法務委員会 第2号
- 発言数
- 74 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/12/03
会議録
○委員長(郡祐一君) 只今から委員会を開きます。 先ず予備付託に相成りました裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して提案理由の説明を聴取いたします。
○政府委員(三浦寅之助君) 只今議題になりました裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を便宜一括して御説明申上げます。 政府は、最近における生計費及び民間の賃金の変動その他の事情に鑑みまして、国家公務員の給与を改善する等の必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出し、現に御審議を仰いでおりますことは御承知の通りであります。そこで、裁判官及び検察官についても、一般の政府職員の例にならい、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第であります。 この両法律案においては、右の趣旨に従い、裁判官及び検察官の報酬又は俸給の額を増加するために、両法律の各別表を改正すると共に、裁判官の報酬等に関する法律第十五条と検察官の俸給等に関する法律第九条に定める報酬又は俸給の各月額を改正することといたしましたが、改正後の別表及び右各条に定める報酬又は俸給の各月額を、現行のそれに比較しますと、その増加比率は、一般の政府職員の俸給月額の増加比率と同様であります。一般の政府職員中いわゆる認証官につきましては、今回はその給与を据置きにすることになつておりますことは御承知の通りでありますが、これに対応して認証官である裁判官及び検察官の報酬又は俸給の月額も、その一部について不均衡を是正するための数額の調整をしたほかは、据置きにいたしております。 以上がこの両法律案の提案の理由であります。何とぞよろしくお願い申上げます。
○委員長(郡祐一君) 次に、この両案について事務当局から補足した説明があれば伺いたいと思います。
○説明員(位野木益雄君) 只今議題になりました両法案の細かい点を補足的に御説明いたします。 只今説明のありましたように、今回の法案は一般の政府職員の給与の増額に応じまして、裁判官及び検察官の給与を改善するという趣旨でありまして、その給与の改善の内容は、各報酬及び俸給月額を増加いたしておるのであります。で、その増加の比率は認証官の点を除きまして、一般の政府職員の俸給月額の増加率と同様であります。一般の政府職員の増加の比率は大体中頃ですか、中級職員の増加の比率が一番大きいのであります。いわゆる中だるみの是正ということをやつておるのであります。それから下級のほうが次に大きいのであります。上級のほうは薄くなつております。増加率が少いのであります。大体十五級辺は殆んど増加しておらないのであります。ただ今度一般職の職員のほうでは地域給、勤務地手当です。勤務地手当の制度をやや変えまして、今まで五級に土地を分ちまして、五級地におきましては二割五分の勤務地手当がつく、その次四級地においては二割というふうになつておつたのでありますが、今度それを四級に組替えまして、その一番上の今まで五級地であつたところの土地を四級地にいたしまして、勤務地手当は最高が二割ということになつたのであります。その代りに一律に五分ずつ本俸を繰上げまして、本俸のほうを増加いたしたのであります。そういうようなことで数額的には勤務地手当であつた部分が本俸に繰入になつておるので増加いたしておるのであります。併し実質的には上のほうは殆んど勤務地手当の繰入としての増額のみであつて、それ以外の純増という部分は非常に少いということになつております。ただ中間の分は相当増加しております。裁判官、検察官のほうもそれに準じて変つておるので同様のことが言えるのであります。 それから認証官につきましては御承知のように、一般のほうも今回は据置きということになつておるのであります。従いまして裁判官、検察官のほうも、認証官のかたは原則として据置きということにいたしておるのであります。ただ今回の改正では、認証官の中で次長検事及び東京以外の高等検察庁の検事長の給料が若干上がることになつております。これは今申上げましたように、認証官以外の部分を一般のほうに合せて上げる。認証官のほうはそのままにしておくということになりますと、検事の一番上の号俸をもらつている人、特号の検事ですね、これの俸給の月額と、それから今申しました次長検事などの俸給の月額とが丁度同額になります。今までその間に差等を設けておつた建前にも反することになるので、丁度その次長検事等よりも一段上のランクになつております東京高等検察庁の検事長、これと特号の検事の新らしい俸給、これとの中間にまで次長検事等の俸給月額を上げるということにいたしたのであります。これは数額的な調整の意味であります。
○委員長(郡祐一君) 位野木君、もうちよつと大きい声で、速記がとりにくいですから……。
○説明員(位野木益雄君) それから、只今申上げましたように、認証官は原則として上げないことになりましたが、それは単に据置きという意味だけではなくて、勤務地手当がそれぞれ五分ずつ減額されるということになりますので、俸給月額据置きということになりますと、実質的に報酬及び俸給の額が少くなるということが認証官については言えることになるわけであります。そういうふうなことになりますと、これは特に裁判官等につきましては憲法等の関係もありまして問題でありますので、現在の裁判官、検察官等におきましては、これは現在の給与を若し下るということになる場合には、現在の給与は、これは確保する、現給を保障するというふうな建前にいたしております。これは条文には特に書いてありませんが、それぞれ認証官については特別職の俸給の法律、その他の裁判官、検察官につきましては、一般職の給与の法律の例によるということになつておりますので、裁判官、検察官についても、そのような取扱いをなすということになるという建前であります。 それから一般職のほうでは期末手当及び勤勉手当についても若干の改正がなされることになつておりますが、これについても当然裁判官、検察官も同様の取扱いがなされることになるわけであります。その改正の点と申しますのは、期末手当については、十二月十五日に支給する期末手当の支給の割合いを五割増加する、或いは勤勉手当についても、今までは年末にだけ支給するということになつておりましたのを、六月十五日にも支給し得るということにしたという点、それからなお本年度の特例といたしまして期末手当、或いは勤勉手当の支給を増加いたしたというふうな点がございます。 なおこの法律の施行期日は一月一日ということになつております。これは一般職のほう、特別職のほうと合わせていいわけでありますが、ただ検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の附則は少し違つておりまして「この法律中検事及び副検事に係る部分は昭和二十九年一月一日から、その他の部分は公布の日から施行する。」ということになつておりまして、その他の部分と申しますのは、先ほど申上げました次長検事等の給与の増額の点であります。これは一月一日からその点も施行するということにいたしますと、今回の改正によりまして次長検事等の給与を丁度上と下との中間に持つて行くという是正をしたのでありますが、その部分が改正後も依然として残るということになりますので、その少し前に公布して、是正されたもので現給を保障するということにいたしますと、丁度その保障がうまく行われますので、そういうふうにいたしたのであります。 以上簡単でありますが、一応御説明を終ります。
○委員長(郡祐一君) 両案について御質疑のおありのかたは御発言願います。
○中山福藏君 大体この一般職、特別職の比率ということは、これはまあ当局として当然お考えになるのが当り前だと考えるのですけれども、大体この俸給というものは物価の変動、貨幣価値の増減、それから地方中央を通じた税制の整理とか、徴税の難易とかいうもので、非常に生活維持というものが影響を及ぼされるということが考えられるのですが、これは一般職が上るから必ず特別職も上らなければならん、或いは又如何に物価の変動があろうとも現給だけは釘付けにして一切下げることはない、上昇はすることはあつても低減することはないということになりますと、これは一般国民の立場から考えるというと、非常な大きな問題であつて、行政整理なんかという問題もこういう観点から結局生れ出て来るものだと思うのですが、そういう点については法務省並びに裁判所、裁判官の関係においては考慮しておられるのでしようか。やはりこれは法務省なんかというのは、大体国民に範を示すという高い見識をお持ちになつておるということが必要だと思うので、そういう点まで研究しておられるかどうか、その点を一応伺つておきます。
○説明員(位野木益雄君) 只今の点誠に御尤もなお言葉であります。公務員の給与は、何か口実があればそれを利用して上げて行くということは、決してこれは若しそういうことがあるとすれば好ましいことではないのであります。まあ全般的に今度の給与の改訂が果して妥当であるかどうか、これは非常に専門のかたがたも問題にいたしておられるようであります。我々といたしましても果してそれが妥当であるかということも大いに検討すべき問題もあるというふうに素人考えながらいたしておるのでありますが、併しながらやはり全般的な財政経済政策というふうな点からも、それほど特に支障を来たすことはないという見通しの下に政府では給与の改善をすることといたしたわけであります。この改善の内容も、人事院の勧告よりは実質的には相当下廻つておるようであります。又これは仲裁裁定の結果等、いろいろそれを踏切らざるを得ないような事情が重なつていた結果もあると思いますが、そういうふうな決定をいたしたのであります。政府全般としてそういうふうな方針にいたしましたので、それでは更に裁判官、検察官についてはこの際思いとまるかというふうなことが問題になるわけでありますが、この裁判官、検察官といたしましても、やはりこの物価の上昇とか、或いは生計費の騰貴とか、或いは税金の関係というふうな、今御指摘になつたような点、これはやはり一般の職員と同様な影響を受けるわけであります。まあその点、給与が上つて物価が上れば却つて実質的に不利になつて来るというふうなこともあり得るかも知れませんが、併しこの際そういうふうな一般のほうだけ上げて、今度こちらだけは据置にするかということは、特にそれほどのやはり事情もないのであるというふうに考えられましたので、それに倣つてこのような提案をいたしたのでございます。
○中山福藏君 実は裁判官、検察官というものは、地方によつて一般労働、勤労という問題から考えて非常に事件の煩雑な場合と、殆んど事件のない地域というものがあるのです。大体、規定の時間を勤めれば、それでまあ月給はもらえる。事件があろうがなかろうが、煙草を喫うて椅子に腰かけて時間さえ潰せば月給を取れるわけであります。普通の官吏さんというものは大体いろいろな事務を朝から晩までやつておられるわけですが、ところが裁判官は事件がなければこれは実際は何と申しますか、自分が判例を研究してみたり、或いはいろいろな民刑双方に亙る事務、或いはその他のことについていろいろ御研究になつて時間が潰れるわけなんですが、一般職とは非常に立場が違うのですね。これは地域によつて違うのです。例えばいつも例にとるのですが、紀州の田辺のようなところは一カ月に二回しかない。機会均等主義に、一般職が月給が上ればやつぱり司法官、検察官も上るということは、常識的には肯ける、この点は……。併しこういう点も、まあ今日地域給とかいろいろなものが設けられておりますが、私は司法官は一般職とは違つて、中央、それから大都会の裁判所の検察官というものは非常に私は一般職よりも何倍か仕事をしていると考えておる。むしろこれは重労働以上のことをやつておる。超重労働みたいなことを実際やつておるのですよ。大都会では裁判官というものは一カ月に一人で四、五百件というものを割当てられている裁判官もあつて、こういう人には私は特別なやはり措置を講じて行かなければいかんと思うのです。これは一般職員の私は二倍くらい月給をやつてもいいというぐらいに考えておる、実際大都会の判検事には……。ところが地方に行くと只今申したような一、二件しか一カ月にないのに同じ俸給をもらつているのですね。こういう点は一般職よりも私は特異性を帯びておる立場にあると思うのですが、むしろこの田舎、或いは物価の非常な安いところの地方にお住いになつておる人々の俸給は削つて、都会地の判検事のかたに何と申しますか、特別手当というような意味で廻してやるのが当然じやないかと思うのです。一般職と特別職の違いというものはそこにあると私は見ておる。そういう点については何にも考慮は払われておらない。実に気の毒なんですよ、この大都会におけるところの判検事の煩瑣な事務を取扱つておられるのを見ておりますと……。これを一般職と特別職の判検事を同様に、一般職の給料が上がるからこちらのほうもこうしなければならんというような単純なことではいかんと思うのです。この特別職でありまするところの判検事の立場というものと、一般の何と、ただ時間を勤めればいいというようなそんな簡単なものじやないと思うのですがどうですか、そういう点は……。
○説明員(位野木益雄君) 只今の点でございますが、一般職の職員の事務と、裁判官等の事務とが性質において非常に異なつておることは御指摘の通りでございます。で田舎の裁判官あたりは非常に事件が少くてひまである。これについても一律に上げるのはどうかというような御指摘の点も誠に御尤もな点もあるかと思いますが、一方御指摘のように、都会地ではこれはまあ非常に重労働を課せられておるという状態であります。それでは田舎の人を都会に吸収するかということも十分考えられるわけでありますが、やはり田舎の人の交通の関係、利便というようなことからそれを引上げるわけに行かない。そこの調整の問題がこれは裁判所の行政或いは裁判所の設立についての法律的な措置等から十分これはなお研究を要する点だろうかと思いますが、それはさておいて、この際そういう人について別建の俸給を建てるかという問題でありますが、これは又問題もあるわけであります。でそういう土地にはやはりそういう土地に適した人を持つて行くというふうなことも十分考えられると思いますが、かと言つて別にそういう人についての給与体系を立てるというところまでのことを考えて、果して妥当であるかどうかという点を考えますと、又いろいろ反対の向きも出て来るかと思いますので、この点なお研究はいたしたいと思いますが、今のところそこまでの考え方はいたしておらないのであります。或る程度これは一般の政府職員のほうでも田舎のほうはややひまだというような点もあるかと思いますが、なお裁判所等においてはそういうふうな点がやや著しいということも言えるかと思いますので研究はいたしたいと思いますが、現在のところはなお具体案を考えるところには至つておらないということでございます。
○委員長(郡祐一君) 只今の御質疑に対して最高裁のほうから何か御説明がありますか。
○説明員(鈴木忠一君) 中山委員から只今実情に即した非常に理解ある御質問を受けたのでありますが、裁判所の問題だけについて申上げれば、都会地の裁判官の負担が地方の裁判官に比して量の上から、或いは質の上から非常に負担が過重になつているということは御指摘の通りでございます。併しながら地方においてもやはり裁判官の事務というものが適正に、そうして迅速に行われなければならないことは、やはり都会地におけるのと少しも変らないのでありまして、地方だからどう、都会だからどうというように、裁判の上に区別があつては、これは裁判所としては申訳ないのであります。従つて地方の事務量を統計の上から出しまして、地域は広くても事件の数から言えばこれだけの人数で賄えるというように、都会地における裁判官の数と地方における裁判官の数とは、全体からいえばバランスをとつて、地方には少く都会には多くもちろんやつているわけであります。それにしても現在の実情としては、やはり都会地の裁判官がオーバー・ワークになつていることは御指摘の通りであります。そういう場合に、裁判官に地方の裁判官と都会地の裁判官というように給与で何か二本建になるような形になるというのも、同じ裁判官でありながら、面白くないというように考えられますので、実際面といたしましては都会地の裁判官を優遇をしたいのでありますけれども、それがなかなかできない。辛うじて今若干できることは、結局都会地の裁判官の昇給を、地方の極く辺鄙な、事件も余りないところの裁判官に比べれば昇給を早くするというようなことで、事実上は若干の優遇をするというようなことしか事実できないわけであります。それから今御指摘になりましたように、裁判官は本来やはり若干時間的にも余裕がなければ、適切なそうして迅速なる裁判ができないわけです。事件が起つてからその法律問題を勉強しだす、乃至は経済問題を調べだすというようであつては、やはり適正な裁判をする上に欠くるところがあるので、本来私は裁判官とか検察官というようなものは若干やはり一般の公務員よりも時間的余裕をおいて、むしろ外部から見れば楽をしているのじやないかなというふうな状態に置いて、そうして仕事をさせて頂かないと、実際はなかなか理想的な裁判というようなものはできないのではないか。結局そういうことを考えますと、実際面としては裁判官の数を都会地においては現在よりも更に増員をして、そうしてその一人一人の分担量を少くするというようなことを考えるか、それでなければ現在の非常な負担過重になつている都会の裁判官に対して特別な優遇をして頂くかというようなことも理論としては考えられるのでありますけれども、いずれにいたしましても予算が伴うものですから、なかなか我々が思うように理想的な形に近付けるということが困難な状態でいる次第でございます。
○中山福藏君 今の人事局長のお話はよくわかるのです。私もこれは仰せの通り実態をつかむということは、これは私として委員としての当然の務めでありまして、別に奇嬌な言葉を用いてこの給与制度の基礎を破壊しようというような気持はちつともない。殊に私どもは判検事の給与を下げるとか何とかいつて、その間の事情を混乱させることも考えておりません。併し今おつしやつた通り予算の裏付がないからという問題じやないと私は思うのです。判検事に割当てられた予算の額というものは一定の枠がありまして、この範囲内においてできることだと実は私は考えている。田舎における判検事、都会における判検事……、これはもう人員を相当お増しになつても、都会地はなかなか仰せのようなあんばいにはいかんのです。それでまあ大概のものはまじめにやれば神経衰弱になる。これは大ざつぱに弁護士の言うことを聞いて、これだけで比較対照して証拠書類というものを対照して判決をきめれば、これは誠に簡単にできるわけです。それも上告とか抗告というものが起らなければ、自分の頭脳の悪いということもわからない。又仕事の怠慢の結果ということもわからん。如何ようにもできると思います。併し真剣に人権を尊重し或いは財産権というものを保護するという立場から考えまして、まじめにやろうと思えば神経衰弱になる。判検事は確かにそうなります。ですから私は割当てられた予算の枠内において、特別勤務手当、或いは勤勉手当は、これは特別臨時措置というような方式をおとりになつて、もう少し滋養分でもたくさん供給して、都会地の人にはやつて頂かなければならない。いつも幽霊のような顔をして色青ざめてそうして非常に早死にをする人が多いという実情から鑑みて、これはもう少し何とかして頂かないと、都会地の或いは事件の非常にたくさんあるところの判検事はやつて行けないのではないかと思う。これは私は考えて頂かなければならないと思う。これは予算がないとか、簡単な言葉で片付けられる問題ではないと思う。何とかこれは事件のたくさんある土地の判検事のかたについては、何とかもう少し衛生上、肉体、心身共に健全な、妥当性を欠かないような、この肉体、精神を保持するような判検事を一つお作り下さるという意味におきましても何とかして頂かないと、現在のままでは余りにもかわいそうだという気持を持つておるわけです。ですから幸いにしてこういう判検事の給与の増額に対する問題が出ましたので、その点は特に私はお願いしておくわけであります。別にこれは答弁は要りません。私のお願いです。
○楠見義男君 先ほどの御説明の中にですね、認証官以上のかたがたについては、今回の給与改訂はまあ遠慮する。但し地域給のほうの改訂があつたために、実際上減額になるということになれば、憲法の保障、この報酬は減ぜられることがないという建前から、まあ特別の措置を講じて、その点をまあ賄つて行くというような御説明があつたのです。でそれは憲法に規定しておる報酬という意味が、どういうふうな、ともかく一遍もらつたものはすベてこれは定期的と書いておりますが、定期的にもらつたものはすべてそれに包含されるとこう解釈せられるべきものなのでしようか。例えば期末手当だとか或いは勤勉手当というようなものはぐすね、これは定期的にもらい、それがまあ一つの報酬になつた場合にでも、これらの手当というものはそのときの財政事情、或いは国の経済事情、こういうものによつて変更はあると思うのですね。それから又その勤務地手当の問題も、本給の関係、或いは一般の経時事情、物価事情の変動によつて、勤務地手当の変更というものはこれは当然予想されて然るべき性格のものだと思う。それがなかなかまあ現在の経済事情では困難ではありましようけれども、併し理論的に観念的に考えることは、例えば物価が安定し、又安い方向に向つて行く。そうなれば当然勤務地手当等も今回のように一般の給与改訂に伴つて改訂をしなくても、或いは全廃或いは改訂という問題は当然予想されることなんです。そういうこともすベての報酬ということになつて来ると、先ほど中山さんからのお尋ねは、都会地の裁判官について報酬を上げなければならんということのほかに、最初の御質問の趣旨は経済事情の変化に応じて、上る場合もあれば下る場合もある。そういうことを考えるべきかどうかという意味の御質問も含まれておつたと思うのでありますが、一体そういうようなことから考えてみますと、憲法のいわゆる報酬というものは、ともかくもらつたものは如何なることがあつても、又どういう事情があつても、憲法を改正しない限りは変更しない、こういうような意味であるのか。そうして又具体的にその報酬というものは一遍もらつたものは何でもこの報酬の中に入るのか、その辺の解釈はどういうふうになすつておられるのでしようか。
○説明員(位野木益雄君) 只今の御指摘の点でございますが、憲法の報酬という意味は、何でもかんでももらつておる給与の総額を下つてはいけないというふうな機械的なものではないというふうに考えております。例えば今の御質問の趣旨はどういうふうなことかわかりませんが、勤務地が変つたというような場合に勤務地手当が下つた。これは当然のことでありまして、そこまでの保障をしたものではないと思います。相当場合によつて伸縮性があるものであるというふうに考えております。ただ今度の給与の改正は、給与の改正に伴う現金収入は、裁判官、検察官についてのみいたしたのではございませんので、趣旨としては憲法を引つ張り出すのは或いは愚策であつたかも知れませんが、一般職についてもそういう気の毒であるから、現在の人の給与を下げるのは気の毒であるということで、減給保障、減給の場合には保障するということになつております。そういうようになつておるというのであります。
○楠見義男君 今の点は私の了解しておる点とはちよつと違うのです、今のお答えは……。という意味は、例えば私のほうも実は総理大臣の俸給に勤務地手当が付いているということは夢にも考えていなかつたのですが、実際は現在も付いている。ところがその勤務地手当が今度は下る、他の認証官も当然下る。ところが裁判官だけはこれは憲法でそういうふうな保障があるから、従つて財務当局のほうも別の手を講じて減額を保障する、こういうふうに予算的にもなつておる、こういう説明を大蔵省のほうから伺つておるわけなんですね。そうしますとさつき申上げたような質問が出て来る。而も今お話があつたように一つの例として勤務地の変更の場合のことを仰せになつたのですが、それは勤務地が変更して勤務地手当が減るというと、先ほど申上げたように経済事情或いは財政事情、物価事情その他の変更に応じて勤務地手当が減る、或いは期末手当が減る、勤勉手当が減る。こういう場合もすべて憲法の規定しておる報酬の中に包含されるということになれば、少しこう変な結果が出て来やせんかと思われる節もないではない。従つてその点は一体報酬というものの観念がどういうものなのかということが一番私は問題だと思うのです。そういう意味で憲法の規定しておる報酬というのはどういうことを予想しておられるのか。すべてもらつたものは報酬と観念するのか、或いは主体は俸給であつて、そのほかのものはこれは弾力性のあるものと解釈せられるのか。その辺の解釈をお伺いしたいのです。
○説明員(鈴木忠一君) 裁判官の俸給が減額せられないというのは、今位野木参事官からの説明もございましたが、通常のいろいろの手当とか勤務地手当、現行で申しますれば勤務地手当とか家族手当とかいうようなものは、概括的に申しますとやはり入らないものというふうに考えておるのです。つまり本俸を指しておるのではないか。ただ本俸と申しましても、ときの経済事情より、或いは立法のいろいろな事情などによつて、本来本俸として入れるべきものであるけれども、立法の体裁やその他の事情からして本俸に入れるのは工合が悪いから、実質は本俸だけれども、名前は本俸以外の手当にしておるというような場合がやはりあり得るんじやないか。そういう場合はやはり本俸に準じて考えないと困るではないか。そう申しますと、今の一体勤務地手当とか、家族手当とかいうようなものは、果して本俸に本来性質上準ずべきものかどうかということまで研究をして、それをきめべきだろうと思います。私どもの漠然とした考えでは勤務地手当……、家族手当は勿論本俸の中には入らないと思いますが、勤務地手当というようなものも実際の今の給与の建前から行くと、相当本俸に近いような性質を実際は持つているんじやないかというような疑いを持つております。でありますから、裁判官の場合、結局勤務地が変ることによつて給与が、勤務地手当が減る場合がございますが、それは結局本人の承諾があるからなのだ、結局本人の意に反してやつていないのだというようなことで、仮に本俸が減るということになつても、本人の承諾があるからというような点で、若干は理論的には妥協をしておるのですが、最も厳格な意味に解すれば本俸だ、こう言つてしまえばそれで割り切れるんじやないだろうかと思います。ただそういたしますと、そんならば物価が低くなつた場合、経済事情が非常に好転した場合に、裁判官の本俸を下げることができるかというようなことになりますと、これは憲法で保障されておるものを、法律で一体下げることができるかどうか、或いは何と言いますか、貨幣価値の変動というようなことから立法をして、そうしてその立法の前の千円は今度の新円の百円だというような換算をすることによつて、裁判官の本俸のノーマルな減額ということを一体解決できるものかどうか。そこいらは私ども問題としてときどきはつついておりますけれども、本腰を入れて研究しておりませんものですから、この場で何ともお答えができない状態であります。
○楠見義男君 今の貨幣価値の変動とか或いは切下げという問題になれば、これは問題のないことだと思いまするし、それから抽象的に今御説明になつた憲法に規定しておる報酬というのは、本俸又はこれに類似するものと、こういう抽象的な御説明はこれはよくわかるのです。ただ勤務地手当とか或いは期末手当とかいうものが報酬かどうかという具体的な問題になつて来ると、これはここで議論をするつもりはありませんが、いろいろ問題があるし、特に今おつしやつたように、本来その意に反して転任或いは転所せられることのないという、その規定と結び付けてやらなければならんというような、変な苦しい解釈もしなければならんということになつて来るのですが、私は建前としては、給与体系の従来の、昔からの考え方から言つても、勤務地手当とか或いは最近の期末手当とか、そういうようなものは、特にその中でも勤務地手当というものは物価事情の変更に応じて改訂さるべきことが非常に多いのではないか。而も今度改正されましたけれども、物価の事情に応じて特に無給地から五級地まであるという事情のものは、これは或いは本俸に準ずべきというよりも、むしろ物価の変動に応じての特別な臨時的なものじやないかと思います。従つてそういう観点からすれば、特に憲法に報酬は下げられないという規定があるからといつて、特別の保障の手当をしなければならんということは、先ほどの中山さんのお話の、都会地は特に事件が多くて何かしなければならんという問題はこれは別ですが、そういうことじやなしに、一般的に考えれば私はどうもおかしいと思います。これは都会の問題も別の問題ですが、この程度にしておきます。
○中山福藏君 私は只今楠見委員の御質問に関連して特に一つお願いしておかなければならないと思いますのは、官吏は相当の報酬を受けるというのが憲法の規定にある。ところが今日本は経済的に内外の経済事情の変動から、物価の価格というものの変動というものが非常に夥しく現われて来る場合があるんじやないかと私たちは想像しております。従つて冒頭におけるところの私の質問をいたしたわけなんです。それで只今楠見委員がおつしやる通りに、裁判官の身分は保障され、それから報酬というものはこれを下げることができないということになりますと、この点についても相当の考慮をお互いに払わなければならんということに落ちついて来るわけです。だから憲法上におけるところの相当の報酬、官吏の報酬というものの内容、本質というものを軽々しくここでおつしやると、人事局長として大変な責任になりますから、法律的なリーダー格の地位にあられる法務省としては、この点をもう少し研究して確定不動の御答弁を一遍示して頂きたいということを私はこの際お願いしておきたい。
○一松定吉君 ちよつと政府当局に伺いますがね。裁判官の報酬を上げるということは、これは片山内閣のときにやつたと思うのですがね、芦田内閣でありましたか、塚崎君が最高裁判所の長官代理として内閣に働きかけましたときに、法務大臣は鈴木君であつたと思うが、裁判官の地位というものは、よほどこれは高くしなければならない。だからむしろ国務大臣以上にその裁判官というものの地位を高めなければいけない。我が国における裁判官に対する信頼感の強いということは、裁判官というものが至公至平で物事を見て判断することによつて、そうして国民の利害関係を裁断するということに権威があるのだから、その人の地位はどこまでも高めなければならん。その地位を高めるについてはつまり物質上の待遇をよくするということは勿論であるが、その他の社会上の地位もよくしなければならん。取あえず物質上の待遇をよくするということにおいて、報酬を上げなければならんということで上つたのでありましたが、そのときに実は国務大臣より以上に……総理大臣は別として……ということを主張したのであるが、まあこの際は国務大臣と同一待遇でよかろうということできめた。そのときに検事総長は裁判官よりも二級下に下げるがよろしい、こういうようなことで意見が随分闘かわされたのであるが、検事総長一人だけは最高裁判所の判事と同じようにしよう、一人だけは……ということで、検事総長だけは最高裁判所の判事と同じように即ち八万八千円ということになつたわけです。併しその他の検事長、検事正というものは高等裁判所長官よりも、地方裁判所所長よりも一段下げよう、こういうことでその当時にそういう手続をとつておつたのでありまするが、今度これを見ると、この次長検事というものが判事の一級官よりもこれは上げなければならん、こういうようなふうになつておるのですが、これは一体どういうわけなんですか。次長検事を一級の裁判官よりも上げる。そうして一方は七万二千円であるのに一方は七万五千円にしてやらなければならんというようなことが私にはよくわからない。このほうの一つ説明を求めると同時に、この検事の特級というものをこしらえてある。私どもの考えでは、検事長は高等裁判所の長官より一級下、検事正は所長より一級下、普通の検事は普通の判事より一級下、こういうふうなことによつて裁判官というものの地位が高まる。立派な人を裁判官にすることができる。国民の信頼というものが高まる。こういう建前でこれはやつたんだ。それは次長検事は判事の一級よりも高くするというのは一体どういうわけなんです。又普通の検事長よりも高くしなければならん。それは東京には普通の地方より検事長の優秀なものを抜擢して検事総長の下に次長というものを置く必要があるのだからと言うのかも知れませんよ。そうなつて来て、而もこの検事の特級というものがだんだんできて来て、初めはまあ全国でいわゆる指定地とかいうような所だけだというようなことで、裁判官の一級と同じようにしておつたのを、今度はそれを五年以上検事正を勤めればすぐに特級にするというようなことになつて来ると、判事の一級俸をとつておるものと検事正というものの五年以上の勤務をしたものとが同じようなことになると、折角ここに区別をつけて、そうして裁判官の地位の向上ということに努力した精神がここに没却されることになる。これはやはり私も長い間判事も検事もしておつた経験があるが、判事のほうを優遇したほうが本当にいいのです。この点に対する一つ御意見を承わりたい。
○説明員(鈴木忠一君) 只今の点でございますが、裁判官を検察官よりも優遇と申しますか、給与をやや上にきめるべきだというふうな御意見でありますが、これはこの法律では御承知の通りの結論になつておりまして、そういうふうな建前になつておりまして、その建前を今度の改正法案でも崩しておらないのであります。この法律では御承知の通り高裁長官、検事長それから次長検事、それから判事の一号検事の一号等をこの表で、参考資料の最後に出ておりますが、御覧頂きましてもちやんと一段ずつの差ができておるのであります。次長検事、これは最高検の次長検事を意味するのでありますが、それから東京以外の検事長、これは東京以外の高裁長官及び東京の検事長よりも一段下の段になつております。そうして判事の一号よりも一段上の段になつておるのであります。この体制は当初から変りがないのであります。ただその間の数額の差額が、べース・アツプのたびごとに数字の割合を端数を切上げたり切下げたりというふうなことをいたした結果、差額が変動いたしております。その程度のことで変遷して来ておりますけれども、その間の差等というものの建前はこれは崩して来ておらないのであります。今度次長検事及びその他の東京以外の検事長を数額の調整をいたしたのでありますが、これもこのままこの点についての調整をいたさないと、今まで一段下になつておつた判事の一号及び検事の特号と全然同額になつてしまいまして、この間の不均衡といいますか、建前といいますか、これが破れることになりますので、やむなくこの点の調整をしたという次第でございます。 それから検事の特号がだんだん多くなるというふうなお話がございまするが、この点も御指摘の通り、初めやはり判事のほうとは一段号俸を下に検事が定められたのでありまして、特別の者に限り、検事は判事の一号と同額の給与を支給する。これをまあ特号と現に称しておりますが、ということになつたのであります。その特別の者という標準といたしましては、大体高等検察庁所在地の地方検察庁検事正、それからそれ以外の検事でも特に一号にして相当年数の経つたもの、現在は五年以上ということを、たしか準則ができておりますが、そういうものの中から選抜して特号にしたいということにいたしておりますので、やはりこの間の判事との差額、差等といいますか、これは十分に守られておるものというふうに考えております。
○一松定吉君 この参考資料によりますと、つまり次長検事その他の検事長というものは七万二千円でしたろう、現行法では……。それが今度七万五千円に上がるのです。そうすると七万五千円に上がるのは次長検事とその他の検事長だけだね。判事は一級俸上らんじやないか、これは差額はないのですか、差別待遇があるじやないか、これをどう解釈するのか。
○説明員(位野木益雄君) 判事の一号もこの表で御覧頂きますと上つておるのでございます。現行報酬が六万九千円でありますが、新らしくきまる報酬月額は七万二千円ということになつております。
○一松定吉君 私の言うのは、間違つたのは取消します。次長検事をなぜに検事長と同じにしなければならんのか、この説明を一つ聞きたい。それから特級というものが、検事に特級があれば所長にも特級を設けなければならない。なぜ検事だけに特級を設けて、所長に特級を設けないのか。検事に特級を設けるということは、検事の地位が判事より一段下だから特級という色を設けて判事と同じにしようという趣旨でしよう。それがよくないと言うのだ、その説明を聞きたい。
○説明員(位野木益雄君) 次長検事は御承知のように最高検の検事総長の下にありまして、全国の検察庁の指揮の実質上の賄いをする非常に重要な地位にあるわけであります。で、そういうふうな関係から、この法律ができました当初から、やはりほかの検事長と同格、東京以外のほかの検事長と同格にいたしておるのであります。検事長級の人が検事総長の下にいて、そうしてその事務をやつて行く。これは相当であるし、必要であるというふうな考え方に基くものと考えられます。それから検事に特号があれば、判事にも特号を設けるべきじやないかというふうな御意見の点でございますが、これは当初この両法律ができますときに、いろいろ論議されました結果の、両者の調整の一つの解決策といたしまして、判事、検事には一段の差等を設けると共に、特別の者については検事の特号とし、判事の一号と同格になり得るということにするのが適当じやないかというふうなことから、このいうふうにきまりましたので、その建前を貫いておるのでありますが、判事についても特号を設けるべきかどうか、この点は更に新たな問題になつて来るのであります。これはなお研究問題として研究させて頂きたいというふうに考えております。
○一松定吉君 私の言うのは、裁判官は検事よりも一級上に上げておくということが裁判官を優遇する意味においていいと、こう言うのです。然るに裁判官と同じように……、検事に特というものを設けて、裁判官の判事の一級と検事の特をこしらえて地位を同じにしようというそれ自体が我々の考え方と違う。本当から言えば、同じ大学を出て、同じ試験を受けて、同じように司法部に奉職して、同じように国家のために尽して来た人間に差別を設けることがよくないということになるでしようけれども、裁判官というものの社会における地位というものを他の官吏よりも高くしなければならないというような建前からずれば、やはり判事というものを一級高くしておくということはよろしいということから、こういうような差別を設けるに至つた。昔は司法部にいたときに同じだつたが、それの差別を設けたのは、そういう意味から設けたのであるならば、検事に特別待遇というものを設けて一級判事と同じようにするならば、判事もやはり同じ特別待遇で、検事と同じように判事のほうでも特別待遇で一級上げるということになると、やはりそこで検事の特別待遇よりも判事の特別待遇というものが一級上るということで、社会的の地位が一級上るということになる。然るに判事に特別待遇で一級上げないで、検事に特別待遇をこしらえて判事と同じ地位にする、而も五年経てば特別待遇で皆上るのだということになつて来れば、折角こういうように差別を設けて地位に上下を付けたのが結局抹殺されてしまうようになるがこれは如何ですか、これを聞きたいのです。だから私の言うのは、成るほど判事を一級高くしておくことがよろしいというならば、検事も特別の技倆、手腕、人格、識見というものを持つておる人がありましようから、差等を設けてよろしいと思いますが、それなら判事にも、高等裁判所裁判官の判事の一級というものはやはり検事正と同じような待遇を、検事正の特と同じような待遇を設ける、地位を設けることがいいのじやないか、これを聞くのですが。
○説明員(位野木益雄君) 裁判官のほうを検察官よりも、給与の点において一段上にすべきである。この点の主張は御尤もと考えるのでありますが、御承知のように、この法律ができます際には、非常に政府といたしましても、裁判官、検察官の報酬、俸給のバランスというものをどの辺に定めるべきかということについて苦慮いたしたのであります。でそれの御審議に相成つた両院におきましても、相当御苦労なさつて、いろいろ御苦心の結果、現行のような両者の調整の法律ができ上つたのであります。で判事についても更に御意見のように特号を設けるべきかどうか。これも誠に御尤もな御意見でございますが、若しそういう建前をとるといたしますと、その際にいろいろ問題になつた調整の一つのバランスを一つ破るということに相成る結果になるかと思います。この法律ができます際にいろいろ御苦心になつてきめられましたこのバランスを今この際破るというところまでの考えはまだできておりませんので、現行の建前に従つて今回の改正案を決定したという次第であります。
○一松定吉君 私はバランスを破るほうがいいと言うのですよ。検事よりも判事を一級上げるほうがいい。だからバランス破り論だ。あなたのは判事と検事を同じようにしようというお考え、それが間違つておる、こう言うのです。一体検事に特というのを設けてそれがだんだんあなたがたのほうで範囲を拡げられて、五年経てばもう特になるというようなことになつて来ると、検事正の地位に五年以上の者が三、四十人もおるということになると、判事の一級と同じ地位になつてしまう。あなたのほうから言えばバランスがとれることになるかも知れんが、我々のほうから言うとバランスを失したことになる。だから判事というものの一級に特というものを付けて検事よりも一級上げる、私のほうは検事よりも一級上げるという建前でやるのが正しいのじやないか、こういう理論です。だから検事に特を設けるのはいいが、それなら判事においても一級地位を上げるようにしたらいい。裁判官の地位を高めるということと反対になることはよくない、こういう理論です。どうです。
○説明員(位野木益雄君) 只今の実績を申しますと、検事の特号は二十九名おります。それから判事の一号は百名以上、百数十名いるそうでございます。そういうふうな点からも考えまして、ここに差等を設けた点が今すでにその均衡を破られておるというふうに考えるところまで行つていないのじやないか、十分にやはり均衡は保たれておるのじやないかというふうに考えておるのであります。
○一松定吉君 私の言うのは均衡を保つことはよくないというのです。判事を検事より一級上げるほうがいいと思うのです。均衡を保たんほうがいい。あなたの検事を判事の上に引上げて同じようにしようというのは間違いだ、こういう理論です。のみならず判事補に特というのがあり、副検事に特というのがあるね、簡易裁判所にもある。そうすると検事に特を設けて判事に特を設けられぬことはないじやないか。若し検事に特を設けるなら判事にも特を設ける。五年以上経てば特にするというような、内規を設けて例えば特定の指定地とか六大都市というような所の検事だけは特にするというのならいいが、五年以上の者は特にすると、こういう内規でしよう、それはどうなつているのですか。
○説明員(位野木益雄君) 先ほど申上げましたように、高等検察庁所在地の検事正は当然でありますが、それ以外の検事も、一号の俸給で五年以上たつたものの中から特号に進む、こういうふうになつております。
○一松定吉君 そうでしよう。それならば裁判官にも特を設けたらいいじやないか。裁判官の、最高裁判所長官、最高裁判所判事と高等裁判所長官というのは数がきまつている。裁判官の一級俸を取つているものは上に上れない。幾ら経つても頭数が皆で十五人、それと高等裁判所が八つあるというと二十三人ですね、二十三人上にいると、自分は一級俸を取つていると、幾ら経つても上がれない。そのときに、今そういう待遇の意味において特を設けて一号上げて、五年なら五年経てば……。或いは指定地とかいう所におる者はということにすれば均衡を保てるのじやないか、なぜそうせんかと聞くのですよ。実はそこまで気が付かなかつたのだとか、将来考えますとかいう答弁ならわかるけれども、あなたのように均衡論から言えば今僕の言うような反撥が起る。
○説明員(位野木益雄君) 御同情のあるお言葉でありまして、決してそれを反対するというふうなことは全然ございませんです。ただやはり先ほど申上げましたようないろいろ論議の末きめました検察官とのバランス、或いはほかの行政官吏とのバランス、それから財政上の制約、そのほかいろいろやはり難関がございますので、研究さして頂きたいと思います。
○一松定吉君 ほかの官吏との均衡左んということは間違いですよ。裁判官はすべての官吏の上に置くのだ。こういう建前で行かないと、裁判官の品位とか、地位の向上とかいうことにならんわけです。そこで裁判官への国民の信頼というものが高まるわけなんです。今、日本で本当に公務員に対する国民の信頼感の強いというのは、裁判官をおいてほかにないと思う。総理大臣でも、国務大臣でも、政務次官でも、国会議員でも、非難百出のとき、ひとり裁判官に対しては、その地位を保ち、その地位の尊厳を維持しようということに我々も努力し、国民も考えておるのだから、一般官吏との均衡とかいうことよりも、裁判官は常に一段高いものだというような頭で、この待遇を改善するということに一つ御留意を願えれば、我々もそういう意味において大いに協賛しますよ。そのことだけを申上げておるだけです。将来一つそういう方針でやつて下さい。質問終り。
○赤松常子君 私ちよつとお尋ねしたいのでございますが、先ほど中山委員もおつしやいましたように、とても忙しくオーバーの仕事で疲れていらつしやるのがどうも裁判官の実情のように考えます。それで今度の新らしい改正に当りまして、そういう非常に忙しいところのかたに対して、特に何か改正に温かい考慮が払われているかどうかということを先ずお聞きしたいのでございます。
○説明員(位野木益雄君) 非常に御同情のあるお言葉でございますが、この忙しい土地の人について特別の何らかの優遇の措置を考えたい、これは我々も常にそういう点について苦慮しておるのであります。機会あるごとにそういうふうな何か余地がないかということを心がけているのでありますが、なかなか力の及ばないせいもありまして、実現に至らないのでありますが、今度の給与の改正で、せめて御趣旨に副うような部分といたしますれば、勤勉手当というものが従前よりもやや増額されまして、そこに差等を設け得るというふうな点がございますので、そういうふうな点では大いに御趣旨に副うような運用をするように、当局で配慮をするように期待いたしておるのであります。それ以外の点につきましては、それのみでは決して十分ではないのでありますが、まあこれは昇給の点そのほかの点で賄つてもらうというふうなことが解決次第でございますが、この点についてはなお問題もありますので、制度上どういうふうにすべきかというようなこともなお研究させて頂きたいと思います。
○赤松常子君 この号俸の中で一番人数の多い号俸はどこぐらいのかたでございますか。具体的に……。
○説明員(位野木益雄君) 検察官について申上げますと、検事では二号が一番多いようであります。それから三号、四号というふうなものであります。それから副検事はやはり二号、四号、六号、七号、八号の順でございます。
○赤松常子君 それから最近婦人のかたで、検事及び判事に任用されていらつしやるかたがだんだん殖えておりまして大変嬉しいことだと思いますが、先だつても私名古屋に参りまして和田判事にもお目にかかりまして大変元気でお働きになつていらつしやいまして、非常に私ども喜んでいるわけでございますが、尤もこういう時代でございまして、とても最近いろんな職場に出ております婦人の場合に差等が設けられる傾向が随分ございます。例えば学校の先生あたりも、規則の点では男女差はないということに一応なつておりますけれども、実質上によく掘下げて伺つてみますと、いろいろそこに難癖を付ける、ちよつとしたことに何か厳しい批判をいたしまして、実収は減つているという実情が、そういう面にもございますし、職場にもいろいろあるわけなんでございますが、まあ私はそういうことがなかれと願つてお尋ねしたのでございますが、額面通り、男女差なくそういう婦人のかたがたに行われておるのでございましようか、如何でございましようか。
○説明員(鈴木忠一君) 裁判所のほうといたしましては、現在たしか全国で六名の女の裁判官がおるわけでございます。東京、名古屋、その他徳島、浦和等におります。そういう裁判官についてはおのおの任官の期がございます。同年度になつた裁判官は、例えば第何期というように、期によつて昇進の時期等がそれぞれ内規によつて行われておるわけなんですが、その線から女子の裁判官なるが故に外す、男子なるが故に早めるというようなことは少しもいたしておりません。ですから差別待遇を女性なるが故にしておるというようなことは絶対にないと断言し得ると思います。むしろ部内ではその俸給とか待遇とかいう部面以外で、対人的には女性なるが故に大いにいたわられて、却つて男性に比べると鍛えられない面があるのじやないかということは言えるかも知れませんけれども、待遇その他の面で女性なるが故に差別される。不利に置かれているということはこれは絶対にないことが断言できます。
○赤松常子君 今おつしやいました言葉の中に、成るほど私どもがそういう女性だからというので、甘い気持があるということは厳に戒めて参りたいと思つております。私どもよりよりそういうことに対しましても話合つて、十分力量技能を磨いて行くことに努力して行きたいと思いますが、どうぞくれぐれもそういう面の差別のないようにこの待遇及び昇給、昇格に対して、今後そういうことが起らないということをお願いいたします。 それからもう一つ適当な機会に御報告願いたい。この前の前の委員会でございましたが、申上げておきましたが、十一月四日に農民組合のデモがあつて、そしてそのときに大蔵省のあそこの通りで何か事件が起りまして、その判決というのですか、どういうふうになつておるかということを適当な機会に御願告願いたいと思つておりましたが、どうぞ次の機会でよろしうございますから、そのお取扱いなり、処分をお知らせ願いたいと思います。
○委員長(郡祐一君) 今御回答願えますか、願えませんければ三浦政務次官に申上げておきますが、会期中に一つ御説明願います。
○中山福藏君 ついでにこの際私お伺いしたいのですが、これは判検事の増俸に関する法律案だと思うのですが、一般司法職員のほうは、どういうふうに今度はお取扱いになるわけですか。
○説明員(位野木益雄君) これは一般職の職員の給与に関する法律の適用を受けます。それからなお裁判所の職員のほうにつきましては、裁判所職員の臨時措置法の規定によりまして、やはり一般職の職員と同様のことになるのであります。そちらのほうが増額になりますので、同じような工合で増額になるというふうな結果になります。
○中山福藏君 それは一般職に準ずるということは私もよくわかるのですけれども、これはやはり司法職員が特別職の一部としてこの前まではお取扱いになつておりましたね。そうすると、法律案をお出しになるのが本当ではないのですか。どうなりますか。
○説明員(位野木益雄君) これは特別に法律はいらないで、一般職のほうに乗かつておるということになつて当然上るということになると考えております。
○中山福藏君 私は思い違いかも知れませんが、この前区別して、私ども司法書記官というようなものをきめたことがございましたね。あの場合は特別取扱いしておるんじやないんですか。特別に司法職員というものの地位についての論議をしたことがあると私記憶しておるわけですが……。
○説明員(位野木益雄君) 御指摘の通り、特別の何か、一般職と違いまして特別職になつた給与体系のそれに従つて別の法律を作るべきなんでありますが、まだそこまで至らないのであります。
○中山福藏君 それは非常にどうも不公平だと思う。判検事だけ上げて、自分の何ですか、子分といいますか、そういうもののほうはおきざりにするということは、ちよつと心外のようにも感ずるのですが、どうでしようか。
○説明員(鈴木忠一君) 只今位野木説明員からして説明がありましたように、一般公務員の給与が変りますと、一般公務員に関する給与法を裁判所職員のほうにも準用をしておるわけです。ですから一般公務員に関する給与が法律で変れば、裁判所のほうも、裁判所職員の臨時措置法によつて、当然にもう自動的に変るわけです。それの内容を準用して来ておるわけですから、おきざりにするというようなことは、これは絶対にないわけです。
○中山福藏君 そのおきざりにするという私の言葉はですね。いわゆる特別職として司法職員をお互いにこの前取扱つたんですから、その際準用ということはありましても、やはりそういう点は、その都度あの場合の準用というものは、この場合にも同じように適用があるのだということを申し添えないでもはつきりしておりますか、それは……。
○説明員(鈴木忠一君) 恐らく只今の御質問は、つまり裁判所の職員が特別職でありながら、特別職としての独立な立法をしないで、一般職に関する法律を暫定的に準用しておる怠慢をお責めになつた意味と存じますが……。
○中山福藏君 そうなんです。
○説明員(鈴木忠一君) これは確かに御指摘のように、怠慢と申されれば怠慢でございますが、ただ例の国家公務員法の改正ということがもくろまれておつて、それがこの次に出る、この次には出るかも知れないというように言われておりますものですから、特別職の裁判所の職員に関して先走つて独立の法案を作るよりも、それも勿論一つの方法でございますけれども、一般職の行き方を十分見た上で、そうしてそれを参酌して自分たちのほうの職員に関する立法をするほうが筋道としてはおだやかではないか。又考えようによつては実は有利ではないか、そういうように考えておりますものですから、若干遅れているような始末で、怠慢を御指摘になられれば、まさにその通りと存じます。
○中山福藏君 それでそういう点を一般職の関係のかたがたとよく御協議下さいまして、むしろ法律関係においてはあなたがたのほうが主導的な立場に立たれるというのが、私はこの法務関係のかたがたの地位を権威あらしめるものだと考えておりますから、どうか一つ善処をお願いしておきます。
○一松定吉君 ちよつと伺いたいのだが、どうも俸給を上げるということは、私どもは国家財政の許す限りにおいては反対しないんですが、不公平なやり方、待遇じやよくないと思うのだがね。今この表によりますると、最高裁判所長官、最高裁判所の判事、それから高等裁判所の裁判官その他高等裁判所の長官、検事総長、検事長というものが、今度は検事長、次長が上るのだということになるのだが、東京の高裁長官や東京検事長は上らんということになる。そうすると管理職手当というのが俸給の二割五分、それから家族手当というものが普通の官吏一般に妻ある者六百円、長子六百円、それ以外のあとのものは四百円、こういうことがある、これは適用されるんでしよう。そうするとね。七万二千円取つている人は管理職手当二割五分を加えますと、それが丁度一万七千六百円になるからして、七万二千円に一万七千六百円を加えると八万九千六百円になる。それに家族手当、家内と子供二人あると見ると、それが二千円になる。それを加えると九万一千六百円になる。そうすると認証官は八万二千円にかかわらず、認証官でない者で、地位の下である者は九万一千円六百円ということになる。これは実に私は不公平だと思うのだがね。だからしてこういう不公平を是正するためには、やはりこういう者にも管理職手当若しくは家族手当というものを出すようにすることがよくはないか。認証官であるが故に家族手当が要らんのだ、管理職手当が要らんのだ、認証官でないが故にそういうようなものが要るのだということはこれは不公平だ。こういう点について政府当局に、これは本当は一般的に伺いたいのだが、司法部の皆さんがたはどう考えていらつしやるか、これを一つ御意見を聞いてみたい。
○説明員(鈴木忠一君) 御指摘になりましたように、裁判所、検察庁を通じまして認証官には家族手当がございませんし、それから年末に出されます勤勉手当というのもございません。それから更に一般職のいわゆる管理者階級に最高二五%まで付けておるところの管理者手当というのも裁判官、検察官にはこれはないわけです。従つて認証官たる裁判官、検察官にもこれは付けられておりません。そういたしますと今御指摘になりましたように、十五級職の四号と最高裁判所の裁判官を比べますと、十五級職のつまり一般職の一番上の職員の俸給が実は認証官たる最高裁判所の裁判官よりも多いというような結果になるわけです。そこでそういう点を是正するには今御指摘になつたような管理者手当ということをやはり裁判官、検察官についても考慮すべきではないかということがすぐに考えられるわけでございますけれども、この管理者手当というものについては、大蔵省はこれは一般公務員に対する超過勤務手当を変形したもの、つまり超過勤務手当を管理者についてはやらない代りにそれを変形して管理者手当というものをやる。然るに裁判官、検察官については超過勤務手当が法律上与えないことになつておるから、変形された管理者手当というものもやれないのだ、こういうふうに大蔵省当局は主張して、結局裁判官、検察官には付けられないということに只今はなつておるのです。併し私どものほうとしては、成るほど発生的には超勤というものを管理者手当というものに変形したということが言えるかも知れない、それからその当該の年度においては超勤の予算の中から管理者手当というのを、賄うと言つておつたから賄つたかも知れないけれども、次年度からは、つまり今年度からは予算としても管理者手当というものは超過勤務手当とは別個に計上をして実際やつておるわけです。そういう面と、ですから管理者手当は形式的に言えば法理上は超過勤務手当ではないということも言えるかも知れないと思うのです。これは見方によつては言えるとも言えないとも言えましようけれども……。それからもう一つはそれならばどの程度の人に管理者手当を実施しておるかということを私どもは検討をして見ますと、例えば特許局の審判官というようなものにまで管理者手当、二五%の管理者手当を現在やつておるわけです。そうしますと裁判官、検察官というようなものに対しても全部とは言えないにしろ、或る程度の裁判官、検察官にはその地位に応じて管理者手当というものを理論上も実際上も付けて差支えないのじやないかというような疑いを持つておるわけです。この点は併し一応発生的にそういうことでスタートいたしましたから、裁判所といたしましても検察庁としましても遮二無二これを同率で獲得しよう、付けようということは目下のところは考えておりませんけれども、将来はこれは当然問題にして、そして実態をよく見極めて裁判所も検察庁も主張すべきだ、その時期をいつにするかということはまだ両者会議しておりませんけれども、いずれこれは必らず問題になつて、場合によつては委員会にでも御尽力を願うようになるのじやないか、そういうふうに考えております。
○一松定吉君 よくわかりました。それならばやはり認証官でない下のものが収入が多くて贅沢な暮しをしているということはよくない。一体歳費とか俸給というものは、収入でその生活をよくするとかいうことでなくて、品位を保つということのための月給です。品位を保つというための待遇なんですから、そういう意味からすれば、次官が九万円以上というのならば、高等裁判所の裁判官は八万八千円しか取らん、長官は八万二千円しか取らんということはこれはよくないと私は思いますから、こんなことは遠慮することはないから、一つどんどん請求してやることは私は正しいと思います。それは一つ我々は提案になれば支持しますから、これは何も裁判官に限りません。他の一般の認証官もそうでなければならんと私は思つておりますけれども、国費の都合でそういうような支出ということは困るからということで、便宜的に、一時的にこういうことをやるのは止むを得ないとしても、併し理論から言えば私の質問し、あなたのお答えが正しいと思うから、そういう線に一つお進み願いたいと思います。
○宮城タマヨ君 判検事の報酬や俸給の増額についての問題に関連いたしまして、私ちよつと官舎のことについて伺いたいと思つております。焼けました判検事に対しての官舎はもう大抵でき上つておりましようか。
○説明員(鈴木忠一君) 裁判官の官舎は終戦前の状態を申上げますと、裁判所の方面としては大体所長それから予審判事それに監督書記、書記長こういう面が大体官舎を持つておつたのであります。検察庁のほうについて申し上げましても、大体検事正、次席検事正、それから検事局の監督書記、控訴院の検察局の事務局長そういうのが大体持つておつた、非常に官舎としては少なかつたのでございます。それで終戦後は国会その他の御尽力によりまして、終戦前に比すれば一般の裁判官の官舎というものは極めて数が多くなつておりますけれども、現在それならば全裁判官のどのぐらいのものが官舎に入つているかと言いますと、恐らく一割、二割は入つておらないのじやないだろうかという状況でございます。毎年大体予算の上では各裁判所に一戸ぐらいずつ立つて行くというような予算の程度でありますから、全部の裁判官が官舎に入れてもらうというようなことはとてもこれは将来何十年というような時日を要するのじやないかというような状態でございます。併し数の上から申しますと、最前申しましたように終戦前の裁判所に比べれば相当に数は上廻つております。これは裁判官の地位を、待遇等を上げて頂いた結果には相違ないのであります。
○説明員(位野木益雄君) 検察庁のほうを申上げると、大体検事正は一通りは揃つたようであります。でそれ以外のほうは検察庁は特別のものとしては余り復活いたしておらないのであります。例えば検事長なんかもまだないかたがある。ただそのほかに御承知のように一般公務員については公務員宿舎というのができております。その割当をやはり法務省も受けましてそれに検察官も入つているのであります。その数はこれはまあ普通の各省の割当よりもやや多く割当をもらつているというような状態でありまして、それを入れますれば戦前の数よりも上廻つておるというふうに考えております。
○宮城タマヨ君 判事のほうは大変整つているように伺つたのでありますが、検察陣のほうはこれは仕事の性質上どうしても義務的にでも官舎に入らなければ、検察の運営が十分にならないというその性質上、判事の官舎も必要でございますが、もつと早く整わなければならないように考えておりますのですが、それがまだ検事正及び次席検事の官舎も整つておりませんということは大変遺憾に思つておりますが、仕事の運営について差障りがあるというようにお感じになつていることはありますでしようね、如何ですか。
○説明員(位野木益雄君) 只今申上げましたように公務員宿舎の割当がございますので、まあ非常に手狭で、又数も十分ではございませんが、まあ責任ある地位の者、或いは枢要な者は優先的に困つている場合には入つておりますので、現在のところ差当り事務にひどく差支えを生じているということはございません。ただ決して十分ではございませんので、而もまあ今御指摘のように緊急の用務に直ちに赴くというふうな特殊の地位にありますので、今後十分そのほうの整備に努力いたしたいと考えております。
○宮城タマヨ君 一般の公務員宿舎に入れてもらうということもですけれども、私は地域的に、距離の問題でも非常に一分一秒を争う問題があると思つているのです。それで一般の者と同じようにただ雨露をしのげばいいという点では事が足りないというように思つておりますので、十分にお考えおきを願つておきます。又これは裁判所、検察庁両方に伺いたいのでございますけれども、一時非常に家がないために必要な転任もできないというようなことがございましたが、目下の状態は如何でござごいましようか。
○説明員(鈴木忠一君) 裁判所のほうの事情を申上げますと、やはり住宅問題のために転任がでできないというようなことが現在相当ございます。
○宮城タマヨ君 検察は如何でございましよう。
○説明員(位野木益雄君) やはり遺憾ながら同様の事情でございます。
○宮城タマヨ君 検察側で義務官舎にも相当するもので、今大なり小なり家賃を納めていらつしやるようでございますが、これはどういうわけなんでございましようか。
○説明員(位野木益雄君) これは御承知のように公務員の宿舎に関する法律ができまして、やはり公務員といえども原則として宿舎に対する補償をするというふうな建前になりましたので、特別の者を除きましてやはり原則として納めるという建前の適用を受けまして、そういうふうなことになつたと考えます。
○宮城タマヨ君 義務官舎でございますから、これはもう仕事の上にどうしても必要だと思うんでございますが、私まだその点法律の面を調べて参つておりませんけれども、常識的に考えると大変おかしいように思うんでございますが、大体どれくらいの率の家賃を払つておりますか。
○説明員(位野木益雄君) まあ一般に比較いたしましては、やや、やはり割安と申しますか、そういうことになつておるようであります。やはり公定とか、そういうふうな点から来ておりますですから、一般の現実の貸家よりは安くなつておるようでございまして、ただ三間ぐらいの小さいところであるならば、月千円以下ということであるかと思つております。
○宮城タマヨ君 これは、官舎は公用、私用というように、名目はやつぱり分けて使つていらつしやるようでございまして、それで私用と称するところから言うと、まあこのくらいの家賃だというような理窟らしうございますけれども、これが私は一般国民に対しまして非常に悪影響があると思つております。今特に住宅難の折でございますから、これは本当に義務的に必要だというものに対しては、これは堂々と私は義務官舎に入るべきだというように考えておりますが、それは当局で一つ研究して頂きたいと思います。法律を直しますことは私どもの責任でございますから……。
○委員長(郡祐一君) 質疑はなお次回に続行することにいたし、次回は明四日午前十時から開会することにいたしまして、本日はこれを以て散会いたします。 午後零時二十八分散会