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第19回国会衆議院1954/03/30

外務委員会 第29号

発言数
11 件
登壇者
5 名
会派数
4
開催日
1954/03/30

会議録

上塚司自由党

○上塚委員長 これより会議を開きます。  開会にあたりまして一言各位に申し上げます。昨日の理事会におきましてきようは緒方国務大臣、岡崎外務大臣出席の上、討論採決に入ることを決定いたしたのでありますが、きよう参議院の事情によりまして緒方副総理は実は本会議に出席中でありますので、本会議終了後はすみやかにここに出られることに手続をいたしまして、これより開会いたしたいと思います。  それでは日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件外三件を一括議題といたします。  これより討論に入ります。討論の通告がありますので、順次これを許します。細迫兼光君。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 委員会の論議を顧みまして私はここに日本社会党を代表いたしまして発言をいたします。われわれはこの瞬間実に重大な岐路に立つております。すなわちMSA協定をのむかのまないか、私は衷心から日本のためにこのMSAはのんではならないという確信を持つものでございます。でありますが、すでに大勢を見ますれば、まことに遺憾な状態が現われております。だが昨日の朝日新聞の三角点でも、「モウサツパリ、アキマセンとあきらめる前に最後の労力を尽せ」と激励をしておりますし、実に国民の重大問題でありますから、私はここに最後の努力を尽したいと思うのであります。委員諸君、ことにこれに賛成の御意向を持つておられるらしい委員諸君の愛国心に、私は最後に衷心からお訴え申し上げまして、私どもに御同調をしていただくことを切望する次第であります。  MSA協定はまことに日本の前途、国民の運命にとりまして実に重大な問題でございます。これは単なる外交問題ではございません。国の運命を決する問題といつてよいのでございます。かつてわが国は第一次世界大戦におきましては、英米とくみしてドイツと戦い、戦後世界の強国の一に列しました。第二次世界大戦におきましては、ドイツ、イタリアと反共同盟を結びまして、英米と戦い、今日の悲運に陥ったのであります。複雑なこの国際情勢の中に処して、国の進路のかじをいずこに向けるかということが、どんなに重大であるかは、この身近い歴史を顧みても十分に知ることができるのでございます。兵は国の大事、死生の地、存亡の道と孫子もいみじくその巻頭第一に叫んでおるのであります。実にMSAをのむことは亡国の道であり、MSAを拒否することは救国の道の第一歩であると私は考えておるのでございます。区々たる金銭上、経済上の利害問題ではございません。そこに至ると、アメリカの政策はさすがに私は大きいと思う。マーシヤル・プランの昔から、目前の小さい利益を投げ与えまして、そうしてアメリカ独占金融資本の世界的制覇の道を着々と進んで来ておるのであります。  そもそもこのMSA援助のほんとうの意味は、その母法の名前そのものを見ただけでも明らかであります。すなわちいわく、「国際平和及び安全保障のために友好国に援助を与えることによつて、合衆国の安全を維持し、外交政策を促進し、及び一般的な福利を供与するための法律」、これがこの法律の名前であります。すなわちアメリカの安全を守る番犬にするために、武器をやつたり、小麦を投げ与えたりしておる、こういう姿であります。日本にも一千万ドルの小麦だんごが投げ与えられて、これを中にして食うか食わぬかということを今論じ合つておるような姿でありまして、あまり感心した図ではございません。いわんやしつぽを振つて、よだれをたらして、この小麦だんごを食おうとしておるなどは実際情ない状態だと思う。賛成の御意向の諸君も、なるべくそうしたみつともないことはやりたくないと思つておられるだろうと私は思いますが、しかしもういかにみつともなくとも、なりふりを考えてはおれないというわけだと思うのであります。すなわち軍備の増強、これがどうにもこうにもやりたくてたまらないというのだと思うのでございます。すなわちこの再軍備問題ががんでございまして、この再軍備を思い切つてしまえば、もう簡単に事は片づく問題であるのでございます。かくして私どもは、この再軍備なるものが、一体そんなに必要な、絶対になさねばならないものであるかどうかという問題を論じなければならぬというところに参ります。  大体MSA協定と軍備の増強とは、表裏一体、不可分の問題でございます。私がこのMSA協定をのむべからずといたします理由は、大体において形式的な面と実質的な面と二つにわけて考えておるのでございます。すなわちその形式的な面と申しますのは、憲法とこれとの関係、憲法問題でありますし、他は経済問題あるいはその他の、国の運命に関する実質問題であります。  まずこの憲法に関する問題を考えてみますれば、今日憲法はアメリカの押しつけたものだから、そんなものは守らなくてもいいと言わんばかりの勇ましい議論が行われておるのでございますが、しかし私はあの昭和三十一年の当時、諸君あるいは諸君の先輩がマツカーサーの前にひざを屈して、心にもない憲法に賛成するような、そんな腰抜けぞろいであつたとは思いたくございません。私はあの当時反対しました一人でございますが、しかし別にマツカーサーから直接の圧迫を感ずることはありませんでした。もちろんいかなる圧迫をも覚悟はしておりましたが、実際に圧迫を感じたことばございません。むしろ憲法に反対する君は非国民だというような、日本国民の白い眼に圧迫を感じたような次第でありますが、かつて反対しました私でも、できたこの憲法には従つて行く、守つて行くと言つておる。当時賛成なさつた社会党は、一貫して今日もこれを守ろうとしておる。これは一貫しておる。しかるに当時賛成した人あるいはその後輩の諸君が、今この憲法をまさに蹂躪しようとしておることは、実にどうも奇怪しごくだと思うのであります。でありますが、これも実は理由がある。それは当時のアメリカの政策が日本を完全に武装解除しようとしておつたものであり、現在は日本に武装させようとしておること、これはアメリカ下院の東南アジア太平洋特別調査団が報告しております中にも、日本の反米思想の分析としまして、日本の徹底的な武装解除をアメリカがやつておきながら、情勢がかわつたからとして再び武装させようとするような政策の転換から来ておる不満、そういうところにいわゆる反米思想の原因ありと分析しておるのでございますが、かようにアメリカの政策は転換しておる。アメリカが武装解除せよといえば、そのまま憲法に賛成する。また武装せよといえば、これは賛成するというように、アメリカの言うがままになるということで実は諸君の態度も一貫しておるのであります。それはともかくといたしまして、この憲法、ことに第九条は、先に河野君が論じられましたように、何としても完全な武装解除を命じておるものであると理解しなければならないのでございます。戦争を放棄するというだけでは、また自衛のためにというようなことで抜け道を抜けるかもしれないから、それを防ぐために、とにかく戦争をする道具を一切取上ける。すなわちその第二項は、自衛のためであろうが、何であろうが、そういう名目にかかわらず、陸軍という戦力、海軍という戦力、空軍という戦力、その他あらゆる戦いに役に立つ力を一切持たない、こういうことであり、日本を完全に武装解除する意味であることは疑う余地がございません。これは当時まつたく権威を持つておりましたポツダム宣言を見ても明らかでございますし、また一家庭の戸だなのすみからさび刀の一本まで取上げてしまつたあの当時の連合諸国の日本に対する政策から見ましても、まことに明白なところでございます。これに今日の状態を当てはめてみますれば、現在の保安隊すらも、私どもはこの憲法に違反する存在であると確信しておるのでありますか、いわんや、ただいま国会に提出せられております自衛隊法案などを見ますれば、これはもう弁解の余地のない憲法違反であるといわざるを得ないのでございます。自衛隊法案によりますれば、自衛隊は、外国からの侵略に対して防衛するその任務に当ることを主たる目的としておるのであります。私はある武装団体が軍隊であるかどうかということを決するのは、その名前でもなく、その装備でもない、実にそれに与えられました任務であると確信するのでございます。すなわち名称及び装備あるいはその員数、これらのいかんにかかわらず、外敵の侵略に対して国家の防衛に当るということをその任務としておる武装団体は、これは国際通念上明確に軍隊であり、戦力であるのでござにいます。東京新聞の論説委員梅原一雄氏の調べによりますれば、ニユージーランドは、陸軍三千、海軍一万、空軍三千五百、ジエツト機も持つていないという程度でございますが、これがりつぱな軍隊であり、戦力であることを否認し得るものはございますまい。何がゆえにそうであるかといえば、いかに弱小であつても、その武装団体の任務は、外敵の侵略に対して国家の防衛に当るというところにあるからであります。いわんや、日本の自衛隊は、これは三月十日の毎日新聞の解説でありますが、それによれば、陸上火力は昔の日本の陸軍に比して四倍に達し、海上においては東洋第一の艦隊になるであろうということであります。これが軍隊でなくて何でありましよう。戦力でなくて何でございましよう。政府は常に憲法の裏街道を縫つて歩いておるのであります。いつもごまかしである。内灘の子供たちは、お母さんが何かごまかしを言うと、お母さんは政府じや、政府じや、こう育つている。(笑声)この裏街道を通つた憲法違反の自衛隊こそ、すなわちこのMSA協定第八条の、自由世界の防衛力の発展への寄与、これであり、自国の防衛能力の増強、これにほかならないのであります。ここに至つては、このMSA協定そのものが憲法違反の事項を約束しようとするものであることは、明白一点の疑いをさしはさむ余地はありません。憲法第九十九条におきまして、憲法を擁護しなければならないという義務を命ぜられておりますわれわれ国会議員としまして、どうしてこのMSA協定なるものを否認せずにおれましようか、阻止する態度をとらないでおれましようか、かように私は確信して疑わないのでございますが、諸君ははたしていかにお考えでございましようか。  私はさきに区々たる金銭的利害、経済的利害は問題じやないと申しましたが、一言簡単にそれに触れておきましよう。  政府は武器援助がありがたいと言つておりますが、おかげでその人件費、修繕費、油などのいろいろな維持費、消耗品の費用など、たいへんな財政上の負担をしなければなりません。域外買付でも、小麦の五千ドルでも、要するに一部の武器製造業者がもうけるというにすぎない話でありまして、その点で羨望の的になつております日平産業あるいは小松製作所という、あれらの運命も、これに対する大きな見込みに対して、幻滅の悲哀をわれわれに教えておるものといわなければなりません。それに引きかえまして再軍備、MSA受入れが、いかに国民の生活を圧迫するものか。住宅問題にいたしましても、学校施設の問題、教育の問題にしましても、農業の問題、社会施設、衛生、文化事業への圧迫、災害復旧の遅延等々、いかに大きな犠牲が行く行く永久にしいられるかは、これは二十九年度予算の政府原案を見れば、雄弁にこれを物語つておることを知るのであります。さらにこの協定から生れて参ります中国、ソ連との貿易の禁止的な制限、これはわが国経済にとりまして致命的な打撃であります。かくのごとく、政府の宣伝にもかかわらず、経済的なプラスは何ものもない、マイナスばかりであるといわなければならぬのであります。  政府はMSAの受入れの態勢の一つといたしまして、秘密保護法もつくらねばならぬようになりました。これも言論の自由に対する圧迫であり、憲法違反の法律であります。また平和教育を弾圧するというあの教育二法案などもまた、MSA受入れ態勢の一環であるといわなければなりません。  このように憲法を蹂躪し、右申し上げましたような大きな経済上、あるいは国民の基本的人権に対する圧迫、犠牲を払いまして、そうしてつくり上げるところの再軍備、軍隊が一体何のために役に立つか。非常に役に立つものならば、また一考の余地はありますが、一体何の役に立つ。これは多く論ずる必要もございますまい。最近のビキニの水爆実験で、もう思い半ばに過ぎるものがあるのでございます。今ごろちやちなああした自衛隊なんぞつくつてやつて行くこと、いばること、いばろうとすること、まさにB二九に対する竹やり戦術以上のものでありまして、物笑いの種であるといわなければなりません。MSA賛成の論のうち、過日の公聴会などでも承りましたいろいろの議論の中でも、最もわれわれの耳を傾けさせたのは、この軍備の増強がわが国の独立へ一歩近寄る道であるという議論でございました。すなわち軍備を増強して、それに従つて次第にアメリカ軍に引揚げてもらうのだ、こういう議論であります。アリソン大使の演説、あいさつにもそうしたことをにおわせて再軍備を鼓吹激励しておりますし、あるいはさつき申しげました東南アジア太平洋特別調査団のあの報告書にもまたこのことをうたいまして、いかにも日本の再軍備が増強せられしますれば、日本は完全な独立の姿をとりもどすがごとくにおわせておるのでありますが、とんでもないこれは思い違い、見込み違いであります。しつぽを振り、おべつか使つて独立へこぎ着けたという例は、世界の歴史にございません。最近の例にいたしましても、インドあるいはエジプト、インド・ネシアにしましても、ビルマにしましても、すべてみなこれは民族独立の闘争、屈服することなき独立、その圧迫者に対する抵抗の盛り上りによつて得たものである。先日の公聴会の公述人、元航空兵器総局長官遠藤三郎氏の述べられたところは、この点について非常な参考をわれわれに与えました。すなわち資源の乏しい日本では、軍隊を大きくすればするほど、一例をとれば油などの関係で、アメリカヘの依存程度がますます高くなつて、実質上アメリカに生殺与奪の権を握られた軍隊になるのだ、こういう所論でありまして、まことに合理的な推論であるといわなければなりません。軍隊に使う油だけではございません。日本全体の経済が実質的に自立経済の実を備えなくては、アメリカの城外買付や何かで竹馬経済である限り、日本の真の独立ということはあり得ない。これはもう論ずるまでもなく明白な結論でございます。だからこそヨーロツパ方面におきましても、「援助よりも貿易」という声が盛んになつておるゆえんであると思わなければなりません。七百以上の軍事基地を占領せられておるというこういう状態で、いくら兵隊を増強してみたところで、せいぜいアメリカ軍の下働き、アメリカ空軍の警備隊あるいは整備隊というものにすぎないであろうことは、火を見るより明らかであります。さつき申し上げました東南アジア太平洋特別調査団が、アメリカ兵はなるべく早く引揚げたがよいという結論的な報告書を出しておるのも、その原因はいわゆる反米思想の勃興、そういうところに理由を求めておることは一見して明らかであります。私どもは何も反米思想を鼓吹しよりとしておるものでも何でもありません。ただ現在日本を占領の継続状態に置いておるのはアメリカであり、内政をかれこれ支配し、外交、貿易を支配しておるのがアメリカでありますから、アメリカに抵抗しておるだけであります。アメリカ兵の引揚げを実現させるものは、日本の軍備の増強ではなくて、日本の独立運動の燃え上り、ここにあることを私どもは根底から知らなくてはならぬと思うのであります。再軍備が独立に近づく道であるという議論は、かくして完全にその理由を持たないことを知らなければなりません。  最後に、前申し述べましたように、生殺与奪の権をアメリカに握られた軍隊、そういう軍隊を打つことは、これはもうクーデターの爆弾を抱いて寝ておるようなものだといわなければならぬと思うのであります。これは最近のイランの現実が立証してくれていると思うのであります。この点いつぞや私ここで申し述べましたが、イランはその石油資源の豊富なこと、また地理的にソ連の重要な工業地帯に近いというようなことから、非常にアメリカが重要視しておるところであります。このイランの軍隊は約十三万、アメリカの顧問団は、その後私の調べによれば、日本より少い約二百、こういう状態であります。この国におきまして、昨年の八月十九日クーデターが起りまして、モサデグ前首相は逮捕せられて裁判に付されておること御承知の通りであります。このモサデグ政権は、そのクーデターのわずか十日ばかり前、すなわち八月十日に国民投票が行われたのでありますが、この国民投票におきまして、反対一千二百七票というのに対しまして、実に二百四万四千五百九十六票という圧倒的な信任を得た政権であつたのであります。これが国民投票の一週間後には、イラン軍隊のクーデターによつてひつくり返されたのであります。このクーデターの約一箇月前の七月十三日のニユーヨーク・ポストは、次のように報じております。予言しておる。すなわち、イラン軍隊に近代兵器を供給し、これを訓練しておるアメリカと結びついたイラン軍によつて、モサデグ政府は今年中に打倒されるであろう、こう予言しておる。国民投票の直後、クーデターの直前に、前にイランの憲兵隊の顧問をしておつたノーマン・シユヴアルツコフというアメリカの代将は、パキスタンからイランに飛んで行つておるのであります。またアメリカ大統領はクーデターの直後、クーデター政府に御褒美としまして、緊急経済援助を四千五百万ドル与えておる。こういう事実、朝日新聞の八月十九日のニユーヨーク電報は、アメリカ国務省は、事態の急激な発展を意外に思いながらも、喜びの色を隠せぬもののようである、かように報道しておるのであります。私はこれらのデータから、イランのグーデターは、アメリカの手に握られたイラン軍、イラン軍を使ってのアメリカの指導によるクーデターであると判断を下しておるのであります。このイランの運命が日本の明日の運命でないと一体だれが断言し得るかと思うのであります。軍の指導権を握るものは国の生殺与奪の権を握るものであることは、古今東西の歴史の示すところであります。MSA援助を受入れまして再軍備に進むことは、実にかかる危険をわが国に誘い込む、招き込むことになるのであります。  かくのごとくいたしまして、MSAをのみ込みますれば、日本は永久にアメリカの番犬として、ソ連、中国に対する最前線基地とせられる運命にくくりつけられるのでありまして、その独立を失うのみならず、最近の即時報復というアメリカのニユー・ルツク政策によりまして、米ソの間に一旦火花が散つたならば、もうまつ先に原子爆弾、水素爆弾の雨を浴びまして、日本民族は阿鼻叫喚の中にのたうちまわらにやならぬ、こういう危険にさらされることに相なると思うのであります。こうしたアメリカ一辺倒の政策というものは、アメリカは大国で強いのだから、あれにたよつておりさえすれば大丈夫だ、寄らば大樹の陰というようなお考えが基礎であろうと思うのでありますが、かりにアメリカが最後に勝つといたしましても、もうそれは日本が日本民族の墓場になつたあとの祭りであるのであります。こういうわれわれの心配は、決して根拠のないものではないと信ずる。われわれが声をからし、MSA阻止の戦いのためには、身命を賭しても惜しくないと思つておるのが、ほんと無理でございましようか。一体対立するものが――どこかでけんかをするものがあるならば、どつちにか味方をせにやならぬというりくつが私にはわかりません。いわんやこの間まで鬼畜米英と育つておつたもの、われわれ同胞の多くがその手にかかつて多くの悲哀、悲しみ、悲運に陥れられておりますアメリカに、一体何の義理があつてそうした味方をしなければならぬか、私は理解ができないところであります。われわれは、対立する二つの勢力いずれにも味方しない。MSAを拒絶しまして、自主中立一本を国策としまして、日本の安全と平和の道を打立てなければならぬと確信して疑わないのであります。この道は、安易なものだとはもちろん思いません。もう再軍備以上に困難な道でございましよう。しかし、いかに困難でありましようが、決して不可能ではない。インドなどのとつていることがなぜ一体日本にとれないのか。これは決してできない相談ではないのでありまして、これをやらないのは、やる意思がないか、あるいはやる能力がないか、二つに一つであるのであります。この自主中立の道、安全と平和の道をわれわれはあくまで追求し、国の方針をここに向けなければならぬとかたくかたく信ずるものであります。MSA協定は要するにもうこれは一千万ドルで国を売るという約束でございます。私はこれに賛成しようとなさつておられるお方の中にも、多くの尊敬すべきお力を見るのであります。私は私の見るところによれば、諸君がこの国を売るにひとしい恥ずべき証文に名を連ねるということを、国のためにも、また諸君の名誉のためにも、まことに悲しむものであるのであります。どうか私どもの思うところ信ずるところにかけらでも理由を見出してくださつて、私どもの言うところに同調してくだされんことを重ねてひとつ切望する次第であります。

上塚司自由党

○上塚委員長 次は富田健治君。

富田健治自由党

○富田委員 私は自由党を代表いたしましてただいま上程せられましたMSA関係四協定につき全面的に賛成の意思を表明いたすものであります。  アメリカはすでに第二次世界大戦中から、その与国でありますイギリスさらにソ連等に対しましても軍事援助、経済ないし技術援助を提供していたのでありますが、それが一九五一年の相互安全保障法の制定によりまして整備確立せられたのでありまして、これひとえに自由世界の相互安全保障と、個別的及び集団的防衛を強化せんとする目的以外には、何ら他意なきものなのであります。一方わが国といたしましては、敗戦の結果といたしまして、壊滅に瀕しました日本経済力の再建と防衛力の確保というこの二つの相対立することの多い命題の解題に、真剣に取組まなければならぬ運命にあつたのであります。しかもその後の国際情勢の実際は、わが国に防衛力を増強することのますます必要なることを示すものが多かつたのでありまして、わが吉田内閣がその国力の許す限りにおいて、乏しきうちにも自衛力漸増の努力を続け来つたゆえんも、ひとえにかかる国際情勢の要請に基くものであつたのであります。  しかるに昨年五月、ダレス国務長官は、一九五三-五四会計年度の海外援助計画におきまして、日本にも援助を提供する意思があることを提言いたし来つたのであります。そこでわが方よりアメリカ政府の公式な見解を求めましたところが、その回答におきまして、まず第一に、日本の自衛力の発展のためには、経済的安定ということが考慮されなければならぬ必須の条件であること、また次に軍事的義務の履行の要件は、日本の場合においては、日米安全保障条約のもとにすでに引受けている義務を履行すれば十分であること、またMSA計画も日米間のいかなる条約も、自衛のため以外に日本の治安維持の部隊を使用することを要求していない、また自国の防衛力を増進しかつ維持する要件は、もちろん日本が自国の政治的及び経済的安定と両立し、また自国の人力、資源、施設及び一般的経済条件が許容する限度の寄与をなすことだけを要求するものであること、こういうアメリカ側の見解が明らかにされましたので、ここに初めて交渉を開始し、爾来八箇月間慎重に検討の末、本年三月八日調印されました協定は、いずれもこの最初の交換文書に明示された通りにまとめられたものなのでありまして、さらに具体的になつたことは純粋の軍事的援助とみなさるる自衛隊への武器その他装備品の供与は約一億五千万ドル、経済援助とみなされる城外買付は一億ドル、贈与としては一千万ドルがおよそ予定されておるのでありまして、自由主義国家の一員として自立経済の達成を念願し、またこの経済力の再建に見合いつつ防衛力を漸増せんとするわが国にとりましては、本協定による援助こそまさに明らかにプラスであると申さなければなりません。  ただいま同僚細迫委員は社会党左派を代表し、この援助を受けないことが愛国であり憂国であると申されたのでありますが、私は全然これと反対でありまして、この援助を受けることこそ、愛国であり国を憂えるゆえんであると確信をもつて申したいと思うのであります。  今本協定反対の主要なるものといたしまして、本協定の締結により新たなる軍事的義務を負うに至るとするものがあるのであります。しかし本協定第九条におきましては、本協定の義務は日米安全保障条約に定められた義務以上に出てないことを明らかにいたしております。すなわち米軍の日本国内駐留を認むること、及び第三国に対し任意に軍事基地等を供与せざること以外には、絶対に何らの新しき軍事的義務は食わないものでありまして、いわんや海外派兵の義務等は、絶対にこの協定そのものからは発生する理由なく、このことは本協定調印に際し、岡崎外相、アリソン大使のあいさつにおいても明らかにしておるのでありまして、この協定と海外派兵を結びつくるがごときことは、本協定第九条の第二項において、日米両国政府がそれぞれ自国の憲法の規定を遵守することを明記せるにもかかわらず、本協定により憲法違反の行為がなさるるおそれありと断定する議論とともに、まつたくためにせんがためのデマであります。常識を離れた考えであるとさえ思われるのであります。またあるいは今回のMSA援助を受けることは、アメリカに対する日本の隷属化であり、自主性を失わしむるものであると言う者がありますが、今日イギリスやフランスを初めとして、世界において六十数箇国がアメリカよりこのMSA援助を受けておるのでありまして、またこれらの被援助国の多くは、自国の安全のために国土の一部にアメリカ軍の駐屯をさえ認め、現実的な集団安全保障の目的を達成しようと努めておるのでありまして、しかもこれら諸岡がアメリカの属国であるとはいまだかつて聞かざる議論であります。しかるに同等の条件の上に立つ日本にのみひとり自主性なしと断ずることは、まことに無理な反対論であると申さなければなりません。またこういうことを考えることこそがきわめて卑屈な考え方であると私は考えるのであります。またMSA援助を受けることによつて、日本はアメリカより再軍備を強要されることとなつたと述べ、いろいろ揣摩臆測して反対する議論もあるのであります。一体わが国の防衛規模をきめるのは日本国民自身の権利であり義務であります。しかもその決定の基準は、あくまでも国際情勢と日本の国力ということであります。今回の交渉にあたつても、日本側は日本の国力、すなわち経済安定を第一義とする態度をもつて臨み、アメリカ側また全然この趣旨に同意し、もつて彼我の交渉が進められ、遂にその調印を見るに至つたのであります。  現に昭和二十九年度わが国の防衛費は千三百七十三億円であり、これは総予算の一三・七%であります。これはイギリスの軍事費が総予算の三八・五%、アメリカが六八%である事実を見る場合において、現在のわが防衛規模をもつてしては、これを戦力、軍備と言えざることは明らかでありまして、いわんや今回のMSA援助の条件として、わが国が戦力を持ち、再軍備することをアメリカより強要されたものであるとするがごときは、まつたく事実に反する虚妄の所論であると申さなければなりません。  次にこの際一言アメリカの国会並びに政府に対し、またわが政府に対しても要望したことを申し述べたいと存じます。わが日本が終戦以来引続き、また講和条約によつていわゆる自由主義諸国家の陣営に立つに至つたことはすでに既定の事実でありますが、このことはただいま細迫委員は申されましたが、アメリカが強国であり、大国たるがゆえではありません。まつたく自由を愛し、平和を求めるためであります。これに反しまする独裁を憎み、侵略主義、帝国主義を憎むからであります。しかもこのことは今回のMSA締結によつて、さらに一層決定的になつたこともまたこれを認めざるを得ないと存じます。しかしながらこの協定妥結を機会にして、アメリカは単に武器その他の装備品、食糧、域外買付等、物質的援助をわが国に供与するにとどまらず、さらに一歩進めて今日に至れる日本のこの立場、真意をよく理解し、もつて真に胸襟を開き、日本と一体となつて太平洋並びにアジアの平和確立に、ひいては世界の平和樹立に寄与するべく決意してもらいたいと思われるのであります。同時にわが政府におかれましてもこの趣旨を達成すべく最善の努力を傾注せられたいと存ずるのであります。日米相互に真に心から理解し合つたあかつきにおいては、戦犯釈放問題も、沖縄、小笠原等復帰問題も、ビキニ被爆の問題等も、きわめて円滑に、迅速に、かつ友好裡に解決せられるとかたく信ずるものであります。今日かかる趣旨におきまして、私はわが政府当局の今日に至るまでのMSA協定締結の努力を多とするとともに、この機会に一大決意をもつて日米間の真の友好関係確立のため一層精進せられんことを衷心より期待いたすものであります。  以上をもつて私の賛成討論を終ります。(拍手)

上塚司自由党

○上塚委員長 次は河野密君。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、日米相互防衛援助協定外三件に対しまして、反対の意思を表明いたすものでございます。そもそも本協定の中核たる日米相互防衛援助協定は、政府の言明するがごとく軍事協定でありまして、その限りにおいてわが国の国家の性格をかえ、政治の動向を左右する重大な条約であります。従つて本協定を審議するにあたりましては、単に条文の表面に現われた字句を審議するばかりでなく、本協定の背後にある一般的な条件にまで眼を透徹せしめ、日本の将来の動向を誤らざるよう慎重に検討いたさなければなりません。ことに本審議のまつただ中に起りましたビキニ原爆実験に徴しましても、一国の安全はまつたく別個の角度から再検討を要する事態と相なつたのであります。しかるにそれらの教訓をも無視して、時代遅れの軍隊によつてのみ一国の安全が保障せらたるがごとき考え方は、まさに時代錯誤というべきであつて、この際われわれはこれを一掃しなければならぬと存ずるのであります。  本協定において重大な問題は、第一に本協定が憲法違反ではないか、特に憲法第九条の戦争放棄の条項に違反するものではないかの点であります。第二は本協定によつてわが国が負うべき軍事的義務、特に海外派兵等の義務を負うものではないかという点であります。第三は本協定の実施によつて、他国の干渉を招くのではないか、アメリカの日本政治に対する圧力がより加重せられるのではないかの点であります。第四に本協定の締結によつて、隣邦諸国との国交関係に重大な影響を与えられるのではないか、アジアの自由主義諸国といえども、一方の陣営に属することを回避しようとしておる現状において、これらの諸国との友好を阻害し、日本の安全を逆に脅威せられるのではないかという点にあるのであります。  第一の憲法との関連においてわれわれは残念ながら明らかに憲法第九条の制約を逸脱し、これに違反するものであると断定せざるを得ないのであります。周知のごとくわが憲法の第九条は、第一項において国際紛争解決の手段としての国権の発動たる一切の戦争を放棄するとともに武力の行使をも禁止しておるのであります。また第二項においてはかかる戦争放棄の目的を達成するために、陸海空軍を保持せざるのみか、軍に至らざる一切の戦力の保持をも禁止しておるのであります。また交戦権――宣戦の権利のみでなく、交戦国として受くべき外交上の特権をも含めて交戦権を認めざることを規定いたしておるのであります。これを率直に理解いたしますならば、一、自衛権が認められているとしても、その自衛権の発動には制約があること。二、自衛権の裏づけとしての自衛力の保持については重大なる制約があるのみか、自衛力の行使について大いなる制限が加えられていること。三、自衛権に伴う自衛力の行使については、急迫不正の侵略についての反射的の作用、換言すれば国連憲章第五十一条の範囲に限るものであつて、それ以上に出るものでない等々に帰着すると考えるのであります。これを逸脱するものは憲法違反であることはまことに明白であります。しかるに本協定を見ますに、安全保障条約に負うている義務以上の義務、その前文に掲げているところの期待を義務として受取り、直接侵略にも対抗する防衛力強化の義務を負い、直接侵略に対抗すべき常設的なる防衛力を保持する義務を負うのみか、進んでは自由主義諸国の防衛力を増強する義務をすら負うものであります。ここに至りますならば、明らかに戦力の保持を禁ずる憲法に違反するものといわざるを得ないのであります。しかのみならず直接侵略に対抗すべきこれらの防衛力が、事態の当然の帰結として国外にまで出動し、自衛の名において反撃を加えることすら容認するに至つては、遠く憲法の制約を逸脱すること明々白白といわざるを得ないのであります。  政府はさきに平和条約の第五条によつて日本憲法の第九条の解釈を拡大し、さらに安全保障条約によつてこれを改変し、今また本協定によつて空文化したのでありまして、日本憲法の中心規定はまつたく否定し去られたのでありしまして、かくのごとき態度は、断じてわれわれの容認ざるところであります。わが憲法は第九十八条において学者のいわゆる条約優先制を認めているのでありますから、本協定を認めますならば、憲法の条規はゆがめられ、制定の精神はまつたく没却せられるのでありまして、憲法遵守の建前から、われわれはまず本協定に反対せざるを得ないのであります。もちろんこの協定には、憲法の範囲内において実施することを明言いたしております。しかしそれにもかかわらず、実質的に憲法を蹂躪しておることは前述の通りでありますが、憲法の解釈を次第に拡大し、憲法の精神と相反する解釈をもつて憲法に矛盾するものにあらずとするがごとき態度を許容するならば、条約によつて、次第に憲法は改変せられるのでありまして、独立国としての不面目これ以上のものはないと私は存ずるのであります。  第二に、本協定によつて秘密保持の義務を負い、防衛力増強の義務を負い、海外出動の義務をすら否定し得ないのでありますが、かつての軍国的要素は次第に台頭しつつあるのであります。しかもこの協定によつてわが国の政治、経済、社会生活の全般にわたつて、アメリカの干渉はいよいよ強力になることを恐れざるを得ません。昨年九月の吉田・重光会談の経過はどうでありましようか。十月三十日の池田・ロバートソン共同声明に徴しましても、対日圧力は無言のうちに加重せられつつあるのであります。ことに本協定中の唯一の経済協定とも称すべき小麦協定にいたしましても、その対価として積み立てられた円資金が、日本の国内政治に干渉するための政治資金として流用せられないとは、何人も保証することができないのであります。一方においては中ソ両国よりの働きかけが執拗に行われつつある際、他方においては本協定によつて米国の干渉が積極化するといたしますならば、わが国内に目に見えざる三十八度線が構築せられるのでありまして、まさに国家の危機であります。われわれとしては吉田政府にこれらの内政干渉を回避すべき決意の片鱗だに認めることができない今日、かかる危険なる協定に反対することがわれわれの責務であり、急務であると存ずるのでありまして、これわれわれの反対する第二の理由であります。  第三に、百歩を譲りまして、この協定そのものには大なる支障がないといたしましても、この協定を結ぶことによつて、経済的に日本の自立はむしろ阻害されると信ずるのであります。日本の経済が平和経済を本旨とし、貿易を第一義とし、国際収支の改善ももつぱらこれによつて行おうとしておるときにあたりまして、本協定を結び、武器生産に依存し、アメリカに依存するという安易な道を選ばんとするのは、政府それ自身の経済政策から見ても、矛盾撞着しておるといわざるを得ないのであります。物価を引下げて、貿易を振興し、間際収支の改善をはかるために、耐乏生活を国民に要求しておる政府が、他方においては防衛予算の拡大を義務づけ、インフレを高進し、貿易を困難ならしむる本協定を結ばんとするがごときは、全然経済的根本政策に逆行するものでありまして、国民生活の安定から見ましてわれわれは断固として反対せざるを得ないのであります。私は、独立国には自衛力なかるべからずと称して本協定を支持せらるる人々が、自主独立を説くところの人々が、経済的に最も自立を阻害する本協定のごときものに随喜渇仰の涙を流さんばかりの態度をとられることに対しては、断じてこれを理解することができないのであります。これが私の反対する第三の理由であります。  以上のごとき法律的、政治的、経済的見地に立つて、われわれは本協定に反対するのでありますが、ことに本協定審議の過程においてしばしば多くの委員諸君から、日本憲法の規定を逸脱するがごとき言辞がきわめてむぞうさに述べられたことに対して、私は深甚なる遺憾の意を表するものであります。たとえば自衛権の発動によつて自衛戦争もできるのであるとか、自衛権のためには海外進撃もやむを得ないのであるとかという論議が、当然のごとくに行われたことはきわめて遺憾であります。  さらに一言いたしたいのは、元来いかにしてわが国の安全を保障すべきかという方策は、わが国が独自の見地において自主独立に決定すべきものでありまして、断じて他国の容喙や指揮を受くべきものではないのであります。しかるに政府のなすところは逆であつて、まずアメリカとの間に秘密交渉によつて一定のわくを決定し、これによつてわが国の防衛の根本方針を制約せんとするがごとき態度に出ておるのでありまして、日本憲法の制約をアメリカの力によつて破ろうとする態度はまさに本末転倒であつて、これこそ卑屈な態度といわざるを得ないのであります。私は原爆実験の状況に徴しましても、一国の安全保障は新しい魚度から、まつたく新しい方針によつて、別個の見地において検討しなければならなくなつたこのときにおいて、政府はよろしく本協定につき、アメリカとの間において再検討を加えるべきところの責務ありと信ずる意味において、反対をせざるを得ないのであります。以上、われわれの所信を述べまして、本協定に反対の理由といたす次第であります。(拍手)

上塚司自由党

○上塚委員長 次は喜多壯一郎君。

喜多壯一郎改進党

○喜多委員 MSA関係の四協定に承認を与えるかどうかの態度を決定するときに、私は改進党を代表して一言したい。  MSA協定が大きな協定であつて、独立日本の運命を今後左右することは、いまさらここでいう必要がない。しかしすでにMSA協定の内容については、国会の質疑応答すなわち論争からしてもすぐわかるように、幾多の重要な問題点がまだ十二分に明確にされずに疑わしいままで残されておることは、まことに遺憾千万であると私はいわざるを得ない。単にMSA協定そのものにまつこうから反対、否定して、これを葬らなければやまないイデオロギー的の立場に立つものばかりとは限らない。MSA協定を承認したい者にとつても、不明確、特に疑惑と懸念とが残されておるといわざるを得ないのは、重ねて遺憾千万だといわざるを得ない。            一  それから遺憾千万な不明確、疑わしい問題点のうちで第一に指摘したいことは、日本憲法とMSA協定の関係がはつきりされていないことである。このことは憲法改正よりも、むしろMSA協定の調印を優先させたことからだとわれわれ思う。一国の憲法よりもMSA協定調印を優先させたというのも、吉田内閣とその与党自由党が、仮りの姿の多数を頼んで無理押しに、無反省に、しかも無自覚であつたからであると、私ども改進党は強くこの点を主張しておきたいのであります。言いかえれば、卑屈な被占領的な心理で、独立日本の民族の自立性、独立民族としての日本の主体性がどんなにとうといものか、どんなに高度な文化性を持つかということ、そういつた理想から遠のいておる吉田内閣と自由党がそうさせたのだと改進党はいわざるを得ないのであります。  第二が軍事義務に関する問題であります。MSA被援助資格の六条件のうちの軍事的義務を履行することを再確認するという点である。このことは幾たびかくどいけど、しつこいほどの論議を繰返して来たが、それがどの程度、どのくらいの限度か、まつたく明確にされていない。この根本的な態度が、国民のだれでもが納得行くように明白になつていないのも、一に吉田内閣のいつも事に臨んで一時をごまかし去ろうとする、秘密独善的な悪い性格からだと私どもは論詰したいのであります。言うまでもなく、わが国がサンフランシスコ講和条約、日米安全保障条約という段階を経て、だんだんに自由国家全体の防衛へと足を踏み入れていることは、共産国家全体と対立しようとする大きな筋道から考えても、必然的に避けることのできない結論だと言つてもよい。このことはMSA協定そのことばかりでなく、大きい世界観への筋道からの自然の結果として、いわゆる防衛関係二法案がすでに国会でいやおうなしに審議されて、間接侵略ばかりでなく、直接侵略に対抗のできるような自衛隊に、今までの保安隊そのものが衣がえされ、切りかえられていることからしても、ただちに見てとることができる。それにつけても直接侵略とはどんな限界か、いかなる程度か、たとえば今後将来太平洋軍事同盟といつたものが――仮の名前ではあるけれども、できたときに、または国連軍の国債警察軍というふうなものの一員として、共同防御の行動をとるのかとらないのか。そういう点に関して決して誠意ある明確さを吉田内閣は、これほどの審議を経ていても国会を通じて国民に示されていない。これは端的にいえば、吉田内閣が民主政治に災いを振りかけているものだと、私どもはいわざるを得ない。  特にこの際大きい疑わしい問題点として、第二の問題点というべきことは、いわゆる海外派兵、海外出兵ということであります。この海外派兵、海外出兵の件では、岡崎外務大臣は、安保条約の義務以外に別個の新しい軍事義務や、わが国の治安部隊の海外派兵などは決して生じないと、簡単しごくな、しかも一片のあいさつ文に託して、それで能事終れりと終始澄まし込んで来たのでありますが、われわれ改進党は国民の大多数とともに、これは岡崎外務大臣とアリソン大使の通り一ぺんのあいさつくらいで、その文句をまつ正直に受入れることについては、大きい懸念を持たざるを得ない。昨晩外務大臣は私をつかまえて君子豹変すると言つたが、むしろその君子豹変ということは、外務大臣及び吉田内閣の得意な態度なんだ。免れて恥なしというのが、大体吉田内閣の従来からのやり方なんだ。それから推測すると、きよう、あすの信用さえ実は通り一ぺんのあいさつからはできない。単純素朴の考えでもわかることだが、日米の力関係で、軍事義務の解釈は、一外務大臣の口約束くらいではすつ飛んでしまうという危険が多分にある。岡崎外務大臣はたびたびわれわれの質疑に対して答弁しているが、ほかの国々でやつていないから、条約協定の中にそれを入れなかつたと言う。またあるときわれわれの質疑に対して、人力云々ということはMSA法そのものの典型的な字句だから、そのままここに残したと、のめのめと言いのがれを言つておるのであります。海外派兵、海外出兵の問題は、MSA協定のうちでも最も重大なことで、それを口約束で済むというふうな外務大臣の誤つた判断を疑うばかりでなく、それを認めている大体吉田内閣の精神状態の鑑定が百要だと、われわれはいわざるを得ない。そこでわれわれ改進党は、MSA協定の第八条の中の人力の許す限り寄与するという字句は、この協定の運用の上で日本国政府は、いかなる方法によるを問わず、日本自衛隊に属する人員は海外派兵、海外出兵を約束するものでない意味と、留保することなく解釈するが、それでよいかと強くたびたび念を押しました。くどいくらいだと外務大臣などは感じるかもしれないが、くどいほど押してもまだ私どもは、吉田内閣の性格から見て十二分の信をおくことができない。われわれ改進党はこの点、すなわち海外出兵については、MSA協定ではまつたく義務的負担ではないと、重ねて国会の審議の最後の討論の際においても大きな警告をしておきたいのであります。  以上のほかに、MSA協定は本然の姿が確かに軍事援助であることはわかり切つている。それをあたかも大きな経済援助があるように、約八箇月以上か約一年以上も国民をだまかして来たということは、やはりここにも吉田内閣の非民主政治的な態度が遺憾なく現われているとして指弾せざるを得ない。MSA協定についての経済援助のうち、政府が鬼の首でもとつたようにわれわれに示して来ている今の小麦買付問題については、われわれとは立場を異にする社会党の諸君が討論に託され、その価格を高いと言う。安いか高いかは、実は今後の事実が決定する。のみならず、いかにもわが国の食糧難に直面して、これを持つて来て、先ほど申したように鬼の首でもとつたように考えていることに至つては、実は内心びくびくしながらごまかし去ろうとする、私は一つのごまかしだと再び申し上げておきたい。むしろこの際もつと進んで、大きな経済援助というよりも、実質的な意味で社会保障制度の力になるとか、日本のいわゆる作業資金、産業を振い立たせる資金を持つて来る方が実質的であつたと、私どもはこの点を責めざるを得ない。  かように見ると、これらはMSA協定そのものよりも、協定を締結して来る外交的交渉の途上において、吉田内閣特に岡崎外交なるものが、卑屈な被占領的外交交渉であつたということを、国民は深く遺憾とせざるを得ないのであります、このほか軍事顧問団駐在の点、その他これから後に供与される兵器がどんなものか、ことによると捨て去つても惜しくないような古物を押しつけられないとも限らない。特に私ども改進党の立場から行けば、この協定の締結と同時に、中央貿易がさらにもし鉄の輪の中に入れられるようならば、この交渉は実に大きな黒星であつた。わが国のアジア的特権に対して中央貿易の前進についても、大いにこれから監視をしなければならないと考えるのであります。  これを要するに、MSA協定の調印といい、今論議されている防衛二法案といい、吉田内閣がこれによつてわが憲法の改正のことすらも言い得ないで、いつも既成事実、でき上つた事実を持つて来て無理やりに押しつけて、将来の憲法改正の場合に有利な立場をつくろうとする臆病な誠心誠意を失いている態度は、吉田内閣の性格として大いに論詰すべきものがあるといわざるを得ない。のみならず吉田内閣と自由党とは、国家の運命を左右する重大なことを事前に国民に知らしては、批判、批評の火の粉な浴びるために、大体十分検討する機会を与えて来ていなかつた。癖と言えば癖、悪い性格と言えば悪い性格、法を回避して、国民の意向を無視して、既成事実を押しつけて行くということは、反民主的な態度であることは、吉田内閣及び自由党の諸君も、実は内心大いに反省していると私どもは思う。MSA協定承認に際し、われわれ改進党は、既成事実押しつけの横暴ぶりと非民主的なやり方については、日本政治のために幸いでないと思う。しかしその吉田内閣もその運命すこぶるあぶない。むしろわれわれは新しい性格の、もつと民族の独立と日本の自主性、主体性ということを真実に考える政権の樹立を待つて、このMSAの実施を今後監視し、まじめに行つて行こうとする考えをもつて、そういつた意味で、調印されたMSA協定を承認することを表明するものであります。

上塚司自由党

○上塚委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件、農産物の購入に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の保証に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、右一括して承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

上塚司自由党

○上塚委員長 起立多数。よつてただいまの各件は、いずれも承認すべきものと決しました。(拍手)  なお以上各件に関する報告書の作成につきましては委員長に御一任をお願いいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上塚司自由党

○上塚委員長 御異議がなければさように決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会      ―――――・―――――

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