外務委員会 第31号
- 発言数
- 144 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/04/05
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 国際砂糖協定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。質疑を許します。並木芳雄君。
○並木委員 国際砂糖協定は、輸入国のためというよりも砂糖を輸出する国のために主として重点が置かれてとりきめをされておるように読みましたけれども、その通りと了解してよろしゆうございますか。
○下田政府委員 その点につきましては、ただいま経済局長がすぐ参りますので、詳しく御説明申し上げると存じますが、仰せのように、輸出国の利益擁護という点が強いことは確かであります。しかしながら、しからば日本のような輸入国が加入しないとどういうことになるかと申しますと、おもな輸出国があたかも国際カルテルのようなものをつくりまして、もつぱら輸出国の利益のために国際的な仕組みをつくつてしまう。そうなりますと、日本は——特に日本みたいに砂糖をもつぱら輸入に仰ぐという国もこれまた特異な例でありまして、ドイツ、フランス等ヨーロツパ諸国を初め、たいがい自分の国でもてん菜糖をつくつておるのだけれども、それでは足りないので輸入するという国が大部分の輸入国であります。日本のような輸入一点張りの国もまた少うございますから、そういう日本のような国から見ますと、国際カルテルを輸出国でつくられた日には、これはまたたまつたものではない。それよりもむしろ加入して、その機構の中で相当の発言権を持つてこれを監視する、そうして輸入国側の利益を主張するということがどうしても必要だと認めまして、仰せのように輸出国の利益をかなり重くは見ておりますが、なおかつ輸入国としてもこれに加入する実益ありと認めておるような次第であります。
○並木委員 輸入国としての権利を主張し、その利益を確保するということでございましたが、具体的にはどういう権利があつて、どういう利益がもたらされますか。
○小田部政府委員 この協定によりまして——この協定は、何と申してよろしいかわかりませんが、権利義務という観念がほかの協定に比して非常に少いものでございます。たとえば小麦協定によりますと、ある一定の額を買わなければならぬというような義務がございますが、この協定にはそんなことはないのでございます。この協定によつて輸入国がどれだけ利益を受けるかといいますと、これは砂糖が豊作でない、凶作のときには、この協定に入つている契約国たる輸入国は、協定に入つている輸出国より輸入をする上においてプライオリテイを与えられるというような、輸入国としての利益でございます。それからまたこれは協定自体からは出て来ませんが、この協定が動くためにどれだけの利益があるかといいますと、砂糖の値段がニユーヨーク市場における一ポンドにつき三・二五から四コンマ幾らという中でもつて一定の限度以上には上らない。もしそれ以上に砂糖の値段が上る場合には、新しく輸出市場に砂糖が出て来るということで砂糖の値段が法外な上り方をしないということでございます。そして日本がこれに入つてどれだけの利益があるかといいますと、これは非常に間接的な利益でございますが、この砂糖協定のときには、日本は投票数が相当多うございまして、この協定当時は日本の投票数は百でございましたけれども、その後いろいろな国が入らなくなつたために二百四十五票の投票数がございます。二百四十五票の投票数と申しますと、英米並でありまして、これだけの投票数がありますれば、砂糖協定の理事会においていろいろな問題があつたときに、相当の発言権を持つて——日本としても国際会議でその他の国にも恩を売るというような協定はこのくらいものでございます。それによつてほかで利益を得ようということが考えられます。それに対して輸入国側の義務というと、つまり日本でございますが、日本の義務は何かといいますと、非締約国、つまりこの協定に入つていない国からある一定の年次のものより以上の、これは一九五一年、五二年、五三年が原則としてとつてありますが、それ以上の砂糖を輸入しないというそれだけの義務でございます。それともう一つは、この理事会に対しまして必要な統計とか書類を出すこと、それからあとは分担金でございます。これ以外には日本としての義務というものはないわけでございます。
○並木委員 非加盟国から砂糖を買わないという一つの義務が出て来ると、日本が東南アジアとの貿易を推進して行く上において、どこかの国と不都合が出るようなことはございませんか。これは砂糖の輸入計画ともからんで来ると思うのです。昭和二十九年度の輸入計画、どこの国からどの数量を輸入するかということとともに御説明願いたいと思います。
○小田部政府委員 日本はことしの砂糖輸入計画は大体八十万トンでございます。これをどの国から輸人するということは、必ずしもきまつておるわけではございませんけれども、大体の予定といたしておる国は、もちろんキユーバ、それから台湾、インドネシアその他の国でございます。そうしてそれらの国が多い国でございます。この中でキユーバはもちろん協定国ですから問題ございません。それから台湾も協定国でございますから、台湾についても問題ございません。ただ問題のありますのはインドネシアでございます。インドネシアに関しましては、日本は特に利害関係があるというわけでございまして、最近インドネシアの砂糖の状況は、必ずしも産出高が多くはございません。それから日本も去年インドネシアから輸入しました額はそう多くありません。しかし将来多くなる可能性があるというわけで、特に戦前の統計を主張しまして十五万トンを予定しております。そうしますと、去年度においてインドネシアから日本が輸入しました額は、多分一万何千トンでございまして、ごく少い量でございます。十五万トン確保してあればインドネシアとの間は問題ないということで、東南アジアとの関係もインドネシアを除いては問題ございませんので、大体問題がなかろう、こういうことになつております。
○並木委員 そうすると二十九年度、つまり今年度においては十五万トンをインドネシアから買うということは、インドネシアが非加盟国であつても、この協定からは障害が起らない、こういうことに了解できますか。
○小田部政府委員 これはこの協定には入つておりませんが、第一回の理事会におきまして、日本は本年度以降、来年度もそうでございますが、十五万トンは買えるという保証を得て、それは理事会のミニツトの中に入つております。この点は問題ございません。日本は去年度多分インドネシアから輸入しましたのが一万数千トンでございますから、実際問題としてとても十五万トンになることはございません。
○並木委員 そうすると、去年の実績と本年度の内容、キユーバ糖何十万トン、台湾何トン、インドネシア——今十五万トンということですが、その数字をほしいと思います。
○小田部政府委員 日本は去年は特に砂糖の輸入が多うございまして、百五万トン輸入しております。それを大体申しますと、キユーバが一番多うございまして、ラウンド・ナンバーで申しますと、精糖と粗糖を合してでございますが、約五十万トン輸入しております。それからペルーから約九万トン、台湾から三十二万トンを輸入しております。それからインドネシアは関税統計で申しますと八千トンでございます。実は輸入商人で申しますと一万数千トンになりますが、八千トンばかり輸入しております。それからブラジルから五万トン輸入しております。その他六万トンで、合計しまして大体百五万トン去年は輸入しております。それがことしの輸入計画ですと、まだはつきりわかつておりませんが大体八十万トンでございまして、キユーバからは三十万ないし三十五万トン、台湾から三十万ないし三十五万トン、インドネシアからは、インドネシアの生産量に見合せましてせいぜい五万トンくらい、その他五万トンくらい、まあ大体そういう計算をしております。
○並木委員 この国際砂糖協定を見ますと、ソ連が珍しく人つております。ソ連は砂糖の輸出国でありますが、日本としては対ソ連貿易というものを、砂糖の点に糸口を求めてやるというようなことは考えられませんか、対ソ貿易一般問題と、ソ連の輸出砂糖との関係について伺います。
○小田部政府委員 これはできないことはないだろうと思います。ただソ連の統計を見てみますと、これはあまり最近の統計がソ連に関してはございませんが、ソ連の輸出は四十万トンが一九五一年でございます。五二年度、五十三年度の統計は見当りませんが、大体四十万トンでございます。その輸出先を見ますとアフガニスタン、イラン、オランダ、トルコとかその他に入つておりますが、もしこれで余剰がありますれば、もちろんソ連から買いまして糸口を見つけることもいいだろうと思いますが、しかしおそらく四十万トンぐらいの輸出量では、日本との間で商売の糸口を見つけるほどの量を日本が輸入するということは、困難じやなかろうかと思つております。
○並木委員 政府としてはできればソ連貿易というものを、何かの糸口を探してやつて行こう、こういう計画はございますか。
○小田部政府委員 ソ連貿易は御承知の通りある一定のわくはございますが、しかし現在のところ、英国でもフランスでも東西貿易はひとつもう少し緩和しようじやないか、アメリカでも言つておりますが、緩和しようじやないかという空気がございます。それでございますから、日本としましても、ソ連貿易というものは大いに平和物資に関しては伸長しなければならぬという考えは持つておりまして、たとえば去年度は船の修理だとかそのようなことをしておりますし、現在着々と、たとえば樺太材と日本の物とかいうようなものを相当やる覚悟でおります。またやりつつございます。
○並木委員 この協定が主として輸出国のためにつくられておるという先ほどの条約局長の答弁でございましたが、そういたしますと、日本の国内の砂糖消費を規正するために国内で統制をするというようなことは協定違反になつて参りますか。先般農林大臣なども砂糖が非常に値上りをしたために、この統制配給計画などを考えたことがあるのですが、そういうことは今後この協定に加入しますと、できなくなるものかどうか。
○小田部政府委員 この点は協定締結の当時も非常に問題でございまして、日本としてはそういう点でもつて不相応に縛られたくはないという気持を持つておりまして、その結果第五条というものは非常にやわらかな規定になりまして、第五条をごらんになりますと、「不相応な負担を軽減するため適当と認める措置」ということでございまして、不相応か不相応でないかということでございます。それからもう一つは、この協定の締結当時におきまして、わが代表からこれは法律的義務を課しておるのではない、一種の道徳的義務、道徳的な意味を持つているものだ、こういうような商品協定というのには相当道徳的な規正というものがございまして、つまりこれがリジツトな、非常に厳格な法律規定だと、日本としては困るのだということを申しましたところが、そうではないのだということを言いまして、それはちやんと締結当時のミニツトの中にもはつきり入つております。でございますから日本がたとえば政府が一手で買取りをやるとか、いろいろな砂糖の切符を出して配給統制をするとか、そういうことをやりましてもこの協定違反ではない、ことに最後にきまつた案でございますと、第五条の認定は各締約国政府がやるということになつておりますが、オリジナル・プランの方では、理事会がある程度ある国がとつておる政策がこの協定に違反しておるかどうかということを判定する権利があつたわけですが、これが各締約国政府にとりましては非常に困るので、ただ非常に不必要なることをやらないというだけの道徳的義務になつておりますから、その点は御心配ないと思います。
○並木委員 輸出を促進して行くためには、どうしても輸入国の購買力というものを旺盛にして行かなければならないと思うのです。その点においては日本の外貨については本年度は特にきゆうくつになつて来るのですが、日本が砂糖輸入を確保するため、つまり輸出国から見れば、砂糖輸出を確保するために、日本が外貨が欠乏して来たという場合に、何らかの方法でそれを救済する便宜というものは与えられないものかどうか、こういう点であります。
○小田部政府委員 日本が砂糖を輸入する上につきまして、ほんとうに外貨を使うのはキューバでございます。と申しますのは、台湾との間にはいわゆるオープン・アカウントと申します協定がございますし、インドネシアの場合もオープン・アカウントの協定がございまして、インドネシアの場合はむしろ日本からもつと砂糖を買わなければ、かえつて日本の出超になり過ぎるという状態でございます。ブラジルとの間にもオープン・アカウントの協定がございます。ですから問題は外貨の点からいいますとキユーバだけということになるわけでございます。ところが第二十五条に規定がございまして、日本は絶対にキユーバから買わない、その他の国から買うということが起つたと仮定するわけです。そうすると台湾は協定国ですから、台湾からいくら買いまして、もかまわないわけです。インドネシアの場合は協定国ではございませんから、ある一定の限度の制限はある。十五万トンとかあるいは二十万トンとかいう制限はあるわけです。それ以上日本が買おうとする場合は、そうしてキユーバから少しも買わないというような場合は、第二十五条の規定がございまして、通貨が窮乏して、どうしてもドルがなくなつてひとつも買えないのだというようなことがございますれば、この規定を利用しまして日本はキユーバから買わないということもできるというふうに考えております。
○並木委員 そうすると外貨の融資という点では道は開かれておりませんか。たとえば日本がキユーバから買いたいのだが外貨がないという場合に、ワールド・バンクとかいうところから特に融資をしてもらいたいというような道が何かないと、日本としては困る場合があるわけなのです。
○小田部政府委員 これには、クレジツトとか、世界銀行にアプライして借りるというようなことはうたつてございません。ただ日本といたしましては、外貨がなくなつてどうしても買えないというようなことになるといけませんので、たとえばキユーバとの間におきましては、これは現在キユーバとの間に、ある交渉をしよう。御承知の通り、キユーバとの間は、非常に砂糖を買いますので、日本の一方的な入超になつておる。それを防ぐために、オープン・アカウントまで行かなくても、ある一定の限度の砂糖は買うが、そのかわり一定のものは買つてもらいたい。ことにキユーバにはわが国が最恵国待遇を与えてございませんので、そういう交渉をしようという腹づもりではおります。そういうわけで、この砂糖協定自体では解決がつかないと思いますが、その他の方法でもつてそういう点は解決しようと考えております。
○並木委員 輸送船舶については何か制限が出て参りますか。つまり加盟国の船を優先的に使うとか、あるいは全部自国船を使つてよろしいとか、いろいろあると思いますけれども、その点はありますか。
○小田部政府委員 その点について何らの規定もございません。ですから自由でございます。
○並木委員 本年度の世界の砂糖生産見込み、需給見通しというものは立つておると思いますが、それを承つておきます。
○小田部政府委員 本年度はむしろ非常に豊作だというような見込みが立つております。数で申し上げますと、一九五二年度の世界の砂糖の生産高は三千五百万トンでございます。これはラウンド・ナンバーでございます。それから一九五三年度、つまり去年度でございますが、これも約三千五百万トンございます。今年はどうなつているかと申しますと、キユーバは、今年はある程度生産制限をするというのでございますから、それほどたくさんはできない。毎年通りだと思います。ところが、フイリピンなども今年は一割か二割程度は増産でございます。それから米国内もある程度豊作が見込まれておる。それから西欧も幾分豊作が見込まれておる。それからペルー、もちろんインドネシアも少しずつ豊作が見込まれておりますので、本年度においては去年度よりも幾分豊作ではないかと思われます。 砂糖の消費量に関しましては、大体生産しただけの消費量を続けております。やはり砂糖の消費量は世界的に見ますと、三千五百万トン程度ということになつております。大体各国が一定のストツクを持つ以外は、残りは従来は大体のところ消費されておるわけでございます。
○並木委員 今年度の見込みのラウンド・ナンバーをちよつと聞き落しましたので、それがほしいのと、それからたとえばフイリピンの話が出ましたけれども、フイリピンは賠償問題なんかとも関係して、今後大いに砂糖を持つて来ていいのじやないですか、その計画はどうなつていますか。
○小田部政府委員 賠償問題との関連から言われますと、この点非常にお答えしにくいのでありますが、問題として今のフイリピンと日本の貿易を考えてみますと、非常に日本の入超でございます。フイリピンと日本との間にオープン・アカウントの協定がございますが、わが方は、今数は覚えておりませんが、毎年相当額の金をフイリピンにドルで払つておるわけでございます。その率は今はつきり覚えておりませんけれども、十対一近くのわが国の入超なのでございます。この傾向は、純貿易的に見ますと、非常におもしろくない傾向でございまして、むしろフイリピンから日本が砂糖を買うとか何を買うよりも、日本としては、もう少し日本のものを買つてもらいたいという気持があるわけでございます。他方フイリピン内のことを考えてみますと、アメリカとフイリピンとの間に協定がございまして、フイリピンの砂糖は大体アメリカがほとんど全部輸出し得るものを買うということになつております。その買う値段も、普通の自由市場の相場よりも四割か五割増しくらいの高い値段でアメリカが買うことになつているわけであります。ですから、フイリピンから日本が砂糖を買うというようなことは、現在の情勢ではおそらくあまり考えられないのではないか、こう思われます。 それから本年度のラウンド・ナンバーはどこにも統計が出てないのでございますが、そういうふうな量を足して行きますと、私の考えでは、どうしても三千五百万トンを越す、あるいは三千五百五十万トン、多くて三千六百万トンということになるのではないかと考えます。
○上塚委員長 福田篤泰君。
○福田(篤)委員 この協定について二、三お伺いしてみたいと思います。今御答弁にもありました通り、国際商品としての砂糖の今後の需給関係から見て、一応増産を見込まれることは常識でございます。これはこの前の小麦の国際協定の場合にも問題になり、またMSAの余剰農産物についても、これに関して各委員から御質問があつた。御承知の通り、日本自体が輸入国で、輸入して物を買う以上は、なるべく安いところから値段をたたいて買うのが、一番得であることは常識でございますが、この協定によつてむしろ人為的に砂糖の価格がつり上げられる心配がないかどうか。むしろこれは協定に入らないで、自由の立場で、増産を見込まれる砂糖市場に対して、買手としての立場で、安く買つた方が得ではないかという意見もあるわけでございますが、これについての政府の御意見を承りたい。
○小田部政府委員 もしこの協定が発効しないということを考えてみますれば、あるいはそういうことも考えられるのではないか。この協定は下田条約局長から御説明したと思いますが、生産国の間に一種の輸出カルテルをつくろうというけはいがある。この輸出カルテルの中に輸入国たる、ことに多量の砂糖を輸入する日本が発言権を持つて入らなければ、砂糖の輸出カルテルが輸出国だけの間にできはしないか。この点について日本の輸入国としての立場を述べたいというのが、この協定に入る一つの目的でございます。 それからもし日本がこの協定に入らなければ、どういうふうな利益があるかと申しますと、日本が入らないことによつて、この協定が発効しないというのでありますれば、それは輸出カルテル的な意味の協定ができないという利益はあるかもしれませんが、現在までの批准とか批准通告を見ておりますと、大体において輸出国は八四%までしておる。この協定の発効要件は輸出国については七五%でございますから、発効する要件を備えております。それから輸入国については日本を含み七〇%まで批准または批准通告しております。日本が入らずとも六〇%が批准または批准通告しているわけです。ところが六〇%までの批准があれば発効することになつております。日本が入れば七〇%でございますし、日本を除きましても、六〇%が批准すればこの協定は発効するということが、大体推定されるわけでございます。もちろん将来になりまして、批准の努力をすると言つた国で、批准しない国があるかもしれませんが、その場合においては、あるいはこの予想は狂うかもしれませんが、現在のところはそういうわけでございます。そしうしますと、日本がたといこの協定に入ろうと入るまいとこの協定自体は発効するということになるのであります。もし発効になりますれば、この協定は輸出国の一種のカルテルでございますから、このカルテル内でいろいろな決議がなされる。ことに日本を除いたその他の国におきまして、英国のごときは相当の票数を持つておりますが、英連邦内自体が相当の砂糖の輸出国でございますから、あまり砂糖の値段の安くなるのを好まない。それからアメリカは御存じの通り、キユーバとかフイリピンの砂糖を高く買つているわけでございますが、その国に対する一種の補助政策をとつているという国でありますから、そういう国が相当多数を示めておるので、その輸出カルテルをほつておきますと、あるいは不当に砂糖の値段が高くつり上げられるおそれがあるのではないか、むしろ日本がこれに入ることによつて、日本の立場を相当主張できるのではないか、そういうことでございます。それからもう一つ、この協定は、小麦協定のように——小麦協定は、一定の量を毎年小麦協定の締約国から買わなければならぬのですが、これにはその義務もない、そして非締約国に対する日本のある程度の義務が生じて来るが、これも何とかできる、あとは分担金の問題というわけでございますから、差引プラス・マイナスしてみると、むしろ入つた方がいいのではないか、こういう結論に到達したわけであります。
○福田(篤)委員 今アメリカや英連邦の話が出ましたが、この協定の英、米、仏、それからキユーバ、インドネシア、台湾、これらの諸国はわれわれの国と、ことに砂糖等についても経済関係が非常に緊密でありますが、将来この協定に入る見通しがあるのかどうか。こういういわゆるブロツク的な経済の力を持つた国がこの協定の範囲外にあつて、日本がこの協定に入つて、利益はありますが、一定の制約を受けるというのは大きな問題であると思うのでありますが、これらの主要各国、並びに東南アジア各国のこの協定に参加の見通しについてお伺いいたしたいと思います。
○小田部政府委員 今申されましたうちの英国についてはすでに批准をしておりますので、この国は問題ございません。それからアメリカに関しましては、現在のところアメリカの議会にかかつております。そして御承知の通り、ランドール委員会におきましては、こういう商品協定というものはかえつて自由市場の値段を上げて、アメリカの補助金を増すということで、商品協定を好まないということが書いてありますが、その後その意味は、小麦協定と砂糖協定を除くのだということが、アメリカと電報を往復しました結果、明らかにわかりました。小麦協定からアメリカは脱退する気持もなければ、また砂糖協定についても、現在のところ議会に対して批准の手続をとつております。でございますから、おそらくアメリカに関しても、これは批准されるのだろうと思います。それから台湾に関しましては、すでに批准を終つております。ただ問題なのは、インドネシアがおそらくこの協定に入ることはないのじやないかと思われる次第であります。インドネシアに関しましては、たといこの協定に入らなくても、日本はインドネシアから十五万トン——十五万トンと申しますと、現在のインドネシアの輸出量もしくは生産量から比べれば、相当先にならなければ達成できないものですが、そういうものを買うことができることになつております。そういうわけで、あと東南アジア諸国と申しますと、フイリピンだけでございますが、フイリピンはすでに批准を通告しておるので、おそらく砂糖の輸出国としてこの協定に加入するだろうと思われます。としますと、この国がこの協定に入らなければ日本が最も困るという国は、インドネシアはもうすでにあれですから、アメリカでございます。そうしますと、アメリカは今議会にかかつておりますので、はたして批准するか、批准しないかわかりませんが、現在来ました公電を推測するに、おそらく批准するのではないかと思われる次第であります。そうしますと、日本の相手国は大体のところこの協定に入るのではないかと思われる次第であります。
○福田(篤)委員 われわれと経済関係の深い国は大体入るというお見通しの御答弁でございますが、日本がもしこれを批准をして参加ときまつた場合に、もちろんわれわれとしては、その発言権をいかに確保するかということが重大な問題と思いますが、一体日本が参加しまして、理事会または執行委員会のメンバーとなる資格があるのかどうか。私は当然輸入国の大手筋として、ならなければならぬし、また要求する資格があると思いますが、この点に関して伺いたいと思います。
○小田部政府委員 理事会というのは、各締約国全部からなつておりますから、日本も当然でございますが、理事会が任命するものに執行委員会というのがございます。そして実はまだ砂糖の協定は理論的には発効しないのでございますが、去年の十二月十八日と十九日にこの理事会が開かれたのであります。開かれまして、議長及び副議長の選出とか、暫定予算額の決定とか、日本がインドネシア、ペルーから買う量の決定、どのくらい買つていいという許可をしたあとで、投票権の数も、日本は百票であつたものが、二百四十五票にふやしまして、その次に執行委員会の選出をしたわけであります。その執行委員会の選出の中の輸人国の執行委員国としては、米、英、それからポルトガル、ドイツと日本でございます。この二百四十五票という票数は非常に多いのでございまして、英、米が二百四十五票であります。それからこの条約によりますれば、二百四十五票以上の要数を一国に与えてはいけないということになつておりますから、日本としてはほとんどマキシマムの票数となつております。これだけの票を持つていれば、相当な発言もできるし、相当活躍ができるのではないかと思つておるのであります。
○福田(篤)委員 大体発言権も確保される見通しを伺つて、一応安心をしたのでありますが、この協定をどうして急ぐ必要があるのでしようか。これについて根拠があればもつとはつきりお伺いしたいと思います。
○小田部政府委員 この協定は、実は十二月十五日までに批准するという一応の建前になつているわけでございます。ただ十二月十五日までに批准できない場合は、次の四箇月間に批准することになつております。そういたしますと、四月十五日までに一応批准を終りまして、通報いたしまして、五月一日までに批准書を寄託するということになつております。そして寄託しませんと、この協定に全然入れないということで、一応外になるわけでございます。現在日本の地位は、どういう位置であるかといいますと、条約上は一応オブザーヴアーの資格でございますが、それにもかかわらず、日本は相当発言しておりますし、それから執行委員国の一員にも選ばれているわけでございます。もし四月十五日までに通告しないで、五月一日までに批准書を寄託しなければ、日本は全然外になりますし、それから入ろうといたします場合には、たとえば投票の数においても、はたして二百四十五もらえるかどうか疑問であるし、それから非締約国から買う量、インドネシア、ペルーから買う量もまた新しく決議をしなければならぬし、理事会の決定をまたなければならぬ、ですから、執行委員国になれるだろうとは思いますが、また新しくそれの選挙運動もしなければならぬというわけで、何でもかんでも全部新しくしなければならぬ、しかも砂糖協定自体が、もし日本がいなくても理論上は発効し得ることになつておりますから、発効した場合におきましては、日本としては相当損が行くのじやないか、そういうふうな関係で急いでいるわけであります。
○福田(篤)委員 農林省に伺います。が、これはこの委員会で余剰農産物のMSA協定に関連した問題でも、また小麦協定の場合でも問題になつており、私は各党派を越えて同感ですが、日本は外貨の非常に少い貧乏国にもかかわらず、どうも食糧だとか、こういう国際商品を相当気軽にといつては失礼ですが、輸入する。必要なものだけ入れればいいじやないかと思うが、これもまた必要があるのたというような建前をとつていることにわれわれは不満を持つております。たとえば小麦の輸入につきましても、これを相当強くするには、どうしても国内の増産、自給態勢が前提条件です。砂糖も同じことだと思うのでありまして、農林省の方において、国内の砂糖増産について、どういう見通しを持つているか、またどういう方法を講ぜられているか、増産奨励についての力の入れ方が足りないのじやないか。自給度を高めることによつて、外貨も節約できるし、また輸入国としての立場も強化されるから、農村振興の建前から行つて、農林省としては一体国内の砂糖増産に対してどういう対策を実行されているか、また将来どういう見通しを持つておられるか、具体的にお伺いしたい。
○東辻説明員 御承知のように、砂糖につきましては大体年間百万トン程度の需要があるわけであります。現在の国内の自給率は北海道のてん菜糖が約四万トン程度、それからそのほか高知、鹿児島等におきますいわゆる上産の黒糖でございますが、これがせいぜい一万五千ないし二万トン程度で、確実なところ大体五万トンあるいは若干それを上まわる程度しか自給できないわけでございます。それでお話の通り農林省といたしましても、北海道のてん菜糖につきましては昭和二十六年だつたかと思いますが、そのころからてん菜の増産五箇年計画というものを立てまして、北海道庁と協力いたしまして、これが増産をはかつておるところでございます。このてん菜の増産の目標といたしましては、砂糖の自給度をできるだけ上げるという目標もありますが、一面におきまして寒冷地帯におきますいわゆる土壌の改良、あるいは保全といつたような面からいたしまして、てん菜が非常に寒冷地における農業経営を合理化させるに役立つという見地からいたしまして、昭和二十七年度からはてん菜生産振興臨時措置法という法律を施行いたしまして、そしてこれの計画を順調に進める態勢として、政府がこのできましたてん菜糖を申込みによつて買い上げるという措置を講じているわけでございます。買い上げる数量といたしましては、大体輸入糖に比べまして生産費が高くかかりますので、その生産を維持させるという目標から買つておるわけでございまして、年々その数字はふえて参りまして、ことしあたり大体四万トン程度の収買をすでに終つております。一方国内のそのほかの地方におきましては、積極的にはまだ具体的な措置は講じておりませんが、今の御指摘の通り、外貨の節約あるいは国内における自給面の向上といつたよりな点からいたしまして、今後ともそういつたような措置を十分講じて参りたい、かように考えておる次第でございます。
○上塚委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 私は最初に農林省の方がお見えですからお伺いいたしますが、日本国内のお砂糖の需要が大体百万トンくらいだ、先ほどの小田部政府委員の御説明によると、今年度の輸入計画が八十万トンだ、そうしますとその間どうしても、日本の国内でてん菜等からとるにいたしましても、足りないと思うので、あるいはお砂糖の値上りというようなことになつて現われて来ないかと思いますが、そういうことに対してどういうお見通しを持つておられますか。
○東辻説明員 砂糖の需要量の算定は非常に困難でございまして、先ほど私が百万トンの需要と申し上げましたのも、戦前におきますわが国の消費の統計その他から見まして、大体百万トン程度の需要があるのじやないかということで申し上げたわけでございますが、お話の通り、国内におきまして非常に自給率が低いものでございますから、輸入量をできるだけ確保する、そしてできるだけ国民の食生活に不安のないようにやつて参りたいということは、通産省、外務省あたりとも、私どもかねがね十分連絡をとつて研究いたしておるわけでございます。最近糖価が若干上りました点等の理由といたしましては、やはり輸入が思うように入つて来なかつた、と申しますのは、外貨の事情その他輸入計画の事情等によりまして、計画的に輸入ができていないというような事情からいたしまして変動いたしておりますが、今後国民の食生活に深い関係もございますので、外貨の事情あるいは国際収支の面からいいまして、ある一定の目標というものが定まりましてからは、できるだけ計画的な輸入を行いまして、糖価の安定を期して参りたい、かように考えておる次第でございます。
○戸叶委員 そうすると今のお見通しでは、これ以上上らないという見通しを持つていらつしやるわけですか。
○東辻説明員 大体昨年の暮れくらいから非常に在庫が減りまして、それからこの四月以降の外貨が——砂糖は一面必需物資ではございますが、また他面消費量をどの程度に規正していいかという面について非常に技術的な算定もむずかしい、場合によつてはある程度奢侈的な消費があるのじやないかというような批判もあるくらいでございまして、なかなかその消費を抑えるのは困難でございますが、大体この四月以降の外貨が非常に削減されるのじやないかといつたような思惑的な要素が一方にありましたのと、それから一月から三月までの輸入計画が順調に実施されなかつたといつたような点からいたしまして、この一月あるいは二月くらいにかけまして値上りをいたしたわけでございますが、最近は来年度の輸入計画もほぼ外貨の予算上立ちましたし、また台湾その他との交渉もうまく行つておるよりでございますので、そう大きな変動なしに行けるのじやないか、また私どもといたしましては、できるだけそういう変動のないような形で輸入をいたしたいということで、目下通産省や大蔵省方面とも交渉をいたしておるところでございます。
○戸叶委員 外務省の方にお伺いしたいのですが、生産国でこの協定に人つて何か不利な点がないでしようか。と申しますのは、インドネシアなどが入らないというからには、何か不利な点があるから入らないのじやないかと思いますので、その点についてお伺いします。
○小田部政府委員 インドネシアとペルーがこの協定に入らなかつた理由は、実は輸出クオータをたくさんとるかとらないかという問題であつたわけです。そしてインドネシアはクオータを五十万トン主張しまして、ペルーは三十六万トン主張したわけでございます。ところがそのときのイノドネシアの去年度の生産量を見てみますと、四十六万トンでございまして、現実に輸出しておる高は、日本を含めまして十五万トンでございます。それでございますから、もちろんことしはインドネシアの生産量はあるいは上るかもしれませんが、とにかく四十六万トンしか生産していないのにもかかわらず、五十万トンのクオータを要求するというのは、幾ら生産の上るということを予想しても、多過ぎるのじやなかろうか、その他の国を見てみますと、大体現在輸出しておる高と同じくらいか、またはそれを下まわる額をクオータとして要求しておるのに、インドネシアがこれだけの額を要求しておるのは多いのじやないかというので、結局インドネシアに対しては二十五万トンの輸出クオータということにきまつたのでございします。それに対してインドネシアは不服を申したわけでございます。それからペルーも三十六万トンの輸出クオータを主張したわけでございます。そしてペルーの一九五三年つまり去年度の生産量を見ますと、五十八万トン以上でございまして、輸出量は三十六万トンでございますから、これは大体去年度の輸出実績をそのまま用いたかつたわけでございます。ところが今申し上げました通り、各国ともある程度輸出を調整しようじやないかというときに、こういうふうな話があつたので、結局ペルーのクオータは二十八万トンになつたわけであります。それに不満だというわけで、この協定に人らなかつた。それで生産国として見まして、この協定によつてどういう利益があるかと申しますと、御承知の通り、砂糖というものは大体戦争でもない限りは非常に豊作の傾向があるわけでございます。それから近年度の生産高を見ましても、大体生産高は順調に伸びておるということでございます。そういたしますと、いつ砂糖の暴落が起るかもしれないということなのでございます。もちろんキユーバ——これは一番砂糖の生産国であります。このキユーバなどに関しましては、約半分はアメリカに保証されておりますけれども、残り半分というものはどう暴落するかわからない。一応この協定に入りますならば、ある一定の安定価格内で安定する可能性があると考えまして、結局その方が得じやないかということで、生産国はむしろ非常に多く興味を持つてこの協定に参加しておるわけでございます。
○戸叶委員 この協定の二十条で最高価格と最低価格が決定されているようでございますが、今度の場合に日本は大体どのくらいで輸入することになるのですか。
○小田部政府委員 二十条にきめてある最低と最高価格は、小麦協定の最低、最高価格とは異なりまして、最低価格より下れば理事会で話をして輸出クオータを減らす、最高価格より上れば輸出クオータを減らすという一定の基準でありまして、日本がこの協定に入りましても、日本としては現在の砂糖相場で買つていいわけでございます。現在の砂糖相場を見ますと、大体一ポンド当り——これは三月二十二日の相場をとつてみますと、三・二五セントでありまして、今は最低でございます。それでわが国としてはもちろんこの最低で買つていいわけでございます。
○戸叶委員 三・二五セントですね。
○小田部政府委員 一ポンド当り三・二五セントでございますから、現在のところ大体最低でございます。
○戸叶委員 これは大体この価格が、ニユーヨーク・コーヒー砂糖取引所できまる現物相場等でもつてその価格に影響があるようですけれども、二十八年のニユーヨーク砂糖協定相場で十月、十一月には最低の三・二五セントを割つて、三・〇八セントあるいは三・〇五セントになつておるようでございますけれども、そういう場合に三・二五セントの最低で縛られるということは、日本にとつて非常に不利ではないいかと思いますが、その点はいかがでしようか。
○小田部政府委員 日本にとつては三・二五セントで縛られるのではありませんので、その三・〇八セントなり一四なりの数で買えるわけでございます。ただしかしこういう状況が続きました場合においては、理事会が一定の措置をとるというのが二十一条に書いてありまして、その場合においては輸出クオータはあるいは削減する、あるいは砂糖の毎日の平均現場相場が連続十五日の取引期間において平均して下まわつておるときには、オートマテイカリイに削減する、そういうことでございますから、そういうことから考えてみますと、安くなつておるから日本としては安く買つておるのを、この協定ができたために、三・二五セント以下に下つた場合に理事会が適当な措置をとつて三・二五セントにすると、少くとも損はいたします。その点は確かに損はあります。この協定ができないというのでありますればあるいはそういう点はあるかもしれませんが、日本が入らなくてもこの協定自体ができれば、三・二五セントを下まわつたときにおいては、理事会は適当な措置をとつて三・二五セントまで上げる。上れば日本はその価格で買わなければならぬのでありますから、結局日本としてはこの協定ができれば協定に入つても入らなくても同じであります。そこで協定に入る利益は何かと申しますと、そういうふうな輸出カルテルができるのに、輸入国としての日本も大いに発言権を持つて発言しようというところに目的があるのでございます。
○戸叶委員 この協定の二十四条に「砂糖混合物」とありますが、これはどういうものをさしておるのでしようか
○小田部政府委員 この協定で一応砂糖と申しますのは、協定の第二条の(3)に「「砂糖」とは甘しよ又はてん菜から得た明らかな商品形態をした砂糖」云云ということが書いてあります。こういうものを砂糖といつておるのでございまして、そうでないものをいつておるわけです。ですから沖繩から日本が輸人しております黒糖のごときはこの協定による砂糖ではない、いわゆる純良の九十六糖度より低いものをさしておるのであります。
○戸叶委員 日本の国が負うべき分担金は大体どのくらいでございますか。
○小田部政府委員 これはこの協定の全体の費用が大体四万ポンドとされておるわけです。それで日本がまず三千ポンドくらいを負担する、つまり日本はこの協定の分担金としてはまず日本の価格に直しまして三百万円程度ではなかろうかと思うのでございます。しかしまだはつきりとした分担金はきまつておりません。大体その程度ではないかと思います。
○戸叶委員 二十九条に職員という規定がありますけれども、日本もこの職員になり得るかどうか。
○小田部政府委員 もちろんこれは適当な人があればなれると思います。
○戸叶委員 大体ほかの委員がお聞きになつたようでございますが、第十七条に書いてあります条項の意味がわからないのです。これはどういう意味をさしておるか、御説明願いたい。
○小田部政府委員 アメリカにおきましては大体年に八百万トンの消費をするということになつておるわけでございます。ところがこのアメリカの八百万トンをどこから輸入するかということは、アメリカのシユガー・アクトというものがございまして、これできまつておるわけであります。たとえば米国本土から二百三十万トン、ハワイから約百五万トン、ポルト・リコから百八万トン、ヴアージン・アイランドから十二万トン、フイリピンから九十八万トン、合計して約五百五十二万トン、その残りはキユーバから九六%まで買うということがきまつておるわけです。しかもアメリカの値段は六号約定というのがございまして、条約上の約定と違いますが、一ポンドにつき五セント以上で、この協定より一ポンド当り二セントくらい上まわつた値段でございます。これはアメリカが一種の補助金を出してキユーバとかフイリピンとかの砂糖をある程度保護をしておるということになるのでございます。アメリカの砂糖の需要量は結局これらの国からシユガー・アクトに基きまして買つておるのでございますから、この協定のいわゆる自由市場からアメリカが買うのはほとんどゼロでございます。それからまた、それでございますから、アメリカの買うのはこの協定にいうところの基準輸出量の中には入らないということが十七条にうたつてあるわけでございます。
○大橋(忠)委員 ちよつと農林省の方に関連して伺いますが、日本の砂糖の輸入はまだ精製しない粗糖のままで輸入されておる。そうして十六の製糖会社でこれを精製をして売り出しておる。従つて精製した砂糖というのは輸入を認められたいのですか、この点どうですか。過般の砂糖の値上りの際に十六製糖業者が非常な暴利を得た。そして砂糖のスペキユレーシヨンが行われて、全国の菓子製造業者が非常に困つた。ことに駄菓子屋の方は非常に困つて事業を休んだということは御承知の通りであります。そこで当時問題になつたのは、十六の製糖業者にのみ砂糖の一種のモノポリイのようなものはけしからぬという声が、全国の砂糖業者から起つたことは御承知の通りであります。政府としてこの製糖業者に対して値段のきめ方その他について、何らかの取締りをやつておられるかどうか、やつておられるとすればどういう取締りをやつておられるか、その点が二点。それからその当時てん菜糖を売出したりその他の方法で値段が大分下つて来た。一時九十円まで行つたものが今七十円程度に下つておりますが、しかしこのままで経由すると、また非常に上るかもしれない。非常に不安定である。そこで新聞などを見ますと、政府が専売にするとかいろいろ考慮しているようですが、これに対して今度砂糖業者の方から専売じや困るというような声が上つていることも御承知の通りであります。砂糖の需給の調整並びにその価格の安定について、どういうようなことを考えておられるか、これらの点をちよつとお答えを願いたいと思います。
○東辻説明員 一番最初の精糖の輸入をどうするかという御質問でありますが、御承知のように戦前は台湾で大体内地でもつて消費されます形態の砂糖を糖きびをつくるときから計画をいたしまして、台湾から出しておつたわけでございますが、終戦後台湾を失いましてからは、すべて先ほどお話申し上げましたように、大体九割以上のものを輸入いたしているわけでございます。この場合には大体一応考え方といたしましては、精糖よりも原則として粗糖を輸入するというやり方でもつて参つたわけでありますが、必ず粗糖でなければ輸入していけないのだというふうには考えておりません。昨年度も相当の精糖が入つておりますし、また現在輸入を交渉いたしておりますインドネシアあたりからも精糖を入れるということを考えているわけであります。 それから二番目でございますが、これは現在砂糖の需給調整を統制方式に従つてやつておりませんし、ただ一部輸入につきまして為替管理をやつているといつたような関係からいたしまして、この為替管理のやり方といたしまして、砂糖につきましては大部分のものがいわゆる需要者割当という方式をとつて参つたわけでございます。それで先般来価格が相当高騰して参りましてからは、各方面からこの輸入方式についてのいろいろな批判がありまして、現在これをどうするかという点についても、関係各省、もちろん農林省といたしましても十分検討いたしているところでありますが、通産省方面とも協議して、これをどういうふうな形に持つて行くかということについて目下研究中でございます。現在価格の統制をしているというわけでもございませんので、各製糖工場に対しまして厳密な価格の指示あるいは統制ということはいたしておらないわけでございますが、今般のようなああいう変動がございますれば、そういつたような精糖の価格につきましても、われわれといたしましてはできるだけ自粛をしたことでやつてもらいたいという要望はいたしたい、かように考えるわけであります。はつきりした統制をいたしておりませんので、その行政措置かどこまで保証せられるかということになりますと、相当問題はあろうかと思いますが、このような変動のないように大いに自重してほしいという要望をいたしているわけであります。 それから第三の問題の将来輸入が削減せられたり、あるいは何らかの事情によつて非常にきゆうくつになつたり、あるいは価格が高くなつた場合において、専売制とかその他の需給の調整をやるかどうかという点でございますが、これは大きな政策でありますので、私からはつきりお答えすることは差控えさしていただきたいと思います。ただ考えられますのは、現在の輸入の方式等もまだ検討する余地があるのじやないかと目下事務的にも含めて研究いたしておりますが、先ほど外務省から御説明があつたと思いますが、八十万トンなら八十万トンという輸入の一応の目途がきまりましたら、それができるだけ計画的に入つて来て、国内の需要にアンバランスのないような形で供給されるならば、ある程度価格の変動というものも押えられ、またその意味からして思惑というものも起らなくなるのではなかろうかというので、輸入方式等についても現在検討している次第でございます。
○大橋(忠)委員 十六の製糖会社の砂糖が一番多いと思いますが、製糖会社の取扱う砂糖とそれから製糖会社以外で入つて来る精糖の形で入つて来る砂糖との割合は、どのくらいになつておりますか。
○東辻説明員 概算でございますが、昨年の四月から十二月までの輸入の数量は私ども大体八十五万トン程度と押えているわけでございますが、これの内訳といたしましては、いわゆる黒糖と申しますか含蜜糖と言つておりますが、蜜を多分に含んでいる、これが大体二万四、五千トン程度、それから精糖が大体四万トンないし五万トン程度、それからその残りが大体粗糖、こういう形で入つて来たのじやないか。かように思つております。
○大橋(忠)委員 そうすると大部分が製糖会社が輸入している。ところがこの製糖会社がかつてに協定をして値段を上げて暴利をむさぼつているというのが、つまり日本の菓子屋連中の不平であります。さらに菓子屋連中のもう一つの不平は、いなかのだ菓子なんかをつくる砂糖というのは上等の砂糖の必要はない、非常に悪い砂糖でけつこうであるけれども、これらの製糖会社がほとんど砂糖市場をコントロールしている結果、いい砂糖の値段が安いならばいいけれどもこんなに高くなつてはとてもだ菓子をつくることができない。全国の非常に数の多いだ菓子屋が非常に困る。そこで彼らとしては自分らのすきな悪い砂糖を輸入させてもらいたい、あるいは粗糖を輸入する場合においても、安い砂糖をつくり得るような安い粗糖を輸入してもらいたい、当時こういう希望がありまして、私も選挙区からの依頼で方々歩いたのでありますが、こういう貧乏人、いなかの子供の食うようなだ菓子、これは値段はあるいは張らぬかもしれぬけれども、国民生活にとつて非常に大きな影響があると思うのですが、そういう需要に対して農林省としてどういう態度をとつておられるのでありますか、ちよつとお答え願いたい。
○東辻説明員 砂糖の消費の状態が非常に嗜好によつて違いますことは、お話で御指摘の通りでございまして、何も国民全般に高級なものまでつくつて食わせる必要はないではないかという御議論があることは、私ども十分承知いたしておるわけでございます。たとえばいなかに行く砂糖であれば相当含蜜糖あたりが出るのではないかというような話もございますので、一つの例でございますが、たとえば奄美大島とかそういつたようなところから黒糖が入つて来るような時期におきましては、通産省とも連絡をいたしまして、自動承認制の中で仕入れ書きを、奄美大島その他の日本に近いようなところからの必要な含蜜糖の輸入だけを残しまして他を締めるということをして、奄美大島あたりからの含蜜の輸入を間接でありますが確保するといつたようなやり方をやつたこともございます。また今のお話の通り砂糖は菓子あるいは練粉乳、それからカン詰その他いろいろな用途がございますので、これを配給統制をいたしますということになりますれば、各需要の限度というものをはつきりつかみまして、場合によつては切符制というようなことをやらなければ、的確に需要者に渡るということは保証されないわけでございますが、現在のところそういつたようなことになつておりません。末端の需要者のところへ思うような砂糖が入らないというようなことも十分考えられるわけでございますが、実は先般来需要者の団体から非常な要求がございまして、われわれにも実は外貨を割当ててほしい、あるいは輸入業者に割当てる外貨にもひもをつけて、われわれからも注文をとるような形にしてほしいといつたような要望もございましたし、また一部砂糖が非常に上つておつた客観的な情勢からいたしましても、実はこれも糖価対策としても一応の便宜措置でございましたが、政府の持つておりますてん菜糖を大量に放出するというやり方とあわせまして、一方におきましては台湾及びインドネシアに実は二十八年のきまつております予算のほかに外務省を通じて交渉していただきまして、そうしてそれの輸入方式といたしましては製糖工場にやるものを一部別にいたしまして、その他を実需者団体の発注を受けた輸入業者に外貨を割当てるというやり方によりまして先般輸入公表をして、目下それが進捗中でございます。そういつたようなやり方を今後とも継続するかどうかということは、二十九年度におきます今後の砂糖の対策というものと根本的ににらみ合せまして検討して参りたい、かように考えておるわけでございますが、ともかく臨時措置として、そういつたような需要者団体の要望というものをいれまして外貨の割当方式についても私どもとしては十分検討をいたしたわけでございます。
○大橋(忠)委員 いなかの子供どものだ菓子のようなものがつくれない、つくつても非常に高いものにつくということは非常に私はいかぬことであると思う。これは声はあまり聞えぬけれども、実は非常に大きな社会問題です。実は先般砂糖の値段が上つたときも全国からだ菓子屋連中が、平生はあまり動かなかつた連中までやつて来まして騒いだことは御承知の通りであります。君らは農林省に行つて陳情したか、食品課に行つて陳情してもまるで相手にしてくれない、こういうことを言つておる。さらに農林省の食品課も十六の製糖会社の方に盛んに役人のやめた人間を売りつけておるというような事実もあつて、その間に非常な腐つた関係がある。中には汚職まであるなんということまで言つておつて、私はそんなことはむろん信じないのでありますが、彼らはそういうことを言つておる。また自由党の幹部の方にも甘いものがまわつておるというようなこともあるし、これは今のはやりの問題だから、彼らがそういうことを言つただけで私はそんなことはひとつも信じないのでありますが、知識の程度の低い者はそういうことを信ずるのであります。それほど彼らは必死なのであります。いなかのだ菓子屋なんというのは。真剣なのであります。 〔委員長退席、野田委員長代理着席〕 実はこの砂糖協定とあまり関連がないのでありますから深くは申しません。この程度でとどめておきますが……、(「汚職問題をやれ」と呼ぶ者あり)私はそういうことをやることはきらいだから。——この砂糖の問題は非常に重大な問題でございまして、いつまた値段が上つてそういう問題が再燃しないとも限らない、今後外貨が不自由になればなるほど思惑が盛んになつて砂糖の値段が上つて、そういうことは起るのであります。そこでひとつこれは上司にも話されまして、これは食糧の重大なる一環でありますから、どうしたならば値段のフラクチユエーシヨンを防ぐことができるか、そうして特に私は下層階級、貧乏人にあまり不自由を来さぬように、いなかの鼻たれ小僧にあまり不自由をさせないという点をも考慮に入れまして、そうして砂糖の需給調整という問題を真剣に取組んでいただきたい、こう思うのであります。その希望を述べるだけで、私はこれ以上深く追究いたしません。 —————————————
○野田委員長代理 それでは次に外交に関する件につきまして質疑を許します。福田篤泰君。
○福田(篤)委員 当面の外交問題二、三につきまして外務当局の御意見を承りたいと思います。 まず賠償問題であります。先般フイリピンから大野公使が帰られて、この賠償はフィリピンと日本の間で話合いが大分進んでおるようでありますが、これは御承知の通りテスト・ケースになるし、将来日本の賠償の方向なり性格をきめる重大な問題で、全国民が非常なる関心を持つておりますが、大野公使は一体どういう報告をされたか、さしつかえない範囲で賠償の進行状況、見通しについて大野公使の報告をお伺いしたい。
○小滝政府委員 私は直接大野公使に会つておりませんが、帰つて参りまして、従来大野公使が着任いたしまして以来の交渉の経過を大臣、総理等に報告いたしたようであります。五月中にはフイリピン議会も閉会になりますので、できるだけそれまでに大体の見通し、見当をつけたいという希望を大野公使も持つておるようでありますし、先方もでき得れば早く平和条約を批准いたしたいということを考えておりますので、そうした意味でこれまでの経過を報告し、また今後の措置について協議するという意味で帰つて参りましたが、これはただ賠償問題だけでなしに、今まで貿易のとりきめもございましたし、中間的にとりきめました沈船の引揚げの準備も向うで着々進んでおりますから、その具体的な問題等いろいろ事務的な打合せに帰つて来た次第であります。
○福田(篤)委員 これは今も次官が言われたように、平和条約を批准する関係もあり、議会の関係もありますので、これはどうしても来月中には何とか結論を出さなければいかぬという客観的な情勢にあるわけですが、たとえば大体どういう方法で、あるいはどういう額でという内容について何らかの報告があつたかどうか、これについてもう一度お伺いしたい。
○小滝政府委員 だんだん歩み寄りまして、この話合いも進捗いたしておりますけれども、まだ最終的な段階に至つておりませんので、先ほど申しましたように、これまでの経過を報告いたした次第でございます。でありますから、ちようど額はどうというような今ここで発表するような段階には至つておりません。
○福田(篤)委員 この賠償問題は、大野公使が日本政府代表として相手国と折衝され、決定される権限を持つておるのか、もう一度お伺いしたい。
○小滝政府委員 大野公使は向うで準備的ないろいろな話合いをしているわけでありまして、その都度もちろんこちらの訓令も仰ぎますし、先方において日本政府の代表として話合いをしているということは仰せの通りであります。ただしかし、最終的の段階に来てどこで調印をするとか、そういう場合には必要な手続を経なければなりませんが、日本政府の代表といたしまして向うで折衝をいたしておる次第であります。
○福田(篤)委員 先般新聞の一部に漏れたのでありますが、いわゆる永野護氏の私案というものがございます。私も一週間ほど前二時間ほど伺いまして非常にその意見が適切であり、また達見であることに私は感心したのであります。新聞にも一部漏れましたように、その骨子は水田を開発して約八十万トンの蓬莱米をここでつくらせる、また鉄鉱石を輸入するそれを開発する、その他二、三の項目を対象として、フイリピンのためにもなり、またマグサイサイの新政権のためにも非常にプラスになる、日本としてもいわば形をかえた輸出プラント的なきわめて日比両国にとつていい案だと私は感心したのであります。この案につきまして吉田総理はこれに賛成され、近く永野氏をフイリピンに派遣するといううわさがありますが、そういう場合にいわばかつてのアメリカに対する池田さんのように、永野さんは今度特使として賠償に関する権限をゆだねられるのか、この点についてもう一ぺん伺いたい。
○小滝政府委員 御指摘のように、永野さんはすでに何回かフイリピンにも行かれまして、いろいろ永野さん個人として話をしておられるようでありますが、しかしこうした交渉は大野公使が取扱つているのでありまして、現在のところ永野護さんが代表として行つて賠償の問題について交渉されるということは聞いておりませんし、そういう意向は現在のところ持つておりません。
○福田(篤)委員 世間ではいわば公的にも日本の代表として駐在し、また対外折衝の責任を負つておる大野公使、またその背景である外務省当局、こういう国家機関と、そういう民間の一つのすぐれた意見を持つておる永野氏私案、こういうようなものが対立しておるというようなうわさが伝わつておるのでありまして、こういう大きな問題について非常に懸念するのであります。が、これについてどういうお考えでありますか。
○小滝政府委員 対立しておるというような報道があるとすれば、それは全然事実に反するものでありまして、永野さんの話は私どもも一応承知いたしております。実業家としての立場からいろいろ日比関係をよくするために努力をしておられるのでありまして、その間に権力的な争いがあるとか、あるいは全然外務省が知らないうちに向うへ行つて話をしているというのではなしに、永野さん御自身の私的な見解、また向うの要人などと話されましたことは、私なども随時聞かされておるのでありまして、もし永野さん個人の努力が日比間の関係をよくする上に役立つものであれば、非常にけつこうなことでありまして、私どもはそうした意味においての便宜供与というものは十分いたしておるものであります。ただ、先ほどから申しますように、正式の交渉というものは大町公使が取扱つているのでありまして、もしこれが一部に伝えられるように、永野さんの考えておられることがそうした面の助けになればまことに幸いだと考えます。
○福田(篤)委員 賠償問題は、政務次官はよく御承知の通り、単なる事務的折衝ではなかなか解決し得ないきわめて幅の広いものであります。こういうときに永野氏のような専門家が一つのいい案を持ち、また実際的に向うの要人ともいろいろ具体的に話合いを進めておられる、これはもう現実の進行状況でありますが、こういう場合に対立がないと伺つて非常に安心いたしましたが、それだけではいけないと思う。外務省はこういう大きな問題に民間の知識、知恵または体験をむしろ積極的に活用せられ、これを受入れて国全体のわくの中に入れて賠償対策に万全を期すべきであると思うのであります。ただ意見を聞くとか対立していないというような消極的な御説明だけではなしに、そういう具体的な内容があり、しかも今折衝しておるのですから、実際上はそれについて今後もつと窓口を広くするなり、あるいは賠償問題について外務当局としてはもつと統一した、たとえば具体的に言えば、永野護氏個人でありますが、これに何らか公的な地位を与えるなり、いわば賠償交渉の一つの案を認められて、一貫した、統一した交渉をするなり、折衝をすべきであろうと思いますが、これについて何かお考えがありますか。
○小滝政府委員 先ほどから申し上げますように、永野さんが行かれることについては便宜も供与し、あるいは十分連絡もあるというのでありまして、私どもはただ一本にしてやるということは、かえつておもしろくないという考えを持つておるのであります。従来もあるいは積極的ではなかつたかもしれませんが、できるだけ便宜を供与し、また政府とも一応の連絡のあることも、永野さんが先方へ参られましてもその点ははつきりさせておられるはずであります。今後も進展ぐあいによりましては、どうとりはからうようになるかわかりませんが、永野さんみたような人が側面から日比関係をよくする上に協力することはけつこうなことだと存じますので、そういう大野公使との間に行き違いのないようにするということは十分留意いたしますが、統一してやるということについては、私どもはかえつてそうしない方がいいのではないかという考えを持つておる次第でございます。
○福田(篤)委員 統一しないでやつた方がいいという御意見に実は私は驚いたのであります。これはこの間の新聞が、もちろん英字ですぐ海外に送られておりますが、その中で私は、驚いたことには、これは不用意なる発言でありますが、一つの賠償解決の対象の中には、コメントとして、これは心理的効果をねらつておると書いてある。これはもうフイリピンに非常な悪影響を与えておる。私はこのパブリシテイの賠償問題に対する海外発表などはきわめて慎重にやるべきであると思う。この委員会において、あなたは大野公使の報告の内容についてもお話できない、またわれわれも潔く御答弁を要求しないゆえんのものも、賠償問題はきわめて微妙な、現在の重要な問題であるということをわれわれは認識しておるから、これ以上お伺いしないというくらいに認識を持つておりますが、そういう場合に、一方の人がいい案を持つておる、そしてそれをどんどん発表されてしまう、大野公使は大野公使で、一応オフイシヤルの立場で、公式の立場で政府代表として話される、これではまともな話もこわされるおそれがあると思う。しかもこれは二月、三月で解決される見通しがある。相当許しい情報がどんどん流れておりますから、むしろ政府はこれを一本化して、たとえば国家的には大野公使の顧問まり、あるいは何らかの形で永野さんを公使館の正式の一員として入れるなり、あるいは非公式でも何らかの権限を与えて、一本化して、表面はあくまで外務省なり大野公使の窓口を通じて発表し、交渉もされる。しかし実質的ないい案はどんどん積極的に活用するということが必要だろうと思います。私はあなたのばらばらにしてやつた方がいいという御意見に心配と不満を持ちますので、もう一度お伺いしたいと思います。
○小滝政府委員 先ほどから申しておりますように、永野さんは日比間の経済関係をよくするように、また一般の親善関係を増進するように努力しておられるのでありまして、賠償交渉を正式にしておられる方ではございません。従いまして統一するとかしないということでなしに、そうした公式の交渉というものはあくまで大野公使がするということであります。一方永野さんはそうした努力をしておられますから、相互に意思の疏通がなければなりません。でありますから十分報告も受けておるということを先ほど申した次第であります。御指摘のような点は十分考慮いたしまして、今後こうした話が正式に取上げられるということになれば、もちろん今御指摘のような点も考えて措置しなければならぬと思います。今のところはあるいは発表などについておもしろくなかつた点があるかもしれませんが、双方の間は十分連絡はとれておるのでありますから、今後とも今御指摘のような点を留意いたしまして十分間違いのないようにいたしたいと考えます。
○福田(篤)委員 十分留意されて、なるべく近いうちにばらばらにならないように、もちろん知恵や体験は生かすが、しかし窓口は一つとして交渉されるという意見を聞いて安心しました。これは一日も早くしていただきませんと、先ほども話が出しましたように、あちらの政権及び内部の政治情勢もずいぶん微妙に動いておりますから、この点、ことに発表関係につきましては十分御留意願つて、もう八分通りでき上つておるのでありますから、それをこわさないように、大野公使にも十分本省側において訓令し、適切な措置をとられ、一本化されることについて御努力を切に要望いたします。 それから第一点でありますが、最近ビキニの水爆実験が国内に大きな反響を呼んだ、これは当然でありまして、国際的にも大きな問題になつておりますが、私ども日米がしつかり協力して手を握つて行くということを、日本の基本外交政策として確信を持つておる者としては、日米関係がよくなることに日夜苦心をいたしております。これについて最近コール下院議員がなした発言は、日本国民に非常に悪い影響を与えた、すなわち日本の漁船はあの危険区域内にあつたというようなきわめて転卒にして不穏当な発言をやつておる。私は水爆実験自体にいろいろな問題があると思いますが、ここでは議論、主張は申しません。少くとも被害を現実に受けておる日本といたしましては、国民に対する影響がきわめて悪い。この点外務省は公電でどういう報告を受けておられるのですか。またこういう不穏当にして不謹慎な発言に対して、政府は当然取消しを要求する必要がある。場合によつては国会で何らか意思表示をすべきものとまで私は考えておりますが、これに対してどう考えるか。先般岡崎外務大臣はこの点区域外であると言われ、食い違いがありますが、外務省としてはどういう処置をとられておるか伺いたい。
○小滝政府委員 どこの国でも議会の議員の方は、政府の政策と全然反対なことを表明される人もありますし、あるいは事実についての認識が足りないような発言もあるかもしれません。これに対して政府として押えて行くということは、アメリカとしてもどうもできないことだろうと思います。但し日本での調査の結果は詳細向うへ通報いたしております。最初十六日に通報し、その次に十九日に中間的な通報をいたしましたほか、二十七日には非常に詳細な覚書を向うに渡しておりまして、日本側の調査というものは十分向うに通報しております。なるほど下院議員の方でそういう発言があり、また区域内にあつた場合には賠償しないというふうなことを言つたにもかかわらず、米国政府の方では、区域を問わず、被害者に対しては賠償するということを言つておるくらいでありまして、米国政府といたしましては、この問題がいかに重大であるかを十分に認識していてくれておるものと考えるわけであります。なおまたコール下院議員のみならず、ストローズ委員長も先方の取調べでは閃光を認めてから六分後に音響を聞いたと言つておる点から見ても、危険区域内にあつたものと思われるというようなことを記者会見で申しておるようでありまして、そういうことも向うでは言われておりますが、しかしだんだん双方で共同して調査をいたしておりますから、このような誤つた考え方というものは、漸次訂正されるだろうと思いますし、今後もそうしたこちらの調査の結果は十分先方へ伝える——これは国務省に伝えるのみならず、一般の報道機関を通じまして、、十分アメリカの国民が理解するように、外務省としても最善を尽したいと考えております。
○福田(篤)委員 ストローズ委員長並びにコール下院議員、これが結果においてきわめて日米を離間せしめるような、また国内で反米感情を強くせしむるような遺憾な言明があつたことは、これは事実なのであります。これについては外務省としては黙殺という態度をとらないで、いい機会でありますから、日米間の今後のためにも、こういう不謹慎な言動については当然警告を発すべきであろうと私は思います。これに関連してやはり国民大衆が納得行かない最近の一つの悪例は、たとえば日本国内で食うまぐろは心配いらぬと言つておきながら、対米輸出のまぐろに対しては、ガイガー計数器で厳重な検査をする、また日本の自立経済を当然必要であると認めながら、絹織物その他の燃焼物に対する輸入禁止をやるというような、どうも最近のワシントン筋のやつておることは、これは国務省の考え方なり、やり方は、私どもよく理解できるのでありますが、どうも公平に見て最近のアメリカのこの一月ないし一月半の一連の動きは、一体どういうところに真意を持つてやつておるのかわからない、それほどアメリカ国内の日本に対する認識が下足しておるのかどうか、きわめて遺憾でございます。これはあげればたくさんありますが、いい機会でありますから、とりあえずこの二、三の日本の国民大衆に非常な不愉快な感情を与え、また誤解を招いておる顕著な事例について、政府として厳重な警告を発して反省を求める、これはアメリカ政府としても考えてよい立場ではないかと思いますので、黙殺とか、善処という抽象的なことでなく、これについてやるかどうか、御答弁を願いたい。
○小滝政府委員 今御指摘のような点は、実はすでにアメリカ側とは話し合つておるところであります。こういうことを申しますとまた何でありますが、日本のお医者さんあたりの発表についても、先方側から見れば、必ずしも妥当でないという発言もなきにしもあらずというふうにとられておるような関係もありますので、双方とも協力して、できるだけ両国間の感情を悪くしないように、こうした面の指導といつては語弊があるでありましようが、両国政府でも十分話し合つて、でき得ればそうしたおもしろくない発言などがないように努力しようというので、向うと連絡いたしておるのであります。なおこれに関連して、可燃性織物の話も出ましたが、これは何も日本を目当てにしてやつたものではなく、むしろ日本からはほとんど輸出のない化学繊維品を対象とし、しかもアメリカで生産せられるものというものについてつくられた法律が、結果的に日本の貿易に影響を与えるというようなことでありまして、これはただちにお話のような問題と関係はないものと思います。しかし日本から輸出する可燃性織物の問題にいたしましても、またまぐろの輸出問題にいたしましても、先方へ申し入れますときには、日本がビキニ問題によつて非常に興奮状態にある際、こういうことを発言するのははなはだおもしろくないということは、その都度申し入れておるのでありまして、今おつしやつたような点は会後とも十分気をつけまして、機会あるごとにそうした趣旨を徹底させたいと考えております。
○福田(篤)委員 最後に一点お伺いします。これは今の御答弁で、現在アメリカ側と折衝し、かつわが方の希望なり正当の主張について十分申入れをしておると伺つて安心しましたが、ぜひこれはよき友人としての立場から、日米両国のためにアメリカ側の、不謹慎な不用意な有害な発言は、責任者として十分注意されるように、厳重にこの際警告を発せられることを特に強く要望します。 最後に今学者の問題が出ましたが、われわれ伺つておりますと、あの調査費についてみな非常に困つておるようであります。こういうときはこれは大きな問題でありますから、むしろ外務省があつせんして、文部省なり厚生省なり、予算のもとは私はよく調べておりませんが、学者のグループが財源がなくて非常に弱つておるようであります。これは大きな国際問題でありますので、こういう点は外務省があつせんされて、十分な研究のための費用を与えて日本の学界のためにも働いていただきたいと思うのでありますが、この点について御意見を承りたいと思います。
○小滝政府委員 今安藤国務大臣を委員長といたしまして、関係各省の協議会を開きまして、いろいろこの問題についての調査をし、また必要な措置を講ずるように話合いを続けておるのであります。定期的に集まりまして今ご指摘のような、たとえば厚生省におけるまぐろの輸出の際における検査の問題なども、厚生省で非常に困難があるということでありましたが、この委員会でいろいろ話し合いまして、今後もガイガーのテストも継続する必要な人員を配置するというふうにいたしておるのであります。今出ました調査費の点も非常に重要でありますから、この委員会で十分検討させるように外務省としても努力いたしたいと考えております。
○野田委員長代理 並木芳雄君。
○並木委員 フイリピンの賠償ですが、先ほど次官はまだ最終段階には来ておらないということでございました。しかし日本の案としては最終的なものはもうでき上つたのでございますか。今まで二億五千万ドル云々ということが大体のわれわれの常識として理解しておるところでありますが、それから幾分譲歩して大きな数字になつて、日本としてはここまで譲れるというようなその最後案はもうできたのですか。
○小滝政府委員 数字的にどういうところでまとめるというようなことは、まだ確定いたしておりません。フイリピンのみならず、インドネシアあるいはビルマ等との関係もございますので、これらともにらみ合せてやる必要があろう、また相手方のいろいろの希望もあることでありますから、はつきりとこういり線でこれをきめて行くということにはなつておりません。
○並木委員 大体五億ドルぐらいにして、それを年賦償還を長く十五箇年くらいにしようという案があるということがちらほら伝わつておるのですが、大体の見当はそんなところですか。見当ぐらい話したつていいでしょう。
○小滝政府委員 そういう見当の話はございません。今度大野公使が帰つて参りまして、これまでの経過も報告をいたしましたし、十分向うの考え方も考えてこれをできるだけ早く決定しなければならないと考えますが、現在のところはそうした案はございません。
○並木委員 フイリピンの沈船引揚げの問題もあわせて、大野公使が帰つて来て事務打合せをしたということですけれども、これは大体三月中には実施になる運びになつていたのです。これが遅れているようですが、どういう事情ですか。
○小滝政府委員 向うでつくらなければならない施設あるいはその地域、キヤビテとマニラとの間をどういうふうにするか等、いろいろな事務的なとりはからいと申しますか、向うであらかじめ施さなければならない施設等が、思つたより時間がかかりましたために遅れましたが、きわめて近いうちにこの引揚げは開始される運びになると思います。
○並木委員 将来永野私案というものを大野さんと入れかえるというようなことは考えられませんか。あくまで先ほど来の次官の答弁のように大野公使一本やりで、かりに吉田さんのお声がかりで永野さんが今度はこれにかわつて、そうして永野私案というものが、政府の今のオーソドツクスな案ととりかわるというようなことは、絶対にありませんか。
○小滝政府委員 そういうようなことは現在考えておりません。
○並木委員 次にアラフラ海の真珠貝の問題でございます。これは先に私が政府に質問をいたしましたときに、四月に出漁する関係がございますので、どうしても三月中には暫定とりきめをしておかなければ困るということでございました。そこで私は三月中に何らかの暫定とりきめが成り立つものと期待しておつたのですけれども、遂に四月に入つて今日までそのことを聞いておりませんので、暫定とりきめの問題はどういうふうになりましたかお尋ねをいたします。
○小滝政府委員 先方の濠州側から二月の末に暫定とりきめの案が参りまして、先月初め日本側のそれに対する意見、希望事項等を申し送つたのであります。濠州側ではそれをいろいろ検討いたしまして、先月の末には閣議でそれに対する濠州側の意見をまとめたということでございますけれども、現在までのところ先方の対案というものは受取つておりません。しかしこれも非常に近いうちに日本側に手交せられるであろうというように、西大使の方からも言つて参つております。
○並木委員 そうすると、日本漁船の出漁の問題はどうなりますか、遅れてしまうのじやないですか。
○小滝政府委員 四月ごろから出漁するのが一番都合がいいのでありますが、去年も五月に出たことは御承知の通りであります。でありますから、この暫定とりきめを早く結びまして、できるだけ早く出漁させる必要があろうと考えますけれども、まだ一日を争うというものではなくて、私の承知いたしておりますところでは、五月になつても必ずしも重大な支障があるというのではないようであります。しかし早くこの話をまとめまして、出れるように努力いたしたいと考えております。
○並木委員 暫定とりきめの内容について知りたいのですが……。
○小滝政府委員 先方から参りました案に対して、日本側からまた対案を出したのでありますが、今度濠州側からどういう回答が来るかわかつておりません。結局今私たちが承知しておりますところでは、船の数は大体去年程度のものになるだろうということで、この内容につきましては、濠州の方も成立するまでぜひ伏せておいてもらいたいという強い希望もございますので、まだこれを公表する段階にはなつておりません。
○並木委員 もしこのとりきめができたときの日本船の川漁に対する対策としては、何か別個に交渉しておりますか。
○小滝政府委員 双方個々の点につきまして見解の異なつておる点もありますが、大体わくとか形式というものについては大きな相違はございませんので、必ずこの暫定とりきめはできるものと私どもは信じておるのでありまして、別段の代案というものは今考えておりません。
○並木委員 それでは次にビキニの問題なのですけれども、アメリカに先ほど申し入れたという次官の御答弁でありましたが、その申し入れた内容は手元にありますか。
○小滝政府委員 今手元に持つて来ておりませんが、これは全部新聞に公表いたしました。三月二十七日の事実に関する覚書であります。
○並木委員 二十六日に第二回目の水素爆弾の実験を行つたという報道がアメリカの方から出て来ております。これに対しては政府は何か事前の通告を受けておりますか。
○小滝政府委員 三月二十六日の実験のことでありましたならば、それは何日にやるというような通報は受けておりません。
○並木委員 そうすると、二十六日にやつたのかどうかということは、われわれ知らないのですが、政府としてはこれについては通告を受けておらなくても、アメリカに対して何か確かめましたかどうか。それともこれはとりやめになつたのですか。
○小滝政府委員 三月二十六日に実験をしたことは、先方でも公表いたしておるところでありまして、これは実行されたものと了解いたしております。
○並木委員 そうするとこれについては政府に対して向うから何にも通告がなかつたというわけなのですか。
○小滝政府委員 この危険区域が拡大されることについては、十九日に通報があつたのでありますが、いつどういう実験をやるという通報はもちろん受けておりません。日本側としては、まだはつきりわかりませんけれども、被害を受けたものがあるという調査もございませんので、二十六日のこの特定の実験については別段の申入れをしておりません。これまでの危険区域が拡大された問題などについて全般的に向うといろいろ交渉いたしておりますが、二十六日の特定の実験についての申入れはいたしておりません。
○並木委員 われわれが前から強く要望しておつた点は、どうしてもとりやめにしない場合には、その都度日本政府に通告をしてもらいたい、注意を喚起してもらいたいということであつたのですけれども、ただいまの答弁ですと、第二回の場合にはそのこと自体に対しての事前の通告は全然なかつたということなのです。そうすると、その次にやるものに対しても政府としては皆目見当がつかないわけですか。
○小滝政府委員 日本側から先週申し入れましたものについては、できるだけ前からの通告、大体の見当を内報でもしてもらいたいというような条項はございます。しかし機密の関係もありますので、何月何日にやるというようなことを通報しろ、それを期待するのは非常にむずかしいのではないかと思つておりますが、今後の措置については、非常に多数の項目について各省打合会の結果に基いて去る三十日に書面でも申入れておりますから、この日本側の申入れに対しては、近く何らかの回答があるものと期待いたしております。
○並木委員 それでは次に首相の外遊の計画でございますが、これは外務次官としても当然知つておらなければならぬと思いますけれども、日もだんだん迫つて来ております。五月二十日ごろ出発するということでございますが、事務的なことでけつこうなのです。どういう国々へ、どういう日程で行つて、どういう用件を持つて行くとか、どういう人がついて行くか、そういうような点をできるだけ詳しく知つておきたいと思うのです。
○小滝政府委員 まだ具体的にだれが行くとかあるいは何日に出発してどうなるということは、決定いたしているのではなしに、総理がそういう希望を持つておられるから、外務省としては事務的に一心の用意をしておこうという程度でありまして、そうした確定したものは何もございません。
○並木委員 まだ外国との関係における手続を全然始めておらないのですか。
○小滝政府委員 新聞報道もございますし、いろいろ問い合わせもございますので、総理の心組みについては必要に応じて向うに説明いたしておりますけれども、今お尋ねのような確定的な申入れなどは何らいたしておりません。
○並木委員 確実的なものではなくとも、大体の予定はこうなつている、それくらいのことはわかつているでしよう。もう四月に入つたのですから、予定された日程というものはわかつているでしよう。
○小滝政府委員 外務省としては正式に何日に出られて、大体何日にどうするというようなものは全然まだきまつておらないのであります。もちろん大きな筋は新聞などにも出ておるようなところであろうと了解をいたしますが、外務省で事務的にはつきりしたものは何らまだ決定いたしておらないのであります。
○並木委員 次に例の李徳全の引揚げに関しての問題ですが、これは岡崎外務大臣はもう最後の決定段階に来ておつて、かなり迷つておるようですけれども、私どもの方の党からも特に注文があつたので、要望的に質問をしておきますが、とにかくやらせてみたらどうだ、向うの何らかの謀略に使うとかなんとかいうことは、やらせてみてからでなければわからないことなんだから、許可してみたらどうだという声なのですが、どういうふうに考えておられるかお聞きしたい。
○小滝政府委員 この点は外務大臣が自身でよく考慮しておられますが、まだ何ら確定的なものはないようであります。
○並木委員 あとで外務大臣が来たら伺います。
○大橋(忠)委員 関連して。吉田総理の外遊のことで新聞によると、何か東南アジア開発に関してアメリカの方に援助を求めるということでありますが、私は満州なんかにおつて民族心理を知つておりますが、ポイント・フオアをアメリカが言い出したときに、これは必ず失敗するということを非常に恐れたのであります。ところが日本が東南アジアに発展するという場合に、まるでアメリカの手先になつて大いに乗り込むというようなかつこうを示す形をとつたら、これは必ず失敗する。しかるにそんなことが新聞に出ておるので、非常に心配をしておるのでありますが、少くともああいうようなことをなぜ新聞に出すのか私にはわからぬのでありますが、あるいはそういうようなことは事実無根なのであるか、あるいは何かそういうことがあつたのか、なぜああいうようなパブリシテイをやるのか、なぜああいうものが新聞に出るのか、その点をお尋ねいたしたい。
○小滝政府委員 大橋さんのおつしやることはまつたく同感であります。おそらくこういう記事は、総理の外遊というものはニユース・ヴアリユーもあり、想像して書かれたものであろうと考えます。外務省あるいはその責任の筋においてそういうことを発表したことも絶対にないし、またそういうことを書けば、大橋さんの御指摘のような影響もあることは十分知つておるつもりでございまして、ああいう記事が書かれたということは、私ども遺憾に考える次第でございます。
○野田委員長代理 戸叶里子君。
○戸叶委員 私は、一、二の問題について、二、三点伺いたいと思いますが、まず先ほど福田委員からアメリカのコール下院議員の発言についての調査についてお聞きになりました。私もその点を、外務省に何らかの返事があつたかどうかを伺おうと思つておりましたが、先ほどの答弁を伺つておりますと、十六日、十九日、二十七日にそのことについて覚書を送つている、送つているということまではわかつたのですが、それに対して何も返事が来なかつたのですか、来たのですか、その点承りたい。
○小滝政府委員 日本側の問合せに対する回答は、各所へ照会した上で回答するということになつておりますが、これまではいろいろ賠償の問題とかあるいは個々の問題についての援助などの問題については申して来ておりますけれども、そうした事実に関する調査については先方もいろいろ調査しておるものと見えまして、今日までのところ回答が来ておりません。しかし先ほど並木さんにも申しましたように、日本側からいろいろ申し入れた点についても、できるだけ早く回答すると言つておりますから、こうした事実問題についてもそのうち回答が来るものと期待いたしております。
○戸叶委員 私は日本の政府が少しなめられていると思うのです。と申しますのは、コール議員がアメリカにいて、つかまらないということはないと思うのです。こういう問合せが来ているからそれが事実であるかどうかということを聞くぐらい何でもないと思いますのに、ずいぶん日がたつているにもかかわらず、まだ事実であるかどうかわからない、それは一体どういうことであろうかと非常にふしぎに思うわけでございます。そういうような発言をなすつたということは、つまりそういう考え方を持つているからだと思います。これは日本の国にとつても非常にゆゆしいことでありますし、そういう考え方というものをはつきりかえてもらわなければならないと思いますので、もつと早く調査をしていただきたい、こういうことを要望いたします。少くともこの次の委員会ぐらいまでにもう一度はつきり電報で問い合せていただきたい、私はその点を要望するものでございます。 そこでビキニの危険区域の問題でございますが、これは参議院の外務委員会などでも大分問題になつておるようですが、新聞に出ました政府の答弁を読んでおりますと、どうも危険区域というそのものに対して、政府の認識が、しかたがない、アメリカ側が演習する場合に、公海の自由を認められず危険区域を拡大されてもしかたがないというふうな考え方の上に立たれているようにしか私どもには思えないのです。この信託統治の協定を読んでみましても、また先ごろの条約局長の御答弁を伺つてみましても、危険区域を、しかもこれほど他の国に影響のある部分に長い期間に一方的の通告だけできめるということが、私どもはどうも国際法上違反ではないか、こういうふうに思いますけれども、政務次官はその点に対してどうお考えになつておられるか。
○小滝政府委員 根本的には、こういう実験が全然行われなければ問題は解決いたしますが、その実験を行うこと、そのことを今ただちにとりやめ得ないとすれば、安全のために危険区域を設けるということはやむを得ないことかと存じます。しかしそれが非常に広い範囲にわたり、あるいは長い期間にわたつて設けられておるということは、日本の漁業にも重大なる支障を来しますので、先ほど申しましたように三十日には詳細な申入れを書きものによつていたしたのであります。期間の点とかあるいは区域の点などを指摘いたしまして、先方に十分考慮をするよう促しておりますから、これに対しまして私ども何らか早く返事をもらうということを期待しておるのであります。
○戸叶委員 その返事でございますが、もしも今向うから指定されております危険区域はそのままで、ただ期間を短かくするとかあるいは実験をする前に通告をするとか、そういう点の返事が来た場合、そこで一番問題になりますのは、区域を向うがきめた通りに今後も危険区域として指定して来る、そういう場合が日本にとつては非常に不利だと思いますけれども、そういう内容の向うからの返事であつても黙つてそれをお受けになるか、あるいはこの危険区域というものが一方的にそう決定されることは、日本の国にとつて承服できないというふうな形でこれを受入れようとなさるか、その根本的な問題に対する考え方を承りたいと思います。
○小滝政府委員 危険が存在する以上、それをただ区域的に狭めさせても、実験が行われました場合、かえつて日本人の生命財産に被害があるわけでありますから、その点は先方での調査と十分考え合せてきめなければならない点だろうと思います。但し南の方へ行く船の航行路に当つておる点はできるだけ除くようにとか、あるいは漁期には実験を行わないようにとかいうような、いろいろ申し入れておりますので、先方も十分考慮することと思いますが、危険区域をただ狭めるということだけをいたしましても、実際そのために日本側が不測の損害を受けるというのは、かえつて日本としての目的を達成しないわけでありますので、その点はただ日本側の考え方だけで、あれを半分にするとか三分の一にするとかいうことは、決定しにくいものと思います。ただ日本の重大なる関心を持つておる点、特にその区域はどの辺にするか、あるいは時期はどういうところにするかというような点は、十分先方に徹底さすように、向うに外務次官の方からも申し入れましたし、また書きものでも申し入れ、かつワシントンの井口大使の方へも訓令を出しまして、十分そうした点をアメリカ側に理解さすように努めておる過程でございます。
○戸叶委員 私はそこに大きな問題があると思うのです。それはアメリカがあそこで水素爆弾の実験をすることが必要だから、しかたがないだろうということを日本の政府が認めて、そうしてその上に立つての交渉をする場合と、あそこでしてもらうことは日本の国にとつて非常に影響が大きいから、もつとほかの方法を考えてもらいたい、こういうふうな考え方で交渉する場合と、非常に大きな問題が出て来ると思います。それが第一点と、もう一つは先ほどから私が申しておりますように、ただ一片の通告だけでいわゆるセキユリテイ・ゾーンというものを拡大して行くということのよしあし、これが私は大きな問題だと思いますが、逆に今度は日本の方から、危険区域というものを一方的な通告で拡大して行くということはこれは違反ではないか、こういうことに対する他の国々の意見を問いただすというふうな方法を考える必要があるのではないか、そういたしますと国際司法裁判所規程の六十五条に勧告的意見の要請という条項がございますので、今度のような問題は当然国際司法裁判所に訴えて、そうしてこの勧告的意見の要請を受ける必要があるのではないかと思いますが、この点についてどうお考えになるか承りたい。また条約局長には、今度の問題はこの条項に該当するのではないかということを承りたいと思います。
○下田政府委員 国際司法裁判所の諮問的意見を徴することは、国際機関でないとできないのでありまして、国際連合でありますとか、その下部の専門機関等はよくやつておりますが、一国が意見を聞くということはできないことになつております。
○戸叶委員 そうしますと、その場合にとり得る手続としては、国際連合へ日本から訴えて、国際連合からしてもらうということはできるわけですか。
○下田政府委員 日本は国連加盟国でございませんので、加盟国と同じような意味で問題を提訴するわけに行きませんが、先般の国会の決議を伝達いたす措置をとつておりますから、国連の方でその関係の機関がこの問題の審議の参考上、国際司法裁判所の意見を求めるということが、理論的には可能でございますが、ただ実際問題といたしましては、これは法律問題でないのでございまして、国際司法裁判所の意見を徴する場合には法律問題に関してであります。今回のような事実問題については、今までの先例と比べまして、あまり適当でないように存じます。
○戸叶委員 そうしますと、今度の問合せに対して、アメリカ側からどうしてもここで実験しなければならない、だからこの程度の危険区域は認めてもらいたい、こういうふうな返事があつた場合には、それを政府としては了承するわけですか。
○下田政府委員 アメリカは外国に認めてくれとも何とも言つてないのであります。ただ事実あぶないから、あぶないと言つて知らしているだけでありまして、その区域内に入つちやいかぬとか、この区域内に入つて来るのはおれの許可を要するとか、いかなる意味においても何ら法律的権利の要求をしていない。事実あぶないところはあぶない——人命の安全を尊重する見地から、ありのままにあぶないということを言つておるわけであります。
○戸叶委員 しかし、それはずいぶんばかにしたことだと思うのです。あぶないからということで、入つて来るなと言われませんでも、入つて行けばとんでもないことが起きるわけです。ですから、そういうことが許されるとすれば、どこの国でもかつてにそういうことをして一体いいものなんでしようか。この点をはつきりさせておきませんと、これからいろいろな国でいろいろなかつてなことをするという場合が起きて来ると思いますが、そのことに対してはどういうようにお考えになりますか。
○下田政府委員 根本問題は、政務次官もおつしやいましたように、原子力管理の国際的決定ができることによつて解決し得ると思いますが、今日原子力管理の問題は、非常に大きな困難な問題になつております。そうしますと、原子力管理ができない間に一体米国がああいう実験をやることが、日本にとつていいことかどうかということが次の問題になつて来ると思います。これは法律問題ではありませんが、日本の安全が日米安全保障条約によつて保障されており、そして同条約に基いて日本にいる駐留軍は、日本周辺におる共産勢力と比べまして、比較にならぬわずかなものであります。なぜ日本が今日安全でおれるかということは、結局背後に米国の工業生産力と原子力が控えておるから、日本は安全でおられる。そうであるといたしますと、原子力の管理ができない以上は、やはり自由陣営の日本安全のたてとしてのそういう潜勢力があるということは、私はいたし方ないことだろうと思います。でございますから、原子力管理が実現しない現在において、日本を含む自由主義国の安全のたてとなつておる恐るべき武器の実験が行われるということは、これまたいたし方ないことであろうと思います。でございますから、結論は要するに地球が狭くなつた、科学の発達の結果、世界で一番大きな太平洋も狭くなつたということだと思います。これはまつたく事実問題であつて、法律問題としてはまだこんとんといたしております。もう少しいろいろな点がわかつて来ますと、法律問題としてもプレゼントし得ると思うのでありますが、現在はまるで慧星のような状態でありまして、現在の段階におきましては事実問題である、従つてこれを法律的にどう取扱うかということすら、なかなか困難な問題であろうと存じております。
○戸叶委員 問題はずいぶんいろいろ残されていると思います。ただ日本がもたもた、そういうことはしかたがないとしている間に、だんだん日本だけがもつともつとひどい犠牲になつて行くのじやないかということを私どもは非常に恐れます。そして、日本の漁業の自由というものもだんだん狭められて、国民の生活もだんだん苦しくなる、また、原子爆弾あるいは水素爆弾の実験から受ける脅威、被害が日本だけさらに大きくなるのじやないかということを非常に心配いたしますので、私どもは先ごろの決議案のように一日も早く原子力の国際管理という方向に向つて結論が見出されることを望み、かつ世界の輿論が早くそうなつて来るような方法を、日本としてもとるべきことを要望したいと思います。
○並木委員 ちよつと私今のことから気がついて確かめておきたいのですが、かりに日本が実弾射撃をするというので、李承晩ラインの近く——向うの領海の中へは入れませんが、近いところへ行つて日本が演習して、あぶないからといつてそこを危険区域に宣言をする、こういうことは今の筆法からいうとできるわけですね。
○下田政府委員 それも公海使用の自由の一面でございまして、どこの国も海岸に要塞砲というものを持つておりますが、昔の大砲でございましたら三海里しか届かないから、三海里までが領海である、この原理は依然として国際法上残つておりますけれども、事実は、科学の発達によつて、今日の原子砲のごときはとんでもない遠くまで行くわけでありますが、公海に向つて原子砲を撃ち出して演習するということもまた公海使用自由の国際法上の一原則であります。でございますから、結局科学の進歩が国際法に先まわりして、地球が狭くなつておる、これをどういうように取上げてどう規制するかということは、国際法にとつて大きな問題を提供されたところであると思うのであります。
○野田委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十八分散会