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19回国会衆議院1954/03/16

経済安定委員会 第9号

発言数
12
登壇者
4
会派数
3
開催日
1954/03/16

会議録

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 これより会議を開きます。  電源開発に伴う河川行政の総合調整に関する件について調査を進めます。  本委員会におきましては目下電源開発に関して種々調査を進めておる次第でありますが、特に河川行政の総合調整に関する件につきましては、調査の慎重を期するため、本日参考人として国土総合開発審議会水制度部会長蝋山政道君の御出席を願つた次第であります。本委員会といたしましては、本調査の参考に資したいと存じますので、蝋山参考人には本件について忌憚のない御意見の開陳をお願い申し上げます。国土総合開発審議会水制度部会長蝋山政道君。

蝋山政道国土総合開発審議会水制度部会長

○蝋山参考人 ただいま御紹介をいただきましたように、私は国土総会開発審議会の水制度部会の部会長をしておるのでありますが、その水制度部会は一昨年の暮れから約一年数箇月にわたりまして、今日までその調査審議を続けて来ておるのでありますが、御承知の通り十分なる成案を得ておりませんので、当委員会の御参考に供するような十分な資料をまだ十分に持ち合せていないのでありますけれども、この制度部会におきまして、私どもがどのような経過で、水制度の問題について調査をして参つたか、またどのような問題点を探求しつつあるかというような点につきまして、その概要を申し上げまして皆様の御参考に供したいと思うのであります。  水制度部会が国土総合開発審議会の一部会として設けられましたのは、御承知のように一方におきまして国土総合開発法に基く国土の総合開発という問題が進んで来ておるのでありますが、水制度に関しましては、現行の制度におきまして、種々の問題点がありまして、特にその問題の範囲は、水に関する法律上の制度から、あるいは行政の諸制度にわたりまして種々錯綜し、競合しておる面が多々ありまして、合理的な水制度が確立されているとは申しがたいのでございます。従いまして、水制度の確立がありませんと、国土総合開発の進展の上にも種々支障を生ずるような事情があつたのでございます。そのために、国土総合開発審議会といたしましては部会を設置いたしまして、水制度の調査を私どもの部会に委託されたわけでございます。その結果、水制度部会といたしましては、まず水制度の範囲、一体どれだけのことを取上げて調査したらよろしいかということを考えたのでありますが、水制度部会の設置目的にその主たる項目が指示されておるのでございます。そのおもなるものといたしまして、水制度部会の設置要綱は次のような事項を調査することを規定しておるのでございます。その一つは水の法律的取扱いに関する事項、第二は水利慣行の実態に関する事項、第三は水施設の管理に関する事項、第四は各種の水利、治水の調整方式に関する事項、最後に第五といたしましてその他水制度一般に関する事項、大要この五項目につきまして調査事項を定めておるのであります。部会が設けられましてから、各委員におきまして、これらの大体の事項に従いましてそのいかなる点を取上げるかということを審議いたしたのでございますが、この中にはきわめて専門的な事項もございますので、現在各省が持ち合せております専門的な資料をまず収集いたしたいと思いまして、資料の分科会というものを四つ設けられました。一つは水文に関する資料、第二は水の法律に関する資料、第三は経済効果に関する資料、第四は管理に関する資料、これら四つの事項を取扱う分科会を設けまして、現在各省が持つております資料をできるだけ収集いたしまして、そしてその資料を整理いたしまして、一応その資料の整備をいたしたのでございます。その資料につきましては委員長の手元まで差上げてございますので、御利用を願いたいと思うのであります。この専門分科会を設けましたのは、これらの四つの事項につきましては、水制度部会といたしましてはすべての事項にわたつて審議調査するだけのカも持つておりませんし、またそれにひまどりましては、あまりに専門的な問題でありますためにどうかと思いまして、一応専門分科会として資料の整備をいたしたわけであります。今後なおこれらの資料に基きまして、一応整備された資料でありますけれども、政府においてはどのような措置を講ずべきであるかという今後の方針につきましては水制度部会として取上げて行くこととして、既存の資料の収集はその専門分科会の取扱いました結果において一応満足しようというような考え方で、この分科会の資料の収集に努めたわけであります。  これらの資料は一応できましたが、さて実際問題として部会の審議において問題になりましたのは、主として行政上の制度に関する問題であります。これについては十回以上にわたりまして問題点を各委員から出していただきまして、その際各省からも具体的に問題になつておる点を出していただいたのであります、そしてそれらの問題点のよつて来るところ、その問題のあり方等につきまして十分に説明を聞いたり、また審議をいたしたのでありますが、何分にも行政制度といいましても実に複雑多岐にわたつておる水制度でありますので、その問題のいずれが重要であるか、その相互の関連をどう把握すべきかということにつきましては、ただ審議をしておりましてもなかなか実際問題としてらちがあかないのであります。そこで何しろこの水の問題についての実態をつかみたいという考えで、実態調査の方法を試みてみたのでございます。そして四つの河川を選びまして、それぞれ班にわかつて実態調査におもむきました。多摩川、信濃川、庄川及び天龍川の四河川を選択いたしました。この選択の基準につきましては、あるいは地理的の関係から、あるいはそれぞれの河川が持つております特色から選定いたしたのでありまして、必ずしもこれが代表的な河川であるという意味ではございません。費用その他の関係もあり、また日時の関係もありましたので、もつと適当な河川が他にあるわけでありますけれども、すべてにわたるわけに行きませんので、一つのサンプルといたしましてこの四つの河川にそれぞれ実態調査におもむしました、そして現地におきまして各委員がそれぞれ実情を把握することに努めたわけでございます。そして各委員の報告を求めまして、その報告を一応整理したのでございます。しかしその報告につきましては各委員見るところをおのずから異にしているわけでありまして、その報告によりますれば、相当見解の相違があるわけであります。従つて部会それ自身といたしましては、この報告について意見の一致を求めるとか、あるいはこれを全体的に部会そのものの意見として採択することをいたしませんでした。ただおのおのの委員の見たところをそのまま報告するという形にして、一種の記録にとどめたのでございます。特にそこで問題になりましたのは、各委員が問題として取上げたことが一体どのような原因に基くのであるか、はたしてそれが制度上の原因なのか、あるいは行政運営の上の問題にすぎないのかというようなことにつきまして、詳細、徹底的に研究する余地は相当残されておつたのでありますけれども、それらの問題はおのおの委員の見るところにまかせまして、一応の実態調査報告を求めたにとどめたのであります。しかしせつかく実態調査をいたしたのでありますから、おのずから水制度部会として今後取上げて行く問題の選択に参考にいたしたいと思いまして、この報告を中心といたしまして一つの部会を設けまして、今後の審議にも参考になるような事項の選択をしていただいたのであります。  その部会によつて報告されましたのが、大体三つの事項に関する事柄でありました。第一は調査計画及び実施の総合性に関する事項、つまり水に関する調査計画及び実施において総合性に欠けるところがあるという点から見まして、この総合性に関する事項を取上げるということ。第二は水に関する管理に関する事項。第三は水の使用及び事業許可に関する事項。第四は補償に関する事項、水没等の補償に関する事項であります。第五は水文資料の整備に関する事項。第六はその他の事項。大体この六大項目にわかちまして、一応水制度の全貌をうかがうことにしたわけでございます。これらの事項につきまして、一応目安ができましたので、これらの事項に基いて各委員のそれぞれの意見の開陳を求めたわけであります。特に文書の形で各委員からこれらの各事項についての意見を徴したわけであります。そして各委員の意見の説明を中心といたしまして、審議を続行したわけであります、これらの問題に関する各委員の意見も、また相当食い違つている点もありますので、今後どういうふうにこれをまとめて行つたらいいかという点につきまして、いろいろと審議の途中相談をいたしたのでありますが、一つの案といたしまして、この部会の委員及び専門委員は、それぞれ専門の方面を代表している人であり、また各省の代表者も直接加わつているので、なかなか意見をまとめることがむずかしかつたので、行政機関の直接の代表者は一応除きまして、それ以外の学識経験者だけを中心として総合分科会を設けました。そうして総合分科会におきまして、この六項目を中心として、これに必要なものを加えるか、あるいはこれから必要ならざるものを削除するか等につきまして、総合分科会で成案を得るように努めたのでございます。総合分科会と申しましても、二十数名になつておりますので、なかなかこれをまとめにくいわけでございます。そこで昨年の暮れになりまして、どういうふうに今後のまとめ方を進めたらよろしいかということになりまして、お諮りをいたしましたところ、各委員から総合分科会の会長と申しますか、これが一応個人としての成案を出したらどうかという提案がありまして、私か一応の試案をつくつてみる、こういうような提案であつたのであります。やむを得ざる措置といたしまして、一応の成案を得ることにすることをお引受けいたしたわけであります。そこで暮れからこの正月にかけまして、一応私個人の案を作成いたしたのであります。それが皆様のお手元に配りましたところの案であります。これがその後一月以来数回にわたりまして目下審議中の案なのであります。  この試案に基きますところの総合分科会の審議の状況も、また前と同様にいろいろの意見が出ているのでございまして、現在はただこの案を中心として質疑をし、応答をする。そして場合によつては自己の意見も積極的に開陳するというような形で進んでおりまして、まだこの案の全体に通じて審議は進んでいないのであります。  この案は大体六つの事項にわかれているのであります。第一は治山、治水及び水資源の利用保全の総合性に関する事項、第二は河川等水資源の管理に関する事項、第三は補償に関する事項、第四は財政に関する事項、予算等財政に関する事項であり、第五は水資源に関する特殊問題に関する事項、第六は水文等基礎資料の整備に関する事項、こういうふうに事項を六つに大別してつくられているのでありますが、目下審議しておりますのは、第一と第二まで進んだのであります。なお今日も続行するのでありまして、今日は第三、第四に進む予定でございますが、以上のような状況でありまして、この部会としましては、まだ十分にこの試案についてすら審議が尽されていないのでございます。そういう途中でございますので、この案の意味と申しますか、価値と申しますかは、部会といたしましては何とも申し上げられない程度なのでありますが、ただ冒頭にも申し上げましたように、一応先ほど申しましたような経過でつくりました試案でございますので、その程度でこの案の内容について御説明申し上げますから、ひとつその意味でお聞きを願いたいと思うのであります。  この案の第一と第二が今までの審議におきましても一番論議が集中されているのでございますが、それは当然なことでございまして、この治山治水及び水資源の利用保全の総合性に関する事項と、その次の河川等水資源の管理に関する事項が、水の行政制度に関する特に根幹的な問題であります。これが一定の方針において定まりますならば、補償の問題も、財政の問題も、その他特殊な問題につきましても、おのずから解決の方途が見つかるわけでございますが、一応根本的な問題でありますので、従つて論議もここに集中しておるわけでありまして、意見も相当違つておるように見えるのであります。しかし一応この試案がどういうところをねらつて、どういうところに重点を置いてつくられたかということを御説明申し上げてみたいと思うのであります。  これを第一の問題について簡単に申し上げますと、現在の水に関する行政制度は、御承知のようにそれぞれの単行法によりまして各省の所管となつておるわけでございます。従つてそれに伴つて必要となる調整の事項は、その必要性につきましては前々から認識されて来たのでありますが、一体その調整をどんな方式でやるか、その調整の場所をどこに置くかということは、俗な言葉で言いますならば、みな各省のなわ張りに関係することでありますので、同一の水準において存在しておるところの、各種の目的をもとにする今日の単行法を基礎とする行政制度を調整する道はなかなか見つからないわけであります。そこでこれらの調整方式の場所として考えられますのは、国土総合開発法のような、初めから総合性を目的とするところの制度にその調整の場所を求めるか、あるいは新たに水制度調整法のような特別法をつくるか、いずれにしても現行制度そのままではなかなか困難ではないかというのがこの案の考え方なのであります。  それならば国土総合開発法はどのような状況になつておるかと申します。と、御承知のようにすでに国土総合開発法も改正されまして調整の問題が頭を出しておるわけであります。たとえば第四章の第十三条の規定はそれでありまして、たとえば十三条の三の場合におきましては、総合開発計画の実施に関する勧告として「経済審議庁長官は、総合開発計画の実施について調整を行うため必要があると認める場合においては、関係各行政機関の長に対し、必要な勧告をすることができる。」あるいは特定地域総合開発計画に関する調整といたしまして十三条の二は「関係各行政機関の長は、やむを得ない事情により、特定地域総合開発計画の円滑な実施に支障を及ぼす虞がある処分又は事業を行わなければならない場合においては 内閣総理大臣に対し、当該特定地域総合開発計画との調整を要請しなければならない。」とか、種々そのような調整の機会がこの国土総合開発法において頭を出しておりますので、この点に着眼をいたしまして、なお水制度の問題につきまして、国土総合開発上の措置といたしまして、調整方式が考えられないのかというのがその考えの基本であります。  そこで第一の治山治水及び水資源の利用保全の総合性に関する事項というのができたのであります。その点に問題が三つほどでございます。一つは現在の特定地域の問題でありますが、その特定地域との関連を生ずる問題でありますけれども、総理大臣が治山治水及び水資源の利用保全の総合性を確保するのに必要ありと認めたときには、一定の河域を総合開発河域として指定する、こういう基本的な考え方で、一応現在の総合開発法の特定地域よりも進んで、この指定されたところの河域につきましては総理大臣が中心となつて関係各行政機関の作成する計画を総合調整してその基本計画とするというような考え方なのであります。  ところで問題はそのような特定の河域を総合開発区域とするという理由がどこにあるかという問題でありますが、これは現在の特定地域の問題につきまして一歩前進しようという考え方なのであります。これにつきましてはいろいろの議論が出ておるわけでありますが、今日の特定地域につきましては、御承知のように地方公共団体が中心となつてその発意のもとに計画が立てられるようなかつこうになつておりますけれども、そこにいろいろの問題がありますので、進んでこの特定の河域につきましては、国が中心になつてやるという考え方がここに出ておるわけであります。従つてそれらの河域をどのようなものとして指定するかということが重大な問題となり、また特定地域という問題との関連をどするかということにつきましては、なお今後の問題として残されるのであります。考え方といたしましては、そうして初めて特定地域というものの実質上の開発が進められるのではないかという考え方になつておるのであります。またその次の問題は、調整をしますのにはやはり調整の基準というものがなければ調整はできるものでない。単に話合いをするとか情報を交換するとかいう程度では、決して調整はできるものでないという考え方から調整基準の作成ということもし、場合によりましては、内閣総理大臣がそれらの水資源の開発の調整のために、最高度にその目的を到達するためにその基準を作成する。そしてその場合において調整の方法、権限としては、現行制度よりももつと内閣総理大臣の権限を強化しようという考え方なのであります。そういたしますると、内閣総理大臣といたしましては、このように利害が錯綜し、中には技術的な問題まで含んでおりますので、相当補佐機関を強化する必要があるという考え方から、調整はもちろん法律上総理大臣が行うのでありますけれども、その補佐及び諮問機関をもつと強化するという意味におきまして、まず補佐機関といたしましては、経済審議庁長官が内閣総理大臣を補佐してやるという形をとつております。もちろんこの経済審議庁長官が補佐をするためにどのような措置をとるかにつきましては、いろいろの具体的な方法が考えられるわけでありますが、それらにつきましての詳細な方法は、この案といたしましては留保しておるわけでございます。そしてその補佐機関のほかにやはり諮問機関が必要でありますが、その諮問機関といたしましては、現行の国土総合開発法がもつとこの調整目的のためにも働き得るように、国土総合開発審議会を考えて行くという点が一つの提案として出ておるわけであります。どのように国土総合開発審議会をかえて行くかと申しますと、これについてはいろいろの案が考えられますが、たとえば国土総合開発法の中には河域部会というものがあるそうでありますが、これは今まで働しておらぬそうでありますが、そういうようなものを強化して諮問機関としての活用をはかるというようなことも考えられておるわけであります。こういうふうにして中央におきましては、調整の方式を、現行制度に備わつていないものを与えようという考え方であります。と同時にこの案で特色になりますのは、単に中央だけでなく、地方にもそういう機関を置こうというのであります。特にここにあげられておりますのは、重要な水系を中心をする地域に、総理府の機関といたしまして河域開発会議というものを置こうという考えであります。河域開発会議というのは、やはり一種の諮問機関でありますけれども、それは地方機関といたしまして、地方公共団体の特殊事情というものも考慮しなければなりません。その要請も加味しなければなりません。また各行政機関の出先機関もありまして、それが現在ではその相互において場合によつては連絡協議をしておることもあるそうでありますが、制度上はそういう連絡協議というものがないといつていいのであります。そこでそれを制度的に連絡協議ができるようにこの河域開発会議に出先機関も加えまして、一種の、地方にも調整的な役目をする機関を置こう、こういう中央、地方にわたつての二本建の考え方でございます。そういうようなのが許可制に関する具体的な提案でありまして、おそらくこの点につきまして現行の国土総合開発法の改正を必要とすることになりますので、立法上の措置といたしましては、国土総合開発法を改正するか、あるいは国土総合開発法は現状のままにしておきまして、特に調整だけを目的とするところの特別法をつくるかというような立法上の措置に関する案を二本出しております。このいずれともまだ決しかねておるわけでございます。そこでこの許可制に関する問題は、主として計画段階に属する問題が多いのでありますけれども、一歩調整に入りましたので、一応管理の問題にも触れて来ることになります。  そこで問題は第二の河川等の水資源等の管理に関する事項でありまして、おそらく現在の水制度に関するところの具体的な問題は、全部この管理の問題に触れることと考えられるわけであります。そういうわけで管理に関する問題が、この案におきましては非常に重要な部分を占めるのでありますが、まずそれには管理の基本的な方針を立てる必要があるというので、ここで二つの内容を持つた管理の基本方針の樹立ということをうたつてあるのであります。管理は原則として関係各行政機関の権限と責任において行うものとするけれども、各関係行政機関のセクシヨナリズムの弊を避けるものとすること、管理は水系資源により総合的見地において行うものとすること、第三に、管理は水系を中心とする河域における地方事情に基いて行うものとすること、大体このような三つの内容を持つた基本方針を樹立いたしまして、それぞれこの方針に対応するように今日の現行管理制度に改正を加える必要があるという考え方であります。  そこでまず管理に関するおもなる事項でございますが、ことに河川と水資源の調査計画及び実施はおおむね現行方式を尊重して行きたい。管理の問題は計画の総合性よりも、やはり現行制度の建前を尊重して行きませんと、管理という事柄の性質上現行制度を著しく動かすことはできないという考え方がここにあるわけであります。しかし必要な限りこの基本的方針に基く管理についても総合的にやつて行きたいという考えでございます。そこでさしあたりその管理ということになりますと、各省の所管事項が明確でないものがある。所管の明確でないということにつきましても問題なのであります。たとえば工業用水というものは水の利用の一形態でありますが、それを対象とするところの所管というようなものが現行制度でははつきりしないという意味であります。もちろん工業用水道という用水の施設に関する所管はあるわけでありますけれども、水の利用ということになりますとはつきりしないものがある。そこで工業用水というようなものには、どうも所管がはつきりしないのではないかといつたような考え方で、そういう所管のはつきりしないものをはつきりさせようということがここでうたつてあるのでございます。ただどういう根拠に基いてはつきりさせるかについては、いろいろ争いのあるところであります。工業用水道というような水道という考え方で行くのか、あるいは工業用水という工業のために用いられるという工業を中心として考えるか、そこらにつきましては、なお根拠につきまして相当議論があるところでありますけれども、一応所管が不明瞭なものについては、これを確定しようというのがここに現われた意見であります。  それから先ほど第一の問題で申しましたように、総合開発河域というものが指定されますと、その場合の河川管理はどうなるかという問題が生ずるわけであります。これは現行制度における河川と同じ考え方、但し河川の種別につきましては、これは特別河川としておくという考え方であります。そうして河川法との連絡をつけたわけであります。  それからこの総合開発河域におきましての計画及びその実施については、関係行政機関において連絡協議するということを法定するのであります。法律上の制度として連絡協議をするということにしております。その法律をいかなるものとするかという点につきましては、まだ決定していないのでありますし、この案といたしましても、どの法律ではつきりきめるか、たとえば河川法上の制度とするか、国土総合開発上の制度とするかということにつきましては、なお研究の余地があり、あるいは先ほど申しました特別法にする調整法で設けるか、そこらにつきましては、なおこれははつきりさせていないのであります。  いま一つの点につきましては問題のある点でありますが、各行政機関及び地方公共団体の長が、河川と水資源に関する事業を認可し、または実施しようとするときには、あらかじめこれに関する計画を公表いたしまして、その利害関係人に対して異議申立ての道を開くものとするということが、ここに加えられておるのでありますが、この異議申立てにつきましては、相当問題がありまして、異議を申し立てることにおいて、利害関係人その他国民の権利を尊重して行くという思想はけつこうであるけれども、実際問題として、行政の運営に障害を与えないかというようなことで——これは現行の制度の中にもあるのでありますが、これにつきましては、これを一般的に認めることにおいては相当研究を要するというような議論が、この総合分科会におきましてはたくさん出ております。  第三といたしまして、施設の維持運営に関する事項でありますが、ここにはいろいろの問題が出ておりまして、たとえば多目的ダムの管理についての問題であるとか、あるいは特に緊急事態に処する場合の措置であるとかいうようなことがここに規定されております。  第四に水の使用及び工事の許可等に関する事項でありますが、これが一番問題なのであります。要するに水利権、使用権及びその工事の許可に関する現行制度に対する批判になるわけであります。これにつきましては、一応原則といたしまして現行管理制度を尊重して行くという考え方が基本にあるのであります。しかしそれにつきまして、その考え方のもとにおいても、まお二つの案が考えられる。つまり各水の利用の立場から考えまして、その河川の管理ということを中心として考えて行く場合におきましても、それに対していろいろと見解の相違を生ずる場合のことを考慮しなければなりませんので、ここに二つの点を考えたわけであります。その第一の方は、河川の管理者、今日におきましては御承知のように府県知事及び建設省でありますが、いわゆる河川の管理者またはその主務官庁においてそれを行う、これが現行制度であります。但しその場合において、関係行政機関は重要な水資源の利用に関しましては調整を求めることができる、こういうのが一案であります。すなわち現行制度の上に調整を求めるということを加えるのが第一案であります。  第二案は、現行制度から少しく離れる——というよりは、水資源の利用の立場な多く重視しておる考え方であります。一応各行政機関の機能を尊重して、その機能に基く管理というものを重視しようという考え方で、一種の分散主義であります。そこで、たとえば電源の場合におきましては通産省、灌漑用水につきましては農林省、各事業の所管官庁があらかじめ調整機関の同意を経てこれを行う、こういう考え方であります。一は、現行制度を基本といたしまして、調整機関をそこに介入せしめる考え方、二は、各事業官庁に管理を分散せしめまして、それがあらかじめ調整機関の議を経て行うという考え方、なおこの二つの案のほかにも、この両者の間の折衷的な案もございまして、この管理をいかほど分散せしめて行くのがいいが、あるいは河川法上の管理者を中心としてやつて行くのがいいのかという点につきまして、なおここに議論が多く残されておるのでありまして、私どもの現在の総合分科会においても、ここで今いろいろと議論が闘わされておるような状況なのでございます。  この水の使用及び工事の許可に関しましてなお問題になりますのは、先ほど地方にも調整機関を設けるということをうたつてありましたが、その地方の調整機関であるところの河域開発会議というものが、この問題についてどのような役割を演ずるかということであります。これがこの四の2にうたつておるところであります。「行政機関及び地方公共団体の長は、治山、治水、及び水資源の利用、保全に関係ある事業を実施しようとする場合には、予め河域開発会議の意見を聴くものとすること。」河域開発会議は諮問機関でありますから、あらかじめ意見を徴せられた場合におきまして、その意見を開陳することができるわけであります。  この河域開発会議にどのような程度においてあらかじめ意見を聞くかは、実際上の問題といたしましては、いろいろ考えなければならない点があるということが議論として指摘されておるところであります。場合によつては、そういうことがあると、めんどうになつてしまうというような議論もございますけれども、一応この案の建前といたしましては、いきなり中央に持つて来てやるよりは、一応地方において、ことに総合開発河域とか、あるいは重要なる水系とかいうような地域に機関を設けまして、地方事情においてその問題を解決できるならば、すなわちその意見を聞くことにおいて解決ができるならば、その方がいいのではないだろうか、何でも中央に持つて来て解決するということよりも、その方がいいのではないかという考え方で、一応この河域開発会議において意見を聞くというような形をとつておるわけであります。  慣行水利権の問題につきましては、先ほど申し上げましたような水の法律制度に関する専門分科会におきまして、——この問題は従来いろいろ議論があるところであり、また裁判所等の判決の問題があり、また学者の解釈もいろいろ多岐にわかれておる問題でありますが、分科会におきまして一応整理を進めておるのであります。しかしなおこの問題につきましては、相当調査を続行する必要があるのではない、か、その調査の実態を把握する必要があるということで、なお今後慣行水利権については調査を行う、その調査を行うについては、この水資源の合理的な開発に資するように慣行水利権というものを規制する必要があるのじやないか、なかなか沿革的にむずかしい問題でありますけれども、今日の時代の要請である水の総合利用開発というようなことについて、それに資し得るように規制する必要があるのではないか、という程度がこの試案の意見でございます。そんなわけで大体総合性と管理に関する案のようでありますが、これに続いて補償に関する問題と財政に関する問題があるわけであります。特に補償の問題がずいぶん議論になるのでありまして、まだこの案につきましては、十分審議しておりませんけれども、一応この補償に関する事項につきましては、総合開発上電源開発等に伴いまして水没補償のような問題と、水害補償という昨年来の問題が起りましたので、その補償の事項につきましては、水没補償のような総合開発に基くものと、水害との二つの種類があがつておるわけでございます。それにつきまして、従来資源調査会やまた電源開発等に伴いまして、補償の制度につきましては若干研究もあり、また制度化もされておるのでありますけれども、やはり都会といたしましては、これにつきましてもつと徹底的に研究をする。補償の対象、補償の基準及び補償の方法というようなことにつきましては、なお研究する必要があるということをうたつておるわけであります。  ただここで一番問題になりますのは、補償の問題の一の4でありますが、補償が非常に遅れる。現状におきまして非常に補償が遅れておる。そしてまた補償の際に総合開発あるいは総合計画という見地が、はたして取入れられているかどうかというような見解から、補償を早くするのにはどうしたらいいかということと、補償が単に一方的になされないで、また総合開発の上で支障を来すような補償では困る。あるいは積極的にそれに資するような補償の方法はないかというようなことで、補償の迅速化と総合計画化ということをうたつておるのでございますが、補償の迅速化の問題につきましては、どうしたらいいだろうということで、いろいろ議論があつたのでありますが、それには地方機関として河域開発会議というものが設けられますので、補償計画の成立をこの機関があつせんをしたらどうか。あつせんという考え方は、御承知のように土地収用法の考え方をここで利用したわけでございますが、一応この河域開発会議であつせんをするという考え方でございます。そしてあつせんが成立しない場合も予想しなければならないわけです。そのときにはしかたがないから、結局土地収用法による。いきなり土地収用法の手続によりましては、法律的な手続でありますために、この補償の迅速化という目的には沿わないわけです。そこで一応この会議であつせんをいたしまして、それでもどうしても成立しない場合におきましては、土地収用法の手続によらざるを得ない。結局問題は最後的に法律的な成立をまつほかはないのでありますから、最後はそうするが、途中においてはこうした開発会議の立場からあつせんをしたらどうかというのが、この迅速化に資する考え方であります。  いま一つの問題は、補償ができないときに工事はどうするのだ、補償ができないと工事の許可もできないのかという問題がありまして、また場合によつては補償はまだ未成立であるけれども、工事の許可だけは進んで行くという場合もありましようし、工事の許可が補償ができないその他の理由でもつて許可が留保されているような場合もあるわけであります。そういう政治的考慮を要さなければならない問題がここにありますので、それはどうするかというのが問題なのでありますが、この場合河川管理者であるところの府県知事が工事の許可をする場合におきましては、前に述べました補償計画があるのかないのかということを考慮して、たとえばあつせん計画等がある場合におきましては、たとい補償が最後的にきまらなくても、その工事の許可をおろすことができるようにしたらどうか。そうすれば迅速に運ぶのではないか。しかしその補償計画のあることを考慮するなんというのははなはだなまぬるい考え方でありますけれども、しかしなかなか微妙な問題がありますので、一応その程度の補償計画があれば、それが最後的に利害関係者において受諾されなくても、工事の許可は必要ある場合にはおろしてもいいじやないかといつたようなことを、ここで考えられているわけであります。  こういうようなことをどうして立法的な措置をしたらいいのかという問題でありますが、それにはやはり国土総会開発法でこの問題を解決するか、あるいは先ほど申しましたように、水資源調整法という特別法でやるかといつたような、二つの案を考えているわけでありますが、まだ成案がどつちともきまつていないのであります。  それから水害に関する問題でありますが、これは御説明申し上げるまでもないことであると思うのでありますが、一応今後水害補償の問題につきましても、今日の状況のままで放置することはできないということで、水害補償につきましては、まずその水害の原因調査の的確化及び被害調査を適正ならしめるための判定制度の樹立ということをうたつているのであります。それから災害復旧工事に関する国庫補助率の適正化、災害復旧工事と改良工事との関係の合理化、水害補償に対する社会保険制度及び財政措置といつたようなことをうたつております。それから災害の表示法というものが研究されており、成案があるのでありますけれども、それの実施につきましては、なお行政上の問題といたしますと、これも統一的に実施するにはいろいろの措置を講じなければならないというのであります。そこで科学的な災害表示法でありましても、実際それを行政の上で表わすにつきましては、なおいろいろ考慮しなければならない点があるということをうたつておるのであります。  そのほか財政に関する事項でありますが、このうちの重要なものは、当然現行制度に基きまして、水資源の総合開発、あるいは治山治水に関する問題は、全部公共事業費として財政上は措置されるわけでありますが、それにつきましては、公共事業費の年次計画の樹立の問題、予算制度の合理化を期するということをうたつておるわけであります。そのほか税制、補助金等に関する事項もここに取上げたわけであります。  最後に、いろいろの特殊問題が残されておりますので、これを一括してここで取上げました。その事項だけを申し上げますと、地下水に関する事項であります。近時地下水が工業用水等の関係において問題になつている際でありまして、この地下水に関するところの事項を取上げたわけであります。第二は汚濁水の問題でありますが、汚濁水と水質に関する事項であります。第三には保安林に関する問題でありまして、保安林の拡大強化の問題と林野行政と河川行政の連絡協力の確保の問題、第四は魚族その他水産資源の保護の問題、それから水産資源の開発計画、第五に水運に関する事項、第六は水利権の紛争に関する事項として、ひとつ行政調停の制度を設けたらどうかという考えであります。  最後に第六といたしまして、水文等基礎資料をなお整備をする必要があるというので、水文資料に関する事項をここに取上げたわけであります。なお資料がせつかく収集されましてもこれを利用することが十分でない。何人もこの水文資料その他基礎資料につきまして利用できるように、これが利用の方法を考える。そのためにはやはり若干立法的措置をいたしますが、そういう立法措置のことをあげたわけでありまして、そういうような雑多な事項を第五であげたわけであります。  以上、大分時間をとりましたのは恐縮でございましたが、現在の水制度部会の総合分科会におきまして、一応私か委嘱を受けまして、各委員の意見を総合いたしましてつくりました案、もちろん試案でございますが、それがどんなことを問題として取上げているかということについて、御説明申し上げたわけでございます。

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 この際質疑の通告がありますので、これを許します。楠美省書君。

楠美省吾改進党

○楠美委員 蝋山先生がお忙しいからだでこの水の問題を長い間非常に御研究されたことにつきまして、私委員として弔最大の敬意を払う次第であります。水の問題は非常にめんどうでありまして、われわれとしても大いに勉強しなければならぬと思つておるのでありますが、先ほどいろいろな御説明を受けました中に、たとえば八ページの中に「現行制度を尊重しつつ、」というような言葉があります。また「関係各行政機関の権限と責任において行うものとするが、各関係行政機関のセクシヨナリズムの弊を避けるものとすること」、というような言葉もあつたりしまして、私は、この計画は蝋山先生が非常に苦労をしてこしらえた案だと思いますが、やはり問題は何かもう一歩つつ込んだ制度的なものにあると思うのであります。ある省に味方しておる省には味方しないという考えはもとよりないのでありますが、やはり建設省がわれわれに出した資料を見ましても、第四のところに「現行制度においても発電事業については、通産省は旧公共事業令による施設認可と水利権に関する意見勧告の権限をもつており両省の連絡調整は充分であると考へる。」こういう言葉が出ております。また通産省から出した書類を見ますと、「次のごとき」問題が生じ電源開発の円滑な遂行が阻害されている。」とありまして、いろいろな阻害されておる例をたくさん述べられております。また農林省の方でもいろいろな意見があるようでありますが、私これらを見ますと、水に関する強い法律は河川法——これは幾たびか改正もされておるようでありまするが、なにさま明治二十九年に制定された法律でございまして、これが水に関する一番大きな力のある法律だと思つております。これを先生がいろいろ苦労されてやつておるのでありますが、やはり制度的に、——先ほども特別調整法でも出したらどうかというようないろいろ御意見がございましたが、もう一歩つつ込んだ、思い切つた、たとえば経済審議庁あたりに水を管理する一つの大きな部門をつくるとか、そういうことをやつてもらつた方がいいのではなかろうかと思うのでありまして、その点では、きようは農林省も建設省も通産省も皆さんお見えになつておるようでありますから、時間さえありますれば、蝋山先生を中心に、そうした各省の蝋山先生の御説明に対する意見をわれわれに十分聞かしてもらいたいと思うのでありますが、先生は十二時までしかおられないそうでありまして、それができないことははなはだ残念に思うわけであります。そこで、そういう点でこれはもう一歩つつ込んだ制度的な大きな改良でもしてもらわなければ、この問題はなかなか片づかぬのじやないかと考えるのでありますが、これに対して先生はどうお考えになつておられましようか。

蝋山政道国土総合開発審議会水制度部会長

○蝋山参考人 現在の制度をうまく運用すればまあやつて行けるのじやないかという説も、相当傾聴すべきものがあると思います。けれども現行制度がそれぞれの機能別によつてわかれておりますために、むしろその制度に熱心であればあるほどほかの方と衝突するということにもなりやすいわけでありましてその場合におきましては、どうしても制度的にこれを調整する方法を考えなくてはならない。つまりセクシヨナリズムということは必ずしも運営上の問題ではなくて、制度上の問題じやないかという考え方も十分あるのであります。そういう意味から先ほど御説明申し上げましたような程度で一応調整をして、今日の各省の対立というようなものがありとすれば、それを一歩高いところへ引上げることができるのじやないか。その場合どこを中心としてやるのがいいか、仰せのように経済審議庁を中心としてやるのがもともと経済審議庁の性格はこうした調整的なものなんでありますから、それが適当なのかどうかということにつきましては、私どもは研究をしたわけでありまして、この案のような程度で一応そういう中央の調整機関を設け、また経済審議庁として地方に何らかの調整的な機関を設けることにおいて、その目的に到達できるのじやないかというような考え方を一応したわけでございます。それはやはり仰せの通りの制度上の改革なんでありまして、それが抜本的でありやいなやということはそう簡単に申し上げられませんが、管理の問題につきましては、なかなか現行制度にも沿革があり、また相当の理由もあると思いますので、これはそう根本的に動かすことはできない。しかし調整ということについては、できるだけその調整の目的を達するような有力な機関を設けたらいいというのがこの案の趣旨であります。

楠美省吾改進党

○楠美委員 そこで先生のお考えでは、この問題は今のところそうした調整の程度で各省が満足し、これでやれるとお思いになつておられますでしようか。一箇年以上の御研究の結果どうですか。

蝋山政道国土総合開発審議会水制度部会長

○蝋山参考人 どうも調整機関すらなかなかできないような現状で、そう簡単にできないと私は思つておりますが、しかし調整の必要はすべて認められているのではないか。ただ問題は調整の場をどこに求めるか、どのような法律において調整をするかということしついてはなお争いがあるのではないかと思います。従つて行政機構の抜本的な改革ということはこの案では予想しておりません。

楠美省吾改進党

○楠美委員 どうも私不勉強でありますが、日本の政治の面から経済審議庁あたりが非常に力がなくなつたことは、日本の政治を非常に悪くしておる。まあこの問題はそうばかりも言えないのでありますが、経済審議庁あたりのような大きな総合計画をする役所をうんと強くすれば、もつと日本の発展が促進されるのじやないかと思つておるのでありますが、この問題につきましては、いろいろな研究の結果を各省の人たちからもまたいろいろ伺いまして勉強させてもらいたいと思います。ありがとうございました。

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 小平忠君。

小平忠日本社会党(右)

○小平(忠)委員 きわめて重要な問題について蝋山先生が御多忙の中を特にいろいろな角度から御検討されまして、ただいま長時間にわたりまして構想を承つたのであります。私は日本の資源開発の見地から水というものがいかに重要であるかということに関しまして、特にその水の権威である蝋山先生がかかる考え方を率直に話されましたことについては非常に敬意を表し、また今後大いなる期待を持つのであります。  ただ二、三点お伺いをしたいと思うのでありますが、ただいまの御説明あるいは資料としていただきましたものを拝見いたしたのでありますが、大体私たちも非常に未経験また不勉強のものでありまして、内容の熟知はいたしておりませんけれども、大体われわれが考えておるような点を一応指摘されておるのでありますが、もう一歩深く掘り下げていただきたいような感じがいたすのであります、と申しますのは、今日電源開発あるいは洪水調整あるいは水利等に関しましても、どうも各省のセクシヨナリズムというものが大きな災いをしておるのではなかろうか、それはそうではなくて、行政上の機構上の欠陥だ、ごう指摘されましたか、私もそうだと思います。その二つのものが常に輻湊し、ものことな進める場合に大きな支障となつているのではなかろうかというふうに考えるのであります。最近の卑近な例を申し上げますと、私は北海道でありますが、昨年の洪水の際に雨竜ダムがいよいよあぶないということになりまして、雨竜ダムというのは大体これは電源を中心にいたしましたダムでありますが、周囲約四十キロばかりありまして、おそらく人造ダムとしては、その広さにおきましては日本で一、二を争うくらいの大きな人造ダムではないかと思うのであります。ところが大体百八十ミリから二百ミリくらいの雨量によつて決壊をする、こういうので電源会社の北電の一方的な意思によつて放水をした、その放水が、雨竜川は石狩川の上流で、あの石狩平野が五十年来かつてない未曽有の洪水になつて田畑が非常な災害をこうむつたのであります。その後喧々囂々たる非難がありました。これらにつきましても、結局は水の管理、こういつた問題に非常に不備があつたのではなかろうか、さらに電源の開発といたしましても、あるいは水利といたしましても、どうしても急速にやらなければならぬという問題はあるのだけれども、結局補償上の問題がなかなか円滑に解決しないために、それが遅々として進まないという例はたくさんあるのであります。こういう問題についてここに立法処置として二つの事項を掲げられております。一つは国土総合開発法を根本的に改正することが一案。二番目は水資源開発調整法を特別法として制定する。この二つの考え方をここに出しておるのでありますが、一体この行き方の場合に、どちらがよいのか、ひとつこの機会に先生の端的な御意見を伺いたい。私はどうしてもこの際やはり水というものは関係するところが多いのでありますし、どうしても総合的な開発調整を行う特別立法、単独法がなされまして、特に私はアメリカの例を引くわけではありませんけれども、アメリカのテネシー川流域において例のあのテネシー・ヴアレ治は御承知のように世界的な開発をされた、あれは結局すべてが一貫しているのであります。私はそこまで参らなくても——、しかし今日本が資源開発を大いにやらなければならぬという場合においては、そこまで来なければ現在の機構の不備あるいは欠陥を補うことができないじやなかろうかというふうにも考えるのでありますが、先生からこの二点についてこの機会にもしお承りができるならば幸いだと思うのであります。

蝋山政道国土総合開発審議会水制度部会長

○蝋山参考人 実はここに二つの案を出しておりますのは、そのままに私の考え方を表わしているのでありまして、まだどつちとも決定しかねております。その理由は、国土総合開発法というものを現行制度の程度にとどむべき必要があるのか、つまりこれ以上調整のような方向にまで国土総合開発法を持つて行くことが、はたして妥当なのかどうかということは、国土総合開発法や国土総合開発審議会のあり方というものを検討いたしませんと、かりにこの国土総合開発法上の問題として進めましても、どうもうまく行かないのではないかということを考慮いたしますと、この国土総合開発法というだけでは足りないので、むしろ別個の方向で水調整法という特別法を制定して、いわば急場を間に合わすというような考え方、そうしておもむろに国土総合開発法そのものを一歩前進せしめるという行き方をするか、あるいは国土総合開発法も、先ほどもちよつと申しましたが、調整に頭を出しておる、ただその調整の仕方が、たとえば経済審議庁というようなものでは単なる勧告の程度であり、それもいかなる機会に勧告すべきものであるかはつきりしないというようなわけで、きわめて無力な調整方法である、そういつたようなことで国土総合開発法上の調整はそう有力ではございませんが、これをすでに調整として掲げている以上は、国土総合開発法も一歩前進して、十分に調整の機能を発揮し得るように改正することも可能なのではないかということで、この方にも一つの行き方があるというようなことで、あれこれ考えまして、なお決しかねておりますし、また部会におきましてもなおいろいろの議論がありますので、決しかねておるわけであります。

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければ以上をもちまして蝋山参考人よりの意見の聴取を終ります。  この際委員長より一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。蝋山参考人には御多用中にもかかわらず御出席くださいまして、長時間にわたり有益なる御意見を開陳され、本件調査の上に多大の参考となりましたことを厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。なお次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時七分散会

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