運輸委員会 第15号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/02/20
会議録
○關内委員長 これより開会いたします。 運輸行政に関する質疑を続けます。館俊三君。
○館委員 石井運輸大臣が見えないので、質問のほこ先の向け方があるいは大臣にわたることがありましても、長い間の経験を持たれる海運局長がおられるから、海運局長から大臣にかわつて答弁していただくようなことになるかもしれません。別に特殊な質問をしたいと思つているわけでもありませんが、このごろ造船疑獄を中心にして、非常に世論がやかましくなつている。ことにきのうの決算委員会における森脇将光の陳述に関する問題を、きようの朝の各新聞が全紙面を費して載せているのを見ますると、国民の憂いというものは、どれほどはなはだしいものであるかを、私は非常に心配する。こういうことでは、税金なんか納める必要はないのだ、税金を使つてああいうことをやつているのだから、税金なんか納める必要はないという感じが、国民全般にみなぎつてしまう。税金は供託しておこうじやないか、こういう相談までできております。私が、この間町で円タクを頼んだところが、その円タクの運転手は、中国からの引揚者であつた。私が議員であるということがわかつていたと見えまして、いろいろと質問したり話したりしたのですが、そのとき彼はこういうことを言つていた。蒋介石政権は、揚子江から南の全地域では、中共軍と戦わずして台湾に逃げ出している。その姿を見ていると、蒋介石政権の腐敗、堕落が絶頂に達しておつたのです。軍閥が腐敗しておつた。財閥が腐敗しておつた。官僚陣そのものが、腐敗のどん底に陥つてしまつた。人民はみんなこういうものを見限つておつた。だから一たび中共軍が揚子江のあたりまで来ると、戦わずして将政権は没落してしまつた、こういうことを言つている。今、保全経済会の問題を中心に、造船疑獄の問題を頂点に、あるいはドルのやみ買いだ、霊友会の問題だと、あらゆる角度からうみが出て来たこの様相は、将政権没落のときと同じ状態ではありませんかと言つて、自動車の運転手が嘆いているほど、重大な国民的な問題になつて来ておる。私はこういうことを非常に心配する。これは単に自由党の連中がどうしたとか、改進党の連中がどうしたとか、そういう問題じやありません。国をあげての問題でなければならないのです。だから、悪いところはどんどん剔決してうみを出して、政界、財界、官僚陣をきれいにしなければ国民に対して申訳ないと思うが、どうお考えになつておりますか。一番大きな造船疑獄の中心が、運輸省にある。その運輸省の中にはもとの帝大、今は東大と申しますが、そこを出て、社会学にいたしましても、経済学にいたしましても、法律学にいたしましても、国民の最高水準の学問を受けておられる方がおるから、人格もりつぱであろうと思うのです。それらの人間を配置しておつて、なおかつこういう問題が起きて来るというに至つては、私は憤慨にたえない。そういうことを考えると、この海運造船のことについては、そういう上に立つて、すべての海運政策を徹底的に吟味をし直す必要があるのではないかと私は思うのです。蒋政権の没落のときのような状態が、日本の現状ではないかと嘆くのは当然である。私はそういうことを前置きして、別に新しい問題を聞こうとは思いません。しかしこういう過去に通つた法案について質問をいたしますことは、死んだ子の年を数えるようにくだらないと思いますが、しかしこれからの問題もあることでありますから、ひとつ綿密に教えてもらい、あるいはまた考えてもらいたいと思つておるのでおります。私はこの前の十六国会で、この外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法案が通過したときに、自由党、改進党、鳩山自由党がこれに対して修正案を出して、その討論の終結の際には、私は原案にも反対し、修正案にも反対しておつた。この委員会でそういう態度をとつたのは私一人でした。しかし残念ながら、大きな造船会社や金融会社に利益を与え過ぎるということは追及しましたけれども、正直な道を渡つて来た私といたしましては、そういう大きな金が動く蔭には必ずスキヤンダルができるのだということは、正面過ぎてつめのあかほども気がつきませんで、そのことが私の反対討論の中に現われておらないということは、今から考えると、私自身もうかつ千万であつたと思う。じやの道を歩いた者でなければ、へびの道はわからぬと昔からいいますが、私はじやの道は歩いておらぬ。だから手練手管で裏の道を歩いてやつておつたことが、かような問題を起すとは知らなかつたということは私はうかつ千万で、国民に申訳ないと思つておるわけです。そこでこういうことを怒つてみたつてしようがないのだが、海運政策を考え直す場合に、現在のわが国の船腹トン数は戦前に比べてどうなつておるのか。非常に少くなつておるということであるが、それを戦前にまで高めて行く必要を認めておるのか、造船計画というものはそういうところをにらみながらやつておられるのかどうか、建造計画の目的は、そういうところまで到達しようという考えでやつておられるのかどうかということをまず質問いたします。
○岡田(修)政府委員 戦前の昭和十五年には五百七十万総トン、それが二十八年の十一月末には三百七万総トンでございます。従つて十五年の約五四%しか回復いたしておりません。私どもは大体回復の目標を四百万総トンというところに置いております。そのうち外航船を三百三十万総トン程度まで回復いたしたい、かように考えております。
○館委員 三百三十万トン程度まで外航船舶を増トンしたいという計画だそうでありますが、今の造船計画の建前から行くと、それは何年ごろに完成されることになるのでありますか。
○岡田(修)政府委員 昭和二十八年度から四箇年間、毎年三十万トンつくる。要するに昭和二十八年度から百二十万トンつくりました場合に、三百三十万トンに達成する、かように考えております。ところが昭和二十八年度は約二十七万総トン程度、二十九年度は今の予定では二十万総トンが精一ぱい、こういうことに相なりますので、今後の財政事情によつて左右されますが、当初の予定の昭和三十一年度が昭和三十二年度と、一年度くらい延びるのじやないか、かように考えております。
○館委員 そうするとこれから先四箇年間、三十万総トンあるいは二十万総トンをふやして行つて、三百何十万トンかに完成するというお考えでありますが、その完成した際における世界の海運市場における船腹の状態についての見通しは、どういうふうにお立てになつておりますか。それからもう一つは現在の世界海運市場といいますか、また日本の各会社におけるところの海運の競争率といいますか、そういうものについての見通しはどういうふうになつているのか。
○岡田(修)政府委員 現在世界中で建造中でありまする船舶が、たしか五百万総トン以上であります。それから建造に着手いたしておりませんが、現在注文として持つておりますのが同様五百万総トンくらいであります。合せて千万総トン以上のものが、今後数年間に竣工することに相なるわけでございます。その場合における世界の船腹量は、約一億総トン程度に相なるかと思います。そのうちアメリカの方で約千万総トンほど繋船いたしておりますから、実際動きますのは九千万総トンくらい。これと戦前の荷動きですが、私どもの計算では、その荷動きと船舶の増加比率というのはほとんどマッチしておるのじやないか。従つて荷動きと船腹量からいいますと、それほど運賃が下るはずはないと考えるのでございますけれども、現実の運賃は非常に低落いたしております。従いまして数年後の運賃市況がどうなるかということを見ます場合に、現在のような状況が続くと、そこにやはりある程度の船腹過剰現象が起り、運賃は非常に悪い状態になる、かように考えております。しからばそういうふうな市況が悪いからといつて、日本として船腹拡充計画を中止してよいかということになりますと、私は依然として船腹拡充計画を進めるべしという考えを持つわけであります。と申しますのは、外国の方でどんどん新しい船をつくつて、これを各航路に配船するからです。現在でも日本の船の質と外国の船の質とを比べました場合に、日本の船の平均速力は十三・一ノット、外国の船は十四・三ノットというわけで、外国の方が非常にいい船をつくつている。これを戦前について見ますと、日本の船は十二・七ノット、外国の船が十二・六ノットで、外国の船と日本の船とがほぼ同じ質であつた。ところが現在は日本の船の質がはるかに低い。日本の船会社が、非常に経営条件が悪いというので船の建造を中止いたしました場合に、外国ではどんどん新しい船をつくつて行くし、不景気になればなるほど船の質による競争がはげしくなるから、日本船は自然敗退せざるを得ない。そこで私どもは、この不況時に日本海運が国際競争に耐えて行く上に十分なる助成をする必要がある、かように考える次第であります。
○館委員 四年後に一億総トンの世界船舶ができ上るということでありますが、さつき戦前における総トン数をお尋ねしたときに、昭和十五年が五百七十万トンを有しておつたという日本最高の年を示されたと思いますが、その最高の年における世界船舶の保有量はどれくらいになつておつたか。
○岡田(修)政府委員 資料を持つて来たつもりでありますが、今ここに持つておりませんので、後ほど調べまして正確にお答えいたします。
○館委員 四年後における一億総トンのところへ、日本は三百数十万トンの船を持つ計画であるが、戦前における五百七十万トン持つておつたときの世界の総トン数と比較してみて、十分にこの点研究していただきたいと思います。 もう一つは、さつきのお話で、アメリカはすでに海運界の不況か何かで、一千万総トンを繋船しておるというようなお話でありましたが、事実ですか。
○岡田(修)政府委員 アメリカは戦争中に、いわゆるリバテイ型とかビクトリー型という戦時標準型を非常にたくさんつくつたわけです。戦争が終りましてそれを予備船隊といたしまして、これは正確な数字はわかりませんが、千五、六百万総トンただちに繋船したかと思います。そのうち五百万トン程度は自国の海運業者、あるいは英国だとかイタリアとかあるいはフランスあたりの外国の船会社に売りまして、あと千万総トンつないでおるわけであります。これは予備商船隊として一朝有事の際にそれを再び動かす、こういう意図でつないでおるわけです。朝鮮事変によりまして船腹が非常に不足いたしました際に、その一部を解除いたしまして輸送に使いましたが、再び景気が悪化いたしますとともに、それを再び予備船隊に繰入れるという方法をとつております。
○館委員 四年後はどうなるかわかりませんが、現状においては海運市場を考えてみますと、中共圏内、あるいはソビエト圏内、あるいは東欧圏内というぐあいに、世界の市場というものが戦前の十五年の当時に比べてすでに半減をしておるのであります。従つて海運市場もおそらくその通りだと私は考える。ことにこの前反対討論をいたしました時分に、中共とソ連沿岸に対しての近海航路というものは全然できなくなつたので、中流以下の船会社は非常に不況に沈んでおる、こういうことを私は述べたはずでございますが、現在の海運市場を考えてみる場合でも、しばらくの間は世界の市場が半分になつておるということを知つていなければならない。そういう意味から、三百数十万トンに仕上げようという計画は、実に大胆なものではないかと私は考える。もちろん岡田局長は戦前の最高水準を示されて、五百七十万トンと言つておられる。私は平均水準を知りたかつた。 もう一つは五百七十万トンというのは、いわゆる大東亜戦争が起きる直前のトン数なんです。これはおそらく軍隊輸送、軍需品輸送その他の必要のもとに急速にどんどん進められて、五百七十万トンになつておると私は見るのです。五百七十万トンから軍需輸送計画に考えられるものを引いたら、おそらく二百万トンくらい減るのじやないか。そうすると今の考え方で、五百七十万トンからあの当時の軍需輸送に必要なトン数を引いたら、現在あなた方が計画されておる三百数十万トンになるのではないかと思う。三百数十万トンというものが、実際商船隊として動いておつた数字ではないかと私は思う。その三百数十万トンが実際商船トン数として動いておつたとするならば、その時代は世界全体が海運古傷であつたはずです。それが今半分になつておる。そういう考え方からみて、今の四年後に仕上げようとする三百数十万トンの基礎数字に対する考え方は、実に粗漏ではないかと考えるのであるが、この点はどうですか。
○岡田(修)政府委員 昭和十五年の五百七十万総トンは、戦前の最高ではございませんで、昭和十七年にはこれが六百三、四十万トンになつております。昭和十二年には四百四十万総トン、これは支那事変が起つたときであります。決して戦前以上というふうな大それた目標を持つておるわけではありません。 それから先ほど資料がないからというので申し述べませんでしたが、世界の船腹は昭和十四年におきましては六千八百五十万総トン、それから中共その他ソ連がなくなつて、日本船が対象とする世界の貿易量が減つておるではないかということですが、先ほど申し述べましたのは、そういう地域を除いての海上の荷動きを対象にして申し上げたわけであります。これは今ここに正確な数字を持つておりませんが、国連の方で調べた数字によると、海上の荷動き一般の増加率のバランスがそうくずれてないという統計が出ております。それからもう一つ、日本中心に考えました場合に、中共地域が日本の経済対象として除外されましたために、かえつて海上の輸送距離というものが非常に遠くなつて、中共から来ておりました鉄鉱石あるいは粘結炭がアメリカ方面に振りかわつておる。従つてそれだけ大量の船腹を必要とする、こういうことが半面において言えるかと思います。近海、遠洋の配船割合を戦前と現在と比べてみますと、昭和十二年ごろには日本の船の近海方面への配船が四五%、遠洋地域への配船が五五%、これが現在では近海区域は二四%、遠洋方面の配船が七六%、こういう状況になつておりまして、これは遠距離のところへ日本の船がたくさん就航しておる、従つて日本中心として考えた場合に、それだけ船の量がたくさんいる、こういうことが言えると思います。
○館委員 そこで海運造船の基本的な目的は、船をこしらえるにあるのではなくして、船をこしらえることによつて国際収支の償いをしようということにあるのですが、造船による外貨の獲得の状況について、現在の状況と戦前の状況について、のみ込みやすい数字をあげていただきたい。これを比較してみなければならぬと私は思う。今の日本の置かれておる立場から言つて、貿易が非常に不振である、輸出品がはけないという状態になつている際でありますから、運賃収入というものの限度は、はたで見ておると非常に困難なのではないかと思われる。それにもう一つは、貿易という空気が西欧諸国にもどんどん出ておりまして、各国には海速その他についての市場獲得あるいは貿易の増強が、激甚化しておるというのが現状であります。そういう際における日本の外航船舶の運賃収入はどういうふうになつておるか、これをお尋ねする。
○岡田(修)政府委員 海運関係の外貨獲得額、その中には外貨で払わなければならぬ運賃で、日本船で運んだがためにそれだけ節約されたというものも含まれておりますが、戦前におきましては、昭和八年を例にとりますと、一般貿易のバランスが五千六百万円赤字でございます。海運が一億二千六百万円というプラスになつておりまして、このバランスを海運で埋めておる。昭和九年におきましては、一般貿易のバラソースが一億一千百万円の赤字、海運が一億四千五百万円プラス、従つて一般貿易のバランスをこれまた海運が埋めておる。それから昭和十年は、一般貿易が二千七百万円プラス、海運の方は一億七千八百万円プラスでございます。それから十一年には、七千百万円の一般貿易の赤字に対して、海運は一億九千四百万円のプラスでございます。 それから戦後になりまして海運の収支を見ますると、昭和二十六年度におきまして、外航運賃の受取りが、これはドルでいつておりますが、一億三千四百万ドル、それに対して支出が多少ございまして、ネットが一億二千二百万ドル、それから二十七年度は、受取りが一億八千二百万ドル、支出差引きますと一億七千六百万ドル、それから二十八年度は一億九千二百万ドルという予定を立てております。支出を差引きまして一億七千五百万ドル程度の受取りになる、かように考えておる次第でございまして、船腹の増加に伴つて外貨の獲得額も確実にふえて行つている、こういうことが言えるわけです。ただ運賃が低く下つておりまするので、輸送量は船腹のふえただけふえておりまするけれども、運賃額は必ずしもそれだけふえてないということであります。ということは、一面において日本経済にそれだけ貢献しているということも言えるわけです。それは安い運賃で船会社は損をして運んでいるが、一面において日本の他の産業は安い原料を受取つておる、それから輸出品も安い運賃で運んでいるということが言えるわけであります。従いまして日本の海運業者としては、船腹がふえただけ確実に外航貨物の量は運んでいる。しかし外貨猪得麺は、その昂にマッチしただけはふえてないが、相当の額、はふえて来ておるということが言えます。
○館委員 外貨獲得額がそれほどにふえていないという状態だそうですが、私はどうも先行きを見て、この厖大な建造費を投じながら、これから先四年続けて行つてまで、これだけのトン数を確保しなければならないということは、国民にとつては非常に重荷だと思うのであります。 もう一つ聞きたいのは、日本の海運賃が船腹の増加した割合にふえておるということであるが、その理由は船運賃を非常に安くしておるということになるんだ、船会社がそれだけの犠牲を払つておるのだということでありますが、そのことは一面から見ると、世界市場においては日本が船運賃のダンピングをやつているのだという形にだんだんとなつて来るのではないか。そういうことになりますと、競争の激甚な世界市場においての船運賃が、当然問題になつて来るような形が出て来はせぬかと思うのでありますが、そういう見通しはどんなものですか。このごろそれについて国際間の何かがあるかどうか。
○岡田(修)政府委員 海上運賃は世界的に高い方から低い方へ流れて参りまして、どこか高い運賃のところがあると、そこへ外国船がどつとやつて来て運賃が下るということで、一般的な運賃低落の傾向に日本船も従つている、こういうことが言えるわけであります。これは不定期船です。それから各定期航路につきましては、一定の定期航路運賃をきめまして、それを実施しておるのですが、そこには現在非常にはげしい競争が行われておる。これは日本船の方と、これを押えつけようとする外国船、こういうものの間に自然競争が行われておる、従つて非常に運賃の低落を来しておる、こういう現象が起つております。しかしそこにおきましても、外国船と日本船を比べました場合に、日本船の方が経済的な基礎が非常に浅いわけです。御承知の通り外国船は、終戦当時の海運のブームと朝鮮事変によるブームとによつて、うんと蓄積資本があるわけです。それから英国を除いたほかの海運国は、非常に手厚い助成を受けております。従いまして競争力というものは非常に強い。それに対して日本の海運は、これに対抗する力がないわけです。悲鳴をあげるのは日本の海運であります。だから日本の海運としては、何とか早く運賃を安定したいというので非常なる努力をし、そういうことを要請しておる。それに対してまだ外国船側が同調しないで、はげしい運貸の競争が続けられておるというのが現状でございます。
○館委員 そういうお話から承りますと、ますますこれからの日本の造船計画というものについて十分なる考慮を払う必要があると思つて、私はこういう質問をしておるのであります。造船界につながつておる人たちは、造船の点についてのみものをお考えになつておるのではないかと私は見ておる。木を見て森を見ざるものという昔の言葉がありますが、そういう点が多分にあるのではないかと私は心配するのであります。これから四年間も続けて外航船舶の利子の補給をし、さらにその損失の補償を続けて行くというその形は、州民に対する大なる負担をしいるものでありますが、そういうことを考えながら慎重に、造船については根本的にこの際計画を再検討し直す必要があろうと私は考えるのであります。海運市場為るいは海運の収入、そういうものばかり考えておつたのではいけぬのであつて、もちろん日本の経済の全般のことも考えていらつしやるのであろうけれども、国民の負担力をも考えながら、また世界市場がどうなつて行くということも考えながら、この際徹底的に近船計画の立て直しを私は要求したいのであります。ことに国民の負担の多い今日、これを軽々に終らすべきではないと私は考える。ことにわれわれがこの委員会で審議した法案が——私は反対したとはいいながら、とにかくきまつたのでありますから、委員の一人としての責任を感ずるのでありますが、その建造の目的が外貨の収入にあり、海運の拡張にあるということが、大きく国民にアッピールするどころではなくて、かえつてこの造船の法案を中心にして疑獄を起しており、これが目的ではなかつたのかという印象を国民全般に与えておるということは、私は非常に悲しむべきことだと思つておるのであります。計画造船でありますから、造船は毎年々々二十万トンなり、二十五万トンなり、三十万トンを計画して行くのであります。あるいは追加計画もこの中にはあつたように思うのであります。そういうことになりますと、今の疑獄の問題に関連させて考えますと、その造船計画が立つごとに財界、政界、官僚陣の間に忌まわしいやみ取引ができる機会をどんどん与えて行く。そういう人たちは、いい機会だと思つておるとするならば、働きかけて来るのが当然であろうと思うのであります。陳情するとか請願をするとか、いろいろの運動の形式によつて今日のような状態をつくつておる。私はこういうことから考えてみまして、造船計画については根本的な建直しを必要とすると思うのであります。これは予算委員会でしたか、海運会社への利子補給の状況については、川島金次君が毎日新聞の記事によればこうであるということを言つておる。その会社あるいは銀行のことは私はわかりませんが、そういう毎日新聞の記事によりますと、すなおな国民的感覚から感じてみますと、どうしても解せないものがたくさん出て来る。これは言うたことでありましようけれども、運輸委員会としてもう一ぺん列挙しておきたいのですが、太平洋海運では、小笠原蔵相が取締役であつたとか、あるいは新日本海運では大野伴睦が取締役で、有田二郎が監査役であるとかないとか、あるいは新日本汽船では山縣勝見が社長であつたとか、山下汽船では青木一男が顧問であつた、明治海運では内田信也が社長である、協立汽船では向井忠晴が監査役である、名村汽船では有田二郎が取締役である、三光汽船では河本敏夫が社長である、岡田商船では岡田勢一が会長である、飯野海運では池田清志が嘱託になつておる、こういうようなことが毎日新聞に麗々しく書かれておる。しかもそのほかの会社を列挙しないで、毎日新聞自身が政治に関係のある人たちの関係しておる会社だけを列挙しておるというところに、その列挙に対する考え方は、これが悪いことをしているということは書いてないのでありましようが、そういうことを国民に思わせるという意味でやつておるものだと、国民はすなおに国民的立場からそう考えざるを得ないのであります。そういうところへ運輸省が巻き込まれておるのか、同類になつているのか知りませんが、まず巻き込まれたとしましよう。そういうことでは、今の運輸省の海運局あるいはそういうものを中心とするところの人たちに、この海運というものをまかせておくことができないようた気がするのです。だからさつきも失礼なことを言つたのですが、東大を出たとかいう人たちは、十分に学問を研究しておられて、しかもなおかつそういうような雰囲気の中に巻き込まれて、官僚腐敗の先頭に立つている、こときものの言い方をされているということは、私はふがいのない話だと言わなければならない。私はこういうことについては実に残念だと思うのであります。それで海運市況の将来を考え、国民の負担の増大なども考えながら、根本的に海運造船計画の建直しを、この際徹底的にやつていただきたいと思うのであります。木を見て森を見ないというやり方で、海運々々で夢中になつておられては、日本経済全体の立て方があぶなくなつて来ると考えるのであります。素朴なものの言い方でありますが、十分考えていただきたいことをお願いします。 次いで利子補給の問題についてお伺いしたいのでありますが、利子補給は、あの法律によりますと、もうかつたら返してもらう建前になつているわけであります。配当率が一割に達したときには、利子補給を停止するとか、あるいは一割五分になつたら、補給利子の返還をするというような建前になつておつたのでありますが、岡田局長としては、海運の趨勢から見て、こういう建前が実行できるのかどうか、その見通しはどうなつているかということをお聞きしたいのであります。
○岡田(修)政府委員 海運界がいつ景気がよくなつて、受けた利子補給を返せるかというととでありますが、これは現存のところでは、ちよつと見通しが立もません。結局海運に景気が出るかどうかというのは、世界の政治情勢がどうか、それに伴う荷動きがどうか、あるいは他の経済的な情勢の変化がどういう方面に起るかという、的確な見通しがつきませんと、日本の海運がどうなるかということは、申し上げることができないのでございまして、現在の見通しでは、ここ当分は今のような状況のまま続くのではないか、かように言わざるを得ないと思います。
○館委員 ここ当分は、海運の状況はこういう形で続くということは、ある程度海運の配当ができると、利子補給を政府として停止する、あるいはそれ以上配当になつた場合には、利子の返還をするという規則があるのだが、ここ当分のうちは、それの見込みがないというふうにお話になつたと承つてよろしいのですか。
○岡田(修)政府委員 さようでございます。今度利子補給を受けましても、先般申上げましたように、現在の市況ではやつと金利だけが払えるか払えないような状況でございまして、元金の返還はできないのです。従いまして、配当というふうなことは及びもよらないことでございます。しかし船会社の中には、外航船だけではなしに、たとえば国内の定期航路を営んでいる。その定期航路がある程度収益を上げて、そして会社全体としては利益を上げる、こういうふうな場合があるわけです。そういう会社は、その受けた利子は返還する、こういうものも出て来るかと思いますが、一般的に見まして、外航船を主にしてやつている会社は、ただいま申しましたような経理状況でございますので、返還するまでには至らないと存じます。
○館委員 そこで、この法律によつて補給した利子の総高についてお知らせ願いたい。
○岡田(修)政府委員 二十八年度の予定が、大体七億八百万円余りでございます。これはまだ利子補給をいたしておりませんので、目下契約を取急ぎ中でございます。二十九年度が約三十六億三千万円程度でございます。
○館委員 もう一つお尋ねしたいのですが、二十八年度の七億八百万円という利子の高、これはたしか十六国会の当時は、第九次造船計画だつたと思いますが、三党修正案で政府提案の利子補給よりも、さらに多く貸し付けることになつたと同時に、九次船よりもさかのぼつて、すでに着手したものに対してもこの法律を適用するようになつておつたと私は記憶しておりますが、そうでしたか。
○岡田(修)政府委員 さようでございます。
○館委員 そこで二十八年度の利子補給計画の総額が七億八百万円ということなんですが、この七億八百万円の金利の金高の中へさかのぼつた分も入つておるのでありますか、入つておらないのでありますか。
○岡田(修)政府委員 これはさかのぼつて補給するものを含めての数字でございます。
○館委員 それは何次までさかのぼつたのであつて、そのさかのぼつた分の金利はどのくらいになつておるか。
○岡田(修)政府委員 貨物船は第六次の貨物船でございまして、六次と申しますのは昭和二十五年度につくりました貨物船で、これ以後のものについて利子補給をする、それからタンカーの方は七次後期、二十六年度の末期につくりましたものから利子を補給する、こういうことになつております。それで利子の補給率が当初と修正されたものと相当開きがございまして、当初の率は大体三分八厘四毛程度だつたかと思いますが、それが六分に相なつたのでございます。当初の三分八厘の対象として一応契約いたしましたのが、二十八年度の前期につくりました十二隻だけでございまして、これに対する利子補給額の二十八年度における額は約五千三百万円程度であつたかと存じます。
○館委員 今の利子の五千三百万円程度というのは、二十八年度の前期の分だけのことですか。
○岡田(修)政府委員 二十八年度の前期分十二隻に対する三分八厘の利子補給だけでございます。
○館委員 そうしますと、第六次船の二十五年度につくつておる貨物船の利子補給及び七次船の二十六年度におけるタンカーの差額の利子補給、これは総括してどのくらいになつておるのですか。
○岡田(修)政府委員 これは一応修正ができまして、ただいま申しましたようなものもひつくるめて本年度が全部で七億八百万円、こういうのであります。七億八百万円と申しました中には、実はE型解撤に対する助成金も含んでおりまして、それを差引きました六億七千六百万円、これが六次の貨物船以降のもの、それから七次の油送船以降のものに対する利子補給全額でございます。
○館委員 六次以後の分が七億八百万円、あるいは六億七千六百万円というお話を今されたようでございますが、私の開いておるのは、この法律によつて適用されるものが、法律のできたときは九次船でしたが、その前の分にも適用するということであつた。それでそのことをお尋ねしたら、六次船以後法律ができるまでの貨物船、二十五年度以降の貨物船あるいは七次船の二十六年度のタンカーの建造にまでさかのぼつて差額を補給するというように聞いておるのですが、それが幾らか。
○岡田(修)政府委員 これはさかのぼつて補給するというところに誤解があるのではないかと思うのですが、対象をさかのぼつて考えるというだけのことでございまして、利子補給は、二十八年八月十五日以降に市中銀行に支払うべき金利のうち、政府の方で六分だけ持つてやろう、こういうわけでございます。従いまして、二十五年度から二十八年の八月十五日までの金利について全部払つてやるというわけではございません。これらの金利について、その金利を安くしてやろう、こういうのでございます。その点が誤解があるのじやないかと思います。
○館委員 今の局長の説明は、この決行ができたときに、海運会社の金融機関に対しての借金の総額に対して六分を補給するということであつた、こういうふうに御説明になつたのですか。
○岡田(修)政府委員 八月十五日現在で船会社が、たとえば六次の貨物船で、昭和二十五年度につくりました船で、当初市中から十億借り、今までに三億返して七億残つておる、その七億に対して一割一分の金利を払わなければならない。その一割一分に対して八月十五日から政府の方で六分を持つてやる、船会社は五分払う、こういう考え方でございます。
○館委員 よくわかりましたが、利子補給については実に大胆な仕方をしておると見なければならない。国民経済が逼迫しておる最中に、前に銀行から借りて借金が残つておる、その分も利子補給をしてやろうというような——船会社にとつては莫大な恩恵です。しかも今開いてみますと、船会社の現況としては、今のような配当の状態であるから、利子の補給を停止することも当分はできない、あるいはまた利子の返還をすることもできないというような状態でありますと、もうくれつぱなしで、それでしまいになるのじやないかというふうに私には考えられる。 それからもう一つお聞きしたいことは、配当率が一定率以上になつたならばということになつておるのでありますが、そうなりますと、船会社はいつまでたつても経理の関係を一定率以上にならないようにこしらえることは当然のことです。その点の監視をどうするか。配当率が一定率以上になれば利子補給を停止されたり、または利子の返還までさせられるのであるから、会社の方としては意識的に計画的に利益の配当を落しておきさえすれば、そういう請求をされる道理がない。たとい海運界が好調になりましても——現在のところはなつていないという話だが、なつておるか、なつておらないのかということは疑問がある。会社の手配一つで意識的に計画的に利潤を落しておけば十分に免れ得るのです。だから、局長が言われたように海運会社の現状はそうなつておらない、まだまだ弱体であるということが、ほんとうに弱体であるのかどうかということについての判断はどうしてなさるおつもりであるのか。こういう非常な疑惑が起ると、私は一層の関心を持たざるを得ない。しかも会社自体の経理と業務の監督について、海運局長は十六国会の当委員会において、私どものしかつめばつた権限から見ると、まつたくないのでありますとお話になつている。岡田海運局長がそう言明しておる。そうすると、海運会社の経理については、そういうことができないことになつておるのでありますから、いよいよやりつぱなしだということになるわけであります。そういうことを考えますと、あなたは長い間海運局長で、五年も六年もその道の通であると私は思う。そういうことがわからないでおられる道理はないと思う。しかも法案通過の際にこう言つておられる。「現在までの私どものしかつめばつた権限から見ますと、海運会社に対して何ら経理監督、あるいは業務監督をする権限はないのでございます。」ということを、なくなつた原彪先生の質問に対して、はつきり答えていらつしやる。そうすると、法案を提出された自身が、すでにできないのだということを言つておられる。そうしたら、船会社が利益があろうがたかろうが、あつたら返してもらうのだ、あつたら補給を停止するのだということを法案できめましても、ここに大きな抜け穴があるということを自分自身が知つておられる。しかも海運業界に通じて、五年も六年もやつておられる岡田局長なんだ。どういう手抜かりなんだ。手抜かりがあつたとすれば、間抜けたことだ。あるいは計画的だつたのか。最初から返還をきめておいて、実は意識的にこういう抜け穴を、業者となれ合つてこしらえておつたのではないかといつても過言ではないと思う。だからいつてみれば、幸か不幸か知りませんけれども、こういう造船事件が起らなかつたら、いつまでもこのようか返還不可能な事態が継続するように、会社自体が作為的に行うことになつてしまう。そういうことになると、私はこのごろの海運業者を信頼することはできません。こういう私の見通しに対して、海運局長はどうお考えになつておるか。五年も六年も海運局長をしていらつしやつた、その道の権威者である。利潤追究のためには手段を選ばないのが、このごろの商人根性です。つき合われて、覚えていらつしやるでしよう。商人というものは、利潤追求の権化なんだ。利潤追求のためには手段を選ばないのが商人である。きのうの森脇さんの陳述によれば、石井運輸大臣その他これに関係する人たちが、赤坂だかどこだか知りませんけれども、そういうところに集まつて、業者と懇談をしているがごとき印象を与える陳述をしておられる。そういうことで国政を燮理する気概があるのかと私は言いたくたる。私の言うことはおかしいかもしれませんが、国民的な憤激の上に立つて私はこれを言つておる。もしわからなかつたとすれば、海運局長は間抜けと言わざるを得ない。わからたければわからないとおつしやつてください。そうすれば間抜けだ、しかも、今あなたがおつしやつたようにまじめに考えてみても、現在の海運市況では、いかに金利の支払いを政府の金で、国民の税金で小さくして、三分五厘のものは一分にしてやつても、この利子は払えないのだ。
○關内委員長 館君、御意見は省略してください。
○館委員 質問しておるのです。そうしておる間に、年とともに抵当物件である船舶は老朽してしまう。そして結局抵当物件もなくなつて、会社の借金は残るし、会社の借金はすなわち国の借金だということになる。そういうことを、かつてお考えになつたことがあるかどうか。そういう見通しをお持ちになつたことがあるかどうか。それがなかつたらおかしいのではないか。お答えを願います。
○岡田(修)政府委員 海運会社の監査でございますが、おしかりを受けましたように、昨年の夏、新しい利子補給法が成立するまでは持つていなかつたわけでございまするが、昨年の夏以来、運輸省としては海運会社の経理を監査する権限を持つたわけでございます。それによりまして、私どもは海運監査室を設けまして、厳重に船会社の内容を監査いたしております。従つて船会社がその得た利益を不当に使うということは、絶対にさせないという確信を打つて臨んでおります。しかし船会社の方としては、今まで償却をしていなかつたものが多額に上つておりますので、多少の利益が出ましても、まず償却に充てる。償却に充てるということは、それだけ市中の金を返し、あるいは開発銀行から借りている金を返して、国庫の負担を減少する、こういうことに相なろうかと思います。一定の償却をして、なお利益が出た場合、これは当然国の方に返させるという方向に厳重に措置する考えでございます。 それから、これは答弁外になるかと存じますが、一言釈明さしていただきたいと存じます。利子補給法が非常にべらぼうな助成策であるという御意見の開陳がございましたが、これはアメリカあたりをごらん願いましても、アメリカの労銀は諸外国の労銀と比べて非常に高いわけです。その差額を、非常に大きな額を助成しております。そのほかにアメリカの対外、援助物資、それから軍事物資、こういうものをアメリカの船に独占さす、あるいは五〇%はアメリカの船に積まなければならぬ、こういうことでやつておりますが、市況の倍に及ぶくらいの高い運賃で運ばすということは、それだけアメリカの海運に対して助成をしていることになる、こういう状況でございます。従つて日本の船と競争いたしましても、今ニューヨーク航路の運賃は、ほとんどただみたいな運賃です。従つて日本の海運としては立つて行かない。ところがアメリカの海運はゆうゆうとしてやつておるというのは、それだけの助成を受けている。そのほかに先ほど申しましたように、戦後にもうけて、うんとたくさん持つている蓄積資本がある。ところが日本の海運は、戦争で船を失い、補依命としてもらつていた金を全部打切られたというふうな、非常に悪い条件に立たされているわけです。もし日本の海運を全部つぶしてしまえということでありますれば何でございますが、日本の経済自立上、日本の海運が必要であるということであるならば、この程度の助成は必要であるということを、私ども確信を持つて申し上げる次第でございます。
○館委員 ただいまのお話を承ると、アメリカの海運助成策を非常にうらやましがつておられるのでありすすが、アメリカの全体の経済自体がそれだけの余力を持つておるから、そういうことができるのであり出す。日本の海運は、日本自体の敗戦後の経済の底の浅い立場から、これだけの利子補給はきわめて大きな負担であると私は言つておるのであります。しかもアメリカは世界の海運市場ばかりでなく、世界の貿易市場を独占しようと努めている国策の上に立つて、ほとんどただみたいな運賃で運ばせるように、海運会社に助成をする、これは国策に沿つて当然なことである。アメリカは全世界の商業市場、貿易市場を独占することがねらいなんです。従つてその手先としての海運に、非常に安い運賃で世界をかきまわす仕事をさせておるのでありまして、そういうことを考えますと、日本の海運造船計画というものは、そういう世界的な圧迫をこうむることが非常に大である。従つていつまでたつても利子補給の返還どころじやない。とめることさえもできないというような状態に、悪いやつがいなくても行くだろうという気がする。それにもかかわらず、漫然とこういうことをやつておつたのでは、結局財政投融資をしておるものが焦げついてしまう。結局はただでくれてやるという形になるのじやなかつたか。しかも十五国会で利子補給をし、さらに足らなくて十六国会で原資の肩がわりまで、三割ですかした。これでも足りないで利子をさらに引下げるというようなことをやつておつたら、もうこういう事件が起きなかつたならば、もつともつと海運助成策を、ただみたいなところまでの法案を出しておるのではなかつたかという気がしてしようがない。そういう憂いがあつたのではないか。私はそういうことまで疑いたくなるのであります。そこで今監査の問題が出たのでありますが、監査をして厳重に取締つていらつしやる。そこで経理監督ですか、監査ですか、この制度は一体どうたつておるか、どういう状況であるかということをひとつお知らせを願いたい。
○岡田(修)政府委員 経理監査の内容は非常にこまかいところまでわたつておりまするので、一々申し上げることは非常に煩雑でございますが、会社が増資をしたり、あるいはほかの事業を合併したり、それからほかへ金を貸すにしましても、それが相当多額に及ぶもの、こういうふうなものにつきましては、事前に運輸省の了解を求めてやる。それから利益金の処分についても同様でございます。九月期の決算におきましては、ある程度数社の会社は従来増資した建前上、配当したいというふうな会社がなきにしもあらずでございましたが、これはすべて償却に充てしめるというふうなことで、配当をした会社はほとんどなかつたと考えております。そのほか、たとえば現在貸し付けております金額で、相当長期にわたつて焦げついておるというふうに認められるもの、こういうものの内容を一々当つて、その成績をきわめておるというふうなことまで入つておりまして、今後におきましては、船会社の経理に不当な事態が起らないように、私どもとして責任を持つて臨みたい、かように考えております。
○館委員 経理監査の専務に当つている機関の名前はどんなのがあつて、どれだけの人数でやつておるのか、その責任者の名前もひとつ教えていただきたいと思います。
○岡田(修)政府委員 海運監査室というものを海運局の中に設け幸して、現在約十五人の人間を充てております。これは実は私ども大蔵省に、この監査の仕事というものが非常に重大だから、ぜひこの定員を認めてくれるようにということを、要求いたしましたが、定員増というものは一切認めないということで、ほかの仕事を差繰つてその人間を充てておるということでございます。室長は若狭得治と申しまして、人格的に申しまして、まつたく欠点のない、それにふさわしい男であるということ々確信して申し上げます。
○館委員 その権限は一体どうなつているのですか。
○岡田(修)政府委員 利子補給及び損失補償法の十八条で運輸大臣は、「その業務若しくは経理の状況に関する報告を徴し、又はその職員に、当該会社の営業所若しくは事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。」、この条文でいかなることもなし得るわけでございます。
○館委員 だから立ち入つて検査するという項目を今聞いたのですが、船会社へ立ち入つて検査することもできる、造船会社へ立ち入つて検査することもできるのでありますか。
○岡田(修)政府委員 これは船会社だけであります。
○館委員 そういうことを厳重にやつてもらいたいと思うのですが、立ち入つて検査して検査状況を報告された時分に、運輸省としてはこれをどう処理するかということが重大な問題なんですが、聞いただけではいけない、その船会社に対して、あるいはその利子の補給を停止するとか何とかという手段が、法的に講ぜられておるのかどうか。
○岡田(修)政府委員 会社に対する勧告の権限を運輸大臣が持つておりまして、不当な経理の是正その他経理の改善に関する勧告をすることができる、それから業務または経理の監査をすることができる、こういう権限が与えられておりまして、これはもしそれが不当であれば会社に勧告をし、勧告を聞かなかつた場合には、その利子補給を返還させる、こういう処置がとれることになつております。
○館委員 この監査室の事務開始はいつからでありましたか。
○岡田(修)政府委員 十月の十五日ごろだつたかと存じます。
○館委員 その十月十五日に監査室を開いてから今日に至るまで、監査室の職務の成績について見るべきものがあるかどうかということをお聞きしたい。
○岡田(修)政府委員 先ほど申しましたように、各会社の利益金処分についての注意を与えるとか、あるいは年末の支出についての協議にあずかるとか、その他今各会社の、先ほど言いました投資状況とか、あるいは貸付金の状況、こういう内容を当つておりまして、これによつて船会社に対する非常な緊張感を与え、不当な経理の処置をなからしめる効果十分と考えております。
○館委員 私は監査室ができた以上は、今日のようなスキャンダル問題が監査室によつてとらまえられなければならないほど、積極的な権限を持つておるのかどうかということをお聞きしたいと同時に、そういうことでなければ監査室の権威がなくなるのである。今その職務の成績についてお聞きしたが、ただ船会社の経理を調べたら配当がどうなつておるのか、それを報告した程度にしか現段階では監査室が働いておらない、そういうことでは監査室を設けた理由は何もない。新聞の記事によりますと、造船割当の際に臨んで各船会社といいますか、造船会社といいますか、かんじんの監査室に非常に陳情というか、請願というか、それが群がつておるありさまであるということを見たような気がするのですが、そういうことがもしあつたとするならば、監査室が何の役にも立たないことになるのでありますが、どうですか。
○岡田(修)政府委員 監査室ができましたのは、九次後期造船が済んでからでございます。また監査室長以下室員は、従来船会社の監督に直接携わらない——最近においてと申しますか、ここ数年間、直接監督に携わらない人間を充てておりまして、監査を行うにまつたく適任と思う人間を選抜しておるわけでございます。
○館委員 この監査室の制度というものは、今のような権限では、とうてい国民のこういう疑惑を払拭して行くだけの力を持つていないように私は考える。そしてまた監査室そのものがいかにりつぱな法規を立てましても、これを構成する人の問題も十分に考えて行かなければならぬと思うのでありますが、ただ一つ現在の監査室長がこういうことを言つている。この点にのみ実効があるのではないかと私は思つておる。それは若狭監査室長が、公開の席上で、三月以降大きな首切りを実施することを公言しているという話を私は聞いておる。これは事実であるのかどうか。金を貸しておるのであるから、造船会社なりあるいは船会社なりの企業合理化というか、整備化をやらなければならないと、監査室の室長が言うておるということを聞いているが、監査室は船会社や造船会社のスキャンダルを押える力がなくて、まず一番先に、三月以降造船の職員あるいは工員、あるいは船会社のベテランの人を大量首切りをしなければならぬということを公言しているということになりますと、監査室の矢の向けどころが実におかしいのではないか。さつき経過を聞いてみますと、一番大事な監査をして、そして利子を補給してもらつて船をこしらえている会社の経理状態の調べ方は、ほとんど国民の期待に沿わないようた軽いやり方をやつておられるにもかかわらず、三月以降大量の首切りをやらなければならぬと公言したというが、こうなつて来ますと、税金を負担しておる国民、労働者の立場というものは、どういうことになりますか。この疑獄だけで憤慨しておるのに、さらにそういう首切りまでやつてもらつたのでは、二重、三重の恨みが、現政府あるいは運輸省のそういう人に向けられるのは当然だと思いますが、そういうことを公言したかどうか。
○岡田(修)政府委員 若狭君がそういう公言をしたことは、私一度も聞いておりません。またそういう公言をするはずがないと私は思います。
○館委員 岡田局長にお願いするのでありますが、こういう発言があつたことを、若狭監査室長に十分お話を願いたい。監査室長に対しては、厳正なる立場から、この船会社及び造船会社、関係会社については、ごまかされない態度でしつかりやつてもらいたい。私はそう要望せざるを得ないのです。どうも今度の疑獄事件というものは、国民のすなおな感覚から言いますと、政府、官庁、開銀、市銀、海運、造船、保守政党あるいは政党人、関連産業、これらが網羅されておる一大疑獄のようであつて、世間がまつ暗になつたような感じがするのが、すなおな市民的感覚の表現であると私は思うのですが、十分に注意をしていただきたいと考えます。 時間もないことでありますし、私も別な仕事がありますから、簡単にこの際聞いておきたいのでありますが、リベートの問題であります。リベートは一般に造船船価の五厘ないし一分といわれておりますが、実際は五分ないし一割になつているということであります。海運局長は責任ある立場でいろいろな実情を調査されなければならないのでありますが、調査をされておるのか、調査をされておるならば、発表していただきたいと思います。この間の委員会では、国の金を借りたのだからリベートはないと思うというお話でしたが、今はあるかないかわからないとして、すでに昭和二十年ですか二十一年ですかから造船をやつておる。その間においての事情もありますし、日本の現状からいつて、リベートの問題は長い海運界の習慣としてあることは当然である。それがどういうふうなことに現状はなつておりますか、またなつておつたか、これをお知らせ願いたい。
○岡田(修)政府委員 私どもは、リベートというものは今まで行われていなかつた、かように信じて来ております。従いましてそのリベートの率がどのようなものであるか、私ども一向に存じません。
○館委員 はなはだ失礼ですけれども、あなたが海運局長におなりになつたのはいつですか。
○岡田(修)政府委員 昭和二十三年の三月の中旬だつたと存じます。
○館委員 そのころにはまだリベートの問題はお気づきにならなかつたかもしれませんが、それから長い月日を経て今日に至りますまでには、海運業者とのつき合い、造船業者とのつき合い、あるいは関連産業人とのつき合いで、そういうリベートの問題は、必ず口の端に上つておるだろうし、そういう業界の奥の奥まで知つていらつしやらなければ海運局長が勤まる道理はないと思う。私の子供の時分にシーメンス事件というものが起きた。これは日本が軍艦をシーメンス会社に注文したときに、山木権兵衛が多額の金をもらつたという事件であります。これが今言うリベートじやないか。その時分これは議会で非常な騒ぎになつておつたのであります。今もそのリベートの問題で騒ぎがことに大きくなつておるわけでありますが、海運界一般について造詣の深いあなたが、リベートの問題なんかちつとも知らなかつたということが私にはふに落ちない。知らなかつたということをおつしやるならこれ以上は追究いたしませんが、どうもそういうところに何か起きていると私は考えるのであつて、非常に不愉快な気がするのであります。知らなかつたならば知らなかつたでいいのでありますが、このリベートというものは将来押えて行くつもりでありますか、今後これを海運界の長い習慣としてお認めにならざるを得ない立場におるのか、あるいはまた特に政府の財政投融資のものについてのみリベートを禁ずるという建前でもおとりになるおつもりでありますか、こういうことについてお考えをお聞きしたいと思います。
○岡田(修)政府委員 財政資金を使つて船をつくるようになりましてから、たびたび申上げますように、リベートを絶対してはいかぬということを警告しておるわけです。それで時折そういうものが行われておるのじやないかといううわさを聞きました都度、業者にそういう警告を発し、そうしてそういううわさがあつたかどうかということを確かめて来ましたとろ、そういうことは絶対にないということを確言して来ておるのです。従いまして私どもはそういうものは絶対にない、かように信じて来ておつたわけであります。今後におきましても同様でございます。リベートは財政資金を使つてやる以上は絶対許さない。利子補給の契約におきましては、そういうリベートがあることがはつきりした場合には、何らかの措置をとるようにいたしたい、かように考えております。
○館委員 今のお話で、やはりうちうちはリベートの存在ということを知つておられたという口吻に受取られたのであります。これは知らないでいらつしやる道理はないと思うし、リベートの問題は簡単な問題ではないと思う。長い間の世界海運が始まつて以来の商習慣になつておるものであろうと思う。たとえば今タイ国から山下汽船が新造船を引受けた場合に、リベートという問題は必ず起きて来ると思う。そういうリベートの問題、その他の問題については、監査室がこれを吟味するのに十分な権能を持たせるという場合には、何か法的な措置を講じないと、きつぱりした何がないのであるから、どうすることもできないという言いのがれをされることになるのですが、そういう法的処置を講ずることについて何かお考えがありますか。
○岡田(修)政府委員 リベートでございますが、これはかりにそういうものが行われておるといたしました場合には、それが会社の経理に載りますれば、これは私の方で適宜押えられるわけですが、それが会社の経理へ入らないで重役個人がもらつているということになりますと、個人の会計の状況とか家を捜査しなければならない、こういうふうなことに相なりますので、そういう権限は運輸省にはちよつと法律上でも書けないのじやないか。とにかく私どもの方は船会社の経理を十分に監査して、そうしてその船会社の経理にそういうものが入つておるかどうかということに十分目を光らせる。あとそういう事実が現われました場合には、そういう船会社に対しましては厳重なる措置をとつて臨むということで、船会社の自戒を促すということをいたしたい、かように考えております。
○館委員 私はリベートというものを知らないのですが、たとえば船会社が造船会社に船の建造注文をしてその割もどしをするという場合には、割もどしは船会社それ自身に割もどしをするのですか。それとも会社の社長個人というものに割もどしをするのですか。商習慣はどうなつておるのですか。
○岡田(修)政府委員 私はそういう商習慣がどんなにやられておるのか、それをよく存じないわけでございます。私も想像で言つておるわけであつて、戦争前これは全部じやないが、一部の船主では戦前においてはそういうことが習慣的に行われておつた。その場合も会社の経理に入れるものもあるし、あるいは個人のふところに入れるものもある、両方の形があるのだということを聞いております。しかしこれも戦前におきましても全部ではないそうでございまして、これは個人会社的色彩の多いところにそういうことが行われておつたというふうに聞いておるわけでございます。戦後はそういうものは行われていないということを信じて参つたことは、さいぜん御答弁申し上げた通りでございます。
○館委員 結論的にこのリベートの問題を大まかに見ますと、資本主義社会においては、もらつたり届けたりすることが習慣になつておる。贈収賄の問題にいたしましても、みなそういう惰性がどうしても起きて来る。それがリベートという名前の商習慣になつたものと思いますが、リベート、すなわち拡大すると、私が船の建造の割当をもらいましたからお礼を申しますというのは、リベートというわくのうちに入るとぼくは思うのでありまして、資本主義経済の末期的な現象がきようこの船の上に大きく浮び上つて来た。単に船会社がリベートをやつた、やらないという問題ではなく、リベートの解釈の問題は、資本主義の末期的な症状として、贈賄、収賄、汚職、こういうものに集中された全部がリベートだと考えております。これは十分に気をつけていただきたいと思います。 最後に大胆なお話をしておこられるかもしれませんが、情ないかな、こういう風聞が世間に流れておる。風聞であつたらよろしいと思うのですが、巷間にしきりにうわさされており、またそんたくされておることであつて、はなはだ不愉快なことであるが、次のような事柄が流布されておるのは残念であります。それはどういうことかといいますと、海運議員連盟——私は入つておりませんが、海運議員連盟に対して、その運用資金として出しておるのかどうか知りませんが、トン当り十円から百円が贈られているのではないかといううわさが、しきりに私の耳に入つて来るのであります。海運議員連盟にいたしましても、そのほかの何々議員連盟にいたしましても、衆議院、参議院議員はなみ会費を納入いたしておるのでありまして、その会費の納入された総額によつて、その目的の議員連盟を運用しておるはずである。私は海運議員連盟に入つておりませんから納入もしておりませんが、おそらくそうだろうと思う。それにもかかわらず海運議員連盟に対して、その運用資金かどうか知らないけれども、トン当り十円から百円くらいが贈られておるといううわさが出ておる。これははなはだけしからぬことだと思うのでありますが、政務次官なり岡田局長はこういううわさを耳にはさんだことがありますかどうか、一応はお尋ねしておきたいと思います。
○西村(英)政府委員 私も海運議員連に加入いたしております。これは確かに会費は会費でもつてとられております。年に二百円でしたかとられておりますが、今お尋ねのようなことにつきましては、私少しも存じません。おそらくそういうことはないと思います。
○岡田(修)政府委員 海運議員連盟は、先生方のことでございまするので、私どもどういうふうなことになつておりますか、一向に存じません。
○館委員 まさしくおつしやつた通り、議員それ自身の問題でありますけれども、しかし海運界に長くいらつしやる方ばかりであるから、うわさを耳にはさんでいらつしやるかどうかということでお尋ねしたのであります。ところでこういうことであつては議員連盟としてもはずかしいことでありますし、また運輸委員会としても、この間法務大臣の犬養氏をここに呼ばわつて来て、初頭において運輸委員会の中にも二、三のこの問題について調査を進めているはずであるといつた言明に対する釈明を求めたくらいになつております。従つてこういううわさが飛んでおりますから、私は、積極的に海運議員連盟の会計をこの際公開してもらうような手段が委員長としてとられないか。理事長は星島二郎氏なのでありすすが、理事長から、その海運造船議員連盟の会計及びその運動方針とか目的についての説明をここで求める必要はないかと私日舞は考えるのでありますが、委員長これに対してどうお考えになつておりますか。
○關内委員長 館君のただいまのお話でありますが、十分考慮いたしたいと思つております。
○館委員 十分に考慮してそういうふうにおはからいが願えればけつこうだと私は考えております。いずれにいたしましても、私反対したとはいいながら、この委員会が疑獄の中心になる法案を通過させた本元なのであります。それでありますからこの委員会がとかく考えられたり、海運造船議員連盟がとかく考えられたりする国民的感覚、市民的感覚というものは、これは払拭できないものである。そういう意味において、これを委員長において十分なる考慮をされて、良心的に実行に移していただきたいことを切にお願いいたしまして、私の質問を終りたいと存じます。
○關内委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十二分散会