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19回国会衆議院1954/04/10

外務委員会 第33号

発言数
31
登壇者
7
会派数
3
開催日
1954/04/10

会議録

上塚司自由党

○上塚委員長 これより会議を開きます。  まず理事の補欠選任についてお諮りいたします。理事野田卯一君及び並木芳雄君がそれぞれ委員を辞任せられ、再び当委員に選任せられましたが、理事が二名欠員となつております。それゆえこの際御両君を再び理事に選任いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上塚司自由党

○上塚委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。     —————————————

上塚司自由党

○上塚委員長 次に参考人招致の件についてお諮りいたします。理事会の協議に基きまして、来る十五日に福岡県古賀訓練場に関する問題及びソ連地区における邦人に関する問題、また十六日には北太平洋マーシヤル群島付近における危険区域に関する問題について、それぞれ参考人を招致し、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上塚司自由党

○上塚委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  なお参考人の選定につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上塚司自由党

○上塚委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。  なおこの際御報告いたしますが、防衞二法案に関する内閣委員会との連合審査会は、来る十六日午後一時より開会することに決定いたしましたから、さよう御了承を願います。     —————————————

上塚司自由党

○上塚委員長 万国農事協会に関する条約の失効に関する議定書への加入について承認を求めるの件、けしの栽培並びにあへんの生産、国際取引、卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書の批准について承認を求めるの件、通商に関する日本国とカナダとの間の協定の批准について承認を求めるの件を一括議題といたします。政府側より逐次提案理由の説明を求めます。岡崎外務大臣。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ただいま議題となりました万国農事協会に関する条約の失効に関する議定書につきまして提案理由を御説明いたします。  万国農事協会は、一一九〇五年六月七日にローマで作成されました万国農事協会に関する条約によつて設立された国際機関でありまして、農業関係の諸情報の収集、研究、刊行等の任務を行つて参りました。しかるに、戦後一九四五年十月十六日にFAO憲章、すなわち国際連合食糧農業機関憲章が作成され、国際連合の傘下の専門機関たるFAOが万国農事協会の任務を含む広汎な諸任務を遂行することとなりました。よつて、FAOの第一回総会は、万国農事協会を廃止してその任務及び資産をFAOに移転するための議定書を作成することを勧告する決議を行つた次第であります。本件議定書は、この勧告に応じて作成され、一九四八年一月二十八日に効力を生じましたので、万国農事協会に関する条約は同年二月二十七日に同議定書の当事国について効力を失い、同協会は同日をもつて解散されたのであります。  このように万国農事協会はすでに事実上解散してその任務及び資産をFAOに移転しているにもかかわらず、わが国は、法律上は今もなお万国農事協会の加盟国でありますので、本件議定書に加入することによつてこの不合理を改める必要があると考えるのであります。  なお、本件議定書の当事国は、本年二月二日現在で五十箇国になつております。  以上の点を了察せられまして、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。  次に、けしの栽培並びにあへんの生産、国際取引、卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書の批准について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この議定書は、国際連合主催のもとに、昨年五月からニユーヨークで開催されましたあへん会議において作成されたものでありまして、わが国も代表を派遣して審議に参加し昨年六月二十三日にこの議定書に署名いたしました。  この議定書は、すでにわが国が当事国となつている一連の麻薬条約をさらに推進し、各締約国が、けしの栽培及びあへんの生産、使用、取引等を取締るための機関を設立すること、あへんの在庫量を制限すること、特定の締約国で生産されるあへん以外のあへんの輸出入を禁止すること、並びにあへんの使用及び輸出入の目的を医学上及び科学上の需要に限定することにより、麻薬の害毒の流入を国際的に一層強力に防衛することを目的といたしております。  この議定書は、あへん主要生産国のうちの三箇国以上と、わが国を含むあへんアルカロイド主要製造国のうちの三箇国以上とを含む二十五箇国が批准または加入した後三十日目に効力を生ずることになつていますが、わが国としましては、以上に述べました議定書の目的にかんがみ、できるだけ早く批准を行い、この分野における国際協力の実をあげることが必要であると認めるのであります。  よつて、この協定の批准につき、御承認を求める次第であります。右の事情を了承せられ、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。  最後に、通商に関する日本国とカナダとの間の協定の批准について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  戦前日加両国間の通商関係は、カナダが大正二年五月に加入した旧日英通商航海条約によつて規律されておりましたが、同条約は昭和十七年七月失効いたしました結果、わが国よりカナダに輸出される産品は、同国の最高関税率である一般関税率を適用されることになつたのであります。このため、戦後のわが対加輸出は著しく阻害され、一九五二年及び一九五三年の対加貿易は、いずれも輸出約一千万ドルに対し、輸入約一億ドルで差引約九千万ドルの入超という片貿易を示しているような状態であります。よつて政府は、相互に最惠国税率を与える協定を締結する目的をもつて、昭和二十七年十一月オタワにおいてカナダ政府との間に交渉を開始し、爾来折衝を重ねました結果、今般この協定について両国の合意が成立し、去る三月三十一日オタワにおいてわが松平大使とカナダ側ピアソン外務大臣及びハウ通商大臣との間で署名を行つた次第であります。  なお、わが国は、昨年十月ガツトに仮加入することを得ましたが、その際カナダが、わが国の仮加入に対し、他の英連邦諸国とは態度を異にして積極的にわが国の立場を支持してくれましたことは御承知の通りであり、この協定の交渉も右の仮加入の問題と並行して、わが国の輸出貿易の振興に対するカナダの理解ある態度により順調に進められた事実を申し添えたいと存じます。  この協定の骨子は、両国が相互に関税に関する最惠国待遇を与えることを定めているほか、為替及び貿易制限に関し原則として無差別待遇を与えることとする一方、国際収支擁護のため必要な差別的制限を行い得ることとなつており、別に交換書簡により、カナダが一定の条件のもとに関税評価を行い得ること及びわが国が小麦、大麦、木材パルプ等の九品目について原則として無差別待遇を与えることとなつております。  この協定の成立によつて、わが国の産品は、カナダにおいてガツト税率による最惠国税率を適用されることになりますので、今後のわが対加貿易は大幅に増大することが期待されるわけであります。  よつて、ここにこの協定の批准について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。

上塚司自由党

○上塚委員長 ただいまの三件につきましては質疑をあとに譲りまして、次に外交に関する件について質疑を許します。発言の通告があります。順次これを許します。加藤勘十君

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 私はきのうの日米協会において岡崎外務大臣がなさいました演説について、若干の疑義を感じますので、この点について外務大臣からお伺いいたしたいと思います。  第一に、岡崎外相はこの演説の中で、原爆の実験に対して積極的な協力をするということを述べておられるのであります。このことはどういう意図からお述べになつたか存じませんが、過般衆議院におきましては、御承知のように原子力の国際管理に関する決議案が上程可決されておるのであります。その決議案の内容は、原子兵器の禁止であるとか、あるいは原子力の平和利用であるとか、原子兵器の国際管理の問題であるとか、これが主でありまして、それから原爆の実験の国際管理に関する要綱も、最初五党国会対策委員長会談においては各党ともこれを承知したのであります。後に自由党が党内事情によつて、この原爆の実験の国際管理という一項を、原爆によつて生ずる被害を宗全に防止する、こういう項目に改められて、これが後に五党の間に話合いができまして、案文としては、原子爆弾の実験の国際管理ということは削られておりますけれども、その趣旨においては、第一次会談において決定され、各党の賛成演説の中にはそのことをはつきり織り込む、こういう了解済みであの決議案が上程されたのでありまして、もちろんこれは日本政府が国際連合をしてすみやかに適当な措置を講ぜしめるようにすべしとの決議でありますから、日本政府としては国際連合に対してどういう措置をおとりになったのか、その国際連合に対しておとりになつた措置と、日米協会において演説をなさいました趣旨との間にどういう考え方をお持ちになつておるのか、その点をひとつはつきり私は聞かしていただきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 五政党間の、決議の前におけるいろいろのお話ははあつたでありましようけれども、われわれは決議自体、及び提案理由の説明、及び賛成演説の趣旨、こういうものから正式には決議のいかなるものであるかということをはっきりと了解すべきものと考えております。そこでまずあの決議に対する措置はどうしたかというお話でありますが、これは日は忘れましたが、その後ただちに、国際連合の日本側代表としてニユーヨークにおります沢田全権大使に対して、電報をもつてこの趣旨を申し送りまして、それと同時に衆議院の事務総長とも相談いたしまして、国際連合事務総長あてに、私の署名をした書簡に添えて決議文をつけまして、これを航空便で送りました。さらにこの提案理由の説明その他の必要な資料も別途航空便で送りまして、これに対する十分なる努力をいたすように、また政府としても、私が申し上げました通り、あらるゆ機会にあらゆる国と提携してこの実現をはかるという趣旨であるから、そのつもりで十分なる努力を払うように、こういうことをただちに申し送つております。  そこで今度は決議の内容でありますが、あれは二つにわかれておるわけでありまして、一つは原子力の国際管理等の実現を促進するということ、及びこの原爆の実験等に対しては、ちよつと言葉は忘れましたが、要するに被害を……(加藤(勘)委員「被害を完全に防止する」と呼ぶ)完全というのじやなかつたように思います。有効適切な手段を講ずる。要するに、いずれにしてもそう趣旨のことであつて、これは一見矛盾したよう見えるのです。というのは、片一方は、原子力を国際連合で管理しろ。片一方は、国際連合で原子力を管理するということになりますれば、原子爆弾を国際連合が持つ必要はごうもないのであつて、平和的に利用するために国際連合がこれを管理するのであつて、国際連合はまさか自分が管理して自分だけが原子爆弾を持つということは必要ないと思うのであります。従つて原子力の国際管理ということは、平和利用という趣旨にほかならないと私は信じておる。またその意味で非常に賛成しておるのであります。ところが、それと同時に原爆の実験はとめないのである。被害を完全か、有効適切か、とにかく十分に防止するような措置を講ずべきであるということは、一見矛盾しているようでありますが、これは実は矛盾していないのであつて、なぜかといいますれば、国際連合が原子力の管理を行い得るような状態になることは、これはなかなかむずかしいと思いますが、なる時期は今ただちにというわけには行かないわけであります。その間におきましては、一方の国に実験をとめて、一方の国は自由にやらせるというようなことは、実際上できませんから、原子力の管理が実現するまではこれはいたし方ない。双方で実験することになろうかと思つております。そのためにこの決議も、一方においては、原則としては原子力の国際管理ということをうたつているが、それが実現するまでの間は、原爆実験に対する被害防止を十分にやるのだという趣旨と了解いたしております。はたしてしからば、現在においては、われわれも努力しますが、まだ国際管理はできておりませんから、その間においては、われわれとしてはアメリカ側が原爆の実験をやろうとするならば、これを妨害すべき措置を講ずることは適切でない。従つてわれわれとしてはこの被害防止、ことに日本の水産業なり、あるいは日本漁夫なりの生命財産等に損失を与えることについては、十分なる補償措置を必要とする。しかしそれを条件とするならば、現在の段階においては、実験に対してこれを妨害するという意向はない、こういう趣旨を明らかにしたわけであります。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 御承知のように、ビキニ環礁における原爆の実験が、強い性能を持つて現実に被害を与えたことに対しては、ひとり日本国民ばかりでなく、世界的に大きな反響を呼び起しまして、イギリスにおいても、政府当局はこれに対して積極的な禁止措置等について行動をとるようなことは言うておりませんが、在野党の労働党は、これを禁止するような積極的努力をすべきであるという意思を表明している状態であります。アメリカにおいてもこの問題は相当いろいろな面において反響を呼んでおります。従つて今後こうした実験が行われる場合には、十分な諸般の条件が完備されて、被害が及ばないという努力の後に、初めて利害関係各国に通達されて、その了承の上に行うべきであるということが、私は国際道義の上からいつても当然の措置でなければならないと思います。しかるにアメリカの新聞紙の伝うるところによれば、事前通告はしないとか、あるいは被害は大したものでないとか、こういうようなことが伝えられておるのであります、こういうときに、現実に被害を受けた日本の国の外務大臣が、それらの点についていまだ十分に被害防止の措置が声明されないうちに、積極的に協力をする、こういう意思表示をされるということは、少くとも日本国民、原爆の実験におびえており、不安を感じておる日本国民にとつては、外務大臣の言葉というものは、いろいろ漁師の被害防止あるいは被害に対しての賠償等について説き及ぼしてはおられますけれども、その根本である実験そのものに対して積極的な協力をするという表明をなされるということは、私は不安におののいておる国民にとつては、決して安心すべき発育であるとは思われない。むしろ逆にかえつて不安を増大せしめるような印象を強く与えたと思うのであります。この点について外務大臣は、自分は積極的に協力すると言つておるが、被害については十分な補償をとるのだ、防止の方法も講じてもらわなければならぬのだという言葉をつけ加えて言うておるから、そういう心配はないではないか、こうおつしやるかもしれませんけれども、しかしそれは外務大臣の主観であつて、この演説から受ける国民の印象は、かえつて不安を増大せしめるものであるということを、私どもはむしろ悲しむのであります。こういう点に対して、もし外務大臣が不用意にこういう演説をなさつたとするなら、これは注意をしていただかなければなりませんが、意識的に進んで協力するという態勢で、しかもここに述べてあるような政治的意図、すなわちこれに協力することが自由諸国の利益である、こういうような政治的意図をもつてなされたとするならば、私はゆゆしい発言だと思うのでありますが、この点に対しての外務大臣の所信はいかがでしよう。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私の発言が国民に不安を与えておるとおつしやるが、私は院議に忠実であると考えておるのであります。本院の決議がすでに原爆の実験を禁止するということになつておらないのであつて、原爆の実験は認めるけれども、その「実験による被害防止を確保するため国際連合がただちに有効適切な措置をとることを要請する。」こうなつておるのであります。従つて原爆の実験は認めておるのであります。認めておるという趣旨は、私の先ほど申したように、双方の国が原爆の実験をやつておるときに、一方のみを禁止することは適当でないという趣旨であろうと思います。それはとりもなおさず、こちら側、つまり自由諸国側の立場から見ますれば、この自由諸国の防御のために現在において——これ全部取去つてしまえば別でありますが現在においてはいわば、はなはだ不幸なことでありますけれども、原爆競争と言つては語弊があるかもしれないが、双方でこれをできるだけ精密な優秀なものにしようと努力をしておることは、これは争われない事実なのであります。従いましてわれわれの立場から申せば、この実験に対してはさしつかえない範囲では協力する、つまり妨げる意思はないということを言うのは、私は何ら院の決議に反することでもないし、また院の決議がそういう趣旨であるから、国民に不安を与える趣旨のものでもない。ただ私もここに申しております通り、これは正確な訳ではないと思いますが、自己の過失によらずして負傷を負つた船員に対しては深い同情を述べるとともに、この人たちに対する必要な救済のために最善を尽している。原爆実験のため、漁業が特定の公海地域から除外されることは、日本にとつて非常な損失であることは言うまでもない。わが国経済は漁業に依存することが大きいのだ。そういうはつきりした前提のもとに、われわれはしかし米国に対して原爆の実験を中止するよう要求するつもりはない、これは院の決議がそうなつておるのであります。これは御意見があるかもしれませんけれども、われわれこの実験が米国のみならず、われわれもその一員である自由諸国の安全保障にとつて必要なことであると思うからである。従つて他の自由諸国と協力するであろう、日本だけがするのじやなくして、他の自由諸国と一緒になつて協力するであろう。ただ同時にわれわれはかかる実験の結果こうむるかもしれないいかなる損失にも、わが国漁業は正当に補償さるべきものであると考えると申しておりまして、この言葉の、たとえば被害の防止ということは、単にこの補償ということだけでもないのであつて、その他のいろいろの防止措置もありましようけれども、これは演説でありますから全部を一々理論的に包含して言うということも始終しておりません。ある点を強調していますから、言葉は不十分の点があるかもしれませんが、私は院の決議に何ら反するようなことを言つておるとは思いませんしまた私の考え方といたしましては今申した通りで、ただいまのところは、米国なり英国なりの原爆の完成ということが、少くともこのバランス・オブ・パワーに立つておる、力の均衡の上に立つておる現在の平和においては必要なことである、こう実際考えておるのであります。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 この間の衆議院の決議は、なるほど案文の中には、実験の中止とかあるいは実験を国際連合の管理に移すという言葉は抜けておりますけれども、先ほど申しましたようにこの決議案文立案の過程においては、そういう精神の上に立つておつたものであるということは、外務大臣も御承知のはずでありまして、もちろんわれわれも原子兵器の禁止ということと、原爆の実験の国際管理ということは、文字の上から見ますれば一見矛盾するがごとくであるけれども、われわれが国際連合ということを特にここに強調したゆえんのものは、決してアメリカとかイギリスだけを禁止もしくは中止せしめようというのでなくして、国際連合の力によつて世界のあらゆる国の原子兵器の使用の禁止であるとか、あるいはその実験の中止——中止まで行かなければ、これを国際連合の管理のもとに移して、事実上一国がほしいままに実験を行うことができないようにするということが、この決議の案文の趣旨でありまして、従つて文字の表面からは、どこの国にも禁止する、中止するということを要請するとも書いてないけれども、その趣旨はまさにその通りであります。従つて私は少くともアメリカに対しても、日本と一番利害関係が密接であるだけに、この実験が行われる場合には危険防止の、あるいは被害防止の点から行きましても、当然事前通告を受けて完全なる退避措置が講ぜられた後に行われるだけの措置が講ぜられるということは、今申します通り、私は国際信義の上からいつて当然だと思うのです。従つて外務大臣がこのような演説をなさいます場合には、少くともそういう点を強く主張されて、アメリカがかりに出前通告する義務がないとかなんとか言つておつても、日本国民としては、そういう事前通告を受けて完全なる退避を実現した後に、被害のないようにして実験されるように努められたいということを述べられるのが、私は決議の趣旨に沿うゆえんでもあり、実際の日本国民の要望に沿うゆえんでもある。こういう立場から外務大臣が演説をなさつておつたならば、国民は不安のかわりに、非常な拍手をもつて迎えただろうと思うのでありますが、この点に対する大臣とわれわれとの若干の感覚のずれがあるといえばそれまででありますけれども、私どもは少くともそういう面に、ただ単に積極的に協力するというのでなくして、むしろアメリカのそういう事前通告等を要望するという点に、積極的に意思表示がしてほしかつた、こう思うのでありますが、この点に対しては外務大臣はどのようにお考えでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 まず第一には、加藤さんがお述べになりましたような、その決議の原案というものは私も見ました。それから各党でさらに修正した、意見の合つた案が今の成立した案でありますが、これは私の方から申しますと、ただいま修正してできました決議案が、初めからそのままであればまだこれは考えようもありましようが、初めには違う案であつて、たしか原爆実験の国際連合による管理という趣旨がはつきり入つていたと思います。それがあつたのを取除いて被害防止ということにしておるのであるから、その決議成立の経緯から見れば、初めの案が適当でないか、あるいは各党の賛成が得られないのでかえたとしかわれわれは考えられない。従つて国際連合による原爆実験の管理ということは捨てて、原爆実験は認めるが、被害の防止ということをすべきであるというふうにかわられたと、私は成立の経緯から見ればそう思わざるを得ないのであります。従いまして初めにこうあつたからそういう趣旨なのだ、こうおつしやいますが、私はむしろ初めにこうあつたのが取除かれてこうなつたのだから、よほどその意味で被害防止の趣旨というものははつきりしているのだと考えざるを得ないのです。従つて私は先ほど申したような意味のことを申し上げたのであります。  第二点はお言葉を返すようでありますが、これは私は参議院の予算委員会でもしばしば申しておるのでありますが、もしこれは大前提が意見が合わなければそれきりです。大前提として被害防止確保という見地から見て、今一方が実験しているのに他方をとめるのは無理だ、従つて両方とも実験は認めざるを得ないという趣旨でありとすれば、まずアメリカ側が実験することも認める。しかし被害防止は留意しなければならぬ。そこでその場合に双方の実験というものは、おそらく双方ともに相手方の情報を入手しようとして、いろいろ努力しておるであろうということは想像にかたくないのであります。聞くこころによりますれば、アメリカ側としてもソ連の潜水艦が来て退去を強制することのできない地域にいて、その実験の実情を監視するということについては非常に心配しておるように伝え聞きでありますが聞いていることもあるのであります。潜水艦というものが今の状況では、一定の時間以上には海底におられないという制限もありますから、従つて潜水艦によるそればかりではありますまいが、たとえば潜水艦による機密漏洩を防止するという意味からいうと、これは事前に何日に実験をするのだということを発表いたしますれば、これは相当に機密という点からいえば、危険があるということは想像せざるを得ないのであります。従つて私はこの点は加藤さんと御意見が違うでありますが、事前通告ということは要請すべきでない。事前通告ということは、要するに結果においては実験を妨げることにならざるを得ないだろう。従つて事前通告はないれども、その前はアメリカ側としてはけ常時その危険区域については見張つており、これは飛行機もあれば船もあり、レーダーもあるでしようが、もし危険と思わしき場合にはこれに話をして、その危険区域から退避してもらうだけの十分な措置は当然講ずべきである。まだアメリカ側も十分講ずると言つておるのであります。その程度で事前通告ということまでは及ぶのは適当でないと私は考えておるのであります。

上塚司自由党

○上塚委員長 加藤君、外務大臣は十二時に渉外関係で外へ出られることになつております。ほかになお三人ばかり質問者がありますから簡単にお願いします。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 同じ日の新聞に島津日本赤十字社の社長は、この原爆の問題を国際会議に持ち出して、できれば国際条約成案まで持つて行く努力をしたい、こういうことが述べられておるのでありますが、この島津日赤社長の努力に対して外務大臣はどのようにお考えになりますか。  もう一つは、この間の外務委員会において、アメリカの上下両院の合同原子力委員長のコール氏が、日本の漁船があの地域におつたことは、漁業目的以外、すなわちスパイ行為の疑いがあるかもしれない、こういう放言をしたということが新聞に出ておつて、これの実相調査をするように外務省に求めたのでありますが、どのような調査をされたのか、そしてその調査の結果はどうであつたのか、この点をお答え願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 島津日赤社長の申しておるということは新聞に伝えられておりまして、正確にはわかりませんが、これだけで見ますと、趣旨は衆議院の決議の前段と同様のように思います。違うかもしれませんが、この新聞から見た印象はそう思われます。従いましてこれに対しましては決議と同様に私は賛意を表するわけであります。また私の考えでは、政府としてはあの決議の実現について、いろいろ努力いたすのは当然でありますが、政府から離れた独立した日赤等が、日赤という立場からこういうことをやられることは、国としてはこういう方向に世界の輿論を持つて来る上においては適当なことであろうと思います。全部政府を通じてやるというよりは、民間団体とか、あるいは赤十字のような公共団体が努力することもけつこうな話である。その意味では特に政府のやることだからお前ひつ込めと言うことはごうもないので、これはこれで進められてけつつこうだと思います。  それから原子力委員長の話でありますが、これは在米大使館に対して、当時ただちに真相調査をして、またその発言内容等の正確なものを入手して送るように申しております。同時にアメリカ大使館に対しましても、これは真偽は別だけれども、こういうことは、なるほど何をしたか遠くの方からいえばわからない、あるいはスパイであつつたかもわからない。アメリカ側からみればスパイということには非常に敏感ですから、そういうことを遠くから言うということは別にふしぎでないかもしれないが、日本に対しては非常に悪い影響があるということをアメリカ大使館側にも当時口頭ではありますが話しておいたのであります。今日アメリカ大使の発表が新聞に出ておりますが、それなどもおそらくこういう点も考慮しまして、実情をはつきり知らせる、また遺憾の意を表すという点、被害に対する補償をいたしたいという点等もさらにはつきりとアメリカ政府の態度を公にする、こういう意味も含まれておるのではないか、これは想像でありますが、どうもそういうふうにとられるのであります。これはいずれ正式の発言内容等が来ますれば、さらに申し上げたいと思いますが、そういう程度のことをいたしております。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 私はまだたくさんお尋ねしたいこともありますが、一人で時間をとることもいかがかと思いますから、他の点は他日に保留しまして、私の質問は一応これで終ります。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 関連して。時間がありませんので、他の委員に御迷惑ですから、今の問題に関連してちよつと二点だけ大臣にお尋ねしておきます。  第一は、公海自由の原則でありますが、われわれはたとえば国際法の通念上、公海の自由というのは、一国または個人が公海を無制限に使用することができる漁業または航行の自由等でございましようが、無制限に使用することができるというのではなくて、むしろ排他的に使用することができないという裏の意味が強調さるべきだというふうにわれわれは考えますが、この点について外務大臣は、公海自由の原則に対する解釈をどういうふうにお考えになつておられるか、私は今申しました通りに、無制限使用を確認したものではなくて、排他的な使用をしないという意味の方が強調さるべきだというふうに考えるのであります。その点が一点。  第二に、先般のビキニの問題に対する賠償はその後どうなつておりますか、その点もお尋ねいたしておきたいと思います。先ほど加藤委員からもお話がありましたが、なるほど一国の公海におきます原子爆弾実験を禁止する権限もなければ、法律上の根拠もまだないわけですから、一方的にそれをとめるわけには行かない。だから、これに協力するというのは何が悪いのだということですが、実は現在日本とアメリカとの問題につきましては、この間の被害が起きまして、それに対する向うの態度ははなはだしくわれわれにとつては不満な点が随所にございます。のみならず、賠償問題がはつきり解決しておらぬのに、続いて何回もやるというような状態を前にいたしまして、これに協力する、これはさしつかえないと言うことは、政治的には非常に違つた効果を生ずると思うのです。そういう意味でお尋ねいたしておきますが、この間の被害の補償問題はどういうふうに解決をしようとしておられるのか、どういうことになつておるのか、その点、この二点をこの際お尋ねいたしておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 まず公海の自由の原則ですが、これは、実は理論的に言うと多少矛盾のある原則なのです。というのは、どこの国も公海は自由に使い得る、こういうことなのですから、たとえば日本の船が公海は自由だからといつてまつすぐこの道を通つて行く、よその船も同じ道を、公海は自由だからといつて逆の方から来れば一体どうなるかということになるので、これは常識的に見てお互いにぶつからないように避けて公海を自由に使うという趣旨であつて、もちろん排他的に使うのじやないというのでありますが、実は自分の船が通つている航路は、現在のところこれは排他的にならざるを得ないのです。ほかの船が入つて来ればぶつかりますから。従つてそうむずかしいことではなくて、これは常識的に、お互いに公海が自由に使えるように、航路もなるべくぶつからないようにする。漁船についても、人が漁をしているところへあえて入つて来て、公海は自由だからここはおれがやると言つてその上に綱を張つてもよくないので、要するに、そういう意味で公海の自由というものは排他的でない、趣旨はもちろんそうでありますが、しかしある程度排他的になり得る場合が当然あるのであります。そこでアメリカの原爆の実験につきましても、アメリカ側は、特にそこに主権があると言つているわけでもなければ、管轄権があると言つているわけでもない。また排他的に使用するということを主張しているわけでもない。先ほど申したように、日本の船が公海を歩いているとその場所は排他的に使うのであります。そこでアメリカ側が何を言つているのかというと、それは危険な場所を指定して、危険であるということを指示して、なるべくこれに入つてくれるな、もしそれがために漁業者が損失をこうむるならばまた別途相談に乗りましよう、こういう趣旨のことであつて、われわれの方から言つて、漁業以外に、特にほかの商船なり貨物船に影響を及ぼされるようなことがあればまたこれは問題になりましようけれども、ただいまは漁業関係が主でありますから、漁業に対しての必要なる補償ということを述べておるわけであります。われわれとしても公海の自由ということは当然主張すべきであり、またこれは太平洋において主張するのみならず、朝鮮海峡においても、どこにおいても主張しておるわけであります。  それから第二の御質問の賠償の額、これは実は早くきめたいのでありますが、船の買上げ価格というのも最終的にはまだ決定しておらぬ、それから患者たちも、一体今後どのくらいたてばなおるのか、あるいは相当期間不自由であるかというようなことがまだ見当がついておりません。従つて賠償の額というものが算定される段階になつておらないのであります。もつともアメリカ側としては、それはそれとして、さしあたり算定のできる範囲のもの、たとえば家族に対する一月分の補償は幾らであるとか、ただいま入院している患者の一月分の入院料は幾らであるとか、そういう算定できるものについてだけでもとりあえず補償をいたしたいということを申し出ておりますが、これは政府としてはさらに考慮をいたしております。というのは、毎月々々アメリカ側からそういう現金を受領することは国としてどうであろうか、むしろこの際はそういう毎月の費用等は政府で一時立てかえておいて、まとまつて計算ができたときに要求する方が国としては適当ではないか、こういう点もありまして考慮中でありますが、先方は今申した通り、毎月々々算定できたものについてだけでも、とりあえず払つて行くということに異存がないということは申しております。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 一点関連いたしましてお尋ねいたします。先ほど外務大臣のお言葉の中にもありました、アリソン・アメリカ大使の発表になつたというそれに関してであります。せつかく遺憾の意を表せられておるのでありますが、しかしこれに現われております——アイゼンバツド博士、モートン博士などのこれは報告に基いたことであろうと思いますが、これに発表せられました事実は、どうも満足なものでないと私は思うのであります。すなわち、放射能で汚された大気や海水が長時間にわたつて影響があるということを恐怖するのは根拠がない、こう言われますが、次々に被害の船が入つて来る状態、これもどうも事実に反するように思う。あるいはまた、放射能を持つた物質はごく小さな狭い水域以外には運ばれないということも言つておるのでありますが、なかなか狭いどころではなくて、ずいぶん遠方におつた船も被害をこうむつて帰つておる事実に、これは反すると思います。あるいはまた、日本のまぐろ漁業には何ら経済的な障害を与えていないというようなことを言つておりますが。次々にまぐろも廃棄を命ぜられておるような事実に徴して、これも事実に反する判断だと思います。あるいはまた、治療中の漁夫の体内に多量にこの放射能を持つた分子が入つていることは考えられないというようなことも言つておりますが、ただ見舞程度の診察でそういう断言をすることは、科学者としてはなはだ不謹慎だと思われるくらいでありまして、他の方面からは非常に憂慮すべき病状にあるということも聞くのでございます。こういうアリソン・アメリカ大使の発表の事実を根拠として、アメリカ側が被害賠償のことなどに当つて来られるとしますれば、われわれの希望することを通すのに、前途はなはだ困難であると思うのでありますが、政府におかれましては、こういうアリソン・アメリカ大使の発表事実を、なるほどと容認した立場で交渉なさるつもりでありますか、これを否認した立場において交渉なさるおつもりでありますか、御方針を承りたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはアメリカ政府の態度を別に言つているわけでもないし、これは私は弁解するつもりはないし、弁解する必要もないのでありますが、これを公平に見ますと、アイゼンバツドという人は、御承知のようにアメリカにおいてはこういう問題についての第一の権威者であり、また非常に多額の予算を使つて過去何年間かずつと研究しておる人でありますから、世界的に見てオーソリティであると認められている人であります。従つてこういう権威者と認められておる人の言つていることをアリソン大使が引用することは、私は——これに対してまた別の科学者が意見が違えばいろいろ意見を発表するでありましようが、アメリカの大使として、こういう人が公に言つていることを引用することは別におかしくないと思つております。そこで「(「放射能は実験地域のごく周辺以外に海流によつて運ばれていない」との声明の根拠になつているものである)。」こう書いてありますが、これは原子力委員会でもその通り発表いたしておるので、アイゼンバツド氏の研究の結果を原子力委員会が取上げたのじやないかと思いますが、とにかくそういうふうに言つております。それから「日本のまぐろ漁業には何ら商業的な障害がない」ということは、まぐろが悪くなるとか、まぐろを海に捨てなければならぬとかなんとかいうことを私は言つているのじやないと思います。これは、日本のまぐろの輸出がアメリカにおいていろいろ心配されて減るかもしれぬということに対する、「商業的な」というのはそういう意味だろうと思います。要するに商業的に取引するまぐろは障害がないのだという趣旨でむしろ日本の輸出をアメリカにおいて心配しないようにという配慮からやつておるのだと思います。それから「放射能は入院中の患者の体内には問題にするほどは入つていないと推定した。」というのは、初めに「患者を担当している日本側の医師と協力の結果」こう書いてあるので、これは日本側の医師の意見を私は知りませんが、要するにここに書いてあるのは、「日本側の医師と協力の結果」こう書いてあるのであります。それからその他の点については、たとえば五人の尿のサンプルがアメリカに行つて分析されておる。その結果は外務省に報告があるだろう。それから「残り二十一人の細胞の中に入つている放射能が今後障害を及ぼすかもしれないことはある程度見きわめ得ると思う。」どうなるかということは「見きわめ得ると思う。」というのであつて、それから「灰から来た外部の放射能によつて受けた傷は残るが漁夫たちは初めに受けた傷から徐々に回復しつつあるものと私は聞いている。」こういうふうに書いてあるので、どうも特にけしからぬという趣旨もないように思いますが、これをそのまま容認するかどうか、私は学者でもありませんし、医者でもありませんから、日本側の医師の意向も聞いてみなければ、私は正確な判断はできないのであります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 関連して、私は簡単に二、三点だけ大臣に承つておきます。先刻来他の委員からもお話があつたのでありますが、過日衆議院において原子力の国際管理に関する決議案が成立をいたしたのでありますが、この決議案に対して、同じ議員でありましても、政党の相違等によつてかなり考え方が違つておる、かように考えますので私は違つた見地から承ります。時間が非常に制約されておりますから簡単に申し上げますが、この決議案によりますところの原子力の国際管理、平和的利用並びに原子兵器の使用禁止ということは、おそらく人類のだれもが抱いておるところの共通の理想であろうと私は考えます。この限りにおきましてはいかなる政党の人々におきましても同じであると思うのでありますが、悲しいかな現段階においては二つの陣営において原子兵器の保有が認められておるわけです。私たちの考え方によりますと、この原子兵器の使用ということによつて生ずるところの被害はまことにさんたんたる惨禍を人類に与えるものではありますが、今こうして冷たい戦争というものが幸いにして熱い戦争に発展しないで、世界の平和を維持しておるということもまたここに原子力の両陣営におきますところの発達の度合いと申しますか、あるいは原子爆弾の保有量と申しますか、そういうことにおけるところのかなりの懸隔が存在しておること、これがかえつて今日の世界平和を維持しておる、こうも私は考えるわけであります。そういう意味に立つてわれわれは外務大臣の先ほどの演説も読んでおるわけです。私はこの根本的なる原子力並びに原子兵器、これと世界平和との関係というものに対して、かように考えておるものでありますが、政府は一体どういうふうな観点に立つてお考えになつておるか、この基本的なことを簡単でけつこうですからまず承つておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 御説のように私も考えております。従いまして、これは加藤さんにしかられるかもしれませんが、私の述べておるのも「この実験が米国のみならず、われわれもその一員である自由諸国の安全保障にとり必要なことを知つているからである。」こういうふうに述べておりまして、これは少し大胆な言い方かもしれまんせけれども要するに、残念ながら現在におきましては力の上に立つた均衡といいますか、平和の状態でありますので、この均衡が破れるようなことがあつてはいけない。要するに自由主義諸国としてはやむを得ざることであるけれども、一般の軍備も増強すると同時に、こういう恐ろしい兵器に対しても整備を怠らないということが、世界平和を現状において維持する唯一の道であろう、こう考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 ただいまの外務大臣の御答弁から考えますと、今日アメリカにおきます原子力の進歩的発達ということが世界平和を維持しておる、こういう観点から考えますれば、自由主義陣営の一員であります日本のごときも、当然これと協力するということは必然なことであろうと考えるわけであります。ただ問題は、先刻来問題になつておりますように、現段階においてはやむを得ないが、この実験等によつて生ずるところの被害というものを最小限度にとどめなければならぬ、かように考えます。この点につきましては何人も異存のないところであろうと思います。そこで先ほど来私は重大なことを承つておりますが、事前通告等をやると機密漏洩あるいはスパイの暗躍が生じて来る、こういうふうなことで事前通告が困難である、もしかような前提に立ちますなれば、おそらくは第二、第三の福龍丸事件というものが日本において発生する、この地理的な環境から申しまして、最もその被害をこうむるのは日本である。従つてただいまのようなお説から申しますと、必ずこういうことが将来とも繰返されて来る、こういうことになるわけであります。私は大臣のおつしやるように、被害の起つた患者であるとか船であるとか、漁獲に対する損害であるとか、そういうものに対する損害補償ということももとより大事なことではありますが、まあ金の点になればアメリカは金持ちでありますから、そう大して苦痛でないかもわかりません。しかしこれは人道上の立場から、日本においても二十数名の者が犠牲になつた、現地人の二百数十名が犠牲になつた、一概に現地人という言葉によつて片づけておりますけれども、これとてもわれわれと同じような人類の一員である。もしこれが逆にニユーヨークにおいて、ワシントンにおいて二百数十名の者が犠牲になつたとしたならば、おそらくは世界の人道上の重大な問題がここに発生するのではなかろうかと私は考えます。こういう見地から考えて、事前通告ということができないとなりますと、私は非常に不幸なことになると考えるわけであります。そこで私は大臣に承つておきますが、国会の決議がなされたのは四月一日のことでございます。大臣は今のお話によりますと、すぐさま沢田国連大使に対して通告をなさつて、国連の善処方を求められたそうでありますが、その後六日にまた実験が南太平洋において行われておる、その間にはかなりの時間的の差異もあると思うわけでありますが、その時間的な関係は一体どうなつておるのかというような点や事前通告の点につきましては、機密漏洩のこともさることながら、きわめて重大な人道上の問題でありますから私は重ねて大臣の意見を承つておきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 事前通告の点については、先ほど申したようなこともあるし、また実は私は専門家でありませんから、確かかどうか知りませんけれども、気象の関係等がこの実験には非常に影響があるので、この準備にはずいぶんかかりましようが、あらかじめ何月何日どういう気象状況になるかということも言えませんので、その点にも困難があるかと思います。ただアメリカ側が昨年危険区域を発表いたしましたときも、その区域内においては、飛行機、レーダー、船舶等によつて十分に警告を与えて、危険の防止をするということを同時に発表いたしておるのであります。今回非常に広範囲にわたつてその影響がありましたので、危険区域を広げましたが、その際にも、十分なる手続をとるということ、また原子力委員会等では、日本の船があの近所にいたということ、これは区域内にはいなかつたとしても、どうせ飛行機や何かで見るならば、区域のじきそばにいたならばわかるはずではないか、一体ほんとうに十分な措置をとつておつたかどうかということが問題になつておるように聞いております。つまり実験の日は言わないけれども、その中にいる船については、事前に十分なる警告を与えて退避させるなり、その他適当の措置を講ずる、またさらに実験の直前においてはレーダーその他によつてあるいは無線によつてさらに確かめる、こういうような十分なる措置を講ずるということでありますから、私は、その程度でもつて今のところはこれを認めるのが適当であろう、こう思つておるのであります。  それから国連に対する措置の要請というのは、私から申すまでもなく、単に事務総長に通告したから、それで国連がすぐに措置をするというわけではありません。どういうふうに扱うかは、事務総長から国連の理事会なりに相談してきめる問題であろうと思います。従つて今後とも国連に対してはいろいろな働きかけが必要であり、それには日本だけでなく、よその国も同感であれば、これをいざなつてこういう決議の実現に進まなければならぬと思います。従つて通報はいたしましたけれども、これでただちに効力を発生するというものではないことはやむを得ないことであつて、従つて国連としては、公式にはアメリカ側その他の国にこういう決議を受けたということを通報する立場にはないのではないか。これは国連の理事国なりその代表者に知らせ、取扱いをきめ、相談するということがまず第一に行われるのではないか、こう思いますから、この決議を通報したことと、アメリカの実験とは、今のところただちに関連はあり得ないと思つております。

上塚司自由党

○上塚委員長 大橋君に申しますが、もうすでに十五分も十二時を経過したのですが、今日御質問することがまだありますか。

大橋忠一自由党

○大橋(忠)委員 この次にまわしましよう。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 ちよつと一分間だけ……。  国連に対する通告はそうでありますが、事前通告の問題とか、被害を最小限度に食いとめる意味において、アメリカ政府に対して適当な措置をなさつておると思いますが、この点についてはどのような申入れをアメリカに対してなさつておりますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはいろいろ話をいたしました結果が、ただいま申したような結論になつておるのであります。

上塚司自由党

○上塚委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会

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