外務委員会 第28号
- 発言数
- 346 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/03/29
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件外三件を一括議題といたします。
○細迫委員 おとといの議事進行の状態を見てはなはだ遺憾に思うのでありますが、あたかも委員長はわれわれが議事進行を阻害するがごとくに誤解せられての運営だつたと思うのでありますが、私どもは実際他意ございません。非常に重要な案件ではありますけれども、すでに案件は参議院にも上つておることでございますし、ここで引延ばして何の利益もあることではないのであります。ただわれわれの考えは重要案件でありますから審議を尽したいということのみにあるのでありますから、どうかひとつ無理のないように審議だけは尽させる態度で御進行が願いたいと切に望む次第であります。
○上塚委員長 細迫君の御発言にお答えしますが、本重要案件に対しましての各位の御協力に対して厚く御礼を申し上げます。私も同様の意見を持つておりますので、できるだけ意を尽すようにいたしたいと思います。但しすでに理事会において申合せの事柄もあり、かつ本会議においてもすでに宣言いたしておる通りに、今日はぜひ討論、採決に入りたいと思いますから、この上とも御協力をお願いいたす次第でございます。
○細迫委員 それを固執しないようにお願いします。
○上塚委員長 質疑を許します。前会の残りがありますから、穗積七郎君に十六分お許しします。
○穗積委員 質問に入ります前に議事進行についてちよつと一言。これは時間外ですからお断りしておきます。委員長、よく聞いておつてください。これは委員長も確認されておるごとく日本の運命を決定し、大衆の生活に影響のあります重大な案件でございますので、最初理事会の申合せによりまして、吉田総理自身に対して各委員持時間三十分ずつ総括質問を許されることを確認されました。しかるところ一週間の診断書が出ておったようですが、その後何病であるか存じませんが、相かわらず御出席はないようで、そこでわれわれ最大の譲歩をいたしまして、緒方副総理の御出席をいただいて、総理にかわつて内閣の責任のある御答弁をいただいておつたわけであります。緒方副総理はもとよりその人格、識見において吉田総理にわれわれは劣るとは何ら考えておりませんが、しかしながら副総理はあくまで副総理でございまして、総理とは違う立場に少くとも現在おられるわけでございます。従つてわれわれ今まで質疑応答を顧みまして、特にこのMSAに伴います軍事的義務とそれから憲法との関係等につきましては、今後とも重大な問題をはらんだ、多少あいまいさが残つておりますので、われわれの党といたしまして土曜日以来決定いたしました方針は、ぜひとも総理に御出席をいただきまして、そこで各外務委員の持時間ということでなしに、常の代表者であります両派社会党の委員長が、党を代表いたしまして吉田総理にぜひこの際重要な数点についてお尋ねをして、御意見を明らかにして、この審議に対する態度を決定したいという強い要望でございます。また今までやりました緒方副総理に対する質疑応答の中におきましても、まだ多少あいまいな点が残つておりますので、それらも一括いたしまして、この際吉田総理御自身の御答弁をいただいて、われわれのこの審議に対する態度を決定いたしたい、かように考えておりますので、この問題は、午前中私と河野委員との緒方副総理に対する既定の持時間を限度として、その質問が終りました後に、ぜひとも緊急理事会をお開きいただいて、その議をお諮りいただきますように、議事進行としてお願いするわけでございます。
○上塚委員長 穗積君にお答えいたします。御要求の理事会の開催は、御要求の通り了承いたしました。どうぞ質疑を進めてください。
○穗積委員 緒方副総理に少しくお尋ねいたしたいと存じます。 まず第一点は、外地派兵の問題でございますが、今まで私がお尋ねいたしまして政府関係者の方々から御答弁いただきましたことは、不正にしてかつ緊急な侵略があり、他の方法をもつてしてはこれを防ぐことができない場合においては、外国の領域にも日本の自衛隊またはその他の部隊が出動して戦闘行為をすることがあり得る、それは憲法の範囲内であるという御解釈でありました。第二点は、日本の自衛隊――国家機関としてのこれからの自衛隊でございますが、これが、戦闘行為に入っております国連軍またはアメリカ軍の後方勤務に協力すること、これまた外地派兵または交戦権発動による戦争ではないということで、これまた合憲であるという御解釈でありました。第三点は、日本の保安隊員が今日隊を脱退いたしまして、明日国連軍または米軍に対して個人的に義勇隊として参加して、外地に出まして、そこで部隊を編成いたしまして、国連軍またはアメリカ軍の司令官の指揮下に戦闘行為に入ること、これまた憲法の許す範囲内であるという御解釈でございましたが、このことについて、副総理は、これが合憲であるという御解釈であるかどうか、内閣を代表して御答弁をいただきたいのであります。続いて、もし不十分な場合には、幸いに佐藤法制局長官も御出席でございますので、補足御説明を承りたいと存じます。
○緒方国務大臣 内閣法による総理の代理として責任を持つてお答えをいたします。今お述べになりました三つの点、これが憲法の範囲内であるかどうか、これは憲法の範囲内であると政府全体として考えております。
○穗積委員 佐藤法制局長官、それでよろしゆうございますか。
○佐藤(達)政府委員 その通りに考えます。
○穗積委員 私は、これはもうはるかに憲法の限界を割つたものだと思いますが、時間がありませんので、この問題については、副総理に対する質問を終りました後に、他の機会を得まして、佐藤法制局長官に少し具体的にかつこまかくお尋ねいたしたいと思っております。 次にお尋ねいたしたいのは、特に緒方副総理は、年来アジアの問題について独自の御意見と志を持っておられたはずでございます。そこで、実は五・一五事件の起きます前の日本の既成保守政党の外交政策または外務省の政策というものは、欧米依存一点張りでございまして、アジア問題に対して何らの経綸と決意を持つていなかった。このことが遂に軍部をして台頭せしめる一つの理由ときつかけをつくらしめたことは、あなたも御承知の通りでございましよう。そこで今日われわれが最も重要な関心を持ちますことは、このMSA協定に伴いましてこれらのアジア諸地域、特に問題のありますのは中国大陸の問題でございますが、彼の方は親和と友好の態度をもつて経済提携、アジア経済の工業化とともにアジア民族の共同の解放を念願としてその通りやつて来ております。この協定を結びますと、その問題に対しては、むしろ東西の緊張を緩和する傾向にあるのに、逆にこれによつて東西間の刺激を激発する結果になると思うのであります。特に再々申しますように、ベルリン会議を経て来るジユネーヴにおけるアジア平和会議におきましては、おそらくその方向をもつと前進せしめることで言いましよう。われわれの見通しでは、やがて中共政権の国際的承認も日を出ずしてそういうことになろうと思います。そういうことになりますと、このMSA協定そのものはまつたくアジアをみずから失うものである。これはわれわれが言うのではなくて、英国の保守党の政治家たちも、こういう政策は日本みずからの道をふさぐものである、日本経済の破滅の道だと批評しております。アメリカの下院の外交分科会の報告書も二、三日前紙上を通じて発表になつておりますが、大体同様の意見を述べております。従つてこういう情勢を前にいたしまして、このMSA協定を結び、しかも付属書によりまして、中共を敵対視いたしまして、経済的封鎖をする、それを継続するというようなことは時宜を得ない。そういうことで緒方副総理の特に良心と識見あるアジア政策についての今後の御方針を、このMSAとの関連において御親切にお答えをいただきたいと思います。
○緒方国務大臣 日本がアジア大陸を前にいたしまして、東西文化の中に立つて特異の地位にあることは、今御指摘の通りでございます。そういう意味において日本は非常な重要な役割をになつておると考えます。でありますが、そういう観点から見ましても、今回のMSAに日本が加入したということは、中国との関係を何ら悪くするものではない。すでに世界の五十数箇国が加入しておりますMSAを日本が新たに締結したということは、別にその点について新たな事態を引起すというふうには考えておりません。世界の全体の動向といたしましては、三度の大戦をいたしましたが、結局戦争は平和に向つては何ものも解決しないというところから、だんだん一つの世界に向いつつあることは、これは大きな方向としては考えられるのではないか。但しそれに至る途中におきまして、今自由陣営と共産陣営がわかれて、かつ対立しているというこの事実も認めざるを得ない。しかしながらこの対立が永久に続こうとは私は考えない。この間におきまして迷つていることが一番事態を悪化するのであつて、日本はすでにサンフランシスコの平和条約によりまして自由陣営におることを明らかにしている立場から、世界の平和に向つて寄与して参りたい。中国と直接の関係もありますが、これは中国が中ソ友好条約に入つて、日本を仮想敵国視しておる、あるいはまた実際の引揚者の取扱い等に対するやり方から見ましても、やはり共産主義流の平和攻勢と申しますか、思想侵略が常に入つておる、これに対しましては日本としては国が独立しております以上、とるべき手段はとつて行くことが当然であります。しかしながら日本はすでに現行憲法の前文にもうたつてありますように、戦争の惨禍の起らないよう心から世界の平和を祈念しておるのであります。それに向って段階を経ながらできるだけの努力を続けて行く、それが今の日本の立場であろうと考えます。そういう大局から見まして、今回のMSAに加盟したことが何ら中日関係を新たにどうするというようなことはない。共産主義国の神経はもつと非常に太いものでありまして、そんなことには別に驚いていないと思つております。
○穗積委員 はなはだ遺憾でございます。実は非常に事務的な答弁に巧みな岡崎外務大臣の御答弁ならそれでもやむを得ないと思いますが、いやしくもアジアに経論を行わんとするようなあなたが、そういうようなまるで外務省またはアメリカに気がねしたような御答弁をいただくということは私ども心外でございます。この際ちよつとあなたに対する友情の立場から申し上げておきますが、あなたが吉田内閣に副総理として入られたときに、世間のあなたを知つておる人々は、今までアメリカ一辺倒であつた吉田内閣も、あなたがお入りになることによつて保守党は保守党なりに、もう少し気のきいたアジア地域を中心とする日本独自の外交政策を打出すようになるかもしれぬということで大いに期待しておりましたが、その後養子に入られてから家督相続するまでおとなしくしているという意味かしりませんが、とらがこのごろはねこになつたということで世間はいささか失望いたしております。あるいはあなたは家督相続するまでのねこかぶりで、これは本心ではないという気持で今の答弁をなさつておるかもしれませんが、もうそういうことに対する意見を申し述べます時期はすでにおそ過ぎるくらいでありまして、その点はどうぞ再認識をされ、猛省されまして、ひとつアジアの外交政策というものをもつと積極的に打出されんことを希望いたす次第でございます。特に五十余箇国の国々がMSAを受けておるから当然だという御答弁でございますが、そんなことは事務官僚が言うことであります。MSAを受けましてから、特に一昨年の夏以来ソ連が水素爆弾を持ち、または自由主義諸国の経済的自立の基礎があぶなくなりましてから、MSAを受けております欧州の中間各国が一体どういう政策に移りつつあるか、武器援助より貿易を、軍需産業または軍備拡張よりは軍備縮小によります平和産業、自立経済、こういう方向に向いつつある事実をあなたは見のがしておられるのか、見のがしておらないが、MSAを受けるには便利が悪いからということで、そういうことに対して国民に眼をおおわしめんとするのか、私ははなはだ遺憾であります。このことについては、実はもつとお話をしたいのでありますが、時間がございませんから、要望を申し伝えて、ひとつ御決意をいただきたいと思います。 次に佐藤法制局長官とお二人にあわせてお尋ねいたしますが、今の憲法の中におきまして、自衛隊に対する徴用法――徴兵といつて兵という言葉を使えば憲法違反になりましようが、そうでなしに徴用法をしくことが憲法違反になると考えておられますか、違反いたさないと考えておられるか、この際お伺いしておきます。もし違反するといたすなら、どこの条文で違反するかをお答えいただきたいのであります。
○佐藤(達)政府委員 徴用法という言葉を使われまして、無理に徴兵と言われませんけれども、その徴用とおつしやる意味がどういう仕事のための徴用であるか、これによつて結局結論が違つて参ると思います。徴兵と同じ意味の実体を持つものであるならば、たびたび申し上げておりますように憲法改正をしてからそういうことをなさるのがもちろん当然であろうと考えております。
○穗積委員 もとより今度国会に提案されております自衛隊法の目的に従う隊員の徴用であります。
○佐藤(達)政府委員 それならばおそらく徴兵と同じ意味だろうと思います。従つてそれは非常にむずかしい問題であると思います。
○穗積委員 重大な発言であります。そうしますと自衛隊は軍隊の性格を持つておるものだという御解釈になりますね。自衛隊そのものが軍隊の性格を持つておる。だから戦力を持たない日本国憲法九条の精神に反するという意味でありましよう。条文はどこでございますか。
○佐藤(達)政府委員 それはたびたび出ております自衛隊は軍隊であるかどうかという根本問題になるわけであります。たびたび申し上げておりますように、何が軍隊であるかという定義の立て方の問題であつて、外敵と戦うことの任務を持つものが軍隊であるという定義を立てるならば、当然それにはまりましよう。しかし本物の軍隊と言えるかどうか、それについては交戦権を欠いておるわけでありますから、本物の軍隊であるとは申し上げられません。しかし結局定義の問題でございますということを申し上げておるのであります。
○穗積委員 自衛隊が今言つたように外国の軍隊と戦争をすることを宣言し、しかも御承知のように今度性格を切りかえたわけですが、そういうものが合憲である、憲法違反でないとするなら、その隊員を国教的目的をもつて徴用することは何ら違憲ではない。少くとも九条の違憲にはならぬと思うのです。もしその徴用が九条の条文による違憲であるとするならば、自衛隊そのものも違憲でなければならない。そういうことになろうと思うのです。第三章の基本的人権の条章のどこかに当てはまるからその徴用法は無効である、違憲であるというなら別でございますが、そうでないならどういうわけでございましようか、その点もう少し明確にしていただきたい。
○佐藤(達)政府委員 問題は結局二つにわかれると思います。第一点は外敵と戦うこと、すなわち直接侵略に対抗する目的をもつて実力部隊を組織して、それを保持することは憲法上許されるかどうかという、これは組織として保持するということの問題があると思います。その点については戦力に達せざる限界においての実力組織を持つことはさしつかえないとたびたび申し上げておる通りであります。 ところで第二の問題として、そういう組織に加わらせる、組織の主たる構成員として、外敵と戦う任務を持たすような人たちを採用するに、志願の方法、あるいは志願によらざる強制的な、徴兵という言葉を使えば徴兵の方法と二つあるわけであります。今日においては政府は徴兵というような強制的に人員を調達することは全然考えておりませんから、その第二の問題については今ただちにお答えをする必要はないわけであります。しかしながら先ほど来申し上げた通り、それには憲法上の問題がいろいろございましようということを申しておるわけであります。
○上塚委員長 穗積君、時間が参りました。御注意いたします。
○穗積委員 すぐ済みますから、もう一点。それでは時間がありませんから、簡単にイエス、ノーをもつてお答えいただきたい。 予備隊、または保安隊、または自衛隊を自由契約によりまして満期脱退した者を、いわゆるかつての言葉を使いますならば予備役として、つまりある条件に従つてその者をもう一ぺん自由意思に反して国家に勤務せしめるという意味の法難は違憲でございませんか、どうでしようか。それとも違憲と御解釈になりますか、どうか。
○佐藤(達)政府委員 先ほど来お尋ねのことは、MSAの協定には全然関係はございませんから、そのことをはつきり申し上げておく必要があると思います。ところでもう一つはただいまのお尋ね、これは自衛隊法の関係はあるいはあるかもしれませんが、自衛隊法におきましても本人の意思をあくまでも前提として立案しておりますからして、お尋ねのような御心配は今日の問題ではございません。
○上塚委員長 穗積君、時間が経過しております。
○穗積委員 それでは一括して緒方副総理にちよつとお尋ねいたします。簡単でけっこうですが、三点明確にお答えいただきます。今度教育二法が参議院をも通過することを予定いたしまして、それが通過した場合に、MSAに伴います憲法改正問題が出て参りましたときに、これらの諸君がたとえば今結成されております憲法擁護国民連合というような団体に加盟いたしまして、そこで平和憲法を守ることが正しいと思うという意思を発表することは、教員組合または教職員にとりまして違法になるとお考えになつておられるかどうか、その点が一点。 それから水爆の実験によりまして、われわれは不幸にして三たび被害をこうむつた民族となりました。そこで数日を出ずいたしまして、超党派の形で水爆または原子兵器の国際管理の決議案を本院において提案採択されることが予想されております。そうでありますならば、われわれの質問に対して、すでに政府の関係者の方は、原爆の国際管理については賛成であるから、そういうふうに努力するつもりであるという御答弁もございましたが、まして衆議院または参議院におきましてそういう決議も通ることが予想されておりますときに、念のためにお尋ねいたしますが、今日本に駐留いたしておりますアメリカの軍隊またはこれからの日本の増強される自衛隊、これはあるいは将来軍隊となるかもしれぬが――この問題についても二点にわけてお尋ねいたしますが、第一は日本のそういう自衛隊または将来の軍隊が原子兵器を保持し、これを使用するということはいたすつもりはないと言うべきだと思いますが、その点はどうですか。それからもう一点は、われわれがアメリカの軍隊に対しまして、原子兵器を持つことをやめてもらいたい、使用することをやめてもらいたいという要望はしますが、それに命令することができないことは当然でございます。しかしわれわれに直接関係がありますから、日本に駐留するアメリカの軍隊が戦争に使用する目的を持つて日本の基地に原爆を持ち込む――これはアメリカの軍隊のかつてだといえばかつてでございますが、実質的に言いますならば、その危険な兵器によつてまつ先に被害を受けます危険な立場に立つのは日本民族でございますので、そこでアメリカの駐留軍が日本にあります基地に原子兵器を持ち込む、こういうことを拒否するのが私は当然だと思いますが、そういう御意思がありますかどうか、その点をお尋ねいたします。 すなわち護憲運動は政治活動であるかどうかという御解釈と、水爆その他の原子兵器につきましては、いかに日本の自衛隊その他の兵力が将来成長いたしましても、これは保持しないかどうか。第三点は、日本に駐留いたしますアメリカの軍隊が原子兵器を日本の基地に持ち込むことを拒否すべきだと思うが、それについてはどうか、三点一括してお答えをいただきたいと思います。
○緒方国務大臣 今のMSAと教育法の問題は関係ございませんので、これは御答弁をいたしません。 次の日本の自衛隊が原子兵器を持つか、これは持ちません。 それからアメリカの駐留軍が原子兵器を持つことに対して、これをどういう言葉をお使いになりましたか、拒否といいますか、それは日本はそういう事態も今のところ起らぬと思いますが、日本からは干渉すべきではないと思います。これはアメリカの軍の問題で、その点だけを日本の方から持つていかぬというさしずはできないと思います。
○上塚委員長 河野密君。
○河野(密)委員 私は先日来吉田総理にかわる緒方副総理に御質問を申し上げるつもりで、質問の要項も差上げておきました。従いまして私が今質問するのは、本日の新聞を見て質問するわけではないのであります。前から考えておることを質問いたすつもりでありましたが、たまたま本日の新聞と関連をいたすことになりましたので、その点御了承を願いたいと思います。 現在私たちに審議をゆだねられております日米相互防衛援助協定、この問題は私が申し上げるまでもなく、条約そのものとしては、表面的にはきわめて軽い形において提出をいたされております。しかし相互安全協定とかあるいは防衛協定とかあるいは北大西洋同盟条約とか、そういうものを持つている諸国がアメリカの援助を受ける場合とはいささか違つていると思うのであります。従いましてこの協定自身の文面を見ますと、憲法の条章に従つて実施するとか、いろいろその問題となる点を逃げております。その点はきわめて事務的にまとまつていると思うのでありますが、日本国民がこの協定を結ぶについて心配をいたしている点はそういう点にはなくて、むしろこの協定をきつかけとして日本の将来の政治の動向が、いかなる方向に向つて行くのであるか、こういう点に私はあると存じます。そこで緒方副総理にお尋ねをいたします。私はもし緒方副総理の答弁で満足できなければ、私の質問申し上げる点が明確にならなければ、これは是が非でも吉田総理の御出席を願わなければならない、かように考えるのであります。今私はこの協定を卒然と受取つて、日本の国民が最も心配している点は何かと考えますならば、この協定によつて日本の政治の動向というものが、さらに違つた方向に行くのではないか、言いかえるならば、アメリカの内政干渉が強くなるのではないか、あるいは憲法の改正も強要されるのではないか、こういうことを国民が危惧をいたしていると思うのであります。そこで緒方副総理にお尋ねいたしますが、この協定によつて日本の政治の方向をどちらの方向に持つて行こうとしているのであるか、日本の憲法に規定されているところのその精神というものをあくまで堅持して行こうとするのであるか、それとも日本憲法を改正し、再軍備をし、一個の何と申しますか、過去において描いていたような方向に日本の国を持つて行こうとするのか、これが私は今の一番大きな国民の関心事であると思うのであります。そこでその点をまず、政治の根本理念と申しますか、日本の政治の動向をどちらに持つて行こうとするのであるか、この点をまずお尋ねいたしたいのでございます。
○緒方国務大臣 御質問が抽象的な御意見で、あるいは御質問のポイントをはずすかもしれませんが、このMSAの協定には憲法の条章に従つてということがあるにかかわらず、何か将来日本を違う方向に、しかも外国の力によつてひつぱられて行くおそれはないかという意味に解釈いたしたのであります。ということは、この協定の明文にはそうあるけれども、陰にそういう話合いあるいは動きがありはしないかという御懸念ではないかと思いますが、それは今回の協定の交渉にあたりまして全然ございません。そういう疑念を起すおそれがありはしないかということからああいう文字も入れましたし、また外務大臣とアメリカ大使の間に、あいさつを交換した中でも特に念を入れたのでありまして、この点につきましては、政府としては国が独立した際特に注意を払つたつもりであります。政治の動向といたしましては、サンフランシスコ条約によつて国際的に一つの動向ができておると考えます。それから日本の憲法によつて、日本の国内的の立場がはつきりしております。この動向は政府といたしましてかえないつもりでございます。
○河野(密)委員 私は大前提として抽象的にお尋ねしたのでありますが、それでは具体的にお尋を申し上げます。私たちの見るところによりますれば、昨年の六月にいわゆる交換公文というものがありまして、MSAの交渉が出発をしたといたしましても、このMSAの交渉と九月二十七日に行われた吉田・重光会談というものは、これは私は無関係のものではないと思うのであります。さらにその間に明滅をして参りました保守再編成の動きというものも、これはMSAの交渉と無関係のものであるとはわれわれは受取つておらないのであります。そこで私がお尋を申し上げますのは、アメリカ側の要請として、日本の政治が安定をしなければならぬ、この条約の明文には経済上、政治上のスタビリテイ、安定性というものと矛盾しない範囲内においてというように言っておりますけれども、これは裏を返せば、日本は政治の安定、経済の安定というものを一つの条件として、アメリカ側から要求されておるということは、これは少しく政治に理解を持つておる者は、何人も否定することができないのであります。それが吉田・重光会談となつて現われ、明滅をして参りました保守再編成の動きとなって現われ、それが本日の新聞紙に緒方構想というものになつて現われて来たと思うのであります。そこでこれらのものを通じて、政府は一体どういう意図を持つておるのか、何を考えているのか、こういうことを伺いたい。アメリカがそういうことを要求しておるのではないか、アメリカの要求によつてそういうことが起つているのではないか、これが私の質問したい要点であります。
○緒方国務大臣 条約文の中にある今御引用になりました言葉は「自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲でその人力、資源、施設及び一般的経済条件の許す限り自国の防衛力」云々とあるので、これは防衛力を持つ場合に当然に国として考えるべきことでありまして、これには特別の意味が、文字の上からいいましても含まれていないと考えます。また交渉の経過においても何らかアメリカから特に条件を出されて、その条件を前提としてこの協定が結ばれたという事実は全然ございません。それからMSAと保守再編成ですか、これも今申し上げたことをさらに繰返すようなことになりますが、別に関連は何もないのでありまして、今日政界の実情から見まして保守勢力が、立党の歴史はありますが、もしその歴史あるいは主張において相許すところがありますならば、その勢力は結集した方がいいということは、ほとんど常識的に考えられておるところでありまして、これが特にMSAと結びつけられて起つた事実でないことは、大体世間の了解を得ておると考えます。
○河野(密)委員 昨年に行われた吉田・重光会談というものは、第一に防衛の問題に対する保守両党の協定が出て参っておりますが、これはMSAの今の相互安全協定と無関係だとは私は言えないと思うのでありますが、緒方副総理はどういうふうに考えておりますか。もしそれが無関係でないとすれば、それからずつと尾を引いておる保守再編成という問題も、これは国内体制を強化するという意味において無関係なものではないと私たちは考えるのであります。
○緒方国務大臣 それは特殊の意図を持つて、MSA協定を予想して掲げられた文字ではないと信じております。当時の事情は御記憶でもありましようが、保守勢力の結集というようなことが保守勢力の間には相当熱心に唱えられておりまして、その際に改進党と自由党の間に何か主要なる主張に間隔があるか、どういう点に間隔があるかといいますれば、この防衛力の問題が両党の一番大きな主張の違いとされておりましただけに、両党の立場をすぐにかえなくても、歩み寄れる点を両党で研究いたしまして、その結果ああいう文字を使ったのでありまして、これとMSAとの間には全然関係はございません。
○河野(密)委員 時間がありませんから題目だけで伺いますが、先般来伺つたところによりますと、池田・ロバートソン共同声明というものもこれは一つの拘束力を持つておるということであります。そこでお伺いいたしますが、池田・ロバートソン共同声明というものがこの協定の基礎となり拘束力を持つておるものとしますと、池田氏の資格は吉田総理大臣の個人的な使節であるという立場において行つたのでありますが、もしこの重要なる役割を果した池田氏に、伝えられるがごとき政治的な何らかの問題が生じたというような場合における吉田総理の政治的責任、アメリカに対する日本の国際関係の上からして、これに対する政治的責任を総理としてはいかに考えられるのであるか、いかなる処置をとるべきであるのか、これを私は伺いたいと思うのであります。
○緒方国務大臣 特使はまつたく私的の資格で参つたのでありまして、日本の経済的、政治的の事情を説明したことは間違いない事実でありますが、同時にアメリカ側の情勢を研究したことも事実でありますが、政府といたしましては、それは今回のMSA協定の交渉あるいは締結の基礎にはしておりません。 さらに今お述べになりました池田氏の身辺をめぐるうわさについて、総理がどう考えるかということは、私は申し上げる資格もないかもしれませんが、その事の真相がまだはつきりしていないので、仮定の上に私がかれこれ意見を申すべきでない、さように考えております。
○河野(密)委員 池田氏の資格は、総理大臣の個人的な代表者という資格において行つたにしても、池田・ロバートソン共同声明というものは、これは本協定の基礎になり、拘束力を持つ、これは私は先日来事務当局にお尋ねをして、確かにその通りに考えますという御答弁であつた。この協定の基礎になつておる池田・ロバートソン共同声明というものを決定して来た池田氏に万が一にも――仮定のことには答えられないと称しますが、万が一のことを考えた日本政府の面目、それから日本政府のアメリカに対する責任、総理大臣の政治的責任は一体どういうふうにお考えになっておるのか、こういうことを伺うのでありまして、この点につきましては、外交関係において、そういう場合における政府としての処置、これは岡崎外務大臣からもお答えを願いたいと思うのであります。
○緒方国務大臣 問題の性質上、またそれが仮定でありまして、特殊の問題でありますから、私ここでお答えを避けたいと存じます。
○岡崎国務大臣 池田・ロバートソン声明につきましては、政府はあとで、東京会談を行うということは追認をいたしております。従いまして追認をしておる事実から見ても、池田・ロバートソン会談がそのまま政府を拘束するものではなくして、これは特使でありますから、もちろん総理の代理としていろいろな事情を説明したものではありますけれども、その発表は両当事者、つまり池田・ロバートソン間でこういう意見にまとまつたということであつて、それがすぐ政府を拘束するものではないのでありまして、あとで追認したというのが実情であります。あとのことは、緒方国務大臣から申し上げた通りであります。
○河野(密)委員 これは緒方副総理から御答弁ができなければ、吉田総理の特使として行かれたのでありますから、こういう場合における国際的な信用その他にも関する問題が万が一にも起つた場合には、いかなる責任を総理個人としてとるのか、あるいは政府全体としてとるのか、これは私ははつきりしていただかなければならない問題ではないかと思うのであります。もちろん仮定の問題だと申しますけれども、緒方副総理が総理の代理であつても、この点は答えられないとおつしやるならば、これは総理大臣自身に伺わなければならないと思うのでありますが、国際慣例その他からして、こういう場合は一体どういうふうに考えたらよろしいか、この点をもう一ぺん伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 池田・ロバートソン会談等において、池田氏が総理の特使として話をしましたことは、政府としては特使でありますから、これは道義的にいろいろその間の事情は考慮して、できるだけ追認すべきものは追認しておりますが、ただいまおつしやつたようなことは、これは仮定の問題であるのみならず、この池田氏の使命とは全然関係がありません。従いまして池田氏の行きました使命については、この問題と関係なく処理できると考えておるのであります。従って国際関係について何ら特別の影響を及ぼすものでない、こう思つております。
○河野(密)委員 時間がありませんから、次の問題をお尋ねいたします。この協定そのものとして最も重要な問題は、憲法の第九条とこの協定との関係いかんという問題でございますが、冒頭に私が申し上げましたように、このMSAの協定によつてアメリカの援助を受けておる諸国は、単にこのMSAの協定だけによるのでなく、多くの国が北大西洋同盟条約あるいは全米相互援助条約とか、あるいはアメリカとフィリピンにおける防衛条約とか、オーストラリア、ニユージーランドとアメリカにおける防衛条約とかいうような前提となる条約をもつて、その条約の軍事義務を忠実に履行するということを条件にして援助を与えておるのが、大体においてこのMSA援助を受けておるすべての諸国の行き方ではないかと私は思うのであります。しかるに日本においては、そういう本条約とか本協定とか称すべきものはなくして、このMSAの協定そのものがすべてである。こういう形をとつております。あるものとすれば安保条約でありますが、この条約においては安保条約から一歩ぬきん出た義務を負うことになつておるのであります。 そこで私がお尋ねを申し上げたいのは、このMSAの協定、この協定だけを卒然として憲法に違反するかどうかという問題ばかりでなく、この前提となる何らかのオブリゲーションが背後にあるのではないか、これを想像するのは私は当然のことではないかと思うのであります。それがいわゆる日本の防衛力を増強するという一つの義務になつておる、こういうふうに考えられるのでありますが、その点はどうであるかという点と、もう一つは、この協定の第九条との関係において最も論議の的となつて参りました点は何かと申しますと、海外派兵ができるかできないかという問題であります。この点についての政府の答弁は二重に食い違つております。私はこの席で何べんかお尋ねをしたのでありますが、この協定の第九条に、憲法の範囲内において実施するものである、こういう条項があるから、憲法の範囲内で実施するということで、この協定に基いて海外派兵ということはあり得ないのだ、こうなぜ答えられないのか、こういうことを再三再四質問いたしましたときに、法制局長官は遂にこれに対する明答を与えなかつた。下田条約局長は、私の考えておる意見に同意見である、こう答弁しておるのであります。この点について海外派兵のごときはあり得ないということは、この協定の第九条に、憲法の範囲内においてこれを実施するというその明文によつて出て来ないのだ、あり得ないのだ、こうなぜ答弁ができないか、私はそれを答弁するならば当然日本の憲法の解釈の上においてもはつきりするのであるし、これは当然御答弁されるべきであるのに、下田条約局長はそれでよろしい、こう言つておるのでありますから、政府としてそれに対して明確にこの条項がある限りにおいては、海外派兵はあり得ないのだということを答弁できると思うのでありますが、緒方副総理の御答弁を煩わしたいと思う。
○岡崎国務大臣 ちよつと条約の関係でありますからかわつて御答弁いたします。 第一に河町君はちよつと誤解されておるのではないかと思いますが、この協定には何ら本協定というものは必要としないのでありまして、これはアメリカ側が――繰返して申すようでありますが、世界の平和維持のためには、各志を同じゆうする国の防衛力を固めて侵略の脅威をなくするということが趣旨でありますから、本協定があつてもなくても――本協定というものはないのですが、ほかの協定があつてもなくても、援助を受けたいという国がその資格ありとすれば、アメリカは援助をいたすのであります。この協定は要するにアメリカから援助を受ける、アメリカは援助をする、こういうことを定めておるのでありまして、その中に付随的にはたまたまそういう協定がありますればそれを、さらにその協定の義務を確認するというような文句はあります。しかしこれは今おあげになりましたフイリピンとアメリカの条約、あるいは日本ならば安保条約、こういうものの範囲内で行われて一向さしつかえないのであります。なお第九条の憲法の条章に従つてという点でありますが、これはもちろんお話の通りでけつこうであります。しかしながらたびたび繰返しますように、この九条の第二項の規定というものは念のため入れたのでありまして、それではこの規定がなければ政府は憲法の規定に従わなくていいのかといいますと、そうではありません。従いましてこの規定がないとしても、政府は憲法の規定に従つて当然実施するのであります。従つてこの規定があるからというだけのことではありません。なくても同じことであります。憲法の規定から見ましても、またその他の各般の情勢から見ましても、海外派兵ということはあり得ないということは、たびたび明らかにいたしておる通りであります。念のため私どももあいさつの中にこれをさらに公にいたしたような次第であります。
○河野(密)委員 ものはつけ加えて非常に弱くなる場合もあるし、つけ加えてそれがきめ手になる場合もあるし、私の言うのは、念のために入れたというのでありますが、念のために入れたものでありましても、これをたてにとつて派兵ということはあり得ないということに、私は解釈を一致して政府の一つの主張としてそういうことを明らかにしておいていただきたい、こういうのであります。くどいようでありますけれども、その点をもう一ぺん、この条里がある以上は問題にならないのだということを明言しておいていただきたい。
○上塚委員長 河野君にちよつとお伺いいたしますが、副総理は参議院の本会議で予算の説明を待つておるのですが、もう退席されてよろしゆうございますか。
○河野(密)委員 もう一点だけ。
○岡崎国務大臣 それではただいまの点をお答えいたしますが、もし河野君がそういうふうに御主張になるならばその解釈でちつともさしつかえありません。政府としてはもう一つさらにありますけれども、それだけの御解釈でも一向さしつかえないのであります。
○河野(密)委員 副総理お急ぎのようですから次にお尋ね申し上げます。これも報道されるところでありますからもとより真偽のほどは存じませんが、吉田総理が外遊をせられるということであります。われわれはこの吉田総理の外遊と本協定とは関係があると思つておるのであります。これは一部の意見かも存じませんが、私たちが外電関係から知り得、また外国人の間から聞き得たところによりましても、政府はいろいろ強弁をなさいますけれども、このMSAの協定を受けるについては、まず第一に日本の政府が、政界が安定をするということが前提の条件になつておる。その政界の安定をするという確信を一体日本政府は持つておるのか、持つておらないのか、こういう念を押されておる。同時にこの協定を実施するについてはほかのものが約束してもだめだ、吉田総理みずからがアメリカの政府に対してこれだけのことは必ず実行しますという誓約をしなければいけないのだ、こういうことを吉田総理の政治的責任においてはつきりしなければならないのだということをわれわれは聞くのであります。またさもあるべきこととわれわれは考えるのでありますが、その意味において冒頭に申し上げました今日の政界再編成の問題も、総理の外遊の問題もMSAの協定と無関係ではないと思うのでありますが、この点についての見解あるいは政府の考え方、いかなる意図を持つておるかということを承りたいのであります。と同時にそういうふうになつて参りますと、日本の政治の動向というものが占領を離れた今日においても、強く大きくアメリカ政府の意向というものによつて左右されるとわれわれは見なければならぬ。言いかえるならばわれわれはこの協定ができることによつて、一層内政の干渉、日本の政治の動向にまでアメリカの圧力が加えられるという点を非常に懸念しなければならない。これは私一人の危惧でなく、おそらく日本国民全体が持っているところの考えであると思うのであります。もし政府がそうでないとおつしやるならば、政府はどういう決意をもつてそういう内政干渉、外部からの圧力に対して対抗する考えを持つておるか、これをはつきりしてもらいたい。総理の外遊もこれらの点と何らの関係もない、保守再編成も関係がないとおつしやるならば、そういう決意のほどを明らかにしてもらいたい。もしそれらの点が緒方副総理に明らかにすることができないならば、われわれはこれは吉田総理自身の口から聞く以外にはない、かように考えるのであります。
○緒方国務大臣 先ほどから伺つておりますと、河野君と私どもと立場を異にするがためにそうも受入れ方が違うかと感ずるのでありますが、総理の外遊の問題は昨年の夏ごろでありますか、夏ごろから外遊の希望はありますが、まだ決定いたしてはおりません。同時に今の御質問の、これとMSAとの関係あるいは日本の政界の安定を、総理の口から確約させるために外遊を進めておるのだというような事実は全然ございません。それから、それならばそういう外国の干渉がましい態度があつた場合に、どういう決意をしておるかという御質疑でございますが、これはそういうことが現にないので、仮定の上にかれこれ申すことは避けたいと思います。すでに今日まで日本の防衛力増強の問題等につきましても、アメリカ政府から何ら干渉がましいことはありませんが、輿論の一部には何か日本に希望しておるかのごとき様子がときどき見えます。それをどう解すべきかいろいろ解し方あろうと思いますが、今日までこれに関する日本の態度のとり方、またMSAの交渉に際しての日本の態度、そういう点におきまして政府は独立国として、いやしくも自主性を汚さないように――もちろん今日は世界的に一種の合作時代ともいうべき時代でありますから、ただ自分のかつてなことばかり言つておる時代ではございませんが、その間におきましても日本の自主的立場というものはどこまでも曲げないようにやつて参つたつもりであります。
○上塚委員長 河野君、時間が参りました。
○河野(密)委員 それじや一点お尋ねしますのは、昨年池田氏が総理大臣の特使としてアメリカに渡りましたときに、アメリカ側の意向として総理大臣の渡米を希望する、しかし総理大臣が行き得ない、アメリカ側の希望にこたえ得なかったというので、特に総理大臣個人の特使として池田氏を派遣したのだという。アメリカ側から吉田氏の渡米に対する要請があつたかなかつたか、そうして吉田氏渡米にかわるものとして池田氏を派遣したという事実があつたかなかつたか、その点を承つておきたい。
○緒方国務大臣 全然そういう事実はございません。
○上塚委員長 この際戸叶里子君に残余の時間二分間を限つて発言を許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 私はこの前二分だけ時間が残つているというきびしいお達しがありましたので、その範囲内で簡単にお伺いしたいと思います。 この前の委員会で、緒方副総理は自由党の議員の質問に対しまして、今の世界は共産陣営と自由主義陣営との二つの陣営にわかれている。この上に立つての日本の立場ははつきりしているのであつて、そういう立場を守りながら、国際的な義務を果して行きたい、こういうふうな御答弁をされました。私はそのときに、国際的な義務というのは一体どういうことであろうかということをすぐ質問したかつたのですが、その機会を得ませんで、そのまま不審の念を抱いておりますので、この際その点について、国際的義務とはどういうことをさして言われたのか、はつきり御説明願いたい。 もう一点は、時間がありませんので続けて申し上げますが、先ほどからの御答弁を伺つておりますと、わが国は平和条約、安保条約からずつと、自由主義陣営とともにその行動をする方向に来ている。そこで今回のMSAの援助を受けることによつて、はつきりと自由主義陣営への協力ということをさらに一歩前進して打出し、そうして他の陣営との線をはつきりここに区別したのではないか、こういうことが言えると思いますが、その点に対する緒方副総理のお考えを承りたいと思います。
○緒方国務大臣 私は今の自由主義、共産主義両陣営の対立というものは、これは世界平和に行く一段階であると考えております。そういう意味において、日本が自由主義陣営に入つていることは、何も共産陣営と戦う目的で入っているのではない。またアメリカといえども、戦う目的ではない、やはり目的は平和にあると考えます。 国際義務という言葉を使つたかどうか知りませんが、要するにその陣営にある以上は、その陣営、つまり普通の言葉でいえば、国際間の信義を守つて行かなければならない。その信義を守る上にいろいろな義務を生ずる場合があろう、それは当然のことであると考えます。
○上塚委員長 速記をやめて。 〔速記中止〕
○上塚委員長 速記をつけてください。 理事会を開いて協議いたしました結果、左の通り決定いたしました。第一、副総理に対する質問は、残りの質問者が四名おりますが、おのおの三十分ずつを許すことといたします。また第三条に対する質問は各党一時間ずつ許しまして、本日中に討論、採決をすることに決定いたしました。 これにて暫時休憩いたします。午後二時より再開いたします。 午後一時二分休憩 ――――◇――――― 午後三時四十九分開議
○上塚委員長 休憩前に引続き会議を開きます。質疑を継続いたします。この際日米相互防衛援助協定第三条について質疑を許します。 議事進行に関し、穗積君の発言を許します。
○穗積委員 委員長にちよつとお尋ねいたしますが、大蔵委員会からの合同審査の申入れはどうなつておりますか、ちやんと諮つてください。
○上塚委員長 これは後ほど理事会を開いて諮ります。
○穗積委員 私の伺つているのは、合同審査の申入れがあつたのかないのかということを聞いておるのです。
○上塚委員長 合同審査の申入れは正式にあつたそうです。今聞きました。それで後ほど理事会を開いてお諮りをいたします。――細迫兼光君。
○細迫委員 第三条の規定から当然に出て参りますこの秘密保護法案、これについてお尋ねをいたしたいのであります。 まず保安庁、法務省関係の方にお尋ねをいたしたいのでありますが、第一条の三項、防衛秘密の定義におきまして、「公になつていないもの」という表現がございますが、まことに漠然としておりまして、その内容がはつきりいたさないのでございます。それで公になつているのか、いないのかという標準、区別はどこでおつけになるのか、その点をまず予備的に承りたいと思います。
○桃沢説明員 ただいまお尋ねの「公になつていないもの」という言葉は、行政協定に伴う刑事特別法、俗に刑特法と申しておりますが、この刑特法の第六条の言葉をそのまま借用したものでございます。私どもの考えております「公になつて」という意味は、相当多数の人に知られている状態を言うと解しております。このような言葉を使いましたゆえんを二、三申し上げますと、この第一条の第三項で考えております「防衛秘密」というものは、これは秘密でございますから、相当高度なものをさすと考えております。しかもそのどういうものが防衛秘密に当るかという実際問題につきましては、これは保安庁の方から御説明申し上げるのが適当と思いますので、その方に譲りますが、かりに高度の秘密がここにあるといたしましても、それがたとえばアメリカなどですでに雑誌などに取上げられている、あるいは外国でアメリカ以外の国におきましてもそれが公にされているというようなものを日本において秘密にする必要は少しもないのでございますから、そういうものはこの第三項から省いて、防衛秘密とはしない、かような考えでございます。
○細迫委員 保安庁から何か補足すべきことがあるなら、続いて承りたい。
○上塚委員長 保安庁の政府委員は今督促中でありまして、間もなく参りますから、保安庁以外の方面に御質問を願います。
○細迫委員 それでは別の方に伺います。法律の中に「標記を附し、」というようなことがありますが、それとは別に「公になつていないもの」ということに関連して、官報にこれが秘密だというようなことを発表なさつて、それ以外のものは公になつているものである、こういうふうに見てよろしいのでありましようか。官報その他あるいは公知させる。この範囲まではよろしいのだということ、あるいは逆にこれはいけないのだという範囲を何か公知させる手段をとられることを予定しておられるのでありましようか、承りたいと思います。
○桃沢説明員 この第一条で規定しております「防衛秘密」は、私ども法律的にはいわゆる自然秘と考えております。それで指定秘としての扱いはいたさぬ建前になつておりますので、ただいまお話の第二条の行政機関の長が標記をするということと、法的には関係ない、かように存じております。 なおどういうものがこの「防衛秘密」に当るかということは、官報で告示するような手続にはなつておりません。またこれを新聞等で発表するというような考えも持つておりません。ただ防衛秘密は先ほど申し上げましたように、相当高度の秘密でございますから、一般人が普通目に触れたり、聞いたりするようなものではなく、従つてどういうものが秘密であるかということを一般人が知らなくても、この法律に簡単に触れるというようなことはないものと、私ども解しております。
○上塚委員長 細迫君に申し上げますが、ただいま保安庁次長増原恵吉君、同官房長上村健太郎君が見えましたから、保安庁関係のことを御質問願います。
○細迫委員 ただいまのことは保安庁に承りましよう。「公になつていないもの」という第一条第三項の文字の意味でありますが、これについてあなたの方では官報に告示するとかなんとかいうことによつて、公になつたもの、ならぬものと区別をなさる予定でおられるのでございましようか、その点を承りたいと思います。
○増原政府委員 ただいまお答えがありましたように、この秘密関係はこれを官報で告示する等の方法が性質上非常にむずかしいものでもありますので、これを原則として官報等で公示するというふうなことは考えておらないわけでございます。
○細迫委員 そうすると、この法律では過失犯を罰することになりまして、なおそれは刑の量定にもおのおの故意犯とは差がつけられておるのでありますが、この公知方法をとられないとしますならば、いわゆる過失に該当する場合が非常に多いのではないかと思われるのでございます。そこで故意か過失かをきめることは、これは個々のケースによつてでなくてはいたし方がございませんが、しかしそれでは罪刑法定主義をとつております法律界の建前といたしましては、はなはだ物足らぬものがあるといわなければならぬのであります。何らか抽象的にでもここの区別が立てられていなくてはいけないと思うのでございますが、その点いかがにお考えでございましようか、法務省からお聞きしたいと思います。
○桃沢説明員 ただいまのお尋ねの点は、秘密保護法の第四条の関係と存じますが、第四条では「業務により知御し、又は領有した」場合だけに限定してありまして、この業務によりますものは、当然何が秘密であるかは十分知つている者だけがこの処罰の対象になつておるということになりますので、その点の御心配は無用かと存じます。
○細迫委員 しかしながらこの業務というのは、私は何も保安庁職員のことだけをさしておるとは思いません。そうは理解できません。たとえば、報道関係の業務に属する方でも、あやまつて報道の内容にせられるという場合が想定できると思う。すなわち、実質的にこれが公になつていないものということを知らない人たちが多数に含まれる可能性が私はあると思いますので、今のお答えではつきりした区別が立てられないと思うのでございますが、いかがでございましようか。
○桃沢説明員 ただいまのお尋ねの場合、たとえば新聞記者の取材の問題であろうと思いますが、それが漏洩によつて問われます場合は第三条の二号の場合、「通常不当な方法によらなければ探知し、又は収集することができないようなもの」この認識を必要といたしますので、やたらにこの罰条にかかるということにはならぬと存ずるのであります。なおこれらの詳細の点は、いずれ秘密保護法自体の御審議を願います際に十分詳細御説明申し上げたいと存じます。
○細迫委員 今もちろんわれわれは第三条を審議しておるのでありますが、第三条によつてわれわれが一番懸念しておりまする点は、日本国民か憲法によつて保障せられておる言論の自由ということが、不当に侵害せられ、干渉せられる結果になりはしないかという点が一番おもなところだと思うのであります。従つて秘密保護法の審議に譲つていただきたいと申されましても、そういうわけには行きません。それに関連した問題につきましては、少くともそうは参らないのであります。保護法の内容をはつきりいたしてもらわなくてはなりません。すなわち、今のお言葉によりますと、第四条にある「業務」というのは、保安庁関係の業務に限定せられるのでございますか。また第三条の第三号にも「業務により知得し、」と「業務」という文字が出て来るのでありますが、これは同じく保安庁職員のみに限定せられるものでございましようか、いかがでございましようか。
○桃沢説明員 新聞記者の取材活動はこの業務には該当いたしません。この秘密を取扱う保安庁の職員は、この「業務により」に該当いたします。なほ保安庁から委託を受けてその修理、製造に当る者で、この秘密を取扱う者も同じく「業務により」に該当すると存じます。
○細迫委員 過日参議院でも相当論議せられておりますので、なるべく重複しないようにとは心がけますが、いろいろ懸念され疑問に思われる点がございますので、お伺いしたいと思います。そこで小さなことに相なりますが、この取締りと申しますか、違反行為ありとみなされる場合に、その捜査などは、私の意見によれば、当然同じく警察によるものだと思うのでございますが、これは保安庁内部の職員にまで警察が捜査の手を伸べるという構想に立つておるのでございましようか、いかがでございましよう。
○増原政府委員 保安庁が現在持つておる警務官という名前のものは、保安庁の隊員の犯した犯罪であるとか、あるいは保安庁施設内で行われた犯罪であるとか、保安庁の施設に対して、一般司法警察職員と同様な権限を持つておるわけであります。しかしながらこれも現在一般警察と協定をいたしまして、たとえば収賄関係みたいなものは一般警察においてやつてもらうということにしております。この秘密保護法の関係は、隊員自体が犯したものは、やはり部内秩序維持という意味において、警務官で行うことにしたいと考えておりますが、一般国民が不幸こういう犯罪を犯されたという場合は、一般警察において所管してもらうようにしたいという考えをもつて進んでおります。
○細迫委員 一般の者が犯罪の嫌疑がありました場合、警察に捜索権があることは言うまでもないのであります。問題は隊員の中に嫌疑者があつた場合のことでありますが、今の御説明で大体わかりました。鉄道の公安官みたいなのと同じような職務を持つておるその職員によつてなされるというのでありますが、これは具体的にはどういうことになっておりますか。不案内でありますから承るのでありますが、嫌疑者を留置するような設備ないしは権限がございますか、あるいは逮捕まででございますか。逮捕したならば留置は普通の刑事訴訟法によつた場所ということになりますか、逮捕して警察官に引渡すということに相なるのでございましようか、その点御説明願いたいと思います。
○増原政府委員 隊員の犯しました犯罪につきましては、警務官は一般司法職員である警察官とほぼ同様な権限を持つております。従つて留置の権限はございますが、現在留置をする施設は持つておりませんし、こういう施設を今つくろうという考え方も一応ございません。従いましてその場合は一般警察の方へ委託をして留置をするという方法をとるようになつております。
○細迫委員 この秘密保護法における「行政機関の長」というのは、具体的にどなたに相なるのでございましようか、念のためお聞きしておきたいと思う。
○山田政府委員 多くの場合は保安庁長官ということになりますが、事案によりまして、たとえば特許関係の事柄でありますれば特許庁長官、それから一般の防衛生産の関係になりますと通産大臣というものが、それぞれ行政機関の長になるものと思います。
○細迫委員 こんなことはあるまいと思いますが、念のために第二条で標記を付するということになつておりますが、一般的に保安隊のおります地域、構内あるいはその中の一部分の建物、施設など、一般にこの内容物の秘密を守るために、この中にあるものは秘密であるというような標記、それはいわば具体的には立入り禁止の標示というようなことに相なるのではないかと思いますが、そういう手段をとられることをも標記を付するという意味の中には含んでおりますでしょうか、どうでしょうか。
○増原政府委員 「標記を附し、関係者に通知する等防衛秘密の保護上必要な措置を講ずるものとする。」付しその他というふうに書き現わしておりまして、ただいま御設例になりましたような高度の秘密を持つておるもので、そこに関係のないものが立ち入つて秘密を探知収集するというおそれのあるところは、もちろんごく限定をいたしまして、立入りを禁止するというような措置をとることも、この中に含んでおると考えております。
○細迫委員 これがやがて秘密保護法違反の事件が裁判ざたになりますと、その裁判の内容は必然にいわゆる秘密の内容に触れざるを御ないことに相なると思うのでございます。御承知のように裁判は公開を原則としておるわけであります。もちろんそれの現実の取扱いは裁判官の問題でございますが、この際当局のお考えも大きくその裁判に影響するに違いない、たとえばこれは非常な秘密でございますとか、これは大したことはございませんとかいうことは、裁判上に非常な影響を及ぼすことに相なるのでございまして、それで当局のお考えを承るのでございます。おそらくほとんど全部のものが公開せられざる裁判を受けるというようなことになりはしないかと思うのでございますが、そこらのお見込みはいかがでございましようか。
○桃沢説明員 憲法第八十二条の規定によりまして、原則として審判は公開せられることになつておるのでございます。ただ第二項で特殊な場合にこれを非公開にすることができるという規定がございます。しかしなお但書におきまして、政治犯罪、出版に関する犯罪またはこの憲法で保障する国民の権利が問題になつている事件の対審というものは、これを常に公開することになつているのでございます。この基本方針はこの法律の場合にも当然適用があるものと考えております。またその運用の点につきましては、これはお話のごとく裁判所の決するところでございますが、私はその点裁判所におきまして厳正にかつ慎重に決せられるものと信じておるものでございます。
○細迫委員 新聞によりますと、フリゲート船にもこれに該当するような秘密がすでにあるというようなことの想像せられる記事があつたのでございますが、そういうものはもし――われわれは全然知りませんけれども、参観したり何かして知つているものがあるとすれば、それはいわゆる公になつたものとして取扱われるわけでございます。すなわち既存のものと、今から供与を受けるものとでそこに相当な開きがあると思うのでございますが、それはいかがでございますか。
○山田政府委員 既存のものにつきましても、ただいま御説明に出ましたようなフリゲート艦の若干の部分につきましては、現在秘密とされておるものがあるのでございます。この法案が通過いたしますれば、おそらくこれらのものがこの秘密のいずれかの等級に入つて来る、かように思つております。もちろんここで秘密と申しておりますのは、法案の第一条の第三項の第一号にありますようなこれらのものの「構造又は性能」あるいは「製作、保管又は修理に関する技術」「使用の方法」かようなものでございまして、単に何が秘密であるということがわかつておるだけでは、いまだそれがここでいう公になつているもの、かように見ることはできないのでございます。依然として秘密の性格は持つておるもの、かように考えております。
○細迫委員 非常にあいまいでございますが、第一にはフリゲート船などはあらためてこのMSA援助の供与物として、供与せられたものの品目の一覧表か何かできれば、その中に入るわけでございますが、今までのは、今までのああした形において使つておるという状態が持続するわけでございましようか。
○増原政府委員 第一条に書いてございますように、この法律は日本相互防衛援助協定等というようになつておりますが、それはこのたびのいわゆるMSA協定と、日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定と、この二つを含んでおります。フリゲートはこの船舶貸借協定によつて貸与をされたものでございまして、この法律の中に明白に含んでおるのでございます。
○細迫委員 フリゲート船のことはそれでよろしいのでありますが、たとえば特車ですか、その他いろいろな、今まですでにああいう形で使つておるものも、MSA協定による供与として受けたことに籍がかわるのですかどうですか、その点を承りたいと思います。
○増原政府委員 この法律で今予定しております協定はこの二つでございまして、それ以外に現在主として陸で借りておりますもの、これはこの法文のうちには入りません。そうして現在陸の方で使つておりますものは、まだ大まかな話合いにすぎませんが、いわゆる秘密に属するものはないという米国側の話によつてこちらも措置をする、現在陸で借りておるものは秘密条項はないと考えております。
○上塚委員長 次は戸叶里子君。
○戸叶委員 保安庁長官がお見えになつていますから、それに先だつて一点お伺いしたいのですが、昨年は保安隊員を米国に留学させなすつたようですけれども、二十九年度もそういうことを計画の中に入れていらつしやるかどうか承りたい。
○木村国務大臣 二十九年度につきましても、でき得ればある程度のものは向うへ見学にやりたい、こう考えております。まだ決定いたしておりません。
○戸叶委員 大体幾人ぐらいを予定していられますか。
○増原政府委員 百数十名できればというつもりで、正確な数字はちよつと今持つておりませんが、百四十数名だと思います。
○戸叶委員 どういうことを勉強しにアメリカにやられるのでしようか。
○木村国務大臣 主として技術の習得であります。御承知の通りアメリカから援助を受けます武器その他についての使用方法、引続いては現在いろいろな進歩発達が目の前に現われております、それらの点についての見学ということであります。
○戸叶委員 わざわざアメリカへ武器の使用を練習に行かなくとも、今度はMSA協定でいろいろな武器の貸与や供与を受けまして、そして、そこに顧問団がやつて来て指導することになつておりますが、日本に来ない武器についての指導を受けに行くのかどうか、その点を承りたいと思います。
○増原政府委員 日本に参ります武器につきましても、教授の仕方なり教授の場所なり材料等も、それに従つて適切に配列してあるという、非常に能率的なやり方ができるようになつておりますので、向うにやりますことの方がよりよいというふうな意味で参らせるわけであります。しかし、中にはまだ今までわれわれが受取つておらないような武器について習得をするということもあり得るかと思います。
○戸叶委員 私はわざわざアメリカまで行つてそういうことを学んで来なくても日本でもできるのじやないか、その点を非常にふしぎに思いますが、日本に来ない武器についても練習に行く、そういう点を了解いたしましたとしても、そういう武器で、日本がもしもそれがほしいというようなことを望みました場合に、MSA協定でそれを日本へ供与を望むことができ得るものかどうか、それを承りたい。
○増原政府委員 現在もらつておりますような武器のほかにも、こちらで要望をしてもらうというものはぼつぼつ出て来るかと考えております。
○戸叶委員 そこで私はこの三項に関連してお伺いしたいと思います。「公になつていないもの」ということでお伺いしたいのですが、先ほどの御答弁では、アメリカで公にされているものを日本で秘密にすることはない、こういうことでございました。それでは、アメリカで公にされているとかいないとかいうのは、どういうところでわかるのですか。これは米国では公にされているのだというような何かしるしをつけて来るわけなんでしようか、どうなんでしようか、その点を伺いたい。
○山田政府委員 MSA協定ができますれば、おそらくアメリカ大使館側と日本政府間におきまして、一種の合同委員会的な組織ができまして、その委員会を通じてアメリカで公表せられたもの、あるいは公になつたものにつきまして通知を受けるということが期待できると思います。
○戸叶委員 そうしますと、今援助を受けようと計画をしていられるものの中に、すでにこれは秘密を守らなければいけないというような装備があるかどうか、これを伺いたい。
○増原政府委員 現在もらおうとしておりますものは、実は陸のものにつきましては大体三管区分というようなことで、まだ今細目をだんだん協議をしておる段階であります。そして、そのうち秘密にしなければならぬもの、すなわちそれはアメリカで秘密にしておるものということでございますが、これは一つの事項々々を明確に話合いをしまして、向うでこれは秘密にしておるというものを確認して、こちらで秘密にするという措置をとるということにしたいと思います。
○戸叶委員 そうしますと、一つのもの、たとえば船なら船、あるいはバズーカ砲だとかいろいろそういうものに対してこれは向うで公にされている、これはされていないということが一々表示されて初めてわかる、こういうふうに了承してよろしいわけですね。そうしますと、今度はこの一条のイのところに「構造又は性能」と書いてありますけれども、その場合に構造または性能の中に、外観――外に現われた形、そういうものは入るのでしようか入らないのでしようか。
○増原政府委員 大体において外観などの入るものはなかろうと想像いたしております。たとえば大砲をもらいます場合でも、外観その他は秘密でなくて、特殊な、たとえば撃発装置のところだけが、構造、性能等において秘密であるというふうなものがまず予想されるのでありまして、外観その他全体についてあるというものは、今のところ予想をしておりません。
○戸叶委員 そうしますと、大体来たものの外観は何でもない。しかしこのAというものの構造なりあるいは性能というものが秘密を守らなければならないという場合には、その外観について、ああいうふうなものがどういうところへ来たとか話をしたり、あるいはあそこに来たこういうものがあるけれども、これはその性能なり構造については、しやべつてはいけないのだそうだというふうにして言いふらしても、それは別に取締りの対象にならないわけですか。
○山田政府委員 御説の通りでございます。
○戸叶委員 その次はハに「使用の方法」ということがありますけれども、これはどういうふうにして使用するかということが秘密の対象になると思います。そうしますと、すでにどこかで使つている場合に、遠くの方からこれを写真にとるとかなんとかということは、別に取締りの対象にならないわけですか。
○山田政府委員 多くの場合、遠くから写真をとるということは何らこれに該当いたしません。
○戸叶委員 次に、ここにあります一条の三項の二号に日本相互防衛援助協定等に基き、アメリカ合衆国政府から供与される情報で、装備品等に関する前号イからハまでに掲げる事項に関するもの」、こう書いてありますが、この情報、こういうイからハまで掲げる情報で、これは極秘だとか、これは秘だとかいうことが向うからちやんと指定されて来るわけなんでしようか。
○山田政府委員 ちよつと御質問のあれにそれるかと思いますけれども、この情報というのは、実はインフオーメーシヨンの訳語でありまして、一見非常に抽象的な、漠然としたような形でございますが、ここで保護せられる情報は、装備品等に関するイからハまでの「構造又は性能」、「製作、保管又は修理に関する技術」、「使用の方法」、かような技術に関する情報に限られたものでありまして、これは現物は供与されないけれども、知識として向うから伝えられるものがある、それを規定したものでございます。
○戸叶委員 もう一度ちよつと確認しておきたいのですが、そうしますと、その現物は何も来ない、しかしこういうふうなものがあつて、それはこういうふうな働きをするのだというその情報だけなんでしようか。
○山田政府委員 さようでございます。
○戸叶委員 それは何のために日本にそういうことを知らして来るのですか。たとえば原子の問題なら原子の問題で、原子力の威力というものはこうこうこうだ、この種類のものはこうだというふうな、そういう情報も日本の方へ送つてくれる、こう了承してもいいわけでしようか。
○山田政府委員 この一条の三項の第一号の方は、装備品が現実に供与されているものについての規定でありまして、第二号の方は、現実に装備品は供与されないけれども、情報として与えられておるもの、従いましてその情報によりまして、場合によつては、防衛生産で日本自体がかような装備品をつくることがあるという場合の規定でございまして、決してこれによつて原子力の秘密を日本が米国から受けるということを想像して規定したものではございません。
○戸叶委員 先ほどの質疑の中で、ちよつとお答えがわからなかつたのですけれども、たとえば自衛隊の中で秘密を漏洩する者があつた場合には、これは自衛隊の中で取締る、こうおつしやつたのでしょうか。
○増原政府委員 現在保安隊の場合でありましても、保安隊員が犯罪を犯しました場合には、隊内の秩序維持に任じておるところの、現在警務官と呼んでおりますが、これが一般司法警察職員と同様の権限を与えられまして、これはもとより判事、検事の指揮を受けてやるのでありまして、刑事訴訟法の手続等は一般警察と同じものでありますが、部内でそういう犯罪捜査のできる職員がおるわけであります。この秘密保護法につきましても、隊員が秘密漏洩をしたような場合には、大体その警務官が犯罪捜査の第一線の仕事をしている。もとより検事の指揮を受けてやるわけであります。そういうことを申したのでございます。
○戸叶委員 その警務官は隊内だけであつて、外部の人に対してもそういつた権限を持つというようなことが現われては来ないでしようか。
○増原政府委員 現在提出しております防衛庁法案並びに自衛隊法安によりますと、大体現在の保安庁法にのつとつておりまして、保安隊、自衛隊等の施設内において行われた犯罪、隊員に対して行われた犯罪、自衛隊の使用したり所有しておる施設または物に対する犯罪等に対しては、この警務官が一応司法警察職員としての権限を行い得るのであります。しかし現在でも全部それらのものを警務官がやるという人手ももちろんございませんので、一般警察と協定を結びまして、どういうものを警務官がやるか、これは部内秩序維持に必要な最小限度というような形で協定をしております。そういう意味でこの秘密保護の関係におきましても、こういう規定から言いますと、外部の人が行いましたものでも、一応管轄があるようになつておるものでも、これは政令によりまして、一般国民の秘密保護に関する犯罪については、これを一般警察において所管してもらうというふうにする予定でおります。
○戸叶委員 そうすると、この部内の警務官が一般の人の秘密漏洩を認めた場合に、これを外部の警察官に通告する、こういうこともあり得るのではないかと思いますが、その点はどうですか。
○増原政府委員 もとよりそういう場合はあり得るわけであります。警務官がそういう犯罪を確認したといいますか、そういう場合には、本来ならば自分でやるべきところでありますが、一般警察官署の方へ連絡し、その司法職員によつて措置をしてもらうということであります。
○戸叶委員 そうすると、今この法律によると、直接に警務官がその一般の人を犯罪の容疑があると認めた場合に、これはあなたはこういうふうな罪を犯したというようなことを言うわけには行かないけれども、警務官が警察の人を連れて行つて、そうしてこの人はこうこうこういうふうな犯罪を犯したということを指摘する権限はあるわけでございますね。
○増原政府委員 現在提出をしております法案そのものには、たとえば防衛秘密を不当な方法で探知するというような場合でありますと、おそらく保安庁の施設の中へ入つて来てとるというようなことが多いと思います。そういうものは警務官の司法捜査の権限内にあるわけであります。しかしながら、それを警察と協定をしまして、保安庁においては部内秩序維持の必要な限度にこれをとどめるという建前で、そういうものは一般警察に移して、一般警察の方で捜査をしてもらう、そういうことにしようということであります。
○戸叶委員 その辺の権限がなかなかむずかしいところでございまして、そういうことを伺つておりますと、どうも昔の憲兵隊というようなものが復活して来るのではないかということを私どもは非常におそれるものでございますが、そういうものが復活をしないのだという、はつきりとした具体的な例をちよつとお示し願いたいと思います。
○増原政府委員 この法律は、自衛隊法案の第九十六条に規定をしてあるのでありまして、御審議中でございますが、「自衛官のうち、部内の秩序維持の職務に専従する者は、政令で定めるところにより、左の各号に掲げる犯罪については、政令で定めるものを除き、刑事訴訟法の規定による司法警察職員として職務を行う。」、一は「自衛官並びに陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部及び部隊等に所属する自衛官以外の隊員並びに学生及び訓練招集に応じている予備自衛官の犯した犯罪又は職務に従事中の隊員に対する犯罪その他隊員の職務に関し隊員以外の者の犯した犯罪」、二号が「自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内に有る犯罪」三は「自衛隊の所有し、又は使用する施設又は物に対する犯罪」、こういうふうに限局してございまして、昔のように非常に広汎に、いわゆる軍に関する犯罪ということで捜査権限を持つておるわけではございません。こういうふうに限定をしてあります上に、さらに政令で定めまして部内の秩序維持に必要な一つのわくをかけて、現在は実施をしておるという状態であります。
○戸叶委員 その点に関しましては、いずれこの法案自体を審議するときに、もう少しわからせていただきたいと思います。 次に先ほどから少し問題になりましたが、三条の一に「不当な方法で」ということが書いてあります。これはスパイの場合よりほかあまりないのじやないかと思いますが、それではこの不当な方法以外で収隻するというようなものは一体何でしようか。不当な方法によらなければ収集できないものというのは、一体どういうものをさすのでございましようか。
○増原政府委員 第三条の一号にあります「不当な方法で」というのは、結局は社会通念によるものでありましようが、人を欺罔するとかあるいは住居侵入等の方法によつて施設内に入つて来るとか、金庫の中にしまつてあるものをあけてとるとか、金銭をもつてたぶらかすとか、いろいろな方法が社会通念にあります不当な方法であります。不当な方法でなくて探知収集する――二号に「通常不当な方法によらなければ探知し、又は収集することができないようなもの」ということがありますが、これは一例を申しますと、業務上秘密を知つておる者、そうした防衛秘密の書類を持つておつた者が過失等によりまして、たとえばこれを電車の中にカバンごと忘れて来た、これは過失による場合でありますから、忘れた者自体は業務による過失であつたものとしての処罰を受けることになりますが、それを拾つた人があけて中を見たという場合には、それ自体は不当な方法ではないのでありますが、防衛秘密という標記も必ずそういうものにはつけてあるのでありますから、内容を見ればこれは通常不当な方法によらなければ探知できないものであるということは、常識のある者であればわかるはずであります。そうして場合には、そういうものを漏らした者は二号に該当をするということになると考えます。
○戸叶委員 そうすると、先ほどおつしやいましたようにある地域に入つて――ある地域に入らなければとうていわからないようなことを、ある地域に入つてそうして外へ出て来ましたときに、それがだれかに漏れたといたします。漏れ聞いた人がどうもこのことは秘密らしいのだけれども、あそこではこんなことがあるらしいというようなことをだれかに言いました場合に、その人はやはり処罰されることになりましようか。
○桃沢説明員 ただいま御説明の場合に、単なる推測では入らない。なおそれが秘密らしいというばかりではなくて、通常不当な方法によらなければ探知収集することはできない秘密であるということの認識を必要とすると考えます。
○戸叶委員 不当な方法でなければ知ることができないような秘密がよそへ漏れて行く、それを聞いた人が知らずに話した場合には処罰されないわけでありますか。
○桃沢説明員 その場合には、不当な方法によらなければ探知または収集することができない秘密であるという認識がないものとして、この三条違反には該当しないと考えます。
○戸叶委員 こういうふうなものを出されますと、いろいろなことを知りたいという人あるいは話そうという場合にも、非常に自由を制限されるというふうに私ども考えまして、いろいろな点で非常に心配をいたすものでございます。そこでそういう点につきましてもいろいろまだお伺いしたいのですが、この法案自身出たときにまた詳しく伺いたいと思います。私の質疑はこの程度にしておきます。
○河野(密)委員 関連してごく簡単に伺います。協定と、附属書Bと、それから提出になつております秘密保護法案と、この三者の関係がきわめて明確を欠いておると思うのでありまして、その点を一つお伺いしたいのと、この協定によりますと、協定自身に基いてこの秘密保護法案というものを出すわけでありますが、この秘密保護法案によりますと船舶貸借協定というものが加わつております。一体船舶貸借協定をこの秘密保護法案に加えた理由はどれに基いて加えておるのか。秘密保護法案を制定するにあたつて、いかなるあれによつて加えたか。 それからもう一つは、この船舶貸借協定というのは、先ほどから話を聞いておりますと、過去におけるフリゲート艦というものまでも含まれるということでありますが、われわれの理解するところによると、日米防衛協定によつて新しく船舶貸借協定が結ばれるやにも見えるのでありますが、その点の関係がきわめて不明確だと思う。 それからもう一つは、この附属書Bによりますと、秘密の物件、役務、情報等であつても、これはアメリカ政府の事前の同意を得ないものが防衛秘密となるものであると考えられるのでありますが、この秘密保護法によりますと、そういう制限、アメリカ政府の同意を得ないというようなことが問題になつていないのであります。この関係は、日本の法律の方が範囲が広くなつていると解釈されるのでありますが、この点を伺いたい。
○下田政府委員 第一点についてでございますが、協定の第三条で日本政府は立法義務を負つておりません。場合によりましては、条約自体で立法義務を負う場合もございますが、今回の場合は立法義務を直接協定で負つているわけではないわけであります。「秘密保持の措置を執るものとする」と、措置をとることを約束いたしておるだけでございます。でございますから、今度の法案自体にも、協定に基く秘密保護法とは申しておりません。「協定等に伴う」とうたつておるのでございます。でございますから、協定で約束しました措置をとるについて、日本政府としてはやはり法律が必要であるという、日本政府独自の考えに基きまして法案を制定いたすことに相なったわけであります。でございますから、この日本政府の独自の見解に基きまして、この際船舶貸借協定に基いて日本が受取ります船舶の装置その他についての秘密も、一緒に法案でカバーしようといたしますことは、これはまつたく日本政府の自由でございます。 第三の点につきましては、「事前の同点を得ないで」ということは、これは直接ここに「日本国政府の職員又は委託を受けた者以外」と書いてございますから、日本政府が政府の職員または政府から委託を受けた者以外にその秘密を知らそうということを、何らかの事情で必要といたします場合には、アメリカ側の事前の同意を得なければならないといつて、政府と政府との間のことだけを規定しておるのでございます。これに反しまして法案は、これは一般国民に対する規制を定めるものでございますから、この政府と政府との関係につきまして、法案の中に言及する必要はごうもないわけでございます。
○土屋政府委員 ただいまの河野さんの御質問でありますが、船舶貸与協定と申しますのは、昨年日本とアメリカとの間で結びましたフリゲート艦のチヤーター・パーテイといつております雇用契約をいつておるのでございまして、ただいま新聞に載つております今後日本が借りるだろう船舶は、どういう名前になるか、今のところまだはつきりいたしませんが、新聞等に今後船舶貸与協定をするだろうというのは、これから先のものでございまして、この法律で申しておりますのは、すでに日本とアメリカとにありますフリゲート艦の貸与協定のことを申しております。
○河野(密)委員 重ねてお尋ねしますが、そうしますと、この日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案に書いてある防衛秘密と、それからこの協定それ自身に基いて日本政府がアメリカ政府に負うておる防衛秘密と、その限度はどちらが広いのですか。私の解釈するところによると、政府の負うておる防衛秘密の方がはるかに軽いように見えるのでございます。それにもかかわらず、日本の政府が日本の国民に対して求めようとする防衛秘密の方がはるかに重いというのは、これはわれわれとして納得が行かないのでありますが、このいずれか広いか、これを明確にしてもらいたい。
○下田政府委員 この附属書で問題といたします点は、付属書Bは三つのことが規定されております。前段は「秘密保護の等級と同等のものを確保する」ということでございまして、後段は、アメリカ政府の事前の同意を得ないでこれこれ以外の者に秘密を漏らしてはならないということであります。問題になつておりますのは後段のことでございます。そこで保安庁に対しまして新聞記者団から、ひとつこの高性能の武器を見せてもらいたいというような注文が出たといたします。その場合に日本政府は独断で、そんなに熱心ならひとつ見せてやろうというようなことをしてはいかぬ、事前にアメリカと相談して同意を得なければ、日本政府の独断では見せられないということだけを規定したのであります。でございますから、日本政府がある都合なり必要なりを認めて一方的に秘密を漏らしてはいけないということだけの話でありまして、法案の目的といたします広く何人に対しても秘密保持を確保するための立法とは、直接関係がない事項であるわけでございます。
○河野(密)委員 それでは当事者である保安庁の方面からのお答えを願いますが、政府が負うているアメリカ政府に事前に了解を得なければならないという防衛秘密以上のことを国民に求めるものではない、こういうように理解してよろしいのですか、そのつもりで立案されているのか。
○増原政府委員 この法難で保護しようといたします事項は、この両協定に基きまして供与もしくは貸与される装備品等には、掲げてありますような条項について、米国で秘密にしているものを秘密として保護しようということでありまして、それ以上のものを含んではおりません。
○河野(密)委員 今の点は、私まだ納得が行きませんが、これは法案を審議するときに具体的にひとつお尋ねしたいと思います。 その次にもう一点お尋ねしておきます。先ほど裁判の公開云々の問題について、憲法八十三条との関係について、秘密保護法の第三条に規定してあるものは、先ほどの御答弁によりますと、これは大体において公開するであろうというような趣旨に解釈できる御答弁であつたのですが、第三条に規定してあるものは大体政治的犯罪である、こういうようにお考えになつているのか、そこで憲法八十二条の第三項の規定が適用になるのだ、こういう趣旨でありますか、重ねて伺つておきます。
○桃沢説明員 先ほど私から申し上げましたのは、憲法第八十三条の規定に従つて裁判が行われるであろうということと、それからもし第二項の但書に該当するというような事案は、当然これは憲法の規定に従つて公開しなければならないものである、かように申し上げたのでございます。この三条に該当した者がすべて政治犯罪、その他の但書で規定してあるものに該当するかどうかは個々の事案によつて判断せらるべきものと考えます。
○上塚委員長 次は穗積七郎君。
○穗積委員 MSA協定第三条に伴いまして今出ております秘密保護法案については、いろいろ尋ねしたい点がたくさんございますが、こまかいことは法案自身の審査のときにお尋ねすることにいたしまして、第三条との関連において、ごく概括的に簡単にお尋ねいたします。具体的にお尋ねいたしますが、これが秘密の武器であるということは、アメリカの一体どこできめるわけでございますか。
○山田政府委員 アメリカの大使館を通じて、日本側に通知があるものと思います。
○穗積委員 私のお尋ねしましたのは、大使館はレポーターとしての役割を果すだけであつて、決定権は持ついないと思う。これは秘密のものであるのか、その秘密の程度は何級にするのか、それを決定するもとはどこであるのかということを承つておるわけです。
○木村国務大臣 私からお答えいたします。それはアメリカ自体でやることなので、アメリカの国内問題であります。これは推測でありますが、国防省でやることと考えております。それが大使館に通報して、大使館が日本政府と協議するということになります。
○穗積委員 先ほどの山田局長のお話の中に、おそらくは合同委員会ができて、それを通じて粗漏なく連絡があるであろうと推測するというお話がありましたが、この合同委員会なるものはどの合同委員会のことですか。今までできております行政協定に伴う合同委員会のことなのか、あるいはMSA協定に伴いまして、特別の合同委員会が構成されるのか。もし後者であるといたしますならば、その構成権限並びにその大体の性格等について少しこの際お漏らしをいただきたい。と申しますのは、MSA協定を審議いたしました場合に、その問題には実は触れていなかつたわけでございますので、明確にしておいていただきたいと思うのです。
○土屋政府委員 アメリカ側との連絡につきましては、まだ具体的に政府の方針がきまつているわけではございません。先日山田さんの御返事の趣旨は私も伺つておりましたが、あの趣旨は、今後日本に対しまして援助される武器の内容、取扱い等につきまして、現実にアメリカ側と話し合う共同の委員会のようなものができれば、これが取扱うというのが一番便利だろう、こう言われたように記憶しておりまして、現在私どももその考えでおりますが、この委員会はあくまで非公式のものでございますので、現実に技術的な実際上の連絡をいたすことになりましようが、ここで問題になつております機密の保持、特にその通知などにつきましては、そういう委員会で取扱うことはかえつて第二義的なものになりましようと思いますので、第一義的には大使館から外務省に正式の通知を受けて、機密の何号、どういう取扱いをしているという通知を受け、日本側もこれに調子を合せることになると存じます。
○穗積委員 初めてそういう話を伺いましたが、機密の保持につきましては、MSA協定三条並びに附属書Bでございますが、これによりますと、自発的にアメリカの軍部または政府がこれは秘密であるか秘密でないかを決定し、その等級も決定して、こちらへ一方的に通報すれば、おのずがらそれに対しての漏洩を防ぐ義務を措置する。措置は立法措置であると行政措置であるとかまいませんが、とにかく第三条でそういう義務負つておるわけであります。非常に簡単なことです。従つて大使館を通じ、または軍事顧問団を通じまして、一方的にわが方へ通報があればよろしいと思うのに、そうい協議をするような合同委員会などというのは私は必要がないと思う。そういうものができまして、取締り等についてまでやることになりますと、こ国内法であります秘密保護法の実施にあたって、アメリカの兵隊か役人かしりませんが、その者どもが日本の政府の秘の取締りのやり方に対して発言をすることになる。私はいらざる発言だと思うのです、ちよつと話がおかしい。アメリカの国内法をそのままこつちへ移行して、それを実施するということでございますならば別ですが、さつきからのお話を伺いまますと、第三条によつて機会を得て、そうして日本独自のものとして、相当広汎なものがここで日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案として出ておるわけでありますから、これは日本独自の判断であり、日本独自の権限によつて行使するだけであって、合同委員会などをつくってアメリカのいらぬ発言を許したり、協議をする必要はないと思うのですが、どういうわけでございますか。その点軍事顧問団との関連と一方はアメリカ大使館との関連、この三者の関連において一体合同委員会なるものが必要であるのかないのか。私は必要ないと思うのですが、必要だと言われるならばその理由をこの際明らかにしていただきたい。 第二点は、それに伴います私どもの懸念である。そういうことでございますならば、その性格をはつきりしていただかなければ、この三条の審議はできないことになつて来ると思う。この三条から、当然合同委員会が出て来るということになりますと、その合同委員会の構成、性格、権限等が明らかにならなければならぬ。アメリカの国内法なら別ですが、この秘密保護法案は、日本の国内の法案ですから、今の話は対外的な関連がありますし、この三条と関連があるのですが、そういう意味で、今私がお尋ねいたしました二点についてこの際聞いておきたいと思います。
○木村国務大臣 私からお答えいたします。山田局長の申したのは、必ずしも委員会をつくると言つたのじやありません。そういうものを将来つくるかもしれぬと言ったのであります。そこでアメリカから秘密であるという通報をアメリカ大使館が受けて、日本政府へ明らかにする。それがはたして公になつているものであるかどうかということは、まだ日本ではわからぬ。それで山田局長は、そういう場合に、はたしてアメリカでそれを最高度の機密として取扱つておるかどうかということを、日本側でも念のために調べる必要があるのじやないか。そういう観点から見てアメリカの大使館から何がし、日本の政府から何がしが出て行つて、そしてほんとうにアメリカで高度の秘密を守つて行くものであるかどうかということをきめるようなことはあるかもしれぬという意味から、あるいは合同委員会なるものをつくるもしれぬと申し上げたのであります。つくると申したのではないと私は記憶しております。
○穗積委員 それでは今の私の質問に対してはまだお答えになつていないのでございます。山田局長の言われた合同委員会なるものは、そういう意味であつたと言われるのですが、私はそれが必要なりやいなやを聞いるわけです。つまりアメリカ大使館から通報されるものでございますならば、日本の外務省または保安庁がそういうものを交渉すればいいのであつて、特別にそういう機密保持に関する合同委員会なるものをつくつて、向うからいらぬことまでつべこべと言われる機会や場をつくる必要はないじやないか。しごく簡単明瞭なことです。附属書Bによりますれば、一方的な通報をもつて足りるのです。それをこつちで調べてみたら、アメリカでは公になつたものが日本で公でないとうそをいつて、秘密の中に入れて取締れというようなことをいつて来れば、こちらから抗議を申し入れることもありましよう。その場合には保安庁長官または外務大臣が、アメリカ大使に向つて堂々と抗議をされるなり、交渉されたらよい。だからスタンデイングな、常置的な合同委員会なるものをつくつて、それがしかも秘密保持に関する合同委員会だというのは私は不適当だと思う。つくるかつくらぬかわからぬが、政府としてはどうお考えですかと私は政府の御方針を伺つておるのであつて、先ほどの山田局長の言われた意味を伺つているのではございません。
○木村国務大臣 なお山田局長が申した点についてでありますが、山田局長がそういう常設の委員会ということを申したことはありません。そういう委員会はあるいはつくるかもしらぬということであるのであります。政府の方では決定いたしておりませんが、われわれといたしましては、アメリカからアメリカ大使館へ通報して、それを日本政府へ向つて知らせれば、日本政府においてそれを十分検討して処置をいたしたい、こう考えております。
○穗積委員 これ以上申し上げても押問答になると思いますから申し上げませんが、アメリカの大使館がこの条約に伴ういろいろな発言権を持つ、また軍事顧問団が日本の軍隊またはその他に対しまして発言権を持つ、その上にまた秘密保持に関する合同委員会というようなものをつくり、日本が十重二十重にこの協定によつて――特にこの問題は言論の自由に関連いたす問題でございますから、そういうところまで、アメリカがのさばつて来る必要はない、そういう機会を与える必要はないと思いますから、そういう趣旨で交渉に当つていただきたいということを強く要望いたしておきたいと思います。 続いてお尋ねいたしますが、アメリカ国防省、われわれもそう推測いたしますが、これが決定いたしました秘密の範囲と等級、これはMSA協定を受けております五十余箇国においてすべて共通平等でございますかどうですか。国によつて秘密の範囲と等級が違いますかどうか、そのことをお尋ねいたします。
○土屋政府委員 これは先ほど穗積さんがお話になりましたように、アメリカである一つの武器の構造なり何なりが秘密の取扱いをされる、その取扱いが、かりに極秘ということでアメリカが取扱いますれば、この武器の援助を受けておる被援助国は、令部それを秘密であり、そうして極秘で取扱うことにするというわけであります。
○穗積委員 一例をとつてお尋ねいたします。英国において秘密になつていないもの、または軽い秘密のものが、日本において秘密のものとされたり、あるいは高い程度の秘密のものとして取扱われるといつたことはございませんね。
○土屋政府委員 第三条の条文をつくります節に、われわれも先方の意向を確かめた事情を今想起いたしましたが、国によつて取扱い方が異なることはございません。
○穗積委員 そこで続いてお尋ねいたしますが、今初めてここに資料をいただいて、まだ内容を拝見いたしておりませんので、恐縮ですが、アメリカの国内におきまして秘密とされ、日本に来ても指定される秘密の物件または情報、これに対して漏洩いたしました場合の取締り法規、または刑罰、その範囲、あるいは刑の軽量については大体同じになつておりますかどうですか。今ここに提案されております日本の秘密保護法案なるものの内容は同じでございますか。これが一点。 それから英国その他MSA援助を受けて、これと同様の意味でそういう秘密漏洩の取締り、並びにそれに伴います刑罰規定があると思いますが、それはまつたく同じになつておりましようかどうか、その比較的な内容をお教えいただきたいと思う。
○山田政府委員 これは国によつてそれぞれ量刑の程度は異になつておると思います。たとえばアメリカは、原子力の秘密に関するものは死刑ということになつております。
○穗積委員 私の質問にどうぞお答えください。私がお尋ねいたしておるのは、たとえばある武器が来た。これはABCの何階級の秘密の程度か知りませんが、それが日本にもやつて来た、英国にも行っておる、そのときに、これの秘密を漏洩いたしました場合の刑の方法、または悪意、程度もすべて同じであつた場合に、アメリカではどういう罰則になつておる、日本ではどういう罰則になり、英国ではどういう罰則になつておるかということを聞いておるのです。それの犯罪を構成する場合の範囲と、それから刑の軽重はどうなつておるかということを聞いておるのであつて、原子爆弾に対する秘密漏洩は、アメリカでは死刑になつておるというようなことを私は聞いておるのではございません。
○土屋政府委員 これは各国によりまして、いろいろ取扱い、並びにそれに従います刑罰も違うことは、先ほどから御答弁申し上げているところでありますが、さしあたり日本とアメリカとの関係からだけのことをまず申し上げますと、附属書のBで申し上げておりますように、アメリカで定められている秘密保護の等級と同等のものというのが、われわれがアメリカとの誓いできめた線であります。等級と同等のものと申しますのは、かりにアメリカである一つの兵器の構造を極秘扱いといたしまして、もし秘密を漏洩した場合においては十年間の刑を科する、こういうアメリカの物件があつたといたします。それが日本に渡りました際に、日本もこれを極秘の取扱いをするということをここで約束いたしましたが、刑罰につきましては、各国においていろいろ刑罰の種類が違いますので、単に秘密保護の法律によつて定められた刑罰だけを独自に取上げてきめるということをいたしません。ほかの刑法できめておりますあらゆる犯罪の種類、それから性質、それに付随する罰則というものを勘案いたしまして、各国ともこれに見合つた刑罰を科しているわけであります。くどくなりますが、先ほどアメリカで十年と申し上げたのは、日本では三年になるかもしれません。十二年になるかもしれません。これはほかの刑との振合いだと思います。従つて各国がその刑罰の根本を異にしますので、日本がどう、アメリカがどうということを宙に申し上げることは困難かと思います。
○上塚委員長 穗積委員に御注意しますが、あとで福田昌子君が発言を求められております。もしあなたと半分半分にやられるとすれば、ちようど今が時間ですから、あらかじめ通知しておきます。
○穗積委員 そんなことはいいでしょう。何も妨害のためにわれわれやつているのじやないので、私はいつも言うのであるが、私が発言すると、あなたは時計ばかり見ておつて、内容をお聞きになりませんから、そういうことばかり言う。何も妨害のためにやつているのじやない。
○上塚委員長 時間の注意をしたわけです。
○穗積委員 どうぞゆとりのないようなことのないようにお願いします。 土屋欧米局長にもう一度その点についてお尋ねいたしますが、私が聞いておりますのは、そういう裁判所の刑罰の判定が、外から客観的に見て同じ犯罪であつても、アメリカで十年であつて、日本で五年の判決があるかもしれぬ。そんなことはわかりません。日本の国内の裁判所だつて、一級審と二級審で判決の違うことは幾らでもある。そんなことを聞いているのじやない。特に問題になるのは、この三条から四条以降の刑罰規定、並びに犯罪構成をするかしないかという問題についての法律上の規定がどうなつているかということを聞いているのです。私はアメリカの法律の規定と、日本の法律の規定と、あるいはさらに代表的にいえば、同じくMSA援助を受けてそういう義務を負つているところの英国の取締り法規とがどういうふうになつているか。たとえば「わが国の安全を害すべき用途に供する目的をもつて」「不当な方法で」こういう言葉があり、あるいはまたその範囲が、探知、収集、あるいはまた業務上過失により他人に漏らした漏洩まで入つているかどうか、そういうことを伺つているのです。時間がありませんから、私の聞いていることにお答えください。
○山田政府委員 各国の法令に比較してみますと、日本の今回の法案が一番狭く縛つております。
○穗積委員 それがどうであるかは、またこの法案審議のときによく勉強いたしまして私もお尋ねいたしますが、一応そういうことであれば、承つておきます。 委員長が非常に神経衰弱になつてお疲れのようでありますから、協力いたしたいと思いますが、これは特に重要な問題ですから、木村保安庁長官御自身のお答えをいただくようにお願いいたします。日本の軍隊は、保安庁長官も再々言われたごとく、アメリカの傭兵またはその軍隊の一環ではございません。そういうことをあなたは再々強調なすつて来られました。そこで現在は手持ちの武器はアメリカの武器でございましようが、やがてこの武器を使い、さらに新たなる武器を日本が発見をして、みずからつくる。同時にその武器を使いまして作戦計画を立てる――作戦計画のことは私は伺いましたが、お答えがなかつたのです。あなたはお答えにならなくても、腹の中ではおありになるでしようし、やがて作戦計画というものは出て来るにきまつておりますが、そういうような、いわば軍機、作戦に関する広汎な日本独自の秘密というものが出て来ると思うのです。そうなりますと、アメリカに対しても、それは漏洩しては困ることなのです。それで日米相互協定となつております。アメリカのものが全部日本に通報されておるならばよろしゆうございますが、アメリカと日本との秘密関係というものは、アメリカの秘密はほんの一部現在わかつておる、それで日本の秘密というものは、全部向うへ筒抜けになつておる、こういうことなのです。従つてあなたの意図されるごとく、日本の軍隊がこれからだんだんと独立性をとりもどして、独自の武器と独自の作戦方針を持てば、アメリカに対しても実は秘密たるべきものが出て来ますし、またはその兵隊が――秘密でなくても、知らしてもよろしいが、あなた方のお考えでは、アメリカは親分子分の関係を友達くらいに思つておられるから、秘密でなくてもよろしいが、その秘密を今度はアメリカの兵隊が改悪または過失で中共軍に漏洩したという場合が出て参りましよう。そういう場合には日本としても、相互援助協定でございますから、従るて日本側からもアメリカの人々に対して秘密を保持すべき義務を負わせる必要があると思うのです。一番手近なところで行きましても、先ほど私が申し上げましたように、やがて日本の軍隊が成長して、独自の武器と独自の作戦計画を立てるということになれば、アメリカに対しても秘密にしなければならぬものも出て参りましよう。その秘密の保持は一体どういうふうにしておやりになるのか、どういうふうな義務を相手に負わしめるのか、その点についてお考えを承つておきたいと思います。
○木村国務大臣 日本がアメリカと全然関係なく、いわゆる通俗の言葉で自前で日本の国防体制を整えて行つた場合に、それはむろん日本独自の作戦計画なりあるいは防衛計画なりを持つておるので、これはアメリカといえどもわれわれは漏らすべきものじやないと考えております。しかしそういう段階になるのは、ただいまのところではわれわれはほど遠いものと思います。御承知の通り、ただいまでは日本は独自でやつて行けないのであるから、アメリカと協力態勢を整えて行くより、今は道がない。これは残念しごくでありますが、それよりしかたがない。その間においてアメリカと日本で協力態勢を整えて、日本の防衛体制を整えて行くという現段階においては、いわゆるアメリカの秘密は日本においても秘密として守る。これは日本の国防上必要であるからやむを得ない、従つて日本で秘密になつておるものをアメリカ自体に知らすことが、あるいは好ましくなくても、出て来る場合もあろうかとわれわれは考えます。さような場合は私はやむを得ないと考えております。
○穗積委員 それでは、いわゆる長官の自前と言われる時期のことは遠いことであるし、あなたがそのときまで長官であるかどうかもわかりませんから、手近なところでお尋ねいたしますが、現在の段階におきましてアメリカの秘密武器をもらつておりましても、これは日本国の自衛隊でございます。友好関係がありましても日本国の自衛隊でございますが、その日本国の自衛隊の武器その他の秘密情報を、アメリカの人たちは顧問団その他を通じて深く入り込んでおりますから、そこでそれらの人々がいろいろなるルートでもって、つまりアメリカ人がこれを他に漏洩いたしました場合には、一体どういう方法で取締ることになりましようか。アメリカの国内法だけで取締るのでありますか、日本としては、こういう協定を結ぶ以上は、アメリカに対しても秘密保持に協力する義務をここで、相互援助協定でございますならば、負わしむべきだと私は思いますが、その点はどういうものでございましようか。
○木村国務大臣 この第三条には、各政府はいわゆるアメリカ政府と日本の政府は、「この協定に従つて他方の政府が供与する秘密の物件、」云々となつております。従いまして日本でも秘密のものはやはりアメリカに対しても秘密になるのであります。しかし残念ながら日本ではアメリカに対して秘密を保持してもらうようなものは、ただいまのところはないわけであります。
○穗積委員 それが出たときは問題でございますが、いずれにしましても、そういうことになりますと、日本の軍隊などというものは永久にアメリカから独立できないということがそこの点でも証明できると思います。それはそれといたしまして、前に進みたいと思います。最後に一点だけお尋ねいたします。ほんのこれは例でございますから、そのつもりでお聞きいただきたいのです。たとえばジエツト機、たとえばロケツト砲、たとえば原子兵器、こういうようなものに対しまして、日本のすぐれた科学者が、たとえばミグ戦闘機はこういう性能を持つておる、ロケツトというものはこういう性能を持つておる、原子爆弾はどうである、それから水素爆弾はこれだけの偉力を持つておるはずだ、ソ連の技術はこの程度まで行つておる、アメリカの技術はこの程度まで行つておるはずだ、さらに水素爆弾についてはアメリカは何千個の保有があるように見受けられる、またソ連については何百個の保有量があると推測される。これらの情報――安全を害する用途に供する目的をもつて不当の方法で探知収集したのではございません。科学的に、客観的にこれは判断いたしまして、そうして科学者がかくのごとき恐るべき武器は近代戦争においてはもうすでにいかなる目的をもつてしても、それを使用すること自身がその目的をはるかに滅却するほどの恐るべき被害、惨害を来すというようなことを納得させるために説明したといたします。それは漏洩したものでもなければ、探知したものでもなければ、収集したものでもない。すぐれた日本の科学者、または国際情勢に詳しい人が頭の中で推理をいたしまして、そうして国民に世界情勢あるいはまた作戦計画、外交情勢の判断をするための材料としてこれを講演し、または教育いたしたりいたしまして、それがたまたま探知した結果とぴつたり合つておつた、推測と事実と合つておつたというような場合、これは秘密漏洩になるかどうか、どういうものですか。
○山田政府委員 そういう純粋な推測にとどまるものは漏洩になりません。
○穗積委員 そういたしますと、たとえば一例を申しましよう。実はそれにつきましてはいろいろの資料によつておる。普通の正当の方法では必ずしも探知できないような方法をもつてして実は探知した。それをおれはこれは頭の中で推理したのだということで、話をすれば、その範囲が客観的に裁判所の方でも挙証されない以上は、それは純然たる、この法律でいう漏洩でなく、推理にすぎないというので、これは犯罪を構成いたしませんか。
○山田政府委員 そのときの証拠問題にかかると思います。
○穗積委員 その場合挙証責任はどちらにございますか。
○桃沢説明員 もちろんその場合の挙証責任は検察官にあります。
○穗積委員 そういたしますと、いろいろの情報をそのこと自身は書いてない、それは秘密であるとか、あるいはまた武器の性能はこうであるということははつきり書いてありませんが、他の基礎物理学とか、あるいは世界の生産技術の水準程度を察知して、そこから類推してこの武器はこうだ、このジエツト機はこうだ、あるいはアメリカにはこういうものができておるはずだ、水素爆弾はこういうふうになつておるはずだということを説明いたして――それは情報はありますよ。しかしそのことを直接書いた情報ではない、そこには推理が入つております。そういう場合はこの探知または漏洩の中に入らないかどうか。これは大事な点ですから、これもこの探知または漏洩したしかも過失罪までありますが、これを拡大解釈されますと、たとえば原子兵器の説明をして再軍備に反対をする、あるいはまた国際情勢の説明をする、これは全部拡大解釈して行つたら有罪になります。非常に重要な点でございますから、その点は明確にしておいていただきたい。 そこでついでに、時間がありませんからもう一つお尋ねいたしますが、その場合にアメリカ側では極秘の、最上級の秘密武器であつたということになりますと、それを漏洩することに対して、とにかくこの三条は――アメリカ側は日本の国内法であります秘密保護法に対しては、何らオブリゲーシヨンを感じなくてもよろしいはずです。そうでなくて、アメリカ側の日本に対する発言権は、この漏洩をしないように措置をとることを要求しておるわけです。いいですか、向うは結果を尊重しておる。犯罪を構成する主観的判断であるとか経路を問題にしておるのではなくて、秘密が漏洩する結果をおそれて、漏洩しないように合意の措置をとると書いてある。そこで日本の国内法でありますこの秘密保護法によれば、今申した例は犯罪を構成しない、この漏洩の中に入らぬとおつしやいました。ところがアメリカ側は、そんなことは知つたことではない。日本国内法の秘密保護法の犯罪構成にはならぬかもしらぬが、この協定の第三条によれば「漏せつ又はその危険を防止するため、両政府の間で合意する秘密保持の措置を執るものとする。」と書いてございます。そうなりますと、この法律だけではとてもそういうものは取締れない。しかしそれは推測だ、推理だと言つているが、まさにわれわれの秘密をそのまま日本の大衆に発表している、科学者が、あるいはまたすぐれた国際情勢の評論家がそれを発表しているそ 一三れでは困るから、ここで日本政府に、この法律だけでは、第三条の「合意する秘密保持の措置」には不十分である、であるから、漏洩の結果またはその危険を防止する義務を負うべきだと、向うから言つて来るにきまつております。そうなりますと、今申した代議士または評論家や科学者の演説は、この秘密保護法の犯罪構成にはなりませんが、アメリカからいえば、この第三条の措置に対して日本政府は怠慢だということになりましよう。そうなつたらどうしますか。そのとき日本政府は、われわれのの負うべきものはこれだけだといつて、このアメリカ側の第三条によります権利の行使、要求に対して、はねつけられるつもりであるのか、どうでございましようか、この点は重要でございますからお尋ねいたしたいのであります。
○桃沢説明員 私の方からは、ただいまの穗積委員の最初の問題についてお答えをいたしたいと思います。防衛秘密でない資料をもとといたしまして、そこからすぐれた科学的知識をもつて推論した、ところがたまたまそれが防衛秘密で保護しようとしているものと一致したという場合には、この法律の対象とはならないと思います。次の問題は所管外でございますので、外務省にお願いいたします。
○下田政府委員 第二の点につきましては、協定上負つております義務は、危険を防止するため、合意する措置をとるものとするということでございます。そこで防止する措置をとればいいのでありまして、防止の措置の結果が万全を期するかどうかという点までは、この協定上の義務になつていないわけでございます。どこの国でも、新聞は、スクープをやります、それから評論家は言論を用います、政府の意思で統制できないものまで、政府は統制できないのでありますから、その点は米国でもよく存じております。ただ実際問題としては、あまりにスクープなんかが頻繁に行われますと、もう少し注意してもらいたいという要望はあるかもしれませんが、それは協定を離れた実際問題でございます。
○穗積委員 非常に大事な点でございまして、そうなりますと、MSA協定第三条に伴いますところの機密保持の日本側の措置は、この法律が必ずしも最後のものであるとは言えませんね。アメリカからこの三条の規定に従つて申入れがなされる、つまり今言つたような行為が取締られることを要求されますね、そういう意味でしよう。そうなりますと、第三条によりますわれわれの言論取締りの限界は、この法律の範囲内であるということはここで確約できない。これをもつてアメリカが足りないといつて迫つて来れば、この条文はアメリカ側には生きますよ。合意という言葉がついていますが、法の目的というものは「漏せつ又はその危険を防止する」ということです。ですから当然この話合いには、申入れには応ぜざるを得ない義務を持つております。それはどこまでやるかといえば、その秘密が漏洩されまたは漏洩される危険を防止するところまでは協力しなければならない。その方法はどうするか。一方的にアメリカが決定して通告するというふうには書いてないが、法の精神というものは第三条にはつきり書いてあります。そこで私はお尋ねいたしたいのでございますが、第三条によつて日本国民が言論取締りをされる危険は、この法律をもつて限度とするということは確約できない。今の条約局長のお答えは、もう限界を割つて、それ以上の取締り措置をするかもしれぬということでございますから、そうなるとこれは無制限ですね。そこでさつき申しました例でひとつ言つていただきたい。ああいうものは秘密保護法の犯罪の対象にはならないが、第三条による取締りの対象にはなり得るということになりますね。
○下田政府委員 法律で規制し得ることには、おのずから限界がございますので、関係当局におかれましては、今次法案をもつて十分防止の効果があると信じられて提案になつておるわけであります。そこでアメリカ側が要求し得ることは、もちろんこの立法だけをもつて足れりとするわけではないと思います。この措置というのは立法措置もあり、行政上の措置もあり、事実上の措置もあり得るわけであります。でありますから、たとえば艦艇に新聞記者の見学を許した結果、秘密が漏れたといたします。そういたしますと、どうもあぶないから艦艇に新聞記者を乗せるのはやめてくれないかということを言つて来ることがないとも限りません。その場合には法律上の措置としてでなくて、保安庁の記者団なら記者団に対して、今後遺憾ながら艦艇に乗せることを許し得ないからというような行政上の、事実上の措置で防止するという措置をとることもありましよう。しかし今次立法でねらつておるところは、厳に法律的の規制だけの限界の話でありまして、この協定の限界は、立法、行政、事実上の措置あらゆるものを含むものであります心法案は法律的規制だけをねらつておるものであります。
○上塚委員長 穗積君に一応注意しておきますが、時間が経過いたしました。
○穗積委員 わかりました。第三条の点は大事な点ですから、まだ時間もございますから、ゆとりをもつて民主的におやりください。 そこでお尋ねいたします。ここで結論が出ると思いますか、第三条というものは、私が解釈いたしましたような、私は何も危険なことを、不吉なことを予想して、その面だけを強調するのではございません。と申しますのは、われわれ戦争中にいろいろ言論を圧迫されました経験から見まして、こういうものは無限に拡大するにきまつている。またそうでなくても、ある意味では、軍隊というものがあります以上は当然秘密がある、秘密があればスパイがある、スパイがあれば取締るのは当然です。そういう論理で無限に拡大される。そうして歩き出しますから、第三条は秘密保護法だけがこれに対する日本国民が負うべき秘密保持の責任ではなく、もつと拡大した行政措置まで含む、たとえば私がほんの一例として引例いたしました、科学者の推理または国際評論家、政治家の発言というものが、取締られる結果になるということをあなたは確認されたと私は思います。その点ははつきりしておいていただきたい。これは非常に危険なものであると思うのであります。そういうことでございますから、これははつきり速記録に残しておいていただきたい。 そこであと簡単にお尋ねいたしますが、「秘密の物件」はわかります。それから「役務又は情報」というのが私にはよくわからないのですが、これはどういう意味でございますか、少し内容にわたりましで御説明をいただきたいのです。
○山田政府委員 役務と申しますのは、今回の協定によりまして主たる対象になるものは、訓練の問題であります。これが役務の主たるものであります。そこでここで広く訓練と規定しますと、あまりに範囲が莫然として広過ぎる感じがいたす。そこでまたいろいろと報道取材の自由というものとも抵触いたしまして、誤解が多くなりますので、できるだけこれを内容的にしぼつて規定をいたしたいということで、この訓練の内容を分析いたしますと、大体ロ、ハに掲げてあります「製作、保管又は修理に関する技術」あるいはそのものの「使用の方法」というように、内容的にしぼられて来ると考えられますので、特に本法案におきましては、役務という言葉を削除いたしまして、イ、ロ、ハのうちのいずれかにそれが入るという考え方に立つております。なお次の情報、これはインフオーメーシヨンの訳語でございますが、やはりその情報という言葉それ自体は、非常に内容が漠然として広いものでございますが、特にここではそれを「装備品等に関する」ということでしぼり、なおまた装備品等に関しまして、イからハまでに掲げられるものということで、技術的な情報知識として、ここにその内容が規定されているわけでございます。
○穗積委員 最後にもう一つ、情報についてお尋ねいたしますが、情報というか、インフオーメーシヨンというのは、物件または役務に関する情報だけに限るのでありますか。どうも日本語で読みますとそんなふうには読めませんが、情報という言葉はそういうことでありますならば、「秘密の物件又は役務に関する情報、」あるいは「物件、役務」とそこで切つて、「それらに関する情報」と、文章としては書き直さなければいけないと思うのですがどういうものでございましようか、情報は独立いたしております。
○山田政府委員 一応協定の方では、情報は独立いたしておりますけれども、内容的にこれを検討いたしてみますれば、第一条の三の二号で大体おおわれる、かように考えまして、特に情報というものを独立させております。
○細迫委員 私はたいへん誤解しておつたのだが、この協定第三条第二項ですが、これは政府は協定に基く活動について公衆に周知させるために、適当な処置をとるというのが文章の骨でありまして、私はこれを防衛秘密を周知させるという意味のようにちよつと印象して、たいへん誤解しておりましたが、そうするとますますもつて防衛秘密を周知させるという手段方法としましては、全然具体的には今のところではないという結果に相なつておるのでございましようか。
○下田政府委員 第三条の三聖は、ただいま仰せになりました通りの意味でありまして、防衛秘密の範囲を周知させて、ここまで来るといけないからというようなことを周知させるのを目的といたしません。
○細迫委員 そうすると、この協定に基く活動について周知方法といつて、一体どういうことをなさるつもりなのですか。これはあまり漠然として意味をなさぬ字句のように考えられますが……。
○土屋政府委員 これはただいま条約局長が御引例申し上げましたが、私も補足いたしますと、ここに活動と書いてありますのは、MSAの援助が日本にいかに実施されておるかという実施状況というふうにおとりいただくと、おわかりいいかと思います。つまりMSA協定によりまして日本が援助を受けまして、その受けた援助がどういうふうに実施されたかということをできるだけ多く国民に知らせる。但し第一条に言つた秘密に属するものは知らせないことはもちろんである、こういう意味であります。
○細迫委員 問題は別になりますが、今穗積君が触れておりました情報の点ですが、秘密保護法の第一条の第三項の第一号では「装備品等について」と申しております。それから第二号の方では今度は「装備品等に関する」また終りには「事項に関する」というようになつておりまして、「関する」と言えば、「ついて」よりも範囲が広いと思うのであります。さきの御説明では、情報についてはよほど広いとおつしやいましたが、ますますこれによつて広くなるものと解釈しなければならぬと思いますが、しかしそれでは先ほど言いました罪刑法定の趣旨から申しまして、はなはだ不都合なことに相なると思うのでありますが、「ついて」と「関する」とここで書きわけておるところに、何か特別の意味があるのでございましようか、いかがでございますか。
○山田政府委員 第三項の一号の方の装備品と申しますのは、先ほども御説明いたしました通り、すでにアメリカ側から日本政府に供与されたものについて規定をいたしておるのでございます。第二号の方は、いまだ装備品が供与されておりませんので、ここで「関する」と書きわけたわけでございます。内容的にそう大した違いがあるものではございません。
○細迫委員 ちよつと理解できないのであります。何とか理解できる御説明が願いたいと思いますが、また後に法案を審議するときに譲りましよう。 それから日本製の武器をやがて自衛隊が持つことがあると思いますが、その日本製の武器の部品にはあるいはアメリカ製の特殊鋼を用いるというような事態の想像できるのであります。そうすると、その特殊鋼が防衛秘密に属することになりますと、これの防衛秘密の公示方法がはなはだ不安心千万で、官報にも何も広告せられないものでありますので、これは日本製の武器だから大丈夫だと思つておるのが、案外ひつかかるというような事態がないとは限らないのでありますが、そういう日本製武器の部品にまで一体及ぶものでございましようか、どうでしようか、お尋ねいたします。
○山田政府委員 純粋に日本独自で考案してつくつた武器でありますれば、この秘密には入つて参りませんけれども、アメリカの情報に基きまして、アメリカのブループリントなどによりましてつくつたもので、それが秘密に該当しておるものにつきましては、この秘密の中に入ります。但しさようなものによつてつくりました日本製の武器でありましても、それが秘密に該当するものでありますならば、第二条の標記ということによりまして、できるだけ善意の者がこれに触れないような行政的な措置をとる考えでおります。
○上塚委員長 福田昌子君。
○福田(昌)委員 政府は先ほどの御答弁によりますと、協定本文の三条、附属書Bに規定されたことによつて、今度の防衛秘密保護法案をお出しになつたわけでありますが、この条文によりますと、政府の御説明にありましたように、何も立法義務を負つてないという御答弁でございました。それにもかかわりませず、今日早急にこの秘密保健法というものを出して来られたその直接の動機、原因というものはどこにあるのでございますか。
○下田政府委員 急遽上程して審議をお願いしているのはどういうわけかというお話でございますが、本日はこの法案の御審議を願つておるのではないのでありまして、協定の御審議を願つておるに際しまして、第三条の御参考の事項として法案をその協定との関係においてお考えを願つておるのであります。
○福田(昌)委員 協定との関係によつて出したわけであるという御説明でございますが、MSAの審議がまだ十分できておりませんときに、急いでなぜこの法律的な立法義務を負つていない秘密保護法を出されたのかという責任であります。
○下田政府委員 その点は本委員会の御意向としまして、この第三条の御審議を願つております際に、秘密保護法を見ないと第三条の審議ができないというお話でございましたので、政府側としては一日も早く御審議の結了をお願いしておるのでございますが、そういう御意向でございますので、本日関連して御説明を申し上げておる次第でございます。
○福田(昌)委員 時間がないからあとでお伺いしますが、この秘密保護法に船舶貸借協定をお入れになりましたのはどういうわけですか、その点御説明していただきたい。
○下田政府委員 船舶貸借協定を入れる義務は、アメリカ側に対して負つておりません。しかしこの協定の第三条から参ります義務は立法の義務でなくて、立法の義務を負つていないにもかかわらず、日本政府独自の考えで法案を制定いたしたわけでございます。従いまして日本政府独自の考えで、この際同時に船舶貸借協定の範囲のものを含めようということを決定いたした次第であります。アメリカ側から何ら言われたことではございません。
○福田(昌)委員 そういたしますと、協定本文の三条及び附属書Bに規定しております防衛に関する秘密の保持という点に関しましては、アメリカ側が考えておる秘密保持と日本の考えている秘密の保持とはその幅において、内容が異なるということでございますね。その一例として船舶貸借協定を適用の中に入れたということになるわけですね。
○下田政府委員 仰せのように協定の三条及び附属書Bの対象となる物件の範囲と法案の対象となる物件の範囲とは違うわけでございます。
○福田(昌)委員 秘密保護法というのは、そういたしますと政府は防衛上の見地から秘密を保護したいという意味でお出しになつたのか、あるいはまたこの秘密保護法の名において国民のいろいろな行動を取締りたいという意図で出されたのか一私どもは了解に苦しむところが出て参ります。防衛上の秘密を保持するという意味で出されるのであれば、アメリカから貸与いたしました武器の中で、アメリカが要請しておるものの範囲に限定しておられればいいと思うのであります。アメリカから必要として要請されていないものまでも、この秘密保護法の対象に入れて来るということになりますと、日本で秘密になつております事項も、アメリカでは全然秘密になつていないというようなことからして、世界的にその内容というものはわかつてしまいましよう、そういうものにまで日本の国民にだけは秘密にされるということは、一体防衛上どういう必要があり、また価値があるのでございましようか。
○下田政府委員 範囲が違うと申しますのは、日本政府の独自の見解から、今度法案に船舶貸借協定の対象たる艦艇を含めた点だけでございます。船舶貸借協定によつて受ける艦艇にもし秘密がありとすれば、それはアメリカにおいてもひとしく秘密になつておるものであります。ただ今次協定には、その点を触れてないというだけのことであります。
○福田(昌)委員 下田条約局長の御答弁には矛盾があると思います。アメリカ側で秘密事項になつておる点だけを今度の秘密保護法の中に盛つたとただいまおつしやいましたが、先ほどはアメリカの側で秘密になつていない、しかも秘密保持を要請されていないものでも日本の独自の立場において、政府の見解において秘密保護法の対象にしたという御答弁でございました。従つて下田条約局長の御答弁そのものに非常な矛盾があると思うのであります。私どもはこういう秘密保護法の名において、しかももう一つ考えてみますと、船舶貸借協定まで入れたということ。この船舶貸借協定はこれを審議いたしますときには、政府の説明によりますと、船だ船だ、普通の商船並に考えられた船だという御説明を受けて、この船舶貸借協定は通つたわけです。そういう商船並な考え方で説明されました船舶貸借協定までこの中に入れておられる。しかもこれはアメリカの要請によつたものでないということになりますと、政府の意図しておられるものがどこにあるのかということを私どもたいへん悪い頭でも少し考えざるを得ないという気がいたすのでございます。従つて具体的な問題になりますと、この法律の第三条の規定から生れて参りますいろいろな問題が出て参ると思うのです。ことに秘密保護法が成立いたしますと、一箇月後に実施するということになつておりますが、そうなりますと、これをいかにして公衆に周知させ、徹底させるか。秘密保護法の第二条の規定におきましては、実に漠然としておりまして、あと一、二箇月後に迫つております秘密保護法の実施にあたつて、国民に徹底させる点はなはだ漠然としておつて、十分その手段、方法というものを察知できない、状態にある。一、二箇月後に迫つておるのでありますから、これに対する措置、方法というものは十分研究中だと思うのですが、決定版ではないまでも、過渡的な研究中にある方法でもいいですから、お知らせいただきたいと思います。
○下田政府委員 実は一昨年暮れ調印になりました船舶貸借協定の第七条にこういうような規定があるわけでございます。「船舶借受者は、船舶所有者の同意を得ないで、船舶又は船内のぎ装品、器具、予備部品若しくは交換用部品の物理的占有を放棄してはならず、また、それらに関する図面、仕様書その他の情報を日本国政府の職員又は委託を受けた者以外のいかなる者にも漏らしてはならない。前記のぎ装品に関する秘密保持のための取扱区分は、アメリカ合衆国政府の標準慣行に従つて行われるものとする。」かように船舶貸借協定におきましても、アメリカ政府が秘密にする部分につきましては、日本政府におきまして秘密保持の責任を持つておるのでございます。
○福田(昌)委員 船舶貨借協定をこの秘密保護法の中に入れられて直接の理由でございます。何か入れなければならなかつたような事態でも起つたのでございましようか。そういう事例は全然なかつたけれども、政府の見解において入れられたか、その点一つと、それからこの秘密保護法の罰則でありますが、これはアメリカできめられております罰則と大体同じ程度の罰則規定であるかどうか、この二点について御説明ください。
○増原政府委員 先ほど外務省からお答えがありましたように、いわゆるMSA協定に基きましての立法の義務は持っておらないのでありますが、こうした立法措置によることが適当であるというふう日本政府で考えまして、この法案を提出しておるわけであります。その際船舶貸借協定によります秘密保持も、従前は行政措置をもつてまかなつて参りましたが、だんだん船舶等も修繕その他に出すような事態にもなつて参りますし、こうした秘密保護法峯を出します機会に、これに包含せしめることを適当と政府で判断をいたしまして、これに包含をせしめたということでございます。
○福田(昌)委員 何かそういう事態はなかつたのですね。
○増原政府委員 特別な事態はございません。罰則その他の点につきましては、先ほどの弁答でちよつと他の者から触れましたが、このたびつくりました秘密保護法案の罰則は、相当にしぼつた、いわば程度の軽いものでありまして、各国のいわゆる軍機保護法的なものに比べますれば、おおむね刑罰は相当軽くなつておるというふうに一般的に申せます。
○上塚委員長 これにて相互防衛援助協定第三条に関する質疑を終ります。 これより緒方国務大臣に対する質疑を継続いたします。上林與市郎君。
○上林委員 私はMSA協定に関しまして緒方副総理に、総括質問の残余について質問いたします。委員長が非常に時間に神経質になつておりますので、私の問わんとするところの私の主観的な前提は抜きにして、具体的に御質問いたします。 三月二十五日に開かれました当委員会におきまして、憲法改正に関して緒方副総理が答弁をしております。速記録をそのまま読み上げるのでありませんので、私の表現には多少ニュアンスの違いはあると存じますが、この憲法政正に関する答弁にあたりまして、政府は憲法改正をしないというよりも、憲法改正を口にしないというのが政府の立場としてはほんとうだろう、こういう意味の答弁をいたしております。緒方副総理が今回当委員会に出席いたしてある立場は、単に副総理という関係ではなくて、吉田さんが病気のために、出なければならぬ本委員会に欠席しておるのです。それでやむを得ず総理大臣の代理として出ておられますが、吉田さんも、今私が申しました三月二十五日の緒方副総理の当委員会における答弁と同じ考え方であるかどうか。
○緒方国務大臣 私の申しましたのは、国民の遵法的な気持を傷けない意味から、現在の憲法に何か大きな欠陥があるかのごとき印象を与える論議は、あまり政府としてはしたくないという意味のことを申し上げたので、憲法が万世不易のものでないことは申すまでもございません。ゆえに、憲法の改正を期待する条項も憲法の中にあるわけでありますが、今日政府といたしまして、憲法をただちに改正する意思を持つておりません。それだけに何か欠陥のある憲法をかかえている、欠陥のある憲法のもとに国民があるというふうな立場はとりたくない、そういう意味のことを申し上げたのでございます。
○上林委員 そうしますと、憲法は改正しないと、こうきようはおつしやるのですか。
○緒方国務大臣 現在憲法を改正する意思はございません。
○上林委員 きようは速記録がございませんので議論にわたりますからこれ以上申し上げませんが、三月二十五日の憲法改正問題に対する答弁を聞いた私どもの印象と、きようの答弁とは非常な食い違いがあると思うが、速記録を持つて参りませんからこれ以上追究いたしません。 もう一つは、このMSA協定第三条に基く秘密保護法に関連いたしまして、思想戦術の問題がやはり当委員会で取上げられました。それに対しまして緒方副総理は、いわゆる思想戦術に対して非常な決意を持つているという前提のもとに、教育二法案――今回われわれが反対いたしましたが、不幸にして通過いたしました教育二法案もその一つの現われである、こういう答弁をしております、と同時にこの第三条に基く今回提出されました秘密保護法とは違った防諜施設もなお考えている、こういうような表現を使つているのですが、今回の第三条に基く秘密保護法以外の防諜施設とは一体どういうものを考えているのか。
○緒方国務大臣 そういうことを言うた覚えはありません。
○上林委員 それでは他の機会に速記録を見た上でなお尋ねいたします。 これで終りでありますが、外務大臣にちよつと……。この前私は広島の大久野島弾薬庫の問題について質問しておつたのですが、これはどうなつたでしようか。
○岡崎国務大臣 あれは取調べてみまして、まだ正確にお答えするところまで行つておりませんが、ただいま取調べましたところでは、やはりこれはお話のようなことで、あそこをアメリカ側の施設に貸与する期間は、たしか朝鮮の問題が片づいてから九十日間、そういう程度でありまして、これについては地元側からも賛成を得ているという報告であります。
○上林委員 現在、この間新聞に出ました無色無臭の毒ガス等、こういうのをつくつているというようなことはないのですか。
○岡崎国務大臣 そういうことは全然ありませんで、あれは昔そういうことに使われていた土地でありますけれども、今回はそういう目的ではありません。まつたく別の倉庫等に使うのであります。
○上林委員 私の残余の質問の時間を細迫委員に譲ります。
○上塚委員長 細迫君。
○細迫委員 先日緒方副総理と質疑応答をかわしましたが、私の第一の質問は、吉田総理は憲法を擁護すると言つておられるのだが、その口の下で自由党党内に憲法調査会を設けられている。これは口と腹と違う状態に見受けられるのであるが、一体吉田総理、自由党総裁吉田茂氏の顔は、憲法をどうにかいじろうという方に向つておるのか、あるいはこれを擁護しようという方に向つておるのかという質問をいたしたのでありますが、それに対しまして緒方副総理は、擁護するとはどうしても断言しかねる口ぶりで、憲法を遵守するという方に顔は向いております、こういう御答弁であつたのであります。私速記録を調べますと、二十八年十二月一日の本会議において、私の質問に対しまして、吉田総理はかように答えておられる、「お答えいたします。憲法はむろん擁護いたします。また、憲法のために、あくまでも国民が憲法の精神を遵奉いたすようにいたしたいと考えております。ゆえにまた、憲法改正の考えはございません。はつきり申します。また再軍備々々々と言われますが、しばしば申す通り、私は再軍備をいたす考えはありません。従つてまた、そのために憲法を改正する必要もないのであります。」かように冒頭第一言、まず憲法はむろん擁護いたしますと明言しておられます。この前にも申し上げましたように、いやしくも憲法を改正しようとか、あるいは改悪しようとか、とにかく憲法を何とかいじりまわそうというような危険が感じられる場合に、敢然として政府は現行憲法を微動だもさせないように防禦する、すなわち憲法改正反対という態度をとらねばならぬ義務がある、かように私は信ずるのでありまして、それは憲法第九十九条に、国務大臣、国会議員は憲法を尊重し、これを擁護する義務を負うとはつきり書いてあるのでありまして、これは国務大臣たるものの当然の義務である。憲法を遵守するといえば憲法の言う通りにすることでありまして、憲法では擁護せよと言つているのですから、擁護することが遵守するゆえんでなくちやならぬと思うのでありますが、緒方副総理はやはり擁護とは言えないで、遵守とだけしか言い得ないのでありましようか、一言そこを確かめておきたいと思います。
○緒方国務大臣 憲法九十九条にありますように、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」この擁護するという意味とそれから改正するという意味、これは私は別に矛盾はないと考えます。憲法にすでに改正を期待しておる条章もありますので、別に矛盾はない。憲法を尊重するということは、この憲法の精神を破壊しないということでありまして、改正する場合があつても別に擁護の精神と矛盾するものではない、かように考えております。
○細迫委員 それはたいへんな考え間違いでありまして、たとえば英文によりますれば、「擁護」に当てはまる文字として「アツプホールド」という言葉が使つてあります。すなわち輿論として世間に改正論が起りましても、国務大臣はこの憲法を支持する、擁護する、改正には反対だという立場をとられねばならぬことを要請しておるように考えるのでありますが、いかがですか。
○緒方国務大臣 第九十九条の「擁護」という意味は、憲法のあらゆる場合の改正を否定しておるものではないと思います。そういうことはあり得ないと考えております。
○細迫委員 憲法改正を全部否定しておるのではありませんけれども、しかし政府、国務大臣といたしましては、その改正論に味方をするのではなくて、改正論をアツプホールドするのではなくて、この憲法そのものを現状の通りに維持することをアツプホールドする、擁護する、こういうことを意味しておるに違いないと私は確信して疑わないのでありますが、いかがでありますか。
○緒方国務大臣 憲法第九十九条は、章句の末までかえてはいけないというのではなくて、憲法の精神を破壊してはいけないということを規定しておるだけであります。
○細迫委員 これ以上は押問答になりますが、このMSA協定は、何としましても、いわゆる自由諸国家の防衛力増進に寄与すること、これが基本精神でございます。当然そこから出て参ります結論として、仮想敵国を予想しておる協定であると思うのであります。このことから、どうしても国策が曲げられて、そうしていわゆる向米一辺倒にいよく深入りするMSA協定を結ぶというようなところにまでつつ込んで来たのであります。MSA協定は、いろいろ利益の点をあげられてたたえておられますけれども、そういう金銭的、経済的の利害関係を離れて、たいへんな不利益のものだと私は思つておるのでありますが、これらはすべて仮想敵国を予想してのことから出て来ておると思うのであります。それでソ連関係についての、また大きく国際情勢についての政府の認識を承りたいのであります。すなわちソ連関係におきましては、いつもあの中ソ相互防衛条約をたてにとられまして、あるいはまたもう一つには、日ソの平和条約に違反して終戦直前に日本軍に宣戦して来たということをもつて、ああいう国とは相手にならないということで終始一貫しておられるのでありますけれども、これにもやはり一つのお互い反省すべき点がなくてはならぬのでありまして、一つは、つまりすでに当時ソ連は、日ソ平和条約を破棄するといいますか、もう続けないという通告はしておつたのでございます。もちろん有効期間はまだ多少残つておつたのでありますが、その平和条約破棄、もう延ばさないというソ連の意思表示には、いろいろの理由を述べておるのじやないかと思うのであります。これらの情勢を判断するために、そのときの事情が知りたいのでございますが、岡崎外務大臣その他外務省関係におきまして、その間の事情を御存じならば、ひとつ教えていただきたいと思うのであります。
○岡崎国務大臣 当時日本側としてはあの条約を延長したいと思いましたが、ソ連側は理由を示さずしてこれを廃棄したいという申入れを行いました、お話のように一箇年の猶予期間がありまして、まだ有効の間に、今度は一方的にあれを廃棄して対日宣戦をいたしたのであります。その間におきましても日本側といたしましては、ソ連との関係があの条約等によつて友好的であることを信じておりましたし、また両方で大使も派遣しておりましたので、終戦を何とかソ連のあつせんによつて円満に取運びたいと考えまして、政府としては、ソ連政府に対して、戦争を一日も早く終結するようにというあつせんを依頼したのでありますが、それに対する回答は一切なく、日本側がむなしく――希望を持つているうちに、ソ連側で参戦をいたした、宣戦を布告した、これが真相であります。
○細迫委員 あのソ連の対日戦争参加は、ただにソ連の意思だけでなくて、主としてアメリカの扇動によつたものであること言うまでもありません。それから岡崎外務大臣は、扇動せられても微動もしないような国でなければ相手にできないということを言つておられますが、それならば、人を扇動するようなものはなおさら相手にできないはずなのであります。だがそれもアメリカだけでなくて、連合国一致した要望であつたことは記録上はつきりしておることなのでございまして、ただ過去の一事実をいつまでも含んで、御殿女中みたいに、政治をあずかる者が国の大きな方針を誤つてはいけないと思うのであります。現在特にアメリカに忠義立てをして、ソ連の悪口を言うとか、ソ連の不便を策するとかいうような積極的なことを無理にしなくてもいいのじやないかと思うのです。世界各国と友好関係に立つておれば、こんななMSA、あるいはそれを裏書きする自衛隊の増強というようなことをしなくてもいい、むだな費用を使わなくて済むというようなことになるのでありますし、なお貿易関係もよりよく進捗するでありましよう。のにかかわらず、李承晩や蒋介石に劣らず、私の方でも大いに忠勤を励んでおるというような忠義ぶりを示さなくても、私は独立国として当然よろしいことであると思うのであります。しかるにどうしてもそのしこり、過去のいきさつにとらわれまして、ソ連には、口を開けば悪口雑言だけを述べて、友好の手を差延べないということは、日本の国に対して非常に損害を及ぼす方針だと私は確信をしておるのであります。いろいろな貿易、その他文化的な交流、人の交通等におきまして、こちらから積極的にできる限りの友好感情を示す。ソ連の方としても、貿易その他で非常に接近を要望しておることは事実でありまして、これはもう否認すべからざることである、西欧諸国等に対する態度におきまし否認すべからざることでありまして、イギリスなんかからも、貿易協定のために多数モスクワに乗り込むというような事実もあるわけであります。日本だけが一にそう李承晩のまねをしなくたつてよいと思うのであります。この世界的な情勢下におきまして、ソ連がほんとうに日本を仮想敵国視し、どうしても不仲になるように、友好でないように持つて行かねばならぬ状態にあるなどという認識をはたして持つておられるのであるかどうか、従つてできる限りの友好手段をとつて行くべしという方針はとられないのでありましようか、その大方針を承りたいと思うのであります。
○岡崎国務大臣 ソ連側に対しても、別に敵国視しているわけでございません。先ほど仮想敵国というお話をしきりに言われましたが、このMSA協定は、どこの国も仮想敵国にしてはおりません。ソ連につきましても、吉田総理もしばしば言われておりますように――サンフランシスコ条約、この条約に加わるという意思があれば、何ら、われわれとしても国交回復に躊躇するものでないことは、しばしば吉田総理が言つておる通りであります。しかしながら、一国がある政策をとつて、それは間違いであつたとか、よその国から言われたからついやつたとかいつて、あとで言い訳をしても済むものではありません。国の政策というものは、その意味で、長い間影響することは当然でありまして、そう子供のようなことを言つて、あとで、もうあんなことはどうでもよいやというふうにはなりません。またかりにそういうふうに、前のはあやまちであつたとしましても、現在の環境が、実際前のはあやまちであつて、今度はそういうことはしないのだという確信が、客観的の状況で判断せられなければ、これまた何にもならないのでありまして、現に終戦当時の八月九日、ソ連のとつた態度というものは、これは永久に日本人として記憶せざる得ない問題であります。しかしながら、ソ連との間に貿易は、さしつかえない範囲では行うつもりでおります。ただ英国が、しきりに大きく貿易すると言つておられますが、現に英国側は非常に大がかりの貿易使節団を東欧に派遣しようとしましまたが、結局その団体が大部分共産系の人たちから成り立つているというので、政府もこれをやめるように勧告いたしたようでありますし、まじめな商社が一つも入らないような結果から、あの使節団というものはとりやめになつた模様であります。なお細迫君のお話だと、ソ連や中共と国交を回復すれば、防衛力も何もいらないというようなふうにとれたのでありますが、現にソ連と国交を回復しているアメリカでも、イギリスでも、フランスでも、その他各国やはり独立国として必要な防衛力を持つておるのでありまして、独立国にふさわしい防衛力の保持と国交回復とは、直接に関係がないことはこの事例ではつきりしていると思います。従つて、日本がかりにソ連等と国交を回復しても、やはり防衛力を持つであろうということは、現によその国がみなそうやつているところから見ても、明らかだろうと考えております。
○細迫委員 よその国と申されますけれども、よその国とは全然違うのであります。新憲法の制定によりまして、日本はほとんど生れかわつたといつてもさしつかえないのであります。この特殊な憲法を持つているのは日本だけでございまして、よそ並に扱うことは間違いであります。あくまでも憲法の精神にのつとりまして、新たなる全世界の進むべき模範を示して行く気概でもって、新し文化平和国家の建設の方へ向わなくちやならぬと思うのでございます。大きな国の歩みを、方針を、見込みを、つまり見通しを誤つたらたいへんなことになるわけであります。実際第二次世界大戦を独伊と結んで起したのは、まつたくの見込み違いであつたことに原因するのでありまして、慎重の上にも慎重を期さなくてはならぬ、いやしくも区々たる感情にとらわれ、あやまつことがあつてはならぬと痛切に感ぜざるを得ないのであります。 もはや時間が迫りましたから、質問はこの程度で終ることにいたします。
○上塚委員長 加藤勘十君。
○加藤(勘)委員 私は、ある意味では日本の国の性格をかえるかもしれないと思われるような重大な協定案が審議される過程において、総理大臣が一言もこの問題に直接発言されていないということは、非常に遺憾に存じます。病気であるということでありますからやむを得ないとは言いながら、おそらく国民全般は何かしら割切れない感じを抱いておると思うのであります。しかしながら、そういうことを言つておつてもしかたがありませんから、私は緒方副総理に吉田内閣総理大臣の所信を代表する意味においてお伺いいたしたいと思いますから、総理大臣としての識見においてその信念を聞かせていただきたいと思います。 第一は、本協定の審議の過程におきまして、政府当局は中ソ両国を仮想敵国とするものでないということを言われております。今も岡崎外務大臣はそう言われました。きわめてけつこうなことであります。われわれは求めて仮想敵国をつくるべきでない。これはけつこうなことでありますが、それならば、今度の協定を締結することによつて、直接侵略にも対処するところの武力というか、兵力というか、そういうものをつくられるに至つたのでありますが、それならば一体直接侵略の対象としてはどこを目途としておられるのか。大体日本の国は地図を按ずれば、大よそどことどこがどうなつておるかということは、子供でもわかるわけであります。直接侵略ということを書かれる以上は、当然その対象となるものが目途として定められなければならないと思うのでありますが、まず第一にこの点についてお伺いいたしたいと思います。
○緒方国務大臣 今回の協定を交渉いたしますにあたりまして、特段なる国を仮想敵国として協定の交渉をいたした事実はございません。しからば何を直接侵略の対象としておるかという御質問であると考えますが、それは国が独立しておる以上防衛力を持つのは当然でありまして、国力の許す範囲において防衛力を持つ、その場合に敵国はどこにあるかということは、今起つておる事実は何もない。
○加藤(勘)委員 日本の地理的地位から考えまして、アメリカと相互防衛援助協定を結ぶのでありますから、アメリカが対象でないということはきわめて明白であります。また南北にわかれておりますが、朝鮮は一衣帯水の地位にあり、日本とどういう意味においてか国際紛争がないとも限らない間柄の関係である。さらに一歩進めば中国大陸がある。南に下つては台湾がある。西に向つてはシベリアがある。すなわちソビエトがある。こう見て参りますと、日本の国に直接侵略を企図するような国は一体どこかということが想像されないことには、防衛力と申しますか、自衛力と申しますか、いずれにしても武力をもつて直接侵略に対処するということは、単なる抽象論ではかなわないと思います。当然具体的なものがなければならない。政府は防衛計画というものを持つておらぬということをしばしば言うておられますけれども、少くとも具体的な自衛力を持つ以上は、その自衛力の対象となる直接侵略の相手方が想定されなければならぬ。仮想敵国とは申しませんが、少くとも直接侵略の対象となるものが想定されなければならないはずでありますが、それもないとおつしやるのですかどうですか、それをお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 非常にこまかくなりましたから、ちよつとかわつてお答えいたします。御承知のように、かりにソ連を仮想敵国というか、直接侵略の相手方と見、あるいは中共を直接侵略の相手方と見るには、日本の防衛力というものはあまりに小さいのであります。実は日本の防衛力がある飽和点にでも達しますれば、直接侵略の相手方を考えてみて、これじや多いとか少いとか、減らし得るとかいう議論も立ちましようけれども、国としての国内の治安維持のためにも、またいかなる場合にも、とにかくある程度の防ぎができるようにという、まだ飽和点にははるかにほど遠い程度のただいまの防衛力でありますから、直接侵略の相手方がどうとかいう議論にはとうてい至らないものであります。また現状を見ますとなるほど大戦争のおそれもありましようけれども、そうでなくして、これは例をとつてははなはだ誤解を招いて恐縮でありますが、たとえば朝鮮の問題が起りましたときも中共政府が応援したのではないのであります。何かある形の義勇軍が出て来まして、これが北態鮮の主力をなしております。しかしその義勇軍はどこに責任を負つておるものであるかというと、これはなかなかわからないのであります。中共政府が何ら直接介入しておるわけではない。もちろんソ連は関係ないわけであります。しかしながらある非常に強い集団が現われて来まして朝鮮の戦闘をほとんど支配的にやつておつたようなことで、どの国という問題は、このごろはなかなか新らしい戦術でわかりません。従いまして安保条約にありますように、無責任なる軍国主義的の傾向がまだある現在はということでありまして、ただいま緒方副総理からお答えしましたように、直接侵略の相手方というものを実際考えておりませんし、またそれに至つてはおりませんので、ただ独立国として将来必要な防衛力のまず一歩をこの際固めて行こう、こういう程度でありますから、その点は御了承願いたいと思います。
○加藤(勘)委員 申し上げるまでもなく、中ソ友好同盟条約は朝鮮事変の発生前に締結されたものでありまして、日本はまだ主権を回復していないときでありました。その中ソ友好同盟条約によりますれば、明らかに仮想敵国として「日本」という文事が書かれておる。ただ私どもは、いかに中ソ両国が考えようとも、一人の兵隊、一ちようの鉄砲を持たない日本の国を仮想敵国とするはずはなくて、日本と同盟を結んだ国というものがいわゆる中ソの仮想敵国になつておるのではないかと思われるのであります。従つて中ソの側から見れば、日本と同盟条約を結んだアメリカが仮想敵国として暗に表示されておるわけであります。そうすると、そのアメリカと日本とが相互防衛協定を結ぶのでありますから、従つてアメリカを仮想敵国としておる中ソの側から見れば、日本もやはり仮想敵国として見られるおそれは十分あるわけであります。そうすると、中ソ側は日本を仮想敵国と見るが、日本側は何にも見ない。私は見ないことはけつこうだと思います。かりに相手方からねらわれようとも、われわれはねらつた相手をねらい返すのではなく、どうしたならばねらいをやめさせられるかという平和的、外交的手段を講ずることが必要だと思います。そういう点において、今外務大臣が言われたことはきわめてけつこうでありますが、その点に対してそれならば中ソ両国側が仮想敵国と暗示しておるアメリカと防衛協定を結ぶということは、日本の本来の意思に反してやむを得ず中ソ側から仮想敵国の陣営に追い込まれてしまうのではないか、こういう危険が感じられますが、その点に対してはどのようにお考えになつておいでになりましようか。
○岡崎国務大臣 御質問のついででありますから、私からお答えいたします。ソ連がアメリカを仮想敵国と考えておる、これは不幸にして事実かもしれません。しかしはたして仮想敵国としておるかどうかというオフイシヤルな確認はないわけであります。これは事実かもしれません。しかしながらそういうことになりますれば、世界の中には全部勘定すれば六十数箇国ありますが、アメリカの援助を受けている国でソ連から申して遠い、利害関係のほとんどない国もずいぶんあるのであります。これらが全部ソ連から見て仮想敵国と考えるというふうには、私どもはちよつと考えられないのでありまして、その中の相当の国に対してはアメリカと同様の目で見るかもしれませんが、全部というわけには参らぬだろうと思います。では日本の場合、どうであるか。これは中ソ同盟条約等もありますから、不幸にして先方はそう見るかもしれませんが、しかし中ソ同盟条約にいたしましても、何もよその国と条約を結んだり、よその国から援助を受けたりすることをもつて仮想敵国と考えるのじやなくして、中岡を侵略する意図を持つてそういうことをした場合に、これを防衛するというのが中ソ同盟条約の趣旨であります。われわれが繰返して申しますように、この部隊は、かりに今度の協定によつて援助を受けるにいたしましても、また直接侵略に対抗する任務を与えられることになりましても、海外に部隊を出すということはないのであります。日本の国内における自衛権の発動ということに厳に限定いたしております。またこの点も繰返すようでありますが、アリソン大使においても海外派兵は考えられないということを明言いたしております。従いまして今度のMSA協定ないし保安庁法の改正等も、決して部隊を外に出さないという趣旨からお考えくださいましても、中ソ同盟条約の対象になるべきものとは――感情上は別でありますが、理論上ならないものと私は確信をいたしております。
○加藤(勘)委員 御趣旨はよくわかります。これはひとつ緒方副総理からお答え願いたいのですが、それならば政府としてはサンフランシスコ平和条約を承認する国とは、現在未調印国であり未参加国であつても、平和を回復するということを決して拒むわけではない、こういう御趣旨にあると思います。そういう点から、これらの未調印国、未参加国あるいは批准していない国等に対して、積極的に平和を回復するためにどういう手段をもつて、どういう順序によつてそういう目的を達しようというお考えをお持ちになつておるのか。それとも、いつかそういう日が来るであろうことを希望しながら、世界の自然の成行きにまかせようとされるのであるか、その点をはつきりお伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 もちろんその国々によつて事情を異にいたします。お話の点は主として共産圏の諸国だろうと思いますが、この中で一番問題になりますのは申すまでもなくソ連と中共であります。これらにつきましては漁業の関係もありますし、また引揚者の問題もあります、その他日本の安全という点からもいろいろ考慮いたすことがありますから、各般の状況をできるだけ見きわめまして、サンフランシスコ条約に同意できるような環境をつくつて行きたいと考えております。
○加藤(勘)委員 私のお尋ねしたのは、ひとり共産圏の国々でなくして、東南アジア諸国の、サンフランシスコ会議には参加したけれども、まだ条約の批准がなされておらぬとか、あるいはサンフランシスコ会議に出席しなかつた、そして単独には平和関係が回復したかのごとき形にある国々、とりわけ賠償問題のからみ合つておる国々に対しては、賠償問題等の解決もそれらの国々と平和的な正常関係を回復する大きな道だと思うのであります。そこでそういう賠償問題等に関連して、アメリカとMSA協定を結ぶことによつて、日本は軍事費のために巨大な予算をさかなければならぬ、その余裕があるならばそういうものにさくよりも自分たちの方にまわせ、こういうことをもし提起された場合に、これらに対してもやはり考えなければならないのではないかと思うのでありまして、いわゆる共産圏の国々とは関係はおのずから違いますが、日本国家としてはそのすべてに対して、正常な平和関係が回復されるような努力をしなければならぬ。ことに東南アジア諸国は日本の貿易対象国として最も有利な、決して中共に劣らない重要性を持つておると思うのであります。そういう点から見まして、こういう点から賠償交渉等に支障を生ずるのではないか、こういうことが一つ心配になるわけです。それらの点に対してはどういう措置を講じておられるか、その点をはつきりしてもらいたいと思います。
○岡崎国務大臣 御質問を少し間違えまして恐縮に存じます。私どももこれらにつきましては多少そういう心配を持つておりますし、また各国の国民の間にもそういう懸念も多少はあろうと思いますが、実は昨年の十月に私が東南アジア諸国、ことに賠償問題の解決しておらない三国に参ったのも、このMSA交渉があの当時ほとんどまとまりがけるような状況であると思いましたので急いで行つたような事情もあります。これは日本としてもちろん賠償を誠意をもつて解決する必要があつたから参つたのでありますが、同時にこういうMSAとの関係についてお話のような懸念もあるかもしれぬという考えも持つておりました。そこでよく事情を説明いたしたつもりでありますが、政府要路の人々は大体において日本の防衛力増強の必要は認めたようでありまして、この問題と賠償とをからみ合せるような議論、あるいは発言はございませんでした。しかしながら一般民衆が全部そう思つておつたかどうか、これはまだ実はわかりませんので、この点についても今後ともできるだけ理解を深めるように努力はいたしたいと思つております。
○加藤(勘)委員 この点に対しては、すべての隣邦諸国と正常な平和関係が回復するために、積極的な努力をされるよう強く要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。 次の質問は、先般のこの委員会の質疑の際に佐藤法制局長官は、理論的には外国に派兵し得ることもあり得るという言葉を使われたのであります。私どもはその当時これはたいへんなことを言われるものだと思つておりましたが、しかし現実の問題としては、海外派兵はあり得ない、こういうことを言われておる。外務大臣しばしば海外派兵はあり得ないということを、アリソン大使の言葉を引用したり、自分のお考えをお述べになつて声明されておりますが、佐藤法制局長官は、理論的には海外派兵もあり得るということを言われたのであります。ところが現実の問題としては、条約の条文の中からは派兵ということが、ひとつも現われて参りません。またアリソン大使も、日本の青年を海外に送らなければならぬような事情はひとつも現われていない、こういうことを言われておりますので、それらの言葉だけにおいてはわれわれもそれを信用します。そこで問題は、この協定が結ばれるのに、どこの国でも自国の憲法に違反するような協定を外国と結ぶはずがない、こういうことは外務大臣もしばしば言うておられます。しかしながら、一部国民に疑惑があるから特に協定第九条の二項によつて、憲法の規定する範囲内でということを特に書いたのだ、こういうことをおつしやつていらつしやる。それならば、海外派兵という国民の疑惑の最も中心となつておる事柄を、この憲法の規定の範囲内でという条項と同様に、第八条を否定する意味においてはつきり条文の上に規定されるか、あるいは少くとも前文なり附属書なりにおいて明記されることが、日本国民を安心せしむるゆえんでないかと私は思うのでありますけれども、この点に対して副総理はどういうお考えでしょうか、それをお伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 かわつてお答えいたします。たびたび繰返して申すようで恐縮でありますが、海外派兵ということをしようと思つてもできないのは、私は、憲法の規定に基いてであると考えております。しかしながら、自衛権の発起として、非常に極端な極端な場合にそういうことがあり得るかあり得ないかということにつきましては、理論的には佐藤法制局長官がお答えいたしたのでありますが、現実の問題としては、ほとんど今のところは考える必要がないのじやないかと思うくらいであります。そこで、この問題につきましては、しばしばお話がありましたので、協定文作成についてもいろいろ考慮してみたのでありますが、元来、アメリカから援助をもらう、日本はこれを受ける、こういうのがこの協定の趣旨でありまして、海外派兵を義務づけられるかどうかということが問題の焦点になりますと、この協定の中に海外派兵を義務づけられておらないのだということを言うのはいかにも妙な形になります。そして、ことに海外派兵ということをするかしないかという問題は、義務づけられていなければ日本政府が独自で決定することになるのであります。そこで、この協定にどこにもそういう義務が出て来ないといたしますれば、これでもう明らかであるのみならず、第九条の第二事で憲法の規定を遵守して行うということを書いておりますので、これで十分と考えたわけでありますが、なおつけ加えて申しますれば、憲法の規定に基いて措置するという条文は、ほかの条約なり協定なりにも間々見受けるところでありまして、これは協定の内容といたしまして、それほど妙な感じを与えるものじやないのでありますが、唐突としてこの協定の中に、海外派兵ということをしないという、あるいは義務としてそういうことを書くのは、いかにもふさわしくないと考えます。ことに独立国たる日米両国間の協定におきましては、はなはだ適切でないと考えましたのでこれは削除いたしましたけれども、その趣旨は十分に明らかになつておると私はかたく信じております。
○加藤(勘)委員 そのお言葉は、この審議が始まつて以来、言葉のあやは多少違いますが、その趣旨はしばしばお伺いしたところであります。ところが、外務大臣が非常に熱心にそのことをお説きになるにもかかわらず、なお新聞、雑誌等に現われた世論の動向というものは、その点に一番大きな不安を感じておるようであります。この審議が終了に近づいた今日において、最後の採決を行おうとする段階に立つて、なお新聞等の論調を見ますと、そういう点に対する不安がおおい隠せないものがあるわけです。憲法の違反という問題は、憲法違反じやないということは、憲法の規定の範囲内でやるからというてはつきり書かれておるから一応得心するとしましても、その一番大きな国民的疑惑――この点は自衛力を持たなければならぬと強く主張されております改進党の方でも自由党の方でも、日本が海外に派兵するということについては、おそらくは反対であろうと思うのであります。それならば、この海外派兵をやらないということを条文の中に成文として書き込まないまでも、前文なり附属書なりに――附属書は数項の項目が書かれております。そのうちの一つとしてこれが書かれても、よけいなものが書かれたとは決してだれも感じないで、これでこそ初めて日本国民は安心してアメリカの誠意を信頼することができる、日本政府の主張も信頼することができる、こういうことになるのでありますが、せつかく努力しておつくりになつても、そういう一抹の不安があるために、どうも今までの態度から見て信用ができぬという不安を感ずる。でありますから、もしほんとうに虚心坦懐国をあげてこれに賛成せしめようというならば、そういう国民の不安疑惑に感じている点を明記するように、修正ができるものならば修正をすべきではないか、私はこう思うのでありますが、すでに調印された後であり、外務大臣は、吉田内閣としてはアメリカに対する関係からそれはできぬとおつしやつて、いろいろな言葉をもつて合理性を主張されますけれども、せつかく主張されましても、国民はそれによつてちつとも安心の域には達しない、これは不可能なことであります。不可能なことであるが、事実は動かすことができないと思う。もうすでに問題の性質を十分理解されて自衛力を持たなければならぬという主張を持つた新聞の論調ですら、なおこの海外派兵の点については一抹の不安をはつきり言い表わしておるのであります。こういう点について政府としては、この条文を直すということはできないにしても、前文なりあるいは附属書なりにそのことを書き込むについて、ここでそういうことを表明してアメリカ側に通ずるということをお考えになりはしませんかどうか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 お言葉を返すようでありますが、この点はずつと長い間研究をいたした結果でありまして、まず第一に、この協定の中のどこにも海外派兵を義務づけられているところはないのでありまして、その意味から申しますと、日本は海外派兵の義務は全然受諾しておりません。そこで第二の問題として、そういう義務はないのに海外派兵をするのじやないということを書きますことは、日本政府が独立国として独自に定むべき問題を、アメリカ政府の保障によつて何かつつかい棒をするというような形になりますので、協定文の中あるいは前文にいたしましても、とにかくアメリカとの間の協定と申しますか、前文を含めた協定なり議事録などに、海外派兵をしないのだという日本政府の断固たる考え方をこれ以上ささえてもらうような形は、独立国としてとりたくないのでありまして、その点ははなはだお考えに沿わないようでありますけれども、私はこれが最善であろうと思つておるのであります。
○加藤(勘)委員 その点については見解の相違になりますから何とも言われませんけれども、前書きなりあるいは附属書において表明をする場合に、アメリカの保障によつて、アメリカのかれこれによつて日本が派兵するとかなんとかということを言えば、アメリカの保障ということで独立国の主権を侵害されるということになりますが、前書きなりあるいは附属書において、「日本政府は」と、日本政府を主体として、そうして、日本政府は、この協定のいかんにかかわらず、海外派兵の義務は負わないとやれば、どこからも主権を侵害されるようなおそれはひとつもないと思います。これはまあ見解の相違ということになつて、いつまでたつても議論は並行して進まないと思いますから、われわれはそういうことが条約締結の途中において、もう一歩深く考えられたならば、今日この問題に対する国民的疑惑と不安を取除くことに成功したのではないかと思いますが、それは今日になつてできないとおつしやれば、当事者である政府の考えであるから、われわれはそれ以上議論をしても切りがないと思います。これは議論になつてしまつてはなはだ残念でありますけれども、われわれはそういう意思をはつきり持つておる。決して日本の主権が侵害されることなく、むしろそれを規定することによつて、日本の主権は一層この相互援助協定の中においても明確にされるということを強く考えておるものであります。 次の質問は原子爆弾の問題についてでありますが、原子爆弾、水素爆弾等を含んで今日では米、ソ、イギリス等において――数の問題は別としまして、これらの国々が確実に保有しておることは、世界公知の事実といつてもよいと思うのであります。イギリスのことは大西洋と太平洋と遠く離れておりますからしばらく別にしまして、米ソ両国の原子爆弾について、私ども日本国民は無関心でおるわけには参りません。今後これが兵器として利用されることが絶対にないように私どもは念願するのでありますけれども、現実に原子爆弾が保有されておるとするならば、これの使用いかんについては非常に大きな関心を持たなければなりません。もしこれが先般のビキニ島におけるように、太平洋のまん中で実験される、あるいは中央アジアかシベリアか知りませんが、そういう不毛の地域において実験されるそのたびごとに、今度のビキニ環礁における実験のように灰の中に放射能が含まれて、それが日本にも飛来し、あるいは日本まで来ないにしても、その付近の住民の生命を脅かす、あるいはそこの海に泳いでおる魚を襲う、そうしてその魚を食えば同時に放射能によつて冒されたと同じ症状を呈する、こういうことになりますと、日本は原子爆弾なり水素爆弾なりの偉力が増せば増すほど、恐怖にさらされなければならないわけであります。そういうことに対して当然考えられることは、現有原子爆弾その他の殺人的な原子兵器というものが使用されるような国際情勢をつくり出すということについて、ぜひこれをとめなければならぬことは言うまでもありませんが、この使用についてどういう手段によつてこれを制限することができるであろうか、原子力というものを兵器に使用しないで、何か人類の文化を向上せしめるような平和的なものに利用することが考えられはしないか、現在あるものは何らかの方法によつて、一国が単独で自分のものだからかつてに使用するということでなくして、国際管理に移して、国際的な協定のもとに、人類に被害を与えないような方法で保存するというようなことについて考えられるわけでありますが、これらの点について政府は先般のビキニ水爆か原爆かしりませんが、その実験の結果として、現実に日本国民が第三次の被害を受けておる実情から見て、何らかの措置を講ずべきであるとお考えになつておいでになるか、あるいは単に被害を受けた漁民諸君の救済なり治療なりあるいは船舶その他の被害物件の補償くらいで済まそうとされて、今後の問題については何も考えておらぬ、ただ対症療法を考えればいいというお考えでおいでになるか、この点をひとつはつきりお聞かせ願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 副総理にかわつてお答えいたします。第一には原子力の管理の問題でありますが、これは私から申し上げるまでもなく、政府として、あるいは各国いずれの国といえどもこれに賛成しない国はないと考えております。ただチヤーチル首相も言われたように、これを実現する方法は非常に困難であろうと思いますが、われわれは失望せずにこの道に邁進する必要があると考えております。これが解決すればすべての問題は解決したと同様でありますが、しかしそれに至るまでにいろいろ段階があろうかと思つております。ただいまビキニの問題に関連して考えておりますのも、いわば対症療法でありますけれども、これにも二つの種類の問題がありまして、一つはもちろんただいまの船なりあるいは船員なりの損害に対して、いかなる措置をとるかということでありますが、今後の問題としましては、やはり人類に対する被害あるいは水産業に対する損害のないように、もしくはこれに対して必要なる安全措置あるいは保障措置、こういうものをはつきりさせておかなければならぬと考えております。いずれにいたしましても、大きな原子力の管理の問題については、将来いろいろな方法がありましようけれども、できるだけ国債輿論を喚起して、この方面に歩を進めて行くことは、当然必要であろうと思うのであります。
○加藤(勘)委員 その問題でありますが、国際輿論を高めてこれが実現ができるようにしなければならぬという点でありまして、これは私も外務大臣と同様同感であります。問題は、いかにしてこれを実現するか、この点にあると思うのであります。現在新聞紙の伝うるところによりますれば、アメリカはソビエトに向つて原子力の平和利用に関しての提案を一つやつておる。ソビエトからはこれに対して原子兵器の管理さらにこれの使用禁止等が対案として提唱されておる。イギリスのチヤーチル総理大臣は原子力の国際管理の問題を具体化させなければならぬということを述べておる。国際連合にも原子力の国際管理委員会というものがあるはずであります。日本は国際的に見ればびようたる国でありまして、とうてい日本の提起に従つて米ソ両国にどうこうせよというような実力はありません。また国際連合にも加入していないから、国際連合加盟外の国として国際連合にかれこれ言う立場ではないでしよう。しかしながら原爆の被害を受けた国民としては世界唯一の国民であります。しかも二度、三度この被害を受けておる。今後実験が行われるごとにまた大きな直接、間接の被害を受けなければならぬ国であります。こういう点から見まして、少くとも原子力の国際管理の問題については、これを保有しておるアメリカやソビエトやイギリスより以上に、私は世界人類のために主張する資格を持つておると思うのであります。そこでたとい国際連合に加盟していないにしても、国際連合に訴える手段がとられる必要がある。また米、ソ、イギリス等に向つても、ぜひその国際管理が実現するように、米、ソ、英国等がそれぞれ全力を尽して国際協力に向うようにしてもらいたいという希望を表明することもできると思うのであります。こういう点に対して政府はどのようにお考えになつておりますか、この点もはつきりお聞かせを願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 御趣旨には私は賛成でありまして、その方向に向つてぜひ進みたいと思います。ただよく言われますように、政府が声明書を出すとかあるいは国連に要請するとか、これも一つの方法でありましようけれども、私自身といたしましては、政府が声明書を出して、それがから声明に終つてどこからも注意を引かないようなことはいたしたくない。また国連に対しても同様であります。従いましてその方法については、できるだけ各国の共鳴を得るような、またほかの国の輿論を導き得るような機会と方法をとりたいと考えておりますが、その趣旨においてはまつたく賛成でございます。
○加藤(勘)委員 先般のビキニ環礁における実験は、世界的な反響を呼んで、アメリカにおいてもまたイギリスにおいても、これが問題として論議の対象になつておるということを新聞紙は報じておるのであります。これに対して日本政府が、原爆の被害者の立場から強く訴えることは、具体的な外交手段を通さなくとも、それぞれの国に駐在しておる大使なりその他の外交官をもつて、ぜひこの問題は、国際管理にそれらの国々が積極的に努力するように日本国民が強く要望するという意思を表明されるだけでも、私は非常に大きな国際的な反響を呼び起すと思うのであります。効果の問題で、から鉄砲に終るのはいやだとおつしやるのも無理はありませんけれども、私はそれだけでも国際的な非常に大きな反響を呼び起すのではないかと考えられるわけでありますが、いずれこの問題については、衆議院において各派共同の決議案が出されることになつておりますから、その際政府は所信を表明されることと思いますので、その点は、これでやめておきますが、問題は近く、新聞紙の報ずるところによると四月の二十二日に、またしても太平洋において、水爆であるか原爆であるか知りませんが、アメリカが原子爆弾の実験をやる、こういうことが報道されております。また一部の新聞によりますと、被害の問題について、それをどうして食いとめるかということ等に十分な準備ができないうちは、しばらく中止するというようなことも出ておりました。少くとも実験の前に、関係国には警告が発せられるということになつておりますが、四月の二十二日実験されるというものについて、日本政府は警告を受取つておいでになりますかどうですか。
○岡崎国務大臣 そういう警告はまだ受取つておりません。しかしながら日本政府といたしまして、先ほど申しましたように、人類に被害を及ぼさざること、水産業にできるだけ影響を少くすること、あるとしても、それに対して適当な措置を講ずること、これがやはり実験をする前に確保せらるべき条件であろうと考えておりまして、その点についてはアメリカ側とも話合をいたしております。
○加藤(勘)委員 申し上げるまでもなく、赤道を中心としてその南北に十度前後の範囲内は、かつお、まぐろの漁場としては有数な漁場であります。日本漁民のまぐろ、かつおの漁場は主としてここに置いております。ここでとられたかつお、まぐろ等があるいは冷凍となり、あるいはカン詰となつて、アメリカに市場を求めております。ここのまぐろの冷凍もしくはカン詰は、最近においては年額三千万ドル程度に上つておると聞いております。日本の輸出産業としてこれほど大きなものは、少くとも原料を外国かの輸入しないで輸出し得るものとしては、生糸等に次ぐ有数のものであると考えられます。そのまぐろ、かつおがこの海域において漁獲せられ、その市場がアメリカである。アメリカにおいては、そういう地域においてとつた魚のカン詰なり冷凍なりは、一応検査をしなければ輸入をしない検査して無害のものだけが入れられるということになればなおけっこうでありますが、一度こういう恐怖的な、心理的な影響を与えるようなできごとができますと、どうしてもそれが長く尾を引いて人々に――これはどこの国でも人としては同じ共通の心理状態を持つておるのではないかと思いますが、そういう点からまぐろの輸出等が非常に減少し、もしくは禁止される、ことにここで実験が行われるたびごとに、その後しばらくの間は、ここではもう事実上漁獲ができぬ、こういうことになるわけであります。そうすると、ここに漁場を求めておる日本漁民の生活も、非常に大きな脅威にさらされますし、またその市場としてたよりにしておつたアメリカも、これを買わぬということになれば、当然日本の海外貿易の点においても、大きな打撃を受けなければならぬ、こういう点に対して、政府はこれらの点にかんがみて、できればこういう実験をこの海域において行うということを中止してもらうように、アメリカに申し出られる意思はおありでありましようか、その点もお伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 われわれもなるべくならば、この海域でかかる実験を行つてもらいたくないと考えておりますが、しかしいろいろの事情からアメリカ側の実験のみを妨げるようなことにならないことも必要であろうと思つておりますので、その間に今おつしやつたような水商業に影響のないように、たとえば魚は大丈夫だと日本で申しましても、アメリカの国民はそう信じないかもしれない、そこでアメリカの原子力委員会の報告も魚には影響ないと言つておるのでありますから、アメリカ側でアメリカ自身がアメリカの国民に魚は大丈夫だという宣伝を十分にしてもらうとか、あるいは検査の結果大丈夫だということもはつきり言つてもらう、将来の問題についても同様でありまして、ある程度日本の水産業に影響がありますれば、それに対する補償措置等は別に考えなければなりませんけれども、それ以外に、ただ人心が心配で魚を買わないなどということのないように、できるだけアメリカ側としても十分な協力を期待いたしております。
○加藤(勘)委員 どうもまだ質問する者と質問される側とピントが合わぬようでありまして、これは非常に残念ですが、どうも意見がわかれる。こういう意見が日本の国内にもあるということは、はつきり一般に知つてもらわなければならぬと私は思うのでありますが、これらの点についてもどうも意見が食い違つておるから、これ以上やつても、やはり結局議論は平行線をたどることになりますから、やめておきます。 最後にいずれ私はこの秘密保護法の単独法が審議されるときに、少しく立ち入つて御質問をいたしたいと思つておりますが、ここでは一つだけ研究の自由という点について、はたしてこれが確保されるかどうか、こういう点でありますが、岡崎外務大臣の言葉をもつてすれば、そういうことが書いてないから何も心配はないのだといつてしまわれるかもしれませんが、それでは済まぬことがたくさんあると思います。そこで私のお伺いしたいのは、今度のビキニ環礁における実験の結果として、その放射能の含まれた灰等が船について日本に持ち来されておる、この被害患者も出ておる、この放射能を含んだ灰の研究をして行けば、これはおのずから学者等の意見によれば爆弾の性質も判明して来るといわれておるわけであります。それから治療を根本的にしようとすれば、当然放射能の性格を究明して行かなければならぬ、患者の治療の点から行きましても、また放射能を含んだ灰の研究等から行きましても、やがてそれが爆弾の性質を判明せしめるということになるわけでありますが、その際この爆弾が、アメリカから日本にこれがそのまま現実の物質として与えられておるかどうか、おそらく与えられないでしようが、少くとも情報として日本に通達されておるとするならば、学者が灰を研究したりあるいはお医者さんが患者を治療する場合に、爆弾の性能なり、性格なり性質なりがはつきりわかつて来たときに、学者が将来世界の人類を戒めるために学界においてこれの研究を発表するというような場合がないとは限らないのであります。そういう場合に、この秘密保持の点とどういう関係が生じて来るか、この学者なりお医者さんなりは微塵も悪意はない、悪意はないけれども、学問に忠実であろうとすれば、当然これをは公表されなければならない性質のものである。そういう場合にこの秘密保持の問題とどういう関係が起つて来るか、この点についての御見解を聞かしていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 アメリカ側が日本政府に対して情報をよこして、その情報を発表いたしますれば秘密保護法に触れて参ります。しかしながら学者が自分の材料で自分が研究いたし、アメリカから何ら情報をもらつておらないという場合には、この秘密保護法には何ら関係がありません。
○加藤(勘)委員 その情報というのはこの条文にありますように、「装備品等に関する前号イからハまでに掲げる事事」ということになつておりますね。そうしますと、この情報は単なる情報でなくて、こういう現実のものに対する情報といいますか、通報といいますか、とにかく日本の側に知らされておる事柄だと思うのですが、そういう場合に原子爆弾か水素爆弾か知りませんが、そういうものの秘密について、詳しくはそのものについて直接通報がなされておらぬにしましても、それに関連する意味において通報がなされておつたとすると、やはりその秘密条項に触れるということになるおそれがあるわけなのです。そういう点についてやはりはつきりしておらぬと、将来非常に大きく研究の自由が阻害されて来ると思うのであります。その点に対していま少しく明確な御意見を聞かしておいていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 要するにアメリカ側から特に供給されました情報は、これはいかなる意味においても、日本において外部に漏らすことはいたさないことになります。しかしながら学者が研究したものを発表することは、かりに内容が同じでありましても、これは秘密保護法に何ら触れないことになります。
○加藤(勘)委員 その点が明確になつておれば、今度の問題の原子灰の研究等に当られる学者等に恐怖心を与えないと思いますから、今の外務大臣の言明を正面にそのまま受けまして、私どもは世間に向つてはっきり学者に安心ができるようにしたいと思います。 なお私は秘密保護法についてたくさんお伺いしたいと思いますが、それはその法律が出たときに譲りまして、きようは私の質問はこれで終りたいと思います。
○上塚委員長 次は福田昌子君。
○福田(昌)委員 緒方副総理にお伺いいたしたいのでございますが、政府や吉田総理のこれまでのお話を承りますと、アメリカの現在日本に駐留いたしております駐留軍が、今後だんだん漸減して参るという情勢になるということを御言明になつておられますが、緒方副総理もそのようにもちろんお考えだと思います。そういう点に対しましてアメリカ側とはつきりしたどういう約束をしておられるのか、その点伺わせていただきたいと思います。
○緒方国務大臣 アメリカの漸減方針に対する具体的な約束は何にもございません。
○福田(昌)委員 と申しますと、それはそうであろうという推察にすぎないと考えてよろしいのでございましうか。
○緒方国務大臣 これは安保条約におきまして、わが方の防衛力の漸増をアメリカが期待しておるその反面には、アメリカができるだけ経済関係からも駐留軍の漸減を希望しておることは想像し得るのであります。
○福田(昌)委員 そういたしますと、日本の防衛力の漸増と、現在駐留いたしておりますアメリカ軍の漸減ということは、相対的な関係がある、かように解釈してよいのでありますか。
○緒方国務大臣 別に相対的の関係はありませんが、日本が独立国である以上、できるだけ早く自分の力で自国の防衛に当りたい、これは国としての希望でありまして、その間にアメリカもできるだけ早く日本から撤兵したいという気持があるので、そこに関連はありますけれども、別にその間の約束はないのであります。
○福田(昌)委員 米国の駐留軍の漸減を希望しておられるということでありますならば、今度のMSAの協定、ことに日本の防衛力の漸増をアメリカ側は希望いたしまして、その相互防衛協定を結ばれたわけでありますが、その際になぜ日本の国に駐留いたしておりますアメリカの駐留軍のこれに伴つての漸減ということを強く要望し、これをこの本文に規定されなかつたのでございますか。
○緒方国務大臣 私は日本の政治の基調は、防衛よりも国民生活の安定ということが先だろうと思う。そこに経済力あるいは国力の許す範囲の防衛力の漸増ということを始終申しておるのでありますが、私は特に事情が許すならば、特に国民生活の犠牲において防衛力漸増を急ぐことはないと思います。そこにアメリカとの間に安保条約を通じての了解がありまして、今回の法案にもありますか、日本の政治の安定、経済の安定を阻害しない程度ということ以上には、アメリカも日本の防衛力の急増を期待していない、期待はしておりましても、そういう急速な増強を期待していないと考えます。
○福田(昌)委員 防衛力の増強というものが、日本の経済と不調和なものであつてはならないから、その点に経済的な問題に中心を置いて日本の防衛力を考えて行く、従つてアメリカ単の駐留ということに対して、あまり突き進んだ折衝というものを持ちたくないというような御意思の御答弁でございましたが、と申しますと結局アメリカの駐留軍を末永く黙認し、これを許し、そうすることを当然のことと考えておられる、かように解釈してよろしゆうございますか。
○緒方国務大臣 アメリカの駐留軍を末長く日本におつてくれと言うてもいないでしようし、そういう心配はないと思います。
○福田(昌)委員 そういたしますと、今度のMSAの協定の前文からいたしますと、アメリカの駐留軍に関しては直接何らの関連を持つていない、従つてアメリカの駐留軍が、今後なお漸減どころか漸増しようともあるいは急増しようとも、そういうことは一向関係がないというふうにもこれは読みとれるのでございますが、そういうこともあり得るということをお考えになつておられるのでございましようか。
○緒方国務大臣 安保条約を通して見たところで、アメリカが将来駐留軍を漸増するとか増強するということは感ぜられません。
○福田(昌)委員 そういたしますれば、安保条約を尊重なさるなら、なぜこの前文におきましてその点をもう少しはつきり御規定にならなかつたのでございますか、この点私どもきわめて遺憾でございます。 従いまして、次に付随する問題としてお伺いいたしたいのは、基地の問題でありますが、この基地は現状にとどめようとしておられるのでありましようか、それとも必要があれば、また増す場合もあり得るということをお考えでございましようか。
○岡崎国務大臣 ……。
○福田(昌)委員 緒方副総理にお尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 私でも同じであります。基地と申しますのは、おそらく行政協定の施設及び区域という意味だろうと思いますが、これにつきましてはだんだん減らして行く方針であります。
○福田(昌)委員 その減らされます場合は、日本の希望というようなことも相当聞き入れてもらえるのでございますか、それとも――もちろんそれはいろいろ御答弁がありましようが、実際の問題において、日本側の意思は大部分無視されまして、アメリカ側の一方的な主張においてその漸減が行われるのでございますか。
○岡崎国務大臣 これは行政協定に規定してありますように、日米間の話合いによつて行われるのであります。
○福田(昌)委員 多分そういう御答弁だと思いました。大体御答弁はわかります。 次にお伺いいたしたいのは、アメリカでは持運びの原子爆弾ができておるわけでありますが、ソ連にはあるか知りませんが、この原爆を日本に持つて来られるような場合があるといたしましたならば、そういう場合には、もちろん日本政府に相談があることと思います。その場合、日本政府としては、これを承諾なさるのでございますか、それともどういう態度をとられるのでございますか。
○岡崎国務大臣 一体持運びのできるようなものがあるかどうか私は知りませんが、そういう場合には、もちろん日本政府に相談があろうと考えております。その際どうするかということは、大体ただいまの情勢では、そういうものを国内に置く必要はないと思います。が、これは一般の武器その他とも同様な扱いでありまして、国際情勢及び日本の防衛力の強弱によつて判断する以外に方法はないと考えます。
○福田(昌)委員 アメリカには持運びの原子爆弾ができておるということは、新聞に出ておりましたし、いろいろな記事も相当出ておりますが、この際岡崎外務大臣にお伺いいたしてみたいのは、アメリカでは、どの程度の性能がある原爆がどのくらいつくられておるかという点についてでございます。御存じのところを御答弁願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 私はそういうことは知りませんが、かりにだれか知つておつたとしましても、アメリカで大切にいたしておる機密を発表する者はないだろうと考えております。
○福田(昌)委員 機密に関することだから、御答弁にならないし、また御存じないということでございました。これは当然のことだろうと思うのでありますが、先ほどの岡崎外務大臣の御説明を承つておりますと、日本の何かの新聞だつたと思いますが、アメリカにはものすごい威力のある毒ガスの兵器がつくられておるということが出ておりましたが、そういうのは絶対アメリカにはつくられていないと言下に否定されましたが、毒ガス兵器はつくられていないことを知つておられる岡崎外務大臣であれば、私、こういつた原子兵器のことでも多少知つておられるかと思つてお伺いしたのであります。どういう根拠でその毒ガスの兵器はつくられていないということを言われたか、この際重ねて御説明を願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 何か誤解じやないかと思いますが、私はアメリカの国内のことを別に正確に知つているわけではないのでありまして、毒ガスがあるかないか、そんなことは私は知りません。そんなお答えをしたことはありません。
○福田(昌)委員 私は、岡崎外務大臣はアメリカのことは非常に詳しくて、アメリカの出先の外務大臣であるということを民間で伺うものですから、そういう質問を申し上げてみたのでございます。 次にお伺い申し上げたいのは、経済措置協定の部分でございます。第一条の一項でございますが、「日本国の経済力の増強に資する」云々ということがございます。この日本国の経済力ということを御検討いただきます場合に、まだ未解決になつております諸外国との賠償問題について検討され、アメリカ側との折衝の席上において申入れをされたことがございましようか。
○岡崎国務大臣 そういうことはございません。
○福田(昌)委員 それでは賠償問題は、日本の経済力のわく外である、かようにお考えになつておりますか。
○岡崎国務大臣 経済力のわく外ではありませんけれども、この協定で全部の日本経済をアメリカにまかなつてもらうわけではないのでありまして、この協定も日本の経済力の発展に寄与することを目的としておるのでありまして、これで賠償問題もする、何もすると、全部この協定でやるわけではないのであります。
○福田(昌)委員 日本の経済に寄与するかどうかは知りませんけれども、いずれにいたしましても、そのほんの一部に関連があるということも、見方によれば、言えるでありましよう。ともかく日本経済に関連があるということにおいてはいなめないのでございまして、かような条文、協定を御決定の場合に、賠償問題も取上げて勘案せられなかつたということを非常に遺憾に思うのであります。 同じく経済措置協定の第一条の範囲でありますが、五百五十条の小麦協定によりまして、アメリカからの五千万ドルの分でございますが、この分に対しては日本におきましても予算的に同額のものを積み立てる義務があるのでございますか。
○岡崎国務大臣 同額のものを積み立てるのではありません。これはアメリカ側が円で支払うのであります。円で支払つた中で二〇%だけはアメリカ側から日本に贈与される、こういうわけであります。
○福田(昌)委員 域外買付の問題でありますが、この域外買付につきましてはカントリー・チームの管掌の範囲に入るのでございますか、副総理に御答弁願います。
○緒方国務大臣 外務大臣からお答えいたします。
○岡崎国務大臣 域外買付につきましては、これは二種類ありまして、日本の国内で使うものをアメリカ側が日本の国内に注文して買い上げる場合も域外買付であります。それから外国に対して持つて行くものも域外買付であります。日本の国内で使うものにつきましては、カントリー・チームはある程度保安隊あるいは自衛隊の装備の状況を知つておりますから、関連があるのでございます。それから国外に用いますものにつきましては、カントリー・チーム同士では話をいたすかもしれませんが、直接には関連がないのであります。
○福田(昌)委員 私どもはこのカントリー・チームの職権というものを、この相互安全保障条約の本文から推定いたしますと、当然域外買付に対しまして、国内、国外の差別なく、カントリー・チームのある程度の干渉を受けるという印象を受けるのでございますが、そういう意味で、ただいまの岡崎外務大臣の答弁には私ども十分安心ができないのでございます。岡崎外務大臣はこの安全保障条約の本文を十分御了解の上でこの経済措置協定をお結びになつたと思うのでございますが、そうでないのでございますか。
○岡崎国務大臣 了解しているつもりでございます。
○福田(昌)委員 そういたしますと、本文に書いてありますことと、ただいま岡崎外務大臣の御答弁とは食い違うと感ずるのでございます。私どもは岡崎外務大臣の日本国内向けの説明というものは好まないのでございまして、どうか岡崎外務大臣の国会における説明というものは、世界に通用する御説明を願いたいと思うのであります。日本国内向けの御説明、その場しのぎの御説明というものは、私どもの性格にはちよつと合わないのでございます。重ねてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、先ほどの加藤先生の御質問にいろいろ付随いたしましたビキニ環礁の問題につきまして……。 〔「委員長静粛にさせなさい」と呼 び、その他発言する者多し〕
○上塚委員長 静粛にお願いします。
○福田(昌)委員 ビキニ環礁付近におきます第五福龍丸をめぐつてのいろいな問題についてのお話がございましたが、これに関しまして岡崎外務大臣も、こういつた恐ろしい原爆兵器の国際管理、平和的な利用というものには同感であるという御説でございまして、当然のことでございますが、さらに進んで、国際的な輿論を喚起し、世界にこの平和管理、またこういつた原爆兵器を使用しないということの問題を進んで提起するということにおいては考慮中というお話でございました。これも前々から承つておる御答弁でございまして、私ども岡崎外務大臣のその消極的な態度ははなはだ遺憾でありますが、聞くところによりますと、最近超党派で原子力の国際管理に関する決議案、平和的な利用に関する決議案を出そうという情勢になつた。ところが自由党内において、政府与党内においていろいろと議論が沸騰しておつて、なかなかこれに虚心坦懐に同調できないというようなうわさも聞いたのでございますが、はたしてそういう情勢にあるかどうか。この点緒方副総理からお伺いいたします。
○緒方国務大臣 党の方から何らそういう報告を聞いておりません。おそらくそんな事実はないと思います。
○福田(昌)委員 それでは喜んで御提出になり、超党派のその決議に賛成なさるわけでございますね。(「あまり迷惑な質問はよせ」と呼ぶ者あり)なるべく御迷惑をおかけしまいと思いまして、たくさんある中からところどころお伺いしようと思つておりますから、聞いておつてください。アメリカは今度また危険区域を拡大されるということを発表されましたが、それを政府は了承されるのでございましようか。
○岡崎国務大臣 ちよつと聞きかねたのですが、アメリカで発表するというのですか。
○福田(昌)委員 アメリカで発表されたでしよう、それを政府は了承されたのですか。
○岡崎国務大臣 私はまだその期日等を発表されたとは承知しておりません。
○福田(昌)委員 ビキニ環礁を中心にしての地域の拡大の問題でございます。聞き違いではなかつたかと思いますので、重ねてお尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 地域の拡大は通報がされております。承知いたしました。
○福田(昌)委員 それはどのような根拠によつてその通報を御了承になつたのでございましようか。
○岡崎国務大臣 これもたびたび申しますが、第一に原子力の管理ということは望ましいことでありますが、現在におきましては、これを一方だけのじやまをするというような方法はとりたくない。従つてこのビキニ付近で実験が行われるといたしますれば、それの及ぼす漁船、漁夫、漁獲物等の被害が考えられるわけでございます。その被害に対するある程度の措置が必要であろうかと思つております。その措置が講ぜられるにおいては、あえてこの実験をじやまをする意向はない、こういう意味であります。
○福田(昌)委員 そういう内容の問題はついておりましようが、ともかくアメリカ側のいわば一方的なこういう危険区域の拡大ということは、これは国際的に見ますと、公海自由の原則に反すると考えるのであります。こういうものを簡単に了承なさるということであれば、これは李承晩のあのかつて気ままな李承晩ラインの設定に対しても、暗黙のうちに日本政府としては了承しているというようにもとれるのでございますが、それと軌を一にしておられるのでございましようか。
○岡崎国務大臣 これは全然性質が違います。もちろんこういう新しい爆弾は従前ありませんでしたから、この爆弾の実験という例はありませんけれども、相当広範囲の海域にわたりまして危険区域を設定して実弾射撃等を行いました例は、日本においてもあり、ほかの国にもあつて、これについては列国ともお互いのことでありますから、承認し合つて、なるべくその危険区域に立ち入らないような措置を講じておりました。国際法においても、その範囲においては従来から認めているものであります。李承晩ラインの問題とは全然性質を異にしております。
○福田(昌)委員 このMSAの協定に付随いたしまして、これに賛成する者も反対する者も、日本国民がひとしく心配しております一つに海外派兵の問題があります。この点については、各委員よりいろいろな角度から御質疑がありましたが、何回聞いても最後までわからないのは、海外派兵をなさるかなさらないかの問題でございます。きよう午前中の穗積委員の質問に対しましての緒方副総理の御答弁によりますと、海外派兵もあり得るということを言つておられます。法制局長官は、極端の場合には、現行憲法の範囲内においても、自衛権の発動の範囲内において海外への派遣も当然合憲であるということを言つておられますが、ますますもつて海外派兵の問題はあり得ると考えなければならないわけであります。こういう重大な問題を、岡崎外務大臣だけの感傷におきまして、かつこうが悪いとか、いかにも妙であるとかいうような、そしてまた、ともかく私どもから見ますと納得のできない御説明によりまして、この海外派兵をしないという点を入れないという御答弁をしておられるのでございますが、もし海外派兵をなさるという場合がありましたら、これに対しては、さらに特別の協定をなさる御意思があるのでございましようか、それともずるずるに自衛権の発動の範囲内において海外派兵をやるのだという御意思でおられるのでしようか、この点を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 少しお話が混乱いたしておるようでありますが、海外派兵ということを義務でやる場合と、義務でなく自発的にやる場合とあると思います。今までの御質問は海外派兵の義務をこの協定において負つているかどうかということでございますから、それは絶対にそういうことはありませんということを声がかれるほど申しておるのであります。海外派兵を自発的にやる場合、つまり自衛権の範囲内で行うかどうか、これは政府、国民、一同がきめることでありまして、義務としてそういうことを受諾するかどうかということとは全然別問題であります。これにつきましては法制局長官が非常に極端な場合を御説明いたしましたが、そのようなこは政府としては想像しておらないのであります。理論的にはそういうことが考え得るけれども――つまりポシブルではあるだろうが、プロバブルではないということをしばしば申し上げておるのであります。従つて政府としてあるいは国民としてきめる問題と、この協定に義務としてあるかないかという問題と一緒になさいますと、ごたごたいたします。協定の中には義務としては全然ございません。
○福田(昌)委員 岡崎外務大臣のように御聡明な方なら、義務とか自発的にどうとかというようなことで御区別なさると思うのでありますが、国民の大部分というもは、一応漠然と海外派兵というものがあるかないかということを心配いたしております。本文を読めば、海外派兵の義務がないということはよくわかりますが、しかしそれゆえに絶対に海外派兵をしないかといえば、自発的にする場合もあるという御答弁もありますように、海外派兵そのものを考えますと当然起つて来るのであります。従いまして混同されることがないように当然明文にすべきであつたと思うのでありますが、その点をわざわざ落しておいでになる。しかもこの条文を見ますと、全部が簡潔になつておるかと申しますと、決してそうではない。たとえばカントリー・チームの条項なんかになりますと、附属書のFとGというようなわざわざ二つの附属書までついておりますし、また私どもから考えますと、きわめて好ましくない附属書Dにおきましては、これは政府ははつきりおつしやいませんが、暗にその心根におきましては、中共及びソ連貿易の制限ということをアメリカ側に確約しておるのであります。こういうようなものまではつきり附属書あるいはまたその他の条文においてうたいながら、最も心配しておる海外派兵があるかないかということをわざわざ避けておるということは、国民全部が、いかに政府が強弁なさろうとも、安心して政府を信ずることができない点であろうと思います。政府が強弁なさるだけに、それだけますますそれに対する疑いを深めておるというのが、今日の現状であろうと思うのでございます。かような意味において私は政府が今日一方的なそういう説明をしてその場を濁そうとしておることを、非常に遺憾に思うのでありますが、もし海外派兵というような事態があつたといたしましたら、その場合政府はいかなる責任をおとりなるのでございますか、それとも個人的にどのような責任をおとりになりますか、この点をあわせて伺つておきます。
○岡崎国務大臣 海外派兵ということは政府はやらないのであります。義務としてはこの協定に全然ない、それから政府の独自の考え方としては全然そういうことはいたさないというのでありますから、責任のとりようがないのでありますが、そんなことを言つておる政府が海外派兵をしたとしたら、当然政府はつぶれてしまうことはあたりまえであります。
○福田(昌)委員 投資保証協定の点についてお伺いさしていただきたいと思いますが、私どもが考えますと、すでに日米通商航海条約を結んでおられますのに、またこの投資保証協定をお結びになる、これは政府の御答弁によりますと、必ずしも結ぶ必要があるとは考えなかつたけれども、結んだというお話でございましたが、なぜそういう必ずしも結ぶ必要がないような協定をまた結ばれたか、というこの点について、緒方副総理の御見解を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 かわつてお答えいたします。この協定を結ぶ必要はないと、政府側で言つた覚えはありません。ただこの協定を結ばなければならぬという義務はないという意味では申し上げたと思います。しかしこれは結んだ方がいいか結んだのでありまして、その理由は、この上ともアメリカの民間投資を促進いたしたい、こういう目的であります。
○福田(昌)委員 結ぶ必要がさほどの必要を認めないけれども結んだということは、これはどの局長かが御答弁になつたのであります。速記録をごらんいただけば決して間違いございません。それはまあさておきまして、この投資保証協定を結ぶことによつて、アメリカの投資を要望しておられるわけですが、それはどういう産業に向つての投資を要望しておられるか、その具体的な点を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは日本の経済の再建に役立つような産業についての投資を要望しております。それに対する制限、つまりこういうものに対しては投資を認めないということは、通商航海条約にも明記してありまして、それ以外のものの中で、日本経済の再建に役立つようなものに対してのみ投資を誘導したい、こう考えております。
○福田(昌)委員 もう少し具体的な業種について承りたいのでございますが……。
○岡崎国務大臣 それはまだ具体的に話合いができて来ておりませんから、一々こちら側で希望いたしましても、そういうところへ投資が入つて来るかどうか、これはわからないのであります。従いまして一般に日本の重要基幹産業で、通商航海条約に禁止条項のないものについては、投資を歓迎いたしたいというつもりでおります。
○上塚委員長 福田君にちよつと注意しますが、あなたの方の持時間はもう経過いたしました。
○福田(昌)委員 この投資保証協定の第三条の三項によりますと、問題が紛争いたしました場合における取扱いを規定してありますが、この仲裁人を一人と限定いたしましたこのことは、わが国にとりまして非常に不利な点が多多出て参ると思うのでありますが、なぜ仲裁人を一人とすることに御満足をされたか、その点承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 大体こういうものは、なるべくなら一人が望ましいのでありまして、ただいろいろの関係から、関係国から一人ずつ、中立国から一人というような形もありますけれども、日米間のこういう投資の問題においては、両国間の友好的な関係にもかんがみまして、一人で十分である、また一人の方が能率が上る、こう考えまして、一人にいたしました。
○福田(昌)委員 もう一点、一点です。私どもがこの日本のこれからの方向に対しまして、非常な一大変化を及ぼすであろうと想像されますこのMSAの協定にあたりまして、慎重でありたいと思いまして、きよう総理が神経痛で御病気であるということでございましたので、私どもはきわめて人道的な見地に立ちまして、そのかわりに緒方副総理に御出席を願つたわけであります。ところが緒方副総理の御見解というものもほとんど伺えなかつた。私どもは今日までMSAに関しまするいろいろな質疑も多少いたしましたし、多少の勉強をさせていただきましたが、政府の御答弁は聞けば聞くほど矛盾だらけでありまして、この間政府から何を御説明願つたかさつぱり得るところがなかつたというのが私どもの気持でございます。従いましてこういうような重大なMSAの協定にあたつて、政府の野党向けののらりくらりとした日本の国内でのお茶を濁すことのそういう態度に対しまして、まことに不愉快と申しますか、その政府の態度に対しまして、実に遺憾に存ずるのでございます。私は政府が今度の国会におきまして、野党側に向つてのらりくらりとした答弁をしてその場しのぎをなさつておつたといたしましても、将来このMSAによつて起るところの、日本の国民が受ける責任、またあるいはそれによつていろいろと制約されて参ります不幸というものに対しては、その罪の償いは決してできないのでありまして、その点に大きな御責任を持つていただきたいと思います。この点を申しまして質問を終ります。
○上塚委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 私は質問をしますとたくさんあるのですけれども、私どもの党に残つております貸間時間がわずかでありますので、その中で質問したいと思います。 この協定が本委員会にかけられる前から非常に問題になつていたことは、きようも多くの委員からの質問にありましたように、海外派兵の問題でございます。今岡崎外務大臣の御答弁を聞いておりますと、非常に自信たつぷりとして、この協定では何ら海外派兵の義務を負うものではない、こういうふうにおつしやつておられます。ところが私どもがこの協定をずつと読んで参りまして、海外派兵の裏づけとなるような条項がたくさんございます。その点を指摘しろとおつしやるならば、時間さえ与えてくだされば私は幾らでも指摘いたしますけれども、それを今時間の関係上いたしません。ただそういうことがあるということを御了承いただきたい。そこであるいは岡崎さんはそれがわかつておられるならば、それをごまかしておられるかどうか知りませんけれども、この問題は岡崎さんもそれからまたアリソン大使も、この協定調印にあたりましてあいさつをしておられます。このあいさつというものは、一体国際法上拘束力があるものかないものか、この点を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 法律的にはありません。道義的には十分あります。
○戸叶委員 法律的にはなくて道義的にはある、こうおつしやいました。私が実はそれを伺いました理由は、ここに立さんという方の書いた国際法の本がございます。それによりますと、例を引いてここに書いておられますけれども、その意見はすなわち、大事なところですから読んでみますと、「国家間の約束は在来国家元首又は其代表者の間に結ばれる所と為されたが、近時に於て政府の名を以て結ぶ協定又は公文交換の場合には、特に元首の全権委任状に依り権限の委任を受くるの形式を踏むこと無く、又元首の批准を受くることなくして、国家を拘束する約束の成ることが認めらるるに至つた。然れども在来文書に依る約束に限つて、此種の事が認められたのであるが、常設国際司法裁判所は更に一歩を進めて、一国の外務大臣が其権限内の事項に関して、外国の外交使節の要求に応じて為した口頭の宣言は、国家を拘束するの合意を成立せしむるを得ることを認むるに至つた。」こう書いて、そのあとで「これ一種の立法行為の試みられたものと認め得るのである。」そうしてそのあとに東部グリーンランド事件の例を引いておられます。こういうふうな考え方に対して、岡崎外務大臣はどういうふうなお考えを持たれるか、承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 それは立博士の論文をよく読みましてお答えいたします。それは私は読んでおりません。一般的には外務大臣の申したことが拘束力のあるのは、これは普通でありますけれども、しかしながら重要な国内の立法事項を伴う問題あるいは条約となるべき性質のものにつきましては、これは文書によりましてはつきり書いて、そうして調印をいたさなければ法律的の効果がないことは、これまた当然であります。
○戸叶委員 そうすると、この前のあいさつは結局拘束力がない、こういうことになるわけですか。
○岡崎国務大臣 これはもうたびたび申した通り、協定にあるもの以外はこの際は拘束力はない、しかしながら政府の態度をはつきり声明いたしておりますから、政府としてこれに対して政治的な責任、道義的な責任は当然あるのであります。
○戸叶委員 そういうふうにただいまは御答弁なさいましても、何かそこに書いたものが残りませんと、国民は非常に不安に思うのでございます。ですからさつそく今日でもこの立さんの意見をよく御研究になりまして、それをなるほどとお思いになりましたら、すぐアリソン氏に申し出られて、そのあいさつが拘束力があるものだというふうなことをお話合いになつたらいかがかと思いますが、その点はいかがでありますか。
○岡崎国務大臣 これはたびたび申しました通り、この協定に善くことは適当でないから審かなかつたのであります。従つて拘束力のあるようなものにするのはおかしい、つまり日本でもつて海外派兵をしませんということをアメリカに保障してもらうようなことは、独立国として適当でない、こう思いましたのでそういたしたのでありますから、そういうふうなことをアリソン大使にやる意思はありません。
○戸叶委員 考え方が違いますから、私はこれで終ります。
○上塚委員長 これにて日米相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件外三件についてすべての質疑を終了いたしました。 この際速記をやめまして理事会を開きます。 〔速記中止〕
○上塚委員長 速記再開。 この際お諮りいたします。大蔵委員会から申入れのありました連合審査会の開会の件につきましては、ただいまの理事会で意見の一致を見るに至りませんので採決いたします。連合審査会を開くに賛成の諸君の御起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○上塚委員長 起立少数。よつて連合審査会は開会しないことに決定いたしました。 これより討論に入ります。 〔「大臣がおらぬ」「だれを相手にし て討論するのか」「休憩々々」と呼 び、その他発言する者多し〕
○上塚委員長 ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○上塚委員長 速記を始めてください。 理事会の結果を御報告いたします。ただいま理事会において、討論は明日に延期し、午前十時半より開会して、各党持時間四十分以内とすることに決定いたしました。なお緒方副総理、岡崎外務大臣が出席することに決しました。 本日はこれをもつて散会いたします。 午後八時五十分散会