海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第11号
- 発言数
- 19 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/05/29
会議録
○山下委員長 これより会議を開きます。 本日は海外同胞引揚に関する件について審議を進めます。 初めに、引揚者の特許権の問題について説明を求めたいと思います。本問題については、最近引揚げて参りました者の中に、特許権の権利金を、抑留されておりましたため継続できず、引揚げ後特許権の復活が困難であるという問題があるのでありますが、これについて政府当局の説明を求めることといたします。特許庁総務部長正木崇君。
○正木説明員 御存じのように、特許権と申しますものは非常に大きな独占権でありますので、これの設定、消滅につきましては、厳重な法律の規定に従いまして、十分慎車な審査をいたしております。従いまして、戦争中に戦争の直接または間接の影響を受けまして特許料を、換言すれば年金を納付することができなかつたために権利が失権いたしましたものを救済するという問題は、日本人だけでなく外国人につきましても問題がございまして、占領期間中に、昭和二十四年に、占領軍の命令に基きまして、連合国人につきましては連合国人工業所有権戦後措置令という政令を制定されまして、占領の結果、失権した権利の回復の措置を講じております。これはもちろん日本人につきましても同様の措置を講ずべきでありましたが、占領中はそういうことが不可能でございました。なお、終戦後中立国人におきましても同様な要求が起りまして、政府間の交渉を続けて参りましたが、昨年に至りまして、スイス、スエーデン、ドイツ、デンマーク、この四箇国との間に戦後措置に関する協定を結びまして、同様に戦争中の手続の不備によりまして失効しました権利の回復の措置を講じた次第でございます。この問題を解決する際に、内地におりましても戦災その他の影響によりまして同様に権利の保全の手続が不可能であつた日本人の権利をどう救おうかという問題を議論いたしましたが、すでに相当の期間を経過いたしました後におきまして、かような重大な影響を持つ権利をさかのぼつて回復することを認めますことは、一般の善意の実施者に対して非常に大きな迷惑を与えることになりますので、比較考量いたしました結果、これはとりやめとなつたように聞いております。 そこで、引揚者が海外に抑留されておりましたために権利が失権いたしたという場合も同様でございますが、同様な問題が、たとえば現在日本の行政権の及ばない日本領土、換言すれば沖縄の在住者につきましても、送金その他の手続ができなかつたために権利が失われておるというような事情がございます。従いまして、これらの人たちを救済するという問題は、先ほど申し上げました、内地におきまして戦災を受けたために手続の保全ができなかつた人というと同じように扱う均衡論から申しますると、内地在住の日本人を捨ておきまして海外在住者だけにつきまして救済措置をとることは適当でないというふうに考えられまして、目下のところはこれらの権利を救済するという措置を考えておりませんが、先般シベリアからの引揚者の方が見えまして、権利回復の御要求がありましたが、先ほど申し上げましたように、この権利の回復につきましては、法律の規定を要しまするので、行政的な措置といたしましては不可能であるという点を申し上げまして、御了承を得たように考えております。
○山下委員長 本件について御質疑があれば、これを許します。長谷川委員。
○長谷川(峻)委員 この委員会で全般的な引揚げの問題もずつとやつてるのですが、そのかたわら、きようここに討議されているような引揚者の個々の問題についても熱心にこうして討議をして、今まで片づいた問題があるのです。個々の問題と申し上げると小さいようでありますけれども、たとえば、最近の新聞に出ております。オランダの手違いからして、戦犯で入つていた者が途中で一ぺん釈放されたけれども、これは間違いだつたのでまた入れられた。そうしてこの委員会で真剣にこの問題が論議されて、委員長の名前を通じ、あるいは委員会を通じてオランダ政府にたびたび交捗して、これはここだけの力でないかもしれないけれども、ようやく二、三日前に出て来た。あるいはまた、先日は、シベリアから引揚げて来た学生が、ことし入学試験を受けて試験は受かつた。受かつたけれども、書類が不備であつたということから、これは一時入学がだめになつた。しかしこの委員会においてそれが論議されまして、その学校当局に特別な便宜をお願いして、これがまた入学できたというふうに、大きな引揚げの問題のほかに、並行しながら、苦しい戦いのあとで十年間も苦労して来て今内地で何か仕事をしようという人人の権利を生かすべく、お互いに熱心にやつておる。そこのところに、ちようどこの問題が出て来た。この特許の問題もその一つのケースだと考えます。 そこで、今総務部長の話を聞いておりますと、行政措置としては全然むずかしいというお話でありますが、それはそうでしよう。特許権に対しては今まで既得権者が半年ごとに特許料を納めているというふうに聞いております。それを怠つたといたしますと失効される。だから、引揚者の場合にも、特許料が不払いであるならば、これは当然失効する。沖縄の場合にもそういう例があるでしよう。しかし、こういうふうな原則的な行政措置としてはだめであつても、私が前に申し上げたような個々一つ一つのケースについて何か国のあたたかい措置というものが行われるところに、初めて私は引揚者に対するわれわれの援護が実を結ぶのじやないか。そこで、一般的な法律論としてむずかしいということはわかります。しかし、そこに何か方法がないか。といつて、それが特別に許可されても、ほかの特許権を侵害するとか、ほかの人の権利を侵害するということじやなくして、彼自身が考えた一つの発明なりが生きて来ることになる、あるいは、今からでも出せば、そのまま特許権がつくというような具体的な、助けるという面からひとつお考え願う点があるのじやないか。これは多分に政治的にもお考え願わなければならぬと思いますけれども、といつて、ほかの全体の人々の権利を失墜させないでできる面があるならば、だれも損する者はない。損する者がないなら、これがいいのじやないか。そういう点について、含みのある御解釈と御答弁をお願いしたい。これが私の要旨であります。
○正木説明員 先ほど申し上げましたように、権利の回復につきましては法律の規定がいると申し上げましたのは、これは非常に強大な独占権でありまするので、対社会的な善意の第三者の実施権の保護ということを慎重に考慮しなければならないので、ある人が学校に入るかどうかということとは、こちらは性格が違うように思うのでございますが、それで、もしもどうしても救済するということになりますると、やはり立法措置が必要と考えます。その点に対しまして私のところでも実はただいま検討をいたしておりまするが、問題になります点は、いかなる日本人にこういつた回復の機会を与えるかということ、それから、いかなる期間にそういう手続の不備の現象が起つた場合にこれを適用するかという問題、それから、権利が回復しました場合に、権利が失効しておるという認識のもとにある権利の実施者の保護、言いかえますと、善意の第三者が実施しております場合は、これを権利侵害として扱うことはできませんので、善意の第三者の実施者の保護ということも考えなければなりませんし、また、いかなる権利にまでそれを及ぼすかということ、たとえば、私どものただいまの考えは、特許権、実用新案権というものに限るならば、あまり問題はないかと思いますけれども、かりにこれを商標権まで及ぼしますと、商標権は御本人の利益であるばかりでなく、これは消費者全体の利益に影響するところが大きいものでありますから、商標権につきまして同様な処置をとることは非常に悪い結果を招くと考えております。以上申し上げました点につきましての立法上の問題点をただいま研究中でございまして、ただいままだ結論を得てないのでございます。
○山下委員長 この問題について他に御発言がなければ次に中川委員の発言を許します。
○中川(源)委員 私はこの機会に援護法による遺族年金、弔慰金等につきましてお尋ねをしたかつたのでありますが、土曜日答弁者がおいでにならぬようでございますから、この引揚げ並びに遺族援護に関する委員会も今期の議会では本日で終りになるのではないかと思いますので、一言、記録にとどめておくだけでもしてもらいたいと考えて、申し上げたいと思います。ただいま援護法による年金、弔慰金の未裁定の方々はおそらく四万あるいは五万あるのではないかと思うのであります。また却下された方がすでに二万あると思います。先般非該当者、非公務といわれる方々に対しましても五万円の弔慰金を支給するということが決定されたわけでございますから、これらの未裁定の方々あるいは却下された方々に対しましても、すみやかに五万円の弔慰金を支給されまして、手続なども、また改めていろいろな書類を出すということでなく、却下された方に対しましては、不服申立状といつたようなめんどうな手続をさせずに、書類は厚生省に残つているはずでありますから、それらの書類に基いて早く処理を進めてもらいたいということを私は要望しておき、またお尋ねをしたかつたのであります。 それから、せつかく弔慰金をいただきましても、これは生活保護法の適用を受けておる人などには優先的に現金とかえることをいたしておりますけれども、その他の方々で、実は未亡人で何か事業をやりたくても生業資金がなくて困つている人、あるいは子供の育英資金にたいへん困つている人が多うございます。おそらく半数の七、八十万くらいの方々は私は困つておる人に属していると思います。こういう方々の便宜をはかるために、年金証書あるいは弔慰金の証書を担保といたしまして簡易に金融の道を講ずることが必要ではないか。そういう機関が不徹底、不十分でございます。早くこれらの金を利用できるような道を講じてもらいたいと思うのであります。また、弔慰金の国債に対しましての買上げが、ただいま三十億円でありますか、昨年も三十億、二十九年度も三十億と記憶いたしますが、これはどうしても八十億くらいな買上げになりませんと、ただいまの三十億ではまことにもう少しというところで困つておる人、現金化してほしいという者が非常に多うございますから、常に遺族の方々から陳情、請願があります通り三十億を八十億くらいの程度にまで引上げてほしいという希望を持つておるのであります。 次は遺児の育英資金でございますが、子供さんがだんだん大きくなつて参りまして、昨年は一億二千万円育英資金があつたと思います。一昨年は六千万円、倍になつておりますが、本年は少くとも三億程度度の育英資金を組み入れてほしいと思つておつたのでありますが、これもうまく参つておらぬのでありますから、何らかの措置を講じてもらいたい。どうしても二十九年度はおぼつかないということでございましたならば一般の育英資金、日本育英会の育英資金のうちから遺児の育英に対しましては考慮を払うということにして、育英資金を利用せしめるという方法を講じてもらいたいと思います。それから、もう一つ、公務扶助料をもらいました場合に、生活保護法の適用を受けておる者は差引されるわけでございます。この適用の場合に所得とみなして差引しないようにいたしませんと、せつかく年金の五千円とか、あるいは一万円を未亡人がもらいましても、生活保護法の適用を受けておるのを差引されるということでは、何らの恩典にも浴さないというような感じを持つ人が多うございますので、これは各委員からいつも御発言のありまするように、所得とみなさないというふうな手続をすみやかにとつてほしいと思うのでございます。 それから、未亡人がだまされた場合、だまされずにでも、どうしても生活ができないからというので再婚した場合、再婚したところが相手がまたなくなつた、あるいはうまく行かないというので離婚をした。また子供を連れて行つた場合に子供を養子縁組をしておる。ところが、その子供も連れて帰つたというような手続をしておる養子縁組の解消、再婚解消というような場合におきましては、やはり弔慰金、年金の支給をすべきである。年寄りが、おじいさん、おばあさんが再婚をいたしましても年金は受取れるわけです。ところが、未亡人が再婚いたしました場合には弔慰金、年金の支給が受けられないということは、理不尽なことではないかと思うのであります。昭和二十八年の八月一日までに再婚を解消いたしました者に対しましては、また養子縁組を取消した者に対しましては、やはり一般の恩典に浴するようにすべきではないかと思うのでございますが、この点もひとつ再検討を加えるべきであると思います。 またその弔慰金につきまして、昭和十二年七月七日以降の戦没者に対しましても支給すべきではないか。その後の方々に、支給されておる人と支給されておらない人とあります。また、国債で支給されましても、それは現金化しないうちに敗戦となりまして、国債を提供した者、提供した国債は焼き捨てられた者などが非常に多うございますので、これらの調査をいたしまして、昭和十二年七月七日以後の方々に対しましても弔慰金を支給すべきであると思うのでございます。弔慰金の支給される範囲につきまして、全然受取手がないというようなものは国の所得となるわけでございますが、おばとか、おじとかがおりまして、それらの方が戦没者を非常に世話をした、またなくなつてからもいろいろおまつり等についてお世話しておる、そういう方方には弔慰金を支給すべきであると私どもは考えておるのでございますが、そのところまで進んで弔慰金を支給するような方法に対して検討を加えるべきでないかと思うのでございます。 こういう点につきまして、まだ援護法の範囲内にある大切な問題が残つておりまするので、今後引続き引揚げ並びに遺族援護に関する委員会は存置していただきまして、そしてこういう問題解決のため委員会は検討を加えるべきであると考えますので、今後ともひとつ引続きよろしくお願いいたします。
○山下委員長 中川委員の御発言はいずれも重要な問題でございますので、私から援護局長に伝達をいたし、なお、御発言のありましたように、本委員会はこれらの問題を引続き検討すべきものと考えております。
○柳田委員 議事進行について……。一昨日の本会議で、懸案の中国紅十字会代表の招請問題が全会一致をもつて本会議を通過したことは、まことに御同慶にたえないのであります。慣例によりますと、当然所管大臣より院議を尊重して何らかの発言があるものとわれわれ期待しておつたのでありますが、当日岡崎外務大臣は大臣席に着席しながら何らの意思表示もせずに退場したのは、はなはだ遺憾であり、まして、このわれわれの院議をどのように具現するかという当然の意思表示がなさるべきでありますが、これは対しては委員長はどのようにお考えになつておりますか、委員長の御所見を伺いたい。それによつてわれわれはきようの委員会の運営等を考えてみたい、かように思つております。
○山下委員長 今回の紅十字会代表招請の決議案は、本委員会全員が非常な努力をいたしましたと同時に、私もまた、政府、与党に対しましては、いろいろ微妙な点もうかがわれますので、手落ちがないようにと、あらゆる努力を傾けまして、与党の方の手続等は抜かりなく、上程をいたしたのであります。従いまして、政府、与党、特に外務大臣自身が決議案等もごらんになりまして多少の修正等をも加えられたものでございますので、当然御決意があつたものと了承いたしましたところが、御発言がございません。そこで、本日委員会に外務大臣を招致いたしまして、これに対するお考えを聞くべきであろうと思いましたが、聞くところによれば、今朝参議院においてなされました同様の決議に対しても、岡崎外務大臣は無答弁であつたと聞いております。そういたしますと、本会議という非常な責任の重いところにおいてああいう態度でございますれば、この委員会においでになりまして、もし心やすい気持で、実は自分は本心は反対だつたというような御答弁でもありますと、私としては、はなはだ心外に考えられますので、むしろ本日はここにおいでをいただかないことの方が院議が損傷されないでよろしい、こう了承いたしたものでありますから、御出席が不可能だという御回答をそのまま了承して、外務大臣を本席に呼んでおらないのでございます。
○柳田委員 私は、委員長と見解が違うのでありまして、いやしくも衆議院が全会一致の院議をもつて招聘をすみやかなるときに善処すべしということを決議した以上は、たとい外務大臣の本心が不本意であろうと、院議に従うのが当然であつて、そのようなことは断じて言わすべきものでないと思う。しかも、ひとり衆議院のみならず、院においても同様の決議がされておるわけであります。きようの新聞を見ましても、吉田総理はアメリカその他の諸国への外遊を思いとどまつて中国に行けというような決議案ならそれは無理であろうが、この決議にどこに外務大臣が答弁を渋る理由があるかということを書かれておるのも、私はもつともだと思う。従つて、この問題をそのような解釈のもとに済ますことは、私は何のために院議決定をしたかわからなくなるおそれが多分にあると思う。現に、聞くところによりますと、岡崎外務大臣は、努力すればいいんでしよう、いつ招請すべしということは書いてありませんと言つて逃げておるやに聞いておる。しかし、あの文体には、すみやかにということが入れてある。しかも、現在オスロで赤十字理事会が開かれて、ここに日本の島津社長、中国の李徳全会長ともに出席されておる。これらを考えるならば、すみやかにという決議の趣旨は明らかであるにかかわらず、これは岡崎外務大臣が語つたか語らないか知らないが、とにかくわれわれが聞いておるところでは、日時を指定されたのではないからというような逃げ口上をなさつておる。従つて、本会議において大臣が所信を述べないならば、当然委員会に招致して、大臣の所信、院議を尊重した政府の所信を聞くのが当然であつて、本日その挙に出なかつたことははなはだ遺憾である。従つて、なお会期もあるいは再々延長の空気もあるのでありますから、今会期中にこの委員会をさらに一回開くことは決して私は至難ではないと思うので、この点さらに委員長におかれてわれわれの趣旨に沿うように十分善処されるよう私は要望いたしておきます。
○山下委員長 柳田委員の御要望はごもつともでございますが、私は柳田委員の御見解とまた別な見解でございまして、与党の自由党から出ておる岡崎外務大臣は、自由党も賛成であるこの院議を無視する権利を持たないと思います。岡崎外務大臣は、各党一致のこの院議を無視し、これを実行しない権限を持たない人であると私は確信をいたしております。どのようにお逃げになりましようとも、政府与党も了承した全会一致の決議案に対しては、岡崎さんはこれに従つてこれを実行すべきものと私は了承いたしております。本日ここに呼ばなかつたということでおしかりをいただきましたが、次会には、まず私どもの腹構えを一致させまして、お呼びいたすことに努力いたしますが、私自身は、岡崎さんはこれを拒否する権限を持たないということを確信いたしております。
○柳田委員 了承いたしました。 —————————————
○山下委員長 この際閉会中の審査についてお諮りいたします。 今国会も会期終了の日を控えまして、本委員会は、海外同胞引揚げ問題として、ソ連及び中共地区に残留する同胞の引揚げに関する状況の変化に対応し、あるいは留守家族援護問題等、解決をはからなければならない諸種の問題に対して、今国会閉会中に、引続き国会法第四十七条の二項によりまして継続して審議して行きたいと思うのであります。閉会中審査を行いますには、その旨を議長に申し出て、院議によつて付託されなければなりませんので、閉会中審査すべき案件として、海外同胞引揚げに関する件及び遺家族援護に関する件とに大別して、閉会中の審査を議長に申し出たいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なきものと認め、さように手続をいたすことに決します。 —————————————
○山下委員長 次に、継続審査の件に基き、その実地調査を必要とする場合におきましては、委員を派遣いたし、調査を行いたいと思いますが、委員派遣の手続等に関しましては委員長に御一任を願いたいと思いますが、ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なきものと認め、さように決します。 —————————————
○長谷川(峻)委員 李徳全女史招聘の問題が前からわれわれの懸案になつておりまして、先日委員長が委員会を代表して趣旨の説明をし、全会一致の決議を得たのですが、参議院においても同様の決議を得ております。これを呼ぶということは、私ども自由党の者といたしましても異議はありません。ただ、一点、呼ぶ場合に一般に懸念されている問題を冷静にお互いが考えておく必要があるのではないか。ということは、私は文部委員もしておりますが、ここと話が多少違いますけれども、京都の旭丘中学の学校騒動を見ても、騒動そのものについてはいろいろ見方があります。しかし、その際に、騒いだ諸君も、赤旗などが学校の中に持ち込まれたとか、闘争本部を学校の内部に持ち込まれたことなどが非常に戦術的にいけなかつた、あるいは子供を闘争の中に巻き込んだことも同様であるというようなことが、組合側からも一般人からも一つの反省として出て来ている。そこで、中共紅十字の代表をわれわれが呼ぶ場合に、これは今から先——日本と中共は現在は条約上何もありません。敵対関係にあるのでありますが、これは、国の関係、文化的な関係、あるいは民族的な関係で、事のいかんを問わず接触しながら東亜の安全というものをはかつて行かなければならぬ立場にある。そこにおいて、この中共紅十字会が非常に熱心にわれわれの引揚げ問題についてやつてくれたことに対する国民的感謝という意味からお呼びするのであつて、それをせつかくお迎えした機会に、一般の今まで矯激に行われたような政治運動の一つのシンボルとして、上陸早々から赤旗で囲み、あるいはそちこちに矯激なる雰囲気をかき起すことがないようにすることが、われわれの一つの動き方じやないか。こういう気持からお呼びしたいという気持が、私だけでなくて、引揚げを真剣に考え、将来の中共との国交関係を親善にして行きたいということを考える国民の大部分の気持じやないかということを私は思うのであります。ゆえに、呼ぶということについては同感でありますけれども、私たちがお呼び申し上げるという気持の中には、私が今申し上げたような気持が多分にあるということを、ひとつほかの委員の方々も御了承願つて、もし来られた場合には、そうした方法において歓迎もし、親善のパーテイも開き、あるいは意思の疏通もでき、将来の国交の融和と国際関係の向上ということに一つのかてとなるような方向に持つて行つていただきたいということを、この際私は要望申し上げるものであります。
○山下委員長 ただいまの長谷川委員の御発言は、私もまつたく同感でございまして、それでなければまつたく失敗であるということを確信いたすものでございます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十四分散会