点はやはり政府の責任において、政府が予算審議権というものに対してどういう観念を持つておるか、また政府がそういう事実につきましてどういう責任感を持つておるかということに存するのだと思います。今の政府といたしましては、原則といたしまして、議会において予算審議中に予備金を支出しないということはぜひ守つてもらいたいと思いますが、今申し上げた通り、重ねて申し上げますが、真にやむを得ない場合の除外例はお認め願わなければならぬと考えております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 この予備費は、事前に国会の議決を経るということが原則である以上、事後に承諾を求める予備費というものは例外であると思います。これは申すまでもないのであります。さつき尋ねましたその裏になりますものですから……。そこでさような例外的予備費というものを組む場合、設置する場合は、やむを得ざる限度、最小限度にとどめなくちやならぬと思うのです。ところがここに現われて参りました承諾を求められているものによりますと、政府の説明によりますれば、一般会計、特別会計を通算いたしまして——特に注意を喚起したいのは特別会計であります。特別会計につきましては、予算、決算を通じて、どうも審議が慎重でないと私ども認めております。これを通じまして、昭和二十八年度予備費総計五百八十五億八千九百余万円あるわけであります。ところが残は、十二月末現在で、つまり会計年度過半過ぎたときに四百十五億五千七百余万円残つておるのであります。大部分が特別会計です。このような例外であるところの予備費というものが、使いもしないものが莫大に組まれて——これはやはり予算の一種ですから、それだけ税金なりを取立てて準備しておかなくちやいけない。そこで使わないでほつたらかしておく、あるいは年度末になつてがさがさつとかつてに使つてしまう危険もあります。こういう考え方でありますと。そこではつきりさしておきたいことは、こういう例外的予備費は最小限度に組むことを厳に守つて行かなければならぬ、こう思うのであります。こういう厖大な予備費を組んで残しておくということは、予備費制度の濫用ではないか。これにつきまして、やはり内閣といたしましての所信を伺つておきたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 特別会計の予備費は、一般会計の場合と多少性質を異にしまして、事業または企業の運用を円滑にして行くという意味から多少の余裕を見ておる場合が多いのではないかと思いますが、それにしましても、不必要に大きな金額を計上するということは、政府としても十分慎重に扱つて参りたいと考えております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 現に昭和二十四年は予備費がゼロであつたわけです。そのときのいろいろな御説明を速記録等によつて見ますると、ほとんど年度中国会があるので、それで組まなくてよいという趣旨の説明であるのであります。でありますから、たとえば特別の事業である特別会計その他等々ありはしますけれども、ともかく予備費というものの考え方は——予備費制度というものは例外の例外だということを厳格に考えて行きますならば、かくのごとき数百億円も残すということはあり得ないと思うのです。そこで一般会計、特別会計を通じまして、予備費は最小限度にとどめることを厳守して行つていただきたいということについて、重ねて御意見を伺つておいて、私の質疑を終ります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 この予備費というものは、いかなる場合にも必要と思われる最小限度に組んでおくべきであるという御趣旨は、申すまでもないことと存じております。

大上司自由党

○大上委員長代理 杉村君。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 私が副総理にお尋ねしたいことは、これは過般の決算委員会でも私申し上げたのですが、政府は決算委員会というものをきわめて軽視しておるのではないか、こう考えられる。ここへ大臣が来るということは、まるではきだめに鶴でもおりたように来る。みんなが、大臣が来る大臣が来ると大騒ぎをするのはたいへんな誤りではないかと思う。金をとるときだけはもみ手をして、頭をぺこぺこ下げて、予算を何とか通過さしてもらおう、そういう考えでしかおいでにならぬ。これは無理もないことかもしれませんけれども、今度自分たちがとつた予算がどんなふうに使われたのであるか、どうなつたかということを——いやしくも国民の承認を求めておるにかかわらず、大臣が来るということはきわめて稀なんです。あなたがここへおいでになるのもきようで何回目か——きようも来なかつたならば流そうというくらいにわれわれは考えておつたのです。これはほんとうに聞きにくいことかもしれませんが、私は、政府はいま少し決算ということに重きを置いてもらわなければならぬと思う、私はここで特に伺うのですが、政府は昭和二十九年度の予算を組むについて過去の決算の状態をごらんになられて予算を編成されたかどうか、その点を伺いたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 その点は大蔵省で予算を組む場合に十分検討いたしておることと存じております。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 大蔵省が組むときにはと言われますけれども、大蔵大臣は吉田総理の一兆億というわくをはめられて編成しておるのだそうであります。いやしくもわくをはめる権能を持つておるところの総理が過去の決算の状態を知らないで、大蔵省がつくつて出せばそれだけでよろしいということになるのでありますか、いかがでありますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 その点につきましては、今の総理は非常にやかましゆうございまして、予算編成中にも行政費の一割を絞り出せとか、また今度の予算につきましても、執行する場合にできるだけの節約をして行けとか言われるのは、この決算がどういうふうに現われておるかということを平生よく承知しておられる結果、内閣に向つてそういう注意をしておられるものと考えます。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 しかし私どもが見るところによりますと、今までの予算というものは、決算をほとんど無視してやつておるのじやないかと思われる。それは昭和二十七年度の決算書にも出ておりますが、一般会計の歳入の超過は二千四十八億六千二百余万円であり、さらに昨年度の超過は千四百五十六億四千四百万円、こういう莫大な額が余つておるわけであります。そうしてしかも歳入に組んでおきながら、とらずに済んでおる収納未済額というものは、昭和二十七年度におきましても五百四十五億八千二百万円もあるわけであります。こういうものをとらなくてもこんなに余つておる。しかもそのうちの大きなものは何であるかというと、租税収入が四百四十二億五千万円。これほどたくさんの租税をとらなくて、そうしてこういうように年々何千億というものが余つておる。これは少くとも過去の決算の状態というものを総理がごらんになつていない証拠じやないかと私は思うのです。そうしてしかもこの租税収入の四百四十二億という莫大な額を未収にしておるのは、一万円以下のような零細な税金を納める人の未収じやないのですよ。一人百万円以上という莫大な税金を納める人の税金をとつておらない。大部分がそうなんです。少くともみな五万円以上であります。こういう年額五万円以上の税金を納める人から四百何十億もの金をとらないで——総理は新聞をごらんになつたかどうか知らないけれども、せんだつて墨田税務署の管内で、ブリキ屋さんが百十円の所得税を納めることができないというので、税務吏がそこへ入つて行つたために、ブリキ屋の職人が怒つて突いたとか張つたとかいうことで、これは拘留に付されたのであります。町中の者が、まことに気の毒だ、かわいそうだといつて、税務署に行つて懇願をしたり、検察庁に行つてお願いをしたりしたけれども、なかなか許されなかつた。これは東京の新聞に大きく報道されておるのであります。それにもかかわらず一方においては、一一数字を出せばすぐ出るのですけれども、大きな船会社のようなものが何百万という税金を納めないで……。(「億だよ」と呼ぶ者あり)いや、一会社で何百万円、全部では億でありますが、そういうような税金は納めないで、しかもそれが四百何十億の、五百億にも近いような金額になつておる。これが未収で済んでおるのです。こんなずさんきわまることはない。これでまた昭和二十八年度の決算書をわれわれがちようだいして見ましたときには、やはりこれと同じようなことになるのではないかと思う。ということは、政府が少しも決算の実情を調査しておらないで、もみ手をして予算だけ通過させてもらおうという考えでおるところに常にこういう誤りがある。むしろ総理大臣以下各省大臣がここに出て来て、ほんとうに決算の状態を頭の中に入れて予算を組む考えがなければならないと思うのであります。  そこでいまひとつ私は伺いたいのですが、あなたに向つてはなはだ失礼なことを尋ねるようだけれども、あなたは毎日ここに来て昼めしを食われるが、御飯を食べますか、うどんを食べますか。(笑声)おそらくあなたも弁当を食べておられると思う。そしておそらく外食券を持つて来ないで食べておるのではあるまいかと思う。これはほんとうにつまらぬことを聞くようですが、総理府の予算でいわゆる米の取締りについて千七百九十九万八千円という予備費を組んでおる。これは停車場や何かで待ち伏せをするところのそういうもののためにこの費用をつくつたのでしようけれども、一方においては予備費で千七百万も使つて、あの停車場や汽車の中でつかまえさせるようなことをやつておつて、総理以下がこの国会内においても配給券もなしで弁当を食つておる。ここではどういう意味でこういうものを考えておるか知りませんけれども、町に出て見てごらんなさい。お菓子はみな米でつくつておるのです。これを放任しておいて、そうして国民の税金をこんな形ばかりのところに使つて、一方では自分たちもみな米を食つておる。菓子を食つておる。菓子はみなもち米でできておる。そういうようなことではいかないのではないかと私は思う。これはあなたの方の管内の総理府の予算なんです。だからいま少し政府がほんとうに決算というものに重点を置いて、国民の実情に沿うた予算を編成してもらわぬことには、国民がたまつたものではないと思うのですが、それらについての御所見をひとつ伺いたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 今の弁当のことまではお答えせぬでもよいのではないかと思いますが、今までも決算審議、また決算そのものについて十分調査して、その結果を参考にしておりましたけれども、今御指摘の次第もありますし、今後一層決算について注意をいたし、将来予算編成の際にもそれを参考にするようにいたしたいと考えます。

大上司自由党

○大上委員長代理 山田長司君。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 副総理に今の問題に関連しまして一応参考までに申し上げておくわけですが、こういう場合に予備費の処理をどうされるかということの一つの例です。実は郷里の話をしてたいへん恐縮でありますが、栃木県の共済連が予備費で三千百万円余分に水増しして出した申請について、国は支払いをしておるわけです。共済連の経理部長だつた濱崎という人は、去年の十二月からぶち込まれておりますが、この共済連の始末がつかないと、栃木県の場合は農民が共済に対する保険金を払わなくなるという実態が今起りつつあるわけです。それで濱崎経理部長のほかに奥さんも取調べを受けましたし、そのほか会計課員の取調べが今盛んに検察庁で行われておるわけですけれども、これらの場合は、先ほど同僚議員が話されていますように、予備費の問題の軽視からこういつた水増金の支払いが案外簡単になされたことに原因があるのではないかと思うのです。しかも経理部長は八幡荘という料理屋へ二百五十万円の金を出しまして、この料理屋を買収したり、あるいは枚挙にいとまのない不正事件が暴露されて次々と取調べの中に入つておるわけなのですが、こういう場合に、予備費が、水増しして報告されて来たまますつとその通り通つたそうですけれども、一体そんなに簡単に予備費が栃木県の場合に出たものかどうか。三千百万円という金でありますけれども、栃木県にとりましては実に大きな事件に発展しているわけです。何か御参考になりますことがありましたらおつしやつていただきたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 私直接事情を知つておりませんので、政府委員から答弁いたします。

植木庚子郎自由党大蔵政務次官

○植木政府委員 共済保険の支払いのために、特別会計におきまして予備費の支出をいたしまして、それぞれ配賦いたしたことは事実でございます。去年は御承知のように、全国にわたりまして非常な災害で、次の臨時国会等におきましても、この保険金のために予算をお願いしたほどの状態でございます。従つてあの特別会計で処理し得る限度内において、なるべく早く処理して、農民の方に御迷惑のかかることを少くしようというので、あの当時当該特別会計の予備費を支払つておる次第でございます。もつともその内容につきまして、はたしてそれが非常にゆるかつたかあるいはどうかという問題につきましては、今ただちに資料を持ちませんので、正確なお答えは困難でございますが、事情は今申し上げましたようなことであります。

大上司自由党

○大上委員長代理 村瀬君。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 昭和二十八年十一月二十日の閣議で、海外引揚者携行証書等返還に必要な経費七千四百万円を決定なさつておるのですが、副総理は在外資産の処理についてその後一向その方針を明らかになされないようであります。たとえば在外資産等の調査会はお設けになられたようでありますが、法律による審議会に直すということをかつて言われたにもかかわらず、まだそれの法案も出て参らぬようであります。この七千四百万余をお使いになつて、これを基礎にして在外資産の処理に進まれる御方針と思うのでありますが、あの審議会の問題、その他在外資産の処理に対するその後の御方針を承りたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 在外資産の処理に関する調査会を法制化するという話は政府におきましても今研究中で、これはそう遠くない将来に法律による審議会にするつもりにしております。今大蔵省で研究中だと存じます。  それから在外資産につきましては、すでに一部調査の結果を出しまして、それを公表いたしたのでありますが、私ちよつとここに記憶しておりませんので、政府委員からお答えいたします。

阪田泰二大蔵事務官(理財局長)

○阪田政府委員 税関、日本銀行等で保管いたしておりました引揚者の持帰り物件につきましては、これは返還することに方針を決定いたしまして、その関係でいろいろ各庁におきます事務の取扱い費、郵送費、その他の経費を見積つて予備費を支出していただいたのでありますが、その内容といたしましては、税関、海運局等で保管いたしましたもの、あるいけ日本銀行で保管いたしましたもの、いろいろございましたが、引揚者が持ち帰りましたときに保管いたしましたもので、旧日銀券あるいはその他のいろいろな証書で、件数にいたしまして百数十万ございます。それでただいま緒方国務大臣から申されましたように、その中には旧日銀券等がありまして、それにつきましてはこれをどうするかという処置が未決のまま、いろいろと各方面の要望もございましたので、とりあえずそのものを返還いたしたわけでありますが、その旧日銀券につきましては、在外資産の調査会にも諮問いたしまして、現在の日銀券と引きかえるということに方針をきめまして、それに関する必要な法案等も国会に提出する手続をただいまいたしておるようなわけであります。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 私はそういうこまかいことをお尋ねするのではないのでありまして、緒方副総理に基本方針を承つておきたいのであります。せつかく閣議で七千四百万円も出されましても、最後の処理が完備いたしません以上は、何のことやらわからなくなるのでありますが、一体憲法第二十九条第三項と在外資産との問題——いろいろ政府は今までおつしやつておりまするが、今度できまする在外財産等に関する審議会で決定をした通り政府は実施なさるのであるか。今大蔵省から御答弁になりました分はすべて政府の金を出そうとするのではなくて、日銀に金を出させるのか、あるいはもとの朝鮮銀行、臺灣銀行、正金銀行等に今までの債務を代理するようなものを出さそうというわけであつて、政府みずからが一円も出そうという誠意はお示しになつていないのであります。そこでせつかくここに海外引揚者携行証書等の返還に手をつけられたのでありますから、これからどういうふうにこれを処理なさる御方針であるか。憲法との関係等はあげてやがてできるでありましよう審議会にゆだねるということでありますが、その審議会でもし決定をいたしまして、今まで政府のおつしやつておつたのと違う結論が出ました場合、われわれはあくまでも憲法第二十九条第三項によつて、これは当然政府において補償する責任があると主張して参つておつたのでありますが、そういう決定になりましたときに、その審議会の意見をお用いになる御方針であるか。審議会にはそういうことはさせないで、もつと末梢的なものをまかすとおつしやるのであるか。そうすればこの厖大な在外資産は一体どうやつて処理なさろうとするのであるか、その基本方針を承りたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 在外資産処理の問題はこれはなかなか大きな問題でありまして、これを立法化する前に一応の調査をしてみようというので先般その調査会を設けたのであります。この調査会が立法化されまして審議会になつた場合に、その答申をことごとく政府が採用するかということにつきましては、これはもう少し審議を見ないと、政府の力にもおのずから限りがありまして、私ここではつきり申し上げることはできませんが、しかしながら政府がその審議会を法律によつてつくります以上その答申をできるだけ尊重することは申すまでもないのでありまして、その間に政府が補償するものがどれだけ出て来るか、あるいは現に一部結論を出しておるようなものをどう処理するかというようなことは、もう少し調査を進めなければ今申し上げることはできません。しかしながら審議会の結論、答申を政府がことごとく実行するつもりであるかということに対しましては、できるだけ尊重するということを、今の段階としては申し上げるほかないと考えております。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 最後に私はお伺いをしておきますが、あなたは昨年の七月十日の予算委員会で、私の質問に対して、早急に法律による調査会をつくるとおつしやつたのであります。ところがもう半年以上過ぎたのでありますが、一体審議会を法制化するための法案をいつお出しになりますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 近いうちに出し得ると思います。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 一点だけ伺います。実は去年のこの委員会で副総理は、ガリオア、イロアの問題について、法律的債権とも言い、道徳的債権とも考えられるということで答弁をされた記憶が私はあるわけですが、いつまでもこの問題を処理せずにいるということは、いろいろこれを知つている者としては、やはり何か責任を感ずるわけなんですが、一体ガリオア、イロアの問題についてはどう処理されるお考えをお持ちなのですか。これを簡単に伺いたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 一口にガリオア、イロアと言つております中に、日本の債務に属すべきものでないものも私はあると考えます。それを十分調査いたしました上で、明らかに債務に属するものは、国会の御承認を得まして、そして債務を償還する方法を立てなければならぬと思うのでありますが、まだその段階にまで参つておりません。これは先般池田政調会長が参りましたとき、その話が出たそうでありますけれども、そのときも結論に達していないのであります。これは今後その話がアメリカ側から出て来るじやないかと思つておりますが、今のところその段階でございます。

山田長司日本社会党(左)

○山田(長)委員 お急ぎのようですから簡単にいたします。これはどこが処理の衝に当つて、どんなふうに進行しているのか、もう一ぺん伺いたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 調査は通産省でやつております。どの程度進んでいるか、私ここで申すことはできません。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 たいへん時間をお急ぎのようですから簡単に伺いますが、実はこの間右派社会党としましては、副総理のところへお伺いして、造船問題について、昭和二十四年以来あのように一千億もの金を融資したが、償還期が来ても償還したものがない、こういうような状態にあるにもかかわらず、さらに百六十八億の補償をこのままやつて行くということは、どうも国民の血税をどろ沼に入れるような気がするので、これに対して、すみやかなる償還を開銀に対して要請してもらいたい、こういう申出をいたしたのでありますが、本日の新聞でありましたか、市中銀行においても、このような造船状態ではとうていわれわれもこれに融資することはできないというようなことを、銀行の業者が集まつて何か会談をしたように出ているのであります。これは国家の基本経済に関するまことに重大な問題であるのでありますが、これに対して、市中銀行等の話合いについてお知りになつておりますなれば、その概略、及びいわゆる計画造船についてのかくのごとき状態についてどういうお考えを持つておりますか。大体のお考えでけつこうでありますが、御所見を簡単にお述べ願いたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 計画造船に対しまして、政府の開発銀行を通しての融資、これが非常に大きな額に達しており、また多少の利子の延滞があることも事実でございますが、これは政府といたしましては、日本の今の海運界の現状から見てやむを得ない政策であると考えまして、立案をいたし、国会の御審議を経て、御承認を得たものであります。これに関連して汚職等が起つておりますけれども、今この政策をかえる考えはございません。運輸当局におきまして、銀行等との間に目下間違いの起らないように、今回の汚職等を前車の戒めといたしまして、さらに完璧を期するように研究をしたしてしるように聞き及んでおります。

杉村沖治郎日本社会党(右)

○杉村委員 まだ聞きたいし、なお今の副総理の答弁ではどうも満足できませんが、お急ぎのようですから、いずれまたぜひ副総理に出て来てもらいたいと思う。

大上司自由党

○大上委員長代理 以上で予備費関係に対する質疑は終了いたしました。  これよりただいま議題となつておりまする予備費関件四件について討論、採決に入るのでありますが、特に吉田委員から発言を求められておりますので、この際これを許します。吉田君。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私は昭和二十八年度の予備費の承諾を求める各案件の審査を終るにあたりまして、一言政府全体に対して希望を申し上げておきたいと思うのであります。  第一点は、国の財政の処理が国会の議決に基いて行使せられ、従つて国会の会期中は予備費の支出は許さないということの建前は、これは憲法の鉄則でございます。ところが本委員会に付託せられました予備費支出の承諾を求める案件の中には、国会の会期中に閣議決定という事項が多数に含まれていることは、資料等によつて明瞭であります。よつてこの際政府は、国会の予算審議権尊重という建前に立ちまして、すみやかに適切なる措置を講ぜられねばならぬと信ずるのであります。  第二は、予備費というものが、憲法上予算の本質が事前に国会の議決を要するというこの大原則の例外制度であることにかんがみ、一つには、その予備費の金額は最小限度にとどめねばなりません。二つには、その支出は真に予見しがたい予算の不足に充当する趣旨を厳正に守らねばなりません。しかるにかかわらず、提出せられました各般の資料を総合いたしますると、この二つの要件が守られていないものが、その金額におきまして、またその使途におきまして多大に発見せられるわけであります。今この内容は省略しまするが、そこで予算の財源を振りかえつてみますると、大半は国民の血税にひとしいものでございまして、これをもつて準備せられることにかんがみ、政府といたしましては、予備費予算の作成は最小限度とし、その支出は慎重に、厳正に調整を加えるということの線をぜひとも守つてもらわねばならぬと信ずるのであります。  第三には、過般来だんだんと議論をいたしました憲法八十七条二項の予備費支出という意義と、財政法、会計法等に現われております予備費の使用、あるいは予備費をもつて支弁した金額、あるいは支出という字句の定義等等の関連におきまして、内閣といたしましては、事後承諾を求めております予備費の内容が、閣議決定または大蔵大臣決定とあつて、すでに支出済みのものあり、いまだ使用せざるものもあり、雑然と混合せられたまま当委員会に承諾を求められておる実情にかんがみ、これらの予算的の性格または決算的性格を持つている事情を考慮いたしまして、第一には、法文については、支出または使用あるいは支弁等の字句についてさらに再検討整理し、手続におきましては、これら承諾を求むる案の内容が一目瞭然として国会で審議をし得るように、適切なる改喜を加えるという措置に出られんことを切望するものであります。  以上であります。

大上司自由党

○大上委員長代理 次に安井大吉君から発言を求められております。これを許します。安井大吉君。

安井大吉自由党

○安井委員 ただいま議題となつております昭和二十八年度一般会計予備費使用総調書外三件につきましては、この際それぞれ討論を省略して採決されんことを動議として提出いたします。

大上司自由党

○大上委員長代理 ただいま安井君から提出されました動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大上司自由党

○大上委員長代理 御異議なしと認めます。よつて討論を省略して、ただちに採決いたします。  すなわち昭和二十八年度一般会計予備費使用総調書(その1)、昭和二十八年度一般会計災害対策予備費使用総調書(その1)、昭和二十八年度特別会計予備費使用総調書(その1)、昭和二十八年度特別会計予算総則第九条に基く使用総調書(その1)、右四件の承諾を求める件については、いずれも承諾を与うべきものと議決するに賛成の諸君は起立を願います。     〔総員起立〕

大上司自由党

○大上委員長代理 起立総員。よつて右四件はいずれも承諾を与うべきものと決定いたしました。  なお議長あてに提出すべき報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大上司自由党

○大上委員長代理 御異議なしと認め、さようとりはからいます。  本日はこの程度とし、次会は公報をもつてお知らせいたします。これにて散会いたします。     午後二時四十三分散会

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