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19回国会衆議院1954/02/09

経済安定委員会 第2号

発言数
4
登壇者
2
会派数
1
開催日
1954/02/09

会議録

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、佐伯委員長が御都合がありまして、私が委員長の職務を行います。  まず理事の補欠選任についてお諮りいたします。本委員会には目下理事が二名欠員となつておりますので、この際その補欠選任をいたしたいと存じますが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 それでは御異議ないものと認めまして、松原喜之次君及び杉村沖治郎君の両君を理事に指名いたします。  次に日本経済の基本的政策に関する件について調査を進めます。本日は愛知経済審議庁長官が御出席になつておりますので、本件について、まず愛知経済審議庁長官より説明を聴取することにいたします。愛知経済審議庁長官。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 昭和二十九年度の一般的な経済政策の基本的な考え方につきましては、さきに本会議において御説明いたしたのでありますが、これをさらに敷衍いたしまして、私どもの考えておりまするところを御説明させていただきたいと思うのであります。  それに入りまする前に、お手元にお配りしてあると思いまするが、本月の二日に、昭和二十八年の経済動向を調べまして大体計数などがはつきりいたしましたので、その要約をかいつまんで書類にいたしまして差出してございまするが、その中にも書いてございまするように、二十不在度のいろいろの政策を考えまする場合に、まず過去一箇年間の、二十八年の経済動向の特徴を振りかえつて見ることは参考になることだと考えております。  書類にも書き上げておきましたように、二十八年の経済動向の特徴を一まとめにいたしまして概括いたしてみますると、大体六つほどの特徴があげられると思うのであります。  その一つは、鉱工業の生産指数の上昇率が相当高くあることでございます。それから第二には、消費水準の上昇の続いておることでございます。特に消費水準の上昇につきましては、都市におきましてその傾向が顕著であるようでございます。その三は、国際収支の不調が目立つて参つたことでございます。それから第四は、災害や凶作の影響もございまして、物価水準が上昇い出の面におきましては、二重価格の様相が相当顕著になつておりますことが指摘できると思います。それからその五は、投資活動が非常に旺盛であつたことでございます。そうして最後にその六の特徴といたしましては、財政資金の撒布超過額が増大いたしましたことと日銀信用の増加が目立つたことでございます。  大体この六つの諸点が昨年における経済の動向の特徴として考えられる点であると思うのでございます。これを要するに、生産と消費がそれぞれ異常な増大を来しましたが輸出がそれに伴つて伸びないのみならず、国際収支は著しく逆調となつたということが一口に言つても昨年の特徴としてあげられるのだと思うのであります。いささか数字にわたりまして恐縮でございますが、ただいま申し上げましたような諸点につきましていま少しく数字的にこれを申し上げてみたいと思います。  まず資金の撒布の問題あるいは日銀信用の膨脹の点でございますが、昭和二十八年の国庫金の対民間収支を調べてみますると、百七十四億円の支払い超過でございます。この百七十四億円の支払い超過というものは、これだけを二十七年の支払い超過額と比べてみますると、二十七年は三百八億円でございましたから、それよりはむしろ減りまして、かえつて二十八年の方が一見バランスがとれておるように見えますけれども、これは外為会計の方を見ませんと実際の真相がわからぬと思うのであります。すなわち二十八年におきましては、国際収支の逆調ということを反映いたしまして、二十七年に比べますると八百四十九億円も引揚げの超過が増大したからかような結果になるのでございまして、これを勘定に人れて調整いたしてみますると、国庫の対民間収支は二十七年が四百八十一億円でありましたものが二十八年には千百九十六億円というふうにふえておるのでございまして、すなわちこの面からの撒布超過額が七百十五億円も前年に比べて増大いたしておるということが指摘されるわけでございます。次に日本銀行の信用の増大の方でございまするが、これは二十八年一年を通じますると千七十五億円膨脹を示しておるのでございまして、国際収支の万から来ますところのデフレ的な作用を相殺するとともに、それにとどまらすに設備融資等の増大などを通じまして経済循環の拡大に大きな役割を果したと言うことができると思うのでありますが、これらを総合いたしまして、昭和二十八年におきましては日本銀行券の発行高、通貨の増発は五百三十四億円、二十八年を通じて増大いたしたわけでございます。  それからその次に投資活動の状態でございますが、これもお配りいたしました書類の中に掲げてあるところでございますが、簡単に申し上げますると設備資金の供給の実績を見てみますると、二十八年の一月から十月までが確定的な実績があがつておりまするのでこれを二十七年の同期に比べてみますると二五%、二割五分の増大になつております。すなわち投資活動のうち、設備資金は前年に比べて二割五分の増大となつておるのでありますが、しかもその金がどこから調達されたかという面を見てみまするならば、株式とか社債とかは一割程度の増加にとどまつておるのでありまして、他方銀行の貸出しは前年に比べて六割近く増加いたしておるわけでございます。これらの投資の増加がどういう面に多く行われておつたかと申しますと、その一、二の例をこの中から取上げて申し上げてみますると、たとえばセメントでございますが、セメントにおきましては一二%の増加になつております。それから電気機械のごときは金額はともかくといたしまして、比率といたしましては一一四%の増というように、最も著しい例となつているのでございますが、その他の部門におきましても、一般機械、輸送用機械あるいは食糧品、繊維工業というようなところに昨年中の特色として投資活動が顕著に行われたように見受けるのでございます。これも先ほど総論として申し上げたのでありまするが、国内の生産水準の方はどうかと申しますると、鉱工業の生産指数は昭和九年—十一年を一〇〇といたしまして一五〇程度に相なつております。これは前年に比べますると約二割の増加でございます。一方消費水準の方は、先ほど申し上げましたが、前年に引続きまして上昇傾向をたどつておりますが、二十八年のこれは九月までの平均が的確の数字が求められるのでございますが、都市、農村を通じまして一割以上上まわつて参りました。同時にエンゲル係数の関係も、二十七年に比べれば相当増加いたしているようになつております。  次に物価の動向でございまするが、二十八年中におきましては金属や燃料等はある程度下落いたしておりますが、災害によりまして建築材料、木材等が御承知のように相当の騰貴を示しております。それから農産物あるいは水産物の関係は、凶作等の関係がございまするので、生産が相当減りまして、その結果主食も生鮮食料品もいずれも価格は相当上つているわけでございます。  それからいま一つ、昨年の、二十八年の秋ごろでございますが、一時繊維製品に見られましたような思惑による動きを中心といたしまして、これが昨年のやはり一つの特色かと思いますが、これらを全体として総合してみますると、二十七年に比べまして相当上昇いたしておるわけでございます。これは一番最近の、先月すなわち昭和二十九年の一月の物価を二十八年の一月の物価と比較いたしますると、建築材料は二九・八%というような、大体三割増となつております。それから食糧は一六・六形の増加、繊維品は一二・八%の騰貴、こういうふうなかつこうになつておりますのが、大体過去一箇年、あるいは昭和二十八年中における物価の動向でございます。  その次に二十八年の経済動向の最後の点といたしまして国際収支の関係でございますが、為替統計によれば、輸出について申し上げますると、昭和二十八年中の輸出は十一億五千六百万ドルでございまして、二十七年に比べますと数量的には一割増加、いたしておるのでありますが、輸出単価の値下げの結果、金額的には一億三千二百万ドル減少いたしておるわけでございます。一方輸入におきましては、凶作に基きます食糧の緊急輸入、あるいは思惑を抑制いたしたいということで、繊維原料等の追加輸入をいたしました関係もありまして、輸入の総額は二十一億二百万ドルという数字になつております。これは昭和二十七年に比べますると、三億八千三百万ドルの増加でございます。しかも数量で申しますると、前年に比べまして約四割の増加ということに相なつております。これも先ほどの例と同じく、そのうちでどういうものが特に目立つて多かつたのであろうかということについて、二、三の例を申し上げまするならば、原毛におきましては三四%の増加、機械が五三%の増加、くず鉄が六三%の増加、原油が四八%の増、大豆が五三%の増、ウール・ノイルが九六%の増、米が一二%増、木材が六八%増、砂糖が一三%の増、輸入品日別に見ますると、増加の顕著なものはこういうものでございます。こういつたような結果といたしまして、昭和二十八年の外国為替の収支のしりは一億九千四百万ドルの赤字と相なつたわけでございまして、前年におきましては二億二千三百万ドルに上る黒字を出したのに比較いたしますると、昨年一箇年間に四億一千七百万ドルというような逆調を来したわけでございます。従つて手持ちの外貨は、年間に一億五千四百万ドル減少いたしまして、昭和二十八年末の外貨の手持高は、九億七千八百万ドルと相なつた次第でございます。  以上が昭和二十八年の経済動向の概観でございまするが、これも先ほど申し上げました通り、消費の増加も生産の拡大もそれ自体は私は好ましいことだと思うのでありまするが、輸出の伸張を伴わないものでありましたため、国際収支の逆調となり、これがわが国経済の自立に対して重荷となつたというのが、二十八年中の経済動向であると思うのでございます。  そこで本会議等でも申し上げました通り、政府といたしましてはこの際たとい一時的に消費水準や生産の上昇がとまることがあつても、国際収支の逆調を直しまして、均衡を回復し、正常な均整ある経済を確立することが当面最大の急務であると考えまして、昭和二十九年度の経済政策の基調を、まず第一にわが国経済の正常化、特に割高な物価の是正を通じての国際収支の均衡に置くということにいたした次第でございます。そのためには、まず政府が財政面におきまして一兆円内の予算を編成する、財政支出を圧縮する、金融面におきましても引締めを強化いたしまして、通貨の収縮をはかりたい。国内購買力の抑制を通じて、物価水準の引下げに努めることが第一義であると考えておるわけでございます。しかしながら重要部門に対する合理化、近代化、コストの引下げのための必要資金というようなものにつきましては、極力その確保をはかりますよう一段とくふうをいたしたい所存でございます。また物価下落を妨げまするような不当な価格協定等の取締りを一層強化し、不況カルテルのようなものは安易にこれは認めない方針といたしたいと考えるのであります。  次に輸出の振興でございますが、さきに申し述べました国内購買力の減少、国内物価の引下げ簡するいろいろの施策も、主として今後一層輸出を増加したい、これを伸ばしたいということのためにとらるべき政策でございまして、今後のわが国経済の拡大発展は輸出の振興なくしてはとうてい考えられないということに、はつきり焦点をきめようと考えておるわけでございます。この輸出振興についてどういうことをやつて行くかということにつきましては、いろいろの面から総合的な考え方で考え得るあらゆる政策を進めて参らなければならないと思いますが、その二、三の点につきまして御説明を申し上げたいと思います。  その第一は、市場開拓を目的といたしまする経済外交の推進、対外信用の確保ということであると思うのでありまして、国内的ないろいろな努力が必要であることは申すまでもございませんが、対外的にいわゆる経済外交の推進ということが最も必要なことの一つじやないかと思うのであります。そのためには、まだ残つております各国との間の通商航海条約の早期締結、あるいは東南アジア諸国に対しまする賠償問題の円満にして早期な解決、あるいはガットへ仮加入が認められたわけでありますが、これを正式加入にしたいということ、また現在の通商協定の拡大やその有効な活用にも一層の努力を払わなければならぬと考えておるわけでございます。特に御承知のように、先般来日英会談にいろいろ努力して参つたのでございますが、今回の日英会談につきましては、十一月下旬からロンドンで交渉をやつておりまして、日英間の関係におきましては、輸出、輸入も拡大し、かつ均衡したい、いわゆる拡大均衡をはかる方針で交渉に当つておつたわけでございますが、一月三十にようやく交渉がまとまりまして、本支払い協定に若干の修正を施して、本年の末まで延長するということにいたしましたほか、貿易計画につきましては、受取り、支払いそれぞれ二億九百五十万ポンドの線において協定が成立いたしましたことは御承知の通りでございます。これを日本から英国、その自治領、植民地等に対する関係の輸出について見ますならば、二十七年の輸出実績は一億二千二百万ポンドでございましたから、これに比較いたしますと、実に六割の増加ということになるのでありまして、特に英本国及びその植民地におきまする従来の輸入制限措置を大幅に緩和せしめることについて英国側の確約を得ましたことをもあわせ考えますと、昨年におきまする輸出の伸び悩みのおもな原因でありましたポンド圏貿易の今後には、相当明るい希望を持つことができると言えるかと思うのでございます。なお今後におきましても、他の諸国あるいは英国の自治領その他につきましてはもちろんでございますが、それらの諸国の輸入制限緩和を強力に要請し、その達成に努力いたしたいと考えておるわけでございます。なお目下交渉を進めておりますところとして、アルゼンチン、ブラジル、トルコ等との貿易協定の改訂ないし締結の問題がございます。これらにつきましてもさらに一層促進をいたしたいと考えるわけでございます。  それから対外的の関係についての東南アジアの問題でございますが、現在東南アジアにつきましては、たとえばプラント輸出の話合いが相当顕著に進んで参つておるのでございまして、これについてはその経済協力促進というこから申しましても、プラント輸出における長期の延払いというような優遇措置を国内措置としても考えて参りたいと思うのでございます。  なお、これは通商産業省の関係でございますが、二十九年度におきましては予算がきわめて全体的に削減されたもとにおいてではございまするが、国庫の補助金では、たとえば重機械類の技術相談室の補助金でありますとか、貿易斡旋所の補助金でありますとか、直接輸出振興に役立つような、しかも対外的にいろいろの連繁を改善いたしまするための予算は、比率にいたしますれば、二十八年度に比べて七割強の増額というようなことを予算上も措置をいたしておるような次第でございます。  それから輸出の振興について日本国内としてのいろいろの措置が強力に推進されなければならぬことは申すまでもございませんが、特にコストの引下げ、貿易商社の強化等について考えて参りたいと思うのであります。二十九年度におきましては、この輸出商社の強化、生糸その他繊維類の輸出振興に必要な措置を講じまするとともに、機械、石炭、鉄鋼、硫安等の重要産業に対しましては、乏しい中ではございまするが、財政投資を重点的に投入いたしたいと考克ております。これによりましてコストの引下げをはかりますとともに、輸出の所得控除の特別措置を拡充するというようなことによりまして、税法上の優遇措置をはかりたいと考えたのでございます。これらによりまして国際競争力を培養して参りたいと存じておる次第でございます。この点につきましては、特に先般も申したのでありますが、一番重要なことな設備の近代化と、近代化された設備を完全操業をすることであると思うのでありまして、たとえばわが国の産業におきましても、繊維工業の現在の実態を見ますればまさにこれが相当の効果を上げておるのであります。また外国におきましても、西ドイツの機械工業が世界的に強力な競争力を持つておりまするのも、その稼働しております設備の大半が戦後の近代的設備であるということがあるからではないかと考える次第でございます。従つてこれらを考えますると、この際各企業が資産再評価を断行して資本の蓄積に努めることはもちろんでありまするが、経営の合理化、設備の近代化に邁進することが最も肝要ではないかと存ずるのでありまして、各企業の実態、内容というものを、経営者はもちろんでありますが、労働者側におきましてもあるいは株主におきましてもその実態を正確に把握するということにおいて、いろいろの意味で企業の努力、生産意欲の向上、労働生産性の向上というようなことがこういう面から期待されるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから国際収支の均衡という問題は、同時に国内における科学技術の振興、国内の自給度の向上、その他外貨支払いの節減の方策が大事であることは、これも申すまでもないところと思うのでございます。たとえば食糧につきましては、その増産対策を推進して参ることはもちろんでございまするが、特に財政支出等につきましては、重点的効率化によりまして増産効果を可及的に増大いたしたい。また外米の輸入につきましては、ちようど年間にいたしますると約一億ドルの外貨を使つておるわけでございますが、これらの点にもかんがみまして、食生活の改善に必要な措置を講ずる、米食偏重を是正する、外貨払いも節減するし、財政負担も軽減をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。水産や畜産の振興につきましては、引続き各般の措置を推進して参りたいと考えております。  また方面をかえてみますると、一例は合成繊維でございますが、これはすでに拡充計画を実行いたしました結果、昭和二十八年度末すなわち現在における設備能力は大体日産五十一トンでございますが、二十九年度中において日産七十六トンまで増加をいたしたい、それによりまして昭和二十九年度においては、前年度に比して約手五百万ポンドの増産をぜひはかりたいと計画を進めておるわけでございますが、これは原毛に換算いたしますと約八万五千俵に当ります。金額にいたしますと二千万ドル程度に相当いたしますので、先ほど一例としてあげましたが、繊維原料の輸入の増加傾向にかんがみましても、これについて増産措置をはかるということはきわめて適切な措置ではなかろうかと考えておるわけでございまして、できるだけ早く合成繊維の生産能力は二倍にいたしたいというふうな考え方を進めて参りたいと思うのでございます。  石炭その他の地下資源につきましては、まだ日取終的な結論を得ておりませんから、一実は租税上の問題といたしましても租税特別措置法等においてある程度のくふうを考えて参りたいと思いますが、これらは要するに開発の合理化を促進したいということの配意にほかなりません。また石油の増産につきましても三年計画というものをできれば推進して参りたい、それによりまして百万キロリッターの国内の原油の増産をはかりたいと思うのでありまして、予算山案できわめて乏しいという御批評もございますが、昨年に比べますと相当多額の一億三千万というものを石油の採鉱補助金として予算に組んだ次第でございます。  電源開発につきましては昭和二十九度中に約百万キロワットを完成させたい、このためには大体財政資金は六百億ないし七百億円を必要といたすのでございますが、これは投融資の計画上ぜひとも確保いたしたいと考えておりまするし、必ず実現するものと信じておる次第でございます。  造船につきましては二十九年度中に外航船十七万総トン以上を建造することを目標にいたしまして、開発銀行の資金計画等におきましても特に重点的に百八十五億円程度の融資をただいま進めておるわけでございます。  なお石炭、鉄鋼、機械、合成繊維、硫安というようなものにつきましては、先ほど来申し上げておりますような設備の近代化、コストの低下というようなことのために開発銀行の資金計画の上では少くとも九十五億円はこのために留保いたしたいと考えておりまするし、また予算案で御承知のように国際航空事業につきましては十億円の投資ということに相なつておるわけでございます。  なおこの際申し上げておきたいと思いますのは、輸入の計画の問題でございます。食糧とか綿花でありますとか、その他国民生活の安定のために必要な物資につきましては必要量の輸入を確保することはもちろんでございます。このためには私は二十八年度の計画と二十九年度のこの面における計画は、あとにも申したいと思うのでございますが、大した変化のないものを確保いたしたいと考えております。他面奢侈品や高級品その他の不急の外貨支払いは、今後は一層徹底的に削減いたしまして、国際収支の改善をはかりたいと思うのでございます。  さて、以上は大体におきまする私どもの今後やつて参りたいと考えておりますことの大要でございますが、こういうことをやつて参りまして一体昭和二十九年度においてどういうふうな姿に経済がなるのであろうか、またそれを達成するために、翻つて今申しましたようなことをやらなければならないということになると思うのでありますが、二十九年度の国民経済と申しますか、産業と申しますか、あるいは雇用と申しますか、そういう各般の面におきましてどういう姿が出て来るであろうかということについて簡単に御説明をつけ加えてみたいと思うのであります。大体二十九年度の総合的な見通しにつきましては、計数的な表などもお手元にお配りいたしておるのでございますが、それらについて、きわめて概略の説明をさしていただきたいと思います。  まず第一に国内の需要の面を申し上げてみたいと思います。これは予算の削減と最も緊密な問題であり、またいわゆるデフレ的な要因の一兆円予算というものの根幹になつておる点でもあると思うのでありますが、御承知のように、昭和二十八年度に比べますと、いわゆる財政投融資計画が五百八十四億円削減に相なつております。そこで二十九年度の産業設備資金の供給額は、二十八年度に比べますと、一三%の減少になります。それから一般会計の予算の方でも御承知の通り、公共事業費とか、食糧増産対策費、災害復旧費といつたような点においてそれぞれ相当の減額がございますが、達観的に見ますと、大体九%くらいこの国内需要の面において削減されることになると思うのであります。従つてその他の産業設備資金の関係と今申しましたような点を総合いたしてみますと、まず国内投費の需要は、二十八年度に比べて一〇%減と見るべきではないかと考えるのであります。  それから次にそれに対して消費需要の関係はどうなるであろうかということを検討いたしてみますると、さしあたりのところにおきましては、いわゆる有効需要の減退はしかく顕著ではないと思うのであります。あとにも申し上げたいと思いますが、たとえば賃金水準で申しますと、二十九年度一年を通じてみますると、大体三%二十八年度に対して上昇すると思うのであります。それから農村の関係におきましては、生産の増加等の関係である程度の収入増加——価格の値下りはございましても、収入の増加が見られると考えるのであります。また予算上の問題といたしましても、軍人恩給、社会保障費あるいは一部の減税というようなものは、これはやはり有効需要のむしろ伸びの方のプラスになる要因だと思うのであります。それらを総合してみますると、国民所得の計算が出て来るわけでありますが、同時に物価の下降傾向を目前にいたしまして消費者側としては一般的に買控えの傾向が出て来るということも、ここに考え合せなければならないと思うのでございまして、実際上に顕在して参ります消費購買力は、大体二十八年度とほぼ同様ではなかろうかと思うのであります。それからいわゆる可処分の国民所得は、御承知のように、五兆九千八百億円という推定をいたしておるわけでございまして、これをもとにしていわゆる一兆円予算が組まれておる関係になるわけでございます。  その次に、輸出と特需、すなわち国際収支の面でいう受取りの面について若干申し上げたいと思いますが、これは先ほどもちよつと申した英国の関係などもあるのでありますが、まず輸出について私どもの考え方を申し上げますると、米国経済の動向が今後どうなるであろうかということにつきましては、たとえばコリン・クラーク教授の研究もあり、またその悲観説に対しましては、アメリカの政府筋その他の学者、専門家等のいろいろの意見もあるようでございますが、若干の景気後退の影響というものはやはり見て行かなければなるまいかと思います。従つてこの輸出につきましても、私どもの計画では、二十九年度のドル向けの輸出は四億四千五百万ドルという見通しをつくつておりますが、これは二十八年度に比べれば、ちよつと実績より下まわつた計画になつております。それからポンド地域向けでございますが、これはドルにいたしますと、大体五億一千百万ドル程度に輸出を見ているのでございますが、これは申し上げました通り、約六割の増加になりますので、この点が非常に過大ではなかろうかという御意見もございます。しかしながら従来日本の輸出が阻害されておつた外的な要因を排除するという点で外交交渉に特に念を入れた経緯もございますので、何としてもこれだけの輸出の努力をいたし、このわくを現実のものとして達成いたしたいと考えているわけでございます。なおアメリカの関係では、特需につきましても、昨年度の実績が八億一千万ドルと見られるのでありますが、約五千万ドル程度の減少はやむを得なかろう、こういうふうな見方をいたしているわけでございます。かくいたしまして、御承知のように輸出の総計は十三億七千五百万ドル、これは二十八年度に比べれば一億五千万ドルの増加というふうに考えているわけでございます。かくのごとく輸出なり特需なりについては、相当努力が要請されるわけでございます。さような計画でございますので、それに即応するような国内の産業活動ということを考えてみなければならないと思うのであります。  そこで次に産業活動の大体の見通しを申し上げてみたいと思うのであります。まず鉱工業生産の問題でございますが、これは先ほどもちよつと申しましたが、昭和二十八年度の第三・四半期、すなわち昨年の十月から十二月の間の鉱工業生産の伸びは、相当顕著なものがございまして、正確な数字はまだ出ておりまんが、戦前比一六〇を越えるという数字であります。しかし同時に二十九年に入りましてから、一月から三月までの二十八年度の第四・四半期は、しましても、これは相当下降状態をたどるであろうと考えられます。そこで二十八年の年度間を通じますと、鉱工業生産の指数が大体一五二くらいになろうと今推定いたしておるのでございますが、二十九年度も大体年度間を通ずれば、その規模を維持するということになろうと思います。しかしながらこれをさらに時期的に分析して考えますると、二十九年度の第一・四・半期においては、むしろ二十八年度の第三・四半期に近い程度の鉱主業生産であろう。すなわちこれは相当高い程度のものであろう。それが第二・四半期に入りましてから先ほど申しました国内の投資需要の減退、あるいは予算執行上の影響というものが現われて参りまして、第二・四半期、特に第三・四半期に入りましてからは、生産の上昇はかなり顕著に停滞し、あるいは多少縮小するということは当然に私は予想されると思うのであります。従つて年度間を通ずれば二十八年度同様の一五二程度の水準になるであろう、かように考えておるわけであります。  次に農産物、水産物、林産物といつたものの生産の状況はどうなるであろうかということでありますが、この関係におきましては二十八年度がやや例外的に凶作でありましたために、二十八年度は二十七年度に対しまして約一割あるいはそれ以上生産が減つております。二十九年度におきましては、もし天候その他の条件に恵まれ、平年作が確保されるものといたしまするならば、その他の増産諸施策の効果もございましようから、私どもは、二十七年度に対しては約三%程度の生産の増かが期待される、二十八年度に対しましては、農産物としては一割一分ないしそれ以上の増産が期待される、こういうふうに考えておるわけでございます。林業については大体二十八年度程度でございましようが、水産については、二十八年度におきましては海流の異変というようなことが、ございましたが、これらの関係をも考えまずと、二十九年度においてはある程度の増産が期待されるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。国内の生産活動と輸出の計画とは大体マッチしてバランスのとれたものというふうに考えておりますが、こういうふうな生産を予想いたしました場合の輸入についてはどういうふうに見るかということがその次の問題だと思うのであります。  今申しましたような生産の見通しに基きまして二十九年度の輸入を考えますると、ここで両年度の顕著な違いは、やはり食糧の輸入の関係であると思うのであります。二十八年度は、御承知のように食糧の緊急輸入が下期におきまして一億三千六百万ドルございました。これがさらに尾を引いておるのでございまして、二十九年度に入りましてからも、この関係で大体七千万ドルは輸入をしなければならないのでありまして、これを合計いたしまするならば、いわゆる追加輸入、凶作対策に約二億ドルあるいはそれ以上の輸入が最近の数箇月の間に行われなければならなかつたわけであります。二十九年度におきましても、出来秋までは今申しましたような関係から食糧輸入増加をはからなければならないと思うのでありまするが、一方米の輸入は漸次削減して参りたい。また最近におきましては、輸入の単価が相当顕著に値下りになつておりまするので、食糧輸入という一番大きな問題を考えてみました場合に、二十八年度よりは大体八千八百万ドル程度減らし得るのではなかろうかと思うのでございます。この点が二十八年度、二十九年度の輸入計画での一つの違いでございます。同時に、先ほど来るる申し上げましたように、二十九年度の鉱工業生産の規模は、二十八年度とほとんどかわらないのでありますから、国内の物価に影響を及ぼさずに原材料の輸入を削減するということは、困難というよりも、むしろこれはやらない方がよかろうというのが私どもの考え方でございますから、自然輸入はそんなに切れるものではないというふうに考えるのでございます。ただ不急不要のぜいたく品等の輸入の削減ということはもちろん断然強力にやつて参らなければならないと思いますが、現在のところ私どもの見通しといたしましては、輸入額の全体として見た場合には、二十八年度の実績から見て約三千万ドル切詰めという程度に計画をするのが妥当ではないかと思うのでありまして、この点は先ほど申しました食糧関係がおもな問題であり、またぜいたく品等の輸入の削減ということは、全部とめましたところで全体の金額としてはそう大したものに上らない、しかし上らないからといつてももちろんこれを切るつもりでおりますことは申すまでもございません。相当徹底的に削減したいと思つております。  以上で大体生産と輸出輸入等の関係について概説申し上げたわけでございますが、これらの結果といたしまして、二十八年度には国際収支の赤が一億九千万ドル、あるいはそれ以上になるわけでございます。これに対して二十九年度はかなり改善されて、特に二十九年の下期だけを見てみますならば大体とんとんの程度に行くのではなかろうか、またぜひそうしたいと思うのでありまして、二十九年度全体としては九千万ドルの赤字が残るにしても、結果的に考えれば、二十九年度下半期はとんくになる。またこの九千万ドルの赤の中には、先ほど申しましたような食糧緊急輸入のずれが相当入つておるというところから見てその見通しは正しいのではないか、こう考えております。  次に物価の問題でございます。これはいろいろな論議がございますが、私はこれも簡単に大筋だけ申し上げたいと思います。生産財と消費財と大きくわけて考えてみましても、生産財につきましては、先ほど国内の投資需要のことを申したのでありますが、需要の方が生産活動として減り、これに対して供給力の方の減り方が少い、この点から生産財の物価の見通しというものが出て来ると思うのであります。生産はある程度の水準を二十九年度の当初においては維持いたしましようが、同時に金融の引締めの強化というような予想されるいろいろの条件を組み合せてみますと、大体二十九年度の夏場から後半期にかけてかなりの下落を見るのではないかと思うのでありまして年度間を比較いたしますれば、生産財については六%ないし七%の下落があるものと思われます。またある時点と時点、たとえば今年の三月、すなわち二十八年度末と二十九年度天、三十年三月という二つの時点を比較してみますならば、生産財については約一〇%の下落が見込まれるのではなかろうかと考えるわけでございます。  一方消費財の物価の方を考えてみますと、先ほど来申しておりまするように、出来秋を中心にして平年作が期待できるということでありますれば、たとえばやみ米も下りましよう、野菜、果実あるいは水産物の方でも魚介類などの値下りが予想されまするし、これに加うるに物価の先安見越しによる消費者の買控え傾向も現われて来るというようなことになりますならば、衣料品や日用雑貨等についても多少の値下りが予想されるであろうと思うのであります。これは全体として、生産財ほど顕著には下らないと思いますが、年度を通ずれば、二十八年度に対して三%ないし四%程度の下落が起つて来るというふうに考えておるわけでございます。  次に雇用、賃金について最後に概括して申し上げたいと思うのでございます。先ほど来申し上げておりまするように、鉱工業の生産は年度を通じては横ばいと見ております。従つて雇用量についても顕著な変化はないと思われるのであります。しかしながら下半期においては、投資財の産業を中心にして生産の低下が予想されます。これに伴いまして、一部の業種や企業においては若干雇用の減も現われて参ろうと考えるのであります。賃金につきましては、公務員の給与ベースの引上げのほかに、一部の産業においては若干上昇を予想される部門もあると思うのでございます。しかしながら下期に入りますると、企業の収益が悪化する、そういうような関係から、臨時給与、ボーナスというようなものはある程度大幅に減るということも考えられるかと思うのでありますが、全産業をとり、かつ年度間の比較をいたした場合におきましては、三%程度の賃金水準の増加ということは起るであろうと思うのでございます。  それから、それに関連いたしまして消費水準の問題でございますが、これを都市勤労者と農村にわけてみました場合に、都市の勤労者については、今申し上げましたように賃金の上昇は三%と見る。それからCPIの下落を三・六%とする。そうすると消費水準のプラスの要因が大体六%以上出て来る。そこで雇用の減は一%と仮定し、人口の増加を一・三%ぐらいと仮定いたしますと、二・三%ぐらいのこれに対するマイナスの要因が出て来る。しかしこれについて、さらにこれからの一般大衆の物価に対する感覚や買い控えあるいは貯蓄性向の増大というような、正確には数字に現われませんところのいろいろの要事をかみ合わせて参らなければならぬと考えますので、都市の勤労者についての消費水準の伸びは、二十八年度に比べて大体四%ないし五%程度じやなかろうか。また農村におきましては、これも先ほど申し上げましたように平年作であれば、生産は増加する、農産物価格はある程度下落するでありましよう。しかし農家の手取りはそれを総合してもある程度は多くなるということが言えると思います。また一方にはそれを相殺するような公共事業費その他の救農予算の削減というようなこともありましよう。また雇用の減に伴つて農村にしわ寄せが来るというような点も見なすればならないと思いますが、いろいろこれを検討してみますと、消費水準の農村における上昇は二%あるいは三%程度ではなかろうか。これを全部を通じて二十九年度の消費水準といすことで見れば、大体三%前後の増ということになるのではなかろうかと見るのでございます。  要するに、非常に雑駁な御説明を申し上げましたが、二十九年度についてわれわれの描いおります全体の構図並びにそれをつくりたいためにどういう政策をどういう考え方でやつて行きたいと考えておるのかということについては、大体御説明を申し上げたつもりでございます。

加藤宗平自由党

○加藤委員長代理 本日はこの程度にとどめまして次会は来る十六日午前十時より開会することといたします。  これにて散会いたします。     午後零時五分散会

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