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19回国会衆議院1954/03/17

外務委員会内閣委員会農林委員会通商産業委員会連合審査会 第1号

発言数
427
登壇者
24
会派数
6
開催日
1954/03/17

会議録

上塚司自由党

○上塚委員長 これより外務委員会内閣委員会農林委員会通商産業委員会連合審査会を開会いたします。  慣例によりまして私が委員長を勤めますから、さよう御了承を願います。  日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件外三件を一括して議題といたします。     —————————————     —————————————

上塚司自由党

○上塚委員長 これより質疑を許します。なお質疑の順序につきましては、内閣委員、農林委員、通産委員の順序で一名ずつ交互に行うことといたします。なお質疑の通告者が非常に多数でありますので、時間整理の都合上、各員の持時間を三十分程度におとどめを願いたいと存じます。  また外務大臣及び保安庁長官は、ただいま参議院において提案理由説明中でありますが、十一時半には本委員会に出席の予定でございます。外務省よりここにただいま出席しております政府委員は、欧米局長土屋隼君、条約局長下田武三君、経済局長心得小田部謙一君外であります。  外務大臣及び保安庁長官出席まで、各政府委員に対して御質問をお願いいたしたいと思います。綱島正興君。

綱島正興自由党

○綱島委員 政府委員にお尋ねします。実は近年日本の食糧が非常に不足いたしておりますので、この食糧輸入の方法をいかにいたすか。その決済等についていかような処置をいたすかということは、日本の食糧問題上非常に重要であるばかりでなく、価格等の問題に関係して参りますので、農村の問題に非常に関連を持つておりますので、特にその点を明らかにしておきたいと存ずるわけであります。ただいま単刀直入にお伺いしたいのは、相互安全保障法の五百五十条の問題であります。これは私ども専門でございませんからよく存じませんが、大体この買付は、日本の市場価格でアメリカの剰余農産物資を買いつけるものというふうに存じておりますが、それに相違はございませんか。

小田部謙一外務事務官(経済局長心得)

○小田部政府委員 五百五十条によります小麦の値段は、アメリカ側と交渉いたしました結果、大体日本が現在アメリカから買いつけている小麦価格、すなわち現在アメリカから日本が買いつけておりますのは、国際小麦協定に基きます価格でございますから、国際小麦協定に基きます価格とほぼ同様なものを買いつけることになつております。ただしかし、これはその値段で買いつけますが、これは食糧庁がそこで価格の操作をいたしまして、結局市場価格で出すことと思われます。

綱島正興自由党

○綱島委員 五百五十条の手続はそうなさるというのですが、明文は、消費地に市場価格で売り渡すということになつているのではないですか。

小田部謙一外務事務官(経済局長心得)

○小田部政府委員 五百五十条の成文によりますと、アメリカは最高世界市場価格にできるだけ合致しなければならないという規定がございます。ところがこの規定をそのまま解釈しまして、世界の最高市場価格にいたしますれば、結局日本にとつて損になりますから、日本としては国際小麦協定の価格、すなわちそれより安い値段で買うことは買う。一応買つた上の操作は、普通の小麦を買つたと同じ状況で日本の市場には出すということになつております。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 経済局長に関連してお尋ねいたしますが、国際小麦協定の価格と申しましても、御存じのように最高が二ドル五セントであつて、最低は一ドル七、八十セントになつているのであります。アメリカの小麦をこのMSA協定によつて買付をするという場合に、この協定が生れましたそれ以前において、アメリカの大統領が特別農業教書を出しておる。またランドール委員会の報告等を見ましても、決して安く売るということは書いてない。今の御答弁では国際小麦協定によると簡単に言われますが、協定自体の中にも価格の相違がありますし、またこのMSA小麦協定の背景ともいうべき、ただいまあげました大統領教書なりランドール委員会の報告等を見ましても、決して安く売るということはいつてない。アメリカの過剰農産物を凍結をし、むしろ国内の農業保護のために、あるいはマーケットの拡張のために、最もアメリカに有利にこれを出すということはいつておりますけれども、決して安く売るということはいつてない。先般来の予算委員会でも御答弁がそれ一点張りのようでありますが、もう協定が調印された今日、その具体的な価格をこの際御発表になることは、政府の責任として当然であろうと思う、それを具体的にお示しを願いたいのであります。

小田部謙一外務事務官(経済局長心得)

○小田部政府委員 まず交渉の当初におきましては、アメリカは必ずしも安い値段で日本に売るということを申しておりませんでしたが、その後交渉の結果、国際小麦協定——この協定には今御指摘くださいました通り、最高価格と最低価格とございますが、それは実は理論的な問題でございまして、実は国際小麦協定の価格と申します際には、国際小麦協定に入つている国が買う市場値段でございます。それでアメリカといたしましては、本交渉の途中におきまして、CCCと申しますアメリカの政府機関が、国際小麦協定の価格まで補助金を出すことになつております。そうして国際小麦協定の市場価格は毎日かわるものでありますから、それに応じまして毎日補助金を発表するということになつております。それで現在アメリカの国際小麦協定によります値段は、三月九日の調べでありますが、シー・アンド・エフで、ナンバー・ワンのウエスタン・ホワイトは、一トン七十五ドル九十七セントになつております。今度はMSAで買えるものも、これはもちろんその日その日によつて価格がかわりますが、大体同じ価格で買えるものと思つております。

綱島正興自由党

○綱島委員 そういたしますと、このたびの協定によりますと、すべて日本はその余の法律に基く輸入はしないということになつておりますか。具体的に申し上げますと、この間ロバート・メーサンというドクターが参りました。この人に会つて聞いてみると、アメリカにおいてはこの協定外に過剰農産物資処理のために、特にエルサレムを救済するという意味ではあつたが、しかし法律ではそう書いてない、エルサレム国のためにと書いてなくて、そうして過剰農産物資を特別な処理をすることができるという法律をつくつておる。それによると、バターなどは、もちろん倉庫渡しでありますが、一ポンド一セントで渡すことにしておる。ただコーター・セントの手数料を別に下請が受取るだけである。その余は保険料、輸送量を持てばそれでよろしい。大体計算しますと、日本着バターが一ポンド七円か八円で入ることに相なるのであります。これは私一人で聞いたのではなくて、農林次官も畜産局長も、その他食糧庁の人も立会いの上に農林省の次官室で聞いたのです。そうしてしきりと、かようなことをしたらよろしい、しかし日本は非常に高いものをいつも買つておるし、脱脂ミルク等も非常に高いものを買つておる。だから前例が高過ぎて、一セントであるものを五セントで買つてみたりするから非常にやりにくいし、この通りには行かぬかもしれないけれども、努力の次第ではやれぬことはないということを言つたのですが、この人は御承知の通り過剰農産物資にはたいへん発言権を持つておる、かつて委員会の主要なるメンバーであつた人である。このたびも東洋の諸国をまわつて、ビルマ政府の経済顧問もしておつて、ビルマ政府も近くこれを入れるそうである。日本はどうもたいへん過剰農産物資を高く買つておるという意見を述べておられるのであります。特に注意をしなければならぬことは、先ほど足鹿委員からも質問がございましたが、アメリカは御承知の通り非常な過剰生産をいたしておる、これはどうすることもできない。一九二七年にはシカゴ市場で農産物をみな燃して見せておる、そうして価格維持をはかつておる。昨年のごときは十三億三千万ブツシェルというような非常な多額な生産をいたしておる。別な新聞によると十三億六千万ブツシエルくらいだろうということを申しております。非常な多額な過剰物資を持つておりますし、アメリカの農村保護政策というものは、ひとり小麦というような第一次生産のものにとどまらず、農村の二次生産のバターとかチーズとかあるいはスキムミルクとかいうものまで及んでおる。これらを、私が受取りました手紙にはただと同様な価格で処理しておる、近く日本に行くから日本の病院施設とか学校給食とかに寄与することができると思うとあります。はたして聞いてみるとそういう価格であります。こういう点について特に御考慮になりましたかどうか。特別なる処理をしようということをアメリカの委員会及びCCCの方で考えておるということでありますが、この協定をなさるについて特別な御考慮がありましたかどうか、伺いたい。

小田部謙一外務事務官(経済局長心得)

○小田部政府委員 現在スキムミルクに関しましては、日本もこの協定とは別でありますが、非常に安い値段で買つております。FASでアメリカ市場の値段で十五・六セントのものを五セントで買つております。実はこの協定を結びますときに五千万ドルの範囲でございますが、これで小麦と大麦を買いましてもまだ五、六百万ドルは残つておることになります。その後のものをどれを買おうかということについては、必ずしも意見が一致しておりませんので、バターを買つたらいいとか、スキムミルクを買つたらいいという話があるのであります。ただバターなどに関しましてはあまりたくさん買いますと、日本の酪農業との関連もありまして、あまり安いものをたくさん買うわけに行かぬ、そのような考慮もあるように承つております。そういうわけであと五、六百万ドル残つておりますから、それで何を買うかというときにおきましては、また十分考慮いたしたいと思います。なお確かに小麦の値段はIWAの値段でありまして、特にそれ以下に安いということはございませんけれども、その中の二〇%は日本の贈与分になる、そうしてみますと、結局日本が猛得するものは二割下まわつたものになる、そのような考慮も入つてこの協定を結んだのでございます。

綱島正興自由党

○綱島委員 ただいまのスキムミルク五セントのお話でありますが、向うから来ております手紙には、また手紙ばかりでなく、農林次官に対してもロバート・メーサンが日本は五セントのような高い値段で買うから困る、こう言つておるのであります。あなたは安いと言われるが、これは格別のあの処置としては高い値段だ。最高一セント以上に買う必要はない値段なのだ、こう言つておるのです。それは特殊な過剰農産物処理に関するエルサレム国のためだけにつくつた法律だそうでありますが、その法律にはエルサレム国の救済のためという何ら条文がないので、日本にも適用できるし、イランであるとかあるいはビルマであるとかいうものにも、早晩適用して行こうということを申しておるのであります。もちろん先ほどお話の畜産酪農の関係もありますが、これは私どもは農林委員だから非常に注意をいたしておるけれども、日本が安く買つて来て、それを何らかの救済資金に差額を使うとかあるいは畜産奨励のために使うという方途は、安く物を買つて来たために困るということはひとつもありません。問題は畜産を圧迫しない線で、その品物をどう扱うかです。ことにバター等もこの間二十五万ポンド入札された、あの入札をされる前でありましたので、これはやめて安い値段で買つた方がよくはないかということを申したのです。それでも結局入札をされるのです。しかも向うからいえばとんでもない高いものだという。これらはやはり役所の人ももう少し御注意になつた方がいいのではないか、あるいは事情がよくわからなかつたというところがあるかもしれませんけれども、特にこういう手紙が来ておるのだから——これは食糧庁長官にもその手紙をお目にかけた。あなた方は役所同士だから御協議になつたはずと思います。それを何もそうしいて高く買われる必要はないように思う。今まであつたことを追究してもしようがないのですが、これからはひとつ安いものはなるべく安く買う、そうして日本の市場を圧迫するおそれがあつて、ひいては日本の国策でやつておる酪農政策等に途中で支障を来すようなおそれがあれば、国内市場価格においてはそれを圧迫しない程度の最低価格で売り出すとか、あるいはただいまバターがなくて病院等で助かる病人も助からないということが多いのでありますから、そういう方にまわし、そういつた特別なものは原価でやる。それから一般のものは酪農をそう圧迫しない価格でこれを配給する、あるいは売り出す、その差額は酪農振興に使おうとも、あるいは日本の社会政策の一部に使おうとも、どのようにでも使い方はある。そこでこのことについてはもう少し役所でも懇切丁寧にお扱いにならなければならないし、きようよりずつと前に私は特に文書を見せて善処されるのがよいという話をしておいたのですが、外務省の農産物に関する担当をしておられる方と食糧庁長官においては、このことについてどういう御処置があつたか、いかような事情で高く入札されなければならぬようなことにされたか、それらの点もあわせて伺つておきます。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 ただいまの綱島委員のお話でありますが、スキムミルクは御承知のように、学校給食用として文部省の方で輸入をいたしておるわけであります。これは用途を特定いたしまして、学校給食用として文部省の方で先方から輸入いたしたわけでございます。われわれといたしましては、先ほどお話がございましたバターの点につきましてお話を十分伺つておりますので、それにつきましては国内におきます畜産業の関係で数量等の問題がございます。同時にあの点につきましてはお話のように用途の制限と申しますか、特殊の救済用の場合であるとかいうような一つの用途の制限があるように承知いたしております。赤十字社とか特定の団体の申請というものとか、いろいろまたさらに検討すべき点がございますので、目下省内におきまして関係局と検討いたしておる次第であります。

綱島正興自由党

○綱島委員 これはあまり追究はいたしませんが、私がロバート・メーサンを連れて行つて、省内の人と会見したとき、私も立ち会つておつたので、日本の役所でアメリカに特殊な立法のあることがおわかりにならなかつたことが原因であるということはもうわかりました。けれども私が手紙を見せて、もつと安いものが買えるらしい。私にメーサンからこう言つて来ておるのだから、ひとつお調べになつてよくおやりになつたらよかろうという御注意をしたのだし、これは特殊な厚生方面、つまり赤十字社で使うとか、学校給食に使うものであるとかいうことを例示して参りましたが、ロバート・メーサンに聞いてみますと、必ずしもそういう非常な厳格な意味はない。ただ向うの処分に対する一つの目安にすぎないということを申しておる。私が受けました感じでは、かような別なことにいたしても、その点は一向さしさわりはないもの、大体私はそう聞き取つたので、役所の人も大体同じように聞かれたと思うのです。必ずしもごまかしというところまでは行かぬ方がよかろうけれども、少くとも給食用でなければということもない、特に中学校の給食をしたいという希望がたくさんあるのに、品物がないのでできないという実情になつておる。一セントで払い下げられなければ二七ントでもよろしいが、それを五セントなどで買う必要はない、特に向うから最初の手紙で日本が五セントのような高額で買うために今後の処理が日本には不利益であろうと思うから、こういうことを重ねてされぬように希望するということを申しておる。私はよく知らないが、これほどでなくても、別なことでMSA条約その他も、割合に精密なお調べが届かずに、農産物資の関係でいろいろ間の抜けたことがありはしないか、私どもが特に連合審査会をお願いいたしておる立場から申し上げますれば、農産物の輸入と日本の立場、こういうものについて、もつとよくお考えにならなければならないのじやないか、この条約の根本について反対するのではありませんが、もつと巨細な点で御勉強願わなければならないのではないかという感が非常に深かつたのであります。今おつしやるところでも非常に安かつたというその五セントというものが、非常に高い値段であると指摘されております。五セントでありますので、皆さんからいえば非常に安い値段というのが、向うからいえば非常に安い値段で買うから日本は将来不利益であるという。これは役所で口頭でも向うは申しましたし、私に対する手紙、これは農林省に特にその写しを差上げておるが、それにもそういうことを指摘しておるのでありますから、どうも農産物の輸入についてはいま少し巨細な御考慮を願わなければならぬ。もう少しわれわれの意見も尊重されて、役所でたいへん知つておられるつもりでも、それが知つておられぬことが大層多かつた。そこが官僚主義だけではどうにもならぬ、民主主義にならなければならぬという事情なのだから、協定などについても、もう少し協定前にわきの意見も聞かれた方が、妥当ないい協定ができるのじやなかつたかと思うのであります。特に今後も十分に御注意になつて、かようなことが二度と重ならぬように、特に御注意にならんことを希望いたしまして、一応私の質問は終ります。

上塚司自由党

○上塚委員長 足鹿覺君。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 大臣に対する質問はあとに譲りまして、主として事務当局にお伺いをいたしたいのでありますが、私ども農林委員として、特に重視しております点は、今後この協定の実施にあたりまして予想されます農産物、なかんずく小麦の問題でありますが、大体六十万トンと承知しておりますが、その程度でありますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 お答え申し上げます。MSAの過剰農産物の買入れは小麦五十万トン、大麦十万トン、これを合せて六十万トンでございます。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 両方合せて六十万トンと申しますと、大体石に換算して四百四、五十万石になると想定いたしますが、これは容易ならない大量の小麦であります。政府が昨年外麦の買付をした数量にも匹敵する、いな、それ以上のものであろうと思います。仄聞するところによりますと、これは七月以降の計画ではなくして、七月までの輸入数量、こういうふうに聞いておりますが、事実そうでありますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 協定によりますと、六月末までに契約を完了いたしますから、ある部分は六月末までに入りますし、場合によりますと七月以降に到着のずれるものもあろうかと思います。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 そうしますと、大体契約するのが六月一ぱいだ、ずれて入るということもあり得るということでございますが、その後における契約の企画はあるのでありますか。要するに円価によつて買付ができるということはなるほど便宜でありましよう。外貨を使わずして、円貨によつてこのようなものが来るという点については、それだけを切り離して見れば確かに便利な方法であろうと思います。従つて政府は本年度の予算におきましても、輸入補給金を米麦合せて九十億に削つておられる。さらにこれを削るという方針を持つておられるのでありますから、いよいよもつて外貨の節約ということになれば、七月以降にもさらにこの契約によつて入れて行かれるのではないかという点も考えられるのでありますが、その点はいかがでありますか、はつきりさせていただきたい。

小田部謙一外務事務官(経済局長心得)

○小田部政府委員 七月以降のことは必ずしもはつきりいたしておらないのでありますが、ただアメリカ大統領が教書におきまして、今年は十億ドルの余剰農産物をあれする、その中の対外援助には三億ドルを充てるということでございますし、日本の大使館と向うと話しております中にも、アメリカ政府は大体、もちろんMSA五百五十条という法律がかわり、あるものはもつと寛大な条件になるかもしれませんが、同様のことが大体期待されるのではないかということを予想しております。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 同様のことが期待されるであろうということは、具体的にはどういうことですか。まだまだこれは下つて行く、輸入の条件がよくなつて行く、こういうことにも一面推察できるのでありますが、非常に重要なる問題になろうと思います。

小田部謙一外務事務官(経済局長心得)

○小田部政府委員 今年の予算におきましては、五百五十条でございます。来年になりますれば、あるいは五百五十条というものがかわつて行くのではないかと予想されるということを申し上げたのでありまして、今年のものを来年に持ち越すということはできないと思うのであります。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 大統領の農業特別教書を見ますと、余剰農産物を十億ドル三年間に、大体対外的な援助の形で海外へ送る旨を明示してありますが、もちろんその一環として、今回日本に輸出される小麦もその中に含まれておると存ずるのであります。従いましてただいままではつきりいたしております大麦十万トン、小麦五十万トンというものは六月末までの契約であつて、その後にも政府の今の方針から行くならば、外貨が節約できるのでありますから——国際小麦協定、IWAによつても外貨は費消される、これがあれば外貨なくして入つて来るわけでありますから、政府の外貨を節約して行くという方針に合致しておりますし、価格の点についても若干の開きがあると私の計算からは出て来ますが、そう大きな開きではない。こういうことになれば、七月以降にも当然政府はこの援助協定に基いて入れて行く、こういう方針と理解してよろしいのでありますか。

小田部謙一外務事務官(経済局長心得)

○小田部政府委員 実は日本側といたしましては、来年度も同様に外貨を使わない方針で行きたいと思つておりますが、ただその場合に一体何を、今年と同じように小麦と大麦にするか、その他の余剰農産物にするか、という具体的な点についてはまだ話がきまつておりません。アメリカに対して正式には、今年と同じようなことをしたいということは申しておりません。非公式にはいろいろ先方の意向をサウンドしております。またアメリカとしても正式に取上げますのは、今年の七月までに終りますアメリカ国会において予算が採用されてからということになる。そう考えております。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 ランドール報告によつて示されております農業関係の面を見ますと、方針としてはアメリカの安全に役立たない限り、贈与による経済援助はできるだけ早く打切る、こういう方針を示しております。この方針は大統領の農業教書と相通ずるものであると私ども思いますし、また今回わが国がアメリカと調印を行いましたMSA関係の協定の中心にもやはりなると思うのであります。従つて何を入れるかということはこれは別問題として、少くともアメリカは三箇年の間は十億ドル分送るということを教書の上にはつきりさせており、またランドール委員会においてもその方針が貫かれておるのであります。従つて今後少くともわれわれが予想し得る年限、少くとも三年だけは大体これは進行して来る、こういうふうに見受けられるのであります。食糧庁長官に伺いますが、アメリカの来予算年度における農産物ないし食糧関係の輸入について、具体的に食糧庁はどういう数字をもつて進んでおりますか。今の経済局長の話によりますと、何か政府の方針はきまつてないというお話でありますが、ないはずはない。少し明らかにしていただきたい。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 お答え申し上げます。われわれ食糧の関係といたしましては、すでに二十九会計年度におきまする食糧特別会計の御審議を願つたわけでありますが、この予算におきましては御承知のように小麦が百九十六万トン、大麦が百三万トン、米が百十四万トンという計画を持つておるわけでありまして、この小麦、大麦につきましてこの計画の範囲内におきまして、MSAの小麦もこの数量の内数において買いつけて参る、かように考えておるわけでありまして、われわれ食糧の需給の面から、輸入必要数量を予定いたしまして、その中で、協定その他の関係からいたしまするものを差引きました自由のものをいかに買うかということを考えておるのでありまして、特別会計の予算の範囲内で二十九年度は処理いたして参りたい。ただ、アメリカの会計年度と日本の会計年度とは約三箇月余のずれがございますので、多少会計年度間の相違はございますが、われわれの買付といたしましては、この会計年度におきまする計画をもつて、その中のものとして買いつけて参りたい、かように考えております。

上塚司自由党

○上塚委員長 足鹿君にお諮りいたします。外務大臣が見えましたから、外務大臣への御質問も含めて、時間をさらに三十分間許すことにいたしますから……。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 そうしますと、もう一問食糧庁長官にお尋ねして、あと重要な点を外務大臣にお尋ねいたしたい。  昭和二十九年度の輸入食糧の予定を見ますと、大麦百三万三千トン、小麦を百九十六万三千トン輸入して行くという計画であります。そのトン当りの単価は、大麦七十六ドル、小麦八十四ドルと、明らかにここに予算価格を示しております。従いまして、百九十六万三千トンのうちに、本年度程度のMSA小麦を予定しておるかおらないか。これはわからないはずはないと思うのであります。先ほどからくどいようですが申し上げますように、外貨を使わずして入つて来るのでありますから、外貨節約の意味からいつて、その方面に切りかえて行くという御方針で、しかも大体の目標は本年度と同程度見込んでおる、こういうふうに理解してよろしいのでありますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 お答え申し上げます。小麦について申し上げますと、大体百九十六万三千トンのうち、われわれといたしましては、百万トンのIWAの小麦と、それからアルゼンチンの三十万トンの小麦と、MSAの小麦を三十万トン予定いたしておりまして、残りの三十六万トン程度のものを自由市場から買いつける、かような予定でおつたのであります。ところがこの協定が延びましたために、二十八年度におきましてある程度の買付を予定いたしておつたわけでございますが、この買付が遅れましたため、二十九年度におきまする自由買付のものを、二十八年度に事実上繰上げて買付いたしたわけでございます。従いまして、自由買付分が減りまして、この中にMSAの五十万トン分が二十九年度としては入つておるわけでございます。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 どうも今の御答弁はよくわかりません。要するに私の言いたい点は、政府の方針に合致しておるのであるから、これはなるべくお入れになる方針であろう。従いまして、その結果として補給金が節約でき、外貨の面を通じて対外収支に努めることができる、こういうことになろうと思うのであります。そういう面から、先のことはただいまはわかりませんが、その結果はどういうことになつて現われるかと申しますと——それでなくとも国際農産物は過剰傾向になつて来ておるのであります。従いまして、IWAにいたしてみましても、年間四百万トン消費するイギリスすら入つていない。国際農産物の過剰傾向を察知してかいなか知りませんが、少くともイギリスは、コマーシャル・ベースによる取引によつて需要を満たしておると思います。そういう中にあつて、日本は過般国際小麦協定の三箇年の長期契約を結び、さらにまた今回、MSA協定に基き、アメリカ小麦を五十万トン輸入せんとしておることは——国際農産物価格の崩落傾向を見ました場合に、これらの輸入価格はさらに安くなつて来るに相違ありません。さよういたします中に、この協定に基いて小麦が入つて参ります結果、——それでなくても日本における農業生産は停滞し、あるいは昨年の災害なり政府の方針の転換によつて、著しく生産力は衰退の傾向すら現わしておる。そういう中にあつて、国際農産物恐慌の中に日本がこのMSA小麦を受入れることによつて一歩巻き込まれて行く結果になろうと思うのであります。従いまして、この贈与分の総額の二割は、日本の工業の援助と経済力増強のために使うと第一条においてうたつておりますが、経済力の増強ということは農業生産力をも含んでおりますか、この条約の締結に直接お当りになりました外務大臣より、この条項の御解釈を承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ただいまのところは、これは三十六億円に相当する額でありまして、実はこれをもつてしても工業方面の資金として十分であるかどうかまだ疑わしい面があると考えております。要するに、域外買付等の発注に応じ得るだけの工業部門の整備が必要なわけでありますが、これだけでもあるいは十分でないかもしれぬと考えている次第でありまして、ただいまのところは工業方面にこれを使用することにいたしております。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 ただいま私が指摘した通りに、アメリカはすでに農業恐慌の様相を深めておる。その一つの対策として、アメリカの農産物を凍結し、これを市場の一般流通の外に置いてその安定をはかろうとしている。その一環として、今度国際小麦協定以外に、日本にこの小麦がさらに入つて来る。そういたしますと、日本は期せずしてアメリカを中心とする農産物過剰の中に巻き込まれて行くことになります。といたしますならば、すでに政府は、本年の内麦は昨年通りの価格でもつて買い上げる旨予算で計上しておられますけれども、事実上においてこの農産物価格が崩落傾向にあるときに、この予算価格を割らない価格で買い上げ得るという責任ある御答弁が政府としてできますか。その答弁のない限り、事実上において国際農産物の過剰が日本の農業をさらに衰退させ、生産力を停滞せしめ、農家経済を破綻に陥れる結果になる、こういうことは否定できないと思いますが、その点政府を代表して、どなたでもけつこうでありますから、はつきりお示しを願いたい。この予算価格以上で買い得るか、これを割らないか。その点は、MSA小麦が国内の農業に及ぼす一番大きな当面した問題であろうと思いますから、伺つておきたい。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまの足鹿委員のお話のように、われわれといたしましては、まず第一に食糧の輸入を計画いたします場合におきましては、必要量と同時に国内におきます生産出まわり量を勘案いたしまして、その不足分を輸入するということにいたしておるわけでございます。従いまして必要量以上に輸入をいたすという考え方はいたしていないわけでございます。  さらにまた価格につきましては、足鹿委員も御承知のように食糧管理法第四条の二によりまして、小麦についての価格の決定方式が法律によつて定められておるわけでございます。この法律によりますとパリテイ価格を中心といたしまして、生産事情その他の経済事情を勘案いたしますが、パリテイ価格以下に下らざることということに定められておりますので、価格の決定につきましては、この法律の規定の趣旨に従いまして、買入れ価格を決定いたすわけでございます。同時に外麦の価格につきましては、この内麦との歩どまり関係からいたしまして算定いたすわけでございまして、われわれといたしましては食糧管理を通じて、内麦と外麦との面におきまする衝突を調整して参るということで考えておるわけでございます。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 必要に応じてとかあるいは必要の程度においてとかというただいま前谷さんの御答弁でありましたが、必要の程度とか必要に応じてとかいう意味はどういう意味でありますか。それは外貨節約ということも一つの意味にとれますし、国内農業を圧迫しない必要の程度においてともまた解釈できまして、いろいろあろうと思います。そういう点は非常にデリケートであり、しかもその持つ意味が重要でありますので、もう少し具体的に承つておきたい。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 量の点につきましては先ほど申し上げた通りでございまして、つまり必要量というものを需要量として想定いたしまして、その中から国内の生産出まわり量を差引いた不定分を輸入する建前にいたしておるわけでございます。  価格につきましては、先ほど申し上げましたように法律の規定がございますので、その価格によりまして内麦の価格と外麦価格との遮断ができ得るものと考えておるわけであります。ただ必要と申しますのは、その輸入する必要量の範囲内におきまして、それをどういうふうな買付をするかという問題でございますので、その場合におきましてはもちろん外貨の節約という点もございますが、われわれといたしましては、必要量というものを国内の需要、生産の面から算出いたしましたその必要量を輸入するということを申し上げたのでございます。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 外務大臣に先刻の質問に関連して、もう一つお尋ねをしたいのでありますが、ただいまの御答弁によりますと、経済的措置に関する協定の説明書の第一条日本国の工業の援助及び経済力の増強という言葉がありますが、これは今の場合は工業の援助だけで解釈すべきだという御趣旨であつたと思います。ところが実際において、このMSA小麦あるいはMSAに基くアメリカ農産物の国内輸入によつて、最も深刻な影響を受けるのは農村なのです。工業とこの日本農村のシエーレを拡大して行くという副作用を残すのみならず、戦時物資の点において非常な有利な立場に立つて、兵器生産が非常な発展を来す一面、その犠牲になつてこの協定によつて一番直接の打撃を受けるのは日本の農民であり、農業経営であろうと思う。にもかかわらず、この経済力の増強という第一条の条文は、本年度においてはまつたく空文だ、こういうことになりますと、私どもは農林委員でありますから、主として農林関係のみを申し上げますが、それのみでも日本農業にとつては重大な問題であろうと思いますが、この点について政府は手放しで臨んで行かれる御所存でありますか、政府としてこの際明確な御所見をお聞きいたしたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この協定を結ぶにあたりましては、農林関係とも十分協議をいたしました。農林関係の、つまり国内の農業に対する圧迫にならないよう、また価格等の点についても十分な考慮を払つて、輸入できるという説明はわれわれもその通りだと考えました。従いましてこの小麦は円貨で輸入する点において有利である、また国際小麦協定の価格と同様の価格で、つまり廉価で輸入できる、こういう点について有利であろうと思つて結んだのであります。またこのMSAの協定の基礎になりますアメリカ側の方針と申しますか、法律及び予算面から申しまして、これは工業に使う、及びこれに関連産業はありますが、しかしそれにしましても、一千万ドルの贈与を受けて、これを工業方面に使い得れば、それだけ日本全般の経済、とにかく工業方面が潤うのでありますから、経済的にも有利である、こう考えまして協定を結んだのであります。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 最後に私はいま一問お尋ねを申し上げて、質問を打切りたいと思います。問題は工業方面特に兵器生産の方面は非常な殷賑隆盛をきわめている、しかるにそれはただいま私が指摘をいたしましたように、日本農業の犠牲の上にこれが打立てられる結果になる。努力はしておるということを言つておりますけれども、この経済力の解釈によつても、何ら余地がない、金をまわす余地がないということを、ただいま外務大臣も明らかに言明をされました。従つてこれは手放しにならざるを得ない。その結果はいよいよ工業生産物と農業止産物との価格のシエーレを拡大し、ひいて農村の窮乏に大きな拍車をかける結果を必ずや招来するものと私は思う。いろいろ国民的な立場から、MSAにつきましては広い批判も他の委員からなされるでありましようが、私どもはただ単に農村の町から見ました場合に、一番先にこの影響が農村に経済的に襲つて来る、そういう面から断じてかかるものに対しては賛成をいたしがたいのであります。アメリカが過剰農産物のはけ口を通常の経済方法で見出すことができないので、他国を政治的、経済的に従属させることによつて、輸出市場の拡大をはからんとしておるのが、今回の濃度物の輸出の問題であります。従いましてわれわれ、MSA協定によりまして食糧または原料農産物が国内において非常に重大な打撃を受け、その及ぼす農家べの影響というものは非常に深刻になつて来ておると思います。しかるにこれに対して何ら具体的な措置をも講ぜずして、ただ単にこの経済措置についての協定等を見ましても、工業援助のみを力説して、その犠牲に対するところの何らの補償なり、あるいは日本農業の振興について考えておらない、しかも外国食糧に依存をして、国内食糧自給対策をむしろ放棄する方向に進んでおるのではないかと、こういう極論すらもできるのではないかと私は思います。そういう意味におきしまして、はなはだ遺憾千万に存ずるものでありまして、当然われわれは他の機会において、この問題につきましては十分政府に対して闘つて行きたいと考えておりますが、本日はこの農村、農業、農民の立場からも、このMSA協定に基くいろいろな輸出農産物の日本に及ぼす影響の立場から、われわれは農村の力を結集して断じてこれと対決して行く、こういう決意の一端を披瀝しておきまして、本日の私の質疑はこれで打切つておきます。

上塚司自由党

○上塚委員長 次は大久保武雄君。

大久保武雄自由党

○大久保委員 私の質問は外務大臣並びに保安庁長官に関連しておりますが、外務大臣にまず最初に御質問いたしたいと思います。今回のMSAの協定に関連いたしまして自衛隊法案が提案されておりますけれども、これに基く自衛隊の強化というもの、すなわちMSAの協定と関連して、その部隊の力、編成等については米国の要綱に基いたものであるか、あるいは日本独自の強化方策であるか、この点を最初に御質問いたしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 まず申し上げておきたいのは、MSAの援助に基いて自衛隊法を云々、こう言われましたが、これは逆でありまして、自衛隊と申しますか、要するに防衛力の増強計画ができましたので、それに基いてMSAの援助を受けることにいたしたのであります。ただいま保安庁の方が見えましたので、私のお答えは正確でないかもしれませんけれども、要するに今のような趣旨でありますので、防衛力の増強計画というものはもちろん日本自体がつくつたものでありまして、アメリカ側と協議したり意見を述べたりしたことは全然ありません。

大久保武雄自由党

○大久保委員 私の御質問いたしたいのは、今回の自衛隊の強化内容を見ておりますと、また従来からの自衛隊の強化方針を見ておりましても、自衛隊に関連することは、とかく陸上部隊に偏重しておるように私は考えます。この点は日本独自のものと言えるかどうか、この点についてさらに保安庁の政務次官の御答弁を伺いたい。

前田正男自由党保安政務次官

○前田政府委員 これは創立の当初御承知の通り、警察予備隊というものから発足いたしましたもので、現在陸上に片寄つた傾向が多いわけですが、途中で保安庁になりましてから、いわゆる海上の警備隊というものができまして、海上の現有勢力の充実に努力いたし、今回自衛隊に切りかえるにあたりまして航空自衛隊をつくりまして、できるだけ均衡のとれた部隊といたしたいと思つて努力しておる次第であります。

大久保武雄自由党

○大久保委員 この点はかつて朝鮮事件直後マツカサー書簡が出ましたときは、警察予備隊七万五千海上保安庁職員一万人と海上部隊についても人間の数で書簡が出た。これはまことに当惑の限りであります。とかく人間の数で部隊の編成を判断するということから、日本の人間を使うといつた形が考えられておるのではないか。この点から今回の陸上部隊の強化というものが、日本独自の案であるか、あるいは何らかアメリカの部隊との関連があるものか伺いたいのです。この点さらに御答弁を願いたい。

前田正男自由党保安政務次官

○前田政府委員 お答えいたします。今回の陸上の増強につきましては、日本の財政力の許す範囲において自衛力漸増という方針のもとにやつておるわけであります。但しそれに伴います装備はMSAによつてアメリカから供与を受けたい、こういうふうに考えておる次第であります。同時に陸上だけでなく海上につきましても、われわれの方は皆さんの御賛成を得まして極力勢力を増強したいと考えております。航空につきましても本年度からできるだけ充実することにいたしたい、こう考えておる次第であります。

大久保武雄自由党

○大久保委員 どうも今回の陸上部隊の増加は、アメリカの駐留軍の漸減計画に関連して増強されておるのではなかろうかと思いますが、私はこの際日本の防衛の根本的な考え方について保安庁から、政府側の基本的な意見を拝聴いたしたいと考えております。日本の戦略的な地位からいたしましても、また日本の経済的な見地からいたしましても、日本のまず取上ぐべき問題は、海上の問題ではないか、かように私は考えております。日本に対する侵略というものは、日本に対する沿岸上陸という問題で登場して来るのではないか。日本に対する一つの脅威というものは、日本の戦略的な条件からいたしましても、あるいは経済的な見地からいたしましても、まず起つて来るものは海上封鎖であろうと私はかように考えております。この点は明らかに事実が物語つておる。また日本の過去の経済的な崩壊の歴史も物語つておる。すなわち八千万の人口を養い、日本のこの重要産業を経営して行くためには、どうしても年間四千万トンないし五千万トンの海上輸送力を必要とすると私は考えます。これを船腹に直しましたならば、四百五十万トンないし五百万トンの船腹を必要とするのであります。すなわちこの船腹がなければ日本に必要なる食糧は入つて来ない。日本の船舶に必要なる鉄鍋資源も入つて来ない。アルミニウムをつくるポーキサイドも入つて来ない。塩も入つて来ない。あるいはガソリンも入つて来ない。あるいは綿花も羊毛も入つて来ない。すなわち日本の産業がこわれ、民生が混乱する。すなわち日本の経済は崩壊するでありましよう。前回の大東亜戦争におきましても、日本の戦力が壊滅する前に、海上輸送力の壊滅が起つておる。この面からいたしましても、まず日本が行うべきものは海上封鎖に対していかなる処置をとるか、この点であろうと私は考えております。しかも日本の地理的条件からいたしまして、日本の海上封鎖はきわめて容易である。現在においてはシュノーケル潜水艦、あるいは磁気をもつて作用する感応機雷、こういうものの敷設による海上封鎖はきわめて短時日に成立する。こういう点に対して保安庁側におきましては、いかなるお考えをお持ちであるか。

前田正男自由党保安政務次官

○前田政府委員 陸上につきましては、先ほどお話のございましたアメリカの漸減ということにつきましても、われわれの自衛力増強ということは多少関係があることはもちろんであります。しかしながらわれわれが今後考えております自衛力増強方針というものにつきましては、日本の独自の考えをもちまして、陸上の自衛力を増強して行きますと同時に、海上におきましても、できるだけ日本の財政経済力の許す範囲において増強いたしたいと思いまして、二十八年度にも新造船をお願いするとともに、二十九年度におきましても、引続きまた新たに予算をお願いいたしまして、新造船をつくつて行きたい、こういうふうに考えております。しかしながら御承知の通り、日本の財政経済力というものに十分の余裕がございませんので、その許せる範囲でやつて行きますので、将来できましたならば掃海、沿岸警備、こういうもののほかに船団の護衛等もできるようにいたしたいと考えておりますけれども、まだ十分な計画はでき上つていない現状でございます。

大久保武雄自由党

○大久保委員 かくのごとき海上封鎖は明らかなる侵略だと考えるのであります。かつて終戦後におきましても、ベルリンに対してしばしば、陸上ではございますけれども、封鎖が行われております。このベルリン封鎖に対しましては、アメリカはB二九によつてベルリン市民に食糧を補給したのであります。日本の海上が容易に封鎖されやすい戦略的、経済的な条件を備えており、これが封鎖されました場合におきまして、日本の民政の破壊はまことに恐るべきものがあります。いかに百万の陸兵を擁しておつても、食えない丘隊は何の役にも立たない。かえつてこれは内乱を誘発する、こういうことになるのでありまして、私はこういう日本の脅威に対しては、これは明らかに侵略と認めますが、外務大臣の御所目を承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 単に海上封鎖ということをただちに侵略と言えるかどうか、これは私は疑問に思つております。侵略行為である場合もありましようし、また逆にある侵略に対抗して海上封鎖を行う場合もあろうかと思います。要するにこれは敵対行為の一種でありまして、侵略の場合ももちろんありましようけれども、そうでない場合もあり得ると考えております。

大久保武雄自由党

○大久保委員 一九三三年にロンドンで署名されましたアフガニスタン、エストニア、ラトヴイア、ぺルシヤ、ポーランド、ルーマニア、トルコ、ソビエト、すなわちソ連圏の条約がございます。これは侵略の定義を定めたものでございます。この条約によりますと、「一、他の一国に対する開戦の宣言、二、開戦の宣言がなくても、右の国の兵力による他の一国の領域への侵入、三、開戦の宣言がなくても、右の国の陸軍、海軍又は空軍による他の一国の領域、船舶又は航空機の攻撃、四、他の一国の沿岸又は港の海上封鎖」、こういうふうな侵略の定義に関する条約がございます。そこでソ連圏としましては、海上封鎖に関しましても、船舶の攻撃に対しましても、これは明らかに侵略である、こういうふうに定義しておるようでありますが、外務大臣の御所見を承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 それが突如として起りましたならば、たとえば何も要因がなくして、海上封鎖をやるとか、船を攻撃するとか、こういうことになれば、これは侵略の行為の一種であることは間違いないと思います。しかし私の申しますのは、ある侵略行為がその前に行われまして、これを防衛するために、侵略されんとする国が、海上封鎖をやる、こういう場合もあり得るかと思いますので、海上封鎖という言葉だけをあげて、ただちに侵略とは申せないと思いますが、突然何も関係ないのに、いきなり海上封鎖をやれば、これは侵略行為であることは間違いないのであります。

大久保武雄自由党

○大久保委員 ただいまの海上封鎖に関連いたしましてきわめて重要な問題は、日本船舶の拿捕問題であります。日本船舶の拿捕は、昭和二十二、三年ごろから非常に大きな数に上つて参りましたが、今までの累計をとつてみますと、まことに驚くべき、寒心にたえないものがあります。すなわち中共によつて拿捕されました船舶は百三十九隻、人員は千六百九十一人、ソ連によつて拿捕されました船舶が二百四十一隻、人員にして二千九十三人、すなわちソ連圏によつて拿捕されました船舶が三百八十隻、人員にして二千七百八十四人の多きに達しておる。また韓国側に拿捕されました船舶は百五十九隻、人員にして千九百五十九人、国府によつて拿捕されました船舶は四十九隻で六百九人、すなわちソ連圏以外によつて拿捕されました船舶が二百八隻で人員にして二千五百六十八人、これを合計いたしますと、拿捕されました船舶にして五百八十八隻、人員にして何と六千三百五十二人に上つておるのであります。すなわち一万に近い人間と六百隻になんなんとする船舶が終戦後拿捕されたということは、これは私はきわめて重大な問題ではないかと考えております。しかもこれは突如として起つております。しかも現在まで返還されていない隻数並びに人員を調べてみますと、ソ連圏すなわち中共とソ連、これは中共に拿捕されました船舶でまだ返されていないのが百二十三隻、人員にして三百六十五人、ソ連は四十八隻、人員にして五十人、すなわち共産圏によつて百七十一隻の船舶が未帰還である。四百十五人の人員がこれまた抑留から返還されていない。ソ連圏以外は韓国が六十一隻、人員にして二十九人、国府が二十九隻であります。国府は全部抑留船員は返しております。すなわちソ連圏以外は船舶にして九十隻、人員にして二十九人、ソ連圏から拿捕され、抑留され、しかも返還されていない船舶の隻数と人員というものはきわめて多きに上つております。これらの船舶は常に何らの警告なく突如として海上において攻撃を加えられ、あるいは撃沈され、船員が海上をただよつておる。その船員を機関銃で銃撃してこれを殺した事例があります。パナマ船が通りかかつて、かくのごとき海賊行為が日本の近海において行われておることは許されないと言つた事例がある。こういう事実を外務大臣はいかにお考えになつておりますか。これは侵略ではありませんか。この点をお尋ねいたしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 こういう問題につきましては、侵略とみなすことはなかなか困難であろうと思うのであります。要するにこちらではもちろん公海で平和な漁業に従事しておる、こういう主張をいたしておるのでありますが、先方ではこれに対していろいろのりくつをつけて、沿岸に入つて来たとか、あるいは禁止区域に入つて来たとか、こういうふうないろいろなりくつをつけておるわけであります。われわれといたしましては、これはただちに戦争の原因というようなことにはならないと考えておりますが、しかし同時に、これらの損害をこうむりました船舶なり船員なりにつきましては、もちろんこの船員の帰還を強く要請するとともに、一切の損害については他日これを請求するためにその権利を留保して来ております。

大久保武雄自由党

○大久保委員 ソ連圏は自分が海上封鎖を侵略であると定義しており、また船舶に対する攻撃はこれまた侵略である、こういう条約を自分で結んでおいて、そうしてみずからこの条約を破つておる。これはきわめて重大な問題ではないか。私はこの点に関して、侵略は容易にあり得ないという考え方に対して、きわめて日本の身近なところに侵略の要因がひそんでおると思う。もちろん将来において、大きな戦争に日本が巻き込まれるということは予想したくありません。またこれは遠いと思う。しかしながら日本の周辺に一万人の日本人の生命と六百隻の日本の重要なる財貨が、突如として海上から拉致されて行く。しかも返還されないということは、これは軽々に日本の防衛の上から見のがしておいてはならないと考える。こういう点に対して、外務大臣は、日本の公船と私船について、日本側の立場として侵略の立場を別にしておられるか。あるいはソ連と同じように、私船に対しても公船に対しても侵略であるという一つの考え方に立つておられるか、この点を明確にしていただきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 お説の点は、まことにごもつともでありまして、われわれも大戦争といいますか、世界戦争というようなものの危険が遠のきつつあるとは考えております。しかしながら安全保障条約などを結びました一つの理由は、いわゆる無責任なる軍国主義がまだ行われている現状において、大きな世界的な戦争でなくしても、かかる無責任な軍国主義に基くある種の侵略行為が行われることをおもんぱかりまして、これに対処するためには、原則はわれわれの自衛力増強ということにありますけれども、足りない場合には、日米女全保障条約を結んで、これによつて安全を守ることが必要であろうと考えております。ということは、安全保障条約の前文にもその片鱗が見えておるわけであります。われわれはお話のような、つまり侵略と銘を打つたような行為ではなくして、事実上の侵略をこうむることのなきように、もちろん努力しなければならないけれども、ただいまのところ国際関係上、また日本の防衛力の現状等で、思うにまかせぬ場合もやむを得ずあるのでありまして、そのためには他日十分なる国際正義の行われる場合に、われわれの損害を補償するなり何なり、適当な責任を相手方にとらせるように権利を留保して参つておるようなわけであります。  侵略行為の定義についてのお問いでありますが、今申しましたように、いろいろの言い分はたくさんあるのでありますが、これは政府の公船に対して拿捕等を行つた場合には、国際慣例等からいいましても、戦争の一原因となつた場合もあるのであります。必ずしもそれが全部戦争の原因になつたというわけではありませんが、そういう事例もなきにしもあらずと私は考えております。

大久保武雄自由党

○大久保委員 最近韓国によつて行われました海上保安庁の巡視船に対する拿捕は、きわめて遺憾な事実であります。かような事実のなからぬことを希望する次第でありますが、今後ともこういう攻撃行為に対しまして、十分なる警戒と対策を講ぜられんことを希望する次第であります。  なお保安庁にさらにお尋ねいたしますが、日本の防衛の主眼であります。陸海空の三部隊を増強することは一応わかります。しかしながら先ほどもお話がありましたように海上と空中とは金がかかる。金がかかるというよりほかに、さらにこれを築き上げるためには、相当な年月を要する。一人の船長、一人の艦長ができますためには、少くとも十年の歳月が必要であります。こういう部隊に対して、保安庁はあまり手をつけようとしない。それはいかなる理由に基くか。日本もまたただいまのような戦略関係から見まして、海上もしくは空中、私は海空は一体であると考えておるのですが、この方面にこそ自衛隊強化の主力を置かるべきであると思う。私は現在の保安庁の自衛計画はさか立ちした防衛であると考えておりますが、このさか立ちをやり直すというお考えがあるかないか。一体、日本の今の主力は何であるか、防衛力の本体は何であるか、これを明確にされたいと思います。

前田正男自由党保安政務次官

○前田政府委員 お話の通り、今までは従来の経過から見まして、陸上に力を注いでおつたような傾向もあるわけですが、本年度からは、先ほど申しました通り、三軍均衡のとれた方針でもつてぜひ増強して行きたい。従いまして今お話の海上、航空におきますところの乗員養成につきましては、できるだけ力を注ぎまして、またそれに必要な設備、船舶等もできるだけ予算の許す範囲において漸増して行きたい、こういう念願であります。その主力をどこに置くかというお話でありますが、これにつきましては、いろいろと意見がございまして、航空を主力として行かなければいけないのではないかという意見もあるようでございます。しかしながらわれわれといたしましては、できるだけ日本の財政経済に合いました三軍の均衡のとれた自衛力の漸増をやつて行きたい、こういう方針でおるわけであります。

大久保武雄自由党

○大久保委員 軍均衡方式につきましては、私も意見がありますが、この席では保留いたしまして、別に内閣委員会で質問いたしたいと思います。  最後にお尋ねいたしたいのは、ビキニ環礁事件に関してであります。ビキニ環礁で漁船第五福竜丸が被害を受けたということは御承知の通りでありますが、外務大臣並びに海上保安庁当局にお尋ねいたしたいことは、漁船第五福竜丸の避難した海上の位置が確認されたかどうか、確認されたとしたら、どういう地点におつたかということを明確にしていただきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは報道によりますと、この危険区域の外にあるように承知いたしておりますが、その地域等は、やはり科学的な調査によりまして、これを確認する必要があると思います。それはまだできてないと私承知いたしております。

大久保武雄自由党

○大久保委員 漁船の操業の場合の位置の確認は、なかなか困難な問題でございます。しかしながらこの点は、きわめて重要なる外交問題とも関連いたしておりますから、できるだけ漁船の位置の確認をすみやかに明確にされんことを希望する次第であります。  さらに第二にお尋ねいたしたいことは、原子爆弾の爆発は、きわめて広範囲に影響を及ぼします。私も広島の原子爆弾に遭遇した一人であります。漁船の操業は、自分の位置を公にせずして操業する一つの習わしがあります。私が非常に心配しますのは、第五福竜丸よりも、もつとビキニ環礁に近接しておつた漁船はないか。あるいはSOSを発するいとまもなく爆発と同時に沈没したような犠牲船舶はないか、この点について明確にいたされたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ただいま承知いたしております範囲内では、そういう事実はないようでありますが、なおこれは調査中であります。

大久保武雄自由党

○大久保委員 第三に私がお伺いしたいと考えますのは、何らか漁船に対する通報の措置において手抜かりはなかつたか。一般に九十九里浜やその他で実弾射撃をいたしますときには、その個々の場合において、事前に通報をいたすのであります。事前に警告をいたすのであります。今回の場合、ビキニにおいて新しい原子爆弾の実験があるということが事前に個別的に通報を受けられたか、また個別的なラジオ放送等の措置をとられたかどうか。また原子爆弾に対しては、実弾射撃と違つて、そういう措置はとらないのであるか。またもしとられないとするならば、将来の危険性からして、今後いかなる個別的通報の措置をとられるか、この点をお尋ねいたしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 米国が国連との間に結びました太平洋信託統治協定の条項によりますと、危険区域というものを設定し得ることになつております。従いまして、これが何の理由であるかは別といたしまして、また何の理由ということは問わずとも、危険区域を設定することは可能であります。またその危険区域の設定に基きまして、日本側といたしましては海上保安庁がその航路告示第八百三十一号によりまして、昨年ビキニ環礁を含む危険区域、立入り禁止区域を指定いたしておるのであります。これに対する周知徹底方等につきましては、これは私の管轄でないのではつきり申し上げられませんが、法律的には必要な措置はとつておつて、それ以上実際上船が困らないような措置ももちろん必要であろうと思いますが、少くとも法律的には必要な措置をとつておるのであります。

大久保武雄自由党

○大久保委員 最後の一点は、禁止区域はできておるが、その禁止区域で行う原子爆弾の実験についての個別的な通報を受けることを要求する権利はないか、この点であります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この太平洋信託統治協定によりますと、危険区域を設定するに際しまして、これは何をするのであるからとか、何の目的であるからとかいうことは、これがやはり戦略的区域である関係でもありましようか、そういう原因、理由等を要求いたすことになつておりません。危険区域というものを設定すれば足りる。ただその危険区域外ならば必ず安全であるということでなければならぬわけであります。今回の船がもし実際上その外にありまして被害をこうむつたといたしますならば、何らかそこに手落ちがあつたものかと考えるのでありますが、これはさらに調査をいたした上で確認いたしたいと思います。

上塚司自由党

○上塚委員長 それではこれをもつて暫時休憩いたします。午後一時半から再開いたしますから、さよう御了承を願います。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————    午後二時二十二分間議

上塚司自由党

○上塚委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。辻政信君。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 私の質問は岡崎外務大臣に対して本条約が海外派兵の義務を伴うかどうかという点でありますが、それに関連いたしまして、木村長官に簡単に一点だけお尋ねいたします。  長官の監督されておる十二万の保安隊員が本協定に対して抱く最大の関心は、海外派兵の義務を負わされるかどうかという点にあると思います。これをはつきりすることが、長官の保安隊全員に対する一番大きな政治的な任務であるというふうに考えるのであります。もちろん長官のお気持はそれには反対であることはかねがね承つてわかつておりますが、この協定をごらんになりまして、このような心配がまつたくないというような印象をお受けになつたか。あるいは、事前に本協定を結ぶときには、その一項を強く念を押すようにアメリカ側に交渉をするということを、木村長官から岡崎大臣に御要求になつたかどうか、この点について承りたいのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。岡崎君がこのMSA協定を結ぶに際しまして、派兵の問題について私から岡崎君に対して今お述べになつたような申入れはいたしません。と申しますのは、派兵をするかどうかということは、全然われらの決定すべきことだ、私はこう考える。しこうして今度つくりました自衛隊法によりましても、この点は私は明確であろうと考えております。すなわち外部からの直接侵略に対して対処するものだ。つまり日本の平和と安全を守るためにやるということをはつきりさせているのであります。これがために海外に派兵するなんということは、法文の規定からも精神からも出て来ないのであります。ただただ日本を外部からの不当侵略に対して守るということをはつきり規定しておる。従いまして私はこの精神からもまた規定からも明らかであろうと考えております。またMSA協定によつてさようなことをうたわなくても、日本独自できめることであるから、さようなことは毛頭もないということを申し上げたのであります。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 ただいまの御答弁によりますと、直接侵略に対して自己防衛をするのだから必要はない、こういうふうに承りますが、この協定は、日本の自己の防衛と、いま一つ集団防衛に寄与するという条件が加わつておるのであります。保安庁法におきましては、長官のおつしやつた通り自己防衛でけつこうであります。外敵の侵略以外に、MSA協定というものは、日本に単に自己の防衛のみならず、集団防衛に寄与するという義務を負わされておるということになるのであります。ことに第八条をよく見ますと、そこがはつきりしまして、「日本国政府は、国際の理解及び善意の増進並びに世界平和の維持に協同すること」とはつきり出ております。「国際緊張の原因を除去するため相互間で合意することがある措置を執ること並びに自国政府が日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基いて負つている軍事的義務を履行することの決意を再確認するとともに、」その次が特に大事であります。「自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲でその人力、資源及び一般的経済条件の許す限り自国の防衛力及び」その次に「自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し」とある。自国の防衛においては、先ほど長官のおつしやる通りその疑義はありませんが、自由世界の防衛力の発展及び維持に人力の限りをあげて寄与しなければならぬという義務が明確に第八条に出ている。ここから私の心配が生れるのでありますが、長官はこの条件をごらんになつて、その心配は毛頭ないというお考えが出るかどうか、それを承りたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私の見解では心配はないと考えております。つまりその義務は日本の憲法及び法律において許された範囲内のものであると私は解釈いたしておる。従つて日本の憲法なり法律なりの解釈上、派兵のことは認めていないのであります。従つて協定にうたわれておつてもこの範囲を出ないもの、私はこう解釈いたしております。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 条約というものは一方的な解釈ではいけないのであります。こちらの解釈があれば、またアメリカも自国に都合のいい解釈を当然持つておる。アメリカ側といたしましては、非常に大きな犠牲を払つて日本防衛のために援助するならば、アメリカのプラスになるような援助が当然考えられなければならない。そうなりますと、朝鮮において自分の力では足りないから、日本の人力を自由世界の防衛力の発展と維持に動員する、寄与させるということが、この条約から見まして当然アメリカが主張し得る権利であります。  それからいま一つ、これは岡崎さんにお伺いするはずでありますが、自国の憲法の規定に従つて実施するということを書いてあるのでありますけれども、これだけで海外派兵の任務を負わさないという打消しにはならない。第八条の本文がいつでもアメリカが都合のいいときに主張し得る条約上の根拠を持つわけであります。長官は自分の解釈ではないと信じておると言われますが、この条約文の解釈は、木村長官個人の意見では解釈できない。アイゼンハウアーの解釈というものを加えなければならぬのであります。そこに私は非常に不備があるという感じがするのであります。これはもちろん岡崎さんに詳しくお伺いしたいところでありますが、もう一ぺん念のために、この条約を見て、そういう義務は全然起らないと御確信になるかどうか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私はこの協定の条文からしてその解釈は出て来ないと考えております。この人力の点でありますが、人力と申しますのは、私は派兵なんということは毛頭も解釈する余地がないものだと考えております。いろいろの義務履行の仕方があります。向うで使う人をこちらで供給してやる、労働力を供給してやるとか、いろいろなことがあるのであります。もしもアメリカにおいて派兵をするようなことを希望し、この協定でうたおうとするならば、もつとはつきりした形において出すべきものであろうと考えております。いかなることがありましても、私は日本の法律の建前からして派兵なんということは毛頭考える余地はない、こう考えております。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 あとは岡崎大臣に質問をいたします。

上塚司自由党

○上塚委員長 なお辻君に申し上げますが、条約のことについてはその筋の専門家である下田条約局長が参つておりますから、もし御質問がありますればこの際お願いいたします。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 岡崎大臣に聞きたいと思います。

上塚司自由党

○上塚委員長 ほかに保安庁長官に対する御質疑はございませんか。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 これは辻議員の質問なり木村長官の御答弁に関連して質問いたしますが、今海外派兵は絶対あり得ない、こういうような御答弁でありますが、協定のどこにも海外派兵はしないということは規定してない。それから安全保障条約の義務を再確認するということはあるが、これ以上の義務は負わないという条項はない。それから自衛ということを言われておるが、どこの国でも侵略するときに侵略だと言う国はない。ヒトラーでも自衛と言うた。朝鮮の戦争でも、アメリカはこれを自衛と称して、自国の安全のためと称して台湾を占領し満州を爆撃しておる。これは確かに自国からあれだけの遠い海を隔てて出兵をしております。そうすると、この条約によれば日本の部隊は海外に出ないのだということを保証するところは一つもない。木村長官は、自分の考えではそういうことはあり得ないと思うておられますが、この根拠をひとつ明らかにしていただきたい。考えではなしに、この条文のここによつてさようなことは絶対にないのだということを明らかにされなけれぱ答弁にならぬと思う、この点はどういうことになりますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 MSA協定の解釈問題については外務省の当局から御説明申し上げます。私は主として自衛隊の問題について申し述べたいと考えております。  そこで今川上委員の仰せになりましたように、ややともすると自衛のためといつて海外に派兵して、いろいろな問題を起している例のあることは各位御承知の通りであり、私もそれを考えております。そこで将来かようなことがあつては相ならぬということからして、今度の宿衛隊法にその点は明確に規定したつもりであります。すなわちわが国の安全と独立を守るために、直接侵略のあつた場合に初めて出動命令を出すような規定になつております。しかもその出動命令を出すときには、原則として事前に国会の承認を得る。緊急やむを得ない、国会が開かれていないという場合においては、事後においてただちに国会の承認を得なければならぬことになつておるのでありまして、この両面からして、私は海外派兵の問題は起す余地はない、こう確信しておる次第でございます。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 それは保安庁の法律の問題では解決できないと思う。私の聞いたのは、海外派兵は絶対にあり得ないという根拠が協定のどこにあるか、これを聞いておるのでありまして、問題はこれが重大だと思います。これは国内法の問題ではなく、国際条約の問題でありますから、その根拠の方が大事だと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 これは外務省の当局から詳しく説明があることと思いますが、私は今辻委員のお尋ねに対してお答えしたように、特に海外派兵までアメリカで求めるということであれば、その趣旨ははつきりさせられるべきものであろうと考えております。直接にさようなことを要請し得る条文は見当らないのであります。これはアメリカがどう解釈するか私は存じませんが、われわれの解釈のしようによつては、さような義務は負担していない、私はこう考えます。あとは外務省当局から御説明いたします。

上塚司自由党

○上塚委員長 川俣君。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 保安庁長官に二点ほどお伺いしたいと思います。第一点は先ほど岡崎外務大臣が委員の質問に対しまして、MSAの協定に基いて保安隊の強化をはかる法案を出したのではなくして、保安庁の強化拡充に伴つてMSA協定に応じたのであるという答弁をしておりますが、その点お認めになるかどうか。あなたの方では、MSA協定に基いて保安隊の強化、自衛隊の編成と相なつたものか、みずからの自衛の組織からMSA協定に応ずるようになつたのであるか、この点をお尋ねしておきたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。われわれとしては二十九年度にどれだけ自衛力を漸増すべきふということを目標にいたしましていろいろ計画を立てまして、御承知の通りの増員計画をやつた、そうしてその増員計画において必要な装備その他のものをMSA援助によつて受けよう、こういうことであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そうすると憲法七十三条に基いて内閣が条約を結ばれたのですが、この七十三条の条約の締結と同じように、現行法律を忠実に執行しなければならない義務を内閣が負つておるはずでありますが、立法措置を講じないうちにそういう計画をやりましたことは、唯一の立法機関に対する侵害とお考えにならないかどうか、この点をお伺いいたします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私は侵害にならぬものと考えております。それは計画を立ててそれに基いて国会の御審議を願うわけであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 この点もあとで論ずることにいたします。非常に問題が大きくなつて参りましたから、他の機会を選びます。  次に保安庁長官に戦力というものに対する見解をお伺いしたい。今日戦力といいますのは、おもに総合戦力まで戦力に入れられておりますが、保安庁長官の考えておられます戦力とは、いかなるものを内容といたして戦力としておられるか、その限界を伺いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 戦力論はもうしばしば繰返されておるわけでありますが、われわれは一つの部隊とかあるいは船とかいうものを考えておるのではないのでありまして、あなたの今仰せになりました総合的な大きな実力とこう解釈します。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そうすると、総合戦力というふうに考えた戦力だ、こういうことでありますが、総合戦力とはどのような範囲まで拡大されてお考えになつておりますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 これは戦力の解釈問題でありますが、具体的にどこまで行けば戦力になるということは私は申し上げかねるのであります。要はその国の置かれたる地位あるいは国際情勢その他から考えまして、他国に攻撃的脅威を与えるような、言いかえれば侵略に使われるような大きな組織力をいうものと私は解釈をいたしております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 近代的な戦争において総合戦力というのは、おそらく経済力も入りましよう、産業力も入りましよう、また資源力も入らなければならぬ。日本のような貧弱な資源力をもつてしては総合戦力が立たないということが常識的に考えられて、その結果日本は戦力を持ち得ないというふうにあなたはお考えになつておりますかどうか、この点をお伺いいたします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私はそこまで広げて行くべきものではないと考えております。つまり戦力というのは一つの軍事力であります。大きな軍事的組織力がこれに当るだろうと考えます。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 それでは外敵に当るというのですが、外敵に当る場合は交戦が行われると思いますが、交戦状態のない対抗手段というものがあり得るのですか、どうですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 あり得ると私は考えております。つまりお話の点は、私は憲法第九条第二項にいわゆる交戦権の問題だろうと思います。これは戦うべき権利とわれわれは解釈していないのであります。いわゆる交戦国として国際法上有する権利とこう解釈しておるのであります。自衛隊が不時の侵入を受けた場合に戦うのは当然であります。これらの点については、私は何ら抵触しないものと考えております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 それではまた前にもどりまして、一応この点を明らかにしておきたい。日本の保安隊の整備強化が必要だと考えて、MSA協定を結ぶということになりますならば、もしもそれが唯一の協定の根拠ということになりますならば、すべからく日本で立法処置を講じられたあとにおいて協定を結ぶことが妥当だというふうにお考えにならないかどうか、この点をひとつ伺いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私はそうは考えておりません。つまりわれわれが計画をして、その計画に基いてMSA援助を受けるものと、こう考えております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 計画権はどこから生れて来ますか。法律上憲法上どこから計画権が生れて来ておるか、その点を明らかにしていただきたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 それはいわゆる行政処置としてわれわれは考えておるのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 立法の伴わない、法律に基礎を持たない行政権というものがあり得るというふうにあなたはお考えのようですが、それでよろしゆうございますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 行政処置につきましても、それに基いて法律をつくる場合には、国会の御承認を得るということになつております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 私のお尋ねしているのは、法律の基礎なしに行政権の執行ができるという御答弁だつたから、それではどこからそういう権限が生れて来ておるか、こうお尋ねしておる。その根拠を明らかにしていただきたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 もちろん法律に根拠してわれわれは行動するのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 では法律の基礎をお示し願いたい。あなたは行政権の範囲内において計画をされたと言うが、その計画というものはどこに、何の法律に基いて計画されたのか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 それはわれわれとして一般的の保安庁法の改正という問題でやつて来ておるのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 改正というのはまだ法律がかわつておらないでしよう。改正しようとする意思だけでしよう。あなたは法律に基いて行政処置をとつた、こう言われておる。まだ改正前でしよう。そうじやないですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 これはすべての処置がそうであります。法律の改正も、つまり初めは行政府において、かようなことをしようというときに法律の原案というものを作成して、そうして議会の承認を得るのでありますから、われわれはいわゆる一般的行政処置として考えてやつておるわけであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 この点を議論すると大分長くなると思いますから議論をしませんが、あなたは憲法の解釈を、七十三条に基くいわゆる法律上忠実なる行政上の義務を負つておられる、そういうふうにお考えにならないのですか。この問題については、先ほどいわゆる補助金の特別委員会において、憲法学者を大分呼んで議論いたしました。速記録をごらん願いたいと思うのですが、最近では問題が相当大きく拡大されて来ると思うのです。それで私はお尋ねしておる。しかもあなたは予算の編成権を問題にしていないで、それから起つて来るところの措置を考えないで、法律に許された範囲内において行政執行として考えた、こう言われるので問題になつて来る。あなたは行政官としてやつた場合と、内閣としてやつた場合とおのずから違うでしよう。(並木委員「内閣は議案の提案権があるだろう」と呼ぶ)どこにある。(並木委員「七十二条に」と呼ぶ)七十二条にない。お答え願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 前々申した通りであります。われわれは行政として一つの計画の立案をして、それに基いて法律処置を講じて国会の承認を得るということは、何ら不都合はないと考えております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 私は打切りたいと思うのですが、行政当局として発案権があるということは初耳なのです。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 それは言葉のあやです。だれが計画するかといえば、われわれが計画する。その裏には、内閣が法律を提案するのはあたりまえのことであります。その提案する前に、われわれは行政官として計画の任に当るのであります。われわれ直接に法律を提案するわけではありません。これは内閣を通じて提案することは憲法に明らかであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 内閣を通じて提案される、内閣は憲法の何条に基いて提案権を持つておられるか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 御承知の通り七十二条であります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 七十二条は御承知の通り内閣を代表して総理大臣が議案を提案する、こうなるでしよう。そうすると内閣の持つておる権限というものは、七十三条よりないという解釈ができるのじやないかと思いますが、この点に対する見解を伺いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 総理大臣が内閣の首長としてこれを提案するのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そうすると内閣に持つていない提案権は総理大臣も持つていないと解釈すべきじやないですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 内閣を代表してやるのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 これは保安庁長官にお尋ねすることはちよつと無理だと思うので、大蔵大臣が見えてからあらためてお尋ねいたします。

綱島正興自由党

○綱島委員 関連事項で……。ただいまの憲法の提案権問題ですが、これは私は将来非常によくやつて行かなければいかぬ、民主主義の上からやつて行かなければいかぬと思うのです。実は私は長官とは非常な仲よしの間柄だから……(笑声、「変なことを言うな」と呼ぶ者あり)実は七十二条の総理大臣の提案権というものは、七十三条の内閣が持つておる職能——これは御承知のように規定がありまして、「一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」というもののうちには、議案となり得るものは、条約に関する事後もしくは事前に承認を受くるもの、それから予算の編成、提出これ二つしかないようです。しいていえば大赦、特赦、減刑、復権に対する案も、もしこれを内閣でやらずに国会の承認を特に受けんとすれば、これも議案にはなり得るのですが、その三つしかないようです。一般行政事務のほかとあるのですが、その一般行政事務の中に立法行為を含まぬことは、もう憲法上明らかなことです。従つて立案行為というものが立法行為であるかどうか、立案行為というものは、あるいは提案行為というものは、これは立法行為ではなくて一般行政行為である、こう解釈すればなるほど提案権があることになる。立案権というものはそうでなくて立法行為である、これは学説から見ると、およそ世界中の学説が立案行為というものは立法行為であるということは動かぬようです。そうしてただ立憲君主国の憲法においては、なるほどこの立案行為というものを立法行為であるということには間違いないようだけれども、大体において立案権は君主にあるという憲法のシステムをとつておるので、大体その系統をふんでおる国には間々ただいまでもあるようでありますし、旧憲法時代の——旧憲法の五条には、国会にはほんとうの協賛権だけしかない、立法権というものは天皇にある。天皇は帝国議会の協賛をもつて立法権を行うと規定してある。そこで旧憲法時代にはなるほどその立法行為の一部である立案行為を行政府でやることは当然なことであるし、ただ国会ではその審議をするということだけで、厳格にいえば旧国会というものは国会と名がつく審議府であつて、これはほんとうの国会とは言えぬような形のものであつたようであります。ただ厳密なる意味で申し上げますと、憲法四十一条の国会は国権の最高の機関であつて、唯一の立法機関であるという規定、それと七十二条の内閣を代表して総理大臣は議案を提出するという規定、この二つから見れば、立案権は内閣にないということは、これは学問上ちよつと論争の余地がないと思います。ただ問題は内閣法の中に、御承知の通り総理大臣は法律案その他を出すということが規定してある。それから国家行政組織法の中に、各省大臣はその管掌事務について立案をして、そうして内閣の承認を経るという規定がある。この二つがありますので、しいていえば、同じ国会において内閣法をつくり、国家行政組織法をつくり、憲法をつくつたのだから、日本の憲法は世界の学説には当てはまらない特殊な——立法権を持つておる唯一の立法府であるという言葉は、これは学問的には通用しない一つの制約を持つた言葉であつた、これは憲法の死文である、こういうふうに解釈すれば格別、そうでなくて立法行為というものを世界に通つた学説で審議するなら、これはどうしても内閣法と国家行政組織法が間違いを起しておる。法律の一般原則からいつて、内閣法とか国家行政組織法とかいうものは憲法に席を譲るべきであるから、これはひとつどうしても考え直さなくちやならない、こういう問題が残ると思うのです。  いま一つ非常な重大な問題は、日本は大体民主主義とか……。

上塚司自由党

○上塚委員長 綱島君、お説の最中ですが、今ちようど予定の通告者が参りましたから、できるならば予定の質問を続けたいと思いますから、まことに相済みませんけれども、できるだけ集約して簡単にお願い申し上げます。

綱島正興自由党

○綱島委員 もう二、三分です。問題は民主主義とか自由主義とかいうものが、日本の歴史からいえば偶然にころげ込んだような形でありますので、その本質に対する理解が学問上においても法律上においても、非常に深められていないという欠点があるようでございますけれども、民主主義を守らなければならぬということは、もはや日本の国においては至上命令に近い。民主主義を守るならば真正なる意味における立法府というものの確立が必要になりますので、この点はひとり憲法の中にたまたまこういう文章がある、行政法にたまたまこういう文章がある、憲法の中にまぎらわしい規定があるとかいうことで解釈するのでなくて、文化史上の重い意味で、それこそ日本が死の洗礼を受けずにたまたまころげ込んだようなこのことが、災いになつたり混迷を来したりすることなからしむるような意味で御解釈を願う方が、将来日本の民族のために大切なことであると思うのでありますので、この点に対する御所見をちよつと伺つておきたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 御高説承りまして、まことにありがとうございます。それらの点につきましては、よろしく法制局長官と御質疑応答を願いたいと思います。

上塚司自由党

○上塚委員長 それでは芳賀貢君。外務大臣が三時になると見える予定でありますが、外務大臣が見えるまでひとつ保安庁長官に御質問をお願いします。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 外務大臣がまだ出席になつておらないので、質問の内容が前後すると思いますが、まず保安庁長官にお尋ねいたします。  私は主としてMSA協定の中における余剰農産物の買入れの問題を中心にしてお伺いしたいと思うのであります。MSAの余剰農産物を買い入れる場合において、一応協定の内容は五千万ドルを限度としておりますが、これを行う場合においては、これが両国の利益であることが前提になつておるわけであります。もちろん相互安全保障法の目的とするところは、アメリカの利益と安全をはかり、外交政策を推進することであるということは明確にうたつておるわけでありますが、この協定を結んだ場合において、はたしてわが国の利益になるか、アメリカの余剰農産物を、しかも国際小麦協定に基く小麦の価格等よりも決して安くない価格で買い入れるということが、わが国のどの面に利益になるかということを、まず長官にお尋ねしたいのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 これは私からお答えすべき筋ではないと考えておりますが、アメリカから入る小麦も必ずしも国際価格より高いわけではありません。どうせどこの国からか小麦は入れなくちやいけないのであります。そこでこれから入ります金の使い方が問題だろうと思うのであります。その金の使い方は、要するに防衛生産に寄与することとなるわけでありますが、ただ防衛生産といつても、これは逆からいえば、何も日本の経済に寄与しないじやないかということを言われる人がありますが、私はそうは考えておりません。一つの防衛生産に関するものをつくるについても、いろいろな広い場面がそこにいるのでありまして、中小工業者に対しての相当な経済的の寄与はできるものと考えておりますから、これは決してアメリカだけの利益じやなしに、日本にとつても経済的に寄与するものと私は考えております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 私が長官にお尋ねしている点は、この協定は結局MSA協定でありまして、それはわが国の自衛力の増強に寄与するものがあるという認識の上に立つて、政府は協定を結んだと思うのであります。そういう場合において、アメリカの余剰農産物を買いつけるということが、保安庁長官の立場から見て至大なる影響があるわけであります。これは、戦力を持たない軍隊は養つておるかもしれませんが、日本の自衛という認識は単なる保安隊の頭数を十一万人から十四万五千人あるいは十五万人にふやせばよいということではなくして、長官もかつて言われたかもしれませんが、いわゆる総合戦力、総合自衛力といいますか、そういう場合におけるわが国の自立経済とこのMSA協定は、いかなる関連の上において持たれておるか、その点をお伺いいたします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 もちろんわれわれといたしましては、アメリカから相当の武器を入れて、それだけのものは寄与を受けるわけであります。従つてMSA協定は日本にとつては相当の寄与をする、一面において、いわゆる域外買付の点から考えてみましても、今申し上げた通り日本経済に相当の寄与をされるべきもの、こう考えております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 私のお尋ねしておるのは、自衛力の範疇における日本の経済自立の、しかも基礎的条件をつくる食糧増産、こういうものが自衛力を増強するという考え方の中において、並行して進行しておるというふうに長官は考えておるかどうかということであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 むろん自衛力というものは狭義に解釈すればいわゆる軍事力のことをいいますが、しかし広義に解される自衛力というものは、いわゆる国家の総合力であります。経済力を発展させるということは、要するに自衛力の増強になると考えております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 そういたしますと、ことしの一兆円予算の内面において、一方においては自衛力を優先的に増強しておる。それに伴つて、たとえば国内における食糧の自給態勢というものが、これに並行して追随しておるかどうかということをお考え願いたいのであります。もちろん防衛費関係の予算というものはふえておりますけれども、一方食糧増産を中心とする農林関係の予算というものは、昨年度の予算に比較して、実に五百二十八億円も減じておるのであります。さらに食糧増産関係の費用というものは三百六十数億しか盛つておらない。これによる三十年度における食糧増産の期待効果は百万石程度くらいしか期待できないのであります。現在における日本の食糧の需給関係を申し上げますと、国内においては、昭和二十九年度においては約二千七百万石の米の買入れを予定しているわけであります。麦類に対しては八百万石の買入れを予定しておる。これをトンに直しますと五百万トン程度であります。この不足分の百十四万石の外米と約二百万石の麦を外国から買いつけて、総計九百万トンによつて、大体国内の食糧の需給を行つて行くというのが二十九年度の一つの計画であります。そうしますと、国内においては一年の約六割しかまかなうだけの食糧を持つておらないという事実を十分考えの中に入れなければ——予期せざる侵略に備えて自衛力を増強しなければならぬという考え方の中においては、当然わが国の自立経済の基盤をなす国内における食糧の増産、食糧の自給というものがそれよりも先行しなければならないはずであるというふうに考えますけれども、この食糧増産の面における予算が大幅に削減されておる。これを契機として本年度の農業政策というものは、非常なる大きな転換を示しておるのであります。その最大の理由というものは、アメリカに小麦が余つておる。一九五四年のアメリカの小麦の収穫予想は、およそ十一億ブツシエルといわれております。このうち七億ブツシエルはアメリカの国内消費でありますし、さらに従来アメリカが小麦を国外に輸出した実績は二億五千万ブツシエル程度であります。そうしますと一億五千万ブツシエルは今年度だけの小麦の生産の面から、まつたく過剰になつて、その処置に窮するのであります。さらに前年度からの余剰の繰越しがありまして、おそらく今年度においては約七億ブツシエル程度の余剰小麦があるということは、これはたれもが承知しておる事実であります。そういう場合において、なぜこのような軍事協定とみなすようなひもつきの関係のもとにおいて、アメリカから小麦の輸入をしなければならないかというところに問題があるのであります。長官におかれては、この国内におけるところの食糧の自給態勢を高めるということが、いわゆる自衛というものに先行すべき条件であるというふうにお考えを持つておられるかどうか。それとも国内におけるわが国の食糧は、非常に零細過小農家の形の中に置かれておるので、アメリカ等の農業生産物に比べると、コスト高になつておるので、日本の食糧増産というものを捨てて、アメリカの余剰農産物に依存することが、わが国の食糧行政の上において利益になる。だから相互の利益になるのであるから、アメリカでは余つておる農産物が日本を市場として開拓することができれば、アメリカにおける利益になりますし、わが国においても、そのような考え方の上に立つてMSAを利益と認めて、この余剰農産物の受入れをするというお考えであるか、その点をもう一度伺いたいのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 小麦はどうせある程度は外国から輸入しなくちやならない。そこで幸いアメリカから余剰小麦を国際価格を上らない程度において、これを入れる。その入れて日本から支払うべき円を、日本のいわゆる自衛力増強のために使わせる、こういうのであります。しかもそれを使つた結果において、どうなるかというと、あるいは先ほど申しましたように域外買付とかいうような点において、日本の経済の発展にいささかでも寄与あれば仕合せであります。かたがたそういう観点から見て、アメリカから小麦を入れるということは、私は何らさしつかえないと考えております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 長官は御承知ないかもしれませんが、MSAの小麦の方は、国際小麦協定によるところの値段よりは高いのです。この事実をまず御承知願いたい。だからして、この高い小麦をなぜひもつきで買わなければならないかという点が第一点あるのであります。もちろん五千万ドルの二割の一千万ドルの剰余分があるから、それを差引けば、結果的に安くなるのだということが一つの立論になれば、これは別でありますけれども、国際間におけるところの経済行為というものは、かかる特定の条件のもとにおいて、経済行為が行われるということは、これはまつたく独立国家の建前として正常なルートではないというふうに私は考えておるわけであります。だから一般の不足分の食糧を輸入する場合においては、当然食管特別会計におけるところの既定の計画を正しく遂行するということで足りるのであります。この五千万ドルの小麦買付というものは、もしも予見されない侵略がある場合、わが国においては七箇月分くらいしか食糧がないのであるから、それに備えるために国際小麦協定によるところの輸入でなく、MSAのひもつきの小麦を六十万トンとりあえず買つて、それを自衛力の名のもとに備蓄するというようなお考えでこれを買うのですか、その点をお伺いいたします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 まず第一に国際価格より上の値段でもつてこれを入れるのではないかというお話でありますが、決してさようではありません。国際価格より上ではありません。そこで自衛隊について備蓄のために入れるのではないかという御質問でありますが、さようなことはございません。備蓄のためではありません。これははつきり申し上げます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 長官は大分いろいろなことを知つておられるようですが、(笑声)MSAの小麦の価格がIWAより安いという論拠があれば、その価格をあげて明確にお答えを願いたいのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私は今数字のことは記憶しておりません。それはどうぞ農林大臣にお尋ねを願いたい。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 数字の根拠を持たないで安いという論拠はどこから出るのですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 それは安いということを私は聞いておるから、そう言つたのであります。数字のことはわかりません。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 この問題について、これ以上お尋ねするのは無理かと思います。備蓄を行うのではないということでありますが、そうするとその侵略に備えるための保安隊の備蓄というものは現在いささかもないということでありますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 数字は申し上げることができませんが、多少の備蓄は持つておるわけであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 多少の備蓄といいますと、もしそういう侵略があり得ないとしても、行われた場合において、侵略に対抗でき得るだけの食糧の備蓄であるか、次の新しい年度に収穫されるまでの備蓄として考えた限度の備蓄であるか、その点をお尋ねいたします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 これは、予算その他の点において大きな制約を受けておりますので、さような大きな備蓄は今できておりません。私はそれらの点については、将来大いに皆さんに御勘考願つて、食糧の手当をいたしたいと考えております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 そういたしますと、政府の言う自衛力の増強というのは——内面的には食糧増産というようなものは、自衛力の範疇においてそれほど重要なものではない。アメリカには幾らでも余つておる食糧があるからして、これに依存しておればそれで事足りるというような、そういう認識のように私は確認したいのであります。それに間違いありませんか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 決してそうじやありません。われわれは日本においても、食糧はでき得るだけ自給自足して行くような方向に持つて行くへきものだと考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 条約局長にビキニの原爆の問題で、法的根拠をお尋ねしておきたいと思います。先ほど岡崎外務大臣は、国連との間の太平洋信託統治に基いて原爆を試験するという根拠が出て来るのだという御説明でございましたが、それでは日本としてそれを受入れなければならない義務があるかどうか、その根拠があるかどうか。先ほどの岡崎大臣の説明では、国連との間の太平洋信託統治に基いて、危険区域を設定することができる、だからそこで原爆の試験をやろうと思えばできるのだというところまでの説明だつたのです。しからば日本としては、こういう信託統治というとりきめに、当然縛られて来るのかどうか。日本としては縛られて来ないのじやないか。日本としては国連にもまだ加盟しておりませんので、縛られて来ないのじやないか。そうだとすれば、日本としては特別の承諾なり何なりの協定がそこにいるはずでありますけれども、そういう協定を政府はアメリカとやつておるかどうか、そういう点を知りたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 南洋の委任統治につきましては、日本が委任統治として領有いたしておりました当時も禁止区域を設けたのでございます。一九四七年にアメリカと国連との協定が結ばれまして、旧日本の南洋委任統治領を国連のもとにおける戦略的信託統治地域といたしたのであります。そこで、その際に、施政権者つまりアメリカが、安全上の理由によつて閉鎖されたものとして特定の区域を指定することができるということを、その協定の中に書いてあるわけであります。そうしてその区域には、国連の信託統治理事会の定期的検査も視察もさせないこともできるということが規定しておるわけであります。そこで日本との関係におきましては、対日平和条約の第二条で、アメリカが国連と結んだ一九四七年の協定を日本は承認するということを約束しておるわけであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 そうすると、その平和条約第二条でもつて当然その約束に日本が縛られているということになりますと、アメリカ側からの一片の通告でただちに効力を発するものと見なければならないのですが、これはこういうふうな原子力あるいは水爆といつたようなものの予見されておらなかつた時代のとりきめではなかつたかと思うのです。危険区域に指定することがあるというその危険区域というものは、もつと範囲の狭い、原爆など当然予想しなかつた時代の区域であつたのではないか。従つて公海を航行する船舶あるいは漁業に従事する者に対しても、ほとんど影響を与えることがない、少くとも非常に影響を与えることの少い時代にできたとりきめであつたのではないかと私は思うわけです。そうすると時代ががらつとかわつて、原子力の検査までしようという今日になつては、当然それに対して何らかの措置があるべきであるのです。その措置がなかつたということは、やはりアメリカの方においても手抜かりではなかつたかと、こういうふうに考えるのですが、その点政府はどういうふうに考えておられるか、ただしておきたいと思うのであります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 今度の事件に限りましては、事実の点の確認がまだできておりませんので、その事実の点を一切留保いたしまして、理論的の点だけをお答えいたしたいと思うのでありますが、仰せの通り、国際法は科学の進歩と必ずしもマツチいたしておりません。もともと領海三海里というのは、その昔大砲が三海里しか制圧し得なかつたところから来たものであります。ところがこの協定の十三条に申します、戦略上の理由から特定の区域を指定するといたしました場合に、原子時代の今日、三海里というようなことでは——三海里まで近寄つても安全だということは決して言えないのであります。原爆の威力に比べますと、その地域的範囲なんということは、やはり科学の進歩にマツチした観念に基いて、必要な範囲だけはやはり戦略上の理由によつて指定し得ると考える方が、私は常識的ではないかと思うのであります。しかし、ただちにこの必要が確立された国際法にまでなつているかどうかという点につきましては、私はそれは今日にわかに言えないと思います。これは幾多のこういう事例が積み重なつて、新たに国際的の通念となりました場合に、国際法規となるのでありまして、今日アメリカが国際法上確立した権利として、戦略上の理由から、指定した区域内に日本を外国人として立入りまかりならぬという権利があるかどうかという点は、私は非常に疑問だと思います。ただ少くもウアーニングと申しますか、この範囲に入るとあぶないぞという警告的な意味は私は確かにあると思うのであります。もとよりその警告を聞かないで入つたとした場合に、入つた方が悪いのだというところまで国際法上言えるか言えないかという点も、これもまた少しく疑問だと思うのでありますが、要するに、さきに朝鮮水域のデイフエンス・ゾーンにつきましても問題がありましたように、この新たな原子力との関係において起りました問題は、今日の段階におきましては、これは国際法の確立した法規だというにはまだ少し早い、ただこれがだんだん積み重なつて、同様な必要が痛感され、国際的な通念になりました場合に、初めて国際法として確立するものだろう、今その段階にあるのではないかというのが私は真相ではないかと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 こういうことが国際法上の通念となり、国際法上確立されて来ると、これは各国まちまちに公海の自由というものを侵して行く悪い傾向が生じて来ると思います。私は今とつさの場合の質問でございますから、そこまで言い切ることができるかどうか知りませんが、ただいまの局長からの答弁を聞いておりますと、こういう国際法上の新しい権利として拡大された公海の排他的使用権というものは確立されない方がいいのではないか、こういうふうに感じたのでありますが、政府としてもそういうふうにお感じになりますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 その点は実は両面の必要性があると思うのであります。原子力の国際管理というものができますまでは、各国が別々に原子力の研究なりをいたすわけでありますが、その過程において、一方それと関係のないものの人命、財産を保護するという人道上の要求がございます。この人道上の要求から見ますと、やはり現にその必要がある範囲は多少広くても、その区域を指定して、そうしてウアーニングを与えてもらう方が、人命、財産の保護上いいのだという面もありますが、その面を全然度外視して、公海は昔から自由なんだからというので、あぶないにもかかわらず、権利としてそこにのこのこ行くということは、必ずしも常識に合つたことではない。つまり両面の要求をどこでマッチさせるかという問題、そこに現在国際法としてはまだ結論を得ていないというのが真相だろうと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 今度のような場合に、事は非常に重要な水爆あるいは原爆というものの試験でございます。それでかりにアメリカがそれぞれ危険区域として指定するとりきめがあり、権利があつたとしても、こういうものはその都度厳重に、そして全部の人に行き渡るように特別の通告があるべきものと私は考えます。それで今度の場合事前にそういう通告が日本の政府に対してなされたかどうか、あるいは日本の政府ばかりではない、これは他の国々に対しても関係のあることでありますが、アメリカとしてはそういう措置を行つたのでしようか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 この協定は米国と国連の間に締結され、そして日本は平和条約でこれを承認しているのでありますから、そういう権利があるということは日本は知つているわけであります。そうしてこの協定自体にも事前の通告というようなことは全然書いてなく、ただそういう区域を指定し得る権利があるということを定めておつたわけでありますが、実際問題としまして、戦略上の理由というところから見ますと、何月何日試験を行うというようなことを事前に申しましたら、潜水艦でも何でものぞきに行けるわけでありますから、そういうことを求めても無理だろうと思います。でございますから、日本は承知の上ですが、日本に対しても包括的にこの区域についての通告があつたことは、外務大臣から申し上げました通りでございます。でございますから、その際に日本が、そういうことをしてはけしからぬというような抗議を行つておりますならともかくでございますが、その区域を通告した通告を受領し、そしてこれを関係の当局に伝達しているということは、アメリカ側におきまして、日本はその通告を黙認したのだととられてもいたし方のないことであると思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 そういたしますと、通告に関する限りはアメリカ側に手抜かりがなかつた、手落ちがなかつたというふうになります。これはもう一度お尋ねすることになるかもしれませんが、その通告は特に今度の場合生きているということになりますが、幾月の幾日付でそういう通告がなされておりますか。そしてそれに対して日本政府としてはどういうふうに周知をせしめたか、伺いたい。

土屋隼外務事務官(欧米局長)

○土屋政府委員 正確な日付その他はただいま手元にございませんので、あとでお知らせいたします。昨年の秋の初めだつたと思いますが、アメリカの政府から危険区域につきましての通告を受けまして、これを外務省といたしましては、水産庁それから海上保安庁等に通告いたしました。ここから関係船舶などには通知が行つていることは当然だろうと思います。その日付とか、その内容につきましては、後刻その書類を手元に取寄せて、いずれ御報告できるかと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 その水産庁、海上保安庁あたりから、さらに現場に近寄る危険性あるいは可能性のあるものに対する警告はどういうような形式で行われておりますか。

土屋隼外務事務官(欧米局長)

○土屋政府委員 これは通告を受けます時期とそれからその危険の招来します時期との間に、どのくらい時間的に余裕があつたかという問題につきましても、そのときどきによつて事情を異にいたすようでありますが、今回の場合は、私どもの承知いたしますところでは、公海に出て行く船、ことに漁船に対しましては、御承知の通り水産庁が一々布告を出しますので、通知をいたします。それからすでに出ているものにつきましては、無電その他の連絡方法によりまして、現地に行つております船舶に対しましても、危険の迫らない時期において通達ができるような方法をいつも講じているわけであります。今回もその方法をとつているように承知しておりますが、これも調べがございますので、あとで御報告できると思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 今の問題に関連して、時間があるうちにちよつとお尋ねいたしますが、国連未加入国に対しましては、今の協定の効力はむろんないものと解釈すべきですが、最初にそのことをお尋ねいたしておきます。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 普通の国連の非加盟国に対しては仰せの通りでございますが、日本は平和条約におきまして、私先ほど申しました一九四七年の協定に承認を与えておりますのみならず、御承知のように、沖縄奄美大島等につきまして、将来アメリカの提議することあるべき将来の信託統治協定にまで実に事前に承認を与えているような次第でございまして、その点一般の国連非加盟国と日本とは多少立場が違うと思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 この協定の期限はどういうふうになつておりましようか。つまりこれは公海に対して非常に危険を含んだ制限だと思いますが、それは無期限になつているのでございますか。  それからもう一点は、その危険区域、警戒区域の指定の範囲は一括してアメリカの自由にまかされておるのか、そうしてまたそれを各国に通告いたします手段方法等については、これもまた一括してアメリカの自由にまかしてあるのかどうか、その点を二点お尋ねいたします。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 第一点につきましては、この南洋諸島に対する信託統治協定には期限の定めがございません。そうして施政権者、つまりアメリカの同意なしに変更し、改正し、または廃棄してはならないと書いてございますので、アメリカが同意する場合においてのみこの協定が廃棄できるわけでございます。  第二の点につきましては、施政権者つまりアメリカが随時にその特定する区域としておりますので、これはアメリカの欲するときに欲する区域を指定していい建前になつておるのであります。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 今度の問題につきまして、直接の被害を受けましたのは日本の漁民であつたわけでございますが、しかもはかり知るべからざる大きな被害を伴つております。そこで、こういうような単なる公海の一時的な制限でなくして、無期限に、しかも大きな危険をはらみましたこの制限区域の委任というものは、先ほど並木委員も指摘いたしましたように、現在の科学兵器の時期におきましては、はなはだ不備、不適当なものであるとわれわれは考える。そこで被害者でありますので、この問題に対しましての発言権は大きいと思いますが、日本の外務省当局はこの協定に対しまして、当時は予測し得ざる状態であつたのでこれは承認したわけですが、今度の事件を調査した上で、今言いましたような期限についても、その手段方法等につきましても、アメリカのまつたく一方的な自由にまかされているような協定は、はなはだしく危険を伴つて不備であるということで、これに対しましてこれを廃棄するなり、あるいは修正するなり、あるいはまた手続上の問題、すなわち通告その他のことについてこまかい規定を要求する。それを明らかにした上で、これに承認を与えるかどうかをきめるというような要求を当然すべきだと思いますが、そういう御意思はあるかないかお尋ねいたします。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 法律的には先ほど申しました通り、日本は異議を申す法律上の権利はないわけであります。つまり非常に広汎な権利がアメリカに与えられております。しかし法律を離れまして実際上の見地から日本政府として申出をすることは、これは可能であり、またなすべき問題であると思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 特にこれはそういうお答えをいただいて安心いたしますが、先ほど原爆の試験であるので、これはむろん世界に向つて公開することは、アメリカとしても軍事機密上困難だというようなお答えがあつた。しかしながら生命財産に非常な危険を及ぼしますこういうような失態を今度起しておるわけです。そこで、この通報の問題につきましても、特に先ほど他の委員から要望がありましたように、その都度通報すべきである。しかも日本との問の仲は、われわれは賛成し得ませんが、少くとも現政府といたしましては、防衛協定まで結ぶ深い仲になつておるわけであります。それに対しまして、いろいろ機密を要します武器まで送りつける、国内においてはそれに伴う機密保護法をつくる、そういうようなわけで、日本の政府または国民に対しましては、少くともアメリカは、現在としては日本に通報すれば世界に、すなわちソ連、中共にもわかつて秘密が奪われるというような、そういう考え方を起すべきではない、筋が通らぬと私は思う。従つて先ほど局長が言われましたようなことについては、次の御答弁で否定されたものと私は理解いたします。  そこでもう一点続いてお尋ねいたしますが、平和条約によりまして国連に協力するということで、アメリカとの間においてこの制限区域に協力する義務を、われわれは負つているとのお話でございましたが、これは国際法でございます。これが公海の自由の原則をあくまで信じておる、またその協定を知らないでおるそういう日本の漁民または航海業者に対しましての国内法的な拘束力を発揮するためには、何らかの法律的な措置が必要だと思いますが、この禁止区域に対しまして、政府は今まで国内法的にどういう措置をとつておるのか、その法律的な根拠はどういう法律にあるのか、その点を明らかにしていただきたいのであります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは水産庁の所管のことでございまして、私存じませんから、いずれ主管当局からお答えしていただきたいと思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 私はまだお尋ねいたしたい問題が多々残つておりますが、きようは連合審査でありまして、他の委員会の委員の方々に御迷惑であると思いますので、簡単にいたしまして、明日でも明後日でもまた次の機会にお尋ねしたいと思いますが、ついでですから、次にお尋ねしておきたいと思いますが、昨日の外務大臣の御答弁で、新聞発表にもなつておりますが、私の読み違いかもわかりませんけれども、昭和二十七年の秋に日本に対する第一回の通告があつたわけです。それで昨年の秋に同じく地域の追加通告があつたようにお話があつたようです。そこで第一回の通告は外務省にあつて、外務省から海上保安庁、またはそれから水産庁、それから漁業者、こういうふうな順序で行つておるようです。昨年の秋の場合におきましては、向うの司令官から直接海上保安庁へ来ておるように私は伺いました。もしこれが真だとすれば、はなはだおかしなことであつて、しかも講和条約が済みましたアメリカと日本との間において、軍の司令官が、軍事占領中ならば別のことでございますが、独立国に対して信託統治協定に従つてそういう通告をする場合に、外務省を抜いてやるということは、はなはだしく直接管理しておる印象を深く持たざるを得ない、奇怪なことだと思うのです。それが真実でありますかどうか、もしそれが真実であるといたしますならば、そういうような国際法上におけるアメリカ側の、おそらくは軍人のやつたことだと思いますが、独立国としての立場を、外交をはなはだしく無視したことであつて、当然国内の外務省、政府を通すべきものを、直接その所管庁であります海上保安庁に指令を出し、通報を出すというようなことは、まだ日本を独立国と心得ておらぬ一つの証左だと思うのです。この点が第一点。  それから第二点としてもう一点だけついでにお尋ねしておきますが、それは二回通報が前からいずれにしてもあつたわけですが、その通報の通報の径路、それがはたして過失懈怠なく漁業者にまで徹底しておつたかどうか。そのことに対してまだはなはだ不明確でございます。外務省から海上保安庁に行つたのに、海上保安庁から水産庁へ行くのが懈怠されておつたとか、あるいはまた水産庁まで行つたが、水産庁から全国の漁業者に対してそのことの通告が懈怠されておるというような過失があつたのではないかということが推測されますが、これは日本の政府と国民の間の問題でありますが、大きな問題でございますので、その間の手続上の事実をお尋ねしておきたい。  きようはこれだけで打切つておきます。やがて明日また補償の問題について少しく国際法的な、あるいは国内の政府と漁民との関係についてもお尋ねいたしたいと思いますので、このことについてはあらかじめ御用意をしていただきまして、質問にお答え願いたいと思つております。きようは、今の二点についてだけ、この際ついででありますから、お尋ねしておきます。

土屋隼外務事務官(欧米局長)

○土屋政府委員 お話でございますので、明日でも御質問がございましたときに、詳細従来の経過を御説明するように用意して来たいと存じております。  二つお尋ねになりましたうちの最初の、海上保安庁に直接軍司令官から来たのではないかというお話がございましたが、私実は主管しておりませんので、詳細に存じておりませんので、この点は明日御報告を申し上げますときに、あわせて御返事申し上げます。  あとの点の、通告を受けた場合において、水産庁あるいは海上保安庁に対する通知がどこかに遅滞をしておつたのではないかというお尋ねでございますが、この点は私がきよう承知いたしましたところでは、その通告についての移牒なりあるいは連絡なりについて、われわれの承知する限りにおいては、何ら遅滞はなかつたように承知しておりますが、これもあわせて明日どういう方法でいつということを御報告できると思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 さつきの残りでちよつと……。

上塚司自由党

○上塚委員長 簡単に願います。並木君、もう外務大臣がすぐ来ますから、正常の通告者に譲つてください。

並木芳雄改進党

○並木委員 簡単ですから……。先ほど局長は、日本が抗議をしなかつた。もし必要ならば抗議すべきであつた。しなかつたところから見て、これはアメリカの通告に対して黙認したことになるのだと害われましたけれども、それならば日本としては、抗議を申し込む余地があるのでしようか。平和条約二条で承認しているといいますけれども、しかしこういう通告に対して、抗議を申し込む余地があるのかどうか伺いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 先ほど私は、抗議すべきであつたとは決して申しておらないのであります。日本はこの協定自体を平和条約の第二条で承認して、受諾しておるわけでありますから、一旦承認した協定にあとから文句は言えないわけであります。しかしそのあとの方を説明しますときに、日本国政府といえども、当時抗議をしなかつた相手国の行為なり通告なりに対して、あとから文句は言えないということを御説明する過程において、抗議がなかつたからと申しただけでありまして、私自身抗議すべきであつたと決して思つておりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 そうすると、そこまでのところは、アメリカ側の責任に帰すべき点は今までのところはないように感じます。むしろ日本の政府の方に善良なる管理者というような意味において手落ちがあつたのではないか。たとえばこの三月一日に原子力の試験をするということは予見されておつたのですか。昨年の通告から今日まで四月以上もたつております。その間にやはり日本政府として、このありきたりの通達方法だけで事足れりと思つたところのものは、とりもなおさず、そんなに危険なことをするものではあるまいという観念があつた。今から見ればもつと厳重に警告を発すべきであつたと思うのです。そこで三月一日にこういう大きな試験をするということは、初めからわかつておりましたかどうか。

土屋隼外務事務官(欧米局長)

○土屋政府委員 ただいま問題になつておりますものについて、抗議を申し込みますかどうか、あるいはその通告に手落ちがあつたかどうかという問題は、もちろんわれわれは事実を認定した上で、もし危険区域としての通告があり、その危険区域内に入つておらぬにもかかわらず、今回の事件が起きたということを確認して初めてアメリカに抗議を申し込むべき問題じやないかと思います。  それから通知自身に対しまして、ことしの三月にそういう実験があり得るということを予測したかという問題でありますが、いつそういう実験が、あるいはどういう形の実験が行われておるかは、もちろんわれわれは予測を常識的にするという程度で、実際上の予測の根拠は何ら持つておりません。ただ昨年の八月なり九月なりにアメリカから何々区域を危険とするからという通告を受ければ、われわれはその通告は今後危険区域となるという通告であつて、これが解除されるまでは、依然として危険区域であるということであります。従つて昨年の八月にしろ九月にしろ危険区域としての通告をいたしまして、その解除をしない限り、日本の船舶はその地点は危険区域だというふうに周知していたものと推測いたします。

上塚司自由党

○上塚委員長 帆足計君。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 委員長、外務大臣はもう見えますか。

上塚司自由党

○上塚委員長 外務大臣はやがて見えますから、保安庁関係の質問をひとつ進めてください。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 本日は外務大臣及び保安庁次長並びに通産省当局に質問したいと思つておる次第ですが、外務大臣の御出席がずるずるになつてまだ遅れるようですから、質問の時間についてはひとつ御考慮願いたいと思います。いろいろ申し上げたいことがありますが、順序をかえまして、通産省通商局の次長さんがお忙しいところをさいて急いで御出席になつておりますので、先に事務的なことをお尋ねします。  最近ソ連、中国に対する西ヨーロツパ側の貿易攻勢がたいへん盛んになつて来ておるようでございますが、その場合に、ソ連に対しては貿易を緩和する、しかし中国に対しては緩和しないということをアメリカの政府筋は言つておるようですが、私はこれはまことに論理に合わないことであると思います。西ヨーロツパにとつては東ヨーロツパがちようど中国に当るわけでございまして、同じ立場から見れば、日本にとつては東欧がちようど中国に当る。カナダ、濠州、ニユージーランドにとつてはアメリカが中国に当る。すなわちそこから原料、食糧、木材等を提供する場所でございます。従いまして両者の間にわざわざ差別をするということは、日本が不当に差別待遇を受けることになるわけでありますが、外務省の経済局並びに通産省当局はこれをどのようにお考えでございましようか。

小田部謙一外務事務官(経済局長心得)

○小田部政府委員 実はソ連の東西貿易の緩和ということは、アメリカのスタツセンも言つておりますし、それからランドール委員会の報告にもありますし、またイギリスのチヤーチルも演説において述べております。ところが軌を一にして、アメリカはもとよりのこと、英国におきましてもチヤーチル首相なども、これは中国に対する貿易緩和を含むものではないということを言つております。もとより御指摘の通り、わが国にとりまして中共貿易というものは非常に大事な点がございますから、わが国としてはこの際西欧諸国と歩調を合せまして、ソ連貿易のみを拡大されないで、中共貿易も同時に緩和して行きたい。ことにソ連貿易というものが拡大されますれば、ソ連を通じて、東欧圏を通じまして、物資が中共に流れて行くということになる。そうすれば中共の方をたとい厳重にしても何にもならないじやないかというような論拠を持ち出しまして、わが国もあらゆる機関を通じまして——たとえばパリーにおける国際会議などを通じまして、その点は主張しております。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 まことにごもつともな御意見だと思いますが、そのような御方針でやつていただけばけつこうですが、先日ソ連の商工会議所会頭のメストロフとかいう人の報告書を読みました。ところが逆にソ連からずらりと戦略物資を西ヨーロツパ諸国に輸出しようという提案をしておりまして、その品目の一覧表を見せていただいたわけです。情勢は移つておりますので、この情勢に即応することが大事かと思いますが、昨年の日本と中国との貿易の実績は、雑誌などにいろいろの数字が伝えられておりますが、どのくらいの金額になつておりますか。

松尾泰一郎通商産業事務官(通商局次長)

○松尾政府委員 中共との輸出入の数字を申し上げますと、昨年度は輸出が四百六十万ドルであります。輸入は二千九百七十万ドルになつております。一昨年は、輸出がわずか六十万ドル、それから輸入が千四百九十万ドルに相なつております。この輸出入の差がかなりありますのは、輸入の方は香港を通しての取引がかなりありますので、実はこういうような数字になつて現われておるような次第であります。なお本年度に入りましてからは現実の通関統計がまだはつきりいたしませんが、われわれ通産省の方で輸出入の承認をいたしましたいわゆるバーターの承認実績を申し上げますと、この一月、二月でちようど輸出入ともそれぞれ百万ドル前後に相なつておるわけであります。なお昨年度のバーター承認実績を申し上げますと、輸出入それぞれ六百四十万ドル前後に相なつておるわであります。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 外務大臣がお見えになりましたので、話を元にもどしましてお尋ねいたしたいのですが、一国の安全保障ということを考えますのには、先ほど来議論がありましたように、あるいは地理的状況を考え、あるいは食糧、原料事情を考え、あるいはまた兵器の水準を考えて、総合的に考えねばならぬことはもちろんのことですが、一両日新聞に出ております太平洋における原爆の被害は、日本国民としてはそれが第三回目の被害として、私は一種の天の啓示として、粛然としてこの問題は考えねばならぬことであると思います。今日は原爆、水爆の時代であります。まず保安庁の次官にお尋ねしたいのですが、日本の防衛、自衛ということをお考えになるにあたりまして、今日が原爆、水爆の時代であるということをお考えになつて、それに対する兵略としての自衛ということをお考えになつておりますかどうか。まずそのことをお尋ねしたい。

前田正男自由党保安政務次官

○前田政府委員 ただいまの御質問のようなことは、いろいろと問題がございますけれども、われわれの方といたしましては、自衛力を漸増して行こうというような考え方のもとに、日米安全保障条約によりまして、日米の両方の防衛力によりまして、日本の安全を防衛して行きたい、こういう考えのもとに、日本の財政の許せる範囲において逐次漸増して行こうという方針でやつておるような次第であります。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 まつたく答弁にならぬ御答弁を承りまして、私はナンセンスだと思いますが、先日あるアメリカの雑誌を見ましたら、日本はあたかも海綿が水を吸収するごとく、ソ連、中国の原爆その他の攻撃を集中的に吸収する前衛基地となるであろう、こう書いてありました。私はアメリカ参謀本部の戦略としては当然のことであろうと思います。しかし今日国防、自衛ということを考えるにあたりまして、私は今日が原子科学の時代であるということを前提にして考えて、太平洋のエニウエトクで実験された原爆報告を読みますと、これは水爆の引金原爆という程度のものについての報告でありますが、一瞬にして一億度の熱度に高まるとあります。幅一マイル、長さ三マイル半の島が木も草も石も土も一瞬にして蒸発して雲になつたと書いてございます。さらにそれより数年前にも今日のようなことがあつた。数年前のビキニ環礁原爆報告を読みますと、一発の原爆がアメリカ、イギリスの艦隊の二倍の数を一瞬に一マイルも吹き飛ばすほどの力を爆発せしめたと書いてあります。そのあとでメキシコから出ておりますある雑誌の評論を見ましたときに、メキシコの沖合いでとりました数匹の魚を写真の感光板に載せてみましたところが、怪しげな燐光を放つ。ガイガー計数管で見ましたところが、これは原爆の放射能を受けているものであるということで漁業界の問題になつたことが、すでに数年前にあるのでございます。さらに恐るべきことは、それによつて直接の被害を受けたときは、手当は間に合うでありましようが、大部分の者は直接に症状が現われず、放射能はあたかも梅毒の病原菌のように生殖細胞を侵しまして、二代目、三代目に突如として三角頭の畸型児が生れるということも同時に伝えられております。こういうようなことは原子科学の入門書の数冊もひもとけば大よそおわかりのことであつて、もし今日の国会並びに政府が、今日原爆、水爆のきびしい時代に生を受けておるという認識に立つて、自衛のことを論議されるならば、私はおのずから全国民の納得するような結論に到達するのではなかろうかと思いますが、この国会で戦力なき軍隊というような、まるで落語のような問答が繰返されておるという状況を、一体われわれは何と理解したらよいか、理解に苦しむのでございます。このような状況において、保安庁の諸君は新憲法を読まれ、また隊員に読ませ、またはビキニ環礁の原爆報告書も兵隊さんに読ましたならば、絶望してしまうことは当然であつて、こういうちよんまげ軍隊は原爆、水爆の時代にもはや用をなさないということは国民の常識である。ただ現実のきびしさに打負かされて、いろいろなことが部分的になされているわけでありましようが、今度の太平洋の漁船の問題について、こういうことがなぜ政府当局に予見できなかつたのであろうか。アメリカとしてはこれを通告したと言いますけれども、その通告に関して当然内容的に詳細な打合せをすべきでなかつたか。またそれから来るところの各種の影響について詳細に調べて、それを国民に広く知らせて危険を予防する必要があつたのではないか。こういうことについては明らかにアメリカの手落ちでもあり、日本政府の手落ちでもある。今日恐しいものは、鉄のカーテンよりも無知のカーテンである。過去二十年前に、敗戦の戦争に身をゆだねたのは、同じく無知のカーテンによるものである。三百万トンという鉄の持久力でアメリカの一億トンに抗して、無準備で戦いをいどんで、ガダルカナルまで足を伸ばして、足が引裂けてしまつた。今日二発の原爆を受けておりながら、ほとんど原爆について考慮することなく、いろいろなことがなされておる。ガイガー計数管すら魚市場にないような状況である。明らかにこれはアメリカ当局も原子爆弾の作用というものを過小評価していたし、われわれもまたこれに対して認識が足りなかつた、政府、国民ともに足りなかつたということを認めて、この際過去のあやまちを繰返さないように、国民としては粛然として、えりを正して、今いかなる世紀に生を受けておるかということを考うべきではなかろうかと思いますが、政府当局はこの問題について原子科学者の意見を徴したかどうか。そしてわれわれのこの問題ついての理解というものが、いかに浅かつたかということをただいま痛感されておるかどうか。まずこれを外務大臣に伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 原子科学者の意見等も、聞き得る時間があれば聞きたいとも考えますが、これは外務大臣の所管とは多少違うのであります。しかしわれわれは、今おつしやつたいろいろの点つきましてはいろいろ研究もいたし、またアメリカ側の措置が適当であるかどうかということもただいま検討をいたしておりまして、今後事態が判明するに従いまして、できるだけ迅速に適当な措置を、今回の問題についてはとろうと考えております。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 こういう次第でありますので、一日も早く学術会議その他に相談いたしまして、原子科学者の意見を聞いて……(「予算に反対しているじやないか」と呼ぶ者あり)予算の問題も原子科学者の意見を聞いてやるべきであるというのであります。そうしてそれの及ぼす影響、現在における原子科学の状況、数年後におけるその見通し、それらについての原爆白書を今こそ政府は全国民に示して、そしてその認識に基いて日本の進むべき道を考えたならば、保守とか進歩とか言おうとも、日本国民の運命に関する問題については、おのずから近い見解が生れるのではないかと私は思います。従いまして原爆の実情について調べただけでなくて、原爆白書でもつくつて国民に知らせるほどの気持が政府当局にあるかどうか、それをお伺いしたいと思うのです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 お話の点は十分拝聴いたします。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 このような時代にアメリカと軍事協定を結びつつあるわけですが、今度のMSAの協定の内容を見ますと、アメリカから二流、三流の武器をもらい、余つた農産物のはけ口に使われる、そして無料で基地を提供し、傭兵を提供するということで、これはアメリカとしてはほとんど犠牲を払つていない。しかるに日本側の犠牲は実に大きくて、内灘、九十九里浜以下全国各地においていろいろな痛みを感じて、国民はそれに対して対策を立てざるを得ない状況になつておるし、またパンパンの問題とか、生活の頽廃とか、中国との貿易を必要以上に遠慮せなければならぬ問題とか、また民族として自立的精神に欠陥が出て来るなど、いろいろな弊害を伴つておることは事実であると思います。外務大臣がいろいろ御苦労なされておることは承知しておりますけれども、MSA協定に対する国民の気持として、アメリカの払う犠牲に対して、日本国民の払う犠牲の方がもつと大きいじやないかという声に対して、どのようにお考えになつておられるか、御所見を伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 帆足君は根本的に意見がお違いのようでありますから、口ぎたなくののしられることもやむを得ぬかもしれませんが、MSAの関係法規をただいま御審議を願つておるのでありまして、内灘の問題とか、パンパンの問題とか、そんなものはこの協定には全然関係がありません。まつたく別問題であります。どうぞMSA関係の問題についてお話を願いたいのであります。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 私は口ぎたないことを申してはいないつもりであります。速記録をごらんくださればわかります。アメリカの今日の軍事援助というものが、日本の立地的な関係からして、日本がカナダかカリフォルニアか、せめてメキシコならばいろいろの合理性を持ち得るのでありますが、六千海里の海の隔たりというところに、いろいろの無理が起るということは事実だと思います。戦略的にいえばアメリカの前線基地、軍事的にいえば犠牲基地ということになるべき立地条件ということを、われわれどう考えるべきかということが重要な問題だと思います。そういうような関係から、日本とアメリカとの経済関係には生糸がなくなりました今日、日本経済の二割、三割の重大性はありますけれども、それ以上のアメリカとの経済関係につきましては、結局アメリカの前線基地、補給、補修の基地ということ以上のことを期待することは、最初からできないのではないかと私は思つております。アメリカがいかに好意を持とうとも、両国の立地的条件というものはやはり限界があるわけで、日本が経済的に自立するためには、どうしてもアジア諸国と何らかの意味のよい関係を持たなければ、日本の自立は不可能であると私は思います。従いまして政府当局は、日本経済の自立につきまして、経済的に寄与することにつきまして、MSA協定の与える援助というものに、従来、または今日とも、さらに多少の期待を持たれておるのかどうかということを伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私もアメリカとの貿易をやればそれで日本の能事足れりだということは一ぺんも申したことはありません。むしろ外交演説その他におきましても、常に世界中のマーケットを開拓して、少しずつでも日本の輸出がふえるようにいたしたい、ことに東南アジアにつきましては特に関心を深めているのは御承知の通りであります。従いまして、お話のようにアメリカとだけやれば何でもいいのだというふうには全然考えておりません。今度のMSAの協定につきましては、これは元来日本が独立国として防衛力を少しでもふやして行きたい、しかしそれについて財政上なかなか困難がありましてむずかしいのでありますから、その装備についてアメリカ側から援助を受けたい、こう考えているのでありまして、立地的条件とかいろいろおつしやいましたが、MSAの援助を受けている国はイギリスもそうであれば、フランスもそうであれば、タイもそうであれば、世界に非常にたくさんの国があるのであつて、日本だけが太平洋を隔ててMSAの援助を受けている国ではないのであります。従いまして日本だけが特異の地位に置かれるわけではないのであります。このMSAの援助はそういう意味で日本の防衛力の増強に役立つものでありまして、それで本来の目的は足りるわけでありますが、何事によらずでき得る限り日本の経済自立に役に立つようにいたしたいというのは、これは政府として当然のことでありますから、域外買付において幾分でも外貨収入が多くなるように、また麦につきましてもこれを円で買い得る、しかもそのうちの二〇%は日本政府に贈与を受けるというような点で、多少は日本経済に寄与すると考えておりますが、MSA協定を結べば何でも問題は解決するのだ、そういうふうにはもちろん考えておりません。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 外務大臣と多少見解を異にすることはわれわれの最も光栄とするところであります。しかし意見の違う者が意見を交換して、ともに共存し得るということが、民主政治並びに文明社会の恩恵であつて、まことに愉快なことでございます。私もまたアメリカとの経済関係を無視してよいとは夢にも思いません。日本とアメリカとの関係は今後とも深い関係がございまして、アメリカ経済との接触を保つことなくしては、日本の経済の自立に重大な支障があることは事実でございます。同時に中国との貿易だけですべてが解決する万能薬であるというような、ばかなことを言う者も中にはあるようでありますが、そういうこともありません。東南アジアとの関係が三〇%、中国と北アジアとの関係が三〇%、アメリカその他との関係が四〇%、これが良識ある判断であろうと私は思います。しかし中国との関係、北アジアとの関係をゼロにして日本経済の自立ができるかといえば、これは非常に困難であるということで、これまでわれわれはその問題を多少強調し過ぎたかもしれませんが、今は強調し過ぎるくらい言うべきときだと思つて、その良識に基いて主張して参つた次第でございます。さてこういうような状況のときに、日本経済は何と申しても再軍備、無軍備、議論は二つにわかれましようけれども、日本に平和が必要なことはこれは言うまでもないことであつて、同時に水爆、原爆の時代になりまして、だんだん戦争しにくくなりまして、そして今世界平和会議の前夜にあることもおぼろげながら本能的に察知し得るところであります。戦争への道でなくて、平和への道に世界諸国民の注目が向いつつあるとするならば、結局その最後の正常貿易の拡大、国交の調整というところに問題は進むのでございます。そうだとするならば、私は、外には正常貿易の拡大——正常貿易を拡大するためには、国内の生産費を良品廉価という経済の常道に進めねばならぬし、安い原料を近いところから確保せねばならぬ。今日国際収支の状況はまさに非常なる事態に面しておることも外務大臣の御承知の通りでありますが、MSA援助を受けましたその後における日本の兵器工業、軍需工業と平和産業との関係を、外務大臣はどのようにお考えになるか。両者の間に摩擦があり、優先順位が置かれるときには、どちらに重点を置かれようとされておるか。第一には、兵器工業育成に対する通産省当局、外務省当局の方針、平和産業との関係をどのようにお考えになつておるか、それを伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 今お話のような点は、外務省としては特に関与いたしておりません。これは通産省、経済審議庁等の関係するところであります。ただ私どもも、今度MSA関係で一千万ドルの贈与を受けますと、これは日本の防衛産業等に支出されますから、その点においてはいろいろ考慮もありましたが、ただいまのところ、これが平和産業を圧迫するとは考えておりません。また、特にこれが軍需産業であつちが平和産業だというほどの非常な隔たりも私はあまり認めておりません。関連産業等を考えますと、いずれも日本全体の産業の一環をなすものであると思つております。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 最初に申し上げましたように、原爆、水爆の時代に日本が生きねばならぬということを思いますと、今日のMSA論議というものはいかにも低調なものである。保安隊などというものは、明治維新のころの新撰組か新徴組くらいのものであろう、お役目まことに御苦労なわけでございます。しかし、この困難な状況の中に日本が処して行きますためには、私は、日本国民は今戦争の火中のくりをできるだけ拾わない態勢をとり、国交を調整し、平和の時をかせいで、その間に国内の経済の開発をはかり、教育、科学、技術等に惜しみなく金を使つて、むだなお節句の五月人形のような軍隊に金を使うようなことをやめて、そうして輸出の振興とか国民生活の安定とかいうようなことに資金を使うべきではないかと思います。同時に、そのためには原料を確保しなければなりませんし、また堂々と資本の関係も合理的に正しくせねばならぬ点もあるでしよう。しかし原料を獲得しますためには、国際収支の状況は、もうガソリンの統制とか、重油の統制というような声がぼつぼつ出るくらい逼迫しておりまして、まさに二十年前の昭和六年にも似て来つつあるような状況であります。従いまして、今日の時代は、国会は、まず戦略的には原子科学に対するわれわれの認識を新たにすること、それから国際的には、国際収支と正常貿易の問題を全党一致でやるべきときで、ある意味では、この平和と原子科学の問題、及び貿易拡大のことは政党政派の別なく、お互いにまじめに取上げるべき問題だと私は思います。最近中国から十三万トンの塩の輸入ができましたが、これは政府も並々ならぬ努力をしております。しかしかの地から今五十万トンくらいの塩をさらに計画的に輸入し得るという情報が達しておりますが、かぐのごときものは戦略にも関係ありませんし、政府が積極的にそれを円滑ならしめるようにやはり協力すべきである。また石炭にいたしましても、最近の石炭は品質が向上しつつあるのでありまして、中国からの石炭もやはり相当使うことを考慮すべきである。現に、一昨々年は、アメリカは中国から二千八百万ドルという厖大な原料資材を購入している。日本はわずか百万ドルそこそこの時代にそういう状況になつているわけでありますから、こういう問題は虚心坦懐に考えるべきことで、これを大局から見れば、たとい意見の相違があろうとも、日本が数年間平和であれば、その間には保守党の諸君も少しは賢くなるであろうし、われわれもまたその間には学ぶべきところもあろうという気持を持つているわけでありますから、外務大臣も、いつまでも旅券問題などにとらわれずに、私どもが申し上げたことももう少し誠意を持つて、そうしてとるべきものは平和と国交調整のために取上げるような態度を示してもらいたいと思います。  そこで通産省当局にお尋ねしたいのですが、塩や石炭等の中国からの計画輸入について、積極的なお考えをお持ちになつているかどうか、お考えを承りたい。また、その十分な調査ができていないならば、ひとつしつかり勉強して国際収支に寄与するように努力していただきたいと思います。

松尾泰一郎通商産業事務官(通商局次長)

○松尾政府委員 中共からの塩なり石炭の輸入の問題でありますが、従来は、バーターその他の方法によつて獲得するようにできるだけ努めて来たわけであります。しかしながら、これまでは、こういう重要物資の安定した供給市場として確実に見込むことが困難でありましたので、輸入外貨予算の中におきまして、はつきりと、中共からは当期幾らというような確定ができなかつたわけでありますが、輸出によつて買いつけられる物資でもございますので、できるものならはできるだけ計画化したいというふうにわれわれ今考えておるのであります。  塩につきましては、まだ数字等をはつきりと申し上げる段階には至つておりませんが、今度の新しい輸入外貨予算におきましては、ある一定量を織り込みたいというふうに考えております。  なお石炭につきましては、塩と若干事情が違いまして、今帆足先生から御意見がありましたけれども、価格、品質の上におきましてなお業界において若干の疑問もございますので、はつきりした輸入計画を織り込むことは若干困難があろうかと思いますが、これはケース・バイ・ケースに、できるだけ輸入と輸出をバーターによつてできるように考えて参りたいと思つております。その他の物資につきましても、大体同様な考え方をいたしておるわけであります。

上塚司自由党

○上塚委員長 次は田中稔男君。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 外務大臣にお尋ねいたします。MSA協定が調印されました日にアリソン大使があいさつをして、その中に、この協定は、合衆国がその部隊を日本から引揚げることのできる時期に、一歩近づけるものであるというふうなことを言つておるのでありますが、それは単に一片の外交辞令と解釈すべきものであるか、あるいは、ほんとうにアリソン大使の真意と解すべきものであるか外務大臣の御所見を伺いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は、この通りの意味に、外交辞令でない、実際の意味と考えております。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 それでは、その時期についてでありますが、外務大臣はその時期を一体どうお考えになつているか。もう少し詳しく申しますと、アリソン大使の希望は、日本側においてどういう条件が成熟した場合に実現するものであるか、御所見をお伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはもとより日本文がもとじやありませんけれども、日本語でも十分おわかりになると思いますが、一歩近づけるものであるということであつて、これでもつて時期がきまるとかなんとかいう問題じやありません。ただ日本の防衛力がそれだけ強化されればそれだけつまりそういう時期が近くなる、こういうだけでありますから、これからは何にも時日等は出て来ませんし、またそういう具体的の問題には入つておりません。また全体これが承認もされておらぬし、自衛隊等の今度の計画も実現しておらないのであつて、まだ先のことであります。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 そういうあいまいなことであると困ると思う。向うがほんとうに誠意を披瀝して言つた言葉なら、もう少し外務大臣としてもしつかりした御答弁をいただけると私は思うのです。たとえば自衛隊がどういうふうな状態になつた場合だろうか、そういうことを全然抜きにして、これをまじめに受取つたというのでは、外務大臣としても落第だと思うのです。それは別として、外務大臣もやはりアリソン大使と同じような考えを持つておられるかどうか、これを聞きたい。つまりこの協定が締結されることによつて、合衆国の軍隊が引揚げる時期がだんだん近づく、近づけたというような希望を持つておられるか、それをひとつお聞きしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 落第の外務大臣の意見をお聞きになつてもどうかと思いますが、私もそう思つております。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 それでは外務大臣は、やはりその日のごあいさつの中に、なぜ同様の言葉をお述べにならなかつたか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は私で、自分の考えで一番重要なことを申しておるのであつて、別にアリソンと同じことを言わなければならぬという義理はないのであります。     〔上塚外務委員長退席、富田外務委員長代理着席〕

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 そこで関連してお尋ねいたしますが、十六日の衆議院の外務委員会で、自由党の佐々木君が木村保安庁長官に、自衛隊ができたら、内乱の鎮圧に米軍の出動を規定した日米安保条約を改正する意向はないかというようなことを質問されたのに対しまして、長官は賛成である、しかも長官らしくこういうことを言つておられる。内乱、騒擾を他国の軍隊に治めてもらうのは国民精神からしてもおもしろくない、いかにも精神家らしい面目が躍如としておるのでありますが、私はこれはこれでいいと思う。とろがその前日の同じ外務委員会で、佐々木君が同じような質問をいたしましたに対しまして、外務大臣は保安隊が自衛隊となつても、日本の治安確保には駐留米軍の援助が必要である、こう答弁をされております。今日日本に駐留しておりますアメリカの軍隊の使命は、第一には直接侵略から日本を守ることである、さらに直接侵略と関連をして、大規模な内乱や騒擾が国内に起つた場合にはその鎮圧にも出動する、こういうことになつているわけです。そして自衛隊ができても、国内の内乱や騒擾の鎖圧に出動するために、米軍の駐留を依然として必要とするというような御意見であるとすれば、米軍が日本から引揚げるというようなことについて、はたして外務大臣がまじめに希望しておられるかどうか、私は非常にこれは怪しいと思うのであります。今の御答弁は矛盾しておると思う。その点についての御所見を伺います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 どうも私の速記録でも読んで、正確な私の申したことを基礎として御質問にならないと、お答えのしようがないのであります。その当時のことは速記録にはつきり載つておると私は思うのでありますが、私のお答えしたのはそういう意味で言つておるのではない。要するに必要があるかないか、これはそのときの事態になつてみなければわからないけれども、この協定の内容の趣旨は、日本に対する直接の武力侵略に対抗するものであつてかたわらもし日本政府の明示の要請があつた場合には、内乱の鎮圧にも出動する。こう書いてあるので、明示の要請がない限りはその方面には出て来ないのでありますから、かりに条約中にそれが残つておつても、明示の要請をしなければいいのである。またいかなる内乱が勃発するかということはチエコスロヴアキアその他の情勢を見ますと、そう手放しで安心もできない場合もあるかもしれぬので、私としてはむしろしばらくの間は明示の要請という政府のこちらからの働きかけがなければ動かないものでありますから、特に条約の中に入つていてもさしつかえはこの際はないのじやないか、こういう意見を申したのであります。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 そうすると念のためにお聞きしておきますが、自衛隊ができ、しかもそれが三軍均衡方式をとつた自衛隊ができて、装備が一段と強化されましても、日米安全保障条約第一条の規定の中にある内乱、騒擾に際して米軍の出動を許すというこの規定を、削除するというような交渉を米国に対して試みるということは考えない、こう解釈してよろしゆうございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 条約上の形の上でかつこうが悪いからとるというならば、これはとつてもいいと私は思いますがしかしだんだん自衛隊等が相当充実されて来ますれば、これは盲腸みたいなもので、なくてもさしつかえないことになりますが、規定の面からいうと、日本政府の明示の要請がなければ出ないのでありますから、この点は特にとらなければならぬという理由もあまりないのじやないか、ただいまのところではこう考えておりますが、かつこうが悪いというならばそれはとることも別にさしつかえないかもしれません。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 昨年十二月にダレスは朝鮮から二個師団の米軍を引揚げるというようなことを申しております。それからヨーロツパ方面からも米軍を引揚げたいような意向を述べておつたように思う。私はアメリカが日本から米軍を引揚げるということをまじめに考える場合はあり得ると思う。ただその場合はどういうふうな考えでそういう引揚げをするかということは、深く考えなければならぬと思うのでありますが、これは私最近アメリカの新しい軍事計画、ニユー・ルック軍事計画といわれておるこの新しい軍事計画の観点から考えなければならぬと思うのであります。これは一口に申しますならば、アメリカとしましては作戦において自主性と機動性とを確保し、さらにまた軍備を経済的にするという観点から、まず多種多様の原子兵器を使用し、これを搭載する超長距離のジエツト爆撃というようなものを中心に空軍第一主義をとる、そうしてさらに世界各国に出ておりますアメリカの軍隊を引揚げて、本国の中に戦略予備軍として保持する、これが新しい軍事計画です。私は今日の世界でおよそ戦略というものを立て得る国は、その経済的基盤の広さから申しましても、また超音ジエツト航空機の時代においてもなお防禦空間を広く持ち得るところの国であるアメリカなりソ連、この二国ではないかと思う。こういう国の一つであるアメリカがこういう新しい戦略を立てるわけです。そうしてそれに伴つていわゆる周辺作戦というものを検討し直した場合においては、たとえば日本のごときからはアメリカの軍隊は引揚げるが、そのかわり日本のいわゆるマン・パワーによつて、できるだけ大きな軍隊をつくる、しかしながらそれも単に地上部隊だけをつくるというような考えは現在は持つていないと思うのでありまして、アメリカの戦略空軍に従属する形における戦術空軍というものをやはり設けるということを考えているのじやないかと思います。そういうふうなことから、米国の軍隊が引揚げて行くということも起り得るのではないかと私は思いますが、そういうことについては、外務大臣として百も御承知だと思いますが、一体どういうふうにお考えになりますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 たいへんアメリカの戦略、戦術等についてお詳しいようでありますが、私の申上げたいのは、安全保障条約は、条約成立当時もたびたびここで申し上げましたように、これは暫定的な協定でありまして、永久にアメリカの駐留軍を日本に置くという考えではないのであります。できるだけ早く自分の国は自分で守れるようにして、アメリカの軍隊の撤退を実現する、これが政府としての方針であります。また条約の趣旨もその通りであります。何もアメリカのニユー・ルックか何かできたから、アメリカの駐留軍は引揚げるというのではなくて、条約成立当時からそういう考えであり、また国内に何となく反米とかいうような気分を、駐留軍がいることによつて引起すことをおそれまして、日米両国の関係をよくする上にも、できるだけ早くこれを引揚げるべきものだというふうに、アメリカ側も考えており、われわれもそう考えております。ところで今度は日本の自衛力の構造その他につきましては、これはアメリカの戦略等とは特に関係はありませんで、日本政府において独自の見解で決定するものであります。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 和かわらずの御答弁で、きわめて不誠意だと思う。大体日本の再軍備を考える場合に、MSA協定もあるときに、アメリカの軍事計画と無関係につくれるものではないのであつて、これは聡明な岡崎外務大臣をまたずとも、国民がみんな知つているところです。私がアメリカの軍事計画を述べたのは、何も私はえらそうなことをここでひろうしようとは思わないのであつて、これは今日だれもが知つておる。外務大臣が知らぬはずはない。大体茶化したような答弁をするなら私はもう言おうとは思わない。今度は日本の再軍備計画については保安庁の方に聞きますが、その前に中国貿易のことについてちよつと伺います。   〔富田外務委員長代理退席、上塚外務委員長着席〕  三月四日、北京発の電報であります。これは中国の進出口公司から日中貿易促進議員連盟の理事長代理あてで来たと思うのだが、日本自由党の池田正之輔君あてに来たものです。これを簡単に、省略して申し上げます。二月二十六日付貴電拝受、過去数箇月にわたる貴方の御努力があり、仮契約を二回にわたり当方が延長したにもかかわらず、貴方政府が禁輸政策に追随して妨害したり、だいなしにしたりしたため、これら契約は十分具体化することができませんでした。昨年北京で仮契約が調印されてから四箇月をけみし、その間、需要と供給の状態がかわりましたし、またある商品はすでにほかの国から買付いたしました。こうした事情でありますから、これ以上延期することは適当ではないと考えられます。私どもは、ここにこれら契約が二月末をもつて終了する旨を公式にお伝えいたします。こういうのであります。これはわれわれが昨年秋北京に参りまして調印いたしました貿易協定のことではないので、その協定に基いて結ばれた幾つかの仮契約の問題であります。しかしながらその仮契約がほとんど満足な成果を見なかつたことは、ここに書いてある通りだと思う。日本の政府がアメリカの言いなりほうだいになつて、促進するどころか、むしろ妨害するような措置に出たからであります。それで、この書簡に対して一体外務大臣はどうお考えになるか、ひとつ伺いたい。  ついでにお尋ねしたいことは、最近日本もいよいよ行き詰まりまして、やはり何とか中国貿易をやらなければならぬというのが、これは私どもの政党だけの声ではない、これは各政党の方々でいやしくも経済のことを知つている人はほとんどみなそう言つており、またメーカーにしても、貿易商社にしても、財界の人はみなそう言つております。そこでいろいろな話が起つておりますが、一つこういう話がある、中国から米を輸入したい、そのバーターにおいて日本から薄鉄板であるとか、中国でほしがつているある種の機械を輸出しようじやないか。ところが、薄鉄板にしてもその機械類にしても、バトル法にひつかかるのであります。しかしバトル法にはエスケープ・クローズとかいつて、特殊の場合は許すというようなこともあるそうでありますから、その特例を認めてもらうようにココムの方に要請をしようじやないか。それをするにしても、日本では通産省なり外務省の了解がなければならぬということで、いろいろ運動されていることは、外務大臣も御存じのことと思いますが、外務省はこの運動に積極的に骨を折つてもらう、そして成立でもしますれば、今までの罪滅ぼしになると思う。まずこの書簡に対する外務大臣の御所感と、それから今そういうふうな運動が起つているので、米が入るというならば向うのほしがる物を出そうじやないかというようなお考えはないかどうか、お尋ねいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 その書簡は私は初めて聞きましたが、それは通産省の方の具体的な問題ですから、通産省からお答えした方がけつこうかと思います。  米と何かほかの物資との交換でありますが、国連の決議があり、ココムの決定がある範囲内においては、われわれは戦略物資については輸出禁止をいたす方針は依然としてかわつておりません。但し何が戦略物資かということについては、いろいろ考えもありましようし、また日本の国内産業の関連もありましようから、そういう問題は十分関係省とも研究して、結論が出ましたならば適当な措置を講ずることにいたします。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 もう一つ伺いますが、きようの日本経済新聞を読みますと、首相が外遊される目的の一つは、対中共貿易の調整にある、こういうふうなことが書いてある。これも参考のためにちよつと新聞記事を読み上げてみますと、最近駐英大使松本氏が帰つて見えて首相にいろいろ進言された内容でありますが、「松本大使の説明によれば、英国は日本商品が東南ア諸国に進出することを警戒し、日本が中共市場に販路を見出すことを望んでいるのに対し、米国は全くの逆の態度をとつているといわれている、日本外交の基本線は一応米国の外交政策に沿つて進められているが、将来日本の貿易規模が拡大するにつれ、東南ア市場において英国との衝突が激化することは必至となり、ひいてはポンド圏との交易関係が円滑を欠くと予想されている」。これに関連して自由党の外交調査会では、吉田首相が訪米、訪英の際、このような米英両国の相異なる対中共政策にはさまれた日本貿易の局面を打開するため、まず米国との話合いで中共貿易をどの程度にまで緩和するか、」まあこういうことをひとつ打診して来てもらいたい、こういうふうなことを話し合つたということでありますが、吉田さんが外遊されるかどうか、これも外務大臣はまだきまつたことじやないという木で鼻をくくつたような答弁をされるかもしれませんけれども、これはほ間違いないかどうか。いろいろな御使命もあろうと思いますが、首相がはたしてこの松本大使の進言を入れてこういう方面に積極的に努力される意向があるかどうか、外務大臣として外交の問題については重要な補佐の任務を持つておられる岡崎さんでありますから、ひとつその辺の消息を聞かしていただけば、私は非常にいいと思う。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 総理の外遊ということは、木で鼻をくくつたような答弁であるかもしれませんが、まだ決定いたしておりません。しかし決定した場合に急にいろいろのことを研究するといつても間に合いませんから、そういうことが行われた場合の用意に、われわれとしても各種の問題について研究はいたしております。ただいまのところ総理と話し合つた中にも、外務省の研究の中にも、その問題は直接には入つて来ておりません。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 それでは、外務大臣にはいろいろ聞きたいのですけれども、保安庁の方に伺いますが、マツカーサーの時代、リツジウエイの昨代には、日本で予備隊をつくつても、保安隊を持つても、これは大体地上部隊中心で、空軍らしいものをつくるということはむしろ抑制しておつたのじやないかと私は思う。今度自衛隊ができますときは、三軍方式によつて航空自衛隊というものができた。このことにつきましてアメリカ側の意向を打診されたかどうか、ひとつお尋ねします。

前田正男自由党保安政務次官

○前田政府委員 これはたびたび政府からお話しておると思いますが、自衛力を漸増するにあたりましての方針というものは、われわれはわが国の独自の考えをもつて、わが国の財政経済の許せる範囲において、自衛力を漸増して行こうという考え方をしております。日本の自衛力増強のためには、三軍の均衡方式でやつて行くのがいいという考えでわれわれはやつておるのでありまして、別に向うの意見に従つてやつているのではありません。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 このMSA協定に基いてアメリカから入つて来る武器の種類でございますが、新聞にちよつと書いてありまして、その中に航空関係としましてはF八六E、F九四ジエツト戦闘機というのがありますが、これはこういう希望を持つておられ、そうしてそれをひとつ援助してくれということを現在交渉される御意向でありますか。

前田正男自由党保安政務次官

○前田政府委員 その通りでありまして、われわれの方として供与を受けたいと考えておりますが、ただこれは、できたら二十九年度内に供与を受けたい、動かすのは三十年度からいたしたいと思つております。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 もう一つ原子兵器でありますが、この原子兵器も今日はいろいろある。戦略原子兵器なるものもありますが、そのほかに戦術原子兵器というようなもので、原子砲であるとか、誘導弾に原子爆薬を装填したものであるとか、その他地上部隊と密接な連絡をとつて、そうしてその地上作戦を支援するために投下する小型の原子爆弾というようなものがありますが、こういう戦術用の各種の原子兵器というふうなものを、アメリカの方にひとつ援助してくれというふうな御意向もあるのじやないでしようか。

前田正男自由党保安政務次官

○前田政府委員 現在のところ全然考慮いたしておりません。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 アメリカのニユー・ルック戦略から考えまして、私の推測としては、アメリカは日本にまず厖大な地上部隊、つまり口にいえば、土民軍、日本のマン・パワーを利用した土民軍をつくるのが第一、第二には、アメリカがいわゆる戦略空軍を持つておつて、そして共産圏の周辺に今度はそれを補うための戦術空軍をずつと配置する、こういう軍事計画だと私は思う。そうなりますれば、私はそのうちにジエツト戦闘機だけではなくて、各種の戦術用の原子兵器くらいはこちらからくれと言わぬでも、使つてくれという話が起つて来ると思う。そうなりました場合には、これは私どもとしてはどうも危険だと思いますが、今日のアメリカの軍事専門家の見るところでは、たとえばそうなつて日本がこの周辺で局地的な戦争に巻き込まれた場合も、しかしその局地戦がただちに世界的な規模における戦争に発展するものではないというような見方をしておるようであります。そうしてそういう見方は、われわれにとつては困ることでありまして、アメリカの方では高見の見物で、日本だけが原子力を伴うところの苛烈な局地戦争に巻き込まれるのでありますから、そういうような危険を前田政務次官はお考えになつておるか、おらないか。私はこのままずつと自衛隊の装備が進んで参るならば、結局そこまで行くと思うのでありますが、それをもう予測しないで、日本が独自で自衛隊をつくつたのだ、こう喜んで、そうして一口にいえば、アメリカにおどらされておるのでありますが、そういうことを一向知らぬで進んで行くということは、非常に危険だと思いますが、そういうことについては少しも危険がないとお考えになつておりますか。

前田正男自由党保安政務次官

○前田政府委員 先ほども申しました通り、別にアメリカの意見に従つてやつておるわけではありませんで、わが国の自衛力を増強するという目的でやつておるわけであります。従いまして全然懸念もありません。この自衛隊はわが国を防衛するためのものでございまして、これに用います航空部隊におきましても、わが国を自衛するに足るような航空部隊をつくつて行こうという考え方でありまして、先ほどお話の戦術的な航空部隊をつくるというわけではございません。目的は、わが国を自衛するに足るような航空部隊をつくつて行こうというものでありますから、全然心配はないと考えております。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 昨年八月アメリカからB三六が六機ほど日本に参りまして、何でもそれがそのまま横田の基地におると聞いておりますが、これはどうでしようか。

前田正男自由党保安政務次官

○前田政府委員 その点は私はよく知りません。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 では私の質問は終ります。

上塚司自由党

○上塚委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕

上塚司自由党

○上塚委員長 速記を始めて。——芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 私は先刻木村保安庁長官に対して質疑を行つたのでありますが、岡崎外務大臣にお尋ねいたします。このMSAの協定を結ぶ以前から政府はこのMSAに対しては相当期待し得る、経済的な援助を求めることができるというような希望を持つておられたわけでありますが、現在われわれが承知した範囲においては、経済面におけるところの援助というものはまつたく認めることかできないのであります。これはもちろん相互安全保障法自体がそのような経済援助を行うということを規定しておらぬ、そういうような任務を持つておらぬということによつて明らかでありますが、しいてこの中に経済援助があるのだということになりますれば、これはアメリカの余剰農産物をこのMSAの五百五十条によつて買入れするということによつて、一千万ドルの現物の贈与が行われるわけでありますが、この分だけが経済援助ということに承知してよろしいか、その点をお伺いします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私が最初に公式に本問題について発言をいたしましたのは、衆議院予算委員会及び衆議院外務委員会において、昨年の六月二十六日の報告であります。その際の報告をごらんくだされば、この協定によつて日本の防衛力増強に資し、かつ経済面において寄与するところがあればこれを受けたい、こう言つておるのでありまして、経済面に寄与するところがあれはけつこうであるというのが私の趣旨であります。今度の協定によりますと、域外買付についても付属書に規定かありますし、また標準化の問題等もあります。また今おつしやつた小麦の買付の問題もありまして、相当程度経済面において寄与するところがあると考えております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 私は五百五十条によるところの余剰小麦の買付問題に対し論及したいと思います。この協定を結ぶ場合においてもこれは当然両当事者間においてこの協定を結ぶことか利益であるということが確認されて締結されたわけでありますが、現在におけるところの世界の食糧情勢等を検討してみた場合においても、必ずしもこのような軍事協定に随伴する食糧の輸入というような形において、あえてアメリカの余剰小麦をこのMSA協定の中に入れて買付を行わなければならぬという必然性は、いささかもないように考えますが、いかなる点がわが国に利益をもたらす点であるか、この点は先ほど保安庁長官にもお尋ねしたのでありますが、保安庁長官はただ漠然とこの方が安いから利益になるのだというような御回答でありましたけれども、この協定を結んだ当事者としての外務大臣の御見解をお尋ねしたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この協定は必ずしも結ぶ必要はないのであつて、MSA協定をつくつたからこれもつくらなければいかぬというりくつはないのであります。ただこれが日本の利益に合致すると思つたからつくつたのでありまして、利益に合致する理由は、外貨の不定のこの際、円で買えるということが第一点であります。第二点としては、その値段が国際小麦協定とかわらないという点でありまして、第三点はその中の二〇%が贈与になる、こういう点を考えて、日本の利益に合致すると判断したのであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 そういたしますと、この小麦買入れの協定というものは、これはわが国の側において希望したものであるか、あるいはアメリカ側においてこのことを要請してかかる協定が結ばれたものであるか、この点をお伺いいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 日本側の希望によつて交渉いたしました。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 二十九年度の食糧の需給計画というものは明確に定められているわけであります。もちろん外貨を節約するという意味において、本年度は輸入食糧の外貨の予定はおよそ四億五万ドル程度でありますが、これらは正常な貿易の形おいて十分われわれの欲する数量を購入することができるのであります。ただこのMSAの小麦の場合においては、相互安全保障のわく内において一つの制約を受けているというところに問題があるのでありますが、私は国際間におけるところの経済行為というものは、かかる制約を受けない立場において行われるのが最も正しいのではないかというように考えるわけであります。先日外務大臣は本会議におきまして、この提案の質疑応答の中においても、また保利農林大臣は農林委員会におきましても、MSAであつても、余剰農産物であつても、これがわが国の利益になる場合においては、一向さしつかえないでないかということを表明されたわけでありますが、もちろんこの小麦を購入する場合においては、円の積立てを行うということで足りるわけでありますけれども、問題はこの中の二〇%だけが現物として贈与される、しかもその一千万ドルというものは、一応MSAの協定によつて別途にこれを積み立てて、工業力の増強のために投融資するという一つの任務を持つているわけであります。しかもこのわが国の工業力の増強というものは、兵器産業の面に対してこの積み立てた円を投融資するということになるわけであります。そういたしますと、これは形をかえたわが国の防衛力の増強であるというふうにも考えられるわけでありますが、これに対する御見解はいかがでありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 われわれはドル収入を確保するために、域外買付等をできるだけ日本に発注させたいと思つております。しかしながら今の国内産業の状況では、十分に注文をこなすだけの力がまだできて来ておりませんからして、防衛産業と申しても関連産業が非常に多いのでありまして、この方面に金を入れ得ることは、日本経済にとつて非常にけつこうである、こう考えております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 さらにお尋ねいたしますが、このMSA協定の交渉の過程において、アメリカ側と外務大臣におかれましては、このMSA協定によつて、しかも余剰農産物を受入れるということが、日本の防衛力を増強するという見地に立つたとしても、いかなる影響をわが国の食糧政策、農業政策の面にもたらすかという点についても検討され、また配慮されたような場面があつたでありましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は農業の専門家でありませんから、いろいろ考え心配もいたしましたが、私の考え等はさほど権威のあるものでないのであります。これは、ここに政務次官もおられますが、農林当局とは十分協議をいたしまして、これは日本の利益に合致するという結論を得ましたので、交渉を始めたのであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 それでは平野農林次官にお尋ねします。ただいま私が外務大臣に対してお尋ねした問題に対して、外務大臣から明快な御答弁がなかつたわけでありますが、このMSA協定を結ぶ場合における農林当局のこれに対する見解、しかも二十九年度において、はなはだしく農業政策が転換されている、それも国内におけるところの食糧の自給態勢の確立あるいは食糧増産を促進させるというような方向でなくして、むしろそれが後退しているわけであります。このことは国内の農民の間においても、MSAによつてアメリカの余剰農産物を大量にわが国に流入することによつて、今後のわが国の農業政策の将来というものは、しかも現在の政府が担当しておる限り、いかになるかという非常に大いなる不安が起つておるわけでありますが、これらのことに対しては当然主管大臣の立場における、しかも農林次官の御見解をお伺いいたします。

平野三郎自由党農林政務次官

○平野政府委員 本協定を締結いたしますにあたつては、農林当局としても十分研究を遂げて、日本のために適当という信念を持つて締結をいたしたような次第でございます。お話の日本の食糧事情としては、でき得る限り自給度を高めたい、こういうことで御承知の通り食糧増産計画を進めておるわけでございます。しかしながら外国からの輸入もはからなければ、食糧事情が安定しないという実情にありますために、輸入することは今日必要やむを得ざるところでございます。しかもそのうちでこれを輸入いたしますについては、この協定に基く分は非常に有利な条件になつておりますので、どのみち輸入をいたさなければならないとすれば、この方法をもつて行くことはきわめて適当であると考えるわけであります。またこれを行いましても、計画によつて日本に必要なものを輸入するわけでありますから、日本の農業に悪影響を与えるということは全然ないと考えておる次第でございます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 時間がありませんから最後に一点お尋ねしますが、今の平野さんの御見解というものは、まつたく事実と背反していると考えるのであります。広義な自衛力を増強するという場合においても、それは当然わが国の経済自立というものが大きな問題になつて来ると思いますが、経済自立の基礎的な要素というものは、何としても国内におけるところの食糧の自給度を高めるというところに大きな任務があると思うわけであります。今年度の予算の編成を見ても、当然平野さんも御承知の通り、前年度よりは約五百三十億も削減されており、しかも食糧増産費の関係においても全然増加の傾向がないということは、農業政策全般の中において、これは痛烈に指摘されておる点であります。しかもアメリカにおいては過剰で処理に困つておる、どこにこれを処分していいかわからぬということで、私の見解によると、むしろMSAの協定を結ぶ一つの条件として、アメリカの余剰の農産物を受入れるという態勢を開いたのが、いわゆる余剰農産物買入れの協定であると私は信じておるのであります。この点に対しては今後非常に重大なる問題が関連して、農業政策の面に発展して来ると思いますが、これらに対する御見解をお尋ねするのと、それから五千万ドルの買付は、もちろんそれを円で日本銀行へ積み立てておくわけでありますが、一千万ドルの分は特別会計で処理されるわけであります。あとの四千万ドルの買付の分は、かつての食管特別会計の中における取扱いとまつたく同一な取扱いにおいて処理されるものであるか、あるいはまたこの五千万ドルの全体のわく内において、アメリカのいわゆる隷属化された一つの支配とか指導を受けるような、そういうひもつきになつておるのかどうかという点もお伺いしたいのであります。

平野三郎自由党農林政務次官

○平野政府委員 先ほども申し上げましたように、食糧増産計画は政府としては最大限の努力をして進めておるわけでございまして、二十九年度の予算におきましても、緊縮予算の中にありながら土地改良費を中心といたしまする食糧増産費は、前年度より後退をいたしてはおらないわけでございます。しかしなお一層これの充実を期したいという希望は持つておるわけであります。日本経済全体の立場から、それだけのことができないということは遺憾でありますが、これはやむを得ないところで、政府としては御承知の通り最大の熱意と努力とを食糧自給態勢の確立にいたしておるわけでございます。この点ひとつ御了承願いたいと思います。なおまたこれがアメリカの余剰農産物であるということでございますが、日本としては非常に必要なものでありますだけに、わが国にとつてはきわめて適切な措置であると考えるわけでございます。なお食管特別会計におきまする取扱いにつきましては、食糧庁長官からお答えいたさせます。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 MSAの小麦の買付につきましては、食糧庁といたしましては普通の形において外貨予算が組まれまして、一般の外貨による場合あるいはフリーの貿易の場合、同様な形で買付をいたすわけでございまして、一般の場合と何ら違いはございません。従いましてこれによりました円貨の関係は、日本銀行なり、外為なり、その他の関係の問題でございまして、食糧特別会計とは関係がございません。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 今の前谷さんの御答弁でありますが、食管会計と関係がないというのはどういう点でありますか。私は食管会計と重大なる関係を持つておるというような見解に立つておるわけでありますが、その点を重ねてお伺いしたいのと、それからもう一点は、先刻木村保安庁百長官に対して、このMSAの余剰小麦等の買付というものは、アメリカとの話合いによつて、日本のいわゆる自衛力増強という面における食糧不足、一つの侵略を予見してそれに備えるための備蓄でないかというような点を尋ねたわけでありますが、そういう関係は全然ない、純然たる国内における国民食糧の需給面における一つの操作であつて、これを買いつけた場合においては、今まで予定されたところの、あるいは国際小麦協定によるところの、IWAの分は削減することができないとしても、それ以外の計画を削除して、これと入れかえるというような答弁のように私は承知したわけであります。特に贈与分以外の四千万ドルの国内における小麦の売上げ代金というものは、従来と同じような食管特別会計の中に繰入れて処理することになると思うが、その点をもあわせてお尋ねします。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 お答え申し上げます。現在の輸入のやり方は、食糧特別会計で輸入業者から買付をいたすわけでございますが、輸入業者に対する外貨の割当をいたしますと、それを輸入業者が一般市中銀行からの融通によりまして、外為から外貨を買うわけでございます。そして物を持つて来た場合におきまして、その物を食糧庁が円で支払うわけでございまして、このやり方はMSAの場合、その中の四千万ドルと一千万ドル、両方とも同じようなやり方で、その間に差別はございません。従いまして金のたまるのは外為関係なりそのほかの関係においてたまるのでございまして、食糧特別会計としては従来の関係と何ら関係がないわけであります。  もう一点の備蓄の点につきましては、これはただいまのお話のように、食糧需給計画といたしまして、小麦について申し上げますと、百九十六万トンの中にIWAのほかに一般にどこでも買いつけ得るというものを予定いたしておつたのでありまして、この百九十六万トンの輸入計画の内数でございますので、特に備蓄という意味じやございませんから、その点御了承願います。

上塚司自由党

○上塚委員長 川上貫一君。あと二十五分の持時間があります。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 時間が二十五分というのであります。非常に制約されておりますので、私は質問の要点をまずまとめて、最初に五点だけ外務大臣にお聞きしたい。それで御答弁は、五点でありますから、第一、第二、第三、第四、第五というような形で御答弁を願いたい。続いて質問いたします。  まず質問の第一点は、協定の第一条によりますと、日本は日米両国政府が合意する第三国の政府に対して、装備、資材、役務その他を提供して援助しなければならぬという条項がある。これは日本が事実上には李承晩や蒋介石やバオダイに対して、経済的並びに人的援助の義務を約束するものであると解釈せざるを得ない。かつて吉田内閣は、朝鮮の戦争の時分に、国土と資材と役務を供与し、掃海艇まで出して、極秘裡にこれに協力しておつたことは、国会においても明らかにされたのでありますが、この協定をやりますと、戦争のときはもちろん、平時においても公然と第三国に対する軍事的援助をする義務を約束することになる。この点について岡崎大臣はこれをどう考えておられるか、  第二点は、この協定の裏づけには、必ず秘密協定もしくはそれに類する了]解事項があるはずでございます。そんなものはないと言われるかもしれませんが、もしそれがないとおつしやるのでありましたら、経過を明らかにするために議事録を国会に提出されなければならぬ。そうでなければ秘密協定でないという一方的な答弁では、われわれはこれを理解することができない。  第三点は、政府はいまもつてMSA援助による兵器の種類も数量も内容も発表して明らかにしておりません。そしてこれは協定が済んでから、承認が済んでからあとのことだというような答弁をされておると思うのですが、これはまるで盲協定であつて、私は国民を侮辱するものだと思うのです。なお国会に対しては、内容を明らかにしないで協定を押しつけるものだと思いますので、この点が一つと、もう一つは、しかも一方では秘密保護法というようなものを用意しておられる。この秘密保護法が成立しますと、この法律をたてにとつて、今後一切どういうことも国民に知らせぬようにすることができるということが考えられておると思うのであります。政府の方でそういう考えはないとおつしやるのでありましたら、この国会にアメリカから援助される、あるいは政府が期待する兵器の種類、性能、数量、換算金目その他の明細な目録を出していただかぬと審査することができないと思う。  第四点、協定の第八条によりますと、日本は国際緊張の原因を除くためには、すべてのことをアメリカ政府と合意しなければならぬという条項になつている。これはまつたく自主外交の放棄であります。たとえていえば、中ソ両国との国交の調整も、貿易の協定も、すべてアメリカ政府の合意を得なければ押し進めることはできない。これでは外交における世界政策の完全な隷属であつて、完全に日本の外交自主権を放棄するものであるといわざるを得ない。この点についてのお考えを承りたい。  第五点は、これは重要であります。投資保証協定は、第一にこれは近く外資法を改正して、アメリカ資本の野放し導入を予定しておることはいうまでもないのであるが、もつと重要なことは、この協定に基いて投資されるアメリカの資本が、政治経済の条件や、戦争やあるいは革命等によつて損害を受けた場合には、日本の政府はその損害をアメリカの政府に対して弁償しなければならぬ義務が規定されておる。これはアメリカ資本の絶対安全を国民の税金で保証するのです。一朝損失があつた場合には、国民の血税によつてこれを弁済するということを約束するのです。これに類する協定は日米通商友好条約の中に幾分あるにもかかわらず、またもう一ぺんこういう協定を結ぼうとしておる。これはよほどあぶない。政府はもはや外交交渉というものをしていないのじやないか。ただアメリカに隷属するだけで、ほかは何もやつておらぬのじやないかと考えてもやむを得ぬような状態になつているのじやないか。  この五点について順次大臣の御答弁を願つて、それに対して私は時間の範囲内において質問させていただきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 第一の点につきましては、政府としては自由主義諸国の防衛力強化のために努力するのだ、これは当然のことであると考えております。またそれをしたいと考えております。  第二の点につきましては、秘密協定というものはありません。ないものはないというよりしかたがないので、ないものについて証拠を出せと言われても、それは出すことはできません。  第三の兵器の内容を示せと言われますが、これはこの協定が国会の承認を得ますと、日本はアメリカに対して援助を求める権限を与えられるのでありまして、その上で正式にこういう援助をしてほしいという話合いができるのであつて、今のところはそれの準備として、非公式にこの協定が承認された場合を仮定して交渉いたしておる。従つて決定等はできないわけでありますが、大体において、保安庁の希望しておるものは、これを受け得るであろうという予想はついております。また秘密保護の問題でありますが、これはこの協定にはつきり書いてありますように、他方の政府が供与する物件、役務、情報等について、秘密のある場合には、その秘密を守る、こういうことでありまして、それ以外のものは、この協定には書いてありません。要するに相手国の政府が供給した物件、役務、情報等について、秘密をその政府が持つておる場合には、それと同程度の秘密をこちらも守る。それだけの協定であります。  第四は、国際緊張の緩和に関し、両国政府の合意する措置をとるということがこの協定にありますが、それ以外の措置はとれないかというと、そんなことは全然ない。日本がまたほかの政府と協議して、国際緊張の緩和に資するような措置があれば、これはいくらでもとれる。アメリカと協議して、そういう話合いができた場合には、その措置もとる、こういうわけであります。  投資保証協定については、しきりにアメリカ資本の隷属と、いつものお話がありましたが、われわれとしてはこの提案理由の説明に詳しく述べた通りであつて、日本の国内事情で外貨状況が悪いから、外貨送金を認めるわけに行かないとか、あるいはせつかくアメリカの民間投資の資本、施設であるけれども、国内で収用しなければならない、こういうような事情が起つた場合には、投資家としてはドルによる初めに保証されたような収入はないわけであるから、そのドルをアメリカ政府が引受けて補償する。従つてその投資家の持つておる国内における財産は、アメリカ政府が継承することを日本政府としては認める。こういうことによつてアメリカの投資を安全に国内に招きたい、こういうつもりでおります。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 お答えでありましたが、第一の問題については、私の質問したことがその通りだという御答弁、今後この協定によつて公々然と李承晩や蒋介石やバオダイ等も援助する。その援助するとここに書いてある項目は、装備、資材、役務、その他とある。そうすると、朝鮮の戦争に日本がやみで協力したのでありまして、掃海艇まで出して参加しておる。これを今後当然やらなければならないと規定してある。ところが海外出兵はせぬと言う。これは重大な問題だと思う。明らかに書いてあるのです。そうするとこれはやるのですか、やらぬのですか。岡崎大臣はこれはやるのだということにならなければならぬ。この関係は一体どうなる。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 第一に、朝鮮において日本の掃海艇が戦闘行為に参加したことはありません。  第二に、ここにある「装備、資材、役務その他」の「その他」というのは、装備、資材、役務より軽い意味のことであります。お話のような問題であれば、装備、資材、役務を提供するよりもつと重要な問題になります。「その他」とあるのに、その初めにあげてある三つの問題よりももつと重要なものを、「その他」の中へひつくるめるということは考えられません。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 それが考えられるのですが、それじや議論をいたしますまい。岡崎大臣は掃海艇を出したことはないと言つておるが、これはマツカーサー元帥が出したと声明を出している。軍命令によつて日本の掃海艇を使つたと言つておる。これはうそを言うてはいけません。それから「装備、資材、役務その他」、「その他」といえば範囲が広い、どういう解釈もできる。これを出すということになりますと、これは出兵せぬとかするとかいう問題ではない。どうしても援助しなければいかぬじやないか、これはどうなる。ここを明らかにしないと私は問題が解決しないと思う。この条項によつてどうして出兵を拒否することができますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 川上君こそ私の言つていることを変にとつております。私は掃海艇が朝鮮に行つたことはないとは言つておらない。朝鮮の戦闘行為に参加したことはない、こう言つておる。誤解がないようにお願いいたします。それからこの点はたびたび申す通り、「装備、資材、役務その他」というのに装備、資材、役務より重大なものをこの中へ含ませるなんということは、これは共産党においては考えられるかもしれぬが、普通の政党なり、普通の内閣では考えられないことであります。これよりも軽い意味である。海外出兵がこの中へ入つているなんということは、これは常識上どうやつたつて考える方法がありません。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 ここだけで出兵と言つているのではない。私は前に、出兵の問題については、出兵をしないという契約の条項が一つもないではないかということを聞いておる。それには答弁ができておらぬ。出兵をせぬでもよろしいというものは何もない。ただ政府がかつて出兵せぬでもいいんだいいんだと言つているだけなのです。そこで装備を援助し、資材を援助し、役務——役務といえば人間ですよ。ところが政府は再軍備はせぬと言つている。兵隊を持つて行つても兵隊じやないと言うかもしれない。これでも行けるのです。この役務の中にはそのことが入つているのですよ。大臣はそんなことを言われますが、大臣の答弁の中でも、これ以上問答したくないが、明らかになつておる。ことに掃海艇は行くことは行つたけれども戦争はしはしなかつた、こんなことは実にこつけいだ。元山の上陸作戦に行つておいて戦争しなかつた、こんなことを言いおつたらたいへんなことだと私は思うが、いやこれはそうじやないと上言い張るに違いない、岡崎さんはそういうことを言う人なんだから。これ以上私はこの点は質問しません。してもむだだと思う。  第二点について、秘密があるなら秘密があると必ず言うのだとあなたは言うが、それなら議事録を発表してもらいたいというのが私の質問なのですが、これはどうでありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 議事録というものは、普通交渉においては、正式議事録というのをとります場合にはこれを発表します。しかしながら、それ以外の議事録というものは発表いたしておらないのが普通でありまして、今回においては発表すべき議事録はできておりません。  なお、ないものを証明しろとか、あるいは海外出兵の条項が何もないから海外へ行く義務がどこかにあるのじやないかというのは、それはまるで協定の中に月の世界へ行くということが一つも書いてないから月の世界へ行くことになるのじやないか、こういうのと同じことになつてしまつて、りくつは一向立たないと思います。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 そうつつかかつておいでになれば言わなければならない。私は質問すまいと思つたが、MSAの本法にはこうあるんですよ。この援助を与えることがアメリカの安全を強化すると大統領が判断しない限りはこれを与えないとある。その次にどういうことが書いてあるか、援助を受けた国はその産業を動員し、金融、予算、資本、軍事的資源をすべて本法の目的に合致する処置をとらなければならぬ、このことを相互安全保障長官が見届けない限りは援助しないと明文化しておる。これをどうしてないと言うのか。このMSAを日本は受けておる。本法にはこうあるのだけれども、日本は出兵だけはしないのだという項目がないのです。ないとすればこれを全部のんでおる。これを全部のんでおれば出兵することになる。この点はどうですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 MSAの法律を引用されたようでありますが、私はMSAの法律に海外出兵の義務なんというようなことはないと考えております。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 これは私は議論にならないと思います。私今読んだのですよ。MSA援助を受けた国は、産業を動員し、金融、予算、資本、軍事的資源をすべてこの目的に合致させなければならないとあるのです。そうするとどうなるのですか。これを本部長官が認めない限りは援助しないとある。軍事的資源を動員しても日本から外に出られないということはどういうことですか。こんなことはありませんよ。このMSAの本法にはちやんとあるのです。もし海外出兵をしないと言うならば、この協定の中に海外出兵はしないという明文がなければ防ぐことはできません。これは国際法、国際慣習を十分に知つておる岡崎外務大臣ならわからなければならぬ。これはどうですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 国際法を知つておる外務大臣でもわかりません。この法律の目的は、結局において、その援助を受ける国の防衛力の増強をすることにあるのであつて、そのためにはいろいろの資源、施設その他を動員して、経済上政治上の許す範囲内において防衛力を増強することにある。その国の部隊を海外に出すことは一向その国の防衛力を増強することにはなりません。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 岡崎大臣がそう言うのだからどうもしかたがない。言わなければならぬ。アメリカは防衛だと言うて台湾を占領したのですよ。アメリカは自国の防衛だと言つて満州を爆撃したのです。朝鮮に出兵したのです。アメリカは何にも侵略だというようなことを言つたのとは違う。アメリカの本国の防衛だと言うて台湾を占領し、満州を爆撃し、朝鮮に出兵して幾百万の人民を殺しているじやないですか。これをどう思うか。日本が防衛の義務を負い、MSAの本法がある限りは、海外出兵はしないという明文を協定の本文に書いておらない限りにおいては、海外出兵をしないという根拠は一つもない。それならどこに根拠がありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 アメリカが台湾を占領したというのは私初耳であつて、これはソビエトではそういうふうにお考えになつておるかもしれませんが、日本ではそうはだれも考えておりません。そしてまたそういうことがMSAの海外出兵と何の影響があるのか私にはちつともわからない。かりにアメリカが台湾を占頭したと仮定いたしましても、そこからMSAに海外出兵の義務が出て来るという論理的帰結が私にはわかりません。頭脳明敏な川上君の御説明をいくら受けても、どうも理解できません。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 これがわからぬというのはよほどおかしい。私の言うのは、アメリカは自国の防衛と称して満州の爆撃をやつておる。朝鮮へ出兵ということをやつておる。日本では自衛と称して軍隊をつくりおるというのです。そうしておいて海外には出ないと言うておる。自衛というのは海外に出ませんということとは違う。アメリカの解釈によれば、アメリカは自衛と称して出ておるのです。そうじやないですか。そうしたら協定の本文に海外出兵しませんという規定がない限りは、政府の主観のいかんにかかわらず、何らの法的根拠がないということを私は言うておる。これがわからなければ、よほど岡崎外務大臣は頭がおかしい。わからぬはずはない。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 一体海外派兵を強要されるということになれば、日本の義務として行われることであつて、それ以外は日本が独自にきめることであります。何にも書いてないから海外派兵をする義務が生ずるということは、先ほど言つたように、月の世界へ行く義務が出て来るのと同じことであつて、どうやつたつてこれは議論のしようがありません。海外派兵をするかしないかということは、再三繰返すように、日本政府、日本国民のきめることであつて、外国政府のきめることではない。ここに義務として書いてあればこれは別です。義務として書いてない以上は、外国政府がきめることではないのであります。これは日本国の行うところであり、また日本国憲法その他の認めるところであつて、国際法も同時に認めるところである。何ら御懸念はありません。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 むちやくちやです。義務を認めておるじやないか。ちやんと義務が書いてあるじやないか。この協定文を見たのですか。これに、世界の安全を保つ義務がある、集団的な行動をとる義務があるとちやんと書いてあるのですぜ。この義務は海外出兵の義務を伴わぬという法的根拠がどこにあるかと聞いておる。ありはせぬのだ。義務がないからと言うが、義務があるのですよ。しかも私が言つておるのは、アメリカは自国の安全と防衛だといつて鴨緑江まで行つたということを言うておる。これがアメリカの防衛の概念なのです。そうすると日本は、このMSAを受けておいて、そうして自由世界の防衛の義務を負うておつて、日本を自衛すると言うておつて、その自衛は、アメリカの解釈によれば、満州国境まで行き得るという解釈であつて、これでどうして日本は出兵しなくてもいいのかということを聞いておる。それでは一つも岡崎外務大臣の答弁にならない。ここをはつきり答弁してもらいたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 それは答弁にならぬはずです。あなたの言うのはアメリカの法律であつて、日本はアメリカの法律によつて義務を負うのではない。この協定によつて、負うべき義務があれば負うのです。この協定のどこにそういうことがありますか。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 協定に義務が書いてある。安全を保障する義務がある。自由世界を防衛する義務がある。しかも集団的にやる義務がある。これが協定の本質じやないですか。これはもう私は論議は尽きたと思う。日本へただで兵器を持つて来て上げようという協定とは違うのだ。これはほんとうに言うたら、日本へ援助をくれるのが目的じやない、日本へ義務を負わせる方が目的なのだ。ちやんと書いてある。もしもこれが、何らの義務も日本にない、ただ何々をアメリカが援助してやるというのならば、また性格が違う。そうではないのでありますから、これ以上私は討論いたしませんが、なぜ討論しないかというたら、岡崎大臣の論旨は支離滅裂であつて、これは答弁に困つておると思う。これはあとで議事録をよく見てください。私がむちやを言つておるのか、岡崎外務大臣がなつておらぬ答弁をしておるのか、これは議事録をずつと読んだら、文字の読める人にはわかるわけです。私は時間がありませんから、この質問はこれで終ります。

上塚司自由党

○上塚委員長 次は辻政信君。あと三十分あります。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 お急ぎのようですから、十分間くらい質問いたします。  この協定は、日本の自衛隊を将来戦に耐えるものとして、換言しますれば、米軍にかわり得るものとして強いものにしようということが、協定の全般を通ずる根本になつております。この点はいかがでございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この協定自体では、非常にその点ははつきり出て来ておりませんけれども、精神はそこにあると思います。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 そうしますと、これは明らかに憲法第九条の戦力たることを目標にする援助というふうに考えられるのであります。外国軍の侵略を受けたときに、日本が独力でそれに持ちこたえるようなものにしようということが、常識的に見てもきわめて明瞭でありますから、そうすると政府の憲法解釈による近代戦を遂行し得る総合能力、この意味から申しましても、憲法第九条を無視する、それに違反することを目的としての援助と考えますが、この点はいかがですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 先ほど申しました通り、この考え方をずつと一貫して先へ進みますれば、そういう事態になり得る場合もあろうかと考えております。しかしただいまのところ、この程度の援助、あるいはこれを少し増すほどの援助では、その戦力までに至るのははど遠いことではないか。従つてただいまのところは、そういう問題は深く起らない、私はこう考えております。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 まさにその通りであります。ただいまにおいては、これだけでは戦力にはならぬと思いますが、少くもそれを目標としての援助である、こう見なければならぬのであります。そういたしますと、この協定の第九条の二項に「この協定は、各政府がそれぞれ自国の憲法上の規定に従つて実施するものとする。」とありますが、憲法上の規定は戦力を持たないということになつておるのでありますから、そこに非常に矛盾がある。私はむしろ今度の協定では、岡崎大臣が非常に苦心してお入れになつたのだろうと思いますが、この一項をお入れになるために、あなたの努力は八箇月かかつている。そこまで考えるのであります。そうしてその入れられた目的は、これによつていわゆる国会の野党攻勢を封ずるにある。これによれば海外派兵の任務はないという論拠が出て参りますから、そういうことにあろうと思いますけれども、もともとこの協定全体の精神が、日本に戦力を持たせようとしての発足でありますから、それにかかわらず憲法の規定に従つてやるということは、いかにも盗人たけだけしいという感じがするのであります。むしろ端的にこの第二項を削られまして、この協定は日本が海外派兵の義務を伴わない範囲において実施するものとする、こうやりましたならば、憲法論議もなく、また今野党攻勢で盛んに言われておる派兵の義務も負わないで済むのではないかと思いますが、その点をひとつ承りまして、それを御修正なさる御意思があるか、できないものかどうかという点について承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 政府といたしましては、現行憲法の存続する限りは、この憲法を尊重いたしまして、必ずこの憲法の範囲内においての措置をとるつもりでおります。従いましてこの第九条を入れましたのは、これは念のための規定でありまして、これを入れなくても、政府が憲法を尊重するということについては問題はないと存じますが、いずれにしましても、政府の立場から申しますと、——この協定の精神は、ずつと先の方になればそういうことになることを考えておるかもしれません。これはおのおの御意見のあるところと思いますが、少くともこの援助を受けまして戦力に至らないだけの措置をとる、つまり戦力に至らない範囲内の援助を受けるというのが政府の考え方であります。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 アメリカの腹の中は、外敵が日本に侵入して来た場合にも、戦力にならない軍隊、いくさの役に立たない軍隊を援助しようという腹は毛頭ないはずであります。いくさの役に立たない軍隊を援助するために、アメリカの国民がこれだけの税金を払うということは、りくつから申しましてあり得ない。現段階においてはそこまで至らないということはわかつておりますが、現在の日本の国民がこのMSA協定について最大の関心を持つている点は、憲法問題ではなくして、むしろ私は海外派兵の義務を負わされはせぬかという点であろうと思います。憲法問題は、自由党の大部分の皆様も、改正しなければならぬということは、心の中でお持ちになつておるのであります。改正の前夜にある憲法であります。でありますから、この第二項を削つて、むしろ今申しましたように、端的に国民全体の疑惑を解くような方法によつて締結できなかつたという点であります。おつしやる第九条というのは、条約上の本質の問題ではなくして、この協定を実行するための限界といいますか、疑問点を解いた一つの適用規則のような感じがするのであります。でありますから、これを今申しました趣旨により、すなわち第二項のかわりにこれを削つて、この協定は日本が海外派兵の義務を負わない範囲において実施するということは今までの皆様のすべての疑問を一掃されるための措置ではないかと思いますが、それについての御努力をなさる意思があるかどうか、またそれを改訂する余地がないのかという点をほんとうに承りたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この点はしばしば申します通り、海外派兵ということは、たとえば国連加盟国といえども、国連憲章に基いてただちに海外派兵の義務を負うものでなくして、かかる重大なる事項は、国連と関係国との間に特別の協定を結ばなければできないことであります。そのくらいに国際慣例におきましては、海外派兵ということは重大に考えております。従つてこのMSAの協定はいろいろ書いてありますが、趣旨はアメリカが援助をし、日本がこの援助を受けるという趣旨であつて、これに海外派兵の義務等が自然に出て来るような疑いを持つべき協定ではないと私は考えております。  第二には、海外派兵ということはもしこの協定の中にはつきり義務として書いてあれば別でありますが、何も書いてないときは、外国が日本に強制し得るものでなくして、日本政府の独自にきめる問題であるので、こういう問題を外国政府に保証してもらうようなかつこうで、ここに海外派兵はしないのだということを書くということは、私は協定の性質からいいまして、むしろ妙な形になると考えております。あくまでもはつきりした明示の義務がない限りは、日本政府がきめる問題である、そこでしばしば申す通り、何らその点については意見はかわつておりませんけれども国会の論議等を通じまして、そういう疑いもなきしにしもあらず、こう考えましたので、協定文に入れるのはおかしいと思いましたが、あいさつの中にはその点に言及して、日本政府の態度を明らかにした、こういうことであります。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 それでは第九条の第二項、憲法の規定に従つて実施するということもいらぬのではございませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これも先ほど申した通り、これはなくてもその通りやるのでありまして、いわば念のための規定であります。しかしこういう一般的の問題は条約の前例になきにしもあらずでありまして、たとえばこの批准は憲法の規定によつて行う、あるいはこの協定の効力発生は、各自国の法律に基いて行われるというようなことがしばしば書いてある問題でありますから、こういう一般的の形になりますと、いらないことはいりませんが、書いてはいかぬという前例もないのであります。それでこの点もやや国会内に論議がありましたから、それではこの点は協定の中に入れておかしくないと思いましたので、念のための規定として入れたわけであります。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 そこで申し上げるのですが、これは国会で議論になるから念のためにお入れになつたと言われるのですが、これより以上の議論が派兵問題で起つております。私はこれをお入れになつた岡崎外相のねばりに敬意を表するのですが、おそらくアメリカはこれを快く入れなかつたと思います。こういう問題は必要ない問題でありますから。誤解を生じてはいけないからというその大事な点からお入れになつたものと思う。むしろこれをおやめになつて、私が言つたように端的にこのことを言つた方がいいのではないか。その論拠は第八条の終りの方を読んでみますと、日本国政府は「自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲でその人力、資源、施設及び一般的経済条件の許す限り自国の防衛力及び自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し、」人力をもつて自由世界の防衛の発展と維持に寄与するということは、これはどう見ましても、アメリカ側からその意味において日本に出兵を要求するという解釈の一つの拠点ができておる。これはないとは言えません。そこでそのような誤解が現にこの委員会におきましてもあるのですから、何とかしてこの第二項を——どうせこの憲法問題を入れたついでに、これをやめて、そういう誤解を解くための努力をもう一度大臣としてやつていただきたい。できないかどうかという問題であります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この第八条の項目はいろいろ問題になりますが、普通国際条約の解釈等におきましては、たとえばここにあるように「人力、資源、施設」とありまして、これに対しては自国の防衛及び自由諸国の防衛力の発展、両方に使えるようになつておる。その場合には、この中で自国の防衛力増強に使えるものはその中から使い、また自由諸国の防衛力の発展に寄与し得るものはこの中から使うのであつて、両方を全部ひつかけなければならぬという国際的な解釈はないと私は信じております。またこの六項目がここに入つておるのでありますが、これはMSA援助を受けた——各国が受けておるので同様の文句を入れております。いずれの国におきましても、この「人力」ということについて、外国に兵隊を出すという解釈をいたしておる国は一つもないのであります。従いましてこれからは私は出て来ないし、またその上にこれには「自国の政治及び経済の安定と矛盾しない」ということが書いてあります。海外派兵というようなことは、憲法を含めた自国の政治に非常に矛盾することでありまして、これはとうてい行いたくても行えないものである、私は確信しております。従つてそういう心配もありますけれども、協定におきましては、この一般の世の中の誤解を解く意味の文句を入れるというのは、憲法の云々ということもありますけれども、これは一般的に入つておる例もありますから入れますが、誤解を解くために一つの条項を設けるということは、ちよつとどうかと考えまして、従つて誤解を解くためには日本政府の立場を明らかにし、アメリカ政府の立場を明らかにするために、あいさつの中において正式にこれを申し述べる、これによつて一般の誤解を解く、こういう考えで行つたのでありまして、いろいろの考慮はいたしましたが、この協定の形を直すつもりは今のところは全然持つておりません。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 岡崎外務大臣はかつて中国に勤務されて、中国と日本との外交において両者の意見が違つたときには、日本側に都合のいいような解釈をして、中国側に御交渉なさつた経験があるはずでございます。これはいわゆる対等の条約ではなくして、日本とアメリカとが強者と弱者の関係に立つ条約であります。弱者の関係に立つ条約におきましては、一点の疑義がないようにするということが原則ではないか、私のような軍国主義といわれるような者があえて海外派兵をしてはならぬということをしつこく承りますのは、海外に派兵したならば、日本の敗北ではなくして滅亡を意味する、一点の疑念もないようにするためには、弱者と強者を結ぶ条約であるということをとくとお考えになつていただきたい。これ以上議論してもむだでありますから、私の気持だけをこの席で申し上げておきます。

上塚司自由党

○上塚委員長 川俣君。あと二十分の時間が残つております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 できるだけ簡単にお尋ねいたします。岡崎外務大臣は先ほどこのMSA協定は、MSA協定が生れて来たから、保安庁の整備強化をはかる自衛隊の法案を出したのではなくして、日本みずからが自衛隊の強化が必要であるために、その裏づけとしてMSAの協定を結ぶに至つた、こういう御答弁をなさつておられる。これは私は非常に重大なことではないかと思うのです。おそらく憲法七十三条の三項に基きましてこの条約は国会の承認を求められておるものだと思う。ところがこの承認を求められておる基礎になつておりますのは、岡崎国務大臣の御答弁によりますと、保安隊の整備強化、自衛隊に切りかえの準備ができたからこのMSAの協定を結ぶのだ、こういう御説明だつた。そうなりますと憲法上いろいろな問題が出て来るのではないか、まず先に法案が出されて、その法案が完備してから協定を結ぶというのが岡崎氏の説明によれば妥当になつて来るのではないか、また予算編成権が政府にあるかないかということについても議論がありますけれども、一応七十三条に基いて予算を作成して国会に提出する権能があるということは認める。ところが予算の編成をいたしております食管特別会計もこれと相矛盾するようなことが条約の中に入つて来ておるようであります。これはあとで訂正すればよろしいと言えばそれまででありますけれども、一応国が先に立てた方針に基いてMSA協定を結んだのだということになると、大きな矛盾があるとお考えになりませんか。その点をお尋ねします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは、来年度の自衛隊の計画あるいは保安隊の増強計画、こういうもののあるなしにかかわらず、かりに現在の保安隊がそのまま続くとしましても——政府としては現在の保安隊は少くともそのまま続くつもりで、これを一ぺんにやめてしまうというような考えはないのでありますが、それにしても、防衛力の増強については、アメリカの援助を受けてこれを強化する必要があると考えております。従いましてここでたびたび援助の内容を示せと言われますけれども、この協定が国会の承認を受けたその後でなければ、内容は示されないし、またその後であつても、ただちに決定はいたしかねる問題であつて、つまり自衛隊に関する法律等が成立すれば、それに基いて援助の内容が確定いたします。そうでなければまたそうでないように確定しなければならぬわけでありますから、この点は私は矛盾はないと考えております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 今の答弁は先ほどの答弁と大分違つておる。先ほどは、自衛隊の強化という点から必要になつて来たために、MSAの協定を結ぶに至つた、こういう御答弁だつた。御訂正になればまた別ですが、それは御訂正になる意思がありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ちよつとあとで速記録を調べてみますが、私は、わが国の防衛力の強化ということが前提であつて、それからMSA援助が出て来たと思う。自衛隊という言葉を使つておれば、それはそのときの言葉の間違いでありまして、防衛力という意味であります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 言葉は自衛隊の強化というふうにおつしやつたと思いますけれども、防衛力の強化であります。現在の法律には防衛力の強化というものはないでしよう。予算書にはわずかに出て来ておるが、法律的にはまだ強化の方針はとつておられない。ようやく最近法律を出されて、審議中であります。従いまして七十三条に基いて、法律を誠実に執行する義務を内閣が負つておる、この義務の範囲内においては、あなたの説明になつたMSA協定を結ぶことはできない形になつておる。これは別個に結ぶのだと言うのなら、これは別です。防衛力の強化と相まつて結ぶのだと御説明になりますと、おかしい。現行法を基準として考えなければならないということは申すまでもないことであつて、強化ということを前提にできないはずであります。この点いかがでしよう。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 もし川俣君のお説の強化というのが、人員の増加を伴わなければならぬものだとおつしやるなら、お話のようなことになるかもしれませんが、私は、現在の保安隊そのままであつても、さらに装備を改善してこれを強化する必要がある、こう考えておるのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 私がしつこく食い下るのは、あなたの答弁が間違つていれば、訂正した上で議論を進めたいと思うからで、答弁をあいまいにされない方がいいと思う。先ほどのが誤りなら誤りだと言つて、この条約はこの条約として別個に出されたというのなら、議論のしようがあるだろうと思う。あなたが前提をつけられたから、問題になつておる。前提を取消されるのなら別ですよ。この条約は国の内外の情勢から必要だという前提で出されたのか、または保安隊強化のために必要として出されたのかということによつて、われわれの審議において非常に違つて来る。そこで前提をお尋ねしたい。あなたが前提を出されたから、その前提をお尋ねしているのであります。どうぞこの点を明らかにされたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私も別にしつこく弁解しているわけではありません。防衛力強化ということがなければ、MSA援助なんか受ける必要はないのであります。MSA援助を受けるのは、防衛力を強化したいからなので、これに間違いはありません。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そうなると大分問題だと思う。もしも保安隊あるいは自衛力の強化、今あなたは自衛力の強化と言われたが、この自衛力の強化ということを前提とするならば、自衛力を強化する法律が確定してから、締結に入るべきが妥当じやないか。これが憲法の趣旨ではないか。もしもそれが前提であるならば、当然自衛力の強化に伴う法律が確定して、その確定の上に立つてMSAの協定を結ぶのが妥当だとお考えになるのが至当じやないかと思いますが、この点いかがですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は前にもこういうことを言つたのであります。つまり援助を受けるについては防衛計画が必要じやないか。そこでそのときに防衛計画があればなおいいかしれませんが、なくてもいい、必須の条件ではありません。かりに日本で持つている保安隊を増強しないと決定しても、MSA援助を受ける道はある。日本の防衛力については、日本政府が決定するところに基いて、アメリカはそれに見合う援助をいたします。従つて保安隊がそのままであれば、援助の額は少いでありましよう。ありましようが、今持つているよりもさらに優秀な兵器とかえて、その能率を上げるという手はあるわけでありまして、必ずしも現在の法案が確定しなければということはないと考えております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そこは重大だと思う。これは憲法七十三条の規定に基いてこの法案を提出された。その憲法七十三条の一項に「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」を内閣の重大使命として規定されている、その三項に、条約を締結する権限を内閣に認めている。従いまして現行法をかえないという建前でありますならば、当然その立場に立つてMSAの協定を結ばなければならぬのではないか。かえるならば、かえるだけの根拠を示す。必要と認めるならば、自衛隊であろうと、保安隊の強化であろうと、それらの立法措置が講ぜられて、その上に立つて条約を結ばれることが最も正しい政治の運行の仕方ではないか、こうお尋ねしておるのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 このMSAの協定の中には援助の具体的内容は書いてないのであります。従つてこの協定で日本政府にアメリカの援助を受けてよろしいという権限を国会が承認するかどうか。これについて国会の承認を求めておるわけであります。これが承認されれば、日本政府としては援助を求める権限を得るわけであります。そのときに援助の内容はどうなるか、それは日本の国内の防衛力がどうなるかによつて増減いたします。しかしながらいずれにいたしましても、国内の防衛力に見合う援助を受けるのでありますから、私は法律ができたあとでなければならぬというりくつもないように考えております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 法律によらない防衛力の強化、自衛力の強化というものはあり得ない。予算を伴わないまた法律を伴わない防衛力の強化あるいは保安力の強化というものはあり得ない。これは当然なことでしよう。従いましてもしも条約を結ぶとすれば、その基礎になる立法的処置が講ぜられたあとでなければならないというのが、条約を結ぶ原則ではないか。条約を先に結んで法律を改正しなければならないということになると、唯一の立法機関である国会の権限を侵すおそれが出て参りますので、私はこの点をお尋ねしている。それを先に外国と条約を結んで、国内であとで整備すればいいじやないかというようになりますと、大分問題になつて来ると思いますが、この点はいかがですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 極端な議論をするようでありますが、たとえば今持つている保安隊の特車が旧式であつたり、使つて古くなつたり、あるいはその他の兵器が古くなつていたり、旧式になつているという場合に、これを新しいものとかえる、MSAの援助によつて新しいものとかえるというような場合をかりに想定しますれば、これは非常にまれな場合ですが、必ずしも予算を伴わなければならぬということにはならぬと思います。そこで法律論で今御議論のようでございますが、これは必ずしもおつしやるようなことが正しいかどうかは別として、実際上は行われているのは事実であります。たとえばいろいろの協定を結びまして、その結果によつて、今度は国内の法律を改めて行くこういうようなことも実際上行われておることであつて、必ずしも先に条約なり協定なりを結んではいけないということは法律論としてはないと思います。現に条約なり法律なりを国会で承認されれば、それに必要なる法律の改正はやはり国会で考えられての上の承認であると、こういうふうに解釈されるのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そこで問題はやはり残ると思います。しかし時間がありませんので省略いたしますけれども、これは保安庁の設置法であろうと、あるいは外務省の設置法であろうと、こういう考え方で将来この協定に基いてかえるのだというならば、やはりそれに伴つてかえてから、条約を結ぶべきだというのが、私は憲法四十一条の本旨であると思うのです。しかしあなたと今ここで憲法論を長くやろうとは思いませんが、しかし少くともそういう考え方でやらないと、いわゆる独裁外交というようなそしりを免れない結果になるのじやないか、これはもしもあなたでない場合に、少数党内閣で強権でやる場合に、アメリカでなくて、ほかの国と外交関係を結ぶ場合でも、そういう強硬外交が行われるおそれを今にして未然に防ぐ必要があるのじやないか。悪前例とならないような心がけが必要じやないかという意味で、この憲法論を今展開したという点を御注意申し上げて、次に移りたいと思います。  問題はさらに具体的にお尋ねいたしたいのですが、アメリカは約六十億ドルを越えるような余剰農産物を持つておりまして、大分これがアメリカの経済界と申しますか、産業界を圧迫いたしておるようであります。この放出について、この売りさばきについて相当苦慮いたしておるようであります。前の余剰物資管理委員長のロバート・メーサンという人が日本へ参つて、この余剰農産物の処分について——処理委員会の委員長であつた人だそうですが、処理について私的に懇談に来られたところを見ましても、この六十億ドルに上る余剰農産物の放出について非常に苦慮いたしておる、またはこれだけ厖大な余剰農産物をかかえておることによつて、せつかくの農産物の支持価格を侵すおそれが出て来る、というようなところで、苦慮いたしておるように見受けられますけれども、外務省はこの点についていかような見解を持つておられますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 アメリカが非常に多量の余剰農産物を持つておることは事実であります。従つてこの処分についてはいろいろ心配しておることも、これは事実だと思います。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そうなつて参りますと、先ごろ、つい二、三日前でありますか、前の処理委員会の委員長がこの処分について非公式に来られたということもうなずけるわけです。そうなつて参りますと、この協定が必ずしも好ましいものでなくして、むしろその他の方法によつても獲得できる面があるのではないか。そのようにお考えになりませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは時間をかけたら、あるいはその他の方法によつても獲得できるかもしれないと思います。しかしながら日本の小麦の需給計画及びなるべくドルを節約したいという考えから、早くこの円による小麦を入手したい、こういうふうに考えますと、やはりこれで行くのが一番早い道である、こう考えております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 一応それも考えられます。この間、農林大臣は、外米を早く手当をしたらどうか、こういう質問に対して、今や外米は買手市場にまわつておつて、ゆつくり買わなければ損をする、むしろ早く協定を結ぶことが損になるから、買手市場というものについてはできるだけゆつくり考えるべきだ、そう急ぐ必要はない、こういう答弁であつた。しかも国内では御承知のように十五日の配給を、実は米についてはもうすでに割つておる。それほど米についての執着を日本国民は持つておるにかかわらず、外米市場は買手市場にまわつておるのだから、もつとゆつくり買つてもいいというほどおちついている。それではなぜ小麦だけは——まだ日本には小麦の点ではそうあわてなくても十分な余力を持つております。十分とは言えないにしても余力を持つておる。そこで、外米の方はゆつくりでもいい、小麦の方は急ぐという国内の情勢はないのです。この点どうですか。これは外務大臣からお聞きしたいのです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は円価で買える小麦を早く入手したいというのが、農林関係の方の御意見だと承知しておりまして、従つてこの協定を結ぶことによつて早くそれを実現したい、こう思つてやつたのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 おそらく農林省も、円価で買えるから早くというような考え方は私はないと思う。幸いに買いつける予定があつたので、外務省からこういう折衝があつたから、それでは買わざるを得ぬであろうという形で、おそらくそれに乗られたのじやないかと思う。というのは、最初はなるほど予算書で見ますと、大麦七十六ドル、小麦八十四ドルということになつておりますが、もしもこれ以下の非常に安い値で買えるならば、必ずしもそれに切りかえることは悪くはない。円価によつて買うにしても、結局は食管特別会計の中においては大した相違がないのであるから、なるべくならば、安く買えるということであれば好ましいと、こういう答弁はしておりますが、ドルよりも円になつたために非常に飛びつかなければならぬ、急がなければならないというような説明は、私どもはまだ受けていなかつた。大臣はそういうふうに受けておられたのでありますか、この点もう一度お尋ねしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私はそういうふうに了解しておりますが、ここに農林関係の人たちがおりますから、念のためお確かめになつたらなおよくわかると思います。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 農林当局にはあらためてお尋ねする機会がありますので、大臣からお尋ねしたのです。そうして参りますと、大臣もお認めのように、今あわててこの協定、農産物の購入に関する日本国とアメリカ合衆国の間の協定、これですが、この条項だけはそうあわてないでよければ——そういう必要があるということでお結びになつたそうですが、ではもしもあわてる必要がないということになれば、これだけはあとで延期してもよろしいのですか、どうしても結ばなければならぬのですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私はこの円で買い得る小麦というものは、農林当局においても希望されておるものと確信しております。それで協定は一緒に調印したのでありますから、同時に承認を得たいと切望をいたしております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 もう一点だけ。そういたしますと、農林省の説明に基いてこの条約を結ばれた。説明がかわるような状態が今後農林当局から説明がある場合において、国会が不承諾を与えてもさしつかえないというふうに考えてよろしいかどうか、この点だけ……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは法律的には協定はみな別個でありますから、このどれに承認を与えるかというのは国会の意思によつてきまるものであります。政府としては全部を一括して承認を得たいという希望においてはかわりありません。

上塚司自由党

○上塚委員長 次は飛鳥田一雄君。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 いろいろの点について伺いたいと思つておりましたけれども、大部分の委員から触れられた点が多いので、重複を避けて、ただ個別的または集団的自衛の固有の権利ということについてだけ、外務大臣にお伺いしたいと思います。今まで自衛権その他の御議論を聞いておりますと、大臣の側もまた各委員の側においても、この自衛権というものを国内法的なものとして、あるいは憲法との関連において御議論になつておる部分が多いと思うのです。しかし日本とアメリカとの条約の中に規定をせられております言葉だけに、この個別的自衛権というものは、世界の国際法上の自衛権として解釈をして行かなければいけないのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、その通り解釈をしてよろしゆうございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ちよつと御質問の趣旨がわからないのですが、国際法的な個別的自衛権というのは何かよくわかりませんが、要するにこれは個別的に自衛をする権能でありまして、それについてはかわりありません。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 もしそうだといたしますならば、アメリカ側がこの言葉を解釈いたします場合にも、世界の自衛権という国際法上の通説に従つて解釈をする。こういうふうに私たちは考えるのでありますが、そのように解釈をしてよろしゆうございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 そのように解釈してちつともさしつかえありません。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 もしそうだといたしますと、これはむしろ私よりも大臣の方が専門でありますから、すでに御存じのことと思いますが、国際法上自衛権と呼ばれる言葉については、いろいろな先例があります。その先例の中にカロライン号事件というのがあつたと思います。この事件は申し上げるまでもなく、一八三七年にカナダに反乱が起りましたときに、数百人の反徒がナイヤガラ川の中にあります、しかもカナダ領にあります海軍島という島を占領し、カロライン号をやとつてナイヤガラのアメリカ側にあるシユロツサー港から軍需品を海軍島に送り、そこから再びカナダ本土を攻撃しようとした。そこでカナダ政府は、この急迫不正の事実を避けるために、あえて米領にありますシユロツサー港を襲い、カロライン号を拿捕した、こういう事例がある。これは自衛権の発動として非常に有名な事件だと思いますが、こういう事件から見てみましても、自衛権というものの中には、外国領土を侵すということが、世界の通説としては当然含まれている、こう解釈せざるを得ないと思うのであります。こういう点から見ますと、この日本の自衛権という言葉について、当然アメリカは、日本が日本の国土の外に出て自衛権を行使するという場合を想定し、それが世界の国際法の通説に従つているものだといつて、そのことを日本に求めて来る場合があり得ると思うのですが、先ほど来大臣のお話を伺つておりますと、海外派兵はしないということをおつしやつているようでありますが、問題は日本の国内の憲法との関連において自衛権というものを解釈するのではなしに、世界の他国と条約を結びます場合に使う言葉は、世界に共通の言葉で語られなければいけないと思いますので、この間の矛盾抵触、そういうことについての御説明をいただきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この「個別的又は集団的自衛の固有の権利を有する」ということは、今度の協定できまつたものでなくして、第一にサンフランシスコ平和条約の規定にあるのであります。これを国内でどういうふうに処理するかは日本国自体の問題であるけれども、国際的には世界の通念における自衛の個別的、集団的の権利を、日本としては持つている。これが適当であると考えられまして、国会において圧倒的多数によつてこの平和条約は承認されたのでありまして、この問題はすでにそのときに解決済みでありますが、念のため申し上げますれば、集団的自衛の権利もここにあるわけでありますが、これを行使するかしないかは日本の自由であつて、これはその自衛の義務があるわけじやない。日本が自分で権利を持つておつて、これをいかに行使するかは日本の自由であります。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 この自衛権を行使するかいなかは日本の自由であるという御説明でありますが、この条約の八条を見て参りますと、日本は「軍事的義務を履行することの決意を再確認する」というふうに書かれております。何も日本の自由である、アメリカさんの知つたことではない、こういうことでありますならば、この条約の中で再確認をあえてする必要はないのであります。こういう書き方自身は、自国を防衛する自衛権を発動する、こういう義務を負つたことを意味する、こう解釈をするのが正当ではないか、こういうふうに思いますが、この言葉と今の日本の自由であるということとの関連をひとつ御説明をいただきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはこの文句にあります通り、日米安全保障条約に基いて負つている軍事的義務を履行することの決意を再確認している。日米安全保障条約に基いて負つている軍事的義務というので、自衛の義務なんというものは安全保障条約の中には何にも入つておりません。安全保障条約の中に入つているのは、米駐留軍が国内に駐屯するということと、第三国に軍事的基地を貸与しないという二つの義務であります。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 お話でありますが、世界の平和を維持して自由主義諸国の安全を維持する義務があるはずです。その義務の一端として日本が自衛力の行使をするということも義務に含まれているというふうに、今まで伺つておつたような気がするのですが……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 その点はその通りであります。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 もしそうだとすれば、日本が自衛力の発動を求められるということもあり得るはずであります。もし自衛力の発動を求められるとすれば、その自衛権の発動という言葉の意味、範囲、そういうものは先ほど来私が申し上げておりますように、世界の通念に従つて決定せらるべきだ。世界の通念から行きますと、今申し上げましたカロライン号事件のように、外国領土に進駐をするということも当然含まれて来るのであります。こういう点について、先ほど来国外派兵の義務はないとおつしやつているのでありますが、これは世界の国際法上の通念と反した御説明のように思います。また同時にあなた個人の独得な御見解をアメリカに対して主張をせられている。こういうように考えられるのでありますが、こういうことがはたして可能かどうか、御説明をいただきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはここに「相互間で合意することがある措置」というこれに御注目を願いたいのであつて、アメリカだけの意向できまる問題ではないのであります。また実際上国際緊張を除去する措置というのは、よその国へ出かけて行つていくさをするということは、私は国際緊張を緩和する措置とは常識的に考えられないのであつて、これは両国間に何かむずかしい問題があつたりしたとき、これをお互いに平和的に解決しようという措置を考える。そういうことと考えます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 今申し上げておりますのは、自衛権の発動の話でありまして、国際緊張の原因を除去するという問題については伺つておりません。  そこで自衛権の発動に関してさらにもう一つの例をあげてみますと、一八〇七年にフランスがデンマークの艦隊を利用してイギリスを侵そうとしたとき、イギリスがデンマークに対して艦隊を自国に寄託すべきことを求め、これの拒絶にあうやデンマーク艦隊を襲撃した例があります。これも自衛権の発動だと通常いわれておりますが、このようなものもあなたは自衛権としてお認めになつて御発言になつておるのかどうか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはまあいろいろ国際法学者の間にも議論はあります。ありますが、私はその個々のことは申しませんが、一般に国際法なり国際慣例なりにおいて認められておる範囲の自衛権は意味しております。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 わかつたようなわからないような御説明をいただきましたが、イギリスがデンマークの艦隊を攻撃したという例が自衛権であるのかないのか、こういうことを伺つておるのであります。ついでにもう一つ事例をつけ加えて伺いますと、一九四〇年にフランスがドイツに降伏いたしましたときに、オラン港におりましたフランス艦隊をイギリスは襲撃をいたしております。これは宣戦を布告いたしませんし、交戦をいたしておりませんフランスの領土オラン港をイギリス艦隊が明らかに侵しておるのであります。しかもこれが自衛権の発動だという説があるのでありますが、このような例もあわせてひとつ御説明をいただきたい。こういうものを含んで自衛権とおつしやつているのかどうか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 そういう問題については飛鳥田さんも御承知のように、いろいろ自衛権と——実は満州事変も自衛権と言つておるのであつて、ただそれが認められるか認められないか、これは別問題であります。ただ自衛権の発動につきましては、これは一般に原則的に考えられておることは、何らかの危険が急迫しておる、そうして他の方法においては避けられない場合において、厳密に自衛の範囲内、必要の範囲内においてその危険を除去することを自衛権と申しておるのであつて、その程度の自衛権は当然この協定の中の自衛権にも含まれております。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 今のお説は、危害が急迫して防ぎ得ないものであるということと、それから防衛はやむを得ないもの、すなわち他の手段によつては防衛し得ない、しかもそれが必要の程度を越えないもの、こういうお話のようであつた、こう考えますが、そういたしますならば、当然先ほどのカロライン号事件のような場合には、外国本土を侵す、アメリカ領土を侵すというようなこともその条件に適合して来ると思います。またもし日本にそのような事態が生じましたときには、お説の自衛権、こういう言葉の中に、外国領土を侵す、あるいは外国の領土に対して進軍をするというようなことも含める、こういう意味で今の三条件をおあげになつたのかどうか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはその具体的な事例が出て来ないと、原則だけの議論でははつきりいたしませんけれども、とにかく原則はその通りであります。そうして、先般外務委員会の議論におきましても、例としてたとえば原子砲弾が日本に投下されるということ、これは中国の領土から投下された場合にほかの手段においては防ぐことができない、そうして日本は原子砲の危険、急迫にさらされておる、こういう場合には必要最小限度において、この原子砲弾が飛び出して来る所を抑えて、この砲弾が出て来ないようにする程度のことは、自衛権として認めざるを得ないであろう、こういうようなことであります。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 だんだん具体的な議になつて参りましたが、そういたしますと、今のカロライン号事件を間接に肯定せられたもの、こういうふうに解釈せざるを得ないのでありますが、さらに今御設例の場合をあげますと、日本に原子砲が届く最も近い所は中国であります。この場合に、中国の原子砲の所在いたしております基地に向つて兵を出すということも自衛の中に含まれる、こういうお説でありますが、しかしその場合に、中国の基地におります軍人あるいはその他のものと何らの衝突なしにこれが行えるということは考えられない、そうして当然中国人を殺傷する、あるいはこれと武力交戦をするというようなことも出て参ります。これは自衛権という当然の権利に基いておやりになるのだといたしますならば、これは国際法上の保護を受けるはずだと思いますが、この点についてお聞きします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は中国とかいう特定の地域をさしてこういう議論はいたしたくないのでありますが、要するに日本の国内に原子砲の爆弾が落ちて来る、国民がどんどん殺されて行く、こういうときに自衛権があるなしにかかわらず、ないとか、あるいはこういう措置がとれぬとかいつて、国民が黙つてこの原子砲の下に死ぬべきであるかどうか。これはもう申すまでもなく明らかであつて、この危険を除去するに必要な最小限度の措置は、その場合にはとり得る、こう私は確信しております。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 お説はよくわかりました。今のお説を聞いておりますと、自衛権もへつたくれもない。生きて行くためには何をしてもいいのだ、こういうふうにしかとれないのであります。そこで自衛権それ自身の中に、海外に兵を派すということを当然含ましておるというふうに、私たちとしては解釈せざるを得ないのであります。そこでこの問題についてこれ以上議論することは無意味でありますから、そこで続いて集団的自衛ということについて少し伺いたいと思います。  それで問題をあまり複雑にしないために、またこんがらかさないために、集団的自衛という言葉の意味を大臣と私の間に設定をして進みたい、こう思います。集団的自衛という問題について、他国が武力攻撃を受けた場合、これと密接な関係にある国が、その武力攻撃を自国の安全を脅かすものとして被攻撃国を援助し、共同して防衛に当る権利その国自体に対しては現実の武力攻撃があるを必要としない、こういうものを集団的自衛権、こういうふうに認めてよろしゆうございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 お答えする前に、自衛権もへつたくれもないというお話でありますが、これは重大な問題であつて、さようなことは軽々しく申し得ないのであります。日本政府としては自衛権の範囲は最も厳重に、また限定して考えております。日本の国民がむざむざと何も理由がなくて、たまに当つてどんどん死んで行く、こういうことを防ぐのは、これはやむを得ない手段であつて、これとかつてに海外に派兵するなどと一緒くたに考えておるようなことは毛頭ありませんから、この点は念のために申し上げておきます。  なお集団的安全保障の措置というのは、これは非常に広い意味でありまして、お説のような場合、つまり一種の軍事同盟あるいは攻守同盟というような場合も意味するかもしれませんが、またそれと違つて、日米安全保障条約なども、これは形はちよつと妙かもしれませんが、やはりこれは一種の集団安全保障措置であると私は考えております。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 ただいま個別的自衛権の問題についてお答えがありましたので、この点に関連してもう一点伺つておきますが、個別的自衛権を発動いたします場合に、それは当然武力行使を伴い、そうして武力行使の結果として、あるいは武力行使の手段として日本が国外に出ることはあり得る、こういうふうな御説明だつたと思いますが、そう解釈してよろしゆございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは非常に極端な場合を想定して言つておるのであつて、趣旨は、自衛の行為というものはやむを得ざる場合に他の方法をもつてはかえがたいような、手段を限定した範囲内においてとるということが趣旨であります。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 御趣旨は御趣旨として、お説では非常に極端な場合を全然排しはしない、こういうことのようですが、少くとも一つの問題を解釈いたします場合に、いつも出て参りますノーマルな状態だけを考えて行くということでは足りないと思います。非常に極端な場合、非常に程度の薄い場合、いろいろの場合を包含し、なおかつそこに一定の規定をつくり、解釈を打立てて行かなければならないはずであります。今のお説では非常に極端な場合を例外としてではあるが認める、こういう御趣旨のように伺えるのでありますが、念のためにもう一度お尋ねいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 自衛の措置をとらなければならぬということは、すでに決してノーマルな事情ではないのであつて、これはもう非常に極端な場合に限られると思います。従つてその極端な場合のさらに極端な場合を想像すれば、そういうところまで想像を引伸ばし得るという程度でありまして、海外出兵が当然自衛措置に伴つて来るというようなお説には、われわれ賛成できません。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 言葉のあやでちよつとおかしいのですが、当然含まれるというのではお説によつてないとしても、その一部としては考えられるし、それも許される、こういうふうにお説を伺つておいてよろしゆうございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 自衛の措置をとらなければならぬという極端な場合において、またその中の一番極端な場合において、そういう措置があり得るということは、理論的には認められます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 理論的にはというお話がつけ加わりましたが、これはどういう意味ですか。現実と理論というものをそう区別して、ただこういう国会の中で現実にはないが理論としてはある、そういうようなことは少し伺えないのですが……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはもう当然のことでありまして、私は現実としては原子砲の雨が日本の上に降つて来るということを想像いたしておりません。しかし非常に想像をたくましゆうして、理論に理論を推し進めて行けばそういう場合も考えられるのでありまして、これは理論と現実とはまつたく違う問題になるかと思つております。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 それではそういう事態が来ればあなたの御議論は現実となり得るということですか。くどいようですが……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 そういう事態が来ればということが現実ではない、私はこう言つているのです。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 それではこの集団的自衛という問題について、もし自由主義諸国家の中の一国が侵され、そしてこれが日本の安全にとつて非常に大きな関係があるということでありました場合に、日本はその攻撃を受けている国と共同して防衛の措置をとる、こういう場合が集団的自衛、こういう言葉の中に含まれるといたしますならば、日本がこの集団的自衛権行使として海外派兵をなす、こういう場合は当然考えられて来ると思うのですが、その点についていかがでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 集団安全保障の権利がここにあるということがはつきりしているのであつて、いかなる集団安全保障とりきめをつくるかということは、これは日本政府独自の立場できめる問題であつて、そういうものに入ることが憲法上違反とすればもちろん入れないし、また憲法上可能であつても、国の政策としてそういうものはとれないといえばこれまた入れないのでありまして、まだ集団安全保障組織の具体的なものは、この東亜地域においては発案されてもおらず、また提案もされておりません。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 そういたしますと、この条約の中に「集団的自衛の固有の権利を有するとの確信を再確認」する、こう書かれておりましても、これは現在の段階においては発動の余地がない、すなわち発動をする場合には新たな協定あるいは新たな国会の決議が必要だ、それなくしては現実には発動する状態に今ない、こういう御説明でしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 先ほど申した通り、日米安全保障条約は一つの形の集団安全保障条約であります。従つてこれについては発動の形態はできておるのでありますが、それ以外のものにつきましては、新しい条約ができ、国会の承認がない限りは、集団自衛の具体的の措置はできないわけであります。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 そういたしますとアメリカの安全が侵されたそのときには日本は出て行くのだ、こういうことですね。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 日米安全保障条約には遺憾ながらアメリカの安全が侵されたときに日本が出て行くという規定は一つもありません。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 そういたしますと、今あなたの御説明の日米安全保障条約、これだけで集団安全保障の一応の手段ができているのだ、それ以外には適用がない、具体的には発動しない。こういう御説明でしたが、全然発動するチヤンスがなくなるわけですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 われわれは権利としては国際間にかかる権利を確保しておるが、これを発動するような機構はまだできておりません。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 そういたしますと、潜在的な力としての権利は持つているが、具体的にはこれを行使する機構、手段そういうものがない、こういうふうに御説明になつたものと解釈してよろしゆうございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 その通りです。

上塚司自由党

○上塚委員長 次は中村時雄君。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 私がお尋ねをする前提に、このMSA小麦の購入の問題に関してお尋ねしておきたいと思います。というのは防衛なり自衛隊の定義、それから推移したいろいろな問題に関しましては時間がありませんので、一応あとにまわすといたしまして、この問題に入る前に一言お聞きしておきたい。この農産物の購入に関する日本国とアメリカ合衆国との協定、この問題に関しては、農林大臣また外務大臣、通産大臣の間で緊密な連絡をとつていらつしやつた結果、これができたものかどうかをまず確認をしておきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 その通りであります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 そうすると、まず農林省側にお尋ねをしたい。二十九年度において当初予定が百九十六万トン、それに外貨問題といたしまして百六十八万トン、これが小麦になつております。そのうちでアメリカから来るものが二十八年度が九十五万八千トン、二十九年度が百六万トン、数量的にこれに間違いがあるかどうか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 全体といたしまして、ただいまのお話のように二十九年度におきましては、小麦は百九十六万トンの買入れを予定いたしております。この国別の内訳につきましては、大体ただいまのお話のようにアメリカにつきましては百万トン余を予定いたしているわけであります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 そのうちでMSAに現われて来る小麦が大体五十万トンを予定され、大麦が十万トン予定されておりますが、間違いありませんか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 ただいまのお話のように、小麦につきましては五十万トン、それから大麦につきましては十万トンということを予定いたしております。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 その小麦五十万トンのうち五〇%が米国におけるところのシー・アンド・エフで入つて来、それから残りの五〇%がFOBで入つて来る、このように考えられているのですが、これは間違いないかどうか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 この問題は食糧特別会計におきます買入れの問題と円貨の積立ての問題とは別個の問題と考えられます。御承知のように現在におきましては、食糧特別会計におきまして外国食糧を購入する場合は、一応シフで購入するという建前をとつているわけであります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 シフで買つた場合、ここから問題が出るのですが、外務大臣にお尋ねしたい。シー・アンド・エフで買つた場合には非常にこれは高価なものになります。その場合、ほかの協定のときにこれがFOBとして購入できなかつたかどうか、またその努力をなさつたかどうかお聞きしたい。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 お答えいたしますが、ただいまの御質問は、先ほど私が申し上げましたように、食糧特別会計におきます買入れの手続と、それから贈与されましたあるいは円貨で積み立てますものを、どういうふうな標準で積み立てるかということと、これは別の問題であるということを申し上げたのはそういう意味でございます。と申しますのは、ただいまお話のように、FOBで積み立てる、日本船で運びますと外貨を要しませんから、FOBで積み立てる場合においてはそういう形も考えられるわけであります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 シー・アンド・エフで積み立てた場合は、おそらくアメリカのFOAによつてこれが換算されて来ると思う。たとえばFOBで来た場合には大蔵省の特別会計になるかどうか知りませんが、当然そういう形になつて現われて来ると思う。そうした場合にたとえば今の余剰物資の問題もこれはひつかかつて来るわけですが、余剰物資の問題とかあるいはアメリカ側のたとえば増産問題、あるいはそういうような問題における利用価値が高く評価されて来る、そこにおいて当然このシー・アンド・エフというものを円貨においての中心課題とするならば、FOBとしてこの交渉に入るのが、外務大臣としては当然のことであろうと思う。農林省当局といたしましてもこの折衝の過程においてそういう意見を出しているかどうか、それをお開きしたい。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 お答え申し上げますが、食糧特別会計で買います場合におきましては円貨で買い入れるわけでありまして、日本商社から買い入れるわけでございます。この場合におきましては現在の普通の取引の場合におきましてもシフとしてビツトをするわけでございます。ところがこれに対して外貨の場合におきましては、邦船を使います場合においては外貨を要しませんから、その邦船のフレート分だけは外貨を落して割当てる、こういう形になるわけでありまして、従いまして五千万ドルをFOBで積み立てる、邦船を使用する場合におきましては、その五千万ドルを円貨として積み立てまして、あとは円貨を払えばいいわけであります。シフでいたします場合におきまして、その場合フレートの分がこの中に入つて来る、こういう形になるわけであります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 そういたしますと、たとえばシー・アンド・エフでやつた場合の方が、FOBよりも高くつくことだけははつきりしている。そこに問題が出て来る。次の場合に外務大臣としてはそういうことをお考えになつたことがあるかどうか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私はシフやFOBについては、あまり詳しい知識を持つておりませんので、これは専門家に交渉を依頼して、一番日本に有利のように考えております。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 これは非常に大事な問題なのです。損をするか得をするかということは、この小麦の問題では日本にとつて非常に大きな問題だと思う。そうすると先ほど聞いたように、その折衝された農林省側において、外務大臣にそういう報告をするとかいうような過程をとつたかどうかをお聞きしているわけです。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 お答え申し上げますが、このMSAの五百五十条におきましては、五〇%のものにつきましては米船を使用する、こういう形になつております。あとの五〇%につきましては船の使用は自由でございます。これを邦船として使用いたします場合においてはFOBとして買いまして、そうしてあとの邦船のフレートは円でまた別個に払うということは可能であります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 今言つたようにそれがはつきりして来たわけです。五〇%はシー・アンド・エフでやつて行く、五〇%はFOBでやつて行く、こうなつて来たわけです。そこでこの場合に外務大臣としては、シー・アンド・エフでやられた方が高くつくから、当然この交渉は円貨を云々されているという、それほどありがたい援助をしてくれるならば、当然そこまでの折衝過程というものがなくてはならない、それをただ農林省がこう言つたからこういうふうにするのだというだけでは、この外交交渉というものは非常に大きな問題が出ると思うのです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 外務大臣は不幸にして万能でないのでありまして、専門々々の意見を聞いてその適当な処置を努力する、これは少くとも私としてはそれが当然のことと考えております。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 万能でなかつたら国家のこういうような大きな問題を取扱う場合には、すべからく万能のように努力をしてもらいたい。事実はこれだけの損失が出て来る、しかもこの価格を見てみましたら、大体において小麦協定の価格よりは下まわらない価格によつての円の積立てになつている、そういうことを御存じかどうか、これを一言お聞きしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 初めはアメリカの法律がたしか国際価格のうちの最高価格というふうになつておりました。それは日本としてそういう価格では購入は困難でありますので、国際小麦価格程度に落したのでありますが、その程度の交渉は私がいたしました。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 それだけのことを知つておつたら、このシー・アンド・エフの問題なんかも当然知らなくてはならぬ問題だけれども、あなたに聞いたつてしようがないし、詳しいことは農林委員会でいろいろ話をして会いと思つております。そこでこの百九十六万トンに対してMSAで入つて来る五十万トンの小麦は当初計画の中に入つておるのかどうか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 百九十六万トンの場合におきましては、われわれ農林省の予定といたしまして、IWAの部分が百万トン、それからアルゼンチンの部分が三十万トン、MSAが三十万トン、その他フリーのものが三十六万トンといたしてあるのでございますが、需給の都合上フリーのものを二十八年度に繰上げまして、二十万トンを振りかえた部分がありますので、大体五十万トンがこの中に入つて参るこういう経過になります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 そうすると二十万トンが振りかえられたということは、たとえば災害なら災害に振り当てるという考え方でそういうことを考えられたのかどうか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 この協定の時期の問題でございまして、早ければその二十万トンはおそらく二十八年度で入るだろうし、おそければ二十九年度に入る、こういう関係でございまして、災害の関係と申しますのは、当初の全体の需給計画をつくります場合に、二十八年産米の不作というものが当然に百九十六万トンの小麦の需給計画の中には反映いたしておるわけであります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 そういたしますと、このMSAの受入れということは、大体においての推定かどうかは知らないが、この百九十六万トンの中にも入つておるし、もう一つお尋ねしたいのは二十八年度における輸入の中にこれを想定したかどうか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 想定という言葉は当らないかと思いますが、二十八年度におきましてもIWAの百万トンとそれからアルゼンチンの三十万トン以外は、どこからでも買うといういわゆる自由購買に予定いたしたものでございます。その中から二十八年度におきましてMSAというふうなものができればこれはその中に入つてもさしつかえない、こういう意味でございまして、当初からそういうものを予定して考えたわけではございません。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 そういたしますとここで一つ問題が出て来るのは、今言つた二十九年度においての計画の中で五十万トンというものがここに入つて来て、その中から一応五十万トンを差引くという問題になつて来る、そう考えていいわけですね。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 二十九年度につきましてもつまり国際小麦協定とそれからアルゼンチンとの協定、この百三十万トン分がいわゆる百九十六万トンの中のひもつきでございまして、あとはいかなる国から買うかということが日本側の自由な意思によつて買いつけ得るわけでございますが、その自由な部分からいたしまして外貨を要しないMSAのものがありますからそれを充てる、こういうことになるわけです。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 農産物の購入に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の第三条に「この協定に従つて取得されるべき商品の購入及び利用は、アメリカ合衆国又は他の友好国の通常の市場取引を排除し、又はこれに代替してはならないものと了解される。」こう書いてある。そういたしますと、この当初予定の百九十六万トンというものは、これは一般のマーケット・プライスにおいての売買を意味しておる。そこでこの五十万トンというものが、この中に当てはまるとすれば、この五十万トンを引いた百四十六万トン、そうするとここにあるところの商品の購入及び利用は、アメリカ合衆国または他の友好国の通常の市場取引を排除し、という排除という問題にからんで来るわけですが、これとの関連性をどういうふうに持つて行くか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 ただいま御指摘の通常の取引を阻害いたさない、こういう問題は、その通常の取引量が幾らであるか、こういうことを考えなければならないと思いますが、御承知のように二十八年度と二十九年度は、昨年におきます米の不作のためにその不足を補うための小麦の二十八年及び二十九年度におきます特別の増加、こういうことが、この需給計画の中に含まれておるわけでありまして、先ほど中村委員のお話の災害の関係はどうかということに対しましては、需給計画全体としてはその影響を受けておるということを申し上げたのは、そういう意味でございます。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 そうすると、これ以外のものとなると、たとえば日本に偏位差があるとか、気象条件の問題から来るとか、そういう問題によつてのみMSAの小麦を受入れることができるというように解釈してよいのかどうか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 通常取引幾らであるか、まあ通常われわれは小麦につきまして、過去の例から申し上げますと、大体百五十万トンないし百六十万トンというものが通常の取引量ということは、二十八年、二十九年を除いた平年の平均作を考えてみると、そういうことになるわけでございます。これがまず通常の取引量と考えたわけでございます。この通常以上の取引量は、その原因がどういう理由によりますか、あるいは災害によつて生産が減少する場合、あるいは消費が特に増加する場合、その他いろいろございましようが、通常の取引量以上に増加するものが、その対象になり得る、こういうふうにわれわれは了解しおるわけであります。

上塚司自由党

○上塚委員長 中村君、外務大臣は七時半にここを退出されますから、できるだけ外務大臣に対する御質問を願いたいのですが、もしなかつたら、久保田君と一時でもかわつていただきたいと思います。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 それではひとつ結論だけ外務大臣にお願いしたい。今申し上げましたように、農林省側としては、百九十六万トンに対して五十万トンというものは特例のようなかつこうになつておる。そうすると、この第三条と齟齬を来して来るという結果が出て来るわけです。それに対してこの第三条をどういうふうに考えていらつしやるか。あるいはもしかりにそのような災害なりそういうものに具体的に割当てるとすれば、おそらく来年度、三十年度において、MSAの協定の場合にこの小麦の問題は一応取下げるのかどうか、その問題に関して伺いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 今の前谷君の御説明もそうでありましたが、つまり百九十何万トンというのは、不作による増加分が入つておるのであります。つまり通常の輸入量はそれよりずつと下まわるものであつて、これに五十万トンが入つて、百九十何万トンになつて、通常の輸入量は阻害しないものとわれわれも承知しております。またそういう阻害するようであつては、他の友好国との関係が非常に困難になりますので、この点は十分注意をいたして今後も行きたいと思います。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 百九十六万トンの中に五十万トン、そういうべらぼうな数字が入つて来るとは私はどうしても思われない。昨年度、二十八年度は大体百九十七万トン入つて来た。そういたしまして、この五十万トンのうちで約二十万トンを災害用に考えていらつしやるということをさつき言つておる。そうすると、その五十万トンに対して、あなたのおつしやるように百九十六万トンの中にこの小麦協定のこれが予定されておるのか、そんなべらぼうなことはないと思うのですが……。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 二十八年度の例をお話になりましたが、申し上げますが、二十八年度におきます当初の輸入計画は百四十七万トンでございました。それで二十八年の十月におきます米の不作によりまして、輸入計画を改訂いたしまして、小麦を百九十七万トンと増加いたしておるのであります。従いまして通常の取引以上に、二十八年度におきましても不作に基きます輸入量の増加ということが考えられておるわけであります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 そういたしますとこの当初計画は、MSAの協定のできない前に百九十六万トンというものをやつておるわけだ。そうでしよう。百九十六万トンというものは市場取引においての構想に基いて出て来たわけでしよう。そうしますとその中に、今言つたように市場取引としての見通しを立てて百九十六万トンをやりながら、実は市場取引でないという五十万トンがここに入つて来た。当然これは影響されるという考え方を私たちは持つわけなのです。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 ただいまのお話でございますが、やはり二十九会計年度におきましても米の不作は、御承知のようにその影響は二十九年産米がとれますまでは続くわけであります。その不足を補うために二十九会計年度におきましても、通常量以上の輸入の増加を予定いたしておつたわけでございます。従いましてその増加いたしました予定分をこれに振りかえますことは、この協定によります第三条とは何ら違反はしない、むしろ第三条の趣旨に沿うておるものだというふうに了解いたしておる次第でございます。

上塚司自由党

○上塚委員長 中村君、前谷君への御質問でしたら便宜この際久保田君にお譲りくださつて、そうして久保田君のあとでまた前谷君に御質問を願うことができれば……。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 いやこまかいことはもつとたくさんあるのですよ。これは関連しているのです。

上塚司自由党

○上塚委員長 関連していることはわかつておりますが、前谷君との応答ですから……。それはまたあとで御質問願うことにして、この際は外務大臣に対する質問を願います。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 それは前谷君がかつてに答えているのですよ。外務大臣が当然答えなければならぬ問題です。

上塚司自由党

○上塚委員長 これは農林委員会における問題が多いように思いますから、できるだけひとつ外務大臣に属することを御質問願いたいと思います。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 だから今言つたように、私は外務大臣に答弁を求めておる。詳しいことは農林委員会がまたやらなければならぬ。ところが外務大臣の方はこれ幸いとこつちへまわしておる。その責任はみんな農林省へ持つて来ておるだけの話です。違いますか。

上塚司自由党

○上塚委員長 私の開いておるところでは、多くは農林委員会における問題のように思いますから……。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 そうですよ。MSAにからんだ農産物の価格の問題をやつておるのですから……。

上塚司自由党

○上塚委員長 それでは進めてください。あと十分です。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 それじや前谷さん黙つておつてください。——そこで今の問題は、たとえばこの第三条の条項は、今言つたようにもしも不作でなかつた場合には一体どういうふうになつて来るか。不作があるとは限らぬ。平年作に現われて来て、大体六千二、三百万石とれるという予想が現われて来た場合においては、この余剰物資の小麦はどうしますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは来年のことは別に書いてないので、ことしの問題であります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 だから来年です。今年米作が平年作の場合においてこういう結果が出て来たらどうなりますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 必要がなければ買わないだけであります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 そうすると、そういうことを最初から想定するようにどうしてできなかつたですか。それともう一つは、こういう条文をつくつて行つて、今言つたように特定の、取引外の問題となるならば、来年度MSAを受入れるという考え方を持つた場合は、この条文とはどういうふうになつて来ますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 来年はまた来年で、新しく協定をつくるのでありまして、そのときに必要がなければつくらないだけの話であります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 ではこれで私は終ります。

上塚司自由党

○上塚委員長 久保田豊君。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 大分おそくなつて大臣もお疲れのようでありますから、簡単にひとつお聞きしたいと思います。今まで大臣の非常な名答弁をお聞き」いたしまして、まことに感心いたしたのでありますが、われわれどうも頭の悪い者にはよくわからないのであります。おそらく国民にもなかなかわかるまいと思います。そこで特に一番心配になるのは、大勢の方が質問をされたように、今度MSAを受けてつくります日本の自衛隊が、いわゆる海外派兵の危険を持つかどうかということが一番根本であります。そこで大臣は、それは規定の上では、そんなことは当然のことで、日本が自主的に決定することだから、憲法の範囲においてそんなことはあり得ない、従つてそういう条約上の規定をはつきりしなかつたが、念のために、誤解を説くためにはつきり談話でもつて発表した、こうおつしやるのでありますが、残念ながら国民は大臣の談話でもつてこの問題が片づくというふうに簡単に考えておらないのであります。大部分の者がやはり派兵の義務があり、あるいは派兵を強要される危険が多分にあるということを皆心配しておるのであります。そこで私はそれに関連しまして、法律の条文の裏をなします事実関係について、二、三重要な点をお聞きしたいと思う。  その第一は、どういうような状況で戦争というような状況が始まつて来るかわかりませんけれども、そういう場合に、自衛隊法で規定し、またこの条文の中でも前文ではつきりいたしておりますように、日本に対する直接の侵略の脅威が出て来るという場合は、保安庁の長官は出て来たら対処するのだとおつしやるが、今日のような科学戦の時代で、しかも非常に緒戦においては迅速に行動しなければならぬというときに、出て来たらやるなどということで、国の防衛ができるはずがない。どうしてもそれに対しては、出て来ない以前にどうしても予防措置といいますか、何らかの措置をどらざるを得ないと考えられる。これは軍事上の通念であります。決して法律の解釈じやない。しかもこういう自衛権の発動をするとかいうようなときには、法律の解釈が事実を拘束するということは、世界のいずれの国の歴史を見ても、ほとんどそうなつていない。特に最近ではそうであります。そこでそういう場合でも、国内でなく国外のどこかにおいて、おそらくこれはアジアでありましようが、そういうところに少くとも日本に直接の侵略を惹起するような要因が具体的に発生した場合においても、日本としては自衛権の発動をしないのかどうか、しないということを確認できるかどうか、この点を一点お伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 自衛権の発動につきましては、先ほど申した通り、その危険が急迫した場合、つまり遠くの方であぶないというようなことでなくして、現実に危険が急迫した場合に、しかも他にとるべき方法がない、この方法以外にはこれを防ぐことはできないという場合に、それに必要な程度の最小限度の行為を措置するのが自衛権の発動であります。従いまして自衛権に関しましては、政府は厳重に考えております。そういうような、何か危険が伏在するという程度のことは自衛権の対象にならない、こう考えております。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 そこで、日本政府はそうでありましようが、さつきから同僚議員からいろいろ出ました通り、自衛権には一定の国際的な解釈の基準があるはずであります。そういう点で、こういう協定や、それ以前のいろいろな安保条約にしても何にしても結んでいるわけでありますが、そういうような日本に対する直接の侵略の危険が急迫しておるかどうかということの解釈の決定権、そういう判定権はどちらにあるのか、日本にあるのか、あるいはアメリカにあるのか。もつと具体的に言いますならば、安保条約によつて日本の国を、いわゆる防衛する責任を負つているアメリカが、アメリカの立場から、これは日本に対する直接侵略の危険がある、こう判定した場合、その立場において日本に合意を求めて来た場合において、日本の独特の解釈ができるのかどうか、またその判定がアメリカと日本と相反した場合において、アメリカ側のとる共同出兵といいますか共同防衛の立場に対して、これを拒否するだけの権限がどこにあるのか、それはどこに明確になつているのか。前に、国内の大きな暴動その他については、日本の政府からの明白な要請があつた場合に初めてアメリカ側が出動するということになつているという説明があつた。それはその通りである。しかし外国から日本に対する直接の侵略の脅威があるということをアメリカが判定をして、そこでアメリカも出動する、その場合、日本も出動せよということを要請した場合において、日本はそれと違つた判定をし得るのか、判定をした場合においてはこれを拒否し得るのか、得るとすれば条約のどこにそういうことがはつきり規定してあるかという点を御説明いただきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 このMSA協定は、元来援助を与え援助を受けるという協定でありますから、そのような戦争の危険が急迫したかどうか、これにどう対処するかということは、この協定には全然ないのであります。そういう問題を規定しているのではないのであります。ところで現実の御質問でありますが、アメリカではそういう危険があるといつても、日本は一体それはどこにあるのだといつて探さなければわからぬようなものは、日本の安全に非常な危険がある問題とはならないのでありまして、これは万人だれにも見えてあぶない、非常な急迫した危険がある。つまり何か空挺部隊が来るとか、何か艦砲射撃を受けそうだとか、こういうときでなければ急迫した危険ということは言えないのであります。そのときには、これは日米安全保障条約を読んでいる以上は、お互いに相談して最善の措置を講ずるのが当然であります。これについては行政協定第二十四条で、両国政府が協議して、あぶないような事態だがまだ出て行かなくてもいいような場合は国内で準備いたしましようし、現実に、侵略されるという事態になりましたならば、これは共同で、将来のことでありますが、自衛隊法が可決されますれば、一緒に直接侵略にぶつかる、こういうことになります。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 そこでもう一つお伺いいたしますが、この条約が実際に発動される場合のいろいろな問題について申し上げるのでありますが、御承知の通りアメリカは北鮮の問題についても、これはアメリカの安全感が侵された、侵略である、こういう観点から御承知の通り出兵をしております。これはアメリカに対する一つの侵略だ、こう考えた出兵であると私は解している。また現にヴエトナム等に対しましても、これはアメリカは直接は出兵はしておりませんけれども、ヴエトナムのような事態そのものが、これは自由諸国に対する侵略である、同時にアメリカの安全に対する一つの脅威である、あるいは侵略である、こういうよに理解して、御承知の通りの大きな援助を与えている。私どもの見るところでは、おそらく今後におきまして、アジアの大部分の国がこういう状況になつて来ると思う。そういう事態が起つた場合に、これは自由諸国全体、アメリカ並びに極東に位置する日本に対する直接侵略の危険が増したものだ、こう解釈して、その立場から日本に対して安保条約に基いて出兵の要請があつた場合、この場合においては日本はどうするか、そういう場合にヴエトナムのような事態あるいは北朝鮮のような事態は、これは絶対に日本に対する直接侵略ではないという解釈がここではつきりできるかどうか、少くとも今日外務大臣は、ああいう事態についてはこれは日本に対する直接侵略もしくは広義の意味において間接侵略の危険が迫つたものではないという確信を持つておいでになるのか、あるいはアメリカ側の主張によつてはそこにまた相談をして、アメリカと同じ解釈によつて、場合によれば出兵をするというふうな考えなのか、この点をはつきり御返答いただきしたい。というのはヴエトナムの事態は、今いろいろの交渉が行われているようでありますが、おそらくアジア全体のいろいろな状況を見ますと、ビルマに、インドネシアに、あるいは海峡植民地、あるいはインドに、こういう危険が次々に行くことは明らかである。条約上いずれということは別といたしまして、そういうことに備えてこそ——大臣とは見解の違いはありましようけれども、日本に対する再軍備の要請、これがアメリカ側から見た一番大きな要請である。こういう点に対して日本の人的資源並びに物的資源をどう使うかということが、アメリカの極東戦略の根本の一つであります。そういうアメリカの立場から、そういう解釈をして、現にそれをやつている。その場合において、日本の政府がアメリカとは違つた解釈で、ヴエトナムのような事態、あるいは北鮮のような事態については、日本の直接侵略の危険にはならないという解釈ができるかどうか、また大臣は今日これに対してどのような信念を持つておいでになるか、はつきりお聞かせ願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 朝鮮の事変は、アメリカは、アメリカに対する侵略だと思つて出兵したのじやないのであります。国際連合が北鮮の行為を侵略行為と断定して、総会の決議をもつて加盟各国に出兵を勧誘して、それに基いて各国が出兵した。その点は御見解は違うと私は思います。日本としては、日本の安全には非常なる影響を及ぼす事件でありますけれども、日本に対する直接侵略とは考えておりません。お話のようなヴエトナムから海峡植民地、どこもここも共産側の侵略が行われるとは私はとうてい信ぜられませんけれども、議論として、もし万一朝鮮と同様の事件が起りましたならば、国際連合がすみやかに朝鮮と同様の措置をとることを期待しております。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 国際連合が同様の措置をとることを期待されるというお答えだつたが、国際連合が決定した場合には、日本が国際連合に加盟をしてなくても、アメリカの解釈に従つて共同の出兵をするのですか、どうですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 朝鮮における国際連合国の措置は、国際連合総会の勧誘に基きまして、その勧誘に応じたい加盟国が兵を出したのであつて、決議がありましても、国際連合加盟国をすぐ自動的に拘束するものではないのであります。あなたは、アメリカの解釈によつて日本がどうこうと言われますが、そういう自主性のないことは、日本政府としては一度も考えたことはありません。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 自主性のない解釈は日本としてはとらないという非常にけつこうな答弁がございました。しかし日米安全保障条約によつて、日本がアメリカに守つてもらう。しかもある意味において、相互の集団防衛の義務を負つておるわけです。そういう場合に、アメリカ側がそういう解釈をして、その解釈に基いて日本に出兵を求め、国際連合は第二段といたしまして、そういう場合、日本がそれを拒否し得る根拠はどこにあるかということを聞いているのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は逆に安全保障条約のどこに日本が相互防衛の義務を負つておるか、どこに出兵の義務を負つておるか、それをまずお聞きしたいと思います。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 それは、条約にどうというよりは、集団安全保障条約いわゆる安保条約によつて、はつきりアメリカが日本を守る、こういうことです。これは大臣も肯定されると思う。けれどもそのアメリカが、日本に対する侵略や脅威が非常に急迫したというような解釈をして、日本に迫つて参つた場合、強要して参つた場合、共同出兵を強要した場合に、日本がこれを拒否し得る根拠がどこにあるかということをお聞きしている。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 兵隊を出すとか、共同出兵をするとかいうことについて、拒否する根拠がないということは——協定に明らかに義務として書いてなければ、義務にならないのであります。書いてないことが義務になるなどということは、私は今まで聞いたことがありません。安保条約のどこにもそういうことは書いてないと信じております。従つて日本には義務がない。義務がなければ強要されることはあり得ない、こうかたく信じております。

上塚司自由党

○上塚委員長 久保田君、岡崎外務大臣はあと三分で退席されますから。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 了承しました。今の点は、書いてないから義務がないというお説でありますが、私どもはそう解釈できない。  そこでもう一つ、視角をかえてさつきどなたかからお話がありましたが、アメリカの極東戦略あるいは世界戦略が相当かわつて参つた。特にニュー・ルック政策というような必要から、従来の戦略方式をかえて、いわゆる飛行機と原爆兵器を中心にする重点配備といいますか、こういうようにかわり、しかもソ連側が何らかの措置に出た場合には、ただちに報復の措置を講ずるということをいつておる。いつておるだけではない、現に向うの軍の最高責任者が議会においての次年度以降の軍事計画の説明で明確にいつております。そうした場合に日本はどのような立場になるかということ、また日本の再軍備がこれと連関してどのようになると大臣はお考えになつておるか特に伝えられるところでは、アメリカとしては少くともアジアにおける最大のニュー・ルック政策といいますか、原爆報復戦略の基地にするのは、第一に沖縄である。それから日本国内にもそういつた拠点を求めるということをいわれております。こういう点については大臣の今までの御答弁によれば、そういうことは私は知らぬ、アメリカから何の通知もない。来てから考えるということであろうと思います。しかしアメリカの今日の戦略の状況、それを裏づけておるいろいろな軍事的な事情、あるいは経済的の事情等を見れば、決してあり得ないことではない。今これに対して世界中がみな心配をしております。アメリカの国内でも、これに対して非常に大きな心配が出ておるわけであります。その場合に、日本が今までのいろいろの協定あるいは協定を超越した軍事基地、その他いろいろの関係から見て、日本が原爆戦争に巻き込まれることは当然だと思うが、そういう場合について外務大臣は軍事のことは外交以外のことだとおつしやるかもしれないが今日外交は、軍事と最も密接に結びつかなければならぬことは言うまでもないことである。これについて大臣はどのようにお考えになつているか、一応お聞きしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 日本におけるアメリカ駐留軍の施設及び区域は、日本の防衛のために設置しておるものであり、同時に日本における国連協力の趣旨から、朝鮮における国連軍の活動に、ついでに資しておるだけでありまして、それ以外の目的に使われるものではないのであります。アメリカの戦略方式がどうであろうとも、日本に関する限りは、日本における施設区域アメリカ駐留軍の行動は、日本の安全を維持する、これに限定されておるのであります。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 なるほど法律の表面はその通でありましようが、沖縄は原爆基地である。これは世界の常識で、みな知つておる。大臣はこれは日本の国内でないとお考えになつておるかどうか。この点を第一番にお伺いしたいのであります。  それから日本に設けられておるアメリカの軍事基地の中に原爆ないしは水爆、もしくはいろいろの種類の原爆兵器に連関するものは絶対につくらせない、そういうものはしないという何らか条約上なり、あるいはその他の約束があるのかどうか、この点を明確にしていただきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 沖縄等につきましては平和条約の規定の通り、日本に主権はありますけれども、現在のところは行政、司法、立法の統治の権能はアメリカが行使しており、普通と非常にかわつた状況にあります。  それから、ただいまの情勢から見まして、日本の安全を守るために、おつしやるようなむずかしい兵器を必要とするとは考えておりません。従いまして将来何らかの同じような危険を保有する侵略的意図を持つたものが、日本の付近に生じた場合には、これはまた別の考慮も必要になる場合もあるかもしれませんが、そういう事態がない限りは、さような種類の兵器は国内においては存在いたしません。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 存在いたしませんという非常に心強い御言明でございますが、それではなかなか国民が安心しておりません。それを何らか条約上の措置その他において明確にしてあるのかどうか、またするつもりがあるかどうかということをお聞きしているわけです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 そういう条約を結んだ国は世界中どこにもないと思いますが、われわれの方もそういう条約を結ぶ意思は、ただいまのところ持つておりません。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 それではもう一つ最後にお聞きしておきますが、非常に問題になつております李承晩ラインのような問題、特に韓国との関係においてああいう問題は、いわゆる一種の侵略であるとお考えになつているのかどうか。国民の大部分はこれを一種の侵略と考えておりますが、これの措置をどうするかということは第二段といたしまして、将来あれに似たような問題が起つた場合の一つの重大問題になりますから、大臣はああいう竹島の問題もしくは李承晩ラインの問題を侵略とお考えになつているのかどうかこの点をお聞きしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは先ほどの自衛の措置と関連しまして、非常に限定して考えなければならない問題であつて、もしああいう問題を侵略と考えれば、自衛措置が講ぜられるわけで、そうしますと、自衛行為というのが非常に広義に解釈されてしまうのであります。われわれは実際に日本の領土を侵略する行為を侵略行為と考えまして、その場合には必要最小限度の自衛措置を講ずる、こういうつもりでおります。但し公海におきましてある線を画してその中に権利を主張する等は、これは国際法的に見ましても、またほかのいかなる見地から見ましても、不当の措置には違いありません。これについては平和的な方法におきまして解決すべく、できるだけの手段を講ずるつもりでおります。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 ただいま李承晩ラインの問題は、いわゆる領土に対する侵略でないというお話でございましたが、私どものところに入つている、特にあそこでもつていじめられた漁師からの報告によりますと、あそこでもつて日本の船をつかまえたり、おつかけている船は、これはアメリカから韓国に引渡され、しかもそれがどこで修理をされ艤装されているかというと、日本の佐世保である。この事実を見て来て漁師は非常に憤慨している。今度の協定の第一条に、他国に対しましてもいろいろの装備、資材、役務その他のものを提供するという一項がございますが、これは事実上このように履行されるのかどうか。また大臣は、李承晩ラインでもつて日本の船をいじめり、つかまえたりしている船が、アメリカから向うに譲られたもので、それを佐世保で修理し補修しているという事実がないというのでございましたら、私どもの方で証拠を出してもよろしゆうございます。証人を出してもよろしゆうございますが、これらが事実かどうかという点について御調査になつたことがあるかどうか。御調査になつたことがありますれば、はつきりした調査の結果をひとつ聞かしていただきたい。一般に私どもそんなことはあり得ないことだと考えております。第一条にもある通り「援助を供与する政府が承認することがある」云々、こういう協定になると、今後李承晩ラインのような問題があつちこつちに起きはしないか。その都度それらに対する艦艇なり武器というものを、日本側がアメリカを通じてなり、あるいはそうではい国を通じてこれを提供する危険が非常に出て来る。これでは国民感情もなかなか納得いたさないと思いますが、こういう事実を御調査になつたことがありますかどうか、またそういうことは今後しないというのかどうか、この点を明確に御答弁をいただきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 時間がありませんので詳しく申し上げられませんが、今までの久保田君の御意見にはことごとく私は反対でありましたが、この点だけは賛成であります。御意見の通りでありまして、もしそういう種類の船を日本が修繕するならば、これはおかしなことになる。修繕等はいたさないのが適当であろうと考えております。過去において、こういう問題が起りました前において、修繕した事実はあると思います。またこういう問題が起つておつても、直接にそういう方面に使用されるかどうかわからずに、修繕した事例もあつたかと思いますが、実はこういう点については、国際関係もあり、また日韓問題は平和的に処理しようと努力しておりますから、あまり問題をむずかしくいたしたくないけれども、そういうことはMSAの関係の問題でも起り得ないと限りませんが、そんなことはめつたにないと思います。しかしそういう種類のことは日本としてはやるべきことでないと考えております。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 そうしますと、過去においてはあつた、こういうわけですな。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 こういう問題が起る前には、当然あつたと思います。

上塚司自由党

○上塚委員長 これにて本連合審査会は散会いたします。     午後七時三十九分散会

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