労働委員会 第7号
- 発言数
- 121 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/12/08
会議録
○赤松委員長 これより会議を開きます。 失業対策、労使関係及び労働基準に関する件について、調査を進めます。
○赤松委員長 この際お諮りいたしますが、松崎製糸株式会社の退職金問題をめぐる争議関係につきまして、全蚕糸労働組合連合会組織部長の池田友治君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんが。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なければ、さよう決します。池田参考人。
○池田参考人 私は全国蚕糸労働組合連合会の組織部長をしております池田であります。 松崎製糸の退職金問題をめぐりまして、現在紛争状態にあるわけでございますが、会社側のこの問題に対する態度は、われわれ労働組合の基本的な権利を否認するだけでなく、われわれの人権蹂躙すらあえてしながら、この問題を徹底的に壊滅せしめようという、会社の現在とつておる前世紀的ないしは野蛮的な争議の対抗手段に対しまして、はつきりここで皆さん方の御理解ある判断を得たいというふうに考えまして、ここに参つたわけございます。ただいまから松崎労組の退職金問題をめぐつつての経過につきまして、報告申し上げたいと思います。 松崎労組が退職金の要求を提起いたしましたのは、十月の二十八日でございます。前にも、退職金の問題をめぐつて、何回か会社側に申し入れたことがあつたわけでございますが、会社側では誠意を持つてこれに応じてくれないというふうなことから、全然この退職金の設定ができずに二十八日に及んだわけでございます。組合側といたしましては、今度はやはり交渉委員を含めて退職金の闘争をしない限り、自分たちが考えておるような退職金はとても得られないのではないかというふうな判断に立ちまして、松崎労組の上部団体であります全蚕労連並びに埼玉県蚕分速にその交渉を委任いたしまして、退職金の交渉を要求したわけであります。 ところが会社側は、この交渉委任の問題をめぐりまして、なかなか明確な回答を与えないままに十一月の十一日になつたわけであります。十二日になりまして、十部団体の交渉委任は拒否するということを、組合長である中根君にはつきり言明して参りました。そこで組合側といたしましては、これは不当労働行為だというふうな観点に立ちまして、そのあつせんを埼玉県地方労働委員会に提訴したわけでございますが、翌日の十三日には、さらに交渉をスムーズに進めるという観点に立ちまして、組合側は遵法闘争に入りました。この遵法闘争の趣旨は、実働八時間を厳守するということでございました。ところが会社側は、組合側のこのような当然の行為に対しても、中根組会長の配置転換と三名の幹部の首切りを押しつけて参りました。中根君は現在機械係をやつておるわけでございますが、その機械係から副産場に行けというような業務命令を出したわけでございます。これは書類で出したということでなくて、口頭で伝えたということを聞いております。 五名の首切りの問題につきましては、会社側では、意外に組合側がごの退職金の問題について強力にやつて来ておるということから、何とか全執行部を崩壊させなければならないと考えたのでしよう。三名の者たちにあらかじめ言い含めまして、君たちは依願退職という形にして、この争議が終つたらまた再びこちらにやつて来いということを三名の組合幹部に話しまして、この五名の人たちは、十八日になりますと、組合には何ら話合いもなく、夜逃げ同然に会社から姿をくらまして、それぞれ郷里に帰つてしまいました。 私たち上部団体の者といたしましても、交渉が軌道に乗らないまま、組合の内部には非常に強く会社の圧力が職制を通じてかかつて参るという問題もありますし、また会社が主張していること、あるいは現実にとつた行動は、これはだれが考えてみましても、常識的に許さない行為であるというふうに考えまして、そのあつせんというと語弊がありますが、われわれこの実情に立つて会社に申入れをいたしました。 その申入れの日が十一月の十六日であるわけでございますが、社長、篠田工場長あるいは小林次長を交えまして、次のような了解事項が成立したわけでございます。それは、会社が五名の首切り及び中根君の配置転換を撤回するという条件に基いて、組合側は通法闘争の打切りと地労委提訴の取下げを行う、このような前提条件に立つて、二十日に団体交渉を再開しようということになりました。ところが二十日になりますと、社長がたまたま不在であるというようなことから、団体交渉が持たれないまま二十一日を迎えたわけでございます。 二十一日になりまして社長を交えて終業後ただちに団交を持つということに話合いがなつたわけでありますが、二十一日の終業直後、組合の幹部でありましたところの小宮、斎藤、飯田の三名が突如として脱退届を提出して参りました。従つて残された組合の執行部というのは、中根君と、もう一人女子の松下という執行委員の二人のみになつたわけでございます。会社は、口では団体交渉をしよう、いつでも交渉にも応じますというようなことを言いながら、実際裏へまわつては、事実上組合が団体交渉できないように、換言すれば、第二組合をつくつて、組合の退職金の問題を空中分解させてしまおうというような卑劣な行為を盛んに行つておつたのであります。たとえば、一般組合員に対しまして、中根君が組合長をやつておる限り、会社はおそらく退職金を認めないだろう。あるいは中根君の組合長である限り、年末資金も一文も出さない、それよりも今の組合をやめて、そうして新しい組合をつくつたらというふうなことを、まだ十七、八歳の女子の組合員に対しまして、工場長あるいは次長ないしは各課長が、寄宿舎あるいは職場におきまして盛んにやつておつたような事態でありました。こういうことが結局二十一日の五名の脱落となつて具体的に現われたわけでございます。 そこで組合といたしましては、これではまつたく会社の一方的な切りくずし工作のなすがままにまかせるような状態になりますし、何としても組合の執行部を再建しなければならないということで、二十三日に大会を持ちまして、新執行部を樹立するとともに、次のような要求を会社に対していたすべく決議をいたしました。その一つは、中根組合長の配置転換は絶対に撤回しなければならない、退職金の交渉はただちに再開しろ、年末資金として一・五箇月分をよこせ、さらに会社が現在打つておるところの第二組合画策工作はただちに中止せよ、こういう要求項目を会社に出しまして、その団体交渉再開方を要求したわけであります。会社としては、十一月二十八日でなければ交渉ができないというような返答がありまして、われわれは二十八日を待つて団体交渉を行つたわけでありますが、結局その二十八日のうちからは、全然交渉を進展させるというふうな会社の誠意はみじんもなく、何らの結論を得ないままに終つております。月がかわつて十二月の一日になりますと、会社はやはり依然として第二組合工作を執拗に続けておつたわけでございますが、さらに積極的な切りくずしを行うという意図に基いて、教婦の一名の配置転換——教婦と申しますのは、直接糸をとつておる人たち、繰糸工を指導する立場にある人たちでありますが、その教婦の三名の配置転換——これは第一組合のみな中堅幹部でございます。この五名の配置転換を突如申し入れて参りましたし、また中根君の配置転拠もその日を期して強行しようというふうにやつて来たのであります。そこで組合側といたしましては、もはやこのままではどうにもならないということになりまして、その通告のあつた十二月一日を期しまして、現在に至るまで無期限ストライキに入つたわけでございます。 同日、会社側にストの通告をいたしますとともに、われわれは外部団体に対するいろいろな働きかけをやつたわけでございますが、会社側は十二月の二日になりまして、多分午後の六時ごろだつたというふうに記憶しておりますが、工場閉鎖を通告して参りました。そうして外部団体のいわゆる一切出入を禁ずるというふうな立札が同時に立つておつたわけでございますが、三日になりますと、門の入口にバリケートを築き上げたのでございまして、ものものしい態度を整えておつたようでございます。 三日の日に、私たちは熊谷市の地区労の人たちとタイアツプしまして総決起大会を行つたわけでございますが、その終了後女子組合員が会社に、ちようど雨が降つておりましたので、衣服がぬれましたりした関係上、工場に入つてその着がえをしてもらうということで入つたのですが、会社側はその機会をとらえまして、第三組合の人たちが第一組合の寮の出入口にピケを張るような状態で、会社側は社長以下全員が第一組合の寮の方に入つて参りまして、そうして第一組合から脱退して第二組合に入れというふうなことを強要したり、またすでに、当日家庭の方に連絡して集まつて来た父兄を通じまして、現在争議しておるのは共産党が争議を指導しておるんだというふうなデマ宣伝を飛ばしまして、いやがる女の人たちを第一組合の人たちと一緒に外に出させないような形にして軟禁状態にした。しかもそれらの人たちに対しましては、窓にかぎをかけるというふうな程度のものではなくて、くぎさえ打ちつけて、その人たちが外に出ることのできないようにさせておつたというふうな事実もございます。 この十二月三日以降本日に至るまで、会社側は各父兄に電報を打ちまして、毎日第一組合の切りくずし工作に躍起となつて参つておりました。三日の総決起大会のあとなどは、寄宿舎の中に第一組合の人をとどめておいたならば、会社側は社長以下先ほど申し上げましたような会社の幹部及び第二組合の連中が強引に中に入にて参りまして、切りくずし工作をやりますし、その上父兄の人たちも交えてやつておるような状態でございますから、どうしても工場のへいの外にそれらの第一組合の人たちを結集しなければならないということで、紀の衞というふろ屋の二階にかりの宿舎を設けたのでありますが、その夜の十二時半ごろだつた下しよう、町の暴力団とおぼしき人たらを従えまして、総勢三十五、六名で和合員の奪還といいますか、父兄を連れて強引に組合員を連れて行つてしまつたというふうな事案もございます。 その後、私たちは宿舎を二回かえまして、現在長野屋旅館におるのでございます。熊谷市内でございますが、年日少いときで七、八名、多いときには十五、六名の父兄を動員いたしまて、組合員の言うことも全然聞かないままに、父兄の力を借りて、事雲上の切りくずし工作をどんどんやつております。 十二月四日になりまして、埼玉地労委の第一回のあつせん委員会が開かれまして、その翌日、会社側は交渉委員を認めた形で団体交渉を一度持つております。この第一回のあつせん委員会において、どういうふうなことがなされたかと申しますと、一点といたしまして、五日に団体交渉を持つということ、それから六日に第二回のあつせん委員会を持つということ、さらにもう一つは、あつせんを進めるにあたつて、第一組合、第二組合というふうなことでお互いにけんかをしておるというふうなことでは、あつせんを進めるにも非常にやりにくいので、四日の十一時現在をもつて、それぞれ組合の登録人員を締め切る。それ以降は、そういうふうなことはお互いに自粛したらどうかというふうなあつせんが出されたわけであります。会社もわれわれの方も、そのあつせん意見につきましては、賛意を表したわけでございますが、会社側といたしましては、たとえば五日の団体交渉の前に、それ以前に連れて行かれた女子の組合員の人たちが、会社のすきを見まして十四名逃げ出して参りました。ところが会社の連中は、そのあとをおつかけまして、三名を途中でつかまえたわけでございますが、十一名は無事にわれわれの闘争本部に帰つたわけでございます。そうしますと、会社は次のような電文を打ちまして、また父兄の招集を行つておるのです。それは、「ムスメニゲタスグコイ」、まつたく人をばかにしたような電報を打ちまして、会社が直接乗り出して参りますと問題がありますので、親子というふうな形で組合の切りくずしに、その後も躍起になつております。きようこちらに参りまして入手した情報によりますと、きのう三十名の父兄に対して、会社はまた電報を打つておるようでございます。 六日に第二回のあつせん委員会が開かれるということになつておりましたが、たまたま社長は国会に出なければならないというふうなことで、このあつせん委員会が危ぶまれたわけでありますが、社長としては必ず次回のあつせん委員会には出ますということを確約しておりました。国会終了後、熊谷に帰つて来たことは来たのでございますが、かぜを引いたために出席できない。当日予定されましたあつせん委員会の会場は、熊谷市の労政事務所でございましたが、社長の方から労政事務所まで行くのはとてもたいへんだから、工場の方にあつせん委員の人たちに来てもらいたいという要請をいたしまして、あつせん委員は工場に行つたわけでございます。そういたしますと、社長は、絶対安静でなければならないと医者に言われたので、たとえばまくらもとに来ていただいても、きようのあつせんには応じられないというふうな形で、六日のあつせん委員会は、事実上成立しないままに終つております。ところが、こちらに参つて聞いてみますと、きのう社長は国会に出ておつたということでございます。 会社が、現在われわれに対してとつておる方法というのは、あつせん委員会ないしは団体交渉が開かれましても、そういうふうな一つのケースを通じて、具体的に問題を解決しようということではなくして、時間を引延ばすことによつて、第二組合の工作をどんどん進めて行くというふうな、まことに卑劣な方法をとつておるわけでございます。 私は、松崎の紛議にかかる経過を申し上げまして、ただいま御報告の中にもありました、たとえば人権を蹂躪するような野蛮な行為、ないしは暴力団を派遣するがごとき、前世紀的な労使関係を持つ会社が、われわれの要求を弾圧しようというこの事実を率直に知つていただきまして、皆さん方に本問題に関する適切な御援助をお願いいたす次第でございます。
○赤松委員長 ただいま国鉄の紛争が重大化しておりますので、私より運輸省の責任者を本委員会に出席するよう要求いたしましたところが、ただいま国鉄労働組合と国鉄公社との紛争は円満妥結をしたという報告を受けました。なお、この点につきましては、後刻労働大臣あるいは運輸省の責任者の出席を求めまして、さらに皆さんの御質疑をいただきたいと思います。 ただいま労働省側より龜井基準局長、和田監督課長が出席されております。 ただいまの松崎製糸に関する問題について御質疑がございましたならばどうぞ……。
○井堀委員 参考人にお尋ねいたします。五日、六日の朝日、毎日、読売等の新聞記事によりますと、女子工員で十六才程度の人々が、労働組合のもとにあつて罷業に参加したいという強い意思があるにもかかわらず、親たちがしやにむにこれを引出して、中には——朝日新聞だと思いますが、で見ますと、親のそういう態度に反対しておりますものに、かなり乱暴な手段で、暴力を用いて本人の意思を蹂躪するよう記事が出ておりましたが、そういう事実がありましたか。
○池田参考人 事案はその通りでございます。私も父兄の方と一緒に会いましていろいろ説得に努めたわけでありますが、会社側としては、何が何でも連れて来い、第一組合の方はこの争議には勝てないのだ。しかも指導しておる連中は共産党なので、こういう争議に皆さん方の娘さんが介入しておるということは、縁談にも影響することだ。父兄は、最初電報で招集されて工場に入つたわけですが、私たちの闘争本部に参る際は、会社側は帽子だとかカバンだとか、そういうものをちやんととつておいて、その父兄がかりに説得されても、直接帰らないように、一旦工場に帰らなければもどれないような仕組にして、説得された人たちが工場に帰りますと、そこでまた会社の連中にたきつけられて、一度説得されたような人が、また再び出て来るというようなこともありました。ひどい父兄になりますと、ほんとうに泣きながら、私は絶対第一組合から脱けないというふうなことを親たちに理解を求める娘さんに対して殴打したり、もし親の言うことを開かなければ、もう親でもない、子でもないというて、常識的には考えられないような言葉も吐いておりましたし、ある人のごときは、来なければ殺してしまうというような暴言すら吐いておりました。会社側は、これらの親たちに対しまして、飲ましたり食わしたりすることは、これはどこの資本家でもやる常套手段でありますが、一人連れて来れば幾らやるというふうなことも、具体的に親たちと話しているようであります。ある女子組合員は、泣きながら父兄の手に引かれて行つたわけでございますが、そのとき次のようなことをそのお父さんに言つております。お分さん、私はまたお父さんのために会社に売られて行くんです、この私の気柱がわかつていただけませんか。こう六うふうなことも、われわれあそこにおつた人たちはみんなはつきりと認めております。それ以外に、私は先ほど暴力団云々ということを言つたわけでございますが、三日のごときは、そういう人たちを連れて参りまして、強引に連れ去つたという事実は、先ほど申し上げた通りでありますし、また私自身あの現場に行つておりまして、そういう人たちから、お前はあすから熊谷の市内を歩けないようにしてやるぞというふうなことを、二回も三回も言われております。
○井堀委員 もう一つお尋ねいたしたいと思います。当時やはり新聞で拝見したのでありますが、埼玉地労委が問題解決のためにあつせんに乗り出したという記事が出ておりますが、組合側はあつせんに対してどういう態度をとりましたか。新聞によりますと、経営者側は何かあつせん委員との面会も断つておるという記事が出ておりますが、組合の方としては、あつせんに応じて解決のために努力されておるかどうか、伺いたいと思います。
○池田参考人 組合といたしましては、今言われましたところの後者のでございます。積極的に本問題を解決するために、現在あつせん委員会を通じて御努力をいたしております。
○井堀委員 基準監督局長にお尋ねをいたすのでありますが、ただいま参考人の陳述の中にも繰返されておりまして、女子工員が争議に参加したのが非常に多いという問題がよくわかるわけでありますが、女子工員の場合に、工場の中において、平時の場合における基準法による保護ないしは業者に課せられた義務はよくわかりますが、争議が発生した場合に、女子工員の身分に対する基準法との関係について多少疑問がありますので、ただしたいと思います。工場の外にあつて争議を遂行する場合と、工場の中にあつてする場合とによつて、相違があると思います。この場合は実情がよくわかりませんが、参考人の今の証言だけを基礎にして考えまするのに、一部は工場の中に、大部分は外に、労働組合の統制のもとに労働争議を続けておるわけであります。内部におる人たちが、ぜひ組合と同一歩調をとつて、争議に参加したいという意思が本人にある。しかし、工場の中におりますと、その意思はいろいろな意味で圧迫狗束を受けるわけであります。この場合に、基準法との関係はどうなんでしようか。
○龜井政府委員 工場内の寄宿舎に入つております女子の労働者につきましては、寄宿舎内の自治の建前からいたしまして、それぞれ寄宿舎規則で定めました規則に従つて、寄宿舎内の生活の自由が与えられておることは御承知の通りであります。ところで、ストライキに入つた場合に、その寄宿舎内における女子の労働者がどういう状況になるか。これはストライキでございますと、就労しないわけでございます。しかし、いや上くも寄宿舎に労働者がおります以上は、寄宿舎の自治というものは、引続き維持さるべきものであると私は考えます。
○井堀委員 次にお尋ねいたしたいと思いますのは、これはあなたの方の所管からそれるかもしれませんが、今日は政府側からしかるべき答弁をしていただく人が来ておりませんので、あなたにお尋ねするのですが、今参考人の述べております工員自身の意思を、親たちがとかく干渉しておる事実です。むしろこれは争議行為に関係して、労政関係ではないかと思うのですが、そういう本人の意思を、いかに親であるからといつて干渉し、今述べられたところによりますと、暴力まで振つてこれを蹂躪するということは適当でないとわれわれは考えるのですが、この点に関する尾形を述べていただきたいと思います。
○龜井政府委員 親子関係だけの単純な関係でございますと、これは労働法の範囲外でございます。広く人権の問題そのものになろうかと思いますが、今度の松崎事件につきましては、会社側は親を動員して、本人の意に反した行動を強制または干渉するという事件でございます。問題は、労政関係の問題でありまして、これがただちに不当労働行為になるかならないかという問題につきましては、私自身責任ある御答弁はできないと思いますが、問題としての所在はあろうかと考えております。
○井堀委員 人権上の問題については、法務省の所管でありますが、おいでになつておりませんので、委員長にお願いしておきたいと思うのです。後日機会がありましたら質問いたしたいと思いますが、もし困難であるならば、文書でその由を通告してもらいたいと思います。 そこで、労政関係の方がお見えになつておらないのですが、労働省としては、この松崎争議については、何か詳しい報告が来ておると思うのです。問題の焦点になりますのは、もつぱら経営者側と労働者側との間に正常なる団体交渉が遂行できない、あるいは今聞きますと、地労委のあつせんすらがスムーズに進行しないという状態が参考人によつて証言され、新聞に伝えられておりますが、その意について、どの程度御了承になり、またそういうものについて御注意等をなされておりますか、お伺いいたします。
○龜井政府委員 私の立場から申しますと、新聞でこの問題は目に入りましたので、基準法の関係としましては、先ほど申しました寄宿舎の問題その他がございます。さつそく地元の局に連絡をしまして調査をいたさせておりますが、まだこまかい報告を受けていない段階でございます。労政に関しましては、私、責任者ではございませんので、どういう調査をいたしておりますか存じません。
○山花委員 議事進行について。本問題は、井堀委員と政府当局との質疑を聞いておりましても、やはり務政一般の関係になりますので、的確なる御答弁も得られないし、正確なる資料をつかむことができませんので、ひとつ労政局長を呼んでいただきたいと思います。 それからもう一つ申し上げたい点は、昨日も日雇い労務の登録労働者の越年要求問題に関して、いろいろ審議をいたしましたときにも、結局当面の責任の持てる政府側がいなかつたために、なかなか委員会がスムーズに進まない。昨日は参議院の関係もございまして、われわれは了承したのでございますが、本日は参議院との関係がどういうようになつているか、その点も明らかになつておりませんので、ひとつ委員長の方から、即刻この問題に関しておわかりになる政府当局の本委員会に出席方を要請するものであります。
○赤松委員長 さつそく手続します。なお職安局長を呼んだのですけれども、ただいまは労働省内において日雇労働組合の人と交渉をやつておるという話でございますが、なお督促いたします。 それから井堀君の御希望の人権擁護局長の戸田正直君、よろしゆうございますか——それではさつそく呼んで参ります。 では続いておやりになりますか。
○井堀委員 それでは、それまで保留しておきます。
○赤松委員長 他にございますか。
○青野委員 参考人にちよつとお尋ねします。いろいろ詳しい御報告がございましたから、その点はよく了承することができます。こういう問題の起つておりますときは、えてして自治体警察あたりが、どちらかというと、今までの例では、資本家側について、第二組合結成に陰から応援をする、あるいは会社側の利益を直接間接に代表して、労働組合の前進を妨害するというような例が非常に多い。あなたたちの問題について、地元の警察は、今具体的にどんな動きをしておるか、これをちよつとお尋ねしておきたい。
○池田参考人 一概にこうだということは、現在私としては申し上げにくいわけでございますが、一つの例といたしまして、三日の総決起大会に引続きまして、四日の日にやるデモをかけました。その際熊谷市警は、国警も動員したように聞いておりますが、特別警戒態勢に入りまして、工場のすぐ横がポリス・ボツクスになつております、そこに約七十名からの警官が集まりまして、それらの人たちは、鉄かぶとで身を固めていた。これは明らかに、われわれの正当な組合運動に対して、威圧を加えるものであるというふうに考えます。 それから三日に警察が写真をとつたのでありますが、このとき写真をとらせまいといたしまして、若干トラブルがありましたが、その際はある意味で好意的な態度をとつて、その問題を処理しております。 それからもう一つ三日に、三日の総決起大会直後、私たちは、先ほど申し上げましたように、一旦女子の人たちを会社の寮の中に入れまして、身じたくをいたしました。雨や泥にぬれておつたために、着物を着かえたわけでございますが、その際、会社側がどういうふうな態度で第一組合の弾圧に出て来たかは、申し上げた通りでありますので、そういう経過に基いて、第一組合の人たちを紀の衞ぶろの二階に宿泊せしめるようにいたしました。ところが会社側は、夜の十二時半ごろ、町の連中を引き連れて、総勢三十五、六名で組合員の奪還にやつて参りました際、私どもといたしましては、これは警察にも来てもらつて、一体どちらに正当性があるのかはつきり聞いてもらおうと考えて、夜の夜中、公衆電話の方に参りまして、すぐ来てもらいたいという連絡をとりました。警察からは、参りますというふうな返事をしながら一向に姿が見つえなかつた、こういうふうな事例がそれぞれございます。
○赤松委員長 そうしますと、どうでございましよう。この問題は午後、それぞれ今御希望のございました責任者を呼びまして、質疑を流行するということにしたいと思いますが、御異讓ございませんか。
○青野委員 もうちよつと基準局長に、参考人の報告と今の私に対する御答弁を聞いて、基本的な問題で、ちよつと御答弁はむずかしいかとも思いますが、私も最近いろいろな争議に関係をしておりますので、特にお尋ねしておきたいと思う。私の足元の三万五千の八幡製鉄の労働組合も、退職金の問題でまだやつておる。こういう製糸会社とか紡績とかというところは、特に封建的な気分が経営者側に残つておりまして、本人の意思いかんにかかわらず、非常に目に余る迫害があります。そうして、反省しない。問題になるとうるさいものだから、特に経営者は国会に籍を置いておる人である。いろいろな影響力を持つているから、大事を踏んで、父兄側を招集して、功妙にやるのです。しかし私は、最近は予算委員会に出ておりますが、衆難院で五年ほ労働委員をやらしてもらつて、私自身の基本的考えは、争議というものは力と力の対決なんです。合法的なおく内において、力の強い者が、最後に勝つということになるわけですが、働く意思のない者を、どんな力をもつてしても、これを働かそうとするごときは、民主主義に反し、これはもう明らかに人権蹂躪だと思う。親が連れに来ても、女工さんが反対をして、目から涙をこぼしながら会社側に引かれで行くといつたようなことを無視して、やむを得ないことだということで放任すれば、弱い者は常にこういう人権蹂躪の犠牲になつて行く。私は、警察がどういうことをしておるか、簡単な御答弁でございましたから、具体的なことはわかりません。これは労働委員会でも問題になつたと思いますが、最近九州で問題になりましたところの、旭硝子工場が四十六日間ストライキをやつた。そうすると警察が暴力団と一緒になつて警察自身はやらないが、労働組合を襲撃した。襲撃した人間の中には、明らかに私服がいるのです。私服はとつた写真にのつておる。デモをやつていると、工場の内部から約三百名の暴力団——これは請負師関係の労働者です。これは明らかに会社側で、二十五枚の大きなれんがをデモの中にぶち込んで、指導者は左のほおを大けがをしておる、手をけがしておる。そうすると、われわれは知らないと、検察庁は相手にしない、警察も相手にしない。組合を襲撃した犠牲者はいまだにひつばらない。単にデモのちよつと行き過ぎかわかりませんが、板べいを一枚か二枚突き破つた程度のことで、四十何人の人が検挙になる。結局裏から会社側が細工すれば、その土地の警察は、大体において労働者側と反対の立場に立つて、争議を切りくずす、懲罰的行為をする。そうしてそこに何かなぐつたか、なぐられたとかという問題が起ると、警察側は公務執行妨害、現行犯の傷害罪。そうして自分たちは警棒で二十も五十もなぐつておいたつて、これは結局なぐりもうけ。いつの争議でもこれです。これが大きな原因になつて、争議が負けて来る。会社の思うつぼの第二組合ができる。旭硝子の最後もその過りです。第二組合を千名ばかりつくつてしまつた。そうして食管法違反を起して、やみ米を何百俵も買つて、八幡市民に預けられている政府の米を、百七十五俵も第二組合の組合員に公然と流し込んでおる。食管法違反をしてまで、第二組合の諸君の便宜をはたつて行くというようなことが、天下のあの三菱の工場において行われておる。ましていわんや、今問題になつておるところでは、自分は衆議院の方に関係がある、国会に関係がある。非常な力を持つて、地方の警察なんかどうでも動かせる。正しい労働者の言うこと、労働組合のやつておることに対して、いつも弾圧の方針を持つて来る。結局は労働組合の諸君は、正しい主張をしながら負けて行く。こういう際に、警察の行き過ぎの是正、あるいは労働基準局長として、基準法違及、不当労働行為というものが、労働委員会で問題になる前に、基準局そのものが先頭に立つて、不当労働行為はないか、あるいはその工場の内部において基準法の違反はないか、そういう点についても、やはり公平な立場に立つて行動をとつてもらいたいと私たちは思いますので、この点お聞きしたい。一番重点になるのは、働く意思がない者を権力を持つて働かせるということは、民主主義に反する人権蹂躪で拠ると同時に、法の上から行けば、明らかにこれは不当労働行為であると私どもは思う。最近起つて来る全国的な争議の例をとつてみましても、非常にこのごろでは行き過ぎがある。そういう点について、責任者として十分ここに考えてもらわなければなりませんが、今回の松崎製糸の問題についても、具体的に今御報告があつたのですから、そういうものに対する基準局長の御意向をひとつ明らかにしておいてもらいたい。
○龜井政府委員 労働基準法の律前は、いまさら申し上げるまでもございません。労働者の労働条件の維持改善をはかりまするために、いろいろな保護措置を講ずるのでございまして、その中に今お話のございました、働く意思のない者を働かせることが、人権の立場から見て、あるいは労働法の立場から見てどうかというお話でございますが、働く意思のない者を強制的に動かせますことは、明らかにこれは人権の尊重に反しますことは言うまでもございません。とともに、労働基準法の建前から申し上げましても、強制労働の禁止は、明文をもつてこれを規定してあるのでございます。そういう点からの違反として問題が処理される面もあろうかと存ずるのでございます。 それからまた、事前にそういうことのないように監督の措置を講じておるかという御質問でございますが、現在のわれわれの監督のやり方といたしましては、定期的に監督をいたします。これは業種別、地域別に一定の計画を立てまして、それぞれ定期の監督をいたしております。さらに、その監督におきまして違反が発見をされました場合におきましては、一定の期日までにその是正を命じまして、その期日に再監督をしまして、さらにその是正をいたさせる。また他面、労働者からの申告がございますと、これは優先的にその申告に基きまする調査をいたし、監督を実施しておるわけでございます。その監督の際におきまして、お話のような趣旨は、絶えず監督官としまして、使用者側に啓蒙的にと申しますか、一般的にと申しまするか、指導はいたしておるのでございまして、それは単に労働基準法という建前からではなくして、使用者としてのそういう気持、心構えというようなものにつきましても、労働基準法に関連いたしまする点から指導をいたしておるのでございます。ただ、すみずみまで監督官の手が及ばないというふうなことから、いろいろ問題か起る場合もございますが、こういう場合におきましては、事後におきましてそれぞれ是正をさせるという手をとつてお心のでございます。われわれは労働者の人権を侵害するような行為を看過するようなことは、決しいたさないつもりでございますし、また過去におきまして、そういう態度で臨んでいなかつたわけでございます。
○青野委員 先ほど委員長がおつしやつたように、午後から労政当局の責任者が出られたときに重ねて御質問しますが……。
○赤松委員長 青野君、発言中ですが、今人権擁護局長がすぐ参ります。
○青野委員 それでは池田参考人に重ねてお尋ねいたします。お話の中で、ちよつと聞き漏らしたのですが、何月何日に工場閉鎖を掲示したか。会社の方は労働組合に対して文言によつてそれを通告して来たのか、あるいはただ工場の一部、あるいはいろいろなところに掲示をしただけであるか。これは工場閉鎖と申しましても、そう軽率にこういうことをすべきではありません。この点をちよつと私聞き漏らしましたので、何月何日文書による工場閉鎖の通告があつたか、あるいは単なる掲示によつてそれを組合員に知らしたか、これを伺いたい。
○池田参考人 工場閉鎖をしましたのは、十二月の二日、時間についてははつきり記憶しておりませんが、多分午後五時半ないし六時の間であつたというふうに覚えております。なお通告の方法は、文書をもつてして来ております。補足になりますけれども、労調法第何条に基いて工場閉鎖をするということが内容としては書かれております。御承知のように、製糸ないし紡績関係の工場は、その大部分が寄宿舎に居住するというふうなことになつておりますから、私たちは寄宿舎の問題、それから給食の問題、こういうものについてはどうするんだということを口頭で質問しましたところ、それらの使用については従来通りであるというふうなことを言つておりました。 —————————————
○赤松委員長 この際お諮りいたしますが、第十七国会以来継続して審査して参りました昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害による被害地域における失業対策事業に関する特別措置法の一部を改正する法徴集(吉川久衛君外十三名提出、第十七回国会衆法号六号)については、なお審査を続ける必要があると存じますので、閉会中審査の申出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。 —————————————
○赤松委員長 次に、本委員会に付託せられました請願の審査に入ります。 旦羅労務者の越年要求に関する請願(山花秀雄君紹介)(第四五七号)同(矢尾喜三郎君紹介)(第五〇六号)、失業対策事業就労労務者の越年要求に関する請願(佐々木更三君紹介)(第四五八号)、郵政部内公労法適用職員に仲裁裁定勧告案実施に関する請願(佐々木重三君紹介)(第四五九号)、駐留軍労務者の給与引上げ等に関する請願(鈴木茂三郎君紹介)(第五一二号)以上を一括議題といたします。 まず山花秀雄君より一括御説明を願います。
○山花委員 ただいま委員長の方から申し述べられました請願五件でございますが、そのうち第四五七号、第四五八号、第五〇六号は、いずれも日雇い労務者の越年資金要求の請願でございます。これらの請願に関しましては、昨日採択になりました第一三七号、第三六二号、この両請願と内容はおおむね一致しておりますので、あらためて説明を省略いたしまして、昨日同様採択の御決定をの願いするものであります。 それから第四五九号仲裁裁定の請願でございますが、この問題に関しては、本会議で議決されておりますので、当然この請願は一応議決済みのものとしてお取扱いをお願いするものでございます。 第五一二号の日本駐留軍労働組合から請願されております内容は、労働時間の短縮による収入減を補うために、給与の引上げと年末資金の増額の要求でございます。これらの要求は、前申し上げました日雇い労務者の要求と内容を同じくするものでございますから、昨日お取上げになりましたのと同様に、採択をされんことをお願いいたしまして、はなはだ簡単でございましたが、一応各請願の趣旨の説明をいたした次第でございます。
○赤松委員長 政府側の御意見は、午後これを承ります。 それではただいま審査いたしました文書表番号第四五七号、第五〇六号、第四五八号及び第五一二号の各請願につきましては、議院の会議に付するを要するものとし、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議がなければ、さよう決します。 なれ委員会の報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますから、御了承願います。 —————————————
○赤松委員長 次に陳情書の審査に入ります。 文書表番号第五三、第五四、第五五、第七六、第七七、第八〇及び第八大を一括議題といたしまして、浜口専門員よりその趣旨を説明いたさせます。
○濱口専門員 陳情第翼三号は印刷事業、第五五号は郵政事業、第五四号、第七六号、第七七号、第八六号は国有鉄道の、それぞれに対する仲裁裁定の安施に関する陳情でありますが、本件につきましては、すでに当委員会において議決を終了いたしておりますので、これは省略いたします。 陳情第八〇号は、日雇い労務者の越年資金に関する陳情でありますが、その要旨は、失業対策事業に従事している日雇い労務者は、就職のために多大の努力を払つているにもかかわらず、定職を得ることができず、やむなく失業対策事業の日雇い労働に従事しているのであります。これらの日雇い労務者は、日曜、祭日、雨降り等には就労することができず、その日常が生活苦にさらされているのであります。ことに年末、年始には、出費が多いにもかかわらず、休日が連続し、その間の収入はなく、まつたく生活は危機に当面せざるを得ない状態であります。失業対策事業に従事する日雇い労務者の特殊な立場を考慮されて、越年資金一箇月分の支給を要請しているものであります。 以上で陳情の要旨の説明を終ります。 —————————————
○赤松委員長 それでは松崎製糸株式会社の争議関係について、質疑を許します。中原健次君。
○中原委員 日雇い労務者の問題はあとにいたしまして、ちよつと今の話の順序として基準局長に一言お伺いたしたいと思います。 熊谷の松崎製糸の問題につきましては、十二月六日の各新聞が報追いたしました。従つてそのことは街頭ではもう十分うわさにいたしております。先ほどの局長の御答弁では、まだその間の事情について地元の基準監督局の方から報告がない、こういうようなお答えであります。これは埼玉県、あまり遠くでもないので、もうすでに十分報告が届いていなければならないはずだと思うのです。なぜその事務がそのように渋滞しておるのか、私はこれはたいへんなことだと思う。ことに、人権蹂躪の問題を伴つておるようなことでありますので、なおさらであります。この間の事務の渋滞のことについて、一応伺つておきたいと思います。 それからもう一つは、人権蹂躪であると同時に、局長御自身が言われましたように、基準法第五条に該当する事項かと思います。 〔委員長退席、山花委員長代理着席〕 そうであつてみれば、基準局の当事者としては、人権擁護委員会の問題に付することとは別個に、基準局は基準局として、私は、労働を強制したという事情があるためには、これをはうつておいてはならない、このように思うのであります。この件について、その傍調査のスムーズに進んでおらないこととの関連で、もう一度伺いたいと思います。基準局が活機に活動されて、沖の命ずる通りに十分ものが進んで参わますならば、女工哀史を繰返すというようなことはもうなくると思います。その女工哀史にひとしいものが、むしろ女工哀史そのものを、基準法ができましてから相当な日を経過しておる今日、なおかつ繰返しておるということは、いやしくも基準監督局の不行届きだ。あるいはそれが不行届きであるためには、基準局が十分活動することのできないような、そういう不十分さが与えられておるということのためである。その不十分さのため十分活動できないということも、いえるかと思うのであります。そういう諸点について、忌憚のない、御遠慮のない御発言を求めたと思います。
○龜井政府委員 ただいま御質問のございました報告の遅れておることは、地方の局の事務が渋滞しておるということでございますが、私は必ずしもそうは思わないのであります。ただ、問題が非常にデリケートでございますし、また争議中のことでございますので、監督官が調査に行きましても、またその結果を本省に報告するにつきましても、慎重を期しておるのではないか。特に労働基準法第五条の強制労働の問題になりますと的確な証拠というものがなければ、なかなかつかみにくい性質のものでございまして、抽象的な議論としては強制労働のにおいがあるといたしましても、具体的に、しからば法第五条違反として摘発するということになりますと、これは相当綿密な調査と証拠を持たなければ、なかなか摘発が困難のような事情がございます。従つて、事務渋滞の面につきましては、再度けざ実は報告を催促をしたような現実でございまして、近くその報告が参るものと考えております。そういう事情でございますので、もう少し御猶予をお願いいたしたいと思います。
○山花委員長代理 委員諸君に申し上げます。ただいま戸田人権擁護局長が参つておられます。
○井堀委員 人権擁護局長にお尋ねいたしたいと思いますが、あなたのおいでになる前に、埼玉県熊谷の松崎製糸の労働組合の代表者から、労働争議に関係しての参考意見を伺つたわけであります。その中で、製糸工場でございますから、女子工員が非常に多数を占めておるわけであります。その女子工員を主たる組織といたします労働組合が、労働組合法第一条の規定にもありますように「労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること」と規定しておるわけであります。さらに憲法第二十八条におきましては「団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と宣言しておるわけであります。この憲法の宣言といい、労働組合法による保護条項からいたしまして、当然労働者が団結して労働条件のために交渉を続けるということは、疑念を持つ必要はないと思うのであります。ところが、この精神に基いて、労働組合が、松崎製糸とたまたま団体交渉が不調に終つてストライキに入り、経営者側も工場閉鎖を行うというきわめて固難な事態に当面して、労働組合が団体行動を押し進めております際に、その争議団、組合に参加しております女子工員の親たちが——参考人の説明によりますと、会社側の意を受けてと言つておりますがその意を受ける受けないは別といたしまして、その親たちが親であるからということで、そういう当然労働者のいわば基本権であると同時に、労働者の共同的な責任を遂行するために正しい行動をいたしておるのを、しやにむにその組織の中から切り離して、団体交渉のための行動を破壊するような行動が行われておる。しかもそれが親の地位を強制いたしまして、本人がぜひ共同動作を続けて行きたいという強い信念と希望を主張しておるにもかかわらず、暴力を振つてまでこれを引立てた。五日、六日の各新聞に掲載されました記事について、今事実の有無をただしましたところ、新聞記事以上のものであるという証言がありました。その証言が信じられますならば、親であるからということで、しかも本人の拒ぱむのを、髪の毛をひつぱつたり、あるいは暴力を振つて引立て、しかも公衆の環視の中でそういう行為が行われておるという事案であります。これは労働争議に関係するといなとにかかわらず、問題であると思いますが、しかし憲法の二十八条の規定といい、労働法の保護規定といい、これはひとり個人の意思だけでなくて団体としての意思もあるわけでありますから、二重の問題が私はあると思う。こういう事実について人権擁護局はどのような判断を下しておるか、またそういう事実についてどれだけ御存じであるか、問題であると思いますので、この二点についてお伺いいたします。
○戸田説明員 ただいいま仰せの事件は、六日の新聞によりまして承知いたしました。ちよど御承知の四日から十日までが人権週間ということになつて育まして、各地でいろいろの行事なり催しをいたしておりました。これは御質問とはちよつと違うのですが、非常に人権擁護局あるいは地方法務局の職員が手薄なものでありますので、その行事の方にほとんどとられておりまして、事件として新聞紙上で承知をしておりますが、まだ調査をいたすまでに至つておりません。ただ情報を得ておるという次第でございます。 そこで、ただいまの御質問でごいざますが、労働条件の改善あるいはその他の問題のために団体交渉をする、あるいは争議権を行使するということは、ただいまの御説のように、憲法で明らかに規定せられております憲法上の労働者の大きな権利であり、また憲法による表現の自由というような点からも、こういう行為が憲法上権利として認められておりますことは、ただいま御説の通りだと考えております。そこで、女子工員のストに対して、新聞等によりますと、またただいまの御説によりますと、親が経営者の依頼を受けてストをやめさせるとか、あるいは他の組合に入れさせるとかいうようなことは、御承知のように、労働協約というようなものは、労働者と、経営者との対等の立場における自由な意思によつて契約すべきものであつて、これを他の者が押えたり、介入したりする筋合いのものではございません。従つて、親といえども、子供のそういう行為に対してこれを干渉し、あるいは押えつけるというようなことは、憲法に認めております自由を干渉するような結果になるのではないかと解釈いたしております。従つて、この争議をやめさせるとかいうために暴行を加えるというようなことは、これはもう許し得ないことだというふうに解釈しております。ただ、本件の場合がどの程度であるかということは、先ほど申し上げましたように、まだ調査をしておりませんので、事実をつかむわけには参りませんが、ただいまの御質問と新聞等の記事によりまして、今申し上げたようなふうに解釈しておる次第であります。
○井堀委員 私の解釈も擁護局の解釈も、まつたく一致しておるようであります。そこでお尋ねをしなければなわませんのは、さような事態が公然と発生しておる場合に、どういう立場の者がその人権を擁護しなければならないかということであります。そこで、あそこは自治警察だつたと思いますが、警察当局は、その保護に当を責があるのではないかと思いますが、その点の解釈はいかがですか。
○戸田説明員 たいへん言葉が抽象的になるのですが、人権の問題というものは、それに関係するあらゆる者がみんな協力してやらなければ、とうてい人権擁護の実をあげることの困難であることは、私から申し上げるまでもたいと思います。従つて人権擁護につきましては、裁判所といえども、検察庁といえども、警察といえども、角度をかえてみますと、人権を擁護するということはやはり一つの職務であるというふうに私は考えております。もちろん警察等は、一面においては人権を擁護し、一面においては人権を制限したければならぬという職務と、いわゆる両面の仕事を持つております。しかし、どうかすると人権を制限する方の面に力が入り過ぎて、それで人権擁護という面がはなはだ軽視されがちになることは、仕事の性質上ある程度は、許し得るとは申し上げられないのですが、やむを得ない場合もあるように考えるのです。やはり警察としても、国民の人権を擁護するということは、一つの職務であろうと考えております。
○井堀委員 よくおかりました。そこで、今具体的に発生しております、人権が蹂躪されているこの事実であります。もちろんその保護を求めて来れば、当然警察の保護が与えられることは疑いの余地がないと思いますが、その前に労働法の第一条の精神に基いて労働条件の維持改善の団体行動がとられておるわけであります。その団体行動を何人も破壊することは許されぬわけでありますが、その破壊に対してみずから防衛するものは、労働組合の組織だと思うのであります。そこで、その組織を構成しております幹部ないしは組合員が、親たちのさような人権を破壊するような行為を拒むことは当然の権利だと思う。そういう行為を、今日争議を行いつつある組合員として、なすがままにまかされておるということが、新聞や証言によつて明らかになりておる。その場合に、われわれの解釈からいえば、当然構成メンバーである人々によつて、まず第一に人権擁護という立場と重ねて団結権の擁護、団体行動の自由を確保するという行動が認められでしかるべきだと思いますが、その点に対して御所見を伺いたい。 〔山花委員長代理退席、委員長着席〕
○戸田説明員 先ほど申し上げましたように、団体行動をいたしますことは、憲法上許されております。従つて、その正当な団体行動に対して妨害するようなものを、組合の幹部の人たちがみずからの力で守るということも、これはやはり当然の権利であるというふうに考えております。ただその行動が、いわゆる正当の団体行為としての域を脱しているか脱していないかということは、これは別問題でありますが、考え方としては、正当な団体行為を妨害するものから守るということは、やはり憲法上認められた権利の一つであるという解釈をしております。
○井堀委員 そういう憲法上、法律上、正当な行為を労働組合が行使した場合に、何人といわず、これに妨害になるような行為がある場合には、これは当然排除されなければならぬと思う。これは法律違反行為になるとわれわれは考えますが、この点は間遠いございませんでしようか。
○戸田説明員 正当な団体行為を妨害するものを実力をもつて排除するということも、先ほど申し上げたように、できるものと考えております。しかし、その排除する実力行為が、暴力におたるとかいうことになりますと、これは別の問題でありまして、自分たちの行動を守るのだから、いかなる行動をしてもいい、あるいは衆力を用いようが、暴行をいたしてもよろしいというわけには行かないのじやなかろうかというふうに考えております。正当にそういう妨害行為を排除することは、許されるものであると考えております。
○井堀委員 そこで具体的な事実でありますが、非常にデリケートな点があると思う。一方には親子関係という封建的な思想が現存しておることはいなめない事実です。ですから、その封建的思想の前には、親も子も今言基本人権が侵されるということを意識しないで行動が起つておるものと、私は善意に解釈することができると思うのです。そういう事態について、あなたの御説のように人権擁護は当事者同士ではとうてい完成し得ないかもしれないので、第三者ないしは国民全体が協力するということは、私は憲法の精神だと思う。その場合に、そういう封建的な思想の前に麻痺して無意識に行つておるような事態については、やはり第三者といえども注意警告を発するということは、私は妥当だと思うのですが、この点伺いたい。 それから次は、その方法手段の問題である。暴力にわたる行為は、もちろん許されないことは言うまでもありませんが、その親子の間における封建的な思想が、あまりにも反動的なために、今起つておりますように、娘の髪の毛を引きずつて公衆の前で親権を誤つて振うというような場合、それを阻止しようとする場合には、正当防衛という形の中に起つて来ると同じ現象において、そういう暴力を阻止しようとすれば、どうしてもやはりそれにひとしい、ないしはそれ以上の何らかの力を加えて、そういう行為を阻止せしめなければならぬという事態が起る。こういう限界については、一体どういう御判断お持ちでありますか。これは労働争議の場合は、実際問題して非常に重要でありますので、見解をびとつ伺つておきたい。
○戸田説明員 都合上、あとの問題から光にお答えいたしたいと思います。暴力に対して、ある程度の、あるいはそれにひとしいような暴力は、事態上やむを得ないのじやなかろうかというような御質問でございますが、これは、暴力自体がやはり許せないことでありまして、御承知のように民主主義というものは、国民の人権が擁護されているかどうかということで、暴力は理由のいかんを問わず否定しなければならぬことであると私たちは解釈いたしております。従つて、間違つた行為であ乙ところの暴力に、さらに暴力をもつて対抗するということはどうも人権擁護の立場からは、ちよつと是認をいたしかねるのでありまして、その限界をどこに引いたらという御質問に対して、この程度の暴力であれば——それに対応するものとしてこの程度の暴力はよろしいじやないかというわけにも、ちよつと参らないと存じます。人権擁護の立場からは、いかなる理由がありましても、暴力は否定しなければなりませんので、私の立場といたしましては、相手が暴力をもつて来たから、この暴力を排除するのにやはり暴力をもつてしてもよろしいのだ、場合によつてそれはやむを得ないじやなかろうかというようなことを申し上げるるのは少し困難でありまして、理念といたしましては、原則として暴力は許せない、かように申し上げるよりやむを得ないのじやなかろうかと考えております。 それから、結局お説のように、確かに親子関係というものは、封建的な考え方が非常に多いと思います。御承知の人身売買についても、封建的な子供を私有物化している考え方が、今でもなお残つているのではないか。子供を親のために働かしていいのだという考え方が、まだ多分に残つていると思います。従つて今のような問題にいても、まず親に納得させて、親が押えつければ言うことを聞くだろうという考えから、かようなことになつたのではなかろうかと想像されるのであります。しかし、先ほど申し上げたように、労働契約というものは、労働者と経営者との自由な立場において契約を結ぶべきものであつて、これに対して、親といえども、いたずらに干渉することはいけないのではないかというふうに考えておりますので、こうした封建的な親の考え方というものは、私たち人権擁護局の所管として、啓蒙活動をいたしておるのであります。しかし、何しろ長い間封建生活をいたしておりました日本では、基本人権といつても、なかなかのみ込めない。地方においては、まだ人権思想というものが遅れております。これは大げさに申し上げれば、国民全体が自覚することが必要でありまして、これに関係するいろいろの団体なり、機関が力を合せてそういう思想を一掃するようにしなければ、なかなか解決する問題ではないと考えております。
○井堀委員 そこでもう一つお尋ねしたいのでありますが、われわれも、暴力は絶対に否定する点については同じであります。しかし、暴力を阻止する行為が、暴力を全然無視してそういう大きな暴力阻止することが可能であるかどうかという実際問題がある。いわゆる必要悪というものが存在すると思うのです。暴力を否定するからといつても、暴力を振つて人権が侵されているのを阻止することも、また小さな暴力であるかもしれない。暴力はいけないからということであれば、その人権は、抽象的にはみなが見守つておりましても、あるいは輿論が制肘を加えるというようなことはあるかもしれませんが、しかしそういうことで今発生しているような争議権が侵されている場合、暴力がいけないからといつて、暴力を振つているのを阻止すれば、そこに暴力が発生する。それがいけないということになれば、事実上人権が阻止される。それをそのまま見送る、あるいは労働者の団結権が侵されつつあるのを阻止することができない、こういう事実が発生しているわけでありますが、この実際問題についての解釈をお伺いいたしたいのであります。
○戸田説明員 非常に問題がデリケートになつて参りまして、むずかしいのでありますが、今の暴力を用いるものに対して、全然目をつむつて、暴力は許されないのだから、いかに暴力を振われ、自分たちの人権が蹂躪されても黙つておれというようなことまで申し上げているのでございませんので、その場合に、暴力に対してこれを阻止するという程度のものは、暴力と解釈すべきではないのではないか。ただ、暴力そのものは許せないと申し上げたのであつて、その暴力に対してこれを阻止するという程度のものが暴力になるかならぬかという問題ではなかろうかと考えますが、ある程度の押えるくらいのものは、私は暴力と解決いたしておりません。どうしてもこちらも相当の暴力をもつて対抗しなければという場合ぬは、いわゆる警察等に保護を求めるといいますか、暴力を阻止してもらう。普通のある程度の暴力に対して、これをその場において押えるという程度のことは、これは暴力を振つたと申し上げられないこともないが、その侵害に対してそれを阻止するというということは、ある程度許されることであつて、私はそこまで暴力であるというふうには考えておりません。暴力であるということになりますと、先ほどお答えいたしましたように、暴力はいかなるものであつても、これは否定しなければならぬというふうに考えております。
○井堀委員 たいへん明確になつて参りました。私は擁護の上において無理があつたということはわかりました。暴力を否定するための行為は暴力でないというはつきりした定義は、必然かもしれませんが、暴力を阻止するだけの何らかの行動があるわけでありまして、その行動が暴力と名づけられるかどうか。まあ暴力という言葉の上にこだわり通事たかもしれませんが、暴力を阻止するための行動というものは、人権を擁護し、もしくは労働者の団体行動権を守る場合には、そういう行動は暴力ではないというようなものもあり得るであろうという点が、私どもには十分納得できなかつたものですから、お尋ねしたわけでありますが、よくわかりました。
○戸田説明員 今の点につきまして、たいへん言い訳ですが、もう少し私は説明させてもらいたいと思います。この阻止する行為というものが暴力であるかないかという問題は、いわゆる具体的な問題でありませと、観念的にどうということをはつきりきめるということは、いろいろの場合においてむずかしいのではないか。従つて、暴力であるから、それを阻止する場合は、全部暴力じやないのだというふうな解釈のようにとられますと、これはまた解釈が違つて参ります。非常に問題がデリケートでありますので、少し神経質な御答弁のようで申訳ないのですが、個々の具体的な場合に、客観的に見てそれが暴力であるかどうかということになるのですけれども、要は、私が今申し上げた、なぐつて来たというものを抑えるということは、これはもう戒力でなく当然のことであるという意味の解釈は、この労働争議等においての個々の場合になりますと、具体的な問題についていろいろ客観的に見ませんと、ただちに一線を画すということが非常にむずかしい場合があるかと存じますので、その点だけひとつお含みおき願いたいと思います。
○井堀委員 これに関連して、基準局長にお尋ねいたしたいと思います。ただいまの擁護局の御答弁で明かになりましたように労働組合法に規定され、あるいは基準法に規定されておりまする労働者の自由というものは、何人も侵すことができないというこの原則は、一点の疑念もなくなつたのであります。そこで、雇い主と労働組合との間に問題が起つているときに、親がこれに介在するということは、労政関係の問題として不当労働行為が発生すると思いますが、その場合に雇い主が依頼をしたかしないかが一つの問題になると思う。しかし親が不当労働行為をしたことは間違いがない。そこで、もう一つ基準法関係で、人身売買の疑いが起つて来る。本人の意思があるならば、親が干渉してはならぬ。干渉するということは、封建的な思想と言いくるめるには、あまりに問題が具体的だと思う。賃金問題その他の経済問題が中心になつて労働争議が発生している場合に、親がこれに介在するということは、あらかじめ親が本人の労働力に対する報酬を予定していたという行為が判断できるので、これは基準法違反の懸念が確実になつて来る。その意味で、私は親は検挙に値する犯罪行為ではないかと思いますが、基準局長の見解をもう一度お伺いします。
○龜井政府委員 労働基準法でいいますいわゆる人身売買とは、基準法第六条の中間搾取の排除に関する規定に違反するかどうかという問題でございます。この法律にございますように「他人の就業に介入して利益を得てはならない。」しかも「業として」という条件がついておりまして、今のお話の場合におきましては、ただちにこの第六条違反になるというふうには、われわれには解釈できないのであります。すなわち業としてやるということの条件から申しますと、その条件には合致しないということになると思います。
○赤松委員長 池田参考人は、今日は紛争のあつせんがありまして、二時に帰らなければならぬということであります。 なおこの際、龜井基準局長にお願いしておきたいのは、どうぞ監督行政をしつかりやつていただいて、再び女工哀史の生れないように努力していただきたいと思います。 それでは参考人の方、どうも御苦労さまでした。 —————————————
○赤松委員長 日雇い労務者の年末手当について質疑を許します。井堀繁雄君。
○井堀委員 江下局長にお尋ねいたしたいと思います。日雇い労務者の場合について、昨日、越年資金といいますか、もち代といいますか、五日分を予定しておることをはつきりされました。そこで、これに関係してでありますが、政府が予算化された五日分に対して、市町村長がこれと比例し、もしくはそれに上まわるこれと同じようなものを支給することがあり得るのではないか。そういう場合に、政府の方から干渉というか、あるいはそういうものを妨げるような意思表示をなされるようなことは、よもなかろうと思うのですが、この機会に明らかにしていただきたい。
○江下説明員 お答えいたします。政府で決定いたしました五日分の年末就労日数の増加は、もちろん政府といたしましては三分の二を持ちまして、三分の一を自治体で負担するわけであります。これは現在の予算通りの方式でございます。そのほかに、なお自治体が自分の財源から捻出して、労働者に対して幾らかの金を出す、これに対して労働省が干渉するかしないか、一応こういう御質問といたしまして、御答弁をいたしたいと思います。 失業対策事業は、御承知の通り全国の失業の情勢をにらみ合せまして、できるだけ各都市、各地方におきまして、平等に失業救済の実をあげるというのでなくてはならないというふうに考えております。すなわち、言葉をかえて言いますと、国家財政というものを一体として考えまして、おのおのの負担率を考えまして、公平に実施して行くということでなくてはならぬと思います。そういたしますと、かりにある自治体におきまして非常に財源がゆたかである、あるいはある自治体において非常に財源がきゆうくつであるといつた場合に、国庫といたしまして、これらの自治体に対しまして、自由に地方財政を使わせるということは、はたして妥当であるかどうかという問題になると思います。ただ労働省として、地方の自治体がそういう特別なものを出すのを、法律的に出すなといつて規制する道はございませんけれども、行政措置として、やはり全国バランスのとれた越年対策となるように、私どもは調整して行きたいという気持は持つておる次第でございます。
○井堀委員 そういたしますと、全国的な均衡をはかるという意味らしいのですが、失対事業の場合は、失対事業というものの性格がだんだんかわつて来たということが論議されておる時期ですが、必ずしも画一的な状態じやないと思うのです。それを給与だけを画一的にやるということは、そこにも少少矛盾がある。いま一つは、自治の精神から行きまして——教育費の問題は、今これと逆のコースを政府はとつておりますが、やはり自治権を干渉するという行政的な措置になることは、あまり適当でないと思うのです。こういう失対事業の場合には、それぞれ行政庁の取捨選択というものはあるんじやないか。同じ河川工事でも、あるいは道路工事でも、同じ道、同じ条件の河川はないと思う。民間の場合なんかは、なおさらそうだと思う。工業地帯もあれば半農半工というところもある。こういうように日雇い労働の職場がかわつて来た。それを行政的に画一化するとすれば、労働者側が要求している一箇月分なり二十日分なりを満たすのなら、そういう主張もいいと思いますが、百両のかたに編みがさといつたような、二箇月に対して五日分、それも何がしかを自治体に負わせるという状態で、こういう議論はちよつと受取りかねると思います。それよりは、むしろ自治体のそれぞれの負担能力もあるでしようし、それから今一言つたような実情にある。そういう点の考え方を、もう少しはつきり伺つておきたいと思います。
○江下説明員 実はこういうことがあると思うのでございます。私どもの方では、就労日数を全国平均二十一日という線で一応予算をとりまして、各自治体の方にも失業状態に応じて予算に配賦するわけであります。ところが、ある自治体におきましては、自治体の財政が不足しておるというために、国庫補助を上げましても、地方の負担分がないためにそれを断らなければならぬという事態もある。いま一つは、故意にそういうわくを平素切つておきまして、金をためておいて、年末にどつと出すという自治体もあるわけでございます。そこで、仰せのごとく全国均一に全部きちんと出すということは、これはもちろん望ましいことではありますし、私どもとしてはやつてはおりますけれども、現実の問題としては、相手方が八百もある自治体でございまして、多種多様であるということのために、そのときどきのその自治体の事情いかんという点を判断いたしまして、これに適当な勧告を与える、こういう方針を現益とつておるわけでございます。従いまして、全般的に自治体オンリーで出すものを抑制するということは絶対にやつておらないのであります。
○井堀委員 昨日次官にお尋ねしたのですが、五日分の内訳については伺わなかつた、今あなたは初めて明らかにされたのです。そうすると、自治体の負担分については、それぞれの自治体が了解をするために、何か命令することになるのですか、それともその負担はどういうことになるのでしようか、その関係をちよつと伺つておきたいと思います。 それから、もう一つついでに伺つておきますが、きのう金額の総額を伺つたのです。というのは、この場合五日分というより、五日分の財源ですね。その総額が問題で、この総額が現在失対事業に登録されておりますもの一ばいか、あるいは多少弾力性があるか、少いかといつたような問題が、実際問題としてあると思います。そういう場合に、自治体との間の団体交渉——というと少し言い過ぎかもしれませんが、話合いで少しぐらいば余裕があるんじやないかというのでお尋ねしたのです。金額のことを忘れましたが、記録には残つておると思いますが、額は幾らですか、それを聞かしてください。
○江下説明員 年末の五日分は、就労日数の増加ないしは賃金増給という形で実施いたしますので、いわゆつる補助基準に基いて三分の二を国で持ち、三分の一を自治体で持つ。そこで持てないような自治体が出て来はしないかというお話でございますが、これは持てない自治体が出て来れば、非常に困つたことだと私どもは考えております。しかし、現実の問題といたしましたは、昨年の実績によりましても、私どもはこの分としては、自治体として何とかくめんして持つだけの能力を持つてくれると思つております。今の問題が、結局私どもの立場を非常に苦しくさせている一つの点でありますのは、かりに自治体で五日分無理々々持ちましても、これが非常に無理をして持つということになりますと、さらにその上に、ある都市においては非常に攻勢が強くて幾らか出した。ところが、そのぎりぎりに出しました自治体といたしましては、負担能力がないために出せない。そういう結果、むしろ最近の趨勢におきましては、自治体側からいわゆる負担の軽減問題が強く持ち上つて来ておるというのが実情でございます。代つて、その間をとりまして、私どもとしては、一応五日という線をきめ、さらに全国的に亘ましてあまりアンバランスのないように調整をしたい、こういう考えでございます。それから今度の増給分の総額は二億四、五千万円じやないかと思います。
○井堀委員 事情はよくわかりました。五日分は労働省において責任が持てるということを伺つたわけです。それ以上あことはおいておきましよう。 そこで実際問題として、各市町村で非常に気の毒な事態を何とかして打開するために借入金の申込みが相当ある。貸金をばらばらにしておると思うのです。こういうものに対して、労働省嘱としては貸金をしてはならぬという意味のことは、もちろん言わぬと思いますがこういうものに対する解釈はとうですか。貸してもいいということになりますと、これは両方の立場があるのですが、市町村長からは、こういうものは労働省が片がわつてもらえないか、政府が片がわつてもらえないかという非常な要望があるのですが、この点どうですか。
○江下説明員 大分デリケートな問題でございますが、その問題は、責任を転嫁するわけじやございませんけれども、実は地方自治団体の財政の運用の問題でございまして、むしろ自治庁あたりの考えによつて処理さるべきじやないかと思います。私どもといたしましては、先ほど申し上げました全国的に五日の線をできるだけ確保したいという気持でおりますけれども、自治体自体が出すものを強権をもつて抑制する、あるいは出せということは、これは法律的には自治庁でなければできない、こういうことになつております。
○赤松委員長 この三分の一というのは、予算のどこへ組んであるのですか。平衡交付金の中に組んであるのですか。
○江下説明員 そういう建前になつております。
○赤松委員長 建前はよいけれども、あなたの方でちやんと指委して、これはその方へ使え、こういうことになるのですか、明確なんですか。よく地方では、労働省はそういう見解でも、実際は地方では払わないところがあるのですよ。それはどうですか。
○江下説明員 何しろ数多い地方自治団体の財政全般に通ずる問題でございますので、私の方といたしましては、年度当初におきまして自治庁と話合いをいたしまして、大体どの範囲では各県別、都市別に割当をするのだということを話し、地方負担分といたしまして、ある程度のものを自治庁で考えてくれという仕組みになつております。ただ実際問題としましては、年度途中で、ある村に突発の失業対策が起つたというような場合、それではすぐ自治庁とかけ合つて、自治庁の方で平衡交付金をすぐふやしてくれるかといいますと、その点は正直に申し上げまして、まだなかなかそう的確には参らぬと思いますが、根本においてはそういう話合いで実は進めております。具体的に問題がございましたら、お申出があれば自治庁に取次ぎまして、連絡して、できるだけ考えてくれるようにということは、やつております。
○井堀委員 予算の関係については、数字上の問題ですから、今あなたの言われた二億四千万円か五千万円程度と、今言う三分の二と一の比率の関係については、自治体にそれぞれの関係があると思うのですが、しかし、とにかく五日分については、政府は責任をもつて手に渡るように努力されるということは間違いないと思うのです。それで貸金の問題ですが、自治体は現実に当面しているのですから、事実を無視するわけに行かぬ。困つている事実があれば、見殺しにもできない。貸せと言われれば、貸さぬというわけには行かぬ。さりとて、そういう財源の用意のあるところはいいのですが、予算もないし、そういう準備金も持つていないという自治体も相当ある。これは失対事業が続く限りにおいては、当然考えなければならぬ大きな事実になつて現われている。その方法について、何かお考えがあるかと思つて伺つたわけです。そこで、一般の場合と同じように、できればこの前も労働金庫に預託のことについてお尋ねをして、努力するというお話でしたが、こういう場合には、各府県にもほとんど労働金庫が設立されておるようでありますから、政府がそういう趣旨の余裕金なり積立金の一部を、労働金庫に預託しあるいは預金して、そういうところを通じてそういう問題の解決をはかるといつたような具体的な方法を一方に考えなければならぬ。むしろ各市町村において貸出しをすることについて、今あなたがしきりに言われているように均衡をはかるとすれば、そういう意味での均衡を考えなければいかぬ。どつちかにそういう具体的な措置が必要になつて来ると思います。そういう点に対する所見をひとつ何つておきたいと思います。
○江下説明員 先ほど申し上げましたように、結局自治体の財政の問題に帰着すると思うのです。私どもといたしましては、年間約九十七億ないし今度追加いたしまして百八億八千万、それについての全体としての地方負担分の裏づけについては、自治庁と了解ができておるわけでございます。ただ、個々の自治体の問題になりますと、仰せのように多少苦しい、あるいは苦しくないという問題が起きてくると思います。この点については、私の方は極力財政面からそういう不均衡の起らぬよう是正をするように努力したいと思います。借入金の問題も、どうも抽象的に借入金をどうする、あるいは労働金庫を利用するという点については、これはもう少し私も考えさせていただきたいと思います。
○赤松委員長 井堀君、今のは大事なことですから、私に一つだけ聞かせてくだい。 それで、地方自治体も、どこにしろ自治庁とは話合いがついておるというわけですね。そこで、五日という数字が出ましたね。そこで富裕な県等においては、あるいは三日分をふやすとか、あるいは二日分をふやすとかいう場合もありますね。地方自治体において、これは最低五日なんですから、あとは自治体の余力のあるところは出していい、それを抑制することはしないというのでしよう。
○江下説明員 最低というのではなくて、私どもとしましては、先ほど申し上げました国家財政と地方財政の全体の有機的な運用から考え出しまして、あわせて日雇い労働者の生活の実態から考えまして出した数字でございまして、一応本年度はこの五日分程度で通常の場合は越年をしてもらいたい、こういう考えでございます。
○赤松委員長 しかしサービス省である労働省としては、一応五日ときまつた基準は最低ですよ。しかしながら、できる限り出してやつてもらいたいということは希望されるでしよう。出してやるなとはおつしやらないでしよう、どうですか。
○山花委員 その問題は解決済みですよ。きのうも答弁があつた。
○赤松委員長 そういうふうに理解していいですね。
○山花委員 きのう大体局長及び次官——大臣が来ないから、今のような混線した話が出て来るのです。去年の暮れの三日分の手当、今年のお盆の三日分の手当、今度暮れに労働省で決定した五日分の手当、このことについては、去年の暮れの本委員会でもいろいろ論議されましたことは、従来はその事業の主体者である所から、若干もち代なりお歳暮なり祝儀というものが出ていたのです。ところが、国から出ることによつて、それに肩がわりをされる危険性があるので、そういうようなことがあるかないかという各委員の質問に対して、労働省当局としては、それは絶対にない、これは国から支給するものである。従つて従来出ておるところの権利を侵すようなこともなければ、肩がわりということもない。それはその自治体に従来の方針通りやればいいのだ。こういうことでございますから、これは労働省当局としては確認済みの問題であります。 そこで、ひとつお尋ねしたいことは、労働省で五日分出すということを決定していながら、三分の二と三分の一という点もわかつていながら、今ここでその金額の数年が明示できないということは、私ははなはだ不穏当な答弁だと思うのであります。一体登録労働者に、どこを限度としてこの手当を支給するかという点であります。たとえば登録されておる者全員に支給するか、それとも登録労働者の一定期間働いた者に支給するかという点、この点さえはつきりすれば、すぐ数字が出て来ると思うのでありますが、この点は一般の人に誤解があつても困りますから、この際はつきりしていただきたいと思います。
○村上説明員 昨日私お答えしましたので、今の三点の問題についてお答え申し上げますが、第一点は、五日分出したからといつて、その分は地方で出す分の肩がわりである。地方自治体が従来出しておるのを今回は出さぬ、こういうような形をとることを、労働省としてとやかく言うことは、これは言える権限もありませんので、それについては自治体の考えにまつよりはかはないと思います。私はそういう趣旨できのうお答えしたつもりであります。念のために繰返してお断りしておきます。 もう一点の、金額がはつきりしないという点でございますが、おしかりを受けましたけれども、実は何人を対象にして手当を出すかという問題でございますが、失対の対象になつております適格者と申しますか、二十二万になつたり、二十一万になつたり、二十一万五千になつたり、月々かわつております。それで数千万と申しますのは、そこに問題があるわけであります。労働省としましては、先月府県に照会いたしまして、府県で考えている人員の調査をいたしております。第三・四半期の割当をしましたときの対象人員はわかつておりますけれども、あるいはそれよりふえておるかもしれぬということで、目下調査しておるわけでございまして、その数字がわかり次第五日分を基準にして予算を配賦する。二億数千万と申しましたのは、そういつた手続の問題があるわけでございまして、そういう点御了解いただきたいと思います。
○山花委員 私の今お尋ねしたことに一点まだお答えがないのですが、そういたしますと、権利を得る者は登録労働者全員であるか、それとも登録されてから何箇月というような期間を置くのかどうか。この点さえはつきりすれば、一人大体九百十七円ほどの政府支出の金頭になるのですから、すぐにでも私は答えが出るのじやないかと思います。そういう受権者をきめる方針を、この前のときと今度とおかえになつたかどうかという点をお尋ねしたいのです。
○村上説明員 その点につきましては、実は昨日五日分の決定をしたばかりでありまして、私ども事務的に検討しておりますが、目下考えておりますところは、昨年の暮れは十四日以上働いた人という基準になつておりますが、それに準じた線を考えたいと思つております。ただ成案を得ておりませんので、ここ数日中にそういつた線を明確にいたしたい、かように考えております。
○山花委員 十四日以上働いた者というこれは、半年の、一つの平均というような形で査定されるのですかどうですか。
○村上説明員 月のうちの十四日でございます。それは過去の月ではなくて、十二月はまだはつきりしませんが、十一月にするか十月にするか、つかみやすい月できめたいと思います。これは技術的な問題でございますから、調査をまつてきめたいと思います。
○山花委員 東京は大体二十一日と承つておりますが、全国平均二十一日といたしますと、地方によつては十六、七日しかないところがあり得るのであります。そういうところで十四日を基準にするということは、少しでこぼこが生ずるのではないかと思います。そういうところは十日なら十日、あるいは東京の場合には繰上げて十六日なら十六日ということであれば、非常に公平だと思いますが、その点一律に十四日という作業日数を振り当てるかどうか。
○村上説明員 その点につきましては、十四日ときめておるわけではございません。昨年の例はそうでありましたので、その線を考えたいと思つておりますが、御指摘のように全国の各府県の就労日数を見ますと、多少差があります。今御指摘のように漏れるものがうんと多いということは、私どもも不本意とするところでございますので、そういう点も、県の報告をまつて決定したい。もうここ一両日中に大体まとまる、かような状況であります。御懸念のようなことのないように努力いたしたいと思つております。
○山花委員 去年は京都の自治体で、おれの方は金がないから迷惑千万だといつて断つて来たような事例がございます。これは先ほどの井堀委員の質問にも関連いたしますが、そういうような所が今度あり得るような見通しであるかどうか。もし現案問題として出て来ました場合には、どういう処置をとられるかどうか。
○村上説明員 実は、京都の例を申しますと、市で負担するものを市で持てないから府で負担してくれというような、市と府との関係、あるいは市と県との関係といつたような問題がございますが、そういう問題がいろいろな要素とからみついているところもございまして、そういう取引の問題はありますけれども、現実に負担能力なしと私ども考える所は、目下のところございません。
○赤松委員長 青野武一君。
○青野委員 私は一間一答を避けまして、疑問に思つている点だけを御質問いたしますから、明確にお答え願いたいと思います。 実は昨年全国の日雇い労働者の大会が十二月の九日、十日と東京であつた。それで十一日と思いますが、労働委員会に代表者の諸君が相当数入つて聞いておつた。そのときに、二十五名の労働委員会が全員一致で、とかく戦後総司令部からじやまをされて、夏期手当も年末手当も、日雇い労働者の諸君には一銭も差上げることができなかつた。形だけでも独立した以上は、一つの例をつくりたいというので、各党代表者と話し合つた結果、大体千円出そうじやないか、登録自由労働者三十二万として三億二千万円。もちろんこれは少額に過ぎるけれども、出すごとにきめようではないかというので、労働省既定予算の中からやり繰りして出すよう決議をして、労働省を代表して福田政務次官は、千円平均出しますということを言つている。関係者諸君の代表者は、三十人も四十人も傍聴席で聞いて全国に帰つてそのことを報告している。結果はどうかというと、三日分——三日分ということは、千円に比べて大分落ちる。私どもが北九州をまわつての報告演説会で、門司では、六百名ばかりは政府から来た金は一銭ももらつていないと言つております。何に使つたかというと、職安関係の諸君の雑費に使つたのでしよう、いくら言つてもくれません。それから私の住んでおります北九州の八幡市は、今まで大体市役所から平均千円上げておつたが、政府から千円出すということになれば、五百円くらいでいいのではないかということでありましたが、私は強く千円やつてくれ、こういうことを言つたのでありますが、隣の門司は、政府から来た金はやつていない。われわれ五、六名の代議士が行つて演説会をしているときに、関係者が出て来て、それはひとつ労働省へ交渉して支払わせましよう——そういうように全国まちまちで通牒の不備の関係か、どういう手違いがあるか知りませんが、気の毒な人が出ている。労働省自身が千円の約束をして結局三日分しか出さない。これは食言であります。そういう去年の食い違いのために、東京の大会に出られた諸君が地方に帰つてからの報告と、多少そこに食い違つて、立場上非常に困つた。今年の年末賞与は、大会のスローガンの中には一箇月支給せよ——これはもつともだ、公務員にしても、三公社六現業の諸君にしても、二箇月出せとということで、いまだに解決がついておりませんときに、全国の日雇い労務者の諸君は、普通の労務者諸君比べてずつと困つているのです。働こうという意思があつても、雨降り、日曜・祭日は働けない。全国平均すれば二十日、山形県へ行つたら十四、五日しか働いておりません。そういう気の毒な人ほど、よけい出さなければならぬ。少くとも二十九年度の予算には、夏期手当は十五日、年末手当は三十日くらい出すようにしてもらいたい。しばしば過去における労働委員会でも問題になつたことでありますが、私はそういう考え方を持つておりますので、今年は去年のように食い違いのないようにしてもらいたい。今山花委員も申されたように、昨日は横浜で年末手当をもらつていながら、今日は東京に来てまたもらつたというようなことがあつてはなりませんから、多少そこに条件があるかもしれませんが、去年のように、登録者のみにするかということをよく聞いております。私は予算委員会の方にずつと出ていて、今日初めて労働委員会に出て来ましたのでよくわかりませんが、三日の予算委員会で私が質問いたしましたときには、小坂労働大臣は、去年の程度は出す意思でございますと言つておる。これは記録にもありまするし、新聞にも出ておりました。ところが、この五日分は現金で出すのか、政府だけが出す金か、これを関係者も聞いておりますから、この点はつきり言明しておいていただきたい。その金額は大体言葉を濁されて、計算ができないと言つておりましたが、それは給料の上り下りもあり、男女関係もあり、仕事の能率の関係もあり、地方々々によつて東京と山形とは違うということのよくわかるが、二億数千万円でなくて、私は相当の数字が出て来ると思うので、これをはつきりお示し願いたい。第一は登録F労働者の人のみか、条件はどんな程度をきめようとしておるか。ただ十一月の月に十四日くらい働いた人ということでは、これは大分不公平になつて参りますから、そういうことではなしに、どの程度の条件があるか。登録者のみであるか。五日分というのは、少くとも二十四、五日くらいまでに去年のように現金で各自治体に送付するのか。政府の支給額は、全部が五日分であるか。もう一つは、去年の暮れに年末手当を支給することを怠つておるものは、今年なり、あるいは適当なときに、政府はこれを督励し、厳重に指令を出して払わせるようにしてはどうか。政府の金を預かつて、結局横領しているのですから、そういうことはいけない。うそとは思われません、私どものところに来て陳情なさつている。私も至急に調べます。それから地方自治体に財政能力があつて、政府が五日分出すなら私の方も五日分ですということを、政府は阻止する必要はないと思う。私の地元では、政府が千円出すというならば千円出すと言つておつた。あるいは事情によつて五百円にする人もあるだろし、家族数とか仕事の性質によつて、そういう線が出て来ると思いますが、自治体の財政能力によつては、その地方の日雇い労務者の諸君が、労働組合の力関係で、三日分でも五日分でも闘い取る場合は別だから、そういう点については政府は制約も干渉もしない方針をとつてもらいたいが、この点はどうか。それから先ほどの話の中に申しましたが、少くとも二十九年度の予算の中には、国家公務員に対する給与引上げ、地方公務員の給与引上げに対する平衡交付金の増額、それから三公社五現業の給与引上げ、その他年末手当、夏期手当等を考えるときに、あたたかいサービス省としての親心をもつて、少くとも夏期手当十五日分と年末手当三十日分くらいを組んでくれるかどうか。委員でありながら、よくのみ込めないで、去年のような手違いがあると非常な責任を感じなければなりませんから、この点をひとつ明確にしておいてもらいたい。
○江下説明員 私から審弁しまして、足りない点に村上課長から答弁させます。 最初は、何人に対して、いかなる条件の失対事業の労働者に対して、いつまでに政府ではつきり五日分を出すのかという御質問でございますが、先ほどもも申し上げますように、現在はつきりした一つの基準というものを考えております線は、先ほどお答えしましたような線で、一応失対の適用者で普通安定所に出て見えているという人、そしてその具体的な基準は、昨年は十四日ということでやつたわけでございますが、そういう考えのもとにこれを出す。五日分につきましても、先ほど申し上げましたように、私の方から三分の二の負担をいたしまして、地方にできるだけ早く送りまして、地方負担分と合せてできるだけ早くこれを現金で支出するというふうにいたしたいと思つております。 昨中の募れに食言があつたというお話でございます。この点はなお私もこまかく聞きませんと、明確な答弁はできませんが、千円というのは、おそらく全国平均ということで申し上げたと思います。ある地方によりましては千円が千何百円になり、ある地方においては千円が八百円になるという地方があつたという点は、御理解願えると思いますが、しかし実際に国から行つたものを、地方の自治体でかつてにほかにまわしたという点があつたのでございましたら、これは私の方で調べまして、断固適当な処分をいたしたいというふうに考えております。
○山花委員 ちよつと一点、重要な点が脱けておりますので、重ねて質問したいと思います。 九月の十六日から一割増給になりました。これは局長さんも御承知の通りであります。それから、今度かりに五日分の賞与が出る。ところが、登録労働者のうちの生活保護法の適用者は、全部これが差引きになるのであります。何のために賃金の値上げになつたか、何のために賞与をもらつたかわからなくなつてしまうのであります。これに対して特例的な便法を、ぜひ労働省の御努力によつて築いていただきたいと考えるわけであります。 それからもう一つは、もらう資格でございます。ただいま十四日働いた者ということになつておりますが、そういう形になりますと、長らく病気で休んでおる者は、手帳を持つておりましても、もらえないということになるのでございます。長期間病気で欠勤する者は、ただいまの基準から適用外というような便法を考え、あたたかい措置を講じていただきたい。労働省当局としては、これらの問題について、そういう便法を設ける手段を講ぜられるかどうかということをお聞きしたいのであります。
○村上説明員 第一点の御質問でございますが、ちよつと私具体的な事案が思い浮ばぬのであります。失業対策の場合には、就労したならば賃金を払うという建前になつておりますので、別に生活保護と関係がないわけでございます。生活保護法を受けている人の立場から言えば、失対事業に就労した場合には、その就労した日数の賃金を差引かれるという関係がございますけれども、失業対策事業に従事している者については、そういつた生活保護との関係はないわけでございます。質問の意味を、私の方で誤解しているかと思いますが、何も問題がないのではないかというような気がするのであります。
○山花委員 ざつくばらんにわれわれ議員の一例を申し上げましよう。給与をもらうと税金をとられる。そこで滞在雑費というような形になつておるわけですが、はつきり申し上げますと、こういう関係なんです。たとえば一割上ると二百五十円が二百七十円になる。二十五円上れば二十日間で五百円になる。従来保護法で足らない分の二千五百円をもらつていたから、その五百円を差引いて二千円しかくれないということなんです。賞与の問題も、そういう関係になつております。
○村上説明員 ただいまの御質問は、失業対策事業に就労したけれども、その一月の収入が生活保護の扶助料よりも、低いという場合に、その差額を生活保護の面で見てもらつたわけでございます。それが九月の十六自以降賃金が上りましたために、生活保護法の扶助料の額を失対の賃金が上まわつてしまつたという場合は、生活保護をもらえなくなるわけであります。これは厚生省の問題でございまして、私どもとしては、いかんともなしがたいとお答えするよりほかはないと思います。
○山花委員 私のお聞きしておるのは、それはどこの所管でありましても、労働省としては、一つのサービスとして、こういう話合いをつけてくださるあたたかい心やりがあるかどうかということであります。よその省の所管の問題だから、おれは知らぬといつてつつ離してしまえば、少し味もそつけもないように考えるのですが……。
○村上説明員 これは御承知のように、生活保護法に基いて案施されておるものでございますので、その具体的運用面においてどうした方がいいかという点につきまして、実は私ども即座にはちよつと名案も浮かびませんので、一応厚生省の方には連絡をとりますが、現行法の建前からいえば、無理ではなかろうかと考えております。 病気欠勤の点につきましては、これはいろいろ問題があるかと思います。たとえば、公務員が年末手当を支給される場合に、勤続期間が三箇月の者、大箇月の者、それ以上の者と、いろいろ差がございます。また長期欠勤をしても低いわけでございます。失対事業の場合はどうすべきかという問題について、これは研究してみたいと思いますけれども、今ここで出す、出さぬの即答は、ちよつと遠慮さしていただきたいと思います。 —————————————
○赤松委員長 この際地方公務員の総与改善に関する決議についてお諮りいたします。 次に朗読いたします。 地方公務員の給与改善に関する決議 今次公務員の年末手当及び給与ベース改訂にあたり地方自治体においては過年度の赤字繰越し、風水害冷害等の災害による支出の増及び歳入の減少によつて国家公務員に準じての措置をなすに支障来す事態を生ずるおそれある地方自治体には政府は誠意ある資金措置を講ずるよう努力すること。 右決議する。以上を本委員会の決議といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なければさよう決します。 ただいまの決議の取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますから御了承願います。 —————————————
○赤松委員長 質疑を続行します。
○青野委員 私はあらためて質問するのではありませんが、先ほど自治体の財政能力によつては、より多く年末手当を出してもさしつかえないではないかということを私申し上げましたが、御答弁がありませんでした。それから二十九年度の予算の中では、労働者でそんなに差別する必要はない、むしろ生活が苦しい人に、わずかではあるが夏期手当十五日、年末手当二十日分を編成する意思があるかないかということをお尋ねした。それからもう一つは、去年は何日であつたか記憶いたしませんが、二十八日とか三十日にもらつても、ひとつもありがたくない。十二月何日ころまでに、政府は責任を持つて、地方自治体を通じてこの年末手当を支給するか、この三点を明確にしておいてもらいたいと思います。
○江下説明員 第一の、はつきり国の予算に手当として大編に計上する意思があろかどうかということでございますが、この点は、かねて申し上げております通り、失業対策事業に就労いたします労働者は、日々雇用されるという建前をとつておりますので、手当という、いわゆる一般の常用労務者と同じ形の計上は、なお相当困難であろうと思います。しかし、事実生活に困窮しておる人が多いわけでございますから、本年度の夏あるいは暮れに実施いたしましたような措置を、今後もできるだけ大幅に実施するように、予算的には努力して参りたいと思つております。 それから、自治体の負担の問題でございます。これは、実は先ほど一応答弁したつもりでおりましたので、うつかり失念したわけでございますが、繰返して申し上げますように、従来自治体で支給していたものを、この際さしとめるという気はございません。ただ考えなければならない点は、結局、自由労働者に出します金というものは、国全体としての失業対策の運営が円滑に行われるということを主眼に覆いて考えられなくてはならないというのが、私どもの考えでございます。あまり大きな不均衡を来すということも、ほかの自治体にとつては困るという点も出て参りますので、その点につきましては、適当な調整はして行きたいというふうに考えております。 なお、三番目の支給の期日でございます。案は各自治体におきまして、あれは各地方費で計上するわけでありますが、各自治体で予算を計上するその日がいろいろございますので、明確に何日までに支給するということを、私はここで断言はできませんが、この点はできるだけ早く支給をされるように、私の方から指示をいたしたいと思つております。
○中原委員 年末手当の問題について、いろいろ疑問の点が明らかになつて来たと思いますが、さらに明らかにしていただきたいと思うことは、先ほどの生活保護法の適用を受けるその生活保護の金額の中に、ベース・アツプのアツプ部分がときに影響しておるということは、これはまた別の意味で議論の余地があるかもしれませんが、年末手当の問題です。この年末手当というのは、さつきからの御説明でもわかるように、いわゆる年末手当と言い切るほどのものでもないし、また言い切るには違つた性格のものを持つておる。従つて、この五日分というものが生活保護法の適用額の中に影響するということは、これは理論的な根拠はないと思います。だから、むしもそれが差引かれて行くということになれば、せつかく関係労働者諸君が苦労をし、いろいろつらい思いをして全国から集まつて来て、労働省も奮発されてきまつたのが、これはまつたく意味がなくなつてしまう。だから、これはまつたく生活保護法による生活保護の受給額と何らのかわりなしに、この五日分の手当というものは取扱われなくてはならぬ。これははつきりしていただきたいと思います。これは何も厚生省に御遠慮なさる必要はない、厚生省もわかると想います。この点は間違いないでしようね。その点もう一度お答えを願いたい。
○村上説明員 失業対策事業の側から見ますと、一応生活保護とは切り離しまして、五日分はそのまま流れて行くわけであります。ところが問題は、その扶助料を払う側でありますが、その方の側は、かりに失対に限らず、ほかに収入がございますときは、扶助料の額から差引くわけであります。私どもの方は、出す方だけでございますが、生活保護の方から児ますと、収入がどれだけあつたかというのを調べます。そのときに、失業対策事業の面で五日分に相当する年末手当を出したということになりますとその分だけ支払いをいたさない、こういうことになつております。これは率直に申しまして、労働省といたしましては操作をいたしかねる問題でございまして、問題は生活保護法を運用されております厚生省でそういう差引をやるな、こういうことになるかと存じます。
○中原委員 もちろん事務当局には、ちよつと無理なことになるかと思うのです。なるほど、四角定規に考えれば、その通りでありまして、どうにもならぬと思います。しかも厚生省に対して労働省側から、ここで支給する年末手当五日分というのは、これは別個の措置として扱つてもらいたいという通牒を発して了承させる。そして全国的に統一した方針をとらせるということはできるのです。 これは委員長にお願いしたい。これはひとつ委員会の意思としまして、厚生省へこれを申し入れることを労働大臣にきつく要求していただきたいのです。そうして労働委員会を代表して委員長と、それから労働大臣とで、ひとつ厚生省の方へこの点は確認させるというような措置でもとつていただかぬと、これはたいへんだと思う。せつかくもらつた金があだになつてしまつたのでは、何にもならぬ、もらつたことになりません。このことは、あまりにも明らかなことです、疑問の余地はありません。役所が四角定規に物事を判断するところにそういうことが起る。四角定規に考えずに、実情から考えたら、そのことはできると思う。この点については、委員長御迷惑ですけれども、委員会を代表されて御折衝願いたい。これは私、そのくらいのことはできると思います。そのくらいの便法がつかぬような役所じやないと思いますが、この点についてお願いしておきます。
○赤松委員長 それはやはり手続上の問題で、ここは立法機関ですからね。それで生活保護法を改正するということになれば、やはり国会でかえて行くというのでないと、私が小坂労働大臣と会いましても、しかたがないのじやないかと思います。
○中原委員 法の改正まで行かないで、そういう便法を講ずることはできると思うのです。それはできます。できなければならぬ。
○赤松委員長 それは私が労働大臣に申入れすることなんか、実に簡単ですよ。しかし、それだけで解決するならばいいけれども、法律というものがあつて、それが障害になつているとすれば、法の改正をしなければならぬのじやないですか。
○中原委員 私は運営面における便法措置が可能だと思います。それでなければたいへんですよ、せつかくもらつても何にもならぬと思います。
○赤松委員長 ですから、こういうことになるのじやないですか。法律の改正も一方努力する。それが間に合わないという場合は、ほかの方法で行く。
○中原委員 法律措置でされていたら、だめです。これはあくまでも便法でなければならぬ。
○赤松委員長 ですから、これは労働委員会で多数そういう意見があるのですから、ひとつ本委員会で——むろん生活保護法の方は厚生委員会でやるのですけれども、この法の改正等につきましては、ひとつ各派で取上げまして、すみやかにこれが実現できるように努力するということを申し合せようじや、ありませんか。
○中原委員 そういうふうにお願いします。
○赤松委員長 承知しました。
○中原委員 質問を続けます。 先ほどから非常に皆さんで御心配になつておいでになる地方自治庁の支払いに対する負担です。先ほどの局長の答弁では、統一的な扱い云々というような言葉があつたのですが、地方の事情によつては、甲乙丙がつくわけです。この甲乙丙がつくのを、画一的にやらしめるというようなわくをはめるというのは、干渉になりはしないか、こう考えます。これは局長限りではわからぬと思うのです。大体政治的な責任のある人が出て来ないのがけしからぬと思うのです。きのうからの事情を知つていますから、われわれも黙つているけれども、これだけの微妙な問題を、政治責任のある人が出て来ない。事務当局だけ出しておいて、何もかも局長にかぶらせようというやり方は、私は非常にけしからぬと思つている。こういうことでは、実際問題は解決しないのです。りくつはわかつたけれども、さて解決しないということになつてしまう。この点は、特に今後の動きとして、これは委員長、ちよつとえらいけれども、これはやらなければだめです。やはり次の処置として、この委員会の意向を体して、大臣に……。
○赤松委員長 大臣は、国鉄の問題が今解決しましたから、それで参議院の予算の討論があるのです。これは給与改訂の両派社会党の組みかえ案なども入つておりますから、参議院の強い要求がありまして、席をはずすわけに参らぬのです。討論が終つたならば本委員会に出席するという返事をもらつておりますから、中原君ひとつそのときに……。
○中原委員 これからあとは、事務的なことですから片づけておきます。 職安の仕事場で、こういうことがあるのです。査察官——名前は何と申しますか、県の安定課の役人が現場を査察するわけです。それはしてもかまいませんが、それがしばしば妙なことになるのです。それで、査察に来たときに、その現場で働く予定になつておる者が、もしもその時間にいなかつたら、それはサボタージユしておるというので、排除するらしいのです。手帳を取上げるのです。そういう場合には、必ず監督の許しを受けて何かの時間に用いておるらしい。たとえば、用便に行くとか用足しをしておつても、それを聞かない。そういう釈明も聞かないで、非常に高庄的に処分する。そうして手帳を取上げてしまう、こういう事実があるそうです。これは、私は適当でないと思う。その事情をよく聞いて、なるほどしかたがなかつたであろう、それはすでに責任者の了解を得ておることだということであれば、これはあくまでも合法的と申しますか、合法的に仕事をしておるわけです。そういう事情も顧みないで処分するということが、現在あるわけです。これこそ厳重にお取締り願いたい。そういうことをやらせない、どこまでも労働者の人権をもつと尊重するということなんです。こういうことは奴隷を取扱う態度だと私どもは解するわけですが、そういう事実があるのです。 もう一つは、労働を強制することです。適当でない仕事でも、どうしてもそれをしなければ——もしそれは私にはできませんとかなんとか言えば、これもやはり排除される、こういう取扱いがあるのです。なるほど、一応職安から与えられた仕事を拒むというときには、そこにいろいろ問題も起ると思いますけれども、拒むには拒まざるを得ない事情がある。仕事をしたくてかなわぬ者が仕事を拒むというには、何か理由がある。きわめて適当でないということがあり得るわけです。そういうことを考慮に入れないで、もしそれを拒むならば排除するということになつて来ると、これは一種の強制労働になる。これはさつき基準法で問題があつたように、基準法違反であると思う。それはもちろん、仕事をしたくて困つておるのですから、だれもいたずらに横着な気持やなんかで仕事のより好みを言うのではなく、そうした場合には、これを拒むとまでは行かないまでも、それを躊躇するに至る事情があるに違いない。こういうことは少くとも職安当局には、いろいろ実情を御経験になつた結果として、おわかりと思う。こういうことは十分お取締りを願つて、そういう点についても、決して差別待遇をさせない、なるべく適当な仕事を与えるように努力していただきたい。ことに女子の場合に、しばしばあり得ることらしい。だから女子には女子らしき仕事をということを先日も婦人たちの声として聞いておりますが、これは言うまでもなく、なるべく女子に適当な仕事をやらせてもらうということにならぬと、この不服従に対する排除措置というものは、実に苛酷だと考えます。こういう点も、ひとつ事務当局として十分な措置をとつてもらいたい。 それからもう一つは、朝鮮の人たちに対する差別待遇があるようです。あの職場で、仕事を与える方の側にあるようです。こういうことはやはり好ましくない。仕事を与えるならば、やはり人としての立場を同じように尊重してやる、こういうこともひとつ本省として指示をしていただきたい。そういうことは、かれこれ言えば限りがありませんが、非常に矛盾がたくさんある。そういう点について、特に御考慮を願うというよりも、むしろ再びそういうことを繰返さないように御努力が願いたいということを、要請申し上げておきます。それについてもし御見解があれば、伺いましよう。 なお最後に、年末年始の有給休暇の問題ですが、これはもう何だか吹つ飛んでしまつたように政府は思つておいでになるが、そうじやないのです。年末年始の有給休暇は、やはりなければならない。せつかくの正月を、快くとは言えないまでも、せめて正月らしい気持を味わつてもらうということは当然だと思う。次に働きに要する労力を蓄積するためからいつても、あるいは希望を持たせる意味からいつても、このことは当然考慮さるべきことです。これは決して解消いたしておりません。この問題は、おそらくだれも問題にしておらぬでしようから、これはひとつ政府の方でも万お忘れなく、ぜひとも責任ある当局から出すように、よい結論が出るようにしてもらいたい、このことを要請いたします。 その他たくさんありますが、その他のことは、大臣が来てからお尋ねします。
○赤松委員長 今の御要望は、われわれも全面的に賛成です。ただ、今の年末年始の有給休暇の問題は、だれも取上げていないということですけれども、これはすでに山花、矢尾君たちの御紹介で自由労働組合の方の請願が出ておりまして、昨日内閣に送付することを決定しましたから御了承願います。
○中原委員 政府が忘れておると言つたのです。
○江下説明員 自治体の負担の問題でございますが、案は御承知の通り、この夏の就労日数の増加の際には、自治体独自の措置には干渉はしない、一応こういう線で行つたのであります。ところが、実際の結果といたしましては、各自治体で非常にアンバランスになり、また攻勢もあり、自治体からも、これについてわれわれに対す苦情が出て参つております。労働省としてそういう無方針では困るということで、これも実は労働者の皆さんの攻勢が異常に強いわけでございます。従いまして私どもといたしましては、先ほど答弁いたしましたように、決してわれわれとして、今まで出したものをこの際とめるという考えはない。しかしあまり不均衡なことをやると、結局自治体の財政がそのためにこわれるおそれもあるので、労働者の皆さんもできるがけしんぼうして、あまり不均衡な点にならぬように御措置を願いたいと、私も労働者の諸君にも申し上げ、国会でもその気持を先ほど申し上げたわけであります。 次に、監察官がよく来て手帳を取上げるというお話でございますが、これはもう少し調べてみませんとはつきりした答弁はできませんが、ひとり監察官だけでなくて、そこの監督者その他も、もし不当に職場離脱等を行う場合には、手帳取上げの問題等も起つて来ることでございまして、監察官なるがゆえに、特にそういうことをするということでもなかろうという考え方を実はいたしております。それから、仕事をしなければ、もう手帳を取上げるというお話でございますが、これもどうも私にはよく納得が行かないのです。実際問題として、私どもとしては手帳を交付いたしたならば、その労働者に対して、できるだけ能力に応じた仕事に働いてくれと言うのが当然の話でありまして、できない仕事に無理に従事しろと言つて、できなければ手帳を取上げるというような、もぎどうなことを申し上げるはずはないと思います。しかし、そういう例があるとしますれば、私の方で厳重に調査の上、適当な措置をとりたいと考えております。 それから朝鮮の方を無差別にしろ。これは当然のことでございまして、朝鮮の方であるがゆえに特別扱いをするということは、絶対にいたさせておらないつもりでございます。 最後に、有給休暇の問題でございますが、これは昨日も答弁申し上げたと思いますが、私どもの緊急失業対策事業に従事します労働者の皆さんに対する考え方は、確かに最近固定化して来て、同一人が一年も二年も働いておられることは、私たちも認めるわけでございますが、しかし、その反面におきまして、できるだけ労働者の皆さんが一般の定職につかれるように努力しているわけでございますので、そういう意味において、私どもの考え方は、一応臨時の緊急失業対策法に基きます措置でございます。従いまして、年末の就労回数の増加というようなことは、今後もできるだけ考えたいと思いますけれども、建前といたしまして、有給休暇というような形をとつてやるのはどうかという点は、実はまだ考えておらないわけでございますが、なお十分検討はいたしてみたいと思います。
○中原委員 有給休暇の問題につきましては、今委員長の言われましたように、本委員会の満場一致の決定になつております。従つて、内閣は当然これに対して誠意をもつてこたえなければならぬと思うのでありますが、これ以上局長さんにお尋ねするのはいかがかと思いますので、その点は別にいたしまして、ただいまのできるだけ定職につくことのできるように努力するという点でございます。私ども、まつたくそう願つてやみません。そうならなければ、根本的な解決になりません。しかしながら、現状から見ますと、再就職のできる人のパーセンテージは、非常に低いようであります。たとえば六箇月間の失業保険の給付期間中に、再就職者は一〇%ぐらいにすぎないと記憶するのであります。これは根本的には、日本経済の全般的な問題にも関連しますから、ここでは申しませんけれども、しかし今の状態では、期待することはできないのであります。従つて現状は、逐次失業者の数はふえつつあるという状態になつているのであります。そういう状況であるならば、なおさらのこと、今当面する年末の措置等については、いろいろそういう情勢考慮に入れた上で判断してもらいたい。そういう恒久的措置に対する期待によつて、当面の年末措置を講ずることを薄めるのではなく、むしろそういう条件にあるのだから、なおさら年末年始における措置は一層力を入れて、これに適応した態勢をとることが必要であると思うのであります。そういう意味において、当の責任者のあなたがこういう観点に立たれて、今日の情勢下においては、どうしてもきよう、あすの問題を解決することに力こぶを入れていただきたい。そのことを要請いたしまして、あとは責任ある大臣に政治的な問題についてお尋ねいたすことにいたします。
○赤松委員長 それでは三時まで休憩いたします。 午後二時休憩