海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第15号
- 発言数
- 168 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/09/07
会議録
○山下委員長 これより会議を開きます。 昨日に引続き海外同胞引揚に関する件について議事を進めます。厚生省の御出席が遅れておりますので、最初に引揚げ住宅の問題につきまして、昨日に引続き、本日は建設当局より政務次官、住宅局長が出席されておりますので、この質疑を先にいたしたいと思います。住宅問題に対する御質疑があれば……。臼井委員。
○臼井委員 建設当局にお尋ねいたします。実は昨日の委員会で北海道の疎開住宅に対する問題が論議になつたのでありますが、先般当委員会で北海道の引揚者の集団収容施設を視察いたしました結果、並びに昨日私どもの手元へ北海道の田中知事が要望書を提出いたしておりますが、これによりましても、現在北海道において急速に疎開を要するものが千七百九十五世帯ある、従つてこれをできるだけすみやかに、たとえば三箇年くらいの計画をもつて、そうして現在のひどい状態にある引揚者の人々を適当に疎開せしむる必要がある、こういう御意見なのであります。ところが現在厚生省の疎開住宅というものが建設省の公営住宅というものにほとんど置きかえられたような形でありまして、厚生省で疎開住宅を要望しても、結局建設省の公営住宅をやるのだから、それでいいじやないかというような形に予算折衝の際になつてしまう。ところが、公営住宅においては、北海道あたりにおきましても、どうも疎開に必要な方面に数がまわらないようになつているのではなかろうかと思うのであります。もう一つの問題は、公営住宅となりますと、北海道の耐火並びに防寒住宅の法律がありますので、それによつて予算の範囲内においては数が非常に少くなる。そこで、疎開は疎開としての、もつと木造で簡易なものにやつたらよかろう、こういう意見があるのでございます。これらに対して建設省の御意見をお伺いしたいと思うのであります。
○荒舩説明員 私はごく最近建設省の方へ政務次官として任命を受けたのでございまして、どうぞ皆さんよろしくお願いいたします。 ただいま臼井さんからお尋ねの点でございますが、二十八年度におきまして公営住宅のわく内で百八十戸、それから二十九年度におきまして三百戸を今建設中でございますが、厚生省の所管でありまして、実は本年の公営住宅のわく内でこの建設に当れというような話が大蔵省からございますれば、私の方で引受けてやるべきだと思つております。何にいたしましても、北海道の引揚げ住宅は非常に腐朽しておりまして、まことにお気の毒な状態にあるということをよく聞かされておりますので、われわれといたしまして何とかこれを急速に建造したい、こう考えております。本年におきましても、厚生省とよく打合せをいたしますと同時に、大蔵省とも打合せをいたしまして、何とか御期待に沿うようにやりたいと考えております。 なお、第二点の点でございますが、北海道の防寒住宅建設等促進法というものがありますので、なかなか一朝に簡易な安い住宅というようなことを取り上げることはでき得ないと思います。しかしながら、実情からいたしまして、補助金の問題等いろいろな問題から勘案いたしまして、実際に引揚者の困難な生活状態を考えまするときに、へりくつはさておきまして、何とか急速にこれを補給しなければならないのでございます。従いまして、よく法律と照し合せまして、急速に今御指摘の点を解決して行きたい、こういうふうに考えております。
○臼井委員 ただいま荒船次官の御説明で、結局は現在の法律がそうできているから公営住宅としては北海道の防寒住宅建設の法律に従わなければならぬ、こういうようなことです。この点は、昨日もやはり同様の御意見があつて、厚生省でも、公営住宅ができたら、引揚者でそれに入れる生活程度の人がそれに入れるように、そしてそのあいたところに引きかえに疎開者を入れるようにできるから、またこの法律でもよかろう、こういうような御意見があつたのです。問題は、公営住宅でも数が十分北海道にできれば、そして新しくできた公営住宅に、もしほかのすでに住宅に入つて住まつておる人が入る場合には、必ず優先的に疎開者をそこに入れるように当局で監督するなりすれば、ある程度目的は達せられると思うのですが、しかし、問題は、限られた予算でありますので、そうしてみると、われわれ常識から考えれば、北海道でもそう防寒耐火の住宅ばかりでなくて、むしろ大部分は簡易な木造住宅である、償却とか燃料の点では確かに損であるかもしれないけれども、しかし、とりあえず現在の疎開者が入つているような、引揚者が入つているような集団住宅が非常に衛生的に重大である、それとともに風紀の点から言つても、またひいて思想上から言つても非常に重大な問題ではなかろうか、こういうわけなのであります。話はもどりまして、そこで、限られた予算であるならば、戸数の多くできるような木造のものでもよけいつくつた方がいいじやないか、こういう常識論になるのでありまして、法律の点になりまするならば、厚生省が引揚者住宅として建てるならば、これは必ずしも北海道の防寒並びに耐火の建築によらなくてもできるというふうに伺つておるのであります。ところが、実際問題とすると、北海道はやはりいいものを建てる時期であろうというようなことで、建設省の御意見のようになつてしまうということになるのでありますが、問題は数の点で、三十年度においては二十九年度の三百戸をさらにもつとふやして六百戸ぐらいを疎開住宅に充てられるようなお考えがあるかどうか、その点をひとつお伺いしたいのであります。
○荒舩説明員 ただいまの最初の御議論でございますが、私個人といたしましては同感でございますが、何といたしましても、ここに防寒住宅建設等促進法というものかございますので、これは何とか研究をいたしまして、でき得る範囲で御指摘のような点に近づけて行きたい、こう考えております。あの寒い土地で住宅を得られないということはほんとうに気の毒であろうと考えておりますので、一日も早くこの法律の許される範囲でなおより一層研究いたしまして御趣旨に沿いたいと考えております。まだ、私もしろうとでございますから、はつきりきようそういうふうにできるかできないかという点は申し上げかねますが、なるべくそうした点で研究をしてみたいと考えております。 なお、昨二十九年度の三百戸というものを六百戸程度、これもごもつともでございまして、先ほど委員長と開会前にいろいろお話しをいたしまして、実際研究をし、また御視察をなすつた状態をよく伺いまして、でき得るならばすみやかに千七百何戸というようなものも建てたいと考えておるのでございますが、何といたしましても限られた予算の範囲でございます。従いまして、大蔵省と予算の点をよく研究を重ね、なおまた厚生省ともよく協議をいたしまして、なるべく急速に御趣旨に沿うべく努力したいと考えております。
○山下委員長 受田委員。
○受田委員 荒船新政務次官殿より御決意のほどを拝聴したわけなんでありまして、その御努力に大いなる御期待を申し上げるわけなんでありますが、昨日以来のわれわれの非常に大きな願いというのは、臼井さんも御指摘のごとく、さしあたり今寒さにこごえておる人々をあのそまつな旧軍事施設などを利用した住宅からせめて最低の独立家屋にお移し申し上げたいというわれわれの人道的熱情なんです。そこなんです。それは委員長からもあなたにとくとお話があつたと思います。きのう開発庁政務次官からも、何とか努力したいということがあつたのですが、厚生省、建設省及び大蔵省がよく相談をして問題の処理に当るという今の御決意ははなはだけつこうでありますが、従来建設省は厚生省が企図した引揚者のための住宅建築、疎開住宅というものに対してきわめて冷淡な態度をとつて、できれば建設省の中の公営住宅の法律の中に全部縛つた形に持つて行きたい、建設省はそういう線でお進みになつておつたのであります。そこで、厚生省は、できるならばまだ数年間この引揚者用の疎開住宅を別わくをとつて予算の上にも手を打ちたいという念願を過去において毎年繰返して熱願をしておられました。それが遂に二十八年から削られてしまつた。それから補修の予算も二十七年から削られたということになつて、厚生省としては慨嘆久しうしているところなんであります。そこで、当面この引揚者の住宅というものは当然いるのだから、もうへりくつでなくて、今御説のように、さしあたり困つておる方々が大勢いらつしやる、これは北海道のみではなくして全国的にたくさんおられます。引揚者の住宅を疎開しなければならぬのがたくさんあります。これは厚生省が資料を持つておられますから、それに基いて引続きこの疎開住宅のわくを持たしてもらうということ、その法律改正の上でなくして、さしあたりこの法の解釈の上からも行政措置でできそうな線があると思うのです。それは、北海道の場合でありましても、北海道防寒住宅建設等促進法の第七条に「国又は地方公共団体が北海道の区域内において建設する住宅は、これを防寒住宅とするように努めなければならない。」もちろんけつこうですが、この法律を改正しなくても、この第七条の精神にのつとつてこの北海道の引揚者用の疎開住宅のわくを第二種公営住宅として別にとつておく。そのとつておくことは、結局公営住宅法の附則第五に、この法律の規定は海外からの引揚者に対する応急援護のため設置した住宅及び今後同様の目的のため設置する住宅については当分の間適用しないという規定があるのですから、これに該当させることにして、ここに掲げてありまする北海道の防寒住宅建設等促進法と公営住宅法とを両方をとり合つて行くならば、現行法においても行政措置で引揚者の疎開住宅をある程度のわくを広げてとることができると思いまするが、いかがお考えでありましようか。この点について、さしあたり法を改正しなくてもすぐ手がつけられるような法解釈で行政措置をとつて行けないものですか。
○荒舩説明員 ただいま受田さんからお話の通りであります。私もそういう考えで、現在の法律でもでき得るように考えております。従つて、これはりくつでなく、予算面とのにらみ合せでございますので、そういう意味で先ほど臼井さんに御答弁を申し上げたような次第であります。何とかほんとうに、住宅の問題は困つた人から、一番みじめな人からこれを取上げて行きたいという考えを私持つておりますので、そういう線で鋭意努力する覚悟でございます。
○山下委員長 それでは、昨日厚生省当局から発表になりました「未帰還者消息の現況」は引揚げ問題の基礎となる重大な数字でございますので、委員会においてできる限りの検討を加え、本問題の解明を期したいと思います。 これより本件についての質疑を行います。 青柳委員。
○青柳委員 まず第一に政府当局にお尋ねしたい点は、昨日御発表になりましたこのパンフレツトの一番最初に出ておりまする集計表のうちで、左の方に「ある時期の生存資料のあるもの」といたしまして、昭和二十年、ソ連参戦以後本年までの間に生存をしておつたという資料のあるものの数が出ておるのであります。この数を見まするに、初めの二、三年のうちに多数の人が集計せられておりますが、これらのうちで大部分の方がもうすでに外地においてなくなられたものと思うのであります。従いまして、当局におきましては、現在このうちのどの程度の人が生存しておられるというふうに考えておられるか、その点につきましてまず第一にお尋ねいたしたいと存じます。
○田邊説明員 お答えいたします。この集計表の中で「ある時期の生存資料のあるもの」の、その昭和二十年の欄に、戦年中、つまりソ連参戦時から終戦までの間に状況不明になつた方も相当含んでおることは御承知の通りであります。従いまして、こういう方々は可能性としましては死亡の公算が相当多いのでございますが、死亡したという証拠をつかめない以上、私の方から死亡を確認するということは、これは慎むべきものでありますので、慎重を期しているわけでございます。数多い中には、たまにはその中からも生存してお帰りになる方がないとは言えないのでございます。かつて南方における未帰還者等ですでに死亡処理してしまつた人の中から帰つて来るという例もありましたので、私の方でも現在死亡者につきましては非常に慎重を期しているわけであります。一旦死亡処理してしまつた以上、いろいろなことが伴いますので、そのあとでその方がお帰りになるということがあつては実に遺憾でございますので、非常に慎重を期しているわけであります。これは南方の未復員者につきましても同じような問題があるのでありますが、今後できるだけ努力をいたしまして、死亡の確認のしつかりした証拠をつかんで逐次その措置をとるようにいたしたいと思います。
○青柳委員 このパンフレツトの一番おしまいのところに「残留人員表」といたしまして、生存を予定せられておりまする人々の数が載つておるわけであります。この二つの表を合せますると、大体一万二百ないし五百の数を計算することができるのでありますが、ここに約一万という人の生存はほぼ確実であるということがこれによつて示されておるのでありまするが、この表と、先ほど私も指摘いたしました最初の集計表の中の「ある時期の生存資料のあるもの」との関連などにおきまして、政府当局は、ある程度の見通しといいまするか、生存者の数を考えておられるのではなかろうか、こう思うのでありまするが、その辺につきまして政府当局の御意見を承らしていただきたいと存じます。
○田邊説明員 御説明申し上げます。「ソ連・中共地域等の未帰還者集計表」といいまするのは、氏名の判明しておる未帰還者各人について、その人の最新の資料を基礎として、それを年次別、地域別に区分したものであります。従いまして、生存資料のあるものの欄に計上されておりますのは、それぞれの地域において、当該年度において得られた生存資料が最新のものでございまして、その他のものは不明であるという意味合いでございます。従つて、たとえて申しますれば、昭和二十五年を境といたしまして、二十五年以降の人は、二十四年以前の生存資料よりも生存資料の確度が高いということは言えるのであります。同じ二十五年以降におきましても、二十九年に近づくほど生存の公算が非常に高くなつて来ているわけであります。現実に昭和二十五年以降の生存資料のありましたものでも、その後死んでいる方があるのでございます。逆に、二十四年以前の人につきましても、年次が古くなるごとに生存の可能性が非常に薄くなつて来ているわけであります。しかし、そうだからといつて、それぞれの人が現在どうなつているか、全部死んでしまつている、あるいは全部生きているということは断言できないのであります。これは当事国のみが知つているのではなかろうかと思うのであります。これが従来われわれが未帰還者集計表について申し上げている説明の内容でございまするが、それについても、昨年から今年にかけてソ連、中共地域から相当数の方がお帰りになつたのであるから、その方が帰る際に現実に見て来た、あるいは聞いて来たという生存者があるはずであります。その中には、何のたれがしという人が具体的に名前までわかつてある地区におつたということがはつきりする場合もありましようし、名前はわからないが、あの地区に五人の日本人がおつたということがわかる場合もあります。それを私どもの方で一人々々引揚者から精密に聞きまして、照合審査してできましたものが資料として最後にここに掲げてあるのであります。従いまして、最初の集計表は個々人についての消息でございまするし、最後のものは現在生存残留しておる者に対する間接の基礎資料として一般資料というものを考えているわけであります。そういう性格上の違いと、それからもう一つ、もつと具体的に申しますれば、この一般資料による残留人員表の中には名前のわからない方も相当数入つておるということが言えるのであります。
○青柳委員 重ねてお尋ねいたしますが、最初のの集計表の中に入つておるものは、あとの方の残留人員表の中には数として入つておるのでありますか。
○田邊説明員 「ある時期の生存資料のあるもの」は一人々々名前があるのでありまして、これらの方は実体的には現在生きているかあるいは死んでしまつたかいずれかであると思います。その生きている人に関する限り最後の資料に入つておるかというお話でありますが、これは一般資料でありますので、だれだれが入つており、だれだれが入つていないということは言えないと思います。また逆に、現実に帰つて来る方の中には、従来われわれの方で名前を把握していなかつた方もお帰りになるわけでありますから、従つて多少の出入りはあろうと思いますが、しかし、大体において最近における生存資料のあるものは、この一般資料の残員の中に入つておると考えてさしつかえないと思います。
○柳田委員 関連して。そうすると、最初の表の中の、ある時期の生存資料のあるもので、資料年次を書いてあるところのソ連関係集計一万七百七十九、この中にはうしろの表の生存資料のうちの二千二百八から二千四百七十四というものも含んでいるのですか。同様に中国の分で計三万一千九百三十二の中には八千六十三というものも入つているのかどうですか。
○田邊説明員 これは、先ほども申し上げたのでありますが、片方は名前がはつきりわかつておるわけであります。片方は名前のわかつていないのも入つておるわけであります。その名前のわからない方の中には、こちらに載つていない人もあり得るわけでありまして、現実に帰つて来る方々の中には、従来われわれの方で未帰還者として把握していなかつた方々も相当お帰りになるわけてありますから、——これはやはりこの表にも書いてありますように、昨年度も一〇%程度あつたのであります。そういう関係が多少の出入りはあろうと思いますが、大体において最初の表に載つておる通りでありまして、現実に生きている方々はこの生存資料の大部分を占めるであろうということが言えると思います。
○柳田委員 それでは直ねてお伺いいたしますが、この一万七百七十九と三万一千九百三十二という数の中には、あとの表の二千二百八ないし二千四百七十四、それから八千六十三というものが大体において入つているが、それ以外のものもあるということですか。
○田邊説明員 そうです。
○受田委員 議事進行に関して。昨日厚生大臣は重大なる談話を発表されまして、世界各国の人道主義者及び各国の引揚げ問題に関心を持つ人々に警鐘を打ち出してくれたわけでありますが、本日の委員会は要するにこの引揚げ問題の最終処理に対する重責を果したいという念願を持つているわけです。従つて、厚生大臣談話に対する基本的なお尋ねを申し上げたいと心ひそかに大臣の出席を待望しておるのでありますが、いまだにここに御出席がないようです。先ほどからの御質問を聞いても、厚生大臣の談話に基本線を引かなければならぬ重大問題のように思うのですが、大臣の出席についての委員長の入手されたる情報並びにこれに対する政府当局の御意向はいかがですか。
○山下委員長 ただいま大臣は歯の治療をいたしておられまして、間もなくこちらに見えるそうであります。本日はぜひとも御出席を願うように手配してございます。
○青柳委員 私も実は数字の問題に触れながら大臣の御出席を待つておるのです。そういう意味で、大臣が来られましたならば発言をお許し願いたいと思います。次に承りたいのは、昨年第八回国連総会におきまして、日本の代表たる澤田大使はこういう演説をしておられます。その中にこういうことがあるのであります。一九五三年八月一日現在における日本側集計によれば、中共を含むすべての地域には約八万五千名の氏名の判明した未帰遠若が残留しておる、こうあるのであります。いかにもその後数次の引揚げが行われまして、ソ連より、また中共より引揚げが行われたのでありますが、私の計算をもつていたしますれば、総数は八千七十八名に相なるのであります。八万五千人からこれを引きますると七万六千九百二十名になるのであります。しかるに、今回発表せられました集計表によりますと、これが七万一千百六十五ということであります。ここに数の開きがあるのでございます。一人々々の生命は尊いという意味からいたしましても、この誤差はどこから出ておるのか、その御解明を願いたいと思います。
○田邊説明員 昨年に発表せられた未帰還者総数からその後引揚げて来た人員及びその後死亡処理を済ませましたものを減じた総数が七万一千百六十五となつております。もつとも、従来外務省で調査しておりました関係上、一般邦人と軍人との間に若干の重複等もございましたので、その辺が調整せられたわけでございますが、これはごくわずかでございます。ほとんど全部に近い数字がその後における死亡処理並びに実際の帰還人員でございます。
○青柳委員 ただいま申されましたところで、はつきりいたしましたように、この開きが実は五千人にも及ぶのであります。この五十人の開きは、ただいまの御答弁で私どもなるほどそうだなと思うわけには行かないのであります。何らかそこに問題が伏在しておるやに思えるのでありますが、その点につきまして何らかの御答弁がありますならば、ぜひお知らせ願いたいと思います。
○田邊説明員 それでは数字について御説明申し上げます。昨年発表された未帰還者の総数が八万五千四十五、今回発表せられた未帰還者総数が七万一千百六十五、その差が一万三千八百八十でございます。一方、昨年発表後死亡処理を済まされましたものの総数が六千八百七十二、引揚げ人員が七千百三十五、その合計数から重複整理数百二十七を差引いた数が一万三千八百八十でございます。
○青柳委員 同じ澤田大使の演説の中に、氏名の判明したものが八万五千人残留しておる、そのうち約五万六千人が生存いたしておるものと確実に判明しておる、こういうことを述べられておるのであります。おそらくこの調査も厚生省から出たものであろうと思うのでありますが、今回の発表とひどく違つておるのであります。これは留守家族に対する影響も多いのでありましてこの際この誤差につきましてはつきりと御解明を願いたい。
○田邊説明員 昨年度の発表は外務省からなされたのでございまして、外務省からお答えするのが筋かと思いますが、私がかわつて…。
○山下委員長 外務省からもお答えしていただきます。
○田邊説明員 昨年度の発表によりますと、生存資料の占めるものが五万六千四十二とあります。これは今年度の発表の、ある時期の生存資料のあるものに対応するものでございます。これは今日まで過去においてあるいは過去から現在に至るまでの間生存しておつたという資料のあるものという意味でございます。澤田大使のお話になつた数字が五万六千四十二というところから見ますと、この生存資料のあるものという意味ではないかと推察されます。
○竹中説明員 ただいまの御質問でございますが、昨年の八月一日現在で帰遠者集計表というものが発表されております。それはことしの五月一日現在で発表されたものと同じ形式でございまして、地域に関しましても年次に関しましても、——ことしの年次が出ていないだけでありますが、その中の生存資料のあるものという集計では五万六千四十二名でございまして、ただいま厚生省の援護局長から御説明があつた通りであります。
○青柳委員 昨年の資料では五万六千名、本年は四万六千名で、その間に一万人の開きがあるのでありますが、この点につきまして御説明願いたい。
○田邊説明員 今こまかい数字は持つておりませんが、現実に帰つた方はむろんこれから削除されております。それから、生存資料のあるものの中から、その後死亡資料が出たもの、あるいは死亡が確認されたものがあります。それらを集計して引いたのがこの四万六千三百十四名になるのでございます。
○青柳委員 死亡処分をしたのがどのくらいあるのかおわかりになりませんか。帰還した者がいかにも八千名軽度あるが……。
○田邊説明員 生存資料の中らどれくらい死亡々確認したかということは今、資料がございませんが、全体として死亡処理をした数字が先ほど申しました六千八百七十二名でございます。
○青柳委員 この数字の根拠が出し得るならば、いつの機会でもよろしゆうございますから、ぜひひとつお出し願いたいと思います。 次に伺いたい点は、今回の調査はどういう中央地方の機構で、しかもどういう運営方法で、予算はどのくらいのもので行われましたか、その点につきまして昨日も御説明があつたようでありますが、ひとつ御説明願いたい。
○田邊説明員 調査の概要につきましては昨日申し上げた通りでございます。さらに詳細な調査のやり方、手続等を印刷物にしたものがございますので、それをお届けしまして、また御説明申し上げたいと思います。予算につきましては昨年度が六千百八十万、今年が四千三百二十五万ぐらいでございます。
○青柳委員 私がその次にする質問は大臣に対していたしたいと思いますので、一応これをもつて質問を打切りまして、大臣が来られましたら続行したいと思います。
○山下委員長 山口委員。
○山口(シ)委員 このたびの「未帰還者消息の現況」の最後のページ、「ソ連・中共等の地域以外における未復員者等の状況」に出ております数字におります数字で、「残留事実の判明している者の数は合計七百四十四名でそのうち三百三十二名は留守家族等に通信のあつた者である。」こう書かれているようでございますけれども、この残留者は、スマトラ、仏印、台湾、ジヤワ等に最も多く、大部分は各種の職業についている、こうはつきり発表されておりますのですから、この三百三十二名がどこでどう残留しているかというはつきりした数、もちろんこの調査によつては七百四十四名もはつきり発表できるのじやないかと思いますが、はつきりした数字を聞かせていただけないものでございましようか
○田邊説明員 ただいま資料を持つておりませんので、次の機会に御説明申し上げたいと思います。
○山下委員長 木村委員。
○木村(文)委員 まず第一に私は厚生省当局に敬意を、表したいと思います。それは、長い間はかかつておりますが、この資料をよくここまで集めて、発表の段取りまでこぎ着けたことに敬服したい。しかし、この機会に、大臣がまだ見えられませんので、一つだけ政務次官を通して警告を発しておきたいことがありますが、それは過日新聞に出た問題でございますが、この発表には国民が重大関心を持つているのであります。それにもかかわらず、この主管省である厚生省の発表の前に類似の発表が出たということを私は見まして、非常に遺憾に思つているのでありますが、こういう点は今後十分慎んでもらいたい。これはひとり未帰還者の問題だけでなしによくあることでありますので、こういうことのないようにお伝えを願いたいと思います。 第二番目にお尋ねしたいことは、生存者の判明している現在でありますので、この数については今同僚の青柳委員からるるお尋ねもあり、それに対する御回答もありましたので、私は時間もございませんので略しますが、まず生存者の現在の生活状態が調査されているかどうか、これをひとつお尋ねいたします。 第三番目は、その判明者の留守家族にその生活状態がわかつているならば、これを通達しているかどうか、しているとすればどういう方法によつて留守家族に対して通達をしているかということを承りたいと思います。 第四番目は、もし生存者が判明した場合において、政府はその生存者に対して何らかの方法によつて留守家族の生活状態あるいは近親の状態について、留守家族の方の通信によるだけでなく、政府自体が通知しているかどうかという問題についてお聞きしたいと思います。 第五番目といたしまして、帰還者に対して現在政府のとつている処遇は、日本の現在の財政面からすれば、また社会政策の上から言つても、もちろんまだ十分ではないのでありますけれども、ある程度国民の納得が行くだけの処遇をしている。私は長い間社会事業の立場に立つて参りましたが、その私の浅い経験からいたしましても納得が行くのでございます。しかしながら、未帰還者の家族に対する処遇というものは、私は実態の調査をいたしております。終戦後八年間というものは、小さい一つの県の団体でございますが、その団体長を引受けまして、実際面において私はいろいろな面から尋ねておるのでありますが、どの面から見ましても、政府のとつている処置は十分だと考えられません。従いまして、現在こういうぐあいにやつているという御説明と、あわせて、もし不足であるとするならば——十分だとすれば私はもう一ぺん立ち上つて政府にただしたい点もあり、私の意見も申し上げる点もございますが、もしやつていない、現在この程度である、そのことは今後は財政面が許せばこれこれの具体的なことをやりたいというようなことがあつたならば、この機会に、最も関係の深い当委員会でありますし、しかも当委員会の委員長はこの道にこれくらい熱意を持つている委員長だとは私は実は期待していなかつたのでありますが、出てみまして私はびつくりしたのでありまして、この委員長をいただいている間に何かしらの形をつけたい、私は社会事業家としての立場から言つてもそう考えるのでありますが、その点を承りたいと思います。 最後に、これは委員の方からも、委員長からもあるいはまた政府当局からもおしかりを受けるかもしれませんが、先ほどどなたかそちらの先輩の方から御意見がございましたが、われわれは最終処理を完了したいという熱意を持つている、これが当委員会の使命であるというような尊い御発言あつたように私は承りましたが、私も昨日より当委員会にこれで二回目でございますが、初めて出て見まして、ほんとうに感じたのでございます。今まで議事録を拝見いたしまして皆様の御活躍なされておるお姿には敬意を表しておつたのでありますが、はからずもこの委員を拝命いたしまして、その重責を感ずるのでございますが、最終段階に入つているという御発言まさにその通りであると思います。政府が今未帰還者の大体において正確な数字を発表し、しかも大臣の談話を発表するまでに至つておる。私はこの段階におきまして、当委員会の使命というものはまさに有終の美をあげる備えをしなければならない段階ではあるまいか、こう考えます。従いまして、この際明確なる数字を基礎にいたしましてこの状況を把握いたしまして、これによつてさらに当委員会の活動が基礎づけられるものである。そこで、一番動かなければならないのは何であるかと言いますと、国内における態勢だと思います。われわれは国民の代表であります。国民がわれわれに期待するもの、あるいは再軍備をするにしても何をするにしても、この未帰還者の問題を解決しないで憲法の改正もあり得ない、こう考えるのです。でありますから、この際ひとつ委員長の格段の御決意によりまして、委員もまた重大なる決意のもとに、この数字を基礎において関係国にわれわれが命をかけて乗り込んで、そうした実態の調査をするとともに、一日も早く帰還することを、いわゆる人類愛、人類平等の立場から、——独立国になつた今日、われわれは平和条約のもとに独立を是認せられたのでありまするから、これを要求する権利を与えられたものと私は確信いたします。従いまして、要請するのでなくして、要求しに参るくらいの重大なる決意のもとに、私は関係国にわれわれが手わけをいたしまして出向くときじやないかと考えます。でありますから、この際あわせて政府当局もわれわれと相ともにひとつこの決意を固めて政府の役人も同道せしめていただくように、関係各当局に委員長のとりはからいによりまして、この委員会の名においてひとつお運びを願いたいと特にお願い申し上げたいのであります。以上であります。
○淺香説明員 もう間もなく大臣が見えると思いますが、ただいまの第一の警告を受けました問題でありますが、お話のように大臣談が発表になります前にすでに新聞に出ましたことはまことに遺憾でありまして、私どもこういつた問題は事前に漏れないようにと十分連絡をいたしておつたのでございますが、はからずもこういう事態になりましたことはまことに遺憾であります。今後十分注意をすることにいたします。 また、第二の生存者の生活状態、それから第三の留守家族に対するその通達問題、四の生存者に対し留守宅の状況を政府は何らかの方法によつて通知しているかどうかという問題、五点は帰還者に対する職業その他政府のとつておるところの処置は十分でない、財政的に裏づけのある対策があるかどうか。この問題は、まことに失礼でありますが、援護局長から答弁さすことにいたしまして、最後の六の問題でございますが、最終段階にすでに入つておる、従つて当委員会においても有終の美をあげる段階ではないかということとともに、さらに政府に対するところの御鞭撻のお言葉がありましたが、私ども、今日まで当委員会がこの引揚げ問題につきまして非常に御熱意を傾けていただいておりますことを、私が次官に就任いたしまして担当局長から伺つて、非常に感謝をいたしておる次第でございます。この未帰還問題は、言うまでもなくすべての主義主張を超越いたしまして、政治問題、経済問題から切り離して、人道上の問題として、また終戦以来九年になります今日、帰らぬ人を待ちわびておられる留守家族の心情を十分察しますときに、この家族の気持が関係国にそれぞれくみとられますように、強く政府当局も希望いたしますと同時に、政府といたしましても、この問題は誠意と熱意を尽しまして最善を尽す所存でございますので、どうぞ御了承賜わりますようにお願いいたします。
○田邊説明員 ただいま木村さんからいろいろ御質問がありました問題につきましてお答えを申し上げたいと思いますが、もし間違つてあるいは聞き漏らした点があるかもしれませんが、補足的にこの際御説明申し上げたいと思います。 第一点は生存残留者の生活状況はわかつておるかという御質問であると思いますが、生存残留者につきまして少くとも健在であるという旨が知らされたいということは、家族とともにわれわれが最も念願するところであります。現地の生活状態がどうなつておるかということは生存者から家族への通信によつてある程度わかるのであります。通信のない方につきましては帰つた人がもたらす情報によつて知るほかはないのでございまして、帰つた方がもたらした情報につきましては、できるだけ詳しく都道府県の世話課が留任家族の方々にお知らせするようにいたしております。 それから家族の生活状況を未帰還の生存残留者に知らせるために政府はどういう方法をとつているかというお話でございますが、今日まで政府は直接向うと連絡ができないためにかような方法は講ぜられておらないのでありますが、但し家族から先方の残留者に手紙を出すことはできます。また現実にその便宜もございますので、その方法によりまして手紙のほか慰問品その他雑誌等を送つている方が相当あるわけであります。 それから未帰還者の留守家族の援護の問題でありますが、これも今日、十分とは申されませんが、未帰還者留守家族等援護法という法律によりまして、未帰還者の家族に対しまして手当を毎月差上げているわけであります。手当の額は月二千三百円、家族が一人ふえるごとに四百円ずつ加算されることになつております。この金額は決して多いとは申されませんが、恩給における公務扶助料、遺族年金の額とにらみ合つた金額でありまして、今日の国家財政上この程度ということに相なつておるのであります。法律以外の面におきまする留守家族の問題につきましては、いろいろ身上相談の面もございましようし、われわれの方においていろいろお世話できることにつきましてできるだけ援助いたしておりますが、今後とも第一線の機関にきまして一層お世話ができるような態勢に持つて行きたい、そのために今後とも努力を重ねて参りたい、かように存じております。
○木村(文)委員 三項それから四項についてはある程度納得いたしましたが、二項の生活伏態の問題でございます。これはあるいは私の説明が十分でなかつたために局長におわかりにならない点もあるかもしれませんので、もう一ぺん重ねてお尋ねしたいと思います。 生活状態が判明して、もしほんとうに向うの生活状態が困つて非常に苦しい、たとえば重労働も、人間としての取扱いをされていないとか、いろいろのいわゆる人権の問題に触れるような待遇を受けている者があると仮定いたします。その場合に対する政府の処置がいかようになつておるか。私の希望でありますが、私はここで率直に申し上げます。そういう場合は政府は、——これは敗戦国でありますので無条件降服したその条項がありますから、これはいかんともしようございませんが、しかし日本は独立したのでありますから、その外交的な立場に立つても、人道上から、こういうような待遇であるそうだがというような抗議的と言えば語弊があるかもしれませんが、こういうふうに処置してもらいたいというような要望的な処置をとるべきだ、それくらいの強さを私は持つべきだと思う。今日はもう独立したのでありますから、日本の権威にかけてもそういうことは私は必要だと思います。なぜ私がこれを強く感じたかというと、きようとみに感じて参つたのでありますが、それは同僚の宇都宮議員が海外視察に参りました。その際にソ連に入つた状況を私先ほど承つて参つたのでありますが、日本の吉田総理の外遊の問題が李承晩の問題と同じくらいの程度に取扱われているということ。私はこれを考えてみた場合に、これは現在のわが党の政府でございますが、この政府の人たちがもつと考えなければいけない問題がここにあると私は思う国民の期待を裏切るようなことのないようなことのないように、——それは取扱う報道人のかつてである、こうおつしやるかもしれませんけれども、背後にある力が十分備わつており充実しておつたならば、私は必ずそれだけの待遇を受けるべき資格を持つておるものであると思う。しかし、現存の政府の状態から考えて、あるいはその力を持たないために李承晩と同ぐくらいに扱われるのかもしれないが、国土から言つても南朝鮮はわれわれの何分の一しかない。日本はたとい四五%も減らされた国土ではありますけれども、しかし現在の南朝鮮よりは大きい。また実力から言つてもそうなんです。その日本の総理が外遊する場合に、その新聞報道が李承晩と同じくらいにされるようなことでは、私ははなはだ遺憾に思う。おそらく国民もそれを聞いたらがつかりするたろうと私は思います。でありますから、この際、こういうふうな問題を関係の当局が強力な発言をされて、そうして国民の信頼にこたえるだけの施策を講じてもらいたいと思いますために、特にこの点の状況はどうなつておるかということを承りたいのであります。
○田邊説明員 最近帰つて参りました引揚者から実情を伺いましたり、あるいは最近参りました通信等によりますと、先方に残留しておる者の生活状態は、終戦直後の状態よりはよほど改善されておるように聞いております。数多い中でございますので、一人々々についてどうであるかということは全部把握できておりませんが、大体われわれの聞いたところ、調べたところでは、終戦直後の状態よりよほど改善されておるように聞いております。
○山下委員長 先ほど木村委員から申出の、この際最終段階になつたということは、私から政府へ申し入れるつもりでおりましたが、実は先ほどの青柳委員の御質問は非常に重要な御質問でございまして、国連の第四回の特別委員会に出席いたしました私の感じから見ても、この数字の食い違いということは非常に大きな問題として考えておると思います。そこで、これを誤りなく正確な数字を政府においてこまかに発表されまして、その誤解を払拭して、新たな立場に立つて国連へ申し出るということが非常に大切な立場にいまおると思いますので、先ほど田邊引揚援護局長よりそのことに対しては詳しいデータを委員会に提出するということでございましたから、委員長からも特にそのことをお願いしてこれを期待いたしたいと思います。私からそれをお願いしておきます。 それから、木村委員のお申出の、この委員会は最終段階になつたという点でございますが、この委員会は終戦以来八年、このことのために実はある委員会でございます。私どもも、この段階に来ましては、実に身の締まる思いをいたすのであります。従いまして、お申出のことは、先ほど開会前に各党の理事の方からも強力な御発言が実はあつたのでございます。そこで、本日は外務大臣も御出席でございませんので、私から御出席の外山務政務次官を通しまして外務省へ申し入れると同時に、正式に政府へこの委員会の御意向を伝達いたすことにいたしたいと思つております。 福田委員
○福田(昌)委員 私どもも、厚生当局のこの残留者に対します困難な御調査をこれほどまでに熱心に御調査いただいたことを感謝いたしております。ただいま田邊局長の御答弁で大体現状はよくわかつたのでございますが、その最も大切な数の問題につきましてちよつとお尋ねさせていただきたいと思います。先ほどの御説明によりますと、二十八年度から二十九年度までの発表の間に約六千名ほど死亡したというような御発表になつております。六千八百七十二名と伺つたのでありますが、ところが、この数と申しますのは、昨年の残留者の発表であつた八万五千人に対します死亡率というものを考えてみますと、非常に多く、十三人に一人ぐらいということになつておるようであります。
○田邊説明員 それは死亡処理です。
○福田(昌)委員 死亡判明ですか。
○田邊説明員 判明です。
○福田(昌)委員 その前になくなつていてわからなかつた人ももちろん含まれているわけでありますか。
○田邊説明員 そうです。
○福田(昌)委員 その点よくわかりました。ではそういう意味で二十七年度には大体、どれぐらいわかつたのでございましようか。そうしてそういう新たに死亡者としてわかられた人たちに対してとういうふうな処置をされたか。たとえば遺家族援護の援助を受けておられる人を恩給の方に繰入れたとか、そういう形の援護をどういうふうな配分でなさつたか、こまかな数字を承りたいと思います。
○田邊説明員 二十七年度において死亡処理した数は、正確な数は今資料がございませんが、六、七千名から八千名の間であつたかと記憶しておりますが、死亡処理の実数につきましては次の機会に述べさせていただきたいと思います。それから、未帰還者で死亡の判明した方に対しましては、その都度私の方から家族にお知らせをいたすわけでございます。その際元軍人軍属であつた方につきましては戦傷病者戦没者遺族等援護法または恩給法によりまして公務扶助料ないし遺族年金、弔慰金が支給されることになつております。一般邦人につきましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法の三十四条の規定によりまして、戦闘参加者または特別未帰還者として公務に準ずると認めた方につきましては三万円の弔慰金を支給いたすことになつております。それから未還者がなくなられた場合には埋葬料を支給するようにいたしております。これは全員でございます。
○福田(昌)委員 率は。
○田邊説明員 率と申しますと……。
○福田(昌)委員 大体五、六千名ずつ判明して参りますね。それの軍人軍属の方は何パーセントくらい、一般市民になつている連中はどれくらいと、大体おわかりだと思うのですが……。
○田邊説明員 ちよつと今正確な数字を持つておりませんので、次の機会にお答えさせていただきます。
○山下委員長 ただいま厚生大臣が出席されましたので、本問題について大臣に御質問をしていただきます。青柳委員。
○青柳委員 厚生大臣に対して御質問をいたしますに先だちまして、昨日未帰還者に関する相当周密な集計表を発表せられました御措置に対しましては厚く感謝するものでございます。しかしながら、この内容を拝見いたしますのに、「不確実な死亡の資料のあるもの」が一万六千二百数十名、しかも「ある時期の生存資料のあるもの」につきましても、この発表を説明しております。パンフレツトによりますと、これらのものは昭和二十年のソ連参戦の期日から本昭和二十九年までの各年次にわたるものを含んでいるものである、数において全体の過半数を占める終戦後二、三年の年次における生存の資料のみしか得られない者の現在における安否については当時の状況がそのまま今日に及んでいるとは言い得ない、こうあるのであります。七万一千数百名のうち一万六千名に及ぶ死亡資料のある者があり、さらに、ある時期の生存資料のあるものの中でも、相当年次の古いものにつきましては、今あるいは死んでいるかもしれない者が相当あるかもしれないという御発表であります。現在まで政府におきまして未帰還者留守家族に対しましての御指導なりあるいはその話す話し方なりは、あるいは生きているかもしれないからというて、力づける方向に行つておつたと思うのであります。しかるに、この発表から見ますると、今度はそれとかわつて、死んでいるかもしれないという方向に力が加わらざるを得ないのであります。一日千秋の思いで肉身の帰つて来るのを思いこがれておりまする留守家族の心情を思うとき、この発表はこれらの方々にとりまして実に大きい悲報であると思うのであります。これらの留守家族の心情に対しまして、政府当局はこの際相当の対策なり御措置があるべきはずであり、さらにまたその援護につきましても新しいお考えがあるべきであるかと存ずるのでございまするが、これらの点に関しましての大臣の御意図を承らせていただきたいと存じます。
○草葉国務大臣 ただいまの青柳先生の御質問に対しまして、実は昨年国際連合の捕虜特別委員会に政府の関係者を出席いたさせましてつぶさにこの表を提出いたしました。同時に、国内におきましても、五月一日現在におきまするこの調査を発表いたしたのでございます。御指摘のように、この全体の七万一千一百六十五名の中には、ある時期の生存資料の確実にありますものと、死亡資料のあるもの、または至つて不確実なものと、全然生死の判明いたしておらないものと、大体三つにわかれておるのでありますが、従来からこれらの点に対しましては当委員会のいろいろな御指示もございまするし、政府におきましても、あらゆる角度から具体的な調査資料を収集いたして参つたのでございます。ただいま御指摘のような文字も使つておるのでありまするが、実際上の問題といたしまして、この七万一千百六十五名は一々個人の調査表を持つておりまして、その異動等につきましても、調査し得る範囲のもの、またはその後開き及びまして調査ができましたものに対しましては、その都度加除改訂等をいたしましたものの最後の数がこういうことに相なつて参つておるのであります。昨年ソ連なり中共からの引揚げ等々から考えますと、実は全然氏名になかつた人の帰還があり、あるいはまた生存されておるであろうと思われる方々が、いろいろな情報等でなくなつておられたりというようなことが相当あつたのでありますから、従つて、これらの点に対しまして、従来の例等にかんがみまして、ただいま御指摘になりましたような言葉も使わざるを得ないような状態に相なつたのでございます。ある時期というのは、もつともその時期からその後情報がわかりましたのはずつと訂正しておりますが、そうでないものは、いわゆる現在と一番近い時期というのでいたして参つております関係から、終戦直後等の資料のままというような人に対しましては、今御指摘のようなことがあるのではないか、その数は確実にはいたしませんが、そういうことも考えられるのであります。従いまして、現在知り得る限りの確実な情報というのを今回発表いたしたのであります。しかし、これをさらに分析してみると、説明に加えておりますようなことを一応頭の中に持つておかなければならぬのではないかというのでございますから、従来の経験等からこの点御了承いただけるのではないかと存ずる次第であります。
○青柳委員 私のお尋ねいたしたいと思う点は、この発表を見まして留守家族は今までと違つた感じを抱くのではなかろうか、今まではどちらかというと生きているかもしれないという方が大きい期待、希望であつたと思うのでありますが、この発表を見ますと、相当死んでいるのではないか、今度は死んでるのではないかという方の気持が大きくなつて、そういう意味で私は留守家族に対してこれは悲しい報告であるとただいま申したのであります。こういう感じを留守家族が持つであろうということを厚生大臣は是認せられるかいなか、もし是認せられるならば、ここに何らか新しく留守家族の心情を思つて精神的な処遇についての施策あるいはこの際他の援護方策につきましても新たな観点に立つたものをお立てになる必要があるのではなかろうかという点を御質問いたしたいのでございます。
○草葉国務大臣 御指摘の点、ごもつともでございます。実は、留守家族につきましては、大体従来からその安否の確実なものという点につきましてはそれぞれ連絡をいたしており、また留守家族の方から私の方へ連絡がある点もございますが、一応は確実な生存という方々は大体留守家族自身が御了承になつておる場合が多いと思います。しかし、生存資料のないもの、あるいは不確実ではあるが死亡資料があるというような場合におきましても、留守家族自身はそれぞれ個人としては一応了承はしておられるのであります。全体としてまとめます場合におきましては、ただいま御指摘になりましたようなことが起つて来る。そこで、いずれにいたしましても、かような状態であるから、今後留守家族の援護というものを新しい観点から検討し直す必要がある、この点もごもつともである。ことに一般邦人の問題につきましては、私どもも御指摘の点につきましては検討の余地があるのではないかと存じまして、いろいろ考究をいたしておる次第であります。
○青柳委員 いろいろ御考究であるというお話でありますので、政府に一応期待をいたしまして、ただいまの点はまたの御質問に譲ろうと思うのでありますが、この点は私は非常に大事な点であると思うのであります。どうぞ厚生大臣におかれましては熱意を持つて新たに遺家族、留守家族のためにいい方策をお考え願いたいと存じます。大臣の答弁の中、あるいはこの表によりますると、生存確実の者が一万人、大体行方不明、所在不明の者が八五%という結果になろうかと思いますが、この所在不明者についてその安否をこの際こそできるだけ急速に確実に把握することは一つの大きい方策であるというお答えがありはしないかと、実はひそかに期したのでございます。八割五分に及ぶ所在不明者の安否を、この発表と同時に従前にも増してすみやかに行うというお考えは当然お持ちのことと思います。この安否を確かめるという方策につきまして大臣はいかなる方法を持つておられますか、その点につきまして伺いたいと存じます。
○草葉国務大臣 実は、私の一番強く要望いたしておりまするのは、まつたく青柳さんのお話と同様でありまして、それは、昨日その意味において談話も発表いたしましたが、死亡者の氏名を知りたいということ、またこの戦争に関係してあるいはいわゆる戦犯として捕われておるというような場合、それから現在生存の人たちに対する消息等の関係、これらが一応はつきりいたしますると、実は調査がまことにしやすくなるのであります。従来からもそれぞれこれを要望して参つたのでありまするが、今回特にこの点につきましては要望を強くいたし、また本日も、昨日からの国際連合におきまする委員会等におきましても、この点を強く要請をいたしておる次第でございます。私は関係当局がこの日本人の熱望を何かの形で現わしてもらいたいと実は心から存じておる次第でございます。それにつきましては、ただいま申し上げました国際連合に対しまする行き方と、その他それぞれの国に対する今回の国民的な反響を期待しますると同時に、今後におきましてもいろいろな方法でこの要請が伝わり、それが実現されることを強く期待しておる次第であります。
○青柳委員 消息を知るために、外地になお残つておる人と内地の留守家族との間に通信を自由にかわし得るようにする、またさらに相手国の力によつて相手国におる日本人に対して日本の留守家族に通信を行うように勧奨する、そういうような方法によりまして、大臣がただいま言われましたように、次第々々に外地にある人々の消息が知れる、それによつてその帰還を促進するという方法、この方法が一番大事であるという点につきましては、大臣の御答弁まことに同感でございます。ただ、しかしながら、それらのことを行うにいたしましても、今回発表のみをもつてしては大臣の考えられる意図はできないと思うのであります。いかなる方策を考えておられるか、その点につきましてお尋ねいたしたいのであります。
○草葉国務大臣 それで、発表いたしますと同時に、実は昨日からの国際連合の捕虜特別委員会にもこのの窮状を訴えながら、国際連合を通じて関係国に要請いたしまするという方法を現在いたしておる次第でざざいます。なお、その他の関係国に対しまする今後の要請と申しまするか、その意思が伝わる方法につきましては、いろいろな角度からいたす方法もあろうと思います。外務省等との今後の連絡等におきましても、十分私どもの意思が伝わつて要請がなるべくすぐ参りますような努力をいたして参りたいと存じております。
○青柳委員 国際連合あるいは相手国の赤十字社を動かす方法もあろうと思いますが、赤十字社に動いてもらうにしましても、その相手国にこの日本の未帰還者に対しての相当のあたたかい気持がなければ、各国の赤十字社にしても動き得ないと思うのであります。政府御当局におきましては、ソ連あるいは中共政府との間に国交がないゆえをもつて、そういうことはできないといわれるかもしれませんが、事は人道に関する問題であります。しかも、私知つておりますところによりましても、国際的な赤十字条約によりましても、相当これらの道が開けておると思うのであります。ここに相手国を動かす方法がないか、相手国がほんとうに人道問題であるということを知つて協力をしてくれるということが必要な点であろうかと思うのであります。大臣は外交問題にも通じておられます。それらの点につきまして大臣の御意見を承らしていただきたいと存じます。
○草葉国務大臣 まつたくその点は御指摘の通りだと存じます。幸いにそういうふうな動きから、昨年は赤十字あるいは紅十字会を通じての引揚げとい具体的のことになつて来たのも、一つには御指摘の点からの現われであると存じますが、私どもはその方面からいたしますることに対しましても今後さらに大きな期待を持つておる次第でござすます。今回近く帰還されまする五百数十名の中共からの方々に対しましても、これらの団体の国際的なあるいは人道的な立場からの御努力に対して私ども衷心感謝をいたしておりまするが、さらに一層それ以上の多くの方々のまだ残存しておられることを私どもはこの表におきましても承知をいたしておる次第であります。これらの国際的な関係機関におきましても、一層今後引揚げ促進に協力をいたしていただきたいと念願しておる次第であります。
○青柳委員 相手国の協力を得ることによつて、外地におる日本の人々の消息を日本国内において知り得るのであります。この消息が知り得て、ここに確実な材料が得られました際に、その後は今度ははつきりと公に相手国と交渉ができる段階であろうと思います。初めのうちは相手国の協力を得ることによつて安否の調査を急速確実ならしめる、そして得た資料をもつて相手国に対して公式に当る、こういう段階に私はなろうかと思うのでありますが、これらにつきまして大臣の御所見を承らしていただきたいと思います。
○草葉国務大臣 これは実はまつたく、具体的にこの氏名あるいはその他を相手国に示しますることが必要でありまするから、最近の行き方におきましても、今回の国際連合に対しまする方法におきましても、具体的に氏名を示して、これこれの方々ということをはつきりと打ち出しながらいたしております。しかし、それが全部ではないだろうと存じます。先ほど御指摘にありましたように、この説明にも、少し死亡があるかもしれないというような言葉を使わざるを得ない状態でございます。この七万一千の方々に対しましても確実な資料を持つておりまするが、その中にはあるいは死亡しておられる方もあるかもしれない、それを確かめますることは、どうしても相手国からの情報入手以外には現在のところなかなか困難でございます。今回帰還されます方々に私ども一つは期待いたしておりますことも、それらの方々の帰還によつて、この不明な方が幾分かでも確実になることを期待いたしておりますが、こちらでいたします範囲は、通信による情報の入手か、あるいは帰還者による情報の入手、その他関係国におけるそれぞれの発表によつてなし得るだけでございまして、確実なことは関係国からの詳しい情報が得られることが一番いいのでありますが、これがなかなか困難な状態であります。しかし、ただいま申し上げましたように、いろいろな機関を通じて、あるいはいろいろな方法を通じまして、今後も十分これらの情報の入手のできますように努力をいたして参りたいと存じます。
○青柳委員 他に御質問の方もあろうかと思いますから、私は次に二つの点につきまして大臣に一つ一つ伺いたいことがございます。一つは、七万一千人のうちの八五%に及ぶ人が所在不明である、この所在不明の人が安全でおるかしからざるかということを相当はつきりさせるのにどのくらいは期間がいるかということを承りたい。これは非常にむずかしい質問でございますが、それは実は未帰還者留守家族等援護法の十三条に「この法律施行後三年を経過した以後においては、過去七年以内に生存していたと認めるに足りる資料がない未帰還者の留守家族には、留守家族手当を支給しない。」とあります。もう二年もたつと、留守家族に対する手当は打切られるのであります。政府は現在なおあと二年にして相当多数の所在不明者の安否をいずれかに決するだけのお考え、それだけの能力がおありになるかどうか、この問題につきまして大臣のお答えを願いたい。
○草葉国務大臣 実は、御指摘のように、七万一千百余名と、それからさらに別な角度から発表いたしました約一万有余の方々、これを差引いたのが大体八五%だと存じます。実はこの生存残留人員表として発表いたしましたのは、昨年帰られた方々について一々聞きまして、自分はこの町におつてこれだけの人を知つておる、あるいはこういう人がおつた、あるいは何人おつた、日本人会をしておつてこういう状態だつたというのを、全然かわつた角度からまとめたのが今の一万有余でございます。従つて、相当おられても、そこから引揚者がなかつた場合には、その地区の状態がわかつておりません。これはありのままを表として出してあるので、私は、この七万一千の中には、生きておる方が一万有余あるから、それを引いた方が行方不明かあるいは生存不明かあるいは生存確実であるかということは断定できないのであります。むしろ断定できないことを強く期待しておるような次第であります。この一万余りは昨年引揚げて来られた方方について聞いただけのものであります。その引揚げのなかつた地区につきましては、情報入手の方法がなかつたのであります。この点どうぞそういう意味においてお含みおき願いたい。 第二点の問題につきまして、三年間の期間であるから、もうだんだんと期間がなくなつて来る、その場合はどうする、あるいはそれだけの間に生死が明らかでない方々の処置がはつきるできるかという問題、私ども実はその期間にはつきりできることを期待したいと存じておりまするが、これは国際間の動きでございまから、はつきりとそうは断定できないかも存じません。願くはいろいろな情勢があと二年間くらいではつきりつかみ得るような情勢になることを期待いたすのでございます。しかし、これは単なる期待に終るかもしれません。もしやそういう情勢になりますると、法律等の改正なりその他の方法を検討いたさなければならないのじやないか。ただ問題は、内地におきましては一日千秋の思いで待つておられますから、できるだけ早くそれらの確実なことがわかりまして、そうして引揚げが完了いたしますように、むしろ私どもの心持は二年を待たずしてでもそれができるようなことを心から念願いたしておるような次第でございます。具体的に今後の動き等につきましてこれらの点は解決して行かなければならないと思います。
○青柳委員 もう一つ残つておりますのは、先ほど大臣が来られます前に、この調査究明なり今回の御発表を行うに至つた機構が使つておる予算についてお尋ねしたのであります。それによりますと、昨年は六千百万円、今年は四千三百万円で、今年の方が少いのであります。私は、先ほど来申し上げておりますように、大局的に考えまして、今回の報告が留守家族にとつて悲報であればあるほど、それだけ早く所在不明の究明をしなければならぬと思うのであります。法律の条文にも、政府はこの究明を行う責任を負わされております。留守家族に対して悲報であればそれだけ早くはつきりとしたところを出さなければならないのであります。しかるに、二十八年、二十九年と予算を比べてみますと、だんだん減つておるのであります。このときこそなお大臣は予算の増額に努められて、すみやかなる調査究明を完遂せられんことを希望する気持から、大臣に予算の増額について十分努力していただきたいのでございますが、大臣の御覚悟を承りたいのでございます。
○草葉国務大臣 御趣旨の点、今後十分努力いたしたいと思います。
○山下委員長 山口委員。
○山口(シ)委員 に御質問申し上げます。戦後の状況から顧みまして、未帰還者の集計等はまことに困難であつた存じまして、この数字を拝見して感謝をいたしておる一人であります。この「未帰還者消息の現況」によりまして、関係者一同も数字の上における納得は一応いたしたことと存じますけれども、この生存資料は昭和二十年当時のものでございますので、今日この資料を全面的に信ずるわけには参らないと存じます。そこで、通信その他今日までまつたく連絡が断たれておりますところの留守家族の心配は甚大でございましようし、またきようこのごろ引揚げの新聞記事あるいはニユースなどを見ましても、このような立場にある方々の傷心はもう申し上げるまでもないことと存じます。この際に厚生大臣は大臣談といたしまして御所信を述べられております。この御発言は留守家族にとりましても重大な発言であると同時に、大臣のおつしやいます通りに、人道問題といたしまして国際的に具体的なる折衝が行われるべきであると私は考えるものでございます。すなわち、ソ連の赤十字社並びに中共の紅十字会、またわが国の赤十字社にたよるのみでなくして、対政府の折衝がもつと具体的に行われるべきである、こう私は考えるものでございます。よつて、外務省並びに厚生省の御所信を伺いたいと存じます。ここで私は端的に御答弁をいただきたいと存じますが、特につけ足して申し上げたいと思いますことは、厚生省の御意見と外務省の御意見とに大きな食い違いがあるように私どもは考えさせられておるのでございます。この点も明らかに御答弁いただければと存じます。これが厚生大臣に対する質問でございます。それから先ほど青柳委員の御質問に関連して、私ちよつと引続き御質問申し上げたいと思つたのでありますが、ちようど大臣がお越しだつたものですから中絶いたしましたが、政府委員の方にもう少しつけ足して御質問申し上げたいと思います。先ほど現地の現況について青柳委員の発言があつたようでありますが、私はそれに関連しての質問なんですが、ホー・チミン軍の治下にあります人々の状態でございます。それと、それらに対します政府の対策、並びに最近の戦火のもとにございます状況、これがつまびらかでないのでございますけれども、政府側から御説明があればけつこうだと存じます。
○草葉国務大臣 赤十字なりその他の方法でやる以外に、むしろ直接交渉したらどうだという御意見でございます。また外務省と厚生省は意見が相当食い違つておるじやないか——。実は私どもはそう思つておりません。外務省は、厚生省のいろいろな意見を聞いて、対外的に折衝いたします場合の窓口として、いろいろ世話をいたして参ります。ただ、現在直接の国交がありませんから、そういう点でたいへん難色がありますが、幸い国際連合の機関におきまして、今回の戦争の跡始末としてのいわゆる引揚特別委員会、三人委員会を開いて昨日からいたしております。一応昨日からのジユネーヴの委員会に日本政府から二人出しまして、この事情を詳しく具体的に訴えておるのであります。これがしばらく続きますから、そられの情報を十分検討いたしまして、今後の処置を講じて参りたいと存じております。外務省とはよく連絡をいたしまして、食い違いのないようにいたして参りたいと考えております。
○田邊説明員 厚生省で実施しております国内調査の面では、残念ながらホー・チミン軍の傘下における邦人の状況はわからないのでございます。今後できるだけ情報を集めまして、それらに関する対策に万全を期したいと思います。
○山口(シ)委員 それでは、もちろん数字などもわからないと思いますから、わかりました程度でけつこうでございますから、次回にお知らせいただきたいと思います。
○山下委員長 受田委員。
○受田委員 厚生大臣は昨日談話を発表せられまして、世界の人道を尊重する輿論に切々と訴えられました件、まことに時宜を得たるものとして敬意を表します。従来かつて見ない厚生大臣の直接談話は、その点において政治的並びに経済的問題ではなくして、人道的問題として各国に訴えようとしたその熱情に対して、あなた御自身の良心に感謝するものです。ところが、ここで大臣に特にお伺いしたいのは、大臣は、かつて講和条約に対する捕虜送還の規定を盛ることについて留守家族が断食までして叫ばれたときの外務政務次官であつた。そしてまれに見る我の強い岡崎外相を補佐されてその次官を克服された御経験を持つておられます。ところが、今日大臣もまた閣僚の一員となられて、岡崎外相とともにこの引揚げ問題処理の重責をになわれるに至りまして、しかも引揚げ問題の最終段階に厚生大臣としての地位におつきになつたという点においては、あなた自身は身を投げ捨てて、身命を賭してこの問題と取組む重大な決意がおありだと思います。そこで、昨日の談話の発表にあわせて私ここで申し上げたいことは、国連の捕虜特別委員会がことしの四月の初めに第五会期における宣言を発しまして、その最初の言葉の中に、今や本問題——いまだ帰還していないかあるいはまだ何ら説明されていない捕虜に関する問題を完結すべき時期であるということを第一にうたつているのです。つまり、国連捕虜委員会も捕虜の問題は完結の時期だ、もう逡巡する時期じやないということをうたつているのです。そしてその最後の方を見ますると、数千名の人間の運命は全世界の輿論重大関心たなざるを得ないということも掲げられております。これは悲壮な文句なんです。そして、この問題はすべての戦後の問題のうちでおそらく最も容易に平和的解決にゆだねらるべきものであろうとさえうたつている。それほど早く手をつければ手がつかる問題なんです。政府は、この引揚げ促進の問題において、われわれから見れば今までははなはだ手ぬるかつたと思います。もつと積極的に引揚げ促進をはからなければならない。今山口さんも御指摘になつたように、厚生省と外務省の意見が違うのじやないかという御質問があつたのですが、現に捕虜特別委員会に持ち出す残留者の人数につきましても、厚生省は詳細に今ここに掲げられておる程度まで発表しようという意思も持つておられたようであるが、外務省は政治的意図をもつてこの数字の発表を控えて来た傾向がございます。この点厚生省の責任者である田邊さんや外務省の責任者である局長たちの間において、あるいはその内部において相当意見の相違があつたと私どもはにらんでおるのですが、こういう点について、今山口さんがおつしやつたように閣内不統一がある、厚生大臣はなかなかいい意見を持つているが岡崎外相は違うじやないか、閣内不統一だ——。事実厚生大臣と外務大臣の意見は違つておるのです。私も、あなたの御発言を聞いて、なかなかあなたは御理解のある御答弁をしていらしやるので、そう思いました。それで、今から具体的な解決について政府の所信をお伺いしたいのでありますが、そうした重大段階に至つている現吉田政府は、この引揚げ促進問題について、山口さん御指摘のごとく、赤十字等にまかせる従来の方式を改めて、ひとつこの際、——ソ連も日本政府を相手にせずとは言つておりません。この際政府はいろいろな行きがかりを捨て、直接ソ連政府に呼びかける重大なる決意を持つていなければならない。中共に対しましても、李徳全を迎えることについて、荏苒月日を費して、国会の決議を得て後に半年、やつと輿論に押されて外相はこれを許しました。この問題についても、特に従来中共やソ連へ行つた国会議員その他の旅券の問題などにしても、とかく手を打つていいような問題をいつまでもぐずつかせた傾向がある。あらゆる点において日和見主義で追随の外交を進めて来られた岡崎外交に対して、引揚げ促進問題に対してはこの岡崎外交を一擲して、勇気をもつて乗り出す外交方針の大転換をするときではないか。この点は、厚生大臣と同時に外務政務次官にも御所信を伺いたい。そういう外交上の大転換を要請するものであります。そのくらいからひとつお伺いして、順次お伺いすることにいたします。
○草葉国務大臣 受田さんは当初から引揚げ問題に対して熱心に御努力しておられまして、私どもは従来からその驥尾に付してともどもにお世話にあずかつておつた次第でございます。従いまして、御意見の点、御心情、私どもも十分了承をいたすのでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、昨日から実は国際連合のこの機関にこちらからも二人出席いたしまして、るる協議をいたしておるのであります。この協議が今後どういうふうになりますか、それらの点を帰りましてから情報をつぶさに聞きまして、そうして今後の対策等も実は熱心に検討いたして参りたいと思います。幸いに中共から李徳全女史の来日されることになつております。これらの点につきましても、促進につきまして大いたる期待を実は持つておる次第であります。具体的の問題につきましては、国際連合の現在の会議の様子を十分承知をいたしました上に、外務省ともよく連絡をいたしまして取運んで参りたいと思います。
○秋山説明員 私、最近外務政務次官を拝命いたしました秋山でございます。よろしくお願いいたします。最近に就任いたしまして、いろいろな点を今勉強しておる次第でありますが、ただいまお尋ねになりました外務省と厚生省の引揚げ問題に対する意見の食い違い、方針の行き違いということについては、私の全然承知しておりません。何ら私どもは大きな食い違いがあるものとは考えておらないのであります。先ほどからの御質問にございますように、今までの外務省の方針をかえて、ソ連あるいは中共と直接交渉をするようにしたらどうかという御質問でございます。もとよりそういうふうな事態の生じますことを私どもは非常に念願しておるのであります。遺憾ながら今日までの状態がその段階に立ち至らないことを非常に残念に思います。できるだけそういう機会の到来するようにわれわれとしても努力をしなければならぬと考えます。ただちに今日百八十度の転回をするような時代にはまだ至つておらないと承知しております。できるだけ今後それに対する努力をいたしたいと思います。引揚げの問題に対しましては、ただいま厚生大臣からお話のございましたジユネーヴの捕虜特別委員会等、かねがね引揚げあるいは返還の問題、あるいは現地における処遇の問題等について、これが緩和並びに実現をするように各国に訴えて努力いたしておりますが、なお赤十字等を通じまして十分促進に努力をいたしたいと考えておる次第であります。
○受田委員 厚生大臣といたしまして御決意のほどを伺つたのであります。私、ここで西ドイツの例をとることはなはだおとなげないとおつしやるかもしれませんけれども、同じまだ帰らざる多数の人々を持つておる敗戦国西ドイツにおいては、すでに一昨年からこのまだ帰らざる人々のために引揚げ促進の週間をとり、特にその悲しい思い出をいつまでも国民の中から消えさせぬ、想起するための週間として、ゲデング・ボツヘという語をもつて思い出す週間を用意しておる。そうして、その週間にあたつては、すべての教会が鐘を打ち鳴らし、周囲の山々にかがり火をたいて、帰らざる方々の健康を祝福し、そのお帰りをお待ちし、留守家族を守るという国民の願いを強調しておる。アデナウアー首相みずから国民の前にマイクに立つて自分の決意を表明しておる。そうして、その予算は政府と民間とが共同出資をしておる。その比率はよく存じませんが、そういう形で出されておると聞いております。従つて、これは国家的行事として帰還促進にそれだけの熱意を傾けて努力しておられるという西ドイツにおける一つの事例をわれわれは聞いておるのです。こういうことを考えても、われわれの国で引揚げ問題を今日まですこぶる大きな関心を持つて取上げておるのはこの衆議院における特別委員会がただ一つ、今日まで八年間持ち続けておるというのは、これは大きな存在である。政府自身も役所をどんどん縮小するというようなことで、田邊さんが最初から御苦労しておるというような形になつておるのです。こういう点について、帰らざる人々の数がだんだん減つて来た、縮小されて来たという段階で、しかも完結すべき段階に来ておる以上、最終処理段階としてひとつ思い切つて引揚げ促進の予算なども計上して、それに伴う国民運動等も大きな行事にしてみる、あるいは政府みずからがこれに乗り出すとかいう形をもつて、ひとつ全国民にこの未帰還者に対するあたたかい愛の手が差延べられるような政策をとる必要がありはしないか。この間未帰還者家族の夕べに厚生大臣みずから出られて表彰状を授与されたというのは感激的な一場面でありました。こういう点におきまして、未帰還者の歌などをすべての国民が歌つて、お互いの中に戦争犠牲の人がまだこれだけ残されているのだという、それだけの誠意を示さなければならないと思います。それで、戦争犠牲者の処理は相当進んでおるのであるが、生きた人が残されておる、その人がまだ生存しているのか死んでおるのかもはつきりしないという不安定な状態になつておるが、これはこのままでは済まされません。なくなられたならなくなられたではつきりすれば、留守家族は身の処理もつくし、また若き妻などは新しい結婚ということも考えられるのだが、何年たつてもこれが未解決のままになつているということは、人道的に見ても許しがたい問題だと思います。そういう点で、あらゆる問題の処理をするために政府自身全国民的な輿論を喚起し、引揚げ促進の熱意を盛り上がらすための具体的な計画をお持ちでないか。予算の上において、あるいはそうした行事の上において、何かお考えくださることはないか。幸いにしてこの道に深い御関心を持つておられる厚生大臣を厚生省の最高責任者として迎えておる今日、あなたの御決意によつてこの運命が開かれると思うのです。この点について、大臣として、この際あらゆる角度から検討して大急ざで処理しなければならぬこの引揚げ促進の問題についての具体的な信念というようなものをお示しいただいたらと思います。
○草葉国務大臣 お話の通りに、衆議院の本特別委員会が最初から今日まで引揚げ促進に対しまして熱烈に御努力をいただいておりますことを厚くお礼申し上げます。同時に、それらの委員の方々が中心になり、ことに受田さんはなおさらでございますが、国民運動を全国的に御展開いただきまして、いわゆる政府と国民との中心になつて、官民合同と申しますか、政府民間一緒になつた形においての従来からのこの促進についての御努力に対しましても、本委員会を中心にしての御活動を厚くお礼を申し上げておく次第であります。従つて、政府におきましても、従来この引揚げの問題には相当努力をいたして参つておりましたが、いろいろな事情で、御承知のようた状態で所期の目的に達することはまことに困難な状態でございます。そういう状態であればあるほど、もうすでに九年を経過いたしました今日でございますから、なおさらその努力を濃厚にして参つて、あげて政府も国民も一体になつた運動を展開して参らねばならないと存じておるのであります。従いまして、そういう点から今後の運動等さらに検討いたしまして、効果の十分あがるような方法等もいたして参りたいと存じております。ただ、現在具体的にこうということは、これはいろいろ皆さんたちの御意見等も拝承いたしまして、また国民運動としても成果のあがりますような方法等も検討いたして参らなねばはならないと存じております。従来もそうでございましたが、今後も従来より一層力を注ぎまして進めて参りたいと存じておるのであります。
○受田委員 外務政務次官にはきよう初めてお目にかかるわけでありますが、先般もやはり未帰還者の家族のタベに出ておいでになりまして、賞状を授与されまして、この問題に十分御関心をお持ちいただいておることを私御期待しております。そこで、お尋ね申し上げたい点は、今国連委員会に政府としてはどういう提案をしておるのか、これをお伺いしたい。もし外務政務次官で事務引継ぎ日浅くしてつまびらかにこれをなし得ないということでありますならば、厚生大臣から外務省へそういうことをを連絡されて外務省が国連委員会に持ち出されたと思いますので、厚生省の案というものはどういうものか、国連に持ち出されておるが、その案が今度成功しなかつた場合には、その案が希望通りに解決することができないという場合には、ただちにその交渉に当つて直接の措置をとろうとするような熱意を持つておられるかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
○秋山説明員 今お尋ねになりました点、私詳細を存じませんので、厚生大臣から御答弁していただくことにいたします。
○草葉国務大臣 国際連合に対しまする行き方は、大体お手元に差上げておりまする「現況」等を中心にしております。このほかにもつと詳しい個人の名簿等を出しております。そして現実にこれこれの人たちがこういう状態になつておるということを具体的に今回ははつきりと示して出しております。
○柳田委員 議事進行について。たいへん暑いときですから、ひとつ質問も答弁も応答は簡潔に願いたいと思う。実は先般イぎリスの労働党の代表が参りましてわれわれ参議院の食堂で応答をやつた。二時間かかつて質疑応答わずかに四問やつと済んだ。そのときに、バークが笑つていわく、イギリスでは国会で一時間に百問応答するというのです。今承つておりますと、聞いておつて何を言つているのかさつぱりわからない。ただ言葉だけがさがさ言つておつて、実のあるものは一つもない。言葉のあやだけを言つておられる。だから、ひとつ具体的に簡潔に、実際にイエス、ノーをはつきりしてやつていただかないと、われわれ気が長い方でありますけれども、この暑いときにこうじつと聞いておるのはたまつたものではない。ひとつそういうふうにおとりはからい願います。
○山下委員長 なるべくさようお願いします。並木委員。
○並木委員 それでは、私今の趣旨に浴つて簡潔にやります。今まで数回にわたつて政府が国会に提出された資料があると思いますが、未帰還者の数字をこの際あらためてあげていただいて、そのトータルと比較していただきたいと思います。たとえば最初はたしか二十三万だつたと思いますが……。
○竹中説明員 ただいまの御質問に対して私の承知しておる限りの資料につきまして御説明申し上げます。まず最初に昭和二十五年の五月現在の未帰還者総数の統計というものがございます。これは総数が三十四万五百八十五名となつております。次に一年たちまして昭和二十七年の五月一日現在で発表されました総数は三十四万六千三百九十七名となつております。なお一年たちまして昨年は、中共からの引揚げの都合もありまして、八月一日現在で発表されました数は三十三万一千五十四名でございます。以上でございます。
○並木委員 そうすると、昨年の八月は三十三万、さらにその三年前の二十五年度は三十四万という数字が合つたわけなんです。三十五万になんなんとする数字があつた。それが昨日の大臣の発表によりますと七万一千百六十五名に激減したわけなんですけれども、その原因はどこにあるわけですか。
○竹中説明員 その点につきましては、厚生省から発表されました集計表の備考欄の三項でございますが、「この表には昭和二十九年五月一日現在死亡確認されている者二十五万二千八百八十一人は含まれていない。」ということになつておりまして、その二十五万二千八百八十一名を含んだ数が政府機関に登録されておりますところの未帰還者の数でございます。
○並木委員 二十五万何がしという莫大な数字に上る方が死亡して、その死亡が確認されたということは、いつからいつまでの問に確認されたのですか。
○竹中説明員 これは、終戦直後より未復員者の消息の調査をいたしておりますところの当時の復員省、復員局の調査が引き続き現在も行われておるのでありまして終戦直後からことしの五月一日までと御了解願います。
○並木委員 それはわれわれがはつきり要求すれば資料はわかりますか。その差額を出して出て行つて、その差額は死亡とみなしてしまう、そういつたあれはありませんか。
○田邊説明員 そういう数字ではございません。これは各年度において死亡した数を現実に重ねて行つたのがこの数字でございます。具体的に全部名前の裏づけのある数字でございます。
○並木委員 そうすると、三十四万何がしからこのたびの七万一千に至るその差というものは、要するに死亡した、こういうふうになつているわけですね。大体二十五、六万ですか。その原因は一体どこにあるか。かくも多数の方々が命を落とされた原因は政府の調査ではどうなつておりますか。
○田邊説明員 今回発表した数字には未帰還者の中から死亡を確認された者を除いてございます。すでに死亡を確認された方でございますので、それを未帰還者の集計表の中に加えるのはちよつとどうかと思いまして省いたのでございます。従いまして、昨年度の三十三万一千五十四名というものの内訳を見ますと、すでに死亡を確認された者はちやんと別になつております。それで、毎年死亡を確認して行くわけでございますが、それは何年に死んだ、何年に死んだというふうに、死んだ年の別に出ております。大部分は終戦の直後、二十年、二十一年、二十二年という年に死んだ方が多いのでございますが、これを具体的に人の名前の裏づけのあるものを積み重ねて行つた総数が二十五万何がしという数字になるわけでございます。
○並木委員 それじや、年度別に死亡された人数を言つてください。
○田邊説明員 申し上げますが、昭和二十年が十一万四千四百十六、昭和二十一年が十二万一千八百三十七、二十二年が一万一千三百三十二、二十三年が三千百九十九、二十四年が一千八十七、二十五年が三百九十、二十六年が二百八十八、二十七年が二百四十六、二十八年が八十四、二十九年が二名でございます。
○並木委員 この傾向を見ますと、二十年、二十一年、二十二年と最初の方がものすごく多い数字になつております。これは日本の輿論、世界の輿論というものを反映して、先方の待遇がだんだんよくなつて来たために死亡者も少なくなつたのだろうと思うのです。そうすると、あとから待遇がよくなつて死亡者が減るのものであれば、なぜ最初から待遇をよくして死亡者を食い止めなかつたのか。この問題はわれわれが千載に悔いを残す大問題だと思うのですが、政府はそれをどういうふうに考えているか。これは私ども今後といえども強くソ連とか中共とか、そういう地区を非難攻撃して行かなければならない大問題であろうと思うのですが、そういう点について厚生大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
○草葉国務大臣 実は、昭和二十年、二十一年当時におきます死亡者の多かつたことにつきましては、当委員会におきまして当時あらゆる角度から調査をされたように記憶いたしております。従つて、この終戦直後シベリアに輸送する状態、あるいは向こうでの収容の模様、従つてこれに対するいろいろな施設というようなものが積み重なつて死亡の多きを来した状態であつたと存じます。当委員会におきましても、この死亡等につきまして、あるいは地区、あるいはその状態等について、当時におきましてこの調査を盛んにお進め願つたのであります。その後だんだんと内容も改善されましたと同時に、いわゆるおちついた状態になつて参つて、従つて死亡等も激減する状態になつておるものと思います。
○柳田委員 関連して。ただいまの発言、少しく重大だと思うのです。これは、今政府当局から発表されましたように、終戦の年、あるいは翌年にほとんどすべて二十数万人というものが死んでおるのです。このことはやはり敗戦日本というものの冷厳なる事実なんです。従つて、その当時中国においては今のような毛沢東の政権ができておるわけでもない。また終戦の混雑当時に日本において上官の命令によつて、非人道的な方法によつてみずから命を断たれ、あるいは断たされた場合も多いわけなんです。従つて、これ等をあげてすべてを現在の中国、ソ連にその責任を持つて行くというようなことは、これはやはり私は十分考えなければならぬ。今後の引揚の対象はやはりソ連と中国であるということを考えたときに、しかもわれわれが敗戦というこの事実を認めるときには、やはりわれわれ日本の側においてもなおみずから幾多の問題が残つておるのですから、この点は今後委員会としてもこういう問題の取り扱い方は十分慎重に持つて行かなければならない。かように考えるわけです。しかし、そう言つて私は、引揚げその他戦犯の抑留者名簿あるいは通信その他の問題について現在われわれが相手としております国を擁護しようという考えは持つておりません。われわれ日本人の側からすればはなはだ遺憾な点もあることを率直に申し上げます。しかし、今申し上げた前提の上に立つてこの委員会が取上げるのでなければ、今受田君が言つておるように、今後幾多帰らざる人を呼びもどす上において大いに支障になることを皆さんとともに大いに認識を新たにして行きたい。と同時に、ついでに申し上げますが、先般の厚生大臣の談話は時宜を得たものと思いますが、これにもやはりわれわれ自身がアジアに大きな一つの——これは後世史家の批判にまちますが、われわれ自体として一つの大きなエラーを犯しているのだというするどい反省の上に立つたところの談話がやはりこの中に盛らるべきである。最後にアツピールという文句が使つてありますが、そうしてこそ初めてアツピールがアツピールとしてするどく個々の人の胸を打つのである。そういう御用意も文言の中にはあつてしかるべきだと思うが、そういう点が多少批判されるのではなかろうかということをつけ加えて申し上げておきますが、委員会としては、そういう問題はやはり委員長としてもひとつおとりはからいに慎重な態度をとつていただきまして、いよいよ最終段階に来ております引揚げはそういうふうにしてさらに今後これを完璧ならしめたいと、私はかように考えております。
○山下委員長 受田委員。
○受田委員 具体的問題の解決をはかつて行く一つ一つ片づけて行くために、今国連の委員会に持ち出されたのはこの発表されたこれを持つて行くという話なんですが、これだけではやつぱり効果がないので、これをみんなに訴えて解決をはかつて行くためには、ソ連の代表も来ていただかなければならぬし、中共の代表もそこに臨んでおつてもらわぬというと、日本の代表が行つてこの書類を皆さんに持ち出したとしても、効果が非常に薄いと思うのです。やはり相手の国に出てもらわなければならぬ。そういう点について、ソ連や中共の代表が国連委員会に出るような提案が日本政府からされておつたかどうか、お伺いしたい。
○草葉国務大臣 これは実は従来から、御承知のように国際連合におきまする引揚げ特別委員会といわれております三人委員会の関係国の招請等も何回か私のの方からは出されております。しかし、それが不幸にしてその成果を収め得ない状態になつておるのであります。従つて、関係国は御指摘のような状態でなしに協議が進まれておるというところに、国際連合の現在の三人委員会のたいへんやりにくいところがありはしないかと、私どもはこちらにおりまして従来も推察しておりましたが、私ども自身といしましても、むしろそういう関係国の出席のもとで、場合によりますと三人委員会が日本にも来て実情等も調査してほしいということも申し出た時期も、私外務省におりました当時にございまするが、なかなか都合よく進み得ずにおる状態だと存じます。従いまして、従来からそういう関係でございまするので、今回におきましても、これを中心にいたしまして、さらに具体的なこれに基いた資料等をつけて出しておるような状況であります。
○受田委員 この問題は、大臣としては具体的にソ連、中共の代表にぜひ出席してもらいたいという要請を強力にされる必要がある思います。かつて三人委員会においでを願うような要請をしたことがあるという。かつてのことじやなくして、当面の問題として、完結すべき時期でありますから、それを強力に要請する外交手段がいると思うのです。それと、今おつしやつたように、ソ連、中共の代表が日本へ来て日本の実情を調査して帰るというような、ことも私はやつていいと思うのです。こういう点について、もしそれができなかつたとしたならば、この引揚げ促進問題というものはこれはなかなか片づきません。この点について今外務省並びに厚生省としてはさしあたり用意がないようなお話であつたので、たいへん私は淋しさを感ずるのですが、そのことについて、もしソ連、中共の代表を国連の委員会にも参加させることができず、あちらの代表をこつちへ招くこともできぬとなつたならば、この問題の処理は、政府みずからが、外交手段に訴えてソ連、中共へぶ 当るというぐらいの、そうした信念がないと、解決しないと思うが、いかがですか。
○草葉国務大臣 実は今申し上げましたように、三人委員会に対しましては、年々関係国の出席を要請し、また実際出ておりまする中心の日本なりあるいはイタリアなりドイツなり、関係者はともどもにこれを要請して参つておりまするが、それが実現しておらない状態であります。それらの関係者が日本等にも来てというお示しでありますが、今回実現いたしました中共の李徳全女史の来日は、私どもはそういう意味におきましても実はこの来日に大きなる期待、さらに引揚げ促進にそのことがたいへん大きく今後の促進を全からしめるゆえんだと期待をいたしておる次第であります。
○受田委員 外務大臣は、李徳全を迎えることについて引揚げ促進には大して役に立たぬというようなことをたびたび言うておられる。むしろ左翼が蠢動して困るというような発言をされたことさえあつたので、この点草葉厚生大臣とはちよつと御所見が違うようです。岡崎外務大臣はやむなく李徳全を迎えることに賛成されたと私は伺います。こういう点について、日本外交の大転換をせねばいかぬときが私は来ていると思う。厚生大臣として、何とかこの際、あの逡巡して事を運ばない岡崎外務大臣のしりをたたいて、この問題の処理に対して運命をともにするぐらいの御決意をもつて御処理願えませんか。
○草葉国務大臣 お示しの点はよく尊重して参りたいと思います。
○受田委員 もう一つ、これでおしまいです。そのもう一つの問題というのは、具体的に引揚げ促進の問題について何か考えるとおつしやつたが、経費は今後政府としてある程度の補助をしてでも出そうという御意思があるかないか、そういう国民運動に対して民間と協力してやろうという意思があるかないか、この点が第一点と、その次は、さつき申されたように、二年後には留守家族手当を出さないような未帰還者留守家族等援護法の規定になつているが、二年後におけるこれらの手当を出さないようにした人々の処遇はどう考えるのか、こういう将来の問題等をお尋ねして私の質問を終ります。
○草葉国務大臣 引揚げ促進に対しましての予算その他に関しましては、今後外務省とよく連絡をとりましていたして参りたいと思います。 なお、国民運動として強く相ともに提携して行く考えはないかとのことですが、十分そういう考えは持つております。 それから第三点は、現在の法律からすると二年後にはこれがなくなつてしまうが、そのときはどうするかという御趣旨であつたと思いますが、私どもは、さきにお答え申し上げましたように、二年を待たずにでもこれが完結したいことを実は期待いたしております。従いまして、少くとも二年内にはこれが全部完結し、引揚げの全きを期して行くように努力して行きたいが、万々一そのときになお解決しない場合には、そのときに十分検討して参りたい。
○福田(喜)委員 議事進行。委員長にきのうお願いしておきましたが、きようは恩給局長がお見えになりませんが、これはどういうわけですか。あなたは約束されたではないですか。
○山下委員長 きようは問題が非常に多かつたものですから、たいへん恐縮でございましたが、きようは省きました。
○福田(喜)委員長 それでは、きのうの質問通告はどうなるのでございますか。恩給局に引揚げに関係したことをお聞きしたいと思つたのですが。
○山下委員長 あらためて機会をつくりたいと思います。きようは非常に時間が延びることが予想されておりましたし、恩給問題を加えますと、とてもきよう一日の時間ではさばききれないと思いましたので、きようは省きましたが、次会に機会をつくります。
○福田(喜)委員 大臣がおられる間にその問題についてちよつとお聞きしてよろしゆうございますか。
○山下委員長 はい。
○福田(喜)委員 では草葉厚生大臣にお聞きいたします。軍人恩給扶助料の請求から支払いまでの間にいろいろ手続を世話課へお願いしておるわけでございます。私はきわめて簡潔に質問の要旨を申し上げますが、各県の世話課におきまして、その請求から支払いまでの手続が非常に迅速なところと非常に遅れているところとあります。これは事務の輻湊していることもございましようが、件数の多いこともございましよう。ですが、裁定から支払いまでの問におきまして、単にそれだけでないと思われる節がございますが、この点に関しまして、大臣はいかがお考えでございますか、事情をお明かし願いたいと思います。
○草葉国務大臣 実は、お示しのようなことがありまするので、私ども、遅れておりますようなところには係員をまわしまして、恩給法による扶助料が中心だろうと存じますが、その事務におきましても厚生省が経由官庁になつております関係から、すみやかな処理を要望されておりますから、従つてそういう意味におきましても関係者をそれらの府県に指示あるいは督促あるいは事務の処理上の取扱い方等につきましてずつとまわしておるような状態であります。ことに前国会において、本院においての御修正等がございました後におきましては、この事務がたいへん順調に進みかかつておる状態であります、従来の遅延がその度を非常に改善された状態に相なつております。
○福田(喜)委員 ただいまの御答弁ははなはだ抽象的でございますが、大臣の御努力はまことに多とするところでざいます。実情におきまして、特にこの事務処理だけではない。世話課の職員の気風と申しまするか、その内におきまする扱い方につきましてはなはだ好ましからざる現象があるのを、これは大臣御承知のことだろうと思います。九州に一県ある。本州におきましても二、三県ある。これは思想傾向がどうあろうとも、旧軍人遺家族の方々に対して私はまことに遺憾のことだと思うわけであります。この点につきまして大臣にすみやかなる御処置をお願い申し上げなければ、遺家族その他の方方に私は国民の一人として申訳ないことだろうと思います。私は具体的な県の名は申し上げませんけれども、九州において一県はなはだその取扱いが遅れて、このまま進んだならば時効等の関係から官庁当局の扱い方に非常に問題が起こつて来るのではないかと、私は憂えておることが多々あるのであります。その点がまず一件でございます。次に、ただいまの引揚げの問題でございますが、引揚げの問題につきましていろいろ各方面から質問がございました。非常に政治的の含みのある御質問もあり、あるいはまた民族の感情に訴える質問もございましたが、私は質問の要点を要約いたしましていろいろ法律問題をお聞き申し上げたいと思うわけでございますが、現在のごとく引揚げということが長引きまして、しかも旧戦地、外地におきまするところの生死不明者、ある者は死亡を確認されておるし、ある者は死亡を確認されていない、こういう場合におきまして、法律上、ことに民法におきまして離婚とかあるいは扶養とか相続等の点に関しまして民法を改正する意思ありやいなや。私はこれらの問題を現実に扱いまして、その結果お伺いするのですが大臣はこの点につきまして現行民法に関しまして所要の改正を加える意思があるかないかという一点につきましてまずお伺いしたい。
○草葉国務大臣 第一点の質問につきましては、実はお示しのようなことがありますると、まことに恐縮にたえない次第であります。よく実情を調査しまして、すみやかに善処いたしたいと存じます。第二の点は、いろいろ具体的な問題でそのような事件を私どもも承知をいたしておりまするが、なかなかこれは検討を要すべき問題であろうと思います。十分法務関係とも検討して参りたいと思います。
○福田(喜)委員 私は、死亡確認者の扱い、あるいは再婚の許可、離婚の問題等につきまして、ただいま委員長はこの次に適当な機会を与えるということでございますから、そのときまで延ばしますが、これは単に民法、親族・相続だけの問題ではありません。軍人恩給、扶助料の問題あるいは一般恩給に関連いたしまして非常に不都合な問題が生じてくるのでございます。この点につきまして、私は、当委員会といたしましても、所管の官庁といたしましても、十分御研究を煩わしまして、この点の御検討を進めて法案の改正を準備されんことをお願いいたしまして、私の本日の質問を終ることにいたします。
○山下委員長 臼井委員。
○臼井委員 すでに各委員からいろいろ御質問がございましたので、私は簡単に一、二点お伺いいたしますが、いろいろ御答弁等を伺つておりますと、先ほど委員から内閣不統一だと言われたのですが、不統一でなくても、小くともどうも意気が合つていないというふうに考えるのでありまして、過ぎたことを私申すまでもないと思いますが、たとえば紅十字会の李徳全女史を招聘する問題にしても、半年ぐらいたつてやつときまつた。桜の花の咲くころ招待したいというのが、秋風が吹くころになつてから、こういうことになつて、この点非常に損をしておると思うのであります。もちろん厚生省としては、大臣とされても熱心にこの点は閣内においても主張されたと私は信じております。ところが、外務省は対外的にはこういう問題がどうもスローモーになつてしまう。こういう点を私は非常に残念に考えるのでありまして、また今の国際連合の方に訴えている問題にいたしましても、どうも従来のようにいい結果がそれによつて期待されるとも考えられないのでありまして、そこで、先ほど受田委員から、政府は今後もつと積極的にやれというお話がごございました。政府がやるとともに、また議員としてもより一層直接に中共なりソ連なりへ話し合うということも一つの方法だろうと私は思う。すでに、第七次以降なかなか打開されないと思つていた中共引揚げの問題も、あちらの方に議員の方がおいでになつたり、そうして柳田謙十郎氏からさらに今回、五百余名の引揚げというニユースがもたらされたのであります。そういうあれは決して効果がないわけでなくて、それが私は一つの大きな新しい打開を生み出す方法だと思うのでありますが、これに対しておそらく外務省は反対せられると思うのであります。厚生大臣は、そういうことを議員が中共なりソ連へ行つて交渉するということについて御協力される御意思があるかどうか、その点をお伺いしたいのです。
○草葉国務大臣 実は、これは従来からもそういう問題があつたと記憶しております。しかし、その具体的な場合におきましていろいろ御相談をしておつたのであります。そういうふうな具体的な場合におきしてまたいろいろ御相談を申し上げるべきであると存じまするが、私どもも引揚げ促進の一日も早いことを念願いたしておりまするが、その念願をする方法としていろいろな方法があると思います。お示しのありましたことも、もしやできるならばその一つであろうと思います。しかし、これにはいろいろな従来の関係もあり、またにわかに私がここでお答え申し上げましても、さつきのお話ではないけれども、単なる言葉の上のあやになつてしまつてもいかがかと存じますので、私ども具体的になりました場合よく検討して参りたいと思います。
○臼井委員 どうも新しくなられた外務次官を私お責めしてもしようがないのですが、外務省も大体不誠意過ぎると私は思う。ということは、われわれが委員会で決議したことがすぐ行われないで、さらに本会議で決定したことが遅れた。いよいよきまつても、本日あたりは本来は外務大臣が来られて、こういうわけで李徳全女史も招聘することになつた、許可もしましたというくらいのあいさつもあつてしかるべきだと思うのですが、どうも、七月末ぐらいまでは反対していたのが、急に、しかも新聞によると、各種団体の代表が七月の末に交渉に行つたときに反対であつたのにかかわらず、八月の何でも御自分の選挙区へ行つての演説で初めて李徳全女子を招聘することも一つの方法ということを発表されて、それが新聞報道となつておる。私、記事も持つておりますが、そういうような状態です。どうも外務大臣はほんとうに熱心に引揚げ問題をやつている人に対する誠意がないように私は思えてしようがないのでありまして、この点ひとつ、お帰りになつたら、今後のことがありますから、新しい次官からよく外務大臣にもおつしやつていただいて、引揚げ問題については特に今後一層そういう点で政府におかれても推進されるように、——国内の問題については厚生省でありますが、国外の問題については、この国民の熱意を伝えるのは現在やはり外務省でありますので、この点特にお願いしたいと思います。それから、国内問題で大臣にお伺いしたいのは、先ほどるる応答もございましたように数は相当ふえるでござていましようし、それを期待しておりますが、生存されていると思われるのは大体一万くらいのものが一応現在では調査の線に出ておると思いますが、六万以上のものが非常に不明だということなんです。そこで、そういうことになりますと、今後は留守家族の対策がむしろ遺族のような対策にもかわつて来る場合もあるし、またいろいろ問合せもあるんじやないかと私は思うのです。その際に、やはり非常に熱心にやつている団体が民間団体にもいろいろありますので、むしろそういう機関を利用して、留守家族の方の相談等に対しても積極的に応ずる態勢を整える必要があるのではないかと私は思うのです。遺族のことに関しても遺族会というものがあつて各県でそれぞれ県の援助等を受けて相当やつておりますが、各県市町村におかれてそういうようなこともあるかと思いますが、しかし、これがお役所仕事で通り一ぺんであつては、やはり留守家族に対する愛情といいますか熱情が足りないと、非常にそこで、反感というか不満を買うと思うのでありまして、そういう点について何かお考えがそこにありますればお伺いしたいと思います。
○草葉国務大臣 従来の地方におきまする世話課を中心にいたしまして、この問題に具体的な取扱いをいたして参りました。これは政府機関で、地方における一つのいわる世話をいたします形でやられておりますが、それだけでは十分でないので、国会を中心にしたいわゆる国民運動の機関としていろいろお世話いただいており、留守家族の調査といつた方面もお願いをして、たいへん御熱心に御活動を願つておるわけでございます。今後におきまして、いろいろな機関もありますけれども、ことに国会を中心にしたこういう機関におきましては今後一層の御活動を御期待申し上げるとともに、御連絡をいただきたいと思います。
○福田(喜)委員 ただいまの臼井委員の質問に関連いたしまして、私は大臣並びに田邊さんにひとつお願い申し上げておきたいと思います。御承知のごとく世話課は政府機関でございます。手続には文言その他種々のことに関連いたしまして非常に法律問題が多いのです。家庭の実情に、親族、相続に関連して参ります。ただいま私が御指摘申し上げましたが、世話課係は非常に親切なところもあれば、はなはだ不親切なところもある。あるいは思想的偏向を持つておるところも中にはあるわけであります。親切なところは、この法律問題をいろいろな人に聞くなりあるいは知つておるところはそれについて親切に助言をしてくれる。ところが遺家族の人々は大多数が無産者であります。この点につきまして、遺族会と申しますか、あるいはまた特別のこういうものに対して、法律問題についての相談に無料で応ずるような、親切に世話していただけるような団体を設けられる意思が厚生大臣にあるかないか。そういうことをやつていただかぬと、実際に手続を進める上において単に撃退され、け飛ばされただけでは遺家族の気持ちはおさまらない。法律上こういう請求をしてこういう申請をすればこういうように解決するというようなことを法律的親切ににやつていただける機関というものが必要ではないか、その点の必要性を政府当局はお認めになつておられるのではないかと思いますが、もしおられるならば、この点法制化して行くなり、あるいは必要なる相談機関を何らかの形において設けられる必要がないかということを承つておきてたいのであります。
○草葉国務大臣 戦没者の遺族のお世話という問題につきましては、ただいま福田さんの御説ごもつともなことであります。従いまして、この遺族の会は先般法人といたしまして、ことに国会の御承認をいただいて、従来の在郷軍人会館の払下げというようなことも考え、あわせてこれらの遺族のお世話等も願いたいし、また願つておるということで、私ども常に連絡をいたしておる次第であります。ただ、留守家族を遺族会の方で世話をするという場合にはちよつと考えものだと思う。むしろかえつて留守家族の方々に妙な印象を与えていけないことではないか、やはり留守家族は留守家族の引揚げ促進の運動として行くべきものである。戦没者の遺族ときまりました場合には遺族会の方の世話で手続その他をいたして行く方がいいと思います。
○福田(喜)委員 私のただいま御質問申し上げたのは、少し大臣の御答弁と趣旨が違うわけでありまして、本省におきましては、ただいまここに御出席の田島事務官には非常に御親切にいろいろな問題を研究していただきまして、軍人恩給扶助料の請求等については御指導をいただいておるのです。これはおそらく本委員会の各委員の皆さんが感謝しているところだと思う。こういうふうに法律関係の詳しい方が、かつ親切な方が世話課におれば問題はないわけであります。こういう恩給法上の問題、扶助料に関する問題でいろいろ手続等をとつて申請する場合におきまして、これは単に文言だけの問題ではございません。離婚の問題、扶養の問題、相続の問題があるわけであります。そうして戸籍の問題がその間に介在いたしまして、請求権者がだれになつているかというようなこともなかなかほんとうのことは実際をつかみにくいのであります。こういう点につきまして、われわれが地方の市町村の世話課に行つても、なかなか親切にやつてくれない。こういう場合におきまして、法律問題というものと、それに伴う手続というものを、実際に指導し教えていただくものが地方において必要ではないか、こういうものがなければ、実際においていかに権利というものが法律上与えられましても、それを具体化する方法において欠くるところがないかというのが私の質問の趣旨であります。
○草葉国務大臣 実は、その点まことにごもつともでありますから、世話課を従来ともそれに当てる意味で指導して参つたのであります。中には御指摘のようにまことに不十分な県もあるようでありますが、この点は一層十分にいたすようにいたしたいと存じます。しかし世話課は県庁の中に一つだからいろいろ不便である、あるいは民間機関として遺族会あたりがもう少し活動するようにいたす方がいいじやないかという御趣旨も含まつておるのではないか。この点につましても、私どもまつたくそう考えております。よく遺族会等とも連絡をいたしまして、御期待に沿うよう、御質問の趣旨に沿うように取運んで参たいと存じます。
○並木委員 さつきの質問で残つておるところをお尋ねいたします。政府の昨日の発表の数字に対応するものとして、先方の関係の国で何らかの意思表をし示ておる数字があると私思います。それをこの表に当てはみていただきたい。たとえば、ソ連外蒙古地区でこちらでは合計一万三千六百三十一になつておるが、先方ではあとこれこれだという数字の違いを知りたいのです。
○竹中説明員 現在まで抑留国でありますソ連と中共側の公式に発表されました資料を申し上げます。昭和二十五年の四月にソ連はタス通信を通じまして残留者——これは捕虜でありますが、残留捕虜は千四百八十七名である、なお病院で加療中の者は九名で、これは加療を終つて帰すことになつておる、それから中共渡しに予定されておるところの戦犯が九百七十一名であるということを発表しております。その後昨年の十一月に北京でソ連と日本の赤十字社相互間に釈放戦犯並びに刑の満了者の送環問題に関する打合せをいたしまして、そのときに発表ないし先方から説明がありました数がございますが、それには四百二十名の軍人を帰す、それから八百五十四名の邦人を帰すということ言つております。なお、この八百五十四名の邦人はさきの昭和二十五年四月に発表されました捕虜の数に含まれていないということを言つております。なおこの四百二十名の軍人を帰しまして残る者は、千四十七名であるということな申しまして、この千四十七名の名簿をこちらの方によこしております。ソ連側の公表されました質料は以上でございます。中共側につきましては、一昨年の十二月一日に中共側の新華社放送がございまして、その際現在中共に居住しておるところの日本人は約三万人であるということを言つおります。以上が両抑留国の公式に発表いたしました資料でございます。
○並木委員 その間まだ非常な差がありまけれども、今までしばしば先方の国の側に立つて議論を進めて来た人々は、政府の調査がずさんであるから合わないのだということなんです。で、私お伺いしますが、昨日発表になつたこれは、今後いかなることかあつても大幅の変更はない、こういうふうに私ども承つたのであります。それをもう少し具体的に、たといこの数字に変更はあつても何パーセントくらいだというところまでわれわれは聞いておきたい。そうしないと必ずこれは双方の言い分が議論になるのです。
○田邊説明員 私どもの調査は残留者の業態を帰還者及び通信によつて把握するというやり方でございます。従いまして、現在生存している人間が何人であり、死んだ人間が何人であるかという正確な実態は、りくつから申しますれば当時国は知つておるわけです。しかし、一例を申し上げますと、ソ連では千四十七名の人のほかに現実に通信をよこしておる人があるのであります。この前赤十字から先方にその人の所在を教えてほしいという照会をしたように、この人々以外に現実に通信が日本に来ておる人があるのであります。この前日赤の社長が向うに行つてその点をいろいろ聞きましたところが向うの赤十字には資料がないと言つて逃げたそうでございますが、現実に私の方でわかつておる、通信が来ておる人が少くとも十名あるということでございます。今後われわれの調査によつて、あるいはすでに生存確実と思つて者るお人の中から死亡が出る場合もありましようし、これ以外にも追加されて行く場合があり得るのですから、それが何パーセントくらいになるかということはちよつと予測がつきかねますので、その点は申し上げかねますけれども、これは真実基いてやつた加除でございまして、決して作為的なものではないということを申し上げます。
○並木委員 ほぼ最終的のものである、またわれわれとしては断じて最終的のものであるという答弁を得たいわけなんです。しかし、この注意にも断わつておる通り、多少の変更はあるかもしれないというので、そのあるかもしれない変更は、幾らあつても、たとえば一%を越えることはない、〇・五%を越えることはない、そのくらいのとこまでは言い切つてもらいたい。あつても少しだと、こういうところなんです。
○田邊説明員 一例を申し上げますれば、生存資料のあるものの中の古いところから見ますと、帰還者が留守家族に対するいろいろな関係上この人はどこで会つたというこを言つておる場合がございます。ところが、それをだんだん追究してみますと、そういうことを言つた覚えはないというこを言う場合もあります。あるいは、数多い中ですから、多少の思い違いということもありましよう。しかし、その数は全体から見ますればきわめてずかでございます。従つてわれわれはこの数字は調査した限りにおい間違いはないものと考えております。間違いが多少あることは、これは技術的な間違いでございまして、全体として見ますれば、真実にほぼ近いもの、あとう限り真実に近いものだ、かように考えております。
○並木委員 さつき山口委員から質問があつたのですが、ホー・チミン軍に入つておる邦人の消息がわからないということですれども、これは最初に仏印に幾人いたかということはわかつているのでしようから、ホー・チミン軍が反乱を起す前の現在の数字はわかつておると思うのです。今ヴエトナムの方にいる邦人の数がわかれば、あとの残りが一応ホー・チミン軍に入つておる者だということになるのですけれども、その関係で、この御説明には、仏印地域においてはホー・チミン政府軍に入つていた者もあつたようであるが、現在におけるその正確な人員氏名はつまびらかでないと、全然つつぱねておりますけれども、そうでなく、今言つたような点で何らか調査ができるのじやないですか。
○田邊説明員 終戦のときに現地におられた軍人の方、その他の邦人の方で、現地に残られた方でわかつておる者がございます。しかし、その方々がその後ホー・チミン軍に入つたかどうか、どういう人が入つたか、あるいはその後現在どういうふうになつておるかということはわからないわけでございます。御説の通りホー・チミン軍の傘下に入つていない、南部仏印に残つておられる方というものは、外務省の方である程度わかるわけでございますが、それ以外の方がそれでは全部現在ホー・チミン軍の傘下に入つてたるかというと、必ずしもそう断言できないわけでございます。正確なことは目下のところではわからないというのが正直のところの現況でございます。
○並木委員 厚生大臣、外務次官にお伺いいたしますが、今度の李徳全女史をいかなる待遇で政府はお迎えになりますか。先ほど他の委員からも非常に御質問があつたのですが、厚生大臣は李徳全の名前をあげておりましたかどういうのの声明の中で、中共紅十字会とか、こではつきりと感謝をしております。ソ連、中共地域からの引揚げがソ連赤十字社と中国紅十字会の援助によつて再開され云々ということは喜びにたえない——。これはまつたく岡崎さんの言つておることと違うのです。大臣、ここはしつかりしてください。(笑声)内部に不統一はないなんというけれども、さつきからの言葉じりをとらえるわけではないのですが、外務省に連絡してというのは、これは連絡官のすることで、草葉さんは連絡課長ではないでしよう。だから、外務省によく申しつけてとか、こういう大事なことになればイニシヤチーヴをとることが大事なんです。ましてや、すぐうしろにおる外務次官はまだなり立てで何もわからないというのですから、何もわからないような外務次官をよこす外務省の不誠意ということも厚生大臣としては怒り心頭に発しているわけです。だから、ひとつ感謝をし喜びにたえないというならば、紅十字会から迎えられる李徳全女史は少とも準国賓待遇、——国賓待遇ということができなくても、これに準ずべきものとして迎える用意があるべきだと私は思うのです。この間英国労働党の領袖が来たときに政府がそつぽを向いておつたということで、これは実際政府の気持もわからないじやないのですけれども、こういうつまらない意地を張つて、内輪のけんかと外に対する場合と使いわけがまつたく下手で、もちろん岡崎外務大臣も長くは続かぬと思いますけれども、その点厚生大臣はわれわれの要望を入れつつ答弁をしてもらいたいと思います。
○草葉国務大臣 並木さんは外交方面にはたいへんお詳しいですから、御承知のように今回の李徳全女史は赤十字社の招聘で参ることになつておりますから、赤十字社が万端をいたす予定になつております。なお、これらの点につきましては、私よりも外務省の方が答弁は適当であろうかとも存じますが、赤十字の関係は私の方でございますから、一応私からお答えをいたします。
○秋山説明員 現在、李徳全女史の日本に参られますことに対しまして、外務省としてまだどういう待遇をするかということはきめておりません。いずれ、これは政府が招請したわけでございませんので、横合いから飛び出すことははたしてどういうものであるか、赤十字社のほうから招請しておりますので、まず主人役は赤十字社である、そういう観点から、今政府がいかなる処置をするかということはまだ決定しておりません。
○並木委員 しかし、この印刷に書いてある、喜びにたえない、感謝するというその意を体すれば、外務省というものは、言われなくても、今度の李徳全女史に対しては積極的に政府の方から力を入れてお迎えにも行くし、接待役をやらせてくれ、これがいわゆる血のかよつた外交になる。おそらく岡崎外務大臣なら、きようの私のこの要望的質問もつつぱねるかもしれませんけれども、次官のことですから、私の言うことを取上げていただきたい。そしてこの問題を至急相談していただきたい。そしてわれわれの要望に沿うようにやつてもらいたい。それを約束していただきたいと思います。
○秋山説明員 外務大臣とよく相談をいたします。
○並木委員 では、その結果々待つていますよ。私、質問した以上は、それをうやむやにしたら、あとの覚悟があるから、そのつもりで……。さつき臼井委員からの質問なんですけれども、中共への旅券を出すか。これは外務次官の問題になると思います。今度の問題ですが、社会党だけでは旅券を出さないと言うて外務省は出ししぶつているのです。それについて何か先方からほかの政党の者も招待状を出したとかいう話があるのですけれども、その点政府はどういうふうに聞いておられるか。
○秋山説明員 その点はまだ承知いたしておりません。
○並木委員 厚生大臣もその点御存じありませんか。要するに、先方として日本から社会党の議員を招聘しているのですけれども、これもやはり一つの国民外交です。その点聞いておりませんか。これはやはり引揚げなんかにも影響を及ぼすので、やつたらいい。
○草葉国務大臣 そのことは私は承知いたしておりません。実は、さつき非常に喜びにたえないということでお話がありましたが、これは五百有余命の方が今度帰つて参りますについて、ソ連の赤十字会並びに中共の紅十字会が引揚げ促進にいろいろ努力をしてもらつておりますことに対しまして、実は感謝の意を表した次第でございます。
○並木委員 何ですか、それは。さつきの僕の言つたこととどこが違う。援助によつて再開され、それで喜びにたえない——。私は大臣の書いたものを率直に読んでいます。それを岡崎大臣は何も李徳全女史を呼んだつて引揚げには役に立たないなんていうことを言うから、大臣と違うんだと言うのです。それで、外務次官に、今後の方針ですけれども、いろいろ他の委員から要望があつた国民外交の再開、それによつて引揚げの促進、これは大事なんです。中共とかソ連地区への旅券は、今後その所属する政党のいかんを問わず、思想、人種、性別のいかんを間わず許すべきものであると思うのですけれども、その通りおやりになり方針であるかどうか、はつきり聞いておきたい。
○秋山説明員 もちろん、引揚げ問題ばかりでなく、その他にも問題があるわけです。いろいろ政府といたしまして旅券の問題等あるわけでございますが、かねがね外務大臣も述べておりますような政治的な意図があるのでは困る、従つてその個々の問題について検討した上の処置というふうに外務省の方では考えております。
○並木委員 政治的の問題で今までいつでも政府とわれわれとの議論がわかれているのですけれども、広い意味で言えば政治的ならざるものはないわけです。結局中共とかソ連へ行くことによつて日本の国に害を与えるというようなこと、また生命財産に危害を及ぼすおそれがある、それを政府が保障できないというようなときに旅券の発行をしぶることができるのが今の旅券法なんです。今日世界の情勢というものは、中共が国連に加盟するかどうか、それに対してこれを承認するかどうか、かなり微妙な段階に来ている今日において、いまだに外務次官がそういう消極的な答弁では困ると思うのです。私がさつき言いました、死亡者の数が昭和二十年から初めの年に多かつたということに対する日本としての非難なり攻撃は、これは当然やるべきで、また正当な根拠があるわけです。やることはやる。やるべきことをやらなければ先方だつて信用しやしません。主張すべきことは主張する。けれども、今日世界情勢というものはかなり変化をして来て、なお外務次官がそういう従来とかわらない答弁では、はなはだ困ると思うのです。この問題も至急取上げていただいて、そうして今申し上げたような点で差別をつけないで旅券を発行するようにとりはかろうということをお約束願いたい。
○秋山説明員 その点御希望の通りに私ここで約束をするわけに参りません。従来の関係等もありますし、個々の問題につきまして十分検討した上の処置でないと、漫然と差別なしにそういうものを認めるということをここでお約束するわけには参りません。
○並木委員 厚生大臣にお尋ねします。戦犯者の問題です。厚生大臣談の中に書いてあります。この問題について具体的に今までのところどういう結果がもたらされたか、それから今後どういう見通しであるか。これも引揚げの問題と関連する問題でありますから、わかつている範囲でお答え願いたい。
○田邊説明員 これは、ソ連の発表によりましても中共側の発表によりましても、戦犯という言葉を使つております。そういう言葉を避けまして、戦争に関連する犯罪云々という言葉を使つたわけであります。その実際がどうであるかということはわかない。ソ連の場合は千四十七名の名前だけは出席者の名簿でもたらされました。それがどこにおつて、刑期が何年、どういう訴因であるか、全然わかりません。中共の場合におきましても、ソ連から渡された九百六十九名の人たちの現在の状態あるいはその他のいわゆる向うで戦犯と言われている方々の状態はわからない、だから非常に知りたいと思つております。今度中共から四百十七名の方が帰られる。これはどうも向うで言つている戦犯に該当している人たちじやないかと思いますが、お帰りになりますれば、その人たちのわかつている限りの状態を舞鶴あるいは帰郷先において十分お聞きして、残つている人たちの状態を明らかにすることに努めたいと思います。
○並木委員 それでは最後に厚生大臣にお尋ねいたしますが、今度吉田首相が外遊するといいます。行くか行かないかわからないので、われわれは阻止しつつあるのですが、もし行つた場合にやつて来てもらう仕事の中の大きな問題は、やはりこの戦犯の釈放と、それから引揚げの促進ではないか、こう思うのです。今まで大臣は吉田首相にどういうふうに要望しておられるか、また首相は外遊してこの問題をどの方面にどういうふうに取上げて行くつもりであるか、はつきりお伺いしたいのです。政府の計画によると、もう出発もはつきりきまつているしするらしいのですから、そこまで行つていなければならないはずなんです。私は先ほど来厚生大臣が国連に訴えるとともに他のいろいろな方法でという答弁を繰返していることをもどかしく聞いておつたのであります。他のいろいろな方法というのは一体何ですか、聞きたいのです。話の泉じやないけれども聞きたいのです。いろいろな方法、いろいろな方法と言われる。だから、せめて一つぐらいは具体的な方法というものがあると思うのですけれども、その中の一つとして、吉田首相が行くのだつたら今度はぜひこの問題を大きな課題としてぶらさげて行つて解決して来てもらいたいと思うのです。どうなつておるのですか。
○草葉国務大臣 実は、吉田総理は、この引揚げの問題につきましてはずつと以前から、ことに条約締結当時におきましてはなおさらのことでございまするが、引揚げの早からんことを念願いたしておるのでございます。私ども常々そのことをよく聞くのであります。従いまして、あらゆる機会に引揚げの一日もすみやかなることを期しておりまするから、いろいろな方法において、従来もいたして参つたのでありますが、今後も機会あるたびにその最もいい機会をつかまえて、引揚げ促進について努力をいたされることを確信いたしております。
○並木委員 私のお尋ねは、吉田首相の外遊について大臣はどういうふうに……
○草葉国務大臣 そういう意味において総理は従来やつて来ておりますから、外遊のことは私が今ここでかれこれ申し上げる機会でないと思いますが、そういう機会等があります場合におきましては、必ずや引揚げ促進について力を注いで来られることと思うのであります。
○受田委員 私は外務政務次官に要望だけ申し上げたい。外務政務次官は岡崎外務大臣の欠席を理由にかわつておいでになつたと思いますが、この委員会は外務所管と厚生所管の委員会で、外務大臣は特にこの委員会に出席していただかなければならぬ立場であつた。私は山口県から一昼夜かかつてこの委員会に出ておるのです。それだけわれわれ委員は熱情を持つておそくまでやつておるのです。そのときに外務大臣が欠席してあなたがかわつておいでになつたのでありますが、今後、めつたに開かぬ委員会でありますから、ぜひこの委員会に出られるようにお伝え願いたいことが一つ。それから、さつき私から申し上げた引揚げ促進に関する国際的な問題について、厚生大臣に国務大臣として直接申し上げたのですが、しかし、それはむしろ私は外務大臣に申し上げたいことです。従つて、厚生大臣からも国務大臣として岡崎さんと御連絡があると思いますが、外務政務次官としても、今の私と草葉厚生大臣との問答をよく外務大臣にお伝えされる用意があるかないか。ないような人では困る。それと、あなたはここへおいでになつたときに、私は外務政務次官になつて間がないのでとおつしやつたか、いつ外務政務次官に御就任になつているのであるか。このごろは政務次官の任期が非常に短かいので、なられたと思うとすぐやめられるような機会が来ると、外務政務次官御就任中の仕事に影響があると思いますから、委員会で何があつたか、どういう問題が討議されるか、よく研究していただいてこの委員会においでいただくことが、外務政務次官としての大事なお仕事だと思います。その点草葉厚生大臣も前外務政務次官として御苦労しておられると思うのでありますが、岡崎外務大臣というやつかいな大臣のもとでおられる立場上、どうか秋山さんに大いに御検討をいただいて、この間の消息をよくおわきまえになられてこの委員会においでいただくことを念願しているのです。以上私が申し上げましたことについての御所見をお伺いしまして、私の質問を終りたいと思います。
○秋山説明員 本来外務大臣が出て参りまして御質問等にお答えしなければならぬのでありますが、ちようど最近渉外事項が非常に多いために、外務省にも出て来られない場合が多いのであります。やむを得ず私が出て参つたわけであります。できるだけ私の方としても大臣の出席を促しておるわけでありますが、今後といえどもさようにいたしたいと思います。
○受田委員 きようの渉外事項は何ですか。
○秋山説明員 これは内容はちよつと申し上げられないのでありますが、昨日来東南アジアの方面の人が見えておるでありますから、それらの関係があると思うのであります。 それから、私が就任いたしましたのは、八月四日に辞令をいただきまして、さつそく就任いたしました。何分にも私は今まで外務関係はまことにしろうとでありまして、一生懸命勉強しておりますが、また十分の知識を得ておりませんので、皆さんの御質問に対して満足なお答えができないことはまことに遺憾であります。しかし、できるだけ努力いたしまして、お答えができるようにいたしたいと思いますし本日の委員会及び昨日の委員会における問答は、よく、外務大臣に伝えたいと思います。
○山下委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度といたし、散会いたします。 どうも暑いところ御苦労さまでございました。 午後五時十八分散会