外務委員会 第52号
- 発言数
- 236 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/05/18
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。質疑を許します。並木芳雄君。
○並木委員 私は大体昨日質問をいたしまして要を得たつもりでありますが、なおその後政府の答弁を聞いておりますと、納得の行かない点が若干ありますので、きようその点について質問いたしたいと思います。 まず第一は秘密の問題でありますが、今度の千六百二十トン級二隻、千四百トン級二隻の駆逐艦にはいかような秘密がありますか。
○増原政府委員 まだ何号ということがきまりませんので明確には申し上げられませんが、大体現在借りておりますPFにある程度のレーダー、識別機、その他二、三のもの、大体いわゆるCICルームといいますものの中にあるものでありますが、そういうものが予想されます。
○並木委員 秘密があるといたしますれば、やはりその秘密を保護しなければいけません。この協定でそうなつております。そこで改正法案を出してもいいのだろうと思うのですけれども、昨日の岡崎大臣の答弁では、次の国会にこれを譲るということでございました。きのうからきようにかけて改正法案をおつかけて出すように方針を改められましたかどうか、その点を伺います。
○岡崎国務大臣 私に関する限りは、まだ昨日と同じような考えを持つておりますが、お話の次第もありますし、まだ会期も若干ありますので、さらに十分検討はいたします。
○並木委員 これは私はやはり改正法案をおつかけて出した方がいいと思います。実はそのことで参議院にペンディング中の法案に対して改正案が出せるかどうかということについて、私はきよう国会の方の法制局へ行つて相談をして来たのです。不手ぎわは不手ぎわでありますけれども、出せるそうです。つまり秘密保護法というものが成立することを前提として改正法案が出せるそうです。もしそれがいやだというならば単行法でお出しになればよろしい。そうでありませんと、どうしても今までの政府の答弁がつじつまが合わなくなつて来る。きのう大臣はこの四隻は大体十月から十一月ごろの引渡しになる予定であるから、次の通常国会を待つて法的措置を講じても、まあ大丈夫であろうというような答弁でございましたけれども、それにしてもそこに二月または三月くらいの空間が出て来ます。しからばその間の措置はどういうふうになされるおつもりであるのでありましようか。
○岡崎国務大臣 これはまだ先方とも相談しておりませんから、はつきりしたことは申し上げられませんが、万一そこに予定されたようなぐあいに行かなくて、時間的なずれがあるという場合には、あるいは特に秘密を要するものを一時取除くというような方法も講じられるのではないかと思います。
○並木委員 一時取除いてもそれは運行その他にさしつかえないようなものだということは大臣おわかりになつているのでしようか。
○岡崎国務大臣 運行に全然必要がないというわけではありますまいが、しかし実際の運行には私はそうさしつかえないのじやないかと思つております。
○並木委員 この四隻は予定としては十月または十一月の引渡しでありますが、このほかに十七隻のうちでそれより以前に引渡されるものもあり得るのではないのでしようか。
○増原政府委員 大体において今度この協定でもらいますものは、今の一応の予測としては向うへ行つてもらうという形のものであります。向う側も大体そう申しております。そうしますと、今からこちらの方の募集、基礎訓練、向うへの渡航、いろいろのことを考えますと、受渡しをするのは、やはり十月、十一月ごろ、それより早くは困難であるという見通しであります。
○並木委員 いずれにいたしましても、やはり秘密保護法を提案されたときの大きな理由の一つが、この秘密保護法をつくらなければ、アメリカから兵器が供与されないのだということであつたのです。これは政府は否定しないと思います。ですから、その平張を一貫されるのであるならば、秘密保護法の一部改正法案というものを出した方がいいと思うのです。大臣は一時秘密に属するものをとりはずすようなことも考えられるとおつしやいましたけれども、実際にレーダーとか、識別機その他二、三あるものをとりはずすということもなかなかむずかしいでしようし、それによつてかえつてまた秘密の保持ができないというような心配もあるのでしようから、この機会に大臣としては急いで改正案を出すと明言されたらいかがでしようか。今度は私の方はこの艦艇貸与の協定には賛成の立場にありますので、前に言つておることと政府の出張が一質しないと、困ると思います。ことにこのことのために参議院の方で思わぬ齟齬を来すということも考えられますから、大臣としてはこの機会に決意をされたらいかがですか。
○岡崎国務大臣 お話の次第は十分考慮いたしまして、さらに研究いたしますが、政府の申しますのは、こういう秘密保護法案がなければアメリカ側としては秘密であるべきものをよこすわけはない。これは今も同様に考えております。ただ一箇月なり一箇月半なりの時間的ずれがあるのは、これは必ず同様の取扱いを受けるのだということでありますれば、これは一時の善後措置でありますから、常識をもつていろいろとりはからいができることとは考えますが、しかしさらによく研究をいたしましていずれかに決したいと思います。
○並木委員 それではもう一つの方の疑問についてお尋ねをいたします。今度の艦艇という名称をどうして船舶から改めたかということを私が昨日聞きましたところ、船舶貸借協定のときには海上警備隊に属するものを海上警備船と育つたから船舶という文字を使つたのだ、今度は自衛隊法ができますと、海上警備船は自衛艦となるから、艦艇に改めたという答弁でございましたが、ただそれだけのことで改められたのでありましようか、そのほかに何か実質的な原因はありませんか。
○下田政府委員 もう一つの形式的の理由でございますが、前はチャーター・パーティ、本来は傭船という字でございますから、船舶貸借と訳したのでございます。今度の場合はネーヴアル・ヴエッセルズ、つまり英語が前の協定と今度の協定は違うわけであります。それからもう一つの理由は、駆逐艦というのは伝統的な用語になつております。これも駆逐船とか、駆逐艇とか訳しますと、これはまた違うものになつて参りまして、小さなランチのようなものが駆逐艇になりますので、やはり伝統的な駆逐艦という用語を使わざるを得ないのであります。そうしますと、協定の英語も艦艇と訳した方が自然であり、すなおでありますので、そういうように訳したのであります。
○並木委員 船舶を艦と改めたのは、もつぱら日本の国内の関係が原因であるようであります。そうするとアメリカの方では、当時船舶貸借協定のときにはチャーター・パーテイとして了解をしておつた。従つて当時の保安隊、海上警備隊は直接侵略には当らないという政府の答弁でありますから、アメリカが例のパトロール・フリゲート艦と上陸支援艇とを日本に貸すときの了解としては、直接侵略に当らない、単なる治安の維持に任ずるものである、こういう了解のもとにでき上つた協定であると思います。それが今度日本の国内の措置において自衛隊法ができて、直接侵略にぶつかつて行くということになると、実質的に相違が生ずるのでありますから、あの協定はやはり船舶協定から艦艇協定へ改正しなくてはいけないのじやないか、こういう疑問を私は持つのです。この点はいかがでしよう。
○下田政府委員 借ります艦艇をどういう目的に使うかということは、これはもつぱら日本側の内部事項でありまして、協定そのものには、それを直接侵略に使うとか、あるいは海上の治安維持だけに使うとかいうことは、何ら触れていないわけであります。目的については、協定自体は白紙でございます。でありますから日本の内部事項といたしまして日本独自の見地で、日本の法案の改正手続によつて違う目的に使用して、一向さしつかえないものである、そういうように考えております。
○並木委員 そうすると、かりにこれを将来艦艇を軍艦に変更しても、対アメリカとの関係では一向にさしつかえない、こういうことになりますか。
○下田政府委員 仰せの通りであります。
○並木委員 それならば一思いにこの際軍艦というふうにした方がいいじやないですか。政府はこれを、対外的には公船として取扱つてもらうつもりであると言われますけれども、公船よりも軍艦の方が待遇、保護などについて厚いのではないですか。これを今ただちに軍艦に持つて行けないという、何か特別な理由がありますかどうか。きのうもこれはちよつとお尋ねしたのですけれども、もう一度専門的に答弁してもらいたい。
○下田政府委員 軍艦として扱うかどうかということは、単に国内の関係のみならず、国際的の関係も生じます。つまり国際法上の問題といたしまして、軍艦と称するためには一定の条件がございます。その条件を満たす場合には、外国に参りました場合には治外法権でありますとか、あるいは儀礼上の取扱い等があるわけでありまして、やはりみだりに、日本のかつてで軍艦と称するわけには行かないわけであります。
○並木委員 しかしそれらの条件を備えておるのじやないですか。今のいろいろの観点から考えても、外国との関係において、今度の駆逐艦などは日本が軍艦として取扱つて、ひとつも条件において欠くるところがないと考えるのでありますけれども、何か欠くるところがありますか、これも専門的に答弁願います。
○下田政府委員 軍艦は広義の公船の一種であります。つまり軍艦と軍艦でない公船と二つあるわけでありますが、軍艦と称するためには、国家の海軍組織に属するものであつて、海軍将校の指揮下にあつて、しかも一定の軍旗、海軍旗として国際的に認められる旗を掲げて行動するものであります。でございますから、日本は厳密な意味においての海軍というものは、これは現憲法下では認められないわけであります。つまり国の交戦権の行使の手段としての海軍というものは、日本は認められないわけでありますから、厳密に申しますと、これを軍艦と称するわけには行かないのであります。しかし目的が自衛のためであります。そうして海軍はございませんが、自衛を目的とする国家の機関に所属するものでございまして、そうしてやはりその自衛のための幕僚監部というものが将来設置されまして、その指揮系統に入るわけでございます。でございますから、軍艦と同じような任務を持つわけであります。日本としては権利として外国に軍艦として認めろということはできませんが、その取扱いは先方の外国側の取扱いいかんにまつわけであります。事実においては少からざる国民はこれを軍艦として認め、あるいは軍艦としての待週を与えてくれるかもしれません。しかしそれは事実の問題でありまして、日本側が法律上の権利として要求することはできないわけであります。そこに軍艦と将来の自衛隊に属する自衛艦というものの法律上の違いが生じて来ると思います。
○並木委員 軍艦に変更するためにはどうしても憲法改正が必要ですか。それとも三党防衛折衝などが再び開かれて、軍艦と呼ぼうじやないかというふうに国内的の法律が改まれば、これは今条約局長の言われた専門的な意味における軍艦ということに改めることができるかどうか、この問題はいかがですか。
○下田政府委員 憲法九条との関係を見ますと、軍艦というものは何かと申しますと、これは国の交戦権行使の手段そのものでございますから、国の交戦権はこれを認めない――ただ自衛権は憲法で禁止されておりませんから、自衛権の行使の手段であることは確かでありますが、交戦権行使の手段ということはできないわけであります。そこで厳密な意味においてはこれはやはり軍艦と称し、そうして軍艦としての特権なり地位なりを外国に要求するということはできない、そういうふうに考えます。
○並木委員 交戦権行使の手段ということで、これは議論になるかもしれませんが、今の局長の交戦権というのは、戦いをする権利というように解釈しているのではないですか。今まで政府の答弁によるところの交戦権の狭い意味での解釈と違つているというように感じましたが、この点はいかがでしようか。
○下田政府委員 ただ砲火を交えるという、戦う意味の権利だけではございません。国際法上敵船あるいは中立船舶についても臨検拿捕し得るということが軍艦に認められた国際法上の権利でありますから、自衛艦はそういうことはできないのであります。国が交戦権を認めておりませんので、中立船の拿捕までできないわけであります。そこに非常な相違があります。
○並木委員 それじや確かめますが、憲法改正をしなければこれを軍艦と呼び、軍艦としての取扱いはできない、こういうことになりますか。
○下田政府委員 国際的には現憲法のもとに、軍艦と称するといたしましても、軍艦に伴う特権なり地位を国際的に認められないものでありますから、羊頭を掲げて狗肉を売ると申しますか、名と実体が伴わないものになる、そういうことだけでございます。
○並木委員 岡崎大臣にお伺いしますが、これは憲法が改正できれば軍艦に変更した方がいいと私は率直に今感じたのですが、大臣としては将来できるだけ早くこの艦艇というものを軍艦に持つて行きたい、こういう意思の表明があつてもしかるべきだと思います。この点についての決意をお伺いしておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 そういう問題は、いろいろ政治的な問題にもからんで参りまして、外務大臣として御答弁することは適当でないと思います。これはやはり一つの政党なり、また政党を基盤とする政府全体としての問題でありまして、ただいまそういう点について私から御答弁は差控えたいと思います。
○並木委員 こういう点がやはりわれわれ外務委員としては、岡崎大臣がお答えにくいところであるならば、総理大臣に聞きたいと思う。しかし個人岡崎としては答えられると思います。木村さんはよく個人木村で答えられておりますが、個人岡崎としてはいかがですか。
○岡崎国務大臣 私は外務委員会には外務大臣として出席しております。
○並木委員 それで十七隻の全部が、アメリカの公法百八十八号によるか、それとも、そのほかのMSAそれ自体で来るかということは、増原次長も今のところでは確信がない模様であります。どう考えても、あの百八十八号で来る方が、大型のいい船が来るように思われるのですけれども、その点はどうでしようか、公法百八十八号によらなくても、MSA自体に基いて来る艦艇が、案外優秀なものを持つて来るということは考えられるのですか。
○増原政府委員 大体要望しておる艦種は前に申し上げたことがあると思います。それで千五百トン以下のものでありますから、いわば大ざつぱにいつて、優秀な船は優秀な船というと語弊がありますが、小さい船がMSAで来る、こういうことになります。
○並木委員 そうすると、大体二十五隻を予定している公法百八十八号というものは、やはり大事なものであるから、特別の法律ができる、こういうふうになつていると了解していいのでしようか。
○増原政府委員 これは必ずしも大事というわけでなくて、法律を並木委員もお読みになつたと思いますが、駆逐艦もしくはそれと同等程度以下のもの二十五隻とただ書いてあるだけであります。別に特に優秀だから何とかいうことでありません。ただ千五百トン以上のものであるとMSAでは借りるわけに行かないということがあるのであります。
○並木委員 千五百トン以下でもこれに入つて来る別個の単独法律をアメリカがつくる、そこのところの区別がわれわれにはわからないのです。アメリカに何かはつきりした区別があるのですか。どういうものは単独の法律を別個に出さなければ外国に引渡せないのだという、もう少し基本的な法律あるいは方針というものがあるのじやないですか。行き当りばつたりに、あるものによつては法律をつくつて渡す、ものによつてはMSA自体でよこすということでわれわれとしては判断に困るわけです。
○下田政府委員 そこが大陸法とアングロサクソン法との違いでございますが、MSAでも上陸用舟艇を貸与することができ、また公法百八十八号でも貸与できる。同じものを貸与できるなら、一本にまとめてきちんとした法律をつくればいいじやないかというのが、大陸法または日本もそういう考え方でありますが、アングロサクソンは、同じものを貸すのでも、二つも三つも法律があつて一向意に解しないというやり方であります。ただしいて相違を申しますと、公法百八十八号は権限法、大統領に貸す権限を与えることを目的として書かれておりまして、予算の裏づけがないのでございます。でございますから、百八十八号に基いて貸与する場合に、修理をしなければならない、修理をするのに予算がいるということになりますと、その予算はMSA協定のもとでMSAの予算から出す、つまり予算の裏づけのない権限法であります。ところが、MSAの方は予算の裏づけのある予算法、権限もありますけれども、予算の支出を承認する予算法であるわけであります。二重の性格を持つておるわけです。でございますから、MSAのもとで与える場合には、新品でありましたならば、その建造費までもMSAの中から出す。それからその引渡しに必要な経費もMSAの方から出すということになります。ところが公法百八十八号ですと、すでにある船をただ貸与するその権限を与えるということで、予算の裏づけがないのでありますから、予算の方はMSAの予算から支出する。二つの法律の間にはそういう多少の差異があるわけです。
○並木委員 昨日非常に問題になつた点は、附表へだんだんとつけ加えることができるのじやないか。大臣は、十七隻以上はこの協定では借りません、こう答えましたけれども、この協定の形からいうと、何もそういう制限はございません。幾ら借りてもよいと思う。われわれの立場からいえば、多々ますます弁ずで、大いにわれわれが困るほど優秀な艦艇をうんと借りてよいと思う。その点十年もたつたオールド・ミスの艦艇だけで、使えるかどうかわからないようなものらしいのですが、それにしても、この協定をそのまま読むときには、MSAとどこが違うのだ、こういう感じを率直に受けます。もつぱらこの協定は、アメリカの国内関係でアメリカで別の立法を講じなければ引渡せない、そういうものに対処してつくられた協定である。これが突貫上の理由だと思う。ところが、協定に出て来た表面の文字だけ読むと、MSAとほとんど同じだ。だからこの協定がなくても、日本としては、アメリカの方さえ承知すれば、どんどんMSAで借りて来ていいじやないか。引渡しの都度、例の細目協定をつくればいいじやないか、こういうふうに感ずるのですけれども、この感じ方は間違いないと思われるかどうか。たとえばこの協定のどこかに、これはアメリカの法律の百八十八号あるいはその他の単独法に基いて供与される艦艇に適用するのだということが書いてあれば、これははつきりMSAとは別だと思いますが、私はそういうことは書いてないと思う。ただ単にMSAの延長である。姉妹編である。日本にはなくてもよいものだとさえ思われますけれども、その点について私の感じが間違つておつたら、間違いの点を指摘していただきたいと思う。
○下田政府委員 誤解を避けますために先にお答えいたしますが、私はただ法律論として法律的の可能性だけを論ずるのでありまして、その通りにするかどうかということは、これは政治的の見地からの御決定にまつわけであります。仰せのように、MSAで陸海空の援助物件すべてを受けられるわけでありません。一つの穴がございます。それは五百六条に、千五百トン以下の艦艇でなければ援助物資は貸与できないという、そのMSAの穴を埋めることを目的とするのが、この協定のまた一面であります。ところが、百八十八号というものの中にも、駆逐艦以下の二十五隻以下という制限があるわけであります。そこで日本は十七隻の要請を出したのでありますが、この二十五隻以下の中に、うまく日本の要請にマッチするような船があるかどうかということも実ははつきりはしない。そういうことになりますと、初めから協定に隻数を掲げて動きがとれたくするということは、これはできないことであります。そこでMSAの穴を埋めるという要請と、もう一つは、公法百八十八号で掲げてそれに限定してしまつては動きがとれなくなるという実際上の見地、この日米双方の要請が合致しまして、そうして隻数を掲げなくて、法律的には何隻でも借りられるような協定にした、そういうのが実情でございます。しかし十七隻借りたあとの十八隻目以下をこの協定で引続き借りられるかどうかということは、これはそのときに考える問題でありまして、はたして駆逐艦以下の船であるからこうこういう条件で貸すけれども、ほかの船ならもう少し条件が違うのだとアメリカが肯うかもしれませんでございますから、将来の艦艇の貸与の形式ということは全然白紙で、未定の問題であります。
○並木委員 最後にもう一点お尋ねいたしますMSA発効してから今日まで、保安隊に対してMSAに基いて何らかの兵器が供与されましたかどうか。されたものがあれば、その明細をこの際承つておきたいと思います。 それから今度の艦艇の製造年月を昨日聞きましたけれども、いずれも一九四三、四年で、今から考えると十年内外昔に建造されたものばかりでございます。これはわれわれしろうとの感じでありますけれども、駆逐艦のような優秀な性能を持たなければならないいわゆる軍艦は、十年もたつたら実際としては役に立たないのじやないか、こういう感じを受けるのでありますが、政府としては当然これは役立つものである、新鋭兵器であるという確信を持つてこれに当つたものと推定いたします。そこで年数がたつておる駆逐艦であるけれども、これは役に立つのだ、これからもまだ大いに使えるのだということを答弁として求めたいのでありますが、今後使えるとすれば寿命はまだどのくらいあるのか、こういうこともあわせてお聞きしたいと思います。
○増原政府委員 MSA協定発効後もらつた船があるかということでありますが、まだこれに伴うとりきめをいたしたことはありませんで、MSA協定に基く供与というものはありません。ただ誤解を避けるために申し上げますと、十一万の陸の部隊に対するタンクその他の武器でまだ足りないものは、現在引続いて貸与をされております。これはたびたび、申し上げましたが、十一万に対する分は従来正規のとりきめがないのであります。そのとりきめをどうするかということはなおあとで協議をすべき問題でありまして、場合によつてはあるいはMSA協定の細目とりきめという形になるかもしれぬという一つの見通しもなくはないのであります。 もう一つの問題は、並木委員はきのうから盛んにこれはオールド・ミスじやないかと仰せられておりますが、これが一九四〇年から四三年ころにできたものということは事実であります。しかしこれは十分役立つものでありまして、沿岸の警備に就航させる有効なものとして借りられる、その見込み判断は十分につけておるわけであります。
○上塚委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 最後に整理をするために、まず増原次長にちよつとお尋ねいたしますが、この協定以前に今までにアメリカから供与されておる船舶で、海岸線防衛に役立つフリゲート艦その他の船舶の隻数とトン数をひとつお知らせ願いたい。トータルでけつこうです。
○増原政府委員 今まで借りておりますのはフリゲート十八隻とLSSL五十隻であります。これはある意味において海岸警備、海岸防衛には両方とも役立つものであります。トン数のトータルは、LSが五十隻で一万五千二百五十トン、PFが十八隻で二万六千百トン、合せますと四万一千三百五十トンであります。
○穗積委員 そうしますと、これは概算でございますが、今度この協定によりまして、ひとまず昭和二十九年度末までに借り受けたいと思つておる予定数を合せますと、約六万九千トンのトン数になるわけでございます。せんだつてわれわれが繁いたしましたアジア諸国における海軍力の表を、今朝いただいて拝見いたしますと、まず朝鮮が、これも性能はむろん日本より低いもので、最高フリゲート艦一千四百三十トン、これが四隻。以ド哨戒船あるいは掃海艇等、合せて二十隻、一万八千トンという報告でございます。それから中華民国がこれも艦種は申し上げるまでもなく御承知の通りでありますが、九万六千八百トンということになつております。それから中共が六万八千トン、フィリピンが二万二千トン台、タイが二万六千トン台、インドネシアが一万五千トン台、ビルマがただの六千七百十トン、セイロンが一千トンばかりのもの一隻、こういうことになつておりますが、この海上艦艇だけに限りまして、増原次長がこれらアジア諸国におきます各国の保有海軍力と諸情勢をあわせ考えられて、当座満足と思われるトン数は一体どのくらいでありますか。このことはもとより日本の経済力、軍事予算負担力との関係がありますが、その点は一応オミットして、防衛そのものだけから、満足すべきトン数並びに隻数はほぼどのくらいにお考えになつておられるか、もう一度念のために御開陳をいただきたいと思います。
○増原政府委員 お手元に外務省の方から提出されました資料は、ジェーンの年鑑によつたものと拝承しております。従いまして特に中共関係であるとか、あるいはソ連の東洋方面のものなどがきわめてわかりにくい数字であることは御了承が願えると思います。 なおそうしたものを見て、今日本が持つを適当とする艦艇の隻数、トン数等、財政等におかまいなしに考えたらどういう数字になるかというお話でありましたが、これは私ども政府の一員として考えますときに、さようなものにおかまいなしに考えるように頭が動いておりません。すべてのものを考え合せてやらざるを得ない立場にありますので、きのうも申し上げましたように、諸情勢を勘案いたしますと、現在のところどの程度のものが適当であるというふうな数字を申し上げることは非常に困難であります。ただ自衛力あるいは防衛力漸増という線を政府はとつておりまして、現在持つております隻数、トン数では満足できがたい、さらに漸増の必要があるということは申し上げてさしつかえないと思います。しからば何万トン、何十隻をもつて適当と考えるかということは、なかなか諸種のデータが裁定困難でありますので、まだ申し上げるだけの固めをいたしておりません。
○穗積委員 二十九年の暦年もすでに半ばになつておりまして、やがてまた来年度の予算の編成にも着手しなければならないだろうと思います。そうなりますと各省別の予算の基礎の積み重ねとして、そろそろ具体的なアルバイトに入らなければならぬと思うのであります。そうなりますと、今われわれに審議を要求しておられますこの十七隻というものは、二十九年度における増強計画として今おつしやいましたアジアにおける諸国の海軍力、それから国際構旧勢と日本の経済力をあわせ勘案された結論であつて、防衛そもものから見るならば、または防衛そのものから見ないで今おつしやつたように経済力等もあわせ考えざるを得ないと思うが、それらをあわせ考えられてなおかつこれでは不十分だと思つておられるか。不十分だと思つておられるなら、われわれ再々長期の計画を永してもらいたいと青いましたが、その長期最終の計画はできぬというならは、それはそれでけつこうですが、すでに来年度予算の編成の時期にもやがてかかるわけでございますが、そうなりますと、一体来年度の増強計画はどういうおつもりでございますか。それなくしてこれが多いとか少いとかいうことは、その御算をいただかなければわれわれは論議できない。そこで後に申します昨日来問題になつておりますこの第一条の問題、すなわち十八隻以上の船がこの協定によつて、貸与できるのか、すなわち附属書に盛られるだけでそういうことができるのかどうかということも問題になつておるわけでございまして、そのことに対して今まで外務大臣に幾たびお尋ねいたしましても、不確定要素を基準にして答弁するわけに行かぬという非常に趣旨のあいまいな御答弁でございまして、はなはだどうも結論が難いので、われわれとしては、こういう質疑を何べんやつても、何時間やりましても、これだけでわれわれの結論を出すわけに行かぬから、この際は責任者をかえて増原次長に、ひとつこれに続きます次年度の次のステップをお尋ねしておきたいと思うのです。
○増原政府委員 来年度の予算、その基礎をなすといいますか、増強計画というものは、ただいませつかく検討中でございまして、まだ結論にもちろん達しておりません。結論に達しますならば、これを要請として予算に盛つて、政府部内の意見をまとめるという段階になつておりますが、まだその結論には到達いたしておりません。
○穗積委員 こまかい数字の結論はお出にならぬでもけつこうですが、それでは来年度は、大体予算等とからみまして、今年度よりふやすおつもりですか、現状維持で行かれるおつもりですか、そのくらいはおわかりになつているでしよう。
○増原政府委員 これは財政等の見通しが非常な重要問題でありますが、今年借り受けるもの、あるいは予算で認められまして建造するもの、そういうものができ上ると仮定をいたしまして、それでとどまるということは大体なく、若干とも増強をいたしたいという心持を持つておりますが、その増強分が何隻、何千トンであるかということは、まだ結論に達していないという状況でございます。
○穗積委員 それではお尋ねいたしますが、いつごろまでにその増強の計画を確定されるのか、あるいはまた多少の草案をおつくりになる御予定でございますか、お尋ねいたしておきます。
○増原政府委員 これは今年度の予算が通りましても、まだ法律ができなくて本年度のことにとりかかつていないような現在の状態でございまして、今ちよつとここで一月以内とか二月以内とか三月以内というようなことを申し上げる段階にもまだ到達しておりません。
○穗積委員 それでは続いてお尋ねいたしておきますが、来年度の海軍力の増強分につきましては、ことごとくアメリカから借り入れるおつもりですか、国内の建造分をふやすおつもりですか、どちらで行かれるおつもりか、その基本方針だけでもお示しください。
○増原政府委員 大ざつぱな方針は、やはり米国の方に要請をして借りることもいたしたいと思いますし、財政の状況が許すならば、若干は国内建造もいたしたいという大体の考えであります。
○穗積委員 われわれははなはだ遺憾でございます。こういうような外交問題にも関連をし、しかも予算を通じまして経連もわれわれの生活にも関係のある基本問題が、さらに無方針のままに、風の吹くままに、そのとき、その都度決定されて行くということでは、はなはだ心細い。しかもその風の吹くままにというのは、アメリカの風の吹くままにでございまして、アメリカ次第ということで、常にあるいは増強を押しつけられたり、あるいは削られたり、まことに自主性がない。自主性がないから、昨年の九月以来増強計画を発表するという約束をしておきながら、いまだにそれを発表することがで羨い。われわれの判断によれば――われわれの判断ではない、客観的な判断でございますが、客観性のある合理的な判断によれば、一にアメリカ次第でございまして、この点から見ましても、まさしくこの協定の内容から見ましても、まつたくアメリカの植民地軍をつくらされるという意味にしか実はとれないわけでございます。政策の違いは各人自由でございまして、われわれはこの際再軍備を必要としないと思うが、あなた方は必要とすると思つておられるわけですから、おられるならば、やるにしても国民に納得のできるように、あなた方の再軍備の論理と計画、方針というものは、もつと自主的に明確にすべきだということを、私は御注意申し上げておきます。これ以上質問いたしましても議論になるばかりでございますから、前に進みます。 次に岡崎大臣にお尋ねいたしておきます。第四条に引渡しのことが規定してございます。そして引渡証書に署名をするときに、向うの国籍である軍艦の国籍がかわつて、日本の占有にかわつて、日本の公船であるか軍艦であるか知りませんが、まあ日本のものにかわるわけでございまして、そのときから占有使用の権利と、それから第八条にいつております補償の義務をわれわれは負うわけですが、聞くところによりますと、その後一箇月ないし、三箇月の間、かの地において引渡しが行われて後に、アメリカの兵隊の指揮によつていろいろ訓練されて、その後にわが国に回送されるということでございましたが、法律上解釈いたしまして、占有使用の権利がこちらに移り、向うの国籍が抜けて、そしてわれわれの方には補償の義務が生じます時期は、向うの軍人の指揮監督を実質的に離れるときでございますか、こちらから向うに行つてその訓練の始まる時期でございますか、いずれの時期でございましようか。
○増原政府委員 きのう申し上げた言葉が足りなかつたかもしれませんが、行つて引渡し訓練を受けるというのは事前の訓練でございます。引渡しを受けましたそのときからわが方の占有が始まり、わが方の使用する公船となるということであります。その訓練を受けます際には向うの将校その他に教授を受けるということがあります。引渡しを受けてわが方のものになりましてからは、わが方の指揮のもとで回航をして来る、こういうことでございます。
○穗積委員 そうしますと、第四条にいつております引渡証書に署名をして彼とわれとの間における権利義務が発生いたしますのは、その訓練終了後でございますか、法律上そういうように理解してよろしゆうございますね、間違いございませんか。
○増原政府委員 これは一つは便宜方法の問題であります。一応訓練を受けて日本の方の警備隊で動かせるようになつたときに、引渡しという形式をとろうというのが向うとこちらとの話合いでありまして、そういう形で引渡しをしよう、そのときに引渡しをするという問題であります。
○穗積委員 今の御答弁ちよつと不明確でしたが、その引渡しの形式というのは前にやるのですか、あとにやるのですか、訓練が済んでからですか。
○増原政府委員 訓練が済んであと動かせるようになつたときに引渡しという措置をとろうという申合せです。
○穗積委員 引渡しが完了いたしましてから、アメリカの軍港または領海、あるいはまたアメリカの海岸線等にとどまることはございませんね。
○増原政府委員 引渡しを受けましてとたんに飛び出すというわけではありませんから、しばらく置くこともしようがないと思います。
○穗積委員 次にお尋ねいたしますが、きのうちよつと伺つたのですけれども、回航いたしましてから、これらの船は一体どこの軍港に配置されて、ただちにどこのどういう訓練なり任務につくのか、少し具体的に説明していただきたい。
○増原政府委員 まだそこまではつきりきめておりませんが。大体において船隊、船隊群――今度は船隊、船隊群という言葉を自衛隊の方では名前をかえますが、現在の船隊、船隊群に編入をして、これは新しい言葉では全体を自衛艦隊というふうにいたしますが、その構成の一つの自衛艦となる。軍港というものはございませんで、いわゆる佐世保、舞鶴、横須賀、今度予算、法律が通りますれば、呉、大湊という五つの地方総監部があります。大体ここで受けますものは地方総監部に配属するということはいたさない予定で、船隊、船隊群等に配属をして訓練をし、また警備をするというものに使うつもりでおります。
○穗積委員 その五つの軍港に配置されますトン数、隻数の配置表をひとつお示しいただきたい。これは今まで借りておりました先ほどの六十八隻の軍艦ですね、これと合せて一括して一緒に編成になると思いますが、一体、どこの軍港へどのくらいの主力のものを何隻、何トン置くのか、その配置表をお示しをいただきたい。
○増原政府委員 さつき申し上げましたように、地方総監部に配属するものは小さい船、雑船と掃海艇くらいであります。LSSLといいますか、上陸支援艇は若干のものを配属しておりますが、PF、これから借りますもの等は船隊、船隊群にしまして、地方総監部に配属してない、将来もしない、船隊、船隊群として訓練をし、警備に当るという建前をとるものであります。
○穗積委員 そうしますと、船隊または船隊群の事実上おもに碇泊する根拠地はどこですか。
○増原政府委員 現在は事実上主として一番多くおりますのは横須賀であります。
○穗積委員 先ほど言いましたように呉も加えて五つにしようということですが、そうしますと相当編成がえになりますか、どこが船隊の根拠地になるのですか。
○増原政府委員 どこが根拠地ということはございません。主として一番よけいおるところはどこかと問われますと、現在は横須賀であります。これは佐世保にまわつて行くこともありましようし、舞鶴にまわつて行くこともありましようし、大湊にまわつて行くこともありましよう。最低年に一度くらいは一周して訓練を行うということを現在までもやつております。将来もそういうことを行う予定であります。
○穗積委員 続いて、私が先ほどお尋ねいたしました訓練の計画と、それからつきます任務につきましてお尋ねいたします。
○増原政府委員 訓練というのは、現在のところは何といいますか、乗員がどんどん養成され、船がだんだんふえて行くということで初歩訓練が非常に大きい部分を占めております。ある程度一つのまとまつた船の訓練が済みました時分になると、また新しい船をもらつて来て、そのなれた人を何というか静めて、一船の人を二船、三船にわけるというようなことで、大体今のところ本年度も新規の養成訓練というものが主たるものになります。ある程度一船々々の養成訓練ができますと、船隊としての回船ないし五船のまとまつた訓練をやります。それができますると、船隊群として、今のところは一船隊、二船隊でありますが、それからは三船隊、四船隊等ができまして、そうしたものを合せて船隊群としての訓練を行う。現在までは警備、警戒の任務としては第一線をいわゆる海上保安庁がやつておりますので、特別にどういうものということはありませんで、主として訓練に当つておるわけであります。実際に行動をしましたのは近畿方面の水害の際にいわゆる救助のために行動をした。このたび北海道の漁船の遭難の際に、やはりその救助のための行動に目下出動をいたしておるというふうなことであります。
○穗積委員 訓練には大洋といいますか、遠海といいますか、遠洋の訓練はやつておりますか。それで今までやり、これからやろうとするのはどの程度まで行きますか。南方方面まで出て行つて訓練をする、あるいは世界一周の訓練をするということが、かつて日本海軍において行われましたが、そういう遠洋の訓練は今までにやり、またはこれからやるおつもりですか。一体その行動半経はどのくらいのものですか。その訓練は世界中おまわりになつていろいろやるおつもりか、あるいは太平洋、南方地域に出て行つても訓練をおやりになるおつもりでございますか、どういうことをやるのですか、その遠洋訓練のことをお尋ねいたします。
○増原政府委員 現在までは遠洋訓練は行つておりません。近海、日本を一周したという訓練が一番大きい訓練であります。将来もいわゆる遠洋訓練として遠く南洋方面へ出かける、世界を一周するということはただいまのところ考えておりません。
○穗積委員 今度の借りようとする船の中に上陸用舟艇がありますか。私船舶協定当時の事情をよく知りませんでしたが、今まで借りたものにも上陸用舟艇がございますか、あるいは今度が初めてでございますか、それが一つ。 それから上陸用舟艇をこれから借りるとするなら、一体どういうことを目的にして上陸用舟艇を使つて上陸訓練をされるのか。わが方は守る方ですから、攻めて行くには必要でしようが、日本の国土へ上る訓練はその必要はなかろうと思いますが、上陸訓練というものはどういうことに利用されますか、ちよつと意味がわからないのですが、守る方にですね、今まであつたのか、なかつたのか。それからあつたとすれば、一体何を目的にしてどういう訓練をされたか。これから借りる中にあるようですが、それを借りたならば、一体何を目的にしてどういう訓練をされるおつもりですか、それはどこでおやりになるおつもりですか、それを詳細にひとつお示しをいただきたいと思います。
○増原政府委員 現在まで借りております五十隻は上陸支援艇と向うで称しているものでありまして、いわゆる上陸用舟艇ではありません。今度借りようと思います十七隻のうちにはいわゆる上陸艇、LSTと称するものが入つております。これはわが方で使うのは輸送船及び工作船として使う、そういうつもりでおります。
○穗積委員 そうすると上陸訓練をなさるおつもりはないわけでございますね。
○増原政府委員 上陸訓練を絶対にしないとまだきめたわけではございません。陸と海との共同の訓練を行うということはすでに考えております。その際に海上自衛隊の船によつて、陸上自衛隊員が輸送されてどこかへ上陸をするというふうな演習を行うことは、おそらく考えるようになると思います。
○穗積委員 どこへ上陸するのですか。
○増原政府委員 どこへということはありません。ただ上陸をする演習をやるのであります。
○穗積委員 日本の領土へ上陸するのですか、外国の領土へ上陸するのですか、どつちですか。
○増原政府委員 自衛隊というのはわが国を自衛、防衛する任務なのであります。外国へ上陸するなんということは考えておりません。
○穗積委員 当然だと思うのですが、そうであるならば一体どういう場合でございましようか。そんなまるで架空なことを考えて、外国の領土へ上陸するなら、日本の海軍にしろ陸兵にしても連れて行つて上陸せしめる必要があります。そうでないのに自衛のために上陸訓練などというものを金を使つてやる必要はないと思うのですが、どういう必要があつてやるのですか。どうも知識がないものですから想像がつきませんが、そういう莫大な予算を使つて、そういう訓練をするということが、どういうところに必要があるのかお示しを願いたい。最近の状況から……。
○増原政府委員 穗積委員の御質問とも思えぬような御質問でありますが、たとえば東京付近から北海道方面に、自衛のための必要があつた場合に、船で輸送する、あるいは九州方面に必要がある場合に船で輸送するということが、陸で輸送することと相まつて必要なことは当然に予想される。もつともこのための演習や何かが莫大な経費を要するという種類のものではないと思います。
○穗積委員 そのときはもうすでに日本の軍港または普通の港が、敵の潜水艦または飛行機によつて抑えられてしまつて、夜な夜などこでも海岸線へ持つて行つて船をぶつつけて、そこからはい上らなければならぬという状況、これは内乱または外国の侵略の戦闘行為に入つたときです。一体いつのためにそんなことをするのですか。そういう状況を考えたときには戦闘状態にすでに入つておりますから、従つて空軍によります港または交通機関の爆撃、妨害というものがあることが想定されておるからそういうことを言うのです。そういう状況を今から想定してやるのか。そういう状態になりましたときの上陸訓練ということまで考えて、遠い遠い将来のこと、将来じやない、架空なことでおやりになるなら、再軍備論者である皆さん、しかも計画を持つておられる方は、もつとそれに対応するような装備なり計画、訓練というものをすべきだと思うのです。そういう状態じやございませんでしようか。東京におります部隊を北海道へ持つて行つて上陸させる、九州へ持つて行つて上陸せしめるというときは、門司の港あるいは函館の港が使えなくて、夜な夜な行つて上陸用舟艇をぶつつけて上らなければならぬというような状況は、そういうとき以外にないと思うのです。どういうわけでしようか。そういう状況の場合を想定しておやりになるなら、日本のそういう装備なり訓練としてはもつと別のことが考えられると思うのです。いかがなものでしようか。
○増原政府委員 船で輸送するというのは正規の港等が使えない場合だけを考える必要はないのであります。正規の港が使える場合でも船で輸送して適当なこともあります。しかしそういうことでなく、今おつしやるように、いわゆる港でないようなところへ上るという特殊の演習をやることもありましよう。いわゆる外部から直接の侵略があつた場合に対処するということの任務が新しく与えられようとするのであります。そういうふうなことがあることを想定して訓練をすることは当然のことであろうと思います。
○穗積委員 日本を防衛するための上陸訓練でございますと、その状況は今申しましたような状況で、交通機関が杜絶し、あるいは上陸のための普通の港が爆撃され破壊されておる状態でなければ、そんな訓練をする必要はないわけです。従つてそういうことでありますならば、たとえば空軍のそういう爆撃等に対応するような態勢をつくることが、自衛の作戦で言うならば当然なことです。にもかかわらず、そんなことはまるでやらないで、押えられておつて、上陸訓練なんか――今から私は御注意を申し上げておきますが、そのうちに朝鮮や台湾やインドシナに持つて行つて上陸せしめてやるのにちようどいい。元山作戦で上陸したように、日本人は港もないところにはい上るのに昔から得意だというので、そういうことに使われる危険がありますから、これは御注意申し上げておきます。もう少し立体的、科学的にいろいろなことをお考えいただきたいということを要望して前に進みます。 次にお尋ねいたしますが、今まで借りました船舶で、訓練だけでなしに、警備の任務についてその任務を発揮した具体的な場合を、特に目ぼしいものについてお話をいただきたい。同時にこれから十七隻、ことに今までよりも大物を借りるようですが、これは一体どういう任務にすぐおつきになるのでしようか、その点もあわせてお尋ねいたします。
○増原政府委員 警備隊の任務は、現在までは御承知のようにわが国の治安を維持するという任務であります。そうした意味でその第一線の任務を行いますものは、海上保安庁の警備船であります。従いまして、現在までそうした警備の任務にわが方の警備船が面接ついたという例は、きわめて乏しいのであります。その例は、警備といいますよりも、災害救助の意味でつきましたのは、さつき申しましたように、近畿の水害、このたびの北海道の漁船の遭難、そのほかは機雷の発見処理等のために、津軽海峡あるいは日本海等において行動をしたという程度であります。
○穗積委員 そういたしますと、最初の私の質問に返るわけでございますが、具体的にお尋ねして、訓練、装備の状況、それから今までの警備の任務を果した実績等を伺つてみても、そうしてけさ御配付になりましたアジア諸国の海軍力と比べてみても、大体六万八千トンというような船を日本が持つことになりますれば、これ以上私は増強する必要はないと思うのです。そうしますと毎年使つております訓練費というものは、まつたく無意味に、ただ子供のパチンコのために金を使つておるようなもので、何ら役割を果しておらぬ。それよりもやや具体的にいえば、これは予算の問題になりますが、そのほかなすべき民生安定に必要な点が相当残つておるのです。そういう点は、あなたは保安庁次長でございますから、保安庁の立場から、ややもすれば防衛そのものだけを考えて行きがちになる。経済の問題をお尋ねすると言つたら、経済の問題は、おれらはすべてをあわせて考るだけの聡明さと叡知を持つているとおつしやられた。しかもその訓練はとてつもない上陸訓練をやるが、実際は何かといえば、災害でも起きなければ役に立たぬ。ちつとも役に立つたことがないという兵隊で、これは笹川繁蔵に雇われました平手造酒のようなもので、そんなものは雇つておく必要はないと思うのです。経済的にも、それから現在の情勢、日本の治安、海岸線の治安維持の今までの実績から見まして、その点は一体次長はどういうふうにお考えでございますか。最後に今までの質問を総括して結論を出すような意味で、そのことをお尋ねしておきたいと思うのです。
○増原政府委員 自衛の問題、防衛の問題は、当面これは艦艇貸借の問題でありますから船の問題で出ております。陸においても空においても、自衛力漸増、防衛力漸増という形において増強をして行く方針を適当と認めて、その線に沿つて行つておるわけでございます。船のことだけを考えて上陸演習だけをやるつもりは持つておりません。そうして、そういうものは必要でないというただいまの穗積委員のお言葉、これは御意見として承つておくことが適当であろうと思います。つけ加えて申しますならば、私どもはその御意見には賛成いたしません。漸増の方針をとるつもりであります。
○穗積委員 それではその問題はこの程度にいたしまして先に進みますが、今あなたがおつしやいましたから申し上げておきます。日本経済の苦しいこともお考えにならず、漸増々々と門前の小的がお経を読むように言つておる。あなた方にとつては親分であるアメリカが言つておるから漸増だ漸増だと言うだけのことで、これは国民にとつてはまことに迷惑しごくのことですから、もう一度御反省になるように、これは私の意見でございますから、申し上げて前に進みたいと思います。 そこで第五条についてお尋ねいたします。これは下田条約局長にお尋ねするか、あるいは外務大臣がおられるから、外務大臣からお聞きしようと思いますが、国際法については、その法律的な解釈については不得手だとおつしやいますから、大臣でなしに、条約局長にお尋ねするわけでございますが、この船は公船として取扱う、国際法におきます軍艦の特権を得るようなことは一応まだ考えていない。しかし少くとも公船として、取扱うことを日本は主張し、各国にもそのことを求めるというのが、今までの態度のようでございます。ところで軍艦として、または軍艦に準ずるものとして、軍艦が持つておる国際法上の権利、義務を取得するようになるかならぬかは、相手国の考え方次第だ、こういう御説明でございました。ひとまず、査問に入ります前に、今までの御答弁はそうだつたと思いますが、そう理解して話を進めてよろしゆうございますか、まずお尋ねしたいのであります。
○下田政府委員 法律論といたしましては、仰せの通り、これは公船であることは確実でございますが、軍艦としての特権、地位を法律上要求する権利は日本にはない。ただ事実問題として、少からざる国は、これに軍艦に準ずる特権、地位を認めるであろうし、またむしろそういう国が多からんことを希望する点は実際問題としての話として申し上げられます。
○上塚委員長 穗積君に申し上げます。もう穗積君に対して四十分も与えておるのですが、まだほかに質疑者が二人残つておりますから、できるだけ集約して、すみやかにひとつ終了せられるようにお願いいたします。
○穗積委員 時間の制限はなかつたはずです。
○上塚委員長 時間は二十分ということを申し上げております。
○穗積委員 私はあなたにいつも言うのですが、私が質問を始めると、あなたは時計ばかり見ておつて、私の質問の内容をお聞きになつていない。こんな重大な条約について、私は委員として熱心な質疑を進めておるのだから、どうぞひとつ敬意を表して、督励をして質問をさせていただきたい。 そこで、そういたしますと、軍艦としてこれを取扱うことを諸外国に対して要求する権利はないという、その法律的な根拠は、日本国憲法が軍隊を放棄し、戦争を放棄しておるからでありましようか、一に法律的な根拠はそこでございましようか、それ以外に何かございましようか。
○下田政府委員 これは国際関係のことでございますから、むしろ国際法の問題でございます。国際法の要求しております軍艦と称するための条件を厳密には満たしておらないからでございます。
○穗積委員 それでは憲法上の問題はどうお考えになつておられますか。
○下田政府委員 憲法上の問題は、先ほど並木委員の御質問にお答えいたしました通り、中立国船舶をも臨検、拿捕するような権利は、交戦権を認められなければ持ち得ないわけであります。そこで憲法第九条で、「国の交戦権は、これを認めない。」と規定しておりますので、そのような交戦権行使の手段としての軍艦というものは、現憲法下においては、日本として認められない。従いまして憲法の禁止しておらない自衛権行使の手段としての艦艇を持ち得るだけでございます。
○穗積委員 そうしますと、ちよつとここで正確にしておきたいのは、相手国が軍艦としてこれを取扱うと認めた場合には、日本国憲法はこのままにしておいて、国際法上軍艦としての権利、義務が生じますか、どうお考えですか。私はその点ははなはだ疑義を持つのですが……。
○下田政府委員 厳密に軍艦でないものに軍艦に準ずる待遇を与えるかどうかということは、これは法律問題でございませんし、事実問題また儀礼上の問題でございます。
○穗積委員 そうするとその問題は、あなたの解釈では相手国が軍艦として、または軍艦に準ずるものとして、軍艦相等の国際法上の権利、義務を与えられた場合には、それは向うの自由である。しかしこちらから軍艦が持つておる国際法上の権利、義務をその国または他の国――他の国はもとよりでありますが、その国に向つてこちらから主張する権利はない、こう解釈するのですか。
○下田政府委員 仰せの通りであります。
○穗積委員 そうしますと非常な食い違いが出て来ると私は思うのです。私はこの第八条の「侵略者の兵力の行動」云々というところで、どの程度までの任務につくのかわかりませんが、交戦権の発動による戦争状態に入らなくても、木村長官あるいは増原次長も後にお答えになると思いますが、事実上の戦闘行為、あなた方の解釈でいえば自衛行為の発動による自衛手段としての事実上の戦闘行為、こういうものに入る場合があり得るわけでございます。そのことを予定しておるから、この第八条の規定があると思うのです。ですからそういう状態になつたときに、公海における軍艦としての権利、義務を認めるか認めないか、そういうようなことは相手国の自由だということでありますと、これは非常に不統一であり、あなた方としては不便をお感じになるでしよう。従つてそういう問題については、一体これからどういうふうに対処してお行きになるつもりであるか、これからの方針についてのことでございますから、これは大臣にお伺いしたいと思いますが、いかがでございましようか。――保安庁長官はまだお見えになつておりませんが、どこへ行かれたのですか。
○上塚委員長 保安庁長官は今参議院に出席いたしております。
○穗積委員 一ぺん呼んでいただけませんか。
○上塚委員長 今参議院に出席中ですから、一応聞いてみなければわかりません。
○穗積委員 それでは一応聞いてもらいたい。それでその問題は留保いたしまして、後に来られたらまたお尋ねすることといたしますが、今お尋ねしたこれからの方針について、外務大臣の御所見を伺つておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これからの方針も、自衛権発動の範囲では権利義務は国際法で認められておりますから、その範囲で行動して行きたいと思つております。
○穗積委員 それでは外務大臣の御意見はわかりましたから、後に保安庁長官の御意見を伺いたいと思います。 それからその次に……(「さんざ聞いたよ」と呼ぶ者あり)君らは何しに来ているんだ。審議の妨害に来ておるのか。
○上塚委員長 穗積君、私語を禁じます。
○穗積委員 私語はあつちだ。何を言つておるのだ。人の質問を妨害するような者を委員長、黙つておることがあるか。
○上塚委員長 静粛に願つて、どうぞ質問を続行してください。 〔「戦争中君らは一体何をしておつたのか、君自身の人格を疑うよ」と呼び、その他発言する者あり〕
○穗積委員 何を言つておるのだ。われわれはアメリカ帝国主義には反対するんだ。(「自分のことを少しは考えて恥を知れ」と呼ぶ者あり)アメリカ帝国主義には一貫して反対しております。(「人格の問題だ」「少しは恥を知れ」と呼ぶ者あり)何のために君らは来ておるんだ。君らこそ恥を知れ。何を言つておるんだ。われわれはアメリカ帝国主義に反対をしておるのだ。
○上塚委員長 静粛に願います。
○穗積委員 アメリカ帝国主義の政策にはわれわれは永久に反対する。よく聞いておけ。
○上塚委員長 穗積君、まだありますか。
○穗積委員 大いにあります。
○上塚委員長 簡単に願います。
○穗積委員 簡単にやつております。 それから第七条の請求権でございますが、具体的にはこれはどういうものを想定しておるわけですか、この放棄する請求権の内容というものは……。
○下田政府委員 第七条の規定は、前段と後段と違うことを規定いたしております。「艦艇の引渡し、使用又は操作に関連してアメリカ合衆国政府に対して生ずるすべての請求権を放棄」するということは、これは仮定の問題でございますが、引渡し前のアメリカの手入れが悪くて、艦が爆発をして日本の乗員が死傷したというようなことがかりにありましても、日本側が点検して引渡しを受けた上は、もうアメリカ側に文句を育つて賠償を求めるようなことをしないというのが前段の趣旨でございます。それから後段の方は、むしろ日本側の責任でございまして、日本側が借りました艦艇を造船所に修理に出した、ところがその修理代金の未払いがあつて、艦艇に対して留置権その他の権利を債権者が行使したというような場合に、今度アメリカに返す場合にまでその会社が留置権を引続き行使して、アメリカ政府に迷惑を及ぼすようなことはさせないということであります。
○穗積委員 そうしますと後段の請求権については、その負担は日本国政府で負うということでございますね。
○下田政府委員 仰せの通りでございます。ただ実際問題としてはそういうことはないと思います。
○穗積委員 前の要求権についてでありますが、これはたとえば向うの過失または悪意の場合に起きた損害についてはいかがですか。
○下田政府委員 これは引渡し前に日本側が十分点検するのでありますから、点検した上で引取つた上は日本側に責任があるということであります。つまり過失――悪意なんということはもちろんないでございましようが、それは日本側で検討のチャンスがあるのですから、すべて日本側が責任を持つ、そういうことであります。
○穗積委員 その場合過失があつても、その過失は点検の機会があるので、結局その過失の責任はこつちが負うということになるわけですか。
○下田政府委員 日本側が点検する目的は、そういう過失その他の原因で瑕疵がないということを確かめるために点検するのであります。自分で確かめておいて、あとで自分の確かめ方が悪かつたということになるわけでございますから、これにはもう文句を言わないというのが当然だと思います。
○穗積委員 次に八条でございますが、これから一番心配になる点は「侵略者の、兵力の行動による損害」ということが規定してある。つまりこれは直接侵略またはそのほかの、直接侵略がございません、でも、たとえば朝鮮におきます北鮮側の行動または中共義勇軍の行勅というものを侵略者として規定してかかつたわけでございしますから、それをおそらく含んでおるだろうと思いますが、そういうものを想定してでございますから、これから貸与を受けます日本の艦艇の行動の限界でございます。これが実はMSA協定等の審議のときにも問題になつた点でありますが、特に海軍は常に公海へ出ております。従つて外国との接触が陸上部隊よりは非常に多いわけであります。ですから限界がいろいろ問題になろうと思いますが、まず最初に下田条約局長にお尋ねいたしますが、さきの船舶貸借協定によります六十八隻の船がこういう侵略者との事実上の戦闘行為に入つて、そこで沈没または破壊損傷を受けました場合には、どの規定で行くわけでございますか。
○下田政府委員 前の船舶貸借協定の場合には、侵略者の兵力の行動による損害を受けた場合の責任免除の規定がございませんでした。従いまして、今回の協定の方が、その点は日本側に有利になつたわけでございます。
○穗積委員 だからそこをお尋ねしているのです。前の船舶協定によりますものは、つまり国内の治安維持または海岸の警備、あるいは漁業権の警備というか確保、そういうことだけを想定しておつたわけであります。今度のこの協定によりますというと、日本の国内法によつて、保安庁法が自衛隊法にかわつたことく対外戦争を予定しておるわけです。そうでしよう。前に借り受けた六十八隻というものは、そういう任務を条約上考えていない。ところが日本の国内の法律がかわつて、そして警備隊が自衛艦隊にかわる。さつきの増原次長の御答弁によりますと、一括して、いわばこの協定による十七隻と前の六十八隻全部加えて同じ任務につかせ、そして同じような自衛艦として取扱うということになつております。そういたしますと、それは国内法上のことであつて、国際法上は前の船舶協定の中には、こういうような場合の責任免除のことは全然予想していなかつた。ですから私が昨日ちよつと申し上げましたように、この趣旨でお借りになろうとするならば、そしてこういうものにお使いになろうとするなら、前の船舶貸借協定というものを一ペん御破算にして、あの船も一括してこの中にかかえ込むような規定をこの中に入れるべきではないか、そうした方が便利な点が多かろうということを申し上げたのですが、そういう必要はないとおつしやつた。その一つの例がここに出て来ておるわけでありますが、これは一体どういうことになりますか。前の船舶協定では、そういうことによつて損害を受けた場合は考えていない。六十八隻のものが自衛艦隊の中に組み入れられて、戦争行為によつて損害を受けた場合には、国際法上そう解釈することができないと思うのです。ここで規定されておるのは十七隻以後です。それ以前の六十八隻の損害に対しましての国際法上の免責というものは、一体法律上どれによるのか。ちよつとおかしいと思います。
○下田政府委員 前の協定で借りましたPF、LSSLが侵略者の兵力によつて損害を受けましたとぎには、特にその場合を特定しての規定は前の協定にございませんが、やはり前の協定の六条というものは、各損失に対して公正かつ妥当な賠償を合意した額及び条件で補償するという規定がございます。従いましてこれは侵略者の方から損害をこうむつたのだということになりますから、おそらくその公正妥当ということは、それは賠償に及ばないという結論に到達するのではないか、結局結果においては同じことになるのではないかと思います。
○穗積委員 それは公正妥当という言葉を使つたときは、そのときの条約そのものの基本の構想の範囲内においてその言葉を解釈すべきものであつて、情勢がかわつたからといつてどんどんかえて、あとの条約になぞらえてやるとは書いてない。それであるから、この条約にはちやんと第二条において、MSA協定の規定に従つてこの艦艇を占有し、かつ使用すると、MSA協定との関連が明記してあります。ところでそれならこの条約の中へ一本修正して入れたらいい。そうでありませんと、あなたはかつてに公正な理由ということで、この理由の中に入れて解釈できるのだといいますが、その条約そのものの締結のときの概念の中には全然ない。今の憲法がいやしくも今日のような戦力あるいは軍隊を全然想定していない、現在のような指揮権、すなわち統帥権を憲法は想定していないのですから、それを拡大解釈してやることは、われわれは本質上非常に疑うのと同じように、そのときもそこにあります字句の公正なる理由というものは、つまり基本の条約そのものの協定のときの精神あるいはそのときの申合せ、これによつて私は解釈すべきものであつて、今度のこれによつて解釈するということは、私は誤りではないかと思う。ですからこれは切りかえるべきじやないかと思うのです。ちよつとおかしいと思う。具体的にここに書いてあるのですから。それならこの条文の中でも、公正な理由によつて云々と書いてよさそうなものだと思うが、ちやんとここには明記してある。
○下田政府委員 前の協定が侵略者の兵力によりまして損害を受けた場合の免責の規定がないからといいまして、それをわざわざ今度の協定に合して、改正協定を結ぶ必要があるかどうかという問題になつて参ります。私は先ほど申しましたように、特にその場合を明記しての規定はなるほどございませんが、結局においてそれを明記した規定があるのと同じような結論に到達し得るのでございますから、わざわざ改正協定を締結する必要はないと存じております。
○上塚委員長 一時間ということに約束してありますから、穗積君の良識によつてたいがいのところで打切りを願います。 なお紬迫君が同じ社会党左派から質問されますので、多少の時間を残しておいてください。
○穗積委員 違つたところを質問するので、私の思い及ばぬところを考えておられるなら、それは質問していただくつもりです。 ちよつとその点は条約上非常に不備だと私は思うのです。それでは増原次長にお尋ねしますが、前の六十八隻は今後は自衛艦の中に組み入れて、この協定による十七隻と同様に使うということを、交渉のときに何らか申合せ事項というか、議事録みたいなものにでも残しておられるのですか、どうですか。
○増原政府委員 別にそういうふうなものを記録に残してはおりません。なくても一向さしつかえません。
○穗積委員 それはつまり、こちらの防衛計画を言うときには、十七隻でなくて、六十八隻をも加えて、一括して日本の海上防衛力として考えるということで、向うへ説明をし、了解されたと思うのですが、そういう事実はございませんか。当然そうすべきだと思うのです。
○増原政府委員 向うへ防衛計画は六十八隻だとか、それに十七隻足したとかいう話をしたことはございません。
○穗積委員 つまり海上警備だけに使うといつて船を借りた。そしてあとで十七隻を、これは全然別に外国からの直接侵略にも、戦闘行為にも使うのだという了解のもとに借りた。同じ借りたものだからといつて、前のやつを黙つて使うということはおかしいと思うのです。たとえば農具を隣の農民から借りるにいたしましても、これはこういうことのために使うのだといつて借りておいて、あとでほかの目的のために借りたものと混同して使うということは、契約の信義に反すると私は思うのです。そういうことは国際法上やつてもいいことですか。
○下田政府委員 前の船舶貸借協定の場合には、船舶の使用目的に関する何らの規定がございません。これは意識的にわざと使用目的を書かなかつたのでありまして、今日に至りまして前の措置が賢明であつたことを痛感するわけであります。
○穗積委員 法律上の関連性があると思うのです。たとえばMSAによりまして増強しようというような規定があつて、これは一体国内では何で受けるのだといえば、自衛隊で受けるのだという説明をされておる。そのくらいのことは当然、兵力増強の義務を負つて話合いをし、あるいは希望をいたし、それからあとは契約をその通りに履行するかしないかということを見届けなければならない。そうでありますならば、国内における使用方法、目的等について話合いするのは当然のことです。そういう意味で言いますと、これはしごく簡単なことだと思うのです。一条加えたらいいわけでございましよう。なぜそういうことを避けたのか、特別の理由があるのですか、その点をお尋ねしたい。
○岡崎国務大臣 これはもう日米安全保障条約の当時から、直接、間接の侵略に対して漸増的に責任を負うということにアメリカは期待しておるのであります。従つてできるだけ早く直接、間接の侵略に対して責任を負つてもらいたいという考えを持つております。ただ国内のいろいろの法制、その他の関係上、この前のときはそこまで行けなかつたからして、船舶貸借協定をああいう形で結んだ。しかしそれでも、直接の任務はなくても、侵略行為があれば、当然こういうものはほかの国民と一緒に出て行つて防ぐわけであつて、そのときの全損等の規定については、相互で話合いをしてきめるわけでありますが、その考え方としては、この艦船貸与協定と同様に先方は思つておるのでありまして、この点はもちろん今後も必要があれば確かめますけれども、何ら疑念はないのであります。御心配のような点は、まるで違う目的に使うというのじやなくして、アメリカ側としては直接、間接の責任を負うように使つてもらいたいという希望を初めから持つておる。それをこちらがわざと、法律ができるまではしばらく待つておつたのでありとますから、その御懸念は全然ございません。
○穗積委員 だからおかしくなるのです。安保条約以来の状況は、これは明らかに再軍備の目的ではないか、さらにそういうことをいえば、そんなことはない、これは義務でなく、希望だけである、何らわれわれはそういうミリタリイ・オブリゲーシヨンを持つていないから、愚法に違反せぬと説明された。今になると、今度は両刃の剣にして、一方の刃を都合よくひつくり返して使つて、これは実は初めから日本は対外戦争に参加することを予定してふあいう条約を結んだ、だからアメリカはそういうことをふしぎに思つておらない、アメリカは期待しておる、そういう話になつて来ている。ところが今お尋ねするのは、そういう話合いがあつたかなかつたか――増原次長にあつつたかといえば、ないという。あなたは、そういう話合いをしたならば、向うの腹はわかつておる。それならなぜそういうことを実際の条約の上に出さぬかということです。条約にはうそがある。条約と実際とは二重の構造になつておるわけですだからまず私は下田条約局長に、法律上おかしいじやないかということで、法律上のことを聞いておるのです。法律上そういうことを初めから予定しておるなら、第八条に規定しておるような規定、免責の規定というものがなければおかしいと思いますが、もう一度お答え願いたい。
○下田政府委員 前の協定に全然違う目的を掲げたなら仰せのようにうそになりますけれども、前の協定は使用目的については白紙にいたしておいたわけであります。でありますから、白紙ほど便利なものはございません。
○穗積委員 そこでお尋ねしたいのは、この船がどの程度までに使われるかということでございます。昭和二十五年に、これはあとになつて知らされたことでありますが、元山沖の上陸作戦のときに、マッカーサーの命令によつて機雷の掃海作業に従事したということがいわれております。今後もこの艦艇はその線まで、後方勤務、後方協力までお使いになるつもりでありますか。増原次長にお尋ねしたいと思います。
○増原政府委員 この船は海上場自衛隊の船として使います。海上自衛隊の法律に書いてありますように、わが国の安全と秩序を維持するという目的に使用いたします。
○穗積委員 われわれはあなた方の考えておることが、法律に書いた通りのことを考えておられぬから伺うのでありますから、今の例でひとつ言つていただきたい。ああいうような場合が、たとえばインドシナ戦線において国連軍の方に参加する、あるいは朝鮮戦争が再発するというような場合に、日本の船が日本の利益または安全のためにという名目をもつてして、国連軍協力の建前から、その後方勤務に参加する、朝鮮輸送路の護衛に当る。そういうことまでお考えになつておるのか、その限界はどこにございましようか、限界を具体的な例の中からお尋ねしたいわけであります。
○増原政府委員 これは政府がわが国の安全と独立を守るという範疇のものであると判断をした場合に、任務につかせるのであります。今仰せになりましたようなものをここでちよつと抽象的に……(穗積委員「抽象的じやない、具体的です。」と呼ぶ)判断することはいかがと存じます。
○穗積委員 それでは第八条の免責の規定についての法律解釈についてお尋ねいたしますが、もし先ほど申しましたように、元山沖におきます上陸の際に、掃海任務につき場ました日本の船が、機雷に接触いたしまして撃沈されておるわけですね。そういう事態が起きましたときには、責任はこの第八条のどれに当ると解釈されますか、「侵略者の兵力」に当りますか、何に当りますか。下田条約局長はどう考えておられるか。保安庁次長にお尋ねしたのもその点です。限界はどこですかということです。
○下田政府委員 機雷掃蕩作業に従事して、逆に機雷に当つて沈没したという事実だけでは判断のしようがございませんで、その作業に従事するということがいかなる原因によつて生じたかをおきめになりませんことには、お答えのしようがないわけでございます。
○穗積委員 きめて言つておりますよ。そこらへ出て行つたらふらふらと機雷がくらげのように流れて来て、それにぶつかつて沈没したということを言つておるのではない。そうではなくて、国連軍の命令で、今から元山へ上陸しようと思つている、ついてはあの後方の所に機雷があつては困るから掃海に来いといつて命令されて行つておる、その場合は侵略者の兵力による損傷ですか、何ですか、それを聞いておる。
○下田政府委員 元山の場合には、これは何と申しますか、今度の協定に面接適応する場合ではございません。つまり日本は直接または間接の侵略を排除するために出て行つたわけではないのでありまして、今度の規定は侵略、すなわち少くとも直接または間接の侵略が日本に対して起りまして、そうしてその侵略を排除するための行動を行つております最中に、その侵略者の兵力の結果損害または滅失を受けたというだけの規定でございますから、御指摘のケースは第八条の問題ではないと思います。
○穗積委員 わかりました。それは私 は当然そう解釈すべきである、その場合においては、機雷による損害は侵略者の兵力による損害と解釈するのは誤りだ。そうなりますと日本の、つまり海軍力の出動の限界というものが非常にあいまいになり、広くなつてしまいますから、当然局長の御解釈の通りであるべきだと思います。そうしますと、その場合今度は、この条約で損害の責任はどういうことになりますか。
○下田政府委員 そういう場合には末段の「相互間で合意する公正且つ妥当な補償を支払う」という規定を適用いたしまして、双方でその損害を受けました事情についての検討を行いまして、公正妥当な補償を払う、また補償を払わない場合もあるわけであり、よす。
○穗積委員 その場合に交渉されるときには、あなたはどういう交渉をされるつもりなのですか。そのケースが起つたときに、この条約でどういうことを主張されるつもりですか。この条約を援用して交渉される以外にないと思うのですが、その点はどうなりますか。
○下田政府委員 ただいまの点は、侵略者の行動による以外のものは、双方で合心する公正かつ妥当な補償という規定がございますから、すべて相談できめることになります。
○穗積委員 ひとまずこれで打切ります。
○上塚委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 穗積委員のいい御質問に対して、委員長がたいへん制限を加えているのを、私遺憾に思います。この委員会において、委員長はどうしても上げなければならないというふうにたいへんお急ぎのようですけれども、これは重大な協定でございますから、十分審議を続けさせて、いただきたいと思います。 私はごく簡単に二、三の点を質問いたしますが、先ほどの穗積委員の御質問の中に出ましたことでございますが、日本の海岸線を守る船といたしまして、船舶及び艦艇として、いわゆる六十八隻のこの前の船舶協定で貸借した分と、今度の政府が予定している十七隻分が大体あるわけですが、そのほかに日本で持つている巡視船とか、そういうようなものが一体あるのかないのかあるのだつたらどのくらいあるか承りたい。
○増原政府委員 現在持つておりますのは、借りておりますもののほかは掃海船であります。機雷を掃海する船が三十一隻、これは小さいもので、トン数にしまして全部で一万二千三百八十一トンでございます。このうちには何といいますか試航船としての、千五、六百トンの桑栄丸というのが入つております。そのほかはバージその他の雑船でございます。その他には二十八年度の予算で認められました千六百トン型二隻千トン型三隻を中心とした若干のもの、合計九千何百トンばかりのものが認められており、二十九年度では三百トンの駆潜艇八隻を中心とした、三千何ぼでありましたか、二千トンばかりの、前に御説明申し上げたと思いますが、そういうものが認められておりまして、これはこれから建造に着手するということであります。
○戸叶委員 先ほどの大体九千海里あるといわれている日本の海岸線を守るのに、保安庁としてどの程度の警備に当る艦艇が必要かというようなことに対しまして、その理想の線はなかなか出せない、こういうふうな御答弁でございましたが、そうであるといたしますと、そういう計画も何もお持ちにならないで、今度の十七隻必要と思うというふうな、その数字をお出しになつた根拠はどこにあるでしようか。
○増原政府委員 何百何十隻で何トン必要だというふうなことが的確に言えない、これはいろいろの事情もあります。対抗すべき兵力等の関係もあります。そういうことでありまして、現在持つておるものに、さらに十七隻を加えたという程度のものでは不十分であるということは言い得るわけであります。
○戸叶委員 私は不十分であるということは先ほど以来伺つているのですが、十七隻という数字をお出しになつた根拠を承りたい。
○増原政府委員 これは前々申し上げましたように、本来ならばある程度の目標を立て、長期計画を立てまして、そのうちの二十九年度分ということで参るべきものであります。そういうふうにいたしたいということで勉強をし研究もいたしましたが、不確定要素があまりに多くして、どうしてもそういうものをつくり得ない。しかしながら、大ざつぱにそういうことを一応研究の念頭に置きつつ確定し得る二十九年度をつくつたという経過になつておるわけであります。
○戸叶委員 そうしますと、結局十七隻という数字は、大して根拠のあるものじやないということになるのではないかと思いますが、それはもしも来年度におきまして、日本の経済が許すとするならば、この数より以上借りたいというような希望をお持ちになつていらつしやるのかどうか。
○増原政府委員 来年度というのは三十年度ですね。――三十年度におきます計画は、先ほど穗積委員の質問もありましてお答えをしましたが、まだ決定いたしておりません。そうしてこれは単に財政だけの問題ではございませんで、要員の募集、訓練その他の問題とも関連をいたしますので、来年度は事情許すならば十七隻以上、今の二万七千トン以上のものを欲するかどうかということは、まだお答えいたしかねる段階であります。
○戸叶委員 もう来年度くらいの考えをお持ちになつているのではないかと思いますが、どうしてそういう点を秘密になさるのか私ども非常にふしぎに患います。その点の増原次長のお考えだけでも伺えましたら伺いたいと思います。
○増原政府委員 これは予算に関連し、いわゆる自衛力、防衛力漸増の問題に関連をすることでありまして、私の個人的意見と申しましても、保安庁次長という職にあります以上、単純な個人的意見とはどなたもお考えになりません。もう少し固まりませんと申し上げかねるのであります。
○戸叶委員 たいへん増原次長は自重していらつしやいますが、おそらく木村長官でしたならば、ある程度その御希望があるならば御希望のほどをお漏らしくださると思います。次長の方はその点御遠慮になつているようでございますから、木村長官を先ほど穗積委員も御要求のようでございますから、私も木村長官にお伺いしたいと思います。 そこで次にお尋ねいたしたいことは、昨日から多くの議員から問題になりました十七隻まではこの艦艇貸与協定で借り受けるが、その後の艦艇に対しては同じようなもので同じ条件であるならば、附属書に追加してもこれは法律的に何らさしさわるものではないという結論にきのうは達したようでございます。そこでお伺いいたしたいのは、そういうふうなことになりますと、条約という立場から考まえして、憲法の七十三条に違反するのではないかと思いますが、条約局長に承りたいと思います。
○下田政府委員 それはもうMSA協定でもまつたく同じ関係でありまして、MSA協定はパイプでございますから、そのパイプを伝わつて何が参りますか、条約上の制限は別にないわけでございます。その制限というのは予算上の制限でございまして、たくさんもらいましても、受入れる方の日本側の予算がなければ、もらえないわけであります。その予算を決定いたしますには、国会の御承認を求めておるわけでございます。協定自体といたしましては別に量的の制限はいたしておりません。従いまして本協定も法律的の関係は、MSA協定と同じことと存じております。
○戸叶委員 そうしますと予算上に関係のない協定というようなものは、国会の承認を経なくてもいいというように了解してよろしゆうございますか。
○下田政府委員 たとえて申しますと、文化協定では教授の交換とかあるいは学生生徒の交換等をいたします。これも協定の有効期間は毎年行われることでありましようが、別に人数もきめておりません。従つて無制限に教授、学生生徒も行けるわけでありますが、これもやはりその国の予算の制限がありまして、その予算はやはり国会の承認を経てきまるという関係になつております。
○戸叶委員 それでは私は形をかえて伺いたいと思います。この問題を提示いたしますと、おそらく委員長や与党の委員の方は、この問題とこの艦艇の貸与協定とは違うとおつしやると思いますが、非常にこの条約の批准の問題と深い関係がございますから、そういうことをおつしやらないようにまず先にお願いいたしておきます。そこでお尋ねいたしたいのは、この前の阿波丸事件についての協定であります。あれは決議案は出ましたけれども、協定そのものは国会に提出されておりません。あれは憲法違反ではないのですか。
○岡崎国務大臣 当時の決議案をごらんになりますと、政府はこの決議に基いて措置して、その結果を報告せよということでありまして、その決議に基いて協定を結んで、その協定を国会に報告しておりまして、それは昭和二十四年の四月にもう結末済みであります。
○戸叶委員 昭和二十四年の四月に決議案が通つたことは知つております。ただその決議案と協定との関係というものは、これは決議案を審議されましたときにも出ておりましたけれども、協定をその決議案に基いて結ぶという文句はどこにも見られません。もしもそういう論拠がおありでありましたならば、どういうところで決議案に基いて協定を結び得たと言われるのか、その協定と決議案との関係をお示し願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 それはもう昭和二十四年に了解済みでありまして、済んだ問題であります。
○戸叶委員 その了解済みというのはどこの了解済みなんですか。
○岡崎国務大臣 国会の了解済みであります。
○戸叶委員 私はこの協定が国会の了解済みであるということを存じませんが、どこにそういうことが示されておるか、お示しを願いたい。
○岡崎国務大臣 今お示し申し上げても何もなりません。昭和二十四年にもうすでに済んでしまつております。
○戸叶委員 私は岡崎外務大臣の御答弁はまことに了解できません。と申しますのは、占領中といえどもいろいろ条約あるいは協定が出て参りましたときに、たとえば電気通信条約とか万国郵便条約といつたものが出て参りましたときにも国会会の批准を経ております。ところが速記録を読んでみましても、この協定は国会に提出されておらないのみならず、私どもは委員としてこの協定の批准ということに何らあずかつておりません。その点私がもう少し納得の行くように、この協定が有効であるという論拠をお示し願いたいと思います。
○下田政府委員 当時の国会でも御説明申し上げましたが、ただいま御指摘の憲法七十三条との関係の法律面の問題は、これはもう国会の承認どころか国会の御注文で政府が御注文通りのとりきめを結びまして、それを国会がとりきめができたら報告せよというこれまた御注文でありましたので、できたから御報告申し上げた。すなわち換言すれば国公の御承認は事前にあつたのでありまして、御承認があつたからこそこういうものができたのであります。ですから憲法七十三条の国会の承認ということは事前にあつたという政府側の解釈であります。
○戸叶委員 国会が承認せよという決議は、一部の人たち――私どもは反対いたしましたが、結局多数で押し切られまして、決議案は通つております。しかしこの決議案と協定というものは一体どういう関係にあるのですか。それでは決議案が通つた場合には、それと同じ内容を持つ協定というものは、国会の批准を経なくてもいいということになるのでしようか、条約局長にもう一度お伺いします。
○下田政府委員 これは条理解釈の当然でございます。普通の場合は国会の方でどういうものができるか御存じないわけであります。御存じないところへ協定を外国政府と結ぶのでございますから、こういうものができますといつて御提出申し上げてそうして御審議を仰ぐわけであります。ところが阿波丸の場合には、先に国会の方からこれこれの趣旨でとりきめを結べとおつしやつたわけであります。でございますからその趣旨に従つてやつたのですから、これはもう事前の承認が明確にあつた、そういう見解に立つております。そうしてこの見解は当時国会で承認してくださつたことだと思います。
○戸叶委員 とりきめせよということはあの決議の中にいつておりません。いつておりますことは、これを放棄するという決議案でございました。別に協定を結べということはいつておらないのですが、私が条約局長にお伺いしたいのは、こういうふうな国会での決議案が通るならば、それと同じ内容の協定というものは、国会の審議を経ないでもいいのだというふうに、この憲法の七十三条を御解釈になつているのかどうか、この点をはつきり伺いたいと思います。
○下田政府委員 国会の御意思で、そうしてつくらんとする協定の趣旨を国会からお示しくださいまして、それに従つてできたものは、事前に承認があつたと解して、あらためて承認しなくてもいい、そうしてそれは、あらためて承認を受けなくていいということは、国会の方からできたら報告せよという御注文でございましたので、その通りにいたしたのであります。これは憲法上、一つの先例をつくつたものと私どもは了解いたしております。
○戸叶委員 この協定を私ども見せていただきましたのは、今度初めてでございます。もちろん外務省の条約集の中には、これがすでに出ておつたようでございますけれども、公表しておりながら、国会にもかけずに、要求せられて初めて国会に出されたというふうな形式が前例としてなされますことは、これから非常に大きな問題を残すのではないか。たとえば今の条約局長のお話などをだんだん推し進めて考えて参りますと、この艦船貸与協定などにとたしましても、日本にとつてこういうふうな何トン以上の、またこれほど性能の高いような艦艇なり、軍艦を必要とする、ぜひこれをアメリカから貸与せよというようなことを国会で決議したといたします。そうすると決議されたのだから、アメリカとの間にかつてに、国会の要望に基いて協定をいつの間にか結んでしまつて、国会はこれを知らないでいた、国民が知らないでいたというようなことも、私は起るのではないかというようなことを心配するものでございますが、そういうことも一体今の論を推して行きますと、許されるということになるのでしようか、もう一度伺いたいと思います。
○下田政府委員 当時国会側とされましては、とりきめができたなら、あらためて国会の承認を求めよという御決議ではなかつたのであります。そういうものでなしに、この趣旨のとりきめができたなら、国会に報告せよという御趣旨だつたのでありますから、その通りにいたしたのであります。
○戸叶委員 その協定をいつ報告されておりますか、それを伺いたいと思します。
○下田政府委員 これは私の記憶では、とりきめができました翌日か、翌翌日、いずれにいたしましても、直後に報告しております。
○戸叶委員 それは国会の委員会ですか、本会議でしようか、その点承りたいと思います。
○下田政府委員 本会議で御報告なさつたと思います。
○戸叶委員 そういたしますと、あとからその本会議の速記録の日を教えていただきたいと思います。それに対しましては、ただ報告だけで、何の質疑もかわされなかつたのでしようか。これが一点と、それからそういうふうなことは、今後も憲法上許される――私が先ほど例を引いて伺いました艦艇の問題ですが、そういうふうな例は、今後許される、こういうふうに条約局長は御解釈なさるのでしようか、その点も伺いたいと思います。
○下田政府委員 本会議のみならず、外務委員会でその後いろいろ質疑もございましたし、御説明もあつたようであります。それからこれは先例と申しますが、国会が報告せよ、そうして報告だけでいいということでお許しくださつたわけでありますから、その通りにいたしたのであります。
○戸叶委員 私は当時の外務委員会の記録を調べましたが、そういう協定についての討議というものはなされておらなかつたように記憶いたしております。委員会の会議録を見ましたけれども全然それがありません。本会議においてどういう形で出たかをあとからお知らせ願いたいと思います。 もう一点、私が先ほど伺いました例を引いての質問に対して、条約局長は御答弁をなさつておりませんが、その点を伺たい。もしも国会が、そういう協定を結んで、そしてあとで報告せよということならば、国会においての審議を経ないでもそういう協定が結べる、こういうふうにお考えになるのかどうか、その点をはつきりさしていただきたい。
○下田政府委員 国会の決議の中であらためて承認を求めよと仰せになれば、それはあらためて承認を求めるわけであります。そう仰せになりませんで、ただ報告せよとおつしやいますから、これは事前に承認になつたものとして報告だけいたしたのであります。
○戸叶委員 私は憲法七十三条の解釈をそういうふうにするということは、初めて伺つたわけであります。これからもいろいろな問題が起るかと思いますが、その点についてはもう少し詳しくあとから伺いたいと思います。 次に艦艇貸与協定の中でお伺いしたいのは、この七条に書かれている項目でございますが、これは船舶貸借協定のときに記されてなかつたことでございます。これは一体具体的にどういうふうなものを意味するのか、御説明願いたいと思います。
○下田政府委員 この規定は前の協定にもございます。どういうことを意味するかということは、先ほど穗積委員の御質問に答えた通りでございます。
○戸叶委員 そのときにちよつとぼんやりしていて聞かなかつたのですが、それではあとから調べます。 九条の問題ですが、九条につきまして昨日河野委員から、「両国政府は、この協定の実施のため必要な取極を行うものとする。」これについての質問に対しまして、相互間で合意するという言葉があちこちにあるのでこの条項が必要だということをおつしやいましたが、この細目協定といいますか、そういつたものの内容を一、二例をあげて説明していただきたいと思います。
○下田政府委員 これは結局引渡しについての細目手続についてのとりきめもございましようし、あるいは損害を受けました場合の補償のとりきめもございましようし、各条に規定した事項の細目をとりきめるわけであります。
○戸叶委員 これによつてたくさんの国内法がかえられるというようなことがございますか。
○下田政府委員 そういうようなことは全然ございません。国内法の改正を必要とするような事項でございましたら、これはやはり本元を国会に提出する要があります。現行の国内法で、政府の権限でできることだけをこの協定においてとりきめるわけであります。
○上塚委員長 よろしゆうございますか。――次に細迫兼光君。
○細迫委員 保安庁次長にお尋ねをいたしますが、いただきました資料によりますと、大体におきましてわが国が保有しております艦艇に比較いたしますと、これよりも有力であろうかと思われるのは中華民国及び中共、これに限られまして、韓国、フィリピン、タイ、インドネシア、ビルマ、セイロン等、ことごとくわが国が保有します艦艇の武力に比較いたしまして劣勢のように見受けるのであります。こういうことはこれら極東アジア諸国に対しまして脅威を与えることに相なりはしないか。私は脅威を与えることになると思うのでありますが、御意見いかがでございましようか。
○岡崎国務大臣 これは各国おのおの考え方があつて、それぞれやつておりますが、日本の場合においては、どこの国にも脅威を与えないことは確かであると確信しております。
○細迫委員 おそらくは、そういう外務大臣の結論は、わが国の自衛隊は自衛を目的としておるもので、侵略を目的としておるものではないからという、自衛隊の目的、任務からしてそういう結論を出しておると思うのであります。しかしながら、諸外国といえども、侵略を目的としておると公言して武力を保有しておるところはないのでありまして、いずれの国といえども自衛を名目として掲げております。ここにおいては、国際的に何ら目的、任務に合わないのでありまして、だからわれわれが脅威であるかどうかを比較する場合には、やはりその実力というものが、比較する唯一の要件にならなければならぬと思います。そういう観点から行きまして、私は脅威を与えるものだと結論するのでありますが、間違いでございましようか。
○岡崎国務大臣 これはいつまでたつても御意見が相違するのですから、どうも細迫君を納得させるわけには行かぬかもしれませんが、脅威になるということは全然われわれは考えておりませんし、また他国からそういう心配のことを申し入れられたこともないし、また日本が防衛力を増強することは、当然であるという意見はしばしば聞いておりまして、全然そういうことについて懸念を持つておりません。
○細迫委員 脅威にならないという根拠がまつたく示されなくて、ただ外務大臣は独断的に結論だけを述べられるのでありまして、あくまで理論的の結論ではないと思うのであります。なお脅威であるというようなことを聞いたことはないとおつしやいますが、私は聞いたことがある記憶があるのでありまして、時間をかされれば、その資料をお目にかけてよろしいと思うのでありますが、私はその武力の比較上脅威を与えるに十分だと思われるのであります。こういう脅威を与えるかどうかということは、御容認なさいませんからしばらく論外といたしまして、どこの海軍でも自衛を目的とした存在でございます。自衛を目的とした軍艦、その軍艦の集団艦隊、それを包括しましたいわゆる海軍、ということにこの日本の存在も相なると思うのでございます。木村保安庁長官の個人的な見解によりますれば、軍隊と呼んでもさしつかえないではないか、そう思うというお言葉でありますので、これはこの海軍にも適用がある言葉だと思うのであります。そうすればこういう海帽というものの存在と憲法との関係でありますが、繰返すようでございますが、私は憲法第九条は、海軍と言おうと自衛隊と言おうと、その名前にかかわらず、実質上海軍である、そういう海軍、陸軍、空軍、こういうものは保持しない、その他戦力はこれを持たないということが、正直にまつすぐに憲法第九条を読んだ意味であると思うのであります。ここに至れば憲法第九条に違反する存在に相なるのではないか、こう私どもは考えるのでありますが、この点についての御見解を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはもう細迫君もおあきになるほどたびたび繰返しておりまして、これ以上申し上げることは何もありません。
○細迫委員 ではこれでやめます。
○上塚委員長 次に福田昌子君から五分間を限つて質問をしたいと要求がありますから、これを許します。福田昌子君。
○福田(昌)委員 時間の制約を受けましたから、良識によつて一、二点お尋ねいたします。等七条でございますが、「日本国政府は、艦艇の引渡し、使用又は操作に関連してアメリカ合衆国政府に対して生ずるすべての請求権を放棄し、」と書いてありますが、「すべての請求権」というのはどういうことでございますか。
○下田政府委員 この「すべて」というのは、英語のエニイというのと同じことで、もし起ればそれはすべてということでありまして、たくさんの請求権という意味ではございません。
○福田(昌)委員 ではこれは、艦艇の貸与協定の範囲内のものでありまして、たとえば日本側が持つておる他の事項の償権に関する請求権には影響がないわけでありますか。
○下田政府委員 それは全然影響がございません。
○福田(昌)委員 第八条でございますが、この規定によりますと、たとえば機雷などに触れたり、その他侵略者によらざる不時の災害によりまして、借りた艦艇が破損いたした場合におきましては、日本側は当然アメリカ側に補償を支払わなければならないことになつております。しかもこれがアメリカ側の要望によりまして、期限内にその返還を迫られておるというような場合におきましては、この補償を支払います場合の予算的な措置はどういうふうに考えておりますか。
○下田政府委員 期限が参りましたならば期限内に引渡しまして、あとで補償額交渉を行うわけであります。そうしてその補償額がきまりましたならば、その際予算措置が講ぜられておりません場合には新たに予算措置を講じまして、それから後に補償の実行に移るわけであります。
○福田(昌)委員 では、そういう事態が起つた場合に予算措置を講ずるというのであつて、事前にそういう措置をとるということはお考えになつておられないわけですか。
○下田政府委員 ごく小さな損害でございましたならば、保安庁の既定経費の中に計上されております予算でまかなえるかもしれませんので、そういう場合には既定予算の中から出すわけであります。
○福田(昌)委員 政府がほんとうにアメリカ側に、条理を尽して貸借しようということであれば、そういう点に対しましての考え方が非常に疎漏であるという感じがいたしますが、時間の制約がありますからそのことについての詳しい質問はいたしませんが、ゆつくり今度政府にお考えをお伺いしたいと思つております。 あの阿波丸請求権処理のための日本国政府及び米国政府間の協定の問題は実に重大な問題でございまして、私今ごろ政府がこの協定を私どもの前に提出されたということ、そのことの裏において私非常に不明快なものを感ずるのでございます。御承知のように阿波丸事件に基く日本国の請求権放棄に関する決議案というものは、昭和二十四年の四月に、岡崎外務大臣御自身が説明に当られまして、この決議案が提出されたのであります。その決議案とこの協定とは何ら法律的関係はないと思うのであります。それにもかかわらず政府は、決議案の要望によつてこの協定を結んだものであるから、国会の審議、承認を求める必要はないというような詭弁を弄して言いのがれをしておられます。しかもそればかりではございませんで、さらにこの協定の了解事項というところを読みますと、イロア、ガリオアに対します、今日問題になつておりますところの件を、明らかにアメリカ側に対する日本の債務であると認めておるのでありまして、こういう重大なことを政府は認めておりながら、国会に承認を求めていない。しかも阿波丸の請求権放棄に関する決議案に対して、すでにその領域を越えた越権行為をして、政府がかつてにとりきめておるというところに大きな問題があるのでございます。しかし一応これはお預けにしておいて時間の制限がありますから、今度また質問いたすことにいたします。
○福田(篤)委員 議事進行について動議を提出いたします。本案についてはすでに質疑を尽されたと思われますので、この際質疑を打切り、ただちに討論採決に入られんことを望みます。
○細迫委員 ただいま質疑打切りの動議が提出せられましたが、私どもはこれに反対せざるを得ません。お聞きの通りに、この艦艇貸与協定につきましては、まだ質疑は尽きておらない、のみならず、非常に大きなことにおいて尽きておらないのであります。すなわち、これが三十年度においてどう発展するのか、一体、全体の海軍力の増強はどこまで行う予定であるか、そういう一貫した計画の中において、その一部としてこの協定は考えられなくちやならぬのでありますが、この点につきましての御答弁は、何ら確定したものが承れないのであります。自分の、一個人の見解は述べられないとか、自分の職務柄では述べられないとかいうような御答弁でありまして、これはどうしても総理大臣に承らなくてはならぬ事項であるのであります。委員会のわれわれとしましては、しばしば総理のこの委員会への御出席を要望し、それに努力するというような御了解も委員長においてあつたかに承つておるのであります。それが実現いたしておらないのでありまして、私どもはこの防衛計画全体の姿をここに明らかにする必要のため、総理大臣の出席を求め、これに対する直疑応答を要求するものであります。その意味におきまして、いまだ重要なる質疑が残つておると解しなければならぬのでありまして、私は総理大臣出席まで暫時休憩いたしまして質疑を続行すべきだと思うのでありまして、今の動議に絶対反対するものであります。
○上塚委員長 ただいまの細迫君の御要望に対しましては、昨日の理事会の要望に基いて、私は今朝緒方副総理をたずねまして、御要求の趣を申し入れておいたのであります。しかし総理大臣は、今日は出席ができないということでありました。今後ともできるだけ要望に沿うて努力するつもりであります。 なお福田篤泰君の動議は、この際本案に関する質疑を打切つて、ただちに討論採決に入られたいとの動議であります。 本動議を採決いたします。福田君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○上塚委員長 起立多数。よつて動議のごとく決しました。 これにて本件に関する質疑は終了いたしました。これより討論に入ります。討論の通告があります。よつて順次これを許します。細迫兼光君。
○細迫委員 私は日本社会党を代表いたしまして、この艦艇貸与協定に関する意見を開陳いたしまして、同席せられる委員諸君の御同調を得たいと思う次第でございます。 この艦艇貸与協定は、その名においてすでにまつたく日本の自主性を失つておるものでございまして、アメリカ側から見たところの関係を律しておる形に相なつておるのでございます。すなわち、艦艇の貸借といえば、これは貸す方と借りる方と町方の立場を現わす言葉に相なりますが、貸与といえば、これは一にアメリカ側の態度を示した言葉でありまして、ただにそれは文字の上だけのことでなくして、内容そのもの、この協定の意義そのものが現われておるものであるといわなければならぬのであります。すなわち、MSAを根底といたしますいわゆる自由主義諸国の防衛安全のために、この艦艇を日本に貸して、そうしてアメリカの安全とその外交政策の推進に資しようというアメリカの世界政策の一環をなすものであるのであります。まことに自主性のないことにおいて、われわれは絶対に反対せざるを得ないのであります。 のみならず、これは、常に吉田内閣が汲々としてその考えを推し進めて参りましたところの、憲法を実質的に蹂躙して、アメリカに奉仕しようというその政策の一環でもあるわけでありまして、これは憲法蹂躙の一つの突破口であります。突破口のみならず、すでに蹂躙の圏内に突入しておるのであります。先ほど私が質疑においても申し上げましたように、すでにわが国の保有しております六十八隻、これに計画の十七隻を加えますれば、極東アジア諸国の海軍力との比較におきまして、まあまあこれと匹敵するものは台湾と中共あるのみでありまして、フイリピンにいたしましても、あるいはタイにいたしましても、インドネシアにいたしましても、実力は劣勢でございます。これは必ず日本の方針とかみ合せまして、脅威を与える存在にならざるを得ないのであります。いかに公に自衛自衛と申しましても、これは諸国における海軍がみな同じことを言つているのでありまして、問題は実力のいかんにあるのでございます。この実力を比較するとき、これに劣勢なる隣接諸国は脅威を覚えるに違いないと考えるのは、決して私の思い過しではないと確信いたすのであります。こうして事実上禁じております海軍の保有というなのを、ここに一線すでに突破いたしておると思うのであります。隣接諸国に脅威を与え、自衛の任務と目的をもつて、そうしてそれ相当の武力を備えた存在、これを海軍と言わずして何であるか。これは日本国憲法第九条にいいます海軍そのものであると私は断定せざるを得ないのであります。(「ヒヤヒヤ」)これをあえてほおかむりをいたしまして、戦力にあらざるものであるというような言いのがれによりまして、事実上憲法を侵害しつつある状況であります。昔、秦の趙高という大臣は、しかを献じて馬なりと称し、これをしかなりと真実を述べる者をすべて排除、排斥、粛清、追放いたしました。そしてあの秦の滅亡を見たと申しますが、正直に海軍を海軍と言うことが政府には許されない。これを海軍にあらずと言う者は政府及び与党の諸君に限られておる。世間一般、国際的にも国内的にも、これを海軍なり、軍隊なりと吉わざる者はいないのであります。これらの客観的な事実に耳をおおい目をおおつて、あえて憲法を侵害する行為を着々実現しつつあるということは、まつたく許すべからざることであります。 私どもは反対いたしましたけれども、吉田総理大臣を総理大臣として指名することは、少くとも形式的に成立した事実を否認しようとは思いません。しかしながら、これは白紙委任状を差上げたものではないのでありまして、この日本国憲法の条章に従つて国政をやつて行くことをゆだねたにすぎないのであります。すなわち吉田総理大臣はこの憲法の条章に従つて国政を処理して行かなければならぬ大きなわくをはめられておるものだと私は確信いたすのであります。しかるにその基本たる日本国憲法を蹂躙して、かくのごときことがずうずうしくもやられるということを、私どもは絶対に許すことができないのであります。 かかる意味におきまして、私はこの協定を断じて承認すべきものでないと結論するのでございまして、諸君の御同調を得たいと考える次第でございます。(「ヒヤヒヤ」「その通り」拍手)
○上塚委員長 福田篤泰君。
○福田(篤)委員 私は自由党を代表いたしまして、本協定に対し賛成の意見を表明いたしたいと思います。 まず第一に、今次協定の締結によりまして、MSA協定によつては従来瞬けることのできなかつた千五百トン以上の大型艦艇の貸与を受ける道が開かれて、本年度の防衛力増強計画の遂行に万遺憾なきを期することができたわけであります。 また第二の理由といたしましては、この協定の内容である貸与の条件も、前回の船舶貸借協定とほぼ同じようなものではありますが、内容においてけ妥当であり、かつ貸与期間についてけ五年以上に延長し得る余地も残しておりまして、他国との協定に比し有利と認められるからであります。第三は、憲法違反のいろいろな説もございますが、貸与を受ける艦艇はMSA協定の規定に従いまして使用されるのでありますから、この非難は当らないものと信ずるものであります。 最後に、MSA協定によつて受ける装備と相まちまして、わが国の海上防衛力増強に必要な艦艇を受けることができまして、ここにわれわれの念願とするところの均衡のとれた自衛力の建設を可能ならしめるのでありまして、本協定に対して賛成の意を表するのであります。(拍手)
○上塚委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 私はただいま議題となつております協定に、日本社会党を代表して反対の意見を簡単に述べんとするものでございます。 先ごろ船舶貸借協定が締結されましたその当時におきまして、アメリカから軍艦が来た場合に、日本にやつて来るとそれが船舶と呼ばれる、そういつた理由は何であろうか。あるいはこの協定が憲法違反であるというような点につきまして、多くの議員から討議せられたのでありましたが、ぬらりくらりとした答弁をもつて政府はこれに答えておりました。ところが今回は、MSAの協定により武器をアメリカからもらい、また防衛二法案を改正し、そして今回は船舶協定というものから艦艇協定というふうに名称をかえることによつて、一段と再軍備を進めて来たのであります。このような方法によつてまず第一に国民の目と耳をならしながら再軍備の方向へと既成事実をつくつている。こういう欺瞞的な憲法違反の態度に対しましては、私どもはとうてい賛成ができません。 まずこの協定の中で最も心配いたしますのは、政府の答弁を聞いておりますと、本年度予定されておりますのが十七隻で、それ以上になりますと、あるいは同じ条件、同じようなものは附属書にその名を書き連ねることによつても貸与できるかもしれないというような含みのある答弁をせられるのでありまして、そのことは結局国民の知らない間に、その附属書の船の名前がどんどんふえて行くということになるのを私どもはおそれるものでございます。 またこの間多くの人たちが反対をいたしましたのも押し切りまして秘密保護法案を国会で通しましたが、この協定の中にも秘密保持の措置を規定しております。しかも大臣にこの点を聞きましたところが、この点に関しては大して急がないから、次の国会でもいいじやないかという御答弁でございましたが、それほど急がないものならば、先ごろ無理やりに秘密保護法案を通さないで、しかも国民にあれほど言論の抑圧というような不安な感情を抱かせないで、今日の貸与協定まで待つて、十分に秘密保護法案というものを審議してからでもおそくはなかつたし、また二重に新しい措置をこの艦艇協定によつてとらなければならないということは非常に煩わしいことでありますので、そのような政府の無計画なやり方というものに対しましても、私どもは了解できません。 そしてまたこの貸与期間についてでありますが、今度の艦艇貸与協定の中には、アメリカの意思で必要なときには日本に貸した艦艇も引揚げることができるし、また五年以内の期間をさらに五年以内延ばしたいというようなときにも、あらためてアメリカと協議しなくてはならないというふうになつておりまして、あくまでもアメリカの意思によつて左右される従属的な要項を含んでおります。この点に対しましても岡崎外務大臣は、それは借りる方なんだからしかたがない、こういうふうに言われておりますが、国民はそうした隷属的な立場をとつてまで借りなければならないということは了解できません。ここにもまた自主性のない軟弱外交を見るのでございまして、私どもは賛成できないのでございます。 また第八条におきましては「侵略者」の言葉が私どもの非常な耳ざわりにまた目ざわりになるのでありまして、このことはあたかも侵略者が身近に辿つているような不安を持たせますし、また「侵略者」に対しまして具体的な例を引きまして私どもがいろいろ質問をいたしましても、そうした例に対しての答弁は避けておられます。この点から見ましても今後において解釈上にいろいろ疑義を残すと思われるのでございます。 以上申し述べましたように、憲法に違反しながら再軍備をさらに一歩推し進めて行こうとするその欺瞞的な態度を持つた艦艇貸与協定に、私ども社会党は反対をするものでございます。(拍手)
○上塚委員長 次は須磨彌吉郎君。
○須磨委員 私は改進党を代表いたしまして、この艦艇貸与に関する協定の承認に賛成の意を表するものでございます。 ただここに二、三申し述べておきたいと思いますことは、この協定によりますとその名目ははつきりと艦艇貸与協定といたしておるのでありますが、かつて保守三派の防衛折衝の際におきましては、船舶という字でなければ困る、どうしても艦艇という字は使われないということで最後までがんばられまして、政府筋の御意見としまして第十九回目の会合において初めて艦という字を使うことになつたわけでございますが、さようなことがこの協定によつてはつきりしたわけでございます。これは私が四月二十八日の内閣委員会におきまして木村長官にただしました際に、自衛隊は軍隊であるというお言葉がありましたことと符節を合するものでありまして、この協定によつて船舶が艦艇にかわつたことを、政府はいよいよ憲法を改正するにあらずんばこの上の増強はできないようなぎりぎりの線まで参つた、その証左と見ることといたしたいと思うのであります。 次に申し上げたいことは、あの秘密保護法は、先般の本委員会におきまして、十二対十二のぎりぎりの同数でございましたのに対しまして、委員長の職権を用いてこれをようやくお通しになつたのであります。あのときにはいかにも秘密保護法がなければ、これからの武器の貸与を受けることが不便であるというようなお示しがあつたのでありますが、この保護法が成立し、すでにこの艦艇貸与の協定もできるような次第でございまして、かような点から考えますと、秘密保護法を取急いで、しかも十二対十二を職権をもつてお通しになつたということについては、政府においても御反省の必要があろうということを御警告申し上げる次第でございます。 さらに第三に申し上げたいことは、先般私が外務大臣に本協定に関して第一回の質疑をいたしたときに申し上げたことであります。第五条に「艦艇に自国の旗を掲げることができる」という規定がございますが、いやしくもわが国がこれを借りましたからには、国旗を掲げることはあたりまえでありまして、さようなことをこの協定でおきめになりましたことは、他のイタリアその他との条約にもあるそうでございますが、これはまさにわが国外交が自主独立の精神に欠けておることを示すものであるということを私は指摘いたしまして、賛成討論を終りたいと思います。(拍手)
○上塚委員長 これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。 日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定の批准について承認を求めるの件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○上塚委員長 起立多数。よつて本件は承認すべきものと決しました。 なお本件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議がなければさように決定をいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午一時五十四分散会 ――――◇―――――