労働委員会 第1号
- 発言数
- 102 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/11/02
会議録
○委員長(栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。 理事補欠選挙の件を議題に供します。当委員会は先に委員の変更があり、理事田畑金光君の辞任に伴い理事が一名欠員となつております。従いまして理事を互選せねばなりませんが、田畑君が再び委員になられましたので、成規の手続を省略して委員長において田畑君を理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(栗山良夫君) 御異議ないものと認め、さように決定をいたします。 —————————————
○委員長(栗山良夫君) 次に調査報告書及び審査報告書に関する件を議題に供します。閉会中調査して参りました労働情勢一般に関する調査並びに審査中のけい肺法案及び労働基準法の一部を改正する法律案は共に結論を得るに至りませんので、参議院規則第五十五条により未了報告書を提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(栗山良夫君) それでは未了報告書を提出いたすことにいたしまして、その内容につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、併せて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(栗山良夫君) 異議ないものと認めまして、さように決定をいたします。 それから委員長の提出する報告書には多数意見者の署名を付することになつておりますので、順次御署名をお願いいたします。 多数意見者署名 田村 文吉 田畑 金光 田中 啓一 阿具根 登 上條 愛一 寺本 広作 堀 眞琴 市川 房枝 —————————————
○委員長(栗山良夫君) 次に一昨日、土曜日の日に開会いたしました委員長及び理事打合会の経過を簡単に御報告申上げます。 本臨時国会におきましては、次の案件を主として取上げて参ることに意見の一致を見ました。その第一は、労働省関係の予算の内容調査、特に二十九年度本予算に対する調査でございます。第二は、本年暮から来年の春に亙りまする経済情勢の動向と睨み合わせて政府の失業対策に関する調査をいたすことにいたしました。第三は、公共企業体等の職員の給与に関する問題であります。第四は、特需工場、駐留軍労務者の労働問題であります。第五は、請願陳情等でございます。更にけい肺法案、労働基準法の一部を改正する法律案につきましては、本臨時国会において結論を得られない場合には更に継続審査をいたすことに意見の一致を見ました。 次に、仲裁裁定の件につきましては、当労働委員会として一括審査をいたすべきものとしまして、当労働委員会に付託されるように議長に申入れをすることになりました。委員長は即日委員長及び理事打合会の申合せに基きまして、議長に、仲裁裁定については労働委員会に付託されるように申入れておきました。その結果につきましては未だ承知をいたしておりません。 —————————————
○委員長(栗山良夫君) 次に、本日会議に付しまする事件は、第一は、仲裁裁定に関しまして責任者からその経過を聴取することになつております。それから第二は、駐留軍労務者並びに特需工場労務者に関する労働問題の調査を参考人を招致して意見を聞きつついたすことにいたしました。以上の通りに議事を進めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(栗山良夫君) ではさようにいたします。 申し遅れましたが、先ほど申上げました委員長及び理事打合会の件も併せて御承認をお願いいたしたいと存じます。よろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(栗山良夫君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて下さい。それでは公共企業体等の仲裁裁定に関しまして、裁定委員長の今井一男君から御説明を伺うことにいたします。
○説明員(今井一男君) 申上げる前に一言だけお断わりしておきたいと思うのですが、と申しますのは、我々仲裁委員会は、御承知の通り三人の委員によりまして構成されておりまして、すべてが三人の会議体でやつております。今回の八件の仲裁につきましても、九十何回かの委員会がただの一度も、或いは一分たりとも三人の委員が同席しないで行なつたことはないのであります。従いまして裁定書に書きましたことにつきましては、これはもう一致しておりますから、私一人で責任を持つて一切お答えできますが、それ以外の面になりますと、多少は考え方に食い違いのある面もあるかも知れません。大体三人の一致しておるだろうと思う線を私がまあ想像を若干加えまして御説明申上げるという意味合いにおきまして、多少お含みおき願いたい点が第一点であります。個々の裁定の理由は理由書に比較的詳細に書いておいたのでありますので、それ以外に、共通的にこの問題に当りました仲裁委員会の、まあいわば基本的と申しますか、そういうような考え方を少しく御説明申上げたほうが今後の御審議に御便利ではないかと思いますので、そういつた点を若干申上げます。 我々の立つております一番基本的な点は、飽くまで一つの企業体におきましての労使紛争の解決手段であると、それを法律的に拘束する裁定を出すのが仲裁委員会の使命である、そういう立場でございます。従いまして労使の主張というものがすべて我々のこの裁定の基礎になるわけであります。若しこれをもう権衡一本槍で問題を解決いたしますためには、私どもに言わせますれば、むしろ仲裁委員会のようなところで取上げますよりも、もつとより機構の大きい、更に常時いろいろの調査をしておられる人事院でありますとか乃至は大蔵省でありますとかいつたようなところでお取上げになるほうが、却つて形式的な公平権衡というものは得られるのじやないかと、併し賃金というものはそういつたことでは、新らしい労働法の観念からいつて妥当ではないのであつて、両当事者がとにかく話合いできめるという、自分の提供する労働に対する対価の決定に対して自分たちが意見を吐いて、その意見に基いてきめるということに重点があると考えますので、従いまして労使間の意見が少しずつ食い違いましても、その結果が我々の裁定に反映いたしますというと、第三者から見ますれば多少一人が……例えば人事院だとか何とかがおやりになつたよりも食い違いが起るというような点はあり得るのであります。その点は仲裁の性格上あらかじめ気にとめて頂く必要がある点ではなかろうかと考えます。 それから第二といたしまして、私どもが常々考えておりますことは、でき得れば調停で済むことが理想だ、何となれば調停には労使の代表、利益代表が参画されております。いわゆる三者構成でございます。而もこれに対しましては労使共にイエス或いはノーということが言える建前になつております。そういう立場の機関で話がまとまるということがやはり望ましいと考えます。仲裁委員会はイエス、ノーを言わせないだけに、又労使の直接の利益代表が参画しませんだけに、私どもとしては仲裁で片付くようなことは極力少いほうが望ましいという考え方をとつております。 それから次に、我々がこの八つの案件等を取次ぎました機会に、でき得る限り労使の意見をほどきまして、まあ変な言葉でありますが、因数分解等をいたしまして、そうしてできるだけ一致する点と一致しない点を明らかにしたい。又一致した点を組合せて行つて、そこに何らかの妥結点が見出し得ないか。組合並びに当局の意見の中で不合理なものはその不合理点を我我のほうで指摘いたしまして、少しずつ主張を変えてもらいまして、そうしてその結果歩み寄りをしてもらいまして、結局仲裁委員会が独自の判断を入れる余地を極力少くするようにという心がまえで実は両方に相対したのでありますけれども、何分時間が短かつたことと、一部の組合は初めての経験等もございまして、中には現状いわゆる労使間の紛争であるという問題以外の面にまで飛び出すような式のところもないことはなかつたのでありまして、その点どちらかと申しますと我々の期待に反しまして、我々が独自の見解を加える部分が比較的に多くなつたことは甚だ遺憾に存じた次第であります。なお、当局側の意見といたしましては、当初我々のところに問題が持ち込まれた際には、調停委の金額に対しましてその積極的な意見を述べたところが極めて僅かであつたのでありますが、私どもは、労使紛争の解決という立場、当局側の経営者という立場からいたしまして、少くとも最終段階になりましてどういう数字が望ましい数字かということの意見を述べないという経営者はあり得ない。仮に若し金のやり繰りが十分付く場合におきましても、国営企業であるというような立場から、これ以上出すことは現在の一般の情勢と絡んで適当でないというような線が恐らくなければならんと同時に、又如何に予算にぶつかる場合におきましても、最低これだけは出さたければ、経営者として組合員の諸君に働いてもらうのに、どうしても工合が悪いというような線があろう。一本の線は出せなくても、少くとも巾のある線でも出せないことはないのではないかということをかなりしつこく当局のほうには申上げました。その結果、全部の当局から大体おおよその意見は開陳をされたのであります。そういつたことを前提といたしまして我々の見解を加えまして、更に我々としては、人事院勧告と違いまして、私どもの仲裁裁定は、最終決定になるという立場から、少くとも企業的に考えまして、それだけの賃金というものが、企業の存立上どういう影響を及ぼすかということの検討は、許された時間内において一通りは試みたつもりであります。中には勿論全然ないようなのもございましたが、中にはかなり窮屈なものもありました。但し形式的に申しますと、現存の予算の建前では、予算総則に給与総額という枠がはめられておりまして、この給与総額を超えるものは原則として国会で御修正願わなければ出せない仕組になつておりますので、その意味では全部国会の御厄介にならなければならない結果に相成りましたけれども、併し企業的に見まして、大部分のものが殆んど問題なく、極めて一部のものにつきまして多少の疑問はなきにしもあらずでありましたけれども、併しこれは他の情勢とからみ合せますというと、このくらいの賃金は出さなければ、その企業における労働条件その他から見まして穏当を欠く、こういう観点に相成つた次第であります。 なお、結果的に申しますと、今回の仲裁裁定が全部金額的には調停案の額と一致いたしましたこと、これがいささか奇異にお感じになられるかも知れないと存ずるのでありますが、私どものそろばんによりますと、調停委員会の額と若干食い違つたものが幾つも出たのであります。併しながら、今回におきましての労使の主張が余りに食い違つておりまして、これがいま少しつばぜり合い的な議論になりまして、本年度におきましての、昨年度と比べての物価の上昇率の見方が、こういう資料を使うのが適当である適当でないとか、或いは今後の経済の見通しをどうするとか、或いは賃金の上昇をどう考えるとか、こういつたような議論になりました場合におきましては、私どももその中に入りまして調整を加えまして、その結果或いは二百円、二百円というような差異までも細かに出さなければならんと考えたこともありますけれども、時間がなかつたこと、並びに我々の説得力が足りなかつたせいでありますか、労使共に相当離れたところからお互いに議論を展開しただけでおしまいになつたのでありまして、私どもといたしまして、そういう極く些細な数字、又その数字というものも、見方によりましてはどちらとも言える段階の数字に当りまして、これを訂正することは妥当でないと考えまして、結局結果的には調停委員会という、我々が第一段に基本的に敬意を表する委員会の数字によつたほうが妥当であろう、こういつた結論から、結果的には八つ共に調停案の額に同じことに相成つた次第であります。併し額は一緒でございましても、物の考え方も、ここまでへの結論の導き方並びに賃金の体系、或いは諸手当等に関する考え方につきましましては、調停案とはかなり食い違つたものが個々に出ております。一々詳細には申上げませんが、御覧頂ければその点御了解願えると思いますが、最初に共通的に御参考の意味で申上げておいたらと感ぜられる点は以上のようなところであります。
○委員長(栗山良夫君) 今概括的な御説明を頂いたのですけれども、そのあとにお手許に配りました八件に対する資料がありますので、これに補足的な説明を一応伺つたほうがよくはないかと思いますが、如何でございますか。……それじやちよつと八件について御説明を願いたいと思います。
○説明員(今井一男君) それでは個別的に極めて要点だけを申上げます。 大蔵省印刷局の要求は、考え方の一番の骨子になりましたのは、労働組合が職場討議を行いまして、現在自分たちの生活で幾ら足らないだろう、月平均幾ら足らないだろう、こういつた討議をやりまして、そうして大体平均最低二千九百円足りないだろう、こういつた結論を出しまして、その結論を最低にしまして、それに新らしい俸給表を、要するに最低本俸二千九百円アツプ、それに基礎付くところの俸給表をこしらえました。大体現行法の六〇数%のアツプの要求でございます。この備考にございます月額平均一万五千二百三十五円というのは本俸だけでございます。従いましてほかのものを入れますと、これより基準賃金におきましても二割くらいは高くなるはずでございます。まあほかの勤務地手当並びに家族手当は問題はないというわけで、本俸だけを要求したわけでありますが、これに対しましての私どもの考え方は、結局ほかのものをこめまして基準賃金において比較することが妥当であるという見地から、一万三千五百円という平均賃金を出したのでございますが、尤も組合のほうも家族手当につきましても別に要求はあつたのでありますが……、さつきの説明はちよつと間違つておりました。二百円ずつ上げろという要求もございましたし、ほかに、印刷局につきましても細々としましたいろいろの手当変更、超過勤務手当、特殊勤務手当その他のいろいろの変更の要求も付いておりました。その中においての私どもが一番組合の見解のうちで現在として行き過ぎであると考えましたのは、組合が基準賃金を以ちましてそうして平均生活費を賄おうという考え方であります。この平均生活費の高さも、私どもの調べたところによりますというと若干高い。更に今の日本の現状としては遺憾ながら基準賃金だけで平均生活費を賄い得ないことはいろいろの家計調査でもはつきりしておりますので、その点も考慮をいたしました。一方民間賃金の動向と噛み合せまして出しましたものがこの結論でございます。結局この数字が予算的にどうなるかという点になりますと、そこにございますように予算総額の約二%でありますが、これは二二%じやございません、二、二%でございます。企業的に見ますと一般会計繰入れの益金の余地もございますし、又経費の節約の余地もございますし、又更に日本銀行券の売払い代金、これは今までもたびたび改訂されておるのでありまして、これをたしか五%程度の引上げで、ほかのものに一切手を着けないでも解決できる。日本銀行券の売払い代金というのはこれは印刷局長と日本銀行総裁の契約でできる建前になつております。別に日銀が必要経費に対しまして今まで紙の代金の値上げの際等にもたびたび年に二、三回くらいずつは訂正されて来ておるのでありまして、これを契約改訂しますことは余り珍しい例ではございません。そういつたこと等によりまして、まあ私どもとしてはこういう方法でなければならんと考えるわけじやございませんが、そういつたいろいろの手段によりますれば、これは別に大した問題なく解決できる金額と認定した次第であります。 それからその次のアルコールの専売事業も考え方は大体大蔵省印刷局の分と似ておるのでありますが、即ち組合員の平均生活費ということに主眼を置きましてそうして、これだけの二万円ばかりの金額が、昨年の十一月に比べますとこれもやはり六〇%くらいのアップでありますが、これをマーケツト・バスケツトで出した要求であります。でこの問題ではいろいろの附帯的な要求がございましたが、組合が途中で一切取下げまして、結局基本賃金だけの要求に切替えました。ここで特に私どもが審理中に感じましたことは、組合側の不満の一番大きな点が、民間にアルコールを頼む場合におきましてはもつと高い賃金を認めるのに、自分たちのほうにくれる場合にはこれだけの賃金しか払えないということが納得できないという点であります。この点が私ども誠に尤もという感じを抱いたのであります。尤も現在このアルコールは全部が自分たちのほうの工場で製造されておりませんで、民間に委託もしております。そのために工場が相当遊んでおるのであります。操業度が下つておるのであります。その結果今のようなアルコール価格になつておるのでありますが、この結論も私ども前と同じような立場で結論を出したのでありますけれども、即ち平均生活費というものの現在の社会におけるあり方という考え方と民間貨金と両方から持つて行つた考え方でありますが、これに必要な結局結論の経費は一%にならないのでありまして、最終的には当局側もこれは自分たちの中で処理できますと、即ちアルコールの価格に影響させませんで、原材料等に対する努力でやれますと、こういつたことを述べられるくらいになつて参りました。給与総額にひつかかる点はございますが、企業的に特別会計的に枠を考えますというと殆んど影響なくして処理できる金額でございます。まあ従来ここでは今申上げました民間の発注と内輪の職員に対する賃金の権衡ということ、それを当局側がほかの原材料で結局勝負のつくアルコール価格を賃金にしわよせして主張された。賃金は一%未満であつても非常に価格に影響のあるような話であつたのでありますが、尤もこの事業そのものが御承知の通り甘藷という特殊な農村対策的な意味も入つておりますというと、これは又厄介な問題にもなり得るのでありますか、併しこの点はアルコールの価格というものが日本の現在国際価格に比べまして非常に割高であるのを何とか調整するという立場に立つ限りは、アルコール特別会計の枠内で甘藷に対する特殊な農村対策と噛み合せてやろうということになりますと、これは政策的にちよつと無理な御注文でなかろうかということも私ども感想的には抱いたのであります。 それからその次の専売公社の分は、これは組合の要求方法が大分変つておりまして、簡単に申しますと、自分たちの専売事業に対する労働生産性が戦前を超えておるから、従つてそれに見合うだけの、実質賃金をよこせと、こういうのが主張でありまして、前の二つのように自分たちの生計費から逆算したものではございません。戦前を超えていることだけは労使共にはつきり認められたのでありますが、併し戦前を幾ら超えておるかということになりますというといろいろ比較上むずかしい問題が起りまして、我々としてこれをそれではどちらが正しいということの采配は振りかねたのでありますが、併し別のほうの物差を中心にして判断を加えまして、そうして結局そこにありますような結論を出したのでありますが、即ち民間賃金との権衡、従来の賃金ということを基礎にいたしまして主としてこの数字を出したのでありますが、結局これに要します経費は、そこにありますように六億円乃至七億円、全予算額のこれは一%に達しません。今度専売の自然増収につきましては補正予算に益金の繰入れも更に増加されておるようでありますけれども、予備費もたしか十何億あるはずでありますし、更に労使共に努力を重ねましたならば、このくらいのものを只今の条件下に捻り出すことは少しも、まあ少しもと言つちや少し言い過ぎですが、そんなにむずかしいことではないことは、従来の例からも私ども相当自信を持つて申上げられると思います。尤もそれにいたしましても給与総額として国会の御修正の要ることは、これは申すまでもないことであります。 その次の国鉄の分は、これも専売と同じく戦前との労働生産性の比較から主張された要求であります、これは国鉄企業内における生産性でありますが、これにつきまして労使の非常な意見の食い違いがありまして、この生産性の問題では私どももかなり悩まされたのでありますが、私どもとしてはこういつた生産性という問題に労働組合のほうが関心を持つということにつきましてむしろ意外の感じさえ受けたのであるのでありますが、当局側のほうの、生産性を議論しても、生産性と賃金とは結付かないから、従つて生産性の議論は御免をこうむるという考え方をいろいろ説得いたしまして、最終的には生産性に関する意見をとうとう出させたわけでありますが、併し結局におきまして双方の意見が成る程度食い違いまして、私どもとしても生産性につきまして若干の結論を持ちかけたのでありますけれども、併しこういう専門的な問題にまあ仲裁委員介が勝負をつけることも妥当でないと考えまして、最終的には我々は戦前に対して幾らと認めると、こういう結論を出すのは差控えました。控えましたが、結局におきまして戦前には若干の距離があると、こういう結論には私どものほうもなつたのであります。で、生産性に関する意見が食い違いましたために、遂に国鉄の賃金は私どもといたしまして、従来の国鉄の賃金を中心にいたしましてその後の変更による修正というラインで事を処理しなければならないことになりまして、そういうラインで出しました数字が調停案の額と大差がございませんでしたので、調停案の額によつた次第であります。で、今度八つの中で一番企業的に見まして、現状といたしまして苦しいと思われますのはこの国鉄でございます。これは私ども従来からの経緯に徴しますと、いま少し企業努力がまだやる余地が残されておるんじやないかというような感じも強く持つたのでありますけれども、それにいたしましても、とにかく今の国鉄が非常に採算的に無理になつておるということも従来と引続き改めて痛感させられたのであります。特に国鉄が持つております二百何十という線の中で、そろばんの合う線は僅かに二十足らずしかない。あとの九割の線はすベて現在の運賃では赤字経営をやらされておる。私鉄ならば一定の赤字の場合にその赤字は国から補助を受けるような法律も最近できましたですけれども、そういつたような仕組は国鉄にはとられておりませんし、又まあ一番採算もよく、更にお客様にも迷惑をかけておる東京近所の国電その他につきましても、それ以上、要するに例えば地下鉄でありますとかバス等の面には国鉄は進出はできない仕組になつておつて、いずれかと申せば最近はすべて不採算の町のほうに力を注ぐような仕組においておかれておるということ自身、これが何と申しましても物価倍数に比べまして非常な開きがあると考えられます。尤も特に定期等の問題につきましては、従来と比べても非常に、或いは私鉄と比べても非常に割低くやらされておる。一例を挙げますと、例えば高崎線で行きますれば鴻巣、即ち定期の運賃で群馬県に近いところまで行ける運賃が、私鉄に乗り換えますというと、東上線あたりでは朝霞という埼玉県の境までしか行けないというようなくらいに国鉄が国勢的な使命を負わされておるという点、並びに本年度七十億にも達しますような災害をこうむりまして、この災害を若しこうむらなかつたらば恐らく今年はこのくらいの金額は手弁当でやれたのじやなかろうかと思うのでありますが、それが例年にない災害をこうむつた関係が、バス等でありますならば路盤その他が一切国費で修理してもらえますけれども、国鉄の場合にはすべて手弁当でやらなければならんといつたようなこと自身にいろいろな意味におきまして無理がかかつておるのであります。私どもは決して運賃値上げが正しいとか正しくないとかいうようなそういう意見を申すつもりはないのでありますけれども、まあそれならそれといたしまして別に只今の特別な復興、復旧というような面にいま少し財政資金等の援助ということが考えられますならば、則ち私鉄並みの自己資金による復旧、復興の事に切換えられますならば、今の運賃でも十分やつて行ける、即ちいろいろな点において国鉄に今無理がかかつておる。その無理のあるうちの一部分をほぐすならばこの金は出せる程度のものであろうと、こういつたことに最終的には三人の意見が一致した次第であります。 それからその次の電信電話公社の要求は、当初は日本の経済が戦前に復興したから従つて自分たちも戦前の実質賃金をよこせという要求でありましたけれども、仲裁になりましてから、電信電話公社の労働生性産が戦前に復帰しておるから、戦前を超しておるからという理由に変りまして、それに対する一通りの立証もございました。そういう線に従いまして私ども審査を重ねたのでありますが、結局におきましてそのほかに民間賃金の上昇等を絡めさしたものがこの数字であります。これの金額二十四、三十五億という程度は前の三つほどに余裕のあるものではございませんが、併しながら相当自然増収が見込み得るようでありまして、八月以降の料金の値上げも大した響きを持つておらないようでありますし、又七月までの自然増収もなかなか期待以上に足取りがよろしいようでありますので、若干の企業努力が加わりますならば、これも大した問題はないという見方になつたわけであります。 それからその次の大蔵省の造幣局の要求は、当初はこれも電通と同じく一般経済水準が戦前に復帰しているかち自分たもの実質賃金もという主張でありましたけれども、これも仲裁に参りましてから、造幣そのものの実質賃金が回復しているという議論に変更されました。併し造幣の事業実体が戦前と非常に変つておりますので、この比較は極めてむずかしい技術的な調整を要します。貨幣そのものも昔のように銀貨、ニツケル貨というようなものを作つておりませんし、のみならずその貨幣の構成材料乃至製造過程、量目、様式、こういつたことが全部違いますので、非常にむずかしい問題でございましたが、これにつきまして労使共にかなり技術的な討論が交わされたのでありますけれども、いずれにいたしましても戦前に回復したということが無理であるということは私ども認められたのでありますが、併し結局こういう技術的な問題に対しまして、仲裁委員会がどうであるという結論を出すのは、少くとも当面は早きに失するということで、この点も我々は結論を控えました。で結局民間賃金との従来の賃金に対する上昇率というようなものを中心にしてはじき出したのがこの額であります。でこの財源のほうは殆んど問題はないのでありまして、御承知の通り造幣局は回収準備資金という資金を所管しておりまして、例えば今の青銅貨十円は現在二円九十銭でできておりますが、その二円九十銭の原価は回収準備資金から出してもらう。そしてその差額の七円十銭というものが結局回収準備資金の利益になる。こういう仕組になつて転りまして、今回の引上げは大体十円青銅貨に引直しますというと一箇当り約六銭程度のものであります。約二%程度のものでありまして、回収準備資金からの引当でそのままで簡単に解決できるものであります。併しそのほかに例えば予備費等の余裕もございますし、又更に工夫如何によつてはその六銭をもつと減らすことも、或いは六銭に全然手を著けないことも、青銅貨のコストに手を著けないことも、これは私どもも全然不可能とも言い切れないという感じを持つたのであります。企業的に見ますれば一番問題のないもののこれも一つでございます。更に現存造幣局がやつております金銀の品位証明或いは鉱物の分析料、或いは金銀の製錬引受けということに対してそれぞれ赤字を出して民間にサービスしているのでありますが、そういうことも造幣局の特別会計の性格からいえば独立採算上穏当を欠く、そのほうの赤字をいわば貨幣部門のほうで補つてやつているわけでありまして、若しこの点が国策上必要であるならば、こういつたものはやはり他の特別会計と同じような問題の場合と同一に考えまして一般会計等で補填するか、乃至はこの料率等は引上げる余地も私どもはあるのじやないか。従つて青銅貨の原価に持たしても大して問題はないだろうが、持たせないでやる方法も十分考えられる程度の賃上げである。こういつたことでございます。 それから郵政省の要求の根拠は又前のほうと変りまして、単なるいわゆる生活給のマーケツト・バスケツト方式から出たものでございますが、これを我々といたしまして、結局民間賃金等との動向を主にいたしましてこの結論を出したのでありますが、郵政省は郵政特別会計が御承知の通り郵便のほかに貯金、保険、電信、電話と四つに分れておりまして、これはまあそれぞれの特別会計から面倒を見てもらう建前になつておりますので、結局郵便事業だけのバランスを考えることが郵政事業のそろばんを置く場合の中心点でありますが、郵便事業は今年になりまして思つたよりも伸びておりまして二十数億の自然増収も期待できますので、若干の災害等を考えましても何とかやり繰りは、少くとも本年度に関する限りはつくのではないかという印象を受けました。尤もそれにいたしましても貯金特別会計に対する預金部資金との繋がり方が、現在法律によりましてかなりむずかしい資金の繰り入れの方法になつておりますので、この面の調整問題は法律的には起るかも知れませんが、それにいたしましても私どもとして銀行のコストに比べまして、郵便貯金のように比較的利率の安くないもの、最低である普通貯金が三分九厘大毛というような、銀行の日歩、普通預金の六厘に比べますと相当高目になつておりますものの、コストが一応六分四厘と押えられているのは、銀行の今大体コストが両方合わせますと七分三厘といわれているところから比べましても、郵政省の貯金業務に少し重みがかかり過ぎているのではないか、こういつた印象を持つたものであります。従いまして私どもは当初の予想では、郵政省の支払能力というものは非常に苦しいと見ておつたのでありますが、案外に調査した結果は、今年け少くともそれほど窮屈なものでもないような印象を受けた次第であります。但し郵便事業というそろばんの合いにくいものだけが今独立とされているというところには将来問題があるだろうということは感じました。 それから最後の林野庁は、これは同じようなマーケツト・バスケツトから平均生活給で持ち出して行つたものでありまして、ただこの中で非常に珍らしいと思いますことは、大部分の職員は実は日雇、即ち常勤でないのであります。裁定書にも書いておきましたように、半数以上が一年のうち九十日勤めない、三月勤めない、こういつたような仕組でありまして、兼業労務者が大部分であります。公労法の中で、公社はこういつた部類の職員は公労法の対象にならんのですが、現業庁の場合にはこれは対象になるという非常にアンバランスがこの際出て参りまして、私どもこの実態をつかむのにかなり苦労いたしましたが、併し労使共にまだそのほうの準備は非常にできておらないようであります。而もこの中には請負と見たほうがいいじやないかというような職員も相当入つておるように実は想像されました。従いましてこれに幾らかかるかということは事業の進展によりますので、全く予算的にはちよつとつかみにくいのであります。人数も少いときで五、六万、多いときは十七、八万というふうに移動する性質の事業でありますので、従つて単価は上げましてもあと人数が減れば如何ようにも数字は動きますから、従つて予算的にも非常に見にくい問題でありますが、併し昨年の夏頃に予定しましたところの木材の価格に比べますと最近の市場価格は非常に上つております、申すまでもないことでありますけれども。ほかの国労事業は一切政策的価格によつて料金によつてきめられておりますが、林野だけは市場価格を基礎にして販売することになつておりますからして、従いましてそれだけの含みが林野庁におきましては大きく出て来るはずでありますので、達観いたしますと、これも企業的には大した問題はないのじやないか、かような見通しに相成つた次第であります。この林野庁の中の細目はいろいろ細かいことはございますが、余り混雑いたしますからこの際は控えておきます。 甚だ雑駁でございますが、一通り御説明させて頂きます。
○委員長(栗山良夫君) お諮りいたしますが、途中でありますけれども、只今本会議が開会されましたので一時この委員会は休憩いたします。 午後史一時五十分休憩 —————・————— 午後二伸五十四分開会
○委員長(栗山良夫君) 休憩前に引続き会議を開きます。 公共企業体等仲裁裁定に関しまして今井委員長から一応の説明を聴取いたしましたが、これに対しまして御質疑のある方は御質問を願います。
○田村文吉君 今井さんにお伺いいたしたいのですが、先刻の御説明から行きますと、必ずしも各業種の賃金は均衡が取れるということを考えたのではなくて、経営者と労務者のほうの要求の程度を斟酌して決定されたと、こういうふうの御説明でございましたから、それでこの各業種を拝見いたしますと、相当にこの賃金の決定に矛盾がございます。ございますが、そういうことはもう考えないでやつたと、こういうふうに了承いたしてよろしいのですか。
○説明員(今井一男君) 程度の問題かと思います。お話の御趣旨は程度の問題かと考えるのでありますが、当局側のほうが、いずれも国会でおきめになりました予算でありますとか或いは従来の人事院の勧告に基く決定でありますとかいうようなことをそれぞれ頭においた上での御発言でありますからして、決してそうめちやくちやな不権衡ということは、これは恐らくあり得ないと思うのでありまするけれども、若し些細に検討いたしまして、例えば百円とか二百円とかいうような議論になりますというと、そういつた際の不権衡ということは十分あり得ると、こういつた意味でございまして、全然権衡を我々が考えないという意味は、要するに両当事者が相当に考えた上で議論をしておるということが事実問題として前提にございます。ただ要求の中に、非常に権衡ばかりを考えて要求されている向きもございます。そうでなくて、自分たもの生産性とかということを中心にされて議論されているところもございます。従いまして角度によりましては棒術を失しているというような式の議論が出る余地はある。こういつた意味でございますので、私のほうの出しましたものがいわゆる野放図に権衡を失していると私ども考えているわけじやございませんから。
○田村文吉君 決して今井さんをお責めする意味で言つているのじやございませんございませんが、例えば大蔵省の印刷局では一万三千五百円ということに決定になつておつて、造幣局のほうでは一万四千四百五十円、こうなりますというと、先任者の上のほうでございますがね、そこで私は先ずこれをお伺いする前に、一体計算に出ております基本給とか基本賃金というものは同じ計算の下に出されているものでありましようか、先ず第一にそれを伺いたい。基本給と称するものは何と何を含み、ここに書いてあるものは皆全部同じ内容になつているのかどうか、それを先ず第一に伺いたい。
○説明員(今井一男君) ここに含まれております基本給は、一般公務員が使います本給と家族手当と勤務地手当の三つの合計でございまして、その限りにおいては全部共通の観念に相成つております。
○田村文吉君 そういう場合において例えば印刷局と造幣局が千円違うというようなことは、どういうことからそんなふうに考えるのですか、大ざつぱに伺つて。
○説明員(今井一男君) これはこういう理由もございます。造幣局というのは大部分の職員が東京と大阪におるのです。印刷局は御承知かも知れませんが、相当各地にいわゆる楮その他三椏の精製等の関係で、福井県の山奥といいますか、福井県でありますとか、静岡の郊外でありますとか、岡山の西大寺でありますとかいうようなところにも工場がありまして、いわゆる物価の安いところに住んでおる職員が相当数あります。それから又平均年齢におきましても家族の数も少いのでございます。私ちよつとまあ具体的な数字を探せばわかりますが、ちよつと今正確左ものは持合せございませんが、後ほど申上げてもよろしうございますが、印刷局と造幣局との間には家族数も相当の開きがございます。そういつたことがいわゆる若し労働条件が一切同じといたしましてもそれだけの開きは置かなきやならん前提が先ずございます。
○田村文吉君 大体わかつたような気がいたしますガ、そこで私お伺いいたしたいのは、基本給とは何ぞやという問題について人事院の勧告によく出て来るのでございますが、この仲裁裁定に当りましてお考えになつておる基本給とは、今おつしやつた地域給でありますとか、そういうようなものが入つておることはわかるのです。わかるのですが、年齢が幾歳の人でどうとかいうよう表計算がやはり出ているのでございますが、この基本給というのはどういう意味に解釈したらよろしいのでございますか。
○説明員(今井一男君) ここで申上げている基本給の平均月額と申しますのは、各人別の三つの給与の総平均というだけの意味でございますが、併しながら組合の一部、例えば今お話になりましたようなうちの印刷局のようなところの労働組合におきましては、丁度平均年齢の者、即ち平均家族数を持つておる者の平均、まあ俗に申せば平均世帯と申しますか、平均世帯構成の職員が幾ら幾らの生活費が要るから幾ら幾らの生活費を基本給として欲しい、こういう要求に対する答えというふうにも解すれば解し得られないことはございません。併しこれは正確に申しますというと、この各人の平均月額が平均年齢の平均世帯数、つまり平均地域係数というようなものにぴたりとこう当てはまることは理論的にむしろあり得ないと申すほうが当つておるのでありまして、その意味では私どものこの回答も正式には答えにならないのでありますけれども、ただ組合のほうでそういうふうな大雑把な見方で言つて来ておられますから、それに対する答えとしてはこれが平均世帯の生計費と見合うものであるとこういつた言い方も一応できることに解釈もできます。
○田村文吉君 私の知りたいと思いますことは、この基本給と称するものに従事しておいでになる頭数を掛けさえすれば予算に出て来る数字と合うのか合わないのか、無論その以外の、例えば寒冷地帯の手当であるとか、そういうものはこれは無論別ですが、いわゆる扶養手当、勤務地手当というものを含んだ給与でありますから、それに頭数を掛ければ予算に出て来るその給与と合うのかどうかということが実は知りたいのです。
○説明員(今井一男君) 予算的に申しますと、これは人数を掛ければ基本給の予算額が出て来る、こういつた建前でございます。おつしやる通りでございます。
○田村文吉君 そういうのでよろしいのですか。
○説明員(今井一男君) さようでございます。 さつきお話がありましたが、数字が出て参りましたから申上げて置きますが、さつきの印刷と造幣は、家族数も造幣のほうが丁度二人でございましてて、印刷のほうが一・二九、約六割ばかり、百対六十五ぐらいの比率に属するわけでございます。
○田村文吉君 それからお考えなさいますときに、民間の給与というものを御比較なさいますのですか、なさいませんのですか、そういうことはお考えになるのですか。
○説明員(今井一男君) した場合もありしない場合もございます。但し民間の賃金の上昇比率というものは常に頭に置きまして……。
○田村文吉君 お考えに入れる……。
○説明員(今井一男君) 入れました。ただその民間の絶対額でございますね。例えば同じよう産業がありまして、その産業の賃金と比較するような絶対額の数がございますね。これはできる業種とできない業種がございますので、例えば印刷とか造幣などはまだ可能性がございますけれども、できない業種もございますので、全部やつたというふうには、これは申上げられません。
○田村文吉君 人事院でおきめになるときには、初任給を幾らと見てどうという勘定をし、最低を見る。上のほうは他の同種の民間企業における賃金、給料を見て、それと最低を繋いだ線で大体行くというようなことが原則になつているようでございますので、そういうことをなさいますのか。そうでなくて、これはもら現在ある給与を、民間の騰貴した比率がこのくらいであるからということでたさるのか、それを先ず伺いたいのですが。
○説明員(今井一男君) 民間の賃金の上昇比率ということは常に一つの物差にはなりますけれども、それ一つだけで我々のほうの結論を出すわけじやございません。特に今回の要求は、いずれもそういつたことを根拠に置いておりませんからして、従つてこういつた以外の事業のほうがむしろ主にたりまして、ただそのうちの一つの要素といたしまして、今お話の民間賃金の上昇率というものが考慮に入つておる、かように御了承願つたほうが実態ではなかろうかと思います。
○田村文吉君 次にお伺いしたいのでありますが、現在布かれておりすする恩給制度というものが民間にはまあ殆んどないのでありますが、こういうものを若し計算に、逆算に入れます場合においては、大体どのくらいの計算になるものでしようか、御計算になつたことございましようか。
○説明員(今井一男君) 正確に計算したことはございませんが、或る程度の比率のもの、即ち例えば五%とか六%とかいうような程度の比率は出て来るのじやなかろうか、こういう大ざつばな計算を、大ざつぱな見積りくらいは持つておるのでございます。併しこれは仲裁委員会といたしましては、今度の仲裁委員会直接のこの裁定には、これは全部が全部そういつたそろばんが入つておるというわけじやございませんけれども、仲裁委員会としてもそういう問題は研究したようなことはございます。そのときの大ざつぱな結論として、たしか五%とか六%……。
○田村文吉君 五%か六%……。
○説明員(今井一男君) これは思い違いが若干あるかも知れませんから、これは余り責任のある数字じやございませんが、そういつたような数字が出て来たことはございます。
○田村文吉君 とにかくこの問題は人事院でも多分計算されていると思うのでありますので、従つてそういう仲裁裁定をなさる場合にも、そういうことの御計算が民間と比較するという場合にはそういう問題が当然起つて来る、こう私は考えておつたのでありますから……。
○説明員(今井一男君) だから民間と絶対願力比較をする場合には、確かにそういう問題が出るべきだと思いますけれども、今度の双方の主張の中で、民間の絶対額と比較せよという主張の出たケースは非常に僅かでございますから、私どもとしては余りそういつた面にはカを入れておらんのであります。
○田村文吉君 もう一つ、御計算になつたかならないか存じませんが、共済会であるとか或いは組合に対するいろいろのそういう施設がございますね。そういうものの一人当りの費用というものも相当私は公務員には多いと思うのです。国家が施設している費用が、それは民間と比較する場合に、そういう費用というのはどのくらいになつているものか、これもやはり或る程度計算されるべきものだと私は思うのですが、それについてお考えになつたことございますか。
○説明員(今井一男君) ずつと以前、第一次国鉄裁定の場合にはそういつた問題が議論になつたことがございますが、その後のケースではそういつた問題は提起されたこともございませんので、私ども仲裁委員会として特にその問題で調べたことはございませんが、ただまあ承わりますところによりますと、大分今おつしやる点も各省によりまして非常に区々のようでございます。だから一概に一つの例を持つて行つて当てはめると違うようでございます。
○田村文吉君 関連しておりますけれども、無論共済会も或いは福利施設の中にある病院などございますね。省によつては実に立派な病院を経営しているところもありますし、全然ないところもあるというような、こういうようなわけですから一概には言えないかも知れませんが、こういう費用というものは国家が個人当りに対して相当大きな金額を補給しているのじやないかと思うのですね。そういう点について各省の省間の査定をなさる場合ですね、そういう問題が当然出て来なければならんと思う。そこで私はそういう点を御研究になつていらつしやるだろうかどうかということをお伺いしたんですがね。
○説明員(今井一男君) むしろそういう問題は大蔵省のほうへお尋ね頂くほうが正確なお答えが得られるのじやないかと思うのですが、私どもそこまでは具体的に手が廻りかねるのでありまして……。
○田村文吉君 それから誠に実は今井さんにそういう細かいことをお伺いするのは恐縮でございましたが、最後の大蔵省の造幣局でありますとか郵政省とかいうような問題、電々公社等の問題の場合に、戦前とのつまり能率の比較を以て或る程度賃金はきめるべきではないか、こういう議論が出たということをおつしやつたんでございますが、一体戦前との能率の比較なんか何か表ができましたか。
○説明員(今井一男君) 比較的簡単にできますものと非常にできにくいものとございます。いろいろとその様式がすつかり変つておるものが一番できにくいのでございます。様式が比較的変らないもの、例えば国鉄のようなもの或いはそれからその次に電々、専売等の、専売というのは作つたときの数量で計算すればいいのでありますし、まあ電々のほうでありましたら電報の数と電話の通話数というようなもので出ますから、比較的にこれはやさしいかと思うのでありますけれども、造幣のほうは非常に条件が変りましたので、これはむずかしいと私ども痛感いたしました。ただ国鉄につきましても併し細目に亙りますというと非常にむずかしい問題にぶつかるということも今度議論してみてわかつたのでございますが、製造工業よりはいずれも非常に……いずれかと申せば専売などは明らかに製造工業と言えましようけれども、その他のものは製造工業でございませんので余計……、造幣は製造工業でございますけれども、造幣は特殊な条件がありますが、その他のものはいわゆるサービス業に属するものでありますから余計議論するのがむずかしい。むずかしいが、私はできないことはないということは、今度当つてみまして私ども感じました次第であります。
○田村文吉君 これが非常に細かい労働統計や何かで以て或いはその人の体力の消耗というような問題まで調査しての問題であれば、その問題をお取上げになつてなさることも差支えないのでありますが、御承知のように二十年前と今日では機械の能率その他が皆変つているんですね。合理化が行われて極めて能率的な機械もできて来ている。それで一体一人当りの能率はというようなことを比較するということが非常に困難じやないか、そういうことでやるということは却つて不合理を招くことになりやせんか。例えば二倍の仕事をしたからといつたつてその人は果して二倍の、今日においては二倍のエネルギーを一体出しているのかいないのか。考えてみるというとほんの少ししか出していないかも知らんし、或いは戦争前よりもつと楽な能率で、実は機械等のあれによつて余計できている、こういう場合もあり得るのですね。そこで今のそういうことを考慮なすつたということに私は非常にちよつと問題がありやせんかと、こう考えるのであえてお伺いいたしたわけであります。
○説明員(今井一男君) そのお言葉の通りでありまして、仮に形式的に生産高なら生産高、生産量ですね。物量的に見て戦前百のものが現在百五十になつておる。一応計算的に、生産は数字としては百五十という数字が出ますけれども、百五十だから賃金が百五十になつてよろしい。そういうふうな議論をすれば間違いを生ずるという点は私ども全く御同感でございまして、どのケースにつきましても、今出ました資料を私調べました場合におきましても、いわゆる資本に還元さるべき部分、即ち新しい製造工程、或いはおつしやるように機械の関係、こういつたことの問題を明らかにしなければ、少くとも討議の基礎にならないということは我々審議の機会に常に両者に対しても申したことでありまして、ただこれがおつしやる通りなかなかむずかしい問題でございまして、はつきりわかります場合もまああり得ますけれども、非常にその場合はむしろ珍しいのでございまして、それについては労使が非常に議論を重ねたことが多かつた点で、結局において私どものほうが独自にそれでは戦前百に対して百五十になつておるから、百五十のうちの百三十なり百二十なりが賃金に当る部分だと、そういう方式で、こういつて積極的に結論付けた部分はなく、そういつた角度から賃金を何したことはなく、御指摘の点は我々もむしろ一番苦しんだところであります。
○田村文吉君 それでわかりましたが、それは組合としては一応そういうようなことをよく言うのですけれども、この場合に一番困るのは、今度の場合に仮に石炭産業においてストライキをやるというようなことのために、頭数は割合に出ておるが、生産高がうんと減つておる、そういう事態が起きることもある。で、そういうようなことで賃金をきめる基準、比較だといつてそういう場合のことをお取上げになつても、これは非常に不自然なことになりはせんか、こういう意味でお伺いしておるのですが、今の御説明で、それは必ずしも取上げていいわけではないということでわかつたのでありますが、然らばお伺いしたいのですが、一体戦争前と現在においては何倍くらいになつておりますか、各業種についての何かそういうことの比例が出ましたでしようかどうでしようか、おわかりでしたらお知らせを頂きたい、倍数を。
○説明員(今井一男君) 今手許に資料は持つておりませんが、多分二百九十前後ではないかと思います。二百九十、三百にちよつと切れるところではないかと、私の観察でありますが、これは労働省のほうへでもお聞きになればわかります。
○田村文吉君 この問題は、恐れ入りますが、実際これを比較する場合に軽卒に比較されると非常に困るのでありまして、同一の業種の同一の比例で、大体昭和十年頃においてはこのくらいもらつておつた人が今日ではこうこうこういうので平均幾らになつておる、こういうようなことを私知りたいと思うのですが、これは仲裁裁定をなさいましたからお考えになつたでしようが、これは労働省に対してお願いしたいが、特にこれに対する一つ資料が欲しいのです。裁定の問題になります場合に一体どうなつておるか。ただここで私のお伺い申上げておきたいことは、八時間労働の場合と又いろいろ条件が変つておるので、そこでそういうことを、同一事業の仕事をやつておる場合において収入賃金というのはどういうふうな倍数になつておるか、これを資料で知らせて頂きたい。これは労働省に特にお願いいたしたいと思う。委員長にそのことのお取計らいを頂きたいと思う。 それからもう一点最後にお伺いいたしたいのは、郵政省と電通の問題でありますが、これはもう一つの省であつて、それが分れたので、常にこれは片方は現業に最も近い、或いは民業に近いというような意見があり、片方は公務員に近いというようなことから、分れて以来賃金の決定には非常に苦しんだ問題だと思う。今度も一万五千円に対して一万四千二百円、これは何ですか、これに対する裁定については無論根拠がおありになるわけであるが、大体こういう根拠によつてこう決定するというようなあれがございますか。
○説明員(今井一男君) 今の御心配の点は主として郵政と電通の、田村委員前職の関係での御心配もあろうし、御承知の通り権衡の問題であろうと思います。これは一番大きな理由は、公社については、これは電々のほうは全職員でございます。それから郵政のほうは、これは全職員ではございません。と申しますのは、郵政は二十五万人の職員のうちに二万人以上の非組合員がございます。例の特定局長の諸君以下は非組合員になつておりますから、一般公務員としての扱いを受けております。で、これが公労法の適用を受けておりませんので、私どものほうは二十三万ばかりのほかの諸君だけでございます。で、非組合員が入りますというと、この諸君が幾ら上るか存じませんけれども、この諸君の平均俸給は我々のほうの公労法の平均俸給よりも八割ぐらいですか、高うございまして、これが入りますというと八百円から九百円ぐらいですか、とにかく上るのです。全体を平均いたしますと……、でこれは郵政省の責任当局はこれでバランスを得ておるという御意見でございます。
○田村文吉君 要するに非組合員を計算に入れれば大体均衡はとれておるのだという……。
○説明員(今井一男君) 郵政当局の意見なんでございます。
○田村文吉君 私の質問はそれで終ります。
○委員長(栗山良夫君) お諮りいたします。仲裁裁定に関する問題は本日はこの程度にいたしまして、次の案件に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(栗山良夫君) 御異議ないようでありますからさようにいたします。 —————————————
○委員長(栗山良夫君) 駐留軍労務者並びに特需工場労務者につきまして、最近アメリカ極東軍の軍事予算削減のために契約解除等がありまして、或いはその他の理由によつて人員の整理の動きがありまするので、当委員会といたしましてはその全貌を把握いたしまして、且つ混乱を避けるようにいたすための調査をいたしたいと存じます。本日は関係者の御来会を願いまして、一応御意見も伺うことにいたしましたので、皆様方にお諮りを申上げます。次に申述べます方々を参考人として意見を述べられたいと存じますが、これについてお諮りを申上げます。日本経営者団体連盟の協力部長師勝夫君、関東特需労働組合協議会議長坂本登君、全駐留軍労働組合中央執行委員長市川誠君の三者でございます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(栗山良夫君) 御異議ないものと認め、参考人に決定をいたします。 なお、政府側からは調達庁並びに労働省、外務省からそれぞれ出席をせられることになつております。特別調達庁及び労働省側から本件に対する最近の状況について御報告を願いたいと思います。
○政府委員(中西実君) 只今委員長からお話がございましたように、最近米国側の予算削減に伴つての特需会社においての発注減による人員整理、それからLSO等におきましては予算削減に伴う人員整理ということで、共に人員整理が問題になつて来ております。で、今のところまだ全貌はよくわからないのでありまするが、LSO等の関係は、或いは調達庁のほうからお話頂くといたしまして、特需の関係で、我々のほうで今までに一応聞いておりますのは、これはすでに済んだのでございます。小松製作所の川崎工場におきまして約二千三百、これが特需契約の期限が切れました際に全員解雇、そうして改めて二百人足らずの者を雇用いたしましてほかの仕事を始めるというのがございました。それから最近では日本製鋼の赤羽製作所におきまして従業員約六千三百になつております。これに対しまして整理人員約二千三百が言渡されております。同じ基地内のT ○Dにおきまして三千二、三百の従業員のところ八百人余りの整理が申し渡されております。そのほか日野ヂーゼルにおきまして臨時工約八百ばかりを全員解雇という措置に出ていることを聞いております。なお富士自動車とか相模工業あたりも近く人員整理があるということでございますが、これはまだ正確にどの程度の規模で行われるかということは承知いたしておりません。会社に聞きましてもまだ実際にはやつておらないということでございました。更にこの同じような事例が他の特需工場にも追々出て来るのではなかろうかということを憂慮いたしております。特需工場並びにLSO、共に極めて唐突としてこういう措置が行われますので、我々としましても非常に困惑いたしているのでありまして止むを得なかつた事情があるといたしましても、できるだけ事前に知つてスムーズに事を運びたいというふうに考えているのでありますが、今すでに出ております事態につきましてこれをどう処置するか、早急に我々としましても対策を考えたい。若しこのことが止むを得ないとしますれば、失業等の救済の問題になりますので、職安局あたりが中心になりまして対策を考えて参りたい、かように存じております。
○委員長(栗山良夫君) 今の中西局長の述べられた中で、日野ヂーゼルは昨日の日経なんかによりますと、千名解雇ということになつているんですが、本工二百三十名、臨時工六百名、日雇労務者百五十名、合計約九百八十名を解雇することに決定したんです。それはどうですか。
○政府委員(中西実君) 私どものほうで聞いておりますのは、臨時工八百名は解雇、それから本工の数百名は配置転換というふうに聞いているのであります。配置転換のどうしてもできない者については或いはそういう結果になるかも知れませんが、これは我々の聞いておりますのは配置転換だというふうに聞いております。
○説明員(百田正弘君) 調達庁の労務部長でございます。LSO労務者に関しまする最近の人員整理の状況並びに措置につきまして御説明申上げたいと思います。 只今労政局長からお話がございましたように、軍全体における人員整理の全貌ということにつきましては、まだ完全に把握できないのでございますが、本年のアメリカの予算そのものにおきまして相当予算が削減されたらしいというような情報があつたのでございますが、それがどの程度の形で現われて来るかという点につきましては、なかなか具体的にはつかめなかつたのでございますが、本年の皮切りと申しますか、空軍関係におきまして、立川のフインカムにおきまして第一次から三次に亙りまして約千二百程度の整理があつたのでございますが、その後空軍の関係におきましてはできるだけ人員整理の数を減らしたい、減らすという趣旨の下に四十八時間、従来の一週四十八時間制を四十時間制に変えるというような措置をとつて参りましたが、それでもなお多少の整理は免れないというような状況があつたわけでございます。この事情は陸軍、海軍、空軍と三軍においてそれぞれ多少は事情は違うようでございますが、現在軍関係で説明されておるところによりますると、いわゆる戦時状態から半平和状態への移行のためだということで、我々の当初想像していました以上の削減率であつたようでございます。このことは軍自体においても予想以上、予想を上廻つておつたような率のように考えられるのでございますが、十月に入りまして北海道の千歳、その後大阪におきまして、更に最近におきまして東京のTODにおきまして又八百人程度の整理の通告というような状態になつて参つたので、我々といたしましては一日も早くこの全貌をつかみたいということで、先週の土曜日にも調達庁長官直接極東軍司令部の参謀次長とも面接いたしましてその情報を得たいということで要請したのでございますが、陸軍関係については、各部隊においてどの程度になるかということはまだはつきりわからないということで、これは情報を得次第早急に連絡してもらうということにいたしたのでございますが、いずれにいたしましても今後特に陸軍関係におきましては、これは一番LSO労務者の数としては多いのでございますが、相当の整理が出るのではなかろうかということを非常に憂慮いたしておる次第でございます。 調達庁といたしましては、特に最近の時期における整理の通告ということは、解雇の発効が年末になつて来るというようなこともございまして、更に又十二月の十五日に年末手当が支給されるというような事態の下にあつて整理される、十二月十三日、十四日頃整理されるというような事態が出て来ることは非常に面白くないというようなことからいたしまして、何とか、整理が止むを得ないとすれば、少しでもずらして年末年始を避ける。或いは十二月十五日以降にするといつたような措置をとつてもらうように、更に又従来の整理における軍のやり方におきましても、こういうような予算削減でこういうような状態になつておるからというようなことを、もつと詳細に事情を説明してくれることによつて、多少とも労使間の状態を無用の紛糾を起さないようにしてもらいたいというようなことで、現在軍に対して申入れを行なつておるのでございますが、我々といたしましては、できるだけ早く全貌をつかむことによりまして、労働省等と連絡をとりまして、整理止むを得ずといたしますならば、これによつて起りますところのいろいろな問題をできるだけ円滑に解決いたしたい、かようなつもりで現在努力をいたしておるような次第でございます。
○委員長(栗山良夫君) それでは一応参考人の方から意見を伺いましてから質問をいたしてよろしうございますか。……参考人のほうに本問題につきまして只今把握されておる状況或いは将来の見通し、更にこれに対するいろいろな対策、或いは政府、国会等に対する御要望等ありましたならば併せて含めて御発言を頂いて結構でございます。 先ず最初に日経連の協力部長師勝夫君の御意見を伺います。
○参考人(師勝夫君) 御指名によりまして日経連の師でございますが、現在私どものほうにわかつております最近の人員整理の概況を簡単に申上げたいと思つております。 先ほど中西さんからお話がございましたのに十分尽きておりますが、なお、それに附加えまして申上げますが、小松のほうは百パーセントの人員整理で二千人、これはすでに御承知の通り円満に完了をしておるものと思つております。これにつきましては小松の経営者側におきましては就職斡旋委員会等を設けまして、その失業のために十分に措置をしておるそうであります。退職手当などにつきましても、平常時の退職手当に加えまして何ほどかのものを附加えて支給しておる状況でございます。引続きまして日野ヂーゼルのほうにおきましても同じく百パーセント、千二百人と聞いておりますが、これも十月三十日を以て組合に発表し、三十一日は全工場休業し、十一月の一、二、三の三日間で退職手当を全部支払うことになつております。大体円満にこれも推移を見ておるようであります。小松と同じように就職斡旋委員会なり退職手当も十分に考慮されておるように伺つております。 更に日本製鋼所の赤羽作業所におきましても二千三百人の整理でありまして、十一月五日を以て退職することになつておるそうであります。情報によりますると、労働組合のほうにおきましてもスト態勢をとつておるというのであります。その他はまだわかりませんけれども、情報といたしましては二、三あるようであります。二、三の以外は全然まだそのような米軍の予算の削減に伴う人員整理の問題は出てないように伺つております。そこで私どものほうにおきましても、容易ならん事態でございますが、併しながら止むを得ないことになつておるのであると考えまして、この労働関係だけは少くとも円満にスムーズに進行するように、十分に会社側としては考慮をしているのであります。大体御承知でもございましようが、七月から六月までのアメリカの予算年度に関連しまして、いわゆる契約が最近みな結ばれたのでありますが、その契約の中に、こういう問題を当然に含みまして提起されておるのであります。その中に特に、いつ何どきそういう受注の減少なり或いは発注の打切りということができるようにその契約にはなつているそうであります。従いまして各特需関係の経営者におきましては、こういうこの事態に対応して実は十分に平常考えて来ておるのであります。併しながらそういう事態でございますが、なおやはりこの契約の打切りなり発注の減少に伴いましていろいろやはり問題があるそうであります。特に問題になりますのはコストでございまして、そのコスト計算の中に、例えば退職ずる場合の予告手当の金額というものがその中に当然に含まれておるかどうかという点につきましては問題が残つておるようであります。従つて各会社とJPAとの契約方式にいろいろな相違がありますが、その相違の如何にかかわらず、予告手当相当額というものがやはり当然に米軍におきましてもその際御考慮を願わなければならないというふうに私どもも考えるのであります。日本の労働慣行といたしまして、退職する場合には規定がある、その規定通りの退職手当を払うと同時に、労働基準法上予告手当を支払う。更にやはり慰労金なり餞別金なりといういうものを習慣として払わざるを得ないのが一般でございますから、これをこの際米軍におきましても特に御考慮をお願いしたらどうかというようなことが業者間でも言われておるのであります。 なお今度のこの米軍予算削減は恐らく将来更に増加するものと思います。JPA本部におきましても現在四百人の職員を二百人に、いわゆる五〇%の人員整理をしているそうでありますから、恐らくは止むを得ない必至の勢と存じております。大体そういうふうな状況でございます。 簡単でございますが、私のほうの御報告は終ります。
○委員長(栗山良夫君) 次に、関東特需労働組合協議会議長坂本登君のお考えを伺います。
○参考人(坂本登君) 今までお話のありました以外に、私どもで掌握しています状況について申上げます。 逆に申してみますと、現在何もなさそうだと、こういうところは吹田にあります日本飛行機、これだけでありまして、あとは全部大なり小なり問題があるわけであります。 先ず三菱ですが、来月の十二月の一日を以て約千百名解雇すると、こういう会社側から正式に通告がありました。それから富士自動車ですが、これは組合側の情報によりますと約四〇%程度。それから相模工業におきましては現在臨時を含めまして約一万人おるわけですが、ここでは四十八時間制を四十時間制に切替えて、実質的には約二割の首切りをした、賃下げによつて……まあ賃下げになりますから……。そういう関係で一応人員の整理を控えてそういう方向をとる。こういうことが、まだ正式には言つて来ておりませんが、会議の席上でしばしば労使の間に話題になつておる。こういうような状況にあります。大体以上と、先ほど各参考人その他から話のありましたものを加えますと、冒頭申しました日本飛行機の吹田の工場だけが無事で、あとは全般の特需工場にこういう問題が出て来ておる。こういうことでございます。 なお、今回のアメリカ側の通告の仕方でありますが、二様ありまして、一つは手紙によりまして、何名の解雇をすることを要望する、こういうような形で来ております。これはどういう関係かと申しますと、タイム・アンド・マテリアル、いわゆる工員一人当り業種別に幾ら、こういう賃金のきめをしております。例えば赤羽というようなところではそういう指示で来ております。それから私どものようないわゆるユニツトで請負生産になつているところでは、作業の量についての変更の通知がメモランダムで来ておる。こういう関係にありますので、その後の取扱い方も、会社の習慣等もありまして非常にケースか違つて来ておりますが、結論としてはいずれも人員整理にその打開の方向を求めて来ておるというような点では同じであります。 なおユニツト・プライスでやつております、作業高の請負でやつておりますところでは、数量は契約書の中にありませんので、いわゆる不当だというようなそういう争いの対象にならないというのが特色であります。これは従来でもそうなんでありますが、単価をきめる場合には一応の目安を出して若しこのくらいやるとするならば、お前の会社ではこの仕事を幾らでやるか、こういう一つの仮定を置いてやるわけであります。従いまして相互の人間的の信頼関係で、一応目安に使つた数量が確保できるものとして人員、設備その他の準備をする。こういうことでありますので、今回のようになりますと、アメリカの軍の予算その他の都合によつて、見積りのときに使つた数量は維持できないから当面これだけ減らすと、こういうようなメモで以て全部事態がきまつてしまうわけです。それが三菱の場合はそういう形で来ております。これに対します会社の措置は、今のところ相模でとろうとしております時間の短縮のほかは全部首切りにする方向を求めて来ておる。こういう状態にございます。 なお、これに対する対策でありますが、基本的な事情がそういう事情にありますので、又契約もそういう形式になつておりますので、会社としてもなすところを知らない。こういう状態にあるわけでありますので、現実的には一応そういう契約変更の実態を確かめて、どうしても解雇をしなくちやならないような事情にあるのかどうか、そういう点が第一点。 第二点としましては、特需だけでなくて、ほかに関連工場を持つているところへの配転、こういうようなことに対して十分な検討が行われるまで首を切つてはならない、こういう運動、更にはかねがね我々の要望、長い間の要望でありますところの実質的な公契約法をこの機会に実施して、何らかのそういう救援対策が国家的にとられて欲しい。こういう面に運動の方向を求めて、現段階としましては全く首切り絶対反対、実態を明らかにしろ、こういう形で運動を進めていると、こういう実情でございます。
○委員長(栗山良夫君) 次に全駐労の執行委員長市川誠君の御意見を伺います。
○参考人(市川誠君) 全駐労の労働組合の執行委員長の市川であります。駐留軍の労働者、特に政府雇用によつて軍側に提供されております労働者の首切りの状況について申上げます。 本年の八月頃、空軍関係に予算削減を理由といたしまして首切りが現われて参つたのであります。相当大規模な予算削減であるということは、軍側の折衝の経過においても承わつたのでありますが、この予算削減の影響は、極東に駐留している空軍だけでなく、或いは本国の空軍並びに他の海外にいる空軍にも影響あるものだというように言われておりました。この予算削減によつて軍側がとりました政策といたしましては、先ず従来作業の忙しい場合に超過勤務をさせておりましたが、これを一切中止をすると、それから今まで空軍関係は一週間四十八時間の労働時間をとつて参つたのでありますが、今回の予算削減に対しましてこれを最初四十四時間制に短縮をいたしたのであります。その後更に九月になりましてから四十時間に切り下げて参つたわけです。この間の事情は、四十八時間から四十時間に下げられたことによりまして、労働者個人といたしますと、大体月収において二割程度の減収を来しているのであります。更に又これ以外に現在駐留軍の労務者には月二日の有給休暇というものが既得権として規定でもきめられているのでありますが、この有給休暇を強制的に軍側が割当て、これを実施さして、そうしてその部面からの経費の節減を図つて行こう、こういうような措置もとられたわけであります。有給休暇を強制的に実施させまして予算節減を図るということは、駐留軍の場合は、本人が希望いたしましても、なかなか部隊の作業の関係で希望する場合に有給休暇が与えられないのが一般的な状況であります。そのために月に二日ときめられておりますが、この休暇が取れない場合には、その月ごとに有給休暇手当というような名義によりましてこれを精算して本人に支払つておつたような経緯があるので、その支出をストップした、こういうような措置をとつて参つたわけです。その上で人員整理を行なつて参りましてこの空軍関係におきましては、大体先ほどの百円部長からも御説明がありましたけれども、フインカムを中心といたしまして東京の多摩或いは調布、昭和の基地におきまして千二百七十九名ほどが八月、九戸、十月に亙りまして解雇をされたのであります。更に千葉の木更津で約二戸名、山口県の岩国で三百五十名というような整理が行われたので彫ります。山口県の岩国の場合にはやはり一次、二次、三次というように整理が行われたのでありますが、第三次の整理に当りましてほ、あらかじめ二次の人員整理を組合側が止むを得ずとして了承する場合に三次の整理は行わないということを軍側、県側の代表、労組との間で確約したにもかかわらず、三次の整理を出して参りましたので、約束違反ということで強硬に反対いたしました結果、山口の岩国では三次の整理は撤回をされたというような事例もあつたわけです。空軍関係がこういうような事情で整理が行われておつた中に、たまたま陸軍関係に首切りが出されて来たわけです。 空軍といたしましては最初時間制の短縮措置をとつたのでありますが、陸電関係ではずつと以前から労働時間につきましては週四十四時間は下らないという軍側のサーキュラーが出されておりますので、それ以下に切詰めるということはできないような事情がありまして、いきなり首切りという形で出て参つたわけであります。これは十月の上旬から中旬、下旬にかけまして地域的に出されて参つたわけです。 概要の政を申上げますと、北海道では千歳を中心といたしまして約三百二十名、埼玉では大宮、朝霞、熊谷、所沢の四基地を含めまして約三百六十名、東京が赤羽のTOD、下文子、府中のオーデイナンス三基地で約千百十名、神奈川では追浜、池子、武山、それに横浜にあります陸軍部隊の司令部並びに在日米軍調達部、これらを含めまして大体千二百名程度、それから大阪が二百二十一名、それから広島が十二名、福岡の小倉が八十一名、大分が別府基地でありますが百三十九名、こういうような数が現存予告をされ或いは又整理を通告されておるという状況であります。 これらの整理の理由といたしましては、予算の削減或いは又上級部隊が労働調査団を設置して調査した結果、人員に余裕を生じたというような理由或いは又地上の統合整備であるというような理由、乃至は又陸軍部隊司令部等におきましては座間への移転のためというような理由が付けられておるようですが、大部分のものは単に予算削減という漠然とした理由で解雇の請求がなされておるという状況でございます。 手続の問題といたしまして、現在駐留軍労働者としましては止むを得ず整理を行うという場合の取扱の手続といたしましては整理基準が定められておりまして、これは只今施設におきまするところの職種別の先任権名簿を作りまして、その先任権の浅い者から切つて行くというような手続が一応とられておるのです。これはいろいろ批判もございますが、使用者側或いは組合側においても主観を交えることのできない純客観的な基準をとるというような点から先任権を解雇する場合の基準としてとられておるのでありますが、この手続をきめるに当りましても、如何なる場合に人員整理を行うかというその整理の理由については、労使当事者間においてはまだ同意をされておらない事情がありまして、我々といたしましては漠然とした整理理由ではこのような大量の整理を了解することができないというような態度をとつておるのであります。こういうような整理に対しまして労働争議としての事情でありますが、今一番切迫しておりますのは北海道の千歳の問題であります。御承知のように北海道におきましてはすでに雪を控えておりまして、労務者といたしますれば石炭も買い込み、そして越冬の準備もしておるのでありますが、千歳等におきまして三百二十名ほどの整理があつた場合には、もはや冬を控えまして世帯を畳んで他へ移動することも国難でありますし、又その地に留つた場合においては、そこで生活の資料を求めることも困難であるというような事情から、千歳におきましては特にボイラー等においても首切りが出ておりますので、ますます冬の時期を迎えてボイラー作業が強化されるときに人が少くなりますことは、勢い激しい労働強化を伴つて来るという事情下、ストライキ権を拡充いたしまして、反対の闘争をやるという態度をきめております。併しながらその以前に更に平和的な折衝によつての解決の途を見出したいと考えまして道の労働委員会にも調停を申請いたしまして、これが受理をされて、恐らく本日札幌地裁に手続をされておると存ずるのでありますが、仮処分の申請もございまして、そしてあらゆる方法をとつて闘うというような態勢をとつております。東京におきましては、TODにおきまして一昨日総決起大会を開催いたしまして、ストライキ権を確立して反対闘争をするという態勢をとつております。その他の地区におきましてもこのような全国的な事情を勘案いたしましてそれぞれ強い不満を基礎といたしまして反対の闘争が盛り上りつつある状況でございます。 先ほど百田部長も若干言及されたのでありますが、これらの整理が発効いたします場合、大体十二月の上旬頃になるのであります。これは御承知のように軍側からは大体整理予告を日本政府側が個人に発します前、少くとも十五日前に通知をするということになつております。従いますと、軍から通知を政府側に出されて、それから政府側で先任権名簿等によつて具体的に個人に解雇予告をいたしましてから三十日後に発効いたしますので、いずれも年末手当の支給前に解雇が発生するというような段取りになつておるのを見まして、労務者自体といたしますと、そういうような事態について非常に軍側の悪辣な首切り措置に対して強い憤りを感じておるような状況でございます。こういうような状況に対しまして、私ども中央本部といたしましては、十月二十日に調達庁の長官に人員整理に対する対策の要求をいたしております。四つほどの事項を要求しておるのでありますが、第一の問題といたしましては、年末年始を控えての人員整理は絶対に行わないということが一点であります。 それから第二の問題といたしましては、参議院の労働委員会でもいろいろと御配慮を願つた例の日米労務基本契約の問題でありますが、基本協定が合意されまして、その中に人員整理につきましてはあらかじめ事前に軍と政府側と十分の調整を行おうということが合意をされておるのであります。併しいたしましてかなり大規模な予算削減が行われておる。その影響から来る今回の整理は、従来のように再び他に優先雇用の希望を持つというようなこと現在まだこの基本協定が効力を発してのできるものではない。明らかに十八万九千の労務者がいつかは失職をするであろう、そのような宿命的なコースにおけるなし崩し的な人員整理であろうというようにも考えまして、この際今回の大整理によつて首切られる昔に対しましては、アメリカの負担或いはそれに対する政府側の措置をも加えまして、整理者に対して特別退職手当といたしまして、現行退職手当の八割増の額を支給すること、これを要求の第三点といたしたのであります。 要求の第四点は、中央におきましては、今までいろいろ起りました首切り問題とも関連いたしまして、失業対策の連絡会議を労働組合或いは軍、政府の関係各省の代表者で持たれておつたのでありますが、この連絡会議が今まで十分に運用されておりませんので、今回の整理に当りましてはこの中央の失業対策連絡会議を強化活用すること。 以上四つの要求事項を調達庁長官に提出をいたしまして、本日回答を頂く予定になつておるのでございます。なおその間におきまして、調達庁でも陸軍部隊、司令部等と折衝いたしたのでありますが、その中から私ども感じ取られることは、陸軍関係の整理が今出ておる程度では到底収まらない。少くとも、これは我々の側の推定でありますが、陸軍関係約二割程度の首切りが行われるのではないかというように推定をいたしております。この推定を基礎ずける確たる資料を現在持合せておらないのでありますが、少くとも一万乃至二万の首切りがここに出て乗るのではないかというように予想いたしておるのであります。三十一日の日本タイムスには大々的に陸軍部隊の大量の整理が報道されておるようであります。二十八日には労働大臣にも会見をいたしまして、調達庁長官に提出いたしました要求につきまして、十分政府として対策を考慮するように特に要望いたしたのであります。 こういうような問題を控えまして、一昨日極東軍司令部のハンロン参謀次長とも政府側代表と一緒に交渉いたしたのでありますが、その際明らかにされたことでは、陸軍関係におきましてはまだ総体の数ははつきり判明しておらない、こういうような言明でございました。併し空軍関係におきましては来年の六月までに現在数の約一割は整理せざるを得ない状況である。こういうことがその際言明されたわけであります。海軍だけが任務に変動のない限り現在のところ整理の予定はない。こういうような極東軍司令部の参謀次長からの話があつた次第であります。空軍関係につきましては、この席で私から、特に来年の六月までという比較的長い期間に一割の整理が止むを得ない状況だとするならば、即刻新規採用を一切停止をして、そして自然減耗によつてこの出血を最小限にする措置をとるように申入れた点については、その席ではつきりそのような措置をとるということを約束されたわけであります。 以上が今までの概要でありますが、一番大きい陸軍関係の全貌がまだつかみ得ない状況で、対策といたしましても極めて困難を感ずるのであります。いろいろ行われております整理通告等は、日本政府が雇用主の責任にあるにもかかわらず、軍側が予算削減という漠たる理由を以て首切りを要求いたしますと、それを殆んど右から左へ労務者に通告するというような事情で、それらの点についても非常な不満を持つているわけであります。やはり今までにも首切りが何回となく行われて参りまして、現在の労務者の定員に対しましては相当切り詰められた状況でありますので、私どもが見ましても確かに表面的な理百由といたしましては朝鮮の休戦成立によりまして予算削減というような状態が打出されておりますが、職場の作業そのものといたしましては、まだ私どもの知る範囲では、そう具体的に作業量が減つているというような事例を見ることが困難であります。そういうような労務者が負担をします作業量については、はつきりと作業量が減つておらないときに、予算削減という理由でどんどん首を切つて参りますと、勢いあとに残ります労働者にかなりな労働加重、労働強化がもたらされるというような点からもこの首切りに対して相当強い反対が出されておる次第であります。 以上が概要でありますが、当時我々といたしましては今回の首切りに対しましては、先ほど申上げたような線から、年末年始の首切りというものを避けて一応この年末における労働紛議を避けて行きたい。そうしてその間において十分軍側或いは政府側でも調整をやつてもらつて、そうして整理止むなしとするならば、十分労務者に納得し得るような理由というものを交渉によつて提示をして、そして不必要な感情的な対立によつて起るいろいろな紛議を避けて行きたいというように考えております。当面の要求といたしましては四項目を提出いたしておるのでありますが、特別退職手当の問題等につきましても、なかなか財産関係でむずかしいかと思いますが、私どもが予想する二万人程度の首切りの場合には予算措置として約五億程度のものがここで措置されますれば、一応の措置はできるのではないかというようにも考えておりますので、従来比較的苦しい労働条件の中で働いて来た駐留軍労働者が最後に職場を失つて行くという事態に対しまして、政府の当局或いは国会方面におきましても、それらの労働者に対して十分な配慮と御努力をお願いいたしまして、一応御説明を終りたいと思います。
○委員長(栗山良夫君) 先ほど政府側並びに参考人から御意見を聴取したんですが、私非常に奇怪に思いますことは、政府側の説明には、この人員整理について、先ほど市川君からもお話がございましたが、すでに米軍からは半ば公式でありますか、非公式でありますか知りませんが、整理をするということは公表されておるように私は思うのであります。特に十月三十一日の日本タイムスには、私は見たんでありますが、トツプ記事に相当大きな文字で出ております。そういう状態であるのに、今日聞くところによりますと、殆んど見通しらしい見通しというものは政府側で述べられておらない。これは一体どうしてそういうことになつておるのか。もう少し突つ込んで私は労働省なり或いは調達庁から伺いたいと思います。特に二十九年度の輸出入の貿易高などもやはり政府側は輸入二十億、輸出十二億ドル、こう申し、その差額の八億ドルは特需によつて本年度通り行けるということを大体言明しているわけです。その八億ドルの特需の中に、駐留軍労務者が獲得しましたドル、或いはこういう特需工場更に下請工場が獲得したドルというものは一体どれくらいあるのか、それが二十九年度の、今のような新らしい情勢によりどの程度減つて行くのか、そういう点はやはり把握されなければならんと思います。直接労働問題だけとしても、この点をもう少しこう明確に見通しを述べてもらいたいと僕は思います。 それから今参考人のほうからはいろいろ今後の問題に対して注文がございましたが、これも政府側から述べられておりません。いわゆる人員整理に対する政府の対応策或いはこの特需工場であれば特需工場の業種転換その他に対する指導政策というものには何もこれは述べられておらん。いずれ通産省からもこの点は聞かなければわからないと思いますが、そういうものが述べられていない。 第三点に、実際に解雇せられる人の直接的な退職手当は勿論でありますが、その他の救済措置というものが全然述べられていない。そういう点を、今日は大臣は外務大臣も、外務省からも来られておりませんし、労働大臣も見えておりません。尤も通商産業大臣は今日はこちらへ来て頂くように、前以て交渉はしていなかつたのであります。どの程度の関心を持ちどの程度の肚がまえでこの問題に当ろうとしておられるのか、この点を二つ伺いたいと思います。
○政府委員(安井謙君) 大臣が今日どうしても外されませんので、ちよつと代つて御答弁申上げます。 先ほど委員長のおつしやいました今後の貿易或いは特需の見通しについてはどうだというお考につきましては、これは改めまして通産省からも御説明を申上げることに相成るかと思いますが、政府としては、大体の見通しとしては、只今委員長のおつしやつたような方向にある。ただ内容の切換えと申しますか、転換が行われておるので、こういつた事態が起つて来ておるように考えております。なお対策といたしましては、これは具体的な労働省のほうの労働対策としましては、いわゆる今度馘首されます人たちはいずれも失業保険の給付を受けておりますので、当面の生活はこれを維持するということはできましようが、将来の問題といたしまして全国の職安機構を動員する。或いは公共事業、失業対策事業の救済策を積極的にとるように今進めておる次第でございます。 更に先ほど申されました、組合からもお話がありましたたような個所につきましては、これは重々御尤もなお話だと存じております。これは先ほど特別調達庁の、政府側からの答弁で落ちていましたが、お話のありました通り特別調達庁を中心といたしまして関係各省、即ち外務省、労働省或いは組合の方にも御参加を願いまして、この今後の対策を十分強力に進めて行きたい所存でありますので御了承頂きたいと思います。
○委員長(栗山良夫君) 今安井政務次官のお話によりますと、特需を含めて外貨穫得の問題についてはいわゆる転換があるだろうというお話でしたけれども、駐留軍労務者或いは特需工場のキャンセルによつて明らかにこれは労働収入が減るわけですが、これが一体新しく転換されるとすると、どういうところにどういう形でいつ頃から出て来るのか、それの見通しというのはやはり立てられるのですか。
○政府委員(安井謙君) その具体的な問題につきましては、一つ通産当局を呼んで頂きましていろいろ御質問願いたいと思います。
○委員長(栗山良夫君) いや、通産当局は勿論呼びますけれども、労働省としてもやはりそこまで研究せられてそして失業対策を立てられないと、この前も現に私はこの点は指摘してあるのです。失業対策の場合に非常に楽観的な報告が労働省からありましたから、それは少し楽観に過ぎやしないかということでお話を申上げて、じやそういう新しい情勢も織込んで調査をしようということになつたのですが、それを実行するのには、今申上げたようなこともやはり一つの結論を出す要素として考えてもらわなければ私はいかないのじやないかと思います。だから通産省にも当委員会から聞きますけれども、労働省としても失業対策の問題だけから考えてもその点はやつてもらわなければならんと思います。 それから年末年始の整理だけは是非ともやめてもらいたいという要請、これは御尤もだと思うのですが、これともう一つは、基本契約によつて日米共同管理の形をとるということは、これはもうきまつている問題で、それが実行せられないことについても、やはり向うと再折衝をするということは私は必要だと思います。それで而も再折衡しながら、失業対策の全貌というものは一体どういうところにあるのかということを強力に一つやつてもらわなければならない。その点については労働省側としてまだ余り積極的なお話がないようなわけで、私どもも非常に心配をするわけです。 丁度今外務省からお見えになりましたから、外務省としての考えを一つ伺いたいと思うのですが、ただ途中からですからよく事情をおわかり願えないと思いますので、極く掻摘んでポイントだけお話申上げます。 今問題になつておる第一点は、駐留軍労務者並びに特需工場労務者に対して今年の八月頃から最近になつて急角度に人員整理の発表が殖えて来ている。これに対して措置をどうするかということが問題になるわけです。第一点は、今安井政務次官にも申上げましたが、政府側の言明によると、いわゆる特需等を含めたドルの獲得が本年度も来年度の見通しもそう大差がないということがしばしば発表されているのです。併し現にこれだけの駐留軍労務者なり特需工場のキャンセルがあるということになると、明らかにドルの獲得は減少するわけです。そうするとそれを何らかの形で転換して受入れするのだという見通しを、今安井政務次官が抽象的に申されましたけれども、争ういうことが具体的に実際見通しとしてあるのかどうかということが第一。 それから第二の点の問題は、こういう人員整理は、理論的には、この前の駐留軍労組との、あなた方に御努力願つて、基本契約、あれによつて解雇等の場合には事前に協議をするといういわゆる共同管理の形をとるということになつた。その精神が、調印はできていないけれども、少くとも調印寸前にある場合には、その精神は保たれなければならない、常識的にそう思うのです。にもかかわらずそういう打合せがなくて、そうしてぼつぼつと大量の人員整理が発表せられ、労務者の諸君は非常な不安に駆られている。こういうことについて外務省としてはもう少し積極的な、いわゆる就労者の精神的な安定の得られるような方策を明示せられないかどうか、これが第二点。 それから第三点は、今発表されておる人員整理の対象者に対して少くとも年末から年始にかけて失職させるというような残酷なことを何とかして避けられないか、そういう交渉の余地はないか。それから退職して行く人、解雇される人について特別退職手当、その他の国としての特別な救済措置というものがないのか、そういうものは考えていないのかという点。 それから業務を又キャンセルされた特需工場ですね、そういう工場が非常にある。私も小松製作所に行つてそこの常務にも会つたのですけれども、非常に困つておられましたが、使うときだけは使つて、用がなくなればさようならと言うのは余りにも、如何に契約行為と言いながら、私は事業を指導する政府のやり方としては非常におかしいと思う。従つてそういうことに対してどういう考えを持つておられるかというのがここで明らかにしたいと思うのです。外務省は直接関係のないことであるけれども、ついでに一応最近の情勢について所信を伺いたいと思います。
○説明員(関守三郎君) この第一の、特需全体が減るか減らないか、八億ドルとか七億五千万ドルといわれておりますが、これは名和の日本に落すドルの総計を申しておるものでありまして、内容がこういう部門に該当するものをこれだけ落すということではつきりした話合いは、私も今日までできておることは承知しておらないのであります。片方の分が減つても片方殖えるということで、ほぼ七億五千乃至八億のものを、どのくらいのものを落す予定だということは、この間から新聞の話でありますが、新聞にも最近向うのほうがそういうことを言つているということは出ておりますが、大体その総額においては変らないのじやないか。ただそれは第一の御質問に対する私の考え方でございます。 それから次は、もう少しチエツクしておく必要があるということは、いわゆる特需というものについて将来減るのか減らんのかという点については、現在も質問を、エンクワイアリーを出しております。 それからして第二問の点につきましては、あの新聞記事を見まして、早速土曜に参りまして、先方と話をしたのであります。原則として全くこのやり方は好ましくないということは、米軍のほうの側でもはつきり明言いたしておりました。こういうことは緊急の問題においては止むを得んけれども、今後はこういうことはないようにしようということで、できるだけ早くからこういうことは日本側のほうに報じて、そうして一番やりやすいような方法で予算削減に対処して行くことにしたいという原則的な話合いはできておりまして、あとそれを具体的にどこまでどういうような手続きで先に通知するとか、そういうことをきめて行きたい。我々とし捜しては中央でやると同時に、現場の部隊でできるだけ早く教えるというふうにしてくれということを申入れました。これは原則的には向うのほうの承諾を得てあることでございます。 それからして第三問であつたと思いますが、年末年始の解雇を成るべく避けてくれということも、当然話に出たのでございますが、これは実施できる場合とできない場合があるだろうということで、具体的にこの何と申しますか、統合司令部限りではこれは一存では返答できないので、十分調べた上で、一つできるだけの努力はしようということを先方は申しておりました。それが第三の問題に対するお答え。 それからして第四は、私のほうにはたしか直接の関係はなかつたと思います。第五問は何でございましたか。
○委員長(栗山良夫君) これは今の特需工場の契約、キャンセルせられたものに対しての業種転換の指導の問題。
○説明員(関守三郎君) これはちよつと私のほうには関係ないと思います。これが大体今までの御質問に対してのお答えであります。
○委員長(栗山良夫君) 特別退職金は……。
○説明員(関守三郎君) 特別退職金は話にはちよつと持出してみましたけれども、とてもそこまでは私のほうでは金がないから、到底どうにもならんだろうということを一応の返答として聞きましたが、まあそういう案を研究してくれということを申しております。
○委員長(栗山良夫君) 政府側にこの問題は重要ですからいろいろあとで調査を依頼し、措置も要望しておきたいと思いますが、その前に何か御質問ございますか。
○上條愛一君 これは雇主は日本の政府になつていると思いますので、こういう整理の場合には、政府を通じてこれは従業員に通達が来るというふうに我々は考えておりますが、そういう形式ではないのですか。
○説明員(百田正弘君) お答えいたします。只今の御質問の点でございますが、現存の労務基本契約の下におきましては、成るほど法律上の雇用主が日本政府になつておりますけれども、実体においては使用者たる米国政府がやると、こういうような形になつております関係で、整理通告等は直接向うでやる。或いは又日本政府へローカルにこれだけと通告して、向うの政府から通告する。こういうふうな方法があるのでございまして、これは非常に不都合な点、而も日本政府が法律上の雇用主としての責任を負えないというようなことがございますので、これが今回の労務基本契約の改訂において非常に問題になつた点でありますが、最近調印いたしました基本協定におきましては、その点は日本政府がやるということにいたした次第でございます。 先ほど委員長からもお話になりましたが、このことが基本協定並びにこれに附属する附属書の三、及びこれに基く労働政策指令ということで、その詳細な手続をきめるということになつておりますので、この部分について早急に合意に達して、契約全体が発効する前にこれを部分的に採用して行くというような方針で現在進めておるような次第でございます。
○上條愛一君 発効をなしたあとも、大体そういう方針がきまつておるとするならば、こういう重要な解雇問題、整理問題については、日本の政府としては当然アメリカ当局に日本の政府を通じて明らかにすべきであるということを強硬に申入れをして、そうして若しそういうような通達があつた場合には、その原因、実情等を明らかにして、従業員に日本政府の当局として了解を求める。 又今後の対策、その対策については、日本政府が先ず一つのプログラム、案を作つて或いは組合側と相談して、一つの案を作るべきである。すでにこういうように解雇がどしどし申し渡されておるにかかわらず、日本の政府当局がどのような理由により、又どの範囲に亙るかというようなことがわからず、而もこういう解雇が申し渡されておるのに対して、雇用主である政府がこれに対する具対策を持たんというようなことは、これは政府が少し怠慢であり、又従業員に対して不誠意ではないかというふうに我々は考えるわけでありますが、この点十分御考慮願いたいと、こう考えます。
○委員長(栗山良夫君) 調達庁にちよつと伺いますが、只今駐留軍関係の労務者というのは総員何名でございますか。
○説明員(百田正弘君) 約十八万七千名でございます。
○委員長(栗山良夫君) そのうちで今日までに整理の発表或いは予告を受けた者は同名ですか、通告又は予告を受けた者。
○説明員(百田正弘君) これは大体十月に解雇が効力を発生するというようなことで、三十日前の予告でございますが、これを受けた者が千六百二十一名、このうちには施設が小さいので一名、二名というような解雇の者もありますが、その全部含めたものが千六百二十一名、十二月に発効するということで予告された者が、今わかつておりますだけで一千名。
○委員長(栗山良夫君) 私が聞いているのですと、両方で五千名ぐらい聞いておりますが、違いますか。空軍関係で七月から九月までに二千名、輸送補給部の関係で九月から十月に約三千名、これは尤もTODが入つております。
○説明員(百田正弘君) 私申上げたのは、十一月並びに十二月に解雇が発効するようになる極く最近のものでございます。
○委員長(栗山良夫君) 今までに発効したものは……。
○説明員(百田正弘君) 今までは、三月から申上げますと、三月に百七十五人、四月に千九、石四十四、五月に千一、六月に二百八十、七月に八百二十二、八月に千四百六十六、九月に千九百八十四、十月に九百九十七、こういうふうになつております。
○委員長(栗山良夫君) 合計して幾らになりますか。
○説明員(百田正弘君) これは三月から十二月に発効予定せられております者が一万一千三百四十九。
○委員長(栗山良夫君) それから特需工場のほうの労務者の総人員と解雇された者はわかりませんか。
○政府委員(中西実君) 特需関係の労務者約三万、解雇発表済の者が七千五百。
○委員長(栗山良夫君) この外務省のほうの努力で、軍事費の削減に伴うこういうような人員整理の大体の見通しというものを何とかして事前にキヤツチしてもらうということが、これは特需工場も含めてできるかできしないか、それを一つ……。
○説明員(関守三郎君) その点は今度の陸軍の関係に関しましても、常識上予算というものは、これは米国の予算というものは六月の末にはわかるわけであります。そういうことなら、今までに何カ月もあつたのだから、もう少しうまいやり方ができんのかということを私のほうとしては申入れたのであります。その質問に対しまして、実は最初の予算の範囲でやつて行くつもりであつたのが……陸軍であります、これは空軍を入れておりませんが、陸軍に関しましては、最近に至りまして突如削減をワシントンから指令して来たのでこういうことになつたのだ。そこで今日のように軍事情勢がどんどん変つて行くときにおきましては、一応の粋ができておりましても、更にその中をどういうふうに分けてやるかということにつきましては相当変化を来たす。これは必ずしも毎年の予算の、初年度に立てた計画を最後まで遂行するということはできかねるということを向うでは説明しておるわけでございます。これはまあ私もそれほど予算の専門家ではございませんが、常識としては納得すべき議論であるというふうに了解しておるわけでございます。
○委員長(栗山良夫君) それから第二の問題は、今まで発表したものはこれは別としまして、今後整理を計画しているものについては、必ず日本政府と事前に協議をするということは、これは向うに実行せしめ得るかどうか。
○説明員(関守三郎君) その点は先ほども申上げました通り、原則的な了解はついております。その点ははつきりこの間もやらせる、ただ緊急の場合にはできないかも知れないけれども、そういうことは極めて稀であろうと思うから、今後は日本政府には必ず事前に通告して、できるだけスムーズにやつて行くようにしたいということをはつきり向うの首脳部は申しているわけであります。これはその通りに励行させて行きたいというふうに考えております。
○委員長(栗山良夫君) それからもう一つは、米軍の日本の駐屯の兵力量というのはだんだん減らして行くというのですが、減る代りに保安隊の戦力というものはだんだん殖えて行く、その両方を寄せると、常に私は現状よりは減るような政策はとらないのじやないかという見通しを立てているのですが、その点の見通しはどうか。それから若し兵力量をそういう工合に減らさないということになれば、いわゆるMSAで以て兵器は持つて来るのでしようけれども、兵器の修理その他今特需工場がやつているような業態は、今度は保安庁のほうの費用で以て仕事が続けられると思うのですけれども、これは先ほどの切替の問題になるのですが、その点の見通しはどうですか。
○説明員(関守三郎君) どうもそうなりますとちよつと私、殊に前段の問題はお答えいたしかねると思いますが、ただ今の特需の問題に関しましては、いわゆる特需工場の問題に関しましては、コンパクトの状態から狭いコンパクトの状態に移る。つまり何と申しますか、戦闘状況と申しますか、朝鮮の戦争の関係からやはり若干そこに何と申しますか、準戦闘状況と申しますか、そういうものに移るので、そこの点から或る程度今の特需のほうに響いて来るのだ、こういうふうに一応の説明としては受けておりますが、それ以上のことは突込んで、目下紙に書いて、はつきり焦点を明らかにして追及しているところでございます。
○委員長(栗山良夫君) 委員も大分退席されて時間もたちましたので、この辺で一応閉会したいと思います。ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十一分散会