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19回国会衆議院1954/05/17

外務委員会 第51号

発言数
347
登壇者
12
会派数
4
開催日
1954/05/17

会議録

上塚司自由党

○上塚委員長 これより会議を開きます。  まず外交に関する件について穗積七郎君より緊急質疑の通告がありますので、これを許します。穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 ただいま議題となつております艦艇貸与協定に関連したことで、一、二増原次長にお尋ねしたいと思います。  五月十六日付の読売新聞の報道によりますと、前日の十五日に、アメリカの三軍記念日にあたつて神田の学士会館においてレセプシヨンが行われ、その席上ヒギンス少将が重大な発言をしたように報道されております。増原次長は当日わが方の軍部を代表して出席されたようでございますが、この新聞報道をごらんになつて、これを事実として確認されますかどうか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 十五日土曜日午後一時ごろからでございましたか、米国の三軍記念日のお祝いがあるということでわれわれに招待状参りまして一私も参つたのであります。それは事実であります。私も昨日読売新聞を見ましたが、英語であいさつがあつて、あとで向うの人が日本語に訳してくれました。いわゆるレセプシヨンでウイスキーなんかごちそうになりまして、得意でない英語などあまり聞いておりませんし、だれもあまり気をつけておらぬようでありましたが、そこに書いてあるようなことがありましたかどうか記憶はございません。しかし全体としての感じはただ三軍記念日についてのごあいさつであり、私もあとであいさつを述べましたのは一誓いろいろごやつかいになつてありがたい、将来もよろしく御援助を願うということを申したのでございまして、特別のことを聞いたり話したりはいたしておりません。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 今伺いますと、読売新聞の報道はごらんになつたようでございます。そういたしますと、その席上ではウイスキーに酔つぱらつており、得意でもない英語でしやべつたし、向うの通訳も必ずしも正確な通訳ではなかつたようであるから聞き漏らしたというような御趣旨でありますが、目がさめてあくる日の新聞を読まれると実に重大な発言をしておるわけですが、こういうことを言つたという思い当りがございませんか。ヒギンスのあいさつにこたえてあなたがあいさつをされたことになつておるわけでございます。しかも向うは「日本の陸海空三軍の将校たちとともに交歓する」云々という言葉を使つておりまして、あなたは三軍の代表将校としてものを言われたというふうに向うには印象を与えておるわけです。その中で「ヒギンス少将も言われた通り、」と書いてあるが、一れた通りということであるならば、内容を承知されてでなければそういうことを言われるはずはないので、内容は何を言つたかわからぬのだ、重大なことを言つたかもわからぬようなことに対して、賢明にして慎重なる役人育ちのあなたが、ヒギンス少将の言われた通りと内容を全部肯定するような意味で言われて、続いて、この三軍の設立にあたつては非常な紆余曲折、困難を生じて今まで来た、それにもかかわらず、今後ますますこの不十分にものを満足の点まで持つて行くつもりであるから一層努力したい、そして、どうかアメリカの協力をお願いするという趣旨のことを言つておられますが、これははなはだ不当な御発言だと思います。自分のおつしやつたことはウイスキーに酔つておられましても覚えておられると思いますが、これはいかかでございましよう。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 たいへんおもしろくない御質問の仕方で、私はウイスキーに酔つぱらつたと申しません。ウイスキーを飲んでおつた、そういういわゆるレセプシヨンのあいあいたる話合いの中の向うのごあいさつであつたということを申したにとどまるのであります。私の言うたことは、新聞に書いてある通りに言うたのではありません。私の申したのは、今も言つた通り、いろいろ今まで保安隊、警備隊等の育成についてごやつかいになつておることを、ありがたい、将来もよろしくお願いをすると言つたので、ヒギンス少将の言つた通りなんということは申しておりません。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 それでは続いてお尋ねいたしますが、これは外務省の御所管になりますかあるいは出席されました保安庁次長または保安庁としての責任になるか知りませんが、いやしくも、「日本は軍事同盟国、再軍備を既定事実と見る」という重大な見出しで、しかもここにしるされましたような重大な内容のものがございます。これをわれわれが特に取上げなければならないのは、新聞の報ずるところによれば、「アワー・ミリタリイ・ブラザー・イン・アーム」という、日本をわれわれの軍事同盟国として認めるという趣旨があり、しかも後段の方に参りまして、「過去一年間日本とアメリカとは日本の三軍(ジヤパニーズ・アームド・フオーセズ)」と書いてございますが、それに対してあなたが全部を受けるような趣旨で、「ヒギンス少将も言われた通り、」というふうに、これを肯定するような印象を与え、しかも権威ある新聞で対外的に発表になつております。そしてあなたが、これは内容については覚えておらぬ、またヒギンス少将の言つたことを肯定しておらぬ、そういうことは言つた覚えがないとおしつしやるなら、これは何らかの措置をとらなければならぬと思いますがいかがなものでしようか。三軍の代表将校という言葉を使つてあなた方を示して、その代表者であるあなたが、向うに、あなたのおつしやつた通りである、今後とも努力いたします。御協力願いたいということを言つた、そのことは法律上は責任はございませんでしようが、政治的には何らかの責任を生じて来る言葉になります。ですから、まず第一に急遽ヒギンス少将が、言つた内容を確かめること、第二にそのあなたの受答えがはたして――そうであると私は信じますが、向うへどういう印象を与えたかを確かめる、第三には、この新聞報道が間違つておるならば、訂正をされる措置をとらるべきだと私は思いますが、その三点について、いかがなものでございましようか、重ねてお尋ねいたします。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 レセプシヨンの際の非公式なあいさつのやりとりについて、これはまだ私個人の考えでありますが、それほど神経質に考える必要はあるまいと考えております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 場所柄がレセプシヨンの場所であり、酒も出た席であり、外交辞令等も含んだことでもあろうというふうに言われるような口吻でございますが、しかし相手はアメリカの軍事顧問の責任者でございます。それからあなたも保安庁の最高幹部であるわけです。その二人の方が言われた内容が、これは単なるレセプシヨンであるからとか、あるいはニクソンのかつての発言が、日米協会において行われたものであるから、それほど重く見る必要はないとおつしやるかもしれませんが、これは国際的にも国内的にも非常な大きなインフルエンスを持つ。だからこそ読売新聞が、トップの記事として、大きな見出しで書いておるわけでございましよう。そういう事態でございますので、これに対してあなたが無関心でおる、無責任でおるというわけには行くまいと私は思う。特に私が今指摘したように、ちやんとわれわれがかねて言つておつたように――われわれの申すことは、政府与党の方々は、常にわれわれを攻撃するための偏見である、あるいは曲解であるというふうな言葉を使つておられましたが、まさにヒギンスの言葉は、アメリカの理解するところは、明らかにもう既成事実をつくつて行きたい。その既成事実に対しては、それが不当である、または不法なものであつても、既成事実は事実として確認せしめざるを得ないようなところへ追い込んで行くという意図がこの中に明瞭であります。しかも現在の段階におきまして、すでに「軍事同盟国」という言葉を使い、あるいは「アームド・フオーセズ」という言葉をはつきり使つておるのでございます。こういう重大なことになつて、そうして今までのMSA協定あるいは今議題になつております艦艇貸与協定というものは、これはあなた方が私どもに説明される内容をもつてわれわれは了承するわけに行かない。当の親の国でありますアメリカ自身が、しかもその責任者がこういう理解のもとに、あるいはこういう意図のもとにものを言い、この協定なり、今後の日本との兵力増強計画を考えておるわけでございます。そういう含みでございますならば、それをはつきり確かめておかなければ、この協定というものは、あなた方の説明だけではよく理解するわけには行かぬのでございます。ですから私たちが今まで言つたことは、決して邪推でも、曲解でも、あるいは反対するための言辞でも何でもないのでありまして、私どもが危惧しておりましたことは、決して危惧ではなくして、それは事実であるとこういうをこれによつて証明いたしております。ですから向うがこういうような重大な含みをもつて、理解をもつてやり、しかもそれを事実上あなたが肯定するような態度をもつて談話発表をやり、これに対応して交渉して行くということになりますと、これは後になりまして非常に大きな齟齬を来し、国民をだますことになると思うのです。われわれは決してだまされてあやまちを犯したくないと思いますので、従つて今の問題に対しましては、レセプシヨンであるからということでなくて――レセプシヨンの談話というものは、法律的に意味を持たないことは言うまでもない。岡崎・アリソン両氏の間でMSA協定の場合に言われました外地派兵云々も、これは法律的義務の根拠を持たないが、政治的な大きな意味を持つておるということを言われた。またニクソンの憲法改正に対します日米協会における発言というものも、これまた決して政治的には無意味なものではございません。そういう意味で、今議題となつております問題、しかも国際情報の報ずるところによれば、MSA協定その他によつて強化いたしました日本の武力を、アジヤ全地域において使いたい、すなわちその政治機構として太平洋防衛同盟に日本を参加せしめたい、しかも今度古田さんが国会終了後アメリカへ行かれる。こちらの意図は那辺にあるかは別として、向う側の意図としては明らかに、増強して来た日本の部隊を、太平洋生地域に武力的に協力せしめるために、その同盟機構の中へ参加せしめることを話したいということが、報道されておるやさきでございます。当の責任者であるヒギンスが、しかもそういうことを理解し、あなたが日本側の責任者としてそれに対してこういうことを言われたということになれば、これは単に法律上責任がないことであるから、あるいはまた酒の席上であるから、これはどうでもいいことだというわけには参りませんでしよう。いかがなものでございましようか。その御所信をもう一度お尋ねして、今申しました三点について、急遽その内容なりあるいはまたその影響というものを、われわれに的確に説明していただきたい。これが私は艦艇協定の採決に入ります前提条件であるとすら、実は考えるのでありまして、その点を重ねてお尋ねして、この責任のある、誠意を持つての御処理を願いたいと思いますが、いかがなものでございましようか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 ヒギンス少将というのは、御承知かとも思いますが、いわゆる顧問団長という形のもので、大使館に付属するものであります。MSA関係援助を米国が日本に対して行う場合に、そのことについての仕事をする顧問団の単調ということであります。米国のすべての、何といいますか、日本に関する国策について事を行うというふうな職務権限を持つておる人ではないという立場の人であります。そうしてMSA援助もしくはその前身ともいうべき、現在まで陸の十一万に対して砲、戦車その他のものを借りておる。船はPF十八隻、LSSL五十隻というものを借りておるということに関連しての仕事をしておる人であります。そういうことについて従来向うが援助をしてくれ、われわれが援助を受けて努力して来たということに関連をしての応酬をいたしたわけであります。今穗積委員の言われたような意味合いの、基本的な日本の防衛対策とかなんとかいうふうなものについて話合いをかわすという立場の人でもないし、もちろん私がそういうことの話をするという立場の者でもないということをご了承願えばけつこうであります。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 そうでございますれば、そのときにあなたの理解は間違つておるということをなぜ一言おつしやいませんか。それはそういう立場のものではない。ないにいたしましても、これはこれとして、アメリカの対日外交を代表するものではない。しかしながら軍の重要なる地位におる者でございます。しかもあなたが単なる属僚ではなくて、政治的な判断と能力を持つておる高級幹部でありますならば、最近のアメリカの対日外交というものが、アメリカの軍部の意向によつて、またはその作戦方針を基準として行われておる事実はもとより御存じでしよう。そういう場合に軍の発言というものが、かつて満州国におりました関東軍参謀または軍の顧問のこういう席上におきまする発言と同じように、実はあなたがおつしやつたような単なる官僚的な解釈、法律的解釈によるインフルエンスだけにとどまらぬものでございます。でございますから念のため、慎重にして賢明なるあなたでございますので、そうでございますならば、あなたのさつき言われた軍事同盟国であるという理解、または日本のあれを国際法的に見て三軍だ、軍隊だとはつきり確認をすることは、これは誤解であるということを前もつて断つて、そうしてあなたの今言いました日本の防衛力増強に対する協力を求めることに対しましては、その事に関する限り明確に誤解のないような発言をされるのが至当だと私は思うのです。なぜそういうことがなされなかつたのか。それでさつきも伺いますと、ウイスキーを飲み、そしてまた言葉も十分わからなかつた。だから内容については聞き漏らしておつた、どのようなことを言つたか覚えておらぬということでありますれば、新聞をごらんになつて、こういうような発表をいたしておるから、これを見て事実を確かめる。もしこの新聞の記事が事実だつたら新聞を責めるわけに行かない。間違つておつたら、これは訂正の記事を出してもらうとかなんとか、とにかくこれは重大な意味を持つておることでございますので、そういう御措置については――これはこのまま黙親するわけには行くまいと私は思いますが、いかがなものでありましようか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 さつきから申し上げますように、レセプシヨンでの受答えに特に神経を立てる必要はないという建前を私はとつております。そして新聞に書いてあることがその通り速記録でもあるかのごとき仰せでありますが、そういうものではございませんので、新聞社の方でもそういう速記録を書いたようなつもりでないことは間違いないと思います。また三軍というようなことを仰せられますが、そういうことも、私はよく聞き取つたわけではございませんが、穗積委員よく御承知のように、向うではフオースという言葉を使います。(「複数になつておる」と呼ぶ者あり)スリー・フオーセズという言葉をあるいは使つたかもしれません。それは自衛隊法が通りますならば陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、これはやはり英語に訳しますとフオースというふうな言葉に大体なるので、一向特別に神経を立てるような問題ではないと考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 関連。私もこれはぜひ確かめたいと思つておつた重要事項なのです。今のは非公式なレセプシヨンでの問答ですから、そのことについては深くとがめようとは思いませんけれども、向うで了解しておることが、この文字で表現されておるというようなことであると、実際問題として影響が大きい。そこで私は岡崎大臣にお伺いします。ヒギンス少将は、今穗積委員から言われたように英語で「アワー・ミリタリイ・ブラザー・イン・アーム」という言葉と「ジャパニーズ・アームド・フオーセズ」という言葉を使つております。これがもし公文に出て来た場合に、日本の外務省としては、どういうふうに翻訳されますか、それをお尋ねいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは条約局長の方からお答えいたします。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 はたしてそういう英語を使つたかどうか私は全然知りませんが、かりに「アワー・ミリタリイ・ブラザー・イン・アーム」という言葉を訳しますと、武器を持つた僚友といいますか、とにかく読売の表題にありますような軍事同盟でないことは明らかでございます。これは第一ヒギンス少将の写真もまるで別の人のような写真を掲げておりますように、私はあの記事に信を置いておりません。軍事同盟というものは片方が攻撃されれば他国が助けるという意味の内容を持つておるものでありまして、「ブラザー・イン・アーム」ということは、どういう意味にとりましても軍事同盟でないことは明らかでございます。これは今まで武器を貸与して、そして訓練のお手伝いをしたそういう僚友ということでありまして、今までの経緯から見れば、そういう言葉が出るのは当然だろうと私は思います。何ら政治的な、法律的な意味のない、まさにレセプシヨンで使うに最もふさわしい僚友という言葉と解すればいいのではないかと思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 「軍事同盟」は英語で何と言いますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 「軍事同盟」は「ミリタリィ・アライズ」です。

並木芳雄改進党

○並木委員 「ジヤパニーズ・アームド・フオーセズ」の方はどうですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 アームド・フオーセズ、これは一番普通に訳す場合は軍隊でございますが、しかしこの軍隊というのは、憲法に交戦権があるとかないとかいう問題を全然度外視して、武器を持つた部隊であれば軍隊とおつしやろうがそれはさしつかえないわけでありまして、何も軍隊というからこれは正規の交戦権を持つ部隊を言うものではない。レセプシヨンの言葉でありますから、そういう法律的な意味では全然ない。厳密には分析しないで、通常の言葉としてアームド・フオーセズと言つたかもしれませんが、それが何も法律的に、交戦権その他の問題をインプライしておると断定する必要はないと思います。普通の用例に従つて使われた用語であると思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 新聞の報道を拝見しますと、普通に使われておらないのです。この一年間両方で苦心をして来た、ジヤパニーズ・アームド・フオーセズをつくり上げるのに努力をして来た、こういう表現がなされております。従つてアメリカの方では、明らかに国際法上または国際知念上の軍隊を日本につくり上げつつある、こう考えていると私は思うのです。もしそうだとすれば、これは日本の国民に対して政府が隠し立てをしておるということになるのです。そこで私は、岡崎外務大臣にどうしても確かめておきたくてここにメモを書いて来たのです。今度の自衛隊というのは、そうすると英語では何というふうに訳されますか、それとこのジヤパニーズ・アームド・フオーセズとの違いはどこにあるかということをお答え願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 アメリカ側は、日本の憲法はよく承知しております。憲法の範囲内においてやることは、これは相互寮全保障協定にも書いてある通りであります。憲法に違反するようなことはアメリカ側としても夢想だにいたしておりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 自衛隊は何と呼ぶか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 「自衛隊」は英語では「セルフ・ディフェンス・フオーセズ」と申しております。

並木芳雄改進党

○並木委員 大臣はアメリカの方で確かにジヤパニーズ・アームド・フォーセズというふうにこの自衛隊を考えておるとお思いになりますかどうか。セルフ・ディフェンス・フオーセズはアメリカ側からいえばジヤパニーズ・アームド・フオーセズであるというふうになる、そうお考えになりますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 アームド・フオーセズというのは武器を持つた部隊であつて、その中には軍隊もありましようし、軍隊でないものもありましよう。ゲリラ部隊でもアームド・フォーセズ、武器を持つておるものはみなアームド・フオーセズです。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 そうしたしますと、この記事について非常に信頼を置かないということを言われる、それから誤訳がある、それからもう一つは、増原長官の言つたことは言わぬことが書いてあるということでございます。天下の一流新聞がそういうことをやるとインフルエンスが非常に大きいので、政府としては当然これは取消しを要求されるべきだと思いますが、いかがなものでありましようか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 私の個人的見解は、先ほど申し述べたように別に神経を立てるほどのことはないと思う。しかしほかの方にどういう意見があるかもしれません。個人的見解はそうであります。

上塚司自由党

○上塚委員長 それでは日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定の批准について承認を求めるの件を議題とし、質疑を続けます。戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 私は質問に入ります前に、議事進行に関して一言発言を許していただきたいと思います。会期も終りになりましたが、まだ私どもの了解できない外交上の問題も残つておりますし、ことに今度吉田首相の欧米訪問の旅行がきまつたようでございますが、その目的とされるところは、外務大臣の配下にある外務省でさえも、どういうことを目的とされているのかもおわかりにならぬようだということが新聞に書かれてございます。そこで国民の代表として、しかも総理大臣という資格で外国へいらつしやるからには、どういうふうな考え方でいらつしやるかというふうな点も、私どもは当然聞いておかなければならないことだと思いますし、その他いろいろ総理大臣としてのお考えを伺いたいと思いますので、この委員会の決議として委員長は吉田総理大臣に、次の機会にぜひこの委員会に出席されるようにお申入れをなすつていただきたいと思います。この動議を委員長は取上げていただきたい。

上塚司自由党

○上塚委員長 戸叶君、今の御質問は委員長に対してでありますか。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 委員会からの動議として取上げていただきたいので、委員会にお諮りいただきたいと思います。

上塚司自由党

○上塚委員長 委員会のことでありますれば、理事会を開きまして相談した上でお答えいたします。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 きようのお昼の休憩のときに理事会を招集していただくようにお願いしておきます。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 それでは質問に入りたいと思います。  一昨日の政府の御答弁によりますと、日本の国から艦艇十七隻を希望したけれども、今回は四隻に限られたというふうに答弁されております。この十七隻の希望に対しての四隻というふうに減らされたその理由は、どこにあるかを承りたい。それを私がお伺いしたいと思いますのは、政府がだんだん再軍備の方へ持つて行きながら、国民の目をごまかしていろいろな工作をつている。そういうことに対して、他の国からアメリカに対して、日本にそれほど多くやるのは、日本を再軍備の方へ持つて行くから非常に危険であるというような発言があつたのではないかということも私聞いておりますので、希望通りに行かなかつたという理由のほどを承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 第一、政府が国民をごまかして再電磁の方向に持つて行くなんというのは、とんでもないお考えでありまして、そんなことを政府は全然やつておりません。いいかげんなことをおつしやらないようにお願いいたします。  そこで、艦艇については戸叶さん非常に想像力をたくましゆうされまして、よその国から何か文句があつて出ないのじやないか、そのような事実は全然ありません。これはこの前フリゲートその他の船を借り受けるときもそうでありましたが、漸次予定のように進んで行くのでありまして、この前のときも第一回は何隻、第二回は何隻、第三回は何隻とだんだんにふえて行つておるのであります。今度も十七隻を予定いたしておりますが、その中の第一着手分として四隻がきまつた、こういうことであります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 私が再軍備の力に政府がごまかしているということを申し上げましたのは、事実を申し上げたのですが、岡崎外務大臣はそれに対してむきになつて、そんなことを言つてもらつては困るとおつしやるのは、何かしらそこにそういうふうな不安をお持ちになつていらつしやるのではないかと思われます。私がよその国から何か言われたのではないかということを申しましたのは、そういうことをちよつと聞きましたのと、もう一つは岡崎さんとアメリカ側とのあいさつの中で、アメリカのアリソン大使が、いかなる意味においても侵略の協定または軍国主義再現の象徴とみなさるべきではないということを強調したいと、わざわざこういう言葉をあいさつの中に言われておりまして、軍国主義再現の象徴とみなさるべきではないということをあいさつの中に言われたのを見ましても、何かそこにあるのではないかと考えたのですが、その点についてもう一度承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私がむきになつてお答えしますのは、いやしくも当委員会のごとき権威のある委員会において、想像に基いてかつてなことを言われては国民が迷うからであります。再軍備などということを言つてないことは政府が再三申しておる。それに何かさも隠し立てしたようなことを言われるから文句を申しておるのであります。またアリソン大使の言われました真意は確かめておりませんけれども、おそらく戸叶さんのような言辞を弄する人が国内にありますものですから、そういうことのないように念のために確かめたのだろうと考えております。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 ところが岡崎さんは御存じなくても、国民の大部分がそういうことを言つておるのです。岡崎さんももう少し国民の声をお聞きになつていただきたい。また事実を事実として言つていただきたいと思います。  そこで次に質問いたしたいのは、この前の船舶協定で、六十八隻の船舶を借りましたときには、その協定の中にたしか隻数まではつきりしていたのではなかつたかと思います。この点、もし私が間違つていたら直していただきたいと思います。ところが今度の艦艇協定では附属書の中に四隻だけはつきり書かれておるのでございます。そうするとこれから艦艇の貸与を受ける場合には、どういうふうな形式をとつて借りられるのか。一々国会の審議を経ないでもうこの協定が結ばれてしまつたのだから、政府との間でもつてかつてに艦艇の貸与を受けるのかどうか、その点を伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 失礼ながらそれは戸叶さんの記憶の間違いでありまして、この前も隻数等を書いておりません。あれは国会においてこれだけの隻数を借り受けるつもりである、この範囲において、順次きまつたものを、附属書を追加して実現する、こういうことにいたしております。今度の場合も同様でありまして、隻数等はいずれにしても協定の中には書いてありません。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 私は船舶協定が締結されました当時、ちようどおりませんでしたが、詳細に速記録を調べて参りました。ところが最初に船舶協定がかかつたときから、六十八隻とはつきり政府が数字を出しております。そうするとこの協定と違うのではないか、こういうふうに了承したわけですが、その点をもう一度はつきりさせていただきたい。  もう一つは、今岡崎大臣のおつしやつた答弁によりますと、今の船舶協定の例で行きますと、十七隻までは国会の承認を経ずに、附属書で、政府間のとりきめで、かつてに貸与できる、こういうことになるわけでございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この前おられなかつたならばやむを得ませんが、その当時もこれだけの隻数の範囲内で借り受ける。国会の審議の中にも、政府はかつて幾らでも借り受けるのかという御質問がありまして、いやそうじやない、この隻数の中で借り受けるのだ、これだけをあらかじめ借り受けることを申し上げて、あとは両政府間のとりきめでもつてこの範囲で借り受けるのだということを申しております。今回も、一昨日も申し上げた通り十七隻を借り受けるということをはつきり申しておりまして、この範囲内で話がついたものから附属書に記載してこれを借り受ける、それ以上のものは借り受けない、こういうことであります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 念のためにもう一度確かめておきたいのですが、十七隻以上になりますと、新しく他の協定を結ぶというふうに了承していいかどうか。  それからもう一点ついでですから伺いますが、もしも非常に性能の高いといいますか、何といいますか、秘密に属するような艦艇が……。(並木委員「大事なことだから一問々々区切つてやつた方がいい」と呼ぶ)今並木委員からの御要望がありましたので、ただいまの質問に対してのお答えをまず伺いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 本年度内におきましては十七隻に限ります。それ以上のものは借り受けません。また来年度になりまして予算とか人員等について新しい計画なり何なりできますれば、それはまた新しい問題として来年度に借り受けるかどうか、また借り受けるとすればどれだけ借り受けるかということはまた申し上げますが、本年度内におきましてはこの十七隻に限ります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 新しく借りられる場合には、新しい協定を結ばれるか、それともどういう形をとられるかを承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 それはまだ来年度のことでもって、はつきりした見通しを持つておりません。来年度の計画がどうなるかによりまして、場合によつたら借り受けない場合もありますから、借りる場合はどうするかということは、そのときにまた国会にお諮りをいたしまして、適当にきめたいと思います。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 その辺が私はどうしてもわからないのですが、借りない場合はかまいません。しかし、もしも借りるとしたときには、そのときに国会に諮つてするというお話でございましたが、それは借りるか借りないかというのを国会にお諮りになるのでしようか、それともこういう協定を結ぶということを国会にお諮りになるのでしようか、その点を承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 それは来年度のことでありますから、来年度になりませんと、はつきりしたことは申し上げられません。ただ国会に諮ると申しますのは、どうせそうなりますれば、人員も増加しなければならぬ、経費も必要なものを計上しなければならぬ、当然予算等において明らかにして、予算で承認を得ますれば、今度はそれを具体的にするのに新しい協定を必要とするか、附属書でもつて進み得るか、それはそのときの実際上の問題と関連して考慮いたすわけであります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 私はその点はどうしても納得できません。と申しますのは、新しい艦艇を借りるとして、附属書できめられるか、協定で貸与するか。借りなければ問題ないのですが、借りるというような場合が起きたときに、政府が一応この協定を結ぶ以上は、どういうふうな形をとつて今後貸与を受けるかという態度をおきめになつておくのが当然だと思います。ですから、その点をはつきりお知らせ願いたい。岡崎外務大臣がこの協定を結ぶときには何も考えていなかつた、それではあまりに責任者として無責任ではないかと私は思います。この点をはつきり納得の行くようにお答えを願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 それは来年のことでありますから、今そうおつしやつても、はつきりいたしません。ただ私の当座の考えとしては、こういう協定ができまして、今かりに十七隻ということを政府が申して、その範囲内で借り受けることについて国会の承認が得られますれば、この次にまた同様の手続によつて、たとえば今度は何隻借りるということで国会の了承を得ますれば、それでいいのじやないかと思いますけれども、これは法律上の関係、条約上の関係等がありますから、今は本年度のことをやつておるのであつて、来年度についてはさらに十分研究してみたいと考えております。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 私は非常にその点が納得行きませんで不満でございます。もう少しはつきりとわかるように御答弁をいただきませんと、この貸与協定に対する態度も、私どもとしては決定しかねるということを岡崎外務大臣に申し上げたいと思います。  それから次にお伺いいたしたいのは、昭和二十七年の十一月二十九日の速記録を見ますと、この前の船舶協定のときにも、この船舶が、船舶協定という名前ではあるけれども、軍艦とどこが違うかというようないろいろな質問をしておりました。たとえば「ネーヴアル・パトロールタイプ・ヴエツセルズ」というのを、ただ単に船舶というふうに訳しているというようなことを、多くの方々が指摘されましたにもかかわりませず、政府としてはあいまいな答弁をしておりました。そのことはそれといたしまして、今回はつきり艦艇協定と、艦艇という名前をここに打出されましたその理由は、どういうところにあるのでしようか。私はしろうとの考えからして、今までは船舶といつておつたが、今度は艦艇という。そうすると、千五百トン以上の船なんだから、千四百九十九トンまでは船舶だけれども、千五百トン以上になると艦艇というふうにでもおつしやるのかしらということまで考えたわけですが、一体今度艦艇というふうに名前をかえられた理由をお示し願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは今度自衛隊法等ができますと、何と申しますか、自衛隊法に基きまして船の名前も適当に定められ、自衛艦というような名前になると考えております。従いましてそういう意味から、艦艇といたした方が適当であろうという考えでやつたのであります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 そうしますと、前の船舶協定のときに借りました、いわゆる艦艇と当然いうべきものは、そのまま船舶といつておいて、今度の場合のものだけ、それから今後のものは艦艇、こういうようにお呼びになるのでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは増原次長からお答えになつた方が適当かと思いますが、自衛隊法になりますと、新しく募集した隊員だけが自衛隊員じやなくて、保安隊で今まで来た人もやはり自衛隊員になる。つまり新しい法律ができますと、それに基いて適当な名前にかわることと考えます。増原政府委員 ただいま外務大臣からお答えになりました通りでございまして、自衛隊法、防衛庁法が通りまして施行されますと、現在警備船といつておりますものは自衛艦と呼ぶようになります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 そうしますと、大体それですべて船舶といわれておつたものも艦艇ということになると了承いたします。そうしますと、木村長官がおいでになりませんが、木村長官が、二十七年の船舶貸与協定の審議のときに、「軍艦と申しますと、軍旗を掲げまして、国際法上いわゆる軍艦としての権利を持つわけであります。船舶はさような権利を持ちません。しかも乗組員が全然違う。軍事力に用いられますから、軍の者がこれを指揮し、しこうして乗組員もみな軍人として取扱われることになるのであります。」こういう御答弁をしております。そうしますと、艦艇といいますからには、やはり軍艦の一種ということになると思いますが、この場合の軍旗というのは一体日の丸なんでしようか。それからまた軍人というのは、政府から言わせると自衛隊ということになるのでしようが、自衛隊のことをいうわけなんでしようか、その点を増原次長にお伺いしたいと思います。そうしてまたそういう人たちの働き、その船の働きというものは他の国の軍艦と同じである、今の木村長官の答弁によりますと、こういうふうに考えられますが、その点を承りたい。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 木村長官がそのときに答えましたのは、軍艦とはこういうものであるという定義を申し述べたのであります。このたび警備船を自衛艦と呼ぶということに法律案は書いてあるわけでございます。この自衛艦というのは、何と申しますか、自衛隊全体について今までいろいろ論議されました経過によつてこれは御承知と思いますが、すなわち自衛隊は軍隊であるかという御質問に対して、長官から、これは軍隊というものの定義いかんによるのであつて、すなわち武装して、外部からの侵略攻撃等に対してはこれに対して措置をするというふうなものを軍隊と呼ぶならば、今度新しく定まるべき自衛隊は軍隊である。しかしながら、軍隊というものが、いわゆる交戦権を持つものであり、あるいは軍法会議その他の特殊裁判を持つておる、あるいは徴兵制度によるというようなことが普通であるというような、普通の軍隊の特色を持つものを軍隊と厳密に呼ぶとするならば、自衛隊は軍隊ではないというふうに申したと大考同様の関係でございます。自衛艦と呼びましても、これはいわゆる国の持つ交戦権を行使することのできない、それの否認されたものであります。もつとも三インチ砲なり五インチ砲なり、その他のものをもつて武装した船であります。借りますまでは、向うでは軍艦として、ネーヴアル・ヴエッセルとして使用されたものであります。こちらの海上自衛隊の隊規に従つた隊員としての、国の公務員としての、正規の規律、組織のもとにある者のうちの幹部である者、これは普通オフイサーと訳されるのでありますが、そういう者が指揮をし、そして今度は自衛艦旗と申しますか、そういう標識を掲げる自衛艦というものになりますので、いわゆる軍艦としての性格を相当に持つ。これは陸上自衛隊が今度自衛隊になりますと、軍隊らしき性格を相当に持つということと同様の形でありますが、さきも申しましたように、いわゆる交戦権の行使を否認されておるという形において、厳格な意味において軍艦と言うわけにはもちろん参らない、こういう形のものであります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 私は今の御答弁を伺つておりまして、政府のお苦しい立場が非常によくわかるような気がいたします。私が先ほど、政府は国民の目をごまかしながら再軍備の方向へ持つて行くということを申し上げたのに対して、岡崎さんはああいうふうに、私が扇動でもしているかのようなことをおつしやいましたけれども、今の増原次長の言葉をようく吟味してお考えにかりましたならば、日本をだんだん再軍備の方向に持つて行くために、既成事実をつくつて国民を納得させようとしているのだ、一歩船舶から軍艦の方へと進んで行く、そして国民の目、耳をだんだんにならして、再軍備しないのだ、しないのだと言いながらも、ぽんとさしてしまうのだということがはつきりしていると思います。しかしその点をここでついておりましても時間をとりますから、次の質問に移ります。  船舶協定のときには、その貸与期間は五年でございまして、そして合意の上で十年まで追加できるということが示されておりましたが、今度の協定によりますと、合意によつて五年を越えない期間の貸与期間を延長することが適切かつ可能であるかどうかについて協議するものとするというふうに、日本側からだけの要求ではどうにもできないのであつて、一々向うの許可を得なければならない、協議しなければならないということがしるされております。そこで考えられますのは、もう一点この条項の中にありました、アメリカが都合のよいときにはかつてに引揚げるというような点をもにらみ合せてみますと、これは日本にとつてあまりにも従属的なものではないかということでありますが、この点はどうでしようか。適切であり可能であることを一体どつちが認めるか。これは当然アメリカ側だと思いますが、こうなりますと日本の主権というものは認められないように思われますので、その点について御答弁願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 こういう艦船の貸与協定は前に例がたくさんあり、それはみな五年を限つております。今回少し協定の調印が延びましたのも、実はそういう点もあつて、さらにそれを少くとも五年の範囲内では延ばし得るように形をかえた。これは日本側だけの特別の規定であります。今までの例とは違うのであります。それから向うの必要な場合には返す、これも向うの法律に基ききまして――これはよその国との協定にはみな入つておるのであります。実際上はそういうこともちよつと想像されないのでありますが、そういう関係でこれは入れておるのであります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 日本の場合、ほかの国の協定とこの点は違つておるとおつしやいましたが、その違うように期間の内容について規定した理由はどういう点なのでありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ほかの国は、五年借りれば、あとはその間に自分の方で船をつくる。あるいは船をさらに長く借りる必要がないのかもしれませんが、いずれにしても他の国は五年間という点ははつきりきまつておる。われわれの方では、国内の経済状態その他から見まして、五年ですぐ返してさしつかえないような状況になるかどうか、いささか懸念もありますので、その必要を考えてさらに五年以内の延長ができるような形にいたしております。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 五年以内の延長ができるように考えられておりましても、この条項の中に、アメリカ側が必要となつたときには引揚げるという言葉棚あり、適切であり可能であると認めたときには協定の期間を延ばすけれども、そうでないときには延ばさないということになると思いますが、そうなりますと、結局そういうことをきめても日本の意見は通らないのではないかと思いますが、その点はどうなんですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは人の国のものを借りるのでありますから、自分だけで何でもかんでも通るというものではない。自分のものじやない、人のものを借りるのでありますから、その点はそういう場合もあり得るかもしれませんが、おそらくそんなことはないだろうと予想しております。自分のものでないのでありますから、その点は御了承願います。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 そういう点につきましても、アメリカ側に対してあくまで日本が従属的な立場に立つておるという点で、なかなか問題があるのではないかと思います。  次にもう一つお伺いしたいのは、一昨日須磨委員が少し触れられておつたと思いますが、八条の問題で、時間を節約して読みませんけれども、八条の中に艦艇が損害を受けた場合向う側が補償するということがございます。ここではつきり自己の過失と損傷ということをわけておりますけれども、たとえば李ラインなどを漁船について保護して行きましたときに、朝鮮の船からの発砲などでもし損害を受けたような場合は、一体挑戦あるいは侵略とみなすかどうか、そうして向うからの補償を受けるのかどうか、この点を承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私はそういう特定の国に対する問題について、この際お答えすることは適当でなかろうと思いますので、答弁を差控えますが、一般的な問題として申しますと、その損傷がどういう理由によつて起つたかということについては、両国間で相談をいたしまして、そうして相互に合意するような補償をいたす、こういうことになつておりまして、すべて相互間で相談をしてきめるというわけであります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 特定の国については答弁を差控えられたようでありますが、それではアメリカ側が補償してくれるときの具体的な例を一、二あげていただけないでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 アメリカが補償してくれる――これは日本で補償するのです。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 ちよつと言いそこないましたが、その例を一、二あげていただきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 たとえば非常な暴風雨によつて船が損傷を起したという場合には、その暴風雨が予見せられ、かつ不可抗力でないかあるいは不可抗力であるか、日本の過失によるかというようなことは、やはりその状況によつて判断いたしましてきめなければなりません。またあるいは海上に浮遊をする魚雷等がかりにあつたとした場合、それに触れて損傷を起した、その魚雷は一体防ぎ得べきものであるかないか、監視が十分であつたかどうか、こういうことによつて補償の額も違つて来るだろうと思います。やむを得ない場合には補償がなくて済む場合もありましようし、ある程度補償すべき場合もありましよう。これはすべて実際の状況を取調べ、双方で協議をしてきめるわけであります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 もう一点だけお伺いしたいと思いますが、この協定の前文を見ますと、「侵略者」というような言葉が四回くらい使われておりますけれども、それを見ますと私ども非常に不安に思いますが、それほど警戒しなければならない急迫した状態というものは、一体どこから割出したのであるか、その点をお尋ねいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 前文にはそういう字はないのであります。第八条のことだと思いますが、これは補償の場合のことを考えて、特にそういう危険があるかどうか別としまして、ただこういう艦船を借り受けますのは直接、間接の侵略にも対抗するという法律にも基きまして、そういう場合があることを仮定しておりますから、そういう場合の損害については補償がないということを書いただけであります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 私伺いましたのは、そういうふうな侵略者、侵略者というような言葉を非常に使つておりますので、明らかにそういうことを仮定しているように思われますけれども、それほど急迫した状態を想像されるのかということを伺つたのです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 自衛隊法その他をごらんになれば、やはり直接侵略、間接侵略にも対抗するという任務を与えられておるのであつて、従つてそういう場合があり得るということも、これは一応考慮されるわけであります。従つてそういう場合に損傷を受けたらどうするか、それだけの規定を設けたわけであります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 こまかい条文についての質問が二、三ありますが、あとに譲りたいと思います。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 委員長、ちよつと関連して一言許していただきたい。先ほど増原次長から御答弁になりました点で、ちよつとふに落ちないことがあるのですが、これはこの借りる船はアメリカの方は軍艦のリストの中に載つておるのだろうと思いますが、これはアメリカの所有権にはなるけれども、日本で借りた場合には、アメリカの方ではその軍艦のリストから消すのでしようね、消して国際法上はこれは軍艦としてはもう取扱わないということになるのでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 日本が借り受けている限りにおきましては、日本の占有のもとに置きますから、アメリカ側のリストからは当然削除されると思います。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 そうしますと、この船はこれは国際法上どういう取扱いを受けるのでしようか。日本の国旗を掲げて外国へかりにこの船が行つた場合において、軍艦と同じような外交上の待遇は受けないということになるのでしようか、それとも外交上そういう待遇を受けることになるのでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは政府としては、政府の公船として取扱いまして、その限りにおいての外国における待遇は当然受けるわけであります。それ以上軍艦としての待遇ということはちよつと想像されませんが、軍艦に準ずる待遇を受けるかどうか、これは国際法上日本政府として要求する権利も特にありませんが、従いまして外国側でどう取扱うかということは、外国で個々にきめるわけであります。最小限度政府の公船としての取扱いを受けるわけでありますが、それに加えてさらに軍艦に準ずるような待遇をくれるかどうか、これは各国の取扱いによるよりしかたがない、こう考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 そうしますと、今リストに載つております。この貸与協定に載つております駆逐艦等四隻でありますが、これをだんだんふやして行くと、これは一体どういうことになりますか。あとでまた御質問してもよろしいのですが、たとえばイタリアのように潜水艦をもらうとか、フランスのように航空母艦をもらうとかということになつて来ると、そういうものも単なる公船であつて、軍艦としての待遇は受けない、こういうことに日本の場合はなるのでしようか。アメリカにおいてリストからは消えて行く、そしてそれは日本側に渡つた瞬間においてはもう軍艦としての待遇は受けなくなる、こう解釈してよろしいのでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 おつしやるような潜水艦とか航空母艦というものを借り受けるかどうかはまだもちろんきまつておりません。従いまして、具体的にそれに対してどういうことになるかということはちよつと申し上げられませんが、これも一般的に申し上げますれば、ただいまのところいかなる種類の船舶を借り受けましても、政府としてはこれは政府の公船としての取扱いをいたすつもりでおります。それがたとえば航空母艦を借り受けて公船としての取扱いをすることは正しくないかどうか、こういう議論はもちろんありましようと思いますが、要するに公船として取扱うという方針をとつております。これに対して各国がいかなる待遇を与えるかは、これは各国のきめる問題でありまして、政府としては公船として取扱いを受ければ、最小限度それで満足いたすべきものである。こう考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 どうもだんだんとわからなくなるのですが、そうしますと、この艦船貸与協定で一群問題は第一条だと思いますが、第一条で、これからリストでもつてだんだん船がふえて行く、そうすると政府のお考えとして、この協定を結んでおけば、これから先は附属書Aの中にどういうふうに入つて来るということは、国会の承認を経ないで、オートマティックにどんどん話合いでふやして行つてもいいというお考えでしようか、それとも附属書を追加されるたびごとに、国会の承認を経るというお考えでしようか。この点はきわめて重要だと思いますが、どうでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはこの前のフリケード艦の貸与についても申し上げたのであつて、またそれほど承認を得たのでありますが、そのときも付そうの範囲内で借り受けるということで承認を得まして、そうしてその範囲内で附属書を追加して行つて貸与を受けたわけであります。今回の本年度におきましては十七隻を借り受けたい、十七隻の範囲内において借り受けることについて御了解を得まして、それの範囲内ではこの附属書において追加をして行つて借り受けたい。と申すことは、国会が始終開会中ならこれまた別の考えもありましようけれども、国会の開かれていない場合には、承認を得られないがために借り受けられないということでは、せつかく予算その他で国会の承認を得ておりますのに十分なる措置ができませんから、この十七隻の範囲内においては借り受ける、それ以外のものについては、これは政府としては借り受ける意思なし、また来年度になりますれば来年度で、予算その他でどういう計画が立ちますかこれは別問題として、国会の承認を得ました範囲内においてまた借り受ける場合もありましようと思いますが、それは別問題として、ただいまのところは本年度内の問題でありますから、本年度内では十七隻の範囲内で借り受ける、こういうことについて御了解を得れば、それで附属書で追加して行きたいという考えであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 関連質問ですから、そう長くやるのはあれですけれども、そうするとこれは附属書のリストの次第によつていかようにでも――十七隻といつても、その十七隻がどういう艦種になるかということは、明確にわれわれはきめておるわけではないのです。そうなりますと、これはこの協定でオートマティックに政府の思うように艦船をふやして行き得る、また実質的に軍事力にし得る、こういう結果になつて、まるでこれは一つの白紙委任状を渡したような結果になるのでありますが、この点は私はどうも少しく承認ができかねるのです。そうすると、どうしても政府の中の一つの全体的な計画表というようなものを見せてもらつて、それを承認するかしないかということをまず前提として議論しなければ、オートマティックに附属書にだんだん加えられて行くものを、われわれはつんぼさじきにいて見ておらなければならぬ。そういう白紙委任状的な協定というものは、これは日本の憲法でいくら縛つてもむだだと思うのでありまして、むろん私はこの協定も日米相互防衛協定に基くのでありますから、憲法の範囲内でというあの規定というものは厳然と生きておると思うのですが、憲法の範囲内でと言つてみたとこつで、実質的には何らの意味のないことになると思うのであります。防衛の実際の全貌を明らかにするなり、あるいはその一々の艦船の協定についての限度、たとえば政府の言う通りをそのまま信用するとして、戦力に至らざる程度というものは、たとえばアメリカの後備にまわしてある駆逐艦ならばいいとか、フリゲート艦ならばがまんするとかいうところがあつても、航空母艦となり、潜水艦となり、これは戦力に至らざる程度だとかいうようなことと言つてみても、これは始まらない議論になつてしまう。そこでどこかで縛りなければ、われわれとしてはとても憲法の建前を守るという意味において、責任を果せないという結果になる。計画の方で縛るか、あるいは附属書に載せて来るリストにおいて一々国会でいいか悪いかという点で縛るか、どこかで縛ることを私たちは考えない以上は、とても承認することができないと思うのですが、両当事者から責任ある御答弁を願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 政府としては十七隻の内容、つまりどういう船であるかということは、はつきり申し上げてあります。艦種からトン数から、そして合計して約二万七千トンになる、こういうことも申し上げております。もちろんその中には、たとえば十六百トンの船と予想しておりましても、正確に千大百トンの船が適当なのがなくて、千四百トンの船になる場合もありましようけれども、同時にトン数においては二万七千トンの範囲内ということできめておりますし、艦種においてもきめております。その艦種が、たとえば普通の輸送船を借りるというのが、借りられないから航空母艦を借りる、そんなことにないのであつて、艦種においても一定しております。それからおのおのの船の大きさについてもきめておりまして、従つて合計したトン数においてもきまつておる。ただその範囲内において多少の異動は、借りる場合でありますから、五十トン違つたり百トン違つたり、そういう場合はありましようけれども、明確に申し上げてあるわけです。決して白紙委任状でもなければ、またがつてにいかなるものでも借り受けるというつもりも全然ありません。これはこの委員会でもはつきり申し上げております。予算委員会においても、予算の説明において、こういう極熱のものを借り受ける、これだけの人員がいる、これたけの経費がいるということを申し上げておる。実際上いろいろなほかのものを借りようとしても、人員や経費の方でそういうふうにはならないのであります。決して白紙委任状というわけではありません。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 防御計画の点ではどうなのですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 防衛計画については、これも再三申し上げております通り、全体の計画ができればこれに越したことはないけれども、すべての考慮を加えますと、なかなか長い間の計画というものはできかねる。そこで本年度内の計画をはつきりいたしまして、それで予算の請求もいたしておるわけであります。今後できるだけ早く研究できますれば、これは公表いたしましようけれども、またそこの域に通しておらないというのが事実であります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 まだ聞きたいのでありますが、関連質問ですから、この程度でやめておきます。

上塚司自由党

○上塚委員長 福田昌子君。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 いろいろお話を聞かせていただきまして、御説明いただいても、私どもどうもわからない点があるのでございますから、重ねて伺いたいのでございます。  この艦艇貸与協定は政府の御答弁によりますと、二十九年度の計画だけに限つた貸与協定であつて、来年度の分はまた別個に考えるというような御趣旨に聞えるのでございますが、この艦艇の貸与協定の取上げる範囲内というものは、二十九年度、すなわち五十四年度に限つた範囲と考えておられるのでございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 現在はその通りであります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 でございましたならば、なぜこの協定の中に、そういう五四年度に限るということをお示しいただく言葉を御記入願わなかつたのでございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 来年度になりますれば、また借り受けたいと考えております。しかしそれはまだ何も決定しておりません。今年度のものを申し上げておるわけで、しかも附属書においては、さしあたり借り得る四隻だけを申し上げておるわけであります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 そういたしますと、当然来年度になつても一隻かの艦艇を借り受けられる予定が出て来るということになりますが、それはもちろんMSA協定の範囲内から生れるところの御交渉になるわけでございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 船につきましては、MSA協定においては、これ以外のもの、つまり普通にいう十五百トン以内の船はMSA協定によつて借り受けるのでありまして、それはこれ以外のものを規定しております。ただその借り受けたものを使用する目的とか趣旨とかいうことについては、MSA協定と同様のことで借り受けるという趣旨であります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 そういう同じ趣旨のもとで、また来年も船を借り受けられるかもしれないということはあり得るのでございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 政府といたしましては、自衛力の漸増ということを考慮しておりますから、できるだけ漸増計画を立てまして、それに基いて借り受けたいと思つておりますが、また計画自体も十分にきまつておりませんから、来年度のことはまた申し上げられませんけれども、希望としては来年度も借り受けたい、こう思つております。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 そういたしますと、先ほどからも来年のことは言えないというような御答弁でございましたが、しかし政局を担当なさる政府としては、来年の御計画もお持ちにならなければ政策もやれないと思います。そういう意味において、来年そういう計画のもとで艦艇の貸与を受けるということになりますと、大体またお結びになる新しい協定というものをお考えでございましようか、あるいは附属書を生かして御活用になるというお考えでございましようか、この点はつきりさせていただきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは先ほども申した通り、私個人としては、来年度予算等の了承を得ますれば、この附属書でさらに追加しまして、借り受け得るのじやないかと思つております。この点はまた法律的にも十分に研究いたしておりませんし、来年のことであり、こちらの借りるか借りないかもまだきまつておらない実情でありますから、この協定によつて本年度の分がだんだん借り受けることが実現しましたならば、さらに来年度のことについて考慮いたしたい、かように思つております。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 大体御明確な答弁をいただきまして、よくわかりました。と申しますのは、結論的に申しますと、来年借り受けるかどうかわからないけれど、同じ条件のもとにおいて借り受ける艦艇の場合においてはこの協定に準ずる、そうしてその借り受ける艦船というものは、この附属書において追加して行くということに了解いたしました。よくわかりました。  次にお尋ねいたしたいのでございますが、政府はよく十七隻の範囲内においてのみこの艦艇貸与協定を結んだというお話でございましたが、ここに十七隻ということを明記なされずして、その初めに「若干の艦艇の貸与を受けることを希望」したという言葉をお使いになつておりますが、「若干」という言葉をお使いになりました意思をお示し願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは前にフリゲート艦のときもやはり同様のふうに取扱つたのでありますが、この範囲内でありますけれども、これはこちらの希望で、向うにはそういう船があるから借り受けられるであろうという予想のもとに計画いたしておりますが、実際それだけの船が入つて来るかどうかはわからないのであります。今後の交渉にもよりますから、そこで協定の中に書くことは適当でないと思つてここで申し上げておるわけであります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 隻数をはつきりお書きいただかなかつたということは、やはりいろいろ御交渉の御経過もあることと思いますが、また来年度借り受ける船の問題ということもお含みの上で、こういう「若干」という言葉をお使いになつたものだと解釈いたします。  次にお尋ねさせていただきたいのでございますが、今回の貸与艦艇に乗り組みます乗組員と、二十七年度に協定いたしました船舶の貸借協定のもとに借りました船に乗り込みます乗組員というものは、互いに交流することがあり得るのでございましようか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 先ほどの御質問にもお答えをいたしましたが、現在国会に提出をいたしております防衛庁法並びに自衛隊法が通ると仮定をいたしますと、海の方は海上自衛隊となりまして、今まで警備船と呼んでおりましたものを自衛艦と呼ぶことになります。今度の御審議を願つております協定によつて悟ります艦艇は自衛艦に相なるわけであります。もとより今までPFに乗つておつた者が今度借りるものに乗り移るということはあり得るわけであります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 そういたしますと、船舶貸借協定の場合、船として御説明いただきました分であろうと、今日の艦艇として御説明いただきました分であろうと、これは実質的には同じに日本の自衛隊においては取扱うということに相なるわけですか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 お言葉に述べられました範囲においては同様でございまして、自衛艦として扱うつもりでございます。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 と申しますと、船舶と艦艇というものを二つの協定において使いわけられておるが、船舶と艦艇とは実質的には同じであると了解してもよろしいのでありますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 現在は警備隊でございますが、警備隊で使いますものを警備船と呼ぶことにいたしております。従いまして借りますときも船舶貸借協定という呼び名をいたしました。このたびは自衛隊になるという予想のもとにおるわけであります。自衛隊になりますと、警備船を自衛艦と呼ぶことになつておりますので、艦艇貸与協定というふうな呼び方をいたしたわけであります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 ただいまの御説明によりまして、政府はそのときどきによつて、船と言つたり艦艇と言つたりすることはあるが、実質的には艦艇といい、船舶といい、政府の考えにおいては差異がないということがよくわかりました。  次にお尋ねさせていただきたいのですが、第五条に「日本国政府は、艦艇に自国の旗を掲げることができる」云云ということがございますが、この自国の旗というのは、日の丸の旗でございましようか、それともまた海上自衛隊独特の昔の海軍旗みたようなものをお考えになつておられるのでありますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 自衛艦には国旗と自衛隊の旗と両方を掲げるようにしたいと考えております。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 そうしますと、この艦艇には日の丸の旗と海上自衛隊の旗を掲げられるわけだと思いますが、海上自衛隊の旗というのはどういう旗なんでございますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 現在の警備隊の旗は、ごらんになられたかと思いますが、桜の花にブルーの線を七本ばかりやつておりますが、これをそのまま海上自衛隊の旗にするかどうか、まだきまつておりません。目下研究中でございます。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 その海上自衛隊の旗がおきまりになりましたら、これは二十七年に貸借いたしました船舶にも掲げるわけでございますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 さようでございます。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 こまかいことになりますが、第六条の「艦艇又は艦艇内のぎ装品、器具、予備部品若しくは交換用部品の物理的占有を放棄してはならず」とありますが、この「物理的占有」とはいかなることでございますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これはフィジカル・ポゼッシヨンを放棄してはならないということでございまして、捨てたり、野放しに日本側の統制外に放置してはいけないということであります。その理由は、やはり秘密保持の必要からであります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 それは当然だと思うのですが、ここにわざわざ「物理的占有」という言葉を使つてある以上は、それは当然入つて来ると思うのですが、もう少し詳しく御説明をしていただきたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 「物理的」と申しますのは、法律的にはたとえば一定のドックであるとかいうところに番人なしに置きましても、法律的には「占有」ということになつているわけです。ところが物理的というと体を表わすものでありまして、船そのものでありましたら、そこに人員が現実に乗つておるということが必要であります。それから装備その他につきましても、これは単に人のいないところに放置しておくのはいけないので、現実に兄張りがいてそれをコントロールする地位にある、つまり紙の上のポゼッシヨンではいけないのであつて、フィジカルなコントロールがすぐできるという状態にあるということを表わす意味であります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 わかつたような気もいたしますが、もう少しそういう意味でありましたならば、しろうとにわかるような言葉があるような気がいたします。それをなぜかこういうむずかしい、解釈に困るような物理的という言葉をお使いになつたということは、何かもう少しほかの理由があるような気がするのでありますが……。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 前の船舶貸借協定にもこの字を使つておりまして、先例に従つたわけでございます。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 十七隻の交渉でございますが、私ども艦艇貸与協定の交渉をお始めになつてからずいぶん日数をおかけになつて骨を折つておられたように承つておりますが、それが今日まで四隻しか貸借できなかつたということ、そうしてまた国会の末期になりまして、この艦艇の協定をお出しいただくということから想像いたしますと、あとの残されました十三隻の貸借におきましては、交渉に相当困難があるのではないかということを予想されるのでございますが、そういう点につきましてお見通しのほどを聞かせていただきたい。大体今年中に拝借できるということは漠然と承つておりますが、具体的にどういうものはいつごろできそうであるか、こういうものはいつごろだという大体の見通しを承つておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この協定がおそくなりましたのは、これは要するにMSAの協定の、何といいますか補足的なものでありまして、基本はいわゆるMSA協定であります。つまりMSA協定によつて日本の防衛力の増強をいたして、そうしてMSA協定によつて艦艇等の贈与も行われるのでありますが、MSA協定においては普通に千五百トン以内の艦艇ということになつておりますので、それ以外のものをこの協定で借り受ける、こういうことでございます、ところがMSAの協定が国会の承認を得て成立しなければ、そのもとがないのにこれだけというわけにも行きませんので、交渉は、MSA協定の国会承認を待つて、つまり効力発生してからやり出したわけであります。従いまして自然遅れまして今日に至つたわけであります。  なお船の借受けの見込みにつきましては、今のところ、この四隻ははつきりしておりますが、それ以外のものがいつどういう形で来るかということについては、ちよつとまだ申し上げるところまで行つておりません。本年度内には何とか目鼻をつけたい、こういう考えでやつております。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 増原長官の方が詳しく御存じかと思いますので、具体的に交渉の過程において、どの船は先にどれだけ借りられるというお話があつたと思うのでありますが、なお残された十三隻が今年一ぱいに、漠然と同じ時期に一緒に借りられるということは考えられませんし、交渉の里程においてどれが先にというめどがあると思うのですが、それをお聞かせいただきたい。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 残りの十三隻につきましては、ただいま外務大臣から申された通りでありまして、まだ具体的に申し上げられる段階に棄つておらないのであります。大体の区わけは、四隻は米国が六月末までの現会計年度で措置し得るものということであります。七月からの会計年度で措置するものについて今話合いをやつておるわけでございます。まだ具体的に何がどうということを申し上げられないのは非常に残念であります。

上塚司自由党

○上塚委員長 河野密君。(「休憩休憩」と呼ぶ者あり)河野君はどのくらいの時間を要しますか。――外務大臣は一時三十分までここにおられることができます。それから二時四十五分までエカフエの方の人と会われることになつております。それから二時四十五分にこちらに見えまして、五時半までおられます。時間の都合上、ぜひ進めていただきたいと思います。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 今問題になつております協定の中で重要な点が、私の考えるところでは三つあると思うのでありますが、その第一は先ほどちよつと質問申し上げました第一条の艦艇のリストの問題でございます。こういうふうにどんどん出て参りますと、憲法との問題を論議をする勇気がなくなるくらいのものでありますけれども、これは重大な問題でありますから私からお尋ねをいたしておきますが、先ほど来のお話でありますと、十七隻の範囲内において、しかも先般外務大臣から内容を示されたその範囲内におけるところのものであるならば、これはいわゆる憲法の範囲内に当然入るのだという考え方によると思うのでありますが、その根拠は一体どういうところに艦艇、いわゆるアメリカのリストに載つていて、軍艦として国際的にも認められている戦力、その軍艦を二万七千トンも日本が借り受けて、これを保有して、しかもこれは日本の憲法に禁止し得るものでないという、その根拠をどういうふうにお考えになつておるか、これを当局からまず伺います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 それはたとえば保安隊、今度自衛隊になりましたが、これを十一万なり十三万なり武装したものを持つておつて、憲法に違反しないとはどういうわけかという御質問と同様なことだと思います。すべてみな関連いたしております。われわれとしてはもうたびたび申しますように、憲法にいわゆる戦力にはとうてい達しないものである、従つて憲法の範囲内である、こういうふうに考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 一応今の御答弁を承認したとして、それを前提としてひとつお尋ねを申し上げますが、そうすると艦艇に関する限りにおいては、どの程度のものを限界としておられるのか、政府の考えておられる見解をお尋ねしてみたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは抽象的に申しますれば、他国の脅威となるような防衛力を持たないという趣旨で、これは日米安全保障条約にも平和条約にも書いてある通りであります。具体的にどういうものかといいますと、それはたびたび保安長官も御答弁しております通り、具体的な基準ということはなかなかむずかしい。しかしこれを富士の八合目にたとえれば、八合目まではかりに戦力にならないと仮定いたしまして、今のは一合目か一合目半くらいのところにいるのだから八合目までにはとうてい到達しない、従つて戦力にならないことは明らかである、こう申し上げるよりいたし方ないのであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私はここで岡崎さんに、個人岡崎さんとして実は申し上げたいのですが、岡崎さんと私と高等学校で同級生であつたときに、岡崎さんの頭にまだ毛がふさふさとしておられたころに、論理の問題についてこういう問題が出たことを岡崎さんもまだ記憶しておられると思います。その論理の問題は頭の毛を一本抜いてもはげと言わず、二本抜いてもはげと言わず、三本抜いてもはげと言わず、従つてかかるごとくして四本、五本、六本、十本、百本に至るもはげと言わないから、遂に世の中にはげと言われる者なし、この論理をお前たちはどう考えるかというのが、私たちの高等学校の三年の時の論理学の試験問題であつたことを御存じだと思います。これと同じ問題でありまして、これがいかなる程度に至ればという、この限界の問題になるわけです。ちようど政府のあれは、岡崎さんの今日の頭をさしてこれをはげと言わずというのと同じような論理であります。   〔笑声、私語する者あり〕

上塚司自由党

○上塚委員長 並木君、行儀よく願います。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 そこのところをひとつ思い起してもらいたいのですが、要するにこれは弁証法の問題で、ある段階に到達するならば、量の変化が質の変化に至るという問題と同じことなのでありまして、政府の言うところは、二万七千トンならば戦力と言わずとか、フリゲート艦ならば戦力にあらず、かくしていかなる段階に至るとも遂に戦力と言うことなしという議論とまつたく同じ論理で、これはとうてい形式論理学では割切れない問題だと私は思います。この点は率直に、政府はどの程度が戦力かという、その限界を明示されたいということであります。この第一条では、さつき私が申し上げたように、白紙委任状を政府に差上げるのと同じ結果になる。われわれが恐れるのはその点でありまして、いくら白紙委任状でないのだと言われても、このリストをどんどんふやして行かれる――来年はおそらく十七隻があるいは三十四隻になるのかどうか、二万七千トンが五万トンになるのか、七万トンになるのか存じませんが、そういうふうにして行けば、これはなるほど形式論理学ではそれを打破することはできないかもしれないけれども、今言う弁証法的な考え方によれば、当然そういうことは成り立たないわけであります。そこのところを、明確にしてくれというのが私たちの考え方で、そこで政府の防衛計画でその限界を引くか、あるいはアメリカに対して要求するリストというものは、将来国会の承認を経なければこのリストに追加することはしないのだという点において限界を引くか、どこかで限界を引かなければ、われわれとしては一歩を護つた以上は、百歩も二百歩も譲ることとまつたく同じ結果になるのであつて、どうしても承服できないのであります。この点は政府としてもどこに限界を置いておるのかという点を、ひとつ明確にしておいてもらわなければ、われわれ納得ができないのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 どうも頭の問題はちよつと困りますが、(笑声)しかし河野君のおつしやることをそのまま私はお返ししたいと思うのです。というのは、河野君のおつしやるのをせんじ詰めてみますれば頭の毛が何本抜けたらばはげと称するかというその限界を示せというのと同じで、それは無理なことであります。たとえば私の毛が何本残つているからこれで一体はげと言うか、言わないか、それは何本が限界なんだということを示せと河野君はおつしやつているが、それはできないのであります。だから常識的に判断して、潜水艦があつたら戦力であるとか、潜水艦がなければ戦力でないとかいうことは言えないのであつて、総合的に見て、これは戦力であるか、戦力でないか、頭がはげておるかおらないかということは、やはり一つ一つの限界を示すのじやなくて、国民の常識できまるものだと思います。そこでいろいろ議論がありますが、それを無理に何とか限界をつけたいというのは、たとえばアメリカの駐留軍にかわるようなものになれば戦力であるかないか、あるいは侵略的脅威、攻撃的脅威を他国に及ぼすような場合は戦力であるかないか、それについてさらに申しますれば、たとえば相手国が非常に防衛力が弱い場合は、少い武力でも侵略的の脅威になるのじやないかという議論もありますが、今の国際通念から申しますれば、朝鮮の場合のごとく、何らかの侵略的行為が行われますれば、大体において国際連合なりその他の諸勢力が一緒になつてこれを防ぐという傾向になつておりますから、世界的な一般的な武力というものを対象にして、侵略的な脅威になるかどうかということは判断されざるを得ない、こういうふうに考えます。それを何本目からはげ頭かという限界を示せと言うことは、河野君もできないだろうと思います。これはやはり常識的にやるよりいたし方がない。さらに防衛計画がありますれば、これはなるほど何年間の防衛計画を見まして、これは常識的に見て戦力であるかないかということを判断することは、非常にやさしいといいますか、比較的容易であるかもしれません。従つて政府としても、そういう意味ではなくて、防衛力の増強を漸増的にやろうという見地から、防衛力の計画を立てたいと祈念しておりますけれども、いかんせんこれは、国内の輸送力、食料、港湾の設備その他いろいろなものが入つて来るでありましようから、なかなか今立てるわけには行かないので、本年度のものをつくつております。来年度もある程度のものは考えておられるようでありますが、まだ決定まではいたしかねておる。しかしこれは決して隠しておるわけではありませんから、そういうものができますれば、いち早く公表したいと考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 そうすると、政府のお考えは、アメリカでは軍艦としての国際的のリストに載り、そうして軍艦としての待遇を受けていたものの、日本に引渡された限りにおいては、それの国際的な公船としての取扱いをある国がする、世界の諸国がどういう待遇をするかということはその国にまかせるのであつて、国際法上の軍艦としての取扱いあるいは艦艇としての取扱いというものは、もう日本としては求めることができない。そういう状態でだんだんと戦力を増強して行くということになつたその結果は、一体どういうことになるのか。日本としては、国民の負担だけは非常に重くなつて来るけれども、同時にそれらのものが国際法上当然受ける権利を受けないという結果になるならば、これはかりに政府の立場で是認するとしても、非常なマイナスになるのではないかと思うのであります。そういう点については、政府の考え方から言つてもとうてい私は納得することができないのでありますが、それは議論になりますから、次の問題に移つてあわせてお尋ねしたいと思います。  そこで第二の問題は、先ほど来問題になつておりました第八条の「侵略者の兵力の行動により損害を受け」た場合、こういう「侵略者の兵力の行動により」という場合は、一体どういう場合を想定しておられるのか、これを承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 先ほどの御質問は、私どももある程度まで認めざるを得ないのです。なぜかと申しますと、政府としては、独立国である以上国を守る力が必要である、こう考えて自衛力の漸増をはかつておるわけであります。同時に、憲法において第九条の規定がありますから、この規定にもとらざる程度にしかできない。従いまして、憲法の範囲内で自衛力の増強をいたそうといたしますれば、憲法の規定に制限されて他の国のやり方と異なることはやむを得ない。どうも今のところは、憲法改正の議論もありますが、少くも今は現行憲法が有効なのでありますから、この憲法の範囲内でやるとすれば、不便、不利がありましてもこれは忍ばざるを得ない、こう考えてやつておるのであります。  それから今の御質問の、「侵略者の兵力の行動により」というのは、これはいろいろな場合がありましようが、非常に端的に申し上げますれば、侵略行為が現実に起つた、これを防ぐために防戦をいたした、そのために船が損傷を起した、こういうようなことがあり得るのであります。そういう場合には補償をいたさないというのは、これはそういう目的のために使われるのでありますから、やむを得ないことである、つまり過失や何かで起つたものとは違う、こういう意味であります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 そうしますと、この「侵略者の行動により」というのは、普通常識的に侵略行為があつたというようなことを考えておるのであつて、たとえばその侵略の場合、こういう点は侵略と認める、こういう点は侵略と認めないと国際条約の上で侵略、不侵略を規定しておる、そういう条項に的確に当てはまることを考えて、こういうものを規定しておるわけじやないのでありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 国際法上の侵略というのも実は多少議論があるのでありまして、不戦条約以来必ずしもこまかい点になると、各国の意見の一致していない場合もあります。また第二次戦争以来、いわゆる間接侵略というような考え方も起つております。従いまして、必ずしも非常に明確ではないのでありますが、その一々の具体的の場合になりますと、これはある程度議論が起るかもわかりませんが、われわれのただいま考えておりますことは、常識的ないわゆる侵略行為、こういうふうに考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 そうしますと、具体的にひとつ御質問申し上げたいのでありますが、たとえば魚雷に触れて日本の艦船が損傷を受けたというような場合はどうなるか、これが一つ。  それから侵略ということでありますと、日本の船が日本の水域においてのみ何らかの損傷、攻撃を受けたとした場合に限るというふうにとられるか、それとも、たとえば船が公海に出動して、その公海において攻撃を受けたような場合においてもこれは侵略と認めるのか、あるいはその水域に関係のない、いかなる場所においてもこれは侵略と考えられるのか、これをひとつお尋ねいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 魚雷の場合におきましても、これは実際上問題が出て来るわけであります。たとえばふらふらどこかから来た魚雷が一つ浮いている、それにぶつかつたという場合と、日本を侵略しようとする意図のもとにいろいろな勢力が、船、飛行機その他で攻撃の態勢をとつて来て、日本を包囲するために魚雷を日本のまわりにずつと敷設したというような場合とはこれは違う場合で、後者の場合はこれは侵略的行為の一部とみなされましようし、それから、どこかにあつた魚雷が流れて来たという場合には、当然これはそうではないのであります。  それから水域はどこか、これは自衛権の発動の国際的な観念から出て参りますから、厳格に解しまして、日本の領海ということが主眼でありますけれども、では領海に近接したところ、領海のすぐ向う側に侵略者の船があつて攻撃した場合にどうするかというようなことになりますと、これは領海外に出ることもあり得ることだと思います。しかし遠くの方に離れてということは、ちよつと自衛権の行動の範囲内に属さない場合が多いだろうと思いますから、それは普通には考えられません。できるだけ領土に近接したところ、必ずしも領海に制限はされない場合があろう、こう申し上げるよりいたし方がないと思います。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 この船は、国籍はアメリカにあつて、占有権が日本にある。国際的にこの船はアメリカの船として取扱われるのか、日本の船として取扱われるのか、この点と、それから、もしアメリカがどこかの国と交戦状態に入つた場合において、この船がその攻撃を受ける対象となり得るかなり得ないか。かりにアメリカ側の船の援助というようなこと、たとえばコンヴオイというような場合を想定してみて、アメリカの貨物船を護衛するというような任務につき得るかつき得ないか、つき得た場合に、何らかの攻撃でも受けた場合に、これは侵略による攻撃ということになるのか、これらの点をひとつ御答弁願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この船の、何といいますか、借りているのでありますから、船の所有権といいますかは、これはアメリカ政府にあることは当然であります。しかし船につきましては、たとえばチャーターしたような場合でも、チャーターすればその国の船として取扱われるのであつて、その持主のいかんを問わないのでありますが、この場合も、貸与を受けている限りにお選ましては日本の船でありまして、アメリカの船ではありません。従いまして、これはアメリカが、かりによその国と交戦をいたしたという場合にも、この船は日本の船として取扱われるのでありまして、アメリカの船としては取扱われませんから、当然攻撃を受けたりなんかすることはありません。  それからコンヴオイ等につきましては、これは日本の自衛のための船でありますから、日本の船の必要なるコンヴオイ等に使われることはあり得るといたしましても、アメリカ側の船のコンヴオイ等には使うことができない従つてそういうことはいたしません。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 アメリカから日本へ、たとえば食糧なら食糧を輸送するという場合に、この船がコンヴオイに使われるということがあり得るでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはどういう場合か、具体的な問題になつてみないとちよつとわかりませんが、要するに日本の食糧がなくなつてしまつて、どうしても日本に食糧を入れなければならぬ、そのときに食糧を輸送する船がアメリカの船なり外国の船の場合に、コンヴオイとしてこれを使えるかどうか、これはちよつと通常の観念からすれば使い得ないものであろうと思いますが、それをしないがために日本の国民が飢えてしまうという状況になれば・これは緊急事態としてまた考え直さなければならぬ場合もあろうかと思いますが、原則的には日本の自衛のために用いるものであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 今まで答弁を総合して考えますと、大体これは日本の船なのだから、アメリカが、かりに第三国と交戦状態に入つたとしても、この船は攻撃の的になることはない、こういう御答弁である。ただ、そこで非常に不明確な場合が生じますのは、この船がアメリカの何らかの援助的な立場に立つことがあり得ないとは言えないと思うのでありますが、そういう場合、たとえばアメリカの貨物を――戦時禁制品とかいうようなものは別として、何らかの形でその輸送に援助を与えるというようなことは、この艦船貸与協定の義務にはならないのでしようか。それからもしそういうような場合に、たとえばかりにごく具体的に申すとさしさわりがありますが、仏印戦線というような場合が起つた場合に、アメリカが仏印戦線に兵器、弾薬等を輸送する。その兵器、弾薬等を輸送するのにこの船が何らかの役割を演ずるようなことはあり得ないのか。そういうことがあり得た場合には、その攻撃の対象にされた場合に、これは侵略とどういう関係になるのですか、侵略者の武力による行動という範疇に入るのか入らぬのか、それを承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは日本の自衛のために用いるのでありますから、日本にとつてどうしても必要なものを輸送する場合には、これは緊急事態として考え得られないことはありませんが、今のような平和、少くとも戦争のない事態においては、さようなことは全然ありません。また非常に緊急な場合でも、これは日本に絶対に必要なものでなければさようなことはいたさないのは当然だろうと考えております。また仏印のことを印されましたが、これもある特定の国のことをいろいろ議論するのはちよつとはばかりますので申し上げませんが、要するに日本の自衛目的以外のことには使用いたしません。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 艦艇は借りておつても、そういう意味の義務というものは全然負わないのだ、こういうことは明確に承つてよろしいでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 明確にその通りであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 次にもう一点お尋ね申し上げたいのでありますが、本協定の第六条の規定であります。これはこの前のフリゲート艦の船舶貸借協定にもこういう条項が入つておりますが、秘密保護法案をつくられたのにかかわらず、この第六条に同じような規定を設けられたのはどういう趣旨でありますか。その点を一つと、もう一つは、この第六条と先般の秘密保護法案との関係は一体どうなるのか、あの法律案にどういう形でもつてこの協定の趣旨を盛り込もうとなさるのか、この二点を聞かせていただきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これにつきましては、この艦艇貸与協定に基いて借り受ける艦船につきましても、当然秘密保護法の適用を受けるべき性質のものであります。ただなぜ予想されておつたのにこれを入れなかつたかと申しますと、それは秘密保護法の取締り範囲をできるだけ限定するために、その当時はまだこういう協定もできていなかつたものを秘密保護法の中に予想して入れることは適当でないから、はつきりきまつたならばこれをあとから追加する以外に方法はない、こう思つて入れなかつたのでありますが、これは当然あの中に入るべき性質のものであります。従いましてもしこの国会に間に合いませんでしたら、次の国会にこの協定も秘密保護法の中に入れるように用意いたしたい、こう考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 秘密保護法の趣旨は、主として私たちは艦船とか飛行機とか、そういう方面が重要であると思われたのに、従来何らの規定もないフリゲート艦の問題も急いで入れられた趣旨は、私たちには納得行かないと申し上げたのですが、それほどゆつくりしておるものなら、この協定ができてから秘密保護法案を出されるのが当然の筋道ではないか。私たちはこれはどうしても納得が行かないのであります。  その次にお尋ねいたしたいのは、第九条に「この協定の実施のため必要な取極を行うものとする。」と書いてありますが、「必要な取極」というのはどういうことを予想しておられるのか、この点をお尋ね申し上げたいのであります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 この協定の各条に両国政府の合意によつてきめるという文字がたくさんございますが、これらの条項を実施するために必要な政府間のとりきめでございます。たとえばすぐその前にあります損害賠償のとりきめもまさに第九条のとりきめに当るわけであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 そこで一つ二つこまかいことをお尋ね申し上げますが、この協定が批准されますならば、一体その船はどこで引渡しを受けるのであるか、それからおよそいつごろ引渡しを受けるのであるか。それからこの船の中には当然向うからの顧問団というようなものが、乗船するものと予想されるのでありますが、顧問団はこの船の中に乗船しておるのか、いないのか、その権能はどういうことになるのか、お尋ねいたします。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 この協定によつて借ります船に対する乗員等は、予算は通りましたが、法律がまだ通つておらない状態でありますから、法律が通ることを期待いたしておりますが、通りまして募集を始めることにしておるのであります。これはこちら側の都合であります。そうしてある程度訓練をいたし――もちろん新しい者ばかりをやるわけではございませんが、新しい者を訓練しませんと、現在ある船が全部繋船になるというようなことになりますので、新しい募集とある程度からみ合うわけであります。そういうものとにらみ合いまして、そして大体引渡を受けますところは、まだ決定をいたしませんが、大体においてアメリカ合衆国本国のどこかの港という見通しであります。従いましてその方へこちらから出かけて行きまして、一、二箇月間引渡しのための訓練を受けます。そうして向うで引渡しを受けまして、そこで日本国旗を掲げて回送して来るわけであります。大体において引渡しを受けますその時期は、十月から十一月の交というふうに予想をいたして、法律の通過とともに準備を進めて行きたい、かように考えております。  顧問の関係は、相互防御援助協定に伴う仕事をしますために統一されたものが一つできたのであります。まだ人員等は適当に組織者が任命されていない向きもありますが、従来の陸の顧問団長というふうに通常呼んでおりましたヒギンス少将がいわゆる顧問団長になりまして、そのもとに陸海空の向うの将校が参加をするわけであります。顧問団としてはそういう組織でありまして、この艦艇の引渡しを受けます際に顧問団がそれに、乗るということは引渡しの訓練を受けます際に、向うの人が乗つて訓練の援助をしてくれることはありますが、引渡しを受けましてから向うの顧問団が、乗るということは、現在のところ考えておりません。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 まだこまかい点でお尋ねしたい点がありますが、この程度にしておきます。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 先日東洋諸国における海軍力の状況の資料を請求いたしておきましたが、まだ御配付にあずかつておりませんが、できておりますでしようか。これも私いたずらに請求したわけではないのでありまして、外務大臣のお話によりましても、他国を脅威するに至れば戦力だとか、あるいは攻撃的な力を備えれば戦力だとか、これも相対的なものでありますので、私は憲法との関係においてこの協定を考慮するについて、どうしても少くとも東洋諸国の海軍力というものを比較研究いたしたいのでありまして、そういうわけで請求いたしたのであります。もし外務省の方において情報が集まつていなければ、保安庁においては戦備おさおさ怠りない状態らしいから、集まつておるだろうと思いますが、いずれからでもよろしいから、早く御提出願いたいと思いますが、できますでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 一応のものはここに調べてありますから、これをプリントして差上げたいと思います。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 先ほどからの問答を聞いておりますと、十七隻の範囲においては貸与を受けることを、この協定承認とともに国会の承認を受けたことになるとお考えになつているように受取れるのでありますが、形式上これはそういうことに相なるのでしようか。この協定の中にはつきり書かれるか、あるいは別に十七隻の範囲において借りようと思つておる、そのことの承認を受けたいという一つの議案として国会に御提出にならなくては、私は形式上十七隻の範囲においての貸与を受けることの承認を受けたことにならぬのじやないかと思うのであります。そこらの点、なるほど用心深く、この提出理由説明書の中にも書いてございますが、ただそれだけじやどうも形式上私は足らぬと思うのでありますが、いかがお考えでございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはこの前のフリゲート等の船の借受けの際も、同様の取扱いをいたしておりまして、要するに国会においては船舶なり艦艇なりを借り受けることについての協定に対する承認を与えることであり、その内容につきましては協定の中に書くことはただいまのところ適当でない。と申しますのは、十七隻とはいつておりますが、必ず十七隻になるかどうかわかりません。しかし十七隻を越えることは考えていない、(「範囲内でいいじやないか」と呼ぶ者あり)従つて十七隻の範囲内において、またこれがたえば一隻の船が適当なものがないから小さなものを二隻というような場合にこれをどうするかというようなこともありますので、要するに十七隻、二万七千トンの範囲内で借り受けるということについていうこと協定を結んだのでありまして、この協定に対する国会の承認を求めれば、前例もあることであり、私は足りるものであると考えるのであります。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 その岡崎外務大臣の御理解は私は間違つておると思います。でありますがそれはもう押問答に相なりますから、質疑としては打切つておきますが、非常な大間違いだと思います。私どもはかりにこの協定を承認いたしたといたしましても、十七隻の範囲内において借りることを承認したりくつには相ならぬと思うのであります。  それから先日だれかの質問にお答えになつた点でありますが、それはどういうことであつたかと申しますと、借りるなんというようなことでなくて、はつきりMSA協定による装備品のように日本の所有物にすべきじやないかという質問に対しまして、岡崎外務大臣はそうしたいのであるけれども、これはMSA法の範囲に属しないほかのアメリカの法律において取扱われるというものであるから、これを日本に贈与してしまうということは、大統領としても取扱いにくいのだという御答弁があつたと思うのでありますが、その根拠たるアメリカの法律、こういうことを貸与することができるが、贈与することはできないというようなMSA以外の法律を教えていただきたいと思うのです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 今、係官の説明では、その法律はお配りしてあるそうです。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 それでは、MSAによつて受取りますものは、それで所有権譲渡に属するのでございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 その通りでございます。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 先ほどの河野委員の質疑に関連する問題でございますが、先日も私は日本のこの艦艇に対する攻撃についてお尋ねしたことがあるのであります。軍艦は国際法上いろいろな特権を持つておるのだが、この借り受けた軍艦はその特権を有するだろうかということについて、たしか木村長官はそういう特権があるなら享受することにしたい、こういうような御答弁であつたと思うのであります。この日本に借り受けました艦艇が、日本の漁船を保護するために、公海上で活動しておつたといたします。その漁船が外国の武力によつて攻撃を受けた場合、この攻撃からわが漁船を保護するために、当然この艦艇は活動を開始するのじやないかと思うのであります。その場合に、わが艦艇の活動を防遏するために、敵の武力がまたわが艦艇に対して攻撃を加えはしないかと思うのであります。そういう場合には、いわゆるこの協定にあります侵略者の攻撃に当るわけでありましようか、いかがでありましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この漁船の問題等につきましては、国際関係も非常に微妙でありますから、御答弁は差控えたいと思います。ただお話のような、何か先方から攻撃を受けた場合には、これは侵略とかなんとかいうことじやなくして、正当防衛というものもあるわけであります。そういう方面から適当な措置を講ぜざるを得ない場合もあろうかと思いますけれども、元来漁船の保護等につきましては、要するに武力の行使もしくは武力の威嚇というようなことはいたさないで、平和的に、外交的に解決をはかるというのが政府の趣旨であります。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 私はあくまでこの協定に関する事項としてお聞きしておるのでありまして、そういう場合が第八条にいわゆる「侵略者の兵力の行動」に該当するかどうかということをお聞きしているのであります。侵略に対する防衛というのではなくて、そういう事態に対する、今外務大臣の言われましたような自衛力の発動というような場合に、また向うはそれを制圧するために攻撃をして来ることが想像できますので、その場合はわが国は賠償の責に任ずるか、あるいは賠償は免除されるか、承ります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 侵略に対する自衛的な行為というものは、再三申しますように、非常に厳格に解すべきものであつて、いわゆる自衛戦争に名をかりていろいろの行為をすることは現に慎むべきものだと思つておるのであります。従つて公海におけるよその国の行動が、ただちに侵略軒の行為であると断定することは、非常にまれな場合でありまして、通常はそうは考えない。要するに日本の領土に対して攻撃を加えたり、あるいは領土を占領する目的を持つて公海を渡つてやつて来るというような部隊がありますれば、これは侵略でありましようけれども、そういう意図がない、ある誤解なりある感情なり、そういうことで公海におけるいろいろの行動があつたといつても、必ずしもただちにこれを侵略とみなして自衛措置を講ずるということは、これはよほど考慮を要することだと私は考えております。従いましてこういう協定に基く侵略者の行為というものも、自衛力の発動というそれに対応するものから考えまして、できるだけ狭義に解すべきものである、こう思つております。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 どうも質問に対応する御答弁が得られないのでありまして、その場合わが方は賠償を免除せられるか、賠償の責任がありやということなのです。さきの御答弁では、侵略ということは非常に広く解釈するというようなお話でありましたので、その限界が知りたい。厳格な意味においては侵略者の兵力による攻撃とは見られないでも、自衛権の発動としてのわが方の行動に伴つて、そこに大砲の撃ち合いが始まるということも想定できないではないのであります。そういう場合における艦艇の損傷というものは賠償の責任があるかどうか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 おつしやることがどうも私にはふに落ちないのでありますが、自衛権の発動ということは政府としてはできるだけ狭義に解釈する、めつたに自衛権の発動ということはいたさない。ほんとうに日本に対する侵略行為が行われることがはつきりした場合でなければ、自衛の行動はいたさないという方針であります。従つて、おつしやるような場合、これは漁業などについて、私がいろいろ申しますと、これがすぐによその国に波及して、決していい結果を起さないので、お答えを差控えますけれども、一般論としましては、そういう公海におけるある主張なりある感情なりに基く行動を、ただちに侵略行為とわれわれはみなす考えは持つておりません。従つて自衛権の発動ということはいたすつもりはございません。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 たとえば何かの誤解に憂いてよその国の軍艦なりあるいは艦船、船舶なりと公海において大砲を撃ち合つた、こうしましよう。そうすれば御答弁が得やすいかと思います。それは必ずしも厳格な意味において相手方の行為は、わが国に対する侵略とはみなされないというような場合におきまして、とにかく大砲の撃ち合いをやつてわが艦艇が損傷を受けたという場合には、これは今までの御答弁を総合すれば、賠償の責任ありというような結論になるのじやないかと思うのでありますが、さように理解してよろしいでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 原則としてはその通りであります。ただその場合正当防御といいますか、その成否等に基いて両国間で賠償の範囲等は協議決定するのでありますから、やむを得ざる場合にはほとんどノミナルなもので済む場合もあろうかと考えております。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 軍艦に対する攻撃――軍艦というものの性質は、国際法上相当重要なものに取扱つておられるように、私は承知いたしておるのでありますが、この軍艦に対するいわれなき攻撃と申しますか、これはわが国の領海並びに本土に対する侵略とは別ではありましようが、法律的には何らか同性質のもののように扱われるように考えられもするのでありますが、そういう点については本土並びに領海に対する侵略とは全然別のもので、いわゆる侵略とは解釈せられないことになつておりますでしようか、どうでしようか、お教えを願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 軍艦に対する攻撃等が戦争の原因になり得ることは、国際法上の慣例の示すところであります。しかしわが国におきましては自衛行為というものをできるだけ狭義に、厳格に解するつもりで政府はおりますから、そういうものも自衛力の発動の原因になる場合もあるかもしれませんが、原則的には必ずしもならぬと思つております。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 一応やめておきます。

上塚司自由党

○上塚委員長 これにて暫時休憩いたします。午後二時半より再開いたします。    午後一時二十分休憩      ――――◇―――――    午後三時十七分開議

上塚司自由党

○上塚委員長 休憩前に引続き会会議を開きます。  質疑を継続いたします。並木芳雄君。

並木芳雄改進党

○並木委員 私は前の委員の質問となるべく重複しないようにお尋ねいたします。  第一にお尋ねいたしますのは、今度の艦船は軍艦ではないとうことでありますけれども、これは軍艦と呼んでもいいのじやないですか。軍艦にしてし家つた方がいいのではないかと思うのです。先ほどの答弁でも、戦力には至らないという従来の政府の見解を繰返しておりますから、軍艦と呼んでも別にさしつかえないのじやないかと思いますが、この点はいかがでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 多少この点は問題があるのじやないかと思います。というのは軍艦となりますと、国際法上外国における取扱いがきまつており、また非常時における臨検とか拿捕とかいうような権限も認められておりますが、憲法の交戦権の放棄ということに関連して、それが必ずしも完全に履行されない状況もあるわけでありまして、各国でもつてこれを軍艦に準ずる取扱いをするということはあり得るとも増えますが、ただちに日本側がこれを軍艦と同様に、すべての行動を規律するということは、憲法上も困難ではないかと考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 軍艦と公船との区別は、政府はどういうように考えておりますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは国内的にも違いますが、対外的にも国際法では区別して見ております。その範囲の区別があるわけであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 念のためお尋ねいたしますが、この前の船舶貸借協定の船舶と、今度の艦艇貸与協定による艦艇との相違について、政府はどういう見解を持つておられますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは国内的な取扱いの違いでありまして、要するにこの前は警備船であり、今度は自衛艦であるという点の違いでありまして、実質的には同様のものであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 船舶貸借協定を改訂する必要が起つて来ると思いますが、船舶貸借協定を今度のように艦艇貸与協定に改めるお考えですかどうか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはアメリカ側としては、アメリカの持つ駆逐艦なりフリゲート艦なりを貸すという協定でありまして、それを国内的にどう取扱うかというのが、その差になつて来るわけであります。従つて協定自体をかえる必要はないのであります。つまり自衛隊法が成立いたしますれば、それに基いて国内的に取扱いが違うが、対外的には常に政府の公船であります。

並木芳雄改進党

○並木委員 すると船舶のときに艦艇という言葉が使えなかつた。その原因は何でありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはその当時保安庁法等によりまして警備船という名前にしておりましたから船舶であります。今度自衛隊法等によりまして自衛艦ということになれば艦船・こうなるだけのことであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 船舶のときには貸借ということになつておりましたが、今度は艦船の貸与であります。貸与と貸借はどういうふうに相違をいたしますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは実質的には何もかわりがありません。この前のは英語でチャーター、今度のはローンであります。これはアメリカ側がほかの国に貸しておりましたのがやはりローンということになつておりましたから、この字を使つただけであります。中身においては違いはありません。

並木芳雄改進党

○並木委員 協定の形態から申しますと、日米船舶貸借協定というと対等のような感じがいたします。ところが今度のように日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定というと、名前が何か一方的なような感じもして、両者の間に相違があるようにも受取れるのですが、その点についてはどういうふうにお感じになりますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 貸借としているのは向うが貸してこつちが借りるというので、こつちも貸すという意味のものではないのでありますから、それがかつこうがいいとかいうのはちよつと私には了解しにくいのであつて、要するに言葉の違いだろうと考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 今度の艦艇貸与に関連して国内法的にいろいろ措置するものが出て来るのではないかと思いますが、現在審議中の自衛隊法及び防衛庁設置法のほかに、国内法的に改正を必要とするものは、どういうものでありますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 従前も警備船については普通の商船、貸物船等とは相当異なつた扱いはしております。大体従前のそうした船舶法、船舶安全法等の除外例を踏襲するということで自衛隊法をつくつておるわけであります。大なる差はございません。

並木芳雄改進党

○並木委員 今度の艦艇貸与協定の中に「侵略者の兵力の行動」という文字が入つて来ております。政府は前回の船舶の貸借協定と同じようなものであるといいますけれども、船舶貸借協定には「侵略者の兵力の行動」という文字などは入つておりませんでした。これなどは大きな違いであると思うのです。これは一体どういうようなものをさすのか、いかなる侵略というものを予見しておるのであるか、こういう点についてお尋ねしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 特に具体的にどれということは予見しておりません。しかし自衛隊法等において直接、間接の侵略に対するそういう新しい任務をつけ加えられておりまして、その任務に基いて行動するのでありますから、そういう場合があり得るという想定のもとに、こういう言葉を使つております。

並木芳雄改進党

○並木委員 MSAでは千五百トンまでの艦艇を供与することができることになつておりまして、千五百トン以上のものは別途の措置によるように規定をされております。これはアメリカのMSA法でありますが、今度の艦船貸与の協定の附表を見ますと、駆逐艦千六百トン型二隻、護衛駆逐艦二隻と書いてありますが、それは千四百トンだという政府の報告であります。千四百トンであるならば、これは別途のこの協定によらなくても、MSAで供与できるのではないかと思うのですが、何ゆえに千五百トン以下の艦艇がこの協定に含まれるようになつて来たのでしようか、お尋ねをいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはMSAにしても、今度の協定にしましても、一応どういう船を貸し得るかということは、アメリカ政府側で具体的にきめておるのでありまして、その中にはMSAに関する限りは千五百トン以上のものはないので、千五百トン以内のものでありますけれども、それでは千五百トン以内のものは全部MSAで貸せるのかというと、MSAで貸せる船は具体的にきまつておりまして、このものはそれに入つておらないのであります。従つて別の協定で借り受ける、こういうことになります。これはいわゆるドイツ法式の考えからいうと、何だかひくつに合わぬように思いますが、実際上の英米法的な考えからいえば、そうおかしいわけでも何でもない、実際上の問題であります。

並木芳雄改進党

○並木委員 そういたしますと、案外艦艇に関する限りは、すべて別途の法律がアメリカ側で制定されて来るのではないでしようか。MSAで当然供与を受けるように今までは私たち了解しておりましたけれども、実は艦艇に関する限り、今度の協定の基礎になつたところのアメリカの法律、第八十三議会におけるアメリカの法律百八十八号と同じようなものが、今後その都度できて来て、それに聴いて日本に供与されるのではないかと思うのですが、いかでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 お尋ねの点はアメリカの国会なり、政府なりの考えによつてきまる問題でありますから、私からどうなるかということは想像はできません。現在におきましては両方相まつてMSAで借りるものもあり、この協定で借りるものもあるということだけしか申し上げられないのであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 それはMSAで来るものは全部譲渡だという先ほどの大臣の答弁でございますから、譲渡でありますが、譲り受ける艦艇にはいかなるものを予定しておりますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 私どもの方ではさきの機会に御説明をしたと思いますが、十七隻の船を貸すなり、もらうなり、とにかくこつちへよこしてもらいたいという申出をしているわけであります。この協定のどの船がMSAによるかということは、まだ具体的な話合いになつておりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 それでは本年度においての艦艇は日本政府としては十七隻だけなのですか、十七隻以外にはMSA自体から来るものはない、こういうわけですね。先方へ申し入れております程度について伺いたい。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 その通りです。十七隻が申出の全部でありまして、そのうち小さいものであるいはMSA協定の方で、いわゆる譲渡されるものもあるかもわからないということで、向うへ要望しているもの全部が十七隻です。

並木芳雄改進党

○並木委員 アメリカのパブリツク・ロー百八十八号によりますと、極東の友好国に対しまして二十五隻以内の駆逐艦級以下の艦艇を貸与するということになつております。その中で十七隻日本に来るように政府は申入れをしておると思いましたから、大部分日本が借り得られることになる、こう思つておつたのです〇二十五隻として、十七隻日本が借りれば、あと八隻だけであります。しかしただいまの増原次長の答弁ですと、実は何隻来るかわからないわけですが、この二十五隻のうちの日本へ来るのは何隻になるかということはわからないよう。ありますが、現在までわかつておる極東各国に対しての割当はどうなつておりますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 現在まで私どもが聞いておりますのは、台湾の中国政府に二隻だけと聞いております。

並木芳雄改進党

○並木委員 そうすると、この二十五隻のうちで、何隻来るか、つまり十七隻のうちで、十七隻全部がこの二十五隻の中へ含まれて来るか。十七隻のうちで、何隻分がその二十五隻の中に含まれて来るかということは、まだ的確なことはわかつておらないのですか、もうそのくらいのめどはつかなければ、五月半ば過ぎておる今日なのですが、われわれとしては審議に困るわけですけれども、どういうふうにその点めどがついておるのですか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 私どもの方の借りようという立場からいいますと、向うの根拠法が何であるということは第二義的な問題で、こちらの所望する、この間御説明をしました内容の十七隻をぜひ貸してくれということが主眼点であります。ですから根拠法が百八十八号であるか、MSA法であるかということは、第二義な問題として考えております。そうしてどの船どの船ということは、まだこの四隻以外きまつておりませんので、従つてそれが百八十八号によるか、MSA法によるか、その点はまだ決定をいたしがたいというわけであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 われわれとしてはつきり知りたいのは、艦艇関係について、今まで保安隊が武器を受けておつたような形においてすらすらと艦艇が日本に譲渡をされ得るか、貸与され得るか、こういうことなのです。その点について政府としては、十分の確信がない模様でありますが、もう少し何か的確なところをつかんでおらないのでしようか。つまりMSAの譲渡というものは、艦艇に関する限りは期待ができないのである。大体艦艇に関する限りは、別途の法律がアメリカで出されないと、日本には来ないのだ、そういうような一つの割切つた形というものは出て来ないのでしようか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 必がしもそういうふうな見通しではございません。しかしMSAでわれわれの欲するものが全部来るという見通しはないわけでありまして、MSA以外の百八十八号等による艦船の貸与というものがもちろんなくてはならぬ。全部MSAで艦船が来るとは期待しておりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 MSA自体で来る可能性のあるものが、この艦艇貸与供定の附表に今後つけ加えられることもあり得るわけですね。この協定がなければ、MSA自体でさらつともらえるものが、この協定の附表に加えられるということがあり得るわけですね。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 この協定で借りるものをこの附表に載せるので、MSAでもらうものがありますれば、MSAに従うとりきめということになるのでありまして、これに載せることはないと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 それならば、はつきりこの協定の中にアメリカのパブリック・ロー、何というのですか、公法というのですか、百八十八号に基いて云々という字句を入れた方がよかつたのではないのですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 その点も交渉の際に話したのでありますが、公法百八十八号なるものも永久の立法ではございませんので、現にほかの立法も考えておるようなわけであります。でございますから、この協定の有効期間中に違う立法ができたりなんかした場合に、また協定の修正をしなくてはならぬという事態が起りますとめんどうでございますから、特にこの百八十八号の引用を避けた、そういう次第でございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 この協定によりますと、MSAの規定に従つて、「占有し、且つ、使用する」ということが書いてあります。実際上においては、MSAに基いて譲渡をし供与を受け、貸借をするということと同じことになりそうなのです。ただいま私が申し上げました通りのアメリカ公法百八十八号に基いてというような文字がなければ、せんじ詰めてこの協定をずつと検討して行くと、なあんだ、これでMSAに基いてこんな協定を詰ばなくつたつて、あれでいいじやないかというように受取れる節もあるわけです。どういうところが違うのでしようか、MSAに基いてやる場合と、本協定に基いてやる場合との相違点は……。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 この貸与協定は、実はMSA協定に対しまして補完法になるわけであります。つまりMSA協定の五百六条に、十五百トン以下の船しか貸さないという制限がなければ、MSA協定一本でいいわけでありますが、向うでそういうアクトの制限に縛られておりますので、それ以上の船の貸与を可能ならしむるためにこの協定が必要になつた。従つてMSAを補完する協定ででありますから、MSAに掲げましたいろいろな規定を再びここでずらつと並べますのはめんどうでございますから、協定の第二条で一括してMSA協定の規定を引用して、つまりその法律的意味は、MSA協定の関係条項をはさみで切つてこの協定にくつつけたと同じ効果がある、そういう関係になつております。

並木芳雄改進党

○並木委員 この貸与は無償であるということは、この協定自体からは当然出て来ないと思われますけれども、その点はどうなつておりますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 これは船舶貸借協定と同様でありまして、有償などということは、向うの方でもこちらで有償と書いてなければとれないわけであります。黙つてあるのは、無償であるということであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 MSA自体に基いて来る場合には、こういう協定をつくつて国会の承認を求められるかどうか。艦艇が別に来る場合があるのです。もつともことしは十七隻しか注文してないのなら、MSA自体から来る艦艇というものは考えられませんけれども、かりにこれは艦艇のみならず、ほかの陸上自衛隊あるいは航空自衛隊の兵器でもけつこうです。そういうものは現実に引渡される場合に、一々協定を結んで、その協定を国会の審議にかけて承認を求めるかどうかという点であります。単なる行政措置だけで何らかの文書を交換することだけで終るのか、やはりその都度まとめて国会の承認を求めるか、この点を確かめておきたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 MSA協定のもとに参ります船に限らず、陸上の装備もそうでございますが、第一条に、その合意する「両君名政府の間百で行うべき細目取極に従つて、」と書いてございます。でございますから、第一条に基きまして細目とりきめというものをつくることがございますが、それはあらためて国会には承認のために提出いたしません。

並木芳雄改進党

○並木委員 細目とりきめの中の項目のおもなるものを言つていただきたい。どういう点が細目とりきめの中にあげられるかという点です。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 この細目とりきめにつきましては、まだ成案ができておりませんので、と申しますよりも、まだ具体的にとりきめの締結交渉もいたしておりませんので、何とも今申し上げる段階にございません。

並木芳雄改進党

○並木委員 この協定の附表に書いてあります四隻の駆逐艦及び護衛駆逐艦の明細について承りたいのです。トン数とか製造年月、製造当時の価格、現在に評価しての価格、あるいは火砲等の装備、設備、所要乗組員の数、それからアメリカではこの駆逐艦を何年ぐらいで償却しておるか、幾年間使用に耐えるようにしておるか、どこへこれを配属する予定であるか、何月に引渡されるか、予算は何月からこれ見合う予算が組んであるかというような点について、明に細を答弁していただきたいと思います。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 大分質問がたくさんありましたので、漏れるところがあつたらまたあとで御指摘を願います。  この借り受けます型は、附表に書いてありますように千六百トン型とデイーゼル・エレクトリック・タンデム型ということで、まだ何号というところまできまつておらないのでありますが、第一番に製造年を申しますと、千六百トン型の方は一九四〇年から四三年の間、それからディーゼル・エレクトリック・タンデム型という方は、いわゆるDEと申しますが、これが一九四三年、四四年ごろであります。建造の費用は、十六百トン型については一九四〇年から四三年ごろに、できたわけでありますが、当特約三百八十万ドルであります。エレクトリック・タンデーム型の方は、建造費はDDよりは低いと思いますが、ちよつとはつきりいたしません。性能は、十六百トン型は一応これをジェーンのあれによりましてベンソン級というのでとつてみますと、排水量が約千六百二十トン、全長三百四十八フィート、幅三十五フィート、最大吃水十八フィート、最大速力三十七ノット、装備は、三八口径でありますが、五インチ砲四門、魚雷発射管二十七インチのもの五、その他定員は約二百五十名。エレクトリック・タンデム型は、一応エドソール級にとつてみますと、排水量千二百トン、全長三百六フイート、幅二二十六フィート、最大吃水十一フィート、最大速力は少しおそくて二十一ノット、大体この級はパトロール型といわれております。PFと似たようなものであります。装備は三インチ砲三門、四十一ミリ機銃八、二十ミリ機銃四、定員は約二百二十名というふうになつております。  それから経費につきましては、十七隻を約三箇月運行できる――これは三箇月のべつというわけではありません。平均の動かし方で三箇月間動かせるという経費を、二十九年度予算に計上して議決を得ておるわけであります。それが運行費総額六億一千万円。そうして、これはけさほどの御質問にお答えしましたが、大体アメリカ本国で受渡しすることになると予想をしまして、引取りのための旅費その他約二億五千万円を計上いたしております。  なお漏れたところがありましたら……。(穗積委員「配置は」と呼ぶ)配置についてはまだ明確にきめておりませんが、大体船隊、船隊群に所風させて訓練及び警備の任に出らせるという予定であります。

並木芳雄改進党

○並木委員 運行費は、十七隻三箇月分として経費が六億一千万円というわけですか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 十七隻全部を三箇月間動かすものであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 この運行費というものは、自衛隊員に対する給料その他のものも含まれているのですか、それは全然別個のものですか。要するに私がお尋ねしたいのは、十七隻をならして三箇月分を予算に組んだ。そうすると、その十七隻を新たに使うために要する費用というものは合計幾らになるか、こういうことをお聞きしたいのです。今の六億一千万円がすべてのものを含んでいるのかどうか、ただ艦艇の運行だけに使うものであるように思われます、額からいうと比較的少いですから。ほかのものを全部含んでいると、もつとずつと大きくなるのではないかと思いますが、その数字がほしいのです。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 これはいわゆる人件費は含んでおりません。これは海上自衛官の定員をこのたび五千四百八十五名増加することに、予算は議決になりましたが、法律はまだ参議院で審議中であります。この増員定員の中からまかなつて運行するわけであります。燃料その他の運行に要する経費は十七隻、三箇月六億一千万円という経費であります。

並木芳雄改進党

○並木委員 その人件費の合計はわかりませんか。

麻生茂保安庁課長(長官官房法規課長)

○麻生説明員 先ほど次長から申し上げました通り、船舶の引取りの外国旅費が約二億五千万円、それから人員四千六人の平均六・八箇月分の人件費が約四億五千万円、それから船舶の平均約三箇月の運行に要する船舶燃料等の器材費が約六億一千万円でございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 五千四百八十五人として平均六・八箇月ですか。

麻生茂保安庁課長(長官官房法規課長)

○麻生説明員 四千六人で平均六・八箇月です。

並木芳雄改進党

○並木委員 その募集の具体的計画を知りたいのです。それは私この前質問をして、次の機会に答弁をしてもらいたいという要求を出しておいたのです。本年度における自衛官の募集計画、これをこの機会に政府から発表していただきたいと思います。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 海上自衛官の募集計画は、今月中に法律が通過いたしますならばという前提でございまして、六月から始めたい。幹部、これは三等海尉となりますが、それ以上、これを六月からのものが約四百、それからいわゆる下士官級に当ります海曹が六百、それからいわゆる兵に当ります海士四百、これが六月に始めたいと思う募集であります。大体九月にやりたいと思いますものが、幹部が百、海曹七百、海士千二百、十二月にやりたいと思いますものが、幹部七十、海曹六百、海士千二百、こういうことでやりたいと思つております。

並木芳雄改進党

○並木委員 この機会に陸上自衛隊、航空自衛隊の分も答弁しておいてもらいたいと思います。これはこの前私質問しておいたのです。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 陸上自衛隊、航空自衛隊を申し上げますと、入隊時を十月といたしまして、幹部三千二百、入隊時を七月から十月といたしまして、陸士――士というのは兵に当るものですが、二千八百、十二月から三月の分が一万五千、それからもう一つの一月に入れようというものが一万六千八百、それから大体十月に入れるものとして、セビロの、しかし部隊に勤める部隊職員八千七百。それから航空自衛隊の方は、大体八月を一応目標としておりますが、幹部が千三百、空曹、下士官が千九百、空士、兵に当りますものが三千、部隊職員五百、これは大体八月と書いてありますが、これも多少ずれがあるわけでございますが、一応八月というふうに予定いたしております。

並木芳雄改進党

○並木委員 陸上自衛隊の中の二千八百というのがありましたけれども、今募集している二万八千というのはどれに入つて来るのですか。この間たしか締め切つたと思いますけれども、二万八千名募集というのがたしか保安隊にあつたと思います。それとこれとは別ですか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 恐縮ですが、今七月から十月の二千八百と申し上げたのが二万八十の間違いのようですから、ちよつと調べますから、暫時御猶予を願います。

並木芳雄改進党

○並木委員 その二万八千の募集状態はいかがですか。私は今聞いてみますと、海上自衛隊四千名というものは相当の人員だと思います。それが十分募集できる見通しがついておるかどうか、これをお尋ねしたいのですけれども、その参考として、十一日ですか、締め切つた陸上自衛隊の方の――現在は保安隊ですが、それに対する応募状況はどうなつておりますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 二万八千名現在募集しておりますが――さつきの二千八百名はたしか間違いだと思いますが、二万八千名というものは一応予測数字でございます。空、海のような増員数字でございませんで、今年の七月、八月、九月と、二年たちまして、やめる時期に相当しているもののうち幾らやめるかというので、一応想定をいたしまして二万八千という数字を出して、募集にかかつているわけであります。それで現在応募しておりますものが、われわれのところまで数字が来ておりますものは、一昨十五日で六万四千でございます。今度は市町村で受付をしてもらいまして、それをわれわれの方へ報告をしてもらうというために、事務的にずれておりまして、十一日締切りでありますが、まだ十五日でも最後の数字ではございません。少くとも七万を越えるだろうと思います。七万から八万の間であろうというふうに想定をつけております。その場合に、二万八千とどういう関係になるかと申しますと、=万八千を一応想定しました際は、二年たちまして本年一応満期と申しますか、そういうもののうちで何ぼやめるか、大体四〇%から五〇%――これは一昨年の事例に徴しますと、大体五〇%足らずやめたわけであります。それに基きまして一応二万八千という数字を出したのであります。ところが、まだ満期になりませんので具体的にはつきりしたことはわかりませんが、その後調査をいたしましたところ、やめたいという希望者が非常に少くて、現在のところでは、やめたいという希望者は一応一〇%程度であります。四〇%から五〇%というところをにらんで推測を立てましたが、現在のところは、やめたいというものは一〇%ぐらい、しかしこれはもう少しふえるだろうというふうに見込みを立てておりますが、やめたいというもの、あるいはこちら。もう続いてやつてもらうには及ばないというふうな人で、こちらでやめてもらつた方がけつこうだというふうなものを合せまして、三〇%というところが一つの見当ではないかと思います。そうしますと、この際大体二万弱をとるならばよかろう。そうしますと、七万ないし八万という応募者でありますならば、従来の例に徴しまして、きわめて適当なものがとれるのであるまいかという一応見通しをつけておる状態であります。

上塚司自由党

○上塚委員長 岡崎外務大臣は参議院の本会議のために、約十五分間くらい退席いたされますから、さよう御了承を願います。

並木芳雄改進党

○並木委員 先ほど製造価格は千六百トン級が三百八十万ドル・ディーゼル駆逐艦の方は不明であると言われましたが、現在の価格は両方どのくらいであるか、見積りはわかりませんか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 現在新造する場合の値段もしくはこの古船がどのくらいになつておるかということは、ちよつとわかりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 アメリカでは大体この駆逐艦を何年くらい使えば、用は足りるというふうに計画されておるのでしようか。先ほど聞いてみると、千六百トン型は一九四〇年から三年です。今から十年以上前です。また千四百トンの駆逐艦も一九四四年ですから、十年前です。普通の商船でも、いくら使つても十五年から二十年、十年使えばかなりくたびれて来る。ましてやこういう軍艦は、私は十年が精一ぱいじやないかと思うのですけれども、専門家ではありませんから、私はわかりません。アメリカではどういうふうに見ておりますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 船殻としては十五年や二十年ではへたばらないと思います。積んでおる器材は、やはり部分的にいいものにとりかえておるようでありまして、そういう意味で、たとえば今使つておりますフリゲートも、十年から十三、四年みなたつておるわけであります。これは相当に使いものになるのであります。使いものにならないというものでは決してないと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 ただいま器材の点については、だんだんと新しいものにかえて行く必要があるという答弁でございましたが、そうすると、この駆逐艦に対しては、日本が借りている途上において、その器材については新しいものが来るという見通しがあるのですか。あるいは日本の政府の方で、適宜これをリプレースして来る、借りて来るというのですか。どういうふうになつているのですか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 まだ具体的に器材の問題について話合いはいたしておりませんが、非常に優秀なリーナーであるとか、レーダーであるとかいうのができました場合には、日本側でとりかえることもあり得ましようし、向うのいいものととりかえてもらうこともあり得るかと思います。その場合に新しく話をする必要があろうというふうに考えます。

上塚司自由党

○上塚委員長 並木君、あと十分で一時間ですから、なるべく集約して御質問を願います。

並木芳雄改進党

○並木委員 同じ種類の駆逐艦がその後どんどんアメリカではできているはずだと思うのです。今度来る駆逐艦、千六百トン、千四百トンの十年前にできたものは、アメリカで最終にできたというから、最新のものではないと私どもは思うのです。その後どんどんできていると思うのです。できていれば、一番最近につくつたものを日本に貸与してしかるべきものと思いますけれども、この駆逐艦は最新のものですかどうか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 別のクラスのものでは新しいものがあるかもしれませんが、このクラスのものとしてはこれは新しいものと思います。  それからさつきの二千八百というのは、まことに申訳ありませんが、二万八千の印刷の間違いでありましたから、御了承願います。

並木芳雄改進党

○並木委員 このクラス、ほかのクラスというのを、もう少し具体的に言つてもらわないとわかりません。何となれば、この附表には非常に抽象的に、駆逐艦千六百トン型と書いてあるきりですから。この駆逐艦千六百トン型の中にいろいろクラスがあるのですか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 駆逐艦千六百トン型は、一応ベンソン級という形をとりましての話であります。それから一方の方のディーゼル・エレクトリック・タンデム型は、一応エドソール級ということで考えての話であります。

並木芳雄改進党

○並木委員 それなら同じ範疇の中に入るもので、やや型の違う新しいものがいいのじやありませんか、それをどうしてよこさないのですか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 この型は、申したように、大体その時分までにでき上つておる。その後この型のものはつくつておらないのです。

並木芳雄改進党

○並木委員 その点をつまり私は聞きたいのです。十年前につくつて、その後つくつてないというのは、役に立たないからつくつてないのじやないかと思います。それともほかの理由からですか。おそらくどんどん進歩しておりますから、この型のものはすでに十年前に製造を終つてしまつて、これにかわるべき新型のものができておる、そういうことになるのじやありませんか。増原次長は答弁がなかなか巧妙だから、ついうつかりしておるとひつかかつてしまうのですが、結局これは新型のものに発展的に改造されておる、こういうことになるのでしよう。新しくてもつとよいものがあるのじやありませんか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 その点こまかくは調べておりませんが、御承知のように約十年前に第二次大戦が終りまして、その後あまり米国でも船はつくつておらないわけであります。大体その辺までにつくつたもので一応終つたわけであります。特に特殊なもので、あとつくつたものはあるようでありますが、大体はその後はあまりつくつておらない状況でございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 どうも少し心細い。十年くらい前につくつた、それがその当時の一番モダンなスマートな艦であつたかもしれませんが、その後生産をやめておる〇十年たつた今日それをいまさら払下げを受けて日本で使つてというが、一体増原次長、これはどういうふうに使つて行くのですか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 今われわれが借りて使つておるPFとDEというのは似たようなものでありますが、PF型は排水量が多いわけでありまして、いわゆるパトロール型であります。駆逐艦、DDというのは、速力も最大三十七ノットと公称されております。もつと有力でありますが、いずれも警備用の目的で船隊、船隊群に配属して就航せしめるものであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 アメリカの先ほどの公報百八十八号を読みますと、駆逐艦よりも大ならざるもの二十五隻、その他アソーテツド・マイナー・ミセレーニアス・クラフト、その他雑々と、お菓子の吹寄せのようなものでありますが、まことにさびしいものが書いてあります。そういうものが書いてあつて、しかも前の方はイタリアに対する潜水艦及びフランスに対する航空母艦、こういうものを貸与する法律であるということが主体になつておる。そのしつぽに持つて行つて、極東の友好国に二十五隻その他云々と、とつてつけたようについておる。法案にはジヤパンなどというものは一つも入つておらない。言いかえれば、ものの数に入つていない。日本へのくず鉄払下げみたいな感じがする。それでも十七隻というものは、なかなか見込みがついていないということになれば、日本の海上の自衛計画というものはどうなるのですか。今の保安庁は大分張り切つてやつておるつもりでありますけれども、四隻もやつとこどつこい、十年前につくつて、その後は生産がストップしておるような古型の駆逐艦、それでもつて三軍をつくり上げようと言うし、また太平洋艦隊もつくるのだなんて、口ではかなりはなやかなことを言つておりますけれども、一体どんなものができ上るのです。これで十七隻がまともに来ればともかく、来なければまるつきり日本の海上自衛隊の増強なんというものは、それこそ水のあわに帰してしまうのですけれども、次長としてはどういう確信を持つて日本の自衛力を、特に海上自衛力を増強して行くのですか。あるいは私は保安庁が期待しておるようには、もうあと来ないのじやないかと思うのです。ということは案外アメリカの政策というものは、増原次長はだれと交渉したかしれませんけれども、出先の機関とまた本国とは違うのじやないか、本国ではかなり他の韓国とかフィリピンあるいは国府、そういうところへ気がねをしておる節もあるでしよう。ですから日本の思うように艦艇を引渡してくれないかもしれない。それから何も日本の海軍を、海上自衛隊をそんなに強化しなくてもいい、あるいは空軍と陸上に主力を置いたらいいのじやないか、そういうような方針なんかもちらほら出ておりますので、その点について十分保安庁として確信が持てるかどうか、この際はつきりお伺いしておきたいと思います。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 いろいろの項目にわたつて御質問でございましたので、どうもこんがらかるかもしれませんが、われわれは決して三軍を建設するとか、太平洋艦隊をつくるとか、そんなことはゆめにも言うたことはありません。自衛力を漸増しようということが政府の方針でありまして、自衛力を漸増するためには、しかしながら陸、空、海のいわゆる均衡のとれたといいますか、自衛の形において能率的な形のものをつくりたいというのを基本に考えておるわけ。あります。しかしこれもたびたび総理大臣あるいは保安庁長官等からお答えをしておるように、けさほども外務大臣からお答えがありましたが一なかなかいわゆる長期の自衛計画といいますか、防衛計画を立てるということは、いろいろな要素がいずれも未確定でありまして、確定しにくい。一つの大きい未確定要素は財政計画、これがなかなか立たないというようなことで、いろいろと努力をし苦心をしておりますが、長期の防衛計画というものはまだ立ち得ないというような状態であるわけであります。しかし大きい方針としての自衛力の漸増、防衛力の漸増という方針をとつている。それは能率的な陸海空がバランスがとれて、そうして自衛の効果を上げるようにやつて行きたいという線でやつておるわけであります。その線に沿つて陸は陸の兵器類を、海は艦船を、空は航空機等を、MSAその他によつて援助を受けたいということでありまして、海についても事前にいろいろいわゆる非公式な資料をもらう意味の話合いは相当にやりまして、十七隻という案を立てたわけであり通す。これはわが方の自衛力増強の一応の二十九年度の形として要望をし、向うの方でも大体これくらいはよさそうだという、一応見当をつけるための資料はとつてつくつたのであります。われわれの方だけでただ思いついてやつたというものではないのであります。しかしながら、もとよりきちんと話合いがきまつて出したものではありませんので、具体的な話は今後にまつということで、とりあえず四隻が確定的になつた。しかしこれは米国がこの六月までの現会計年度で措置し得るものとして承知をしてくれたのであります。七月以降の会計年度において措置し得るものとして、なお米国の方でも考えておるのであります。われわれの方はさらに協議を続行いたしまして、十七隻はぜひこちらの要望通りもらいたい、しかしそのうちには先ほど並木委員の質問でお答えいたしましたように、これが全部いわゆる百八十八号に基いてもらうとはきまらぬのでありまして、私どもの方はともかくもらうということが第一義でございまして、向うの根拠法規はMSAであろうが、百八十八号であろうが、さしつかえないわけであります。この協定を御承認願えますならば、向うの根拠法規のいかんにかかわらず、われわれの方としては所望のものを入手できるということになるわけでございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 増原次長の意気は壮といたしますけれども、なかなか今の答弁の中でも本年度の、六月の末に終るうちで、辛うじて四隻ということでありますから、あと十三隻は来年度の計画の中に入つて来るかもしれないわけであります。おそらくそうでしよう。そのほかに来年度の予算あるいはアメリカの計画ですが、その場合に法律百八十八号、これは継続して生きているのでしようか、どうでしようか。百八十八号に授権されたところの二十五隻云云というものは、来年度のアメリカの予算にも適用されるのでしようか、どうでしようか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 これはもとより授権立法でございまして、それが廃止されない限りは生きておるものと了解しております。

上塚司自由党

○上塚委員長 並木君、その辺でいかがでしようか。

並木芳雄改進党

○並木委員  それでは最後に……。アメリカの艦艇を、日本に不足しておる限りは急いでもらうことには私ども異存はございません。しかしやはり何といつても、頼むべきは自分の力なのであつて、ただいままで私の質問に対する答弁を聞きましても、決して新鋭の、むしろ秘密なんかたくさん含まれておるようないいものじやなさそうであります。こういうものに依存している限りは、日本の海上防備の力というものは、なかなか自主的に、かつ独立性を持つた形においては成立しがたいのじやないかと思います。すべからく日本独自の製造をやつて行くべきものであると思いますが、昨二十八年度においても、すでに保安庁は艦艇の建造をする計画になつておつたのじやないですか。その建造する予定であつた艦艇は、現在までどうなつておりますか。本二十九年度において日本の手によつて建造する計画は、どういうふうに運んでおりますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 並木委員の仰せの通り、われわれも一本の自衛の目的にかなう新しい船をつくりたいという念願に満ち満ちております。戦後何年かの空白があるといいましても、日本のその方面の技術は、早急に進歩し得る自信と見込みもあるわけであります。日本で大いにつくりたい。もとより外国の援助・とくに米国の設計その他の援助を必要としますが、自分でつくりたい念願は非常に盛んでありますが、何しろ財政その他諸般の国内の状況が許しませんので、一部はつくるが、一部は米国かうもらおうという大体の結論になつておるわけであります。二十八年度の予算で要求をしました船舶建造費で二十九年分として予算外契約を終えておりましたのが、今年度予算に計上せられましたので、合せて百三十億ばかりのものを持つております。これは何度も申し上げましたように、十六百トン級二隻、干トン級三隻というものを主軸としまして、千トン級のケーブル・レイヤー、七百トン級の掃海艇、六十トン級の巡視艇というようなものをつくりたいのであります。これは予算が昨年度認められまして以来、鋭意設計に着手をしまして、今年の初めに基本設計を終つたのであります。これは制しろ戦後十年近い空白がありましたので、材料も、周速度鋼を初めとして処理がまだ十分にわかつていないものをもつてする設計でありますので、非常に予定よりも手間を食いまして現在に至つておるわけでありますが、基本設計を終りまして、だんだんと爾後の細密設計に移るという段階に今あります。従いましてすみやかに適当な造船所等を選びまして、これは原則的にはやはり会計法上は競争入札でありますが、諸般の事情を考え合せますと、これは現在まだ長官の個人的意見という段階でありますが、すぐれた適当な造船所を選んで、随意契約を適当と認めるという長官の見解でありまして、その線に沿つて造船所を選び、契約をする。しかしながら契約は、細密設計ができませんので、概算契約であります。それをいたしたいと今鋭意準備を進めておるところであります。二十九年度の新造船は三百トン型の駆潜艇八隻が中心でありまして、あとは難船程度のものでありますが、これはやはり戦後初めてのものでありますので、現在関係専門家が集まりまして案を練りつつあります。これを幹部会議にかけまして、要目を決定し、要目に基きまして概案をつくるという段階であります。これも概案がまとまりましたならば、すみやかに契約に入りたい。そうして二十八年度に認められました分につきましては、このたび契約をいたしますならば、年度末までに進行させたいという考えをもつて努力をいたしておる状況であります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 関連をして二、三承つておきたいのですが、その前に承つておきますが、外務大臣はまた来るのですか。

上塚司自由党

○上塚委員長 やがて参ります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 参りましたならば、どのくらいおりますか。

上塚司自由党

○上塚委員長 五時十分ぐらいまでおりましよう。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は比較的簡単に承りたいと思います。主として条約上の手続上の問題につきまして、ただいまの御答弁に関連して承つておきますが、もとよりこの協定そのものは、私たちの立場から申しまして賛成をいたしておるわけです。ただ考え方によりましては、憲法あるいは国会におけるわれわれの権限との間に重大な問題も生ずるというふうに私も承つておりますので、外務大臣が不幸にしておられませんから、私は下田条約局長から承つておきたいと思います。この艦艇貸与協定の附表の四隻以外に、話合いがついて借りるという場合には、附属書A項に借りるときまつたものを追加するわけですね。その場合には国会の承認は必要ではないわけですね。いかがですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 仰せの通り、今後新しい貸与艦艇がきまりましたならば、附属書Aではございません、附属書B・Cというように附属書を追加いたして参るわけでありますが、その新しい艦艇の追加自体につきましては、第一条で包括的に承認を得ておるという見地から、あらためて国会の承認を得ないで、政府限りでやる予定でございます。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 それでは政府の行政権の範疇でやり得る範囲というものは、どの程度までなのですか。この艦艇貸与協定があるからといつて、無制限に国会がすべての権限を行政権に委任するわけには参らないのですが、どの程度までこの協定によつて行使し得るのですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは午前中いろいろ御質問がありました点にも関係するわけでございますが、およそ物をやりとりするとか、こういう協定に二種類あると思うのでございます。第一種類は、外務大臣が申されます。いわゆるパイプでございます。つまり物が来る道をつけるという協定、第二の種類は、量なり価格その他の条件自体をきめる、つまり先日の農産物の購入協定、これは五千万ドルをただでもらうのですが、二割をグラントという条件。つま物の来る道を開くパイプ式の協定と、それから価格なり数量なりが重大問題であつて、取引的な条約でございますから、そういう点を当初から明らかにした協定を結ぶというものとございます。この協定はMSA協定とまつたく同じでございまして、艦艇というものが来得るパイプにしかすぎないわけございます。そうすると、この協定を結んだならばずるずるとたくさんの艦艇が来て、憲法の戦力を逸脱するではないかという御質問が、先ほど来の点なのでございますが、これは実は防衛計画につきまして、予算の問題といたしまして、国会の御承認を得るわけでございます。本年度は十七隻は貸与を受けてもいいように人員、経費その他の予算といたしまして、国会の承認を得ておるわけでございます。でございますから、国会で予算の御審議をなさいます際に、これは憲法に違反しないとお認めになつたればこそ、予算を議決されたわけでございますが、予算がきめられ、あるいは防衛計画ができましても、かんじんの物が来るパイプが開けていなければもらえないわけでありますから、この協定の目的は、予算なり何なりで、日本側の計画が国会の御承認のもとにきまつたあかつきにおいては、物が来得るというそのパイプをつくる、それがこの協定の目的でありまして、従いまして憲法その他の点は、国防計画及び予算の問題として国会の御承認を仰いだ後に、現実の物がこのパイプを伝わつて来るわけでございます。でございますから、協定ではさまつておりませんけれども、これは当然のことでございます。またこの協定につきまして特に申し上げたいことは、二条にMSA協定の規定を引用しておりますので、当然MSA協定の第九条の規定、つまり憲法のわく内で実施するという規定を、そのままこの協定に紙をはさみで切つてくつつけておるとお思いくださつてけつこうなのであります。これは念のためではございますけれども、その点からも、けさほど来の御意見におきましては、十分防波堤がくつついておるということが申し上げられるのでございます。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は戦力論の違憲論を唱えておる社会党の立場と、立場を異にいたしております。あなたのおつしやつておりますように、この協定には予算的な措置が伴わなければならない。軍艦をもらつても、軍艦には人を乗せなければならぬ。その他保管費もいるわけであります。従つて国会もこれに伴うところの予算的な措置をとる必要があるわけであります。従つて国会のわれわれの審議権と重大な関係があるという点から、伺つておる。あなたのお考えと私の考えは、考え方においてまつたく同じ立場に立つておる。そこで承りますが、そういうふうに国会の予算と直接関係のある協定でありますから、従つてこの協定によつて無制限に、政府が一方的に外国との間に軍艦を借りる約束をどんどんして借りてしまう、その借りる協定ができてしまつた後になつて、国会が事後承認をしなければならぬということになつては、国会の審議権を無視されてしまうことになる。従つてこの協定というものは、どれほどの程度までをこの協定によつてまかなうことができるかという限界点について、伺つておるわけです。政府のただいまの御説明によりますと、この協定はほとんど限界点が無制限なものであるとすら言い得ると私は思う。ただその前に、政府が政治的に考えられて、国会に予算その他の措置についての承認を求められる。あろう。でありますが、協定そのものから申しますと、協定そのものは、そういり限界点のないところの協定であると言い得ると思うのですが、いかがですか。この協定そのものは……。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 その点はこの協定初めて起る問題ではないのでありまして、MSA協定でも理論的にはジェット機であろうがタンクであろうがたくさんのものが来得るわけでございます。しかし来ましても倉庫がないから倉庫を建てる。あるいは使う人員がいるという点では、これは予算の問題として国会の御承認を得るわけでございます。でございますから、協定としての御承認のほかに、全然協定以外の予算なり国防計画の面で、国会の御承認を得る道があるわけでございますから、何もこの協定で初めてその問題が起るのではありませんで、たくさんの協定あるいは先日の国際司法裁判所規程の当事国となる協定、あれにも国連で分担金を負担することという条件をつけて、その条件を受諾することについて御承認を求めたのでありますが、これも別に予算でもつて分担金の経費が計上してありますから実行可能になるわけでございます。つまり憲法上どういうことを約束しましても、経費を伴う場合でありましたならば、当然これは予算として憲法八十五条に従いまして国会の御承認を求めるわけです。全然経費を伴わない協定もたくさんございますけれども、しかし経費を伴う協定もたくさんあり得るわけでございまして、この協定もそれらの協定のごく一つにしかすぎないので全然これはこの協定で初めて起つたものでも何でもないわけであります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 ただいまのあなたの御説明とけさほどの外務大臣の説明には、かなり聞いておつて食い違いがあると思うのです。戸叶里子君の聞かれました質問に対する外務大臣の答弁は、十七隻ということに非常に拘泥されておるようでありまして、二十九年度の防衛計画に基いて十七隻について日本側の負担すべき費用については、すでに国会で承認を求めておるから、その範囲内のものはこの協定によつて附表を追加させることによつてまかない得るのだ、それ以上のものはアメリカと日本との剛に話かついたときにはさらに附表を追加するか、新しい協定を結ぶかどうするかということについてはまた考えていない。それはまだ来年のことであるからそう考えていないのだ、というような朝の答弁であつたように聞いておるのであります。私の記憶はそう間違いはなかろうと思います。そうすると今の御答弁と大分食い違いがあるようでありますが、その点は外務大臣がおられますから、外務大臣から承つておきたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 先ほどの継続として関連する点だけについて、御答弁させていただきたいと思うのですが、十七隻・むろん協定のいたし万によりましては数字を明らかにしてやることもできますし、またやることが意味のある協定があります。つまり農産物購入協定では幾らをどういう条件で買うということ自体に重大な意味があることです。ところがこういう――船舶協定の場合もそうでございましたけれども、まだ初めからどういうものを幾らということは、予定はありますけれども、それがはたして来るかどうかということが確定しておらないときに、初めから数量を明記した協定を結ぶということは、非常に実は危険なことでございます。なぜかと申しますと、何かの都合である隻数のものが来ないという場合には、その協定は不履行、未完了という名前で宙ぶらりんになるわけでございます。こういう場合には協定自体は六十八隻とかあるいは十七隻ということを書かない方が、普通でかつ賢明な措置でございます。けれども一体どれくらいのものをもらうかということのインフォーメーシヨンを差上げずして御承認を求めることは無理でございますから、フリゲートのときも協定には書きませんでしたが、六十八隻という数字を予定して申し上げ、今回もすでに予算でも十七隻と申し上げておるのと同じことを申し上ばて、インフオーメーシヨンとして国会に申し上げておるわけでございます。でありますからそういうことを申し上げることと協定の中に書き込んで、はたしてそれががつちり履行できるかどうかわからないのに、わからない現在の段階で初めから書くことがよいか悪いかということは全然別問題でございまして、むしろこれはパイプで来得る道を開くわけでございますから、別途数字を申し上げて協定自身には書き入れないというのが、普通のやり方だろうと思うのであります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 下田さんは大分私の質問してないことまで御返答していらつしやるのですが、私は今度の条約が非常にりつぱな条約であるとか、あるいはよくないとかいうことは、あなたに一言も言つておらないのであります。外務大臣の御答弁とあなたの先ほどの御答弁との間に、条約そのものの持つ効力について非常に見解の相違があるから、われわれはこの条約を審議する上において、その点を明らかにしておきたいという考え方で申しておるのです。繰返して申しますが、外務大臣のけさほどの御答弁では、十七隻というのはすでに国会においても予算的承認を求めておるのだから、十七隻までは今度の艦艇貸与協定によつて十分まかない得るのだ。ゆえにこれは附属書AさらにB、Cを追加して行けばいいのだというような御答弁であつたのです。ただいま下田さんに承りますと、あなたはこの協定はパイプであるから附属書に追加さして行けば幾らでもできるという御答弁であります。その点につきまして外務大臣のけさほどの御答弁と大分食い違つておると思うのですが、この食い違いをどういうふうにお考えになつておるかという点です。外務大臣、この点はいかがですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ちよつと途中から来まして、まだはつきり御質問の要旨がわからないのですが、今おつしやつた範囲のことですと、協定の形からいいますと、これはどこに制限があるということはないわけであります。しかし実際上からいいますと、先ほどから申しておりますように、十七隻以上は借りる考えはないということになります。従つてこれをここに明らかにいたしまして、御了解を得ておるというわけであります。

上塚司自由党

○上塚委員長 佐々木君、関連質問ということですから……。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私、簡単に終ります。明確になればいいのです。戸叶さんに対する岡崎さんの御答弁は、十七隻まではこの艦艇貸与協定によつてまかなうことができるけれども、もしそれ以上にでもなつた場合には、新しく協定をつくるか、あるいはこの附属書を追加するか、そのときに考えるという御答弁であつた。そうすると今のお話では大分違うではありませんか。その点私は明確にさえなればいいのです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私の申すのは、本年度においては十七隻、それ以上のものは借りません。来年度新しい予算ができまして、そのときに新しい計画に基いて予算の措置が講ぜられました場合には、十七隻以外にさらに借り得る場合もあり得る。そのときの措置をどうするかということについては、自分の増えではやはり予算の承認を得て、国会が認められたならば、この協定の附属書を追加してもできるのではないかと思いますけれども、これは法律上の見解もありましようし、今ただちに決定をいたしておりませんから、十分考慮してその措置は講じたいと考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 条約局長の先ほどの御答弁との間には、やはり相当の開きがあることを今もつて私は御答弁からはつきりわかる。岡崎外務大臣のけさほどの話だと、場合によつては新協定をつくるのだ。現在審議中の艦艇貸与協定によつて附属書さへ追加するならば、それでも事は足りるのであるかとも考えるけれども、それにはなお条約上、法律上疑義があるから、十分研究もしなければならない、こういう含みを持つたような御答弁で、本質論はやはり別個の新協定を結んでそれを国会に出して承認を永めるのがあたりまえである、こういうお考えのようでありましたが、そうではないのですか。これは重大問題ですよ。外務大臣、真剣に御答弁願つておきませんと、私たち単に与党、野党という立場でなしに、重大な根本的な問題でありますから、この点は明確に承つておきたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私の申したことがあるいは誤解を起したかもしれませんが、私の趣旨は新協定をつくるということが趣旨ではないのであつて、自分としては附属書を追加すればそれでできるものだと思うけれども、これは自分の個人的な見解であつて、法律の専門家等の意見もよくただした上で、さらに最終的の決定をいたしたい、こういう意味でありまして、疑義があるとかいう意味ではないのであります。ただ自分の法律上の知識がはなはだ貧弱でありますから、自分ではそう思うけれども、十分専門家の意見も聞いて、最終的にはきめたい、こういう意味であります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 重大なことですから私は承つておきますが、下田条約局長は条約の専門家でありますから、あなたが条約の問題について疑義があつてわからぬということを言われたのは、われわれは国会の審議のしようがない。あなたは当面の責任者ですが、これに対するところの明快な御答弁を願いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 けさほどから外務大臣が十七隻の艦艇につきましていろいろ御答弁なさいましたが、その場合に戸叶さんの御質問に対しまして、十七隻が終つたら新協定になるかどうかという点につきましては、外務大臣は明言を避けられておるのであります。そのときにお考えになるという、少くも現在は外務大臣のお考えはきめておられないというように私承知しております。そこで実際問題と法理論とを区別して話す必要があるのですが、厳密な法律的な可能性からいいますと、この協定のままでも十七隻の次に来る十八隻目も借りられるかもしれません。しかし今度の協定の折衝というのは、日本側の十七隻の要請に基いて始まつたものでございまして、向うでは公法百八十八号というわくに縛られる。こつちは予算の十七隻というわくに縛られた折衝であります。そこで将来の問題は何とも申し上げませんが、十七隻以外の船についてアメリカがこの協定の条件で将来もつと大きな船を貸すかどうかということは、アメリカ自身も米決定であります。十七隻のあとの船を借りるという場合には、両国政府とも全然新たな見地で相談してきめる以外にないのであります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 あなたがそういう三百代言的なことを言うなら、今問題になつているのは、この協定には四隻しかないのです。十七隻というのはこの協定のどこにも書いてない。それは政治的交渉のことではないですか。この協定そのものの中には四隻しかないのであります。そういう三百代言的なことを言わないで――ここに外務大臣がいられるから、あなたは遠慮なさつてそういうようなことをおつしやつていられるのでしようが、私はあなたから政策論を承ろうと思つているのではないのです。あなたはこれはパイプ協定だとおつしやるのだから、このパイプを通して無制限に借りようと思えばいくらでも借りることができるのかどうかということを言つているのです。  そこで結論を聞いておきますが、政策論のことはしばらく別といたしましよう。法律上から行つたならば、この協定を通して十八隻、十九隻分も借りることはできるのでしよう。それがもしできないというならば、また絶対にやらぬというならば、それを言明してください。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 リーガル・ボシビリテイはございますが、そうしなければならぬということもございませんし、またそういうことが実際問題として可能かどうかということも、現存のところは全然わかりません。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私はこれで打切りますが、外務大臣はどうですか、あなたは十八隻百以上はこの協定ではまかない切れないから、あるいは別に十八隻以上になつた場合に新しい協定をつくるとか、あるいはこれの別表に追加することをしないとか、これは国民の負担に関係のある重大な問題だと思う。従つてその点だけは明確にしていただきたい。私は基本的には賛成だということを最初にも育つているのです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私の答弁は、法律論と実際論とをごたくにするかもしれませんが、結論を申しますと、まず第一には、私の考えでは、この協定の附属書に加えれば十八隻品以後も借り得る形になつていると思います。ただ二つの考慮がいりますのは、一つは十七隻のことはアメリカ側と話しておりまして、予定してこの協定をつくつておりますが、それ以外の船になりますと、この協定と同じものでアメリカ側が貸すかどうかという点は、まだはつきりしておりませんから、これは別問題になります。もう一つは、政治的に見て、日本政府が一ぺん国会でこの協定の承認を求めたら何でもどんどん借りるのではないかという懸念を持たれる向きもありますが、その点は実際上の問題として十分に考慮をいたしたいと考えております。御質問の、形の上ではどうかということであれば、私は形の上ではそれはできるかつこうになつておる。また個人的の見解としては、予算等が通ればそれに追加して借り得るのではないか、こう思つております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 もう一度念を押しておきますが、私は今の御答弁で満足なのですが、そういたしますと、新しく十八隻目以上が出る場合におきましても、事前に国会にそういつた承認の措置をとる、これはもう明確にそういうふうに言明なさつたと思つてけつこうでございますね。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはつまり、私の申しましたのは、国会の承認を求めるというかつこうはどういうことになりますか。たとえば予算にそれを計上しあるいは定員法に計上して、明らかにこれだけの船がありますから、これだけのものがいる、人がいる、こういうことで国会の承認を求める、国会で認められた場合には、附属書を追加してそういうものをやるという場合もあろうかと思います。新しく船を何隻借りるのだということ自体の承認を求めるという意味では申さなかつたのであります。要するに国会の了解を得てやるということであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 秘密保護法についてお聞きします。この艦艇貸与協定の中に秘密保持を約束しておりますから、やはり何らかの措置を請じなければいけないと思います。それで先般われわれの反対にもかかわらず、遺憾ながら衆産院を通過したところの秘密保証法を審議するときに、私はあの討論の中で、もう日ならずして千五百トン以上のMSAによらざる艦艇の貸与協定ができるのだから、その分はどうするのだ、国会がまぎわになつて来てその秘密を保持する法律を出さないようなことであるならば、この法案自体が政府が言う通りに、そんなに緊急なものではないことになると思うがどうだと言つて質問もしたのですけれども、政府はその点はつきりした回答を与えておらなかつたのです。いよいよきよう具体的になつて来ましたからお尋ねしますけれども、この秘密措置の方法として、秘密保護法の改正法案をただちに国会に提案する用意がありますかどうか。それをお伺いいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは先ほど増原次長からお話したと思いますが、まずこれがきまりますと、この四隻については、いわゆるリコンデイシヨンをアメリカ政府は自分の費用でやるわけであります。このリコンデイシヨンといいますか、改装には約三箇月を要するそうであります。そこで、大体八月一ぱいころまでに改装が終りまして、それから日本の乗組員がアメリカへ参りまして、そこで二箇月くらい操縦その他について訓練をいたします。そして日本へ回航して来るということになりますから、大体十一月前後あるいは十二月、こう予定しております。従いまして多少ずれはありますけれども、今のところでは、国会の会期も切迫しておりますから、次の国会に秘密保護法にこれを追加することを提案いたしたい、こういうふうに考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 これは大臣ともあろう頭のいい方としては語るに落ちると思います。この秘密保護法を通さなければアメリカはよこしませんよとこの間言つたでしよう。どうしてそんなに急ぐのですか。秘密保健法を通過させなければ、兵器を日本によこさない、これはお忘れにならないと思う。今の答弁ですと多少時期がずれて、秘密保健法があとになつても、これは千六百トンや千四百トンはアメリカで渡すということになりますよ。それは矛盾するじやありませんか。だからやはり今日のところでは、大臣としてはあしたにもこれを出すというのでなければ、今の答弁が参議院に反映したら、参議院ではそれでは今まで政府が言つていることとは違うじやないか、この法案を通さなければ兵器が来ない、こういうことだつたからわれわれも考慮したけれども、そんならゆつくりやりましようということで、参議院が硬化してしまうのではないかと思います。だからあしたにでも出したらどうですか。会期も一週間ぐらい延びそうですから……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 今申した通り兵器とは船ばかりじやありません。MSAに基いて陸上にも、空に対しても兵器は来るのであります。これはもうどんどん来るのでありますから、やはり秘密保護法は一日も早く成立させる必要がある。ただこの船につきましては、今申しましたごとく、実際に日本に来るのは十一月以降ということに考えられますので、次期国会に提出いたしたい、こう考えます。

上塚司自由党

○上塚委員長 穗積七郎君。――外務大臣は五時十分ごろにここを退出されますから、その意味で外務大臣から先にひとつ御質問を願います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 最初に議事進行について委員長にお尋ねいたしますが、午前中の休憩後の理事会できめました吉田総理出席要求の件は、その後どう処理されましたか、お尋ねいたします。

上塚司自由党

○上塚委員長 またそのいとまがありません。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 実はわれわれの要望はあしたの午前中に来てもらおうということで、それを実現する、しないは別として、一ぺん向うに意思を伝えてみようということを言われたのでありますが……。

上塚司自由党

○上塚委員長 この委員会を終了してから、その交渉に当る考えであります。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 これはいとまがないと言つて何をしておられるか知らぬが、委員長としてはちよつと怠慢だと思うのです。約一時間半以上あつて、飯を食う時間を三十分見たところが、一時間あるので、院内で御交渉が十分できたはずですから、意識的にサボつておられると私は思うのですが、どうお思いでありますか。

上塚司自由党

○上塚委員長 ただいま申した通り、きよう委員会を終了した後に交渉しますから、その結果については、明日御報告したいと思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 それでは明日もし出て来られるようでございましたら、われわれの要望は二時間ですが、総理の御出席をいただいて、本協定に対する総括質問をいたしたいと思いますから、その点あらかじめお含みおきください。  それから岡崎大臣がお見えになつておりますから――お急ぎのようですから、あしたお尋ねしてもいいのですが、まあ時間のある限り最初にお尋ねします。  MSA協定によつて大きな船は贈与しないということをきめておるわけで、法律上の説明はわかりましたが、そのアメリカ側の政治的な配慮は一体どういうところに根底があるのでしようか、一部の飛行機なりあるいは陸上部隊の使います兵器、装備品等は、これを一括してMSA協定で取扱うことができますのに、千五百トンか千六百トン以上の船は別扱いにしておる。すなわち海軍力につきましては貸与協定によつてやる。しかもこの条約の内容を見ますと、アメリカの欲するときにいつでも引揚げることができるようなかつこうになつておりまして、非常に不安定な状態でございます。これは増原次長にとつても大事な問題ではないかと思うのです。金をもらつて仕事をするのじやなくて、借りて仕事するにしましても、事業計画を立てますためには、すなわちこの場合防衛計画ですが、何箇年間は大体引揚げないというようなはつきりしたものがなければ、計画なんて立つものでないと思うのです。なぜ一体貸与にし、しかも引揚げはいつでも自由であるというふうにされたのか。そのアメリカ側の法律上の問題については午前中に御説明を伺いましたが、どういうわけでそういうふうな別扱いの法律によつて取扱つているのか。しかも海運に関する限り内容を通えているのか。それはどういう意味でございましようか。もし御判断がついておりましたらこの際お答えをいただきたいと思うのです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 アメリカの法律の背後における意図につきましては、私としては御答弁の限りでないのでありますが、事実法律的にはそうなつておりますし、また実際上日本に貸すのが初めてでなくて、よその国に前もつて貸しております。それはいずれも日本よりもまたさらに厳重でありまして、五年を限つて貸しております。そして常に必要な場合には引揚げるということになつております。従つて貸す条件としては、アメリカ側としてはそういう条項を入れなければ貸せないかつこうに国内的にはなつておりますので、借りたいと思えばこれを承認するよりしかたがない、こういうことになつております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 アメリカの国内法がそうなつているからそういうことだという御説明でございますならば、下田条約局長から十分御説明をいただいているわけです。ですから私はもう一歩つつ込んで、日本の防衛計画を立てます場合、アメリカのそういう軍事的な方針、政治的な意図というものを私は承知しておく必要があろうと思うのですが、いやしくも大臣であります以上は、法律の解釈だけで、これでやむを得ないということでなくて、法律の根底になつております政治情勢なり他国の方針というものを分析し、了解しておかなければ、その国とのいろいろの交渉なり、その関連においての日本独自の方針は立つまいと思うのですが、どういうものでありましようか。ほかの国のことはよろしゆうございます。アメリカのことを聞いているわけでありますが、いかがでありますか。わかりませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ほかの国でもそういう条件で満足して借りているのでありますから、日本側もその条件で借りたいと思います。拝啓というようなことについては申し上げる限りでありませんが、この協定をつくるにあたりましての話合いでは、協定上はこういうことを書かなければならないが、実際上期限内にアメリカの船を引揚げるということは、これは考えられないというふうに先方でも説明しておりますし、また実際上どこの国にもまだ船を引揚げたという例は聞いておりませんので、五年間は当然借り受け得るし、またその後もさらに希望によつて借り受け得る、こう信じているのであります。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 それからちよつと思いつきましたから大臣にこの際お尋ねしておきますが、土曜日にこの委員会に配付になりました阿波丸に対する請求権の処理に関する日米間の協定は、承認を求められるつもりでお出しになつたのですか、あるいは報告だけでお出しになつたのですか。その点本協定を審議するのに関連を持つておりますからお尋ねしておきます。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は日本政府側から阿波丸の関係書類を提出したとは考えられないので、どなたかの要求によつて配付したのじやないかと思います。従つて承認を求めるとかなんとかという問題では全然ありません。あの当時の決議をごらんになるとわかりますように、決議をして、その決議に従つて政府としては適当な措置をとれ、とつたら国会に報告せよということで、阿波丸に関する協定をつくつて国会に報告して、それであの問題は週末を見ております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 その問題はなお私どもちよつと疑問を持つておりますからお尋ねいたしたいと思いますが、議事進行のため、きようはその問題には触れないので次の機会にいたしたいと思います。  そこで続いてお尋ねいたしますが、増原次長にお尋ねいたします。私が最初に大臣にお尋ねいたしました、アメリカ側は五箇年を区切つての艦艇の貸与の方針を決定しているということについて、大臣は、各国もその通りにやつているから、おれたちもそんなことには頭を使わないでそのまま受取つておるということですが、おそらく各国は、その背後の政治的意図についてはそれぞれの判断をして、それに即応してこういう協定を結びながら、同時にその国独自の防衛計画を立てておると思うのです。事業に例をとれば、いつ引揚げられるか、長くて五箇年か、ぎりぎりに行つて十箇年かの金を使つて、不安定な状況のもとに、国家の基本の大事業をしようという場合には、そういう場合があつてもこの独自の方針に支障を来さないようにするという確固たる判断の上に立ち、方針を立ててやつていると思うのです。そこで当然そうあるべきでございますからお尋ねいたしますが、一昨日のアメリカの三軍記念日におけるレセプシヨンで、お答えになつたり、向うがしやべつたりしたことについてのお尋ねは、一応あのままにしておきますが、あなたのあいさつの中に、現在の状態は満足すべきものではない――これも新聞が建つているといえば違つているということ以外にございませんが、そうでたらめを書くはずはないと思うのです。その成果に対してわれわれは必ずしも満足するものではなく、今後も努力したい、協力を願うという趣旨で、満足ということは言つてない。不満足というのは、あなたの今まで努力して来られました陸海空の防衛計画が不満足なものだという判断なのか、不満足だと言う以上は、現在の多くの状態に対しまして満足であるかどうかというスタンダード・基準目標があるわけでございますが、それが想定されるのは論理上当然なことでございますから、日本独自の安定した、そして満足だと思われる防御計画とは一体どういうものを言つておられるのですか。その期間、その内容等についてみなが尋ねたがるのは当然なことだと私は思うのです。この場合にもあなた自身が不満足なものだと言う以上は、さつき言つたような大きな太平洋艦隊をつくるというようなことをお考えにならないにしても、今一本の立つておる国際情勢なり、環境から見て、遠い五箇年後のことは別といたしますが、少くとも今年度、今現在の国際情勢に対して、現在持つておる装備なり兵力をもつてしては不満足だということを言われる以上は、現在の日本を取巻く情勢をどう判断されて、それに当てはまる満足の標準を出してみれば、およそどんなものでございましようか。私は五箇年後のことはお尋ねいたしません。現在のことをお尋ねするのでありますが、どういう内容が満足するものでございましようか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 御質問の要点、趣旨にはお答えできると思いますが、新聞を引用されておる箇所にはお答えすることができません。新聞の記事は私に関することには全然私は責任を持ちません。しかし御質問の御趣旨のことは、新聞を離れている内容もありますのでお答えいたします。  現在の情勢において、どういう状態が日本の自衛あるいは防衛の状態として適当なものであるか、これは非常にむずかしい問題でありまして、ここでその状態を陸海空にわたつて申し上げることは困難であります。そうして現在まで政府のとつて参りました状態は、いわゆる自衛力の漸増という形で参つたものであります。最初七万五千の警察予備隊を保安隊に切りかえ、その際に十一万に増員をし、本年また二万の制服と八千五百の平服を増員して陸上自衛隊という名前でこれをやつて行く。海は当初ごく少数のもので、大体掃海艇をもつて始まり、PFとLSSLを借り受けて、これでもつて今の勢力ができております。予算で認められました九十数百トン、これは千六百トン級二隻、干トン級三隻を中心としたものを本年度末までには完成したいと思つて、今準備を急いでおります。二十九年度予算で認められましたものは三百トンの駆潜艇八隻を中心としたもので、これもできますれば年度内は困難たと思います。多少の予算外国庫負担を見ておるのであります。来年度にまたがるであろうと思いますが、そういうもので海上自衛隊の自衛力を強化しようというのが現在の計画であります。空は本年始まつたばかりでありまして、法律が承認されましたならば、ただちに航空自衛隊の編成にかかります。これは二十八年度までの予算で認められましたものが、T三四級の練習機とヘリコプター数機、全部入りますと本数機でありますが、そういうものを現在持つております。本年度米国から百四十三機の航空機が貸与もしくは供与されることを期待いたしておりまして、これによつて航空関係は大体訓練のための組織を整えて行くということにしたいと思つておるのであります。こうした政府の自衛力あるいは防衛力の漸増方針に沿つて、現在の保安隊、警備隊、将来の自衛隊の整備拡充をいたして参るわけであります。午前の御質問にもお答えいたしましたが、長期防衛計画というものはぜひ立てなければならぬものと考えますが、いろいろな事情でこれをつくることが非常に困難でありますので、鋭意勉強いたしておりますが、まだ長期防衛計画というものをつくることができません。彼此考え合せまして、現在どういう状態がいわゆる満足の状態であるかというふうなことについては、まだ申し上げることは困難であります。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 現在、遠い将来の最終的の計画というものはまだできておらぬということそれがほんとうであるか、うそであるか知りませんが、一応お言葉通りに了承いたしたといたしましても、少くともこういうような憲法のわくと、経済上のわくのあります中で無理をしてやつておるわけであります。そうなりますと、ただ独立国でありますならば、漠然と天から何か降つて来るかもしれないから何か自衛力がなくちやいけない、その目標は、世界各国の持つておる戦闘力に比較して、これならば大体よかろうという判断をする余裕は、実は日本には今のところ法律的にも経済的にもないと思います。ですからそういう一般的な抽象的な自衛力強化ということもあなた方のお考えの中にはあるかもしれませんが、同時に、一番大事なことは、現在の日本の国際環境における立場から見てなくては不安だというような、つまりそういうものが何か具体的に感ぜられなければならぬ。今日本の経済の独立または自衛安全を保ちますためにどういう危険が起きている、それをどうしても防がなければならない。たとえば朝鮮その他から密航が多い、あるいはまた密国入が多い、あるいはまた公海における漁業の業務に従いますのに、不法な実力行動がわが漁船に行われて非常に困難をしている、あるいはまた各国が、どこどこの国が日本に対して武力的な圧力を加えようとの意図をもつて軍隊を増強し、または対日作戦の配置をしつつある、そういうことが具体的にわれわれの考えの中になければならぬと思うのです。いやしくも兵力を増加しようという建前に立てば。それで初めてこの説明書の中にもありますような陸海空の三軍均衡のとれた武力強化、こういう問題が出て来る。一体何を基準にして均衡のとれたということになるかといえば、今申しましたように、見たかつこうがいいということではなくして、日本に対します今の国際的な危険、または日本の安全と秩序を保つために、それが脅かされる危険がある――一体当面長官がごらんになつて、そういう意味においてどういうことが今日本の安全、自衛または秩序を保つために一番心配になり、一番困難を感じ、危険を感じられておるか、その点をもう少し具体的にお教えいただくわけに行かぬか、この際御開陳をお願いしたいと思います。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 御承知のように、現在の形のものができました最初は、警察予備隊ということでありました。保安隊になりましても、保安隊、警備隊とも国内の治安を維持するという建前であつたわけであります。そうしてその任務の範囲において陸の十一万、海のPE、LSSL、掃海艇等の状態はどうであるかという御質問に対しては、国内の治安維持の観点においては、おおむね現状をもつて目的を達し得るというふうに、木村長官からお答をしておる通りであります。今度防衛庁法と自衛隊法が通りますと、新たに外部よりの直接侵略あるいは間接侵略等に対して措置をするという任務が加わつて、今までとは違つて、新しい観点において計画を立てる、これが自衛力の増強とか、防備力の増強とかいう意味合いとなつて現われるものと思います。従いまして、こうした見地に立つての研究と成案にこれから大いに努力して行かなければならぬ。現在までにおいてもそういうものに、いわゆる任務外のものとしてもある程度関心を持つておつたということは言えますが、それを任務としてやるという立場にまだ現在まではなかつたのであります。将来の問題として、これは法律が通りますならば、鋭意その意味において間違いのないように努力をしなければならぬ。そうして、しからば現在どういう点に危険があり、脆弱点があるか、これは結局において、日本の防衛とか、自衛とかいうものは、皆さんの御議論の中にも出て参りますように、現在の国際情勢下においては集団安全保障といいますか、そういう共同防衛という形で行くべきものであると考えます。そうしたいわゆる全体的な考慮の中において、日本の防衛のために合理的に分担し得る限度を考え、そうしてまたその実現の程度を、財政力その他国民感情、国民の熱意、いろいろなものとにらみ合せまして、現実に拡充をして行くほかないのであります。今どこどれだけの兵力がたんたんと侵略をねらつているからといつたふうに、ただちに対応するものとしての考えを述べることは非常に困難であると考えます。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 あなたも御記憶だと思いますが、終戦前のことですが、一九三六年危機説ということが唱えられました。政界の朝野を問わず、こういうことが盛んに唱えられて、そうして日本の兵力増強、大陸進出の政策をジヤステイフアイするために使われたのであります。その当時におきましてもそうであつた。当時、軍の問題あるいは統帥権あるいは外交権というものが、天皇の大権として帷幄の中にあつた場合におきましても、国民を納得せしめるだけの危機の説明をいたしました。ところが今日、これだけ経済的な負担を国民に負わせながら、しかも対外的には、われわれに言わせれば非常に殖民地軍的な性格のものをつくつて危険を冒しながら、そういうことに対する国民の疑惑を払拭することなしに、ただ漠然と、独立国であるから自衛力が必要である、そうして、現在ではとうてい足りない、集団的な安全保障体制というものが第二次戦争後の一つの潮流であるとか、そういうような抽象的な、御念的な説明では、具体的な内容を持つて、具体的な額において徴税されている国民に対しては説明不十分なので、かつては一九三六年の危機説が唱えられ、あるいはまた慮溝橋事件その他の説明が行われまして、そして、かくのごとくして日本の立つている安全、秩序が侵されつつある危険がある、だからこれだけのことをしなければならぬといつた説明があつた。ところが今日は、寡聞にしてそういうことはあまり当局から聞いていないのです。そこで私は、率直にあなたの良心と叡知にお尋ねするわけでございます。一体日本の現在の危機はどういうところにあるのか、日本の秩序と安全を保つためにどういう点に力を注がなければならぬのか、その危機の実体というものがなければ、防御力なんというものはつくる必要がないわけである。防衛力をつくる以上は、国内、国際的に何かのそういう危機――侵略とまでは行かぬにしても、そういう危機があるはずであります。その危機は一体どういうものでございますか、身近に強く感じておられる危機はどういうものであるのか、あなたは私の先ほどの質問に対して、集団安全保障の体制へ持つて行くつもりだという。私はそういう方法論を聞いているのではない。そういう方法その他は――独自の軍隊を強化して行くとか、その方法等は後の問題である。それ以前に、こういう防衛力なり集団的軍事同盟的なものをジヤステイフアイする基礎として、危機の実体が国民に説明されなければならぬと思います。そういう意味で、人の危機に対する危機感が、あなた方から見れば微弱だというふうにお考えになるかもしれぬが、私どもは、何も事を好んで、実際は危機があると思うのに、これを隠して、危機がないというふうに言つているわけではございません。ですから、政府の立場に立つて、政府の政治論理に立つて、危機の実体というものをどういうふうにつかんでおられるのか。だからこれだけの兵力が必要なのだ、だからこれだけの兵力では不満足な状態にあるという結論が出て来ると思うのです。その結論を聞かしていただけますならば、話が進むと思うのです。ただ抽象的なことではどうも納得が行かぬので、お尋ねしたいしたいと思いながらつい機会がなかったのです。先ほど言いましたようにあなたの叡知と良心に訴えてお伺いしますから、率直に危機の実体をどういうふうにつかんでおられるか、共産党の間接侵略もその一つと判断されているかもしれませが、いろいろございますので、この際ひとつ解明して国民に説明していただきたいと思います。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 危機の解明ということはたいへん困難であります。私どもが政府より命ぜられ、また政府の一員として行つておりますことは、現在の世界の情勢を大観して、そして独立国としての姿としてあるべき適当な自衛、防衛――非常に漠然としておるようでありますが、これはむしろ穗積委員の聰明と叡知に訴えればわかるような事柄であると私は確信をします。そういうことで自衛、防衛というものは考えるべきものである。そうしてそれはその必要を感じてもただちにできるものではないので、国力の許す範囲また国民の理解するところに従つて、漸を追うて実現をして行く、少くとも数年の日子を要するものである。現在目前に焦眉の問題がなくとも、世界の大勢を歴史の流れに従つて見て、そうした状態を想定することが常識上当然であろうというふうに考えて、自衛力増強の問題を解決して行くべきものと思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 どうもあなたは誠意をもつてお答えがいただけないので、はなはだ残念でございます。私の問いをもつて私に問いを発せられて、そうして問題を転換されておるのははなはだ遺憾でございますが、これはむしろ私は外務大臣に一般的に日本の国際情勢における危機の分析なり判断というものを伺いたいと思つております。明日吉田総理がお見えになつたら、太平洋防衛同盟がアメリカに行かれたら必ず提案されると思うので、そのときにお尋ねすることにいたしまして、御答弁ははなはだ不満足であり、承服したわけではございませんが、ここでいつまで繰返しましてもいけませんので、岡崎さんなり木村さんなりあるいは吉田さんなりに、またの機会にお尋ねいたしたいと思つておりますから、あなたからもひとつお伝えをいただきたいのであります。  続いてお尋ねしますが、これはせんだつて私が内閣委員会か何かを傍聴いたしましたとき、どなたかからもちよつとあつたというふうに思いますが、およそ軍隊というものがあります以上は、軍の目標というものがなければなりません。たとえばヒトラーが指揮いたしました軍隊の目標というものは、第三ドイツ帝国を建設するという――その内容が間違つておつたおらぬは別として、その隊員並びに国民を沸き立たせ、支持せしめる一つの建設目標というものがございました。ところが今度の日本の軍隊、しかもあれほど新米的な自由党の諸君も指摘されたように、この借りものの船に旗を立てたくらいではどうも実感が伴わぬということすら言つておる。私はそういうささたる感情の問題よりも、もう一歩つつ込んで、そういう建軍の理想というものが自衛隊法にもなかつた。ましてや借りものの軍艦を持つて米まして、何かそこらをのそのそとパトロールをやつて何の役に立つか知らぬが、何かしようという。ではどういう危機があるのかとお尋ねすると、その危機の実体も実は説明していただけない。そういう状態です。そこで翻ってお尋ねするわけですが、たとえばドイツのみならずソ連の軍隊にいたしましても万国の革命をやるための革命軍という理想を与えておる。これからあなたが指揮訓練されようとする日本の部隊の編成期における目標は、一体どこに灘かれるつもりでございますか。ただ平和と安全を維持するという抽象的なことですか。もう少し民族綱領というか、民族方針に即応するような大きな理想というものを掲げて行かれるつもりでございますか、その点を今の問題と関連してお尋ねしておきたいと思うのです。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 ただわが国の平和と秩序を守るのかというふうに言われましたが、私はわが国の平和と独立を守り、安全を保護するということは、たいへん困難にして重大な問題であると思うのであります。われわれがこれからつくって参ろうという自衛隊というものは、革命をやるためのものでは決してございません。わが国の独立と平和と安全を守るというきわめて重な、また困難な目的に奉仕しようというものであります。これは非常に崇高な、また明確なものであると考えます。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 そういうお考でおやりになるということでございますが、あなたにも意識、無意識の間にあるかもしれぬし、今の日本の再軍備を支持いたしております自由党の反動政治家の中に、あるいは財閥の中にもあるかもしらぬが、やはりアメリカの帝国主義的な武力、資本の力を背景にして、とらの威をかりて、そうして同じ帝国主義的な方法でもってもう一度アジアに市場を獲得する、もしくは勢力を拡大するという方向へ行かざるを得ないと私は思います。すなわち民族の建設目標というものを打立て、それとの関連においてこういう防御力の目的というものをはっきりいたしませんと、ただ漠然と自衛と平和というようなことだけでは――その自衛と平和という言葉は、かつて各国で侵略にも使われれば、いろいろに使われたのでございまして、はなはだ抽象的であるとともに、どこにでも使われる。従ってあなたがおつしやるように、真に日本の平和と秩序、それから平和を愛好する国民としての任務を果すためでございますならば、今言いましたような方向に使われぬようなくぎをさしておく必要がある。それにはそういう目的とは違った目的というものを、建軍の理想として持たなければならぬと思うのです。そういうことがあるべきだと思いますが、この点はどういうふうにお考えになっておられますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 今の御趣旨は私は賛成いたしかねます。いわゆる武装力、武力というものは、従来の日本が犯しました欠点といいますか、過誤として批判をされ、また他の国ですぐれた点を認められているものは、いわゆる政治が軍事に優先をするという問題であります。大きく政治家、政治の勢力というものが、正しく国民の行くべき方向について認識を持ち、その施策を行う。その施策を行う一つの手段として、外部からの侵略があった場合に、これを防衛するために武力を持つということであろうと思うのであります。従って武力を持つ目標をきめて行うというととは適当な方法でなく、政治というものが明確な民族理想、国家理想を持って進んで行く、そしてその国の安全、独立を守るために自衛、防衛の責任を武装力に持たせるという形一で行くべきだろうと思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 なおこれらは少しお尋ねしたいと思いますが、あまりそういう一般的な問題だけをやっておりましてもこの審議が進みませんから、少し内容について今日時間の許す限りやつて、足らぬところはあした尋ねさせていただきたいと思いますが、今の問題と関連してこれはひとまず五年ということになっております。五年の途中で引揚げることがあるかもしれません、あるいはないかもしれませんが、一応平均いたしまして五年の後にはアメリカの艦船は引揚げられると見なければなりませんが、そうなりましたあとのあなた方の計画しておる日本の海上部隊の物的基礎は、一体どこにお求めになるつもりでございますか、その点御方針がありましたらお尋ねいたしたい。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 この五年という問題は、先ほど外務大臣からもお話になりましたが一われわれとしは、ことにこのたび借ります大体駆逐艦あるいはそれに似たような種類のものにつきましては、五年でわが方の力をもつて物的にこれに代替するということは、相当困難であろうという見通しをもちまして、あと五年の更改ができるということにぜひしたいと思って、外務省の方方にもお骨折りを願ったのでありますが、これは向うの権限規定が明確でありますので、そういうふうにすることができませんで五年となったのであります。しかしわが方の熱心な主張が、相当に実質的には了解されるところとなりまして、「日本国政府の要請がある場合には、貸与期間の満了の日の六箇月前に、相互間の合意によって定める五年をこえない追加の期間、貸与期間を延長することが適切且つ可能であるかどうかについて協議する」言葉は何というか、まどろっこしいようなものでありますが、向うが、権限規定として五年しかできないところへこういう規定を入れてくれましたことは、向うの心持としては、十分次の五年間について貸すという意思あることを表示してくれたものであります。私どもは、この今度借ります駆逐艦あるいはそれに類するようなものは、大体において次の五年間をぜひ借りたいと思います。これで借りられない場合にどうするかということは、現在はつきりした見通しを申し上げることはできませんが、こういうものが借りられなくなった場合に、適当な措置がとれるための措置をできるだけ講じたいと思いますが、これば何といいましても、相当に経費のいる問題であり、今後の財政の見通しというものが、特に二十九年度、三十年度、あるいは三十一年度と非常に困難な事態でもありますので、これはその間の推移に適切な考慮を払って行くと申し上げるより、はなはだ抽象的で申訳ありませんが、いたし方がないと思います。われわれとしては次の五年間をぜひ借りるように、米国と誓いをいろいろな機会に続けて行くということを期する。その間において大体において時の動きとともに一応の見通しもつき得るのでありまして、どうしても五年後に改訂ができないというような見通しがつきます場合には、何としてもできるだけの範囲内で日本で物的更改を行うという措置を、二年後、三年後にはとって行かなければならないと思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 そういたしますと、短かくて五年、長くて十年、その間に日本で自国建造をしたいというおつもりでありますか、そう解釈してよろしゅうございますね。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 こういうふうに向うから借りましても、財政の許す範囲で自国建造を並行しておるわけであります。財政力が他の民生安定その他の経費支出とにらんで許される範囲においては、自国建造をやりたいと脅えております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 十年間の後、またはそれ以前におきまして日本の建造能力があなた方の造船計画に追いつかない場合には、そしてまたアメリカからも思うように借りられない場合には、欧州諸国に対して発注するというようなことはお考えになっておりますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 今の御質問が日本の造船能力とか技術その他の点という意味でありますならば、まず心配はないと思います。問題は財政的な問題でありまして、造船能力、技術の点等については、十分日本に能力があるものと判断をしております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 ついでにちょっとお尋ねしておきますが、今度これから受入れられようとしておる船、この船はアジア諸国の持っておる海軍の性能と比べまして遅れたものですか、進んだものになりますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 現在東洋諸国の海軍というものはあまり見るべきものがありません。ソ連の極東海軍はよくわかりませんが、そのほかのものは大したものではありませんで、台湾の国府が借りましたのも、このたびわが方が借りるようなものと同級のものであります。あとは南鮮がPFを数隻持っておるだけでありますから、今度もらうものが特にりっぱだとは言えませんが、大体平均級のものと言えると思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 これは私の方の細迫委員から、東洋各国の海軍力との比較について明細な内容を示してもらいたいというので、その資料をいただけることになっておりますから、その資料を見て説明を伺えば大体わかるだろうと思いますからそのときに譲りたいと思いますが、同時に、東洋諸国との関係でなくて、われわれ伺うところによると、ソ連の潜水艦というものは、その性能、母等におきまして非常に進んでいるように漏れ伺っております。そこで、アメリカが特に日本の海軍に期待するものは、このソ連の極東の潜水艦との対決ということが頭の中にあるだろうと思うのです。そういう意味で駆逐艦その他が考えられているのじゃないかと思います。そこで、性能上これと比較してどういうことでございますか、対決できるものでありますか、どうですか。あるいは、今度借りるこの古船がそんなものに役に立たぬということであるならば、日本の自衛隊の建設としては、ソ連潜水艦との対決を想定しながら、その性能、規模等をお考えになるつもりでございますか、どうでございますか、お尋ねいたします。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 特定国の問題は私どもは御答弁を避けたいと思います。抽象的に潜水艦の現存の大体における水準、最新式のもの、中古のもの、相当古いもの、大きく三段階ぐらいあるようでありますが、最新式のものは相当の水中速力、浮上速力等を持っているようであります。しかしこれに対して、たとえば今度借りようといたします千六百トン型は、速力も最高速力は三十七ノット、付風の艤装というものが、何艦ということがはっきりしませんとはっきり確定をいたしませんが、ある程度のものを持っていると存じます。これは潜水艦に対しては相当程度対処で選るものを持っていると思います〇二十八年度予算で認められ、今これからいよいよつくろうとかかつておりますわが方の千六百トン型、千トン型にいたしましても、大体千六百トン型は三十ノット程度、千トン型は二十四、五ノット程度になろうと思いますが、これもその装備その他とにらみ合いまして、潜水艦に対する措置、防衛、コンヴオイ、その他のことは、相当にでき得るものをぜひつくり上げたいと努力しております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 条約局長にちよつとお尋ねしますが、二十七年の船舶貸与協定で海上警備隊に受入れた場合と、今度の海上自衛隊といいますか、海軍ですが、それに受入れた場合と、使用の目的並びにその性格が違うわけです。前の船舶協定で借りました船は、全部これからは本協定によって借り受けました艦艇と同じ性格、同じ取扱いをすることになるように私理解をいたしました。そうなりますと、前の協定によりますものと本協定との関連といいますか、継続性というようなものをこの協定の体裁といいますか、機構からいいましても、どこかに明記した方が誤解がなくていいのではないか、あるいはまた場合によりますれば、別途の国内法で取扱う。ただ秘密保護については、この協定に伴いますものが、この間衆議院を通りました秘密保護法の条文の中に追加されております。その面で秘密保持に対しては、このMSA船舶貸与協定は全部一括して取扱われるということは理解できますが、全般としてその性格、その使用、さつき言ったように船舶協定で借りたものとこの協定で借りたものとは同じ目的で、同じような編成も一括してやるということですが、その点を明確にするような何か法律上の条文があった方が適当ではないかと思いますが、局長はどういうお考えで今までおっしゃったのか、念のためにお伺いしておきたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 船舶貸借協定を国会で御審議願いましたときにも、使用目的が書いてないじやないかという御質問がありました。当時はむしろ船舶貸借協定の中で使用目的を限定しない方がいいと思うという説が実はあったのでありますが、この船舶貸借協定と今回の艦艇貸与協定との一番大きな差は、第二条の規定にございます。つまり船舶貸借協定当時は日本の自衛力漸増方針も明確にせられず、また特にMSA協定の締結前でございました。ところが今回の艦艇貸与協定はMSA締結後にできましたものでございますから、この第二条におきましてMSAの規定を引用しておるわけでございますから、考えの根本はMSA協定の前文にうたつおります平和条約、安保条約その他に掲げられた根本目的、それと密接な関係があるわけでございまして、要するに今回の協定は、日本の自衛力漸増方針に属する対外的措置として締結されたものでございますから、この二条が最も大きな差でございますが、しかしながら仰せのような両協定の関連性を持たせるという面は、これは受入れる方の日本の国内法で処理すればいいわけでございまして、異なつたときに異なつた環境のもとで締結されました二つの協定を関連づけるために、対外的の拙賢である協定上で処理するという必要は私どもは考えられないのであります。増原次長が申されましたように、自衛隊法という国内法の措置で、二つの協定の日本側の手に入る艦船の処理を独自の見地できめられる方が適当ではないか、そういうように考えます。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 前の船も、この協定が新しくできたあとですから、それに引継いで前の協定と一括してこの協定に繰入れて、十七隻と限らないで、前のものもそういうふうにした方がはつきりして国民にも理解がしいいのじやないかと思います。つまり海軍力全体の構造なり様相がわかりますから、そういうことは国際法上協定の結び方としては私は必ずしも困難じやないと思うのです。そうしてあのときはこういう考え方はなかつたからああいう協定だつたのだ、こう考えがだんだん進んで来て、こういう協定を結ぶというのなら、前のものは消して、これに全部組み入れてしまう。追加十七隻分以外に今までのものも全部ひつくるめて、この協定で一括して権利義務をきめて行く。先ほど言つたように使用目的が同じでございますと、いろいろな補償問題その他返還義務等についてもすべて問題が出て来ると思うのです。ですから一括した方が便利じやないでしようか。国民も前のものと今度のものとは違う、しかも条約の名称すら通うと思うかもしれない。しかし名称が違つても実は前の船舶は、今度は国内においては自衛隊法がかわるわけでありますから、艦艇として使われるわけでございましよう、だから前の船も自衛艦になる、だからそういうふうにした方がいいと思うのですが、どんなものですか、もう一ぺんお尋ねしたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 もつともでございますが、船舶貸借協定の方の船舶の引渡しがまだ完了してないというような時期でございましたら、それを含めてそれにかわるべきものとして協定を締結するという方式も考えられますが、一応六十八隻の船舶の借入れもすでにもう完了しておりますので、一応の協定の目的は達しておるわけでございますので、それをまたひつぱり出していじるということは、必ずしも必要ないのみならず、かえつてめんどうなことになりますので、前の協定は一応あれとして、新たな協定を結ぶという方がけつこうだろうと思うのであります。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 増原次長にお尋ねいたしますが、実は私十七隻を一応想定して、財政上の経費は年間どのくらいに見積つておいたらいいかということをお尋ねをしておいたわけでありますが、二十九年度予算は三箇月で六億一千万という計算が、これは人件費別に出ておるわけであります。これはおそらくは修理費も入つているだろうと思いますが、それもちよつとついでにお答えいただきたいのです。二十九年度内に引渡しが完了するとならば、引渡しが完了した次年度予算、三十年度以後には年間でありますとこの四倍と見てよろしゆうございますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 駆逐艦の方の千六百トン級、この一隻についての年間経営費は、これは推定でありますが、一億八千四百三十三万二千円、それから千二百トンくらいになりますが、ディーゼル・エレクトリック・タンデム型、この方は年間経常費は一億五千三百七十六万五千円、この二つについては一応はつきりしたものが出ておりますが、今年一応平均三箇月運行と見たものを六億一十万と申し上げましたが、これは申し上げましたようなものが予定通り来たとした場合の数であります。それを年間維持費としてはつきりはじき出したものはまだ今ちよつと手元に持つておりません。概算は出して来てお目にかけます。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 これは私おとといでしたか、ちよつと最初にお尋ねしたのですが、外務省の方がお答えができなくて、きようまでに大体この計数をお示しするという約束でありましたが、きようまだそれを示していただいてないのです。先ほど六億一千万という計算が出たものですから、これを受入れた場合国民の税負担はどのくらいに計算しておいたらよいのですかという意味で念のため伺つておいたのですが、それではあしたでもけつこうです。われわれのささやかな軍事知識によりますと、演習のはげしさの程度で費用は違うし、また修繕費も違うと思いますし、同じトン数の船であつても、同じ隻数の船であつても、年次によつてその費用は違つて来ると思いますが、二十九年度で大体引渡しが完了したと仮定して、三十年度以後における情勢と訓練の計画等を大体勘案されて、それで一応計算を出していただきたい。すなわち昭和三十年度以後の国民負担は一体どのくらいに計算したらいいか、そういう意味でお尋ねしたいのです。これにはぜひ修理費も加えていただきたい。単なる運行費だけでなくて、修理費も入れておいていただきたいと思うのです。  それから委員長にちよつとお諮りいたしますが、私まだ各条文の内容についてお尋ねしたいことが二、三ございますが、実は五時半から私どうしても責任上出なければならない会合を約束いたしておりましてなんですから、残余の質問はあしたの正十時に私参りますから、それにおまわしいただくようにお願いしたいのです。大臣その他諸公は自分の都合でいろいろされるので私役人ではございませんが、何も私用で映画を見に行つたり何かするわけではございませんので、党務の必要上なのですから、そのくらいは理解していただいてよかろうと思います。そういうふうにおとりはからい願つてよろしゆうございますか。

上塚司自由党

○上塚委員長 一応これで質問を終了しまして、明日午前十時から開いて、残りの少しばかりの質問があるようですから、それを続けまして、そうして明日の午前中に討論採決をいたしたいと思います。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私先ほどの関連質問で、もつとゆつくりお話したかつたのでありますが、委員長から関連だから早くやめてくれという話があつて、途中で切つてしまつたのですが、私まだ了解していないのです。私この問題はまことに重大な問題だと思いますので、われわれ与党の者ですから大いに話していただきたいと思うのですが、あなたは大臣がおられたから遠慮していろいろなことをお話なつたのかもわかりませんが、私はほんとうに良心的に、あなたの条約を担当されておる立場から、これはちよつと今の問題を離れて、良心的に考えていただきたいと思うのです。先ほどの答弁には、今予定されておるところの十七隻のものはもとより付属書を追加すればそれでよろしいのだ、それは政府の行政権の中でやれるのだ、さらに進んで十七隻以上の――国会で十七隻を借りることに必要な予算の承認を求めておるから、十七隻は附属書を政府がかつてに追加すればよろしいのだというお考えでしよう。それのみならず、十七隻以上の分について、十八隻以上の分につきましても、もし国会が予算上の了解を与え、承認さえ与えたなれば、幾らでも追加して行つても、決して法理論上、条約上は違法ではないのだというお考えでしよう。私はこの考え方に恐るべき錯覚と申しますか、恐るべきこじつけが、欺瞞が、あるいはことによりますとまことに牽強附会の詭弁が、伏在いたしておることをどうしても見のがすことができないのです。なぜならば国内法にも条約は優先する。いわんや国会において予算に対して国会が承認を与えておったら、条約の承認はいらないのだという考え方を、政府当局が今日もしお持ちになっておるとするならば、これは重大な問題ではないかと私は考える。私はあなたと意見を闘わしておきたいと思うのですが、私はこういうことでほんとうに自分自身の納得が行かなかったら――私はこの条約は当然必要だと思うのですが、そういう基本的な考え方で不幸にしてあなた方と私たちと意見を異にする場合におきましては、私のこの条約に対する態度につきましても私は考え直さなければならぬ、かように考えるのです。これは与党、野党のかけひきだけの問題ではありませんから、あなたの良心に基いて、外国との条約というものと国内法との関係はどうあるべきであるか、あるいは国会の予算との関係はどうあるべきかということを私は承りたいのです。私の考え方を基本的に申し上げますならば、最後に申し上げておきますが、私はこの附属書にあります四隻以上のものを新しく附属書B項に追加する場合においても、原則的にいって国会の承認を求むべきものだと私は考えておる。いわんや今日国会で船を借りたときの必要な経費について、あるいは人件費等についてすでに了承を求めておるところの十七隻以上の十八隻、二十隻といった船につきましては、当然これは新しい協定を結ぶべきものである。私はこういう観点に立っておる。なぜなれば、条約というものと国会における予算というものとは、法律というものとの関係から見て、条約の持つ非常ならウエートの関係からいって、私はかように考える。私はその措置をとられた方がいいのじやないかと君えるわけですが、政策論は抜きにして、あなたのどちらかといえば正しいオーソドックスの考え方を承りたいと思うのです。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 この協定の第一条に「将来日本国政府とアメリカ合衆国政府との合意によりこの協定に添付される表に掲げる艦艇を貸し、及び借り受けるものとする。」と規定してございます。この意味は、日本政府に対しましてアメリカ政府との間でこの追加の艦艇の貸し借りについての合意をする権限をこの協定で授けようというわけでございます。従いをしてその合意なるものは、この協定実施の細目とりきめになるわけでございまして、つまり法律で委任された事項は命令で定められると同じように、この第一条の目的は、個々の船舶を借りる附属書とするという合意は政府に権限をゆだねようという趣旨なのでございます。でございますから、この協定の御承認を得ましたならば、政府はそういう権限をこの協定で授けられたということになりますので、この附属書追加の合意自体は政府限りでやれるという見解でございまして、この点は船舶貸借協定の場合にもまったく同じ関係になっております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 そうすると、あなたのお考えによりますと、きよう外務大臣が答弁いたしました十七隻というようなことなどとは全然無関係であるということでございますね。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 そこで法律論は先ほど申し上げたのですが、実際問題といたしますと、この協定の締結自体が日本側の十七隻の要請ということから起りまして、先方は公法百八十八号という法律をアメリカの国会から承認を受けて、二十五隻のわく内で日本に貸す権限を持っております。ところがその二十五隻のうちの十七隻を日本にくれましたら、大体もう種が尽きると思いますが、その後の艦艇の問題になりますと、これは公法百八十八号ではもうアメリカ自体に権限がないのでありますから、新たに立法を行いまして、大統領にその権限を授けるための米国会の承認を求めることになると思います。そうしますと、どういう種類の艦艇が参りますかわかりませんが、今般の条件とは違う条件を定めることが必要になって参るかもしれません。そうなりますと、たとい日本側の方で予算がかえられるからと申しましても、先方が別の協定を結んでくれと言い出すかもしれません。でございますから十八隻目からの艦艇が、この第一条の手続によって附属書の追加で行われるかどうかということは、アメリカ大統領がどういう権限をアメリカの国会から与えられるかという点にまずかかるわけでございまして、日本側といたしましては、来年度予算においてそういう計画を承認されるかどうかという点にかかるわけでございます。いずれにいたしましても附属書で処理する前には、米国側もその権限が米政府に与えられ、日本の方でも事前に予算としてそれが承認されておるということでなければ、その合意ができないわけでございまして、合意を先にして、もう合意したから予算がないけれど、もひとつその予算をのんでくれというようにはできないものだと思います。当然附属書をつくる前には、アメリカも日本もできるという状態になってからできるわけでございます。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 このたびの艦艇貸与協定というものは二十九年度の日本の防衛計画に基いて、十七隻の貸与方をアメリカに要求しておった、その基盤の上に立って結ばれた協定である、私はかように考えます。その通りでございましよう。なぜならこの提案理由にもそのことがきわめて明確に書いてある。しかりとするならば、このたびの協定というものは、繰返して申しますれば、二十九年度の防衛計画というものと、十七隻という基盤の上に立ってできたものであります。その協定をもつて、理論的には千年度――昭和三十年度も、あるいは三十一年度にも適用し得るのだという考え方には、私はどうしても承服することができないのであります。もししかりとするならば、保安庁と外務省の共同編纂にかかっているこの協定の説明書によりましても、その「締結に至る経緯」の中で「日本が供与を要請した十七隻の艦艇中前記の四隻以外のものについては今後の交渉により貸与が決定した都度附表を追加することになっている。」と書いてある。明らかにこれは十七隻ということに限定されているではありませんか。従つてこの協定というものは十七隻を越えるものではないじやないですか。あなたの御答弁によりますと、十八隻でも十九隻でも法理論上はこの協定によって十分カバーすることができるというお話ですが、いかがですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 この説明書は「一、締結に至る経緯」として、協定の背後にある実際上の経緯を書いたものでありまして、実際上の点はまさにその通りでございます。ところが協定の形は十七隻ということも明記いたしておりません。そこで協定の形としては、先ほど申しましたように、アメリカ政府がその権限を与えられ、日本の方もすでに予算は国会の承認を受けておるという場合には、この協定の附属書の追加ということで処理するという法律的可能性もあるわけでございます。しかしその通りになるかどうかということは、これはそのときになってみないと、ただいまから何とも申し上げられません。つまり協定の形自体と、その背後にある事実関係とはまた別問題であるわけでございます。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 もとよりそれはその背後にある事実関係というものと協定の法文上のものとはおのずから別個のものであります。しかしこの事実の上に立ってこういう協定が結ばれた、しかりとするならばそれは無関係というわけではない。かりにそういう事実の基礎がかわって来たら協定もかわって来るのがあたりまえでしよう。でありますから私は今度の協定というものは、この十七隻の範囲についてはこの協定でまかなおうという政府の意図でもあるし、また事実においてもそういう点につきましては、人件費や経費等について国会の承認を求めておると考えるわけでありますが、それ以上のものになった場合におきましては、私は新協定を結ぶのが、そうしてその新協定について国会の承認を求めるのが、オーソドックスのやり方だと考える。そういうふうにはお考えになりませんか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 先般農産物の購入協定で五千万ドルという数字を出しました。それで五千万ドルを購入してしまえば、もう協定の目的を事実上完了してなくなってしまいまして、明年度また新たに小麦を買うというときには新協定が必要となるわけであります。そういうふうに取引的な条約でございましたら、毎年購入数量をきめるということが適当なのでございますけれども、艦艇の貸与ということにつきましては、先ほど申しましたように、この協定の目的というのはただパイプを通すということだけにすぎないのであります。その背後の事実において十七隻の艦艇の要請ということから発足いたしたのでありますけれども、三十年度になったならばまた協定をつくり直さなければならぬ、また第三の協定と毎年毎年つくりかえるということは、これは同じことでありますから煩瑣にたえない。つまりアメリカ側が異なる条件でなければ貸さないというふうになった場合にはやむを得ませんけれども、協定といたしましては同様の条件で同様のことが起るというポシビリテイがあるならば、その点は門をとじないでおく、そういうことの方が私は賢明ではないかと思います。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私はどうもあなたのおっしゃることがこじつけとしか考えられない。十七隻の基礎の上に立ってこういう条約を結んだ、これは三十隻、五十隻ということがあるかないかわかりませんが、かりにそういうことになって来ると、国会におきますところの経費やその他人件費等に対する承認を判断する場合におきましても、各自の考え方というものは根底からかわって参る、でありますから私はそういう場合においては、今度の条約というものがパイプの条約である、トンネルだ、その中をどんどん流れて来ればいいのだから、流れて来たものを片っぱしから政府が追加して来るから国会の承認を得なくてもいいのだ、たとえば経費や人件費の点において国会が承認さえすれば条約の承認はいらないのだ、こういうことに私はどうしても納得が行かないのです。条約というものをそういうふうに一つの基本的な基礎条約さえ結んでおけば、あとは相当のことを、全部予算さえ承認されたならば、条約の批准に対する国会の承認がいらないのだというような考え方は、恐るべき考え方だと思う。今のあなたの説をかりに百歩譲って承認するとしても、その場合において国会の承認を得るということはそんなやっかいなことでありますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 実はMSAの本協定もまったく同じ関係でございまして、二十九年度の計画といたしましては、陸上については二個師団分相当の援助を受けるということを政府側が説明しておるのでありますが、しからば二十九年度の二個師団分をおいて、三十年度の援助を受ける場合には、また新たな第二のMSA協定を結び直すということも煩にたえないことでございます。そこで艦艇貸与協定につきましても、さしあたり本年度は十七隻ということで発足いたしたのであります。ところが艦艇の方はMSAと違いまして、大きな船、高性能の船となりますと、同じ条件で貸すかどうかわかりません。すべては将来の未決状態でございますから、実際正直のところ来年度は新協定になるかもわかりません。しかし初めから新協定が必要だときめてかかる必要もまたないのでございまして、同じようなものを同じ条件で貸す場合には、この協定が使えるというようにいたしておく方が、むしろ私は便利ではないかと思うのでございます。そこで、それでは何について国会の承認を省略させていただくかというと、同じ条件で今度は個々の船を借りるときに、附属書としてつけるべきものをきめるときの合意――MSA協定で申しますならば、タンクを何台借りるとか、機関銃を何ちょう借りるとかいうその合意は、政府の細目とりきめにおまかせ願いたい。但しそういう細目とりきめは、予算ができて、それが国会で御承認を得た後でなければできません。これは明らかなことであります。艦艇の場合もまったく同じでございまして、ちゃんと認められた予算の範囲内でしかこの附属書というものは追加して行けないわけでございますから、その点、国会の方にお断りなしにやるというわけではないのであります。その点はどうぞ御了承を得たいと思います。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 それでは私はもう少し突き進んで承っておきますが、先ほど増原次長のお話では、三箇月分の運行費が六億一千万円、引取りの費用が二億五千万円、それから人件費何がしということは、すでに予算の面において国会の承認を得たと言う。それではたとえばこの船が演習中衝突をして沈没したときにおいては、だれがその補償をするのでありますか。日本にはそれを補償しなければならない義務があるのでしょう。それは合意によるところの借り貸しだといっても、それを全然日本が補償しなくてもいいということはないでしょう。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 補償の規定もございますが、それはまだ起るか起らないかわからないことでございますから、予算としての御承認は得ておりません。しかし現実に艦艇が沈没して莫大な補償を払うということになりましたら、その補償は、やはり国会で予算として御承認を得た上でなければ、実行できないわけであります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 それはその通りです。そうでしよう。だから船を借りるときに、予算上の承認を得たからいいと言つたところが――今おっしゃるような運行費、石炭をたいたり、大砲を撃つたりする費用だとか、それに乗組員の人件費等はなるほど載っておりますが、しかし早い話が、万一起ることあるべきそういった衝突によるところの沈没等の場合において、日本の負担すべき補償については承認を得ていないのです。しかし船がどんどんふえて参ったときにおきましては、借りておるのだから、万一事故の起ることは当然予測しなければならない。そのときに、アメリカが金をいらないと言うかいると言うかどうか知りませんが、これは明らかに合意によって日本が補償すべきことが協定によって義務づけられているのです。それを政府がかつてに、一方的にこの協定の中の附属書に対する追加をどんどんして、資料はあと、国会に持って行く、しかも協定が予算に対する国会の承認よりもさらに優越しておる、こういう立場にあるならば、国際的にわれわれは義務を負わなければならない、こうなって来るのですから、どうしてもこれは国会の承認を求めることが、先ほど言ったように、当然正道である。この道をとるべきであると私は考えるのです。またそうすることが国会で大問題を起すというようなむずかしい問題ではないのだから、通常な方法でおやりになった方がよくはないかと私は考える。これはすでに協定ができておるのですから、私たちはこれに原則的には賛成いたします。賛成いたしますが、早い話、あなた方がこの問題に参画されて協定をおつくりになる場合におきましても、そういう問題は全然出て来なかつたのですか。私はそういった行き方の方が正しい、国民の納得できる常道だと考えます。その点については一体どういうふうにお考えになりますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これはもう長年法慣習で確立していることでありまして、いかなる条約も細目までは決してきめられないのでございます。あるところで区切りまして、原則的な分を協定自体に盛りまして、昔でございましたら枢密院にかける、新憲法下では、国会に提出いたしまして、御承認を願っておるわけであります。そこで実施上の細目につきましては、これは政府に包括的に権限が委譲されるということであります。先ほどの補償の問題でも、いよいよ補償いたすという場合には細口とりきめができるのでございますが、その細目とりきめは国会にはあらためて提出いたしません。但し予算としての承認は別問題でございますが、予算としての承認を仰ぎましたならば、細目とりきめは政府の権限でやるということでございます。そこでこの協定について国会の御承認を仰いでおきながら、今度個々の船舶を附属書に追加するために、また国会の御承認を得るということは二重の手間でございますし、また実際問題といたしまして、本年度のように、臨時国会も予想されないようなときでありますと、今年の暮れあるいは来年の一月になって国会の御審議が始まるまでは、附属書の追加もできないということになりまして、これは三権分立の建前から行きまして、行政府に対してそこまで狭いわくをはめるということは、政府としての働きができなくなります。いかなる条約もそうでございますが、ある程度までは協定自体に盛りまして、国会の御承認を得て、その実施上の細目は政府にまかせるということになっておりまして、第一条で、今後附属書を追加して、一々の船を固定的に、確定的にきめて行くということだけは政府におまかせ願いたい、そう申しているわけでございます。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は、あなたのおっしゃることは、あなた自身でも矛盾があるのではないかと思いますが、あなたの御意見を承っておりましても、ある程度政府に委任してもらわなければならぬという。委任するならば、事前に十七隻ということが出て来なければならない。あなたは無制限に委任されているようなことを言う。今のお話では、委任されるならば、十七隻以外にはないのでしょう。十七隻についてはすでに国会のそういった経費の面においても承認ができている、予算上の措置ができているから、これは附属書を追加することができると、かりにあなた方が御判断なさっても、それ以上の十八隻、二十隻というものは、あなた方に委任されてはいないでしよう。国会の休会中といえども同じです。そうすれば、この協定というものは、十七隻の範疇を一歩も出るものではない。それ以上やろうとすれば、新しい協定を結ぶ、あるいはこれに何か追加するような場合におきましては当然国会の承認を求めること、かように考えるのが当然だと思う。あなたは、細目とりきめは一々国会の承認を得なくとも、行政府に委任されると言うけれども、この協定は全部細目協定である。軍艦を貸すとか貸さぬということは、細目協定である。それに今度何ばい追加するか。でありますからこの艦艇協定そのものが細目協定でありますから、あなたのおっしゃることは、どうも矛盾していると思う。あなたがほんとうに国会に対して、憲法に対して、あるいは国民に対して忠実であるという立場から行くならば、少くとも十七隻を出るときには新しい協定として、それに対する国会の承認を求める。単に予算の上において国会がその承認さえすれば、協定は国会に承認を要求しなくともいいというようなことを、条約局長が考えるということは恐ろしいことになると思う。その点いかがでしようか、良心的にお答え願いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 この協定が十七隻の合衆国艦艇の貸与に関する協定ということでございましたら、まさに十八隻日からは新協定になるわけでありますが、その点が、先ほど申しました未確定状態のわけで、逆にこれは実際問題として十五隻になるかもわからないわけでありますから隻数をちゃんときめることができなかったわけでございます。そこでもし隻数をきめておらないのでございましたら、同じような船を同じ条件で借りるということは、協定が生きている限りはやはりできるのじやないか、そういうように考えます。もとより御説明といたしまして、十七隻ということから発足してこの協定ができましたと申しているのでございますから、そういうような場合は当然国会に御報告いたす義務があることは当然でございます。十七隻と申しますが、また駆逐艦なり護衛駆逐艦なりアメリカで貸すものができました場合、それはこの協定と同じ条件で貸すと申しておりますから、さきに御承認を得ました協定のもとで貸与を受けることといたしたいと思いますということを、はっきり政府側から御説明して、御了承を仰ぐ必要のあることは当然でございます。しかし協定自体といたしましては隻数を限定いたしておらないのでありますから、法律的にはそうやることが可能である、そういうふうに考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私はもうこれで打切ります。私は今あなたの御説明を承りましたけれども、なおかつ私は、条約というものとそれから国内法との関係から考えても、日本の憲法との関係から考えても、あるいはあなた自身が御指摘になった憲法八十五条の国の財政支出の点から考えましても、こういう国民の利害に重大な関係のある問題は、基本法というか、何かこういった大きな母法というものがあるからといって、あとは行政権の範疇でやってかまわない、しかもそれは法律的には無制限にどこまでも拡大して行って、法律上は五十隻になろうが、百隻になろうがやれるのだという考え方をお持ちになることは、ややともすると、全体主義と申しますか、独裁主義的な考え方に通ずるものがあると思います。もっと謙虚な考え方で、条約というものはやはりオーソドックスの行き方で行って、そして国会の承認を求めるべきだと思う。もとよりあなた自身も御承知のように、この条約の締結権というものは内閣が持っている、しかし事前もしくは事後において国会の承認を経なければならぬということだけはあくまでも貫くべきである、そういうふうな立場に立って考えていただきたいということだけを、私の希望として重ねて強く言っておくにとどめます。御答弁はいりません。

上塚司自由党

○上塚委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十四分散会

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