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19回国会衆議院1954/04/16

海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第9号

発言数
89
登壇者
9
会派数
3
開催日
1954/04/16

会議録

山下春江改進党

○山下委員長 これより会議を開きます。  本日は在外資産に関する件について議事を進めます。  在外資産に関しましては、本委員会は今日まで未払い送金小切手処理の問題及び外地預金処理の問題について審議して参りましたが、これに関連して、終戦後における軍事郵便貯金及び台湾、朝鮮、樺太、関東州の旧日本領土における郵便貯金未払いに対する処理の問題について、政府当局はその具体案を作成されていると思いますので、この際その概要の説明を聴取いたしたいと思います。

小野吉郎郵政事務官(貯金局長)

○小野政府委員 ただいま問題となりました軍事郵便貯金、旧外地の郵便貯金につきましては、現在までのところ為替管理法によりまして一定の制限のもとに支払いをいたして参つたわけであります。その制限と申しますのは、軍事郵便貯金につきましては——お断りいたしますが、軍事郵便貯金と申しますのは、戦争中、また終戦後もその残つた姿がそのまま尾を引いたわけでありますが、野戦郵便局において取扱いました郵便貯金でございます。これにつきましては、終戦時の八月十五日までの預入のものは全額支払いをいたしております。八月十六日以降の預入にかかるものにつきましては、一人千五百円まではすでに支払いが済んでおるわけであります。その千五百円を越えるものが、現在まだ為替管理法で支払いをストツプして今日に至つておるわけであります。また、旧外地の郵便貯金——朝鮮、樺太、台湾、関東州等におきましては、終戦の年の九月三十日までのものは全額支払いをいたしております。十月一日以降の取扱いのものにつきまして支払いをとめているわけであります。この問題の解決のためにいろいろ今まで努力をいたして参つたのでありますが、今回在外銀行預金等につきましてもそういつた解決の措置がとられますのと並行いたしまして、いろいろ関係の方面とも協議いたしました結果、さらに、在外財産問題調査会におきまして、銀行預貯金の解決方法その他と均衡を失しない程度におきまして、実は解決策が提示されたわけであります。それに基きまして、現在必要な立法措置を講ずるために準備中でございますので、できれば来週の火曜日の閣議を経まして法案を提案いたしたいと考える次第であります。  その支払いの解決の内容といたしましては、軍事郵便貯金につきましては、現在終戦後のものにつきまして千五百円までは支払つておりますが、その当時の郵便貯金の預入の最高限が五千円でありましたので、千五百円がすでに払つているとしますと、その最高限まで三千五百円残つております。この三千五百円のものにつきましては未払いの為替等に適用されます貨幣価値の換算いたしましたものを支払いをしよう、五千円を越えるものにつきましては一般の銀行預金等において支払いをいたします場合に各地域別に設けられております換算の割合によつて換算したものを支払うということで支払いをいたしたいと考える次第であります。また、旧外地の郵便貯金につきましては、現在、先ほど申し上げました通り、終戦の年の九月三十日までのものは支払い済みでございますので、十月一日以降の預入にかかるものにつきまして、これまたその当時の郵便貯金の最高預入限度五千円までのものにつきましては銀行為替の送金の場合に適用されます換算レートにより、五千円を越えるものにつきましては在外銀行預金の支払いに適用されます地域別の換算割合によつて支払いをしようというのが、今回の支払いの条件であり、内容でございます。以上の通りに相なつておりますので、そういつた内容の法案を早急に御提出申し上げたいと考えております。

山下春江改進党

○山下委員長 これより質疑を許します。臼井莊一委員。

臼井莊一改進党

○臼井委員 そういたしますと、従来問題になつておりました外地のうち、関東州、特に大連地区あたりで預け入れた分で未払いの分につきましては、やはりこの率で割もどされるというふうに承知するのでありますが、ただ、それ以前に今日まで大連地区以外の外地ですでに払いもどされておるように大体承知しております。もしそうだとすると、それとの比率が、今日まで支払わずにいて為替の換算率や何かで非常に不利だということがあるかないか、その点を伺いたい。

小野吉郎郵政事務官(貯金局長)

○小野政府委員 お答え申し上げます。その点は、各地とも同一な取扱いをいたしておりますので、関東州地区のみを支払いをとめまして、ほかを支払つているということはございません。九月三十日までの預入のものにつきましては、関東州の預入のものも、朝鮮、樺太、台湾のものも、同様の取扱いをいたしております。これから支払いをいたそうとするものにつきましては、各地によつて、これはごく僅少でございますが、僅少の率の違いはございます。たとえて申しますと、手取りが五千円になりますまでのものにつきましては、外地の貯金については大体これは、パーでございます。関東州につきましては、一円は一円で行くわけでございます。手取り五千円を越えるものにつきましては銀行預金のレートを使うわけでございますが、これは台湾、朝鮮、樺太等が——樺太は一円でございますが、台湾、朝鮮が一円五十銭を一円に換算しますのに比べまして、一円六十銭が一円になるというような違いはございます。その他におきましては別段に不公平な状況にはなつておりません。現在の段階におきまして、ほかの地域においては支払いをしておりましても、特に関東州のみが支払いをしておらない、その面でほかと均衡を失しておるという事実は全然ございません。

臼井莊一改進党

○臼井委員 そうすると、関東州の分だけ特別に不利であるということのないことは、今の御説明によれば大体了承いたします。  これは、ほかの在外資産とやはり非常に関係があるのでありますが、今の物価指数というものを勘案してやるというあれは全然ないのでございますか。為替レートの関係でその点をちよつとお伺いしたい。

小野吉郎郵政事務官(貯金局長)

○小野政府委員 先ほど申し上げました通り、ある一定限度までのものにつきましては、未払いの為替の支払いについて適用せられるレートで、その限度を越えるものにつきましては一般の在外銀行預金の支払いの場合のレートで行くわけでございますので、それ以外のレートの操作は全然ございません。

山下春江改進党

○山下委員長 村瀬委員。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 昨年の十一月にもこの問題についてお尋ねしたのであります。当時郵政省の方はおらなかつたので、はつきりした答弁を得られなかつたのでありますが、戦時中に満州国、蒙疆等において、日満議定書、日蒙議定書によつて、野戦郵便局の郵便貯金を強制的に満州国、蒙疆の郵政局に切りかえたことがあります。私は四十億円ぐらいと聞いておるのでありますが、何か十億円ぐらいだろうという話もあつたのであります。これに対して、終戦時に満州国では良心的に一億五千万円くらいを日本の郵政省に預託したと聞いております。また一面、満州国郵政局との為替の取組みの関係で二億円ばかり日本の郵政省から向うへ貸しになつておつた、それの支払いが二億円か来たのではないかというようなことも聞いておるのでありますが、私が質問いたしました昨年十一月当時には、その事情は全然わからないので、あいまいのうちに今日まで来ておる。この二億の金はGHQから支払い停止の命令が来るまで支払いをしておつたというが、そういういきさつはどうなつておりますか。ことに、向うからもらつた金が幾らであつて、どういう形で残つておるか、——満州中央銀行か何かの閉鎖関係で残つておるのでありますか。一体、そういうどさくさまぎれの金でありますが、はつきり経理ができておるのかどうか。

小野吉郎郵政事務官(貯金局長)

○小野政府委員 一応、満州、蒙疆関係等の郵便貯金の関係につきましては、これは明らかに日本の郵便貯金ではございません。当時の外国の郵便貯金でございますので、今の郵政省の所管外の問題でございます。ただ、支払いの面につきましては、終戦当時まで、両郵政局の協定によりまして、満州の郵便貯金にしたものも日本の郵便局で支払いをするかわりに、日本の郵便局に預けた日本の郵便貯金も満州の郵便局で払出しをしよう、そういう相互交換はしておりました。ただいま申されましたような、終戦時に、そういつた協定の継続をするための支払い原資として、一億五千万円でございますかの金を郵政省に預かつたということは、私はまだつまびらかにいたしておらないわけであります。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 それはおかしな話でありまして、満州国から一億五千万円を預かつたことはつまびらかでないとおつしやるが、あなたの方でおわかりにならぬというと、どこへ聞いてよいかわかりませんが、満州国の在日大使館と満州中央銀行との話合いで、資金を約二億円調達されて、それを内地で満州郵政局の分に切りかえて郵便貯金の支払いに充てておる。これは事実であります。あなたは知らないとおつしやるが、ふしぎでならぬ。支払つておつたところが、途中で司令部から、それは支払つてはいかぬ、こう言われたのであります。その残りの金は幾らで、どこへ隠してどうなつでおるのですか。

小野吉郎郵政事務官(貯金局長)

○小野政府委員 別段隠し立てするわけではございませんが、私そこをつまびらかにいたしておりませんので、なお調査をいたしましてお答え申し上げたいと思います。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 これは昨年の十一月四日にもそういう御答弁であつたのであります。郵政省でなければわからぬと言う。郵政省のあなたもわからぬと言う。そういう経理は国民として非常に不安であります。確かに二億円であつたかどうか、これは私は局外者だからわからぬのですが、来ておることは確かであります。現に支払いを受けておつたのであります。途中でGHQがやかましく言い出して、その支払いをとめた。その金の残りがないわけはないのであります。おわかりになりませんか。

小野吉郎郵政事務官(貯金局長)

○小野政府委員 ただいまのところ、私はそういつた点につきまして別段お答え申し上げる確実な資料を持ちませんので、調査いたしました上でお答え申し上げたいと思います。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 実に不思議だと思うのですが、そうでなくても終戦当時はいろいろとどさくさがあつて妙な金がそこらあちこちへ散らばつたのではないかと国民は思つておるのであります。向うでとにかく貯金をしておつたものを、これは何も任意でやつたのではなくて、強制的に満州、蒙疆の郵政局へ切りかえさせられたのであります。そこで、その金の支払いに、これは満州国も良心があつたと見えて、金額は私ははつきりわかりませんが、約二億円だつたと思うのでありますが、ぜひこれで支払つてやつてくれというので、ちやんとこちらへ来ておるのであります。あるいは満州中央銀行の閉鎖機関の勘定に残つておるのではないかとも思いますけれども、当時は郵政省でなければその答弁はできないということであつて、あなたの出て来るのを今日まで待つておつたのでありますから、どうかこの点ははつきりとお調べを願いたい。疑いを残さないようにしていただきたいのであります。  同時に、南方郵政貯金はその後どうなつておるか、この際承つておきたいのであります。マレー軍政庁で軍費の調弁に充当したものも相当あるのではないかと思いますが、これはどのようになつておりましようか。

小野吉郎郵政事務官(貯金局長)

○小野政府委員 南方の郵政貯金につきましては、もうこれは日本の郵便貯金とは全然姿がかわつておりますので、私どもといたしましては、その内容はつまびらかにいたしておりません。日本で当時関係を持つておりました郵便貯金は、野戦郵便で扱います軍事郵便、並びに旧外地、樺太、朝鮮、台湾、関東州、ここで日本の郵便貯金法によりまして郵便貯金として扱つたもののみしか管理の内容はわかつておりません。南方軍政貯金のことも聞いてはおるのでありますが、その運営の状況、あるいはその預払いの状況がどのようになつておるか、これは郵政省といたしましては何もわからないのであります。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 そういうことならしかたがないかもわかりませんけれども、それじや、これは金に関することですから、大蔵大臣にお尋ねいたします。  今お聞きの通りでございまして、満州国、蒙疆に対する軍事郵便について、昨年の十一月の四日と六日とに私は質問いたしたのであります。そうすると、大蔵省では、それは郵政省で聞かなければはつきりわからぬからという御答弁であつたのであります。ところが、今郵政省に出て来ていただいてもわからない。また、きよう南方郵政貯金のことを伺つても、郵政省じやないとおつしやるのですが、大蔵省でこういうことは終戦後脚処理なさつておりますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私は何も聞いておりませんので、政府委員から……。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 ただいまの問題につきましては、昨年大蔵省に御質問がありまして、大蔵省の方ではどうにも調査がいたしかねて、全然わからないということをお答えを申し上げたわけでありまして、現在においてもその状態は同じでございますが、なお、私どもの方におきましても、さらに何か資料でもあるかどうか調べてみたいと存じております。ただいまのところでは、大蔵省では全然わからないような状態になつております。

臼井莊一改進党

○臼井委員 なお、一つちよつと聞き落しましたのでお伺いします。預金通帳を外地において紛失した分でございますね。関東州地区の大連あたりの支払いを受けていないというのも、何か郵便貯金はソ連で金を抑えられた、そういうところから来た誤解だろうと思いますが、そういう地区でありますと、引揚げ等の時間的に急いだ関係で、貯金通帳を持つていない、こういうような者が多いのじやないかと思います。これらはやはり本人から申請すれば通帳をもちろん交付すると思いますが、そういう扱いについてちよつとお伺いいたします。

小野吉郎郵政事務官(貯金局長)

○小野政府委員 平常の状況でございますと、たとい郵便貯金通帳をなくしましても、どこどこの局にどのくらい預けて、現在高はおよそこのくらいあるはずだということがわかりますと、一応貯金の原簿を管理いたしておりますので、その原簿によつて確認ができるわけでございますし、また新しい預金通帳を交付するなり、あるいは預金通帳でなく金を払つてもらいたいということなら全払いの措置がとれるわけでございますが、何しろ今回の一つの対象となつておりますのは終戦後におきます取扱いでございます。しかも、そういつた原簿はすべて外地所在地にあるわけでありまして、関東州等につきましても同様、その原簿はこちらに参つておりません。あるいはその接収当局に押収せられたとか、いろいろな話しは聞いておりますが、原簿自体がないわけでございますので、預金通帳がございませんと、ただ口頭でこれだけあるのだ、——これを信用する以外にないのでございます。われわれといたしましても、できるだけそういつた確認の措置はいたして参つて来ておるのでございますが、残念ながら、原簿を持ちません関係上、確認のいたし方がない、こういうことになるのではないかと思います。かりに原簿がありますと、御本人の言われる記憶の金額と原簿面のそれに相違がございましても、なお原簿に登記しておる以外にその後に預入されたものがあるかどうか、そういうことが、推察の程度のものでございますが、全然つけかねるとは申し上げられないのでございますが、何しろ、旧外地貯金につきましては、関東州ばかりでなく、朝鮮についても台湾についても、その原簿自体が日本内地にございません。従いまして、貯金通帳を持つておられませんと、確認の方法がないのではないか、かように考えるわけでございます。

臼井莊一改進党

○臼井委員 実際に取扱うのにはあるいはそういうふうにせざるを得ないかもしれませんが、ただ総額で幾ら差引いて——押収されてしまえばしようがなかつたのですが、こちらの方に実際に持ち帰つて、払下げ申請よりは多い、こういうものもあるのじやないかと思いますが、大体外地にあつた預貯金、郵便貯金などはみな押えられて、ほとんどこちらには現金としてはもどつて来なかつたのでございますか。

小野吉郎郵政事務官(貯金局長)

○小野政府委員 現金は全然日本内地には回送されておりません。すべて現地にとどまつております。

山下春江改進党

○山下委員長 次に、未払い送金小切手、外地預金処理の問題について質疑を許します。村瀬委員。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 もう一度私は郵政省の方にお尋ねをいたしますが、外地で簡易保険等の処理をしたものもあつたのではないかと思いますが、来週の火曜日に閣議におかけになるという問題について、何か簡易保険その他の問題にも触れておられますかどうか。

小野吉郎郵政事務官(貯金局長)

○小野政府委員 簡易生命保険の関係につきましては、今回出ます法律案には全然載つておりません。何しろ私の所管外の問題でございますので、簡易保険そのものについて私からお答え申し上げるのもいかがかと思いまするが、簡易保険につきましては、一応一定の事故が起きればその金額をお支払いする、そうでなければ、契約そのものが失効いたしまして、その関係で今までかけた金のうち幾らかが返つて来る、あるいはその効力を継続して、加入当時の保険目的を継続するというようなことになろうかとも思います。そういう措置はいろいろ簡易保険長からも聞いてはおるのでございますが、簡易保険の契約の存続の面につきまして、通常の場合ならほとんど効力を失いましてもう復活できないものにつきましても、ああいつた交通の杜絶したような特殊な状況でございますので、その面には緩和措置を講じまして、申出によつて契約の存続をはかつておる状況に相なつているように聞いております。今回の法律案は簡易保険に関する問題には全然触れておりません。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 それでは、大蔵大臣に在外資産の補償問題一般についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず最初に、昨年の七月十日の予算委員会以来、私は大蔵大臣から本問題でたびたび真剣な御答弁をいただいて参つておるのでありますが、あのときからすでに、在外資産問題処理のためには調査審議会を設けたい、設けるつもりだということをおつしやつておられたのであります。そうして今調査会はできておるのでありまするが、その後総理府設置法の一部改正によつて法律に基くはつきりした機関として活動してもらうのだということを大蔵大臣も御答弁になりましたし、また緒方副総理も、決算委員会で私の質問に、もうすぐ出すのだ、こう言つておつたのでありますが、荏苒今日に至つておる理由はどこにあるのですか。いつ出すのですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 すでに閣議決定をしましたことは過日申し上げた通りでございます。実は総理府の方から提出することになつておりまして、法律的にいろいろな関係があるからとかいうことで、ちよつと調べておるようであります。閣議はもうすでに決定しておりますから、法制局の手続が済み次第提案されることになると考えております。しかし、なお私からも一ぺん催促してみましよう。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 前回大蔵大臣は、在外財産の問題については在外財産問題調査会の答申を重要視して行きたい、その通りには行きかねる場合があるかもわからないが、主としてこの調査会に責任を持つてやつてもらいたいという御答弁であつたのでありまするから、引揚者はこの調査会の活動を実は非常に期待をしておるのであります。ところが、この調査会は、むろん会の性質にもよるでありましようが、どのようなことが論議されたかということを外部においては知るよしもない運営方法をとつておられるのであります。従つて、その速記録を全部出してもらうということも、ずいぶん厖大な資料になるでありましようから困難とは思うのでありまするが、大体の議論を要約して外部に発表するというようなことをなさるおつもりがあるかどうか。私はぜひそういうふうにしていただきたいと思うのであります。これは、今外国に残つておる日本の資産を早く処理してもらう上にも非常に有効な資料とたると存ずるのでありまするが、その運営方法についてのお考えを承りたいのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実は、これは村瀬さんあたりの熱心な御意向もありまして、調査会の方は発足して以来もう数回にわたつて、あるいは十数回にわたつて会合を開いております。それで、結論の出ましたものにつきましては、それぞれ政府の方で実行に移すよう努力しておつて、今度のこの法案などもその一つであり、さきに持ち帰られた現金等についてお支払い申し上げたのもその一つであります。ところで、今村瀬さんから、その会合の速記録のようなものを発表せぬかということでございましたが、実は、これらの方々が、一口に言えば、自由に遠慮なく話をしてみたい、こういうことがありまして、速記はとつてございますが、何のなにがしはこう言つたと言われると、自由な話のできにくい点があるということから、公表しないことにいたしております。しかしながら、どういうふうな題目についてどんなふうな意見が出たと、お人の名前をあげずに申し上げることでございましたら、私の方で話をしてみまして、そういうことで御理解を願つたらどうかと実は考えている次第でございます。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 今大臣のおつしやつた通りでけつこうでございますから、ぜひそのようなおとりはからいを願いたいと思うのであります。なお、閣議はもうとつくに通つたのであるから、総理府設置法の一部改正でこの在外財産問題調査会がやがて法制化されるであろうということでありますが、その際の委員について、われわれ立法府におる者がそういう人選のことをかれこれ言うのは筋違いと思うのでありますが、たとえば、本問題について九年の久しきにわたつて真剣に取組んで参つた引揚者の団体の代表も相当おりますので、この引揚者の代表を一人くらいは委員として参加せしめる御方針があるかどうか。われわれといたしましては、やはり何といつてもその関係者ほど真剣にあらゆる面にわたつて研究を遂げておる者はほかにないのでありますから、そういう九年間研鑚努力して参りました引揚者の代表を、かりに一人でもこの審議会の委員に加えていただきたいという希望を以前から持つておるのであります。これに対する大臣の御意見も承つておきたいのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 村瀬さんの御意見まことにごもつともな点がございますが、実は、調査会の方の委員のときは、御承知のごとく、利害関係者が入つて利害関係が強く主張されることはどうであろうということから、入つておりません。いわゆる学識経験者、比較的公平な立場のお方を入れてやつているのでありまして、先般もお話を聞きますと、大体今の調査会の委員の方にそのままお願いしよう、——これはきわめて率直に申し上げておきますが、ということに実はなつておるのでございます。御意見の通り、この審議会を法制化しなければならぬ。その法制化はする。しかし、大体委員は今の方にお願いしよう。実は、政府の方では、今仰せの利害関係者を入れておくということも必要のように考え、同時にまた、どつちかというと、その方が公正でないというふうに聞えてはまずいのでありますが、いろいろ意見が強く出るために、かえつて議事の進行上どうかと思われるような点もありまして、その点、私一存でもいけません関係のことでありますから、なおひとつ相談してみたいと存じております。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 の仰せになることはまことにごもつともだと思います。私はそれに異議はないのでありまして、今度法制化されましても、現在の委員をそのままお願いしていただいてけつこうと思うのでありますが、できれば現在の委員のほかに一名くらいふやしてお入れいただければ非常にスムーズに行くのではないかと思うのであります。むろん現在熱心にやつてくださつているのでありますから、そのうちの一人をとりかえるということは常識上できることでもないのでありますが、私の希望することは、一名ぐらい増員しても、かりに十一分の一ならそれが強く出ることはないのでありまして、かえつて落ちがなく、ささいな点に至るまで在外資産の問題の全貌が明らかになるのではないかと思いますから、特にこの点をお願いしておきます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 なお、ちよつと村瀬さんに申し上げておきますが、実は、利害関係の方々から、五月になると公聴会を開きまして、ずつとこの話を伺いたい、こういうことに予定されております。従いまして、この審議会が制度化されて出て来ますと、公聴会でそれらの話はみな伺うことにいたしておりますが、将来なお、御指摘になりました委員のうちに加えるかどうか、これは御趣旨の点もございますから、よく相談してみます。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 そこで、いよいよ本論に入つてお尋ねをするのでありますが、この問題はたびたび大臣を煩わしておりまするので、そういつまでもお願いするわけにも行きませんから、きようはひとつ最後の腹の中を打割つて明らかにしていただきたいと思いまするので、少しくどくどしくなるかもわかりませんが、お許しをいただきまして、ひとつ最後と思つて御答弁いただきたいのであります。  四月の七日の大蔵委員会におきまして、小笠原大臣の御答弁の中に、営業中の金融機関が十行、閉鎖機関である金融機関が十三行、在外会社である金融機関が十行あるとして、その送金為替の金額も御発表になつたのでありますが、これは政府委員の方でもけつこうでありますけれども、まず、今法案が三つ出ておりますが、そのどれに該当する金融機関は何々であるというその銀行名をお示し願いたいのであります。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 現に常業中の金融機関でありまするところのもの、すなわちこれは金融機関再建整備法の適用を受けて今回処理されるわけでございますが、名前を申し上げます。旧帝国銀行、これは現在三井と第一になつております。それから三菱銀行、富士銀行、住友銀行、三和銀行、勧業銀行、大和銀行、北海道拓殖銀行、鹿児島銀行、安田信託銀行、以上でございます。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 閉鎖機関関係の金融機関の名前を申し上げます。蒙疆銀行、満州中央銀行、中央儲備銀行、朝鮮信託株式会社、中国連合準備銀行、朝鮮金融組合連合会、満州興業銀行、南方開発金庫、河南銀行、横浜正金銀行、朝鮮銀行、台湾銀行、朝鮮殖産銀行、そのほかに、閉鎖機関におきましては、預金だけを受取りました、本来の金融機関ではございませんが、そういう特殊な業務を行つておつた機関がございまして、これも今回預金等がありますれば支払いをする予定にいたしておりまするのが二機関ございますので、つけ加えてそれを申し上げたいと思います。一つは南洋拓殖株式会社でございまして、もう一つは東洋拓殖株式会社でございます。  なお、在外会社の関係におきましては、朝鮮商業銀行、朝興銀行、朝鮮貯蓄銀行、朝鮮無尽株式会社、台湾商工銀行、彰化銀行、台湾貯蓄銀行、済南銀行、上海銀行、漢口銀行、以上でございます。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 そこで、前回の大蔵委員会における大蔵大臣の御答弁によりますると、営業中の金融機関で六億八千三百万円の送金為替が未払いである、それから閉鎖機関である十三行で三十二億七千九百万円の送金為替が未払いである、在外会社の十行については、ほとんど僅少であると言つて教学はお示しにならなかつたのでありますが、その数字がわかつておればお示しを願いたいのと、同時に、これは送金為替だけをお示しになりましたが、外地における預金の高もわかつておりまするならば、その三つにわけてお示し願いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 それでは、ちよつと数字を申し上げます。現に常業中の金融機関十行で、未払い送金為替が六億八千三百万、在外預金が九億一千九百万でございます。それから閉鎖機関である金融機関十三行で、未払い送金為替が三十二億七千九百万、在外預金が百四十億八千五百万。それから在外会社である金融機関、これは十行でございまして、これはよくわかりませんが、未払い送金為替は僅少とあつて調べるほどの数字が出ておりません。在外預金の方は三億三百万。合計いたしまして、未払い送金為替の方が三十九億六千五百万でございまして、在外預金の方が百五十三億七百万、こういうふうになつております。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 そこで、前回のやはり小笠原大臣の御答弁にあつたのでありますが、アメリカにおける日本の財産は約一億ドルぐらいは私的の財産があるというようなお話であつたのであります。そういたしますると、この一億ドルのうち、今お話になりました三十三銀行、金融機関の持分がおわかりになつておりまするならば、お示しを願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実は、アメリカの分は、その後調べましたところが、申出のままの数学でございます。つまり、債務もございましようから、債権・債務差引いてどうなるかわかりませんが、各法人個人が申し出ました数字の財産だけを申しますると、アメリカの方は、法人が一億ドル、個人が三千万ドル、一億三千万ドルというのが各個人及び法人の申出額でございます。ところが、これには債務その他もありまして、アメリカ側でただいま出しているものを見ますると、約五千万ドルというふうに出しておりますが、どうも的確な数字がわかりません。それと、これは村瀬さんよくお調べになつて御承知の通りに、あの講和条約で、向うがこれを自由にしてもよいということを承諾してしまつているので、実は権利としてこれをもどしてくれとかなんとかいうことは全然言う余地はございません。ただ、向うが、こういうものをもどしてやつたら日本との友好関係増進に非常にいいだろうということでやつてくれれば、また両国の友好関係に役立つと思います。従いまして、公に言うことではないのですけれども、何かそういう話もあるようだから、日本へももどしてもらうと日本人の感情にたいへんよいがというような話はいたしますけれども、サンフランシスコ条約で、これは向うが自由にできるという建前になつて、それには異議を申し立てないということになておりますので、権利として主張することは実は申しかねる点でございます。なお、今の閉鎖機関の在外資産の中にはそういうものは入つておりません。つまり、何と言いますか、こういう不確かなものについては全然入つておりません。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 また四月七日の大蔵委員会の速記録を持ち出すのでございますが、大蔵大臣の御答弁に続いて岩動説明員が、ブラジルの日本資産は将来何らかの形において日本の円資金に直して、正金銀行の清算資金に繰入れることができるように研究をいたしておると答弁なさつておるのであります。むろんこれは移動はできないということ、国外持出しが困難なことはわれわれたびたび聞いておるのでありますが、大体これはどういう方法で研究をなさつておるのでありますか。その時期等についておわかりになりましたならば、お知らせを願いたいと思います。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 ブラジルの資産の返還にあたりまして、特に正金銀行につきましては、戦争前までは正式に向うに支店を開きまして営業をやつておつたわけでございます。日本政府といたしましては、ぜひともブラジルにまた何らかの形において金融機関をつくりたいという希望を持つて、先般ブラジル政府とも交渉いたしました結果、この三月の十五日にブラジル側で政令を出しております。その政令によりますると、正金銀行の資産は現在清算された状態においてそのまま返還をする、そうして正金銀行の支店を再開する希望があるならば——これは政令の文句にはありませんが、先方といたしましては、政令の文句の上では、新たに営業の許可をする手続をとつてもよろしいということをブラジルの銀行監督局にその権限を認めております。従いまして、日本政府といたしましては、今後ブラジル政府と折衝をいたしまして、何らかの形において営業権を取得して、さしあたりは正金の支店ということ以外には認められない態勢にございますので、その形でまず営業を開始する。但し、これは大臣からのお話にもありましたように、ただちにこれを為替送金として日本に持つて来て、内地の清算資金に充てるということは許されませんので、当分はその形で参りたい。その後ブラジル側とどのようなことになるか、これは全然予測をすることができませんが、何らかの形で日本の清算資金に持つて来るか、あるいはこれを第三者に買いとつてもらうか、いろいろ方法は考えられると思いますが、現在ではまだそこまで段階は進んでおりません。また、そのようなことを考慮することは、先方の、とにかく営業権を取得するという問題につきまして、むしろいろいろと悪影響を生ずるおそれもありますので、今日におきましては、とにかく日本側の金融機関をつくりたいという話だけで先方に折衝をいたす予定にいたしております。しかしながら、永久にそういう形で内地に持つて来れないということでは困るということは十分に私ども考えております。たびたび繰返して申しますようですが、何らかの形で国内に、これを円資金に転換する方法を今後とも十分に研究して参りたい、かように考えておるわけであります。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 これは非常に大事なことでありまするが、この点のお尋ねを保留しておきまして、次に、インド、パキスタンにおきましては、二千五百万ルーピーという日本円にして約十八億円を返してやろう、——これはインドとパキスタンと分離が困難かわかりませんが、と言つておりますが、このうち正金銀行の資産がどのくらいあるでありましようか。またそれを何らかの方法で内地へ持ち帰るという方法をお考えになつたことがあるでありましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実は、この間村瀬さんからもお話がございまして、インドは幾らあるかちよつと答弁ができなかつたので、調べてみたのですが、まだよくわかりません。特にパキスタンに至つては全然わかりません。ただ、そのとき一応調べたところでは、大体インドの方に正金の財産がまず五百万円くらいあるのじやないか。それくらいしか当時は見込めませんでございました。しかし、両国とも非常に好意的になつてくれておりますが、まだ具体的にどうこうというところに話が進んでおりませんので、今度西山大使なども帰つて来ておりますから、こんなことも一ぺん話をしてみたいと思つております。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 そういたしますと、ブラジル、インド——インドの五百万円というのは私どもは想像ができない。支店の家だけでも、五百万円の家といえばまつたくみすぼらしいもので、それは何か数字の単位が違うのではないかと思うのでありますが、それはまた十分お調べ願うといたしまして、概数でよいから御発表願いたいのでありますが、スイスに残つておる正金銀行の資産がどのくらいあるか、それから、今ブラジルでは約九億と言つたのでありますが、正金銀行のものがどれだけあるのか、それから、アメリカに法人一億ドル、個人三千万ドル、合して一億三千万ドルというのがこちらの申し分であつて、アメリカ側ではそれが両方で五千万ドルぐらいであろうと言うそうでありまするが、かりに五千万ドルといたしましても百八十億円でありまするが、そのうち正金銀行の分は、大体概数でよろしいのでありまするが、どのくらいになるでありましようか。アリメカ、ブラジル、インド、スイス、それだけで大体正金銀行の予想される資産は幾らになるか、いかようにお考えでありましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 さつき私が五百万円と申しましたのは、終戦当時の五百万円でございますから、為替札場に換算したらよほど違つた数字になるかと思いますが、よくわかりません。それから、あとこまかいことは事務当局から答えてもらいますが、大体正金銀行の在米資産は五百五十万ドルぐらいと一応推定せられております。それから、スイスにある正金銀行の資産ですが、これは大体向うといろいろ相談しておるのですが、まだ突き合つておりませんけれども、見方によりまして四千六百万スイス・フランから四千八百万スイス・フランぐらいであろう、こういうふうに推定されております。ただ、こういつたものをどういうふうにしますか、いろいろ赤十字の関係もありますが、閉鎖機関課長がよく知つておりますから、答弁をしてもらいます。  ちよつと速記をとめてもらいたい。

山下春江改進党

○山下委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕

山下春江改進党

○山下委員長 速記をとつてください。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 この在外資産補償関係の三つの法案を通じてお尋ねをいたすのでございまするが、これは先ほど申しました閉鎖機関令によるものが十三行、あるいは金融機関再建整備法によるものが十行、在外会社令改正によるものが十行とわかれておりますけれども、実際に海外引揚者がこの法律が通ることによつてまず胸ときめかして銀行の窓口にかけつけるわけでありますが、そのときに、お前の方は閉鎖機関令によるのだから千三百円しか払つてやらない、君の方は再建整備法によるから利子までつけて払つてやろうというのでは、どうも国民は納得が行かぬと思うのであります。そこで、この三つの法案について、一つ一つ条文を示してもよいのでありますが、これは原則として平等にお取扱いになるのか、金のある分は利子もつけるという意味で立案をなさつておるのでありますか。何か三つの法案になつておりまするが、それぞれ別々の考えでやつておるのか、大体一律に在外資産の一つの支払い方法としてこの立案をなさつたのであるかどうかを承りたいのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実は、今回の措置というものは、あくまで私的債権・債務の処理ということを眼目としておりまするので、従つて、それぞれの金融機関の資産の限度で支払いがされるということは、どうもやむを得ぬことだと思うのであります。従いまして、村獺さん御心配になつておる正金銀行の分が国内資産の関係で一番割合が悪くなつておるのでございますが、これも在外資産等がもどつて来ればできますけれども、現在の考え方としては、閉鎖機関の場合について申しますれば、やはり国内に残つておる資産の限度で払わす、こういうこと以外にどうもやりようがないと私ども考えておるのであります。従つて、正金銀行の国内資産の少いものについては、ほかとの関係から見ると、あまり少くてどうも気の毒に思いますけれども、しかし、こういう私的のいわゆる債権・債務として処理するという立場から申しますると、遺憾ながら今のところはこれ以上いたし方がないように思うのであります。ただ、繰返して申しますが、正金銀行は在外資産をたくさん持つておりますから、これさえもどつて参りますれば、これの支払いは今後とも十分できるのでありまして、そういうことについて政府としてはできるだけの努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。

吉川兼光日本社会党(右)

○吉川(兼)委員 関連して、今のスイスのことでちよつとお聞きしたいのですが、閉鎖機関課長の御答弁によると、スイスには平和条約で除外されております国際決済銀行の投資分というのですか、それがあると思いますが、これはどういうふうになつておるか、わかつておれば、速記をとめてけつこうですから、お伺いいたしたい。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 ただいまその点につきまして私十分に承知いたしておりませんので、その問題につきましては、帰りましてよく調べて、御答弁申し上げたいと思います。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 先ほどから私が、アメリカに日本の私的な財産が幾らあるとか、インド、パキスタン、スイス、ブラジル等のことをお聞きいたしましたのは、実はこの法律に五万円まで支払おうとあるのであるから、とにかく正金銀行の分も何とか一律に五万円まで支払つてやる方法はないものかという伏線としてお尋ねしたのであります。米国に今五百五十万ドルぐらいの正金銀行の財産はあるだろうということであります。これは邦貨に換算いたしますれば約二十億円はあることになる。スイスにも四千六百万スイス・フランないし四千八百万スイス・フランはあるということであります。もちろん米国の分はこれは平和条約で完全に放棄をしてあるのでありますから、返してくれようがくれまいが、どうすることもできません。しかし、スイスの分については私はそうは考えないのであります。平和条約第十六条には、日本政府は選択によるとあるのであつて、そのスイスにある資産をそのまま万国赤十字社に出してもいいが、また選択によつては、それに相当する金額を政府が出してもよい、どつちでもよいときめてあるのでありますから、必ずしもこの正金銀行の資産を全部出さなければならぬとは平和条約には書いてないのであります。でありますから、そういう国として国民全体が当然負うべき万国赤十字社に出さねばならぬ捕虜虐待の補償金というものは、これは何も正金銀行の資産のみをもつて充てるべきものではないのであつて、それを正金銀行の資産をもつて充てるならば、それに相当する金額は政府に当然補償の義務があるのでありますから、このスイスにある四千六百万スイス・フランないし四千八百万スイス・フランというものは、私は当然政府が肩がわりをせねばならない資産だ、かように考えるのであります。ブラジルにおいても約八、九億円はあるという。そして正金銀行ブラジル支店を置けば、それも十分利用ができるのであります。こういうちやんとした見返りの資産があるのでありまするから、これらをひとつ見返りとして、当然五万円限度ぐらいまでは支払つてやるというのが正しい政治のあり方であると、私は終始一貫、最初から申し上げておるのでありまして、政府はもう少し真剣にそれに対する方法をお考え願いたいと思うのであります。何もよその金をとつて来てこちらへ支払えと言うのではないのであつて、正金銀行の金がここにちやんと残つておるのでありまするから、それを見返りにして今困つている引揚者に支払つてやつてほしいという希望は、日本国民としてはたれでも心からわき起らずにはいないと私は思うのでありますが、何らかそういう方法をお考えになる余地はございませんか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは、過日村瀬さんからもよくお伺いして、私どもも十分考えてみているのでございますが、しかし、ただいまのところ、ブラジルの分は実は担保にならぬのでございまして、これはちよつとそういうわけに参りませんが、今言われる選択のことになつておりますので、たとえば中立国にある日本人の財産を万国赤十字社に引渡す、スイスの分がこういうことになりますれば、これは、正金銀行としては、日本政府に、こういうふうな規定があるから、これを補償してくれ、払つてくれ、賠償してくれといいますか、こういうことは言えるじやないかと実は思つております。これはどうも条約の建前上そういうことが言えると私は思います。しかし、まだ正金銀行とそういう話もしているわけでございませんし、またそれについて政府の方が——これも少し言葉が悪くて、村瀬さんからおしかりを受けるかもしれませんが、財政多難のときでありますから、こちらの方から進んでやりかねるという事情にあることも御了承願いたい。しかし、政府が中立国にある資産をやる場合には、筋としてはあくまでもそういうことが言えるのじやないか、補償の要求ができると私は思つております。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 私が何度も申します通り、憲法第二十九条第三項によつて、当然国は補償せねばならないと思うのでありまするが、それを百歩、千歩を譲つて、その方はたな上げにして考えましても、これは何も政府から金を出してくれと言うのじやないのであります。そういう大きい資産がちやんとあるのだから、それを担保にして一時政府があつせんをしてやつたらどうか、こういう話なんでありまして、私のほんとうの気持から言えば、当然政府が一足飛びにこれは支払つてやるべきだ、こう言いたいのであります。私はそう叫びつつ来ているのでありますが、今の吉田内閣は憲法第二十九条の第三項の関係をはつきりなさいませんから、それはそれでもう少し研究をなさるにいたしましても、これは一時融資のあつせんをしてやればできることなんであります。昨年、風水害対策のときに、予算外に百五十七億円までも、小笠原さんは、ひとつ融資のあつせんをいたしましよう、予算外に百五十七億円引受けましたと、ぽんと胸をたたかれたのでありますが、そんなにたくさんでなくてよいのであつて、これは正金銀行の財産があるのであるし、それを当てにして一時ここに金を借りるあつせんをしてやればよろしいわけでありますから、もう少し何とか誠意をもつてこの問題をこの際ひとつ解決していただきたいと思います。そこで、もう一つ私はこの例に引きますが、朝鮮銀行と台湾銀行とが、預貯金、送金為替全部を支払いましても、なお九十億円余残るのであります。これについて私はちよつとここで特に速記にとどめて訂正しておきたいのでありますが、四月七日の大蔵委員会で私はこういうことを言つておる。「この残る金は一体どうなさるのか、政府の金でも何でもない、これは広くいえば在外引揚者全部の者の金なんでありますが、」と言つておるが、これは間違いであります。これは私はこういう意味で言つたのではない。時間がなくてあわてたからこう言つたのでありまして、これは広く言えば朝鮮銀行・台湾銀行に関係のあつた海外引揚者と両行関係者のもの、こういう意味でありますから、私はここで大蔵委員会の私の発言に関する会議録を訂正しておきます。とにかくこの九十億は政府の金でないことははつきりしておる。そうしてこれは朝鮮銀行と台湾銀行とに関係のある株主あるいは海外引揚者のものであると思いますけれども、しかし、朝鮮銀行だけでも、送金為替、外地預金を支払つて六十七億四千三百万円も余る。朝鮮銀行の株券というものは八千万円だそうでありますから、五十円株払込みに五百円ずつ払つても八億円あればあるわけであります。そうするとなお六十億円ほどは残るのでありまして、それも全然株主のものだと言い切つてしまうのは、私はちよつと欲が深過ぎるかと思います。そこで、これは憲法上の私有財産との関係もありますから、この金を何もあたりまえだといつて全部の引揚者に分配してしまえというような意味で申すのではありません。こんなにたくさん九十億も金が残るのでありますから、大蔵大臣が中に入つて、旧正金銀行がその金を一時借用することにして、五万円限度くらいまでは支払うということは、これは決して台湾銀行、朝鮮銀行の私有財産を否認するのでもなければ、非常に残酷な無理な処置でもないと思いますが、そういうふうなことについてお考えになつたことはございませんか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 最初に、正金銀行の方になぜ政府は金のあつせんをしてやらぬかというお話でございますが、実は、これは村瀬さんも御承知のごとくに、なるほど将来在外財産がもどつて来ればいろいろございまするが、しかし、もどつて来るまでは担保に入れるものも何も正金は持つておりません。従つて、金融をあつせんしてやると申しましても、政府が保証でもしてやれば別でありましようが、これはまた国会の承認を得る等の問題もありまして、少しめんどうな問題ではないかと実は思つておるのです。今の朝鮮銀行、台湾銀行でありますが、これは、朝鮮銀行、台湾銀行等がああいう一つの銀行として一法人としてやつておるのでございますから、それに、お前の方は割合に有利だからこうこうせよと言うことは、これはどうも政府として命令をいたしかねるように私は存じます。これはかりに地位をかえましても同じような非難を受けるのではないかと思いますので、ただいまのところ、御意見は御意見として承つておきますが、政府としてそういうあつせんをするのは出過ぎておることだと考えております。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 私はそう出過ぎたように思わぬのです。それでは大蔵大臣に伺いますが、朝鮮銀行は現在八十億八千万円金ができておるのです。そうして送金小切手が六億二千五百万円、外地預金が七億一千百万円、合計して十三億三千七百万円であります。これを全部支払いましても、六十七億四千三百万円残るのであります。そこで、この朝鮮銀行の資本金は幾らであつたかといいますと、八千万円である。そうしますと、この六十七億四千三百万円は八千万円の株主に全部渡してしまうおつもりでありますか。この八十億八千万円できたというのは、発券銀行であつた特殊事情からできたのであつて、決して朝鮮銀行のやり方がよくてそれがために八十億八千万円もできたのではないと思います。この六十七億四千三百万円は、八千万円の資本金の株主にすぐに全部渡してしまう、こういう御方針でありますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは、朝鮮銀行、台湾銀行は村瀬委員も御承知のごとく発券銀行でございますから、それは発券銀行の立場で国家的にその残余財産をどうするかという問題については相当研究を要する点があると思います。従つて、この問題は私の方でも十分今後検討したいと考えております。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 どうも、その辺私はわからぬのであります。御答弁によりますと、株主にやるのでもなさそうなんです。一時貸すのも政府はしてやらない。じつと閉鎖機関で握つて何か運用するというお考えであるかわかりませんが、幸いに朝鮮銀行の方が六十七億四千三百万円、台湾銀行の方が二十二億八千万円、預金まで全部支払つても残るのであります。そうしますと九十一億円ほど残るのでありますが、このうちせめて、正金銀行の積金は第二段にしましても、正金銀行の送金小切手の二十億三千五百万円でも支払つてやるならば、この三つの法律がこれは一致して同一補償でみんな非常に喜ぶわけでありますが、それくらいなことは、何も政府の予算を食えというのでもなければ、ただあつせんの労をとつてほしいというだけのことであります。しかも、全額とつてしまうというのではありません。九十億残るうちの二十億だけを正金銀行に一時貸してやる、スイスの金やアメリカの資産が返つて来るまで二十億だけ九十億の中から貸してやらぬかというのであれば、朝鮮銀行や台湾銀行の者も、命からがら内地へ引揚げて来たのでありますから、これは同病相あわれむで、海外引揚者の困苦を知つておる。朝鮮銀行や台湾銀行のものから二十億くれというのではないのであります。一時貸してやらないか、こういうのであれば、それはひとつ貸してもいいでしようとなるのが人情の常だと思うのであります。それだけ貸してもなお残りが七十億あるのであります、第二会社なり何なりをつくろうとすれば、ちやんとつくれるのであります。発券銀行であるから株主に全部やるつもりはないとあなたはおつしやる。そうであるなら、このうち二十億くらいをさいて、せめて送金小切手の方に充当さすというのが、これがあたたかい政治だと考えるのでありますが、それはどういう支障がございましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは、先ほど申しました閉鎖機関のうちでも、正金銀行以外にも実は払えない分がございます。たとえば満州中央銀行あるいは朝鮮信託株式会社あるいは朝鮮金融組合連合会、満州興業銀行あるいは南方開発金庫、朝鮮殖産銀行、これなどもございまして、やはり一連の問題としてひとつ考えてみなければならぬと思います。台湾銀行、朝鮮銀行等がそれぞれ独立した法人としてやつておるのであるから、どうも少し困難ではないか、私はこういうふうに感じます。しかし、御注意の点もあるから、なお検討してみたいと存じます。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 ぜひひとつ御検討をお願いいしたいのであります。もしその私有財産をたてにとつて台湾銀行、朝鮮銀行がどうしてもいけないと言うのなら、私は個人的にでも話をしてみたいくらいに存じます。そこで、あなたがこの九十億の金をじつと握つて放さないという御方針でないならば、これは私有財産尊重の建前から自分たちが出過ぎたことが言えぬというのなら、一応台湾銀行、朝鮮銀行にお返しになつてみてもらいたい。あなたがこの九十億をお返しになるなら、その日に私は朝鮮銀行、台湾銀行の清算人のところに行つて、大蔵大臣はこの金をあなたに放したそうだ、あなたはこれをひとつ正金銀行に貸してやらぬかと理詰めで話をして参ります。じつとこの金を持つておつて、人にも貸さないが、わけてもやらぬ、そうして五万円の金も払つてやらぬというのでは、これはあまりにも閻魔大王のような感じがいたしまするので、どの処置でもよろしい、もしこれを朝鮮銀行には六十七億四千三百万円、これだけ今すぐに第二会社なり清算人に渡してしまおうと大蔵大臣がおつしやるならば、きつと朝鮮銀行の者も、それならそのうち十五億くらいはどこかへお貸しいたしましよう、正金銀行も全然返らぬこともなかろうから、と言うに違いないのであります。でありまするから、どつちでもいい。お放しになるならば一ぺんで手放すか、あるいはそうでなければ、これが発券銀行でできたのだから全部株主のものでないとお考えになるならば、そこはひとつ一時流用、一時立てかえ、あるいは大蔵大臣が中に入つてやるというような処置によつて、そうしてこの三つの法律案を生かして運用する、これがいわゆる生きた政治であつて、政治を生かす道でありまするから、今考えてみようとおつしやいましたので、私もひとまず胸をなでおろすのでありますが、どうかぜひそれが実現いたすように特に要望いたしておくのであります。  そこで、今度は法文について二、三伺うのでありますが、閉鎖機関令の一部を改正する法律案の第十条を見ていただきます。第十条には、特殊清算人は、特に必要がある場合においては、大蔵大臣の承認を得て、閉鎖機関の本邦内に在る財産以外の財産についてもいろいろ処分することができる、こういうことになつておるのでありまするが、これはどういう意味でございましようか、また実例をあげて御説明を願いたいと思います。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 第十条の規定の改正につきましては、従来のと申しますか、現行の法律におきましては、清算人が閉鎖機関の代表者であるという点は明らかになつております。ただ、第一条等の関係から申しますと、清算の範囲が国内の清算だけに限定されておるようにも読みとれるのであります。しかしながら、また、第八条の関係におきましては、在外財産については従来の人格がそのまま残るというような規定もございますので、現在の特殊清算人の職務権限がはたして国内だけに限定されているのか、あるいは在外財産についても職務権限が当然にあるのか、その辺につきまして多少疑問が従来なきにしもあらずという状態であつたわけであります。ところが、今般ブラジルにおきまして正金の資産が具体的に返還になるというような事態になつて参つたわけであります。しかしながら、これは先ほども申し述べましたようにただちに日本に取寄せて来るということができません。むしろ現地においてこれを活用するというような話合いで解除が進んで参つたような状態でございます。従いまして、この正金銀行のブラジルにおきますところの資産がもし返還になりますれば、これを在外資産のままにおいて何らかの運用をする、またその処分・管理をするというような必要が出て来るわけでございます。先ほども申しましたように、その点につきましての従来の清算人の権限が必ずしも明確に在外にまで及ぶという——事実上は従来及ばなかつたわけでありますが、今回は少くとも返還されたものについては十分に及び得るというような現実の状態も起つて参りましたので、従来の法令におきますところの規定の不明確な点をここで明らかにするという趣旨でこの規定を設けたわけでございます。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 日本の国外にある財産についても処分をするということは、これは在外財産の処分でありまして、いつも申しまする通り、在外資産の処理に対する基本方針がきまらないでこういうことになるということは、実に理論から言えば非常に先走つてしまうわけでありますから、こういう条項を置く以上は在外資産に対する政府の諸方針が明らかになつておらねばならないと私は考えるのでありまするが、そこで、もう一度、私は先ほど大蔵大臣が考えてみようとおつしやつたから一応安心はしたのでありまするが、なおその点はつきりいたしておきたいと思いますのは、幸いに大蔵大臣のお骨折りによりまして、あるいは台湾銀行、朝鮮銀行からであろうと、どこからであろうと、二、三十億の金をつくつて融資のあつせんをしていただければ、それで問題は一応は解消して、五万円まで送金小切手の分だけは支払えるということになるのでありますが、万一その問題がスムーズに行かないという不幸な事態になりますと、今度は…引揚者の立場として開き直つてお聞きせねばならぬということになりますのは、旧帝国、三菱、富士、住友、三和、勧銀、こういうふうなものは前の三菱とか安田とかいうもののこれは引継ぎなのであります。相続をしておるのであります。ただ正金銀行は東京銀行となつておるのでありますけれども、その引継ぎが公正であり、完全であつたかどうかという点にもどつて来るのであります。これは、この五万円なり何なりを支払つてくれればそんなことは何も問題になることはないのでありますが、どうも二億九千三百万円しか金がないのだと言つてけんもほろろなあいさつをされるということになりますと、正金銀行を利用して送金をした者、預貯金をした者は、それではその引継ぎの問題はどうなるのだ、こういうことになつて来るのは当然であります。そこで、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案の第三十六条の二を見ましても「主務大臣は、前に旧勘定に属した資産及び負債で、最終処理の際、暫定評価基準により評価が行はれてゐたものにつき、確定評価基準を決定することができる。」とあるのでありますが、暫定評価基準により評価が行われたものというのは具体的に言えばどこどこでございますか。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 お答え申し上げます。具体的には、これは、今再建整備法の適用を受けておる金融機関につきましては株券だけでございます。その銀行によつてそういうふうな確定評価基準によつたとか何によつたとかいう区別があるのではないのでございまして、資産の種類によつてこういうふうにわかれているわけでございます。たとえば、不動産で言えば確定評価基準で移しております。暫定評価基準によりましたものは、具体的には株券あるいは満鉄の社債といつたような、当時確定評価ができなかつたもの、こういうわけでございます。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 そういたしますると、確定評価基準を決定することができるというのは、具体的に言えばどうするというのでありますか。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 いずれ暫定評価で移しましたものはやがては確定にするつもりでおつたわけでございます。新勘定、旧勘定合併いたしまして、今合併勘定というようになつておりますが、まだ暫定で引継いだままのものが今申しましたように株あるいはその他社債で残つておるわけであります。しかして、現在の時価、その後のたとえば株で言いますならばどんなような内容になつておるかといつたような推移を見た上で大蔵大臣が決定するわけであります。たとえば満鉄の社債で言えば、これは十円なら十円、こうきめるわけでございます。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 それに関連いたしまして、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案の第三十八条の七であります。十一ページの三行目でありますが、「他の勘定から当該不足金額の全部又は一部を在外勘定に借り入れ、その支払に充てることができる。」とあるのであります。全部または一部を在外勘定に借り入れるということになつておるのでありますが、一部というものを削除して、全部を借り入れて支払いに充てれば一番徹底するわけなのであります。もつとも、その前に、「第二十五条第一項第二号の規定により取りくずされなかつた部分に相当する金額の範囲内で、」とありますから、その範囲内で全部または一部を在外勘定に借り入れるという意味でありますが、その範囲内というようなことを取除いて、全部を借り入れて支払いに充当すれば、五万円というものが非常によく徹底するのでありまして、この三法案を通じて不足分は全部を借り入れて支払いをさすというような修正も可能であれば研究してみたいと思うのでありますが、この一部というのはどういうことになりましようか。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 お答えいたします。第三十八条の七は第三十八条の六と相照応するものでございます。ですから、三十八条の六で、御承知のように、調整勘定を設けた金融機関については五万円分を支払うのに必要な資金は調整勘定から借りて来るという規定になつております。ところが、三十八条の七は、調整勘定を設けなくて、しかも今度在外勘定を設けなければならないような金融機関、具体的には勧業銀行を考えております。勧業銀行の場合に、もし五万円分の金額を払うに十分な在外資産がなければ、それはどこからか借りて来なければなりません。これはどこから借りるかと言えば、もし調整勘定を設けてあるとすればこれくらいであつたであろうと思われる分、すなわちそれがここにあります旧勘定の最終処理の際における積立金のうちで確定損を負担してとりくずされてしまつた残り、すなわち新勘定の方に引継いだ分、それを借りて来いというわけであります。それは、五万円を払う分には一部を借りて来れば済む場合もございます。全部借りなくても済むわけでございますから、全部または一部と書きましたわけで、要するに五万円を支払うための必要な資金を借りることができる、こういう意味に読んでいただけばよいと思います。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 それでは、その思想を閉鎖機関令その他に全部適用なさるのが至当と思うのでありまするが、なぜこれだけをそういうふうになさいましたか。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 この点につきましては、先ほどから大臣も申しておりますように、要するに、ある企業、ある法人の私的な債権・債務関係を整理するということから考え方が出発いたしております。その場合に、この間も村瀬委員からよくお尋ねがありまして、一体現に生きておる金融機関は営業を継続しておるのじやないか、三菱銀行は千代田銀行に名前をかえたけれどもまた三菱銀行にもどつたじやないか、同じ金融機関じやないか、こういうお話がございました。そこで、これは同じではあるが、片一方では清算する、片一方では新勘定で発足しておる、こういう質の違いがあるということを私はお答え申し上げたのでありますが、しかし、同名のしかも同じ金融機関であるという点に着目いたしまして、たまたま過去の清算分の中から残つておる分の幾分かをまわしたらどうか、こういうかつこうでありますから、やはり同一人格の間についての勘定の借り貸し、こういう気持なのであります。ところで、閉鎖機関の方は全然異なつた法人間の問題でございますので、法律の体系といたしまして、私どもの考えております現に営業中の金融機関についてのやり方と同じことを法律でもつて規定するというところまでは考えていないわけであります。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 非常に時間がたちましたので、かけ足で伺いたいと思いまするが、同じく金融機関再建整備法の一部を改正する法律案の第三十八条の八の二項には、「利息に相当する金額を分配しなければならない。」とはつきり明記しております。一方閉鎖機関令その他にはこれほどはつきりした規定はないと思いまするが、この方は、清算人その他にまかせておるから当然金があれば利息に相当するものも支払うべきだという観点に立つた法文と思いますが、さように解釈してよろしゆうございますか。

岩動道行大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)

○岩動説明員 閉鎖機関の建前といたしましては、現在までの国内の債務の弁済におきましても、まず元本の弁済を優先順位にいたしております。そして、その他一般の債務を支払つた後において、なお国内資産として残余がありますれば、利息の支払いにも及ぶ、かような建前で従来七、八年間の整理をやつて来ております。今回の新しい支払いに伴うところの未払い送金小切手あるいは外地預金につきましても、これとまつたく同じ原則に基きまして支払いをやつて行くということにいたしております。従いまして、資金のあります限り、まず元本を支払いまして、なお余裕がありますれば利息の支払いに及ぶ、かような建前になつておりますので、たとえば朝鮮銀行、台湾銀行のような場合におきましては、当然約定利息の支払いにも及び得るということが予想されるわけであります。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 三法案を通じてお尋ねいたしますが、そういたしますと、支払い能力のあるものは、何も五万円と区切らないで、一足飛びに全額、利子までも支払うという手続方法でよいのでありますか。それとも、この法律によりますれば、一応五万円を支払つておいて、また期間を置いて払うということになりますか。実際この法律によつて支払いを受けようとする方々は、時間的にどういうことになりますか。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 三法を通じまして、一応形式的にはそういう順序という形が出ていると思いますけれども、実際問題といたしましては、払える機関は一足飛びに全部払うこともございます。たとえば、現に営業中の金融機関で言えば、送金小切手がなければ、現に資産がありますれば一足飛びに預金及びその預金の利息に相当する分をただちに支払うことになるかと思います。在外会社等におきましては、やはり送金小切手はほとんどございません。それから預金の方は、まず五万円、それから残りというふうになつておりますが、現実には大体において資産が十分まかなう程度ございますので、やはり一足飛びに全部の支払いを、できれば加算金もつけての支払いということが行われるかと思います。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 次に別表であります。満州中央銀行券は一円に対し一円とか、中国連合準備銀行券は三十三万円までは十一円に一円というような表がありますが、これは何を基準になさつたのでありますか。在外公館借入金の場合の表ともかわつておるように思うのでありますが、このレートは何かの基準かあつて出たものであるか、伺いたい。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 お答えいたします。第一番目の送金小切手の方について、どういう判断でこの率を出しておるかということでありますが、これは、在外財産問題調査会の答申にありましたように、そのときもし送金があつて、現実に支払いが行われるようになつたならばという意味の、すなわち当時の実行レート、これはもちろん、御承知のように円元パーのところもございましたし、あるいは百元十八円というところもございましたが、実際上は調整料をとりましたり何かいたしまして、現実の送金レートというものを、当時の送金関係当局、すなわち大蔵省においてきめておりました。その当時の実行レートによりましてやつたのであります。これは現実には終戦直後の実行レートというものを基礎にいたしております。詳細に申し上げればもつとこまかくなるのでありますが、そういつた気持で、現実にそのとき調整料をたとえば三万円までのものについては十倍とつておつた、あるいは三万円を越える場合には幾らとつておつたというものを基礎にいたしまして大体算出したわけであります。もちろんこれは外貨建でございます。

村瀬宣親改進党

○村瀬委員 最後に私はもう一度大蔵大臣に要望いたしておくのでありますが、在外資産処理の問題は、終戦後当然解決すべき課題中、重大な第一義のものであつたにもかかわらず、九年間政府はこれに手をつけ得ずして今日に至つたのでありまして、この三法案によつて、送金、預貯金の問題が一応解決を見るわけでありまするが、そのほか、あるいは二十兆円と言い、あるいは四十兆円と称しまする在外資産の問題になりますると、動産・不動産を通じての大きな問題は、これは法人が主になり、また特殊の階級に属するものでありまして、金額はきわめて厖大でありまするけれども、その各個人々々の一人々々にとりましては、実はこの預貯金並びに送金小切手が一番重要な内容を示しておるのであります。従つて、おそきに失したりとは言え、ここに初めて日の目を見るに至り、送金小切手、預貯金の問題が解決を見るということは、引揚者にとつては旱天の慈雨ともなるのであります。しかるに、法文には五万円と書いてあつて、一応喜んだのでありますが、それがぬか喜びになつたということになりまするならば、九年間も耐えに耐え忍んで参りました引揚者のその精神的打撃も実に容易ならぬものがあると思うのでありまして、正金銀行のごときは現に在外資産が相当残つておることもただいま御答弁になつた通りでありまするから、これらを十分勘案いたされまして、少くとも法文に五万円までは払うとあるのでありまするから、その五万円の限度までは一律に支払つてやることのできるような万全の措置をぜひお考え願うように要望をいたしたいのであります。  私の質問はこれで終ります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 村瀬さんの御要望の点につきましては、とくと考慮いたしたいと存じております。  なお、私は、村瀬さんが終始在外財産のことについて北非常な熱意を持つておやりになりましたことを、私どもも多少在外財産に関係を持つておるものでありまして、この点からつつしんで感謝の意を表します。

山下春江改進党

○山下委員長 長谷川委員。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 大蔵大臣に御質問申し上げます。というのは、今度の閉鎖機関令の改正条項第十九条の二十八、それに触れまして、私はこの際大蔵大臣に、これを満鉄会に信託されるように、そうしてまた元の総裁などを清算人に置いてくださるように、特に大臣に政治的に御配慮を願いたいということが今から質問する観点でありますが、まず第一に大臣の御答弁をお願いいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 満鉄会のことは、実は私も面接御陳情にも接しまして、いろいろ御事情も承りました。一応ごもつともな点もあるのでありまするが、何分にも、そう申すとおしかりを受けるかもしれませんが、数千万円に上る金を信託することでございまするから、やはり私どもの手続としては、信託銀行とかそういつたものでございますれば、これは問題はないのでございまするが、その点、御関係の方は私のないりつぱな方であつても、どうも政府としてそういうことをやるべきかどうかということ、私は少しきめかねるというのが率直な言葉でございます。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 朝鮮銀行、台湾銀行の場合にやられているので、そういう場合にも財産的に組織もなかつたにかかわらず、政府が御指定になつているのですからして、私は満鉄の場合には——私自身は満鉄に祿をはんだことも株券一つ持つたとかいうことも何にもないのです。ただ、過去の日本において非常に苦闘された、しかも満鉄一家というもので営々としてあそこに日本の基盤を築いた人々が二十二、三万おつて、それが終戦当時には十三万くらいになり、そうしてその人々が長い間自分たちの労苦欠乏の中からやつて、今日まで大部分、四七%くらいの清算が閉鎖機関の関係でできている。鹿児島県の例などを引いてみても、彼らの熱意といいますか、同志的な愛といいますか、ああいうふうな熱情からしまして、九五%もできておるのです。そこで、私は、この際満鉄の閉鎖機関のなくなつたあとにおきましては、どうしてもこれは信託をする場合にあの組織を利用して払うことの方が一番大事なことなんで、満鉄の場合には、普通の銀行にかれこれ信託した場合には、その金が寝せられてしまつて、払うことの方に熱意が出て来ないのではないか。問題は、あそこの場合には債務の支払いの方に一生懸命なんですから、その組織を使つて一日も早く少しでもよけい探してやるような組織に持つて行くことがいいのではないか。そのために法人が必要というなら、法人の手続もとつているやに聞いております。そうして、私どもは、ぜひその期待に沿つてやることが、今の立場として大臣が特にできる政治的な効果の上る道ではないかというふうに考えるものですが、どうでしようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私はこの点について満鉄会の御協力は心から願いたいと思うのでありますが、今おつしやつたように、これから退職金を払うだけの問題でございまして、それが新たに法人等をつくられて経費等のかかることもどうかしらという感じを持たぬでもございませんので、私は、この点については満鉄会の方にひとつ御協力をお願いをして、一日もすみやかに退職金がそれぞれの方にわたるようにしていただくのがいいのではないか。大蔵省の立場で申しますと、やはり何も非難のないところへお預けするということは、——もう少し政治的に考えたらどうかというお言葉もございましようけれども、やはり問題として考えますときには、どこにも非難のないようなところへ持つて参るということが常道ではないかと実は考えておる次第でございます。ただ、くれぐれも、満鉄会の方々がこの退職金の支払いに御協力くださることは、これは切に私どもの希望するところでございます。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 信託固有の業務に経験がない、あるいはまた支払い業務というものがおもなる任務であるから、経験のないものは問題にならないというような大体の御答弁の御趣旨でありますが、満鉄の場合には、信託を受けても、財源は銀行に預金をするとか、信託銀行に信託するという方法をとられましてやつて行くことは一向さしつかえないと思う。たとえば、十九条の二十八の信託は、おもなる利益代表に信託し、可及的すみやかに弁償する。この場合には弁償がおもなる目的なんです。ところが、政府は、信託銀行または信託会社に信託する、それが一番穏当で、そうして一番確実だ、危険のないところが一番いい——。これは銀行の総大将としての大蔵大臣の気持もわかるのですけれども、ただ財産の保全のみを考えまして、一番法律で目的としているところの債務の弁償を目的とするという特殊清算の趣旨に反する。そこで、信託の条項を入れたせつかくの法律改正の趣旨が死文に帰するのではないかというように考えられるのでありまして、その危険のないようないろいろの防止策を講じられつつ、危険さえなければぜひやつていただきたい。あの満鉄の組織で非常に血のつながりのある人たちですから、またもらつていない人を今までも探して来たのですから、一生懸命探すこともいたしましよう。そういうようなお互いの信頼感があつて初めて弁償事務というものが完成もし、進行もする。また、今度の法律案も生かし、政府の配慮も生きて行くというふうに考えるのですが、もう一ぺん大臣のお考えを伺いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 長谷川さんのおつしやることにも、まことにごもつともの点があるように存じます。私ども大蔵省では、先ほど答弁したようにきめておつたのでございますが、なおひとつ私ども検討してみます。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 今大臣が検討されると申されましたから、そこに今までの大蔵委員会などにおける質疑応答から多少でも前進したものだ、そうして、私自身満鉄会に関係はありませんが、あの人たちは非常にお気の毒でもありますし、内地でも困つておる方々もあるのですから、そういう意味における大臣の善処を了といたしまして、さらに善処を実行に移されんことを切にお願いいたしまして、私の質疑を終ります。     —————————————

山下春江改進党

○山下委員長 この際お諮りいたします。在外資産に関しましては、現在金融機関再建整備法の一部を改正する法律案外二法案が大蔵委員会で審議されておりますが、本委員会におきまして過般来より本問題について審議いたしました結果、正金銀行における処理の点等については相当に他の機関の処理との間に不均衡が見られる点がありますので、この点を検討いたし、本委員会として金融機関再建整備法の一部を改正する法律案、旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律案及び閉鎖機関令の一部を改正する法律案に対する修正意見を大蔵委員会に対して申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

山下春江改進党

○山下委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。  なお、右申入れの方法等につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後五時十二分散会

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