外務委員会 第7号
- 発言数
- 167 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/02/13
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 まず国際労働機関の総会がその第二十八回までの会期において採択した諸条約により国際連盟事務総長に委任された一定の書記的任務を将来において遂行することに関し規定を設けることと、国際連盟の解体及び国際労働機関憲章の改正に伴って必要とされる補充的改正をこれらの条約に加えることとを目的とするこれらの条約の一部改正に関する条約(第八十号)の批准について承認を求めるの件、国際労働機関憲章の改正に関する文書の受諾について承認を求めるの件を一括議題といたします。政府側より提案理由の説明を求めます。小瀧外務政務次官。
○小滝政府委員 ただいま議題となりました千九百四十六年の最終条項改正条約について、提案理由を御説明いたします。 この条約は、一九四六年の第二十九回国際労働総会で採択されたものでありまして、その内容は、国際連盟が解体した結果国際連盟の存在中に採択された諸条約(七十六条約)の最終条項を改正するとともに、それらの条約に対して現行の国際労働機関憲章の規定と合致させるために必要な修正を加えることを規定したものであります。 わが国は、本条約による修正の対象となる条約のうち十四条約を批准しております。従つて、これらの十四条約につきましては本条約に規定する修正が必要であり、また、今後この種の条約でわが国が未批准のものを批准する場合にも本条約による修正を認めておく必要があるのであります。 この条約は、一九四七年五月に効力を生じ、現在までに四十一箇国がこれを批准しております。 以上の点を了察せられ、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。 次に国際労働機関(ILO)憲章の改正に関する文書について、提案理由を御説明いたします。 この改正文書は、昨年の第三十六回労働総会で採択されたものでありまして、その内容は、現行の憲章の一部を改正して理事会の構成員を増加しようとするものであります。この理事会の構成員の増加は、最近におけるILO加盟国の増加の事実を考えますと、まことに妥当な措置であると思われますし、同時にまた、わが国にとりましても、わが国が理事国となる可能性を増すものであるという点から、きわめて有意義であると考えます。 この改正文書は、現在常任理事国である八国のうち五国を含む全加盟国の三分の二、すなわち、四十四箇国がこれを批准または受諾したときに効力を生ずることになつておりますが、本年一月十五日までに批准または受諾した国は二十箇国であります。たまたま理事会の改選が本年六月の総会で行われることになつておりますので、右総会の開催前にこの改正が効力を生ずるよう加盟国はいずれも本件に対するそのすみやかな措置を要請されているのであります。 以上の点を了察せられ、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。
○上塚委員長 ただいまの両件につきましては、審議の都合上次会に質疑を行うことといたします。 —————————————
○上塚委員長 次に日本国とインドネシア共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定の締結について承認を求めるの件、第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権の保護に関する日本国とデンマークとの間の協定の締結について承認を求めるの件を一括議題といたします。両件について質疑を許します。並木芳雄君
○並木委員 インドネシアとの沈船協定の問題でありますが、十一日付のジヤカルタのUP外電によりますと、サストロアミジヨヨ・インドネシア首相は大分御不満のようであります。外務次官もごらんになつたでありましようが、「東京でつくられた日本側の声明は、日本側が賠償を義務と考えず、一方的な考え方に基いた経済計画実現の手段としてのみ考慮しているような印象を与えている。インドネシアは、対日賠償要求はインドネシア人のこうむつた損害に基く法的な要求であると考えており」云々、こういう外電なのです。そうすると、この外電の中にありますサストロアミジヨヨ首相が引用している日本側の声明というものは、どういうものをさすのでありますか。何か外務省としてステートメントを出したか、あるいは交渉の条件というものを出してあるのか、これに対する答弁を求めたいと思います。
○小滝政府委員 政府のどの声明をとらえてこういうような印象を受けたか、はつきりいたしませんけれども、いろいろ誤解があるようであります。大臣が関西へ参りましたときに、関西の財界の人と話したのが誤り伝えられて、大臣としてはもちろん賠償の義務をすみやかに遂行しようとするのだが、同時に東南アジアの経済力が回復する方面に貢献することができれば、さらに幸いであるというふうな趣旨を述べたようであります。しかしそれはあたかも日本の方で経済的利益というものを主眼に賠償を行わんとしているかのごときとり方をせられているようでありますが、これは非常に遺憾なことであります。ことに今並木君がおつしやいました日本の一方的経済計画というようなものを推進しようとしているなどということは、これは全然事実に反するものでありまして、こうした点は過般の本会議における外務大臣の演説をごらんになつてもおわかりくださるだろうと思います。何かそうした誤解によつてこういうふうなインドネシア側によくない感じを与えたということは遺憾でありますから、今後外務省といたしましては、できるだけこうした誤解が解けるように努力いたしたいと思いますし、議会の方でも御協力をお願いする次第であります。
○並木委員 誤解であるならばけつこうであります。しかしいやしくも首相がこういうことを新聞記者の会見で言う以上は、何かそこに根拠があるだろうと思います。日本政府はわれわれに向つては十分先方と話し合つて沈船引揚げから着手するということを申しておりますけれども、その意思が伝わつてないのじやないですか、十分伝わつておりますか。そうして向うで要求するように損害を賠償するんだという見地から、向うがこの前の答弁ですと、たしか百七十二億ドルですかの総額を示したら、それに対してやはり日本としてはとうていそれはできない額ですから、こちらとしてはこのくらいしか誠心誠意やつても払えないんだというような額なども示しておくべきはずであるのですが、そういうような点はどうなつていますか。
○小滝政府委員 先方の方で誤解であるという点につきましては、今後も努力しなければなりませんが、同様な趣旨が新聞記者に述べられたというような情報がありまして、さつそく本省からも倭島公使に対して正式に申入れをして、これは誤解であつて日本の趣旨とするところはかくかくであるということを申し入れております。そういう措置をとつております。
○並木委員 政府の方針は先方によく伝わつておりますか。つまり賠償イツトセルフというのでなく、同時に東南アジアの貿易を進めて行くためには、まず貧困な東南アジアをゆたかにしてやらなければいけないという、外務大臣の外交方針演説にございますその趣旨は、先方によく伝わつておりますか。この首相の言明ですと、損害は損害であくまで損害に対する賠償として日本政府は臨んで来べきだと正面を切つている。これが正面の単なる辞令ならばかまいませんけれども、辞令でないとなれば、やはり私どもは日本の政府に聞いておかなければならないわけなんです。十分先方にその意思が伝わつておりますかどうか。
○小滝政府委員 私どもの方は十分向うに伝わつておると思いますし、ことにこういうような報道もありまして非常に遺憾に存じまして、大野公使また倭島公使が先方でも非常な努力をいたしているような次第であります。また日本側が義務として認めることはこれはもちろんでありますが、こちらで何も計画をして、そのゆたかにするような方法を押しつけようとしているものではなくて、向うにも先般も申しましたようなアサハン計画のようなものがあつて、それが向うの経済力を増進するとなれば、そうした経済力増進にも役立つような方面に、賠償というものが活用できたら、相手国のためにも非常にけつこうなことであるという趣旨を、十分徹底させるように努力している次第であります。
○並木委員 すると沈船引揚げの次の第二の計画は、どういうものになつておりますか、具体的に……。
○小滝政府委員 まだ交渉の過程でありまして、具体的にはどれをやるということは確定いたしているわけではございません。しかしただ先ほどちよつと言及いたしましたアサハン計画のごときものは、もちろん具体的な方法とかあるいはその内容がはつきりしているわけではありませんけれども、そうしたものもだんだん取上げられるに至るのではなかろうかというように期待いたしております。
○並木委員 アサハン計画の点について少し説明を願います。どういうものであるか。
○小滝政府委員 先ほど申しましたように交渉の過程にありますし、また内容が確定したものでもありません。ここでそうしたことを申し上げる段階に至つておりません。またこれは発電計画でありまして、今後話合いの対象として取上げられるところの重要な問題であろうというふうに考えております。
○並木委員 沈船引揚げの協定が結ばれますと、実際に着手する時期はいつごろになりますか、予定としては。
○小滝政府委員 これは中間諸協定が双方の国によつて承認されまして、実施に入つてから六箇月以内に開始する。そうして四年以内にこれを終了するということになつております。
○並木委員 では次にデンマークとの間の工業所有権保護に関する協定について特許庁長官の石原さんに一点だけお尋ねしておきたいと思います。この協定は工業所有権の特許または登録の出願のための優先期間の延長、並びに消滅した工業所有権の回復及び無効となつた特許出願または登録出願の効力回復を内容といたしておりますので、この協定が結ばれますと、今まで眠つておつた特許とか登録、要するに工業所有権が目をさまして来ると思います。それで、日本及びデンマークにおいてどういうようなものが現実に回復して来るか、それから今後この協定によつてどういうような工業権が双方において認められるようになつて行く予定でありますか、それを具体的に御説明願いたい。
○石原(武)政府委員 お答えをいたします。この協定の対象となつておりますものは、第一条にございます優先権の主張の特例の問題と、それから三条の一項にございます特許料、登録料等を納めることができなかつたために失権をいたしました特許権等の回復の問題、それから三条の二項に規定してございます出願無効になりました特許出願等の効力の回復、この三点でございます。今お尋ねの、この協定ができました際にいかようなものが出て参るかという点につきましては、まずデンマーク人が日本にこの規定の適用によりまして、出願その他の手続をする場合について申し上げますと、第一の優先権を主張して参ります場合は、実は今後の問題でありますので、この規定が発効いたしますと、この規定を援用して、デンマーク人がいかなる特許出願について主張して参りますか不明であります。これは的確なことを申し上げかねるわけでございますが、先般同じような趣旨の協定ができておりますドイツ、スイスに対しまする戦前における割合から申しますと、ドイツ人が日本に出願しております数の約一%、百分の一程度であります。スイス人の日本に対する出願の件数と比較いたしましても一割程度で、どの程度のものを具体的に主張して参りますかはわかりませんが、大した数にはならぬだろうと思います。ごく荒つぽいことを申して恐縮ですが、推定を申しますと、数十件程度のものが出て来るのではないかというように考えおります。これはさほど確たる根拠はございませんが、一応われわれの方ではその程度のところではないかというふうに考えております。第二点の料金不納によりまして特許権等が消滅をいたしましたものについては、約二十件ございます。現在生きております権利としてこの対象になりますのは約二十件。第三点の、権利にはなつておりませんが、出願中途でその手続が無効になりまして、この協定ができますとそれの回復の主張ができますものが三件でございます。 以上がデンマーク人の側に立つた場合の件数でありますが、日本人がデンマークに出願をしておる、あるいは権利を持つておるというような場合につきましては、実はわれわれの手元では調査ができませんので、数字がつかめておりません。日本人が今後デンマークにどの程度の優先出願をするかということにつきましては、これも先ほど申しましたように、今後の問題でありますが、最近一、二年の間に日本人がデンマークに出願をしておりますのは、二十七年の三件、二十八年の一件であります。これらの結果から申しますと、日本人がこの協定によつて、デンマークに優先権を主張して出願する件数は、非常に少いのではないかと考えられますし、従いまして失効した特許権あるいは出願無効になつたものについても、ごく少数ではないかというふうに想像いたしております。
○並木委員 今件数を御説明いただきましたが、それらがどういうものかわかつておりましたら、おもなものだけ御説明願いたい。
○石原(武)政府委員 御承知のようにデンマークは内燃機関が非常に発達しております。あそこにバーマイスターという有名な会社がございまして内燃機関とかその部品が主たるものでございます。今その件数全部の内容を御説明いたしかねますので、もし御必要がございますれば、資料として御提出いたしたいと思います。
○並木委員 それではそれは別途資料としていただいてけつこうです。日本から二十七年三件、二十八年一件というのはわかつておるのでしようか。
○石原(武)政府委員 ただいま手元に資料を持つておりませんので、これも一緒に内容を出させていただきたいと思います。
○並木委員 今後またこういう工業権の協定を他の国々と結んで行く予定になつておると思いますが、現在の段取りではそれがどういうふうに進行しておりますか、どこの国といつごろ結んで行きますか。
○石原(武)政府委員 お答え申し上げます。かような趣旨の戦時中の善後措置の協定を今結ぼうと考えておりますのは、スウェーデンでございます。これは外務省を通じて昨年来交渉中でございます。まだ向うの態度がはつきりいたしませんので、具体的な条項を交渉するまでに至つておりませんが、大体同じような趣旨の協定を結ぶつもりでございます。その他の国々については現在のところ相手国側からの申出もございませんし、今のところこのような趣旨の規定の協定をすぐ結ぶということは考えておりません。
○岡田(勢)委員 並木君の質問に関連してお尋ねいたしたいと思います。インドネシアとの沈船引揚協定でありますが、先ほど小瀧政務次官のお答えでは、協定ができてから六箇月以内に着手するというように承りました。ところがこの協定は両国政府の承認を要する問題でありますが、協定締結から今日まで承認が遅れております。そこでその六箇月というのは、それに関係なく、協定ができてからでございますか、あるいは批准をされてから六箇月ということでありますか。
○小滝政府委員 この協定では批准という言葉は使つておらず、承認という言葉を使つております。実質的には批准のように、双方から国内手続を済ました場合に通報するわけであります。それで第五条に「この協定は、その承認を通知する公文が交換された時に効力を生ずる。」でありますから、今調印は済んでも、この公文交換がない期間は効力は発生しておらないので、先ほど申しましたのは、言葉が足りなかつたと思いますが、効力を発生してから六箇月以内ということであります。
○岡田(勢)委員 そうしますと、日本でいうと、国会の承認を経てから六箇月ということでございますね。ところでここにうたわれておる金額でありますが、この二十三億四千万円という金額は相当な根拠で見積られたものと思いますが、これはまだ実際的の現地のインスペクシヨンが行われておらないはずであります。もしインスペクシヨンが行われた結果、この金額に増減を来すことになつても、日本政府の責任としては、この金額以上には支出をしない、こういうことについて先方は了承されておるのですか。
○小滝政府委員 一、二、三と第一条の中にありまして、二項できめたところは確定した額でありまして、これを越えないものとするとなつております。ただ先方の希望もありまして、第三項に但書のように、「六十隻より少なくない沈没船舶の引揚作業の費用にあてるために充分であると見積られる。」ということを書いてありますが、実際上やりましてそれより少くなるような場合があつても、それによつてぜひ六十隻を揚げなければならぬというので、ふやすという趣旨のものでないので、その辺は先方も十分了解しておる次第であります。
○岡田(勢)委員 わかりました。この金額より以上よけい費用がかかります場合でも、現地において仕事の量を減少してでも、日本の国はこれ以上の費用を負担しない、こういうことに了解してよろしいのですか。
○小滝政府委員 その通りでございます。
○岡田(勢)委員 これに関連しまして、日本の東南アジアとの国交の正常な回復、並びに貿易の促進等がやかましい問題となつておりますが、これらの問題を早く解決すべきだが、政府としてもやらなければならぬ事柄と思いますが、現実の問題は今日まで遅れておる。そこでおそらく国会におきましてはこの種の協定が承認されるであろうと思いますが、政府におかれましては、その第一段階として、技術的の現地インスペクシヨンをいつごろ行われるお考えであるか、またその準備がなされておりますかどうかということをお伺いしたい。
○小滝政府委員 仰せの通り実地調査というものができておりませんから、この公文交換が済んだら、できるだけすみやかな機会に先方に差向けたいというふうに考えております。
○岡田(勢)委員 これに関連しまして、インドネシアとの総額の問題の交渉は始められておりますか。おそらく私もまだだろうと思いますが、これは総額の問題と関連して、相当問題が重要であると思います。それで総額の問題の交渉は、今元のアジア局長が日本の代表としてインドネシアに行つておられますが、どの程度その交渉が進んでおられましようか。 それからもう一つついでに、フイリピン政府との総額の問題が、その後大野公使と先方当局との間で交渉がされておると聞いておりますが、これがその後公表されておりませんが、どの程度に進展をしておりますか。あるいは最近に解決の見通しは立つておりますかどうですかということを、できるだけ詳細に承りたいと思います。
○小滝政府委員 仰せになりました総額の点についても話合いを進めておりますが、いつごろこれが最終的に決定できるか、そうした見通しについてはまだはつきりしたことを申し上げかねます。しかし双方とも熱心に話合いを続けておりますから、われわれとしてはできるだけ早く、総額の問題だけでなしに、賠償に関する諸般の問題が決定されて、正常な関係が両国の間に打立てられるように期待し、その努力を続けたいと考えております。
○上塚委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 ただいまの日本とインドネシア共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定の中で、二、三点簡単な点ですからまとめて質問したいと思います。 まず第一にこの作業に要する日本の労務は大体どのくらい予定されていられるか、労務者の数は大体どのくらい予定されているかということをおわかりになつたらお話いただきたい。 それから第二点は、この作業によつて得たスクラップが日本に何らかの形で得られるかどうかという点。 第三点は、この四条に書かれておりますが、両国の間に何らかの紛争が起きた場合にその委員を任命する、その委員がすでにきめられているかどうかということと、第三の委員はどういうところから出そうと考えられているか、その点を伺いたいと思います。
○小滝政府委員 第一点は、労務者の数とか労働量が幾らくらいかということでありますが、この点は先ほども岡田さんにお答えしておりましたように、調査もまだ済んでおらないので、はたして幾らになるか調査を見た上でないとわからないというのが現状であります。但しフイリピン関係で大体二百人程度でありますから、それほど多数が行かなければならぬというような必要はないだろうというふうに考えております。 それからスクラップの利用の問題でございますが、これについては別段のとりきめはございません。コマーシヤル・ベースで話合いをして、こちらの方で買うということになればそうした話合いもつくのじやないか、おそらく日本で利用し得るのではないかというように期待しておる次第であります。 それから第三番目はこの第四条の問題と思いますが、これはここに書いてありますように、両国間の協議によつて解決されないものは、双方で委員を選定し、また第三の委員を選定するというようになつておりますので、現在あらかじめきめておくというのでなしに、こうした紛争、こういう問題が起りましたときにきめる趣旨というように了解しております。従いまして第三の委員というものについても、何ら今確定した人がきまつておるわけではございません。
○戸叶委員 それでは工業所有権の保護に関する日本国とデンマークとの間の協定の中で、先ほど並木委員から、私伺おうと思いましたことは御質問になりましたので省略いたしますが、一点お伺いいたしたいことは、日本側としてこれと同じような種類の協定をどうしても結んでもらいたい、日本の工業所有権の保護に最も関係が深いから、この国とは積極的にやつてほしいというふうに望まれる国があるかどうかを承りたいと思います。
○石原(武)政府委員 お答えをいたします。現在のところ事務的に考えておりますのは、先ほどお答弁申し上げましたように、スウェーデンで。これは交渉中でございます。大体同じような趣旨の協定を結びたいと考えておるわけでございます。それから、その他の国につきましては、現在のところはこれと同じような趣旨の協定を結びたいというふうに積極的に考えておるところはございません。少し性質が違いますが、韓国でございますとか台湾とか、何と申しますか、分離地域というのですか、ああいうところとはぜひとも何らかの協定を結ぶ必要があると考えております。これは趣旨から申しますと、ちよつとこの協定と同じような協定というわけに参らぬと思いますが、特殊な事情による地域の協定ということになりますが、これはぜひ将来なるべく早い機会に、何らかの機会において協定を結びたい、こういうふうに考えております。
○上塚委員長 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、これをもつて両件についての質疑を終了することといたしまして、次会において討論採決することといたします。 —————————————
○上塚委員長 次に外交に関する件について政府当局に対し質疑を行うことといたします。
○戸叶委員 緊急質問です。昨日の新聞に、米軍が九十九里の射撃場で、日本漁船に対して実弾で威嚇射撃をしたということが出ておりましたが、これが事実であるといたしますと、日米合同委員会等の話合いと違うと思うのですけれども、合同委員会に何かの抗議を申し込まれたかどうか、その点を承りたいと思います。この辺の真相をまず承りたいと思います。
○小滝政府委員 伊関局長が来ておりますから、詳細説明いたすと思いますが、あそこではできるだけ現地の漁民の利益も考えまして、米軍側は区域を限つて、しかも月曜と木曜の間十二時から六時まで行うというようにいたしまして、これは豊海の漁業組合などには十分通達して、そこへ入らないように措置をとつておつたのであります。ところが現場の漁民でなしに、遠くの、よその村から出て来たのが、魚族を追つてそこへ入つて来るということは、これまでも再三繰返されたようであります。しかし米軍といたしましては、できるだけ話合いをして、事を荒立てないようにやろうというので、日本側に通報して、日本側からそういうことの起らないように手配をしてもらうようにしておつたのであります。しかし何分巡視船などの監督官の数も限られておりますので、十分の手配が行かなかつたために、またそこへ出て来たので、これに損害を与えるというような意味でなしに、威嚇射撃というようなものをやつたそうであります。今後はこういうことのないように、ただ豊海の漁業組合のみならず、これに近接する地域の漁業者に対しても、この趣旨を徹底させるように、政府として万全を期したいと考えております。
○戸叶委員 今の御答弁によりますと、月曜日と木曜日の間はここで実弾射撃をするので、その間は禁じられていたようなお話でございましたが、そういうことが漁民に一体徹底しているのかどうかということと、それからまた、今後におきましても、今回の例において見ますように、付近の村から漁夫が入つて来るということも考えられますけれども、そういう人たちに対しても、もつと徹底した方法というものを、どういうふうにしてお考えになつていられるかをお尋ねいたしたいと思います。
○伊関政府委員 演習のやり方、使用の方法については、政府の告示でもつて十分周知徹底せしめてあるわけであります。知らずに入つて来たのか、知つて入つて来たものかという点については、私はかなり疑問があるのじやないかと思つております。現地の漁民は割によく守つておるようでありますが、ほかの府県から来る者が、ときどき規則を守らないということを聞いております。この場合もほんとうに知らないのか、知つておるのか、漁があるので、ついやつておれば、船がある間は米軍も撃たぬだろうというようなことでやつておるのではないかという懸念も多分にあります。その点は目下千葉県において調査いたしております。これがはつきりいたしました上で、次の措置をとりたいと考えておりますが、ともかくはつきり演習時間中は立入り禁止になつておるわけでありますから、禁を破つておるということになります。 それから非常に大漁の場合、そういう際には事前に打合せをいたしまして、そうして演習時間を繰下げるということも話がついております。そういうことも実行されておるのでありますが、今回の例はそういうのでなくて、全然事前に米側と連絡をとらずに、立ちのけといつても立ちのかないというふうなケースであります。
○戸叶委員 知らずにやつたか知つてやつたかは疑問があるというお話でございましたが、その点もしも知らずにやりましたならば、どういうふうな態度を外務省としておとりになるか。それからまた一体こういうふうな場合に、実弾で威嚇射撃というものをしてもいいというふうな話合いがついていられるかどうか、その点を伺いたい。
○伊関政府委員 知つておるものか知らぬでおるかという点は、今調査いたしておりますから、その点がはつきりいたしました上で、もし事実全然知らずに入つて来るというふうなことがあるとしましたならば、この点はもう少しよく周知せしめる方法をとらなければならぬと思つております。それからまた威嚇射撃といいますか、警告的な意味で射撃したのでありますが、こういうことをしていいかどうかという点の話合いがついておるかというお話でありましたが、今までこうした必要がなかつたのであります、ともかく禁止区域には入つて来ない。それから間違えてあるいはちよつとはつきりしないで入りました場合も、こちらから注意をすれば大体出て行つた。しかしたび重なりまして、今度やつたわけであります。今後こういうことがないように、どういう方法をとつたらいいかという点もあわせて現地で研究しております。
○戸叶委員 そうすると、今まではこういうふうな場合がなかつたために、こういうふうな場合が起きたときには、威嚇射撃をしていいか悪いかということさえもお話になかつたのだと了承をいたしますけれども、今後はこういうような場合には、威嚇射撃をしてもいいというふうな話合いをなさるおつもりなんでしょうか、一体どういうふうにお考えなんでしょうか。
○伊関政府委員 何と申しますか、理論的にいえば、時間が来れば撃てるということになつておりますが、そういうことで人命に損傷を与えるというふうなことは、極力避けなければなりません。この点は日米ともに同じ考えでおりますが、実際問題としてそうした必要が起らぬように具体的な方法を考えよう、こう思つております。
○戸叶委員 万が一ということが起らないとも限りませんので、こういうことはぜひともしないようにしていただきませんと、ますます日米間の感情というものが悪くなるのじやないか、私はその点を心配するものでございます。そういう点を特に御注意願いたいと思いますし、またどんな場合にも他の方法をもつて解決するようにしていただいて、実弾での威嚇射撃ということは絶対にしないということを厳重にお申入れ願いたいと思いますが、その点はお申入れになる確信をお持ちになるかどうかということと、もしも知らずにおるのならば、この威嚇射撃ということに対しては、何らか政府として抗議を申し込まれる権利がおありになると思いますが、その点はどうなんでしようか。
○伊関政府委員 問題は両方にあるわけでありまして、米軍としましてもそういうふうなあぶない方法はなるべくとらぬように、今度ももちろん警告的な意味で撃つております。ですからめつたに万一ということはなかろうと思いますが、しかし日本側にも法律を守るという義務があるわけでありますから、その点をもう少し励行しなければならぬ、こう考えております。
○戸叶委員 不満ですけれども……。
○上塚委員長 福田篤泰君。
○福田(篤)委員 私は緊急的な問題と一般外交問題につきまして、政府側に御答弁いただきたいのであります。 まず第一に、武蔵野の米軍宿舎の問題でありますが、それは伊関協力局長が日米行政協定の線に沿つて、困難な問題を非常に努力せられたことを、常々私は大いに多とするものであります。まず昭和二十七年の十月十七日に、あなたの名前で武蔵野市長あてに公文書を出しておりますが、その中で、「今般米軍関係施設の用途計画検討の結果、右宿舎には米軍将校家族のみを収容すること」云々と書いてある、こういう公文書について御記憶があるかどうか、まずそれをお伺いいたしたい。
○伊関政府委員 今私は十月三日に決裁になつておる書類を持つて来ておりますが、それと同じかどうか。——出しております。
○福田(篤)委員 今伊関局長が出しておると認められましたので、間違いないと思いますが、その中で明瞭に米軍将校家族のみということがある。これは局長非常に苦慮された問題でありまして地元の武蔵野市におきまして初め非常な反対があつた。これを理事者側あるいは市会側におきましても非常な苦心の結果、同時にまた政府側も非常にあつせんに努めまして、こういう線でようやく円満に解決した。私個人の考えを申しますならば、こういう米軍の施設に対しましては、当然われわれは全面的に気持よく協力すべきである、しかしながら、政府側並びにアメリカ側も、約束ははつきりと守るべきであるという考えを常々持つておるのでありますが、事実非常に遺憾なことが今起りかけておるのであります。それは三十億もかけたあの厖大な、りつぱな米軍宿舎が、二月七日から市民に公開されております。ところがこの公開の結果、市民が中を見ますと、地下室に下士官クラブという標識のついている部屋がある。反対側の方も、従来一応あなたの言明を信じ、公文書によつて政府側の処置を信じまして賛成した者も、非常に憤慨しまして、話が違うと言つている。政府は市長あてに正式の公文書で、しかも累次この問題に触れております大きな問題でありましたので、決して風紀問題で心配をかけぬ、将校宿舎であるからということをたびたび言われた。地元もようやく納得してこの問題を解決したにもかかわらず、公開の結果、建物の地下室には下士官クラブという標識が明瞭に出ておるそうでありますが、この事実をお知りかどうか、お伺いしたい。
○伊関政府委員 遺憾ながら私はその事実を存じておりません。
○福田(篤)委員 これは局長まだ御存じない、あるいは報告が来てないと思いますが、昨日の市議会におきましてこれが非常な問題となりました。これは政府の威信にかけましても、また日米間という大きな友好関係の上からいつても、やはり円満に解決した最も大きなポイントでありました将校宿舎、いわゆる将校の家族だけを収容する建前を貫くべきであろうと思いますが、それについての局長の御所見を承りたい。
○伊関政府委員 ただいまおつしやる通りでありまして、私も当然約束は守るべきものと考えておりますから、至急調査いたしまして善処したいと思います。
○福田(篤)委員 私は伊関局長を個人的に存じ上げておりますし、必ずあなたが約束を守つて下士官とかあるいは兵隊を入れるようなことは絶対ないと思います。今の御説明を私は信用します。と同時に、実際こういう下士官クラブという標識が出ておるのを市民が見ておるので地元で紛糾しておりますので、これはもうきようからでもただちに御調査願つて、もしそういうことがあるならば、アメリカ側に厳重に申し入れていただきたい。お約束を守つていただくことを再確認しておきたいと思いますが、これについて御所見をもう一回承りたい。
○伊関政府委員 至急調査いたしまして善処いたします。
○福田(篤)委員 私は再度の局長の御言明で、必ず将校家族のみを収容する宿舎ということの約束を政府が守られ、またアメリカ側でも守るであろうということをここに再び確認しておきます。 これに関連いたしまして、あの宿舎の周辺地区に、いわゆる行政協定の道路がいろいろ計画されておる。これにつきましても、この問題は二年間ももめた問題でありますので、いろいろ地元ともあなたが直接折衝されたことは御記憶であると思いますが、その際しばしばあなたが言明された点は、道路その他施設につきましても、地元には一銭も迷惑をかけないということを言われておりますが、まずこの点をもう一ペんお伺いいたしておきます。
○伊関政府委員 私が申しましたのは、こういう施設は政府として必要だから地元では反対があろうが了承してもらいたい、そのかわりに、交通量がふえるとかいうようないろいろな問題があるので、市長の方の要望に応じて御相談したい、こういうことを申しておいたわけであります。ですからそれに対して道路をどうしてほしいとかいうような点については、市長から具体的の要望をしていただけば、それに対して十分御相談に応ずるということを初めから申しておるわけであります。
○福田(篤)委員 今宿舎の周辺の道路につきまして計画がすでにできておるようであります。一応の予定線でありましようが、その場合に、当然地元とあなた方との話合いの過程において、市議会としてもあるいは理事者としても、地元は一銭も出す必要はないだろうということは常識的にみな信じておるわけであります。この場合に、従来地元の要望で一種の行政道路ができる場合には、あなたもよく御承知のように、国が二分の一を出し、あとの四分の一を都なら都という地元の自治体が持つ、あとの最後の四分の一を地元が持つということになつておりますが、この問題は、とにかく地元にはこれに関連して一銭も財政的負担をかけないとあなたがはつきり言われておりますので、こういうような行政道路ができた場合にも、当然これは国家が全額負担すべきであろうと思いますが、これについて御意見を承りたいと思います。
○伊関政府委員 私は一銭も負担をかけないと申しましたかどうか、その点は記憶がございません。そういうふうなことを言つたとは私もよく覚えておりませんし、言つていないのじやないかと思いますが、いずれにしましてもこの道路を直す場合は、いろいろと県道とか国道とかによりまして地元負担とかいうようなものはいずれの場合でもついておるのが実情ではないか。私も地元負担の関係のことはあまり詳しいことは知らないのでありますが、米軍が行くために家をこわす、だから当然直す、しかしそのほかに道がよくなれば、一般の周辺の人も当然それに均霑する面もあろうというようなことにもなるであろうと思います。私はあまり地元負担との関係というものは、初めからよく知らなかつたのでありまして、ですからそういうふうに全然一銭も負担をかけないというようなことを申したかどうか、そういうことはどうも申していないのじやないかというような気がいたします。一般の例に従つてそういう問題は考慮するつもりでおつたと私は思います。
○福田(篤)委員 まだその点につきまして不明確な点があるようでありますから、もう一度市の理事者なり、あるいはじかにあなたが接触された当事者についてもよく調査してみたいと思います。その上であらためて交渉いたしたいと思いますが、地元としては、もし負担を地元自身支出するような場合には、何も米軍宿舎の前の道路よりも緊急の道路が幾らでもある、市自体の都市計画からいたしましても、幾らでもほかにかけられますので、そういう場合に、今まで私どもの聞いておる範囲では、地元に一銭も金をかけないというので安心してこれをやろうと思つていたときに、やはりこれは一般並に地元も規定通りの金を払うべきだという今のような御答弁にもしなるならば——これは仮定でありますが、そういう場合においては、市自体として必要な道路にまず着目するのが、私どもの考えられる当然の手段であると思いますが、こういう場合の責任は、局長としてどうおとりになりますか。
○伊関政府委員 どうお答えしてよいか、なかなかむずかしいわけでありますが、市としましても、おそらくこの道路は緊急順位がありましようけれども、やはりあの辺の緊急順位が二番目か三番目になりましても、いずれかは直した方がいいという面はあるのじやないかと思います。いずれにいたしましても私は道路の問題につきまして具体的に折衝いたしておりません。私の部下がやつておると思いますから、そのときにどういう話をいたしておりますか、ちよつともう少し調べてみたいと思います。私自身はそれほど具体的にどこの道路をどうしてほしいという話は聞いておりませんし、原則的に私は市長の要望に応じてやつて行くようにということを言つたわけであります。その後の具体的な話合いというものは、むしろ私の部下と話しておつたのではないか。どういうような話合いになつておるかよく存じないのでありす。
○福田(篤)委員 それではもう一度具体的によく調査しまして、その上で交渉しますが、あなたの方も具体的にこの点を、今まで言われたこと、また今あなたの下僚において何らかの下相談があるなら、それについて十分調査を願いたい。なお将校家族を入れることはここではつきり御言明ありましたので、伊関局長に対する質問はこれで打切りたいと思います。
○伊関政府委員 先ほどの答弁で私は将校とその家族と申し上げました。これは問題は、独身者を入れてほしくないというのから始まつたのであります。それから独身者は入れない、家族宿舎にしようということになつたのでありますが、ひよつとしますと女の独身者をある期間入れるというふうなことを、一時的でありますが、考えるかもしれません。これはほかの宿舎を明けて行きます関係上、男を入れると問題を起すだろうが、女の子ならば問題はないだろうというので、まだこれは具体的にはなつておりませんが、そういうようなことも考えておりますから、そういうふうになりますことがあるいはあるかもしれません。そのときはあらためて御相談いたします。
○福田(篤)委員 せつかく先ほど調べて明確な誠意ある御答弁におあいしたことが、また問題をひとつぶり返したので心配になつたのですが、これはあくまで公文で市長あてにあなたの名前ではつきりと将校家族のみと書いてあります。これは例外を認めるというようだが、それでは運営上非常に今後よくないのではないか。これははつきりとやられたい。先ほどの答弁を守られて、先ほどの公文通り、お約束通り、政府の威信からいつても例外ということは、ことにそれが長引いてしまつて例外が原則になるおそれもあるので、それらのことは政府として、またいろいろのことをされておる特調としても、おもしろくないと思いますので、この辺は一切例外を認めないという最初の言明をもう一ぺん確認してもらいたいと思います。
○伊関政府委員 私はそうしたいと思つておりますが、そういうふうな考えも一時ありましたので、あるいはそういうことをお聞きになつた方もあるかもしれない。うそをついたと言われるのも心苦しいと思いますので申し上げたのでありますが、最初の方針で行きたいと思つております。
○福田(篤)委員 行きたいと思うのじやなくて、行かなくちやならぬ。希望じやなくてあなたの義務である。それではつきりしていただきたいと私の質問した点は、下士官クラブとはつきりと標識がある。あなたも調査なさればよくわかりますが、市民が見て非常に憤慨している。だまされたと言つておる。私も歯にきぬ着せずに申しますが、政府のやり方はこれだから信用できないと言つておる。まじめにアメリカと協力してやろうという一部の人々、賛成派が非常な苦境に立つておる。あなたも公文ではつきり言われておる際にも幾度も言われておることでありますから、そういう誤解を招くようなことはおやめになつて、もし下士官クラブの標識があれば、ただちに撤回して、これはアメリカ側のためでもありますし、今後の長い問題でもありますから、この点で例外や妙な一時のがれをやめて、はつきりとこれまでの線で行つていただきたいということを政務次官に伺いたいと思います。
○伊関政府委員 その点は先ほどはつきり申し上げたのであります。
○福田(篤)委員 それでは局長の言明を信用します。ただ道路につきましてはまだ答弁もあいまいな点がありますので、もう一度調査の上よく政府側の御意向を確かめたいと思います。 次に政務次官と条約局長にお伺いいたしたい思いますが、いろいろ問題がありまして大分延びましたMSAの調印も、大体アリソン大使がアメリカから日本に帰られてそれをやるということが常識になつており、アリソン大使も向うでそう発表しています。大体二十六、七日かお帰りになるようでありますが、今まで延びた一つの理由として岡崎外相その他の幹部の方が本委員会において説明された大きなポイントは、延期の理由は、その中身、援助の内容について、まだ保安庁とそのときの具体的な話合いがきまつてない、これがはつきりしてから具体案をつくりたいという御答弁である、これは議事録にもはつきり載つております。この点について私どもは心配しておりますことは、日本側としては、しばしば本会議並びに委員会においても政府側が言われておりますように、大体陸海空の三軍の建前で行つている。日本のいわゆる自衛隊の増強、増加につきまして、その建前を日本は今後くずすべきじやないと思うのでありますが、また政府側の考えもただしたいとわれわれ考えているが、伝えられるところによると、空軍に対してはアメリカも非常に積極的に、むしろ訓練についてもアメリカ自身が引受けようというような、非常に強い積極的な希望もあるということを伺つておりますが、問題は海軍でありまして、相当確かな筋の調査によりますと、現在の折衝段階におきまして、アメリカ側は駆逐艦並にデストロイヤー・テンダーのごときものを日本に渡すことについては困る。いわば大型のこういうような船舶軍艦につきましては、向うが援助したくないというような希望を言つておるそうでありますが、この点は空軍が積極的であり、また陸軍の方もほとんど話がついている段階におきまして海軍だけがどうも消極的であるという話合いが伝わつたわけでありまして、この点について具体的に御説明を願いたい。
○小滝政府委員 この問題は直接保安庁の方で取扱つておりますので、詳細は存じませんが、日本の希望するものをその通りに提供することは、困難だというような要請もあるやに承知いたしております。しかしこれはまたこれに代換するような船舶がないわけでもないでありましようから、この点は何とか話合いがつくことを私どもとしては期待しておる次第であります。
○福田(篤)委員 昨年の委員会におきまして私はこの点を心配して、外務大臣にも要望したことでありますが、カナダの例もあるように、カナダの外務省でははつきりと防衛連絡局というのができまして、ちやんとセクシヨンを設けられてどんどんやつております。日本の外務省はまことに残念ながらつんぼさじきになつて一保安庁の係の者が向うの軍の関係の担当者と話し合つて、その結果だけを伝えて来る、それでは本式の外交というものはできないのでありまして、かつての戦前において見たあの日本外交の悲劇というものは、結局軍部が外交を壟断したのであるということをお互いに忘れてはならない。今後の日本の外交の基調は、この際日本の自衛力なり防衛力の強化、さらに進んでは再軍備という見通しでありますが、そういう場合について日本の外務省の発言権、あるいは研究、あるいは折衝というものをあなた自体がはつきりとこれを把握して、これは経過においても責任ある交渉に当つてこそ日本の外交基本が定められる。ところが一部において多元的になる、一専門屋がかつてのことをきめて、その額だけを、わくだけを、結果だけを外務省に通達することはきわめて遺憾であります。また第二の外交の悲劇が必ず起るという心配を持つている。伝えられるところによりますと、最近カナダの防衛連絡局なり課というような大げさのものでなくても、少くとも何か外務省内で防衛問題について専門に当るものが内部的にきめられたと聞いておりますが、これは非常に喜ぶべきことであります。この点について御説明をいただきたいと思います。
○小滝政府委員 ただいま福田君のおつしやつたような点は、私どもも常に留意しなければならないところであると考えまして、その点については十分の連絡をとつておるつもりであります。多元的となつておるのではなくして、純粋の技術的な面を予備的に話し合うというだけでありまして、もちろん最終的な協定というような面については、外務省が責任者でありますので、絶えずそうした技術的な段階においても連絡をとつているのでありますが、それでは今新しい機構をつくるかというような問題については、そういう必要があるとすれば、そうした面も検討しなければならぬと思いますけれども、今具体的にそういう大がかりなものをつくろうという案を持ち合せておる次第ではございません。
○福田(篤)委員 次に私は先般この委員会でもはつきりされたように、この国会が終つてから吉田総理は欧米をまわられる、これは官房長官もはつきり答えられましたのではつきりしておりますが、これについて、伝えられるところによりますと、まずアメリカに対して重要な問題は外貨導入であり、英国に対しては今後の経済提携ないし促進の問題、東南アジアの開発あるいは貿易の問題というふうに聞いておりますが、これについて外務省側は、総理から外務当局にそれに対する資料の研究なり、その他の準備について御指示があつたかどうか、あつたとすればどの程度準備されておりますか、これについてお伺いしたい。
○小滝政府委員 総理が行かれることを希望しているというようなことは、もちろん官房長官からもまた副総理からも議会で述べられておるところでありますけれども、これは具体的に決定しておるわけではございませんからして、特にそのための資料を集めるというようなことはいたしておりません。しかし外務省は当然外資導入の問題も、また英国との経済関係についても絶えず研究し、資料を収集すべき立場にありますので、そうした努力は現在も継続しておるし、今後もそうした問題がかりに起りましても、決して手違いのないように万全を期したいと考えております。
○福田(篤)委員 それに関連して最後に一点経済局長にお伺いしますが、先般調印された日米支払協定問題について、いろいろな議論が出ております。外電の伝えるところによりますと、英国の中でも相当の反対といいますか、英国が損をしたのだというようなことを盛んに言つておるらしいのでありますが、これはわれわれから見るならば、英国が損をすれば日本は得なので、一種の経済外交の成功と思つているのであります。日本の内部でも実はこれに対して賛否両論のあることは御承知の通りであります。そこであなたが責任局長として、この日英支払協定のもたらす日本経済の利点、プラスになつた点をはつきりお答え願い、同時に英国自体の輿論につきまして、報告その他の調査の結果を御報告願いたいと思います。
○黄田政府委員 日本の貿易の構造でございますが、これは従来いわゆるスターリング地域でありますイギリスを初めといたしまして、濠州とか、ニュージーランド、インド、ビルマ、パキスタン、それからアフリカ地方というものの占めまず比率は非常に大きいのであります。これが一九五一年度におきましては、日本の全輸出のたしか四三%はこれらの地域に出ている。金頭にいたしまして五億八千万ドルぐらいでございましたか、そのくらいになつております。それから五二年度におきましては、それがさらにふえまして四六%、日本の全輸出の実に四六%がスターリング地域に出たのであります。それが去年は非常に減りまして、わずかに二七%、金額にいたしまして、ポンドで一億一千万ポンド、ドルで三億七千万ドルぐらいになりますが、そのくらいしか出なかつたのであります。従いまして、ポンド地域との貿易をいかに打開し、改善し、日本の貿易に役立たせるかということが、非常に大きな問題になつて来たのであります。去年は日本のポンド地域からの受取りが、先ほど申しましたように一億一千万ポンドでありましたが、これらの地域から日本が買いましたのは実にその倍の二億二千万ポンドに達しまして、非常な片貿易ということになつたわけであります。 それで日本とこれら地域との間に支払協定というものを結んでおりますが、それがちょうど十二月三十一日で切れますので、それをまた更改するかどうかということの話合いをロンドンで行つたわけであります。つまり支払協定を延ばすかどうか、どういう形で延ばすか、あるいはまた改訂すべき点があるかどうかということを主題といたしたわけでございますけれども、しかし支払協定を結びますためには、どうしてもその裏にあります貿易というものを論議せざるを得ないというので、貿易の問題が主議題となつたような次第であります。 去年どういうわけで日本の貿易がこれらの地域に伸びなかつたかと申しますと、第一は、日本側の申しますことと、それからスターリング地域側の申しますこととは違うのでありまして、日本側からいたしますと、これらの地域が日本の製品に対して課しておるところの輸入制限が非常にきついために、日本のものが出ないということを申しますし、向うの方は、それは幾分の理由であるかもしれぬけれども、しかし主たる理由は日本の製品が高い、もつと安くならなければ、いくら輸入制限を緩和したところで、とても多くは期待できないというような議論であります。両方ともこれは理由のあることでありますが、どつちがインポータンスが大きいかと申しますれば、われわれはむしろ輸入制限の方が非常な障害をなしておることだろうと信じておりますけれども、とにかくそういう話合いをいたしたのであります。その結果といたしまして、両方とも本五四年度におきましては、お互いの貿易を二億九百五十万ポンドというところでバランスしょうということに相なつたわけであります、むろんこれはそれだけの限度までは両方とも必ず買おう、あるいは売ろうというコミットメントではございません。これはもちろん商品の値段とかあるいは時期とか、そういういわゆるコマーシャル・コンシダレーシヨンというものによつて左右されて来ることは当然のことでございますけれども、とにかくそれらの地域まではお互いに貿易協定をつくりましてやろうということになつたわけであります。なおそれにつきまして、今まで向うの植民地とかあるいは英本国が、本日の商品に課しておりましたところのいわゆる輸入制限措置というものは、一定の金額をつくりまして、そこまではお互いに自由に入れさせようということにいたしたわけであります。従いまして、今年のこれらの地域に対する貿易は、去年よりも相当よくなるということは、これは十分言い得ると考えるのであります。 イギリスの方で今度の協定は大失敗であるということが問題になつておるようでありますけれども、これは私をして言わしめますれば、決してそういう大失敗のものでもない。そのかわり日本が非常に得をしたのかというと、そういうものでもございません。先ほど申しましたように、一定の金額をつくりまして、そこまで貿易をやろうということでございましてこれはイギリスの方でことに関係の新聞が申しておりますことは、去年はイギリスの方が一億一千万ポンドも日本に対して輸出超過をしたんだ、それが今年はできないじやないかということでございますけれども、これはあまりに一方に偏した議論で、いうまでも日本が片貿易、しかも半分にやつと達するか達しないかという貿易をやつて行くことはできない。お互いに公正に、ちようどいいところに行く。日本の方としては去年あまりひどかつたけれども、今年はそれよりも相当よくなろうということを見通しておるような状況であります。そういうことであります。
○上塚委員長 並木芳雄君。
○並木委員 私はまず第一に、最近報道されました松方コレクシヨンの返還の問題について田付局長にお尋ねしたいと思うのです。私どもは報道で知つただけでありますが、実に今度の問題は残念だと思う。これは先般日仏文化協定も結ばれておるのでありまして、政府としても万全の措置をもつて臨んだと思うのです。最近先方からも人が見えて、あつせんの労をとつたということも報道されております。政府はどういう措置をとつてこの解決をはかつておられるか、あるいは解決の曙光が見えたかとも思いますが、その点をお尋ねしたいのです。と同時に日仏文化協定が結ばれてから今まで実際上いかなる成果を上げたかということ、それから来年度、つまり二十九年度における計画、また他の諸国との間の文化協定を締結する計画、以上の点について質問いたしたいと思います。
○田付政府委員 並木委員にお答えいたします。一時にたくさんの質問がございましたので、あるいはお答えがばらばらになるかもしれませんが、松方コレクシヨンにつきましては、御承知の通り仏側では一度これを没収するというようなことを考えておつたようでありますが、今度の文化協定の成立といつた方面から、日本に返還することにフランス側としては原則的にきめたわけでございます。ただこのコレクシヨンを返します場合に、日本側としてはこれを一つところにまとめて展示する、それからこれを十分完全に保管するということを条件として日本側に返したいということを言つて参りました。そこで日本側といたしましては、松方コレクシヨンのような大きな美術品が日本に返つて来ることは、最も望ましいことでありますので、各方面とも研究いたしまして受入れ態勢を整えて、最近は受入れ準備委員会を文部省につくりまして、どういうふうにしてこれを受入れるかということを研究をしておつたわけであります。たまたまジヨルジュ・サールというルーヴル博物館長が日本に見えました。これは実はルーヴル博物館の一部を日本が展覧するという用務のために見えたのでありますが、ジヨルジュ・サールさんは美術界でも非常に有名な方でありますので、これを機会にわれわれとしても、フランス側で具体的にどういうふうに日本側が受入れることを希望しておるかということについて、ジヨルジュ・サールさんの意見を聞いたわけであります。そこでジヨルジュ・サールさんの意見も、先ほど申しましたように日本側として十分にこれを保管し、かつ展示する方法を講じてもらいたい、そうすればフランス側ではこれを国会にかけまして国会の議決を経まして、日本に返したいということをはつきり今度も申しております。ただ今度新聞にちよつと出ました件では、ジヨルジュ・サールさんは、日本の予算を少し誤解しておられましてたとえば五百万円という予算が今度文部省の中に出ておりますが、この五百万円のうちに日本に返還するいわゆる運送賃まで入つているというふうに考えられまして、それではとても松方コレクシヨンを日本に返すことはできないというような話がございました。しかし事実は運送料あたりはまた別にとることになつておりますので、そういう点を御説明いたしまして、大体博物館長の御了解を得ましてなるべく早く日本側から、受入れ準備委員会の方で日本側の方法が決定いたしましたならば、これをフランス側に知らせてもらいたい、それに従つてフランスでは国会の手続を経まして、ただちに日本側に返す準備をいたしたいということを言つて帰られたわけであります。従つてわれわれの方としましては、さらに予算的な措置について大蔵省とも相談いたしまして、これが確定いたしましたならばフランス側に申し入れまして具体的に返還の時期等の話合いをしたいと思つております。 それから第二の点で日仏文化協定のその後の効果はどうであるかというお話でございますが、これは昨年の十月三日に効力を発生いたしたばかりでありましてその準備はまだ十分に整つておりません。従つて今その効果を申し上げるということになりますと、あまり大したものはないのであります。ただ最近、パリにギユメーという博物館があります。これは東洋美術を集めておりますかなり有名な美術館でありますが、これと国立博物館と協定を結んで、日本の古代文化を向うに寄付すると同時に、ギユメー博物館からはフランス方面の古代文化のものを、やはり日本に寄贈するという話合いをつけております。また最近十一月ごろでありましたか、日本で例のフランス映画祭といつたようなものも行われたわけであります。元来文化協定というものは、お互いに文化の交流を容易にするというのが目的でありまして、政府ばかりでなく、民間が文化の交流をする場合に、これを容易にすることが目的なのであります。そのために文化協定自身にも混合委員会というものを設けまして、この混合委員会で、たとえば絵が入つて来る場合の関税率をどうするとか、通関手続をどうする、あるいは荷物をどういうふうに運ぶというようなことを、容易にするように相談して行きたいと思つております。これは大体本年度の終り、従つて三月ごろに両方でこの混合委員会ができ上ると思います。そういたしますれば、この文化協定の実施面がさらに容易になつて来るのではないかと考えております。 もう一つ他の国々との文化協定でありますが一われわれとしましては今イタリアと、まつたくの草案ではありますけれども交換し合つて、ひとつ文化協定をつくりたいという相談をやつております。さらに東南アジア方面とも文化協定をつくりたいと考えておりますが、これも来年度にはだんだん具体化して来るのではないがというふうに見ております。さらに来年度の計画といたしましては文化交流の一つとして、朝日新聞がルーヴルの展覧会をやるというようなこともありますし、さらに場合によつてはオランダからゴッホの絵が日本にやつて来るということも考えられております。大体外国から来るものが多いのでありますが、わが国としてもヨーロツパあたりに日本の美術品を展覧させるのに、今はちようどよい機会ではないかと思われるのでありまして、われわれとしてもそういう計画を来年または再来年くらいに実現したいと、目下努力しておるところであります。
○並木委員 松方コレクシヨンについては、大蔵省方面ではもちろん難色はないと思いますが、早急に予算措置はできる見込みですか。
○田付政府委員 ただいま文部省と一緒に大蔵省と話し合つておりまして、大体どの程度の金が具体的にいるかということを相談いたしております。大体その目的は達成されるのではないかと考えております。
○並木委員 次に伊関局長にお尋ねしたいのです。それは最近行政協定の一還として、飛行機による損害に対して補償するという問題とそれから防音装置に対する費用を国でもつてめんどうを見てくれろという要求が、方々から全国的に起つております。特に学校などでは非常に熱意をもつて申し出ております。もしこれが実現できますと、結果はたいへんよいのではないかと思います。この点政府にはもちろん異存はないし、損害の補償、及び防音装置の設備に対しては、予算的にめんどうを見てやることになつておると思いますけれども、いかがでございますか。
○伊関政府委員 私の主管からちよつと離れておりますので、はつきりした点は存じませんが、昨年法律が通りまして、その政令におきまして、こういうふうな飛行場周辺の学校、その他射撃場等非常に音が高いという場合に、防音装置等もその法律によつて考えるという点はきまつております。それに基きまして調達庁、大蔵省、文部省等におきまして、現在具体的にどこをどう直すかという点を相談いたしておると私は聞いております。
○並木委員 そういう費用については、これは防衛分担金でしようか、どこから出されるか、予算的の点おわかりですか。
○伊関政府委員 その辺のところはちよつと私はつきり存じません。やるということだけはきまつておつて、準備しておりますが、具体的にどこから金を出すというような点は、私は直接に相談にあずかつておりませんので、存じません。
○並木委員 次に日韓会談の問題につきまして次官、条約局長、中川局長、どなたでもけつこうですから、お答えを願いたいと思います。 この間の施政方針演説で吉田首相は、日韓問題の解決については、「あらためて最善の努力をいたす」という言葉を使つております。「あらためて」という言葉を使つておりますので、私どもとしては、やはり政府として何かそこに具体案があるものと思います。特に今度の施政方針演説で、「あらためて最善の努力をいたす」と言つておりますが、何か新しい構想があるのかどうか。日韓問題解決のための具体的構想をまずお尋ねしたいと思います。
○小滝政府委員 御承知のように、日韓会談というものは決裂状態にありますので、日本側としてはあらためて、でき得ることならば直接交渉によつて、一日も早くこの問題を解決したいという考えで、今日韓問題に臨んでおるわけでありますが、しかし同時に、米国の好意的なあつせんもありまして米国の方から韓国側へいろいろ話合いをしておるようであります。けれども現在までのところ、はつきりした成果というものが認められないようでありますから、アメリカとしても、今後こうした努力を継続することだろうと考えます。日本としてもこれは重大な問題でありまして、できるだけ早く解決することが望ましいことはもちろんであり、われわれとしてもそのために最善の努力をしなければならないのでありますが、しかし現在のあの韓国政府の態度、李承晩大統領の態度から見ますと、ただ単に焦慮して、先方の乗ずるところとなるというようなのは好ましくないことと考えますので、そうした面は慎重に考慮の中に入れつつ、この問題の解決に当りたい、こういう所存でございます。
○並木委員 米国のあつせんの内容は、具体的にどういうことをしようというのですか。それからまた外務大臣の演説の中に、米国だけでなく、「米国等のあつせん」という字が使つてありますが、それでは米国以外にどういう国にあつせんしてもらおうと政府は思つておられるか、そういう点をお尋ねしたい。
○小滝政府委員 あつせんの内容ということになるかならないか知りませんが、結局はアメリカとしては、日韓会談が再開できるようなところに、両国を持つて行きたいという趣旨で、努力しておるわけであります。 なお「米国等」と申しましても、米国以外に今そうした措置をとつておる国はございませんけれども、この日韓間の重大問題は、世界各国の輿論に訴えなければならないと考えますので、随時在外公館にも実情を通報し、また言論機関を通じまして、世界の輿論を喚起するということによつて、特定の国というのでなしに、諸外国の理解をも高め、この問題を円満に解決するという趣旨で努力しておる次第であります。
○並木委員 日韓会談を再開するようにというアメリカの努力は多としますけれども、これは言うべくしてなかなかむずかしいことだと思うのです。要するに今まで紛争の課題になつておつた主として三つの点が解決されなければだめなのじやないかと思います。そのうちの一つに、外務大臣は、李承晩ラインの問題をあげて、李承晩ラインについては、引続き反省を促すと演説をしております。反省を促すために政府はどのような措置をとつたのですか、お尋ねいたしたい。
○小滝政府委員 先ほど申しましたように、対外的に日本の主張を徹底さすということも一つでありますが、いろいろ事件がありますたびに、日本としては厳重なる抗議を提出して、向うの反省を促す。また不当に拿捕されたようなものはこちらに返さすようにする。そうして損害賠償の権利は留保するというように始終わが方の立場を明らかにして、そうして先方の反省を促すという考えでおりまして、こうした点は十分米国の方も承知して、あつせんに乗り出しておるものと考えております。
○並木委員 反省を促しておる結果、日本の漁船の拿捕とかあるいは漁民の抑留とか、そういう事実は減つておりますか。前の抑留された船舶に対する措置、あるいは抑留された日本の漁民に対する措置、そのようなものは現在どうなつておるか、そうして政府はこれに対してどういうふうに処置をとつておられるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○小滝政府委員 船の方は返しておりませんが、昨年の九月以来のいわゆる李承晩ラインに伴う強硬手段によつて向うにとらわれた船員は全部帰つて来ております。五百名以上返されております。ただそれ以前のものはまだ十数名が向うに抑留されておりますので、その方もできるだけ早く返さすように先方に申入れを続けておる次第でございます。
○並木委員 問題の第二は、例の久保田発言に関連しての財産権であります。財産権というのは、これこそアメリカにあつせんしてもらわなければならない問題だと思う。私たちが平和条約の審議のときに、財産の処分は認めるけれども、処分したものについては当然代金は日本に払わるべきものだという解釈が成り立つておるのです。これが十分徹底しておらないために、韓国としては、処分ということはもう一種の接収であり、没収であるというふうに考えておるらしいのでありますけれども、財産権の問題はどうなりましたか、久保田発言と関連して財産権の問題を尋ねておきたいと思います。
○小滝政府委員 日本側の解釈は仰せの通りであります。ところが先方はこれに対して全然反対の見解をとつておりますので、いまだにこの問題は合意点に達しておりませんが、われわれとしては、あくまでもそうした主張を堅持いたしたいと思つておるわけであります。
○並木委員 それではどこまで行つてもこの解決点が見出せないような答弁ですけれども、何らかこれについて政府としては成案があるのですか。忍耐強くという言葉もよく使われるのですけれども、この忍耐強くということはただ何もしていないでがまんしておるということなのですか。こういう主張すべき点をどういうふうに具体化して、一歩解決への道をたどるつもりなのですか。
○小滝政府委員 これは今日本の建前を申したのでありまして全般の問題とにらみ合せて全然妥協の余地がないというように見るのは早計であつて、方法はあり得ると考えます。たとえば相互的に請求権を放棄するとか、あるいは特定の債務だけはこれを認めるとか、全般の関係とにらみ合せまして国際関係のことでありますから、外交交渉の過程において歩み寄る余地というものはあると思う。ただしかし相手方が一方的なことのみを固持するということになれば話合いがつきませんが、そうした互譲妥協の精神が出て来るならば、私は決して解決の道はないものではないというように確信しております。
○並木委員 もう一つの問題点は、例の竹島であります。竹島の所有権について双方の見解が食い違つておりますが、政府としては竹島の問題を解決するために、どういうような措置をとつておりますか。
○小滝政府委員 御承知のように、日本では相当詳細なる調査をいたしまして、歴史的また地理的、法律的に竹島は絶対に日本のものであるという書面を、この問題が起りました当初から出しておるのでありますが、昨年の九月に、韓国側でもいろいろ学者などを集めてつくり上げたと思われるような、竹島は韓国に領有権があるようなことを証明する書面を日本へ送つて参りましたのは、この委員会でもすでに申し上げた通りであります。その後日本といたしましても、この点はすでに研究し尽されておりましたけれども、さらに詳細な点を検討いたしましてもつと詳しい反駁書、抗議書を最近にも韓国代表部へ提出いたしたような次第であります。しかし書面の往復だけしておつてもこれは解決するものではないので、これも結局日韓両国の関係というものを全体として調整するときが来ないと、ただ両国の文書の交換だけでは解決されないということは私どもよく承知しておるわけであります。でありますから、全体の問題と並行して至急これを最終的に解決するように努力したいと考えております。
○並木委員 最近抗議書を出したといいますが、それはいつ出しましたか。
○小滝政府委員 きわめて最近でありまして、両三日前であつたように記憶いたしております。
○並木委員 この問題では国際司法裁判所に提訴するというような考えはありませんか。
○小滝政府委員 ただいまのところはそういうことは考えておりません。これは確かに一つの解決方法でありましようが、しかし韓国も国際司法裁判所規程の当事国にもなつておりませんし、そういう必要が将来起きるかもしれませんが、現在のところでは、研究はいたしておりますけれども、そういう決定はいたしておりません。
○並木委員 李承晩ラインの問題は、漁業の問題として、日韓会談とは別個に取上げて協議したいというような先方の意向もあるように開いておるのですけれども、李承晩ラインだけは別個に、漁業を中心として何か解決点が見出されるのではないでしようか。それから最近は漁船の問題が起つておりませんが、現在抑留されておる船舶の数、それから船員の人数、そういうものがわかりましたら、一緒に説明していただきたいと思います。
○小滝政府委員 李承晩ラインの問題だけを別個に切り離して交渉したいという意向が先方にあるならば、日本側も当然そうした問題をまず解決するという方法をとることを躊躇するものではございません。しかし私どもの承知いたしておりますところでは、李承晩ラインを単独に別個の問題として解決しようという意向は先方にないようでありまして、これが重大な困難の一つとなつておる次第でございます。 なお船の数などの詳細はアジア局長から説明いたします。
○中川政府委員 従来韓国に抑留されております船の数は、総計五十七隻であります。そのうち、昨年九月李承晩ラインの強化以後につかまりましたものは四十三隻であります。これらはまだいずれも帰つて来ておりません。なお漁夫につきましては、李承晩ライン強化以来抑留されました五百四十五名は全部帰つて来ております。それ以前につかまりました漁夫のうち、十八名はまだ帰つて来ておりません。これは聞くところによりますと、先方で裁判がいまだ確定しないために残されているということでございます。
○並木委員 李承晩ラインについては切り離して、漁業権の問題として早急に解決したいと日本の方から申し出る腹はありませんか。
○小滝政府委員 日本として一番直接解決しなければならぬ重大な問題は、李承晩ラインの問題でありますから、そういうことが可能であるという見通しであれば、もちろんそういう申出をなすのは当然であります。しかし現実の問題としては、むしろ反対の方向の考え方を先方も抱いているようでありますから、今そうした申出をするということが、はたして目的達成の面に役立つかどうか、非常に疑問でありますので、そういうような申出は現在のところはいたしておりません。
○並木委員 李承晩ラインに関連して防衛ラインでありますけれども、あれは一度撤廃するという言明がなされたと思います。しかし朝鮮動乱の最終解決にならなければ、完全には撤廃にならないのではないかというような政府の意向だつたと思いますが、防衛ラインの方はどういうふうになつておりますか。
○小滝政府委員 防衛ラインの方は、昨年あれを一時停止するということになつておりますので、全然あれを解消したという趣旨の申出は聞いておりません。
○並木委員 今聞き落したのですが……。
○小滝政府委員 昨年休戦協定ができました直後、あの防衛水域というものの実施を停止するということを向うは宣言したわけであります。でありますから、あれは事実上現在では解消されておりますけれども、向うの使つている言葉から見ると、将来必要があればあるいは防衛水域を設けなければならぬという考えもあつたかと見えます。これはサスペンドするというふうに宣言せられております。
○並木委員 日韓会議の問題がいろいろむずかしいのですけれども、最近の一つの報道によれば、韓国から日本に物資を調達するために調達官を派遣するというようなことがあります。こんなことがまた一つの手がかりになつてだんだんと会談の糸口になれば幸いではないかと思います。そこでお伺いしますが、韓国から日本に調達官が来るということは、韓国が今度はいよいよ域外買付を自分の手でやるということになつたのでしようか。従来アメリカが日本における買付をやつておつたと思いますけれども、それが全部または一部韓国に移されて、その結果日本に来るということなのでしようか、いかがですか。
○黄田政府委員 韓国の域外調達官が来ると申しますのは、きわめて最近に韓国の方の域外調達の方法というものに、少しばかり規則上の変化があつたのであります。今まで行われておりましたのは三つの筋がございまして、一つはいわゆるFOAの筋、一つは朝鮮復興といいますか、アンクラというもの、国際連合の方の筋、もう一つは軍直接の筋というものでありましたが、最初に申し上げましたFOAの方の筋で一部分を韓国の方にやらせるということになりました。しかし手続はあくまでもFOAの規則によるものだということになつております。つまりなるべく広くビッドをインヴアイトし、かつデリヴアリー・タイムその他を考えて、一番安いところから買うという主義を捨てておるのではございませんが、その結果経済上のみならず、なるべく手広く域外調達班を派遣してそれの派遣された場所でも調達のビッデイングを行うということになつております。従つてその現われとして、東京にも域外調達官を置くということに相なつた次第であります。域外調達官のおりませんところでは、韓国の在外公館をしてやらせるということになつておりますので、必ずしも置かなくても絶対的に不自由だというわけではございませんけれども、それを置いた方がよろしいということで、このたび東京にもそれを置くということになつたのであります。
○上塚委員長 並木君、相当に長く、すでに二十分を経過いたしておりますので、簡単にお願いいたします。
○並木委員 それでは簡単に……。FOAの買付の分は従来より日本にとつて不利だということはありますか。これは一般論ですが、従来はアメリカ側の手でほとんど全部日本側から買いつけたのではありませんか。
○黄田政府委員 今度の変更で日本に不利になつたとは考えません。と申しますのは、先ほど申しましたようにテンダーはできるだけ広くやる。しかもその決定にあたつては商業的見地のみから決定を行うということになつております。従いまして手続的な変更が日本に不利になつたという理由はないと思います。
○並木委員 FOAの一部というのは金額ですか、それとも品物によつて一部なんでしようか。
○黄田政府委員 これは金額ではございませんで、品物の性質によつてでございます。
○並木委員 時間がなくなりましたからもう一点お尋ねします。韓国からインドシナに韓国兵を一個師団送るということを李承晩大統領が申入れをしたという、それをハル司令官が米本国へ持つて行つたというのですけれども、これは私どもの常識としては非常にわかりにくいことなのです。現に朝鮮動乱はまだ済んでおりませんし、よその国のために応援に行く余力があるのかどうかという点も疑問なのであります。これはどういうふうに解釈すべきものでありますか。また法的にはそういうことができるかどうか。どういう法的根拠において韓国で派兵をするという申出ができるのかどうか。これは少くとも一般論ですからお答え願いたいと思います。
○小滝政府委員 私もそういう情報を見ましたが、韓国で一体どれだけの余力があるかということ私どもにはわかりません。そうして向うへ出す法的根拠というものは、私はないだろうと考えます。米韓の相互防衛条約というものは、そういう方面に適用があるものではないというように了解しておりますので、法律的な問題でなしに、事実問題であろうと考えます。東洋の平和維持のために協力したいという意味で、李承晩大統領が考えただけのものであつて、条約上の義務があるからそういう申出をしたというわけではないのであります。また同時に、インドシナというのはフランス連合の一部でありまして、そこへはたして軍隊を出せるかどうかということは、これは別個の問題でありまして、要するにこれは法律上の問題でなしに、事実問題として、もしそういうことがあつたとすれば、李承晩大統領が自発的に申し出た事件にすぎないだろうと思います。
○福田(篤)委員 並木委員の御質問に関連して二点だけ簡単にお伺いいたします。昨年の九月から十月にかけまして、本委員会で日韓会談のことについて取上げられましたが、政府側が約束したことについてまだはつきりしない点が二点あります。 一つは、あの李承晩ラインの無謀な設定によりまして、日本の漁業が受けた損害は一年約七十億円であります。これは今年も強行出漁はしないようでありますが、これについて外務大臣は昨年の秋に損害賠償を請求する、またそれを留保すると言つておりますが、その手続をしたかどうか、ことしもおそらく数十億円の損害になるだろうと思いますが、それに関して、正式に韓国に対して賠償要求をされたか、あるいはその請求権を留保されたのか。 もう一点は、昨年の十月に外務省にお願いしましたが、竹島問題に関連して李承晩政権のもとでは、教科書に壱岐、対馬を韓国領にしてあるという情報があるのでありますが、これを確かめてもらいたいということを言つてからすでに四箇月になつております。これについてまだ御回答がございませんが、二点だけ御回答願いたいと思います。
○小滝政府委員 この損害額が幾らかということは、七十億と言う人もあるし、百億と言う人もあり、いろいろ言われておりますが、外務省といたしましては、先方に関連した公文を出しますたびに、損害賠償請求の権利を留保するということは明記いたしております。ただ具体的にはまだ損害額を決定して申出をするという段階には至つておりません。 なお壱岐、対馬の問題は、新聞などにもそういう報道はありましたが、その後われわれの方でははつきりした調査の結果を得ておりません。しかしその点はただいま福田君からの御指摘もありますので、さらに調査いたしたいと考えております。
○上塚委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 時間が大分おそくなりましたから、きようは一つだけお尋ねいたしますが、政府は最近旅券法の改正案を本国会に提出されるおつもりでございますか、どうでございますか。
○小滝政府委員 旅券法案はこれまでも国会に提出いたしましたけれども、審議未了に終つたような関係もございますので、本国会には提出いたしまして、ぜひ皆さんの御審議を仰ぎ、御承認を得たいと考えております。
○穗積委員 改正の内容について重要な点をちよつと御説明いただきたいと思います。それが一点。それからもう一つは、もし提出されるおつもりでございますならば、大体の予定の時期をお示しいただきたいと思います。
○小滝政府委員 内容は、提出いたしましたときに詳細御検討願いたいと存じますが、骨子を申しますならば、今までの規定で不備であつた点を補うとう趣旨でありますから、特に新しい条項を設けるとか、根本的の改正を企てておるわけではございません。これまでいろいろ疑問とせられたような点を明瞭ならしめることが一つ。もう一つは今まで当然規定すべきものであつて欠けていたような条項を設けるという趣旨のものであります。ただ、ただいまちようど奄美大島が日本に返還になりましたために、あの地域の取扱いについての条項を法制局とも話し合つておりますので、まだ多少時日はかかるかと思いますが、今月末くらいまでには出したいというように希望いたしておりす。
○穗積委員 内容を見ませんと意見を申し述べるわけには行きませんが、あらかじめ希望を申し上げておきたいことは、今までの旅券法の不備な点を明瞭にして旅券法本来の精神に沿うような条文に改正する、こういうことであろうと思うが、その場合に一言あらかじめ申し上げておきたいと思いますのは、元来居住または移動の自由というものは、近代社会におきます人間の基本的人権だと思うのです。ただ世界の政治構造が国家を単位にいたしておりますので、治安の維持または政治上の理由、または関税その他の経済上の理由によりましてこの基本的人権にある程度の制約といいますか、お互いの規制をして便宜をはかるというのが旅券法の趣旨であろうと思うのでございまして、元来ある自由なる権利を旅券法によつてかつてに制限するということは、旅券法の根本精神に反するものであろうと思いますので、その旅券法の精神をよく体されましてそして今の、何と申しますか、もつとはつきり申し上げれば、旅行の自由を従来より制限するような改悪にならないように、むしろ本来の精神によりまして世界を家としてわれわれが国際的な生活の中へ、経済的にも文化的にも入らなければなりませんので、そういう趣旨に沿つて改正案を作成されることをあらかじめ希望申し上げておきたいと思います。
○上塚委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 時間がありませんので、二、三点だけ、MSAの問題について伺いたいと思います。 外務大臣の先ごろのMSAに関する中間報告の中にもありましたように、もしMSA援助の小麦に関する協定が結ばれるならば、日本の基幹産業が非常に潤うというふうなことをおつしやつていられますが、この基幹産業というものをどういう範囲にきめておられるかをまず伺いたいと思います。 それからその次に、この援助資金をつぎ込む産業というものは一体国営になさるのか、それとも民間のでもかまわないのか、そういう点を伺いたいと思います。
○小滝政府委員 今のお話は、おそらくMSAの五百五十条によつて日本が買いつける小麦の円代金の使用の中で、千万ドルは産業のために使うという項目についてのことだろうと存じます。この買付の円資金の使用につきましては、それがMSAの目的に合致するようにして経済産業の振興をはかるというふうな規定になつておりますので、結局直接的には重要な産業、特に防衛産業方面に使われるであろうということは、当然考えなければならない点であります。しかし、防衛産業というものはもちろん基幹産業に関連のあるものでありまして、基礎産業というものがしつかりしなければ、この防衛産業というものもほんとうの発達を期し得ないのでありますから、産業界に対して、それだけの潤いになる。基幹産業というものもそれによつて発達すは。ことにまた、四千万ドルというものが域外買付でありましたならば、それによつて、産業というものは相互に関連性を持つておりますから、産業界がそれだけ発達して来るという関係になることを大臣は申したのであろうと考えます。 それではその資金というものは、一体その資金を使う場合に、国営の産業に使うのか、民間の産業に使うのかというお尋ねでありますが、現在のところは、御承知のように、みんな民間産業として存在いたしておりますので、この資金を使う場合には、民間の産業にこれが使用せられるということになるであろうというように期待いたしております。
○戸叶委員 聞くところによりますと、なるべく国営の産業かあるいは半官半民の産業に融資してそうしてその不足分をMSAの一千万ドルの資金で補いたいというふうな考え方を先方が持つておるようにも聞いておりますが、その点はどうなんでしよう。
○小滝政府委員 民間業界の中でそういうことを言われる方があるようなことは聞いておりますけれども、米国側からそういう希望は全然出ておりません。
○戸叶委員 それでは、民間の産業にこれが不足分を融資として融通されるその場合に、顧問団と日本の政府とその民間の会社と話合いで決定する、こういうことで行くわけですか。
○小滝政府委員 実際問題といたしましては、もちろん米国側へ情報を提供するようなこともありましようが、しかし法律的の建前といたしましては、あくまで日本側が決定すべきものであります。ことに一般産業界の情勢というようなものは、日本人でなければ、向うから来ている顧問団の人にすぐわかるものではない。結局これは日本が決定するものであります。それに際して、あるいは友好的に情報を提供する、こういうふうにしようということを通報してやるような場合はあるかと思いますけれども、法律的に言えば当然日本の方できめるわけであります。
○戸叶委員 そうすると、日本の政府、関係省とその民間企業団体と話し合つた上で決定するわけですね。
○小滝政府委員 まだ、具体的にどういうようにするかは確定いたしておりませんけれども、経済審議庁、通産省等が話し合つて、最も有効にこれを使用するという方策を決定するようになるであろうと考えております。
○戸叶委員 協定に調印されるまでに大体どこにどの程度——たとえば航空関係にどの程度ということのわくをきめられてから協定に調印されますか、それとも、されてからそういうことがきめられるのでありましようか。
○小滝政府委員 御承知のように、この調印はぜひ今月中には完了したいと思つておりますので、すでに研究は関係省でしておるとは思いますけれども、具体的にそうした方法をきめますのは、この協定が調印されてからになるであろうと考えます。
○戸叶委員 協定が大体二月の末に調印されるようにおつしやつていられますが、その実際の一千万ドルの贈与金額というものが日本の産業に動き出すのは、大体いつごろという見通しを持つておりますか。
○小滝政府委員 その詳細な点については、まだ多少米国側とも話し合つておりますが、かりに小麦五十万トン大麦十万トンといたしましても、それが一度にぱつと来るわけでもございませんので、資金というものが、最初から千万ドルに匹敵する三十億がちやんと置いてあるというわけでもございませんので、この取引が現実に行われるようになつてから、順次それが使用せらてれ行くということになるだろうと考えております。
○戸叶委員 もう一点伺いたいのですが、米国から供与を予定されている航空機とかあるいは艦船があるわけですけれども、たとえば航空機のジェット機とかヘリコプター、そういつたものがありますが、そういうものに要する費用ですね、ガソリン代とかいろいろなそういう費用は日本側が負担するのでしようか、どうでしようか。
○小滝政府委員 そういうものは向うのMSAの規定によつて提供されるのではないのでありまして受取つてからはもちろん日本の費用でオペレートするということになるわけであります。
○戸叶委員 そうしますと、非常に莫大な日本の費用を必要とするのではないか、ガソリン代などである程度維持できなくなるというようなことが起りはしないかと私どもは心配いたしますが、その点は一体どうなんでしようか。
○小滝政府委員 そういう点も考慮いたしまして、その辺の内相談は今行われているようにも承知いたしておりますが、まだ具体的にどうするということは確定いたしておりません。
○戸叶委員 内相談で、政府としての望ましい態度というものは、どういう態度をもつて臨んでいらつしやいますか。
○小滝政府委員 なるべくそうした面についても援助を受けたいという考え方で相談をいたしております。
○戸叶委員 もしもそれが援助を受けられなかつた場合も、なおこちらの希望通りの艦船なり飛行機なりの供与を望むか、それともそういつた維持費の話合いがつかない場合には、あるいは飛行機とか艦船の希望している量、数よりも減らすおつもりかどうか、その点をお伺いたいと思います。
○小滝政府委員 日本が希望しておりますのは、予算の範囲内においてオペレートする限度内のものを要求しておりますから、それによつて減らすとかふやすとかいうのではなしに、予算とにらみ合せてこちらで使用し得る限度内のものを要求するという建前で進んでおります。
○戸叶委員 しかしそれはちよつと変だと思うのです。というのは、もうすでに保安庁なり何なりから、こういうふうな艦船、こういう飛行機を供与してほしいといつていて、今度は現実の問題としてそれを維持するためのいろいろな費用がかかつて来るわけなんですけれども、その話合いがつかないで、それを日本で負担しなければならないということになつた場合と、向うが負担する場合との予算というものは、非常に違つて来ると思うのですが、その点のことを伺いたいと思います。
○下田政府委員 MSA交渉が遅れました一つの理由は、わが方の防衛計画並びにその防衛計画に見合う予算の策定に時間がかかつたからであります。従いましてアメリカにどういうものをくれということを言う前に、わが方の防衛計画及び予算案ができたからやるわけなのです。でありますから日本側が要求しましたものは、全部参りましたところで予算がないからといつてあわてることは全然ございません。予算は、フルにくれましても十分なだけのものは組んでございます。そこで先ほど燃料のお話が出ましたが、前に防衛分担金の五十億減らすとかあるいは二十五億になるかという点に関連いたしまして二十五億しか減らない見通しでございますが、しからば残りの二十五億を車両あるいは燃料等の物資をくれることによつて、実質上日本側の経費負担がさらに二十五億減るようにくふうしておるのでございます。
○戸叶委員 そのくふうはうまく話合いがつくというお見通しでしようか。
○下田政府委員 これは百パーセント貫徹するかどうかわかりませんけれども、大体日本の希望は了承してくれるのではないかと思つております。
○戸叶委員 それではMSAの問題はまたこの次にいたします。一点、条約局長がお見えになつておりますから伺いたいのですが、これは全然別の話ですけれども、国連事務総長が寄託所となつている条約の数が年々増加しているということを承つております。その中にいろいろありますけれども、一九五三年の三月三十一日にニューヨークで締結された婦人の政治的権利に関する条約というのがありますが、これは多分条約局長御存じのことと思います。これをこの委員会に提出する御意思はないかどうか、それをするのだといたしましたならば大体いつごろなさるおつもりか、これには批准条項がついておりまして、すでにいろいろな国で批准され、これに署名している国が六十国ぐらいあると思うのですが、その点についての条約局長のお考えを承りたいと思います。
○下田政府委員 だだいまの条約等につきましては政府側でも研究いたしております。その内容は男性と女性との間で政治的な差別を設けてはいかぬ、つまり公務員には女性も男性と同じようにつき得る、それから選挙権、被選挙権においても、女性と男性とは平等に行使し得るものでなければならないというような内容の条約でございます。ところで日本の新憲法下におきましてその条約の要求している条件は、完全にすでに実現しているのでございます。でございますから、この条約を批准いたしますにつきまして、何ら国内法上の障害はないわけでございます。そこでいわゆる国際条約に加入いたしますにつきましては、実は外務省がどれに入るということをきめるのではなくて、まず関係省がその関係省主管の事項に照してこの条約はぜひ早く入りたいということを言つて来られまして、そこで外務省が関係省と協議して取上げるわけでございますが、ただいまのところ、この御指摘の条約につきましては、関係省から早く入りたいという御要請が出ておりません。従いましてこれは厚生省になりますか労働省になりますか存じませんが、そちらの方と、実は御要請がないので、逆に外務省の方から、どうでしようこの条約に入つては、という話を今しております。ですから本国会に間に合いますかどうかわかりませんが、できればなるべく早くこの条約に加入いたしたいと考えております。
○戸叶委員 他の省には私の方からも問い合せますから、どうか外務省の方からも積極的に促進していただきたいことを要望いたします。
○並木委員 関連でちよつと簡単にお尋ねいたします。戸叶さんからMSA問題が出ましたので、MSAに関する御質問をいたします。 先般艦艇千五百トンを越えるものはMSAの協定の範囲外であるという答弁があつたと思います。これはMSAにはつきりそういう規定があるのですか。どういう規定から艦艇千五百トン以下、千五百トン以上という区別が出て参るのでしようか。
○下田政府委員 一九五一年の相互安全保障法のたしか五百六条だつたと思いますが、そこで米国政府が貸し得るいろいろな武器、装備等の制限がございます。そこで艦艇は千五百トン以下という制限がございます。
○並木委員 そういたしますと、そのほかにどういうのがありますか。私ちよつと研究も足りなかつたのですけれどもお伺いしたいのです。と申しますのは、MSAで期待しておる兵器その他の援助のほかに、そういうあるものは別途の協定になるというのならば、われわれとしてもまた考え直さなければならないのです。その限度を越えるものは別途に協定によつて貸与されるという道が開かれておるとするならば、これは相当な問題だろうと思うのです。今保安庁から請求しておるものには千五百トンを越えておるものが確かにある。これはアメリカの法律では、どういう法律に基いて日本に貸与することになるのでしようか。艦艇のみならず飛行機とか陸上の兵器なんかにも、そういう制限があろうかと思いますが、この際お尋ねしておきます。
○下田政府委員 アメリカの法律上貸付について制限のありますのは、軍艦の千五百トン未満という制限だけであります。先ほど申し上げました一九五一年の相互安全保障法の五百六条の(C)というところに「軍用品とは普通に軍用完成品として知られた品目で、一国の軍隊がその任務を遂行するために必要なものをいい、武器、軍用車両一五〇〇トン未満の軍艦、航空機、軍用通信機器、弾薬、維持修理用部品及び軍用金物類を含む。」とありまして、大きさで制限しておるのは軍艦だけでございます。 そこで第二の点のMSA協定でそれでは日本が要請しておる援助物件の全部をカバーしないじやないかという点がございます。それはすでに外務大臣からも政務次官からも申されました通り、その通りでございます。そこでMSA協定を調印いたします際に、MSA協定で受ける武器の内容の大づかみを知りたいと思つておるわけであります。従いまして千五百トン以上の軍艦につきましては別途の協定を必要とする次第であります。その協定を締結する権限は米国大統領にすでに付与されておりまして、これはたしか昨年だと思いますが、昨年のアメリカ公法百八十八条——パブリツク・ロー・一八八という法律があります。これはフランス、イタリアその他極東のフレンドリー・ネーシヨン——、友邦諸国に貸すために、二十五隻の駆逐艦その他各種艦艇を貸す権限を米国大統領に与えておるのでございます。そこで千五百トン以上の艦艇につきましては、その法律に基いて別途の協定を要することとなると存じます。
○上塚委員長 それでは本日はこれをもつて散会します。 午後零時五十一分散会