外務委員会 第43号
- 発言数
- 139 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/04/28
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 この際日比両国の賠償問題等について質疑の通告がありますので、順次これを許します。 なお岡崎外務大臣は参議院本会議に出席の都合がありますので、各党十分間程度において質疑をおまとめ願います。福田篤泰君。
○福田(篤)委員 大臣にお尋ねいたしますが、一昨日の本委員会における御答弁を承りますと、日比賠償交渉が一両日中に再開されるというきわめて楽観的な明るいお話があつたのであります。ところが御承知のようにラウレル・村田会談におきまして、二十七日ラウレル氏はその会談において品上番を読み上げましたが、その中で私どもが驚いたことは、いわゆる四月十五日の予備協定に対する覚書につきまして、フイリピン側は、これは単に交渉の出発点にすぎないということを明確に彼らは言つているのであります。このことは外務大臣がかつてこの覚書は賠償交渉の基本的なとりきめの線であると言つたことと食い違つて来るわけでございまして、こうなりますと、フイリピン側の言つている通り、あるいはこの賠償交渉が一時決裂の状態に入るかもしれないというきわめて重大な時期に入つたわけでございます。御承知の通りこの賠償問題は、今後のアジア諸国における賠償問題と非常な関連もあり、また国民全部が重大な関心を持つていることでもりますので、この際もう一度この四月十五日の覚書に関する政府側の見解並びにラウレル口上書に対する御見解をはつきりと承りたい。
○岡崎国務大臣 ラウレル全権のエイドメモアールに対して、そのあとで共同コミユニケのようなものが発表されました。これは両全権の共同コミユニケで、この中で村田全権はこの一項、二項についてはすでに前述べた通りであるということを言つておりますが、その前に述べてあるというのは、要するに交渉の基礎になるものである。メモランダムはスターティング。ポイントでなくて、交渉の基礎になるものであるということと、それから不明の点があれば本会議で十分解明する用意がある、こういう二点を言つております。それを共同発表の中にも引用しております。先方ではスターティング・ポイント、こちらは交渉の基礎になるという立場をとつております。
○福田(篤)委員 今伺いますと、この共同コミユニケにおいてある一種の幅がある声明をもし両国政府で合意の上で発表されたとするならば、一部伝えられるような賠償交渉の決裂は避け得られるという考えもあると思いますが、これに対して明確な御答弁を得たいと思います。
○岡崎国務大臣 この共同コミヤニケの最後のところには何とありましたか、要するにコモン・グラウンドということが書いてありましたか、要するにまだ十分話し合いの余地があると書いてあります。これは両全権で出したものであります。両方の意見がそうであります。従いまして場合によつてはしばらく会談は延びざるを得ないというような状況もあるかと思いますが、決裂という問題ではなかろうと思つております。まだ現地から先の見通し等については意見を言つて来ておりません。今までの交渉の経過だけは昨晩電報が入りましたけれども、正確なことはわかりませんけれども、要するにこの共同コミユニケに現われたところは、まだ困難であるけれども、コモン・グラウンドによつて将来の解決の方法を発見する余地はある、ということな両全権が確認いたしておりますので、決裂というようなむずかしい字を使う必要はないのじやないかと、ただいまのところは考えております。
○福田(篤)委員 もし決裂という心配がなくして、ただ一時交渉が長引くと旧いう御見解でありますならば、当然わが方の代表団は即時引揚げというようなゼスチュアとしてきわめてまずいことをやらなくて、おそらく任地にそのままおりまして難局の打開に努めると思いますが、この点いかがでございますか。
○岡崎国務大臣 これは筋からいえばその通りだと思いますが、いずれも国内において非常に忙しい仕事を持つている人が多く、目無の副総裁であるとか、商工会議所の会頭であるとかあるいは東大の教授また首席全権もいろいろの仕事を引受けてやつておられますし、あるいは一方旅行は飛行機で一日で行かれることでありますから、場合によつては一時内地に帰国して仕事をいたすというようなこともあり得ることと思います。こういう点は全権各自の都合もありますのでどうなりますか、まだその点については別段言つて来ておりませんが、あるいは今後一時帰国するということもあり得るかもしれません。まだはつきりいたしておりません。
○福田(篤)委員 あるいは帰国をするようになるかもしれないということになりますと、これは見ようによつては一応決裂ということに相なるわけでありまして、これは一昨日の御答弁とともに、日本政府側の賠償に対する交渉につきまして、重大な一つの外交上の見込み違いがあつたと言われてもしかたがないと思います。この点は全権その他乗り込んだときの、あのときの空気並びに政府側の確信は、行けばすぐ調印でもできるというお見通しであつたと思うのでありますけれども、それが兇込みがはずれたわけであります。決裂にしるあるいは長引くにしろ、どういう点でこの間違いを起したのか、この点につきましての原因を政府側としてどうお考えか承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これも私どもにもよくわからないのですが、というのはこれはブイリピン政府の外務大臣が署名をされた文書であります。われわれとしてはフィリピン政府の外務大臣の難名されたものは、当然これは全幅的の信用を置かざるを得ないものであります。それがフイリピンの国内のいろいろな事情で、むずかしくなつたということは事実でありますもけれども、それならなぜ外務大臣が署名までしたかという問題になると思います。われわれとしてはどうも政府の責任者が署名したものを信用しないわけには行かないと考えておる次第であります。
○福田(篤)委員 一部伝えるところによりますと、いわゆる反対側の上院側に対して、わが方の全権からその感情を傷けたような発言があつたということを、向うは理由の一つとして取上げておりますが、これは御承知の通り、ラテン系の国との交渉はあくまで感情をとうとぶ、ある場合には利害を越えてまで感情的に走る国民性もありますので、この点は十分注意をしてやるべきにもかかわらず、一面においてそういうような軽率な言辞があつたとすれば、これは全権団の重大な手落ちだと思いますが、こういう発言があつたのかどうか、これをお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 これは村田全権も申しており、共同発表にもあるように、フイリピンの国民の感情を害するようなこと、いわんや上院議員の感情を害するようなことは、言うべきでもないし、また言つたはずもない、全然そんなことはないと考えております。ただいくらそういうことを言わなくても、言葉じりといいますか、普通のことを言つても、無理にそれを曲げてとられればやむを得ぬことでありますが、日本の全権としては決してそんなことは言つておりません。
○福田(篤)委員 そうすると結論から申しますと、一昨日のあなたの御答弁と迷つて、再開の見込みは今のところ見当がつかない、しかしこれはすぐ引揚けるか引揚げないかはわからないが、とりあえずこの交渉を続けるということになりますが、現在のところの見通しをもう一度はつきり御答弁いただきたい。
○岡崎国務大臣 現在のところは、全権団も最後まで局面の打開に努力するということで、百方努力をいたしております。その成果、結果にまちたい、こう思つていまだに静観いたしておるわけであります。
○福田(篤)委員 静観されるとなりますと、今までの政府の見込みが確かに狂つたということはお認めにならざるを得ないと思いますが、この点はやはり国民も非常な注目をもつてこの交渉を見ておりますので、政府の今までとられた措置並びに見解について、十分納得の行くように、受身でなくむしろ積極的に、先方側の主張なりあるいは言い分だけがどんどん先に出てしまつて、いつも日本側が何か手遅れで、言い訳をしておるような立場にあるという非難が今までありますので、この際日本側ははつきり今までの交渉を発表するなり、あるいは今後の見通しについて、はつきり納得の行く、筋道立つた積極的な言明が必要であると思いますが、賠償に対して何らかの言明なり説明をする用意がありますかどうか、この点を御答弁願います。
○岡崎国務大臣 全権団とは何分電報で往復しておるだけでありますから、もう少し時間を経ないと、正確にしてかつ適切なる発表をすることも困難だと思いますが、いずれは事態をはつきりいたす必要があろうかと思つております。ただこれにつきましても、その結果ができるだけ両国の親善に資するように、いたずらにおのれをいさぎよくして、相手方を傷つけるようなことのないように、十分注意をいたしたいと思つております。
○福田(篤)委員 願わくは、政府といたしましても、あまり軽率な楽観的な判断を下して先走るごとなく、あくまでこの問題はほかの国とも関連があり、しかも相手国は、あくまで国民性が独特な立場に置かれておることをよく勘案されまして、もつと慎重に、そしてあまり楽観的な期待を先走つて国民に与えないように、十分の御留意をお願いいたします。 時間がありませんので、もう一点伺いますが、それは今ジユネーヴの会議で重要な課題として取上げられておる仏領インドシナの問題であります。先般ニクソン副大統領も、場合によつてはアメリカ兵の出兵も考えねば、というようなことを言いまして、大きな問題になつておりますが、これは事態の発展によりましては、第二の朝鮮問題となる可能性が十分にあります。ジユネーヴ会談にはむしろオブザーヴアーとして日本側も出席する必要が刈るというふうにわれわれ考えておりますが、不幸にして実現を見なかつた。これは決して遠い、また縁のない問題ではなく、きわめて直接日本に響く重大問題でありますが、この仏領インドシナの戦況について、日本政府としてどういう先の見通しを持つておられるか、またこれに対する中ソの提案も近く行われるようでなりますが、これについて日本側も重大な関係がありますので、日本政府の持つておる情報並びに見通しについて、明確に御答弁願いたい。
○岡崎国務大臣 仏領インドシナの戦況は、決して楽観を許すべき状況ではないと思つております。ただ雨季に入りましたので、これは中国側の援助が刈るかないかは別としまして、非常に物量をもつて攻撃して、そのあとで攻勢に出て来るというようなやり方をホー・チミン軍がやつておるようであります。それにはデイエンビエンフーの近所にはそんな兵器をつくる場所はないわけでありますから、いずれどこか遠くからでも持つて来なければならない。それには補給路等の関係上、雨季になりますと非常に困難ではないかと思つております。従つて今後の戦況につきましては、防ぐ方にも困難がありますが、あるいは雨季というものが戦闘を静かにさせるような作用をするかもしれないと思つております。いずれにしましてもジユネーブ会議を前にしての非常に大規模な攻撃でありますから、楽観は決して許さぬと思います。これにつきまして日本ももちろん至大の関係はあるわけであります。何分場所が場所でありますから的確な情報も十分に入つておりませんが、しかし最近は、幸いにして公使もあの地方に出しておりますし、また公使の代理を三国に対して、ことにカンボジアに対して出しておりますので、今後ともできるだけ実際の情報入手に努めたいと思つております。これに対するアメリカその他の出方というものは、これはジユネーブ会議の模様によりまして、非常に変化する場合があり得ると思つております。まずジュネーヴ会議の状況を十分見るべきだと思いますが、これもアジェンダの関係からいつて、インドシナの問題があとから出て来るということになると大分遅れるので、その辺のところを注意をして見ておりますが、まだ私としては結論を得るところまでは至つておりません。もう一ぺん事情を検討してみます。
○福田(篤)委員 この前外相の御答弁によつて、たといオブザーヴアーが出なくても、各方面からの情報入小について遺憾のにい手を打つのだということで、一応われわれ了承したのでありますが、今のお話によりますと、仏印の戦況の的確な情報すら日本としては受けていないように思います。この点非常に大きな問題でもりますし、重大な一つの新しい決定を辿られておるときでありますから、日本政府として今まで努めて得られた情報について、もう一度その見通しについて一点だけお伺いいたします。
○岡崎国務大臣 これは実際情報の入手が非常に函難のようで、イギリス自体としても、新聞に伝えるところでは、最近のいろいろな情勢ついては、いまさらのごとく驚いたといわれておる次第で、なかなか実際の情報の入手は困難であります。しかしおつしやる通り、各国の大公使に対してもできるだけ情報入手に努めさせております。今申し上げることは非常に楽観を許さない状況であるということは、これは確かな事実のようでありますが、同時にこれらに対する補給等についても、今度は非常に大規模なことをやつておりますから、先々のことはわかりませんけれども、もうしばらく情報を持たなければなりますまいが、今のところは非常に困難な状況に対して、フランスがアメリカの援助等によつて、何とかこれを持ちこたえようとして努力をしておるのが実情のように思います。
○上塚委員長 並木芳雄君。
○並木委員 フィリピンの賠償について緊急質問をいたします。私は大臣に一昨日とその前と二回にわたつて質問をいたしました。その都度大臣としては、見通しとしては苦しいながらも何とか打開の道が開かれるであろうということであつたのであります。ことに一昨日の相当追い込まれた状況におきましても、大臣は一両日状況を見てみたい、そうすれば何らか明るい道も開かれるのではないかということで、私どもも一縷の望みをそれにかけておつたのでございます。しかるにきのうからきようにかけまして、結果はまつたく悲観的となつて参つたので、われわれとしては実にこの点遺憾にたえません。大臣は、静観をする、また何とか打開されるであろうと言明されて来た言葉の裏には、確信があつたものと思うのでありますけれども、今日でもなおその確信を捨てておらないかどうか、まずその点を確かめたいのであります。
○岡崎国務大臣 これは相手国のあることでありますから、確信があるとかないとかということは申しがたいのでありますが、われわれとしては、人事の最善を尽すというつもりで、やつておるわけであります。
○並木委員 なぜ私がその点を確かめたかと申しますと、大臣の見通しというものは甘きに過ぎるものではないか、そうしてもし、この間私が質問したところの十五日の予備協定、大野・ガルシア覚書というものが、大臣の言う通り両国政府に対して拘束力を持つものであるならば、こういう状態に至つては、大臣はそれをフイリピンの政府に主張していいのではないか。今日の段階では、なぜ両国政府間でとりきめられたこの予備協定に対して、フイリピン政府は一種の背信行為に出るのか、それに対して抗議を申し込んでもいいのではないかと思うのですけれども、その挙に出られない。そこに何らかフィリピン側でも日本政府に対して疑問を持つておるのではないかというふうに私どもも感ずるわけなのです。大臣は今日の段階に至つたならば、フィリピン政府に対して何らかの抗議をする考えはございませんか。
○岡崎国務大臣 こういうものを交渉いたしてみる場合には、波はたくさんあるのでございまして、結局最終的に解決の道を見出すことが、一番大事である。私はただいまのところ、先ほど福田君にもお答えしましたが、こちらばかりがいさぎよいという態度をとるよりも、問題の解決を促進する方法をとるべきであつて、フイリピン政府がうまく行かない事情があれば、これに同情して、同情の目でよく見て理解に努めるということをいたしたいと考えます。
○並木委員 交渉には波がある、しかし最終的にいい結果を得ればいいのだという大臣のお言葉でありますけれども、しかし昨日村田全権とラウレル全権との会談の結果は、フイリピン側から口上も出ております。それにおいて、ほとんど今後賠償会談の再開は無益のものになるであろう、村田書簡に盛られた点については、フイリピン側としては検討の結果受諾することはできない、こういうふうにきつぱり断つて来ておるのです。この困難を打開して行くについては、何らかそこに日本側としても譲歩をして行かなければならないわけであります。そこで大臣がそうおつしやるならは、今後日本側が提示した条件について、どこかで妥協または譲歩をする余地があるのであるか、それがなくて大臣がそうおつしやつたつて、今日フイリピンだつていたずらにかけひきをしておるとは思われないのであります。ただ向うの立場に同情的でありたいというような大臣のお言葉であるならば、ますます事態は悪化して行くのではないか、そう思いますので、大臣がそれほどおつしやるなら、今後その内容の条件をかえる用意があるかどうか、それをお尋ねしなければならないわけであります。
○岡崎国務大臣 これはたびたび申しました通り、今出しておるのは日本側の提案じやないのであつて、フイリピン側もいろいろかたきを忍んでそこまで来たでありましようが、日本側も非常にかたぎを忍んでそこまで来たので、これは日比両国政府間の共同の案百でありまして、従つてこの案が一度きまつたときに、それからさらに譲歩しろということを日本側にだけしいるのは当を得ておりまません。また日本側としては、あらゆる困難を冒して最大限度の努力をいたして、あるいは最大限度以しかもしれない非常な無理をやつてここまで来たのであつて、これに対して軽々にさらに譲歩といつても実際は困難であります。ただ、たとえば資本財の提供の問題であるとか、あるいは現地の雇い人の問題であるというような問題であるならば、これは総額の範囲内でできるだけの考慮をなすことも可能で刈りましよう。しかしその両方で譲歩してここまで来た結論を、今度これをスタートとしてさらにということは、ちよつとりくつが合わないのじやないか、また日本側としてもこれはなし得る最大限度以上に来ておるものである、こうわれわれは考えおります。
○並木委員 それほど大臣がはつきりおつしやるなら、大臣としてはここで何らかの対策措置を講じなければならないと思います。先ほどの、なお静観をしようという言葉は、われわれとしてはどうしても納得ができないのであります。そこでお尋ねしますが、昨日の共同コミユニケの内容に、なお十分話合いの余地があるやにお聞きしましたけれども、そうすると、ここでかりに会談が決裂いたしましても、それは真の決裂ではなくして、一種の冷却期間である、こういうふうに解釈ができるのですが、大臣はそれをどうおとりになつていますか。一箇月とか二箇月とか、とにかく一種の冷却期間を置いて、会談が再開される望みがあると思つておられるのですか、どうですか。
○岡崎国務大臣 私は日本が最善を尽したものでありますから、たとえば先方から調査団でも来るということになれば、事情はよく了解されるであろうと信じて疑いません。従いまして一時こういう、感情も手伝つたのでありましようが、むずかしくなりましたけれども、またこれ以上のものをとろうというのは実際無理でありますから、先方でも事態を了解するものと信じております。
○並木委員 調査団については、現地の全権団から、先方の申入れを日本の政府に何か伝えて来ておりますか。
○岡崎国務大臣 これは伝えて来ておりますので、日本側からもこういうものは歓迎——初めはそういうものを予想しておつたわけではありません。政府の言明を信じて、協定はできるものと信じておりましたが、こういう事態になりますればやむを得ませんから、こういう調査団は政府としても歓迎するということを申しておりますが、一時これも本交渉の方がこういう状況であるものですから、来るのが延期されたようにも聞いております。まだしかし決定はいたしておらないようであります。
○並木委員 さらにお尋ねしますけれども、フイリピンの口上書の中に、フイリピン全権団は日本側主席全権が新聞に発表した上院と上院議員の威信を傷つけるような発言をなしたことについて、きわめて不満足であることを通告する、そういう強い内容が盛られてあるのであります。私は村田さんともあろう人格者の首席全権が、フイリピンの上院と上院議員の威信を傷つけるような発言をしたとは信じられません。これはどういうものを向うではさしておるのか、これに対して大臣としては一言あつてしかるべきであると思う。そういうことは絶対にないということを言いませんと——こういうことが書いてある、フィリピン全権団は、これらの諸報道が訂正も否定もされなかつたことから見て、現益の首席全権のもとにおける日本全権団とは交渉することはできない。こういうふうに書いてあるのです。これは大臣がこの際はつきりと、先方の言い分は間違つておということを言明される必要があると思いますので、お尋ねをいたします。
○岡崎国務大臣 これは否定も何とかもしないというが、実際やる方法がない、どこが思いのかわからないのであります。従つて訂正も釈明も何もする方法ががないのであります。そういうことは、今までの全権の発言なり、発表なりには全然あり得ないと私は考えております。
○並木委員 全権団から内地に帰りたいという清訓は大臣の手元へ参つておか。
○岡崎国務大臣 全権団からは、場合によつたら一時帰国せざるを得ないかもしれぬという観測は来ておりますが、まだそういう直接の清訓は来ておりません。全権団としては、そういう事情ではあるけれども最後まで現地にとどまつて局面の打開に尽すようにというこちらからの訓令に対しまして、も、もちろんそのつもりで全力を尽しておるということを言つて参りました。
○並木委員 清訓が来ましたら大臣としては許可するつもりでございますか。ただいまのお話ですと今明日中、今週中にも全権団が日本へ帰るというようなことはないようにも聞き取れましたけれども、はたしてそういうことはないのかどうか。もし請訓があつたら許して、あるいは明日にも帰るということがあり得るのかどうか、その点をお尋ねします。
○岡崎国務大臣 これは飛行機があまりたくさんありませんから、すぐ帰るといつてもすぐ飛行機がとれるかどうかわかりません。いずれにしても、金権団の方から意見を申して来れば十分考慮して適当に訓令することにいたします。
○並木委員 それと平行して平和条約の批准でりりますが、その点は大丈夫ですか。
○岡崎国務大臣 私はむしろその点が問題であつてこういうふうに紛糾しておるのだと思います。
○並木委員 それではその点をもう少し詳しく、何ゆえにどんなふうに問題になつているのか。
○岡崎国務大臣 つまり賠償問題は、要するに平和条約批准ということが、条件であると言つてはおかしいのですが、伴つておるわけであります。従つてフイリピン政府としても——これはほんの仮定の問題ですが、かりに賠償協定と平和条約を国会に出して、賠償の方はフイリピンの国会で承認したが、平和条約の方は承認しないというような事態が起りますと、これは非常に日本に対する信義の問題にもなりますので、あわせて両方というつもりで、いろいろ両方ともに働きかけているのではないかと思います。そのために困難がさらに加わつておる、こういうふうに私は思います。
○大橋(忠)委員 関連して一問だけ……。フィリピンのみならず、インドネシアとの賠償交渉の問題がなかなかまとまらない。これは大体向うから日本へやつて来て、いろいろな自動車が走り、表面的に景気のいい状態を見て、日本に支払い能力ありとする間遠つた印象を持つて帰つた、それが原因ではないか。ところが日本の経済的実力というものは、深く掘り下げて考えなくても、将来の見通しは非常な暗いものでありまして、現にどんどん外貨が減つておる、こういうようなときこ大なる賠償なんか払えるものではないりでありまして、今度の四億ドルの支払いのごときも、実際やつてみてはたしてできるものかどうか。さらにインドネシアの問題でも、きようの新聞によると七十五億ドルというような巨大お賠価額の要求をしておる。ビルマも要求する、仏印三国にも払わなけれならぬ、一つの国に払えばみんな払わなければならないということになつて、たいへんな額になる。これを約束して、現在の日本のごとき見通しのつかない弱い経済力で、はたして払えるかどうかということについては、私は非常な器具の念を持つております。払えないものを無理に約束したところで、ちようどドイツのヴエルサイユ条約の際と同様のものでありまして、かえつて将来悪くなる。従つてフイリピンに対しても、もちろん賠償を早く払つて解決することは私もけつこうであると思いますが、あまりにも向うの態度が乱暴な場合は、どこまでも頭を下げて、物ほしそうな顔をして、どんなことがあつても解決するというようなことをやると、ますます私は困難になると思います。従つてこの際、向うがもう帰れと言えば帰つたらよろしい。そうして向うがほんとうに日本の経済的実力を認めて、こちらのタームに同点するような気分になるまで待つよりほかにしかたがないと思うのであります。あまり顔を下げ過ぎて、物ほしそうな顔をすればするほど私は困難になると思います。時節の到来しないときにむやみにあせるということは、かえつて非常な不利になる。私はむしろ、うまく行かないなら行かないであつさり帰つたらよい、こういうふうに思うのでありますが、この点についてどうお考えになりますか。
○岡崎国務大臣 大橋君の今のお話は、私は一部において必ずしも同感ではありませんが、大体において同感であります、ただわれわれは、決して物ほしそうにやつておるわけではなくて、やはりこれは条約上の義務であると思いますから、その義務を忠実に実行しようと考えてやつておるわけであります。しかしおつしやるように、この額というものは日本の経済にとつて相当に大きな負担でありまして、実は先ほど申した通り、ずいぶん無理をしてここまで来たのであります。これは少し無理をし過ぎたくらいにわれわれは思つております。従つて決して功をあせつたり、早くものを解決しようといつて無理なことをいたさうとは考えておりません。ただこの両国間の親善的な関係は長く維持すべきものと思いますから、むやみに頭を下げたり、物ほしそうにしておるわけではありませんけれども、その点から、われわれとしてもでるだけ互譲の態度で円満に進みたい、こう思つておるだけであります。従つて大体御説のような趣旨で行動するつもりであります。
○大橋(忠)委員 もう一つ……。
○上塚委員長 大橋君、順次各党に許しておりますから、その方が終わつてからまたお願いいたします。細迫兼光君。
○細迫委員 外電の伝えるところによりますと、フィリピン政府の与党たるナシヨナリスタ党の有力議員のレクト氏が、日本政府とは言わないが、日本側はフイリピンの議員に対しまして一千五百万ドル買収した。こういう状態であるならば、日本とのあらゆる友好関係を即時断絶すべきであるとという決議案を上院に提出したということを聞くのであります。第一にそういう決議案が提出せられた事実ありやなしや。第二に一千五百万ドル買収というような事実があるかないか。第三になしとするならば、この不名誉なうわさに対して、いかなる名誉回復の手段をとろうと考えておられるか、御答弁を願いたいと思うのであります。
○岡崎国務大臣 そういう決議は情報では伝わつておりましたけれども、結局決議が行われなかつたようであります。この原因は私名前は忘れましたが、非常な小さな新聞のようなものにそれが出ている。これは普通われわれの読む新聞じやないのでありまして、ごく無責任な記事であつたと思いますが、それが元であつて普通の信用ある新聞がこれを掲載したことは一度もありません。もちろんこんなばかげたことであるわけはないのであつて、またこんなことを信用している人は少くともわれわれの承知している政府部内等にはないのであります。まつたく虚構のことでありますが、この点は全権団もあるいはその前に駐在の公権も、再三事実無根なことは発表いたしております。
○細迫委員 先ほどもこの交渉失敗の原因についてお尋ねがございまして、御答弁もございましたが、根本的な失敗の原因についての御認識が私は浅いと思うのでございます。すなわち四億ドルという金額が少きに過ぎるという感じが一番事ここに及んだ原因ではないかと思うのであります。四億ドルと申しますれば大体一千五百億円、これは日本の一年の予算における、われわれが計算するいわゆる軍事費をも下まわる額でございます。四億ドルを上まわる金を軍事費として一年に使いながら、これを二十年払いとしようなんというのはどうもけしからぬ、人をばかにしているという感想がわくのは、これは一面当然ではないかと思うのであります。すなわち私の見るところによれば、日本のこの再軍備方針、これに莫大な予算をつぎ込んでいるということに対する反感と申しましようか、これが一番の根本原因だと私は思うのであります。しかも日本の再軍備は自衛とかなんとか何ぼ口をすくして申しましても、世界的にこれを信用する者はおそらく一人もないと言つてもいいのでありまして、自衛の名のもとにフィリピンが侵略せられたという過去の事実をフィリピン国民は忘れておらない。これはフイリピンのみならず、アジア諸国の一般の感想であろうと私は思うのであります。すなわちアジア諸国は日本の再軍備によつて、その安全を脅威せられた気持にあると思うのであります。こういうところに根本原因があるのじやないかと思う。すなわちこの際大橋さんからも再出発というような御議論がありましたが、私も根本的にこの再軍備ということをやめてしまつて、ほんとうに謙虚な態度でもつて誠実を披瀝して、根本的に再出発しなくちやだめだと思うのでございますが、この失敗の根本原因に対する観測並びに私の申しました意見についての御感想を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 細迫君が機会あるごとに党派的意識を出して議論されることは、ごかつてでありますけれども、それがこういう国際問題についてでありますと、うつかり今のような御議論がフイリピンに行けば、それ見ろ、日本はもつと払えるのに払わぬということになるのであります。大橋君の言われたのはむしろ逆であつて、四億は多いのじやないかという主張なのであります。非常に無理をしてやつているのに、それでも聞かなければ早くさつさと帰つて来いというので、細迫君の御意見と大橋君の御意見とはまるで違うと思うのであります。再軍備々々々と言われますが、これは賠償と関係ありませんから議論いたしません。われわれとしては日本としてやるべきことは、それは道路の改修もあれば水田の開発もあり、また防衛力の増強も必要であつて、国内においてあらゆる仕事、国としてやらなければならぬものはたくさんあります。そのやらなければならぬものをやりながら、いろいろの費用を節約して、できるだけ賠償の問題も解決しようというのであつて、また私が自分でフイリピンに行つて話をいたして自分が経験しているのですが、細道君の言われるように、日本で防衛力を持つからけしからぬ、それをやめて賠償にまわせなんという議論は、だれひとり言つたことはないのであります。こういうときにあまり党派的意識を出さないように私はぜひ希望いたします。
○細迫委員 決して私党派的な意見で申するのはないのでありまして、当然起るフィリピン国民の疑問だろうと思うであります。だがそのことは伏せておきまして、たしか賠償につきましては、一九五二年すなわちおととしの一、二月ごろから、すでに津島氏なんかが使節団として行つたごろから始まつている、あるいはその前から始まつているかもしらぬと思うでありますが、岡崎外務大臣も訪問せられましたし、あるいは永野護氏なども行かれたというように、ここ足かけ三年にわたつてこれは続けられている問題だと思うのでありますが、その間ほとんど政府側からは正式な報告として国会になされたことを聞かないのであります。わずかに外電の伝えるところによつてわれわれは漏れ承つているような始末でございます。こういうことでいわゆる秘密外交の態度を持続しておられるのでございますが、これはインドネシアその他の賠償を要求している諸外国との間の関係の一つの先例をなすもので、きわめて事は重大であります。よつてこの経過について後日でもよろしいが、まとめて国会に御報告してもらいたいことを要求するのでございますが、それをなさる御意思があるかどうかということ、それから大野・ガルシア覚書なども正式にはわれわれ承つていない。外電によつて漏れ聞いておる、部の新聞によつて伺つておるというような始末でございます。さつき申し上げましたように、重大な先例をなすものでありますので、これを正式に御発表になつて、しかも国会に事前承認の手続をとるべきであると私は思うのでございますが、御方針はいかがでございましようが承りたい。なおさつき言いました結果報告において、永野護氏の資格はどんなものであつたか、きわめてあやふやなものじやなかつたか、理解に苦しむ点があるのでございますが、永野構想とか永野私案とかいうことも承ておるのでありまして、全然政府と関係のないものではなかつただろうと私は察するのでございます。 以上、経過報告及び大野・ガルシア覚書発表等について御答弁を願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 経過については今までも御質問があるたびに説明をいたしておりますし、私が東南アジアをまわつたあとでは、こちらで発表を求めて説明をいたしております。今後もこの話が一応どちらかに一段落すれば、また経過を報告いたしたいと思つております。それから大野・ガルシア覚書は、両国政府間の権限に基いてその代表者が現地で発表したもので、これが正式の発表であります。それから事前報告ということでありますが、これは憲法の規定に基きまして、調印と同時に効力を発生する協定でありますならば、事前に国会にかけてその承認を求めて調印をいたします。もし国会の承認を得て効力を発生するものであれば、調印をしてから国会にその案文を提出して承認を求めます。
○穗積委員 関連して。時間がありませんので、この際一問だけ関連して大臣にお尋ねいたしたいと思います。 東南アジア問題は、先ほど言いましたように、日本の再軍備を中心といたします外交政策が、フイリピンのみならず東南アジア地域一帯に大きな悪影響を及ぼしておることは、ぬぐうべくもない事実だと私は思うのですが、そのやさぎに、このフィリピンとの交渉の行き詰まりがございました。続いてインドシナ戦線も非常な重要な段階になりましたときに、アメリカが、話合いのうちに朝鮮なりインドシナ戦線を終結しようとする空気にに反しまして、自由主義国諸国の自衛の名のもとに、この戦局に武力をもつて介入したいという意思がだんだんほの見えて参りましたが、もしアメリカが、名目のいかんにかかわらずインドシナ戦線に武力介入することになりますと、アジアにおきます、平和を害することになり、われわれとしてもその場合において大きな影響をこうむらざるを得ないと思いますので、この際二点について政府の御方針をお尋ねいたしますが、ジユネーヴ会談を前にいたしまして、これだけでなくて、アジア全体として平和的に問題を解決して行きたいという熱意、そしてわが国の経済の実情は、平和的な貿易の行き詰まりにその直立の危険の根本がございますので、そういう点からながめて、アメリカの武力介入に対して反対の意思を表明すべきであるとわれわれは考えますが、その御意思はあるのかないのか、これが一点。 もう一点は、不幸にしてアジアの諸民族の平和への願いに反して、名目のいかんにかかわらずアメリカが介入いたしました場合に、われわれのMSA等を通じて危惧をいたしておりますところは、その戦線に日本の武郡を持つた部隊が派兵せしめられる——派兵という言葉については、政府は派兵はしないと言つておられます、あるいは公務員の出張という言葉が法制局長官から使われましたが、私の言う意味は、公務出張であろうとあるいは自衛行動の範囲内においてであろうと、またアメリカ軍の後方戦線における協力であろうと、名目のいかんを問わず、日本の武器を持つた青年たちがかの地に出動する、これはわれわれとしては絶対に避くべきだと思いますが、そういう危険はないかどうか、そういう事態が起きましたときに、政府は一体アメリカに対してどういう態度をおとりになるつもりであるか、この際明確にしておいていただきたいと思います。その二点をこの際お尋ねしておきたい。
○岡崎国務大臣 まず第一に、日本の防衛力の増強が東南アジアに非常な不満とか危惧を抱かせておる、こうおつしやるのですが、私はそんなことはないということを再三申しておる。まだそういうことをおつしやるなら、その−証拠をひとつ出していただきたい。そうでないといいかげんな言葉になりまして、この委員会でそういういいかげんな言葉を使われることははなはだ迷惑です。 それからアメリカ政府が武力介入をするかどうか、これはわれわれはまず第一に、あそこのホー・チミン政権といいますか、ホー・チミンが武力を放棄すべきである、あそこで武力で乱暴しておるから問題が起るのであつて、まずこの方を退治なければならぬ、こう考えておる。武器を持つた部隊が日本の国土から外へ出るということは、インドシナに限らず、どこにおいてもそういうことはありません。これは政府を信用されなければ別でありますが、信用されるから質問されているのじやないかと思いますが、政府はそんなことは絶対ないということを再三繰返しております。
○上塚委員長 河野密君。
○河野(密)委員 私はきわめて簡単に御質問申し上げます。今議題となつております日比賠償交渉の問題につきまして、先ほど来岡崎外務大臣から種々弁明がございましたが、事実上これは決裂状態になつたもの、こういうふうに了解してよろしいと思うのでありますが、そう考えてよろしいか。 それから、かりにこういう事態に陥つたとすると、その原因は那辺にあるのか。先ほど外務大臣の御答弁によりますと、予備交渉ができ上つて、両国政府の予備協定もでき上つたものをくつがえしたということで、その非はあげてフイリピン側の情勢にあるかのごとき口吻でありましたが、さように考えておられるのか、この二点をまずお尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 第一の点につきましては、先ほどから申しておるように、一時全権が帰国するような事態が起るかもしれません。しかし全権としては最後まで現地にとどまつて局面打開に努力しておるのでありまして、まだそういうことを言うのは早いのでありますが、そういう場合は、新聞等に伝えておりますが、冷却期間を置くという意味で、しばらく交渉を先へ延ばすということのようでありまして、これはフイリピン政府側でもそう考えておるようでありますから、かりにそういう事態になりましても、これは決裂ということではないと私は考えております。要するに、冷却期間という問題が起るかか起らないかということに相なろうかと思つております。 この原因につきましては、こまかく申せば今非常にちよつとした、何か原因のわからないよりな村田全権の何かにおける発表が、非常に上院を侮辱したというように言われておるくらいで、いろいろ気持ちがいらだつておるようなときでありますから、私がまたここであまりいろいろのことを申すと、かえつてせつかく話合いがつくべきものもつかないようなむずかしいことになろうかもしれないと思いまして、この際はしばらくこの点は詳しく申し上げることを差控えたいと思うのでありますが、要するにもう共同コミユニケというものが、たしか十五日でしたか十六日かに発表されました。あれをごらんになれば、フイリピンの外務大臣が政府を代表し、日本の公使が日本の政府を代表して調印をいたした覚書があります。これに基いて賠償を解決するということで、そして日本の全権を先方に送ることについても、全権の人選についても先方の了解を得て送つたものでありまして、通常の国際観念から申せば、これで賠償の協定ができなければかえつてふしぎなくらいなのであります。それがこういう事態になつておるということは、はなはだ悲しむべきごとでありますが、その程度でひとつこの際は御了承を願いたいと思つております。 〔並木委員「議事進行」に呼ぶ〕
○河野(密)委員 岡崎外務大臣の御配慮の点は、われわれ重々わからないわけではございませんから、その点を十分考えながら御質問を申し上げたいと思いますが、私の質問いたしますのは、国際交渉の常道からいつても外交交渉の普通の常識からいつてもあり得べからざることが起る。これに対して日本政府は何事をも言えないのだというならば、これは日本政府に何らかの弱みがあるのであるか、あるいは日本政府として、この問題についての理解が足りないのか、何かでなければならないと思うのです。国際交渉、外交交渉の常識によらないことが現に行われておるのに対して、日本の外務大臣はこれに対して、きわめて遠慮したところの意見しか発表することができないということ自体が、われわれとしては非常に理解に苦しむのであります。もちろん、私はここで明言いたしておきますが、私たちはフイリピンとの国交が調整され、賠償交渉が成立することを心から希望いたしております。金額の点については、私はもちろん四億ドルが適当であるとか、あるいはどうだとかいうことはこの際申し上げませんが、少くとも適当な額において賠償交渉が成立するということについては、私たちは希望をいたしておるのであります。しかるにそれが、普通の外交交渉の常識では判断できない筋道においてこれが決裂状態、というのが悪ければ少くとも行き詰まり状態になつた。日本政府はこれに対して、何らの形においても手を打つことができないというそのこと自身が、われわれとしては納得が行かない。その間の政府の考え方を私たちに承りたい。これが私の質問の趣旨なのでございます。重ねてお伺いいたします。
○岡崎国務大臣 私は先ほど申したような事情で、通例ならば当然この協定に調印されるべきものである。その後上院で批准ができるかどうか、これはまた別問題であります、これは日本においても、国会で批准を得るかどうか、これは別問題でありますが、少くとも政府間においては協定ができ上るべきが筋道である、こう思つております。これは何人も同感の点だろうと思うのであります。そうすると、つまりそれができないのは、その非はいずこにありやという問題になりまして、それは一目瞭然だと思うのでありますが、そういうことをあまり今取立てて強く言うことは、まだ全権も現地でいろいろ努力している際でありまして、私どもはフイリピンとの間には長く友好関係を続けたいという気持でおりますから、以上の事態で御了承を願いたいと思つておるのであります。
○河野(密)委員 その点についてはそれ以上の追究はしばらく差控えておきますが、われわれの耳に入るところによりますと、今度の交渉の出発点において、政府側において非常な誤解があつたのではないか、誤解でないとすれは、少くとも認識の誤りがあつたのではないか、こういうことが伝えられておるのであります。それは、フィリピンの国内情勢というものに対する判断を誤つておるのではないか。これはまず日本の全権団の人選にも現われておるし、それからフイリピンの国内の各党派閥の情勢というものの判断も誤つておるし、第一にアメリカ側における情報をあまりに入れ過ぎて、アメリカの情報に従つて、賠償が成立し得るものなりという甘い認識に立つたということが誤算であろう、こういうこともいわれておるのであります。現に岡崎外務大臣は、本年初頭においてこのフイリピン、東南アジア諸国をおまわりになつて、その国内情勢を千分判断せられて来たはず下、あると思うのでありますが、それにもかかわらず外交交渉の常道にあらざる障害によつて、この交渉が停頓状態になつたといたしますならば、これは岡崎外務大臣の、フイリピンの国内情勢の判断に対する大いなる誤りが原因となつたものであつて、私は岡崎外務大臣の責任はきわめて重大であると考えるのでありますが、大臣の所見を承りたいのであります。
○岡崎国務大臣 この問題のむずかしい点は、たとえばフイリピン側が十億ドルを主張しておるとか、あるいは上院側で非常に強い態度があるとか、これは何も今始まつたことじやないのでして、もう何年も前からこういう状況であつたわけであります。しかるに幸いにして与党が国会に多数を得て、というのはこの前のキリノ大統領のときはナシヨナリスタ、つまり反対党が上院の多数を占めておりました。今度はナシヨナリスタの議員が多数を——これはデモクラットと一緒になつてでありますけれども、多数を占めている、その安定した政権ができておるのであります。そしてそのナシヨナリスタの人々に反対が多かつた。これは前からそうでございます。従つてそういう事情はわれわれも承知しております。フイリピン政府も十分承知しておるわけであります。しかるにそういう事情にもかかわらずこういう協定ができたというのは、これはつまりそういう困難は切り抜け得るというフイリピン政府の見込みによつて、こういうものに調印された。従いまして思い違いがありとすれば、われわれとしてはフィリピン政府を信用する以外に方法はないのであつて、むしろフイリピン政府側に考え違いがあつたか、あるいは誤解があつたかとも思われるのであります。われわれ別に責任を回避するつもりじやないのですが、しかしそういう点について今あまりこまかく、どこに責任があるとか、どこに問題があるとかいうことを議論することは、今申した通り、まだいろいろ努力して両国代表がやつているときでありますから、もうしばらくこの程度でお害えを差控えたいと思つているわけであります。
○河野(密)委員 私は、日本の国内政情の不安ということも相当に百反映しておりましようし、吉田内閣そのものが日本において不信任案を出されるというような事情も反映しておりましようし、先ほど細迫君が言われましたような、日本の再軍備ということも相当に向うの民心を刺戟しておるのではないかと思うのであります。しかし、これらの点は見解の相違であると言われれはそれまででありますから、しいて御答弁は求めませんが、そういう点が相当に影響しておると考えておるのであります。先ほど大橋委員は、これから出直せと言われましたが、私は、現内閣のもとにおいて何べん出直しても、これが打開されるかどうかということについては、非常な疑問を持つのであります。それはしばらく別といたしまして、この問題によりまして、東南アジア全般に対する賠償交渉は、非常にむずかしいということが如実に現われて参つたと思うのであります。そこで東南アジア方面における国交の調整と、賠償交渉の前途に対しまして、、どういうお見通しを持つておられるか、またそれに対して政府はいかなる手をこれから次々に打つて行かれようとするのか、その計画があるのかないのか、これを承つて、きわめて簡単でありますが、時間に制限がありますから私の質問を終ります。
○岡崎国務大臣 東南アジア全般にわたつて交渉がむずかしくなつたかどうか、これは今後の問題でありますからわかりませんが、とにかくフイリピンが解決すれば非常によいことになる、これは事実でありましよう。われわれとしましては、とにかく条約上の義務でありますから——先ほど大橋君からは非常に弱腰だといつてしかられましたが、しかし条約上の義務として、今後とも、あらゆる機会をつかんでこの義務を正確に履行しようというつもりで努力をする覚悟であります。
○上塚委員長 これにて外務大臣に対する緊急質問は終了いたしました。
○上塚委員長 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件、日本国における合衆国軍隊及び国際連合の軍隊の共同の作為又は不作為から生ずる請求権に関する議定書の締結について承認を求めるの件を一括議題といたします。 両件につきましてはすでに質疑を終了いたしておりますので、ただちに討論に入ります。討論の通告がありますので順次これを許します。穗積七郎君。
○穗積委員 私は日本社会党を代表いたしまして、この協定に反対の趣旨を簡潔に表明いたしたいと存じます。 今度の国連軍との協定の内容を検討いたしますと、まず第一に、これに雇用されております日本の労務者の雇用契約が、征来と異なりまして間接雇用になつてその結果、従来よりは一歩前進いたしまして合理的になり、客観的にもやや公平な待遇になる可能性を生じて参りましたことについては、現状よりは一歩前進としてわれわれはこれに対して十分その価値を認めるものでございます。しかし私どもといたしましては、実は国連軍が日本に駐屯すること自体に対しまして、賛意を表するわけには参りません。これは昨年の刑事裁判権の協定の問題につきましても、所信を明らかにいたしましたので繰返しませんが、朝鮮戦争に名をかりまして、日本に国連軍が駐屯する、しかもその後この戦局は、両者の間におきます話合いによりまして、休戦交渉並びに政治会談が進みつつあるのでありまして、われわれとしてはあくまでこの平和的な話合いの妥結を希望し、しかも日本は、軍事的な行動をより早く——必要のないものはどんどん手を引くことが先決条件であるとすら考えておるのでありまして、そのやさきにあたつて、その地位を国際法上合法化し、しかも場合によりますならば、これを恒久的に承認するかのごとき法的な措置をとりますことは、日本の平和と独立のために、決して益するものではないという考え方を持つております。従つて、そういう観点からいたしまして、本協定には反対をせざるを得ない。 さらに続いて申しますならば、国連軍が日本に駐屯いたしますそのことについて、その基本的な国際法上の根拠はどこかというならば、吉田・アチソンの覚書による、こういうようなことでございまして、これはわれわれをして言わしめますならば、その駐屯そのものを認めるか認めないか、そういうこと自身国会に承認を当然求むべき重要な問題であると思うのにかかわらず、そうではなく、今度の協定は、ただ国連軍の地位、取扱いについての細目の協定にいたしまして、根本の問題については、実はわれわれにその意思を問う措置をとつていない、こういうことは、手続上から見ましてもまさしく国会を軽視するものでありまして、これは国民の意思によつて了承されているものではないという手続上の瑕疵をすら指摘をしておかなければならない。 さらにもう一つ重要な点は、国連軍に対しまして、遂に……。
○上塚委員長 穗積君、討論の半ばですが、ちよつと……。今参議院の方から外務大臣を要求して参りまして、ベルが鳴つておりますから、外務大臣は退席せられますので、その通り御了承願います。 〔並木委員「議事進行」と呼ぶ〕
○上塚委員長 討論を続けてください。
○穗積委員 国連軍の方だけは大臣におつてもらつたらどうですか、もうすぐ済みますから。
○上塚委員長 MSAの本会議ですから……。
○穗積委員 この免税の問題は、駐屯する地域の人民または地方自治団体等に対しまして、不当な支配を及ばすものであるのみならず、国家全体としても無益な損失であると考えます。従つてわれわれは、今申しましたような、趣旨によつて、本協定に賛意を表することができない。ただ事実として駐屯いたします軍隊並びにこれに雇用されております労働者の待遇及び地位、さらに駐屯すること自身は認めないといたしましても、駐屯する間地方自治団体あるいはまた周囲の住民の取扱いにつきまして、米軍と同様にすることは、こういう協定がなくても政府の行政的な交渉または措置によりまして、十分欠陥を補うことができるとわれわれ考えますので、政府におかれましても、そういうような地方自治団体または周囲の住民あるいはこれに従事いたしております労働者の地位等につきましては、今申しましたような国際的な客観的な妥当な線において、これの利益を擁護する措置をとられんことを希望いたしまして、本案に反対の意思を表明しておきたいと思います。
○上塚委員長 富原幸三郎君。
○宮原委員 まだ病気中でありますので腰かけたままさせていただきたいと思います。
○上塚委員長 どうぞ。
○宮原委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつております両案件につきまして承認すべきものと認めて、原案に賛成の討論を行いたいと思います。 国連軍との協定につきましては、昨年十月刑事裁判権についてすでにNATOによる刑事裁判権条項を合意して、これに関する意見書を締結せられたのでありますが、今回残る財政経済問題についての諸懸案が解決せられて承認案としてここに審議するに至りましたことは、わが国の国連支持の建前から当然の結果であると認めるところであります。 政府の説明によりますれば、国連はわが方の立場を了解して、政府のいわゆる相当数の施設の返還、いわゆる相当数の施設と申しますのは、どうもまこと相当と言えるかどうかわれわれはそこに多大の疑義がありますけれども、そういう施設の返還または労働調達における間接雇用方式の採用などの譲歩をなしまして、わが方も大同的見地から、米軍との均等待遇を与える方針をとつたと説明されておりますが、まだ国連に加盟しておりませんわが国が、国内において多少の異論がありましたものを克服して、間接防衛の国連に対して、米軍と均等待遇を与えたることは、わが圏の国連協力義務に忠実であつて、誠意ある態度を世界に表明するものでありまして、諸外国との友好関係を増進する上において、多大の効果があるものと信ずるのであります。私どもはこの協定の内容を検討いたしまして承認すべきものと認め、政府の原案に賛成するものであります。 なおただいま穗積委員のお説にありましたが、この国連駐留の根拠の問題は、これは多少の立場上の見解の相違はありといたしましても、吉田・アチソン交換公文または平和条約による国国連憲章尊重のわが国の義務、そういつたような根拠はすでに明白にせられておるところでありましてこの際この根拠についての疑問はわれわれは持たないものであります。 なお駐留軍の恒久的駐留を認めるような協定ではないかというような御意見もありましたけれども、協定の第二十四条には、決して恒久的にこれを認めるものでなく、朝鮮から撤退していなければならない円の後九十日以内に日本国から撤退すべきであるということが明白にせられておるところであります。 その他米軍と地元の住民または関係労務者等の保護のことについて、穗積委員の御主張がありましたことはわれわれも同調するところであります、ただそれ以上ここに明確にいたしておきたいのは、隣地市町村が国連軍駐留によりましてこうむる損害の補償の問題であります。本協定の善後措置として政府の善処を切に要望するものでありますから、ここに希望意見を陳述いたしまして、各常委員各位の御賛成を得て、実現することを期待するものであります。 それはすなわち国連軍の基地である市町村に対しましては、米軍の駐留する市町村と同一の補償あるいは代替施設の建設をなすほか、喪失したる財源の補償をなすよう立法的、予算的措置を講じ、善後措置に誤りなきを期せられたいということであります。 次に合衆国及び国連軍の共同の作為または不作為から生じます請求権に関する議定書の問題についても、その内容は承認すべきものと認めて原案に賛成するものであります。 ここに両案件の承認とあわせて、善後措置の希望意見を述べまして賛成の討論といたします。
○上塚委員長 次は並木芳雄君。
○並木委員 私は討論を簡単にしますが、そのかわり委員長に一言約束をしてもらいたいことが、ございます。それはさつきフイリピンの賠償の問題について、質疑応答が行われておつたのでございますが、私聞いておつて確かに岡崎外務大臣として苦しそうな場面があつた。これは公開の席上では言いにくい、その気持もわかりましたので、私は議事進行を申し上げて秘密会でもいいから、ぜひ公開の席上で言えないところをお聞きしたい、こう申し入れた。そのとき委員長は、この討論が終り次第秘密会にするという口約束をされたので、私はそれを了承しておつた。ところが参議院の方の会議が始まつたというので大臣は今席を立つて行きましたけれども、どうかこの討論が終つて、大臣が参議院の方が済みましたならばこちらに来てもらつて、そうして秘密会を開いていただいて、さらに大臣の言いにくいところをわれわれは聞きたい、また質問をしたい。ですからそれをやるということを約束していただきたい。
○上塚委員長 委員長からお答えいたします。委員長はこの討論が終り採決をいたしましたならば、理事会を開いて御相談をして秘密会のことを決定する予定にいたしておつた。またこれからそういたしますからさよう御了承をお願いいたします。
○並木委員 それでは討論をいたします。簡単に申し上げます。と申しますのは、この前刑事裁判権のときに大体討論をした趣旨が今日の討論にも当てはまると思います。従つてわが改進党の立場ははつきりしておりまして、本協定には賛成でございます。われわれはいつまでも米軍や国連軍が日本にとどまつておるというような状態に対しては、決して賛成はしたくないのでありますけれども、これも世界の平和を維持しようという見地から、やむを得ない最小限度の悪であろうと考えておるのであります。従つて政府においても一刻も早く国連協力の線から朝鮮の動乱なり、あるいはやがて起るかもしれないという仏印における動乱というようなものを防止して、そうして国連軍のごときものは日本に支持されておらなくともいいような状況に持つて行くように協力をしてもらいたいと思います。 ただいま自由党の宮原委員から、その討論の中に附帯的に希望条件が述べられましたが、あの点につきましては私の方も全面的に賛成でございます。ややもすれば駐留米軍あるいは国連軍のとどまつておるがために、日本人の感情を害し、日本人に必要以上の損害を与えて、そうしてこれが反米思想にかわつて行く、あるいは反国連軍の思想にかわつて行くということは、わが日本の本意とするところではないのでございます。その点は政府も十分気がついておると思いますけれども、なお今後ともこれに対しては鋭意注意をしていただいて、いやしくもわれわれの払う犠牲というものがむだにならないようにしてもらいたいのでございます。 残余の点につきましては、この前の討論のときに申し上げましたからここに省略し、場合によつては本会議において討論をすることがあるべきことを申し上げて、私の賛成討論を終りたいと思います。
○上塚委員長 次は河野密君。
○河野(密)委員 きわめて簡単に申し上げます。 この国連軍協定は第二次世界大戦のあとで起りました長期にわたつて他国の軍隊がある国の領域内に駐留するという場合におけるその他位、法律関係を決定をいたします新しい国際法上の慣習に基くものでありまして、私はその意味におきまして内容的に何ら反対すべき筋合いのものではないと存じます。ただ日本の場合におきましては、この国連軍協定の内容そのものが、先ほど来討論に出ておりましたように、あるいは間接雇用の問題といい、あるいは裁判管轄権の問題といい、これは決して反対すべき筋合いではありませんが、ただ日本に国連軍がどうして駐留するかというその国連軍駐留を決定するものが古田・アチソン交換公文に基く、この点についての責任は私は決して政府は免れるものではないと思うのであります。平和条約と申しましても、これは一般的な国連軍協力を約束したものであつて、これに基いて条約なり協定なりが結ばれて初めて国連軍の日本駐留という問題が決定すべきものである。そういう意味合いにおいて、その前提を欠くという点はわれわれはなはだ遺憾である。本協定に賛成をするからといつて、決してこの点における政府の責任を見のがすのでもなければ、そういう落度をわれわれは決して肯定しようとするものではないのでございます。さような意味合いにおいて私は本協定に賛成をいたす次第であります。 なお先ほど宮原委員から希望意見が述べられましたが、地元に対する補償の問題につきましては、これは財政上の問題もあると存じますが、その財政上のどういう点からなされるかということについては、政府側において御検討を願うことにいたしまして、その地元の要求に従うところの補償については、十分御考慮を願いたいということを申し上げまして、賛成の意思を表明いたします。
○上塚委員長 これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件、日本国における合衆国軍隊及び国際連合の軍隊の共同の作為又は不作為から生ずる請求権に関する議定書の締結について承認を求めるの件、右両件をそれぞれ承認すべきものと議決するに資成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○上塚委員長 起立多数。よつてただいまの両件は承認すべきものと決しました。
○上塚委員長 次に万国農事協会に関する条約の失効に関する議定書への加入について承認を求めるの件、けしの栽培並びにあへんの生産、国際取引、卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書の批准について承認を求めるの件、及び第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権の保護に関する日本国とスウェーデンとの間の協定の締結について承認を求めるの件を一括して議題といたします。 ただいまの三件につきましてはすでに質疑を終了いたしており、討論もないようでありますので、ただちに採決いたします。三件をそれぞれ承認すべきものと議決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議なしと認めます。よつてただいまの三件は承認すべきものと決しました。 なお本日採決いたしました各件に関する委員会報告苦の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議がなければさように決定いたします。
○上塚委員長 次に前会合の穗積委員の質問に対する外務当局の答弁を求めます。
○蓮見説明員 お答えいたします。前会の御質問の第一点の寄付行為のございましたその対象は、宅地と現在の建物でございます。それからどうして外務省が所管したかということは、当時の総司令部からの指示もございましたし、戦時中大東亜省の所管でもございました関係上、事が対外的のゆえもございましたので、外務省が一時管理をいたしました。
○穗積委員 お答えをいただきましたが、私の質問に対してまだ触れておられませんので、少し具体的にお尋ねいたしますが、一九四八年に連合軍司令部から外務省に管理を委託されました理由は、その財産の寄付者の中に外国人がおり、またはその外国人の財産に対する発言権が何か留保されておるというようなことによるのか、もう一つの理由は、その利用目的が外国人学生になつておるというこの二つの理由によつて、外務省にその管理が委託されたということをお答えになつたのでございますが、その点についてもう少し明確にもう一ぺん御答弁をいただきたいと思います。
○蓮見説明員 第一点の寄付についての理由は、その他はございませんでした。もちろん当時寄付を募りました場合には、満洲国の学生を収容するというために帯付を募りましたけれども、当時の考えとしては、それはあくまでも寄付を募る際の趣意書の中に書いてあつたことでございまして、寄付そのものについては無条件の贈与と認めておつたのでございます。
○穗積委員 そうしますと、この前の御答弁の中の財産権の、所在についての問題はお取消しになつたわけでございますか。
○蓮見説明員 さようでございます。
○穗積委員 そうしますと、今申しましたように一つは、従来所管の官署が大東亜省であつた、それから利用目的が外国人学生である、この二つの理由によつて外務省に管理が委託された、こういうふうに御答弁になるわけでございますが、これがそういうふうな日本政府側の理解であつても、はたして連合国側がそういう理解のもとに、そういう理由によつて外務省に移管をしたという何かその根拠になりますような、連合国側もそういう理由であつたということを証明するような、具体的な文書その他の材料がございましたか。
○蓮見説明員 ございません。ただ単純に日本政府がこれを管理しろというだけの指示でございまして、その当時ただいまお話のありました点、政府部内で相談いたしました結果、外務省が一番適任だということで管理いたしました。
○穗積委員 そういたしますと実は財産権の問題については、日太の法人のみが財産権を持つておるという理解ですね。そういう理解であつたかどうかということは日本側の解釈であつて、向う側がそうであつたかどうかということについては、これはある意味では未確定とわれわれは見なければなりませんが、私どもそれはその点についてまだ疑点を持つておるわけでございます。従つてその点につきましてはいずれ私の力もよく調査いたしまして、しかる後にお尋ねいたしますが、きようの問答の中におきましては、その点も日本側の解釈であつて、連合国側の確たる解釈がそうであつたとそれを証明するはつきりした文書または口頭による材料は、必ずしもないということだけが明らかになつたわけでございます。その点はよく明確にしておいていただきたいのでございます。 続いてお尋ねいたしますが、あれは輔導協定でございましたか、初めが満州国留日学生会館という名称になつておりまして、後昭和十九年に満州国留日学生輔導協会と名称変更いたしておるわけでございますが、旧法人が解散をされ止して、そうして新しく新法人であります善隣学生会館に財産を譲渡したわけです。そうしますと旧輔導協会の清算事務が停止されておるわけでございますが、清算人から新しい善隣学生に財政権が譲渡されたわけでございますか。
○蓮見説明員 さようでございます。
○穗積委員 そういたしますとその前に外務省に対して清算事務を停止の命令があつてそれを解除されたのはいつでございましようか。
○蓮見説明員 それは平和条約が成立後でございます。
○穗積委員 そうすると平和条約成立後解除されたために、清算人の事務は合法的にまた復活した、その清算人の権利として、つまり新しい法人に寄付行為が行われた、こういうふうに解釈されるわけでございますか。
○蓮見説明員 その通りでございます。
○穗積委員 その清算事務並びに寄付行為それから新法人の設立等につきましては、所管は法務省でおやりになつておられますかどこでございますか。
○蓮見説明員 外務省でございます。
○穗積委員 そうしますとその満算人の行為並びに寄付行為、さらに新法人の設立等につきましては、これは法的に瑕疵はございませんか。
○蓮見説明員 なかつたと思います。
○穗積委員 この点については実は御承知の通り、二十九年一月にこの新法人設立の無効確認の訴訟が中国人側から提起されておることは御承知でございましようか。
○蓮見説明員 存じております。
○穗積委員 それに対しましてその理由ですれ、私ども一々法律事務を取扱つておるわけじやございませんので、つまびらかにいたさない点もございますが、その理由と、その事件は今どういう状況になつておりますか、ちよつとお尋ねいたします。
○蓮見説明員 つまり新しくできました現在の財団法人善隣学生会館に対して、寄付行為が行われておらないというのが問題点であります。ただいま御質問がありましたように、その点につきましてはよく関係当方が理解していない点があるのじやないかと思つております。簡単に御説明いたしますと、先ほどお話のありましたように、満算人の清算を一時停止いたしまして、平和回復後すぐにそれが継続されて、一体この財産をどういうふうに利用しようかという点がまず問題になつたわけであります。しかしこの種の事業では大体同じ目的大打つておる団体に持たせるのがもともとの趣旨でもございますので、清算が再開されますと同時に、一応この財産の管理を引受けるために善隣学生会館という任意団体をこしらえまして、同時にすでにこれを財団にするという手続も進んでおりました。従つてただいまの御質問もありましたし、また訴訟上問題になつております帯付行為につきましても、清算人から任意団体としての善隣学生会館に財産を譲渡するという手続をやりませんで、直接財団法人善隣学生会館というものに一ステツプ飛び越えてやつております。しかしこれは任意団体として善隣学生会館をつくりましたときにすでに財団にする、しかも財団にするためにこの財産を寄付行為等の対象にするという話が同町に並行しておりましたので、寄付行為並びにその登記——不動産の登記でございます。これは任意団体当時の団体には行つておりません。従つてこの点が多少誤解の種になつておるのじやないかと私どもは考えております。
○穗積委員 そうしてその無効確認の訴訟は裁判所で受理されていると思いますが、それに伴いまして新法人の財産権処分に対する停止の仮処分等が行われておりましようか。
○蓮見説明員 まだ行われておらないと思います。
○穗積委員 わかりました。そこでもう一点お尋ねいたしたいと思いますのは、新法人であります善隣学生会館の目的は、私が今手元に持つております資料によりますと、「本邦と諸外国との文化の交流を図るをもつて外国人留学生のため諸般の便宜を供与し、国際文化の向上に寄与するを目的とする。」というふうに書いてございますが、大体それで間違いございませんか。
○蓮見説明員 間違いございません。
○穗積委員 ところがその後、そういう目的を持つた新法人が財産の管理を始めました後に、いささかこの目的に反するように思われますのは、会館の建物のうち相当多くの部分が日本の営利会社に賃貸借をしておるようでございますが、これは御承知でございましようか。
○蓮見説明員 存じております。
○穗積委員 これはいささか目的に反するように存じますが、いかがなものでありましようか。
○蓮見説明員 まことに御説の通りでありまして、これをできるだけ早い機会に本然の姿にもどすようにというのが、外務省が当面しておる非常に困難な問題であります。ただ終戦直後のどさくさに入り込んだり何かしておりまして、なかなかこの明渡しが思うようにはかどつておりません。しかし今後とも引続きこの努力は続けて行くつもりでおります。
○穗積委員 それは当然この法人の役員、執行部におきましてもそういうことを努力すべきだと思うのでありますが、そのことに対しましては、外務省からも厳重なる通達というか、所管官庁としての責任上、法人の目的に反する使用をしておるということで、そういう通達はなすつておられますか。
○蓮見説明員 苦面による通達は行つておらないと思いますが、随時頻繁に連絡をいたしまして、本然の姿にもどるように努力はいたしております。
○穗積委員 それからその管理のことについてお尋ねいたしますが、従来は留日満洲国学生となつておりましたが、今度は外国人留学生となつておりまして、必ずしも中国人に限らないように文書の上では書いてございますが、そういたしますと今後の目的は、一体どこどこの国の学生をこれに利用せしめるつもりでございますか、その間のことを少し具体的にお示しをいただきたいと思います。
○蓮見説明員 もともとこの会館ができました趣旨が、満洲国の学生でもありますので、外務省としては、同種の団体がほかにもございまして、広く世界中から来る学生の世話をしております関係上、この善隣学生会館を主として中国関係の学生を対象に使つて行きたいと思つております。
○穗積委員 そのほかの学生でも、場合によりましたら利用せしめるお考えでございますか。
○蓮見説明員 それはほかに国際学友会その他その目的のためにございますので、できるだけほかの国の学生はその設備を利用して、当面の問題になつております善隣学生会館は、やはり中国関係の学生を主として対象にした方がよろしいのじやないかと考えております。
○穗積委員 そこで具体的にどこの国のどういう学生をここに利用せしめる、宿泊せしめるかということにつきましての細目の内規といいますか、そういうような規定がありましようか。
○蓮見説明員 そういうものはつくつておりません。それは現在入つておりますのは、ただいま御指摘の通り、商社であつたり、あるいは学生と称して入つております七、八十人の中でも、ほんとうに学生と認められるものが非常に少うございますから、一応現在の情勢をノーマルなものにしてから、あらためて引受ける対象を厳密にきめたいと思つております。
○穗積委員 それはおきめになるのはこれからといたしましても、これからおきめになろうとしておる御方針が、もし多少でも、骨格だけでもありましたらお答えいただきたい。 そこでお尋ねいたしますが、これ目的の中に「留学生」と書いてありますから、学生のみに限るのかどうか、 たとえば宿泊しておりました学生が卒業して何らかの会社、公社に就職するかもしれないようになつた場合は、これは退館を要求するのか、またある一定の期間はこれに猶予期間を認められるつもりなのか、あるいはまた現在は学生ではないが、これから東京へ参りまして日本の大学へ入りたいというような人物、あるいはそれは向うの学校を出たそのままのものであるかもしらぬし、現在日本に来まして何らかの形で社会会人として働いておる、またアルバイトをやつてみるというようなものも、これから学生としてどこそこの学校へ入りたいというようなものをお認めになるおつもりなのか、目的の中に学生と限つておりますが、その限界をどういうふうになさるおつもりですか。もう一つお尋ねいたしたいのは、国籍の問題、あるいはまた政治的立場、思想的立場の問題、これに対しては何らかの政治的考慮を払われるおつもりであるかどうか、その点もお尋ねいたしておきたいのであります。
○蓮見説明員 ただいまのところ外務省としては、やはり学生に限りたいと思つております。ただ今お話もございましたように、学校が終つて就職がきまるまでの短期間とか、そういう点については、できるだけ親切にしてやるという建前から、ある程度やはり幅を見てやるのが当然じやないかと思つております。ただ純然たる社会人になつておる人を収容するというのは、現在でさえも収容力が非常に限られております関係上、できるだけ避けたい。むしろこれは目的の中に入らないという考えでございます。 それから学生を収容する場合に、政治的関係その他を考えるかというお尋ねでありますが、当然ある種の考えをそこに入れなければならないのじやないかと思つております。ただ先ほども御返事いたしましたように、新しくここに収容するという時期になつておりませんので、方針としては大体そういう線で打合せておりますが、具体的にはまだ問題が起きてきておりません。
○穗積委員 先ほど来の御答弁によりますというと、中国の学生を主にしたい、こういうお答えで、その他の地域の学生も入れぬではないが、例外取扱いだという趣旨のお答えでございました、そうなりますと、現在中国の学生で毛沢東政権を支持していない学生というものはほとんどないわけでありまして、多少台湾等から、何といいまますか、台湾政府の官給学生のような形で派遣されれば別でございますが、少くとも自発的な形で来ておる学生、それは出身が台湾であろうとあるまいと、若い学生たちはほとんど今の中国の毛沢東政権を支持しておる学生でなければならぬのでありますから、毛沢東政権を支持している学生は、これを好ましくない学生として排除せられるおつもりでございますか、どうですか。
○蓮見説明員 これは非常にむずかしい御質問でありまして、私がここではつきり申し上げる立場にも、またその点については深くまだ相談もしており・ませんし、また今までのところの経験から申しましても、いろいろな国際情勢の変化に応じて、学生の気持も常に動揺しておるということを聞いておりますので、この点についてはもう少し研究させていただきたいと思つております。
○穗積委員 先ほどの御答弁とち一つと矛盾するわけですが、政治的立場なり思想的傾向というものは考慮しなければならぬだろうということを言われたのですが、そうなれば言うまでもなく、問題は毛沢東を支持しておる、これはもうすべて好ましくない、共産主義者だ、こういうような御解釈でこれを排除する場合があるかのごとき一つの原則をさつき言われたわけですが、こういうことは私ははなはだしくよろしくないことだと思います。憲法におきまして、日本国国内の取扱いからいたしましても、たとえば東大の寮で共産主義思想を持つておるからといつて排除いたしておりません。思想、学問は自由でございます。しかも学生でございます。従つてあなたのおつしやる通りに、学生の考え方というものは一定のところに同定しておるものでなく、常に発展するものでありますし、変化もいたしましよう。そういうときに憲法の建前、民主主義国の建前からいたしましても、少くとも学生の思想またに学門におきまして、共産主義の理論が大学に置いて講ぜられることが自由であります以上、当然そのことは顧慮すべきではない。ただ共産党または中国の一部の考え方から、あそこを根城にしてスパイ行為をやる、そういうような政治行動がありましたときには、それに対して監督、補導という立場から、多少の注意をすることも必要でございましようが、今申しましたように、中国の毛沢東政権を支持しておるからいけない、または共産主義思想を持つておると解釈されて、これは入れてはいかぬとか、中国の学生は、蒋介石政権がこつちへ送り込んで来る者以外にはなかろう、そういう狭い量見でおやりになるということは、これはぬぐうべくなく現存する大きな力であります。毛沢東政権を承認するあるものをないと言うのですから、これは無理も出て参ります。そういうお考えでは学生の補遺教育という、この財団法人の目的に反することになろうと思うのでありますが、その点こまかいことは別として、基本的な態度としてもう少しちやんとした御答弁をいただきたいのですが、どういうものでございましようか。
○蓮見説明員 ただいまの御説明まことにごもつともでありまして、その点は外務省も、また理事者の方々も非常に苦心をしておる点なのであります。ただ私が先ほど申し上げましたように、今までの経験から見まして、学生の気持も動揺しておるような際でもあるし、もともと国際親善という観点から出発した会館でもありますので、あまり無理なことはやりたくない、できるだけ親切にやつて行きたい、そういう基礎がございますので、私先ほど申し上げました、いわゆる政治的考慮というのはあまり強くおとりくださらないようにお願いいたします。
○穗積委員 あなたも理解あるインテリゲンチヤでございますから、当然そうあるべきだと思うのであります。その点を特に注意していただきたいし、近くそういう内規ができようと思いますが、その内規もできましたらお示しをいただきたい。さらにそういう内規がございましても、実際の理事者の取扱い方がそういうことになることもありますので、十分に監督していただくことをお願いしておきます。 それから現在、約七十人見出の中国人があそこに宿泊しておるようですが、そのときに、この法人の目的に従つて、またあなたがお答えになつたように、できるだけ親心をもつて親切に取扱つてやりたいというような——そうして勉学に便直を与え、または国際的な友好関係なり文化の向上に寄与するということに反するような取扱いが行われておるようです。たとえば勉強の最中に電気を消してみたり、非常ないやがらせをしておるということを盛んに訴えられております。こういうことを課長は御存じでございましようか。
○蓮見説明員 事実を存じております。ただ、これは理事者側のいやがらせではないと考えております。もともと善隣学生会館というものは、先ほども御指摘がありましたように、基本的な財産もございませんので、できるだけ経費のかからないようにという趣旨から、日中の電気コンロの使用をみなに自粛してもらうというようなことをやりましたり、どうしても日中電気を使わなければならない向きにはわざわざメーターをつけて、一箇月何キロというような限度も認めて始めてみたところ、非常に莫大な電気の消費量になるというようなことで、その間理事者側と学生側といろいろやりとりがあつたのでありますが、外務省としては、この種の問題の取扱いについても、できるだけ学生側の立場を理解してやつて行くように、常々私の方から通達してございます。
○穗積委員 この問題については、あなた方は監督の立場に立つておられるが、実際これを行いますのに親心を知らない、りようけんの狭い、あるいは政治的な偏向を持つた、この財団の目的に反するような理事者なりあるいは小間使いどもがおつて、学生との間が非常に対立をして、せつかくのこの財産の利用目的に反するような場合の出ておることもこまかく聞いております。それをここで一々申し上げて課長の御答弁を煩わすのは不適当だと思いますし、時間もありませんのでひとまずこれで打切りますが、そういう具体的な問題が起きました場合には、当事者から課長に陳情することがあろうと思います。場合によれば私が取次いでもよろしゆうございますが、そういうときは先ほど来の答弁の趣旨に沿つて、外国人でございますから特に親切に、財団の目的に反しないように御措置願いたいと思いますけれどもよろしゆうございましようか最後にそのことをお聞きしておきます。
○蓮見説明員 われわれは、できるだけ御趣旨に沿うように御協力いたします。
○上塚委員長 この際、須磨彌吉郎君より緊急質問の申出がありますので、これを許します。須磨君。
○須磨委員 本委員会にかかつております秘密保護法案についてでございますが、これは一見いたしましたところでも、いかにもアメリカから援助を受けたものだけに関しまして秘密防護を企図しておるのであるが、日本全体に関しまする立法としては非常に自主性を欠くがごとき愚なきにあらず、また今自衛隊というようなものができかからんとしておりまして、自衛隊ができ上りますならば、それ独自の機密というものがたくさんあるわけであります。暗号にいたしましても、武器にいたしましてもあるわけでございます。さようなものを守ります法律がなくて、ただアメリカからもらうものだけの法律ができることになると、どうも非常に自立性を欠くと思う。また今後艦艇でありますとか、航空機でありますとかいうようなものが漸次日本に贈与されるに従つて、また改正をして行かなければならぬ煩雑もあるから、この際一般の防衛に関する法律をつくつて、その一部としてMSA法に関する秘密保護の義務をもカバーするようなものにした方か、いのではないかという考え方をいたしておるのでありまして、ただいま私が内閣委員会において、木村保安庁長官に対してその意味の質問をいたしましたところ、保安庁長官からのお答えの中に重要なる発言があつたのでございます。もちろん私の申したような趣旨は賛成であるけれども、今アメリカから贈与を受けます武器は、日本にその機密を防護する法律がないと贈与ができないというようなことになつている。それであるから、まずもつてこのMSA法に関連するものだけをこしらえるというお言葉であつたのでございます。ところが、従来外務大臣が本委員会においてお話になつておるところでも、またあのMSAの中にあります文面でも、日本にそういう法律をつくることを義務づけてはおらぬのでございます。ただ日本にそういうものを防護する義務のあることはありますが、実は立法によることを規定しておらないのであります。きようお伺いいたしたいことは、ただいま保安庁長官が言われたように、贈与を受けることが困難になる、あるいはこういう秘密保護法をつくつておかなければ、今後ばかりではない、さしむきのアメリカからの贈与を受けることも困難であるということでありますが、交渉に当つておりました外務関係においても、同様な見解を持つておられるのでありますか、それを伺いたいと思うのであります。
○小滝政府委員 外務省におきましても、結論から申しますれば、木村長官と同じ考え方を持つておるのであります。なるほどMSA協定の第二条には、法律をつくれとは書いてございませんが、この義務を負担いたします以上、それに適応した国内的の措置をとらなければならないのであります。もし秘密保護の措置がとれない、非常にそれが時間的にずれるということになれば、せつかくアメリカから受けようとしている武器、装備、資材というふうなものの日本における事実上の利用が、制限せられるというようなおそれが非常に多いのでありまして、もちろん今の秘密保護法案なるものは必要最小限度のものであつて、須磨さんが御指摘になつたような感なきにしもあらずでありますけれども、必要最小限度の措置を今速急にとらなければならないということを痛感いたしております点におきましては、まつたく木村長官のお考えと同様でございます。
○須磨委員 よくわかりましたが、ただもう一つ念を押して伺つておきたいことは、アメリカ側から、さような法難がないと、この贈与はできないというような意思表示があつたわけではないだろうと思いますが、その点はいかがですか。
○小滝政府委員 私ども交渉の過程におきましては、日本にはこうした法律はないから、当然今御審議を願つているような法律を出すという建前で進んでおりましたので、仰せの通り直接それを出さなかつたらどうかというようなことはなしに、当然つくるものという前提のもとに交渉いたしましたので、御指摘のような話は交渉中には出なかつたのは事実であります。
○須磨委員 わかりました。
○上塚委員長 これにて暫時休憩いたします。午後二時より再開いたします。 午後一時二分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかつた〕