経済安定委員会 第5号
- 発言数
- 28 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/02/23
会議録
○加藤委員長代理 これより会議を開きます。 国際収支及び貿易政策の総合調整に関する件について調査を進めます。本件について、まず政府当局より説明を聴取することといたします。調整部長松尾金藏君。
○松尾政府委員 国際収支につきましては、前に本委員会に二十八年度の見通しと二十九年度の見通しの資料をお配りいたしまして、そのとき簡単な御説明を申し上げたと思うのでありますが、二十八年度の見通しにつきましては、さきにお配りして御説明をしましたところのものと最近の実績と比較して、もう少し実績に近い最近の状況を御説明申し上げた方がよろしいかと思います。その方は最近の十二月あるいは一月までの実績の数字の詳しいものを印刷用意して、本日のお手元にお配りをする予定でおりましたが、ちよつと印刷が間に合いませんでしたので、それが到着次第後ほど御説明を申し上げることにしたいと思います。 その前に、来年度の国際収支の見通しについて、この前御説明を簡単にいたしたと思いますが、その内容につきまして、もう少し詳しく御説明を敷衍していたしておきたいと思います。 来年度の国際収支の見通しにつきましては、御承知のように一応その国際収支のしりは約九千万ドルの収支の赤字が出ることを想定をいたしたのでありますが、この収支の見通しでやはり一番問題になりますのは、輸出の見通し、それから輸入の見通し、それから駐留軍関係のいわゆる特需の関係がどうなるか、主としてこの三点が問題となるわけでございますが、まず受取りの方から御説明をいたすことといたします。 輸出の見通しでございますが、この方は一応十三億七千五百万ドルという輸出の見通しを立てておるのでございますが、これをさらに通貨地域別に区別をいたしまして、ドル地域、ポンド地域、オープン・アカウント地域でございます。このドル地域の関係は、御承知のように四億四千五百万ドルという輸出見通しを立てておるのでございます。これは二十八年度の状況に比べましてやや内輪目な想定をいたしております。これは御承知のようにアメリカ方面の景気の状況がおそらく二十九年度においてはやや下降の傾向をとるであろうということを想定に織り込みまして、やや低目の四億四千五百万ドルという輸出見通しをとつたのでございます。これに対しましてポンド地域につきましては、五億一千百万ドルという輸出見通しを立てたのでございますが、これは御承知のように従来ポンド地域に対する日本側の輸出状況は、二十八年度の実績に見てみましてもかなり悪い状況であつたのであります。おそらく二十八年度のポンド地域に対する輸出の実績をとつてみまするならば、まだ年度の実績は出ないのでございますけれども、せいぜい三億五、六十万ドルくらいのところになるのではないかと思うのであります。それに対しまして来年度五億一千万ドルという輸出見通しは、その間一億何千万ドルかの輸出増加を見込んでおることになるわけであります。この点は御承知のようにこの来年度見通しを立てます隙に、ちようど日英協定の会談が進行中でございまして、その会談の結果をどれくらい織り込むべきかという点につきましては、かなり問題もあつたのでございますが、そのときは御承知のように日英相互間の貿易の量がちようど二億九百五十万ポンドで相互にバランスをしようという双方の意見の合私したときでございました。従いまして相互にその程度の貿易量でバランスをするということでありますれば、しかもその協定は相互に誠意を持つて会談を進めたわけでございまするし、そういう意味から日本側からポンド地域に対する輸出についても、おそらく英国側におきまして誠意を持つた解決策を講じてくれるであろうということに期待を持つたわけでございます。もちろんこれにつきましては、御承知のように英本国と英植民地の関係につきましては、大半この問題の解決はついたわけでございますが、いわゆるドミニオンの関係につきましては、なお今後に若干の問題を残しております。従いましてポンド地域に対する輸出につきまして、この五億一千百万ドルという輸出確保につきましては、なお今後相当の問題を解決し、またそれだけの輸出努力をしなければならないことになるわけでございますが、現在の状況では相互にバランスし得る程度の貿易量を輸出入とも見込んでいいのではないか、こういう想定のもとにこの輸出見通しをポンド地域について立てたわけでございます。オープン・アカウント地域につきましては、これは大体輸出の傾向が最近上昇傾向にもありまするので、二十八年度の予想実績に対しましてやや増加した金額を見込んだのであります。 これらを合計いたしまして十三億七千五百万ドルという、本年度に比べまして約一億五千万ドルばかりの輸出増加を見込んだのでございますが、これにはもちろん相当の輸出努力をしなければなりませんし、一般の総合政策と相並んで輸出の振興策を必要とすることは申すまでもないわけでございます。 それから同じく受取りの側につきまして、駐留軍関係のいわゆる特需の見通しでございます。これは御承知のように本年度八億一千百万ドルの見通しを立てておりますが、大体本年度に八億一千万ドルくらいの特需の受取り見込みはほぼ確実であろうと思うのでありますが、来年度につきましてはこれがやや減少をする要素もございますので、七億六千万ドルという受取り見込みをいたしたようなわけでございます。 そういたしまして、本年度と比べましてどういう点が増加し、どういう点が減少するであろうという点になるのでありますが、大体におきまして軍関係の個人消費、いわゆる円セールといつておる分でございますが、これは駐留軍等の減少に伴いまして、本年度の三億余りの見込みに対しまして、来年度二億八千万ドルというふうに、ここで四、五千万ドルの減少を見込んでおります。しかしながら片方に朝鮮関係を含めました、いわゆる復興特需というような意味の関係を考えてみますと、この関係は本年度に比べてやや増加することを見込んでよろしいと思うのであります。またそのほかに御承知のような、いわゆる域外買付の関係もございますが、これももちろん正確な見通しができるわけではございませんけれども、少くとも本年度に比べまして、来年度はかなり上昇することを見込めるのではないかというような点を相含めまして、総額におきまして本年度の八億一千百万ドルに対しまして、来年度七億六千万ドルという見通しを持つたのであります。受取りの方は大体この二点について見通しのおもな点を拾つて行きますと、そのほかにはそう大きな変動はないわけでございまして、受取り総額におきまして二十四億七千五百万ドルという受取り見通しをいたしたのであります。 これに対しまして来年度の輸入の見通しでございます。来年度の輸入を見通すということになりますと、御承知のように二十九年度の経済全体の見通しとただちに相関連する点が非常に深いのでございますが、二十一億四千万ドルという輸入見通しを立てたのでございます。御承知のように本二十八年度の輸入見通しは二十一億七千万ドルであつたのであります。もつともこの中には御承知のように凶作に伴います食糧の緊急輸入が一億三千六百万ドルほど入つております。これを来年度の二十一億四千万ドルと比較いたしてみますと——この中にも同じく凶作に伴う食糧の緊急輸入のずれが七千万ドルほど入つておるのでありまして、その凶作に伴う緊急輸入をただいま申しました輸入見込みの総額から差引いて、二十八年度と二十九年度の輸入見通しを相互に裸の姿で比較いたしてみますと、ただいま申しました数字の差引計算でわかりますように、二十八年度が二十億四、五千万ドルになるのに対しまして、二十九年度は二十億七千万ドル程度になるわけでございまして、ほぼ同じ程度の輸入規模ということに相なるわけでございます。これは前に御説明をいたしましたように、二十八年度と二十九年度の生産規模が年度間平均では大体同じであるということとほぼ相見合つておりますし、また一般の消費水準なりあるいは雇用、賃金等の関係が二十八、九年度はほぼ大差ないという関係とも見合つております。もつとも二十八年度の見通しは、先ほど申しましたように二十一億七千万ドルでございますが、最近の輸入の実勢は——この点は後ほどまた御説明をいたしますけれども、二十一億七千万ドルではちよつと治まりそうにないのではないかというような趨勢にございます。こういうふうにいたしまして、輸入のほかに貿易外その他を含めまして、二十九年度の支払い予想見込みは二十五億六千五百万ドルでございます。従いまして、先ほど申しましたように受取りが二十四億七千五百万ドル、支払いが二十五億六千五百万ドル、差引九千万ドルの赤字を想定いたしたのでございます。これは二十八年度におきまして実質上の赤字を二億四千万ドルと想定をいたしましたのに対しまして、来年度は九千万ドルの赤字にとどめるという想定をいたしたのでございますから、この意味で国際収支の関係もやや均衡に近い状態になることを想定をいたしておるわけでございます。先ほど申しましたように、来年度の輸入の中には食糧の緊急輸入が七千万ドル加わつておるわけでございますから、この九千万ドルの赤字から七千万ドルを差引いて考えてみますと、通常の状態における輸入の形に直しますれば、本来の赤字は二千万ドルに規定できると思います。また二十九年度の国際収支の見通しを上半期、下半期にわけて規定をいたしますと、先ほど申しましたような食糧の緊急輸入七千万ドルという、いわば赤字輸入の性質を持つておるものは、大体二十九年度の上半期にその大部分が輸入されることが想定されるのでございます。そういうことも織り込みまして、二十九年度の上半期におきましては、国際収支はなおかなりの赤字を残す姿になるのでございますが、下半期の姿におきましては、国際収支はほぼ均衡する状態になる、こういうふうに見通しを立てたのでございます。もつとも御承知のように日本経済の自立といつて従来論議せられましたものは、特需というような特別収支を除いて自立をしたいということであつたのでございますから、ここで二十九年度下半期は国際収支が大体バランスと申しましても、そこには先ほど申しましたような年間七億六千万ドルというげたをはいておるという姿で一応バランスするということに相なるわけであります。 大体この前の二十九年度の国際収支の見通しを補足、敷衍して御説明申し上げた次第でございますが、ただいまお手元に参りました資料につきましてて、前に申しました二十八年度の輸出入の見通しに対しまして、二十八年度の最近の輸出入の動きが、国際収支上前の見通しよりも日本側にとつてややつらいような状況に傾いておる傾向があるという点を御説明申し上げたいと思います。 非常にこまかな数字を掲げておりますけれども、大体の要点だけを御説明いたしまして、あとはお読み取り願いたいと思います。まず為替収支の一覧表というのを最初のページに掲げております。これは日銀の為替統計によりまして受取り、支払い及び受払いのプラス、マイナスを一覧表にとりまとめたものでございます。最初に二十六年の実績を掲げております。これは暦年でございますが、二十六年の暦年計におきましては、受取りが二十二億四千万ドルに対しまして支払いが十九億九百万ドル、差引二十六年当時におきましては約三億三千百万ドルほどの国際収支の黒字であつたのであります。これが二十七年になりますと、やはり同じく黒字ではございますけれども、ややその黒字の程度が減りまして、三億一千四百万ドルという黒字になつておりますのは、上から三段目のところに掲げてある通りでございます。それが二十八年になりますと全体の傾向といたしまして、輸出ももちろん伸びておりますけれども、輸入の関係がそれ以上に伸びまして、二十八年一—三月計、それから一—三月の月平均、二十八年四—六月計とその月平均というふうに、それぞれ四半期の状況をここに示しております。さらにその裏に参りまして、七月、八月、九月、十月、十一月、十二月、こう入つて参りますと、左の受取りの貿易の欄、つまり輸出の欄につきましては大体あまり大きな変化がないことをお読み取り願えると思います。まん中ほどにございます九月が八千五百万ドルの貿易受取りになつておりますが、十月で一億百万ドルでございまして、ここで若干ふえておりますけれども、十一月では九千六百万ドル、十二月で一億九百万ドルというふうに、輸出は大体そう大差ない足取りを示しております。そういたしまして、二十八年の暦年合計は十一億五千六百万ドルという貿易の受取りであつたわけであります。 これに対しまして支払いの方でございますが、これは支払いの貿易の欄にございますように、九月ごろまでは大体各月一億五千万ドル前後の貿易支払いであつたのでございますが、十月になりまして一億八千六百万ドルということで、約三千万ドルくらいの増加を急に示しております。それから十一月になりまして一億六千三百万ドル、十二月になりますと一億三千八百万ドルというふうに非常に急激な増加を示して来たわけでございます。一般に輸入の急激な増加とそれに伴う為替収支の赤字の問題が非常に大きくクローズ・アツプされましたのは、大体昨年の秋ごろからでございますが、その状況はこのような数字で示されることになるわけでございます。そういたしまして、二十八年の暦年の計では、貿易の支払いが二十一億百万ドル、これは暦年の計でございますから、先ほど申しました二十八会計年度の輸入見通しといきなり比べるわけには参らないのでございますが、二十八年の暦年の計では二十一億になつておるわけでございます。そういたしまして、そのほかに貿易外の受払いがあるのでございますが、最後のしりが一番右の欄にございますように、二十八年の暦年の計におきましては一億九千三百七十万ドルの赤字となつておるのでございます。これは先ほど申しました二十八会計年度の国際収支の見通しが、表向きと申しますか、収支の赤字が実質上は二億四千万ドルであるけれども、これに国際通貨基金からの借入金を含めて計算をいたしますと、二十八年度の国際収支の赤字は一億九千万ドルになるであろうというふうに、前に御説明をいたしたのでございますが、これは二十八の暦年で見ますと、偶然ではございますが、ちようど一億九千万ドル前後で一致をしておるのでございます。しかしこれを会計年度に直してみますと、この一億九千万ドルの赤字で済みますかどうか、これはまた次のページで御説明を申し上げたいと思います。 その次のページに輸出入実績といたしまして、ここでは通貨地域別に、さらに輸出入につきまして信用状の発行状況、またその月末残高等を見ております。これは、先ほど申しましたのが貿易の決済の最後のしりを御説明したのでございますが、ここはまだ最後の決済にならない以前の、信用状の発行の段階における状況を見たつもりでございます。これで見ますると、まず輸出の面につきましては、一番右に合計の欄がございますが、この(B)の欄、これが信用状の接受高でございます。輸出でありますから信用状の受け高になるのでございますが、これを大体月別にごらんになつていただきますと、多少の出入りはございますが、まあ一億ドル前後毎月信用状を受けております。つまり、輸出は各月ともそう大きな変化はない、また信用状の受けが、このように各月あまり大きな変化がないということは、実際の為替支払いはこれから二、三箇月ずれるわけでありますが、今後二、三箇月においても、なお輸出の面における為替を受ける程度は、あまり大きな変化がないということが言えると思います。これに対しまして、輸入の方はその次のページに掲げてございますが、この(A)の欄が信用状の開設高でございますが、これを見ていただきますとおわかりのように、大体十月ごろまでは一億五千万ドル前後の信用状の開設を示して来ておるのでございます。これに対しまして十月が一億九千万ドル、十一月が二億五百九十万ドル、十二月が二億三千二百二十万ドル、一月は二億四千六百三十万ドル、こういうふうに信用状の開設高が非常に急激に上昇して来ておるわけでございます。これが先ほど申し上げましたように、輸入に伴いますところの為替決済が、十二月、一月と急激にふえて来た形を、その信用状の開設の姿で見ますと、十月、十一月、十二月ごろの信用状の開設高のふえたことが、二、三箇月ずれまして、先ほどの為替決済の急激な上昇になつて来たというふうに相なるわけでございます。従いまして、この十二月の信用状開設高が二億二千三百万ドル、一月が二億四千六百万ドルというふうに増加しております点は、大体におきまして、一月、二月、三月ごろにこの為替の支払いが出て来るわけでございますから、その辺でかなりまた、こちらからいいますと、外貨の支払いが出て来るのではないかというふうに想像されるのであります。これからの各月の動きが、従来の各月平均の動きに比べまして上昇している点を考えてみますと、先ほど申しました二十八年度の輸出の見通しは、そう大きな変化はないであろうけれども、輸入の見通しは若干あるいは相当増加するのではないか、従いまして、特需も大体見通しの通しであるといたしますと、国際収支の最後の赤字は、当初の予定よりもある程度増加するということを覚悟しなければならないのではないか、あと一、二箇月のところは、まだ十分な見通しも立たないのでございますが、最近の輸出入の実勢から見ました二十八年度の国際収支の状況を御説明いたしたわけでございます。
○加藤委員長代理 ただいまの説明に対して、御質疑があればこの際これを許します。
○菊川委員 大体今の御説明で、二十八年度においては輸入が見通しよりもふえ、しかも特需収入が見通しよりも減つているというふうな傾向について伺うことができたのですが、そこで、本年の三月末を境にして見て、ここ一、二箇月のところは、まだ的確な見通しが立たないということでありますが、どの程度の輸入超過で押えられるかという大体のところを、見当がついておりましたらお話願いたいと思います。
○松尾政府委員 私どもの事務的な運びからいたしますと、来年度の外貨予算の考え方を検討しなければならないわけでございますから、その意味から、本年度末の外貨の状況をできるだけ正確な見通しを立てなければならない、時期的にもそういう時期に実は来ているわけでございます。しかしこの点は、現在この外貨の状況なり国際収支の関係について責任を持つております経審、大蔵、通産各省でしばしばこの点を検討はしておるのでございますが、現在のところ、この辺でどうであろうというような見通しがまだ立たないものでございますから、先ほど来申し上げました実勢から御想像願うという程度で御了承願いたいと思うのでございます。いずれ近く各省の意見が一致しますれば——これは見方で、いろいろな見方が立ち得るわけでございますので、一致して大体の見通しとして御説明できる程度のものができますれば、そのときにまたあらためて御説明いたしたいと思います。
○菊川委員 さつきの貿易及び為替関係の概況についての御説明の中で、二十八年の計において、十二月末で通算すると、一億九千三百余万ドルというような赤字になつておつて、たまたま見通しと一致をしたようであるというふうなことを伺つたのです。これは私の記憶違いかもしれませんが、われわれは二十八会計年度における最後の赤字の見通しが、この程度であると政府は押えておつたのではないかというふうに考えておつたのですが、これは私の記憶違いなのか、それともたまたまもつとふえるということになつたので、二十八年度でなくて二十八年末の一年間通計がこうなつたということでおられるのか、見通しと実情は食い違いがあるのかどうか、この点念のために伺います。
○松尾政府委員 私の説明の言葉が足りなかつたかと思いますけれども、今前段でお話になりました通り、二十八会計年度の見通しとして一億九千万ドルくらいの赤字になるだろうと予想しておつたのでありますが、会計年度で実際の赤字の実績をとるということになりますと、ちよつとそれでは納まりそうにないということを先ほど御説明いたした患いますが、たまたま二十八歴年で見ますと一億九千万ドルになつておりますので、これは歴年と会計年度を比べてたまたま一致しておるというようなことはほとんど意味のないことでありますので、そういうことを敷衍して御説明いたしたのであります。従いまして一億九千万ドルという赤字の予想は、これは二十八会計年度についての予想であつたわけでありますから、その予想は現状ではどうも当りそうもない、かなりの開きを生ずることになるだろうということになるわけでございます。
○菊川委員 それでこの点は了承しましたが、そうしますと、ただいま御説明がなかつたのでありますし、また最初の私の質問に対して多少お触れになりましたけれども、こういうふうな国際収支の状態で行きますと、保有外貨がこの二十八会計年度末、本年の三月になつてどの程度でとまるかということについての見通しがありましたらお伺いしたいと思います。
○松尾政府委員 この点もやはり国際収支の三月末の最後の赤字の見通しというものがまだはつきりついていないということと同じことになるわけでございますが、大体の傾向といたして見ぼすと、御承知のよう為替じりでは一月に約八千七百万ドルほどの赤字が出たわけでございまして、一月末の姿ではすでに九億ドル前後の手持ちになつしおるわけでございます。あと二月と二月の実績がどうなるかという点は、非常に重要なポイントでございますので、私どもも注目してと申しますか、最近の状況をできるだけこまかくおつかけておるのでございますが、その九億ドル前後の外貨がどうなるかという点は、ちよつとここで私どもの見通しとして申し上げるような段階にはなつておりませんので御了承願いたいと思います。
○菊川委員 これは一番重要な問題です。私どもこういう資料をいただいても、結局結論はせつかくためているところの今の保有外貨がどれだけくずれて行つて、そして新会計年度においてはどれだけのものが一体押えられるかということが問題なのであります。そうしますと今外貨予算というものを政府は新会計年度に対して立てていなければならぬわけでありますが、一体そういうものを持つているのですか、いないのですか。
○長村政府委員 まことにごもつともなお尋ねでございまして、来年度の外貨予算はどういうふうな内容になりますか、実は今関係者が集まりまして検討中のところでございます。お話のように三月末の外貨保有高がどうなるか、あるいは三月末にどのくらい赤になるかということがきまりませんと、来年度の外貨予算をしつかりときめかねるのであります。それらの情勢を今調整部長が申し上げましたように私ども検討しながら準備しておる次第でありまして、しばらくお待ちを願いたいと思います。
○菊川委員 そうしますと現在政府が的確な調査で押えている、できるだけ最近の調査によつて、何月現在でどれだけの外貨の手持ちがあるか、それをお示し願いたいと思います。これは私の記憶によれば、大蔵大臣の説明によると、昨年末の当時九億何万ドル——私はきようここに資料を持つて来ておりませんので正確なことを申し上げられませんがということを言つておられます。そうしますとその後なるべく最近のところでもつて一体何ぼと押えておられるか、それを御報告願いたいと思います。
○松尾政府委員 御承知のように二十八年十二月末の外貨保有高が九億七千七百万ドルであつたのであります。これに対しまして一月中に外貨の落ちました額が先ほど八千七百万ドルと申しましたが、これもまだ一応かりの数字と申しますか、計数整理にかなり時間がかかるようでございまして、一応そういう数字になつておるわけであります。従いましてそれを差引きますと、八億九千万ドル前後くらいに一月末がなつているはずでございます。これも外貨の手持ち状況というのは御承知のように方々に非常に複雑な形で保有されておりますので、必ずしも正確ではございませんが、一応かりの数字といたしましては八億九千万ドル前後ということに御承知を願いたいと思います。
○小笠委員 今の数字でちよつと関連して伺いたいのですが、表の三ページ、二十八年計のところで十二月末外貨保有高が九億七千七百万ドル、それから二十八年計に一億九千三百万ドルというマイナスが出ているのですが、このマイナスは九億七千七百万ドルから引かなくてもいいのですか、九億七千七百万ドルから約二億ドルを引いた七億七千万ドルというのが年末の保有外貨と推定していいのですか。
○松尾政府委員 これは表のつくり方が少し誤解を招くようなつくり方になつておつたかと思いますが、これは二十八年の暦年間で一億九千三百万ドルの赤字を出しまして、それを二十七年度末の手持高から差引いたものが九億七千七百万ドル、こういうふうに考えていただきたい。これは下にはみ出しておりますので、あるいは誤解があつたかと思います。
○栗田委員 この貿易外の収入ですが、昭和二十七年度で大体八億二千万ドルくらい、それから二十八年はずつと下つて八億ドルですが、二十九年度の見通しを見るとこれは七億六千万ドル、さらに一般貿易外の収入として三億四千万ドル見込んでおりますが、この見通しは少し過大ではないかと思いますが、この点いかがですか。昭和二十七年度、二十八年度に比較いたしまして、昭和二十九年度の国際収支の見通しですね。
○松尾政府委員 これは実は国際収支の各項目を立てます際に、貿易外に入れるか、その他の欄に入れるかというような点、あるいはオープン・アカウントの決済じりに入れるかというような点につきましては、実はそのときどきで項目の立て方が少し食い違つております。たとえば今お手元に配付してあります資料の貿易外という中には、物の輸出入以外は全部その中に含めてしまつております。それに対しましてこちらの方は、こういうふうに見通しの方はこまかくわかれておりますし、また御承知のようにポンドの不足に対しましてスワツプでありますとか、その他をやるわけであります。そういうときに両方の勘定に立てたりいたしますと、貿易外のところが見かけ上非常にふえたりします。これはちよつと私こまかい資料を持つて参りませんでしたので、十分な御説明をいたしかねますけれども、貿易外の点は、そう大きな変動は、例の特需を除いてはあまりないのではないかと御承知願いたいと思います。
○栗田委員 この総額の中にMSAの援助というものをどの程度に見込んであるか、またどの程度に顧慮してあるかという点を御説明を願います。
○松尾政府委員 二十九年度におきましてMSA援助で予想されますのは、御承知のように、すでに成立しております五千万ドルのMSA援助のうちの一部が二十九年度にずれて出るだろうというその一点だけが確定的なものでございます。従いまして五千万ドルのうち三千五百万ドルの分がずれて来年度出て来るであろうという予想をいたしまして、輸入の二十一億四千万ドルの中には、物量としては小麦及び大麦の三千五百万ドルに相当するものが入つております。それに対しまして受取りの方のその他の欄に同じく三千五百万ドルの金額を計上しておりますから、物量としてはこの中に現われておりますし、決済じりとしては受払い両方に入れておりますから、最後のしりではゼロになつて消えておる。つまり三千五百万ドルのMSAの小麦援助を二十九年度に計上しておる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
○栗田委員 そうするとMSAの援助というものを除外いたしますと、年間特需収入というのは一体どのくらいになりますか。
○松尾政府委員 国際収支の立て方の項目のときには、今申しましたMSA援助の関係を別といたしまして特需の項目を計上いたしております。この点は大体本年度の八億一千百万ドルに対しまして来年度七億六千万ドルというふうに想定をいたしております。
○栗田委員 私は、今のそのMSAを除いた七億六千万ドルが少し過大に過ぎるのではないかという一つの疑問を持つておるのですが、それはそれでよろしゆうございます。 そこで今外貨保有の問題が出たのですが、大体九億ドル前後と今後の保有ドルを想像いたしまして、大体この収入支出、これの運転資金がこの程度の外貨の保有で事欠かないかどうか、あるいは適当の外貨というものはどれだけ保持しておるのがいいか、この点に対する考え方をお聞かせ願いたい。
○松尾政府委員 従来日本で輸出入その他をやつて行きます際に、最少どのくらいの手持ち外貨がなければならないかという点は、いろいろいわれておるのでございますが、常識的に四億ないし五億ドルの外貨保有が必要であるというふうに考えて参つております。その中には、御承知のように、輸入をやります場合の信用状の開設の際の保証金の積立て、それからまた、実際に輸入に対し、あるいは貿易外に対して外貨を支払います際に、年間では大体バランスをとるといたしましても、そのときどきでは払いの方が多くなることがあるわけでありますが、それのための保有もとつておかなければならないわけであります。それから在外支店その他に日本の方である程度外貨の預託その他をやつておるわけでありますが、そういうものはそうむやみに動かないわけでございますし、またいわゆる日本側の在支外店その他が向うの外国銀行から金を借りる際に、日本側の銀行で信用保証してもらうというような関係があるわけであります。そういうときには、それに相当する金をこちらで用意しておかなければ、その信用保証が成り立たないわけであります。そういう各項目を含みまして大体四億ないし五億ドルの保有高が最低限度必要であろう、こういうふうに考えておるわけでございますから、その最低限度の線に触れるというような状況には現在はまだなつていないわけであります。
○栗田委員 この問題はあなたに聞くのはどうかと思いますが、今日までの外貨の使用方法を見ておりますと、政府は保有外貨をじつと温存いたしておりまして、これを何ら有効的に使わずにジリ貧でだんだん減らして来たようでありまして、ただいまもあなたの御説明を聞きますと、大体四億ドルくらいあれば運転資金には事欠かないという話でした。そこで私は、今日過大に持つておる外貨というものは、外国から優秀なるところの機械などを入れる設備資金にこれを投入して、日本の設備を新しくし、日本の物価をもつと安くして、しかも輸出を促進するというような方法も政府として積極的に考えなければならぬと思うのです。そういうような外貨の使い方こそ私は必要だと思つておるのですが、こういう点に関しまして何か考えたことがあるかどうか、作業を命ぜられたことがあるかどうか、あわせてお聞かせ願いたい。
○長村政府委員 まことにごもつともな御議論と思います。外貨の状況はただいま申しました通りでございまして、常識的に考えた保有最低必要限度から申しますれば若干の余裕はあるわけであります。余裕があつた場合に、それをただいまお話のような用途に使うかということも、これは検討しなければならぬ問題であると思います。私どもといたしましては、外貨をお話のような用途に使用する意味の検討を今のところいたしておりません。しかし考究はしなければならぬ問題と思つております。
○菊川委員 私さつきの質問に関連しまして、いわゆる外貨予算は今作業中ということでございまするが、これは今日の日本の経済から申しまして非常に重要な問題で、各方面ともどういう輪郭ができるかということに関心を持つておるわけでございます。そこで今作業中のものがいつごろになれば大体輪郭ができるのか、そのことを、もし今おわかりになればここでお述べ願いたい。それから本年の外貨予算編成について特に今までと違つて問題となつておる点はどういう点であるか、それをさしつかえなければあわせてお述べ願いたい。それからこの外貨予算の輪郭が大体できた場合に、一応本委員会あるいは適当な委員会において十分御説明を願いたいということ、これは希望でございますが、こういう点をあわせてお尋ね申し上げます。
○長村政府委員 二十九年度の外貨予算はただいま検討中であることは先ほど申した通りでございますが、これは例年の例を見ましても、大体三月後半にはこれがまとまりませんければ、翌年度がすぐに始まりますのでいけないと思うのであります。本年度もおそらくは例年通りの運びでまとまると思うのであります。私どもといたしましては、こういう時期でございますので、できるだけ慎重にやりますると同時に、またできるだけ早い時期にまとめたいと思つておりますけれども、おおむねそのような運びになるのではないかと思つております。問題点もいろいろあろうかと思いますけれども、先ほど来御議論も出ましたように、手持ち外貨がどうなるか、あるいは来年の見通しがどうなるかで、どういう規模といいますか、内容といいますかのものになりますか、その辺のところが一番大きな問題だろうと思うのであります。これらはただいませつかく検討いたしている次第でございます。
○加藤委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、本日はこの程度にとどめまして、散会いたします。次会は公報をもつてお知らせすることといたします。 午後零時三分散会