外務委員会 第26号
- 発言数
- 128 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/03/26
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件外三件を一括議題といたします。 逐条審議を継続いたします。まず日米相互防衛援助協定第六条より審議いたします。政府側より説明を求めます。
○下田政府委員 第六条を御説明申し上げます。この条文は少しわかりにくうございますが、事柄はきわめて簡単でございまして、第一項、第二項とも免税に関する規定でございます。第一項は防衛援助協定に基く輸出入品に対する関税及び内国税の免除の規定でございます。第二項は防衛援助協定以外の援助物品に対する免税の規定でございます。 第一項のaは相互防衛援助協定――それは今度の日米間の協定のみならず、アメリカと他の国との間の同種の協定、つまり相互防御援助協定に基く輸出入品に対する関税及び内国税の免除を定めておるのであります。この内国税はどういうものを免除するかという点は、付属書に規定してございまして、付属書のEで物品税、通行税、揮発油税、電気ガス税の四種類について免税を定め、さらに将来同種の租税が日本の税法上定められます場合にはやは免除することに、付属書のEの第二項で定めております。協定第六条一項bの方は調達の場合の免税の規定でございます。つまりaが輸出入品に対する関税及び内国税の免除でございますが、bの方は域外買付による調達物品に対する免税でございます。 第二項は先ほど申しましたように、防衛援助協定以外のアメリカの援助の対象となる物品に対する免税でございます。後段に「安全保障条約に適合して支出されるもの」と書いてございますが、これは現在までのところ日米安保条約に基いて直接日本の援助のために物品が供与されるということはございません。最後の行に「アメリカ合衆国政府の対外援助計画に適合して支出されるものを含む。」と書いてございますが、ただいま御承認を仰いでおります経済的措置に関する日米間の協定に基く援助に対しても、やはり免税がここで適用になるわけであります。 なお第六条の規定に関連しましてできました付属書のEにつきましては、第一項、第二項は先ほど御説明申し上げました通りでありますが、第三項は免税を受けるためにはアメリカ政府の適当なサテイフイケートがある場合にのみ免税が行われるということと、第四項は免税で日本に入つて来たものは、日本国内で処分してはならないという規定でございます。第五項はaにおきまして、これは免税ではあるけれども、輸出入の手続までを免除するものではないという念のための規定と、b項でこの免税に関する規定は、安保条約付属の行政協定その他現行の協定、とりきめに従つて定められる関税及び内国税の免除に影響を及ぼさないという、念のための規定を設けた次第であります。
○上塚委員長 本条について質疑を許します。御質疑はございませんか。――御質疑がございませんでしたらこれにて第六条に関する質疑を終ります。 次に第七条に移ります。政府側より説明を求めます。
○土屋政府委員 第七条はいわゆる顧問団に対する規定でございまして、第一項におきましては、最初に顧問団の責務と申しましようか、職能をうたつております。この第七条に掲げましたものは、顧問団の性格などを御判断いただきますときに標準になる唯一の基準でございますが、これで見ますと、アメリカ政府が日本に与える援助についての責務を、日本国の領域において遂行するということ、つまりMSAの援助の実施に当るということでございます。第二としてその実施いたします援助の進捗状態を観察すること、これはやはり本国政府に対する関係その他もございますので、顧問団がこういう職能を実行いたしますことについて、日本側が同意を与えたわけであります。第二項の後段になりまして、この顧問団の身分、監督等を規定しておりますが、すべて日本政府に対する関係におきましてはアメリカ大使館の一部であり、大使の指揮、命令を受けるものだと了解いたしておるのでありますが、「日本国政府に対する関係においては」と特にうたいましたゆえんのものは、アメリカにおきましては、国防省からあるいはFOAより出向を命ぜられ、従つて軍服を着、軍の指揮を受けるということがあり得るわけであります。しかしそれはわれわれ日本政府に対しては何らの関係を持ちませんで、われわれは大使館員としての取扱いをすればいいということを、ここに原則としてうたつておるわけであります。第一項の後段におきましては、大使館員であるという取扱いをする関係上、大使館に属する他の相当級の職員と、特権及びその他の点につきまして、日本政府といたしましても同等の取扱いをいたしますということをうたつてございます。 第二項は、この顧問団が実際上協定の実施に関連いたしまして、アメリカ側で日本国内において使う行政費その他関連の支出があるわけでありますが、これは円支出であります関係上、また各国の例から見まして、その国の貨幣でまかなえるものは、援助を受ける国、つまり被援助国の貨幣をもつて積み立ててこれを提供するというのが一般的原則でございますので、ここで行政費をうたつてあるわけでございます。この第一項と第二項につきましては、付属書のF並びにGというのに、比較的こまかい規定を載せてありますので、あわせてごらんをいただきたいと思います。 付属書のFは、第七条の第一項を受けまして、顧問団の数だとか、あるいは職員の地位だとか、あるいはその内訳だとか、こういうものを書いてございます。付属書のFの第一項をごらんになりますと、これに対しまして日本政府が与える便宜のことを規定しておりますが、この便宜が合理的でなければならないということと、日本政府に不当な負担となつてはならないということを、ここに了解事項としてとりつけてあるわけでございます。つまり私どもがおそれますのは、顧問団が来まして便宜供与のことをあまりやたらに日本側に頼みまして、家もめんどうを見ろ、あれもめんどうを見ろ、これもめんどうを見ろと言われては困りますので、目的つまり顧問団の職務を遂行する限度におきまして日本政府は便宜を与えるのでありますが、その便宜は、だれが考えてみても合理的なもので、ほかの国との関係あるいはその国の出し得る限界というものがおのずからあるわけであります。その限界の範囲内でという点を「便宜が合理的」という言葉で一応表現をいたしました。また日本の経済に対して、円で払えるからといつて、あまり不当な要求をされても困りますので、これに対しましても不当な負担となつてはいけないということを原則的にうたいました。 そのこまかい内訳といたしまして、第二項におきましては、まず顧問団の数を、その数のうちで特に外交特権を与えられる日本における特権階級の人人の数を制限することを目途といたしまして、「職員で外交特権を与えられるべきものの数をできるだけ少なくする」ということを特にうたいました。 それから第三項におきまして、その職員の地位につきまして、アメリカ大使館の館員と同様であるということを、第七項でうたつてはあるものの、各国の例を見ますと、必ずしも大使館員と全面的に同じに取扱つておるわけではございません。ここに掲げました三等級にわけるという考え方は、フランスとアメリカとの間でとつている制度に大体似たものでございます。 三段階にわけましたaと申しますのは、完全な外交官というと少し語弊がございますが、平たく説明いたしますと、実質上アメリカ大使館におるところの陸軍武官なり海軍武官なりと同じような取扱いを受けるというふうに、御了解をいただいてよいのではないかと思つております。従つて大使館員であるが軍服を着ます。大使館員である関係上、外交官の特権と見られるものはこの人たちも全部持つことになります。自動車などにつきましても、外交官の登録番号標を受けるということになりましようし、外交団リストにも載りましようから、社交的儀礼その他につきましても、武官と同等の取扱いをまず予期するわけでございます。人数から申しますと「最上位の将校並びに陸軍、海軍及び空軍各部の先任将校並びにこれらの者の次席」とこうここでうたつておりますので、最上級の将校と申しますのは、いわば顧問団の団長を予期しておりますが、これとその下に陸、海、空を取扱う三つの部局があるわけでありますから、これの長とを合せまして約四名となります。またこれに次席がつきますから約八名というのが実際上の数であります。八名が完全なる外交官の待遇を受けるというこのaに関係するわけでございます。兼任する向きもございましようから必ずしも八人ということはない、最大限八人ということになります。 それからbの関係は、第二の等級の職員といたしまして「国際慣習により同大使館の特定の等級の職員に認められている特権及び免除」と書いてございますが、私どもがここで考えましたのは、たとえば海軍なら海軍の少佐の方がこの顧問団に入つて来たとしますと、この少佐は大使館員の順序から申しますと大体二等書記官程度であろうと思われますので、二等書記官が受けると同じような特権並びに免除を受けるということを考えております。但し後段にありますように、アメリカ大使館には現在におきましては、大使館員ではございますものの外交団の表に載つておらない者、従つて自動車その他の取扱いにつきましても、必ずしもいわゆる外交宮としての取扱いを受けないで、いわば領事館の領事のような取扱いを受けておる部面もあるのでありますけれども、この第二級に属するところの顧問団の職員はそういつたことも断るよう、またそうすることもある意味では目途といたしまして、bの後段の方の「外交官用自動車登録番号標、外交団名簿への記載、社交的儀礼その他の外交官たる地位に伴う特権及び儀礼を辞退することができる。」として、向う側に辞退してもらうことが予期されておるわけであります。 最後には第三級の、顧問団の最下級の職員になりますが、大体大使館の書記と同様の地位を認められておる者であります。いわゆる外交官としての特権その他を供与するということは大分程度の低いものになるわけであります。 ただいま申し上げましたのが第七条の第一項にございます顧問団の職員についての問題でありますが、付属書のGは第七条の第二項、つまり顧問団の使います行政費の問題につきまして、ここに規定をいたしているわけであります。 付属書のGの第一項におきましては、先日も須磨さんから御質問がありました「経費の価額」の額という字の問題でございますが、要するにその総額を最小限度に押えるということに同意するということをうたつた趣旨が、ここの趣旨であります。 第二項におきましては、但し日本政府は経費を金で出すということをせずして、必要な場合においては不動産なり、備品なり、需品なり、役務を使用に供することができる、つまりこの行政費にかわるものを、物で提供してさしつかえないということを出したのであります。 第三項におきましては、こういうふうに物で出しますと、従つて金の方は勢い考慮を加えて減らさなければならないという原則をここに加えまして、日本の毎会計年度におきまして日本政府が提供すべき金額負担としての日本円の価額につきましては、日本政府が実際上アメリカの顧問団の使用に供するところの金銭以外の実物負担を考慮に入れて、両国政府の間で同意するということを書いております。 第四項は、日本政府から物もしくは金を負担するわけでありますが、この使用につきましては、日本、アメリカ両国の政府で合意するとりきめに従つて使用されると書きまして、つまりアメリカが一方的に使うことができないようにということがこの考えであります。このとりきめはそれではできているかということでございますが、とりきめは今のところまだできておりません。これはいわば手続に関するとりきめでございまして、日本側が提供する方法だとか、条件だとか、期間だとかをきめることを考えております。 最後に第五項におきましては、ここで原則、つまり金を最小限にとどめる。物も出してもいい。物を出したときには金については額を十分この点は考慮に入れて減らしてよいのだ。それから日本から出したものにつきましては、日本とアメリカとの両方の合意で行くのだ、こう押えまして、最後に初年度、本年度の分としてでございますが、本年度はこのMSA協定がいつから発効いたすかわかりませんが、初年度においての経費を三億五千七百三十万円と押えまして、日本政府はこれ以上の金を出さない、こういうことを考えるのでありますが、かりに三月三十一日以後に批准の日が遅れますに従いまして、このMSAの一年間に予測しましたこの三億五千七百三十万円というものを使う必要がなくなるわけであります。従つて初年度におきましては批准が遅れただけ日割りによりましてこの額を減らそうというのがここの考えであります。毎年々々この額はきめて参りますので、来年度以降におきましては、批准が済んだということから一年間まるまるのものをあげまして、その最小限度のものを日本政府が払うということになります。 第七条の第一項についての顧問団については付属書のFにおいて、それから第二項の行政費につきましては付属書のGにおいてこまかく規定したというのがこの規定の趣旨であります。
○上塚委員長 第七条について御質疑がありますか。
○佐々木(盛)委員 一、二点だけ伺つておきます。まず今度参ります顧問団の人数は六百名とか六百五十名とか承つたのですが、その内訳は、ただいまの御説明によりますところのこの三階級の中でどんなふうな内訳になつておるのか、わかりましたら御説明願いたい。
○土屋政府委員 ただいままでのところ数につきましては大体六百五十あたりを最初の出発としたいというアメリカ側の考えでありまして、私どももその内容をしさいに聞いてみまして、なるほどこういうところにそういう人が必要だろうというところから、六百五十前後を予定いたしたわけであります。但し訓練だとか、日本に対する新しい武器についての指示だとかいうことは、そう長い月日を要することではございませんので、大体の今尺度で参りますと、援助を受け出してから一年以内にこの数は大体半分くらいになろうということにつきましては、交渉のときといたしましても了承いたしたわけであります。この三種の階級の人数でございますが、a級に属する、いわゆる完全なる外交官としての取扱いのものにつきましては、先に申し上げました先任将校一名、陸海空それぞれつかさどるところの一名、計四名、それに次席がつきまして八名というのが、このa級に属するものであろうと思います。b級に属しますものにつきましては、今までのところ実はまだ確たる数字は出て来ないわけであります。これは持つて来ます兵器その他によつて違うわけでありまして、このb級に属する人たちが現実におきましてこのMSA援助の実施部隊とも称すべきものだと存じます。従つて新武器に対する取扱い、あるいは受渡し等をするわけでありまして、この数は急にははつきりいたし示せんけれども、大体私ども数からいたしまして百名ないし百五十名がこの数に入ると思います。その他の部分がここに書いてありますC級と称すべき、つまりa並びにbの下につきまして実際上の取扱いをする人で、タイピストのごとき、運転手のごときものが入るというのが、このC級であります。但しこれ以外に日本側から、場合によつて役務としてこのアメリカの顧問団の手伝いをすべきものも出るわけであります。顧問団といたしましてはアメリカ人が大体六百五十名、一年たつたらそれが大体半分になろうというのがただいまの大体の予測でございます。
○佐々木(盛)委員 ただいまの御説明で大体わかつたのありますが、武器の取扱い等の技術指導に携わる人は、日本がそれだけのことを習得してしまえばいらなくなるから帰るだろう。そうすると一年目ぐらいには半分になる、こういうお話でありましたが、そうすると半分になるというのは第二のクラスの人たちが大体半分になるということなのでありますか。
○土屋政府委員 第一の方は、まず今後完全なる外交官として特に扱うべきものについては、欠席がなくなるとかなんとかいうことはございましようが、大体初年度の数がそのままに受継がれると思います。従つて次年度に減りますものは第二のクラスと第三のクラスに属するもの、言いかえますと、上に乗ります先任の将校以外の人で現実に日本側の指導なり、あるいは協定の実施に当つております人、その補助員に当ります。級の人たちが減つて行きますので、三百ないし三百五十という数に一年たつたらなるというふうに考えております。
○佐々木(盛)委員 日本がこの顧問団に提供すべき便益、あるいは役務、ただいまの御説明でも、それが必要であろうというお話でありましたが、たとえばこれは事務員とか、あるいは労力とかいうものが当然必用になつて来るのではないかと思うのです。それらについては一体日本側としてはどの程度のものをお考えになつているのかという点を承つておきたい。
○土屋政府委員 役務につきましては私どもは顧問団が現実に事務所を設けまして、これが実際上の仕事をして行く上に、日本の役務をもつて使い得るものはなるたけ使つてもらいたいと考えております。というのは、それによつて顧問団の数を減らす、日本側の経費の負担を減らすことができる。そういう見地に立つているわけであります。今まで見ましたところでは、やはり自動車の運転手、交換手、タイピストとか、そういうものが日本側の役務としてさしあたり考えられるようでありまして、通訳とかなんとかございますけれども、実際上のこの顧問団に入りまして顧問団本来の仕事をする役務を日本側で提供するということは、今のところまずなかろうかと思います。
○佐々木(盛)委員 なお念のために横道でありますが、承つておきたいのは、顧問団が日本において広報活動、宣伝活動をするということはないと思いますが、いかがですか。
○土屋政府委員 全然ございません。但し先ほど申し上げましたように、顧問団は大使館員になりますので、大使館自身の行つておる広報活動なり、宣伝活動があり得るとすれば、それは顧問団自身もそういう立場からこれに協力するなり、あるいはそれの指示と申しますか、自分たちの方のものを取上げてもらうということはあり得るかと思います。しかしながら顧問団自身が自分の責任において宣伝し、広報活動をするということは全然考えていません。
○佐々木(盛)委員 それから先ほどのお話の日本が提供すべき役務は、先ほどのわが国の二十九年度の負担金額三億五千七百三十万円でまかなわれると思うのですが、そうでございますか。それは一体どこが払うのですか、こちらから払うのですか。
○土屋政府委員 との付属書の三億五千七百三十万円と申しますのは、効力発生の初年度、つまり今年これを御批准をいただきまして、来年の三月三十一日までにおけるもので、おそらく必要だろうと思われるものを三億五千七百三十万円と押えているわけであります。それをごらんになるとわかりますが、「その期間において同政府が使用に供する金銭以外のものによる負担を考慮に入れて、」ということがございますから、日本側でただいま申し上げました役務その他の負担があるといたしますと、大体現在こういうものを予想しまして、それ以外に金銭ではこれだけいるであろうということで、三億五千七百三十万円というものを計上をしておるわけでありますから、従つて初年度においては少くとも役務その他で日本から提供するものについては、一応それを考慮に入れたものが三億五千七百三十万円だというようにお考えいただきたいと思います。
○佐々木(盛)委員 ただいまのお話で、日本が役務以外に、たとえば資材であるとか土地であるとか建物であるとかいうものも提供すべき義務があると思います。それはおそらく第八条に関係があると思いますが、そうすると現地徴発――というような言葉が適当かどうかわかりませんが、かつて占領中に行われた、半ば強制的な意味を持つ提供方を要求して、日本が提供すべき責任が生れて来る、こういうことになりはせぬかと思いますが、いかがですか。
○土屋政府委員 この点は従来占領中に、あるいはその後におきましても、日本の政府が何か公共の目的をもつて収用する場合と多少違うと思いますのは、両者の合意によりまして、ここに書いてございますように、日本政府といたしましては、経費を提供することを原則とするものであります。経費を提供せずして、実際上不動産なり備品なりがあれば、それを経費にかえることができるという規定でありまして、不動産なり備品なり需品なりをやるということを目的とした付属書の言い表わし方でないわけであります。と申しますのは、つまり行政費があれば、その行政費の金を出すということを原則とするのでありますが、金を出さないで実物で出してもいい、実物を出したときは金を減らすという規定でありまして、この規定自体から、日本政府が不動産なり備品なり需品なり役務を提供する義務がある、その義務があるゆえに、その権限にのつとつて収用なり、あるいは一般的な徴用の形をとるということまでには行かないと思います。従つて、日本政府は自分の方でできれば何らかの形で――もしできなければいたし方ございませんが、規定上もよいということで、できるとすれば、不動産なり備品なり需品なりを提供しよう、それだけは金から差引こう、こういうことでございますから、おつしやいますように、実際上強力をもつて接収するとか、あるいは収用するとかいう形によるアメリカ側に対する提供はないものと存じております。
○佐々木(盛)委員 公有財産とか国有財産であるというような場合においては、両国の政府間において話合いがつくと思うのでありますが、民有財産、民有不動産等について提供方を要求せられているという場合においては、もとより合意に基いて行われると思うのでありますが、そういうことはどうなつておるか、またそういうことを担当するのはどこでありますか。
○土屋政府委員 これはやはり付属書の、G項にございますように、経費を提供するかわりに不動産、備品、需品、役務を使用に供することができることに同意したわけでございますから、日本側でもそういうことによつて金を出さずに、実物を出してもいいということに応じただけの話でありまして、強要その他の問題は絶対ございません。従いまして、国有財産につきましては、大蔵省なり関係方面に話をしますので、まず問題なしに提供し得るということがあり得ますが、民有財産でアメリカがかりにこういう土地がほしい、どうだと言つて来た場合におきましては、われわれといたしまして、その所有者に対して話合いをしまして、個人契約で借りられれば、日本政府が借りてその実物を提供するということはあり得ます。あるいはアメリカ側と日本側との話合いに日本政府が立ち会いまして、両者合意の上で契約を結ぶということはあり得ると思うのでありますが、権力をもつて民間のものをこの提供の内容として、そして実際上意思あるなしにかかわらず、民有財産を提供するというような規定は、ここからは出て参りません。従つて、国有財産については今のように問題は簡単でございますが、民有財産につきまして日本側は提供する義務がございませんから、話がつかなければ民有財産は使えないということになると思います。それから取扱いの機関でございますが、ただいまいろいろ考えておりまして、調達庁ということもひとつ考えてみました。また国有財産がございますので、大蔵省の問題もあると思いますが、実際上の取扱いといたしましては、やはり外務省なり何なりに顧問団と話合いをする一つの委員会制度をつくりまして、これが実際上調達庁なり大蔵省なりと連絡をして、顧問団との話には応じたい、こう考えております。
○佐々木(盛)委員 顧問団の必要なる行政事務費というものは、日本だけが負担をすることになつて、アメリカはこれに対して負担をしない建前になつておると思いますが、行政事務費というのは、読んで字のごとく行政事務だけのものであつて、たとえばそれ以外の軍事上のいろいろな施設であるとかあるいは設備であるとか、そういつたものの費用はこの中に含まれていないと思うのでありますが、そういうものはだれが負担をするのでありますか。
○土屋政府委員 おつしやる通り、行政費並びにこれに関連する経費と申しますのは、顧問団の行政事務に必要なる費用及びこれに関連する経費でございます。こまかくいうといろいろのものがざいましようが、宙に考えまして、事務所の借料だとか、あるいは通信費だとか使用人の給料だとか、光熱費、旅費、文房具費、運送費などが含まれるわけであります。ここでひとつ御注意をいただきたいと思いますのは、行政費のうち、日本側が負担すべきものは円貨で支払いし得るものに限ります。従つて、外出をもつて支払わなければならない経費がかりに行政費の中にあつたとすれば、日本政府はもちろんこれは払うことはできないし、また払う必要もないわけであります。と申しますのは、かりにアメリカから一人の先任将校が日本の顧問団に赴任いたすということになりますと、ワシントンならワシントンを立つて東京に来るまでに旅費がいる、この旅費の中でドル払いを必要とするものはアメリカ払いであります。円で払い得るもの、つまり羽田に着いてから、かりにその人が北海道に行くということになるとすれば、羽田から北海道までの旅費については、行政費として日本側から提供した円を使用することができるということになります。こういう関係から、ただいま申し上げましたように事務所の借料、通信費、使用人の給料、光熱費、旅費、文房具費、運送費等が主となりますので、従つて、たとえば顧問団の給与でございますが、これはアメリカがFOAのスタツフとして日本によこしたスタツフでありまして、当然にこれはアメリカの負担であります。そういう関係から、円をもつて支払いし得るもので、そして行政費並びにこれに関連するものと両者が合意したものということでございますので、この額はおのずからここに押えられたような額で始末し得ると思います。またアメリカ側の出すドル給与等は当方では何ら心配しなくてよいということであります。
○佐々木(盛)委員 軍事的施設とか設備とかいうもの、そういう費用はこの中に含まれておりませんね。
○土屋政府委員 もしこの顧問団に必要なものがございますとすると、これは入つております。
○佐々木(盛)委員 それから、日本側の提供すべき三億五千七百三十万円、これは日本の国家予算の防衛支出金の中から出すことになると思うのでありますが、これは別に顧問団のためにというわけで今度の予算外の中には組込まれていなように思うのですが、その国家予算との関係はいかがでございますか。
○土屋政府委員 実はこれは、予算の編成期とやや前後いたしましてMSAの問題が取上げられて来ました関係上、しかもこれがまだ決定を見ませんでした関係上、費目としてMSAの顧問団費用としては出ていないと思います。保安庁の方は今いらつしやいませんが、私どもの聞いておりますところでは、保安隊の防衛費の中から、これだけのものは予備費をもつて捻出し得るということがわかりましたので、この費目を充てるように聞いております。 それから、先ほどちよつと間違いまして、顧問団の使う軍事施設その他があるとすれば、この三億五千七百三十万円に入つているかというお話に対して、私は入つていると申しましたが、軍事施設その他を使うということは、顧問団には考えておりません、純然たる事務所を使うというふうに考えておりますので、かりに軍事施設や何かを使うということが別途あるといたしますと、これは全然別途の問題になるかと思います。
○佐々木(盛)委員 もう一点だけ承つておきます。日米安全保障条約に速く行政協定に基いて、今日本におります駐留軍が同時に顧問団のメンバーを兼ねるということがありはせぬかと思うのですが、そのようなことはございませんか。またそうなつた場合においては身分はどうなるのですか。同一の人格で同時に二つの身分を持つていることになりはせぬかと思うのですが、いかがですか。
○下田政府委員 その点をはつきりさすために、先方の内部ではこれはまだ軍服を着た軍人であるかもしれませんが、日本政府との関係では大使館の一部となるということでございまして、従つて軍事顧問団のメンバーとなると同時に、行政協定に基く駐留軍の身分を失うわけでございます。
○佐々木(盛)委員 そういたしますと、たとえば裁判権の場合などにおきましても、行政協定に基くのではなくして、顧問団の一員であるから、従つて外交官の特権の法権免除を受けるということになるわけでございますね。そうすると、場合によつてはこれは非常に濫用されるようなおそれはございませんですか。
○下田政府委員 仰せの通り、顧問団のメンバーになりますと、行政協定の十七条、刑事裁判権に関する規定の適用がなくなりまして、一般国際法に従いまして外交官に対する法権免除ということで参るわけであります。でありますから、多少特権の範囲は、たとえば刑事裁判権なんかについては広くなると思います。
○佐々木(盛)委員 これは六百五十名も日本に来るわけでありますが、従来MSA協定を結んだ諸外国とアメリカとの関係におきましても、大体相当多量なものが参つておるというようなわけであります。同時にそれらは日本と同じように、外交官の待遇を受けておりますか、どうですか。
○土屋政府委員 この顧問団の数等は、実は私どもも大体の調査をいたして来ておりますものの、随時申し上げてございますように、秘密の分がございまして、公表されてないものでございますから、正確にどこには何人おるということを申し上げることは少し無理かと思います。ただ御質問に答えて、六百五十という数に見合つたものがほかの国にも大体あるかという御質問の趣旨にとりますと、これは国によりけりですが、たとえば台湾、それから英国等には、フランスも同様でありましようが、大体これに見合つた数がいるように見受けられます。もう少し多いという考えを持つているため、多く見かける国もございます。但し一般的にいいますと、やはり援助が二年、三年と続きますと、減つておる関係上、現在において、それでは六百五十名という日本の数に匹敵するような顧問団を持つている国がたくさんあるかと申しますと、これは数はそう多くはないのではないかというふうに見ております。それから顧問団の取扱いは、どこの国も現在第七条で結びましたように、大使館の長の指揮及び監督のもとに行動するという規定を設けまして、大使館員としての取扱いをしているのが現状でございます。
○富田委員 私ちよつと経費についてお伺いしたい。顧問団の経費は、a、b、cとございますが、三階級について多少単価というようなものをお考えになつて予算ができておるのでございましようか、どうでありましようか。そうすると、a級の人は大体どれくらいの費用を見ておりますか。b級またはc級の人は大体どれくらいの費用を見ておりますか。これをひとつ伺いたいと思います。 次に、時間がありませんから簡単に伺いますが、ちよつと私仄聞しますのに、大分顧問団の費用の問題が、人数とともに交渉の過程でいろいろ論議されたように聞いておるのであります。従つて三億何千万円という金も、いろいろのやりとりがあつた結果きまつた。外務省はもう少し日本としては少い額を希望しておつたのにもかかわらず、この額になつた。一部でそういうことが、事実かどうか知りませんが言われておりまして、非常に問題になつておる面も御承知の通りあるのでありますが、そういう意味でひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○土屋政府委員 話合いの内輪話を申し上げますと、この顧問団につきましては、時間的には最後の交渉の段階におきまして非常に日数を重ねました。そのゆえんのものは、おつしやいましたように、人数をなるたけ少くしたいという日本側の考え、それからアメリカ側ではそう少いものは困るので、現在ここにあります保安隊に対する顧問団みたいなものがございますから、大体このくらいの数をそのまま持つて行つたらいいじやないかというようなところから、事の話が日本側とアメリカとの間において人数の差異がまず出て来たのであります。そこで私どもはアメリカ側に対しまして、しからば顧問団の仕事とその内容から見て、なぜこれだけの人数が必要であるかという内訳がほしいという要求をいたしまして、アメリカ側の提出いたしたものをしさいに検討したわけであります。従いましてその結果、日本流に考える点とアメリカ流に考える点とについては、かなりの人数についての差異があることがわかりましたので、日本側といたしましては、この顧問団にこういう職能は必要でなかろう、こういう人数は必要でなかろうということをだんだん落して行つたわけであります。もつとも私などは、予算などに関係する顧問団の選考は必要でなかろうということから、初めから落したわれわれの案を出したのであります。アメリカ側はこれに対しまして、本年度の実施状態を見て、来年のアメリカ側の援助の予算をどうするかということは、やはり現地にいて、アメリカの顧問団員が見て行かないとやりにくいのだが、そういうものは日本側で持つてくれるのか持つてくれないのかというあたりから、そういうものはあるいは必要でなかろうかということがあつたりして、紆余曲折を経まして、大体この六百五十という数を押えました。従いまして初めのアメリカ側の担当の経費から申しますと、一人に対して幾らというアメリカ式の計算をいたして参りました関係上、日本側から支出すべき行政費の今ここにあげました額よりは、相当幅の広い額が多かつたものであることも事実であります。これに対しまして、たとえば一台の自動車が一日百マイル走るという計算をアメリカはして来たわけでありますが、その予算に一箇月も払う必要はなかろういうことから、これを切りましたり、いろいろいたしまして、結局現在におきましてここに出しました額は、六百五十人という算定のもとに、日本式とアメリカ式とを考慮に入れまして、ここらの額が適当な額であり、これ以上現在の予算から支出することは無理だろうということを考えまして、三億五千七百三十万という数をここに提出したというのが実際の状態でございます。アメリカ側からもつと大きい要求があつたという今のお話はその通りで、アメリカの計算の基礎がアメリカ式でございましたので、これにつきましてはアメリカ側もかなり大幅に譲つたわけであります。また日本側といたしましても、たとえば日本の提供する家屋あるいは土地というものに対する負担というもの、あるいは評価というものをどうするかという点につきましても、アメリカ側の評価と日本側の評価をだんだん突き合せた結果、かなりそこにも歩み寄りができまして、現在におきましては実物提供以外には三億何がしかの金でまずおちついたというのが実際の話でございまして、この人数と経費とは折衝に約四週間を費したというのが最後の段階における顧問団との交渉でございました。
○富田委員 今の一人当りの費用というのは、何か基準になつておるものがないのでございましようか。a、b、cにわけて、将校、階級は大体幾らか、それから最初あちらの言い出した額というものはどれくらいか、おさしつかえなければ聞かしていただきたい。相当幅があつというお話ですが……。
○下田政府委員 予算単価の点につきましては、つまり基礎的の費用は米側で負担するわけであります。給料でありますとか、手当でありますとか、被服でありますとか、そういう基礎的なものは全部アメリカ側が負担するのですから、日本にて円の支出を必要とするものだけでございます。従いまして単価として等級がありますのは、住宅に関して、将校用の住宅と下士官用の住宅とは違うという意味で差別の出て来るのがございますが、それ以外のものは全部どんな人間であろうと、おしなべて同じに扱つております。これは住宅維持手当とかたくさん単価がございますが、たとえば将校、同待遇者はドルに換算しまして百二ドルの住宅手当で、これは住宅手当と申しますけれども、実は電気、ガス、水道料、その他の滞在に伴う支出をカバーするものであります。それから国内旅費は日本の役所の国内旅費の三倍を計上しております。つまり日本の役所はすべてが国内に出歩くものではありませんが、顧問団は大体各地にあるいろいろな保安隊との連絡その他で国内旅行が多いために、日本の役所の旅費の単価の三倍を計上しておるわけでございます。
○富田委員 総額を言つておるのです。三億円に対して十億円くらいを言つたのか、二十億円くらいを言つたのか。
○下田政府委員 大体当初の要求額を見ますと十億以上に上つております。
○河野(密)委員 お尋ねします。「援助の進ちよく状況を観察する便宜を与えられる」ということであります。これは各国ともみな同じような表現を使つておると思うのですが、援助の進捗状況というのは、これは各国とも同じ内容ではないと思うのです。その援助の進捗状況というのはどういうことを意味するのでしようか。
○土屋政府委員 これは大体各国の例をとりまして、そんなに各国の本件に関する規定からはずれたものではないと私どもは承知いたしております。援助の進捗状態と申しますのは、アメリカから完成兵器なら完成兵器が来まして、この完成兵器が日本の保安隊の各部隊に配置されます。それにつきまして、新しい兵器ですと、取扱いその他をこの顧問団の人が立ち会いまして日本側に教え込まなければならないわけですが、その点をどの程度まで教え込み得たか、また実際上受けた兵器を日本側が訓練にどの程度使い得たかという、一般的な援助の実際上の実施の状態を御察して、これを本国政府に報告するということが、この事務であるというように了承しております。
○河野(密)委員 そうしますと、日本軍というと悪いのですが、日本の訓練その他を指揮するとか、そういうことまでも実際やるわけなのでしようか。それともその進捗状況というのは各国とも同じ内容で、たとえば私ちよつと見たのですが、みな同じような言葉を使つていると思うのです。どこの国でも同じことをやる、日本においても特にこれはかわつておらぬ、こういうふうに了解してよろしいのですか。
○土屋政府委員 大体私ども各国の例を徴しまして、各国の承諾した条件並びにその内容を持つものという了解のもとにこの協定をつくりました。従つて各国でどういう実際上の進捗状態の観察をしておるか知りませんが、これに右へならへということで、日本側においても同様の進捗状態を観察するという便宜を与えなければならないと思つております。
○河野(密)委員 新聞によりますと日本の保安庁の保安官ですか、ちようど軍隊を持つている国のアタツシエと同じように、アメリカの日本大使館にあれを派遣するということがございますが、これと顧問団と従来のアタツシエというものとはどういう関係に立つのでございますか。
○土屋政府委員 御質問は、従来のアタツシエと申しますもの、たとえば現在東京におけるアメリカの大使館にも陸軍武官、海軍武官、空軍武官がおりますので、これと顧問団とはどう違うかという問題と、それから日本側の保安隊から今度アメリカに出すと新聞に報道されておるものと顧問団とはどう違うかとい御質問と了解いたしますが、ここにおります陸軍武官、海軍武官というものは、アメリカの陸軍あるいは海軍を代表いたしまして、大使官員といたしまして、日本の軍事――まあアメリカ側から見まして日本の国防力なり軍事なりの全体につきましての観察をし、大使の補佐をいたしますのと同時に、自分の所属します陸軍なり海軍に対して、自分の見解、観察というものを報告する義務を持つていること、これが一般的な慣習だろうと思います。今度参ります顧問団はそういう職務を持つておりません。大使館員にはなりますが、その職務は限定されまして、MSAの援助を日本に実際持つて来るということの実施面に当るのと、その与えた日本側に対する援助が、いかに日本側で利用され、いかに要求されているかという実際上の状態を観察して報告するというだけの権能を持ちますので、日本の国防全体に対する報告だとか、あるいは考え方を本国政府に報告する、あるいは大使に対して日本の防衛力全体に対しまして助言をするというような職能を持つておりません。従つて限定されたいわゆる顧問団としての職務だと御了解をいただきます。 日本の保安隊の保安正を今回ワシントンに出すという新聞記事は私も見ました。これにつきましては、従来長い間現在の外務省が持つております海外における在外公館の活動もしくは仕事というものは多岐多様でございまして、特に戦後においては非常に専門的な知識を必要とする場面が多くなつて参りました。従つてたとえば各国の原子兵器の進歩の状態とか、あるいは各国の防衛力の状態というようなことにつきましては、一般外交官をもつてこれに充てて行くだけでは、やや十分ではないという感が非常に多かつたのであります。そこで私の了解しますところでは、そういう国際情勢とにらみ合せ、日本の国内の治安の維持に任ずるところの保安隊からも、各国のそういう国内治安なり、あるいは国防なりについての実情を見てこれを報告する、本国政府に伝える。これを基礎にいたしまして、日本といたしましてはおのずから日本の国際情勢の観察その他の資料にしたい。それには従来のそういうことの専門でない者を出しておくよりも、専門の者を出し、これを大使館員といたしまして専門のことを研究させて本国政府に報告させることがよかろう、こういう考えから、試験的に保安隊から一、二名が今回外務省員として外に出ることを承知しておりますが、これがさきに申しましたアメリカから来ております武官と違いますのは、日本には軍部がございませんから、武官と名乗ることはできないと思います。保安隊員としての身分と、それから外務省に出向を命ぜられて外務省員の身分を持つことになるのでありますが、保安隊が世界的に認められた軍隊でありません関係上、陸軍武官なり何なりという名称なり、あるいはその資格をワシントンで名乗ることは、まずなかろうかと私は承知しております。
○河野(密)委員 もう一つお尋ねしますが、そうしますとこの顧問団の身分はアメリカの国防省に所属するものだと思いますが、その通りでありましようか。
○土屋政府委員 出身は国防省でございますが、これは例の海外活動本部に出向を命ぜられたものでございますので、本国政府における身分というものは海外活動本部員だと思いますが、ここにおきましては大使館員としてわれわれが取扱うので、アメリカの国務省の人として取扱つて日本政府としてはいいわけです。
○細迫委員 MSAを受けておる諸外国の顧問団員の数であります。これについては先ほども御発言がありましたし、また前にもたしか戸叶さんだと思いますが、資料を要求せられたのに対しまして、秘密に属するからといつて御発表がなかつたのでありますが、これはあなたの独断的な観察でありましようか、あるいはアメリカ側において秘密だと言つておるのでありましようか。もしいずれからいたしましてもこれが重大な秘密のものだとしますと、その顧問団の性格にちよつと疑いを持たざるを得ないのでありまして、この協定そのものから見ます顧問団の性格からは、そう秘密なことに属するものとは思えない。これが秘密に属するとしますれば、顧問団なるものが戦闘力の重要な部分をなすような印象を受けるのでありますが、その点いかがでありましようか。もしおさしつかえなかつたなら資料を提出していただきたいと思うのであります。大よその各国との比例もございましようから、不要なものにお金を使う必要はございません。
○土屋政府委員 私がいつか資料の御要求を受けましたことは記憶いたしておりますが、その際私が秘密だと申し上げたとすれば言葉が足りませんで、そういうものは発表になつておりませんから、従つてわれわれは材料を持つておりません、こういう意味を申し上げただけであります。各国に発表になつておりません関係上――われわれはアメリカに聞いてみましたが、アメリカでも実は発表しておりませんからあしからずというので、人数はわからないというのが現実であります。われわれがここで一両日中に申し上げましたのは、発表はしたものの、各大使、公使館から報告などを聞きまして、大体台湾にはどのくらい、パリにはどのくらいいるらしいという見当から先ほどのことを御参考に申し上げたわけで、そういう点から、秘密というよりは、発表がないものでございますから資料もございませんというだけでございます。日本側の方では六百五十名になるだろうという想定でございますが、この前後から人数も多少動きがあると思いますので、各国ともそういう点から、わざわざ人数を得るだけのこまかい秘密は初めから必要でないので、動き得るものだという意味で発表されないのだろうというように承知しております。
○細迫委員 各国の数は交渉にとつて非常に重要な意味をなすことは、外交官たるあなたにおいては十分御了承のことと思うのであります。言葉は悪いのですが、値切るにつきましてはよそとの比例が重要なことになるわけでありまして、その資料が手元にないとしますれば、怠慢かあるいは出先機関の無能か、いずれかに帰さなければならないと思うので、遺憾に存じます。 問題を別にいたしますが、顧問団の任務であります。援助物資の装備あるいはその数量というようなものも、事実上は顧問団の意見がその決定について重要なものになりはしないかと思うのでありますが、そうしますと、自衛隊の持ちます力そのものが、顧問団の発言によつて左右せられるというような重要なところまで来るわけであります。その点はいかがでありましようか。
○土屋政府委員 私どもは日本が自衛隊を漸増して行くという方針をとりまして、これに対する装備の一部をアメリカから受ける、この装備を日本に援助することについて顧問団が来て援助を与える、こういうことでございますので、顧問団が来るから自衛隊の装備その他について改良されるというのではなくして、日本側が自主的にきめる、武器その他の使用方法に顧問団は役立つとは思いますが、これが決定的に日本の自衛隊の指示なりあるいはその指導権を持つというふうには考えません。
○細迫委員 そうではなくて、こちらから要求しますものがすべてオーケーになるわけでは私はないと思うのです。日本で要求するものは、それは必要がないとかいうようなことで、削られたりするような場面が出て来るだろうと思うのでありますが、それらの根拠をなすものは顧問団の意見だと思うのであります。非常に重要な役目をやはり持つものだと思うのであります。さらにこれは第三条に関係して来るのでありますが、秘密保護の問題であります。これらにつきましても顧問団の意見というものが、非常に重要な関係を持つのではないだろうか。そうしますと、日本人の人権の範囲にこれが影響して来る。非常に重要な問題になり、大きくいえば内政干渉というようなところにまでも意味づけられると思うのでありますが、そういう秘密保護に関連する問題について顧問団の発言権と申しますか、そうことの影響についてのお見通しはいかがですか。
○土屋政府委員 顧問団はここにございますように大使館の一部としてわれわれは取扱いますので、顧問団がいかなる意見を持ちますか、これは一応聞いてみる必要はもちろんございますが、最後の段階において、日本側とアメリカ側との話は大使館と外務省との話で、大使と大臣との話でありますので、顧問団の長が日本の政府に対して指示なり指導なりをするということはまず考えられないと思います。顧問団はあくまで本国できまりました日本に対するMSAの援助というものにつきまして、有効に日本側に援助するということだけを任務といたします。従いまして時にこれが有効に使われないという結論を下しますと顧問団はそういう報告をする。それによつてあなたは使わないものを持つているそうだからこれは困るというようなことを、技術的には言い得ましようが、MSA全体について顧問団が干渉し、これによつて日本が被害を受けるということは、本質的にはないだろうと私は思います。こまかい技術的な問題については意見を聞くということはございましよう。 それから第三条の秘密関係との問題でありますが、日本側がそういう制肘を受けるということがかりにあるとすれば、日本は制肘を受けるならばその武器はいらないといえばそれはそれで済むわけで、私たちはそれによつて一般の人たちの権利を侵害され、権利を制約されるというようなことは考えられません。
○細迫委員 顧問団が要求します、そして日本人をもつて事足りる場合には、日本人の使用を提供するというようなことになつておるのでありますが、それはいわゆる第三級のものだけでありましようか、それ以上高級なものにも日本人が入るようなことが予想されるでありましようか。
○土屋政府委員 さしあたりの段階におきましては、第三級に属します、つまりc級に属します助手その他の人たちが多いだろうと思います。ただこれが長い期間になりまして武器その他の問題も日本側がないということになりますと、アメリカ側の人数が減らされましたのに見合いまして、多少高級な仕事をする日本の職員というものもあり得るかと思います。しかしこれは大分先の問題になると思います。
○細迫委員 先ほどはドルで払わるべきものはすべて日本の負担外だというお話でございました。これは少し甘いのではないかという疑いが起るのですが、協定それ自体のどこから、どの文句から、そういうことは出て来ておるのでございましようか。
○土屋政府委員 これはたしか一九五一年の相互安全保障法の中に行政費の規定がございまして、その行政費は「援助を受ける国の貨幣でまかなえるものを」という規定がございます。従つてこの協定自体の中には円で払い得るものに限るということは書いてございませんが、提供するものが円貨だけであり、それから相互安全保障法から行政費につきましては、「援助を受ける国の貨幣で」という点がございますから、そこに制限があるわけで、従つてドルで支出するものを日本が出す必要はない、こういうふうに考えておるわけであります。
○細迫委員 不案内でありますから、念のためにお聞きいたしますが、三等級の大使官の書記というのは、これは外交官の特権の片鱗をも持たないものでありますか、持つておればどういう程度のものでありますか。
○下田政府委員 第三級の者はいわゆる書記級の者で、国際法上当然には法権免除のような特権を持つておりません。ただそれを大使館にいるのに館長の許可なく無理やりにひつぱつて行くというようなことはできませんが、本人として法権免除というような特権を持つておりません。
○河野(密)委員 関連して。その顧問団の長ですが、今保安隊に来ているのは最高が大佐だと思いますが、今度来る顧問団の長は、どの程度の階級の者が一番上になつて来るのでありますか。この費用をきめたのでありますから、当然その最高の級はわかつておるはずだと思います。
○土屋政府委員 ただいま保安隊に来ております顧問団の長は、最近ゼネラル・ヒギンスという代将が勤めておりますが、おそらく顧問団の長になりますのは、やはりこの代将だろうと思います。
○河野(密)委員 その人がそのままなるというわけですか。
○土屋政府委員 私どもの承知しております限りでは、この方が今度身分がかわつて大使館に所属し、顧問団の団長になると思います。
○北委員 関連して。台湾のアメリカの顧問団長はチエーズ少将といいましたか、この人は蒋介石総統と陳誠のおる部屋のまん中の部屋にがんばつておる。それで台湾の自主性が非常に失われているということが朝日新聞に出ておつた。日本でもそういうことがないだろうかと私は心配いたします。たとえば銀行屋が生産会社に金を貸すと取締りが厳重になるが、やはりそういうおそれはないでありましようか。台湾と日本とは少し実力が違うでしようけれども、そういうことになると、大分ゆゆしい問題だろうと思いますが、いかがでしようか。
○土屋政府委員 台湾は、私ども聞いたのでありますが、これは必ずしもどつちがどつちというよりは、便宜上そばにいてもらつた方が便利がいいからいましようということでいる程度でありまして、決してそれが権限云々ではなかつたと思います。日本でそういうことがないか、これは住宅事情よりいたしまして、そうならないことはもちろんでございます。
○北委員 もう一つ、秘密保護法のことについてでありますが、悪い武器をもらつて、これが悪いということを発表して、こんなものでは困ると言うても秘密保護法にひつかかると困るのです。現にそういう経験は戦時中の東條内閣の治下にあつたのです。御承知でありましようが、岐阜県の各務ヶ原の川崎岐阜飛行機製作所の所長は東條さんの弟さんでした。この飛行機は戦争のしまいごろには三割しか飛べなかつた。本人は金をもうけて、おめかけさんを何人とか持つて、岐阜県一の多額納税者になつた。平野力三さんの兄さんの岐阜の平野増吉君が、それを航空総監の次の河邊虎四郎中将に、そういうくだらぬものに金を出して三割しか飛べないようなものはやめたらよかろうとねじ込んだところが、君は軍事秘密を漏らすかと非常にしかつて、ぐあいによればひつぱるような計画だつたらしい。それで東久邇宮さんに訴えたところが、それはまことにもつともだと言うて許されておる。平野力三君の兄さんの増吉君から私は直接聞いたのです。やはりアメリカからもらつた武器は中古で今の戦争に適せぬ、もろうたものについて悪いのを悪いと言えないようになつては困ると思うのですが、どういうことでしようか、これを念のためにお伺いいたします。
○土屋政府委員 私どもはこの第三条はいつか条約局長からも御説明があつたと思いますが、非常に限定されまして、ある兵器を渡され、この兵器の中のどこが秘密である、従つてこの兵器自身の取扱いにつきましては、ここが秘密であるということについて、つまり漏洩しないように防止するという措置をとるだけのことであります。ただいま例示としておあげになりました古い武器をもらつて、これは役に立たないということは、批評でありまして秘密の漏洩ではないと思います。従つて今度の秘密の漏洩の対象となるということには、私は少し漠然とし過ぎておつてなり得ないと思います。
○穗積委員 整理するためにもう少しお尋ねいたしておきますが、一年の後には六百五十人が約半分くらいになるだろうということですが、そのあとはどうなりますか。
○土屋政府委員 同じような援助が続けられる限りにおきまして、さらに幾らかの減少を来して行くだろうと思います。 それから一年に半分になりますというのを誤解のないように御理解をいただきたいのは、一年たつたらぽかつと半分になるのじやなくて、一年間のうちにだんだん減つて行きまして、来年の三月になりましたらおそらく現在の半分になるだろうということが一つと、それからもう一つ、今後はどういうふうな形になりますか、二年、三年目の援助の内容にもよると思いますが、現在のような事情が続くとすれば、なれて参りますのでだんだん減つて参りますが、来年度幾らに減るかということにつきましては実はまだめどがございません。
○穗積委員 先ほど出たことについてもう一歩つつ込んでお尋ねいたしますが、欧州各国のMSAを受けておる国の顧問団の大体のラウンド・ナンバーはわかりませんか。
○土屋政府委員 先ほど申し上げましたように、発表になつておらないものでありますから、われわれとしては各大使館の人数などを見まして、大体ここにはこのくらいいるじやないだろうかという推測を実はして行つて、それを基礎にお話を申し上げておるということでございます。
○穗積委員 それはどれくらいでございましようか。
○土屋政府委員 国によつて違うようでございますが、さつき申し上げたように、大きい国では七百人前後、それから少い国においては五十人前後の国もあるようでございます。
○穗積委員 たとえば英国その他の欧州の目ぼしい国はどのくらいでございますか。
○土屋政府委員 大体日本が考えております数に近いもののようであります。
○穗積委員 それは受けておる武器の援助の量といいますか、内容にもよりましようが、それに大体比例しておりますか。
○土屋政府委員 受けております援助の額というものは、大体あとでアメリカの国会に出ましたものから想像しておる程度で、各国幾らという細目が実はないのです。その按分比例がわかりませんが、私どもの見ておるところでは、たくさんもらつておる国はたくさんおるということで比例しておるかと思います。
○穗積委員 その七百人というのはどこですか。
○土屋政府委員 私どもが大体七百人の数を欠いておるまいと考えておりますのは、台湾であります。
○穗積委員 そうすると、欧州は大体五、六十人見当と推定してよろしゆうございますね。
○土屋政府委員 そうではありません。さらに多いものも大体あるというようにわれわれは見ております。
○穗積委員 一年間に漸減しまして半数になる、再来年度からはさらに減るということは結局減らそうと思つたのに減らせなかつたのは、向うが供与します武器に対して、こちらが操作その他の知識、技術水準が低いから、やむを得ずしてそういうものが当初はたくさんいるという意味なのでしようか、そのほかに何か軍事的な理由がございましようか。
○土屋政府委員 大体穂積さんの言われたような意味でありますが、もう一つつけ加えますと、初年度でありますので、諸事全然新しくすることになりますので、日本側とアメリカ側との連絡その他によけいな人を必要とするということで、第二年度からなれて来ればだんだん減るということであります。
○穗積委員 それでは次に顧問団の任務、権限についてちよつとお尋ねいたしますが、条文を見ますと非常に漠然としております。装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務を遂行し云々と書いてあり、それからあとは、先ほど河野さんも言われましたが、「供与する援助の進ちよく状況を観察する便宜を与えられる」云々、こういうふうになつております。そこでちよつと具体的にお尋ねいたしますが、供与されました武器がどこの部隊にどういうふうに配置されて、どういうふうに使用されておるか、そしてまたそれを技術的に見て有効適切に配置並びに使用しておるかどうかについては、一体アメリカの顧問団なるものは発言をする、アドヴアイスするのでございますか。日本の自衛隊の独自の判断で与えられた武器の配置それから使用、そうなればむろん武器が部隊の編成にも関連いたしますが、それらはすべてこれに対して顧問団なるものがその供与された目的に従つてうまく行つておるかどうかを見なければならぬわけですから、そうなればむろん顧問団がそれに対して、法律的にはこれは命令でなくてアドヴアイスになるかもしれませんが、いずれにしても発言せなければならぬと思うのですが、それは当然と考えてよろしゆうございますか。
○土屋政府委員 この規定からは、進捗状態を観察するにあたつて日本側は便宜を与えるということだけの規定でございます。それから前の装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国の責務と申しますのは、日本に援助を与えまして、この援助の目的に沿うようにということで、日本側が受けるわけであります。ですからこれは日本側の義務でありまして、アメリカ側とすれば日本側と話し合つた装備なり資材なりあるいは役務に対して、間違いなく日本側に渡すというところで私は切れていると思います。それから先の各部隊にどう配置されるか、またこれがどのように将来利用されるかということは、一に日本側の問題でございますが、アメリカ側は顧問団を通じてそれがどう利用されているかを観察し報告するというのが顧問団の義務でありまして、顧問団からかりにアドヴアイスがあつたといたしましても、これは非公式のもので、日本側にこれに従うべき義務は毛頭ございません。
○穗積委員 それでは向うから見まして、与えた武器の配置、その武器に関連しての日本の部隊の編成、それからその後の使用の方法、その武器を使つての訓練の方法、戦闘行為の訓練、これらがアメリカの兵隊からながめて非常に不適当である、これではまだその援助の目的を達していない、または与えた武器の機能を十分発揮するような部隊編成、訓練になつていないというようなことを気がついた場合には、当然これはアメリカとわれとの間の武器援助の目的からいたしまして、向うの注意をこちらも聞く必要があるし、向うでも黙つて見ておるわけには行きませんから、手をとつて教えるということもあろうかと思いますが、そういう場合には、だれがどこを通じてどういうようなことになりますか、これは放置されるわけですか。
○土屋政府委員 援助を受ました武器の実際上の取扱いその他につきまして、技術的なアメリカの顧問団のアドヴアイスなりあるいはその相談なりをするということは、技術的に保安隊なり何なり武器を実際に使うところで話合いが進んで行こうかと思います。しかしその際にどうしても言うことを聞かないとか、あるいは言うことを聞かせようという現実の問題がかりに起きたとすれば、大使館と日本政府すなわち外務省との話合いの問題で、顧問団自身が直接話し合う筋合いのものではないと思います。 それから防衛計画について云々の話がありましたが、やはり日本の防衛全体に対しての批評であるとかなんとかいうことをかりにするとすれば、それは顧問団としてするのではなくて、大使館が日本政府との話合いで、安保条約等も結んでいる関係上、日本の保安隊の防衛計画につきましては、顧問団の意見も聞いてみて、顧問団ではこういう意見を持つている、そうしてアメリカ政府はこれに対してこういう考え方を持つているが、日本政府どうだろう、こういう話合いが高いレベルで、しようが、顧問団の直接の任務ではございませんから、顧問団が直接そういう話を打ち出すということはあり得ないだろうと思います。
○穗積委員 そのことに対して、重大でありますからもう二点伺います。一点は、日本の自衛隊の諸君が指揮、教育を受ける義務もないし、向うも権限はない。ところがこちら側がみずからの自発的な意思において、向うの出先の顧問団を各部隊に配属されるということですが、その顧問団員に何といいますか、訓練の方法、知識、あるいはまたその他のより程度の高いアドヴアイスを求めた場合には、この日本の自衛隊の指揮官の行為は違法になりますか、どうなりますか。
○土屋政府委員 顧問団にアドヴアイスを当方から求めるということは、決して私は違法にならないと思います。保安隊はどなたにアドヴアイスを求めてもいいだろうと思います。アドヴアイスはアドヴアイスであつて、採用するしないはアドヴアイスを求めた側の権限によるわけで、従いましてそのアドヴアイスが拘束的でない限りは、どの人に保安隊がアドヴアイスを求めてもいいわけであつて、いわんや顧問団に対する違法性は出て来ないと思います。
○穗積委員 そうなりますと事実問題としては、現在各地の保安隊におきましても、アメリカの兵隊が法律的な根拠なくして、こちらから頼んだか、向うがかつて来てやつているか知りませんが指揮、訓練をいろいろアドヴアイスしているようです。戦闘行為、動作、命令等についても昔と違つて全部アメリカ式です。命令、号令にしましても、部隊の行動、編成等も大体みなアメリカ式をやつているようです。こういうような事実関係は、この顧問団が今度法律上の権限を持つて入つて参りまして、正当に認められた存在になりますと、一層密になるというふうにわれわれは考えなければなりませんが、今おつしやつたように向うは権限はない、こつちは義務はない、しかしながら事実上の野合は天下公然だということになりますと、この関係は非常にひどくなる、言いかえますれば、日本の自衛隊の中でその部隊編成、指揮訓練の方法等について、独自な考え方をもつていたそうと思いましても、事実問題としてなかなかそうはいかなくなると思う。私は今法律上のことについては向うは権限はない、こつちは義務はないということは明らかにしていただきましたが、それは一体条文のどこに書いてございますか、ひとつ御説明ください。
○土屋政府委員 第一職権の問題につきましては、第七条だけが顧問団を規定しているものでございまして、それ以外は何もございません。従つて第七条の義務のほか日本がそういう義務を負つていない限りにおきましては、そういう義務は日本にない。従つてそういうことは法律上の問題あるいは協定から違法である、違法でないということは論じられないと思います。 それから保安隊における従来のアメリカの訓練その他についていろいろのお話がございましたが、これは保安隊の最初の育成の段階におきまして、在日米軍に頼んで訓練その他をお願いしたという時代もありましようから、その時代と今度この協定をつくりましてはつきりした顧問団の職務を持つて来る顧問団の性格は、おのずから違うだろうと思います。
○穗積委員 「装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務」という中にそれが入らぬということが、この文章のどこでわかりましようか。ここには入るとも入らぬとも書いてない。これは拡大解釈して、非常にあいまになつておりますので、軽く読めば軽く読める、きびしく読めばきびしく読める。この責務は、もちろんそういうことをやらなければ武器を援助した目的に反する、目的を十分達成しないというので、向うがそういうことを発言して来る。向うがこの条文によりまして、当然の権限であるというふうに解釈した場合には、一体どうなりましようか。この条文のどこからそういうことが出て来ましようか。それと向うに権限がなくて、こつちに義務がないというのは、どこからそういうことを認めるのですか。
○土屋政府委員 この協定は、申し上げるまでもなく、前文でアメリカの法律の条件その他を承知の上で日本が受けたということになつております。従つてこれは主としてMSAの援助を被援助国に与えるということを前提としての顧問団であり、その顧問団の性格その他は、アメリカならすでにMSA法で、あるいはそれに先行するところの相互防衛援助法ですでにきまつておる問題であります。そういう点から見て参りまして、この顧問団の責務というのは、要するにMSAの装備、資材及び役務に関して相手国に援助の物資を渡す、これが援助の目的のために使われるようにということを実施するのが顧問団の仕事だと思いますので、当然顧問団の責務がそれから出て来るものであろう。それ以外に、協定のどこにも認めない限りにおいては、そういう法理解釈が当然顧問団の職務を規定するものだろうと思います。
○穗積委員 今まで軍事的な知識の高いところには、そういうことは必要なかつた。低いところと向うが見た場合に、せつかく与えた武器がねこに小判で、さつぱり使い方も知らないというような場合には、援助を与えた方から見れば、援助を与えた目的に反しますから当然だと思う。受ける方も、受けぬ方が正しいか、正しくないかということは別ですが、今の政府の考え方に従つて受けた方がいい、しかも顧問団を認めた方がいいということになりますれば、当然それだけのアドヴアイスを受け、向うも発言せざるを得なくなるのは当然じやないでしようか。たとえば、ドイツや英国のように知識水準、技術水準が高く、そしてまた国民の政治も民族的に自主性の強い国では、この責務という言葉を拡大解釈されて、そう入り込まれたりするようなことは事実問題として防ぐでしよう。私は事実問題を言つているので、そういう場合にはこの責務という中から、あなたがおつしやつたように。MSAの目的、あるいはこの前文の目的ということを言われますけれども、さらに漠然としておりまして、目的の限界というものが、最後の最後まで追い詰めなければ目的は達せられないことになるのであります。従つてそういうふうな抽象的一般的な原則、武器援助を与え、武力強化をするということを目的とするということでありますならば、当然今の指揮あるいは訓練、編成等につきまして、向うがアドヴアイスをするということであれば、技術援助をしなければならなくなるのは当然じやないでしようか。そういう顧問団のアドヴアイス行為というのは、MSAにいう技術援助の中に入るのじやないでしようか。
○土屋政府委員 お言葉でございますが、私はそう解釈いたしません。ここには装備と資材と役務に関しまして、アメリカ政府のMSAの援助の責務を果すということになつているわけであります。従つてアドヴアイスを与えるとかなんとかいうことがありましたにしても、それは装備と資材と役務に関するものでありまして、防衛全体の問題その他の問題についてということは、この規定からはどこからも出て来ないと思います。 それから先ほど行政費を円貨で支払うという根源はどこにあるかということでありますが、ついでに申し上げますと、MSA法五百二十一条に「米国政府が供与する援助に関連して同政府が使用するために同政府が受取つた被援助国通貨は、この法律の目的を実行するための事務及び運営の経費に充てるために、米国政府の機関が、歳出予算から戻入をしないで使用することができる。」という規定がございますので、これが法律的な根源であると思うのでございます。
○穗積委員 そこのところは私ちよつとわからないのです。この前実際問題で申しましたように、あなたも戦争で兵隊に行かれたかもしれませんが、私も泥沼の中をとことこ歩く歩兵の兵隊で、今に比べますと程度の低い軍隊の生活をしたことがございます。その場合におきましても、小隊に武器をどういうふうに配置する、手榴弾をどういうふうに配置するということで武器と部隊編成、訓練はまつたく一体なものです。武器は武器だけで、部隊編成はかつてだ、その武器を使つて戦闘行為をどういうふうにやつてもかつてだというのでなく、武器の数量と性能によつて部隊の編成がかわつて来るのは当然だと思う。また今までにないような、また今までよりも程度の高い武器を向うが与えるということになりますれば、武器を中心にこの責務は装備、資材、役務を日本政府に手渡す、また日本の自衛隊に手渡すまでが責務だとは何も書いてないが、それは、目的を達することが責務なのでございますから、むろんそれが当然じやないでしようか。やる以上そこまで行かないと、効力は発生しない、目的を達しないと私は思うのです。当然じやないでしようか、どうでしよう。私どもの古い軍隊の常識から見ましてもそうなのです。まして今日の場合におきましては、現在から見ると、受ける以上は、当然のことだと思うのです。それが、あなたがおつしやるようならば、何も軍事顧問団というものは置く必要はないと思う、しかもこれは国民に対する体裁であつて、そんなら初めから大使館にして、向うの大使館付武官をふやして、それでやればいいのです。何も顧問団などというものをわざわざ置く必要はない、今でも大使館付武官というものがあるのですから、それの数を少しふやせばいい、それを認めたらよろしい、こういうことになると思うのですが、顧問団というものを置いて――装備、資材、役務に関するアメリカ合衆国の責務と書いてございます。それが有効適切に使用され運営されるための責務でございましよう、当然なんです。さつき言われたMSA協定成立の目的、この協定の全体が、そういう軍事力の質的、量的の強化を目的としておるわけですから、法律上当然じやないでしようか。大使館付武官というものが置けないのだということが、この文筆だけではどうしても考えられない、顧問団の権限の範囲というものは、この七条だけで決定されるというなら、最初の三行までだと思うのです。「援助の進ちよく状況をを観察」というのは、これが直接部隊に対するアドヴアイスには、そういう意味ではごく常識的に見てならない。ところが前に「アメリカ合衆国政府の責務を日本国の領域において遂行し」ということなりますと、ひこまで行くならば、英国、ドイツは技術水準が高いから、そこまで入り込まぬでもいいが、日本は低いと見たら、そこまで入り込むのは当然でしよう。それは一体どういうわけなのですか。私はこの日本語の文章を読んでみると当然そうなると思う。のみならず、軍隊というものを見てもそうでございます。武器と部隊編成と訓練というものは、一体でなければならない。ですからそこまで行かなければ目的は達しない、武器がいるという場合に、武器を使うというのは当然なのです。平素使わせるのが目的であつて、訓練するのが目的であります。そうして全体として訓練された部隊、その戦闘力を強化するというのがMSA協定の目的であり、この条約の目的でございますから、その場合におけるアメリカ合衆国の責務というものは、そこまで入らなければ効力は発生しない、また入るべきだと思う。それに対して細目の規則あるいは法的効力を持ちます議事録等において規定されない以上は、こんなことは当然だと思う。従つて今台湾の例が出ましたが、何も台湾だけが特別な例じやありません。かつて中国に対しまする各国の軍事顧問団が一体何をしたか。日本との戦争におきましては指揮、訓練、作戦、財政までほとんど全部発言をいたしました。問題は平時の状態ではなくて、われわれの常に心配するのは有事の状態なのです。そういう場合になつたら当然顧問団が歩き出すにきまつている。その条文の限界はどこだということになれば、アメリカ合衆国の責務なのです。しかも装備、資材、役務に関すると書いてある。譲与に関すると書いてありません。全体でございます。それは一体どこでそういうふうなお話合いをなさつたのか、どういうところに記録が残つておるのか。われわれに発表されない議事録にそういうことが残つておるのですか。私はこの文章だけが権限を規定する唯一の条文だということになれば、それはとても解釈できない。私がアメリカ人ならもちろんそういうふうに理解してその文章を受取ります。私が日本軍人であつてもおそらくそう考えるでしよう。これは大事な条文ですからもう少しはつきり文章の上で出していただきたい。
○土屋政府委員 私も文章の上で解釈するのが一番正しいものであり、またそれ以外の秘密の了解なり、あるいは話合いというものはございません。この文章から受取りますと、まず「この協定に基いて供与される装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務」でございますから、その責務がこの協定に基いて供与される装備と資材と役務に関することだけは、穂積さんも認めていただきたいと思います。そこでこの協定に、ほかに自衛力の増強だとか、各国との協力ということはうたつてありますが、それは八条におきまして日本が引受けた日本の義務でありまして、アメリカからとやかく指示を受ける性質のものじやないと思います。だから八条にかかつて軍事顧問団はどういう義務を履行されるかということをおつしやられるかもしれませんが、しかしここでごらんになるように、七条の装備、費材、役務ということに関しては、アメリカ合衆国の限定された責務ですから、この協定に従つて日本の負つておる義務というものはたくさんございますが、それには顧問団は関係ございません。観察してもいい、ですが、責務じやございません。責務というのはこの三つに限つたものであつて、軍事顧問団が日本国内において遂行し得るものということになりますと、おのずから判定がきまつて参ります。先ほど武官府を多くすればいいということでありますが、武官府は日本の一般的な問題について観察したり、大使を援助したりする職能を持つておりますが、そういう、大きな職能を顧問団が持たれる必要はないと思う。与えられた援助を日本側に渡すということは顧問団でさしつかえない、こういう考えであります。
○上塚委員長 穂積君またですか。大体時間も整理の都合もありますから……。穂積君の良識によつて適当にやつてください。
○穗積委員 良識によつて適当にいたします。委員長、ちよつと申し上げますが、この七条と八条と三条がこの中心規定なのです。だからここでやらなければやるところがない。これは大事な点ですから少し蒙を開いていただきたいのです。 それではお尋ねいたしますが、台湾におきます軍事顧問団はMSA協定によりますか、そのほかの防御協定等によりまして顧問団がすわり込んでおるのか、台湾におりますアメリカ顧問団ですが、どつちでございますか。
○土屋政府委員 私もその点ははつきりまだどれがどうということを申し上げかねる事情にありますが、おそらくMSAの援助によつて、日本の負つておる第七条のような規定があつて、それによつて行つている顧問団だろうと思います。
○穗積委員 その顧問団が今日一体いかなる役割を果しておるかということは、私どももいささか仄聞をいたしております。その実情は局長も十分御承知だと思う、われわれよりもさらに深く……。これは単に武器、装備、資材、役務の引渡し、またはそれがどういうふうに使われておるかを観察するだけの役割を果しておるか、そこにとどまつておるか、それ以外の仕事を台湾におけるアメリカ顧問団がしておるかということは、言わずして天下周知の事実でございます。私は台湾とのMSA協定の条文をまだ拝見いたしておりませんが、おそらくそれと似たようなものだろうと思うのです。そういうことをやつておるアメリカを相手として日本は今こういう協定を結ぶわけでありますから、どうもわからない。 続いてちよつと関連いたしますから、次に二点だけお尋ねいたしますが、域外買付によりまして、アメリカから日本の軍需産業に軍需品生産の注文がございます。それがそれの技術、原価計算あるいは工程管理あるいは製造機関等についての監察といいますか、監督というか、そういうことは一体アメリカは全然発言しないのでございますか。契約をして、これだけの規格のものをいつまでに納めろという契約書だけで、そうしてその期間になつて物が出て来れば契約を履行した、そのときになつて物が出て来なければ契約不履行だということだけに終るのか。その製造過程において発注いたしました会社、工場の中におきまして、技術指導または工程管理、生産過程に対しまする監督またはアドヴアイス、こういうものは全然しないのでございますか、あるいはするのでございますか。もう一つお尋ねいたしますが、これは第三条とも関連いたしまして、そういう武器の中には、秘密を要する武器もございましよう。そういう武器の生産をやることになりますれば、かつての日本の軍需工場においてもそうでございましたが、まして他国の政府の注文で秘密武器を生産することになりますれば、一層そういう機密保持の点から見ましても、いろいろの生産工程におきまする監督、その他状況を監察する必要があるのがこれまた判然だと思いますが、これは一体どういうことになりましようか、これが一点。 それからもう一つは日本がアメリカから受けました武器でございますが、その武器はもらつた、ところがそれはさきにも言いましたように、武器だけで動かせるものではございませんから、部隊を必要といたします。そうするとその部隊を動かすためには、有効適切に訓練し、さらに有効適切に編成をし、そういうことをするためには、日本の部隊が日常そういうことが行われるような訓練、編成の費用というものが必要でございます。いわば軍事費の中の一部でございますが、それを日本の政府がサボつた場合、すなわち日本の政府が軍事予算というものをずたずた切つてしまつて、武器だけはもらたが、一週間に三ぺんぐらいしか使つていない、あるいはまた一月に二へんくらいしか引出して使わないというような軍事費を組んだ場合、あるいはまた部隊が、小隊を百名といたしますならば、百名の隊なり分隊に対して、実はそれが百二十くらい配置されておる。それを実は全部のものが有効適切に、フルに使えるような予算を組まなかつた場合、その場合にアメリカは黙つて見ておるのでございましようか。これに対してはどういう経路を通じてその援助を受けた目的を十分発揮するための部隊編成並びに訓練の費用、こういうようなものを日本の予算との関連において、アメリカは一体全然黙つておるのですか、何かの要求をするのか、するとすれば、どこを通じて、どういう形でされるのか、この三つの点でございます。 今言いましたのは、武器についてどこの部隊にどういうふうに配置されて、どういうふうに使われておるかという技術の指導に対すること、第二は域外買付によりまして軍事生産が注文された場合における、生産過程におきまする監督あるいは指導、第三は武器援助は得ましたが、フルにその目的を達しておるかどうか、それを達するに足るような日本の予算が編成されておるかどうか、そういうことの状況に対して、アメリカからながめまして、十分これを活用していない。非常に日本が予算の面その他の面でサボつておるというようなことが起きました場合に、アメリカは一体どういうことになるのでしようか、全然発言をしないのでしようか、どういうことでありましようか、この三点が非常に大事でございますから、この顧問団との関連においてあわせてお尋ねいたしまして、そのことはどこで規定されておるか、この協定の十一条の中で指摘していただきたいのでございます。
○土屋政府委員 まずお話のついでに中国の問題が出ましたが、中国はこういう規定で顧問団を受けているだろうと思います。その顧問団がいろいろほかの活動もしているらしいというお話でございますが、事情をよく存じませんから私から何とも言いかねます。ただ申し上げられることは、もしその援助を受けておる国が、顧問団にいろいろのことを頼み、相対ずくで話をするとすれば、顧問団の性格以上の性格のものに出て行くということも場合によつてはあり得ようかと思います。ただ中国を除く台湾がどうであるか事情は別といたしまして、欧州その他で顧問団がそういうほかの権限で、あるいはほかの仕事をしているというふうにも聞いておりませんから、これは一つの特例をなすかもしれません。 域外買付につきまして監督その他が行くかという問題でございますが、これは域外買付をするときのアメリカ側との契約の内容によります。契約の内容に監督の必要なり、あるいは見まわる必要があるということをうたい、それから域外買付に対しまして注文に応じた日本の商社が、それを受けるということを明言してあれば、その契約によつて監督することがございましよう。しかし明言がない限りにおいては、断ればいいのであつて、それよりもしつこくしたならば、それじや条件が違いますからそれは破棄しますと言つて、域外買付を断ればいいということになると思います。 それから最後に武器その他をもらうと、それじや武器の編成あるいは予算等にも及んで来るが、一体そういう場合において、アメリカ側からいろいろのサゼスチヨンなり、あるいはアドヴアイスが出るということは考えられないか、それとこれとの関係はどうだというお話でありますが、私はやはりこれは武器が部隊を編成するのではなくて、日本ではやはり経費その他の関係からこれだけの部隊を編成する、ついてはこれだけの兵器がほしい、アメリカ側がそれを援助し得るという前の話合いがあつてこれが来るのでありまして、日本が全然編成をいたさないときにやたらに新しい兵器が来て、これがために編成がえをすることは実は逆の話であると思うのであります。従つて、日本側で大体これくらいのものは予算その他で行けるというめどを持ちまして、これによつてアメリカ側と具体的な援助の内容を話して行くというのが現在の段階でございますから、今おつしやいましたようなケースはまず起らないと思います。
○穗積委員 その点は非常に軽く見ていらつしやいますが、私はどうもそうは見れないのでありまして、今度のMSA協定が遅れましたことは、言うまでもなく、どういうふうに強弁されましても、兵力増強計画について話合いがつかなかつた点が第一、第二は経済援助の問題、第三はおそらくは憲法上の問題、それから最後に顧問団の問題というふうに来ておつて、当然これは法律上の建前においては、日本の自主的な計画に従つて増兵計画をやるということですが、一応事実問題として世界周知の事実は、アメリカと日本との間において何万ふやす。すなわち二十九年度増兵計画だけでこつちは逃げたと言い、向うはそこで押えた、こう言つておるわけでありますが、そういう計画に従つて一応やるということになれば――私の言うのはこういうことであります。さつきも再々申しましたように、部隊、たとえば小銃を百ちようもらつたので、そこに百人の小銃隊を編成した、そんなことはわかつている。ところが問題は機動性でございますから、それを訓練する、あるいは演習をする費目というもの、同定資産よりは流動資産が実は軍隊の場合においては問題でございます。特にあとになつて問題になりますのは――これはかつての言葉を使えば物動計画、あるいは財政上の言葉、民間会社の例をとれば経営資本でございます。流動資本でございます。これがなければ、人と武器だけをここへ結び合せておきましても、これは目的を達しません。それは固定資本のことであつて、そんなことは初めからわかつているのでしよう。それは話し合えばいい。ところが日本の経済が苦しくなりまして、とてもそれだけのことはできない、といつて部隊を減らせばアメリカから怒られる。そこで減らしただけは、今おつしやつた話によれば、武器は返還することになるでしよう。ところがそうじやなくて、最初に来るのは流動資本を切つて来るわけです。軍事費の節約の場合は、特にアメリカとの話合いができて、武器の貸与と部隊編成が話合いのうちできまつておりますと、それをずたずたに切ることはできない。返すことはできないから、まず流動資金、演習費その他の経営費から削る。そうなりますと、こういうような機械化部隊というものにおきましては、日常訓練をしなければならない。それが三日に一ぺんの訓練になる。そういうようなことになると、アメリカとしては目的を達しませんから、そこでそういう場合が起きて参ります。どういうものでありましようか。今あなたがおつしやつたように、人間がきまつて、受入れ態勢ができてから武器がきまるのであつて、武器どんどん来て人間がきまるということはない、そういうことはわかつております。そうでなくて、将来そういうことが起きた場合に、これは約束ができます。これだけの部隊とこれだけの武器を有効適切に動かすためには、これだけの流動費、軍事費、その他の費用を組むべきであるということの問題が起きて参りまして、それを十分にやらなければ、援助の目的を達しないということは、当然事実問題として想定されますが、いかがなものでございましようか。どうも先ほど来の三つの問題につきまして、第三の域外買付の問題については、軍需生産発注の場合の個別計画によるということで、はつきりいたしましたからよくわかりましたが、第一点と第三点につきましては、まだどうも私には十分理解できないので、もう少し理解の行く御答弁がいただきたいと思うのです。
○土屋政府委員 日本側におきましては、アメリカからMSAの援助を受けた際に、大体どれだけの費用がいる、どういう編成をして行くということを最初計算いたしまして、それによつてアメリカとの間に具体的な援助の内容についての打合せをして行くのが実際であります。ただ穂積さんが言われましたようこ、理論的には将来におきまして、日本の編成なり予算がないにもかかわらず、アメリカの武器がこちらに来る。来た結果それを動かすべき経費なりあるいは予算にさしつかえることが、理論的にはないということは言えないと私は思います。そのときにどうするかということは、日本で予算的措置ができればいいのです、あるいは措置が簡単にかわればいいのですが、それがどうもできないという日本側の事情があれば、それはさびがついても何しても使わない。アメリカ側が怒つたら、だつて相談もなしによこしたのだから、こちらに予算がないのに使えるわけがない。そう言えば反面アメリカ側は、それならお前にはこれ以上やらないと言うかもしれないが、こちらは初めから使えないものはいらないというだけの話で、そこは事実上の問題としては簡単に片づくと思います。
○穗積委員 それじやもう一ぺん最後に、御意見がわかりましたのでお尋ねいたします。まず簡単な方から片づけておきますが「供与する援助の進ちよく状況を観察する便宜を与えられる」、これは観察だけでございますね。観察をする便宜を与えるだけが義務であつて、従つて向う側が、どうなつているかを外からながめて、そしてそれを本国の対外活動本部に報告するだけの活動を意味しているのだ、そのためにのみ便宜を与える、観察行動に対してのみ便宜を与えるという義務規定として、狭く解釈していいのでございますね、この文章は。
○土屋政府委員 さよう了解しております。すなわち進捗状態の観察で、現地部隊のどこか使つているところを見たいという場合、それはお前さんの職能じやないから行くなと言わないで、何日にどこへ行つたらいいですよという便宜を与えることだと思います。
○穗積委員 そうしますと、前の方にかかりますが、私はどうも従来の法律上の常識をもつてこの文章を呼んでみて、非常に漠然としておるから軽く見られるが、漠然としておるだけに考えようによつては深刻に考えられるのです。装備、資材、役務に関するアメリカ合衆国の責務ということの、この限界は一体どこまででございますか。引渡しまでですか。局長のお考え通りに向うで解釈しているかどうか別ですよ。私がさつき伺うところによれば、局長が私にお答えになつた御解釈は、局長だけの主観的な御解釈ではないかというふうに憂えるのですが、一まず局長のお考えを伺います。その責務は一体どこまでを限界といたしておりますか。引渡しまでですか、それ以上に出でませんか。
○土屋政府委員 これは装備、資材、役務、おのおのについて違うのじやないかと思います。たとえば役務について、アメリカ側の訓練という点を考えてみますと、東京なら東京へ来て鉄砲はこうやるのですと教えるだけで責務が済む場合もあります。そうでなくて、実際上これを動かすにはこうしなければならないといつて、各部隊につきましてその実際上の兵器の使い方を数えるということで責務が終る場合もありましよう。そこで、どこで役務が終るという限界をきめることは言葉の上では無理であります。MSA協定によつて供与される資材。ありますならば、これは鉄砲のたまですから日本側に渡せば済みます。訓練の場合は、ある程度部隊によつて訓練するということも必要になりましよう。これは場合によつて違うと思いますので、一概にどこで終るという限界はちよつと無理じやないかと思います。
○穗積委員 そうですか。それじや非常にあいまいだと解釈していいと思われますね。これを逆にひつくり返してお尋ねいたしますが、援助いたしましたものをはたして日本が有効適切に使つているかどうか、これを監督するのは当然です。これは国際法上の解釈によれば、所有権を一時日本に与えるのです。しかしそれは使用が済んだときには返還の義務がある。処分の自由な権限はないという条件付です。とりもどしの条件のついた貸与になると思います。そうであるならば、向う側もそういう返還を要求する権利のついた譲渡でございますか、または貸与でございますから、そうなれば向うも当然その譲り渡している期間中、それがいかに使用され、処理、管理されているかということに対して、アメリカ側は発言権があります。非常にそまつに使つて早く使い古してしまつたとか、あるいは他の目的のために使つておるかおらぬかを観察する、これは常時観察するということでよろしゆうございましよう。この条文でいいと思うのですが、そうでなくて、さつき私が言いましたように、はたして教えた通りにやつておるかどうか、そしてまたそれを有効適切にやつておるかどうか、善良なる管理者の注意をもつて武器を使つておるかどうか、そういうことに対しては一体どこでアメリカは監督するのでしようか。監督の権限は当然貸与者としてはあると思いますが、それはどこでございましようか、この条文でないとすれば。
○土屋政府委員 私はそれは日本側に責任があると思います。日本側がそれをするということを第八条によつて受けておりますから、日本側としてはこの通り使つておりますということを報告するのが義務でございましよう。相手方が信用しないということになれば事実問題になりまして、法律問題じやないと思います。
○穗積委員 そうするとこの責務という条文でございますか、どうですか。観察する方でございますか。アメリカはどつちでやるのですか。
○下田政府委員 第七条の初めのところの日本側の義務は、「便宜を与えられるものを接受する」――接受するのが義務であります。それではどういう人間を接受するかというところで、御指摘のように第一にアメリカの責務を日本の領域で遂行するということと、援助の進捗状況を観察するという二つのまくら言葉がついております。穂積さんは前段の責務の点を問題にしておられるわけですが、これはアメリカのMSA法で責務がはつきりきまつておりまして、施用装備の調達でありますとか、完成軍用品の必要量の決定でありますとか、完成品の移動引渡し、そういうことが責務になつております。つまりその責務はあくまでもアメリカ側の責務でございますから、その責務を日本の領域において遂行するための便宜を与えるということが、日本側の義務になつておるわけであります。 そこでその責務を行うにあたつて日本との関係はどうかという点になつて参りますと、これは法律問題よりも事実問題であつて、装備資材に関しては引渡しだとか、よく行き渡つているかどうかという点も問題になりますが、訓練は初めから雇い外国人教師みたいな者に教えを受けることが目的なのですから、これはよく訓練の目的が達成せられておるかどうかという点が、結局あとの方の観察のところにかかつて参りまして、観察の結果を先方は米本国へ報告するでありましようし、また日本と接触する必要がある場合には、これは正規のルートを通じて接触する。つまりこの顧問団というのは、日本側にアドヴアイスを与えたり、ネゴシエードする権限は全然ありませんから、結局大使館の正規のルートを通じて申入れすることになると思います。
○上塚委員長 穂積君、質問をたいがいに整理してください。
○穗積委員 整理してますよ。何もむだなことを何べんも言つておるのじやない。あなたは聞いていらつしやいますか。
○上塚委員長 どうぞ質問を整理してください。 〔「議論だ」と呼ぶ者あり〕
○穗積委員 議論ではない。事実を聞いておるので、政策を聞いておるのじやないですよ。字句の解釈を聞いておるのです。岡崎さんは、この文章の中にある字句については一から十までどこでも完全に説明してみせるからかかつて来いという話だから、今私は聞いておるのだ。しかも岡崎さんよりはより頭がよく、良心的な両局長がここにおられるから、私はごまかされぬように一生懸命勉強しておるのに、あなたは何でとめるのですか。委員会の質疑はむだだというようならばやめていいですよ。あなたが質疑なしで採決して行こうというなら……。 責務というのは向うの責務であつて云々とおつしやいますが、これがつまり日本に対しては権利、権限になる。これはそれだけ権利がある、責任があるからやるのだというのですから、こつちとしては受ける義務がある、やることを接受するからそれだけの義務ですよ。やることを認める――要するにやらせることを初めから承知しておるので、どこからやらせるかということは何も書いてないでしよう。どこまでやらせるかということを書いてあるのだというならわかりますよ。観察の便宜を与える場合の観察ということは、大体限界がありますからわかりますが、装備、資材、役務に関するアメリカ合衆国の責務とあるから、日本の義務は何かといえば接受することである。接受ということはやらせるということで、何をどこまでやらせるかということは、何も責務の言葉の中に含まれなければならぬわけじやないでしよう。局長、いかがでしよう。
○下田政府委員 穂積さんの御質問は、すべてその責務を遂行する結果、日本においていろいろな装備、編成その他内政干渉がましき結果を来しはしないかという点が、御懸念の根本であると思います。その責務という点は、MSA法ではつきりわくがきめられております。そこで先ほど申しましたように武器の移動、引渡しでありますとか――訓練の場合には教えるのでありますから、こつち側が教えを受けることになるのでありますが、訓練をするということが向うの責務であります。役務は主としてこの訓練でありますから技術的な事務的な責務を向うが遂行するだけの話であります。
○穗積委員 私案はまだ疑問が残つておるのですが、遠慮しておきまして、もう一点だけ付属書のGところでちよつとお伺いいたします。「適当な不動産、備品、需品及び役務を使用に供することができることに同意する。」これは日本の経費を節約するための一方的な権利でありますか、アメリカ側にそういう便宜を与える義務を含んでおりますか。義務々々といつて、向うの言う通りではないけれども、とにかく向うがそういう金でなくて物でくれと言つたとき、それに協力する内容については同意の上だろうけれども、それに応ずる義務を含んでおるのか。そうでなくて、日本側が経費を節約するためにこういうことをやつてもよろしいという、日本側の一方的な利益のために、日本側が欲するならばそれでもいい、欲しなければやる必要がないという意味の規定でありますか、その点だけお伺いいたします。
○土屋政府委員 これは日本側だけの権限で、日本側がいやならばやめていいのであります。というのは、英文の方をごらんになればわかりますが、「ガヴアメント・オブ・ジヤパン・メイ」ということで、してもよろしい、しなくてもよろしいということであります。
○佐々木(盛)委員 私今の質問に関連して伺いたい。それはただいま承つて私の感違いでないかと思うことがありますので伺つておきます。それはただいま日本の保安隊に顧問といいますか、ここにおります駐留軍のヒギンス代将ですか、これが今度のMSA協定に基く顧問の代表になるのだというお話でありますが、先ほどのお話によりますと、このたび顧問団に来るのは六百五十人。ところがたまたまただいま日本の保安隊におりますアメリカ軍の顧問が約六百人くらい。こういうことになりますと、実際問題としては今日本に駐在しております保安隊の顧問団そのもが、ほとんど大部分そのまま今度は名前だけが切りかえられるということになりますか、いかがありますか。
○土屋政府委員 数がたまたま非常に近い数になるということで、そういう御懸念があつたかと思いますが、そのものが切りかわるものではございません。身分が大使館にかわりまして、職能がかわります。その結果人員についても異動がかなり大幅にある予定でございます。ただ、たまたま現在保安隊の顧問になつております機関の司令が今度の顧問団の団長になるということはございます。またそのスタツフにつきましても、一部はこの顧問団にかわる場合があるのでございます。全部そのままかわつてしまつて、従来のままこの顧問団に名前をかえるということではございません。
○佐々木(盛)委員 新しく来るわけですね。
○土屋政府委員 そうでございます。新しく来る面もあるわけでございます。
○佐々木(盛)委員 そうすると、このたび参りますMSA協定に基くところの顧問団が、かりに日本に内乱や紛擾が起きたり、あるいは侵略を受けたときには、安保条約によつて駐留軍は出動することになつておりますが、顧問がこの部隊に参加するということは法律上できないでしよう。
○下田政府委員 それはできません。
○佐々木(盛)委員 それから先ほどの穂積君の質問に関連してでありますが、今お話によりますと、このたび参ります顧問団は、たとえば今度新設されます日本の国防会議に対する顧問というようなことにはならないのだということでありますが、陸海空軍統合参謀本部というものに対する顧問にならないということですか。ただ陸軍、海軍、空軍それぞれの実施部隊についてのみ顧問になるということでありますか。その点を明確にしていただきたいということが一つと、時間を急ぎますからもう一つ申し上げておきますが、たとえばMSA協定に基いて、日本にいろいろな軍需工場ができる場合におきましては、工場などに顧問団が配属されるということもあり得るのでありますか。以上二点について、御答弁願いたいと思います。
○土屋政府委員 顧問団は、ここに規定がございますように、MSAで供与される資材、装備、役務に関する取扱いをいたします関係、かりに日本に国防会議ができたといたしまして、これに対する顧問にならないことは明らかであります。ということは、大使館の一部でありまして、大使館自体がこういう日本側の機関に対するアドヴアイザーにならないということでもおわかりだろうと思います。 それから発注その他について顧問団が各軍需工場なり何なりに配属されるということもあり得ないと思いますのは、域外買付その他につきましては、おのずから日本側とアメリカ側との話で受入れの条件はできましようが、その契約の内容によつて、場合によつてはアメリカ側の人が工場を見に来るということもありましようが、配属されて、その工場を監督するというようなことは、顧問団の従来の仕事逸脱することでありますので、あり得ないと思います。
○佐々木(盛)委員 実施部隊に対しては配属されるのですか。
○土屋政府委員 装備、資材等の使い方あるいは軍事訓練に対して、もし日本側が要求しまして、この必要があるとすれば部隊に配属される者は幾らかあろうと思います。
○上塚委員長 これにて第七条に関する質疑を終了いたします。 それでは本会議終了後さらに逐条審議を続けることといたしまして、この際暫時休憩いたします。 午後一時二十五分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は開会に至らなかつた〕