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19回国会衆議院1954/02/17

経済安定委員会 第3号

発言数
28
登壇者
6
会派数
4
開催日
1954/02/17

会議録

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 これより会議を開きます。  まず理事の辞任、補欠選任の件についてお諮りいたします。本日理事杉村沖治郎君より理事辞任の申出がありましたが、これを許可し、その補欠として菊川忠雄君を理事に指名いたしたいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 御異議ないものと認めまして、杉村沖治郎君の理事辞任の申出を許可するこことし、その補欠として菊川忠雄君を理事に指名することに決しました。     —————————————

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 次に私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する件について調査を進めます。  まず公正取引委員会委員長横田正俊君より、昨年九月の独占禁止法改正施行以後におけるその実施状況について、説明を聴取することといたします。公正取引委員会委員長横田正俊君。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 昨年の九月に行われました改正後の公正取引委員会の仕事のやりくりに関しまして、特に改正されました点を中心といたしましてお話を申し上げたいと思います。  改正点はいろいろございましたが、一番大きな問題は、御承知のように不況カルテル、合理化カルテルをある一定の条件のもとに認めることにいたした点でございます。これにつきまして、その後にカルテルのいわゆる認可申請というものがどういう形になつておるかと申しますと、不況カルテルにつきましては、改正の際に私から申し上げましたように、当分あの条件に当てはまるような不況カルテルの認可申請はないであろうと申し上げたつもりでございますが、その通りでございまして、現在まで不況カルテルの認可申請は一件も出ておりません。もつともこれはわれわれといたしまして正式に認可申請がないのにかかわらず、いわゆる隠れたるカルテルがあるということでは困りますので、この点はいろいろな業界にわたりまして調査をいたしておりますが、現在まで特に取上げて事件にするというほどのものはまだはつきり把握いたしておりません。  次に合理化カルテルにつきましては、昨年の十二月十日に八幡製鉄を含めて二十社からくず鉄の購入に関する共同行為の認可申請がございました。これは最初十月末ごろにそういう申請をするというような、いわば予告期の話がありまして、その後打診的にいろいろ申請の内容をこちらに申し出て参つておりましたが、それははなはだ不備なものでございましたので、いろいろこちらから注意をいたしました結果、正式の申請書が出て参りましたのが十二月十日でございまして、私の方で受理いたしたのが十二月十一日になつております。これにつきましてはその後鋭意調査をいたしております。これは申すまでもなく非常に重要な問題でありまして、あらゆる角度から検討いたす必要がございますので、公正取引委員会におきまして非常に慎重に審査をいたしておりますが、その間におきまして一月の二十五日になりまして、一応これはとりやめたいというような申出がございました。これは二月九日にまた続けて調査をしてほしいというふうに提出のお申出を撤回して参りました。そういうようなことがございました。  もう一つは私の方で要求いたしました資料がなかなか出て参りませんのでやや遅れておりますが、最初は二月半ばごろに一応の結論を出す予定でございました。それがいろいろな今申しましたような事情で延びまして、大体ただいまの目標といたしましては、二月中には何とか結論を出すことになろうかと考えております。問題の中心は結局いかなる価格が合理的な価格であるかという点に集中されるものと思いますが、この点に関しましては、御承知のようにくず鉄業者の方からは、このカルテルの認可につきまして非常に重大な関心を寄せておりまして、全国的の団体もできまして、非常に強い結束をもつてわれわれのやり方を見守つておるような状態でございまして、われわれも最初の事件ではございますし、またこれを認めまする結果のいろいろな方面に及ぼします影響等につきましても、十分に考慮して、慎重に扱いたいと考えております。  それからもう一件合理化カルテルといたしまして、これはまるで問題がかわりますが、ビスケツト企業につきまして、昨年の十一月に一応認可申請をいたして参りました。この申請書は非常に不備でございまして、その後その不備を補完しつつありますが、たしかもうじき正式に受理になる段階になつておるそうでございます。これは内容といたしましては、生産品種の制限でございまして、要するに最低の規格を定めまして、それ以下の品質のものはつくらないということにいたすようでございます。原料の規格の協定、原料の配合規格の協定というようなものが、カルテルの内容になつておるようでございます。ただこれもいろいろ問題がございまして、あまり高い規格のものをきめますると、今製造しております業者の相当部分がたいへん困るようなことになるというような面もございまして、そういうような点も十分よく考えまして、この認可申請を処理いたしたいと考えております。ただいまそのほかに認可申請のけはいを見せておるものはないそうでございます。  それから次に、条文の順序から申しますが、再販売価格を維持いたしまする契約が、今度の改正によりまして認められることになりました。これにつきましては法律にございますように、まず公正取引委員会で法律に定めました要件に当てはまりまする商品を指定いたしまして、その指定された商品について業者が維持契約をいたしまして、これを公正取引委員会に届出をするということになつております。この商品の指定につきまして、昭和二十八年の九月三十日、十一月十日、この二回にわたりまして四品目の指定をいたしました。化粧品が十三品種、染手料、それから歯みがき、これが二種類でございます。それから家庭用石けんが五種類ございます。四品目にわたわまして指定をいたしまして、その結集届出をして参りましたものは、ただいままでのところで、化粧品につきましてメーカー七社、九件ということになつております。そのほかのものは、たとえば染毛料とか歯みがき、家庭用石けんにつきましては、指定をいたしましたけれども、まだ届出がございません。ことに歯みがきにつきましては、粉歯みがきを除外いたしました結果、指定届出がないようでございます。この届出が遅れております理由はいろいろあるようでございますが、まず最初に新しい制度でございますので、その形式等につきましてまだ十分に検討しなければならぬ点がございますので、遅れております。業界が小売側とメーカー側と一致しましたものにつきましては、割合にすなおに行くのでございますが、そこら辺の関係がまだあまりすつきり行つていないというような面もございまして、遅れておりますが、大体今まですでに届出がありましたものにならいまして、だんだん出て来る様子でございまして、四月ごろまでには相当届出があるものとわれわれの方では見ております。なお商品の指定を要求して来ておりまするものに、電球、しようゆ、それから先ほど申しました粉歯みがきが抜けておりますが、これを指定してほしいということを強く要望して参つておるわけでございます。これは実は粉歯みがきにつきましては、御承知のように、ライオン歯磨がほとんど独占的な地位を持つておりますので、自由な競争が行われておらぬのではないかということで、実は指定から一応除いてございますが、この点はなお検討をいたすことにいたしておるわけであります。それからウイスキー等の雑酒、医薬品、キヤラメル、牛乳、乳製品というようなものについて申請がございまして、目下調査中でございます。これらにつきまして最も注意しなければならぬことは、いわゆる自由な競争が存在するかどうかということでございまして、下手に指定をいたしますと、結局非常に高い価格が維持されまして消費者等に非常な迷惑をかけるというような結果になりますので、この点は今後指定につきまして十分留意いたして参りたいと考えております。  それから先般の改正でかなり重要視しておりましたいわゆる不公正な取引方法の問題でございます。この点は大体先般の改正法は、独禁法の線をややゆるめるという点に重要があつたわけでございますが、この不公正な取引方法に関しましては、それと逆に公正な取引秩序を維持するために、やや強化いたしたわけでございます。その結果、それに関連いたしまして新しくいろいろの問題が出て参りまして、またこれを鋭意取上げて、不公正な取引方法の排除に努めておる次第でございます。その一、二の例を申し上げますと、昨年の暮れに、御承知のように、中小企業、ことに下請企業に対する支払い遅延の問題が全面的に取上げられまして、国会におきましても慎重にこれを取上げておられたわけでございます。われわれといたしましても、法律の改正前でございまする八月中から、すでにその点を留意して調査を進めまして、これは中小企業庁と密接な連絡のもとに調査を進めまして大体親企業三十七、それから工場にいたしまして四十工場、業種は自動車、自転車、車両、ミシン、造船、電気、機械、計器、産業機械、兵器、時計というような十業種につきまして東京地区と中京地区と阪神地区とにわけまして、親会社三十七、その下請企業六百工場につきまして、いろいろ調査をいたしました。これら下請企業の側をまず調べまして、それから後に親企業の側を調べたわけでございます。その結果非常に不当な圧迫が下請に加えられておるものがあることを発見いたしまして、十二月八日に今度新しく指定されました、不公正な取引法のうちの取引上の地位が相手方に対して優越しておることを濫用いたしまして、相手方に不当に不利益な条件で取引するという不公正取引方法の第十号でございますか、これに該当するおそれがあるということで、一般に対して警告を発しました。その後支払遅延の著しいと思われまする親企業本社につきまして、十二月の十日ごろから逐次呼び出しをいたしましてその内容をいろいろ調べました。そうして支払いの改善計画を立てさせまして、その実行を監視して参つたわけでございます。これにつきましては、年末の緊急支払い改善計画、それからことしの一月から三月までの支込い改善計画というものを出させまして、なおこれは支払いを進めるというだけではなく、その他の点につきましても、いろいろ親会社の事情も聞きまして、改善に努めました結果、少くともこの十社につきましては、非常に誠意のある態度を示しまして、支払い状態が非常によくなつて来ております。これはもちろんほんの一部分でございまするので、やはりこういう問題は常時監視して参る必要がございますので、将来の問題といたしましては、ただいまいろいろ検討中でございまするが、まず第一に、どの程度のものが大体正常な商慣習に合致する支払いの仕方であるかというようなことにつきまして、一応の基準をきめまして、その基準に従つて今後問題を処理して行きたい。それで、この基準の作成というようなことについて今鋭意検討中でございます。なお下請に依存度の高い企業につきまして百社なら百社というものを選びまして、これから年に二回なら二回というふうに常時支払い状況の報告をとるというようなことも考えておる次第でございます。なおこういう問題が公正取引委員会の仕事であるということがだんだん徹底して参りまして、最近におきましては親企業の不当なものに対しまして、何とかしてくれということを下請業者から公正取引委員会にだんだん申し出て来る事項が多くなつておりますので、その個々の申出のありました事件につきましては、また特にこれを取上げて支払の改善に資したいというふうに考えております。(菊州委員「その十社というのは発表できますか」と呼ぶ)これは実は昨年参議院の通産委員会で申し上げたのでございますが、その際にも名前をあげてほしいというお話でございましたけれども、私といたしてましては、結局支払いが改善されれば特にあげないでおいた方がかえつていいのではないかというふうな観点からいたしまして、名前をあげますことはお断りいたしまして、ただ、こちらからいろいろ申しましても、なおそれに誠意を示さないようなものがありました場合には国会の方にも申し上げるというふうにお約束をいたしたのでございますが、幸いにいたしまして、いずれもきわめてまじめな態度で、きわめて良心的な改善計画を出して来ておりまするし、ただいままでずつとその結果をフオローしておりますが、その結果も割合によいのでございまして、その意味におきまして、その名前をあげますことは差控えさせていただきたいと存じます。  なおこの不公正な取引方法に関連いたしましては、これは第九号に、前からあるのではございますが、ただいまの第十号の規定に関連いたしまして、特に浮び上つて来たわけでございますが、銀行等が会社に対しまして役員の選任等についていろいろなことを言うというような問題がだんだん出て参りまして、それらの問題を二、三取上げておりますし、現にまで審査中のものもございます。  それから不公正競争方法の指定の制度がございまして、これに関連いたしまして最近にいろいろ新しく特殊の事業につきまして指定をいたすという運びになつておりまして、現在検討いたしおりますものに、新聞の販売方法につきまするいわゆる不公正競争の指定につきましていろいろ検討いたしましております。これは一部の新聞からは表向き反対はいたしませんが、なかなか持つて来ないような面がございますが、だんだん機運が醸成されて参りまして、おそらくこの春ごろには指定することができるのではないかと考えております。  なお公正取引委員会の経済部におきまする調査といたしまして、これは引続きいろいろな問題を調査いたしおりますが、最近の一番重要なる問題といたしまして例の二重価格の問題がございまして、この点は昨年の十一月ごろから始めておるのでございます。これはもちろんいろいろな個々の業種につきましてはその業態を調べております間に、必然的にこの二重価格の問題は出て来ておつたわけでございますが、今度はこれを全面的に取上げて検討したいということで、やや遅ればせではございましたが、昨年の十一月から始めましていろいろ計画を立てまして調査をいたしております。この品目は大体輸出産業に重点を置いておりまして、品種にいたしまして二十種にわたりまして現在調査をいたしております。要するに、その二十品目につきまして、二重価格形成の要因、それから価格形成の行為主体、それから機能及びその二重価格をやります結果の経済的影響等につきまして必要な調査をやつております。大体三月の末を目標にいたしましてこの調査を完了いたし、その調査の結果に基きまして、これを独占禁止法上どういうふうに取扱うかというような最後の検討をいたしたいと考えております。これは結局二重価格そのものがいわゆる差別価格ということになりまして、独占禁止法の問題になり得るのでございまするが、大体二重価格を形成いたしまする際には、その過程におきまして私的独占、あるいは不当な取引制限、カルテルというようなものが存在するということが考えられるのでございまして、どういう面でこれを独占禁止法上の対象にいたしますか、その点を今後十分に検討いたしまして、日本の当面いたしておりまするこの経済の非常に困つた状態に対しまして、できるだけ公正取引委員会としましてその打開のために何らかの寄与をいたしたいと考えておる次第でございます。  なおいろいろこまかい問題もございまするが、大体改正後の公正取引委員会の動きは、今申し上げましたような点に要約されるのでございますが、なお御質疑に応じましてお答えを申し上げたいと考えます。

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 ただいまの横田公正取引委員会委員長の説明に対しての質疑議があれば、この際これを許します。

栗田英男改進党

○栗田委員 今の報告にちよつと抜けておつたようですが、昨年の十月の二十日に、公正取引委員会で、興銀の人事干渉に対して独禁法違反の疑いが濃いという結論に達しまして、興銀に対して勧告措置をいたしたようでありますが、これの勧告措置に至るまでの前後の経過、その他公正取引委員会が調査した事項、さらに最近産業に対する銀行の干渉が非常に強くなつて参りましたので、こういう興銀ばかりでなく、他の銀行が不当に他の産業に対して干渉をいたしておるかどうか、またそういうことを会社が公取に対して提訴しておる事実があるかどうか、もし調査中の事件でもありましたならばこういう点に関しまして御報告を願いたいと思います。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 興銀の日本冶金の人事に対しまする干渉問題につきまして、ただいま手元に詳細な資料を持つておりませんが、私の記憶しておりまする範囲で申し上げますと、これは興銀そのほか数銀行が日本冶金に対しまして共同しまして融資をいたしまする際に、興銀が幹事会社になりまして、会社の今までの経営状況ははなはだ乱脈であるというようなことからいたしまして、社長以下常務その他の役員から辞表を一応とりまして、その上で興銀が社長その他常務等の役員を新たに送り込もうというようなことがございました。この点は日本冶金の常務から公正取引委員会に提訴がございましたが、その提訴する前に新聞等にも出ておりましたでの、私の方ではそろそろ調査をいたしておつたのでございますが、最初に興銀が出しました案というのは、社長の退陣と三村氏をあとの社長に持つて参りますということ、それから常務を全部退陣せしめる、さらに副社長として興銀の指定する人を入れるというような、いろいろな問題を含んでおりました。ところがその過程においていろいろ公取で調べ始めましたような点もございますし、また世間からもいろいろな批判がございました結果、だんだん内容がかわつて参りまして、少し線がゆるんで来たのでございまして、ある時期になりまして日本冶金の提訴しました方の側から、もうあれは取下げるということを申して参つたのでございます。しかしわれわれといたしましてはこれは提訴のあるなしにかかわらず、相当重要な問題でございますので、なお調査を進めまして、興銀の幹部の人にもいろいろ折衝いたしました結果、最後にきまりました案をさらに公正取引委員会からいろいろ申しましてその線を、いわゆる銀行が自分の貸し付けました資金の回収の必要という線を越えた部分につきましてはその是正をするという基本方針を立てました結果、最後の線といたしましては、当時の社長でございました森氏を会長、かつ代表権のある会長ということにいたしました。それから三村氏は新しく社長に入ることにいたしましたが、当時社長をしておりました他の会社の社長の地位をしりぞいてもらうことにいたしました。これは結局日本冶金と競争関係にあります会社でございまして、しかもその一社の取引上に及ぼします影響はかなり大きいものと認めましたので、その三村氏の退任を条件といたしまして、これを日本冶金の社長にいたすことを認め、かつ三村氏の就任期間は、大体債権を回収できるという期間、それに見合う期間ということに限定をいたしました。その地は大体興銀と日本冶金との間で話がつきました線でわれわれの方も認めた次第でございます。これは正式の事件といたしまして審判開始決定をいたしまして、興業銀行が同意いたしまして、いわゆる同意審決によつて問題を落着いたした次第でございます。  それから次に銀行の問題といたしまして、現に取上げておる問題が二つございます。一つは群馬大同銀行が更水製糸に対しまして、これもやはり昭和二十四、五年——ちよつと正確な日は忘れましたが、二十四、五年ごろからいろいろ更水製糸の人事なりあるいは経理につきましてかなり強力な干渉をいたして参つたことがわかりました。問題の発端は、結局最後に参りまして、ほとんどこの更水製糸の全財産とでも申しまするものに抵当権が設定してございまして、この抵当権の実行というところまで参りました結果、更水製糸側から公正取引委員会に提訴があつたのでございます。これはいろいろ調べました結果、現行法の独占禁止法に当てはめますと、違反と見られるような事情が過去にいろいろございましたようで、この点はもちろんよくないのでございますが、しかしたとえば十号というような規定、経済上の地位の濫用というような規定は今年の九月からの問題でございまして、調査いたしましたが、いろいろなおもしろくない事情と申しますのは大体旧法時代に行われておつた。なお役員を派遣いたしまして、いろいろ支配いたしましたのもこれはすでに過失のことでございまして、約一年以上にわたりまして更水製製糸に銀行から役員を派遣いたしまして、その役員によつていろいろなことが行われたのでございますが、これもすでにその役員はやめてしまつておりまして、これまた過去の問題になつておる。残りますものは結局現在の代員の選任等に対して銀行がどういうような干渉をしておるかというようなこと、あるいは抵当権の実行というようなことがはたして経済力の濫用ということにつながるかどうかというような点が、この群馬大同の問題の中心になつておつたわけでございますが、しかし銀行は現在におきましては結局抵当権の実行ということ、一方で債権の回収というようなことに専念しておりまして、結局役員について文句をつけるというような点はもう過ぎ去つてしまつた問題のように認められますが、抵当権の実行そのものがはたして独禁法違反であるかといいますと、これは違反と断定することは非常に困難なように思われました。幸いにいたしましてこの点につきましては群馬県知事が非常に県内の産業を育成をするというような観点からいたしまして、非常に力を入れられまして、公正取引委員会ともいろいろ緊密に連絡いたしました結果、昨年の暮れに行われるはずでございました競売は一応延びました。たしか今年の一月二十九日でございましたか、また競売期日が参りましたが、これも結局延びまして、現在は高崎製糸が更水の債務を肩がわりするという点を中心にいたしまして、具体的な和解の話が進んでおるようでございます。最近の情勢を私はまだ詳しく存じておりませんが、大体そちらの方に話が向いておりまして、競売も無期延期ということになつております。私どももなおこの事件はこれで済んだということに全然しておりませんで、今後の銀行の出方は十分に監視して、独占禁止法の問題がもしございますれば、ただちにこれを取上げるという態勢でおるわけでございます。それからもう一つは長野県の飯田にございます八十二銀行が、日本紡毛という会社に対しまして、これもやはりいろいろ貸し借りの問題がございまして、その会社の役員に対しまして社長そのほか二名の役員の退任を迫つた。それで日本紡毛側の主張によりますると、銀行と同一体とも見るべき人がそのあとがまに、これは前から重役ではあるのでありますが、その人を社長になおして、なおいわゆる債権回収の域を脱したいろいろな圧迫行為をやつておるという訴えがございました。昨年の暮れからこの問題を取上げまして調べておるわけでございます。場所が飯田でございますので、こちらから出向きまして、最近にその調べた者が帰つて参りました。近日中に委員会にその結果を報告するということでございます。まだその内容を私も十分に聞いておりませんので、どういうふうな結果になりましたかこの点はまだ申し上げる段階に至つておりません。  大体銀行の問題につきましてはただいままでこの三つでございますが、しかし同様な問題はおそらくたくさんあると思うのでございます。ことに地方銀行につきましては、銀行が合併いたしまして、大体県には一つの銀行というような形がほとんど常態のようになつておりますので、従いましてその地方銀行が県下の産業に対しましていろいろな圧迫行為をいたしまする下地は十分にあるわけでございまして、この点は今後も、今あげましたような事件のみならず、銀行全般につきましてこの問題は十分に注意して参りたいと考えております。

栗田英男改進党

○栗田委員 こういう時期でありますから、銀行から不当に圧迫をされておるというような訴えがもつとたくさん公正取引委員会の方に出ておるのではないか、こういうふうに思つておつたのですが、そんなに出ておらないところを見ると、最近の金融機関というものがほとんど生かすも殺すも実権を握つておりまするので、相当の不公正な取引を強要しても痛しかゆしでなかなか業者は勇敢に訴えて来ない、またあるいは訴えても、ただいまの興銀の問題のように途中から話し合つてしまうというようなことがしばしば起きるのじやないか、こういうふうに思うのでありまして、特に金融機関に対しましては他の産業同様に公正取引委員会といたしましても十分にひとつ目を光らしていただきたい、かように希望をいたします。そこで、今の興銀の問題でありますが、もちろん両方にも言い分がありまして、銀行としては債権確保の立場からいろいろやかましいことを言うのでしようが、たとえばこの興銀の場合を見ますると、代表権を持つ重役を好感するということ、あるいは今の場合そ見ますると、代表権を持つ重役化工部門の競争相手になつておるという特にこの二点が独禁法の疑いが濃厚であるという根拠であるかどうか、この点今後こういう問題が起きたときの一つの判定にもなりまするので、この点の見解を聞かしていただきたいと思います。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 これは会社の状態によりまして一概に申されないのでありますが、大体社長を変更するということはその会社にとりまして非常に重要な問題でございますので、社長の人事についてとかくのことを言うということは、かなり多くの場合におきまして独禁法の問題になるのではないかというふうに考えております。これはその社長がはなはだ不適任な人でございまして、その人がおつたのではとういていその会社がやつて行けないというような場合は、もちろん社長の変更というようなこともあるいは是認いたされるかと思いますが、通常の場合におきましてそこまでのいろいろな干渉をいたしますことは、債権確保の範囲を逸脱する場合が多いのではないかと考えます。  なお競争会社の役員を兼任のままで新しく入れるという問題は、結局独占禁止法が先般の改正でゆるみまして、競争会社の役員を兼任すること自体は必ずしも違法ではございませんが、しかしその会社のその業界におきます地位等に照しまして、その兼任を認めますことは、独占禁止法の観点からはなはだおもしろくないという場合に、銀行があえて兼任のままですえるということをいたしますることは、明らかに銀行がその優越した地位を利用して相手方に不当な押しつけがましいことになりまして、これらの場合には独占禁止法に基く指定の第九号及び第十号というようなものに触れることになるのではないかと考えております。

栗田英男改進党

○栗田委員 下請問題に関しましては、昨日か参議院において詳細な御報告をされたいということを聞いておりますが、これについてきわめて簡単にお尋ねいたしますと、昨年の十二月に公正取引委員会から、下請代金の不当な支払い遅延に関する発表というものがなされておりますが、時期的には、こういうことをやりまして不良な親企業に対して支払いを促進さしたということは、おそらく中小企業、弱体企業に対しましては非常に恩恵が厚かつた、かように私は考えておるのでありまして、この勇断に対しましては、私は賛成いたしております。そこで、これによりますると具体的なことは出ておらないので、三十七社、四十工場に対して、中小企業庁と公取委員会で共同して調査したということなんですが、たとえば具体的に特に悪い工場が、一つの手形の例を申し上げると、たとえば幾日くらいのこれに対して支払い手形を発行しているか。聞くところによると、長いのになると、品物を納めてから一年近くも支払い手形の期間があつたというような、どうも想像もつかないようなことも実際流布されておるのですが、そういう特に悪い親会社の名前を発表する必要はないが、調査の結果、特にひどいのはこういう風があつたというようなことにつきまして、具体的に参考までに聞かしてもらいたいと思います。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 この支払い遅延の問題につきましては、われわれも調べてみましてかなり驚いたような面がございます。ただいまお話の、いわゆる非常に支払いの遅れているはなはだしいものという例を申し上げますと、大体現金支払いというものがだんだん減つて参りまして、手形の支払いが非常にふえているというのが、最近の大体の傾向でございます。しかもその手形は銀行でただちに割引けないような非常に長期なもの——現在大体九十日程度のものが一応の目安になつているようでございますが、それが百二十日とか百五十日というような非常に長いものが出ておる。しかも大部分の手形が百二十日、百五十日というようなことになつている会社がございます。また百二十日から百八十日というような手形で払うのが原則なつているような会社もございます。はなはだしいのは二百七十日、九箇月先の日付の手形が出ているというような非常に不当なものもございますし、なおひどいのは、期日を入れませんで白地の手形を渡す。これはまつたく意味をなさないのでございますが、しかしそれでも何も受取らないよりはよいと見えまして、しかもその手形がやはり多少ものを言いまして、銀行へ持つて行きましてその手形は割引けないのでございますが、下請業者が自分の手形を別に出しまして、それを割引いてもらつて、しかもその受取つて来た手形は一応銀行に入れているというような例もあつたようでございます。これらはまことに手形の意味をなさないのでございまして、こういうものはぜひ改めたいというふうに考えております。

栗田英男改進党

○栗田委員 調査の結果は非常に悪質親工場が大分あるように思いますが、そこで調査の結果、これはぐあいが悪いというので、今の委員長のお話では、支払い改善計画というものを出させて、その結果非常に誠意をもつてやつているというふうに聞いているのですが、公取委の勧告というものがそんなにきいたのですかどうか、そこらのところを率直にひとつ聞かしていただきたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 この支払いの改善ということは、実はなかなかそう簡単には行かないのではないか、率直に申しますとそういう感じがいたすのでございます。先ほど申しました本社につきましても、ただちによい状態になるということはほとんど不可能な場合もございます。大体六百工場について調べました結果、われわれが認められます点は、毎月における月末の買用け残、それから親企業が月平均に支払つております額、これを比べますと、これを分数にいたしまして、親企業の月平均の支払は額を分母にいたし、その上に月末買用残金を置きました場合に、大体一——つまり一月後に払うという非常によい状態を考えますと、これが一になるわけでございます。ところがわれわれの調べました三十七社について申し上げますと、その倍率が六倍以上、つまり半年以上支払いを怠つているというようなものが出て参ります。これは個々の手形が、二百七十日というような非常識のものが入つたり、いろいろなものがございますが、全体をつつくるめてみますと、この倍率というようなことで一応支払いの状況がわかるのであります。六倍以上のものが二社、四倍から六倍までのものが一社、三倍から四倍くらいのものが四社、一倍未満のものはわずか六社、一倍から一倍半が十一社というようになつております。このうちでわれわれは倍率の高いものを一応十社取上げたわけでございます。その結果、いろいろ改善計画を出して参りまして、実は最初にあまりよ過ぎるので、はたしてこれが実行できるかどうか、むしろこちらから、大丈夫ですかというふうに申上げたようなものもあるのですが、大体月末の支払いの問題につきましては、毎年年末には支払いがよくなるわけでございますが、それと相まちまして、さらに公取の勧告によりまして今までの予定しておりました年末の支払いを非常に額をふやしまして各社とも支払つております。中にはかつて現金で一度も払つたことのないというようなものまで初めて現金で支払つたというようなことになつておりますし、中には非常に良心的な親企業もございまして、むしろ自分の手形割引のわくを下請に使わせて今までの手形を割引させるというようなことまでして、あるいは親企業が保証いたしまして下請が国民金融公庫から数百万円を借りられるようにしてやるというように、かなり誠意を示しておりました。その結果、個個の企業について調査したものがございますが、年末の現在におきまして倍率が非常に少くなつて来ております、ほとんど一・幾らというようなきわめて良好な状態にまで行つてしまつたものもございます。しかし何といたしましても六倍というようなものは短期間にはとうていやれませんので、そこで第二段といたしまして、一月から三月までの支払い改善計画を出させまして、できるだけこの期間内にこの倍率をある程度まで引下げるという目標を立てさせて、これを現在実行しておるわけでございますが、この三月までにはたして支払い改善計画で出しましたように実行ができますかどうか、常に監視して参らなければならないと思いますが、まあ今回の措置によりまして相当の改善はなされたように考えております。

栗田英男改進党

○栗田委員 そういうことはひとつ大いにやつてもらいまして、今後とも勇断をお願いいたします。  そこでこの間吉田さんが九州に行きましたときに、独禁法の改正をするなんということをちよつと新聞で見まして私は驚いたのですが、その後いろいろ調査をしておりますと、その必要はないというようなことですが、最近こういうことが伝えられておるのです。それは愛知さんの経済演説あたりでは、不況カルテル等は認めぬということは言つておりまするけれども、その半面どういうことが言われておるかというと、合併を寛大にしなければならぬということが今日流布されておるのでおります。特にここで名をあげることは控えますが、いわゆる大メーカーの製鉄二社の合併説まで飛んでおるのでありますが、あるいは公取委員会にこのようなお申入れがあつたかどうか。あるいはもつと合併というものを寛大にしなければならぬというようなことで、何か公正取引委員会に下相談があつたかどうかということと、もう一つは、今の下請の支払い期限に関連をいたしまして、これまたちまたでは、公正取引基準法というような立法措置もしなければならぬというような説も伝えなれておるのでありますが、この点の真偽のほどにつき、知る範囲の御報告を願いたいと思います。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 独占禁止法の改正問題は、いろいろ新聞等にも出ておりますし、またわれわれがいろいろ調べました結果、そういう動きが多少あることはあるようでございます。ただ昨年の改正にあたりましては、われわれはこれはほとんど緩和をいたしまする最後の線であるというふうに確信をいたしまして、ある点ではやや緩和し過ぎたという御非難も十分あり得るのでございますが、そのくらいのところまで実は緩和いたしまして、この線をもつてすれば日本の国情に応じましたところの反トラスト政策が行い得るということで、昨年改正をいたしたわけでございます。従いましてその改正後ただちにさらにこれを緩和するということは公正取引委員会としては全然考えておらないのでございます。この改正の点につきましては、先ほどお話がありました合併をゆるやかにする、企業の合同をゆるやかにするというような線が一番問題にされておるようでございます。しかしこの合併につきましては、独占禁止法では二つの要件をきめまして、それに触れるものはいけないが、そうでないものはよいということになつておるわけでございまして、この線は何でもかんでも合併はいけないというようなきつい線では決してございませんで、御承知のように、一定の取引分野における競争を実質的に制限するようなことになる場合であるとか、あるいは合併自体がはなはだ不公正な取引方法によつてなされておる、無理やりに合併に持つて行くというような、はなはだおもしろくない手段によります場合、この二つのみが規制の基準でございまして、この範囲内におきましては相当な合併が許されるわけでございます。従いましてわれわれといたしましては、さらにこの線をゆるめるというようなことは絶対に考えられないのであります。今いろいろ言われておりますのは、この線についての認識が多少不足しておる点があるのと、それから、もうそういうことはわかつておるが、一定の取引分野の競争を制限しても、いわゆる独占的な一つの形態にまで持つて行くような合併も認めたいというような意向もあるようでございます。今御指摘の製鉄の大きな会社が合併するなどということは、まさにそういうことを考えておるようでございます。しかしこれについては、もちろん公正取引委員会に話などはございませんし、とうていそういうものは現行の独禁法では認められないことは、そういうことを言つておる人も十分知つておるはずでございます。従いまして結局それについては特別な立法措置でも考えるというようなことに含みがあるのかもしれないのでございます。この点につきましては、われわれといたしまして、もしもそういう独占的な企業をどうしても日本の実情からいたしまして認めなければならないというような場合があるといたしますれば、これは何も独占禁止法の一般的の線をやたらにいじることよりも、もつと特別の法律を設けまして、一方におきましてはその独占体によつて生じます諸般の弊害を防ぐ強力な措置を行うと同時に、その独占体を認めたらよらよいと思うのであります。従いましてわれわれといたしましては、独占禁止法自体をさらに緩和したりする必要は毛頭ないというように考えております。  それから下請の問題につきましては、実は昨年の参議院の通産委員会におきまして、独占禁止法の関係規定はいかにも抽象的であつて実際これを守るのに困るのであろうし、また公正取引委員会としても何らかのもう少し具体的の基準がないと、実際の仕事をやる上において困るのじやないかというようなことで、御承知のように政府契約の支払遅延防止等に関する法律というものがございまして、これに一応の基準が掲げてあるわけでございまして、それに似たものを、この下請事業の支払促進に資するためにつくつたらどうか。幸いに公正取引委員会には不公正競争方法の特殊なものを指定する、いわば法律のわく内における一種の立法権が与えられておるから、そういうようなものでやつたらどうかというお話がございまして、その点はわれわれといたしましても、昨年からずつといろいろ検討しておつたのでございますが、今そういう線をつくろうということで、その後引続きいろいろ検討いたしておるわけでございます。あるいは公正取引委員会の指定というような、そういう重苦しい形でなく、一つの事務取扱い上の内規というようなことにいたしまして、それを世間に公表するということによつて、一つの基準を示すという行き方も考えられますので、今それらの点につきましては、いろいろ考えております。従いまして、特に先ほどの政府支払いの場合の法律のようなものをつくる必要は、ただいまの段階ではないのではないかと考えております。

栗田英男改進党

○栗田委員 この前の改正のときにいろいろ問題になつた中で、再販売価格維持契約がありますが、この再販売価格維持契約があの中に取入れられまして、その後私はずつと業者の成り行きを見ておるのですが、非常に不思議なことがある。それは特に化粧品部門についてでありますが、あのときに、参考人か証人かちよつと私記憶がありませんが、中山太陽堂の社長をここを呼びまして、いろいろお尋ねをいたしました。ところがそのとき中山さんはメーカー側を代表いたしまして、とにかく再販売価格というものは一刻も早くつくつてもらいたい。特にこれによつて外国品を駆逐することもできるし、しかも日本の化粧品というものが非常に品質がよくなり、値段も安くなり、中小小売商人のマージンも確保できるのであるということを非常に強調されたのでありまして、あの答弁ぶりにも非常に誠実にあふれておりましたので、われわれもその言を尊重いたしたのであります。ところが、すでにこの法律は改正をされましたが、今日なお化粧品会社というものは足並みもそろわずにいる。おそらく私の得た情報では、ほとんど再販売価格維持契約というものを、いわゆる優秀メーカー、たとえばマダム・ジユジユであるとか、パピリオ、資生堂クラブは、やつておらないのでございます。ところが、最近の新聞を見ますと、非常に安くなるという証言をいたしました中山太陽堂が、突如として何割かの、むしろ化粧品全般に対する値上げを発表いたしておるというような現況でありますが、この点に対しまして一体業者がどういうような動きをしておるのか、現実的にいわゆる再販売価格というのは、有名商品のダンピングによつてお客を引きつけるのでありますから、いわゆる有名メーカーが再販売価格維持契約というものを結ばなければ何の価値もないのですから、そういつた有名メーカーが再販売維持契約に対してどのような動きをしているか、この点に関してお知らせ願いたいと思います。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 われわれがただいままでの業界の動きを見まして、一つの観測でございますが、考えておりますことを申し上げますと、大体現在までに規定されました商品の中で、一般的に申しまして、やはり化粧品が最も早くかつ広く再販売価格維持契約を実施されるように予想されるのであります。他の業界も大体この化粧品の行き方を見て、その結果で態度を決定するというような動きになつているように思われます。従いまして、化粧品の業界におきます契約の実施が非常に遅れておりますことがまたひいて他の業界にもかなり影響を及ぼしているというふうに思われるのでございます。化粧品業界で契約の実施が遅れておりまするおもな原因を申し上げますと、この実施にあたつてなるべく主要メーカーが歩調をそろえて行うというようなことが考えられているようで、これをめぐりまして、メーカー相互の間、あるいはメーカーと卸、小売との利害関係調節を十分にして、その上で発足したいというようなことを言つておりますると、なかなかこの調節が十分に行かない。それから一部メーカーが実施に移つた、だれか先にやつたのを、その結果を見てからやろうというような目和見的な一部のメーカがおると、いうようなこと、要するに業界内部の事情がいろいろからみ合いまして遅れていると、いうふうに見られるのでございます。しかし、最近の情報でございまするが、化粧品業界の方でもいろいろだんだん考えまして、四月一日から主要メーカーが大体歩調をそろえて実施をするというようなことになつたというふうに言われております。従いまして、この主要メーカーが実施をするというようなことになりますると、大体、少くとも化粧品につきましては全面的に実施をされるというような予想が一応立ちますし、従いまして、その例にならいまして、他の業界にだんだん及んで行くようになるのではないかというふうに私ども事務当局の担当者は見ているのでございます。

栗田英男改進党

○栗田委員 最後に一つ、もう時間ですから簡単にお尋ねします。  鉄鋼業者が——これはまだ現物が入つたかどうかはわかりませんし、おそらく、もちろんこういうことは公取の承認を得ていないのだと思いますが、鉄鋼数社がくず鉄購入のカルテルを結成いたしまして、しかも日本の出張所を通じて、しかもその注文をした会社というものは、もちろんアメリカにおける三等、四等くらいの、そう大した会社ではないところにある情実をもつて発注をいたしまして、それがアメリカにおいても非常な問題になつておりまするし、またこれが仕入れ価格等に関しまして、他の業者との非常ないざこざが起きているというようなことも聞き、あるいはまた、これに対しましては独禁法違反であるというような警告をも公取委員会で発したのではないかというような説もあるのですが、この点の真偽のほどをお聞かせ願いたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 ただいまお話のございましたようなくず鉄の輸入に関しまして製鉄数社が話合いをし、かつアメリカのヒユーゴ・ニユーというような会社を通じましてアメリカのくず鉄に買うというような話合いがあることは事実のようでございます。この点に関しましては、まだ正式に事件として取上げておるわけではありませんから、まだ警告というような段階になつておりませんけれども、その点につきましてはいろいろ調査を進めておる段階でございます。なおくず鉄に関しましては、その他、一方においてカルテルの認可申請をやつておると同時に、他方におきましてはすでに地下カルテルが結成されておるのではないか、あるいはさらに輸入くず鉄の割当等につきまして業者がいろいろ話し合つて——これはもちろん輸入しますについては通産省の許可がいるわけでありますが、その下話的にいろいろ話し合つているのじやないかというような情報もございますので、この輸入のみならず一般のくず鉄問題につきましては、調査部並びに一部は審査部におきましていろいろ取調べを進めております。まだここでその結論を申し上げる段階にはなつておりませんが、今後も十分にその点につきまして監視をして参りたいと考えております。

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 松原喜之次君。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 よい機会でありますから、この際簡単に一点だけお伺いしておきたいと思います。わが国では、非常に悲境にあるところの国際収支の間で輸入為替が割当てられておることは御承知の通りであります。しかるにいろいろの業種におきまして、その輸入為替の割当を受ければ、ただちに大きな利益が生れるというような実情にあります。これはたとえば毛紡なら毛紡、羊毛の輸入にいたしましても、羊毛輸入の為替を割当てられますことによつて、二十八年度の例をとれば、糸をこしらえるところの段階だけでも簡単に三百億からの利益がただちに得られるというような状況になつておる。もちろんこれは売価にも関係する問題であります。それがしかも設備の大きさによつて割当てられておる。そこで業者はいわゆる過剰投資をやつて、その輸入の羊毛にはふさわしくない、あるいは国内の需要もしくは輸出の実情にそぐわないような厖大な設備をやつてのけて、それを基本として割当を受ける。そうして一旦割当を受ければ、今度は不当な価格をもつてそれが国内でどんどん売れて行くために、大きな利益を得る。これは単に羊毛だけではありませんが、こういうふうな関係から、そこに忌むべき腐敗の場ができて、そこにあらゆる種類のうじ虫が蝟集するというような状況があるように思うのでありまするが、これに対して何らかの制約を加えるということは、暴利取締令等のない現在におきましては、おそらく独禁法を基本として何らかの制約を加えるほかはないのではないか、こういうふうに考えるのであります。そこでそういうふうな場合における独禁法の作用でございまするが、私はやはり不公正な取引方法という範疇をもつてこれを取締ることが可能ではないか、こう考えるのでありまするが、委員長はこの点に対してどういう御見解か、承つておきたいと思うのであります。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 輸入為替の割当をめぐりまして、結局において国内にいろいろおもしろくない結果が起るという点はまことに仰せの通りでございます。ただしかしこの輸入為替の割当というそのことにつきましては、これは結局通産省その他の主務官庁の扱うところでありまして、われわれといたしましても、希望といたしましてはその割当が非常に公正に行われるということを強く希望はいたしますが、事はそれらの行政官庁の問題でございます。     〔加藤委員長代理退席、武田委員長代理着席〕 ただそういうことに関連たいしまして輸入されましたものについて、ことに原材料等につきましてそれを非常に高く売る、しかもそれは高いだけでは問題になりませんが、一種のカルテル的な行為がございまして、これが国内に高く売られるということになりますれば、もちろん独占禁止法の問題といたしまして不当な取引制限の問題としてわれわれが取上げなければならぬのでございます。しかしその基本の問題につきましては、どうももう少しいろいろ検討してみなければわかりませんが、現行法の不公正な取引方法に該当するということはなかなか申しにくいのではないかというふうに考えております。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 私もその割当について独占禁止法と何らかの関係があるかないかということについては、委員長のおつしやる通りに考えるものでありますが、しかし割当の基本であるところの設備拡張の仕方、あるいはその業界の実情等について、公正取引委員会として相当研究の余地があるのではないかというふうに、その実情を知つて私は考えておるわけであります。さらにそういう有利な道を利用して不当な利益——不当とは何ぞやということは非常に問題でありますけれども、いわゆる暴利的な価格をもつて販売するという実情、その実情の基礎としてはやはり一種のカルテル的な事実があるのではないかということを想像することもできると思いますので、そういうふうな点について何らかの目標を定めてこれに対処されるような意思があるかないかということを承つておきたいのであります。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 このカルテル問題につきましては、公正取引委員会の経済部におきまして、大体各種の業界の実態の把握ということには、かなりの努力をいたしております。ただいまお話になりました設備の拡張の問題等も含めまして、かなりいろいろ調査をいたしております。ただこれを明白なカルテルがあるというところまで、調査が進みますればまことにけつこうなことでございますが、実際問題としますと、このカルテルの把握ということは実に困難なものでございまして、この点はわれわれも日夜苦心をいたしておるのでございまして、決してはつきりしたものがあるのにそれを見過すというようなことは絶対にございません。今後といたしましても、カルテルの把握ということについてはあらゆる努力を払つて参るつもりでございます。

武田信之助自由党

○武田委員長代理 菊川忠雄君。

菊川忠雄日本社会党(右)

○菊川委員 下請支払い遅延の対策については、今私資料を待つて参つておりませんので、また別の機会にお尋することにして保留したいと思いますが、先ほどの御報告の中で、当時この下請支払い遅延のはなはだしい十社をお調べになつた、その後幸いに改良されつつあるし、またこういうことは取引委員会としての仕事の性質上、名前を発表されることは差控えたいと言われるのでありまして、これは私当然のごとと思うので名前までのお尋ねはしないのでありますが、ただこの際に少しばかり内容をお尋ねしたいのは、次の点であります。  一つは、たとえばこういう十社について見ると、下請工場に対する支払いが遅れた大きな原因と思われるものをかりに二つにわけてみますならば、一つは、政府あるいはその他から現金あるいは支払証明のあるところの手形でもつて金は現実に受取つていながら、下請工場には順調に払つていないというふうな社内の金繰りの不健全性から来ているわけであります。それに該当するようなものがあつたかどうか。これは十社に限らず、今までお調べになつた三十七社の中にもそういうものがあつたかどうかという点であります。これは極端な例で申しますと、ややもすると浮貸しをやつて高利をかせぐということのために、かえつて下請工場が犠牲になつておるというようなことが民間には多々あるのであります。そういういわゆる不健全な金繰りが原因すると認められるものがあつたか、あればどの程度にあつたかという点であります。それからいま一つは、そうではなくて、今日の一般的な金詰まりということから来ておるでしようが、特に産業によつて今日非常にむらがある際でありますから、一体どういう産業に関係しておる会社に、特に下請工場に対する支払い遅延がはなはだしいか、そういう傾向が見られるか。これは私どもが最近まで接しておる事例によりますと、いわゆる駐留軍関係の調在庁の調達部の仕事を引受けておる親工場にかえつてそういうことがある。幾つもの段階の下請工場を通して、最後には下請工場のまた孫の下請工場が町工場である。それでこういう支払い遅延のために困つておる。こういう例が非常に多いのでありまして、元は非常に順調に金が出ておるはずであるが、そういうやり方をしておるのであります。     〔武田委員長代理退席、加藤委員長代理着席〕 これはさつき申し上げた不健全性によりましようが、特にそういう調達部のような、いわゆる時局的と申しますか時流に乗つた仕事を追いかけておるというようなところにあるのでありまして、これは産業的に何らかの関係があるかないかということが問題になると思います。あるいは輸出産業のどういうものにあるかということもあろうと思います。これはむしろ通産当局の関連する方面になろうと思いますけれども、公取委員会として何かそういう傾向をお認めになつておるかどうか、こういう点だけを伺つておきます。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 第一点の政府支払いができておるのに、その金が下請にまわらないような事例あつたかというようなお話でございますが、これは私ただいま正確な資料を持つておりませんが、私の聞いたところによりますと、もちろんそういうものがあることは事実でございまして、特に、たとえば下請代金の支払い遅延が著しいにかかわらず、他の資材あるいは副資材のメーカーなり使用者に対する支払いはかなりいいというような例があるのであります。これはみな同じように怠つておるというようなものもございますが、特に下請代金の支払いのみを怠つておるというような事例もございますし、あるいは下請同士の中でも、ある種のものにはかなりよく払つて、他のものを虐待するようなきらいのある事例もあつたようでありますが、むしろ逆に、われわれといたしましては、政府なりあるいは地方団体の支払いがいろいろな事情で遅れておるために、それがはね返つて下請の方に行つておるというような場合も多少あると聞いております。その他の場合は、親企業は支払いを受けておるのに払わぬという場合が相当あるというふうに伺つております。  それから業種によつて支払い遅延が著しいことがあるのではないかというお話でございますが、これにつきましても、実はここに正確な資料を持つておりませんが、私の記憶いたしますところでは、特に目立ちましたのは、兵器産業関係でございます。これが著しく悪いのでございます。これはやはりいろいろ事情もあるとは思いますが、特に目立つて悪いということは申し上げられると思います。そのほかにもいろいろあつたと思いますが、ちよつと今記憶いたしておりません。しかしながら、概してやはり親企業も相当金繰りに苦しんでおるというのが全体的に言える状況でございまして、その苦しい中でいろいろやりくりをいたします結果、一番弱い下請のところにしわが寄つて行くというのが実情でございます。

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。なお次会は来る十九日午前十時より開会いたします。     午後零時二十八分散会

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