外務委員会 第4号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/12/04
会議録
○委員長(佐藤尚武君) 只今より外務委員会を開きます。 議題に入る前に曾祢委員から御質問があるそうでございまするから、先ず曾祢委員に御発言を願います。
○曾祢益君 簡単に質問だけさせて頂きたいと思うのですが、実は奄美大島の返還問題に関連いたしまして、これは参議院から現地に派遣された同僚議員の御報告の中にもあつたので、同僚委員のかたは御承知だと思うのでありまするし、又私のほうに在京の奄美大島返還問題のことをやつておられる諸君からも直接伺つたことなんでありまするが、この奄美大島の日本帰属に関連いたしまするいろいろな問題の一つといたしまして、現に奄美大島の諸君が非常に心配しておられる一つの問題は、奄美大島出身者であつて現に沖縄にいろいろな職業等を持つて永住しておるのもあるだろうし、一時的に出稼ぎの人もあるだろうと思いまするが、これらの人々が日本帰属と共に実質的に沖縄における生業ができなくなる、もう追い返されるといつたような不安に襲われているそうでありまして、これによつて左右される人の数ははつきりいたしませんが、或いは二万五千人といい或いはそれ以上ともいわれておるわけです。これは非常に容易ならないことでありますし、この問題も含めて当然に政府とアメリカ当局との話合が行われていると思うのでありまするが、この問題は非常に重大でありまするので、その点についてそういう不安がないようにやつてもらうことが必要だと思いまするが、取りあえず現交渉段階においてどうなつておるのか、又現地の奄美大島の住民諸君の無理からぬ希望に対して、希望に副うような努力をしてもらいたいということにつきまして外務当局に質問をしたいわけであります。若し今日こつちへ来ておられる政府委員、説明員等の説明がありますれば伺つておきますし、なおこの問題は政治問題でありまするから、別の機会で結構でありまするから、外務大臣或いは政務次官等からも御説明頂き、更に質問なり意見を開陳いたしたいと思いますので、今日はこれだけ発言さして頂きます。
○政府委員(下田武三君) この問題はアジア局長が主管いたしておりまして、只今別の委員会に出ておりますので、必要がありますればその委員会からこちらへ廻つてもらつて御説明するほうが妥当かと思いまするが、只今のところ曾祢委員の御指摘の問題は日米間の議題に上つておりません。と申しますのは、日米間で取極めの交渉を今いたしておりまするが、この取極めはそういう問題を全然含んでおりません。ということは、つまりアメリカ側が奄美大島が日本に還つたならば、奄美大島出身の日本人で沖縄に来て働いておる者を奄美大島に帰つてもらいたいというような希望は一度も申したことがございません。のみならず、むしろ向うは人手不足なのでありまするから引続いてそういう人手を使いたいのではないかと、これはまあ推測でございまするが思われるのでございまして、若しそういう希望があるなら当然先方がとうに取上げて来ておるだろうと思うのでありますが、実際のところこの問題を先方から提起して来ておりませんので、私どもといたしましてはそういうことはむしろ杞憂ではないか。現地で或いはそういうことを恐れておられるかたが多くあるかも知れませんが、現在までのところ東京におきます交渉ではそういうことは問題になつておりません。
○曾祢益君 杞憂なら結構だと思うのですし、又そうでありたいと思うのですが、現に杞憂にしろ憂いを持つておる人があるのでありまするから、この点は交渉に取上げるか、或いは取上げなくても明白であるならば、杞憂であることが十分にわかるような御措置が願いたいと思いまするが、これはやはり主管当局或いは責任当局である政務次官或いは外務大臣に御質問したいと思いまするので、今日はこの程度にしておきます。
○委員長(佐藤尚武君) では今の問題はこの次の機会に外務省の責任当局から説明を頂くということにいたします。
○中田吉雄君 その際に一つ余り時間も取りませんから、戦犯の釈放の問題についていろいろお聞きしたいと思いますので、促進する意味で一つ関連して簡単ですから一つ機会を与えてもらいたいと思います —————————————
○委員長(佐藤尚武君) 本日の議題は、関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する宣言への署名について承認を求めるの件であります。本件につきましては昨日の委員会で仮加入の交渉経過内容、我が国の通商貿易政策の現状及び提出された資料等について説明を承わることに決定しておりまするので、本日は先ず経済局長から説明を求めることにいたしたいと思います。
○羽生三七君 この際具体的な利害得失、それはこの一般税率及びガツト税率に現れたこの表に示されたものだけなのか、或いは又それ以外にいろいろな関連事項があるのか。或いは又新聞の報道では、この仮加入の条件としてカナダその他の国から必要以上の買付けもせにやならんというような反対給付的な問題もいろいろありますので、具体的な利害得失も併せて一つ御説明願いたいと思います。
○政府委員(黄田多喜夫君) 我が国のガツトの加入と申しますものは長い間の懸案でございましたことは御承知の通りでございます。それが、これも前の国会でお話申上げた点でございまするけれども、いろんな障害から実現し得なかつたというわけだつたのであります。この初期におきましては、イギリスを初めといたしますところのいわゆる英連邦諸国というものの熾烈なる反対がございまして、そのためにどうもうまく行かなかつた。それがやつとその段階が落着きましたところ、次に来ましたのは思わざるところの障害でございまして、即ちアメリカの政府の更迭、それに伴うところの現政権がアメリカの将来の外交政策、殊に関税或いは経済一般に対するところのアメリカの長期に亙る政策を早急に決定しないという政策をきめましていわゆるランドール委員会というものを設けましてあらゆる角度から本件を検討いたしまして、それが結論を出したところで初めてアメリカの長期に亙るところの経済政策というものを決定する、それが決定するまではメージヤー・タリフ・ネゴシエーシヨンというものを行わないということを決定いたしたのであります。これは何も日本を目当とするものではございません。いわんや日本のガツト加入を困難ならしめようというふうな目的に出でたものでは絶対にないのでございますけれども、而もそれがはしなくも日本のガツト加入というものを困難ならしめたということになつたのであります。と申しますのは、御承知の通りガツトと申しますのはお互いに関税を低くして自由な取引をしようという理想を持つたものでありまするけれども、それを一歩掘り下げてみますと、何とかしてアメリカの関税を引下げさせまして、それによつてアメリカにたくさん物を売ろうという各国の狙いであります。つまりそれによりましてできるだけ多くの物資をアメリカに売りまして、そうしていわゆる各国のダラー・シヨーテイジというものを少しでも緩和したいというのが狙いでございます。従いましてアメリカが大きな関税交渉というものは行わないのだ。これは六月の十五日でございましたか、向う一年間はいわゆるアメリカの互恵通商法というものを単純延長するということにいたしまして従つて各国と行政部がなし得る関税の譲許の中というものは今まで通りということを決定いたしましたために、改めてガツトのいわゆる多角的関税交渉というものは行い得ないということになつたのであります。従つてその日本の通常の手続によるガツトヘの加入というものはできなくなりまして途が塞がれたわけでございます。従いまして日本のかねての希望でありますところのガツトヘの加入を実現さすためには何か便法を講じなければならんということになりまして、このたびジユネーヴで開かれましたところの委員会におきまして、日本は便法を案出して提出いたしたのであります。つまり無事にガツトに仮加入するためには関税交渉ということをいたさなければならないのでありまするけれども、今申しましたような事情でそれができない。このできないというのは、日本の事情によるのではないので、日本は熾烈なる希望を持つておるのにもかかわらず、よそから来るところの理由によつて日本の加入の途が塞がれたのである、従つて何とか便法を講じてもらわなければならんというので、日本側はガツトに加入させてもらつてそのガツトの権利義務というものはこれを享受したい、併し各国ともガツトに入るためにはそれ相応の犠牲を払つておるのだ、つまり関税の譲許というものをもう少し高い入場料を払つて入つておるのだから、日本も只で入れてくれということは申しません、日本は将来に亙りまして本加入が認められる期間に至る間相当品目の据置ということを約束いたしますという提案をいたしまして、それが容れられまして今度のガツトの仮加入ということが実現したわけでございます。御承知の通り、イギリスと豪州とニユージーランド、南阿、南ローデシアというものが反対……反対ではございません、棄権いたしましたけれども、その他の国は日本の加入に原則として賛成だということで二十七対六でございますかで加入が実現されたわけでございます。 さて然らば加入した後、状況はどうであつたかと申しますと、御承知のように、アメリカは日米通商航海条約によりまして、日本の意思によらずして日本がガツトの一員になれない間は、日本に対してはガツトの税率をやるということが二十四条に規定してございますが、それによつてアメリカは日本に法律的のガツトの税率を適用してくれておるというわけでございまして、イギリスはイギリス本国に関する限り、事実上日本にその待遇を与えてくれておるのであります。ただイギリスは法律的権利として与えるということは好まないということを申しておりまして、事実上与えておるけれども権利として享有しておるものではないのだということをはつきりいたしております。従いまして、只今のところ日本にガツト税率の恩恵をくれていない国の目ぼしいものといたしましては、今までくれていません国はカナダ、豪州、ブラジル、南阿、ニユージーランドというふうな国でございます。これらの国で然らばどういう実際上の差別があるのかと申しますと、羽生さんが只今御指摘になりました点を具体的に申上げますと、例えばカナダを例にとりますと、カナダはいわゆるプレフアレンシヤル・タリフ(英連邦特恵関税)というのがございますのでそれと、ガツト税率というものと、それから最高最低ガツトというふうな三つの税率になつております。例えばまぐろは缶に入つたものでありますけれども、これが最高税率は三〇%、最低が二二・五%、ガツトも二二・五%というふうになつております。かに缶詰、肝油、天然真珠というふうなものも大体今申上げましたような最高というものと最低、ガツトというものが今申上げましたような比率で違つております。それから最高と最低とガツトというものがそれぞれ違つておりますものを申上げますと、例えば羽二重はガツト税率は二五%プラス五セントというふうになつておりますが、これが最低税率になりますと三〇%プラス七・五セント、最高税率になりますと四五%にプラス一〇セント、この一〇セント、七・五セント、五セントと申しますのは、一ヤードにつきましてそれだけのエキストラの割合がかかるということでありますが、そういう状況になつております。従いまして、今まで日本は最高税率というものを課せられておつたわけでございまするけれども、これがこのガツトに今度加入いたしましてこれらの国が日本との間にいわゆる宣言というものにサインをいたしますと、日本に対する適用税率がいわゆる最高からこのガツト税率というものまで引下げられるということになる次第であります。これが果してどのくらい金額で違うであろうかということはなかなか予想は困難でございまして、ただ今まで出ていた額がどのくらいであつて、それに適用されていたところの税率がどのくらいであつたかということだけはフアクトを以てお示しできるのでありますけれども、さてどのくらいこれが伸びるであろうかということは予想し得ません。まあどのくらいになるであろうというラフなエスチメイシヨンはできますけれども、それ以上にはできがたいのであります。 さて今申上げましたこのカナダ、ブラジル、それからフランス、豪州、ニユージーランドというふうな中で、さつき申上げましたように、英連邦諸国はカナダを除きまして恐らく宣言にはサインいたしません。これが実質的に日本に得になるであろうというふうに認められますものは、カナダ、ブラジルであります。フランスはこれはまだわかりません。英連邦のカナダを除くところのほかの国は、もう殆んど確実に宣言にはサインいたさないであろうと思われますので、実質的にどれだけの具体的に利益がある国ということを申しますと、恐らくカナダとブラジルであろうと存じます。 さて、先ほどもう一つ御質問がございましたが、このガツトに加入するがために犠牲を払つたようなことはないかとおつしやる点でございますが、これは先ず第一に犠牲と申しますと語弊がございますが、と申しますのは当り前の入場料であるからと思うのでありますけれども、日本は向う一年間或いは再来年の六月に至るまでの間、相当品目の関税の引上げをいたさないということをいたしております。これは日本側の受ける制約でございまして、各国ともガツトに加入いたしますためにはそういうことをやつておりますものを、日本が新たに仮加入の方式といたしましてそういうことを約束いたしましたので、これが日本側の受けますところの一番大きな制約でございます。それから各国に対していろいろなことを譲許したというようなことはないかという点でございまして、これが新聞にもそういうふうに出ておりますけれども、カナダとの間に去年の終頃から関税を主といたしまするところの通商協定を締結しようといたしておつたのでございます。この通商協定というものを長い間やつておりましたけれどもなかなか結実いたさなかつた。それがこのガツトの話とちようどあたかも軌を一にしておりましたので、この通商協定というものを作ろうじやないかということにはなつております。但し先ほど羽生さんがおつしやいましたように、カナダからたくさん物を買わなければならないというふうな約束は何にもいたしておりません。これはこうでございます。日本は御承知の通り今まだ外貨も十分にございませんので、いわゆる自由な多角貿易というものをやれない状況になつております。そこでまあイギリス何かもそういう状態でございまして、このコンヴアータビリテイということに伺つて邁進しようとしているのでありますが、このイギリスの狙いますところも、成るべく自由な貿易にしようということが狙いであります。カナダのほうはいわゆる富める国でございますので自由貿易ということに非常に主眼をおこうということを主張いたしております。つまり安い所から自由に物を買うということにする必要があるということを主張しているのであります。カナダには安くていい物が多いのであります。従つて日本も成るべくならばそういう為替割当とか、或いは地域的に基く割当とか、或いはこのクオータ・システムとかそういうものは成るべくやめて自由な取引にしようじやないかということを申して来ております。それは日本といたしましては理想的には違いない。併しながら日本を含める世界の多数国が置かれておりますところの状況からして、一足飛びにそこへ行くということは到底不可能だ。それができるならば各国ともそれをやつているはずでありますけれどもそれができない。おのおの潜在的なる内在的の理由があるので一足飛びにはとてもできないんだということで、そういう点で話合つておりまする点はございまするけれども、カナダから物を余計買うというふうなことを約束している、或いは話合つているというふうなことはございません。
○曾祢益君 一般通商政策に関連して、今一等大切なことは何と言つてもアメリカの通商自由化ということと、アメリカの現政権の下におけるまあ保護政策との傾向を如何に調整するかにあると思うので、世界はこのランドール委員会の決定が来年の四月か何かできるというので、それに非常な注目を払つているわけなんでありまするし、我々としても非常に重視しているわけなんですが、新聞の伝えるところによればこのランドール委員会に対して日本の政府から非公式な恰好で、あれは武内公使の名前によつて出したとか言つておりますがどういう要求を出されたか、先ずこの点を伺いたいと思います。
○政府委員(黄田多喜夫君) 先ほど申上げましたようにこのランドール委員会が如何なる結論を出すかということは世界的に非常に大きな響きがあるところでございますので、各国ともランドール委員会に呼びかけまして、各自の要望を伝えているという状況でございます。日本といたしましても或る種の品目につきまして、殊に日本が興味を持つておりますところの或る種の品目につきましてランドール委員会の注意を喚起し、それらに対する関税が引下げられるように、或いはもつと消極的に申上げますると、引上げられるというふうなことのないようにということを申出、或いは注意を喚起するということは極めて当然なことであります。従いましてランドール委員会に対して出しました報告には、日本が特に米国側の注意を喚起したい品物の列挙を中心といたしまして、日本の全般的な経済的な図面というふうなこと。それからもつと具体的に申上げますと、日本の経済がよつてもつて立つておりますところの只今の特需関係の状況、これがなくなつた場合にはどういうふうに影響があるかというふうなこと、そういう適切と思われる点を全部並べましてランドール委員会に提出いたしたのであります。
○曾祢益君 これは今日の新聞にも出ておりまするようにアメリカで比較的保護政策的な意見の強かつたその人と言われてもいるような、例えばセネター・マグナツソンも日本が中国貿易を促進されている、日本の行き方としてはどうしても日本が自由貿易に向いて行かなければいかん。でそれには自由世界における貿易の鍵を握つているのはアメリカなんだからアメリカ自身がやはり日本品を買うように、但しその中には勿論マグナツソン氏のことでありまするから不当にアメリカの産業を圧迫しないようにというようなことは言つております。併しこういう意見がアメリカのかなりプロテクシヤニストと言われる人たちの中にも起つていると思うのです。従つてこの問題については決して外国の内政干渉だというような顧慮なしに、日本の政府当局としてはあらゆる努力を挙げて中国貿易の問題についても勿論努力しなければいけませんが、この両建の意味においてアメリカの自由貿易、自由化の方向に力を入れるようにあらゆる施策を傾注しなきやいかんというように思うわけなんです。従つていろいろな手はやつておられると思いますし、その一つとしていわゆる竹内公使覚え書というものがあつたと思うのです。決してそれだけに限つておるのじやないと思いまするが、いちいち外交の手のうちを全部ここで紹介してくれというようなことは申しませんが、武内覚え書をこの委員会にお出しになつて我々の審議、今後の政策立案等について資するようなお考えはないかどうか伺いたいと思います。
○政府委員(黄田多喜夫君) 只今おつしやいましたようにアメリカの国内におきましても、世界の貿易を助長する、そのためにいわゆるトレイド・ノツト・エイドという風潮が非常に強まつて来ておりまして、例えばフオーリン・トレード・カウンシルとか或いは全国生産者協会とか或いはデトロイトの商工会議所というふうなものがそういう叫び声を相当声を大にしてやつております。これらの外交には大使館或いは総領事館からも随時人を派遣いたしまして、わが方の事情を話しむしろ或いはその正しい方向にそれらが進むように力を尽しております。武内公使から出しましたところの覚え書以外にも無論我々といたしましてもそういう方向に幾分かでも引きずり得るように主力を尽しておる次第であります。只今お述べになりましたランドール委員会に出しましたところの書類、これはお出しできると存じます。
○曾祢益君 もう一つ通商政策に関して。これはいろいろ同僚議員からもいろいろいいサゼツシヨンがあると思うのですが、この英連邦との関係において、それからカナダの場合は個別的な交渉にも入つているようですが、これはやはり最近開かれるイギリスとの通商交渉にも関連するのですが、どうしてもボンド・ブロツク一本にしてやつて行かなければならないものかどうか。或いは個別的にやつて行つたほうが得ではないか、これらの基本的な政策については外務省はどう考えておられるか、伺いたいと思います。
○政府委員(黄田多喜夫君) イギリスとの或いはスターリング・エアリアとの貿易を根本的に掘り下げまして、そうしていわゆる拡大せる量における均衡ということをやろうといたしまするためには、どうしても必然的にイギリス或いはその他の国、イギリスは先ほど申上げましたように事実上くれておりますけれども、その他の英連邦諸国というものが日本にくれていないところのガツトの税率の供与ということをくれるということにならなければ、根本的な解決には私はならないと思うのであります。ところが先ほども申上げましたように、カナダを除きますところの英連邦諸国は、日本にガツトの税率をくれることを棄権いたしましてくれようといたさないのでありまして、従いましてこの問題或いはそれに内在するところの問題、これをもつと論じ合いまして幾分でも両者の好意が近付きまして、そうしてそういうふうになつてくれるということが望ましい状況でありまして、恐らく只今ロンドンでやつておりますところの会合におきましても、これらの点に必然的に私は問題が触れて来ざるを得ないだろうと考えております。ただこれはイギリス側にいたしましても相当向う側の言い分も恐らくあることでございましよう。話合つてみなければわからないと思いますけれども、結論は併しそれにもかかわらずこれらの問題が剔決せられるにあらざれば根本的には解決できない問題であろうと存じます。 それからスターリング・エアリアを一本として取扱うことなしに、これを個々的に何か協定ができないかということでございますけれども、御承知のようにスターリング・エアリアというものは相当強い紐帯を持つておりまして、これを個々にやるといたしましてもそれには相当困難が附随することだと存ずるのであります。つまりスターリング・エアリアをやめてドル・エアリアとドルで取引しようということになりましても、そうすれば恐らく考えられますことは、日本からは物が出ないで向うから買わざるを得ない。従つてドルは日本からは引出しになる。それならば今までと如何なる差があるのかということになりまして、なかなか困難な問題だろうと存ずるのであります。従いまして、スターリング・エアリアをブロツクとして考えるという大前提には、私はこれを変更することは殆んど不可能というふうに考えております。
○曾祢益君 その支払協定については、なかなかいろいろコンヴアーテタビリテイの問題もありますしむずかしいと思いますが、少くとも関税の問題については個々に今後とも折衝願いたいと思いますので今後の努力を期待いたします。 次に今度は形式といいますかこの宣言に関連したほうについて一、二御質問したいと思うのですが、先ず宣言書にずらつと国名が出ておりますが、結局この宣言に例えば我が国はすでに署名しております。この中で署名する国は、この宣言案に賛成した国が全部直ちに署名するかどうか、ここにもかなり又疑いといいますか巾があるのじやないかと思うのですが、現に署名をした国、近く署名が確実な国、棄権のには廻らなかつたけれども現実には署名がなかなか困難なような国という点を、もう少し分けて説明して頂きたいと思うのですが。
○政府委員(黄田多喜夫君) 申上げますと、サインをくれそうな国にまだ日本ではむずかしいと考えているなあと思われると、非常に都合が悪いのでございますので、国名をここで申上げることは差控えたいのでございます。
○曾祢益君 大体のところでいいのですが、つまり宣言案のいわゆる採決があつたわけでしよう。そのときに賛成してくれた国はもう大体国内的にもいろいろ手続もありましようし、又なかなかむずかしい。つまり政府はそういつても議会関係で困難だというようないろいろな事情も考慮して大体賛成した二十七カ国ですか、三分の二以上の国ですね、それの殆んど全部が近く署名してくれるのかどうか、その点ですね。それからもうこれはとても駄目だという国が一体どれくらいあるのか、そういうふうな枠だつたらあなたも答えられるのじやないですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) すでに署名してくれました国が十四カ国ございます。これはオーストリア、ベルギー、デンマーク、フインランド、インド、イタリア、オランダ、トルコ、アメリカ、スエーデン、ルクセンブルグ、ハイチ、ドイツとチリ、それから恐らく近く調印を予想されますのが、極めて少部分を除いてあとの十数カ国でございます。
○曾祢益君 併しいずれにしても調印した国だけしか拘束しないわけですね。
○政府委員(黄田多喜夫君) そうです。
○曾祢益君 そこでもう一つは、その効果は調印した国同士においては、いわゆるガツト税率を適用する。日本に対してはこのここにある現税率の据置ということになるわけですね。而うしてそれは確定的なものなんですか。それともこれに書いてあるように、正式に加入というものがあるまでということと、もう一つ時期的には一九五五年の六月末までの効力しかないというような効力の制限ですね。それとこれとの関連についてどういうことになりますか。
○政府委員(下田武三君) 先ず期間の点につきましては、只今仰せのように正式加入或いは再来年の六月末までということになつております。併しこれは再来年の六月までに若し日本が正式加入できない場合に、必ず再来年の六月末で切れてしまうかどうかという点は、日本だけの問題としてでなくて、ガツト全体の問題としてその際に或いは延長するということが情勢によりましては可能ではないかと思つております。それから形式的の効力の点につきましては、日本にとつては附属の譲許表が確定的に効力を持つわけでございます。つまり他の締約国について、今までできました譲許表と同じ意味におきまして、日本はこの附属の譲許表によつて完全に縛られるという効果を持つておるわけであります。
○曾祢益君 ちよつとわからないのですが、とにかく一応一九五五年六月末までに日本の加入ができればよし、正式加入ができなくとも署名国相互間においては相互に拘束力があるわけですね。そこで第一の点は、それがその時期になつて日本の加入ができておらん。そういう場合に、この宣言自身からこの効果を継続するというような効力がこの宣言ではどこにもないでしよう。その点がちよつとわからないのですが、延長し得るであろうというのはむしろ宣言から出て来ない。
○政府委員(下田武三君) 延長せられるであろうという可能性は正面からは出ておらないのでありまするが、宣言の1の(C)という所に「又は、この宣言の有効期間を後の日まで延長することが取りきめられない限り、」という裏からつまりその可能性をのぞかせておるわけなのであります。
○曾祢益君 これは余りはつきりしないですな。直接の法律効果にはならないじやないですか。
○政府委員(下田武三君) 直接の法律効果としての延長の可能性ということは、この宣言に出て来ておりません。
○曾祢益君 そこでこの宣言自身からは半面期限を延長するような含みをここに書いてあるけれども、直接効果はないけれども、この宣言に加わると、つまりガツトの一部を適用しようじやないかという、あのガツト加入国間の約束と全然同様な効果が生ずるのか。やはり効果は全然別で、この宣言はこの宣言に書いてあるだけの効果しかないのかという点はどうなるのですか。
○政府委員(下田武三君) つまりこの宣言全体の期間と譲許表の有効期間とぴつたり合せたためにこういうことになつたわけであります。宣言自体の期間を超えて譲許表だけに延長の可能性をのぞかせることが法律的に適当でないために、こういう裏から可能性をのぞかせる。そういうように見ております。
○曾祢益君 そうすると、やはり形式的に正確に言えば、日本がガツトに正式に加入をしなければ確定的にいわゆるガツト税率を日本が供与するという効果は確定化しないのじやないか。従つてガツト正式加入ということがやつぱり必要になつて来るので、それについてはこの宣言にかかわらずその問題は依然として残つているので、その場合になると個別交渉ができていることと、何と言いますか、総会ですか、におきまして三分の二以上の議決がなければこの宣言がどうであつても法律的には、この宣言で二十七カ国ばかりの同意があつたからということにかかわりなく、やはり基本的な困難は残つているのではないかと思うのですがどうですか。
○政府委員(下田武三君) 実は御指摘の通りでありまして、そこが今度の仮加入の問題の核心に触れるわけでありますが、日本はできるならば全締約国との間に暫定的にせよガツトの規定を実質的に適用するということを目指したのでありますが、経済局長が御説明申上げました通り、英連邦その他直ちにそこまでふんぎりのつかない国がたくさんあります。そこで当初は一本の文書で日本の仮加入をきめようというラインで行つたのでありますが、そういう情勢に鑑みましてこれを二本に分けたわけであります。そこでガツトの規定を暫定的に日本との間に適用するという宣言に署名する国は少かつたわけでありますが、そうでなくて、もう一つお手許に配付してあります決定、日本をガツトの会議に参加させよとかそういうことには同意して差支えないという国、この国がつまり三分の二以上の多数であつたわけであります。そこで日本をガツトの会議なんかに出させて発言の機会を持たせる。問題を処理するための締約国間だけの決定と、法律的に日本と自分の国との間に暫定的にせよガツトの規定で行こうということまでも受諾する国との間には、宣言を作つたという結局二本建の解決ができたわけであります。
○曾祢益君 そこで決定の効果なんですが、この決定だけで日本がガツトの会議に加入と同様の法律的効果を生ずるような議決権等が確保されているのかどうか。その点も少し明瞭でないように思いまするが、その点についての御説明を願いたい。
○政府委員(下田武三君) この投票権の問題につきましては、仰せのように極めて不明確な解決をなしているのでありますが、まあ普通締約国間の会議、CPと申しておりますが、CPの会議では正式のヴオートを行なつておらないのであります。現実にはチエアマンが会議の空気を見渡して決をとるというやり方をやつているのでありますが、それでも一向かまわないのでありまして、日本の発言は事実上投票権を有する場合と同じような効果を持つものととるということにきまつております。大体の場合はそうでありますが、それじやいざ正式のヴオートを行う場合にはどうなるかという点でございまするが、これはガツトの日本の仮加入の宣言に参加した締約国だけが日本の発言をヴオートとみなす。その宣言に参加しない国は日本のヴオートをヴオートとみなさない。そういうつまり先ほど仮加入自体につきまして二本建となつたと同じように、日本のヴオートの効果につきましても宣言参加国と宣言不参加国とで使い分けをして取扱おう、その点につきましては何も文書ができておらないのでございますが、今度の会議のリポートの中にそういうように扱おうというようなことが書いてあるのでございます。
○曾祢益君 会議のまあいわゆる決定の仕方はいろいろ、会議によつてもありまして、何も一々投票なり挙手なりそういうふうに数えなくても決定というものはあり得るわけです。従つて議長なりその会議の委員長なりがいろいろの意見の発言があつたのちに、まあ大体の大多数の意見だというものに対して、これで御異存ありませんかで大体きまつちまうという場合が非常に多かろうと思うのですが、そういう場合に先ず日本の意思を十分に述べる発言の機会等については、一々日本にそれだけ発言なり提案の機会が十分に与えられるということは、どこで確保できるのですか、先ず表決の前にどこにその根拠があるのですか。
○説明員(小田部謙一君) 今度のガツトの会議とかワーキング・パーテイを通じまして日本にその投票権の部分も補充いたしますと、実は日本は正式メンバーじやないから、例えば或る規定を改訂するのに全会一致を要する、ところが日本だけの反対のためにできなかつたというようなことがあつちやいけないということで、いわゆる向うではオーガニツク・マターという言葉を使つておりましたが、オーガニツク・マターに関してのみ投票権は問題になる。併しその他のガツト自体の運用、今質問になりました運用、オパレーシヨンとかアドミニストレーシヨンに関する本当のリーガルな意味の投票権はないかも知れないけれども、併し日本の発言なり、日本の手を挙げるにおいて投票として扱うという申合せをいたしまして、それは作業部会の総会に持つて行きましたリポートの中にも入つていて、それが総会で二十七カ国によつて採択されたわけであります。それでございますからして、そのオパレーシヨン、アドミニストレーシヨンに関することは、原則として日本が発言の機会を与えられ、手を挙げるとかいうことは、あたかもリーガルな意味の投票権を持つておるかのごとく扱われる、こういうふうな解釈であります。
○曾祢益君 ちよつと、よくわからない。先ず発言を認め、或いは視案をすることは事項別による、つまりオーガニツク・マターとかアドミニストレーテイブ・マターというのはどういう意味かよくわからないのですが、実質的な機構問題とか何とかは全会一致を要する場合があるのですか。
○説明員(小田部謙一君) そうです。
○曾祢益君 全会一致を要する場合であろうがなかろうが、とにかく日本が、機構問題にしようが運用問題にしようが、実質の問題にしようが形式の問題にしようが、発言をし或いは提案をするということははつきり認められておるのかどうか、先ずこの一点。
○説明員(小田部謙一君) 機構の改正とか新らしい国の加入というようなことに関しては、日本は投票することを認められておりませんから、その問題に関しては根本的な機構改正を申入れるというようなことはできないと思います。ただ現在のガツトの機構の下においてどう運用されるかというようなことに関しましては十分の投票に似た力と発言権を持つております。 それからちよつと私申し忘れましたが、機構に関して日本が提案するほうは別に制限ございません。ただ最後のときに日本が投票に入れないというだけの効果は持つております。
○曾祢益君 いえ、混乱をしておるのですよ。発言し或いは提案することについては、機構の改正或いは新規加入についてもできるのですかということを聞いておるのです。
○説明員(小田部謙一君) できます。
○曾祢益君 それでは併し事採決に関することは、機構改正及び新規加入については正式のあれはない、こういう解釈になる……。
○説明員(小田部謙一君) そうです。
○曾祢益君 そうすると、発言のほうはできる、発言のほうはできるということは一体何を根拠として言われるのか、議事録で明らかなのか、その点はどうですか。
○政府委員(下田武三君) 第二の文書でございます。決定の点の「(2)締約国団が、一方においては、その討議及び審議に日本国政府を参加させることを希望していること」ということで、ここでは締約国団が日本が討議及び審議に参加することを希望しているという、希望の表明になつておりますが、然らば発言権を与えた具体的の文書は何かと申しますと、只今お手許に御配付いたしましたワーキング・グループのリポートでございますが、これが最後に総会に提出されたのでありますが、その三ページを御覧頂きたいのでありますがその四行目の一番下から読みますと、「しかし、締約国団は、決定をするに当つて通常は正式の投票によらないから、このことは、通常の議事においてはそれ程重要ではないであろう。委員長は、通常は、会合の空気に基いて決をとるから、この場合には、日本国は、その意見を表明するについて締約国と同一の機会を有することになろう。」この「日本国は、その意見を表明するについて締約国と同一の機会を有することになろう。」と、ここが日本の発言を認めました根拠になると思うのであります。
○曾祢益君 そうすると、この締約国団の決定とこのワーキング・パーテイの報告の中に、今のそういう日本の意見を表明することは、締約国と同一の機会を与えられるという報告の採択によつて認められていると、そういうことですか。
○政府委員(下田武三君) その通りでございます。
○曾祢益君 で、その点はガツトの条約には直接関係ないと言うか、正式決定に行くまではそれで発言と採決について十分だというふうにお考えになりますか。
○政府委員(下田武三君) 昨日申上げましたように、ガツト協定自体が実はまだ日の目を見てない胎児にしかすぎないわけでありまして、それをやはり現締約国間に暫定的に適用するという取極めがありまして、暫定的に動いておるわけなんでありまして、日本が今度の宣言で実質的にガツトの適用を受けるということになりますのも、もともとまだ胎児であるところのものを生きているとみなして適用するのでありまするから、その点は元のガツト協定を現締約国間に適用するのが暫定であると同じような意味におきまして、実は暫定なのであります。 そこでガツトの今までのやり方を見ていますと、何しろ本元がまだ胎児でありますために、たくさんの会議におきましてたくさんの決定や宣言をいたしております。これを全部集めますと本箱一杯になるくらいのたくさんの文書が出ておりまして、それがいずれも形式から申しますと条約や協定でございませんで、宣言やデシジヨンという形をとつておりまして、その点を実は法律的に検討する場合、形式的な問題をきめようとします場合に非常に至難なんでありますが、今度今までのようなデシジヨンとデクラレイシヨンの二つの、形式的には完全でない文書で仮加入をきめたわけでありまして、その点いろいろ御指摘の通りなかなか法律的に条約であります場合のようにきつぱり参らないのでございますが、日本の発言権につきましては、只今申上げましたように決定の(2)の希望の表明と最後の総会で採択されました第三作業委員会のレポートによつて、先ず動かしがたい日本の既得権になつた問題と見る次第であります。
○曾祢益君 意見の発表については大体問題はないと思うのですが、機構及び新規加入については投票権はない。併し発言権はあるということと認められるのですが、その他の問題についてその意見を発表するについて云々、同一の機会が与えられると、これは採決に関連しているのですが、この意味は、やはり採決に加わる正式の権利がある、採決のとり方はいろいろありましようが、こういうその何といいますかルーズな採決のとり方でなくていよいよ表決を要するような場合にも、今小田部説明員から言われたような機構改変及び新規加入以外の事項については、この報告及び決定から見て、日本が採決したい、どうしても採決を要求するという場合、文句が起らないという自信がこの決定や締約に関する報告だけで明確に出ていますかどうか。
○政府委員(下田武三君) この採決を日本ができ得るかどうかという点でございますが……。
○曾祢益君 その場合でなくとも正式の採決する場合があるかどうか。
○政府委員(下田武三君) その点につきまして、只今読みましたすぐあとに続いておるのでございますが、このゲラ刷の報告の三ページの終から五行目の中頃から言いますと「更に、締約国団が正式の投票を行う場合には、自国と日本国との間の通商に対して協定を適用をすることを受諾した締約国は、自国に関する限り、協定の適用又は運用に影響を及ぼす問題について日本国が表明する意見を投票と同一の効力を有するものとみなすであろう。」つまりオーガニツク・マターを除きましてとにかく日本にガツトの規定を適用することに同意をいたしております。宣言加入国はその協定の適用又は運用に影響を及ぼす問題については、日本が表明する意見をヴオートと同一の効力を有するものと見なすということをあとできめておるのでございます。
○曾祢益君 それでよくわかります。そうするとその解釈が会議においてプリヴエールするか否かということは、私はガツトのあれを全部読んでないのでわからないのですが、やはり多数決かなんかでそういう日本の投棄権の効果について、まあ二十数カ国というものは投票権ありという解釈をとつてくれると、これはまあ大体正式の条約上の基礎はないけれども、大体報告書等の経緯からいつて信用していいと思うけれども、併しそれ自身が問題になつたときに、会議においてやはり多数決かなんかで、或いは三分の二の多数決か単純多数決かできまるわけです。その手続はどうなるのですか。反対論を押えて投票の効果を持つかどうかという最後の決着はこれに書いてないのです。
○政府委員(下田武三君) その投票につきましては、まだ陽の目を見ない協定の規定ではございますが、本元のガツトの二十五条にガツトの締約国は締約国団として行動する、こういう問題を規定したところがございますが、あの六十七ページの4というところを御覧下さいますと、この協定に別段の定がある場合を除くものは単純過半数でございます。その別段の定めは、ずつとあとの5に三分の二の多数を必要とする場合と書いてございます。
○曾祢益君 だから普通の場合にはこの日本の投票権の効果については、三分の二の場合もあるけれども大体この場合は単純多数決でいいわけですか。投票の効果については手続上の問題で、従つて二十数カ国ということは大体単純過半数以上だからそういう問題には勝ち得る、こういうことが言えますか。
○政府委員(下田武三君) 仰せの通りであります。言えると思います。
○曾祢益君 結構です。
○中田吉雄君 仮加入に一番反対したのはイギリスなんですか。イギリスが一番反対しましたか。総会なんかに表明した意見はどういう意見が中心なんですか。それからドイツ、イタリーはどうなつているのですか。この関係、その点伺いたいと思います。
○説明員(小田部謙一君) 先ず英国がどういう反対演説をしたか、どういうふうな論拠でやつたかということを申上げますと、日本問題が先ず上程されました九月の末のとき、ソーニークロフト商務大臣が演説をしまして、その第一点は日本は戦前において不正競争をした事実がある、戦後においても不正競争をしたということが言われている。果してこれが事実であるかどうかわからないけれどもその言われているということは事実である。又第二番目には日本の貿易上直面している困難性はわかるけれどもそれは日本がガツトに入るということによつてのみ解決できるものではない。現に事実上ではあるが日本の商品に対しては英国は最恵国待遇を与えている。それから最近も輸入制限を緩和している、英国としては日本がガツトに入ろうが入るまいができるだけのことをしているのである。第三の論拠といたしましてはガツト自体というものに現存行詰りが来ている、これを何らか改訂しなけれげならない。殊に来年のガツトの総会においては何らか機構が改訂されるだろう。ですからこの改訂ということが全部収まつてしまつてから日本は入つて来てもらいたい。何も今急いで入る必要はないではないかということが第四点。殊に米国のランドール委員会の報告が来年の三月以降にできることになつている。それによつてガツトの或る意味において運命がきまるのであるから、先ず米国の政策を明らかにしてからにしたいということであります。その次の論拠は現在西欧においては東西交易ということを或る程度制限される。東洋においても中共貿易ということが或る程度制限されている。してみると日本の貿易の行先というのは英連邦市場に集中して来る可能性がある、それ故反対だ。これはソーニクラフトが総会において述べた理由であります。併しながらこういう理由はあるけれども、英国としては日本のガツトに入りたいという気持はもうわかるわけであるから、ほかの国が賛成するにおいてはあえて反対はせず棄権するであろう、こういうことを申述べております。次にドイツとイタリーはすでに宣言にも参加しておりますし、それから決定にも日本を支持してくれています。
○中田吉雄君 いやそうではなしにドイツ、イタリー自身はこの協定に入つておりますか。
○説明員(小田部謙一君) ドイツ、イタリー自身は入つております。
○中田吉雄君 そうすると、このガツトに加入することによつて日本の貿易事情の困難性は打開されないということがまあ一つのようでしたが、それは一体どういうことを意味しているのですか。
○説明員(小田部謙一君) これは勿論憶測でございますが、ソーニークラフトの言つている……、まあ憶測でございますが一つの意味は今申しました通り、英国としてはすべきことはしている、たとい日本がガツトに入り英国が日本の支持を認めてもこれ以上の措置はできないであろうという含みを持つているものだと思います。それから第二番目はこれも憶測でございますが、今のガツトは条約局長の御説明になりました通り、関税問題を除いては大体国内法が優先するという規則になつております。ところが現在の貿易市場を見てみますと勿論関税が相当重要問題である。現在の日本のように、商品の価格も高い場合には関税問題が重要問題を占めておりますが、そのほかにも輸入制限それから差別的通貨別の為替管理ということが行われております。そしてそれはガツトの規定によりますればまだ国内法が一応優先するということになつております。それで恐らくたとい関税問題は解決してもその他の輸入制限とか自由貿易に行くまでにはそういうふうな障害があるから、関税だけでは日本の貿易は必ずしも解決できないだろう。殊にアメリカの政策がどう変るかわからん。そのアメリカの政策というものが多分に日本との貿易関係というものの促進に役立つだろう。こういうふうな考え方であろうと、これは全く憶測でございますが、そういう憶測をいたしております。
○中田吉雄君 局長にお尋ねしますが、いろいろイギリスの総合に出ました商務大臣ですか、これの意見は問題の重要な点を指摘しているとは思いますが、併しそれにもかかわらずそういう国に対してはやはり複数の関税制でも実施してそういうものに対抗しながら、やはりもつと有利な関税取極めをするような方式をとられますか、その点はどうですか。恩恵を与えている国と与えていない国とに対して差別的な複数の関税制度をとつてそしてそういう困難を打開するようなそういう手をお考えですか、その点はどうですか。そういうことの必要なしに、まあ実際的な効果だけあれば、認めてはいないが実質的にそういう恩恵を与えてくれているというような点で満足されてしまう考えですか、その辺はどういうふうな構想をお持ちですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) イギリスは事実上只今のところくれているのであります。ただそれを法律的の措置にしたくないというだけでございます。只今の法制上から申しますと、これは関税定率法の第四条だと思いますが、日本に対して差別的な取扱をしているものに対しては日本もできるということになつておりまして、イギリスにはそれは私は当てはまらないだろうと思います。ただイギリスを別にいたしまして、そのほかの国々で日本に対して差別的待遇をしている国というものに対して複関税制というものを施行いたしまして、そしてそれらの対抗措置を講ずるということは、これは必要だろうと考えております。現にそういうことを考慮研究いたしております。
○中田吉雄君 いろいろ折衝上の問題もあると思うのですが、どういう国がそういうのに該当しそうですが。
○政府委員(黄田多喜夫君) 只今日本に差別的待遇をしている国といたしましては、先ほども申したのでございますが、豪州、ニユージーランド、南阿、フランス、キユーバ等の国々でございます。
○中田吉雄君 フランスは総会で非常に斡旋してくれて会議への参加権の問題とガツト税率供与の二つに切離して今のような形でやるように非常に斡旋したというようなことが伝えられているのですが、どういうわけでフランスはこれに難色を示しているのですか。こういう形の仮加入についてフランスが非常に斡旋したようなニユースを見たことがあるのですが、そういうことはないのですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) フランスは恐らく各国のやり方をまあ見ているということもございましようが、只今のところフランスとの間で一番懸案となつておりますのは、例の外貨債の問題でございます。つまり英米との間には外貨債の問題に関して円満なる解決ができたにもかかわらず、フランスがひとり置去りをくらつたと申しますか除外されたということで、只今そのほうの解決のために政府から人を派遣しておるのでありますが、この外貨債の問題。そのことに次ぎましては東京都債の問題でございます、この問題がまだ解決しておりません。従いましてフランスのほうは英米とのみ日本は外貨債の問題を解決をしておきながら、フランスに対して差別待遇をしたということが只今のところ非常に大きな障害みたいになつております。
○中田吉雄君 この仮加入の効果が非常に過重評価といいますかされて、これでいろいろな諸障害が除去されたようなふうに見ている面も必ずしもないではないのですが、一部には又先ほど局長が言われたように、非常に高い入場料を払つた、むしろ九百三十の対象品目のうちその九割八百六十ぐらいですか、仮加入の対象として八百六十ぐらいな品目の関税率を据置いちまつた。将来交渉によつてこの改訂をすることもできるだろうが、一度据置いた限りなかなかそれが困難で、入場料があまり高過ぎるではないかという意見もあるのですが、その関係ほどうですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) 他国の例をとつて申上げますと、アメリカが七五乃至八〇%、フランスが九〇%以上の据置品目を持つております。日本のほうは八百大十でこれが九二%ぐらいに相当いたしますが、去年の例をとつてみましても日本で関税を上げたと申しますのはたつたこれは五品目、一年間に五品目ぐらいに過ぎませんで、今度の仮加入に際しまして据置を約束いたしましたのは八百六十でございますけれども、これも据置を約束しただけであり、年間に関税を引上げるというあれに比べますとこれは殆んど問題にならない割合だろうと思うのです。それから今度据置を約束いたしましたことが事実上の約束みたいになつて将来これが又縛られるもとにならないかという御懸念でございますけれども、その点は極めて明白にそれは何らそういうことにはならないということになつております。
○中田吉雄君 例えばまぐろなんかについて、こちらのほうはまあ先に申されたような数について日本全体で八百六十据え置いて、それがなかなか撤回が困難である。併し相手国例えばアメリカに対してまぐろの関税引上げをしないように抗議するようなそういう権限はどうなるのですか。その関税の設定に対して抗議を申し込むような、こちらだけは一方的に据え置きながら、それはどうですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) これはアメリカとの間に関税の交渉をやつておりませんので、そうしてまぐろのアイテムはアメリカがガツトで交渉した品目になつておりませんので、アメリカがまぐろの輸入税を引上げるといつた場合には、日本のほうとしては抗議の対象にはなりません。
○中田吉雄君 そういう点が私は非常に問題だろうと思うので、それは別にしまして、もう一つ国際物価に比較しまして大体まあ二割から五割、まあ二、三割は国際物価に比して日本は高いというのが、日本の貿易のアンバランスの大きなまあ原因だと思うので、各国の関税政策とか通商制限等もありますが、やはりそこで日本では二重価格といいますか、補給金という問題が大きなまあアンバランスを調整する手段として取られているのですが、そういう特定品目に対して補給金を出して国際的な競争力を高めるというようなことが、ガツトの規則に拘束されて、非常な、根本的にはコスト引下げ問題ですか、そういうことができない。暫定的措置として必要止むを得ない場合があると思うのですが、それはどうなりますか。
○政府委員(黄田多喜夫君) 補給金の支給をとめるガツトの規定は只今のところはございません。但し補給金で競争力を非常に増した、或いは市場を荒すというふうなときに、それは反対措置と申しますかそれを取ることができるということになつておりますけれども、補給金そのものを禁止する規定はございません。
○中田吉雄君 もう一つお伺いしますが、仮加入してこの供与税率が適用されるようになつて、今よりかそのことだけでどのくらい貿易が事実上促進するか。これはいろいろな諸条件があると思うのですが、実際上の貿易促進は一体どれくらいな比重を占めるか。
○政府委員(黄田多喜夫君) これは測定は非常に困難でありましてどのくらい実際できるかということの測定は甚だ困難であります。特に今までガツト税率をくれていなかつたという国で、今度恐らくくれると思われる国はカナダとブラジルであります。従いましてその二国、その他は昔通りということになりまして、或いは今度新たにインドネシヤもガツト税率をくれるということに恐らくなるだろうと思うのでありますけれども、そうなりますと、それらの国に対して現行税率と、それから現行税率でどのくらい出るか、今度新たにもらわれるところのガツト税率というものとかみ合せまして、将来の予測をするよりいたし方がないという状態でありますので、金額にいたしましてどのくらいかということは、これは甚だ困難でありまして今直ちに申上げにくいのであります。ただ現行の税率とそれから将来ガツト税率をもらつた場合に、どういう税率に差があるかという点は先ほど羽生委員に申上げた通りであります。
○中田吉雄君 それは困難でありましようが、併しそれくらいな作業ができていないと、このためにおたくの局は非常な大きな努力を費やされているのですから、およそ日本の貿易上の諸障碍を除くには多角的にすべきで、一つだけで問題は解決することはできないと思いますが、これは一体障碍のどの程度を打開するかというくらいな作業ができていないと困ると思うんですがね。若干効果があるだろうというなぐさめのようなことだけでは……。
○政府委員(黄田多喜夫君) 先ほど申上げましたように、これが大巾に変つて来るという国は、カナダとブラジルだろうと存ずるのでありますが、なかんずく私はカナダにおいてこの影響が相当あると睨んでおります。カナダは御承知のように我が方の輸入と輸出との割合が只今のところ十対一というくらいに輸入のほうが多いのであります。今度カナダがガツト税率をくれるということになりますと、十対一の割合が相当私は大巾に変化するだろうと思うのであります。従いまして最近の新聞報道でも御承知のように、カナダの国内におきましても日本にガツト税率を与えるということに対して相当な業界の反対があるということは御承知の通りでありますが、この反対が非常に甚だしいということは、その影響が又相当あるだろうということの反証にも私は取り得ると思うのであります。只今のところ日本のカナダに対しまする輸出は数字にいたしましてどのくらいございましたか、千五百万くらいのものでございますか、これが今年のあれではうまく行きまするならば倍にもなり得るんじやないかというふうに考えております。
○中田吉雄君 この協定とはそれるかも知れませんが、東南アジヤヘの進出がやかましいといわれていながらむしろ後退しているようですが、而もドイツは昨年から今まで一ヵ年取つてみると、非常にその間には日本は後退しているにもかかわらずドイツは伸びているようですが、そういう日独に対して英連邦諸国ではいろいろな差別的待遇を取つたせいですか。コスト、品質の面で行つているんですか、あれはどういう関係ですか。ここには数字は持つて来ていませんが日本は非常に減つているがむしろ東南アジア諸国に対してドイツはたしか五〇%くらいは伸びているのじやないかと思うのですが、あれはどういう関係ですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) これは国別に検討をいたしませんと、例えばパキスタンというような国に対しましては、日本との間に去年非常に日本がオーバー・エクスポートであつたというふうなことから、パキスタンはこれをバランスしたいというふうなことから日本に対してチエツクしたというふうな関係もございまして、国別のいろいろな理由もございましようけれども、これを一般的に申しますると、どうしても日本の輸出する大きなアイテムが日本のほうとしては消費財でありまして、これは綿製品を主とするところの繊維製品である、消費財であるということ。而もそれが日本におきましてはコンペチチヴな日本唯一のアイテムであるということでありますのに反して、ドイツはキヤピタル・グツズの輸出を主としておる。而もこれらが東南アジアの国が欲しているところのアイテムであつて、消費財はどつちかと言うと抑圧しようとしているところのアイテムであります。この資本財が日本のものが割高であつて、ドイツのものに比べますと一割五分以上も高いというふうなことが非常に一番大きな原因、一般的に申しましてそういうことを言い得るのじやないかと考えます。
○中田吉雄君 先に曾祢委員から言われたようにガツト会議なんかの権限というものも非常に問題もあるようですし、その後私の質問に対してもお答え願うと、まあガツトの仮加入によつては大して日本の貿易上の諸障碍を除く、ほんのちよつとぐらいな結局ウエイトしかないというふうに見ていいのですか、その評価はOXこれを契機にして国際の会議で大きな発言権を以て跳躍台にして行くというような意味もあると思うのですが、現実的にはこの仮加入によつて日本の当面している諸障碍を除去するに対しては差したるウエイトがないというふうに見ていいのですか、それはどうなんですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) 私はそれどころじやない、非常に大きな利益があると考えます。と申しますのは日本の目に見える輸出の突破口と申しますか、それは輸出の増量と申しますか、それは直ちに目に見えてどれだけということを非常に誇り得るほどの大きなものではないということは事実かも知れません。併しながらガツトと申しますのは経済及び貿易における一番大きな憲章でございまして、それにもやはり入り得ないとそのマイナスというものは非常に大きなものであろうと考えます。従いましてこれに日本が入つたのだ、而も正規の途が閉されたときに仮加入というふうな便法を講じてすらそれに入つたのであるということは、これは非常に大きな問題であろうと思います。然のみならず先ほどから御説明がありましたように、ガツト自身が非常に大きな変化を遂げるかも知れないという今状況であります。と申しますのは今行われておりますのは関税にのみ限られた面が活用されておりまして、ガツトそのものが目的といたしておりますところの自由貿易というほかの方面はまだ眠つておるのであります。それを戦後の過渡期はもう過ぎたからぼつぼつこれを全面的に適用すべき時期が来た、というふうなことを主張するのがカナダを初めといたしますところの国々であります。そうして又それがどういう方向に行くであろうかということは、日本といたしましては非常に注目しなければならない問題だろうということを確信するのであります。殊に日本は今貿易がうまく行きませんで、而もその貿易がうまく行かないがためにいろいろなばんそうこうを貼りましてその場の急の間に合せみたいなことをやり続けざるを得ないような状況でありますけれども、これがやはり世界の仲間に伍しまして大きな流れに目を常に注ぎつつやつて行かなければならないことは、もう当然なことだと思いますけれども、そういうチヤンスがこれに入らざれば与えられないというときに、やはりそういう重要なときにガツトに入りましてそうしてそれを内部からのぞくということは非常に私は大きな問題だろうと思います。タンジブルな貿易が何千万ドル伸びるかということ、これも重要でありますけれども、そのほかにも無形のものもなおざりにすることはできないと考えます。
○政府委員(下田武三君) 只今経済局長から経済政策面からの利益を申上げましたが、私法律的な面から申しますと、御承知のようにアメリカ一国と通商航海条約を結んで最恵国待遇を獲得するのに一年半もかかつた。今ほかの国ともやりつつありますが、なかなか通商航海条約による最恵国待遇というのは早く各国とできません。そうして考えてみますと、この仮加入は一挙に十数カ国との間に最恵国待遇を得たという大きな法律的効果がございます。それからもう一つこのガツトの意義は最恵国待遇以上のものがございます。最恵国待遇でございますと、或る品目についてこれはよその国に関税を上げたのだから日本にも上げるのだというようなことをいわれてもいたしかたがないのであります。ところがガツトの大きな意味は一定期間はこの税を上げないという約束を含んでいるわけでございます。先ほど不幸にして中田委員の挙げられましたまぐろ関税がたまたま据置関税に含まれておりませんでしたが、若しほかのものでございましたらペルーに上げるから日本にも上げるということはいえないわけです。たくさんの品目が据置かれているという点におきまして、法律的に見まして最恵国待遇以上のものがあるという意味において非常にやはり有意義じやないかと思います。
○中田吉雄君 同じ枢軸国として戦争をやつたドイツ、イタリー、特に国際的な競争力の最も強いドイツはもうすでに正式加入ですか、さつきのお言葉ではできたようですが、日本ができなかつたというのは、イギリスなんかに対してもいろいろな点から産業構造その他から見ても、ドイツの競争力というものは非常に高いと思うのですが、それにもかかわらずやつているのは、これはそうしますと吉田外交の失敗ですか、どういうところにその原因があるのですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) これは恐らく私の考えますところでは、イギリスが日本を加入せしめることを非常にこわがりましたのは、ドイツもそうであるにもかかわらず殊に日本をこわがりましたのは、ソーニークラフトなんか言つておりますところの日本が不正競争をやりはしないかという根強い危惧の念をもつているということ。それから日本は綿業国でございまして、これがイギリスはランカシアとの対抗ということを考えざるを得なかつたというこの二つの点ではないかと思います。
○中田吉雄君 ドイツやイタリーの加入したのはいつですか。
○政府委員(下田武三君) イタリーが入りましたのは第三回アンシーの会議で一九四九年でございます。それからドイツはトーケーの特別会議で入りましてこれが一九五一年であります。
○中田吉雄君 会議の場所を言つて下さい。もう一遍。
○政府委員(黄田多喜夫君) 初めのはイタリーがアンシーで、それからドイツが入りましたのはトーケーであります。
○羽生三七君 先ほど局長のお話の中に、これが具体的に影響をもたらすのはブラジルとカナダだけというお話があつたように聞えたのですが、これはどういうことを意味するのですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) 只今日本にガツトの税率をくれておりません国が英連邦の諸国、イギリスは事実上くれておるのでありまするけれども、その他の国は事実上も法律上もくれておりません。それからフランス、カナダ、ブラジルとそういう国がくれていないわけであります。ところで今度恐らくくれるであろうと思われますのは、英連邦のほかの国は初めから棄権いたしておりまして初めから日本にはやらないということを言つておるのでありますから、それは問題になりません。そういたしますとあとフランスとブラジルとカナダというものが残つて来るわけでありまして、申し落しましたけれどもフランスも無論くれる可能性があるのでありまして、そういたしますとフランスとブラジルとカナダということになるわけでございます。こういうことを申上げたのであります。
○羽生三七君 そうしますと、まあ先ほどの中田さんの質問にも関連するんだけれども、今まで実質上の取扱を受けていたのが今度これは法律的に確認されたものになるわけです。その中で実質的な取扱を受けておらなかつた国が今挙げられた諸国、そうすると全体的な影響というものは割合少いですね。
○政府委員(黄田多喜夫君) 全体的に貿易量に現れて来るものはそれほど大したことはございません。これは例えばそれらの今までくれていなかつた国がくれる、くれていなかつた国と日本国との貿易量が大体八%ぐらい、従いましてそれが伸びましても或いは我が国貿易量における何パーセントかの増ということになるだけでありまして、貿易量全体から見まするとそれは非常に大きな増加だというふうなことは言えないということは事実であります。
○羽生三七君 これが具体的に効力の発生するのは大体いつ頃の見通しでしようか。
○政府委員(黄田多喜夫君) これはすでにサインいたしました国とはもうそれは無論できますし、それからサインすることにその国との間においては最恵国待遇の条項を確認するということになるわけです。
○羽生三七君 何か決議のほうですか、三分の二以上のあれがあつた場合というふうにどつかの規定があつたと思うのですが、そういうことはないのですか。どの国でもサインすればそれでいいのですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) 三分の二と申しますのは一番初めの決定のほうでありまして、それはもう問題なく通つておりますので関係ございません。それから先ほどちよつとサインしたことにと申上げましたが、サインいたしまして一カ月たつてからであります。
○加藤シヅエ君 さつき、英国が日本の戦後にもなお不正貿易の事実があつたということを言つたというのでありますけれども、その点は何かどういうことがあつたという具体的な例でも挙げられておるのでありますか。
○政府委員(黄田多喜夫君) これは誠に残念ながらそういう事実があるのであります。それはどういうことかと申しますと、例えば南阿におきましては、南阿に出ました日本のプリントものでありますけれども、一遍洗うと真白になるというふうなものを、これはまあ受取るほうが悪いのだと言えばそれまでかも知れませんけれども、とにかくまるで成つていないという一遍洗つたら真白になるというふうなものを出しております。従いまして、南阿におきましては今日本の綿製品に今まで五〇%であつた関税を或る種のものに対しては七五%にしようという動きをしているのであります。従いまして、日本といたしましては唯一の競争品であるところの綿製品に更に高い関税をかけられるということは困るということで、それを阻止するように今やつておりますけれども、南阿におきましてはグレイものよりもプリントもののほうに安い関税がかかるのです。従いましてわざとプリントしたような恰好で出しまして、一遍洗うと真白になるというようなものにしてそれを逃れようとしておるのかも知れません。そういう例もあります。 それから新聞にも出ましたように亜鉛鉄板をビルマ、シンガポール方面に出しましたけれども、中に木をずつと詰めて木の合板みたいなものを亜鉛鉄板のような恰好で出したということで、日本は依然として不正競争が絶えていないということで相当の問題になつておる。そういう例がやはりございます。
○加藤シヅエ君 そういうような不正な物が海外に出た場合は、それは日本の業者から必ず直接に向うに行つたということが証明されるのですか。それとも第三国人の手を経たというようなこともあり得るのではないでしようか。
○政府委員(黄田多喜夫君) 今まで起つておりますやつは大体日本人の手でやつております。外国人の手を経たということは無論理窟上不可能であるわけではございませんけれども、問題の起りましたやつは大体日本人がやつておる。而も幽霊会社で一遍やつたら解散する。それでつかまえようとしてももう解散しておりません。そういうのが非常に多いのであります。これは日本としては非常になげかわしいところでありまして改めたいし、それからそういう人は不正競争取締法というのもございますのでそれをつかまえて厳罰にしたいのでありまするけれども、もうやつてしまつたらすぐ解散して而も本人の住居も知れないというような例が非常に多いのであります。
○高良とみ君 先ほどカナダと日本の貿易の伸展、将来性のことのお話があつたのですが、十対一というふうな状態が今度のガツト仮加盟によりまして主にどういうふうな方面のものが関税が下つて行くというようなお見通しなんですか、少し内容について御説明願いたいと思います。
○政府委員(黄田多喜夫君) 例えばまぐろ、かに缶詰、肝油のごときは恐らく二二・五%から一五%になります。羽二重は四五%から二五%になりますし、しいたけが三〇%から二〇%、絹織物が三五%から二五%、手袋なんかは非常な差でありまして人造繊維、毛製ともに四五%からゼロというふうなことになります。それから造花が二七・五%からゼロ、肩かけ、襟巻等も四五%からゼロというようなことになつております。
○高良とみ君 そうすると、そういう小さな雑貨品と食糧品を主にしたカナダとの貿易においてよほど伸展するというお見通しなんでしようか。先ほど十対一というふうな日本の状態であるがこれがよほど伸びるというようなお話があつたが、もう少しキヤピタル・グツズとか或いは造船方面とかそういう方面で伸びる見通しがありましようか。
○政府委員(黄田多喜夫君) 先ほど十対一と申上げましたが、去年の実績を申しますと去年が輸出が一千四百万ドル、輸入が一億ドル、それで十対一というのは少し大げさでございますが去年はそういう状態でございます。それから今年の一月〜九月が一千百万ドルの輸出で輸入が五千八百万ドル、大体去年よりも少し多いわけでありますけれども、やはり相当の差がございます。それから只今申上げましたこのアイテムは、ちよつと書き出したやつを勝手に申上げましただけで、このほかにもこれに類する比率の相違というものはたくさんございます。それからカナダで今一番必要といたしておりますものはパイプ・ラインであります。これは太平洋岸までパイプ・ラインを敷こうとすでに敷いておりますけれども、それを何本にもしようというふうな計画を立てておりますが、而も日本は船で太平洋岸まで送れる。船によるフレイトというものは陸上より相当安うございますので、アメリカから持つて来るのにも十分対抗し得るという状況でございますので、このパイプ・ラインというものが相当持つて行きようによつては出るのじやないかと思われます。それから繊維は私は相当むずかしいと思いますけれども、例えば光学機械というふうなものは相当出る余裕があると思うのであります。これらに対する関税との関係においてどういうふうになつておりますかその点はまだ調べておりませんけれども、出得るものといたしましてはパイプ・ラインとか只今申上げましたような光学機械というようなものは相当有望なアイテムだと見ております。
○高良とみ君 そうしますと、先ほどのお話で英国代表の言われたような英国が日本の貿易に対する不安の念は、カナダにおいてはよほど違う考えを持つている。もつと自由貿易こそ国際間の必要なものであるというふうな考えをカナダが持つているというふうに御説明があつたと思うのですが、その線からいつて日本の貿易における不振は、カナダのような国には同じ英連邦であつても影響してないと、こういうふうに考えて間違いないですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) これは業界と政府との間にはやはり意見の相違があるようでありまして、カナダにおきましても日本のダンピングと申しますかそういうことの懸念は相当あるようでありまして、日本にガツトの税率を適用することなかれというふうな相当強い声が民間からは上つているようであります。但し政府のほうではこれは日本に対して門を締めるということの不可なるゆえんを説いてそれを啓蒙と申しますか、そういうふうなことを首相、外相等が盛んにやつているようであります。それから先ほどパイプ・ラインと申上げましたが、パイプ・ラインも三〇%から二二・五%というふうに最恵国になりますれば下つて来ると思います。
○高良とみ君 更にブラジルについても今後このガツト仮加入が影響を及ぼすだろうということであつたのですが、その内容を少し御説明願えれば仕合せです。ブラジルとの貿易の内容。
○政府委員(黄田多喜夫君) ブラジルはこの決定のほうにも無論サインをいたしましたし、宣言のほうにもサインをしてくれるということを望んでいるのでありますが、ブラジルとの問は日本のほうが相当の輸入超過になつておりまして去年の七月から今年の六月末に至る一カ年の輸出が六百万ドル、輸入が千七百万ドル、一千百万ドルの入超ということになつております。それから今年の一月から九月までの累計は輸出が約八百万ドル、輸入が三千万ドルということになりましてこれも相当の入超であります。
○高良とみ君 そのお見通しは如何です。これからこのガツト税率で少しはよくなるというふうな、輸入超過が緩和して来るというようなお見通しがありましようか。
○政府委員(黄田多喜夫君) 無論このブラジルとの間に最恵国待遇の税率が適用になりますれば、それに基く日本品の輸出増ということも無論考えられますが、そのほかに両国間に協定を結びまして日本からの輸出をもつと促進するようにということを一昨年あたりから相当やつておりまして、その結果最近に至りましてブラジルのほうも相当日本のものを買い始めて来ております。これはブラジル品も同様でございますけれども、そういう状況にございますところへこのガツト税率の適用ということが実現いたしますればそれに拍車をかけるというふうになるだろうと見ております。
○梶原茂嘉君 ガツトの関税関係以外の本体といいますか、それが日の目も見ない形で現在まで来ておる。なぜ施行されるに至らないか、その大きな理由といいますか事情を御説明願いたいと思います。
○政府委員(黄田多喜夫君) これは各国のドル不足であります。つまり戦後世界経済の構造が破壊されまして、各国ともとつてもつて貿易すべきところのミーヂイアムがない、つまりドルがないということであります。従いまして日本でも御承知のように貿易構造といたしましてドル地域だとか、スターリング地域だとか或いは十何カ国間にオーブン・アカウントというものを結びまして、ドルなしにオーブン・アカウント地域では商売をやろうということになつておるのであります。ところでこのオーブン・アカウントというものをやりますと二国間の間にどうしても一方交通になりまして、例えばインドネシアにおいて見られます通り、日本は輸出超過ですでに六千万ドルというものがとにかくたまりまして、而もそれの処分というものを何カ年に亙つてやらなきやならんということになつておる上に、まだ輸出超過を続けるということになつて参ります。ところがそれをもう少し多角的にやることができればいいのでありますけれどもそれがなかなかできない。というのがドルがないために各国ともそういう不自然なことをやらなければならないということになつておるのでありますけれども、そのほかのクオータ・システムであるとか、一国からはどれだけしか買わない、或いは為替の割当であるとかいうふうなことをやつております。これは各国ともやらざるを得ないのでありまして、それをやらなくて済む国はアメリカとカナダとスイスとベルギー、そんな所でございましよう。ほかの国は全部それをやらざるを得ないというふうなことになつております。ところがそのガツトの狙つておりますのは関税だけでなしにそういうレストリクシヨンを全部やめて自由な貿易にしようじやないか。それが一番理想形なんだからそれを狙おうというのがガツトの狙いであります。ところがそれが只今申上げましたような現実の壁とぶつかりましてできていない。その重要な部分がねむり関税に関する部分だけが今働いている。これをもつと全面的に押し出そうじやないか、或いはそれに近ずくような努力をしようじやないかというのが只今試みられておりますところの努力であります。
○委員長(佐藤尚武君) ちよつと伺いますが、今イギリス属領内で行われている特恵関税はいつきまつたものが現在行われておるのですか。何年、どこで。
○政府委員(黄田多喜夫君) 三七年だつたのじやないかと思います。そのときのインペリアル・プレフアレンシヤル・タリフ……。
○委員長(佐藤尚武君) 三四年にオツタワでありましたね。そのあとで……、いや、これは今でなくてもよろしうございます。一つ調べて下さい。 それから今のその属領内の特恵関税というものは、例えば日本とかドイツとかそういつたような非常な貿易上の彼らから見れば有力な相手方を排除するために設けられた特恵関税だと思うのですが、これは先ほどのお話では、イギリス自体が事実日本にガツトの利益を融通しておる何だと、つじつまが合わないような気がしますが、どうですか。
○政府委員(黄田多喜夫君) 先ほどのやつは一九四七年四月十日で有効である特恵関税でございます。
○委員長(佐藤尚武君) 一九四七年締結された……。
○政府委員(黄田多喜夫君) いえ、有効であるところの特恵関税です。
○委員長(佐藤尚武君) 有効であるところの特恵関税というものは、それはどこで……。
○政府委員(黄田多喜夫君) これはガツト税率という下に、まだ英帝国におきましてはインペリアル・プレフアレンシヤル・タリフというものがありまして、日本はガツトに加入いたしましてもインペリアル・プレフアレンシヤル・タリフには均霑できない。その一つ上にあるところのガツト税率には加入により均霑できるということになるわけで、英連邦の間におきましてはそれよりももつと低いものをお互い同士でやつて、それはガツトにおいて認められております。
○委員長(佐藤尚武君) そうですか。いやわかりました。 それではガツト関係につきましての質問は本日はこの程度にとどめておきたいと思いまするが、如何でございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤尚武君) なお、このガツト仮加入の問題につきましては大蔵委員より連合委員会を開きたい旨の申出がありましたが、本件を如何取計らえばよろしいかお諮りいたしたいと思います。大蔵委員会は明日、明後日、この両日は委員会を開かないということになつておるそうであります。そうすると、明日、明後日というと、土、日、この両日は開かないというからして、月曜と火曜ということになるわけです。月曜日にでも連合委員会を開くことにいたしましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽生三七君 先ほどのお話では通産委員会というお話でしたが、大蔵だけですか。通産もあるなら一緒にしてもらいたい。
○委員長(佐藤尚武君) 通産委員会は申込を取消したそうです。 そうすると月曜日の午前中に開きますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤尚武君) それじや、そういうことにお願いいたします。
○曾祢益君 明後日、できれば明日願いたいと思うのですが、この委員会としては実質的には予備審査の形で二つの議案を大体やつて相当勉強しているのですが、池田・ロバートソン会談に関連いたしまして、愛知大蔵政務次官といいますか、むしろ参議院議員の同僚の愛知君に来て頂いて、少し池田・ロバートソン会談の話を聞きたいと思うのでございますが、明日でも丁度この委員会はほかの行事がないと思いますので、その点を委員会にお諮り願いたいと思います。
○委員長(佐藤尚武君) 明日午前中、これは愛知先生のほうの都合を聞かなければなりませんが、若しできなければ午後でもよろしうございますか。
○曾祢益君 結構です。
○委員長(佐藤尚武君) それじや、そういうことにして愛知君に諮つてみますから……。
○曾祢益君 お願いいたします。
○委員長(佐藤尚武君) それで又御連絡申上げようと思います。それでは本日はこれで散会いたします。 午後四時五十六分散会