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18回国会衆議院1953/12/07

水産委員会 第2号

発言数
66
登壇者
5
会派数
2
開催日
1953/12/07

会議録

川村善八郎自由党

○川村委員長代理 ただいまより開議を開きます。  田口委員長が事故がございましたので、私かわつて委員長の代理をいたします。  公海漁業に関する件について調査を進めます。この際北洋漁業に関し、松田委員より発言を求められておりますのでこれを許します。松田鐵藏君。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 私は海外を旅行いたしまして、十七国会には休んでおりまして、まことに申訳ないことでありますが、その間における当委員会と水産庁との打合せ及び政策と行政という面につきまして、帰つて参りましてから、いろいろの重大な問題がある、その問題が一つも連絡がとれていないような状態を見受けるのであります。当委員会には、前の政調会長であり、また労働大臣であつた吉武君も委員になつて、政府との連絡も十分とれていなければならない重大なときにあたつて、こうしたりつぱな経歴を持つた委員も入つておるのに、ほとんどその連絡がとれていないように見受けられるのであります。今大きく議員立法とか、または政府提案にしなければならないとかいう議論のある、李ラインにおける漁民の救済をしなければならない、代船建造の問題においてもしかり、またそれには水庁は水産庁独自の立場でもつて、漁民を救済せんとする方法をとつており、委員会は委員会でもつて立法をして、救済をしなければならぬというような方向に向つておるようであります。しかもその間における一昨日の打合会においては、その融資をする金額に対しては、はとんど食い違いが生じておるというように見受けられるのであります。一方北洋漁業に対する独航船及び母船の問題などについても、全然連絡がとれていないように見受けられるのであります。こうしたことは一々委員各位と水産庁との連絡ということでなくしても、委員長においてはある程度までの協議をされて、そうして誤りのない方法をとつて行くべきか、表裏一体となつて水産行政を行う建前でなければならないだろうと私は考えており、また今まで前委員長の当時においても、よく緊密な連絡がとれてやつておつたことであつたのであります。かような点から行きまして、水産委員会のあり方、水産庁のあり方というものに対しては、私は不在中でありましたが、あまりスムーズに行つていないような状態を見受けるのであります。こういう点は委員長においても、もはや時期もないことでもあるが、しかるべくお考えになり、また水産庁においてもお考えになつてしかるべきことでないかと私は考えておるのであります。つきましては、先日打合会においての当時、私がサモアの問題からこの打合会で議論いたしまして、大体において意見の一致を見たのでありまするが、将来日本の漁業が海外に発展しなければならないことは論をまたないことであり、十六国会においても、夏堀委員が相当つつ込んだ議論を当委員会において述べられております。これらに対しても水産庁は相当お考えのあることだろうと存じますので、私はこの際、打合会において意見の一致を日たことでありまするけれども、正式な委員会において水産庁の意見をお聞きしたい、かように存ずるので、当局としての御答弁を願いたいのであります。  まず私は第一に、先日のサモアの状態のように、外国商社が鮮魚の売買契約をして、基地を日本に提供することに成功した。そこで日本漁船が外国の基地、領海及び公海での漁業を営む場合は、日本政府の許可が必要であるかどうかという問題を承りたいのであります。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 ただいまの点につきましては、一応私どもの方といたしましては、十分な研究をいたす時間的な余裕がございませんので、一応のお答えを申し上げておくということに御了承いただきたいと思うのであります。外国の基地を利用して、外国の領海で漁業で行われている場合には、これは日本政府として、タッチする限りでございません。ただ、たとえばかつお、まぐろ等の日本の許可漁業が、日本の船に日本の漁業者が乗り込んでやつているという場合に、これが公海で仕事をすることになりますと、われわれとしては、やはり日本政府の許可が必要であるという見解をとつております。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 公海で漁業を営む場合においても、その外国商社との契約により、外国の基地を使用する、または領海で営業を営む。ところが領海といえどもかつお、まぐろの漁業などというものは三海里以上でなければ操業できない。しからば当然これは公海で漁業を営むものでありまするが、基地にそれが帰つて来て漁獲物を受渡しするという場合においては、公海といえども基地という問題がからむがゆえにこれは日本の政府の許可は必要でないと考えておりますが、この点はどういうことになりますか。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 われわれといたしましては、一応現段階でのお答えをするのでありますが、たとえば日本の許可漁業であるかつお、まぐろの船が、外国の基地からスタートして、公海で魚をとる。その魚を外国の基地へ持つて行つて陸揚げするという場合には、日本政府の許可の制度といたしまして、漁獲物の陸揚げ行動というものが許可の一つの項目になつておりますので、その漁獲物の陸揚げ行動として手続をとることが必要であろう、こう考えております。しかしわれわれといたしましては、そういう有利な条件で外国の基地を利用するというようなことは非常にけつこうなことでありますから、そういうものを押えるような処置は全然いたしません。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 しからば飛躍した意見になりまするが、外国人と共同して、または会社をつくつて外国に登記された会社が、日本で漁船をつくる場合においては、日本の漁業の許可は必要でないと私は思いますが、この点はどうでございますか。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 外国の法人が漁船を日本で造船いたします場合に、漁業の許可はただいまお話の通り必要はございません。ただ問題は、そういう会社がいつまでも無事に仕事をしておればよろしいのでございますが、そういう合弁という形が切れましたときに、その船だけが残つて漁業ができないというような結果になるわけでございます。そういう点はやはりよほど慎重に、一応の見当をつけてやらなければならぬ問題ではないかと思いますが、法律的にいいますとまつたく漁業の許可は必要ではありません。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 それでよくわかりましたが、あとのことはあとのことでありましよう。  しからば次に価格等を国内事情を勘案して良心的に決定をした場合は、現在として何らそれを取締り、または問題にすることは毛頭必要ないことと存じますが、この点はどうでございますか。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 ただいまお話の通り、その価格が公正なとりきめになつておるといたしますならば、これは問題にする必要はないと思います。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 もし外国人と共同の会社、合弁の会社そういうものをつくる場合において、その出資金が現物出資の形になつて、その漁船を日本で建造する場合においては、その漁船の許可が必要であるかまたは必要でないか、この点をお伺いしたいと思います。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 会社に出資する前の段階として、日本の漁業者が日本で漁船をつくるという場合には、漁船法の規定によりまして漁船の建造許可を受けていただきたい、こう思います。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 その前の段階として漁船の建造許可を受けて漁船をつくる。それから先ほどからの議論から行きまして、外国の基地を使用してやる場合においては、その漁業の許可は今のところ必要ない。外国に登記された会社が漁業を営む場合においては、今の段階としては必要ないことである。しかし船をつくつた場合、その船が出資の形によつて向うに出される場合においては、輸出するための、手続及び外国の法律によつての課税はされることであろうと思うが、そういう点はどういうことでございますか。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 漁船につきましては、輸出される場合には許可の手続が必要でございます。従いましてその手続が済んで出資されるわけでございます。関税の関係等におきましては、国によつて必ずしも事相が同じでないと思います。今私ども詳しく取調べる余裕がございませんでしたので、御了承願います。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 日本の漁船が外国の経営または日本人との合併の会社をつくる。そうした場合に、その合併をした会社に日本の漁民が参加をしてその決済の一部または全部を漁獲物で得た場合においてはどのような立場になるか。この点をお伺いしたい。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 この漁業の主体が外国の法人でございますので、その下に働く漁業者は企業主ではないわけでございます。従いまして労務その他の報酬といたしまして漁獲物を得るという場合には、これはそういう意味の収入ということになると思います。従いまして漁業の許可の関係は全然ないということになりますが、この関係では日本の方の関税の問題と向うの方の関税の問題と両方あると思います。日本の方の関税の問題としては、これは輸入にならないのではないかということを考えて知りますが、この点が実は法律的にはいろいろと調べてみないと結論の出ない一番むずかしい問題でございますので、保留させていただきたいと思います。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 外国の基地でこういう問題が今ある。例をあげて申し上げますならば、ブリストル湾における本年度のさけ、ます漁業が非常に不良であつた結果、アメリカではそれを救済する法律ができておる。そこでアメリカの漁業者が日本の漁業を入れてかりにさけ、ますの流し網漁業を営むという場合において、その報酬がドルで来る場合には簡単でありまするが、その一部または全部といいましようか、漁獲物で支給するというような場合になると、基地に一旦睦揚げしたもの、陸上、または船で塩蔵したものとか冷凍したものとかいうものは、基地を使う以上は当然日本においては関税がかかるものではないかと思うのであります。またかりにこれが母船をもつてその漁業を営むという場合においては、公海で営んだものでありますから日本へ参りましても——たといアメリカで行つた漁業であつても公海で漁業を営んでその漁獲物を日本へ持つて来た場合には関税がかからないではないかという考え方を持つのでありまするが、この点はどういう御解釈になりますか。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 外国の領土及び領水がで処理加工されました水産物が日本の方へ入つて来るという場合には、当然その国からの輸出であり、日本には輸入になると思います。  それからあとの方の沖合いで工船の上で加工処理されました場合、その品物がだれの品物として入つてくろかということが問題であると思います。つまり企業王である外国法人が日本に持つて来るということになれば、これはやはり輸入ということになります。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 大体においてこの問題はこの程度でけつこうでありますが、先ほど申し上げたように、昨年まで非常なる問題となつたが、水産庁と当委員会との間に完全なる打合せができて——私どもはけつして行政の面に対してはとやこや言うたものではありません、ただ当時の塩見長官はよく委員長と話し合つて、昨年の北洋漁業というものに対してはそのとりきめを、行政の方式を明示された、ところが今年になりまして、私は帰つて参りましてからも一度も委員長との話合いもなく、また昨年は塩見長官は秘密会をも開いて、われわれにも北洋の問題に対しては明示された、今年はさようなことは一回もなかつたと聞いております。ところが突然された本年の独航船の許可の問題、これはかつて政府提案として昭和二十八年から以東底びきに対する整理転換の法律が制定されておつた、だがその二十八年度からの以東底びきの整理転換の具体的な方針は、一つも今までできていなかつた、たまたま明年度の北洋漁業に対する許可の方針が、以東底びきの権利を返上したものに対して優先的にこれを考慮するがごとき方針が水産庁から発表されておるのであります。これらは、あの政府提案として提出され可決されておる以東底びきの整理の法律と相当異なつた段階に私は考えられるのでありますが、この点は一体どういう意図によつて行われたものであるか、この点を承りたいのであります。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 たいへん遅ればせで恐縮でございますけれども、私どもといたしまして現在まで進行しております模様を一応御報告申し上げておきます。それからお答え申し上げたいと周います。  本年まで二年にわたりまして母船さけ、ます漁業について試験操業をやつたのであります。初年度は五十隻の独航船、第二年度は八十五隻の独航船というスケールで、ともに母船は三つ、三船団でございます。そういうスヶールで試験操業をいたしたのでございます。戦前におきましてこの母船式さけ、ます漁業はカムチヤツカ半島に相当近い水域で非常に優秀な成績を上げておつたのでございますが、戦後のただいまの状況といたしまして、相当半島から離れた水城においてこの漁業が成り立つかどうかという点が非常な問題点であつたわけでございますけれども、二年間にわたる操業の結果、相当沖合いにおきましても採算のとれる漁場として漁業が成立をするという見通丁がはつきり立つたのでございます。これはおそらく母船の装備というものが戦前よりも非常に改善された、また漁網というものもアミランの使用というようなことによりまして非常に能率が上つておるというような点が原因であると思います。われわれといたしましては、この方面の漁場になるべくたくさんの内地の沿岸の漁業者を出したいということで来年度の計画を検討いたして参つたのでございますが、昨年及び本年操業いたしました水域、大体各母船の動きました跡を、詳細にトレースいたしましてどのくらいの広さの漁場があるかということを検討いたしました結果、来年度はここに百六十隻の独航船を入れるというふうに大体のスケールを決定したわけでございます。漁場につきましては、これはいろいろの見方があるのでございますが、私どもといたしましては関係の漁業者ともよく打合せをいたしたのでございまするが、昨年度の漁区に対しまして、若干北千島列島の方に漁場を広げる、北の方のコマンドル水城寄りに若干漁場を広げるということにいたしました。これ以上もつと向うに入りたいという希望も中にはあるのでありますが、現在のところでは、一応この程度の漁場でやるのが安全であり、手がたい計画になるじやないかという漁業者の考え方もありまして、そういう程度のものにいたしました。この独航船の資格につきましては、昨年決定いたしましたと同様な船としての要件を備えていることを必要と考えております。トン数、エンジンあるいは無線機、方向探知機、スピード等につきまして、大体昨年と同様の要件を要求したいと思います。ただトン数の限度は、本年は昨年のものと異なりまして八十五トンまで限度を引上げたいと思つております。これは以東の底びきの方の船の型といたしましての限度が広がつておりますので、それと歩調を合せてトン数を引上げたわけでございます。ただいま御指摘になりました以東の底びきの廃業の問題でございますが、われわれとしてはこう考えているわけでございます。現在日本の沿岸漁業の問題といたしまして一番重要な、また一番われわれが悩まされております問題は、以東の底びきの船が多過ぎること、漁獲高が多過ぎるということでございます。これは戦争前におきましても水産庁としては非常に苦い経験をなめて、これを整理するのにいろいろな法律なり予算なりも使用して、一応整理をいたしました。それで今度は戦争中食糧増産ということで、非常に多くの許可が地方庁からどんどんされた、その跡始末をわれわれはやらされている。またこれはどうしてもなるたけ早く徹底的にやらないと、ほんとうに沿岸漁業が枯れて来るという問題でございますので、この整理につきましては相当大きな方針を立ててやる必要がある、こういうように考えている次第であります。この点につきましては、政府の方で今漁業の整理転換方策ということで研究をいたしております。そこでこの問題、つまり北洋のさけ、ますの独航船に出る船は、場合によつてはこの以東の底びきを返上してもいいから出たいというふうに漁業者の方のお話がしばしばあるわけでございます。われわれといたしましては、底びきの整理につきましては、全体整理をいたしますそのうちの一部分といたしまして、この北洋のさけ、ます漁業に出してやるということを利用するというのが、これは財政の点から見ましても非常にスムーズの一つのやり方である、こういうように考えているわけでございます。従いましてその全体の転換方策の一環といたしまして来年度の北洋のさけ、ます漁業に新規に出る方は、ひとつぜひとも以東の底びきの方を返上をするという形でやつていただきたい、こういう方針を立てたわけであります。現在まで北道海からも、内地各県からも、相当そういう向きの申請が参つておりますために、この申請の全体をよく検討いたまして、出漁する独航船をきめて参りたいと、考えておる次第であります。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 たいへんごもつともな御答弁であります。しかし私の先ほどの質問とはたいへん趣を異にする点があるのであります。二十八年度から以東底びきの整理をするための法律ができておるのに、その法律をいまだ何ら適用せずに、以東底びきを放任しておくのが現在の姿であります。これは予算の獲得ができ得なかつたということが大きな原因になつておることだろうと思いますが、こうした点に対しては、もつともつと積極的な御意見がなければならないのでないかと私は考えるのであります。こんなことを議論してみたところで、財政の上からというて逃げられることは、火をみるよりも明らかであります。ただいまの御答弁から行きますと、それを上手に利用した漁民の意見というものが基本になつておるのであります。こういう御意目一でありますが、私はその点に対しては非常に同感であります。なぜならばこれから海外にいろいろな漁業が考えられて行く、そうして海外に進出すべき幾多のものが出て来るだろうと思う。これらをただいまの御答弁のような議論からいつて、以東底びきの整理を、漁民の自主的な考え方から、海外に進出する者に対して、われわれは廃業するからこれに対する権利を与えろとか、海外に対する出漁に対して融資を与えろとかという議論がこれから出て来るだろうと思います。これは一石二鳥であつて、日本漁業というものに対する非常にいい方法であろうと私は考えます。そういう議論に対して、は同情しなければならないことでないか、私は非常に同感であるのであります。しかし、もしこの今の北洋に対する出願の内容、水産庁が指導しておる条件から行きますと、それはさんまがかつお、まぐろに転換する権利を与えるというようになつておる。さてしからばこのさんまや、またはかつお、まぐろというものは、どういうことになつておるかということをよく検討してみなければならないと思うのであります。まずかつお、まぐろに転換しようとするその権利を与えようとしても、おとといの打合せ会にも私は次長にその意見を述べておりますが、現在百トン以上の船であつたならば、三百トン、五百トンの船ができ得るあの特例法ができておるが、二千何百そうとあるかつお、まぐろの漁船において、着業しておるものもあるだろう、ないものもあるだろうが、今漁場というものが太平洋の大きな海洋を控え、印度洋を控えて日本の漁業が進出しておる。これがすべてが百トン母船式でない限りは、百トン以上の権利を持つておつた者のみが三百トン、五百トンという船を建造し得る制度になつておつて、沿岸におる九十トンや八十トンを持つておる漁船は、それらに参面することができ得ないというのがあの特例法の内容であります。しからばここにおいて百トン以上の許可を持つておつた者のみが、その特典の一番いい漁場に出漁することができ得るが、その他の小さな船を持つておつた者はその特曲に参画することができない。百トン以上の漁船を持つておつた者は要するに裕福な漁業、資本に類似するようなもののみであつた。——これらに対してその権利が獲得でき得ないような現状になつておるのが今日の姿である。しからばいかにかつお、まぐろの難業の許可を転換に与えようとしても、その目的が達せられないために、いろいろと私どもの方へも陳情が参つておるのが現在の姿であります。これらに対して、日本の漁業の進展ということからいつて、また資本の点もあるであろうが、ある程度まで特例法をまた改正して、小型の漁船を持つておつた者でも大きな船をつくり得るようにしてやらなかつたならば、いかにかつお、まぐろの権利を与えても、何ら意味がないことであろうと思うのでありますが、こういう点に対して水産庁はどのようにお考えになつておるか、この点をお伺いいたします。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 第一の問題の以東底びきの整理について、従来の方針と齟齬をしておるのではないかという点でございます。これは率直に申し上げまして、従来考えて参りましたような以東の整理の方法だけでは、非常に私どもは不完全であり、また不経済であるという感じがいたしておるのでございます。ちやんと動けるだけの漁船を沈めてしまうとか、ばらしてしまうとかいう方法でなしに、もう少し経済的な整理の方法というものがあると思うのでございます。そういう考え方で今実はただ以東の底びきということだけでなしに、沿岸漁業の整備転換につきまして検討いたしまして、方策を研究をいたしておる最中でございます。  それから第二のかつお、まぐろの許可の関係、現在の特例法では一定のトン数以上の許可をすでに持つておる人でなければ大きな船がつくれないという点でございますが、この点は実は特例法を審議いたしていただきますときに、十分検討されたわけでございます。この特例法は、何も今後ずつとこれで何年もやつて行くというのではございません。単に二年間だけの臨時の措置ということになつておるのでございます。この二年間だけの臨時の措置ということになりますると、現在たとへば四、五十トン程度の船を経営しておるという方が、いきなり三百トンのかつお、まぐろ漁船を経営できるかという問題が一つあるわけでございます。これは終戦直後いろいろな新しい資本が水産界へ入つて参りました。しかしながら大体におきまして、ほんとうにこの漁船の経営に相当な経験なり、地盤なりを持つていないで、ただ資本だけでもつて出て参つりましたのは、おおむね失敗をしたような実績がございます。われわれの特例法をつくりますときの気持といたしまして、なるべく一つの経営を飛躍的に膨脹さすというようなあぶない方法でなくて順を追うて沿岸漁業を伸ばして行くということが安全なことであり、それが必要じやないかということで、特例法を審議していただきましたわけでございます。その後の情勢といたしまして、お話のようにこのかつや、まぐろ漁業の経営なり、あるいはこの輸出の問題と関連いたしまして、非常にこの漁業の伸びる、また伸ばさなければならぬという情勢が相当はつきり出て参つたように思うのでございます。従いましてわれわれといたしまては、今後の問題としてただいまお話のような点の緩和ということは、これは十分研究に値するんじやないかと考えております。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 大体においてその方はわかりました。そこでもう一つ、私は当局に対して意見を求めなければならない。また委員長代理をしておる川村代議士と私の政治責任の問題を惹起しておるのでございます。先ほどの御意見では、以東底びきの転換の希望者に対して北洋の権利を与えるというただいまの方針、ところがここにおいて一番問題にしなければならない点は、その県なり道なりの漁業そのものの状態、依存度の問題である。北海道におけるまた青森県における議論は、北海道の冬季間の漁業はほとんど底びきに依存されておる、それがなかつたならば北海道の漁獲物、食糧というものはその大半が皆無に帰するであろう。また漁業の実態は底びきが主体である。それがやがては日本全国に鮮魚として出されておるというのが今日の姿である。一番重要である北海道の底びきに対して、また青森県の底びきに対して、その県なり道なりの漁業に対する依存度を何ら勘案せずに、北洋の底びきの権利を放棄したものという建前においてやられておる。一漁業者が自己の利益のために北洋へ行つた方が、底びきをやるよりも有利であろうという考え方から、ただいま御答弁されたような気持を出されておる方もあるだろうが、北海道の現在の底びきに対する依存の度合いはそう簡単なものではないのでありまして、これを何ら勘案していない水産庁の意見は、非常な間違いではなかろうかと考えるのであります。この点が一つ。  次にかつて戦争中内田農商大臣の当時に、食糧が必要であるというので無制限に機船底びきを許可した。都道府県においてもこれを許可した。政府の方針によつて必要に迫られて許可を与えたのが、今日の以東底びきがどうにもこうにもならないほど数がふえたことになるのであります。北海道においても七百何十そうという小手繰りがあり、密漁船がそれと同様にあつて、千一百そうというものがあつた。水産庁の意向もあり、また法律も水産資源枯渇防止法が制定され、その趣旨にのつとつて川村委員と私がほとんど中心となつて、北海道の代議士のうちには非常に反対された方もあつたが、国にはひとつの迷惑もかけずに、北海道庁は幾分の転換資金を与えて、これを二百隻に限定、整理した。ところが今日になつて、以東底びきの整理によつてその漁業権を与えるということになつたときにおいて、われわれは先走つた感じがするのであります。国のために、北海道の漁業のためにあの努力をして、千二百を二百十九そうに縮めた。今日本全国の沿岸において、水産庁の御努力によつてもわれわれのような成果は絶対にあげ得られないと私は確信しておる。千二百を二百十九に縮めるようなことは、とうていでき得ないだろうと私は思つておる。それをあえて行つたのであります。ところが今日になつて逆に以東底びきの許可を放棄すれば北洋の許可を与えるということで、北海道においては喧々囂々と松田、川村を葬れという議論が出ておるのであります。まことに私は感慨無量の感じがするのであります。国のために努力をし、業界のために努力をした者が、今日窮地に陥つているのが川村代議士とかし言う松田であります。一体その国々、県々においての漁業に対する依存度と、私どもの行つたあしあた方策が逆になろうは考えていなかつたでありますが、今日は完全に逆になつております。こういう点について、北海道の整理転換に対して幾分の同情なり、または理解を持つてもらわなければならぬ。水産庁当局としても一般の十一県と同様な考え方をするのはあまりにも酷であろう、また行政としてすべき手段でないだろうと思うのであります。この点に対してどのようにお考えになつておられましようか。——永野部長なんか知らないんだ。漁政部長も知らないんだ。知つている人を呼んでもらわなきやだめだよ。高橋課長、増田課長を呼んでもらいたい。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員  一応私からお答えさせていただきたいと思います。来年度の独航船の数の問題に関連いたしまして、ただいまお話のような問題が出て来ることは私どももよく承知をいたしております。私どもといたしましては、以東底びきの整理ということにつきましては、やはりその漁場、各県各県の漁場の包容力と申しますか、漁場価値と申しますか、そういう問題を十分に勘案して、最も困つたところをやはり整理して参らなければならないのじやないか、こういう考え方を持つておるわけでございます。ただいまお話のように、北海道といたしましては、相当底びき漁業の成り立つ漁場が大きいということは私どももそう考えております。従いまして北海道からは、底びきをやめてまで北洋に出たいという者は、あるいはないのじやなかろうかと実は一時心配をいたしておつたのでございます。その後いろいろ話を聞いてみますと、北海道からも底びきを返上してもいいから北洋のさけ、ますに出させてくれと言われる漁業者の方も相当あるようであります。そういう方と、私は底びきをやるのだ、北洋もやらせてくれという方とを並べてみますと、やはり犠牲を払われる方の方が先に出て行かれることになることが当然ではないか、こういうふうに考えております。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 永野部長の良心というものは実にりつぱな良心だと考えて私は拝聴しますが、しかしただいまの漁民が、そうして自分は底びきを廃業してまでも北洋の許可を得たいという議論は、その漁民自体の利益打算ということのみを考えておられるのではないかということをはつきり認識されておるかどうか、北洋の漁業の利益と機船底びきの利益とはどうであるかということを御検討されたかどうかということを、まず第一に考えなければならないのではないか。県なり道なりの底びき漁業に対する依存というものと対比してみるときにおいて、どういう方法を考えなければならないかということが水産行政でなければならないと私は考えます。またただいま部長の答弁されるような御意見によつてかりに処理をしても、しからば千二百そうという漁船を二百そうに整理転換し得る数と、内地の全然整理をしていない地方の現在の漁業の実態をのみ勘案した場合における考え方と、相当異ならなければならないであろうということが考えられるのでありますが、こういう点は考え得ないのかどうかという点を承りたいのであります。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 過去において行われました小型底びきの整理の功績は、私どもも十分認めて参らなければならないと考えますけれども、ただその整理の際に小型底びきの権利から新しく中型底びきの権利が生み出されたというようないきさつもあるのでございまして、私どもが現在考えております北海道の底びきの整理について、北洋に進出するという場合にはやはり底びきの許可を廃業してもらいたいという線をゆるめるというようなことは困難であろうと考えております。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 まあここで押問答をしてみたところで始まらないのでありますが、私にかわつて川村委員があとで立つことだろうと思います。  そこで北洋漁業が開発、操業される、その根本がどこにあるかということは永野部長みずからが努力された三国漁業協定に基くものであろうと思うのであります。しかして昨年の許可の方針においても相当論議されたことがあつた。それは、北海道に対してはその割当が非常に多いという議論があつた。五〇%を主査張したものに対してその五〇%というものが多いという考え方を水産庁は持つておるので、これらが一体どういうところからその数を水産庁が考えられておるかということが、私の一番疑問とするところであります。ただいまの部長の議論から行きましても、沿岸における底びき漁船の数というもののみを基本にされて議論されておるようであります。ところがこの北洋漁業というものは、三国漁業協定によつて新しくでき上つた漁業である。三国漁業協定の基本的精神は、日本の漁業の実績というものが基本になつておつたのであります。国会においてもこれは批准したものであります。ところがどうも部長の言われる考え方、水産庁当局の考え方は、北海道の漁業の許可の度合いがあまりにも多過ぎるというような感を昨年以来持つものであります。こういう点は三国協定の基本精神に合致したものじやないという考え方を持つておる。母船漁業であつたものは確かに二〇%より北海道の漁民は出漁していなかつたのです。二百そうのうちその二〇%より出漁していなかつた。ところが北千島は全部北海道であつた。二百そうのものが全部、一〇〇%であります。であるから六〇%は当然北海道の漁民に与えなければならないのが三国漁業協定の基本精神でなければならないと私は考えておつた。ところが現に昨年においても、ようやく調査船の名によつてそれが緩和されて、われわれ意見があ通つたのでありますが、仄聞するところによると、あまりにその基本精神を誤つた考え方を持つておられるように見受けるのでありますが、北千島と母船漁業と何らかわらないものである。もしこれがかわるようなことがあるならば、三国漁業協定の基本精神を日本政府においてみずからこれを放棄しなければならないことになるだろうと思うのであります。願わくはこの点に対する明快な御答弁を承らなければ、承知はできない。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 外国との漁業の交渉におきまして、われわれは過去の日本漁民の実績を主張することはどうしても必要で、そういう考え方で交渉して参らなければならないと思います。各県に独航船を何ばい出すかという問題でございますが、本年までは本年までのようなやり方をして参つたわけでございますが、来年度はすでに実績のある船についてはその通り許可をいたして参りたいて思つておりますが、新規にふえます分につきましては、今沿岸漁業で一番がんになつている以東の底びきの整理をスムーズに急速にやるために、その制度と一緒に考えて行きたい、こういう方針でございます。この点は別に国内の漁業調整の問題でございまして、条約の方針云々というような点は私は別の問題であると考えております。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 三国漁業協定の国会に対する批准を要求した状態、またはその仮協定をする場合におけるわれわれ委員会、小委員会に対してのいろいろな御発言、それらと根本的に今の部長の御答弁は違つておるのであります。全然さよなことはありません。衆議院もあのときにおいては強力にその議論を進めたものであります。そして小委員長である石原委員も、当時は三国漁業協定はすべからく実積をもつて努力すべきであり、するのがほんとうであり、しかして国内状態においてもそうあるべきであるという議論であつたのであります。速記録がないからとやかくという——今は水かけ論になりましようが、当時の藤田長官は、われわれに対しては、祕密会においてその内容まで発表された。そしてどうすればいい、こうすればいいと言つて議論されて、遂にあの偉大な漁業協定をわれわれとの打合せによつてやつた。あの偉大な漁業協定をしたばかりに今日は残念ながら、あのりつぱな長官はアメリカの圧力によつて首になつたのであります。それまでやつた漁業協定であつて、われわれはその当時のことを速記録がないからといつて、今部長のような答弁では満足できないのであります。現に北千島におけるあの問題は——それならば私は、一歩を譲つて、あなたのお考えになつている点ならばそれはやむを得ないだろう、今年の出漁を百六十と考えておられる。それだつたならば百六十はやむをを得ないだろう。私どもは北海道は一つもいらぬ。北海道の漁民はそれを要望していない。内地のものに百六十全部あげてもいい。しかし北海道漁民が進出しておつた五十一度以南だけは北海道に与えれば、四十七度から五十一度までの間を、あそこで骨を埋めた北海道の漁民に与えるならば、私はかような議論をしない。五十一度以南四十七度までの間の許可を北海道に与えてくれるならば、私は今までの議論の二〇%でけつこうであります。この点を伺いたい。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 ただいま御指摘の点は、結局過去におきますさけ、ます漁業についての各県の依存度と申しますか、それをどう見るかという問題であります。昨年及び今年度の独航船の数の決定につきましては、その要素を取入れて計算をいたしたのでございます。その結果北海道がことしの場合は四十隻、内地十一県で四十五隻というふうに、相当大きな割合が北海道へ参つておるのであります。それからもう一つ触れておきたい点は、今北千島に本拠のある流し綱が、全部北海道の船であつたではないかというお話でございます。これは実は当然のことであります。といいますのは、あそこは当時北海道庁の管轄でございました。北海道の一部であつたわけでございます。でありますから、船の登録面では、これは全部北海道の許可になつておつたと思います。しかし実際の経営につきましては、私ども十分な調査をした上での話ではございませんけれども、相当内地の漁業者が出ておつたのであります。こういうふうになつておるわけでありまして、その点の実績を考えまして、今年までの割当がすでにきまつておるのでございます。その割当てられた実績については、われわれは全然変更する意思はございません。それを尊重して行きたい、こう思つておりますが、新規にふえる分につきまして、内地各県及び北海道の底びきの整理をする必要というものを考えて割当てて行きたい、こういう考えを持つておるのでございます。決して今御指摘のように、過去のさけ、ます漁業についての北海道の実績が、全然無視されておるというふうには私は考えておりません。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 だんだんとんでもない御答弁を承るのでありますが、昨年までの許可を与えた方法は、私の今まで議論したような意見を十分加味して許可を与えたようにただいまの御答弁は聞えますが、これはほんとうですか。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 昨年及び本年の独航船の数の決定につきましては、各県の持つております底びき船の現有勢力というものと、それから過去におけるこのさけ、ます漁業への依存度というものの両方をかみ合せて決定されておるのであります。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 結局同じことです。そうしたならば、本年から新しくその方針をかえなければならないという理由は、底びきを整理する漁業調整の意味合いからというお考えであります。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 来年度の百六十隻につきましては、組合せと申しますか、一つの組合せ式の方式でございます。過去の実績のある船については許可をして参る。それから新規にふえる分については、ただいまお話のように、以東の底びきの整理とあわせて考える、こういうことでございます。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 しからば去年までの依存度というもの、またその漁船の適格性というものからいつてのただいま御答弁を承つたが、それが一つの方式になつて行かなければならないものでなかろうかと思うのであります。その時々の水産庁のお考え方からいつてすべてをかえて行くということは、はたしてそれが是か非かということ。今あまり時間がないので議論することもできませんが、しからば整理転換を北海道へかりに十そう与えた、また二十そう与えたとしても、北海道の漁民は何をやろうというのですか。何によつて転換させようというのであるか。さんまの漁業だと言う。またかつお、まぐろの漁業だと言う。しからば北海道の漁船はさんまの漁業というものができ得るやいなや、船の構造からかえて行かなければならない。御承知のよう一に、北海道で二十トン以内の船は、北海道庁と水産庁と打合せの結果、さんま漁業を営んでいる。また北海道の漁船というものは、すべて荒海に乗るようにできておつて、内地の漁船の構造とは全然異なる。たとえば内地では一箇所へ水氷を入れて保存をして来るように船ができているのに対して、北海道の漁船は、表に水を入れたならばともまでみな水が入つてしまつて、船は沈んでしまわなければならない。漁業が近いから、漁獲したわずかののもを、そのまま持つて来て陸揚げをするというようなことになつておつて、漁船の構造というものが全然異つている。しかもまたかつお、まぐろの漁業を営むとしても、その漁業を営む方法はどこにあるか。ほとんど漁船そのものも五十トン、六十トンの船でもつて、構造の異なる、一つのかめもない漁船をもつてかつお、まぐろ漁業ができるやいなや。また依存度がどうであるか、内地の漁船であつたならば、漁夫もまた船の構造も完全にできているが、北海道の漁船はそういうわけに行かぬ。漁夫も訓練ができていない。こういうようなことから言つて、かつお、まぐろに対する、またさんまに対する依存度というものが、内地のごときものではない、簡単にでき得るものではないということを御認識になつていないで、ただいまのようなことをお考えになつている。この点はあまりにも認識不足ではないかと思うのでありますが、こういう点をお考えになつておられるかどうか承りたい。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 北海道の底びき船が漁業転換をいたして行きます場合に、さんまなりかつお、まぐろ漁業について、東北の太平洋側の諸県とは若干趣を異にしているというは承知いたしております。日本海なりオホーツク方面の船につきましても、表日本の底びき船とは、若干事情を異にするということは承知しております。また同様の事情は、裏日本の北陸方面にもあるのであります。われわれといたしましては、特にどうしても以東の底びきをやめろと言つているわけではなく、今度新規に、この北洋のさけ、ます漁業に出るという場合に、底びきをやめても出て行きたいという方が現におられるわけであります。そういう方を先に取上げるのが理の当然ではないかということを考えているだけであります。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 それから水産庁においては、こういうことをお考えになつていないか。今まで北海道または内地においての以東底びきというものの違反事項というものがある。この違反事項に対して、ほとんど水産庁は今まで手をやいていたはずです。その手をやいている違反船の多い県の漁民が、国際漁場である北洋に行つて、現在のところはそういうような事故は一つもないが、しかし今後相当考えられなければならない問題であろうと思う。違反事項というものも、ただいままでの内容というものは、食うがために密漁した、違反をしたということになるであろう。それが整理の一番眼目となつて、その以東底びきというものを転換しなければならない一つの理由のように私は、水産庁がお考えになるのではないか。そうすると、今までどろぼうしたものが非常な有利な状態になつて行くように考えられるのであるが、漁業調整ほど日本の漁業でめんどうなものはないと思う。その漁業調整に、違反をした県の漁民また違反をあえてしておる人々に対して一つも考慮せずに、かような点から見て行くということは、非常な違反奨励の議論ではないかと思うのであるが、こういう点はどういうようにお考えになつておるか、御意見を承りたい。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 戦後の北洋の母船式さけ、ます漁業につきましては、操業区域の違反の事例はございません。それ以外の、たとえば北海道入会というような問題につきましては、違反をやつた県は、その県の船の数を減らすというようなこともやつておるわけでございます。北洋の母船式につきましてはそういう事態がまだございません。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 北洋漁業の問題は、ただいまのようにまだその現案の姿はない。国内において違反をやつておる、やつたろうという漁船が、そういう問題に対して、それらを優先にやろうというお考えのように受取れるというのです。この点はどうか、違反船であるものに対しては許可を与えないという方法であるかどうかということです。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 以東底びきの操業上の各種の違反に対しましては、法律は措置でもつて適当な制度がございますので、その制度によつて違謹の取締り、行政処分をやつて行く方針でございます。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 だからそれはそれであつて、こうした問題に対しては、北洋に出漁する場合には、過去の違反は、現在の規則によつて処罰すれば、それでもつて全然考えなくてもいいであろうというお考えですか。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 それは個々の事例に当つてみないと、実は問題がはつきりしないのでございますが、私どもとしては、特に悪質な違反が相当数多く繰返されておつて、この人は漁業法令を遵守するという精神に欠けておるということに相なりますれば、これは許可を差控えたい、こう思つております。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 今底びきを返上して、そうして北洋に出漁するという願書を出しておる。どうせ許可はわれわれの方に来るのだから、今のうちにうんと密漁をやろうじやないかという気持も出て来ないとも限らないのであります。しからば、そういうものを未然に防ぐとしても、今までの過去の違反者に対してはこの貴重な権利を与うべきでないというのが漁業調整の基本方針でなければならないと思うが、そういうことに少しでもお考えがないかということを私は聞いているのです。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 先ほどお答えいたしましたように、そういう問題は、漁業法令を遵守するという精神に欠けておるというようなものについては、許可を出さないつもりでおるわけでございまして、そういうような考慮を払つて参りたい、こういうふうに考えております。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 関連して。先ほど来松田委員との質疑応答を聞いておつたのですが、水産行政のあり方についてちよつとお尋ねしてみたいと思います。  私は先ほど来の永年生産部長の御答弁を聞いておりますと、日本全体の漁業の現段階における情勢の推移に対応して、国内の漁業調整をやつて行くんだということが、現在における水産庁としての行政の基本的なあり方でぱないかと思うが、その点はどうか。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 ただいま御指摘の現在のわが国の漁業をとりまく条件というものは、時々刻々情勢の変化があるわけでございます。そういう点はもちろん考慮に入れて、国内の漁業調整をやつて行くという点はそれに間違いはございません。ただその情勢の変化につきましても、長い間の情勢の変化と短期間の情勢の変化といろいろあると思う。そういう点も十分考慮の中に入れなければならないと思います。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 長い間の情勢の分析あるいは短期間に出て来た特殊な情勢をも勘案してやられるというが、私は長い間の慣行というか実績というか、そうしたものは当然認められて行かなければならないと思いますが、それとともに特殊な事態が発生したことのために非常に困つた条件下に置かれておるという部面があるならば、水産行政全体の中でこれは当然緩和さるべきである。今度の独航船の問題ですが、石川県及び滋賀県以北に限られておる。これは当然従来の実績がその中心になつてなされたものであると思うが、今回の李ライン問題から来る北洋への転換希望が相当数出ておることは御承知だと思う。これらに対してどういうお考えを持つておるか、お聞きしたいと思います。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 李承晩ラインで従来の漁場を失つたという漁業の転換対策ということは、実はどうしても至急考えなければならない問題であると思います。そのためにすでにかつお、まぐろの漁業につきましては、各関係県と相談いたしまして、兼業の許可をいたすということで手続を進めております。ただ、今の北洋のさけ、ます漁業との関係でございますが、これは実は相当多額の運転資金も必要でございます。それから網ということになりますと、これは一年で全部償却してしまうわけではなく、アミランの網になると二、三年の間使えるわけです。従いまして、この李承晩ラインの問題がいつまでこういう不当な状態のままで放置されるかという時間的な関連性もございますが、またこの北洋のさけ、ます漁業の特殊な性質からいいまして、またこの北洋漁業と非常に縁の深い各県が、しかも以東底びきの許可を返してまでも北洋へ出たいというような漁業者の実情にございますので、この方を優先的に採用することは適当な方針ではないかと考えております。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 ただいまの答弁で大体了解いたしました。以東底びきの方ほ非常に困つておると思う。この点、先ほど来松田委員からもるる言われておつたようですが、松田委員の先ほどの話の中に、要するに鮭鱒流し網が現在四十七度線にあるが、これを五十一度に拡大してもらいたい。これは、北海道はこれで納得するという話があつたのですが、そういう意味からでなしに、四十七度線を五十一度線まで拡大してもらいたいという希望が、現存の流し網の業者の中に相当起つておる。当然漁場が拡大されるのであるから、従つて流し網操業する船数もふえて来るんじやないか。そういう面においても以東底びきの者がある程度転換され、整理の実績が上つて行くと思うが、この四十七度線を五十一度までに拡大する意思があるかないか、その点をお尋ねしたいと思います。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 北海道を根拠にいたしまして、直接漁場で魚をとつてまた根拠地へ帰つて来るという形の流し網漁業といたしましては、北緯四十七度の現在の制限線というものがむしろ私は適当じやないかと考えております。と申しますのは、これを五十一度まで広げますと、これは母船式漁業と異なりまして、相当取締りのむずかしい性質の漁業であります。現に昨年におきましても今年度におきましても、この取締り上いろいろな問題を越しておるわけでございます。そういう点から申しますと、根拠地から直接行つて直接帰るこの漁業の形としては、やはり現在の北千島なりカムチャツカなりという方面へ近寄つて操業区域を広めるということは、非常に困難な点があるのではないか。     〔川村委員長代理退席、田中委員長着席〕 また漁業の採算の点からいいましても、北緯五十一度付近、つまり北千島付金で操業いたします場合にも、母船式漁業としてやることがいいわけであります。そういう意味からいいましても、現在の母船式と北海道近海の流し網で区切つております線をかえるということは考えておりません。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 今の御答弁によると、漁業の操業採算の面からいつても、根拠地へ帰つて来るのであるから四十七度線が適当である、こういう水産庁のお考え方である。業者の方がこれを要望するからには、十分採算点は考えられておると私は思う。採算を考えないで単に拡大せよなどということを、業者自身も言わないと思います。従つて四十七度線が五十一度線に拡大されるということは、母船式鮭鱒漁業の方法と錯綜して来る面がある。そこに混乱が生じるからこれはいけないのだということであれば、これは話がわかる。ただこの五十一度線に拡大されました場合のダブつて来る面は、おそらく後期の一箇月ないし一箇月半でないかと思うのす。だから今までの御答弁を聞いていますと、採算点とおつしやつたが、そうでなしに、むしろ母船の方との競合という形が主でないのか、こういうふうに考えられるのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 私の御説明申し上げましたのもそういう趣旨でございます。つまりあの漁場で操業するとすれば、北海道を根拠として操業するよりも、母船を使つて操業した方が採算がいいというだけの話でありまして、従いましてあの水域の母船式について行く独航船は何ばいが適当かという問題になるわけでございます。われわれとしては、あの水域におきましては、独航船の形でなるべく多くの内地の漁業者が出るというふうに考えて参りたいと思つておりますが、先ほど説明申しましたように、このさけ、ますの漁場は限られております。また時期的にずつとできる漁場というのではなくて、順々に漁場を追つて動いて参るわけでございます。そういう点から考えて、現在は百六十隻程度が最大限度ではないかと考えております。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 それではもう一点お尋ねいたします。カムチヤツカ西海区、オホーツク海の操業というようなことは全然考えられませんか。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 オホーツク海におきまする母船式の操業が一体スムーズにできるかどうかという点につきましては、われわれもいろいろ研究をいたしておりますが、まだ結論は全然出ておりません。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 ただいま研究中であるということなんですが、少しこれは怠慢ではないかと私は思う。こういう面はこれだけ問題になるのだから、当然今までの間にそういうことはできていなければならぬはずである。私はもうこれ以上この問題は申し上げません。  一点、最後にお尋ねいたしておきたいのですが、先ほどの特例法の問題です。生産部長のお話ですと、特例法は二箇年間だけになつておるということです。確かに法文はそうなつております。それではこの特例法に基く転換が、所期の計画の通り二年間で達成し得るかどうか。今日の融資のわくの組み上げられている状態から考えました場合、とうてい二箇年間ではでき得ないのじやないかと思います。もしもこれが二年間で達成されないで、もう二箇年たつたからというので廃案になるがごとき事態を生じた場合、現実に所期の計画が達成されていないということになるわけなんだが、そのときは水産庁では、相当これに対する責任追究をなされてもやむを得ないと思う。これは私は政府提案として出した水産庁の大きな責任だと思うが、二箇年間で達成されるという自信をお持ちになれますか、この点をお聞きしたい。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 実は特例法をわれわれが起案いたしましてから、あれが法律になりますまでに相当時間のかかつたような事情もございます。それから資金的にやはり相当巨額の資金を要するわけでございますので、ただいま御指摘の通り、この二年間にあの特例法の線に該当する船は一ぱい残らず大きくなれるかどうかというと、これは非常に困難であろうと考えます。ただわれわれとしましては、この特例法の期間が来ましたときにかつお、まぐろ漁業のあり方というものを検討して、特例法に再検討を加える必要も生じて来るのではないかという点を先ほどもお答えいたしたのでありまして、二年たてば特例法を全然やらない、大型にすることを認めないようにするということは無理であろうと思います。

松田鐵藏自由党

○松田(鐵)委員 部長はときどき話をかえますが、私の質問に対する先ほどの答弁と今のとは、大分言葉がかわつておる。大体特例法を出したときに二年間もかかつております。あれを考えてあなたの方が法案を出そうとする。それから現に十六国会における吉田総理の施政演説、当委員今においての農林大臣の演説から行きまして、沿岸から沖合い、沖合いから遠洋にという日本の水産業のあり方をはつきり明示している。演説にうたわれている。私は総理大臣や農林大臣の説政演説というものは、国民全般がこれを傾聴し、その政策というものはどうなるかと関心を持つていると思う。水産当局がそれと非常にかけ離れた水産行政をやられるということであれば、一体水産委員会は必要があるかということになるのであります。二年も経過した特例法は、難航してようやく十六国会を通過したものであるが、当時と今日とは実態ぶ異なつている。しかもおとといであつたか、長官との打合せ会において完全な意見の一致を見たように私は解釈しておるのであります。今沿岸漁民は、一例を言うならば、愛知県の小手繰りをやつておつた人々で転換した人人は、一そう二百五十トンだかの船をつくつた。そしてその成績が非常にいい。そこで愛知県の漁民は小手繰りから転換して沿岸の漁業を整備しようとして、再び大型の漁船をつくるべく努力をするのだが、その許可は一そう六百万円もするというわけで、手も足も出ないということで陳情が来ている。そういう実態が今日あるのであります。水産庁に行きなさいと言つたら、行つたところで相手にならぬというのです。現益の法律以外に方法がないからというのです。そういうことはつい先日の話であつて、私は長官にも話をしたが、すみやかにこういう問題を解決しなければならないというのが水産当局の御意見でなければならない。二年待つて、今許可を持つておるものが全部大型の船になつてからそのときを見てなどということは、許可を五百万円にも六百万円にも売ることになる。一トン四万円、そういうことになつて行くと、今百五十トンの船の売物があるが、これは今六百万円である。そういうことでは、いたずらにその売ろうとする人は、それ以上漁業を進展させようという考え方のない人である。それらに利益を与えておるのが現在の特例法である。ですから、九十トンの船を持つておつた人、六十トンの船を持つておつた人であつても、広大なインド洋から太平洋のまん中に出漁するというときに、沿岸との問題はどういうように考えておるか。何も問題はないじやないか。アメリカにおいても、あのカン詰業者は年一割ずつマーケットに販売する能力があるから増そうとする。ところが冷凍は倍以上出ている。それだけのアメリカに対する需要もある。また私がアメリカに寄つたときにおいても、あのさんまの問題を解決して米たのです。そういうことから行つても、今日本の漁業が進展して行かなかつたならば、いつの日に日本の漁業が進展でき得るやということを考えたならば、世界の市場に出すかつお、まぐろというものに対して、その生産意欲を全うせんとする漁民があるならば、これらに対して許可を与えるようにすることが日本の水産行政でなければならない。しかし二千三百というかつお、まぐろの漁民があるが、これらで着業していないものもある。しかしそう無制限に許すわけにも行かないだろうが、三千なら三千というある程度までの漁船の許可を出すという建前を早く決定されなかつたならば、北洋に行く船だつて、そうそうかつお、まぐろばかりに転換することもできないであろう、こういうことからいつて、許可が現在トン四万円以上に売買されておる現実の姿はよく御承知のはずです。ですからこういう利権を与えるよりも、せつかく漁民が努力して船をつくてやつて行こうとするものであつたならば、これらに対するあのわくの撤廃ということが考えらつれなければならぬと私は考える。またそれかといつて、いたずらに船ができ得るものではないと思う。なぜならば今日の日本の財政、日本国民の持つている金では、そう簡単に大きな漁船がつくられるものではないと思う。ですから資金の面からいつても、そう簡単に水産庁が考えるように、一年のうちに五百そうも三百そうも大型漁船をつくり得るものではないのだ。しからばわずかの漁回船しかでき得ないとしたならば、それらに対して利権をとられないように、その権利、造船の許可を与えることが水産庁のとるべき政策ではないか私は考える。二年も待つたならばではない、もうあすから撤廃すべきがほんとうだ、そういう気持になおことを私は希望するものであります。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 簡単にお答え申し上げますが、先ほどお答え申し上げましたのは、あの特例法を制定する当時の考え方として御説明申上げたわけでございます。その後ただいま御指摘のように、かつお、まぐろ漁業のマーケツトの問題について相当好転をいたしております。当時関税の問題その他があつたのでありますが、最近輸出の事情が非常によろしいというような状況の変化もございますので、ただいま御指摘のような点につきましては、十分至急に研究して方策を立てなければならないと考えております。ただいまお話になりました権利金がついたようなかつこうになつているという点は、私どもまことに本意でないのでございます。ただこの漁業の許可制度が漁業法の制度によりまして数が限られておるという関係から、どうしても自然そういうことになるわけでございますが、私どもといたしましては、許可をする際には、法律の規定に基きまして公正な許可をいたさなければならない、こう思つておりますが、その後の権利の異動につきまして、現実に経済価値が生じて来るということは現在の漁業法の関係では実はやむを得ない制度になつておるのでございます。

赤路友藏日本社会党(左)

○赤路委員 今の松田委員の発言は非常に私は重大だと思う。その特例によつて許可をされたものが売買されておるということはたいへんなことです。この点は本意ではないとおつしやるが、そういう点を十分調べられて、これは処置されなければならぬと思う。自然とそうなるのだというようなことでは、何と言われても松田委員が言うように、それは亜質のブローカーをつくることにしかならない、それでは困る。そういうことのためにわれわれ審議しておるのじやない。この点は十分考えていただかなければいけないと思う。十分御調査願いたいと思います。  それからもう一点要望しておきたいことは、先ほどの御答弁の中に、非常に大きな資金がいるということなんですね。これはこの法律案が出るときに最初からわかつておるはずなんだ。わからないでおやりになつたのだと私は思わない。従つて二箇年間なら二箇年間という間に十分転換せしめるだけの措置をとることが、私は政府の責任だと思う。これは水産庁とは申しません、政府全体の責任だと思う。予算ができないからというので、これをもしも、二箇年間でできなかつたとするならば、あの法律というものは、単に今の中間地区に対して以東のものを入れるためにのみ国会をぺてんにかけたといういうことになる。そういうものじやなかつたはずだなんだから。私は、政府の責任において十分な予算措置をして少くとも二箇年の間にこれの完成をするように努力をしてもらいたい、これを要望しておきます。

川村善八郎自由党

○川村委員 永野生産部長に一、二点簡単にお伺いいたしておきます。中型底びきの整理転換ということについては、すでに政府がそれを発案し、われわれも立法もし、予算措置も講じて、五箇年間に整理をしなけはばならぬということについてわれわれは反対するものではありません。むしろわれわれは賛成するものであります。ただ北洋漁業の明年度の出漁とその底びき網漁業の整理と完全に結んで行く。すなわち底びきの整理を北洋漁業の転換に重点的にやつて行くというとことについては、いさか私は疑問があると思います。なぜかと言いますと、中型底びきはすでに予算措置で五箇年でやるということになつておりますので、これを実際に軌道に乗せればいいのであるけれども、私の判断でございますけれども、あなた方の予算要求が完全に政府に取上げられないために、思うように整理ができない。それのために、今度は大幅に北洋漁業の母船出漁ができるので、それに上手に結んで行く考え方だ、かように解釈しております。そこで生産部長の言うには、それはたくさん廃業して行きたいというのが北海道にも内地にもある、こういうことですが、それはもちろんあるでしよう。いわゆるどつちのえさがいいか天びんにかけた場合に、北洋漁業の方は二箇年にわたつては相当成績がいいから、底びきをやるよりもその方に転換した方がいいといういわゆるそろばんずくであるから、それはたくさんあるだろうと私は考えておりますけれども、松田君も先ほど指摘したように、北海道の底びきというものはまだ資源的に恵まれておるので、廃業して、そうしてただちに転換するというようなことをあまり考えておらない。ただどうしてもそういう方針だというから、しかたなしにこの際いわゆる北洋のさけ、ます母船式流し網で行つた方がいいのだということで、決して賛成しているのじやない、しかたなくて行つているのだというふうに私は考えております。その点も漁業者の考え方でありますから、それでいいとか悪いとか私は批判しませんけれども、ただ部長の言うには、たくさんそうしたような廃業して出る者が出ておるから、これを目当てにやるのだというお考えでございますが、そうしますと、今年度の出漁は百六十でございますが、昨年は八十五隻だ。そうしますと、八十五隻以外のものについてはそういう転換のものを取上げて行くといたしますれば、あと大体七十五かそこいらでございます。そうすると底びきの転換者が内地と北海道とで二百も出て来たというような場合に、一体それを比率でやるのかどうか。もつとわかりやすく言えば、底びきの廃業者がたくさんあるんだ、独航船の許可というものは限りがあるのだ、そういう場合の割当をどういうふうにするか、この点でございます。いわゆる底びきの廃業だけで計算するのか、その他いろいろな、先ほど松田君が指摘したような事情も勘案して割当てて行くのかということをお伺いしたいと思いますから、その点をどうか明確に御答弁を願いたいと思います。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 ただいま御指摘のありましたように、現在各県から私どもの方に参つております申請は、底びきを廃業して行きたいという数が、すでに新規に許可を与える数を相当大幅に突破をいたしております。従いましてこれを各県にどういうふうに割振るかという問題が起るわけでございます。この点につきましては関係各県の主務部課長と相談をしてきめたい、こう思つておりますが、われわれの方の腹案といたしましては、各県の依存度の状態というか、困つておる状態、漁場に対して船が多過ぎるという状態、こういう状態のバランスも当然重要な考慮の材料にはなると考えております。

川村善八郎自由党

○川村委員 そうしますと底びきの廃業者が多い場合であつても、その地方の漁業の状態あるいは依存度の状態等も若干の考慮をして独航船の許可を与える、極端に言えば各県の割当てを行う、こう解釈していいか、お尋ね申し上げます。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 ただいま申し上げましたように、その点につきましては各県の主務部課長の意見も私ども聞かなければならぬ、こう思つておりますので、その会議を開きました上できめで参りたいと思います。

川村善八郎自由党

○川村委員 生産部長はうまく逃げていますが、今まではもう各県の主務部課長の意見を聞くなんということは言葉に出しておらないのに、私どもに端的に突つ込まれると、今度は各県の主務部課長の意見を聞いてやる、それならばそれはもちろん行政であるから、われわれが一々これにタツチすべきじやないけれども、今年の出漁までは、北洋漁業の母船式さけ、ます漁業については水産委員会に報告して、相当の意見も求められたはずであります。明年の出漁については何らまだ報告もなく、あなた方の構想も新聞上で見ただけで、われわれは発表を聞いておりません。あなた方から報告を受けますと、必ず本委員会ではそれぞれ意見も出るだろうと思つております。先ほど赤路君からも李ラインの問題の意見等も出ましたが、おそらく水産委員の中には相当いろいろな意見を持つておる者がたくさんあると思いますが、行政だから水産庁がこれをやり、そうして苦しくなれば関係各県の主務部課長の意見を聞いて決定するといつたようなことは、あまりにお上手過ぎるじやないか、永野部長は頭がいいということはわれわれ認めますし、これは周知の事実でありますけれども、頭のいいことはけつこうだけれども、水産行政に当つては、水産委員会等に今まで報告してあることを本年に限つて報告しないということは、何かその間にいわゆる策略があるのじやないかということを疑わざるを得ない。実は私は北洋漁業の問題については、意見も質問も出さないという考えでありましたけれども、あまりに永野部長は底びきの整理にばかり重点を置いておる。そうして逃げが非常に上手なんで、最後にひとつあなたのほんとうの腹を聞きたいというので質問しておるのですが、主務課長の意見を聞くということならば、先に国会に報告して大体の意見も求めて、それでさらに関係各県の主務課長なり部長の意見も聞いて決定すべきだ、かように私は考えておるのでありますが、何ゆえにことしは来年の出漁について報在しなかつたか。今度も閉会中に新聞に案を発表して、いつでも水産庁はそれをやる。それをやるから水産委員会ではやかましくなる。でき得るならば、われわれが立法した以上は、その趣旨に沿うて、あなた方が行政をやることについては、大いにその行政をしりから押してやるという行き方でなければ、水産行政などはうまく行かない。議論があつて結局遅れて、今度の北洋漁業の問題も、以前のように火がついたような出漁をしなければならぬということになると、われわれとしてもまことに遺憾と存じますので、今度の国会に報告しなかつたというのは、どういう所存があつて報告しなかつたか、この点は聞くまでもないのでありますけれども、永野部長からほんとうの腹を承りたいと存じます。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 御連絡の点につきまして、ただいまお叱りを受けまして、まことに恐縮に存じます。今後この問題はまだいろいろ研究しなければならない問題があるわけでございますが、その都度できるだけ円満な連絡を国会の方ととるようにいたしたいと考えておりますが、ただいままできまつております独航船の隻数及びその選定の方針ということにつきましては、先ほど御説明申し上げた通りでございます。

川村善八郎自由党

○川村委員 いろいろまだ質問したいことがありますけれども、この貴重な時間を費すということは恐縮に存じますので、いずれまた水産庁に懇談的にお話申し上げてお聞きしたいと思いますから、きようは北洋漁業の問題についてはこの程度で質問を打切ります。

田口長治郎自由党

○田口委員長 午前はこの程度にとどめ、午後続行いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時四十三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた。〕

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