厚生委員会 第3号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/12/08
会議録
○小島委員長 これより開議を開きます。 まず閉会中審査申出の件につきお諮りいたします。ただいま当委員会に付託になつております昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害の被害地域において行う母子福祉資金の貸付に関する特別措置法の一部を改正する法律案、及び昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害の被害地域に行われる国民健康保険事業に対する資金の貸付及び補助に関する特別措置法の一部を改正する法律案、この両法案につきましては、今会期も本日をもつて終了いたしますので、時間の関係もあり、一応開会中審査の申出をなすこととし、手続等に関しましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します’。 ―――――――――――――
○小島委員長 次に、萩元委員より、水害地、冷害地における人身売買、生活保護法の母子福祉資金の貸付状態等に関して発言を求められておりますので、これを許可いたします。萩元委員。 〔委員長退席、青柳委員長代理着席〕
○萩元委員 先ごろの冷災害のために、各地に人身売買が続出しているということを新聞その他の報道機関で聞いておりますが、これの案態及び対策について承りたく存じます。
○太宰説明員 水害地及び冷害地におきまして、児童の身売り問題などが起きはしないかということにつきましては、私どもも非常に心配しておるのでございます。また輿論もこれに非常に関心を持つておるやに私ども感じておるのであります。ただいままでのところでは、府県の関係者からお話によりますると、幸いにしてまだ特にこの冷害あるいは水害のためにどうこうということは、自分たちの耳にも入つていない。しかしながら今後水害地においては、特に飯米がなくなつたころからこれが出て来るのじやないかということが予想される、こういうことでございます。それで私どもといたしましても、いち早くこれが対策を講じ、かような問題が現量に発生しないように輿論を喚起することが一番いいのではないかというようなことで、現在臨んでおる次第でございます。 具体的な対策と申しましては、これは一つのきめ手というものがないのでございまして、やはり政府のいろいろな施策、及び輿論の喚起というところにまつのでございます。特に冷害地に関しましては、先般の国会で冷害対策の予算が通りまして、救農土木であるとか、あるいは営農資金の貸付であるとか、あるいは生活保護費の増額というようなことが実現しております。まず私どもといたしましては、そういう農家にできるだけ早く現金収入の道を与える、かような点から、いろいろな土木あるいは失業対策事業というものが活発に行われ、あるいは営農資金の貸付というように、現金が早く農家の手に渡るということをこいねがつておるわけであります。同時に困つておる家庭には、生活保護法の適用を適正にするという道も講ずる必要がある。それから一方におきまして、そういうところに介在して媒介をいたしまする、いわゆるブローカーというものの暗躍につきましては、これは国警及び法務当局と連絡をとりまして、それの方に十分取締りの目を光らしてもらう、かような一連の施策と相並びまして、私どもといたしましては、この農家世帯に対して、児童の人権擁護の思想あるいは児童福祉の思想というものを喚起するような道を講ずる必要がある。それにはもちろん府県当局も当然その手を打たなければなりませんが、被害農家の最も身近にあつて、そういう立場において活躍し得るものといたしまして、全国に十二万五千もおりまする児童委員というものの活用を大いにはかつて行きたい。さような意味から児童委員の全面的な活動を促進するべく手を打つておるわけであります。児童委員あたりが、まず第一線の機関となりまして、これはそれぞれ教育機関あるいは警察機関、あるいは社会福祉の機関いろいろございますが、そういう間の連絡を密にして、重点的にそういう問題の起りそうなところに行つて、かような思想の啓発をはかる、あるいはそこに具体的なケースが出て、来るおそれがあれば、その家庭に行つてその事情をよく聞き、そうしてこの家庭を優先的に、こういう土木事業なり何なりの就労及び現金収入の機会をあつせんしてやる、こういうような手を打たせるように今手配をしている次第でございます。
○萩元委員 救済資金というものがたかなか行き渡らないというお話を各地から聞くわけでございますが、一日も早く行き渡るようにお手配をお願いしたいと思います。 なお生活保護適用の実態でございますが、これはしばしば繰返されおりますが、農家の場合でございますが、田畑があれば保護法が適用されないということ、商家の場合には商品があつても適用されるということを思えば、農家の場合も何かの救助の方法が考えられなければならないと思うのでございますが、農家にとつては、農地を手離すことは永久の死を意味するものだと思いますので、何かここに今救助の手が伸べられれば、一年後には立直れるのでございますから、これが永久の転落者とならないように、何らか一時的に救済の意味を含めて、法の拡大ということをお考えになられないものでございましようか。この点を伺いたいと思います。
○太宰説明員 この生活保護法の適用は、社会局の主管でございまして、社会局長から申し上げるべき筋だと思います。ただほかの機会で私同席いたしておりましたときの答弁を聞きましたところを、記憶で申し上げるのでございますから、その意味でお聞きとり願いたい。田畑などがあるという場合に、ただちに保護法を適用するかどうかということについては、これは一律に、また抽象的にどうこうということではなく、やはりその具体的事情に即応してやるべきだと思います。田畑があつても、現実に収入がないじやないか、これはその通りでございます。しかしまたものすごく大きな農地でも持つておるというような場合には、その他においてもまだゆとりがあると推定せられる場合において、ただちにそれも十ぱ一からげに一様に適用するかどうか、やはりその辺は実情に応じて善処するというような答弁をしたようなことを私聞いております。その辺は社会局は十分に考慮してやられると存じております。さような点を申し上げておきます。
○萩元委員 そういういたしますと、ゆとりのある農家ということについて私御質問申し上げるつもりはなくて、非常に貧困な貧農という立場を御質問申し上げておるわけなんでございますが、その場合には、実情に応じておとりはからいいただける、こういうわけでございましようね。
○太宰説明員 それ以上になりますと、これははつきり答弁申し上げた方がいいと思いますから、社会局長が参りましてから……。
○萩元委員 それでは、災害地の母子福祉資金貸付の状態をお聞きしたいと思います。
○太宰説明員 風水害も込めてでございますか。
○萩元委員 はあ。
○太宰説明員 現在御承知の通り、母子福祉資金の貸付は、全体といたしまして七億四千六百万円の予算を組んでおりますので、府県でもつて自分のいろいろな財政その他を考慮して、本年度において貸付けるという予算を一応組んでおりますものは六億三千六百万円であります。そういたしますと私どもとして一億円ほど余るのでございますので、極力地方を督励いたしまして、さらにもう少し組むようにという勧告をいたしておるのでありますが、やはり災害が起きたり、その他の府県財政逼迫等の関係もありまして、なかなかこの辺が消化されないような状況でございます。ことに水害でもございますと、県の方の財政が悪化する。その反面において水害に罹災いたしました世帯の方では貸付額の希望が増加する、こういうような関係にも相なりますので、その点を是正いたしますために、先般の十六国会でありましたか、母子福祉資金の貸付に関する特例法が制定されまして、さよな罹災母子世帯について県が貸し出します場合は、その三倍の額を国においてその県の特別会計に貸付ける、こういう処置がとられたわけであります。これによりましてこの際母子世帯に貸付ける道が容易になるという仕組みであろうと存ずるのですが、さような点で県の方にもさような意味の連絡をいたしまして、これは但し罹災母子世帯に限定せられるわけでありますので、ただちにあらかじめ予定した額を私の方から配つておくということでなしに、県の方でもつてそれをやつてあとから報告をもらえばその分を見てやる、こういうような仕組みになつております。ただいまのところは、そういう母子世帯に幾ら貸付けたという報告はとつておりませんが、さような道が開かれたということを申し上げておきます。
○萩元委員 その報告が参りましたらまた承りたいと思います。
○長谷川(保)委員 児童局長にちよつとお伺いをしておきたいのでありますが、最近冷害地等におきまして保育所の給食用のミルクをとらないものが出て来ておる。理由はとる金がないからということで、引取らなくて倉庫に入れてあるというものがふえて来たという報告が私の方に来ておりますけれども、冷害地ほどむしろそういう上質な食糧というものは子供たちになおさらとらせる必要があるわけでありますけれども、こういうようなことになつて来るということは非常に困つたことであると思います。児童局の方にはそういう報告が来ておるかどうか伺いたいのであります。
○太宰説明員 私どもまだそういうまとまつた報告は参つておりませんが、ただお話のような事態は予想されるのであります。これに対する対策といたしまして私ども今考えておりますのは、ユニセフにミルクを冷害がはなはだしい地域に特に配給してもらうように現在要請してあるわけであります。これは文部省の冷害地関係の学校につきましても同じ要望がございますので、一緒にユニセフに要求しております。近いうちにその回答が来るのではないか。もしそれが参りますれば、そうして私どもの要望しておつたようなことが実現いたしますれば、この十二月から明年の適当な時期――一応十一月ごろまでで要望してございますが、そういう冷害のひどいところの保育所に入所しております子供に対して一日二十二グラム、これをのばしますと約牛乳一本くらいになるそうでありますが、その割合のものが無償で支給せられる、かように考えております。
○長谷川(保)委員 この冷害地等におけるこういう事情は、今年はすでにそういう事情が起つて来ておるというわけでありますが、多分来年度におきましてはさらに深刻な問題となると思います。どうかこの点におきまして十分なる御尽力をいただきたい。またユニセフの方がただいまお話のように行かない場合には、厚生省当局としては特別な手を打つてもらわなければならぬと思いますが、その点を深く要望しておきます。
○青柳委員長代理 他に児童局長に対する御発言はございませんか。――ないようでありますから児童局長に対する質問はこれをもつて終ります。 それでは社会局長が見えましたから質問を願います。
○萩元委員 社会局長にちよつとお聞きしたのでありますけれども、冷害災地の生活保護の実態でございます。しばしば繰返されておりますように、農家に田畑があれば適用されない、こういうことでございます、商家の場合には商品があつてもかけられるということを思えば、農家の場合にも何らかの救助の方法が考えられていいのではないかと思うのでありまして、一時的の救助の意味を含めて、法の拡大をお考えになられるということはいかがでございましようか。何とか実情に即して――たくさんに余裕のある農家ということでなく、貧農の場合の救助でございますから、この点について具体的な実情に即した方法を伺いたいと思います。
○安田説明員 冷災害についての生活保護の適用でございますけれども、これはこの前の補正予算によりまして、七億だけ増額いたしてあるのでありますが、ただ生活保護の適用と申しますのは、この委員会ではいつも申し上げておるのでありますけれども、七億の金を何県に幾らというようにわけるわけに行かないので、実際上運用いたしまして、生活保護が適用されるようなケースができました場合に、そちらに金を出すというような考え方で行きたいと思います。たとえば農家の場合でございますと、やはり生活保護に先行いたします政策といたしましては、建設省の救農土木でありますとか、あるいは農林省の救農土木事業でありますとか、あるいは失業対策でありますとか、営農資金の貸付でありますとか、いろいろございますが、そういうものをやりましたあとで、なおかつ生活ができないということが一つの基準になるわけであります。そこで先ほど土地があつたり家があつたりというようなお話もございましたし、あるいは商家の場合には商品があるというようなお話もあつたのでありますが、そういうような場合にも、抽象的に農家の場合はこうする、商家の場合はこうするということが言えないところに特徴があり、私ども生活保護の本質があると思うのでありまして、そこで土地や家があります場合にも、農家は、土地は生産手段で、生きて行く上に必要なもので、これを全部取上げなければ生活保護法を適用しないというばかなことは申さないつもりであります。しかし同時にまた非常に大きなお百姓さんがございまして、やはり家も大きいものがありまして、これは生活手段とは相当の開きがあるというようなものもございましようし、あるいはまたそういつたような農家でありますと、他から借り入れてもその年が過ごせるというような方もありますが、そこでこれを機械的に取扱わぬということをこの際申し上げまして、実情に即するような方法でやつて行きたいと思います。
○萩元委員 機械的でなく実情に即して、田畑というものがあつてかけられるということをただいましつかり伺いましたが、それは地方にはなかなか徹底しない傾きがございますので、どうかそこのところを十分徹底するようによろしくお願いいたしたいと思います。
○杉山委員 今そちらのお話では、農村もお百姓さんたちが土地がある、あるいは家屋があるということで、別に機械的取扱いはせぬ、こういうお言葉でございましたが、御承知のように、農村での大部分と申しますか、五反以下の耕作者は、月収にいたしますると、約六千円内外の人々であると思うのです。御承知のように、いわゆる日雇い労務者が一日二百八十円と見て二十日就労いたしますと、五千六百円、この日雇い労務者の人と大体似たり寄つたりの収入ではないか、こういうように思うのであります。農村にはこういう実にたくさんの日雇い労働者と同じ状態の、いわゆる生活保護の適用になるような範囲の人が多数おると思うのでありますが、私はこれらの人々全体に生活保護をせよとは申しませんけれども、少くともこの人たちに対して、疾病の場合に何か医療給付をするようなお考えはないか、この点を一つお伺いいたしたいと思うのであります。きようの新聞を拝見しますと、厚生省では農村の健康の問題についていろいろ御心配になられており、たいへんありがたいことだと思います。いろいろそういうように農村を健康な土地にしていただくことは非常にけつこうで、これはぜひ願わなければならぬが、いろいろ御尽力願つても、無疾病の土地になるということは、どう考えてもできないのであります。そういう意味合いからいたしまして、そういう生活保護すれすれの農民あるいはそれ以下の農民が多数いると思いますが、それらに対して、せめては医療給付の問題などについて、厚生省としてお考えがあるかどうか、この点をひとつお伺いいたしたい。
○安田説明員 今仰せのいわゆる五反百姓と申しますか、農家で耕作面積五反以下の方々の暮しが非常に楽でないことは、私ども承知いたしております。そういう方は何かの動機で、たとえば働く人が病気したとか、あるいはけがをしたとか、あるいは家族に病人が出たということで、生活保護を受ける階級に転落して行くような方々なのであります。そういうふうに私ども見ておるわけであります。しかし今の日雇い労働者の収入と、そういう五反以下の専業農家の収入というものが、かりに金額に直しまして同じものといたしましても、やはり生活態様が違いますので、必ずしも一方は生活保護を受けるけれども、片方は生活保護を受けてはならぬといつたものでもないように思います。仰せのようにそういう方々で生活保護を受けない方がたくさんあるわけでございますし、むしろその方が多いのであります。しかし一旦病気になりましたときに、仰せのように非常に困ることも事実であります。そういう場合には生活保護の生活扶助、つまり暮し向きに必要な金を生活保護法から出してもらわなくても、医療扶助だけを受け得るという手段もあるわけであります。しかしやはり根本的に見ますと、そういつたようなものも、国民健康保険等がその村にしかれまして、それが適用されれば、疾病の問題について医療扶助を考えなくても、自分たちで金を出し合つて、その問題を解決して行く余地がまだたくさんあるのじやないかというふうに考えておりますので、厚生省といたしましては、そういう国民健康保険の問題にも実は力を入れておるようなわけであります。
○杉山委員 仰せのように各村々に国民健康保険がございますれば、今の点は解決するのでありますが、遺憾ながら今日までいわゆる補助がなかつたせいで、あつた村もつぶれたという点が多うございまして、また御承知のような農村の状態でございますので、医療の問題でずいぶん不自由をいたしておると思うのであります。またそのために一層貧乏しておる、こういう点もございますので、私は先ほど申し上げたように、生活保護全体でなしに、少くとも医療の問題についてのお考えが何かあるか、こういうことをお伺いしたわけであります。そういう点なお一層ひとつお考え願いたいと思います。
○安田説明員 御説の点はよくわかりましたが、今後研究いたしたいと思います。
○青柳委員長代理 次に長谷川委員より、医療扶助費、社会福祉事業振興会法及び復員患者の恩給と医療給付等の問題について発言を求めておりますので、これを許可いたします。長谷川君。
○長谷川(保)委員 まず最初に今の萩元委員、杉山委員の御質問に関連して一つ伺いたいのであります。農村における貧農の方々の今の医療扶助の場合に、実際において私どもが大勢扱いましていつでも困難しますのは、やはりたびたびこの委員会でも問題になつておりますように、農村の人々はたといどんなボロ家でありましても、家を持ち、小さな屋敷を持つておる。あるいは五反そこそこのあるいは三反、二反というようなたんぼ、田地を持つておる、あるいはきわめてわずかの山を持つておる、たきぎをとるための山を持つておる、あるいは採草地としての山を持つておる、こういう場合にいつでもそれがひとつかかる。局長からただいま十分に考慮するようなお話もあり、実情に即したやり方をするというようなお話でございますけれども、現実におきましては、ことに農村に参りますと、民生委員諸君が実にかたい、かた過ぎる。そうして何でもかでもわずかのものがあれば、もうかけない。従つて現実におきましては、たとえば結核で入院している者も遂に方法がなくなつて退院する。たとい国民健康保険のありまする村におきましても、国民健康保険においては入院料の全額を払うわけじやない、医療費の全額を払うわけではありませんから、結局どうにも方法がなくて退院して行く。憲法で保障しておりする基本人権に対しまする最低生活の保障というものは事実できないわけです。だから私はたびたびここで何年も口をすくしてお互いにわれわれも心配し、厚生省もそれに対して答弁しておられることが、いまだにできておらないのですから、やはり私は厚生省では一歩を進めて、こういうわずかの田地とか、それからわずかの家屋敷というようなものを農村では離せば生活ができない。まつたく浮浪者に転落するよりほかにしかたがたい。都会と違つて借家もありませんし、それから土地を離してしまえばどうしようもないのでありますから、こういう農山村等におきます者に対しては、やはり明文化したところの、医療扶助をかけるにつきましての、あるいは生活保護をかけるにつきましての特別な立法をしてもらう必要があると思う。そうしなければ何年ここでお互いに心配しあつて討論をいたしましても、これはむだなことであります。だから一歩を進めて、厚生当局はそういう明文化をする必要がある。そうしなければいくら何といつても、いなかのかたに民生委員諸君――この諸君の中には、もちろんりつぱな新しい考え方をする方々がありますけれども、同時になおまた生活保護法の適用というようなことを、やはり仁恵的なものと考える諸君が事案あるのです。でありますから、これはどうしても、いなかに行けば行くほどかたくて、何でもかでも扶助をもらうというようなことは仁恵的なものに考えやすい傾向がありますから、私は明文化しておく必要があると思う。そういう点、社会局長のただいまの答弁よりももう一歩進めて、単に研究するというようなことでなしに、私はそういう方針に進んで行くことを要求せざるを得ない。局長の御意見を伺いたいと思います。
○安田説明員 私が研究いたしますと申しましたのは、国民医療の体系をどういうふうにするか、特に杉山委員のお話になりましたような農山村の方々がもつと気楽に医療を受けられるようにするためにはどうすべきか研究するということを申し上げたのであります。生活保護法の運用自体といたしましては、これは原則はきまつておるわけです。しかしこれはここでいくら議論いたしましても、いつも題題が繰返されておる。これは結局抽象的にしか基準がつくれないのでございまして、やはり問題は個々の場合にそれが妥当かどうかということが実は問題になるわけであります。そこで長谷川委員は生活保護法のことにつきましては十分御承知でございますので、私からかれこれ申し上げることもないと思うのでございますけれども、結局最低生活を保障するという建前で、しからばその最低生活の基準をどこに置くかということが実は問題なわけでございます。それに具体的のヶースを当てはめて行くというところに問題がある。たとえば家があると申しましても、今や話のように、三反歩しかない百姓さんがほんとうの掘立小屋のような家を持つておるのに、それを売つてしまえと申し上げるのは非常識な話でございますし、またそれを売りましてもどれだけ経済的な価値があるかというようなことも問題でございましよう。しかし同時にまた同じ農民の方でも、土地も相当広く持つておる、山も持つており、あるいは家屋敷の相当広い方もあるわけです。しかしこれもやはり病気をいたしますと、困ることは困ります。国が出せばこれは非常に喜ばれることは事実でございますが、しかしその場合に、その人たちの最低生活の標準をどこに置くかということが実は問題になつて来るわけであります。そういうわけで、結局はここでいろいろお話いたしましても、具体的な実例をとられて来て、それが非常識であるかどうかということに議論が落ちて来ると思います。そういうようなことのないように私どもは指導いたしておりますが、なかなかおつしやるように、ここではつきりきめるとか、あるいは法律にこまかく書くというようなことができないのが実はこの問題の特質だろうと思つております。 〔青柳委員長代理退席、委員長着席〕
○長谷川(保)委員 たとい一町歩の田地を持ち、あるいは二反、三反の家屋敷を持つておるといたしましても、たとえば長期入院をします結核などのごときでございますと、御承知のように一箇月の入院料、医療費等はこのごろではどうしても一万円から一万二、三千円を考えなければなりません。ことに最近のように手術が非常に多くなり、あるいは新しい化学製剤が用いられて来る、高い値段のものが非常に用いられて来ることになりますと、どうしても一万二、三千円かかることを考えなければならぬ。そうすると、これは日本の農家としては、たとい一町歩の田地がありましても、都会のごく周辺は別といたしまして、一般の農家にいたしますと、長期になりますと、これは出せません。だから農山漁村等に対しましては、やはり相当手心をしなければいかぬ。ことに今申しましたように田地というものは生産手段であります。それを離したら、あとまつたく生活が転落してしまう。家屋敷というものを離したら農村では住むところはないのです。まつたく生活は転落せざるを得ない。だからもちろん国民健康保険を非常に普及するというようなことも、今しなければならぬ点でございますし、十分御尽力いただかなければなりませんけれども、それだけではやはり足らない。だから私はどうしてももつと、今申しましたような農山漁村等に対しましての医療扶助をかける、あるいは生活保護をかけるということにつきまして、やはりこれは明文化してやらないと、とうていできない。それでそういうようなものがたとい財産としてあつても、医療費が出ないというようなときには、実情に即して、そういうものには財産があるにもかかわらず、なおかけることができるというようなものを生活保護法の中に明文化してやる。少くとも厚生省でそういう特別な通牒を出してもらうということにしないと、事実今全国をお調べになればわかりますけれども、あるいはそういう資料が厚生省に来ておるかもしれませんが、まだ治つておりませんのに国立病院なりあるいは一般の結核療養所を退院して行く人々が全国で一年に相当数あると思う。しかもその諸君が菌が出ているにかかわらず農村に帰つて参りまして、家族感染をさせて行くということがずいぶんあります。ごく短期の者ならば別でございますが、結核なり長期のものは特にそうであります。だからこの点厚生省は一歩を進めて明文化するという方針をとつてもらわないと、払はこれはむずかしいと思う。とうてい農村の末端ではできないのでありまして、全国民に平等に国がそういう医療の保護の手を伸ばすということはできないと思います。重ねてそういうものを明文化して行く御意思がないかということをお伺いしたいのであります。
○安田説明員 たびたび同じことを繰返すようになるのでございますけれども、今のおあげになりました例のうちで、一町歩の農民でも生活保護の医療扶助を受けなければならぬというようなお話があつたのでありますが、五反歩の人でも生活扶助を受けてない方がございます。そういう方の生活水準と一町歩の人の生活水準とはおのずからかわつておると思います。高低があると思います。その際に五反歩の方にはそれでやつて行けということでございますし、一町歩の方にもやはり医療扶助を出すということになりますと、そこに甲と乙に対しまして、生活水準の違つたものを、政府としては認めているということになります。そういう点に第一矛盾が出て来るわけでございますし、なおまた今度一町歩の方がどういうふうな家を持つておられるかわかりませんけれども、それが普通の農家の最低生活を維持するのに必要な限度よりも相当開きがあります場合に、それを売ればどれだけの金が出るということも、ヶース・ワーカーとしては考えざるを得ないのであります。そういたしますと、こういう場合にいい、ああいう場合にいいということを一々具体的に書くことも、なかなかむずかしゆうございますし、また抽象的に書きますと、今言つたことになりますので、問題はやはり民生委員なりあるいは福祉事務所のヶース・ワーカーの常識と申しますか、そういつた方々の考え方を尊重して行く以外に方法がないのじやないかというように私ども考えておるわけでございます。しかしいずれにいたしましても、こういう問題はなかなか大切な問題でございますので、いろいろ遺憾のないように十分今後気をつけて参りたいと思います。
○長谷川(保)委員 くどいようでありますけれども、五反歩とか一町歩とかいうように、私はそういう二段構えで行くという意味ではありませんが、ケース・ワーカーや民生委員諸君にまかしておいただけでは、これは今日解決しておらないのです。その常識だけでは解決しておらない。それが実情でありますから、私はもう一歩進めなければだめだ、こう申しているわけなんです。だからやはり数字をあげて何反歩以内あるいは家がどのくらい以内ということは、なかなか実情がそれだけでは判定できませんから、それはむずかしいでありましよう。そういうことは書けないでありましようけれども、しかし農村、山村等においては、家屋敷、田地等寺があつても、実情に即して、医療を受けられない者のためには医療扶助をかけることもよろしいというような意味のことを、私は明文化することはできるだろうと思うのです。今日案情ができていないのです。実情が医療扶助を受けられない。医療扶助ばかりでなしに、農村の人々が適当な医療を受けられない実情になつているのであります。特に長期療養の場合に受けられない実情になつているから、もう一歩進めてもらわなければならぬ、こうお願いするわけであります。 次の問題に入ります。私は実情を十分つまびらかにいたしませんが、たとえば最近東京都におきまして、年度内におきまする医療費の国からの支払いができないから、都の方で立てかえて払つておくようにというようなことを言われたということを耳にいたしました。そういうような実情があつたのかどうか、これは社会局の関係と保険局の関係と両方あるのじやないかと思いますが、まず社会局の関係といたしまして、そういうことを言われたのかどうか伺いたい。
○安田説明員 生活保護法の医療扶助の支払いでございますけれども、御承知のように、六月から診療報酬支払い基金を通じて支払うようにいたしたのでございます。これはそういうことを制度の改正はねらつたわけでございますけれども、結果からましても非常に支払いが早くなりまして、六、七、八、九、十と払つておりますけれども、非常に早くなりまして、むしろ早過ぎるために医療費がたくさんになつて、将来のことを心配するくらいのところまで参つたわけでございまして、その点私どもはむしろ診療担当者の方からは喜ばれておるのではないかと実は考えておるくらいでございます。東京都の具体的な例につきましては、私どもまだそういう話を聞いておりませんけれども、調べましてそういうことのないようにして参りたいと思つております。
○長谷川(保)委員 そういしますと、厚生省でそういつたのではなくて、あるいは診療基金の支払い事務所の方からそういう話があつたかと、今の答弁では受取れるのでありますけれども、診療報酬の支払い基金事務所の方で単にこの年度内の医療費を払うことができないということは、制度上あり得ないと思うのです。厚生省の方から金が出ないからそういつたことになつたのじやないかと思いますが、そういうことはないのですか。
○安田説明員 厚生省の方から県と市の方にお金を払いまして、それに二割を加えたものが支払い基金に参る。これはあらかじめ基金の方に払つておくわけでございまして、私は東京都のことにつきましては、先ほど申し上げましたように、そういうことがあつたかどうか存じません。調べまして申し上げたいと思います。ただこういうことはございますので、一つの問題としてお聞きとり願いたいのでありますけれども、先ほども申しましたように、六月、七月からずつと医療報酬支払いの額が非常に上つて参りました。これは 一つには、県や市が払つておりました場合には、医者に借金のような形で、自分のふところぐあいによりまして払いを延ばしていたものが相当あつたのじやないかということが、今度の支払い方法の切りかえによつて実はわかつたような気がするのでありますけれども、そういうことが今度の制度ではないわけであります。そこで遅れたとか遅れぬというのがすぐはつきり出て来るわけであります。それが一つと、それから非常にふえて参つて、将来実は私ども不安に思つておることも事実なのであります。これはどうしてふえるかということにつきましても、実は私ども大蔵省からやかましく調査して結果を出せといつておりますので、調べておりますけれども、もともと生活扶助その他の現金で支払います生活保護と、医療扶助というものは、大体医療扶助が三割から三割五分くらいのものだつたわけです。ところが六月、七月になりますと、十七、八億ということになり、片方の生活保護の方が十二億くらい、全部合せましても医療扶助と他の扶助との割合が逆になつて大体五〇、五〇くらいで、ある月には五一と四九というふうに医療扶助がふえるという傾向にあるわけです。これは将来の問題としても非常に大きい問題でありますし、支払いそのものにもいろいろ齟齬を来しておりますので、私ども現在一生懸命にその原因をつかもうとしております。またむだな金の使い方がありましては申訳ございませんから、そういう点につきましても、十分検討いたしまして、対策を立てたいと思つております。そういうようなことを仕事としていたしますことを申し上げておきます。
○長谷川(保)委員 そうすると厚生省の方では、今たとえば医療扶助の方の支払いは、実情はどんなふうにやつておるのでありますか。
○安田説明員 大体四半期ごとに生活保護費を県の方へ流しておりますから、まだ十二までは私どもあると思つているのですが、しかし東京都がその後そういうふうに急激に医療扶助を受けたために足りなくなつたという実情があるかどうかということは、調べてお答え申し上げます。
○長谷川(保)委員 そうすると、年度末までの、残る第四・四半期の分は、大体いつ厚生省では支払う予定ですか。
○安田説明員 第四・四半期は一月かと思います。と申しますのは、第一・四半期をたしか四箇月分払つておるから、最後の第四・四半期には一月減つておると思います。大体間違いないと思いますけれども、なおよく調べてから、正確なところをお答え申し上げます。
○長谷川(保)委員 今の問題は、東京都の医療機関は非常に心配をしておるのです、あわてております。この点、どうか厚生省の方で実情を明らかにせられまして、そういうような不必要な狼狽をさせないように御尽力をしていただきたいと思います。 次に、社会福祉事業振興会法の問題でありますが、前国会におきまして、社会福祉事業振興会法ができまして、全国の私設社会事業が、非常な喜びと希望とに燃えて参りました。私はこの前の国会でも、厚生大臣の御意見も伺つて、一応敬意を表してあるのでありますけれども、民間のすぐれた社会事業家が、長い間非常な苦労をいたしまして、いばらの道を踏んで、同胞の、国民の基本人権を守るためは奮闘して来られました。しかし戦後、この国民の基本人権を守るということが、国の責任になつたということからいたしまして、とかく公的な社会福祉施設というものに国の政治の重点が置かれました。そして一方民間の社会福祉施設の万は、国からの補助金等も非常に少くなつて来た。いろいろな経緯をたどりまして、幾分かはございますけれども、非常に少い。地方の都道府県の末端に参つてみますると、とかく都道府県の役人の息のかかる、自由になるところの公的な社会福祉施設に対しましては、相当な力を入れておりますけれども、民間の施設はそういうわけに参らないけれども、その民間の社会福祉施設、社会福祉事業の経営者あるいはその従業員の中には、身を挺した、社会事業精神に徹したところの権化というような人々が多数おるのである。そういう人々に対しまして、国が相当な努力をして、ことにその人たちの困つておりますのは、金融の面と人的な面であります。ことに金融の面、資金の面であります。それに対して、国はなかなか資金を流さない、与えないということからいたしまして、この施設の資金及び経営上の金融という点で、非常な苦労をなめて来られた全国の社会福祉施設の中には、施設も相当古い、ぼろぼろになつているものがたくさんございます。これは社会事業振興会法を多年要望しておつたのが、前国会でできました。御承知のように、全国至るところで大きな感謝が爆発をいたしました。しばしば会合等におきましては、感謝決議がなされておる。社会事業大会等におきましても、今年も感謝決議がなされておるわけであります。ところが二十九年度の予算の要求の様子を拝見いたしておりますと、厚生省は十億八千万円ばかりこの金を要求なさつておられますけれども、しかしどうもこれがあぶなつかしいらしいようによそ目に拝見するのであります。むしこれができないとなつたら、全国の社会事業に挺身しておりまする方々の志気を沮喪させることはどれくらいであるかわからぬと思う。どんなにかれらが失望するかと思うのです。私はこの点国の財政もなかなか困難でありまして、大蔵省としては難色があるかもしれませんけれども、全国の社会福祉事業をやつております人々が、あれほどに喜んでおるその理由を、ひとつ厚生省は十分お考えいただいて、あくまでこの予算を確保してもらわなければならぬ。もともと御承知のように、この法案が出ましたときには、大体五十億円というものを目標にしておつたのでありまして、ことに今年の社会事業大会等では、五十億円ではとうてい足らないから、少くとも八十億はほしいというような、数字的のなかなかりつぱな基礎のあるものを提出いたしております。この点今せつかく御尽力中のようでありますけれども、どんな見通しを持つておられるか。全国の社会福祉事業の人々が、非常に心配して知りたがつておりますので、社会局長の御意見を承つておきたいのであります。
○安田説明員 私設の社会事業の方々の御熱意なり、あるいに御努力、御人格というものが、公的の施設のものにまさるというお話でありましたが、私どもこの点同感でございまして、そういう点で何か平素のそういつた御苦心に報いたいということを考えておるのでございますが、この振興会も、多年社会事業界で要望されましたものがようやく本年実つたばかりでございますが、ぜひ私どもといたしましても、予算をとつて参りたいと思う次第でございます。仰せのように、十億八千万円ばかりの予算を要求いたしておりますが、いろいろこれについて心配な意見が出ますのは、明年度の国の財政等から考えて、一級的の予算の編成方針が、相当そういうものに対して緊縮方針をとられるのじやないだろうかという心配が、一つの根拠になつておると思うのであります。私どもはそういう点も心配をいたしておりますけれども、今後もできるだけ努力をして参りたいと思います。目下のところでは、まだ大蔵省で審議をしておる過程にありまして、一体どのくらい認めてくれる腹かということも、実はわかりわねるような次第であります。今後ともひとつよくお教えを願いたいと思います。
○長谷川(保)委員 どうか全国の社会事業家の、この熱烈な要望を御推察いただいて、この対策につきましては特別な御尽力をいただきたいということを要望いたしておきます。 次にお伺いいたしたいことは、前々国会におきまして、未帰還者留守家族等援護法の第二十条によつて、いわゆる特例患者というものが療養給付を打切られることなく恩給も与えられる、恩給の中から一部負担金として病院にある程度の金を引かれた後に支払うことができるというように改正されましたことは非常な進歩でありまして、全国のいわゆる特例患者から非常に喜びをもつて迎えられたのであります。ところが最近恩給の受給資格者であつて、今回の恩給法の改正によつて新たに恩給を給付せられることとなります者について、都道府県におきましては、恩給を給付するならば療養給付を打切る、療養給付をするならば恩給は与えないというようなことを言われておるという陳情書がわれわれのところに山積しております。われわれはそういうことはあり得ないと考えておるのでありますけれども、今まで援護庁の方でもずいぶんこの問題は御尽力いただいておりますが、こういうふうに新しいケースの患者に対して、どうお取扱いになる方針であるか伺いたいのであります。
○田邊政府委員 未帰還者留守家族等援護法によります療養と恩給法による傷病恩給との併給に至つたいきさつについては御承知の通りであります。これは現在療養中の入院患者であつてすでに相当の年月を経過しておる人に対し、何らかの小づかい銭をやる道はないかということをいろいろ検討した結果生れた制度であります。従つてこれは当然に今後も療養の必要がある、しかし恩給も同時に併給しようという建前でございますから、恩給をやるから療養を打切るということば方針としてはわれわれ考えていないのであります。そういう事実も私聞いておりません。またそういうことを指示したこともございません。ただよく聞くことでありますが、病院に入つておる患者であつて、すでになおつておるにかかわらず街頭等において募金をやつておるという事案があるということをよく耳にいたしますが、私の方ではずつと前から必要なる施策は十分やつております。しかしそのかわり療養の必要のなくなつた人は病院から出ていただいて、新しい更生の道を選んでいただくほかはない。またそういう建前で参りませんと、新しい更生の方途なり、施策が進展しないのであります。われわれの方では従来からそういう方針で臨んであります。しかし恩給が併給になつた機会に、どつちか選択するということを指示したこともございませんし、またそういうことは考えておりません。
○長谷川(保)委員 それで、私も安心をいたしましたが、事実都道府県の末端におきましてはそういうことが今日行われておりますから、その点につきまして本省の方から十分その趣旨が徹底するように処置をしていただきたい。すみやかに御処置いただくようにお願いいたしておきます。私の質問はこれで終ります。
○小島委員長 その他質疑はございませんか。――それでは本日はこれをもつて散会いたします。 午後零時五分散会