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19回国会衆議院1954/03/10

外務委員会 第14号

発言数
176
登壇者
14
会派数
4
開催日
1954/03/10

会議録

上塚司自由党

○上塚委員長 これより会議を開きます。  外務省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本案について御質疑はございませんか。――御質疑がなければ本案に対する質疑はこれにて終了することといたします。  これより討論に入ります。討論の通告がありますので順次これを許します。今村忠助君。

今村忠助自由党

○今村委員 自由党は本案に賛成であります。

上塚司自由党

○上塚委員長 並木芳雄君。

並木芳雄改進党

○並木委員 改進党も賛成です。

上塚司自由党

○上塚委員長 上林與市郎君。

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員 日本社会党はこの法案に賛成です。

上塚司自由党

○上塚委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 日本社会党はこれに賛成をいたしますが、この際一言つけ加えておきたいことは、海外にあります在外事務所の人たちが非常にその費用をむだにするという説や、あるいはまたその費用が足りないという説や、いろいろございます。そこで私は、そこに勤務している人たちによるものであると思いますが、たとえば欧米諸国に行きまして卑屈な態度をしたり、あるいはまた東南アジア地域に行きまして一等国であるような、いばつてみせるというふうなことのないように、在外公館に勤務させる公務員には十分に注意を払つていただきたい。私個人といたしましては、今の手当等では十分ではないと思います。特に外地にありまして、なれない所で勤務する方には、十分な手当を上げるように考えると同時に、その地方に行く人たちの人柄、あるいはその人たちの態度というものに、十分な考慮を払われんことを希望いたしまして、ただいまの案に賛意を表するものであります。

上塚司自由党

○上塚委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。外務省設置法等の一部を改正する法律案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上塚司自由党

○上塚委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお本案に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上塚司自由党

○上塚委員長 御異議がなければさよう決定いたします。     ―――――――――――――

上塚司自由党

○上塚委員長 次に日本国とアメリカ合衆国との間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。政府側より提案理由の説明を求めます。小瀧外務政務次官。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  日本国とアメリカ合衆国との間の郵便為替の交換業務に関しましては、戦前は、明治十八年の約定及びその追加条款によつて規制されて参りましたが、戦後も、アメリカ合衆国政府は、サンフランシスコ平和条約第七条の規定に基いて、この約定及び追加条款の復活を通告して参りましたので、現在もこの戦前の約定が両国間に適用されております。しかしながらこの戦前の約定の中には、今日の事態に適合しない規定が多く含まれておりますので、政府といたしましては、新約定締結の希望を米国側に申し入れますとともに、ワシントンに専門官を派遣いたしまして先方と予備交渉を行わしめましたところ、その内容についてほぼ両者の意見の一致を見ましたので、その結果に基き案が作成されまして、この約定は、昨年十月二十九日に東京で、及び同年十二月十日にワシントンでそれぞれ署名が行われました。  この約定は、両国間の郵便為替の交換業務の改善を目的とするものでありまして、その内容は、為替金額及び振出し料金に関する事項、為替の振出し及び払渡し手続に関する事項、為替総額の精算手続に関する事項等を規定いたしております。  よつて慎重御審議の上、なるべくすみやかに御承認あらんことを希望いたす次第であります。

上塚司自由党

○上塚委員長 これにて提案理由の説明は終了いたしました。本件に関する質疑は審議の都合上次会に譲ることといたします。     ―――――――――――――

上塚司自由党

○上塚委員長 次に外交に関する件について政府当局に質疑を行うことといたします。今村忠助君。

今村忠助自由党

○今村委員 要求してあります政府側の委員はどういうわけでありますか、お見えになつておりません。

上塚司自由党

○上塚委員長 今他の政府委員は入ることになつております。通産、運輸、農林、大蔵等みな入ることになつております。

今村忠助自由党

○今村委員 それでは要求してあります政府委員の方にすみやかに来られるよう重ねて要望いたしておきます。私は過去五箇月ほどにわたつて中米、南米を親しく視察して参りました。つまりわが国の南米移民ないしは中米移民はどういうものかを検討いたしたのでありますが、その結果によりますと、大体南米諸国は食糧増産あるいは未開発地の開発等という目的をもつて海外移民を入れようといたしております。もし日本の側におきまして適当なる準備あるいは施策等が行われましたならば、私の一応考えるところでは、ここ十五年間くらいに日本から百万の移民を送ることも困難でないということを感じたのであります。それにはやはりこれに伴う必要な施策あるいはこの移民を送り出すに十分な政府の側の用意というものが必要であろう、こう考えるのであります。そこでまず第一にお尋ねいたしたいのは、御承知のように、日本は食糧を初め原料を多量に買い込んでおる国でありますから、これらの品物を輸入することと移民を送り出すことについて、外交上あるいは国際間の折衝上に関連を持たせておるかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。現にイタリアとアルゼンチンとの通商協定の中には、今後十箇年に五十万の移民を送る条項が書かれております。こういう点を考えますと、私たち日本の外交も、それぞれ立場は違つておりましても、そこに国策的なものについては互いに協力し合う努力をしてほしいと思うのであります。まずこの点につきまして外務省当局の所信を承りたいのでございます。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 ただいま御指摘になりましたような、移民条約ないしは移民条項というようなものを持つ通商取引のようなものは現在のところ持つておりません。何としても相手のあることでありまして、今後日本の送り出します移民の状況がよくて、相手方でそういう条項なり条約をつくるという気持になりますれば、日本側といたしましては願つたりかなつたりでありますから、大いにそうした面に留意いたしまして、そうしたとりきめができるようにとりはからいたいと存じます。  なお輸入との関連につきましては、先ほども申しますように、現在ではなお日本の移民を送り出す相手国が限られておりますので、そうしたとりきめもできておりませんが、たとえばブラジルヘ移民を出して米をつくらして、そして日本で不足しておる、米を買い入れるというようなとりはからいができることになりますならば、日本といたしましては、一方移民を送出すると同時に、日本の最も必要とする原料を買い入れるとか、食糧を買い入れることができますので、ぜひそういうふうにだんだん事態が進んで来ることを私ども期待いたし、その方向に努力いたしたいと考えております。

今村忠助自由党

○今村委員 重ねてお尋ねいたします。つまり輸入する品物を買うということと移民外交をくつつける努力がされているかどうかを承つたわけですが、現在のところ、ないらしいのであります。何かこれを総合的に、国際間の経済問題ことに移民問題とあわせて連繋をとるように、関係者の中で委員会のごときものをつくつて、これに一つの調和を持たせ石というようなことは考えられぬものであるかどうか、もし何かすでに御計画があるなら、それもあわせて承りたいと思うのであります。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 まことに、こもつともなお考えでありまして、そういうように事態が進んで行けば非常にけつこうでありますので、今後よく各省と連絡いたしまして、そうした検討もいたしたいと存じます。ただ移民ではございませんけれども、たとえばパキスタンについて申しますならば、こちらから農機具を出し、また農業技術を向うへ提供して、米を買い入れるというようなとりはからいにつきましても、関係省と現に協議をいたしておりまして、現在はそうした農機具の展覧会をパキスタンで開いているという事実もございます。またセイロンにつきましては、向うから農家の家族を十家族程度送つてもらいたいというので、そうした検討も関係省といたして来たのであります。こういうような要求が相手方からも出て来ておりますので、特にこうした関係のことが、日本人の相当数の入国を希望している南米との間にできるとすれば、非常にけつこうなことであります。それから現在行つております各省の連絡会というようなものをもう少し組織的にして、今、今村さんのおつしやいましたようなことを検討させるように、われわれの方で研究をいたしたいと考えます。

今村忠助自由党

○今村委員 通産省並びに農林省の方は見えておりますか。――まだ見えてなければ、後ほど関連質問としていたすことにいたしまして、次に外務省にお尋ねしたいのは、現在、南米諸国を歩いてみますと、ブラジル、アルゼンチンに大使館があり、ペルー、チリー等に公使館が設けられております。その配置された人員は、敗戦後の日本の経済事情等もあるためでありましよう、われわれが見ましても、不十分でございます。かりに政治外交というような意味のもの、あるいは経済外交というようなものがあるとして、また移民外交というようなものが考えられると、こうわけてみますと、現在の大使館あるいは公使館の仕事は政治外交、経済外交だけで精一ぱいであります。移民外交の方に手をまわすだけの削置はとうていされておらぬ、こう思うのであります。  そこで私は新しい一つの考え方を持つてはどうかということを強く感じたのであります。それは、ワシントンやロンドンには大使のほかに公使が派遣されまして、経済部門を担当しているようでありますが、これに類したものとして、移民公使というものを南米に送ることはできぬか。たとえばアルゼンチンなりブラジルなりの大使館に南米十箇国、できれば中米七箇国を加えてもいいと思いますが、飛行機の発達した今日でございますから、つまり南米一円を担当して移民問題を解決するために努力する公使というようなものを特に派遣いたしておきまして、定期的に各国を、年に二回とか三回まわるとか、特に移民の問題が起きた国に対しては、その公使が相当の日数をかけて折衝して、移民が多数入れるようその実現に努力する公使というものを一人南米に派遣しておくことはできないだろうか。まずこれをお聞きしておきます。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 ただいまおつしやいます移民公使と申しますのは、なるほど考え方としては非常にけつこうなことでございます。外務省といたしましても、経費が許すならば、そうした公使を設けることはまことにけつこうなことと思いますが、現在のところはそうした余裕もないので、非常に不十分ではございましようが、ようやく二十九年度の予算におきましては、移民担当官を特に二名だけ増員することにいたしまして、いろいろ大蔵省とも折衝して、現在提出いたして、おります――衆議院の方は通過いたしましたあの予算案にはこの二人分を計上いたしておるのであります。ブラジルヘ一人、他ははつきりいたしておりませんが、とりあえずペルーの方へこの担当官を置こうという考え方で、この二名の増員ではまことに不十分ではございますが、これは外務省が移民問題にとにかく一生懸命やろうとしている気持の一端を表わすものとぜひ御了承願いたいと存じます。なお本省におきましても、近く案を練りまして、機構も充実いたしたいと考えております。

今村忠助自由党

○今村委員 今お話の点だけでは、南米移民を国策として国家が扱つておりますとは、とても申せぬ程度のものだと私は思います。なるほど移民公使とそれに付随する専門的な立場に立つ人人を配置すれば、経費は相当かさむとは思いますけれども、かりに考えてみても二十名内外のものをこれに添えさえすればできるのでありますから、これぐらいな用意ができなければ、とうてい南米移民を国策的に多数送り出すということは、私は不可能に近いと思う。そこで私は実情を見て来た結果、切にこれは申し上げるのでありまして、この点は予算等のこともありましようから、実は大蔵大臣の出席も要求したわけでありまして、大蔵省等の所信も聞きますが、私は移民のために相当の経費を国がかける、言いかえれば国策として取上げるというくらいの決意がなければ、とうてい多量に移民を送り出すことは、不可能に近いものがあるのじやなかろうか、かように考えるのであります。本日は大臣は見えておりませんが、どうかひとつ外務省としても省議として一度これを諮つてもらいたいと思う。移民公使くらいも派遣できぬのだ、その経費もないのだという日本じやないと思う。現にアメリカはリオデジヤネイロだけでも大使館の館員は三百名でございます。新しい八階建のビルデイングを建てております。実に国を傾けて南米交渉をやつておるのであります。日本が大使館の館員わずかに二十名ないし三十名程度でおるというがごときことでは、各国との国際場裡における活動ということにおいて非常に劣るものができてしまうと思う。私は、先ほども申す通りに、施策さえよろしきを得るならば、ここ十五年ぐらいに百万ぐらい送ることは困難でないように見受けたのでありまして、これらはいろいろの角度からの調査研究が必要と思いますが、そのためにはどうしてもやはり移民公使ぐらい送つて真剣に研究しなければ、今のようやくその気分を表わすために二名の外交官を送る予定という程度では、とうてい私は実現せぬと、こう思うのでありまして、これはひとついずれ機会を得たら、総理なり副総理にも所信を承りたいと思いますが、移民公使ぐらい送るくらいの、南米移民というものを国策的に大きく取上げてもらいたいということを要望申し上げておきたいのであります。  次に今度は移民渡航費貸付等に関連する、つまり移民に関する経費でございますが、これは本年度三億円内外のものが得られたのでありますけれども、われわれ実際にこれが移民に関する経費等を獲得するための予算編成の際の努力というものは容易なものではございませんでした。こういうことがかりにこのまま続けられるとすれば、現在の予算三億五千万円内外のものを二倍にし、三倍にするということは、私はとうてい不可能に近いものがあるのではないか、こう考えるのでありまして、これについて、外務省は将来一体どうやつてこの資金を十分用意するか、その所信を承りたい。予算編成の上に増額するという努力だけでは、来年度において移民を送る数を倍にするというようなことは、もうとうてい不可能に近いものがあるように思うのでございまして、この点について外務省に何かお考えがあれば、この際承りたいと思うのであります。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 本年度の予算も十分でないことは、私どもも承知いたしております。何とかこの移民送出に関する費用を政府の方でもつと積極的に見てやつたならば、先ほどのお話にもありましたように、まだ相当数移民を増加することができるということも私ども承知いたしまして、明年度の予算につきまして私どもとして最善を尽したわけでありますが、しかし今後の見通しとして一体どういう構想を持つておるかと申しますと、率直に申しまして新しい構想というものはございません。しかし大蔵省ともいろいろ折衝いたしまして、いずれ大蔵省の係も見えることと思いますが、実際にだんだん移民が出て行くようになれば、そうした面については十分考えようというような、これは確約でもありませんが、そういう気持は大蔵省にも動いておるようでありますから、外務省としてはぜひそうした面において最善を尽して、また皆様のお力を借りて国内の輿論というものを十分振い起しましたならば、それによつて政府の施策も導かれて行くように思いますので、そうした面を考えまして、今後とも最善の努力を尽したいと考えております。

今村忠助自由党

○今村委員 現在移民の渡航費等は政府の貸付金という形になつております。これで、先ほど申しておる予算とにらみ合せて考えますと、この貸付金という形のものでは、現在の三億何千万円を倍にするといつても非常に困難だと私どもは感ずるのであります。そこで、たとえば現在国民金融公庫百七十五億、住宅金融公庫三百九十億、あるいは農林漁業金融公庫二百六億、中小企業金融公庫百五十億というふうにすでに政府は出資しておるのでありますが、こういうふうな形に、たとえば移民金融公庫というものを考えて、そしてこれに政府が出資の形で、少くともこれらの数字から見て行つても百億くらいのものをつけて、そうして海外移民というものを国策として大きく取上げるのが至当ではないかと考えるのであります。実際大蔵省等の意見も聞きたいのでありますが、政府の貸付金という意味の形では、私は多額の金額ということは考えられぬと思うのでありまして、この点は外務省でもこの移民金融公庫というようなものもひとつつくつてみる、研究してみるという努力があつていいように思うのでありますが、まず外務当局の御意見、続いて大蔵当局にも聞きたいが、昨日から来るように言つてあるのに来ていないのはけしからぬ。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 今後も移民の数がふえるということになりますれば、お説の通り今のやり方ではなかくまかない切れないということを、私どもも常々考えておるところでございまして、今おつしやいましたような構想が実現するということになれば、外務省側としましても非常に喜ばしい、ぜひそうしたいと思いますが、何分大蔵省の関係もございますので、その辺につきましては大蔵省側から御答弁があることと思います。

今村忠助自由党

○今村委員 大蔵省を至急呼んでください。

上塚司自由党

○上塚委員長 今督促しております。

今村忠助自由党

○今村委員 それではその点はまた保留いたしまして、大蔵当局が来たならばなお質問を続けたいと思います。  次に戦時中凍結された在外資産の中でブラジルに約七億円あるということでありますが、これは、戦争前の金でありまして、一体ブラジルに七億という莫大な金があつたというその本質的なものをまずお聞きしたい。聞きますところによりますと、軍がアメリカからいろいろの資材を入れようとしてニユーヨークからワシントンでありますか金を送つた。それが戦争気構えとなりまして、とうていアメリカで買いつけることができぬからその金をブラジルにまわした。ところが中立国で行くだろうと思つたブラジルが参戦したためにその金が押えられた。それが七億ほどあるというのであります。これが七億円だといたしましても、戦争前の七億円でございます。当時はたしか一ドル八円ぐらいなものであつたと思いますが、そういう計算で行きますと、この七億円というものがドルにされておつたものだとすれば、今日の三百六十円というような計算で行けば四十五倍になつておるはずであります。つまり三百億以上の金になつておるはずだと思うのであります。実はこの内容等がわかりませんから、外務省でおわかりならばそれをお答え願いたいし、同時に大蔵当局が見えたなら説明願いたい。どういう性質の金で現在どうなつておるかということをまずお聞きしたいのであります。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 ブラジルでの凍結資産につきましては、他の委員会で説明いたしましたが、今詳細な資料は持つて参つておりません。しかし七億ないし八億と申しますのは、ほとんど全部が元の正金銀行の資産であります。詳細はまた書面でお答えしてもよろしいかと思いますが、この八億円というのは戦前の八億円でなしに、今のレートで換算したものでありますし、向うの債券とか預金とか詳細の表はいずれ後ほど差上げますけれども、そうしたものを概略して八億円になるということであります。御承知のようにブラジルに住んでおる人などの資産につきましては、解除になつております。ただブラジルに住んでいない不居住の者の財産については、まだ凍結のままになつておる。実はブラジル側ともいろいろ話合いをいたしております。また旧正金の関係の方が向うに行つていろいろこの点も調べられておりますが、まだはつきりした解決に至らないのは残念でございますけれども、これも何とか解決いたすべく現地でも努力しているような実情でございます。

今村忠助自由党

○今村委員 その金の性質については大体わかりましたけれども、ここで大蔵当局にお尋ねしたいのであります。そういう性質の金がここに残つておつた、そして正金銀行はすでに解散されて、清算に入つておる機関と考えますが、この金がかりに凍結から解かれて返されるとして、一体返されたその金はどういうように処理さるべきものであるか、まず大蔵当局の所信を承りたいのであります。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 ブラジルにあります正金銀行の資産は、ただいま外務当局からもお話がありましたように、大体解決の方向に進んでおります。これが返還されたあかつきにおきましては、横浜正金銀行は閉鎖機関として現在清算の段階にありますが、この返還された資産をそのまま日本の国内資産として持つて来ることができれば、ただちに閉鎖機関としての横浜正金銀行の清算資金に繰入れらるべき性質のものでございます。しかしながら凍結資産が解除されているのは先方の好意にもよることでありますし、また日伯の経済の交流という点から見ましても、ただちにこれを引揚げるというようなことでなしに、できるだけ日伯両国の経済の増進に役立つようにこれを活用、運用して行く。あわせてこれを閉鎖機関の清算資金としてもまた何らかの方法で別途解決するというふうに処理して行きたい、かように考えております。

今村忠助自由党

○今村委員 これはブラジル国政府の態度ということになりますが、この金は大体ブラジルの政府が凍結しておつて、同時に戦争によつて押えたのであるから、支払わぬといわれてもしかたがない金であると思いますが、どうお考えですか。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 お話のように、まさに先方の好意によつて返還していただくということになつております。ただ日本といたしましては、ブラジルに対して損害を与えていないという面から申しますれば、正金銀行としては当然これを返していただきたいということを、私的な立場においては当然言い得る立場にあると思います。一方におきましては、これは平和条約との関係で、根本的には先方の好意によつて返していただくという性質になつております。

今村忠助自由党

○今村委員 イタリアは、ブラジルとの移民協定の中で、凍結された資金三億ドルを移民のために使うということをきめております。これはブラジルがブラジル開発のためにそういう移民の参加ということを要望しておりますので、その一部に充てるならば快く凍結を解こうというのだと思うのであります。日本の場合においても同様のことが考えられるのでありまして、今まで数次の折衝がありながら、これがはかばかしく運んでないということは、世間の伝えるところでは、正金銀行の清算関係の人たちが、貿易資金か何かに使いたい。言いかえればブラジルで銀行をつくつて、その資金に充てたいという個人的な考えを持つておるから、ブラジル政府がこれを認めない、ブラジル政府はイタリアと同じように、日本がブラジル開発のために参加される日本移民のために使うというなら、快く大統領はその凍結を解きたいという意向を示しておるのだということを私は聞いております。こう考えて参りますと、先ほども申す通り国策という立場で移民を取上げても、その資金に日本は困つておるのであります。この凍結された資金の本質は、正金の持つておつた資産だといわれますけれども、正金がかりにそれだけのものを持つておつたにしても、内面的のものを見れば、やはり軍部がいろいろのものを買いつけたいというので、ニユーヨークにあつた資金を、ブラジルにまわしたと伝えられる通り、やはりこれは正金自体の、本来のものでなくて、預金という形で預っておつたものにすぎない、その預金というものの元を尋ねれば、国の金であつたと私は考えるのであります。そうしますと一体清算人が新しい銀行を準備をするということの権限が許されておるかどうかわかりませんけれども、自分の方の利益になるような動きをしておるのではないかという感が強いのであります。これを大蔵省が認めておるということ自体にも、私は釈然とすることができないのでありますが、ブラジル政府がイタリアの場合に示したごとく、この金はブラジルの開発の移民のために使う金ということに日本政府が方針をきめて折衝するなら、すぐにも私は凍結が解けるような気がいたすのでございまして、この点もう一度はつきりしてもらいたい。第一は、正金が清算人という形において、次の銀行をつくる用意をするという権限があるのかどうか、外務省はこれを認めておるのかどうかということ。同時に外務省は、今までの数次の折衝でブラジル政府の意向がわかつておるはずだと思います。わかつておるのかいないのか、この点を明らかにしてもらいたい。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 石橋清算人が向うへ行つておることは、私どももよく承知しております。しかし清算人の方にそういうお考えがあるかないか、その辺はよく存じませんけれども、少くともブラジル側との交渉において、そうした問題は取上げられていないと思うのであります。平和条約の条項通りにいえば、ブラジルはこれを取上げる権利を持つておるのでありますが、好意的に先方の当局もこれを取上げまして、返還するような動きを進めておるようであります。しかしその結果として、イタリアの方は移民関係で使うことがきまりましたけれども、日本側についてはまだそこまで話が進んでおらないので、返すか返さないかという原則の問題について、その数字などをいろいろ調べておるという段階でありますので、いよいよ返還ということがきまるような段階になりましたならば、今おつしやいましたような点を十分考慮しなければならないと思います。

上塚司自由党

○上塚委員長 今村君にちよつと申し上げますが、今政府委員として出席しておりますのは、外務省関係以外に、大蔵省閉鎖機関課長岩動道行君、通産省市場第二課長藤建一君、食糧庁輸入計画課長羽場光高君、運輸省外航課長岡田良一君、造船課長藤野淳君であります。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 横浜正金銀行の清算人が新しく金融機関を現地につくるというような点を知つておるかどうかというお尋ねでありますが、これは閉鎖機関が清算をしているという建前から申しますれば、そういうような権限はないと思います。

今村忠助自由党

○今村委員 バルガス大統領の前では、いわゆる辻移民の代表者辻小太郎氏と松原移民の代表者の松原氏、石橋清算人と加えて一つの原則がきめられた。つまり七億円くらいのうちの二億を一億ずつアマゾン並びに中部移民の資金にこれを融資するというようなことであるならば、凍結を解いてもいいという個人的な意向を示されて、それを石橋氏は持ち帰つたはず、であります。ところが日本へ帰つてからそのようなことは清算人として出向いたものとしての権限外であるから、その大統領の前で話合いしたことは取消すといつて取消しているそうであります。そうしてその後の折衝は、今申す通り一つの貿易資金にするようにしたいというので、現地に銀行をつくつて、その資金にしたいという交渉をしているそうであります。これらを一体大蔵省は全然知らないのでありますか、知つておさしずになつているのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 バルガス大統領の前で、ただいま御指摘になつたような人たちが、そのような交渉あるいは話合いができたということは私全然存じておりません。大蔵省としては聞いたことはないはずであります。

今村忠助自由党

○今村委員 そうだとするならば、先ほど申した通り、イタリアの場合にはイタリア移民に使うということで凍結資産は解除されたのであります。こういう点をお考えになられれば、私はやはりブラジルにある七億という金は、移民のためにそれを与えるのではなくても、融資するというようなこと、言いかえれば間接にブラジル開発のために、この資金が協力するという形のものにしなければ、なかなか凍結がすみやかに解けないと思うのであります。これはまた大蔵当局も認めておる通り、必ずしもブラジル政府は返さねばならぬ義務はないと思います。好意だと思います。その好意が受けられるように持って行かなければ受けられぬと思うのでありまして、先ほど来申す通りに、移民の資金というものについては、政府でもよほど努力しなければ、現在の三億五千万を倍にすることは、不可能に近いものとわれわれは感ずるのでありますから、これをひとつブラジル開発の移民の人たちが使えるように努力してもらいない。そうすることが日伯両国の親善を高めることでもあり、また先ほど来申すように、資金の不十分な南米移民に、かりにブラジルにそれだけの潤沢な金ができるとしますれば、ブラジルに渡航する人々の資金を他にまわすことができまして、移民致をふやすことができるのであります。私は先ほど少くとも百億ないしはそれ以上の金融公庫の、こときものをつくつて努力しなければ、多量の移民を送るということは、不可能に近いではないかということを指摘して要望したのでありまして、かような点を考えれば、かような資金が残つておつたといえば残つておつたわけでありますから、ひとつ移民国策の上に活用するということをお考え願いたいと思うのであります。これはひとつ大蔵省においてもただこの際ここで答弁して終りでなくて、この問題を今言うような線に沿うように努力してもらいたい。次の機会に重ねてどうなつたかの質問もいたしたいと思いますから、大蔵当局としての意見をおまとめ願いたいということを要望しておきます。  次に先ほどの質問にもどりますが、日本では多量の食糧を買い込んでおります。現に私は昨年ポルトガルヘ行きまして、いろいろ聞きますと、一昨年であつたということでありますが、日本はスペインとポルトガルからは六万トンからの米を買つたそうであります。そこで私はこういうような国から日本が米を買つておつたということを知らなかつたものですから、私はこれを聞いて驚きまして、米を買うくらいならば移民の話ができるだろうと思いまして、私は外務省をたずねまして、ポルトガルは一体どこで米をおつくりになつておるのか、飛行機で見たのでは米か、つくるような場所がないではないかと聞きますと、アフリカのモザンビク開発五簡年計画を立てて、アフリカで米をつくつておるということでありました。そこで私はアフリカで米がつくられる、いわゆる開発五箇年計画を立てられるというならば、今後日本では相当の米をまだ海外から買おなければならないから、ひとつ米を買うということと関連を持たして、アフリカに日本移民を入れてもらえないであろうかということを外務省当局に申し出たのであります。これは文書になつて回答が来ましたが、日本の出先公使館と話をしてくれということでありました。とにかく私は米を買う、食糧を買うという問題と移民の話をつければ、相当新しい見地からアフリカにも移民を送り出すということは、できるのではないかという感じを受けたのであります。私は食糧庁の人たちが米を買いつけるにあたつて、一度でもこういうようなことをお考えになつたかどうか。米が足りない、どこか安い米はないか、あったら買つて来たいということだけでは、この貧乏な日本の経済をやりくりするには済まされないのではないかと思うのであります。これだけの多量の米を買うならば、何かまた日本の側で有利な、たとえば品物を売り込むなり、移民を送り出すなり、そういう話も同時につけるということをお考えになつてもいいと思うのですが、まず米の買付について、そういうことは実際は不可能であるというものか、またかりに米を買いつけるにあたつて、品物を売つたり、移民を入れたりするとしたならば、どういうようなことを努力したならば、あるいはくふうしたならばできるか、そこに何かお考えがあるならば承りたいと思うのであります。

羽場光高農林事務官(食糧庁業務第二部輸入計画課長)

○羽場説明員 ただいまスペイン、ポルトガルから米を持つて来ておるかという御質問がございましたけれども、ポルトガル、スペインからは毎年ただいままで米を買つておりました。これは品質から申しますと、内地の米と似たような品質でありますので、私どもとしては、外貨事情が許せば、こういつた米は買いたいものだと考えておるわけであります。しかし最近のように外貨事情が悪くなつて参りますと、なるべく外貨のかせげる地域から買いたいという希望が強いわけでありまして、そのために輸出が相当伸びて行く国、たとえばタイとかビルマとか、そういつた東南アジアからの米の買付が非常に増加して来ております。そういう意味からは輸出と関連して、米の買付をいたしておるということが言えるのであります。  もう一つの移民と関連して考えたことがあるかとおつしやられれば、これは以前にブラジルから米を買つたことがございます。それからまた最近移民に関連して、ブラジル米を買つたらどうかというお話もございますが、最近の米の価格から申しますと、ブラジルの価格は相当高価でありますので、そういつた移民と関連して、高い米を買うというところまでの検討はまだいたしておりません。それからその他の地域について移民と関連して、米を買うようなことについては、ただいままでのところでは私どもの方では検討いたしたことはございません。

今村忠助自由党

○今村委員 通産省の方にひとつお尋ねしてみたいのですが、今の問題です。つまり日本は食糧もそうでありですが、その他原料品を相当買つておろ国でございます。それに今言つた輸出の面は通産省としてはすぐお考えでありましようが、移民問題をかつてお考えになつたことがあるかどうか、ひとつその点をお聞きしたいことと、もしかりに通産省で、物を輸入する国と移民の問題をまたそれに付随さして交渉するというようなことをいたすとしたならば、どういうような方法にしなければならないか。たとえば外務省あるいは食糧庁等とそういう問題を研究したり、実際に具体化するための委員会のごときものをつくつたらどうかと思うのでありますが、何かそこに、自分らの立場でこういうふうにやればこういうようなことは考えられるというようなことがあると思うのでありまして、その所信をひとつ承りたいと思います。

藤建一通商産業事務官(通商局市場第二課長)

○藤説明員 ただいまの御質問は二つにおけてお答えしたいと思います。  第一は、食糧の輸入をやる場合に、輸出貿易の振興というものを考えながら輸入を決定して行きたい、そういうことについてどういうことを現在やつておるか。あるいはどういう案を持つておるかという点であると思います。これは、日本は非常な食糧の輸入国でございますから、これはある程度輸出振興の貿易政策と関連さして行くということは、一年中考えておることでございます。しかし、食糧庁の持つております特別会計の運営というものは、これはまた全然別の観点からなされるべきでありまして、何と申しましても、食糧の価格というものはすぐに国民生活に響く。そこで、日本の輸出がいくらある地域に伸びておるからと申しまして、またそこから食糧を輸入すれば日本の輸出が伸びるというめどがあるからいつて、そこからの食糧が非常に悪くて高いという場合に、それを輸入すれば国民生活に響くという点もありますので、なかなか通産省の希望通りには参らないわけでございます。しかし、今羽場課長からお答えのありました通り、大体タイとかビルマというようなところの米の輸入は、常に日本の輸出振興と見合いながら行つて来ておるわけでございます。それから南米地域では、たとえばアルゼンチンの小麦でございますが、これも昨年約二十五万トンばかり非常な無理をしていただきまして、食糧庁に輸入してもらいました。これも要するに輸出市場獲得、あるいはアルゼンチンにおけるヨーロツパ諸国との輸出競争のためには、これくらいの犠牲は忍ばなければならぬというような見地からやつたわけであります。このアルゼンチンが非常にいい例であると思いますが、アルゼンチンから小麦を輸入するということにつきましては、食糧庁としまして、今後ともなお特別の配慮をしていただくということになつております。  その次は輸出貿易と移民の関係について考えたことがあるかというようなことでございますが、たとえばイタリアは、アルゼンチンと結んでおります協定で、イタリアの輸出振興とイタリアのアルゼンチンに対する移民というものを結びつけたというような関係をつくつております。日本ももちろんこれを考えないわけではないのでございますが、実はまだ具体的な案を検討するという段階には至つておりません。私どもといたしましては、移民は外務省の所管でございますので、輸出貿易振興のためには、移民政策をこれと結びつけて行きたいというような希望はあるのでございますけれども、まず第一に移民に関する外務省の方の方針が決定してからでないと、具体的な検討には入りにくいわけでありまして、現在のところでは、外務省なり通崖省の人間の中で個人的にはそういう考えを持つておる者もあるという程度だと御了解願いたいのであります。しかし、外国の資本導入とかあるいは外国の技術導入とかいうアルゼンチンの国内法によりますと、もしアルゼンチンの五箇年計画というようなものに協力するような態勢で日本の生産設備というようなものを輸出する場合においては、それに付随してある程度の移民が認められることになつている。この点は、今でも、もしいわゆるプラント輸出の契約ができました場合には、自然に実現できることでありまして、現在でも話の進行中のものは二つや三つはあるように聞いております。大体そういう状況でございます。

今村忠助自由党

○今村委員 通産大臣に実は出席を求めたわけでありますが、カナダの首相が見えてやむなく出席ができぬということでありますから、多少大臣に聞くようなことを申しておくわけでありますが、通産大臣は、本年度の国際収支は少くとも三億ドルくらいマイナスになるだろうということを就任早々述べております。私は、日本の国際経済というものを考えますと、実に寒心にたえないものがあるのでありまして、そういう国情の中にあつて、今、厖大な金をもつて食糧あるいは原料を買うというような話と、輸出振興という面だけでなく、移民の問題も関連させて総合的に国際経済の問題を処理するようにしてもらいたいということを要望するのでありますが、ブラジルの例だけをとつてみましても、東大の泉助教授の報告によりますと、日本から買つて日本移民が使う品物の代価は二十五億円ぐらいだろう、また、ブラジルにおる日本移民が日本に旅行して来て落す金は六億五千万円ぐらいだろう、また、ブラジルの日本移民が日本へ送る金は三億円ぐらいだろう、一年に約三十五億円ぐらいのものはブラジル移民が経済的に日本に寄与しているのだということを報告しているものを見たのでありますが、こうなつて参りますと、国際収支の点で、貿易して三十五億円を国内に入れるようにはかるということは大事業だろうと思います。一割か二割もうかつたとして計算してみても、何百億というような貿易が行われなければならぬはずであります。これは一ブラジルだけの場合でありまして、これに南米五十万の同胞あるいは米国の三十万の同胞等を加えて考えますと、海外移民の日本に寄与する経済的な点というものは、相当な額だと思うのであります。そうなると、国際収支の問題を憂えている通産省としては、やはりこの点も考えなければ手落ちだと思うのであります。私が、特にこの際各省の方のおそろいの御出席を願つたのもその一つでありますが、どうか移民の問題を、単に生活を求めて海外へ人を送り出すのだというように単純に考えられずに、日本の国際的経済の大きな施策であるというような立場から、この際これを取上げてもらいたい、そうして、食糧を買う食糧庁も、農林省の関係の方も、通産省も外務省も一体となつて国際収支をどう改善して行くかという努力をしてもらいたいと思うのであります。われわれはここで与党の側として政府を責めるのではありません。何とかして建設的な立場を見出すことに立法府の者も協力しようと考えておるのでありますから、どうか、これらの点について関係者の間ですみやかにかような努力のできるようにしてもらいたいと思うのであります。この点について何か御意見があるのなら、関係省の方からお述べ願いたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 今御指摘になりましたような点も、われわれも平素考えておるのであります。今後もそうした努力をいたしたいと存じます。なお南方の移民のみならず、技術移民と申しますか、相手のあることでありまして、こつちから押しかけるようなやり方をその国情を考えずやるということは、ニユーギニアですでに問題になつたこともございますし、外務当局としては非常に細微の注意をしなければならぬところだと思います。幸いにして東南アジアの方にも技術移民として技術関係の方が向うに出て、非常に歓迎されておるようであります。南米を主とする農業移民と同時にそうした面も一緒に考えて、通産省の方の貿易と一体をなして、こうした日本人の考えによつて出向いて行く、そしてそれによつて商権を拡張して行くということに最善を尽したいと考えておる次第でございます。

今村忠助自由党

○今村委員 先ほど移民金融公庫のようなものをつくつてはどうかという質問の際、大蔵省の方が見えてなかつたから、この際重ねて大蔵省の方にお尋ねします。渡航費を現在のように政府貸付金という形でお扱いになつておるとすれば、これは多額のものが考えられぬと思うのでありまして、もし大蔵省が海外移民というものを大きく国策的に扱おうというお考えがあるなら、私が先ほど指摘したように、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫というような、何かそれに類するような移民金融公庫というものでもつくる必要がある。そのお考えがなかつたのでは、つまり、今後も貸付金というような形で少額のものしか大蔵省は考えておらぬと見るほかないと思います。実際私たちは渡航費の貸付というもの自体を検討してみますと、ああいう形で残しておくこと自体が、財政法の点から見ても何か不十分だという感じがするのでありまして、今後南米その他にまだ多数の海外移民を送り出す考えでおるなら、大蔵省みずから進んで何かこれに万全の策として金融公庫のごときものをつくつたらいいのだという考えがあつていいと思う。どうしてここにその考えが至らないか、これはつまり貸付金というような形で当座のわずかなものを出しておけばいいというお考えなのか、相当額を出さなければならぬとすれば、どうしてもそれには移民金融公庫というものをつくる必要があると考えておるが、まだ準備しておらぬというのか、その点をひとつお聞きしたいと思います。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 たいへん恐縮でありますが、ただいま御質問になりました点は、私のまつたく所管外のことでございますので、さつそく帰りまして関係の部局に伝えまして、しかるべく後ほど御答弁を申し上げたいと思います。

今村忠助自由党

○今村委員 委員部の方に要求しておきます。私は内容を明らかに書いて要求してあつたが、なぜ必要な政府委員を出しておかないのですか、当然必要な政府委員は全部そろえておいてください。与党といえども、われわれは真剣に審議しなければならぬ。  次に、移民の問題を論じますれば、どうしたつてその移民を送り出す移民船の問題が隘路となつておるということを指摘しなければならぬと思うのであります。そこで移民船は現在大阪商船が新しく一ぱい、貨物船を改造したものが二はいあるということでありまして、これが送り得る能力はせいぜい五千名程度であります。五千名程度であつたならば、南米の諸国が日本移民を歓迎しておつても、とうてい日本の側はそれだけのものを送り得ないということになるのでありまして、この点をまず根本的に片づける努力をしなければならぬと思うのです。それには私は二つの考えようがあると思うのです。日本は御承知の通り、わずか二箇年間に満州、南洋の天地に永住しておつた同胞を、いわゆる敗戦という理由でもつて強制的に日本に送り返されております。その数は三百万、四百万という数に達しておるのではないかと思うのです。その結果すでに国内に過剰人口のある中に、かような平和的に海外に出ておつた者を、連合国が勝つたという立場で強制的に送り返されることになつた。これは私は正義人道の上からもこれらの国々に向つて訴えていいと思う。幸いにして南米の天地は日本人を迎えてくれようとしておるのでありますから、私はこれらの国々に強制的に送り返したくらいの数字を送り出すについての協力くらいはあつていいと思います。聞けばアメリカにはリバテイ型の船がたくさんハドソン川その他につないであるそうである。こういうものを無料で借り受けることができるならば、当然この隘路というものは私はなくなると思う。簡単に十五隻くらいのリバテイ型の船を無料で借り受けることができますれば、南米への船賃が今平均十万円くらいかかるものが四分の一くらいで済むじやないか、それで現在の予算でも四倍のものが送れると申したいのでありますが、かりに予算等がふやせればそれだけまた倍加して行くという形になるのでありまして、私はこの点は声を大にして、満州、南洋の天地から強制的に送り返された同胞が四百万内外に達しておるという事実、これをまたそのくらいの数字を海外に送り出すについて、連合軍の側に立つたものが正義人道の上からも協力するというくらいなことは、まず外交的に努力してもらいたい、こう思うのであります。  そこでまず外務省にそういうようなお考えがあるかどうか。第二段には運輸省の人たちに、われわれしろうとでわからないのでありますが、リバテイ型の船を借り受けるのには、そういう船を操作するといいますか、扱う上において何か不可能な点があるものなのかどうか、これをそれぞれの立場から御説明願いたいと思うのであります。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 今度「ぶらじる丸」の方ができ上りますれば、お話のように大体五千人程度は送れることになりますので、とりあえず現在の問題といたしましては、そういうリバテイ型の船を借りるというようなことは考えておりません。リバテイ船の方は今係の方からお話があるだろうと思いますが、費用がかかるようであります。それがただで借りられるようなことになればまた別でありましようが、現在のところは何とか切り抜けて行けるだろうと思いますので、そうした計画を持ち合せておりませんが、将来の問題といたしましては、十分考慮しなければならぬ点だろうと思います。

岡田良一運輸事務官(海運局外航課長)

○岡田説明員 ただいまのお話でございますが、昨年度も移民のために船を特に改造いたしまして、二千人の輸送能力がございましたわけですが、実際送られました人間は、計画移民では千百七十六人、それに呼寄せ移民が若干つきまして、船の方としてはむしろ昭和二十七年度においてはあいて走つておつたという状況であります。本年度も計画移民は三千五百人というふうに承つております。船の輸送能力の方といたしましては五千人見当もございますので、呼寄せ移民が相当出ませんと、むしろ船腹が余つて、採算的に非常に問題になるというような状況であります。もし移民が今後も非常にふえるようでありますれば、その他の対策を今後考慮するということになると思います。

今村忠助自由党

○今村委員 重ねてお尋ねしますが、移民は南米は三千五百名くらいで、大してふえそうもないから船があいておつて因るというお話でありますが、認識不足もはなはだしいと思います。あなた方は船をつくつておる、しかも移民船をつくつておるとなつたら、将来の見通しはどうかということくらいはお気をつけになつたらいいと思います。現に外務省の種谷事務官にはボリヴイアをたずねまして、サンタクルス州には数を限らず大量の移民を入れてよろしいということを電報で報じて来ております。そうなれば今までのようなある限られた程度の相手国の計画移民の希望だけ送つておるというのから、積極的に日本が計画を立てて、多量移民を送ることの施策をとられるべきであります。そうだとすれば海外移民となれば、すぐ船が険路だというくらいのことは、お気づきになつてしかるべきだと思う。われわれがかりに移民問題を研究するとなれば、先ほど申す通り隘路は資金と送る船であります。資金の点については先ほど来あらゆる利用できる資金を利用してくれというので、凍結資金のことも一例にあげたのでありますが、これはどうしても大きく政府が取上げて、用意しなければならないと私は考えるのであります。同様に船の点もその点を解決しなければ、ボリヴイアのサンタクルス州に五万家族くらいの移民を入れてはどうかということを、私は直接ボリヴイアの農務大臣から聞いて来たのでありますけれども、かりにそういうものを計画するとしても計画が立たない。外国船で移民を送るということは不可能に近いことなのでありますから、日本でこれをどうまかなうかということくらいは、真剣に考えてもらわなければ、とうてい移民を多量に海外に出すことは不可能だと私は思うのであります。そういう見地から見て来ると、先ほど外務省の方ではまだ考えておらないということでありましたけれども、とにかく終戦後二箇年間に四百万内外の同胞が強制的に海外から送り返されたのでありますから、これは世界の正義心に訴えて、日本移民が再び歓迎を受けるところには、出て行けるように協力してもらいたいことを強調するならば、私はリバテイ型を借り受けることは困難でないと思う。現にMsAの援助の中でも、木村長官説明する中で、希望するならまだ船は借りられるということを繰返し言つております。ただ日本のいろいろの力が不十分であるから、現在はこの程度しか借り受けられないのだ、借りても経費の点あるいは人の点――これは訓練を受けた人のことでありますが、これが不足であつて、とうてい多量のものは借り受けられぬのだと言つております。そういう点から見てもアメリカが、日本の平和的な海外移民を送るための船の不足というものに、積極的に協力してくれるということは可能だと思うのであります。一体リバテイ型を借りたら移民を送るのに不都合な点があるなら、それを示してもらいたいということを私は申したのでありますが、この点はどういうものでしようか。われわれはしろうとでありますから、リバテイ型の船なんか借りても、太平洋は横断できぬとか、何かそこに戦争に使つた船と平和時に人を送る船との相違というものがあつて、危険が多いのであるか、あるいはまた戦争中一時、間に合せ式の船であつたから、十年を経過した今日ではもう使用できない。大海は乗り切れぬ。こういうことであつたならば、われわれが声を大にして叫んでも実現不可能でございますが、何かこれについて研究になつたのであるかどうか、また研究してないとするなら、先ほど来言う通り、海外に関する関係省の人たちの、これらについて研究するための委員会等を適当の機会に設けて努力してもらいたいと思いますが、それについて何か御意見があるなら、この際あわせてお聞きしたい。

岡田良一運輸事務官(海運局外航課長)

○岡田説明員 リバテイ型の問題につきましては、今までのところ一応移民の数という点からしまして、詳細に検討はいたしておりませんが、非常にスピードがおそいのじやないかと思います。現在OSKでつくつておりますような、十六ノツトというスピードは出ませんし、また海外からの引揚者、復員軍人をリバテイ型で積んで来たこともございますが、このときはほんとうに非常にお気の毒な状態で、めちやめちやに積んで来たというような状態でございましたので、そういうわけにも参りませんし、これを客船に改造いたします改造費に相当の金額がかかる。しかも老朽船でございますから今後耐用命数があまりない。そういうふうな点があると思いますが、なお詳細に今後検討いたしたいと思います。  それから船の方は入れ物のことでございますから、移民の計画が今後何年間にわたつて、何人送るということになれば、運輸省としては、できるだけその線に沿うて今後とも検討いたしたいと思います。

今村忠助自由党

○今村委員 借りる船の話はわかりましたが、それでは運輸省は移民のために国費をもつてなお建造しようというお考えがあるのかどうか。計画があるならそれを聞かしてもらいたい。聞くところによりますと、貨物輸送の貨物船は赤字が続いて各船会社は困つておるようであります。従つて貨物船を改造するというようなこともできるのではないかというふうにも考えるのでありますが、これらについてあわせてひとつ説明を願いたい。

岡田良一運輸事務官(海運局外航課長)

○岡田説明員 もし移民の数が現在よりもふえるようでしたならば、さらに今後検討して設備をふやすということは考えられると思うのでありますが、今年予算できまりました範囲内におきましては、先ほど申し上げましたように四千五百人ないし五千人の輸送能力というわけでございますから、今のところは移民の方に御不便はかけないだろうと思います。しかし途中でこれがふえるようでありましたならば、なお検討いたしたいと思います。

今村忠助自由党

○今村委員 外務省以外の方にお帰りを願う意味から、ひとつ大蔵省の方にお尋ねしておきたいと思う。先ほど来申すように海外移民を国策的に大きく取上げて努力するとするならば、戦前のいろいろの点をも考慮しますと、たとえば移民を取扱う機関が幾つかにわかれておつたために、ブラジルに行きましてもブラジル移民と海外興業との対立があり、フイリピンに行けば古川拓殖と太田興業との対立があつたというようなことがございます。従つて戦後新しく出発する移民送致ということになりますと、一つの機関で、将来海外に行つて、対立の起きないようにしなければならぬと思います。それには実はデンマークなどにその例があるのでありますが、海外会館というような一つの建物も持ち、また一つの活動をする中心機関というようなものをつくつてはどうかということを感ずるのであります。たまたま私は文部政務次官の際に、現代美術館をつくるということから、大蔵省に要望いたしまして、テイト・ホテルが国の資産であるから、これを御使用願いたいという大蔵省からの申出があつたということを聞いたことがございます。そう考えますと現代美術館はすでに旧日活会館を買い取りましてできておりまして、テイト・ホテルはそのまま国の資産として残つているわけであります。場所柄といい、また大きさからいつて、このくらいなものを海外事業センターとしての海外会館にしてはどうかというふうに考えるのであります。テイト・ホテルというものが、戦後必要な軍の御用をする海外商人のためにつくつたものとすれば、大よそその目的も果した時期であります。当然これが返される日はもう来るかと思うのでありますが、大蔵省という立場でこれを海外会館というようなものに払い下げるといいますか、大きな国家的事業でありますから提供したらいいように思うのでありますが、これについて何か支障があるものかどうか、お尋ねしたいと思います。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 ただいま海外の移民関係のために、何かひとつ会館を考えてみたらどうかというようなお話がありましたが、これは私どもも御趣旨はまことにけつこうだと存じます。できるだけそういう方向でできるかどうか十分な検討をいたして行きたいと思つております。ただ、ただいまお話のありましたテイト・ホテルが適当なものであるかどうか、またこれがいつの機会においてそういう方向に切りかえができるのかどうか、こういう問題につきましてもなお十分な検討をいたしてみたいと思います。

今村忠助自由党

○今村委員 それでは時間等の都合もあるようでありますから、外務省の側に七つ、八つのものを一括して御質問申し上げて、それについてお答え願いたいと思います。  第一は、南米における大公使あるいは領事館の館員とでもいうものに対する外務省の態度といいますか、お考えをまず承りたいのであります。南米はもとより通商上いろいろ必要の点もありますけれども、先ほど来説くように移民の問題では、ペルーのごとく多少問題になつているところもございますが、各国とも概して日本移民を入れようという意向でございます。そうだといたしますと、現在までのように大使、公使あるいは領人の人たちが一年半ぐらいで交代して行つてしまうというようでは、移民のごとき地についたといいますか、長期にわたつていろいろ用意もし、またそのあとも見なければならないという問題に関連するものといたしましては、まことに不適当だと思うのであります。どうしても南米の外交官というか、出先機関に送る人たちということになりますと、先ほど申しましたような移民公使というようなものをかりに設けたといたしましても、移民公使が各国に駐在するわけではありません。順次まわるというようなことでありますから、勢い各国においてその補助的な事務はどうしても果さなければならぬと思うのでありますから、この南米に派遣する外交官は、比較的任期を長くするということをお考え願わぬと、かりに移民という問題を取上げても、とうてい私は今以上の成績は期しても得られぬのじやないかというように思います。またその派遣する公使につきましても、たとえばペルーは公使館でありますけれども、代理公使がすでに今回派遣されたら三代だと思います。現に私たちペルーの人々に会いましても、台湾の蒋政権でさえ大使を送つておる、大国の日本がなぜ公使だけしか送らぬのか、しかもその公使も三代にわたつて代理公使だ、どういうことであるか、ペルーを侮辱するものではないかということを、私は直接ペルー人から聞いたのであります。こういう点はやはり私は、一応は引退しておるような老外交官でありましても、過去に移民の経験等のある人で、ペルーに行つて、困難な移民問題を何とか軌道に乗せる努力をしようというような志のある人があるなら、再起させまして、相当の長期にわたつて努力する、継続的に努力することを外務省の側としても考えてもらいたいと思います。そうでないとしますと、掛声だけ申しておつたつて、移民の問題はなかなか片づかぬと思うのでありまして、この点についてまずお尋ねいたします。  第二は、戦前でありますと、商業あるいは農業の実務練習生というものを海外に送つておりました。つまり独身の人を送る一つの方法でありまして、これはアルゼンチンの場合、ブラジルの場合を見ましても、相当の成績を今日まで残しておるような気がいたします。この制度をすみやかに復活してもらいたい。かりに予算の上で現在計上されておるものをさようなものにまわすことができぬとなれば、補正等の機会に考えてもらわなければなりませんが、かりに独身者でも私はいいと思うのでありまして、いいとなるならひとつこの制度をすみやかに復活して、本年のうちから独身者を送り出すようにしてもらいたいということであります。  第三番目は、移民を送り出す事務といいますか、仕事が外務省と農林省との間に多少対立的関係があるような気がするのであります。つまり選考費、訓練費というようなことが、大蔵省の予算を決定する場合に、農林省の側に大部分を残したような感じがしております。これはまことにまずいのでありまして、従来の満州移民というような、領土でなくてもほとんど領土に準ずるような地方に送り出すのと違いまして、純然たる外国へ送り出す移民でありまして、これはやはり私はいろいろの海外事情の直接わかり得る外務省にまかすがいいと思うのであります。かりに訓練その他等に適当な人が必要となつたならば、それは外務省の側で農林省から借り受けるなり、その人を融通してもらうというような方法をとればいいと思うのでありまして、これは先ほどもちよつと申したように、どこまでもすつきりとした一本のものにするということが必要ではないかと思う。これをひとつ担当の外務省からお聞きしてみたい。  次に移民の指導者というようなものが実は現在考えられておりません。たとえば辻移民あるいは松原移民というようなものを現地において見ましても、相当な人はおりますけれども数が足りない、これは経費の点からも制約されるわけでありますが、今後これがふえるとなつたならば、やはり何か移民指導者を養成する必要があるのじやないか、アマゾン地帯を見ますと、あそこに送り出された高等拓殖学校の一期から七期までの者が、実によく連繋をとつていろいろな事業に参加いたしております。これは委員長上塚氏が実に賢明でありまして、かような指導的な人を養成して、困難なアマゾン開発に当らしめたということが大きな結果をもたらしておると思うのでありますが、こういう点を見ましても、各地に今後送られる移民の指導者養成というようなことを外務省は考えるべきではないか。  また神戸移住あつ旋所において現在どういうようにいたしておるか知りませんが、いろいろ書いたもので報告を受けておるものを見ただけでは、移民の訓練というようなものはほとんどされておりません。一応の心構えその他等はされるようでありますけれども、私はこれだけでは不十分のように思うのでありまして、再び排日の声を聞くというようなことがあつたなんといえば、とうてい多数の移民を送り出すということは不可能に近いと思うのであります。何といつても相手の国へ行つていろいろの形で働くのでありますから、やはり排斥を受けないだけのりつぱなものを身につけて出るだけの用意をしてもらいたいと思うのです。これについての外務省の考えをお聞きしたい。  また移民問題はヨーロツパでいろいろ会議を開いて南米移民をきめておるようであります。こういうものにまだ日本では代表者が参加しておらぬようでありますが、これにはいろいろな事情があると思います、国際連合に加盟できておらない日本であるというようなこともその一つでありましようが、とにかくオブザーヴアーであつても何かの形式でかような移民に関する国際会議に出られるような努力を外務省はしておるかどうか、ぜひしてもらいたいと思うのでありますが、その所信をお聞きしたいのであります。  また移民に関する法律というものは明治二十何年。ころできたものを改正しておるのでありまして、読んでみると人身売買というような言葉までがいまだに書かれたままになつております。移民というものと人身売買というようなものが、すぐ連想されるような移民法を持つておれば、海外の人たちがこれを訳してみて、日本という国は移民というものが何かそういうような人身売買とつながりのあるように考えられるおそれもあると思う。これは用意されておるように聞いておるのでありますが、この国会に移民法の改正といいますか、新しいものになつてそれが出されるかどうか、これをお聞きしたいと思う。以上、ひとつ一括して外務省の答弁をお願いいたします。  なお私はこれらの問題については、大きくやはり移民という問題を国策に取上げるかどうかということと関連があると思うのでありまして、適当の時期に副総理、直接の衝に当る外務大臣、通産大臣、大蔵大臣等の所信を聞きたいと考えるのでありまして、この点を保留いたしまして、以上で私の移民に関する質問を終りたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 第一の点は、南米方面における大公使、総領事がよくかおる、これではほんとうに移民事務を目ることができないのじやないかという御質問であると思います。仰せの通り、海外に出ております以上、その土地に十分なれて、そして友達もできるようにとりはからわなければならないので、もつと在勤期間を同一地において長くするように、考慮はいたしております。しかし何分外務省は、十年以上の空白期間がございまして、いまだにまだ海外に一度も出たことがないというような者も少くなく、訓練の関係もありますし、また外務省の公務員はわずか二千人ばかりでありまして、人繰りが非常に困難であるというようなことのために、十分の期間を同一地で働いてもらうことができないというような困難がございますけれども、しかしだんだん陣容も整いましたし、これからは御趣旨に沿うような人事をいたしたいというように考えております。  またペルーのごときは、三代にわたつて代理公使を出しているとおつしやいますが、まことにその通りでございます。幸いにして本日外務省設置法等の一部改正を御承認を得たのでありますが、あれによりまして新進気鋭の人も採用できるように、そのためには大公使四階級にわけるというようにもいたしましたので、比較的若い人、あるいは普通の経歴からいえば、今の公務員法の経歴からいえば、公使になりがたい人も、正式に公使にすることができるという道も開かれたのでありまして、こうした代理公使などはなるべく置かないようにして、本任の公使を置くというような方向へ持って行きたいと考えております。  それから人事については、他の方からもこういう問題に十分の興味と経験を持つた人を大いに使つたらよろしいのじやないかという仰せ、これもまことにその通りでありまして、現にブラジルに出ている君塚大使に御苦労をお願いしておりますのも、そうした意味によるのでございまして、これはブラジルのみならず、今後とも十分考えるつもりでおります。  それからその次に実務の練習生制度を復活したらよろしいのじやないか、この点は私どもも常に考えておるところであります。戦前の実務練習生は、相当成績もよかつたようでございますから、予算の許す限り、できるだけそういう制度もつくるように考えておりますが、但し今おつしやいましたような補正予算で組むというようなことは、補正予算の性格にもかんがみまして困難かと存じますが、十分その点も今後考えて行きたいと存じます。  次に移民に関する指導者の養成、これは非常に必要なことでございまして、これまでもいろいろな大学において、移民に関係した特別の課程を設けておつたようなところもあるようで、ございますから、今後もこうした努力が学校でなされまするよう、文部省とも連絡いたしまして、りつぱな指導者が出られるように、外務省といたしましても協力いたしたいと考えております。  次に国際機関に日本は参加していない、移民に関する国際機関に対してはオブザーヴアーでもいいから出したらいいじやないかというお話でございますが、御承知の通り、ヨーロツパの移民委員会はこれはヨーロツパ関係だけのものでございますので、この会議には日本は参加しておりませんけれども、本年八月にローマで開かれます世界人口会議、これは移民に非常に重大な関係のある会議でございますが、この会議には東大の泉助教授に出席をお願いいたしまして、十分日本の立場も説明していただくようにいたしたいと考えております。  それから移民法の問題でございますが、これも非常に古い法律でございまして、いわば空文化したようなきらいもございますので、現に新しい移民法制定方につきまして検討中でございます。但し今度の会期に間に合せるように準備が進むかどうか、この点は保証できませんが、十分検討いたしまして、近い機会に議会の御承認を仰ぐよう手続をいたしたい考えで、ございます。  なお移民を送り出す事務につきましては、この正月発足いたしました日本海外協会連合会がこれに当るということになつております。従来は、外務省は国内に出先機関も持つておりませんために、農林省の方で移民の選択、またある程度の訓練というようなことをお願いしておつたのでありますが、今申し上げましたように、海外協会連合会が発足いたしましたので、今後はこの協会を中心として移民を送り出す事務をやつてもらうつもりでおります。ただ仰せのように今までの関係もございますので、また外務省は地方に出先を持つていないし、農林省の方は、これは農村の方にも非常に関係がありますために、一部農林省の方のお世話にならなければならない点もあろうかと思いますから、この点につきましては、事務的に話合いをしなければならぬものが多少残つております。しかし根本的にはこの移民事務は外務省がやるということは、すでに確定しているところでありますから、末端に関する話合いというものは近く解決するものと期待いたしております。

上塚司自由党

○上塚委員長 並木芳雄君。

並木芳雄改進党

○並木委員 MSAの調印ができましたけれども、これはあしたの本会議に上程になりますか。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 明日上程するよう予定しております。

並木芳雄改進党

○並木委員 決定ですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 MSAの国会に対する提出は、すでに火曜の閣議で政府としては決定いたしております。問題は国会に配付用として配りますテキストの印刷でございますが、明日の午前中に全部のテキストが印刷して配付できますように鋭意努力中でございます。従いましてそれが実現いたしますれば、明日午後提出が可能になる次第でございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 調印のときの岡崎外務大臣とアリソン大使とのあいさつを新聞で見、またラジオで聞いていましたけれども、これは非常に異例なものではないかと私感じたのです。と申しますのは、あのあいさつの中に私どもが一番心配になつておつた点が触れられているという点なのです。つまり岡崎外務大臣の方は海外などに出兵するようなことはないと、そういう大きなことをあそこで断つている。アリソン大使の方は、日本の青年を海外に出すようなことはないのだというふうに、普通の調印のときの一種祝辞に似たような言葉とは違つて、非常にわれわれは異様に感じました。特に岡崎さんの方は何か追いすがるような感じで、これだけは何とかひとつかんべんしてくれというような感じを受けたことは、今度のMSAの協定を通じて、どうしても将来の問題として海外出兵ということが取上げられて来るのではないかという疑問を強くするわけなのです。どうしてこういうことをあいざつのときに言わなければならなかつたのか、もしそれほど取上げなければならないことであるならば、なぜこれを交換公文にしてでも残すことができなかつたものなのでしようか、その点をお尋ねいたします。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 これはしばしば国会でも論議になつたところでございますから、あの機会をとらえて十分その趣旨を徹底せしめようという考慮から出たものと私は想像いたします。それほどはつきりと声明したくらいでありますから、この問題は決して一部の人が心配せられるような懸念はないのだということを明らかにしたものであります。でありますから何も私はふしぎなことはない、また出兵するかしないかなどということは、もちろん日本の決定することであつて、条文の中で書くべき性質のものではございません。

並木芳雄改進党

○並木委員 その点はよくわかつているのです。わかつているから今度のあいさつの中にそういうことが必要じやないのではないか。それほど政府がしつかりおつしやつているならば、なぜこんなことを調印のときのあいさつの中へ入れたか、ずいぶん変なあいさつだと私は思うのです。最後のとき一言で条件をつけたような感じを与える。これは条件でも何でもないのだとはつきりわかつておるのなら、なぜそのようなあいさつをされたのですか。そこで、あいさつの拘束力というものはどういうものなのですか、拘束力は全然ございませんか。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 これはもう賢明なる並木宥御承知の通り拘束力はございません。しかしあなたがそういうように見られるのは御自由でございますが、岡崎大臣、アリソン大使はこの際その点をはつきらさせておいた方がいいというので、そうした声明をしたのだと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 売り言葉に買い言葉でなくて、私がそう思うなら思いなさいとおつしやらずに、この際はつきりしておいた方がいいという大臣の感じがて出おるだけに、そこに疑問が残る。ですからこそ私どもはどうして取立ててああいうあいざつをしたのかということを聞いているわけです。交換公文に出すような話はなかつたのですか。また私がなぜそういうことを聞くかというと、どうもこのあいさつがなれ合いではないのか、というのは海外電報の中に、将来海外出兵ということについて、両国政府の間に暗黙の了解事項ができておるというようなものまで出て来ておる、そういうために私は聞くのです。それほどはつきり言えることならば、交換公文にしてもおかしくはなかつたのじやないか。ことに憲法に従つて実施するという問題、こんなことも今までの政府の説明を聞いておればわかりきつたことである。これが本文の中に取入れられるくらいなら、もつと大事なこの問題を、私はせめて交換公文の中に入れてもよかつたのじやないかと思うのです。どうして入れることができなかつたか。それから外電で、両国政府の間にそういう秘密の条項があるのじやないかという情報に対する答弁をお願いしたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 並木さんは、岡崎大臣及びアリソン大使の演説の中で、海外出兵の義務がないと言われたから疑惑が起るとおつしやいますけれども、私どもの考えではむしろ逆でありまして、世間にそういう疑惑があるから、その疑惑を明らかにするために、そうでないという否定をいたすために、調印の正式の機会に双方で言明されたのでありまして、並木さんのお考えと逆のように考えております。  またなぜ交換公文にしなかつたかという点でございますが、MSA協定は、御存じの通り装備や備品をやろう、物をやる、もらうという協定なのでございます。兵力を使用するとか、あるいは軍事行動に出るとかいうこととは全然関係のない、同盟条約でありますとか、安全保障条約とはまるでたぐいを異にする条約なのです。物をやる、やらないという問題なのです。でございますから、出兵の義務とかそういうようなことは全然関係のないことなのでございます。従ってまるで型違いの条約に持つて行つて、カテゴリーの違うことを交換公文とか付属にくつつけるわけには参りません。それで付属の文書はつくらなかつたのでございますが、先ほど申し上げましたように、世間の疑惑がございますので、最も正式な機会であります正式調印の機会を利用いたしまして、双方の代表者から、その疑惑を明らかに否定する趣旨の声明を行つたものと考えております。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 そういう秘密の了解は全然ございません。

並木芳雄改進党

○並木委員 MSAは、やるやらないということを扱つた協定だけであるとただいまおつしやいましたけれども、無条件ならばいいのです。なるほどやるとかやらないとか、受取るとかいう協定でありますけれども、それについては厳重な条件がついております。そうして日本の防衛力を増強するとかあるいは防衛能力を高めるとか、そういう義務が出て来ておるところに、私どもは疑問を持つて来るおけです。無条件のものならば、それはほんとのやりとりですから、ちつともこういう心配はございません。しかし条件がついて来て、その条件がだんだんと強まるにつれて、行く行くは日本の自衛隊などが海外へ出なければならない状態に追い込まれるのではないか、政府はそういうふうに政治的に追われて来るのではないかということを心配しているために、私は質問しているわけなのです。  そこでお尋ねしますけれども、例を朝鮮動乱について見ますと、日本は国連協力の線で日本に国連軍を支持することを許しております。吉田・アチソン交換公文で許しておるのでありますが、これをもう少し掘り下げてお聞きしたいのですけれども、国連協力の線というものは、国連憲章の第何条によつて協力して行くのか、私は朝鮮の動乱に対する協力は、やはり地域的集団安全保障の一種ではないかと考えておるのです。ですからもしそうだとすれば、たまたま日本に出兵すべき実力がなかつたから、今度の朝鮮の動乱の場合には、出兵しなくて済んだのではないだろうか、こういう疑問を持ちます。日米安全保障条約の最初にも、平和条約の効力発生のときにおいて固有の自衛権を行使する有効な手段を持たないとはつきりいつております、平和条約発効のときに日本は自衛権を行使する有効な手段を持たない、その持たない日本の自衛力というものを前提として、朝鮮動乱に向つて行つたのですから、そこで日本の実力部隊が朝鮮動乱を応援に行くという問題が起らなかつただけのことで、もし今度MSAによつて防衛力の増強とかあるいは防衛能力を高めるという線でもつて、日本の実力ができたときに、はたして今まで通りでいいかどうか、こういう心配を持つておるのでありまして、それに対する解明をしていただきたいと思う。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 国連の加盟国といえども、あの際特に自分の方で出兵したいといつたものが、朝鮮へ出兵したことは、並木君御承知の通りであります。しかも吉田・アチソン交換公交をごらんになればわかるように、施設とかフアシリテイーとかサービスを提供するということをはつきり書いてあるのでありまして、日本はそういうことをする意思がない以上、そういうところへ追い込まれることは絶対に――国連加盟国といえどもそうでありますから、いおんや日本にそういう義務のないことは御承知の通りであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 最初にお尋ねした日本の国連協力というものは、国連憲章第何条によつて出て来るのか、地域的集団安全保障ではないかということであります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 御承知のように日本は吉田・アチソン交換公文の際も、また現在も国連の加盟国ではございません。従いまして直接国連におきまして、朝鮮の事態に対処するための決議――これは安全保障理事会の決議でありますが、この根拠となるものは国連憲章第四十一条だろうと思います。勧告でござざいます。従いましてただいま政務次官が申されましたように、加盟国ですから勧告に応じたものと応じないものとあるわけであります。日本は直接憲章に基きまして吉田・アチソン交換公文を行つたのではないのでありまして、まつたく独立に平和条約及び安全保障条約と、もう一つ吉田・アチソン交換公文という三本建の措置に出たわけであります。従いまして朝鮮における国連軍の行動を日本国において支持し、または支持することを容易にするという約束をいたしましたのは、集団安全保障措置とは全然関係がございません。

並木芳雄改進党

○並木委員 それは私が期待していた返事とちよつと違うのです。日本が国連に協力するというのは、非加盟国でありながらそういう要求を受けるのは、要するに国際連合憲章の趣旨に沿つて行われるものだと私どもは信じておつたのです。しかし今の局長の答弁では、それとは違うものに基いて吉田・アチソン交換公文が行われて来るようになつたのだというと、これはいよいよ国力の弱い日本としては将来心配なことが起るのではないですか。国連憲章の範囲内であればこそ安全でありますけれども、そうでなくていきなりそういつた協定が結ばれるとなると、私どもはなお心配だ、さつき私が質問申し上げた海外出兵というような点から考えても心配だと思うのです。そういうことは国連憲章というものを離れてでき得るのですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 集団安全保障という言葉の意味にもよりますが、並木さんの御質問の、ことにあとに導かれて行こうとするおねらいを見ますと、集団安全保障というものを軍事行動を伴うところの軍事的の意味のように、並木さんは定義しておられるように看取されたのであります。そこで私はそういうような軍事的の意味の集団安全保障措置ではないということを申し上げたのであります。そこでしいて国連憲章との関連を求めますと、日本は平和条約の第五条におきまして、国連憲章の義務を負い、なかんずく侵略者に対しては一切の援助をしてはならない、また侵略者に対抗するものに対してはあらゆる援助をなすという義務を負つております。そこで日本の現状のもとにおいてなし得る援助、つまり国連軍の行動を日本及びその近傍において支持しかつこれを容易にするということを、つまり並木さんの言われる軍事的でないところの措置に限りましてこれを応諾したのが、吉田・アチソン交換公文でございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 ですから私は、非軍事的のものに限つて承諾はした、これは現在のことでありまして、よくわかりますが、将来の問題を考えますと、国連協力の線ということで、日本の政府が実力ができて来ると、今度はこれに対して実力をもつて応援に行くという場面が出て来るのではないか。そうしないのだという保証はMSAのどこにも見当らない、こういうふうに考えておるのです。ですから将来政府の方針として、よろしい、国際連合協力の線に沿つて自衛隊を、たとえば今度の朝鮮の動乱のような場合には朝鮮動乱に送ろう、こういう意思が決定すれば、もちろんそれは憲法違反でもなければ、条約の違反でもない、できることではありませんか、こう私はお尋ねしたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 遠い将来のことはただいま問題にいたさないといたしまして、当面のMSAに関する限りにおきましては、その点を明らかにするために周到な用意をいたして交渉いたしたのであります。御承知のようにMSA法五百十一条との関連におきまして、これはよその国とアメリカとの協定におきましては、条約に基く軍事上の義務を履行すると、どこの国もそう書いてあります。日本の今度の協定の場合に限りまして、日米安全保障条約の義務しか書かないのであります。安保条約は御承知のように日本の方から出て行くような軍事的義務ということは全然含まない、非常に消極的な義務に限つておるわけであります。それが第一の明確な限界であります。第二の限界といたしましては、両国の憲法の規定に従つて協定を実施する。日本の場合に申しますと、憲法第九条の限界に従つて協定を実施する。そういうことで二段構えにその点の疑念は明確に限界を切っておるわけでございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 軍事的義務というのは、安全保障条約で負つている義務でよいということを、政府はしばしば答弁されているのですけれども、その安保条約というものは、先ほど私が指摘しました通り、日本には有効な自衛権を行使する力を持たいということが前提になつているわけです。しかしながらだんだんと自衛力を漸増して行くことが期待されておつて、その期待が今度MSAによつて義務となつて現われて参ります。そうすると期待されておつたところの自衛力が増して来れば、安保条約の一番先に書いてある有効なる手段がなかつた時代から、今度は有効な手段を持つ時代に入つて来ることになるのであります。従つてそういたしますと、今度は安保条約の本文の方に、極東の平和その他を守るためにアメリカ軍がいるという、そのアメリカ軍に一歩々々かわつて行く自衛隊の姿というものは、これはどうしてもいざ必要という場合には、やはり海外にも出て行かなければならないという問題が起るのではないかと思うのであります。もし安保条約で負う義務だけでいいというふうに政府が強弁されるならば、私は依然として自衛隊というものを直接侵略なんかに当るように直す必要はないと思うのです。今まで言つていた通り、国内の治安の責に任ずるものでよろしいと言つてしかるべきものであつたろうと思うのですけれども、それを今回直接侵略にも当るように変更したのは、これはMSAのためじやないですか、いかがですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 自衛隊法の問題は私の主管するところでございませんが、MSAができたからそこで保安隊の今までの間接侵略でなく、直接侵略にも対抗するというような関係ではございません。その逆でありまして、日本は安保条約の前文に書いてありますように、自衛力を漸増するという意思をすでに表明しておるのであります。その既定方針に基きまして自衛力を漸増し、かつ今日の漸増の段階におきましては国内の治安のみならず、直接侵略の場合にも自衛権の行使としてこれに対処するという段階までの武力を持つに至つたのであります。これはまつたく日本側が決定したことでありまして、その日本側の決定したことに対応して、日本自身の予算では、また日本自身の技術では得られないところの装備なり備品なりを米国からもらう、それがこのMSA協定の直接の目的でございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 少しくどいようになるかもしれませんけれども、こういうことを私はもう一度お尋ねしておきたいと思います。将来政府がもし朝鮮の動乱のような場合に自衛隊を出動せしむる。これは警察行為なり自衛権の発動として、あるいは集団安全保障の一環として、そういう方針をきめた場合には、安保条約によつてもMSAによつても憲法によつても、何らこれを禁止している条項はないのかということをお尋ねしておきたいのです。これはありませんね。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 平和条約も認め、安保条約にも言及しており、また国際法の認めまする国家の固有の権利としての自衛権というものは、その国自身を守ることでありまして、朝鮮のような他国を守るための行動は、これは自衛権の行使ではございません。

並木芳雄改進党

○並木委員 自衛権の行使として他国へ応援に行かなければならないというような場面はあり得るのじやないですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは、交戦権の制限のない普通の国家でございましたらば、そして、国連憲章の加盟国でございましたならば、国連憲章の定めております集団的安全保障措置に関連して、そういう場面もあるでございましようが、国連非加盟国であり、しかも憲法第九条によつて交戦権を持たないという特異なわが国の場合におきましては、そういうことは起り得ないと考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 その点はなお議論をあとへ残しておきます。  次に顧問団の問題なのですけれども、顧問団については、今度最後までなかく決定いたしませんでした。しかし、最終決定を見た顧問団の数とかあるいはその費用の分担の方法とか、あるいはこれをいかにして減らして行くかとか、そういうようなことをまずお尋ねしたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 顧問団の数等は、直接この協定及び付属書には出て参りませんが、大体現在の六百五十人程度から三百人ちよつとの人数にまで、一年間かかつて減らすということになつております。そして、年間に平均してみますと、来年度におきまして四百二十人くらいの平均になるのではないかと思います。従いまして、日本側が提供いたします行政事務費、宿舎等の便宜の供与は、この年間平均四百二十人というものに、それらの単価をかけたものによつて割出されるわけでございまして、現金におきまして三億五千七百三十万円ということにおちついたわけでございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 そのほかに日本側が負担するものに、宿舎の代とかなんとかいうものがあるのじやないですか。そのほかに日本の方で負担すべき費用というものはどういうようなものでありますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 現金で支給するもののほかには、宿舎でございますとか、事務所のオフイス・スペースでございますとか、事務所で使ういろいろないす、机、文房具、そういうような事務を遂行するについての行政事務費を負担するわけでありまして、先方の俸給とかなんとか、向うの人間に伴つている経費は、これは全部向う持ちでございます。日本に来て仕事をするがゆえに必要となつた経費だけを日本側が見てやろう、そういう考えでございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 宿舎とかオフイスの費用というものは、何費から出るのですか。あるいはすでにできておる宿舎とかオフイスを使うというようなことはどういうふうになつておりますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは、大蔵当局が目下どういうように実施するかを検討しておられるのであります。従いまして、まだ最後的決定に至つておりません。しかし、国有財産を利用するとか、新規建築は最小限度に限定する。それからなお、現在米極東軍の構成員である者につきましては、ワシントンハイツでありますとか、方々に軍の宿舎を利用しておる者が相当多数あるのであります。そして、それらの者が軍事顧問に身分を切りかえられました後も、引続きその軍の宿舎にとめておくということについて了解がついておりますので、一度にどつと大勢の者の宿舎を日本側が用意するという必要は起つて来ないと考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 今度軍事顧問に振りかえられる人数は大体何人くらいですか。現在の保安庁所属の顧問から軍事顧問に振りかえられる人数であります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これはアメリカ側のことでございますが、まだアメリカ側でははつきりした数字を出しておりません。しかし、当切におきましては、現在顧問団の仕事をしておる者が大部分そのまま残るのではないかと思つております。

並木芳雄改進党

○並木委員 そうすると、現在七百六十二人ばかりいるということがこの前の政府の答弁にありましたが、新たにアメリカから来る顧問は非常に少いということになりますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 新たに来る者は比較的少いと了解しております。

並木芳雄改進党

○並木委員 顧問団の使命はどういうものかお伺いしたいのですが、その中で特に観察という言葉を使つてございます。この観察というのはわれわれにはわからないのですけれども、一体これはどういうことをするのですか。顧問団の使命、特に観察ということの意味について伺いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは、アメリカの与えました装備なり備品なりがどのように使われているか、そうして、日本の保安隊が必要とする日本本側の要求によく合致して、援助が与えられているかどうかというような援助の有効な使用――これは日本、アメリカ双方の協力によつて初めて実現し得ることでありますが、せつかくやつたものが有効に使用されているかどうか、特に、日本側の要請に合致するようにアメリカから与えられておるかどうか、もしそのように与えられていないとしたならば、アメリカ側からどういう努力をすべきであるか、そういうような点を観察することになるのだろうと存じております。

並木芳雄改進党

○並木委員 私どもは、これは向うの完成兵器で来るのですから、向うの完成兵器の使い方を日本の保安隊に教え、指導するのが大きな役割ではなかつたかと思うのですけれども、今の御答弁ですと、これはなかなかやつかいな仕事じやないでしようか。そうして、あそこはいけないとか、ここはこうしろとかいつて、これがだんだんと日本の内政にくちばしを入れて来ることになつて来るのではないかと思うのです。内政干渉のおそれがあると思うのですが、いかがでしようか。兵器の使い方とか何かはもう必要はないのですか、そういう方面におもに使われると私どもは思っておつたのですけれども。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 従来の保安隊に対しますような、ことに初期はそうでございましたが、アメリカ製の機関銃をどう使うかといつて手に手をとつて教えるというような、フイールドの部面の指導というものはだんだんとなくなつて参ります。保安隊員は非常に早く習得しておりますので、現地部隊で手に手をとつて指導して参るという部面はなくなつて参ります。そうしてきわめて少数の人間で、フイールドでなくて、今度はデスクのワークになつて参りまして、こういうものをアメリカから持つて来たが、一体これがはたして役に立つているかどうかとか、あるいは標準化――スタンダーデイゼーシヨンの規定もございますが、このスタンダーデイゼーシヨンをやろうと思つても、日本の現状こおいて、そういう点まで規格の統一をすることは無理ではな、かとか、あるいは、日本の保安隊員の体力とか、日本の道路その他の地形から考えて、こういうものを持つて来てもしようがないとか、そういうようにそういう援助の与え方のよしあしを常時判断するという机上の頭脳のワークになつて参ります。その点が従来の現地の指導を主としました軍事顧問団の仕事と、MSAの協定下における先方の顧問団の仕事とは、確かに変質して参るわけでございますが、しかしながら、これはあくまで事務的なレベルの仕事でございまして、御指摘のような内政干渉というようなことはとんでもないことであります。そういうことをしようと思つても、全然そういうカテゴリーの違う、技術的、専門的、事務的なレベルの者が来るおけでございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 それにいたしましても、日本とアメリカとの間で、かなり見解や意見が相違する場合が起るのじやないでしようか。そういう場合にはどういうふうにして話合いをされるか。何か協議をする機関というものができるのですか。それから話合いがどうしてもまとまらなかつたときには、これはどちらが優先するのですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これはお互いに相談し合つてきめて行くのでありまして、従来の保安隊時代の顧問団と日本側との円滑な協力の経験にかんがみまして、今後はもう意見が違つてまとまらないというような事態は想像できません。きわめて円滑に協力関係が推進されるものと考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 連絡機関は。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 連絡機関につきましてはいまだ決定いたしておりませんが、マーグのメンバーは身分を大使館員に切りかえますので、従いまして大使館員の相手をいたしますのは、やはり外務省ではないかと思つておりますので、もとより外務省が総括的にやりまして、個々の分野につきましては、保安隊なり大蔵省なりそれぞれの関係各者と直接の連絡をお願いする場合もあると思いますが、総括的にはやはり外務省の責任におきまして、米国大使館員たるマーグのメンバーと折衝することになると存じます。

並木芳雄改進党

○並木委員 顧問団に雇われる日本人でありますけれども、これはどういう職種で何人くらい、そうしてどういう身分で採用されることになりますか、お尋ねしておきたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは全然アメリカ側のことでございますが、通常の使用人、つまり給仕でありますとかあるいは電話の交換手でありますとか、今まで連合軍司令部で雇われておりましたような種類の日本人が使用人として使われることになると思います。その人数はきわめて少数であると考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 これには特別の技術とかあるいは経験を積んだ日本人というものが雇われるのではないのですか。そうすると間接雇用ではなく直接雇用ですか。何というか、ちよつとした雑用人にすぎないものなのでしようか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 仰せの通りの種類の使用人でございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 次に小麦買付の問題であります。今度のMSAによつて五千万ドル分の小麦、大麦、こういうもの奇買いつけると、例の国際小麦協定による小麦の買取りとか、そういうものに悪い影響を与えることはないかどうか、その点をお尋ねしておきます。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは協定にも明記いたしておりまして、通常のマーケツテイングに影響を及ぼし、また通常の取引にとつてかわるものであつてはからないということになつております。国際小麦協定に基く小麦の取引はれは通常の取引の方に入つております。従いまして通常の取引に影響を及ぼさないような、それに別個にプラスしたものとしまして取引が行われることになる次第でございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 そうすると今度のMSAによる小麦、大麦その他の実際の取扱い方法は、どういうルートで行われるのですか。また輸送船なんかは全部日本船を使うということはできないのですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 なるべく通常の商業的ルートを利用としてやるということと、もう一つは船の方は五〇%はアメリカ側が持ちたいという二つの要請がございますが、その二点を除きましては、なるべく普通の商業取引に準じたやり方で行われることになると思います。なおその点につきましてはまだ具体的な話合いができておりませんので、いずれ担当局長からきまりましたら詳しく御報告申し上げることになると思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 この小麦の協定に基く四千万ドル分の域外買付でございますが、これは大体どういう種類の域外買付に使われるか。この前も次官と問答したことがございますけれども、もう大分日がたつておりますから、はつきりしたと思いますので、この際お尋ねをしておきたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 この域外買付の方は、一千万ドルの日本の産業に対する投資の場合と違いまして、先方がきめることでありますので、まだその詳細についてはわかつておりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 この前政府当局がこの四千万ドル分だけはよけいな域外買付である、こういう答弁でありました。そうするとこれを除いたほかに固定した域外買付のものはあるはずでありますけれども、それは本年度―この三月末でもよいし、アメリカの会計年度でもけつこうです。どつちにしても、どういう固定した域外買付の金額というものが出て参つておりますか、それをお尋ねしたいと思うのです。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 この日本に対する域外買付の問題は、けさの新聞にも一億ドル云々というようなことが出ておりましたが、これは決してそれを約束したものではなしに、大体そのように期待しておるという意味だということを、FOAの方でも申し述べておるようであります。私たちの期待いたしますところでは、この四千万ドル分を除けば六千万ドル程度というように考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 残りの一千万ドル分の日本の防衛生産の用途というものはきまりましたか。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 この前の委員会でも何べんも申し上げましたように、まだその点についてははつきりとした計画はできておりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 この四千万ドル及び一千万ドルの双方とも顧問団というものは観察をすることになつて参りますか、それともこれには顧問団は全然ノータツチですか。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 顧問団の使命はMsAの協定に出ておるようなところに限定されますから、この小麦の協定に関する円資金の用途に対しては、何ら関係するものではございません。

並木芳雄改進党

○並木委員 今度のMSAの協定で供与されるものは、物資とか労務とかあるいは兵器とかいろいろありますが、特に今度は完成兵器だけだということなのです。そこで完成兵器でなく、部分品を持つて来て、日本でそれを組み立てるとか、そういうような話が出なかつたのでしようか、つまり半製品で狩って来て一部を日本で組み立てる。私たちの方ではなるべく日本で製造させてもらいたいという要望を強く持つておるわけです。もし今度の場合話が出ないにしても、この次の来年度の交渉においては完成兵器だけでなく、ただいま申しましたようなことが可能であるかどうか、その見通しなどをお尋ねしたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 それは可能であります。日本の工業の程度がどれだけであるということによるのでありまして、たとえば砲弾のようなものを提供するということになれば、日本の国にも製造能力がある。日本の工業力の程度及び供与するであろうところの兵器の種類によつてきまる問題であります。

上塚司自由党

○上塚委員長 並木君にちよつと申しますが、今村君には、MSAに入る前に移民政策について質問したいから、少し長い時間を許してくれという特別の申出がありましたから、そのつもりで少し長く時間を与えまして、あなた方にもたいへんお待たせいたしたのですが、MSAの問題は、まだこれからたくさん時間がありますし、機会もありますから、できるだけ簡潔にお願いいたします。

並木芳雄改進党

○並木委員 それでは簡潔にいたしましよう。今度の装備の規格ということは特にMSAの条項、に入つているのですけれども、この装備の規格は、やはり日本に優秀な完成兵器と同じものをつくらせることがねらいなのじやないでしようか。ただいまの次官の答弁ですと、砲弾のようなものというのですけれども、砲弾なんかはどこの国でもできるでしよう。そうでなく、優秀なアメリカの完成兵器と同じようなものを日本でもつくらせる一つの手段ではないかと思うのですけれども、その点はいかがですか。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 もちろんスタンダーデイゼーシヨンについて双方で話し合つて、規格のそろつたものになれば、工業上にも非常に有利であると考えます。

並木芳雄改進党

○並木委員 それではもう一点だけお尋ねいたします。今度のMSAの協定で軍の機密を保持することが約束されております。これは新しい法律ができるのでしようか。私は、今まで保安隊に相当の武器が貸与されておるので、それ以上に特に機密を要するような武器とか何とかいうものが来るならまた別ですけれども、大体今までできておる法的措置で間に合うのじやないかと思うのです。新しい法律を用意する必要はないのじやないかとも思うのですが、その点はいかがでしようか。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 完成兵器、非常に精密な機械のようなものにつきまして、アメリカにおけると同じように保護する必要があるので、そのためには日本の方でも国内法を整備する必要があります。この法案はいずれ皆様に御審議をお願いするようになると思つております。

並木芳雄改進党

○並木委員 軍の機密を保持するということで、向うのものを日本で保持するということしか考えておりませんが、われわれ日本の軍隊という観念からいたしますと、やはりこつちのものが向うで漏れても困るわけです。そこまではとても思い及ばなかつたでしようけれども、そういうことを日本人として感ずるわけです。日本でもそういう法律をつくるならば、それに呼応して、日本の自衛隊なのですから、日本の機密をアメリカで漏らしてはならぬというような法律を、アメリカにつくらせることも必要じやないかと思うのです。そういう点はどうなつておりますか。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 アメリカにはすでにこの法律があるわけでありますから、それに合うもの、そのカテゴリーに入るものは当然アメリカの法律によつて保護せられるものと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 私の言うことが次官にわからなかつたけれども、日本の機密なのです。アメリカの兵器を使つておるけれども、それを使う主体は自衛隊に属するものであります。そうするとアメリカ人が日本の機密を漏らしてはいけないのだという法律を、アメリカにもつくらせるべきではないか。それでないと不平等ではないかというふうに考えるのです。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 日本はアメリカヘ完成兵器を供与しておらないわけでありますから、そのような措置を相互的にとる必要はないということになります。しかし並木さんのおつしやるのは、こちらに来ている軍人さんが見たら、それが漏れるのではないかということだろうと思います。アメリカの法律はよく存じませんが、アメリカの軍人はそうした軍関係の秘密というものは公にしないという義務を負つているはずでありますから、そうした特別の措置は必要なかろうと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 もうすぐ一九五四年度のアメリカの予算が出ますけれども、きようは三月十日でございますので、今度の日本向けのMSA援助その他の予算は大体わかつておりませんか。その点についての情報はありませんか。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 情報でなしに、すでにアメリカの政府側で発表しておりますものに、対外援助は大体これだけになる見通しだということが出ておりますから、並木君も御存じだと思います。但し今年度のMSAの予算でも御承知のように、地域別にアジア地域というものが全体として盛られておるのでありまして、個々の国に対する額は掲げませんから、そうした点はわからないわけであります。

上塚司自由党

○上塚委員長 細迫兼光君。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 時間がたいへんおそくなりまして、政府委員のお方にも御迷惑をかけますが、私も重要な会議を実は犠牲に供しておるのであります。遠からずMSAの問題が委員会に上つて参りますと、その機会を失うかもしれませんので、今日私は、ソ連との貿易振興の問題の一環としてのソ連の船の修繕を日本で引受ける問題、これに関連しての入国許可の問題について、政府の御方針をただしておきたいと思うのであります。各関係政府委員においてそれぞれ御答弁を願いたいと思うのであります。  今日造船疑獄などのとばつちりを受けまして、造船界の見通しははなはだ暗い雲におおわれておりまして、現在においても、聞くところでは、日本の造船能力は六十五万総トンくらいあるようでありますが、二十九年度全部でおそらく三十五万総トン前後しか仕事がないのではないかといわれておるのでありまして、そこに施設が非常に休んでおるわけであります。のみならず、これはただちに労働問題に関連いたすのでありまして、造船直接の労働者九万四、五千のうちの二万くらいが、おそらく過剰人員の状況を呈しておるのではないかという話であります。これはただ直接の造船労働者の数でありますが、造船事業は御承知のように、たくさん関連事業を持つているのでありまして、関連事業を一々数え上げれば、百二十種にも及ぶといわれておりますが、造船直接労働者一人に対しまして、これら関連崖業の労働者は二・二あるいは二・三あるのではないかといわれております。家族を合せれば十八万から二十万程度の労働者及びその家族の問題になつて来るのでありますが、この造船界の不況のもとにおいては、これら二十万の労働者及びその家族の運命にもかかわる問題であります。ただにこれは労働者の問題だけではなくて、日本の造船能力を維持しておきたいという問題、これはたれしも異議ないことだと思うのであります。また外貨の獲得あるいはソ連から必要な物資をバーターとして輸入したい、木材などの輸入をしたいというような問題、これらの問題からこの遊休造船能力をなるべくフルに活動したいということは、これは国をあげての希望でなくちやならないと思うのであります。今聞くところによりますれば、リベリアあるいはインドネシア方面からも造船そのほかの仕事を引受けているようでありますが、これは代金の支払い期限が非常に長いとか聞いております。五年にも及ぶのではないかと聞いております。あるいはその単価も非常に安いと聞いております。これに対しましてソ連の船を修繕しました経験に徴すれば、そこらの状況も非常に比較にならないほどいいようであります。途中で半金は払うし、最後には仕上り次第全部払つてもらうというような関係にあつたと承つているのであります。こういうよい条件のもとに、しかもソ連におきましてはまだまだたくさん修繕したい船を持つているようであります。もちろんイギリスやスウエーデンなどにもたくさんの船の修繕を発注しているようでありますが、極東方面のソ連の船の修繕あるいは新造船は、もちろん日本の造船力に期待しているところが大であろうと思います。日本におきましてこのソ連の注文を快く引受けることにいたしますれば、先ほど申し上げましたわが日本の造船能力を保持するという問題、外貨の問題あるいは必要な木材の輸入の問題、あるいは労働者の不安を解除する問題というような点からいたしまして、非常にいいことだと私は考えるのであります。これには国をあげて熱意を持つて、このソ連船舶の新造あるいは修繕に積極的な努力をしなくちやならぬと思うのであります。しかるに従来の御答弁によりますれば、結局ソ連との貿易にも何ら積極的な努力がなされた跡を見ることができないのであります。ところが幸いにこの造船方面の問題につきましては、特に業者はさつき言いましたような窮状から非常な熱意を示しているのであります。これには政府として援助を惜しみなく与えなくちやならぬものだと思うのでありますが、ソ連の修繕あるいは新造の希望の状態、及びこれに対する日本造船界の注文に対する受注希望の状態、これらのことがおわかりでありますならば、運輸省あるいは通産省の係の方から御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。

藤野淳運輸技官(船舶局造船課長)

○藤野説明員 お答え申し上げます。ソ連船の修繕あるいは新造の受注引合いにつきましては、お話のように最近相当ございまして、運輸省といたしましては、ただいまお話ございましたような造船能力の遊休状態が非常にはげしくなりまして、またソ連船以外の輸出受注もただいまお話のように船価が安い、支払い状態が悪い、話はたくさんございますけれども、非常に困難な条件がだんだん強まつて参つておりますので、ソ連船につきましては極力受注を容認しますように私の方では努力をしております。  それからただいまの引合い状況につきまして一体どのくらいあるかというお話でございますが、私の方で漏れなく調べることはできませんでしたけれども、ただいまのところ修繕につきましては確たる数字を持つておりませんけれども、新造につきましては引合いだけでも大小とりまぜまして五十隻以上、これに希望いたしております造船所は五、六社以上に上つております。ついででございますが、修繕につきましては私の方では許可制の対象になつておりませんので、いろいろ関係各省の間で折衝を援助するということになつております。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 ソ連においても、日本造船界におきましても、また運輸省におきましても、そういうふうに希望が合致しているといたしますればこれはスムーズに発展して行かなくちやならぬと思うのでありますが、現在において決してこれはスムーズに運んでいない。   〔委員長退席、富田委員長代理着席〕 これの隘路は一体どこにあるかということを考えてみますればいろいろにございましようが、その一つとしては入国管理に関する問題であるといわれておりますし、私も確かにその隘路の一つはそこにあるとにらんでいるのであります。すなわちソ連からの注文に際しましては三つの条件が言われているといいます。その一つはバトル法などのあの趣旨に従つてさしつかえないという政府の証明、それからバーターの方法についての合意、いま一つは入国許可の問題、この大体三つの条件が希望せられているようであります。他のことは別問題といたしまして、入国許可問題でありますが、現在までの状況について聞くところによりますれば、この許可が全然与えられていない。やむを得ずシヨア・パスと申しますか、寄港地上陸といいますか、あれをどうにか操作いたしまして、現地においては上陸の便宜も多少与えられておるようでありますが、しかしながらそれも向島であるとかあるいはどこでしたか、とにかく離れ島の造船所だけが選ばれておる。ほとんど故意にそうしておるのではないかと考えられるのであります。こういう状態では事が運ばないのは言うまでもないのでありまして、先ほど申し上げましたように、造船事業は非常に多くの関連産業を持つておるのであります。たとえば一つの船をつくりますのにモーターも必要でありましよう、あるいは船に塗る塗料のことも必要でありましよう。その他しろうとの私が考えましても、いろいろの方面の条件を注文主としては満たしたいに違いない。たとえばモーターの問題にしますれば、モーターのメーカーのところにも行つてみたい。そういうことが阻害されますれば非常な不便のみならず、おそらくほとんど仕事が進捗しないということに相なりはしないかと私は思うのであります。また通信連絡、電話、電報などの問題にいたしましても、そういうところではほとんどできない。従つて交渉は長引き、それに対する対策決定は長引いて、仕事を阻害するというようなことに相なりまして、非常な不便どころか、ソ連船の修繕、新造事業をシャット・アウトするような性質の事柄が、実際には同じ政府の間におきまして行われておるということを私は認めざるを得ないのであります。これにつきましてはさきに小瀧政務次官から、ケースによつてケース、ことに、希望のある場合はそれぞれ考えるつもりだという程度の御答弁を得ておりますが、これは私もつと積極的に発展せられなければならないと思うのであります。この入国許可の問題につきまして、直接管掌せられるところの入国管理局方面からの御意向をひとつ承りたいと思うのであります。

鈴木一法務事務官(入国管理局長)

○鈴木(一)政府委員 ただいまのソ連船の修理のために入つて参りましたソ連人の入国の対策につきまして、政府として非常にきびしいではないかという御質問がございましたが、これは結局問題といたしましては日ソの外交が正常であるかどうかというところから問題が出て来るものと存じます。入国管理局といたしましては、政府の方針がどの程度の扱いをするかという根本方針をお示しをいただきまして、その範囲内において入国管理局として入国許可の問題を扱つておるわけでありますが、現在のところはソ連船に乗つて参ります者は、船員の資格において来る者という扱いをしております。正式のパスポートを持つてソ連の人が日本の国に入るということは、まだ認められておらないのであります。それがどうしてそうなつておるかということについては、もし何でしたら外務省当局から御答弁をいたすことになろうかと思いますが、入国管理局の関係におきましては、現実にソ連の修理船について入つて参りました人たちは、船員の資格で来ておるので、パスポートを持つた、正式の入国許可を与えて入れておるというのではないのであります。従いまして船員の資格ということになりますれば、おのずからそこに制限がございまして、国内を自由に歩きまわることはできない。船の入つておるその付近はできるだけ便宜を与えようということでございまして、船員の資格において入つておるというわくに縛られる関係で、ただいまお話のような不自由な点も多少あろうかと思うのでございますが、現在のところはやむを得ない。そこでわれわれの方としましては、ソ連船の修理可能であるという範囲で、また船員であるという資格の行動範囲ということもおのずから制約を受けますので、両方にらみ合せまして、できるだけのことをいたしておるつもりであります。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 きわめて事務的な御答弁でございますが、それは御職業柄やむを得ないことだと思います。実際これは根本的な政府の考え方に基因する問題であります。もつと確固たる外務省の御意見を聞きたいのでございますが、さつき言いました程度の御答弁は次官からさきに承つておりますが、次官にはその後御意見の発展はありますまいか。お聞きのように通産省におきましてはもちろんであると聞いております。また運輸省の方面の御意見もお聞きの通りであります。またそうあるべきだと思うのであります。これを阻害しておるのは、だから結局現政府の外交方針といいますか、基本的な考え方にある、こう思うのであります。こうした政府内部におきましても強い要望のある問題につきまして、外務省におきましては、その後御意見の発展はございませんか。あるいはまたこれから発展すべくひとつ考えてみようというようなお気持もございませんか、承りたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝政府委員 外務省の考え方は先般申し上げた通りであります。仰せの通り通産省でも、運輸省の方でも、こうした仕事が進展するようにということを希望いたしておりますので、その場合その場合に応じて、ケース・バイ・ケースによく調べて、さしつかえないものについては入国を認めようとしておるわけでありまして、これによつて今後も船舶の修理というような仕事が発展することを私ども期待いたしております。

細迫兼光日本社会党(左)

○細迫委員 これは先ほどからお聞きのような情勢でございまして、国をあげての各方面の要望の起るところであります。よつて外務省としましてはこれらの要望の達成せられるように、積極的な地ならしをなさつてこそ初めて国の外務省と私は書い得ると思うのであります。これをかえつて阻止するようなお考えや事柄があつてはならないと思う。先ほどお聞きのように入国管理局の方面の御答弁では実に小さいしやくし定規なお取扱いがなされておるのでありましてどれは大きな目から見ますれば、まことに非常識なことでありまして、大きな船一隻を修繕注文いたしますには、ただに船員だけでこれがやれる仕事でないことは言うまでもないのであります。これにはもつと高い位置の、これを管理する人が必要であり、必ずそういう人が来なければならないのであります。現に今まで受けました修繕船の場合でもミクーリンとかいう人、そのほかいろいろなその関係方面の重婆な役目の人たちが来たようでありますが、むなしく帰つて行つた人も一、二にとどまらないようであります。こういうことでは実際外務省が国をあげての要望を押えておる、阻害するものだという非難を受けても、弁解の余地があるまいと思うのであります。国交調整を伸張し、わが産業、民生の安定向上を希望する立場からいたしまして、よろしく外務省は率先してこれらの隆路を打開するという積極的な御態度を希望してやまないのであります。なお造船能力の遊休状態は非常に差迫つた状況にあるようであります。いよいよ船を修繕いたすにしましても、これを船台に上げるまでにも三月ぐらい準備がかかるかという話を聞くのであります。   〔富田委員長代理退席、委員長着席〕 急を要する問題でありまして、一日も早く確固たる積極的な御方針によつて、むしろ関係官庁を督励し、関係業者を督励して、国の要請に従つて行くという態度をお示しくださらんことを希望する次第であります。質疑を終ります。

上塚司自由党

○上塚委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 時間がもうありませんが、近いうちにMSA協定が国会にかかつて、吉田総理大臣、岡崎外務大臣を交えての審議に入ろうといたしております。それに先だちましてもどうしても伺つておきたいことが二、三点ございますので、その点をお伺いしたいと思います。  まず第一に小麦買付協定、経済措置協定、これは今年の六月で大体期限が切れる、すなわち七月からはアメリカの新会計年度が始まるに伴つてこの期限が切れると思います。そうしますと、日本といたしましては、新しくこの種の協定をお結びになるお考えがあるかどうか、これをまず伺いたいのであります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 仰せの通り、今回結びました小麦買付協定とこれに伴います経済措置協定は、米国の現会計年度におきますMSA法第五百五十条に基く買付に限られるわけでございます。そうしてこの六月三十日に終る現会年度の買付が終つたあと、引続き同種の協定を締結する交渉をやるかどうかという御質問でございますが、その点は交渉をやる基礎となります日本側の腹案につきまして、目下関係省において鋭意討議検討をいたしておる段階でございます。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 そうしますと、今度のと内容は異なるにいたしましても、やはり協定を結ぼうとする気構えを持つていらつしやるわけなのですね。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 先ほど申し上げましたように、目下日本側の腹構えつくるための検討をいたしておるのでありまして、この検討が終りませんと確定的なことは申し上げられませんが、大体の方向といたしましては、本年の協定に比べて不利になるようなことは万ないと思いますので、仰せのような方向に向うのではないかと考えております。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 ここに小麦買付協定と経済措置に伴う協定と日本にわけてありますけれども、これを一本にするようなお考えはないのですかどうですか、お尋ねいたします。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 今回はことさらに日本側の希望によりまして二本にわけたわけでございます。技術的には一本の協定にすることも不可能ではございませんが、経済措置に関する協定には御承知のように、単に買いつけた小麦の見返り円の使用のみならず、MSAと別個のECA法、経済協力法に根拠を置きます投資保証というような点も頭に出しておりますので、その点からもやはり二本建にいたした方がいいと考えましたので、日本側の希望によつてわざと二本にいたしたわけでございます。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 今の御答弁を承つておりますと、これを一本にしても別に悪くはないというふうに了承いたしました。条約局長からお考えになつてみまして、この条約は二つにしておいた方がかつこうが悪くて、やはりこれは一つにした方がいいようにお思いになりませんかどうかを承りたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 私も二本建にいたしました方が将来に対する関係からも、将来の発展性がないとも限りませんので、二本建にいたすことにむしろ賛成と申しますか、交渉に際しましてそちらの方に努力いたしたものでございまして、私自身といたしましても二本建の方が有利であみと考えております。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 二本建にした方が発展性がありそうだという御答弁でございましたが、はたして経済援助的な性質を持つた方向に行き得る可能性があるという確信をほんとうにお持ちになつていらつしやるのでしようか、承りたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 アメリカの経済援助の最近の歴史を振り返つてみますと、大きな流れがございます。御承知のように、当初は第二次大戦直後のマーシヤル・プランによる援助、つまり戦争で疲弊した国のとりあえずの援助ということで、経済援助というところに主眼が置かれました。それが朝鮮事変勃発とともに、国際情勢から経済援助よりはむしろ軍事援助というように、重点が置きかえられて参りました。朝鮮事変が休戦の段階に立ち至りまして、いまだ政治会議等の前途の帰趨がはつきりしませんので、決してこれで一段落と見ることはできませんが、しかしまたここで新たな形の経済援助、つまり米国自身も困つております年々七億ブツシエルに達する余剰農産物のはけ口を見つけると同時に、その購入に対して、それぞれ国が積み立てるそれぞれの国の通貨を、それぞれの国の経済発展に利用させようという、新たな方同の、新たな形の経済援助の方途というものが前面にのし上つて参りまして、つまりマーシヤル援助式の経済援助から、朝鮮事変勃発に伴う軍事援助のようなものへの移行、それから再び休戦後、アメリカの最近の余剰農産物の処理にからませての経済援助への移行と、こう三段階にわかつておるのであります。そこで日本といたしましても、もともと食糧不足国でありますから、どこからか買わなくてはいけない、それを外貨を使うことなしに、この不足な食糧を入手し得て、しかもその購入に対して見返りとして積み立てた円貨を、日本自身の経済産業の発展のために使わしてくれるというならば、このアメリカの大きな流れは日本としては非常に歓迎すべきものではないか、従いまして将来どう発展いたしますかわかりませんが、発展いたした場合にも備えまして、やはり経済措置に関するものと買付自体に対する協定とは二本にわけておいた方が有利ではないか、そう考えた次第でございます。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 今の御答弁、わかりましたけれども、今回の経済措置に関する協定というものは、外務省の御答弁によれば、経済援助的な性格を持つているとお考えになるかしれませんが、これは防衛産業にのみ限られた援助でございまして、別に一般の日本の経済産業の発展に寄与し得るものとは考えません。ですからそういう意味からいいまして、今後のこれと同じような種類の協定が、はたして他の一般の経済産業の発展にも使い得るものであるかどうか、その点を承りたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 今般結びました協定におきましても、「日本国の工業の援助のため、及び日本国の経済力の増強に資する他の目的のため」と書いておるのであります。そこで一千万ドルの方は、概して軍需産業的なものに流れるでございましようが、その他の四千万ドルの方の域外買付ということは、これは必ずしも軍需産業だけに限定されたものとも考えられませんし、これは今後の話合いによるわけでありますが、また外国の例を見ますと、ドイツのごときは住宅不足を補う意味の、住宅の建設にまで使つております。従いまして、将来これをはるかに広い範囲に利用するというように話合いを持つて行くという可能性は、決してなくはないのでありまして、その点はただいまの御指摘の点と私どもの見通しは、多少異なる次第でございます。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 その点につきましては、あとの機会にもう少し承りたいと思いますが、そこでもう一つ承りたいことは、今度出されます四つの協定の関係ですが、私は一度これを伺いましたときに、四つとも関係がある、しかし親子の関係ではない、親子の関係ではないが関係がある、こういう御答弁で、ございました。それならば、もしこの国会でMSA協定が批准されないで、小麦買付協定あるいは投資保証協定か、そのいずれか一つが批准されたというふうな場合には、一体どういうことになるか、その協定は全然効力を失うのでしようか、それともあくまでも四つの協定はくつついたものとして批准されなければならない、こういう性質のものでしようか、その点をはつきり伺いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは政治的には四つの協定はあくまで一括御承認を願わなければならないと、政府側で考えるわけでございますが、厳格に法律的に申しましたならば、これは仮定でございますが、国会がある一つの協定には承認を与えて他の協定には承認を与えないという、私どもの最も希望しないところでございますが、かりにそうなりました場合には、やはり依然として国会が御承認になつたものだけが発効し得るということが、法律上可能でございます。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 その点はそれでわかりました。ではもう一つ伺いたいことは、五千万ドルを小麦を五十万トンと大麦を十万トンお買いになるようですが、それに支払う円貨は幾らになるのでしよう。おわかりになるでしようか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは私ただいま存じませんので、いずれ経済局長からでもお答え申し上げます。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 食糧庁の輸入計画課長がいらつしやいますが、おわかりにならないでしようか。

羽場光高農林事務官(食糧庁業務第二部輸入計画課長)

○羽場説明員 ただいまの御質問でございますが、ただいま私詳しい数字を持つておりませんが、大体小麦がIWA並で入ると考えまして、八十ドル前後、大麦が七十八ドル前後と考えております。なおただいま小麦八十ドル前後と申しましたが、それに商社の手数料その他を加えますと、若干それより上まわると思います。大体八十二ドル前後じやないかと思つております。そこで八十二ドル前後の五十万トン、それから七十八ドル前後の十万トン、それに三百六十をかければ、大体円貨の計算が出ると存じております。ただこれは、アメリカの市場も始終変動があることでございますから、大体の見通しとしてしか言えないと思います。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 そうしますと、五千万ドル全部を使うわけでなくして、幾らか余るわけじやないでしようか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 仰せのように価格が変動ないといたしますと、ただいまの予想では五千万ドル全部に達しない計算だと聞いております。従いまして余りました分につきましては今後話し合いまして、また何か農産物を品種を定めまして買いつけるということに相なると存じます。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 今どういうものをお買いつけになるか、お考えがございますか。

羽場光高農林事務官(食糧庁業務第二部輸入計画課長)

○羽場説明員 ただいまのところでは、まだ品目をはつきりきめておりませんし、またどれどれの品目の中から選ぶということも考えておりませんが、今までの私どもの見通しといたしましては、小麦か大麦かのいずれかでふえることになるのではあるまいかと考えております。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 国際小麦協定による小麦の価格で大体入る。その価格ですと、日本の国内の小麦の価格より安いと思うのです。その場合に、日本の消費者に渡す場合には、政府が幾らかもうかることになるのですが、そのお金もMSA協定に基いて使用されるのでしようか。それともそれはどこかほかの方でお使いになるのですか。その点を承りたい。

羽場光高農林事務官(食糧庁業務第二部輸入計画課長)

○羽場説明員 この点は小麦の輸入計画から申し上げなければいけないことだと存じますが、大体今会計年度で百九十七万トンの小麦の輸入計画がございます。それから来会計年度は百九十六万トンの小麦の輸入計画がございます。これは通常の輸入いたしております小麦よりははるかに多い数字でございますが、それは米の不作等によりまして、今年、来年にわたりまして小麦の輸入量がふえた結果となつております。それでこの小麦を輸入いたします場合に、やはりそれぞれ、アメリカ、カナダ、アルゼンチン、その他の国から買いつけているわけであります。MSAの場合も私ども買付の担当といたしましては、まつたくその場合と同様に、まあアメリカから買う場合の一部がドルを要しないでMSAで買えるのだ、そういうふうに考えております。従いまして小麦の売却価格等は、一般のほかの小麦と同様に考えております。従つて積み立てられる円と申しますか、その分は、実際に外貨を使いました分に相当する円貨が積み立てられるものであると考えております。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 もう一点だけ伺いたいのですが、MSAの援助を受けていながら、ほかの第三国より何らかの援助を受けておるという国があるかないか、その点条約局長から承りたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは理論的には考えられることでございます。アメリカの援助を、MSAに基く援助を受けておりまして、イギリスから資本なり、あるいは技術なりの援助を受けるという国は私はあり得ると存じております。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 今そういう例を御存じでありましたらお知らせ願いたい。もし御存じでなかつたら、この次までに資料をいただきたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 ビルマがアメリカとMSA援助に関する協定を結びましたときにはつきりビルマは、今までイギリスから与えられておる援助を考慮しということを断つておりますが、これはその一例であると存じます。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 もう一つだけお伺いいたしますが、一千万ドルの融資を割当てるにあたつては、相当の考慮が必要であると思いますが、これはどこで割当がなされるのでありますか、つまり一千万ドルを防衛産業投資に使われると思いますが、その場合にどこで割産てるか、その割当はどこでおきめになりましようか。外務省、通産省だけですか。それともやはりアメリカに一応了解を得るかどうか、その点をどうぞ……。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 アメリカとは、大きな使用目的につきましては、それは常時相談することでございましようけれども、現実の割当を定めるのは日本政府だけの仕事でございまして、御指摘のように、外務省、通産省、経済審議庁、関係省が相談してきめることになると存じます。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 その場合に通産省に特に何か課を設けるのですか。それとも今まであつたものを利用してやられるのでありますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 その点はまだきまつておりません。通産省の方でそういう機関をつくるということも伺つておりません。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 あとの質疑は時間がございませんから、この次にいたします。

上塚司自由党

○上塚委員長 それではこれをもつて本日は散会いたします。    午後五時二十五分散会

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