海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第13号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/07/14
会議録
○山下委員長 これより会議を開きます。 初めに、去る五日引揚者定着援護状況及び遺家族援護状況調査のため北海道へ派遣いたしました委員より現地調査報告を聴取いたすことにいたします。長谷川峻君。
○長谷川(峻)委員 北海道派遣委員を代表いたしまして、私から今回の視察に際し特に気のついた数点について簡単に御報告いたしたいと思います。 第一は引揚者住宅の状況であります。 引揚無縁故者の集団収容施設の疎開については、北海道の関係者より前々からこの委員会に対して強い陳情を受けておりましたので、今回の視察もこれに重点を置いた次第であります。札幌近郊豊平町、旭川、帯広近郊音更町、函館の各地における引揚者寮の状況を詳細に見てまわりますと、これらの大半の施設は明治三十四年に建築された旧軍用建物の兵舎、うまや、倉庫、さては戦時中のバラックエ員宿舎等があてられておりまして、まつたく老朽の状態にあり、瓦屋根がずり落ちて雨が漏り、採光が悪くて、ベニヤ板一枚で仕切られた六畳から十畳くらいの畳も入つていない小さな部屋に、年年増加する家族あるいは引揚げ当時は子供であつても成年に達した子弟をかかえて雑居するという状態がほとんど全部でありまして、子弟の教育の面からも衛生の面からも寒心すべき状態であります。たとえば函館の引揚者の港寮を中心とする保育園では満六歳以下の園児百四十名中の三割が結核初期の症状を呈している戦慄すべき状態であります。一方、新設のブロック、さては木造の規格引揚住宅の状況は、採光はよし、畳も入つており、衛生設備もきわめて良好でありますので、まだ寮生活を続けている者との間に、旭川のごとく感情的な対立を生じているところもありまして、両者を勘案いたしますとき、集団住宅の疎開は早急に実現するよう政府当局が努力せねばならぬと見て来た次第であります。 北海道にはこのような要疎開世帯はなお一千七百九十五世帯ありますが、北海道防寒住宅建設促進法により簡易耐火住宅をつくらなければならないことになつておるのと、また、内地より建設費が高くつく上に、無縁故者集団収容施設の疎開住宅は二十八年度より第二種公営住宅として補助率が従前の七割から三分の二に減らされたため、地方財政が受ける負担はきわめて多く、各地において、補助率を八割に引上げ、残りの二割は起債を認めるようにという陳情が熱心にあつたのであります。由来無縁故者の集団収容は終戦前より国が道を通じて割当てたものでありますから、国がその責任を負うのが当然と考えられます。しかして、狭い非衛生的な集団収容をいつまでも続けていると、その中にいる引揚者の自立意思を失わせる実情にかんがみましても、極力完全疎開に邁進することが国策としても当を得たものと考えるものであります。 なお、完全に疎開が終了するまでの暫定措置として、昭和二十七年度以来打切られた補修費の国庫補助を復活して危険な状態を一時的に救済する必要があります。特に、去る五月の風害に破壊された十一戸を擁している音更町の場合においては、さらにその必要を痛感するものであります。さらに、耐火構造でなく、単価の安い木造でもよいから、できるだけ多くというのが現地の希望であります。 第二は、樺太、千島に本籍を有した遺族の公務扶助料の問題であります。北海道庁の説明では、終戦前樺太、千島に本籍を有した遺族が、戸籍謄本を得ることができてないため、公務扶助料の受給対象者でありながら、その請求手続を進めることができないという事例が八百五十件あるということです。かかる事例は前国会において恩給法を修正したわれわれの精神からいたしましても看過すべからざるものと思い、善処を約して参つたのでありますが、帯広では、同じ境遇にあるにかかわらず、役場の証明をもらつて恩給を受けている事例も実際にあり、その取扱いは区々まちまちのようでありますので、全体として検討の必要ある問題として考えて参つた次第であります。 なお、北海道は恩給法関係の処理率は全国第二位でありました。これは全部を裁定済みと考えるわけには行きませんが、裁定済みの率もこれに正比例すべきものでありますので、道市町村当局の努力に意を強くして帰つた次第であります。 第三は、靖国神社、護国神社に対する国庫補助等遺家族援護の問題であります。北海道におきましては、ほとんどの市町村において三千円から六千円の補助による遺族の靖国神社参拝が実施されており、遺族に対し精神的な後援をなしているのでありますが、それと同時に、靖国神社、護国神社等に対する国庫補助の面を考慮してもらいたいという陳情が遺族会の代表の人々からあつたのであります。この点は、無名戦士の墓の問題とのかね合いもあり、これと均衡を失しないよう善処することの必要を認めて参つた次第であります。なお、豊平町におきましては、遺家族の指導に当る民生委員の精神的向上を期するために、二宮尊徳翁の二宮講に半月間も小田原に全額町費で順次派遣して受講させているとの町長の説明でありましたが、遺家族の自力更生と精神的発奮を推進する一つの試みとして注目した点であります。また、札幌では「遺族の家」と明示する表示をつけ、年月がたつに従つてとかく周囲から忘れられがちな遺家族の問題を思い起してもらうとともに、遺家族もともすれば世の荒波のために消沈しがちな精神を奮い起してその自覚を保つているという事例がありましたが、西ドイツにおける未亡人バッジの例と考え合せ、貴重なる企画として傾聴して来たものであります。また、現在北海道におきましては、各地において、遺族が公務扶助料、弔慰金等の一部を出し合つて大体一億三千万円ぐらいによつて恩給金庫式のものを設立して遺族国債を現金化し得る道を開きたいという話がありましたが、一つの検討すべき問題としてこの際御報告いたしておきます。 北海道に定着した中共、ソ連地区引揚者の就職状況でありますが、中共関係は、技能経験のある者が多かつたせいか、就職率は八三%を越える良好な成績を収めており、収容生活が長く職業経験の少いソ連引揚者についても六一%の就職率を示しており、成績は割合に良好な状況でありました。 また、引揚者の開拓入植の状況は、全般的に樺太、満州等の開拓者が集団入植したところがきわめて成績がよく、他の模範になつております。われわれも美瑛の五稜開拓農協を視察しました。ここは、樺太引揚げの者が、三十二戸、人力をもつて今日まで七町六反ずつも開墾して、いずれも意気軒昂、その勤労で固まつた手のひらを示しつつ語るこれまでの苦闘ぶりを聞きながら、切り開かれた波のように続く丘陵に広く麦が伸びているところに立つて展望したときには、敗戦のまつただ中に着のみ着のままでのがれて来たこれらの諸君がよくぞこれまでりつぱに自力更生したものなりと、委員同士が相顧みて感激した次第であります。これまでになるには、手古不伐の森林を切り開いて自己の生活を築くという信念に燃えた者を指導する町当局、政府の施策にもよることでありますけれども、その農協の事務所において、婦人も交えた開拓者の諸君から、さらに今後の問題として飲料水の問題、倉庫建設資金、乳牛購入、電灯施設資金等の長期資金わくの拡充について熱心な陳情がありました。このような意欲に燃えた開拓者のために、さらに万全の施策をとられることを希望いたしまして報告を終える次第であります。
○山下委員長 次に中共地区残留同胞の問題がございますが、それは、外務省の都合が一時半でないとつきませんので、ただいまの派遣委員の現地調査報告に関しまして質疑の通告がありますので、これを許します。受田委員。
○受田委員 私も派遣委員の一人として、山下委員長一行に加わりまして現地の視察をしたのでありますが、今長谷川君からまとめて御報告いただいたように、北海道は引揚者の住宅あるいは入植の問題等については全国で第一位の責任を持つたところでありますし、また道といたしましても非常に力を入れているということも確認できたし、加うるに政府としましても北海道開発庁を設けてこれが国策推進に協力していただいておるということも、われわれとしてはこれは十分確認したのです。ただ問題は、今指摘してもらつたごとく、早急に手を打たなければならないところの諸問題がひそんでおります。 私は、まず第一に、せつかく開発庁の政務次官がおいでるので、あなたに、北海道総合開発の立場から引揚者の受入れ体制をどういうふうに考えようとしておるのか、ことに樺太及び満州、その中でも樺太の引揚者は大半北海道に入植し、その無縁故者などはほとんど全部と言つていいほど北海道に新分野を求めて働きつつあるわけでありますが、この北海道総合開発の立場から見た引揚者の入植並びに住宅対策等に対しての北海道開発庁の構想をまずお聞きしたいのであります。
○玉置説明員 お答えいたします。御説のごとく、終戦後主として樺太から引揚げられた同胞各位が北海道に入植されましたことは、すでに先ほど長谷川委員の御報告にあつた通りでございまして、当時の受入れ体制といたしましては、御承知のごとく、北海道開発庁といたしましては、農林省、建設省、運輸省のこの三省を開発庁において一括して企画調査をいたし、それに基きまして大蔵当局に予算を要求いたし、年度の予算をとりますと、そのとつた予算をさらに各省に移しかえをいたして、現地においてそれぞれの機関によつて実施をいたしておる次第でございます。そこで、入植開拓の問題につきましては、これは御承知のごとく農林省の所管に属するものでございまして、その実施にあたりましては、開発庁において直接やるものも少しありますが、主として農林省がこれを行つておる実情でございます。そこで、農林省はさらに道によつてこれを行わしめておるというのが現況でございます。開発庁においては、引揚者の住宅の問題、入植の問題についても、予算に関連するものを取扱つておる次第でございまして、なお詳細にわたりましては御質問によりましてお答えいたしたいと思いますが、基本的な問題だけをとりあえずお答えいたします。
○受田委員 各省にまたがる、所管事項を共にする問題については、それぞれの省の責任者からお答えをいただくことにいたします。私、この間北海道を歩きまして、ちようどその前においでになつたあなたの長官である大野さんが、北海道の特別行政区などを考えておられて、非常に熱心に北海道の開拓について関心を持つておられることを伺つたのです。とともに、実は、そうした大構想を持つておられる裏に、ひそかに開拓の苦労をしておる引揚者が、電灯も十分つけてもらえないし、また病人が出ても三里も四里もある遠いところまで担架に乗せて運ぶというような現状もながめて参りました。大野構想がいかなるものであるか、これは政治問題として私はここで基本的に触れませんが、少くとも、そうした政府自身が北海道に重大な関心を寄せて、その開発に努力しようとしておる陰に、裸一つで引揚げた引揚者が十分優遇されるところの措置がとられてない。今から基本的な忘れられておる政治の数点を列挙しまして政府の所信をただしたいと思います。 第一点は、引揚者が帰つて、まず考慮しなければならない問題は、これは各省にまたがりますので、玉置先生も、また中山先生も、農林、建設の政務次官も、それぞれの関係から御答弁いただきたいのでありますが、この帰つた人のまつ先に必要なものは住宅なんです。まずよりどころとして求めたい住宅が、実は、厚生省所管であつた引揚者住宅なるものは、その疎開住宅が二十七年をもつて打切られておる。補修も二十六年をもつて打切られておる。爾後あの引揚者たちの、今長谷川君から示していただいたような悲惨なる住宅事情を、建設省所管になつている第二種公営住宅によつて、補助率の低い線で、これがごくわずか昨年百八十戸程度の割当を受けているにすぎないのです。ところが、今指摘していただいたごとく、旭川などにおいては、元の第七師団の兵舎が、廊下などはもうまつ暗で、非常に明るい日でありましたけれども、廊下を通つて行くわれわれの前方はまつ暗です。頭を打つ、手が当る、よくこういうところでみんな暮しておると思うほど悲惨な状況であります。その部屋を見ると、畳が一枚か二枚しか敷いてない、あるいは全然敷いてなく、腐れござの上に住まつておる入もある。また函館の港寮を見たときにも、お父さんと三人の小さな子が夕飯を食べておりましたが、これまた六畳くらいの小さな、畳も敷いてないような部屋で、ござを少し敷いて、そこに世帯道具が全部あつて、そのおかずを見ると、ちくわが二きれか三きれ、それにたくわんが皿に載つている。それで子供たちがささやかな楽しい夕げをしている場面です。これが引揚者の現状なんです。そうして、今指摘されたごとく、港寮などにおいては六才米満の子供の三分の一は結核初期の症状を呈して、その担当のお医者さんが、この住宅では私としてももう絶対に手がつけられませんと嘆いております。その暗い部屋で、ふとんを敷いたり、しまつたりするので、ごみが出る。またそこで食堂も兼ねている。ただ六畳の腐れ畳かあるいは一、二枚のござの敷いてあるそこが生活の根拠地なのであります。しかも、光線の当りぐあいは、昔の兵舎を利用したり、軍事施設を利用しておるのでありますから、日当りの悪いところはほとんど日に当つておりません。ここで治療をいかに努力してもだめだ、私はさじを投げておりますと担当の医者が嘆いておりましたが、そういう状況が文明開化の今日まだ北海道の一角に横たわつているのです。そういう差迫つた住宅が北海道の各地には幾つもごろごろしておりますし、また中山先生も先般おいでになつたので、おそらくその一部をごらんになつたかと思いますし、玉置さんも中山さんもこの委員会の最高のスタッフとして御活動いただいた方であるから、十分御関心を寄せていただいておられると思いますが、まことに痛ましい生活をしている住宅が北海道の各所にころがつている。この現状に対して、なぜ厚生省としては従来の疎開住宅あるいは住宅の補修というようなことを引続ぎ御継続にならなかつたのか。今の第二種公営住宅はほんのわずかであります。割当てても焼石に水です。しかもこの低い補助率では地元もあとの残りの負担にたえられません。むしろ従来の引揚者住宅をさらに継続して建築し、耐火れんがなどであまりりつぱにやらぬでもいいから、さしあたり明るい明りのさし込む、畳の敷いてある、独立家屋としての喜びを味わえるように、経費を低くして、政府の負担を軽くして、しかも数多く住宅をつくつてやるというような施策をおとりになる用意があるのかないのか。この問題はきわめて重大な点でありますので、疎開及び補修の問題について住宅政策をいま一歩つつ込んでお考えになつているかどうかを伺いたいのが第一点でありますが、まずこれから御答弁をお伺いいたしたいと思います。
○玉置説明員 私の所管の方がきわめて簡単のようでありますから、私から先にお答えいたします。 私どもの方でそれを扱つておりました当時の住宅対策につきましては、ただいま受田委員のおつしやつた通りでございまして、百八十戸割当てた当時は、実は御承知のように三分の二の負担でありまして、これに起債を要するというようなことで、地元が六割も負担をしなければならぬという関係で、とうてい市町村においては背負い切れないというところから、実際は市町村が辞退をされたのでございます。もちろん百八十戸の中から幾分かは引揚者住宅に振り向けられた面もあろうとは存じまするが、かような関係で、この百八十戸というものがほとんどそうした恩恵を得られなくなつたことは、まことに御同様遺憾に存じておる次第でございます。お説の旭川、函館、札幌郊外の豊平の兵舎、これなんかは、私も実はお話のごとく先年当委員会の委員をいたしておる当時この問題を取上げまして政府当局に要望した経緯から考えまして、今日なおこのままに放置されておるということは、個人的に考えますとまことに遺憾に存じております。でありまするが、二十七年度でこれを打切られまして、二十八年度はほとんど取上げられなかつたのは御承知でありますが、これにはいろいろ事情があるようでございまして、後ほど中山政務次官からお答えがあろうと存じまするが、援護庁にこの問題を引継ぎされる場合に道庁の報告されたものが一千戸余りというようなものを建設省の方へ出して来られた。建設省はそれを基礎にして予算の要求をいたしたが、あとに道庁側からこれは違つておつたというようなことで、その取扱い上に非常に食い違いを来した。そこで、その基礎に基いて建設省から要求されて、当然私どもの方の所管で一括要求する場合に、二十九年度において四百七十六戸を要求いたしまして、そのうちから三百戸を実は認められたような次第であります。市町村が辞退したということは、当時御承知のように市町村がほとんど責任を負わなければならぬというような建前上できない、そこで二十九年度からは通常にして、三分の二の補助、三分の一はたしか道の負担というようなことで、三百戸というものが認められたというように私記憶しております。これをもつてしても、お話の、ごとく、とうてい引揚者が——この家賃はおそらく一千円前後だろうと思いますが、これではとても保護を受ける立場の者がこの家に入ることはできないというような関係からいたしまして、これはむしろ社会政策的な見地から社会保障の方面にこれを結びつけてやるにあらざれば、とうてい完全な引揚者に対する住宅政策は行い得ないと私ども考えたわけでございまして、大蔵省当局に対しましては、地元の要望、引揚者の要望等をもつて、先ほど受田委員のおつしやつたような、過去の全額国費によるもの、さらに全額国費が無理であるならば、たえ得られる程度の負担の率において何とかできないかということを折衝して参つておりますが、遺憾ながら、御承知の一兆億に押えられた緊縮予算の中においてはどうにもしようがないというような状態で、前段申し上げました三百戸というものがとりあえず認められて、これによつて本年度は推進しよう、さらに明年度におきましては、詳細は後ほど説明員からお答えいたしますが、当時当委員会においてともども政府に要求いたしことが今日私どもの立場に立つて要求してなかなか実現できないことをまことに遺憾に思つておりますが、しかし全力を尽して関係各省、すなわち厚生省なりあるいは建設省なり、横の連絡を密にいたしまして、できる限り最善を尽したい、かように存じておるわけであります。 なお、劈頭に仰せになりました北海道開拓に対する構想あるいは入植者に対する対策などにつきてましては、時間が許せば私は相当具体的に申し上げたいと存じますが、とりあえず当面の問題だけお答えいたします。
○中山説明員 私も、昨年の八月の末でございましたか北海道に参りまして、きよう御報告にあずかりましたところを拝見いたしまして、皆様方と同じような考えを持つたのであります。片一方の方はまつ暗で、ここは馬小屋のようなものだと言われるようなものを見まして、せつかく私どもがこの委員会におきてまして努力して帰つて来ていただいた皆様方に、実はまことにおそまつなものに入つていただいて申訳ない、こう思いましたのは皆様のお感じになつたと同様でございます。 引揚げ後の疎開の状況につきましては、全国的に申し上げてみますと、昭和二十五年度において四千四十九戸、二十六年度において七千六十三戸、二十七年度におきましては三千四十九戸、計一万四千百六十一戸、国庫補助額約十二億八千八百万円をもつて実施いたして参つたのでありますが、その住宅が、ほかの今のような兵舎のようなところでないところにおきましては、一棟二戸建、七坪というような住宅にして参つたのであります。 北海道だけを申しますると、昭和二十五年に三百八十八戸、昭和二十六年に千百十戸、二十七年が六百三十三戸というようになつて参つておるのでありますが、二十八年度は百八十戸、本年度は三百戸となつておりますが、ここにまことに矛盾した事実が出て参つて来ております。というのは、受田委員から、そんな防寒住宅というようなりつぱなものを建てるかわりに、今むざむざと肺の病に悩んで、おるにたえないようなところに対して、おそまつでもよいから、明るいものをつくつたらどうだというお言葉がございましたが、議員提出によりまして、北海道において建てるものは防寒住宅でなければならぬというようなものをつくつていただいておりますので、これはまことに皮肉なことでございまして、議員のこの提案そのものが政府の手をくくつたというような結果になつたのではなかろうかと思いまして、私もその皮肉さに今妙な感じになつておるのであります。なるほど北海道というものは日本の国といたしますれば非常に寒いところでございますから、こういう防寒住宅というような提案をなさつたのは御無理がないのでありますが、しかし、その緯度など同じくいたしておりますアメリカ方面を見てみましても、同じような寒さのところでも、それならばみなが防寒住宅かというとそうでもないのであります。私も実態を見ておりますが、やはり木造建のところで暮しておる人の方が多いのでありますから、これは、文化国家という手前、まことにりつぱな御提案ではございましたけれども、理想に走つて現実を無視したという結論に到達しておるのではなかろうか、これは御提案になりましたお方様に何とかひとつ解除の方法を講じていただきません限りは、政府としてはどうも手が出ないという結論になるのではないでございましようかと私は考えるのであります。
○南説明員 長谷川委員、受田委員、その他皆様の北海道の引揚者住宅に関する御報告、非常に有意義に拝聴いたしたのであります。建設省といたしましては昭和二十九年度から第二種公営住宅といたしまして担当いたすことになつたのでございますが、今中山さんからお話になりましたように、北海道におきましては国または国が融通するようなものについては、耐寒建築をするようにという議員立法がございまして、これは衆議院におきましても参議院におきましても全会一致をもつて前国会において通過しておるのであります。考え方の問題であります。受田さんのお考えも私もつともだと思いますが、また、そのときの提案者の御説明なり両院におきまする御質問なり御答弁なりを私政府委員として拝聴いたしたのでありますが、その場合におきまする考え方も両方とももつともと思われる。国が建てるものや、国が金を出してつくるようなものについては、北海道のようなところにおいては、少くとも耐寒のしつかりした住宅をこしらえなければ、あらゆる意味においてどうかというような見境から、ああいう法律が通適した。こういうことで、緊急差迫つた引揚者に対しては、そういうところよりももつと明るいところをやらなければならぬというのもごもつともであります。また、家を建てるからには少くとも寒さを防げる程度の家を建ててやらなかつたら、国または国が金を出してつくる住宅ではないのじやないか、こういう両院の御提出になつた各議員のお考え方ももつともだと思うのであります。中山さんの言われたように、まことに矛盾したようなことでありますが、両方とももつともなんでありまして、何とかそこに妥協の道ができないものかとも考えております。ただ、建設省といたしましては、二十八年までで一応すべて引揚者の住宅は解決したもの、それで今後は二種公営住宅をできるだけ大蔵省と折衝して割当を多く割当ててやつて行けば、従来の悪いところはどんどん改良されて行くのだというふうに拝承いたしまして、たいへん申訳ないのでございますが、それほどひどいところが残つておるように開いておらなかつたのでございます。だんだん聞いて参りますと、千七百戸もまだどうしてもすぐに建てなければならないものが残つておるというような話も聞きまして、少くとも三十年度の予算折衝におきましては、建設省といたしましても北海道の引揚者に対する住宅につきましては相当力を入れなければならぬものだと考えておりますが、事務の引継ぎの際におきましては、一応処理が済んだもの、こういうふうに私たちなどは聞いておつたのであります。なお、ここに住宅局長も参つておりますので、事務の引継ぎの際の詳細あるいは今後の見通しなど、もし受田さんから御質問がございますなら、御答弁いたしたいと思います。
○山下委員長 受田委員にちよつとお諮りいたします。外務大臣はマイヤー使節団との折衝状況上ちよつと手放せないということで、本委員会としても困るので、小瀧政務次官に出ていただきましたが、政務次官も、捕鯨委員会の方に要務を持つておられますので、なるべく二時ごろまでに質問を終つてもらいたいというたつての申入れでございます。そこで、中山政務次官も玉置政務次官もみなお急ぎのようでございますけれども、そういうことで外務省の方を先にここで御質問を願いたいと思いますが、御了承願えるならばそう扱いたいと思います。
○受田委員 せつかく委員長から外務省へいろいろ当つていただいて、外務大臣の出席を促されたようでありますが、今のような事情で、小瀧さんが来られたということです。私ははつきり確かめておきたいことは、大体きようのこの委員会というものは、李徳全を迎えることに対しての国会の決議というものがいかに尊重されて来ておるか、政府はいかにこれを尊重しようとしておるかということの政府の意図を確かめたかつた。全員がその意思であつたわけです。それでこの委員会はあわせて北海道の引揚者の問題を審査することになつた。ところが、その大事な点について、わざわざ全国からここに特別委員がはせ参じたのに、外務大臣としてきよう夕方ごろまでにちよつとでもこの委員会に出ることができないものかどうか。その外交上の儀礼的な行為は五時、六時まで続くのか。われわれは必要、があれば六時、七時まで持つてもいいから、外務大臣に来ていただくべきであつて、小瀧さんも一時半から二時までしか忙しいからおられないという冷淡な態度は、驚くべき外務省の不誠意を示すものであります。われわれは全国から集まつて来た。私は山口の端から来ておるし、また九州の端から来た人もある。国会が閉会中にかかわらず、万難を排して、ただこの一日の委員会をやるために、これだけの人がはぜ参じておる。それに、政府は、ちよつとした外交的な儀礼の行事があるというので、全然外務大臣は姿を見せない。しかも小瀧さんは一時半から二時まででもう帰らなければならぬという。こんな不誠意な外務省というものが日本政府にあることは、私ははなはだ遺憾です。大体この委員会を外務省は侮辱しておる。厚生省も北海道開発庁も建設省も、最高責任者としてそれぞれがんばるという熱意を示しておられる。しかるに、小瀧さんは、二時にはおれは帰してもらいたいから、先に質問してもらいたい——あとから来て早くしてくれ、そういう外務省の態度は私は解せないのです。委員長は、外務大臣の出席ができなかつた理由が、一外交的な儀礼ということにあつたのか、あるいはそのほかのことにあるのか、また小瀧さんがここに来られたが、小瀧さんは外務大臣の意見をすべて代表する発言をする資格をもつて出ておいでになつたのか、あるいはただ単に所管事項の政務次官としての答弁しかできないというのか、これをひとつ確かめていただいて、私は今の委員長の御提案を皆さんにお諮りすることをお願いしたいと思います。
○山下委員長 小瀧政務次官に、お尋ねいたしますが、ただいまの受田委員の御発言に対して、外務大臣の答弁すべき答弁をなさる御決心でおいで願つたかどうか、まず伺つて、委員に諮りたいと思いますが、いかがでございますか。
○小滝説明員 私、外務大臣にかわつて参りました以上、外務大臣にかわつて責任ある答弁をいたしたいと考えます。
○山下委員長 お聞きの通りでございますので、ここで中国紅十字会代表招請の問題の質問をいたすことに御異議ございませんか。
○山下委員長 では、さよう取運びます。 —————————————
○山下委員長 それでは次に、中共地区残留同胞引揚げに関しまして、中国紅十字会代表招請の実現がいまだにその見通しさえないのでありますが、去る五月二十七日院議をもつてその招請に関する決議を行つたことは御承知のことと存じます。しかし政府においてはいまだその処置がとられておりません。委員会はこれについて政府当局の説明を求めたいと存じます。小瀧政務次官。
○小滝説明員 国会の決議に先だちましても、当委員会並びに本件に関心を持たれる他の委員会におきましても、この問題が再三再四論議せられまして、その都度私も、その御質問なりあるいは御希望を帰りまして大臣にも伝えまして、できるだけすみやかにこの問題が解決するように進言をして来たのであります。その後決議が行われましたので、外務省といたしましては、とくとこの問題を考慮して、御決議の御趣旨に沿うような処置をとりたいというように考えて来たのであります。ところが、その後この問題が政治的に利用せられる、と言えば言い過ぎかもしれませんが、日本赤十字社のみならず他の団体等において取上げられ、いろいろ外務省の方にも申入れ等もございましたので、もしこれが間違つた方向に利用せられるというようなことがあれば、せつかくの御決議の趣旨に反するというおそれもあるやに心配いたしまして、実はこれまで決定を見ておらないのは遺憾でございますがしかし、そうした懸念もなくなり御決議の趣旨に十分沿うようなやり方ができ得るという見通しがつきますれば、でき得る限り早い機会に李徳全女史の来朝も実現するようにとりはからいたいという考えでもつて、目下検討しておる次第でございます。
○山下委員長 本件に関し質疑の通告がありますので、これを許します。受田委員。
○受田委員 外務政務次官は、外務大臣の意思をすべて代表して発言をするという御答弁であります。しかも、今御所見を伺つたところ、李徳全を迎えることについて国会は決議をしたが、しかし政府としては、その迎えることによつて起るところのいろいろな支障のあるを予期して、まだこれをやらないのだということです。私は、小瀧さんの御答弁のいかんによつては、この委員会を中止して外務大臣の出席を求めて、あらゆる方策を委員諸君とはかつて、委員長の御努力を願つて事を解決したいというくらいの熱意を持つておるのでありますが、今あなたの御答弁によるならば、国会の意思、委員会の意思、両院の決議というようなものは、これはいかにお考えになつておられるのか。外務省は、そのことよりも行政措置としてこれを迎えることによつて国内での不測の障害の発生を憂えるという方が大事なのか。国会はそういうことも総合して、あちらから李徳全を迎えることによつて起る不測の障害などに対しても責任を持つてわれわれ国会も協力をしようとしておるし、また政府もそういうものについては全努力を傾けてこの問題の処理に当れということで、われわれはその意味でこれを決議しておるのです。外務省がそういう心配をしておることも国会はちやんと考えた上で全員一致で決議をしてあるのです。この問題は、国会の意思が外務省の単なる行政的な措置によつて簡単に曲げられるということになれば、これはもう民主国家としてははなはだ憂うべき事態だと思うのです。しかもこの問題は留守家族の総意である。極左の偏向的行動をしばしば岡崎さんは憂えておられたが、事実そういう問題についてはあらゆる角度から自粛自戒的な空気もあつて、絶対にこういう問題については支障を起さないような態勢もちやんとできておるのです。こういう際になおかつ逡巡して今日に至つておる外務省の真意をわれわれは疑わざるを得ない。国会の意思を尊重することについて、外務省は少し見解を誤つておられるのではないでしようか。その点外務省の御答弁を願いたい。
○小滝説明員 国会の意思を尊重いたしますがゆえに、具体的にどういう時期にどういうようにこれを承認し、いかなる措置をとつた方がいいかということを検討しておるわけでありまして、私どもの考えは、あくまで国会の御趣旨を体して、そして具体的な行政措置というものを考えておるわけであります。国会でいろいろ立法せられた場合には、その立法というものは遵守せられなければならない。そうしてその実施については、あるいは施行細則等を行政府としてつくらなければならない場合もありますし、またいろいろ国政に対して御批判を賜わります際におきましては、それを十分体して国政についていろいろ反省をしなければならぬところもあろうと存じます。しかし、あくまでこの行政措置というものは政府の責任において行うものでありますから、その時期とか方法とかいうものについては、政府は十二分に検討してあやまちなきことを期さなければならないものと私どもは確信をいたしております。遺家族の方の御意思を代表してこの決議が行われたことはまことにごもつともとは思いますが、それがへたに実施せられ、政府の方がその趣旨を尊重して実行するその実行措置においてあやまちがあつたならば、かえつて遺家族の方にも御迷惑をかけ、国会の決議の趣旨に反した結果を生むということになると、これは政府の責任であります。でありますから、そうした意味において、あるいは時間がかかりましていろいろ疑惑をお持ちになつたかもしれませんが、理由は先ほど申しましたような次第でございます。しかし、この御決議の趣旨をできるだけ早い機会に実行すべく考えておるということは先ほどの言明の通りでございます。
○長谷川(峻)委員 関連して。今の小瀧外務政務次官の説明で多少了解したのですが、私はそれにつけ加えて一つお尋ねをしたいと思います。それは、外務政務次官は、国内へ迎える際に紛争が起るから、それらのことを考えて行政官庁としての措置を適当な機会に考えているのだというお話でありましたが、その際に、もう一つ、国際的な変化で李徳全女史の招聘を延期しておるのじやないか。これについて外務政務次官はどういうふうにお考えになつておるか、その点をお伺いしておきたいと思う。ということは、ただ国内において李徳全が来たときにわあわあ騒ぐ偏向的な歓迎のしぶりによつて国内の思想問題あるいは逆に引揚者全体に迷惑がかかるようなことがあるのじやないかというように考えておられるようでありますが、もう一つ国際的な面から外務当局としては考えておられるのじやないか。その点の真意をこの際ただしたいのです。それは、最近の国際外交界の姿を見ていますと、イギリスが中共を国連に入れようとすると、ダンスは、入れない、それなら脱退するということで、非常に熾烈な国際紛争が起りつつある。そういう際において、ただ国内的な問題だけではなく、そういう大きな国際外交の問題も考えて、李徳全女史を招聘することを少しずつずらした方がいいのじやないかというふうに今の外務当局はお考えになつておるのじやないか。たとえば、ダレスがそれほどまで言つておるのに中共の李徳全女史を呼ぶと、アメリカの関係、国際関係において非常にむずかしい問題が出て来るのじやないかというところまでお考えになつておることが、延期されておる一つの理由じやないかと思うのです。この際その辺の御解明をお願いしたいと思います。
○小滝説明員 この決定が遅れました理由は、先ほど申し上げた通りでございます。しかし、長谷川さんも御指摘のように、外務省は国際関係というものも常に考えなければならないので、最初感謝のために迎えるという問題が出ました際には、それだつたら一体中国政府に対して、あれだけ多数の者を送つてくれた際に感謝使節を出したかどうか、そのときはどういう方法をとつたかという点ももちろん考えざるを得ないわけでありますけれども、しかし今般の決議の実施が遅れましたことは先ほど申し上げた通りでございます。 それから、私は今の御説明の点を批判しようとかいうような考えは毛頭持つておりませんが、ダレスとチャーチルあたりの考えが非常に食い違いがあるようなお話でございましたけれども、しかし、イギリスも、この際は中共の国連加盟は急がない方がいいだろうというようなことを言つておるし、あるいはまたいろいろ新聞は報ぜられておりますけれども、私どもは西欧側とアメリカ側が根本的な食い違つた政策を考えているのじやないというように観測しておるものでありまして、そういう技術的な面、いつ承認すべきかとか、あるいはSEATOとかNATOというものに関する技術的な面における見解の相違がある、そういう点で英米間に多少討議が行われ、考えの食い違つた点があるというようなこと、それに引きずられて、またそれに関連してこの問題を考えておるというわけでない点は御了承願いたいと思います。
○受田委員 小瀧政務次官は、昨年十二月二十五日に日本赤十字社からあちらの紅十字会の方にあてて出した電報の内容を外務省として連絡を受けたかどうかについてお伺いしたいのであります。その内容はこういう電報です。これは聞違いない電文ですが、「貴会が在華同胞の帰国に示された絶大なる御支援に対し心から御礼を申し上げる。去る十一月十二日付貴電によつて在華同胞の帰国が第七次船で終り、今後は個別帰国につき御協力をいただくとの趣旨は当方でも了承しているが、個別帰国の場合でも必要ならばいつでも帰国船を差向ける用意があるが、御配慮を乞う。在華日本人の帰国援助に対する感謝と、今後の個別帰国に関する打合せのため、貴会代表七、八名を日赤の賓客としてわが国に招待することは、当方としても真剣に努力したことだが、いまだに実現を見ないことを遺憾とする。貴会代表をぜひ日本にお招きしたいというわれわれの決意にはかわりはない。従つて明年一月中旬以降貴会の御都合つく時期にお招きする具体案をもつて実現に努力し、決定次第御連絡する。」という電報が打つてあるんですが、この電報を日本赤十字社が中国紅十字に打つた際に、外務省は連絡を受けたかどうか。これは重要な外交上の問題で、今申し上げたように「明年一月中旬以降貴会の御都合つく時期にお招きする具体案をもつて実現に努力し、決定次第御連絡する。」という、こういう大事な問題について外務省が全然連絡を受けないでこういうことを赤十字社がやつたのか、外務省はこの電報について一応連絡を受けているか、ひとつ御答弁願いたいと思います。
○小滝説明員 全然事前の連絡は受けておりません。ただ、発出せられました後において、その写しをちようだいいたしましたことを記憶いたしております。
○受田委員 その写しをもらつて了承を求められたということですね。しからば、ここでこの問題を最初からひとつ考えてみたいのですが、占領下にあつては、引揚げ問題はすべてあちらさんのさしずに従つてわが国はやりました。独立国になつてからすでに二年以上たつておるわけですが、独立国になつてからの引揚げ問題の処理はどうなつておるかというと、中共の場合でもソ連の場合でも、あちらさんからさし水をさし込んで、赤十字社を通じて帰そうとするがどうだという誘い水を通じて、日本政府はこれに協力しているわけです。この点について外務省は独立国になつてはなはだ力なきものになつたと思うんです。むしろ積極的にこういう問題について乗り出すほどの用意がなぜないのか。 もう一つは、国会の意思を尊重するということは、国際的に日本の地位を高めるためのたいへん大事な問題です。日本の外務省というのは、国会がどういう決議をやつても、これは行政的に時期が来ないなどと言うて時期を待つておるとか、こんな、日本の国会が何を決議しても言うことをきかぬような政府は信頼できぬということで、国際的に信頼を失うおそれはないか。おそらく、国会で決議した場合に荏苒として半年も一年も延ばして傍観しておるような政府は、どこの国だつて信用しません。この問題について、国会の決議、国会の意思決定が行政府によつていいかげんに葬り去られるような国は国際的にも信用を失うという点について、日本の信用失墜の上に外務省ははなはだ重大な役割を果しておるという不安があるんですが、この点小瀧さんから外務大臣の意思を代表して御答弁願いたい。
○小滝説明員 何もしていないとおつしやいますことは、少し過ぎているのじやないかと思います。一体、日本が独立いたしまして以来、俘虜特別委員会などで、いろいろ日本としてはできるだけの資料を提供し、また代表者も派遣したことは、こちらの委員長御自身も御承知のはずであります。これは政府が取扱つておるということは、委員の皆様申し上げるまでもなく御承知のはずであります。また赤十字社の国際委員会の方を通じていろいろ連絡したこともありまするし、さらに、今内容を詳しく申し上げることはできませんけれども、ゼネヴアで朝鮮及びインドシナに関する会合があつた際にも、政府の代表者はこの引揚げ問題についても相当努力をいたしておるのであります。いろいろ国家間の関係もありまするので、ここで一々どういう人に会つて萩原がどうしたとか、西村がどうしたということは申し上げかねまするけれども、私どもは決してこの問題を忘れておるわけではありません。これをほつたらかしておいて、決議の趣旨を無視しておるとおつしやいますけれども、私どもは、こういう決議の御趣旨も体して、ただ単に李徳全女史を呼ぶというだけでなしに、他のあらゆる方法を講じたいというので、限られた非常に困難なる国際環境においていろいろ努力しておるということは、ぜひ御了解を願いたいと考えます。俘虜特別委員会も近くまた開かれることになつておりますが、それにつきてましても、ドイツ及びイタリアと連絡をいたしまして、この際におきてましても日本の考え、また議会の意向を徹底さすように努力いたしたいと存じまして、現に関係公館とも文書の往復をいたしておるような次第であります。 国会の意思を尊重して今いろいろ検討しておるということは、最初から申し上げておる通りでありまして、私どもは国会の決議の趣旨を無視して国際信用を失墜するような行動をとつておるとは存じません。私どもは今の国際環境において許されたる最大限度において努力しておるものと信じております。
○受田委員 はなはだ冷淡な御答弁ですが国際的にいろいろ外交上努力しておられるのはあたりまえの話であります。普通のあたりまえにやれることをやつているのです。それをいかにも恩を着せるようにして、委員長を行かせるについて日本政府が骨を折つて委員長を派遣せられたように言う。山下さんや中山さんが行かれたことは国会の意思を代表した一つの動きです。それをいかにも恩を着せがましくして、委員長たちを大いに海外に派遣しました、これは政府の力ですというようなことを言つている。政府の力ですとあなたがおつしやるならば、今までだつて中共、ソ連などへももう少し国会の代表、政府の代表がどんどん乗り込んで行くくらいの熱情があつてもいい。やつと二、三日前に福永一臣氏がどうやら入ソの旅券をもらつたような話ですが、この間から国会代表が十七名ストックホルムからかつてにソ連へ入つたといつて外務省が嘆いて、これを取締るような旅券法の改正をやるべきである、はなはだ残念なことであるというふうな意見を持つておるようでありまするが、こういう問題についても、進んでソ連に行つて、こういう問題を解決しようという熱情があるならば、それを協力してやればいいのです。それから中共へもどんどん代表が行く協力をしてやればいいのです。それらについてはさつぱりお骨折りなくて、今まで何だか異端者のようにして、できれば法律を改正してでもこれを取締つてやろう、厳重なわくをはめようとしておられる。こういうことは熱情を欠いておるものだと私は思います。少くとも儀礼的に俘虜委員会などに代表を派遣するとかゼネヴアの会議へ代表を派遣されるというのはあたりまえの話である。それをやらないようなら、高禄をはんで外務省の役人たちが行くような必要はありません。真剣に日本国の国民の福利の増進のために動いていただくのはあたりまえの話です。ただ、直接目の前に李徳全を迎える国会の意思決定がされたのです。今日委員会の決定をされてからすでに半年、そして本会議の決議をしてからすでに二箇月以上、これだけの日数がたつております。こういうときに、はたしていつの日にやるのか。決議というものはずつと長い将来にわたつてゆつくりやれという意味のものではありません。あれには早急にと書いてあります。早急にという決議の内容は一体何を物語るかということですが、外務省としては適当の時期まで待つて何とかしたいという御意思のようでありますが、遂にその時期を迎えることなくして国会の意思が尊重されなかつたらどういう責任を負いますか。そのことと、そして、そういう場合には、しからば外務省はこの引揚げ問題についての足がかりは一体どこから求めようとするか。ソ連に千四十七名の残留者がいるという状況、それから中共に七千人以上の残留の確認者がいるというようなこの状況を、どういうところから見つけ出して留守家族にお迎えする喜びの日を与えるのですか。これは差迫つて行き詰まつてしまつておるのですよ。それを今国会の決議がされて二箇月以上たつているのに、まだゆつくり構えて、国会の意思を尊重しながらやるというようなことは、はなはだ遊戯的感覚を持つた措置たと思うのです。この点、外務大臣の意思をあなたが代表してぜひ明確に示していただきたいのですが、国会の意思を尊重するということは、荏苒月日を費して尊重する性格のものかどうか。国際信用を失うと私がさつき指摘いたしました点は、荏苒月日を費している今日だけでもすでに信用問題ですよ。明らかにこれだけ長い間国会の意思を無視しているということは信用問題に関係しておる。だから、そういう点からも、外務省としては、この時期の問題は非常に差迫つておると思うが、そういう差迫つた考え方で今あなたはこの問題に当つておるのじやないのかどうか。こういう点についていま一応御答弁を願つておきます。
○小滝説明員 御答弁申し上げます前に、先ほどお読み上げになりました日赤の電報というのは、これは事後に見せてもらいましたような関係で、対外的に外務省が約束したというような関係もありませんから、国際信用云々の点は私どもは必ずしも承服できないのであります。今おつしやいました御趣旨を体して、できるだけ早く実行するということは真剣に考えておるところでございます。 本日いろいろ御質問になりました趣旨は、明朝でもさつそく大臣と十分話し合いまして、そうして、今御指摘のように、あまり長くなつては国会の御趣旨に回するから、できるだけ早く実行するような方向に考えて行きたいと存ずる次第であります。
○受田委員 日赤の電報に対して政府がやつたのでないから国際信用には影響ないのだと言う。そのことを私は言つておるわけではないのですが、国会の決議を無視している日本政府のやり方に対して国際信用を失つているということに対する見解、すなわち早急にやるべきだ、その方の私の質問に答えていただかなければならぬ。あなたはよく私の質問とはずれたことを答弁しておられるようでありますが、外務政務次官としてはこれは少しおかしいですよ。もう少し国会議員の真剣なる質問に対しては真剣に御答弁願いたい。この電文に対して責任を持てぬから信用を損なつておらないというような、とんでもない答弁をしておられるが、日本政府の最高責任者がこういう答弁をするというと、もし委員会の記録でも国際的に各国の外交官に行つたら、日本には驚くべき外務政務次官がおるということになりますよ。私はその点よく要点をつかんで御答弁いただきたいと思う。大体国会というものは非常に権威を持たなきやならぬ。国民代表の国会議員の総意をもつて決定した事項に対して、山下委員長が昨年行かれたとか、あるいは中山さんが先年アメリカへ行かれたとかいう問題に対して恩を着せるような国会尊重の意味でなく、総意できめられた決議事項を政府が実行しないということに対しての国際信用失墜に対しての政府の所見をお聞きしておつたのです。
○小滝説明員 根本において外務省がこれを無視しておるとおつしやいますけれども、無視しておるんじやないからこそ、今処置方を考えておるということを申し上げておるのでありまして、決して無視しておるんじやない。あなたの方は、無視しておるのはけしからぬ、国際信用云々とおつしやるが、私どもは決して無視しておるつもりじやございません。そうして、今一、二の例を申し上げましたのは、何もせぬじやないかとおつしやるから、セネヴアなんかでもつい最近の会議の際にもずいぶん日本の代弁者は苦労していろいろ外国にも当つて来ておる事情もある、その点の説明であります。私どもは、最初から申します通り、無視しておるんじやなく、これを尊重いたしまして、善処いたしたいと考えておる次第であります。
○臼井委員 関連して一つ質問したいのですが、今の次官の言葉じりをとらえるわけじやないのですが、無視してないからというお話ですが、しかし、結果においては国会で決議された通りに実行しなければ無視しておるとわれわれの方じや解釈する。事実委員会で決議し、しかも本会議でも決議し、参議院でもやつた。これを実行しないで、無視しないというりくつはどこから来るのか。 もう一つ、実行しないことは、何か国会の決議に反する結果を来すといけないから慎重に考慮している。とりようによつてはまことに御親切のようだけれども、しかし、考えると、一体いまさら吉田内閣が国会を軽視するということを持ち出したところで始まりませんが、これはもう世間の定論であるから、これはしようがないけれども、一体国会で決議したことを、御親切らしく、結果に反するようなことになるといかぬからという、まことにわれわれから見るとちよこざい千万な、なまいき千万なる御解釈だと思うが、一体それはどういう反する結果になるというふうにお考えになるのですか、ちよつとその点をお伺いしたい。
○小滝説明員 時期が遅れましたのは遺憾でありまするけれども、先ほど申し上げまするように、この決議の趣旨を尊重して、この決議に書かれておる通りのことを今実行しているということは申し上げ得るだろうと思います。「日本赤十字社の要望に対し、すみやかに適切な措置を講ずべきである。」適切な措置はいかなるものであるかということは、行政府の判断にまかせる趣旨であると私どもは読んでおるわけであります。しかし、くどいようでありますが、今申しましたように、遅れましたことは遺憾でありますが、これを実現すべき適切なる措置を目下考慮中であるということを申し上げますとともに、この委員会も終了いたしましたら、本日の皆様の熱意のある御質問、いろいろなおしかりは外務大臣に明朝よく伝えまして、できるだけ早く措置がとられるように善処いたしたいと考えます。
○臼井委員 どうも御親切な思いやりがわれわれにはわからないのですが、ただわれわれ想像すると、また前回からの外務大臣の御答弁によると、思想の違う中共の国からの、しかも李徳全女史は厚生大臣かをやられておるのですか、そういう政治的の意図があるので、政治的な人をお呼びするということは、思想的な運動とか影響がそこに非常にあるように心配しておるようにわれわれとしては察せられるのですが、もしかりにそうだとするならば、このままに放置しておくことが日本のそういう共産的な思想なり運動なりに対していい結果を与えるというふうにお考えであるとわれわれは考えますが、これは、私から考えると、非常に反対だと思う。共産主義の思想とか何とかいうものは、その根本の原因を除かなければ、ただふたをしておく、あるいは弾圧するというだけでもつて除かれるべき問題でなくて、すみやかにその根本の原因を除去することが、そういう考えを正すゆえんだと思うのです。そういうことをはつきりおつしやつていただけば、われわれはまた申し上げる筋があるのです。ただ、そういうことをおつしやりにくいからと思うので、こちらから推測して言うのです。そこで、端的に感謝の意を表して李徳全女史を招聘し、日赤の社長とお約束したその約束を実行させるように協力するということ、これはむしろ早くやる方がよいので、日本の国民として中国の紅十字会が行つたことに対する感謝の意を表するという機会をつくるということは、国際親善上私はいいと思う。共産主義の思想の国であるからというので、国際親善を害する行いをやつていいというふうに私は考えていない。そこで、私たちは、そういう動きのあるようか根つこをいつまでも置かぬで、すみやかに実行して、日本の国民も、中共のそういう行い、日本に帰してくださつたことはありがたい次第だという歓迎の意を表示すれば、あちらでもやはり、人間ですから、よくわかると思うのです。これを、国会の決議までもそのままにしておくと、国際的信用にもかかわる。政府の責任の追究は不信任案や何かでもやることができます。ここで言葉だけであなた方に言つてもしようがない。吉田さんにいくら言うてもしようがないのですが、ただ、受田さんのおつしやつたような日本の国際的な信用、そういう人道的な問題でも、ただ特殊のことを考慮に置いて実行しないんだというふうに日本人というものの考え方を見られることは、われわれとして非常につらいところであり、もしかりにそういう考慮がありとするならば、私たちはすみやかにそれを実行することが、むしろ禍根を残しておかないことになる、こういうふうに考えるのですが、その点お考えはどうでございますか、ちよつとお伺いいたしたい。
○小滝説明員 私ども、共産政府の要職にある人だからそれが来られるとこわいという気持で長引かしたわけではございません。共産党に対する対策というものは、まことに御指摘の通りでありまして、そういうことでいい結果がもたらされるというような考えを持つておるものではございません。ただ、できるだけ効果的に、間違いのないように適切な措置をとろうといたしましたために長引きましたけれども、先ほどからしばしば申し上げますように、ぜひ早く解決をしたいと思いますので、そのように御了承を願いたいと存じます。
○受田委員 私、いつまでもおいでいただくのも気の毒ですから、もうこれでお帰りいただくことにしたらどうかと思うのですけれども、一つ小瀧さんに念を押しておきたい。福永君が水産関係で入ソすることについて旅券を交付されることになつたのかどうかこれをちよつと承りたい。
○小滝説明員 福永さんがソ連に行かれることにつきましては、水産庁からも正式に連絡もございましたし、特に日本の水産界のために必要であるという水産委員会の方の決議もございましたので、それを尊重いたしまして、特に特別の旅券を出すということに決意いたしておる次第でございます。
○受田委員 従来外務大臣は、ソ連、中共等は旅行すると生命の危険があるから出さないということを言つておつたのだが、生命の危険はなくなつたのでありますか。
○小滝説明員 もちろん、生命の危険云々ということは、旅券法の第十九条に書いてあるところによれば、それは一つの理由でありましようが、もう一つ、第十三条の第一項の五というところにも、国家の利益云々という点もありますので、生命の危険だけの問題ではございません。ただ旅券法では相手国いろいろ要求しなければなりませんが、旅券法の最初に書いてあるああいう保護を要請いたしましても、向うの方がそれを引受けてくれないという事情があつたので、そういう説明をされたこともあるかと存じますが、しかし、今度出しますのは普通の旅券ではございませんので、得に国家的に必要な場合は相当生命の危険があるときにも外国に行かなければならぬという必要が生ずることはもう御承知の通りでありまして、そういう意味で、これは一般の旅券を出すのではございません。
○受田委員 そういう御趣旨であるならば、国家的に非常に重要なストックホルムから入ソした十七名の諸君の旅券はなぜ交付されなかつたのですか。これは当局に申請していたはずです。
○小滝説明員 いろいろ御批判はあるでありましようが、旅券につきましては、特に必要な場合は、そういう決議がありまして、人道問題でソ連へ日赤の方々が入られる場合とか、特定の問題をとらえて、ぜひそういう方法をとる以外には方法がないという判断に、外務省のみならず関係各省が到達いたしました際に、特別のとりはからいとして公用旅券を出すというふうにいたしておるのであります。あの議員の方からソ連へ入る正式の申入れがあつたと今御指摘になりましたから、もしそれが事実であるとすれば、外務省の方では一般旅券の問題であつて、そういう措置はとり得ないということで、この旅券を差上げなかつた、行先追加をいたさなかつたということになるだろうと考えます。従来とも一般旅券は共産圏諸国の方へ行く人に対しては出しておりません。その例により、またいろいろ旅券法上の困難な点もありますので、今度入ソされたやに報ぜられておる議員の方にはそうした行先追加をしなかつたというのが事実であろうと考えます。
○受田委員 今後外務省のとる態度ははなはだ重要な問題になるのでありますが、福永氏が初めて民間人として個人として行かれた。前の日赤の島津さんが行かれたときは国家的要請もあつたことだし、また向うからの引揚げという重大問題でもあつて行かれた。今度は初めて民間人として単独の形で行かれるわけでありますが、これを契機として政府は国家的意義があれば民間人でも生命の危険は顧みなくても断固としてやりますか。こういう道を今後開く、その皮切りが福永氏の旅券交付になつたのでありますか。これは、外務省の従来の政策からは、福永氏に旅券交付をしたということははなはだ重大な転換でありますので、今後の外務省の旅券交付に関する方針を伺いたい。
○小滝説明員 重大なる政策の転換、方針の変更というようにお考えになるのは、これは受田さんの自由でありますが、しかし、私どもは必ずしもそういうふうに見ておらないのであります。何となれば、福永さんの場合におきましても、両院の水産委員会で決議を行われましたし、また水産庁でいろいろ検討いたしました結果、日本としてはぜひだれか代表者が行つて話をする必要があるというように認められて、正式な書面によるところの申入れがありましたので、今度旅券を出したのであります。私どもの方針といたしましては、そういう特殊な場合には、ケース・バイ・ケース、一つ一つ個々の問題をとらえて、ことに重要と認めた場合にこういうとりはからいをするという方針であります。
○受田委員 小瀧さん、この問題は、最後に一言申し上げて、あとから、御回答をいただきたいのですが、きようはあなたが外務大臣の代理で来られたのだけれども、この委員会は、この程度で外務省に対する質疑打切りとなる。そうすると、われわれこの委員会の委員は、中共紅十字代表の招請その他の問題で集まつたのに、簡単にさつさと質疑打切りで帰られたのでは、本日委員会開催の意義はあいまいのうちに終るので、ここで重大問題についてこの委員会が真面目を発揮する形で外務省に対する質疑打切になることを要望するわけです。そこで、昨年十二月二十五日、赤十字代表があちらに打つた電報には、一月中旬以降と、ちやんと期日が具体的に書いてある。そして、それに対して国会は、赤十字の要請にこたえるごとく、すみやかな措置をせよと意思決定をいたしました。しからば、赤十字の電報の内容の一月中旬ということに対してはすみやかなる措置をとれという国会の意思がきまつたわけです。そうすると、期日の指定がしてあるのである。中共やソ連から引揚げた人は、向うからちやんと期日を通告して、いつまでに舞鶴に船をよこせという配船まで、赤十字、紅十字からこちらに通告されたのです。それほど向うは国際的に期日を尊重しておるのです。ところが、日本政府は、紅十字代表の招請を一月十五日以降に必ずやると赤十字が言つており、国会の決議までやつたのに、なお荏苒日を費しておるじやないかということで、今臼井さんからお説の通り、期日まできめてある紅十字代表招請の問題について、期日を無視して、のらりくらりと、国会の意思を尊重すべきところを逆におとりになつて荏苒月日を費しておる。願わくば外務大臣に来ていただいてこの問題についての意思決定をお伺いしたかつたのでありますが、あなたは本日外務大臣の意思を代表して来られておりますから申し上げますが、われわれの委員会としては、そういう重大な決意をもつてされた国会の意思を、期日まできめておることを政府は確認されて——一月中旬以降とちやんと日本国の信用ある赤十字が打電しておるのですよ。政府は赤十字を非常に信頼しておるのですから、政府の信頼した赤十字の打電したことを向うは信頼しておるのです。その意味で、国会の意思決定を尊重することと、赤十字社の面目を十分尊重するという意味と、日本政府の国際信用を十分確立するという意味をもつて、のらりくらりとしたような怠け心の外務省のやり方をやめて、勇気をもつてこの際勇敢に紅十字代表招請の御措置をおとりいただくことを私は外務省に要請いたしまして、この重大なる委員会の最後の外務省当局に対する質問を終ります。
○長谷川(峻)委員 先ほど臼井さんも言われておりましたが、今まで外務当局が熱心にやつておられた姿がこの委員会でもとこの委員会にもよく徹底してなかつたところに、こういう誤解があつたと思うのです。そういう意味においての外務省の責任というものは、当然われわれ与党であつても追求しなければならぬと思う。さらに、もう一つは、全国の留守家族が待つておるのでありまして、最近はそれが、衆参両議院でとにかく院議で決定したにもかかわらず、何も動きがないように、とにかく呼びたくないという政府の意向のようにも思えるものですから、私たちがここで心配しておることは、七月中においても全国の留守家族の代表者が外務省の玄関にすわり込むという情報までわれわれ得ておるのです。そういう意味で、政治的ないろいろな感覚を働かせてみれば、決行することの方が国内において紛争を避け、そしてまた国際信義にも非常によいという感覚が出て来ると思うのです。そこで、外務次官は今までやろうとしておつたというお話であります。また事実善意にやつておられたと思いますが、ただ、次官の勘として、李徳全女史を招聘できると思われるかどうか、そしてこれが実際実現に移されると思われるかどうか、その点を私は一ぺんお聞きしたいと思います。今のままでは、どうも、善意にいろいろやつてはおられるのだろうけれども、ずるずるべつたりのうちに無期延期になつてしまうのではないかと思われる。ですから、外務政務次官は、近いうちにでも、あるいはいつまでに実現できるというふうな見通しがあるか、それがわかるだけでも、本日は非常にこの委員会の意義があると私は思うのです。
○小滝説明員 私、議論めいたことは申し上げませんが、先ほど両委員から申されました点は、十分これを体しまして、外務当局とも協議いたしまして、この院議の趣旨に沿つた措置ができるだけすみやかにとれるように最善の努力をすることを皆様にお誓いいたします。 なお、最後の御質問でありますが、一体これがほんとうに実行できるかどうかという点であります。本月最初から申しました点をよくおとりくだされば、十分おわかりになつたと思いますが、私どもはこれを実現しようとしておるのであります。ただ、それでは時期が何月何日かということになりますと、今私限りで申されませんけれども、私自身は、少くともこれが実現されると信じておるものであり、また本日も非常に御熱心な皆様の御発言もありましたので、その方向に進むようにさつそく大臣とも協議いたしたい所存でございます。 —————————————
○山下委員長 玉置開発庁政務次官は飛行機に乗ります関係上非常に時間をお急ぎでございますので、玉置政務次官に対する質問をお願いいたします。長谷川委員。
○長谷川(峻)委員 玉置さんは北海道御出身でもありますが、この際私はこの委員会を通じてぜひひとつ道民にまた日本全体にわかるように御解明願いたいと思う点は、私たちがずつと北海道を歩いている間に、偶然のように大野国務大臣が、開発庁計画の一つとして、今度世界銀行から融資を受けるその準備の中の問題として北海道の泥炭地の問題を出しているのであります。これは、われわれ超党派的に引揚者の問題あるいはまた北海道の開発のことを考え、一つの国政調査の面からいたしましても、地方においてこれを非常にいいものであるということで歓迎している空気が強かつた。また、われわれ引揚げを直接担当する委員といたしましても、あそこの地方においてこれが実現できたならば、百五十万世帯が北海道に入られるということになれば、今から来る連中、さらにまた内地からあちらの方に行つて開墾、開拓する関係でも非常にいいのではないかと思いますが、今までの場合には、閣議の席上においてそういうことがただ発表になつただけでありまして、公式な席上において御発表がありません。それで、この機会に次官から、その計画の一端と、さらにまたそれに対する引揚者をどういうふうに収容できるというような御計画があるかどうかを確かめておきたいと思います。
○玉置説明員 お答えいたします。 泥炭地開発に対しての外資導入の問題につきましては、お話のごとく、これは外部には今日まであまり発表はしておりませんでしたが、計画はすでに、昭和二十六年度の北海道開発五箇年計画というものを策定いたしまして、この線に沿いまして、泥炭地はもとより、未開発地域の開発あるいは道路、港湾その他全般にわたつての計画を樹立して、その年次計画に基いて年々予算の獲得をいたして参つたわけであります。特に、御指摘になりました泥炭地開発の外資導入の地域は石狩川水城にわたるところでありまして、ここには六万町歩の泥炭地がございます。既墾の面もありますが、未開泥炭地はたしか二万六千町歩であつたろうと思います。これが開発によりまして百万石の米の増産ができるわけであります。この百万石の増産によりまして北海道は完全に自給自足ができるという十分なる見通しがありますがために、先般大野国務大臣が発表いたしましたごとく、すでに前大蔵大臣の向井さんを通じまして世界銀行に五千万ドルの借款を申入れいたしました。しかるところ、世界銀行におきましてはこれを取上げられまして、十八日に世界銀行のドール団長以下四名がこちらに視察に参ることに公式な通知を受けております。視察期間は約二箇月の予定になつております。かようにいたしまして、ドール団長が現地を視察いたしました結果によつて借款の見通しがつくわけでございますが、御承知のごとく府県には愛知用水ほか一件がありまして、合計三件がこの借款の対象になつているわけでありますが、私ども、欲目に見まして、スケールの点、しかも米の増産計画等から見ますると、北海道がはるかに優越いたしておるのではないかというような見通しをつけて、非常な期待をかけておる次第でございます。 その他泥炭地開発におきましては全面積が約二十万町歩ぐらいございます。また北海道全体の開発すべき地域が八十万町歩ぐらいあるわけであります。これらの開発もそれぞれ五箇年計画に基いて着々実施に入つているような次第でございまして、次に、しからばこの入植をどうするかというお話でございますが、終戦後今日まで北海道に入植いたしました者は合計二万五千九百二十六戸ございます。その中で海外から引揚げた者で北海道に入植した者が五千五百五十九戸、道外すなわち府県から入つた者が四千百九十五戸、地元北海道の次三男坊あるいは転業等によつて入つた者が一万六千百七十二戸となつているわけであります。そこで、この八十万町歩の開発、さらに泥炭地の開発等によりまして相当な入植ができると存じておりますが、計画に基きまして、さらに今後六百万人の北海道の人口増殖がはかれる、すなわち人口、食糧問題の解決がこれによつて行われるであろうという見通しをつけているわけでございます。また、この入植は単に開発ばかりではございません。地下資源の開発に基くところの鉱工業の産業開発あるいは地上資源の開発に基くところの工業の発展等を見込みまして六百万の増殖は完全にはかれるであろう。私個人の意見といたしましては、今日約四百五十万入つておりますが、将来一千五百万は北海道に収容できるだろうという個人的な構想を持つているような次第であります。 さらに、先ほど受田委員からお話になりまして、落しておりました面もつけ加えて申しますと、開拓地の、いわゆる入植者の保養対策といたしまして、簡易診療所を今二十九年度におきてましては十箇所設置することにいたしております。最初二十棟の予算要求をいたしましたのが十棟になりましたが、これは府県の人たちから見ますといろいろ比判が出るかもしれませんが、実は北海道だけが特殊地域としてこれを認められているわけでございまして、間三十年度におきてましては四十棟を要求する予定をいたしております。 それから、入植の面でさらにつけ加えておきますが、先ほど申しましたようなことで、三十年度以降におきてましては十箇年間に四万二千戸の入植を予定して計画していることもつけ加えて申し上げます。 さらに、先ほど中山政務次官からお話がありまして、非常に矛盾を生じているという寒冷地における耐寒住宅の問題でございますが、これは、北海道庁といいますか、それから北海道議会、道民全体の要望にこたえまして議員立法となつたわけでございますが、この点におきましては、私自身もいささか矛盾を感じております。と申しますのは、御承知のように、一戸当り最低十坪といたしまして、建設量の五割を補助することにいたしておるわけでございます。耐寒住宅一戸当りが十二万七千五百円、一般住宅は九万七千七百五十円、全部が耐寒でなくして、一般住宅も実は入つておるわけでございます。二十九年度はおのおの一千戸分の二億二千五百二十五万円を実は計上いたしておるわけであります。この耐寒住宅は、先ほど南建設政務次官もおつしやいましたように、北海道の朔北の地におきましてはどうしても耐寒を必要といたしますが、中山政務次官の御指摘になりましたように、矛盾を感ずる点は、かような高級と申しますとおかしいが、金のかかる住宅に入ろうとする者が、実は全部が全部入れないわけであります。そこで、この耐寒住宅に入れる地域を政令で指定してもらう方がいいではないかということで、別個に考慮をいたしておるような次第でございまして、この点御了承を願いたいと存じます。 たくさん申し上げたいことがございますが、時間の関係で、この程度でひとつごかんべんを願いたいと思います。
○山下委員長 厚生政務次官も時間の都合がありますので、御質疑がありましたらお願いします。
○長谷川(峻)委員 厚生政務次官お急ぎのようでありますが、昨年北海道にいらつして、大きな会場に出席されて非常に感銘深い演説をされた、その記録など私拝見したのであります。そしてまた非常に辺鄙なところまで御視察になつて、厚生政務次官としての御熱心ぶりにああいう辺陬の地で接しまして、非常に嬉しく思つたのであります。私たちも忙しい旅の中でありましたが、次官もおいでになつたと思いますが、富良野の国の子寮、これは、最近東京付近では、宣伝が行きて届くので、沢田さんのサンダース・ホームなどはおそらくアメリカあたりから観迎されておるようでありますけれども、それにも劣らず、あの奥さんが、終戦後六名の樺太から引揚げて来た弧児を自分で全部養育しながら、夜うどん粉あるいは豆でもかき集めてようやくこれを食わせつつやつて来たという話を聞いて、委員長初め私たち感激したのでありますが、その方が今日九十六名くらい収容しているのです。それに対して、直接御本人からのお話ではありませんでしたけれども、一人頭三千五百円の金がいつておるそうであります。ところが、沢田さんのところに行つてみますと、アメリカ関係からたくさんの着物が来ているので助かつているという話がありました。といつて別にそれをほしいような顔をしておりませんでしたけれども、三千五百円の中から、育ち盛りの子供、そして親がない子供、——みなし児というものは、人の家の玄関の前に立つておるその子供の表情を見れば、どれがみなし児かすぐわかると言われるくらい、さびしいみなし児、これに着物を着せる苦労をして育てておる。こういうものに対する厚生省の手当あるいは施設というものがどんなふうにやられておるか、私どもは疑問に思つて来たのでありますが、それらをもう少し手厚くしてもらうことが必要じやないかということが一つ。それから、これも本人ではありませんが、駅に見送りに来た青年が、今名取さんが一番困つておるのは、自分で建物を建てたために、個人の名義にして約百八十万円の建築代の負債があるそうです。孤児を養育しながら、孤児の学業なり、着る物なり、食べ物なりの手当のほかに、この利子を払うことに非常に苦労されている実情を訴えておりましたが、こういうものは、何か厚生省あたりで、自分の省だけでできなければ、そのお気持をもつて、ほかの省とのお話合いの上に御援助申し上げて、ああいうさびしいところに、だれもやれないことを一人でやつておる、ああいう人々の心労を少しでも軽くなるようにしていただくことが非常にいいことじやないかと考えるのであります。 もう一つ、これは厚生省の関係でありますが、最近非常に精神病患者が多いことは御同様悩みの種であります。これも予算上の関係でなかなかもつて手当の行き届かないことも一様に悩んでおるのでありますが、そこで、私たち陳情を受けて、お取次することがいいと思つてお願いするのですが、函館の柏木病院、これは道南でただ一つの精神病院でありますけれども、ベツトが足りなくてどうにもこうにもならぬのでありますが、こういうものに対して国庫補助を五百万円昨年お願いをしたけれども、何の返辞もないということで、精神病患者がどんどんふえて来ているのに、処置なしということでありますが、多少精神病関係の予算のことにも私ども関係しておりますが、何かこうした機会に特別にお考え願う道がありはしないか、本省だけでできなければ、ほかの省と折衝すればこういう道があるということなどをこの際教えていただければ、私どもたいへん参考になると思う次第であります。
○中山説明員 ただいま仰せになりました国の子寮というところに私どもも昨年八月視察に参りまして、一人の女性がこういう取残された子供たちを自分が母親の気持から守つてくれて、しかもその名前まで国の子寮という名前をつけてやつてくださつていることに非常に感激したのであります。そこにお勤めになつている保母と申しましようか、指導者と申しましようか、そういう方々はカトリツクであつたかと記憶しておりますが、宗教的信念によつて利害関係を度外視してやつてくださつていることに非常に感激いたした次第でございます。むろん、児童憲章によりましても、国が子供たちを見て行かなければならぬということは、当然私ども責任を負わなければならぬことでございますが、いろいろと困難な経済状態にありまして、思わしいこともできない。今御指摘になりましたサンダース・ホームには外国から直接にああしていろいろな物が参つておりますのに、そこにでこぼこがございまして、絶対に必要の量さえも入手困難になつていらつしやいますこと、まことに申訳ないことと思つております。再三厚生省の方に名取さんにお越しいただきまして、私も何とかと思つて努力はし続けて参つているのでございますが、御承知のことと思いますけれども、これまで立てられておりました母子対策の中で、今までは父親のない母子家庭ということを目標といたしておりました。ところが、第十九国会におきまして、取残されておりました孤児対策、母子家庭にいろいろなお金を貸したり、学校の問題なんかもそういう方面で解決して行くということについて孤児が見落されておりましたのを、その孤児にもまた同等のことをして差上げるということでありますが、これが国会を通過いたしましたことは、国の子寮の孤児たちにとりまして一つの明るい窓が開かれたのではなかろうかと考えている次第でございます。 最後にただいま精神病院のことをおつしやつていただきましたが、戦後経済面あるいはいろいろな面で非常な混乱を来しておりまする今日、精神病患者がどんどんとふえて行つておるのであります。しかも最も憂うべき状態はヒロポンの問題もございまして、近来の新聞をにぎわしておりまするところの、精神病患者に類似したヒロポン患者が子供たちを川に突き落して殺すというような、実に無残きわまることが今日の新聞に出ておりまして、この子供ということが非常に最近私どもの目にとまるようになつて参りました。親が子供を道連れにするとか、人権尊重の反面において人権無視ということが盛んに行われているこの現状を見まして、私も実はけさ、児童局長を呼びまして、この問題を、どうするかということを質問をし、大いに考えて行かなければならぬということを諮つて参りました次第でございまして、こういう孤児の中からも将来においていかなる偉大な人物が出るか、はかり知れないのでございますから、すべての家庭の子供同様にこれを尊重して行く、守り立てて行くのが私は政府の当然の責任であろうと考えております。また話がはずれましたが、この精神病の問題につきましては、六月の十四日に公布になりました法律によりまして、いわゆる金もうけという意味でなく、そういう営利関係でない病院あるいは精神病院でなくても普通の病院の中で、そういう人を対象にした病室につきましては二分の一の補助をするということになつておるのでございまするが、これに見落されましたのが市町村でございます。府県はこれで救われるのでございますが、そういうものが見落されておりまするので、これも何とかしなければいかぬということを厚生省は考えて、今日の時代の大きな病気の一つである精神衛生という面から努力をして行きたいと考えておるような次第でございます。
○受田委員 今あなたがおつしやつた、厚生住宅、つまり引揚者住宅をやめて防寒住宅にしたのは国会の意思であつたということでありますが、これは北海道に限らず全国的に引揚者の住宅問題があるわけであります。私は過去数年間に大体全国の引揚者の住宅を見て歩きましたが、部分的には北海道のみならず悲惨な状況にあるところが各所にございます。こうなると、引揚者の住宅のわくを二十七年度で打切り、あるいは補修を打切つておるということははなはだ矛盾するのであつて、北海道のみに限定した問題ではない。引揚者の住宅をある期間、現在の悲惨な状況がある程度緩和する年度までは、この問題を復活する必要があるのではないかと思うのであります。特に補修のごときは、ちよつと手を入れたら何年か住まえるという見通しがつくならば、そういう措置をとつていいのじやないか。あえて公営住宅のわくの中へこれをはめ込んで一律に住宅政策をとろうとするやり方を、私ははなはだ了解に苦しみ、かつこれを思い切つて是正する大急ぎの処置をとる必要はないかと思うのであります。だから、北海道に限る住宅対策につきてましても、法案にある附則あるいは条文のちよつとの改正でいくらでも片づく問題ですから、この際政府としての問題の処理に大急ぎで手を打つ用意はないか。北海道の問題に限りません。全国的な問題として私はひとつさつきの政務次官の御答弁を是正していただきたいと思います。
○中山説明員 受田委員のおつしやる通りであります。私どももまたそう考えておる次第でございます。引揚げの方々がお帰りになつてからも相当期間がたつた、そうしてまた、何と申しますか、国内には引揚者ではないけれども戦災のためにいろいろと痛めつけられて家を失つている人も多くある、だから、引揚者というわく内で見ないで、そういう戦災をも含めて、ほかの住宅を必要とするような人たちをも一つに含めて、今の第二種公営住宅というのですか、そういう社会的な面からこれを解決して行くことが当面の問題として一番適切ではないかということを大蔵省が言い出しておるのでございます。しかし、私どもとしては、そういういろいろな方もございましようが、国内で焼け出された人たちは何とかそこでやつて行つていらつしやる、しかし無縁故者とかいつて帰つて来た人たちにはそういうつてがないのではなかろうかということで、非常に心配になりますので、来年度の予算におきまして、そういうふうにちよつと手を入れて住んでいただけるところはそうした方が緊急措置としては適切だという考え方から、三十年度の予算ではこれを要求する心づもりをいたしておるものでありますことを御報告いたします。
○長谷川(峻)委員 厚生次官は非常に御熱心でありますから、思いついたことを御質問申し上げます。 きようはこの委員会で非常に大事な話を聞きました。というのは、先ほど建設省政務次官は千戸くらいで北海道は済んだつもりだ——。ところが、千六百何十戸も残つておるということがわれわれ国政調査でわかつて来た。そこで、開発庁あるいは建設省などを刺激して、そういう大きな手当を進めるということが一つ。そして、厚生政務次官の言われた、矛盾を一番先にお感じになつたブロツク建築、あの議員立法を何とかかえることを政府当局も考え、またわれわれも考えますから、木造で早くやる。われわれ三人で一様に話したことでありますが、木造であつても、私たちも入りたいほど、ほんとうに場所もよく、衛生設備もよく、畳でも何でも新しい。あれでも十二分間に合いますから、高いブロック建築ということを言わないで、早急に独立家屋なりにして一軒々々きちんきちんと入れてやれば、自立精神が出て来る。今のような、集団で、まつくらなところで、歩くにしても、足をすつて、ころばないようにして歩かなければならないようなところで、毎日子供や母親が仕事をしなければならないということでは、精神的にも参りますし、自立精神というものもなかなか出て来ない。チヤンスがなくなつて来る。そういう意味合いにおいて、何といつても引揚げのことは厚生省の所管でありますから、胴元をしつかり握つて、他の省を督励され、ある場合には直すところは直すようなふうに督励なさることが一つ。もう一つは、これは何も予算をとる意味で申し上げるのではありませんが、現実がそうであつた場合には予算もお願いしなければなりません。たとえば、御婦人の政務次官はまさにその点はおわかりであろうと思いますが、とにかく、六歳以下の子供にツベルクリン反応を全部やつたところが、半分です。そうして、今度レントゲンの写真をとらせようと思うけれども、親が勤めておるところは、鉄道に勤めておれば鉄道病院でとつてくれるようにしたそうですが、とれないところがある。函館市内の保育所におる子供たちは、一ぺんも電車に乗つたことがない、町に行つたことがないというのです。それで、港祭りのときに、花電車に乗せるからというので、初めて診療所に連れて行つて、レントゲン写真をとる計画をした。からだ自体も非常に弱そうな者です。これは、非常に保母さんに熱心な人がおつて、そういう悩みを訴えられたことがあります。これは、委員会が予算をとるとか何とかいうことではなく、そういう実情を見て慄然として出て来た気持なのですが、北海道の保育所などについては何とか早急に手配していただくことがよいのではないか。ここに政務次官にぜひ手を打つていただくようにお願い申し上げ、また要望を申し上げておきます。
○中山説明員 ただいまお話になりましたように、こういう貧乏国があまり高い理想を持つためにかえつて不得策な立場に立たされておると思いますので、ある一定期間は小さい住宅ででも行くような、その間に少し修正をしていただいて行けばやれるのではないかと思うのであります。私は、政治は足でするものと信じておりますので、あちらこちらへ行つて割合に見て歩いておりまして、結核病院などもよく見て参りました。奈良県の天理教の結核病院で非常に造詣の深い先生がいらつしやいましたが、今国は病気になつた人に非常な金をかけておる、そうしてお苦しみになつておるようであるが、まず全体の国民に早急に、——健康診断と申しますかレソトゲンにかけてちやんとするまでに一人五十円かかる、それをやつてもらつて、肺病にならないような措置を先に講じて、なつているものは隔離するとかいうふうにしていただいたら、国の経済としてもその方が得ではないかということを聞かされまして、非常に啓蒙されたのでございますが、ああいう寒いところの子供らがそういうふうな目にあつておりますということは、結局亡国病をご子供のときに植えつけられて、しかも子供たちが悪くなりますと、小児結核というものは非常に恐ろしいことでありますから、これはまことに申訳ないと思つております。私も帰りましてからこれを予防局にも申しまして、何とかして、病気になつてから騒がないで済むように、一人五十円でいいのだから、予算がとれる時期が来たならばこれをぜひやつていただきたいということを実は主張しておいてある次第でありまして、先生の御心配に私は非常に共鳴を感ずるものでございます。いろいろと御視察においでくださいまして、政府の施策に対しても非常にプラスになる御意見を今日は聞かせていただきまして、視察においでくださいましたお方々に深甚の感謝を表する次第でございます。
○山下委員長 受用委員、大蔵省の方をひとつ……。
○受田委員 ほかにどなたが来ておられますか。
○山下委員長 法務省の民事局第二課長、それから防衛庁の経理局長、まだ御質問が残つておるのはそれだけでございます。それから建設省の住宅局長もおられます。
○受田委員 公務扶助料というものをもらう立場にある人々が、その証書を担保にしてさしあたりの急場をしのぐ金融を願いたいという声は、われわれは各所で耳にしたわけです。これは全国的な風潮ですけれども、政府としても恩給金庫を設定してこれが対策に当りたいという意図を持つているように前から伺つておりますし、またわれわれもこれを要望しておるのでありますが、現在恩給証書担保の金融措置といえば、国民金融公庫の中でわずかなわくが与えられている程度ではないかと思います。ところが、町には恩給証書担保の金融機関という、いわゆる私設のものがちよいちよい出て、法の網をくぐつて便宜をはかつておるようでありますが、こういうものに対しても法の制裁をもつて当らなければならぬ問題だけれども、これが利用されるような現状ということもわれわれは知らなければならぬ。そういう意味から、政府としてもそうした恩給証書を担保とする金融措置というものに対しての何か進んだ構想でも用意されるものがあれば、お聞かせ願つておきたいと思うのです。
○加治木説明員 恩給なりまた遺族国債は同じような問題があると思うのでありますが、御説の通り、ただいま国民金融公庫だけで取扱つております。ただ、前からこういうものについては特別の金融機関をこしらえたらどうかというお話が各方面からあるのでありますが、何しろ政府の資金源としてまかなわなくちやならないような性質のこういう資金で、しかもいずれも言わば一般の金融機関からはとかく敬遠されがちな恵まれない人たちを相手にするようなことになるわけでありますが、そういう観点から行きますと、国民金融公庫はちようどそういつた対象を広く各方面から拾い上げるようなそういう仕組みになつておるのであります。恩給を受けられる人は恩給を担保に入れて金融を受けるもよし、またあながち恩給を担保に入れなくても、国民金融公庫では、たとえば一般の普通の貸付であれば二十万円まで貸しますし、また最近新たに始められました特例小口貸付という制度で、これも別に恩給を担保に入れなくても簡易に一人五万円までは貸そうという制度もあります。たまたまその人が引揚者であれば更生資金貸付という道もある。これは、総合的に同じような性質の資金は一本のパイプで、——いかに適宜に按分して行くかという資金のわくの配分についてはいろいろ御議論はございましようけれども、そういう形で運営して行くのがいいのじやないかと思います。ただ、最近正式の恩給担保の貸付というものは国民金融公庫でも始めたのでありますが、受給者がどういうふうに分布しているかわからない。従つて、非常に残念でございますが、恩給担保金融について代理店に扱わせるほどまで行つておりません。代理店は、御承知の通り、何々銀行の支店はこれだけとわくを配るわけでありますが、このわくの配りようがないわけであります。従つて、各方面から要求があつて必ずしもスムーズに行つていないということを国民金融公庫から聞いております。このままでいいわけはない。しかし、大体恩給受給者の分布状況もわかり、大体の傾向が把握できるようになつたら、場合によれば代理店制度も活用して、広くこの道の恩典を受けられるように考慮したい、かように考えておるのであります。ただ、今申し上げましたように、残念ながら今具体的に恩給受給者の分布状況がわからないために、若干御不便をおかけいたしておるかと思います。
○受田委員 今政府としては具体的にどういう進んだ施策を持つているか。たとえば恩給金庫法のごときものを制定しようとする用意があるかないか。すでに北海道ではそれに準ずるような制度をつくつておることはさつき報告した通りであります。それだけ一般の需要は非常に大きいところまで来ているのですが、いかがですか。
○加治木説明員 これは、先ほど申し上げましたように、はたして現在国民金融公庫で扱つておるわくの中で恩給担保金融だけをはずした方がうまく行くかどうかということになると思うのであります。御承知のように、これは大体一時の貸付金なのでございます。国民金融公庫のあらゆる貸付がそうでありますが、わずかの金でありますが同じような苦しみを持つておる者に対してはできるだ広く均霑せしめたい、こういう意図に出ておるわけであります。従つて、われわれといたしましては、一応やはり一本のパイプで、単に恩給受給者のみならず、一般の金融機関からとかく敬遠されがちな、そういう階層を同じような観点から総合して取扱つて行く方がより適当ではあるまいか、かように考えているわけであります。
○長谷川(峻)委員 法務省と恩給局の方にお聞きいたします。それは、先ほど私は一般報告の中にもちよつと触れておりましたので、お聞き及びのことと思いますが、今樺太、千島の引揚者が北海道に八百五十世帯、無籍の関係で今の恩典に浴することができないというのです。これを、本籍取得はどうすればできるか。本籍が取得できないときにはこの恩典に浴せないのですか。これは厚生省が裁定したものをそのまま恩給局が認めてもらうような措置になつておつたのですが、実際にそれをやつているかどうか、それをぜひやつてもらわなければならぬということが一つ。この本籍取得のために家庭裁判所に訴訟しているというのです。そのために非常に費用がかさばるという陳情がありました。それから、引揚遺族の代表者の方がそれらのものをまとめて書いてやると、今度は書士法違反というものにひつかかるために、非常に私たちは難渋しておるということを、これは帯広郊外音更の遺族代表からわれわれに熱心なる陳情があつたのでありますが、この二つについて、両方の関係の方々から、納得の行く御説明と、将来この方々の便宜になるような対策をこの際御解明願いたいと思います。
○八巻説明員 樺太に本籍を持つておりました公務員の遺族で北海道へ引揚げて参りました方々は、御本人は北海道に就籍しておられますから、御本人の戸籍はあるわけであります。ところが、その死亡公務員の方の本籍は樺太にあつたわけですから、その方のなくなつた当時どういう関係にあつたか、どういう続柄にあつたかということは、樺太にあつた当時のものを見なければわからない。ところが、樺太の戸籍の原本は、正副本両方ともないというのが現状です。そこで、樺太におけるその原本を再製することがはたしてできるか、こういう問題なんですが、現在のところその手がないと私は思います。そこで、恩給法では、結局御本人の現在の戸籍ばかりでなくて、そのなくなられた公務員との死亡当時の続柄というものを確認しないと、その身分関係はわかりませんから、それがわからないと恩給が差上げられない、こういうことになつております。しかしながら、樺太のように全然わからないのに、わからせようといつても無理なことでありますから、そこを何か便法を講ずるなり、あるいは法律上どうしても法令の根拠がいるならば法令の根拠をつけるなり、そういうふうな手を打たなければならぬわけだ、こう思うのであります。それで、現在のところ、どういうふうな処置をとつたらいいか、行政的にあるいは本人の申立てを中心としまして傍証を固めて行つて、ある程度認定をして行く、これでもつて公務員の死亡当時の身分関係を推定して行くということでやつたらどうかというふうな方法もありますし、あるいは、それじや足りないので、やはりある程度の法令上の根拠はいるのだというふうな考え方もありますし、その辺のところは私ども今検討をしておる最中であります。できるだけ早く何らかの措置を講じて、早く恩給が支給できるようにしたいと思つております。
○阿川説明員 元樺太に居住しておりまして、終戦後内地に移転されましたいわゆる引揚者の方々のうちで、戸籍法の適用を受けます日本人の方でありますと、ある者は本籍を樺太に持つておられた方もあり、またある者は内地に本籍を持つておられた方があると思うのであります。そのうちで、内地に本籍を持つておられた方は、内地の市区町村役場に戸籍が備えつけてありますので、問題はないのでありますが、樺太に本籍を持つておられた方は、樺太の市町村役場に戸籍が備えつけられて、その戸籍の副本も樺太の裁判所に保存されておつたわけであります。そこで、それらの方々は、終戦後内地に転籍された方が大部分であつたと思うのであります。転籍するにつきましては、転籍届を戸籍の謄本を添えて出すことになつておりますが、その戸籍謄本が得られない方は、樺太庁残務整理事務所から身分事項証明書をもらつて、これを添付して転籍届をすることになつておりましたので、当時樺太庁残務整理事務所においても、新聞に公告をいたしまして、転籍を勧奨していたのであります。その後平和条約の発効に伴いまして樺太は日本の領土から分離されました結果、従前樺太に本籍を持つておりました者は、以後本籍を有しない者となりまして、戸籍法による就籍の手続を必要とすることになつたのであります。そこで、樺太庁残務整理事務所、その事務を引継ぎましたアジア局第五課の外地整理班において身分事項証明書をもらい、家庭裁判所の許可を受けて就籍の手続をとつていただく、こういうことになりまして、ただいまでは大部分の方が内地に就籍されたことと思うのであります。ただ、すでに死亡された方につきましては、これが就籍ということはありませんので、その身分を証明する資料は、樺太の市町村役場の従前の戸籍謄本なり、あるいは樺太の裁判所の戸籍の副本等によるほかには証明しようがない実情であろうかと思うのであります。 〔「委員長、わかりましたか」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 ちよつとわからない。今の御説明は、今御質問になつた委員の方にもわからないでしようが、実情を知つておる私にも実はわからないのでありまして、樺太からお帰りになりました方は要するに全部無籍者なんです。現在それが八百五十名該当者がある。その方が全部公務扶助料をもらう資格のある方です。その資格を得るための手続に今非常に難渋しておるということを訴えておられるのであります。今おつしやつたその法律説明は私どもわかるのでございますが、そういうことに対して、たとえば書士法の違反になるとか、あるいは簡易裁判所に訴えるのに非常に手数がかかり費用がかかるということのために、そのまま放置されておる形でございます。それでは気の毒だから、何とか戸籍上の扱いを簡易に、政治的配慮を加えまして、これらの当然受けられる権利を持つておられる方の権利を生かしてあげよう、それにはどういう方法があろうか、どう考えてくれるかということが、委員の御質問の要旨であろうと思います。今の御説明ではさつぱりわからないのでございますが、もう少しわかるような御説明を願えないでしようか。
○阿川説明員 ただいま申し上げましたように、平和条約発効に伴いまして、樺太の地域に本籍を持つていた方で、それまでに内地に転籍しておられない場合には、本籍を有しない者ということになるわけであります。そこで、そういう方は、戸籍法の百十条の規定に従いまして、家庭裁判所の許可を得て、許可の日から十日以内に就籍の届出をしなければならない、こういう規定になつておるのであります。家庭裁判所の許可を得る手続について、その書面を書くことが本人が非常にむずかしいということであれば、市町村役場の戸籍係に相談されれば、そこでもつくつてくれることと思います。市町村役場の戸籍係にまずその手続をお尋ねになれば、容易にわかることと思うのであります。それで、この就籍をしていない者がまだ多数あるように御報告がありましたが、ただいま恩給局の方の方々によれば、引揚者の本人自身はほとんど就籍を完了しておる実情にあるように見られるというふうにお話がありました。
○山下委員長 これは、今回国政調査をやつて、就籍をしていない者が八百五十名あることを発見したのであります。それで、恩給局の調べが大体就籍をしたと仰せられても、われわれの今回の調査によつてそういう新たなケースを発見して参りましたので、——今役場の戸籍係にとおつしやいますが、司法書士法違反だとかいうことで、内地の法律のよくわからない人たちはそういうことで非常にうろうろいたしておりまして、現状では八百五十名当然扶助料の交付を受ける有資格者がその資格を受けられずにある。中には、御報告がありましたように、役場で懇切丁寧に指導してくれまして、受けておる方がございます。しかし、受けられないで残つておる方が八百五十名あつたことを発見して来たのです。その処置を何とかしてやらなければ、戦死者に偽りはないのでございまして、手続ができないために恩典を受けられないという現状を私どもは見て来ながら黙視することのできなかつたのが、この問題の何とか政治的配慮をしなければならないということの起りなのでございますが、今の御説明ではちよつと納得できません。まあこれは法務省の方も課長さんでございますから、法務大臣のかわりにここで政治的な御答弁をなさるというわけにも参りますまいし、恩給局の方も次長さんでございますから、いずれこれは機会をあらためまして、——私どもは何とかこれらの気の毒なケースを実際に発見して来たのをこのままにしておけませんので、機会をあらためまして研究いたし、何とかこれらの人々の救済に全力をあげたいと思うのでありますが、本日はこの程度にいたしまして、防衛庁のことについて受田委員からちよつと御質問があるそうですから、これをお願いいたします。
○受田委員 最近は防衛庁というふうに役所がかわりまして、まことに御苦労に思います。私は、実は新国軍の基幹たる自衛隊の新しいあり方を北海道の各所においてながめて来たわけであります。そこで、北辺の守りをかたくしておられるこれらの人々に対して、その御苦労を多としたわけでございます。この際ここで問題点の幾つかを指摘いたしまして、防衛庁の最高幹部の一人でいらつしやる経理局長さんにお尋ねを申し上げたいと思います。従つて、御担当の経理以外の問題に及んでは御答弁されがたいかと思いますが、きようは前田政務次官もここへ来られるような話であつたのが、ちよつと期待はずれでありましたので、できればそうした防衛庁としての立場からの御説明をあわせお願いしたいと思います。 それは、第一の問題として、この自衛隊が演習をする土地に農地その他を接収してその便益をはかろうとしておるのでありますが、従来問題になつたのは、日本の各所において開拓者、引揚者などがせつかく開拓して営々としてつちかつた良田良畑がほとんど半強制的に演習地として接収されるということになつて、その接収される場合における買収価格等の問題を含んだ紛争が各所に起つておりました。これらがその後どういうふうに処理されておるかということ。従つて、全国的にこの自衛隊が今日その職務を円滑に遂行するように所要の演習地及び自衛隊の用地に文句なしにその土地の所有者が協力してくれている現状にあるかどうか。 第二点は、今後この演習地等に対しては、今までもそうであろうと思いますが、もう少し国内の生産力を考えて、開墾地などを選ばないようにして、はげ山、砂浜というような耕地に影響のないところを選ぶような努力を一層続けて、国内の生産力に支障がないような方面にも協力してもらえるような態度をとられるかどうか、この点をひとつお聞きしたいと思うのであります。
○石原説明員 演習場に関するお尋ねでございますが、御指摘のございましたように防衛庁の演習場の取得につきまして若干の問題がありますることは事実でございます。防衛庁といたしましては、御指摘の第二点に関連をいたすのでございますが、一番問題のありますのは演習場であります。演習場の取得の場合につきまして、極力農耕地を避けることといたしております。たとえば、昔の軍の演習場でございまして、これが終戦後におきまして払下げを受けておる、あるいは払下げまでは終了いたしていないが入植が進んでおるというような部分におきましては、できる限りその部分をはずすようにいたしまして、生産力の非常に低いようなところに集中をいたすというような方針でやつております。従いまして、農耕地の入りまする部分は割合としてはわずかでございますが、しかしながら、やはり演習の最小限度の要求という点からいたしまして、若干の平坦部を必要といたし、その平坦部につきましてなおいろいろなところに問題が出て参るのであります。特に北海道につきましてのお尋ねでございますが、全体としてのやり方から申しますと、私どもの方は、そういうような全体の方針といたしまして極力これを避ける方針でやつておりますが、やむを得ません場合に、部分的に少数の耕地が入るということになるわけであります。その場合におきましても、地元におきましていろいろ話をいたしまするが、別途、農林省が農地関係の主務の省でございますので、これの方に正式に書面をもちまして照会をいたし、農林省が道府県でありますとか、あるいは地元の市町村、あるいは所有者、耕作者というようなところとも連絡をとりまして、今申しましたような、こういう部分は非常に困るからやめてくれ、あるいはこういうような条件であればよろしかろうというようなことにつきましての十分な調査あるいは検討をいたしまして、その上で書面によりまする返事をもらつております。その返事を待ちまして実施をいたすようにいたしておりますので、現在までのところにおきまして、大体そう大きな紛争が起らぬようになつておると思います。御指摘の価格の点につきましても、これは閣議で従来からきめておりまする線もございますので、大体その範囲内におきまして処理をいたす、価格が非常に安過ぎて、そのために非常な損害をこうむる、あるいは非常に大きな摩擦が起るというようなことはだんだん解決をいたしておりまして、大きな問題としては残つておりません。北海道についてのお尋ねにつきましてお答えを申し上げておきますれば、現在までのところ、大体二十九年度としての仕事の計画に着手いたしておりますが、問題が残つておりましていまだ解決を見ていないというのは目下のところございません。ただ、農林省との間に話合いをいたしておりまして、まだ農林省から正式に回答が参りませんで、従つてそういうような取得の手続の段階中にあるというようなものは若干ございます。特に非常に大きな紛争を生じておりまして解決が困難だという事態は今のところ北海道としては承知いたしておりません。ただ、あるいはお聞き及びであろうと思いますが、雄武——北の方の天塩地区でありますが、ここに演習場を取得しようということをかつて考えたことがございます。これにつきましては、入植の関係から行きまして非常に困難であるということがございまして、これは断念をいたしました。そういうようなケースは過去においてございましたが、今日はみなスムーズに進行中の段一階で、価格につきましても折衝中の段階でございます。
○受田委員 御懇切な御説明でけつこうですが、ここでもう一つお尋ね申し上げたいことは、自衛隊が国民の注視のもとに発足しておるわけで、これのやり方ひとつによつて国民に悪感情も抱かすし、また好感情も持たれる。私はこの委員会の性格から政党政派の政策問題には触れませんが、自衛隊の諸君が北海道各地においては市町村に相当よく協力して好意を持たれているという現状は十分耳にしました。また、私山口県ですが、水害等に率先出動して協力してくれておる。これらは自衛隊が国民に好意を持たれるのにはいいチャンスだと思うのです。ただ問題が一つ後に生ずる。それは、今度防衛庁の職員になられた方、あるいは自衛隊の最高幹部の人々がどんどん第一線に出られる。今度帯広にも第五管区本部ができるということになりますと、——あの辺の引揚者はささやかな住宅に住んでおるのです。ところが、管区の総監、副総監が来ると、昔の師団長の官舎、連隊長の官舎のようなりつぱな官舎に住んで、まるで昔の軍閥を思わすような印象を与えてはたいへんだと思うのです。極力自衛隊の幹部の住宅はそまつな、引揚者の疎開住宅くらいのところで制限して、二間とかせいぜい三間程度のささやかな建物で計画を立てておられるか。あるいは、自衛隊の幹部が住まうのに、地方民をして顰蹙させるような官舎にして、自衛隊がここに来たためにわれわれの家とはとんでもないような官舎がたくさん並んだ、われわれは道庁の職員であり県庁の職員であつて、しかも今日十年働いても二十年働いても割長屋のようなところに住んでいるのに、防衛庁の職員は急にちよこちよこと入つて来てりつぱな独立の家屋に住んでおるというような印象を与えてはたいへんだと思う。少くとも、率先して苦しきに耐え乏しきに耐えて、自衛隊の真面目を発揮するようにあられなければならぬと思います。その点において、防衛庁としては、職員の住宅、宿舎等についてどういう考え方を持つておるか。特に土地をたくさん使つて住宅が建つて来るならば、耕地が減るわけです。開拓者があの山奥を一生懸命に開墾して、やつと小さな小道をつけ、家を建て、井戸を掘つて行くという苦労をしておるのです。そこで、この点について比較検討される防衛庁のそうした宿舎あるいは幹部の公舎等に対する構想をお伺いして、もし誤りがあればこれを是正していただきたいと思います。
○石原説明員 非常に適切なる御注意でございまして、実は私どもの方におきましても御指摘のような官舎が一面にいるわけであります。ことに、北海道のように住宅事情がもともときゆうくつであるところに、しかも必ずしも都会ばかりでなく相当小さな町村等もございます。従いまして、そこに入ります幹部が現在あります建物で何か便宜を求めるということになりますと、これは地方的に相当の問題を生ずると思います。従いまして、特に北海道につきましてはできる限り官舎を整備して参りたいという頭を持つております。しかしながら、予算の制約もございますので、相当内地の分を切りまして北海道にまわすようにいたしておりますが、幹部の所要数につきましてはなかなか及ばないように存ぜられます。しかしながら、御指摘のございました規格の点につきまして私ども一番心配をいたしておりまして、今日のような場合におきまして御指摘のような非難が万一にも起るということがあつては非常に困る。大体の目安は、これは御承知であろうと思いますが、公務員住宅をつくる場合の規格がございます。これは、大体一番大きい場合におきまして二十坪を越えるものが例外的にございますが、大体十坪少々から十六、七坪であります。それが階級によりまして差がございます。それで、私どもの方は比較的下級と申しますか、たとえば三等陸佐と申しますか、佐の階級の三番目でありますが、そういうようなところ、あるいはそれより下というようなものも相当ございますので、これは公務員の場合よりももう一つ規格を下げて、九坪であるとか、あるいは八坪であるとかいうような程度のものをつくつております。従いまして、全体的にこれを見ますれば、今一般公務員が入つておりますものに比べてやや下まわる状況にあるのではないかと思つております。大体そういうような規格でつくることといたしまして、できるだけ予算の割振りのつかないところをつけるようにいたしておるような次第でございます。
○受田委員 そうしますと、一般の公務員住宅よりは下まわる標準でやるということになりますと、北部方面の最高司令である陸佐の岸本重一という人ですか、この総監はいわば知事級である。その下の副総監は部長級であるというような程度で住むべきものであつて、副総監のようなのが地方の部長よりもりつぱな家に住んでおるということになると、これは問題だと思うし、また今度管区の総監ができれば、陸将補、昔の少将、これはいわば新参の局長級であるのが、管区の総監であるというので知事級以上のりつぱな官舎に住んでおつたということになると、ますます信用を落すことに相なりますが、そういう宿舎の設営について、その附近の公務員に比較してその該当する職員の立場というものはどういうふうな考え方に立つておられるか。あるいは、防衛庁の長官は国務大臣である、次長が次官の待遇、それから、それ以下の管区の総監とか副総監というものは局長とかあるいは課長の最古参とかいう程度、それよりも一階級ずつ下げた住宅に住むということになつておりますが、それがもしお約束が違うということになると、国民の注視のもとに立つ防衛庁が、地方の総監になつたらこういうりつぱな家に住んでおるとか、あるいは副総監でこうだとかいうことになつて来ると、はなはだ悪影響を及ぼすと思うのです。この点、でき上つてしまつて、もうできてしまつたのであるからしかたがないということになるとたいへんだと思いますので、今からその点規格について念を押して御答弁を願いたいと思います。
○石原説明員 一つお断りを申し上げておきますが、自衛隊は御承知のように初め警察予備隊として発足したわけであります。警察予備隊の発足の当初におきまして、公舎を整備した場合におきましては、建設が間に合わない場合がございまして、たとえば既設の国有財産の移管を受ける、あるいは民間のものを買収いたしたという時期があつたようであります。従いまして、これは北海道に限りませず各地におきまして、最初に買収あるいは引継ぎを受けまして、それを修理などいたしまして入りました分がございます。この分は、私が先ほど申し上げました規格に必ずしもかなつておりません。従いまして、それらの例外的なものがございますので、お前の言うことは違つておるのではないかといつておしかりを受けるかもしれませんが、それがどこにどれだけあるかということは正確に記憶いたしておりません。その点の例外を一言お断りを申し上げておきます。 それから、私どもの方の階級と一般公務員との格付の問題でございます。これは、御承知のように、一般公務員には六級、七級あるいは十三級、十四級というようなものがございまして、私どもの方でただいまお話の陸将という階級がございますが、これは十四級に相なります。それから陸将補という、星が一つですが、それが十三級であります。十三級と申しますと、一般官庁についてごらんになりますれば、これは小さい局の局長であるか、さもなければ、本省について申しますれば総務課長級が大体十三級であります。以下十二級、十一級というのが一等陸佐、二等陸佐というふうな順序で参ります。先ほど下まわつておるということを申し上げましたのは、三等陸佐とかあるいは一等陸尉とか、昔で言えば少佐、大尉のクラスでありまするが、それに対しまして、私どもは、多少そういう者の割合が多いものでございまするから、一般公務員の場合にない、やや下まわつた規格をつくつておることを申し上げたわけであります。もし一階級ずつ下つたというふうにお聞きでございましたら、それは私の申し違いでございまして、一階級ずつ下つた形で行つておりません。大体におきまして、一般公務員のそういうところをねらいまして、一般公務員の場合には、たとえば十三級はいくら、十二級はいくら、そういうこまかいきざみはないわけであります。われわれのところは、多少そこにきざみをつけ、そういうところで部隊長はどうだということで、多少きざみのつけ方が違いますので、そのつけ方が多少下まわる、こういうふうに御了解願いたいと思います。
○受田委員 これは、北海道の視察を通してのみならず、一般的な問題として関係があるのでお尋ねいたしますが、自衛隊の隊員が一般公務員とはかわつた待遇を受けるとかいうようなことになることは、民心に与える影響が非常に大きいんです。そこで、新らしい自衛隊の発足の経理の最高責任者である石原さんとして、この点は十分文官優位の原則を確立させるためにも守つてもらいたいのですけれども、給与の問題で、保安庁の職員時代から日給制度になつておる。日給であつて、日給の総額は一般公務員の同等の者よりも高いところにある。これは今俸給表をここへ持つて来ればわかるのですが、それはあとから調査すればいい。こういうことで、日給は月給とは違つて、日雇い労働者と同じような形になつて、かえつて印象的には階級が下のものに与えられる給与制度である。ところが、実際の手取りは、日給の方だとよけいごまかしてとれるので都合がいいというようなことになつておるようですが、この点、少くとも今度の防衛庁になつてから、職員の給与を一律に一般職の職員と同じような形に月額制度に切りかえる用意はないか。何か別格制度のようなものがここに残つておつて、印象的にも防衛庁という、職員は国家公務員の姿であつて実は昔の軍部復活の第一歩であるというような印象を与えるのはたいへんだと思うんです。この点、経理の責任者である石原さんはどうお考えでしようか。
○石原説明員 自衛隊の隊員の給与につきましては、給与法の改訂のたびごとに国会でおのおの人事委員会におきまして御審議、御検討を願つておるわけであります。御指摘のように、超過勤務手当がない。それから、これは沿革的に大体警察の職員の給与というものを目安にしてつくつておるようであります。そういうような一般職の場合におきましても、たとえば警察官であるとか、あるいは病院、結核療養所の看護婦であるというような職務の性質によりまして、御承知のようにいろいろな差をつけておるわけであります。それから、これも一般職につきまして若干例があるわけでありまするが、勤務の性質によりまして、超過勤務としての手当をやらない方がよろしい、一般の給与に入れた方がよろしい、こういうことでできて上つておる。従いまして、これが一般職の普通のそういつた号俸の調整でありまするとか、あるいは超過勤務手当の関係でありまするとか、そういうところの関係を無視しましてフラットに企画をいたしますると、やや上まわるというふうに考えております。それを今にわかに一般職の公務員並にするかどうかにつきまして、従来この制度でやつて参つておりまして、この一般職の普通給与に切りかえますることは、勤務の性質上、先ほど申し上げましたようないろいろなむずかしい問題がございまするから、従つて、これはむしろ違うのが筋道であろう。一般職の公務員と申しましても、先ほど申し上げた、ような例外的な職務につきましては例外的な規定がある。それの一つの適用であろうかと考えております。ただ、その内容につきまして、こういう点で非常に不権衡であるという点がございますれば、これは当然考えておかなければならぬはずであります。目下のところ、こういうところでこの次の機会にでも修正しなければならぬと思つている点はございません。
○受田委員 その問題は、日額制を月額制に改めることで、日額制を存置しておる制度というものはほとんどない。保安庁の職員だけです。そういう昔の別格的存在のような、軍隊の印象を与えるようなことのないように、ここにひとつ月額制度で行つて、特殊の公務を持つているのが少し比率が高いというようなことは格づけの際に考慮すればいいのでありますから、こういう点をちよつと御答弁願いたい。
○石原説明員 もし、日額制の方がいいか月額制の方がいいかという点だけでございますれば、これはいろいろ議論のある点だと思いますので、十分検討いたしたいと思います。
○長谷川(峻)委員 私は最後に申し上げたいと思いますが、われわれが引揚遺家族援護の委員会から北海道に視察に参りまして、非常に収穫があつた。すなわち、引揚遺家族援護の視察にとどまらず、国会議員団といたしまして国政全般にわたつて調査ができた。それがここに反映して、各官庁の責任者が来られて、具体的に私たちが見たケース・バイ・ケース、それについての御答弁、さらにそれから得るところの実際的な姿が現われることによつて、初めて国会議員の視察の意義があると思うのであります。こういう意味合いにおいて、このたびただ単に引揚遺家族の援護の委員にとどまらずして、全般にわたつて、道路の問題から、あるいは泥炭地帯の世界銀行の問題についてまで話が出た。ここに初めて国会議員団の視察の意義があるということをこの席上で痛感したものであります。さらにまた、北海道おそらく四百五十万の諸君に、この委員会のあらゆる発言、記録というものが、すき間を漏る風のように影響力があつて、必ず行き渡ること、だろうと思うのであります。そこで、この際において、最後に御注文申し上げて、道民の諸君の耳に入れておきたいと思うことは、国会議員はあだやおろそかに地方に出張するのではありません。すなわち、われわれの委員会は、路傍で倒れようとするところの引揚者の困窮の姿に何がなし手を差延べてこれを助けたい、あるいはまた暗いところに住んでいる者に更生の道を与える意味において住宅も解決したいというような考え方なのでありますが、北海道は封建的なにおいが非常に強い。あの新開拓地でありますから、非常にフレッシュなパイオニア精神がある一面において、役人が非常にいばつている。その証拠には、今度の問題にあたつて私たちが非常に考えなければならぬことは、至るところへ行つてみても、市会議員とか県会議員とか、引揚げのことを担当している常任委員が一人も出ていない。これは道も悪ければ市も町村も悪かつた。これは一人々々の名前を上げる利害の問題ではないのでありまして、全般的な思想と行政の問題であります。すなわち、国会議員が行つて道路の問題を見、地方の問題を見た場合には、三位一体になつて、——地方をわれわれが見た雰囲気の中で市町村が陳情することもあるでしよう。しかし、その市町村において予算を可決し、仕事を一番最低線においてきめる者は、その地方において選挙で、出ている諸君である。その中において厚生関係の常任委員諸君などに連絡しなかつた道あるいは市町村関係の諸君の考えの足りなかつた点をこの際指摘したい。そうして、われわれが現地の引揚者の寮などを視察する場合に、そこに常日ごろ住んでおるところの市会議員なり町村会議員がおつた場合には、もつともつと話がうまくも行きもしますし、それから、われわれが中央において話をする場合にも、直接その諸君の話が通じまして、今度は道府県市というものをバツク・アップしながら、予算の問題も、いろいろな説備の改善の問題なども、うまくできると思います。それで、私が最後に発言を求めたゆえんのものは、今から先北海道のいろいろな行政施設をやる関係において、どうか選挙で出られたところの各種議員の諸君が、ただ単に市町村行政当局にだけかませずに、われわれのような行つた視察団などを適当に活用しながら道の発展開発に向つてもらいたいということを、おそらく北海道全体にこれが行き渡ることを思つて、この際一言申し述べまして、私の発言を終る次第であります。
○山下委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度にいたします。 これにて散会いたします。 午後四時一分散会